JP2004511579A - 低硫黄/低芳香族化合物留出油燃料 - Google Patents
低硫黄/低芳香族化合物留出油燃料 Download PDFInfo
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Abstract
留出油燃料組成物であって、約190℃〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、約50wppm未満の硫黄レベル、約5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、約1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が約11より大きい、留出油燃料組成物。
Description
【0001】
関連出願への相互参照
これは、1998年12月8日出願の米国特許仮出願第60/111,346号からの優先権を主張する1999年12月7日出願の米国出願第09/457,434号の一部継続出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は、留出油燃料組成物であって、約190℃〜400℃の範囲内で沸騰し約50wppm未満の硫黄レベル、約5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、約1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率、200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重を有する留出油燃料組成物に関する。
【0003】
発明の背景
ディーゼル燃料は、主として高い燃料経済性のために自動車輸送において広く用いられている。しかし、こうした燃料を内燃機関内で燃焼するときの問題の一つは、環境に放出される排気ガス中の汚染物質である。例えば、ディーゼル排気ガス中の最も一般的な汚染物質の一部は、窒素酸化物(以後「NOx」と略す)、粒子状物質(特に、煤、吸着された炭化水素および硫酸塩など)、未燃焼炭化水素および大した程度ではないが一酸化炭素である。ディーゼル燃料排気ガスからの二酸化硫黄排出物も、NOxおよび微粒子排出物を減少させるように設計された後処理装置との相性に起因して、ますます問題になりつつあり、よって機能効率に悪影響を及ぼす。硫黄酸化物は、水素化脱硫によるなどの精製運転を通してディーゼル自体内の硫黄レベルを減少させることにより相当に減少してきた。しかし、徐々により低いディーゼル駆動車排気ガス排出物、特にNOxおよび粒子状物質を要求してますます厳しくなる世界的な規制の動きに対処するために一層の進歩が要求される。二種の汚染物質、すなわち、NOxと粒子状物質との間に既定の相殺条件が存在し、よって所定のエンジンおよび運転条件において一方の増加は他方の減少につながる。
【0004】
こうした大要の典型的な例は、250〜495wppmの硫黄、5〜8.6重量%の多環式芳香族化合物(PNA)および10〜23.9重量%の全芳香族化合物を含むディーゼル油組成物が開示されている米国特許第5,792,339号である。同時に、硫黄感受性の後処理技術が更に進歩することにより、ディーゼル燃料中のより低い硫黄レベルに対する要求が高まることにつながってきた。
【0005】
全芳香族化合物および多環式芳香族化合物の測定のために報告されてきた様々な分析技術がある。以後に続く議論と請求の範囲において、芳香族化合物および多環式芳香族化合物(PNA)は、特に指示しない限り、試験番号IP391/95によって定義されたような高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって測定される。IP391/95は、「IP Standard Methods for Analysis and Testing of Petroleum & Related Products,and British Standard 2000Parts」,58th edition,Febrary,1999に記載されている。この刊行物は本明細書に引用して援用する。燃料の10%が回収された温度(T10)および燃料の95%が回収された温度(T95)を規定するASTM D2887に準拠してガスクロマトグラフによって沸点範囲蒸留の確認を行った。
【0006】
PNAを低減させる水素化脱硫プロセスは、典型的には、一環式芳香族化合物を低減させるとともに所望よりも高い水素消費をもたらす。硫黄含有率の低減を要求する法律も予想される。例えば、2005年について欧州連合内で販売されようとする留出油燃料に関する硫黄制限案は、50wppm以下である。さらに、カリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board)(CARB)標準ディーゼルおよびスエーデンクラス1ディーゼルに関する許容可能な最大全芳香族化合物レベルが、それぞれ10体積%および5体積%である。さらに、CARB標準燃料は、1.4体積%より多いポリ芳香族化合物(PNA)を許容していない。欧州においては、2000年から、ディーゼル燃料中の多環式芳香族化合物含有率の制限は、11重量%に設定されたが、燃料の全芳香族化合物含有率(一環式芳香族化合物を含める)に関しての制限は設定されなかった。その結果として、これらの規制案のゆえに多くの研究が水素化処理技術において現在行われている。
【0007】
水素化処理、すなわち硫黄除去の場合には水素化脱硫は、当業界で周知であり、典型的には、水素化処理条件において担持触媒の存在下で石油ストリームを水素で処理することを必要とする。触媒は、通常は、促進剤として一種以上の第VIII族金属を耐熱性担体上に有する第VI族金属を含む。水素化脱窒素のみならず水素化脱硫のために、特に適する水素化処理触媒は、一般に、第VIII族金属としてコバルト、ニッケル、鉄またはそれらの組み合わせで促進されたアルミナ担体上の第VI族金属としてモリブデンまたはタングステンを含有する。アルミナ触媒上のコバルト促進モリブデンは、制限仕様が水素化脱硫であるときに最も広く用いられ、他方、アルミナ触媒上のニッケル促進モリブデンは、水素化脱硫のみでなく、水素化脱窒素、部分芳香族飽和のために最も広く用いられる。
【0008】
より効率的な水素化処理プロセスに関する要求を満たすために、より活性な触媒を開発するとともに反応容器設計を改善するためにも多くの研究が行われている。種々の改善されたハードウェア構成が提案されてきた。こうした一つの構成は、原料油が連続触媒床を通して下方に流れ、典型的には水素含有処理ガスである処理ガスも、原料油と並流で下方に流れる並流設計である。もう一つの構成は、典型的には水素含有処理ガスである上昇処理ガスと反対の方向に原料油が連続触媒床を通して下方に流れる向流設計である。硫黄および窒素感受性触媒に対して有害なH2SおよびNH3などのヘテロ原子成分を上昇処理ガスが持ち去るので、原料の流れを基準として下流触媒床は、高性能であるがその他の点についてはより硫黄感受性触媒を含有することが可能である。
【0009】
他のプロセス構成には、単一反応容器または別個の反応容器のいずれかにおいて多反応段の使用が含まれる。ヘテロ原子成分のレベルが連続的により低くなるので、より硫黄感受性の触媒を下流段で用いることが可能である。これに関して、欧州特許出願第93200165.4号には、単一反応容器内で行われるこうした二段水素化処理プロセスが教示されている。
【0010】
低排出物の要求条件の一部を満たす留出油燃料組成物が教示されている。例えば、米国特許第5,389,111号には、約13〜20重量%の範囲の芳香族化合物含有率、約54〜60のセタン価を有するディーゼル燃料組成物が教示されており、こうしたセタン価および芳香族化合物含有率は、当該特許の図1において規定された特定の領域(area)内である。米国特許第5,389,112号には、約14.3〜19.7重量%の範囲の芳香族化合物含有率、約53.4〜60.8のセタン価を有する低排出物ディーゼル燃料組成物が教示されており、こうしたセタン価および芳香族化合物含有率は、その特許の図1の特定の領域内に入る。
【0011】
過去数年より低い排出物レベルをもたらす留出油燃料組成物が存在する一方で、遙かにより厳しい環境規制を満たすために必要とされる遙かにより低い排出物レベルを有する燃料が、本技術分野においてなお必要とされている。
【0012】
ディーゼル燃料中の硫黄、PNAおよび全芳香族化合物の量を特定の限度内に制御することにより、排気ガスから放出されるNOxおよび微粒子の量を相乗的に低減させることが可能であることが今見出された。
【0013】
発明の概要
本発明により、留出油燃料組成物であって、約190℃〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、約50wppm未満の硫黄レベル、約5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、約1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が約11より大きい留出油燃料組成物が得られる。
【0014】
本発明の好ましい実施態様において、硫黄レベルが約25wppm未満である。
【0015】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、全芳香族化合物含有率は、10〜15重量%である。
【0016】
本発明のなおもう一つの好ましい実施態様において、多環式芳香族化合物含有率は、約1.0重量%未満である。
【0017】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、T10沸点が約200℃より高い。
【0018】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、API比重が43未満である。
【0019】
本発明のなおもう一つの好ましい実施態様において、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比は、約14より大きい。
【0020】
なおもう一つの好ましい実施態様において、燃料は、好ましくはエンジンからのNOx排出物および微粒子排出物を減少させるために圧縮着火(例えば、ディーゼル)エンジン内で用いられる。より好ましくは、燃料は自動車ディーゼルエンジン内で用いられる。
【0021】
もう一つの実施態様において、本発明は、約190℃〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、約50wppm未満の硫黄レベル、約5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、約1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が約11より大きい留出油を含む燃料組成物であって、(i)一種以上の潤滑助剤、(ii)一種以上の粘度調整剤、(iii)一種以上の酸化防止剤、(iv)一種以上のセタン向上剤、(v)一種以上の分散剤、(vi)一種以上の低温流れ向上剤、(vii)一種以上の金属不活性化剤、(viii)一種以上の腐食防止剤、(ix)一種以上の清浄剤、および(x)一種以上の留出油または品質向上された留出油の少なくとも一種が添加される燃料組成物である。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の排出物が少ない留出油燃料組成物を製造するために適する原料油は、留出範囲およびそれ以上で沸騰する石油系原料油である。こうした原料油は、典型的には、約190〜約400℃、好ましくは約200〜約370℃の沸点範囲を有する。これらの原料油は、通常、約3,000wppmより多い硫黄を含有する。こうした原料油の非制限的な例には、バージン留出油、軽質接触分解サイクル油、軽質コーカー油などが挙げられる。リファイナーが、可能なかぎり多くの硫黄を除去することにより、これらのタイプの原料油を品質向上するとともに芳香族化合物を飽和させることが非常に望ましい。
【0023】
留出油燃料組成物をどのように製造するかは重要ではない。本発明の燃料生成物を製造するために好ましい一つのプロセスを図1に例示する。図1に示したプロセスの図式は、前記段の少なくとも1つにおいてワンスルー(once−through)水素処理ガスだけを用いることによって従来技術を超える改善を提供する。この検討のために、第1の水素化脱硫段階は、硫黄と窒素の両方のレベルを低減させ、硫黄レベルが約1,000wppm未満であり、好ましくは約500wppm未満である。第2の水素化脱硫段階は、約100wppm未満のレベルまで硫黄レベルを低減させる。第3段、すなわち、芳香族化合物水素化(添加)段階は、芳香族化合物の相当な量を飽和させる。本発明の実施において、処理ガス中の水素は、不純物と反応して、不純物をH2S、NH3および水蒸気に転化し、それらは、蒸気流出物の一部として除去され、水素は、またオレフィンおよび芳香族化合物を飽和させる。
【0024】
反応容器の雑多な内部構造物、バルブ、ポンプ、熱電対および伝熱装置などは簡単にするために示していない。図1は、各々が水素化脱硫触媒の床を含む反応域12aおよび12bを備える水素化脱硫反応容器R1を示している。この反応段が唯一の反応域または二つ以上の反応域を備えることが可能であることは言うまでもないであろう。触媒が固定床として反応器内にあることが好ましい。但し、スラリーまたは懸濁気泡塔などの他のタイプの触媒配列を用いることが可能である。非反応域である14aおよび14bは各反応域の下流にある。非反応域は、典型的には触媒がない。すなわち、非反応域は、触媒に対して容器内の空区域である。図示していないが、各反応段または触媒床の上流に液体分配手段を設けてもよい。液体分配手段のタイプは、本発明の実施を制限するとは考えられないが、シーブトレー、バブルキャップトレー、あるいはスプレーノズル、チムニー、チューブなどが付いたトレーなどのトレー設備が好ましい。気液混合装置(図示していない)も、温度制御用の冷却流体(液体または蒸気)を導入する目的で非反応域14a内で用いることが可能である。
【0025】
原料油流れは、第2の水素化脱硫反応段R2からカスケードされるライン10を介した水素含有処理ガスとともにライン10を介して反応容器R1に供給される。用語「カスケードされる」は処理ガスに関連して用いられるとき、処理ガスのストリームが第1反応段の蒸気流出物から分離され、次いで、圧縮機中に送らずに、第2反応段の入口に送られることを意味する。第2反応段は、液体流に対して第1反応段の上流にまたは下流であってもよい。換言すれば、第1及び第2反応段及び関連分離域の相対反応条件は、第一段の気相流出物中の処理ガスの圧力を増大させる必要がなく、第1段からの気相流出物の処理ガスは、当然、第2段へ流れるように調節される。
【0026】
必要ではないが、水素含有処理ガスの全てまたは一部分は、また、ライン18を介して水素化脱硫反応段R1に送られてもよい。この付加的な水素含有処理ガスは、典型的にカスケードされるか、ないしは他の方法で、ナフサ水素精製装置(hydrofiner)など、別の製油所プロセス装置から得られる。S1からの蒸気流出物を、(i)ライン20、22、及び16を介して再循環させてもよく、(ii)ライン50を介して前記プロセスから除去するか、または(iii)(i)と(ii)とを組み合わせて用いてもよい。水素処理ガスに関して本明細書において用いられるときに「再循環する」という用語は、反応段の入口に送られる前に圧力を増大させるためにガス圧縮機23を通過する一つの段からの蒸気流出物として分離された水素含有処理ガスのストリームを表す意図である。圧縮機は、また、水素再循環ストリームからのH2Sなどの好ましくない化学種を除去するスクラバーも一般に含むことに注意するべきである。原料油および水素含有処理ガスは、水素化脱硫段階R1の一つ以上の反応域を並流で通過し、原料ストリームから相当な量のヘテロ原子、好ましくは硫黄を除去する。第1の水素化脱硫段階が耐熱性担体上でCo−MoまたはNi−Moを含む触媒を含有することが好ましい。
【0027】
本明細書において用いられる「水素化脱硫」という用語は、ヘテロ原子、好ましくは硫黄および窒素の除去のため、および芳香族化合物の多少の水素添加のために、主に活性である適する触媒の存在下で水素含有処理ガスを用いるプロセスを指す。本発明の反応容器R1内で用いるために適する水素化脱硫触媒には、比較的広い表面積の耐熱性担体材料、好ましくはアルミナ上に少なくとも一種の第VIII族金属、好ましくはFe、CoまたはNi、より好ましくはCoおよび/またはNi、最も好ましくはCo、および少なくとも一種の第VI族金属、好ましくはMoまたはW、より好ましくはMoを含むものなどの従来の水素化脱硫触媒が挙げられる。他の適する水素化脱硫触媒担体には、シリカ、ゼオライト、非晶質シリカ−アルミナおよびチタニア−アルミナなどの耐熱性酸化物が挙げられる。Pなどの添加剤も存在することが可能である。一種より多い水素化脱硫触媒を同じ反応容器内で、そして同じ反応域内で使用することは本発明の範囲内である。第VIII族金属は、典型的には約2〜20重量%、好ましくは約4〜15重量%の範囲の量で存在する。第VI族金属は、典型的には約5〜50重量%、好ましくは約10〜40重量%、より好ましくは約20〜30重量%の範囲の量で存在する。すべての金属重量%は、触媒の重量を基準にしている。典型的な水素化脱硫温度は、全圧が約50psig〜約3,000psig、好ましくは約100psig〜約2,500psig、より好ましくは約150〜500psigで、約200℃〜約400℃の範囲である。より好ましい水素分圧は、約50〜2,000psig、最も好ましくは約75〜800psigである。
【0028】
組み合わされた液相/気相生成物ストリームは、ライン24を介して水素化脱硫段階R1から流出し、分離域S1に進み、そこで液相生成物ストリームは、気相生成物ストリームから分離される。液相生成物ストリームは、典型的には、約190℃〜約400℃の範囲内で沸騰する成分を有するストリームであるが、原料ストリームより高い上方沸点範囲をもたない。気相生成物ストリームは、ライン20を介して塔頂で集められる。分離域S1からの液体反応生成物は、ライン26を介して水素化脱硫段階R2に通され、反応域28aおよび28bを通って下方に通される。非反応域は、29aおよび29bによって表されている。
【0029】
芳香族化合物水素化段階R3からカスケードされると共に原料油と並流に送られる水素含有処理ガスは、ライン30を介して反動段階R2に導入される。記載したように、用語「カスケードされる」は、処理ガスが、水素化段階など、下流反応段から同じかまたはより低い圧力にある上流段に流れ、このようにガスが圧縮される必要がない。必要ではないが、処理ガスのすべてまたは一部分がライン32を介してR2に加えられてもよく、付加的な処理ガスは、ナフサ水素精製装置などの、製油所プロセス装置からのものであってもよい。処理ガス中に含有された水素の導入速度が、この速度の化学的水素消費の3倍以下、より好ましくは約2倍未満であり、最も好ましくは約1.5倍未満であることが好ましい。原料ストリームおよび水素含有処理ガスは、水素化脱硫段階R2の一つ以上の反応域を並流で通過し、好ましくは原料ストリームが約50wppm未満の硫黄、より好ましくは25wppm未満の硫黄を有するレベルまで相当な量の残留硫黄を除去する。
【0030】
本発明において反応容器R2内で用いるために適する水素化脱硫触媒には、R1において用いるために前述したものなどの従来の水素化脱硫触媒が挙げられる。貴金属触媒も使用でき、好ましくは、貴金属は、PtおよびPdまたはそれらの組み合わせから選択される。Pt、Pdまたはそれらの組み合わせは、典型的には約0.5〜5重量%、好ましくは約0.6〜1重量%の範囲の量で存在する。典型的な水素化脱硫温度は、全圧が約50psig〜約3,000psig、好ましくは約100psig〜約2,500psig、より好ましくは約150〜1,500psigで、約200℃〜約400℃の範囲である。より好ましい水素分圧は、約50〜2,000psig、最も好ましくは約75〜1,000psigである。好ましくは、R2出口圧力は約500〜約1000psigの範囲である。
【0031】
第2の水素化脱硫段階R2からの反応生成物を、ライン38を介して第2の分離域S2に送り、そこにおいて、水素を含有する蒸気生成物を塔頂で回収し、ライン34及び16を介して水素化脱硫段階Rlに、またはライン34及び35を介して再循環のいずれか、または両方に送る。あるいは、S2の蒸気生成物のすべてまたは一部分を前記プロセスから除去してもよい。液体留分を、ライン39を介して芳香族化合物水素化段階R3に送り、そこにおいて、それが、下方に反応域36a及び36b中に流れる。R2及びR3のそれらに似た非反応域は、37a及び37bによって表される。R3の反応域を通って下方に送られる前に、前記液体留分を最初に、ストリッピング域(図示せず)で接触させ、閉じ込められた蒸気成分を液体ストリームから除去することができる。例えば、液体生成物ストリームがストリッピング域を通って流れるとき、それは、原料油不純物(H2S及びNH3)の少なくとも一部分を液体から蒸気に移すために有効な条件下で水素含有処理ガスを上流に流すことによって接触される。残存しているH2S及びNH3の少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%を、下流に流れる液体ストリームから除去することが好ましい。接触手段は、ラッシングリング(rashig ring)、バールサドル、ワイヤメッシュ、リボン、オープンハニカムの他、バブルキャップトレー及び他の装置などのガス−液体接触トレーなど、何れかの周知の蒸気−液体接触手段を含む。ストリッピング域が反応容器R3の一部であってもよく、またはそれは別個の容器であってもよいことは、この発明の範囲内である。この図は処理ガスが原料油の流れに向流に流れる向流方式で運転される水素化段階を示すが、水素化段階が並流方式でも運転され得ることは理解されるはずである。
【0032】
新鮮水素含有処理ガスを、ライン40を介して反応段R3中に導入し、液体反応生成物の流れに反対の上昇方向に送った。処理ガス速度は、好ましくは約400〜1,200scf/bbl(1バレル当たりの標準立方フィート)、より好ましくは、約500〜1,000scf/bblである。清浄な処理ガス(H2S及びNH3を実質的に含まないガス)の導入は、H2S及びNH3とH2分圧の増大とによって及ぼされた触媒に対する活性抑制効果の低減のために反応段R3がより効率的に運転されることを可能にする。このタイプの多段式運転は、硫黄及び窒素を十分に除去するために、またはより感受性の触媒(すなわち、水素化分解、芳香族飽和など)が第2の反応装置内で用いられるとき、特に魅力がある。本発明のもう1つの利点は、処理ガス速度がより以前のプロセスと比較して相対的に小さいということである。相対的に小さい処理ガス速度の使用は、主に予め、水素処理された蒸留物原料油の使用による。処理ガスの再循環を必要としないことによって、更に効率が得られる。換言すれば、1つの実施態様においてR3で用いた処理ガスは、ワンスルー処理ガスである。
【0033】
液体ストリーム及び処理ガス液体は、1つ以上の触媒床、または反応域、36a及び36bを通って互いに向流に送られる。得られた液体生成物ストリームは、ライン42を介して反応段R3を出て、水素含有蒸気生成物ストリームが反応段R3を出て、ライン30を介して反応段R2にカスケードされる。この第2反応段の反応域で用いた触媒は、何れの適した芳香族化合物飽和触媒であってもよい。芳香族化合物水素化触媒の非制限的な実施例には、ニッケル、コバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン、ニッケル−タングステン、及び貴金属含有触媒などがある。貴金属触媒が好ましい。貴金属触媒の非制限的な実施例には、白金及び/またはパラジウムベースの触媒があり、それは、好ましくは適した担体材料の上に、典型的にはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、キースラガー、ケイソウ土、マグネシア、及びジルコニアなどの耐熱性酸化物材料の上に担持される。ゼオライト担体もまた用いることができる。こうした触媒は、典型的に硫黄及び窒素の抑止または毒作用を受けやすい。芳香族飽和段階は、好ましくは約40℃〜約400℃、より好ましくは約200℃〜約350℃の温度で、約100psig〜約3,000psig、好ましくは約200〜1,200psigの圧力で、約0.3V/V/Hr〜約10V/V/Hr、好ましくは約1〜5V/V/Hrの液体毎時空間速度(LHSV)で運転される。
【0034】
図は、幾つかのオプションも示している。例えば、ライン44〜R2及びライン46〜R3は、液体または気体のいずれかであってもよい冷却流体を搬送することが可能である。水素は、好ましい気体冷却流体であり、ケロシンは、好ましい液体冷却流体である。
【0035】
本発明の実施に用いた反応段が、所望の反応のための適した温度及び圧力で運転される間、それらは好ましくは、R2及びR3からRlまでカスケードする処理ガスを提供するように、及びR2でワンスルー処理ガスを提供するように調節される。例えば、代表的な水素処理温度が約50psig〜約3,000psigの圧力で約20℃〜約400℃であるが、反応条件、特に反応圧力は概して、所望の処理ガス流を提供して圧縮機などの補助的な圧力調節装置の必要を最小にするか、または好ましくは、除くように調節される。
【0036】
水素化段階が、異なった温度で運転される2つ以上の反応域を備えることもまた、この発明の範囲内である。すなわち、反応域の少なくとも1つが、他の領域よりも少なくとも25℃、好ましくは少なくとも50℃、低温で運転される。原料油の流れに対して、最終下流反応域が、前記低温で運転される反応域であることが好ましい。
【0037】
水素処理の目的で、且つ本発明の背景において、「水素」および「水素含有処理ガス」という用語は、同義語であり、そして純水素、または意図した反応のために少なくとも十分な量の水素に加えて、反応または生成物のいずれかを不利に妨げたりせず、反応または生成物のいずれかに悪影響を及ぼしたりしない他の気体(例えば、窒素およびメタンなどの軽質炭化水素)をも含有する処理ガスストリームである水素含有処理ガスのいずれかであってもよい。H2SおよびNH3などの不純物は好ましくなく、有意な量で存在するなら、処理ガスをR1反応器に供給する前に通常は処理ガスから除去される。反応段に導入された処理ガスストリームは、好ましくは、少なくとも約50体積%の水素、より好ましくは少なくとも約75体積%の水素、最も好ましくは少なくとも95体積%の水素を含有する。何れかの特定段階の蒸気流出物中の未反応水素を何れかの段階の水素処理のために用いる運転において、当該段階の蒸気流出物が後続の段階のために十分な水素を含有するために、当該段階に導入された新鮮処理ガス中に十分な水素が存在しなければならない。1つの実施態様において、第1段の水素処理のために必要とされる水素の全部または一部が、第1段に供給される第2段の蒸気流出物中に含有されることが好ましい。第1段の蒸気流出物は、冷却されて凝縮し、水素化処理され比較的清浄な、より重質(例えば、C4以上)の炭化水素を回収する。
【0038】
本発明において用いられる反応容器内の液相は、典型的には、より高沸点の原料成分を主として含む。気相は、典型的には、水素含有処理ガス、H2SおよびNH3のようなヘテロ原子不純物、および新鮮原料中の蒸発したより低沸点の成分ならびに水素処理反応の軽質生成物の混合物である。気相流出物が一層の水素処理をなお必要とする場合、気相流出物を、付加的な水素処理触媒を含有する気相反応段に通すことができ、一層の反応のために適する水素処理条件に供することが可能である。あるいは、気相生成物中の炭化水素を、蒸気の冷却を介して凝縮させることが可能であり、得られた凝縮液は、必要ならば反応段のいずれかに再循環される。十分に低レベルのヘテロ原子を既に含有する原料油が芳香族飽和及び/またはクラッキングのための反応段に直接に供給されることも、本発明の範囲内である。
【0039】
論じたように、前記好ましいプロセスを用いて、本発明の燃料生成物を形成することができる。こうした留出油燃料生成物は、比較的低い硫黄レベルおよび多環式芳香族化合物(PNA)レベルならびに多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比較的高い比を有することを特徴とする。こうした留出油燃料は、ディーゼルエンジン、特にいわゆる「リーンバーン」ディーゼルエンジンなどの圧縮着火エンジン内で用いてもよい。こうした燃料は、(i)硫黄感受性NOx転化排気ガス触媒、(ii)微粒子トラップを含めてエンジン排気ガス微粒子排出物低減技術、および(iii)(i)と(ii)の組み合わせを用いる自動車ディーゼルシステムなどの圧縮着火エンジンシステムと適合性である。こうした留出油燃料は、中レベルの全芳香族化合物を有し、より清浄に燃焼するディーゼル燃料を製造するコストを下げ、プロセス中で消費される水素の量を最小にすることによりCO2排出物も低減させる。一実施態様において、本発明の留出組成物は、約50wppm未満であり、好ましくは約25wppm未満であり、より好ましくは約10wppm、最も好ましくは約5wppm未満の硫黄を含有する。それらは、約5〜15重量%、好ましくは約10〜15重量%の全芳香族化合物含有率も有する。本発明の実施によって得られた留出生成物組成物のPNA含有率は、約1.5重量%未満であり、好ましくは約1.0重量%未満であり、より好ましくは約0.5重量%未満である。PNAに対する芳香族化合物の比は、少なくとも約11、好ましくは少なくとも約14、より好ましくは少なくとも約17である。別の実施態様において、PNAに対する芳香族化合物の比は、少なくとも11〜約50、好ましくは11〜約30、より好ましくは11〜約20の範囲である。
【0040】
多環式芳香族化合物(PNA)という用語は、二個以上の芳香族環を有する芳香族化学種として定義される多環式芳香族化合物をそのアルキル置換誘導体およびオレフィン置換誘導体を含めて意味する意図である。ナフタレンおよびフェナントレンは、PNAの例である。芳香族化合物という用語は、一個以上の芳香族環を含有する化学種をそのアルキル置換誘導体およびオレフィン置換誘導体を含めて意味する意図である。従って、ナフタレンおよびフェナントレンも、ベンゼン、トルエンおよびテトラヒドロナフタレンと共に芳香族化合物と考えられる。PNAがディーゼルエンジンにおける排出物に著しく寄与するので、液体生成物ストリームのPNA含有率を減少させることが望ましい。しかし、経済的理由で水素の消費を最小にするとともに蒸気改質による水素の製造に伴うCO2排出物を最小にすることも望ましい。従って、本発明は、液体生成物中で芳香族化合物の、PNAに対する高い比を得ることにより、これらの両方を達成する。
【0041】
本発明の燃料は、約190℃〜400℃の範囲で沸騰する。全芳香族化合物/PNAの比が11より大(>)である燃料を、一環式芳香族化合物を含有するがPNAをほとんど含有しない多量のより軽質の材料をブレンドすることによって調製することができる。T10沸点が200℃より大きくAPI比重が43未満であるという点で、本発明の燃料はまた、これらから区別される。
【0042】
1つの実施態様において、燃料に、他の蒸留物(留出油)あるいは品質向上蒸留物(留出油)を配合してもよい。記載したように、前記生成物は、潤滑助剤、セタン向上剤などの燃料添加剤の有効量と相溶性である。生成物の多量を好ましくは添加剤の少量と配合するが、燃料添加剤を、燃料の性能を損なわない程度まで使用してもよい。使用された何れかの添加剤の特定量が前記生成物の使用に応じて変化する場合、量は概して、生成物及び添加剤の重量に対して0.05〜2.0重量%の範囲であってもよいが、この範囲に制限されない。添加剤を単独であるいは必要に応じて組合せて用いることができる。
【0043】
【実施例】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供され、何れにしても本発明の範囲を制限するものと解釈しない。
【0044】
実施例1〜3
約10,000〜12,000wppmの硫黄を含有するバージン蒸留物(留出油)供給原料を、以下の代表的な条件下で、すなわち、300〜350psig、150〜180psigの出口H2、75%のH2の処理ガス、500〜700 SCF/Bの処理ガス速度、0.3〜0.45 LHSV、330〜350℃で、従来の商用NiMo/Al2O3(Akzo−Nobel KF842/840)及びCoMo/Al2O3(Akzo−Nobel KF−752)触媒の両方を保有する反応装置を用いて商用水素化脱硫装置(第1の水素化脱硫段階)内で処理した。
【0045】
この第1の水素化脱硫段階からの液体生成物ストリームを第2の水素化脱硫段階への供給ストリームとして用いたが、その生成物ストリームを、以下の表1において原料特性の見出しの下で記載する。この第2の水素化脱硫段階のためのプロセス条件もまた、以下の表1に示す。商用NiMo触媒(2.6重量%のNi及び14.3重量%のMoを含有するCriterion C−411)を実験のすべてに用いた。
【0046】
この第2の水素化脱硫段階からの液体生成物ストリームを、芳香族化合物飽和段階のための供給原料として用いた。商用PtPd触媒(Criterion Synsat−4)を、実験のすべてに用いた。供給原料及び生成物の性質を以下の表に示す。
【0047】
実施例1〜3は、50ppm未満のSを有する生成物を製造することができることを示し、そこにおいて、第2反応段において処理ガス中への水素の導入速度が化学水素消費の3倍以下である。実施例1〜3は、また、PNAsに対する全芳香族化合物の比が約11より大きく、T10沸点が200℃より高い、5〜15重量%の芳香族化合物を有する生成物を製造することができることを示す。
【0048】
【表1】
【0049】
比較例A〜E
比較例A〜Eは、すべて50ppm未満の硫黄を含有する従来の燃料である。比較例A、B、C、及びDは、15重量%より多い全芳香族化合物レベルを有し、本発明の燃料組成物の範囲外である約10未満のPNAに対する全芳香族化合物の比を有する燃料をすべて記載している。比較例Eは、5重量%未満の非常に低い全芳香族化合物レベルを有し、25より大きいPNAに対する全芳香族化合物の比を有するスェーデンクラス1のディーゼルである。5重量%未満の全芳香族化合物を有する生成物は、本発明の範囲外である。
【0050】
【表2】
【0051】
図2の枠の中の部分は、この発明の生成物を規定する。全芳香族化合物/PNA比は、30より大きい可能性がある。図2の横座標は、明快にするために30で切られているが、全芳香族化合物/PNA比が30を超える場合があることは理解されるべきである。全芳香族化合物(5〜15重量%)及び全芳香族化合物/PNA基準のほかに、本発明の好ましい生成物は、約50wppm未満の硫黄レベル、200℃より高いT10沸点、及び43より大きいAPI比重を有する。「FIA」、「MS」および「SFC」という名称は、分析技術として本技術分野に周知である。例えば、「FIA」は蛍光指示薬分析を表し、「MS」は質量分光分析を表し、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィを表す。
【0052】
表3〜6は、本発明の範囲外になる留出油燃料の別の比較例を示している。これらのデータを以下の刊行物から得た。
【0053】
3−1 リー(X.Li)ら、「Comparison of the Exhaust Emissions of Diesel Fuels Derived From Oil Sands and Conventional Crude Oil」,SAE Technical Paper Series982487, Oct.19−22,1988。
3−2 マーチン(B.Martin)ら、「Influence of Future Fuel Formulations on Diesel Engine Emissions−A Joint European Study」,SAE Technical Paper Series972966, Oct.13−16,1997。
3−3 ジェリニ(A.Gerini)ら、「Automotive Direct Injection Diesel Engine Sensitivity to Diesel Fuel Characteristics」,SAE Technical Paper Series972963, Oct.13−16,1997。
3−4 リアン(T.W.Ryan III)ら、「Diesel Fuel Composition Effects on Ignition and Emissions」,SAE Technical Paper Series932735, Oct.18−21,1993。
3−5 ゴンザレス(M.A.Gonzalez)ら、「A Low Emission Diesel Fuel:Hydrocracking Production, Characterization and Engine Evaluations」,SAE Technical Paper Series932731, Oct.18−21,1993。
3−6 マッカーシー(C.I.McCarthy)、「Diesel Fuel Property Effects on Exhaust Emissions from a Heavy Duty Diesel Engine that Meets 1994 Emission Requirements1」,SAE Technical Paper Series922267, Oct.19−22,1992。
3−7 ランゲ(W.W.Lange)、「The Effect of Fuel Properties on Particulates Emissions in Heavy Duty Truck Engines Under Transient Operating Conditions」,SAE Technical Paper Series9212425, Oct.7−10,1991。
3−8 ビートリス(C.Beatrice)ら、「Potentiality of Oxygenated Synthetic Fuel and Reformulated Fuel on Emissions from a Modern DI Diesel Engine」,SAE Technical Paper Series1999−01−3595, Oct.25−28,1999。
3−9 マン(N.Mann)ら、「Fuel Effects on The Low Temperature Performance of Two Generations of Mercedes−Benz Heavy−Duty Diesel Engines」,SAE Technical Paper Series1999−01−3594, Oct.25−28,1999。
3−10 クーレメノス(D.A.Kouremenos)ら、「Experimental Investigation of the Effect of Fuel Composition on the Formation of Pollutants in Direct Injection Diesel Engines」,SAE Technical Paper Series1999−01−0189, Mar.1−4,1999。
3−11 ベルトリ(C.Bertoli)ら、「The Influence of Fuel Composition on Particulate Emissions of DI Diesel Engines」,SAE Technical Paper Series932733, Oct.18−21,1993。
【0054】
全芳香族化合物含有率(重量%)およびPNA(重量%)について報告されたデータを、重量%芳香族化合物/重量%PNAの計算比と共に示している。芳香族化合物およびPNAの測定のための分析試験方法も、硫黄含有率およびT10沸点と共に示している。燃料番号1〜127は、すべて11未満の芳香族化合物/PNA比を有する。燃料番号128〜134は、50wppmより多い硫黄含有率を有する。燃料番号135〜138は、15重量%より多い芳香族化合物含有率を有する。燃料番号139〜150は、5重量%以下の芳香族化合物含有率を有する。燃料番号151〜155は、43以上のAPI比重を有する。そして、燃料番号156〜158は、200℃より低いT10沸点を有する。従って、表3〜6に示したすべての燃料は、本発明の燃料の範囲外となる。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
圧縮着火エンジン中で本発明のディーゼル燃料組成物を用いることにより、汚染物質NOxおよび粒子状物質のレベルが低減される。従って、0.5g/Km未満のNOxおよび0.05g/Km未満の粒子状物質の放出レベルを達成することができる。これらの値/レベルが、芳香族含有率スプリット(すなわち、PNAに対する全芳香族化合物の比)が以下の実施例に示されたように本発明の範囲外になる比較燃料に関する値/レベルより著しく低い。
【0060】
以下の表7に記載された実施例を用いて本発明をさらに例証する。
【0061】
以下のデータを二種の留出油燃料から作成した。従来のCoMo/Al2O3触媒を用いてバージン留出油原料から商用水素化脱硫装置内で第1の燃料である実施例4を調製したが、実施例4は典型的な商用ディーゼル燃料組成物を代表している。第2の燃料である実施例5は、本発明による組成物である。これら二種の燃料の特性を以下の表7に示している。
【0062】
【表7】
【0063】
これらの燃料を従来技術および現代技術を包含する三台の軽量ディーゼル車群、すなわち、ディストリビュータポンプ技術による車両、コモンレール燃料注入技術による車両および電子装置注入器技術による車両で実験した。両方の燃料に関して、平均微粒子排出物および平均NOx排出物を確認するために、コールドスタート法定欧州型認証運転サイクル(ECE+EUDC)を構成する各車両において各燃料を3回試験した(合計で燃料当たり9試験)。その後、排出物、燃料およびエンジンに関する欧州プログラム(EPEFE)および硫黄の作用に関するAutoOil式に準拠して、これらの平均値を両方の燃料に関する予想値と比較し、今用いた燃料の予想性能を確認した。EPEFEプログラムは、燃料のパラメータであるセタン価、密度および多環式芳香族含有率に基づいて多くの車両の排出物性能を予測する、19車両で11のディーゼル燃料の試験による既定の式セットに基づいている。実施例4と実施例5との間の燃料パラメータの相違に基づいて、EPEFE計算により、実施例5の燃料について、より低い粒子状物質排出物およびNOx排出物が予想される。
【0064】
以下の表8に示した結果は、EPEFE計算から得られた排出物の低減の予想値と、実施例5の燃料対実施例4の燃料の平均排出物の低減の実測値との間の平均の差を示している。驚くべきことに、そのデータは、本発明の燃料組成物(実施例5)を用いて達成されたNOx排出物および粒子状物質排出物の低減がEPEFEプログラムで用いた19車両の何れについて予測された低減より実質的に大きかったことと、EPEFE車両群平均より大幅に低いこととを示している。表8において、負の百分率は排出物性能の改善を示している。
【0065】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の留出油燃料組成物を製造するための1つの好ましい方法の図式を示す。この方法の図式は、2つの水素化脱硫段階及び1つの芳香族化合物飽和段階を示す。この図において、下流反応段から上流反応段までカスケードされる水素含有処理ガスも示される。
【図2】
この発明の実施によって製造された生成物のいくつかの性質に関するデータのプロットである。全芳香族化合物含有量は、多環芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比に対してプロットされる。
関連出願への相互参照
これは、1998年12月8日出願の米国特許仮出願第60/111,346号からの優先権を主張する1999年12月7日出願の米国出願第09/457,434号の一部継続出願である。
【0002】
発明の分野
本発明は、留出油燃料組成物であって、約190℃〜400℃の範囲内で沸騰し約50wppm未満の硫黄レベル、約5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、約1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率、200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重を有する留出油燃料組成物に関する。
【0003】
発明の背景
ディーゼル燃料は、主として高い燃料経済性のために自動車輸送において広く用いられている。しかし、こうした燃料を内燃機関内で燃焼するときの問題の一つは、環境に放出される排気ガス中の汚染物質である。例えば、ディーゼル排気ガス中の最も一般的な汚染物質の一部は、窒素酸化物(以後「NOx」と略す)、粒子状物質(特に、煤、吸着された炭化水素および硫酸塩など)、未燃焼炭化水素および大した程度ではないが一酸化炭素である。ディーゼル燃料排気ガスからの二酸化硫黄排出物も、NOxおよび微粒子排出物を減少させるように設計された後処理装置との相性に起因して、ますます問題になりつつあり、よって機能効率に悪影響を及ぼす。硫黄酸化物は、水素化脱硫によるなどの精製運転を通してディーゼル自体内の硫黄レベルを減少させることにより相当に減少してきた。しかし、徐々により低いディーゼル駆動車排気ガス排出物、特にNOxおよび粒子状物質を要求してますます厳しくなる世界的な規制の動きに対処するために一層の進歩が要求される。二種の汚染物質、すなわち、NOxと粒子状物質との間に既定の相殺条件が存在し、よって所定のエンジンおよび運転条件において一方の増加は他方の減少につながる。
【0004】
こうした大要の典型的な例は、250〜495wppmの硫黄、5〜8.6重量%の多環式芳香族化合物(PNA)および10〜23.9重量%の全芳香族化合物を含むディーゼル油組成物が開示されている米国特許第5,792,339号である。同時に、硫黄感受性の後処理技術が更に進歩することにより、ディーゼル燃料中のより低い硫黄レベルに対する要求が高まることにつながってきた。
【0005】
全芳香族化合物および多環式芳香族化合物の測定のために報告されてきた様々な分析技術がある。以後に続く議論と請求の範囲において、芳香族化合物および多環式芳香族化合物(PNA)は、特に指示しない限り、試験番号IP391/95によって定義されたような高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)によって測定される。IP391/95は、「IP Standard Methods for Analysis and Testing of Petroleum & Related Products,and British Standard 2000Parts」,58th edition,Febrary,1999に記載されている。この刊行物は本明細書に引用して援用する。燃料の10%が回収された温度(T10)および燃料の95%が回収された温度(T95)を規定するASTM D2887に準拠してガスクロマトグラフによって沸点範囲蒸留の確認を行った。
【0006】
PNAを低減させる水素化脱硫プロセスは、典型的には、一環式芳香族化合物を低減させるとともに所望よりも高い水素消費をもたらす。硫黄含有率の低減を要求する法律も予想される。例えば、2005年について欧州連合内で販売されようとする留出油燃料に関する硫黄制限案は、50wppm以下である。さらに、カリフォルニア州大気資源局(California Air Resources Board)(CARB)標準ディーゼルおよびスエーデンクラス1ディーゼルに関する許容可能な最大全芳香族化合物レベルが、それぞれ10体積%および5体積%である。さらに、CARB標準燃料は、1.4体積%より多いポリ芳香族化合物(PNA)を許容していない。欧州においては、2000年から、ディーゼル燃料中の多環式芳香族化合物含有率の制限は、11重量%に設定されたが、燃料の全芳香族化合物含有率(一環式芳香族化合物を含める)に関しての制限は設定されなかった。その結果として、これらの規制案のゆえに多くの研究が水素化処理技術において現在行われている。
【0007】
水素化処理、すなわち硫黄除去の場合には水素化脱硫は、当業界で周知であり、典型的には、水素化処理条件において担持触媒の存在下で石油ストリームを水素で処理することを必要とする。触媒は、通常は、促進剤として一種以上の第VIII族金属を耐熱性担体上に有する第VI族金属を含む。水素化脱窒素のみならず水素化脱硫のために、特に適する水素化処理触媒は、一般に、第VIII族金属としてコバルト、ニッケル、鉄またはそれらの組み合わせで促進されたアルミナ担体上の第VI族金属としてモリブデンまたはタングステンを含有する。アルミナ触媒上のコバルト促進モリブデンは、制限仕様が水素化脱硫であるときに最も広く用いられ、他方、アルミナ触媒上のニッケル促進モリブデンは、水素化脱硫のみでなく、水素化脱窒素、部分芳香族飽和のために最も広く用いられる。
【0008】
より効率的な水素化処理プロセスに関する要求を満たすために、より活性な触媒を開発するとともに反応容器設計を改善するためにも多くの研究が行われている。種々の改善されたハードウェア構成が提案されてきた。こうした一つの構成は、原料油が連続触媒床を通して下方に流れ、典型的には水素含有処理ガスである処理ガスも、原料油と並流で下方に流れる並流設計である。もう一つの構成は、典型的には水素含有処理ガスである上昇処理ガスと反対の方向に原料油が連続触媒床を通して下方に流れる向流設計である。硫黄および窒素感受性触媒に対して有害なH2SおよびNH3などのヘテロ原子成分を上昇処理ガスが持ち去るので、原料の流れを基準として下流触媒床は、高性能であるがその他の点についてはより硫黄感受性触媒を含有することが可能である。
【0009】
他のプロセス構成には、単一反応容器または別個の反応容器のいずれかにおいて多反応段の使用が含まれる。ヘテロ原子成分のレベルが連続的により低くなるので、より硫黄感受性の触媒を下流段で用いることが可能である。これに関して、欧州特許出願第93200165.4号には、単一反応容器内で行われるこうした二段水素化処理プロセスが教示されている。
【0010】
低排出物の要求条件の一部を満たす留出油燃料組成物が教示されている。例えば、米国特許第5,389,111号には、約13〜20重量%の範囲の芳香族化合物含有率、約54〜60のセタン価を有するディーゼル燃料組成物が教示されており、こうしたセタン価および芳香族化合物含有率は、当該特許の図1において規定された特定の領域(area)内である。米国特許第5,389,112号には、約14.3〜19.7重量%の範囲の芳香族化合物含有率、約53.4〜60.8のセタン価を有する低排出物ディーゼル燃料組成物が教示されており、こうしたセタン価および芳香族化合物含有率は、その特許の図1の特定の領域内に入る。
【0011】
過去数年より低い排出物レベルをもたらす留出油燃料組成物が存在する一方で、遙かにより厳しい環境規制を満たすために必要とされる遙かにより低い排出物レベルを有する燃料が、本技術分野においてなお必要とされている。
【0012】
ディーゼル燃料中の硫黄、PNAおよび全芳香族化合物の量を特定の限度内に制御することにより、排気ガスから放出されるNOxおよび微粒子の量を相乗的に低減させることが可能であることが今見出された。
【0013】
発明の概要
本発明により、留出油燃料組成物であって、約190℃〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、約50wppm未満の硫黄レベル、約5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、約1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が約11より大きい留出油燃料組成物が得られる。
【0014】
本発明の好ましい実施態様において、硫黄レベルが約25wppm未満である。
【0015】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、全芳香族化合物含有率は、10〜15重量%である。
【0016】
本発明のなおもう一つの好ましい実施態様において、多環式芳香族化合物含有率は、約1.0重量%未満である。
【0017】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、T10沸点が約200℃より高い。
【0018】
本発明のもう一つの好ましい実施態様において、API比重が43未満である。
【0019】
本発明のなおもう一つの好ましい実施態様において、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比は、約14より大きい。
【0020】
なおもう一つの好ましい実施態様において、燃料は、好ましくはエンジンからのNOx排出物および微粒子排出物を減少させるために圧縮着火(例えば、ディーゼル)エンジン内で用いられる。より好ましくは、燃料は自動車ディーゼルエンジン内で用いられる。
【0021】
もう一つの実施態様において、本発明は、約190℃〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、約50wppm未満の硫黄レベル、約5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、約1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が約11より大きい留出油を含む燃料組成物であって、(i)一種以上の潤滑助剤、(ii)一種以上の粘度調整剤、(iii)一種以上の酸化防止剤、(iv)一種以上のセタン向上剤、(v)一種以上の分散剤、(vi)一種以上の低温流れ向上剤、(vii)一種以上の金属不活性化剤、(viii)一種以上の腐食防止剤、(ix)一種以上の清浄剤、および(x)一種以上の留出油または品質向上された留出油の少なくとも一種が添加される燃料組成物である。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の排出物が少ない留出油燃料組成物を製造するために適する原料油は、留出範囲およびそれ以上で沸騰する石油系原料油である。こうした原料油は、典型的には、約190〜約400℃、好ましくは約200〜約370℃の沸点範囲を有する。これらの原料油は、通常、約3,000wppmより多い硫黄を含有する。こうした原料油の非制限的な例には、バージン留出油、軽質接触分解サイクル油、軽質コーカー油などが挙げられる。リファイナーが、可能なかぎり多くの硫黄を除去することにより、これらのタイプの原料油を品質向上するとともに芳香族化合物を飽和させることが非常に望ましい。
【0023】
留出油燃料組成物をどのように製造するかは重要ではない。本発明の燃料生成物を製造するために好ましい一つのプロセスを図1に例示する。図1に示したプロセスの図式は、前記段の少なくとも1つにおいてワンスルー(once−through)水素処理ガスだけを用いることによって従来技術を超える改善を提供する。この検討のために、第1の水素化脱硫段階は、硫黄と窒素の両方のレベルを低減させ、硫黄レベルが約1,000wppm未満であり、好ましくは約500wppm未満である。第2の水素化脱硫段階は、約100wppm未満のレベルまで硫黄レベルを低減させる。第3段、すなわち、芳香族化合物水素化(添加)段階は、芳香族化合物の相当な量を飽和させる。本発明の実施において、処理ガス中の水素は、不純物と反応して、不純物をH2S、NH3および水蒸気に転化し、それらは、蒸気流出物の一部として除去され、水素は、またオレフィンおよび芳香族化合物を飽和させる。
【0024】
反応容器の雑多な内部構造物、バルブ、ポンプ、熱電対および伝熱装置などは簡単にするために示していない。図1は、各々が水素化脱硫触媒の床を含む反応域12aおよび12bを備える水素化脱硫反応容器R1を示している。この反応段が唯一の反応域または二つ以上の反応域を備えることが可能であることは言うまでもないであろう。触媒が固定床として反応器内にあることが好ましい。但し、スラリーまたは懸濁気泡塔などの他のタイプの触媒配列を用いることが可能である。非反応域である14aおよび14bは各反応域の下流にある。非反応域は、典型的には触媒がない。すなわち、非反応域は、触媒に対して容器内の空区域である。図示していないが、各反応段または触媒床の上流に液体分配手段を設けてもよい。液体分配手段のタイプは、本発明の実施を制限するとは考えられないが、シーブトレー、バブルキャップトレー、あるいはスプレーノズル、チムニー、チューブなどが付いたトレーなどのトレー設備が好ましい。気液混合装置(図示していない)も、温度制御用の冷却流体(液体または蒸気)を導入する目的で非反応域14a内で用いることが可能である。
【0025】
原料油流れは、第2の水素化脱硫反応段R2からカスケードされるライン10を介した水素含有処理ガスとともにライン10を介して反応容器R1に供給される。用語「カスケードされる」は処理ガスに関連して用いられるとき、処理ガスのストリームが第1反応段の蒸気流出物から分離され、次いで、圧縮機中に送らずに、第2反応段の入口に送られることを意味する。第2反応段は、液体流に対して第1反応段の上流にまたは下流であってもよい。換言すれば、第1及び第2反応段及び関連分離域の相対反応条件は、第一段の気相流出物中の処理ガスの圧力を増大させる必要がなく、第1段からの気相流出物の処理ガスは、当然、第2段へ流れるように調節される。
【0026】
必要ではないが、水素含有処理ガスの全てまたは一部分は、また、ライン18を介して水素化脱硫反応段R1に送られてもよい。この付加的な水素含有処理ガスは、典型的にカスケードされるか、ないしは他の方法で、ナフサ水素精製装置(hydrofiner)など、別の製油所プロセス装置から得られる。S1からの蒸気流出物を、(i)ライン20、22、及び16を介して再循環させてもよく、(ii)ライン50を介して前記プロセスから除去するか、または(iii)(i)と(ii)とを組み合わせて用いてもよい。水素処理ガスに関して本明細書において用いられるときに「再循環する」という用語は、反応段の入口に送られる前に圧力を増大させるためにガス圧縮機23を通過する一つの段からの蒸気流出物として分離された水素含有処理ガスのストリームを表す意図である。圧縮機は、また、水素再循環ストリームからのH2Sなどの好ましくない化学種を除去するスクラバーも一般に含むことに注意するべきである。原料油および水素含有処理ガスは、水素化脱硫段階R1の一つ以上の反応域を並流で通過し、原料ストリームから相当な量のヘテロ原子、好ましくは硫黄を除去する。第1の水素化脱硫段階が耐熱性担体上でCo−MoまたはNi−Moを含む触媒を含有することが好ましい。
【0027】
本明細書において用いられる「水素化脱硫」という用語は、ヘテロ原子、好ましくは硫黄および窒素の除去のため、および芳香族化合物の多少の水素添加のために、主に活性である適する触媒の存在下で水素含有処理ガスを用いるプロセスを指す。本発明の反応容器R1内で用いるために適する水素化脱硫触媒には、比較的広い表面積の耐熱性担体材料、好ましくはアルミナ上に少なくとも一種の第VIII族金属、好ましくはFe、CoまたはNi、より好ましくはCoおよび/またはNi、最も好ましくはCo、および少なくとも一種の第VI族金属、好ましくはMoまたはW、より好ましくはMoを含むものなどの従来の水素化脱硫触媒が挙げられる。他の適する水素化脱硫触媒担体には、シリカ、ゼオライト、非晶質シリカ−アルミナおよびチタニア−アルミナなどの耐熱性酸化物が挙げられる。Pなどの添加剤も存在することが可能である。一種より多い水素化脱硫触媒を同じ反応容器内で、そして同じ反応域内で使用することは本発明の範囲内である。第VIII族金属は、典型的には約2〜20重量%、好ましくは約4〜15重量%の範囲の量で存在する。第VI族金属は、典型的には約5〜50重量%、好ましくは約10〜40重量%、より好ましくは約20〜30重量%の範囲の量で存在する。すべての金属重量%は、触媒の重量を基準にしている。典型的な水素化脱硫温度は、全圧が約50psig〜約3,000psig、好ましくは約100psig〜約2,500psig、より好ましくは約150〜500psigで、約200℃〜約400℃の範囲である。より好ましい水素分圧は、約50〜2,000psig、最も好ましくは約75〜800psigである。
【0028】
組み合わされた液相/気相生成物ストリームは、ライン24を介して水素化脱硫段階R1から流出し、分離域S1に進み、そこで液相生成物ストリームは、気相生成物ストリームから分離される。液相生成物ストリームは、典型的には、約190℃〜約400℃の範囲内で沸騰する成分を有するストリームであるが、原料ストリームより高い上方沸点範囲をもたない。気相生成物ストリームは、ライン20を介して塔頂で集められる。分離域S1からの液体反応生成物は、ライン26を介して水素化脱硫段階R2に通され、反応域28aおよび28bを通って下方に通される。非反応域は、29aおよび29bによって表されている。
【0029】
芳香族化合物水素化段階R3からカスケードされると共に原料油と並流に送られる水素含有処理ガスは、ライン30を介して反動段階R2に導入される。記載したように、用語「カスケードされる」は、処理ガスが、水素化段階など、下流反応段から同じかまたはより低い圧力にある上流段に流れ、このようにガスが圧縮される必要がない。必要ではないが、処理ガスのすべてまたは一部分がライン32を介してR2に加えられてもよく、付加的な処理ガスは、ナフサ水素精製装置などの、製油所プロセス装置からのものであってもよい。処理ガス中に含有された水素の導入速度が、この速度の化学的水素消費の3倍以下、より好ましくは約2倍未満であり、最も好ましくは約1.5倍未満であることが好ましい。原料ストリームおよび水素含有処理ガスは、水素化脱硫段階R2の一つ以上の反応域を並流で通過し、好ましくは原料ストリームが約50wppm未満の硫黄、より好ましくは25wppm未満の硫黄を有するレベルまで相当な量の残留硫黄を除去する。
【0030】
本発明において反応容器R2内で用いるために適する水素化脱硫触媒には、R1において用いるために前述したものなどの従来の水素化脱硫触媒が挙げられる。貴金属触媒も使用でき、好ましくは、貴金属は、PtおよびPdまたはそれらの組み合わせから選択される。Pt、Pdまたはそれらの組み合わせは、典型的には約0.5〜5重量%、好ましくは約0.6〜1重量%の範囲の量で存在する。典型的な水素化脱硫温度は、全圧が約50psig〜約3,000psig、好ましくは約100psig〜約2,500psig、より好ましくは約150〜1,500psigで、約200℃〜約400℃の範囲である。より好ましい水素分圧は、約50〜2,000psig、最も好ましくは約75〜1,000psigである。好ましくは、R2出口圧力は約500〜約1000psigの範囲である。
【0031】
第2の水素化脱硫段階R2からの反応生成物を、ライン38を介して第2の分離域S2に送り、そこにおいて、水素を含有する蒸気生成物を塔頂で回収し、ライン34及び16を介して水素化脱硫段階Rlに、またはライン34及び35を介して再循環のいずれか、または両方に送る。あるいは、S2の蒸気生成物のすべてまたは一部分を前記プロセスから除去してもよい。液体留分を、ライン39を介して芳香族化合物水素化段階R3に送り、そこにおいて、それが、下方に反応域36a及び36b中に流れる。R2及びR3のそれらに似た非反応域は、37a及び37bによって表される。R3の反応域を通って下方に送られる前に、前記液体留分を最初に、ストリッピング域(図示せず)で接触させ、閉じ込められた蒸気成分を液体ストリームから除去することができる。例えば、液体生成物ストリームがストリッピング域を通って流れるとき、それは、原料油不純物(H2S及びNH3)の少なくとも一部分を液体から蒸気に移すために有効な条件下で水素含有処理ガスを上流に流すことによって接触される。残存しているH2S及びNH3の少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%を、下流に流れる液体ストリームから除去することが好ましい。接触手段は、ラッシングリング(rashig ring)、バールサドル、ワイヤメッシュ、リボン、オープンハニカムの他、バブルキャップトレー及び他の装置などのガス−液体接触トレーなど、何れかの周知の蒸気−液体接触手段を含む。ストリッピング域が反応容器R3の一部であってもよく、またはそれは別個の容器であってもよいことは、この発明の範囲内である。この図は処理ガスが原料油の流れに向流に流れる向流方式で運転される水素化段階を示すが、水素化段階が並流方式でも運転され得ることは理解されるはずである。
【0032】
新鮮水素含有処理ガスを、ライン40を介して反応段R3中に導入し、液体反応生成物の流れに反対の上昇方向に送った。処理ガス速度は、好ましくは約400〜1,200scf/bbl(1バレル当たりの標準立方フィート)、より好ましくは、約500〜1,000scf/bblである。清浄な処理ガス(H2S及びNH3を実質的に含まないガス)の導入は、H2S及びNH3とH2分圧の増大とによって及ぼされた触媒に対する活性抑制効果の低減のために反応段R3がより効率的に運転されることを可能にする。このタイプの多段式運転は、硫黄及び窒素を十分に除去するために、またはより感受性の触媒(すなわち、水素化分解、芳香族飽和など)が第2の反応装置内で用いられるとき、特に魅力がある。本発明のもう1つの利点は、処理ガス速度がより以前のプロセスと比較して相対的に小さいということである。相対的に小さい処理ガス速度の使用は、主に予め、水素処理された蒸留物原料油の使用による。処理ガスの再循環を必要としないことによって、更に効率が得られる。換言すれば、1つの実施態様においてR3で用いた処理ガスは、ワンスルー処理ガスである。
【0033】
液体ストリーム及び処理ガス液体は、1つ以上の触媒床、または反応域、36a及び36bを通って互いに向流に送られる。得られた液体生成物ストリームは、ライン42を介して反応段R3を出て、水素含有蒸気生成物ストリームが反応段R3を出て、ライン30を介して反応段R2にカスケードされる。この第2反応段の反応域で用いた触媒は、何れの適した芳香族化合物飽和触媒であってもよい。芳香族化合物水素化触媒の非制限的な実施例には、ニッケル、コバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン、ニッケル−タングステン、及び貴金属含有触媒などがある。貴金属触媒が好ましい。貴金属触媒の非制限的な実施例には、白金及び/またはパラジウムベースの触媒があり、それは、好ましくは適した担体材料の上に、典型的にはアルミナ、シリカ、アルミナ−シリカ、キースラガー、ケイソウ土、マグネシア、及びジルコニアなどの耐熱性酸化物材料の上に担持される。ゼオライト担体もまた用いることができる。こうした触媒は、典型的に硫黄及び窒素の抑止または毒作用を受けやすい。芳香族飽和段階は、好ましくは約40℃〜約400℃、より好ましくは約200℃〜約350℃の温度で、約100psig〜約3,000psig、好ましくは約200〜1,200psigの圧力で、約0.3V/V/Hr〜約10V/V/Hr、好ましくは約1〜5V/V/Hrの液体毎時空間速度(LHSV)で運転される。
【0034】
図は、幾つかのオプションも示している。例えば、ライン44〜R2及びライン46〜R3は、液体または気体のいずれかであってもよい冷却流体を搬送することが可能である。水素は、好ましい気体冷却流体であり、ケロシンは、好ましい液体冷却流体である。
【0035】
本発明の実施に用いた反応段が、所望の反応のための適した温度及び圧力で運転される間、それらは好ましくは、R2及びR3からRlまでカスケードする処理ガスを提供するように、及びR2でワンスルー処理ガスを提供するように調節される。例えば、代表的な水素処理温度が約50psig〜約3,000psigの圧力で約20℃〜約400℃であるが、反応条件、特に反応圧力は概して、所望の処理ガス流を提供して圧縮機などの補助的な圧力調節装置の必要を最小にするか、または好ましくは、除くように調節される。
【0036】
水素化段階が、異なった温度で運転される2つ以上の反応域を備えることもまた、この発明の範囲内である。すなわち、反応域の少なくとも1つが、他の領域よりも少なくとも25℃、好ましくは少なくとも50℃、低温で運転される。原料油の流れに対して、最終下流反応域が、前記低温で運転される反応域であることが好ましい。
【0037】
水素処理の目的で、且つ本発明の背景において、「水素」および「水素含有処理ガス」という用語は、同義語であり、そして純水素、または意図した反応のために少なくとも十分な量の水素に加えて、反応または生成物のいずれかを不利に妨げたりせず、反応または生成物のいずれかに悪影響を及ぼしたりしない他の気体(例えば、窒素およびメタンなどの軽質炭化水素)をも含有する処理ガスストリームである水素含有処理ガスのいずれかであってもよい。H2SおよびNH3などの不純物は好ましくなく、有意な量で存在するなら、処理ガスをR1反応器に供給する前に通常は処理ガスから除去される。反応段に導入された処理ガスストリームは、好ましくは、少なくとも約50体積%の水素、より好ましくは少なくとも約75体積%の水素、最も好ましくは少なくとも95体積%の水素を含有する。何れかの特定段階の蒸気流出物中の未反応水素を何れかの段階の水素処理のために用いる運転において、当該段階の蒸気流出物が後続の段階のために十分な水素を含有するために、当該段階に導入された新鮮処理ガス中に十分な水素が存在しなければならない。1つの実施態様において、第1段の水素処理のために必要とされる水素の全部または一部が、第1段に供給される第2段の蒸気流出物中に含有されることが好ましい。第1段の蒸気流出物は、冷却されて凝縮し、水素化処理され比較的清浄な、より重質(例えば、C4以上)の炭化水素を回収する。
【0038】
本発明において用いられる反応容器内の液相は、典型的には、より高沸点の原料成分を主として含む。気相は、典型的には、水素含有処理ガス、H2SおよびNH3のようなヘテロ原子不純物、および新鮮原料中の蒸発したより低沸点の成分ならびに水素処理反応の軽質生成物の混合物である。気相流出物が一層の水素処理をなお必要とする場合、気相流出物を、付加的な水素処理触媒を含有する気相反応段に通すことができ、一層の反応のために適する水素処理条件に供することが可能である。あるいは、気相生成物中の炭化水素を、蒸気の冷却を介して凝縮させることが可能であり、得られた凝縮液は、必要ならば反応段のいずれかに再循環される。十分に低レベルのヘテロ原子を既に含有する原料油が芳香族飽和及び/またはクラッキングのための反応段に直接に供給されることも、本発明の範囲内である。
【0039】
論じたように、前記好ましいプロセスを用いて、本発明の燃料生成物を形成することができる。こうした留出油燃料生成物は、比較的低い硫黄レベルおよび多環式芳香族化合物(PNA)レベルならびに多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比較的高い比を有することを特徴とする。こうした留出油燃料は、ディーゼルエンジン、特にいわゆる「リーンバーン」ディーゼルエンジンなどの圧縮着火エンジン内で用いてもよい。こうした燃料は、(i)硫黄感受性NOx転化排気ガス触媒、(ii)微粒子トラップを含めてエンジン排気ガス微粒子排出物低減技術、および(iii)(i)と(ii)の組み合わせを用いる自動車ディーゼルシステムなどの圧縮着火エンジンシステムと適合性である。こうした留出油燃料は、中レベルの全芳香族化合物を有し、より清浄に燃焼するディーゼル燃料を製造するコストを下げ、プロセス中で消費される水素の量を最小にすることによりCO2排出物も低減させる。一実施態様において、本発明の留出組成物は、約50wppm未満であり、好ましくは約25wppm未満であり、より好ましくは約10wppm、最も好ましくは約5wppm未満の硫黄を含有する。それらは、約5〜15重量%、好ましくは約10〜15重量%の全芳香族化合物含有率も有する。本発明の実施によって得られた留出生成物組成物のPNA含有率は、約1.5重量%未満であり、好ましくは約1.0重量%未満であり、より好ましくは約0.5重量%未満である。PNAに対する芳香族化合物の比は、少なくとも約11、好ましくは少なくとも約14、より好ましくは少なくとも約17である。別の実施態様において、PNAに対する芳香族化合物の比は、少なくとも11〜約50、好ましくは11〜約30、より好ましくは11〜約20の範囲である。
【0040】
多環式芳香族化合物(PNA)という用語は、二個以上の芳香族環を有する芳香族化学種として定義される多環式芳香族化合物をそのアルキル置換誘導体およびオレフィン置換誘導体を含めて意味する意図である。ナフタレンおよびフェナントレンは、PNAの例である。芳香族化合物という用語は、一個以上の芳香族環を含有する化学種をそのアルキル置換誘導体およびオレフィン置換誘導体を含めて意味する意図である。従って、ナフタレンおよびフェナントレンも、ベンゼン、トルエンおよびテトラヒドロナフタレンと共に芳香族化合物と考えられる。PNAがディーゼルエンジンにおける排出物に著しく寄与するので、液体生成物ストリームのPNA含有率を減少させることが望ましい。しかし、経済的理由で水素の消費を最小にするとともに蒸気改質による水素の製造に伴うCO2排出物を最小にすることも望ましい。従って、本発明は、液体生成物中で芳香族化合物の、PNAに対する高い比を得ることにより、これらの両方を達成する。
【0041】
本発明の燃料は、約190℃〜400℃の範囲で沸騰する。全芳香族化合物/PNAの比が11より大(>)である燃料を、一環式芳香族化合物を含有するがPNAをほとんど含有しない多量のより軽質の材料をブレンドすることによって調製することができる。T10沸点が200℃より大きくAPI比重が43未満であるという点で、本発明の燃料はまた、これらから区別される。
【0042】
1つの実施態様において、燃料に、他の蒸留物(留出油)あるいは品質向上蒸留物(留出油)を配合してもよい。記載したように、前記生成物は、潤滑助剤、セタン向上剤などの燃料添加剤の有効量と相溶性である。生成物の多量を好ましくは添加剤の少量と配合するが、燃料添加剤を、燃料の性能を損なわない程度まで使用してもよい。使用された何れかの添加剤の特定量が前記生成物の使用に応じて変化する場合、量は概して、生成物及び添加剤の重量に対して0.05〜2.0重量%の範囲であってもよいが、この範囲に制限されない。添加剤を単独であるいは必要に応じて組合せて用いることができる。
【0043】
【実施例】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供され、何れにしても本発明の範囲を制限するものと解釈しない。
【0044】
実施例1〜3
約10,000〜12,000wppmの硫黄を含有するバージン蒸留物(留出油)供給原料を、以下の代表的な条件下で、すなわち、300〜350psig、150〜180psigの出口H2、75%のH2の処理ガス、500〜700 SCF/Bの処理ガス速度、0.3〜0.45 LHSV、330〜350℃で、従来の商用NiMo/Al2O3(Akzo−Nobel KF842/840)及びCoMo/Al2O3(Akzo−Nobel KF−752)触媒の両方を保有する反応装置を用いて商用水素化脱硫装置(第1の水素化脱硫段階)内で処理した。
【0045】
この第1の水素化脱硫段階からの液体生成物ストリームを第2の水素化脱硫段階への供給ストリームとして用いたが、その生成物ストリームを、以下の表1において原料特性の見出しの下で記載する。この第2の水素化脱硫段階のためのプロセス条件もまた、以下の表1に示す。商用NiMo触媒(2.6重量%のNi及び14.3重量%のMoを含有するCriterion C−411)を実験のすべてに用いた。
【0046】
この第2の水素化脱硫段階からの液体生成物ストリームを、芳香族化合物飽和段階のための供給原料として用いた。商用PtPd触媒(Criterion Synsat−4)を、実験のすべてに用いた。供給原料及び生成物の性質を以下の表に示す。
【0047】
実施例1〜3は、50ppm未満のSを有する生成物を製造することができることを示し、そこにおいて、第2反応段において処理ガス中への水素の導入速度が化学水素消費の3倍以下である。実施例1〜3は、また、PNAsに対する全芳香族化合物の比が約11より大きく、T10沸点が200℃より高い、5〜15重量%の芳香族化合物を有する生成物を製造することができることを示す。
【0048】
【表1】
【0049】
比較例A〜E
比較例A〜Eは、すべて50ppm未満の硫黄を含有する従来の燃料である。比較例A、B、C、及びDは、15重量%より多い全芳香族化合物レベルを有し、本発明の燃料組成物の範囲外である約10未満のPNAに対する全芳香族化合物の比を有する燃料をすべて記載している。比較例Eは、5重量%未満の非常に低い全芳香族化合物レベルを有し、25より大きいPNAに対する全芳香族化合物の比を有するスェーデンクラス1のディーゼルである。5重量%未満の全芳香族化合物を有する生成物は、本発明の範囲外である。
【0050】
【表2】
【0051】
図2の枠の中の部分は、この発明の生成物を規定する。全芳香族化合物/PNA比は、30より大きい可能性がある。図2の横座標は、明快にするために30で切られているが、全芳香族化合物/PNA比が30を超える場合があることは理解されるべきである。全芳香族化合物(5〜15重量%)及び全芳香族化合物/PNA基準のほかに、本発明の好ましい生成物は、約50wppm未満の硫黄レベル、200℃より高いT10沸点、及び43より大きいAPI比重を有する。「FIA」、「MS」および「SFC」という名称は、分析技術として本技術分野に周知である。例えば、「FIA」は蛍光指示薬分析を表し、「MS」は質量分光分析を表し、「SFC」は超臨界流体クロマトグラフィを表す。
【0052】
表3〜6は、本発明の範囲外になる留出油燃料の別の比較例を示している。これらのデータを以下の刊行物から得た。
【0053】
3−1 リー(X.Li)ら、「Comparison of the Exhaust Emissions of Diesel Fuels Derived From Oil Sands and Conventional Crude Oil」,SAE Technical Paper Series982487, Oct.19−22,1988。
3−2 マーチン(B.Martin)ら、「Influence of Future Fuel Formulations on Diesel Engine Emissions−A Joint European Study」,SAE Technical Paper Series972966, Oct.13−16,1997。
3−3 ジェリニ(A.Gerini)ら、「Automotive Direct Injection Diesel Engine Sensitivity to Diesel Fuel Characteristics」,SAE Technical Paper Series972963, Oct.13−16,1997。
3−4 リアン(T.W.Ryan III)ら、「Diesel Fuel Composition Effects on Ignition and Emissions」,SAE Technical Paper Series932735, Oct.18−21,1993。
3−5 ゴンザレス(M.A.Gonzalez)ら、「A Low Emission Diesel Fuel:Hydrocracking Production, Characterization and Engine Evaluations」,SAE Technical Paper Series932731, Oct.18−21,1993。
3−6 マッカーシー(C.I.McCarthy)、「Diesel Fuel Property Effects on Exhaust Emissions from a Heavy Duty Diesel Engine that Meets 1994 Emission Requirements1」,SAE Technical Paper Series922267, Oct.19−22,1992。
3−7 ランゲ(W.W.Lange)、「The Effect of Fuel Properties on Particulates Emissions in Heavy Duty Truck Engines Under Transient Operating Conditions」,SAE Technical Paper Series9212425, Oct.7−10,1991。
3−8 ビートリス(C.Beatrice)ら、「Potentiality of Oxygenated Synthetic Fuel and Reformulated Fuel on Emissions from a Modern DI Diesel Engine」,SAE Technical Paper Series1999−01−3595, Oct.25−28,1999。
3−9 マン(N.Mann)ら、「Fuel Effects on The Low Temperature Performance of Two Generations of Mercedes−Benz Heavy−Duty Diesel Engines」,SAE Technical Paper Series1999−01−3594, Oct.25−28,1999。
3−10 クーレメノス(D.A.Kouremenos)ら、「Experimental Investigation of the Effect of Fuel Composition on the Formation of Pollutants in Direct Injection Diesel Engines」,SAE Technical Paper Series1999−01−0189, Mar.1−4,1999。
3−11 ベルトリ(C.Bertoli)ら、「The Influence of Fuel Composition on Particulate Emissions of DI Diesel Engines」,SAE Technical Paper Series932733, Oct.18−21,1993。
【0054】
全芳香族化合物含有率(重量%)およびPNA(重量%)について報告されたデータを、重量%芳香族化合物/重量%PNAの計算比と共に示している。芳香族化合物およびPNAの測定のための分析試験方法も、硫黄含有率およびT10沸点と共に示している。燃料番号1〜127は、すべて11未満の芳香族化合物/PNA比を有する。燃料番号128〜134は、50wppmより多い硫黄含有率を有する。燃料番号135〜138は、15重量%より多い芳香族化合物含有率を有する。燃料番号139〜150は、5重量%以下の芳香族化合物含有率を有する。燃料番号151〜155は、43以上のAPI比重を有する。そして、燃料番号156〜158は、200℃より低いT10沸点を有する。従って、表3〜6に示したすべての燃料は、本発明の燃料の範囲外となる。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
圧縮着火エンジン中で本発明のディーゼル燃料組成物を用いることにより、汚染物質NOxおよび粒子状物質のレベルが低減される。従って、0.5g/Km未満のNOxおよび0.05g/Km未満の粒子状物質の放出レベルを達成することができる。これらの値/レベルが、芳香族含有率スプリット(すなわち、PNAに対する全芳香族化合物の比)が以下の実施例に示されたように本発明の範囲外になる比較燃料に関する値/レベルより著しく低い。
【0060】
以下の表7に記載された実施例を用いて本発明をさらに例証する。
【0061】
以下のデータを二種の留出油燃料から作成した。従来のCoMo/Al2O3触媒を用いてバージン留出油原料から商用水素化脱硫装置内で第1の燃料である実施例4を調製したが、実施例4は典型的な商用ディーゼル燃料組成物を代表している。第2の燃料である実施例5は、本発明による組成物である。これら二種の燃料の特性を以下の表7に示している。
【0062】
【表7】
【0063】
これらの燃料を従来技術および現代技術を包含する三台の軽量ディーゼル車群、すなわち、ディストリビュータポンプ技術による車両、コモンレール燃料注入技術による車両および電子装置注入器技術による車両で実験した。両方の燃料に関して、平均微粒子排出物および平均NOx排出物を確認するために、コールドスタート法定欧州型認証運転サイクル(ECE+EUDC)を構成する各車両において各燃料を3回試験した(合計で燃料当たり9試験)。その後、排出物、燃料およびエンジンに関する欧州プログラム(EPEFE)および硫黄の作用に関するAutoOil式に準拠して、これらの平均値を両方の燃料に関する予想値と比較し、今用いた燃料の予想性能を確認した。EPEFEプログラムは、燃料のパラメータであるセタン価、密度および多環式芳香族含有率に基づいて多くの車両の排出物性能を予測する、19車両で11のディーゼル燃料の試験による既定の式セットに基づいている。実施例4と実施例5との間の燃料パラメータの相違に基づいて、EPEFE計算により、実施例5の燃料について、より低い粒子状物質排出物およびNOx排出物が予想される。
【0064】
以下の表8に示した結果は、EPEFE計算から得られた排出物の低減の予想値と、実施例5の燃料対実施例4の燃料の平均排出物の低減の実測値との間の平均の差を示している。驚くべきことに、そのデータは、本発明の燃料組成物(実施例5)を用いて達成されたNOx排出物および粒子状物質排出物の低減がEPEFEプログラムで用いた19車両の何れについて予測された低減より実質的に大きかったことと、EPEFE車両群平均より大幅に低いこととを示している。表8において、負の百分率は排出物性能の改善を示している。
【0065】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の留出油燃料組成物を製造するための1つの好ましい方法の図式を示す。この方法の図式は、2つの水素化脱硫段階及び1つの芳香族化合物飽和段階を示す。この図において、下流反応段から上流反応段までカスケードされる水素含有処理ガスも示される。
【図2】
この発明の実施によって製造された生成物のいくつかの性質に関するデータのプロットである。全芳香族化合物含有量は、多環芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比に対してプロットされる。
Claims (37)
- 190〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、50wppm未満の硫黄レベル、5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が11より大きいことを特徴とする留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが25wppm未満であることを特徴とする請求項1に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項2に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項3に記載の留出油燃料組成物。
- 前記全芳香族化合物含有率が10〜15重量%であることを特徴とする請求項1に記載の留出油燃料組成物。
- 前記多環式芳香族化合物含有率が1.0重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の留出油燃料組成物。
- 前記多環式芳香族化合物含有率が0.5重量%未満であることを特徴とする請求項6に記載の留出油燃料組成物。
- 多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が14より大きいことを特徴とする請求項1に記載の留出油燃料組成物。
- 多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が17より大きいことを特徴とする請求項8に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが25wppm未満であることを特徴とする請求項5に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項10に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項11に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが25wppm未満であることを特徴とする請求項6に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項13に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項14に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが25wppm未満であることを特徴とする請求項7に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項16に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項17に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが25wppm未満であることを特徴とする請求項8に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項19に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項20に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが25wppm未満であることを特徴とする請求項9に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項22に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項23に記載の留出油燃料組成物。
- 190〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、25wppm未満の硫黄レベル、10〜15重量%の全芳香族化合物含有率、1.0重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が14より大きいことを特徴とする留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項25に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項26に記載の留出油燃料組成物。
- 前記多環式芳香族化合物含有率が0.5重量%未満であることを特徴とする請求項25に記載の留出油燃料組成物。
- 多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が17より大きい請求項25に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項28に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項30に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが10wppm未満であることを特徴とする請求項29に記載の留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項32に記載の留出油燃料組成物。
- 190〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、10wppm未満の硫黄レベル、10〜15重量%の全芳香族化合物含有率、0.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が17より大きいことを特徴とする留出油燃料組成物。
- 前記硫黄レベルが5wppm未満であることを特徴とする請求項34に記載の留出油燃料組成物。
- 圧縮着火エンジン中の微粒子およびNOx排出物を減少させる方法であって、190〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、50wppm未満の硫黄レベル、5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が11より大きい留出油燃料組成物を前記エンジンに供給する工程を含むことを特徴とする方法。
- 190〜400℃の範囲内で沸騰し200℃より高いT10沸点、43未満のAPI比重、50wppm未満の硫黄レベル、5〜15重量%の全芳香族化合物含有率、1.5重量%未満の多環式芳香族化合物含有率を有し、多環式芳香族化合物に対する全芳香族化合物の比が11より大きい留出油を含む燃料組成物であって、(i)一種以上の潤滑助剤、(ii)一種以上の粘度調整剤、(iii)一種以上の酸化防止剤、(iv)一種以上のセタン向上剤、(v)一種以上の分散剤、(vi)一種以上の低温流れ向上剤、(vii)一種以上の金属不活性化剤、(viii)一種以上の腐食防止剤、(ix)一種以上の清浄剤、および(x)一種以上の留出油または品質向上された留出油よりなる群の中から選ばれた少なくとも一種が添加されることを特徴とする燃料組成物。
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