JP2004510790A - 血液製剤中のウイルス粒子の不活化方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、血液製剤、より詳細には赤血球および血小板中のウイルス粒子を不活化する方法に関し、該血液製剤を光増感剤と組み合わせる工程、および該光増感剤を活性化させる工程を包含する。本発明によれば、所定の構造を有する正に荷電した光増感剤が用いられる。驚くべきことに、血液製剤に対するダメージは大幅に低減される。
Description
【書類名】明細書
【発明の名称】血液製剤中のウイルス粒子の不活化方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】血液製剤中に存在するウイルス粒子を不活化する方法であって、
前記血液製剤を光増感剤と組み合わせる工程と、
前記光増感剤を活性化させる工程と、
を包含し、前記光増感剤として、化学式I、すなわち、
【化1】
の化合物を用いることで特徴付けられ、ここで、R1は、
・水素と、
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C1−C20)アシル、(C1−C20)アシルオキシ、(C2−C20)アルケニル、または(C2−C20)アルキニルであって、各々は直鎖状または分枝状であり得、またその各々は、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルキニル、および−(R5−Z)m−R6から選択される1個から3個の基で置換され得、式中R5は、(CH2)nであり、ZはOまたはSであり、R6は(C1−C20)アルキルであり、そしてmおよびnは、独立して1−10であり、このアミノ基の各置換基は直鎖状または分枝状であり得、その各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、および
・ハロゲン原子、
から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
・(C6−C20)アリール、および(C6−C20)複素環式アリール基であって、各々が、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される1個から3個の基で置換され得、この各々は直鎖状または分枝状であり得、その各々が、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、
・ハロゲン原子、および
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルケニル、から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
からなる群から選択され、
R 2 、R 3 およびR 4 は、ピリジニウム基であり、その中の窒素が(C 1 −C 4 )のアルキル基で置換され、そしてXは、薬学的に許容し得る対イオンである方法。
【請求項2】R1が、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される一つから三つの基で置換され得るアミノで置換されている(C 6 −C 20 )のアリール基であり、この各々は、直鎖状または分枝状であり得、そしてその各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】アリール基が、アルキルが独立して(C 1 −C 3 )のアルキルであるところのトリアルキルアミノフェニル基であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】光増感剤は、モノフェニル−トリ(N−メチル−4−ピリジル)ポルフィリンクロリドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、血液製剤中のウイルス粒子を不活化させる方法に関し、この方法は、
−該血液製剤を光増感剤と組み合わせる工程、および
−前記光増感剤を活性化させる工程、を包含する。
【0002】
感染した血液製剤の輸液によるウイルス(HIV、B型肝炎およびC型肝炎)の伝染は、深刻な健康の問題である。
米国特許第5,360,734号は、血漿、赤血球、血小板、白血球および骨髄などの体液中のウイルス性病原体の不活化方法を記載する。
【0003】
この方法は、光増感剤を血液製剤に添加し、光を照射してこの光増感剤を活性化させて、これによりウイルス性病原体を不活化する工程を包含する。米国特許第5,360,734号に開示される方法は、特に、赤血球の安定性を高めるために、血漿タンパク質の影響を減少させることを目標としている。
【0004】
本発明の目的は、血液製剤、特に赤血球および血小板の安定性を高める更なる方法を提供することにあり、この方法は、米国特許第5,360,734号に開示される改良点と組み合わせて用いてもよく、組み合わせずに用いてもよい。
【0005】
従って、本発明は、光増感剤として、化学式I
【0006】
【化5】
の化合物を用いることで特徴付けられる上記の方法に関するものであり、ここで、R1は、
・水素と、
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C1−C20)アシル、(C1−C20)アシルオキシ、(C2−C20)アルケニル、または(C2−C20)アルキニルであって、各々は直鎖状または分枝状であり得、またその各々が、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルキニル、および−(R5−Z)m−R6から選択される1個から3個の基で置換され得、式中R5は(CH2)nであり、ZはOまたはSであり、R6は(C1−C20)アルキルであり、そしてmおよびnは独立して1−10であり、このアミノ基の各置換基は直鎖状または分枝状であり得、その各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、および
・ハロゲン原子、
から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
・(C6−C20)アリール、および(C6−C20)複素環式アリール基であって、各々が、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される1個から3個の基で置換され得、この各々は直鎖状または分枝状であり得、その各々が、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、
・ハロゲン原子、および
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルケニル、から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
からなる群から選択され、
R 2 、R 3 およびR 4 は、ピリジニウム基であり、その中の窒素が(C 1 −C 4 )のアルキル基で置換され、そしてXは、薬学的に許容し得る対イオンである。
【0007】
驚くべきことに、上記で開示したような光増感化合物を用いることによって、血液製剤に対するダメージは大幅に低減される。これは、血液製剤に対するダメージの程度を測定するためのモデルとして通常認識されている実験から明らかである。特に、これは溶血および機能的パラメータを測定する実験において示された。一般に、R1が脂肪族基の場合、1−6個の原子を有するような短鎖が好ましい。
【0008】
本発明において、用語「血液製剤」は、i)赤血球およびii)血小板のうちの少なくとも1つを含む任意の溶液として理解されるべきである。他の細胞型が存在していてもよく、そしてこの溶液は、水溶液ではあるが、当該分野で通常認められるように、タンパク質成分、塩、安定剤、クエン酸またはヘパリンなどの抗凝固剤を含んでいてもよい。
【0009】
用語「光増感剤」は、当該分野で周知のように、光エネルギーを吸収して、その結果、その光増感剤が活性化されるような物質である。活性化された光増感剤は、次に他の化合物と反応し得る。その結果、光増感剤は修飾されるか、あるいは不活性化されることもあるが、どちらかといえば光増感剤は(光で活性化される前の)元の状態に戻って、その中で光増感剤が再び利用され得る光触媒サイクルを形成する。結果的には、吸収された光エネルギーは、ウイルス粒子の不活化に用いられる。
【0010】
用語「ウイルス粒子」は、血液製剤中に発生し得る一本鎖または二本鎖の膜またはタンパク質の外被を有する、任意のRNAまたはDNAウイルスを意味するものと理解される。例は、HIVおよびB型肝炎である。
【0011】
用語「薬学的に許容可能な対イオン」は、OH−、Cl−、酢酸イオンまたはクエン酸イオンのような、無機または有機の負に荷電した任意の対イオンであると理解される。実際の活性化合物Iの正電荷を中和するのに必要なだけの対イオンXが存在することは言うまでもない。
【0012】
Ben−Hur E.らは、Transfusion 35(5)、401−6頁(1999)において、赤血球を含む溶液中に存在するウイルスの不活化方法を開示している。赤血球を保護するために保護剤を添加しなければならない。その結果、出願人は、保護剤Troloxを溶解することが困難であったため、再現することができず、溶血は保存10日後には1%を越えた。対照的に、本発明の方法では、保護剤無しで、5週間後、溶血は対照よりも多くても1%上回るだけである。以下に提示する実験は、血液細胞に対するダメージを低減するように設計された血液用の特別の容器ではなく、ガラス試験管中で行われたことに留意のこと。もちろん、本発明による方法は、PCT/NL99/00387に開示されているような保護剤の添加をも考慮に入れている。
【0013】
第一の実施態様によれば、R1は、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される一つから三つの基で置換され得るアミノで置換されている( C 6 −C 20 )のアリール基であり、この各々は、直鎖状または分枝状であり得、そしてその各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得る。アリール基が、アルキルが独立して(C 1 −C 3 )のアルキルであるところのトリアルキルアミノフェニル基であることが好ましい。
【0014】
上記で定義された基の中の第四級窒素原子は、血液製剤の完全性を維持しながら、ウイルス粒子、グラム陽性菌およびグラム陰性菌を排除するのに非常に適していることが見いだされた。
【0015】
本発明を、以下、例示の実施態様および図面を参照して説明する。
【0016】
実施例
血液製剤
本研究全体を通して用いられる血液製剤は、軟膜を有さない標準血球濃縮物(RBCC)であり、サンクイン血液銀行(Sanquin Blood Bank)(ライデン−ハーグランデン(Leiden−Haaglanden)、ライデン、オランダ国)から供給され、健康人のボランティアから得られた。これらのドナーからの血液(500±50ml)を、四つのポリ塩化ビニルの袋(NPBI、エンマー−コンパスクーム(Emmer−Compascuum)、オランダ国)の中の73mlのクエン酸−リン酸−ブドウ糖(CPD)中に採取した。RBCCを、以前に記載されたように調製した(Novotny、1992)。防腐作用のある生理食塩水−アデニン−グルコース−マンニトール(SAG−M)でヘマトクリットを56±4に調節した。SAG−Mは、150mMのNaCl、50mMのグルコース、29mMのマンニトールおよび1.25mMのアデニンを含む。白血球の数は、自動細胞計数装置(Sysmex K1000、東亞医用電子(TOAMedical Electronics)、神戸、日本)で測定して、1.8±0.9*109細胞/lであった。
【0017】
ウイルス含有RBCCの光力学的処理
水疱性口内炎ウイルス(VSV)のストック溶液(San Juan株、ライデン大学メディカルセンター、ウイルス部門のご好意により提供)を、添加量がRBCCの総量の<10%となり、かつウイルス粒子の数が約105/mlとなるようにRBCCに加えた。増感剤を、最終濃度が、フタロシアニンテトラスルホン酸アルミニウム(AIPcS4、ポルフィリン・プロダクツ社(Porphyrin Products)、ローガン(Logan)、ユタ、米国)5μM、フタロシアニンケイ素、HO−SiPc(CH3)2(CH2)3N(CH3)2(Pc4、M.E.Kenney博士、ケースウェスタンリザーブ大学、クリーブランド、オハイオ、米国より提供)0.45μM、ジメチルメチレンブルー(DMMB、ICNバイオメディカルズBV(ICN Biomedicals BV)、ズーテルメール(Zoetermeer)、オランダ国)15μM、および本発明により、モノフェニル−トリ(N−メチル−4ピリジル)ポルフィリンクロリド(TriP(4)、ミッド−センチュリー社(Mid−Century)、ポーセン(Posen)、イリノイ、米国)25μMとなるように添加した。懸濁液をよく混合し、そして直径9cmのポリスチレン培養ディッシュ(グライナー社(Greiner)、アルフェン・アーン・ライン(Alphen a/d Rijn)、オランダ国)に6mlのアリコートとして分取し、そして室温で水平往復振盪機(60サイクル/分、GFL、ブルグヴェーデル(Burgwedel)、ドイツ)で暗所にて5分間撹拌した。このディッシュを(1回に1ディッシュずつ)上方から300Wのハロゲンランプ(フィリップス社、アイントホーベン(Eindhoven)、オランダ国)で照射した。光は1cmの水フィルターを通して、試料の加熱を避けた。全ての実験において、600nmを越える波長の光のみを通すカットオフフィルターを用いた。細胞層における放射度は、SEL033検出器を備えたIL1400A光度計(インターナショナル・ライト社(International Light)、ニューベリーポート、マサチューセッツ、米国)で測定して、35mW/cm2であった。処理後、細胞をAS3(70mM NaCl、61.1mM グルコース、2.22mM アデニン、2mMクエン酸、20mM クエン酸Na、および15.5mM リン酸Na、pH5.8)中に懸濁し、5週間まで保存した。赤血球のダメージをこの期間中の溶血度を測定することによって確認した。Ben−Hur(既出)の結果と比較して、照射された溶液はウイルス量で100,000倍の減少を達成した。図1に示すように、本発明による方法は、保護剤無しでも、10日後に、Ben−Hurの方法よりも良好な結果を達成した。
【0018】
表1は、SAG−M中56%赤血球濃縮物(RBCC)に添加された水疱性口内炎ウィルス(VSV)の光力学的不活化についての同様の実験結果を示す。種々の光増感剤の濃度は25μMであった。光源の強度は35mW/cm2であった。
【0019】
【表1】
表2は、SAG−M中56%RBCCを、25μMの種々の光増感剤および5ログのVSVを不活化するのに必要な光量で処理したときの、4℃で保存した赤血球の溶血に対する影響を示す。光源の強度は35mW/cm2であった。
【0020】
【表2】
これらの代表化合物は、電荷数が少ない(たとえば2)基をもつ化合物ほど赤血球に対してより大きなダメージを引き起こすのに対し、3電荷の代表化合物は、溶血および感染性粒子の不活化の両方において良好に作用することを示す。
【0021】
光増感剤のリスト
シルセンス(Sylsens)A:メソ−テトラ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンス:モノ−フェニル−トリ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスC:trans−ジフェニル−ジ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスD:cis−ジフェニル−ジ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスE:トリフェニル−モノ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスR:テトラ−(N−2−ヒドロキシ−エチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスO:テトラ(4−N,N,N−トリメチルアニリニウム)−ポルフィリンクロリド
インビボ用途のための赤血球濃縮物の光滅菌の効果を試験する実験を行った。そのために、シルセンスで光力学的に処理したRBCのインビボでの生存率を研究した。2匹のアカゲザル(Macaca Mulata)から得た赤血球を、標準的手順に従って51Crで標識した。各々のサルに、上記の手順に従ってシルセンスで処理済みの、あるいは未処理の自己血が与えられた。細胞を保存する場合には、51Crでの標識は細胞を再注入する直前に行った。結果を、処理の直後(I)、または処理後5週間の保存の後(II)の再注入の両方についての、再注入してから24時間後の赤血球の回収率(%)として、表3に示す。
【0022】
【表3】
表3の結果は、本発明に従って処理された赤血球が、実用目的のインビボでの使用に完全に適していることを示す。図2および3は、表3のデータ(ならびに中間およびその後のデータ)をサル毎に示す(図aはサルBB26、bはサルCO33)。処理(○)細胞と未処理(■)細胞との間で生存率の差はない。
【0023】
図4は、サルCO33とBB26から採血したばかりの血液から調製されたRBCを光力学的処理した後に暗所で保存した間に得られた、インビトロでの溶血データを示す。光力学的処理は採血の直後に行った。溶菌の程度は非常に満足すべきものであることが明らかであり、処理が試験管中ではなく、血液細胞に対するダメージを制限するように設計された特別な血液容器中で行われる場合にも要求を十分満たすであろう。ヒトの赤血球での実験も同様の結果を与えた。
【0024】
図5は、25μMのシルセンスの存在下での緑膿菌および黄色ブドウ球菌の不活化に対する光量(kJ/m2)の依存性を示す。パーセンテージは100%から約0.001以下まで低下する。
【0025】
図6は、対照()、赤血球(RBCC)および25μMのシルセンスで光力学的に処理されたRBCCの、保存(1週間)の間のAS3中のATP含量(μmol/gヘモグロビン、ライデン大学メディカルセンターの中央臨床化学研究所(Central Clinical & Chemical Laboratory)の標準的手順で測定)を示す。同様に、対照と処理RBCCとの間で、保存中のグルコース消費、乳酸産生、2,3−DPG含量およびpHに差異はなかった(データは示さず)。白血球はこの光力学的処理で大きな影響を受けることが見いだされた。特に同種異系刺激に対する反応が強力に低減され、またその抗原提示能力にも悪影響を及ぼす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化合物(TriP4)、および2つの対照化合物を用いての溶血の程度を示す。
【図2】2aおよび2bは、2匹のアカゲザルから採血したばかりの血液から調製されたRBCCを、処理直後に輸血した後のRBCの生存率を示す。■、対照;○、処理。
【図3】図2の2匹のアカゲザルから採血したばかりの血液から調製されたRBCCを処理後5週間保存した後に輸血した後のRBCの生存率を示す。■、対照;○、処理。
【図4】図2の2匹のアカゲザルから採血したばかりの血液から調製されたRBCCを光力学的処理した後に暗所で保存している間の溶血を示す。光力学的処理は、採血の直後に行った。■、対照:△、暗所対照;○、処理。
【図5】種々の光量での2つのタイプの細菌(黒、グラム陽性;白、グラム陰性)の不活化を示す。
【図6】処理(黒)および未処理(白、対照)の赤血球のATP含有量を示す。
【発明の名称】血液製剤中のウイルス粒子の不活化方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】血液製剤中に存在するウイルス粒子を不活化する方法であって、
前記血液製剤を光増感剤と組み合わせる工程と、
前記光増感剤を活性化させる工程と、
を包含し、前記光増感剤として、化学式I、すなわち、
【化1】
の化合物を用いることで特徴付けられ、ここで、R1は、
・水素と、
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C1−C20)アシル、(C1−C20)アシルオキシ、(C2−C20)アルケニル、または(C2−C20)アルキニルであって、各々は直鎖状または分枝状であり得、またその各々は、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルキニル、および−(R5−Z)m−R6から選択される1個から3個の基で置換され得、式中R5は、(CH2)nであり、ZはOまたはSであり、R6は(C1−C20)アルキルであり、そしてmおよびnは、独立して1−10であり、このアミノ基の各置換基は直鎖状または分枝状であり得、その各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、および
・ハロゲン原子、
から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
・(C6−C20)アリール、および(C6−C20)複素環式アリール基であって、各々が、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される1個から3個の基で置換され得、この各々は直鎖状または分枝状であり得、その各々が、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、
・ハロゲン原子、および
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルケニル、から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
からなる群から選択され、
R 2 、R 3 およびR 4 は、ピリジニウム基であり、その中の窒素が(C 1 −C 4 )のアルキル基で置換され、そしてXは、薬学的に許容し得る対イオンである方法。
【請求項2】R1が、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される一つから三つの基で置換され得るアミノで置換されている(C 6 −C 20 )のアリール基であり、この各々は、直鎖状または分枝状であり得、そしてその各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】アリール基が、アルキルが独立して(C 1 −C 3 )のアルキルであるところのトリアルキルアミノフェニル基であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】光増感剤は、モノフェニル−トリ(N−メチル−4−ピリジル)ポルフィリンクロリドであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、血液製剤中のウイルス粒子を不活化させる方法に関し、この方法は、
−該血液製剤を光増感剤と組み合わせる工程、および
−前記光増感剤を活性化させる工程、を包含する。
【0002】
感染した血液製剤の輸液によるウイルス(HIV、B型肝炎およびC型肝炎)の伝染は、深刻な健康の問題である。
米国特許第5,360,734号は、血漿、赤血球、血小板、白血球および骨髄などの体液中のウイルス性病原体の不活化方法を記載する。
【0003】
この方法は、光増感剤を血液製剤に添加し、光を照射してこの光増感剤を活性化させて、これによりウイルス性病原体を不活化する工程を包含する。米国特許第5,360,734号に開示される方法は、特に、赤血球の安定性を高めるために、血漿タンパク質の影響を減少させることを目標としている。
【0004】
本発明の目的は、血液製剤、特に赤血球および血小板の安定性を高める更なる方法を提供することにあり、この方法は、米国特許第5,360,734号に開示される改良点と組み合わせて用いてもよく、組み合わせずに用いてもよい。
【0005】
従って、本発明は、光増感剤として、化学式I
【0006】
【化5】
の化合物を用いることで特徴付けられる上記の方法に関するものであり、ここで、R1は、
・水素と、
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C1−C20)アシル、(C1−C20)アシルオキシ、(C2−C20)アルケニル、または(C2−C20)アルキニルであって、各々は直鎖状または分枝状であり得、またその各々が、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルキニル、および−(R5−Z)m−R6から選択される1個から3個の基で置換され得、式中R5は(CH2)nであり、ZはOまたはSであり、R6は(C1−C20)アルキルであり、そしてmおよびnは独立して1−10であり、このアミノ基の各置換基は直鎖状または分枝状であり得、その各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、および
・ハロゲン原子、
から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
・(C6−C20)アリール、および(C6−C20)複素環式アリール基であって、各々が、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される1個から3個の基で置換され得、この各々は直鎖状または分枝状であり得、その各々が、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、
・ハロゲン原子、および
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルケニル、から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
からなる群から選択され、
R 2 、R 3 およびR 4 は、ピリジニウム基であり、その中の窒素が(C 1 −C 4 )のアルキル基で置換され、そしてXは、薬学的に許容し得る対イオンである。
【0007】
驚くべきことに、上記で開示したような光増感化合物を用いることによって、血液製剤に対するダメージは大幅に低減される。これは、血液製剤に対するダメージの程度を測定するためのモデルとして通常認識されている実験から明らかである。特に、これは溶血および機能的パラメータを測定する実験において示された。一般に、R1が脂肪族基の場合、1−6個の原子を有するような短鎖が好ましい。
【0008】
本発明において、用語「血液製剤」は、i)赤血球およびii)血小板のうちの少なくとも1つを含む任意の溶液として理解されるべきである。他の細胞型が存在していてもよく、そしてこの溶液は、水溶液ではあるが、当該分野で通常認められるように、タンパク質成分、塩、安定剤、クエン酸またはヘパリンなどの抗凝固剤を含んでいてもよい。
【0009】
用語「光増感剤」は、当該分野で周知のように、光エネルギーを吸収して、その結果、その光増感剤が活性化されるような物質である。活性化された光増感剤は、次に他の化合物と反応し得る。その結果、光増感剤は修飾されるか、あるいは不活性化されることもあるが、どちらかといえば光増感剤は(光で活性化される前の)元の状態に戻って、その中で光増感剤が再び利用され得る光触媒サイクルを形成する。結果的には、吸収された光エネルギーは、ウイルス粒子の不活化に用いられる。
【0010】
用語「ウイルス粒子」は、血液製剤中に発生し得る一本鎖または二本鎖の膜またはタンパク質の外被を有する、任意のRNAまたはDNAウイルスを意味するものと理解される。例は、HIVおよびB型肝炎である。
【0011】
用語「薬学的に許容可能な対イオン」は、OH−、Cl−、酢酸イオンまたはクエン酸イオンのような、無機または有機の負に荷電した任意の対イオンであると理解される。実際の活性化合物Iの正電荷を中和するのに必要なだけの対イオンXが存在することは言うまでもない。
【0012】
Ben−Hur E.らは、Transfusion 35(5)、401−6頁(1999)において、赤血球を含む溶液中に存在するウイルスの不活化方法を開示している。赤血球を保護するために保護剤を添加しなければならない。その結果、出願人は、保護剤Troloxを溶解することが困難であったため、再現することができず、溶血は保存10日後には1%を越えた。対照的に、本発明の方法では、保護剤無しで、5週間後、溶血は対照よりも多くても1%上回るだけである。以下に提示する実験は、血液細胞に対するダメージを低減するように設計された血液用の特別の容器ではなく、ガラス試験管中で行われたことに留意のこと。もちろん、本発明による方法は、PCT/NL99/00387に開示されているような保護剤の添加をも考慮に入れている。
【0013】
第一の実施態様によれば、R1は、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される一つから三つの基で置換され得るアミノで置換されている( C 6 −C 20 )のアリール基であり、この各々は、直鎖状または分枝状であり得、そしてその各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得る。アリール基が、アルキルが独立して(C 1 −C 3 )のアルキルであるところのトリアルキルアミノフェニル基であることが好ましい。
【0014】
上記で定義された基の中の第四級窒素原子は、血液製剤の完全性を維持しながら、ウイルス粒子、グラム陽性菌およびグラム陰性菌を排除するのに非常に適していることが見いだされた。
【0015】
本発明を、以下、例示の実施態様および図面を参照して説明する。
【0016】
実施例
血液製剤
本研究全体を通して用いられる血液製剤は、軟膜を有さない標準血球濃縮物(RBCC)であり、サンクイン血液銀行(Sanquin Blood Bank)(ライデン−ハーグランデン(Leiden−Haaglanden)、ライデン、オランダ国)から供給され、健康人のボランティアから得られた。これらのドナーからの血液(500±50ml)を、四つのポリ塩化ビニルの袋(NPBI、エンマー−コンパスクーム(Emmer−Compascuum)、オランダ国)の中の73mlのクエン酸−リン酸−ブドウ糖(CPD)中に採取した。RBCCを、以前に記載されたように調製した(Novotny、1992)。防腐作用のある生理食塩水−アデニン−グルコース−マンニトール(SAG−M)でヘマトクリットを56±4に調節した。SAG−Mは、150mMのNaCl、50mMのグルコース、29mMのマンニトールおよび1.25mMのアデニンを含む。白血球の数は、自動細胞計数装置(Sysmex K1000、東亞医用電子(TOAMedical Electronics)、神戸、日本)で測定して、1.8±0.9*109細胞/lであった。
【0017】
ウイルス含有RBCCの光力学的処理
水疱性口内炎ウイルス(VSV)のストック溶液(San Juan株、ライデン大学メディカルセンター、ウイルス部門のご好意により提供)を、添加量がRBCCの総量の<10%となり、かつウイルス粒子の数が約105/mlとなるようにRBCCに加えた。増感剤を、最終濃度が、フタロシアニンテトラスルホン酸アルミニウム(AIPcS4、ポルフィリン・プロダクツ社(Porphyrin Products)、ローガン(Logan)、ユタ、米国)5μM、フタロシアニンケイ素、HO−SiPc(CH3)2(CH2)3N(CH3)2(Pc4、M.E.Kenney博士、ケースウェスタンリザーブ大学、クリーブランド、オハイオ、米国より提供)0.45μM、ジメチルメチレンブルー(DMMB、ICNバイオメディカルズBV(ICN Biomedicals BV)、ズーテルメール(Zoetermeer)、オランダ国)15μM、および本発明により、モノフェニル−トリ(N−メチル−4ピリジル)ポルフィリンクロリド(TriP(4)、ミッド−センチュリー社(Mid−Century)、ポーセン(Posen)、イリノイ、米国)25μMとなるように添加した。懸濁液をよく混合し、そして直径9cmのポリスチレン培養ディッシュ(グライナー社(Greiner)、アルフェン・アーン・ライン(Alphen a/d Rijn)、オランダ国)に6mlのアリコートとして分取し、そして室温で水平往復振盪機(60サイクル/分、GFL、ブルグヴェーデル(Burgwedel)、ドイツ)で暗所にて5分間撹拌した。このディッシュを(1回に1ディッシュずつ)上方から300Wのハロゲンランプ(フィリップス社、アイントホーベン(Eindhoven)、オランダ国)で照射した。光は1cmの水フィルターを通して、試料の加熱を避けた。全ての実験において、600nmを越える波長の光のみを通すカットオフフィルターを用いた。細胞層における放射度は、SEL033検出器を備えたIL1400A光度計(インターナショナル・ライト社(International Light)、ニューベリーポート、マサチューセッツ、米国)で測定して、35mW/cm2であった。処理後、細胞をAS3(70mM NaCl、61.1mM グルコース、2.22mM アデニン、2mMクエン酸、20mM クエン酸Na、および15.5mM リン酸Na、pH5.8)中に懸濁し、5週間まで保存した。赤血球のダメージをこの期間中の溶血度を測定することによって確認した。Ben−Hur(既出)の結果と比較して、照射された溶液はウイルス量で100,000倍の減少を達成した。図1に示すように、本発明による方法は、保護剤無しでも、10日後に、Ben−Hurの方法よりも良好な結果を達成した。
【0018】
表1は、SAG−M中56%赤血球濃縮物(RBCC)に添加された水疱性口内炎ウィルス(VSV)の光力学的不活化についての同様の実験結果を示す。種々の光増感剤の濃度は25μMであった。光源の強度は35mW/cm2であった。
【0019】
【表1】
表2は、SAG−M中56%RBCCを、25μMの種々の光増感剤および5ログのVSVを不活化するのに必要な光量で処理したときの、4℃で保存した赤血球の溶血に対する影響を示す。光源の強度は35mW/cm2であった。
【0020】
【表2】
これらの代表化合物は、電荷数が少ない(たとえば2)基をもつ化合物ほど赤血球に対してより大きなダメージを引き起こすのに対し、3電荷の代表化合物は、溶血および感染性粒子の不活化の両方において良好に作用することを示す。
【0021】
光増感剤のリスト
シルセンス(Sylsens)A:メソ−テトラ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンス:モノ−フェニル−トリ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスC:trans−ジフェニル−ジ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスD:cis−ジフェニル−ジ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスE:トリフェニル−モノ−(N−メチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスR:テトラ−(N−2−ヒドロキシ−エチル−4−ピリジル)−ポルフィリンクロリド
シルセンスO:テトラ(4−N,N,N−トリメチルアニリニウム)−ポルフィリンクロリド
インビボ用途のための赤血球濃縮物の光滅菌の効果を試験する実験を行った。そのために、シルセンスで光力学的に処理したRBCのインビボでの生存率を研究した。2匹のアカゲザル(Macaca Mulata)から得た赤血球を、標準的手順に従って51Crで標識した。各々のサルに、上記の手順に従ってシルセンスで処理済みの、あるいは未処理の自己血が与えられた。細胞を保存する場合には、51Crでの標識は細胞を再注入する直前に行った。結果を、処理の直後(I)、または処理後5週間の保存の後(II)の再注入の両方についての、再注入してから24時間後の赤血球の回収率(%)として、表3に示す。
【0022】
【表3】
表3の結果は、本発明に従って処理された赤血球が、実用目的のインビボでの使用に完全に適していることを示す。図2および3は、表3のデータ(ならびに中間およびその後のデータ)をサル毎に示す(図aはサルBB26、bはサルCO33)。処理(○)細胞と未処理(■)細胞との間で生存率の差はない。
【0023】
図4は、サルCO33とBB26から採血したばかりの血液から調製されたRBCを光力学的処理した後に暗所で保存した間に得られた、インビトロでの溶血データを示す。光力学的処理は採血の直後に行った。溶菌の程度は非常に満足すべきものであることが明らかであり、処理が試験管中ではなく、血液細胞に対するダメージを制限するように設計された特別な血液容器中で行われる場合にも要求を十分満たすであろう。ヒトの赤血球での実験も同様の結果を与えた。
【0024】
図5は、25μMのシルセンスの存在下での緑膿菌および黄色ブドウ球菌の不活化に対する光量(kJ/m2)の依存性を示す。パーセンテージは100%から約0.001以下まで低下する。
【0025】
図6は、対照()、赤血球(RBCC)および25μMのシルセンスで光力学的に処理されたRBCCの、保存(1週間)の間のAS3中のATP含量(μmol/gヘモグロビン、ライデン大学メディカルセンターの中央臨床化学研究所(Central Clinical & Chemical Laboratory)の標準的手順で測定)を示す。同様に、対照と処理RBCCとの間で、保存中のグルコース消費、乳酸産生、2,3−DPG含量およびpHに差異はなかった(データは示さず)。白血球はこの光力学的処理で大きな影響を受けることが見いだされた。特に同種異系刺激に対する反応が強力に低減され、またその抗原提示能力にも悪影響を及ぼす。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による化合物(TriP4)、および2つの対照化合物を用いての溶血の程度を示す。
【図2】2aおよび2bは、2匹のアカゲザルから採血したばかりの血液から調製されたRBCCを、処理直後に輸血した後のRBCの生存率を示す。■、対照;○、処理。
【図3】図2の2匹のアカゲザルから採血したばかりの血液から調製されたRBCCを処理後5週間保存した後に輸血した後のRBCの生存率を示す。■、対照;○、処理。
【図4】図2の2匹のアカゲザルから採血したばかりの血液から調製されたRBCCを光力学的処理した後に暗所で保存している間の溶血を示す。光力学的処理は、採血の直後に行った。■、対照:△、暗所対照;○、処理。
【図5】種々の光量での2つのタイプの細菌(黒、グラム陽性;白、グラム陰性)の不活化を示す。
【図6】処理(黒)および未処理(白、対照)の赤血球のATP含有量を示す。
Claims (7)
- 血液製剤中に存在するウイルス粒子を不活化する方法であって、
前記血液製剤を光増感剤と組み合わせる工程と、
前記光増感剤を活性化させる工程と、
を包含し、前記光増感剤として、化学式Ia−Id、すなわち、
・水素と、
・ハロゲン原子と、
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C1−C20)アシル、(C1−C20)アシルオキシ、(C2−C20)アルケニル、または(C2−C20)アルキニルであって、各々は直鎖状または分枝状であり得、またその各々は、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルキニル、および−(R5−Z)m−R6から選択される1個から3個の基で置換され得、式中R5は、(CH2)nであり、ZはOまたはSであり、R6は(C1−C20)アルキルであり、そしてmおよびnは、独立して1−10であり、このアミノ基の各置換基は直鎖状または分枝状であり得、その各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、および
・ハロゲン原子、
から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
・(C6−C20)アリール、および(C6−C20)複素環式アリール基であって、各々が、
・ヒドロキシル、
・アミノであって、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される1個から3個の基で置換され得、この各々は直鎖状または分枝状であり得、その各々が、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るもの、
・ニトリル、
・ハロゲン原子、および
・(C1−C20)アルキル、(C1−C20)アルコキシ、(C2−C20)アルケニル、から選択される1つ以上の基で置換され得、該複素環式アリール基は、N、O、P、およびSから選択される少なくとも1つの原子を含み、ここでP、NまたはSは、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される基で置換され得、この各々は直鎖または分枝であり得、かつ各々が、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得るものと、
からなる群から独立して選択され、基R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つは、第四級窒素原子を含み、ここでXは、薬学的に許容し得る対イオンである方法。 - R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つが窒素原子を含む(C6−C20)複素環式アリール基であり、この窒素原子は、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される基で置換され、この各々は、直鎖状または分枝状であり得、そしてその各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記複素環式アリール基がピリジニウム基であり、その窒素が(C1−C4)アルキル基で置換されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも1つがアミノ基で置換された(C6−C20)アリール基であり、このアミノ基は、(C1−C20)アルキル、(C2−C20)アルケニル、(C1−C20)アルコキシ、および(C2−C20)アルキニルから選択される1個から3個の基で置換され得、この各々は直鎖状または分枝状であり得、その各々は、ヒドロキシルおよびハロゲン原子から選択される1つ以上の基で置換され得ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記アリール基がトリアルキルアミノフェニル基であり、ここでアルキルが独立して(C1−C3)アルキルであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- R1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも2つが第四級窒素原子を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
- R1、R2、R3およびR4のうちの3つが第四級窒素原子を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
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