JP2004532613A - 新規ヒトタンパク質、それらをコードするポリヌクレオチド、およびそれらの使用方法 - Google Patents

新規ヒトタンパク質、それらをコードするポリヌクレオチド、およびそれらの使用方法 Download PDF

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サレシュ シェノイ,
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デイビッド ストーン,
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Abstract

新規ポリペプチドをコードする核酸配列が本明細書中で開示される。これらの核酸配列によってコードされるポリペプチド、このポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体、ならびに前述のポリペプチド、ポリヌクレオチド、または抗体の誘導体、改変体、変異体またはフラグメントがまた、開示される。本発明は、これらの新規ヒト核酸およびタンパク質のいずれか1つに関連する障害の、治療剤、診断方法ならびに、診断、処置および予防のための研究方法を、さらに開示する。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、ポリヌクレオチドおよびこのようなポリヌクレオチドにコードされたポリペプチド、ならびにポリペプチドおよびポリヌクレオチドを産生するためのベクター、宿主細胞、抗体、および組換え方法、ならびにこれらを使用する方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、一部、タンパク質をコードする核酸に基づき、このタンパク質は、以下のタンパク質ファミリーの新しいメンバーである:カルパイン様、エプシン(Epsin)様、低密度リポタンパク質B様、プリンレセプター様、CG8841様、シナプトタグミン様、セリンプロテアーゼTLSP様、グリプカン2前駆体様、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ様、ジンクフィンガータンパク質276C2H2型タンパク質およびサイモシンβ10様。より詳細には、本発明は、新規のポリペプチドをコードする核酸、ならびにこれらの核酸およびポリペプチドを産生するためのベクター、宿主細胞、抗体、および組換え方法に関する。
【0003】
カルパインは、カルシウムによって調節される細胞内システインプロテアーゼである。これらは、多くの細胞内プロセス、例えば、アポトーシス、タンパク質プロセシング、細胞分化、代謝などに関与することが知られている。このように、病態生理学におけるこれらの役割は、組織の再構築および再生(眼、脳、脊髄、腎臓などにおける種々の損傷モデルに関し)、受胎能、腫瘍形成、およびミオパシーに及ぶが、これらに限定されない。II型糖尿病に対する感受性において同定された遺伝子のひとつは、カルパイン(カルパイン−10)である(Horikawaら、Nat Genet 26(2):163−75、2000)。この遺伝子の中の多型性は、インシュリン抵抗性と相関する。治療標的化カルパインは、白内障、脊髄損傷、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、音響外傷、糖尿病、癌、学習障害および記憶障害ならびに不妊症のような疾患領域と関連する。種々のカルパインのノックアウトモデルおよびトランスジェニックモデルもまた、多くの細胞プロセスおよび疾患プロセスにおけるこのファミリーのプロテアーゼの潜在的な役割を示す。
【0004】
エプシンは、Eps15のようなENTHドメインタンパク質に結合するタンパク質のファミリーである。これらは、クラスリン媒介性エンドサイトーシスならびに細胞内タンパク質選別(sorting)に関与する。このファミリーのいくつかのメンバーは、有糸分裂の間にリン酸化を受ける。さらに、エプシンは、神経伝達物質含有小胞の分泌を補うための、シナプスでのエンドサイトーシスに関与する。エプシン1と転写因子(前骨髄球白血病ジンクフィンガータンパク質)との相互作用が、最近実証され、これは、エンドサイトーシスの機構が核の機能とクロストークし得る可能性を高めた。エプシン機能の混乱は、引き続く副作用を伴う膜レセプターならびにトランスフェリンのような分泌タンパク質のエンドサイトーシスの欠損を導く。エプシンの欠損は、異常な細胞−細胞シグナル伝達、発生の欠陥、異常な神経伝達物質シグナル伝達などを強力に導き得る。
【0005】
低密度リポタンパク質(LDL)粒子は、循環における主要なコレステロールのキャリアであり、その生理学的な機能は、コレステロールを細胞に運搬することである。アテローム発生の過程において、これらの粒子は、修飾され、そして動脈壁に蓄積する。低密度リポタンパク質(LDL)に結合した血清コレステロールの増加は、家族性高コレステロール血症の特徴である。冠状動脈疾患を有する個体は、冠状心疾患を有さない個体より有意に高い平均リポタンパク質濃度を有し、このことは、リポタンパク質の測定が、家族性高コレステロール血症を有する個体において冠状心疾患の危険性を予測する助けとなり得る。
【0006】
多くの細胞は、プリンレセプターと名付けられた、細胞外分子に対する原形質膜レセプターを発現し、これは原形質膜孔と共役しているようである。プリンレセプターは、原始的であり、広範囲にわたりそして多くの異なるシステムを提供する。プリンレセプターには、いくつかのサブクラスがある;アデノシンに対するレセプター(P1−プリンレセプター)およびATPに対するレセプター(P2−プリンレセプター)。他の主要な伝達物質(例えば、アセチルコリン、GABA、グルタミン酸および5−HT)に関してと同様、2つの主要なファミリーのレセプターは、ATPによって活性化され、一方(P2X−プリンレセプターファミリー)は、リガンド型イオンチャネルを通して速い応答を媒介するが、他方(P2Y−プリンレセプターファミリー)はG−タンパク質を介してより遅い応答を媒介する。
【0007】
シナプトタグミン(Syt)は、脳特異的Ca2+/リン脂質結合型タンパク質である(Liら、Nature 375(6532):594−9、1995)。海馬のシナプスにおいて、Syt Iは、速いCa(2+)依存性シナプス小胞エキソサイトーシスに重要であるが、Ca(2+)非依存性エキソサイトーシスには重要ではない。従って、脊椎動物および無脊椎動物において、Ca(2+)が誘発する速い神経伝達物質の放出の最終工程においてCa2+センサーとして働くことによってか、またはさらなるCa2+センサーと共同して働くことによってかのいずれかでSytは、Ca(2+)依存性シナプス膜融合に関与し得る。Syt IがCa2+をを結合するが(参考文献10、11)、そのリン脂質結合は、エキソサイトーシスのために要求される濃度より低いカルシウム濃度(EC50=3〜6μM)において誘発される。さらに、Sytは、高い親和性でクラスリン−AP2を結合し、このことは、これらが調節されたエキソサイトーシスにおいて特定の機能に限定されるのではなく、エンドサイトーシスにおいて一般的な役割を果たし得ることを示す。ここで本発明者らは、4つのSyt(これらの中の3つ(Syt VI、VII、およびVIII)は、非神経組織において広範に発現される)を記載することによって、この明白な矛盾を解決する。全ての試験されるSytは、2つのC2ドメイン(これは、クリスタリン−AP2(Kd=0.1〜1.0nM)ならびに神経性および非神経性シンタキシンと相互作用する)からなる細胞質領域を有する、共通のドメイン構造を共有する。Syt I、II、III、VおよびVII(しかし、IVも、VIもVIIIも含まない)の第1のC2ドメインは、同様のCa2+濃度依存性(EC50=3〜6μM)でリン脂質を結合する。同一のC2ドメインはまた、Ca2+の関数としてシンタキシンと結合するが、Syt I、IIおよびVのCa(2+)濃度依存性(>200μM)は、Syt IIIおよびVIIの濃度依存性(<10μM)とは異なる。
【0008】
その触媒活性においてセリンを利用するタンパク質分解酵素は、遍在し、ウイルス、細菌および真核生物において見出される。これらは、広範なペプチダーゼ活性を(エキソペプチダーゼ活性、エンドペプチダーゼ活性、オリゴペプチダーゼ活性、およびオメガペプチダーゼ活性を含む)を含む。20を越えるセリンプロテアーゼのファミリー(S1〜S27で示される)が、同定されており、これらは、構造的な類似性および他の機能的な証拠に基づいて6つの族(clan)(SA、SB、SC、SE、SFおよびSG)にグループ分けされる。4つの族(SA、SB、SCおよびSE)について構造が知られている:これらは全く無関係のようであり、少なくとも4つの、ことによるともっと多くのセリンペプチダーゼの進化的な起源を示唆する。その進化的起源の違いにもかかわらず、いくつかのペプチダーゼの反応機構には類似性が存在する。キモトリプシン族、サブチリシン族およびカルボキシペプチダーゼC族は、セリン、アスパラギン酸およびヒスチジンが共通する触媒的三つ組を持つ:セリンは、求核部位として作用し、アスパラギン酸は、求電子部位として作用し、そしてヒスチジンは、塩基として作用する。タンパク質の折り畳みの相違にもかかわらず、触媒残基の幾何学的な配置は、ファミリーの間で類似である。触媒残基の直線的な配列は、普通、族の関係を反映する。例えば、キモトリプシン族(SA)における触媒的三つ組は、HDSの順であるが、サブチリシン族(SB)においてはDHS、およびカルボキシペプチダーゼ族(SC)においては、SDHの順である。
【0009】
グリピカンは、硫酸ヘパランプロテオグリカンのファミリーであり、グリコシルホスファチジルイノシトール修飾を介して原形質膜につながれている。これまでに同定された6つのグリピカン遺伝子は、マウスにおいて別個の発生的パターンおよび組織発現パターンを示す。グリピカンはまた、潜在的にタンパク分解によって膜から分泌され得、そしてこの可溶性タンパク質は、潜在的にインタクトなタンパク質のドミナントネガティブなインヒビターとして作用する。このファミリーのタンパク質は、神経の発達、ガイダンスおよび再生に関与する。従って、このファミリーのタンパク質は、シナプス可塑性における役割を有し得る。Drosophilaにおけるグリピカン遺伝子の1つは、ウイングレス(wingless)およびデカペンタプレジック(decapentaplegic)シグナル伝達経路に関与する。マウスでのグリピカン−3の欠損は、先天性の異常増殖症候群(congenital overgrowth syndrome)を導く。ヒトにおいては、グリピカン−3遺伝子に関与する欠失および転座は、X−連鎖劣性巨人症症候群に関連する。さらに、このタンパク質の発現は、悪性中皮腫のインビトロモデルでは抑止される。従って、この新規タンパク質は、組織の形態発生およびパターン形成、細胞分裂および細胞シグナル伝達において役割を果たし得る。
【0010】
マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MAPKK)は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)をリン酸化および活性化する、二重特異的(dual−specificity)プロテインキナーゼである。MAPKK、MAPKK1およびMAPKK2(MEK1およびMEK2としても知られている)の2つのアイソフォームをコードするcDNAは、哺乳動物細胞においてクローン化された(Moriguchiら、Eur J Biochem 234(1):32−8、1995)。マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ1(MAPKK1)およびMAPKK2は、細胞増殖および細胞分化に影響するシグナル伝達経路において癌原遺伝子産物Rafの下流で機能する。これらのアイソフォームは、2つの重要な方法によって差示的に調節されることが示されてきた:MAPKK1(しかしMAPKK2は違う)は、サイクリン依存性キナーゼp34cdc2によってリン酸化され、そして不活性化され;そしてp21RasはRaf/MAPKK1との(しかしRaf/MAPKK2はではない)3成分の複合体を形成した(Mansourら、Cell Growth Differ 7(2):243−50、1996)。マウスの組織の研究において、MAPKK1は、脳の中で高度に富化されるが、MAPKK2は、比較的一様に存在することが示された。両方のアイソフォームは、細胞質に存在し、ともに神経増殖因子(NGF)および上皮増殖因子(EGF)に応答して活性化されることが示された(Moriguchiら、Eur J Biochem 234(1):32−8、1995)。
【0011】
驚くべき数のcDNAクローンが、ジンクフィンガーコンセンサスドメインに一致する1つ以上の配列を含むタンパク質をコードし、このことはジンクフィンガータンパク質は、真核生物におけるDNA結合タンパク質のおそらく最も大きいクラスの代表であること、そしてジンクフィンガータンパク質に制御される遺伝子の発現は、発生ならびに他のプロセスの基本的な局面であり得ることを示している。ジンクフィンガーモジュールの構造的に異なるクラスターは、脊椎動物において数百の、おそらくは数千の異なるメンバーを有する、非常に広範な核酸結合タンパク質のスーパーファミリーを規定する。C2H2型ジンクフィンガータンパク質(ZFP)は、ジンクフィンガーモジュールの最も複雑なメンバーの1つである(Pielerら、Mol Biol Rep 20(1):1−8、1994およびBergら、Annu Rev Biophys Biophys Chem 19:405−21、1990)。
【0012】
β−サイモシンは、元々仔ウシの胸腺から単離された、構造的に関連する、高度に保存された酸性ポリペプチドのファミリーを含む。多くのペプチドがこのファミリーに属す。このファミリーは、サイモシンβ4(これは胸腺のホルモンとして最初に単離され、そしてターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを誘導した小ポリペプチドである)、ウシおよびブタにおけるサイモシンβ9(およびβ8)、ヒトおよびラットにおけるサイモシンβ10、マス(trout)におけるサイモシンβ11およびβ12ならびにヒトNbサイモシンβが挙げられる。これらは、胸腺および脾臓において大量に見出されたが、多くの組織にも広く分布する。これらは、アクチンモノマーに結合することが示され、従ってアクチンの重合を阻害する。
【0013】
サイモシンβ10は、保存された小さい酸性タンパク質であり、アクチンの重合の阻害に関与する。サイモシンβ10の発現は、インビトロおよびインビボの両方で、甲状腺細胞の成長を刺激する細胞外シグナルによって調節されることが、研究により実証され、このことは、濾胞細胞(follicular cell)の増殖によって特徴付けられる甲状腺の疾患におけるこのタンパク質の役割を示唆する(10366416)。他の研究は、サイモシンβ10が、ラットの甲状腺形質転換細胞株ならびにヒト甲状腺癌組織および癌細胞株において過剰発現されることを実証した。この証拠は、サイモシンβ10の検出が、いくつかのヒト新生物形成の診断のための潜在的なツールとして考慮され得ることを示唆する(10487837)。
【0014】
(発明の要旨)
本発明は、一部新規のポリペプチドをコードする核酸配列の発見に基づく。この新規の核酸およびポリペプチドを、本明細書において、NOVX、またはNOV1、NOV2、NOV3、NOV4、NOV5、NOV6、NOV7、NOV8、NOV9、NOV10およびNOV11の核酸およびポリペプチドという。これらの核酸およびポリペプチド、ならびにその誘導体、ホモログ、アナログ、およびフラグメントを、本明細書において以降は、総称して「NOVX」核酸配列または「NOVX」ポリペプチド配列と称する。
【0015】
1つの局面において、本発明は、NOVXポリペプチドをコードする単離されたNOVX核酸分子を提供し、これは、配列番号(SEQ ID NO)1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、および33に開示される核酸に対して同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、このNOVX核酸分子は、NOVX核酸配列のタンパク質コード配列を含む核酸分子に相補的な核酸配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。本発明はまた、NOVXポリペプチド、あるいはそのフラグメント、ホモログ、アナログまたは誘導体をコードする、単離された核酸を含む。例えば、この核酸は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34のアミノ酸配列を含むポリペプチドに対して少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードし得る。この核酸は、例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、および33のいずれかの核酸配列を含む、ゲノムDNAフラグメントまたはcDNA分子であり得る。
【0016】
オリゴヌクレオチド(例えば、NOVX核酸(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、および33)の少なくとも6個連続するヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドまたはそのオリゴヌクレオチドの相補体)もまた、本発明に含まれる。実質的に精製されたNOVXポリペプチド(配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34)もまた、本発明に含まれる。特定の実施形態において、このNOVXポリペプチドは、ヒトNOVXポリペプチドのアミノ酸配列に実質的に同一であるアミノ酸配列を含む。
【0017】
本発明はまた、NOVXポリペプチド、あるいはそれらのフラグメント、ホモログ、アナログまたは誘導体に免疫選択的に結合する抗体を特徴とする。
【0018】
別の局面において、本発明は、治療有効量または予防有効量の治療剤および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を包含する。この治療剤は、例えば、NOVX核酸、NOVXポリペプチド、またはNOVXポリペプチドに特異的な抗体であり得る。さらなる局面において、本発明は、1以上の容器中に、この薬学的組成物の治療有効量または予防有効量を含む。
【0019】
さらなる局面において、本発明は、ポリペプチドを産生する方法を包含し、この方法は、NOVX核酸を含む細胞を、このDNAによってコードされるNOVXポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養することによる。所望の場合、次いで、このNOVXポリペプチドを回収し得る。
【0020】
別の局面において、本発明は、サンプル中のNOVXポリペプチドの存在を検出する方法を包含する。この方法において、サンプルを、このポリペプチドに選択的に結合する化合物と、このポリペプチドとこの化合物との間での複合体の形成を可能にする条件下で接触させる。この複合体は、存在するならば、検出され、それによって、このサンプル中のNOVXポリペプチドを同定する。
【0021】
本発明はまた、NOVXの発現に基づいて特定の細胞型または組織型を同定するための方法を包含する。
【0022】
サンプル中のNOVX核酸分子の存在を検出する方法もまた本発明に包含され、この方法は、このサンプルに、NOVX核酸プローブまたはプライマーを接触させ、そしてこの核酸プローブまたはプライマーが、このサンプル中のNOVX核酸分子に結合したか否かを検出することによる。
【0023】
さらなる局面において、本発明は、NOVXポリペプチドの活性を調節するための方法を提供し、この方法は、このNOVXポリペプチドを含む細胞サンプルに、このNOVXポリペプチドに結合する化合物を、このポリペプチドの活性を調節するに十分な量の接触させることによる。この化合物は、例えば、本明細書中にさらに記載されるような、低分子(例えば、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、炭水化物、脂質または他の有機(炭素含有)分子または無機分子)であり得る。
【0024】
以下を含む障害または症候群を処置または予防するための医薬の製造における治療薬の使用はまた、本発明の範囲内に包含される:例えば、フォン・ヒッペル−リンダウ症候群(VHL)症候群、肝硬変、移植障害、膵炎、肥満、糖尿病、自己免疫疾患、腎動脈狭窄症、間隙性腎炎、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎疾患、全身性エリスマトーデス、尿細管性アジドーシス、IgA腎症、高カルシウム血症、レッシュ−ナイハン症候群、発育欠陥(developmental defect)、白内障、脊髄損傷(spinal cord injury)、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、音響外傷(acoustic trauma)、癌、学習障害および記憶障害、不妊症、心筋症、アテローム硬化症、高血圧症、先天性心欠損、大動脈狭窄症、房室管欠陥、動脈管、肺動脈弁狭窄症、大動脈弁下部狭窄症、心室中隔欠損症、弁疾患(valve disease)、結節硬化症、強皮症、心宮内膜症、血友病、凝固能亢進、特発性血小板減少性紫斑病、免疫欠損、対宿主性移植片病、痴呆、発作、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性小児麻痺、てんかん、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調、白質萎縮症、行動障害(behavioral disorder)、嗜癖、不安、疼痛、神経変性、家族性高コレステロール血症、高リポ蛋白血症II表現型、腱黄色性、角膜弓(corneal arcus)、冠状動脈疾患、平面黄色腫(planar xanthomas)、水掻き指(webbed digits)、高コレステロール血症、受胎能、黄色腫症、C型肝炎感染、LDLレセプターの調節、合成、輸送、再利用または代謝回転、皮質下梗塞および白質脳症を有する大脳動脈症、骨端形成異常、多発性1(multiple 1)、魚鱗癬、非層状(nonlamellar)および非紅皮症(nonerythrodermic)、先天性の、白血病、T細胞急性リンパ芽球腫、偽性軟骨形成不全症、SCID、常染色体劣性、T−ネガティブ/B−ポジティブ型、C3欠損症、真性糖尿病、インシュリン抵抗性、黒色表皮肥厚症を伴う、グルタル酸性尿症(glutaricaciduria)、I型、甲状腺機能低下不全症、先天性、妖精症、脂肪肉腫、ムコリピドーシスIV、ミュラー管開存症、I型、Rabson−Mendenhall症候群、甲状腺癌腫、非髄質、好酸性細胞を伴う、赤血球増加症、家族性、マラリア、大脳の、被感受性(susceptibility to)、不完全(defective)トロンボキサンA2レセプターに起因する出血障害、小脳性運動失調、ケーマン型(Cayman type)、痙攣、家族性の発熱(familial febrile)、2、循環性造血(Cyclic hematopoiesis)、フコシルトランスフェラーゼ−6欠損症、GAMT欠損症、肝硬変、乾癬、光線性角化症、結節硬化症、挫瘡、毛髪の成長(hair growth)、アロペシア(allopecia)、色素沈着障害、内分泌障害、外傷、免疫学的疾患、呼吸性疾患、胃腸の疾患、生殖に関する健康、神経学的疾患、骨髄移植、代謝疾患および内分泌疾患、アレルギーおよび炎症、腎臓学的障害(nephrological disorder)、造血障害、泌尿器系障害、アトピー;骨粗しょう症−偽性神経膠腫症候群;Smith−Lemli−Opitz症候群I型;Smith−Lemli−Opitz症候群、II型;色素性乾皮症、E群(group E)、亜型2;ぜん息、アトピー性の、被感受性;真性糖尿病、インシュリン依存性、4;IDDMに感受性である;血管性水腫、遺伝性;パラガングリオーマ、家族性非クロム親和性、2;神経保護;ランバート−イートン筋無力症症候群、消化器系障害、プロテアーゼ/プロテアーゼインヒビター欠陥障害の全てもしくはいくつか、真性糖尿病非インシュリン依存性、アシルCoAデヒドロゲナーゼ、長鎖の欠損、短指症、A1型、カルバモイルリン酸シンテターゼI欠損症、心筋症拡張型II、白内障Coppock様、白内障結晶性刺型(Cataract crystalline aculeiform)、白内障多型先天性(Cataract polymorphic congenital)、白内障不定小帯粉状(Cataract variable zonular pulverlent)、白内障斑点状進行性若年型(Cataracts punctate progressive juvenile−onse)、舞踏病アテトーシス家族性発作性、脳顔面頭蓋の−難聴−手(hand)症候群、魚鱗癬葉状、2型、ミオパシー、デスミン−関連型心臓骨格(desmin−related cardioskeletal)、TBに対する抵抗性/感受性、横紋筋肉腫肺胞、ワールデンブルヒ症候群I型およびIII型、アルポート症候群常染色体劣性、ブヨルンスタッド症候群、血尿、家族性良性、高シュウ酸尿症原発性、1型、合指症1型、高プログルカゴン血症、Bethlemミオパシー、短指症E型、短指症精神遅滞症候群、フィンランド(Finnish)致死性新生児代謝症候群、2に対し感受性、Simpson−Golabi−Behmel症候群、1型および2型、ベックウィズ−ヴィーデマン症候群、病原体感染、心臓疾患、前立腺癌、新脈管形成および創傷治癒、アポトーシスの調節、神経精神医学障害、加齢性障害、脾臓、胸腺、肺および腹膜マクロファージが関与する病理学的障害ならびに/または他の病理状態ならびに障害など。
【0025】
治療剤は、例えば、NOVX核酸、NOVXポリペプチド、またはNOVX特異的抗体、あるいはそれらの生物学的に活性な誘導体またはフラグメントであり得る。
【0026】
例えば、本発明の組成物は、上に開示される疾患および障害ならびに/またはこのような他の病理状態および障害に罹患する患者の処置のために効力を有する。このポリペプチドは、本発明に特異的な抗体を産生するための免疫原として、およびワクチンとして使用され得る。これらはまた、潜在的なアゴニスト化合物およびアンタゴニスト化合物についてスクリーニングするために使用され得る。例えば、NOVXをコードするcDNAは、遺伝子治療において有用であり得、そしてNOVXは、それを必要とする被験体に投与された場合に有用であり得る。非限定的な例として、本発明の組成物は、上に開示される疾患および障害ならびに/またはこのような他の病理状態および障害に罹患する患者の処置のために効力を有する。
【0027】
本発明はさらに、例えば、上で開示した疾患および障害ならびに/またはこのような他の病理状態および障害を含む、障害または症候群のモジュレーター(調節因子)についてスクリーニングするための方法を包含する。この方法は、試験化合物をNOVXポリペプチドと接触させる工程、およびこの試験化合物が上記NOVXポリペプチドに結合するか否かを決定する工程を包含する。NOVXポペプチドペプチドに対するこの試験化合物の結合によって、この試験化合物が、活性のモジュレーター、あるいは上述の障害または症候群の潜伏または素因のモジュレーターであることが示される。
【0028】
前述の障害または症候群についての危険性の増大した試験動物に対し、試験化合物を投与することによって、活性のモジュレーター、あるいは、例えば上で開示した疾患および障害ならびに/もしくはこのような他の病理状態および障害などを含む、障害または症候群の潜伏または素因のモジュレーターについてスクリーニングするための方法もまた、本発明の範囲内である。試験動物は、NOVX核酸によってコードされる組換えポリペプチドを発現する。次いで、NOVXポリペプチドの発現または活性を、この試験動物において測定し、同様に、コントロール動物(これは、NOVXポリペプチドを組換え的に発現し、かつ上記の障害についての危険性も上記の症候群についての危険性も増大していない)におけるこのタンパク質の発現または活性を測定する。次いで、試験動物およびコントロール動物の両方におけるNOVXポリペプチドの発現を比較する。コントロール動物と比較した、試験動物におけるNOVXポリペプチドの活性の変化は、この試験化合物が、上記の障害または症候群の潜伏のモジュレーターであることを示す。
【0029】
なお別の局面では、本発明は、被験体(例えば、ヒト被験体)におけるNOVXポリペプチド、NOVX核酸またはその両方のレベルの変化に関連した疾患の存在または素因を決定する方法を含む。この方法は、この被験体由来の試験サンプル中におけるNOVXポリペプチドの量を測定する工程、およびコントロールサンプル中において存在するNOVXポリペプチドの量に対して、この試験サンプル中におけるこのポリペプチドの量を比較する工程、を包含する。コントロールサンプルと比較した場合の試験サンプルにおけるNOVXポリペプチドレベルの変化は、この被験体における疾患の存在または素因を示す。好ましくは、この素因としては、例えば、上で開示された疾患および障害ならびに/または他のこのような病理状態および障害が挙げられる。また、本発明の新規なポリペプチドの発現レベルは、種々の癌についてスクリーニングするための方法および癌の病期を決定するための方法において使用され得る。
【0030】
さらなる局面では、本発明は、病理学的状態を緩和または予防するに十分な量で、被験体(例えば、ヒト被験体)にNOVXポリペプチド、NOVX核酸、またはNOVX特異的抗体を投与することにより、哺乳動物における障害に関連した病理学的状態を処置または予防する方法を包含する。好ましい実施形態では、この障害としては、例えば、上で開示された疾患および障害ならびに/または他のこのような病理状態および障害が挙げられる。
【0031】
なお別の局面において、本発明は、当該分野において一般的に使用される多数の技術のうちのいずれか1つによって、本発明の細胞性レセプターおよび下流エフェクターを同定する方法において使用され得る。これらの技術としては、ツーハイブリッド系、アフィニティ精製、抗体または他の特異的な相互作用分子を用いる共沈が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
NOVX核酸およびポリペプチドは、治療方法または診断方法において使用するための新規のNOVX物質に免疫特異的に結合する抗体の産生においてさらに有用である。これらのNOVX抗体は、以下の節「抗−NOVX抗体」において記載されるように、疎水性チャートからの予測値を使用して、当該分野で公知の方法に従って産生され得る。開示されるNOVXタンパク質は、複数の疎水性領域を有し、これらの各々が、免疫原として使用され得る。これらのNOVXタンパク質は、種々のヒト障害の機能的分析のためのアッセイ系において使用され得、この分析は、疾患の症状および種々の障害に対する新規の薬物標的の開発を理解するのを助ける。
【0033】
本明細書中で同定されたNOVX核酸およびタンパク質は、以下に示されるような種々の症状および障害(これらの限定されない)に関連した潜在的な治療適用において有用であり得る。本発明のための潜在的な治療適用としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:タンパク質療法、低分子薬物標的、抗体標的(治療抗体、薬物標的/細胞障害性抗体)、診断マーカーおよび/または予後マーカー、遺伝子療法(遺伝子送達/遺伝子切除)、研究ツール、本明細書中に定義される全ての組織および細胞型(これらに限定されない)を含む全ての組織および細胞型のインビボおよびインビトロでの組織再生。
【0034】
他に規定されない限り、本明細書中において使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載された方法および物質と類似または等価な方法および物質が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および物質を以下に記載する。本明細書中で引用された全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献が、それらの全体において、参考として援用される。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が支配する。さらに、物質、方法および例は、例示にすぎず、限定されることは意図されない。
【0035】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
【0036】
(発明の詳細な説明)
本発明は、新規なヌクレオチドおよびそれによってコードされるポリペプチドを提供する。新規な核酸配列およびそれらがコードするポリペプチドが本発明に含まれる。それらの配列は、集合的に、本明細書中で「NOVX核酸」または「NOVXポリヌクレオチド」と呼ばれ、そして対応する対応するコードされるポリペプチドは、「NOVXポリペプチド」または「NOVXタンパク質」と呼ばれる。他に示されない場合、「NOVX」は、本明細書中に開示された新規な配列のいずれかをいうことを意味する。表Aは、NOVX核酸およびそれらがコードするポリペプチドの要約を提供する。
【0037】
【数1】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
NOVX核酸およびそれらがコードするポリペプチドは、種々の適用および状況において有用である。本発明に従う種々のNOVX核酸およびNOVXポリペプチドは、以前に記載されたタンパク質に対するドメインおよび配列の関連性の存在に従って、タンパク質ファミリーの新規なメンバーとして有用である。さらに、NOVX核酸およびNOVXポリペプチドはまた、NOVXポリペプチドが属するファミリーのメンバーであるタンパク質を同定するために使用され得る。
【0038】
NOV1は、カルパイン様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明に従うNOV1核酸、NOV1ポリペプチド、NOV1抗体およびNOV1に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、肥満症、糖尿病、自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス、レッシュ−ナイハン症候群、発育欠陥症(developmental defect)、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、音響外傷、癌、学習欠陥症および記憶欠陥症、不妊症、ならびに/または他の症状/障害。
【0039】
NOV2は、エプシン(espin)様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明に従うNOV2核酸、NOV2ポリペプチド、NOV2抗体およびNOV2に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、先天性心臓欠陥、肥満症、不妊症、癌、自己免疫疾患、アレルギー、発育欠陥症、痴呆、フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、アルツハイマー病、脳卒中、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性麻痺、てんかん、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、白質萎縮症、神経変性、および/または他の病状/障害。
【0040】
NOV3は、低密度リポタンパク質B様タンパク質のファミリーに対して相同である。従って、本発明に従うNOV3核酸、NOV3ポリペプチド、NOV3抗体およびNOV3に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:家族性高コレステロール血症、冠状動脈疾患、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、C型肝炎、甲状腺癌、フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、肝硬変症、移植、乾癬、光線性角化症、結節硬化症、挫瘡、発毛、脱毛症(allopecia)、色素沈着障害、内分泌障害、および/または他の病状/障害。
【0041】
NOV4は、プリンレセプター様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明に従うNOV4核酸、NOV4ポリペプチド、NOV4抗体およびNOV4に関連する化合物は、種々の疾患、病状および障害に関連する治療適用および診断適用において有用である。
【0042】
NOV5は、CG8841様タンパク質のファミリーに対して相同である。従って、本発明に従うNOV5核酸、NOV5ポリペプチド、NOV5抗体およびNOV5に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:癌、外傷、免疫学的疾患、呼吸性疾患、胃腸疾患、生殖の健康状態、神経性疾患および神経変性疾患、骨髄移植、代謝活性疾患および内分泌疾患、アレルギーおよび炎症、腎臓学的障害、泌尿器系障害、ならびに/または他の病状/障害。
【0043】
NOV6は、シナプトタグミン様(Synaptotagmin−like)ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明に従うNOV6核酸、NOV6ポリペプチド、NOV6抗体およびNOV6に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:アトピー、フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、アルツハイマー病、脳卒中、結節硬化症、高カルシウム血症、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性麻痺、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調、白質萎縮症、行動障害、嗜癖、不安、疼痛、神経防御(neuroprotection);代謝性障害、ランバート−イートン筋無力性症候群、および/または他の症状/障害。
【0044】
NOV7は、セリンプロテアーゼTLSP様ファミリーのタンパク質のメンバーに対して相同である。従って、本発明のNOV7核酸、NOV7ポリペプチド、NOV7抗体およびNOV7に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:癌、神経性障害、消化器系障害、全てまたはいくつかのプロテアーゼ/プロテアーゼインヒビターの欠損障害、ならびに/または他の病状/障害。
【0045】
NOV8は、グリピカン−2(glypican−2)前駆体様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明に従うNOV8核酸、NOV8ポリペプチド、NOV8抗体およびNOV8に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:糖尿病、インスリン非依存性糖尿病(diabetes mellitus non−insulin dependent)、自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス、フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、アルツハイマー病、脳卒中、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性麻痺、てんかん、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調、白質萎縮症、神経変性、癌、心筋症、種々の白内障障害、I型およびIII型のワールデンブルヒ症候群、ブヨルンスタッド症候群、1型および2型のシンプソン−ゴラビ−ベーメル(Simpson−Golabi−Behmel)症候群、ベックウィズ−ヴィーデマン症候群、ならびに/または他の病状/障害。
【0046】
NOV9は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ2様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明に従うNOV9核酸、NOV9ポリペプチド、NOV9抗体およびNOV9に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:アテローム性動脈硬化症、代謝性疾患、病原体感染、神経性疾患および/または他の病状/障害。
【0047】
NOV10は、ジンクフィンガータンパク質276 C2H2型ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明に従うNOV10核酸、NOV10ポリペプチド、NOV10抗体およびNOV10に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:癌、外傷、免疫学的疾患、呼吸系疾患、心臓疾患、胃腸疾患、生殖の健康状態、神経性疾患および神経変性疾患、骨髄移植、代謝性疾患および内分泌疾患、アレルギーおよび炎症、神経性障害、造血障害、泌尿器系障害、ならびに/または他の病状/障害。
【0048】
NOV11は、サイモシンβ−10様ファミリーのタンパク質に対して相同である。従って、本発明に従うNOV11核酸、NOV11ポリペプチド、NOV11抗体およびNOV11に関連する化合物は、例えば、以下に関連する治療適用および診断適用において有用である:前立腺癌、免疫学的障害および自己免疫障害(すなわち、甲状腺機能亢進症)、新脈管形成および創傷治癒、アポトーシスの調節、神経変性障害および神経精神病学障害、加齢性障害、脾臓、胸腺、肺および腹膜のマクロファージに関連する病理学的障害、ならびに/または他の病状/障害。
【0049】
NOVX核酸およびNOVXポリペプチドはまた、NOVXの活性または機能を阻害または増強する分子についてスクリーニングするために使用され得る。詳細には、本発明に従う核酸およびポリペプチドは、例えば、神経発生、細胞分化、細胞増殖、造血、創傷治癒および脈管形成を調節または阻害する低分子の同定のための標的として使用され得る。
【0050】
本発明に従うNOVX核酸およびNOVXポリペプチドについてのさらなる有用性は、本明細書中に開示される。
【0051】
(NOV1)
新規カルパイン様タンパク質をコードする1947ヌクレオチドの開示されたNOV1核酸(3352274とも呼ばれる)を、表1Aに示す。ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンから始まり、ヌクレオチド1945〜1947のTAGコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンおよび終止コドンを、表1Aにおいて太字で示す
【0052】
【表1A】
Figure 2004532613
NOV1核酸配列は、第19染色体にマッピングし、Gallus gallusカルシウムプロテアーゼmRNA(gb:GENBANK−ID:GGCPROT|acc:X01415)に同一な、631塩基中の430塩基(68%)を有する(E=1.4e−90)。類似性情報は、全てのGenBankデータベースおよびGeneSeq特許データベースを含む公のヌクレオチドデータベースを使用して、評価された。染色体情報を、OMIMおよびCuratool製の電子化ノーザンツールを使用して評価して、SeqCallingアセンブリ、ゲノムクローン、および/または本発明に含まれるEST配列の染色体マッピングを誘導した。
【0053】
本明細書中における全てのBLASTアライメントにおいて、「E値(E−value)」または「期待値(Expect)」とは、その整列された配列が、検索したデータベース内で、単なる偶然によって、BLASTの問い合わせ配列に対してその類似性を達成し得た確率(可能性)の数的な指標である。例えば、NOV1 BLAST分析から検索された対象(「Sbjct」)(例えば、Gallus gallusカルシウムプロテアーゼmRNA)が、偶然のみで、問い合わせ(Query)(クエリ)NOV1配列にマッチした確率(可能性)は、1.4e−90である。期待値(Expect value)(E)は、特定のサイズのデータベースを検索する場合に、全く偶然に見出すことを「期待」し得る、ヒット数を示すパラメーターである。これは、2つの配列の間のマッチに割り当てられるスコア(Score)(S)に伴い、指数関数的に減少する。本質的に、このE値は、配列の間のマッチに存在するランダムなバックグラウンドノイズを示す。
【0054】
期待値(Expect value)は、結果を報告するための有意な閾値を作成するための都合のよい手段として使用される。BLASTを行うために使用されるデフォルト値は、代表的には、0.0001に設定される。BLAST2.0において、この期待値をまた、P値(確率)の代わりに用いて、マッチの有意性を報告する。例えば、1ヒットに割り当てられる1であるE値は、現在のサイズのデータベースにおいて、類似のスコアを有する1つのマッチを単なる偶然によって見出すことを期待し得ることを意味すると解釈され得る。ゼロであるE値は、類似のスコアを有するいかなるマッチも単なる偶然では見出すことが期待されないことを意味する。例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Education/BLASTinfo/を参照のこと。場合によっては、文字列Xおよび文字列Nが、BLAST検索から生じる。これは、人為的なヒットを妨げるように実施される、低い複雑性の配列の問い合わせ(クエリ)の自動的フィルタリングの結果である。このフィルターは、ヌクレオチド配列において文字「N」(例えば、「NNNNNNNN」)またはタンパク質配列において文字「X」(例えば、「XXX」)によって、見出される任意の低い複雑性の配列を置換する。低い複雑性の領域は、有意な位置ごとのアラインメントではなく、組成の偏りを反映する、高いスコアを生じ得る。WoottonおよびFederhen、Methods Enzymol 266:554〜571、1996。
【0055】
配列番号1によってコードされる開示されたNOV1ポリペプチド(配列番号2)は、648アミノ酸残基を有し、1文字アミノ酸コードを用いて表1Bにおいて表わされる。SignalP、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV1が、シグナルペプチドを含まず、そして0.7480の確実性でおそらく細胞質中に局在するであろうことが予測される。
【0056】
【表1B】
Figure 2004532613
NOV1アミノ酸配列は、Mus musculus 720アミノ酸残基タンパク質(ptnr:TREMBLNEW−ACC:CAC10066)と同一な、456アミノ酸残基中の405アミノ酸残基(88%)、およびこのタンパク質と類似した、456アミノ酸残基中の429アミノ酸残基(94%)を有する(E=4.1e−311)。
【0057】
NOV1は、少なくとも以下の組織中で発現される:胎盤、全生体、腎臓、肝臓、膵臓、小腸。この情報は、本発明に含まれる配列の組織供給源を決定することによって誘導された。
【0058】
開示されるNOV1ポリペプチドは、表1Cに列挙されるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0059】
【表1C】
Figure 2004532613
これらの配列と他の配列との間の相同性は、表1Dに示されるClustalW分析で図示される。NOV1タンパク質のClustalWアライメント、および本明細書中の全ての他のClustalW分析において、黒地に白抜きで示されるアミノ酸残基は、保存配列の領域(すなわち、構造的特性または機能的特性を保存するために必要とされ得る領域)を示し、強調していないアミノ酸残基は、それほど保存されておらず、そして潜在的に、タンパク質の構造または機能を変化することなく、非常に広範な程度に変更され得る。
【0060】
【表1D】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
NOV1ならびに他の全てのNOVXタンパク質における同定可能なドメインの存在は、ソフトウェアアルゴリズム(例えば、PROSITE、DOMAIN、Blocks、Pfam、ProDomain、およびPrints)を用いる検索によって、次いで、Interproウエブサイト(http:www.ebi.ac.uk/interpro)を用いてドメインマッチ(または数)を組み合わせることによってInterpro番号を決定することによって、決定した。表1Eおよび表1Fに開示されるようにNOV1についてのDOMAIN結果を、Reverse Position Specific BLAST分析を用いて、Conserved Domain Database(CDD)から収集した。このBLAST分析ソフトウェアは、SmartおよびPfamコレクションに見出されるドメインをサンプリングする。表1E、表1Fおよびその後の全てのDOMAIN配列アライメントについて、完全に保存された単一の残基を、黒色影付きまたは記号(|)によって示し、そして「強い」半保存残基は、灰色影付きまたは記号(+)によって示す。この保存アミノ酸残基の「強い」グループは、以下のアミノ酸のグループのいずれか1つであり得る:STA、NEQK、NHQK、NDEQ、QHRK、MILV、MILF、HY、FYW。
【0061】
表1Eおよび表1Fは、NOV1に対するDOMAIN分析結果からのドメイン表示を列挙する。これは、NOV1配列が、これらのドメインを含むことが公知の他のタンパク質の特性と類似する特性を有することを示す。
【0062】
【表1E】
Figure 2004532613
【0063】
【表1F】
Figure 2004532613
システインプロテアーゼ活性は、システインおよびヒスチジンの活性な二分子に依存しており、これらの残基の順序および間隔は、20程度の既知のファミリーにおいて変化する。C1、C2およびC10のファミリーは、おおまかにはパパイン様と呼ばれ、全システインプロテアーゼのほぼ半分が、ウイルス中で排他的に見出される。カルパインは、カルシウムによって調節される多数の重要な細胞機能に関与する細胞内プロテアーゼである。このタンパク質は、2つのポリペプチド鎖(重鎖および軽鎖)の複合体であり、哺乳動物で以下の3つの既知の形態を有する:μカルパイン、μ−CANPまたはカルパインIとして公知の、高カルシウム感受性(すなわち、マイクロモル濃度範囲)形態;mカルパイン、m−CANPまたはカルパインIIとして公知の、ミリモル濃度範囲のカルシウムに感受性の形態;および、p94として公知の第三の形態(これは、骨格筋のみにおいて見出される)。これら3つの形態の全ては、同一の軽鎖を有するが異なる重鎖を有する。この重鎖は、4つのドメインを含む:ドメイン2は、触媒領域を含み;ドメイン4は、カルシウムに結合し、活性を調節する。ドメイン2は、パパインに対して低レベルの配列類似性を示すが;触媒性のHisは、生化学的意味によっては位置されてないか、カルパインおよびパパインが関連しているようである。ドメイン4は、4つのEFハンドカルシウム結合領域を有し、かつソルシン(sorcin)およびカルパイン軽鎖のCa2+結合領域と類似している。カルパインは、P2残基のような、Tyrを有するロイシンまたはバリンに対して選択的な切断を示す。
【0064】
カルパインは、カルシウム様活性を伴うチオールプロテアーゼ活性と組み合わさるという点において、酵素のシステインプロテアーゼファミリーの間で特有である。この酵素は、多数の病態生理学的状態に関連する(Donkor,Curr Med Chem 7(12):1171〜1188、2000)。カスパーゼおよびカルパインファミリーのプロテアーゼは、それらの活性化がカルシウム流入および酸化ストレスによって誘発される場合、神経変性プロセスに関連している(ChanおよびMattson,J Neurosci Res 58(1):167−90,1999)。ミトコンドリアカルパインは、そのN末端にてBaxを切断し、Bax/p18フラグメントを作製することによって、アポトーシスとの関わりにおいて役割を果たし、次いで、シトクロムcの放出を媒介し、アポトーシスの遂行を開始する(GaoおよびDou,J Cell Biochem 80(1):53〜72,2001)。nCL−4カルパインプロテアーゼの欠失は、新生物性形質転換に関連している(Liuら、J Biol Chem 275(40):31093−8,2000)。カルパインプロテアーゼは、外傷後の軸索およびミエリン鞘の破壊に関連するが、これは、カルパインプロテアーゼがこの軸索−ミエリン鞘単位で構造タンパク質を分解し、脊髄における外傷性損傷の後の損傷部位に隣接するミエリン鞘を有する軸索の破壊の原因となり得るためである(Shieldsら、J Neurosci Res 61(2):146−50,2000)。精子のカルパインは、ヒト精子の受精能力を調節する生化学的プロセスの新規成分であることが示されている(RojasおよびMoretti−Rojas,Int J Androl 23(3):163−8,2000)。この知見は、カルパイン活性の調節が、カルパインによって影響される正常な調節機構を崩壊させることによって筋ジストロフィーに寄与することを示す(TidballおよびSpencer,Int J Biochem Cell Biol 32(1):1〜5,2000)。
【0065】
NOV1について上記で定義された情報は、このカルパーゼ様タンパク質がカルパインファミリーのメンバーとして機能し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV1核酸およびNOV1タンパク質は、以下に記載される種々の疾患および障害、ばらびに/または他の病状に関連する潜在的な治療適用において有用である。例えば、本発明のNOV1組成物は、以下に罹患した患者の処置に効果を有する:フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、肝硬変症、移植障害、膵臓炎、肥満症、糖尿病、自己免疫疾患、腎動脈狭窄症、間質性腎炎、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎疾患、全身性エリテマトーデス、尿細管性アシドーシス、IgA腎症、高カルシウム血症、レッシュ−ナイハン症候群、発育欠陥症、白内障、脊髄損傷、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、音響外傷、癌、学習欠陥症および記憶欠陥症、ならびに不妊症。カルパイン様タンパク質をコードするNOV1核酸、および本発明のカルパイン様タンパク質、またはそれらのフラグメントは、診断適用においてさらに有用であり得、ここで、この核酸またはタンパク質の存在または量が評価される。
【0066】
(NOV2)
新規エプシン(Epsin)様タンパク質をコードする1796ヌクレオチドの開示されたNOV2核酸(21421174とも呼ばれる)を、表2Aに示す。ヌクレオチド40〜42のATG開始コドンから始まり、ヌクレオチド1771〜1773のTAAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンの上流および終止コドンの下流の推定非翻訳領域を、表2Aに下線で示す。開始コドンおよび終止コドンを、太字で示す
【0067】
【表2A】
Figure 2004532613
開示されるNOV2核酸配列は、第19染色体に局在化され、Homo sapiens EHドメイン結合有糸分裂リン酸タンパク質(EPSIN)mRNA(gb:GENBANK−ID:AF073727|acc:AF073727)に同一な、1563塩基中の1338塩基(85%)を有する(E=1.4e−237)。
【0068】
配列番号3によってコードされるNOV2ポリペプチド(配列番号4)は、577アミノ酸残基を有し、1文字アミノ酸コードを使用して表2Bに表す。SignalP、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV2が、シグナルペプチドを含まず、そして0.4600の確実性でおそらくミトコンドリアマトリクス中に局在し、かつ0.4500の確実性でおそらく細胞質に局在するであろうことを予測する。
【0069】
【表2B】
Figure 2004532613
NOV2アミノ酸配列は、Homo sapiens 576アミノ酸残基タンパク質(ptnr:TREMBLNEW−ACC:BAB14041)と同一な、577アミノ酸残基中569アミノ酸残基(98%)、およびこのタンパク質と類似した、577アミノ酸残基中569アミノ酸残基(98%)を有する(CDNA FLJ 12392 FIS、クローンMAMMA 1002699)、Rattus norvegicus ehドメイン結合タンパク質epsin mRNA(GENBANK−ID:CAB61412)と高い類似性を有する(E=3.0e−313)。
【0070】
開示されるNOV2は、少なくとも以下の組織中で発現される:網膜芽細胞腫、平滑筋腫、乳腺、海綿質細胞、卵巣、骨髄、脾臓、胎盤、心臓。この情報は、本発明に含まれる配列の組織供給源を決定することによって誘導された。さらに、この配列は、密接に関連したHomo sapiens EHドメイン結合有糸分裂リン酸タンパク質(Epsin)mRNA(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:AF073727│acc:AF073727)の発現パターンによって、脳組織中で発現されることが予測される。
【0071】
NOV2はまた、表2Cに列挙されるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0072】
【表2C】
Figure 2004532613
これらの配列の相同性は、表2Dに示されるClustalW分析で図示される。
【0073】
【表2D】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
表2Eおよび表2Fは、NOV2に対するDOMAIN分析結果からのドメイン表示を列挙する。これは、NOV2配列が、これらのドメインを含むことが公知の他のタンパク質の特性と類似する特性を有することを示す。
【0074】
【表2E】
Figure 2004532613
【0075】
【表2F】
Figure 2004532613
NOV2のアミノ酸配列はまた、表2Gに示される他のタンパク質と高い相同生を有する。
【0076】
【表2G】
Figure 2004532613
エプシン(Epsin)(Eps15相互作用物質)は、そのクラスリン、クラスリンアダプターAp−2、およびEps15との直接の相互作用を介する、クラスリン媒介性エンドサイトーシスに関わる細胞質タンパク質である。エプシンのNH(2)末端部分は、未知の機能の、ENTHドメイン(エプシンNH(2)末端相同ドメイン)として公知の、系統発生論的に保存されたモジュールを含む。研究結果は、エプシン1がエンドサイトース機構を核機能の調節に連結するシグナル伝達経路において機能し得ることを示唆する(Hymanら、J Cell Biol 149(3):537−46、2000)。
【0077】
エンドサイトーシスの間、クラスリンおよびクラスリンアダプタータンパク質AP−2は、種々のアクセサリー因子によって補助され、細胞膜で、陥入した芽を生成させる。これらの因子の1つが、AP−2のαアダプチンサブユニットに結合するEps15、クラスリン被覆結合性タンパク質である。エプシンは、被覆ピット陥入および小胞分裂に要求される、クラスリン被覆の分子再配置に、Eps15と共に、関係し得ることが提唱された(Chenら、Nature 394(6695):793−7、1998)。
【0078】
ラットエプシンおよびラットEps15の両方は、有糸分裂性リンタンパク質で、これらの有糸分裂性リン酸化は、αアダプチンの付属ドメインへの結合を阻害することが示された。エプシンおよびEps15の両方は、他のシナプス小胞エンドサイトーシス機構の細胞質成分の様に、神経末端で、構成性リン酸化および脱分極依存性脱リン酸化を受ける。さらに、脳抽出物におけるAP−2の結合は、脱リン酸化によって強化される。エプシンは、Eps15と共に、陥入反応/分裂反応の間の動的再配置において、クラスリン被覆を補助することが提唱されている。これらの有糸分裂性リン酸化は、有糸分裂において、クラスリン被覆ピットの陥入を、ブロックする機構の1つであり得、これらのシナプスでの刺激依存性脱リン酸化は、分泌性刺激後のエンドサイトーシスの代償的な破裂に寄与する(Chenら、J Biol Chem 1999年2月5日;274(6):3257−60)。
【0079】
上記で規定されたNOV2に対する情報は、NOV2タンパク質が新規のエプシン様タンパク質のファミリーのメンバーとして機能し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV2核酸およびNOV2タンパク質は、以下に記載される種々の疾患および障害ならびに/または他の病理に関与する潜在的な治療適用に有用である。例えば、本発明のNOV2組成物は、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧、先天性心機能異常、大動脈狭窄症、心房中隔欠損症、房室管欠損、動脈管、肺動脈弁狭窄症、大動脈弁下部狭窄症、心室中隔欠損症、弁疾患、結節硬化症、硬皮症、肥満、移植障害、子宮内膜症、不妊症,癌、血友病、熱凝固、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫疾患、アレルギー、免疫欠損、対宿主性移植片病、発育欠損、痴呆、フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、アルツハイマー病、発作、高カルシウム血症、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性小児麻痺、てんかん、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、毛細血管拡張性運動失調、白質萎縮症、行動障害、嗜癖、不安、疼痛、神経退行を患っている患者の処置に対して効力を有する。本発明のエプシン様タンパク質をコードするNOV2核酸、およびエプシン様タンパク質またはそのフラグメントは、さらに診断的適用に有用である。ここで、核酸またはタンパク質の存在または量は、評価される。
【0080】
(NOV3)
新規の低密度リポタンパク質B(Low Density Lipoprotein B)(LDLB)様タンパク質をコードする2973ヌクレオチドの開示されたNOV3核酸(AC025263_dalとも呼ばれる)を、表3Aに示す。ヌクオレチド1〜3のATG開示コドンから始まり、ヌクオレチド2971〜2973のTAAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンおよび開示コドンを、表3Aに太字で示す。
【0081】
【表3A】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
開示されたNOV3核酸配列は、染色体19p13.1〜13.3にマップし、これは、Mus musculus ldlBp(LDLB)mRNA(gb:GENBANK−ID:AF109377|acc:AF109377)と、2957塩基中2360塩基(79%)同一である(E=0.0)。
【0082】
配列番号5によってコードされる開示されたNOV3タンパク質(配列番号6)は、990アミノ酸残基を有し、1文字アミノ酸コードを使用して表3Bに表される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV3が、シグナルペプチドを含まず、そして0.7600の確実性で核に、および0.4824の確実性でミトコンドリアマトリクス空隙に局在するであろうことを予測する。
【0083】
【表3B】
Figure 2004532613
NOV3アミノ酸配列は、Mus musculus由来の980アミノ酸残基のタンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:Q9Z160)に、990アミノ酸残基中807アミノ酸残基(81%)同一であり、990アミノ酸残基中877アミノ酸残基(88%)が類似する(E=0.0)。全体の配列相同性は、62.396%アミノ酸相同性および54.576%アミノ酸同一性である。
【0084】
NOV3は、文献供給源に基づく、少なくとも以下の組織中で発現される:卵巣、肝臓、表皮、線維芽細胞、血液白血球。
【0085】
NOV3は、表3Cに列挙されたBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0086】
【表3C】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
これらの配列の相同性は、表3Dに示されるClustalW分析に図示される。
【0087】
【表3D】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
NOV3のアミノ酸配列は、表3Eに示されるように、他のタンパク質と高い相同性を有する。
【0088】
【表3E】
Figure 2004532613
低密度リポタンパク質(LDL)粒子は、血液循環における主要なコレステロールキャリアで、こららの生理学的機能は、コレステロールを細胞へ運ぶことである。アテローム発生の工程において、これらの粒子は、改変され、そして、動脈壁に蓄積する。低密度リポタンパク質(LDL)に結合する血清コレステロールの上昇は、家族性高コレステロール血症の一つの特徴である。
【0089】
ホモ接合体由来の培養された線維芽細胞の研究によって、BrownおよびGoldstein(Proc.Nat.Acad.Sci.70:2804−2808,1973;Proc.Nat.Acad.Sci.71:788−792,1974)は、冠動脈炎および/または家族性高コレステロール血症を患っている患者における基本的な欠損は、LDLに対する細胞膜レセプターに関係することを示した。通常、LDLは、細胞膜に結合され、細胞に取り込まれ、リソソームに達し、そこでタンパク質が分解され、そしてコレステロールは、ミクロソームの酵素3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル補酵素A(HMG CoA)レダクターゼの抑制(コレステロール合成における速度制限工程)に対して有効になる。疾患状態において、LDLレセプターの、細胞内取り込み変異体は、LDLに結合するが、細胞内へのLDLの輸送を促進することはできない(Goldsteinら、Cell 12:629−641、1977)。上記で議論された疾患状態に加えて、LDLは、ウイルスの感染に関与する。研究結果は、C型肝炎ウイルス(HCV)(慢性肝炎の主要なウイルス的原因)および他のウイルスが、LDLレセプターの媒介を通して細胞に侵入することを示す。この研究は、これらウイルスのエンドサイトーシスは、LDLレセプターの活性と相関することを示す(Agnelloら、Proc.Nat.Acad.Sci.96:12766−71、1999)。
【0090】
上記で規定された、NOV3に対する情報は、このNOV3タンパク質が、低密度リポタンパク質Bファミリーのメンバーとして機能し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV3核酸およびNOV3タンパク質は、潜在的な適用および診断的適用に有用である。例えば、NOV3タンパク質をコードするcDNAは、遺伝子療法において有用であり得、そしてNOV3タンパク質は、それを必要とする被験体に投与する場合、有用であり得る。非限定的な例示として、本発明の組成物は、家族性高コレステロール血症、リポ蛋白過剰血症II表現型、腱黄色性、角膜環、冠状動脈疾患、扁平黄色腫、みずかき指、高コレステロール血症、受胎能、冠状動脈疾患、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、黄色腫症、C型肝炎感染、LDLレセプターの調節、合成、輸送、再利用、または代謝回転、大脳皮質下梗塞および白質脳症を有する脳動脈症、骨端形成異常症(多発性1型)、魚鱗癬、非層板のおよび非紅色水腫の、先天性白血病、T細胞急性リンパ芽球状の偽性軟骨形成不全症、SCID、常染色体の劣性、Tネガティブ/Bポジティブ型、C3欠損症、真性糖尿病、インシュリン耐性の黒色表皮肥厚症を有するグルタル酸尿症(I型)、甲状腺機能低下不全症、先天性妖精症、脂肪肉腫、ムコリピドーシス IV、ミュラー管開存症(I型)、ラブソン−メンデンハール症候群、甲状腺癌、無髄の、細胞好酸性傾向を有する、赤血球増加症、家族性マラリア、トロンボキサンA2レセプター欠損による出血障害への大脳の感受性、小脳性運動失調(カイマン型)、痙攣、家族性熱性周期性造血(2)、フコシルトランスフェラーゼ−6欠損、GAMT欠損、フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群、肝硬変、移植、乾癬、光線性角化症、結節硬化症、挫瘡、髪の増殖、脱毛症(allopecia)、色素沈着障害および内分泌障害、を患っている患者の処置に対して効力を有する。低密度リポタンパク質B様タンパク質をコードするNOV3核酸、および本発明の低密度リポタンパク質B様タンパク質またはそのフラグメントは、さらに、診断的適用に有用であり得る。ここで、核酸またはタンパク質の存在または量は、評価される。
【0091】
(NOV4)
新規のプリンレセプター(Purinoceptor)様タンパク質をコードする1851ヌクレオチドの開示されたNOV4核酸(CuraGenアクセッション番号Aco26756_dalと示される)を、表4Aに示す。ヌクオレチド347〜349のATG開示コドンから始まり、ヌクオレチド1358〜1360のTGAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンの上流および終止コドンの下流の推定非翻訳領域を、表4Aに下線で示す。開始コドンおよび終止コドンを、太字で示す。
【0092】
【表4A】
Figure 2004532613
NOV4核酸配列は、Mus musculus P2YプリンレセプターmRNA(gb:GENBANK−ID:MMU22829|acc:U22829)と、717塩基中419塩基(58%)同一である(E=9.8e−19)。
【0093】
配列番号7によってコードされるNOV4ポリペプチド(配列番号8)は、337アミノ酸残基で、1文字アミノ酸コードを使用して表4Bに表される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV4が、シグナルペプチドを含まず、そして0.6000の確実性で形質膜に局在するであろうことを予測する。
【0094】
【表4B】
Figure 2004532613
NOV4アミノ酸配列は、Mus musculus由来の373アミノ酸残基のP2Y1プリンレセプタータンパク質(ATPレセプター)(ptnr:SWISSPROT−ACC:P49650)に、306アミノ酸残基中112アミノ酸残基(36%)同一であり、306アミノ酸残基中179アミノ酸残基(58%)がポジティブである(E=9.4e−56)。
【0095】
NOV4は、それらが増幅された最初のプールされた20のcDNAに対応する少なくとも以下の組織中で発現される:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児の脳、胎児の腎臓、胎児の肝臓、胎児の肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ細胞、乳腺、膵臓、下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管および子宮。
【0096】
GPCR4について見られる可能な小ヌクレオチド多型(SNP)を表4Cに列挙する。深度は、SNPの領域をカバーするクローンの数を表す。推定対立遺伝子頻度(PAF)は、SNPを含むこれらのクローンの割合である。示される場合、ダッシュは、塩基が存在しないことを意味する。記号「>」は「に変えられる」を意味する。
【0097】
【表4C】
Figure 2004532613
NOV4はまた、表4Dに列挙されたBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0098】
【表4D】
Figure 2004532613
これらの配列の相同性は、表4Eに示されるClustalW分析に図示される。
【0099】
【表4E】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
表4Fは、NOV4に対するDOMAIN分析結果からのドメインの説明を列挙する。これは、NOV4配列が、これらのドメインを含むことが既知の他のタンパク質の特性と類似する特性を有することを示す。
【0100】
【表4F】
Figure 2004532613
NOV4のアミノ酸配列は、表4Gに示されるように、他のタンパク質と高い相同性を有する。
【0101】
【表4G】
Figure 2004532613
上記で規定された、NOV4に対する情報は、このNOV4タンパク質は、プリンレセプタータンパク質ファミリーのメンバーとして機能し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV4核酸およびNOV4タンパク質は、種々の疾患および障害に関与する潜在的な治療的適用に有用である。プリンレセプター様タンパク質をコードするNOV4核酸、および本発明のプリンレセプター様タンパク質またはそのフラグメントは、さらに、診断的適用に有用であり得る。ここで、核酸またはタンパク質の存在または量は、評価される。
【0102】
(NOV5)
NOV5は、以下に開示される2つの新規CG8841様タンパク質を含む。この開示されるタンパク質は、NOV5aおよびNOV5bと名づけられる。
【0103】
(NOV5a)
新規のCG8841様タンパク質をコードする3146ヌクレオチドの開示されたNOV5a核酸(sggc_draft_dj895c5_20000811_dalとも呼ばれる)を、表5Aに示す。ヌクオレチド1〜3のATG開示コドンから始まり、ヌクオレチド2293〜2295のTGAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンの上流および終止コドンの下流の推定非翻訳領域を、表5Aに下線で示す。開始コドンおよび終止コドンを、太字で示す。
【0104】
【表5A】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
NOV5a核酸は、第17染色体上に同定された。この核酸は、Homo sapience DKFZp434I1120 mRNA(gb:GENBANK−ID:HSM802295|acc:AL137556)と、571塩基中567塩基(99%)同一である(E=1.1e−216)。
【0105】
配列番号9によってコードされる開示されたNOV5aポリペプチド(配列番号10)は、764アミノ酸残基で、1文字アミノ酸コードを使用して表5Bに表される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV5aが、シグナルペプチドを含み、そして0.7300の確実性で形質膜に、および0.6075の確実性でマイクロボディ(ペルオキシソーム)に局在するであろうことを予測する。NOV5aペプチドについて最も可能性が高い切断部位は、アミノ酸49と50との間の、FAL−VPである。
【0106】
【表5B】
Figure 2004532613
NOV5aアミノ酸配列は、Drosophila melanogaster由来の837アミノ酸残基のCG8841タンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:Q9V695)に、638アミノ酸残基中397アミノ酸残基(62%)同一であり、638アミノ酸残基中478アミノ酸残基(74%)が類似する(E=5.9e−270)。
【0107】
NOV5aは、少なくとも以下の組織中で発現される:副腎/腎上体、扁桃,骨髄,脳、結腸、真皮、十二指腸、海馬、視床下部、腎臓、喉頭、肝臓、肺、リンパ節、リンパ組織、乳腺/胸、卵巣、膵臓、耳下腺唾液腺、下垂体、網膜、小腸、脊髄、胃、黒質、精巣、視床、扁桃、臍静脈、子宮、器官全体。この情報は、本発明に含まれる配列の組織供給源を決定することによって、導かれる。さらに、このNOV5Aは、密接に関連するHomo sapiens DKFZp434I1120 mRNA(gb:GENBANK−ID:HSM802295|acc:AL137556)の発現パターンから、精巣組織中で発現されると予想される。
【0108】
(NOV5b)
新規のCG8841様タンパク質をコードする3314ヌクレオチドの開示されたNOV5b核酸(CG54443−02とも呼ばれる)を、表5Cに示す。ヌクオレチド97〜99のATG開示コドンから始まり、ヌクオレチド2461〜2463のTGAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンの上流および終止コドンの下流の推定非翻訳領域を、表5Cに下線で示す。開始コドンおよび終止コドンを、太字で示す。
【0109】
【表5C】
Figure 2004532613
NOV5b核酸は、第17染色体上に同定された。この核酸は、Homo sapience DKFZp434I1120 mRNA(gb:GENBANK−ID:HSM802295|acc:AL137556.1)と、1162塩基中1155塩基(99%)同一である(E=1.2e−255)。
【0110】
配列番号11によってコードされる開示されたNOV5bポリペプチド(配列番号12)は、788アミノ酸残基で、1文字アミノ酸コードを使用して表5Dに表される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV5bが、シグナルペプチドを含み、そして0.7300の確実性で形質膜に、および0.6006の確実性でマイクロボディ(ペルオキシソーム)に局在するであろうことを予測する。NOV5bペプチドについて最も可能性が高い切断部位は、アミノ酸49と50との間の、FAL−VPである。
【0111】
【表5D】
Figure 2004532613
NOV5bアミノ酸配列は、Drosophila melanogaster由来の837アミノ酸残基のCG8841タンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:Q9V695)に、662アミノ酸残基中409アミノ酸残基(61%)同一であり、662アミノ酸残基中491アミノ酸残基(74%)が類似する(E=1.4e−277)。
【0112】
NOV5bは、少なくとも以下の組織中で発現される:副腎/腎上体、骨髄,脳、軟骨、結腸、真皮、十二指腸、胆嚢、腎臓、喉頭、肝臓、肺、リンパ節、リンパ組織、乳腺/胸、卵巣、膵臓、耳下腺唾液腺、下垂体、前立腺、網膜、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、扁桃、膀胱、子宮、静脈、外陰部。さらに、この遺伝子は、以下の疾患状態において、発現された:前立腺腺癌、卵巣癌、結腸癌、子宮癌、膵臓腺癌、乳癌。この情報は、本発明に含まれる配列の組織供給源を決定することによって、導かれる。
【0113】
NOV5aおよびNOV5bは、表5Eにおいて、そのアミノ酸アライメントで示されるように、非常に密接に相同である。
【0114】
【表5E】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
任意の上記NOV5タンパク質に対する相同性は、それらが上記に示されるように、互いに相同である限り、他のNOV5タンパク質によって共有される。任意のNOV5の表示は、他に言及しない限り、一般に、NOV5タンパク質の両方をいうと想定される。
【0115】
NOV5aはまた、表5Fに列挙されたBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0116】
【表5F】
Figure 2004532613
これらの配列の相同性は、表5Gに示されるClustalW分析に図示される。
【0117】
【表5G】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
NOV5のアミノ酸配列は、表5Hに示されるように、他のタンパク質に高い相同性を有する。
【0118】
【表5H】
Figure 2004532613
NOV5における上記に定義された情報は、このNOV5が、CG8841様タンパク質ファミリーのメンバーとして機能し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV5核酸およびNOV5タンパク質は、以下に示されるような種々の疾患および障害および/または他の病理学に関連する、潜在的治療適用において有用であり得る。例えば、本発明のNOV5組成物は、癌、外傷、免疫疾患、呼吸疾患、胃腸疾患、生殖に関する健康(reproductive health)、神経疾患および神経変性疾患、骨髄移植、代謝疾患および内分泌疾患、アレルギーおよび炎症、腎臓障害、造血障害または泌尿系障害に罹患している患者の処置に対する効力を有する。本発明のCG8841様タンパク質をコードするNOV5核酸、およびCG8841様タンパク質あるいはそれらのフラグメントは、診断適用においてさらに有用であり得、ここで、その核酸またはタンパク質の存在または量が、評価される。
【0119】
(NOV6)
NOV6は、下記に開示される2つの新規なシナプトタグミン様タンパク質を含む。開示されるタンパク質は、NOV6aおよびNOV6bと名付けられた。
【0120】
(NOV6a)
新規なシナプトタグミン様タンパク質をコードする1116ヌクレオチドの開示されたNOV6a核酸(SC134912642_da1とも呼ばれる)を表6Aに示す。ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンから始まり、ヌクレオチド1114〜1116のTGAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンおよび終止コドンを、表6Aに太字で示す。
【0121】
【表6A】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
NOV6a核酸は、染色体11q12.2上で同定され、そしてMus musculusシナプトタグミンVII mRNA(gb:GENBANK−ID:AB026804|acc:AB026804)に対して、768塩基のうち709塩基(92%)同一である塩基を有する(E=1.3e−208)。
【0122】
開示されるNOV6aポリペプチド(配列番号14)(配列番号13によりコードされる)は、371のアミノ酸残基であり、そして表6Bにおいて一文字コードを用いて表される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV6aが、シグナルペプチドを含み、そして0.8200の確実度で細胞質に局在するようであることを予想する。NOV6aペプチドの最も可能性のある切断部位は、アミノ酸35と36との間(VLA−SR)である。
【0123】
【表6B】
Figure 2004532613
NOV6aアミノ酸配列は、Rattus norvegicus 403アミノ酸残基シナプトタグミンVIIタンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:Q62747)に対して、255アミノ酸残基のうち248アミノ酸残基(97%)同一であり、および255アミノ酸残基のうち251アミノ酸残基(98%)類似する、アミノ酸残基を有する(E=1.3e−190)。
【0124】
NOV6aは、少なくとも以下の組織において発現される:副腎/腎上体、骨、脳、大脳髄質/大脳白質、心臓、海馬、肝臓、乳腺/乳房、下垂体、胎盤、唾液腺、視床。この情報は、SeqCalling情報源、Public(公的)EST情報源、文献情報源、および/またはRACE情報源を含むがこれに限定されない、本発明に含まれる配列の組織情報源を決定することによって導かれた。
【0125】
(NOV6b)
新規なシナプトタグミン様タンパク質をコードする1212ヌクレオチドの開示されたNOV6b核酸(CG56106−01とも呼ばれる)を表6Cに示す。ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンから始まり、ヌクレオチド1210〜1212のTGAコドンで終結する、オープンリーディングフレームが同定された。開始コドンおよび終止コドンは表6Cにおいて、太字である。
【0126】
【表6C】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
NOV6b核酸は、染色体11q12−13.1上で同定され、そしてHomo sapiens シナプトタグミンVII mRNA(gb:GENBANK−ID:AF038535|acc:AF038535.1)に対して、1212塩基のうち1201塩基(99%)同一である塩基を有する(E=5.6e−263)。
【0127】
開示されるNOV6bポリペプチド(配列番号16)(配列番号15によりコードされる)は、403のアミノ酸残基であり、そして表6Dにおいて一文字コードを用いて表される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果は、NOV6bが、シグナルペプチドを含み、そして小胞体(膜)に0.8200の確実度で、および原形質膜に0.5140の確実度で局在するようであることを予想する。NOV6bペプチドについての最も可能性の高い切断部位は、アミノ酸46とアミノ酸47との間(KLG−KR)である。
【0128】
【表6D】
Figure 2004532613
NOV6bアミノ酸配列は、Rattus norvegicus 403アミノ酸残基シナプトタグミンVIIタンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:Q62747)に対して、403アミノ酸残基のうち398アミノ酸残基(98%)同一であり、および403アミノ酸残基のうち401アミノ酸残基(99%)類似する、アミノ酸残基を有する(E=7.1e−217)。
【0129】
NOV6bは、少なくとも以下の組織において発現される:副腎/腎上体、骨、脳、大脳髄質/大脳白質、心臓、海馬、肝臓、乳腺/乳房、下垂体、胎盤、唾液腺、視床。この情報は、SeqCalling情報源、Public(公的)EST情報源、文献情報源、および/またはRACE情報源を含むがこれに限定されない、本発明に含まれる配列の組織情報源を決定することによって導かれた。
【0130】
NOV6aおよびNOV6bは、表6Eのアミノ酸アライメントに示されたように、非常に近密な相同性である。
【0131】
【表6E】
Figure 2004532613
上記NOV6タンパク質のいずれかに対する相同性は、上記に示されるように互いに相同性である範囲で、他のNOV6により共有される。NOV6に対するいずれの参考文献も、特に断らない限り、一般に両方のNOV6を指すと想定される。
【0132】
NOV6aはまた、表6Fに挙げられるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対して相同性を有する。
【0133】
【表6F】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
これらの配列の相同性を、表6Gに示すClustalW分析において図示する。
【0134】
【表6G】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
表6H−6Kは、NOV6aに対するDOMAIN解析結果からのドメインの詳細を列挙する。これらは、NOV6a配列が、このドメインを含むことが、公知の他のタンパク質のドメインと類似した特性を有することを示す。
【0135】
【表6H】
Figure 2004532613
【0136】
【表6I】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0137】
【表6J】
Figure 2004532613
【0138】
【表6K】
Figure 2004532613
シナプトタグミンは、シナプスのエキソサイトーシスおよび神経伝達物質放出において役割を果たす脳特異的カルシウム依存性リン脂質結合タンパク質のファミリーである。Bestの卵黄様黄斑変性と関連するヒト染色体11q13の間隔の転写マップを構築する一方で、Cooperらは、ラットシナプトタグミンVIIのヒトホモログをコードするcDNAを単離した(Cooperら、Genomics 49:419〜429、1998)。予測される403アミノ酸のヒトタンパク質およびラットタンパク質は、98%同一である。ノーザンブロット分析は、シナプトタグミンVIIが、脳の異なる領域からの組織を含む、種々のヒト成人および胎児の組織において、4.4kbおよび7.5kbのmRNAとして発現されることを明らかとした。
【0139】
ニューロンは、シナプス小胞のカルシウム依存性のエキソサイトーシスによって、神経伝達物質を放出する。Broseらは、シナプトタグミン(高い保存性のシナプス小胞タンパク質)が、陰性に荷電したリン脂質と共に複合体における生理学的濃度でカルシウムと結合することを報告した(Broseら、Science 256:1021〜1025、1992)。この結合は、カルシウムについて特異的であり、そしてシナプトタグミンの細胞質ドメインを含む。カルシウム結合は、シナプトタグミンのインタクトなオリゴマー構造に依存し;これは、単一部位でのタンパク質分解の切断によって破壊される。Broseら(1992)は、シナプトタグミンが、エキソサイトーシスにおいて協同的なカルシウムレセプターとして作用することを示唆するような結果を解釈した。シナプトタグミンは、プロテインキナーゼCの調節領域に相同性である、配列の2つのコピーを含む。Perinらは、ヒトシナプトタグミンおよびショウジョウバエ(Drosophila)シナプトタグミンをコードする全長cDNAを特徴づけた(Perinら、Nature 345:260〜263、1991)。ラットシナプトタグミン、ヒトシナプトタグミンおよびショウジョウバエシナプトタグミンの細胞質ドメインのリン脂質結合特性の類似性ならびにプロテインキナーゼCに相同性である配列の選択的保存は、これらが、リン脂質結合に含まれ得ることを示唆する。
【0140】
NOV6についての上記で規定された情報は、NOV6が、シナプトタグミンファミリーのメンバーとして機能し得ることを示唆する。それ故、本発明のNOV6核酸およびNOV6タンパク質は、以下に記載される種々の疾患および障害ならびに/または他の病状に関する潜在的な治療適用において有用である。例えば、本発明のNOV6組成物は、アトピー;骨粗鬆症仮性神経膠腫症候群;スミス−レムリ−オピッツ症候群、I型;スミス−レムリ−オピッツ症候群、II型;色素性乾皮症、E群、サブタイプ2;感受性のアトピーの喘息;糖尿病インスリン依存4;IDDMに対する感受性;血管性水腫、遺伝性の;傍神経節腫、家族性の非クロム親和性、2;フォン・ヒッペル−リンダウ(VHL)症候群;アルツハイマー病、発作、結節硬化症、高カルシウム血症、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性麻痺、癲癇、レッシュ−ナイハン症候群、多発性硬化症、毛細管拡張性運動失調、白質萎縮症、行動障害、嗜癖、不安、痛み、神経保護;代謝障害およびランバート−イートン無筋力症症候群に悩まされる患者の処置について有効性を有する。シナプトタグミン様タンパク質をコードするNOV6核酸および、本発明のシナプトタグミン様タンパク質、またはそれらのフラグメントはさらに、診断的適用においても有用であり得、ここで核酸またはタンパク質の存在または量が、評価される。
【0141】
(NOV7)
新規セリンプロテアーゼTLSP様レセプタータンパク質をコードする開示されるNOV7核酸の1164ヌクレオチド(wugc_draft_h_nh0781m21_20000809_dalともいわれる)が、表7Aに示される。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド113〜115のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド854〜856のTAG終止コドンで終止することで同定された。推定の非翻訳領域は、開始コドンの上流および表7Aにおける終止コドンから下流で見出され、そして開始コドンおよび終止コドンは、太字である。
【0142】
【表7A】
Figure 2004532613
第19染色体に位置する、開示されたNOV7核酸配列は、Homo sapiensトリプシン様セリンプロテアーゼ(TLSP)mRNA(gb:GENBANK−ID:AF164623|acc:AF164623)に607塩基のうち531塩基(87%)が同一性を有する(E=1.3e−165)。
【0143】
配列番号17によってコードされる開示されたNOV7ポリペプチド(配列番号18)は、247アミノ酸残基であり、そして表7Bにおける1文字アミノ酸コードを用いて表される。signal P、Psortおよび/または疎水性親水性指標の結果は、NOV7が、シグナルペプチドを含み、そして0.6921の確実性でミトコンドリアの内膜にそして0.6500の確実性で原形質膜に位置される傾向があることを予測する。NOV7ペプチドについて、最も可能性のある切断部位は、アミノ酸50と51との間のVGG−ETである。
【0144】
【表7B】
Figure 2004532613
NOV7アミノ酸配列は、Homo Sapiens 282アミノ酸残セリンプロテアーゼ(TLSP)タンパク質(ptnr:SPTREMBL−ACC:O75837)に、149アミノ酸残基のうち146アミノ酸残基(97%)が同一であり、そして149アミノ酸残基のうち147アミノ酸残基(98%)が類似である(E=5.2e−131)。
【0145】
NOV7は、Homo sapiens(GenBank ID:AB012917)由来のセリンプロテアーゼ(TLSP)のスプライスされたアイソフォームである。位置406と位置407との間の105ヌクレオチドが欠落している。このエキソンの欠失は、タンパク質配列中の位置98と位置99との間の35アミノ酸残基の欠失を生じる。
【0146】
NOV7は、少なくとも以下の組織において発現される:結腸、心臓、肺、卵巣、耳下腺唾液腺、前立腺、唾液腺、胃(正常な)、胃(印環細胞をともなう不十分に分化された腺癌)精巣および子宮。密接に関連するHomo sapiens トリプシン様セリンプロテアーゼ(TLSP)遺伝子ホモログ(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:AF164623|acc:AF164623):脳、胸腺、脾臓、肝臓および乳がん細胞株BT−474における発現パターンのために、この配列は、以下の組織/細胞株において発現されるとさらに予測される。
【0147】
NOV7はまた、表7Cに列挙されるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に相同性を有する。
【0148】
【表7C】
Figure 2004532613
これらの配列の相同性は、表7Dに示されるClustalW分析に画像として示される。
【0149】
【表7D】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
表7Eおよび表7Fは、NOV7に対するドメイン分析結果からのドメインの記載を列挙する。これは、NOV7配列が、このドメインを含むことが公知である他のタンパク質の特性と類似の特性を有する。
【0150】
【表7E】
Figure 2004532613
【0151】
【表7F】
Figure 2004532613
NOV7のアミノ酸配列は、表7Gに示されるような他のタンパク質と高い相同性を有する。
【0152】
【表7G】
Figure 2004532613
トリプシン様酵素は、Streptomyces属およびSaccharopolyspora属の放線菌、および真菌類のFusarium oxysporumにおいて見出されるが、トリプシンファミリーは、ほぼ全体的に動物に限定される。この酵素は、固有に分泌され、これを分泌経路へ標的化させるシグナルペプチドを用いて合成される。動物の酵素は、直接分泌されるか、調節された分泌のためのビヒクルにパッケージングされるか、または白血球顆粒中に保持されるかのいずれかである。
【0153】
プロテアーゼは、組織のリモデリングおよび細胞の移動を含む、様々な生物学的プロセスにおいて中枢の役割を果たす。セリンプロテアーゼの保存領域に対応するマウスニューロプシンcDNA配列由来のプライマーを用いるヒト海馬cDNAのPCRによって、新規のセリンプロテアーゼ(KLK11)が、同定され、これは、TLSPと命名された。推定される260アミノ酸タンパク質は、シグナルペプチド、セリンプロテアーゼ活性に必須の3つの重要なアミノ酸、P1位置の塩基性アミノ酸に対するトリプシン型の基質の特性を示唆する位置におけるasp残基、オキシアニオンホールを形成し得る保存されたアミノ酸、および潜在的なN−グリコシル化部位を含む。KLK11は、マウスニューロプシンと48%のアミノ酸配列同一性、ヒトトリプシン1およびヒトカリクレインの両方と43%の同一性、およびマウス神経増殖因子γサブユニットと38%の同一性を共有する。組み換えKLK11のウェスタンブロット分析は、このタンパク質が、分泌され、そして翻訳後に処理されることを示唆した。
【0154】
タンパク質分解酵素は、伝統的な医薬において容易に用いられており、そして研究は、酵素治療は、放射線治療および化学治療によって引き起こされる有害な効果を減少し得ることを示している。腫瘍のいくつかの型において、生存が、延長され得る証拠もまたある。全身系の酵素治療の有益な効果は、その抗炎症潜在性に基づくと考えられる(LeipnerおよびSaller、Drugs 59(4):769−80、2000)。
【0155】
NOV7についての上記で定義された情報は、このNOV7タンパク質が、セリンプロテアーゼTLSPファミリーのメンバーとして機能し得ることを示唆する。それ故、本発明のNOV7核酸およびNOV7タンパク質は、以下に記載される種々の疾患および障害ならびに/または他の病状に関する潜在的な治療適用において有用である。例えば、本発明のNOV7組成物は、癌、神経学的障害、消化系障害および全てまたはいくつかのプロテアーゼ/プロテアーゼインヒビター欠乏障害に悩まされる患者の処置について有効性を有する。セリンプロテアーゼTLSP様タンパク質をコードするNOV7核酸、および本発明のセリンプロテアーゼTLSP様タンパク質またはこれらのフラグメントは、さらに診断的適用において有用であり得、ここで、核酸またはタンパク質の存在または量が、評価される。
【0156】
(NOV8)
NOV8は、以下に開示される4つの新規グリピカン−2(Glypican−2)前駆体様タンパク質を含む。開示されるタンパク質は、NOV8a、NOV8b、NOV8cおよびNOV8dと命名されている。
【0157】
(NOV8a)
新規グリピカン−2前駆体様タンパク質をコードする1785ヌクレオチドの開示されるNOV8a核酸(134913441_EXTともいわれる)が、表8Aに示される。オープンリーディングフレームが、同定され、ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド1738〜1740のTAAコドンで終止した。終止コドンから下流の推定の非翻訳領域が、表8Aで下線を付され、そして開始コドンおよび終止コドンは、太字である。
【0158】
【表8A】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
第7染色体に位置される、開示されるNOV8a核酸配列は、Rattus norvegicus セレブトグリカンmRNA(gb:GENBANK−ID:RATCRBGLVC|acc:L20468)に1785塩基のうち1469塩基(82%)の同一性を有する(E=3.3e−261)。
【0159】
配列番号19によってコードされる開示されるNOV8aポリペプチド(配列番号20)は、579のアミノ酸残基であり、そして表8Bに1文字アミノ酸コードを用いて表される。signal P、Psortおよび/または疎水性親水性指標の結果は、NOV8aが、シグナルペプチドを含み、そして0.4467の確実性で細胞外に位置される傾向があることを予測する。NOV8aペプチドについて、最も可能性のある切断部位は、アミノ酸23と24との間のGPG−SEである。
【0160】
【表8B】
Figure 2004532613
NOV8aアミノ酸配列は、Rattus norvegicus 579アミノ酸残基glypican−2前駆体(セレブログリカン)タンパク質(ptnr:SWISSPROT−ACC:P51653)に、579アミノ酸残基のうち477アミノ酸残基(82%)が同一であり、そして579アミノ酸残基のうち513アミノ酸残基(88%)が類似である(E=1.1e−260)。
【0161】
NOV8aは、少なくとも以下の組織において発現される:腎臓、膵臓、脳、小児前駆B細胞急性リンパ芽球白血病。この情報は、本発明に含まれる配列の組織供給源を決定することによって得られた。SeqCalling供給源:腎臓、膵臓、脳;PublicEST供給源:小児前駆B細胞急性リンパ芽球白血病。さらに、発現パターンが、Rattus norvegicusセレブログリカンmRNAホモログ(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:RATCRBGLVC|acc:L20468)と密接に関連しているため、NOV8aは、脳組織において、発現されると予測される。
【0162】
(NOV8b)
新規Glypican−2前駆体様タンパク質をコードする1976ヌクレオチドの開示されるNOV8b核酸(CG50970_02ともいわれる)が、表8Cに示される。オープンリーディングフレームが同定され、ヌクレオチド54〜56のATG開始コドンで始まり、そしてヌクレオチド1449〜1451のTAAコドンで終止した。開始コドンから上流および終止コドンから下流の推定の非翻訳領域が、表8Cで下線を付され、そして開始コドンおよび終止コドンは、太字である。
【0163】
【表8C】
Figure 2004532613
染色体2q35−q37に位置される、開示されるNOV8b核酸配列は、Rattus norvegicusセレブログリカンmRNA(gb:GENBANK−ID:RATCRBGLVC|acc:L20468.1)に1271塩基のうち1047塩基(82%)の同一性を有する(E=1.4e−247)。
【0164】
配列番号21によってコードされる開示されるNOV8bポリペプチド(配列番号22)は、465のアミノ酸残基であり、そして表8Dに1文字アミノ酸コードを用いて表される。signal P、Psortおよび/または疎水性親水性指標の結果は、NOV8bが、シグナルペプチドを含み、そして0.4467の確実性で細胞外に位置される傾向があることを予測する。NOV8bペプチドについて、最も可能性のある切断部位は、アミノ酸23と24との間のGPG−SEである。
【0165】
【表8D】
Figure 2004532613
NOV8bアミノ酸配列は、Rattus norvegicus 579アミノ酸残基glypican−2前駆体(セレブログリカン)タンパク質(ptnr:SWISSPROT−ACC:P51653)に、380アミノ酸残基のうち322アミノ酸残基(84%)が同一であり、そして380アミノ酸残基のうち348アミノ酸残基(91%)が類似である(E=1.5e−210)。
【0166】
NOV8bは、少なくとも以下の組織において発現される:大動脈、脳、軟骨、頸部、肝臓、肺、卵管(Oviduct)/卵管(Uterine Tube)、管/ファローピウス管、耳下唾液腺、胎盤、前立腺、網膜、骨格筋、胃、側頭葉、精巣、静脈。この情報は、SeqCalling供給源、Public EST供給源、文献供給源、および/またはRACE供給源を含むがこれらに限定されない本発明に含まれる配列の組織供給源を決定することによって誘導された。
【0167】
(NOV8c)
新規なグリピカン−2前駆体様タンパク質をコードする、1613ヌクレオチドの開示されるNOV8c核酸(CG50970−03とも呼ばれる)が、表8Eに示される。ヌクレオチド1〜3のATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド1348〜1350のTGAコドンで終わる、オープンリーディングフレームが、同定された。終止コドンの下流の推定非翻訳領域は、表8Eにおいて下線を付されており、そして、開始コドンおよび終止コドンは、太字である。
【0168】
【表8E】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
開示されるNOV8c核酸配列は、第2染色体に位置付けされた。このNOV8c核酸は、Rattus norvegicus cerebroglycan mRNA(gb:GENBANK−ID:RATCRBGLVC|acc:L20468.1)と同一な994塩基を1172塩基中に(84%)有する(E=1.3e−237)。
【0169】
配列番号23によってコードされる、開示されるNOV8cポリペプチド(配列番号24)は、449アミノ酸残基であり、表8Fに1文字アミノ酸コードを用いて示される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果によって、NOV8cが、シグナルペプチドを有し、確実性0.3700でおそらく細胞外に局在化されることが、予測される。NOV8cペプチドに関する最も可能性の高い切断部位は、アミノ酸23と24との間(GPG−SE)である。
【0170】
【表8F】
Figure 2004532613
NOV8cアミノ酸配列は、Rattus norvegicusの579アミノ酸残基のグリピカン−2前駆体(cerebroglycan)タンパク質(ptnr:SWISSPROT−ACC:P51653)と、同一な334アミノ酸残基を391アミノ酸残基のうちに有し(85%)、類似する359アミノ酸残基を391アミノ酸残基のうちに有する(91%)(E=1.4e−183)。
【0171】
NOV8cは、少なくとも以下の組織において発現される:大動脈、脳、軟骨、頚部、肝臓、肺、卵管/卵管/ファローピウス管、耳下腺、唾液腺、胎盤、前立腺、網膜、骨格筋、胃、側頭葉、精巣、静脈。発現情報は、NOV8c配列の誘導体に含まれる配列の組織供給源に由来した。
【0172】
(NOV8d)
新規なグリピカン−2前駆体様タンパク質をコードする、725ヌクレオチドの開示されるNOV8d核酸(CG50970−04とも呼ばれる)が、表8Gに示される。ヌクレオチド160〜162のATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド688〜690のTAAコドンで終わる、オープンリーディングフレームが、同定された。開始コドンの上流の推定非翻訳領域および終止コドンの下流の推定非翻訳領域は、表8Gにおいて下線を付されており、そして、開始コドンおよび終止コドンは、太字である。
【0173】
【表8G】
Figure 2004532613
開示されるNOV8d核酸配列は、第2染色体に位置付けされた。このNOV8d核酸は、Rattus norvegicus cerebroglycan mRNA(gb:GENBANK−ID:RATCRBGLVC|acc:L20468.1)と同一な448塩基を545塩基中に(82%)有する(E=4.2e−101)。
【0174】
配列番号25によってコードされる、開示されるNOV8dポリペプチド(配列番号26)は、176アミノ酸残基であり、表8Hに1文字アミノ酸コードを用いて示される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果によって、NOV8dが、シグナルペプチドを有し、確実性0.4467でおそらく細胞外に局在化されることが、予測される。NOV8dペプチドに関する最も可能性の高い切断部位は、アミノ酸23と24との間(GPG−SE)である。
【0175】
【表8H】
Figure 2004532613
このNOV8dアミノ酸配列は、Rattus norvegicusの579アミノ酸残基のグリピカン−2前駆体(cerebroglycan)タンパク質(ptnr:SWISSPROT−ACC:P51653)と、同一な103アミノ酸残基を119アミノ酸残基のうちに有し(86%)、類似する114アミノ酸残基を119アミノ酸残基のうちに有する(95%)(E=2.6e−73)。
【0176】
NOV8dは、少なくとも以下の組織において発現される:大動脈、脳、軟骨、頚部、肝臓、肺、卵管/卵管/ファローピウス管、耳下腺、唾液腺、胎盤、前立腺、網膜、骨格筋、胃、側頭葉、精巣および静脈。発現情報は、NOV8d配列の誘導体に含まれる配列の組織供給源由来であった。
【0177】
GPCR8dに見出される可能なSNPは、表8Iに列挙される。
【0178】
【表8I】
Figure 2004532613
このNOV8a〜NOV8dタンパク質は、表8Jのアライメントに示されるように非常に近く相同である。
【0179】
【表8J】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
上記のNOV8タンパク質のいずれかに対する相同性は、他のNOV8タンパク質によって、それらが上記のように互いに相同である範囲で、共有される。NOV8への言及はいずれも、他のように示されない限り、一般に、NOV8タンパク質の両方を指すことを想定する。
【0180】
この開示されるNOV8ポリペプチドは、表8Kに列挙されるBLASTPデータに示されるアミノ酸配列に対する相同性を有する。
【0181】
【表8K】
Figure 2004532613
これらの配列と他の配列との間の相同性は、表8Lに示されるClustalW分析において図表的に示される。
【0182】
【表8L】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
表8Mは、NOV8aに対するDOMAIN分析結果からのドメインの説明を列挙する。これは、これらのドメインを含有することが公知である他のタンパク質の性質と類似の性質をNOV8a配列が有することを示す。
【0183】
【表8M】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
グリピカンは、硫酸ヘパリンプロテオグリカンのファミリーであり、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)結合によって細胞膜に固着される。構造的に、これらのタンパク質は、3つの別々のドメイン:シグナル配列と、ジスルフィド結合におそらく関連する12個の保存されたシステインを含み、かつ硫酸ヘパリングリコサミノグリカン側鎖の結合部位も含む約500残基の細胞外ドメインとGPIアンカーが形成された後で、翻訳後に除去されるC末端疎水性領域と、からなる。
【0184】
上に定義したNOV8に関する情報は、NOV8がグリピカン−2前駆体ファミリーのメンバーとして機能し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV8核酸およびNOV8タンパク質は、以下に記載される種々の疾患および障害ならびに/または他の病理に関連する潜在的な治療適用において有用である。例えば、本発明のNOV8組成物は、以下に罹患している患者の処置に効力を有する;糖尿病、インスリン非依存性糖尿病、自己免疫疾患、腎動脈狭窄症、間質性腎炎、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎疾患、全身性エリテマトーデス、尿細管性アシドーシス、IgA腎症、高カルシウム血症、レッシュナイハン症候群、血友病、凝固能亢進、特発性血小板減少性紫斑病、免疫欠損、対宿主性移植片病、フォン・ヒッペル―リンダウ(VHL)症候群、アルツハイマー病、発作、結節硬化症、パーキンソン病、ハンティングトン病、脳性麻痺、てんかん、多発性硬化症、毛細管拡張性運動失調、白質萎縮症、行動障害、嗜癖、不安、疼痛、神経変性、癌、発育異常、長鎖欠損アシル−CoA デヒドロゲナーゼ、短指症、A1型、カルバモイルリン酸シンセターゼI欠損、拡張型心筋症II型、Coppock様白内障、棘状結晶状白内障(Cataract crystalline aculeiform)、先天性多形白内障(Cataract polymorphoc congenital)、可変性小帯層間白内障(Cataract variable zonular pulverulent)、若年性進行性点状白内障(Cataracts punctate progressive juvenile−onse)、家族性発作性舞踏病アテトーシス、脳顔面頭蓋難聴−手症候群、2型葉状魚鱗癬、デスミン関連心筋骨格筋(cardioskeleta)筋障害、TBに対する抵抗/感受性、肺胞横紋筋肉腫、I型およびIII型ワールデンブルヒ症候群、常染色体劣性アルポート症候群、ブヨルンスタッド症候群、良性家族性血尿(Hematuria,famirial benign)、原発性高シュウ酸尿症、1型、1型合指症、高グルカゴン血症、筋ジストロフィー、E型短指症、短指症精神遅滞症候群、Finnish致死性新生児代謝症候群、2に対する感受性、Simpson−Golabi−Behmel症候群、1型および2型ベックウィズ‐ヴィーデマン症候群。本発明のグリピカン−2前駆体様タンパク質をコードするNOV8核酸、およびグリピカン−2前駆体様タンパク質、もしくはそれらのフラグメントは、診断適用においてさらに有用であり得、その適用において、その核酸またはタンパク質の存在または量が、評価される。
【0185】
(NOV9)
新規なマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ2様タンパク質をコードする、985ヌクレオチドの開示されるNOV9核酸(AC011005_da2/139943578とも呼ばれる)が、表9Aに示される。ヌクレオチド54〜56のATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド975〜977のTGAコドンで終わる、オープンリーディングフレームが、同定された。開始コドンおよび終止コドンは、太字である。
【0186】
【表9A】
Figure 2004532613
開示されるNOV9核酸配列は、(gb:GENBANK−ID:HUMMEK2NF|acc:L11285)由来のHomo sapiens ERKアクチベーターキナーゼ(MEK2)mRNAと同一な754塩基を759塩基中に(99%)有する(E=1.3e−211)。このNOV9核酸配列は、様々なアミノ酸変化を生じる多数のSNPを含む。
【0187】
配列番号27によってコードされる、開示されるNOV9ポリペプチド(配列番号28)は、307アミノ酸残基であり、表9Bに1文字アミノ酸コードを用いて示される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果によって、NOV9が、シグナルペプチドを有さず、確実性0.5500でおそらく細胞質に局在化されることが、予測される。
【0188】
【表9B】
Figure 2004532613
NOV9アミノ酸配列は、Homo sapiensの400アミノ酸残基のマイトージェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ2(EC 2.7.1.−)(MAPキナーゼキナーゼ2)(MAPKK2)(ERKアクチベーターキナーゼ2(ptnr:SWISSPROT−ACC:P36507)と、同一な236アミノ酸残基を236アミノ酸残基のうちに有し(100%)、類似する236アミノ酸残基を236アミノ酸残基のうちに有する(100%)(E=8.2e−161)。
【0189】
NOV9は、少なくとも以下の組織において発現される:副腎(adrenal gland)/腎上体(suprarenal gland)、扁桃、骨、骨髄、脳、結腸、冠状動脈、真皮、表皮、包皮、心臓、視床下部、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、リンパ組織、乳腺/乳房、筋肉、神経、卵巣、膵臓、末梢血管、下垂体、胎盤、前立腺、網膜、小腸、脾臓、胃、精巣、胸腺、舌、扁桃、腫瘍、臍静脈、子宮、生物全体。この情報は、本発明に含まれる配列の組織供給源を決定することにより誘導された。さらに、NOV9は、密接に関連するHomo sapiens ERKアクチベーターキナーゼ(MEK2)mRNAホモログ(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:HUMMEK2NF|acc:L11285)の発現パターンが原因で、以下の組織に発現されることが予測される:リンパ組織、神経組織、胃腸組織、末梢血、および心臓血管組織。
【0190】
NOV9はまた、表9Cに列挙されるBLASTPデータにおいて示されるアミノ酸配列との相同性を有する。
【0191】
【表9C】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
これらの配列の相同性は、表9Dに示されるClustalW分析において図表的に示される。
【0192】
【表9D】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
表9Eおよび9Fは、NOV9に対するDOMAIN分析結果からのドメインの説明を列挙する。これは、これらのドメインを含有することが公知である他のタンパク質の性質と類似の性質をNOV9配列が有することを示す。
【0193】
【表9E】
Figure 2004532613
【0194】
【表9F】
Figure 2004532613
NOV9のアミノ酸配列は、表9Gに示されるような他のタンパク質に対して高い相同性を有する。
【0195】
【表9G】
Figure 2004532613
NOV9に関するタンパク質類似性情報、発現パターン、マップ位置は、NOV9がマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ2タンパク質ファミリーに特徴的な重要な構造および/または生物学的機能を有し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV9核酸およびNOV9タンパク質は、以下に記載される種々の疾患および障害および/または他の病理に関連する潜在的な治療適用において有用である。例えば、本発明のNOV9組成物は、アテローム硬化症、代謝病、病原体感染および神経性疾患に罹患している患者の処置に効力を有する。本発明のマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ2様タンパク質をコードするNOV9核酸、およびマイトージェン活性化タンパク質キナーゼキナーゼ2様タンパク質、もしくはそのフラグメントは、診断適用においてさらに有用であり得、その適用において、その核酸またはタンパク質の存在または量が、評価される。
【0196】
(NOV10)
ジンクフィンガータンパク質276 C2H2型様タンパク質をコードする、1506ヌクレオチドの開示されるNOV10核酸(sggc_draft_c333e1_20000804_da2とも呼ばれる)が、表10Aに示される。ヌクレオチド385〜387のATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド1504〜1506のTGAコドンで終わる、オープンリーディングフレームが、同定された。開始コドンの上流の推定非翻訳領域は、表10Aにおいて下線を付されており、そして、開始コドンおよび終止コドンは、太字である。
【0197】
【表10A】
Figure 2004532613
第16染色体において位置決めされた開示されるNOV10核酸配列は、Homo sapiens ファンコーニ貧血A群遺伝子、エキソン39、40、41、42および43のmRNA(gb:GENBANK−ID:HSZ83095|acc:Z83095)と同一な271塩基を271塩基中に(100%)有する(E=9.4e−77)。
【0198】
配列番号29によってコードされる、開示されるNOV10ポリペプチド(配列番号30)は、373アミノ酸残基であり、表10Bに1文字アミノ酸コードを用いて示される。Signal P、Psortおよび/またはHydropathyの結果によって、NOV10が、シグナルペプチドを有し、確実性0.5517でおそらく糸粒体基質空間に局在化されることが、予測される。
【0199】
【表10B】
Figure 2004532613
NOV10アミノ酸配列は、Mus musculusの372アミノ酸残基のジンクフィンガータンパク質276 C2H2型(ptnr:TREMBLNEW−ACC:AAG01634)と、同一な310アミノ酸残基を373アミノ酸残基のうちに有し(83%)、類似する325アミノ酸残基を373アミノ酸残基のうちに有する(87%)(E=6.3e−169)。
【0200】
NOV10は、少なくとも以下の組織において発現される:骨髄、脳、頸、結腸、冠状動脈、心臓、視床下部、腎臓、リンパ節、肺、卵巣、末梢血、前立腺、精巣、甲状腺、扁桃、子宮および生物体全体。
【0201】
開示されるNOV10ポリペプチドは、表10Cに列挙されるBLASTPデータにおいて示されるアミノ酸配列との相同性を有する。
【0202】
【表10C】
Figure 2004532613
これらの配列と他の配列との間の相同性は、表10Dに示されるClustalW分析において図表的に示される。
【0203】
【表10D】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
表10Eは、NOV10に対するDOMAIN分析結果からのドメインの説明を列挙する。これは、これらのドメインを含有することが公知である他のタンパク質の性質と類似の性質をNOV10配列が有することを示す。
【0204】
【表10E】
Figure 2004532613
NOV10のタンパク質類似性情報、発現パターン、マップ位置は、NOV10が、ジンクフィンガータンパク質276 C2H2型タンパク質ファミリーに特徴的な重要な構造および/または生物学的機能を有し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV10核酸およびNOV10タンパク質は、以下に記載される種々の疾患および障害および/または他の病理に関連する潜在的な治療適用において有用である。例えば、本発明のNOV10組成物は、癌、外傷、免疫学的疾患、呼吸疾患、心臓疾患、胃腸疾患、リプロダクティブヘルス(reproductive health)、神経性疾患および神経変性疾患、骨髄移植、代謝病および内分泌疾患、アレルギーおよび炎症、腎臓病学的障害、造血障害および泌尿系障害に罹患している患者の処置に効力を有する。本発明のジンクフィンガータンパク質276 C2H2型様タンパク質をコードするNOV10核酸、およびジンクフィンガータンパク質276 C2H2型様タンパク質、もしくはそのフラグメントは、診断適用においてさらに有用であり得、その適用において、その核酸またはタンパク質の存在または量が、評価される。
【0205】
(NOV11)
NOV11は、以下に開示される、2つの新規サイモシン(Thymosin)β−10−様タンパク質を含む。この開示されるタンパク質は、NOV11aおよびNOV11bと名付けられた。
【0206】
(NOV11a)
開示される129ヌクレオチドのNOV11a核酸(またGMAC079400_Aと呼ばれる)は、新規サイモシンβ−10様タンパク質をコードしており、表11Aに示される。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド28〜30でのATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド157〜159でのTAAコドンで終止することが同定された。表11Aにおいて、開始コドンから上流および終止コドンから下流の推定の非翻訳領域に、下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを太字で示す。
【0207】
【表11A】
Figure 2004532613
開示されるNOV11a核酸配列は、Homo sapiensのサイモシンβ−10 mRNA(GENBANK−ID:S54005)に対し、190塩基の内172塩基(90%)の同一性を有する(E=3.1e−28)。
【0208】
配列番号31にコードされる、開示されるNOV11aポリペプチド(配列番号32)は、43アミノ酸残基であり、そして表11Bにおいて、1文字アミノ酸コードを用いて示される。Signal P、Psortおよび/または疎水性親水性指標(Hydropathy)の結果は、NOV11aがシグナルペプチドを含まず、そして0.5426の確実度で核に局在する可能性があると予測する。
【0209】
【表11B】
Figure 2004532613
NOV11aのアミノ酸配列は、Rattus norvegicusの44アミノ酸残基のサイモシンβ−10タンパク質(A27266)に対し、44アミノ酸残基の内37アミノ酸残基(84%)の同一性、および44アミノ酸残基の内40アミノ酸残基(90%)の類似性を有する(E=2.4e−12)。このグローバルな配列相同性は、88.372%のアミノ酸相同性および86.047%のアミノ酸同一性である。
【0210】
NOV11aは、Homo sapiensのサイモシンβ−10ホモログ(GENBANK−ID:S54005)と密接な関係のある発現パターンのため、転移性黒色種(Metastatic Melanoma)組織で発現されると予測される。
【0211】
(NOV11b)
開示される173ヌクレオチドのNOV11b核酸(またCG109754−01と呼ばれる)は、新規サイモシンβ−10−様タンパク質をコードしており、表11Cに示される。オープンリーディングフレームは、ヌクレオチド27〜29でのATG開始コドンで始まり、ヌクレオチド156〜158でのTAAコドンで終止することが同定された。表11Cにおいて、開始コドンから上流および終止コドンから下流の推定の非翻訳領域に、下線を付し、そして開始コドンおよび終止コドンを太字で示す。
【0212】
【表11C】
Figure 2004532613
開示されるNOV11b核酸配列は、第2染色体に局在し、Homo sapiensサイモシンβ−10 mRNA(gb:GENBANK−ID:HUMTHMBX|acc:M92381.1)に対し、168塩基の内155塩基(92%)の同一性を有する(E=4.1e−25)。
【0213】
配列番号33にコードされる、開示されるNOV11bポリペプチド(配列番号34)は、43アミノ酸残基であり、そして表11Dにおいて、1文字表記アミノ酸コードを使用して示される。Signal P、Psortおよび/または疎水性親水性指標の結果は、NOV11bがシグナルペプチドを含まず、そして0.5426の確実度で核に局在する可能性があると予測する。PSORTは、NOV11bポリペプチドが、核に局在し得ることを示すが、このNOV11bタンパク質は、サイモシンファミリーに類似し、そのファミリーのいくつかのメンバーは細胞外に放出される。従って、この新規サイモシンβ 10−様タンパク質は、細胞外空間に局在する可能性があると予測する。
【0214】
【表11D】
Figure 2004532613
このNOV11bのアミノ酸配列は、Homo sapiensの43アミノ酸残基のサイモシンβ−10タンパク質(ptnr:SWISSNEW−ACC:P13472)に対し、43アミノ酸残基の内36アミノ酸残基(83%)の同一性、および43アミノ酸残基の内39アミノ酸残基(90%)の類似性を有する(E=1.7e−12)。NOV11bタンパク質は、43アミノ酸長く、公開されているタンパク質P13472と同じ長さである。NOV11bタンパク質は、8アミノ酸位置で異なる。NOV11bは、公開されているGenBankの寄託物(submission)が欠いているメチオニンで始まる。これに加え、6個の単一アミノ酸変化(M6V、E8G、D14N、K15R、I34T、E35G)、および単一アミノ酸欠失(E37−)が存在する。このような短いペプチドにおけるこのいくつかの変化は、NOV11bタンパク質が公開されているタンパク質とは異なる遺伝子由来であることを示す。
【0215】
NOV11bは、Homo sapiensのサイモシンβ−10ホモログ(GENBANK−ID:gb:GENBANK−ID:HUMTHMAX|acc:M92381.1)と密接な関係のある発現パターンのため、脳組織および神経芽細胞腫組織で発現されると予測される。
【0216】
表11Eでのアミノ酸アラインメントにおいて示されるように、NOV11aおよびNOV11bは、非常に厳密に相同である。
【0217】
【表11E】
Figure 2004532613
上記に示されるように、それらが互いに相同である限り、任意の上記NOV11タンパク質に対する相同性は、他のNOV11タンパク質によって共有される。NOV11への言及はいずれも、特に断りのない限り、一般に、それらのNOV11タンパク質の両方に言及されると仮定される。
【0218】
NOV11aはまた、表11Fに列挙されるBLASTPデータで示されるアミノ酸配列に対して相同性を有する。
【0219】
【表11F】
Figure 2004532613
これらの配列の相同性は、表11Gに示されるClustalW解析で写実的に示される。
【0220】
【表11G】
Figure 2004532613
表11Hに示されるように、NOV11のアミノ酸配列は、他のタンパク質に対して高い相同性を有する。
【0221】
【表11H】
Figure 2004532613
NOV11タンパク質およびNOV11核酸に関するタンパク質類似性情報、発現パターン、および地図位置は、NOV11が、重要な構造および/またはサイモシンβ 10ファミリーの生理学的機能特性を有し得ることを示唆する。従って、本発明のNOV11核酸およびNOV11タンパク質は、以下に記載される種々の疾患および障害、ならびに/または他の病理学に関連した、潜在的な治療適用に有用である。例えば、本発明のNOV11組成物は、前立腺癌、免疫学的障害および自己免疫障害(すなわち、甲状腺機能亢進症)、新脈管形成および創傷治癒、アポトーシスの調節、神経変性障害および神経心理学的障害、加齢関連障害、脾臓、胸腺、肺、および腹腔マクロファージに関する病理学的障害、ならびに/または他の病理学および障害を罹患する患者の処置に対する効力を有する。サイモシンβ 10−様タンパク質をコードするNOV11核酸、および本発明のサイモシンβ 10−様タンパク質、またはそれらのフラグメントはさらに、診断適用に有用であり得る。ここで、核酸またはタンパク質の存在または量が、評価されるべきである。
【0222】
(NOVX核酸およびポリペプチド)
本発明の1つの局面は、NOVXポリペプチドまたはそれらの生物学的活性部分をコードする核酸分子を単離するために、適切である。NOVX核酸分子の増幅および/または変異のためのPCRプライマーとしての使用のために十分な、NOVXをコードしている核酸(例えば、NOVX mRNA)およびフラグメントを同定するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用のために十分な核酸フラグメントもまた、本発明に含まれる。本明細書中で使用される場合、用語「核酸分子」は、DNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)、RNA分子(例えば、mRNA)、ヌクレオチドアナログを使用して作成されるDNAまたはRNAのアナログ、ならびにそれらの誘導体、フラグメントおよびホモログを含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、好ましくは、二本鎖DNAで構成される。
【0223】
NOVX核酸は、成熟NOVXポリペプチドをコードし得る。本明細書中で使用される場合、本発明において開示されるポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」形態は、天然に存在するポリペプチドの産物または前駆体形態またはプロプロテイン(proprotein)である。天然に存在するポリペプチド、前駆体またはプロプロテインとしては、非限定的な例として、対応する遺伝子によりコードされる全長遺伝子産物が挙げられる。あるいは、これは、本明細書中に記載されるORFによりコードされるポリペプチド、前駆体またはプロプロテインとして規定され得る。産物「成熟」形態は、また非限定的な例として、1つ以上の天然に存在するプロセシング工程(これらが、この遺伝子産物が生じる細胞または宿主細胞内で起こり得る場合)の結果として生じる。ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」形態を導くこのようなプロセシング工程の例としては、ORFの開始コドンによりコードされるN末端メチオニン残基の切断、あるいはシグナルペプチドまたはリーダー配列のタンパク質分解切断が挙げられる。従って、残基1〜N(残基1がN末端メチオニンである)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、N末端メチオニンの除去後に残っている残基2〜Nを有する。あるいは、残基1〜N(ここで、N末端シグナル配列(残基1〜残基M)が切断される)を有する前駆体ポリペプチドまたはタンパク質から生じる成熟形態は、残りの残基M+1〜残基Nの残基を有する。さらに、本明細書中で使用される場合、ポリペプチドまたはタンパク質の「成熟」形態は、タンパク質分解事象ではなく、翻訳後修飾の工程から生じ得る。このようなさらなるプロセスとしては、非限定的な例として、グリコシル化、ミリストイル化またはリン酸化が挙げられる。一般に、成熟ポリペプチドまたはタンパク質は、これらのプロセスの1つのみまたはこれらの任意の組み合わせの操作から生じ得る。
【0224】
用語「プローブ」とは、本明細書中で使用される場合、種々の長さの核酸配列をいい、好ましくは、特定の用途に依存して、少なくとも約10ヌクレオチド(nt)、100nt、または例えば、約6,000ntほどの大きさの間である。プローブは、同一、類似または相補的な核酸配列の検出において使用される。より長い長さのプローブは、通常、天然供給源または組換え供給源から入手され、非常に特異的であり、そしてより短い長さのオリゴマープローブよりもはるかに遅くハイブリダイズする。プローブは、一本鎖または二本鎖であり得、そしてPCR技術、膜ベースのハイブリダイゼーション技術、またはELISA様の技術において特異性を有するように設計され得る。
【0225】
用語「単離された」核酸分子は、本明細書中で使用される場合、この核酸の天然供給源中に存在する他の核酸分子から分離された核酸分子である。好ましくは、「単離された」核酸は、この核酸が由来する生物のゲノムDNA中でこの核酸に天然に隣接する配列(すなわち、この核酸の5’末端および3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、種々の実施形態において、単離されたNOVX核酸分子は、この核酸が由来する細胞/組織(例えば、脳、心臓、肝臓、脾臓など)のゲノムDNA中でこの核酸分子に天然で隣接する、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb、または0.1kb未満のヌクレオチド配列を含み得る。さらに、「単離された」核酸分子(例えば、cDNA分子)は、組換え技術により産生される場合、その他の細胞物質または培養培地を実質的に含み得ないか、もしくは化学的に合成される場合、化学物質前駆体または他の化学物質を実質的に含み得ない。
【0226】
本発明の核酸分子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31または33のヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはこの上記のヌクレオチド配列の相補体)は、標準的な分子生物学的技術および本明細書で提供される配列情報を用いて単離され得る。ハイブリダイゼーションプローブとして、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33の核酸配列の全部または一部を使用して、NOVX分子は、標準的なハイブリダイゼーション技術およびクローニング技術(例えば、Sambrookら(編)、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、1989;およびAusubelら(編)、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley&Sons、New York、NY、1993に記載されるような)を用いて単離され得る。
【0227】
本発明の核酸は、標準的なPCR増幅技術に従って、テンプレートとしてcDNA、mRNAあるいはゲノムDNA、および適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅され得る。このように増幅された核酸は、適切なベクター中にクローニングされ得、そしてDNA配列分析により特徴付けられ得る。さらに、NOVXヌクレオチド配列に対応するオリゴヌクレオチドは、標準的な合成技術(例えば、自動化DNA合成機を用いる)により調製され得る。
【0228】
本明細書中で使用される場合、用語「オリゴヌクレオチド」は、一連の連結されたヌクレオチド残基をいい、このオリゴヌクレオチドは、PCR反応で用いられるに十分な数のヌクレオチド塩基を有する。短いオリゴヌクレオチド配列は、ゲノム配列またはcDNA配列に基づき得るか、あるいはそれから設計され得、そして特定の細胞または組織において、同一、類似または相補的なDNAもしくはRNAを増幅し、確認し、またはその存在を示すために用いられる。オリゴヌクレオチドは、約10nt長、50nt長、または100nt長、好ましくは約15nt〜30nt長を有する核酸配列の一部を含む。本発明の1つの実施形態において、100nt長未満の核酸分子を含むオリゴヌクレオチドは、さらに、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33の少なくとも6個連続するヌクレオチド、またはその相補体を含む。オリゴヌクレオチドは、化学的に合成され得、そしてまたプローブとして用いられ得る。
【0229】
別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33に示されるヌクレオチド配列またはこのヌクレオチド配列の一部(例えば、プローブまたはプライマーとして使用され得るフラグメント、あるいはNOVXポリペプチドの生物学的に活性な部分をコードするフラグメント)の相補体である核酸分子を含む。配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31または33に示されるヌクレオチド配列に相補的である核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31または33に示されるヌクレオチド配列に十分相補的である核酸分子であり、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31または33に示されるヌクレオチド配列に対してミスマッチがほとんどないかまたは全くなく水素結合し得、それによって安定な二重鎖を形成する核酸分子である。
【0230】
本明細書中で使用される場合、用語「相補的」は、核酸分子のヌクレオチド単位間のWatson−CrickまたはHoogsteen塩基対形成をいい、そして用語「結合」は、2つのポリペプチドまたは化合物あるいは関連ポリペプチドまたは化合物あるいはその組合せの間の物理的または化学的相互作用を意味する。結合は、イオン性相互作用、非イオン性相互作用、ファンデルワールス性相互作用、疎水性相互作用などを含む。物理的相互作用は、直接的または間接的のいずれかであり得る。間接的相互作用は、別のポリペプチドまたは化合物を介し得るか、またはその効果に起因し得る。直接的結合は、別のポリペプチドもしくは化合物を介してか、またはその効果に起因して生じないが、その他の実質的な化学的中間体がない相互作用をいう。
【0231】
本明細書中に提供されるフラグメントは、少なくとも6個の(連続する)核酸配列または少なくとも4個の(連続する)アミノ酸配列(それぞれ、核酸の場合には、特異的なハイブリダイゼーションを可能にするに十分な長さ、またはアミノ酸の場合には、エピトープの特異的な認識を可能にするに十分な長さ)として規定され、そして全長配列未満のせいぜいいくらかの部分である。フラグメントは、選択された核酸配列またはアミノ酸配列の任意の連続する部分に由来し得る。誘導体は、直接的にかまたは改変もしくは部分的置換によってかのいずれかでネイティブな化合物から形成される核酸配列またはアミノ酸配列である。アナログは、ネイティブな化合物に類似する(ただし、同一ではない)構造を有するが、特定の成分または側鎖に関してそれとは異なる、核酸配列またはアミノ酸配列である。アナログは、合成物であり得るか、または進化的に異なる起源に由来し得、そして野生型と比較して、類似の代謝活性または反対の代謝活性を有し得る。ホモログは、異なる種由来の特定の遺伝子の核酸配列またはアミノ酸配列である。
【0232】
誘導体およびアナログは、以下に記載されるように、誘導体またはアナログが、修飾された核酸またはアミノ酸を含む場合、全長、または全長以外のものであり得る。本発明の核酸またはタンパク質の誘導体またはアナログとしては、種々の実施形態において、同一の大きさの核酸配列もしくはアミノ酸配列にわたって、または整列した配列(この整列は、当該分野で公知であるコンピューター相同性プログラムによって実施される)と比較した場合、本発明の核酸もしくはタンパク質に少なくとも約70%、80%、または95%の同一性(好ましい同一性は、80〜95%)で実質的に相同である領域、あるいはそのコードする核酸がストリンジェントな条件、中程度にストリンジェントな条件、または低いストリンジェントな条件下で上記のタンパク質をコードする配列の相補体にハイブリダイズし得る領域を含む分子が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Ausubelら、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley & Sons、New York、NY、1993、および以下を参照のこと。
【0233】
「相同な核酸配列」もしくは「相同なアミノ酸配列」、またはその改変体とは、上記で考察したように、ヌクレオチドレベルまたはアミノ酸レベルにおける相同性によって特徴付けられる配列をいう。相同なヌクレオチド配列は、NOVXポリペプチドのアイソフォームをコードする配列をコードする。アイソフォームは、例えば、RNAの選択的スプライシングの結果として、同一の生物の異なる組織において発現され得る。あるいは、アイソフォームは、異なる遺伝子によってコードされ得る。本発明において、相同なヌクレオチド配列は、ヒト以外の種(脊椎動物が挙げられるが、これに限定されず、従って、例えば、カエル、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマおよび他の生物が挙げられ得る)のNOVXポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。相同なヌクレオチド配列としてはまた、天然に存在する対立遺伝子改変体および本明細書に記載されるヌクレオチド配列の変異体が挙げられるが、これらに限定されない。しかし、相同的ヌクレオチド配列は、ヒトNOVXタンパク質をコードする正確なヌクレオチド配列を含まない。相同核酸配列は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33の保存的アミノ酸置換(以下を参照のこと)、ならびにNOVX生物学的活性を保有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む。NOVXタンパク質の種々の生物学的活性は、以下に記載されている。
【0234】
NOVXポリペプチドは、NOVX核酸のオープンリーディングフレーム(「ORF」)によりコードされる。ORFは、ポリペプチドに潜在的に翻訳され得るヌクレオチド配列に対応する。ORFを含む核酸のストレッチは、終止コドンによって途切れない。全タンパク質についてのコード配列を表すORFは、ATG「開始(start)」コドンで始まり、そして3つの「終止(stop)」コドン(すなわち、TAA、TAGまたはTGA)のうちの1つで終止する。本発明の目的で、ORFは、開始コドン、終止コドンまたはその両方を有するかまたは有さない、コード配列の任意の部分であり得る。bona fide細胞タンパク質をコードするための良好な候補としてみなされるORFについて、最小サイズの要求(例えば、50アミノ酸以上のタンパク質をコードするDNAのストレッチ)が、しばしば設定される。
【0235】
ヒトNOVX遺伝子のクローニングから決定されたヌクレオチド配列は、他の細胞型(例えば、他の組織由来)におけるNOVXホモログ、ならびに他の脊椎動物由来のNOVXホモログを同定および/またはクローニングする際に使用するために設計されるプローブおよびプライマーの作製を可能にする。このプローブ/プライマーは、代表的には、実質的に精製されたオリゴヌクレオチドを含む。このオリゴヌクレオチドは、代表的には、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33の少なくとも約12個、約25個、約50個、約100個、約150個、約200個、約250個、約300個、約350個もしくは約400個の連続するセンス鎖ヌクレオチド配列;あるいは配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列;または配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33の天然に存在する変異体のアンチセンス鎖ヌクレオチド配列に、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
【0236】
ヒトNOVXヌクレオチド配列に基づくプローブは、同じかまたは相同なタンパク質をコードする転写物またはゲノム配列を検出するために使用され得る。種々の実施形態において、このプローブはさらに、プローブに付着した標識基を含み、例えば、この標識基は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素または酵素補因子であり得る。このようなプローブは、NOVXタンパク質を誤って発現する細胞または組織を同定するための診断試験キットの一部として、例えば、被験体由来の細胞のサンプル中のNOVXをコードする核酸のレベルを測定すること(例えば、NOVX mRNAレベルを検出すること、またはゲノムNOVX遺伝子が変異もしくは欠失しているか否かを決定すること)によって使用され得る。
【0237】
「NOVXポリペプチドの生物学的に活性な部分を有するポリペプチド」とは、本発明のポリペプチドの活性に類似するが必ずしも同一である必要はない活性を示すポリペプチドをいい、用量依存性の有無に関わらず、特定の生物学的アッセイにおいて測定されるような成熟形態を含む。「NOVXの生物学的に活性な部分」をコードする核酸フラグメントは、NOVXの生物学的活性(NOVXタンパク質の生物学的活性は、以下に記載される)を有するポリペプチドをコードする、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33の一部を単離し、NOVXタンパク質のコードされた部分を発現させ(例えば、インビトロでの組換え発現によって)、そしてNOVXのコードされた部分の活性を評価することによって調製され得る。
【0238】
(NOVXの核酸およびポリペプチドの改変体)
本発明はさらに、遺伝コードの縮重に起因して、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33に示されるヌクレオチド配列とは異なる核酸分子を包含し、従って、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33に示されるヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質と同じNOVXタンパク質をコードする。別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0239】
配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33に示されるヒトNOVXヌクレオチド配列に加えて、このNOVXポリペプチドのアミノ酸配列における変化を導くDNA配列多型が、集団(例えば、ヒト集団)内に存在し得ることは、当業者によって理解される。NOVX遺伝子中のこのような遺伝的多型は、天然の対立遺伝子のバリエーションに起因して、集団内の個体間に存在し得る。本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」とは、NOVXタンパク質、好ましくは脊椎動物のNOVXタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む核酸分子をいう。このような天然の対立遺伝子のバリエーションは、代表的には、NOVX遺伝子のヌクレオチド配列において1〜5%の変動を生じ得る。天然の対立遺伝子バリエーションの結果であり、そしてこのNOVXポリペプチドの機能的活性を変化させない、NOVXポリペプチド内の任意および全てのこのようなヌクレオチドのバリエーションならびに得られるアミノ酸多型は、本発明の範囲内であると意図される。
【0240】
さらに、他の種由来のNOVXタンパク質をコードし、従って、ヒトの配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33とは異なるヌクレオチド配列を有する核酸分子は、本発明の範囲内にあることが意図される。本発明のNOVXのcDNAの天然の対立遺伝子改変体およびホモログに対応する核酸分子は、本明細書中に開示されるヒトNOVX核酸に対するその相同性に基づいて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、標準的なハイブリダイゼーション技術に従うハイブリダイゼーションプローブとして、ヒトcDNAまたはその一部を用いて単離され得る。
【0241】
従って、別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも6ヌクレオチド長であり、そしてストリンジェント条件下で配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のヌクレオチド配列を含む核酸分子にハイブリダイズする。別の実施形態において、この核酸は、少なくとも10、25、50、100、250、500、750、1000、1500、または2000以上のヌクレオチド長である。なお別の実施形態において、本発明の単離された核酸分子は、コード領域にハイブリダイズする。本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェント条件下でハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄に関して、互いに少なくとも60%相同なヌクレオチド配列が、代表的には互いにハイブリダイズしたままである条件を記載することを意図される。
【0242】
ホモログ(すなわち、ヒト以外の種由来のNOVXタンパク質をコードする核酸)または他の関連配列(例えば、パラログ(paralogs))は、特定のヒト配列の全てまたは一部をプローブとし、核酸ハイブリダイゼーションおよびクローニングに関して当該分野で周知の方法を使用して、低い、中程度の、または高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションによって入手され得る。
【0243】
本明細書中で使用される場合、句「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、その条件下で、プローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチドが、その標的配列にハイブリダイズするが、その他の配列にはハイブリダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、そして異なる状況で異なる。より長い配列は、より短い配列より、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHで、特定の配列についての熱融解点(Tm)より約5℃低いように選択される。このTmは、標的配列に相補的なプローブの50%が、平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度下)である。標的配列は一般に過剰で存在するので、Tmでは、50%のプローブが平衡状態で占有されている。代表的には、ストリンジェントな条件は、pH7.0〜8.3で、塩濃度が約1.0Mナトリウムイオンより少なく、代表的には約0.01〜1.0Mナトリウムイオン(または、他の塩)、そして温度が、短いプローブ、プライマーまたはオリゴヌクレオチド(例えば、10nt〜50nt)について少なくとも約30℃、そしてより長いプローブ、プライマーおよびオリゴヌクレオチドについて少なくとも約60℃であるような条件である。ストリンジェントな条件はまた、不安定化剤(例えば、ホルムアミド)の添加で達成され得る。
【0244】
ストリンジェント条件は、当業者に公知であり、そしてAusubelら(編)、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6に見出され得る。好ましくは、この条件は、互いに少なくとも約65%、約70%、約75%、約85%、約90%、約95%、約98%または約99%相同な配列が、代表的には互いにハイブリダイズしたままであるような条件である。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500mg/ml変性サケ精子DNAを含む高塩緩衝液中での65℃でのハイブリダイゼーションであり、続いて、0.2×SSC、0.01% BSA中での50℃での1回以上の洗浄を行う。ストリンジェント条件下で、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33の配列にハイブリダイズする、本発明の単離された核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書中で使用される場合、「天然に存在する」核酸分子とは、天然に存在する(例えば、天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有する、RNA分子またはDNA分子をいう。
【0245】
第2の実施形態において、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のヌクレオチド配列、あるいはそれらのフラグメント、アナログまたは誘導体を含む核酸分子に、中程度のストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする核酸配列が提供される。中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、6×SSC、5×デンハルト溶液、0.5% SDSおよび100mg/ml変性サケ精子DNA中での55℃でのハイブリダイゼーション、続いて1×SSC、0.1% SDS中での37℃での1回以上の洗浄である。用いられ得る中程度のストリンジェンシーの他の条件は、当該分野で周知である。例えば、Ausubelら(編)、1993、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,NYおよびKriegler、1990;GENE TRANSFER AND EXPRESSION,A LABORATORY MANUAL,Stockton Press,NYを参照のこと。
【0246】
第3の実施形態において、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のヌクレオチド配列、あるいはそれらのフラグメント、アナログまたは誘導体を含む核酸分子に、低ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得る核酸が提供される。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の非限定的な例は、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100mg/mlの変性サケ精子DNA、10%(重量/容量)デキストラン硫酸中での40℃でのハイブリダイゼーション、続いて2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTAおよび0.1% SDS中での50℃での1回以上の洗浄である。用いられ得る低ストリンジェンシーの他の条件は、当該分野で周知である(例えば、種交差ハイブリダイゼーションのために用いられるように)。例えば、Ausubelら(編)、1993、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley & Sons,NY、ならびにKriegler、1990、GENE TRANSFER AND EXPRESSION,A LABORATORY MANUAL,Stockton Press,NY;ShiloおよびWeinberg、1981、Proc Natl Acad Sci USA 78:6789−6792を参照のこと。
【0247】
(保存的変異)
集団中に存在し得る、NOVX配列の天然に存在する対立遺伝子改変体に加えて、当業者は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のヌクレオチド配列への変異によって変化が導入され得、それによって、このNOVXタンパク質の機能的能力を変更することなく、コードされるNOVXタンパク質のアミノ酸配列に変化がもたらされることをさらに理解する。例えば、「非必須」アミノ酸残基にてアミノ酸置換をもたらすヌクレオチド置換は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34の配列において行われ得る。「非必須」アミノ酸残基は、その生物学的活性を変更することなく、このNOVXタンパク質の野生型配列から変更され得る残基であり、一方、「必須」アミノ酸残基は、このような生物学的活性に必要とされる。例えば、本発明のNOVXタンパク質の間で保存されているアミノ酸残基は、特に変更を受け入れ難いと予測される。保存的置換がなされ得るアミノ酸は、当該分野で周知である。
【0248】
本発明の別の局面は、活性に必須ではないアミノ酸残基における変化を含む、NOVXタンパク質をコードする核酸分子に関する。このようなNOVXタンパク質は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33からのアミノ酸配列とは異なるが、生物学的活性をなお保持する。1つの実施形態において、単離された核酸分子は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、このタンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34のアミノ酸配列に少なくとも約45%相同であるアミノ酸配列を含む。好ましくは、この核酸分子によってコードされるタンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に対して少なくとも約60%相同であり;より好ましくは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に対して少なくとも約70%相同であり;なおより好ましくは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、および34に対してして少なくとも約80%相同であり;なおより好ましくは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に対して少なくとも約90%相同であり;そして最も好ましくは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に対して少なくとも約95%相同である。
【0249】
配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34のタンパク質に相同なNOVXタンパク質をコードする単離された核酸分子は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のヌクレオチド配列に1つ以上のヌクレオチドの置換、付加または欠失を導入することにより作製され得、その結果、1つ以上のアミノ酸の置換,付加または欠失が、コードされるタンパク質に導入される。
【0250】
変異は、標準技術(例えば、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発)によって配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33に導入され得る。好ましくは、保存的アミノ酸置換が、1つ以上の推定非必須アミノ酸残基にて作製される。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換される、アミノ酸置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で定義されている。これらのファミリーとしては、以下が挙げられる:塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アルパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)。従って、NOVXタンパク質中の推定の非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖のファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換される。あるいは、別の実施形態において、変異は、NOVXコード配列の全てまたは一部に沿って(例えば、飽和変異誘発(saturation mutagenesis)によって)ランダムに導入され得、そして得られる変異体を、NOVXの生物学的活性についてスクリーニングして、活性を維持する変異体を同定し得る。配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33の変異誘発に続いて、コードされるタンパク質は、当該分野で公知の任意の組換え技術によって発現され得、そしてこのタンパク質の活性が決定され得る。
【0251】
アミノ酸ファミリーの関連性はまた、側鎖の相互作用に基づいて決定され得る。置換されたアミノ酸は、完全に保存された「強い」残基または完全に保存された「弱い」残基であり得る。保存されたアミノ酸残基の「強い」群は、以下の群のいずれか1つであり得る:STA、NEQK、NHQK、NDEQ、QHRK、MILV、MILF、HY、FYW(ここで、一文字アミノ酸コードは、互いに置換され得るこれらのアミノ酸残基によりグループ化される)。同様に、保存された残基の「弱い」群は、以下のいずれか1つで有り得る:CSA、ATV、SAG、STNK、STPA、SGND、SNDEQK、NDEQHK、NEQHRK、VLIM、HFY(ここで、各群内の文字は、一文字アミノ酸コードを表す)。
【0252】
1つの実施形態において、変異NOVXタンパク質は、以下についてアッセイされ得る:(i)他のNOVXタンパク質、他の細胞表面タンパク質、または生物学的に活性なそれらの部分と、タンパク質:タンパク質相互作用を形成する能力、(ii)変異NOVXタンパク質と、NOVXのリガンドとの間の複合体形成;あるいは、(iii)変異NOVXタンパク質が細胞内標的タンパク質またはその生物学的に活性な部分に結合する能力;(例えば、アビジンタンパク質)。
【0253】
なお別の実施形態において、変異体NOVXタンパク質は、特定の生物学的機能を調節する能力(例えば、インスリン放出の調節)についてアッセイされ得る。
【0254】
(アンチセンス核酸)
本発明の別の局面は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のヌクレオチド配列を含む核酸分子、あるいはそのフラグメント、アナログまたは誘導体にハイブリダイズし得るかまたは相補的である、単離されたアンチセンス核酸分子に関する。「アンチセンス」核酸は、タンパク質をコードする「センス」核酸に相補的である(例えば、二本鎖cDNA分子のコード鎖に相補的であるかまたはmRNA配列に相補的である)ヌクレオチド配列を含む。特定の局面では、NOVXコード鎖の全体の少なくとも約10、約25、約50、約100、約250もしくは約500ヌクレオチド、またはその一部のみに相補的な配列を含む、アンチセンス核酸分子が提供される。配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34のNOVXタンパク質のフラグメント、ホモログ、誘導体およびアナログをコードする核酸分子、または配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のNOVX核酸配列に相補的なアンチセンス核酸がさらに提供される。
【0255】
1つの実施形態において、アンチセンス核酸分子は、NOVXタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」に対してアンチセンスである。用語「コード領域」とは、アミノ酸残基に翻訳されるコドンを含む、ヌクレオチド配列の領域をいう。別の実施形態において、このアンチセンス核酸分子は、NOVXタンパク質をコードするヌクレオチド配列のコード鎖の「非コード領域」に対してアンチセンスである。用語「非コード領域」とは、コード領域に隣接する、アミノ酸に翻訳されない、5’配列および3’配列をいう(すなわち、5’非翻訳領域および3’非翻訳領域ともいわれる)。
【0256】
本明細書中に開示されるNOVXタンパク質をコードするコード鎖配列を考慮すれば、本発明のアンチセンス核酸は、WatsonおよびCrickまたはHoogsteenの塩基対形成の規則に従って設計され得る。アンチセンス核酸分子は、NOVX mRNAのコード領域全体に相補的であり得るが、より好ましくは、NOVX mRNAのコード領域または非コード領域の一部にのみアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、NOVX mRNAの翻訳開始部位を取り囲む領域に相補的であり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45または約50ヌクレオチドの長さであり得る。本発明のアンチセンス核酸は、当該分野で公知の手順を用いて、化学的合成または酵素連結反応を用いて構築され得る。例えば、アンチセンス核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチド、またはこの分子の生物学的安定性を増大させるように、もしくはアンチセンス核酸とセンス核酸との間で形成される二重鎖の物理的安定性を増大させるように設計された種々に改変されたヌクレオチドを用いて化学的に合成され得る(例えば、ホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドが用いられ得る)。
【0257】
アンチセンス核酸を作製するために用いられ得る改変されたヌクレオチドの例としては、以下が挙げられる:5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β−D−ガラクトシルキュェオシン(galactosylqueosine)、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、β−D−マンノシルキュェオシン(mannosylqueosine)、5’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、キュェオシン(queosine)、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、および2,6−ジアミノプリン。あるいは、このアンチセンス核酸は、核酸がアンチセンス方向でサブクローニングされた発現ベクターを用いて生物学的に生成され得る(すなわち、挿入された核酸から転写されたRNAは、以下の小節にさらに記載される、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向である)。
【0258】
本発明のアンチセンス核酸分子は、代表的には被験体に投与されるか、またはインサイチュで生成され、その結果、これらは、NOVXタンパク質をコードする細胞性mRNAおよび/またはゲノムDNAとハイブリダイズするか、またはこれらに結合し、それによってこのタンパク質の発現を阻害する(例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって)。ハイブリダイゼーションは、安定な二重鎖を形成する従来のヌクレオチド相補性によってか、または、例えばDNA二重鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合には、二重らせんの主溝における特異的相互作用を介してであり得る。本発明のアンチセンス核酸分子の投与経路の例としては、組織部位での直接的注射が挙げられる。あるいは、アンチセンス核酸分子は、選択された細胞を標的化するように改変され得、次いで全身に投与される。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、選択された細胞表面上に発現されたレセプターまたは抗原にそれらが特異的に結合するように改変され得る(例えば、そのアンチセンス核酸分子を細胞表面レセプターまたは抗原に結合するペプチドまたは抗体に連結することによって)。このアンチセンス核酸分子はまた、本明細書中に記載されるベクターを用いて細胞に送達され得る。十分な核酸分子を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIプロモーターまたはpol IIIプロモーターの制御下に置かれているベクター構築物が、好ましい。
【0259】
なお別の実施形態において、本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子である。α−アノマー核酸分子は、相補的RNAと特異的な二本鎖ハイブリッドを形成し、ここで、通常のβ−ユニットとは対照的に、鎖は、互いに平行に延びる。例えば、Gaultierら、1987、Nucl.Acids Res.15:6625−6641を参照のこと。このアンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(例えば、Inoueら、1987,Nucl.Acids Res.15:6131−6148を参照のこと)またはキメラRNA−DNAアナログ(例えば、Inoueら、1987,FEBS Lett.215:327−330を参照のこと)を含み得る。
【0260】
(リボザイムおよびPNA部分)
核酸の改変としては、非限定的な例として、改変塩基、および糖リン酸骨格が改変または誘導体化された核酸が挙げられる。これらの改変は、少なくとも一部が、改変された核酸の化学的安定性を増強するために実施され、その結果、これらは、例えば、被験体での治療的適用におけるアンチセンス結合核酸として使用され得る。
【0261】
1つの実施形態において、本発明のアンチセンス核酸はリボザイムである。リボザイムは、一本鎖核酸(例えば、mRNA)を切断し得るリボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNA分子であり、これらは、その一本鎖核酸に対する相補性領域を有する。従って、リボザイム(例えば、HaselhoffおよびGerlach 1988.Nature 334:585−591に記載されるハンマーヘッド型リボザイム)を使用して、NOVX mRNA転写物を触媒的に切断し、それによってNOVX mRNAの翻訳を阻害し得る。NOVXをコードする核酸に特異性を有するリボザイムは、本明細書中に開示されるNOVX cDNAのヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33)に基づいて設計され得る。例えば、活性部位のヌクレオチド配列が、NOVXをコードするmRNA内で切断されるヌクレオチド配列に相補的である、Tetrahymena L−19 IVS RNAの誘導体が構築され得る。例えば、Cechらに対する米国特許第4,987,071号およびCechらに対する米国特許第5,116,742号を参照のこと。NOVX mRNAをまた使用して、RNA分子のプールから、特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒性RNAを選択し得る。例えば、Bartelら、(1993)Science 261:1411−1418を参照のこと。
【0262】
あるいは、NOVX遺伝子発現は、NOVX核酸の調節領域(例えば、NOVXのプロモーターおよび/またはエンハンサー)に相補的なヌクレオチド配列を標的化し、標的細胞中でNOVX遺伝子の転写を妨害する三重らせん構造を形成することによって阻害され得る。例えば、Helene,1991.Anticancer Drug Des.6:569−84;Heleneら.1992.Ann.N.Y.Acad.Sci.660:27−36;Maher,1992.Bioassays 14:807−15を参照のこと。
【0263】
種々の実施形態において、NOVX核酸は、塩基部分、糖部分またはリン酸骨格で改変され、例えば、その分子の安定性、ハイブリダイゼーションまたは可溶性を改善し得る。例えば、核酸のデオキシリボースリン酸骨格を改変して、ペプチド核酸を生成し得る。例えば、Hyrupら、1996.Bioorg Med Chem 4:5−23を参照のこと。本明細書中で使用される場合、用語「ペプチド核酸」または「PNA」とは、デオキシリボースリン酸骨格が偽ペプチド骨格によって置換され、そして4つの天然の核酸塩基のみが保持されている核酸模倣物(例えば、DNA模倣物)をいう。PNAの中性の骨格は、低いイオン強度の条件下でDNAおよびRNAに対する特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている。PNAオリゴマーの合成は、Hyrupら、1996、前出;Perry−O’Keefeら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−14675において記載されるような標準的固相ペプチド合成プロトコルを用いて行われ得る。
【0264】
NOVXのPNAは、治療的適用および診断的適用において使用され得る。例えば、PNAは、例えば転写もしくは翻訳の停止を誘導すること、または複製を阻害することによる、遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンスまたは抗遺伝子剤として使用され得る。NOVXのPNAはまた、遺伝子における一塩基対変異の分析(例えばPNA指向性PCRクランピング)において;他の酵素(例えば、S1ヌクレアーゼ)と組み合わせて使用される場合の人工制限酵素として(Hyrupら、1996、前出を参照のこと);またはDNA配列およびハイブリダイゼーションのプローブもしくはプライマーとして(Hyrupら、1996、前出;Perry−O’Keefeら、1996.前出を参照のこと)、使用され得る。
【0265】
別の実施形態において、NOVXのPNAは、例えば、それらの安定性または細胞性取り込みを増強するために、PNAに脂溶性基または他のヘルパー基を結合することによって、PNA−DNAキメラの形成によって、またはリポソームもしくは当該分野において公知の薬物送達の他の技術の使用によって、改変され得る。例えば、PNAおよびDNAの有利な特性を組合せ得る、NOVXのPNA−DNAキメラが生成され得る。PNA部分が高い結合親和性および特異性を提供する一方で、そのようなキメラは、DNA認識酵素(例えば、RNase HおよびDNAポリメラーゼ)がDNA部分と相互作用するのを可能にする。PNA−DNAキメラは、塩基のスタッキング、核酸塩基間の結合数および方向を考慮して選択される、適切な長さのリンカーを使用して連結され得る(Hyrupら、1996、前出を参照のこと)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrupら、1996、前出およびFinnら、1996、Nucl Acids Res 24:3357−3363において記載されるように行われ得る。例えば、DNA鎖は、標準的なホスホルアミダイトカップリング化学を用いて固体支持体上で合成され得、そして改変されたヌクレオシドアナログ(例えば、5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイト)が、PNAとDNAの5’末端との間で使用され得る(例えば、Magら、1989、Nucl Acid Res 17:5973−5988を参照のこと)。次いで、PNAモノマーが段階様式でカップリングされ、5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成する(例えば、Finnら、1996、前出を参照のこと)。あるいは、5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントを用いて、キメラ分子が合成され得る。例えば、Petersenら、1975、Bioorg.Med.Chem.Lett.5:1119−11124を参照のこと。
【0266】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、以下のような他の付属の基を含み得る:例えば、ペプチド(例えば、インビボで宿主細胞レセプターを標的化するため)、または細胞膜を横切る輸送を容易にする因子(例えば、Letsingerら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:6553−6556;Lemaitreら、1987、Proc.Natl.Acad.Sci.84:648−652;PCT公開番号WO88/09810を参照のこと)、または血液脳関門(例えば、PCT公開番号WO89/10134を参照のこと)。さらに、オリゴヌクレオチドは、ハイブリダイゼーション誘発切断剤(例えば、Krolら、1988、BioTechniques 6:958−976を参照のこと)、またはインターカレント剤(例えば、Zon、1988、Pharm.Res.5:539−549を参照のこと)を用いて改変され得る。この目的のために、オリゴヌクレオチドは、別の分子(例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーション誘発架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーション誘発切断剤など)に結合体化され得る。
【0267】
(NOVXポリペプチド)
本発明のポリペプチドは、その配列が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に提供されるNOVXポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明はまた、なおそのNOVX活性および生理学的機能を維持するタンパク質、またはその機能的フラグメントをコードするが、その任意の残基が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に示される対応する残基から変化し得る、変異体または改変体タンパク質を含む。
【0268】
一般に、NOVX様機能を保持するNOVX改変体は、配列中の特定位置の残基が他のアミノ酸により置換され、そしてさらに、親タンパク質の2つの残基間にさらなる残基を挿入する可能性、および親配列から1つ以上の残基を欠失する可能性を含む。任意のアミノ酸置換、挿入または欠失が、本発明に包含される。好適な状況では、この置換は、上記で規定されるような保存的置換である。
【0269】
本発明の1つの局面は、単離されたNOVXタンパク質、およびその生物学的に活性な部分、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログに関する。抗NOVX抗体を惹起するための免疫原としての使用に適するポリペプチドフラグメントもまた提供される。1つの実施形態において、ネイティブなNOVXタンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を用いて、適切な精製スキームによって、細胞または組織供給源から単離され得る。別の実施形態では、NOVXタンパク質は、組換えDNA技法により生産される。組換え発現の代替えとして、NOVXタンパク質またはポリペプチドは、標準的なペプチド合成技法を用いて化学的に合成され得る。
【0270】
「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、NOVXタンパク質の由来する細胞または組織供給源由来の細胞性物質または他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、あるいは化学合成される場合に化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞性物質を実質的に含まない」は、NOVXタンパク質の調製物を含み、この調製物において、NOVXタンパク質が単離または組換え産生される細胞の細胞性成分から、NOVXタンパク質は分離されている。1つの実施形態において、用語「細胞性物質を実質的に含まない」は、非NOVXタンパク質(本明細書中において「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を約30%未満(乾燥重量にて)、より好ましくは非NOVXタンパク質を約20%未満、なおより好ましくは非NOVXタンパク質を約10%未満、そして最も好ましくは非NOVXタンパク質を約5%未満有する、NOVXタンパク質の調製物を含む。NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換え産生される場合、好ましくは、調製物はまた培養培地を実質的に含まない。すなわち、培養培地は、そのNOVXタンパク質調製物の容量の約20%未満、より好ましくは約10%未満、そして最も好ましくは約5%未満を示す。
【0271】
用語「化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、タンパク質が、そのタンパク質の合成に関与する化学前駆体または他の化学物質から分離されているNOVXタンパク質の調製物を含む。1つの実施形態において、用語「化学前駆体または他の化学物質を実質的に含まない」は、化学前駆体または非NOVXの化学物質を約30%未満(乾燥重量にて)、より好ましくは化学前駆体または非NOVX化学物質を約20%未満、なおより好ましくは化学前駆体または非NOVX化学物質を約10%未満、そして最も好ましくは化学前駆体または非NOVX化学物質を約5%未満有する、NOVXタンパク質の調製物を含む。
【0272】
NOVXタンパク質の生物学的に活性な部分は、全長NOVXタンパク質より少ないアミノ酸を含み、そしてNOVXタンパク質の少なくとも1つの活性を示す、NOVXタンパク質のアミノ酸配列(例えば、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に示されるアミノ酸配列)に十分に相同なアミノ酸配列、またはNOVXタンパク質のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。代表的には、生物学的に活性な部分は、NOVXタンパク質の少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。NOVXタンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、長さが10、25、50、100またはそれより多いアミノ酸であるポリペプチドであり得る。
【0273】
さらに、タンパク質の他の領域が欠失している他の生物学的に活性な部分は、組換え技術によって調製され得、そしてネイティブなNOVXタンパク質の機能的活性のうちの1つ以上について評価され得る。
【0274】
1つの実施形態において、NOVXタンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に示されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態において、NOVXタンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34に実質的に相同であり、そして以下に詳細に議論されるように、天然の対立遺伝子改変体または変異誘発に起因してアミノ酸配列が異なるが、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34のタンパク質の機能的活性を保持する。従って、別の実施形態において、NOVXタンパク質は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34のアミノ酸配列に少なくとも約45%相同なアミノ酸配列を含み、そして、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34のNOVXタンパク質の機能的活性を保持するタンパク質である。
【0275】
(2つ以上の配列間の相同性の決定)
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の相同性の百分率を決定するために、配列は、至適な比較の目的のために整列される(例えば、ギャップは、配列間の最適な整列について比較される配列のいずれかに導入され得る)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドで占められる場合、分子はその位置で相同である(すなわち、本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の「相同性」は、アミノ酸または核酸の「同一性」と等価である)。
【0276】
核酸配列の相同性は、2つの配列間の同一性の程度として決定され得る。相同性は、当該分野において公知のコンピュータープログラム(例えば、GCGプログラムパッケージにおいて提供されるGAPソフトウェア)を用いて決定され得る。NeedlemanおよびWunsch 1970.J Mol Biol 48:443〜453を参照のこと。核酸配列比較のための以下の設定(GAP作製ペナルティー、5.0、およびGAP伸長ペナルティー、0.3)を用いてGCG GAPソフトウェアを使用すると、上記で言及される類似の核酸配列のコード領域は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、および33に示されるDNA配列のCDS(コード)部分と、好ましくは少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の同一性の程度を示す。
【0277】
用語「配列同一性」は、2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列が、特定の比較領域にわたって、残基毎を基準として同一である程度をいう。用語「配列同一性のパーセンテージ」は、以下により算出される:この比較領域にわたって最適に整列された2つの配列を比較すること、両方の配列において同一の核酸塩基(例えば、核酸の場合にはA、T、C、G、U、またはI)が存在する位置の数を決定し、一致した位置の数を導くこと、この一致した位置の数を、比較領域の内の位置の総数(すなわち、ウインドウサイズ)で除算すること、およびその結果を100で乗算して、配列同一性のパーセンテージを導くこと。用語「実質的な同一性」は、本明細書中で使用される場合、ポリヌクレオチド配列の特徴を示し、ここでこのポリヌクレオチドは、比較領域にわたり参照配列と比較して、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくとも85%の配列同一性、そして頻繁には90〜95%の配列同一性、より通常には少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0278】
(キメラタンパク質および融合タンパク質)
本発明はまた、NOVXキメラタンパク質または融合タンパク質を提供する。本明細書中で使用される場合、NOVX「キメラタンパク質」またはNOVX「融合タンパク質」は、非NOVXポリペプチドに作動可能に連結された、NOVXポリペプチドを含む。「NOVXポリペプチド」は、NOVXタンパク質(配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および34)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいうが、「非NOVXポリペプチド」は、NOVXタンパク質に対して実質的に相同ではないタンパク質(例えば、NOVXタンパク質とは異なり、かつ同一でかまたは異なる生物体に由来するタンパク質)に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドをいう。NOVX融合タンパク質において、このNOVXポリペプチドは、NOVXタンパク質のすべてまたは一部分に対応し得る。1つの実施形態では、NOVX融合タンパク質は、NOVXタンパク質の少なくとも1つの生物学的に活性な部分を含む。別の実施形態では、NOVX融合タンパク質は、NOVXタンパク質の少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。さらに、別の実施形態において、NOVX融合タンパク質は、NOVXタンパク質の少なくとも3つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質において、用語「作動可能に連結された」は、NOVXポリペプチドおよび非NOVXポリペプチドが、インフレームで互いに融合されていることを示すことが意図される。非NOVXポリペプチドは、NOVXポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
【0279】
1つの実施形態においては、この融合タンパク質は、GST−NOVX融合タンパク質であり、ここではNOVX配列が、GST(すなわち、グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列のC末端に融合される。このような融合タンパク質は、組換えNOVXの精製を容易にし得る。
【0280】
別の実施形態において、融合タンパク質は、そのN末端において非相同的なシグナル配列を含むNOVXタンパク質である。特定の宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞)において、NOVXの発現および/または分泌は、非相同的なシグナル配列の使用を介して上昇され得る。
【0281】
なお別の実施形態においては、この融合タンパク質は、NOVX−免疫グロブリン融合タンパク質であり、ここではNOVX配列が、免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバーに由来する配列に融合される。本発明のこのNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質は、薬学的組成物中に取り込まれ、そして被験体に投与されて、細胞の表面上でNOVXリガントとNOVXタンパク質との間の相互作用を阻害し、それによってインビボのNOVX媒介信号伝達を抑制し得る。このNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質を用い、NOVX同族リガンドの生体利用性に影響を与え得る。NOVXリガンド/NOVX相互作用の阻害は、増殖障害および分化障害の両方の処置、および細胞生存を調節(例えば、促進または阻害)することに、治療的に有用であり得る。さらに、本発明のこのNOVX−免疫グロブリン融合タンパク質は、被験体中で抗NOVX抗体を産生するための免疫原として用いられ得、NOVXリガンドを精製し、そしてNOVXリガンドとのNOVXの相互作用を阻害する分子を同定するスクリーニングアッセイで用いられ得る。
【0282】
本発明のNOVXキメラまたは融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技法により産生され得る。例えば、異なるポリペプチド配列をコードするDNAフラグメントを、従来の技法に従って、例えば、連結のための平滑末端または粘着(stagger)末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じて粘着(cohesive)末端のフィルイン、所望しない連結を避けるためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的連結を採用することにより、インフレームで一緒に連結する。別の実施形態では、融合遺伝子を、自動化DNA合成機を含む従来技法により合成し得る。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅を、キメラ遺伝子配列を生成するために次いでアニールおよび再増幅され得る、2つの連続遺伝子フラグメント間の相補的オーバハングを生じるアンカープライマーを用いて実施し得る(例えば、Ausubelら(編)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、John Wiley&Sons、1992を参照のこと)。さらに、融合成分(例えば、GSTポリペプチド)をすでにコードした多くの発現ベクターが市販されている。NOVXをコードする核酸は、この融合成分がNOVXタンパク質にインフレーム連結されるように、このような発現ベクター中にクローン化され得る。
【0283】
(NOVXアゴニストおよびアンタゴニスト)
本発明はまた、NOVXアゴニスト(模倣物)として、またはNOVXアンタゴニストとして機能するNOVXタンパク質の改変体に関する。NOVXタンパク質の改変体、例えば、NOVXタンパク質の離散した点変異または短縮型が、変異誘発により生成され得る。NOVXタンパク質のアゴニストは、天然に存在する形態のNOVXタンパク質と実質的に同じ生物学的活性、またはその生物学的活性のサブセットを保持し得る。NOVXタンパク質のアンタゴニストは、天然に存在する形態のNOVXタンパク質の1つ以上の活性を、例えば、NOVXタンパク質を含む細胞シグナル伝達カスケードの下流または上流メンバーに競合的に結合することにより阻害し得る。従って、特異的生物学的効果が、限られた機能の改変体を用いた処理により惹起され得る。1つの実施形態では、このタンパク質の天然に存在する形態の生物学活性のサブセットを有する改変体を用いた被験体の処置は、NOVXタンパク質の天然に存在する形態を用いた処置に対して被験体におけるより少ない副作用を有する。
【0284】
NOVXアゴニスト(模倣物)として、またはNOVXアンタゴニストのいずれかとして機能するNOVXタンパク質の改変体は、NOVXタンパク質アゴニストまたはアンタゴニスト活性のためのNOVXタンパク質の変異体、例えば短縮型変異体のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより同定され得る。1つの実施形態では、NOVX改変体の多彩なライブラリーは、核酸レベルのコンビナトリアル変異誘発により生成され、そして多彩な遺伝子ライブラリーによりコードされる。NOVX改変体の多彩なライブラリーは、例えば、合成オリゴヌクレオチドの混合物を、潜在的なNOVX配列の縮重セットが、個々のポリペプチドとして、あるいは、その中にNOVX配列のセットを含む(例えば、ファージディスプレイのための)より大きな融合タンパク質のセットとして発現可能であるように、遺伝子配列に酵素的に連結することにより産生され得る。縮重オリゴヌクレオチド配列から潜在的なNOVX改変体のライブラリーを産生するために用いられ得る種々の方法がある。縮重遺伝子配列の化学的合成は、自動化DNA合成機中で実施され得、次いでこの合成遺伝子は、適切な発現ベクター中に連結される。遺伝子の縮重セットの使用は、1つの混合物において、潜在的なNOVX配列の所望のセットをコードする配列のすべての供給を可能にする。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は当該分野で公知である(例えば、Narang(1983)Tetrahedron 39:3;Itakuraら(1984)Annu.Rev.Biochem 53:323;Itakuraら(1984)Science 198:1056;Ikeら(1983)Nucl.Acids Res.11:477を参照のこと)。
【0285】
(ポリペプチドライブラリー)
さらに、NOVXタンパク質コード配列のフラグメントのライブラリーを用いて、NOVXタンパク質の改変体のスクリーニングおよび引き続く選択のためのNOVXフラグメントの多彩な集団を生成し得る。1つの実施形態では、コード配列フラグメントのライブラリーは、NOVXコード配列の二本鎖PCRフラグメントを、1分子あたり約1つのみのニックが生じる条件下、ヌクレアーゼで処理すること、二本鎖DNAを変性させること、異なるニック産物からのセンス/アンチセンス対を含み得る二本鎖DNAを形成するためにこのDNAを再生すること、S1ヌクレアーゼを用いた処理により再形成された二本鎖から一本鎖部分を除去すること、および得られるフラグメントライブラリーを発現ベクター中に連結することにより生成し得る。この方法により、NOVXタンパク質の種々のサイズのN末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーが派生し得る。
【0286】
点変異または短縮により作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするため、選択された性質を有する遺伝子産物のcDNAライブラリーをスクリーニングするためのいくつかの技法が当該分野で公知である。このような技法を、NOVXタンパク質のコンビナトリアル変異誘発により生成された遺伝子ライブラリーの迅速スクリーニングに適用可能である。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするための、高スループット分析に適した最も広く用いられる技法は、代表的には、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクター中にクローニングすること、得られるベクターのライブラリーで適切な細胞を形質転換すること、およびこのコンビナトリアル遺伝子を、所望の活性の検出が、その産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離を容易にする条件下で発現することを含む。ライブラリー中の機能的変異体の頻度を増大する新規技法であるリクルーシブエンセブル変異誘発(REM)を、スクリーニングアッセイと組み合わせて用い、NOVX改変体を同定し得る(ArkinおよびYourvan、1992.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgraveら、1993.Protein Engineering 6:327−331)。
【0287】
(抗NOVX抗体)
NOVXタンパク質に対する抗体、またはNOVXタンパク質のフラグメントもまた、本発明に含まれる。本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗原に特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含む分子)をいう。このような抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、Fab’ フラグメントおよびF(ab’)2フラグメント、ならびにFab発現ライブラリーが挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、ヒト由来の抗体分子は、IgG、IgM、IgA、IgEおよびIgDの任意のクラスに関連し、これらは分子内に存在する重鎖の性質によってお互いに異なる。特定のクラスは同様にサブクラス(例えば、IgG、IgGなど)を有する。さらに、ヒトにおいては、軽鎖はκ鎖またはλ鎖であり得る。本明細書中で抗体に対する参照は、ヒト抗体種のすべてのこのようなクラス、サブクラスおよび型に対する参照を含む。
【0288】
本発明の単離されたNOVX関連タンパク質は、抗原、またはその一部もしくはフラグメントとして役立つことが意図され得、そしてさらに、免疫原として使用され、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製のための標準的な技術を用いて、抗原に免疫特異的に結合する抗体を生成し得る。全長タンパク質が使用され得るか、あるいは本発明は、免疫原として使用するための抗原の抗原性ペプチドフラグメントを提供する。抗原性ペプチドフラグメントは、全長タンパク質のアミノ酸配列の少なくとも6アミノ酸残基を含み、そしてそれらのエピトープを含み、その結果このペプチドに対して惹起された抗体は、全長タンパク質またはこのエピトープを含む任意のフラグメントと特定の免疫複合体を形成する。好ましくは、抗原性ペプチドは、少なくとも10アミノ酸残基、または少なくとも15アミノ酸残基、または少なくとも20アミノ酸残基、または少なくとも30アミノ酸残基を含む。この抗原性ペプチドにより含まれる好ましいエピトープは、そのペプチド表面上に位置するタンパク質の領域であり;通常、これらは親水性領域である。
【0289】
本発明の特定の実施形態では、抗原性ペプチドにより包含される少なくとも1つのエピトープは、NOVXタンパク質の表面上に位置するNOVX関連タンパク質の領域、例えば、親水性領域である。ヒトNOVX関連タンパク質配列の疎水性分析は、NOVX関連タンパク質のどの領域が特に親水性であるか、そしてそれ故、抗体産生を標的にするために有用な表面残基をコードするようであるかを示す。抗体産生を標的にする手段として、親水性および疎水性の領域を示すヒドロパシープロットを、例えば、フーリエ変換とともにまたはなしの、Kyte DoolittleまたはHopp Woods法を含む、当該分野で周知の任意の方法により生成し得る。例えば、それらの全体が本明細書に参考として援用される、HoppおよびWoods、1981、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 78:3824−3828;KyteおよびDoolittle 1982、J.Mol.Biol.157:105−142を参照のこと。抗原性タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログ内の1つ以上のドメインに対して特異的な抗体はまた、本明細書中で提供される。
【0290】
本発明のタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、ホモログもしくはオルソログは、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の産生における免疫原として利用され得る。
【0291】
当該分野において公知の種々の手順が、本発明のタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログ、ホモログもしくはオルソログに対して指向されるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の産生のために使用され得る(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual,Harlow E,およびLane 1998,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor、NY(本明細書中に参考として援用される)を参照のこと)。これらの抗体のうちのいくつかは、以下で考察される。
【0292】
(ポリクローナル抗体)
ポリクローナル抗体の産生のために、種々の適切な宿主動物(例えば、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の動物)は、ネイティブなタンパク質、その合成改変体、または前記の誘導体を用いる1以上の注射によって免疫され得る。適切な免疫原性調製物は、例えば、天然に存在する免疫原性タンパク質、免疫原性タンパク質を提示する化学的に合成されたポリペプチド、または組換え的に発現される免疫原性タンパク質を含み得る。さらに、このタンパク質は、免役されている哺乳動物において免疫原性であることが知られている第2のタンパク質に結合体化され得る。このような免疫原性タンパク質の例としては、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、および大豆トリプシンインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。この調製物はさらに、アジュバントを含み得る。種々のアジュバントが免疫学的応答を増加させるために使用され、このようなアジュバントとしては、Freund’s(完全および不完全)、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液、ジニトロフェノールなど)、ヒトにおいて使用可能なアジュバント(例えば、Bacille Calmette−GuerinおよびCorynebacterium parvum)または類似の免疫刺激剤が挙げられるが、これらに限定されない。使用され得るアジュバントのさらなる例としては、MPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコレート)が挙げられる。
【0293】
免疫原性タンパク質に対して指向されるポリクローナル抗体分子は、哺乳動物から(例えば、血液から)単離され得、そして周知の技術(例えば、プロテインAまたはプロテインGを用いるアフィニティクロマトグラフィー(これは、主に免疫血清のIgG画分を提供する))によってさらに精製され得る。続いて、または代替的に、求められている免疫グロブリンの標的である特定の抗原またはその抗原のエピトープがカラムに固定され、免疫アフィニティクロマトグラフィーによって免疫特異的抗体を精製し得る。免疫グロブリンの精製は、例えば、D.Wilkinson(The Scientist(The Scientist,Inc.,Philadelphia PAより発行)、第14巻、第8号(2000年4月17日)、25〜28頁)によって考察される。
【0294】
(モノクローナル抗体)
本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」(MAb)または「モノクローナル抗体組成物」は、独特の軽鎖遺伝子産物および独特の重鎖遺伝子産物からなる唯一の分子種の抗体分子を含む抗体分子の集団をいう。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、すべての分子の集団に同一である。従って、MAbは、抗原への独特の結合親和性によって特徴付けられる抗原の特定のエピトープと免疫反応可能な抗原結合部位を含む。
【0295】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法(例えば、KohlerおよびMilstein,Nature,256:495(1975)に記載されるような方法)を使用して調製され得る。ハイブリドーマ方法において、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主細胞は、免疫因子で代表的に免疫され、免疫因子に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生し得るリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球は、インビトロで免疫され得る。
【0296】
免疫因子としては、代表的に、タンパク質抗原、そのフラグメントまたはその融合タンパク質が挙げられる。一般的には、以下のいずれかである:ヒト起源の細胞が望まれる場合は、末梢血リンパ球が使用され、または非ヒト哺乳動物供給源が望まれる場合は、脾臓細胞またはリンパ節細胞が使用される。次いで、適切な融合因子(例えば、ポリエチレングリコール)を使用して、リンパ球を不死化細胞株に融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE,Academic Press(1986)第59−103頁)。不死化細胞株は、哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシおよびヒト起源の骨髄腫細胞に通常形質転換される。通常ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が使用されるハイブリドーマ細胞は、1以上の物質(融合されていない不死化細胞の増殖も生存も阻害する)を適切に含む適切な培養培地中で培養され得る。例えば、親の細胞が酵素、ヒポキサンチングアニンンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマからの培養培地は、代表的にヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジンを含み(「HAT培地」)、それらの物質はHGPRT欠失細胞の増殖を阻害する。
【0297】
好ましい不死化細胞株は、効率的に融合する細胞株であり、それらは選択された抗体産生細胞の安定な高レベルの抗体の発現を支持し、そしてHAT培地のような培地に敏感である。より好ましい不死化細胞株はマウス骨髄腫細胞株であり、それらを、例えば、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,CaliforniaおよびAmerican Type Culture Collection,Manassas,Virginiaから得ることが可能である。ヒト骨髄腫およびマウス−ヒト骨髄腫細胞株はまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載される(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeurら、MONOCLONAL ANTIBODY PRODUCTION TECHNIQUES AND APPLICATION,Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)第51−63頁)。
【0298】
次いで、ハイブリドーマ細胞が培養される培養培地は、抗原に対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイされ得る。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって決定されるか、またはインビトロ結合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA))によって決定される。このような技術およびアッセイは、当該分野で公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、MunsonおよびPollard,Anal.Biochem.,107:220(1980)のスキャッチャード分析によって決定され得る。好ましくは、標的抗原に対する高い程度の特異性および高結合親和性を有する抗体が、単離される。
【0299】
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、希釈手順を限定することによって、クローンをサブクローニングし得、そして標準方法によって増殖し得る。例えば、この目的のために適切な培養培地としては、Dulbecco’s Modified Eagle’s MediumおよびRPMI−1640培地が挙げられる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物内の腹水としてインビボで増殖され得る。
【0300】
サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順(例えば、タンパク質Aセファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィー)によって、培養培地または腹水から、単離または精製され得る。
【0301】
モノクローナル抗体はまた、組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号に記載される方法)によって作製され得る。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され得、そして配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい供給源として役立つ。一旦単離されると、DNAは、発現ベクターに配置され得、次いでそれらは、宿主細胞(例えば、さもなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しないサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞)にトランスフェクトされ、組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成を得る。DNAはまた、例えば、相同なマウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインをコードする配列の置換(米国特許第4,816,567号;Morrison,Nature 368,812−13(1994))によってか、または非免疫グロブリンポリペプチドについてのコード配列のすべてまたは一部の配列をコードする免疫グロブリンへの共有結合的な連結によって改変され得る。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常領域に置換され得るか、または本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変領域に置換され得、キメラ二価の抗体を作製する。
【0302】
(ヒト化抗体)
本発明のタンパク質抗原に対する抗体は、さらにヒト化抗体またはヒト抗体を含み得る。これらの抗体は、投与された免疫グロブリンに対するヒトの免疫応答を引き起こさないヒトへの投与に適する。抗体のヒト化形態は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはそれらのフラグメント(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)または他の抗体の抗原結合配列)であり、それらは主にヒト免疫グロブリンの配列から構成され、そして非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む。ヒト化は、ヒト抗体の対応する配列についてのげっ歯類CDRまたはCDR配列の置換によって、Winterおよび共同研究者の方法(Jonesら、Nature,31:522−525(1986);Riechmannら、Nature,332:323−327(1988);Verhoeyenら、Science,239:1534−1536(1988))の後に達成され得る。(米国特許第5,225,539号もまた参照のこと。)いくつかの場合において、ヒト免疫グロブリンのFv骨格(framework)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体はまた、患者の抗体においても、移入されたCDRまたは骨格配列においても見出されない残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は、すべての少なくとも1つ、および代表的には2つの可変領域を実質的に含む。これらの領域内で、すべてのまたは実質的にすべてのCDR領域は非ヒト免疫グロブリンの領域に対応し、そしてすべてまたは実質的にすべての骨格領域はヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の領域に対応する。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)、代表的には、ヒト免疫グロブリンの少なくとも一部を必要に応じて含む(Jonesら、1986;Riechamannら、1988;およびPresta、Curr.Op.Struct.Biol.,2:593−596(1992))。
【0303】
(ヒト抗体)
CDRを含む軽鎖および重鎖の両方の全体配列がヒト遺伝子から本質的に生じる抗体分子に、ヒト抗体は十分に関連する。このような抗体を、「ヒト抗体」、または「十分なヒト抗体」と本明細書中で呼ぶ。ヒトモノクローナル抗体は、トリオーマ(trioma)技術によって調製され得る;ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983 Immunol Today 4:72を参照のこと)およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,第77−96頁)。ヒトモノクローナル抗体は、本発明の実行において使用され得、そしてヒトハイブリドーマの使用によってか(Coteら、1983.Proc Natl Acad USA 80:2026−2030を参照のこと)、またはインビトロでのEpstein Barr Virusを用いたヒトB細胞による形質転換によって(Coleら、1985:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,第77−96頁を参照のこと)産生され得る。
【0304】
さらに、ヒト抗体はまた、さらなる技術(ファージディスプレイライブラリー(HoogenboomおよびWinter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marksら、J.Mol.Biol.,222:581(1991))を含む)を使用して産生され得る。同様に、ヒト免疫グロブリン位置をトランスジェニック動物(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が、部分的または完全に不活化されているマウス)に導入することによって、ヒト抗体は作製され得る。チャレンジの際にヒト抗体産生が観察され、このことはすべての点(遺伝子再配列、アセンブリー、および抗体レパートリーを含む)でヒトにおいて観察されたものに密接に類似する。このアプローチは、例えば、以下に記載される:米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,611,016号、およびMarksら(Bio/Technology 10、779−783(1992));Lonbergら(Nature 368 856−859(1994));Morrison(Nature 368、812−13(1994));Fishwildら(Nature Biotechnology 14、845−51(1996));Neuberger(Nature Biotechnology 14、826(1996));ならびにLonbergおよびHuszar(Intern.Rev.Immunol.13 65−93(1995))。
【0305】
ヒト抗体は、抗原によるチャレンジに応答して動物の内因性抗体よりもヒト抗体を十分に産生するように改変されたトランスジェニック非ヒト動物を使用して、さらに産生され得る。(PCT刊行物WO94/02602を参照のこと。)非ヒト宿主における重免疫グロブリン鎖および軽免疫グロブリン鎖をコードする内因性遺伝子は、耐えられなくなっており、そしてヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードする活性な位置は、宿主のゲノムに挿入される。例えば、要求性ヒトDNAセグメントを含む酵母人工染色体を使用して、ヒト遺伝子は組み込まれる。次いで、すべての所望の改変を提供する動物を、完全な改変の相補体よりもより少ない改変の相補体を含む中間トランスジェニック動物を雑種することによって子孫として得る。このような非ヒト動物の好ましい実施形態は、マウスであり、PCT刊行物WO96/33735およびWO96/34096に開示されるようにXenomousTMと呼ばれる。この動物は、ヒト免疫グロブリンを十分に分泌するB細胞を産生する。目的の免疫原を有する免疫後の動物から(例えば、ポリクローナル抗体の調製)、あるいは動物由来の不死化されたB細胞(例えば、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ)から、抗体を直接得ることが可能である。さらに、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコードする遺伝子は、抗体を直接得るために回復され、そして発現され得るか、または抗体のアナログ(例えば、1本鎖Fv分子)を得るために、さらに改変され得る。
【0306】
内因性免疫グロブリン重鎖の発現を欠く非ヒト宿主(マウスとして例証される)を作製するための方法の例は、米国特許第5,939,598号に記載される。それを、以下の工程を包含する方法によって得ることが可能である:位置の再配列を防ぎ、そして再配列された免疫グロブリン重鎖位置の転写物の形成、および選択マーカーをコードする遺伝子を含む標的ベクターによって影響される欠失を防ぐために、胚幹細胞における少なくとも1つの内因性重鎖位置由来のJセグメント遺伝子を欠失する工程;およびトランスジェニックマウス(その体細胞および生殖細胞は、選択マーカーをコードする遺伝子を含む)を、胚幹細胞から作製する工程。
【0307】
目的の抗体(例えば、ヒト抗体)を産生する方法は、米国特許第5,916,771号に開示される。それは以下の工程を包含する:重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを、培養中の1つの哺乳動物宿主細胞に導入する工程、軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを、別の哺乳動物宿主細胞に導入する工程、およびハイブリッド細胞を形成するために2つの細胞融合する工程。ハイブリッド細胞は、重鎖および軽鎖を含む抗体を発現する。
【0308】
この手順のさらなる改善において、免疫原上の臨床的に関連するエピトープを同定する方法、および関連するエピトープに高い親和性で免疫特異的に結合する抗体を選択する相関する方法は、PCT刊行物WO99/53049に開示される。
【0309】
(Fabフラグメントおよび1本鎖抗体)
本発明に従って、技術は、本発明の抗原性タンパク質に特異的な1本鎖抗体の産生に適用され得る(例えば、米国特許第4,946,778号を参照のこと)。さらに、方法は、Fab発現ライブラリーの構築に適用され得(例えば、Huseら、1989 Science 246:1275−1281を参照のこと)、タンパク質またはその誘導体、フラグメント、アナログまたはホモログについての所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ効果的な同定を可能にする。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含む抗体フラグメント((i)抗体分子のペプシン消化によって産生されるF(ab’)2フラグメント;(ii)F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって産生されたFabフラグメント(iii)ペプシンおよび還元剤を用いた抗体分子の処理によって産生されたFabフラグメント、および(iv)Fフラグメントを含むが、これらに限定ない)は、当該分野で公知の技術によって産生され得る。
【0310】
(二重特異的抗体)
二重特異的抗体は、モノクローナル抗体(好ましくはヒトモノクローナル抗体またはヒト化されたモノクローナル抗体)であって、これは少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有する。この場合において、結合特異性の1つは、本発明の抗原性タンパク質に対してである。第2の結合標的は、任意の他の抗原であり、そして有利には細胞表面タンパク質あるいはレセプターまたはレセプターサブユニットである。
【0311】
二重特異的抗体を作製する方法は、当該分野で公知である。伝統的に、二重特異的抗体の組換え生成は、2つの免疫グロブリンの重鎖/軽鎖の対の同時発現に基づき、ここでこの2つの重鎖は異なる特異性を有する(MilsteinおよびCuello、Nature,305:537−539(1983))。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖のランダムな組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子の潜在的混合物を作製し、このうち1つのみが正確な二重特異的構造を有する。この正確な分子の精製は、通常アフィニティークロマトグラフィー工程によって達成される。同様の手順は、1993年5月13日開示のWO93/08829、およびTrauneckerら、1991 EMBO J.、10:3655−3659において開示される。
【0312】
所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常領域配列に融合され得る。この融合は、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常ドメインを有し、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも部分を含む。この融合物中の少なくとも1つに存在する軽鎖結合のために必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。この免疫グロブリン重鎖融合体、および所望の場合、この免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAは、別々の発現ベクターに挿入され、そして適切な宿主生物体に同時トランスフェクトされる。二重特異的抗体の作製のさらなる詳細は、例えば、Sureshら、Methods in Enzymology,121:210(1986)を参照のこと。
【0313】
WO96/27011に記載される別のアプローチに従って、抗体分子の対の間の界面は、組換え細胞培養物から回収されるヘテロダイマーのパーセンテージを最大化するために操作され得る。好ましい界面は、抗体定常領域のCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの1つ以上の小さなアミノ酸側鎖は、より大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置換される。大きな側鎖についての同一または同様のサイズの代償的な「空洞」は、大きなアミノ酸側鎖を小さなアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはスレオニン)で置換することによって、第2の抗体分子の界面上に生成される。このことは、ホモダイマーのような他の不必要な最終生成物よりも、ヘテロダイマーの収量を増加するための機構を提供する。
【0314】
二重特異的抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)二重特異的抗体)として調製され得る。抗体フラグメントから二重特異的抗体を作製するための技術は、文献において記載される。例えば、二重特異的抗体は、化学結合を使用して調製され得る。Brennanら、Science 229:81(1985)は、インタクトな抗体がタンパク分解的に切断されてF(ab’)フラグメントを作製する手順を記載する。これらのフラグメントは、ビシナルジチオールを安定化し、そして分子間ジスルフィド形成を阻止するために、ジチオール錯化剤ナトリウム亜ヒ酸塩の存在下で還元される。次いで、この作製されたFab’フラグメントは、チオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換される。次いで、Fab’−TNB誘導体の1つは、メルカプトエチルアミンでの還元によってFab’−チオールに再変換され、そしてこれは等モル量の他のFab’−TNB誘導体と混合されて二重特異的抗体を形成する。生成された二重特異的抗体は、酵素の選択的固定化のための薬剤として使用され得る。
【0315】
さらに、Fab’フラグメントは、E.coliから直接回収され得、そして化学的にカップリングされて二重特異的抗体を形成する。Shalabyら、J.Exp.Med.175:217−225(1992)は、完全にヒト化された二重特異的抗体F(ab’)分子の生成を記載する。各Fab’フラグメントは、E.coliから別々に分泌され、そしてインビトロの化学的カップリングに供され、二重特異的抗体を形成する。従って、形成されたこの二重特異的抗体は、ErbB2レセプターを過剰発現する細胞および正常なヒトT細胞に結合し得、そしてヒト胸部腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解性活性を誘因し得る。
【0316】
組換え細胞培養物から直接二重特異的抗体フラグメントを作製し、そして単離するための種々の技術が記載されてきた。例えば、二重特異的抗体は、ロイシンジッパーを使用して産生される。Kostelnyら、J.Immunol.148(5):1547−1553(1992)。FosおよびJunタンパク質由来のロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に結合される。この抗体ホモダイマーは、ヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、次いで再酸化されて抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法はまた、抗体ホモダイマーの産生のために使用され得る。Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)に記載されるこの「ディアボディー(diabody)」技術は、二重特異的抗体フラグメントを作製するための代替的な機構を提供した。このフラグメントは、短すぎて同じ鎖上の2つのドメインの間を対にできないリンカーによって軽鎖可変領域(V)に接続された重鎖可変領域(V)を含む。従って、1つのフラグメントのVおよびVドメインは、別のフラグメントの相補的なVおよびVドメインと対になるように強制され、これによって2つの抗原結合部位が形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使用によって二重特異的抗体フラグメントを作製するための別のストラテジーもまた、報告されてきた。Gruberら、J.Immunol.152:5368(1994)を参照のこと。
【0317】
2つ以上の結合価を有する抗体が意図される。例えば、三重特異的抗体が調製され得る。Tuttら、J.Immunol.147:60(1991)。
【0318】
例示的な二重特異的抗体は、2つの異なるエピトープに結合し得、このうち少なくとも1つは、本発明のタンパク質抗原に起源を有する。あるいは、免疫グロブリン分子の抗抗原性アームは、T細胞レセプター分子のような白血球(例えば、CD2、CD3、CD28、またはB7)、あるいはIgGに対するFcレセプター(FcγR)(例えば、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16))上の標的化分子に結合するアームに、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞の防御機構に焦点を合わせるように結合され得る。二重特異的抗体はまた、特定の抗原を発現する細胞に対する細胞傷害性因子に指向するために使用され得る。これらの抗体は抗原結合アーム、および細胞傷害性因子または放射性核種キレーター(例えば、EOTUBE、DPTA、DOTA、またはTETA)に結合するアームを保有する。目的の別の二重特異的抗体は、本明細書中に記載のタンパク質抗原に結合し、そしてさらに組織因子(TF)に結合する。
【0319】
(ヘテロ結合体抗体)
ヘテロ結合体抗体はまた、本発明の範囲内である。ヘテロ結合体抗体は、2つの共有結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不必要な細胞に標的化するために(米国特許第4,676,980号)、およびHIV感染の処置のために(WO91/00360;WO92/200373;EP03089)提案されてきた。この抗体(架橋剤を含む抗体を含む)は、インビトロで、合成タンパク質化学において公知の方法を使用して調製され得ることが意図される。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応の使用またはチオエーテル結合の形成によって構築され得る。この目的のための適切な試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル−4−メルカプトブチルイミデート、ならびに例えば米国特許第4,676,980号において開示される試薬が挙げられる。
【0320】
(エフェクター機能操作)
本発明の抗体を、エフェクター機能について、例えば癌の処置における抗体の効力を増大するように改変することが望ましくあり得る。例えば、システイン残基は、Fc領域に導入され得、これによってこの領域における鎖間ジスルフィド結合の形成を可能にする。このようにして、作製されるこのホモダイマー抗体は、改良されたインターナリゼーションの能力および/または増加した補体媒介細胞死滅、ならびに抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有し得る。Caronら、J.Exp.Med.、176:1191−1195(1992)およびShopes、J.Immunol.148:2918−2922(1992)を参照のこと。増大した抗腫瘍活性を有するホモダイマー抗体はまた、Wolffら、Cancer Research、53:2560−2565(1993)に記載されるヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製され得る。あるいは、抗体は、二重のFc領域を有するように操作され得、そしてこれによって増大した補体溶解およびADCCの能力を有し得る。Stevensonら、Anti−Cancer Drug Design,3:219−230(1989)を参照のこと。
【0321】
(免疫結合体)
本発明はまた、細胞傷害性因子(例えば、化学療法剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、または動物起源の酵素学的に活性な毒素、あるいはそれらのフラグメント)、または放射性同位体(すなわち、放射性結合体))に結合した抗体を含む免疫結合体に関する。
【0322】
このような免疫結合体の作製において有用な化学療法剤は、上記に記載される。使用され得る酵素学的に活性な毒素およびそれらのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、α−サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP−S)、momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、およびトリコテセン(tricothecen)が挙げられる。種々の放射性核種は、放射性結合した抗体の作製のために利用可能である。その例としては、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが挙げられる。
【0323】
抗体および細胞傷害性因子の結合体は、種々の二官能性タンパク質カップリング剤(例えば、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(iminothiolane)(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、ジメチルアジピミデート HCL)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド(glutareldehyde))、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス−ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス−(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン(tolyene)2,6−ジイソシアネート)、およびビス−活性フッ素化合物(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン))を使用して作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science,238:1098(1987)に記載されるように調製され得る。炭素−14−標識1−イソチオシアナトベンジル−3−メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX−DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体への結合のための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照のこと。
【0324】
別の実施形態において、腫瘍の前標的化における利用のために、この抗体は、「レセプター」(例えば、ストレプトアビジン)に結合され得、ここで抗体−レセプター結合体は患者に投与され、続いて除去剤を使用して結合していない結合体が循環から除去され、次いで今度は細胞傷害性因子に結合する「リガンド」(例えば、アビジン)が投与される。
【0325】
1つの実施形態において、所望の特異性を保有する抗体のスクリーニングのための方法としては、当該分野内で公知の酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)および他の免疫学的に媒介された技術が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、NOVXタンパク質の特定のドメインに対して特異的である抗体の選択は、このようなドメインを所有しているNOVXタンパク質のフラグメントに結合するハイブリドーマの生成により容易にされる。従って、NOVXタンパク質、またはそれらの誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログ内の所望のドメインについて特異的である抗体がまた、本明細書において提供される。
【0326】
抗NOVX抗体は、NOVXタンパク質の局在化および/または定量化に関する当該分野で公知の方法において用いられ得る(例えば、適切な生理学的サンプル中のNOVXタンパク質のレベルを測定する使用のために、診断的方法における使用のために、タンパク質の画像化における使用のために、など)。所定の実施形態において、NOVXタンパク質、またはそれらの誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログについての抗体(抗体由来の結合ドメインを含む)は、薬理学的に活性な化合物(本明細書中、以降において「治療剤」)として利用される。
【0327】
抗NOVX抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、標準的技術(例えばアフィニティークロマトグラフィまたは免疫沈降)によって、NOVXポリペプチドを単離するために用いられ得る。抗NOVX抗体は、細胞からの天然のNOVXポリペプチド、そして宿主細胞において発現される組換え的に産生されたNOVXポリペプチドの精製を容易にし得る。さらに、抗NOVX抗体が、(例えば、細胞の溶解産物または細胞上清における)NOVXタンパク質を検出するために用いられて、NOVXタンパク質の発現の量およびパターンを評価し得る。抗NOVX抗体は、例えば、所定の治療レジメンの有効性を決定するために、臨床試験の手順の一部として、組織におけるタンパク質レベルをモニターするために診断的に用いられ得る。検出は、抗体を検出可能物質にカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことにより容易にされ得る。検出可能物質の例としては、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる;適切な蛍光物質の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン(dichlorotriazinylamine)フルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる;発光物質の例としては、ルミノールが挙げられる;生物発光物質の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられる;そして、適切な放射性物質の例としては125I、131I、35SまたはHが挙げられる。
【0328】
(NOVX組換え発現ベクターおよび宿主細胞)
本発明の別の局面は、NOVXタンパク質、またはその誘導体、フラグメント、アナログもしくはホモログをコードする核酸を含む、ベクター、好ましくは、発現ベクターに関する。本明細書において使用する場合、用語「ベクター」は、連結された別の核酸を輸送し得る核酸分子をいう。1つの型のベクターは、「プラスミド」である。これはさらなるDNAセグメントが連結され得る環状の二本鎖DNAループをいう。別の型のベクターは、ウイルス性ベクターであり、ここでは、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノムに連結され得る。特定のベクターは、ベクターが導入される宿主細胞中で自律複製し得る(例えば、細菌性の複製起点を有する細菌ベクター、およびエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際、宿主細胞のゲノムに組み込まれ、そして、これにより宿主ゲノムとともに複製される。さらに、特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指示し得る。このようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしばプラスミドの形態である。本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に用いられる形態のベクターであるので、交換可能に使用され得る。しかし、本発明は、等価の機能を果たす、ウイルス性ベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)のような、このような他の形態の発現ベクターを含むことを意図する。
【0329】
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に適切な形態の本発明の核酸を含む。これは、組換え発現ベクターが、発現されるべき核酸配列に作動可能に連結されている、発現に用いられる宿主細胞に基づいて選択された1つ以上の調節配列を含むことを意味する。組換え発現ベクターにおいて、「作動可能に連結する」とは、目的のヌクレオチド配列が、(例えば、インビトロの転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞に導入される場合は、宿主細胞において)ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で調節配列に連結されることを意味することを意図する。
【0330】
用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサーおよび他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことを意図する。このような調節配列は、例えば、Goeddel;GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、Academic Press、San Diego、Calif.(1990)に記載されている。調節配列は、多くの型の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指示する配列、および特定の宿主細胞のみにおいてヌクレオチド配列の発現を指示する配列(例えば、組織特異的調節配列)を含む。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現のレベルなどのような因子に依存し得ることが当業者に理解される。本発明の発現ベクターは、宿主細胞に導入され得、それにより、本明細書に記載される核酸によってコードされるタンパク質またはペプチド(融合タンパク質またはペプチドを含む)(例えば、NOVXタンパク質、NOVXタンパク質の変異形態、融合タンパク質など)を産生し得る。
【0331】
本発明の組換え発現ベクターは、原核生物細胞または真核生物細胞における、NOVXタンパク質発現のために設計され得る。例えば、NOVXタンパク質は、細菌細胞(例えば、Escherichia coli)、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを用いる)、酵母細胞または哺乳動物細胞において発現され得る。適切な宿主細胞は、Goeddel;GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185、Academic Press、San Diego、Calif.(1990)にさらに考察されている。あるいは、組換え型発現ベクターは、例えば、T7プロモーター調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、インビトロで転写および翻訳され得る。
【0332】
原核生物におけるタンパク質の発現は、最も頻繁には、融合タンパク質または非融合タンパク質のいずれかの発現を指示する、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターを含むベクターを用いてEscherichia coliにおいて実施される。融合ベクターは、そこにコードされるタンパク質に、通常、組換えタンパク質のアミノ末端に、多数のアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、代表的には、以下の3つの目的のために役立つ:(i)組換えタンパク質の発現を増加させるため;(ii)組換えタンパク質の溶解性を増加させるため;および(iii)アフィニティー精製においてリガンドとして作用することによって組換えタンパク質の精製の際に補助するため。しばしば、融合発現ベクターにおいて、タンパク質分解の切断部位が、融合部分と組換えタンパク質との結合部に導入されて、融合タンパク質の精製の後に融合部分から組換えタンパク質を分離することを可能とする。このような酵素、およびその同族(cognate)の認識配列は、第Xa因子、トロンビン、およびエンテロキナーゼが挙げられる。代表的な融合発現ベクターとしては、それぞれ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、マルトースE結合タンパク質、またはプロテインAを標的の組換えタンパク質に融合する、pGEX(Pharmacia Biotech Inc.;SmithおよびJohnson(1988)Gene 67:31−40)、pMAL(New England Biolabs,Beverly,Mass.)およびpRIT5(Pharmacia,Piscataway,N.J.)が挙げられる。
【0333】
適切な誘導性非融合E.coli発現ベクターの例には、pTrc(Amrannら(1988)Gene 69:301−315)およびpET 11d(Studierら、GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)60−89)が挙げられる。
【0334】
E.coliにおける組換えタンパク質発現を最大化するための1つのストラテジーは、組換えタンパク質をタンパク質分解的に切断する能力を欠損した宿主細菌中でタンパク質を発現させることである。例えば、Gottesman,GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)119−128を参照のこと。別のストラテジーは、各アミノ酸についての個々のコドンが、E.coliにおいて優先的に利用されるコドンであるように、発現ベクターに挿入される核酸の核酸配列を変更することである(例えば、Wadaら(1992)Nucl.Acids Res.20:2111−2118を参照のこと)。本発明の核酸配列のこのような変更は、標準的なDNA合成技術によって実行され得る。
【0335】
別の実施形態において、NOVX発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母Saccharomyces cerivisaeにおける発現のためのベクターの例には、pYepSec1(Baldariら、(1987)EMBO J.6:229−234)、pMFa(KurjanおよびHerskowitz、(1982)Cell 30:933−943)、pJRY88(Schultzら、(1987)Gene 54:113−123)、pYES2(Invitrogen Corporation,San Diego,Calif.)、およびpicZ(InVitrogen Corp.,San Diego,Calif.)が挙げられる。
【0336】
あるいは、NOVXは、バキュロウイルス発現ベクターを使用して、昆虫細胞中で発現され得る。培養昆虫細胞(例えば、SF9細胞)中でのタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(Smithら(1983)Mol.Cell.Biol.3:2156−2165)およびpVLシリーズ(LucklowおよびSummers(1989)Virology 170:31−39)が挙げられる。
【0337】
なお別の実施形態において、本発明の核酸は、哺乳動物発現ベクターを使用して、哺乳動物細胞中で発現される。哺乳動物発現ベクターの例には、pCDM8(Seed(1987)Nature 329:840)およびpMT2PC(Kaufmanら(1987)EMBO J.6:187−195)が挙げられる。哺乳動物細胞中で使用される場合、発現ベクターの制御機能は、しばしば、ウイルスの調節エレメントによって提供される。例えば、一般に使用されるプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルス、およびシミアンウイルス40に由来する。原核生物細胞および真核生物細胞の両方のために適切な他の発現系については、例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989の第16章および第17章を参照のこと。
【0338】
別の実施形態において、組換え哺乳動物発現ベクターは、特定の細胞型中で優先的に核酸の発現を指示し得る(例えば、組織特異的調節エレメントを使用して核酸を発現する)。組織特異的調節エレメントは、当該分野で公知である。適切な組織特異的なプロモーターの非限定的な例には、アルブミンプロモーター(肝臓特異的;Pinkertら(1987)Genes Dev.1:268−277)、リンパ特異的プロモーター(CalameおよびEaton(1988)Adv.Immunol.43:235−275)、T細胞レセプターの特定のプロモーターにおいて(WinotoおよびBaltimore(1989)EMBO J.8:729−733)および免疫グロブリンの特定のプロモーターにおいて(Banerjiら(1983)Cell 33:729−740;QueenおよびBaltimore(1983)Cell 33:741−748)、ニューロン特異的プロモーター(例えば、神経フィラメントプロモーター;ByrneおよびRuddle(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5473−5477)、膵臓特異的プロモーター(Edlundら(1985)Science 230:912−916)、ならびに乳腺特異的プロモーター(例えば、乳清プロモーター;米国特許第4,873,316号および欧州出願公開第264,166号)が挙げられる。発達的に調節されるプロモーターもまた含まれる(例えば、マウスhoxプロモーター(KesselおよびGruss(1990)Science 249:374−379)およびα−フェトプロテインプロモーター(CampesおよびTilghman(1989)Genes Dev.3:537−546))。
【0339】
本発明はさらに、アンチセンス方向で発現ベクターにクローニングされた本発明のDNA分子を含む組換え発現ベクターを提供する。すなわち、そのDNA分子は、NOVX mRNAに対してアンチセンスであるRNA分子の発現(DNA分子の転写によって)を可能にする様式で調節配列に作動可能に連結される。種々の細胞型においてアンチセンスRNA分子の持続的な発現を指示する、アンチセンス方向でクローニングされた核酸に作動可能に連結された調節配列(例えば、ウイルスプロモーターおよび/もしくはエンハンサー)が選択され得るか、または、アンチセンスRNAの構成的発現、組織特異的発現、または細胞型特異的発現を指示する調節配列が、選択され得る。アンチセンス発現ベクターは、組換えプラスミド、ファージミド、または弱毒化されたウイルスの形態であり得、ここではアンチセンス核酸は、高効率調節領域の制御下で産生され、その活性は、ベクターが導入される細胞型によって決定され得る。アンチセンス遺伝子を使用する遺伝子発現の調節の考察については、例えば、Weintraubら、「Antisense RNA as a molecular tool for genetic analysis」、Reviews−Trends in Genetics、第1巻(1)1986を参照のこと。
【0340】
本発明の別の局面は、本発明の組換え発現べクターが導入された宿主細胞に関する。用語「宿主細胞」および「組換え宿主細胞」は、本明細書中で、交換可能に使用される。このような用語は、特定の被験細胞をいうのみでなく、そのような細胞の子孫または潜在的な子孫をもいうことが理解される。変異または環境の影響のいずれかに起因して、特定の改変は次の世代において生じ得るので、このような子孫は、実際には、親の細胞と同一でないかもしれないが、なお、本明細書中で使用される場合のこの用語の範囲内に含まれる。
【0341】
宿主細胞は、任意の原核生物細胞または真核生物細胞であり得る。例えば、NOVXタンパク質は、細菌細胞(例えば、E.coli)、昆虫細胞、酵母または哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはCOS細胞)において発現され得る。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0342】
ベクターDNAは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核生物細胞または真核生物細胞に導入され得る。本明細書中で使用される場合、用語「形質転換」および「トランスフェクション」とは、外来性の核酸(例えば、DNA)を宿主細胞に導入するために当該分野で容認されている種々の技術をいうことを意図し、これらには、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウム共沈、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、またはエレクトロポレーションが含まれる。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクションするための適切な方法は、Sambrookら(MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL.第2版、Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)および他の実験室マニュアルに見出され得る。
【0343】
安定な哺乳動物細胞のトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に依存して、細胞のほんの一部のみが外来DNAをそのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの要素を同定および選択するために、選択マーカー(例えば、抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子が、一般的には目的の遺伝子とともに宿主細胞に導入される。種々の選択マーカーには、薬物(例えば、G418、ハイグロマイシン、およびメトトレキサート)に対する耐性を付与するものが含まれる。選択マーカーをコードする核酸は、NOVXをコードするベクターと同じベクター上で宿主細胞に導入され得るか、あるいは別々のベクター上で導入され得る。導入された核酸で安定にトランスフェクトされた細胞は、薬物選択によって同定され得る(例えば、選択マーカー遺伝子を取り込んだ細胞は生存するが、他の細胞は死滅する)。
【0344】
本発明の宿主細胞(例えば、培養中の原核生物宿主細胞および真核生物宿主細胞)は、NOVXタンパク質を産生(すなわち、発現)するために使用され得る。従って、本発明はさらに、本発明の宿主細胞を使用して、NOVXタンパク質を産生するための方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、NOVXタンパク質が産生されるような適切な培地中で、本発明の宿主細胞(ここに、NOVXタンパク質をコードする組換え発現ベクターが導入されている)を培養する工程を包含する。別の実施形態において、この方法はさらに、培地または宿主細胞からNOVXタンパク質を単離する工程を包含する。
【0345】
(トランスジェニックNOVX動物)
本発明の宿主細胞はまた、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使用され得る。例えば、1つの実施形態において、本発明の宿主細胞は、NOVXタンパク質コード配列が導入された、受精卵母細胞または胚性幹細胞である。次いで、このような宿主細胞は、外因性のNOVX配列がゲノムに導入された非ヒトトランスジェニック動物、または内因性のNOVX配列が変更された相同組換え動物を作製するために使用され得る。このような動物は、NOVXタンパク質の機能および/または活性を研究するため、ならびにNOVXタンパク質活性のモジュレーターを同定および/または評価するために有用である。本明細書中で使用される場合、「トランスジェニック動物」とは、非ヒト動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくは、ラットまたはマウスのような齧歯類であり、ここで、その動物の1つ以上の細胞が、導入遺伝子を含む。トランスジェニック動物の他の例としては、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、ニワトリ、両生類などが挙げられる。導入遺伝子は、細胞(この細胞からトランスジェニック動物を発生させた)のゲノムに組み込まれかつ成熟動物のゲノムに残存し、それによって、トランスジェニック動物の1つ以上の細胞型または組織においてコードされた遺伝子産物の発現を指示する、外因性のDNAである。本明細書中で使用される場合、「相同(homologous)組換え動物」とは、非ヒト動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはマウスであり、ここで内因性のNOVX遺伝子は、内因性の遺伝子と、その動物の発生の前にその動物の細胞(例えば、その動物の胚細胞)に導入された外因性のDNA分子との間の相同組換えによって変更されている。
【0346】
本発明のトランスジェニック動物は、NOVXをコードする核酸を、例えば、マイクロインジェクション、レトロウイルス感染によって、受精卵母細胞の雄性前核に導入すること、およびその卵母細胞を偽妊娠雌性養育動物(foster animal)中で発達させることを可能にすることによって作製され得る。配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のヒトのNOVX cDNA配列は、非ヒト動物のゲノムに導入遺伝子として導入され得る。あるいは、ヒトのNOVX遺伝子の非ヒトホモログ(例えば、マウスのNOVX遺伝子)は、ヒトのNOVX cDNA(上記にさらに記載された)に対するハイブリダイゼーションに基づいて単離され得、そして導入遺伝子として使用され得る。イントロン配列およびポリアデニル化シグナルもまた導入遺伝子中に含まれ得、その導入遺伝子の発現の効率を増大させ得る。組織特異的調節配列(単数または複数)は、特定の細胞に対して、NOVXタンパク質の発現を指示するように、NOVX導入遺伝子に作動可能に連結され得る。胚の操作およびマイクロインジェクションを介するトランスジェニック動物(特に、マウスのような動物)を作製するための方法は、当該分野で慣習的になっており、そして例えば、米国特許第4,736,866号;同第4,870,009号;および同第4,873,191号;ならびにHogan 1986、MANIPULATING THE MOUSE EMBRYO,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.に記載されている。同様の方法が、他のトランスジェニック動物の作製のために使用される。トランスジェニック創始(founder)動物は、そのゲノムにおけるNOVX導入遺伝子の存在および/またはその動物の組織もしくは細胞中のNOVX mRNAの発現に基づいて同定され得る。次いで、トランスジェニック創始動物は、導入遺伝子を有するさらなる動物を育種するために使用され得る。さらに、NOVXタンパク質をコードする導入遺伝子を有するトランスジェニック動物は、さらに、他の導入遺伝子を有する他のトランスジェニック動物に交雑され得る。
【0347】
相同組換え動物を作製するために、NOVX遺伝子の少なくとも一部を含むベクターを調製する。ここで、この遺伝子は、欠失、付加、または置換が導入され、それによってそのNOVX遺伝子が変更されている(例えば、機能的に破壊されている)。NOVX遺伝子は、ヒト遺伝子(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のcDNA)であり得るが、より好ましくは、ヒトのNOVX遺伝子の非ヒトホモログである。例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および33のヒトのNOVX遺伝子のマウスホモログは、マウスゲノムにおける内因性のNOVX遺伝子を変更するのに適切な相同組換えベクターを構築するために使用され得る。1つの実施形態において、そのベクターは、相同組換えに際して、その内因性のNOVX遺伝子が、機能的に破壊されるように設計される(すなわち、機能的タンパク質をもはやコードしない;「ノックアウト」ベクターともいわれる)。
【0348】
あるいは、このベクターは、相同組換えに際して、内因性NOVX遺伝子が変異されるか、あるいはさもなければ、変更されるが、なお機能性タンパク質をコードするように、設計され得る(例えば、上流の調節領域が変更され、それによって内因性NOVXタンパク質の発現を変更し得る)。相同組換えベクターにおいて、NOVX遺伝子の変更された部分は、NOVX遺伝子のさらなる核酸によって、その5’末端および3’末端で隣接されることにより、相同組換えが、ベクターによって保有される外因性NOVX遺伝子と胚性幹細胞中の内因性NOVX遺伝子との間で起こることを可能にする。さらなる隣接するNOVX核酸は、内因性遺伝子との首尾よい相同組換えのために十分な長さである。典型的に、数キロベースの隣接DNA(5’末端および3’末端の両方における)が、ベクターに含まれる。例えば、相同組換えベクターの説明について、Thomasら(1987)Cell 51:503を参照のこと。次いで、このベクターは、(例えば、エレクトロポレーションによって)胚性幹細胞株に導入され、そして導入されたNOVX遺伝子が内因性NOVX遺伝子と相同組換えした細胞が、選択される。例えば、Liら(1992)Cell 69:915を参照のこと。
【0349】
次いで、選択された細胞が、動物(例えば、マウス)の胚盤胞へ注入され、凝集キメラを形成する。例えば、Bradley(1987)のTERATOCARCINOMAS AND EMBRYONIC STEM CELLS:A PRACTICAL APPROACH、Robertson編、IRL、Oxford、113頁〜152頁を参照のこと。次いで、キメラ胚が、適切な偽妊娠雌性養育動物に移植され得、そしてその胚は分娩に到る。その生殖細胞中に相同組換えされたDNAを保有する子孫が、動物を育種するために使用され得、ここでこの動物の全ての細胞は、導入遺伝子の生殖系列伝達によって、相同組換えされたDNAを含む。相同組換えベクターおよび相同組換え動物を構築するための方法が、さらに以下に記載される;Bradley(1991)Curr.Opin.Biotechnol.2:823−829;PCT国際公開番号:WO90/11354;WO91/01140;WO92/0968;およびWO93/04169。
【0350】
別の実施形態において、導入遺伝子の調節された発現を可能にする選択された系を含む非ヒトトランスジェニック動物が産生され得る。このような系の1つの例は、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系である。cre/loxPリコンビナーゼ系の説明については、例えば、Laksoら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:6232−6236を参照のこと。リコンビナーゼ系の別の例は、Saccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系である。O’Gormanら(1991)Science 251:1351−1355を参照のこと。cre/loxPリコンビナーゼ系が導入遺伝子の発現を調節するために使用される場合、Creリコンビナーゼおよび選択されたタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含む動物が必要となる。このような動物は、例えば、2つのトランスジェニック動物(一方は選択されたタンパク質をコードした導入遺伝子を含み、他方はリコンビナーゼをコードした導入遺伝子を含む)を交配することによる「二重の」トランスジェニック動物の構築によって提供され得る。
【0351】
本明細書中に記載される非ヒトトランスジェニック動物のクローンがまた、Wilmutら(1997)Nature 385:810−813に記載される方法に従って、産生され得る。簡単には、トランスジェニック動物からの細胞(例えば、体細胞)が単離され得、そして増殖サイクル(growth cycle)から出て、G期に入るように誘導され得る。次いで、静止性細胞が、例えば、電気パルスの使用により、その静止性細胞が単離されたのと同種の動物から除核された卵母細胞へ融合され得る。次いで、この再構築された卵母細胞は培養され、これにより、これは桑実胚または未分化胚芽細胞に発達し、次いで、偽妊娠雌性養育動物に移される。この雌性養育動物から産まれた子孫は、その細胞(例えば、その体細胞)が単離された動物のクローンである。
【0352】
(薬学的組成物)
本発明のNOVX核酸分子、NOVXタンパク質、および抗NOVX抗体(これはまた、本明細書中で、「活性化合物」とも呼ばれる)、ならびにそれらの誘導体、フラグメント、アナログ、およびホモログが、投与に適した薬学的組成物に組み込まれ得る。このような組成物は、典型的に、核酸分子、タンパク質または抗体、および薬学的に受容可能なキャリアを含む。本明細書中で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」は、薬学的な投与に適合性の任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤(delaying agent)などを含むことが意図される。適切なキャリアは、Remington’s Pharmaceutical Sciences(当該分野の標準的参考文献であって、本明細書中に参考として援用される)の最新版に記載される。このようなキャリアまたは希釈剤の好ましい例としては、水、生理食塩水、フィンガー(finger)溶液、デキストロース溶液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソームおよび非水性ビヒクル(例えば、不揮発性油)もまた、使用され得る。薬学的に活性な物質に対するこのような媒体および薬剤の使用は、当該分野で周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるその使用が意図される。補助的な活性化合物もまた、組成物へ組み込まれ得る。
【0353】
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように処方される。投与経路の例には、非経口(例えば、静脈内、皮内、皮下)投与、経口(例えば、吸入)投与、経皮(すなわち、局所的)投与、経粘膜(transmucosal)投与、および直腸投与が挙げられる。非経口適用、皮内適用または皮下適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含み得る:注射用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような、滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような、抗菌剤;アスコルビン酸または重亜硫酸ナトリウムのような、抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような、キレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはデキストロースのような、張度の調整のための薬剤。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムのような酸または塩基で調整され得る。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または多用量のバイアル中に入れられ得る。
【0354】
注入用途に適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散物、および滅菌注入可能溶液または分散物の即座の調製のための滅菌粉末を含む。静脈内投与において、適切なキャリアには、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。全ての場合において、組成物は、無菌でなければならず、そして容易な注入性(syringeability)が存在する程度に流動性であるべきである。これは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして、細菌および真菌のような微生物の汚染行為に対して保護されなければならない。このキャリアは、例えば、以下を含む溶媒または分散媒であり得る:水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)ならびにそれらの適切な混合物。適切な流動性が、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散物の場合には、要求される粒子サイズを維持することによって、および界面活性剤を使用することによって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど)によって達成され得る。多くの場合、組成物中に等張剤(例えば、糖、ポリアルコール(例えば、マンニトール(manitol)、ソルビトール)、塩化ナトリウム)を含むことが好ましい。注入可能組成物の吸収期間の延長は、組成物に吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を含ませることによってもたらされ得る。
【0355】
滅菌注射可能溶液は、必要量の活性化合物(例えば、NOVXタンパク質または抗NOVX抗体)を、適切な溶媒中で、必要な場合、上記で列挙される成分の1つまたは組み合わせと共に組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製され得る。一般的に、分散物は、活性化合物を、基本(basic)の分散媒と上記で列挙される成分から必要とされる他の成分とを含む滅菌ビヒクル中へ組み込むことによって調製される。滅菌注射可能液剤の調製のための滅菌粉末の場合において、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥であり、これにより、予め滅菌濾過されたその溶液から活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0356】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。これらは、ゼラチンカプセルに封入され得るか、または錠剤へと圧縮され得る。経口治療投与の目的のために、この活性化合物は、賦形剤とともに組み込まれ得、そして錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態で使用され得る。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のために流体キャリアを使用して調製され得、ここで、この流体キャリア中のこの化合物は、経口的に適用され、そして音を立てられ(swish)、そして吐き出されるか、または飲み込まれる。薬学的に適合性の結合剤、および/またはアジュバント物質が、この組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などが、任意の以下の成分または同様の性質を有する化合物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶セルロース、ガムトラガントまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、またはコーンスターチ);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステロテス(Sterotes));潤滑剤(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);あるいは香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバー)。
【0357】
吸入による投与について、この化合物は、適切な噴霧剤(例えば、二酸化炭素のような気体)を含む加圧容器またはディスペンサー、あるいは噴霧器から、エアロゾル噴霧の形態で送達される。
【0358】
全身的投与はまた、経粘膜手段または経皮手段により得る。経粘膜投与または経皮投与について、浸透される障壁に適切な浸透剤が、処方物において使用される。このような浸透剤は、一般的に、当該分野で公知であり、そして、例えば、経粘膜投与については、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、鼻噴霧または坐剤の使用によって達成され得る。経皮投与については、活性化合物は、当該分野で一般的に公知である軟膏剤(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、またはクリーム剤へ処方される。
【0359】
この化合物はまた、直腸送達のための坐剤(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような従来の坐剤基剤と共に)または貯留(rentention)浣腸の形態で調製され得る。
【0360】
1つの実施形態において、活性化合物は、身体からの急速な排出に対してこの化合物を保護するキャリアを用いて調製され(例えば、制御放出処方物)、これには、移植片およびマイクロカプセル化された送達系が挙げられる。酢酸エチレンビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸のような、生分解性、生体適合性ポリマーが使用され得る。このような処方物の調製のための方法は、当業者には明らかである。これらの物質はまた、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手され得る。リポソーム懸濁物(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を感染させた細胞へ標的化されるリポソームを含む)もまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
【0361】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で、経口組成物または非経口組成物を処方することが、特に有益である。本明細書で使用される投薬単位形態は、処置される被験体に対する単位投薬量として適切な物理的に個々の単位をいい;各単位は、必要とされる薬学的キャリアと共に所望の治療的効果を生じるように計算された、所定量の活性化合物を含む。本発明の投薬単位形態についての詳細は、活性化合物の固有の特徴、および達成される特定の治療効果、ならびに個体の処置のためのこのような活性化合物を調合する分野に固有の制限によって決定されるか、あるいはこれらに直接依存する。
【0362】
本発明の核酸分子は、ベクターに挿入され得、そして遺伝子治療ベクターとして使用され得る。遺伝子治療ベクターは、被験体へ、例えば静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号を参照のこと)によって、または定位注射(例えば、Chenら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)によって送達され得る。遺伝子治療ベクターの薬学的調製物は、受容可能な希釈剤中の遺伝子治療ベクターを含み得るか、または遺伝子送達ビヒクルが組み込まれる除放性マトリックスを含み得る。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターが組換え細胞からインタクトで産生され得(例えば、レトロウイルスベクター)、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1以上の細胞を含み得る。
【0363】
薬学的組成物は、投与のための使用説明書と共に、容器、包装、またはディスペンサーに含まれ得る。
【0364】
(スクリーニングおよび検出の方法)
本発明の単離された核酸分子は、以下にさらに説明されるように、NOVXタンパク質を(例えば、遺伝子治療適用における宿主細胞中の組換え発現ベクターを介して)発現するため、NOVX mRNA(例えば、生物学的サンプルにおいて)またはNOVX遺伝子における遺伝子損傷を検出するため、ならびにNOVX活性を調節するために使用され得る。さらに、NOVXタンパク質は、NOVXタンパク質の活性または発現を調節する薬物または化合物をスクリーニングするために、ならびにNOVXタンパク質の不十分もしくは過剰な産生によって、あるいはNOVX野生型タンパク質と比較して減少した活性もしくは異常な活性を有するNOVXタンパク質形態の産生によって特徴付けられる障害を処置するために使用され得る(例えば、糖尿病(インスリン放出を調節);肥満(脂質に結合し輸送する);肥満に関連した代謝障害、代謝症候群X、ならびに拒食症、および、慢性疾患および種々の癌に関連した消耗性障害、および感染性疾患(抗菌活性を有する)、および種々の異脂肪血症)。さらに、本発明の抗NOVX抗体が、NOVXタンパク質を検出および単離するため、ならびにNOVX活性を調節するために使用され得る。さらなる局面において、本発明を、正の様式および負の様式の両方で、食欲、栄養吸収、および代謝物の廃棄に影響する方法で用い得る。
【0365】
本発明は、さらに、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイによって同定される新規の薬剤、および上記で本明細書中で記載されるような処置のためのそれらの使用に関する。
【0366】
(スクリーニングアッセイ)
本発明は、調節因子、すなわち、NOVXタンパク質に結合するか、あるいは例えば、NOVXタンパク質の発現またはNOVXタンパク質の活性に対して刺激効果または阻害効果を有する、候補または試験化合物または因子(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子または他の薬物)を同定するための方法(本明細書中において「スクリーニングアッセイ」とも称される)を提供する。本発明はまた、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイにおいて同定された化合物を含む。
【0367】
1つの実施形態において、本発明は、NOVXタンパク質またはポリペプチド、あるいはその生物学的に活性な部分の膜結合形態に結合するか、またはその膜結合形態の活性を調節する、候補化合物もしくは試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。本発明の試験化合物は、当該分野において公知のコンビナトリアルライブラリー法における多数のアプローチのいずれかを使用して得られ得、これには、以下が挙げられる:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な並行固相もしくは溶液相ライブラリー;逆重畳を要する合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法。生物学的ライブラリーアプローチはペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つのアプローチは、ペプチド、非ペプチドオリゴマーもしくは化合物の低分子ライブラリーに適用可能である。例えば、Lam(1997)Anticancer Drug Design 12:145を参照のこと。
【0368】
本明細書中で使用される場合、「低分子」とは、約5kD未満の分子量、最も好ましくは約4kD未満の分子量を有する組成物をいうように意味される。低分子は、例えば、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣体、炭水化物、脂質または他の有機分子もしくは無機分子であり得る。化学的および/または生物学的混合物(例えば、真菌、細菌または藻類抽出物)のライブラリーは、当該分野で公知であり、そして本発明のアッセイのいずれかを用いてスクリーニングされ得る。
【0369】
分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当該分野において、例えば以下に見出され得る:DeWittら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6909;Erbら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:11422;Zuckermannら(1994)J.Med.Chem.37:2678;Choら(1993)Science 261:1303;Carrellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2059;Carellら(1994)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.33:2061;およびGallopら(1994)J.Med.Chem.37:1233。
【0370】
化合物のライブラリーは、溶液中で(例えば、Houghten(1992)Biotechniques 13:412〜421)、あるいはビーズ上(Lam(1991)Nature 354:82〜84)、チップ上(Fodor(1993)Nature 364:555〜556)、細菌(Ladner 米国特許第5,223,409号)、胞子(Ladner 米国特許第5,233,409号)、プラスミド(Cullら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:1865〜1869)またはファージ上(ScottおよびSmith(1990)Science 249:386〜390;Devlin(1990)Science 249:404〜406;Cwirlaら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:6378〜6382;Felici(1991)J.Mol.Biol.222:301〜310;Ladner、米国特許第5,233,409号)において提示され得る。
【0371】
1つの実施形態において、アッセイは細胞ベースのアッセイであり、ここで、膜結合形態のNOVXタンパク質、またはその生物学的に活性な部分を細胞表面上に発現する細胞が、試験化合物と接触され、そしてこの試験化合物が、NOVXタンパク質に結合する能力が、決定される。例えば、細胞は、哺乳動物起源または酵母細胞であり得る。この試験化合物がNOVXタンパク質に結合する能力の決定は、例えば、その試験化合物を放射性同位体または酵素標識とカップリングさせて、その結果、この試験化合物のNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分に対する結合が、複合体におけるその標識化合物を検出することによって決定され得ることによって達成され得る。例えば、試験化合物は、125I、35S、14C、またはHで直接的または間接的のいずれかで標識され得、そしてその放射性同位体が、放射線放射の直接の計数により、またはシンチレーション計数により、検出され得る。あるいは、試験化合物は、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識され得、そしてこの酵素的標識が、適切な基質の生成物への転換を決定することにより、検出され得る。1つの実施形態において、このアッセイは、膜結合形態のNOVXタンパク質、またはその生物学的に活性な部分をその細胞表面上に発現する細胞を、NOVXと結合する既知の化合物と接触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物に試験化合物を接触させる工程、ならびにこの試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、この試験化合物が、この既知の化合物と比較して、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する能力を決定する工程を包含する。
【0372】
別の実施形態において、アッセイは、細胞ベースのアッセイであり、これは、膜結合形態のNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を細胞表面上で発現する細胞を、試験化合物と接触させる工程、ならびにこの試験化合物が、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物が、NOVXまたはその生物学的に活性な部分の活性を調節する能力の決定は、例えば、NOVXタンパク質が、NOVX標的分子に結合またはこれら標的分子と相互作用する能力を決定することによって、達成され得る。本明細書中において使用する場合には、「標的分子」とは、NOVXタンパク質が天然に結合または相互作用する分子であり、例えば、NOVX相互作用タンパク質を発現する細胞表面上の分子、第二の細胞表面上の分子、細胞外環境中の分子、細胞膜の内面と会合する分子、または細胞質分子である。NOVX標的分子は、非NOVX分子あるいは本発明のNOVXタンパク質またはポリペプチドであり得る。1つの実施形態において、NOVX標的分子は、シグナル伝達経路の構成要素であり、これは、細胞膜を通る細胞内への細胞外シグナル(例えば、化合物が膜結合NOVX分子に結合することにより発生するシグナル)の伝達を促進する。その標的は、例えば、触媒活性を有する第二の細胞内タンパク質、または下流シグナル伝達分子のNOVXとの会合を容易にするタンパク質であり得る。
【0373】
NOVXタンパク質がNOVX標的分子に結合するかまたはその標的分子と相互作用する能力の決定は、直接的結合を決定するための上記方法の1つにより、達成され得る。1つの実施形態において、NOVXタンパク質がNOVX標的分子に結合するかまたはその標的分子と相互作用する能力の決定は、その標的分子の活性を決定することにより、達成され得る。例えば、この標的分子の活性は、その標的の細胞性セカンドメッセンジャー(すなわち、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IPなど)の誘導を検出すること、適切な基質への標的の触媒活性/酵素活性を検出すること、レポーター遺伝子(検出可能なマーカー(例えば、ルシフェラーゼ)をコードする核酸に作動可能に連結されたNOVX応答性調節エレメントを含む)の誘導を検出すること、または細胞応答(例えば、細胞生存度、細胞分化、または細胞増殖)を検出することにより、決定され得る。
【0374】
なお別の実施形態において、本発明のアッセイは、無細胞(cell−free)アッセイであり、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物に接触させる工程、ならびにその試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分と結合する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物の、NOVXタンパク質への結合は、上記のように、直接的または間接的にのいずれかで決定され得る。1つのこのような実施形態において、このアッセイは、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を、NOVXに結合する既知の化合物に接触させて、アッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物を試験化合物に接触させる工程、ならびにその試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程は、この試験化合物が、既知の化合物と比較して、NOVX、またはその生物学的に活性な部分と優先的に結合する能力を決定する工程を包含する。
【0375】
なお別の実施形態において、アッセイは、無細胞アッセイであり、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を試験化合物と接触させる工程、ならびにその試験化合物がNOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分の活性を調節(例えば、刺激または阻害)する能力を決定する工程を包含する。この試験化合物がNOVXの活性を調節する能力の決定は、例えば、NOVXタンパク質が、NOVX標的分子に結合する能力を、直接的結合の決定のための上記方法の1つによって決定することにより、達成され得る。代替の実施形態において、この試験化合物がNOVXタンパク質の活性を調節する能力の決定は、NOVXタンパク質が、NOVX標的分子をさらに調節する能力を決定することにより、達成され得る。例えば、この標的分子の適切な基質に対する触媒活性/酵素活性は、上記のように決定され得る。
【0376】
さらに別の実施形態において、無細胞アッセイは、NOVXタンパク質またはその生物学的に活性な部分を、NOVXタンパク質を結合する既知の化合物に接触させてアッセイ混合物を形成する工程、このアッセイ混合物を試験化合物と接触させる工程、ならびにこの試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力を決定する工程を包含し、ここで、この試験化合物がNOVXタンパク質と相互作用する能力の決定は、NOVXタンパク質が、NOVX標的分子と優先的に結合するか、またはその標的分子の活性を優先的に調節する能力を決定する工程を包含する。
【0377】
本発明の無細胞アッセイは、NOVXタンパク質の、可溶性の形態または膜結合形態の両方の使用に受け入れられる。膜結合形態のNOVXタンパク質を含む無細胞アッセイの場合には、膜結合形態のNOVXタンパク質が溶液中に維持されるように、可溶化剤を利用することが所望され得る。このような可溶化剤の例には、非イオン性界面活性剤、(例えば、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Thesit(登録商標)、イソトリデシポリ(エチレングリコールエーテル)(Isotridecypoly(ethylene glycol ether)、N−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアンミニオール−1−プロパンスルホネート(3−(3−cholamidopropyl)dimethylamminiol−1−propane sulfonate)(CHAPS)、または3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアンミニオール−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(3−(3−cholamidopropyl)dimethylamminiol−2−hydroxy−1−propane sulfonate)(CHAPSO))が挙げられる。
【0378】
本発明の上記アッセイ方法の1つより多い実施形態において、NOVXタンパク質またはその標的分子のいずれかを固定して、そのタンパク質の一方または両方の非複合形態からの複合形態の分離を促進し、そしてそのアッセイの自動化に適合させることが、所望され得る。試験化合物の、NOVXタンパク質への結合、または候補化合物の存在下および非存在下での、NOVXタンパク質の標的分子との相互作用は、これらの反応物を収容するために適切な任意の容器内で、達成され得る。このような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管、および微小遠心管が挙げられる。1実施形態において、そのタンパク質の一方または両方がマトリックスに結合することを可能にするドメインを付加する融合タンパク質が、提供され得る。例えば、GST−NOVX融合タンパク質またはGST標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical、St.Louis、MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着され得、次いでこれらは、試験化合物と合わせられるか、あるいは試験化合物および未吸着標的タンパク質またはNOVXタンパク質のいずれかと合わせられ、そしてこの混合物が、複合体形成を誘導する条件下(例えば、塩およびpHに関して生理学的条件)でインキュベートされる。インキュベーション後、ビーズまたはマイクロタイタープレートウェルを洗浄して、結合していないあらゆる成分を除去し、ビーズの場合にはマトリックスを固定し、例えば上記のように、複合体を直接的または間接的のいずれかで決定する。あるいは、複合体がマトリックスから解離され得、そしてNOVXタンパク質の結合レベルまたは活性レベルを、標準的な技術を使用して決定し得る。
【0379】
タンパク質をマトリックスに固定するための他の技術もまた、本発明のスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。例えば、NOVXタンパク質、またはその標的分子のいずれかが、ビオチンとストレプトアビジンとの結合を利用して、固定され得る。ビオチン化NOVXタンパク質、または標的分子は、当該分野において周知の技術を使用して、ビオチン−NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)から調製され得(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals、Rockford、Ill.)、そしてストレプトアビジンでコーティングした96ウェルのプレート(Pierce Chemical)のウェルに固定され得る。あるいは、NOVXタンパク質、または標的分子と反応性であるがNOVXタンパク質のその標的分子への結合を妨害しない抗体が、そのプレートのウェルに誘導体化され得、そして結合していない標的またはNOVXタンパク質が、抗体の結合によってウェル内に捕捉され得る。このような複合体を検出するための方法には、GST固定複合体に関しての上記で述べた方法に加えて、NOVXタンパク質または標的分子と反応性の抗体を使用する、複合体の免疫検出、ならびにNOVXタンパク質、または標的分子に関する酵素活性の検出に依存する酵素結合アッセイが挙げられる。
【0380】
別の実施形態において、NOVXタンパク質発現のモジュレーターは、細胞を候補化合物と接触させ、そして細胞中のNOVX mRNAまたはタンパク質の発現を決定する方法において同定される。候補化合物の存在下でのNOVX mRNAまたはタンパク質の発現レベルは、候補化合物の非存在下でのNOVX mRNAまたはタンパク質の発現レベルと比較される。次いで、候補化合物は、この比較に基づいて、NOVX mRNAまたはタンパク質発現のモジュレーターとして同定され得る。例えば、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりも、その存在下における方が大きい(すなわち、統計的に有意に大きい)場合、この候補化合物は、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現の刺激物質として同定される。あるいは、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現が、候補化合物の非存在下よりもその存在下の方が少ない(統計的に有意に少ない)場合、この候補化合物は、NOVX mRNAまたはタンパク質の発現のインヒビターとして同定される。細胞中のNOVX mRNAまたはタンパク質の発現レベルは、NOVX mRNAまたはタンパク質を検出するために本明細書中に記載の方法によって決定され得る。
【0381】
本発明のなお別の局面において、NOVXタンパク質は、ツーハイブリッドアッセイまたはスリーハイブリッドアッセイにおいて「ベイト(bait)タンパク質」として使用され得(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72:223−232;Maduraら、1993 J.Biol.Chem.268:12046−12054;Bartelら、1993 Biotechniques 14:920−924;Iwabuchiら、1993 Oncogene 8:1693−1696;およびBrent WO94/10300を参照のこと)、NOVX(「NOVX結合タンパク質」または「NOVX−bp」)に結合するか、またはこれと相互作用し、そしてNOVX活性を調節する他のタンパク質を同定し得る。このようなNOVX結合タンパク質はまた、例えば、NOVX経路の上流または下流エレメントとしてNOVXタンパク質によるシグナル伝達に関与する可能性がある。
【0382】
ツーハイブリッドシステムは、分離可能なDNA結合ドメインおよび活性化ドメインからなる、大部分の転写因子のモジュール的性質に基づく。簡潔には、このアッセイは、2つの異なるDNA構築物を利用する。一方の構築物においては、NOVXをコードする遺伝子が既知の転写因子(例えば、GAL−4)のDNA結合ドメインをコードする遺伝子に融合される。他方の構築物においては、DNA配列のライブラリー由来の、未同定タンパク質(「プレイ(prey)」または「サンプル」)をコードするDNA配列が、既知の転写因子の活性化ドメインをコードする遺伝子に融合される。「ベイト」および「プレイ」タンパク質がインビボで相互作用して、NOVX依存性複合体を形成し得る場合、この転写因子のDNA結合ドメインおよび活性化ドメインは、非常に近くにある。近位にあることにより、転写因子に応答性の転写調節部位に作動可能に連結されたレポーター遺伝子(例えば、LacZ)の転写が可能となる。レポーター遺伝子の発現が検出され得、そして機能的転写因子を含む細胞コロニーが、単離され得、そしてNOVXと相互作用するタンパク質をコードするクローニングされた遺伝子を得るために使用され得る。
【0383】
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイにより同定される新規な薬剤(因子)および本明細書中に記載されるような処置のためのこの薬剤(因子)の使用に関する。
【0384】
(検出アッセイ)
本明細書中で同定されるcDNA配列の一部またはフラグメント(および対応する完全な遺伝子配列)は、ポリヌクレオチド試薬として多くの方法で使用され得る。例えば、これらの配列を使用して、(i)染色体上にそれぞれの遺伝子をマッピングし得;従って遺伝病と関連する遺伝子領域を位置決定し得る;(ii)微量の生物学的サンプルから個体を同定し得る(組織型決定);および(iii)生物学的サンプルの法医学的識別を助け得るが、これに限定されない。これらの適用のいくつかは、以下の節において記載される。
【0385】
(染色体マッピング)
一旦、遺伝子の配列(または配列の一部分)が単離されると、この配列を用いて染色体上に遺伝子の位置をマッピングし得る。このプロセスは、染色体マッピングとよばれる。従って、NOVX配列の一部またはフラグメント、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、および33、またはそのフラグメントもしくは誘導体を用いて、それぞれ、NOVX遺伝子の位置を染色体上にマッピングし得る。NOVX配列を染色体にマッピングすることは、これらの配列と、疾患と関連する遺伝子とを相関付ける際の重要な第1工程である。
【0386】
簡潔には、NOVX遺伝子は、NOVX配列からPCRプライマー(好ましくは、15〜25bpの長さ)を調製することにより染色体にマッピングされ得る。NOVX配列のコンピューター分析を用いて、ゲノムDNAにおける1つを超えるエキソンにまたがらないプライマーを迅速に選択し得、従って、増幅プロセスを複雑にし得る。次いで、これらのプライマーは、個々のヒト染色体を含む体細胞ハイブリッドのPCRスクリーニングのために使用され得る。NOVX配列に対応するヒト遺伝子を含むハイブリッドのみが増幅されたフラグメントを生じる。
【0387】
体細胞ハイブリッドは、異なる哺乳動物由来の体細胞(例えば、ヒトおよびマウス細胞)を融合することにより調製される。ヒトおよびマウスの細胞のハイブリッドが増殖および分裂するにつれ、それらは、無作為な順序で徐々にヒト染色体を失うが、マウス染色体を維持する。マウス細胞は増殖できないが(マウス細胞は、特定の酵素を欠いているため)、ヒト細胞は増殖できる培地を使用することにより、必要な酵素をコードする遺伝子を含む1つのヒト染色体が維持される。種々の培地を使用することによって、ハイブリッド細胞株のパネルが確立され得る。パネルにおける各細胞株は、単一のヒト染色体または少数のヒト染色体いずれかおよびマウス染色体の完全なセットを含み、これにより、個々の遺伝子を特定のヒト染色体に容易にマッピングすることが可能になる。例えば、D’Eustachioら(1983)Science 220:919−924を参照のこと。ヒト染色体のフラグメントのみを含む体細胞ハイブリッドはまた、転座および欠失を伴うヒト染色体を使用することにより生成され得る。
【0388】
体細胞ハイブリッドのPCRマッピングは、特定の染色体に特定の配列を割り当てるための迅速な手順である。1つのサーマルサイクラーを用いて一日に3つ以上の配列が割り当てられ得る。NOVX配列を使用して、オリゴヌクレオチドプライマーを設計すると、下位位置決定(sublocalization)は、特定の染色体由来のフラグメントのパネルを用いて達成され得る。
【0389】
中期染色体スプレッドに対するDNA配列の蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)をさらに使用して、一工程で正確な染色体位置を提供し得る。染色体スプレッドは、コルセミド(紡錘体を破壊する)のような化学物質により分裂が中期においてブロックされた細胞を使用して行われ得る。この染色体は、トリプシンで短時間処理され得、次いで、ギムザ染色され得る。薄いバンドおよび濃いバンドのパターンが各染色体で発生し、その結果、この染色体は、個々に同定され得る。FISH技術は、500または600塩基ほどの短さのDNA配列と共に使用され得る。しかし、1,000塩基より大きなクローンは、簡単な検出に十分なシグナル強度で、独特の染色体位置に結合する可能性がより高い。好ましくは、1,000塩基、そしてより好ましくは、2,000塩基が妥当な時間量で良好な結果を得るために十分である。この技術の総説については、Vermaら、HUMAN CHROMOSOMES:A MANUAL OF BASIC TECHNIQUES(Pergamon Press,New York 1988)を参照のこと。
【0390】
染色体マッピングの試薬は、単一の染色体またはその染色体上の単一部位を印付けするために個々に使用され得るか、または試薬のパネルは複数部位および/または複数染色体を印付けするために使用され得る。遺伝子の非コード領域に対応する試薬は、実際に、マッピング目的のために好ましい。コード配列は、遺伝子ファミリー内に保存されており、従って、染色体マッピングの間に交叉ハイブリダイゼーションの機会が増大する可能性が高い。
【0391】
一旦、配列が正確な染色体位置にマッピングされると、その染色体上の配列の物理的位置は、遺伝子マップデータと相関付けられ得る。このようなデータは、例えば、McKusick,MENDELIAN INHERITANCE IN MAN(Johns Hopkins University Welch Medical Libraryを通じてオンラインで入手可能)において見いだされる。次いで、同じ染色体領域にマッピングされる遺伝子と疾患との間の関係は、例えば、Egelandら(1987)Nature,325:783−787に記載される連鎖分析(物理的に隣接する遺伝子の同時遺伝)を介して同定され得る。
【0392】
さらに、NOVX遺伝子と関連する疾患に罹患した個体と、この疾患に罹患していない個体との間のDNA配列における差異が決定され得る。罹患した個体のいくらかまたは全てにおいて変異が認められるが、非罹患個体のいずれにおいても認められない場合、この変異は特定の疾患の候補薬剤(因子)である可能性が高い。罹患個体と非罹患個体の比較は、一般に、染色体における構造的変化(例えば、染色体スプレッドから可視であるか、またはそのDNA配列に基づいたPCRを用いて検出可能な欠失または転座)を最初に探すことを包含する。最終的に、いくらかの個体に由来する遺伝子の完全な配列決定を行って、変異の存在を確認し、かつ多型に由来する変異を区別し得る。
【0393】
(組織型決定(tissue typing))
本発明のNOVX配列はまた、わずかな生物学的サンプルから個体を識別するために使用され得る。この技術において、個体のゲノムDNAは、1つ以上の制限酵素で消化され、そして同定のために独特のバンドを生成するためにサザンブロット上でプローブされる。本発明の配列は、RFLP(米国特許第5,272,057号に記載の「制限フラグメント長多型」)のためのさらなるDNAマーカーとして有用である。
【0394】
さらに、本発明の配列を用いて、個体のゲノムの選択された部分について実際の塩基ごとにDNA配列を決定する代替的技術を提供し得る。従って、本明細書中に記載のNOVX配列を用いて、配列の5’末端および3’末端から2つのPCRプライマーを調製し得る。次いで、これらのプライマーを使用して、個体のDNAを増幅し得、引き続いて、配列決定し得る。
【0395】
この様式で調製された個体由来の対応するDNA配列のパネルは、各個体が、対立遺伝子差異に起因するこのようなDNA配列の独特のセットを有するので、独特の個体識別を提供し得る。本発明の配列は、個体由来および組織由来の配列のこのような識別を得るために使用され得る。本発明のNOVX配列は、ヒトゲノムの部分を独特に表す。対立遺伝子バリエーションは、これらの配列のコード領域においてある程度生じ、そして非コード領域においてより大きな程度に生じる。個々のヒト間での対立遺伝子バリエーションは、各500塩基につき約1回の頻度で生じると見積もられる。対立遺伝子バリエーションの多さは、制限フラグメント長多型(RFLP)を含む一塩基多型(SNP)に起因する。
【0396】
本明細書中に記載の配列の各々は、ある程度、標準物質(これに対して個体からのDNAが識別の目的で比較され得る)として使用され得る。より多くの多型が非コード領域で生じるので、個体を区別するために、それほど多くの配列が必要であるわけではない。非コード配列は、おそらく10〜1,000プライマーのパネルを用いてポジティブな個体識別を不自由なく提供し得る。これらのプライマーは、各々が100塩基の増幅された非コード配列を生じる。推定コード配列(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、および33における配列)が使用される場合、ポジティブな個体識別に関するプライマーのより適切な数は、500〜2,000である。
【0397】
(予測医療)
本発明はまた、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノム(pharmacogenomics)およびモニタリング臨床試験が、予後(予測)の目的に使用され、これによって個体を予防的に処置する、予測医療の分野に関する。従って、本発明の1つの局面は、生物学的サンプル(例えば、血液、血清、細胞、組織)の場合においては、NOVXタンパク質および/または核酸の発現、ならびにNOVXの活性を決定するための診断アッセイに関し、これによって、異常なNOVXの発現または活性に関連して、個体が疾患または障害に罹患するかどうか、あるいは障害を発症するリスクがあるかどうかを決定する。この障害としては、代謝障害、糖尿病、肥満症、感染症、食欲不振、癌関連悪液質、癌、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、および造血障害、ならびに種々の異常脂肪性浮腫(dyslipidemias)、肥満に関連する代謝障害、X代謝症候群(metabolic syndrome X)、ならびに慢性疾患および種々の癌と関連する消耗疾患。本発明はまた、個体が、NOVXのタンパク質、核酸の発現または活性と関連した障害を発症するリスクがあるかどうかを決定するための予後的(または予測的)アッセイを提供する。例えば、NOVXの遺伝子における変異が、生物学的サンプルにおいてアッセイされ得る。このようなアッセイは、予後的または予測的な目的に使用され、これによってNOVXのタンパク質、核酸の発現または生物学的活性によって特徴付けられるかまたは関連した障害の発病の前に、個体を予防的に処置し得る。
【0398】
本発明の別の局面は、個体におけるNOVXのタンパク質、核酸の発現または活性を決定するための方法を提供し、これによって、その個体についての適切な治療的または予防的試薬(本明細書において「薬物ゲノム」とよばれる)を選択する。薬物ゲノムは、個体の遺伝型(例えば、特定の因子に対して応答する個体の能力を決定するために試験された個体の遺伝型)に基づいて、個体の治療的または予防的処置のための因子(例えば、薬物)の選択を可能にする。
【0399】
本発明のなお別の局面は、臨床試験におけるNOVXの発現または活性に対する因子(例えば、薬物、化合物)の影響をモニタリングすることに関する。
【0400】
これらおよび他の因子は、以下の節でさらに詳細に記載される。
【0401】
(診断アッセイ)
生物学的サンプルにおけるNOVXの存在または非存在を検出するための例示的な方法は、試験被験体から生物学的サンプルを得る工程、およびその生物学的サンプルをNOVXのタンパク質またはNOVXタンパク質をコードする核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)を検出し得る化合物もしくは薬剤(因子)とを接触させ、その結果、NOVXの存在が、その生物学的サンプルにおいて検出される工程を包含する。NOVX mRNAもしくはゲノムDNAを検出するための因子は、NOVX mRNAもしくはゲノムDNAにハイブリダイズし得る、標識された核酸プローブである。この核酸プローブは、例えば、全長のNOVXの核酸(例えば、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、および33の核酸またはそれらの一部)(例えば、少なくとも、15、30、50、100、250もしくは500ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、ストリンジェントな条件下でNOVX mRNAまたはゲノムDNAと特異的にハイブリダイズするに十分である核酸)であり得る。本発明の診断アッセイにおける使用のための他の適切なプローブは、本明細書において記載されている。
【0402】
NOVXタンパク質を検出するための薬剤(因子)は、NOVXタンパク質に結合し得る抗体であり、好ましくは、検出可能な標識を有する抗体である。抗体は、ポリクローナル抗体であり得るか、またはより好ましくはモノクローナル抗体であり得る。インタクトな抗体またはそのフラグメント(例えば、FabまたはF(ab’))が使用され得る。用語「標識(された)」とは、プローブまたは抗体に関して、検出可能な物質をそのプローブもしくは抗体にカップリングさせる(すなわち、物理的に連結する)ことによってそのプローブまたは抗体を直接標識すること、ならびに、直接標識された別の試薬との反応性によってそのプローブもしくは抗体の間接的な標識をすることを包含することが意図される。間接的な標識の例としては、蛍光標識された二次抗体を用いた一次抗体の検出、および蛍光標識されたストレプトアビジンを用いて検出され得るようにDNAプローブのビオチンを用いた末端標識が挙げられる。用語「生物学的サンプル」とは、被験体から単離された、組織、細胞および生物学的流体ならびに被験体に存在する組織、細胞および流体を含むことが意図される。すなわち、本発明の検出方法を用いて、NOVX mRNA、タンパク質またはゲノムDNAを、生物学的サンプル中で、インビトロおよびインビボで検出し得る。例えば、NOVX mRNAの検出のためのインビトロ技術としては、ノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。NOVXタンパク質の検出のためのインビトロ技術としては、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が挙げられる。NOVXのゲノムDNAを検出するためのインビトロ技術としては、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、NOVXタンパク質の検出のためのインビボ技術としては、標識された抗NOVX抗体を被験体に導入することが挙げられる。例えば、その抗体は、放射性マーカーを用いて標識され得る。被験体における放射性マーカーの存在および位置は、標準的な画像化技術によって検出され得る。
【0403】
1つの実施形態において、この生物学的サンプルは、その試験被験体由来のタンパク質分子を含む。あるいは、その生物学的サンプルは、その試験被験体由来のmRNA分子またはその試験被験体由来のゲノムDNA分子を含み得る。好ましい生物学的サンプルは、被験体から従来の手段によって単離された末梢血白血球サンプルである。
【0404】
別の実施形態において、本発明の方法はさらに、コントロール被験体からコントロール生物学的サンプルを得る工程、そのコントロールサンプルを、NOVXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAを検出し得る化合物もしくは薬剤(因子)と接触させ、その結果、NOVXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの存在がその生物学的サンプルにおいて検出される工程、およびそのコントロールサンプルにおけるNOVXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの存在と、その試験サンプルにおけるNOVXのタンパク質、mRNAもしくはゲノムDNAの存在とを比較する工程を包含する。
【0405】
本発明はまた、生物学的サンプルにおけるNOVXの存在を検出するためのキットを包含する。例えば、このキットは、以下を備え得る:生物学的サンプルにおいてNOVXのタンパク質またはmRNAを検出し得る、標識された化合物もしくは薬剤(因子);そのサンプルにおいてNOVXの量を決定するための手段;およびそのサンプルにおけるNOVXの量と標準とを比較するための手段。この化合物または薬剤は、適切な容器内に包装され得る。このキットは、さらに、NOVXのタンパク質または核酸を検出するためにキットを用いるための指示書を備え得る。
【0406】
(予後アッセイ)
本明細書において記載された診断方法をさらに利用して、NOVXの異常発現または異常活性に関連した疾患もしくは障害を有するか、またはその発症の危険性を有する被験体を同定し得る。例えば、本明細書に記載されるアッセイ(例えば、上述の診断アッセイまたは下記のアッセイ)を利用して、NOVXのタンパク質、核酸の発現または活性に関連する障害を有するかまたはその発症の危険性を有する被験体を同定し得る。あるいは、この予後アッセイを利用して、疾患または障害を有するかまたはその発症の危険性を有する被験体を同定し得る。従って、本発明は、NOVXの異常発現または異常活性に関連する疾患もしくは障害を同定するための方法を提供する。ここで、試験サンプルは、被験体から得られ、そしてNOVXのタンパク質または核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA)が検出され、ここで、NOVXのタンパク質または核酸の存在は、NOVXの異常発現または異常活性に関連する疾患または障害を有するかまたはその発症の危険性を有する被験体についての診断指標である。本明細書において使用される場合「試験サンプル」とは、目的の被験体から得られた生物学的サンプルをいう。例えば、試験サンプルは、生物学的流体(例えば、血清)、細胞サンプル、または組織であり得る。
【0407】
さらに、本明細書に記載される予後アッセイを使用して、被験体に薬剤(因子)(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣物、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の薬物候補)を投与してNOVXの異常発現または異常活性に関連する疾患または障害を処置し得るか否かを、決定し得る。例えば、このような方法を使用して、被験体が障害のための因子で有効に処置され得るか否かを決定し得る。従って、本発明は、NOVXの異常発現または異常活性に関連する障害のための因子を用いて、被験体が有効に処置され得るか否かを決定するための方法を提供する。ここで、試験サンプルが得られ、そしてNOVXのタンパク質または核酸が検出される(例えば、ここで、NOVXのタンパク質または核酸の存在は、この因子が投与されてNOVXの異常発現または異常活性に関連する障害が処置され得る被験体についての、診断指標である)。
【0408】
本発明の方法はまた、NOVX遺伝子における遺伝的損傷を検出し、それによって、その損傷遺伝子を有する被験体が異常な細胞増殖および/または分化によって特徴付けられる障害についての危険性を有するか否かを決定するためにも使用され得る。種々の実施形態において、この方法は、その被験体由来の細胞のサンプルにおいて、NOVXタンパク質をコードする遺伝子の完全性に影響を与える少なくとも1つの変更によって特徴付けられる遺伝的損傷の存在または非存在、あるいはNOVX遺伝子の誤発現を検出する工程を包含する。例えば、そのような遺伝的損傷は、以下の少なくとも1つの存在を確認することによって検出され得る:(i)NOVX遺伝子からの1つ以上のヌクレオチドの欠失;(ii)NOVX遺伝子への1つ以上のヌクレオチドの付加;(iii)NOVX遺伝子の1つ以上のヌクレオチドの置換、(iv)NOVX遺伝子の染色体再配置;(v)NOVX遺伝子のメッセンジャーRNA転写物のレベルにおける変更、(vi)NOVX遺伝子の異常改変(例えば、ゲノムDNAのメチル化パターンの異常改変)、(vii)NOVX遺伝子のメッセンジャーRNA転写物の非野生型スプライシングパターンの存在、(viii)NOVXタンパク質の非野生型レベル、(ix)NOVX遺伝子の対立遺伝子の欠失、ならびに(x)NOVXタンパク質の不適切な翻訳後修飾。本明細書において記載されるように、当該分野において、NOVX遺伝子における損傷を検出するために使用され得る、多数の公知のアッセイ技術が存在する。好ましい生物学的サンプルは、従来手段によって被験体から単離された末梢血白血球サンプルである。しかし、有核細胞を含む任意の生物学的サンプルが使用され得、これには、例えば、頬粘膜細胞が挙げられる。
【0409】
特定の実施形態において、損傷の検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号を参照のこと)(例えば、アンカーPCRまたはRACE PCR)、あるいは、連結連鎖反応(LCR)(例えば、Landegranら(1988)Science 241:1077−1080;およびNakazawaら(1994)Proc.Natl.Acad.Sic.USA 91:360−364を参照のこと)におけるプローブ/プライマーの使用を包含する。後者は、NOVX遺伝子における点変異を検出するために特に有用であり得る(Abravayaら,1995 Nucl Acids Res.23:675−682を参照のこと)。この方法は、患者から細胞のサンプルを収集する工程、核酸(例えば、ゲノム、mRNAまたはその両方)をそのサンプルの細胞から単離する工程、NOVXの遺伝子に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーとその核酸サンプルとを、NOVX遺伝子(存在する場合)のハイブリダイゼーションおよび増幅が生じるような条件下で接触させる工程、ならびに増幅産物の存在もしくは非存在を検出する工程、またはその増幅産物のサイズを検出する工程およびその長さをコントロールサンプルと比較する工程を包含し得る。PCRおよび/またはLCRは、本明細書中に記載される変異を検出するために使用される技術のいずれかとともに予備的増幅工程として使用されることが望ましくあり得ることが予想される。
【0410】
代替的な増幅方法としては、以下が挙げられる:当業者に周知な技術を用いた、その増幅された分子の検出の前の、自己維持配列複製(Guatelliら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874−1878を参照のこと)、転写増幅系(Kwohら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173−1177を参照のこと)、Qβレプリカーゼ(Lizardiら、1988、BioTechnology 6:1197を参照のこと)、または他の任意の核酸増幅方法。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に極少数で存在する場合に、そのような核酸分子の検出のために特に有用である。
【0411】
代替の実施形態において、サンプル細胞からのNOVX遺伝子における変異は、制限酵素切断パターンにおける変更によって同定され得る。例えば、サンプルおよびコントロールのDNAが単離され、増幅され(必要に応じて)、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼを用いて消化され、そしてフラグメント長の大きさがゲル電気泳動によって決定され、そして比較される。サンプルDNAとコントロールDNAとの間のフラグメント長の大きさにおける差異は、そのサンプルDNAにおける変異を示す。さらに、配列特異的なリボザイムの使用(例えば、米国特許第5,493,531号を参照のこと)を使用して、リボザイム切断部位の発生または喪失による特異的な変異の存在についてスコア付けし得る。
【0412】
他の実施形態において、NOVXにおける遺伝子変異は、サンプル核酸およびコントロール核酸(例えば、DNAまたはRNA)を、数百または数千のオリゴヌクレオチドプローブを含む高密度アレイに対してハイブリダイズさせることによって同定され得る(例えば、Croninら(1996)Human Mutation 7:244−255;Kozalら(1996)Nat.Med.2:753−759を参照のこと)。例えば、NOVXにおける遺伝子変異は、Croninら(前出)に記載されるように光生成DNAプローブを含む二次元アレイにおいて同定され得る。手短には、プローブの第一ハイブリダイゼーションアレイを用いて、サンプルおよびコントロールにおける長いストレッチのDNAにわたって走査し、連続的に重複するプローブの線形アレイを作成することによって、その配列間の塩基変化を同定し得る。この工程は、点変異の同定を可能にする。この工程に第二のハイブリダイゼーションアレイが続き、これは、検出される全ての改変体または変異体に相補的な、より小さな特化されたプローブアレイを用いることによる特定の変異の特徴付けを可能にする。各変異アレイは、一方が野生型遺伝子に対して相補的であり、そして他方が変異遺伝子に対して相補である並行プローブセットから構成される。
【0413】
なお別の実施形態において、当該分野で公知の種々の配列決定反応のいずれかを使用して、NOVX遺伝子を直接配列決定し得、そしてサンプルNOVX配列と対応する野生型(コントロール)配列とを比較することによって、変異を検出し得る。配列決定反応の例としては、MaximおよびGilbert(1977)Proc.Natl.Acad.Sic.USA 74:560またはSanger(1977)Proc.Natl.Acad.Sic.USA 74:5463によって開発された技術に基づくものが挙げられる。診断アッセイを実施する場合、種々の自動化配列決定手順のいずれかを利用し得ることもまた企図される(例えば、Naeveら(1995)Biotechniques 19:448を参照のこと)。これらには、質量分析法による配列決定法(例えば、PCT国際公開番号WO 94/16101;Cohenら(1996)Adv.Chromatography 36:127−162;およびGriffinら(1993)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147−159を参照のこと)が含まれる。
【0414】
NOVX遺伝子における変異を検出するための他の方法としては、切断剤からの保護を使用して、RNA/RNAもしくはRNA/DNAのヘテロ二重鎖におけるミスマッチ塩基を検出する方法が挙げられる(例えば、Myersら(1985)Science 230:1242を参照のこと)。一般に、「ミスマッチ切断」の当該分野の技術は、野生型のNOVX配列を含む(標識された)RNAまたはDNAを、組織サンプルから得られた潜在的な変異体RNAまたはDNAとハイブリダイズさせることによって形成されるヘテロ二重鎖を提供する工程によって始まる。この二本鎖の二重鎖を、二重鎖の一本鎖領域(例えば、そのコントロールとサンプルの鎖との間の塩基対ミスマッチに起因して存在するもの)を切断する因子を用いて処理する。例えば、RNA/DNA二重鎖を、RNaseを用いて処理し得、そしてDNA/DNAハイブリッドを、そのミスマッチ領域を酵素的に消化するために、Sヌクレアーゼを用いて処理し得る。他の実施形態において、DNA/DNAまたはRNA/DNAのいずれかの二重鎖を、ミスマッチ領域を消化するために、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム、およびピペリジンを用いて処理し得る。そのミスマッチ領域の消化後、次いで、得られた物質を変性ポリアクリルアミドゲル上で、大きさにより分離して、変異の部位を決定する。例えば、Cottonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397;Saleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286−295を参照のこと。1つの実施形態において、コントロールのDNAまたはRNAは、検出のために標識され得る。
【0415】
なお別の実施形態において、ミスマッチ切断反応は、二本鎖DNAにおけるミスマッチ塩基対を認識する1つ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を、細胞のサンプルから得られたNOVX cDNAにおける点変異を検出およびマッピングするために規定された系において使用する。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/AミスマッチでAを切断し、そしてHeLa細胞からのチミジンDNAグリコシラーゼは、G/TミスマッチでTを切断する(例えば、Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657〜1662を参照のこと)。例示的な実施形態に従って、NOVX配列(例えば、野生型NOVX配列)に基づくプローブは、試験細胞由来のcDNAまたは他のDNA産物にハイブリダイズされる。二重鎖は、DNAミスマッチ修復酵素を用いて処理され、そしてその切断産物(もしあれば)は、電気泳動プロトコルなどから検出され得る。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
【0416】
他の実施形態において、電気泳動の移動度における変化は、NOVX遺伝子における変異を同定するために使用される。例えば、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)は、変異体と野生型核酸との間の電気泳動の移動度における差異を検出するために使用され得る(例えば、Oritaら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA:86:2766、またCotton(1993)Mutat.Res.285:125〜144;Hayashi(1992)Genet.Anal.Tech.Appl.9:73〜79を参照のこと)。サンプルおよびコントロールNOVX核酸の一本鎖DNAフラグメントは、変性され、そして再生される。一本鎖核酸の二次構造は、配列に従って変化し、電気泳動の移動度において得られる変化は、1つの塩基変化の検出さえも可能にする。DNAフラグメントは、標識され得るか、または標識されたプローブを用いて検出され得る。アッセイの感度は、DNAよりもむしろ、二次構造が配列中の変化に対してより感受的であるRNAを使用することによって増強され得る。1つの実施形態において、本発明の方法は、ヘテロ二重鎖分析を利用して、電気泳動の移動度における変化に基づいて二本鎖のヘテロ二重鎖分子を分離する。例えば、Keenら(1991)Trends Genet.7:5を参照のこと。
【0417】
なお別の実施形態において、一定勾配の変性剤を含有するポリアクリルアミドゲルにおける変異体または野生型フラグメントの移動は、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用してアッセイされる。例えば、Myersら(1985)Nature 313:495を参照のこと。DGGEが分析の方法として使用される場合、DNAは、例えば、PCRにより約40bpの高融点GCリッチDNAのGCクランプを付加することによって、完全には変性されないことを確実するように改変される。さらなる実施形態において、温度勾配は、コントロールDNAおよびサンプルDNAの移動度における差異を同定するために、変性剤勾配の代わりに使用される。例えば、RosenbaumおよびReissner(1987)Biophys.Chem.265:12753を参照のこと。
【0418】
点変異を検出するための他の技術の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長。例えば、オリゴヌクレオチドプライマーは、既知の変異が中心的に配置されるように調製され得、次いで、完全なマッチが見出される場合にのみハイブリダイゼーションを許容する条件下で標的DNAにハイブリダイズされる。例えば、Saikiら(1986)Nature 324:163;Saikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6230を参照のこと。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドは、このオリゴヌクレオチドがハイブリダイズ膜に付着され、そして標識された標的DNAとハイブリダイズされる場合に、PCR増幅された標的DNAまたは多くの異なる変異にハイブリダイズされる。
【0419】
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術は、本発明と合わせて使用され得る。特異的増幅についてのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、分子の中心において(その結果、増幅は、差次的ハイブリダイゼーションに依存する)(例えば、Gibbsら(1989)Nucl.Acids Res.17:2437〜2448を参照のこと)か、あるいは適切な条件下でミスマッチが妨げられ得るかまたはポリメラーゼ伸長を減少し得る、1つのプライマーの3’の最末端で、目的の変異を保有し得る(例えば、Prossner(1993)Tibtech 11:238を参照のこと)。さらに、切断に基づく検出を行うために、変異領域に新規な制限部位を導入することは、望ましくあり得る。例えば、Gaspariniら(1992)Mol.Cell Probes 6:1を参照のこと。特定の実施形態において、増幅はまた、増幅用Taqリガーゼを使用して実施され得ることが予測される。例えば、Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189を参照のこと。このような場合において、連結は、5’配列の3’末端に完全なマッチが存在する場合にのみ生じ、増幅の存在または非存在を探索することによって、特定の部位における既知の変異の存在を検出することを可能にする。
【0420】
本明細書中に記載される方法は、例えば、本明細書中に記載れる少なくとも1つのプローブ核酸または抗体試薬を含む、予めパッケージングされた診断キットを利用することによって実施され得、これは、例えば、NOVX遺伝子を含む疾患または疾病の症状または家族病歴を示す患者を診断するための臨床的設定において好都合に使用され得る。
【0421】
さらに、NOVXが発現される任意の細胞型または組織(好ましくは、末梢血白血球)は、本明細書中に記載される予後アッセイにおいて利用され得る。しかし、有核細胞を含む任意の生物学的サンプル(例えば、頬粘膜細胞を含む)が、使用され得る。
【0422】
(薬理ゲノム学(Pharmacogenomics))
NOVX活性(例えば、NOVX遺伝子発現)に対する刺激性または阻害性の影響を有する因子、すなわちモジュレーターは、本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定されるように、障害(この障害は、代謝障害、糖尿病、肥満症、感染症、食欲不振、癌関連悪液質、癌、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、および造血障害、および種々の異常脂肪性浮腫(dyslipidemias)、肥満に関連する代謝障害、X代謝症候群(metabolic syndrome X)、ならびに慢性疾患および種々の癌と関連する消耗疾患を含む)を(予防的または治療的に)処置するために個体に投与され得る。このような処置と合わせて、個体の薬理ゲノム学(すなわち、個体の遺伝子型と外来化合物または薬物に対するその個体の応答との間の関係についての研究)が、考慮され得る。治療剤の代謝における差異は、薬理学的に活性な薬物の用量と血中濃度との間の関係を変更することによって、重篤な毒性または治療の失敗を導き得る。従って、個体の薬理ゲノム学は、個体の遺伝子型の考慮に基づく予防的または治療的処置のために有効な因子(例えば、薬物)の選択を可能にする。このような薬理ゲノム学は、さらに、適切な投薬量および治療剤レジメンを決定するために使用され得る。従って、NOVXタンパク質の活性、NOVX核酸の発現、あるいは個体におけるNOVX遺伝子の変異含量が決定されて、それによって個体の治療的または予防的処置のために適切な因子を選択し得る。
【0423】
薬理ゲノム学は、罹患した人おける変更された薬物の性質および異常な作用に起因して、薬物に応答する臨床的に有意な遺伝性変更を扱う。例えば、Eichelbaum、1996.Clin.Exp.Pharmacol.Physiol,23:983〜985;Linder、1997、Clin.Chem.,43:254〜266を参照のこと。一般に、2つの型の薬理ゲノム学状態が、区別され得る。薬物が身体に作用する方法を変更する1つの因子として伝達される遺伝的状態(変更された薬物作用)、または身体が薬物に作用する方法を変更する1つの因子として伝達される遺伝的状態(変更された薬物代謝)。これらの薬理ゲノム学状態は、稀な欠損としてか、または多型としてのいずれかで生じ得る。例えば、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損は、一般的な遺伝性酵素病であり、この主な臨床的合併症は、酸化剤薬物(抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの摂食後の溶血である。
【0424】
例示的な実施形態として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続期間の両方の主要な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)およびシトクロムP450酵素CYP2D6およびCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、幾人かの患者が予期される薬物効果を得ないか、または標準的かつ安全な用量の薬物を摂取した後に過大な薬物応答および深刻な毒性を示すことに関しての説明を提供した。これらの多型は、集団において2つの表現型(高い代謝能を持つ人(extensive metabolizer)(EM)および低い代謝能を持つ人(poor metabolizer)(PM))で表現される。PMの有病率は、異なる集団の間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は高度に多型であり、そしていくらかの変異がPMにおいて同定されており、この全ては機能的CYP2D6の非存在に至る。CYP2D6およびCYP2C19の低い代謝能を持つ人は、彼らが標準的な用量を受ける場合に、かなり頻繁に過大な薬物応答および副作用を経験する。代謝産物が活性な治療的部分である場合、そのCYP2D6形成代謝産物によって媒介されるコデインの鎮痛効果について実証されるように、PMは治療的応答を示さない。他の極端なものは、標準的な用量に応答しない、いわゆる超急速な代謝能を持つ人である。最近、超急速な代謝の基準となる分子は、CYP2D6遺伝子増幅に起因していることが同定されている。
【0425】
従って、NOVXタンパク質の活性、NOVX核酸の発現、あるいは個体におけるNOVX遺伝子の変異内容を決定して、それによって、その個体の治療的または予防的処置のために適切な因子を選択し得る。さらに、薬理ゲノム学の研究を使用して、個体の薬物応答性の表現型の同定に対して薬物代謝酵素をコードする多型対立遺伝子の遺伝子型を適用し得る。この知見は、用量または薬物選択に適用される場合、有害な反応または治療の失敗を回避し得、従って、被験体をNOVXの調節因子(例えば、本明細書中に記載される例示的なスクリーニングアッセイの1つによって同定される調節因子)を用いて処置する場合に治療的または予防的効率を増強し得る。
【0426】
(臨床試験中の効果のモニタリング)
NOVXの発現または活性(例えば、異常な細胞増殖および/または分化を調節する能力)に対する因子(例えば、薬物、化合物)の影響をモニタリングすることは、基本的な薬物スクリーニングだけでなく臨床試験にも適用され得る。例えば、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイによって、NOVXの遺伝子発現、タンパク質レベルを増加するため、またはNOVX活性をアップレギュレートすることが決定される因子の効力は、減少したNOVXの遺伝子発現、タンパク質レベル、またはダウンレギュレートしたNOVXの活性を示す被験体の臨床試験においてモニターされ得る。あるいは、スクリーニングアッセイによって、NOVXの遺伝子発現、タンパク質レベルを減少、またはNOVXの活性をダウンレギュレートすることが決定される因子の効力は、増加したNOVXの遺伝子発現、タンパク質レベル、またはアップレギュレートしたNOVXの活性を示す被験体の臨床試験においてモニターされ得る。このような臨床試験において、NOVXの発現または活性、および好ましくは、例えば、細胞増殖または免疫障害に関与する他の遺伝子が、「リードアウト(読み出し)(read out)」、すなわち、特定の細胞の免疫応答性のマーカーとして使用され得る。
【0427】
例えば、NOVXを含む遺伝子(これは、NOVX活性(例えば、本明細書中に記載されるようなスクリーニングアッセイにおいて同定される)を調節する因子(例えば、化合物、薬物または低分子)を用いる処置によって、細胞内で調節される)が同定され得るが、これらに限定されない。従って、細胞性増殖障害に対する因子の効果を研究するために、例えば、臨床試験において、細胞が単離され得、そしてRNAが調製され得、そしてNOVXおよびこの障害に関与する他の遺伝子の発現のレベルについて分析され得る。遺伝子発現のレベル(すなわち、遺伝子発現パターン)は、本明細書中に記載されるように、ノーザンブロット分析もしくはRT−PCRによるか、あるいは産生されるタンパク質の量を測定することによるか、本明細書中に記載されるような方法の1つによるか、あるいはNOVXまたは他の遺伝子の活性のレベルを測定することによって、定量され得る。この様式で、この遺伝子発現パターンは、この因子に対する細胞の生理学的応答の指標であるマーカーとして作用し得る。従って、この応答状態は、この因子を用いる個体の処置の前、および処置の間の種々の時点で、決定され得る。
【0428】
1つの実施形態において、本発明は、因子(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、核酸、低分子、または本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイによって同定される他の薬物候補物)を用いる、被験体の処置の効力をモニタリングするための方法を提供し、これは、以下の工程を包含する:(i)因子の投与の前に、被験体から投与前サンプルを得る工程;(ii)この投与前サンプルにおける、NOVXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現のレベルを検出する工程;(iii)この被験体から1つ以上の投与後サンプルを得る工程;(iv)この投与後サンプルにおいて、NOVXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出する工程;(v)この投与前サンプルにおけるNOVXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルを、この投与後サンプルにおけるNOVXのタンパク質、mRNA、またはゲノムDNAの発現または活性のレベルと比較する工程;ならびに(vi)然るべく、この被験体に対する因子の投与を変更する工程。例えば、この因子の増加した投与は、検出されるよりも高いレベルにNOVXの発現または活性を増加するため(すなわち、この因子の効力を増加するため)に所望され得る。あるいは、この因子の減少した投与は、検出されるよりも低いレベルにNOVXの発現または活性を減少するため(すなわち、この因子の効力を減少するため)に所望され得る。
【0429】
(処置方法)
本発明は、異常なNOVXの発現または活性に関連する障害の危険性がある(またはこの障害に感受性である)か、またはこの障害を有する被験体を処置する予防的方法および治療的方法の両方を提供する。この障害としては、心筋症、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、先天性心欠損症、大動脈狭窄症、心房中隔欠損症(ASD)、房室(A−V)管欠損症、動脈管、肺動脈弁狭窄症、大動脈弁下部狭窄症、心室中隔欠損症(VSD)、弁疾患、結節硬化症、強皮症、肥満症、移植、副腎脳白質ジストロフィー、先天性副腎過形成、前立腺癌、新形成;腺癌、リンパ腫、子宮癌、不妊(fertility)、血友病、凝固能亢進、特発性血小板減少性紫斑病、免疫欠損症、対宿主性移植片病、AIDS、気管支ぜんそく、クローン病;多発性硬化症、オールブライト遺伝性骨形成異常症の処置、ならびに他の疾患、障害および状態などが挙げられる。
【0430】
これらの処置方法は、以下により詳細に考察される。
【0431】
(疾患および障害)
(その疾患または障害に罹患していない被験体と比較して)増加したレベルまたは生物学的活性によって特徴付けられる疾患および障害は、活性を拮抗する(すなわち、低減または阻害する)治療剤を用いて処置され得る。活性を拮抗する治療剤は、治療的または予防的な様式で、投与され得る。利用され得る治療剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)上記ペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;(ii)上記ペプチドに対する抗体;(iii)上記ペプチドをコードする核酸;(iv)相同組換えによって上記ペプチドの内因性機能を「ノックアウトする」ために利用される、アンチセンス核酸および「機能不全性」である(すなわち、上記ペプチドに対するコード配列のコード配列内の異種挿入に起因する)核酸の投与(例えば、Capecchi、1989、Science 244:1288〜1292を参照のこと);または(v)上記ペプチドとその結合パートナーとの間の相互作用を変化させる、調節因子(すなわち、インヒビター、アゴニストおよびアンタゴニスト(本発明のさらなるペプチド模倣物または本発明のペプチドに対して特異的な抗体を含む))。
【0432】
(その疾患または障害に罹患していない被験体と比較して)減少したレベルまたは生物学的活性によって特徴付けられる疾患および障害は、活性を増加させる(すなわち、活性に対するアゴニストである)治療剤を用いて処置され得る。活性をアップレギュレートする治療剤は、治療的または予防的な様式で、投与され得る。利用され得る治療剤としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:上記ペプチド、またはそのアナログ、誘導体、フラグメントもしくはホモログ;あるいはバイオアベイラビリティーを増加させるアゴニスト。
【0433】
増加したレベルまたは減少したレベルは、ペプチドおよび/またはRNAを定量することによって、容易に検出され得る。この定量は、患者の組織サンプルを(例えば、生検組織から)入手し、そしてそのサンプルを、発現したペプチド(または上記ペプチドのmRNA)のRNAレベルまたはペプチドレベル、構造および/または活性をインビトロでアッセイすることによる。当該分野において周知の方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:イムノアッセイ(例えば、ウェスタンブロット分析、免疫沈降と、それに続く、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫細胞化学などによる)および/またはmRNAの発現を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーションなど)。
【0434】
(予防方法)
1つの局面において、本発明は、被験体において異常なNOVXの発現または活性と関連する疾患または状態を、NOVXの発現または少なくとも1つのNOVX活性を調節する因子をこの被験体に投与することによって予防するための方法を提供する。異常なNOVXの発現または活性によって引き起こされるかまたはこれらに起因する疾患についての危険性がある被験体は、例えば、本明細書中に記載の診断アッセイまたは予後アッセイのいずれか、またはそれらの組み合わせによって、同定され得る。予防因子の投与は、疾患または障害が予防されるか、あるいはその進行を遅延させるように、NOVX異常に特徴的な症状が現れる前に行い得る。このNOVX異常の型に依存して、例えば、NOVXアゴニスト因子またはNOVXアンタゴニスト因子が、被験体を処置するために使用され得る。適切な因子は、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイに基づいて決定され得る。本発明の予防方法は、以下の小節において、さらに議論される。
【0435】
(治療方法)
本発明の別の局面は、治療目的のためにNOVXの発現または活性を調節する方法に関する。本発明の調節方法は、細胞を、その細胞に関するNOVXタンパク質活性のうちの1つ以上の活性を調節する因子と接触させる工程を包含する。NOVXタンパク質活性を調節する因子は、核酸またはタンパク質、NOVXタンパク質の天然に存在する同族リガンド、ペプチド、NOVXペプチド模倣物、または他の低分子のような、本明細書中に記載されるような因子であり得る。1つの実施形態において、この因子は、1つ以上のNOVXタンパク質活性を刺激する。このような刺激因子の例としては、活性なNOVXタンパク質、および細胞に導入されたNOVXをコードする核酸分子が挙げられる。別の実施形態において、この因子は、1つ以上のNOVXタンパク質活性を阻害する。このような阻害因子の例としては、アンチセンスNOVX核酸分子、および抗NOVX抗体が挙げられる。これらの調節方法は、インビトロで(例えば、その因子とともに細胞を培養することによって)、あるいはインビボで(例えば、被験体にその因子を投与することによって)実施され得る。このように、本発明は、NOVXのタンパク質または核酸分子の異常な発現または異常な活性によって特徴付けられる、疾患または障害に罹患した個体を処置する方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、NOVXの発現または活性を調節する(例えば、アップレギュレートまたはダウンレギュレートする)因子(例えば、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイによって同定される因子)あるいはそのような因子の組み合わせを投与する工程を包含する。別の実施形態において、この方法は、低下したかまたは異常なNOVXの発現または活性を補完するための治療として、NOVXのタンパク質または核酸分子を投与する工程を包含する。
【0436】
NOVX活性の刺激は、NOVXが異常にダウンレギュレートされている状況、および/またはNOVX活性の増加が有益な効果を有する可能性がある状況において、望ましい。このような状況の1つの例は、被験体が、異常な細胞増殖および/または細胞分化によって特徴付けられる障害(例えば、癌または免疫関連障害)を有する場合である。このような状況の別の例は、被験体が妊娠性疾患(例えば、子癇前症(preclampsia))を有する場合である。
【0437】
(治療剤の生物学的効果の決定)
本発明の種々の実施形態において、適切なインビトロアッセイまたはインビボアッセイを行って、特定の治療剤の効果およびその投与が罹患組織の処置を示すか否かを決定する。
【0438】
種々の特定の実施形態において、インビトロアッセイが患者の障害に関与する代表的な細胞型で行われ、所定の治療剤がこの細胞型に対して所望の効果を発揮するか否かを決定し得る。治療において使用する化合物は、ヒト被験体において試験する前に、適切な動物モデル系において試験され得る。これらの動物モデル系としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギなど。同様に、インビボ試験については、当該分野で公知の任意の動物モデル系が、ヒト被験体に対する投与の前に使用され得る。
【0439】
(本発明の組成物の予防的用途および治療的用途)
本発明のNOVX核酸およびタンパク質は、以下を含むが、これらに限定されない種々の障害に関連する潜在的な予防的適用および治療的適用に有用である:代謝障害、糖尿病、肥満症、感染症、食欲不振、癌関連癌、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、造血障害、および種々の異脂肪性浮腫、肥満に関連する代謝障害、X代謝症候群、ならびに慢性疾患および種々の癌と関連する消耗疾患。
【0440】
例えば、本発明のNOVXタンパク質をコードするcDNAは、遺伝子治療に有用であり得、そしてこのタンパク質は、遺伝子治療を必要とする被験体に投与される場合、有用であり得る。非制限的例示として、本発明の組成物は、以下に罹患した患者の処置についての効力を有する:代謝障害、糖尿病、肥満症、感染症、食欲不振、癌関連悪液質、癌、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、免疫障害、造血障害、および種々の異脂肪性浮腫。
【0441】
本発明のNOVXタンパク質をコードする新規な核酸、およびNOVXタンパク質の両方、またはそれらのフラグメントは、診断適用にも有用であり得、ここでは、この核酸またはタンパク質の存在または量が評価される。さらなる用途は、抗菌分子としての用途であり得る(すなわち、いくつかのペプチドは、抗菌特性を有することが見出されている)。これらの材料は、治療的または診断的な方法における使用のための、本発明の新規物質に免疫特異的に結合する抗体の産生においてさらに有用である。
【0442】
本発明を以下の実施例においてさらに記載する。この実施例は、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を限定しない。
【0443】
(実施例)
(実施例1.NOVX核酸の同定)
ポリペプチドまたはホモログに関するCuraGen Corporationの配列ファイルを使用するTblastNを、GenBankによって利用可能になったGenomic Daily Filesまたは個々の配列決定センターからダウンロードしたファイルに対して実行した。エキソンを相同性によって推定し、そしてイントロン/エキソンの境界を標準的な遺伝子規則を使用して決定した。エキソンを複数のBLAST(例えば、tBlastN、BlastX、およびBlastN)検索、およびいくつかの場合には、GeneScanおよびGrailを使用する類似性の決定手段によって、さらに選択し、そして精緻化した。利用可能な場合、公的なデータベースおよび独自データベースの両方からの発現配列をもまた加え、この遺伝子配列をさらに定義しそして完全なものとした。次いで、そのDNA配列を、明白な不一致について手作業で補正し、それによって全長タンパク質をコードする配列を得た。
【0444】
本発明で同定した新規なNOVX標的配列を、この配列を確認するためにエキソン連結プロセス(exon linking process)に供した。PCRプライマーを、順方向プライマーについては利用可能な最も上流の配列で、そして逆方向プライマーについては利用可能な最も下流の配列で開始するように設計した。PCRプライマーの配列を、種々のクローンを得るために使用した。それぞれの場合について、適切な配列(すなわち、特有であるかまたは高度に選択的であるかのいずれかである)に遭遇するまで、または逆方向プライマーの場合には終止コドンに達するまで、コード配列に向ってそれぞれの末端から内向きにウォーキングさせることによって、配列を試験した。このようなプライマーを、標的配列の全長のcDNA、DNAの一部(1つ以上のエキソン)もしくはタンパク質配列についてのインシリコ(in silico)予測に基づいて、または他の種由来の密接に関連するヒト配列に対する推定エキソンの翻訳物の相同性によって、設計した。次いで、これらのプライマーを、以下のヒトcDNAのプールに基づくPCR増幅において使用した:副腎、骨髄、脳−扁桃、脳−小脳、脳−海馬、脳−黒質、脳−視床、脳−全体、胎児の脳、胎児の腎臓、胎児の肝臓、胎児の肺、心臓、腎臓、リンパ腫−ラージ、乳腺、膵臓、脳下垂体、胎盤、前立腺、唾液腺、骨格筋、小腸、脊髄、脾臓、胃、精巣、甲状腺、気管、子宮。通常は、得られたアンプリコンをゲル精製し、クローン化し、そして高い重複性について配列決定した。エキソン連結によって誘導されたPCR産物を、InvitrogenからのpCR2.1ベクター中にクローン化した。得られた細菌クローンは、pCR2.1ベクター中にクローン化した完全なオープンリーディングフレームを包含するインサートを有する。全てのクローンから得られた配列を、それ自体とともに、CuraGen Corporationのデータベース中の他のフラグメントとともに、そして公的なESTとともにまとめた。集合の別の成分との同一性の程度が50bpにわたって少なくとも95%である場合に、そのフラグメントおよびESTを集合の成分として含ませた。さらに、少数の配列を手作業によって評価し、そして適切である場合には修正を施した。これらの手順によって本明細書中に報告する配列を提供する。
【0445】
物理的なクローン:エキソンを相同性によって推定し、そしてイントロン/エキソンの境界を標準的な遺伝子規則を使用して決定した。エキソンを、複数のBLAST(例えば、tBlastN、BlastX、およびBlastN)検索、およびいくつかの場合には、GeneScanおよびGrailを使用する類似性の決定手段によって、さらに選択し、そして精緻化した。利用可能な場合、公的なデータベースおよび独自データベースの両方からの発現配列をもまた加え、この遺伝子配列をさらに定義しそして完全なものとした。次いで、そのDNA配列を、明白な不一致について手作業で補正し、それによって全長タンパク質をコードする配列を得た。
【0446】
(実施例2:NOVX核酸配列における一ヌクレオチド多型の同定)
改変体配列もまた、本出願に含まれる。改変体配列は、一ヌクレオチド多型(SNP)を含み得る。SNPは、いくつかの例においては、SNPを含有するヌクレオチド配列がcDNAとして生じることを示す、「cSNP」と呼ばれる。SNPは、いくつかの方法で生じ得る。例えば、SNPは、多形の部位での別のヌクレオチドへの1つのヌクレオチドの置換に起因し得る。このような置換は、転移または転換のいずれかであり得る。SNPはまた、参照対立遺伝子と比較した、ヌクレオチドの欠失またはヌクレオチドの挿入によっても生じ得る。この場合には、多型の部位は、1つの対立遺伝子が、別の対立遺伝子中の特定のヌクレオチドに関してギャップを保有している部位である。遺伝子中に存在しているSNPは、SNPの位置で遺伝子によってコードされるアミノ酸の変化を生じ得る。しかし、SNPを含むコドンが遺伝子コードの縮重の結果として同じアミノ酸をコードする場合には、遺伝子内SNPはまた、サイレントであり得る。遺伝子の領域の外側に存在している、または遺伝子内のイントロンに存在しているSNPは、タンパク質のアミノ酸配列には全く変化を生じないが、発現パターンの調節の変更を生じ得る。例としては、一過性発現、生理学的応答の調節、細胞型による発現調節、発現の強度および転写されたメッセージの安定性における変更が挙げられる。
【0447】
エキソン連結プロセスによって作製されたSeqCallingアセンブリを、以下の基準を使用して選択および伸長した。初期配列または伸長配列の全てまたは一部と98%の同一性を有する領域を有するゲノムクローンを、問い合わせヒトゲノムデータベースに対して関連する配列を使用するBLASTN検索によって同定した。得られたゲノムクローンを、さらなる分析について選択した。なぜなら、この同一性は、これらのクローンがこれらのSeqCallingアセンブリに対するゲノム遺伝子座を含むことを示しているからである。これらの配列を、推定コード領域ならびに既知のDNA配列およびタンパク質配列との類似性について分析した。これらの分析のために使用されるプログラムとしては、Grail、Genscan、BLAST、HMMER、FASTA、Hybridおよび他の関連するプログラムが挙げられる。
【0448】
いくつかのさらなるゲノム領域もまた、同定され得る。なぜなら、選択されたSeqCallingアセンブリがこれらの領域をマッピングするからである。このようなSeqCalling配列は、相同性またはエキソン予測によって規定される領域とオーバーラップし得る。これらはまた、フラグメントの位置が、本来の推定配列に含まれていた類似性またはエキソン予測によって同定されたゲノム領域の近傍にあるので、含まれ得る。そのように同定された配列を、手動で構築し、次いで、CuraGen CorporationのヒトSeqCallingデータベースから得られる1つ以上のさらなる配列を使用して伸長し得る。含めることに適したSeqCallingフラグメントを、CuraToolsTMプログラムSeqExtendによってか、または分析されたゲノムクローンの適切な領域にマッピングするSeqCallingフラグメントを同定することによって、同定した。
【0449】
次いで、上記手順によって規定される領域を手動で組み込み、そして、例えば、本来のフラグメントの誤った塩基または推定エキソン接合部、ESTの位置および配列類似性の領域との間の差異から生じ得る明らかな不一致を補正して、本明細書中に開示される最終配列を誘導した。必要な場合、SeqCallingアセンブリおよびゲノムクローンを同定および分析するためのプロセスを繰り返して、全長配列を誘導した。
【0450】
(実施例3.種々の細胞および組織中でのクローンの定量的発現分析)
種々のクローンの定量的な発現を、種々の正常細胞および病理誘導性の細胞、細胞株および組織由来のRNAサンプルを含有するマイクロタイタープレートを使用し、リアルタイム定量的PCR(RTQ PCR)を使用して評価した。RTQ PCRを、Perkin−Elmer Biosystems ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection Systemによって実施した。サンプルの種々のコレクションをプレート上に組立て、そしてこれらをパネル1(正常な組織および癌細胞株を含む)、パネル2(正常な供給源および癌の供給源に由来する、組織由来のサンプルを含む)、パネル3(癌細胞株を含む)、パネル4(正常な組織由来の細胞および細胞株ならびに炎症状態に関係している細胞を含む)、パネル5D/5I(代謝疾患に対する重要性を有するヒト組織および細胞株を含む)、AI_包括_パネル(AI_comprehensive_panel)(正常な組織および自己炎症疾患由来のサンプルを含む)、パネルCNSD.01(正常な脳および疾患性の脳由来のサンプルを含む)、およびCNS_神経変性_パネル(CNS_neurodegeneration_panel)(正常な脳およびアルツハイマー病の脳由来のサンプルを含む)と呼ぶ。
【0451】
全てのサンプルに由来するRNAの完全性を、指針としての28Sおよび18SリボソームRNAの染色強度比(2:1〜2.5:1の28s:18s)、および分解産物の指標である低分子量のRNAが存在しないことを使用して、アガロースゲル電気泳動の視覚的な評価によって質を制御した。サンプルを、単一のエキソンの範囲全体を増幅するように設計したプローブおよびプライマーのセットを使用して、逆転写酵素の非存在下でRTQ PCR反応を実行することにより、ゲノムDNAの混入に対して制御した。
【0452】
最初に、RNAサンプルを、構成的に発現される遺伝子(例えば、β−アクチンおよびGAPDH)のような、参照核酸に対して正規化した。正規化したRNA(5μl)をcDNAに転換し、そしてOne Step RT−PCR Master Mix Reagents(PE Biosystems;カタログ番号4309169)および遺伝子特異的プライマーを製造業者の説明書に従って使用する、RTQ−PCRによって分析した。プローブおよびプライマーを、Perkin Elmer BiosystemsのPrimer Express Softwareパッケージ(Apple ComputerのMacintosh Power PC用バージョンI)または同様のアルゴリズムに従って、入力として標的配列を使用して、それぞれのアッセイについて設計した。デフォルト設定を反応条件について使用し、そして以下のパラメーターを、プライマーの選択の前に設定した:プライマー濃度=250nM、プライマーの融解温度(T)範囲=58〜60℃、プライマーの最適T=59℃、最大のプライマー差分=2℃、プローブは5’にGを有さない、プローブのTはプライマーのTよりも10℃高くなければならない、アンプリコンの大きさは75bpから100bpである。選択したプローブおよびプライマー(下記を参照のこと)を、Synthegen(Houston,TX,USA)によって合成した。プローブを、カップリングしていない色素を除去するためにHPLCによって二重精製し、そしてプローブのそれぞれ5’および3’末端へのレポーター色素およびクエンチャー色素のカップリングを確認するために質量分析法によって評価した。それらの最終濃度は:順方向および逆方向プライマーについてはそれぞれ900nM、そしてプローブは200nMであった。
【0453】
PCR条件:各組織および各細胞株由来の正規化したRNAを、96ウェルのPCRプレート(Perkin Elmer Biosystems)の各ウェルにスポットした。PCR溶液は、2つのプローブ(標的クローンに特異的なプローブおよび標的プローブと多重化する別の遺伝子特異的プローブ)を含み、これを1×TaqManTMPCR Master Mix(PE Biosystems 7700)を使用して、5mM MgCl、dNTP(dA、G、C、Uを1:1:1:2の比率で)、0.25U/ml AmpliTaq GoldTM(PE Biosystems)、および0.4U/μl RNaseインヒビター、および0.25U/μl 逆転写酵素で設定した。逆転写を、48℃で30分間行い、続いて以下のような増幅/PCRサイクルを行った。:95℃で10分間、次いで、95℃で15秒間、60℃で1分間の40サイクル。結果を、CT値(所定のサンプルが蛍光の閾値を越えるサイクル)として対数目盛を使用して記録し、ここで、所定のサンプルと最も低いCT値を有するサンプルとの間でのRNA濃度の差分は、2のΔCT乗として表される。次いで、相対的な発現の割合を、このRNA差分の逆数をとり、そして100を乗算することによって得る。
【0454】
(パネル1、1.1、1.2および1.3D)
パネル1、1.1、1.2および1.3Dのプレートは、2つのコントロールウェル(ゲノムDNAコントロールおよび化学コントロール)および種々のサンプル由来のcDNAを含有する94個のウェルを含む。これらのパネルのサンプルは、2つのクラスに分類される:培養細胞株由来のサンプルおよび初代正常細胞由来のサンプル。この細胞株は、以下の型の癌に由来する:肺癌、乳癌、黒色種、結腸癌、前立腺癌、CNS癌、扁平上皮癌、卵巣癌、肝臓癌、腎臓癌、胃癌および膵臓癌。これらのパネルにおいて使用される細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(培養細胞株の寄託機関)によって広く利用可能であり、ATCCによって推奨される条件を使用して培養した。これらのパネルにおいて見出された正常組織は、一人の成人個体または胎児の全ての主要な器官系由来のサンプルから構成される。これらのサンプルは、以下の器官由来である:成人の骨格筋、胎児の骨格筋、成人の心臓、胎児の心臓、成人の腎臓、胎児の腎臓、成人の肝臓、胎児の肝臓、成人の肺、胎児の肺、脳の種々の領域、脾臓、骨髄、リンパ節、膵臓、唾液腺、下垂体、副腎、脊髄、胸腺、胃、小腸、結腸、膀胱、気管、胸部、卵巣、子宮、胎盤、前立腺、精巣および脂肪。
【0455】
パネル1、1.1、1.2および1.3Dの結果においては、以下の略号を使用する:
ca.=癌腫
=転移によって確立された
met=転移
s cell var=小細胞改変株
non−s=non−sm=非小
squam=扁平上皮細胞
pl.eff=pl effusion=胸水
glio=神経膠腫
astro=星状細胞腫、および
neuro=神経芽細胞腫。
【0456】
(一般_スクリーニング_パネル_v1.4(General_screening_panel_v1.4))
パネル1.4のプレートは、2つのコントロールウェル(ゲノムDNAコントロールおよび化学コントロール)および種々のサンプル由来のcDNAを含有する94個のウェルを含む。パネル1.4のサンプルは、2つのクラスに分類される:培養細胞株由来のサンプルおよび初代正常細胞由来のサンプル。この細胞株は、以下の型の癌に由来する:肺癌、乳癌、黒色種、結腸癌、前立腺癌、CNS癌、扁平上皮癌、卵巣癌、肝臓癌、腎臓癌、胃癌および膵臓癌。パネル1.4において使用される細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)(培養細胞株の寄託機関)によって広く利用可能であり、ATCCによって推奨される条件を使用して培養した。パネル1.4において見出された正常組織は、2〜5人の異なる成人個体または胎児の全ての主要な器官系由来のサンプルのプールから構成される。これらのサンプルは、以下の器官由来である:成人の骨格筋、胎児の骨格筋、成人の心臓、胎児の心臓、成人の腎臓、胎児の腎臓、成人の肝臓、胎児の肝臓、成人の肺、胎児の肺、脳の種々の領域、脾臓、骨髄、リンパ節、膵臓、唾液腺、下垂体、副腎、脊髄、胸腺、胃、小腸、結腸、膀胱、気管、胸部、卵巣、子宮、胎盤、前立腺、精巣および脂肪。
略語は、パネル1、1.1、1.2および1.3Dについて記載される通りである。
【0457】
(パネル2Dおよび2.2)
パネル2Dおよび2.2のプレートは、一般的には、2つのコントロールのウェルと94個の試験サンプルを含む。これらの試験サンプルは、National Cancer InstituteのCooperative Human Tissue Network(CHTN)またはNational Disease Research Initiative(NDRI)との閉鎖会社に勤めている、外科医によって入手されたヒト組織から単離したRNAまたはcDNAを含む。組織は、ヒトの悪性腫瘍に由来し、そして示される場合、多くの悪性組織は、腫瘍にすぐ隣接している非癌性組織から得られる「ぴったり沿った境界(matched margin)」を有する。これらを、正常な隣接組織と呼び、そして以下の結果には「NAT」と記載する。腫瘍組織および「ぴったり沿った境界」を、2人の別々の病理学者によって評価する(外科の病理学者、およびNDRIまたはCHTNの病理学者によって再度)。この分析は、腫瘍の分化の段階の全体的な組織病理学的評価を提供する。さらに、ほとんどのサンプルは、もともとの外科の病理報告を含み、この報告は、患者の臨床段階に関する情報を提供する。これらのぴったり沿った境界を、外科手術領域の周辺(すなわち、すぐ隣接している)組織(表RRにおいては正常な隣接組織を「NAT」と明示する)から採取する。さらに、RNAサンプルおよびcDNAサンプルを、高齢者または突然死の被害者(事故など)について行った検死による種々のヒト組織から得た。これらの組織は、疾患を有さないことを確認され、そしてこれを、Clontech(Palo Alto,CA)、Research Genetics、およびInvitrogenのような種々の商業的な供給源から購入した。
【0458】
(パネル3D)
パネル3Dのプレートは、94個のcDNAサンプルおよび2個のコントロールサンプルを含む。詳細には、これらのサンプルのうちの92個は、培養されたヒトの癌細胞株に由来し、2個の独立したサンプルはヒトの初代小脳組織であり、そして2つはコントロールである。ヒトの細胞株は、一般的には、ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)、NCI、またはGerman腫瘍細胞バンクから入手し、そして以下の組織グループに分ける:舌の扁平上皮細胞癌、乳癌、前立腺癌、黒色腫、類表皮癌腫、肉腫、膀胱癌、膵臓癌、腎臓癌、白血病/リンパ腫、卵巣/子宮/子宮頚癌、胃癌、結腸癌、肺癌、およびCNS癌細胞株。さらに、小脳の2つの異なるサンプルが存在する。これらの細胞の全てを、標準的な推奨される条件下で培養し、そして標準的な手順を使用してRNAを抽出した。パネル3Dおよび1.3Dの細胞株は、科学技術文献において使用される最も一般的な細胞株である。
【0459】
(パネル4D、4Rおよび4.1D)
パネル4は、96ウェルプレート(2個のコントロールのウェル、94個の試験サンプル)上にサンプルを含む。これは、炎症状態に関連している種々のヒトの細胞株または組織から単離したRNA(パネル4R)またはcDNA(パネル4D/4.1D)を含む。結腸および肺(Stratagene,La Jolla,CA)ならびに胸腺および腎臓(Clontech)のようなコントロールの正常組織に由来する全RNAを使用した。肝硬変患者由来の肝臓組織および狼瘡患者由来の腎臓に由来する全RNAを、BioChain(Biochain Institute,Inc.,Hayward,CA)から入手した。クローン病および潰瘍性大腸炎を有すると診断された患者からのRNAの調製のための腸組織を、National Disease Research Interchange(NDRI)(Philadelphia,PA)から入手した。
【0460】
星状細胞、肺繊維芽細胞、皮膚繊維芽細胞、冠状動脈平滑筋細胞、小気道上皮細胞、気管支上皮細胞、微小血管皮膚内皮細胞、微小血管肺内皮細胞、ヒトの肺大動脈の血管内皮細胞、ヒトの臍帯静脈の血管内皮細胞を、全て、Clonetics(Walkersville,MD)から購入し、そしてCloneticsによってこれらの細胞型に供給される培地中で増殖させた。これらの初代細胞型を、示すように、種々のサイトカインまたはサイトカインの組合せを用いて6時間および/または12〜14時間の間、活性化した。以下のサイトカインを使用した:約1〜5ng/mlのIL−1β、約5〜10ng/mlのTNFα、約20〜50ng/mlのIFNγ、約5〜10ng/mlのIL−4、約5〜10ng/mlのIL−9、約5〜10ng/mlのIL−13。内皮細胞を、時折、0.1%の血清を有するCloneticsによる基底培地中での培養によって種々の時間飢餓させた。
【0461】
単核細胞を、Ficollを使用して、CuraGen Corporationの従業員の血液から調製した。LAK細胞を、DMEM、5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco/Life Technologies,Rockville,MD)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)、およびインターロイキン2(Interleukin 2)中での4〜6日間の培養によってこれらの細胞から調製した。次いで、細胞を、10〜20ng/mlのPMA、および1〜2μg/mlのイオノマイシン、5〜10ng/mlのIL−12、20〜50ng/mlのIFNγ、および5〜10ng/mlのIL−18のいずれかで、6時間活性化した。いくつかの場合には、単核細胞を、約5μg/mlのPHA(フィトヘマグルチニン)またはPWM(アメリカヤマゴボウ有糸分裂促進物質)を含有する、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中で、4〜5日間培養した。RNAの調製のために、サンプルを24、48、および72時間で採取した。MLR(混合リンパ球反応)サンプルを、2人のドナーから採血し、Ficollを使用して単核細胞を単離し、そして単離した単核細胞を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、メルカプトエタノール(5.5×10−5M)(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中において約2×10個の細胞/mlの最終濃度で1:1にて混合することによって得た。このMLRを培養し、そしてRNAの調製のために1〜7日までの範囲の種々の時点でサンプルを採取した。
【0462】
単球を、製造業者の説明書に従って、CD14 Miltenyi Beads、+veVS選択カラムおよびVario Magnetを使用して単核細胞から単離した。単球を、DMEM 5%のウシの胎児の血清(FCS)(Hyclone、Logan,UT)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)、50ng/mlのGMCSF、および5ng/mlのIL−4中での5〜7日間の培養によって樹状細胞に分化させた。マクロファージを、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)、および10%のABヒト血清、または約50ng/mlのMCSF中で5〜7日間の単球の培養によって調製した。単球、マクロファージ、および樹状細胞を、100ng/mlのリポポリサッカライド(LPS)で6時間および12〜14時間刺激した。樹状細胞をまた、10μg/mlの抗CD40モノクローナル抗体(Pharmingen)で6時間および12〜14時間刺激した。
【0463】
CD4リンパ球、CD8リンパ球、およびNK細胞をまた、製造業者の説明書に従って、CD4、CD8、およびCD56のMiltenyiビーズ、ポジティブVS選択カラム、およびVario Magnetを使用して単核細胞から単離した。CD45RAリンパ球およびCD45RO CD4リンパ球を、CD8、CD56、CD14、およびCD19のMiltenyiビーズおよびポジティブ選択を使用してCD8細胞、CD56細胞、CD14細胞、およびCD19細胞の単核細胞を除去することによって単離した。次いで、CD45ROビーズを使用してCD45RO CD4リンパ球を単離し、残りの細胞はCD45RA CD4リンパ球であった。CD45RA CD4、CD45RO CD4、およびCD8のリンパ球を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中に入れ、そしてPBS中の0.5μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および3μg/mlの抗CD3(OKT3、ATCC)で一晩コーティングしたFalcon 6ウェル組織培養プレート上に10細胞/mlでプレートした。6時間および24時間後、細胞をRNAの調製のために回収した。慢性的に活性化されたCD8リンパ球を調製するために、本発明者らは、抗CD28および抗CD3でコーティングしたプレート上で4日間、単離したCD8リンパ球を活性化し、次いで細胞を回収して、それらをDMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)、ならびにIL−2中で拡大させた。次いで再び、拡大させたCD8細胞を、プレートに結合させた抗CD3および抗CD28で4日間活性化し、そして先のように拡大させた。RNAを2回目の活性化の6時間後および24時間後、ならびに2回目の培養物の拡大の4日後に単離した。単離したNK細胞を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)、ならびにIL−2中で、RNAを調製する前に4〜6日間培養した。
【0464】
B細胞を得るために、扁桃をNDRIから得た。扁桃を、滅菌した解剖用の鋏で切断し、次いで篩を通過させた。次いで、扁桃体の細胞をスピンダウンさせ、そしてDMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中に10個の細胞/mlで再懸濁した。細胞を活性化するために、本発明者らは、5μg/mlでPWM、または約10μg/mlで抗CD40(Pharmingen)および5〜10ng/mlでIL−4を使用した。細胞を、RNAの調製のために、24、48、および72時間で回収した。
【0465】
初代ならびに2次Th1/Th2細胞およびTr1細胞を調製するために、6ウェルのFalconプレートを、10μg/mlの抗CD28(Pharmingen)および2μg/mlのOKT3(ATCC)で一晩コーティングし、次いでPBSで2回洗浄した。臍帯血CD4リンパ球(Poietic Systems,German Town,MD)を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)、およびIL−2(4ng/ml)中で10〜10個の細胞/mlで培養した。IL−12(5ng/ml)および抗IL−4(1μg/ml)を、Th1に指向させるために使用し、一方で、IL−4(5ng/ml)および抗IFNγ(1μg/ml)をTh2に指向させるために使用し、そして5ng/mlのIL−10をTr1に指向させるために使用した。4〜5日後、活性化させたTh1リンパ球、Th2リンパ球、およびTr1リンパ球をDMEM中で1回洗浄し、そしてDMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)、およびIL−2(1ng/ml)中で4〜7日間拡大させた。この後、活性化させたTh1リンパ球、Th2リンパ球、およびTr1リンパ球を、上記のように、抗CD28/OKT3およびサイトカインを用いて、しかしアポトーシスを防ぐために抗CD95L(1μg/ml)を添加して、5日間再刺激した。4〜5日後、Th1リンパ球、Th2リンパ球、およびTr1リンパ球を洗浄し、次いで再びIL−2を用いて4〜7日間拡大させた。活性化させたTh1リンパ球およびTh2リンパ球を最大3回のサイクルまで、この方法で維持した。RNAを、プレートに結合させた抗CD3および抗CD28 mAbでの2回目および3回目の活性化の6時間および24時間後、ならびにインターロイキン2中での2回目および3回目の拡大培養の4日目に、初代および2次Th1、Th2およびTr1から調製した。
【0466】
以下の白血球細胞株をATCCから入手した:Ramos、EOL−1、KU−812。EOL細胞を、5×10個の細胞/mlの0.1mMのdbcAMP中での8日間の培養、3日毎の培地の交換、および5×10個の細胞/mlの細胞濃度への調整によってさらに分化させた。これらの細胞の培養のために、本発明者らは、5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、10mMのHepes(Gibco)を添加した、(ATCCによって推奨されるように)DMEMまたはRPMIを使用した。RNAを、休止細胞または10ng/mlのPMAおよび1μg/mlのイオノマイシンで6時間および14時間活性化した細胞のいずれかから調製した。ケラチノサイト株CCD106および気道上皮腫瘍株NCI−H292をまたATCCから入手した。両方を、DMEM 5%のFCS(Hyclone)、100μMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco)、5.5×10−5Mのメルカプトエタノール(Gibco)、および10mMのHepes(Gibco)中で培養した。CCD1106細胞を、約5ng/mlのTNFαおよび1ng/mlのIL−1βで6時間および14時間活性化し、一方、NCI−H292細胞を、以下のサイトカインを用いて6時間および14時間活性化した:5ng/mlのIL−4、5ng/mlのIL−9、5ng/mlのIL−13、および25ng/mlのIFNγ。
【0467】
これらの細胞株および血液細胞について、約10個の細胞/mlをTrizol(Gibco BRL)を使用して溶解させることによってRNAを調製した。簡潔には、1/10容量のブロモクロロプロパン(Molecular Research Corporation)をRNAサンプルに添加し、ボルテックスし、そして室温で10分後、チューブをSorvall SS34ローターで14,000rpmで回転させた。水相を採取し、そして15mlのFalcon Tubeに入れた。等量のイソプロパノールを添加し、そして−20℃で一晩静置した。沈殿させたRNAをSorvall SS34ローター中で9,000rpmで15分間スピンダウンさせ、そして70%のエタノール中で洗浄した。このペレットを300μlのRNAseを含まない水中に再度溶解させ、そして35μlの緩衝液(Promega)、5μlのDTT、7μlのRNAsin、および8μlのDNAseを添加した。チューブを、混入しているゲノムDNAを除去するために37℃で30分間インキュベートし、フェノールクロロホルムで1回抽出し、そして1/10容量の3Mの酢酸ナトリウムおよび2倍容量の100%エタノールで再度沈殿させた。RNAをスピンダウンさせ、そしてRNAseを含まない水中に入れた。RNAを−80℃で保存した。
【0468】
(AI_包括的パネル_v1.0)
AI_包括的パネル_v1.0のプレートは、2個のコントロールのウェルおよび89個の試験サンプルを含む。これらの試験サンプルは、Backus Hospital and Clinomics(Frederick,MD)から入手した外科的な死後のヒト組織から単離されたcDNAを含む。総RNAを、CuraGenの施設にあるBackus病院からの組織サンプルから抽出した。他の組織由来の総RNAを、Clinomicsから入手した。
【0469】
滑液、滑膜、骨および軟骨を含む関節組織を、Backus病院で全ての膝または股関節部の置換手術を経験した患者から入手した。組織サンプルは、単離されたRNAが最適な量で分解されないことを確実にするように、液体窒素中で瞬時に冷凍された。変形性関節症および慢性関節リウマチの結合組織のさらなるサンプルを、Clinomicsから入手した。正常なコントロール組織がClinomicsによって供給され、そしてこれらは、外傷犠牲者の死体解剖の間に得られた。
【0470】
乾癬組織の外科検体および隣接する適合組織が、Clinomicsによって総RNAとして提供された。二人の男性患者および二人の女性患者を、25歳と47歳の間で選択した。その患者の誰もが、サンプルが単離された時点で処方薬を摂取していなかった。
【0471】
潰瘍性大腸炎およびクローン病に罹患した患者由来の疾患性の結腸の外科検体および隣接する適合組織を、Clinomicsから入手した。41歳〜69歳の三人の女性クローン病患者および3人の男性クローン病患者由来の腸組織を、使用した。二人の患者は処方薬を摂取していなかったが、他の患者は、デキサメタゾン、フェノバルビタール、またはタイレノールを摂取していた。潰瘍性大腸炎組織は、三人の男性患者および四人の女性患者由来であった。その患者のうちの四人は、レブバイド(lebvid)を摂取しており、二人は、フェノバルビタールを摂取していた。
【0472】
外傷犠牲者からの死後の肺組織由来の総RNAを、Clinomicsから購入した。40歳〜70歳の範囲の肺気腫患者は、全てが喫煙者であり、この年齢範囲は、タバコ関連肺気腫の患者に焦点を当て、α−1抗トリプシン欠乏の患者を避けるように選択した。喘息患者は、36歳〜75歳の範囲であり、COPDも有し得る患者であることを避けるために喫煙者を除いた。COPD患者は、35歳〜80歳の範囲であり、喫煙者と非喫煙者の両方を含んだ。ほとんどの患者がコルチコステロイド、および気管支拡張薬を摂取していた。
【0473】
AI_包括的パネル_v1.0(AI_comprehensive panel_v1.0)パネル中の組織を同定するために使用した標識には、以下の略号を使用した:
Syn=滑液
Normal=見かけ上の疾患なし
Rep22/Rep20=個々の患者
RA=慢性関節リウマチ
Backus=Backus病院由来
OA=変形性関節症
(SS)(BA)(MF)=個々の患者
Adj=隣接組織
Match control=隣接組織
−M=男性
−F=女性
COPD=慢性閉塞性肺疾患。
【0474】
(パネル5Dおよび5I)
パネル5Dおよび5Iのプレートは、2個のコントロールウェルおよびヒト組織から単離された種々のcDNAおよび代謝性疾患に重点をおいて細胞株を含む。代謝組織は、妊娠糖尿病研究に登録された患者から得られた。細胞は、ヒト間葉幹細胞由来の脂肪細胞の分化における異なる段階の間に得られた。ヒト膵臓島がまた、得られた。
【0475】
妊娠糖尿病研究において、被験体は若く(18歳〜40歳)、慣用的な(選択的な)帝王切開を引き起こす妊娠糖尿病に罹患しているかまたは罹患していない、その他の点では健常な女性である。胎児の分娩後、外科的切開が修復され/閉じられ、産科医は、各外科レベルの閉鎖の間にさらされた代謝性組織の少量のサンプル(<1cc)を取り出した。この生検物質を、取り出しの時から5分以内に滅菌生理食塩水中でリンスし、ブロットし、そして高速で凍結させた。次いで、この組織を液体窒素中で瞬間冷凍し、そしてネジ蓋付きチューブ中に個別に保管し、そしてCuraGenへの輸送か、入手されるためにドライアイス上で保持した。目的の代謝性組織としては、子宮壁(平滑筋)、内臓脂肪、骨格筋(腹直筋)および皮下脂肪が挙げられる。記載した患者は、以下のようである:
患者2:ラテンアメリカ系糖尿病患者、体重超過、インスリンなし
患者7〜9:非糖尿病の白人、肥満(BMI>30)
患者10:ラテンアメリカ系糖尿病患者、体重超過、インスリン投与
患者11:非糖尿病のアフリカ系アメリカ人、体重超過
患者12:ラテンアメリカ系糖尿病患者、インスリン投与。
【0476】
脂肪細胞分化は、Osirus(Clonetics/BioWhittakerの部門)から入手されたドナー前駆体細胞において、2つの複製のみ有するドナー3Uを除いて三連で誘導された。Cloneticsの科学者は、CuraGenのために、Mark F.Pittengerら、Multilineage Potential of Adult Human Mesenchymal Stem Cells Science 1999年4月2日:143−147において見出される公開されたプロトコルに基づいてヒト間葉幹細胞(HuMSC)を単離し、増殖および分化した。Cloneticsは、mRNA単離およびds cDNA生成に適切なトリゾール溶解物または凍結ペレットを提供した。各ドナーの一般的な記載は以下のようである:
ドナー2および3U:間葉幹細胞、未分化の脂肪
ドナー2および3AM:脂肪、分化中の脂肪
ドナー2および3AD:脂肪、分化した脂肪。
【0477】
ヒトの細胞株は、一般的には、ATCC(アメリカンタイプカルチャーコレクション)、NCI、またはGerman腫瘍細胞バンクから入手し、そして以下の組織グループに分けた:曲尿細管、子宮平滑筋、小腸、肝臓HepG2癌細胞、心臓初代基質細胞、および副腎皮質アデノーマ細胞。これらの細胞は全て標準の推奨条件下において培養され、そしてRNAは、標準の手順を用いて抽出された。全てのサンプルは、一本鎖cDNAを生成するためにCuraGenで処理された。
【0478】
パネル5Iは、University of Miami School of MedicineにおけるDiabetes Research Instituteから入手した58歳の女性患者由来の膵臓島を追加して、前に記載した全てのサンプルを含む。島組織は、外部の供給源で総RNAに処理され、そしてパネル5Iに加えるためにCuraGenに運ばれた。
【0479】
5Dパネルおよび5Iパネル中の組織を同定するために使用した標識には、以下の略号を使用した:
GO Adipose=より大きい網脂肪
SK=骨格筋
UT=子宮
PL=胎盤
AD=分化された脂質
AM=分化中の脂質
U=未分化の幹細胞
(パネルCNSD.01)
パネルCNSD.01のプレートは、2個のコントロールのウェルおよび94個の試験サンプルを含む。これらの試験サンプルは、Harvard Brain Tissue Resource Centerから入手した死後のヒトの脳組織から単離されたcDNAを含む。脳を、死後4時間から24時間の間にドナーの頭蓋冠から切り出し、神経解剖学者によって断片化し、そして液体窒素蒸気中で−80℃で凍結させた。全ての脳を断片化し、そして明確な関連する神経病理学の診断を確認するために神経病理学者によって試験した。
【0480】
疾患の診断を患者の記録から入手する。パネルは、以下の診断のそれぞれに由来する2つの脳を含む:アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、欝状態、および「正常なコントロール」。これらの脳のそれぞれにおいて、以下の領域を示す:帯状回、大脳側頭極、淡蒼球(globus palladus)、黒質、ブロードマン野 4(主要な運動ストリップ(primary motor strip))、ブロードマン野 7(頭頂皮質)、ブロードマン野 9(前前頭皮質)、およびブロードマン野 17(後頭の皮質)。全ての脳の領域が全ての症例において示されるわけではない;例えば、ハンチントン病は、淡蒼球の神経変性によって一部特徴付けられ、従ってこの領域は、確認されたハンチントン病の症例からは得ることができない。同様に、パーキンソン病は、黒質の変性によって特徴付けられ、この領域を得ることをさらに困難にする。正常なコントロールの脳を神経病理学について試験し、そして神経変性に関係しているいかなる病理も含まないことを見出した。
【0481】
CNSパネル中の組織を同定するために使用した標識には、以下の略号を使用した:
PSP=進行性核上性麻痺
Sub Nigra=黒質
Glob Palladus=淡蒼球
Temp Pole=大脳側頭極
Cing Gyr=帯状回
BA 4=ブロードマン野 4。
【0482】
(パネルCNS_神経変性(Neurodegeneration)_V1.0)
パネルCNS_神経変性_V1.0のプレートは、2個のコントロールウェルおよび47個の試験サンプルを含む。これらの試験サンプルは、Harvard Brain Tissue Resource Center(McLean Hospital)およびHuman Brain and Spinal Fluid Resource Center(VA Greater Los Angeles Healthcare System)から入手した死後のヒトの脳組織から単離されたcDNAを含む。脳を、死後4時間から24時間の間にドナーの頭蓋冠から切り出し、神経解剖学者によって断片化し、そして液体窒素蒸気中で−80℃で凍結させた。全ての脳を断片化し、そして明確な関連する神経病理学の診断を確認するために神経病理学者によって試験した。
【0483】
疾患の診断を患者の記録から入手する。パネルは、アルツハイマー病(AD)患者に由来する6つの脳、および生前に痴呆の兆候を示さない「正常なコントロール」に由来する8つの脳を含む。8つの正常なコントロールの脳は、2つのカテゴリーに分けられる:痴呆もアルツハイマー様の病理症状もないコントロール(コントロール)および痴呆がないが重症のアルツハイマー様病理症状の証拠を示すコントロール(特に、老人斑負荷を0〜3のスケールでレベル3として評価した;0=斑を示さない、3=重症のADの老人斑負荷)。これらの脳のそれぞれの範囲で、以下の領域を示す:海馬、側頭皮質(ブロードマン野21)、頭頂皮質(ブロードマン野7)、および後頭皮質(ブロードマン野17)。これらの領域は、ADでの神経変性のすべてのレベルを含むように選ばれた。海馬は、ADでの早期かつ重症の神経欠損の領域である;側頭皮質は、海馬の後に、ADでの神経変性を示すことが知られている;頭頂皮質は、この疾患の後期段階で中程度の神経の死を示す;後頭皮質は、ADにおいて免れ、したがってAD患者内の「コントロール」領域として働く。脳のすべての領域がすべての症例において示されるわけではない。
【0484】
CNS_神経変性_V1.0パネル中の組織を同定するために使用した標識には、以下の略号を使用する:
AD=アルツハイマー病の脳;患者は、痴呆症であり、そして検死でAD様の病理症状を示した
Control=コントロールの脳;患者は、痴呆症でなく、神経病理症状を示さない
Control(Path)=コントロールの脳;患者は、痴呆症ではないが、重症のAD様の病理症状を示す
Sup Temporal Ctx=上側頭皮質
Inf Temporal Ctx=下側頭皮質。
【0485】
(NOV1:カルパイン様)
NOV1遺伝子(3352274とも呼ばれる)の発現を、表12で記載されたプライマー−プローブセットAg2003を使用して評価した。RTQ−PCR実行からの結果を、表13および14に示す。
【0486】
【表12】
Figure 2004532613
【0487】
【表13】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0488】
【表14】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
(パネル1.3Dの概要)
NOV1遺伝子の発現は、肝臓に特異的であるようであり、正常肝臓組織で最も高い発現であり(CT=32.1)、胎児肝臓細胞株および肝臓癌細胞株において同様に有意に発現した。NOV1遺伝子の発現は、肝臓に関連しているようなので、NOV1遺伝子を、肝臓由来の組織と他の組織とを区別するために潜在的に用い得た。さらに、NOV1遺伝子の治療的調節は、肝硬変のような、肝臓に関する障害の処置に有益であり得る。
【0489】
(パネル4Dの概要)
このパネルにおいて、NOV1の発現は、わずかなサンプルに制限され、肝硬変で、最も高い発現が検出された(CT=33.2)。この結果は、パネル1.3Dで観察された肝臓特異的発現と一致する。胸腺ならびにTNF−αおよびIL−1βで処理した気管支上皮においても、低いレベルだが有意なレベルで遺伝子の発現が検出される。NOV1遺伝子によりコードされるタンパク質は、カルシウム活性化中性プロテアーゼ(カルパイン)に対する相同性を有する。カルパインは、気管および肺で同定され、そして組織破壊に関与し得る。NOV1遺伝子によりコードされるタンパク質を用いて設計された治療薬は、喘息、肺気腫、および肝硬変の処置に重要であり得る(Dearら、A new subfamily of vertebrate calpains lacking a calmodulin−like domain:implications for calpain regulation and evolution.Genomics.45:175−84,1997)。
【0490】
(NOV2:エプシン様)
NOV2遺伝子(21421174とも呼ばれる)の発現を、表BAで記載されたプライマー−プローブセットAg3088を使用して評価した。RTQ−PCR実行からの結果を、表15、16、17,18および19に示す。
【0491】
【表15】
Figure 2004532613
【0492】
【表16】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0493】
【表17】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0494】
【表18】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0495】
【表19】
Figure 2004532613
(パネル1.3Dの概要)
NOV2遺伝子は、このパネル中のサンプルの多くにおいて広く発現され、脳腫瘍細胞株で、最も高い発現である(CT=26)。NOV2遺伝子はまた、中枢神経系(扁桃体、小脳、海馬、黒質、視床、大脳皮質および脊髄を含む)由来のすべての正常組織において高度に発現される。NOV2遺伝子によりコードされるタンパク質は、エプシンのホモログであり、これは、巨大分子のファゴサイトーシスに関与し、Huntington相互作用タンパク質と相互作用する。ゆえに、この遺伝子は、Huntingtonタンパク質のエンドサイトーシスおよびハンチントン病の病因において重要な役割を果たし得る。この遺伝子またはそのタンパク質の産物の下方制御は、ハンチントン病の処置において治療的な利点があり得る。
【0496】
このNOV2遺伝子はまた、成人および胎児の両方の供給源由来の脂肪、膵臓、副腎、甲状腺、下垂体、骨格筋、ならびに心臓および肝臓を含む代謝機能を有する多くの組織において発現される。従って、この遺伝子産物は、肥満および糖尿病を含む、これらの組織のいずれかまたは全てにおける病因および/または疾患の処置において重要であり得る。
【0497】
NOV2遺伝子は、正常な腎臓、乳房、卵巣および前立腺組織と比較した場合、腎癌、乳癌、脳腫瘍、卵巣癌、肺癌、結腸癌、腎臓癌、膵臓癌および前立腺癌細胞株で高度に発現され、従って、これらの癌において役割を果たし得る。この遺伝子はまた、1つの細胞株が他のメラノーマ細胞株と比較して高いレベルにおいてこの遺伝子を発現する場合、メラノーマの転移において役割を果たし得る。この発現プロフィールに基づいて、NOV2遺伝子の発現は、これらの癌の異なる段階/型についてのマーカーとして使用され得る。さらに、この遺伝子は、多種の胎児組織および癌細胞株に発現される。
【0498】
(パネル2.2の概要)
NOV2遺伝子の高度な発現が、肝臓腫瘍に隣接する肝臓組織において検出される(CT=27.3)。さらに、いくつかの肺癌、乳癌、肝臓癌および腎臓癌サンプルにおける発現のレベルは、マッチした正常組織と比較した場合、増加しているようである。逆のことは結腸、卵巣および胃組織に当てはまり、これらの発現は、マッチした癌組織より正常組織において若干高い。このように、これらのプロフィールに基づいて、NOV2遺伝子の発現は、正常隣接組織からある癌を識別するためのマーカーとしての使用、または異なる段階/型の癌に対するマーカーとして使用され得る。
【0499】
(パネル4Dの概要)
NOV2遺伝子は、結腸で最も高度に発現する(CT=22)。有意な発現はまた、種々の組織(繊維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、ケラチノサイト、白血球および平滑筋細胞)でも検出される。このNOV2遺伝子によってコードされるタンパク質は、EH−ドメイン結合様タンパク質、エプシンのホモログであり、このタンパク質は、エンドサイトーシスに関与すると考えられる。エピシンファミリーのメンバーは、創傷治癒において重要な役割を果たすことが示された。NOV2遺伝子はいくつかの細胞型において発現されるので、この遺伝子によりコードされるタンパク質を用いて設計された治療剤は、一般的に生体治療分子の細胞取り込みの調節、および特に創傷治癒の促進に重要な役割を果たし得る。
【0500】
(パネルCNS_神経変性_v1.0の要約)
NOV2遺伝子の最高の発現が、アルツハイマー病患者の海馬で検出される(CT=25.6)。しかし、このパネルでのすべてのサンプルにおいてもまた、広範な発現があり、この遺伝子の発現とアルツハイマー病の存在との間の特定の関係はこれらの結果から観察されない。しかし、これらの結果は、さらなる個体のセットの脳におけるNOV2遺伝子の発現を確認する。中枢神経系におけるこの遺伝子の潜在的な有用性の議論についてはパネル1.3Dを参照のこと(Rosenthalら、The epsins define a family of proteins that interact with components of the clathrin coat and contain a new protein module.J Biol Chem.274:33959−65,1999;Mishraら、Clathrin− and AP−2−binding sites in HIP1 uncover a general assembly role for endocytic accessory proteins.J Biol Chem,2001;Spradlingら、Epsin 3 is a novel extracellular matrix−induced transcript specific to wounded epithelia.J Bio Chem.276:29257−67,2001)。
【0501】
(NOV3:低密度リポプロテインB様)
NOV3遺伝子(AC025263_dalとも呼ばれる)の発現を、表20および21で記載されたプライマー−プローブのセットAg2002およびAg2452を使用して評価した。RTQ−PCR実行からの結果を、表22、23、24および25に示す。
【0502】
【表20】
Figure 2004532613
【0503】
【表21】
Figure 2004532613
【0504】
【表22】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0505】
【表23】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0506】
【表24】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0507】
【表25】
Figure 2004532613

【0508】
(パネル1.3Dの概要)
Ag2002/Ag2452 2つの異なるプローブ/プライマーセットを用いた2つの実験は、非常によく一致した結果を生じ、両方の実行において最大の発現は、脳の領域で生じる。NOV3遺伝子の発現は、1回の実行では大脳皮質(CT=26)において最大であり、そして他方では海馬(CT=27)において最大であり、顕著な発現が扁桃においても検出される。この発現パターンは、アルツハイマー病(AD)におけるNOV3遺伝子産物の機能的役割を示す。なぜなら、この遺伝子(低密度リポタンパク質ホモログ)は、AD病理学に対して重要な脳領域において発現される。アルツハイマー病の血清におけるアポリポタンパク質Bの発現の増大、およびLRPがアルツハイマー病の病因に寄与するという証拠は、NOV3遺伝子によってコードされるタンパク質についての病理学的役割を示唆する。それゆえ、AC024263 A遺伝子産物は、アルツハイマー病の処置のための有望な抗体または低分子標的であり得る。
【0509】
高レベルの発現はまた、脳の癌、乳癌、肺癌、腎臓癌および黒色腫に由来する細胞株において検出される。さらに、正常卵巣における発現は、卵巣癌組織に由来する細胞株においてよりもさらに高いようである。従って、この遺伝子の発現は、これらの癌についてのマーカーまたは治療剤として、有用であり得る。
【0510】
NOV3遺伝子は、代謝機能を有する組織において広範に発現され、そして胎児骨格筋(CT=27−30)において、成体骨格筋(CT=30−33)においてよりも高いレベルで顕著に発現される。発現のこの相違は、NOV3タンパク質産物が、胎児における筋肉の増殖または発達に関与し得、それゆえ、成体における再生能力に作用し得ることを示唆する。従って、NOV3遺伝子の治療調整は、筋肉関連疾患の処置において有用であり得、そしてこのタンパク質産物を用いた処置は、弱い筋肉またはジストロフィーの筋肉に対して筋肉量または機能を回復し得る。
【0511】
(パネル2Dの概要)
Ag2452 NOV3遺伝子の最大の発現は、結腸(CT=29.7)において生じる。高レベルの発現はまた、正常な隣接組織と比較した場合、乳癌、前立腺癌、卵巣癌および結腸癌において検出可能である。従って、NOV3遺伝子の発現は、これらの癌の存在を検出するためのマーカーとして使用され得る。
(パネル4Dの概要)
Ag2002/Ag2452 2つの異なるプローブおよびプライマーセットを用いた2つの実験は、正常結腸(CT=26.2)およびTNF−αで処理した皮膚の線維芽細胞(CT=29.2)におけるNOV3遺伝子の最大の発現を示す。顕著な発現はまた、線維芽細胞、内皮細胞および上皮細胞、ケラチノサイト、白血球、平滑筋細胞および正常腎臓において見られる。NOV3遺伝子は、正常結腸における発現と比較した場合、炎症性腸疾患(IBD)を有する患者由来の結腸においてずっと低いレベルで発現される。同様に、ループス腎臓における発現は、正常腎臓よりもずっと低い。従って、NOV3遺伝子によってコードされるタンパク質は、正常組織/細胞機能に関与し得、そして少なくとも腎臓および結腸において、このタンパク質のダウンレギュレーションは、ループスまたはIBDについての診断マーカーとして役立ち得る。
【0512】
(パネルCNS neurodegeneration v1.0の概要)
Ag2452 NOV3遺伝子は、このパネルにおけるサンプルの大部分において発現され、最大の発現は、コントロール患者(CT=29.4)の側頭皮質において検出される。明らかな疾患関連は、低密度リポタンパク質に対するその相同性およびパネル1.3Dにおけるその発現プロフィールに基づけば、この神経変性パネルにおいて遺伝子発現について出現しないが、NOV3遺伝子産物は、アルツハイマー病の処置についての有望な抗体または低分子標的のままである(Caramelliら,Increased apolipoprotein B serum concentration in Alzheimer’s disease.Acta Neurol Scand.100:61−3,1999およびUleryら,Modulation of beta−amyloid precursor protein processing by the low density lipoprotein reseptor−related protein(LRP).Evidence that LRP contributes to the pathogenesis of Alzheimer’s disease.J Biol Chem 275(10):7410−5,2000)。
【0513】
(NOV4:プリンレセプター様(Purinoceptor−like))
NOV4遺伝子(AC026756_da1とも呼ばれる)の発現を、表26および表27に記載されるプライマー−プローブセットAg1905およびAg2504を用いて評価した。RTQ−PCRの実行からの結果を、表28、表29および表30に示す。
【0514】
【表26】
Figure 2004532613
【0515】
【表27】
Figure 2004532613
【0516】
【表28】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0517】
【表29】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0518】
【表30】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
(パネル1.3Dの概要)
Ag1905 同じプローブおよびプライマーセットを用いた2つの実験は、肺癌細胞株SHP−77(CT=30)および気管(CT=30−31)における最大の発現と良く一致する結果を生じる。結腸および卵巣に由来する細胞株におけるNOV4遺伝子の顕著な発現もまた存在する。この遺伝子は、種々の型の肺、卵巣および結腸癌における役割を果たし得る。なぜなら、この遺伝子は、これらの癌に由来する細胞株において、正常組織と比較して、より高度に発現されるからである。さらに、正常な脳および膵臓における発現は、これらの組織に由来する癌細胞株よりも高いようである。従って、NOV4遺伝子の発現は、結腸癌、卵巣癌、脳の癌、肺癌および膵臓癌についてのマーカーまたは治療剤として用いられ得る。さらに、ペプチド、キメラ分子または低分子薬物の使用を通したこの遺伝子の産物の治療調整は、これらの癌の治療において有用であり得る。
【0519】
中枢神経系に関与する組織(扁桃、海馬、視床、大脳皮質および脊髄を含む)におけるNOV4遺伝子の顕著な発現もまた存在する。
【0520】
GDNF感受性知覚ニューロンにおいて見出されたプリンレセプターは、侵害受容器機能を媒介する。NOV4遺伝子産物はプリンレセプターのホモログであるので、このレセプターの作用をブロックする因子は、鎮痛剤として作用するかまたは慢性の疼痛の樹立を阻害するかのいずれかによって、疼痛を処置する際に有用性を有し得る。さらに、アデノシンは、脳の領域(例えば、海馬、皮質、脳幹神経節および視床)において顕著な神経調節の役割を果たすので、NOV4プリンレセプターホモログは、脳のこれらの領域におけるアデノシンの作用に関与する位置に局在する。NOV4遺伝子によってコードされるタンパク質は、P2Y4プリンレセプターおよびP2Y6プリンレセプターに最も相同であり、このことは、この機能が、これらのレセプターによって誘導されるPLC媒介Ca2+動員に類似し得ることを示唆する。Ca2+動員は、神経伝達物質の放出をもたらす分子プロセスの重要な構成要素である。アデノシンは、脳におけるグルタメートの放出を調整する。グルタメートは、主な興奮性アミノ酸神経伝達物質である。グルタメートは、多数の病理学的状態(卒中を含む)において興奮毒性ニューロン損傷およびニューロン死を発揮する。A1アデノシンレセプターのアゴニストは、グルタメート放出のGタンパク質共役阻害を介してこの損傷を低減する。A2レセプターのアンタゴニストはまた、グルタメート誘導性興奮毒性を低減する。それゆえ、NOV4遺伝子によってコードされるタンパク質を阻害または刺激する因子は、脳におけるグルタメート放出およびこれらの領域におけるその後のグルタメートの作用に影響を与えるようである。NOV4遺伝子産物が、グルタメート放出に関してA1レセプターと同様に機能するならば、推定レセプターのアゴニストは、卒中の処置において有用性を有するようである。NOV4遺伝子産物が、A2レセプターと同様に機能するならば、推定レセプターのアンタゴニストは、卒中の処置において有用性を有するようである。さらに、A2aプリンレセプターのアンタゴニストは、抗鬱剤である。それゆえ、NOV4遺伝子産物のアンタゴニストは、有用な抗鬱剤であり得る。A2aレセプターアンタゴニストはまた、マウスにおけるパーキンソン症候群様の症状に対向し、このことは、NOV4遺伝子産物アンタゴニストもまた、パーキンソン病の処置において有用性を有し得ることを示唆する。
【0521】
Ag2504 NOV4遺伝子の発現は、パネル1.3Dの全てのサンプルにおいて低い/検出不可能(Ct値>35)である(データを示さず)。
【0522】
(パネル2.2の概要)
Ag2504 NOV4遺伝子の発現は、パネル2.2の全てのサンプルにおいて低い/検出不可能(Ct値>35)である(データを示さず)。
【0523】
(パネル2Dの概要)
Ag1905 NOV4遺伝子の最大発現は、結腸癌(CT=30.4)において検出される。さらに、この遺伝子の発現は、このパネルに存在する6つ全ての一致した組織対において正常な隣接組織と比較した場合、結腸癌において過剰発現されるようである。従って、AC025756 da1遺伝子の発現を用いて、結腸癌と正常組織との間を区別し得る。さらに、NOV4遺伝子産物の機能または活性の治療調整は、結腸癌の処置において有効であり得る。NOV4遺伝子はまた、腎臓において逆の関連を示し、この遺伝子の過剰発現は、対応する癌性組織と比較した場合、正常腎臓において存在する。従って、この遺伝子の発現をまた用いて、正常腎臓組織と癌性腎臓組織との間を区別し得、そしてこの遺伝子産物の治療調整は、腎臓癌の処置において有効であり得る。
【0524】
(パネル4Dの概要)
Agl905 NOV4遺伝子の発現は、胸腺(CT=31.9)に制限される。この遺伝子によってコードされる推定のGPCRは、T細胞の発達において重要であり得る。なぜなら、プリノレセプター(purinoreceptor)は、胸腺細胞において実証されているからである。NOV4遺伝子によってコードされるタンパク質を用いて設計された免疫調節性の治療薬物は、胸腺におけるT細胞産生を調節し得、そして組織拒絶を予防する際、自己免疫障害を処置する際、およびウイルス疾患(例えば、AIDS)を処置する際に重要であり得る。さらに、この転写産物またはこの転写産物によってコードされるタンパク質に対して設計された抗体は、特定の発生段階の胸腺細胞のサブセットを同定するための診断マーカーとして用いられ得る。
【0525】
Ag2504 NOV4遺伝子の発現は、パネル4Dの全てのサンプルにおいて低い/検出不可能である(Ct値>34.5)(データは示さず)。
【0526】
パネルCNS neurodegeneration v1.0 概要 Ag2504 NOV4遺伝子の発現は、パネルCNS neurodegeneration v1.0の全てのサンプルにおいて低い/検出不可能である(Ct値>35)(データは示さず)。
【0527】
【数2】
Figure 2004532613
(NOV5:CG8841様)
NOV5遺伝子(AC026756 da1とも呼ばれる)の発現を、表31に記載されるプライマー−プローブセットAg2000を用いて評価した。RTQ−PCRの実行からの結果を、表32、33および34に示す。
【0528】
【表31】
Figure 2004532613
【0529】
【表32】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0530】
【表33】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0531】
【表34】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
(パネル1.3Dの概要)
NOV5遺伝子(膜貫通多回貫通タンパク質(transmembrane multi−pass protein)のホモログ)の最大の発現は大脳皮質(CT=26.8)において見られ、中程度の発現が、脳の全ての領域にまたがって検出可能である。この遺伝子は、脳の癌における大きなダウンレギュレーションを示すので、この遺伝子が存在しないことは、死後組織を調べて分類する際に脳組織が前癌性であったか否かを決定するための優れたマーカーである。
【0532】
NOV5遺伝子の発現はまた、代謝関連性を有する組織(脂肪組織、膵臓、成体および胎児の心臓、成体および胎児の肝臓、成体および胎児の骨格筋、ならびに副腎、下垂体および甲状腺を含む)において広範にみられる。NOV5遺伝子は、胎児の心臓および骨格筋(CT=28)において、成体の心臓および骨格筋(CT=31−34)においてよりもずっと高いレベルで発現される。この示差的発現パターンは、NOV5遺伝子発現を用いて、心臓および骨格筋についての2つの組織供給源の間を区別し得ることを示唆する。さらに、胎児の骨格筋におけるこの遺伝子の顕著により高いレベルの発現は、NOV5遺伝子産物が、胎児における筋肉の増殖または発達に関与し得、そして成体における再生能力に潜在的に作用し得ることを示唆する。それゆえ、NOV5遺伝子の治療調整は、筋肉関連疾患の処置および弱いかまたはジストロフィーの筋肉の処置において有用であり得る。
【0533】
NOV5遺伝子はまた、卵巣癌、乳癌、肺癌、胃癌、前立腺癌および結腸癌に由来する細胞株において、正常組織と比較して有意なレベルで発現される。従って、この遺伝子の発現は、卵巣、乳房、肺、胃、前立腺および結腸についてのマーカーまたは治療剤として有用であり得る。さらに、ペプチド、キメラ分子または低分子薬物の使用を介した、この遺伝子の産物の治療調整は、これらの癌の処置において有用であり得る。
【0534】
(パネル2.2の概要)
NOV5遺伝子の最大の発現は、パネル1.3Dにおいて見られるのと同様に、乳癌(CT=28)において見られる。さらに、対応する正常組織と比較した場合、NOV5遺伝子の顕著な過剰発現が、乳癌サンプル、肺癌サンプルおよび卵巣癌サンプルのクラスターに存在する。従って、NOV5遺伝子の発現を用いて、乳癌、卵巣癌および肺癌を正常組織から区別し得、そしてNOV5遺伝子の発現をこれらの癌の存在についてのマーカーとして用い得る。さらに、NOV5遺伝子のタンパク質産物の治療調整は、乳癌、卵巣癌および肺癌の処置において有益であり得る。この遺伝子の発現はまた、一致した胃癌組織と比較した場合、いくつかの正常な胃サンプルとの逆の関連を示す。このことは、NOV5遺伝子を用いて正常な胃組織と癌性の胃組織との間を区別し得ること、および遺伝子産物の治療調整は、胃癌の処置において有用であり得ることを示唆する。
【0535】
(パネル4Dの概要)
NOV5遺伝子の最大の発現は、結腸(CT=26.2)において見出され、中程度の発現は、粘膜性類表皮細胞株H292および肺において検出可能である。これはまた、それらの活性化状態にかかわらず、HUVECおよび肺の微小血管において中程度のレベルで発現される。NOV5遺伝子によってコードされるタンパク質は、上皮増殖因子関連タンパク質(フィブロペリン(fibropellin)様)に相同であり、そして肺粘膜性類表皮細胞、結腸または血管系のマーカーとして用いられ得る。この転写産物によってコードされる推定タンパク質はまた、これらの組織の正常なホメオスタシスにおいて重要な役割を果たし得る。NOV5遺伝子産物を用いて設計された低分子または抗体治療剤は、喘息および気腫に関連した炎症の間に正常な機能をこれらの器官に維持または回復するために重要であり得る。
【0536】
(NOV6:シナプトタグミン様)
NOV6遺伝子(SC134912642 da1とも呼ばれる)の発現を、表35に記載されるプライマー−プローブセットAg2056を用いて評価した。RTQ−PCRの実行からの結果を、表36、表37、表38、表39および表40に示す。
【0537】
【表35】
Figure 2004532613
【0538】
【表36】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0539】
【表37】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0540】
【表38】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0541】
【表39】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0542】
【表40】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
(パネル1.3Dの概要)
NOV6遺伝子は、シナプトタグミンのホモログであり、そして脳のすべての領域にわたって中程度〜高程度の発現を示し、大脳皮質において最高の発現である(CT=27.6)。シナプトタグミンは、シナプス小胞の放出に関与するシナプス前性タンパク質である。このことは、NOV6を、神経伝達の減少が有益である癲癇のような疾患についての理想的な薬物標的にする。従って、この遺伝子またはそのタンパク質産物の選択的阻害は、痙攣障害の処置において有用であり得る。さらに、NOV6遺伝子によってコードされるタンパク質の拮抗作用を通して神経伝達を選択的に阻害することは、不適切な神経連絡が確立されていると考えられる精神医学的疾患(例えば、精神分裂病および双極性障害)において、治療上の利益を示し得る。さらに、シナプトタグミンに対する抗体は、ランバート−イートン筋無力症症候群を引き起こし得る。従って、NOV6遺伝子によってコードされるタンパク質のペプチドフラグメントは、これらの抗体の作用をブロックするため、およびランバート−イートン筋無力症症候群を処置するために役立ち得る。
【0543】
NOV6遺伝子はまた、脂肪、成体および胎児の心臓、成体および胎児の肝臓、膵臓、ならびに副腎、下垂体および甲状腺を含む多くの代謝組織において、少ないが有意な発現を示す。この遺伝子産物は、成体の骨格筋(CT値=37)と比較した場合に、胎児の骨格筋(CT値=31)においてはるかにより高いレベルで発現されるようであり、そしてこの組織における胎児の表現型からの成体の分化に有用であり得る。
【0544】
NOV6遺伝子は、正常な組織と比較して、肺癌、胃癌、結腸癌および卵巣癌に由来する細胞株のクラスターにおいて顕著に発現される。この遺伝子の発現はまた、脳組織および前立腺組織の癌に由来する細胞株と比較した場合に、いくつかの正常な脳および前立腺のサンプルとの関連を示す。従って、そのプロフィールに基づいて、この遺伝子の発現は、肺癌、胃癌、結腸癌および卵巣癌についてのマーカーまたは治療剤として有用であり得る。さらに、ペプチド、抗体、化学分子または低分子薬物の使用を通した、この遺伝子産物の治療的調整は、これらの癌の処置において有用であり得る。
【0545】
(パネル2.2の概要)
NOV6遺伝子の発現は、胸部癌転移(CT=27.8)において最高であり、そして正常な隣接組織と比較した場合に、胸部癌に由来するサンプルにおいて高度に発現されるようである。この遺伝子の発現はまた、対応する腎臓癌組織、前立腺癌組織および肺癌組織と比較した場合に、いくつかの正常な腎臓、前立腺および肺のサンプルとの関連を示す。従って、そのプロフィールに基づいて、この遺伝子の発現の非存在/存在は、胸部癌、腎臓癌、前立腺癌および肺癌についてのマーカーとして有用であり得る。ペプチド、抗体、化学分子または低分子薬物の使用を通した、この遺伝子産物の治療的調整は、肺癌、腎臓癌、前立腺癌および胸部癌の治療において有用であり得る。
【0546】
(パネル4Dの概要)
同じプローブおよびプライマーのセットでの2つの実験からの結果は、NOV6遺伝子が、肺に関連した組織において、中程度のレベルで選択的に発現されることを示している。この遺伝子の発現は、正常なヒト肺線維芽細胞において見出され、そしてこれらの細胞において、IFNg、IL4、IL13およびIL−9での処理後にアップレギュレートされ、IFNg処理細胞において最高の発現である(CT=30)。NOV6遺伝子によってコードされるタンパク質はまた、TNF−aおよびIL−1bで処理された末梢気道(small airway)上皮においてアップレギュレートされ、そしてIL−13およびIFNgでの処理に際して、粘膜性類表皮細胞株H292においてダウンレギュレートされる。NOV6遺伝子は、シナプトタグミンのホモログであり、この偏在的に発現されるアイソフォームであるシナプトタグミンVIIは、リソソームのエキソサイトーシスを調節する。シナプトタグミンVIIは近年、形質膜の修復を担うCa(2+)調節性エキソサイトーシス画分として作用するリソソームと共に、線維芽細胞形質膜の修復に関連付けられた。従って、抗体または低分子薬物の使用を通した、この遺伝子または遺伝子産物の発現または機能の治療的調整は、ぜん息、気腫、ならびに、炎症性サイトカインの局所的産生に起因した細胞ストレスと関連付けられるウイルスおよび細菌の肺感染のような肺疾患を処置するために有益であり得る。
【0547】
(パネルCNS_1の概要)
NOV6遺伝子の最高の発現は、パーキンソン病を有する患者の脳において見られる(CT=29.6)。中枢神経系における潜在的有用性の考察については、パネル1.3Dを参照されたい。
【0548】
(パネルCNS_neurodegeneration(神経変性)_v1.0の概要)
NOV6遺伝子の発現は、このパネルのサンプル全体を通して偏在的であり、アルツハイマー病を有する患者の海馬において最高の発現である(CT=25.8)。このパネルにおいて、この遺伝子の発現とアルツハイマー病の存在との間での関連は検出されなかったが、これらの結果は、アルツハイマー病において変性する領域(皮質、海馬、扁桃および視床を含む)におけるこの遺伝子の発現を確証付ける。シナプトタグミンの発現は、アルツハイマー病の患者の脳において改変され、このことはおそらく、シナプス形成の障害および/または神経変性障害において観察されるニューロンの欠損に対して二次的に起こるシナプトソームの欠損を説明する。このことはまた、エキソサイトーシス機構の衰退によって引き起こされる、アルツハイマー病(AD)における神経伝達の障害を表し得るか、反映し得るか、または説明し得る。NOV6遺伝子は、シナプトタグミンのホモログであるので、NOV6遺伝子によってコードされるタンパク質の発現または機能を増強する薬剤は、アルツハイマー病の処置において有用であり得る。(Reddyら,Plasma membrane repair is mediated by Ca(2+)−regulated exocytosis of lysosomes.Cell 106:157−69,2001;Takamoriら,Antibodies to calcium channel and synaptotagmin in Lambert−Eaton myasthenic syndrome.Am J Med Sci.319:204−8,2000;Szeら,Selective regional loss of exocytotic presynaptic vesicle proteins in Alzheimer’s disease brains.J Neurol Sci.175:81−90,2000;Sokolovら,Levels of mRNAs encoding synaptic vesicle and synaptic plasma membrane proteins in the temporal cortex of elderly schizophrenic patients.Biol Psychiatry.48:184−96,2000;Masliahら,Altered expression of synaptic proteins occurs early during progression of Alzheimer’s disease.Neurology 56:127−9,2001;Yooら,Synaptosomal proteins,beta−soluble N−ethylmaleimide−sensitive factor attachment protein(beta−SNAP),gamma−SNAP and synaptotagmin I in brain of patients with Down syndrome and Alzheimer’s disease.Dement Geriatr Cogn Disord.12:219−25,2001)。
【0549】
(NOV8:グリピカン(Glypican)2前駆体様)
NOV8a遺伝子(134913441_EXT)、ならびに改変体NOV8b(CG50970−02)およびNOV8c(CG50970−03)の発現を、表41および42に記載されるプライマー−プローブセットAg1309およびAg2251を使用して評価した。RTQ−PCR実行からの結果を、表43、44、45および46に示す。
【0550】
【表41】
Figure 2004532613
【0551】
【表42】
Figure 2004532613
【0552】
【表43】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0553】
【表44】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0554】
【表45】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0555】
【表46】
Figure 2004532613
(パネル1.3Dの概要)
(Ag2251) NOV8遺伝子の最高レベルの発現は、CNS癌細胞株SK−N−ASにおいて見られる(CT=29.6)。この遺伝子はまた、正常組織と比較して、肺癌、前立腺癌および胸部癌由来の細胞株においてより高いレベルで発現され、そしてこれらの癌において役割を果たし得る。従って、NOV8遺伝子の発現は、肺癌、前立腺癌および胸部癌についてのマーカーまたは治療剤として使用され得る。さらに、ペプチド、抗体、化学分子または低分子薬物の使用を通した、この遺伝子産物の活性の治療的調整は、これらの癌の処置において有用であり得る。
【0556】
NOV8遺伝子はまた、成体組織(CT=40)における発現と比較した場合に、胎児の肝臓、肺、骨格筋および心臓(CT=32−35)においてより高いレベルで発現される。これらの結果は、NOV8遺伝子の発現が、これらの組織の成体表現型と胎児表現型との間を識別するために潜在的に使用され得ることを示唆する。さらに、胎児組織と成体組織とにおける発現の差異はまた、成体器官の形成へと導く分化プロセスにおけるこの遺伝子産物の関与を示し得る。従って、NOV8遺伝子によってコードされるタンパク質は、成体におけるこれらの組織の再生において潜在的に役割を果たし得る。
【0557】
NOV8遺伝子(グリピカンホモログ)は、脳の多くの領域にわたって、中程度〜低いレベルで発現される。これらの領域は、海馬、扁桃、視床および大脳皮質を含み、これらはすべて、アルツハイマー病の神経変性を受ける重要な領域である。さらに、グリピカンは老人斑および神経原線維変化において発現され、このこともまた、アルツハイマー病における役割を示す。従って、NOV8遺伝子の発現プロフィールは、NOV8遺伝子によってコードされるタンパク質に対する抗体が、ヒト脳における神経変性疾患を識別するために使用され得ることを示唆する。さらに、NOV8遺伝子産物様物質は、アルツハイマー病の痴呆病理を生じさせると考えられる老人斑の成分であるので、この遺伝子を標的化する薬剤および老人斑におけるその役割を破壊する薬剤は、アルツハイマー病の原因および症状、ならびにこのグリピカンが関与する他の神経変性疾患を処置するにおいて有用性を有し得る。
【0558】
(パネル2Dの概要)
(Ag2251) NOV8遺伝子の最高の発現は、胸部癌サンプル(CT=30.3)において見られる。この遺伝子の発現は、対応する正常組織と比較した場合に、結腸癌、肺癌、腎臓癌、胸部癌、膀胱癌および胃癌由来のサンプルとの関連を示すようである。従って、NOV8遺伝子の発現は、これらの癌についてのマーカーとして使用され得る。さらに、ペプチド、抗体、化学分子または低分子薬物の使用を通した、この遺伝子産物の治療的活性は、結腸癌、肺癌、腎臓癌、胸部癌、膀胱癌および胃癌の処置において有用であり得る。
【0559】
(パネル4Dの概要)
(Ag2251/Ag1309) 2つの異なるプローブおよびプライマーのセットを使用する2つの実験は、非常によく一致する結果を生じ、腎臓(CT=28−29)において最高の発現が見られる。腎臓におけるこの高い発現レベルは、NOV8遺伝子の発現が、腎臓組織についてのマーカーとして役立ち得ることを示唆する。NOV8遺伝子はまた、活性化Ramos B細胞株、活性化初代B細胞、Th1 T細胞、活性化HUVECおよびケラチノサイトにおいて、低レベルで発現される。NOV8遺伝子は、HSPG(ヘパラン硫酸プロテオグリカン)のファミリーに属するグリピカン分子のホモログであるタンパク質をコードする。グリピカンは、広範な種々の増殖因子および生存因子の活性を調節し得る。従って、抗体薬物の使用を通した、この遺伝子または遺伝子産物の発現または機能の治療的調整は、自己免疫媒介性疾患(例えば、インスリン依存性糖尿病、慢性関節リウマチ、クローン病、アレルギー、遅延型過敏症、ぜん息および乾癬)の処置において、潜在的に、T細胞およびB細胞の活性化を防止し得る。
【0560】
(パネルCNS_neurodegeneration(神経変性)_v1.0の概要)(Ag2251) このパネルにおけるNOV8遺伝子の最高の発現は、アルツハイマー病患者の大脳皮質(CT=32.7)において検出される。このパネルにおいて、この遺伝子の発現とアルツハイマー病の存在との間での関連は検出されなかったが、これらの結果は、アルツハイマー病において変性する領域におけるこの遺伝子の発現を確証付ける。中枢神経系におけるこの遺伝子の潜在的有用性の考察については、パネル1.3Dを参照されたい。(Verbeekら,Agrin is a major heparan sulfate proteoglycan accumulating in Alzheimer’s disease brain.Am J Pathol.155:2115−25,1999)。
【0561】
(NOV9:マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ2様)
NOV9遺伝子(AC011005_da2ともいう)の発現を、表47に記載したプライマー−プローブセットAg2022を使用して評価した。RTQ−PCR実行からの結果を、表48、49および50に示す。
【0562】
【表47】
Figure 2004532613
【0563】
【表48】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0564】
【表49】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0565】
【表50】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
(パネル1.3Dの概要)
同じプローブおよびプライマーのセットを用いた2つの結果は、極めてよく一致し、成体の骨格筋(CTs=27)においてNOV9遺伝子の最も高い発現を有する。NOV9遺伝子はまた、代謝機能を有する他の組織においても中程度の発現を示し、その組織としては、脂肪、成体および胎児の心臓および肝臓、成体の骨格筋、膵臓、および副腎、甲状腺、ならびに下垂体が挙げられる。胎児の骨格筋(CTs=30)における発現は、成体の組織(CTs=27)に比べて非常により低く、このことは、骨格筋の分化におけるこの遺伝子の発現を意味し、従って、NOV9遺伝子の発現が、この組織の成体表現形と胎児表現形との間を区別するために用いられ得ることを示唆する。MAPキナーゼキナーゼ(MAPKK)によって媒介される経路が筋芽細胞の増殖に影響を与えること、ならびにインスリンおよび自律運動の両方が、骨格筋におけるこの経路を介してシグナル伝達を刺激することが示された。肥満および糖尿病の被験体におけるインスリン耐性は、一部、腫瘍壊死因子αに起因し得、その腫瘍壊死因子の効果は、インスリンによるMAPKKの正常な活性化の妨害を介して媒介される。さらに、自律運動訓練は、肥満Zuckerマウスにおいてインスリン誘導性MAPKK活性を有意に改善する。このことは、このキナーゼの活性化因子が、糖尿病の処置において効果的な薬剤であり得ることを示す。さらに、MAPKK経路の活性化は、アンドロゲン欠損の前脂肪細胞からの脂肪細胞の分化に関連する。従って、MAPKKアンタゴニストは、いくつかの場合において肥満の処置に適する薬物であり得る。
【0566】
NOV9遺伝子は、正常な組織と比較して、黒色腫ならびに腎臓癌および肺癌由来の細胞株においてより高いレベルで発現され、そしてそれらの組織の癌において役割を果たし得る。従って、この遺伝子の発現は、肺癌および腎臓癌ならびに黒色腫についてのマーカーまたは治療剤として有用である。さらに、ペプチド、キメラ分子、または低分子薬物の使用を介する、遺伝子産物の活性の治療的調節は、これらの癌の治療に有用であり得る。
【0567】
NOV9遺伝子(マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼのホモログ)は、脳にわたって、高い〜中程度のレベルで発現され、視床中において見られる中枢神経において最も高い発現(CT=28.4)を有する。マイトジェン活性化プロテンキナーゼキナーゼは、バルプロ酸(痙攣障害および双極性障害の処置に用いられる薬物)によって活性化される。バルプロ酸は、GABA(脳内の主要な阻害神経伝達物質)の神経性の産生を増加させることによって作用すると考えられる。従って、このキナーゼの選択的な活性は、痙攣障害、双極性障害、またはGABA欠損によって引き起こされると考えられている任意の他の神経学的/精神医学的状態(精神分裂病)の処置において治療的利益を有し得る。
【0568】
(パネル2.2の概要)このパネル中でNOV9遺伝子の最も高い発現は、乳癌のサンプル(CT=29.0)において見られる。この遺伝子の発現は、対応する正常な組織と比較した場合、乳癌および腎臓癌由来のサンプルとの関連を示す。従って、NOV9遺伝子の発現は、乳癌および腎臓癌のマーカーとして有用であり得る。さらに、この遺伝子産物の治療活性は、ペプチド、キメラ分子または低分子薬物の使用を介して、乳癌および腎臓癌の処置に有用であり得る。
【0569】
(パネル4Dの概要)
NOV9遺伝子の発現は、このパネルを通して遍在する。NOV9遺伝子の最も高い発現は、活性化されていない細胞と比較して、PMA/イオノマイシンで活性化した際、好塩基性球細胞株(KU−812)(CT=26.2)において見出される。NOV9遺伝子の高い活性はまた、活性化B細胞、B細胞株および皮膚線維芽細胞においても見出される。NOV9遺伝子は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ2(MAPKK2)(増殖および分化に影響するシグナル伝達経路におけるRafの下流で機能するセリントレオニンキナーゼ)と相同である。好塩基球でのこのキナーゼの高い活性は、肥満細胞/好塩基球細胞のシグナル伝達におけるこのキナーゼの役割を示唆する。活性化肥満細胞/好塩基球細胞は、多くのアトピー性疾患に関連しており、そのアトピー性疾患としては、喘息、アトピー性接触皮膚炎、アレルギー、および鼻炎が挙げられる。従って、低分子薬物の使用を介する、NOV9遺伝子産物の発現または機能の治療的調節は、これらの疾患の処置に有益であり得る。さらに、活性化B細における、このキナーゼの高い発現は、NOV9遺伝子産物に対して設計された低分子薬物の使用が、自己免疫疾患およびリンパ腫のようなB細胞過剰増殖障害を予防し得る
【0570】
【数3】
Figure 2004532613

【0571】
(NOV11:サイモシンβ 10様)
NOV11a遺伝子(GMAC079400_A)および改変体NOV11b(CG109754−01)の発現を、表51に記載されるプライマー−プローブのセットAg2431およびAg3087を用いて評価した。RTQ−PCR実行の結果を、表52、表53、表54および表55に示す。
【0572】
【表51】
Figure 2004532613
【0573】
【表52】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0574】
【表53】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0575】
【表54】
Figure 2004532613
Figure 2004532613
Figure 2004532613
【0576】
【表55】
Figure 2004532613
(パネル1.3の概要)
(Ag2431)NOV11遺伝子(サイモシンβ 10のホモログ)は、海馬において最も高く発現され(CT=24.2)、そしてCNSにおいて広範に発現される。この遺伝子は、全ての神経変性疾患の顕著な特徴である神経膠症の処置において重要であることが明らかである。さらに、神経膠瘢痕の形成は、脊髄損傷および頭部外傷に応答する神経再生に対する1つの原理的な障害である。従って、この遺伝子および/またはそのタンパク質産物の選択的ダウンレギュレーションは、脊椎損傷もしくは頭部損傷、または任意の神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、脊髄小脳性運動失調など)の処置に有益であり得る。
【0577】
NOV11遺伝子はまた、多くの代謝組織において中程度〜低い発現を調節し、その代謝組織としては、脂肪、副腎、成体および胎児の心臓、成体および胎児の肝臓、成体および胎児の骨格筋、膵臓、下垂体、および甲状腺が挙げられる。この遺伝子は、成体の骨格筋(CT=31.7)よりも胎児の骨格筋(CT=28)においてより高いレベルで発現されることが、明らかであり、そして、潜在的に、この組織の成体の表現形と胎児の表現形との間を区別するために用いられ得る。さらに、胎児の骨格筋におけるより高い発現は、NOV11遺伝子が、胎児の筋肉の成長または発達における役割を果たし得、従って、成体における再生能力において作用をし得ることを示唆する。従って、NOV11遺伝子の治療的調節は、筋肉関連疾患の処置に有用であり得、そしてそのタンパク質産物での処置は、弱体化した筋肉または筋ジストロフィーに対して筋肉の量または機能を再生し得る。
【0578】
NOV11遺伝子は、乳癌、肝臓癌、および黒色腫由来の細胞株において、その対応する正常な組織における発現と比較した場合、有意なレベルで発現される。従って、この遺伝子の発現は、乳癌、肝臓癌、および黒色腫についてのマーカーまたは治療薬として有用であり得る。さらに、NOV11遺伝子によってコードされたタンパク質の活性の治療的調節は、ペプチド、抗体、キメラ分子または低分子薬物の使用を介して、これらの癌の治療に有用であり得る。
【0579】
(パネル2Dの概要)
(Ag2431)NOV11遺伝子の最も高い発現は、胃癌サンプル(CT=23.5)において見られる。パネル2D中のこの遺伝子の発現は、卵巣癌、膀胱癌、肝臓癌、乳癌、腎臓癌、および結腸癌由来のサンプルの、対応する正常な組織と比較した場合の、関連を示す。筋肉に転移した肺癌はまた、その隣接する筋肉組織と比較した場合、この遺伝子の増加された発現を示す。従って、NOV11遺伝子の発現は、これらの癌についてのマーカーとして有用であり得る。さらに、ペプチド、抗体、キメラ分子または低分子薬物の使用を介する、この遺伝子の産物の活性の治療的調節は、これらの癌の処置に有益であり得る。
【0580】
(パネル4Dの概要)
(Ag2431)NOV11遺伝子は、正常な細胞型および細部株の両方において、それらの活性化の状態に関らず、このパネルを通して遍在的に発現される。この遺伝子は、サイモシンβ−10との相同性を有するタンパク質をコードする。いくつかの報告は、サイモシンβ(機能的に非常に類似するサイモシンβ4のように)が、生細胞においてアクチンフィラメントのラージサブセットの効果的な調節因子であることを示す。サイモシンβ−10の減少した発現は、EC形成性の減少による老化表現型に寄与し得、従って、遊走性の刺激に対するそれらの応答を減少させる。従って、NOV11によってコードされたタンパク質を用いて設計された治療薬は、リンパ球、肺、皮膚線維芽細胞、内皮細胞の正常な機能の維持または回復における役割を果たし得、そして細胞の老化の予防に有益であり得る。
【0581】
(パネル CNS変性v1.0の概要)
(Ag2431)NOV11遺伝子の発現は、このパネル中の少数のサンプルに制限され、アルツハイマー病の患者の大脳皮質において最も高い発現(CT=33.5)を有する。この遺伝子の発現とアルツハイマー病の存在との間の関連性はこのパネル中で検出されないが、これらの結果は、さらなるセットの個体の脳におけるこの遺伝子の発現を確認する。中枢神経系におけるこの遺伝子の潜在的な有用性の議論に関してパネル1.3Dを参照のこと(Carpinteroら、Expression of the thymosin beta10 gene in normal and kainic acid−treated rat forebrain.Brain Res Mol Brain Res.70:141−6,1999)。
【0582】
(他の実施形態)
特定の実施形態が本明細書中で詳細に開示されているが、これは例示の目的のみのための例として行われており、そして添付される特許請求の範囲の範囲に関して限定するようには意図されない。詳細には、種々の置換、変更、および改変が、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲を逸脱することなく本発明に対して行われ得ることが、本発明者らによって企図される。核酸の出発物質、目的のクローン、ライブラリーの型の選択は、本明細書中に記載されている実施形態の知見を考慮すると、当業者にとって慣用的な事項であると考えられる。他の局面、利点、および改変は、以下の特許請求の範囲内にあると考えられる。

Claims (41)

  1. 単離されたポリペプチドであって、以下:
    (a)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟形態;
    (b)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟形態の改変体であって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該成熟形態のアミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下が異なる、改変体;
    (c)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列;ならびに
    (d)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列の改変体であって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該アミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下が異なる、改変体;
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
  2. 請求項1に記載のポリペプチドであって、該ポリペプチドが、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列の天然に存在する対立遺伝子改変体のアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
  3. 請求項2に記載のポリペプチドであって、ここで、前記対立遺伝子改変体が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および/または33からなる群から選択される核酸配列と単一ヌクレオチドで異なる核酸配列の翻訳であるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
  4. 前記改変体のアミノ酸配列が、保存的アミノ酸置換含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. 単離された核酸分子であって、以下:
    (a)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群から選択されるアミノ酸配列の成熟形態;
    (b)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列の成熟形態の改変体であって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該成熟形態のアミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下が異なる、改変体;
    (c)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列;
    (d)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列の改変体であって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該アミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下が異なる、改変体;
    (e)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは該ポリペプチドの改変体の、少なくとも一部をコードする核酸フラグメントであって、ここで、該改変体中の1以上のアミノ酸残基が、該成熟形態のアミノ酸配列と異なり、ただし、該改変体は、該アミノ酸配列と、そのアミノ酸残基のうちの15%以下が異なる、核酸フラグメント;ならびに
    (f) (a)、(b)、(c)、(d)または(e)の相補体を含む、核酸分子、
    からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子。
  6. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が天然に存在する対立遺伝子核酸改変体のヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
  7. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が、天然に存在するポリペプチド改変体のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、核酸分子。
  8. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および/または33からなる群から選択される核酸配列と単一ヌクレオチドで異なる、核酸分子。
  9. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が以下:
    (a)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および/または33からなる群より選択されるヌクレオチド配列;
    (b)配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および/または33からなる群より選択されるヌクレオチド配列と1つ以上のヌクレオチドで異なる、ヌクレオチド配列であって、ただし、そのヌクレオチドの20%以下が、該ヌクレオチド配列と異なる、ヌクレオチド配列;
    (c)(a)の核酸フラグメント;ならびに
    (d)(b)の核酸フラグメント;
    からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
  10. 請求項5に記載の核酸分子であって、ここで、該核酸分子が、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31および/または33からなる群より選択されるヌクレオチド配列または該ヌクレオチド配列の相補鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、核酸分子。
  11. 請求項5に記載の核酸分子であって、該核酸分子は、以下:
    (a)第1ヌクレオチド配列であって、前記アミノ酸配列をコードするコード配列と1以上のヌクレオチド配列で異なるコード配列を含み、ただし、該第1ヌクレオチド配列中のコード配列におけるヌクレオチドの20%以下が、該コード配列と異なる、第1ヌクレオチド配列;
    (b)該第1ポリヌクレオチドの相補体である、単離された第2ポリヌクレオチド;ならびに
    (c)(a)または(b)の核酸フラグメント;
    からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
  12. 請求項11に記載の核酸分子を含む、ベクター。
  13. 前記核酸分子に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、請求項12に記載のベクター。
  14. 請求項12に記載のベクターを含む、細胞。
  15. 請求項1に記載のポリペプチドに免疫特異的に結合する、抗体。
  16. 前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項15に記載の抗体。
  17. 前記抗体がヒト化抗体である、請求項15に記載の抗体。
  18. サンプル中の請求項1に記載のポリペプチドの存在または量を決定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該サンプルを提供する工程;
    (b)該サンプルを、該ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体と接触させる工程;および
    (c)該ポリペプチドに結合した抗体の存在または量を決定して、それによって該サンプル中のポリペプチドの存在または量を決定する工程、
    を包含する、方法。
  19. サンプル中の請求項5に記載の核酸分子の存在または量を決定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該サンプルを提供する工程;
    (b)該サンプルを、該核酸分子に結合するプローブと接触させる工程;および
    (c)該核酸分子に結合した該プローブの存在または量を決定して、それによって該サンプル中の該核酸分子の存在または量を決定する工程、
    を包含する、方法。
  20. 請求項1に記載のポリペプチドに結合する因子を同定する方法であって、該方法は、以下:
    (a)該ポリペプチドを該因子と接触させる工程;および
    (b)該因子が該ポリペプチドに結合するか否かを決定する工程;
    を包含する、方法。
  21. 請求項1に記載のポリペプチドの発現または活性を調節する因子を同定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該ポリペプチドを発現する細胞を提供する工程;
    (b)該因子と該細胞とを接触させる工程;および
    (c)該因子が、該ポリペプチドの発現または活性を調節するか否かを決定する工程、
    を包含し、それによって、該ペプチドの発現または活性における変化が、外因子の該ポリペプチドの発現または活性の調節を示す、方法。
  22. 請求項1に記載のポリペプチドの活性を調節するための方法であって、該方法は、請求項1に記載のポリペプチドを発現する細胞サンプルを、該ポリペプチドの活性を調節するのに十分な量で、該ポリペプチドに結合する化合物とを接触させる工程を包含する、方法。
  23. NOVX関連障害を処置または予防する方法であって、該方法は、そのような処置または予防が所望される被験体に、該被験体における該NOVX関連障害を処置または予防するに十分な量で、請求項1に記載のポリペプチドを投与する工程を包含する、方法。
  24. 前記被験体がヒトである、請求項23に記載の方法。
  25. NOVX関連障害を処置または予防する方法であって、該方法は、そのような処置または予防が所望される被験体に、該被験体における該NOVX関連障害を処置または予防するに十分な量で、請求項5に記載の核酸を投与する工程を包含する、方法。
  26. 前記被験体がヒトである、請求項25に記載の方法。
  27. NOVX関連障害を処置または予防する方法であって、該方法は、そのような処置または予防が所望される被験体に、該被験体における該NOVX関連障害を処置または予防するに十分な量で、請求項15に記載の抗体を投与する工程を包含する、方法。
  28. 前記被験体がヒトである、請求項27に記載の方法。
  29. 請求項1に記載のポリペプチドおよび薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  30. 請求項5に記載の核酸分子および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  31. 請求項15に記載の抗体および薬学的に受容可能なキャリアを含有する、薬学的組成物。
  32. 請求項29に記載の薬学的組成物を1つ以上の容器に含む、キット。
  33. 請求項30に記載の薬学的組成物を1つ以上の容器に含む、キット。
  34. 請求項31に記載の薬学的組成物を1つ以上の容器に含む、キット。
  35. ヒト疾患に関連する症候群を処置するための医薬品の製造における治療剤の使用であって、該疾患は、NOVX関連障害から選択され、ここで、該治療剤は、NOVXポリペプチド、NOVX核酸、およびNOVX抗体からなる群より選択される、使用。
  36. NOVX関連障害の活性もしくは潜伏のモジュレータまたはNOVX関連障害の素因についてスクリーニングする方法であって、該方法は、以下:
    (a)NOVX関連疾患について増大した危険にされされている試験動物に対して、試験化合物を投与する工程であって、ここで、該試験動物は、請求項1に記載のポリペプチドを組換え可能に発現する、工程;
    (b)工程(a)の化合物を投与する工程の後に、該試験動物における該ポリペプチドの活性を測定する、工程;
    (c)該ポリペプチドが投与されていないコントロール動物における該ポリペプチドの活性と、該試験動物における該タンパク質の活性を比較する工程であって、ここで、該コントロール動物と比較した場合の該第1の試験動物における該ポリペプチドの活性における変化が、該試験化合物がNOVX関連疾患の潜伏のモジュレータまたはNOVX関連疾患の素因を示す、工程
    を包含する、方法。
  37. 請求項36に記載の方法であって、ここで、前記試験動物が組換え試験動物であり、該組換え試験動物は試験タンパク質導入遺伝子を発現するか、野生型試験動物と比較して増大したレベルでプロモーターの制御下において該導入遺伝子を発現し、そして、ここで該プロモーターが該導入遺伝子のネイティブ遺伝子プロモーターではない、方法。
  38. 第1の哺乳動物被験体における請求項1に記載のポリペプチドの変化したレベルと関連する疾患の存在または該疾患に対する素因を決定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該第1の哺乳動物被験体由来のサンプル中の該ポリペプチドの発現レベルを測定する工程;および
    (b)工程(a)のサンプル中の該ポリペプチドの量を、該疾患を有さないことが既知であるか、または該疾患にかかりにくいことが既知の、第2の哺乳動物被験体由来のコントロールサンプル中に存在する該ポリペプチドの量と、比較する工程、
    を包含し、ここで、該コントロールサンプルと比較した場合の該第1の被験体における該ポリペプチドの発現レベルにおける変化が、疾患の存在または該疾患に対する素因を示す、方法。
  39. 第1の哺乳動物被験体における請求項5に記載の核酸分子の変化したレベルと関連する疾患の存在または該疾患に対する素因を決定するための方法であって、該方法は、以下:
    (a)該第1の哺乳動物被験体由来のサンプル中の該核酸の量を測定する工程;および
    (b)工程(a)のサンプル中の該核酸の量を、該疾患を有さないことが既知であるかまたは該疾患にかかりにくいことが既知の、第2の哺乳動物被験体由来のコントロールサンプル中に存在する該核酸の量と比較する工程、
    を包含し、ここで、該コントロールサンプルと比較した場合の、該第1の被験体における該核酸のレベルにおける変化が、該疾患の存在または該疾患に対する素因を示す、方法。
  40. 哺乳動物において病理学的状態を処置する方法であって、該方法は、該病理状態を緩和するに十分な量でポリペプチドを該哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、該ポリペプチドが、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32および/または34のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはそれらの生物学的に活性なフラグメントと、少なくとも95%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドである、方法。
  41. 哺乳動物において病理学的状態を処置する方法であって、該方法は、該病理学的状態を緩和するに十分な量で請求項15に記載の抗体を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
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