JP2004514879A - 哺乳類における化合物の代謝を予測するための薬物動態ツールおよび方法 - Google Patents
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Abstract
哺乳類肝臓の代謝シミュレーションモデルを含む哺乳類における化合物の代謝をシミュレートするための系が開示される。このモデルは、コンピューターで実行した場合に、哺乳類肝臓の細胞中での化合物の代謝速度、ならびに細胞中への化合物の輸送速度を算定する方程式を有するが、この場合、シミュレーションモデルは代謝産物の量を確定する。代謝速度は、化合物の消耗速度であり得る。代謝産物は、哺乳類肝臓を通る化合物の最初の通過後に残存する化合物の量であり得る(これは必ずしも最初の通過に限定されず、それは肝臓に限定される必要もない。腸代謝もモデル化され得る)。あるいは代謝速度は、化合物の代謝産物の蓄積速度であり得る。
Description
【0001】
発明の背景
産業上の利用分野
本発明は、化合物の哺乳類代謝の予測のための方法およびツールに関する。特に本発明は、化合物の代謝の速度および程度を確定するための系および方法に関する。
【0002】
従来技術の説明
A.薬物動態的モデリング
薬力学は、その後の一連の事象を通して薬理学的応答を引き起こす、薬剤と身体構成成分との間の基本的または分子的相互作用の研究に言及する。ほとんどの薬剤に関して、薬理学的作用の大きさは、作用部位での薬剤の時間依存性濃度によっている(例えば標的受容体−リガンド/薬剤相互作用)。長時間の作用部位へのまたは作用部位からの薬剤の送達および消失の速度に影響を及ぼす因子としては、吸収、分布、代謝および排出が挙げられる。薬剤濃度が時間に伴って変化する方法に影響を及ぼす因子の研究が、薬物動態の目的である。
【0003】
ほとんどすべての場合、薬剤作用部位は、薬剤投与の部位から膜の他方の側に突き止められる。例えば経口投与薬剤は、消化(GI)管に沿った単数または複数の点で膜バリアを通して吸収されねばならない。一旦薬剤が吸収され、したがってGI管の膜バリアを通過すると、それは門脈を通って肝臓に、その後、血流による他の身体部分および組織への送達のために、ついには全身循環(即ち血液およびリンパ)に輸送される。したがって、いかにうまく薬剤が膜を通り抜けるかが、異なる身体区画および組織全体の薬剤の吸収および分布の速度および程度を査定する場合に重要性を有する。本質的に、別の方法では高度に強力な薬剤が血管外に(例えば口腔)投与され、しかし十分に吸収されない(例えばGI管)場合、大多数の薬剤は吸収されず、したがって作用部位に分布できない。
【0004】
薬剤が身体から消失する主な方法は、非変化薬剤の排除によるかまたは薬理学的に活性または不活性な形態(単数または複数)(即ち代謝産物)への薬剤の代謝による。代謝産物は次に、さらなる排除または代謝を施され得る。薬剤および/または代謝産物の排除は、主に尿への腎臓メカニズムを介して、そして多少程度に、可溶化のための胆汁塩と混合され、その後、GI管を通して排泄され、肺を通して発散され、あるいは汗または唾液腺を通して分泌されることにより生じる。ほとんどの薬剤に関する代謝は、主に肝臓で起こる(肝臓の後、代謝はおそらくは主にGI管中で起こる)。同一原理およびおそらくは同一肝細胞データを用いて、GI管の一次通過作用を予測し得る(肝臓中と同一の酵素がGI管中に存在するが、しかし非常に低レベルで、そして互いに異なる相対比で存在する)。CYP450酵素は、身体中のほとんどの組織中に存在し、肝臓、腎臓、肺およびGI管中では高濃度で存在する。おそらくは本発明はこれらの組織すべてに適用され得るが、しかし肺および腎臓は「一次通過作用」器官とは考えられない。
【0005】
血液および血漿中では、やや小さい代謝が起こる。これらは主にエステラーゼおよび極迅速反応であって、本発明に適用可能でない。
薬剤の吸収、分布、代謝および排出の各過程は、速度工程として数学的に説明され得る。これらの生化学的過程のほとんどが、一次または擬似一次速度工程を包含する。言い換えれば、反応速度は薬剤濃度に比例する。例えば薬物動態データ分析は、既知の用量の薬剤を投与し、そして記述的方程式または数学的(区画的)モデルによりデータを適合させた後の、経験的観察に基づいている。これは、多数の実験条件下での実験的測定の要約(血漿/血液レベル−時間プロフィール)および予測を可能にする。例えば迅速静脈内投与後、薬剤レベルはしばしば、方程式1(式中、Cp(t)は時間の一関数としての薬剤濃度であり、Cp(0)は初期薬剤濃度であり、そしてkは薬剤減衰過程(例えば吸収、分布、代謝、排除)に影響を及ぼすすべての因子の組合せを表す会合速度定数である)に記載されたように時間に関して一指数関数的に減少する(一次排除)。
【0006】
Cp(t)=Cp(0)e−kt (式1)
この例は、身体が、薬剤が投与され、そしてそれが排除される単一の「よく混合された」区画である(一区画開放モデル)、と仮定する。中心(血液)区画と(末梢)組織区画(単数または複数)における薬剤間の平衡が迅速でない場合には、より複雑なプロフィール(多指数関数的)およびモデル(2−および3−区画)が用いられる。数学的には、これらの「多区画」モデルは、方程式の和、例えば方程式1により各々算定された速度工程(即ち線状薬物動態)の和として説明される。
【0007】
実験的には、方程式1は、先ず、特定用量の薬剤を投与された被験者から時間−濃度データを収集し、その後、薬剤濃度対時間の対数グラフ上にデータ点をプロットして、一型の濃度−時間曲線を生成する。プロットされた「ベストフィット」曲線の勾配(k)およびy切片(C0)が得られ、その後、方程式1(または方程式の和)に組入れて、付加的被験者に関する薬剤の時間経過および投与レジメンを表す。
【0008】
身体または特定位置全体の薬剤濃度が非常に高い場合、飽和または非線状薬物動態が適用可能であり得る。この状況では、薬剤濃度を低減する生化学的および/または生理学的過程の能力は満たされる。慣用のミカエリス−メンテン型方程式を用いて、ゼロ次(すなわち飽和:濃度非依存性)および一次(即ち非飽和:濃度依存性)動力学の混合物を包含する系の非線状性を表す。実験的には、データ収集およびプロッティングは標準区画モデルの場合と同様であるが、但し、データ曲線は非線状である。この点を表すために対数濃度対時間グラフを用いると、非常に高い薬剤濃度では、薬剤が最大一定速度で排除される(即ちゼロ次過程)ため、データ線は非線状である。次に、速度工程が薬剤濃度と比例するようになる点に薬剤濃度が下がる(即ち一次工程、線状工程)まで、データ線は時間に伴って下方に湾曲し始める。
【0009】
【表1】
【0010】
多数の薬剤に関して、非線状薬物動態は、薬剤処方物からの治療的成分の溶解、ならびに代謝および排除のような事象に当てはまる。非線状薬物動態は、閾値投与に関連した毒物学的事象にも当てはまる。
【0011】
薬物動態に用いられる古典的な1、2および3区画モデルは、薬剤減衰過程に関連した濃度−時間作用を表すためのin vivo血液データを要する。即ち血液データによって、方程式パラメターに関する値を提供する。例えば、モデルはある薬剤に関する減衰過程を表すために働き得るが、しかし血液プロフィールデータおよび関連速度工程制限が各当該薬剤に関して生成される。したがってこのようなモデルは、血液データならびに動物および/またはヒト試験から得られる同様のデータの非存在下での多様な薬剤組のin vivo運命を予測するには非常に不十分である。
【0012】
標準区画モデルと対照して、基礎生理学および解剖学を薬剤分布および配置と統合するよう生理学的ベースの薬物動態モデルが設計される。区画アプローチは生理学的モデルにも用いられるが、しかし区画は、血流に連結される解剖学的存在物、例えばGI管、肝臓、肺等に対応する。生理学的モデリングも、薬剤特異的でない多数の生理学的および物理化学的データが用いられる、という点で標準区画モデリングと異なる。しかしながら標準区画モデルと同様に、慣用的生理学的モデルは速度工程をひとまとめにする。さらに慣用的生理学的モデルは典型的には、多速度工程がin vivoで表される場合でさえ、特定の解剖学的存在物における薬剤分布および配置を制御する個々の動力学的、機械論的および生理学的過程を併合できない。これらのそしてその他の重要なモデルパラメターを無視する生理学的モデルは、根元的偏りを有して、多様なデータ組全体に亘って不十分な相関および予測可能性を生じる。このような欠陥は、モデルが動物またはヒトにおける薬剤の運命を説明または予測するために用いられる場合、必然的に非許容可能レベルの誤差を生じる。問題は、動物データをヒトに外挿するためにモデルが用いられる場合に増幅され、そして動物またはヒトにおける予測に関してin vitroデータによっている場合には、もっと悪い。
【0013】
例えばほとんどの経口投与薬剤に関する全身循環に到達する薬剤の過程は、2つの一般的段階、即ち溶解と吸収に分けられる。GI管中のエンドサイトーシス性過程は典型的には治療的量のほとんどの薬剤を送達するのに十分に高い能力を有するわけではないため、薬剤は吸収前に可溶化されねばならない。溶解の過程は、かなり良く理解されている。しかしながら吸収過程は「ブラックボックス」として処理される。実際、生物学的利用能データは多動物種およびヒトにおいて多数の薬剤に関して広範に利用可能であるが、しかし動物、組織または細胞培養透過性実験から生成されたin vitroおよび/またはin vivoデータは、ヒトにおける薬剤吸収の直接的予測を可能にし得ない。しかしこのような相関は一般的に用いられている。
【0014】
B.コンピューターシステムおよび薬物動態モデリング
コンピューターは、薬物動態過程の複雑な薬物動態方程式およびモデリングの容易な解法をもたらすために薬物動態に用いられてきた。薬物動態におけるその他のコンピューター用途としては、実験的研究設計の開発、統計学的データ処理、データ操作、データのグラフ的表現、薬剤作用の試算、ならびに報告書または文書の作成が挙げられる。
【0015】
薬物動態モデルは、微分方程式の系により表わされるため、数学モデルの開発および実装を可能にする事実上すべてのコンピューターシステムおよびプログラミング言語が、それらを構築し、実行するために利用されてきた。グラフ配向モデル開発コンピュータープログラムは、それらの簡易性且つ易使用性のために、典型的には多区画の線状および非線状薬物動態モデルを設計するために用いられる。本質的に、それらはユーザーが区画を相互作用的に描き、次にそれらを他のアイコン素子で連結し、修正して、予め定めた記号を用いて統合流れ経路を開発するのを可能にする。ユーザーは一定のパラメターおよびパラメターに関連する方程式を区画および流れ経路に割り当て、次にモデル開発プログラムが、コンピューター読取可能フォーマットでの統合システムを反映するよう、微分方程式および解釈可能なコードを生成する。その結果生じるモデルは、モデルの基礎となる方程式に対応するパラメターに関する入力値を与えられた場合、このような薬剤用量および等価物は次に、研究中のシステムをシミュレートするために用いられ得る。
【0016】
薬物動態モデルを開発し、実行するためのツールが存在し、そして科学文献は実例を十分に含有しているが、しかし今日までに開発された薬物動態モデルおよびコンピューターシステムは、in vitro細胞、組織または化合物構造−活性関係(SAR/QSAR)データからの哺乳類におけるそれらの投与経路にかかわらず、薬剤の代謝の十分な予測可能性を可能にしなかった(代謝は投与経路に無関係である。もちろん、薬剤がPO投与されなければGI代謝は観察されない場合は除く)。ある哺乳類(例えばヒト)における化合物の代謝を、二次哺乳類(例えばイヌ;対比成長測定を用いていくつかの成功が発表されているが、しかしモデルが開発のために用いられたデータ組外から外挿された場合にはそれはだめになる)から得られたデータから予測しようとした場合に、同様の問題が存在する。例えば代謝の既存の薬物動態モデルは、いくつかの異なるアプローチを用いて、肝代謝を免れる肝臓進入化合物の分画を予測する。Obach等は、生物学的利用能Fが、吸収された分画Fa、GI管により代謝された分画Fg、肝血流量Qおよび身体からの薬剤のクリアランスCLを用いて算定されるモデル(F=Fa*Fg*(1−CL/Q))を記載する。他のモデルEH=(Z*CLint)/(Q+Z*CLint)は、固有クリアランスCLint、肝血流量Qおよびスケーリング因子Zを用いて、肝臓抽出比EHを算定する。十分攪拌され、分布された平行管モデルを用いても、代謝を免れる用量分画が算定されている。残念ながら、これらのモデルは、それらが、モデルを開発し、スケーリング因子を確定するために用いられる特定の化合物に、あるいはin vivoで当てはまることもある一定の「線状」実験条件に予測を制限する数学的仮定(および生理学的仮定)を成す場合、無効になる。したがって相対的に小さい群の外部の化合物に関するこのようなモデルの予測力は、非常に限定される。これは、種々の範囲の投与要件および透過性、溶解性、溶解速度、代謝または排出メカニズムならびに輸送メカニズム特性を有する化合物の収集に関して特にいえる。その他の欠点としては、本質的に薬剤特異的予測にモデルを限定するモデル開発の最初からの薬物動態モデルにおける薬剤特異的パラメターおよび値の使用が挙げられる。これらのそしてその他の欠陥は、肝臓のような複雑な生理学的系における薬剤配置に普遍的に当てはまる原則の生成も損なう。
【0017】
薬剤代謝および可変的生物学的利用能に関する経済的および医学的結果は、計り知れぬ重要性を有する。薬剤開発の発見および予備臨床段階中に、問題があると思われる生物学的利用能を有する薬剤候補を同定することの失敗は、薬剤開発サイクルのもっとも有意の且つ経費のかかる負の結果の1つである。したがって、包括的生理学ベースの薬物動態モデル、ならびに相対的に簡単な入力パラメターを利用するヒトにおける薬剤生物学的利用能および変動性を予測し得るコンピューターシステムを開発する必要がある。さらに、新規の治療的代替物および一番の薬剤候補を選択するためのハイスループット薬剤スクリーニングの最新の使用を医療集団に提供する緊急の必要性を考えると、化合物および化合物処方物の生物学的利用能を予測するためのモデリングアプローチを用いる包括的生製薬的コンピューターベースのツールが必要とされる。
【0018】
関連文献
以下の出版物は、本発明の開発中に照会されたものであり、これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる。これらの文書は、本発明のための理論的モデル、処方およびその他の基礎を提供する目的のために参照されるべきである。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0019】
発明の要約
本発明の好ましい実施態様によれば、哺乳類における化合物の代謝をシミュレートするための系であって、以下の:
コンピューターで実行した場合に、哺乳類肝臓の細胞中での化合物の代謝速度、ならびに細胞中への化合物の輸送速度を算定する方程式を含む哺乳類肝臓の代謝シミュレーションモデルであって、代謝産物の量を決定するシミュレーションモデルを包含する系が提供される。代謝速度は、化合物の消耗速度であり得る。代謝産物は、哺乳類肝臓を通る化合物の最初の通過後に残存する化合物の量であり得る(これは必ずしも最初の通過に限定されないし、肝臓に限定される必要もない。腸代謝もモデル化され得る)。あるいは代謝速度は、化合物の代謝産物の蓄積速度であり得る。
【0020】
前記の系は、代謝産物が、哺乳類肝臓を通る化合物の最初の通過の結果として生成される代謝産物の量であることを包含し得る(最初の通過にも肝臓にも限定されない。腸代謝もモデル化され得る)。
前記のモデルは、動物において収集されたデータを使用し得る。あるいはモデルは、肝細胞(単数または複数)、ミクロソーム(単数または複数)、S−9分画またはその他の亜細胞分画、肝臓薄片、均質化肝細胞の上清分画、Caco−2細胞、セグメント特異的ウサギ腸組織切片等を用い得る。肝細胞は、in vitroで培養され得る。さらに、本方法は、 から収集されたデータを用い得る。モデルは、代謝または代謝関連データを提供するその他のin vitro、in situ、in silicoまたはin vivo検定からのデータも用い得る。
【0021】
前記の代謝シミュレーションモデルは、平行管モデル、混合タンクモデル、分布流れモデルおよび分散流れモデルからなる群から選択される肝臓のモデルも包含し得る。あるいは肝臓のモデルは、平行管モデルであり得る。
代謝の速度を表す方程式は、定常状態近似値を用いて速度項を算定し、そしてミカエリス−メンテンの式であるかまたはミカエリス−メンテンの式を基礎にし得る。代謝速度を表す当業界で既知のその他の方程式も用いられ得る。
【0022】
輸送速度を表す方程式は、一次輸送速度定数に化合物の濃度を掛けたものであり得る。輸送速度は、代謝速度から差し引かれるかまたは付加され得る。引き算は、輸送(またはいくつかのその他の一次過程)が損失速度を増大しつつある(即ち流出輸送が代謝前に細胞から非変化薬剤を排出した)場合である。
一次輸送速度定数は、受動的熱力学工程として輸送を概算する。
【0023】
吸収速度データおよび濃度時間データは、モデルに供給され得る。このモデルは、いかに多量の化合物が代謝に利用可能であるかを知るために、言い換えればミカエリス−メンテン式中のCを決定するために、吸収速度データを用いる。吸収速度データは、実験的に算定され得るし、または吸収シミュレーションモデル(例えばiDEA吸収モジュール(Lion Bioscience)(www.lionbioscience.com))により概算され得る。
【0024】
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝に関する概算パラメター値(おそらくは、調整ミカエリス−メンテン方程式のような方程式のためにVmax、KmおよびKd(一次輸送速度定数)からなる群から選択される)を算定するためにコンピュータープログラムを用いるためのコンピューター実装方法であって、以下の:(a)代謝条件下で複数の濃度での化合物に関する濃度対時間データをコンピュータープログラムに供給し、そして(b)プログラムが概算パラメター値を算定する場合に用いるためのデータのサブセットを選択する条件下でコンピュータープログラムを実行することを包含する方法が提供される。コンピュータープログラムは、一組の規則または判定基準によりサブセットを選択し得る(下記の実施例3参照)。あるいは神経ネットワークまたは人工知能機能を用いて、一組の規則というよりむしろサブセットを選択し得る。コンピュータープログラムは、サブセットを用いて概算パラメター値を算定し得る。
【0025】
コンピュータープログラムは、データのサブセットまたは異なる組合せを用いて概算パラメター値を算定するよう、コンピューターのユーザーがコンピュータープログラムを指図し得るよう形造され得る。コンピュータープログラムは、サブセットからの概算パラメター値の算定において用いるために、所定のデータ適合法群から一データ適合法を更に選択し得る。コンピュータープログラムは、サブセットおよび選定データ適合法を用いて、概算パラメター値を算定する。あるいはコンピューターのユーザーは、(i)データのサブセットまたは異なる組合せ、ならびに(ii)選定データ適合法または異なるデータ適合法を用いて概算パラメター値を算定するようコンピュータープログラムを指図し得る。
【0026】
本方法はさらに、(c)概算パラメター値を代謝シミュレーションモデルに入力することを包含し得る。
コンピュータープログラムは、概算パラメター値の算定に用いるためにデータのサブセットを付加的に選択し得る。
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝に関する概算パラメター値を算定するためにコンピュータープログラムを用いるためのコンピューター実装方法であって、以下の:(a)代謝条件下で複数の濃度での化合物に関する濃度対時間データをコンピュータープログラムに供給し、そして(b)データまたはそのサブセットからの概算パラメター値の算定に用いるための予定群のデータ適合法から一データ適合法をプログラムが選択する選択する条件下でコンピュータープログラムを実行することを包含する方法が提供される。
【0027】
コンピュータープログラムは、いくつかの異なる方法の適合の良好性を比較し、その後、最良の方法を選択することにより、データ適合法を選定する(例えば下記の実施例5参照)。
コンピュータープログラムは、概算パラメター値(Vmax、KmおよびKdからなる群から選択される)を算定するための選定で得た適合法を用いるよう、あるいは選定データ適合法または異なるデータ適合法を用いて概算パラメター値を算定するようコンピューターのユーザーがコンピュータープログラムを指図し得るよう、形造され得る。コンピュータープログラムは、選定で得た適合法およびサブセットを用いても概算パラメター値を算定し得る。コンピューターは、コンピューターのユーザーが、(i)データのサブセットまたは異なる組合せ、ならびに(ii)選定データ適合法または異なるデータ適合法を用いて概算パラメター値を算定するようコンピュータープログラムを指図し得るよう造形され得る。
【0028】
前記の方法はさらに、(c)概算パラメター値を代謝シミュレーションモデルに入れることを包含し得る。
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝を予測するためのデータの収集方法であって、化合物の物理的または代謝的特徴と関係なく選定された複数の濃度で濃度対時間データを収集することを包含する方法が提供される。物理的または代謝的特徴は、化合物の溶解性、Vmax、KmまたはKd、代謝回転から選択される群から選択され得る。
【0029】
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝を予測するためのデータの収集方法であって、複数の濃度で濃度対時間データを収集する方法が提供されるが、この場合、多数の中の各濃度は、多様な組の化合物のKmを特性化する範囲より低いかまたは高いように予め決定された。本方法は、どの範囲のKmであろうと、6つの標準濃度が常にKmを括弧に入れて扱うようセットアップされる。Kmの一範囲は、<10μMであり得る。多数の中の一濃度は0.4μMであり得るし、多数の中の別の濃度は、2μMであり得る。別の範囲は、10μM〜50μMであり得る。多数の中の一濃度は、10μMであり、多数の中の別の濃度は50μMである。別の範囲は>50μMであるが、一方、多数の中の一濃度は125μMであり、多数の中の別の濃度は250μMである。
【0030】
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝を予測するためのデータの収集方法であって、多種多様な化合物に適用可能な標準検定条件下で濃度対時間データを収集することを包含する方法が提供される。収集は、機械により実施され得る。収集が機械により実行される場合、機械は、ヒトの介入を伴わずに時間および濃度を選定するようプログラムされ得る。検定における一化合物濃度は、10μMより低く、別の化合物は10μM〜100μMであり、そして少なくとも1つの濃度は、100μMより高い。10μM未満の化合物濃度は、0.2μM〜4.0μMの範囲から選択される。10μM〜100μMの濃度は、25μM〜75μMの範囲から選択される。そして、100μMより高い濃度は、110μM〜190μMの範囲から選択される。
【0031】
収集は、肝細胞、ミクロソーム、肝臓薄片または均質か肝細胞の上清分画等を用いて実施され得る。上清分画は、9,000倍重力(9000 G)の速度での遠心分離の結果であり得る。
この実施態様の方法はさらに、代謝シミュレーションモデルに濃度対時間データを入れる過程を包含し得る。
【0032】
特定の実施態様の説明
定義
以下の太字用語は、以下の関連する意味で本文書全体で用いられる:
吸収:時間および所期濃度の一関数としての生理学的バリアを通る化合物の輸送。バリアの外側および/または内側の化合物の量または濃度は、輸送速度および程度の一関数であり、ゼロから1までの範囲であり得る。
【0033】
生物学的利用能:サンプリング部位および/または作用部位に到達する投与量の化合物の分画。範囲は0〜1であり得る。時間の一関数として査定され得る。
化合物:化学的存在物。
コンピューター読取可能媒体:コンピューターを用いて情報を保存し、検索しおよび/または操作するための媒体。光学的、デジタル、磁気媒体等を含む。例としては、ポータブルコンピューターフロッピーディスク、CD−ROM、コンピューター上のハードドライブ等が挙げられる。リモートアクセス媒体も含み、例としては、インターネットまたはインターネットシステムが挙げられる。一時的または恒久的なデータの保存、アクセスおよび操作を可能にする。
【0034】
データ:実験的に収集されおよび/または予測される変数。依存性および非依存性変数も含み得る。
溶解:化合物が溶媒中で溶解されるようになる過程。
入力/出力系:ユーザーとコンピューターシステム間にユーザーインターフェースを提供する。
【0035】
代謝:1つまたはそれ以上の異なる化学存在物(代謝産物)への化合物の転換。
透過性:物質の通過を可能にする生理学的バリアの能力。濃度依存性または濃度非依存性輸送速度(流動率)を指し、集合的には、輸送に及ぼす分子サイズ、電荷、分配係数および輸送時の化合物の安定性のような特徴の影響を反映する。透過性は、物質およびバリア特異的である。
【0036】
生理学的薬物動態モデル:薬物動態および生理学に基づいた身体または身体の解剖学的部分中の化合物の動きおよび配置を表す数学的モデル。
製造規則:既知の事実を組合せて新規の事実を生成する(「推論する」)。「IF・・・THEN」型の製造規則を含む。
代謝速度:ある期間中に分解される親化合物またはある期間中に生成される代謝産物の量。
【0037】
シミュレーションエンジン:システムの近似数学的モデルを用いてシステムの行動をシミュレートするコンピューター具体化計器。数学的モデルをユーザー入力変数と組合せて、システムがいかに行動するかをシミュレートまたは予測する。システム制御構成成分、例えば制御文(例えば論理構成成分および離散的対象)を含み得る。
【0038】
溶解性:可溶性であるという特性;溶解されるという相対的能力。
輸送メカニズム:化合物が組織または細胞の生理学的バリアを通過するメカニズム。4つの基本的種類の輸送:受動的傍細胞性、受動的経細胞性、担体媒介性流入および担体媒介性流出を含む。
【0039】
定義
マッピング:入力データスペースを目標データスペースと関連させる過程。これは回帰/分類により成し遂げられ、そして目標データを予測するかまたは分類するモデルを生成する。
【0040】
回帰/分類:目標データに対して入力データをマッピングするための方法。回帰とは、目標データの連続予測を生じるために適用可能な方法を指し、一方、分類(または概してパターン認識)とは、目標データを群またはクラスに分けるために適用可能な方法を指す。回帰または分類を実施するための特定の方法としては、適当な場合は、アフィンまたは線状回帰、中核ベース法、人工神経ネットワーク、Maximum A Posteriorのような確率分布を解釈するための適切な方法を用いる有限状態機械、最近傍法、判断ツリー、フィッシャーの識別分析が挙げられる。
【0041】
特徴選択法:目標データの予測または分類を可能にする入力データから所望の記述子を選択する方法。これは典型的には、順方向選択、逆方向選択、分岐限定選択、遺伝的アルゴリズム選択または進化的選択により成し遂げられる。
データ:実験的に収集されおよび/または予測される変数。依存性および非依存性変数も含み得る。
【0042】
入力データ:モデルの訓練または実行における入力として用いられるデータ。実験的に確定されるかまたは算定され得る。
目標データ:モデルが生成されるデータ。実験的に確定または予測され得る。
試験データ:実験的に確定されたデータ。
記述子:入力データの素子。
【0043】
Committee Machine:サブモデルにより獲得された知識が融合されて、個々のサブモデルのいずれよりも優れた解答を提供するよう、多数のサブモデルからなるモデル。
フィッシャーの識別分析:線状分離を、したがって目標データの分類を最適に助けるために、記述子を適切に計量することにより入力データ寸法を低減する線状方法。
【0044】
遺伝的アルゴリズム:天然選択メカニズムに基づく。モデルの一集団は突然変異を受け、そして最良のものを実施するものだけがその後のモデル集団に寄与する。
中核表現:Mercerの中核を用いる古典的線状技法の変動または特定限定種類の非線状性を組み込むための主題の変動。これらの例としては、フィッシャーの識別分析および主成分分析が挙げられる。本発明により用いられるような中核表現は、論文”Fisher’s Discriminate Analysis with Kernels,” Sebastian Mika, Gunnar Ratsch, Jason Weston, Bernhard Scholkopf, and Klaus−Robert Muller, GMD FIRST, Rudower Chaussee 5, 12489 Berlin, Germany (著作権) IEEE 1999 (0−7803−5673−X/99)、ならびに論文”GA−based Kernel Optimization for Pattern Recognition: Theory for EHW Application,” Moritoshi Yasunaga, Taro Nakamura, Ikuo Yoshihara, and Jung Kim, IEEE (著作権) 2000(0−7803−6375−2/00)(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。
【0045】
主成分分析:特徴の線状組合せを用いてデータの低次元表現を生成する非指示データ圧縮の一型。本発明に用いるために適用可能な場合の主成分分析の一例は、論文”Nonlinear Component Analysis as a Kernel Eigenvalue Problem,” Bernhard Scholkopf, Neural Computation, Vol. 10, Issue 5, pp. 1299−1319, 1998, MIT Press(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。
【0046】
支援ベクトルマシン:より高次元スペースに入力データを見積もることにより回帰/分類する方法。本発明に適用可能な場合の支援ベクトルマシンおよび方法の例は、論文”Support Vector Methods in Learning and Feature Extraction,” Berhard Scholkopf, Alex Smola, Klaus−Robert Muller, Chris Burges, Vladimir Vapnik, Special issue with selected papers of ACNN’98, Australian Journal of Intelligent Information Processing Systems, 5(1), 3−9) ならびに論文”Distinctive Feature Detection using Support Vector Machines,” Partha Niyogi, chris Burges, and Padma Ramesh, Bell Labs, Lucent Technologies, USA, IEEE (著作権) 1999 (0−7803−5041−3/99)(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。
【0047】
人工神経ネットワーク:単純処理装置の相互接続から作製される平行および分布システム。本明細書中で用いられる場合の人工神経ネットワークは、以下の表題の書物中に詳細に記載されている:”Neural networks, A Comprehensive Foundation,” Second Edition, Simon Haykin, McMaster University, Hamilton, Ontario, Canada, published by Prentice Hall (著作権) 1999(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。
【0048】
代謝を予測するモデル(数学的およびコンピューター具体化の両方)を作製するために、過去において多数の試みがなされてきたが、従来のモデルは具体化の正確度および容易性に関する欠乏を立証した。ミカエリス−メンテン方程式を用いて代謝を算定する場合、親化合物の濃度が門脈中のまたはin vitro肝細胞周囲の細胞外液中の濃度と同じであると仮定するのは共通である。本発明の一局面は、代謝され得る前に化合物が肝細胞中に輸送されねばならないという事実を説明することにより、その結果生じる代謝概算の正確度を改良する。このようにして輸送速度が確定され、ミカエリス−メンテンベースの算定がそれに関して調整される。その結果生じる代謝概算は、従来の方法により達成されたものより正確になる。輸送が存在し、そしてデータの適正適合を得るために必要であると想定することにより、輸送が確定される。即ち、ミカエリス−メンテン方程式は、単独では、全薬剤に関する曲線の形状を説明し得ない。その場合、方程式に一次輸送項を付加して真のミカエリス−メンテン動力学からの偏差を表すことにより、ミカエリス−メンテン方程式は調整される。
【0049】
過去においては、高度に訓練された薬物動態専門家だけが確定し、したがって化合物の代謝を概算することができた。伝統的に、初期実験は、ほぼKmの「大まかな」数を得るために実施され、次に付加的研究がそれに「近い」濃度で実施された。次にデータアナリストまたは適合専門家は、データを得て、そしてKmおよびVmaxを確定した。いくつかの専門的知識は、初期研究を解釈し、次にデータを適合してKmを確定し得る必要がある。これは、化合物のKmより上および下の濃度データ点を有することが極めて重要であるためである。これは、本発明人等が多様な組の化合物に関してKmを確定したためであると思われる。この作業から、彼等は、多大な大多数の化合物が3つの範囲:即ち10Μmより低い、10〜100μMおよび100μMより高い範囲のうちの1つのKmを有するということを発見した。したがって、これらのKm範囲より低いそして高い濃度で濃度対時間データを収集することにより、任意の化合物のほとんどに関して信頼できる代謝概算を得ることができる。特に好ましい濃度は、0.4、2、10、50、125および250μMである。KmおよびVmaxはデータ収集のための単純プロトコールを用いて確定され得るため、このようなデータ収集は、現在、薬物動態専門家だけというよりむしろ、実験室技術者により実施され得る。
【0050】
前段落に記載された方法により収集された濃度対時間データを用いてミカエリス−メンテン方程式を解くためには、VmaxおよびKmに関する初期値を提供することが依然として必要である。本発明の別の局面は、概算されたこのような値に関するコンピュータープログラムである。このプログラムは、その結果生じる概算値を不正確にさせると思われるある種の濃度対時間データを同定し得る。それはこれらのデータを排除し、そしてそれを用いずに概算を実施し得る。プログラムは、一群の利用可能なデータ適合法、即ち濃度対時間データを適合するために用いられる場合に、他のものより考えられ得るデータ適合法から選択して、化合物のVmaxおよびKmの信頼できる概算を提供することもできる。好ましくはプログラムは、このようなデータ適合法を用いて、前記のデータ剪定過程後に残存するデータを適合させ、そしてVmaxおよびKmに関するその結果得られた概算を、ミカエリス−メンテン方程式を解くシミュレーションモデルの一部分に提供する。ミカエリス−メンテン方程式を解くと、KmおよびVmax概算が得られる。初期値は、ミカエリス−メンテン方程式を解くために必要であるが、しかしデータ選定はそれらを提供しない。初期値は、標準化濃度に基づいて設定される。
【0051】
一次通過代謝は、肝臓を通って全身への門脈血中でのその最初の通過中に肝臓により薬剤が除去される程度である。これは、一次通過クリアランスまたは一次通過抽出とも呼ばれる。門脈血からの一次通過代謝を免れる薬剤の分画は、FHとして表される。一次通過代謝速度が非常に高い場合、それは、舌下、直腸、吸入または静脈内のような一次通過代謝を低減する方法による投与のための化合物を開発することを決定し、あるいは化合物を開発しないことを決定し得る。
【0052】
代謝過程は同一である。差異は、濃度差である。組織内の薬物濃度には大きな差が認められるが、しかし代謝酵素濃度は異なる組織では非常に異なる。例えば肝臓は最高レベルの代謝酵素を有し、したがってほとんどの代謝が肝臓で起こる。
一旦全身循環中に入ると、薬剤は身体組織に分布し、したがって濃度は低減されて、代謝速度を非常に下げる。本発明はすべて、全身代謝を概算するために用いられ得るが、しかし混乱した容積および分布作用のために、より一般的区画アプローチを用いることは容易であると思われる。
【0053】
ほとんどの組織が何らかの代謝能力を有するが、しかし肝臓は、常に目標化合物代謝酵素の濃度であるわけでなければ、サイズに基づいて、断然もっとも重要な器官である。I期反応は分子に一官能基を導入する反応であると定義され、II期反応は、それらの官能基を内因性部分と接合する反応である。
代謝は薬剤クリアランス過程であるため、化合物の代謝は化合物の排除に関与する。したがって化合物は、当業界で既知の標準技法を用いて、投与の後または同時に試験化合物の配置を考慮する入力データを生成するために代謝に関して試験され得る(例えばSakuma & Kamataki, Drug metabolism research in the development of innovative drugs, In: Drug News & Perspectives (1994) 7(2):82−86(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)参照)。
【0054】
ハイスループットスクリーニングに関する代謝検定は好ましくは細胞ベース(細胞および細胞調製物)であるが、一方、高解像度スクリーニングは細胞および組織ベースの検定の両方を用い得る。特に化合物ライブラリーからの試験試料は、種々の種および器官由来の細胞および組織調製物においてスクリーニングされ得る。肝臓はもっとも高頻度に用いられる細胞および組織供給源であるが、しかしその他のヒトおよび非ヒト器官、例えば腎臓、皮膚、腸、肺および血液も利用可能であり、肝臓外代謝を査定するために用いられ得る。細胞および組織調製物の例としては、亜細胞分画(例えば肝臓S9およびミクロソーム)、肝細胞(例えばコラゲナーゼ灌流、懸濁、培養化)、腎臓の近位尿細管および乳頭状細胞、再凝集脳細胞、骨髄細胞培養、血球、心筋細胞および確立された細胞株ならびに精密切断組織薄片が挙げられる。
【0055】
ハイスループットスクリーニングに適したin vitro代謝検定の例としては、シトクロムP450形態特異的代謝により特性化される検定が挙げられる。これらは、形態特異的競合基質(例えばP450阻害剤)、例えばP450酵素CYP1A、3A、2A6、2C9、2C19、2D6および2E1を用いたP450誘導および/または競合試験により試験化合物を検定することを包含する。単一のこれらのまたはその他の代謝酵素またはそれらの組合せを発現する細胞も、単独で、または細胞ベースの透過性検定と組合せて用いられ得る。ハイスループット細胞ベース代謝検定は、シトクロムP450誘導スクリーン、その他の代謝マーカー酵素等を包含し、例えばDNAまたはタンパク質レベルの測定を伴う。代謝検定に適した細胞としては、一次培養中の肝細胞が挙げられる。代謝を予測するためのコンピューター具体化システムも用いられ得る。
【0056】
代謝パラメターとしては、Km、VmaxおよびKdが挙げられる。理解され得るように、吸収パラメターは、時間、質量、容積、濃度変数、吸収される用量の分画等に関連がある多様な異なる方法で表され得る。例としては、速度「dD/dt」および「dc/dt」(例えば質量/時間−mg/時間;濃度/時間−μg/ml・時間)、濃度「C」(例えば質量/容積−μg/ml)、曲線下面積「AUC」(例えば濃度・時間、μg・時間/ml)および吸収される用量の程度/分画「F」(例えば無単位、0〜1)が挙げられる。その他の例としては、最大濃度(Cmax)(これは最大濃度が選定サンプリング部位での化合物の滞留中に到達される最大濃度である);時間対最大濃度(tmax)(これは最大濃度が到達された投与後の時間である);ならびに半減期(t1/2)(これは薬剤の濃度が50%低減される時間である)が挙げられる。出力のその他の例としては、ここのシミュレート化パラメター、例えば個々のセグメントに関する透過性、溶解性、溶解等、ならびにこれらのおよび/またはその他のパラメターに関する累積値が挙げられる。
【0057】
シミュレーションエンジンは、数値方式を用いて、本発明の所定の生理学ベースのシミュレーションモデルの微分方程式を評価する微分方程式解答器を含む。シミュレーションエンジンは、制御文規則、例えばIF THEN型の生産規則が用いられる場合、システム制御文モジュールも含み得る。微分方程式解答器は標準数値法を用いて、所定のシミュレーションモデルを含む方程式のシステムを解答する。これらは、オイラーおよびルンゲ−クッタ法のようなアルゴリズムを包含する。このようなシミュレーションアルゴリズムおよびシミュレーションアプローチは周知である(例えばActon, F.S., Numerical Methods that Work, New York, Harper & Row (1970); Burden et al., Numerical Analysis, Boston, MA, Prindle, Weber & Schmidt (1981); Gerald et al., Applied Numerical Analysis, Reading, MA, Addison−Wesley Publishing Co., (1984); McCormick et al., Numerical Methods in Fortran, Englewood Cliffs, NJ, Prentice Hall, (1964);およびBenku, T., The Runge−Kutta Methods, BYTE Magazine, April 1986, pp. 191−210参照)。
【0058】
多数の異なる数値方式は、微分方程式の評価のために存在する。文字通り数百の一般的に存在する方式があり、その例としては、公的に市販されているコンピューターアプリケーション、私的工業用コンピューターアプリケーション、私的な個人所有のおよび書面のコンピューターアプリケーション、マニュアル筆算手法、ならびに出版済み手法に組み込まれたものが挙げられる。微分方程式を評価するためのツールとしてのコンピューターの使用に関しては、新規の方式が毎年開発されている。大多数の数値方式がコンピューターアプリケーションに組み込まれて、微分方程式の迅速評価を可能にする。
【0059】
シミュレーションエンジンとして記載されたコンピューターアプリまたはプログラム、あるいは微分方程式解答器プログラムは、解釈的であるかまたはコンパイルされ得る。コンパイル化プログラムは、変換され、コンピューター言語(例えばC++等)で書かれたものであり、コンピューターにとってのみ理解可能である。解釈的プログラムの構成成分は、文字で、そしてヒトに読まれ、理解され得る言語で書かれる。両型のプログラムは、モデルの微分方程式を評価するために数的方式を要する。速度および実行時間は、解釈的プログラムよりむしろコンパイルかプログラムを用いることの主な利点である。
【0060】
STELLAおよびKinetica(2つの周知の市販ソフトウエアツール)は、これらの目的のために過去に用いられた。代謝に関しては、STELLAは、微分方程式を一緒に評価するために用いられる。Kineticaは、調整パラメターを最適化するために用いられない。手法は同一である。STELLAフォーマットは、Javaに変換され、そして内部開発プログラムが最適化を実行する。好ましいシミュレーションエンジンは、同時モデル建築およびシミュレーションを可能にする。一例は、STELLA(登録商標)(High Performance Systems, Inc.)である。STELLA(登録商標)は、3つの異なる数的方式:即ち、オイラー法、ルンゲ−クッタ2法またはルンゲ−クッタ4法を用いて微分方程式を評価し得る解釈的プログラムである。Kinetica(登録商標)(InnaPhase, Inc.)は、モデルの方程式を評価し得る別の微分方程式解答プログラムである。STELLA(登録商標)読取可能フォーマットからKinetica(登録商標)読取可能フォーマットにモデルを翻訳することにより、種々の適合アルゴリズムを有するKinetica(登録商標)を用いて生理学的シミュレーションが構築され得る。この手法は、調整パラメターが段階的様式で最適化される場合に、利用され得る。
【0061】
生理学的モデルの基本構造およびその相互関係化解剖学的セグメントの数学的表現は、任意数の技法を用いて構築され得る。好ましい技法は、グラフ配向性区画流れモデル開発コンピュータープログラム、例えばSTELLA(登録商標)、KINETICA(登録商標)等を用いる。多数のこのようなプログラムが利用可能であり、ほとんどがモデル建築および操作のためのグラフユーザーインターフェースを用いる。本質的に、モデルの素子のためにグラフに用いられる記号は、モデル化されるシステムまたはプロセスの図表をアセンブルするためにユーザーにより配列される。モデル中の各因子は、定数、2つのパラメター間の線状または非線状関係、あるいは論理文としてプログラムされ得る。モデル開発プログラムは、次に、ユーザー構築モデルに対応する微分方程式を生成する。例えばSTELLAは、モデルの基本構造を作製するのに関連する5つの基本グラフツールを用いる:(1)ストック;(2)フロー;(3)コンバータ;(4)入力リンク;および(5)無限ストック(例えばPeterson et al., STELLA(登録商標)II, Technical Documentation, High Performance Systems, Inc., (1993)参照)。ストックは、貯蔵所または区画を表す箱である。フローまたはフローレギュレータは区画変数の状態を変更し得る変数を制御し、そしてフロー調節に関して単一および二方向性の両方であり得る。したがってフロー/フローレギュレータは、区画中へのおよび区画からの動きを調節する。コンバータは、フローレギュレータまたはその他のコンバータを修正する。コンバータは、方程式、入力および/または出力を記載する定数または変数として用いられ得るパラメター変数値を保持または算定するよう機能する。コンバータは、区画値を用いてパラメターの算定を可能にする。入力リンクは、モデルに関する内部連絡または連結的「配線」として役立つ。入力リンクは、区画、フローレギュレータおよびコンバータ間の作用を指図する。微積分用語法では、フローは時間微分係数を表し、ストックは時間中のフローの積分(または蓄積)であり、そしてコンバータはフローのマイクロロジックを含有する。ストックは以下の形態を有する有限差分方程式として表される:ストック(t)=ストック(t−dt)+(フロー)*dt。この方程式をタイムスクリプトで書き直して、dの代わりにtを代入すると:ストックt=ストックt− △ t+△t*(フロー)。再配列項:(ストックt−ストックt− △ t)/△t=フロー(式中、「フロー」は時間間隔「t」中の変数「ストック」の変化である)。△tが0になる場合の極限において、差分方程式は微分方程式になる:d(ストック)/dt=フロー。積分表示法でこれを表すと:ストック=∫フローdt。高次方程式に関しては、高次差動は、一連の一次方程式として表される。したがってコンピュータープログラム、例えばSTELLA(登録商標)は、グラフツールを用いて、生理学ベースの多区画モデル、例えば区画−フローモデルを生成し、そして研究中の所定の生理学系に関する薬物動態の関連微分方程式を提供するために利用され得る。アイコンツールおよび記述、ならびにSTELLA(登録商標)を用いて生成されるグラフ描写区画−フローモデルおよび慣用的薬物動態IVモデルとのそれらの関連は、図1〜3に示されている。
【0062】
モデル構成成分は、可変性記述子を包含する。STELLA(登録商標)に関する可変性記述子としては、例えば広範な各種の数学的、統計学的、およびビルトイン論理関数、例えばブール関数および時間関数、ならびにユーザー限定定数またはグラフ関係が挙げられる。これは、プログラムがモデルを制御するために用いる一組の生産規則の開発を可能にする制御文、例えばAND、OR、IF THEN ELSE、delayおよびpulsingを包含する。可変性記述子は「コンバータ」に挿入され、「入力リンク」を用いて連結される。これは、モデルを通る流れを制御するための複雑な規則組の開発を可能にする。一モデルサイクルを完了するのに要する時間量は、総実行時間および時間増分(dt)を入力することにより成し遂げられる。STELLA(登録商標)プログラムは次に、ルンゲ−クッタまたはオイラーシミュレーション技法を用いて各連続時間増分でのモデル中のすべてのパラメターの値を算定する。一旦モデルが建築されれば、それは他の方法により、例えば手動で、コンパイリングにより修正され、そしてさらに改良され、あるいは適合されるかまたは再構築され得るし、あるいはその意図される最終用途によってその他のコンピューター言語に翻訳され得る。
【0063】
モデルを洗練する一方法は、調整パラメターを用いることによる。所定のシミュレーションモデルの調整パラメター値は、モデルの1つまたはそれ以上の別々のパラメターに関する定数として用いられる統計学的パラメター概算値を表す。特に統計学的パラメター概算値は、目標変数における望ましい変化を達成するために、回帰−または確率ベースの曲線適合アルゴリズムを利用して、モデルの初期パラメターに割り当てられた値において必要とされる変化を同時に概算する段階的適合および選択過程を用いたパラメター化モデルの最適化を用いることにより得られる。
【0064】
モデルを洗練する別の方法は、シミュレーション結果と目標データとの間の差を化合物依存性調整パラメターを作成することにより克服させる。適合のために利用される入力変数は、多様な範囲のin vivo代謝およびその他の薬物動態的特性を示す化合物を有する化合物試験組に関するin vitroデータ(例えば代謝、透過性、輸送)およびin vivo代謝およびその他の薬物動態的データ(例えば残存する親化合物の濃度対時間)の組合せを包含する。したがって入力変数は、(a)当該哺乳類系に対応する一次データ供給源(例えば化合物試験組に関するヒトからのin vivo代謝およびその他の薬物動態データ)、ならびに(b)当該哺乳類系以外の系に対応する二次データ供給源(例えば化合物試験組に関するhepaticesからのin vitro代謝データおよびCACO−2またはウサギ組織からのin vitro透過性データ)から得られる。次に、モデルに供給されると、一次データ供給源からの1つまたはそれ以上の入力変数と、二次データ供給源からの1つまたはそれ以上の入力変数との相関を可能にする所定の別々のパラメターに関する適合化調整パラメター値が選択される。その過程は、相関の偏差が最小限にされるまで、シミュレーションモデルの1つまたはそれ以上の付加的な別々のパラメターに関して1回またはそれ以上の回数、反復される。次にその結果生じる調整パラメターは、モデルの基礎をなす方程式を修正する定数または定数の範囲または関数として、所定のシミュレーションモデルに提供される。調整パラメターは、多様な試験試料データ組に関して、二次データ供給源(例えば肝細胞、ミクロソーム、肝臓薄片、均質化肝細胞の上清分画、S−9、Caco−2細胞、セグメント特異的ウサギ腸組織切片等)に対応する検定の特定の型から得られるin vitroデータと一次データ供給源(例えば残存する親化合物の濃度対時間等)に対応する当該哺乳類系に関するin vivo吸収との正確な相関を促し得る。調整パラメターを利用して、一次種の哺乳類(例えばウサギ)から得られるin vivoデータと二次種哺乳類(例えばヒト)から得られるin vivoデータの正確な相関を促し得る。
【0065】
この調整パラメターは、訓練組の標準および試験化合物を利用する二叉アプローチを用いて開発され得る。好ましい一実施態様では、訓練組の標準および試験化合物は、速度過程関係を洗練し、モデルの基礎となる方程式に関する初期値を生成するために、広範囲の投与要件および広範囲の透過性、溶解性、輸送メカニズム、代謝および溶解速度を有する。第一の枝は、訓練/妥当性検査組の化合物を用いて、in vivo代謝および/またはその他の薬物動態データ(例えば残存する親化合物の濃度対時間)を生成する。第二の枝は、訓練/妥当性検査組の化合物を利用して、開発生理学的モデルを用いてシミュレーションを実施するために用いられるin vitro代謝、透過性および輸送メカニズム速度データを生成する。次にin vivo薬物動態データがシミュレート化in vivoデータと比較されて、開発モデルがin vitroデータから実際のin vivo値を良好に予測し得る方法を確定する。開発モデルは、それがin vitroデータ入力から訓練組に関するin vivo吸収を予測し得るまで、調整パラメターを用いて調整される。次にモデルは、モデル性能を査定するために、同一基本アプローチを用いて妥当性検査され得る。
【0066】
したがって調整パラメターは、in vitroおよびin vivo状態間の差、ならびに異なる種類の哺乳類のin vivo状態間の差を考慮し得る。その結果として、所定のシミュレーションモデルの1つまたはそれ以上の基礎となる方程式を修正する調整パラメターは、予測可能性を改良するために利用され得る。調整パラメターとしては、特定のin vitro検定系から得られるin vitro入力値を、選定生理学モデルの基礎となる方程式中に用いられるin vivoパラメター値と相関させるために利用される定数または定数の範囲を包含する。調整パラメターを用いて、in vitroおよびin vivo情況間、ならびにin vivo(種1)対in vivo(種2)の相関を築く。これらのパラメターは、方程式に対して調整させて、薬剤の流れおよび/またはパラメターの算定を支配する。本発明のこの局面は、既存の生理学ベースの薬物動態モデルの修正、ならびに多様な化合物データ組に関するそれらの適用を可能にするための新規のものの開発を可能にする。
【0067】
適合のために利用される入力変数は、多様な範囲のin vivo代謝およびその他の薬物動態的特性を示す化合物を有する化合物試験組に関するin vitroデータ(例えば代謝、透過性、輸送)ならびにin vivo代謝およびその他の薬物動態的データ(例えば残存する親化合物の濃度対時間)の組合せを包含する。したがって回帰−または確率ベースの適合のために用いられる入力変数は、(a)当該哺乳類系に対応する一次データ供給源(例えば化合物試験組に関するヒトからのin vivo代謝およびその他の薬物動態データ)、ならびに(b)当該哺乳類系以外の系に対応する二次データ供給源(例えば化合物試験組に関するhepaticesからのin vitro代謝データおよびCACO−2またはウサギ組織からのin vitro透過性データ)から得られる。次に、モデル中に定数として供給されると、一次データ供給源からの1つまたはそれ以上の入力変数と、二次データ供給源からの1つまたはそれ以上の入力変数との相関を可能にする所定の別々のパラメターに関する適合化調整パラメター値が選択される。その過程は、相関の偏差が最小限にされるまで、シミュレーションモデルの1つまたはそれ以上の付加的な別々のパラメターに関して1回またはそれ以上の回数、反復される。次にこれらの調整パラメターは、モデルの基礎をなす方程式を修正する定数または定数の範囲または関数として、所定のシミュレーションモデルに提供される。調整パラメターは、多様な試験試料データ組に関して、二次データ供給源(例えば肝細胞、ミクロソーム、肝臓薄片、均質化肝細胞の上清分画、S−9、Caco−2細胞、セグメント特異的ウサギ腸組織切片等)に対応する検定の特定の型から得られるin vitroデータと一次データ供給源(例えば残存する親化合物の濃度対時間等)に対応する当該哺乳類系に関するin vivo吸収との正確な相関を促す。調整パラメターを利用して、一次種の哺乳類(例えばウサギ)から得られるin vivoデータと二次種哺乳類(例えばヒト)から得られるin vivoデータの正確な相関を促し得る。
【0068】
この調整パラメターは、訓練組の標準および試験化合物を利用する二叉アプローチを用いて開発され得る。好ましい一実施態様では、訓練組の標準および試験化合物は、速度過程関係を洗練し、モデルの基礎となる方程式に関する初期値を生成するために、広範囲の投与要件および広範囲の透過性、溶解性、輸送メカニズム、代謝および溶解速度を有する。第一の枝は、訓練/妥当性検査組の化合物を用いて、in vivo代謝および/またはその他の薬物動態データ(例えば残存する親化合物の濃度対時間)を生成する。第二の枝は、訓練/妥当性検査組の化合物を利用して、開発生理学的モデルを用いてシミュレーションを実施するために用いられるin vitro代謝、透過性および輸送メカニズム速度データを生成する。次にin vivo薬物動態データがシミュレート化in vivoデータと比較されて、開発モデルがin vitroデータから実際のin vivo値を良好に予測し得る方法を確定する。開発モデルは、それがin vitroデータ入力から訓練組に関するin vivo吸収を予測し得るまで、調整パラメターを用いて調整される。次にモデルは、モデル性能を査定するために、同一基本アプローチを用いて妥当性検査され得る。
【0069】
したがって調整パラメターは、in vitroおよびin vivo状態間の差、ならびに異なる種類の哺乳類のin vivo状態間の差を考慮し得る。その結果として、所定のシミュレーションモデルの1つまたはそれ以上の基礎となる方程式を修正する調整パラメターは、予測可能性を改良するために利用され得る。調整パラメターとしては、特定のin vitro検定系から得られるin vitro入力値を、選定生理学モデル(例えばヒトGI管)の基礎となる方程式中に用いられるin vivoパラメター値と相関させるために利用される定数または定数の範囲を包含する。調整パラメターを用いて、in vitroおよびin vivo情況間、ならびにin vivo(種1)対in vivo(種2)の相関を築く。これらのパラメターは、方程式に対して調整させて、薬剤の流れおよび/またはパラメターの算定を支配する。本発明のこの局面は、既存の生理学ベースの薬物動態モデルの修正、ならびに多様な化合物データ組に関するそれらの適用を可能にするための新規のものの開発を可能にする。
【0070】
モデルの調整パラメターは、所定の種類の検定からのin vitroデータがモデルに用いられて、当該系(例えばヒト、ヒト肝臓等)における代謝を正確に予測し得るまで、反復回数のシミュレーション、ならびに代謝モデルに関連した1つまたはそれ以上の経験的に得られるパラメターの同時「調整」から得られる。特に調整パラメターは、当該哺乳類系に対する投与の選定部位での試験試料のシミュレート化速度、程度および/または濃度に対応する出力変数を変えるために、開発生理学的モデルの初期吸収パラメターに割り当てられた値において必要とされる変化を概算する曲線適合アルゴリズムを用いる段階的選択最適化過程により得られる。曲線適合アルゴリズムは、回帰−または確率ベースであり得る。例えば線状または非線状回帰は曲線適合のために用いられ、この場合、非線状回帰が好ましい。調整パラメターの段階的最適化は、好ましくは、多様組の化合物に関するin vivo代謝的およびその他の薬物動態データならびにin vitroデータの組合せがモデルとの適合のために同時に利用される同時アプローチを利用する。開発生理学モデルの2〜3のパラメターは、訓練/妥当性検査化合物の各々に関する生理学モデルにより生成されるシミュレート化吸収プロフィールが経験的に得られるin vivoデータに対する良好な適合を提供するまで、段階的または連続的選択アプローチで一度に調整される。調整パラメターの利用は、多様なデータ組の予測可能性を可能にするが、この場合、予測可能性は、多様な範囲の代謝、透過性および輸送メカニズムを有する化合物試験組中の80%の化合物に関して、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70または0.75より大きい回帰係数(r2)からの範囲である。好ましい予測可能性は、0.60より大きい回帰係数(r2)からの範囲であり、0.75より大きい回帰係数(r2)がより好ましく、そして0.80より大きいのがもっとも好ましい。
【0071】
化合物依存性調整パラメターを確定するための方法の一実施態様は、化合物依存性調整パラメターを目標データと考え、そして実験的、シミュレート化または構造化合物データを入力データと考えて、以下の過程を包含する:
(a)提案された化合物の代謝特性を評価するために用いられるために保存された実験データおよび分子構造データのような薬剤入力および目標データをコンパイルし、
(b)提案された化合物(それに関して競合組の入力および目標データが存在する)の予測される特性に基づいて訓練化合物を選定し、
(c)例えば遺伝的アルゴリズムまたはその他の適切な数学的分析により、過程(a)で選択された訓練化合物の分析に基づいて予測される特性に適用可能な記述子を選定し、
(d)目標データに(c)で得られた訓練組をマッピングして、提案化合物の目標データを予測し得るモデルを生じて、
(e)適切な入力データを用いて過程(d)で確定されたモデルを実行して、必要な目標データを予測する。
【0072】
データ収集
細胞−および/または組織ベースの調製物検定を用いて透過性および輸送メカニズムデータを収集するためのin vitroおよびin vivo技法は、当業界で周知である(Stewart et al., Pharm. Res. (1995) 12:693−699; Andus et al., Pharm. Res. (1990) 435−451; Minth et al., Eur. J. Cell. Biol. (1992) 57:132−137; Chan et al., DDT 1(11):461−473)。例えば透過性および輸送メカニズムを特性化するin vitro検定としては、in vitro細胞ベース核酸実験および固定化膜検定、ならびにin situ灌流検定、腸管輪検定、齧歯類、ウサギ、イヌ、非ヒト霊長類等における挿管検定、刷毛縁膜小胞の検定、ならびに外転腸嚢または組織切片検定が挙げられる。透過性および輸送メカニズムデータを収集するためのin vivo検定は、典型的にはマウス、ウサギ、ハムスター、イヌおよびサルのような動物も出る出実行されて、当該化合物の生物学的利用能、例えば分布、代謝、排除および毒性を特性化する。高分解能スクリーニングに関しては、細胞培養ベースのin vitro検定が好ましい。高分解能スクリーニングおよび妥当性検査に関しては、組織ベースのin vitroおよび/または哺乳類ベースのin vivoデータが好ましい。
【0073】
細胞培養モデルは、表面積を最大にしながら、相対的に少量の試験試料で実験を実行させるので、ハイスループットスクリーニングに関しては好ましく、そして多試料に関する多数の実験を同時に実施するのに利用され得る。細胞モデルはまた、動物変異性が認められないため、必要とされる実験はより少なくてよい。異なる細胞株のアレイを用いて、一連の輸送バリア(受動的傍細胞性、能動的傍細胞性、担体媒介性流入、担体媒介性流出)および代謝バリア(プロテアーゼ、エステラーゼ、シトクロムP450、接合酵素)に関する補足的入力データを系統的に収集し得る。
【0074】
検定に用いられる細胞および組織調製物は、貯蔵所から、あるいは任意の高等真核生物、例えばウサギ、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヒト等から得られる。組織試料は、倫理的問題を考慮しながら、身体の任意の領域から得られる。次に組織試料は、意図された検定によって、種々の支持装置に適応されるかまたは付着され得る。あるいは細胞は組織から培養され得る。これは、一般的には、標的組織から生検試料を得て、その後、生検からの細胞を培養する。細胞および組織は、例えば組換えDNA技術により遺伝子操作されていた、所定のスクリーニング検定に関連する所望のタンパク質またはタンパク質の組合せを発現する供給源からも得られる。人工的工学処理組織、例えば足場/マトリックスを接種するために用いられる細胞の三次元増殖および発達を指図する人工足場/マトリックスおよび組織増殖調節剤を用いて作製されたものも用いられ得る。
【0075】
上皮および内皮細胞ならびにそれらを含む組織を用いて、身体の内部および外部表面に関連したバリアを査定する。例えば上皮細胞は、腸、肺、角膜、食道、生殖腺、鼻腔等に関して得られる。内皮細胞は、血液脳関門に接する層、ならびに心臓の、そして血液およびリンパ管の腔、身体の種々の腔から得られ、中胚葉から生じる。
【0076】
細胞および組織は、当該試料からあるいは既存の供給源からde novoで得られる、と当業者は認識する。公的供給源としては、細胞および細胞株貯蔵所、例えばアメリカ培養細胞コレクションAmerican Type Culture Collection(ATCC)、Belgian Culture Collectins of Microorganisms(BCCM)、またはGerman Collection of Microorganisms and Cell Culture(DSM)等が挙げられる。細胞は、当業界で既知の標準技法により培養され得る。
【0077】
当該試験試料の輸送メカニズムは、標準技法にしたがって細胞培養および/または組織切片を用いて確定され得る。これらの検定は、典型的には、細胞または組織を当該化合物と接触させ、そして細胞中への取込みを測定するかまたは取込みに関して競合させ、既知の輸送特異的基質と比較することを包含する。これらの実験は、輸送系を正確に特性化し、そして非飽和受動性機能の作用を最小限にする動力学的パラメターが測定され得るよう、短いインキュベーション時間で実施される(Bailey et al., Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 22:85−103; Hidalgo et al., Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 22: 53−66; Andus et al., Pharm. Res. (1990) 7(5):435−451)。ハイスループット分析に関しては、例えばWO 97/49987に記載されているように、放射能または蛍光の増分または損失を測定する自動化方法を利用して、細胞懸濁液が用いられ得る。
【0078】
実施例
実施例1−代謝を算定する場合に輸送を考慮する
方程式1は、輸送を組込み、そして時間に伴う濃度の変化がミカエリス−メンテン方程式単独を用いて十分に説明されえないという仮定を生じる方程式である。Kd・Cは、輸送項(ここで、Kdは一次速度定数であり、そしてCは肝細胞または細胞外部の濃度である)である。dC/dtは、代謝速度であり、Vmaxは考え得る最大代謝速度であり、そしてKmは濃度と定義されるミカエリス−メンテン定数である(ここで、dC/dt=1/2*Vmax)。
【数1】
方程式2は、ミカエリス−メンテン方程式であり、この方程式のみを用いて実験データが十分に説明され得ると仮定する。
【数2】
輸送項を組込む方程式1を用いたデータ適合を以下に示す。丸印は実験データである。実線は、データ点を通るシミュレート化または最良適合線である。
【0079】
【表6】
【0080】
輸送項を組込まない方程式2を用いたデータ適合を以下に示す。丸印は実験データである。破線は、データ点を通るシミュレート化または最良適合線である。
【0081】
【表7】
【0082】
破線は実線に対応しないということは、2つのグラフから明らかである。したがって輸送項は、実験データを表すために必要である。これは、低濃度の場合に特に言える。
【0083】
最良適合線およびシミュレート化データは、実験データからのシミュレート化データの最小偏差を提供するVmax、KmおよびKd値を確定し得る最小化アルゴリズムを用いて得られる。この実施例では、コンピューターベースアプリケーションKinetica(登録商標)を用いて、最小化アルゴリズムを完了した。
方程式1または2は、代謝速度を算定する微分方程式として代謝モデルで用いられる。代謝速度は、どのくらい多くの薬剤が代謝され、そしてどのくらい多くが変化しないままであるかを確定するために、モデルの各区画で算定される。
【0084】
実施例2−パラメター値の概算に用いるための濃度対時間データのサブセットの同定
ある種の濃度対時間データを許容するかまたは拒絶するかをプログラムが決定する方法を示す流れ図をいかに提示する。
【0085】
【表8】
【0086】
実施例3−パラメター値の概算に用いるための濃度対時間データのサブセットの同定(実施例2で提示された流れ図を使用)
【0087】
表1 薬剤Aに関する肝細胞データ
【表9】
【0088】
表2 薬剤A群1〜6に関する最大、最小および四分位範囲
【表10】
【0089】
表3 薬剤A群1〜6に関するデータ点四分位割当て
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
所望の四分位対時間点#パターンは、初期濃度0.4および1μMに関して観察した場合、4、3、2、1である。パターン4、3、3、1も許容可能である。許容のためには、パターンは時間点全体で漸減パターンを示さねばならない。例えば4、3、3、1;4、2、2、1;4、3、1、1および4、4、2、1はすべて許容可能である。初期濃度10、25および50μMに関して観察されるようなその他のパターンは、データ組から除去される1つまたはそれ以上の時点を要する。上方傾向が生じた場合、データ点は除去される。それは、データ点が除去されるか否かを確定する残りのデータと比較した場合の時点の相対位置である。示した例では、時点#2は初期濃度10および25μMに関して除去され、そして時点#4は初期濃度50μMに関して除去される。データ点が、もしあれば、除去されるか否かを確定するための判定基準として、いくつかの規則を用いる。その規則をいかに示す:
LetC(1)、C(2)、C(3)、C(4)は、それぞれ時間=0、30、120および240分での濃度値である。Let v(1)、v(2)、v(3)、v(4)は、この濃度に対応する四分位値である(前記の特定の例で示されている)。
【0092】
規則1:各iに関して、v(i)>=v(i+1)である場合には、すべての時点で濃度値を許容し得る。
規則2:v(i)<v(i+1)である2つまたはそれ以上の場合が存在する場合には、その初期濃度に関するすべての時点が除去される。
規則3:v(i)<v(i+1)である1つの場合が存在する場合には、以下の亜規則を用いる:
亜規則3.1:v(1)<v(2)である場合には、同一時点でv(1)≧v(3)であれば、C(2)点は除去される。亜規則3.1a:v(1)<v(2)であり、そしてv(1)<v(3)ある場合には、その初期濃度に関するすべての時点が除去される。
【0093】
亜規則3.2:v(3)<v(4)である場合には、C(4)点が除去される。
亜規則3.3:v(2)<v(3)である場合には、そして同時点で(C(2)−C(1))<4分の1値(4分の1値=(max(C(i))−min(C(i)))/4)である場合には、除去される時点はない。v(2)<v(3)で(C(2)−C(1))≧4分の1値である場合には、そして同時点でv(1)≧v(3)である場合には、C(1)点が除去される。v(2)<v(3)で(C(2)−C(1))≧4分の1値である場合には、そして同時点でv(2)≧v(4)である場合には、C(2)点が除去される。v(2)<v(3)で(C(2)−C(1))≧4分の1値であり、そして亜規則3.3を満たすその他の条件がない場合には、その初期濃度に関するすべての時点が除去される。
【0094】
表4 データ算入決定を有する場合および有さない場合の薬剤Aに関するパラメター概算値および適合の良好性
【表13】
【0095】
Kineticaを用いて非線状回帰最小化を実施して、表4に列挙したパラメター概算値および適合値の良好性を得た。しかしながらわれわれの好ましい方法は、Numerical Recipes in C. the Art of Scientific Computing, Second Edition, William H. Press, Saul A. Teukolsky, William T. Vetterling, and Brian P. Flannery, Cambridge University Press(著作権) 1988, 1992(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されているようなMarquardt最小化を用いる。要するに、最小化アルゴリズムは、分析を完了するためにいくつかのその他のファンクションによっている主要関数「mrqmin」を用いる。このファンクションは、適合化変数に異なる初期条件を割り当て、そしてコンピューター処理「2乗の和」の最小値に基づいて最良組の結果を選ぶ。何らかの統計学的情報を、このルーチンで同様に収集し得る。「mrqmin」ファンクションは、Marquardt法の1反復を実施する。アルゴリズム的には、それは、パラメター入力、出力および交換への修正、ならびに中間計算に対するいくつかの修正を伴い数値レシピNumerical Recipesに列挙されたものと同一物である。「mrqmin」は、いくつかの中間計算に関しては「mrqcof」ファンクションを呼び出す。アルゴリズム的には、「mrqcof」ファンクションは、NRの場合とほとんど同じであるが、但しパラメター交換における差異のために、何らかの内部編成は除く。「mrqmin」は、数値レシピソフトウエアNumerical Recipes Softwareコードに対して小差を有する「gaussj」ルーチン(ガウス−ジョルダン消去法による線状方程式の解)も用いる。「mrqmin」は「covsrt」ファンクションを用いて共分散マトリックス計算を算定し、そしてそれは数値レシピソフトウエアNumerical Recipes Softwareコードと同一である。「mrqcof」ファンクションは、ファンクション「fconc」を呼び出し、これが、「rkdumb」(下記参照)に関するパラメターを調製し、中間解およびを計算し、微分し、そしてそれらが実験値と比較され得るような方法でそれらを編成する。
【0096】
「rkdumb」および「rk4」ファンクションを用いて、微分方程式の数値解に関してルンゲ−クッタ法を実行する。「rkdumb」ファンクションはアルゴリズム的にはNRの場合と同様であるが、しかし変数の記述においていくつかの差を有する。「rk4」ファンクションはNRの場合と同一であるが、但し、「derivs」引数の編成に関しては異なる。
【0097】
実施例4−パラメター値を概算するために濃度対時間データを用いるためのデータ適合プログラムの選択。以下は、プログラムが特定組のデータを選択する方法を示す流れ図である。
【表14】
【0098】
実施例5−パラメター値を概算するために濃度対時間データを用いるためのデータ適合プログラムの選択(実施例4で提示された流れ図を使用)。
【0099】
薬剤Bに関する非線状適合対一次適合:
【0100】
表6 非線状法に関するパラメター概算値の評価
【表15】
【0101】
%CVおよび0.4μMで240分で残存する非変化親化合物%の評価により、適合の良好性を確定する。KmおよびVmaxに関する%CVが200%より大きく、そしてKdに関する%CVが100未満である場合、または非変化親化合物%が>37%である場合、一次パターンが存在し、<37%の非変化親化合物が残存している場合には、非線状パターンが存在する。
【0102】
表7 時間に伴う残存%
【表16】
・0.4μMで240分での薬剤Bに関する残存%。0.4Μm=95.4%
【0103】
表8 一次法に関するパラメター概算値の評価
【表17】
【0104】
実施例3に記載したように、Kinetica(登録商標)を用いて列挙した値を確定したが、しかし好ましい方法はMarquardt最小化を用いることである。
【0105】
実施例6−代謝の算定のためのデータ収集の標準化および最小化
【0106】
表9 多様組の化合物に関する初期濃度およびKm値
【表18】
* 非線状適合および最小化により確定されたKm
【0107】
表9において、化合物1〜5は、<10μMのKm値を有する。化合物6は10および50μMのKm値を有し、そして化合物7〜9は50μMより大きいKm値を有する。したがってこれらの範囲の各々より上または下の濃度を選択した。好ましい濃度は、0.4、2、10、50、125および250μMである。
【0108】
表10 肝細胞検定のために初期および標準化濃度を用いて確定した動力学パラメター
【表19】
【0109】
前記のモデルは、in vivo条件下でモデル開発データ組へのデータ入力がいかにぴったり適合するかによっている。典型的には、標準PK方程式を用いて、モデル開発データ組に利用される吸収速度を確定する。これらの方程式へのデータ入力は、IVまたはPO血漿レベル時間曲線を用いるかおよび/またはそれに基づいている。この方法で開発された吸収速度データが、すべての化合物に関するin vivo条件の最良モデルを常に提供するわけではない、ということを本発明人等は見出した。いくつかの化合物に関しては、iDEA(Lion Bioscience) のようなプログラムから、in silicoで生成される吸収速度は、より良好なモデル開発データ組を生じた。その結果として、前記の開発されたモデルは、PK吸収速度の代わりにin silcoで開発された吸収速度を用いることにより改良され得る。一般的に、改良型代謝モデルを生じる代謝も出る開発データ組のために、吸収速度(PKおよびモデル/in silco)の遅い方が選択されると思われる。
【0110】
実施例7−経口吸収速度は一次通過代謝に影響を及ぼし得る
目的−in silico法を用いて、経口吸収速度がヒトにおける一次通過代謝に劇的に作用し得ることを確定すること。
方法−43の多様な代謝化合物に関するヒトにおけるIVおよびPO血漿レベル時間曲線ならびに質量平衡データを用いて、吸収速度の概算値(例えばka、t1/2 abs、勾配等)を出した。ヒト経口吸収のコンピューターシミュレーション(iDEA、Lion Bioscience)を用いて、同一組の化合物に関する経口吸収速度を予測した。PK確定速度およびモデル予測速度を、ヒト一次通過代謝の生理学的ベースのコンピューターシミュレーションモデルへの入力情報として用いた(iDEA)。代謝モデルは、ヒト冷凍保存肝細胞を用いて確定される代謝分解プロフィール、ならびに化合物の血漿タンパク質結合%を要した。PK吸収速度を用いた非変化薬剤進入全身循環の量を予測する代謝モデルの能力(FH)を、予測吸収速度を用いて得たFH値と比較した。
【0111】
結果−約28%の化合物が、概算吸収速度における大差を有し(t1/2 abs差>0.7時間)、これらの化合物の75%は、より遅い吸収速度(t1/2 absより大きい)を用いた場合、FHのより正確な予測を示した。一化合物に関しては、改善は40FH単位という大きさであった(23%対63%)。これは、全データ組に関してFH予測の正確度の改善を生じた(平均誤差=15.33対平均誤差=16.40)。
【0112】
したがって、正確な代謝モデルを開発するためには、モデル開発データ組に利用される吸収速度データは、in vivo吸収速度を正確に(できるだけ厳密に)反映すべきである。モデル開発データ組に用いるための吸収速度の選択の一方法は、in silico吸収から、またはPK吸収分析から生成される吸収速度の遅い方を選択することである。in silico吸収モデルが改善すると、吸収速度組に関する代謝モデル開発データ組がin silico吸収速度のみに基づき得る時が来ると予測される。
【0113】
本明細書中に記述した出版物および特許出願はすべて、各々の個々の出版物または特許出願が特定的にそして別々に参照により本明細書中に含まれることを示されたのと同程度に、それらの記載内容が参照により本明細書中に含まれる。
本発明を詳細に説明してきたが、本発明の精神または範囲を逸脱しない限り、多数の変更および修正が成され得ることは、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、実行された混合タンクモデルである(Stella)。肝臓は、酵素の十分混合されたタンクであると考えられる。薬剤濃度は、肝臓全体で一定である。その関連性は、代謝および輸送項の両方を含む代謝速度の方程式の編入である。これは方程式で理解され得る。
【図2】
図2は、実行された平行管モデルである(Stella)。肝臓は、非方向性流を有する一組の同一平行管であると考えられる。薬剤濃度は、薬剤が管に沿って通過し、管に沿った各点で代謝されると、低減する。さらにその関連性は、代謝および輸送項の両方を含む代謝速度の方程式の編入である。これは方程式で理解され得る。
【図3】
図3は、実行された分布モデルである(Stella)。肝臓は、非方向性流を有する異なる長さの一組の平行管であると考えられる。薬剤濃度は、薬剤が管に沿って通過し、管に沿った各点で代謝されると、低減する。このモデルは、肝臓のより多くの生理学的表示を可能にする。肝臓の異なる葉および代謝メカニズムが編入され得る。さらにその関連性は、代謝および輸送項の両方を含む代謝速度の方程式の編入である。
発明の背景
産業上の利用分野
本発明は、化合物の哺乳類代謝の予測のための方法およびツールに関する。特に本発明は、化合物の代謝の速度および程度を確定するための系および方法に関する。
【0002】
従来技術の説明
A.薬物動態的モデリング
薬力学は、その後の一連の事象を通して薬理学的応答を引き起こす、薬剤と身体構成成分との間の基本的または分子的相互作用の研究に言及する。ほとんどの薬剤に関して、薬理学的作用の大きさは、作用部位での薬剤の時間依存性濃度によっている(例えば標的受容体−リガンド/薬剤相互作用)。長時間の作用部位へのまたは作用部位からの薬剤の送達および消失の速度に影響を及ぼす因子としては、吸収、分布、代謝および排出が挙げられる。薬剤濃度が時間に伴って変化する方法に影響を及ぼす因子の研究が、薬物動態の目的である。
【0003】
ほとんどすべての場合、薬剤作用部位は、薬剤投与の部位から膜の他方の側に突き止められる。例えば経口投与薬剤は、消化(GI)管に沿った単数または複数の点で膜バリアを通して吸収されねばならない。一旦薬剤が吸収され、したがってGI管の膜バリアを通過すると、それは門脈を通って肝臓に、その後、血流による他の身体部分および組織への送達のために、ついには全身循環(即ち血液およびリンパ)に輸送される。したがって、いかにうまく薬剤が膜を通り抜けるかが、異なる身体区画および組織全体の薬剤の吸収および分布の速度および程度を査定する場合に重要性を有する。本質的に、別の方法では高度に強力な薬剤が血管外に(例えば口腔)投与され、しかし十分に吸収されない(例えばGI管)場合、大多数の薬剤は吸収されず、したがって作用部位に分布できない。
【0004】
薬剤が身体から消失する主な方法は、非変化薬剤の排除によるかまたは薬理学的に活性または不活性な形態(単数または複数)(即ち代謝産物)への薬剤の代謝による。代謝産物は次に、さらなる排除または代謝を施され得る。薬剤および/または代謝産物の排除は、主に尿への腎臓メカニズムを介して、そして多少程度に、可溶化のための胆汁塩と混合され、その後、GI管を通して排泄され、肺を通して発散され、あるいは汗または唾液腺を通して分泌されることにより生じる。ほとんどの薬剤に関する代謝は、主に肝臓で起こる(肝臓の後、代謝はおそらくは主にGI管中で起こる)。同一原理およびおそらくは同一肝細胞データを用いて、GI管の一次通過作用を予測し得る(肝臓中と同一の酵素がGI管中に存在するが、しかし非常に低レベルで、そして互いに異なる相対比で存在する)。CYP450酵素は、身体中のほとんどの組織中に存在し、肝臓、腎臓、肺およびGI管中では高濃度で存在する。おそらくは本発明はこれらの組織すべてに適用され得るが、しかし肺および腎臓は「一次通過作用」器官とは考えられない。
【0005】
血液および血漿中では、やや小さい代謝が起こる。これらは主にエステラーゼおよび極迅速反応であって、本発明に適用可能でない。
薬剤の吸収、分布、代謝および排出の各過程は、速度工程として数学的に説明され得る。これらの生化学的過程のほとんどが、一次または擬似一次速度工程を包含する。言い換えれば、反応速度は薬剤濃度に比例する。例えば薬物動態データ分析は、既知の用量の薬剤を投与し、そして記述的方程式または数学的(区画的)モデルによりデータを適合させた後の、経験的観察に基づいている。これは、多数の実験条件下での実験的測定の要約(血漿/血液レベル−時間プロフィール)および予測を可能にする。例えば迅速静脈内投与後、薬剤レベルはしばしば、方程式1(式中、Cp(t)は時間の一関数としての薬剤濃度であり、Cp(0)は初期薬剤濃度であり、そしてkは薬剤減衰過程(例えば吸収、分布、代謝、排除)に影響を及ぼすすべての因子の組合せを表す会合速度定数である)に記載されたように時間に関して一指数関数的に減少する(一次排除)。
【0006】
Cp(t)=Cp(0)e−kt (式1)
この例は、身体が、薬剤が投与され、そしてそれが排除される単一の「よく混合された」区画である(一区画開放モデル)、と仮定する。中心(血液)区画と(末梢)組織区画(単数または複数)における薬剤間の平衡が迅速でない場合には、より複雑なプロフィール(多指数関数的)およびモデル(2−および3−区画)が用いられる。数学的には、これらの「多区画」モデルは、方程式の和、例えば方程式1により各々算定された速度工程(即ち線状薬物動態)の和として説明される。
【0007】
実験的には、方程式1は、先ず、特定用量の薬剤を投与された被験者から時間−濃度データを収集し、その後、薬剤濃度対時間の対数グラフ上にデータ点をプロットして、一型の濃度−時間曲線を生成する。プロットされた「ベストフィット」曲線の勾配(k)およびy切片(C0)が得られ、その後、方程式1(または方程式の和)に組入れて、付加的被験者に関する薬剤の時間経過および投与レジメンを表す。
【0008】
身体または特定位置全体の薬剤濃度が非常に高い場合、飽和または非線状薬物動態が適用可能であり得る。この状況では、薬剤濃度を低減する生化学的および/または生理学的過程の能力は満たされる。慣用のミカエリス−メンテン型方程式を用いて、ゼロ次(すなわち飽和:濃度非依存性)および一次(即ち非飽和:濃度依存性)動力学の混合物を包含する系の非線状性を表す。実験的には、データ収集およびプロッティングは標準区画モデルの場合と同様であるが、但し、データ曲線は非線状である。この点を表すために対数濃度対時間グラフを用いると、非常に高い薬剤濃度では、薬剤が最大一定速度で排除される(即ちゼロ次過程)ため、データ線は非線状である。次に、速度工程が薬剤濃度と比例するようになる点に薬剤濃度が下がる(即ち一次工程、線状工程)まで、データ線は時間に伴って下方に湾曲し始める。
【0009】
【表1】
【0010】
多数の薬剤に関して、非線状薬物動態は、薬剤処方物からの治療的成分の溶解、ならびに代謝および排除のような事象に当てはまる。非線状薬物動態は、閾値投与に関連した毒物学的事象にも当てはまる。
【0011】
薬物動態に用いられる古典的な1、2および3区画モデルは、薬剤減衰過程に関連した濃度−時間作用を表すためのin vivo血液データを要する。即ち血液データによって、方程式パラメターに関する値を提供する。例えば、モデルはある薬剤に関する減衰過程を表すために働き得るが、しかし血液プロフィールデータおよび関連速度工程制限が各当該薬剤に関して生成される。したがってこのようなモデルは、血液データならびに動物および/またはヒト試験から得られる同様のデータの非存在下での多様な薬剤組のin vivo運命を予測するには非常に不十分である。
【0012】
標準区画モデルと対照して、基礎生理学および解剖学を薬剤分布および配置と統合するよう生理学的ベースの薬物動態モデルが設計される。区画アプローチは生理学的モデルにも用いられるが、しかし区画は、血流に連結される解剖学的存在物、例えばGI管、肝臓、肺等に対応する。生理学的モデリングも、薬剤特異的でない多数の生理学的および物理化学的データが用いられる、という点で標準区画モデリングと異なる。しかしながら標準区画モデルと同様に、慣用的生理学的モデルは速度工程をひとまとめにする。さらに慣用的生理学的モデルは典型的には、多速度工程がin vivoで表される場合でさえ、特定の解剖学的存在物における薬剤分布および配置を制御する個々の動力学的、機械論的および生理学的過程を併合できない。これらのそしてその他の重要なモデルパラメターを無視する生理学的モデルは、根元的偏りを有して、多様なデータ組全体に亘って不十分な相関および予測可能性を生じる。このような欠陥は、モデルが動物またはヒトにおける薬剤の運命を説明または予測するために用いられる場合、必然的に非許容可能レベルの誤差を生じる。問題は、動物データをヒトに外挿するためにモデルが用いられる場合に増幅され、そして動物またはヒトにおける予測に関してin vitroデータによっている場合には、もっと悪い。
【0013】
例えばほとんどの経口投与薬剤に関する全身循環に到達する薬剤の過程は、2つの一般的段階、即ち溶解と吸収に分けられる。GI管中のエンドサイトーシス性過程は典型的には治療的量のほとんどの薬剤を送達するのに十分に高い能力を有するわけではないため、薬剤は吸収前に可溶化されねばならない。溶解の過程は、かなり良く理解されている。しかしながら吸収過程は「ブラックボックス」として処理される。実際、生物学的利用能データは多動物種およびヒトにおいて多数の薬剤に関して広範に利用可能であるが、しかし動物、組織または細胞培養透過性実験から生成されたin vitroおよび/またはin vivoデータは、ヒトにおける薬剤吸収の直接的予測を可能にし得ない。しかしこのような相関は一般的に用いられている。
【0014】
B.コンピューターシステムおよび薬物動態モデリング
コンピューターは、薬物動態過程の複雑な薬物動態方程式およびモデリングの容易な解法をもたらすために薬物動態に用いられてきた。薬物動態におけるその他のコンピューター用途としては、実験的研究設計の開発、統計学的データ処理、データ操作、データのグラフ的表現、薬剤作用の試算、ならびに報告書または文書の作成が挙げられる。
【0015】
薬物動態モデルは、微分方程式の系により表わされるため、数学モデルの開発および実装を可能にする事実上すべてのコンピューターシステムおよびプログラミング言語が、それらを構築し、実行するために利用されてきた。グラフ配向モデル開発コンピュータープログラムは、それらの簡易性且つ易使用性のために、典型的には多区画の線状および非線状薬物動態モデルを設計するために用いられる。本質的に、それらはユーザーが区画を相互作用的に描き、次にそれらを他のアイコン素子で連結し、修正して、予め定めた記号を用いて統合流れ経路を開発するのを可能にする。ユーザーは一定のパラメターおよびパラメターに関連する方程式を区画および流れ経路に割り当て、次にモデル開発プログラムが、コンピューター読取可能フォーマットでの統合システムを反映するよう、微分方程式および解釈可能なコードを生成する。その結果生じるモデルは、モデルの基礎となる方程式に対応するパラメターに関する入力値を与えられた場合、このような薬剤用量および等価物は次に、研究中のシステムをシミュレートするために用いられ得る。
【0016】
薬物動態モデルを開発し、実行するためのツールが存在し、そして科学文献は実例を十分に含有しているが、しかし今日までに開発された薬物動態モデルおよびコンピューターシステムは、in vitro細胞、組織または化合物構造−活性関係(SAR/QSAR)データからの哺乳類におけるそれらの投与経路にかかわらず、薬剤の代謝の十分な予測可能性を可能にしなかった(代謝は投与経路に無関係である。もちろん、薬剤がPO投与されなければGI代謝は観察されない場合は除く)。ある哺乳類(例えばヒト)における化合物の代謝を、二次哺乳類(例えばイヌ;対比成長測定を用いていくつかの成功が発表されているが、しかしモデルが開発のために用いられたデータ組外から外挿された場合にはそれはだめになる)から得られたデータから予測しようとした場合に、同様の問題が存在する。例えば代謝の既存の薬物動態モデルは、いくつかの異なるアプローチを用いて、肝代謝を免れる肝臓進入化合物の分画を予測する。Obach等は、生物学的利用能Fが、吸収された分画Fa、GI管により代謝された分画Fg、肝血流量Qおよび身体からの薬剤のクリアランスCLを用いて算定されるモデル(F=Fa*Fg*(1−CL/Q))を記載する。他のモデルEH=(Z*CLint)/(Q+Z*CLint)は、固有クリアランスCLint、肝血流量Qおよびスケーリング因子Zを用いて、肝臓抽出比EHを算定する。十分攪拌され、分布された平行管モデルを用いても、代謝を免れる用量分画が算定されている。残念ながら、これらのモデルは、それらが、モデルを開発し、スケーリング因子を確定するために用いられる特定の化合物に、あるいはin vivoで当てはまることもある一定の「線状」実験条件に予測を制限する数学的仮定(および生理学的仮定)を成す場合、無効になる。したがって相対的に小さい群の外部の化合物に関するこのようなモデルの予測力は、非常に限定される。これは、種々の範囲の投与要件および透過性、溶解性、溶解速度、代謝または排出メカニズムならびに輸送メカニズム特性を有する化合物の収集に関して特にいえる。その他の欠点としては、本質的に薬剤特異的予測にモデルを限定するモデル開発の最初からの薬物動態モデルにおける薬剤特異的パラメターおよび値の使用が挙げられる。これらのそしてその他の欠陥は、肝臓のような複雑な生理学的系における薬剤配置に普遍的に当てはまる原則の生成も損なう。
【0017】
薬剤代謝および可変的生物学的利用能に関する経済的および医学的結果は、計り知れぬ重要性を有する。薬剤開発の発見および予備臨床段階中に、問題があると思われる生物学的利用能を有する薬剤候補を同定することの失敗は、薬剤開発サイクルのもっとも有意の且つ経費のかかる負の結果の1つである。したがって、包括的生理学ベースの薬物動態モデル、ならびに相対的に簡単な入力パラメターを利用するヒトにおける薬剤生物学的利用能および変動性を予測し得るコンピューターシステムを開発する必要がある。さらに、新規の治療的代替物および一番の薬剤候補を選択するためのハイスループット薬剤スクリーニングの最新の使用を医療集団に提供する緊急の必要性を考えると、化合物および化合物処方物の生物学的利用能を予測するためのモデリングアプローチを用いる包括的生製薬的コンピューターベースのツールが必要とされる。
【0018】
関連文献
以下の出版物は、本発明の開発中に照会されたものであり、これらの記載内容は各々、参照により本明細書中に含まれる。これらの文書は、本発明のための理論的モデル、処方およびその他の基礎を提供する目的のために参照されるべきである。
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【0019】
発明の要約
本発明の好ましい実施態様によれば、哺乳類における化合物の代謝をシミュレートするための系であって、以下の:
コンピューターで実行した場合に、哺乳類肝臓の細胞中での化合物の代謝速度、ならびに細胞中への化合物の輸送速度を算定する方程式を含む哺乳類肝臓の代謝シミュレーションモデルであって、代謝産物の量を決定するシミュレーションモデルを包含する系が提供される。代謝速度は、化合物の消耗速度であり得る。代謝産物は、哺乳類肝臓を通る化合物の最初の通過後に残存する化合物の量であり得る(これは必ずしも最初の通過に限定されないし、肝臓に限定される必要もない。腸代謝もモデル化され得る)。あるいは代謝速度は、化合物の代謝産物の蓄積速度であり得る。
【0020】
前記の系は、代謝産物が、哺乳類肝臓を通る化合物の最初の通過の結果として生成される代謝産物の量であることを包含し得る(最初の通過にも肝臓にも限定されない。腸代謝もモデル化され得る)。
前記のモデルは、動物において収集されたデータを使用し得る。あるいはモデルは、肝細胞(単数または複数)、ミクロソーム(単数または複数)、S−9分画またはその他の亜細胞分画、肝臓薄片、均質化肝細胞の上清分画、Caco−2細胞、セグメント特異的ウサギ腸組織切片等を用い得る。肝細胞は、in vitroで培養され得る。さらに、本方法は、 から収集されたデータを用い得る。モデルは、代謝または代謝関連データを提供するその他のin vitro、in situ、in silicoまたはin vivo検定からのデータも用い得る。
【0021】
前記の代謝シミュレーションモデルは、平行管モデル、混合タンクモデル、分布流れモデルおよび分散流れモデルからなる群から選択される肝臓のモデルも包含し得る。あるいは肝臓のモデルは、平行管モデルであり得る。
代謝の速度を表す方程式は、定常状態近似値を用いて速度項を算定し、そしてミカエリス−メンテンの式であるかまたはミカエリス−メンテンの式を基礎にし得る。代謝速度を表す当業界で既知のその他の方程式も用いられ得る。
【0022】
輸送速度を表す方程式は、一次輸送速度定数に化合物の濃度を掛けたものであり得る。輸送速度は、代謝速度から差し引かれるかまたは付加され得る。引き算は、輸送(またはいくつかのその他の一次過程)が損失速度を増大しつつある(即ち流出輸送が代謝前に細胞から非変化薬剤を排出した)場合である。
一次輸送速度定数は、受動的熱力学工程として輸送を概算する。
【0023】
吸収速度データおよび濃度時間データは、モデルに供給され得る。このモデルは、いかに多量の化合物が代謝に利用可能であるかを知るために、言い換えればミカエリス−メンテン式中のCを決定するために、吸収速度データを用いる。吸収速度データは、実験的に算定され得るし、または吸収シミュレーションモデル(例えばiDEA吸収モジュール(Lion Bioscience)(www.lionbioscience.com))により概算され得る。
【0024】
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝に関する概算パラメター値(おそらくは、調整ミカエリス−メンテン方程式のような方程式のためにVmax、KmおよびKd(一次輸送速度定数)からなる群から選択される)を算定するためにコンピュータープログラムを用いるためのコンピューター実装方法であって、以下の:(a)代謝条件下で複数の濃度での化合物に関する濃度対時間データをコンピュータープログラムに供給し、そして(b)プログラムが概算パラメター値を算定する場合に用いるためのデータのサブセットを選択する条件下でコンピュータープログラムを実行することを包含する方法が提供される。コンピュータープログラムは、一組の規則または判定基準によりサブセットを選択し得る(下記の実施例3参照)。あるいは神経ネットワークまたは人工知能機能を用いて、一組の規則というよりむしろサブセットを選択し得る。コンピュータープログラムは、サブセットを用いて概算パラメター値を算定し得る。
【0025】
コンピュータープログラムは、データのサブセットまたは異なる組合せを用いて概算パラメター値を算定するよう、コンピューターのユーザーがコンピュータープログラムを指図し得るよう形造され得る。コンピュータープログラムは、サブセットからの概算パラメター値の算定において用いるために、所定のデータ適合法群から一データ適合法を更に選択し得る。コンピュータープログラムは、サブセットおよび選定データ適合法を用いて、概算パラメター値を算定する。あるいはコンピューターのユーザーは、(i)データのサブセットまたは異なる組合せ、ならびに(ii)選定データ適合法または異なるデータ適合法を用いて概算パラメター値を算定するようコンピュータープログラムを指図し得る。
【0026】
本方法はさらに、(c)概算パラメター値を代謝シミュレーションモデルに入力することを包含し得る。
コンピュータープログラムは、概算パラメター値の算定に用いるためにデータのサブセットを付加的に選択し得る。
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝に関する概算パラメター値を算定するためにコンピュータープログラムを用いるためのコンピューター実装方法であって、以下の:(a)代謝条件下で複数の濃度での化合物に関する濃度対時間データをコンピュータープログラムに供給し、そして(b)データまたはそのサブセットからの概算パラメター値の算定に用いるための予定群のデータ適合法から一データ適合法をプログラムが選択する選択する条件下でコンピュータープログラムを実行することを包含する方法が提供される。
【0027】
コンピュータープログラムは、いくつかの異なる方法の適合の良好性を比較し、その後、最良の方法を選択することにより、データ適合法を選定する(例えば下記の実施例5参照)。
コンピュータープログラムは、概算パラメター値(Vmax、KmおよびKdからなる群から選択される)を算定するための選定で得た適合法を用いるよう、あるいは選定データ適合法または異なるデータ適合法を用いて概算パラメター値を算定するようコンピューターのユーザーがコンピュータープログラムを指図し得るよう、形造され得る。コンピュータープログラムは、選定で得た適合法およびサブセットを用いても概算パラメター値を算定し得る。コンピューターは、コンピューターのユーザーが、(i)データのサブセットまたは異なる組合せ、ならびに(ii)選定データ適合法または異なるデータ適合法を用いて概算パラメター値を算定するようコンピュータープログラムを指図し得るよう造形され得る。
【0028】
前記の方法はさらに、(c)概算パラメター値を代謝シミュレーションモデルに入れることを包含し得る。
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝を予測するためのデータの収集方法であって、化合物の物理的または代謝的特徴と関係なく選定された複数の濃度で濃度対時間データを収集することを包含する方法が提供される。物理的または代謝的特徴は、化合物の溶解性、Vmax、KmまたはKd、代謝回転から選択される群から選択され得る。
【0029】
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝を予測するためのデータの収集方法であって、複数の濃度で濃度対時間データを収集する方法が提供されるが、この場合、多数の中の各濃度は、多様な組の化合物のKmを特性化する範囲より低いかまたは高いように予め決定された。本方法は、どの範囲のKmであろうと、6つの標準濃度が常にKmを括弧に入れて扱うようセットアップされる。Kmの一範囲は、<10μMであり得る。多数の中の一濃度は0.4μMであり得るし、多数の中の別の濃度は、2μMであり得る。別の範囲は、10μM〜50μMであり得る。多数の中の一濃度は、10μMであり、多数の中の別の濃度は50μMである。別の範囲は>50μMであるが、一方、多数の中の一濃度は125μMであり、多数の中の別の濃度は250μMである。
【0030】
本発明の別の実施態様によれば、化合物の代謝を予測するためのデータの収集方法であって、多種多様な化合物に適用可能な標準検定条件下で濃度対時間データを収集することを包含する方法が提供される。収集は、機械により実施され得る。収集が機械により実行される場合、機械は、ヒトの介入を伴わずに時間および濃度を選定するようプログラムされ得る。検定における一化合物濃度は、10μMより低く、別の化合物は10μM〜100μMであり、そして少なくとも1つの濃度は、100μMより高い。10μM未満の化合物濃度は、0.2μM〜4.0μMの範囲から選択される。10μM〜100μMの濃度は、25μM〜75μMの範囲から選択される。そして、100μMより高い濃度は、110μM〜190μMの範囲から選択される。
【0031】
収集は、肝細胞、ミクロソーム、肝臓薄片または均質か肝細胞の上清分画等を用いて実施され得る。上清分画は、9,000倍重力(9000 G)の速度での遠心分離の結果であり得る。
この実施態様の方法はさらに、代謝シミュレーションモデルに濃度対時間データを入れる過程を包含し得る。
【0032】
特定の実施態様の説明
定義
以下の太字用語は、以下の関連する意味で本文書全体で用いられる:
吸収:時間および所期濃度の一関数としての生理学的バリアを通る化合物の輸送。バリアの外側および/または内側の化合物の量または濃度は、輸送速度および程度の一関数であり、ゼロから1までの範囲であり得る。
【0033】
生物学的利用能:サンプリング部位および/または作用部位に到達する投与量の化合物の分画。範囲は0〜1であり得る。時間の一関数として査定され得る。
化合物:化学的存在物。
コンピューター読取可能媒体:コンピューターを用いて情報を保存し、検索しおよび/または操作するための媒体。光学的、デジタル、磁気媒体等を含む。例としては、ポータブルコンピューターフロッピーディスク、CD−ROM、コンピューター上のハードドライブ等が挙げられる。リモートアクセス媒体も含み、例としては、インターネットまたはインターネットシステムが挙げられる。一時的または恒久的なデータの保存、アクセスおよび操作を可能にする。
【0034】
データ:実験的に収集されおよび/または予測される変数。依存性および非依存性変数も含み得る。
溶解:化合物が溶媒中で溶解されるようになる過程。
入力/出力系:ユーザーとコンピューターシステム間にユーザーインターフェースを提供する。
【0035】
代謝:1つまたはそれ以上の異なる化学存在物(代謝産物)への化合物の転換。
透過性:物質の通過を可能にする生理学的バリアの能力。濃度依存性または濃度非依存性輸送速度(流動率)を指し、集合的には、輸送に及ぼす分子サイズ、電荷、分配係数および輸送時の化合物の安定性のような特徴の影響を反映する。透過性は、物質およびバリア特異的である。
【0036】
生理学的薬物動態モデル:薬物動態および生理学に基づいた身体または身体の解剖学的部分中の化合物の動きおよび配置を表す数学的モデル。
製造規則:既知の事実を組合せて新規の事実を生成する(「推論する」)。「IF・・・THEN」型の製造規則を含む。
代謝速度:ある期間中に分解される親化合物またはある期間中に生成される代謝産物の量。
【0037】
シミュレーションエンジン:システムの近似数学的モデルを用いてシステムの行動をシミュレートするコンピューター具体化計器。数学的モデルをユーザー入力変数と組合せて、システムがいかに行動するかをシミュレートまたは予測する。システム制御構成成分、例えば制御文(例えば論理構成成分および離散的対象)を含み得る。
【0038】
溶解性:可溶性であるという特性;溶解されるという相対的能力。
輸送メカニズム:化合物が組織または細胞の生理学的バリアを通過するメカニズム。4つの基本的種類の輸送:受動的傍細胞性、受動的経細胞性、担体媒介性流入および担体媒介性流出を含む。
【0039】
定義
マッピング:入力データスペースを目標データスペースと関連させる過程。これは回帰/分類により成し遂げられ、そして目標データを予測するかまたは分類するモデルを生成する。
【0040】
回帰/分類:目標データに対して入力データをマッピングするための方法。回帰とは、目標データの連続予測を生じるために適用可能な方法を指し、一方、分類(または概してパターン認識)とは、目標データを群またはクラスに分けるために適用可能な方法を指す。回帰または分類を実施するための特定の方法としては、適当な場合は、アフィンまたは線状回帰、中核ベース法、人工神経ネットワーク、Maximum A Posteriorのような確率分布を解釈するための適切な方法を用いる有限状態機械、最近傍法、判断ツリー、フィッシャーの識別分析が挙げられる。
【0041】
特徴選択法:目標データの予測または分類を可能にする入力データから所望の記述子を選択する方法。これは典型的には、順方向選択、逆方向選択、分岐限定選択、遺伝的アルゴリズム選択または進化的選択により成し遂げられる。
データ:実験的に収集されおよび/または予測される変数。依存性および非依存性変数も含み得る。
【0042】
入力データ:モデルの訓練または実行における入力として用いられるデータ。実験的に確定されるかまたは算定され得る。
目標データ:モデルが生成されるデータ。実験的に確定または予測され得る。
試験データ:実験的に確定されたデータ。
記述子:入力データの素子。
【0043】
Committee Machine:サブモデルにより獲得された知識が融合されて、個々のサブモデルのいずれよりも優れた解答を提供するよう、多数のサブモデルからなるモデル。
フィッシャーの識別分析:線状分離を、したがって目標データの分類を最適に助けるために、記述子を適切に計量することにより入力データ寸法を低減する線状方法。
【0044】
遺伝的アルゴリズム:天然選択メカニズムに基づく。モデルの一集団は突然変異を受け、そして最良のものを実施するものだけがその後のモデル集団に寄与する。
中核表現:Mercerの中核を用いる古典的線状技法の変動または特定限定種類の非線状性を組み込むための主題の変動。これらの例としては、フィッシャーの識別分析および主成分分析が挙げられる。本発明により用いられるような中核表現は、論文”Fisher’s Discriminate Analysis with Kernels,” Sebastian Mika, Gunnar Ratsch, Jason Weston, Bernhard Scholkopf, and Klaus−Robert Muller, GMD FIRST, Rudower Chaussee 5, 12489 Berlin, Germany (著作権) IEEE 1999 (0−7803−5673−X/99)、ならびに論文”GA−based Kernel Optimization for Pattern Recognition: Theory for EHW Application,” Moritoshi Yasunaga, Taro Nakamura, Ikuo Yoshihara, and Jung Kim, IEEE (著作権) 2000(0−7803−6375−2/00)(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。
【0045】
主成分分析:特徴の線状組合せを用いてデータの低次元表現を生成する非指示データ圧縮の一型。本発明に用いるために適用可能な場合の主成分分析の一例は、論文”Nonlinear Component Analysis as a Kernel Eigenvalue Problem,” Bernhard Scholkopf, Neural Computation, Vol. 10, Issue 5, pp. 1299−1319, 1998, MIT Press(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。
【0046】
支援ベクトルマシン:より高次元スペースに入力データを見積もることにより回帰/分類する方法。本発明に適用可能な場合の支援ベクトルマシンおよび方法の例は、論文”Support Vector Methods in Learning and Feature Extraction,” Berhard Scholkopf, Alex Smola, Klaus−Robert Muller, Chris Burges, Vladimir Vapnik, Special issue with selected papers of ACNN’98, Australian Journal of Intelligent Information Processing Systems, 5(1), 3−9) ならびに論文”Distinctive Feature Detection using Support Vector Machines,” Partha Niyogi, chris Burges, and Padma Ramesh, Bell Labs, Lucent Technologies, USA, IEEE (著作権) 1999 (0−7803−5041−3/99)(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されている。
【0047】
人工神経ネットワーク:単純処理装置の相互接続から作製される平行および分布システム。本明細書中で用いられる場合の人工神経ネットワークは、以下の表題の書物中に詳細に記載されている:”Neural networks, A Comprehensive Foundation,” Second Edition, Simon Haykin, McMaster University, Hamilton, Ontario, Canada, published by Prentice Hall (著作権) 1999(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)。
【0048】
代謝を予測するモデル(数学的およびコンピューター具体化の両方)を作製するために、過去において多数の試みがなされてきたが、従来のモデルは具体化の正確度および容易性に関する欠乏を立証した。ミカエリス−メンテン方程式を用いて代謝を算定する場合、親化合物の濃度が門脈中のまたはin vitro肝細胞周囲の細胞外液中の濃度と同じであると仮定するのは共通である。本発明の一局面は、代謝され得る前に化合物が肝細胞中に輸送されねばならないという事実を説明することにより、その結果生じる代謝概算の正確度を改良する。このようにして輸送速度が確定され、ミカエリス−メンテンベースの算定がそれに関して調整される。その結果生じる代謝概算は、従来の方法により達成されたものより正確になる。輸送が存在し、そしてデータの適正適合を得るために必要であると想定することにより、輸送が確定される。即ち、ミカエリス−メンテン方程式は、単独では、全薬剤に関する曲線の形状を説明し得ない。その場合、方程式に一次輸送項を付加して真のミカエリス−メンテン動力学からの偏差を表すことにより、ミカエリス−メンテン方程式は調整される。
【0049】
過去においては、高度に訓練された薬物動態専門家だけが確定し、したがって化合物の代謝を概算することができた。伝統的に、初期実験は、ほぼKmの「大まかな」数を得るために実施され、次に付加的研究がそれに「近い」濃度で実施された。次にデータアナリストまたは適合専門家は、データを得て、そしてKmおよびVmaxを確定した。いくつかの専門的知識は、初期研究を解釈し、次にデータを適合してKmを確定し得る必要がある。これは、化合物のKmより上および下の濃度データ点を有することが極めて重要であるためである。これは、本発明人等が多様な組の化合物に関してKmを確定したためであると思われる。この作業から、彼等は、多大な大多数の化合物が3つの範囲:即ち10Μmより低い、10〜100μMおよび100μMより高い範囲のうちの1つのKmを有するということを発見した。したがって、これらのKm範囲より低いそして高い濃度で濃度対時間データを収集することにより、任意の化合物のほとんどに関して信頼できる代謝概算を得ることができる。特に好ましい濃度は、0.4、2、10、50、125および250μMである。KmおよびVmaxはデータ収集のための単純プロトコールを用いて確定され得るため、このようなデータ収集は、現在、薬物動態専門家だけというよりむしろ、実験室技術者により実施され得る。
【0050】
前段落に記載された方法により収集された濃度対時間データを用いてミカエリス−メンテン方程式を解くためには、VmaxおよびKmに関する初期値を提供することが依然として必要である。本発明の別の局面は、概算されたこのような値に関するコンピュータープログラムである。このプログラムは、その結果生じる概算値を不正確にさせると思われるある種の濃度対時間データを同定し得る。それはこれらのデータを排除し、そしてそれを用いずに概算を実施し得る。プログラムは、一群の利用可能なデータ適合法、即ち濃度対時間データを適合するために用いられる場合に、他のものより考えられ得るデータ適合法から選択して、化合物のVmaxおよびKmの信頼できる概算を提供することもできる。好ましくはプログラムは、このようなデータ適合法を用いて、前記のデータ剪定過程後に残存するデータを適合させ、そしてVmaxおよびKmに関するその結果得られた概算を、ミカエリス−メンテン方程式を解くシミュレーションモデルの一部分に提供する。ミカエリス−メンテン方程式を解くと、KmおよびVmax概算が得られる。初期値は、ミカエリス−メンテン方程式を解くために必要であるが、しかしデータ選定はそれらを提供しない。初期値は、標準化濃度に基づいて設定される。
【0051】
一次通過代謝は、肝臓を通って全身への門脈血中でのその最初の通過中に肝臓により薬剤が除去される程度である。これは、一次通過クリアランスまたは一次通過抽出とも呼ばれる。門脈血からの一次通過代謝を免れる薬剤の分画は、FHとして表される。一次通過代謝速度が非常に高い場合、それは、舌下、直腸、吸入または静脈内のような一次通過代謝を低減する方法による投与のための化合物を開発することを決定し、あるいは化合物を開発しないことを決定し得る。
【0052】
代謝過程は同一である。差異は、濃度差である。組織内の薬物濃度には大きな差が認められるが、しかし代謝酵素濃度は異なる組織では非常に異なる。例えば肝臓は最高レベルの代謝酵素を有し、したがってほとんどの代謝が肝臓で起こる。
一旦全身循環中に入ると、薬剤は身体組織に分布し、したがって濃度は低減されて、代謝速度を非常に下げる。本発明はすべて、全身代謝を概算するために用いられ得るが、しかし混乱した容積および分布作用のために、より一般的区画アプローチを用いることは容易であると思われる。
【0053】
ほとんどの組織が何らかの代謝能力を有するが、しかし肝臓は、常に目標化合物代謝酵素の濃度であるわけでなければ、サイズに基づいて、断然もっとも重要な器官である。I期反応は分子に一官能基を導入する反応であると定義され、II期反応は、それらの官能基を内因性部分と接合する反応である。
代謝は薬剤クリアランス過程であるため、化合物の代謝は化合物の排除に関与する。したがって化合物は、当業界で既知の標準技法を用いて、投与の後または同時に試験化合物の配置を考慮する入力データを生成するために代謝に関して試験され得る(例えばSakuma & Kamataki, Drug metabolism research in the development of innovative drugs, In: Drug News & Perspectives (1994) 7(2):82−86(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)参照)。
【0054】
ハイスループットスクリーニングに関する代謝検定は好ましくは細胞ベース(細胞および細胞調製物)であるが、一方、高解像度スクリーニングは細胞および組織ベースの検定の両方を用い得る。特に化合物ライブラリーからの試験試料は、種々の種および器官由来の細胞および組織調製物においてスクリーニングされ得る。肝臓はもっとも高頻度に用いられる細胞および組織供給源であるが、しかしその他のヒトおよび非ヒト器官、例えば腎臓、皮膚、腸、肺および血液も利用可能であり、肝臓外代謝を査定するために用いられ得る。細胞および組織調製物の例としては、亜細胞分画(例えば肝臓S9およびミクロソーム)、肝細胞(例えばコラゲナーゼ灌流、懸濁、培養化)、腎臓の近位尿細管および乳頭状細胞、再凝集脳細胞、骨髄細胞培養、血球、心筋細胞および確立された細胞株ならびに精密切断組織薄片が挙げられる。
【0055】
ハイスループットスクリーニングに適したin vitro代謝検定の例としては、シトクロムP450形態特異的代謝により特性化される検定が挙げられる。これらは、形態特異的競合基質(例えばP450阻害剤)、例えばP450酵素CYP1A、3A、2A6、2C9、2C19、2D6および2E1を用いたP450誘導および/または競合試験により試験化合物を検定することを包含する。単一のこれらのまたはその他の代謝酵素またはそれらの組合せを発現する細胞も、単独で、または細胞ベースの透過性検定と組合せて用いられ得る。ハイスループット細胞ベース代謝検定は、シトクロムP450誘導スクリーン、その他の代謝マーカー酵素等を包含し、例えばDNAまたはタンパク質レベルの測定を伴う。代謝検定に適した細胞としては、一次培養中の肝細胞が挙げられる。代謝を予測するためのコンピューター具体化システムも用いられ得る。
【0056】
代謝パラメターとしては、Km、VmaxおよびKdが挙げられる。理解され得るように、吸収パラメターは、時間、質量、容積、濃度変数、吸収される用量の分画等に関連がある多様な異なる方法で表され得る。例としては、速度「dD/dt」および「dc/dt」(例えば質量/時間−mg/時間;濃度/時間−μg/ml・時間)、濃度「C」(例えば質量/容積−μg/ml)、曲線下面積「AUC」(例えば濃度・時間、μg・時間/ml)および吸収される用量の程度/分画「F」(例えば無単位、0〜1)が挙げられる。その他の例としては、最大濃度(Cmax)(これは最大濃度が選定サンプリング部位での化合物の滞留中に到達される最大濃度である);時間対最大濃度(tmax)(これは最大濃度が到達された投与後の時間である);ならびに半減期(t1/2)(これは薬剤の濃度が50%低減される時間である)が挙げられる。出力のその他の例としては、ここのシミュレート化パラメター、例えば個々のセグメントに関する透過性、溶解性、溶解等、ならびにこれらのおよび/またはその他のパラメターに関する累積値が挙げられる。
【0057】
シミュレーションエンジンは、数値方式を用いて、本発明の所定の生理学ベースのシミュレーションモデルの微分方程式を評価する微分方程式解答器を含む。シミュレーションエンジンは、制御文規則、例えばIF THEN型の生産規則が用いられる場合、システム制御文モジュールも含み得る。微分方程式解答器は標準数値法を用いて、所定のシミュレーションモデルを含む方程式のシステムを解答する。これらは、オイラーおよびルンゲ−クッタ法のようなアルゴリズムを包含する。このようなシミュレーションアルゴリズムおよびシミュレーションアプローチは周知である(例えばActon, F.S., Numerical Methods that Work, New York, Harper & Row (1970); Burden et al., Numerical Analysis, Boston, MA, Prindle, Weber & Schmidt (1981); Gerald et al., Applied Numerical Analysis, Reading, MA, Addison−Wesley Publishing Co., (1984); McCormick et al., Numerical Methods in Fortran, Englewood Cliffs, NJ, Prentice Hall, (1964);およびBenku, T., The Runge−Kutta Methods, BYTE Magazine, April 1986, pp. 191−210参照)。
【0058】
多数の異なる数値方式は、微分方程式の評価のために存在する。文字通り数百の一般的に存在する方式があり、その例としては、公的に市販されているコンピューターアプリケーション、私的工業用コンピューターアプリケーション、私的な個人所有のおよび書面のコンピューターアプリケーション、マニュアル筆算手法、ならびに出版済み手法に組み込まれたものが挙げられる。微分方程式を評価するためのツールとしてのコンピューターの使用に関しては、新規の方式が毎年開発されている。大多数の数値方式がコンピューターアプリケーションに組み込まれて、微分方程式の迅速評価を可能にする。
【0059】
シミュレーションエンジンとして記載されたコンピューターアプリまたはプログラム、あるいは微分方程式解答器プログラムは、解釈的であるかまたはコンパイルされ得る。コンパイル化プログラムは、変換され、コンピューター言語(例えばC++等)で書かれたものであり、コンピューターにとってのみ理解可能である。解釈的プログラムの構成成分は、文字で、そしてヒトに読まれ、理解され得る言語で書かれる。両型のプログラムは、モデルの微分方程式を評価するために数的方式を要する。速度および実行時間は、解釈的プログラムよりむしろコンパイルかプログラムを用いることの主な利点である。
【0060】
STELLAおよびKinetica(2つの周知の市販ソフトウエアツール)は、これらの目的のために過去に用いられた。代謝に関しては、STELLAは、微分方程式を一緒に評価するために用いられる。Kineticaは、調整パラメターを最適化するために用いられない。手法は同一である。STELLAフォーマットは、Javaに変換され、そして内部開発プログラムが最適化を実行する。好ましいシミュレーションエンジンは、同時モデル建築およびシミュレーションを可能にする。一例は、STELLA(登録商標)(High Performance Systems, Inc.)である。STELLA(登録商標)は、3つの異なる数的方式:即ち、オイラー法、ルンゲ−クッタ2法またはルンゲ−クッタ4法を用いて微分方程式を評価し得る解釈的プログラムである。Kinetica(登録商標)(InnaPhase, Inc.)は、モデルの方程式を評価し得る別の微分方程式解答プログラムである。STELLA(登録商標)読取可能フォーマットからKinetica(登録商標)読取可能フォーマットにモデルを翻訳することにより、種々の適合アルゴリズムを有するKinetica(登録商標)を用いて生理学的シミュレーションが構築され得る。この手法は、調整パラメターが段階的様式で最適化される場合に、利用され得る。
【0061】
生理学的モデルの基本構造およびその相互関係化解剖学的セグメントの数学的表現は、任意数の技法を用いて構築され得る。好ましい技法は、グラフ配向性区画流れモデル開発コンピュータープログラム、例えばSTELLA(登録商標)、KINETICA(登録商標)等を用いる。多数のこのようなプログラムが利用可能であり、ほとんどがモデル建築および操作のためのグラフユーザーインターフェースを用いる。本質的に、モデルの素子のためにグラフに用いられる記号は、モデル化されるシステムまたはプロセスの図表をアセンブルするためにユーザーにより配列される。モデル中の各因子は、定数、2つのパラメター間の線状または非線状関係、あるいは論理文としてプログラムされ得る。モデル開発プログラムは、次に、ユーザー構築モデルに対応する微分方程式を生成する。例えばSTELLAは、モデルの基本構造を作製するのに関連する5つの基本グラフツールを用いる:(1)ストック;(2)フロー;(3)コンバータ;(4)入力リンク;および(5)無限ストック(例えばPeterson et al., STELLA(登録商標)II, Technical Documentation, High Performance Systems, Inc., (1993)参照)。ストックは、貯蔵所または区画を表す箱である。フローまたはフローレギュレータは区画変数の状態を変更し得る変数を制御し、そしてフロー調節に関して単一および二方向性の両方であり得る。したがってフロー/フローレギュレータは、区画中へのおよび区画からの動きを調節する。コンバータは、フローレギュレータまたはその他のコンバータを修正する。コンバータは、方程式、入力および/または出力を記載する定数または変数として用いられ得るパラメター変数値を保持または算定するよう機能する。コンバータは、区画値を用いてパラメターの算定を可能にする。入力リンクは、モデルに関する内部連絡または連結的「配線」として役立つ。入力リンクは、区画、フローレギュレータおよびコンバータ間の作用を指図する。微積分用語法では、フローは時間微分係数を表し、ストックは時間中のフローの積分(または蓄積)であり、そしてコンバータはフローのマイクロロジックを含有する。ストックは以下の形態を有する有限差分方程式として表される:ストック(t)=ストック(t−dt)+(フロー)*dt。この方程式をタイムスクリプトで書き直して、dの代わりにtを代入すると:ストックt=ストックt− △ t+△t*(フロー)。再配列項:(ストックt−ストックt− △ t)/△t=フロー(式中、「フロー」は時間間隔「t」中の変数「ストック」の変化である)。△tが0になる場合の極限において、差分方程式は微分方程式になる:d(ストック)/dt=フロー。積分表示法でこれを表すと:ストック=∫フローdt。高次方程式に関しては、高次差動は、一連の一次方程式として表される。したがってコンピュータープログラム、例えばSTELLA(登録商標)は、グラフツールを用いて、生理学ベースの多区画モデル、例えば区画−フローモデルを生成し、そして研究中の所定の生理学系に関する薬物動態の関連微分方程式を提供するために利用され得る。アイコンツールおよび記述、ならびにSTELLA(登録商標)を用いて生成されるグラフ描写区画−フローモデルおよび慣用的薬物動態IVモデルとのそれらの関連は、図1〜3に示されている。
【0062】
モデル構成成分は、可変性記述子を包含する。STELLA(登録商標)に関する可変性記述子としては、例えば広範な各種の数学的、統計学的、およびビルトイン論理関数、例えばブール関数および時間関数、ならびにユーザー限定定数またはグラフ関係が挙げられる。これは、プログラムがモデルを制御するために用いる一組の生産規則の開発を可能にする制御文、例えばAND、OR、IF THEN ELSE、delayおよびpulsingを包含する。可変性記述子は「コンバータ」に挿入され、「入力リンク」を用いて連結される。これは、モデルを通る流れを制御するための複雑な規則組の開発を可能にする。一モデルサイクルを完了するのに要する時間量は、総実行時間および時間増分(dt)を入力することにより成し遂げられる。STELLA(登録商標)プログラムは次に、ルンゲ−クッタまたはオイラーシミュレーション技法を用いて各連続時間増分でのモデル中のすべてのパラメターの値を算定する。一旦モデルが建築されれば、それは他の方法により、例えば手動で、コンパイリングにより修正され、そしてさらに改良され、あるいは適合されるかまたは再構築され得るし、あるいはその意図される最終用途によってその他のコンピューター言語に翻訳され得る。
【0063】
モデルを洗練する一方法は、調整パラメターを用いることによる。所定のシミュレーションモデルの調整パラメター値は、モデルの1つまたはそれ以上の別々のパラメターに関する定数として用いられる統計学的パラメター概算値を表す。特に統計学的パラメター概算値は、目標変数における望ましい変化を達成するために、回帰−または確率ベースの曲線適合アルゴリズムを利用して、モデルの初期パラメターに割り当てられた値において必要とされる変化を同時に概算する段階的適合および選択過程を用いたパラメター化モデルの最適化を用いることにより得られる。
【0064】
モデルを洗練する別の方法は、シミュレーション結果と目標データとの間の差を化合物依存性調整パラメターを作成することにより克服させる。適合のために利用される入力変数は、多様な範囲のin vivo代謝およびその他の薬物動態的特性を示す化合物を有する化合物試験組に関するin vitroデータ(例えば代謝、透過性、輸送)およびin vivo代謝およびその他の薬物動態的データ(例えば残存する親化合物の濃度対時間)の組合せを包含する。したがって入力変数は、(a)当該哺乳類系に対応する一次データ供給源(例えば化合物試験組に関するヒトからのin vivo代謝およびその他の薬物動態データ)、ならびに(b)当該哺乳類系以外の系に対応する二次データ供給源(例えば化合物試験組に関するhepaticesからのin vitro代謝データおよびCACO−2またはウサギ組織からのin vitro透過性データ)から得られる。次に、モデルに供給されると、一次データ供給源からの1つまたはそれ以上の入力変数と、二次データ供給源からの1つまたはそれ以上の入力変数との相関を可能にする所定の別々のパラメターに関する適合化調整パラメター値が選択される。その過程は、相関の偏差が最小限にされるまで、シミュレーションモデルの1つまたはそれ以上の付加的な別々のパラメターに関して1回またはそれ以上の回数、反復される。次にその結果生じる調整パラメターは、モデルの基礎をなす方程式を修正する定数または定数の範囲または関数として、所定のシミュレーションモデルに提供される。調整パラメターは、多様な試験試料データ組に関して、二次データ供給源(例えば肝細胞、ミクロソーム、肝臓薄片、均質化肝細胞の上清分画、S−9、Caco−2細胞、セグメント特異的ウサギ腸組織切片等)に対応する検定の特定の型から得られるin vitroデータと一次データ供給源(例えば残存する親化合物の濃度対時間等)に対応する当該哺乳類系に関するin vivo吸収との正確な相関を促し得る。調整パラメターを利用して、一次種の哺乳類(例えばウサギ)から得られるin vivoデータと二次種哺乳類(例えばヒト)から得られるin vivoデータの正確な相関を促し得る。
【0065】
この調整パラメターは、訓練組の標準および試験化合物を利用する二叉アプローチを用いて開発され得る。好ましい一実施態様では、訓練組の標準および試験化合物は、速度過程関係を洗練し、モデルの基礎となる方程式に関する初期値を生成するために、広範囲の投与要件および広範囲の透過性、溶解性、輸送メカニズム、代謝および溶解速度を有する。第一の枝は、訓練/妥当性検査組の化合物を用いて、in vivo代謝および/またはその他の薬物動態データ(例えば残存する親化合物の濃度対時間)を生成する。第二の枝は、訓練/妥当性検査組の化合物を利用して、開発生理学的モデルを用いてシミュレーションを実施するために用いられるin vitro代謝、透過性および輸送メカニズム速度データを生成する。次にin vivo薬物動態データがシミュレート化in vivoデータと比較されて、開発モデルがin vitroデータから実際のin vivo値を良好に予測し得る方法を確定する。開発モデルは、それがin vitroデータ入力から訓練組に関するin vivo吸収を予測し得るまで、調整パラメターを用いて調整される。次にモデルは、モデル性能を査定するために、同一基本アプローチを用いて妥当性検査され得る。
【0066】
したがって調整パラメターは、in vitroおよびin vivo状態間の差、ならびに異なる種類の哺乳類のin vivo状態間の差を考慮し得る。その結果として、所定のシミュレーションモデルの1つまたはそれ以上の基礎となる方程式を修正する調整パラメターは、予測可能性を改良するために利用され得る。調整パラメターとしては、特定のin vitro検定系から得られるin vitro入力値を、選定生理学モデルの基礎となる方程式中に用いられるin vivoパラメター値と相関させるために利用される定数または定数の範囲を包含する。調整パラメターを用いて、in vitroおよびin vivo情況間、ならびにin vivo(種1)対in vivo(種2)の相関を築く。これらのパラメターは、方程式に対して調整させて、薬剤の流れおよび/またはパラメターの算定を支配する。本発明のこの局面は、既存の生理学ベースの薬物動態モデルの修正、ならびに多様な化合物データ組に関するそれらの適用を可能にするための新規のものの開発を可能にする。
【0067】
適合のために利用される入力変数は、多様な範囲のin vivo代謝およびその他の薬物動態的特性を示す化合物を有する化合物試験組に関するin vitroデータ(例えば代謝、透過性、輸送)ならびにin vivo代謝およびその他の薬物動態的データ(例えば残存する親化合物の濃度対時間)の組合せを包含する。したがって回帰−または確率ベースの適合のために用いられる入力変数は、(a)当該哺乳類系に対応する一次データ供給源(例えば化合物試験組に関するヒトからのin vivo代謝およびその他の薬物動態データ)、ならびに(b)当該哺乳類系以外の系に対応する二次データ供給源(例えば化合物試験組に関するhepaticesからのin vitro代謝データおよびCACO−2またはウサギ組織からのin vitro透過性データ)から得られる。次に、モデル中に定数として供給されると、一次データ供給源からの1つまたはそれ以上の入力変数と、二次データ供給源からの1つまたはそれ以上の入力変数との相関を可能にする所定の別々のパラメターに関する適合化調整パラメター値が選択される。その過程は、相関の偏差が最小限にされるまで、シミュレーションモデルの1つまたはそれ以上の付加的な別々のパラメターに関して1回またはそれ以上の回数、反復される。次にこれらの調整パラメターは、モデルの基礎をなす方程式を修正する定数または定数の範囲または関数として、所定のシミュレーションモデルに提供される。調整パラメターは、多様な試験試料データ組に関して、二次データ供給源(例えば肝細胞、ミクロソーム、肝臓薄片、均質化肝細胞の上清分画、S−9、Caco−2細胞、セグメント特異的ウサギ腸組織切片等)に対応する検定の特定の型から得られるin vitroデータと一次データ供給源(例えば残存する親化合物の濃度対時間等)に対応する当該哺乳類系に関するin vivo吸収との正確な相関を促す。調整パラメターを利用して、一次種の哺乳類(例えばウサギ)から得られるin vivoデータと二次種哺乳類(例えばヒト)から得られるin vivoデータの正確な相関を促し得る。
【0068】
この調整パラメターは、訓練組の標準および試験化合物を利用する二叉アプローチを用いて開発され得る。好ましい一実施態様では、訓練組の標準および試験化合物は、速度過程関係を洗練し、モデルの基礎となる方程式に関する初期値を生成するために、広範囲の投与要件および広範囲の透過性、溶解性、輸送メカニズム、代謝および溶解速度を有する。第一の枝は、訓練/妥当性検査組の化合物を用いて、in vivo代謝および/またはその他の薬物動態データ(例えば残存する親化合物の濃度対時間)を生成する。第二の枝は、訓練/妥当性検査組の化合物を利用して、開発生理学的モデルを用いてシミュレーションを実施するために用いられるin vitro代謝、透過性および輸送メカニズム速度データを生成する。次にin vivo薬物動態データがシミュレート化in vivoデータと比較されて、開発モデルがin vitroデータから実際のin vivo値を良好に予測し得る方法を確定する。開発モデルは、それがin vitroデータ入力から訓練組に関するin vivo吸収を予測し得るまで、調整パラメターを用いて調整される。次にモデルは、モデル性能を査定するために、同一基本アプローチを用いて妥当性検査され得る。
【0069】
したがって調整パラメターは、in vitroおよびin vivo状態間の差、ならびに異なる種類の哺乳類のin vivo状態間の差を考慮し得る。その結果として、所定のシミュレーションモデルの1つまたはそれ以上の基礎となる方程式を修正する調整パラメターは、予測可能性を改良するために利用され得る。調整パラメターとしては、特定のin vitro検定系から得られるin vitro入力値を、選定生理学モデル(例えばヒトGI管)の基礎となる方程式中に用いられるin vivoパラメター値と相関させるために利用される定数または定数の範囲を包含する。調整パラメターを用いて、in vitroおよびin vivo情況間、ならびにin vivo(種1)対in vivo(種2)の相関を築く。これらのパラメターは、方程式に対して調整させて、薬剤の流れおよび/またはパラメターの算定を支配する。本発明のこの局面は、既存の生理学ベースの薬物動態モデルの修正、ならびに多様な化合物データ組に関するそれらの適用を可能にするための新規のものの開発を可能にする。
【0070】
モデルの調整パラメターは、所定の種類の検定からのin vitroデータがモデルに用いられて、当該系(例えばヒト、ヒト肝臓等)における代謝を正確に予測し得るまで、反復回数のシミュレーション、ならびに代謝モデルに関連した1つまたはそれ以上の経験的に得られるパラメターの同時「調整」から得られる。特に調整パラメターは、当該哺乳類系に対する投与の選定部位での試験試料のシミュレート化速度、程度および/または濃度に対応する出力変数を変えるために、開発生理学的モデルの初期吸収パラメターに割り当てられた値において必要とされる変化を概算する曲線適合アルゴリズムを用いる段階的選択最適化過程により得られる。曲線適合アルゴリズムは、回帰−または確率ベースであり得る。例えば線状または非線状回帰は曲線適合のために用いられ、この場合、非線状回帰が好ましい。調整パラメターの段階的最適化は、好ましくは、多様組の化合物に関するin vivo代謝的およびその他の薬物動態データならびにin vitroデータの組合せがモデルとの適合のために同時に利用される同時アプローチを利用する。開発生理学モデルの2〜3のパラメターは、訓練/妥当性検査化合物の各々に関する生理学モデルにより生成されるシミュレート化吸収プロフィールが経験的に得られるin vivoデータに対する良好な適合を提供するまで、段階的または連続的選択アプローチで一度に調整される。調整パラメターの利用は、多様なデータ組の予測可能性を可能にするが、この場合、予測可能性は、多様な範囲の代謝、透過性および輸送メカニズムを有する化合物試験組中の80%の化合物に関して、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70または0.75より大きい回帰係数(r2)からの範囲である。好ましい予測可能性は、0.60より大きい回帰係数(r2)からの範囲であり、0.75より大きい回帰係数(r2)がより好ましく、そして0.80より大きいのがもっとも好ましい。
【0071】
化合物依存性調整パラメターを確定するための方法の一実施態様は、化合物依存性調整パラメターを目標データと考え、そして実験的、シミュレート化または構造化合物データを入力データと考えて、以下の過程を包含する:
(a)提案された化合物の代謝特性を評価するために用いられるために保存された実験データおよび分子構造データのような薬剤入力および目標データをコンパイルし、
(b)提案された化合物(それに関して競合組の入力および目標データが存在する)の予測される特性に基づいて訓練化合物を選定し、
(c)例えば遺伝的アルゴリズムまたはその他の適切な数学的分析により、過程(a)で選択された訓練化合物の分析に基づいて予測される特性に適用可能な記述子を選定し、
(d)目標データに(c)で得られた訓練組をマッピングして、提案化合物の目標データを予測し得るモデルを生じて、
(e)適切な入力データを用いて過程(d)で確定されたモデルを実行して、必要な目標データを予測する。
【0072】
データ収集
細胞−および/または組織ベースの調製物検定を用いて透過性および輸送メカニズムデータを収集するためのin vitroおよびin vivo技法は、当業界で周知である(Stewart et al., Pharm. Res. (1995) 12:693−699; Andus et al., Pharm. Res. (1990) 435−451; Minth et al., Eur. J. Cell. Biol. (1992) 57:132−137; Chan et al., DDT 1(11):461−473)。例えば透過性および輸送メカニズムを特性化するin vitro検定としては、in vitro細胞ベース核酸実験および固定化膜検定、ならびにin situ灌流検定、腸管輪検定、齧歯類、ウサギ、イヌ、非ヒト霊長類等における挿管検定、刷毛縁膜小胞の検定、ならびに外転腸嚢または組織切片検定が挙げられる。透過性および輸送メカニズムデータを収集するためのin vivo検定は、典型的にはマウス、ウサギ、ハムスター、イヌおよびサルのような動物も出る出実行されて、当該化合物の生物学的利用能、例えば分布、代謝、排除および毒性を特性化する。高分解能スクリーニングに関しては、細胞培養ベースのin vitro検定が好ましい。高分解能スクリーニングおよび妥当性検査に関しては、組織ベースのin vitroおよび/または哺乳類ベースのin vivoデータが好ましい。
【0073】
細胞培養モデルは、表面積を最大にしながら、相対的に少量の試験試料で実験を実行させるので、ハイスループットスクリーニングに関しては好ましく、そして多試料に関する多数の実験を同時に実施するのに利用され得る。細胞モデルはまた、動物変異性が認められないため、必要とされる実験はより少なくてよい。異なる細胞株のアレイを用いて、一連の輸送バリア(受動的傍細胞性、能動的傍細胞性、担体媒介性流入、担体媒介性流出)および代謝バリア(プロテアーゼ、エステラーゼ、シトクロムP450、接合酵素)に関する補足的入力データを系統的に収集し得る。
【0074】
検定に用いられる細胞および組織調製物は、貯蔵所から、あるいは任意の高等真核生物、例えばウサギ、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヒト等から得られる。組織試料は、倫理的問題を考慮しながら、身体の任意の領域から得られる。次に組織試料は、意図された検定によって、種々の支持装置に適応されるかまたは付着され得る。あるいは細胞は組織から培養され得る。これは、一般的には、標的組織から生検試料を得て、その後、生検からの細胞を培養する。細胞および組織は、例えば組換えDNA技術により遺伝子操作されていた、所定のスクリーニング検定に関連する所望のタンパク質またはタンパク質の組合せを発現する供給源からも得られる。人工的工学処理組織、例えば足場/マトリックスを接種するために用いられる細胞の三次元増殖および発達を指図する人工足場/マトリックスおよび組織増殖調節剤を用いて作製されたものも用いられ得る。
【0075】
上皮および内皮細胞ならびにそれらを含む組織を用いて、身体の内部および外部表面に関連したバリアを査定する。例えば上皮細胞は、腸、肺、角膜、食道、生殖腺、鼻腔等に関して得られる。内皮細胞は、血液脳関門に接する層、ならびに心臓の、そして血液およびリンパ管の腔、身体の種々の腔から得られ、中胚葉から生じる。
【0076】
細胞および組織は、当該試料からあるいは既存の供給源からde novoで得られる、と当業者は認識する。公的供給源としては、細胞および細胞株貯蔵所、例えばアメリカ培養細胞コレクションAmerican Type Culture Collection(ATCC)、Belgian Culture Collectins of Microorganisms(BCCM)、またはGerman Collection of Microorganisms and Cell Culture(DSM)等が挙げられる。細胞は、当業界で既知の標準技法により培養され得る。
【0077】
当該試験試料の輸送メカニズムは、標準技法にしたがって細胞培養および/または組織切片を用いて確定され得る。これらの検定は、典型的には、細胞または組織を当該化合物と接触させ、そして細胞中への取込みを測定するかまたは取込みに関して競合させ、既知の輸送特異的基質と比較することを包含する。これらの実験は、輸送系を正確に特性化し、そして非飽和受動性機能の作用を最小限にする動力学的パラメターが測定され得るよう、短いインキュベーション時間で実施される(Bailey et al., Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 22:85−103; Hidalgo et al., Advanced Drug Delivery Reviews (1996) 22: 53−66; Andus et al., Pharm. Res. (1990) 7(5):435−451)。ハイスループット分析に関しては、例えばWO 97/49987に記載されているように、放射能または蛍光の増分または損失を測定する自動化方法を利用して、細胞懸濁液が用いられ得る。
【0078】
実施例
実施例1−代謝を算定する場合に輸送を考慮する
方程式1は、輸送を組込み、そして時間に伴う濃度の変化がミカエリス−メンテン方程式単独を用いて十分に説明されえないという仮定を生じる方程式である。Kd・Cは、輸送項(ここで、Kdは一次速度定数であり、そしてCは肝細胞または細胞外部の濃度である)である。dC/dtは、代謝速度であり、Vmaxは考え得る最大代謝速度であり、そしてKmは濃度と定義されるミカエリス−メンテン定数である(ここで、dC/dt=1/2*Vmax)。
【数1】
方程式2は、ミカエリス−メンテン方程式であり、この方程式のみを用いて実験データが十分に説明され得ると仮定する。
【数2】
輸送項を組込む方程式1を用いたデータ適合を以下に示す。丸印は実験データである。実線は、データ点を通るシミュレート化または最良適合線である。
【0079】
【表6】
【0080】
輸送項を組込まない方程式2を用いたデータ適合を以下に示す。丸印は実験データである。破線は、データ点を通るシミュレート化または最良適合線である。
【0081】
【表7】
【0082】
破線は実線に対応しないということは、2つのグラフから明らかである。したがって輸送項は、実験データを表すために必要である。これは、低濃度の場合に特に言える。
【0083】
最良適合線およびシミュレート化データは、実験データからのシミュレート化データの最小偏差を提供するVmax、KmおよびKd値を確定し得る最小化アルゴリズムを用いて得られる。この実施例では、コンピューターベースアプリケーションKinetica(登録商標)を用いて、最小化アルゴリズムを完了した。
方程式1または2は、代謝速度を算定する微分方程式として代謝モデルで用いられる。代謝速度は、どのくらい多くの薬剤が代謝され、そしてどのくらい多くが変化しないままであるかを確定するために、モデルの各区画で算定される。
【0084】
実施例2−パラメター値の概算に用いるための濃度対時間データのサブセットの同定
ある種の濃度対時間データを許容するかまたは拒絶するかをプログラムが決定する方法を示す流れ図をいかに提示する。
【0085】
【表8】
【0086】
実施例3−パラメター値の概算に用いるための濃度対時間データのサブセットの同定(実施例2で提示された流れ図を使用)
【0087】
表1 薬剤Aに関する肝細胞データ
【表9】
【0088】
表2 薬剤A群1〜6に関する最大、最小および四分位範囲
【表10】
【0089】
表3 薬剤A群1〜6に関するデータ点四分位割当て
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
所望の四分位対時間点#パターンは、初期濃度0.4および1μMに関して観察した場合、4、3、2、1である。パターン4、3、3、1も許容可能である。許容のためには、パターンは時間点全体で漸減パターンを示さねばならない。例えば4、3、3、1;4、2、2、1;4、3、1、1および4、4、2、1はすべて許容可能である。初期濃度10、25および50μMに関して観察されるようなその他のパターンは、データ組から除去される1つまたはそれ以上の時点を要する。上方傾向が生じた場合、データ点は除去される。それは、データ点が除去されるか否かを確定する残りのデータと比較した場合の時点の相対位置である。示した例では、時点#2は初期濃度10および25μMに関して除去され、そして時点#4は初期濃度50μMに関して除去される。データ点が、もしあれば、除去されるか否かを確定するための判定基準として、いくつかの規則を用いる。その規則をいかに示す:
LetC(1)、C(2)、C(3)、C(4)は、それぞれ時間=0、30、120および240分での濃度値である。Let v(1)、v(2)、v(3)、v(4)は、この濃度に対応する四分位値である(前記の特定の例で示されている)。
【0092】
規則1:各iに関して、v(i)>=v(i+1)である場合には、すべての時点で濃度値を許容し得る。
規則2:v(i)<v(i+1)である2つまたはそれ以上の場合が存在する場合には、その初期濃度に関するすべての時点が除去される。
規則3:v(i)<v(i+1)である1つの場合が存在する場合には、以下の亜規則を用いる:
亜規則3.1:v(1)<v(2)である場合には、同一時点でv(1)≧v(3)であれば、C(2)点は除去される。亜規則3.1a:v(1)<v(2)であり、そしてv(1)<v(3)ある場合には、その初期濃度に関するすべての時点が除去される。
【0093】
亜規則3.2:v(3)<v(4)である場合には、C(4)点が除去される。
亜規則3.3:v(2)<v(3)である場合には、そして同時点で(C(2)−C(1))<4分の1値(4分の1値=(max(C(i))−min(C(i)))/4)である場合には、除去される時点はない。v(2)<v(3)で(C(2)−C(1))≧4分の1値である場合には、そして同時点でv(1)≧v(3)である場合には、C(1)点が除去される。v(2)<v(3)で(C(2)−C(1))≧4分の1値である場合には、そして同時点でv(2)≧v(4)である場合には、C(2)点が除去される。v(2)<v(3)で(C(2)−C(1))≧4分の1値であり、そして亜規則3.3を満たすその他の条件がない場合には、その初期濃度に関するすべての時点が除去される。
【0094】
表4 データ算入決定を有する場合および有さない場合の薬剤Aに関するパラメター概算値および適合の良好性
【表13】
【0095】
Kineticaを用いて非線状回帰最小化を実施して、表4に列挙したパラメター概算値および適合値の良好性を得た。しかしながらわれわれの好ましい方法は、Numerical Recipes in C. the Art of Scientific Computing, Second Edition, William H. Press, Saul A. Teukolsky, William T. Vetterling, and Brian P. Flannery, Cambridge University Press(著作権) 1988, 1992(この記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に記載されているようなMarquardt最小化を用いる。要するに、最小化アルゴリズムは、分析を完了するためにいくつかのその他のファンクションによっている主要関数「mrqmin」を用いる。このファンクションは、適合化変数に異なる初期条件を割り当て、そしてコンピューター処理「2乗の和」の最小値に基づいて最良組の結果を選ぶ。何らかの統計学的情報を、このルーチンで同様に収集し得る。「mrqmin」ファンクションは、Marquardt法の1反復を実施する。アルゴリズム的には、それは、パラメター入力、出力および交換への修正、ならびに中間計算に対するいくつかの修正を伴い数値レシピNumerical Recipesに列挙されたものと同一物である。「mrqmin」は、いくつかの中間計算に関しては「mrqcof」ファンクションを呼び出す。アルゴリズム的には、「mrqcof」ファンクションは、NRの場合とほとんど同じであるが、但しパラメター交換における差異のために、何らかの内部編成は除く。「mrqmin」は、数値レシピソフトウエアNumerical Recipes Softwareコードに対して小差を有する「gaussj」ルーチン(ガウス−ジョルダン消去法による線状方程式の解)も用いる。「mrqmin」は「covsrt」ファンクションを用いて共分散マトリックス計算を算定し、そしてそれは数値レシピソフトウエアNumerical Recipes Softwareコードと同一である。「mrqcof」ファンクションは、ファンクション「fconc」を呼び出し、これが、「rkdumb」(下記参照)に関するパラメターを調製し、中間解およびを計算し、微分し、そしてそれらが実験値と比較され得るような方法でそれらを編成する。
【0096】
「rkdumb」および「rk4」ファンクションを用いて、微分方程式の数値解に関してルンゲ−クッタ法を実行する。「rkdumb」ファンクションはアルゴリズム的にはNRの場合と同様であるが、しかし変数の記述においていくつかの差を有する。「rk4」ファンクションはNRの場合と同一であるが、但し、「derivs」引数の編成に関しては異なる。
【0097】
実施例4−パラメター値を概算するために濃度対時間データを用いるためのデータ適合プログラムの選択。以下は、プログラムが特定組のデータを選択する方法を示す流れ図である。
【表14】
【0098】
実施例5−パラメター値を概算するために濃度対時間データを用いるためのデータ適合プログラムの選択(実施例4で提示された流れ図を使用)。
【0099】
薬剤Bに関する非線状適合対一次適合:
【0100】
表6 非線状法に関するパラメター概算値の評価
【表15】
【0101】
%CVおよび0.4μMで240分で残存する非変化親化合物%の評価により、適合の良好性を確定する。KmおよびVmaxに関する%CVが200%より大きく、そしてKdに関する%CVが100未満である場合、または非変化親化合物%が>37%である場合、一次パターンが存在し、<37%の非変化親化合物が残存している場合には、非線状パターンが存在する。
【0102】
表7 時間に伴う残存%
【表16】
・0.4μMで240分での薬剤Bに関する残存%。0.4Μm=95.4%
【0103】
表8 一次法に関するパラメター概算値の評価
【表17】
【0104】
実施例3に記載したように、Kinetica(登録商標)を用いて列挙した値を確定したが、しかし好ましい方法はMarquardt最小化を用いることである。
【0105】
実施例6−代謝の算定のためのデータ収集の標準化および最小化
【0106】
表9 多様組の化合物に関する初期濃度およびKm値
【表18】
* 非線状適合および最小化により確定されたKm
【0107】
表9において、化合物1〜5は、<10μMのKm値を有する。化合物6は10および50μMのKm値を有し、そして化合物7〜9は50μMより大きいKm値を有する。したがってこれらの範囲の各々より上または下の濃度を選択した。好ましい濃度は、0.4、2、10、50、125および250μMである。
【0108】
表10 肝細胞検定のために初期および標準化濃度を用いて確定した動力学パラメター
【表19】
【0109】
前記のモデルは、in vivo条件下でモデル開発データ組へのデータ入力がいかにぴったり適合するかによっている。典型的には、標準PK方程式を用いて、モデル開発データ組に利用される吸収速度を確定する。これらの方程式へのデータ入力は、IVまたはPO血漿レベル時間曲線を用いるかおよび/またはそれに基づいている。この方法で開発された吸収速度データが、すべての化合物に関するin vivo条件の最良モデルを常に提供するわけではない、ということを本発明人等は見出した。いくつかの化合物に関しては、iDEA(Lion Bioscience) のようなプログラムから、in silicoで生成される吸収速度は、より良好なモデル開発データ組を生じた。その結果として、前記の開発されたモデルは、PK吸収速度の代わりにin silcoで開発された吸収速度を用いることにより改良され得る。一般的に、改良型代謝モデルを生じる代謝も出る開発データ組のために、吸収速度(PKおよびモデル/in silco)の遅い方が選択されると思われる。
【0110】
実施例7−経口吸収速度は一次通過代謝に影響を及ぼし得る
目的−in silico法を用いて、経口吸収速度がヒトにおける一次通過代謝に劇的に作用し得ることを確定すること。
方法−43の多様な代謝化合物に関するヒトにおけるIVおよびPO血漿レベル時間曲線ならびに質量平衡データを用いて、吸収速度の概算値(例えばka、t1/2 abs、勾配等)を出した。ヒト経口吸収のコンピューターシミュレーション(iDEA、Lion Bioscience)を用いて、同一組の化合物に関する経口吸収速度を予測した。PK確定速度およびモデル予測速度を、ヒト一次通過代謝の生理学的ベースのコンピューターシミュレーションモデルへの入力情報として用いた(iDEA)。代謝モデルは、ヒト冷凍保存肝細胞を用いて確定される代謝分解プロフィール、ならびに化合物の血漿タンパク質結合%を要した。PK吸収速度を用いた非変化薬剤進入全身循環の量を予測する代謝モデルの能力(FH)を、予測吸収速度を用いて得たFH値と比較した。
【0111】
結果−約28%の化合物が、概算吸収速度における大差を有し(t1/2 abs差>0.7時間)、これらの化合物の75%は、より遅い吸収速度(t1/2 absより大きい)を用いた場合、FHのより正確な予測を示した。一化合物に関しては、改善は40FH単位という大きさであった(23%対63%)。これは、全データ組に関してFH予測の正確度の改善を生じた(平均誤差=15.33対平均誤差=16.40)。
【0112】
したがって、正確な代謝モデルを開発するためには、モデル開発データ組に利用される吸収速度データは、in vivo吸収速度を正確に(できるだけ厳密に)反映すべきである。モデル開発データ組に用いるための吸収速度の選択の一方法は、in silico吸収から、またはPK吸収分析から生成される吸収速度の遅い方を選択することである。in silico吸収モデルが改善すると、吸収速度組に関する代謝モデル開発データ組がin silico吸収速度のみに基づき得る時が来ると予測される。
【0113】
本明細書中に記述した出版物および特許出願はすべて、各々の個々の出版物または特許出願が特定的にそして別々に参照により本明細書中に含まれることを示されたのと同程度に、それらの記載内容が参照により本明細書中に含まれる。
本発明を詳細に説明してきたが、本発明の精神または範囲を逸脱しない限り、多数の変更および修正が成され得ることは、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、実行された混合タンクモデルである(Stella)。肝臓は、酵素の十分混合されたタンクであると考えられる。薬剤濃度は、肝臓全体で一定である。その関連性は、代謝および輸送項の両方を含む代謝速度の方程式の編入である。これは方程式で理解され得る。
【図2】
図2は、実行された平行管モデルである(Stella)。肝臓は、非方向性流を有する一組の同一平行管であると考えられる。薬剤濃度は、薬剤が管に沿って通過し、管に沿った各点で代謝されると、低減する。さらにその関連性は、代謝および輸送項の両方を含む代謝速度の方程式の編入である。これは方程式で理解され得る。
【図3】
図3は、実行された分布モデルである(Stella)。肝臓は、非方向性流を有する異なる長さの一組の平行管であると考えられる。薬剤濃度は、薬剤が管に沿って通過し、管に沿った各点で代謝されると、低減する。このモデルは、肝臓のより多くの生理学的表示を可能にする。肝臓の異なる葉および代謝メカニズムが編入され得る。さらにその関連性は、代謝および輸送項の両方を含む代謝速度の方程式の編入である。
Claims (42)
- 哺乳類における化合物の代謝をシミュレートするための系であって、以下の:
コンピューターで実行した場合に、哺乳類肝臓の細胞中での化合物の代謝速度、ならびに細胞中への化合物の輸送速度を表す方程式を含む哺乳類肝臓の代謝シミュレーションモデルであって、(a)哺乳類肝臓を通るその最初の通過後に残存する化合物の量、または(b)哺乳類肝臓を通る化合物の最初の通過の結果として生成される代謝産物の量を決定するシミュレーションモデル
を包含する系。 - モデルが動物において収集されたデータを用いる請求項1記載の系。
- モデルが、肝細胞、ミクロソーム、S−9分画、その他の亜細胞分画、肝臓薄片、均質化肝細胞の上清分画、Caco−2細胞、またはセグメント特異的ウサギ腸組織切片からなる群から収集されたデータを用いる請求項1記載の系。
- 請求項3記載の群がin vitroで培養される請求項3記載の系。
- 代謝シミュレーションモデルが、平行管モデル、混合タンクモデル、分布流れモデルおよび分散流れモデルからなる群から選択される肝臓のモデルを包含する請求項1記載の系。
- 消耗/蓄積/代謝の速度を表す方程式がミカエリス−メンテンの式またはミカエリス−メンテンの式を基礎にした方程式である請求項1記載の系。
- 輸送速度を表す方程式が一次輸送速度定数に化合物の濃度を掛けたものである請求項1記載の系。
- 輸送速度が消耗速度により調整される請求項1記載の系。
- 輸送が受動的熱力学工程を概算する一次項としてモデル化される請求項1記載の系。
- 吸収速度データおよび代謝データがモデルに供給される請求項1記載の系。
- 代謝データが残存する親化合物の濃度対時間(これをさらに正確にすることができるか?)である請求項10記載の系。
- 吸収速度データが実験的に算定される請求項10記載の系。
- 吸収速度データが吸収シミュレーションモデルにより概算される請求項10記載の系。
- 化合物の代謝に関する概算パラメター値を算定するためのコンピューター実装方法であって、以下の:
(a)コンピューターおよびコンピュータープログラムを用意し、
(b)複数の濃度での化合物に関する残存する親化合物濃度対時間データをコンピュータープログラムに供給し、
(c)このようなプログラムが(i)所定のデータ適合法の選択肢からデータ適合法を選定し、そして(ii)この選定したデータ適合法を用いて概算パラメター値を算定する条件下でコンピュータープログラムを実行する
ことを包含する方法。 - パラメターがVmax、KmおよびKdからなる群から選択される請求項14記載の方法。
- さらに以下の:
(d)概算パラメター値を代謝シミュレーションモデルに入力する
ことを包含する請求項14記載の方法。 - 化合物の代謝に関してパラメター概算値を算定するためのコンピューター実装方法であって、以下の:
(a)コンピューターおよびコンピュータープログラムを用意し、
(b)複数の濃度での化合物に関する残存する親化合物濃度対時間データをコンピュータープログラムに供給し、
(c)(i)パラメター概算値の算定に使用するためのデータのサブセットおよび(ii) このようなデータの分析のためのデータ適合法を選択するコンピュータープログラムを、かかるデーターおよびデータ適合法を用いて実行し、パラメター概算値を算定する
ことを包含する方法。 - 前記プログラムが(i)パラメター概算値の算定に用いるためのデータのサブセット、および(ii)このようなデータの分析のためのデータ適合法をユーザーに推奨する請求項17記載の方法であって、以下の:
(d)このような選択についてコンピューターのユーザーに情報を教え、
(e)このような選択についてのユーザーの承諾または拒否を記録し、そして
(f)ユーザーにより選定されたデータおよびデータ適合法を用いて、パラメター概算値を算定する
ことを包含する方法。 - 化合物の代謝を予測するためのデータの収集方法であって、以下の:
多種多様な化合物に適用可能な標準検定条件下で残存する親化合物の濃度対時間データを収集する
ことを包含する方法であって、前記多種多様な化合物が、10未満のKm値を有する少なくとも1つの化合物を包含し、少なくとも1つの化合物が10〜100のKm値を有し、そして少なくとも1つの化合物が100より高いKm値を有する方法。 - 前記収集が機械により実施される請求項19記載の方法。
- 前記機械がヒトの介入を伴わずにこのような時間および濃度を選択するようプログラムされる請求項20記載の方法。
- 10未満の濃度が0.2〜4.0の範囲から選択される請求項21記載の方法。
- 10〜100の濃度が25〜75の範囲から選択される請求項21記載の方法。
- 100より高い濃度が110〜190の範囲から選択される請求項21記載の方法。
- 前記収集が肝細胞を用いて実施される請求項19記載の方法。
- 前記収集がミクロソームを用いて実施される請求項19記載の方法。
- 前記収集が肝臓薄片を用いて実施される請求項19記載の方法。
- 前記収集がS9分画を用いて実施される請求項19記載の方法。
- さらに以下の:
濃度対時間データを代謝シミュレーションモデルに入力する
ことを包含する請求項19記載の方法。 - 化合物の代謝を予測するためのデータの収集方法であって、以下の:
化合物のVmax、KmまたはKdに関係なく選択される複数の濃度での濃度対時間データを収集する
ことを包含する方法。 - 化合物の代謝に関する概算パラメター値を算定するためのコンピューター実装方法であって、以下の:
(a)コンピューターおよびコンピュータープログラムを用意し、
(b)複数の濃度での化合物に関する残存する親化合物濃度対時間データをコンピュータープログラムに供給し、
(c)このようなプログラムが(i)概算パラメター値の算定に用いるデータのサブセットを選択し、そして(ii)このようなデータサブセットを用いて概算パラメター値を算定する条件下でコンピュータープログラムを実行する
ことを包含する方法。 - 哺乳類における化合物の代謝をシミュレートするための系であって、以下の:
コンピューターで実行した場合に、哺乳類肝臓の細胞中での化合物の代謝産物の蓄積速度、ならびに細胞中への化合物の輸送速度を表す方程式を含む哺乳類肝臓の代謝シミュレーションモデルであって、(a)哺乳類肝臓を通るその最初の通過後に残存する化合物の量、または(b)哺乳類肝臓を通る化合物の最初の通過の結果として生成される代謝産物の量を決定するシミュレーションモデル
を包含する系。 - 哺乳類における化合物の代謝をシミュレートするための系であって、以下の:
コンピューターで実行した場合に、哺乳類肝臓の細胞中での化合物の消耗速度、ならびに細胞中への化合物の輸送速度を表す方程式を含む哺乳類肝臓の代謝シミュレーションモデルであって、(a)哺乳類肝臓を通るその最初の通過後に残存する化合物の量、または(b)哺乳類肝臓を通る化合物の最初の通過の結果として生成される代謝産物の量を決定するシミュレーションモデル
を包含する系。 - 化合物のin vivo代謝の予測方法であって、以下の:
化合物に関し、in vitro代謝検定に由来する複数の濃度での入力濃度対時間データとして受入れ、
この入力データに基づき、且つ肝臓における化合物の消耗速度および肝細胞中への化合物の輸送速度を表すモデルを用い、代謝された化合物の量を予測する
ことを包含する方法。 - 化合物のin vivo代謝の予測方法であって、以下の:
化合物に関し、in vitro代謝検定に由来する複数の濃度での入力濃度対時間データとして受信するための手段、
この入力データに基づき、且つ肝臓における化合物の消耗速度および肝細胞中への化合物の輸送速度を表すアルゴリズムを用い、代謝された化合物の量を予測するための手段
を包含する方法。 - 化合物のin vivo代謝の予測方法であって、以下の:
化合物に関するin vitro代謝検定に由来する複数の濃度での入力濃度対時間データを受信するための受信機、
この入力データに基づき、且つ肝臓における化合物の消耗速度および肝細胞中への化合物の輸送速度を表すアルゴリズムを用い、代謝された化合物の量を予測するための予測機
を包含する方法。 - コンピューター読取可能媒体含有代謝モデルであって、以下の:
コンピューター読取可能媒体、ならびに
この入力データに基づき、且つ肝臓における化合物の消耗速度および肝細胞中への化合物の輸送速度を表すアルゴリズムを用い、代謝された化合物の量を予測する媒体上のデータ構造
を包含するモデル。 - アルゴリズムが少なくとも1つの調整パラメターを利用する請求項34〜37記載の発明。
- 調整パラメターがin vitroおよび構造データをマッピングすることにより得られる請求項37記載の発明。
- アルゴリズムが概算パラメター値の確定から排除される入力データを決定する規則を利用する請求項34〜37記載の発明。
- 代謝モデルの開発方法であって、以下の:
複数の化合物に関するin vitro代謝検定データを得て、
残存する親化合物の濃度対時間データを各化合物に関して得て、そして
残存する親化合物の濃度対時間データを用いてin vitroデータをマッピングする少なくとも1つのモデルを生成する
ことを包含する方法。 - 代謝モデルの開発方法であって、以下の:
複数の化合物に関するin vitro代謝検定データを得て、
代謝産物蓄積濃度対時間データを各化合物に関して得て、そして
代謝産物蓄積濃度対時間データを用いてin vitroデータをマッピングする少なくとも1つのモデルを生成する
ことを包含する方法。
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