JP2004517742A - 光勾配力を適用する装置 - Google Patents

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Abstract

光トラップアレイを制御し、粒子アレイを形成する方法および装置。この方法および装置は、光トラップアレイの動的制御を、その結果として粒子アレイの制御を可能にするためのレーザおよび時間変化する回折光学要素を提供し、また、複数の光トラップを用いて単一の対象物を操作する能力を提供する。

Description

【0001】
本発明は、国立科学財団(National Science Foundation)によって与えられた契約第DMR−9320278号に基づいて、授与番号第DMR−9400379号の下の国立科学財団のMRSECプログラムを通して、また、教育省からのGAANN研究助成を通して、米国政府の支援によってなされた。米国政府はまた、契約NSFDMR−978031およびNSFDMR−980595に基づく資金助成に従って、本発明に対する一定の権利を有する。
【0002】
本発明は、概して、光トラップを制御する方法および装置を対象とする。より詳細には、本発明は、光トラップアレイを動的に制御するための、また光トラップアレイを粒子で制御可能に充填するための方法および装置を対象とする。こうした方法および装置によって、光トラップの場所、各光トラップの強度およびサイズの動的変更が可能になり、また研究目的および製造目的で光トラップを使用するための制御された適用およびフィードバックが可能になる。
【0003】
流動媒体に浸漬された誘電体小粒子の一部を操作するために、単一光ビームからの光勾配力を用いて光ピンセットを作製することが知られている。この時、流動媒体の屈折率は粒子の屈折率より小さい。光ピンセット技法はまた、反射性があり、吸収性があり、低誘電率の粒子の操作を可能にするように一般化されてきた。
【0004】
したがって、現行の従来システムは、単一光ビームを用いて単一光トラップを生成することによって、単一粒子を操作できる。こうしたシステムによって複数の粒子を操作するために、複数の光ビームを使用しなければならない。従来の光ピンセット法を用いて拡張した複数ビームトラップを生成することが難しいために、電子デバイス、光デバイスおよび光電子デバイス、化学的分析および生物学的分析で使用する化学センサアレイ、およびホログラムマトリクスおよびコンピュータ記憶マトリクスを含む、ナノコンポジット材料の作製および操作などの可能性のある多くの商業用途で、複数ビームトラップを使用することが妨げられている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、複数の光トラップを生じさせる、改良された方法およびシステムを提供することである。
【0006】
本発明の一目的は、光トラップアレイおよび小粒子アレイを制御する新規な方法および装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、光トラップの動的制御のための改良された方法およびシステムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、光トラップアレイおよび/または粒子アレイを順次に形成する新規な方法および装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、光トラップのサイズ、形状および強度の動的制御を行う改良された方法および装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、光トラップ構成の動的制御のためにホログラムパターンをコンピュータで生成する新規な方法および装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、光トラップアレイの動的制御のために、空間光変調器をレーザビームに適用する、改良された方法および装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、時間変化する特定の光トラップアレイの形成のために、レーザビームを選択的に通過させる機械的デバイスを使用する、新規な方法および装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、光トラップ内に増大した粒子を流し、光トラッピングのために異なる粒子を選択的に出力する、改良された方法および装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、制御された光トラップアレイを用いて生体物質を検査し、操作する、新たな方法および装置を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、ある構成の光ビームを形成し、複数の光トラップを生じさせるために、回折光学系とともに単一光ビームを使用する、新規な方法および装置を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、複数の粒子または他の光学媒体を制御するために、光勾配フィールドを生成するホログラムを使用する、新規な方法および装置を提供することである。
【0017】
本発明の他の目的は、種々の商業用途のために複数の光トラップを生じさせる、改良された方法およびシステムを提供することであり、その用途は、たとえば、光回路製造、ナノコンポジット材料の適用などにおける小粒子の操作、電子部品、光電子デバイス、化学的および生物学的センサアレイの作製、ホログラムデータ記憶マトリクスの組み立て、組み合わせ化学(combinatorial chemistry)応用の容易化、コロイドの自己組織化の促進および生体媒質の操作に関連する。
【0018】
本発明の他の目的は、商業用途のために、時間的および空間的に変わる構成の光勾配フィールドを作製する改良された方法およびシステムを提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、選択可能で時間変化する、かつ/または、特定空間の光トラップのアレイを作製して、誘電体を操作するために、1つ以上の回折光学要素とともに1つ以上のレーザビームを使用する、新規な方法およびシステムを提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、単一入射レーザビーム、回折光学要素、および凹レンズおよび/または凸レンズを使用して、静的なまたは動的な光トラップを形成する、改良された方法およびシステムを提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、ユーザが直接観察できる光トラップアレイを作製する、新規な方法およびシステムを提供することである。
【0022】
本発明の他の目的は、種々の商業用途のために、光トラップのアレイの走査を可能にするビーム走査システムによって、レーザビーム入射を回折光学要素に使用する、改良された方法およびシステムを提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、レーザビーム、回折光学要素、および発散または集束光学系を用いて、光トラップ構成を作製して、対物レンズの焦点面に対して選択された場所にトラップ構成を形成する、新規な方法および装置を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、レーザビームおよび斜めに位置する回折光学要素を用いて、任意の未回折ビームをろ過して、光トラップ配置構成を作製するときに回折光ビームのみを有効利用するようにする、改良された方法および装置を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、回折光学要素にレーザビーム入射を使用して、対物レンズの焦点面の外に少なくとも2次元配置構成の光トラップを生成する、新規な方法および装置を提供することである。
【0026】
本発明の他の目的は、複数の望遠鏡レンズとともに光ビームおよび回折光学系を使用して、光トラップアレイを走査する、改良された方法およびシステムを提供することである。
【0027】
本発明の他の目的は、回折光学要素および光学系に対して単一光ビームを使用して、光トラップのアレイを生じさせて、光トラップアレイを制御可能に走査するようにして、小振幅の発振変位を加えて、光トラップの感応を動的に増すようにする、新規な方法およびシステムを提供することである。
【0028】
本発明の他の目的は、回折光学要素として、時間依存するアドレス可能な位相シフト媒体(液晶位相シフトアレイなど)を用いて、独立して操縦される複数の光トラップを生成する、新規な方法を提供することである。
【0029】
本発明の他の目的は、極微粒子の分離のために、時間依存する光勾配フィールドを生成する、新規な方法を提供することである。
【0030】
本発明の他の目的は、たんぱく質の結晶化を含む複数の生物学的対象物を操作する、新規な方法を提供することである。
【0031】
本発明の他の目的、特徴および利点は、同じ要素が全体を通じて同じ番号を有している、以下に示す添付図面と一緒に考えられる、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から容易に明らかになるであろう。
【0032】
好適な実施形態の説明
本発明の改良点を最も良く理解するために、図1および図2がいくつかの従来技術の方法およびシステムを示す。これらシステムがまず概観され、次に、本発明が図3〜7Aおよび7Bの好ましい実施形態の例によって説明されるであろう。図1の従来技術の光ピンセットシステム10において、媒体16内で分散した誘電性小粒子14を制御可能に操作する光勾配力は、単一光ビーム12の使用から生ずる。媒体16の屈折率nは小粒子14の屈折率より小さい。光勾配力の性質は良く知られており、また、反射性があり、吸収性があり、低誘電定数の粒子の操作を可能にするように原理が一般化されていることが良く理解されている。これらの技法のいずれもが、以下で述べる本発明の文脈において実施されることができ、光ピンセット、光トラップおよび光勾配力といった用語の使用によって以下で包含されるであろう。
【0033】
光ピンセットシステム10は、粒子を操作するのに要する光トラッピング作用を行うのに必要とされる、必要な力を加えることができる光ビーム12(レーザビームなど)を使用することによって適用される。光ピンセット10の従来の形態の目的は、1つ以上の成形された光ビームを収束光学要素(対物レンズ20など)の後部開口24の中心に投影することである。図1で述べられるように、光ビーム12は、幅「w」を有し、光軸22に対して入射角度Φを有する。光ビーム12は、対物レンズ20の後部開口24に入射し、前部開口26から出力されて、イメージングされる体積32の焦点面30の焦点28に実質的に収束し、焦点28が光トラップ33と一致する。一般的に、どの合焦光学系も、光ピンセットシステム10用の基礎を形成することができる。
【0034】
光ビーム12が平行レーザビームであり、光軸22と一致する軸を有する場合、光ビーム12は、対物レンズ20の後部開口24に入り、対物レンズの焦点面30の中心点cで、イメージング体積32内に焦点が合うようにされる。光ビーム12の軸が光軸22に対して角度Φだけずれているとき、ビーム軸31および光軸22は、後部開口12の中心点Bで一致する。この変位によって、光トラップが、対物レンズ20の角度倍率によって決まる量だけ視野を横切って平行移動することを可能にする。2つの変数、光ビーム12の変化する収束性および角度変位Φを使用して、イメージング体積32内の選択された位置に光トラップを形成することができる。複数の光ビーム12が、種々の角度Φで、種々のコリメーションの程度で後部開口24に加えられたとすると、複数の数の光トラップ33を種々の場所に配置することができる。
【0035】
3次元で光トラッピングを行うために、トラップされるべき粒子上に生成される光勾配力は、光散乱および光吸収から生ずる他の放射圧を超えなければならない。一般的に、このことによって、光ビーム12の波面が後部開口24で適当な形状を有することが必要になる。たとえば、Gaussian型TEM00入射レーザビームについて、ビーム直径wは、後部開口24の直径とほぼ一致すべきである。より一般的なビーム分布(ガウス・ラゲールなど)について、同様の条件を公式化することができる。
【0036】
図2の別の従来技術のシステムにおいて、光ピンセットシステム10は、対物レンズ20の視野を横切って光トラップ33を平行移動させることができる。望遠鏡34は、レンズL1およびL2から構成され、レンズL1およびL2は、図1の従来技術のシステムの中心点Bと光学的に共役な点Aを生じさせる。図2のシステムにおいて、点Aを通過する光ビーム12はまた点Bを通過し、したがって、光ピンセットシステム10として動作する基本要件を満たす。望遠鏡34の伝達特性を最適にするために、図2に示すようにレンズL1およびL2を置くことによってコリメーションの程度が保たれる。さらに、望遠鏡34の拡大率は、光ビーム12の角度変位および対物レンズ20の後部開口24の面での幅wを最適にするように選択することができる。上述したように、一般的に、いくつかの光ビーム12を使用して、いくつかの関連する光トラップを形成することができる。こうした複数のビーム12は、複数の独立したビームから、または従来の反射光学要素および/または屈折光学要素から生成することができる。
【0037】
図3に示す本発明の好ましい一実施形態において、任意の光トラップのアレイを形成することができる。回折光学要素40は、対物レンズ20の後部開口24と共役な面42にほぼ配設される。簡潔にするために、回折された単一の出力ビーム44のみが示されているが、複数のこうしたビーム44が回折光学要素40によって生成することができることに留意されたい。回折光学要素40上に入射する入力光ビーム12は、回折光学要素40の性質に固有のあるパターンの出力ビーム44に分割され、その出力ビームのそれぞれは点Aから発する。したがって、出力ビーム44はまた、上述した下流の光学要素の結果として点Bを通過する。
【0038】
図3の回折光学要素40は、入力光ビーム12に対して垂直であるように示されているが、他の多くの配置構成が可能である。たとえば、図4において、光ビーム12は光軸22に対して斜めの角度βで到達し、回折光学要素40に対して垂直ではない。この実施形態において、点Aから発する回折ビーム44は、イメージング体積32(図1で最も良く見える)の焦点面52に光トラップ50を形成するであろう。光ピンセットシステム10のこの配置構成において、入力光ビーム12の回折されていない部分54を、光ピンセットシステム10から除去することができる。したがって、この構成によって、背景光を処理するのをより少なくすることを可能にし、光トラップを形成する効率および効果が改善される。
【0039】
回折光学要素40は、コンピュータが生成したホログラムを含むことができ、ホログラムは、入力光ビーム12を事前に選択された所望のパターンに分割する。こうしたホログラムを図3および図4の光学要素の残りの部分と組み合わせることによって、任意のアレイの生成が可能になり、任意のアレイにおいて、回折光学要素40を使用して、各回折ビームの波面を独立に成形することができる。したがって、光トラップ50は、対物レンズ20の焦点面52ばかりでなく焦点面52の外にも配設されて、光トラップの50の3次元配置構成を形成することができる。
【0040】
図3および図4の光ピンセットシステム10において、対物レンズ20(フレゾネルレンズなどの他の同様な機能的に等価な光学デバイス)などの合焦光学要素もまた含んで、回折ビーム44を収束させて、光トラップ50が形成される。さらに、望遠鏡34または他の等価な伝達光学系は、上述した後部開口24の中心点Bと共役な点Aを生成する。回折光学要素40は、点Aを含む平面に設置される。
【0041】
本発明の別の形態において、望遠鏡34を使用せずに、任意の光トラップのアレイ50を生成することができる。こうした実施形態において、回折光学要素40を点Bを含む平面内に直に設置することができる。
【0042】
光ピンセットシステム10において、固定した、または時間依存する回折光要素40のどちらでも使用することができる。動的すなわち時間依存版の場合、こうした特徴を利用するシステムの一部となる、時間変化する光トラップ50のアレイを生成することができる。さらに、こうした動的光学要素40を使用して、粒子およびマトリクス媒体を互いに対して能動的に動かすことができる。たとえば、回折光学要素40は、コンピュータで生成されたホログラムパターンが刻印される変化を受けた液晶位相アレイであってもよい。
【0043】
図5に示す別の実施形態において、システムは、光ピンセットトラップ50の連続した平行移動を行うように作製することができる。ジンバルに搭載したミラー60は、その回転中心を点Aに置いた状態で設置される。光ビーム12は、ミラー60の表面に入射し、点Aを通過する軸を有し、後部開口24に投影されるであろう。ミラー60の傾斜によって、ミラー60に対する光ビーム12の入射角度の変化が生じ、この特徴を使用して、生ずる光トラップ50を平行移動することができる。第2望遠鏡62はレンズL3およびL4から形成され、レンズL3およびL4は点Aと共役な点A’を生成する。ここで、点A’に設置された回折光学要素40は、あるパターンの回折ビーム64を生成し、回折ビームのそれぞれは、点Aを通過して、光ピンセットシステム10のアレイにおいてピンセットトラップ50の1つを形成する。
【0044】
図5の実施形態の動作において、ミラー60は、全ピンセットアレイを1つのユニットとして平行移動させる。この方法は、光ピンセットアレイを固定基板と正確に整列させて、小振幅の高周波発振変位によって光トラップ50を動的に強化するのに役立ち、同様に、全体的な平行移動能力を要する任意の用途に役立つ。
【0045】
光トラップ50のアレイもまた、サンプルステージ(図示せず)を移動することによるか、または望遠鏡34を調整することによってサンプルステージに対して垂直に平行移動されることができる。さらに、光ピンセットアレイもまた、サンプルステージを移動させることによってサンプルに対して横に平行移動することができる。この特徴は、対物レンズの視野の範囲を越えた大きな移動に特に役立つであろう。
【0046】
図6に示す本発明の別の形態において、光学系は、光ピンセット10によってトラップされた粒子の画像の観察が可能とするように配置される。二色性ビームスプリッタ70または他の等価な光ビームスプリッタは、光ピンセットシステム10の光学列(optical train)と対物レンズ20の間に挿入される。図示される実施形態において、ビームスプリッタ70は、光ピンセットアレイの形成に使用される光の波長を選択的に反射して、他の波長を透過させる。したがって、光トラップ50を形成するのに使用される光ビーム12は、高い効率で後部開口24に伝達されるが、画像を形成するのに使用される光ビーム66はイメージング光学系(図示せず)へと通過することができる。
【0047】
本発明の用途の説明は図7Aおよび図7Bに示される。回折光学要素40は、単一光ビーム12と相互作用して、4×4の平行ビームのアレイを生成するようにデザインされる。532nmで動作する、100mW周波数2重ダイオードポンプNd:YAGレーザは、光ビーム12のためのGaussian型TEM00を供給する。図7Aにおいて、視野は、アレイの16個の主光ピンセット10にトラップされた16個のシリカ二酸化ケイ素(silica)球によって後方散乱されたレーザ光によって部分的に照明される。1μm直径の球が水に分散されて、顕微鏡ガラススライドと170μm厚のガラスカバースリットの間のサンプル体積内に設置される。ピンセットアレイは、カバースリップを通して上方に投影され、カバースリップの上方8μmであって、上部顕微鏡スライドの下方20μmを超えるところにある平面上に位置する。二酸化ケイ素球は、16個の光ピンセット10のそれぞれにおいて3次元的に安定してトラップされる。
【0048】
図7Bには、光ピンセット10(トラップ)が消えた後だが、球がトラップ場所から拡散するのに十分な時間が経つ前の、1/30秒間の光学的に編成された球の配置構成を示す。
【0049】
適応型ピンセットモード
本発明の他の形態において、上述した基本光トラップの実施形態は、種々の有用な方法で使用することができる。さらに、他の実施形態は、これらの方法を適用して、光トラップの動作および使用を高めるように構成することができる装置およびシステムを含む。特に、光トラップは制御され、変更されることができ、これらの特徴を使用する種々の実施形態が以下で説明される。
【0050】
光トラップの種々の新たな使用および用途は、時間変化する構造および光トラップ構成の動的変更から生じる。本発明の一形態において、光トラップのアレイは、図8で示す方法で有利に操作できる。光学系100において、回折光学要素102は、平行レーザビーム104をいくつか(2以上)のレーザビーム106および108に分割する。いくつかのレーザビーム106および108のそれぞれは、物体面118内のいくつかの個別の光トラップに伝達される。レンズ114および116によって形成される望遠鏡などの、従来の光学配置構成の働きによって、これらのいくつかのレーザビーム106、108のそれぞれが対物レンズ112の後部開口110に伝達される。対物レンズ112は、これらいくつかのビーム106、108を物体面118内の個別の光トラップ132に合焦させる。本発明の好ましい形態において、いくつかのレーザビーム106、108の経路内へと移動できるようにナイフエッジ120が配設され、それによって、いくつかのレーザビーム106、108のうちの任意の選択されたビーム(複数可)を選択的に遮断して、光トラップ132の一部の形成を選択的に妨げることができる。こうした方法および構造は、適切にデザインされたナイフエッジすなわち開口ナイフエッジ構造およびこうした同様な構造を使用することによって、任意所望の光トラップ132のアレイの作製を可能にする。
【0051】
こうした光トラップ制御方法の使用の説明は図9に示され、図9において、光トラップ132は回折光学要素122のホログラムの形態で形成される。図8の可動ナイフエッジ120は、光トラップ132の1ライン124以外の全てを遮断することができる。系統的にナイフエッジ120を移動させることによって、ライン124のそれぞれが生じ、これによって、光トラップ132を粒子126で系統的に満たすことが可能になる。この方法によって、光トラップ132を種々の異なるタイプの粒子126で満たし、また粒子126が光トラップ132のアレイの外側の部分を優先的に充填する傾向にあるという通常の問題をなくす。こうした優先的な充填は、そのため、内部の光トラップ132の充填を妨害することがある。この制御された光トラップ132の形成はまた、光トラップ配置構成の精密な形成および変更を可能にする。
【0052】
光トラップ132のアレイの充填に対して詳細な制御を行うのに加えて、光トラップ132の充填を加速するためにデバイスを設けることができる。たとえば、図8において、(1)選択された粒子126(図10参照)を出力し、(2)圧力差の下で(電気泳動または電気浸透によって)粒子126を適用し、(3)温度勾配を適用し、(4)漁獲網(fishing net)のような方法で、粒子126を含む懸濁液を通して全光トラップを平行移動させる、デバイスを示す機能ブロック128が示される。たとえば、粒子134は、約10−4μm−3の粒子濃度で、かつ約100μm/秒の適度の流量で始めて、光トラップ132内に充填されて、ライン124の1つの行またはアレイパターンを約1分で充填され得ることが、実験によって確認されている。十分に生成された粒子126のアレイは、このアレイを基板上に転写することによって、または粒子126を懸濁する流体をゲル化することによって、恒久的にされることができる。こうした手法により、また、非常に多様な異なる粒子アレイおよび結合された粒子126のアレイを作製されることができる。光トラップ132の上述した特性および機能を用いて、粒子126のそれぞれはまた、さらに、実用的な使用または研究目的のために、調べられ、イメージングされ、操作されることができる。
【0053】
本発明の他の形態において、光トラップ132は、特定の光学的要件に応じて動的に変えることができる。1つ以上の光トラップ132を使用して、種々の光トラップ場所で粒子を変更し、除去し、または付加する、すなわち、単一の対象物について種々の操作を可能にするような、所望の指示情報を有するコンピュータプログラムの使用によって、光学的要件が達成されることができる。さらに、植物細胞または動物細胞などの任意の対象物を動的に操作するために、1つ以上の光トラップ132が移動され、その特性を変える(たとえば、トラップの形状または強度を変える)ことができる。このことは、扱いにくい構造を操作する時、または対象物の複雑な操作を行う必要がある時に特に有利である可能性がある。これまで、こうした対象物は、強制的な単一の力によるトラップによって操作され、そのトラップは、対象物に損傷を生ずるか、または所望の機能を行うのにしばしば必要とされる自由度を与えなかった。
【0054】
さらに、他の処理において、粒子126を大きさで動的に分類することができる。図10に示す方法で、粒子126のアレイをイメージングすることもできる。顕微鏡138は粒子126をイメージングし、パーソナルコンピュータ140は粒子126を識別し、(図8の回折光学要素144について)位相のみのホログラム142を計算することができる。前記粒子をトラップするために、コンピュータ制御された空間光変調器143はまた、位相変調のパターンをレーザビーム144に適用することによって、コンピュータデザインされたホログラム142を実施することができる。こうした適用はまた、種々の目的のいずれに対しても動的に変えることができる。改良されたレーザビーム148(図8のいくつかのレーザビーム106、108も参照されたい)は、顕微鏡138によって合焦させられて、光トラップ132のアレイ(ピンセットとしても知られる)が生成され、光トラップは、粒子126をトラップして画像スクリーン150上に表示する。次に、粒子126のそれぞれは、粒子126を分類するために、個別に操作されて、所望の構造が組み立てられるか、または、そうでなければ、関心のある対象物を操作し、検査しまたはその形状を変えることができる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態が示され、説明されたが、本発明から逸脱することなく、冒頭で提示した特許請求項で述べられる、より広い態様で、種々の変形および変更がなされることは当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
単一光ピンセットのための従来技術の方法およびシステムを示す図である。
【図2】
単一で、操縦可能な光ピンセットのための従来技術の方法およびシステムを示す図である。
【図3】
回折光学要素を用いた方法およびシステムを示す図である。
【図4】
入力光ビームに対して傾斜した光学要素を用いた別の方法およびシステムを示す図である。
【図5】
回折光学要素を用いた、連続して平行移動可能な光ピンセット(トラップ)アレイを示す図である。
【図6】
光ピンセットアレイを用いて粒子を操作し、一方でまた、光トラップアレイを観察するために画像を形成するための、方法およびシステムを示す図である。
【図7A】
図6の光学系を用いる、4×4の光ピンセット(トラップ)のアレイの画像を示す図である。
【図7B】
トラッピング照明が消えた直後だが、球が拡散する前の、図7Aの光ピンセットによって水に留め置かれた1μm直径の二酸化ケイ素球の画像を示す図である。
【図8】
可動ナイフエッジ機構を含むホログラム光トラップシステムを示す図である。
【図9A】
ガラス−水の界面上に形成された、10×10の光トラップのアレイを示す図である。
【図9B】
ガラスの約2μm上方に焦点を有するトラップを示す図であり、光トラップの5番目の行が粒子の流れにさらされている。
【図9C】
光トラップの8番目の行が充填されている状態の、図9Bと比較するための粒子の充填を示す図である。
【図9D】
完全に充填された光トラップのパターンを示す図である。
【図10】
顕微鏡イメージングを有する光トラップ制御システムを示す図である。

Claims (33)

  1. 小粒子のアレイを制御可能に充填する方法であって、
    小粒子源を設けるステップと、
    レーザビームの分布を制御するステップであって、選択されたレーザビームパターンを供給して、アレイの特定の場所に光トラップを形成するようにする、制御するステップと、
    前記レーザビームの分布を時間経過とともに変えるステップであって、前記光トラップの場所に、時間変化する前記小粒子のアレイを形成する、変えるステップとを含む方法。
  2. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、前記レーザビームに回折光学要素を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記回折光学要素はコンピュータによって供給される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、前記レーザビームに、時間変化するホログラム制御信号を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、共役物体面で前記レーザビームの一部を遮断するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記レーザビームを遮断する前記ステップは、ナイフエッジを前記レーザビームに挿入することを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 粒子源を設ける前記ステップは、圧力差を加えることによって、前記光トラップのうちの露出された光トラップを通って前記粒子を流すことを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 永久的に前記アレイを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 永久的に前記アレイを形成する前記ステップは、(a)前記アレイを基板上に転写すること、(b)前記アレイのまわりで懸濁されている流体をゲル化することのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記レーザビームは、動的に再構成されて、時間変化する前記小粒子のアレイについての光学的要件に応じて前記アレイを変える、請求項1に記載の方法。
  11. 前記光学的要件に対する前記アレイの応答は、(a)前記光トラップのうちの少なくとも1つの位置の変化、(b)前記光トラップのうちの少なくとも1つの強度および形状、(c)新たな光トラップの導入、および(d)前記光トラップのうちの存在する1つの除去、のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
  12. 光トラップのアレイを制御可能に操作する方法であって、
    レーザビームを供給するステップと、
    前記レーザビームの分布を制御するステップであって、選択されたレーザビームを供給して、特定の場所に光トラップを形成するようにする、制御するステップと、
    前記レーザビームの分布を時間経過とともに変えるステップであって、時間変化する前記光トラップのパターンを形成する、変えるステップとを含む方法。
  13. 前記レーザビームは、動的に再構成されて、光学的要件に応じて前記光トラップを変える、請求項12に記載の方法。
  14. 前記トラップのアレイは検査のために生体媒質を操作する、請求項13に記載の方法。
  15. 操作する前記ステップは、対象物の形状を調整することを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記光学的要件は画像解析を含む、請求項13に記載の方法。
  17. 前記光学的要件に対する前記アレイの応答は、(a)前記光トラップのうちの少なくとも1つの位置の変化、(b)前記光トラップのうちの少なくとも1つの強度および形状、(c)新たな光トラップの導入、および(d)前記光トラップのうちの存在する1つの除去、のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
  18. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、回折光学要素を作動状態/非作動状態にすることを含む、請求項12に記載の方法。
  19. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、前記レーザビームに空間光変調器を適用することを含む、請求項12に記載の方法。
  20. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、共役面で前記レーザビームを非作動状態にすることを含む、請求項12に記載の方法。
  21. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、前記レーザビームに対して時間変化するホログラム制御信号を適用することを含む、請求項12に記載の方法。
  22. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、共役物体面で前記レーザビームの一部を遮断するステップを含む、請求項12に記載の方法。
  23. 前記レーザビームを遮断する前記ステップは、ナイフエッジを前記レーザビームに挿入することを含む、請求項12に記載の方法。
  24. 少なくとも1つの粒子を供給するステップであって、前記光トラップの少なくとも1つを通って前記粒子を流す、供給するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  25. コンピュータソフトウェアを実行するステップであって、複数の時間および空間位置にわたって、少なくとも1つの対象物の操作を含む製造プロセスを実施する、実行するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  26. 光トラップのアレイを制御可能に操作する装置であって、
    レーザビーム源と、
    前記レーザビームの分布を制御する手段であって、選択されたレーザビームパターンを供給して、特定の場所に光トラップを形成するようにする、制御する手段と、
    前記レーザビームの分布を時間経過とともに変える手段であって、時間変化する前記光トラップのパターンを形成する、変える手段とを備える装置。
  27. 前記レーザビームは、動的に再構成されて、光学的な要件に応じて前記光トラップを変えるようにする、請求項26に記載の装置。
  28. 前記光学的要件は、検査のために生体媒質を操作するための指示を提供する命令シーケンス源を含む、請求項27に記載の装置。
  29. 操作する前記手段は、空間光変調器を含む、請求項27に記載の装置。
  30. 前記光学的要件は、実行可能なコンピュータ解析プログラムによるコンピュータ画像検査を含む、請求項27に記載の装置。
  31. 前記光学的要件に対する前記アレイの応答は、(a)前記光トラップのうちの少なくとも1つの位置の変化、(b)前記光トラップのうちの少なくとも1つの強度および形状、(c)新たな光トラップの導入、および(d)前記光トラップのうちの存在する1つの除去のうちの少なくとも1つの機能性を果たす実行可能なコンピュータプログラムを含む、請求項26に記載の装置。
  32. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、回折光学要素を作動状態/非作動状態にするデバイスを含む、請求項26に記載の装置。
  33. 前記レーザビームの分布を変える前記ステップは、共役物体面で前記レーザビームの一部を遮断するナイフエッジを含む、請求項26に記載の方法。
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