JP2004518109A - 細胞上のパッチ−クランプ測定のための方法および装置 - Google Patents

細胞上のパッチ−クランプ測定のための方法および装置 Download PDF

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    • G01N33/48707Physical analysis of biological material of liquid biological material by electrical means
    • G01N33/48728Investigating individual cells, e.g. by patch clamp, voltage clamp

Abstract

本発明は、細胞または類似構造物におけるパッチ−クランプ実験のための方法であって、少なくとも1つの細胞が、キャピラリーのルーメン内に挿入され、キャピラリーの内部で位置決めされ、それにより、1ギガオーム、好ましくは10ギガオームを超える抵抗を有する十分強固なシールが、細胞膜とキャピラリーの内部表面との間に形成される方法を示す。その長さに沿って、前記キャピラリーは、少なくとも1つの位置において、前記細胞の外径よりも小さな内径を有する。好ましくは、細胞は、前記細胞を含む懸濁液または溶液の加圧、吸引、沈降、または遠心分離によって、キャピラリーに挿入されて位置決めされる。この方法を用いて実験を行うための装置を記載する。

Description

【0001】
本発明は、パッチ−クランプ(patch−clamp)技術による、細胞または類似構造物における測定のための方法、およびこれらの測定のための装置に関する。
【0002】
生体細胞は、脂質膜によってそれら自体を取り囲むことにより内部微環境を生み出し、それにより、細胞メカニズムの機能を守る。これらの脂質膜は、実際上、帯電粒子を通さない。従って、特殊化され、包埋された輸送蛋白質が、膜を越えてイオンを運ぶ。それらは、細胞の電気的感受性(electric excitability)、膜または細胞層を越える物質の輸送、ならびに細胞内のいくつかの電気的および化学的シグナルを含む様々な生理学的機能の基礎である。
【0003】
細胞生物学の研究は、サクマン(Sakmann)およびネーヘ(Neher)によって1981年に開発されたパッチ−クランプ法によって大変革がもたらされた。パッチ−クランプ技術により、イオンの輸送体による電流の高時間分解能での直接測定が可能になる。実際、この方法は、数ミリ秒の時間分解能で、リアルタイムで単一の特殊化された蛋白質分子の組織変化を測定し得る唯一の方法である。これにより、例えば、単一分子または薬剤のターゲット蛋白質への直接の作用を評価することができる。更に、その技術により、膜の電気的および化学的環境の正確な制御ならびに膜の両側へのシグナル(signaling)分子、薬剤などの適用が可能になる。
【0004】
この技術は、有機および無機イオンの電気発生イオン輸送体、選択的および非選択的イオンチャンネル、ならびに他の細孔誘発(pore−inducing)膜蛋白質を含む、様々な輸送蛋白質を調べることができる。イオンチャンネルは、電圧ゲート型(voltage−gated)、リガンドゲート型(ligand−gated)、および貯蔵量誘発型(store−operated)チャンネルを含み、それらは、Na、K、Ca2+、およびClに対して選択的であるか、または非選択的である。膜結合型(membrane−associated)蛋白質内の電荷移動でさえ、測定され得る(ゲート電荷(gating charges))。これは、すべての膜結合型蛋白質を、レセプター、酵素、および他の蛋白質又は帯電分子とのそれらの相互作用を含む技術に利用できるようにする。イオンチャンネルは、特異的な状態で組織全体に分布し、機能が大きく異なることを特徴とする。従って、それらは、組織に特異的な機能を操作するための薬学的化合物のための理想的なターゲットである。そのような化合物の例は、利尿剤、抗糖尿病薬、抗癲癇薬、局所麻酔薬、抗不整脈薬、いくつかの抗生物質等である。パッチ−クランプ技術は、そのような化合物の生物学的作用を分析するための、極めて高感度な方法である。その方法の主な欠点は、実験手順が複雑であること、マニュアル操作が必要であること、ならびに、その結果、試験化合物および輸送蛋白質の処理量が少ないことである。
【0005】
パッチ−クランプ技術には、数種の異なる形式がある。これらの形式のすべてに、微細加工(micromanipulation)が必要とされる。顕微鏡的な視覚制御(microscopic visual control)下で、細胞は、ガラス製マイクロピペットに機械的に近づけられ、吸引によってピペットに付けられる。これにより、微小電流の低ノイズ高分解能記録のための必要条件(prerequisite)である、細胞膜とピペットチップとの間で電気的な強固な結合がもたらされる。その技術の異なる形式では、ピペットチップ中の膜パッチまたは反対側の膜層のいずれかを通過する電流が記録される。
【0006】
細胞膜とガラス製キャピラリーとの間の強固な結合は、しばしば、“シール(seal)”と呼ばれる。シールの性質が異なることにより、異なる細胞型およびイオン性電流の大きさの今日の研究が可能になる。1980年に、ネーヘ(Neher)およびサクマン(Sakman)は、新たな性質のシール、いわゆるギガシール(gigaseals)を得るための方法を示した。この発見は、1991年のノーベル賞を受賞し、ギガシールによって、小型哺乳動物、ヒト、昆虫、および他の細胞におけるピコアンペア領域でのイオン性電流の正確な測定が初めて可能になった。1981年の刊行物では、ネーヘ(Neher)およびサクマン(Sakman)のグループは、以下のように記載している:
“細胞外パッチクランプ技術は、単一のイオンチャンネルにおける電流の観察を初めて可能にした(ネーヘ(Neher)およびサクマン(Sakman)、1976)。この技術では、小型の加熱研磨されたガラス製ピペットを、細胞膜に対してプレスし、50メガオームオーダーの抵抗を有する電気的シールを形成する(ネーヘ(Neher)ら、1978)。このシールの高い抵抗により、膜の小型パッチから生じる電流のほとんどが、ピペットへ流れ込み、そこから電流測定回路へ流れ込むことが保証される。シールの抵抗は更に、記録時のバックグラウンドノイズのレベルを決定するため、重要である。
近年、ピペットの表面を清潔に保つために予防措置が取られる場合、およびピペット内部に吸引力が加えられる場合に、10−1000Gオームの抵抗を有する強固なピペット−膜シールが得られ得ることが観察された(ネーヘ(Neher)、1981)。我々は、これらシールを通常のメガオームシールと区別するために、“ギガ−シール”と呼ぶ。・・・・・
ギガシールは、機械的にも安定である。・・・・・
膜パッチは、ピペットが細胞に付着した状態に保たれるのを妨げられ得る(disrupted keeping the pipette cell−attached)。
これにより、細胞内部へ低抵抗で直接近づくことができ、それにより、小型細胞の潜在的な記録および電圧による固定(voltage clamping)が可能になる”(ハミル(Hamill)、マーティ(Marty)、ネーヘ(Neher)、サクマン(Sakmann)、サイワース(Sigworth)、Pflugers Arch. 391:85−100, 1981)。
【0007】
ピペットチップおよび吸引管(suction)に細胞が近づいた後の電気抵抗がギガオーム範囲に達するときに、“ギガシール”が得られる。数10ギガオームの通常の抵抗は、プロトンのような小さなイオンでさえ、膜とガラス表面との間を通過することができないことを示す。機械的な力および水圧による吸引によって膜に近づけられるピペットチップの縁と膜との間に、そのようなギガシールが形成されなければならないことが予想された。このギガシールによって、現在使用されている増幅器による、100fA(10−13A)以下の範囲の直流(directed−currents)の測定が可能になる。いかなる場合でも、測定される電流は、膜を横切るイオン輸送量と、装置と調製物を通り抜けるリーク電流の合計を表す。
【0008】
パッチ−クランプ技術は、非常に遅く、特に、微細加工が必要なため、熟練した作業者(highly qualified personnel)を必要とする。顕微鏡のステージ上で単一細胞を顕微操作装置に近づけ、そして吸引力を加えてピペットを密閉するために、高レベルの器用さ、ならびに所定の細胞の機械的性質およびその微細加工に関する経験が必要とされる。例えば、吸引前に加えられる機械的な力は、膜とピペットチップの結合に重要である。更に、シールは機械的に不安定であり、機械的な摂動(perturbation)および水圧による乱流(例えば、溶液交換)によって破壊され得る。顕微鏡および顕微操作装置が必要とされる。このことは、多数のピペットを有するアレイの小型化および最も望ましい配列を妨げる。
【0009】
上記の記載は、パッチ−クランプ技術の様々な可能性のある適用のために、いくつかの細胞を同時に調べ、そして自動的にギガシールを得ることが望ましいことを説明する。このことは、マイクロピペットのチップを、細胞膜と機械的に密接に接触させなければならないという事実によって妨げられる。DE−A1−197 44 649には、多数のピペットのアレイによって多数の細胞を調べるための装置および方法が記載されている。しかし、この特許出願では、細胞膜に対するピペットアレイの機械的な動きの(上記と)同様の原理が使用されている。WO 99/66329には、細胞を適用し、多数の細胞を同時に調べるための薄い平らな基板における細孔の配列が記載されている。そのような多孔質基板の製造は、複雑かつ高価であり、多数の細孔へ細胞を付着させることは任意であり(arbitrary)、達成および制御が困難である。平らな基板の表面による細胞のシールは、機械的に不安定であり、溶液交換により容易に破壊される。更に、WO 99/66329のような、すべての平らな配列において、または、当業者に知られている他の経上皮測定装置において(例えば、ユーシング・チャンバー(Ussing chambers))、いくつかの細孔が細胞によって強固に密閉されないならば、実験は既に妨げられている。漏れ口の多い(leaky)細孔は、測定されるべきイオン輸送体による電流より数桁大きい深刻なリーク電流を生じさせる。そのような配列において、細孔間の、特に漏れ口の多い細孔からの電気的なクロストーク(crosstalk)によって、深刻な問題が引き起こされる。大きな静電容量により、電気的ノイズおよび外乱(disturbances)が引き起こされ得て、それにより、測定の時間分解能が低下する。このことは、電圧ゲート型イオンチャンネルを測定する場合に、特に重要である。
【0010】
米国特許第6,048,722号(WO 97/17426に対応)には、自動データ取得および潅流(perfusion)制御のための細胞生理学ワークステーションが記載されている。その装置は、卵母膜とガラスとの間にシールを形成するために、パスツールピペットチップ内にゼノプス(Xenopus)卵母細胞を保持する。そのようなシールの抵抗は、100−200メガオームを超えないであろう。ゼノプス卵母細胞は−哺乳動物と比べて−かなり大きい。それらの外径は、1mmを越える(reaches > 1mm)。従って、それらは、巨大な膜領域を有し、かつ他の細胞よりも数桁大きいイオンチャンネルを含み、その結果、数百から1000ナノアンペアの範囲のイオン性電流が得られる。従って、いわゆる高抵抗シール(100−200メガオームオーダー)は、ゼノプス卵母細胞において大きな電流を測定するのに十分である。しかし、これらの細胞は、両生類に由来するので、哺乳動物およびヒトの細胞におけるイオンチャンネルの機能の研究のために使用するには限界がある。典型的には5−50マイクロメーターの範囲の直径を有する哺乳動物細胞において、イオン性電流は、典型的にはたった1〜数百ピコアンペアにしか達しない。そのような小さな電流を測定するためには、シールの抵抗は、ゼノプス卵母細胞の場合よりも数桁大きくなければならず、即ち、1−1000、好ましくは10−1000ギガオームの範囲でなければならない。上記のように、当業者は、そのようなギガシールを得るために、ガラス製ピペットの端または縁を、細胞膜に対してプレスしなければならないと考えた。このことも、記録チャンバー内にパッチクランプピペットおよび注射針を含むバイオセンサーの更なる、通常の使用を説明する米国特許第6,048,722号から明らかである。これは更に、ゼノプス卵母細胞を保持するための記録チャンバー内での電極のようなプローブ、針およびパッチクランプピペットによる更なる微細加工を必要とする。これらの要求は、上記と同じ欠点を引き起こす。
【0011】
要約すると、当業者は、機械的な力および水圧による吸引によって膜に近づけられるピペットチップの縁と細胞膜との間にギガシールを形成しなければならないことを予想した。
【0012】
結果として、本発明の目的は、従来技術の欠点を回避することである。それは、パッチ−クランプ技術のために必要な、膜と記録チャンバーまたは保持基板との間のギガシールを得るための新規なアプローチであろう。それは、それらシールの機械的安定性を増すであろう。顕微鏡的な視覚制御のための要求はなくなるであろう。本発明は、記録調製物の静電容量を小さくし、その結果、小さな誘電性の変動(ノイズ)および測定されたシグナルの高い時間分解能が得られるであろう。それにより、パッチクランプ技術による、多数の細胞における同時かつ/また連続した(in rapid order)測定が可能になるであろう。その装置は、容易に自動化され、かつ簡単な、または既に存在する部分を用いて組み立てられるであろう。その装置は、多数の記録調製物を並列に配列し、そしてその装置を存在する実験用ロボットシステムに組み合わせるために、最小化されるであろう。記録チャンバーが可撓性アレイに配列され、そして記録のために調製された細胞を含むチャンバーが容易に入れ替えられて前記アレイに動かされ得るように、その装置は、多数の記録調製物を独立して配列するであろう。多数の記録調製物は、お互いに電気的にシールドされ得る(shieldable)。
【0013】
本発明は、請求項1に記載の方法および請求項12に記載の装置によって、上記の問題を少なくとも部分的に解決する。その方法および/または装置の好ましい態様は、請求項2−11および13−22に記載されている。請求項23−25は、キャピラリー、キャピラリーおよびキットの使用を示す。すべての請求項の文言は、詳細な説明の一部として参照する。
【0014】
本発明は、キャピラリーのルーメンに細胞が位置し、細胞膜とキャピラリーの内壁との間に、1ギガオーム、好ましくは10ギガオームを越える抵抗を有する、十分強固なシールが得られる方法を提供する。ギガシールが得られた後に、パッチクランプ実験を行うことができる。そのキャピラリーは、少なくとも一部でキャピラリーの長さに沿って測定されるべき細胞の外径よりも小さな内径を有するように、テーパーされる(tapered)。
【0015】
テーパー(Taper)、とは、キャピラリーの長さに沿って動かされる細胞を保持することを可能にし、かつその細胞の通過(passage)を防ぐキャピラリーの形状を意味する。テーパーとは、その細胞の周囲を取り囲み、そしてキャピラリーの内部表面と細胞表面との間の密接な接触を可能にするキャピラリー内壁の円錐形状をも意味し得る。従って、キャピラリーは、細胞を保持および位置決めし、そして細胞表面とテーパーされたピペットの内部表面との間に強固なシールを得るために、その長さに沿ってテーパーまたはノズルへ向かって狭くなる優先的な(preferentially)円形内部断面によって構成されるであろう。明らかに、異なる細胞の直径を許容するために、テーパーの内径、形状および急勾配を変えることができる。テーパーにおいて非常に小さな内径を使用することにより、非常に小さな細胞または細胞より小さい膜構造物(subcellular membrane structures)、例えば、ミトコンドリア、リソソーム、またはバクテリアを位置決めし、かつ保持することができる。これらの構造物は、光学顕微鏡使用およびマイクロメカニック操作に対しては、通常小さすぎるので、今までのところ、パッチ−クランプ法を直接用いることにより、利用することができる。従って、本発明において、“細胞”という語は、脂質膜に取り囲まれた、何らかの生物学的構造物または人工構造物を含む。
【0016】
本発明において、“位置決め(positioning)”という語は、1ギガオームを越える抵抗、好ましくは10ギガオームを越える抵抗を有する十分強固な結合またはシールが、細胞膜とキャピラリー壁の内部表面との間に得られる、パッチ−クランプ実験に十分なテーパーまたはキャピラリーにおける細胞の何らかの固定を表す。
【0017】
小さな細胞(例えば、哺乳動物細胞、ヒト、植物、昆虫細胞)におけるイオン性電流の測定のために必要なギガシールが、キャピラリールーメンの内部表面と細胞膜との間に得られ得ること、およびパッチクランプ実験が、細胞膜の一方を透過性にした(permeabilizing)後に、そのような細胞上で行われ得ること、およびパッチ−クランプピペットまたは注射針のような更なるプローブが、そのような実験を行うために必要とされないことは、驚くべきことであった。本発明では、キャピラリーの狭い部分での細胞の位置決めのみで十分であり、ギガシールを得るために、針、パッチ−クランプピペットまたは顕微操作装置のような更なる装置は必要とされない。更に、本発明によって得られるギガシールは、機械的に安定であり、水圧による摂動および機械的摂動に耐えることができる。ギガシールを破壊することなく、密閉された細胞を含むキャピラリーを、キャピラリーのホルダーから取り除き、別のホルダーへ動かすことが、ごく普通に可能である。ギガシールは、機械的振動、例えば、キャピラリーに対するタッピング(tapping)にも耐える。シールを壊すことなく、液体をキャピラリーへ流入させることができる。
【0018】
キャピラリーの長さは、本発明にとって重要ではない。完全に異なる長さのキャピラリーを使用することができる。好ましい態様において、キャピラリーは、少なくとも、細胞が完全にキャピラリー内部に位置するほど長い。
【0019】
上記の説明は、キャピラリーの狭い部分またはテーパーは、異なる方法で得られ得ることを示す。簡単な好ましい態様において、全キャピラリーは、内径は、キャピラリーの長さに沿って徐々に(gradually or stepwise)小さくなるようにテーパーされる。この態様において、細胞は、キャピラリーテーパーの内部断面の直径が、細胞の外径に達する場所に位置決めされるであろう。別の好ましい態様において、最も狭い断面がキャピラリーの一方の端に置かれ、そして細胞が他方の端からキャピラリーへ導入されることにより、細胞は、狭い開口部に近接するキャピラリー内部に位置決めされて密閉されるであろう。
【0020】
別の好ましい態様において、テーパーが一方の端に位置し、そして細胞が他方の端からキャピラリーに導入されることにより、細胞は、狭い開口部に位置決めされて密閉され、そして細胞の一部が、開口部から突き出る。これにより、膜の突き出た部分において、溶液を迅速に交換することができる。
【0021】
好ましい態様において、テーパーされたキャピラリーは、通常のパッチ−クランプ実験のために用いられる、様々な形状のマイクロピペットと類似した、いわゆるマイクロピペットであることができる。当業者は、そのようなマイクロピペットをどのように製作、形成するかを知っている。典型的には、溶融した中間部においてキャピラリーの両端を引き離すことによって、(少なくとも局部的に)加熱した後に、ガラス製キャピラリーからマイクロピペットを引っ張る。ギガシールを得るために必要なピペット材料の清潔な表面が、溶融により保証される。
【0022】
好ましい態様において、キャピラリーまたはマイクロピペットは、プラスチック(例えばポリスチレン)のような、異なる非導電性材料から製造され得る。本発明の別の好ましい態様において、キャピラリーまたはマイクロピペットは、ガラスから製造される。ガラスは、生物学的膜に強固に密閉されることが示され、かつ良好な誘電性を有する。ガラスは、広範な化学物質に対して不活性であり、かつ容易に清潔にすることができる。更に、広範なテーパー径を有するガラス製キャピラリーおよびマイクロピペットを、標準的なガラス形成技術によって、低コストで製造することができる。材料にかかわらず、好ましい態様において、試験される生物学的構造物または細胞の直径に依存して、50マイクロメーター以下、特に10マイクロメーター(μm)以下の、最も狭い部分のテーパー/開口部の内径が使用される。そのような直径の好ましい下限値は、50ナノメーター(nm)である。
【0023】
本発明の好ましい態様において、細胞懸濁液の溶液でキャピラリーを満たすか、またはその溶液をキャピラリーに流すことにより、細胞をキャピラリー内部に導入し、位置決めする。例えば、細胞懸濁液が、マイクロピペットの大きな開口部に満たされ、そして狭い開口部に対して吸引力が加えられ、それにより、細胞がピペットのテーパー中に位置決めされるであろう。流体および/または細胞が単に移動することによって、位置決めが達成される。最初の細胞がテーパー内に移動するとすぐ、細胞表面とキャピラリーの内壁との接触により細胞がキャピラリーに密閉され、そして流体の流れが遮断される。従って、更なる細胞がテーパー内へ移されることはない。従って、キャピラリーへの細胞の導入およびテーパーにおける細胞の位置決めは、一段階で達成される。本発明によれば、5mbar(0.5bar)から1bar、特に5mbarから500mbarの勾配をかけて圧力を加えることが好ましい。
【0024】
本発明の代わりの、または更なる別の好ましい態様において、キャピラリーへの細胞の導入および位置決めは、沈降(sedimentation)によって達成され得る。この場合、キャピラリーは垂直方向に固定され、好ましくは上記の水流(hydraulic flow)に加えて、細胞は重力によって位置決めされる。
【0025】
本発明の代わりの、または更なる別の態様において、キャピラリーへの細胞の導入および位置決めは、遠心分離によって達成され得る。この場合、細胞懸濁液は、キャピラリー内へ遠心分離され、細胞は、好ましくは上記の流体流に加えて、遠心力によって位置決めされる。細胞を含むギガシールを得るためには、2〜20gで遠心分離を行うことが好ましい。直径1マイクロメーター以下のバクテリアおよび他の小さな膜構造物の場合は、10〜500gでの遠心分離が好ましい。
【0026】
本発明の代わりの、または更なる別の態様において、キャピラリーへの細胞の導入および位置決めは、機械的振動によって、またはキャピラリーに沿って縦方向に加えられた電場の使用によって、達成または促進され得る。別の態様は、細胞に結合または封入された磁気ビーズを使用し、前記細胞を、磁場を用いて位置決めする。別の態様は、細胞を位置決めするために、レーザー光(光学的ピンセット(optical tweezers))を使用する。
【0027】
本発明の好ましい態様において、少なくともキャピラリーのテーパーされた部分が、最初に生理学的溶液に満たされる(好ましくは、滅菌フィルターに通すことにより、または遠心分離により、洗浄される)。次いで、細胞懸濁液は、その溶液の最上面に積層される。その後、細胞は、上記のような重力、遠心分離などにより、テーパーの方へ向かって、清潔な溶液層を通過する。ほとんどの場合、細胞は、細胞懸濁液中の膜フラグメントおよび他の典型的な汚染粒子よりも重いので、この工程により、細胞を、キャピラリーのテーパーされた部分に導入すると共に、“すすぎ洗い”することができる。更に、何らかの他の粒子の前に、完全な細胞を狭いテーパーに導入できる確率は増加する。このことは、その後のギガシールの形成を別のやり方で(otherwise)妨げ得る粒子によって、ピペットテーパーの内部表面が汚染される危険性を、効果的に低減する。
【0028】
一般に、本発明の好ましい態様において、ギガシール、特に、非常に高い抵抗を有するギガシールを提供するために、キャピラリーの内部表面を極めて清潔にすることが、特に有利である。結果として、キャピラリー、特に、非常に清潔な内部表面を有する、そのようなキャピラリーの少なくともテーパーされた/狭い部分を製造することが好ましい。更に、キャピラリーをパッチ−クランプ実験のために使用するまで、そしてそのようなパッチ−クランプ実験の最中に(even during)、そのような内部表面を、極めて清潔に保つことが好ましい。
【0029】
本発明によるキャピラリー内に細胞を含むギガシールを製造するために、以下の4つの技術的要件の少なくとも1つを実施することが好ましい。明らかに、4つの技術的要件すべてを実施することが更に好ましい。
1.内部表面を越えて何らかの塵埃粒子または汚染物質が浸水することを保証す るために、テーパー/狭部(narrowing)の製造中に、キャピラリーを溶融す ること、好ましくは完全に溶融すること。
2.製造後、例えば、濾過(好ましくは孔径0.2マイクロメーター)空気流の 下、滅菌容器(containment)中に密閉することにより、極めて清潔な環境に キャピラリーを保持することによって、内部表面の汚染を回避すること。
3.例えば、滅菌濾過溶液、例えば生理食塩溶液によって、少なくともテーパー を満たすことにより、実験中の内部表面の汚染を回避すること。
4.滅菌濾過溶液の前記の層による細胞の沈降および/または遠心分離によって 、実験中に細胞懸濁液における汚染粒子によって生じる内部表面の汚染を回 避すること。
【0030】
好ましい態様において、前記の位置決めされた細胞または膜構造物において、以下のパラメーター:電圧−クランプにおける電流、電流−クランプにおける電圧、電気抵抗、インピーダンス、静電容量、光学的蛍光、プラズモン・レゾナンス、メカニック・レゾナンス、流動性、および/または剛性、が測定される。
【0031】
好ましい態様において、パッチ−クランプ実験を行う前に、細胞の位置決めが確認および/または制御され得る。これは、光学的手段によって、例えば、キャピラリーのテーパーを照らすレーザー光を分析することによって、達成され得る。ここで(In this context)、前記細胞は、色素、色素と結合した抗体、リガンド、脂質などによって染色され得る。細胞内または細胞表面において、化学的な変化を示し、それにより、キャピラリーにおける細胞の位置に加えて、生物学的情報、例えばサイトソルにおける化学的変化、が得られるように、色素が選択され得る。好ましくは、細胞の位置決めは、キャピラリーを通る圧力および/または流れを測定することによって制御および確認される。圧力および/または流れの変化は、キャピラリーテーパーにおける細胞の位置決めを示す。細胞の所望の位置決めおよび膜とキャピラリー内部表面との間の強固なシールを達成するために、圧力および流れが、好ましくは自動的に調節され得る。更に好ましくは、テーパーに対する細胞の位置を評価し、かつシールの質を測定するために、キャピラリーに沿った電気抵抗が測定される。次いで、シールの抵抗を向上させるために、位置決めの力が調節される。このようにして、異なる細胞型の膜とキャピラリー内部表面との間の最適なシールを得るために、水力および遠心力が制御され得る。
【0032】
本発明によれば、各パッチ−クランプ実験のために、新たなキャピラリーまたはマイクロピペットが使用され得る。このことは、新たな細胞を位置決めおよび密閉するための、新たな、極めて清潔な表面を保証する。別の好ましい態様において、キャピラリーは、パッチクランプ実験後に再利用される。この目的のために、吸引/フラッシング(flushing)により、細胞がキャピラリーから除かれる。その後、キャピラリーは、別のパッチ−クランプ実験のために洗浄されて準備される。キャピラリーの洗浄は、溶媒または化学物質によるフラッシングによって行われることが好ましい。キャピラリーの内部表面を洗浄するために、更なる、または代わりの加熱および超音波が使用され得る。
【0033】
請求項に記載の方法が、いくつかの方法に修正され得ることは、当業者に明らかである。例えば、前記細胞をキャピラリーの内壁に密閉した後に、溶液交換を、細胞の両側で行うことができる。溶液交換は、吸引および/またはフラッシングなどのためのチューブまたは出口を用いて行うことができる。更に、膜は、シールの一方の側において選択的に透過性にされ得る(permeabilized)。これを達成するために、圧力変化、超音波、電圧の跳躍(electric voltage jump)、または化学物質(例えば、イオノフォア、テンシド(tensides)、酵素、溶媒)の透過性化が使用され得る。それらは、前記溶液交換装置を介して適用され得る。一方の膜表面の選択的な透過性化は、他方の膜表面の内側が、キャピラリーに適用された物質に接近できるようにすることができ、かつ他方の膜表面に近づく電気抵抗を低減することができる。本発明によれば、膜を破壊するために、針のような更なるプローブも、そのようなプローブの機械的な移動も必要とされない。
【0034】
明らかに、様々な異なる細胞型を、本方法によって調べることができる。本発明によれば、100μm以下、好ましくは50μm以下の直径を有する細胞または(上記のような)細胞以下の構造物を使用することが好ましい。30μm〜3μmの直径を有する細胞または構造物を使用することが更に好ましい。
【0035】
2、3例を挙げると、調べることができる細胞は、ジャーカットリンパ腫細胞、HEK293細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞、海馬のようなニューロン組織からの初期細胞、神経節、神経内分泌細胞など;骨格筋、平滑筋、心臓筋肉、免疫細胞; 皮膜組織、内皮などを含む。更に、細胞は、遺伝的に設計することができる。例えば、イオン輸送蛋白質は、細胞系、例えばCHO細胞において発現され得る。好ましい態様において、DNAやRNAのような遺伝的材料は、パッチ−クランプ実験に続くキャピラリーから採取することができる。
【0036】
別の態様において、本発明の(presented)方法は、人工または天然の脂質小胞を調べるために使用され得る。好ましくは、イオン輸送蛋白質、ある場合には遺伝的に修正された蛋白質が、これら小胞に挿入され得る。更に、従来技術と比べて、1マイクロメーターを十分に超える直径を有するパッチ−クランプ技術構造物が、位置決めおよび密閉され得るので、細胞以下の膜構造物(例えば、ミトコンドリア、リソソーム、小胞体、核)、植物細胞、および原核細胞(例えばバクテリア)を調べることができる。
【0037】
好ましい態様において、位置決めされた細胞、ある場合には、蛋白質、脂質、RNA、DNA、酵素および他の分子から、材料が回収/採取される。
【0038】
本発明は、好ましくは上記の方法を適用するための、細胞または他の膜構造物におけるパッチ−クランプ実験のための新たな装置を更に含む。この装置は、少なくとも1つのキャピラリー、前記キャピラリールーメン内へ細胞を運んで前記細胞をキャピラリー内へ位置決めするための、少なくとも1つの装置、および、最終的には、パッチクランプ測定を行うために必要な、他の通常の装置を含む。前記キャピラリーは、キャピラリーの長さに沿って、少なくとも1つの部位が、測定されるべき細胞の外径より小さな内径を有するようにテーパーされる。更に、細胞膜とキャピラリーの内部表面との間にギガシールを得るために、細胞が前記キャピラリールーメン内に導入されて位置決めされ得るように、キャピラリーが設計される。装置の設計およびその利点は、上記の方法に直接関連し、その方法の説明は、前記装置の説明の確固たる(explicit)部分である。
【0039】
本発明の好ましい態様において、その装置は、少なくとも1つの溶液または細胞懸濁液を、キャピラリールーメンにフラッシングして排出させることができる装置を含む。この目的のために、リザーバーのような液体容器、キャピラリーに供給して排出するためのチューブ、懸濁液および溶液のためのポンプ、ピペット、バルブならびに圧力/流れの測定器が、提供され得る。
【0040】
本発明の好ましい態様において、フラッシング/排出装置は、細胞をキャピラリー内へ遠心分離するように設計された装置を補足されるか、またはそれに取り替えられる。
【0041】
その装置は、電気抵抗を測定するための装置(例えば、好ましくは塩化銀または炭素繊維製の電極およびケーブル)、または細胞/キャピラリー系の光学的性質を分析するための装置、好ましくはレーザー光源、光ファイバー、および光検出器を含み得る。前記装置は、キャピラリー内の細胞の位置決めを制御および調整するために使用され得る。
【0042】
本発明の利点は、複数のテーパーされたキャピラリー、好ましくはマイクロピペットが使用される、本発明の好ましい態様において、ほぼ明らかである。キャピラリーは、好ましくは規則的に間隔をとった(regularly spaced)アレイに配列され得る。このように、キャピラリー中に密閉された細胞が、同時に、または迅速に連続して(in a rapid sequential order)調べられ得るので、パッチ−クランプ法は、自動化され得る。
【0043】
多数のキャピラリーを用いる態様において、最初の段階で、細胞が、前記キャピラリーに位置決めされ得る。位置決めされた細胞は、機械的に保護されて強固に密閉されるので、第二段階において、細胞を含むキャピラリーは、測定装置内へ移され得る。更に、密閉しようとする試み、または膜を開けようとする試みが失敗する場合には、細胞を含むキャピラリーを取り替えることができる。この態様において、位置決めされ、密閉され、そして開かれた細胞のアレイを、組み立てることができる。
【0044】
多数のキャピラリーを用いる態様において、そのようなキャピラリーは、お互いに、および周囲の環境から、容易に電気的にシールドされ得る。ここで、好ましくは、金属または何らかの他の伝導性材料製の接地(grounded)シールドが、キャピラリーを閉じる際に使用され得る。例えば、そのようなシールドは、キャピラリーを部分的または完全に取り囲む円筒状チューブの形状であり得る。
【0045】
複数のキャピラリーを用いる態様において、好ましくは、多数の液体容器、好ましくは細胞および化合物を含む懸濁液または溶液を保持するマイクロウェルが使用され得る。これらの容器は、マイクロタイタープレート中のウェルであり得る。好ましくは、容器の数および配置は、キャピラリーアレイに関連する。これにより、例えば、ピストン・ストローク・ピペットを用いて、所定のウェルからの液体を、対応するキャピラリーに移すことができる。
【0046】
記載した態様において、細胞懸濁液を含む懸濁液または溶液を、キャピラリールーメン内に容易に移すことができるように、キャピラリーおよび液体容器を配置するかまたは動かすことが好ましい。図面および図面の説明は、そのような配置の例を示す。
【0047】
好ましい態様において、本発明において記載した方法を適用するために、キャピラリーの長さに沿って、少なくとも1つの部位が、測定されるべき細胞の外径より小さな内径を有するように、装置中の少なくとも1つのキャピラリーがテーパーされる。キャピラリーは、ガラス製であることが好ましく、かつマイクロピペットであることが好ましい。
【0048】
記載した特徴および特性ならびに他の特徴および特性は、以下の実験プロトコルおよび図面の説明から得られる。前記実験プロトコルのみ、または図面のみ、またはそれらを組み合わせて、異なる特徴を得ることができる(implemented)。
【0049】
図面:
図1は、通常のパッチ−クランプ技術(A)および本発明の方法(B)を用いた細胞の位置決めを比較したスケッチである。
【0050】
図2
本発明によるキャピラリーの態様のスケッチ
【0051】
図3
膜のそれぞれ一方の選択的透過性化のスケッチ
【0052】
図4
密閉された位置における細胞を含むキャピラリーの2つの他の態様のスケッチ
【0053】
図5
細胞を含むキャピラリーおよび更なる装置を含む、自動パッチ−クランピングのための装置のスケッチ
【0054】
図6
吸引および自動パッチ−クランピングによって自動位置決めを行うための、多数のキャピラリーのアレイのスケッチ
【0055】
図7
遠心分離および自動パッチ−クランピングによって自動位置決めを行うための、多数のキャピラリーのアレイのスケッチ
【0056】
図8
キャピラリー内への細胞の位置決め中のギガシール形成による抵抗の増加を示す、電圧の段階に応じた電流のトレース(traces)
【0057】
図9
ガラス製マイクロピペットのチップ内に位置決めされた細胞の顕微鏡写真
【0058】
図1は、本発明の方法と従来技術の通常のパッチ−クランプ技術との違いを説明する。図1Aは、通常のパッチ−クランプ法による、マイクロピペットのチップへの細胞の付着(シール)を示す。シールは、ピペット開口部の縁と細胞膜との間に形成される。矢印は、細胞に対してピペットチップを加圧し、そしてピペット内部に真空を適用した後の、ピペットチップを吸引/流れの方向を示す。図1Bは、本発明による、細胞の位置決めおよび密閉を示す。矢印は、懸濁させた細胞、例えば、図1Bでは3つの細胞を。マイクロピペットのチップの方へ動かすときの、細胞の流れ、および/または、移動の方向を示す。図1Bは、テーパーされたピペットの内壁に密閉された細胞を、更に示す。パッチ−クランプ実験は、この細胞において行われ得る。従来技術とは対照的に、本発明の方法は、マイクロピペットを細胞の方へ動かす必要がない。それら細胞は、ピペットルーメン内へ流され、テーパーにおいて位置決めされる。この方法は、簡単であるだけでなく、位置決めの制御のための顕微鏡およびマイクロピペットを置くための顕微操作装置の必要をなくす。これにより、どんな場合でも、装置の小型化および自動化が可能になる。
【0059】
図2は、キャピラリーならびに本発明の方法によって位置決めおよび密閉された細胞を示す。キャピラリーは、細いチューブとして構成され(外径1.5mm、内径1.2mm)、示した例では、それは、小さな開口部(0.5−1μm)に至るまでしだいに細くなっている(tapers)。このテーパーにおいて、細胞(直径約10μm)が位置決めされ、その膜が、好ましくはガラスからなるテーパーの内部表面に密閉される。テーパーの開口部における2本の小さなラインは、右側での細胞膜の透過性(permeabilization)を象徴している。キャピラリーの両側に、溶液および懸濁液のフラッシング/排出のための細いチューブが挿入される(外径0.2mm、内径0.1mm)。矢印は、液体の流れの方向を示す。これらのフラッシング/排出装置は、細胞懸濁液をキャピラリー内(左側の注入口および排出口)に満たすためか、または、例えば実験後に、細胞懸濁液を排出する(左側の注入口および排出口)ために使用され得る。更に、それらチューブは、キャピラリー(左右の注入口および排出口)を洗浄するためか、または薬理学的物質、膜を透過性にする化学物質および他の化合物を適用するため(左右の注入口および排出口)に使用され得る。また、電流および/または電圧を電気的に測定し、かつ電流を流すために働く電極(例えば、塩化銀の針金、外径0.2mm)が、キャピラリールーメン内に挿入される。キャピラリーの寸法、テーパーならびに注入口および排出口は、それぞれの条件、例えば、異なる大きさの細胞型の直径に調整され得る。
【0060】
図3は、周囲のシールの両側をどのように透過性にすることができるかを示す。即ち、細胞膜は、テーパーの狭い注入口側か、または排出口側のいずれかにおいて、透過性にされ得る。透過性は、二本のラインによって象徴される。対応する情報は、上記の説明に示した。
【0061】
図4は、それぞれ狭い部分に密閉された細胞を含むテーパーされたキャピラリーの、2つの更なる、代わりのモデルを示す。図4の左側のパネルは、キャピラリーの最も狭い部分において、円形の縁または端をむき出しにして後ろ側へ折りたたむ、テーパーを示す。右側のパネルは、図4において最も狭い位置の両側に対してテーパーが左右対称になるように(symmetrically mirrored)示されている砂時計状の(hour−glass−like)形状を有するキャピラリーを示す。図4で説明されている特徴は、本発明の説明の一部として、添付の請求の範囲に明確に記載されている(herewith explicitly claimed)。
【0062】
図5は、本発明による装置のスケッチを示す。図2に示したモデルと同様のマイクロピペットとして形成されたガラス製キャピラリーが示されている。テーパーされたキャピラリー1のノズル状の部分に、実験のために細胞が位置決めされる。細胞の両側で、注入口および排出口2が、キャピラリールーメンの両端に挿入される。これらの注入口および排出口は、リザーバー5とキャピラリー1との間で液体を移動させるために役立ち、圧力および/または流速を測定する、ポンプおよび圧力/流れのゲージ3につながれる。電極8は、キャピラリー1の両側へ挿入される。これら電極は、(図2)と同様に、注入口/排出口の下方にラインによって表される。
【0063】
レーザー光源6および光検出器7が、図5に示されている。それらは、キャピラリー1における細胞の位置決めおよび固定を制御するために働く。各要素はすべて、コンピュータを含み、データを記録し、電圧および/または電流クランプ(下記参照)を行い、データを解析し、そして装置を制御、調節する、制御装置4に電子的につながれている。
【0064】
図6および7は、多数のキャピラリーが組み合わされている装置を示す。キャピラリーは、平らな通常のアレイに配列され、そして多数のリザーバーのそれぞれのアレイ上に、その装置によって位置決めされ得る。これらリザーバーは、図6および7に示すような、マイクロタイタープレートにおける微細容器であることができる。ピペットのより大きな開口部は、微細容器の方を向いており(point towards)、それら容器内へ移され得る。それら容器は、細胞の懸濁液によって満たされ得る。図6の下部では、懸濁液が、ピペット内へ吸い込まれている。図7では、懸濁した細胞が、遠心分離によってピペットチップの方へ移されている。この目的のために、ピペットアレイホルダーは、回転子中に置かれている。回転により、遠心力は、ピペットの狭い部分の方へ、細胞を移動させる。図7の下部は、別のマイクロタイタープレートを示す。このプレート中の容器は、薬理学的物質の溶液で満たされ得る。薬理学的化合物を試験するために、細胞を保持するピペットアレイを、容器に入れることができる。代わりに、または更に、液体処理装置、例えばピペッティングロボットによって、物質またはその溶液を、容器から、細胞を保持するマイクロピペットに移すことができる。
【0065】
図8および9は、以下の実験の説明において述べられている。
【0066】
実験の説明
図2に記載した寸法を有するパッチ−クランプマイクロピペットを、マイクロプロセッサーによって制御されたプラー(puller)(ツァイツ・インスツルメンテ(Zeitz Instrumente)、アウクスブルク(Augsburg)、FRG)を用いて、ホウケイ酸ガラス(クラーク・エレクトロメディカル・インスツルメンツ(Clark Electromedical Instruments)、リーディング(Reading)、UK)から引っ張った。150mMのNaClを含む水溶液中でのチップ抵抗が2−3メガオームになるまで、ピペットチップをプラー中で火仕上げした。静電容量を下げるために、いくつかのピペットチップの外側表面を、シリコンゴムまたはパラフィンによって被覆した。
【0067】
電圧クランプおよびデータ取得のために、EPC9パッチ−クランプ増幅器(HEKA、ランブレヒト(Lambrecht)、FRG)を用いて、測定を行った。10kHzでデータをデジタル化し、2kHzでフィルターをかけた。(filtered)。HEKAからのソフトウェアを用いて、解析を行った。“電圧クランプ”は、パッチ−クランプ測定中の電気的パラメーターの制御のための、通常の技術を意味する。高抵抗フィードバック回路は、所定値の電圧が残留するような量の電流を、生物学的調製物に正確に流す。アナログ回路は、高時間分解能を特徴とし、容量性(capacitive)電流、直列式の抵抗、および試験される膜構造物を通って流れるイオン性電流から区別されるべきリーク電流を相殺(compensation)することができる。
【0068】
145mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、10mM グルコースおよび10mM HEPES(pH 7,4)を含む、滅菌濾過された改質リンガー(Ringer)溶液でピペットを満たした。ピペットを、AgClで被覆された銀の針金によって、プレ増幅器と電子的につないだ。約10μmのRPMI培地に懸濁させた、約5μmの直径を有する100−500個のジャーカット(Jurkat)T細胞(ATCC, VA, USA)を、細いガラス製チューブを用いて、マイクロピペットに導入した。次いで、ピペットチップを、外側電極を含む、溶液入りの容器(bath)に入れた。5mVの電圧段階で、抵抗を測定した(図8a参照)。ピペットに、0.5barの圧力をかけて、ピペットチップの方へ細胞を流した。ピペットテーパー中の細胞の位置決めを示す、ピペットの電気抵抗が増加したらすぐに、圧力勾配を除いた(図8b)。
【0069】
この種の実験により、ピペット内部と細胞膜との間にギガシールを再形成することができた。通常のパッチクランプ法のように、電気抵抗は、10ギガオームを超える範囲であった(図8c参照)。
【0070】
更に、図9に示す顕微鏡写真に示すように、ピペットの狭いテーパーに細胞が位置決めされることが、この実験により示される。短い圧力パルス(1bar、200ms)または電圧の跳躍(500mV、0.1ms)のいずれかを適用することにより、一方の側で細胞膜に穴を開けた。このことは、容量性電荷移動(過渡電流(current transients))の増加から明らかであった。ギガシールは、長時間(10−>60分)にわたり典型的には安定であり、マイクロピペットに意図的に適用された機械的振動にも耐えた。
【0071】
ここに記載した実験は、狭いテーパーを特徴とするガラス製キャピラリー内に細胞を導入することにより、細胞膜とピペット壁の内部表面との間に安定なギガシールを得ることができることを明確に示す。シールの抵抗および安定性は、記載の長所を得るのに十分なほど高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、通常のパッチ−クランプ技術(A)および本発明の方法(B)を用いた細胞の位置決めを比較したスケッチである。
【図2】図2は、本発明によるキャピラリーの態様のスケッチである。
【図3】図3は、膜のそれぞれ一方の選択的透過性化のスケッチである。
【図4】図4は、密閉された位置における細胞を含むキャピラリーの2つの他の態様のスケッチである。
【図5】図5は、細胞を含むキャピラリーおよび更なる装置を含む、自動パッチ−クランピングのための装置のスケッチである。
【図6】図6は、吸引および自動パッチ−クランピングによって自動位置決めを行うための、多数のキャピラリーのアレイのスケッチである。
【図7】図7は、遠心分離および自動パッチ−クランピングによって自動位置決めを行うための、多数のキャピラリーのアレイのスケッチである。
【図8】図8は、キャピラリー内への細胞の位置決め中のギガシール形成による抵抗の増加を示す、電圧の段階に応じた電流のトレースである。
【図9】図9は、ガラス製マイクロピペットのチップ内に位置決めされた細胞の顕微鏡写真である。

Claims (25)

  1. パッチ−クランプ技術による、細胞または類似構造物における測定のための方法であって、
    −キャピラリーの長さに沿って、少なくとも1つの位置において、前記細胞の外径よりも小さな内径を有するキャピラリーの内部ルーメンに、少なくとも1つの細胞が導入され、
    −前記細胞が、前記部位において前記キャピラリー内部に位置決めされ、細胞膜と前記キャピラリーの内部表面との間に、少なくとも1ギガオーム、好ましくは少なくとも10ギガオームの電気抵抗を有する、いわゆるギガ−シールが形成され、そして
    −次いで、前記細胞において、パッチ−クランプ実験が行われる方法。
  2. 前記細胞は、細胞を含む懸濁液または溶液のキャピラリー内へのフラッシングまたは吸引によって、キャピラリーに導入されて位置決めされる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞は、前記細胞を含む懸濁液または溶液に適用された遠心分離および/または沈降によって、キャピラリーに導入されて位置決めされる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記キャピラリーは、ガラス製キャピラリーである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記キャピラリーは、いわゆるマイクロピペットである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記のより小さな内径は、50μm以下、好ましくは10μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記細胞は、100μm以下、好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm〜3μmの直径を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記細胞または前記細胞を含む前記懸濁液もしくは溶液は、好ましくは滅菌濾過された液体または溶液、特に生理食塩溶液にそれを通すことによって、前記キャピラリー内に導入される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 通液段階の前に、前記の好ましくは滅菌濾過された液体または溶液を、キャピラリー内に満たし、それにより、少なくともギガシールが生じるであろう位置を被覆する、請求項8に記載の方法。
  10. パッチ−クランプ実験前またはパッチ−クランプ実験中に、好ましくは圧力もしくは流れもしくは電気抵抗を測定することによって、または光学的シグナル、好ましくはレーザー光を使用することによって、キャピラリールーメン内への細胞の位置決め後に、キャピラリー内の前記細胞の位置が制御される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. パッチ−クランプ実験後に前記細胞がキャピラリーから取り除かれ、かつ、好ましくは適当な溶媒または化学物質を用いてそれをフラッシングすることによって、キャピラリーが洗浄される、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 細胞または類似構造物における、パッチ−クランプ法による実験のための、特に、請求項1〜11のいずれかに記載の方法の適用のための装置であって、
    −その長さに沿って、少なくとも1つの部位において、細胞の外径よりも小さな内径を有し、かつそのルーメンにおいて、少なくとも1つの細胞を保持して位置決めするように設計され、細胞膜と前記キャピラリーの内部表面との間に、少なくとも1ギガオーム、好ましくは少なくとも10ギガオームの電気抵抗を有する、いわゆるギガ−シールを形成することができる、少なくとも1つのキャピラリー、
    −前記細胞をキャピラリー内に導入して、前記細胞を位置決めするように設計された、少なくとも1つの装置、および
    −パッチ−クランプ実験を行うために最終的に必要とされる他の装置
    を含む装置。
  13. 導入および位置決めのための前記装置は、前記細胞を含む少なくとも1つの懸濁液または溶液を、キャピラリールーメン内または外へフラッシングし、および/または排出するように設計される、請求項12に記載の装置。
  14. 以下の装置:
    −液体、懸濁液および溶液のリザーバーとしての容器、
    −リザーバーおよびキャピラリーに連結した注入口および/または排出口
    −液体、懸濁液および溶液のためのポンプ、バルブ、および/またはチューブ、そして任意に、
    −圧力および流れを測定するための装置
    が含まれる、請求項13に記載の装置。
  15. 導入および位置決めのための前記装置は、前記細胞を含む少なくとも1つの懸濁液または溶液を、キャピラリールーメン内へ遠心分離するように設計される、請求項12〜14の1項に記載の装置。
  16. 前記キャピラリーは、ガラス製キャピラリーである、請求項12〜15の1項に記載の装置。
  17. 前記キャピラリーは、いわゆるマイクロピペットである、請求項12〜16の1項に記載の装置。
  18. キャピラリー内への細胞の導入後または導入中に、電気抵抗を測定するための、および/または、好ましくはレーザー光で照らすための、および光学的シグナルを分析するための装置が含まれる、請求項12〜17の1項に記載の装置。
  19. 細胞においてパッチ−クランプ実験を自動的に行うように設計された、請求項12〜18の1項に記載の装置であって、多数のキャピラリーが、好ましくは規則的に間隔をとった平らなアレイに配列される装置。
  20. マイクロタイタープレートにおける多数の容器、好ましくはウェルが、細胞または化合物を含む溶液および懸濁液を保持するように設計され、かつ、好ましくはキャピラリーの数に対応する多数の容器が配列される、請求項19に記載の装置。
  21. 懸濁液または溶液およびそれらの各内容物が、容器からキャピラリー内へ、またはその逆へ移され得るように、キャピラリーおよび容器が配列され、または位置決めされ得る、請求項20に記載の装置。
  22. 単一のキャピラリー毎に、パッチ−クランプ測定の用意ができている、密閉された、開かれた細胞を含む、キャピラリーのアレイを形成するように、細胞を密閉し、好ましくは開く試みが失敗した後に、キャピラリーが取り替えられ得る、請求項19〜21の1項に記載の装置。
  23. 請求項1〜11のいずれかに記載の方法を行うための、キャピラリーの長さに沿って、少なくとも1つの位置において、細胞の外径よりも小さい内径を有する、キャピラリー、好ましくはガラス製キャピラリー、好ましくはマイクロピペットの使用。
  24. 少なくとも1つの位置において、100μmよりも小さな直径を有し、パッチ−クランプ実験においてギガシールを提供するのに十分なほど清潔な内部表面を有する、滅菌容器またはパッケージ中に密閉されたキャピラリー、好ましくはガラス製キャピラリー、好ましくはマイクロピペット。
  25. 請求項24に記載の少なくとも1つのキャピラリーを含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法を実施するためのキット。
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