JP2004510397A - 制御式自励発振変調器、およびそのような変調器を用いた電力変換システム - Google Patents

制御式自励発振変調器、およびそのような変調器を用いた電力変換システム Download PDF

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Abstract

制御式発振変調器は、パルス変調用の比較器および電力増幅段と、安定な発振状態を保証する第1フィードバック手段(21)および第1フォワード手段(22)を備える高次発振ループとを備える。この変調器は、変調器に接続された負荷(5)に対して前記電力増幅段によって供給される電流の値(i)を測定するように構成された電流測定手段を特徴とし、前記第1フィードバック手段(21)に供給される前記測定値が、前記測定値(i)に基づいて前記第1フィードバック信号を生成するようにされた伝達関数を有し、前記第1フォワード手段(21)が、前記第1フィードバック手段および入力信号(V)に基づいて前記変調信号を生成するようにされた伝達関数を有する。応用例は、誘導負荷を伴う一般的なDC−DC電力変換およびDC−AC電力変換である。好ましい実装では、電流フィードバックによる精密相互コンダクタンス増幅器である。さらに好ましい実施形態では、制御式発振変調器は、音声増幅の目的で精密電圧電力増幅器を実装する。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、パルス変調用の比較器と電力増幅段、および安定な発振状態を保証する第1フィードバック手段と第1フォワード手段とを備える高次発振ループを備え、前記第1フィードバック手段が、前記第1フォワード手段に第1フィードバック信号を供給するように構成され、前記第1フォワード手段が、前記比較器に変調信号を供給するように構成される自励発振変調器に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような変調器を用いたDC−AC変換システム(例えば音声増幅)、DC−DC変換システム、またはAC−AC変換システムなどのスイッチング電力変換システムに関する。有利には、本発明は、任意のシステム、具体的には高効率音声増幅のような精密DC−AC変換システムで電力変換を改善するのに使用することができる。
【0003】
(技術的背景)
パルス変調器は、どんな電力変換システムでも中心的な要素である。ほとんどのスイッチング電力変換器は、領域(DCまたはAC)間での効率的な変換を制御する手段としてのパルス幅変調(PWM)に基づく。
【0004】
典型的な電力変換器は、PWM変調器、スイッチング電力変換段、フィルタ、および制御システムを含む。この種の従来技術のシステムは、米国特許第4724396号(1988)と、Attwood氏によるJournal of AES,Nov.1983.p.842−853に記載されている。しかし、PWMは、主にキャリア・ジェネレータの実装のために、当技術分野でやはり周知のいくつかの欠点を有する。これにより、システムの帯域幅が制限され、設計が複雑になる。さらに、安定かつ堅固な制御システムの設計が難しい。
【0005】
これらの欠点を克服するために、制御式自励発振変調器(COM)が、本出願人の国際特許出願PCT/DK97/00497で紹介された。そこで開示される変調器は、キャリア・ジェネレータが不要であり、前記文書で詳細に説明されているいくつかの利点を有する。
【0006】
この技法に伴う問題は、フィルタ・インダクタ電流を保証するために多量かつ高価な電力構成要素が必要であることである。さらに、変調器が無効負荷またはオープン・ロードに接続されるときに問題が生じ、例えばRC−Zobel補償が必要となる可能性がある。COM技術もまた、広い帯域幅を有するシステムで実装するのが難しい。手短に言えば、COM手法により従来のPWM技術の欠点の一部が克服されるとしても、いくつかの制限が依然として存在すると言うことができる。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4724396号
【特許文献2】PCT/DK97/00497
【非特許文献1】Journal of AES,Nov.1983.p.842−853
【0008】
(発明の目的)
したがって、本発明者の主な目的は、スイッチング電力変換システムにおいて従来の技法に関係する根本的な問題を克服する優れた変調技法を提供することである。
【0009】
2番目の目的は、一般の電力変換システムで、従来技術と比較して、性能、トポロジの単純化、堅固性および安定性の改善の点で顕著な利点をもたらすパルス変調を提供することである。
【0010】
(発明の概要)
上記の目的は、変調器に接続された負荷に電力増幅段によって供給される電流の値を測定するように構成された電流測定手段を特徴とし、その測定値が第1フィードバック手段に供給され、第1フィードバック手段が、その測定値に基づいて第1フィードバック信号を生成するようにされた伝達関数を備え、第1フォワード手段が第1フィードバック信号と入力信号に基づいて変調信号を生成するようにされた伝達関数を有する、上述のタイプの制御式自励発振変調器(COM)によって達成される。
【0011】
負荷に供給される電流を測定することによって、負荷の制御が大きく改善され、さらに負荷を補償する必要がなくなる。さらに、変調器が強力な広帯域制御システムとして動作するので、どんなフィルタ・インダクタ電流も補償され、電力構成要素に対する要件が軽減される。
【0012】
電流測定自体が一次の伝達関数を実現し、したがって、発振ループ内に第1の極を導入するので、設計が単純になる。モバイル・パーソナル・オーディオ装置など小型化が重要な応用例では特に、このことは従来技術に勝る重要な利点である。
【0013】
したがって、本発明によるCOMは、COM技術の利点を電流制御式PWM技術の利点と組み合わせ、以下の特徴を示すシステムを得ること目指している。
このシステムは本質的に不安定である。
キャリア・ジェネレータが不要であり、構成要素が節約される。
電源変数Vが実効ループ伝達関数から除去される。
このシステムは広帯域制御システムとして動作する。
クリーンな変調(フィードバックノイズや、不十分なキャリア信号がない)。
効率およびEMIを改善するための制御可能可変スイッチング周波数。
【0014】
これにより、本発明による変調器は、オーディオ応用例などの、すべてのタイプの精密DC−AC変換応用例に非常に適している。
【0015】
変調器は、増幅段から出力電圧をフィードバックする手段を含むことが好ましい。これにより、中央の電力変換段を取り囲む変調システムと制御システムを組み合わせた非常にコンパクトな設計が可能となる。組合せ電圧/電流フィードバックPWMシステムは当技術分野で周知であるが、前記COMベースの2ループ・トポロジは有利な改良であり、当技術分野で新規なものである。
【0016】
電圧フィードバックの実施態様によれば、第1フィードバック手段が前記出力電圧に接続され、前記電流値および前記電圧に基づいて前記第1フィードバック信号を生成する。これは、2重フィードバックを実装するための有利な方式とすることができ、構成要素の数が削減される。
【0017】
電圧フィードバックの別の実施態様によれば、変調器は、前記出力電圧に接続され、第2フィードバック信号を生成するようにされた第2フィードバック手段と、前記第2フィードバック信号および第2信号に基づいて前記第1フォーワード・ブロックに前記入力信号を供給するようにされた第2フォワード手段とを備える。この実装は若干複雑であるが、様々な伝達関数を用いて電流を測定し、電圧をフィードバックすることが望ましい応用例では有利であることがある。
【0018】
電力増幅段は出力フィルタを備えることができ、次いで第2フィードバック手段を前記出力フィルタからの出力に接続することができる。これにより、電圧をフィードバック経路でフィードバックする前に電圧の第1フィルタリングを行うことが可能となる。
【0019】
好ましい実施態様では、電流測定用の手段が、ピーク電流および長期電流の制限として保護機能を実現するようにされている。
【0020】
有利には、制御式発振変調器は、例えばオーディオで使用する電力増幅器のような精密電圧/電流制御式DC−AC変換で使用することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照しながら以下でさらに説明する。
【0022】
(好ましい実施例の詳細な説明)
従来技術によるCOMの基本的原理を、図1の概括的なブロック図に示す。これは電圧フィードバックを使用するので、VCOMと呼ぶことにする。入力電圧Vがフォーワード・ブロック2に供給され、フォーワード・ブロック2はフィードバック・ブロック1による供給も受け、誤り情報を導出し、処理する。補償後信号Vが非ヒステリシス比較器3に供給され、DC電圧であることが好ましい電圧VDCと比較される。得られるパルス変調信号は、Vの供給を受けるスイッチング電力変換段4で電力増幅され、電力パルス信号Vが生成され、前記パルス信号が誘導負荷5を駆動する。
【0023】
ブロック1は、出力電圧Vからの出力情報を処理し、システムの全伝達関数特性を制御する。制御式発振変調器は、ブロック1および2内の少なくとも合計2つの極を特徴とし、変調器および電力段の伝播遅延と組み合わせて、VDCと比較される正弦状の変調信号Vを生成する。これらの仮定の下で、システムは、正のフィードバックの周波数で発振するシステムを認識する。ブロック1は、Vから出力変数への全伝達関数特性を制御するように実装される。
【0024】
ある帯域幅にわたって一定の利得Kが望ましいと仮定すると、以下の伝達関数が適していることがわかる。
【数1】
Figure 2004510397
【0025】
この例では、Aブロック1は、発振周波数よりも一般に1/10未満である低周波数に位置する極s=−1/τで一次の特性を有するので、発振条件は、τにより、s=−1/τに位置する2つの極で容易に決定される。「制御式発振変調(COM)」に対する要件は、
【数2】
Figure 2004510397
上式で、所望のシステム発振周波数はωである。したがって、この好ましい例では、制御式発振に対する条件は、
【数3】
Figure 2004510397
【0026】
VCOMシステムは、比較器およびスイッチング電力段の非線形な利得特性のために、ωで強制的に発振することになる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態として図2のシステムを考慮する。この変調器では、変調信号Vを生成する際に入力として使用されるのは、負荷に送達される電流iの値である。電流iは、増幅段4の後ろに配置される電流測定手段6で測定される。
【0028】
この場合のブロック11および12の有利な伝達関数は、
【数4】
Figure 2004510397
【0029】
電流制御式COMシステム(以下CCOMと呼ぶ)が、復調のために二次(L,C)フィルタによる負荷を受けると仮定すると、ループ伝達関数は、
【数5】
Figure 2004510397
上式で、
【数6】
Figure 2004510397
【0030】
したがって、CCOMシステムでの制御式発振に対する条件は、
【数7】
Figure 2004510397
【0031】
CCOMシステムに対するパラメータ値の例は、
【表1】
Figure 2004510397
【0032】
多くの周知の方式を使用して、代替パラメータおよび代替の極の配置を用いたCCOMシステムを実装できることを当業者は理解されよう。したがって、この例は例示に過ぎず、一定の帯域内相互コンダクタンス1/Zを有する単純な広帯域相互コンダクタンス増幅器システムを説明しているに過ぎない。
【0033】
有利には、図2に示すCCOM変調器は、従来技術によるVCOMと組み合わせることができ、この組合せの2つの好ましい実施形態を図3および4に示す。
【0034】
有利には、この組合せ変調器は、二次復調フィルタおよびグローバル電圧ループを備える汎用高性能DC−AC変換システムに実装することができる。
【0035】
図3では、フィードバック・ブロック21の伝達関数A’が、増幅段4から電圧フィードバックを受け取り、測定された電流値iを受け取るようにされている。フォーワード・ブロック22の伝達関数B’の適切な調節も行われる。
【0036】
別の例は、2つの追加のブロック31および32が導入された、図4の広帯域定利得電力増幅器である。したがってこの増幅器は、電圧フィードバック経路33によって囲まれた、図2によるCCOM 30を備える。出力フィルタ34の後に電圧信号Vが得られ、出力フィルタ34はブロック31に接続されている。次いで、生成された信号Vはブロック32に供給される。ブロック32には入力電圧Vも供給される。ブロック32からの出力は、フィードバック・ブロック11からの信号Vと共に、CCOM 30のフォーワード・ブロック12に供給される。ブロック31および32の好ましい伝達関数は、
【数8】
Figure 2004510397
【0037】
を調節することによって、所望の電圧ループ帯域幅fが容易に実現される。パラメータの例は、
【表2】
Figure 2004510397
【0038】
多くの周知の方式を使用して、COMシステムのブロック中の伝達関数を実現できることを当業者は理解されよう。システム利得Kは、システムの帯域幅内で一定に維持される。
【0039】
本発明の代替の有利な実施形態は、帯域内ループ利得が組合せCOM変調器/フィードバック制御システムによる改良型フィードバック補償に対してより急勾配となる(しかし、−12db/オクターブ未満)ような、COMシステムの2極補償である。このことを例えばBブロックで実現できることを当業者は理解されよう。
【0040】
本発明の他の実施形態は、伝達関数を制御し、クリッピング特性を改善した入力フィルタリング/制限セクションを含む。有利には、クリッピング特性はソフト・クリッピング・タイプである。加えて、リミッタは、動作の際の発振器動作を継続させ、制御ループを保つ。適切に実現されたリミッタ機能の第3の利点は、過負荷からの回復中に遅れがないことである。このような制限機能を実現する多くの周知の方式を当業者は理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
電圧フィードバックに基づく従来技術の制御式発振変調器を示す図である。
【図2】
本発明の第1実施形態のブロック図を示す図である。
【図3】
本発明の第2実施形態のブロック図を示す図である。
【図4】
本発明の第3実施形態のブロック図を示す図である。

Claims (9)

  1. パルス変調用の比較器と電力増幅段、および安定な発振状態を保証する第1フィードバック手段と第1フォワード手段を備える高次発振ループを備える制御式自励発振変調器であって、前記第1フィードバック手段が、前記第1フォワード手段に第1フィードバック信号を供給するように構成され、前記第1フォワード手段が、前記比較器に変調信号を供給するように構成される制御式自励発振変調器において、
    変調器に接続された負荷に対して前記電力増幅段によって供給される電流の値を測定し、その測定値が前記第1フィードバック手段に供給されるように構成された電流測定手段を有することを特徴とし、
    前記第1フィードバック手段が、前記測定値に基づいて前記第1フィードバック信号を生成するようにされた伝達関数を有し、前記第1フォワード手段が、前記第1フィードバック手段および入力信号に基づいて前記変調信号を生成するようにされた伝達関数を有する制御式自励発振変調器。
  2. 前記増幅段から出力電圧をフィードバックする手段をさらに含む請求項1に記載の制御式自励発振変調器。
  3. 前記第1フィードバック手段が前記出力電圧に接続され、前記第1フィードバック手段が、前記電流値および前記電圧に基づいて前記第1フィードバック信号を生成するようにされた請求項2に記載の制御式自励発振変調器。
  4. 前記出力電圧に接続され、第2フィードバック信号を生成するようにされた第2フィードバック手段と、
    前記第2フィードバック信号および第2信号に基づいて前記入力信号を前記第1フォーワード・ブロックに供給するようにされた第2フォワード手段とをさらに備える請求項2に記載の制御式自励発振変調器。
  5. 前記電力増幅段が出力フィルタを備え、前記第2フィードバック手段が、前記出力フィルタからの出力に接続される請求項4に記載の制御式自励発振変調器。
  6. 変調深さを制御するためのリミッタ手段をさらに備える前記請求項のいずれかに記載の制御式自励発振変調器。
  7. 電流測定用の前記手段が、ピーク電流および長期電流の制限として保護関数を実装するようにされた請求項6に記載の制御式自励発振変調器。
  8. 前記請求項のいずれかに記載の変調器を実装する電力変換システム。
  9. 電気力学的変換器負荷を直接駆動するのに使用される請求項8に記載の電力変換システム。
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