JP2004515779A - 間接方式撮像 - Google Patents
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Abstract
混濁試料または高濃度試料内の形態の間接3次元像を、拡散撮像法よりも高い分解能の像を実現するために、放射輸送の原理に基づいて再構築することが可能である。間接方式撮像法によって、生きている動物または人の組織、セラミックス、プラスチック、液体、および他の材料のような混濁試料または高濃度試料の中を、50μmから10mmの深さまで、またはそれ以上の深さまで、拡散撮像法よりも高い分解能で「見る」ことができるようになる。光源(11)からの光学放射が試料(18)を照らし、試料から放射される多様に散乱した光学放射(20)を少なくとも1つの検出器(22)で検出する。
Description
【0001】
(技術分野)
本発明は光学撮像に関し、特に、混濁媒体または高濃度媒体の撮像に関する。
(背景)
生物医学的な光学撮像は、顕微鏡レベルおよび拡散レベルの両方で過去10年にわたって研究された。共焦点反射率等の顕微鏡による方法(例えば、ラヤジャクシャ(Rajadhyaksha)等による、ジャーナル・インベスティガティブ(J.Investigative)Dermatol.、第104巻、946ページ、1995年を参照)および多光子蛍光顕微鏡法(例えば、デンケ(Denke)等による、Science、第248巻、78ページ、1990年を参照)は、細胞組織構造および機能のミクロン分解能の深さ分解像を実現するが、数百ミクロン以下の深さに限定されている。光学的コヒーレンス断層撮影法(OCT、例えば、ファン(Huang)等による、Science、第254巻、1178ページ、1991年を参照)で、より深い深さ(約1.0mm)まで透過することが可能になるが、空間分解能が低くなる(5〜20μm)という犠牲を伴う。これらの方法の透過深さに対する制限は、各方法が単一散乱光の検出に依拠していることから生じ、さらに細胞組織は非常に散乱的であるので、数百ミクロンを通過する単一散乱光を検出する確率は、桁外れに小さくなる。
【0002】
他方で、拡散光を用いた撮像では、一般に、数センチメートルの透過深さで数ミリメートルからセンチメートルのオーダーの空間分解能が得られる。検出光は何度も散乱されるので、像再構築アルゴリズムを使用して、散乱および吸収の摂動を再構築しなければならない。多様な再構築方法が使用されてきたが(例えば、アリッジ(Arridge)等による、Inverse Problems、15(2)、R41、1999年を参照)、その多くはボルツマン輸送方程式の拡散近似に基づいている。
【0003】
顕微鏡方法でカバーされる空間範囲と拡散方法でカバーされる空間範囲の間にある空間状況は、比較的未調査のままになっている。これは、ある意味では、ほんの数散乱長の長さの規模で、細胞組織と光との相互作用を記述することが複雑だからである。顕微鏡方法で、細胞組織構造の直接反射率マップまたは蛍光マップが得られるが、拡散方法では、一連の間接的な測定を利用し、その後で逆問題を解いて像を再構築する。この中間の空間状況では、単一散乱光の直接撮像は実現可能でない。
【0004】
概要
生きている動物または人の細胞組織、セラミックス、プラスチック、液体、および他の材料等の、混濁試料または高濃度試料内の形態の間接3次元像を放射輸送の原理に基づいて再構築して、顕微鏡撮像方法よりも相当に深い透過深さを可能にすると同時に、拡散撮像方法よりも高分解能の像を実現することが可能であるという発見に、本発明は基づいている。
【0005】
一般に、本発明による試料の間接方式撮像方法は、(a)試料を光源からの光学放射で照射し、(b)試料から放射される光学放射を1つ以上の検出器で受け取り、(c)検出器で受け取られた光学放射をディジタル化して、ディジタル化信号生成し、さらにこのディジタル化信号をプロセッサに伝送し、(d)ディジタル化データと輸送に基づいた光子移動モデルとの間に非線形最小化を実施して、試料内の形態の空間的に変化する光学特性の像を再構築するためにディジタル化信号を処理することを特徴とする。
【0006】
この方法において、「非線形最小化」は、以下でさらに詳細に説明するように、2つの量の差を最小化するように設計されたアルゴリズムである。「輸送に基づいた光子移動モデル」は、ここでさらに詳細に説明するように、生物医学的な細胞組織のような混濁媒体を通過する光(光子)の伝播を記述するモデルである。
【0007】
この方法において、検出器はそれぞれ、光源からオフセットした位置にあることが可能であり、各検出器−光源対のオフセットのうちの1つ以上が異なっていてもよい。像δμa(r)は、y=Axの形のマトリックス方程式を計算することによって再構築し得る。ここで、μaは吸収係数であり、rは試料内の位置であり、x=δμaであり、yは各光源−検出器対の検出器信号のベクトルであり、Aijは、各ボクセルjの各測定iに関して、輸送方程式(G)のグリーン関数と第1次(背景)検出器信号(L0)との積を表すマトリックスAの要素である。この方法で、光学放射は可視、近赤外、または他の放射でもよいし、1つ以上の光源が存在してもよい。もしくは、光学放射は、多数の光源をシミュレートするために光源から試料全体にわたって走査することが可能である。例えば、10、15、20、30、40、50、またはより多くの検出器(または光源)を使用し得る。オフセットは、例えば、0.1mmから10mmであり得る。
【0008】
他の態様で、本発明の特徴とする試料の間接撮影システムは、(a)光源用光ファイバ、1つ以上の検出器用光ファイバ、および遠位端、からなり、光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバの各々の遠位端がプローブを通って延びて、プローブの遠位端で終わるプローブと、(b)光源用光ファイバの近位端と接続された光学放射源と、(c)それぞれ検出器用光ファイバの1つの近位端に接続されて各検出器用光ファイバからの光学放射を検出しかつ試料から放射される光に対応するディジタル信号に変換する1つ以上の光検出器と、(d)光検出器で生成されたディジタル信号を処理して試料内の形態の空間的に変化する光学特性の像を出力装置に供給するプロセッサとを含み、像が、ディジタル化データと輸送に基づいた光子移動モデルの間で非線形最小化を実施することによって再構築される。
【0009】
このシステムにおいて、各検出器用光ファイバの遠位端は、光源用光ファイバの遠位端から、例えば約0.1mmから10mmだけオフセットすることが可能である。さらに、このシステムでは、プロセッサは、ディジタル信号を処理してy=Axの形のマトリックス方程式を計算することによって再構築される像δμa(r)を与えるようにプログラムされる。ここで、μaは吸収係数であり、rは試料内の位置であり、x=δμaであり、yは、各光源−検出器対の検出器信号のベクトルであり、Aijは、各ボクセルjの各測定iに関して、輸送方程式(G)のグリーン関数と第1次(背景)検出器信号(L0)との積を表すマトリックスAの要素である。
【0010】
上記のように、各検出器−光源対のオフセットのうちの1つ以上は異なっていてもよく、光学放射は近赤外放射でもよく、さらに、光学放射は、多数の光源をシミュレートするために光源用光ファイバから試料全体にわたって走査されることが可能である。いくつかの実施形態では、10、15、20、30、40、50、またはより多くの検出器(または、光源)を使用し得る。オフセットは0.1から10mmまでであることが可能であり、さらに次から次へと変化してもよい。
【0011】
他の態様では、本発明の特徴は間接方式撮像用のプローブである。このプローブは、光源用光ファイバ、1つ以上の検出器用光ファイバ、および遠位端を含み、光源用光ファイバおよび各検出器用光ファイバの遠位端がプローブを通って延びプローブの遠位端で終わり、さらに、光源用光ファイバの遠位端が検出器用光ファイバの各遠位端から0.1mmから10mmだけオフセットしている。このプローブは、さらに、試料全体にわたって光学放射を走査するための走査ミラーを含むことが可能である。プローブは、1つ以上の光源−検出器対に関して種々の異なる長さのオフセットを有し得る。
【0012】
特に定義しない限り、ここで使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。ここで説明するものと類似または同等な方法および材料を、本発明の実施または試験で使用することが可能であるが、適切な方法および材料は以下で説明する。ここで言及する全ての刊行物、特許出願、特許、および他の引用は、その全体を本願明細書に援用する。衝突のある場合には、定義を含んだ本明細書が管理する。さらに、材料、方法、および実施例は単に例示的なものであり、限定を意図していない。
【0013】
新規な撮像方法によって、50μmから10mmまでの深さで試料、例えば細胞組織、の中を「見る」ことができるようになる。この深さは、一般に試料の表面だけが見える顕微鏡撮像方法を使用して可能である深さよりも非常に深い。同時に、この新規な方法は、10μmから約1mmの分解能を実現する。この分解能は、有用な透過深さを実現するが分解能が5mmから10mmに過ぎない拡散撮像方法を使用して可能である分解能よりも相当に高い。新規な方法は、生物医学的用途のような多種多様な用途に使用することが可能であり、この生物医学的用途には、完全な頭蓋骨を通しての大脳皮質の機能的撮像、従来の顕微鏡技術で撮像するには深すぎ、さらに拡散法で分解するには小さすぎる小さな損傷の内視鏡撮像、および例えば網膜内の層の眼科的撮像などがある。他の用途には、セラミックス、半導体、および例えば処理中の他の混濁材料または高濃度材料がある。
【0014】
ここで説明する技術の重要な利点は、顕微鏡法と断層撮影法との間の中間範囲の光学撮像を初めて可能にすることである。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0015】
様々な図面の同様な参照符号は同様な要素を示す。
詳細な説明
本発明は、混濁試料または高濃度試料内にある形態の間接的な3次元像を放射輸送の原理に基づいて再構築して、顕微鏡撮像方法よりも相当に深い透過深さを可能にすると同時に、拡散撮像方法よりも高分解能の像を実現することが可能であるという発見に基づいている。新規な間接方式撮像方法によって、生きている動物または人の組織、セラミックス、プラスチック、液体、および他の材料のような混濁試料または高濃度試料の中を、拡散撮像方法よりも高い分解能で、約50μmから約10mm(例えば、100μmから5mm、または500μmから1.0mm)またはこれ以上の深さまで、「見る」ことができるようになる。この拡散撮像方法はより深い透過深さを可能にするが分解能が低い。
【0016】
一般的な方法
光学的撮像および特に生物医学的な撮像は長年にわたって進歩してきたが、医療および他の撮像において非常に有用な範囲である約1mmから1cmの深さにある試料内の形態を撮像する能力が不足している。これまで常に透過深さと分解能の間にトレードオフがあったが、今日まで、1mmから1cmまでの深さにある特徴を高分解能で撮像する方法がなかった。このトレードオフを図1のグラフにまとめる。顕微鏡法は優れた分解能(1μmから10μm)を可能にするが、試料の表面の遥か下方を撮像するために使用することは不可能である(最大、300μmから500μm)。他方で、光子移動に基づいた拡散撮像法では、約10cmまでの有用な透過深さが可能になるが、その深さでの分解能は、たったの約1cmである。光学的コヒーレンス断層撮影法(OCT)で、顕微鏡法よりも深い透過深さが可能になったが(最高で約0.5から1.0mm)、試料中のもっと深い形態の像は得られないし、さらに最大透過深さでの分解能は約100μmである。
【0017】
新規な間接方式撮像(IMI)方法は、放射輸送方程式(RTE)の枠組みに基づいて像を再構築することが可能であるという原理に基づいている(例えば、イシマル(Ishimaru)等による、Wave Propagation and Scattering in Random Media、第1巻(アカデミックプレスインコーポレーション(Academic Press,Inc.)1978年)を参照)。RTEに基づいた再構築と光子拡散方程式(DE)に基づいた再構築との重要な差は、細胞組織内の散乱光の角度依存性の取扱いである。新規な方法は、間接微視的撮像と間接巨視的撮像の両方を含む。
【0018】
図2は、新規なIMI法で撮像するために使用される一般的な幾何学的配列10を示す。ここで、光は多様に散乱されるが、まだ拡散しない。光源11からミラー12に向けられた光は、レンズ16を通って目標物18に入る。試料から反射された光(ビーム14)は光軸に沿って点13に達する。一般に共焦点反射率測定に使用されることであるが、ピンホール21および検出器22を光軸から横方向にずれた位置(点13)に移動させることで、ピンホール21の像が、光源から横方向にずれた点の検出器22に形成される。したがって、光源開口からの検出器開口の横方向変位量によって、実効的な光源−検出器間隔が求められる。この間隔距離は0から約10mmまで変化することが可能である。光源と検出器はもはや共役像面にないので、検出光は少なくとも1回散乱されている。この散乱光は、図2で破線20で表される。
【0019】
光源−検出器間の間隔距離が増すにつれて、検出光は試料のより深くより大きな領域をプローブする。試料の特定の領域に対する測定の感度を最大にするために、図2の幾何学的配列でいくつかのパラメータを変えることが可能である。例えば、光源−検出器間隔(開口のオフセットが0から約1mmまで、例えば、1、2、3、5、または7mm)、開口数(0から約1.0まで、例えば、0.1、0.2、または0.3)、媒体中の焦点深度(0から約5mmまで、例えば、1、2、3、または4mm)、波長(一般に約400nmから約1500nmまで、例えば、570nmから650nmまで、または1300nmから1500nmまで)、およびピンホール径(約100μmから約1.0mm、例えば、100、150、200、250、または300μm、または、0.5、0.75、または0.9mm)を全て変えることが可能である。一般に、信号強度を最大にすることが大きな空間フィルタ処理を行うことよりも重要なので、ピンホール開口の大きさは、共焦点反射率測定で使用されるものよりも大きい。
【0020】
図2の幾何学的配列を使用する単一散乱光の直接撮像は実現し得ない。したがって、像を形成するために、拡散方法のように、逆問題を解かなければならない。光源と検出器が近接しているために拡散近似はもはや有効でないので、輸送方程式に基づいた記述を使用する(例えば、イシマル(Ishimaru)等による、Wave Propagation and Scattering in Random Media、第1巻(アカデミックプレスインコーポレーション(Academic Press,Inc.)1978年)を参照)。
【0021】
ほんの数散乱長の光源−検出器間隔を用いて吸収摂動の像を再構築するために、放射輸送方程式に対する第1ボルン近似に基づいた線形再構築アルゴリズムを使用することが可能である。第1ボルン近似では、吸収係数(μa)および散乱係数(μs)は、均一背景成分と空間変化摂動の和として表される。
【0022】
【数7】
次に、ラジアンス(すなわち、検出器に入る光の量)Lは、背景成分と摂動成分の和L=L0+L1として表される。吸収摂動では、第0次および第1次の項L0およびL1は、次式で与えられる。
【0023】
【数8】
ここで、
【数9】
は、特定の検出器構成に対する輸送方程式のグリーン関数解である。散乱係数および位相関数の摂動は、同じ方法を用いて計算可能であり、散乱摂動の第1次の項は、次式で与えられる。
【0024】
【数10】
式2aおよび式2bは、新規な間接方式撮像方法と拡散近似に基づいた撮像方法の主要な差の1つがラジアンスの角度依存性にあることを示している。ここでは、式2bを使用して吸収物体を再構築することだけを考えるが、同じ手順に従って、散乱摂動を再構築することが可能である。散乱摂動を再構築するために、同じ手順をそのまま使用するが、式2aの代わりに式2bを使用する。吸収と散乱の両方の像を同時に再構築するには、式2aと式2bの和を使用する。
【0025】
式2aからδμa(r)の像を再構築するために、集束ビームの幾何学配列でモンテ・カルロ・シミュレーションを使用して、公知の光学特性の均一背景のL0およびGを計算する(ダン(Dunn)等による、Applied Optics、第35巻、3441ページ(1996年))。検出器から媒体への光の伝播をシミュレートし、次に相反性を使用して媒体中の点rで方向Ωから検出器に達する光の部分を決定して、グリーン関数を計算する。全ての光源−検出器対について背景ラジアンスおよびグリーン関数が計算されると、測定値L1を使用してδμa(r)の像が再構築される。ここで、この測定値L1はシミュレートされたデータについて得られる。
【0026】
像を再構築するために式2aを使用する前に、輸送方程式に対する第1ボルン近似の妥当性を証明しなければならない。妥当性を調べるために、式2aを使用して計算された摂動信号を、均一背景中に埋め込まれた吸収物体の摂動モンテ・カルロ・シミュレーションを使用して計算された摂動信号と比較した(ササロリア(Sassarolia)等による、Applied Optics、第37巻、7392ページ、1998年)。シミュレートされた比較で使用された吸収物体は、混濁試料の表面の下1mmの深さにある100μmの寸法の立方物体であった。背景および摂動をシミュレートするためにプログラムされた光学特性は、μa=0.001mm−1、μs=10mm−1、g=0.9、およびδμa=0.1mm−1であった。吸収物体が試料中を横方向に移動するときに、式2aおよび全摂動モンテ・カルロ・モデルを用いて計算された摂動信号を図3にプロットする。図3は、δμa=0.1mm−1の表面の下1mmにある物体について、500μmと2mmの光源−検出器間隔で第1ボルン近似(実線)および全摂動モンテ・カルロ・シミュレーション(記号)を用いて計算された摂動信号の比較を示している。光源か検出器かいずれかを物体の位置を横切って走査するとき、摂動信号の減少が観察される。固定された間隔距離(オフセット)にある1つの光源−検出器対を使用して、有用な像を再構築することが可能であるが、様々なオフセットの光源−検出器対を計算に追加するとき、像分解能は向上する。
【0027】
図3の摂動信号の振幅は、規格化されていないので、線形摂動モデルを使用して摂動信号の絶対振幅が正確に予測されることを立証している。
この比較は、第1ボルン近似で摂動信号が正確に予測されること、および式2aを使用してδμa(r)の像を再構築することが可能であることを示している。第1ボルン近似は線形近似であるから、摂動信号の大きさはδμaの大きさに正比例する。シミュレーションによると、1mmの深さにある100μm物体に関して、δμaが約1.5mm−1のとき、線形近似は、全摂動モンテ・カルロ・モデルで予測される値からはずれ始める。一般に、線形近似が使用不能になる値は、摂動の大きさおよび深さに依存して変わる。結果として、最大のδμaは物体の深さが増すにつれて増加し、摂動の物理的な大きさが増すにつれて減少することになり、一般的な摂動理論と一致している。
【0028】
間接方式撮像装置
新規な間接方式撮像システムは、(i)一般的な走査形共焦点顕微鏡(例えば、ツァイス(Zeiss)、LSM410(登録商標))のような照射付き検出装置、または、試料を照射し、かつ患者または動物の体の中の細胞組織のような試料から放射される光を集めるために使用される様々な部品を有する内視鏡プローブと、(ii)光ファイバで照明付き検出装置に接続された光源と、(iii)光をディジタル信号に変換し、さらに、このディジタル信号を間接3次元像に処理することが可能なアルゴリズムをプログラムされたプロセッサを含む装置とを含み、この間接3次元像は、生きている動物または患者の細胞組織の試料についての診断情報および予後情報のような、試料内の形態に関する情報を与える。
【0029】
新規な方法は、いくつかの点では共焦点顕微鏡に似ているが、光源と1つ以上の検出器の間に可変なオフセットを有する装置を用いて実施し得る。例えば、このシステムは、一般的な走査形共焦点顕微鏡に接続された装置を含むことが可能である。光源は、レーザダイオードのようなレーザであり得る。他の光源には、発光ダイオードおよびランプがある。可視光および近赤外光の両方を使用してもよい。例えば、400nmから1500nmまでの波長範囲であるが、波長の選択は、ある程度、試料および試料内の撮像すべき特徴の性質に依存する。例えば、血管中のヘモグロビンを撮像するために、好ましい波長は約570nmから650nmまでである。セラミックスを撮像するために、1300nmから1500nmまでの波長を使用して、試料からの散乱を最小限にすることが可能である。光は、ある設定された振幅および周波数を有する連続波(CW)光源からのものであることが可能であり、または、振幅と周波数の両方で、または振幅か周波数かいずれかで変調することが可能である。さらに、光はパルス光でもよい。モード・ロック固体パルス・レーザのような非コヒーレント光源、および超発光ダイオードで、分解された経路長である光学測定を行って、より高い空間分解能を実現することが可能である。
【0030】
図4Aは、新規な撮像システムで有用な共焦点照射/検出アームすなわちプローブ30の模式的な先端図である。プローブ30は、レーザのような光源32および、光軸からのオフセットが異なる多数の光検出器34、例えば、アヴァランシェ・フォトダイオード(APD)または光電子増倍管に接続されている。この構成は、遠位端板39に集められた光ファイバ36、38のアレイで達成し得る。光源用ファイバ36(これはプローブの中心に位置づけてもよいし、または、一方の側に配列してもよい)は、試料に光を射出し、さらに、従来の共焦点ピンホールとしても作用する。残りの検出器用ファイバ38は、軸外しピンホールとして作用し、各々が光検出器34に結合されている。ファイバ径およびオフセット量を変えて、信号レベルおよび媒体内の透過深さを決めることが可能である。例えば、750μmの光源−検出器間隔および100mmのファイバ径の場合、検出光の平均透過深さは約0.5mmである。さらに、いくつかの検出器用ファイバの光源用ファイバに対するオフセットは、他の検出器用ファイバの光源用ファイバに対するオフセットと異ってもよい。実際、最良の像は、多数の多様な光源−検出器間隔を使用することで得られる。
【0031】
新規な測定器30は、図4Bに示す撮像システムで使用し得る。図4Bに示すように、照明/検出プローブ30はレンズ42を通してミラー44に、さらにミラーから第2のレンズ46を通して光を送り出す。光は、x/y走査ミラー48およびレンズ50を介して進み、対物レンズ54の後方焦点面内で使用者指定のパターン(一般に、ラスター走査)で走査される。この走査方法は、一般的な走査形共焦点顕微鏡の走査プロトコルを使用するプロセッサ56で制御される。光の一部はビーム・スプリッタ52を通過し対物レンズ54に進み、この対物レンズ54で光は試料18に集束される。試料から反射された光は同じ経路に沿って戻るが、反射光の一部は、電荷結合デバイス(CCD)またはカメラのような撮像装置55方向に進み、この撮像装置55が試料の表面の像を形成する。試料の表面の直接像は、新規なIMIで形成される像の上に共通記録する、すなわち重ね合わせることが可能である。反射光の残りは、照明/検出プローブ30に戻って、プロセッサ56によって試料18内の特徴の像を再構築するように処理される。
【0032】
図4Aのプローブ30は、以下でさらに詳細に説明するように、アナログ・ディジタル変換器およびプロセッサを含む装置とともに使用される。AD変換器とプロセッサの両方が別個のPC中にあることもあり得る。図4Bに示すように、そのようなプロセッサ56は、一般に、入力/制御装置57、メモリ58、および出力装置59を含む。プロセッサは、1つ以上の部品を含む電子回路であり得る。プロセッサは、ディジタル回路、アナログ回路、またはその両方で実現することが可能であり、ソフトウェアで実現することが可能であり、または、一体化された機械である可能性があり、またはそれらのハイブリッドでもよい。入力/制御装置57は、キーボードまたは他の従来装置でもよい。出力装置59は、陰極線管(CRT)、他のビデオ・ディスプレイ、プリンタ、または他の画像表示システムであってもよい。メモリ58は、電子的(例えば、固体状態)、磁気的、または光学的であってもよい。メモリは、光ディスク(例えば、CD)、電磁的なハード・ディスクまたはフロッピー・ディスク、またはそれらの組合せに格納することが可能である。
【0033】
図5Aの工程図に示すように、プロセッサはデータ収集および処理を制御する。最初に、工程100で、プロセッサはミラー44の走査を制御して、試料に光を当て、次に、随意選択的に、アナログ回路で検出器信号を適切なレベルに増幅する。工程110で、アナログ・ディジタル変換器でアナログ信号をディジタル化する。このアナログ・ディジタル変換器はコンピュータ内に含まれてもよい。ディジタル化された検出器信号は、コンピュータのメモリまたはハード・ディスクに格納される。工程120で、ディジタル化検出器信号は、像再構築ソフトウェア・パッケージを使用して処理する。この像再構築ソフトウェア・パッケージは以下でさらに詳細に説明する。そして、結果として得られる3次元像を、例えば2次元の形で、表示する(工程130)。
【0034】
ディジタル化検出器信号から像を再構築するために、式2aおよび/または2bを解いて、各ボクセル位置のδμaおよび/またはδμsを求めなければならない。図5Bの工程図は、データ処理工程120の中の工程を示す。y=Axの形のマトリックス方程式として式2aを表して、ディジタル化データを処理する。ここで、x=δμaは各ボクセルの光学特性のベクトルであり、yは光源−検出器対ごとの検出器信号のベクトルであり、さらにAijは、各ボクセルjの各測定iに関して、輸送方程式(G)のグリーン関数と第1次(背景)検出器信号(L0)の積を表すマトリックスAの要素である。グリーン関数は、特定の光源−検出器構成に関する媒体中の光伝播のモンテ・カルロ・シミュレーションによって得られる(ダン(Dunn)等による、Applied Optics、第35巻、3441ページ(1996年))。次に、打切り特異値分解のような一般的な方法を使用して、このマトリックス方程式を解くことが可能である(アリッジ(Arride)、Inverse Problem、15(2)、R41、1999年を参照)。
【0035】
工程121で、プロセッサは、全ての像ボクセルの光学特性(μs、μa、g)の初期「推量」を行う。各ボクセルの光学特性のこの表をベクトルxとして定義する。次に、工程122で、プロセッサは予測検出器信号測定値、xを仮定したLp(x)、を計算する。工程123で、プロセッサは、残差Lp−Lがシステムの測定雑音レベルに一般に設定される閾値よりも大きいか小さいかを調べる。測定雑音は、一般に、測定信号の約0.1%よりも小さくなければならない(Lp−L/L<10−3)。残差が閾値よりも小さい場合、像を表示する(工程130)。残差が閾値よりも大きい場合、xを仮定してマトリックスAを計算する(工程124)。工程125で、プロセッサは、Aを仮定してxの更新値を計算し(任意のいくつかの知られている方法を使用して)、さらに測定値yと予測測定値ypの差を計算し、更新されたxを使用して他の予測検出器信号測定値、新しいxを仮定したLp(x)、を計算する(工程122)。
【0036】
残差Lp−Lが十分小さくなるまで、この方法の工程122、123、124、および125を繰り返し、十分小さくなった場合に像を表示する(工程130)。
【0037】
図6は、新規な方法で使用するための内視鏡照射/検出プローブ60を示す。このプローブ60では、レーザ62が、ビーム・スプリッタ64を介し、さらに1対の走査ミラー65を介して光を送り出す。光は、レンズ65aにより撮像用光ファイバ束66の表面に集束される。一度に光をただ1本のファイバに結合するように、ファイバ束全体にわたって光の集束点を走査する。ファイバ束66を内視鏡67の中に挿入してもよいし、傾斜屈折率(GRIN)レンズ68を使用してファイバ束内の各ファイバから出る光を試料内部の点、例えば内部組織に集束させてもよい。微小レンズおよびホログラフィック・レンズのようなレンズの他の組合せを使用して、細胞組織内に光を集束してもよい。
【0038】
また、反射光はGRINレンズ68で集められ、ファイバ束66に逆戻りして結合される。ファイバ束から出る光は、レンズ65aおよび64aを介し、さらに走査ミラー65およびビーム・スプリッタ64aを通って検出器アレイ69に結像される。検出器アレイ69は1つ以上の検出器要素からなり、これらの検出器要素の位置は光軸から横方向に変位している。変位量で、検出光の透過深さが決定される。例えば、750μmの光源−検出器間隔で、約500μmの透過深さが得られる。この変位を変えて、光が細胞組織に中に入るときの光の透過深さを変え得る。間隔距離を増すことで、透過深さが増す(しかし、分解能は減少する)。
【0039】
用途
新規な方法および装置によって、数百ミクロンの分解能で、人や動物の細胞組織のような混濁試料を数ミリメートルを通して撮像することができるようになる。したがって、この方法および装置を使用して、多くの新規な生物医学的な問題および用途に対処し得る。
【0040】
例えば、新規な方法および装置を使用して、例えば皮膚および細胞組織を介して、細胞組織内部数ミリメートルにある表面下血管を撮像することが可能である。というのは、血管の大きさは数百ミクロンであり、さらに、血管と周囲組織の間の吸収の差は近赤外で約1mm−1であるからである。他の例では、内視鏡プローブを使用して、より大きな血管の壁の外側の細胞組織だけでなく、血管の壁を撮像することが可能である。
【0041】
新規な方法の他の使用は、網膜下の構造を撮影するための間接方式走査形レーザ検眼鏡の使用を最適化することにある(ウェブ(Web)等による、Applied Optics、第26巻、1492ページ、1997年)。この場合、多重散乱光を検出するように共焦点開口の代わりに環状開口が使用される。現在、間接方式の使用は、組織中の光散乱に基づいた理論すなわちモデルではなく観察に基づいている。したがって、この文献に示すモデルは、間接方式の使用を最適化するように応用され得る。何故ならば、この文献は、空間的に変化する細胞組織の光学特性(吸収および散乱)を定量化する方法を提供するからである。これらの光学特性を定量的に知ることで、細胞組織の状態について有用な診断情報が明らかになる。
【0042】
ソフトウェア実施
試料から放射される光に対応するディジタル・データの処理は、ハードウェアまたはソフトウェア、またはその両方の組合せで実施することが可能である。本方法は、ここで説明した方法、方程式、および図に従って一般的なプログラミング技術を使用するコンピュータ・プログラムで実施し得る。プログラム・コードは、データを入力してここで説明した関数を実行し、さらに出力情報を生成すべく適用する。出力情報は、ディスプレイ・モニタのような1つ以上の出力装置に適用する。
【0043】
各プログラムは、コンピュータ・システムと通信する高水準手順プログラム言語またはオブジェクト指向プログラム言語で実施するのが好ましい。しかし必要ならば、プログラムは、アセンブリ言語または機械言語で実施すことが可能である。いずれの場合でも、言語はコンパイル済みまたは解釈済み言語でもよい。
【0044】
そのようなコンピュータ・プログラムはそれぞれ、汎用または専用のプログラム可能コンピュータで読出し可能な記憶媒体または装置(例えば、ROMまたは磁気ディスケット)に格納され、ここで説明した手順を実行するコンピュータが記憶媒体または装置を読んだときに、コンピュータを構成し動作させるのが好ましい。また、コンピュータ・プログラムは、プログラム実行中にキャッシュ・メモリまたは主メモリにあってもよい。また、処理方法は、コンピュータ・プログラムで構成されたコンピュータ読出し可能記憶媒体として実施することも可能であり、この場合、そのように構成された記憶媒体によって、コンピュータは、ここで説明した関数を実行するように特定の予め定義されたやり方で動作するようになる。
【0045】
実施例
本発明は下記の実施例でさらに説明するが、実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限しない。
実施例1−ラジアンスの角度依存性の検討
ラジアンスの角度依存性を検討するために、上の式12の被積分関数をモンテ・カルロ・シミュレーションを使用して計算した。シミュレーションのための幾何学的配列は、開口数0.4で表面の下500μmの深さに集束されるビームからなる。試料内の光子の分布は、次の光学特性を有する試料について計算した。すなわち、μa=0.01mm−1、μs=10mm−1、g=0.9、およびn=1。光源−検出器間隔は750μmに設定した。
【0046】
グリーン関数
【0047】
【数11】
は、計算された光子分布を半径方向に移動し、光子経路
【0048】
【数12】
の相反性を使用して、シミュレーションの結果から計算した。
例として、図7は、検出器に到達する光子の媒体内の光子分布
【0049】
【数13】
を示す。
媒体内の光子の半径方向分布を調べることで、角度依存性を図8として示すことが可能である。図8で、半径方向分布は、角度が分解された場合(式3、「輸送」と表示した実線)および角度依存性が無視された場合(式4、「拡散」と表示した一点短鎖線)について、500μmの深さでプロットされている。
【0050】
【数14】
図8の強度は、比較のために各場合のピーク値に対して規格化されているが、絶対強度は、角度依存性が無視された場合(式4)よりも角度依存性が考慮された場合(式3)の方がほぼ1桁小さい。図8に示すように、光源位置と検出器位置の間の強度のくぼみは、角度依存性が考慮される場合により顕著になる。したがって、吸収不均一の像を再構築するとき、光子分布の角度依存性を考慮に入れるべきである。
【0051】
実施例2−像再構築のシミュレーション
第1ボルン近似の妥当性が立証されると(図3)、式2をy=Axの形のマトリックス方程式として表して、δμa(r)の像を構築することが可能である。ここで、yは測定値とx=δμa(r)の集合である。打切り特異値分解を使用して方程式のこの集合を反転させ、シミュレートされたデータを使用してδμa(r)を見出す(アリッジ(Arridge)、Inverse Problems、15(2)、R41、1999年)。
【0052】
1mmおよび2mmの深さにある100μmの吸収物体(δμa=1mm−1)の再構築像を図9AおよびBに示す。媒体の背景光学特性は、上の図3に関連して説明したものと同じである。再構築のシミュレーションで使用された測定値の集合は、0.2および0.4の開口数で、200μmの増分で400μmから2mmまで分布する、合計18の光源−検出器対(光源と検出器のNAが0.2である9対とNAが0.4である9対)の光源−検出器間隔からなっている。各対は、25μm単位を51回で試料の表面を横切って1.25mm移動して、合計918の測定値を与えた。光源と検出器の焦点は、全ての測定で表面の下1mmに設定した。特異値スペクトルは、250で打ち切った。この数は、測定の可能性のある信号対雑音の比が103であることを考慮して決定した(ただし、本シミュレーションでは雑音はない)。システムは散弾雑音で制限されていると想定し、さらに、特異解の数は、摂動信号の大きさが全検出信号(背景+摂動)の測定雑音よりも大きくなるように選んだ。像は、100μmの軸方向および横方向分解能が1mmの深さ(図9A)および2mmの深さ(図9B)まで維持されていることをはっきりと示している。
【0053】
図9Aおよび9Bの像に基づいて、この方法は顕微鏡的方法と拡散方法の間にある空間状況で撮像することができることが明らかである。
他の実施形態
本発明を詳細な説明とともに説明したが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を例示し、制限を意図しない。例えば、ここで説明した原理は、多様に散乱され検出された他の種類の放射の撮像を行うこと、すなわち、適切な照射/検出装置が与えられた場合のx線およびマイクロ波のような他の波長での撮像に適用することが可能である。他の態様、利点および修正は、次の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】新規な間接方式の撮像方法を含んだ様々な撮像方法の透過深さと分解能の間のトレードオフを示すグラフ。
【図2】新規な撮像方法で有用な一般的な撮像幾何学配列を示す模式図。
【図3】δμ2=0.1mm−1の表面の下1.0mmにある物体について、500μmおよび2.0mmのソース−検出器間隔で、第1ボルン近似(実線)および全摂動モンテ・カルロ・シミュレーション(記号)を用いて計算した被摂動信号を示すグラフ。
【図4A】新規な撮像方法で有用な照明/検出プローブを示す先端図。
【図4B】走査システムの照明/検出プローブを示す模式図。
【図5A】新規な方法で光信号データを取得し処理するために使用される工程を示す流れ図。
【図5B】光信号を処理して試料中の特徴の像を再構築するために使用される工程を示す流れ図。
【図6】新規な方法で使用するための内視鏡照明/検出プローブの図。
【図7】750μmのソース−検出器間隔の場合の光子分布のコンピュータによるシミュレーションの図。
【図8】角度依存性を考慮した場合(「輸送」、実線)および角度依存性を無視した場合(「拡散」、破線)におけるz=500μmでの規格化半径方向強度対x軸上の位置を示すグラフ。
【図9A】シミュレートされたデータを使用した、表面の下1.0mmの深さにある100μmの吸収物体の再構築像を示す図。
【図9B】シミュレートされたデータを使用した、表面の下2.0mmの深さにある100μmの吸収物体の再構築像を示す図(δμa=0.1mm−1)。
(技術分野)
本発明は光学撮像に関し、特に、混濁媒体または高濃度媒体の撮像に関する。
(背景)
生物医学的な光学撮像は、顕微鏡レベルおよび拡散レベルの両方で過去10年にわたって研究された。共焦点反射率等の顕微鏡による方法(例えば、ラヤジャクシャ(Rajadhyaksha)等による、ジャーナル・インベスティガティブ(J.Investigative)Dermatol.、第104巻、946ページ、1995年を参照)および多光子蛍光顕微鏡法(例えば、デンケ(Denke)等による、Science、第248巻、78ページ、1990年を参照)は、細胞組織構造および機能のミクロン分解能の深さ分解像を実現するが、数百ミクロン以下の深さに限定されている。光学的コヒーレンス断層撮影法(OCT、例えば、ファン(Huang)等による、Science、第254巻、1178ページ、1991年を参照)で、より深い深さ(約1.0mm)まで透過することが可能になるが、空間分解能が低くなる(5〜20μm)という犠牲を伴う。これらの方法の透過深さに対する制限は、各方法が単一散乱光の検出に依拠していることから生じ、さらに細胞組織は非常に散乱的であるので、数百ミクロンを通過する単一散乱光を検出する確率は、桁外れに小さくなる。
【0002】
他方で、拡散光を用いた撮像では、一般に、数センチメートルの透過深さで数ミリメートルからセンチメートルのオーダーの空間分解能が得られる。検出光は何度も散乱されるので、像再構築アルゴリズムを使用して、散乱および吸収の摂動を再構築しなければならない。多様な再構築方法が使用されてきたが(例えば、アリッジ(Arridge)等による、Inverse Problems、15(2)、R41、1999年を参照)、その多くはボルツマン輸送方程式の拡散近似に基づいている。
【0003】
顕微鏡方法でカバーされる空間範囲と拡散方法でカバーされる空間範囲の間にある空間状況は、比較的未調査のままになっている。これは、ある意味では、ほんの数散乱長の長さの規模で、細胞組織と光との相互作用を記述することが複雑だからである。顕微鏡方法で、細胞組織構造の直接反射率マップまたは蛍光マップが得られるが、拡散方法では、一連の間接的な測定を利用し、その後で逆問題を解いて像を再構築する。この中間の空間状況では、単一散乱光の直接撮像は実現可能でない。
【0004】
概要
生きている動物または人の細胞組織、セラミックス、プラスチック、液体、および他の材料等の、混濁試料または高濃度試料内の形態の間接3次元像を放射輸送の原理に基づいて再構築して、顕微鏡撮像方法よりも相当に深い透過深さを可能にすると同時に、拡散撮像方法よりも高分解能の像を実現することが可能であるという発見に、本発明は基づいている。
【0005】
一般に、本発明による試料の間接方式撮像方法は、(a)試料を光源からの光学放射で照射し、(b)試料から放射される光学放射を1つ以上の検出器で受け取り、(c)検出器で受け取られた光学放射をディジタル化して、ディジタル化信号生成し、さらにこのディジタル化信号をプロセッサに伝送し、(d)ディジタル化データと輸送に基づいた光子移動モデルとの間に非線形最小化を実施して、試料内の形態の空間的に変化する光学特性の像を再構築するためにディジタル化信号を処理することを特徴とする。
【0006】
この方法において、「非線形最小化」は、以下でさらに詳細に説明するように、2つの量の差を最小化するように設計されたアルゴリズムである。「輸送に基づいた光子移動モデル」は、ここでさらに詳細に説明するように、生物医学的な細胞組織のような混濁媒体を通過する光(光子)の伝播を記述するモデルである。
【0007】
この方法において、検出器はそれぞれ、光源からオフセットした位置にあることが可能であり、各検出器−光源対のオフセットのうちの1つ以上が異なっていてもよい。像δμa(r)は、y=Axの形のマトリックス方程式を計算することによって再構築し得る。ここで、μaは吸収係数であり、rは試料内の位置であり、x=δμaであり、yは各光源−検出器対の検出器信号のベクトルであり、Aijは、各ボクセルjの各測定iに関して、輸送方程式(G)のグリーン関数と第1次(背景)検出器信号(L0)との積を表すマトリックスAの要素である。この方法で、光学放射は可視、近赤外、または他の放射でもよいし、1つ以上の光源が存在してもよい。もしくは、光学放射は、多数の光源をシミュレートするために光源から試料全体にわたって走査することが可能である。例えば、10、15、20、30、40、50、またはより多くの検出器(または光源)を使用し得る。オフセットは、例えば、0.1mmから10mmであり得る。
【0008】
他の態様で、本発明の特徴とする試料の間接撮影システムは、(a)光源用光ファイバ、1つ以上の検出器用光ファイバ、および遠位端、からなり、光源用光ファイバおよび検出器用光ファイバの各々の遠位端がプローブを通って延びて、プローブの遠位端で終わるプローブと、(b)光源用光ファイバの近位端と接続された光学放射源と、(c)それぞれ検出器用光ファイバの1つの近位端に接続されて各検出器用光ファイバからの光学放射を検出しかつ試料から放射される光に対応するディジタル信号に変換する1つ以上の光検出器と、(d)光検出器で生成されたディジタル信号を処理して試料内の形態の空間的に変化する光学特性の像を出力装置に供給するプロセッサとを含み、像が、ディジタル化データと輸送に基づいた光子移動モデルの間で非線形最小化を実施することによって再構築される。
【0009】
このシステムにおいて、各検出器用光ファイバの遠位端は、光源用光ファイバの遠位端から、例えば約0.1mmから10mmだけオフセットすることが可能である。さらに、このシステムでは、プロセッサは、ディジタル信号を処理してy=Axの形のマトリックス方程式を計算することによって再構築される像δμa(r)を与えるようにプログラムされる。ここで、μaは吸収係数であり、rは試料内の位置であり、x=δμaであり、yは、各光源−検出器対の検出器信号のベクトルであり、Aijは、各ボクセルjの各測定iに関して、輸送方程式(G)のグリーン関数と第1次(背景)検出器信号(L0)との積を表すマトリックスAの要素である。
【0010】
上記のように、各検出器−光源対のオフセットのうちの1つ以上は異なっていてもよく、光学放射は近赤外放射でもよく、さらに、光学放射は、多数の光源をシミュレートするために光源用光ファイバから試料全体にわたって走査されることが可能である。いくつかの実施形態では、10、15、20、30、40、50、またはより多くの検出器(または、光源)を使用し得る。オフセットは0.1から10mmまでであることが可能であり、さらに次から次へと変化してもよい。
【0011】
他の態様では、本発明の特徴は間接方式撮像用のプローブである。このプローブは、光源用光ファイバ、1つ以上の検出器用光ファイバ、および遠位端を含み、光源用光ファイバおよび各検出器用光ファイバの遠位端がプローブを通って延びプローブの遠位端で終わり、さらに、光源用光ファイバの遠位端が検出器用光ファイバの各遠位端から0.1mmから10mmだけオフセットしている。このプローブは、さらに、試料全体にわたって光学放射を走査するための走査ミラーを含むことが可能である。プローブは、1つ以上の光源−検出器対に関して種々の異なる長さのオフセットを有し得る。
【0012】
特に定義しない限り、ここで使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明の属する当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。ここで説明するものと類似または同等な方法および材料を、本発明の実施または試験で使用することが可能であるが、適切な方法および材料は以下で説明する。ここで言及する全ての刊行物、特許出願、特許、および他の引用は、その全体を本願明細書に援用する。衝突のある場合には、定義を含んだ本明細書が管理する。さらに、材料、方法、および実施例は単に例示的なものであり、限定を意図していない。
【0013】
新規な撮像方法によって、50μmから10mmまでの深さで試料、例えば細胞組織、の中を「見る」ことができるようになる。この深さは、一般に試料の表面だけが見える顕微鏡撮像方法を使用して可能である深さよりも非常に深い。同時に、この新規な方法は、10μmから約1mmの分解能を実現する。この分解能は、有用な透過深さを実現するが分解能が5mmから10mmに過ぎない拡散撮像方法を使用して可能である分解能よりも相当に高い。新規な方法は、生物医学的用途のような多種多様な用途に使用することが可能であり、この生物医学的用途には、完全な頭蓋骨を通しての大脳皮質の機能的撮像、従来の顕微鏡技術で撮像するには深すぎ、さらに拡散法で分解するには小さすぎる小さな損傷の内視鏡撮像、および例えば網膜内の層の眼科的撮像などがある。他の用途には、セラミックス、半導体、および例えば処理中の他の混濁材料または高濃度材料がある。
【0014】
ここで説明する技術の重要な利点は、顕微鏡法と断層撮影法との間の中間範囲の光学撮像を初めて可能にすることである。本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0015】
様々な図面の同様な参照符号は同様な要素を示す。
詳細な説明
本発明は、混濁試料または高濃度試料内にある形態の間接的な3次元像を放射輸送の原理に基づいて再構築して、顕微鏡撮像方法よりも相当に深い透過深さを可能にすると同時に、拡散撮像方法よりも高分解能の像を実現することが可能であるという発見に基づいている。新規な間接方式撮像方法によって、生きている動物または人の組織、セラミックス、プラスチック、液体、および他の材料のような混濁試料または高濃度試料の中を、拡散撮像方法よりも高い分解能で、約50μmから約10mm(例えば、100μmから5mm、または500μmから1.0mm)またはこれ以上の深さまで、「見る」ことができるようになる。この拡散撮像方法はより深い透過深さを可能にするが分解能が低い。
【0016】
一般的な方法
光学的撮像および特に生物医学的な撮像は長年にわたって進歩してきたが、医療および他の撮像において非常に有用な範囲である約1mmから1cmの深さにある試料内の形態を撮像する能力が不足している。これまで常に透過深さと分解能の間にトレードオフがあったが、今日まで、1mmから1cmまでの深さにある特徴を高分解能で撮像する方法がなかった。このトレードオフを図1のグラフにまとめる。顕微鏡法は優れた分解能(1μmから10μm)を可能にするが、試料の表面の遥か下方を撮像するために使用することは不可能である(最大、300μmから500μm)。他方で、光子移動に基づいた拡散撮像法では、約10cmまでの有用な透過深さが可能になるが、その深さでの分解能は、たったの約1cmである。光学的コヒーレンス断層撮影法(OCT)で、顕微鏡法よりも深い透過深さが可能になったが(最高で約0.5から1.0mm)、試料中のもっと深い形態の像は得られないし、さらに最大透過深さでの分解能は約100μmである。
【0017】
新規な間接方式撮像(IMI)方法は、放射輸送方程式(RTE)の枠組みに基づいて像を再構築することが可能であるという原理に基づいている(例えば、イシマル(Ishimaru)等による、Wave Propagation and Scattering in Random Media、第1巻(アカデミックプレスインコーポレーション(Academic Press,Inc.)1978年)を参照)。RTEに基づいた再構築と光子拡散方程式(DE)に基づいた再構築との重要な差は、細胞組織内の散乱光の角度依存性の取扱いである。新規な方法は、間接微視的撮像と間接巨視的撮像の両方を含む。
【0018】
図2は、新規なIMI法で撮像するために使用される一般的な幾何学的配列10を示す。ここで、光は多様に散乱されるが、まだ拡散しない。光源11からミラー12に向けられた光は、レンズ16を通って目標物18に入る。試料から反射された光(ビーム14)は光軸に沿って点13に達する。一般に共焦点反射率測定に使用されることであるが、ピンホール21および検出器22を光軸から横方向にずれた位置(点13)に移動させることで、ピンホール21の像が、光源から横方向にずれた点の検出器22に形成される。したがって、光源開口からの検出器開口の横方向変位量によって、実効的な光源−検出器間隔が求められる。この間隔距離は0から約10mmまで変化することが可能である。光源と検出器はもはや共役像面にないので、検出光は少なくとも1回散乱されている。この散乱光は、図2で破線20で表される。
【0019】
光源−検出器間の間隔距離が増すにつれて、検出光は試料のより深くより大きな領域をプローブする。試料の特定の領域に対する測定の感度を最大にするために、図2の幾何学的配列でいくつかのパラメータを変えることが可能である。例えば、光源−検出器間隔(開口のオフセットが0から約1mmまで、例えば、1、2、3、5、または7mm)、開口数(0から約1.0まで、例えば、0.1、0.2、または0.3)、媒体中の焦点深度(0から約5mmまで、例えば、1、2、3、または4mm)、波長(一般に約400nmから約1500nmまで、例えば、570nmから650nmまで、または1300nmから1500nmまで)、およびピンホール径(約100μmから約1.0mm、例えば、100、150、200、250、または300μm、または、0.5、0.75、または0.9mm)を全て変えることが可能である。一般に、信号強度を最大にすることが大きな空間フィルタ処理を行うことよりも重要なので、ピンホール開口の大きさは、共焦点反射率測定で使用されるものよりも大きい。
【0020】
図2の幾何学的配列を使用する単一散乱光の直接撮像は実現し得ない。したがって、像を形成するために、拡散方法のように、逆問題を解かなければならない。光源と検出器が近接しているために拡散近似はもはや有効でないので、輸送方程式に基づいた記述を使用する(例えば、イシマル(Ishimaru)等による、Wave Propagation and Scattering in Random Media、第1巻(アカデミックプレスインコーポレーション(Academic Press,Inc.)1978年)を参照)。
【0021】
ほんの数散乱長の光源−検出器間隔を用いて吸収摂動の像を再構築するために、放射輸送方程式に対する第1ボルン近似に基づいた線形再構築アルゴリズムを使用することが可能である。第1ボルン近似では、吸収係数(μa)および散乱係数(μs)は、均一背景成分と空間変化摂動の和として表される。
【0022】
【数7】
次に、ラジアンス(すなわち、検出器に入る光の量)Lは、背景成分と摂動成分の和L=L0+L1として表される。吸収摂動では、第0次および第1次の項L0およびL1は、次式で与えられる。
【0023】
【数8】
ここで、
【数9】
は、特定の検出器構成に対する輸送方程式のグリーン関数解である。散乱係数および位相関数の摂動は、同じ方法を用いて計算可能であり、散乱摂動の第1次の項は、次式で与えられる。
【0024】
【数10】
式2aおよび式2bは、新規な間接方式撮像方法と拡散近似に基づいた撮像方法の主要な差の1つがラジアンスの角度依存性にあることを示している。ここでは、式2bを使用して吸収物体を再構築することだけを考えるが、同じ手順に従って、散乱摂動を再構築することが可能である。散乱摂動を再構築するために、同じ手順をそのまま使用するが、式2aの代わりに式2bを使用する。吸収と散乱の両方の像を同時に再構築するには、式2aと式2bの和を使用する。
【0025】
式2aからδμa(r)の像を再構築するために、集束ビームの幾何学配列でモンテ・カルロ・シミュレーションを使用して、公知の光学特性の均一背景のL0およびGを計算する(ダン(Dunn)等による、Applied Optics、第35巻、3441ページ(1996年))。検出器から媒体への光の伝播をシミュレートし、次に相反性を使用して媒体中の点rで方向Ωから検出器に達する光の部分を決定して、グリーン関数を計算する。全ての光源−検出器対について背景ラジアンスおよびグリーン関数が計算されると、測定値L1を使用してδμa(r)の像が再構築される。ここで、この測定値L1はシミュレートされたデータについて得られる。
【0026】
像を再構築するために式2aを使用する前に、輸送方程式に対する第1ボルン近似の妥当性を証明しなければならない。妥当性を調べるために、式2aを使用して計算された摂動信号を、均一背景中に埋め込まれた吸収物体の摂動モンテ・カルロ・シミュレーションを使用して計算された摂動信号と比較した(ササロリア(Sassarolia)等による、Applied Optics、第37巻、7392ページ、1998年)。シミュレートされた比較で使用された吸収物体は、混濁試料の表面の下1mmの深さにある100μmの寸法の立方物体であった。背景および摂動をシミュレートするためにプログラムされた光学特性は、μa=0.001mm−1、μs=10mm−1、g=0.9、およびδμa=0.1mm−1であった。吸収物体が試料中を横方向に移動するときに、式2aおよび全摂動モンテ・カルロ・モデルを用いて計算された摂動信号を図3にプロットする。図3は、δμa=0.1mm−1の表面の下1mmにある物体について、500μmと2mmの光源−検出器間隔で第1ボルン近似(実線)および全摂動モンテ・カルロ・シミュレーション(記号)を用いて計算された摂動信号の比較を示している。光源か検出器かいずれかを物体の位置を横切って走査するとき、摂動信号の減少が観察される。固定された間隔距離(オフセット)にある1つの光源−検出器対を使用して、有用な像を再構築することが可能であるが、様々なオフセットの光源−検出器対を計算に追加するとき、像分解能は向上する。
【0027】
図3の摂動信号の振幅は、規格化されていないので、線形摂動モデルを使用して摂動信号の絶対振幅が正確に予測されることを立証している。
この比較は、第1ボルン近似で摂動信号が正確に予測されること、および式2aを使用してδμa(r)の像を再構築することが可能であることを示している。第1ボルン近似は線形近似であるから、摂動信号の大きさはδμaの大きさに正比例する。シミュレーションによると、1mmの深さにある100μm物体に関して、δμaが約1.5mm−1のとき、線形近似は、全摂動モンテ・カルロ・モデルで予測される値からはずれ始める。一般に、線形近似が使用不能になる値は、摂動の大きさおよび深さに依存して変わる。結果として、最大のδμaは物体の深さが増すにつれて増加し、摂動の物理的な大きさが増すにつれて減少することになり、一般的な摂動理論と一致している。
【0028】
間接方式撮像装置
新規な間接方式撮像システムは、(i)一般的な走査形共焦点顕微鏡(例えば、ツァイス(Zeiss)、LSM410(登録商標))のような照射付き検出装置、または、試料を照射し、かつ患者または動物の体の中の細胞組織のような試料から放射される光を集めるために使用される様々な部品を有する内視鏡プローブと、(ii)光ファイバで照明付き検出装置に接続された光源と、(iii)光をディジタル信号に変換し、さらに、このディジタル信号を間接3次元像に処理することが可能なアルゴリズムをプログラムされたプロセッサを含む装置とを含み、この間接3次元像は、生きている動物または患者の細胞組織の試料についての診断情報および予後情報のような、試料内の形態に関する情報を与える。
【0029】
新規な方法は、いくつかの点では共焦点顕微鏡に似ているが、光源と1つ以上の検出器の間に可変なオフセットを有する装置を用いて実施し得る。例えば、このシステムは、一般的な走査形共焦点顕微鏡に接続された装置を含むことが可能である。光源は、レーザダイオードのようなレーザであり得る。他の光源には、発光ダイオードおよびランプがある。可視光および近赤外光の両方を使用してもよい。例えば、400nmから1500nmまでの波長範囲であるが、波長の選択は、ある程度、試料および試料内の撮像すべき特徴の性質に依存する。例えば、血管中のヘモグロビンを撮像するために、好ましい波長は約570nmから650nmまでである。セラミックスを撮像するために、1300nmから1500nmまでの波長を使用して、試料からの散乱を最小限にすることが可能である。光は、ある設定された振幅および周波数を有する連続波(CW)光源からのものであることが可能であり、または、振幅と周波数の両方で、または振幅か周波数かいずれかで変調することが可能である。さらに、光はパルス光でもよい。モード・ロック固体パルス・レーザのような非コヒーレント光源、および超発光ダイオードで、分解された経路長である光学測定を行って、より高い空間分解能を実現することが可能である。
【0030】
図4Aは、新規な撮像システムで有用な共焦点照射/検出アームすなわちプローブ30の模式的な先端図である。プローブ30は、レーザのような光源32および、光軸からのオフセットが異なる多数の光検出器34、例えば、アヴァランシェ・フォトダイオード(APD)または光電子増倍管に接続されている。この構成は、遠位端板39に集められた光ファイバ36、38のアレイで達成し得る。光源用ファイバ36(これはプローブの中心に位置づけてもよいし、または、一方の側に配列してもよい)は、試料に光を射出し、さらに、従来の共焦点ピンホールとしても作用する。残りの検出器用ファイバ38は、軸外しピンホールとして作用し、各々が光検出器34に結合されている。ファイバ径およびオフセット量を変えて、信号レベルおよび媒体内の透過深さを決めることが可能である。例えば、750μmの光源−検出器間隔および100mmのファイバ径の場合、検出光の平均透過深さは約0.5mmである。さらに、いくつかの検出器用ファイバの光源用ファイバに対するオフセットは、他の検出器用ファイバの光源用ファイバに対するオフセットと異ってもよい。実際、最良の像は、多数の多様な光源−検出器間隔を使用することで得られる。
【0031】
新規な測定器30は、図4Bに示す撮像システムで使用し得る。図4Bに示すように、照明/検出プローブ30はレンズ42を通してミラー44に、さらにミラーから第2のレンズ46を通して光を送り出す。光は、x/y走査ミラー48およびレンズ50を介して進み、対物レンズ54の後方焦点面内で使用者指定のパターン(一般に、ラスター走査)で走査される。この走査方法は、一般的な走査形共焦点顕微鏡の走査プロトコルを使用するプロセッサ56で制御される。光の一部はビーム・スプリッタ52を通過し対物レンズ54に進み、この対物レンズ54で光は試料18に集束される。試料から反射された光は同じ経路に沿って戻るが、反射光の一部は、電荷結合デバイス(CCD)またはカメラのような撮像装置55方向に進み、この撮像装置55が試料の表面の像を形成する。試料の表面の直接像は、新規なIMIで形成される像の上に共通記録する、すなわち重ね合わせることが可能である。反射光の残りは、照明/検出プローブ30に戻って、プロセッサ56によって試料18内の特徴の像を再構築するように処理される。
【0032】
図4Aのプローブ30は、以下でさらに詳細に説明するように、アナログ・ディジタル変換器およびプロセッサを含む装置とともに使用される。AD変換器とプロセッサの両方が別個のPC中にあることもあり得る。図4Bに示すように、そのようなプロセッサ56は、一般に、入力/制御装置57、メモリ58、および出力装置59を含む。プロセッサは、1つ以上の部品を含む電子回路であり得る。プロセッサは、ディジタル回路、アナログ回路、またはその両方で実現することが可能であり、ソフトウェアで実現することが可能であり、または、一体化された機械である可能性があり、またはそれらのハイブリッドでもよい。入力/制御装置57は、キーボードまたは他の従来装置でもよい。出力装置59は、陰極線管(CRT)、他のビデオ・ディスプレイ、プリンタ、または他の画像表示システムであってもよい。メモリ58は、電子的(例えば、固体状態)、磁気的、または光学的であってもよい。メモリは、光ディスク(例えば、CD)、電磁的なハード・ディスクまたはフロッピー・ディスク、またはそれらの組合せに格納することが可能である。
【0033】
図5Aの工程図に示すように、プロセッサはデータ収集および処理を制御する。最初に、工程100で、プロセッサはミラー44の走査を制御して、試料に光を当て、次に、随意選択的に、アナログ回路で検出器信号を適切なレベルに増幅する。工程110で、アナログ・ディジタル変換器でアナログ信号をディジタル化する。このアナログ・ディジタル変換器はコンピュータ内に含まれてもよい。ディジタル化された検出器信号は、コンピュータのメモリまたはハード・ディスクに格納される。工程120で、ディジタル化検出器信号は、像再構築ソフトウェア・パッケージを使用して処理する。この像再構築ソフトウェア・パッケージは以下でさらに詳細に説明する。そして、結果として得られる3次元像を、例えば2次元の形で、表示する(工程130)。
【0034】
ディジタル化検出器信号から像を再構築するために、式2aおよび/または2bを解いて、各ボクセル位置のδμaおよび/またはδμsを求めなければならない。図5Bの工程図は、データ処理工程120の中の工程を示す。y=Axの形のマトリックス方程式として式2aを表して、ディジタル化データを処理する。ここで、x=δμaは各ボクセルの光学特性のベクトルであり、yは光源−検出器対ごとの検出器信号のベクトルであり、さらにAijは、各ボクセルjの各測定iに関して、輸送方程式(G)のグリーン関数と第1次(背景)検出器信号(L0)の積を表すマトリックスAの要素である。グリーン関数は、特定の光源−検出器構成に関する媒体中の光伝播のモンテ・カルロ・シミュレーションによって得られる(ダン(Dunn)等による、Applied Optics、第35巻、3441ページ(1996年))。次に、打切り特異値分解のような一般的な方法を使用して、このマトリックス方程式を解くことが可能である(アリッジ(Arride)、Inverse Problem、15(2)、R41、1999年を参照)。
【0035】
工程121で、プロセッサは、全ての像ボクセルの光学特性(μs、μa、g)の初期「推量」を行う。各ボクセルの光学特性のこの表をベクトルxとして定義する。次に、工程122で、プロセッサは予測検出器信号測定値、xを仮定したLp(x)、を計算する。工程123で、プロセッサは、残差Lp−Lがシステムの測定雑音レベルに一般に設定される閾値よりも大きいか小さいかを調べる。測定雑音は、一般に、測定信号の約0.1%よりも小さくなければならない(Lp−L/L<10−3)。残差が閾値よりも小さい場合、像を表示する(工程130)。残差が閾値よりも大きい場合、xを仮定してマトリックスAを計算する(工程124)。工程125で、プロセッサは、Aを仮定してxの更新値を計算し(任意のいくつかの知られている方法を使用して)、さらに測定値yと予測測定値ypの差を計算し、更新されたxを使用して他の予測検出器信号測定値、新しいxを仮定したLp(x)、を計算する(工程122)。
【0036】
残差Lp−Lが十分小さくなるまで、この方法の工程122、123、124、および125を繰り返し、十分小さくなった場合に像を表示する(工程130)。
【0037】
図6は、新規な方法で使用するための内視鏡照射/検出プローブ60を示す。このプローブ60では、レーザ62が、ビーム・スプリッタ64を介し、さらに1対の走査ミラー65を介して光を送り出す。光は、レンズ65aにより撮像用光ファイバ束66の表面に集束される。一度に光をただ1本のファイバに結合するように、ファイバ束全体にわたって光の集束点を走査する。ファイバ束66を内視鏡67の中に挿入してもよいし、傾斜屈折率(GRIN)レンズ68を使用してファイバ束内の各ファイバから出る光を試料内部の点、例えば内部組織に集束させてもよい。微小レンズおよびホログラフィック・レンズのようなレンズの他の組合せを使用して、細胞組織内に光を集束してもよい。
【0038】
また、反射光はGRINレンズ68で集められ、ファイバ束66に逆戻りして結合される。ファイバ束から出る光は、レンズ65aおよび64aを介し、さらに走査ミラー65およびビーム・スプリッタ64aを通って検出器アレイ69に結像される。検出器アレイ69は1つ以上の検出器要素からなり、これらの検出器要素の位置は光軸から横方向に変位している。変位量で、検出光の透過深さが決定される。例えば、750μmの光源−検出器間隔で、約500μmの透過深さが得られる。この変位を変えて、光が細胞組織に中に入るときの光の透過深さを変え得る。間隔距離を増すことで、透過深さが増す(しかし、分解能は減少する)。
【0039】
用途
新規な方法および装置によって、数百ミクロンの分解能で、人や動物の細胞組織のような混濁試料を数ミリメートルを通して撮像することができるようになる。したがって、この方法および装置を使用して、多くの新規な生物医学的な問題および用途に対処し得る。
【0040】
例えば、新規な方法および装置を使用して、例えば皮膚および細胞組織を介して、細胞組織内部数ミリメートルにある表面下血管を撮像することが可能である。というのは、血管の大きさは数百ミクロンであり、さらに、血管と周囲組織の間の吸収の差は近赤外で約1mm−1であるからである。他の例では、内視鏡プローブを使用して、より大きな血管の壁の外側の細胞組織だけでなく、血管の壁を撮像することが可能である。
【0041】
新規な方法の他の使用は、網膜下の構造を撮影するための間接方式走査形レーザ検眼鏡の使用を最適化することにある(ウェブ(Web)等による、Applied Optics、第26巻、1492ページ、1997年)。この場合、多重散乱光を検出するように共焦点開口の代わりに環状開口が使用される。現在、間接方式の使用は、組織中の光散乱に基づいた理論すなわちモデルではなく観察に基づいている。したがって、この文献に示すモデルは、間接方式の使用を最適化するように応用され得る。何故ならば、この文献は、空間的に変化する細胞組織の光学特性(吸収および散乱)を定量化する方法を提供するからである。これらの光学特性を定量的に知ることで、細胞組織の状態について有用な診断情報が明らかになる。
【0042】
ソフトウェア実施
試料から放射される光に対応するディジタル・データの処理は、ハードウェアまたはソフトウェア、またはその両方の組合せで実施することが可能である。本方法は、ここで説明した方法、方程式、および図に従って一般的なプログラミング技術を使用するコンピュータ・プログラムで実施し得る。プログラム・コードは、データを入力してここで説明した関数を実行し、さらに出力情報を生成すべく適用する。出力情報は、ディスプレイ・モニタのような1つ以上の出力装置に適用する。
【0043】
各プログラムは、コンピュータ・システムと通信する高水準手順プログラム言語またはオブジェクト指向プログラム言語で実施するのが好ましい。しかし必要ならば、プログラムは、アセンブリ言語または機械言語で実施すことが可能である。いずれの場合でも、言語はコンパイル済みまたは解釈済み言語でもよい。
【0044】
そのようなコンピュータ・プログラムはそれぞれ、汎用または専用のプログラム可能コンピュータで読出し可能な記憶媒体または装置(例えば、ROMまたは磁気ディスケット)に格納され、ここで説明した手順を実行するコンピュータが記憶媒体または装置を読んだときに、コンピュータを構成し動作させるのが好ましい。また、コンピュータ・プログラムは、プログラム実行中にキャッシュ・メモリまたは主メモリにあってもよい。また、処理方法は、コンピュータ・プログラムで構成されたコンピュータ読出し可能記憶媒体として実施することも可能であり、この場合、そのように構成された記憶媒体によって、コンピュータは、ここで説明した関数を実行するように特定の予め定義されたやり方で動作するようになる。
【0045】
実施例
本発明は下記の実施例でさらに説明するが、実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限しない。
実施例1−ラジアンスの角度依存性の検討
ラジアンスの角度依存性を検討するために、上の式12の被積分関数をモンテ・カルロ・シミュレーションを使用して計算した。シミュレーションのための幾何学的配列は、開口数0.4で表面の下500μmの深さに集束されるビームからなる。試料内の光子の分布は、次の光学特性を有する試料について計算した。すなわち、μa=0.01mm−1、μs=10mm−1、g=0.9、およびn=1。光源−検出器間隔は750μmに設定した。
【0046】
グリーン関数
【0047】
【数11】
は、計算された光子分布を半径方向に移動し、光子経路
【0048】
【数12】
の相反性を使用して、シミュレーションの結果から計算した。
例として、図7は、検出器に到達する光子の媒体内の光子分布
【0049】
【数13】
を示す。
媒体内の光子の半径方向分布を調べることで、角度依存性を図8として示すことが可能である。図8で、半径方向分布は、角度が分解された場合(式3、「輸送」と表示した実線)および角度依存性が無視された場合(式4、「拡散」と表示した一点短鎖線)について、500μmの深さでプロットされている。
【0050】
【数14】
図8の強度は、比較のために各場合のピーク値に対して規格化されているが、絶対強度は、角度依存性が無視された場合(式4)よりも角度依存性が考慮された場合(式3)の方がほぼ1桁小さい。図8に示すように、光源位置と検出器位置の間の強度のくぼみは、角度依存性が考慮される場合により顕著になる。したがって、吸収不均一の像を再構築するとき、光子分布の角度依存性を考慮に入れるべきである。
【0051】
実施例2−像再構築のシミュレーション
第1ボルン近似の妥当性が立証されると(図3)、式2をy=Axの形のマトリックス方程式として表して、δμa(r)の像を構築することが可能である。ここで、yは測定値とx=δμa(r)の集合である。打切り特異値分解を使用して方程式のこの集合を反転させ、シミュレートされたデータを使用してδμa(r)を見出す(アリッジ(Arridge)、Inverse Problems、15(2)、R41、1999年)。
【0052】
1mmおよび2mmの深さにある100μmの吸収物体(δμa=1mm−1)の再構築像を図9AおよびBに示す。媒体の背景光学特性は、上の図3に関連して説明したものと同じである。再構築のシミュレーションで使用された測定値の集合は、0.2および0.4の開口数で、200μmの増分で400μmから2mmまで分布する、合計18の光源−検出器対(光源と検出器のNAが0.2である9対とNAが0.4である9対)の光源−検出器間隔からなっている。各対は、25μm単位を51回で試料の表面を横切って1.25mm移動して、合計918の測定値を与えた。光源と検出器の焦点は、全ての測定で表面の下1mmに設定した。特異値スペクトルは、250で打ち切った。この数は、測定の可能性のある信号対雑音の比が103であることを考慮して決定した(ただし、本シミュレーションでは雑音はない)。システムは散弾雑音で制限されていると想定し、さらに、特異解の数は、摂動信号の大きさが全検出信号(背景+摂動)の測定雑音よりも大きくなるように選んだ。像は、100μmの軸方向および横方向分解能が1mmの深さ(図9A)および2mmの深さ(図9B)まで維持されていることをはっきりと示している。
【0053】
図9Aおよび9Bの像に基づいて、この方法は顕微鏡的方法と拡散方法の間にある空間状況で撮像することができることが明らかである。
他の実施形態
本発明を詳細な説明とともに説明したが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を例示し、制限を意図しない。例えば、ここで説明した原理は、多様に散乱され検出された他の種類の放射の撮像を行うこと、すなわち、適切な照射/検出装置が与えられた場合のx線およびマイクロ波のような他の波長での撮像に適用することが可能である。他の態様、利点および修正は、次の特許請求の範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】新規な間接方式の撮像方法を含んだ様々な撮像方法の透過深さと分解能の間のトレードオフを示すグラフ。
【図2】新規な撮像方法で有用な一般的な撮像幾何学配列を示す模式図。
【図3】δμ2=0.1mm−1の表面の下1.0mmにある物体について、500μmおよび2.0mmのソース−検出器間隔で、第1ボルン近似(実線)および全摂動モンテ・カルロ・シミュレーション(記号)を用いて計算した被摂動信号を示すグラフ。
【図4A】新規な撮像方法で有用な照明/検出プローブを示す先端図。
【図4B】走査システムの照明/検出プローブを示す模式図。
【図5A】新規な方法で光信号データを取得し処理するために使用される工程を示す流れ図。
【図5B】光信号を処理して試料中の特徴の像を再構築するために使用される工程を示す流れ図。
【図6】新規な方法で使用するための内視鏡照明/検出プローブの図。
【図7】750μmのソース−検出器間隔の場合の光子分布のコンピュータによるシミュレーションの図。
【図8】角度依存性を考慮した場合(「輸送」、実線)および角度依存性を無視した場合(「拡散」、破線)におけるz=500μmでの規格化半径方向強度対x軸上の位置を示すグラフ。
【図9A】シミュレートされたデータを使用した、表面の下1.0mmの深さにある100μmの吸収物体の再構築像を示す図。
【図9B】シミュレートされたデータを使用した、表面の下2.0mmの深さにある100μmの吸収物体の再構築像を示す図(δμa=0.1mm−1)。
Claims (27)
- (a)試料を光源からの光学放射で照射する工程と、
(b)該試料から放射される光学放射を1つ以上の検出器で受け取る工程と、
(c)該検出器で受け取られた該光学放射をディジタル化して、ディジタル化信号を生成し、さらに該ディジタル化信号をプロセッサに送信する工程と、
(d)該ディジタル化データと輸送に基づいた光子移動モデルとの間の非線形最小化を実施して、該試料内の1つ以上の形態の空間的に変化する光学特性の像を再構築すべく該ディジタル信号を処理する工程と、
からなる試料の間接方式撮像方法。 - 前記検出器がそれぞれ前記光源からオフセットした位置にある請求項1に記載の方法。
- 各検出器−光源対のオフセットのうちの1つ以上が異なっている請求項2に記載の方法。
- 前記光学放射が近赤外放射である請求項1に記載の方法。
- 前記光学放射が、多数の光源をシミュレートするために、前記光源から前記試料全体にわたって走査される請求項1に記載の方法。
- 10個の検出器が、前記試料からの光学放射を受け取るために使用される請求項1に記載の方法。
- 前記オフセットが0.1mmから10mmまでである請求項2に記載の方法。
- 前記1つ以上のオフセットが0.1mmから10mmまでである請求項3に記載の方法。
- 前記試料が吸収散乱物体を含み、前記像δμa(r)+δμs(r)が式2a+2bの和を解くことによって再構築される請求項1に記載の方法。
- (a)光源用光ファイバ、1つ以上の検出器用光ファイバ、および遠位端、からなり、該光源用光ファイバの遠位端および該各検出器用光ファイバの遠位端がプローブを通って延び該プローブの遠位端で終わる該プローブと、
(b)該光源用光ファイバの近位端と接続された光学放射源と、
(c)各々が該検出器用光ファイバの1つの近位端に接続されて、各検出器用光ファイバからの光学放射を受け取り該試料から放射される光に対応するディジタル信号に変換する1つ以上の光検出器と、
(d)該光検出器で生成された該ディジタル信号を処理して、該試料内の1つ以上の形態の空間的に変化する光学特性の像を出力装置に供給するプロセッサと、からなり、該像が、該ディジタル化データと輸送に基づいた光子移動モデルの間の非線形最小化を実施することによって再構築される、試料の間接撮影システム。 - 各検出器用光ファイバの遠位端が、前記光源用光ファイバの遠位端からオフセットしている請求項13に記載のシステム。
- 前記オフセットが0.1mmから10mmまでである請求項14に記載のシステム。
- 各検出器−光源対のオフセットのうちの1つ以上が異なっている請求項14に記載のシステム。
- 前記光学放射が近赤外放射である請求項13に記載のシステム。
- 前記光学放射が、多数の光源をシミュレートするために、前記光源用光ファイバから前記試料全体にわたって走査される請求項13に記載のシステム。
- 10個の検出器が、前記試料からの光学放射を受け取るために使用される請求項13に記載のシステム。
- 前記オフセットが0.1mmから10mmまでである請求項14に記載のシステム。
- 前記1つ以上のオフセットが0.1mmから10mmまでである請求項17に記載のシステム。
- 前記像が3次元である請求項1に記載の方法。
- 前記像が3次元である請求項13に記載のシステム。
- 光源用光ファイバ、1つ以上の検出器用光ファイバ、および遠位端、からなり、該光源用光ファイバおよび各々の該検出器用光ファイバの遠位端が、プローブを通って延び該プローブの遠位端で終わり、さらに、該光源用光ファイバの遠位端が該検出器用光ファイバの各遠位端から0.1mmから10mmだけオフセットしている間接方式撮像用プローブ。
- 試料全体にわたって光学放射を走査するために走査ミラーを更に含む請求項25に記載のプローブ。
- 1つ以上の光源−検出器対のオフセットのうちの1つ以上が異なっている請求項25に記載のプローブ。
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