JP2004516820A - 新規タンパク質およびそれらのタンパク質をコードする核酸 - Google Patents

新規タンパク質およびそれらのタンパク質をコードする核酸 Download PDF

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バレリー ジャーラック,
ジョン アール. マクドゥガル,
グレンダ スミスソン,
デビッド ジェイ. ストーン,
カレン エラーマン,
キンバリー, エイ. スパイテック,
ブライアン ディー. ザーフセン,
ルカ ラステリ,
コリーン エイ., エム. バーネット,
ミーラ パッツラジャン,
ベリザール ティー. ツェルネフ,
ムラリドハラ パディガル,
レイモンド ジェイ. ジュニア タウピエール,
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キュラジェン コーポレイション
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Abstract

新規ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が本明細書中で開示される。これらの核酸配列によってコードされるポリペプチド、このポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体、ならびに前述のポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体の誘導体、改変体、変異体がまた、開示される。本発明は、これらの新規ヒト核酸およびタンパク質のいずれか1つに関連する障害の、治療剤、診断方法ならびに、診断、処置および予防のための研究方法を、さらに開示する。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、核酸およびそれによってコードされるポリペプチドに関する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、概して、核酸およびそれによってコードされるポリペプチドに関する。より詳細には、本発明は、細胞質ポリペプチド、核ポリペプチド、膜結合ポリペプチド、および分泌ポリペプチドをコードする核酸、ならびにこれらの核酸およびポリペプチドを産生するためのベクター、宿主細胞、抗体および組換え方法に関する。
【0003】
(発明の要旨)
本発明は、新規なポリペプチドをコードする核酸配列の発見に一部は基づく。この新規な核酸およびポリペプチドを、本明細書において、NOVX、またはNOV1、NOV2、NOV3、NOV4、NOV5、NOV6、NOV7およびNOV8の核酸およびポリペプチドと称する。これらの核酸およびポリペプチド、ならびにその誘導体、相同体(ホモログ)、類似体(アナログ)、およびフラグメントを、本明細書において以降は、総称して「NOVX」核酸配列または「NOVX」ポリペプチド配列と称する。
【0004】
1つの局面において、本発明は、NOVXポリペプチドをコードする単離されたNOVX核酸分子を提供し、これは、配列番号(SEQ ID NO)1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36に開示される核酸に対して同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、このNOVX核酸分子は、NOVX核酸配列のタンパク質コード配列を含む核酸分子に相補的な核酸配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。本発明はまた、NOVXポリペプチド、あるいはそのフラグメント、ホモログ、アナログまたは誘導体をコードする、単離された核酸を包含する。例えば、この核酸は、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35および37のアミノ酸配列を含むポリペプチドに対して少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードし得る。この核酸は、例えば、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36のいずれかの核酸配列を含む、ゲノムDNAフラグメントまたはcDNA分子であり得る。
【0005】
オリゴヌクレオチド(例えば、NOVX核酸(例えば、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36)の少なくとも6個連続するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドまたはそのオリゴヌクレオチドの相補体)もまた、本発明に含まれる。
【0006】
実質的に精製されたNOVXポリペプチド(配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35および37)もまた、本発明に含まれる。特定の実施形態において、このNOVXポリペプチドは、ヒトNOVXポリペプチドのアミノ酸配列に実質的に同一であるアミノ酸配列を含む。
【0007】
本発明はまた、NOVXポリペプチド、あるいはそれらのフラグメント、ホモログ、アナログまたは誘導体に免疫選択的に結合する抗体を特徴とする。
【0008】
別の局面において、本発明は、治療有効量または予防有効量の治療剤および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を包含する。この治療剤は、例えば、NOVX核酸、NOVXポリペプチド、またはNOVXポリペプチドに特異的な抗体であり得る。さらなる局面において、本発明は、1以上の容器に、この薬学的組成物の治療有効量または予防有効量を含む。
【0009】
さらなる局面において、本発明は、ポリペプチドを産生する方法を包含し、この方法は、NOVX核酸を含む細胞を、このDNAによってコードされるNOVXポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養することによる。所望の場合、次いで、このNOVXポリペプチドを回収し得る。
【0010】
別の局面において、本発明は、サンプル中のNOVXポリペプチドの存在を検出する方法を包含する。この方法において、サンプルを、このポリペプチドに選択的に結合する化合物と、このポリペプチドとこの化合物との間での複合体の形成を可能にする条件下で接触させる。この複合体は、存在するならば、検出され、それによって、このサンプル中のNOVXポリペプチドを同定する。
【0011】
本発明はまた、NOVXの発現に基づいて特定の細胞型または組織型を同定するための方法を包含する。
【0012】
サンプル中のNOVX核酸分子の存在を検出する方法もまた本発明に包含され、この方法は、このサンプルに、NOVX核酸プローブまたはプライマーを接触させ、そしてこの核酸プローブまたはプライマーが、このサンプル中のNOVX核酸分子に結合したか否かを検出することによる。
【0013】
さらなる局面において、本発明は、NOVXポリペプチドの活性を調節するための方法を提供し、この方法は、このNOVXポリペプチドを含む細胞サンプルに、このNOVXポリペプチドに結合する化合物を、このポリペプチドの活性を調節するに十分な量で接触させることによる。この化合物は、例えば、本明細書中にさらに記載されるような、低分子(例えば、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖質、脂質または他の有機分子(炭素含有)または無機分子)であり得る。
【0014】
以下を含む障害または症候群を処置または予防するための医薬の製造における治療薬の使用はまた、本発明の範囲に包含される:例えば、炎症、自己免疫性障害、強皮症、移植、自己免疫疾患、アレルギー、免疫不全、全身性エリテマトーデス、リンパ水腫、血友病、凝固能亢進、特発性血小板減少性紫斑病、対宿主性移植片病(GVHD)、子宮内膜症、嚢胞性線維症、脾臓、胸腺、肺、および腹膜のマクロファージに関連する病理的障害、加齢、アルツハイマー病、発作、癌、癌ような異常新脈管形成、ならびにより具体的には攻撃性、転移性の癌、より詳細には、肺、腎臓、脳、肝臓および結腸の腫瘍、肥満細胞腫、前立腺癌、アポトーシスの調節、腫瘍形成(例えば、肺癌、肝臓癌および卵巣癌);細胞増殖およびおそらく分化(possibly differentiation)、非ホジキンリンパ腫(non−Hodgkin lymphomas)、フォン・ヒッペル−リンダウ症候群(VHL)症候群、レッシュ−ナイハン症候群、歯周炎、膵炎、筋骨格障害、高カルシウム血、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性麻痺、てんかん、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調、行動障害、嗜癖、不安、疼痛、神経変性、家族性アミロイド多発性神経障害(amyloidotic polyneuropathy)、神経変性障害および神経精神医学的障害、白質萎縮、異βリポ蛋白血症、III型高リポ蛋白血症、黄色腫症、冠状血管および/または末梢血管の疾患、血管筋障害、アテローム性動脈硬化症、高血圧、先天性心臓欠陥、大動脈狭窄症、心房中隔欠損(ASD)、房室管(A−V)欠損、動脈管、肺動脈弁狭窄症、大動脈弁下部狭窄、心室中隔欠損症(VSD)、弁疾患(valve diseases)、急性(accelerated)脈管疾患、新脈管形成および創傷治癒、白血病誘発、腎動脈狭窄症、間質性腎炎、糸球体腎炎、多嚢胞腎疾患、尿細管性アシドーシス、IgA腎症、受胎能、内分泌機能不全、糖尿病、糖尿病性アシドーシス、高コレステロール血症、平面(planar)および腱の黄色腫、肥満症、成長異常および生殖異常、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下不全症、2型糖尿病、慢性肺疾患、ぜん息、結節硬化症ならびに/または他の病理状態およびこのような障害。
【0015】
治療剤は、例えば、NOVX核酸、NOVXポリペプチド、またはNOVX特異的抗体、あるいはそれらの生物学的に活性な誘導体またはフラグメントであり得る。
【0016】
例えば、本発明の組成物は、上に開示される疾患および障害ならびに/またはこのような他の病理状態および障害に罹患する患者の処置のために効力を有する。このポリペプチドは、本発明に特異的な抗体を産生するための免疫原として、およびワクチンとして使用され得る。これらはまた、潜在的なアゴニストおよびアンタゴニスト化合物についてスクリーニングするために使用され得る。例えば、NOVXをコードするcDNAは、遺伝子治療において有用であり得、そしてNOVXは、それを必要とする被験体に投与された場合に有用であり得る。非限定的な例として、本発明の組成物は、上に開示される疾患および障害ならびに/またはこのような他の病理状態および障害に罹患する患者の処置に対する効力を有する。
【0017】
本発明はさらに、例えば、上で開示した疾患および障害ならびに/またはこのような他の病理状態および障害を含む、障害または症候群のモジュレーター(調節因子)についてスクリーニングするための方法を包含する。この方法は、試験化合物をNOVXポリペプチドと接触させる工程、およびこの試験化合物が上記NOVXポリペプチドに結合したか否かを決定する工程を包含する。NOVXポペプチドペプチドに対するこの試験化合物の結合によって、この試験化合物が、活性のモジュレーター、あるいは上述の障害または症候群の潜伏または素因のモジュレーターであることが示される。
【0018】
また、本発明の範囲には、前述の障害または症候群についての危険性の増大した試験動物に対して、試験化合物を投与することによって、活性のモジュレーター、あるいは上で開示した疾患および障害ならびに/またはこのような他の病理状態および障害を含む、障害もしくは症候群の潜伏もしくは素因のモジュレーターについてスクリーニングする方法が含まれる。試験動物は、NOVX核酸によってコードされる組換えポリペプチドを発現する。次いで、NOVXポリペプチドの発現または活性を、この試験動物において測定し、同様に、コントロール動物(これは、NOVXポリペプチドを組換え的に発現し、かつ上記の障害についての危険性も上記の症候群についての危険性も増大していない)におけるこのタンパク質の発現または活性を測定する。次いで、試験動物およびコントロール動物の両方におけるNOVXポリペプチドの発現を比較する。コントロール動物と比較した、試験動物におけるNOVXポリペプチドの活性の変化は、この試験化合物が、上記の障害または症候群の潜伏のモジュレーターであることを示す。
【0019】
なお別の局面では、本発明は、被験体(例えば、ヒト被験体)におけるNOVXポリペプチド、NOVX核酸またはその両方のレベルの変化に関連した疾患の存在または素因を決定する方法を含む。この方法は、この被験体由来の試験サンプル中におけるNOVXポリペプチドの量を測定する工程、およびコントロールサンプル中において存在するNOVXポリペプチドの量に対して、この試験サンプル中におけるこのポリペプチドの量を比較する工程、を包含する。コントロールサンプルと比較した場合の試験サンプルにおけるNOVXポリペプチドレベルの変化は、この被験体における疾患の存在または素因を示す。好ましくは、この素因としては、上で開示された疾患および障害ならびに/または他のこのような病理状態および障害の素因が挙げられる。また、本発明の新規なポリペプチドの発現レベルは、種々の癌についてスクリーニングするための方法および癌の病期を決定するための方法において使用され得る。
【0020】
さらなる局面では、本発明は、病理学的状態を緩和または予防するに十分な量で、被験体(例えば、ヒト被験体)にNOVXポリペプチド、NOVX核酸、またはNOVX特異的抗体を投与することにより、哺乳動物における障害に関連した病理学的状態を処置または予防する方法を包含する。好ましい実施形態では、この障害としては、例えば、上で開示された疾患および障害ならびに/または他のこのような病理状態および障害が挙げられる。
【0021】
なお別の局面において、本発明は、当該分野において一般的に使用される多数の技術のうちのいずれか1つによって、本発明の細胞性レセプターおよび下流エフェクターを同定する方法において使用され得る。これらの技術としては、ツーハイブリッド系、アフィニティ精製、抗体または他の特異的な相互作用分子を用いる共沈が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
他に規定されない限り、本明細書中において使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載された方法および物質と類似または等価な方法および物質が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および物質を以下に記載する。本明細書中で引用された全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献が、それらの全体において、参考として援用される。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が支配する。さらに、物質、方法および例は、例示にすぎず、限定されることは意図されない。
【0023】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明は、新規なヌクレオチドおよびそれによってコードされるポリペプチドを提供する。新規な核酸配列およびそれらのポリペプチドが本発明に含まれる。それらの配列は、集合的に「NOVX核酸」または「NOVXポリヌクレオチド」と呼ばれ、そして対応するコードされるポリペプチドは、「NOVXポリペプチド」または「NOVXタンパク質」と呼ばれる。他に示されない場合、「NOVX」は、本明細書中に開示された新規な配列のいずれかをいうことを意味する。表Aは、NOVX核酸およびそれらがコードするポリペプチドの要約を提供する。
【0025】
【数1】
Figure 2004516820
NOVX核酸およびそれらがコードするポリペプチドは、種々の適用および状況において有用である。本発明に従う種々のNOVX核酸およびNOVXポリペプチドは、以前に記載されたタンパク質に対するドメインおよび配列の関連性の存在に従って、タンパク質ファミリーの新規なメンバーとして有用である。さらに、NOVX核酸およびNOVXポリペプチドはまた、NOVXポリペプチドが属するファミリーのメンバーであるタンパク質を同定するために使用され得る。
【0026】
NOV1は、チオレドキシン様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明のNOV1核酸、ポリペプチド、抗体および他の関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:炎症、自己免疫障害、加齢および癌、および/または他の病状/障害。
【0027】
NOV2aおよび2bは、レチノイン酸応答性/STRA−6様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明のNOV2核酸、ポリペプチド、抗体および他の関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、アルツハイマー病、発作、結節硬化症、高カルシウム血症、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性麻痺、てんかん、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調、白質萎縮症、行動障害、嗜癖、不安、疼痛、神経変性、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、先天性心欠損症、大動脈狭窄症、心房中隔欠損症(ASD)、房室(A−V)管欠損症、動脈管、肺動脈弁狭窄症、大動脈弁下部狭窄症、心室中隔欠損症(VSD)、弁疾患、強皮症、移植、自己免疫疾患、アレルギー、免疫不全、腎動脈狭窄症、間質性腎炎、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎、全身性エリテマトーデス、尿細管性アシドーシス、IgA腎症、レッシュ−ナイハン症候群、リンパ水腫、血友病、凝固能亢進、特発性血小板減少性紫斑病、対宿主性移植片病(GVHD)、子宮内膜症、受胎能、内分泌機能不全、糖尿病、肥満、増殖および生殖障害、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下性、および/または他の病状/障害。
【0028】
NOV3aおよび3bは、LRR/GPCR様タンパク質のファミリーに対して相同である。従って、本発明のNOV3核酸、ポリペプチド、抗体および他の関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:異常な脈管形成(癌、およびより詳細には、攻撃的な転移性の癌、より詳細には、肺、腎臓、能、肝臓および結腸の腫瘍のような)および/または他の病状/障害。
【0029】
NOV4は、トリプシンインヒビター様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明のNOV4核酸、ポリペプチド、抗体および他の関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:慢性肺疾患、歯周炎、膵炎および/または他の病状/障害。
【0030】
NOV5a、b、c、d、e、f、g、hおよびiは、アポリポタンパク質e様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明のNOV5核酸、ポリペプチド、抗体および他の関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:アテローム性動脈硬化症、異βリポ蛋白血症、III型高リポ蛋白血症、黄色腫症、冠状血管疾患および/または末梢血管疾患、甲状腺機能低下症、全身性エリテマトーデス、糖尿病性アシドーシス、高コレステロール血症、平面および腱(planar and tendon)の黄色腫、異βリポ蛋白血症、高コレステロール血症、急性血管疾患、アルツハイマー病、家族性アミロイド多発性ニューロパシーおよび/または他の病状/障害。
【0031】
NOV6は、肥満細胞腫プロテアーゼ前駆体様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明のNOV6核酸、ポリペプチド、抗体および他の関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:アレルギー、ぜん息および嚢胞性線維症、癌(例えば、肥満細胞腫)、血管疾患および/または他の病状/障害。
【0032】
NOV7は、キモシンβ−4様ファミリーのタンパク質のメンバーに対して相同である。従って、本発明のNOV7核酸、ポリペプチド、抗体および他の関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:前立腺癌、免疫学的障害および自己免疫障害(例えば、甲状腺機能亢進症)、脈管形成および創傷治癒、アポトーシスの調節、神経変性障害および神経精神的障害、加齢関連障害、脾臓、胸腺、肺および腹膜のマクロファージに関連する病理学的障害、癌、ならびに/または他の病状/障害。
【0033】
NOV8は、タンパク質チロシンフォスファターゼ様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明のNOV8核酸、ポリペプチド、抗体および他の関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:造血障害;白血病誘発;多発性嚢胞腎疾患;発癌(例えば、肺癌、肝臓癌および卵巣癌);アポトーシス;2型糖尿病および肥満症;細胞増殖および分化;非ホジキンリンパ腫;筋骨格障害;およびCNS発達障害、ならびに/または他の病状/障害。
【0034】
NOVX核酸およびNOVXポリペプチドはまた、NOVXの活性または機能を阻害または増強する分子についてスクリーニングするために使用され得る。詳細には、本発明に従う核酸およびポリペプチドは、例えば、神経発生、細胞分化、細胞運動性、細胞増殖、造血、創傷治癒および脈管形成を調節または阻害する小分子の同定のための標的として使用され得る。
【0035】
本発明に従うNOVX核酸およびNOVXポリペプチドについてのさらなる有用性は、本明細書中に開示される。
【0036】
(NOV1)
新規チオレドキシン様タンパク質をコードする620ヌクレオチドの開示されたNOV1核酸(AC013554_da1とも呼ばれる)を、表1Aに示す。ヌクレオチド282〜284のATG開始コドンから始まり、ヌクレオチド618〜620のTAAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンの上流および終止コドンの下流の推定非翻訳領域を、表1Aに下線で示す。開始コドンおよび終止コドンを、太字で示す。
【0037】
【表1A】
Figure 2004516820
公の配列データベースの検索において、NOV1核酸配列は、第9染色体のp31領域に存在し、これは、331塩基中232塩基(70%)が、Ovis aries由来のチオレドキシン mRNA(GENBANK−ID:OATHIORD|acc:Z25864)に同一である。公のヌクレオチドデータベースとしては、全てのGenBankデータベースおよびGeneSeq特許データベースが挙げられる。
【0038】
本明細書における全てのBLASTアライメントにおいて、「E値(E−value)」または「期待値(Expect)」とは、その整列された配列が、検索したデータベース内で、単なる偶然によって、BLAST問い合わせ配列に対してその類似性を達成し得た確率(可能性)の数的な指標である。例えば、NOV1 BLAST分析から検索された対象(「Sbjct」)(例えば、Ovis aries由来のチオレドキシン mRNA)が、偶然にのみで、問い合わせ(Query)(クエリ)NOV1配列にマッチした確率(可能性)は、608e−27である。期待値(Expect value)(E)は、特定のサイズのデータベースを検索する場合に、全く偶然に見出すことを「期待」し得る、ヒット数を示すパラメーターである。これは、2つの配列の間のマッチに割り当てられるスコア(Score)(S)に伴い、指数関数的に減少する。本質的に、このE値は、配列の間のマッチに存在するランダムなバックグラウンドノイズを示す。
【0039】
期待値(Expect value)は、結果を報告するための有意な閾値を作成するための都合のよい手段として使用される。BLASTを行うために使用されるデフォルト値は、代表的には、0.0001に設定される。BLAST2.0において、この期待値をまた、P値(確率)の代わりに用いて、マッチの有意性を報告する。例えば、1ヒットに割り当てられる1であるE値は、現在のサイズのデータベースにおいて、類似のスコアを有する1つのマッチを単なる偶然によって見出すことを期待し得ることを意味すると解釈され得る。ゼロであるE値は、類似のスコアを有するいかなるマッチも単なる偶然では見出すことが期待されないことを意味する。例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo/を参照のこと。時には、文字列Xおよび文字列Nが、BLAST検索から生じる。これは、人為的なヒットを妨げるように実施される、低い複雑性の配列の問い合わせ(クエリ)の自動的フィルタリングの結果である。このフィルターは、ヌクレオチド配列において文字「N」(例えば、「NNNNNNNNNNNNN」)またはタンパク質配列において文字「X」(例えば、「XXXXXXXXX」)によって、見出される任意の低い複雑性の配列を置換する。低い複雑性の領域は、有意な位置ごとのアラインメントではなく、組成の偏りを反映する、高いスコアを生じ得る。WoottonおよびFederhen、Methods Enzymol 266:554〜571、1996。
【0040】
配列番号1によってコードされる開示されたNOV1ポリペプチド(配列番号2)は、112アミノ酸残基を有し、1文字コードを使用して表1Bに表す。SignalP、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV1が、シグナルペプチドを有し、そして0.6500の確実性でおそらく細胞質中に局在するであろうことを予測する。他の実施形態において、NOV1はまた、0.1000の確実性でミトコンドリアマトリクス空間に、または0.1000の確実性でリソソーム(管腔)に局在されているかもしれない。NOV1ペプチドは、おそらく、シグナルペプチドを有さない。
【0041】
【表1B】
Figure 2004516820
公の配列データベースの検索は、NOV1アミノ酸配列が、Equus caballus由来の105アミノ酸残基のチオレドキシンタンパク質(SPTREMBL−ACC:O97508)に、103アミノ酸残基中65アミノ酸残基(63%)同一であり、103アミノ酸残基中80アミノ酸残基(77%)が類似することを示す(E=3.2e−32)。公のアミノ酸データベースとしては、GenBankデータベース、SwissProt、PDB、およびPIRが挙げられる。
【0042】
開示されたNOV1ポリペプチドは、表1Cに列挙されたBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0043】
【表1C】
Figure 2004516820
これらの配列と他の配列との間の相同性は、表1Dに示されるClustalWに図示される。NOV1タンパク質のClustalWアライメント、および本明細書中の全ての他のClustalW分析において、黒地に白抜きで示されるアミノ酸残基は、保存配列の領域(すなわち、構造的特性または機能的特性を保存するために必要とされ得る領域)を示し、強調していないアミノ酸残基は、それほど保存されておらず、そして潜在的に、タンパク質の構造または機能を変化することなく、非常に広範な程度に変更され得る。
【0044】
【表1D】
Figure 2004516820
NOV1ならびに他の全てのNOVXタンパク質における同定可能なドメインの存在は、ソフトウェアアルゴリズム(例えば、PROSITE、DOMAIN、Blocks、Pfam、ProDomain、およびPrints)を用いる検索によって、続いて、Interproウエブサイト(http://www.ebi.ac.uk/interpro)を用いてドメインマッチ(または数)をクロスすることによってInterpro数を決定することによって、決定した。表1Eに開示されるようにNOV1についてのDOMAIN結果を、Reverse Position Specific BLAST分析を用いて、Conserved Domain Database(CDD)から収集した。このBLAST分析ソフトウェアは、SmartおよびPfamコレクションに見出されるドメインをサンプリングする。表1Eおよびその後の全てのDOMAIN配列アライメントについて、完全に保存された単一の残基を、黒色影付きまたは印(|)によって示し、そして「強い」半保存残基は、灰色影付きまたは印(+)によって示す。この保存アミノ酸残基の「強い」グループは、以下のアミノ酸のグループのいずれか1つであり得る:STA、NEQK、NHQK、NDEQ、QHRK、MILV、MILF、HY、FYW。
【0045】
表1Eは、NOV1に対するDOMAIN分析結果からのドメイン表示を列挙する。これは、NOV1配列が、このドメインを含むことが公知の他の端p買う質の特性と類似する特性を有することを示す。
【0046】
【表1E】
Figure 2004516820
NOV1は、表1Fに示されるpatpデータベースのメンバーに対して高い相同性を有する。
【0047】
【表1F】
Figure 2004516820
チオレドキシンは、ジチオールジスルフィド活性部位を含む、12,000ダルトンのオキシドレダクターゼ酵素である。これは、遍在性であり、植物および細菌から哺乳動物までの多くの生物に見出される。チオレドキシンに対する複数のインビトロ基質が同定されており、これらには、リボヌクレアーゼ、絨毛性ゴナドトロピン、凝固因子、グルココルチコイドレセプター、およびインスリンが挙げられる。インスリンの還元は、活性試験として古典的に使用される。Wollmanら(1988)は、ヒトチオレドキシンをコードする全長cDNAクローンを同定した。このオープンリーディングフレームは、104アミノ酸(開始メチオニンを除く)のタンパク質をコードした。このタンパク質は、植物および細菌のチオレドキシンに共通の高度に保存された酵素活性部位:trp−cys−gly−pro−cys(アミノ酸30〜34)を保持した。TonissenおよびWells(1991)は、TRX遺伝子が、13kbにわたって伸長し、そして12kDタンパク質をコードする5つのエキソンからなることを決定した。サザン分析は、ヒトゲノム中のいくつかのTXN遺伝子の存在を実証した。これらのうちの少なくとも1つは、不活性(すなわち、偽遺伝子)である。Kaghadら(1994)はまた、TXN遺伝子をクローニングし、そしてこれらの5つのエキソンが4つのイントロンによって分離されていることを実証した。彼らは、プライマー伸長によって、+1転写開始点を決定した。この+1部位は、TATAAボックスの22bp下流に位置し、74bpの5非翻訳領域を規定する。いくつかのドナー由来のゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーションは、1つのみの活性なTXN遺伝子を検出した。
【0048】
ヒトTXN cDNAプローブを用いたインサイチュ染色体ハイブリダイゼーションを使用して、Lafage−Pochitaloff−Huvaleら(1989)は、この遺伝子を3p12−p11に位置付けた。Taketoら(1994)は、マウス中の相同遺伝子が第4染色体上に位置すること、およびマウス第1染色体の近位領域にプロセシングされたTxn偽遺伝子が存在することを見出した。
【0049】
Heppell−Partonら(1995)は、転写されるチオレドキシン遺伝子の正確な染色体局在が9q31であると結論付けた。彼らは、このことを、体細胞ハイブリッドパネルの分析および転写される遺伝子をコードするYACの蛍光インサイチュハイブリダイゼーションの両方によって発見した。第9染色体への局在は、そのヒト染色体のみとして、第9染色体を含むヒト/ハムスター体細胞ハイブリッドからのPCR増幅によって、確かめた。他の1染色体ハイブリッド細胞のいずれにおいても、増幅シグナルは検出されなかった。第4染色体上のマウスチオレドキシン遺伝子の位置は、注目すべきである。なぜなら、この染色体の部分は、ヒト第9染色体と相同性を共有するからである。
【0050】
エンドサイトシス経路へインターナライズされたタンパク質は、通常、分解される。効率的なタンパク質分解は、変性(リソソーム中の酸性条件によって誘導される)ならびに鎖間および鎖内のジスルフィド結合の還元を必要とする。サイトゾルでの還元は、チオレドキシン(TXN;187700)によって酵素的に媒介される。Arunachalamら(Nat.Acad.Sci.97:745−750,2000)は、リソソームチオールレダクターゼ(彼らは、GILTと呼んでいる)を記載し、これは、低いpHで最適に活性であり、そしてインビボおよびインビトロの両方でジスルフィド結合還元を触媒し得た。彼らは、このGILT遺伝子が、推定261アミノ酸のタンパク質をコードし、このタンパク質が、37アミノ酸のシグナルペプチドおよび224アミノ酸の前形態からなることを見出した。この酵素は、抗原提示細胞において構成的に発現され、そして他の細胞型においてγ−インターフェロン(147570)によって誘導され、これは、抗原プロセシングにおける潜在的に重要な役割を示唆する。
【0051】
セレンは、長年にわたる免疫学的機能研究および多くの栄養学的研究において間接的に関連付けられた。さらに、HIVに感染したヒトにおいて、血漿中のセレンおよびセレン含有グルタチオンペルオキシダーゼ(例えば、138321)のレベルが減少されることが報告されている。この理由のために、Gladyshevら(Proc.Nat.Acad.Sci.93:6146−6151、1996)は、ヒトT細胞におけるセレン代謝についての研究を開始した。著者らは、チオレドキシンレダクターゼとしてT細胞中に検出されたセレン含有タンパク質の1つを同定し、そしてこのタンパク質のセレノシスチンの位置が、そのクローニングされた胎盤遺伝子中のTGAコドンに対応することを実証した。T細胞チオレドキシンレダクターゼが、保存されたC末端領域中にセレンを含むセレノ酵素であるという知見は、公知のグルタチオンペルオキシダーゼ酵素系に加えて、主要な抗酸化剤酵素系(例えば、チオレドキシン−チオレドキシンレダクターゼ)におけるセレンの役割の別の例を提供する。
【0052】
GorlatoxおよびStadtman(Proc.Nat.Acad.Sci.95:8520−8525、1998)は、アルキル化研究によってHeLa細胞から単離されたチオレドキシンレダクターゼにおける、セレノシスチンの本質的な役割を実証した。このタンパク質におけるセレノシスチンの選択的アルキル化は、酵素活性を阻害し、そしてNADPHでの還元は、ヘパリンに対する親和性に影響を及ぼした。
【0053】
チオレダクターゼ様タンパク質をコードする本発明の開示されたNOV1核酸は、表1Aに提供される核酸配列、またはそのフラグメントを包含する。本発明はまた、任意の塩基が、表1Aに示される対応する塩基から変化され得るが、そのチオレダクターゼ様活性および生理学的機能を維持するタンパク質をなおコードする、変異体核酸または改変体核酸、あるいはそのような核酸のフラグメントを包含する。本発明はさらに、その記載される配列に相補的である配列の核酸(その記載される核酸のいずれかに相補的である、核酸フラグメントを含む)を包含する。本発明はさらに、その構造が化学修飾を含む、核酸または核酸フラグメント、あるいはその相補体を包含する。このような修飾としては、非限定的な例として、修飾塩基、およびその糖リン酸骨格が修飾または誘導体化された核酸が挙げられる。これらの修飾は、その修飾された核酸の化学安定性を増強するために、少なくとも部分的に行われ、その結果、これらは、例えば、被験体中の治療適用におけるアンチセンス結合核酸として使用され得る。変異体核酸または改変体核酸、ならいにそれらの相補体において、これらの塩基の約30%までが、このように変化され得る。
【0054】
本発明の開示されたNOV1タンパク質は、表1Bに提供される配列のチオレダクターゼ様タンパク質を包含する。本発明はまた、その残基のいずれかが、表2に示される対応する残基から変化され得るが、そのチオレダクターゼ様活性および生理学的機能を維持するタンパク質をなおコードする、変異体タンパク質または改変体タンパク質、あるいはそれらの機能的フラグメントを包含する。これらの変異体タンパク質または改変体タンパク質において、それらの残基の約38%までが、そのように変化され得る。
【0055】
本発明はさらに、本発明のタンパク質のいずれかに免疫特異的に決尾具する抗体および抗体フラグメント(例えば、Fabまたは(Fab)を包含する。
【0056】
本発明についての上記に定義された情報は、このチオレダクターゼ様タンパク質(NOV1)が、「チオレドキシンファミリー」のメンバーとして機能し得ることを示唆する。従って、ここで同定されたNOV1核酸およびNOV1タンパク質は、以下に示されるような種々の病状および障害(しかし、これらに限定されない)に関連する、潜在的治療適用において有用であり得る。本発明のこれらの潜在的治療適用としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:タンパク質治療、小分子薬物標的、抗体標的(治療抗体、寸断抗体、薬物標的化/細胞傷害性抗体)、診断および/または予後マーカー、遺伝子治療(遺伝子治療/遺伝子除去(ablation))、研究ツール、全ての組織および細胞型(本明細書中に定義されるものを含む(しかし、限定されない))のインビボおよびインビトロでの組織再生。
【0057】
本発明のNOV1の核酸およびタンパク質は、炎症、自己免疫障害、加齢および癌を含むがこれらに限定されない疾患に関連する、潜在的な治療適用において有用である。例えば、チオレダクターゼ様タンパク質(NOV1)をコードするcDNAは、遺伝子治療において有用であり得、そしてチオレダクターゼ様タンパク質(NOV1)は、それを必要とする被験体に投与される場合に、有用である。非限定的な例として、本発明の組成物は、炎症、自己免疫障害、加齢および癌に罹患している患者の処置に対する効力を有する。本発明のチオレダクターゼ様タンパク質をコードするNOV1核酸、およびチオレダクターゼ様タンパク質は、診断適用においてさらに有用であり得、ここで、その核酸またはタンパク質の存在および量が、評価される。
【0058】
NOV1核酸およびNOV1ポリペプチドはさらに、治療方法または診断方法において使用するための新規NOV1物質に免疫特異的に結合する抗体の生成において有用である。これらの抗体は、以下のセクション「抗NOVX抗体」に記載されるような、疎水性チャートからの予測を使用して、当該分野で公知の方法に従って生成され得る。開示されるNOV1タンパク質は、複数の疎水性領域を有し、これらの各々は、免疫原として使用され得る。1つの実施形態において、企図されるNOV1エピトープは、およそアミノ酸1〜10である。別の実施形態において、NOV1エピトープは、およそアミノ酸20〜35である。さらなる実施形態において、NOV1エピトープは、およそアミノ酸45〜50、およそアミノ酸55〜60、およそアミノ酸65〜75、およびおよそアミノ酸90〜115である。これらの新規タンパク質は、種々のヒト障害の機能的分析のためのアッセイ系において使用され得、これらは、疾患の病理の理解および種々の障害の新規薬物標的の開発を補助する。
【0059】
(NOV2)
NOV2は、以下に開示される、2つの新規レチノイン酸/SRA6様タンパク質を包含する。これらの開示されたタンパク質を、NOV2aおよびNOV2bと命名した。
【0060】
(NOV2a)
新規レチノイン酸応答性/STRA−6様タンパク質をコードする2632ヌクレオチドの開示されたNOV2a核酸(3277789.0.83_da1)を、表2Aに示す。ヌクレオチド31〜33のATG開始コドンから始まり、ヌクレオチド2011〜2013のTGAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンの上流および終止コドンの下流の推定非翻訳領域を、表2Aに下線で示す。開始コドンおよび終止コドンを、太字で示す。
【0061】
【表2A】
Figure 2004516820
GenBankによって利用可能になったGenomic Daily Filesまたは個々の配列決定センターからダウンロードしたファイルに対して実行する、レチノイン酸応答性/STRA−6またはホモログに関するCuraGen Corporationの配列ファイルを使用するTblastNによって、NOV2a核酸を同定した。核酸配列を、公知のレチノイン酸応答性/STRA−6またはホモログに対する相同性によってゲノムファイルGenbankから予測した。エキソンを、相同性によって予測し、そしてイントロン/エキソン境界を、標準的な遺伝子学的法則を使用して決定した。複数のBLAST(例えば、tBlastN、BlastX、およびBlastN)検索、そしてある場合には、GeneScanおよびGrailを用いる、類似性決定によって、エキソンをさらに選択しそして洗練した。利用可能な場合に、公のデータベースおよび独自のデータベースの両方からの発現された配列を加えて、その遺伝子配列をさらに洗練しそして完全にした。次いで、DNA配列を、明らかな不一致について手動で補正し、それによって、全長タンパク質をコードする配列を得た。
【0062】
開示されたNOV2a核酸配列は、第15染色体に局在し、これは、Mus musculus由来のレチノイン酸応答性タンパク質(Stra6) mRNA(GENBANK−ID:AF062476|acc:AF062476(GENBANK−ID:M77668)に、2207塩基中1511塩基(68%)に同一である(E=1.2e−189)。
【0063】
配列番号3によってコードされるNOV2aポリペプチド(配列番号4)は、660アミノ酸残基を有し、表2Bに一文字コードを使用して表す。SignalP、PsortおよびHydropathyの結果は、NOV2Aが、シグナルペプチドを有し、そして0.6000の確実性でおそらく形質膜中に局在するであろうことを予測する。他の実施形態において、NOV2aはまた、0.4000の確実性でゴルジ体に、0.3000の確実性で小胞体(膜)に、または0.3000の確実性でミクロボディ(ペルオキシソーム)に局在されているかもしれない。NOV2Aペプチドの最も可能性のある切断部位は、アミノ酸8と9との間(AGN−QT)である。
【0064】
【表2B】
Figure 2004516820
開示されたNOV2aアミノ酸配列は、Mus musculus由来の670アミノ酸残基のレチノイン酸応答性タンパク質(SPTREMBL−ACC:O70491)に対して、670アミノ酸残基中497アミノ酸残基(74%)の同一性、および670アミノ酸残基中556アミノ酸残基(82%)の類似性を有する(E=7.1e−257)。
【0065】
NOV2aはまた、表2Cに示されるpatpデータベースのメンバーに対する高い相同性を有する。
【0066】
【表2C】
Figure 2004516820
(NOV2b)
新規STRA−6様タンパク質をコードする2663ヌクレオチドの開示されたNOV2b核酸(CG52276−07とも呼ばれる)を、表2Dに示す。ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンから始まり、ヌクレオチド2068〜2070のTGAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンの上流および終止コドンの下流の推定非翻訳領域を、表2Dに下線で示す。開始コドンおよび終止コドンを、太字で示す。
【0067】
【表2D】
Figure 2004516820
開示されたNOV2b核酸配列は、Homo sapiens由来のgb:GENBANK−ID:AF352728|acc:AF352728.1 mRNA(Homo sapiens STRA6アイソフォーム1mRNA、完全cds、選択的スプライシングされた)に、2444塩基中2395塩基(97%)同一である(E=0.0)。
【0068】
配列番号5によってコードされる開示されたNOV2bポリペプチド(配列番号6)は、689アミノ酸残基を有し、表2Eに一文字コードを使用して表す。SignalP、PsortおよびHydropathyの結果は、NOV2bが、シグナルペプチドを有し、そして0.6000の確実性でおそらく形質膜中に局在するであろうことを予測する。他の実施形態において、NOV2bはまた、0.4000の確実性でゴルジ体に、0.3000の確実性で小胞体(膜)に、または0.3000の確実性でミクロボディ(ペルオキシソーム)に局在され得る。NOV2bペプチドの最も可能性のある切断部位は、アミノ酸8と9との間(AGN−QT)である。
【0069】
【表2E】
Figure 2004516820
開示されたNOV2bアミノ酸配列は、Homo sapiens(ヒト)由来の667アミノ酸残基のptnr:SPTREMBL−ACC:Q9BX79タンパク質(STRA6 ISOFORM1)に対して、579アミノ酸残基中578アミノ酸残基(99%)の同一性、および579アミノ酸残基中578アミノ酸残基(99%)の類似性を有する(E=0.0)。
【0070】
NOV2bは、第15染色体にマップする。この割り当ては、ゲノムクローンに関連するマッピング情報、開示された配列との公の遺伝子およびEST共有配列同一性、およびCuraGen CorporationのElectronic Northernバイオインフォマティックツールを使用して作成された。
【0071】
NOV2bは、少なくとも以下の組織で発現される:脳、頸部、心臓、腎臓、リンパ節、リンパ組織、卵巣、下垂体、胎盤、網膜、側頭葉、甲状腺、子宮。発現情報は、NOV2bの配列の導出に含まれた、これらの配列の組織供給源に由来した。
【0072】
NOV2aはまた、表2Fに列挙されたBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0073】
【表2F】
Figure 2004516820
これらの配列の相同性を、表2Gに示されるClustalW分析において図示する
【0074】
【表2G】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
発癌は、増殖、分化およびアポトーシスの正常な制御の不活性化または破壊を含む(Hurst REら;Adv Exp Med Biol 1999;462:449−67)。しかし、これらの制御は、強力であり、重複性であり、かつ遺伝子発現レベル、mRNA寿命の調節、転写およびタンパク質の再循環において関連する。増殖、分化およびアポトーシスの制御の中心的な系の1つは、レチノイドシグナル伝達である。hRARα核レセプターは、適切なレチノイドリガンドに結合した場合、そのホモダイマーおよびhRXRαとのヘテロダイマーが多数のレチノイド応答性遺伝子の転写を調節するという点で、遺伝子転写の誘導に関する中心的な位置を占める。これらは他のシグナル伝達経路における遺伝子を含み、その結果、その全体が複雑なネットワークを形成する。この研究において、著者らは、中心的な調節事象であるというhRARα遺伝子転写に関する簡単な原因−効果の解釈は、レチノイド応答性遺伝子ネットワークを説明しないことを示した。異なる段階の膀胱腫瘍形成を示す培養された膀胱由来細胞のセットは、モデル系を形成した。これは、種々の段階およびグレードの、2種の不死化膀胱細胞株(HUC−BCおよびHUC−PC)、1種の扁平上皮癌細胞株(SCaBER)、1種の乳頭腫下部(RT4)、および4種の移行上皮癌(TCC−Sup、5637、T24、J82)から構成された。この細胞のセットを使用して、膀胱癌の挙動の範囲をモデル化した。10μMのオール−トランス−レチノイン酸(aTRA)で処置する前(構成的)および後の相対的な遺伝子発現を、アンドロゲンレセプターおよびエストロゲンレセプター(レチノイドの代謝および作用に関与する遺伝子のセットである、hRARαおよびβ、hRXRαおよびβ、CRBP、CRABPIおよびII)について;ならびにレチン酸に対して感受性であることが知られているシグナル伝達遺伝子である、EGFR、サイトカインMK、ICAM Iおよびトランスグルタミナーゼについて測定した。増殖の阻害、ならびにaTRAおよび合成レチノイド4−HPRの両方に対するアポトーシス応答についての表現型を測定した。aTRA感受性プロモーターを含むCAT含有プラスミドでのトランスフェクションを使用して、遺伝子発現のレチノイド調節のための共通のレチン酸感受性エレメント(RARE)依存性経路が活性化されたか否かを決定した。選択された遺伝子の各々は、メッセージおよびタンパク質の上方調節または下方調節のいずれかによって、特定の様式でTRAと反応することが、以前の研究から公知である。単純な因果によって容易に解釈可能でない複雑なデータセットが、観察された。全ての細胞株が、hRXRαおよびβの高レベルのmRNA(これは、外因性aTRAでの処理によって変更されなかった)を発現するが、他の遺伝子の構成的応答および刺激された応答は、細胞株間で広範に変化した。例えば、CRABP Iは、J82、T24、5637およびRT4で発現されないが、SCaBER中で低いレベル(これは、変化しなかった)で発現され、そしてHUC−BC、TCC−SupおよびHUC−PCで中程度で発現され、これらは、それぞれ、急激に減少、増加または減少された。多くのレチノイド感受性遺伝子の発現を支配するhRARαの発現は、全ての細胞株で中程度〜高レベルで発現されたが、いくつかの場合、急激に上方調節されるか(TCC−Sup、HUC−PCおよびJ82)、一定のままであるか(5637およびHUC−BC)、または下方調節された(SCaBER、T24およびRT4)。増殖の阻害についての表現型は、任意の単一の遺伝子の発現に対する明らかな関連性を示さなかったが、aTRAによって阻害された細胞株(HUC−BCおよびTCC−Sup)は、4−HPRに対して感受性でなく、また逆も同じであった。1つの株(RT4)は、レチノイドに対して感受性でなかった。トランスフェクションは、RT4またはHUC−PCでのCATレポーター遺伝子のレチノイド刺激性トランスフェクションをほとんど示さなかった。トランス活性化の約2倍の増強が、SCaBER細胞、HUC−BC細胞、J82細胞およびT24細胞で観察され、3〜8倍の活性化が、5637細胞、TCC−Sup細胞で観察された。HUC−BCにおいて、GからTへの点変異が、hRARα遺伝子の第606位に見出された。この変異は、高度に保存されたドメインのアスパラギンをチロシンに置換した。これらのデータは、レチノイドシグナル伝達が、おそらく、膀胱の発癌における不活性化の頻繁な標的であることを示す。
【0075】
Waliszewski Pら(Mol Cell Endocrinol 1999 Feb 25;148(1−2):55〜65)は、ヒト膀胱癌細胞株およびSV40不朽化尿路上皮細胞株におけるレチノイドシグナル伝達経路の存在および機能性を調査した。8つの細胞株のうち2つだけが、すべてtransのレチノイン酸または13−cis−レチノイン酸のいずれか10μMによって、増殖阻害された。レチノイド応答性エレメントの制御下にあるCAT遺伝子のトランス活性化は、感受性細胞株の両方および6つのうち4つの抵抗性細胞株におけるシグナル伝達経路の機能性を示した。一群のレチノイド応答性遺伝子およびレチノイド誘導性遺伝子の相対的RT−PCR分析は、多数の異常調節不全とともに、レチノイン酸処置に応じてこれらの遺伝子すべての発現レベルの変化を示した。レチノイドシグナル伝達は、遺伝子発現、遺伝子増殖、および遺伝子分化を分離することによる、腫瘍形成の間の不活化のための標的であり得ると、Waliszewski Pらは結論付けた。従って、レチノイドは、膀胱癌の処置のためよりも膀胱癌の化学的予防のために効果的である可能性が高い。
【0076】
レチノイドの増殖効果は、MC−26結腸腺癌細胞株およびLoVo結腸腺癌細胞株において試験された(Stewart LVら;Exp Cell Res 1997 Jun 15;233(2):321〜9)。このLoVo細胞株の増殖は、レチノイド(すべてtransのレチノイン酸(atRA)および9−cis−レチノイン酸(9−cis−RA))の存在下で変化しなかった。しかし、両方のレチノイドが、細胞増殖により測定される、MC−26細胞の増殖を刺激した。atRAおよび9−cis−RAは、MC−26細胞増殖を増加させることにおいて等しい効力であり、このことは、この増殖刺激が、1つ以上のレチノイン酸レセプター(RAR)により媒介されることを示唆する。この増殖刺激効果を担いうるRARを決定するために、著者らは、両方の細胞株中に存在するRARサブタイプを特徴付けた。RARαのmRNA、RARβのmRNA、およびRARγのmRNAが、MC−26細胞において検出された。MC−26細胞中に存在するRARのうち、RARαは、レチノイドの増殖刺激効果を媒介しない。なぜならば、選択的RARαアンタゴニストは、MC−26細胞増殖におけるレチノイド誘導性増殖を妨げることができなかったからである。RARα mRNA、RARβ mRNA、およびRARγ mRNAはまた、LoVo細胞株において発現される;従って、LoVo細胞におけるレチノイドによる増殖刺激の欠如は、RARの不在に起因するのではないようである。これらの実験において得られた結果は、レチノイドにより惹起される増殖応答は結腸癌細胞間で変化し得ること、および結腸癌細胞株において発現されるRARサブタイプによってのみ応答の差異は決定されないかもしれないことを、示す。
【0077】
レチノイン酸(RA)(増殖および分化の十分に特徴付けられた調節因子)は、小胞甲状腺癌細胞株(FTC−133、FTC−238、およびHTC−TSHr)ならびにSV40でトランスフェクトされた不朽化甲状腺細胞株(ori3および7751)を部分的に再分化する(Schmutzler Cら、Exp Clin Endocrinol Diabetes 1996;104 Suppl 4:16〜9)。このことは、I型5’−デヨージナーゼおよび他の分化マーカーの刺激によって、示される。RT−PCR、電気泳動移動度シフト、および[3H]−レチノイン酸結合アッセイにより示されるように、甲状腺癌細胞株は、RAレセプターmRNAと、RA依存性シグナル伝達を媒介することができる、機能性リガンド結合レセプタータンパク質および機能性DNA結合レセプタータンパク質とを発現する。まとめると、これらの特性により、これらの甲状腺由来細胞株は、甲状腺癌のRA再分化の効果を研究するための有用なインビトロモデルになる。
【0078】
この化学療法剤レチノイン酸(RA)は、多くの腫瘍型の増殖および浸潤を阻害する(Vo HPら、Anticancer Res 1998 Jan−Feb;18(1A):217〜24)。頭部および頸部の扁平上皮癌(SCC)患者におけるRA化学療法は、前悪性病巣の再発を減少しそして前悪性病巣の後退を誘導する。RAの効果は、細胞質タンパク質および核タンパク質の両方により媒介される。核において、リガンド依存性転写因子のファミリー(レチノイン酸レセプター(RAR)およびレチノイドXレセプター(RXR))が、RAに対する標的遺伝子応答を調節する。細胞質において、細胞レチノイン酸結合タンパク質IおよびII(CRABP)が、細胞内RAの濃度、輸送、および代謝を調節する。CRABP発現の変化は、標的遺伝子応答および癌細胞の表現型に影響することが示されている。このRA応答を媒介する際のこれらのタンパク質の役割を解明するために、本発明者らは、アンチセンスCRABP II構築物を発現するSCC25細胞において、標的遺伝子発現および悪性表現型を調べた。RAは、転写のアップレギュレーションによって、SCC25細胞において2倍のCRABP II mRNAレベルを誘導した。このアンチセンス構築物の発現は、CRABP II発現を、検出不能なレベルまで減少させた。CARBP II発現の阻害は、RA応答性遺伝子の有意なダウンレギュレーションを生じた。これらの減少は、RA応答性プロモーターからの転写の減少の結果であった。驚くべきことに、このアンチセンスCRABP構築物を発現するクローンは、増殖のRA媒介性阻害に対して感受性がより弱かった。これらのクローンはまた、インビトロ浸潤アッセイにおいてより浸潤性でなかった。これはおそらく、マトリックスメタロチオネイナーゼ活性のダウンレギュレーションに起因した。本発明者らは、CRABP IIは、頭部および頸部のSCCの浸潤を調節するRA応答性遺伝子の転写に影響すると、結論付ける。
【0079】
すべてがtransのレチノイン酸(trans−RA)および他のレチノイドは、2つの型のレチノイドレセプター(RAレセプター(RAR)およびレチノイドXレセプター(RXR))を介して、抗癌効果を発揮する(Wu Qら、Mol Cell Biol 1997 Nov;17(11):6598〜608)。以前の研究は、trans−RAおよび関連レチノイドの増殖阻害効果は、RARαおよびRARβのより低いレベルに起因して、特定のエストロゲン非依存性乳癌細胞株で損なわることを、示した。本研究において、本発明者らは、trans−RA感受性乳癌細胞株およびtrans−RA抵抗性乳癌細胞株の両方においていくつかの合成レチノイドが増殖阻害およびアポトーシスを誘導する能力について、そのいくつかの合成レチノイドを評価した。RXR選択的レチノイドは、特にRAR選択的レチノイドと組み合わせると、RARβを有意に誘導し得、そしてtrans−RA抵抗株(RARα欠損MDA−MB−231)のアポトーシスを誘導し得たが、高レベルのRARαを発現するtrans−RA感受性ZR−75−1細胞に対して低い活性を有したことを、本発明者らの結果は示す。ゲルシフトアッセイおよび一過性トランスフェクションアッセイを使用して、MDA−MB−231細胞に対するRXR選択的レチノイドの効果は、RARβプロモーター中のRA応答エレメントに結合してそしてRXR選択的レチノイドに応答してRARβを活性化した、RXR−nur77ヘテロダイマーにより多分媒介されたことを、本発明者らは見出した。対照的に、trans−RA感受性のRARα発現細胞におけるRAR選択的レチノイドによる増殖阻害は多分、これもまたRARβプロモーターに結合しそしてRARβプロモーターを活性化した、RXR−RARαヘテロダイマーを介して生じた。RXRαを安定して発現するMDA−MB−231クローンにおいて、RXR選択的レチノイドによる、RARβ誘導および増殖阻害の両方が抑制され、一方、RAR選択的レチノイドの効果は、増強された。まとめると、RXRの活性化は、trans−RA抵抗性MDA−MB−231乳癌細胞の増殖を阻害し得ることを、本発明者らの結果は示す。そして乳癌細胞株におけるRAR媒介性増殖阻害からRXR媒介性増殖阻害へのシグナル伝達変換を調節し得る。
【0080】
レチノイン酸は、標的遺伝子の発現を調節することによって、発生、増殖、および分化において重要な役割を果す。Bouilletおよび共同研究者による差引きハイブリダイゼーションcDNAクローニング技術(Mech Dev 1997;63:173〜86)を使用して、新規なレチノイン酸誘導性遺伝子であるStra6が、P19胚生期癌細胞において同定された。Stra6は、新規な型の非常に疎水的な膜タンパク質をコードし、このタンパク質は、以前に特徴付けられた内在性膜タンパク質と類似性を示さない。Stra6は、発生の間および成体において特定の発現パターンを示し、このStra6は、血液器官関門のレベルで強力に発現された。興味深いことに、精巣セルトーリ細胞において、Stra6は、精子形成周期依存性発現を有し、この発現は、Stra6がすべての細管において発現されるRARαヌル変異体の精巣において失われる。この知見は、このStra6タンパク質が、今なお同定されていない輸送機構の構成成分であり得ることを、示唆する。
【0081】
本発明のNOV2核酸およびNOV2タンパク質は、フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、アルツハイマー病、発作、結節硬化症、高カルシウム血症、パーキンソン病、ハンチントン病、脳性小児麻痺、てんかん、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調、白質萎縮症、行動障害、嗜癖、不安、疼痛、神経変性、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、先天性心欠損、大動脈狭窄症、心房中隔欠損症(ASD)、房室(A−V)管欠損、動脈管、肺狭窄、大動脈弁下部狭窄症、心室中隔欠損症(VSD)、弁疾患、強皮症、移植、自己免疫疾患、アレルギー、免疫不全、腎動脈狭窄、間質性腎炎、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎疾患、全身性エリテマトーデス、尿細管性アシドーシス、IgA腎症、レッシュ−ナイハン症候群、リンパ水腫、血友病、凝固能亢進(hypercoagulation)、特発性血小板減少性紫斑病、移植片対宿主病(GVHD)、子宮内膜症、不妊症、内分泌機能不全、糖尿病、肥満、成長障害および生殖障害、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、ならびに他の疾患、障害、および状態などに関与する可能な治療適用において、有用である。例えば、レチノイン酸応答性/STRA−6様タンパク質(NOV2)をコードするcDNAは、遺伝子治療において有用であり得、そしてレチノイン酸応答性/STRA−6様タンパク質(NOV2)は、投与される必要がある被験体に投与される場合に、有用であり得る。非限定的例として、本発明の組成物は、炎症、自己免疫障害、加齢、または癌に罹患している患者の処置のために、効力を有する。本発明のレチノイン酸/STRA−6様タンパク質をコードするNOV2A核酸、ならびにレチノイン酸応答性/STRA−6様タンパク質、またはそれらのフラグメントは、本発明の核酸またはタンパク質の存在または適用が評価され得る、診断適用において有用であり得る。
【0082】
NOV2核酸およびポリペプチドはさらに、治療法または診断法における使用のための、本発明の新規な物質に免疫特異的に結合する抗体の生成において有用である。これらの抗体は、下記「抗NOVX抗体」の節に記載されるような、疎水性表からの予測を使用して、当該分野で公知の方法に従って生成され得る。開示されるNOV2タンパク質は、複数の親水性領域を有し、その親水性領域の各々は、免疫原として使用され得る。1つの実施形態において、企図されるNOV2aエピトープは、およそアミノ酸20〜30である。別の実施形態において、NOV2aエピトープは、およそアミノ酸40〜60である。さらなる実施形態において、NOV2aエピトープは、およそアミノ酸75〜80、およそアミノ酸100〜110、およそアミノ酸180〜190、およそアミノ酸220〜260、およそアミノ酸310〜330、およそアミノ酸350〜370、およそアミノ酸380〜400、およそアミノ酸470〜510、およそアミノ酸550〜570、およびおよそアミノ酸590〜650である。これらの新規なタンパク質は、種々のヒト障害の機能的分析のためのアッセイ系において使用され得、このことは、その疾患の病理を理解すること、および種々の障害のための新規な薬物標的の開発において、有用である。
【0083】
別の実施形態において、企図されるNOV2bエピトープは、およそアミノ酸5〜50である。別の実施形態において、NOV2bエピトープは、およそアミノ酸80〜90である。さらなる実施形態において、NOV2bエピトープは、およそアミノ酸140〜160、およそアミノ酸190〜210、およそアミノ酸230〜290、およそアミノ酸360〜365、およそアミノ酸390〜440、およそアミノ酸550〜590、およびおよそアミノ酸610〜670である。これらの新規なタンパク質は、種々のヒト障害の機能的分析のためのアッセイ系において使用され得、このことは、その疾患の病理を理解すること、および種々の障害のための新規な薬物標的の開発において、有用である。
【0084】
(NOV3)
NOV3は、下記に開示される新規な2つのLRR/GPCR様タンパク質を含む。開示されるタンパク質は、NOV3aおよびNOV3bと名付けられた。
【0085】
(NOV3a)
新規なLRR/GPCR様タンパク質をコードする7892ヌクレオチドの、開示されるNOV3a核酸(128900861extよも呼ばれる)が、表3Aに示される。ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンで始まりヌクレオチド5728〜5730のTAAコドンで終了する、オープンリーディングフレームが、同定された。終止コドンから下流の推定非翻訳領域は、表3Aにおいて下線を付してあり、そして開始コドンおよび終止コドンは、太字になっている。
【0086】
【表3A】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
本発明の開示されるNOV3a核酸は、第8染色体のp11.2領域に位置決めされており、Homo sapiens由来のKIAA1531 mRNA(GENBANK−ID:AB040964)と、同一な2894塩基を2908塩基中に有する(99%)(E=0.0)。
【0087】
さらなるBLASTNの結果が、表3Bに示される。
【0088】
【表3B】
Figure 2004516820
配列番号7によりコードされるNOV3aポリペプチド(配列番号8)は、1542アミノ酸残基であり、そして表3Cにおいて1文字コードを使用して示されている。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV3aが、シグナルペプチドを含み、そして確実度0.6400で形質膜に局在する可能性があることを、予測する。他の実施形態において、NOV3aはまた、確実度0.4000でゴルジ体にか、確実度0.3700で小胞体(膜)にか、または確実度0.1000で小胞体(内腔)に、局在し得る。NOV3aペプチドについて最も可能性が高い切断部位は、アミノ酸26とアミノ酸27との間(ARG−AP)である。
【0089】
【表3C】
Figure 2004516820
本発明の開示されるNOV3aアミノ酸配列は、Homo sapiensに由来する1060アミノ酸残基のLRR/GPCR様タンパク質であるKIAA1531 PROTEIN(BAA96055)と、同一である638残基を647アミノ酸残基中に有し(98%)、そして類似する643残基を647アミノ酸残基中に有する(99%)(E=0.0)。
【0090】
NOV3aについてのさらなるBLASTPの結果が、表3Dに示される。
【0091】
【表3D】
Figure 2004516820
NOV3aはまた、表3Eに示されるpatpデータベースのメンバーに対して高い相同性を有する。
【0092】
【表3E】
Figure 2004516820
NOV3aは、少なくとも以下の組織において発現される:脳、血液、乳房、結腸、耳、生殖細胞、心臓、腎臓、肺、筋肉、膵臓、胎盤、前立腺、皮膚、胃、精巣、子宮、胚全体、結晶、肺、卵巣、子宮、眼、前立腺、扁桃、胎盤、および胸腺。
【0093】
さらに、この配列は、そのホモログであるSeqCallingアセンブリ128900861の発現パターンに基づいて、以下の組織において発現されると予測される:胎児心臓、胎児肺、胎児網膜、胎児肝臓、脾臓、胎児組織全体、および結腸からの多発性腫瘍、肺からの多発性腫瘍、生殖細胞(geerm cell)からの多発性腫瘍、腎臓からの多発性腫瘍、前立腺からの多発性腫瘍。
【0094】
2つのUnigeneクラスターのSAGE分析(実施例4)は、いくつかの脳腫瘍、卵巣腫瘍、および前立腺腫瘍における発現を示す。
【0095】
(NOV3b)
NOV3aの残基444〜937のドメインをコードするcDNAを、PCRによる「インフレーム」クローニングのための標的とした。このPCRテンプレートは、ヒトcDNAに基づく。
【0096】
以下のオリゴヌクレオチドプライマーを、この標的cDNA配列をクローニングするために使用した:
【0097】
【数2】
Figure 2004516820
下流をクローニングするために、この順方向プライマーは、インフレームでBamHI制限部位を含み、そしてこの逆方向プライマーは、インフレームでXhoI制限部位を含む。
【0098】
2つの並列PCR反応を、各反応のためのテンプレートとしてプールしたヒトcDNAの合計0.5〜1.0ngを使用して、設定した。このプールは、以下のヒト組織のcDNA各々5μgから構成されている:副腎、脳全体、扁桃、小脳、視床、骨髄、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、肝臓、リンパ腫、バーキットラージ細胞株、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脾臓、胃、甲状腺、気管、子宮。
【0099】
発現組織が既知でありかつ入手可能である場合、上記プライマーと、以下のヒト組織のcDNAのうちの1つの0.5ng〜1.0ngとを使用して、第2のPCRを実施した:骨格筋、精巣、乳腺、副腎、卵巣、結腸、正常小脳、正常脂肪、正常皮膚、骨髄、小脳扁桃、脳海馬、脳黒質、脳視床、甲状腺、胎児肺、胎児肝臓、胎児脳、腎臓、心臓、脾臓、子宮、下垂体、リンパ節、唾液腺、小腸、前立腺、胎盤、脊髄、末梢血、気管、胃、膵臓、視床下部。
【0100】
この反応混合物は、2μlの各プライマー(元の濃度5pmol/μl)、1μlの10mM dNTP(Clontech Laboratories,Palo Alto、CA)および1μlの50×Advantage−HF 2ポリメラーゼ(Clontech Laboratories)を、50μl反応体積中に含んだ。以下の反応条件を使用した:
PCR条件1:
a)96℃ 3分
b)96℃ 30秒変性
c)60℃ 30秒、プライマーアニーリング
d)72℃ 6分伸長
工程b〜dを15回反復する
e)96℃ 15秒変性
f)60℃ 30秒、プライマーアニーリング
g)72℃ 6分伸長
工程e〜gを29回反復する
h)72℃ 10分最終伸長。
PCR条件2:
a)96℃ 3分
b)96℃ 15秒変性
c)76℃ 30秒、プライマーアニーリング、1サイクルあたり1℃ずつ温度を減少させる
d)72℃ 4分伸長
工程b〜dを34回反復する
e)72℃ 10分最終伸長。
【0101】
増幅産物を、アガロースゲル電気泳動により検出した。このフラグメントを、ゲル精製し、そして製造業者の推奨に従ってpCR2.1ベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA)中に連結した。PCR反応1回あたり12クローンを選び、そして配列決定した。それらのインサートを、ベクター特異的M13 ForwardプライマーおよびM13 Reverseプライマーと、以下の遺伝子特異的プライマーとを使用して、配列決定した:
【0102】
【数3】
Figure 2004516820
そのインサートアセンブリNOV3bは、標的配列NOV3aの残基444と937との間のオープンリーディングフレームをコードすることが見出された。クローン化されたインサートは、元の配列と8つのヌクレオチド位置および4つのアミノ酸位置で異なる。このクローン化されたインサートはまた、元の配列のアミノ酸残基491と546との間の55アミノ酸の欠失分異なる。NOV3aとのアライメントが、下記のClustalWにおいて示される。異なるアミノ酸が白または灰色の背景を有すること、および欠失アミノ酸/挿入アミノ酸は、その位置をコードしない配列中の破線により検出され得ることに、注意されたい。
【0103】
新規なLRR/GPCR様タンパク質をコードする1329ヌクレオチドの、開示されるNOV3b核酸(188822778)が、表3Fに示される。ヌクレオチド1〜3のGGA開始コドンで始まりそしてヌクレオチド1327〜1329のGAGコドンで終了する、オープンリーディングフレームが、同定された。開始コドンから上流の推定非翻訳領域が、表3Fにおいて下線を付してあり、そして開始コドンおよび終止コドンが、太字である。このリーディングフレームは、より大きなリーディングフレームの一部であり得る。なぜなら、このリーディングフレームは、伝統的開始コドンおよび終止コドンを保有しないからである。この核酸のコード領域は、5’方向および3’方向の両方に広がり、そしてその発現されるタンパク質の配列は、N末端方向またはC末端方向で広がり得る。
【0104】
【表3F】
Figure 2004516820
NOV3b核酸の逆相補鎖が、表3Gに示される。
【0105】
【表3G】
Figure 2004516820
配列番号9によりコードされるNOV3bポリペプチド(配列番号11)は、443アミノ酸残基であり、そして表3Hにて1文字コードを使用して示される。
【0106】
【表3H】
Figure 2004516820
NOV3はまた、表3Iに列挙されるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対して相同性を有する。
【0107】
【表3I】
Figure 2004516820
これらの配列の相同性は、表3Jに示されるClustalW分析にて図示される。
【0108】
【表3J】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
表3K〜3Qは、NOV3に対するDOMAIN分析の結果からのドメインの説明を列挙する。このことは、これらのドメインを含むことが公知である他のタンパク質と類似した特性を、このNOV3a配列が有することを、示す。
【0109】
【表3K】
Figure 2004516820
【0110】
【表3L】
Figure 2004516820
【0111】
【表3M】
Figure 2004516820
【0112】
【表3N】
Figure 2004516820
【0113】
【表3O】
Figure 2004516820
【0114】
【表3P】
Figure 2004516820
【0115】
【表3Q】
Figure 2004516820
多くの研究が実施され、NOV3に対して種々の様式で相同な配列の機能を示した。腫瘍脈管形成の分子的理解を得るために、正常な結腸直腸組織の血管および悪性結腸直腸組織の血管に由来する、内皮細胞の遺伝子発現パターンを比較した(St.Croixら、Science 2000 August 18;289:1197〜1202)。内皮において優先的に発現される170個を超える転写物のうち、79個が、差次発現された。この79個は、腫瘍関連内皮において特に増加した46個を含む。これらの遺伝子のうちのいくつかは、細胞外マトリックスタンパク質をコードしたが、ほとんどの遺伝子は、機能が未知であった。これらの腫瘍内皮マーカーのほとんどが、広範な腫瘍型、および創傷治癒および黄体形成に関連する正常な血管において、発現された。これらの研究は、腫瘍内皮および正常内皮は、分子レベルで異なること(抗脈管形成治療の開発に有意な関連を有し得る、知見)を示す。
【0116】
未同定の遺伝子のコード配列に関する情報を提供するために、大きなタンパク質をコードするヒトcDNAの配列決定プロジェクトに関する研究が、行われた(Nagase Tら、DNA Res 2000 Apr 28;7(2):143〜50)。その研究において、研究者らは、2組のサイズ分画されたヒト成体cDNAライブラリーおよび胎児脳cDNAライブラリー由来の、未知のヒト遺伝子(KIAA1444〜KIAA1543と名付けた)の100個のcDNAクローンの全配列を示す。分析したcDNAクローンのインサートの平均サイズおよび対応するオープンリーディングフレームの平均サイズは、それぞれ、4.4kbおよび2.6kb(856アミノ酸残基)であった。推定アミノ酸配列のデータベース検索により、53個の推定遺伝子産物を以下の5つの機能カテゴリーに分類した:細胞のシグナル伝達/連絡、核酸管理、細胞の構造/移動性、タンパク質管理、および代謝。32個のKIAA遺伝子産物のホモログが、このデータベースにて検出されたこともまた、明らかになった。これらのホモログは、ほぼその領域全体を通じて、配列が類似していた。さらに、これらの遺伝子の染色体遺伝子座を、公開データベースにてその染色体遺伝子座がすでに割当てられていない場合は、ヒト−齧歯類ハイブリッドパネルによって決定した。これらの遺伝子の発現レベルを、脊髄、胎児脳、および胎児肝臓、ならびに10個のヒト組織および8個の脳領域において、逆転写カップル系(coupled)ポリメラーゼ連鎖反応によりモニターした。この逆転写カップル系(coupled)ポリメラーゼ連鎖反応の生成物を、酵素免疫測定法により定量した。
【0117】
ロイシンリッチな小さいプロテオグリカンは、その特有の特徴が、多様な生物学的特性を有する漸増数の細胞内タンパク質および細胞外タンパク質にて見出される構造モチーフである、拡大している遺伝子クラス(トリプシンインヒビターと呼ばれる)に属する(Iozzo RV、Crit Rev Biochem Mol Biol 1997;32(2):141〜74)。それらのプロトタイプタンパク質コアの3次元モデリングは、リガンドタンパク質との強力かつ特有の相互作用に適した、可撓性で弧状の結合表面を提案する。個々のプロテオグリカンの特性の変化は、保存されていない方の表面残基におけるアミノ酸置換、トリプシンインヒビターの数および/または長さ、ならびに/あるいはグリコシル化の変化に、由来する。これらのプロテオグリカンは、組織形成体であり、個体発生の間および病理学的プロセス(例えば、創傷治癒、組織修復、および腫瘍支質形成)において、膠原原線維を方向付けそして順序付ける。これらの特性は、その二機能性特徴(その戦略的位置にあるタンパク質部分結合コラーゲン原線維、ずれた原線維の間の微視的ギャップ、および線維間の距離を調節しそれにより組織中の線維状コラーゲンの正確なトポロジーを確立するように外に延びる高荷電グリコサミノグリカン)に根付いている。これらのプロテオグリカンはまた、可溶性増殖因子と相互作用し、その機能的活性を調節し、そして細胞表面レセプターに結合する。後者の相互作用は、種々の細胞系における細胞周期の進行に影響し、そして浸潤性新形成細胞の周囲および再生中の組織において、これらの遺伝子産物の発現の変化と呼ばれているものを説明し得る。
【0118】
トリプシンインヒビターは、様々な機能および細胞位置を有する多数のタンパク質に存在する短い配列モチーフである(Kobe Bら、Trends Biochem Sci 1994年10月;19(10):415−21)。これらの反復を含む全てのタンパク質は、タンパク質−タンパク質相互作用に関与すると考えられる。リボヌクレアーゼインヒビタータンパク質の結晶構造は、チロシンインヒビターが、β−α構造ユニットに対応することを示している。これらのユニットは、これらが、溶媒に対して暴露された1つの表面を有する並行(パラレル)のβシートを形成し、その結果、このタンパク質は、独特の、非球形状を獲得するように配置される。これらの2つの特徴は、トリプシンインヒビターを含むタンパク質のタンパク質結合機能の原因である。
【0119】
ラトロフィリン(latrophilin)は、αラトロトキシンの脳特異的Ca2+非依存レセプター(強力なシナプス前性神経毒)である。Matsushita H.らは、2つの新規のラトロフィリンホモログの知見を報告している(Matsushita H.ら、FEBS Lett 1999年1月29日;443(3):348−52)。3つ全てのラトロフィリンは、独特なGタンパク質結合レセプターである。これらは、それらのレクチンドメイン、オルファクトメジン(olfactomedin)ドメイン、および膜貫通ドメインと強い類似性を示すが、種々のC末端を有する。ラトロフィリンは、選択的スプライシングの部位を7つまで有し;いくつかのスプライス改変体は、変化した3番目の細胞質ループまたは短縮型細胞質テールを含む。ラトロフィリン−1のみが、α−ラトロトキシンに結合する;これは脳に豊富にあり、そして内分泌細胞に存在する。ラトロフィリン−3もまた、脳特異的であり、一方で、ラトロフィリン−2は遍在する。互いに、ラトロフィリンは、別々の組織分布と機能を有する、異種Gタンパク質結合レセプターの新規のファミリーを形成する。
【0120】
本明細書中に開示されるLRR/GPCR様タンパク質および核酸(NOV3)についての、タンパク質類似性情報、発現パターン、およびマップ位置は、このLRR/GPCR様タンパク質が一過性レセプターに潜在的に関係するタンパク質ファミリーに特徴的な、重要な構造および/または生理学的機能を有し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV3核酸およびタンパク質は、潜在的な診断適用および治療適用に有用である。これらは、特異的もしくは選択的な、核酸もしくはタンパク質の診断および/または予後判定マーカーとして作用する(ここで、この核酸もしくはタンパク質の存在もしくは量が見積もられる)こと、ならびに以下:(i)タンパク質治療、(ii)低分子薬物標的、(iii)抗体標的(治療用抗体、診断用抗体、薬物標的化/細胞傷害性抗体)、(iv)遺伝子治療に有用な核酸(遺伝子送達/遺伝子切除)および、(v)インビトロおよびインビボでの組織再生を促進する組成物、のような潜在的治療適用を含む。
【0121】
NOV3核酸およびタンパク質は、以下および/または他の病理学に記載される、種々の疾患および障害に関係している、潜在的診断適用および治療適用において有用である。例えば、本発明の組成物は、癌のような異常な新脈管形成に関連した障害(より詳細には、攻撃的な転移性の癌(より詳細には、肺、腎臓、脳、肝臓、および結腸の腫瘍))に罹患した患者の処置についての効力を有する。
【0122】
これらの材料は、治療方法または診断方法における使用のための(詳細には、腫瘍(より詳細には、肺、腎臓、脳、肝臓、および結腸の腫瘍))の処置のための)本発明の新規の物質に、免疫特異的に結合する抗体の産生においてさらに有用である。
【0123】
NOV3核酸およびポリペプチドは、治療方法または診断方法における使用のための本発明の新規の物質に免疫特異的結合する抗体の産生にさらに有用である。これらの抗体は、以下の「抗−NOVX抗体」節に記載される、疎水性チャートからの予測を用いる当該分野で公知の方法に従って産生され得る。開示されるNOV3タンパク質は、複数の親水性領域を有し、この疎水性領域の各々は、免疫原として用いられ得る。開示されるNOV3タンパク質は、複数の親水性領域を有し、この疎水性領域の各々は、免疫原として用いられ得る。1つの実施形態では、意図されるNOV3エピトープは、アミノ酸約1〜アミノ酸約300である。別の実施形態では、NOV3エピトープは、アミノ酸約420〜アミノ酸約450である。さらなる実施形態では、NOV3エピトープは、アミノ酸約650〜アミノ酸約800、アミノ酸約700〜アミノ酸約800、アミノ酸約820〜アミノ酸約900、アミノ酸約1050〜アミノ酸約1150、アミノ酸約1200〜アミノ酸約1250、およびアミノ酸約1300〜アミノ酸約1550である。これらのNOV3タンパク質は、種々のヒト障害の機能的分析のためのアッセイ系に用いられ得、これは、疾患の病理学の理解、および種々の障害に対する新規の薬物標的の開発を助ける。
【0124】
(NOV4)
新規のトリプシン様タンパク質をコードする1123のヌクレオチドの、開示されるNOV4核酸(AL031711_da1とも呼ばれる)は、表4Aに示される。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド1〜3のATG開始個ドンで始まり、そしてヌクレオチド1117〜1119のTGAコドンで終わる。終止コドンから下流の推定の非翻訳領域を、表4Aにおいて下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを太字にする。
【0125】
【表4A】
Figure 2004516820
開示されるNOV4核酸配列は、Homo sapiensに由来するα−1−ミクログロブリンmRNAに(95%)(1123塩基のうち1063塩基)同一な塩基を有する(GENBANK−ID:HSHCR|acc:X04225)(E=3.3e−227)。
【0126】
配列番号12によりコードされるNOV4ポリペプチド(配列番号13)は、372アミノ酸残基であり、そして表4Bにおける1文字アミノ酸コードを用いて示される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV4がシグナルペプチドであり、そして0.8200の確実度で細胞外に局在するようであることを予想する。他の実施形態では、NOV4はまた、0.1900の精度でリソソーム(内腔)に局在し得るか、0.1456の確実度で微小体(ペルオキシソーム)に局在し得るか、または0.1000の確実度で小胞体(膜)に局在し得る。NOV4について最も可能性の高い切断部位は、VSA−GPのアミノ酸19と20との間である。
【0127】
【表4B】
Figure 2004516820
開示されるNOV4アミノ酸配列は、|acc:X04225)を有する(図3A)。本発明のタンパク質の完全なアミノ酸配列は、Homo sapiens由来の352アミノ酸残基のAMBP PROTEIN PRECURSORタンパク質(SWISSPROT−ACC:P02760)(E=1.3e−191)に(92%)(372アミノ酸残基のうち343アミノ酸残基)同一、かつこのタンパク質にポジティブなアミノ酸残基を有することが見出された。
【0128】
開示されるNOV4タンパク質を、第16染色体に対してマップし、そして少なくとも以下の組織で発現させた:HEPG2未処理(untreated)(肝細胞癌腫細胞株);胎児肝臓;下垂体;以下のプール:視床下部(Hypothalamus)、胎児肝臓(Fetal Liver)、胎児肺(fetal_lung)。
【0129】
NOV4はまた、表4Cに列挙されるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対して相同性を有する。
【0130】
【表4C】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
これらの配列のホモロジーは、表4Dに示されるClustalW分析に図示される。
【0131】
【表4D】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
表4E〜4Iは、NOV4に対するDOMAIN分析の結果に由来するドメインの記述を列挙する。このことは、NOV4配列が、このドメインを含むことが公知である他のタンパク質の特性に類似する特性を有することを示す。
【0132】
【表4E】
Figure 2004516820
【0133】
【表4F】
Figure 2004516820
【0134】
【表4G】
Figure 2004516820
【0135】
【表4H】
Figure 2004516820
【0136】
【表4I】
Figure 2004516820
NOV4はまた、表4Jに示されるpatpデータベースのメンバーに対して高い相同性を有する。
【0137】
【表4J】
Figure 2004516820
NOV4は、以下の分子に対して様々方法で相同であり、これらの分子の機能は、以下に記載される。増加した好中球エラスターゼと減少した抗プロテアーゼシールド(shield)との間の不均衡は、慢性肺疾患(CLD)の発症に寄与する因子として示唆されている。Stiskal JAらは、α1−プロテイナーゼインヒビター(A1PI)(α−1アンチトリプシンとしても知られている)の早産児に対する投与は、CLDを予防するだろうと仮定した。Design(Stiskal JAら、Pediatrcs 1998年1月1日;101(1):89−94)。この研究において、無作為化され、プラシーボ調節された、A1PI補充の予期研究(a randomized, placebo−controlled, prospective study of A1PI supplementation)を行った。呼吸支持されている出生時体重600〜1000gの24時間齢未満の新生児、および呼吸窮迫症候群(RDS)を有する1001〜1250gの24時間齢未満の新生児が、好適であった。A1PI(60mg/kg)またはプラシーボを、0日目、4日目、7日目、および14日目に静脈内注入した。主な結果は、28日目での補充酸素の要求をとして規定される、生存者におけるCLDであった。結果。総計106の患者が採用された。出生時体重またはRDSの発症率における群の間に有意な差異はなかった。生存者におけるCLDの発症は、処置群においてより低かったが、この差異は、統計学的に有意には達しなかった(相対危険度[RR]、0.79;信頼区間[CI]、0.60〜1.02)。この有益な傾向は、36週の修正した在胎齢(corrected gestational age)で維持された(RR、0.48;CI、0.23〜1.00)。肺出血の発症は、処置した群においてより低かった(RR、0.22;CI、0.05〜0.98)。他の合併症は、群の間で有意な差異ではなかった。このこと(早産児におけるCLDの防止のためのプロテアーゼインヒビターの第1の臨床試験)において、注入は、十分に許容的であった。A1PI治療は、CLDの発症を妨げ得、そしていくつかの早産の新生児における肺出血の発症を減少するようである。
【0138】
血清タンパク質であるα1−プロテイナーゼインヒビター(α1−PI)は、セリンプロテアーゼ(例えば、PMNエラスターゼ)を防御する。ヒトα1−PIに対するウサギ抗血清を用いて、GCFにおけるこのタンパク質は、ドット−ブロット(dot−blot)分析から構築された標準曲線から定量された(Lee HMら、J Periodontal Res 1997年1月;32(1 Pt 1):9−19)。GCFを健常な(H)患者、歯肉炎(G)の患者、および歯周病(periodontitis)(AP)の患者から濾紙のストリップ上に収集し、次いで、Tris/NaCl/CaCl緩衝液(pH7.6)で抽出した。α1−PI濃度は、Gで増加し、そしてAP被験体で最も高かった。H部位のみが、インタクトなα1−PI(52kDa)を示し;分解フラグメント(48kDa)は検出されなかった。GおよびAP被験体において、α1−PI分解フラグメントは、GCFサンプルの、それぞれ、17%および71%に示された。GCFのコラゲナーゼおよびα1−PI−分解活性の両方は、炎症(GFCフロー(flow))の重篤度と共に増加した。さらに、α1−PI分解(またはセルピン分解(serpinolytic))活性は、ドキシサイクリンを含む異なるプロテイナーゼインヒビターのパネルに対するインビトロでの応答に基づいて、マトリクスメタロプロテイナーゼ(恐らく、コラゲナーゼ)として特徴付けされた。Leeらは、以下を提唱している:(1)コラゲナーゼは、コラゲナーゼが分解することによってのみならず、エラスターゼおよび他のセリンプロテイナーゼのα1−PI調節の低下によっても、歯周部の崩壊を促進し、それにより細胞外マトリクス(ECM)成分に対するより広範な攻撃に有利となり、そして(2)α1−PI分析について上記した技術を用いる、最近の縦断的二重盲検試験(recent longitudinal double−blind study)に基づいて、成人性歯周炎を有するヒトに対する低用量のデオキシサイクリン投与は、ECM分解のこの広範なカスケードを阻害し得る。
【0139】
重篤な急性膵炎を有する患者に対して腹腔内に与えられた高用量のアプロチニンは、腹腔内で活性化トリプシンを阻害するようであるが、この処置は、プロテアーゼと抗プロテアーゼとの間の均衡に対してあまり効果がない。(Berling Rら、Int J Pancreatol 1998年8月;24(1):9−17)。白血球プロテアーゼの血漿レベルは、全ての患者において高く、このことは、重篤な急性膵炎の病態生理学の重要な特徴であることを示している。患者が、洗浄手順の後に、すい臓分泌性トリプシンインヒビター(PSTI)のより高い腹腔内レベルを有したということは驚くべき知見である。ほとんどの研究は、プロテアーゼインヒビター治療が、急性膵炎に対してほとんど影響がないかまたは影響がないことを示しているが、Berlingらの初期の研究は、重篤な急性膵炎を有する患者に対して腹腔内で与えられた非常に高用量のプロテアーゼインヒビターアプロチニンが、膵臓壊死に対する外科的処置の必要性を減少させると考えられることを見出した。現在の研究では、彼らは、同じ患者由来の血漿および腹膜サンプルをさらに分析して、アプロチニン処置が、プロテアーゼと内因性抗プロテアーゼとの間の均衡に影響するか否かを確かめている。Berlingらによる、前向き二重盲検の無作為化された多施設治験(prospective double−blind randomized multicenter trial)において、重篤な急性膵炎を有する48の患者を、腹腔内洗浄で処置した。1つの群(アプロチニン群、n=22)をまた、アプロチニンの高用量(2000万KIUが、30時間にわたって与えられた)を用いて腹腔内処理された。残った26の患者を、コントロール群にした。プロテアーゼ−抗プロテアーゼ均衡を、以下を測定することにより研究した:免疫反応性のアニオン性トリプシン(irAT)、カチオン性トリプシン(irCT)、カチオン性トリプシンとα1−プロテアーゼインヒビターとの間の複合体(irCT−α1PT)、白血球エラスターゼおよびプロテイナーゼ4(NP4)、ならびに内因性プロテアーゼインヒビター、膵臓分泌性トリプシンインヒビター(PSTI)、α2−マクログロブリン(α2M)、α1−プロテアーゼインヒビター(α1 PI)、抗キモトリプシン(ACHY)、および分泌性白血球プロテアーゼインヒビター(SLPI)。腹腔内レベルは、洗浄手順の前および後に研究され、そして血漿レベルを、21日間追跡した。コントロール群は、より低い血漿レベルのSLPIを有し、そして腹水の分析は、irCT−α1PIの減少を示して、アプロチニン群をより目立たせた。2つの群の間で有意に異なった、他の測定された変動はなかった。全ての患者は、非常に高レベルの白血球エラスターゼおよびNP4を、腹腔滲出液および血漿の両方の中に有した。PSTIの腹腔内レベルは、他の測定された変動(これらの全ては、洗浄後により低い腹腔内レベルを示した)とは対照的に、洗浄手順の後により高かった。
【0140】
本明細書中に開示されるトリプシンインヒビター様タンパク質および核酸(NOV4)についての、タンパク質類似性情報、発現パターン、およびマップ位置は、このNOV4タンパク質が、トリプシンインヒビターファミリーに特徴的な、重要な構造的および/または生理学的な機能を有し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV4核酸およびタンパク質は、潜在的な診断適用および治療適用において有用である。これらは、特異的または選択的な、核酸またはタンパク質の診断マーカーおよび/または予後判定マーカーとして作用することを含み、ここで、核酸またはタンパク質の存在または量、ならびに以下のような潜在的治療適用が、評価される:(i)タンパク質治療剤、(ii)低分子薬物標的、(iii)抗体標的(治療用抗体、診断用抗体、薬物標的化/細胞傷害性抗体)、(iv)遺伝子治療に有用な核酸(遺伝子送達/遺伝子切除)および、(v)インビトロおよびインビボでの組織再生を促進する組成物。
【0141】
本発明のNOV4核酸およびタンパク質は、以下および/または他の病理学に記載される、種々の疾患および障害に関係している、潜在的診断適用および治療適用において有用である。例えば、本発明の組成物は、慢性肺疾患、歯周炎、膵炎に罹患した患者についての処置に効力を有する。NOV4核酸、またはそのフラグメントは、診断適用(ここで、核酸またはタンパク質の存在または量が、評価される)においてさらに有用であり得る。
【0142】
NOV4核酸およびポリペプチドは、治療方法または診断方法における使用のための本発明の新規の物質に免疫特異的結合する抗体の産生にさらに有用である。これらの抗体は、以下の「抗−NOVX抗体」節に記載される、疎水性チャートからの予測を用いる当該分野で公知の方法に従って産生され得る。例えば、開示されるNOV4タンパク質は、複数の親水性領域を有し、この親水性領域の各々は、免疫原として用いられ得る。1つの実施形態では、企図されるNOV4エピトープは、アミノ酸約20〜アミノ酸約50である。別の実施形態では、NOV4エピトープは、アミノ酸約75〜アミノ酸約170である。さらなる実施形態では、NOV4エピトープは、アミノ酸約180〜アミノ酸約270、およびアミノ酸約320〜アミノ酸約370である。これらの新規のタンパク質は、種々のヒト障害の機能的分析のためのアッセイ系に用いられ得、これは、疾患の病理学の理解、および種々の障害に対する新規の薬物標的の開発を助ける。
【0143】
(NOV5)
NOV5は、以下に記載される、3つの新規のアポリポタンパク質e様タンパク質を含む。開示されるタンパク質は、NOV5a、NOV5b、NOV5c、NOV5d、NOV5e、NOV5f、NOV5g、NOV5h、およびNOV5iと命名された。
【0144】
(NOV5a)
新規のアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする2249ヌクレオチドの、開示されるNOV5a核酸(sggc_draft_dj784a16_20000723_da1ともいわれる)を、表5Aに示す。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド30〜32のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド2217〜2219のTGAコドンで終わることが確認された。開始コドンから上流の推定の非翻訳領域および終止コドンから下流の推定の非翻訳領域を、表5Aにおいて下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを太字にする。
【0145】
【表5A】
Figure 2004516820
NOV5a配列を、登録番号RP4−784A16をエキソン連結プロセスに供することにより同定した。PCRプライマーを、登録番号RP4−784A16に対して、順方向プライマーに利用可能な最も上流の配列、および逆方向プライマーに利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合において、固有かまたは高い選択性かのいずれかである適切な配列に遭遇するまでか、または、逆方向プライマーの場合、終止コドンに到達するまで、配列をコード配列に対するそれぞれの末端から内側に進めて(walking)試験した。次いで、このような適切な配列を、広範囲のcDNA種を含むライブラリーに基づいたPCR増幅における、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして用いた。得られたアンプリコンを、ゲル精製し、クローン化し、そして高度な重複性に対して配列決定して、NOV5a配列を得た。
【0146】
NOV5a核酸は、第1染色体上で同定され、そしてHomo sapiens由来の2549bpのアポリポタンパク質Eレセプター2 mRNA(GENBANK−ID:HSZ75190|acc:Z75190)に対して、2118塩基のうち2099塩基(99%)同一である塩基を有する(E=0.0)。
【0147】
開示されるNOV5aポリペプチド(配列番号15)(配列番号14によりコードされる)は、729のアミノ酸残基であり、そして表5Bにおいて一文字コードを用いて表される。SignalP、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV5aが、シグナルペプチドであり、そして0.6000の確実度で原形質膜に局在するようであることを予想する。他の実施形態では、NOV5aはまた、0.4000の確実度でゴルジ体に局在し得るか、0.3000の確実度で小胞体(膜)に局在し得るか、または0.3000の確実度で微小体(ペルオキシソーム)に局在し得る。NOV5aペプチドについての最も可能性の高い切断部位は、アミノ酸59とアミノ酸60との間(AAA−AA)である。
【0148】
【表5B】
Figure 2004516820
開示されるNOV5aアミノ酸配列は、Homo sapiens(Human)由来の699アミノ酸残基のAPOLIPOPROTEIN E RECEPTOR2 906タンパク質(SPTREMBL−ACC:Q99876)に対して、695アミノ酸残基のうち676アミノ酸残基(97%)同一であり、かつ695アミノ酸残基のうち681アミノ酸残基(98%)類似する、アミノ酸残基を有する(E=0.0)。
【0149】
(NOV5b)
新規のアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする2348ヌクレオチドの開示されるNOV5b核酸(sggc_draft_dj784a16_20000723_da2とも呼ばれる)を表5Cに示す。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド30〜32のATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド2316〜2318のTGAコドンで終わることが確認された。開始コドンの上流の推定非翻訳領域および終止コドンの下流の推定非翻訳領域は、表5Cにおいて下線を付しており、そして開始コドンおよび終止コドンを太字にしている。
【0150】
【表5C】
Figure 2004516820
NOV5b配列を、エキソン連結プロセスを通じて同定した。PCRプライマーを、順方向プライマーに利用可能な最も上流の配列、および逆方向プライマーに利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合において、固有かまたは高い選択性かのいずれかである適切な配列に遭遇するまでか、または、逆方向プライマーの場合、終止コドンに到達するまで、配列をコード配列に対するそれぞれの末端から内側に進めて(walking)試験した。次いで、このような適切な配列を、広範囲のcDNA種を含むライブラリーに基づいたPCR増幅における、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして用いた。得られたアンプリコンを、ゲル精製し、クローン化し、そして高い重複性に対して配列決定して、NOV5b配列を得た。
【0151】
NOV5b核酸は、第1染色体上で同定され、そしてHomo sapiens由来の2549bpのアポリポタンパク質Eレセプター2 mRNA(GENBANK−ID:HSZ75190|acc:Z75190)に対して、1206塩基のうち1151塩基(95%)同一である塩基を有する(E=0.0)。
【0152】
開示されるNOV5bポリペプチド(配列番号17)(配列番号16によりコードされる)は、762のアミノ酸残基であり、そして表5Dにおいて一文字コードを用いて表される。SignalP、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV5bが、シグナルペプチドであり、そして0.6000の確実度で原形質膜に局在するようであることを予想する。他の実施形態では、NOV5bはまた、0.4000の確実度でゴルジ体に局在し得るか、0.3000の確実度で小胞体(膜)に局在し得るか、または0.3000の確実度で微小体(ペルオキシソーム)に局在し得る。NOV5bペプチドについての最も可能性の高い切断部位は、アミノ酸59とアミノ酸60との間(AAA−AA)である。
【0153】
【表5D】
Figure 2004516820
開示されるNOV5bアミノ酸配列は、Homo sapiens(Human)由来の699アミノ酸残基のAPOLIPOPROTEIN E RECEPTOR2 906タンパク質(SPTREMBL−ACC:Q99876)に対して、349アミノ酸残基のうち345アミノ酸残基(98%)同一であり、かつ349アミノ酸残基のうち347アミノ酸残基(99%)類似する、アミノ酸残基を有する(E=0.0)。
【0154】
(NOV5c)
新規のアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする2537ヌクレオチドの開示されるNOV5c核酸(sggc_draft_dj784a16_20000723_da3とも呼ばれる)を表5Eに示す。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド30〜32のATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド2505〜2507のTGAコドンで終わることが確認された。開始コドンの上流の推定非翻訳領域および終止コドンの下流の推定非翻訳領域は、表5Eにおいて下線を付しており、そして開始コドンおよび終止コドンを太字にしている。
【0155】
【表5E】
Figure 2004516820
NOV5c配列を、エキソン連結プロセスを通じて同定した。PCRプライマーを、順方向プライマーに利用可能な最も上流の配列、および逆方向プライマーに利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合において、固有かまたは高い選択性かのいずれかである適切な配列に遭遇するまでか、または、逆方向プライマーの場合、終止コドンに到達するまで、配列をコード配列に対するそれぞれの末端から内側に進めて(walking)試験した。次いで、このような適切な配列を、広範囲のcDNA種を含むライブラリーに基づいたPCR増幅における、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして用いた。得られたアンプリコンを、ゲル精製し、クローン化し、そして高い重複性に対して配列決定して、NOV5c配列を得た。
【0156】
NOV5c核酸は、第1染色体上で同定され、そしてHomo sapiens由来の4468bpのアポリポタンパク質Eレセプター2 mRNA(GENBANK−ID:D50678|acc:D50678(E=1.1e−127))に対して、1922塩基のうち1626塩基(84%)同一である塩基を有する。
【0157】
開示されるNOV5bポリペプチド(配列番号19)(配列番号18によりコードされる)は、825のアミノ酸残基であり、そして表5Fにおいて一文字コードを用いて表される。SignalP、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV5cが、シグナルペプチドであり、そして0.6000の確実度で原形質膜に局在するようであることを予想する。他の実施形態では、NOV5cはまた、0.4000の確実度でゴルジ体に局在し得るか、0.3000の確実度で小胞体(膜)に局在し得るか、または0.3000の確実度で微小体(ペルオキシソーム)に局在し得る。NOV5cペプチドについての最も可能性の高い切断部位は、アミノ酸44とアミノ酸45との間(AAA−DP)である。
【0158】
【表5F】
Figure 2004516820
開示されるNOV5cアミノ酸配列は、Homo sapiens由来の793アミノ酸残基のAPOER2DELTA4−7タンパク質(SPTREMBL−ACC:O14968)に対して、659アミノ酸残基のうち586アミノ酸残基(88%)同一であり、かつ659アミノ酸残基のうち601アミノ酸残基(91%)類似する、アミノ酸残基を有する(E=0.0)。
【0159】
(NOV5d)
開示されるNOV5d核酸を、NOV5cをエキソン連結プロセスに供することにより単離して、この配列を確認した。PCRプライマーを、順方向プライマーに利用可能な最も上流の配列、および逆方向プライマーに利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合において、固有かまたは高い選択性かのいずれかである適切な配列に遭遇するまでか、または、逆方向プライマーの場合、終止コドンに到達するまで、配列をコード配列に対するそれぞれの末端から内側に進めて(walking)試験した。このようなプライマーを、全長cDNA、DNAの部分(1つ以上のエキソン)、もしくは標的配列のタンパク質配列についてのインシリコ予測に基づいて、または他の種由来の配列に密接に関連したヒト配列に対して予測されたエキソンの翻訳された相同性によって設計した。次いでこれらのプライマーをヒトcDNAの以下のプールに基づいてPCR増幅中で使用した:副腎、骨髄、脳−扁桃体、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ(Raji)、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮。通常、得られたアンプリコンをゲル精製し、クローニングし、そして高い重複性に対して配列決定した。全てのクローンから得た配列を、それ自体と、CuraGen Corporationのデータベースにおける他のフラグメントと、および公的なESTと、アセンブルした。フラグメントおよびESTが、アセンブリについての成分として含まれるのは、このアセンブリの別の成分とのそれらの同一性の程度が50bpにわたって少なくとも95%であったときである。さらに、配列トレースを手動で評価し、そして適切な場合、補正のために編集した。新規のアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする3039ヌクレオチドの新規のNOV5d配列(CG55256−02ともいわれる)は、表5Gに示される。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド3037〜3039のTGAコドンで終わることが確認された。開始コドンおよび終止コドンは、表5Gにおける太字である。
【0160】
【表5G】
Figure 2004516820
NOV5d配列を、エキソン連結プロセスを通じて同定した。PCRプライマーを、順方向プライマーに利用可能な最も上流の配列および逆方向プライマーに利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合において、固有かまたは高い選択性かのいずれかである適切な配列に遭遇するまでか、または、逆方向プライマーの場合、終止コドンに到達するまで、配列をコード配列に対するそれぞれの末端から内側に進めて(walking)試験した。次いで、このような適切な配列を、広範囲のcDNA種を含むライブラリーに基づいたPCR増幅における、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして用いた。得られたアンプリコンを、ゲル精製し、クローン化し、そして高い重複性に対して配列決定して、NOV5d配列を得た。
【0161】
NOV5d核酸は、ヒト第1染色体のp34領域で同定され、そしてHomo sapiens由来のgb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1 mRNA(アポリポタンパク質Eレセプター2についてのヒトmRNA、完全cds)に対して、2995塩基のうち2508塩基(83%)同一である塩基を有する(E=0.0)。
【0162】
開示されるNOV5dポリペプチド(配列番号21)(配列番号20によりコードされる)は、1012のアミノ酸残基であり、そして表5Hにおいて一文字コードを用いて表される。SignalP、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV5dが、シグナルペプチドであり、そして0.6760の確実度で原形質膜に局在するようであることを予想する。他の実施形態では、NOV5dはまた、0.1000の確実度で小胞体(膜)に局在し得るか、または0.1000の確実度で微小体(ペルオキシソーム)に局在し得るか、または0.1000の確実度で細胞外に局在し得る。NOV5dペプチドについての最も可能性の高い切断部位は、アミノ酸32とアミノ酸33との間(AAA−AA)である。
【0163】
【表5H】
Figure 2004516820
開示されるNOV5dアミノ酸配列は、Homo sapiens(Human)由来の963アミノ酸残基のptnr:SPTREMBL−ACC:Q14114タンパク質(APOLIPOPROTEIN E RECEPTOR 2 PRECURSOR)に対して、931アミノ酸残基のうち742アミノ酸残基(79%)同一であり、かつ931アミノ酸残基のうち777アミノ酸残基(83%)類似する、アミノ酸残基を有する(E=0.0)。
【0164】
NOV5dは、少なくとも以下の組織において発現される:副腎、骨髄、脳−扁桃体、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ(Raji)、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮。この情報は、SeqCalling情報源、Public(公的)EST情報源、Literature(文献)情報源、および/またはRACE情報源を含むがこれに限定されない、本発明に含まれる配列の組織情報源を決定することによって導かれた。
【0165】
さらに、この配列は、(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1)(アポリポタンパク質Eレセプター2、Homo sapiens種における完全cdsホモログに密接に関係のあるヒトmRNA)の発現パターンに起因して、脳の組織において発現されると予想される。
【0166】
(NOV5e)
開示されたNOV5e核酸は、配列確認のためのエキソン連結プロセス(exon linking process)にNOV5cを供することによって単離された。PCRプライマーを、順方向プライマーについては、利用可能な最も上流の配列で開始し、そして逆方向プライマーについては、利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合で、適切な配列(固有または高度に選択性のいずれかである)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には、終止コドンに到達するまで、それぞれの末端からコード配列に向かって内向きにウォーキングさせて、この配列を試験した。このようなプライマーを、全長cDNA、DNAの部分(1つ以上のエキソン)、もしくは標的配列のタンパク質配列についてのインシリコ予測に基づいて、または他種由来の密接に関連したヒト配列に対して予測されたエキソンの翻訳された相同性によって設計した。次いでこれらのプライマーを、ヒトcDNAの以下のプールに基づくPCR増幅において使用した:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮。通常、得られたアンプリコンをゲル精製し、クローニングし、そして高い冗長性に対して配列決定した。全てのクローンから得られた配列を、それ自体と、CuraGen Corporationのデータベースにおける他のフラグメントと、そして公的なESTとアセンブルした。フラグメントおよびESTが、アセンブリについての成分として含まれるのは、このアセンブリの別の成分とのそれらの同一性の程度が50bpにわたって少なくとも95%であった場合である。さらに、配列トレースを手動で評価し、そして必要に応じて、補正のために編集した。新規なアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする2537ヌクレオチドの新規なNOV5e配列(CG55256−03ともいう)を、表5Iに示す。ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド2086〜2088のTGAコドンで終結するオープンリーディングフレームが同定された。表5Iでは、終止コドンより下流の推定非翻訳領域に下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを、太字とする。
【0167】
【表5I】
Figure 2004516820
NOV5e配列は、エキソン連結プロセスを通して同定された。PCRプライマーを、順方向プライマーについては、利用可能な最も上流の配列で開始し、そして逆方向プライマーについては、利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合で、適切な配列(固有または高度に選択性のいずれかである)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には、終止コドンに到達するまで、それぞれの末端からコード配列に向かって内向きにウォーキングさせて、この配列を試験した。次いで、このような適切な配列を、広範なcDNA種を含むライブラリーに基づくPCR増幅において、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして使用した。得られたアンプリコンをゲル精製し、クローニングし、そして高い冗長性に対して配列決定して、NOV5e配列を提供した。
【0168】
NOV5e核酸は、ヒト第1染色体のp34領域に同定され、そしてHomo sapiens由来のgb:GENBANK−ID:HSZ75190|acc:Z75190.1 mRNA(アポリポタンパク質Eレセプター2についてのH.sapiens mRNA)と同一な、1359塩基のうちの1359塩基(100%)を有する。
【0169】
配列番号22によってコードされる開示されたNOV5eポリペプチド(配列番号23)は、695アミノ酸残基であり、そして表5Jにおいて、一文字コードを用いて表される。SignalP、Psort、および/またはHydropathyの結果によって、NOV5eが、シグナルペプチドを有し、そして0.6760の確実性で形質膜に局在化される可能性があることが予測されている。他の実施形態では、NOV5eはまた、0.1000の確実性で小胞体(膜)に局在化し得るか、0.1000の確実性で小胞体(内腔)に局在化し得るか、または0.1000の確実性で細胞外であり得る。NOV5eペプチドについて最も可能性が高い切断部位は、アミノ酸32と33との間(AAA−AA)である。
【0170】
【表5J】
Figure 2004516820
開示されたNOV5eアミノ酸配列は、Homo sapiens(ヒト)由来の699アミノ酸残基のptnr:SPTREMBL−ACC:Q99876タンパク質(アポリポタンパク質Eレセプター2 906)と同一である、699アミノ酸残基のうちの683アミノ酸残基(97%)、および類似である、699アミノ酸残基のうちの685アミノ酸残基(97%)を有する(E=0.0)。
【0171】
NOV5eは、少なくとも以下の組織において発現される:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮。この情報は、本発明に含まれた配列の組織供給源(SeqCalling供給源、公的なEST供給源、および/またはRACE供給源を含むが、これらに限定されない)を決定することによって導き出された。
【0172】
さらに、この配列は、Homo sapiens種におけるアポリポタンパク質Eレセプター2ホモログについての密接に関連したH.sapiens mRNA(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:HSZ75190|acc:Z75190.1)の発現パターンに基づき、以下の組織で発現されることが予測される:臍静脈内皮細胞。
【0173】
NOV5eにおける同定可能なドメインの存在は、アルゴリズム(例えば、PROSITE、Blocks、Pfam、ProDomain、Prints)を用いる検索によって、続いて、Interproウェブサイト(http:www.ebi.ac.uk/interpro/)を用いてドメインのマッチ(または数)をクロス(crossing)することによりInterpro数を決定することによって、決定された。この結果によって、このタンパク質は、以下に示される位置に以下のタンパク質ドメインを含む(Interproにより規定される場合)ことが示される:アミノ酸45〜83位、84〜165位、168〜206位に低密度リポタンパク質レセプタードメイン;アミノ酸333〜378位、380〜416位、418〜460位、462〜546位に低密度レセプター反復;アミノ酸86〜122位、170〜204位、211〜245位、251〜285位、556〜600位、739〜785位にEGF様ドメイン;およびアミノ酸195〜251位にトリプシンインヒビター様システインリッチドメイン。これにより、本発明の配列は、この/これらのドメインを含むことが公知の他のタンパク質の特性と類似した特性、およびこれらのドメインの特性と類似した特性を有することが示される。
【0174】
(NOV5f)
開示されたNOV5f核酸は、配列確認のためのエキソン連結プロセスにNOV5cを供することによって単離された。PCRプライマーを、順方向プライマーについては、利用可能な最も上流の配列で開始し、そして逆方向プライマーについては、利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合で、適切な配列(固有または高度に選択性のいずれかである)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には、終止コドンに到達するまで、それぞれの末端からコード配列に向かって内向きにウォーキングさせて、この配列を試験した。このようなプライマーを、全長cDNA、DNAの部分(1つ以上のエキソン)、もしくは標的配列のタンパク質配列についてのインシリコ予測に基づいて、または他種由来の密接に関連したヒト配列に対して予測されたエキソンの翻訳された相同性によって設計した。次いでこれらのプライマーを、ヒトcDNAの以下のプールに基づくPCR増幅において使用した:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮。通常、得られたアンプリコンをゲル精製し、クローニングし、そして高い冗長性に対して配列決定した。全てのクローンから得られた配列を、それ自体と、CuraGen Corporationのデータベースにおける他のフラグメントと、そして公的なESTとアセンブルした。フラグメントおよびESTが、アセンブリについての成分として含まれるのは、このアセンブリの別の成分とのそれらの同一性の程度が50bpにわたって少なくとも95%であった場合である。さらに、配列トレースを手動で評価し、そして必要に応じて、補正のために編集した。新規なアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする2474ヌクレオチドの新規なNOV5f配列(CG55256−04ともいう)を、表5Kに示す。ヌクレオチド30〜32のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド2442〜2444のTGAコドンで終結するオープンリーディングフレームが同定された。表5Kでは、開始コドンより上流の推定非翻訳領域および終止コドンより下流の推定非翻訳領域に下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを、太字とする。
【0175】
【表5K】
Figure 2004516820
NOV5f配列は、エキソン連結プロセスを通して同定された。PCRプライマーを、順方向プライマーについては、利用可能な最も上流の配列で開始し、そして逆方向プライマーについては、利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合で、適切な配列(固有または高度に選択性のいずれかである)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には、終止コドンに到達するまで、それぞれの末端からコード配列に向かって内向きにウォーキングさせて、この配列を試験した。次いで、このような適切な配列を、広範なcDNA種を含むライブラリーに基づくPCR増幅において、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして使用した。得られたアンプリコンをゲル精製し、クローニングし、そして高い冗長性に対して配列決定して、NOV5f配列を提供した。
【0176】
NOV5f核酸は、ヒト第1染色体のp34領域に同定され、そしてHomo sapiens由来のgb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1 mRNA(アポリポタンパク質Eレセプター2についてのヒトmRNA、完全cds)と同一な、2341塩基のうちの2047塩基(87%)を有する(E=0.0)。
【0177】
配列番号24によってコードされる開示されたNOV5fポリペプチド(配列番号25)は、804アミノ酸残基であり、そして表5Lにおいて、一文字コードを用いて表される。SignalP、Psort、および/またはHydropathyの結果によって、NOV5fが、シグナルペプチドを有し、そして0.6000の確実性で形質膜に局在化される可能性があることが予測されている。他の実施形態では、NOV5fはまた、0.4000の確実性でゴルジ体に局在化し得るか、0.3000の確実性で小胞体(膜)に局在化し得るか、または0.3000の確実性でマイクロボディ(ペルオキシソーム)に局在化し得る。NOV5fペプチドについて最も可能性が高い切断部位は、アミノ酸44と45との間(AAA−DP)である。
【0178】
【表5L】
Figure 2004516820
開示されたNOV5fアミノ酸配列は、Homo sapiens(ヒト)由来の793アミノ酸残基のptnr:SPTREMBL−ACC:O14968タンパク質(APOER2DELTA4−7)と同一である、789アミノ酸残基のうちの716アミノ酸残基(90%)、および類似である、789アミノ酸残基のうちの731ミノ酸残基(92%)を有する(E=0.0)。
【0179】
NOV5fは、少なくとも以下の組織において発現される:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮。この情報は、本発明に含まれた配列の組織供給源(SeqCalling供給源、公的なEST供給源、文献(Literature)情報源および/またはRACE供給源を含むが、これらに限定されない)を決定することによって導き出された。
【0180】
さらに、この配列は、Homo sapiens種におけるアポリポタンパク質Eレセプター2、完全cdsホモログについての密接に関連したヒトmRNA(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1)の発現パターンに基づき、以下の組織で発現されることが予測される:脳。
【0181】
NOV5fにおける同定可能なドメインの存在は、アルゴリズム(例えば、PROSITE、Blocks、Pfam、ProDomain、Prints)を用いる検索によって、続いて、Interproウェブサイト(http:www.ebi.ac.uk/interpro/)を用いてドメインのマッチ(または数)をクロス(crossing)することによりInterpro数を決定することによって、決定された。この結果によって、このタンパク質は、以下に示される位置に以下のタンパク質ドメインを含む(Interproにより規定される場合)ことが示される:アミノ酸55〜93位、96〜177位、180〜218位に、ドメイン名称低密度リポタンパク質レセプタードメイン;アミノ酸303〜348位、350〜391位、393〜435位、437〜521位に低密度レセプター反復ドメイン;アミノ酸182〜216位、223〜257位、531〜575位にEGF様ドメイン;およびアミノ酸650〜683位に融合糖タンパク質FOドメイン。これにより、本発明の配列は、この/これらのドメインを含むことが公知の他のタンパク質の特性と類似した特性、およびこれらのドメインの特性と類似した特性を有することが示される。
【0182】
(NOV5g)
開示されたNOV5g核酸は、NOV5gの配列が、研究室でのcDNAフラグメントのクローニングによって、その配列のインシリコ予測によって導き出されたことによって単離された。DNA配列の全長、もしくはその配列の部分、またはその両方のいずれかを網羅するcDNAフラグメントをクローニングした。インシリコ予測は、CuraGenの独自の配列データベースまたは公的なヒト配列データベースにおいて利用可能な配列に基づき、そして全長DNA配列またはそのいくつかの部分のいずれかを提供した。新規なアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする4150ヌクレオチドの新規なNOV5g配列(CG55256−05ともいう)を、表5Mに示す。ヌクレオチド103〜105のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド2674〜2676のTGAコドンで終結するオープンリーディングフレームが同定された。表5Mでは、開始コドンよりも上流の推定非翻訳領域および終止コドンより下流の推定非翻訳領域に下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを、太字とする。
【0183】
【表5M】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
NOV5g配列は、エキソン連結プロセスを通して同定された。PCRプライマーを、順方向プライマーについては、利用可能な最も上流の配列で開始し、そして逆方向プライマーについては、利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合で、適切な配列(固有または高度に選択性のいずれかである)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には、終止コドンに到達するまで、それぞれの末端からコード配列に向かって内向きにウォーキングさせて、この配列を試験した。次いで、このような適切な配列を、広範なcDNA種を含むライブラリーに基づくPCR増幅において、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして使用した。得られたアンプリコンをゲル精製し、クローニングし、そして高い冗長性に対して配列決定して、NOV5g配列を提供した。
【0184】
NOV5g核酸は、ヒト第1染色体のp34領域に同定され、そしてHomo sapiens由来のgb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1 mRNA(アポリポタンパク質Eレセプター2、完全cdsについてのヒトmRNA)と同一な、3361塩基のうちの3358塩基(99%)を有する(E=0.0)。
【0185】
配列番号26によってコードされる開示されたNOV5gポリペプチド(配列番号27)は、857アミノ酸残基であり、そして表5Nにおいて、一文字コードを用いて表される。SignalP、Psort、および/またはHydropathyの結果によって、NOV5gが、シグナルペプチドを有し、そして0.6760の確実性で形質膜に局在化される可能性があることが予測されている。他の実施形態では、NOV5gはまた、0.1000の確実性で小胞体(膜)に局在化し得るか、0.1000の確実性で小胞体(内腔)に局在化し得るか、または0.1000の確実性で細胞外であり得る。NOV5gペプチドについて最も可能性が高い切断部位は、アミノ酸32と33との間(AAA−DP)である。
【0186】
【表5N】
Figure 2004516820
開示されたNOV5gアミノ酸配列は、Homo sapiens(ヒト)由来の963アミノ酸残基のptnr:SPTREMBL−ACC:Q14114タンパク質(アポリポタンパク質Eレセプター2前駆体)と同一である、816アミノ酸残基のうちの684アミノ酸残基(83%)、および類似である、816アミノ酸残基のうちの703アミノ酸残基(86%)を有する(E=0.0)。
【0187】
NOV5gは、少なくとも以下の組織において発現される:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮、大脳髄質/大脳白質、結腸、肺、リンパ組織、頭頂葉、扁桃、全生物体。発現情報は、NOV5gの配列の誘導体に含まれた配列の組織供給源から導き出された。
【0188】
NOV5gにおける同定可能なドメインの存在は、Pfam、PROSITE、ProDom、Blocks、またはPrintsのようなドメインデータベースに対する検索によって決定され、次いで、Interproドメイン登録番号によって同定された。重要なドメインを、以下にまとめる。
【0189】
IPR000033、YWTD反復は、アミノ酸356〜アミノ酸401、アミノ酸403〜アミノ酸444、アミノ酸446〜アミノ酸488、アミノ酸490〜アミノ酸533、アミノ酸534〜アミノ酸574である。このドメインはまた、この反復の最も保存された領域の後ろにあるYWTDモチーフとしても公知である。YWTD反復は、複数の縦列反復配列において見出され、そしてβプロペラ構造を形成することが予期された。これは、Drosophila由来のビテロゲニンレセプター、低密度リポタンパク質(LDL)レセプター、プレプロ上皮増殖因子(preproepidermal growth factor)、ニドジェン(エンタクチン)などを含む種々のタンパク質において見出される。
【0190】
IPR002172、低密度リポタンパク質(LDL)レセプタークラスA(LDLRA)ドメインは、アミノ酸45〜アミノ酸83、アミノ酸84〜アミノ酸124、アミノ酸125〜アミノ酸163、アミノ酸165〜アミノ酸207である。低密度リポタンパク質(LDL)は、血漿の主要なコレステロール運搬リポタンパク質である。レセプタータンパク質はLDLに結合し、そしてエンドサイトーシスによってLDLを細胞中に輸送する。内部移行されるために、レセプター−リガンド複合体は、まず、クラスリンで覆われた穴(pit)にクラスター形成されなければならない。約40アミノ酸の7個連続したシステインリッチ反復が、この多重ドメイン膜タンパク質のN末端に存在する。LDLレセプタークラスAドメインは、6個のジスルフィド結合システインおよび高度に保存された負荷電アミノ酸のクラスターを含み、これらのうちの多くは、モジュールの一つの面にクラスター形成される。LDLレセプターにおいて、クラスAドメインは、LDLおよびカルシウムについての結合部位を形成する。第4番目のシステインと第6番目のシステインとの間の酸性残基が、LDLRのリガンドにおける正荷電配列の高親和性結合のために重要である。この反復は、βヘアピン構造と、それに続く一連のβターンとから構成されることが示された。カルシウムの結合は、何ら重要なコンフォメーション変化を誘導しないようである。これらの反復に続くのは、上皮増殖因子(EGF)前駆体の部分に類似する350残基のドメインである。類似のドメインは、いくつかの細胞外タンパク質および膜タンパク質において見出された。
【0191】
IPR000561、EGF様ドメインは、アミノ酸234〜アミノ酸268、アミノ酸274〜アミノ酸308である。上皮増殖因子(EGF)の配列において見出される約30〜40アミノ酸残基長の配列は、多少保存された形態において、多数の他の(主に動物の)タンパク質において存在することが示された。EGF様パターンの1以上のコピーを含むことが現在知られているタンパク質のリストは、大規模かつ多様である。関連のないタンパク質であると思われるタンパク質におけるEGFドメインの機能的重要性は、未だ明らかではない。しかし、共通の特徴は、これらの反復が、膜結合タンパク質の細胞外ドメインまたは分泌されることが公知のタンパク質において見出されるという点である(例外:プロスタグランジンG/Hシンターゼ)。EGFドメインは、ジスルフィド結合に関与することが示されている(EGFにおいて)6個のシステイン残基を含む。この主要な構造は、二本鎖のβシートと、それに続く、C末端の短い二本鎖シートへのループである。保存されたシステインの間のサブドメインは、長さにおいて変動する。
【0192】
(NOV5h)
開示されたNOV5h核酸は、NOV5hの配列が、研究室でのcDNAフラグメントのクローニングによって、その配列のインシリコ予測によって導き出されたことによって単離された。DNA配列の全長、もしくはその配列の部分、またはその両方のいずれかを網羅するcDNAフラグメントをクローニングした。インシリコ予測は、CuraGenの独自の配列データベースまたは公的なヒト配列データベースにおいて利用可能な配列に基づき、そして全長DNA配列またはそのいくつかの部分のいずれかを提供した。新規なアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする4180ヌクレオチドの新規なNOV5h配列(CG55256−06ともいう)を、表5Oに示す。ヌクレオチド163〜165のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド2704〜2706のTGAコドンで終結するオープンリーディングフレームが同定された。表5Oでは、開始コドンよりも上流の推定非翻訳領域および終止コドンより下流の推定非翻訳領域に下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを、太字とする。
【0193】
【表5O】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
NOV5h配列は、エキソン連結プロセスを通して同定された。PCRプライマーを、順方向プライマーについては、利用可能な最も上流の配列で開始し、そして逆方向プライマーについては、利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合で、適切な配列(固有または高度に選択性のいずれかである)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には、終止コドンに到達するまで、それぞれの末端からコード配列に向かって内向きにウォーキングさせて、この配列を試験した。次いで、このような適切な配列を、広範なcDNA種を含むライブラリーに基づくPCR増幅において、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして使用した。得られたアンプリコンをゲル精製し、クローニングし、そして高い冗長性に対して配列決定して、NOV5h配列を提供した。
【0194】
NOV5h核酸は、ヒト第1染色体のp34領域に同定され、そしてHomo sapiens由来のgb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1 mRNA(アポリポタンパク質Eレセプター2、完全cdsについてのヒトmRNA)と同一な、3851塩基のうちの3634塩基(94%)を有する(E=0.0)。
【0195】
配列番号28によってコードされる開示されたNOV5hポリペプチド(配列番号29)は、847アミノ酸残基であり、そして表5Pにおいて、一文字コードを用いて表される。SignalP、Psort、および/またはHydropathyの結果によって、NOV5hが、シグナルペプチドを有し、そして0.6760の確実性で形質膜に局在化される可能性があることが予測されている。他の実施形態では、NOV5hはまた、0.1000の確実性で小胞体(膜)に局在化し得るか、0.1000の確実性で小胞体(内腔)に局在化し得るか、または0.1000の確実性で細胞外であり得る。NOV5hペプチドについて最も可能性が高い切断部位は、アミノ酸32と33との間(AAA−AA)である。
【0196】
【表5P】
Figure 2004516820
開示されたNOV5hアミノ酸配列は、Homo sapiens(ヒト)由来の963アミノ酸残基のptnr:SPTREMBL−ACC:Q14114タンパク質(アポリポタンパク質Eレセプター2前駆体)と同一である、806アミノ酸残基のうちの719アミノ酸残基(89%)、および類似である、806アミノ酸残基のうちの735アミノ酸残基(91%)を有する(E=0.0)。
【0197】
NOV5hは、少なくとも以下の組織において発現される:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮、大脳髄質/大脳白質、結腸、肺、リンパ組織、頭頂葉、扁桃、全生物体。発現情報は、NOV5hの配列の誘導体に含まれた配列の組織供給源から導き出された。
【0198】
この配列は、Homo sapiens種におけるアポリポタンパク質Eレセプター2、完全cdsホモログについての密接に関連したヒトmRNA(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1)の発現パターンに基づき、胎盤において発現されることが予測される。
【0199】
NOV5hにおける同定可能なドメインの存在は、Pfam、PROSITE、ProDom、Blocks、またはPrintsのようなドメインデータベースに対する検索によって決定され、次いで、Interproドメイン登録番号によって同定された。重要なドメインを、以下にまとめる。
【0200】
IPR002172、低密度リポタンパク質(LDL)レセプタークラスA(LDLRA)ドメインは、アミノ酸45〜アミノ酸83、アミノ酸84〜アミノ酸124、アミノ酸125〜アミノ酸165、アミノ酸168〜アミノ酸206である。低密度リポタンパク質(LDL)は、血漿の主要なコレステロール運搬リポタンパク質である。レセプタータンパク質はLDLに結合し、そしてエンドサイトーシスによってLDLを細胞中に輸送する。内部移行されるために、レセプター−リガンド複合体は、まず、クラスリンで覆われた穴にクラスター形成されなければならない。約40アミノ酸の7個連続したシステインリッチ反復が、この多重ドメイン膜タンパク質のN末端に存在する。LDLレセプタークラスAドメインは、6個のジスルフィド結合システインおよび高度に保存された負荷電アミノ酸のクラスターを含み、これらのうちの多くは、モジュールの一つの面にクラスター形成される。LDLレセプターにおいて、クラスAドメインは、LDLおよびカルシウムについての結合部位を形成する。第4番目のシステインと第6番目のシステインとの間の酸性残基が、LDLRのリガンドにおける正荷電配列の高親和性結合のために重要である。この反復は、βヘアピン構造と、それに続く一連のβターンとから構成されることが示された。カルシウムの結合は、何ら重要なコンフォメーション変化を誘導しないようである。これらの反復に続くのは、上皮増殖因子(EGF)前駆体の部分に類似する350残基のドメインである。類似のドメインは、いくつかの細胞外タンパク質および膜タンパク質において見出された。
【0201】
IPR000033、YWTD反復は、アミノ酸346〜アミノ酸391、アミノ酸393〜アミノ酸434、アミノ酸436〜アミノ酸478、アミノ酸480〜アミノ酸523、アミノ酸524〜アミノ酸564である。このドメインはまた、この反復の最も保存された領域の後ろにあるYWTDモチーフとしても公知である。YWTD反復は、複数の縦列反復配列において見出され、そしてβプロペラ構造を形成することが予期された。これは、Drosophila由来のビテロゲニンレセプター、低密度リポタンパク質(LDL)レセプター、プレプロ上皮増殖因子、ニドジェン(エンタクチン)などを含む種々のタンパク質において見出される。
【0202】
IPR000561、EGF様ドメインは、アミノ酸224〜アミノ酸258、アミノ酸264〜アミノ酸298、アミノ酸574〜アミノ酸618である。上皮増殖因子(EGF)の配列において見出される約30〜40アミノ酸残基長の配列は、多少保存された形態において、多数の他の(主に動物の)タンパク質において存在することが示された。EGF様パターンの1以上のコピーを含むことが現在知られているタンパク質のリストは、大規模かつ多様である。関連のないタンパク質であると思われるタンパク質におけるEGFドメインの機能的重要性は、未だ明らかではない。しかし、共通の特徴は、これらの反復が、膜結合タンパク質の細胞外ドメインまたは分泌されることが公知のタンパク質において見出されるという点である(例外:プロスタグランジンG/Hシンターゼ)。EGFドメインは、ジスルフィド結合に関与することが示されている(EGFにおいて)6個のシステイン残基を含む。この主要な構造は、二本鎖のβシートと、それに続く、C末端の短い二本鎖シートへのループである。保存されたシステインの間のサブドメインは、長さにおいて変動する。
【0203】
これにより、本発明の配列は、この/これらのドメインを含むことが公知の他のタンパク質の特性と類似した特性、およびこれらのドメインの特性と類似した特性を有することが示される。
【0204】
(NOV5i)
開示されたNOV5i核酸は、NOV5iの配列が、研究室でのcDNAフラグメントのクローニングによって、その配列のインシリコ予測によって導き出されたことによって単離された。DNA配列の全長、もしくはその配列の部分、またはその両方のいずれかを網羅するcDNAフラグメントをクローニングした。インシリコ予測は、CuraGenの独自の配列データベースまたは公的なヒト配列データベースにおいて利用可能な配列に基づき、そして全長DNA配列またはそのいくつかの部分のいずれかを提供した。新規なアポリポタンパク質e様タンパク質をコードする4294ヌクレオチドの新規なNOV5i配列(CG55256−07ともいう)を、表5Qに示す。ヌクレオチド103〜105のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド2818〜2820のTGAコドンで終結するオープンリーディングフレームが同定された。表5Qでは、開始コドンよりも上流の推定非翻訳領域および終止コドンより下流の推定非翻訳領域に下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを、太字とする。
【0205】
【表5Q】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
NOV5i配列は、エキソン連結プロセスを通して同定された。PCRプライマーを、順方向プライマーについては、利用可能な最も上流の配列で開始し、そして逆方向プライマーについては、利用可能な最も下流の配列で開始させることによって設計した。各々の場合で、適切な配列(固有または高度に選択性のいずれかである)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には、終止コドンに到達するまで、それぞれの末端からコード配列に向かって内向きにウォーキングさせて、この配列を試験した。次いで、このような適切な配列を、広範なcDNA種を含むライブラリーに基づくPCR増幅において、順方向プライマーおよび逆方向プライマーとして使用した。得られたアンプリコンをゲル精製し、クローニングし、そして高い冗長性に対して配列決定して、NOV5i配列を提供した。
【0206】
NOV5i核酸は、ヒト第1染色体のp34領域に同定され、そしてHomo sapiens由来のgb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1 mRNA(アポリポタンパク質Eレセプター2、完全cdsについてのヒトmRNA)と同一な、3389塩基のうちの3375塩基(99%)を有する(E=0.0)。
【0207】
配列番号30によってコードされる開示されたNOV5iポリペプチド(配列番号31)は、905アミノ酸残基であり、そして表5Rにおいて、一文字コードを用いて表される。SignalP、Psort、および/またはHydropathyの結果によって、NOV5iが、シグナルペプチドを有し、そして0.6760の確実性で形質膜に局在化される可能性があることが予測されている。他の実施形態では、NOV5iはまた、0.1000の確実性で小胞体(膜)に局在化し得るか、0.1000の確実性で小胞体(内腔)に局在化し得るか、または0.1000の確実性で細胞外であり得る。NOV5iペプチドについて最も可能性が高い切断部位は、アミノ酸32と33との間(AAA−AA)である。
【0208】
【表5R】
Figure 2004516820
開示されたNOV5iアミノ酸配列は、Homo sapiens(ヒト)由来の963アミノ酸残基のptnr:SPTREMBL−ACC:Q14114タンパク質(アポリポタンパク質Eレセプター2前駆体)と同一である、627アミノ酸残基のうちの625アミノ酸残基(99%)、および類似である、627アミノ酸残基のうちの626アミノ酸残基(99%)を有する(E=0.0)。
【0209】
NOV5iは、少なくとも以下の組織において発現される:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児脳、胎児腎臓、胎児肝臓、胎児肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮、大脳髄質/大脳白質、結腸、肺、リンパ組織、頭頂葉、扁桃、全生物体。発現情報は、NOV5iの配列の誘導体に含まれた配列の組織供給源から導き出された。
【0210】
この配列は、Homo sapiens種におけるアポリポタンパク質Eレセプター2、完全cdsホモログについての密接に関連したヒトmRNA(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:D50678|acc:D50678.1)の発現パターンに基づき、胎盤において発現されることが予測される。
【0211】
NOV5iにおける同定可能なドメインの存在は、Pfam、PROSITE、ProDom、Blocks、またはPrintsのようなドメインデータベースに対する検索によって決定され、次いで、Interproドメイン登録番号によって同定された。重要なドメインを、以下にまとめる。
【0212】
IPR002172、低密度リポタンパク質(LDL)レセプタークラスA(LDLRA)ドメインは、アミノ酸45〜アミノ酸83、アミノ酸84〜アミノ酸124、アミノ酸125〜アミノ酸163、アミノ酸165〜アミノ酸207である。低密度リポタンパク質(LDL)は、血漿の主要なコレステロール運搬リポタンパク質である。レセプタータンパク質はLDLに結合し、そしてエンドサイトーシスによってLDLを細胞中に輸送する。内部移行されるために、レセプター−リガンド複合体は、まず、クラスリンで覆われた穴にクラスター形成されなければならない。約40アミノ酸の7個連続したシステインリッチ反復が、この多重ドメイン膜タンパク質のN末端に存在する。LDLレセプタークラスAドメインは、6個のジスルフィド結合システインおよび高度に保存された負荷電アミノ酸のクラスターを含み、これらのうちの多くは、モジュールの一つの面にクラスター形成される。LDLレセプターにおいて、クラスAドメインは、LDLおよびカルシウムについての結合部位を形成する。第4番目のシステインと第6番目のシステインとの間の酸性残基が、LDLRのリガンドにおける正荷電配列の高親和性結合のために重要である。この反復は、βヘアピン構造と、それに続く一連のβターンとから構成されることが示された。カルシウムの結合は、何ら重要なコンフォメーション変化を誘導しないようである。これらの反復に続くのは、上皮増殖因子(EGF)前駆体の部分に類似する350残基のドメインである。類似のドメインは、いくつかの細胞外タンパク質および膜タンパク質において見出された。
【0213】
IPR000033、YWTD反復は、アミノ酸404〜アミノ酸449、アミノ酸451〜アミノ酸492、アミノ酸494〜アミノ酸536、アミノ酸538〜アミノ酸581、アミノ酸582〜アミノ酸622である。このドメインはまた、この反復の最も保存された領域の後ろにあるYWTDモチーフとしても公知である。YWTD反復は、複数の縦列反復配列において見出され、そしてβプロペラ構造を形成することが予期された。これは、Drosophila由来のビテロゲニンレセプター、低密度リポタンパク質(LDL)レセプター、プレプロ上皮増殖因子、ニドジェン(エンタクチン)などを含む種々のタンパク質において見出される。
【0214】
IPR000561、EGF様ドメインは、アミノ酸322〜アミノ酸356、アミノ酸632〜アミノ酸676である。上皮増殖因子(EGF)の配列において見出される約30〜40アミノ酸残基長の配列は、多少保存された形態において、多数の他の(主に動物の)タンパク質において存在することが示された。EGF様パターンの1以上のコピーを含むことが現在知られているタンパク質のリストは、大規模かつ多様である。関連のないタンパク質であると思われるタンパク質におけるEGFドメインの機能的重要性は、未だ明らかではない。しかし、共通の特徴は、これらの反復が、膜結合タンパク質の細胞外ドメインまたは分泌されることが公知のタンパク質において見出されるという点である(例外:プロスタグランジンG/Hシンターゼ)。EGFドメインは、ジスルフィド結合に関与することが示されている(EGFにおいて)6個のシステイン残基を含む。この主要な構造は、二本鎖のβシートと、それに続く、C末端の短い二本鎖シートへのループである。保存されたシステインの間のサブドメインは、長さにおいて変動する。
【0215】
このことは、本発明の配列が、この/これらのドメインを含むことが公知である他のタンパク質の配列に類似する特性を有し、そしてこれらのドメインの特性に類似する特性を有することを示す。
【0216】
NOV5aはまた、表5Sに列挙されるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0217】
【表5S】
Figure 2004516820
これらの配列の相同性は、表5Tに示されるClustalW分析中に図解的に示される。
【0218】
【表5T】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
表5U〜Yは、NOV5aに対するDOMAIN分析結果からのドメインの記載を列挙する。これは、NOV5a配列がこのドメインを含むことが公知である他のタンパク質の配列に類似する特性を有することを示す。
【0219】
【表5U】
Figure 2004516820
【0220】
【表5V】
Figure 2004516820
【0221】
【表5W】
Figure 2004516820
【0222】
【表5X】
Figure 2004516820
【0223】
【表5Y】
Figure 2004516820
NOV5aはまた、表5Zに示されるpatpデータベースのメンバーに対して高い相同性を有する。
【0224】
【表5Z】
Figure 2004516820
NOV5cはまた、表5AAに示されるpatpデータベースのメンバーに対して高い相同性を有する。
【0225】
【数4】
Figure 2004516820
アポリポタンパク質E(apoE)は、カイロミクロンレムナント、中程度の密度のリポタンパク質、非常に低密度のリポタンパク質(VLDL)、β−移動性(migrating)VLDL(β−VLDL)および高密度リポタンパク質(apoEを有する)を含む種々のリポタンパク質の主要成分として、主に血漿中を循環する、34kDaの親油性タンパク質である。apoEは、これらのリポタンパク質の細胞認識および内部移行を担う重要な分子である。生化学的研究および遺伝学的研究は、apoEが、カイロミクロンレムナントおよびVLDLレムナントの血漿からの肝クリアランスに関することを示した。アポリポタンパク質Eレセプター2は、高親和性を有するapoEリッチなβ−VLDLを結合し、そしてこのβ−VLDLを細胞内に内部移行させる。
【0226】
アポリポタンパク質Eレセプター2は、低密度および非常に低密度のリポタンパク質レセプター(LDL−R)のファミリーに属するレセプターである。このファミリーは、リソソームによる分解に関して細胞外リガンドを認識しかつ細胞外リガンドを内部移行させる細胞表面レセプターからなる。このファミリーメンバーは、4つの主要な構造モジュールを含む:システインリッチな相補型リピート、上皮増殖因子前駆体様リピート、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン。各構造的モジュールは、異なりかつ重要な機能を供給する。これらのレセプターは、いくつかの構造的に異なるリガンドを結合する。一次配列の代わりに、異なるリガンドにおける陽性の静電ポテンシャルがレセプター結合ドメインを構成することを提唱する。このファミリーのレセプターは、種々の生理学的機能において重要な役割を担う。LDL−Rは、コレステロールホメオスタシスにおいて重要な役割を果たす。変異は、家族性高コレステロール症および早発性冠動脈疾患を生じる。LDL−R関連タンパク質は、血漿活性化α−2−マクログロブリンおよびアポリポタンパク質Eリッチなリポタンパク質のクリアランスにおいて重要な役割を果たす。LDL−R関連タンパク質は、胎児発生に必須であり、そしてアルツハイマー病に関連する。これらのレセプターの発現の調節は、転写レベルで生じる。LDL−Rの発現は、新規膜結合転写因子を含む細胞内ステロールのレベルによって調節される。しかし、全ての膜が、ホルモンおよび増殖因子によって調節されるが、ホルモンによる調節の機構は解明されていない。
【0227】
本発明のNOV5核酸およびタンパク質は、以下に関連する潜在的な治療適用に有用である:アテローム硬化症、異βリポ蛋白血症、高リポ蛋白血症III型、黄色腫症、冠状および/または末梢の脈管疾患、甲状腺機能低下症、全身性エリテマトーデス、糖尿病性アシドーシス、高コレステロール血症、平面(planar)および腱の黄色腫、異βリポ蛋白血症、高コレステロール血症、急性脈管疾患、アルツハイマー病、家族性アミロイドーシス多発性神経障害、ならびに他の疾患、障害および状態。LDLレセプター関連タンパク質、アポリポタンパク質Eレセプター2および非常に低密度なリポタンパク質(VLDL)レセプターは、脳で優先的に発現され、そしてこれらは、種々のレベルでアルツハイマー病(Microsc Res Tech 2000 Aug 15;50(4):273−7)ならびに/または他の病理学および障害に関連することが推測されている。例えば、アポリポタンパク質e様タンパク質をコードするcDNAは、遺伝子治療に有用であり、そしてアポリポタンパク質e様タンパク質は、その必要性のある被験体に投与される場合に有用であり得る。非限定的例示の目的で、本発明の組成物は、以下を罹患する患者の処置に対する効力を有する:アテローム硬化症、異βリポ蛋白血症、高リポ蛋白血症III型、黄色腫症、冠状および/または末梢の脈管疾患、甲状腺機能低下症、全身性エリテマトーデス、糖尿病性アシドーシス、高コレステロール血症、平面(planar)および腱の黄色腫、異βリポ蛋白血症、高コレステロール血症、加速性の脈管疾患、アルツハイマー病、家族性アミロイドーシス多発性神経障害、ならびに他の疾患、障害および状態。NOV5核酸またはそのフラグメントはさらに、診断適用に有用であり得、ここで、この核酸またはタンパク質の存在または量が、評価される。
【0228】
NOV5核酸およびポリペプチドはまた、治療法または診断法における使用のための本発明の新規物質を免疫特異的に結合する抗体の生成に有用である。これらの抗体は、以下の「抗NOVX抗体」の項に記載されるような疎水性チャートからの予想を使用する、当該分野において公知の方法に従って生成され得る。例えば、開示されるNOV5aタンパク質、NOV5eタンパク質およびNOV5fタンパク質は、複数の疎水性領域を有し、これらの各々は、免疫原として使用され得る。1つの実施形態において、企図されるNOV5aエピトープ、NOV5eエピトープおよびNOV5fエピトープは、およそのアミノ酸80〜220である。他の実施形態において、NOV5aエピトープ、NOV5eエピトープおよびNOV5fエピトープは、およそのアミノ酸250〜340、およそのアミノ酸370〜540、およそのアミノ酸590〜650、またはおよそのアミノ酸680〜720である。この新規タンパク質はまた、種々のヒト障害の機能的分析のための強力なアッセイ系の開発において価値を有し、これは、疾患の病理学の理解および種々の障害に対する新たな薬物標的の開発の助けとなる。
【0229】
開示したNOV5bタンパク質は、複数の疎水性領域を有し、これらの各々は、免疫原として使用され得る。1つの実施形態において、企図されるNOV5bエピトープは、およそのアミノ酸80〜280である。他の実施形態において、NOV5bエピトープは、およそのアミノ酸290〜350、およそのアミノ酸390〜560、およそのアミノ酸600〜670、またはおよそのアミノ酸690〜750である。この新規タンパク質はまた、種々のヒト障害の機能的分析のための強力なアッセイ系の開発において価値を有し、これは、疾患の病理学の理解および種々の障害に対する新たな薬物標的の開発の助けとなる。
【0230】
開示したNOV5cタンパク質は、複数の疎水性領域を有し、これらの各々は、免疫原として使用され得る。1つの実施形態において、企図されるNOV5cエピトープは、およそのアミノ酸50〜220である。他の実施形態において、NOV5cエピトープは、およそのアミノ酸250〜280、およそのアミノ酸300〜480、およそのアミノ酸550〜630、およそのアミノ酸650〜670、およそのアミノ酸690〜760、またはおよそのアミノ酸770〜800である。この新規タンパク質はまた、種々のヒト障害の機能的分析のための強力なアッセイ系の開発において価値を有し、これは、疾患の病理学の理解および種々の障害に対する新たな薬物標的の開発の助けとなる。
【0231】
開示したNOV5dタンパク質は、複数の疎水性領域を有し、これらの各々は、免疫原として使用され得る。1つの実施形態において、企図されるNOV5dエピトープは、およそのアミノ酸50〜180である。他の実施形態において、NOV5dエピトープは、およそのアミノ酸190〜230、およそのアミノ酸250〜390、およそのアミノ酸420〜550、およそのアミノ酸470〜650、およそのアミノ酸780〜850、およそのアミノ酸870〜900、およそのアミノ酸920〜980、またはおよそのアミノ酸990〜1050である。この新規タンパク質はまた、種々のヒト障害の機能的分析のための強力なアッセイ系の開発において価値を有し、これは、疾患の病理学の理解および種々の障害に対する新たな薬物標的の開発の助けとなる。
【0232】
開示したNOV5gタンパク質およびNOV5hタンパク質は、複数の疎水性領域を有し、これらの各々は、免疫原として使用され得る。1つの実施形態において、企図されるNOV5gエピトープおよびNOV5hエピトープは、およそのアミノ酸30〜220である。他の実施形態において、NOV5gエピトープおよびNOV5hエピトープは、およそのアミノ酸250〜330、およそのアミノ酸350〜540、およそのアミノ酸550〜680、およそのアミノ酸690〜720、およそのアミノ酸750〜780、またはおよそのアミノ酸790〜850である。この新規タンパク質はまた、種々のヒト障害の機能的分析のための強力なアッセイ系の開発において価値を有し、これは、疾患の病理学の理解および種々の障害に対する新たな薬物標的の開発の助けとなる。
【0233】
開示したNOV5iタンパク質は、複数の疎水性領域を有し、これらの各々は、免疫原として使用され得る。1つの実施形態において、企図されるNOV5iエピトープは、およそのアミノ酸5〜150である。他の実施形態において、NOV5iエピトープは、およそのアミノ酸190〜230、およそのアミノ酸170〜320、またはおよそのアミノ酸360〜450である。この新規タンパク質はまた、種々のヒト障害の機能的分析のための強力なアッセイ系の開発において価値を有し、これは、疾患の病理学の理解および種々の障害に対する新たな薬物標的の開発の助けとなる。
【0234】
(NOV6)
新規肥満細胞腫プロテアーゼ前駆体様タンパク質をコードする843ヌクレオチドである、開示したNOV6核酸(SC_129296119−Aともいわれる)は、表6Aに示される。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド26〜28でのATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド836〜838でのTAGコドンで終止することが同定された。開始コドンから上流でありかつ終止コドンから下流の推定の非翻訳領域に、表6A中で下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンは、太字である。
【0235】
【表6A】
Figure 2004516820
開示したNOV6核酸配列は、Canis familiaris(Dog) MASTOCYTOMA PROTEASE PRECURSOR mRNA(GENBANK−ID:DOGMCTRPB)に対して、763塩基のうち570同一(74%)な塩基を有する(E=1.1e−80)。
【0236】
配列番号32によってコードされる開示したNOV6ポリペプチド(配列番号33)は、270アミノ酸残基であり、そして表6B中で一文字アミノ酸コードを使用して示される。シグナルP、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV6がシグナルペプチドを含み、そして0.4500の確実性でサイトゾルに局在するようであることを、予想する。NOV6ペプチドについて最も確からしい切断部位は、アミノ酸20と21との間(KVG−IT)である。
【0237】
【表6B】
Figure 2004516820
開示したNOV6アミノ酸配列は、Canis familiaris(Dog)由来の269アミノ酸残基のMASTOCYTOMA PROTEASE PRECURSORタンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:P19236)に対して、268アミノ酸残基のうち同一な165のアミノ酸残基(61%)、および268アミノ酸残基のうち陽性な186のアミノ酸残基(69%)を有する(E=3.0e−81)。一般的配列相同性(NOV6の全長配列とFASTAアラインメントによって規定されるような)は、66.171%アミノ酸相同性および61.338%アミノ酸同一性である。さらに、このタンパク質は、示されたヌクレオチド位で(Interproによって規定されるような)以下のタンパク質ドメインを含む:アミノ酸位21〜260でのトリプシン(Trypsin)ドメイン(IPR001254)。
【0238】
NOV6はまた、表6F中に列挙されるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0239】
【表6F】
Figure 2004516820
これらの配列の相同性は、表6Gに示されるClustalW分析中に図解的に示される。
【0240】
【表6G】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
表6Hは、NOV6に対するDOMAIN分析結果からのドメイン記載を列挙する。これは、NOV6配列がこのドメインを含むことが公知の他のタンパク質の配列に類似する特性を有することを示す。
【0241】
【表6H】
Figure 2004516820
【0242】
【表6I】
Figure 2004516820
肥満細胞トリプターゼは、肥満細胞の脱顆粒の間に細胞外に放出される、トリプシン様の特異性を有するセリンプロテアーゼ関連の分泌顆粒である。このトリプターゼ配列は、触媒の三つ組(triad)の必須残基、ならびにトリプシン作用性セリンプロテアーゼにP1 ArgおよびLysの特異性を付与する推定の基質結合ポケットの基部のアスパラギン酸を含む。明白なN末端シグナル/活性化ペプチドは、グリシンで終止する。この位置のグリシンは、これまでにセリンプロテアーゼには観察されなく、そして新規な活性様式を示唆する。
【0243】
インビボでの肥満細胞活性化は、浮腫の領域および結合組織分解にしばしば関連する。トリプターゼおよびカイメースは、肥満細胞によって放出される主要なセリンプロテイナーゼであるが、これらは、細胞外マトリクスの主要成分に対してほとんど活性を有さない。マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、結合組織要素のほとんど全てを分解することが意図され、そして不活性な前駆体の形態で細胞によって分泌される。インビボでのMMP活性化の機構がほとんど理解されていないので、本発明者らは、ヒトコラゲナーゼ(MMP−1)、ストロメリシン(MMP−3)、ゼラチナーゼA(MMP−2)およびゼラチナーゼB(MMP−9)の前駆体型を活性化する、肥満細胞プロテイナーゼの潜在能力を試験した。精製したイヌ肥満細胞腫細胞から調製した肥満細胞プロテイナーゼは、MMP−1およびMMP−3の両方の精製した前駆体形態を処理および活性化することを示された。アンチパインおよびキモスタチン(それぞれ、トリプターゼおよびカイメースのインヒビター)を使用して、pMMP−1およびpMMP−3の両方がカイメース成分によって効果的に処理および活性化されたことを示した。対照的に、トリプターゼはpMMP−3のみを活性化した。肥満細胞プロテイナーゼは、精製した前駆体形態のMMP−2およびMMP−9を処理も活性化もし得なかった。しかし、肥満細胞プロテイナーゼによって予め活性化されたMMP−3が、pMMP−9を活性化したがpMMP−2を活性化しなかったことが示された。本発明者らは、肥満細胞がこれら4つのメタロ酵素を発現する証拠を有さないので、肥満細胞セリンプロテイナーゼの放出、その後の活性化/脱顆粒化は、局所的メタロプロテイナーゼ活性化,その後のマトリクス分解を構成し得た。
【0244】
肥満細胞プロテアーゼトリプターゼおよびカイメースは、肥満細胞中の総タンパク質の5分の1を構成することが長く知られていた。しかし、これらの生物学的機能は、これらの生物学的機能を研究するために十分量の酵素を得る際の困難性に起因して、研究するに容易ではなかった。近年、本発明者らは、両方の酵素を均一に精製するためのイヌ肥満細胞腫細胞の不変株が、幸運にも利用可能になった。そして本発明者らは、これらの精製した酵素を2つの方法で使用した。第1に、一連の生物学的研究において、本発明者らは、喘息および嚢胞性線維症のような疾患の病理学に重要な知見を提供し得る、酵素の独特かつ有力な作用を見出した。重要な生物学的活性はまた、他の組織においても存在するようである。これらの構造のために、肥満細胞プロテアーゼは、その放出部位の近くで作用するようである。よって、特定の部位でのトリプターゼおよびカイメースの存在および量は、組織応答において重要な役割を果たし得る。喘息および嚢胞性線維症のような疾患において、これらの肥満細胞酵素の発現が変化し、そしてこれらの変化が病理学的関連に重要であるという証拠が存在する。第2に、本発明者らは、酵素の構造的研究の実施を始めた。本発明者らのグループによる最近のトリプターゼのクローニングは、その機能のよりよい理解を補助すべきである。純粋なタンパク質の結晶学は、さらなる知見を提供すべきであり、そしてこれらの作用を阻害する、強力かつ選択的薬物の合理的開発の基礎であり得る。
【0245】
上記で規定した本発明についての情報は、電圧依存的アニオンチャネル様タンパク質(NOV6)が「電圧依存的アニオンチャネルファミリー」のメンバーとして機能し得ることを示唆する。従って、本明細書中で同定されたNOV6核酸およびタンパク質は、以下で示されるような種々の病理学および障害に関連した(しかし、これらに限定されない)潜在的治療適用に有用である。本発明についての潜在的治療適用としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:タンパク質治療、低分子薬物標的、抗体標的(治療的、診断的、薬物標的化/細胞傷害性抗体)、診断マーカーおよび/または予後マーカー、遺伝子治療(遺伝子送達/遺伝子切除)、研究ツール、(本明細書中で規定されるものを含むがこれらに限定されない)全ての組織および細胞型のインビボおよびインビトロでの組織再生。
【0246】
NOV6の核酸およびタンパク質は、免疫障害および気道病理学(例えば、アレルギー、喘息および嚢胞性線維症)、癌(例えば、肥満細胞腫)、脈管疾患ならびに/または他の病理学および障害に関連する、潜在的治療適用に有用である。例えば、NOV6をコードするcDNAは、遺伝子治療に有用であり得、NOV6は、その必要のある被験体に投与される場合、有用であり得る。非限定的例示の目的で、NOV6は、免疫障害および気道病理学(例えば、アレルギー、喘息および嚢胞性線維症)、癌(例えば、肥満細胞腫)、および脈管疾患を罹患する患者の処置に対して効力を有する。NOV6タンパク質をコードする新規NOV6核酸、またはそのフラグメントは、さらに診断適用において有用であり得る。ここで、この核酸またはタンパク質の存在または量が評価される。これらの物質はさらに、治療法または診断法における使用のための、本発明の新規物質に対して免疫特異的に結合する抗体の生成に有用である。
【0247】
NOV6核酸およびポリペプチドは、治療法または診断法における使用のための、新規NOV6物質に免疫特異的に結合する抗体の生成にさらに有用である。これらの抗体は、以下の「抗NOVX抗体」の項に記載されるような疎水性チャートからの予想を使用する、当該分野において公知の方法に従って生成され得る。この新規タンパク質はまた、種々のヒト障害の機能的分析のための強力なアッセイ系の開発において価値を有し、これは、疾患の病理学の理解および種々の障害に対する新たな薬物標的の開発の助けとなる。
【0248】
(NOV7)
新規なサイモシンβ−4様レセプタータンパク質をコードする、開示された239ヌクレオチドのNOV7核酸(GM10d7_A)を、表7Aに示す。オープンリーディングフレームを、ヌクレオチド40〜42のTCA開始コドンで始まり、ヌクレオチド190〜092のTGAで終わると同定した。表7Aにおいて、開始コドンと終止コドンを太字にしている。
【0249】
【表7A】
Figure 2004516820
この開示されたNOV7核酸配列を、Homo sapiens THYMOSIN BETA−4 mRNA(GENBANK−ID:M17733)に同一な、245塩基のうち205塩基を有する(E=1.4e−30)。
【0250】
配列番号34によりコードされる開示されたNOV7ポリペプチド(配列番号35)は、50アミノ酸残基であり、表7Bに1文字アミノ酸記号を用いて示される。Signal P、Psortおよび/またはヒドロパシーの結果により、NOV7は、シグナルペプチドがなく、0.4500の確実性で細胞質に局在していることが予測された。
【0251】
【表7B】
Figure 2004516820
NOV7は、染色体5p35にマッピングされ、少なくとも以下の組織:乳腺、小腸、結腸、精巣および白血球において発現されることが見出された。
【0252】
開示されたNOV7アミノ酸配列は、Mus musculus由来のTHYMOSIN BETA−4タンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:P20065)の50アミノ酸残基に対して、43アミノ酸残基のうち同一な26アミノ酸残基(83%)を有し、この50アミノ酸残基と、43残基のうち陽性な37残基(86%)を有する(2.2e−12)。全体的な配列相同性(このタンパク質の全長配列とのFASTAアラインメントにより規定される)は、72.000%アミノ酸相同性であり、72.000%アミノ酸同一性である。
【0253】
さらに、NOV7は、示されたヌクレオチド位置で以下のタンパク質ドメイン(Interproにより規定される)を含む:アミノ酸8位〜48位のサイモシンドメイン(IPR001152)。
【0254】
NOV7は、表7Cに挙げられるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対して相同性を有する。
【0255】
【表7C】
Figure 2004516820
これらの配列の相同性を、表7Dに示すClustalW分析において図示する。
【0256】
【表7D】
Figure 2004516820
NOV7はまた、表7Eに示されるpatpデータベースのメンバーに対して高い相同性を有する。
【0257】
【表7E】
Figure 2004516820
サイモシンβ−4は、正確な生理学的役割が未だ分かっていない小さなポリペプチドである。これは、末端のデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを誘導する胸腺ホルモンとして始めて単離された。これは、胸腺および脾臓で多量に見出されるが、多くの組織において広く分布している。これはまた、アクチンモノマーに結合し、従って、アクチン重合を阻害することが示されている。これは、造血性多能性幹細胞の増殖に対して阻害活性を有し、そして細胞のサイトゾルに局在する。これは、αインターフェロン、神経増殖因子および線維芽細胞増殖因子により誘導される。これは、サイモシンβファミリーに属する。
【0258】
Atkinson MJらは、サイモシンβ4が、調節された様式でROS 17/2.8骨肉腫細胞において発現されることを報告した。密接に関連したラット骨肉腫細胞株ROS 17/2.8とROS 25/1との間のmRNAの差示的発現を用いて、発現が骨芽細胞表現型と関連する遺伝子を同定した。サイモシンβ4cDNAを、ROS 17/2.8およびROS 25/1細胞から調製した放射性標識cDNAとのその差示的ハイブリダイゼーションに基づいて、ROS 17/2.8相補的DANライブラリーからクローニングした。ノーザンブロット分析により、サイモシンβ4(今までのところは、推定免疫調節ホルモンである)が実際に差示的に発現されることを確認した。定常状態のmRNAレベルは、あまり骨芽細胞様ではないROS 25/1と比較して、骨芽細胞様表現型を示すROS 17/2.8細胞において数倍高かった。サイモシンβ4転写物はまた、ラットUMR 106骨肉腫細胞において、ならびにインタクトな新生仔ラットおよび胎仔ラットの頭蓋冠において検出された。cDNAの配列分析により、サイモシンβ4転写物が、より末端にポリアデニル化シグナルでプロセシングされることにより生じ得ることが示された。ROS 17/2.8細胞のデキサメタゾンでの処理により、サイモシンβ4 mRNAは増加したが、1,25−ジヒドロキシビタミンD3の添加により減少した。ROS細胞における表現型依存性発現およびステロイドホルモンに対する応答は、サイモシンβ4発現が、骨芽細胞表現型に寄与することを示唆する。
【0259】
サイモシンβ(4)(Tbeta(4))は、化学量論的にアクチンモノマーを結合し、後生動物の細胞におけるアクチンモノマープールの大部分を維持する。Tbeta(4)結合は、アクチンモノマーのCys(374)に結合体化したN−ヨードアセチル−N’−(5−スルホ−1−ナフチル)エチレンジアミン(AEDANS)の蛍光をクエンチする。アクチン−Tbeta(4)複合体のK(d)は、アクチンに結合したカチオンおよびヌクレオチドに依存するが、AEDANSプローブによっては影響を受けない。異なる安定性は、主に解離速度により決定される。25℃において、MgATP−アクチンを結合するTbeta(4)の自由エネルギーは、本来、主にエンタルピー的であるが、CaATP−アクチンに関しては、エントロピー的である。結合は、結合した水分子の解離とカップルしており、このことは、MgATP−アクチンモノマーよりCaATP−アクチンに関してより大きい。サブドメイン2上のGly(46)におけるMgATP−アクチン(CaATP−アクチンではない)のタンパク質分解は、Tbeta(4)が結合した場合、12倍より速い。Tbeta(4)のC末端は、His(40)のこの切断部位の近くでアクチンと接触する。トリチウム交換により、Tbeta(4)は、アクチン上の約8個の迅速に交換されるアミドプロトンの交換速度が遅くなる。本発明者らは、Tbeta(4)がアクチンモノマーのコンホメーションおよび構造的動力学(「運動(breathing)」)を変化させると結論付ける。このコンホメーション変化は、Tbeta(4)が、アクチンモノマーを封鎖し、ヌクレオチド交換を阻害する能力を反映し得る。
【0260】
グルココルチコイドが抗炎症性メディエーターの発現をアップレギュレートさせるという事実は、炎症性疾患における治療に関して刺激的な期待である。なぜなら、これらの分子は、毒性の副作用なしにステロイドの治療的利益を与え得るからである。グルココルチコイドの存在下で培養した単球およびマクロファージの培地は、キャピラリーチューブ移動アッセイにおいて細胞ペレットからの好中球の分散を増加させる。この上清因子は、他の好中球アゴニストとは異なり、均一な濃度で好中球の分散的な移動を促進し、内皮細胞へのこれらの接着を低下させ、fMLPへのそれらの走化性応答を阻害し、そして特有の形態学的変化を誘導する。ここで、本発明者らは、サイモシンβ4スルホキシドが、グルココルチコイドの存在下で単球により生成され、炎症性応答を阻害するためのシグナルとして作用することを示す。インビトロでは、サイモシンβ4スルホキシドは、好中球遊走性を阻害し、インビボでは、ネイティブな形態ではなく、酸化型ペプチドがマウスの足におけるカラギーナン誘導性水腫の強力なインヒビターであった。サイモシンβ4は、酸化により、その細胞内G−アクチン封鎖活性が緩和されるので独特であるが、その細胞外シグナル伝達特性が非常に増強される。サイトゾルタンパク質に細胞外機能を付与するメチオニン酸化という説明は、抗炎症性治療の将来的なストラテジーについての大きく広がる潜在的重要性を有し得る。
【0261】
新脈管形成は、障害後に生じる修復プロセスにおいて必須の工程である。この研究において、本発明者らは、脈管形成性胸腺ペプチドサイモシンβ4(Tbeta4)が、ラットの完全厚創傷モデル(full thickness wound model)における創傷治癒を増強するか否かを調査した。Tbeta4の添加により、局所的にまたは腹腔内で、創傷後4日目に生理食塩水コントロールに対して再上皮形成が42%、創傷後7日目に61%程度まで増加した。処置した創傷はまた、7日目までにコントロールより少なくとも11%縮小した。増強したコラーゲン沈着および新脈管形成が処置した創傷において認められた。本発明者らはまた、Tbeta4がBoydenチャンバアッセイにおいてケラチノサイト移動を刺激したことを見出した。4〜5時間後、10pg程度のTbeta4をアッセイ系に添加した場合に、培地単独での移動に対して2〜3倍、移動が刺激された。これらの結果により、Tbeta4が複数の活性を有する強力な創傷治癒因子であることが示唆される。
【0262】
本明細書中に開示されるサイモシンβ4様タンパク質および核酸(NOV7)のタンパク質類似性情報、発現パターン、およびマップ位置は、NOV7がサイモシンβ4様ファミリーに特徴的な重要な構造的機能および/または生理学的機能を有し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV7核酸およびタンパク質は、潜在的な診断適用および治療的適用において有用である。これらとしては、特異的または選択的な、核酸またはタンパク質の診断および/または予後マーカーとして働くこと(ここで、この核酸またはタンパク質の存在もしくは量が、アッセイされるべきである)、ならびに以下のような潜在的な治療的適用が挙げられる:(i)タンパク質治療剤、(ii)低分子薬物標的、(iii)抗体標的(治療的抗体、診断的抗体、薬物標的化抗体/細胞傷害性抗体)、(iv)遺伝子治療において有用な核酸(遺伝子送達/遺伝子除去)、および(v)インビトロおよびインビボで組織再生を促進する組成物。
【0263】
本発明のNOV7核酸およびタンパク質は、以下に記載された種々の疾患および傷害ならびに/または他の病理状態に関与する潜在的な診断的適用および治療的適用において有用である。例えば、本発明の組成物は、前立腺癌、免疫学的障害および自己免疫障害(すなわち、甲状腺機能亢進)、脈管形成および創傷治癒、アポトーシスの調節、神経変性障害および神経精神性障害、加齢関連障害、脾臓、胸腺、肺および腹腔内マクロファージに関連する病理学的障害ならびに/または他の病理的状態および障害に離間する患者の処置について効力を有し得る。このNOV7核酸またはそのフラグメントは、診断的適用においてさらに有用であり得る。ここでこの核酸またはタンパク質の存在または量がアッセイされるべきである。
【0264】
NOV7核酸およびポリペプチドは、治療方法または診断方法において使用するための本発明の新規な物質に免疫特異的に結合する抗体の生成においてさらに有用である。これらの抗体は、以下の「抗NOVX抗体」の節に記載されるように、疎水性チャートの推定を用いて、当該分野で公知の方法に従って生成され得る。例えば、開示されたNOV7タンパク質は、複数の疎水性領域を有し、その各々は、免疫原として用いられ得る。この新規なタンパク質はまた、種々のヒトの障害の機能的分析のための強力なアッセイ系の開発において価値を有する。これは、疾患の病理の理解および種々の障害のために新たな薬物標的の開発において助けになる。
【0265】
(NOV8)
新規なタンパク質−チロシン−ホスファターゼ様タンパク質をコードする1348ヌクレオチドの開示されたNOV8核酸(GMba550p23_Aとも呼ばれる)を、表8Aに示す。オープンリデーリングフレームは、ヌクレオチド57〜59のATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド1302〜1304のTAAコドンで終わると同定された。開始コドンから上流にある推定非翻訳領域、および終止コドンから下流にある推定非翻訳領域を表8Aにおいて下線を付し、開始コドンおよび終止コドンを太字の文字にしている。
【0266】
【表8A】
Figure 2004516820
開示されたNOV8核酸配列は、第13染色体にマッピングされ、Homo sapiens プロテイン−チロシンホスファターゼmRNA(GENBANK−ID:HUMPTPASE)に同一な(95%)1299塩基のうちの1237塩基を有する(E=6.8e−262)。
【0267】
配列番号36によりコードされる、開示されたNOV8タンパク質(配列番号37)は、415アミノ酸残基を有し、表8Bにおいて1文字コードを用いて示される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果により、NOV8が、0.8500の確実性で小胞体(膜)に局在するようであることが推定される。
【0268】
【表8B】
Figure 2004516820
開示されたNOV8アミノ酸は、Homo sapiens由来の415アミノ酸残基のプロテイン−チロシンホスファターゼ、非レセプター型2タンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:A33899)と同一な、415アミノ酸残基のうちの381残基(91%)、およびこのタンパク質とポジティブな、415残基のうちの391残基(94%)を有する(E=4.9e−207)。
【0269】
NOV8はまた、表8Cに挙げられるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対して相同性を有する。
【0270】
【表8C】
Figure 2004516820
これらの配列の相同性は、表8Dに示されるClustalW分析においてに図示される。
【0271】
【表8D】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
表8E〜8Gは、NOV8に対するDOMAIN分析結果からのドメイン説明を列挙する。これは、NOV8配列が、このドメインを含むことが既知の他のタンパク質の特性に類似の特性を有することを示す。
【0272】
【表8E】
Figure 2004516820
【0273】
【表8F】
Figure 2004516820
【0274】
【表8G】
Figure 2004516820
NOV8は、表8Hに示されるpatpデータベースのメンバーに対して高い相同性を有する。
【0275】
【表8H】
Figure 2004516820
ポリペプチド増殖因子および癌遺伝子についての多くの膜貫通型レセプターは、チロシン残基上でのタンパク質のリン酸化を触媒し、このことは、細胞増殖およびおそらく分化における調節役割を示唆する。多くのチロシンキナーゼが特徴付けられている一方で、チロシン残基から特異的にリン酸を除去する酵素については、比較的あまり知られていない。キナーゼおよびホスファターゼはともに、チロシン上でのタンパク質のリン酸化に関与する。酵素活性を調節する際のチロシン脱リン酸化の重要性は、例えば、SRC oncogene(190090)に関して示され、ここで、カルボキシ末端におけるチロシン217での脱リン酸化は、活性の増加と関連する。遺伝子がクローニングされ、かつマッピングされているタンパク質−チロシンホスファターゼとしては、胎盤PTPase 1B(PTP1B;176885)、CD45(151460)、およびLAR(179590)が挙げられる。T細胞PTPaseは、Cool et al.(1989)によりクローニングされ、彼らは、T細胞PTPaseが、すべてのPTPaseに存在する236アミノ酸コア領域中のPTP1Bと72%のアミノ酸同一性を共有することを示した。Sakaguchi et al.(1991,1992)は、ヒトPTPT cDNAを用いて、ヒト/マウスおよびマウス/チャイニーズハムスター体細胞ハイブリッドのそれぞれのサザン分析により、ヒト第18染色体およびマウス第18染色体にこの遺伝子を割り当てた。Johnson et al.(1993)は、PTPN2遺伝子を、蛍光インサイチュハイブリダイゼーションにより18p11.3−p11.2にマッピングした。これらは、1q22−q24および13q12−q13上の偽遺伝子と同定された。ゲノムプローブおよびcDNAプローブの特性の直接的な比較により、同一の条件下で、ゲノムプローブ(エキソンおよびイントロン配列の両方を含む)が、ハイブリダイゼーションの単一特異的部位を容易に同定するのに対し、cDNAは、遺伝子およびその偽遺伝子の両方の部位を同定することが示された。これらのことは、高度に関連した配列がゲノム中に存在する場合に遺伝子マッピング研究において繰り返される問題に対処するためのストラテジーであることを示唆した。
【0276】
プロテインチロシンホスファターゼ(PTP)は、細胞レベルのチロシンリン酸化を調節する酵素のファミリーである。細胞位置に基づいて、この酵素は、レセプター様PTPまたは細胞内PTPとして分類される。構造および機能の研究は、このクラスの酵素の酵素機構の理解をもたらした。PTPの適切な標的化は、B細胞およびT細胞の抗原により誘導された増殖性応答を含む多くの細胞シグナル伝達事象に必須である。PTPの生理学的重要性は、マウスの遺伝子ノックアウト研究、ならびにヒトゲノム配列決定およびマッピングプロジェクトによってさらに明かされる。いくつかのPTPは、ヒト疾患の病理状態において重要であることが示されている。PMID:10723800,UI:20188875。
【0277】
ニューロン発生の間、細胞は、細胞表面レセプターを介して種々の環境的な合図に応答し、このレセプターは、タンパク質チロシンのリン酸化および脱リン酸化に基づいてシグナル伝達機構に関連する。レセプターおよび非レセプターのチロシンキナーゼは、多くの注目を浴びたが、最近数年間では、レセプター(細胞質膜結合型)および非レセプターのプロテイン−チロシンホスファターゼ(PTP)はまた、神経系の発生において重要な役割を果たすことが示されてきた。多くの場合、PTPは、刺激的な分布パターンを有するか、または特定の細胞接着レセプターおよび増殖因子レセプターと関連することが示されてきた。さらに、PTP発現レベルまたは活性を改変することにより、ニューロンの挙動が損なわれる。この検討において、本発明者らは、何が発生、分化およびニューロン生理学におけるPTPの役割について現在知られているかを概説する。
【0278】
本明細書中に開示されるプロテイン−チロシンホスファターゼ様タンパク質および核酸(NOV8)のタンパク質類似性情報、発現パターン、およびマップ位置は、NOV8タンパク質がプロテイン−チロシンホスファターゼFファミリーに特徴的な、重要な構造的機能および/または生理学的機能を有することを示唆する。従って、本発明のNOV8核酸およびNOV8タンパク質は、潜在的な診断適用および治療適用において有用である。これらは、特異的核酸もしくは選択的核酸または特異的タンパク質もしくは選択的タンパク質の診断マーカーおよび/または予後マーカーとして働くことを含み、ここで、この核酸またはタンパク質の存在または量がアッセイされる。ならびに潜在的な治療適用は、例えば、以下が挙げられる:(i)タンパク質治療剤、(ii)低分子薬物標的、(iii)抗体標的(治療標的化抗体、診断標的化抗体、薬物標的化抗体/細胞傷害性抗体)、(iv)遺伝子治療(遺伝子送達/遺伝子除去)において有用な核酸、および(v)インビトロおよびインビボで組織再生を促進する組成物。
【0279】
本発明のNOV8核酸およびNOV8タンパク質は、以下の種々の疾患および障害ならびに/または他の病理状態に影響を与える潜在的な診断適用および治療適用において有用である。例えば、本発明の組成物は、造血障害;白血病誘発;多発性嚢胞腎疾患;癌発生(例えば、肺癌、肝臓癌および卵巣癌);アポトーシス;2型糖尿病および肥満症;細胞増殖およびおそらく分化;非ホジキンリンパ腫;筋骨格障害;およびCNS発生障害に罹患している患者の処置に効力を有する。NOV8核酸またはそのフラグメントは、さらに診断適用において有用であり得、ここで、この核酸またはタンパク質の存在または量がアッセイされるべきである。
【0280】
NOV8核酸およびNOV8ポリペプチドは、治療方法または診断方法における視葉のために本発明の新規な物質に免疫特異的に結合する抗体の生成にさらに有用である。これらの抗体は、以下の「抗NOVX抗体」の節に記載されるように、疎水性チャートからの推定を用いて、当該分野で公知の方法に従って生成され得る。例えば、開示されたNOV8タンパク質は、複数の親水性領域を有し、これらの各々は、免疫原として使用され得る。この新規なタンパク質はまた、種々のヒト障害のさらなる分析のために強力なアッセイ系の開発において価値がある。これは、疾患の病理状態の理解および種々の障害の新たな薬物の開発の助けになる。
【0281】
(NOVX核酸およびNOVXポリペプチド)
本発明の1つの局面は、NOVXポリペプチドまたはその生物学的に活性な部分をコードする単離された核酸に関する。NOVXコード核酸(例えば、NOVX mRNA)を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとして使用するに十分な核酸フラグメント、およびNOVX核酸分子の増幅および/または変異のためのPCRプライマーとして使用するためのフラグメントもまた含まれる。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログを用いて生成されたDNAもしくはRNAのアナログ、これらのフラグメントおよびホモログを含むことが意図される。この核酸分子は、1本鎖または2本鎖であり得るが、好ましくは、2本鎖DNAである。
【0282】
NOVX核酸は、成熟NOVXポリペプチドをコードし得る。本明細書中で用いられる場合、本発明において開示されるポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」形態は、天然に存在するポリペプチドまたは前駆体形態もしくはプロタンパク質の産物である。この天然に存在するポリペプチド、前駆体またはプロタンパク質としては、限定的な例ではなく、対応する遺伝子によりコードされる全長遺伝子産物が挙げられる。あるいは、これは、本明細書中に記載されるORFによりコードされるポリペプチド、前駆体またはプロタンパク質として規定され得る。生成物の「成熟」形態は、この遺伝子産物が生じる細胞、または宿主細胞内で生じ得る場合に、1以上の天然に存在するプロセシング工程の結果として生じ得る。ポリペプチドまたはタンパク質の成熟形態をもたらすこのようなプロセシング工程の例としては、ORFの開始コドンによりコードされるN末端メチオニン残基の切断、またはシグナルペプチドもしくはリーダー配列のタンパク質分解切断が挙げられる。従って、残基1〜Nを有する(ここで、1は、N末端メチオニンである)前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、N末端メチオニンの除去後に残っている残基2〜Nを有する。あるいは、残基1〜N(ここで、残基1〜残基MからのN末端シグナル配列が除去される)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、残っている残基M+1〜残基Nからの残基を有する。さらに、本明細書中で使用される場合、ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」形態は、タンパク質分解切断事象以外の翻訳後修飾の工程から生じ得る。このようなさらなるプロセスとしては、限定的な例ではなく、グリコシル化、ミリストイル化またはリン酸化が挙げられる。一般に、成熟ポリペプチドまたはタンパク質は、これらのプロセスのわずか1つの操作またはこれらのプロセスのいずれかの組み合わせから生じ得る。
【0283】
本明細書中で用いられる場合、用語「プローブ」は、特定の用途に依存して、種々の長さ(好ましくは、少なくとも約10ヌクレオチド(nt)、100nt、または例えば、ほぼ6,000nt程度)の核酸配列をいう。プローブは、同一の、類似の、または相補的な核酸配列の検出に用いられる。より長い長さのプローブは、一般に、天然供給源または組換え供給源から得られ、より短い長さのオリゴマープローブより高度に特異的かつよりゆっくりとハイブリダイズする。プローブは、1本鎖または2本鎖であり得、そしてPCR、膜ベースのハイブリダイゼーション技術、またはELISA様技術において特異性を有するように設計され得る。
【0284】
本明細書中で用いられる場合、用語「単離された」核酸分子は、核酸の天然の供給源に存在する他の核酸分子から分離された核酸分子である。好ましくは、「単離された」核酸分子は、核酸が由来する生物のゲノムDNA中の核酸(すなわち、核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)に天然に隣接する配列がない。例えば、種々の実施形態において、この単離されたNOVX核酸分子は、核酸が由来する細胞/組織(例えば、脳、心臓、肝臓、脾臓など)のゲノムDNA中の核酸分子に天然に隣接するヌクレオチド配列の約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満を含む。さらに、cDNAのような「単離された」核酸分子は、組換え技術により生成された場合、他の細胞物質もしくは培養培地を実質的に含まず、またはこの核酸分子が化学的に合成された場合、化学的前駆体または多の化学物質を実質的に含まない。
【0285】
本発明の核酸分子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、および36、またはこの前述のヌクレオチド配列の相補体)は、標準的な分子生物学技術および本明細書中に提供される配列情報を用いて単離され得る。ハイブリダイゼーションプローブとして配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、および36の核酸配列の全部または一部を用いて、NOVX分子は、標準的なハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術を用いて単離され得る(例えば、Sambrook,et al.,(eds.),MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL 2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989;およびAusubel,et al.,(eds.),CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,NY,1993に記載される)。
【0286】
本発明の核酸は、標準的なPCR増幅技術に従って、テンプレートおよび適切なオリゴヌクレオチドプライマーとして、cDNA、mRNA、または代わりにゲノムDNAを用いて増幅され得る。このように増幅された核酸は、適切なベクターにクローニングされ得、DNA配列分析により特徴付けられる。さらに、NOVXヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術により、例えば、自動化DNA合成機を用いて、調製され得る。
【0287】
本明細書中で用いられる場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、一連の連結されたヌクレオチド残基をいい、このオリゴヌクレオチドは、PCR反応において使用されるヌクレオチド塩基の十分な数を有する。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノムDNA配列またはcDNA配列に基づき得るか、またはこれらの配列から設計され得、特定の細胞もしくは組織中の同一の、類似の、または相補的なDNAもしくはRNAを増幅、確認またはこれらの存在を明らかにするために用いられ得る。オリゴヌクレオチドは、約10nt長、50nt長、または100nt長、好ましくは、約15nt〜30nt長を有する、核酸配列の一部を含む。本発明の1つの実施形態において、100nt長未満の核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、および36、またはその相補体のさらに少なくとも6つの連続するヌクレオチドをさらに含む。オリゴヌクレオチドは、化学的に合成され得、プローブとしても用いられ得る。
【0288】
別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、および36、またはこのヌクレオチド配列の一部(例えば、プローブもしくはプライマーとして用いられ得るフラグメント、またはNOVXポリペプチドの生物学的に活性な部分をコードするフラグメント)に示されるヌクレオチド配列の相補体である核酸分子を含む。配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19に示されるヌクレオチド配列の相補体である核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19に示されるヌクレオチド配列に十分相補的なものであり、これは、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、および36に示されるヌクレオチド配列に対してほとんどまたは全くミスマッチなく水素結合して、安定な二重鎖を形成する。
【0289】
本明細書中で用いられる場合、用語「相補的」は、核酸分子のヌクレオチドユニット間のワトソンクリック塩基対形成またはフーグスティーン塩基対形成をいい、用語「結合」は、2つのポリペプチドもしくは化合物、または関連ポリペプチドもしくは化合物、またはそれらの組み合わせの間の物理的または化学的な相互作用を意味する。結合としては、イオン結合、非イオン結合、ファンデルワールス結合、疎水性相互作用などが挙げられる。物理的相互作用は、直接的または間接的のいずれかであり得る。間接的相互作用とは、別のポリペプチドまたは化合物の効果を通じて生じ得るか、またはこの効果に起因し得る。直接的結合とは、別のポリペプチドまたは化合物の効果を通じて、またはこの効果に起因して生じない相互作用をいうが、代わりに、他の実質的な化学的中間体がない。
【0290】
本明細書中で提供されるフラグメントは、核酸の場合は、特異的ハイブリダイゼーションを可能にするに十分な長さ、またはアミノ酸の場合には、エピトープの特異的認識を可能にするに十分な長さの、少なくとも6つの(連続する)核酸または少なくとも4つの(連続する)アミノ酸の配列としてそれぞれ規定され、このフラグメントは、全長配列より短い、多くていくつかの部分である。フラグメントは、選択された核酸またはアミノ酸の任意の連続する一部分から得られ得る。誘導体は、直接的に、または改変もしくは部分的置換のいずれかによりネイティブの化合物から形成された核酸配列またはアミノ酸配列である。アナログは、特定の成分または側鎖に関してネイティブの化合物とは異なる以外は、ネイティブの化合物に類似であるが、同一ではない構造を有する核酸配列またはアミノ酸配列である。アナログは、合成であり得るか、または異なる進化起源に由来し得、野生型と比較して、類似もしくは逆の代謝活性を有し得る。ホモログは、異なる種に由来する特定の遺伝子の核酸配列またはアミノ酸配列である。
【0291】
誘導体およびアナログは、以下に記載されるように、誘導体またはアナログが、改変された核酸またはアミノ酸を含む場合、全長であってもよいし、全長以外のものでもよい。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体またはアナログとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:種々の実施形態において、同一のサイズの核酸配列またはアミノ酸配列に対して、または整列された配列と比較した場合(ここでこのアラインメントは、当該分野で公知のコンピューター相同性プログラムにより行われ、またはそのコード核酸は、ストリンジェントな、中程度にストリンジェントな、または低いストリンジェントな条件下で前述のタンパク質をコードする配列の相補体とハイブリダイズし得る)、少なくとも約70%、80%、または95%同一(好ましくは80〜95%同一)の本発明の核酸またはタンパク質に実質的に相同な領域を含む分子。例えば、Ausubel,et al.,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley&Sons,New York,NY,1993、および以下を参照のこと。
【0292】
「相同な核酸配列」または「相同なアミノ酸配列」あるいはそのバリエーションとは、上記で議論したように、ヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルで相同性により特徴付けられる配列をいう。相同なヌクレオチド配列は、NOVXポリペプチドのアイソフォームをコードするこれらの配列をコードする。アイソフォームは、例えば、RNAの選択的スプライシングの結果として同じ生物の異なる組織において発現され得る。あるいは、アイソフォームは、異なる遺伝子によりコードされ得る。本発明において、相同なヌクレオチド配列は、ヒト以外の種(脊椎動物が挙げられるが、これらに限定されず、従って、例えば、カエル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、および他の生物種が挙げられ得る)のNOVXポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。相同なヌクレオチド配列としてはまた、天然に存在する対立遺伝子バリエーション、および本明細書中に記載されるヌクレオチド配列の変異が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、相同なヌクレオチド配列は、ヒトNOVXタンパク質をコードする正確なヌクレオチド配列を含む。相同な核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、および36における保存的アミノ酸置換(以下を参照のこと)ならびにNOVXの生物学的活性を有するポリペプチドをコードするそれらの核酸配列を含む。NOVXタンパク質の種々の生物学的活性が以下に記載される。
【0293】
NOVXポリペプチドは、NOVX核酸のオープンリーディングフレーム(ORF)によりコードされる。ORFは、ポリペプチドに潜在的に翻訳され得るヌクレオチド配列に対応する。ORFを含む核酸のストレッチは、終止コドンにより途切れない。完全タンパク質のコード配列を示すORFは、ATG開始コドンで始まり、3つの「終止」コドン(すなわち、TAA、TAGまたはTGA)の1つで終わる。本発明の目的に関して、ORFは、開始コドン、終止コドンまたはその両方があるか、またはこれらがないコード配列の任意の部分であり得る。bona fide細胞タンパク質をコードするための良好な候補と考えられるORFについては、最小のサイズ要件は、しばしば、例えば、50以上のアミノ酸のタンパク質をコードするDNAのストレッチとして設定される。
【0294】
ヒトNOVX遺伝子のクローニングから決定されるヌクレオチド配列は、他の細胞型における(例えば、他の組織から)NOVXホモログ、ならびに他の脊椎動物からのNOVXホモログの同定および/またはクローニングにおける使用のために設計されたプローブおよびプライマーの生成を可能にする。プローブ/プライマーは、代表的に、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。このオリゴヌクレオチドは、代表的には、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19の少なくとも約12、25、50、100、150、200、250、300、350または400の連続するセンス鎖ヌクレオチド配列;あるいは配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列;あるいは配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36の天然に存在する変異体にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチドの領域を含む。
【0295】
ヒトNOVXヌクレオチド配列に基づくプローブは、同じタンパク質または相同なタンパク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出するために用いられ得る。種々の実施形態において、このプローブは、これらに結合する標識基をさらに含み得る(例えば、標識基は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る)。このようなプローブは、NOVXタンパク質を間違って発現する細胞または組織を同定するための診断試験キットの一部として、例えば、被験体からの細胞のサンプルにおけるNOVXコード核酸のレベルを測定する(例えば、NOVX mRNAレベルを検出するか、ゲノムNOVX遺伝子が変異しているか、または欠失しているか否かを決定する)ことにより用いられ得る。
【0296】
「NOVXポリペプチドの生物学的に活性な部分を有するポリペプチド」とは、用量依存性であってもそうでなくても、特定の生物学的アッセイにおいて測定される、本発明のポリペプチドの活性に類似するが、この活性に必ずしも同一ではない活性を示すポリペプチド(成熟形態を含む)をいう。「NOVXの生物学的に活性な部分」をコードする核酸フラグメントは、NOVX生物学的活性(NOVXタンパク質の生物学的活性は以下に記載される)を有するポリペプチドをコードする配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17または19の一部分を単離し、NOVXタンパク質のコードされた部分を(例えば、インビトロでの組換え発現により)発現し、NOVXのコードされた部分の活性を評価するすることにより、調製され得る。
【0297】
(NOVXの核酸およびポリペプチドの改変体)
本発明はさらに、遺伝コードの縮重に起因して、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36に示されるヌクレオチド配列とは異なり、従って、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36に示されるヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質と同じNOVXタンパク質をコードする核酸分子を包含する。別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0298】
配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36に示されるヒトNOVXヌクレオチド配列に加えて、このNOVXポリペプチドのアミノ酸配列における変化を導くDNA配列多型が、集団(例えば、ヒト集団)内に存在し得ることが、当業者によって理解される。NOVX遺伝子中のこのような遺伝的多型は、天然の対立遺伝子のバリエーションに起因して、集団内の個体間に存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」は、NOVXタンパク質、好ましくは脊椎動物のNOVXタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む核酸分子をいう。このような天然の対立遺伝子のバリエーションは、代表的には、NOVX遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の分散を生じ得る。天然の対立遺伝子バリエーションの結果であり、かつこのNOVXポリペプチドの機能的活性を変化させない、NOVXポリペプチド内の任意および全てのこのようなヌクレオチドのバリエーションならびに得られるアミノ酸多型は、本発明の範囲内であると意図される。
【0299】
さらに、他の種由来のNOVXタンパク質をコードし、従って、ヒトの配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範囲内にあることが意図される。本発明のNOVXのcDNAの天然の対立遺伝子改変体およびホモログに対応する核酸分子は、本明細書中に開示されるヒトNOVX核酸に対するその相同性に基づいて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、標準的なハイブリダイゼーション技術に従うハイブリダイゼーションプローブとしてヒトcDNAまたはその一部を用いて単離され得る。
【0300】
従って、別の実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも6ヌクレオチド長であり、そしてストリンジェント条件下で配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズする。別の実施形態では、この核酸は、少なくとも10、25、50、100、250、500、750、1000、1500、または2000以上のヌクレオチド長である。なお別の実施形態では、本発明の単離された核酸分子は、コード領域にハイブリダイズする。本明細書中で用いられる場合、用語「ストリンジェント条件下でハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄に関して、互いに少なくとも60%相同なヌクレオチド配列が代表的には互いにハイブリダイズしたまま残る条件を記載することを意図する。
【0301】
ホモログ(すなわち、ヒト以外の種由来のNOVXタンパク質をコードする核酸)または他の関連配列(例えば、パラログ)は、特定のヒト配列の全てまたは一部をプローブとし、核酸ハイブリダイゼーションおよびクローニングに関して当該分野で周知の方法を使用して、低い、中程度の、または高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションによって入手され得る。
【0302】
本明細書で用いられる場合、語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、その条件下で、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドが、その標的配列にハイブリダイズするが、その他の配列にはハイブリダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、そして異なる状況で異なる。より長い配列は、より短い配列より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHで、特定の配列の熱融解点(Tm)より約5℃低いように選択される。このTmは、標的配列に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度下)温度である。標的配列は一般に過剰で存在するので、Tmでは、50%のプローブが平衡状態で占有されている。代表的には、ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオンより低く、代表的には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン(またはその他の塩)であり、そして温度が、短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10nt〜50nt)については、少なくとも約30℃、そしてより長いプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチドについては、少なくとも約60℃であるような条件である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような、不安定化剤の添加で達成され得る。
【0303】
ストリンジェント条件は、当業者に公知であり、そしてAusubelら(編),CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6に見出され得る。好ましくは、この条件は、互いに少なくとも約65%、約70%、約75%、約85%、約90%、約95%、約98%または約99%相同な配列が、代表的には互いにハイブリダイズしたまま残るような条件である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500mg/ml変性サケ精子DNAを含む高塩緩衝液中での65℃でのハイブリダイゼーションであり、これは続いて、0.2×SSC、0.01% BSA中での50℃での1回以上の洗浄を行う。ストリンジェント条件下で配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36の配列にハイブリダイズする、本発明の単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書中で使用される場合、「天然に存在する」核酸分子とは、天然に存在する(例えば、天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有する、RNA分子またはDNA分子をいう。
【0304】
第2の実施形態では、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36のヌクレオチド配列、またはそれらのフラグメント、アナログもしくは誘導体を含む核酸分子に、中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸配列が提供される。中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、55℃での6×SSC、5×デンハルト溶液、0.5% SDSおよび100mg/ml変性サケ精子DNA中でのハイブリダイゼーション、続いて1×SSC、0.1% SDS中での37℃での1回以上の洗浄である。用いられ得る中程度のストリンジェンシーの他の条件は、当該分野で周知である。例えば、Ausubelら(編),1993,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,NYおよびKriegler,1990,GENE TRANSFER AND EXPRESSION,A LABORATORY MANUAL,Stockton Press,NYを参照のこと。
【0305】
第3の実施形態では、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36のヌクレオチド配列、またはそれらのフラグメント、アナログもしくは誘導体を含む核酸分子に、低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得る核酸が提供される。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100mg/mlの変性サケ精子DNA、10%(重量/容量)デキストラン硫酸中での40℃でのハイブリダイゼーション、続いて2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTAおよび0.1% SDS中での50℃での1回以上の洗浄である。用いられ得る低ストリンジェンシーの他の条件は、当該分野で周知である(例えば、種交差ハイブリダイゼーションについて用いられるような条件)。例えば、Ausubelら(編),1993,CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,NYならびにKriegler,1990,GENE TRANSFER AND EXPRESSION,A LABORATORY MANUAL,Stockton Press,NY;ShiloおよびWeinberg,1981,Proc Natl Acad Sci USA 78:6789−6792を参照のこと。
【0306】
(保存的変異)
集団中に存在し得る、NOVX配列の天然に存在する対立遺伝子改変体に加えて、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36のヌクレオチド配列への変異によって変化が導入され得、それによって、このNOVXタンパク質の機能的能力を変更することなく、コードされるNOVXタンパク質のアミノ酸配列に変化がもたらされることを、当業者はさらに理解する。例えば、「非必須」アミノ酸残基にてアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換は、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37の配列において行われ得る。「非必須」アミノ酸残基は、その生物学的活性を変更することなく、このNOVXタンパク質の野生型配列から変更され得る残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は、このような生物学的活性に必要とされる。例えば、本発明のNOVXタンパク質の間で保存されているアミノ酸残基は、特に変更を受け入れ難いと予測される。保存的置換がなされ得るアミノ酸は、当該分野で周知である。
【0307】
本発明の別の局面は、活性に必須ではないアミノ酸残基における変化を含む、NOVXタンパク質をコードする核酸分子に関する。このようなNOVXタンパク質は、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36のアミノ酸配列とは異なるが、生物学的活性をなお保持する。1つの実施形態では、単離された核酸分子は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、このタンパク質は、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37のアミノ酸配列に少なくとも約45%相同であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、この核酸分子によってコードされるタンパク質は、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37に対して少なくとも約60%相同であり;より好ましくは配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に対して少なくとも約70%相同であり;なおより好ましくは、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に対してして少なくとも約80%相同であり;なおより好ましくは、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に対して少なくとも約90%相同であり;そして最も好ましくは、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に対して少なくとも約95%相同である。
【0308】
配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37のタンパク質に相同なNOVXタンパク質をコードする単離された核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36のヌクレオチド配列に1以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失を導入することにより作製され得、その結果、1以上のアミノ酸の置換、付加または欠失が、このコードされるタンパク質に導入される。
【0309】
変異は、標準技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によって配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36に導入され得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換が、1以上の推定非必須アミノ酸残基にて作製される。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される、アミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で定義されている。これらのファミリーとしては、以下が挙げられる:塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アルパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。従って、NOVXタンパク質中の推定非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖のファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換される。あるいは、別の実施形態では、変異は、NOVXコード配列の全てまたは一部に沿って(例えば、飽和変異誘発(saturation mutagenesis)によって)ランダムに導入され得、そして得られる変異体は、NOVXの生物学的活性についてスクリーニングされて、活性を維持する変異体を同定し得る。配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36の変異誘発に続いて、コードされるタンパク質は、当該分野で公知の任意の組換え技術によって発現され得、そしてこのタンパク質の活性が決定され得る。
【0310】
アミノ酸ファミリーの関連性はまた、側鎖の相互作用に基づいて決定され得る。置換されたアミノ酸は、完全に保存された「強い」残基または完全に保存された「弱い」残基であり得る。保存されたアミノ酸残基の「強い」群は、以下の群のいずれかであり得る:STA、NEQK、NHQK、NDEQ、QHRK、MILV、MILF、HY、FYW(ここで、一文字アミノ酸コードは、互いに置換され得るこれらのアミノ酸残基によりグループ化される)。同様に、保存された残基の「弱い」群は、以下のいずれか1つであり得る:CSA、ATV、SAG、STNK、STPA、SGND、SNDEQK、NDEQHK、NEQHRK、VLIM、HFY(ここで、各群内の文字は、一文字アミノ酸コードを表す)。
【0311】
1つの実施形態では、変異体NOVXタンパク質は、以下についてアッセイされ得る:(i)他のNOVXタンパク質、他の細胞表面タンパク質、または生物学的に活性なそれらの部分と、タンパク質:タンパク質相互作用を形成する能力、(ii)変異体NOVXタンパク質と、NOVXのリガンドとの間の複合体形成;または(iii)変異体NOVXタンパク質が細胞内標的タンパク質またはその生物学的に活性な部分に結合する能力;(例えば、アビジンタンパク質)。
【0312】
なお別の実施形態において、変異体NOVXタンパク質は、特定の生物学的機能を調節する能力(例えば、インスリン放出の調節)についてアッセイされ得る。
【0313】
(アンチセンス核酸)
本発明の別の局面は、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36またはそのフラグメント、アナログもしくは誘導体のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズし得るかまたは相補的である、単離されたアンチセンス核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的である(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的であるかまたはmRNA配列に相補的である)ヌクレオチド配列を含む。特定の局面では、少なくとも約10、約25、約50、約100、約250もしくは約500ヌクレオチドまたはNOVXコード鎖の全体、またはそれらの一部のみに相補的な配列を含む、アンチセンス核酸分子が提供される。配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35もしくは37のNOVXタンパク質のフラグメント、ホモログ、誘導体およびアナログをコードする核酸分子、または配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36のNOVX核酸配列に相補的なアンチセンス核酸がさらに提供される。
【0314】
1つの実施形態では、アンチセンス核酸分子は、NOVXタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コード領域」とは、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含む、ヌクレオチド配列の領域をいう。別の実施形態では、このアンチセンス核酸分子は、NOVXタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」とは、コード領域に隣接する、アミノ酸に翻訳されない、5’配列および3’配列をいう(すなわち、5’非翻訳領域および3’非翻訳領域ともいわれる)。
【0315】
本明細書中に開示されるNOVXタンパク質をコードするコード鎖配列を考慮すれば、本発明のアンチセンス核酸は、WatsonおよびCrickまたはHoogsteenの塩基対形成の規則に従って設計され得る。アンチセンス核酸分子は、NOVX mRNAのコード領域全体に相補的であり得るが、より好ましくは、NOVX mRNAのコード領域または非コード領域の一部にのみアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、NOVX mRNAの翻訳開始部位を取り囲む領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45または約50ヌクレオチドの長さであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を用いて、化学的合成または酵素連結反応を用いて構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、またはこの分子の生物学的安定性を増大させるように、もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸との間で形成される二重鎖の物理的安定性を増大させるように設計された種々に改変されたヌクレオチドを用いて化学的に合成され得る(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが用いられ得る)。
【0316】
アンチセンス核酸を作製するために用いられ得る改変されたヌクレオチドの例としては以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキューオシン(galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキューオシン(mannosylqueosine)、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、プソイド(シュード)ウラシル、キューオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、このアンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを用いて生物学的に生成され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、以下の小節にさらに記載されるように、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である)。
【0317】
本発明のアンチセンス核酸分子は、代表的には被験体に投与されるか、またはインサイチュで生成され、その結果それらは、NOVXタンパク質をコードする細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするか、またはそれに結合し、それによってこのタンパク質の発現を阻害する(例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって)。このハイブリダイゼーションは、安定な二重鎖を形成する従来のヌクレオチド相補性によってか、または例えばDNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二重らせんの主溝における特異的相互作用を介してであり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例としては、組織部位での直接的注射が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的化するように改変され得、次いで全身に投与され得る。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、選択された細胞表面上に発現されたレセプターまたは抗原にそれらが特異的に結合するように改変され得る(例えば、そのアンチセンス核酸分子を細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって)。このアンチセンス核酸分子はまた、本明細書中に記載されるベクターを用いて細胞に送達され得る。十分な核酸分子を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれているベクター構築物が、好ましい。
【0318】
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、ここで、通常のβ−ユニットとは対照的に、これらの鎖は、互いに平行に延びる(例えば、Gaultierら,1987,Nucl.Acids Res.15:6625−6641を参照のこと)。このアンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(例えば、Inoueら,1987,Nucl.Acids Res.15:6131〜6148を参照のこと)またはキメラRNA−DNAアナログ(例えば、Inoueら,1987,FEBS Lett.215:327〜330を参照のこと)を含み得る。
【0319】
(リボザイムおよびPNA部分)
核酸の改変としては、非制限的な例として、改変塩基、および糖リン酸骨格が改変または誘導体化された核酸が挙げられる。これらの改変は、少なくとも一部は、改変された核酸の化学的安定性を増強するために実施され、その結果、それらは、例えば、被験体での治療的適用におけるアンチセンス結合核酸として使用され得る。
【0320】
1つの実施形態において、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。リボザイムは、一本鎖核酸(例えば、mRNA)を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子であり、これらは、その一本鎖核酸に対して相補領域を有する。従って、リボザイム(例えば、HaselhoffおよびGerlach 1988.Nature 334:585−591に記載されるハンマーヘッド型リボザイム)を使用して、NOVX mRNA転写物を触媒的に切断し、それによってNOVX mRNAの翻訳を阻害し得る。NOVXをコードする核酸に特異性を有するリボザイムは、本明細書中に開示されるNOVX cDNAのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36)に基づいて設計され得る。例えば、活性部位のヌクレオチド配列が、NOVXをコードするmRNA内で切断されるヌクレオチド配列に相補的である、テトラヒメナ(Tetrahymena)L−19 IVS RNAの誘導体が構築され得る。例えば、Cechらの米国特許第4,987,071号およびCechらの米国特許第5,116,742号を参照のこと。NOVX mRNAをまた使用して、RNA分子のプールから、特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択し得る。例えば、Bartelら、(1993)Science 261:1411〜1418を参照のこと。
【0321】
あるいは、NOVX遺伝子発現は、NOVX核酸の調節領域(例えば、NOVXのプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的化し、標的細胞中でNOVX遺伝子の転写を妨害する三重らせん構造を形成することによって阻害され得る。例えば、Helene,1991.Anticancer Drug Des.6:569〜84;Heleneら.1992.Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;Maher,1992.Bioassays 14:807−15を参照のこと。
【0322】
種々の実施形態において、NOVX核酸は、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格で改変され、例えば、その分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは可溶性を改善し得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を改変して、ペプチド核酸を生成し得る(例えば、Hyrupら,1996.Bioorg Med Chem 4:5−23を参照のこと)。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」は、デオキシリボースリン酸骨格が偽ペプチド骨格によって置換され、そして4つの天然の核酸塩基のみが保持されている核酸模倣物(例えば、DNA模倣物)をいう。PNAの中性の骨格は、低いイオン強度の条件下でDNAおよびRNAに対する特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら,1996.前出;Perry−O’Keefeら,1996.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−14675において記載されるような標準的固相ペプチド合成プロトコルを用いて行われ得る。
【0323】
NOVXのPNAは、治療的適用および診断的適用において使用され得る。例えば、PNAは、例えば転写または翻訳の停止を誘導することまたは複製を阻害することによる、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンスまたは抗遺伝子(antigene)剤として使用され得る。NOVXのPNAはまた、例えばPNA指向性PCRクランピング(clamping)による遺伝子における一塩基対変異の分析において;他の酵素(例えば、Sヌクレアーゼ)と組み合わせて使用される場合の人工制限酵素として(Hyrupら,1996.前出を参照のこと);またはDNA配列およびハイブリダイゼーションのプローブもしくはプライマーとして(Hyrupら,1996,前出;Perry−O’Keefeら,1996,前出を参照のこと)、使用され得る。
【0324】
別の実施形態において、NOVXのPNAは、例えば、それらの安定性または細胞性取り込みを増強するために、PNAに親油基または他のヘルパー基を結合することによって、PNA−DNAキメラの形成によって、またはリポソームもしくは当該分野において公知の薬物送達の他の技術の使用によって改変され得る。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を組合せ得る、NOVXのPNA−DNAキメラが生成され得る。PNA部分が高い結合親和性および特異性を提供する一方で、そのようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNase HおよびDNAポリメラーゼ)がDNA部分と相互作用するのを可能にする。PNA−DNAキメラは、塩基のスタッキング、核酸塩基間の結合数および方向を考慮して選択される適切な長さのリンカーを使用して連結され得る(Hyrupら,1996,前出を参照のこと)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrupら,1996,前出およびFinnら,1996,Nucl Acids Res 24:3357−3363において記載されるように行われ得る。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホルアミダイトカップリング化学を用いて固体支持体上で合成され得、そして改変されたヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイト)が、PNAとDNAの5’末端との間に使用され得る(例えば、Magら,1989,Nucl Acid Res 17:5973〜5988を参照のこと)。次いで、PNAモノマーが段階様式でカップリングされ、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成する(例えば、Finnら,1996,前出を参照のこと)。あるいは、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いて、キメラ分子が合成され得る。例えば、Petersenら,1975、Bioorg.Med.Chem.Lett.5:1119〜11124を参照のこと。
【0325】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、以下のような他の付属の基を含み得る:ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的化するため)、または細胞膜(例えば、Letsingerら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6553〜6556;Lemaitreら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.84:648〜652;PCT公開番号WO88/09810を参照のこと)、もしくは血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照のこと)を横切る輸送を容易にする因子。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発切断剤(例えば、Krolら、1988、BioTechniques 6:958〜976を参照のこと)、またはインターカレート剤(例えば、Zon,1988、Pharm.Res.5:539〜549を参照のこと)で改変され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発切断剤など)に結合され得る。
【0326】
(NOVXポリペプチド)
本発明に従うポリペプチドは、配列が配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に提供されるNOVXポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明はまた、なおそのNOVX活性および生理学的機能を維持するタンパク質、またはその機能的フラグメントをコードするが、その任意の残基が配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、もしくは37に示される対応する残基から変化し得る、変異体または改変体タンパク質を含む。
【0327】
一般に、NOVX様機能を保持するNOVX改変体は、配列中の特定位置の残基が他のアミノ酸により置換されている任意の改変体を含み、そしてさらに、親タンパク質の2つの残基間にさらなる残基を挿入する可能性、および親配列から1つ以上の残基を欠失する可能性を含む。任意のアミノ酸置換、挿入または欠失が、本発明に包含される。好適な状況では、この置換は、上記で規定されるような保存的置換である。
【0328】
本発明の1つの局面は、単離されたNOVXタンパク質、およびその生物学的に活性な部分、またはそれらの誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログに関する。抗NOVX抗体を惹起するための免疫原としての使用のために適切なポリペプチドフラグメントもまた提供される。1つの実施形態において、ネイティブなNOVXタンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を用いる適切な精製スキームによって、細胞または組織供給源から単離され得る。別の実施形態において、NOVXタンパク質は、組換えDNA技術によって産生される。組換え発現に代わるものとして、NOVXタンパク質またはポリペプチドは、標準的なペプチド合成技術を用いて化学合成され得る。
【0329】
「単離された」または「精製された」ポリペプチドまたはタンパク質あるいはその生物学的に活性な部分は、NOVXタンパク質の由来する細胞または組織供給源由来の細胞性物質または他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、あるいは化学合成される場合に化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞性物質を実質的に含まない」は、NOVXタンパク質の調製物を含み、この調製物において、NOVXタンパク質が単離または組換え産生される細胞の細胞性成分から、NOVXタンパク質は分離されている。1つの実施形態において、用語「細胞性物質を実質的に含まない」は、非NOVXタンパク質(本明細書中において「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を(乾燥重量にて)約30%未満、より好ましくは非NOVXタンパク質を約20%未満、なおより好ましくは非NOVXタンパク質を約10%未満、そして最も好ましくは非NOVXタンパク質を約5%未満有する、NOVXタンパク質の調製物を含む。NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換え産生される場合、好ましくは、調製物はまた培養培地を実質的に含まない。すなわち、培養培地は、そのNOVXタンパク質調製物の容量の約20%未満、より好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは約5%未満を示す。
【0330】
用語「化学前駆体も他の化学物質も実質的に含まない」は、タンパク質が、そのタンパク質の合成に関与する化学前駆体からも他の化学物質から分も離されているNOVXタンパク質の調製物を含む。1つの実施形態において、用語「化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、化学前駆体または非NOVXの化学物質を約30%未満(乾燥重量にて)、より好ましくは化学前駆体または非NOVX化学物質を約20%未満、なおより好ましくは化学前駆体または非NOVX化学物質を約10%未満、そして最も好ましくは化学前駆体または非NOVX化学物質を約5%未満有する、NOVXタンパク質の調製物を含む。
【0331】
NOVXタンパク質の生物学的に活性な部分は、全長NOVXタンパク質より少ないアミノ酸を含み、そしてNOVXタンパク質の少なくとも1つの活性を示す、NOVXタンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に示されるアミノ酸配列)に十分に相同なアミノ酸配列、またはNOVXタンパク質のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。代表的には、生物学的に活性な部分は、NOVXタンパク質の少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。NOVXタンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、長さが10、25、50、100またはそれより多いアミノ酸残基であるポリペプチドであり得る。
【0332】
さらに、タンパク質の他の領域が欠失している他の生物学的に活性な部分は、組換え技術によって調製され得、そしてネイティブなNOVXタンパク質の機能的活性のうちの1つ以上について評価され得る。
【0333】
1つの実施形態において、NOVXタンパク質は、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態において、NOVXタンパク質は、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37に実質的に相同であり、そして以下に詳細に議論されるように、天然の対立遺伝子バリエーションまたは変異誘発に起因してアミノ酸配列が異なるが、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37のタンパク質の機能的活性を保持する。従って、別の実施形態において、NOVXタンパク質は、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37のアミノ酸配列に少なくとも約45%相同なアミノ酸配列を含み、そして、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37のNOVXタンパク質の機能的活性を保持するタンパク質である。
【0334】
(2つ以上の配列間の相同性の決定)
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の相同性の百分率を決定するために、配列は、至適な比較の目的のために整列される(例えば、ギャップが、第2のアミノ酸または核酸配列との最適な整列のために、第1のアミノ酸配列または核酸配列の配列中に導入され得る)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められる場合、その分子は、その位置で相同である(すなわち、本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の「相同性」は、アミノ酸または核酸の「同一性」と等価である)。
【0335】
核酸配列の相同性は、2つの配列間の同一性の程度として決定され得る。相同性は、当該分野において公知のコンピュータープログラム(例えば、GCGプログラムパッケージにおいて提供されるGAPソフトウェア)を用いて決定され得る。NeedlemanおよびWunsch,1970 J Mol Biol 48:443〜453を参照のこと。核酸配列比較のための以下の設定(GAP生成ペナルティー、5.0、およびGAP伸長ペナルティー、0.3)を用いてGCG GAPソフトウェアを使用すると、上記で言及される類似の核酸配列のコード領域は、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36に示されるDNA配列のCDS(コード)部分と、好ましくは少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%または99%の同一性の程度を示す。
【0336】
用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列が、特定の比較領域にわたって、残基毎を基準として同一である程度をいう。用語「配列同一性のパーセンテージ」は、以下により算出される:この比較領域にわたって最適に整列された2つの配列を比較すること、両方の配列において同一の核酸塩基(例えば、核酸の場合にはA、T、C、G、U、またはI)が存在する位置の数を決定し、一致した位置の数を導くこと、この一致した位置の数を、比較領域の内の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算すること、およびその結果を100で乗算して、配列同一性のパーセンテージを導くこと。用語「実質的な同一性」は、本明細書中で使用される場合、ポリヌクレオチド配列の特徴を示し、ここでこのポリヌクレオチドは、比較領域にわたり参照配列と比較して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の同一性、そして頻繁には90〜95%の配列同一性、より通常には少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0337】
(キメラタンパク質および融合タンパク質)
本発明はまた、NOVXキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書中で使用される場合、NOVX「キメラタンパク質」またはNOVX「融合タンパク質」は、非NOVXポリペプチドに作動可能に連結された、NOVXポリペプチドを含む。「NOVXポリペプチド」は、NOVXタンパク質(配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、または37)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、「非NOVXポリペプチド」は、NOVXタンパク質に対して実質的に相同ではないタンパク質(例えば、NOVXタンパク質とは異なり、かつ同一かまたは異なる生物体に由来するタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。NOVX融合タンパク質において、このNOVXポリペプチドは、NOVXタンパク質の全てまたは一部分に対応し得る。1つの実施形態では、NOVX融合タンパク質は、NOVXタンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。別の実施形態では、NOVX融合タンパク質は、NOVXタンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。なお別の実施形態においてNOVX融合タンパク質は、NOVXタンパク質の少なくとも3つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質において、用語「作動可能に連結された」は、NOVXポリペプチドおよび非NOVXポリペプチドが、インフレームで互いに融合されていることを示すことが意図される。非NOVXポリペプチドは、NOVXポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
【0338】
1つの実施形態においては、この融合タンパク質は、GST−NOVX融合タンパク質であり、ここではNOVX配列が、GST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列のC末端に融合される。このような融合タンパク質は、組換えNOVXポリペプチドの精製を容易にし得る。
【0339】
別の実施形態において、この融合タンパク質は、そのN末端に異種シグナル配列を含むNOVXタンパク質である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)において、NOVXの発現および/または分泌は、異種シグナル配列の使用を介して増加され得る。
【0340】
なお別の実施形態において、この融合タンパク質は、NOVX−免疫グロブリン融合タンパク質であり、ここで、NOVX配列が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合される。本発明のこのNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質は、薬学的組成物中に取り込まれ、そして被験体に投与されて、細胞の表面上でNOVXリガントとNOVXタンパク質との間の相互作用を阻害し、それによってインビボのNOVX媒介シグナル伝達を抑制し得る。このNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質を用い、NOVX同族リガンドのバイオアベイラビリティに影響を与え得る。NOVXリガンド/NOVX相互作用の阻害は、増殖障害および分化障害の両方の処置、および細胞生存を調節(例えば、促進または阻害)することに、治療的に有用であり得る。さらに、本発明のこのNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質は、被験体中で抗NOVX抗体を産生するための免疫原として用いられ得、NOVXリガンドを精製するらめに用いられ得、そしてNOVXリガンドとのNOVXの相互作用を阻害する分子を同定するスクリーニングアッセイで用いられ得る。
【0341】
本発明のNOVXキメラまたは融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術により産生され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、従来の技術に従って、例えば、連結のための平滑末端または付着(stagger)末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じて粘着(cohesive)末端のフィルイン、所望しない連結を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的連結を採用することにより、インフレームで一緒に連結する。別の実施形態では、融合遺伝子を、自動化DNA合成機を含む従来技術により合成し得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅を、2つの連続する遺伝子フラグメント間の相補的オーバハングを生じるアンカープライマーを用いて実施し得、このフラグメントは、次いで、キメラ遺伝子配列を生成するためにアニールおよび再増幅され得る(例えば、Ausubelら(編)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley&Sons、1992を参照のこと)。さらに、融合成分(例えば、GSTポリペプチド)をすでにコードした多くの発現ベクターが市販されている。NOVXをコードする核酸は、この融合成分がNOVXタンパク質にインフレーム連結されるように、このような発現ベクター中にクローン化され得る。
【0342】
(NOVXのアゴニストおよびアンタゴニスト)
本発明はまた、NOVXアゴニスト(すなわち、模倣物)として、またはNOVXアンタゴニストのいずれかとして機能するNOVXタンパク質の改変体に関する。NOVXタンパク質の改変体(例えば、NOVXタンパク質の離散した点変異または短縮型)が、変異誘発により生成され得る。NOVXタンパク質のアゴニストは、天然に存在する形態のNOVXタンパク質と実質的に同じ生物学的活性、またはその生物学的活性のサブセットを保持し得る。NOVXタンパク質のアンタゴニストは、天然に存在する形態のNOVXタンパク質の活性の1つ以上を、例えば、NOVXタンパク質を含む細胞シグナル伝達カスケードの下流または上流メンバーに競合的に結合することにより阻害し得る。従って、特定の生物学的効果が、限られた機能の改変体を用いた処理により惹起され得る。1つの実施形態では、このタンパク質の天然に存在する形態の生物学活性のサブセットを有する改変体を用いた被験体の処置は、NOVXタンパク質の天然に存在する形態を用いた処置に対して被験体における副作用がさらに少ない。
【0343】
NOVXアゴニスト(すなわち、模倣物)、またはNOVXアンタゴニストのいずれかとして機能するNOVXタンパク質の改変体は、NOVXタンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性についてNOVXタンパク質の変異体(例えば短縮型変異体)のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより同定され得る。1つの実施形態では、NOVX改変体の多彩なライブラリーは、核酸レベルでのコンビナトリアル変異誘発により生成され、そして多彩な遺伝子ライブラリーによりコードされる。NOVX改変体の多彩なライブラリーは、例えば、潜在的なNOVX配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、あるいは、その中にNOVX配列のセットを含む(例えば、ファージディスプレイのための)より大きな融合タンパク質のセットとして発現可能であるように、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、遺伝子配列に酵素的に連結することによって、産生され得る。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的なNOVX改変体のライブラリーを産生するために用いられ得る種々の方法がある。縮重遺伝子配列の化学的合成は、自動化DNA合成機中で実施され得、次いでこの合成遺伝子は、適切な発現ベクター中に連結される。遺伝子の縮重セットの使用は、1つの混合物において、潜在的なNOVX配列の所望のセットをコードする全ての配列の供給を可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は当該分野で周知である。例えば、Narang,1983.Tetrahedron 39:3;Itakuraら,1984.Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakuraら,1984.Science 198:1056;Ikeら,1983.Nucl.Acids Res.11:477を参照のこと。
【0344】
(ポリペプチドライブラリー)
さらに、NOVXタンパク質コード配列のフラグメントのライブラリーを用いて、NOVXタンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選択のためのNOVXフラグメントの多彩な集団を生成し得る。1つの実施形態では、コード配列フラグメントのライブラリーは、NOVXコード配列の二本鎖PCRフラグメントを、1分子あたり約1つのみのニックが生じる条件下で、ヌクレアーゼで処理すること、二本鎖DNAを変性させること、異なるニック産物からのセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成するためにこのDNAを再生すること、Sヌクレアーゼを用いた処理により再形成された二重鎖から一本鎖部分を除去すること、および得られるフラグメントライブラリーを発現ベクター中に連結することにより生成し得る。この方法によって、NOVXタンパク質の種々のサイズのN末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーが派生し得る。
【0345】
点変異または短縮化により作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、および選択された性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするための種々の技術が当該分野で公知である。このような技術を、NOVXタンパク質のコンビナトリアル変異誘発により生成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングに適用可能である。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための、ハイスループット分析に適した最も広く用いられる技術は、代表的には、複製可能な発現ベクター中に遺伝子ライブラリーをクローニングすること、得られるベクターのライブラリーで適切な細胞を形質転換すること、およびこのコンビナトリアル遺伝子を、所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下で発現することを含む。ライブラリー中の機能的変異体の頻度を増大する新規技術であるリクルーシブアンサンブル変異誘発(Recursive ensemble mutagenesis)(REM)を、スクリーニングアッセイと組み合わせて用い、NOVX改変体を同定し得る。例えば、ArkinおよびYourvan,1992.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgraveら,1993.Protein Engineering 6:327−331を参照のこと。
【0346】
(抗NOVX抗体)
NOVXタンパク質、またはNOVXタンパク質のフラグメントに対する抗体もまた本発明に含まれる。用語「抗体」とは、本明細書において用いる場合、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原に特異的に結合(抗原と免疫反応)する抗原結合部位を含む分子)をいう。このような抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、およびF(ab’)2フラグメント、ならびにFab発現ライブラリーが挙げられるがこれらに限定されない。一般に、ヒトから得た抗体分子は、この分子に存在する重鎖の性質が互いに異なるクラスであるIgG、IgM、IgA、IgE、およびIgDのいずれかに関する。特定のクラスは、同様にサブクラス(例えば、IgG、IgG等)を有する。さらに、ヒトにおいては、軽鎖は、κ鎖またはλ鎖であり得る。抗体に関する本明細書における言及は、ヒト抗体種のこのようなクラス、サブクラス、およびタイプの全てに関する言及を包含する。
【0347】
本発明の単離されたNOVX関連タンパク質は、抗原またはその一部もしくはフラグメントとして機能することが意図され得、そしてさらに、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を用いて、抗原に免疫特異的に結合する抗体を生成するための免疫原として用いられ得る。全長のタンパク質が用いられ得るか、あるいは、本発明は、免疫原としての使用のための抗原の抗原性ペプチドフラグメントを提供する。抗原性ペプチドフラグメントは、全長タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも6つのアミノ酸残基を含み、そしてこのペプチドに対して惹起された抗体が、全長タンパク質と、またはこのエピトープを含む任意のフラグメントと特異的な免疫複合体を形成するように、そのエピトープを包含する。好ましくは、この抗原性ペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基、または少なくとも15アミノ酸残基、または少なくとも20アミノ酸残基、または少なくとも30アミノ酸残基を含む。抗原性ペプチドに包含される好ましいエピトープは、その表面上に位置するタンパク質の領域である;通常これらは親水性領域である。
【0348】
本発明の特定の実施形態では、抗原性ペプチドに含まれる少なくとも1つのエピトープは、NOVX関連タンパク質の表面上に位置するNOVX関連タンパク質の領域、例えば、親水性領域である。ヒトNOVX関連タンパク質配列の疎水性分析によって、NOVX関連タンパク質のどの領域が特に親水性であり、従って抗体産生を標的するのに有用な表面残基をコードする可能性が高いかが示される。抗体産生を標的するための手段として、親水性領域および疎水性領域を示すハイドロパシープロットを、例えば、フーリエ変換を伴うかまたは伴わないかのいずれかである、Kyte DoolittleまたはHopp Woods法を含む、当該分野で周知の任意の方法により生成し得る。例えば、その各々がその全体において本明細書に参考として援用される、HoppおよびWoods、1981、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 78:3824−3828;KyteおよびDoolittle 1982、J.Mol.Biol.157:105−142を参照のこと。抗原性タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログ内の1つ以上のドメインに対して特異的な抗体もまた、本明細書中で提供される。
【0349】
本発明のタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、ホモログもしくはオルソログは、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の産生における免疫原として利用され得る。
【0350】
当該分野において公知の種々の手順が、本発明のタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、ホモログもしくはオルソログに対して指向されるポリクロナール抗体またはモノクロナール抗体の産生のために使用され得る(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,HarlowおよびLane,1988,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor、NY(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。これらの抗体のうちのいくつかは、以下で考察される。
【0351】
(ポリクロナール抗体)
ポリクロナール抗体の産生のために、種々の適切な宿主動物(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の動物)は、ネイティブなタンパク質、その合成改変体、または前記の誘導体を用いる1以上の注射によって免疫され得る。適切な免疫原性調製物は、例えば、天然に存在する免疫原性タンパク質、免疫原性タンパク質を提示する化学的に合成されたポリペプチド、または組換え的に発現される免疫原性タンパク質を含み得る。さらに、このタンパク質は、免役されている哺乳動物において免疫原性であることが知られている第2のタンパク質に結合体化され得る。このような免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、および大豆トリプシンインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。この調製物はさらに、アジュバントを含み得る。種々のアジュバントが免疫学的応答を増加させるために使用され、このようなアジュバントとしては、フロイントのアジュバント(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、ジニトロフェノールなど)、ヒトにおいて使用可能なアジュバント(例えば、Bacille Calmette−GuerinおよびCorynebacterium parvum)または類似の免疫刺激剤が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得るアジュバントのさらなる例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。
【0352】
免疫原性タンパク質に対して指向されるポリクロナール抗体分子は、哺乳動物から(例えば、血液から)単離され得、そして周知の技術(例えば、プロテインAまたはプロテインGを用いるアフィニティクロマトグラフィー(これは、主に免疫血清のIgG画分を提供する))によってさらに精製され得る。続いて、または代替的に、求められている免疫グロブリンの標的である特定の抗原またはその抗原のエピトープがカラムに固定され、免疫アフィニティクロマトグラフィーによって免疫特異的抗体を精製し得る。免疫グロブリンの精製は、例えば、D.Wilkinson(The Scientist(The Scientist,Inc.,Philadelphia PAより発行)、第14巻、第8号(2000年4月17日)、25〜28頁)によって考察される。
【0353】
(モノクローナル抗体)
本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノクローナル抗体組成物」は、独特の軽鎖遺伝子産物および独特の重鎖遺伝子産物からなる抗体分子の唯一の分子種を含む抗体分子の集団をいう。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、この集団の全ての分子に同一である。従って、MAbは、抗原への独特の結合親和性によって特徴付けられる抗原の特定のエピトープと免疫反応可能な抗原結合部位を含む。
【0354】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法(例えば、KohlerおよびMilstein,Nature,256:495(1975)に記載されるような方法)を使用して調製され得る。ハイブリドーマ方法において、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物は、免疫因子で代表的に免疫され、免疫因子に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生し得るリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫され得る。
【0355】
免疫因子としては、代表的に、タンパク質抗原、そのフラグメントまたはその融合タンパク質が挙げられる。一般的には、ヒト起源の細胞が所望される場合に末梢血リンパ球が使用されるか、または、非ヒト哺乳動物供給源が望まれる場合に脾臓細胞またはリンパ節細胞が使用されるかのいずれかである。次いで、適切な融合因子(例えば、ポリエチレングリコール)を使用して、リンパ球を不死化細胞株に融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE,Academic Press(1986)第59−103頁)。不死化細胞株は、通常、形質転換された哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシおよびヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、1以上の物質(融合されていない不死化細胞の増殖または生存を阻害する)を含む適切な培養培地中で培養され得る。例えば、親の細胞が酵素、ヒポキサンチングアニンンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマからの培養培地は、代表的にヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含み(「HAT培地」)、それらの物質はHGPRT欠失細胞の増殖を阻害する。
【0356】
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定な高レベルの抗体の発現を支持し、そしてHAT培地のような培地に敏感な細胞株である。より好ましい不死化細胞株はマウス骨髄腫細胞株であり、それらは、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,CaliforniaおよびAmerican Type Culture Collection,Manassas,Virginiaから得ることが可能である。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒト異種骨髄腫(heteromyeloma)細胞株はまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載される(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら、MONOCLONAL ANTIBODY PRODUCTION TECHNIQUES AND APPLICATION,Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)第51−63頁)。
【0357】
次いで、ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地は、抗原に対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイされ得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって決定されるか、またはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA))によって決定される。このような技術およびアッセイは、当該分野で公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、MunsonおよびPollard,Anal.Biochem.,107:220(1980)のスキャッチャード分析によって決定され得る。好ましくは、標的抗原に対する高い程度の特異性および高結合親和性を有する抗体が、単離される。
【0358】
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、限界希釈手順によって、クローンをサブクローニングし得、そして標準的な方法によって増殖し得る。例えば、この目的のために適切な培養培地としては、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)およびRPMI−1640培地が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物内の腹水としてインビボで増殖され得る。
【0359】
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順(例えば、タンパク質Aセファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィー)によって、培養培地または腹水から、単離または精製され得る。
【0360】
モノクローナル抗体はまた、組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号に記載される方法)によって作製され得る。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され得、そして配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として役立つ。一旦単離されると、DNAは、発現ベクターに配置され得、次いでそれらは、宿主細胞(例えば、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞)にトランスフェクトされ、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成を得る。このDNAはまた、例えば、相同なマウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインをコードする配列の置換(米国特許第4,816,567号;Morrison,Nature 368,812−13(1994))によってか、または非免疫グロブリンポリペプチドについてのコード配列の全てまたは一部の配列をコードする免疫グロブリンへの共有結合的な連結によって改変され得る。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常領域の代りに用いられ得るか、または本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代りに用いられ得、キメラの二価抗体を作製する。
【0361】
(ヒト化抗体)
本発明のタンパク質抗原に対する抗体は、さらにヒト化抗体またはヒト抗体を含み得る。これらの抗体は、投与された免疫グロブリンに対するヒトによる免疫応答を引き起こすことなく、ヒトへの投与に適切である。抗体のヒト化形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらのフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)または他の抗体の抗原結合配列)であり、それらは主にヒト免疫グロブリンの配列から構成され、そして非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む。ヒト化は、ヒト抗体の対応する配列の代わりにげっ歯類CDRまたはCDR配列を用いることによって、Winterおよび共同研究者の方法(Jonesら、Nature,321:522−525(1986);Riechmannら、Nature,332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science,239:1534−1536(1988))に従って達成され得る。(米国特許第5,225,539号もまた参照のこと。)いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、レシピエントの抗体においても、移入されたCDRまたはフレームワーク配列においても見出されない残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、および代表的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含む。これらの内で、全てのまたは実質的に全てのCDR領域は非ヒト免疫グロブリンの領域に対応し、そして全てまたは実質的に全てのフレームワーク領域はヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の領域である。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)、代表的には、ヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含む(Jonesら、1986;Riechamannら、1988;およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992))。
【0362】
(ヒト抗体)
完全ヒト抗体は、CDRを含む軽鎖および重鎖の両方の、本質的に全体配列がヒト遺伝子から生じる抗体分子に関する。このような抗体を、「ヒト抗体」、または「完全ヒト抗体」と本明細書中で呼ぶ。ヒトモノクローナル抗体は、トリオーマ(trioma)技術によって調製され得る;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983 Immunol Today 4:72を参照のこと)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,第77−96頁を参照のこと)。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実行において使用され得、そしてヒトハイブリドーマの使用(Coteら、1983.Proc Natl Acad Sci USA 80:2026−2030を参照のこと)によってか、またはインビトロでのエプスタイン−バー−ウイルスを用いたヒトB細胞の形質転換(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,第77−96頁を参照のこと)によって産生され得る。
【0363】
さらに、ヒト抗体はまた、さらなる技術(ファージディスプレイライブラリー(HoogenboomおよびWinter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marksら、J.Mol.Biol.,222:581(1991))を含む)を使用して産生され得る。同様に、ヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が、部分的または完全に不活化されているマウス)に導入することによって、ヒト抗体は作製され得る。チャレンジの際にヒト抗体の産生が観察され、このことは全ての点(遺伝子再配列、アセンブリ、および抗体レパートリーを含む)でヒトにおいて観察されたものに密接に類似する。このアプローチは、例えば、以下に記載される:米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号、およびMarksら(Bio/Technology 10、779−783(1992));Lonbergら(Nature 368 856−859(1994));Morrison(Nature 368、812−13(1994));Fishwildら(Nature Biotechnology 14、845−51(1996));Neuberger(Nature Biotechnology 14、826(1996));ならびにLonbergおよびHuszar(Intern.Rev.Immunol.13 65−93(1995))。
【0364】
ヒト抗体は、抗原によるチャレンジに応答する動物の内因性抗体ではなく完全ヒト抗体を産生するように改変されたトランスジェニック非ヒト動物を使用して、さらに産生され得る。(PCT公開WO94/02602を参照のこと)。非ヒト宿主における重免疫グロブリン鎖および軽免疫グロブリン鎖をコードする内因性遺伝子は、耐えられなくなっており、そしてヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードする活性な位置は、宿主のゲノムに挿入される。例えば、不可欠なヒトDNAセグメントを含む酵母人工染色体を使用して、ヒト遺伝子は組み込まれる。次いで、全ての所望の改変を提供する動物を、完全な改変の相補体よりもより少ない改変の相補体を含む中間トランスジェニック動物を交配することによって子孫として得る。このような非ヒト動物の好ましい実施形態は、マウスであり、PCT公開WO96/33735およびWO96/34096に開示されるようにXenomouseTMと呼ばれる。この動物は、ヒト免疫グロブリンを十分に分泌するB細胞を産生する。目的の免疫原での免疫後の動物から(例えば、ポリクローナル抗体の調製物として)、あるいは動物由来の不死化されたB細胞(例えば、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ)から、抗体を直接得ることが可能である。さらに、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコードする遺伝子は、抗体を直接得るために回収され、そして発現され得るか、または抗体のアナログ(例えば、単鎖Fv分子)を得るために、さらに改変され得る。
【0365】
内因性免疫グロブリン重鎖の発現を欠く非ヒト宿主(マウスとして例証される)を作製するための方法の例は、米国特許第5,939,598号に開示される。それは、以下の工程を包含する方法によって得ることが可能である:胚性幹細胞において少なくとも1つの内因性重鎖遺伝子座からこのJセグメント遺伝子を欠失し、この遺伝子座の再構成を防止し、かつ、再構成された免疫重鎖遺伝子座の転写物の形成を防止する工程であって、ここでこの欠失は、選択マーカーをコードする遺伝子を含むベクターを標的化することによってもたらされる、工程;ならびに胚性幹細胞から、その体細胞および生殖細胞が選択可能なマーカーをコードする遺伝子を含む、トランスジェニックマウスを作製する工程。
【0366】
目的の抗体(例えば、ヒト抗体)を産生する方法は、米国特許第5,916,771号に開示される。それは以下の工程を包含する:重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを、培養中の1つの哺乳動物宿主細胞に導入する工程、軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを、別の哺乳動物宿主細胞に導入する工程、およびハイブリッド細胞を形成するために2つの細胞を融合する工程。ハイブリッド細胞は、重鎖および軽鎖を含む抗体を発現する。
【0367】
この手順のさらなる改善において、免疫原上の臨床的に関連するエピトープを同定する方法、および関連するエピトープに高い親和性で免疫特異的に結合する抗体を選択するための関連する方法は、PCT公開WO99/53049に開示される。
【0368】
(Fabフラグメントおよび単鎖抗体)
本発明に従って、本発明の抗原性タンパク質に特異的な単鎖抗体の産生のために技術が適応され得る(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。さらに、Fab発現ライブラリーの構築のために方法が適応され得(例えば、Huseら、1989 Science 246:1275−1281を参照のこと)、タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログまたはホモログについての所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ効果的な同定を可能にする。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含む抗体フラグメントは、以下に挙げられるがこれらに限定されない当該分野で公知の技術によって、産生され得る:(i)抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって産生されたFabフラグメント;(iii)パパインおよび還元剤を用いた抗体分子の処理によって産生されたFabフラグメント、および(iv)Fフラグメントを含むが、これらに限定ない)は、当該分野で公知の技術によって産生され得る。
【0369】
(二重特異的抗体)
二重特異的抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体(好ましくはヒトモノクローナル抗体またはヒト化されたモノクローナル抗体)である。この場合において、結合特異性の1つは、本発明の抗原性タンパク質に対してである。第2の結合標的は、任意の他の抗原であり、そして、この第2の結合標的は、有利に、細胞表面タンパク質あるいはレセプターまたはレセプターサブユニットである。
【0370】
二重特異的抗体を作製する方法は、当該分野で公知である。伝統的には、二重特異的抗体の組換え生成は、2つの免疫グロブリンの重鎖/軽鎖の対の同時発現に基づき、ここで、この2つの重鎖は、異なる特異性を有する(MilsteinおよびCuello、Nature,305:537−539(1983))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のランダムな組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子の潜在的混合物を作製し、このうち1つのみが正確な二重特異的構造を有する。この正確な分子の精製は、通常アフィニティークロマトグラフィー工程によって達成される。同様の手順は、1993年5月13日公開のWO93/08829、およびTrauneckerら、1991 EMBO J.、10:3655−3659において開示される。
【0371】
所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合され得る。この融合物は、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常ドメインを有し、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも部分を含む。この融合物の少なくとも1つに存在する軽鎖結合のために必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物および所望される場合、この免疫グロブリンの軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、そして適切な宿主生物体に同時トランスフェクトされる。二重特異的抗体の作製のさらなる詳細は、例えば、Sureshら、Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照のこと。
【0372】
WO96/27011に記載される別のアプローチに従って、抗体分子の対の間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーのパーセンテージを最大化するように操作され得る。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置換される。大きな側鎖と同一または同様のサイズの補完的な「空洞(キャビティ)」は、大きなアミノ酸側鎖を小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはスレオニン)で置換することによって、第2の抗体分子の界面上に生成される。このことは、ホモダイマーのような他の不必要な最終生成物よりも、ヘテロダイマーの収量を増加するための機構を提供する。
【0373】
二重特異的抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)二重特異的抗体)として調製され得る。抗体フラグメントから二重特異的抗体を作製するための技術は、文献において記載される。例えば、二重特異的抗体は、化学結合を使用して調製され得る。Brennanら、Science 229:81(1985)は、インタクトな抗体がタンパク分解的に切断されてF(ab’)フラグメントを作製する手順を記載する。これらのフラグメントは、ビシナルジチオールを安定化し、そして分子間ジスルフィド形成を阻止するために、ジチオール錯化剤亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元される。次いで、この作製されたFab’フラグメントは、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。次いで、Fab’−TNB誘導体の1つは、メルカプトエチルアミンでの還元によってFab’−チオールに再変換され、そしてこれは等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合されて二重特異的抗体を形成する。生成された二重特異的抗体は、酵素の選択的固定化のための薬剤として使用され得る。
【0374】
さらに、Fab’フラグメントは、E.coliから直接回収され得、そして化学的にカップリングされて二重特異的抗体を形成する。Shalabyら、J.Exp.Med.175:217−225(1992)は、完全にヒト化された二重特異的抗体F(ab’)分子の生成を記載する。各Fab’フラグメントは、E.coliから別々に分泌され、そしてインビトロの指向性化学的カップリングに供され、二重特異的抗体を形成する。このように、形成されたこの二重特異的抗体は、ErbB2レセプターを過剰発現する細胞および正常なヒトT細胞に結合し得、そしてヒト胸部腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を誘因し得る。
【0375】
組換え細胞培養物から直接二重特異的抗体フラグメントを作製し、そして単離するための種々の技術がまた、記載されてきた。例えば、二重特異的抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生される。Kostelnyら、J.Immunol.148(5):1547−1553(1992)。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に結合された。この抗体ホモダイマーは、ヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、次いで再酸化されて抗体ヘテロダイマーを形成した。この方法はまた、抗体ホモダイマーの産生のために使用され得る。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)に記載されるこの「ディアボディー(diabody)」技術は、二重特異的抗体フラグメントを作製するための代替的な機構を提供した。このフラグメントは、短すぎて同じ鎖上の2つのドメインの間で対形成できないリンカーによって軽鎖可変ドメイン(V)に接続された重鎖可変ドメイン(V)を含む。従って、1つのフラグメントのVおよびVドメインは、別のフラグメントの相補的なVおよびVドメインと対になるように強制され、これによって2つの抗原結合部位が形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用によって二重特異的抗体フラグメントを作製するための別のストラテジーもまた、報告されてきた。Gruberら、J.Immunol.152:5368(1994)を参照のこと。
【0376】
2より多くの結合価を有する抗体が企図される。例えば、三重特異的抗体が調製され得る。Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)。
【0377】
例示的な二重特異的抗体は、2つの異なるエピトープに結合し得、このうち少なくとも1つは、本発明のタンパク質抗原に起源を有する。あるいは、免疫グロブリン分子の抗抗原性アームは、T細胞レセプター分子のような白血球上の誘引分子(例えば、CD2、CD3、CD28、またはB7)、あるいはIgGに対するFcレセプター(FcγR)(例えば、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16))と結合するアームと結合し得、細胞性防御機構を、この特定の抗原を発現する細胞に集中させる。二重特異的抗体はまた、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞傷害性因子に指向するために使用され得る。これらの抗体は、抗原結合アーム、および細胞傷害性因子または放射性核種キレート剤(例えば、EOTUBE、DPTA、DOTA、またはTETA)に結合するアームを保有する。目的の別の二重特異的抗体は、本明細書中に記載のタンパク質抗原に結合し、そしてさらに組織因子(TF)に結合する。
【0378】
(ヘテロ結合体抗体)
ヘテロ接合体抗体もまた、本発明の範囲内である。ヘテロ接合体抗体は、2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不必要な細胞に標的化するために(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の処置のために(WO91/00360;WO92/200373;EP03089)提案されてきた。この抗体は、インビトロで、合成タンパク質化学において公知の方法(架橋剤に関与する方法を含む)を使用して調製され得ることが企図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応の使用またはチオエーテル結合の形成によって構築され得る。この目的のための適切な試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデート、ならびに例えば米国特許第4,676,980号において開示される試薬が挙げられる。
【0379】
(エフェクター機能操作)
本発明の抗体を、エフェクター機能について、例えば癌の処置における抗体の効力を増大するように改変することが望ましくあり得る。例えば、システイン残基は、Fc領域に導入され得、これによってこの領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にする。従って、作製されるこのホモダイマー抗体は、改良されたインターナリゼーションの能力および/または増加した補体媒介細胞死滅、ならびに抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有し得る。Caronら、J.Exp.Med.、176:1191−1195(1992)およびShopes、J.Immunol.148:2918−2922(1992)を参照のこと。増大した抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体はまた、Wolffら、Cancer Research、53:2560−2565(1993)に記載されるヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製され得る。あるいは、抗体は操作され得、これは二重のFc領域を有し、そしてこれによって増大した補体溶解およびADCCの能力を有し得る。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design,3:219−230(1989)を参照のこと。
【0380】
(免疫結合体)
本発明はまた、細胞傷害性の薬剤(例えば、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素学的に活性な毒素、あるいはそれらのフラグメント)、または放射性同位体(すなわち、放射性結合体))に結合体化した抗体を含む免疫結合体に関する。
【0381】
このような免疫結合体の作製において有用な化学療法剤は、上記に記載される。使用され得る酵素学的に活性な毒素およびそれらのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセン(tricothecen)が挙げられる。種々の放射性核種は、放射性結合した抗体の作製のために利用可能である。その例としては、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが挙げられる。
【0382】
抗体および細胞傷害性因子の結合体は、種々の二官能性タンパク質結合因子(例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(iminothiolane)(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデート HCL)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド(glutareldehyde))、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン2,6−ジイソシアネート)、およびビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン))を使用して作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science,238:1098(1987)に記載されるように調製され得る。炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への結合のための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。
【0383】
別の実施形態において、腫瘍の前標的化における利用のために、この抗体は、「レセプター」(例えば、ストレプトアビジン)に結合され得、ここで抗体−レセプター結合体は患者に投与され、続いて除去剤を使用して結合していない結合体が循環から除去され、次いで細胞傷害性因子に次々に結合する「リガンド」(例えば、アビジン)が投与される。
【0384】
1つの実施形態において、所望の特異性を保有する抗体のスクリーニングのための方法としては、当該分野内で公知の酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)および他の免疫学的に媒介された技術が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、NOVXタンパク質の特定のドメインに対して特異的である抗体の選択は、このようなドメインを所有しているNOVXタンパク質のフラグメントに結合するハイブリドーマの生成により容易にされる。従って、NOVXタンパク質、またはそれらの誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログ内の所望のドメインについて特異的である抗体がまた、本明細書において提供される。
【0385】
抗NOVX抗体は、NOVXタンパク質の局在化および/または定量化に関する当該分野で公知の方法において用いられ得る(例えば、適切な生理学的サンプル中のNOVXタンパク質のレベルを測定する使用のために、診断的方法における使用のために、タンパク質の画像化における使用のために、など)。所定の実施形態において、NOVXタンパク質、またはそれらの誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログについての抗体(抗体由来の結合ドメインを含む)は、薬理学的に活性な化合物(本明細書中、以降において「治療剤」)として利用される。
【0386】
抗NOVX抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、標準的技術(例えばアフィニティークロマトグラフィまたは免疫沈降)によって、NOVXポリペプチドを単離するために用いられ得る。抗NOVX抗体は、細胞からの天然のNOVXポリペプチドの精製、および宿主細胞において発現される組換え的に産生されたNOVXポリペプチドの精製を容易にし得る。さらに、抗NOVX抗体が、(例えば、細胞の溶解産物または細胞上清における)NOVXタンパク質を検出するために用いられて、NOVXタンパク質の発現の量およびパターンを評価し得る。抗NOVX抗体は、例えば、所定の治療レジメンの有効性を決定するために、臨床試験の手順の一部として、組織におけるタンパク質レベルをモニターするために診断的に用いられ得る。検出は、抗体を検出可能物質に結合する(すなわち、物理的に連結する)ことにより容易にされ得る。検出可能物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン(dichlorotriazinylamine)フルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる;そして、適切な放射性物質の例としては125I、131I、35SまたはHが挙げられる。
【0387】
(NOVX組換え発現ベクターおよび宿主細胞)
本発明の別の局面は、NOVXタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログをコードする核酸を含む、ベクター、好ましくは、発現ベクターに関する。本明細書において使用する場合、用語「ベクター」は、連結された別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。1つの型のベクターは、「プラスミド」である。これはさらなるDNAセグメントが連結され得る環状の二本鎖DNAループをいう。別の型のベクターは、ウイルス性ベクターであり、ここでは、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクターは、ベクター(例えば、細菌性の複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソーム性哺乳動物ベクター)が導入される宿主細胞中で自律複製し得る。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、そして、これにより宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指示し得る。このようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に用いられる形態のベクターであるので、交換可能に使用され得る。しかし、本発明は、等価の機能を果たす、ウイルス性ベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)のような、このような他の形態の発現ベクターを含むことを意図する。
【0388】
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適切な形態の本発明の核酸を含む。これは、組換え発現ベクターが、発現されるべき核酸配列に作動可能に連結されている、発現に用いられる宿主細胞に基づいて選択された1つ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクターにおいて、「作動可能に連結する」とは、目的のヌクレオチド配列が、(例えば、インビトロの転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞に導入される場合は、宿主細胞において)ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で調節配列に連結されることを意味することを意図する。
【0389】
用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。このような調節配列は、例えば、Goeddel;GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、Academic Press、San Diego、Calif.(1990)に記載されている。調節配列は、多くの型の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示する配列、および特定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を指示する配列(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計が形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベルなどのような因子に依存し得ることが当業者に理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され得、それにより、本明細書に記載される核酸によってコードされるタンパク質またはペプチド(融合タンパク質またはペプチドを含む)(例えば、NOVXタンパク質、NOVXタンパク質の変異形態、融合タンパク質など)を産生し得る。
【0390】
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞における、NOVXタンパク質発現のために設計され得る。例えば、NOVXタンパク質は、細菌細胞(例えば、Escherichia coli)、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現され得る。適切な宿主細胞は、Goeddel;GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、Academic Press、San Diego、Calif.(1990)にさらに考察されている。あるいは、組換え型発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写および翻訳され得る。
【0391】
原核生物におけるタンパク質の発現は、最も頻繁には、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指向する構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターを有する、Escherichia coliにおいて実施される。融合ベクターは、そこにコードされるタンパク質に、通常、組換えタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、代表的には、以下の3つの目的のために役立つ:(i)組換えタンパク質の発現を増加させるため;(ii)組換えタンパク質の可溶性を増加させるため;および(iii)アフィニティー精製においてリガンドとして作用することによって組換えタンパク質の精製の際に補助するため。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解の切断部位が、融合部分と組換えタンパク質との結合部に導入されて、融合タンパク質の精製の後に融合部分から組換えタンパク質を分離することを可能とする。このような酵素、およびその同族(cognate)の認識配列は、第Xa因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼを含む。代表的な融合発現ベクターとしては、それぞれ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的の組換えタンパク質に融合する、pGEX(Pharmacia Biotech Inc.;SmithおよびJohnson(1988)Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,Mass.)およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が挙げられる。
【0392】
適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例には、pTrc(Amrannら(1988)Gene 69:301−315)およびpET 11d(Studierら、GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)60−89)が挙げられる。
【0393】
E.coliにおける組換えタンパク質発現を最大化するための1つのストラテジーは、組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力を欠損した宿主細菌中でタンパク質を発現させることである。例えば、Gottesman,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)119−128を参照のこと。別のストラテジーは、各アミノ酸についての個々のコドンが、E.coliにおいて優先的に利用されるコドンであるように、発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を変更することである(例えば、Wadaら、1992、Nucl.Acids Res.20:2111−2118を参照のこと)。本発明の核酸配列のこのような変更は、標準的なDNA合成技術によって実行され得る。
【0394】
別の実施形態において、NOVX発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母Saccharomyces cerivisaeにおける発現のためのベクターの例には、pYepSec1(Baldariら、(1987)EMBO J.6:229−234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz、(1982)Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultzら、(1987)Gene 54:113−123)、pYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)、およびpicZ(InVitrogen Corp.,San Diego,Calif.)が挙げられる。
【0395】
あるいは、NOVXは、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、昆虫細胞中で発現され得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)中でのタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell.Biol.3:2156−2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(1989)Virology 170:31−39)が挙げられる。
【0396】
なお別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して、哺乳動物細胞中で発現される。哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM8(Seed(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J.6:187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞中で使用される場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルスの調節エレメントによって提供される。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40に由来する。原核生物細胞および真核生物細胞の両方のために適切な他の発現系については、例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989の第16章および第17章を参照のこと。
【0397】
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型中で優先的に核酸の発現を指向し得る(例えば、組織特異的調節エレメントを使用して核酸を発現する)。組織特異的調節エレメントは、当該分野で公知である。適切な組織特異的なプロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkertら(1987)Genes Dev.1:268−277)、リンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton(1988)Adv.Immunol.43:235−275)(特に、T細胞レセプターのプロモーター(WinotoおよびBaltimore(1989)EMBO J.8:729−733)および免疫グロブリンのプロモーター(Banerjiら(1983)Cell 33:729−740;QueenおよびBaltimore(1983)Cell 33:741−748))、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター;ByrneおよびRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(1985)Science 230:912−916)、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。発達的に調節されるプロモーターもまた含まれる(例えば、マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249:374−379)およびα−フェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman(1989)Genes Dev.3:537−546))。
【0398】
本発明はさらに、アンチセンス方向で発現ベクターにクローニングされた本発明のDNA分子を含む、組換え発現ベクターを提供する。すなわち、そのDNA分子は、NOVX mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写によって)を可能にする様式で調節配列に作動可能に連結される。種々の細胞型においてアンチセンスRNA分子の持続的な発現を指向する、アンチセンス方向でクローニングされた核酸に作動可能に連結された調節配列(例えば、ウイルスプロモーターおよび/もしくはエンハンサー)が選択され得るか、または、アンチセンスRNAの構成的発現、組織特異的発現、または細胞特異的発現を指示する調節配列が、選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化されたウイルスの形態であり得、ここではアンチセンス核酸は、高効率調節領域の制御下で産生され、その活性は、ベクターが導入される細胞型によって決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子発現の調節の考察については、例えば、Weintraubら、「Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis」、Reviews−Trends in Genetics、第1巻(1)1986を参照のこと。
【0399】
本発明の別の局面は、本発明の組換え発現べクターが導入された宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で、交換可能に使用される。このような用語は、特定の被験細胞をいうのみでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫をもいうことが理解される。変異または環境の影響のいずれかに起因して、特定の改変はその後の世代において生じ得るので、このような子孫は、実際には、親の細胞と同一でないかもしれないが、なお、本明細書中で使用される場合のこの用語の範囲内に含まれる。
【0400】
宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、NOVXタンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)において発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0401】
ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。本明細書中で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来性の核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するために当該分野で容認されている種々の技術をいうことを意図し、これらには、リン酸カルシウム共沈または塩化カルシウム共沈、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションが含まれる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションするための適切な方法は、Sambrookら(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)および他の実験室マニュアルに見出され得る。
【0402】
安定な哺乳動物細胞のトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞のほんの一部のみが外来DNAをそのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの要素を同定および選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子が、一般的には目的の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。種々の選択マーカーには、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシン、およびメトトレキサート)に対する耐性を付与するものが含まれる。選択マーカーをコードする核酸は、NOVXをコードするベクターと同じベクター上で宿主細胞に導入され得るか、あるいは別々のベクター上で導入され得る。導入された核酸で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定され得る(例えば、選択マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
【0403】
本発明の宿主細胞(例えば、培養中の原核生物宿主細胞または真核生物宿主細胞)は、NOVXタンパク質を産生(すなわち、発現)するために使用され得る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して、NOVXタンパク質を産生するための方法を提供する。1つの実施形態において、本発明の方法は、NOVXタンパク質が産生されるような適切な培地中で、本発明の宿主細胞(ここに、NOVXタンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入されている)を培養する工程を包含する。別の実施形態において、本発明はさらに、培地または宿主細胞からNOVXタンパク質を単離する工程を包含する。
【0404】
(トランスジェニックNOVX動物)
本発明の宿主細胞はまた、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使用され得る。例えば、1つの実施形態において、本発明の宿主細胞は、NOVXタンパク質コード配列が導入された、受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで、このような宿主細胞は、外因性のNOVX配列がゲノムに導入された非ヒトトランスジェニック動物、または内因性のNOVX配列が変更された相同組換え動物を作製するために使用され得る。このような動物は、NOVXタンパク質の機能および/または活性を研究するため、ならびにNOVXタンパク質活性のモジュレーターを同定および/または評価するために有用である。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」とは、非ヒト動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくは、ラットまたはマウスのような齧歯類であり、ここで、その動物の1つ以上の細胞が、導入遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが挙げられる。導入遺伝子は、細胞のゲノムに組み込まれ、この細胞からトランスジェニック動物が発生し、かつ成熟動物のゲノムに残存し、それによって、トランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織においてコードされた遺伝子産物の発現を指示する、外因性のDNAである。本明細書中で使用される場合、「相同(homologous)組換え動物」とは、非ヒト動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはマウスであり、ここで、内因性のNOVX遺伝子は、内因性の遺伝子と、その動物の発生の前にその動物の細胞(例えば、その動物の胚細胞)に導入された外因性のDNA分子との間の相同組換えによって変更されている。
【0405】
本発明のトランスジェニック動物は、NOVXをコードする核酸を、(例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって)受精卵母細胞の雄性前核に導入すること、およびその卵母細胞を偽妊娠雌性養育動物(foster animal)中で発達させることを可能にすることによって作製され得る。配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34または36のヒトのNOVX cDNA配列は、非ヒト動物のゲノムに導入遺伝子として導入され得る。あるいは、ヒトのNOVX遺伝子の非ヒトホモログ(例えば、マウスのNOVX遺伝子)は、ヒトのNOVX cDNA(上記にさらに記載された)に対するハイブリダイゼーションに基づいて単離され得、そして導入遺伝子として使用され得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた導入遺伝子中に含まれ得、その導入遺伝子の発現の効率を増大させ得る。組織特異的調節配列は、特定の細胞に対して、NOVXタンパク質の発現を指示するように、NOVX導入遺伝子に作動可能に連結され得る。胚の操作およびマイクロインジェクションを介するトランスジェニック動物(特に、マウスのような動物)を作製するための方法は、当該分野で慣習的になっており、そして例えば、米国特許第4,736,866号;同第4,870,009号;および同第4,873,191号;ならびにHogan 1986、MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.に記載されている。同様の方法が、他のトランスジェニック動物の作製のために使用される。トランスジェニック創始(founder)動物は、そのゲノムにおけるNOVX導入遺伝子の存在および/またはその動物の組織もしくは細胞中のNOVX mRNAの発現に基づいて同定され得る。次いで、トランスジェニック創始動物は、導入遺伝子を有するさらなる動物を育種するために使用され得る。さらに、NOVXタンパク質をコードする導入遺伝子を有するトランスジェニック動物は、さらに、他の導入遺伝子を有する他のトランスジェニック動物に交雑され得る。
【0406】
相同組換え動物を作製するために、NOVX遺伝子の少なくとも一部を含むベクターを調製する。ここで、この遺伝子は、欠失、付加、または置換が導入され、それによってそのNOVX遺伝子が変更されている(例えば、機能的に破壊されている)。NOVX遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34または36のcDNA)であり得るが、より好ましくは、ヒトのNOVX遺伝子の非ヒトホモログである。例えば、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34または36のヒトのNOVX遺伝子のマウスホモログは、マウスゲノムにおける内因性のNOVX遺伝子を変更するのに適切な相同組換えベクターを構築するために使用され得る。1つの実施形態において、そのベクターは、相同組換えに際して、その内因性のNOVX遺伝子が、機能的に破壊されるように設計される(すなわち、機能的タンパク質をもはやコードしない;「ノックアウト」ベクターともいわれる)。
【0407】
あるいは、このベクターは、相同組換えに際して、内因性NOVX遺伝子が変異されるか、あるいはさもなければ、変更されるが、なお機能性タンパク質をコードするように、設計され得る(例えば、上流の調節領域が変更され、それによって内因性NOVXタンパク質の発現を変更し得る)。相同組換えベクターにおいて、NOVX遺伝子の変更された部分は、NOVX遺伝子のさらなる核酸によって、その5’末端および3’末端で隣接されることにより、相同組換えが、ベクターによって保有される外因性NOVX遺伝子と胚性幹細胞中の内因性NOVX遺伝子との間で起こることを可能にする。さらなる隣接するNOVX核酸は、内因性遺伝子との首尾よい相同組換えのために十分な長さである。典型的に、数キロベースの隣接DNA(5’末端および3’末端の両方における)が、ベクターに含まれる。例えば、相同組換えベクターの説明について、Thomasら(1987)Cell 51:503を参照のこと。次いで、このベクターは、(例えば、エレクトロポレーションによって)胚性幹細胞株に導入され、そして導入されたNOVX遺伝子が内因性NOVX遺伝子と相同組換えした細胞が、選択される(例えば、Liら(1992)Cell 69:915を参照のこと)。
【0408】
次いで、選択された細胞が、動物(例えば、マウス)の未分化胚芽細胞へ注入され、凝集キメラを形成する。例えば、Bradley(1987)のTERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS:A PRACTICAL APPROACH、Robertson編、IRL、Oxford、113頁〜152頁を参照のこと。次いで、キメラ胚が、適切な偽妊娠雌性養育動物に移植され得、そしてその胚は分娩に到る。その生殖細胞中に相同組換えされたDNAを保有する子孫が、動物を育種するために使用され得、ここでこの動物の全ての細胞は、導入遺伝子の生殖系列伝達によって、相同組換えされたDNAを含む。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法が、さらに以下に記載される;Bradley(1991)Curr.Opin.Biotechnol.2:823−829;PCT国際公開番号:WO90/11354;WO91/01140;WO92/0968;およびWO93/04169。
【0409】
別の実施形態において、導入遺伝子の調節された発現を可能にする選択された系を含むトランスジェニック非ヒト動物が産生され得る。このような系の1つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の説明については、例えば、Laksoら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系である(O’Gormanら(1991)Science 251:1351−1355を参照のこと)。cre/loxPリコンビナーゼ系が導入遺伝子の発現を調節するために使用される場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要となる。このような動物は、例えば、2つのトランスジェニック動物(一方は選択されたタンパク質をコードした導入遺伝子を含み、他方はリコンビナーゼをコードした導入遺伝子を含む)を交配することによる「二重の」トランスジェニック動物の構築によって提供され得る。
【0410】
本明細書中に記載される非ヒトトランスジェニック動物のクローンがまた、Wilmutら(1997)Nature 385:810−813に記載される方法に従って、産生され得る。簡単には、トランスジェニック動物からの細胞(例えば、体細胞)が単離され得、そして増殖サイクル(growth cycle)から出て、G期に入るように誘導され得る。次いで、静止性細胞が、例えば、電気パルスの使用により、その静止性細胞が単離されたのと同種の動物由由来の除核された卵母細胞へ融合され得る。次いで、この再構築された卵母細胞は培養され、これにより、これは桑実胚または未分化胚芽細胞に発達し、次いで、偽妊娠雌性養育動物に移される。この雌性養育動物から産まれた子孫は、その細胞(例えば、その体細胞)が単離された動物のクローンである。
【0411】
(薬学的組成物)
本発明のNOVX核酸分子、NOVXタンパク質、および抗NOVX抗体(これはまた、本明細書中で、「活性化合物」とも呼ばれる)、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、アナログ、およびホモログが、投与に適した薬学的組成物に組み込まれ得る。このような組成物は、典型的に、核酸分子、タンパク質または抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的な投与に適合性の、任意および全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤(delaying agent)などを含むことが意図される。適切なキャリアは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(当該分野の標準的参考文献であって、本明細書中に参考として援用される)の最新版に記載される。このようなキャリアまたは希釈剤の好ましい例としては、水、生理食塩水、リンゲル(finger)溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソームおよび非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油)もまた、使用され得る。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性化合物もまた、組成物へ組み込まれ得る。
【0412】
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように処方される。投与経路の例には、非経口(例えば、静脈内、皮内、皮下)投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮(すなわち、局所的)投与、経粘膜(transmucosal)投与、および直腸投与が挙げられる。非経口適用、皮内適用または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような、滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような、抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような、抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような、キレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝液、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような、張度の調整のための薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整され得る。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または多用量のバイアル中に入れられ得る。
【0413】
注入用途に適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(ここでは、水溶性)または分散物、および滅菌注入可能溶液または分散物の即座の調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与において、適切なキャリアには、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、無菌でなければならず、そして容易な注入性(syringeability)が存在する程度に流動性であるべきである。これは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして、細菌および真菌のような微生物の汚染行為に対して保護されなければならない。このキャリアは、例えば、以下を含む溶媒または分散媒体であり得る:水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)ならびにそれらの適切な混合物。適切な流動性が、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、要求される粒子サイズを維持することによって(分散物の場合)および界面活性剤を使用することによって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール(manitol)、ソルビトール)、塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注入可能組成物の吸収期間の延長は、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物に含ませることによってもたらされ得る。
【0414】
滅菌注射可能溶液は、必要量のこの活性化合物(例えば、NOVXタンパク質または抗NOVX抗体)を、適切な溶媒中で、上記で列挙される成分の1つまたは組み合わせと共に組み込み、必要な場合、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。一般的に、分散物は、活性化合物を、基本(basic)の分散媒体および上記で列挙される成分からの必要とされる他の成分とを含む滅菌ビヒクル中へ組み込むことによって調製される。滅菌注射可能液剤の調製のための滅菌粉末の場合において、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、予め滅菌濾過されたその溶液から活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0415】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤へと圧縮され得る。経口治療投与の目的のために、この活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれ得、そして錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態で使用され得る。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のために流体キャリアを使用して調製され得、ここで、この流体キャリア中のこの化合物は、経口的に適用され、そして音を立てられ(swish)、そして吐き出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント物質が、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などが、任意の以下の成分または同様の性質を有する化合物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶セルロース、ガムトラガントまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはコーンスターチ);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステロテス(Sterotes));潤滑剤(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);あるいは香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバー)。
【0416】
吸入による投与について、この化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素のような気体)を含む圧縮容器またはディスペンサー、あるいは噴霧器から、エアロゾル噴霧の形態で送達される。
【0417】
全身的投与はまた、経粘膜手段または経皮手段により得る。経粘膜投与または経皮投与について、浸透される障壁に適切な浸透剤が、処方物において使用される。このような浸透剤は、一般的に、当該分野で公知であり、そして、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻噴霧または坐剤の使用によって達成され得る。経皮投与については、この活性化合物は、当該分野で一般的に公知である軟膏剤(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、またはクリーム剤へ処方される。
【0418】
この化合物はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤基剤と共に)または貯留(rentention)浣腸の形態で調製され得る。
【0419】
1つの実施形態において、この活性化合物は、身体からの迅速な排出に対してこの化合物を保護するキャリアを用いて調製され(例えば、制御放出処方物)、これには、移植片およびマイクロカプセル化された送達系が挙げられる。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような、生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような処方物の調製のための方法は、当業者には明らかである。これらの物質はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手され得る。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を感染させた細胞へ標的化されるリポソームを含む)もまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
【0420】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で、経口組成物または非経口組成物を処方することが、特に有益である。本明細書で使用される投薬単位形態は、処置される被験体に対する単位投薬量として適切な物理的に個々の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと関連して所望の治療的効果を生じるように計算された、所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態についての詳細は、この活性化合物の固有の特徴、および達成される特定の治療効果、ならびに個体の処置のためのこのような活性化合物を調合する分野に固有の制限によって決定され、そして、これらに直接依存する。
【0421】
本発明の核酸分子は、ベクターに挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとして使用され得る。遺伝子治療ベクターは、被験体へ、例えば静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照のこと)によって、または定位注射(例えば、Chenら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)によって送達され得る。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物には、受容可能な希釈剤中の遺伝子治療ベクターを含み、または遺伝子送達ビヒクルが組み込まれる徐放性マトリックスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞からインタクトで産生され得(例えば、レトロウイルスベクター)、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1以上の細胞を含み得る。
【0422】
薬学的組成物は、投与のための使用説明書と共に、容器、包装、またはディスペンサーに含まれ得る。
【0423】
(スクリーニングおよび検出の方法)
本発明の単離された核酸分子は、以下にさらに説明されるように、NOVXタンパク質(例えば、遺伝子治療適用における宿主細胞中の組換え発現ベクターを介する)を発現するため、NOVX mRNA(例えば、生物学的サンプルにおいて)またはNOVX遺伝子における遺伝子損傷を検出するため、ならびにNOVX活性を調節するために使用され得る。さらに、NOVXタンパク質は、NOVXタンパク質の活性または発現を調節する薬物または化合物をスクリーニングするために、ならびにNOVXタンパク質の不十分もしくは過剰な産生によって、あるいはNOVX野生型タンパク質と比較して減少した活性もしくは異常な活性を有するNOVXタンパク質形態の産生によって特徴付けられる障害(例えば;糖尿病(インスリン放出を調節する);肥満(脂質を結合および輸送する);肥満に関連した代謝障害、代謝症候群X、ならびに拒食症および慢性疾患および種々の癌に関連する消耗性障害、および感染性疾患(抗菌活性を有する)、および種々の異脂肪血症)を処置するために使用され得る。さらに、本発明の抗NOVX抗体は、NOVXタンパク質を検出および単離するため、ならびにNOVX活性を調節するために使用され得る。なおさらなる局面において、本発明は、正の様式および負の様式の両方での、食欲、栄養の吸収、および代謝基質の処理に影響する方法において用いられ得る。
【0424】
本発明は、さらに、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイによって同定される新規の薬剤、および上記で本明細書中で記載されるような処置のためのそれらの使用に関する。
【0425】
(スクリーニングアッセイ)
本発明は、調節因子、すなわち、NOVXタンパク質に結合するか、あるいは例えば、NOVXタンパク質の発現またはNOVXタンパク質の活性に対して刺激効果または阻害効果を有する、候補または試験化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子または他の薬物)を同定するための方法(本明細書中において「スクリーニングアッセイ」とも称される)を提供する。本発明はまた、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイにおいて同定された化合物を含む。
【0426】
1実施形態において、本発明は、NOVXタンパク質またはポリペプチド、あるいはその生物学的に活性な部分の膜結合形態に結合するか、またはその膜結合形態の活性を調節する、候補化合物もしくは試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物は、当該分野において公知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのいずれかを使用して得られ得、これには、以下が挙げられる:生物学的ライブラリー;空間的に位置付け可能な並行固相もしくは溶液相ライブラリー;逆重畳を要する合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマーもしくは化合物の低分子ライブラリーに適用可能である(例えば、Lam(1997)Anticancer Drug Design 12:145を参照のこと)。
【0427】
本明細書中で使用される場合、「低分子」とは、約5kD未満の分子量、最も好ましくは約4kD未満の分子量を有する組成物をいうように意味される。低分子は、例えば、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、炭水化物、脂質または他の有機分子もしくは無機分子であり得る。化学的および/または生物学的混合物(例えば、真菌、細菌または藻類抽出物)のライブラリーは、当該分野で公知であり、そして本発明のアッセイのいずれかを用いてスクリーニングされ得る。
【0428】
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当該分野において、例えば以下に見出され得る:DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6909;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:11422;Zuckermannら(1994)J.Med.Chem.37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Chem.37:1233。
【0429】
化合物のライブラリーは、溶液中で(例えば、Houghten(1992)Biotechniques 13:412〜421)、あるいはビーズ上(Lam(1991)Nature 354:82〜84)、チップ上(Fodor(1993)Nature 364:555〜556)、細菌(Ladner 米国特許第5,223,409号)、胞子(Ladner 米国特許第5,233,409号)、プラスミド(Cullら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869)またはファージ上(ScottおよびSmith(1990)Science 249:386〜390;Devlin(1990)Science 249:404〜406;Cwirlaら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:6378〜6382;Felici(1991)J.Mol.Biol.222:301〜310;Ladner、米国特許第5,233,409号)において提示され得る。
【0430】
1つの実施形態において、アッセイは細胞ベースのアッセイであり、ここで、膜結合形態のNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面上に発現する細胞が、試験化合物と接触され、そしてこの試験化合物がNOVXタンパク質に結合する能力が、決定される。例えば、細胞は、哺乳動物起源または酵母細胞であり得る。この試験化合物がNOVXタンパク質に結合する能力の決定は、例えば、その試験化合物を放射性同位体または酵素標識とカップリングさせて、その結果、この試験化合物のNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に対する結合が、複合体におけるその標識化合物を検出することによって決定され得ることによって達成され得る。例えば、試験化合物は、125I、35S、14C、またはHで直接的または間接的のいずれかで標識され得、そしてその放射性同位体が、放射線放射の直接の計数により、またはシンチレーション計数により、検出され得る。あるいは、試験化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識され得、そしてこの酵素的標識が、適切な基質の生成物への転換を決定することにより、検出され得る。1つの実施形態において、このアッセイは、膜結合形態のNOVXタンパク質、またはその生物学的に活性な部分をその細胞表面上に発現する細胞を、NOVXと結合する既知の化合物と接触させる工程、このアッセイ混合物に試験化合物を接触させる工程、ならびにこの試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、この試験化合物が、既知の化合物と比較して、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する能力を決定する工程を包含する。
【0431】
別の実施形態において、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、これは、膜結合形態のNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面上で発現する細胞を、試験化合物と接触させる工程、ならびにこの試験化合物が、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物が、NOVXまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節する能力の決定は、例えば、NOVXタンパク質が、NOVX標的分子に結合またはこれら標的分子と相互作用する能力を決定することによって、達成され得る。本明細書中において使用する場合には、「標的分子」とは、NOVXタンパク質が天然に結合または相互作用する分子であり、例えば、NOVX相互作用タンパク質を発現する細胞表面上の分子、第二の細胞表面上の分子、細胞外環境中の分子、細胞膜の内面と会合する分子、または細胞質分子である。NOVX標的分子は、非NOVX分子あるいは本発明のNOVXタンパク質またはポリペプチドであり得る。1つの実施形態において、NOVX標的分子は、シグナル伝達経路の構成要素であり、これは、細胞膜を通る細胞内への細胞外シグナル(例えば、化合物が膜結合NOVX分子に結合することにより発生するシグナル)の伝達を促進する。その標的は、例えば、触媒活性を有する第二の細胞内タンパク質、または下流シグナル伝達分子のNOVXとの会合を容易にするタンパク質であり得る。
【0432】
NOVXタンパク質がNOVX標的分子に結合するかまたはその標的分子と相互作用する能力の決定は、直接的結合を決定するための上記方法の1つにより、達成され得る。1つの実施形態において、NOVXタンパク質がNOVX標的分子に結合するかまたはその標的分子と相互作用する能力の決定は、その標的分子の活性を決定することにより、達成され得る。例えば、この標的分子の活性は、その標的の細胞性セカンドメッセンジャー(すなわち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IPなど)の誘導を検出すること、適切な基質への標的の触媒活性/酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする核酸に作動可能に連結されたNOVX応答性調節エレメントを含む)の誘導を検出すること、または細胞応答(例えば、細胞生存度、細胞分化、または細胞増殖)を検出することにより、決定され得る。
【0433】
なお別の実施形態において、本発明のアッセイは、無細胞(cell−free)アッセイであり、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物に接触させる工程、ならびにその試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分と結合する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物の、NOVXタンパク質への結合は、上記のように、直接的または間接的にのいずれかで決定され得る。1つのこのような実施形態において、このアッセイは、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を、NOVXを結合する既知の化合物に接触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物を試験化合物に接触させる工程、ならびにその試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、この試験化合物が、既知の化合物と比較して、NOVX、またはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する能力を決定する工程を包含する。
【0434】
なお別の実施形態において、アッセイは、無細胞アッセイであり、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させる工程、ならびにその試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物がNOVXの活性を調節する能力の決定は、例えば、NOVXタンパク質が、NOVX標的分子に結合する能力を、直接的結合の決定のための上記方法の1つによって決定することにより、達成され得る。代替の実施形態において、この試験化合物がNOVXタンパク質の活性を調節する能力の決定は、NOVXタンパク質が、NOVX標的分子をさらに調節する能力を決定することにより、達成され得る。例えば、この標的分子の適切な基質に対する触媒活性/酵素活性は、上記のように決定され得る。
【0435】
さらに別の実施形態において、無細胞アッセイは、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を、NOVXタンパク質を結合する既知の化合物に接触させてアッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物を試験化合物と接触させる工程、ならびにこの試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力の決定は、NOVXタンパク質が、NOVX標的分子と優先的に結合するか、またはその標的分子の活性を優先的に調節する能力を決定する工程を包含する。
【0436】
本発明の無細胞アッセイは、NOVXタンパク質の、可溶性の形態または膜結合形態の両方の使用に受け入れられる。膜結合形態のNOVXタンパク質を含む無細胞アッセイの場合には、NOVXタンパク質の膜結合形態が溶液中に維持されるように、可溶化剤を利用することが所望され得る。このような可溶化剤の例には、非イオン性界面活性剤が挙げられ、例えば、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシルポリ(エチレングリコールエーテル)((Isotridecypoly(ethylene glycol ether))、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアンミニオール−1−プロパンスルホネート(3−(3−cholamidopropyl)dimethylamminiol−1−propane sulfonate)(CHAPS)、または3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアンミニオール−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(3−(3−cholamidopropyl)dimethylamminiol−2−hydroxy−1−propane sulfonate)(CHAPSO)である。
【0437】
本発明の上記アッセイ方法の1つより多い実施形態において、NOVXタンパク質またはその標的分子のいずれかを固定して、そのタンパク質の一方または両方の非複合形態からの複合形態の分離を促進し、そしてそのアッセイの自動化に適合させることが、所望され得る。試験化合物の、NOVXタンパク質への結合、または候補化合物の存在下および非存在下での、NOVXタンパク質の標的分子との相互作用は、これらの反応物を収容するために適切な任意の容器内で、達成され得る。このような容器の例には、マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管が挙げられる。1実施形態において、そのタンパク質の一方または両方がマトリックスに結合することを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が、提供され得る。例えば、GST−NOVX融合タンパク質またはGST標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical、St.Louis、MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着され得、次いでこれらは、試験化合物と合わせられるか、あるいは試験化合物および未吸着標的タンパク質またはNOVXタンパク質のいずれかと合わせられ、そしてこの混合物が、複合体形成を誘導する条件下(例えば、塩およびpHに関して生理学的条件)でインキュベートされる。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、結合していないあらゆる成分を除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固定し、例えば上記のように、複合体を直接的または間接的のいずれかで決定する。あるいは、複合体がマトリックスから解離され得、そしてNOVXタンパク質の結合レベルまたは活性レベルを、標準的な技術を使用して決定し得る。
【0438】
タンパク質をマトリックスに固定するための他の技術もまた、本発明のスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、NOVXタンパク質、またはその標的分子のいずれかが、ビオチンとストレプトアビジンとの結合を利用して、固定され得る。ビオチン化NOVXタンパク質、または標的分子は、当該分野において周知の技術を使用して、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)から調製され得(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals、Rockford、Ill.)、そしてストレプトアビジンでコーティングした96ウェルのプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定され得る。あるいは、NOVXタンパク質、または標的分子と反応性であるがNOVXタンパク質のその標的分子への結合を妨害しない抗体が、そのプレートのウェルに誘導体化され得、そして結合していない標的またはNOVXタンパク質が、抗体の結合によってウェル内に捕捉され得る。このような複合体を検出するための方法には、GST固定複合体に関しての上記で述べた方法に加えて、NOVXタンパク質または標的分子と反応性の抗体を使用する、複合体の免疫検出、ならびにNOVXタンパク質、または標的分子に関する酵素活性の検出に依存する酵素結合アッセイが挙げられる。
【0439】
別の実施形態において、NOVXタンパク質発現のモジュレーターは、細胞を候補化合物と接触させ、そして細胞中のNOVX mRNAまたはタンパク質の発現を決定する方法において同定される。候補化合物の存在下でのNOVX mRNAまたはタンパク質の発現レベルは、候補化合物の非存在下でのNOVX mRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較される。次いで、候補化合物は、この比較に基づいて、NOVX mRNAまたはタンパク質発現のモジュレーターとして同定され得る。例えば、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりもその存在下における方が大きい(すなわち、統計的に有意に大きい)場合、この候補化合物は、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現の刺激物質として同定される。あるいは、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりその存在下の方が少ない(統計的に有意に少ない)場合、この候補化合物は、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現のインヒビターとして同定される。細胞中のNOVX mRNAまたはタンパク質の発現レベルは、NOVX mRNAまたはタンパク質を検出するために本明細書中に記載の方法によって決定され得る。
【0440】
本発明のなお別の局面において、NOVXタンパク質は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおいて「餌(ベイト)(bait)タンパク質」として使用されて(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72:223−232;Maduraら、1993.J.Biol.Chem.268:12046−12054;Bartelら、1993 Biotechniques 14:920−924;Iwabuchiら、1993 Oncogene 8:1693−1696;およびBrent WO94/10300を参照のこと)、NOVX(「NOVX結合タンパク質」または「NOVX−bp」)に結合するか、またはこれと相互作用し、そしてNOVX活性を調節する他のタンパク質を同定し得る。このようなNOVX結合タンパク質はまた、例えば、NOVX経路の上流または下流エレメントとしてNOVXタンパク質によるシグナル伝達に関与する可能性がある。
【0441】
ツーハイブリッド系は、分離可能なDNA結合ドメインおよび活性化ドメインからなる、大部分の転写因子のモジュール的性質に基づく。簡潔には、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を利用する。一方の構築物においては、NOVXをコードする遺伝子が既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。他方の構築物においては、DNA配列のライブラリー由来の、未同定タンパク質(「餌食(prey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「餌」および「餌食」タンパク質がインビボで相互作用して、NOVX依存性複合体を形成し得る場合、この転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは、非常に近くにある。近位にあることにより、転写因子に応答性の転写調節部位に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写が可能となる。レポーター遺伝子の発現が検出され得、そして機能的転写因子を含む細胞コロニーが、単離され得、そしてNOVXと相互作用するタンパク質をコードするクローニングされた遺伝子を得るために使用され得る。
【0442】
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイにより同定される新規な因子および本明細書中に記載されるような処置のためのこの因子の使用に関する。
【0443】
(検出アッセイ)
本明細書中で同定されるcDNA配列の一部またはフラグメント(および対応する完全な遺伝子配列)は、ポリヌクレオチド試薬として多くの方法で使用され得る。例えば、これらの配列を使用して、(i)染色体上にそれぞれの遺伝子をマッピングし得;従って遺伝病と関連する遺伝子領域を位置決定し得る;(ii)微量の生物学的サンプルから個体を同定し得る(組織型決定);および(iii)生物学的サンプルの法医学的識別を助け得るが、これに限定されない。これらの適用のいくつかは、以下の節において記載される。
【0444】
(染色体マッピング)
一旦、遺伝子の配列(または配列の一部分)が単離されると、この配列を用いて染色体上に遺伝子の位置をマッピングし得る。このプロセスは、染色体マッピングとよばれる。従って、NOVX配列の一部またはフラグメント、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34または36、またはそのフラグメントもしくは誘導体を用いて、それぞれ、NOVX遺伝子の位置を染色体上にマッピングし得る。NOVX配列を染色体にマッピングすることは、これらの配列と、疾患と関連する遺伝子とを相関付ける際の重要な第一歩である。
【0445】
要するに、NOVX遺伝子は、NOVX配列からPCRプライマー(好ましくは、15〜25bpの長さ)を調製することにより染色体にマッピングし得る。NOVX配列のコンピューター分析を用いて、ゲノムDNAにおける1つを超えるエキソンにまたがらないプライマーを迅速に選択し得、従って、増幅プロセスを複雑にし得る。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使用され得る。NOVX配列に対応するヒト遺伝子を含むハイブリッドのみが増幅されたフラグメントを生じる。
【0446】
体細胞ハイブリッドは、異なる哺乳動物由来の体細胞(例えば、ヒトおよびマウス細胞)を融合することにより調製される。ヒトおよびマウスの細胞のハイブリッドが増殖および分裂するにつれ、それらは、無作為な順序で徐々にヒト染色体を失うが、マウス染色体を維持する。マウス細胞は増殖できないが、ヒト細胞は増殖できる培地を使用することにより、それらは特定の酵素を失うので、必要な酵素をコードする遺伝子を含む1つのヒト染色体が維持される。種々の培地を使用することによって、ハイブリッド細胞株のパネルが確立され得る。パネルにおける各細胞株は、単一のヒト染色体または少数のヒト染色体いずれかおよびマウス染色体の完全なセットを含み、これにより、個々の遺伝子を特定のヒト染色体にマッピングすることが容易に可能になる(例えば、D’Eustachioら(1983)Science 220:919−924を参照のこと)。ヒト染色体のフラグメントのみを含む体細胞ハイブリッドはまた、転座および欠失を伴うヒト染色体を使用することにより生成され得る。
【0447】
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の染色体に特定の配列を割り当てるための迅速な手順である。単一のサーマルサイクラーを用いて一日に3つ以上の配列が割り当てられ得る。NOVX配列を使用して、オリゴヌクレオチドプライマーを設計すると、下位位置決定(sublocalization)は、特定の染色体由来のフラグメントのパネルを用いて達成され得る。
【0448】
中期染色体スプレッドに対するDNA配列の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)をさらに使用して、一工程で正確な染色体位置を提供し得る。染色体スプレッドは、(紡錘体を破壊する)コルセミドのような化学物質により分裂が中期においてブロックされた細胞を使用して行われ得る。この染色体は、トリプシンで短時間処理され得、次いで、ギムザ染色され得る。薄いバンドおよび濃いバンドのパターンが各染色体で発生し、その結果、この染色体は、個々に同定され得る。FISH技術は、500または600塩基ほどの短さのDNA配列と共に使用され得る。しかし、1,000塩基より大きなクローンは、簡単な検出に十分なシグナル強度で、独特の染色体位置に結合する可能性がより高い。好ましくは、1,000塩基、そしてより好ましくは、2,000塩基が妥当な時間量で良好な結果を得るために十分である。この技術の総説については、Vermaら、HUMAN CHROMOSOMES:A MANUAL OF BASIC TECHNIQUES(Pergamon Press,New York 1988)を参照のこと。
【0449】
染色体マッピングの試薬は、単一の染色体またはその染色体上の単一部位をマークするために個々に使用され得るか、または試薬のパネルは複数部位および/または複数染色体をマークするために使用され得る。遺伝子の非コード領域に対応する試薬は、実際に、マッピング目的のために好ましい。コード配列は、遺伝子ファミリー内に保存されており、従って、染色体マッピングの間に交叉ハイブリダイゼーションの機会が増大する可能性が高い。
【0450】
一旦、配列が正確な染色体位置にマッピングされると、その配列の染色体上の物理的位置は、遺伝子マップデータと相関し得る。このようなデータは、例えば、McKusick,MENDELIAN INHERITANCE IN MAN(Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを通じてオンラインで入手可能)において見いだされる。次いで、同じ染色体領域にマッピングされる遺伝子と疾患との間の関係は、例えば、Egelandら(1987)Nature,325:783−787に記載される連鎖分析(物理的に隣接する遺伝子の同時遺伝)によって同定され得る。
【0451】
さらに、NOVX遺伝子と関連する疾患に罹患した個体と、この疾患に罹患していない個体との間のDNA配列における差異が決定され得る。罹患した個体のいくらかまたは全てにおいて変異が認められるが、非罹患個体のいずれにおいても認められない場合、この変異は特定の疾患の候補因子である可能性が高い。罹患個体と非罹患個体の比較は、一般に、染色体における構造的変化(例えば、染色体スプレッドから可視であるか、またはそのDNA配列に基づいたPCRを用いて検出可能な欠失または転座)を最初に探すことを包含する。最終的に、いくらかの個体に由来する遺伝子の完全な配列決定を行って、変異の存在を確認し、かつ多型に由来する変異を区別し得る。
【0452】
(組織型決定(tissue typing))
本発明のNOVX配列はまた、わずかな生物学的サンプルから個体を識別するために使用され得る。この技術において、個体のゲノムDNAは、1つ以上の制限酵素で消化され、そして同定のために独特のバンドを生成するためにサザンブロット上でプローブされる。本発明の配列は、RFLP(米国特許第5,272,057号に記載の「制限酵素断片長多型」)のためのさらなるDNAマーカーとして有用である。
【0453】
さらに、本発明の配列を用いて、個体のゲノムの選択された部分について実際の塩基ごとにDNA配列を決定する代替的技術を提供し得る。従って、本明細書中に記載のNOVX配列を用いて、配列の5’末端および3’末端から2つのPCRプライマーを調製し得る。次いで、これらのプライマーを使用して、個体のDNAを増幅し得、引き続いて、配列決定し得る。
【0454】
この様式で調製された個体由来の対応するDNA配列のパネルは、各個体が、対立遺伝子差異に起因するこのようなDNA配列の独特のセットを有するので、唯一の個体識別を提供し得る。本発明の配列は、個体由来および組織由来の配列のこのような識別を得るために使用され得る。本発明のNOVX配列は、ヒトゲノムの部分を独特に表す。対立遺伝子変異は、これらの配列のコード領域においてある程度生じ、そして非コード領域においてより大きな程度に生じる。個々のヒト間での対立遺伝子変異は、各500塩基につき約1回の頻度で生じると見積もられる。対立遺伝子変異の多さは、制限酵素断片長多型(RFLP)を含む一塩基多型(SNP)に起因する。
【0455】
本明細書中で記載の配列の各々は、ある程度、標準物質(これに対して個体からのDNAが識別の目的で比較され得る)として使用され得る。より多くの多型が非コード領域で生じるので、個体を区別するために、それほど多くの配列が必要であるわけではない。非コード配列は、おそらく10〜1,000プライマーのパネルを用いてポジティブな個体識別を不自由なく提供し得る。これらのプライマーは、各々が100塩基の増幅された非コード配列を生じる。推定コード配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34または36における配列)が使用される場合、ポジティブな個体識別に関するプライマーのより適切な数は、500〜2,000である。
【0456】
(予測医療)
本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイ、薬物ゲノム(pharmacogenomics)およびモニタリング臨床試験が、予後(予測)の目的に使用され、これによって個体を予防的に処置する、予測医療の分野に関する。従って、本発明の1つの局面は、生物学的サンプル(例えば、血液、血清、細胞、組織)の場合においては、NOVXタンパク質および/または核酸の発現、ならびにNOVXの活性を決定するための診断アッセイに関し、これによって、異常なNOVXの発現または活性に関連して、個体が疾患または障害に罹患するかどうか、あるいは障害を発症するリスクがあるかどうかを決定する。この障害としては、代謝障害、糖尿病、肥満症、感染症、食欲不振、癌関連悪液質、癌、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、および造血障害、ならびに種々の異常脂肪性浮腫(dyslipidemias)、肥満に関連する代謝障害、X代謝症候群(metabolic syndrome X)、ならびに慢性疾患および種々のガンと関連する消耗疾患が挙げられる。本発明はまた、個体が、NOVXのタンパク質、核酸の発現または活性と関連した障害を発症するリスクがあるかどうかを決定するための予後的(または予測的)アッセイを提供する。例えば、NOVXの遺伝子における変異が、生物学的サンプルにおいてアッセイされ得る。このようなアッセイは、予後的または予測的な目的に使用され、これによってNOVXのタンパク質、核酸の発現または生物学的活性によって特徴付けられるかまたは関連した障害の発病の前に個体を予防的に処置し得る。
【0457】
本発明の別の局面は、個体におけるNOVXのタンパク質、核酸の発現または活性を決定するための方法を提供し、これによって、その個体についての適切な治療的または予防的試薬(本明細書において「薬物ゲノム」とよばれる)を選択する。薬物ゲノムは、個体の遺伝型(例えば、特定の試薬に対して応答する個体の能力を決定するために試験された個体の遺伝型)に基づいて個体の治療的または予防的処置のための試薬(例えば、薬物)の選択を可能にする。
【0458】
本発明のなお別の局面は、臨床試験におけるNOVXの発現または活性に対する試薬(例えば、薬物、化合物)の影響をモニタリングすることに関する。
【0459】
これらおよび他の試薬は、以下の節でさらに詳細に記載される。
【0460】
(診断アッセイ)
生物学的サンプルにおけるNOVXの存在または非存在を検出するための例示的な方法は、試験被験体から生物学的サンプルを得る工程、およびその生物学的サンプルをNOVXのタンパク質またはNOVXタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出し得る化合物もしくは薬剤とを接触させ、その結果、NOVXの存在が、その生物学的サンプルにおいて検出される、工程を包含する。NOVXのmRNAもしくはゲノムDNAを検出するための薬剤は、NOVX mRNAもしくはゲノムDNAにハイブリダイズし得る、標識された核酸プローブである。この核酸プローブは、例えば、全長のNOVXの核酸(例えば、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36の核酸またはそれらの一部)(例えば、少なくとも、15、30、50、100、250もしくは500ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、ストリンジェントな条件下でNOVXのmRNAまたはゲノムDNAと特異的にハイブリダイズするに十分である核酸)であり得る。本発明の診断アッセイにおける使用のための他の適切なプローブは本明細書において記載されている。
【0461】
NOVXのタンパク質を検出するための薬剤は、NOVXのタンパク質に結合し得る抗体であり、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナルであり得るか、またはより好ましくはモノクローナル抗体であり得る。インタクトな抗体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’))が使用され得る。用語「標識(された)」とは、プローブまたは抗体に関して、検出可能な物質をそのプローブもしくは抗体にカップリングさせる(すなわち、物理的に連結する)ことによってそのプローブまたは抗体を直接標識すること、ならびに、直接標識された別の試薬との反応性によってそのプローブもしくは抗体の間接的な標識をすることを包含することが意図される。間接的な標識の例としては、蛍光標識された二次抗体を用いた一次抗体の検出、および蛍光標識されたストレプトアビジンを用いて検出され得るようにDNAプローブのビオチンを用いた末端標識が挙げられる。用語「生物学的サンプル」とは、被験体から単離された、組織、細胞および生物学的流体ならびに被験体に存在する組織、細胞および流体を含むことが意図される。すなわち、本発明の検出方法を用いて、NOVXのmRNA、タンパク質またはゲノムDNAを、生物学的サンプル中で、インビトロおよびインビボで検出し得る。例えば、NOVXのmRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。NOVXのタンパク質の検出のためのインビトロ技術としては、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が挙げられる。NOVXのゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、NOVXのタンパク質の検出のためのインビボ技術としては、標識された抗NOVX抗体を被験体に導入することが挙げられる。例えば、その抗体は、放射性マーカーを用いて標識され得る。被験体における放射性マーカーの存在および位置は、標準的な画像化技術によって検出され得る。
【0462】
1つの実施形態において、この生物学的サンプルは、その試験被験体からのタンパク質分子を含む。あるいは、その生物学的サンプルは、その試験被験体からのmRNA分子またはその試験被験体からのゲノムDNA分子を含み得る。好ましい生物学的サンプルは、被験体から従来の手段によって単離された末梢血白血球サンプルである。
【0463】
別の実施形態において、本発明の方法はさらに、コントロール被験体からコントロール生物学的サンプルを得る工程、そのコントロールサンプルを、NOVXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAを検出し得る化合物もしくは薬剤と接触させ、その結果、NOVXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの存在がその生物学的サンプルにおいて検出される、工程、およびそのコントロールサンプルにおけるNOVXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの存在と、その試験サンプルにおけるNOVXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの存在とを比較する工程を包含する。
【0464】
本発明はまた、生物学的サンプルにおけるNOVXの存在を検出するためのキットを包含する。例えば、このキットは、以下を備え得る:生物学的サンプルにおいてNOVXのタンパク質またはmRNAを検出し得る、標識された化合物もしくは薬剤;そのサンプルにおいてNOVXの量を決定するための手段;およびそのサンプルにおいて、標準と、NOVXの量とを比較するための手段。この化合物または薬剤は、適切な容器内に包装され得る。このキットは、さらに、NOVXのタンパク質または核酸を検出するためにキットを用いるための指示書を備え得る。
【0465】
(予後アッセイ)
本明細書において記載された診断方法をさらに利用して、NOVXの異常発現または異常活性に関連した疾患もしくは障害を有するか、またはその発症の危険性を有する被験体を同定し得る。例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、上述の診断アッセイまたは下記のアッセイ)を利用して、NOVXのタンパク質、核酸の発現または活性に関連する障害を有するかまたはその発症の危険性を有する被験体を同定し得る。あるいは、この予後アッセイを利用して、疾患または障害を有するかまたはその発症の危険性を有する被験体を同定し得る。従って、本発明は、NOVXの異常発現または異常活性に関連する疾患もしくは障害を同定するための方法を提供する。ここで、試験サンプルは、被験体から得られ、そしてNOVXのタンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)が検出され、ここで、NOVXのタンパク質または核酸の存在は、NOVXの異常発現または異常活性に関連する疾患または障害を有するかまたはその発症の危険性を有する被験体についての診断指標である。本明細書において使用される場合「試験サンプル」とは、目的の被験体から得られた生物学的サンプルをいう。例えば、試験サンプルは、生物学的流体(例えば、血清)、細胞サンプル、または組織であり得る。
【0466】
さらに、本明細書に記載される予後アッセイを使用して、被験体に薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の薬物候補)を投与してNOVXの異常発現または異常活性に関連する疾患または障害を処置し得るか否かを、決定し得る。例えば、このような方法を使用して、被験体が障害のための薬剤で有効に処置され得るか否かを決定し得る。従って、本発明は、NOVXの異常発現または異常活性に関連する障害のための薬剤を用いて、被験体が有効に処置され得るか否かを決定するための方法を提供する。ここで、試験サンプルが得られ、そしてNOVXのタンパク質または核酸が検出される(例えば、ここで、NOVXのタンパク質または核酸の存在は、この薬剤が投与されてNOVXの異常発現または異常活性に関連する障害が処置され得る被験体についての、診断指標である)。
【0467】
本発明の方法はまた、NOVX遺伝子における遺伝的損傷を検出し、それによって、その損傷遺伝子を有する被験体が異常な細胞増殖および/または分化によって特徴付けられる障害についての危険性を有するか否かを決定するためにも使用され得る。種々の実施形態において、この方法は、その被験体からの細胞のサンプルにおいて、NOVXタンパク質をコードする遺伝子の統合性に影響を与える少なくとも1つの変更によって特徴付けられる遺伝的損傷の存在または非存在、あるいはNOVX遺伝子の誤発現を検出する工程を包含する。例えば、そのような遺伝的損傷は、以下の少なくとも1つの存在を確認することによって検出され得る:(i)NOVX遺伝子からの1つ以上のヌクレオチドの欠失;(ii)NOVX遺伝子への1つ以上のヌクレオチドの付加;(iii)NOVX遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの置換、(iv)NOVX遺伝子の染色体再配置;(v)NOVX遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける変更、(vi)NOVX遺伝子の異常改変(例えば、ゲノムDNAのメチル化パターンの異常改変)、(vii)NOVX遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、(viii)NOVXタンパク質の非野生型レベル、(ix)NOVX遺伝子の対立遺伝子の欠失、ならびに(x)NOVXタンパク質の不適切な翻訳後修飾。本明細書において記載されるように、当該分野において、NOVX遺伝子における損傷を検出するために使用され得る、多数の公知のアッセイ技術が存在する。好ましい生物学的サンプルは、従来手段によって被験体から単離された末梢血白血球サンプルである。しかし、有核細胞を含む任意の生物学的サンプルが使用され得、これには、例えば、頬粘膜細胞が挙げられる。
【0468】
特定の実施形態において、損傷の検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号を参照のこと)(例えば、アンカーPCRまたはRACE PCR)、あるいは、連結連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら(1988)Science 241:1077−1080;およびNakazawaら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:360−364を参照のこと)におけるプローブ/プライマーの使用を包含する。後者は、NOVX遺伝子における点変異を検出するために特に有用であり得る(Abravayaら,1995 Nucl.Acids Res.23:675−682を参照のこと)。この方法は、患者から細胞のサンプルを収集する工程、核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはその両方)をそのサンプルの細胞から単離する工程、NOVXの遺伝子に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーとその核酸サンプルとを、NOVX遺伝子(存在する場合)のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件下で接触させる工程、ならびに増幅産物の存在もしくは非存在を検出する工程、またはその増幅産物のサイズを検出する工程およびその長さをコントロールサンプルと比較する工程を包含し得る。PCRおよび/またはLCRは、本明細書中に記載される変異を検出するために使用される技術のいずれかとともに予備的増幅工程として使用されることが望ましくあり得ることが予想される。
【0469】
代替的な増幅方法としては、以下が挙げられる:当業者に周知な技術を用いた、その増幅された分子の検出の前の、自己維持配列複製(Guatelliら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878を参照のこと)、転写増幅系(Kwohら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177を参照のこと)、Qβレプリカーゼ(Lizardiら、1988、BioTechnology 6:1197を参照のこと)、または他の任意の核酸増幅方法。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に極少数で存在する場合に、そのような核酸分子の検出のために特に有用である。
【0470】
代替の実施形態において、サンプル細胞からのNOVX遺伝子における変異は、制限酵素切断パターンにおける変更によって同定され得る。例えば、サンプルおよびコントロールのDNAが単離され、増幅され(必要に応じて)、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼを用いて消化され、そしてフラグメント長の大きさがゲル電気泳動によって決定され、そして比較される。サンプルDNAとコントロールDNAとの間のフラグメント長の大きさにおける差異は、そのサンプルDNAにおける変異を示す。さらに、配列特異的なリボザイムの使用(例えば、米国特許第5,493,531号を参照のこと)を使用して、リボザイム切断部位の発生または喪失によって、特異的な変異の存在についてスコア付けし得る。
【0471】
他の実施形態において、NOVXにおける遺伝子変異は、サンプル核酸およびコントロール核酸(例えば、DNAまたはRNA)を、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイに対してハイブリダイズさせることによって同定され得る(例えば、Croninら(1996)Human Mutation 7:244−255;Kozalら(1996)Nat.Med.2:753−759を参照のこと)。例えば、NOVXにおける遺伝子変異は、Croninら(前出)に記載されるように光生成DNAプローブを含む二次元アレイにおいて同定され得る。手短には、プローブの第一ハイブリダイゼーションアレイを用いて、サンプルおよびコントロールにおける長いストレッチのDNAにわたって走査し、連続的に重複するプローブの線形アレイを作成することによって、その配列間の塩基変化を同定し得る。この工程は、点変異の同定を可能にする。この工程に第二のハイブリダイゼーションアレイが続き、これは、検出される全ての改変体または変異体に相補的な、より小さな特化されたプローブアレイを用いることによる特定の変異の特徴付けを可能にする。各変異アレイは、一方が野生型遺伝子に対して相補的であり、そして他方が変異遺伝子に対して相補である並行プローブセットから構成される。
【0472】
なお別の実施形態において、当該分野で公知の種々の配列決定反応のいずれかを使用して、NOVX遺伝子を直接配列決定し得、そしてサンプルNOVX配列と対応する野生型(コントロール)配列とを比較することによって、変異を検出し得る。配列決定反応の例としては、MaxamおよびGilbert(1977)Proc.Natl.Acad.Sic.USA 74:560またはSanger(1977)Proc.Natl.Acad.Sic.USA 74:5463によって開発された技術に基づくものが挙げられる。診断アッセイを実施する場合、種々の自動化配列決定手順のいずれかを利用し得ることもまた企図される(例えば、Naeveら(1995)Biotechniques 19:448を参照のこと)。これらには、質量分析法による配列決定法(例えば、PCT国際公開番号WO 94/16101;Cohenら(1996)Adv.Chromatography 36:127−162;およびGriffinら(1993)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147−159を参照のこと)が含まれる。
【0473】
NOVX遺伝子における変異を検出するための他の方法としては、切断剤からの保護を使用して、RNA/RNAもしくはRNA/DNAのヘテロ二重鎖におけるミスマッチ塩基を検出する方法が挙げられる(例えば、Myersら(1985)Science 230:1242を参照のこと)。一般に、「ミスマッチ切断」の当該分野の技術は、野生型のNOVX配列を含む(標識された)RNAまたはDNAを、組織サンプルから得られた潜在的な変異体RNAまたはDNAとハイブリダイズさせることによって形成されるヘテロ二重鎖を提供する工程によって始まる。この二本鎖の二重鎖を、二重鎖の一本鎖領域(例えば、そのコントロールとサンプルの鎖との間の塩基対ミスマッチに起因して存在するもの)を切断する薬剤を用いて処理する。例えば、RNA/DNA二重鎖を、RNaseを用いて処理し得、そしてDNA/DNAハイブリッドを、そのミスマッチ領域を酵素的に消化するために、Sヌクレアーゼを用いて処理し得る。他の実施形態において、DNA/DNAまたはRNA/DNAのいずれかの二重鎖を、ミスマッチ領域を消化するために、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム、およびピペリジンを用いて処理し得る。そのミスマッチ領域の消化後、次いで、得られた物質を変性ポリアクリルアミドゲル上で、大きさにより分離して、変異の部位を決定する。例えば、Cottonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397;Saleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286−295を参照のこと。1つの実施形態において、コントロールのDNAまたはRNAは、検出のために標識され得る。
【0474】
なお別の実施形態において、ミスマッチ切断反応は、二本鎖DNAにおけるミスマッチ塩基対を認識する1つ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を、細胞のサンプルから得られたNOVX cDNAにおける点変異を検出およびマッピングするために規定された系において使用する。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチでAを切断し、そしてHeLa細胞からのチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチでTを切断する(例えば、Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657〜1662を参照のこと)。例示的な実施形態に従って、NOVX配列(例えば、野生型NOVX配列)に基づくプローブは、試験細胞由来のcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイズされる。二重鎖は、DNAミスマッチ修復酵素を用いて処理され、そしてその切断産物(もしあれば)は、電気泳動プロトコルなどから検出され得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
【0475】
他の実施形態において、電気泳動の移動度における変化は、NOVX遺伝子における変異を同定するために使用される。例えば、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)は、変異体と野生型核酸との間の電気泳動の移動度における差異を検出するために使用され得る(例えば、Oritaら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA:86:2766;Cotton(1993)Mutat.Res.285:125〜144;Hayashi(1992)Genet.Anal.Tech.Appl.9:73〜79を参照のこと)。サンプルおよびコントロールNOVX核酸の一本鎖DNAフラグメントは、変性され、そして再生される。一本鎖核酸の二次構造は、配列に従って変化し、電気泳動の移動度において得られる変化は、1つの塩基変化の検出さえも可能にする。DNAフラグメントは、標識され得るか、または標識されたプローブを用いて検出され得る。アッセイの感度は、DNAよりもむしろ、二次構造が配列中の変化に対してより敏感であるRNAを使用することによって増強され得る。1つの実施形態において、本発明の方法は、ヘテロ二重鎖分析を利用して、電気泳動の移動度における変化に基づいて二本鎖のヘテロ二重鎖分子を分離する。例えば、Keenら(1991)Trends Genet.7:5を参照のこと。
【0476】
なお別の実施形態において、一定勾配の変性剤を含有するポリアクリルアミドゲルにおける変異体または野生型フラグメントの移動は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用してアッセイされる。例えば、Myersら(1985)Nature 313:495を参照のこと。DGGEが分析の方法として使用される場合、DNAは、例えば、PCRにより約40bpの高融点GCリッチDNAのGCクランプを付加することによって、完全には変性されないことを確実するように改変される。さらなる実施形態において、温度勾配は、コントロールおよびサンプルDNAの移動度における差異を同定するために、変性剤勾配の代わりに使用される。例えば、RosenbaumおよびReissner(1987)Biophys.Chem.265:12753を参照のこと。
【0477】
点変異を検出するための他の技術の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、既知の変異が中心に配置されるように調製され得、次いで、完全なマッチが見出される場合にのみ、ハイブリダイゼーションを許容する条件下で標的DNAにハイブリダイズされる。例えば、Saikiら(1986)Nature 324:163;Saikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230を参照のこと。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、このオリゴヌクレオチドがハイブリダイズ膜に付着され、そして標識された標的DNAとハイブリダイズされる場合に、PCR増幅された標的DNAまたは多数の異なる変異にハイブリダイズされる。
【0478】
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術は、本発明と合わせて使用され得る。特異的増幅についてのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、分子の中心(その結果、増幅は、差次的ハイブリダイゼーションに依存する)(例えば、Gibbsら(1989)Nucl.Acids Res.17:2437〜2448を参照のこと)か、あるいは適切な条件下でミスマッチが妨げられ得るかまたはポリメラーゼ伸長を減少し得る、1つのプライマーの3’の最末端に、目的の変異を保有し得る(例えば、Prossner(1993)Tibtech 11:238を参照のこと)。さらに、切断に基づく検出を行うために、変異領域に新規な制限部位を導入することは、望ましくあり得る。例えば、Gaspariniら(1992)Mol.Cell.Probes 6:1を参照のこと。特定の実施形態において、増幅はまた、増幅用Taqリガーゼを使用して実施され得ることが予測される。例えば、Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189を参照のこと。このような場合において、連結は、5’配列の3’末端での完全なマッチが存在する場合にのみ生じ、増幅の存在または非存在を探索することによって、特定の部位における既知の変異の存在を検出することを可能にする。
【0479】
本明細書中に記載される方法は、例えば、本明細書中に記載れる少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含む、予めパッケージングされた診断キットを利用することによって実施され得、これは、例えば、NOVX遺伝子を含む疾患または疾病の症状または家族病歴を示す患者を診断するための臨床的設定において好都合に使用され得る。
【0480】
さらに、NOVXが発現される任意の細胞型または組織(好ましくは、末梢血白血球)は、本明細書中に記載される予後アッセイにおいて利用され得る。しかし、有核細胞を含む任意の生物学的サンプル(例えば、頬粘膜細胞を含む)が、使用され得る。
【0481】
(薬理ゲノム学(Pharmacogenomics))
NOVX活性(例えば、NOVX遺伝子発現)に対する刺激性または阻害性の影響を有する因子、すなわちモジュレーターは、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定されるように、(予防的または治療的に)処置されるべき個体に投与され得る(この障害としては、代謝障害、糖尿病、肥満症、感染症、食欲不振、癌関連悪液質、癌、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、および造血障害、ならびに種々の異常脂肪性浮腫(dyslipidemias)、肥満に関連する代謝障害、X代謝症候群(metabolic syndrome X)、ならびに慢性疾患および種々の癌と関連する消耗疾患が挙げられる)。このような処置と合わせて、個体の薬理ゲノム学(すなわち、個体の遺伝子型と外来化合物または薬物に対するその個体の応答との間の関係についての研究)が、考慮され得る。治療剤の代謝における差異は、薬理学的に活性な薬物の用量と血中濃度との間の関係を変更することによって、重篤な毒性または治療の失敗を導き得る。従って、個体の薬理ゲノム学は、個体の遺伝子型の考慮に基づく予防的または治療的処置のために有効な因子(例えば、薬物)の選択を可能にする。このような薬理ゲノム学は、さらに、適切な投薬量および治療剤レジメンを決定するために使用され得る。従って、NOVXタンパク質の活性、NOVX核酸の発現、あるいは個体におけるNOVX遺伝子の変異含量が決定されて、それによって個体の治療的または予防的処置のために適切な因子を選択し得る。
【0482】
薬理ゲノム学は、罹患した人おける変更された薬物の性質および異常な作用に起因して、薬物に応答する臨床的に有意な遺伝性変更を扱う。例えば、Eichelbaum、1996、Clin.Exp.Pharmacol.Physiol,23:983〜985;Linder、1997、Clin.Chem,43:254〜266を参照のこと。一般に、2つの型の薬理ゲノム学状態が、区別され得る。薬物が身体に作用する方法を変更する1つの因子として伝達される遺伝的状態(変更された薬物作用)、または身体が薬物に作用する方法を変更する1つの因子として伝達される遺伝的状態(変更された薬物代謝)。これらの薬理ゲノム学状態は、稀な欠損としてか、または多型としてのいずれかで生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損は、一般的な遺伝性酵素病であり、この主な臨床的合併症は、酸化剤薬物(抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの摂食後の溶血である。
【0483】
例示的な実施形態として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続期間の両方の主要な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)およびシトクロムP450酵素CYP2D6およびCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、幾人かの患者が予期される薬物効果を得ないか、または標準的かつ安全な用量の薬物を摂取した後に過大な薬物応答および深刻な毒性を示すことに関しての説明を提供した。これらの多型は、集団において2つの表現型(高い代謝能を持つ人(extensive metabolizer)(EM)および低い代謝能を持つ人(poor metabolizer)(PM))で表現される。PMの有病率は、異なる集団の間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は高度に多型であり、そしていくらかの変異がPMにおいて同定されており、この全ては機能的CYP2D6の非存在に至る。CYP2D6およびCYP2C19の低い代謝能を持つ人は、彼らが標準的な用量を受ける場合に、かなり頻繁に過大な薬物応答および副作用を経験する。代謝産物が活性な治療的部分である場合、そのCYP2D6形成代謝産物モルヒネによって媒介されるコデインの鎮痛効果について実証されるように、PMは治療的応答を示さない。他の極端なものは、標準的な用量に応答しない、いわゆる超迅速な代謝能を持つ人である。最近、超迅速な代謝の基準となる分子は、CYP2D6遺伝子増幅に起因していることが同定されている。
【0484】
従って、NOVXのタンパク質の活性、NOVXの核酸の発現、あるいは個体におけるNOVXの遺伝子の変異内容を決定して、それによって、その個体の治療的または予防的処置のために適切な因子を選択し得る。さらに、薬理ゲノム学の研究を使用して、個体の薬物応答性の表現型の同定に対して薬物代謝酵素をコードする多型対立遺伝子の遺伝子型を適用し得る。この知見は、用量または薬物選択に適用される場合、有害な反応または治療の失敗を回避し得、従って、被験体をNOVXの調節因子(例えば、本明細書中に記載される例示的なスクリーニングアッセイの1つによって同定される調節因子)を用いて処置する場合に治療的または予防的効率を増強し得る。
【0485】
(臨床試験中の効果のモニタリング)
NOVXの発現または活性(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を調節する能力)に対する因子(例えば、薬物、化合物)の影響をモニタリングすることは、基本的な薬物スクリーニングだけでなく臨床試験に適用され得る。例えば、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイによって、NOVXの遺伝子発現、タンパク質レベルを増加するか、またはNOVX活性をアップレギュレートすることが決定される、因子の効力は、減少したNOVXの遺伝子発現、減少したタンパク質レベル、またはダウンレギュレートしたNOVXの活性を示す被験体の臨床試験においてモニターされ得る。あるいは、スクリーニングアッセイによって、減少したNOVXの遺伝子発現、減少したタンパク質レベル、またはNOVXの活性をダウンレギュレートすることが決定される、因子の効力は、増加したNOVXの遺伝子発現、減少したタンパク質レベル、またはアップレギュレートしたNOVXの活性を示す被験体の臨床試験においてモニターされ得る。このような臨床試験において、NOVXの発現または活性、および好ましくは、例えば、細胞増殖または免疫障害に関与する他の遺伝子が、「リードアウト(読み出し)(read out)」、すなわち、特定の細胞の免疫応答性のマーカーとして使用され得る。
【0486】
例えば、NOVXを含む遺伝子(これは、NOVX活性(例えば、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイにおいて同定される)を調節する因子(例えば、化合物、薬物または低分子)を用いる処置によって、細胞内で調節される)が同定され得るが、これらに限定されない。従って、細胞性増殖障害に対する因子の効果を研究するために、例えば、臨床試験において、細胞が単離され得、そしてRNAが調製され得、そしてNOVXおよびこの障害に関与する他の遺伝子の発現のレベルについて分析され得る。遺伝子発現のレベル(すなわち、遺伝子発現パターン)は、本明細書中に記載されるように、ノーザンブロット分析もしくはRT−PCRによるか、あるいは産生されるタンパク質の量を測定することによるか、本明細書中に記載されるような方法の1つによるか、あるいはNOVXまたは他の遺伝子の活性のレベルを測定することによって、定量され得る。この様式で、この遺伝子発現パターンは、この因子に対する細胞の生理学的応答の指標であるマーカーとして作用し得る。従って、この応答状態は、この因子を用いる個体の処置の前、および処置の間の種々の時点で、決定され得る。
【0487】
1つの実施形態において、本発明は、因子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、核酸、低分子、または本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定される他の薬物候補物)を用いる、被験体の処置の効力をモニタリングするための方法を提供し、これは、以下の工程を包含する:(i)因子の投与の前に、被験体から投与前サンプルを得る工程;(ii)この投与前サンプルにおける、NOVXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現のレベルを検出する工程;(iii)この被験体から1つ以上の投与後サンプルを得る工程;(iv)この投与後サンプルにおいて、NOVXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出する工程;(v)この投与前サンプルにおけるNOVXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを、この投与後サンプルにおけるNOVXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルと比較する工程;ならびに(vi)従って、この被験体に対する因子の投与を変更する工程。例えば、この因子の増加した投与は、検出されるよりも高いレベルにNOVXの発現または活性を増加すること(すなわち、この因子の効力を増加すること)が望ましくあり得る。あるいは、この因子の減少した投与は、検出されるよりも低いレベルにNOVXの発現または活性を減少すること(すなわち、この因子の効力を減少すること)が望ましくあり得る。
【0488】
(処置方法)
本発明は、異常なNOVXの発現または活性に関連する障害の危険性のある(または感受性)か、またはこの障害を有する被験体を処置する予防的および治療的の両方の方法を提供する。この障害としては、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、先天性心欠損症、大動脈狭窄症、心房中隔欠損症(ASD)、房室(A−V)管欠損症、動脈管、肺動脈弁狭窄症、大動脈弁下部狭窄症、心室中隔欠損症(VSD)、弁疾患、結節硬化症、強皮症、肥満症、移植、副腎脳白質ジストロフィー、先天性副腎過形成、前立腺癌、新形成;腺癌、リンパ腫、子宮癌、受胎能、血友病、凝固能亢進、特発性血小板減少性紫斑病、免疫不全症、対宿主性移植片病、AIDS、気管支炎ぜん息、クーロン病;多発性硬化症、オールブライト遺伝性骨形成異常症の処置、ならびに他の疾患、障害および状態などが挙げられる。
【0489】
これらの処置方法は、以下により詳細に記載される。
【0490】
(疾患および障害)
(その疾患または障害に罹患していない被験体と比較して)増加したレベルまたは生物学的活性によって特徴付けられる疾患および障害は、活性を拮抗する(すなわち、低減または阻害する)治療剤を用いて処置され得る。活性を拮抗する治療剤は、治療的または予防的な様式で、投与され得る。利用され得る治療剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)上記ペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;(ii)上記ペプチドに対する抗体;(iii)上記ペプチドをコードする核酸;(iv)相同組換えによって上記ペプチドの内因性機能を「ノックアウトする」ために利用される、アンチセンス核酸および「機能不全性」である(すなわち、上記ペプチドに対するコード配列のコード配列内の異種挿入に起因する)核酸の投与、(例えば、Capecchi、1989、Science 244:1288〜1292を参照のこと);または(v)上記ペプチドとその結合パートナーとの間の相互作用を変化させる、調節因子(すなわち、インヒビター、アゴニストおよびアンタゴニスト(本発明のさらなるペプチド模倣物または本発明のペプチドに対して特異的な抗体を含む))。
【0491】
(その疾患または障害に罹患していない被験体と比較して)減少したレベルまたは生物学的活性によって特徴付けられる疾患および障害は、活性を増加させる(すなわち、活性に対するアゴニストである)治療剤を用いて処置され得る。活性をアップレギュレートする治療剤は、治療的または予防的な様式で、投与され得る。利用され得る治療剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:上記ペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;あるいはバイオアベイラビリティーを増加させるアゴニスト。
【0492】
増加したレベルまたは減少したレベルは、ペプチドおよび/またはRNAを定量することによって、容易に検出され得る。この定量は、患者の組織サンプルを(例えば、生検組織から)入手し、そしてそのサンプルを、その発現したペプチド(または上記ペプチドのmRNA)のRNAレベルまたはペプチドレベル、構造および/または活性をインビトロでアッセイすることによる。当該分野において周知の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イムノアッセイ(例えば、ウェスタンブロット分析、免疫沈降、次いで、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫細胞化学などによる)および/またはmRNAの発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーションなど)。
【0493】
(予防的方法)
1つの局面において、本発明は、被験体において異常なNOVXの発現または活性と関連する疾患または状態を、NOVXの発現または少なくとも1つのNOVX活性を調節する因子をこの被験体に投与することによって予防するための方法を提供する。異常なNOVXの発現または活性によって引き起こされるかまたはこれらに起因する、疾患にかかる危険性がある被験体は、例えば、本明細書中に記載の診断アッセイまたは予後アッセイのいずれか、またはそれらの組み合わせによって、同定され得る。予防因子の投与は、疾患または障害が予防されるか、あるいはその進行を遅らせられるように、このNOVX異常の特徴である症状の発現の前に行い得る。このNOVX異常の型に依存して、例えば、NOVXアゴニスト因子またはNOVXアンタゴニスト因子が、その被験体を処置するために使用され得る。その適切な因子は、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。本発明の予防方法は、以下の小節において、さらに議論される。
【0494】
(治療方法)
本発明の別の局面は、治療目的のためにNOVXの発現または活性を調節する方法に関する。本発明の調節方法は、細胞を、その細胞に関するNOVXタンパク質活性の活性のうちの1つ以上を調節する因子と接触させる工程を包含する。NOVXタンパク質活性を調節する因子は、核酸またはタンパク質、NOVXタンパク質の天然に存在する同族リガンド、ペプチド、NOVXペプチド模倣物、または他の低分子のような、本明細書中に記載されるような因子であり得る。1つの実施形態において、この因子は、NOVXタンパク質活性のうちの1つ以上を刺激する。このような刺激因子の例としては、活性なNOVXタンパク質、およびその細胞に導入されたNOVXをコードする核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、この因子は、NOVXタンパク質活性のうちの1つ以上を阻害する。このような阻害因子の例としては、アンチセンスNOVX核酸分子、および抗NOVX抗体が挙げられる。これらの調節方法は、インビトロで(例えば、その因子とともにその細胞を培養することによって)、あるいはインビボで(例えば、被験体にその因子を投与することによって)実施され得る。このように、本発明は、NOVXのタンパク質または核酸分子の、異常な発現または異常な活性によって特徴付けられる、疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、NOVXの発現または活性を調節する(例えば、アップレギュレートまたはダウンレギュレートする)因子(例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイによって同定される因子)あるいはそのような因子の組み合わせを投与する工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、NOVXのタンパク質または核酸分子を、低下したかまたは異常な、NOVXの発現または活性を補完するための治療として、投与する工程を包含する。
【0495】
NOVX活性の刺激は、NOVXが異常にダウンレギュレートされている状況、および/またはNOVX活性の増加が有益な効果を有するようである状況において、望ましい。このような状況の1つの例は、被験体が、異常な細胞増殖および/または細胞分化によって特徴付けられる障害(例えば、癌または免疫関連障害)を有する場合である。このような状況の別の例は、被験体が妊娠性疾患(例えば、子癇前症(preclampsia))を有する場合である。
【0496】
(治療剤の生物学的効果の決定)
本発明の種々の実施形態において、適切なインビトロまたはインビボアッセイを行って、特定の治療剤の効果およびその投与が罹患組織の処置を示すか否かを決定する。
【0497】
種々の特定の実施形態において、インビトロアッセイが患者の障害に関与する代表的な細胞型で行われ、所定の治療剤がこの細胞型に対して所望の効果を発揮するか否かを決定し得る。治療において使用する化合物は、ヒト被験体において試験する前に、適切な動物モデル系において試験され得る。これらの動物モデル系としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなど。同様に、インビボ試験については、当該分野で公知の任意の動物モデル系が、ヒト被験体に対する投与の前に使用され得る。
【0498】
(本発明の組成物の予防的用途および治療的用途)
本発明のNOVX核酸およびタンパク質は、以下を含むが、これらに限定されない種々の障害に関連する潜在的予防的適用および治療的適用に有用である:代謝障害、糖尿病、肥満症、感染症、食欲不振、癌関連癌、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、造血障害、および種々の異常脂肪性浮腫(dyslipidemias)、肥満に関連する代謝障害、X代謝症候群(metabolic syndrome X)、ならびに慢性疾患および種々の癌と関連する消耗疾患。
【0499】
例えば、本発明のNOVXタンパク質をコードするcDNAは、遺伝子治療に有用であり、そしてこのタンパク質は、遺伝子治療を必要とする被験体に投与される場合、有用であり得る。非制限的例示として、本発明の組成物は、以下に罹患した患者の処置についての効力を有する:代謝障害、糖尿病、肥満症、感染性疾患、食欲不振、癌関連悪液質、癌、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、造血障害、および種々の異脂肪血症。
【0500】
本発明のNOVXタンパク質をコードする新規の核酸、およびNOVXタンパク質の両方、またはそれらのフラグメントは、診断適用にも有用であり得、ここで、この核酸またはタンパク質の存在または量が評価される。さらなる用途は、抗菌分子としての用途である(すなわち、いくつかのペプチドは、抗菌特性を有することが見出されている)。これらの材料は、治療的または診断的な方法における用途に関する本発明の新規の物質に免疫特異的に結合する抗体の産生においてさらに有用である。
【0501】
本発明を以下の実施例においてさらに詳細に記載する、この実施例は、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を限定しない。
【0502】
(実施例)
(実施例1.NOVXクローンの同定)
本発明で同定した新規のNOVX標的配列を、配列を確認するためにエキソン連結プロセスに供した。PCRプライマーを、順方向プライマーについては入手可能な最も上流の配列で、そして逆方向プライマーについては入手可能な最も下流の配列で開始するように設計した。表17Aは、種々のクローンを得るために使用したPCRプライマーの配列を示す。それぞれの場合について、適切な配列(すなわち、特有であるかまたは高度に選択的であるかのいずれか)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には終止コドンに達するまで、コード配列に向ってそれぞれの末端から内側に歩行することによって、配列を試験した。このようなプライマーを、標的配列の全長のcDNA,DNAの一部(1つ以上のエキソン)、もしくはタンパク質配列についてのインシリコ(in silico)予測に基づいて、または他の種からの密接に関連するヒト配列に対して推定したエキソンの翻訳された相同性によって、設計した。次いで、これらのプライマーを、以下のヒトcDNAのプールに基づいてPCR増幅において使用した:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児の脳、胎児の腎臓、胎児の肝臓、胎児の肺、心臓、腎臓、リンパ腫−Raji、乳腺、膵臓、脳下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮。通常は、得られたアンプリコンをゲル精製し、クローン化し、そして高い重複性について配列決定した。エキソンの連結によって導いたPCR産物を、InvitrogenによるpCR2.1ベクター中にクローン化した。得られた細菌クローンは、pCR2.1ベクター中にクローン化した完全なオープンリーディングフレームを包含している挿入物を有する。表17Bは、これらの細菌クローンのリストを示す。全てのクローンから得られた配列を、それ自体とともに、CuraGen Corporationのデータベース中の他のフラグメントとともに、そして公のESTとともにまとめた。集合の別の成分とのそれらの同一性の程度が50bpにわたって少なくとも95%である場合には、集合の構成要素としてフラグメントおよびESTを含んだ。さらに、少数の配列を手作業によって評価し、そして適切である場合には修正を施した。これらの手順によって本明細書中に報告する配列を提供する。
【0503】
【表10A】
Figure 2004516820
物理的なクローン:エキソンを相同性によって推定し、そしてイントロン/エキソンの境界を標準的な遺伝子規則を使用して決定した。エキソンを複数のBLAST(例えば、tBlastN、BlastX、およびBlastN)検索、およびいくつかの場合には、GeneScanおよびGrailを使用する類似性の決定手段によって、さらに選択し、そして精緻化した。利用可能な場合、公のデータベースおよび独自データベースの両方からの発現配列をもまた加え、こらの遺伝子配列をさらに定義しそして完全なものとした。
【0504】
【表10B】
Figure 2004516820
(実施例2.種々の細胞および組織中でのクローンの定量的発現分析)
種々のクローンの定量的な発現を、種々の正常細胞および病理から導いた細胞、細胞株、および組織由来のRNAサンプルを含有しているマイクロタイタープレートを使用し、実時間定量PCR(RTQ PCR)を使用して評価した。RTQ PCRを、Perkin−Elmer Biosystems ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection Systemによって実施した。サンプルの種々のコレクションをプレート上に組立て、そしてパネル1(正常な供給源および癌の供給源に由来する細胞および細胞株を含む)、パネル2(特に、正常な供給源および癌の供給源由来の外科手術のサンプルに由来する、組織由来のサンプルを含む)、パネル3(広範囲の種々の癌の供給源に由来するサンプルを含む)、パネル4(正常細胞および炎症状態に関係している細胞由来の細胞および細胞株を含む)、およびパネルCNSD.01(正常な脳および疾患の脳由来のサンプルを含む)と呼んだ。
【0505】
最初に、RNAサンプルを、構成的に発現される遺伝子(例えば、β−アクチンおよびGAPDH)のような参照核酸について標準化した。標準化したRNA(5μl)をcDNAに転換させ、そしてOne Step RT−PCR Master Mix Reagents(PE Biosystems;カタログ番号4309169)および遺伝子特異的プライマーを使用し、製造業者の説明書に従って、RTQ−PCRによって分析した。プローブおよびプライマーを、Perkin Elmer BiosystemのPrimer Express Softwareパッケージ(Apple ComputerのMachintosh Power PC用バージョンI)または入力として標的配列を使用する同様のアルゴリズムに従って、それぞれのアッセイについて設計した。デフォルト設定を反応条件について使用し、そして以下のパラメーターを、プライマーの選択の前に設定した:プライマー濃度=250nM、プライマーの融点(T)範囲=58〜60℃、プライマーの最適Tm=59℃、最大のプライマー差分=2℃、プローブは5’にGを有さない、プローブのTはプライマーのTよりも10℃高くなければならない、アンプリコンの大きさは75bpから100bpである。選択したプローブおよびプライマー(下記を参照のこと)を、Synthegen(Houston,TX,USA)によって合成した。プローブを、カップリングしていない色素を除去するためにHPLCによって二重精製し、そしてプローブの5’および3’末端へのレポーターおよび失活剤色素のカップリングをそれぞれ確認するために質量スペクトル分析によって評価した。それらの最終濃度は:順方向および逆方向プライマーについてはそれぞれ900nM、そしてプローブは200nMであった。
【0506】
PCR条件:各組織および各細胞株由来の標準化したRNAを、96ウェルPCRプレート(Perkin Elmer Biosystems)の各ウェルにスポットした。2つのプローブ(標的クローンに特異的なプローブ、および標的プローブと多重合する(multiplexed)別の遺伝子特異的プローブ)を含有しているPCR混合物を、PE Biosystems 7700のための1×TaqManTMPCR Master Mixを使用して、5mMのMgCl2、cNTP(dA、G、C、Uを1:1:1:2の比で)、0.25U/mlのAmpliTaq GoldTM(PE Biosystems)、および0.4U/μlのRNaseインヒビター、ならびに0.25U/μlの逆転写酵素とともに準備した。逆転写を、48℃で30分間行い、続いて以下のような増幅/PCRサイクルを行った。:95℃で10分間、次いで40サイクルの、95℃で15秒間、60℃で1分間。結果をCT値(所定のサンプルが蛍光の限界値と交差するサイクル)として対数目盛を使用して、所定のサンプルとΔCTの仕事率に対して2と示される最も低いCT値を有するサンプルとの間でのRNA濃度の差分とともに記録した。次いで、相対的な発現の割合を、このRNA差分の逆数をとり、そして100を掛け算することによって得た。
【0507】
パネル1の結果においては、以下の略号を使用した:
ca.=癌腫
=転移によって確立された
met=転移
s cell var=小細胞変異株
non−s=non−sm=小さくない
squam=扁平上皮細胞
pl.eff=pl effusion=胸水
glio=神経膠腫
astro=神経膠星状細胞腫、および
neuro=神経芽細胞腫。
【0508】
(パネル2)
パネル2のプレートは、一般的には、2つのコントロールのウェルと94個の試験サンプルを含む。これは、National Cancer InstituteのCooperative Human Tissue Network(CHTN)またはNational Research Initiative(NDRI)との緊密な共同研究において、外科医の仕事によって入手したヒト組織から単離したRNAまたはcDNAを含む。組織は、ヒトの悪性腫瘍に由来し、そして示した多くの悪性腫瘍組織が「揃った境界(matched margin)」を有する場合には、腫瘍にすぐ隣接している非癌性組織から得た。これらを、正常な隣接組織と呼び、そして以下の結果には「NAT」と記載する。腫瘍組織および「揃った境界」を、2つの別々の病理学者によって評価する(外科の病理学者、およびNDRIまたはCHTNの病理学者によって再び)。この分析は、腫瘍の分化の段階の全体的な組織病理学的評価を提供する。さらに、ほとんどのサンプルは、もともとの外科の病理報告を含む。これは、患者の臨床段階に関する情報を提供する。これらの揃った境界を、外科手術領域の周辺(すなわち、すぐ隣接している)組織(表RRにおいては正常な隣接組織を「NAT」と明示する)から採取する。さらに、RNAおよびcDNAサンプルを、高齢者または突然死の被害者(事故など)について行った検死による種々のヒト組織から得た。これらの組織が疾患を有さないことを確認し、そしてこれを、Clontech(Palo Alto,CA)、Research Genetics、およびInvitrogenのような種々の商業的な供給源から購入した。
【0509】
全てのサンプルに由来するRNAの完全性を、指針として28Sおよび18SリボソームRNAの染色強度(2:1〜2.5:1の28s:18s)、および分解産物の指標である低分子量のRNAが存在しないことを使用して、アガロースゲル電気泳動の視覚的な評価によって質を管理した。サンプルを、単一のエキソンの範囲全体を増幅するように設計したプローブおよびプライマーのセットを使用して、逆転写酵素の非存在下でのRTQ PCR反応の実行によるゲノムDNAの混入について、管理した。
【0510】
(パネル3D)
パネル3Dのプレートは、94個のcDNAサンプルおよび2個のコントロールサンプルを含む。詳細には、これらのうちの92個は培養されたヒトの癌細胞株に由来し、2個のサンプルはヒトの初代小脳組織であり、そして2つはコントロールである。ヒトの細胞株は、一般的には、ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)、NCI、またはGerman腫瘍細胞バンクから入手し、そして以下の組織グループに分ける:舌の扁平上皮細胞癌、乳癌、前立腺癌、黒色腫、類表皮腫、肉腫、膀胱癌、膵臓癌、腎臓癌、白血病/リンパ腫、卵巣/子宮/子宮頚癌、胃癌、結腸癌、肺癌、およびCNS癌細胞株。さらに、小脳の2つの異なるサンプルが存在する。これらの細胞の全てを、標準的な推奨される条件下で培養し、そして標準的な手順を使用してRNAを抽出した。パネル3Dおよび1.3Dの細胞株は、学術文献において使用される最も一般的な細胞株である。
【0511】
全てのサンプルに由来するRNAの完全性を、指針として28Sおよび18SリボソームRNAの染色強度(2:1〜2.5:1の28s:18s)、および分解産物の指標である低分子量のRNAが存在しないことを使用して、アガロースゲル電気泳動の視覚的な評価によって質を管理した。サンプルを、単一のエキソンの範囲全体を増幅するように設計したプローブおよびプライマーのセットを使用して、逆転写酵素の非存在下でのRTQ PCR反応の実行によるゲノムDNAの混入について、管理した。
【0512】
(パネル4)
パネル4は、96ウェルプレート(2個のコントロールのウェル、94個の試験サンプル)上にサンプルを含む。これは、炎症状態に関係している種々のヒトの細胞株または組織から単離したRNA(パネル4r)またはcDNA(パネル4d)を含む。結腸および肺(Stratagene,La Jolla,CA)ならびに胸腺および腎臓(Clontech)のようなコントロールの正常組織に由来する全RNAを使用した。肝硬変患者の肝臓組織および狼瘡患者の腎臓に由来する全RNAを、BioChain(Biochain Institute,Inc.,Hayward,CA)から入手した。クローン病および潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者からのRNAの調製のための腸組織を、National Disease Research Interchange(NDRI)(Philadelphia,PA)から入手した。
【0513】
星状細胞、肺繊維芽細胞、皮膚繊維芽細胞、冠状動脈平滑筋細胞、小気道上皮細胞、気管支上皮細胞、微小血管皮膚内皮細胞、微小血管肺内皮細胞、ヒトの肺大動脈の血管内皮細胞、ヒトの臍帯静脈の血管内皮細胞を、全て、Clonetics(Walkersville,MD)から購入し、そしてCloneticsによってこれらの細胞型について提供される培地中で増殖させた。これらの初代細胞型を、示すように、種々のサイトカインまたはサイトカインの組合せを用いて6時間および/または12〜14時間の間、活性化した。以下のサイトカインを使用した:約1〜5ng/mlのIL−1β、約5〜10ng/mlのTNFα、約20〜50ng/mlのIFNγ、約5〜10ng/mlのIL−4、約5〜10ng/mlのIL−9、約5〜10ng/mlのIL−13。内皮細胞を、時折、0.1%の血清を有するCloneticsによる基底培地中での培養によって種々の時間枯渇させた。
【0514】
単核細胞を、Ficollを使用して、CuraGen Corporationの従業員の血液から調製した。LAK細胞を、DMEM、5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco/Life Technologies,Rockville,MD)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)、およびインターロイキン2(Interleukin 2)中での4〜6日間の培養によってこれらの細胞から調製した。次いで、細胞を、10〜20ng/mlのPMA、および1〜2μg/mlのイオノマイシン、5〜10ng/mlのIL−12、20〜50ng/mlのIFNγ、および5〜10ng/mlのIL−18のいずれかで、6時間活性化した。いくつかの場合には、単核細胞を、約5μg/mlのPHA(フィトヘマグルチニン)またはPWN(アメリカヤマゴボウ有糸分裂促進物質)を含有する、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中で、4〜5日間培養した。RNAの調製のための、サンプルを24、48、および72時間で採取した。MLR(混合したリンパ球反応物)サンプルを、2人のドナーからの採血、Ficollを使用する単核細胞の単離、および単離した単核細胞の、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5×10−5M)(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中の約2×10個の細胞/mlの最終濃度での1:1での混合によって得た。このMLRを培養し、そしてRNAの調製のために1〜7日までの範囲の種々の時点でサンプルを採取した。
【0515】
単球を、製造業者の説明書に従って、CD14 Miltenyi Beads、+veVS選択カラムおよびVario Magnetを使用して単核細胞から単離した。単球を、DMEM 5%のウシの胎児の血清(FCS)(Hyclone、Logan,UT)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)、50ng/mlのGMCSF、および5ng/mlのIL−4中での5〜7日間の培養によって樹状細胞に分化させた。マクロファージを、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)、および10%のABヒト血清、または約50ng/mlのMCSF中で5〜7日間の単球の培養によって調製した。単球、マクロファージ、および樹状細胞を、100ng/mlのリポポリサッカライド(LPS)で6時間および12〜14時間刺激した。樹状細胞をまた、10μg/mlの抗CD40モノクローナル抗体(Pharmingen)で6時間および12〜14時間刺激した。
【0516】
CD4リンパ球、CD8リンパ球、およびNK細胞をまた、製造業者の説明書に従って、CD4、CD8、およびCD56のMiltenyiビーズ、ポジティブVS選択カラム、およびVario Magnetを使用して単核細胞から単離した。CD45RAリンパ球およびCD45RO CD4リンパ球を、CD8、CD56、CD14、およびCD19のMiltenyiビーズおよびポジティブ選択を使用してCD8細胞、CD56細胞、CD14細胞、およびCD19細胞の単核細胞を除去することによって単離した。次いで、CD45ROビーズを、CD45RO CD4リンパ球である残りの細胞とともに、CD45RO CD4リンパ球を単離するために使用した。CD45RA CD4、CD45RO CD4、およびCD8のリンパ球を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中に入れ、そしてPBS中の0.5μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および3μg/mlの抗CD3(OKT3、ATCC)で一晩コーティングしたFalcon 6ウェル組織培養プレート上に10細胞/mlでプレートした。6時間および24時間後、細胞をRNAの調製のために回収した。慢性的に活性化されたCD8リンパ球を調製するために、本発明者らは、抗CD28および抗CD3で一晩コーティングしたプレート上で4日間、単離したCD8リンパ球を活性化し、次いで細胞を回収して、それらをDMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)、ならびにIL−2中で拡大させた。次いで再び、拡大させたCD8細胞を、プレートに結合させた抗CD3および抗CD28で4日間活性化し、そして先のように拡大させた。RNAを2回目の活性化の6時間および24時間後、ならびに2回目の培養物の拡大の4日後に単離した。単離したNK細胞を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)、ならびにIL−2中でRNAを調製する前に4〜6日間培養した。
【0517】
B細胞を得るために、扁桃をNDRIによって獲得した。扁桃を、滅菌した解剖用の鋏で切断し、次いで篩を通過させた。次いで、扁桃体の細胞をスピンダウンさせ、そしてDMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中に10個の細胞/mlで再懸濁した。細胞を活性化するために、本発明者らは、5μg/mlでPWM、または約10μg/mlで抗CD40(Pharmingen)および5〜10ng/mlでIL−4を使用した。細胞をRNAの調製のために、24、48、および72時間で回収した。
【0518】
初代細胞ならびに2次Th1/Th2細胞および2次Tr1細胞を調製するために、6ウェルのFalconプレートを、10μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および2μg/mlのOKT3(ATCC)で一晩コーティングし、次いでPBSで2回洗浄した。臍帯血CD4リンパ球(Poietic Systems,German Town,MD)を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)、およびIL−2(4ng/ml)中で10〜10個の細胞/mlで培養した。IL−12(5ng/ml)および抗IL−4(1 g/ml)を、Th1に指向させるために使用し、一方で、IL−4(5ng/ml)および抗IFMγ(1 g/ml)をTh2に指向させるために使用し、そして5ng/mlのIL−10をTr1に指向させるために使用した。4〜5日後、活性化させたTh1リンパ球、Th2リンパ球、およびTr1リンパ球をDMEM中で1回洗浄し、そしてDMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)、およびIL−2(1ng/ml)中で4〜7日間拡大させた。この後、活性化させたTh1リンパ球、Th2リンパ球、およびTr1リンパ球を、抗CD28/OKT3および上記のようなサイトカインを用いて、しかしアポトーシスを防ぐために抗CD95L(1□g/ml)の添加を用いて5日間再刺激した。4〜5日後、Th1リンパ球、Th2リンパ球、およびTr1リンパ球を洗浄し、次いで再びIL−2を用いて4〜7日間拡大させた。活性化させたTh1リンパ球およびTh2リンパ球を最大3回のサイクルまで、この方法で維持した。RNAを、プレートに結合させた抗CD3および抗CD28 mAbでの2回目および3回目の活性化の6時間および24時間後、ならびにInterleukin 2中での2回目および3回目の拡大培養の4日目に、初代および2次Th1、Th2、およびTr1から調製した。
【0519】
以下の白血球株をATCCから入手した:Ramos、EOL−1、KU−812。EOL細胞を、5×10個の細胞/mlの0.1mMのdbcAMP中での8日間の培養、3日毎の培地の交換、および5×10個の細胞/mlの細胞濃度への調節によってさらに分化させた。これらの細胞の培養のために、本発明者らは、5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)の添加とともなって、(ATCCによって推奨されるように)DMEMまたはRPMIを使用した。RNAを、休止細胞または10ng/mlのPMAおよび1μg/mlのイオノマイシンで6時間および14時間活性化した細胞のいずれかから調製した。角質細胞株CCD106および気道上皮腫瘍株NCI−H292をまたATCCから入手した。両方を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの必須ではないアミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中で培養した。CCD1106細胞を、約5ng/mlのTNFαおよび1ng/mlのIL−1βで6時間および14時間活性化し、一方、NCI−H292細胞を、以下のサイトカインを用いて6時間および14時間活性化した:5ng/mlのIL−4、5ng/mlのIL−9、5ng/mlのIL−13、および25ng/mlのIFNγ。
【0520】
これらの細胞株および血液細胞について、約10個の細胞/mlをTrisol(Gibco BRL)を使用して溶解させることによってRNAを調製した。簡潔には、1/10容量のブロモクロロプロパン(Molecular Research Corporation)をRNAサンプルに添加し、ボルテックスし、そして室温で10分後、チューブをSorvall SS34回転装置で14,000rpmで回転させた。水相を採取し、そして15mlのFalcon Tubeに入れた。等量のイソプロパノールを添加し、そして−20℃で一晩静置した。沈殿させたRNAをSorvall SS34回転装置中で9,000rpmで15分間スピンダウンさせ、そして70%のエタノール中で洗浄した。このペレットを300μlのRNAseを含まない水中に再度溶解させ、そして35μlの緩衝液(Promega)、5μlのDTT、7μlのRNAsin、および8μlのDNAseを添加した。チューブを、混入しているゲノムDNAを除去するために37℃で30分間インキュベートし、フェノールクロロホルムで1回抽出し、そして1/10容量の3Mの酢酸ナトリウムおよび2倍容量の100%エタノールで再度沈殿させた。RNAをスピンダウンさせ、そしてRNAseを含まない水中に入れた。RNAを−80℃で保存した。
【0521】
(パネルCNSD.01)
パネルCNSD.01のプレートは、2個のコントロールのウェルおよび94個の試験サンプルを含む。これは、Harvard Brain Tissue Resource Centerから入手した死後のヒトの脳組織から単離されたcDNAを含む。脳を、死後4時間から24時間の間にドナーの頭蓋冠から切り出し、神経解剖学者によって断片化し、そして液体窒素蒸気中で−80℃で凍結させた。全ての脳を断片化し、そして明確な関連する神経病理学の診断を確認するために神経病理学者によって試験した。
【0522】
疾患の診断を患者の記録から入手する。パネルは、以下の診断のそれぞれに由来する2つの脳、および「正常なコントロール」を含む:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、欝状態。これらの脳のそれぞれの中で以下の領域を示す:帯状回、大脳側頭極、淡蒼球(globus palladus)、黒質、Brodman Area 4(主要な運動ストリップ(primary motor strip))、Brodman Area 7(頭頂皮質)、Brodman Area 9(前前頭皮質)、およびBrodman Area 17(後頭の皮質)。全てではない脳の領域を全ての症例において示す;例えば、ハンチントン病は、淡蒼球の神経変性によって一部特徴付けられ、従ってこの領域は確立されたハンチントン病の症例からは得ることができない。同様に、パーキンソン病は黒質の退化によって特徴付けられ、この領域を得ることをさらに困難にする。正常なコントロールの脳を神経病理学について試験し、そして神経変性に関係しているあらゆる病理学を含まないことを見出した。
【0523】
全てのサンプルに由来するRNAの完全性を、指針として28Sおよび18SリボソームRNAの染色強度(2:1から2.5:1の28s:18s)、および分解産物の指標である低分子量のRNAが存在しないことを使用して、アガロースゲル電気泳動の視覚的な評価によって質を管理した。サンプルを、単一のエキソンの範囲全体を増幅するように設計したプローブおよびプライマーのセットを使用して、逆転写酵素の非存在下でのRTQ PCR反応の実行によるゲノムDNAの混入について、管理した。
【0524】
CNSパネル中の組織を同定するために使用した標識には、以下の略号を使用した:
PSP=進行性核上性麻痺
Sub Nigra=黒質
Glob Palladus=淡蒼球
Temp Pole=大脳側頭極
Cing Gyr=帯状回
BA 4=Brodman Area 4。
【0525】
AC068339_A遺伝子は、シグナル伝達に関係している細胞表面レセプターの1つの型であるGタンパク質結合レセプター(GPCR)をコードする。AC068339 A遺伝子産物は、GPCRの臭気物質レセプターのサブファミリーのメンバーとほぼ同様である。他の臭気物質レセプター遺伝子に対する相似性に基づいて、本発明者らは、AC068339_A遺伝子の発現が鼻の上皮細胞中で最も高くなり得ると予想した。サンプルはこれらのパネル上にには示されていない。
【0526】
(NOV1)
遺伝子AC013554_da1の発現を、表11に記載するプライマー−プローブのセットAg2025を使用して評価した。RTQ−PCRの実行による結果を、表12に示す。
【0527】
【表11】
Figure 2004516820
【0528】
【表12】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
パネル1.3Dの要約:Ag2025。NOV1遺伝子の発現は、このパネル上のサンプルの中で精巣中でのみ検出され、そして転写は中程度のレベル(CT=29.6)で存在した。従って、この遺伝子は、このパネル上の他の組織から精巣を区別するために使用することができた。このNOV1遺伝子は、酸化還元によって媒介される反応による種々の細胞性プロセスに関係している小さな遍在性のタンパク質であるチオレドキシンに対して相同性を有しているタンパク質をコードする。精子中でのみ発現されるチオレドキシンの例は、最近報告されている(参考文献1)。従って、NOV1遺伝子産物もまた、精子形成および/または受精において役割を果たし得る。
【0529】
パネル2.2の要約:Ag2025。NOV1遺伝子の発現は、このパネル上のサンプルの全体について低かった/検出不可能であった(CT値>35)(データは示さない)。
【0530】
パネル4Dの要約:Ag2025。NOV1遺伝子の発現は、このパネル上のサンプルの全体について低かった/検出不可能であった(CT値>35)(データは示さない)。
【0531】
(参考文献:)
1.Miranda−Vizuete A.,Ljung J.,Damdimopoulos A.E.,Gustafsson J.A.,Oko R.,Pelto−Huikko M.,Spyrou G.(2001)Characterization of Sptrx、a novel member of the thioredoxin family specifically expressed in human spermatozoa.J.Biol.Chem.6月8日(epubahead of print)。
【0532】
チオレドキシン(Trx)は、酸化還元によって媒介される反応による種々の細胞性プロセスに関係している小さな遍在性タンパク質である。本発明者らは、本明細書において、最初に精子中でのみ存在する組織特異的分布を用いて、Sptrx(精子特異的trx)と命名したヒトのチオレドキシンファミリーの新規のメンバーの同定および特徴付けを報告する。SptrxのORFは、2つの明らかなドメインから構成される486個のアミノ酸のタンパク質をコードする:15残基のモチーフの23回の高度に保存されている繰り返しからなるN末端ドメイン、およびチオレドキシンに典型的なC末端ドメイン。ノーザン分析およびインサイチュハイブリダイゼーションは、Sptrx mRNAがヒトの精巣(特に、丸型および伸張型の精子細胞)中でのみ発現されることを示した。ヒトの精巣の切片の免疫染色によって、精子細胞中のSptrxタンパク質を同定し、一方で、免疫蛍光および免疫金(immunogold)電子顕微鏡での分析によって、射出された精子の細胞質の液滴中でのSptrxの局在を示した。Sptrxは、天然の状態で多量体構造を有するようであり、そしてNADPHおよびチオレドキシンレダクターゼの存在下でインシュリンジスルフィド結合を還元することが可能である。哺乳動物の精巣の輸精管での精子形成およびその後の精巣上体での成熟の間の大量のジスルフィド結合の再形成が、細胞骨格による精子構造を安定化させるために必要である。しかし、これらのプロセスを制御する分子機構は知られていない。精子の尾が構成される精子形成の有糸分裂期後に制限される発現パターンを有するSptrxの同定は、Sptrxがヒトの精子形成の重要な工程を調節する有力な因子であり得ることを示唆する。
【0533】
(NOV2a)
NOV2a遺伝子の発現を、表13に記載するプライマー−プローブのセットAg850を使用して評価した。RTQ−PCRの実行による結果を、表14および15に示す。
【0534】
【表13】
Figure 2004516820
【0535】
【表14】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
【0536】
【表15】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
パネル2.2の要約:Ag850。NOV2a遺伝子は、このパネル上のサンプルの中で、腎臓癌に隣接している正常な腎臓組織に由来するサンプル中で最も高く発現された(CT=28.4)。さらに、9個の例のこの遺伝子のうちの7個が、腎臓癌に隣接している正常な腎臓組織中でより高度に発現された。さらに、それらの正常な隣接組織と比較した場合には、肺癌中でのNOV2a遺伝子の発現を上回るようであった。従って、NOV2a遺伝子の発現は、腎臓癌から正常な腎臓組織を、または正常な肺組織から肺癌組織を区別するために使用することが可能である。さらに、この遺伝子によってコードされるタンパク質の治療による調節が、腎臓癌または肺癌の処置における用途であり得る。
【0537】
パネル4.1Dの要約:Ag850。NOV2a遺伝子は、このパネル上のサンプルの中で、正常な腎臓繊維芽細胞株、胸腺繊維芽細胞株、皮膚繊維芽細胞株(CCD1070)および星状細胞中で発現された。この遺伝子の発現は腎臓中で最も高く(CT=28.1)、パネル2.2で観察した発現と一致した。NOV2a遺伝子は、血液器官関門で発現されそして輸送において機能し得ることが既知のレチノイン酸応答性タンパク質に対して相同性を有するタンパク質をコードする(参考文献1)。従って、Stra6に対するこの遺伝子の相同性および星状細胞中でのその発現に基づくと、星状細胞は血液脳関門に関係し(参考文献2)、NOV2a遺伝子産物は、血液脳関門の維持において重要であり得、そしておそらく、この関門を通過する低分子の輸送において重要であり得る。従って、低分子治療を用いるNOV2a遺伝子産物の調節は、緊密な接合部によって通常ブロックされる脳中への特異的な治療用分子の通過を可能にすることができる。さらに、このタンパク質の機能の調節は、自閉症の処置においてもまた重要である。なぜなら、自閉症が感染に伴う病理学と連関し得、そしてこの特定の遺伝子が自閉症に関係している染色体の遺伝子座に見出されることが最近示されているからである(参考文献3)。
【0538】
(参考文献:)
1.Bouillet P.,Sapin V、Chazaud C.,Messaddeq N.,Decimo D.,Dolle P.,Chambon P.(1997)Developmental expression pattern of Stra6、a retinoic acid−responsive gene encoding a new type of membrane protein.Mech.Dev.63:173−186。
【0539】
レチノイン酸は、標的遺伝子の発現の調節によって、発達、増殖、および分化において重要な役割を果たす。新規のレチノイン酸誘導性遺伝子であるStra6は、サブトラクティブハイブリダイゼーションcDNAクローニング技術を使用して、P19胚性癌腫細胞中で同定されている。Stra6は、新規の型の極めて疎水性の膜タンパク質をコードする。これは、以前に特徴付けられている組込み型の膜タンパク質とは類似性を示さない。Stra6は、発育の間の特異的な発現パターンを示し、そして成体においては、血液−器官関門のレベルで強力に発現される。興味深いことに、精巣のセルトリ細胞中において、Stra6は、RARαヌル変異体(ここでは、Stra6は全ての管中で発現される)の精巣中での欠失である精子形成周期依存性の発現を有する。本発明者らは、Stra6タンパク質がまだ同定されていない輸送機構の構成要素であり得ることを示唆する。
【0540】
PMID:9203140
2.Pardridge W.M.(1999)Blood−brain barrier biology and methodology.J.Neurovirol.5:556−69。
【0541】
血液−脳関門(BBB)は、脊椎動物の脳の中を通る毛細血管の内皮内の上皮様の高抵抗性の緊密な接合部によって形成される。BBBの存在に起因して、循環している分子は2つのプロセスのうちの1つのみを通じて脳細胞への通路を獲得する:(i)自由な拡散によるBBBを通じる、低分子の脂質によって媒介される輸送、または(ii)触媒される輸送。後者は、低分子量の栄養素および水溶性ビタミンについてのキャリアによって媒介される輸送プロセス、または循環しているペプチド(例えば、インシュリン)、血漿タンパク質(例えば、トランスフェリン)、もしくはウイルスについてのレセプターによって媒介される輸送を含む。BBBの透過性自体は、毛細血管の内皮細胞の血漿膜の生化学的特性によって制御されるが、脳全体の微小血管の生物学は、毛細血管の内皮と脳の微小循環を含む他の2つの主要な細胞(すなわち、毛細血管の周細胞(これは、内皮細胞および星状細胞の最下部のプロセスと基膜を共有し、脳の毛細血管の基膜のアルブミン(abluminal)の表面の99%を提供する))との間でのパラ分泌相互作用の機能である。しばしば毛細血管の内皮のものとされる微小血管の機能は、実際には、毛細血管の周細胞または毛細血管の星状細胞の最下部のプロセスのいずれかによって実行される。BBB方法論に関して、この重要な膜を通過する生物学的な輸送を研究するための種々のインビボでの方法が存在している。伝統的な生理学的技術は、現在は、新たに単離された動物またはヒトの脳の毛細血管を使用する最新の生化学および分子生物学的アプローチと関係し得る。単離された脳の毛細血管の内皮細胞または、「インビトロのBBB」モデルを形成するように組織培養物中で増殖させられ得る。しかし、BBBの研究は、インビトロのBBBモデルだけを使用して行うことはできず、むしろインビボでの研究とインビトロのBBBモデルを用いて行われた観察とを相関させることが必要である。
【0542】
PMID:10602397
3.Hornig M.,Weissenbock H.,Horscroft.,Lipkin W.I.(1999)An infection−based model of neurodevelopmental damage.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:12102−12107。
【0543】
感染因子および毒素に対する周産期での曝露は、神経精神医学的障害の病理に関連するが、環境的誘因が、発達途中の、免疫エレメントおよび神経エレメントと相互作用して神経発達障害を生じる機構は、ほとんど理解されていない。本発明者らは、神経向性非細胞溶解性RNAウイルスであるボルナ病ウイルスでの新生児ラットの感染に基づく中枢神経系の発達の障害を研究するためのモデルを記載する。感染は、立ち直り(righting)反射、活動過剰、明るい場所(open−field)での診査の阻害、および常同症的行動(Stereotypic behavior)の行動を生じる。構造は海馬および小脳で顕著に破壊され、顆粒球およびPurkinje細胞の数の減少を伴う。ニューロンは、アポトーシス後の産物のmRNAレベルの増大(Fas、カスパーゼ−1)、抗アポトーシス性bcl−xのmRNAレベルの減少、および断片化されたDNAのインサイチュ標識によって支持されるようにアポトーシスによって主に失われる。炎症による浸潤が、前頭部皮質において一時的に観察されるが、神経膠の活性化(微小神経膠細胞増加>星状細胞増加)は脳全体で顕著であり、そしてプロ炎症性サイトカインのmRNA(インターロイキン1α、1β、および6、ならびに腫瘍壊死因子α)のレベルの増大、ならびに進行性の海馬および小脳の損傷と同調して数週間維持される。これらの機能と神経病理学的な異常のヒトの神経発達性障害に対する類似性は、中枢神経系と環境の影響との相互の関係の、細胞性、生化学的、組織学的、および機能的な結果を明確に定義するためのこのモデルの有用性を示唆する。
【0544】
PMID:10518583
NOV3a
NOV3a遺伝子の発現を、表16に記載するプライマー−プローブのセットAg1420を使用して評価した。RTQ−PCRの実行による結果を、表17、18、19、および20に示す。
【0545】
【表16】
Figure 2004516820
【0546】
【表17】
Figure 2004516820
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【0547】
【表18】
Figure 2004516820
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【0548】
【表19】
Figure 2004516820
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Figure 2004516820
【0549】
【表20】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
パネル1.2の要約:Ag1402。同じプローブ/プライマーを使用する2つの実験による結果は、良好に一致した。NOV3a遺伝子は、心臓(CT=22〜23)、前立腺、および卵巣組織中で最も高く発現され、そしてパネル1.2中の多数のサンプルの全体にわたって低い程度で発現される。この遺伝子が、培養された細胞株と比較して正常組織中では大きく発現されるという観察は注目する。従って、NOV3a遺伝子の発現は、他の組織から心臓、前立腺、および卵巣を区別するために使用することができる。
【0550】
他の代謝関連組織の中では、NOV3a遺伝子は、甲状腺、脳下垂体、および膵臓中で適度に発現され、そして副腎、骨格筋、および胎児/生体の肝臓中で高く発現された。インシュリン応答性組織(例えば、骨格筋およひ肝臓)中でのこの遺伝子の高い発現は、NOV3a遺伝子産物が、2型糖尿病の処置のための有効な薬物標的であり得ることを示唆する。副腎および心臓中での高い発現もまた、この遺伝子がこれらの2つの組織に関係している疾患の処置のための抗体標的であり得ることを示唆する。
【0551】
NOV3a遺伝子は、推定されるロイシンリッチ反復(LRR)のGPCR様タンパク質をコードする。Drosophilia中では、軸索誘導タンパク質のLRR領域は、機能に(特に、軸索の斥力において)重要であることが示されている(参考文献1)。NOV3a遺伝子によってコードされるロイシンを多く含む反復タンパク質は、脳の全体の領域にわたって高い発現を示し、扁桃体、小脳、海馬、視床、大脳皮質、および脊髄で発現が検出され、これによってこれを軸索、樹状突起について、および/または一般的には錐体(cone)の成長のための優れた候補のニューロン誘導タンパク質とする。このタンパク質のレベルで、またはこのタンパク質を通じる可能なシグナル伝達の治療的な調節は、代償性のシナプス形成、およびニューロンの死(発作、頭部の外傷)、軸索の損傷(脊髄の損傷)、または神経変性(アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、血管性痴呆、または任意の神経変性疾患)に応答するCNSの繊維増殖の増強/指示に有用であり得る。さらに、NOV3遺伝子は、黒質において最も高い発現を示す。ここでは、ドーパミン作動性のニューロンの減失が、パーキンソン病および進行性核上性麻痺の特徴である;従って、この遺伝子に基づく治療は、これらの疾患の処置に特に有用であり得る。この遺伝子はまた、脳腫瘍に由来する細胞株のような細胞株中で過剰発現を示す(Cura 438)。
【0552】
NOV3aタンパク質はまた、レセプターのGPCRファミリーに対する相同性を含む。いくつかの神経伝達物質レセプターはGPCRであり、これには、ドーパミンレセプターファミリー、セロトニンレセプターファミリー、GABABレセプター、ムスカリンアセチルコリンレセプターなどが含まれる;従って、このGPCRは、新規の神経伝達物質レセプターを示し得る。種々の神経伝達物質レセプター(ドーパミン、セロトニン)の標的化は、精神分裂病、二極性障害、および欝状態のような精神医学的疾病について有効な治療であることが証明されている。さらに、大脳皮質および海馬は、アルツハイマー病、心因性発作(seizure disorder)、および記憶形成の通常のプロセスにおいて重要な役割を果たすことが既知である脳の領域である。この遺伝子またはそのタンパク質産物の治療的な調節は、1つ以上のこれらの疾患において有用であり得、遺伝子によってコードされるレセプターを刺激および/または遮断し得る。しかし、中枢神経系の外側の領域(例えば、心臓、卵巣、および前立腺)でのこの遺伝子のレベルは高く、このことは、細胞間シグナル伝達における広範囲の役割の可能性を示唆している。
【0553】
パネル2.2の要約:Ag1402。このパネルのサンプルの中では、NOV3a遺伝子の発現は、卵巣癌に隣接している正常な卵巣組織のサンプル中で最も高かった(CT=28.5)。肺、結腸、および腎臓を含む多数の他の適合する正常組織サンプルについても、この発現パターンは卓越している。さらに、適合していない正常組織のサンプル(例えば、乳房、子宮、卵巣、および前立腺)もまた、NOV3a遺伝子のかなりの発現を示した。この遺伝子はまた、特定の乳房、肝臓、および胃の腫瘍によっても発現を示した(Cura438)。従って、一般的には、この遺伝子は、上記に列挙した組織型中の対応している悪性腫瘍組織から、隣接している正常組織を区別するために使用され得る。さらに、NOV3遺伝子によってコードされるタンパク質の治療的な調節が、上記に列挙した悪性腫瘍の処置において有用であり得る。
【0554】
パネル3Dの要約:Ag1402。NOV3a遺伝子の発現は、組織細胞性(hystiocytic)リンパ腫細胞株に由来するサンプル中で最も高かった(CT=28.2)。さらに、この遺伝子はまた、いくつかのCNS癌細胞株、および種々の肉腫由来の細胞株中でも高度に発現された。従って、NOV3a遺伝子の発現は、肉腫およびCNS癌に由来する細胞株と他の細胞株とを区別するために使用することができる。さらに、この発現パターンは、この遺伝子産物の治療的な調節が、肉腫またはCNS癌の処置において治療滴に有用であり得ることを示す。
【0555】
パネル4Dの要約:Ag1402。同じプローブ/プライマーを使用する2つの実験による結果は、良好に一致した。NOV3a遺伝子は、内皮細胞および繊維芽細胞中で高く発現され、そしてIL−1βおよびTNFαでの処置によってこれらの組織中で選択的にダウンレギュレートされる。従って、NOV3a遺伝子は、推定されるLRRを含有しているGPCRをコードし、これは、内皮細胞および繊維芽細胞中でプロ炎症性サイトカインIL−1βおよびTNFαに応答してダウンレギュレートされ得る。1つの仮説は、このGPCRについての天然のリガンドが、TNFおよびIL−1での処理によって誘導され得、そして続くこの推定のGPCRへのリガンドの結合がフィードバック阻害を生じ得ることである。あるいは、TNFおよびIL−1によって誘導される他のシグナル伝達経路は、NOV3a遺伝子の転写レベルを減少させ得る。従って、この推定のGPCRを介するシグナル伝達を妨げる抗体、低分子、またはタンパク質治療が、喘息、肺気腫、乾癬、および関節炎のような疾患の処置において重要であり得る。
【0556】
(参考文献:)
1.Battye R.,Stevens A.,Perry R.L.,Jacobs J.R.(2001)Repellent signaling by Slit requires the trypsin inhibitors. J.Neurosci.21:4290−4298。
【0557】
Slitは、Drosophilaの中線神経膠によって産生される忌避物質である軸索の誘導装置である。これは、反対側の隆起の形成および縦方向の管の横向きの位置を調節するために必要である。以下の4個の配列モチーフが、Slitの構造を含む:トリプシンインヒビター(LRR)、上皮成長因子様(EGF)反復、ラミニン様球形(G)ドメイン、およびシステインドメイン。本明細書中で本発明者らは、LRRが忌避物質のシグナル伝達、およびRoboへのインビトロでの結合に必要であることを実証する。slitによる忌避物質のシグナル伝達は、LRRドメイン中の単一のアミノ酸変化をコードする点変異によって減少させられる。EGFまたはGドメインとは対照的に、LRRドメインは、軸索の誘導を達成するために導入遺伝子を必要とする。最終的には、本発明者らは、中線忌避物質レセプター(midline repellent receptor)であるRoboが、内部欠失を有するSlitタンパク質には結合し、ここで、このSlitタンパク質もまた忌避物質活性を保持することを示す。しかし、Roboは、LRRを欠失しているSlitタンパク質には結合しない。まとめると、本発明者らのデータは、SlitによるRoboの結合および忌避物質のシグナル伝達がLRR領域を必要とすることを示す。
【0558】
(NOV7)
遺伝子NOV7の発現を、表21および22に記載するプライマー−プローブのセットAg1631およびAg2448を使用して評価した。RTQ−PCRの実行による結果を、表23および24に示す。
【0559】
【表21】
Figure 2004516820
【0560】
【表22】
Figure 2004516820
【0561】
【表23】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
【0562】
【表24】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
Figure 2004516820
パネル1.3Dの要約:Ag1631/Ag2488。NOV7遺伝子の発現は、このパネル上のサンプル全体にわたって低かった/検出不可能であった(データは示さない)(CT値>35)。
【0563】
パネル2Dの要約:Ag2448。NOV7遺伝子の発現は、眼球の黒色腫の転移に由来するサンプルにおいて最も高かった(CT=34.3)。このパネル上で観察されたこの遺伝子の他の発現は、信頼できる検出レベルより低かった。眼球の黒色腫は黒色腫の特有の形態であり、従って、この遺伝子の発現は、他の黒色腫、およびまた一般的な他の組織から眼球の黒色腫の転移を区別することができる。さらに、抗体または低分子の薬物の使用によるNOV7遺伝子産物の治療的な調節が、眼球の黒色腫の処置における用途であり得る。
【0564】
パネル2.2の要約:Ag1631。NOV7遺伝子の発現は、このパネル上のサンプル全体にわたって低かった/検出不可能であった(CT値>35)(データは示さない)。
【0565】
パネル4Dの要約:Ag1631。NOV7遺伝子は、アメリカヤマゴボウ有糸分裂促進物質で、またはCD40LおよびIL−4で処理したB細胞中で発現された(CT=34)。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、B細胞の活性化の間にもまたアップレギュレートされるチモシン−β4に対して相同性を有した(参考文献1)。従って、NOV7タンパク質は、メタロプロテイナーゼ、走化性、血管形成の誘導、および炎症の阻害、ならびに骨髄幹細胞の増殖の阻害を含む、他のチモシン−β4ホモログの機能と同様の機能を有し得る(参考文献2)。従って、NOV7遺伝子によってコードされるタンパク質を用いて設計されたタンパク質治療は、関節炎、喘息、糖尿病、狼瘡、乾癬、およびアレルギーのような炎症性疾患の処置に有用であり得る。Ag2448。NOV7遺伝子の発現は、このパネル上のサンプル全体にわたって低かった/検出不可能であった(CT値>35)(データは示さない)。
【0566】
(参考文献:)
1.Gondo H.,Kudo J.,White J.W.,Barr C.,Selvanayagam P.,Saunders G.F.(1987)Differential expression of human thymosin−beta 4 gene in lymphocytes,macrophages,and granulocytes.J.Immunol.139:3840−3848。
【0567】
ヒトのチモシン−β4をコードするcDNAクローンを、急性リンパ球性白血病の患者の末梢血白血球から調製したcDNAライブラリーから単離した。このクローンは、チモシン−β4の43個のアミノ酸残基のコード配列全体を含み、そして開始コドンおよび2つの終止コドンを有した。コード領域のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、ラットとヒトとの間で十分に保存されていた。132個のヌクレオチドのうちの9個が、コード配列中で異なった(93%の相同性)が、推定アミノ酸配列は同一であった。シグナルペプチドは推定アミノ酸配列中には見られなかった。ヒトのチモシン−β4 mRNA(約830ヌクレオチドの長さ)は、ラットのチモシン−β4 mRNAよりも約30ヌクレオチド長かった。種々の初代骨髄様悪性腫瘍細胞およびリンパ腫悪性腫瘍細胞中、ならびに少数のヒト造血性細胞株でのヒトのチモシン−β4遺伝子の発現を研究した。種々の新生物性Bリンパ球のノーザンブロット分析は、分化の段階の関数として変化したチモシン−β4 mRNAの定常状態のレベルを明らかにした。チモシン−β4 mRNAのレベルは、クラスIIヒトリンパ球抗原、Fcレセプター、および補体レセプターと同様に骨髄腫細胞中で減少し、このことは、チモシン−β4と免疫応答との間での関係を示唆している。チモシン−β4 mRNAは、未熟な芽細胞中よりも成熟した顆粒球中でより高く発現された。THP−1細胞、ヒトの単球細胞株の、組換えのヒトインターフェロンλでの処理は、チモシン−β4 mRNAのレベルを減少させた。そのレベルはTHP−1細胞のIa+マクロファージへの分化後に減少したが、HL−60細胞のIa−マクロファージへの分化の後には増大した。チモシン−β4遺伝子の発現パターンは、これが宿主の防御機構において基本的な役割を果たし得ることを示唆する。
【0568】
PMID:3500230
2.Huff T.,Muller C.S.,Otto A.M.,Netzker R.,Hannappel E.(2001)β−Thymosins,small acidic peptides with multiple functions.Int. J.Biochem.Cell.Biol.33:205−220。
【0569】
β−チモシンは、胸腺ホルモンであると最初に考えられた、極めて保存された極性の5kDaのペプチドのファミリーである。約10年前、チモシンβ(4)ならびにこの遍在性ペプチドファミリーの他のメンバーが、主要な細胞内G−アクチン隔離(sequestering)ペプチドとして同定され、ほぼ全ての細胞中に高濃度で存在する。β−チモシンは、単量体のアクチンに1:1の複合体で結合し、そしてアクチン緩衝液として作用し、アクチン繊維への重合を妨げるが、細胞が繊維を必要とする時には、アクチン単量体のプールを供給する。β−チモシンの発現の変化は、細胞の分化に関係しているようである。β−チモシンの発現の増大、なおまたは通常は発現されないβ−チモシンの合成は、細胞の運動性を増大させることによって転移の可能性を促進し得る。チモシンβ(4)は、血漿または創傷液中で細胞の外側で検出される。いくつかの生物学的作用が、チモシンβ(4)、酸化型チモシンβ(4)、またはチモシンβ(4)からおそらく作成されたフラグメントであるacSDKPのものであると考えられている。特に、作用は、メタロプロテイナーゼ、化学走査性、血管形成の誘導、および炎症の阻害、ならびに骨髄幹細胞の増殖の阻害である。しかし、細胞外β−チモシンのものと考えられる作用を媒介する分子機構については知られていない。
【0570】
PMID:11311852。
【0571】
(NOV8)
遺伝子NOV8の発現を、表25に記載するプライマー−プローブのセットAg2447を使用して評価した。
【0572】
【表25】
Figure 2004516820
この遺伝子の発現は、パネル1.3D、2D、および4D上のサンプル全体にわたって低かった/検出不可能であった(CT値>35)(データは示さない)。
【0573】
(実施例3.NOVXクローンのSNP分析)
SeqCallingTM技術:cDNAを、種々のドナーに由来する複数の組織型、正常、および疾患状態、生理学的状態、および発達段階を示す種々のヒトサンプルから導いた。サンプルを、組織全体、細胞株、初代細胞、または組織培養した初代細胞および細胞株として得た。細胞および細胞株を、遺伝子発現を調節する生物学的または化学的な試薬(例えば、成長因子、ケモカイン、ステロイド)で処理した。次いで、このように誘導したcDNAを、CuraGenに所有権のあるSeqCalling技術を使用して配列決定した。配列トレースを手作業によって評価し、そして適切である場合には修正を施した。全てのサンプルに由来するcDNA配列を、それ自体および公のESTを用いて、SeqCallingアセンブリのCuraGenのヒトSeqCallingデータベースを作成するためのバイオインフォーマティックプログラムを使用してまとめた。それぞれの集合には、1つ以上のヒトのサンプルに由来する1つ以上の重複しているcDNA配列を含んだ。集合の別の成分との同一性の程度が50bpにわたって少なくとも95%である場合には、集合の構成要素としてフラグメントおよびESTを含んだ。それぞれの集合は、遺伝子、ならびに/あるいはスプライシング形態および/または一塩基多型(SNP)、およびそれらの組合せのような変異体を示し得る。
【0574】
変異体配列が、本出願に含まれる。変異体配列は、一塩基多型(SNP)を含み得る。変異体配列は、一塩基多型(SNP)を含み得る。SNPは、一部の例においては、SNPを含有しているヌクレオチド配列がcDNAに起源することを示す、「cSNP」と呼ばれる。SNPは、いくつかの方法で生じ得る。例えば、SNPは、多形現象の部位で別のヌクレオチドへの1つのヌクレオチドの置換に起因し得る。このような置換は、トランジションまたはトランスバージョンのいずれかであり得る。SNPはまた、参照対立遺伝子と比較して、ヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入によっても生じ得る。この場合には、多型の部位は、1つの対立遺伝子が、別の対立遺伝子中の特定のヌクレオチドに関してギャップを保有している部位である。遺伝子中に存在しているSNPは、SNPの位置で遺伝子によってコードされるアミノ酸の変化を生じ得る。しかし、SNPを含むコドンが遺伝子コードの縮重の結果として同じアミノ酸をコードする場合には、遺伝子内SNPはまた、サイレントでもあり得る。遺伝子の領域の外側に存在している、または遺伝子内のイントロンに存在しているSNPは、タンパク質のアミノ酸配列には全く変化を生じないが、発現パターンの調節の変更(例えば、一過性発現、生理学的応答の調節、細胞型による発現調節、発現の強度、転写されたメッセージの安定性における変更)を生じ得る。
【0575】
新規のSNPの同定方法:SNPは、CuraGenに所有権があるSNPToolアルゴリズムを使用して配列の集合を分析することによって同定される。SNPToolは、以下の基準で集合の中の変化を同定する:SNPは、アラインメントの両方の末端上の10塩基対は分析しない;ウィンドウの大きさ(視野(ビュー)(view)の中の塩基数)は10である;ウィンドウ内の許容される不適合の数は2である;最少のSNP塩基量(PHREDスコア)は23である;SNPをスコアするための変化の最少の数は2/アセンブリの位置である。SNPToolは、集合を分析し、そしてSNPの位置、集合中の関連する個々の変異体配列の部位、その所定の位置での集合の深さ、推定される集合の対立遺伝子の頻度、およびSNP配列のバリエーションを示す。次いで、配列トレースが選択され、そして手作業による確認のためにビュー内に入れられる。一致する集合配列は、SNPの配列のバリエーションによって生じる可能性のあるアミノ酸変化を同定するために、変異体配列の変化の変化とともにCuraToolにインポートされる。次いで、広範囲のSNPデータ分析が、SNPCallingデータベースに送られる。
【0576】
新規のSNPの確認方法:SNPを、Pyrosequencing(Pyrosequencing,Westborough,MA)として公知の有効であると認められた方法を使用して確認した。Pyrosequencingのための詳細なプロトコルは、Alderbornら、Determination of Single Nucleotide Polymorphisms by Real−time Pyrophosphate DNA Sequencing(2000).Genome Research.10、8月8日発光、1249−1265に見出される。簡潔には、Pyrosequencingは、遺伝子型分類の実時間プライマーエクステンションプロセスである。このプロトコルは、ゲノムDNAサンプルに由来する二本鎖のビオチニル化PCR産物を使用し、そしてそれらをストレプトアビジンビーズに結合させる。次いで、これらのビーズは、一本鎖のDNAを生じるように変性させられる。SNPは、DNA鎖の伸張の際にそれぞれのdNTPから放出されるピロリン酸(PPi)の間接的な生体照度アッセイ(bioluminometric assay)に基づく技術を利用して特徴付けられる。Klenowポリメラーゼによって媒介される塩基の取り込み後、PPiは放出され、そしてATPスルフリラーゼ(これは、ATPの形成を生じる)についての基質として、アデノシン5’−ホスホスルフェート(APS)とともに使用される。続いて、ATPは、ルシフェラーゼの作用によって、そのオキシ誘導体へのルシフェリンの転換を達成する。続いて生じる確かめられた発光は、約4個の塩基までは付加された塩基の数に比例する。この方法のプロセッシビティーを可能にするために、過剰のdNTPはアピラーゼによって分解させられる。アピラーゼもまた、最初の反応混合物中に存在し、その結果、配列決定の間にのみdNTPが鋳型に付加される。このプロセスは、完全に自動化されており、そして96ウェル形式に適応させられている。これによって、大きなSNPパネルの迅速なスクリーニングが可能である。新規の一塩基多型による変異体のDNAおよびタンパク質配列を、報告する。変異体を個別に報告するが、全ての任意の組合せまたは変異体の選択したサブセットもまた含む。さらに、変異体の塩基の位置および変異体のアミノ酸残基には、下線を付ける。
【0577】
(結果)
改変体を個別に報告するが、全てのあらゆる組合せまたは変異体の選択したサブセットもまた、本発明の企図されるNOVX実施形態として含む。
【0578】
(NOV1のSNPデータ:)
NOV1は、7個のSNP変異体を有する。そのヌクレオチドおよびアミノ酸配列についてのそれらの変異位置に、それぞれ、配列番号1および2に従って番号を付ける。NOV1変異体のヌクレオチド配列は、表26に示すように異なる。
【0579】
【表26】
Figure 2004516820
(NOV4のSNPデータ:)
以下の局面においては、ヌクレオチド配列の1つ以上の一致する位置(Cons.Pos.)を、SNPとして同定する。「Depth」は、SNPの領域を含むクローンの数を示す。推定される対立遺伝子の頻度(Putative Allele Freq.)は、SNPを含有している全てのクローンの部分(function)である。ダッシュ(「−」)は、示される場合には、塩基が存在しないことを意味する。記号「>」は「それに変化させられている」ことを意味する。
【0580】
【数5】
Figure 2004516820
Figure 2004516820
(NOV5aのSNPデータ:)
NOV5aは4個のSNP変異体を有する。そのヌクレオチドおよびアミノ酸配列についてのそれらの変異位置に、それぞれ、配列番号XおよびYに従って番号を付ける。NOV5a変異体のヌクレオチド配列は、表27に示すように異なる。
【0581】
【表27】
Figure 2004516820
(NOV5bのSNPデータ:)
NOV5bは3個のSNP変異体を有する。そのヌクレオチドおよびアミノ酸配列についてのそれらの変異位置に、それぞれ、配列番号XおよびYに従って番号を付ける。NOV5b変異体のヌクレオチド配列は、表28に示すように異なる。
【0582】
【表28】
Figure 2004516820
(NOV5gのSNPデータ:)
以下の位置においては、ヌクレオチド配列の1つ以上の一致する位置(Con.Pos.)を、SNPとして同定する。「Depth」は、SNPの領域を含むクローンの数を示す。推定される対立遺伝子の頻度(Putative Allele Freq.)は、SNPを含有している全てのクローンの部分である。ダッシュ(「−」)は、示される場合には、塩基が存在しないことを意味する。記号「>」は「それに変化させられている」ことを意味する。
【0583】
Cons.Pos.:814 Depth:13 変化:C>A Putative Allele Freq.:0.231。
【0584】
(NOV5hのSNPデータ)
以下の局面においては、ヌクレオチド配列の1つ以上の一致する位置(Con.Pos.)を、SNPとして同定する。「Depth」は、SNPの領域を含むクローンの数を示す。推定される対立遺伝子の頻度(Putative Allele Freq.)は、SNPを含有している全てのクローンの部分である。ダッシュ(「−」)は、示される場合には、塩基が存在しないことを意味する。記号「>」は「それに変化させられている」ことを意味する。
【0585】
Cons.Pos.:820 Depth:8 変化:G>− Putative Allele Freq.:0.250。
【0586】
(NOV8のSNPデータ:)
NOV8は1個のSNP変異体を有する。そのヌクレオチドおよびアミノ酸配列についてのそれらの変異位置に、それぞれ、配列番号XおよびYに従って番号を付ける。NOV8変異体のヌクレオチド配列は、表29に示すように異なる。
【0587】
【表29】
Figure 2004516820
(実施例4:NOV3のSAGE分析)
【0588】
【表30】
Figure 2004516820
【0589】
【表31】
Figure 2004516820
(他の実施形態)
特定の実施形態が本明細書中で詳細に開示されているが、これは説明の目的だけのために例示の方法によって行われており、そして添付される特許請求の範囲に関して限定するようには意図されない。詳細には、種々の置換、変更、および改変が、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明に対して行われ得ることが、本発明者らによって企図される。核酸の出発物質、目的のクローン、ライブラリーの型の選択は、本明細書中に記載されている実施形態の知見を考慮すると、当業者にとって日常的な事項であると考えられる。他の局面、利点、および改変は、以下の特許請求の範囲内にあると考えられる。

Claims (49)

  1. 単離されたポリペプチドであって、以下:
    (a)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟形態;
    (b)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟形態の改変体であって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該成熟形態のアミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下において異なる、改変体;
    (c)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列;ならびに
    (d)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列の改変体であって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該アミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下において異なる、改変体;
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のポリペプチドであって、該ポリペプチドが、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列の天然に存在する対立遺伝子改変体のアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
  3. 請求項2に記載のポリペプチドであって、ここで、前記対立遺伝子改変体が、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36からなる群から選択される核酸配列と単一ヌクレオチドで異なる核酸配列の翻訳であるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
  4. 前記改変体のアミノ酸配列が、保存的アミノ酸置換含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. 単離された核酸分子であって、以下:
    (a)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群から選択されるアミノ酸配列の成熟形態;
    (b)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟形態の改変体であって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該成熟形態のアミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下において異なる、改変体;
    (c)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列;
    (d)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列の改変体であって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該アミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下において異なる、改変体;
    (e)配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは該ポリペプチドの改変体の、少なくとも一部をコードする核酸フラグメントであって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該アミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下において異なる、核酸フラグメント;ならびに
    (f) (a)、(b)、(c)、(d)または(e)の相補体を含む、核酸分子、
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子。
  6. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が天然に存在する対立遺伝子核酸改変体のヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
  7. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が、天然に存在するポリペプチド改変体のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、核酸分子。
  8. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36からなる群から選択される核酸配列と単一ヌクレオチドで異なる、核酸分子。
  9. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が以下:
    (a)配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36からなる群より選択されるヌクレオチド配列;
    (b)配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36からなる群より選択されるヌクレオチド配列と1つ以上のヌクレオチドで異なる、ヌクレオチド配列であって、ただし、そのヌクレオチドの20%以下が、該ヌクレオチド配列と異なる、ヌクレオチド配列;
    (c)(a)の核酸フラグメント;ならびに
    (d)(b)の核酸フラグメント;
    からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
  10. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が、配列番号1、3、5、7、9、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34および36からなる群より選択されるヌクレオチド配列または該ヌクレオチド配列の相補鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、核酸分子。
  11. 請求項5に記載の核酸分子であって、該核酸分子は、以下:
    (a)第1ヌクレオチド配列であって、前記アミノ酸配列をコードするコード配列と1以上のヌクレオチド配列で異なるコード配列を含み、ただし、該第1ヌクレオチド配列中のコード配列におけるヌクレオチドの20%以下が、該コード配列と異なる、第1ヌクレオチド配列;
    (b)該第1ポリヌクレオチドの相補体である、単離された第2ポリヌクレオチド;ならびに
    (c)(a)または(b)の核酸フラグメント;
    からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
  12. 請求項11に記載の核酸分子を含む、ベクター。
  13. 前記核酸分子に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、請求項12に記載のベクター。
  14. 請求項12に記載のベクターを含む、細胞。
  15. 請求項1に記載のポリペプチドに免疫特異的に結合する、抗体。
  16. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項15に記載の抗体。
  17. 前記抗体がヒト化抗体である、請求項15に記載の抗体。
  18. サンプル中の請求項1に記載のポリペプチドの存在または量を決定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該サンプルを提供する工程;
    (b)該サンプルを、該ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体と接触させる工程;および
    (c)該ポリペプチドに結合した抗体の存在または量を決定して、それによって該サンプル中のポリペプチドの存在または量を決定する工程、
    を包含する、方法。
  19. サンプル中の請求項5に記載の核酸分子の存在または量を決定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該サンプルを提供する工程;
    (b)該サンプルを、該核酸分子に結合するプローブと接触させる工程;および
    (c)該核酸分子に結合した該プローブの存在または量を決定して、それによって該サンプル中の該核酸分子の存在または量を決定する工程、
    を包含する、方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、前記核酸分子の存在または量が、細胞型または組織型についてのマーカーとして使用される、方法。
  21. 前記細胞型または組織型が癌性である、請求項20に記載の方法。
  22. 請求項1に記載のポリペプチドに結合する因子を同定する方法であって、該方法は、以下:
    (a)該ポリペプチドを該因子と接触させる工程;および
    (b)該因子が該ポリペプチドに結合するか否かを決定する工程;
    を包含する、方法。
  23. 前記因子が、細胞レセプターまたは下流エフェクターである、請求項22に記載の方法。
  24. 請求項1に記載のポリペプチドの発現または活性を調節する因子を同定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該ポリペプチドを発現する細胞を提供する工程;
    (b)該因子と該細胞とを接触させる工程;および
    (c)該因子が、該ポリペプチドの発現または活性を調節するか否かを決定する工程、
    を包含し、それによって、該ペプチドの発現または活性における変化が、外因子の該ポリペプチドの発現または活性の調節を示す、方法。
  25. 請求項1に記載のポリペプチドの活性を調節するための方法であって、該方法は、請求項1に記載のポリペプチドを発現する細胞サンプルを、該ポリペプチドの活性を調節するのに十分な量で、該ポリペプチドに結合する化合物とを接触させる工程を包含する、方法。
  26. NOVX関連障害を処置または予防する方法であって、該方法は、そのような処置または予防が所望される被験体に、該被験体における該NOVX関連障害を処置または予防するに十分な量で、請求項1に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、方法。
  27. 前記障害が、心筋症およびアテローム硬化症からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記障害が、細胞シグナルのプロセシングおよび代謝経路の調節に関連する、請求項26に記載の方法。
  29. 前記被験体がヒトである、請求項26に記載の方法。
  30. NOVX関連障害を処置または予防する方法であって、該方法は、そのような処置または予防が所望される被験体に、該被験体における該NOVX関連障害を処置または予防するに十分な量で、請求項5に記載の核酸を投与する工程を包含する、方法。
  31. 前記障害が、心筋症およびアテローム硬化症からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記障害が、細胞シグナルのプロセシングおよび代謝経路の調節に関連する、請求項30に記載の方法。
  33. 前記被験体がヒトである、請求項30に記載の方法。
  34. NOVX関連障害を処置または予防する方法であって、該方法は、そのような処置または予防が所望される被験体に、該被験体における該NOVX関連障害を処置または予防するに十分な量で、請求項15に記載の抗体を投与する工程を包含する、方法。
  35. 前記障害が糖尿病である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記障害が、細胞シグナルのプロセシングおよび代謝経路の調節に関連する、請求項34に記載の方法。
  37. 前記被験体がヒトである、請求項34に記載の方法。
  38. 請求項1に記載のポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  39. 請求項5に記載の核酸分子および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  40. 請求項15に記載の抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  41. 請求項38に記載の薬学的組成物を1つ以上の容器に含む、キット。
  42. 請求項39に記載の薬学的組成物を1つ以上の容器に含む、キット。
  43. 請求項40に記載の薬学的組成物を1つ以上の容器に含む、キット。
  44. 第1の哺乳動物被験体における請求項1に記載のポリペプチドの変化したレベルと関連する疾患の存在または該疾患に対する素因を決定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該第1の哺乳動物被験体由来のサンプル中の該ポリペプチドの発現レベルを測定する工程;および
    (b)工程(a)のサンプル中の該ポリペプチドの量を、該疾患を有さないことが既知であるか、または該疾患にかかりにくいことが既知の、第2の哺乳動物被験体由来のコントロールサンプル中に存在する該ポリペプチドの量と、比較する工程、
    を包含し、ここで、該コントロールサンプルと比較した場合の該第1の被験体における該ポリペプチドの発現レベルにおける変化が、該疾患の存在または該疾患に対する素因を示す、方法。
  45. 前記素因が癌に対するものである、請求項44に記載の方法。
  46. 第1の哺乳動物被験体における請求項5に記載の核酸分子の変化したレベルと関連する疾患の存在または該疾患に対する素因を決定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該第1の哺乳動物被験体由来のサンプル中の該核酸の量を測定する工程;および
    (b)工程(a)のサンプル中の該核酸の量を、該疾患を有さないことが既知であるかまたは該疾患にかかりにくいことが既知の、第2の哺乳動物被験体由来のコントロールサンプル中に存在する該核酸の量と比較する工程、
    を包含し、ここで、該コントロールサンプルと比較した場合の、該第1の被験体における該核酸のレベルにおける変化が、該疾患の存在または該疾患に対する素因を示す、方法。
  47. 前記素因が癌に対するものである、請求項46に記載の方法。
  48. 哺乳動物において病理学的状態を処置する方法であって、該方法は、該病理状態を緩和するに十分な量でポリペプチドを該哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、該ポリペプチドが、配列番号2、4、6、8、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、および37のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそれらの生物学的に活性なフラグメントと、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドである、方法。
  49. 哺乳動物において病理学的状態を処置する方法であって、該方法は、該病理学的状態を緩和するに十分な量で請求項15に記載の抗体を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
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