JP2004515674A - 母集団データ取得システム - Google Patents

Abstract

機関動作のパラメータに関係するデータを格納するためのメモリが設けられている機関制御モジュールから母集団データを取得する方法。本方法は、機関制御モジュールが再プログラムされる時に、複数の機関制御モジュールから格納されているデータをダウンロードするステップを含む。１組の母集団データが作成され、中央データベース（１１２）へ通信される。母集団データは、母集団の統計的に重要な部分を入手する時に統計的に解析される（１１４）。母集団データの統計的解析は、機関設計変更を行うために（１１６）、保証問題解析を行うために（１１８）、及びオプション機能受入れを解析するために（１２０）使用される。

Description

【０００１】
（技術分野）
本発明は、機関制御モジュールから母集団（ポピュレーション）データを取得し、機関のキャリブレーション、診断、及び設計に使用するために統計的解析を遂行するシステム及び方法に関する。
【０００２】
（従来の技術）
電子制御内燃機関は、特に、乗用車、船舶、大型の建設機械、静止発電機、及びハイウェイトラックを含むさまざまな分野に使用されている。機関の電子制御は、機関ハードウェアに大幅な変更を施さずに機関性能を特定の用途に適合させるのに広範な柔軟性を提供する。典型的な機関は、機関を制御し、ビークルの所有者、オペレータ、及びサービス職員に対して情報を提供するために使用されるセンサを含んでいる。
【０００３】
センサは、故障または動作不良を表すことができる有害動作状態を迅速に検出し、恒久的な機関破損を減少させる、または排除することによって機関保護に使用することができる。機関制御モジュール（ＥＣＭ）はセンサ入力を監視し、問題が発生したことをオペレータに警告する診断コードまたは障害メッセージをトリガすべき状態を検出する。診断コードまたは障害メッセージは、サービス職員及び保守職員が、機関の故障箇所を発見して修理するために使用することもできる。キャリブレーション変数は、機関の受入れ可能な動作パラメータを設定するために使用され、典型的には機関のサイズ、型、及び用途に従って変化する。若干のキャリブレーション値は工場職員によって設定されるが、多くの値は、特定用途に従って所有者／オペレータをによって、または彼等の要求に応じて変更することができる。
【０００４】
機関を保守する時に、機関ＥＣＭデータ記憶装置からの情報は、機関動作の故障を解析するためにサービス職員によって局部的に使用することができる。現在では、この情報を累積することも、または機関設計の変更、機関キャリブレーション設計の最適化、保証データの収集、または顧客によるオプション機能をどの程度受入れるかの決定を行うために統計的に解析することもしていない。
【０００５】
従来技術に固有のこれらの、及び他の問題及び欠陥は、本発明によって解消される。
【０００６】
（発明の概要）
本発明によれば、機関動作からのパラメータに関係するデータを格納するためのメモリを有する機関制御モジュールから母集団データを取得する方法が提供される。複数の機関制御モジュールが１組の母集団データを作成するように再プログラムされた時に、格納されたデータがこれらのモジュールからダウンロードされる。格納された母集団データは、中央データベースへ通信される。母集団の統計的に重要な部分を中央データベース内に挿入した後に、母集団データを解析して機関設計変更を行うことができる。
【０００７】
本発明の他の面によれば、格納されるデータは、機関の動作パラメータを測定するセンサから入手する。センサは、限定するものではないが、温度センサ、圧力センサ、制限（レストリクション）センサ、及び流体レベルセンサを含むセンサのグループから選択することができる。格納されるデータは、計算されたパラメータ、または１組の機関キャリブレーション構成設定であることもできる。
【０００８】
本発明の方法によれば、母集団データを統計的に解析するステップは、平均計算、最小経験値計算、最大経験値計算、標準偏差計算、ヒストグラムプロット、傾向解析計算、及び事象（インシデント）の発生頻度の計算のような統計的計算を遂行するステップを含むことができる。母集団データの統計的な解析は、事象の発生時刻と機関動作に関係する他のパラメータとを相関付けるように拡張することもできる。本発明によれば、母集団データの統計的解析は、ハードウェアの設計に、機関キャリブレーションの最適化に、保証データの収集に、または顧客によるオプション機能をどの程度受入れるかの決定に使用することができる。
【０００９】
本発明のこれらの、及び他の目的及び長所は、以下の添付図面に基づく詳細な説明から明白になるであろう。
【００１０】
図１は、本発明の一実施の形態に従って母集団データを入手することができる機関のブロック図である。システム１０は、特定の用途に依存してビークル１４内に装備することができるディーゼル機関１２のような内燃機関を含む。一実施の形態では、ビークル１４は、トラクタ１６及びセミトレーラ１８を含む。ディーゼル機関１２はトラクタ１６内に装備されており、詳細を後述するように、機関及びビークル配線ハーネスを介して、機関１２、トラクタ１６、及びセミトレーラ１８上に位置している種々のセンサ及びアクチュエータとインタフェースをとる。
【００１１】
電子的機関制御モジュール（ＥＣＭ）２０は、機関センサ２２及びビークルセンサ２４によって生成された信号を受信し、これらの信号を処理して機関及び／燃料噴射器２６のようなビークルアクチュエータを制御する。ＥＣＭ２０は、機関１２を制御するためにコンピュータが実行可能な命令を表すデータを格納するためのコンピュータ可読記憶媒体２８を含むことが好ましい。コンピュータ可読記憶媒体２８は、作業変数、パラメータ等の他に、キャリブレーション情報を含むこともできる。一実施の形態では、コンピュータ可読記憶媒体２８は、読出し専用メモリ（ＲＯＭ）３２、及びキープアライブメモリ（ＫＡＭ）３４のような種々の不揮発性メモリの他に、ランダムアクセスメモリ（ＲＡＭ）３０を含んでいる。コンピュータ可読記憶媒体２８は、標準制御／アドレスバスを介してマイクロプロセッサ３８及び入力／出力（Ｉ／Ｏ）回路３６と通信する。当業者には明白なように、コンピュータ可読記憶媒体２８は、データを一時的に、及び／または恒久的に記憶するための種々の型の物理的デバイスを含むことができる。これらは、ソリッドステート、磁気、光、及び組合わせデバイスを含む。例えば、コンピュータ可読記憶媒体２８は、ＤＲＡＭ、ＰＲＯＭ、ＥＰＲＯＭ、ＥＥＰＲＯＭ、フラッシュメモリ等のような１つまたはそれ以上の物理的デバイスを使用して実現することができる。特定の用途に依存して、コンピュータ可読記憶媒体２８は、フレキシブルディスク、ＣＤ ＲＯＭ等を含むこともできる。
【００１２】
典型的な用途では、ＥＣＭ２０は、コンピュータ可読記憶媒体２８内に格納されている命令を実行することによって機関センサ２２及びビークルセンサ／スイッチ４からの入力を処理し、機関１２を制御するための適切な出力信号を生成する。特定の用途に依存して、システム１０は、機関及びビークル動作状態を監視するための種々の型のセンサを含むことができる。本発明の一実施の形態では、機関センサ２２は、クランクシャフトの位置を指示して機関の速度を決定するために使用できるタイミング基準センサ（ＴＲＳ）４０を含む。油圧センサ（ＯＰＳ）４２及び油温センサ（ＯＴＳ）４４は、それぞれ、機関油の圧力及び温度を監視するために使用される。
【００１３】
空気温度センサ（ＡＴＳ）４６は、現在の取入れ空気温度の指示を供給するために使用される。ターボブーストセンサ（ＴＢＳ）４８は、ターボチャージャのブースト圧力の指示を供給するために使用される。冷却材温度センサ（ＣＴＳ）５０は、冷却剤の温度の指示を供給するために使用される。
【００１４】
特定の機関キャリブレーション及び用途に依存して、種々の付加的なセンサを含むことができる。例えば、共通レール燃料システムを使用する機関は、対応する燃料圧センサ（ＣＦＰＳ）５２を含むことができる。同様に、インタークーラー冷却材の圧力及び温度を検知するために、インタークーラー冷却材圧力センサ（ＩＣＰＳ）５４及び温度センサ（ＩＣＴＳ）５６を設けることができる。機関１２は、燃料温度センサ（ＦＴＳ）５８及び同期基準センサ（ＳＲＳ）６０をも含むことが好ましい。ＳＲＳ６０は、機関１２の特定のシリンダをそれらの点火順に指示する。
【００１５】
機関１２は、油のレベルが低いことに関する種々の機関保護特色を供給するために、油レベルセンサ（ＯＬＳ）６２も含むことができる。燃料制限センサ（ＦＲＳ）６４は、予防保守の目的から、燃料フィルタを監視して警報を出すために使用することができる。燃料圧力センサ（ＦＰＳ）６８は、パワーロス及び機関への燃料供給が大事に至りそうであることを警告するために、燃料圧力の指示を供給する。同様に、クランクケース圧力センサ（ＣＰＳ）６６は、クランクケースの圧力の指示を与える。これは、機関の動作不良を指示するクランクケース圧力の突然の増加を検出することによって、いろいろな機関保護特色のために使用することができる。
【００１６】
システム１０は、ビークル動作パラメータ、及びビークル１４及び機関１２を制御するのに使用されるドライバ入力を監視するために、いろいろなビークルセンサ／スイッチ２４を含むことが好ましい。例えば、ビークルセンサ／スイッチ２４は、現在のビークルの速度の指示を与えるビークル速度センサ（ＶＳＳ）７０を含むことができる。冷却材レベルセンサ（ＣＬＳ）は、ビークルのラジエータ内の機関冷却材のレベルを監視する。機関動作モードを選択するために使用される、またはそれ以外に機関１２またはビークル１４の動作を制御するために使用されるスイッチは、低、中、高、及び断選択を与えることが好ましいエンジンブレーキ選択スイッチ７４、クルーズ制御スイッチ７６、７８、及び８０、診断スイッチ８２、及び種々のオプションのディジタル及び／またはアナログスイッチ８４を含むことができる。ＥＣＭ２０は、アクセルまたはフットペダル８６、クラッチ８８、及びブレーキ９０に関連する信号をも受信する。ＥＣＭ２０は、キースイッチ９２の位置、及びビークル電池によって供給されるシステム電圧をも監視することができる。
【００１７】
ＥＣＭ２０は、状態表示器／灯９６、アナログディスプレイ９８、ディジタルディスプレイ１００、及び種々のアナログ／ディジタルゲージ１０２のようなさまざまなビークル出力デバイスと通信することができる。本発明の一実施の形態では、ＥＣＭ２０は、機関速度、アクセルペダル位置、ビークル速度等を含むことができる種々の状態及び／または制御メッセージを同報するために、工業標準データリンク１０４を使用する。好ましくは、データリンク１０４は、いろいろなサービス、診断、及び制御情報を他の機関システム、サブシステム、及びディスプレイ１００のような接続されているデバイスへ供給するためにＳＡＥＪ１９３９及びＳＡＥＪ１５８７に準拠する。
【００１８】
ＥＣＭ２０内に格納されている選択されたパラメータをプログラムし、及び／または、ＥＣＭ２０から診断情報を受信するために、データリンク１０４を介してサービスツール１０６を周期的に接続することができる。同様に、ＥＣＭ２０へ情報を転送し、機関１２及び／またはビークル１４の動作に関する情報を受信するために、データリンク１０４を介してコンピュータ１０８を適切なソフトウェア及びハードウェアに接続することができる。図２に示すように、世界中の遠隔位置にある複数のコンピュータ１０８は、ワールドワイドプログラミングシステム１１０の一部である。
【００１９】
図２を参照する。図示のように、対応する機関制御モジュール２０’、２０”、２０’”を有する複数の機関１２’、１２”、１２’”は、ワールドワイドプログラミングシステム１１０にリンクされている。機関１２がサービス及び再キャリブレートされる場合、格納されているデータが複数の機関制御モジュール２０からダウンロードされる。機関センサ２２によって検知された機関制御モジュール２０からのデータは、データリンクを介してＯＥＭ工場データベース１１２へ通信される。データベース１１２をＯＥＭから遠隔に配置し、独立した契約者のような第三者によって管理することもできる。ＯＥＭ工場データベース１１２は、格納した母集団データとしてデータを累積する。統計的に重大なデータの母集団を累積した後に、１１４において統計的解析を遂行することができる。統計的解析は、平均計算、最小経験値計算、最大経験値計算、標準偏差計算、ヒストグラムプロット、傾向解析計算、及び事象の発生頻度の計算を含むことができる。種々のセンサからのデータは、事象の発生時刻データに相関付けることができる。
【００２０】
統計的データは、１１６におけるハードウェアまたはソフトウェア変更を含む新しい機関設計変更を開発するために使用することができる。この情報は、１１８における保証問題を査定するために使用することも、または１２０におけるオプションとしての機能受入れの解析を遂行するために使用することもできる。機関速度、燃費戦略、低ギヤートルク制限、その他の機能のようなオプションとしての機能を解析して、これらのオプション機能がその分野の顧客にとって実際に効果があるのか否かに関する有用な情報を得ることができる。
【００２１】
以上に本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は単なる例示に過ぎず、本発明の全ての可能な形状を限定するものではない。本明細書に使用されている用語は、説明のための用語であって本発明を制限するものではなく、本発明の思想及び範囲から逸脱することなくさまざまな変化を考案できることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図１】
母集団データを入手することができるセンサ及び機関制御モジュールを有する従来技術の内燃機関を示すブロック図である。
【図２】
機関制御モジュールから母集団データを取得し、機関のキャリブレーション、診断、及び設計に使用するための統計的解析を遂行するシステム及び方法を示すブロック図である。

Claims (20)

1. 機関動作のパラメータに関するデータを格納するためのメモリを有する機関制御モジュールから母集団データを取得する方法であって、
   上記機関制御モジュールが１組の母集団データを作成するようにプログラムされると、格納されたデータを複数の上記機関制御モジュールからダウンロードするステップと、
   上記格納された母集団データを中央データベースへ通信するステップと、
   上記母集団の統計的に重要な部分を収集した直後に、上記母集団データを統計的に解析するステップと、
   上記母集団データの統計的解析を使用して、機関設計変更を行うステップと、を含むことを特徴とする方法。
2. 上記格納されたデータは、機関動作パラメータを測定するセンサから入手する請求項１記載の方法。
3. 上記センサは、
   温度センサ、
   圧力センサ、
   制限センサ、及び
   流体レベルセンサ、
   からなるセンサのグループから選択される請求項２記載の方法。
4. 上記格納されたデータは、計算されたパラメータである請求項１記載の方法。
5. 上記格納されたデータは、１組の機関キャリブレーション及び構成設定である請求項１記載の方法。
6. 上記格納されたデータは、データリンクを介して他のシステムから取得した１組のパラメータである請求項１記載の方法。
7. 上記母集団データを統計的に解析するステップは、
   平均計算、
   最小経験値計算、
   最大経験値計算、
   標準偏差計算、
   ヒストグラムプロット、
   傾向解析計算、及び
   事象の発生頻度の計算、
   からなる計算のグループから選択された統計的計算を遂行することに関している請求項１記載の方法。
8. 上記母集団データを統計的に解析するステップは、
   上記事象の発生時刻を、機関動作からのパラメータに相関付けることに関している請求項１記載の方法。
9. 上記母集団データの統計的解析を使用するステップは、上記統計的解析によって決定された上記機関の要求に従ってハードウェアを設計するステップを含む請求項１記載の方法。
10. 上記母集団データの統計的解析を使用するステップは、実際の使用データに従って上記機関キャリブレーションを最適化するステップを含む請求項１記載の方法。
11. 上記母集団データの統計的解析を使用するステップは、保証データを収集するステップを含む請求項１記載の方法。
12. 上記母集団データの統計的解析を使用するステップは、顧客からのオプション機能をどの程度受入れるかを決定するステップを含む請求項１記載の方法。
13. 機関動作のパラメータに関するデータを格納するためのメモリを有する機関制御モジュールから母集団データを取得するシステムであって、
    上記機関制御モジュールが１組の母集団データを作成するようにプログラムされると、格納されたデータを複数の上記機関制御モジュールからダウンロードする少なくとも１つのサービスコンピュータと、
    格納された母集団データを中央データベースへ通信するデータリンクと、
    上記母集団の統計的に重要な部分を収集した直後に、上記母集団データを統計的に解析するコンピュータと、
    上記母集団データの統計的解析を、機関設計変更に使用可能ならしめる報告デバイスと、
    を含むことを特徴とするシステム。
14. 上記格納されたデータは、機関動作パラメータを測定するセンサから入手する請求項１３記載のシステム。
15. 上記センサは、
    温度センサ、
    圧力センサ、
    制限センサ、及び
    流体レベルセンサ、
    からなるセンサのグループから選択される請求項１４記載のシステム。
16. 上記母集団データを統計的に解析するコンピュータは、
    平均計算、
    最小経験値計算、
    最大経験値計算、
    標準偏差計算、
    ヒストグラムプロット、
    傾向解析計算、及び
    事象の発生頻度の計算、
    からなる計算のグループから選択された統計的計算を遂行する請求項１３記載のシステム。
17. 上記母集団データを統計的に解析するコンピュータは、
    事象の発生時刻を、機関動作のパラメータに相関付ける請求項１３記載のシステム。
18. 上記母集団データの統計的解析のための報告デバイスは、上記統計的解析によって決定された上記機関の要求に従ってハードウェアを設計するのに使用される請求項１３記載のシステム。
19. 上記母集団データの統計的解析のための報告デバイスは、実際の使用データに従って上記機関キャリブレーションを最適化するのに使用される請求項１３記載のシステム。
20. 上記母集団データの統計的解析のための報告デバイスは、保証データを収集するのに使用される請求項１３記載のシステム。

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