JP2004514508A - 多層ガイドワイヤ - Google Patents

Abstract

多層ガイドワイヤが、遠位テーパ付き部分を有する細長い可撓性コアであって、ニッケルチタン合金から形成されたコアと、コアの近位領域を覆うように配置された補強チューブと、コアのテーパ付き遠位領域を覆うように配置された１次コイルと、熱収縮性材料の被覆とを含む。遠位先端が、コアの遠位端に固定されている。近位補強部材は遠位テーパ付き部分を有し、それによってガイドワイヤの剛性の遷移をもたらす。熱収縮性被覆は、ＰＴＦＥの細長いチューブから形成され、遠位１次コイルは、１つまたは複数のニッケルチタン合金ストランドまたはワイヤ、１つまたは複数の白金ワイヤ、あるいはこれらの組合せから形成される。遠位先端は、白金またはタンタル充填エポキシから形成してもよい。

Description

【０００１】
（１．発明の背景）
（発明の分野）
本発明は、広義の概念では、血管インターベンショナル医療用具に関するものであり、より詳細には、治療システムで使用するため、あるいは医療用具を搬送するためのガイドワイヤに関するものである。
【０００２】
（関連技術の説明）
従来の低侵襲性のカテーテルベースの治療は、典型的には、カテーテル内の細長い内腔を通って延びる１〜２メートルの長さのガイドワイヤであって、近位端で回転および押圧可能であり、一方遠位端で柔軟で可撓性のあるガイドワイヤを必要とする。そのようなガイドワイヤの多くはステンレス鋼などから作られており、またガイドワイヤに沿って所望の曲げ性質を提供するようにテーパに研削されている。そのようなガイドワイヤは、血管経路内を通して遠位先端を案内するために、一般に曲げられている遠位先端を操作するためにガイドワイヤの基部から回転させることができることが有用である。そのようなガイドワイヤは、特にガイドワイヤの近位領域で回転可能であり、押圧可能であり、弾性を有している必要があるが、それらはまた、特にガイドワイヤの遠位領域では可撓性も有している必要がある。
【０００３】
カテーテルと共に使用する１つの従来のガイドワイヤは、ポリウレタン、ポリエチレン、ナイロン、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース、スターチ、またはゼラチンなどの材料のシースによって覆われたコア・ワイヤであって、テーパ付き遠位先端部および遠位端キャップを備え、ニッケルチタン合金から形成されたコア・ワイヤを含む。別の従来のガイドワイヤは、ステンレス鋼またはニッケルチタン合金のコアを有する多層ガイドワイヤ（ｃｏｍｐｏｓｉｔｅ ｇｕｉｄｅ ｗｉｒｅ）を有しており、テーパ付き遠位領域が遠位可撓性コイルおよび端部キャップ部分で終端処理されており、またガイドワイヤの主要部分が、ポリスルホン、ポリフルオロカーボン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ブレンド、およびポリエーテルブロックアミドなどのコポリマーといったポリマー材料の薄い層によって覆われている。
【０００４】
しかし、放射線不透過性を伴うより大きな遠位先端可撓性と共に、医師がガイドワイヤをより良く操作できるようにする、堅くて高モジュラスの補強により改善された近位剛性を有するガイドワイヤが必要とされている。本発明はこの要件に見合うものである。
【０００５】
（２．発明の概要）
簡便には、概括として、本発明は、より高い近位剛性を増進する近位高モジュラス補強部材を備え、テーパ付き遠位領域および遠位放射線不透過性コイルが放射線不透過性を伴うより高い遠位先端可撓性を提供する、改良された多層ガイドワイヤを提供する。したがって、この多層構造は、有利には、より大きな弾性、剛性の遷移、および先端可撓性を有する多層ガイドワイヤを提供する。ニッケル合金コアを被覆または補強する近位のより堅い高モジュラス部材は、ステンレス鋼やチタンなど高モジュラス金属から形成することができ、医師がガイドワイヤをより良く操作できるようにし、その一方で、遠位コイルは、高い耐久性を有し、ニッケルチタン合金と白金の複合ストランドから形成されている。
【０００６】
したがって、本発明は、近位領域および遠位領域を有するニッケルチタン合金から形成された細長い可撓性コアであって、遠位領域がテーパ付き部分を有するコアと、コアの近位領域を覆うように配置された補強チューブと、コアのテーパ付き遠位領域を覆うように配置された１次コイルとを有し、熱収縮性材料の被覆が、補強部材の少なくとも一部分、コアの中間部分、および１次コイルの少なくとも一部分を覆うように配置され、さらに、コアの遠位端に固定された遠位先端を有する多層ガイドワイヤを提供する。
【０００７】
現在の好ましい実施形態では、コアはニッケルチタン合金ロッド（ｒｏｄ）であるが、コアを、別法として、ニッケルチタン合金の１つまたは複数の細長いストランド、または細長いチューブから形成することができる。別の現在の好ましい態様では、近位補強部材が、細長い研削ステンレス鋼ハイポ・チューブとして形成されるが、補強部材は、別法として、チタン、またはニッケルチタン合金からなる細長いチューブから形成することもできる。別の現在の好ましい態様では、近位補強部材が、遠位テーパ付き部分を設けられて、ガイドワイヤの剛性の遷移をもたらす。現在の好ましい実施形態では、熱収縮性被覆が、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）の細長いチューブから形成されるが、熱収縮性被覆を、例えばポリエチレンなど他の熱収縮性材料から選択することもできる。本発明の別の現在の好ましい態様では、遠位１次コイルが、１つまたは複数のニッケルチタン合金ストランドまたはワイヤから形成されるが、別の現在の好ましい態様では、遠位１次コイルが、１つまたは複数の白金ワイヤ、または１つまたは複数のニッケルチタン合金ストランドと１つまたは複数の白金ワイヤとの組合せから形成される。１つの現在の好ましい実施形態では、遠位先端が白金から形成され、例えば溶接またははんだ付けなどによってコアの遠位端に結合されるが、遠位先端を、コアの遠位端に接着結合されたタンタル充填エポキシ（ｔａｎｔａｌｕｍ ｆｉｌｌｅｄ ｅｐｏｘｙ）など他の材料から形成することもできる。
【０００８】
本発明のこれらおよびその他の態様および利点は、本発明の特徴を例として示した以下の詳細な説明および添付図面から明らかになる。
【０００９】
（３．好ましい実施形態の詳細な説明）
血管治療インターベンションのために使用されるガイドワイヤは、通常、ガイドワイヤの近位領域で回転可能であり、押圧可能であり、弾性を有する必要があり、またガイドワイヤの遠位領域で可撓性を有する必要がある。テーパの付いたガイドワイヤは、近位の剛性および回転可能性から遠位の可撓性まで提供可能であり、一方そのようなガイドワイヤの近位剛性を向上することで、ガイドワイヤを操作する医師がガイドワイヤの遠位位置決めをより良く制御することが可能である。
【００１０】
図面に例示されるように、本発明は、図１に例示される多層ガイドワイヤ１０であって、近位領域１４および遠位領域１６を有し、好ましくはニチノール（Ｎｉｔｉｎｏｌ）などのニッケルチタン合金から形成された細長い可撓性の中心コア１２を有する多層ガイドワイヤ１０として実施される。コアの遠位領域は、ガイドワイヤの遠位領域で可撓性が徐々に大きく遷移するように、テーパ付き部分１８を含むことが好ましい。コアは、好ましくは、図２に例示されるように細長いロッドとして形成されるが、コアを、図３に示されるようにニチノールなどのニッケルチタン合金からなる１つまたは複数のストランド２０から形成することもできる。１つまたは複数のストランドは、螺旋状に巻くことができ、あるいはガイドワイヤの長さに沿って長手方向に平行に延びていてもよい。別法として、コアは、図４に示されるようにニチノールなどのニッケルチタン合金から作成されたハイポ・チューブなどの細長いチューブ２２から形成することもできる。
【００１１】
近位補強チューブ２４が、好ましくはコアの近位領域を覆って配置されており、この補強チューブは、好ましくはテーパ付き遠位部分２６を有し、それによってガイドワイヤの剛性の遷移をもたらす。近位補強部材は、現在、好ましくは細長い研削ステンレス鋼ハイポ・チューブから形成されるが、この補強部材を、別法として、チタン、またはニチノールなどのニッケルチタン合金からなる細長いチューブから形成してもよい。
【００１２】
１次コイル（プライマリ・コイル）２８が、好ましくは、例えば溶接、はんだ、またはシアノアクリレートなどの接着剤によって、コアのテーパ付き遠位領域を覆うように接合されている。１次コイルは、現在、好ましくは、上述した１つまたは複数のニッケルチタン合金ストランドまたはワイヤ、１次コイルに放射線不透過性を提供するための１つまたは複数の白金ワイヤ、あるいは１つまたは複数のニッケルチタン合金ストランドと１つまたは複数の白金ワイヤとの組合せから形成される。遠位先端３０は、好ましくはコアの遠位端３２および１次コイルの遠位端３２に固定される。１つの目下の好ましい実施形態では、遠位先端が白金から形成されて、例えば溶接やはんだ付けなどによってコアの遠位端に結合されているが、遠位先端を、コアの遠位端および１次コイルの遠位端に接着結合されたタンタル充填エポキシなど他の材料から形成することもできる。
【００１３】
また、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）の細長いチューブなどの熱収縮性ポリマー材料の外側被覆３４が、好ましくは、少なくとも補強部材の遠位部分３６、コアの中間部分３８、および遠位１次コイルの少なくとも一部分４０を覆うように配置される。熱収縮性被覆はまた、例えばポリエチレンなど他の同様の適切な熱収縮性材料から選択することもできる。
【００１４】
本発明の特定の形態を例示し説明してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正を施すことができることが前述したことから明らかであろう。したがって、頭記の特許請求の範囲以外によって本発明を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【図１】
本発明の多層ガイドワイヤの長手方向概略断面図である。
【図２】
図１の線２−２に沿って取られた横方向断面図である。
【図３】
第１の代替の好ましい実施形態を例示する、図２と同様の横方向断面図である。
【図４】
第２の代替の好ましい実施形態を例示する、図２と同様の横方向断面図である。
【図５】
図１の線５−５に沿って取られた横方向断面図である。
【図６】
図１の線６−６に沿って取られた横方向断面図である。
【図７】
図１の線７−７に沿って取られた横方向断面図である。
【図８】
図１の線８−８に沿って取られた横方向断面図である。

Claims (17)

1. ニッケルチタン合金製の複数のストランドから形成された可撓性を有する細長いコアであって、近位領域および遠位領域を有し、該遠位領域がテーパ付き部分を有しているコアと、
   前記コアの前記近位領域上に配置された補強チューブであって、遠位テーパ付き部分を含む補強チューブと、
   前記コアの前記テーパ付き遠位領域上に配置された１次コイルと、
   前記補強部材の少なくとも一部分、前記コアの中間部分、および前記１次コイルの少なくとも一部分の上に配置された熱収縮性材料からなる被覆と、
   前記コアの遠位端に固定された遠位先端とを有する多層ガイドワイヤ。
2. 前記補強チューブが、細長い研削ステンレス鋼ハイポ・チューブを含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
3. 前記補強チューブがチタンを含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
4. 前記補強チューブがニッケルチタン合金を含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
5. 前記補強チューブが遠位テーパ付き部分を含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
6. 熱収縮性材料からなる前記被覆が、ポリテトラフルオロエチレンの細長いチューブを含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
7. 前記１次コイルが、少なくとも１つのニッケルチタン合金ストランドを含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
8. 前記１次コイルが、少なくとも１つの白金ワイヤを含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
9. 前記１次コイルが、少なくとも１つの白金ワイヤをさらに含む請求項７に記載の多層ガイドワイヤ。
10. 前記遠位先端が白金を含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
11. 前記遠位先端がタンタル充填エポキシを含む請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
12. 前記複数のストランドが螺旋状に巻かれている請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
13. 前記複数のストランドが、ガイドワイヤの長さに沿って長手方向に平行に延びている請求項１に記載の多層ガイドワイヤ。
14. ニッケルチタン合金から形成された可撓性を有する細長いコアであって、近位領域および遠位領域を有し、該遠位領域がテーパ付き部分を有しているコアと、
    前記コアの前記近位領域上に配置された補強チューブであって、遠位テーパ付き部分を含む補強チューブと、
    前記コアの前記テーパ付き遠位領域上に配置された１次コイルと、
    前記補強部材の少なくとも一部分、前記コアの中間部分、および前記１次コイルの少なくとも一部分の上に配置された熱収縮性材料からなる被覆と、
    前記コアの遠位端に固定された遠位先端とを有する多層ガイドワイヤ。
15. 前記細長い可撓性コアが、ロッドを含む請求項１４に記載の多層ガイドワイヤ。
16. 前記細長い可撓性コアが少なくとも１つのストランドを含む請求項１４に記載の多層ガイドワイヤ。
17. 前記細長い可撓性コアがハイポ・チューブを含む請求項１４に記載の多層ガイドワイヤ。