JP2004510374A - 複数の偏波を有する全指向性アンテナ - Google Patents

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Abstract

多くの偏波特性を必要とする無線通信装置(10)用の全指向性アンテナアセンブリを提供する。無線通信装置用アンテナアセンブリはあらかじめ決められた波長で動作し、信号出力を含むトランシーバ回路と接地板とを有する。アンテナアセンブリは接地板(20)から離れて配置された導電性の平面素子(14)と該平面素子の縁に隣接して結合している導電性脚部材(26)とを含む。平面素子は通信装置の接地板から離れて配置されていて、無線通信装置に付随する部品(82)を1個または複数収納するための領域を作っている。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は無線通信装置用のアンテナ構造に関するものであり、特に携帯用無線通信装置と共に使用されるコンパクトで、効率がよく、電気的に小さいループアンテナに関するものである。
【0002】
(背景技術)
最近のコンパクトな通信装置の物理的サイズは、通信装置を効率的に働かせるのに必要なアンテナのサイズによって決まっている。装置が大きくなり過ぎるのを避けるために、ページャおよびその他の装置では電気的に小さな方形ループ(1/10波長)を使用してきた。しかし、これらの小さなアンテナは放射抵抗が非常に低くかつ抵抗性損失が比較的大きいので、効率が低くなる傾向がある。同様に、Qが高いために物理的環境に敏感になりやすい。
【0003】
また、最新式の無線通信装置の設計に際して、どんどん小さくなる物理的パッケージの中に必要な部品を効率よく収納することを熟慮して挑戦しなければならない。無線装置の全体的なサイズが小さくなるにつれて、当業者にとって電池、アンテナ構造、無線周波数信号の送受信回路およびその他のディジタルかつまたはアナログのデバイスまたはモジュールを全装置パッケージの中に効率よく配置することが特に難しい挑戦となっている。アンテナ構造と無線周波数信号発生部品またはモジュールに関するアセンブリの配置が特に重要である。当業者はこれらの部品間の電磁結合を防止することの困難性を認識している。
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
電気的に小さいループアンテナの欠点を克服するために、アンテナの物理的サイズを小さくすること、比較的高効率であること、性能を損ねることなく関連する電子回路の近くに配置することができること、標準的な低コストの部品を使って容易に製造できること、そして種々の応用ができるように放射パターンを変更することができることという要求が継続している。
【0005】
ある無線通信装置では、アンテナアセンブリは付随する電子装置から離して配置することができる。アンテナアセンブリを付随する無線通信装置から離して配置することにより、アンテナの周囲の強い電磁界から高周波エネルギーがディジタルまたは他の回路に結合するのを、またはアンテナが信号にアクセスするのを最少にすることができる。GPS受信機とブルートース(BLUETOOTH(登録商標))または他のタイプのUHFとマイクロウェーブのディジタルトランシーバ、特に装置の上または中にアンテナを組み込んでいるもの、は、無線周波数信号を発生/受信する部品からアンテナアセンブリを離して配置することがしばしば有利になる。
【0006】
アンテナを離すことに関するひとつの制限はアンテナアセンブリを電子回路に接続する伝送線路を通して電力が失われるということである。ノイズが増えて送信電力が減ることによりシステムの性能が低下するので、このことは明らかに望ましくない。伝送線路における電力損失の結果、利得のような重要なアンテナのパラメータが低下することになる。伝送線路の損失により信号の受信もまた悪影響を受ける。
【0007】
左側偏波信号と右側偏波信号とを受信するための円偏波アンテナ構造またはシステムも知られている。円偏波は全世界測位システム(GPS)のような衛星システムに代表される。この分野は可能な応用範囲が非常に広く、かつこれらのシステムが比較的低コストで実現できるため、急速に広がっている。
【0008】
このようなシステムに関する固定装置および陸上移動装置は、特定の機能を効率的に実行するためにもっと特殊化されたアンテナを必要とする。移動装置に搭載された円偏波通信システムとナビゲーションシステムでは、今まで2種類のアンテナが使われてきた。第1のタイプは「ヘリックス」すなわちヘリカルアンテナであり、第2のタイプは「パッチ」アンテナとして知られている。
【0009】
ヘリカルアンテナではらせんワイヤに進行波を励振することにより円偏波が得られる。円偏波の方向(左または右)はらせんワイヤの巻き方により決まる。
【0010】
ヘリカルアンテナは設計製作が非常に簡単で、かつ高感度が確実な帯域幅がかなり広いという利点を有する。ヘリカルアンテナのこの特性のおかげで、許容範囲が広くなり、市場で入手することが容易な安価な材料を使うことが可能になっている。このタイプのアンテナは更に、軸方向に良好な利得値を有し、かつ同じ程度によい軸比を有するという利点を有する。この分野の専門家が知っているように、このことは円偏波の品質に関して最も重要な基準パラメータである。
【0011】
ヘリックスアンテナの欠点は高さが決して無視できないことである。このために背が低いアンテナを必要とする車や携帯装置への搭載というようなある種の応用には不便である。これらは明らかに流線型でなければならないからである。
【0012】
背が低いというのはパッチアンテナとして知られている前述の第2のタイプのアンテナの主要な特徴である。この場合、平らな導電性表面に共振電流分布を励振することにより円偏波が得られる。円偏波の方向は表面の「励振点」の位置を正確に計算することによって決まる。
【0013】
しかしこのタイプのアンテナは比較的高価な材料を必要とし、なかんずく許容範囲が狭いので据え付けと製造中に高精度を必要とする。
以上の技術的水準に鑑み、前述の両アンテナの利点をすべて提供し、かつどちらの欠点や制限も持たないことを目的として、別のタイプの円偏波双方向アンテナを発明した。
【0014】
(発明の要約)
無線通信装置の導電性接地板上に導電性脚部材によって支持された導電性ループ素子を含む全指向性アンテナが提供される。導電性脚部材は更に給電点を含み、その位置でアンテナが無線通信装置の信号発生回路と機能的に接続される。誘電体素子をループ素子と接地板との間に任意選択的に配置することができる。
【0015】
改良されたアンテナは垂直水平の両方向に利得を示す。水平方向の利得はループ内の電流に起因する。垂直利得(ループ素子と接地板とに垂直)はループ素子と接地板との間に設けられた導電性脚部材内の変位電流電界に起因する。
【0016】
円偏波はループワイヤを励振することによって得られる。ループは閉路を形成する。必ずしも円形路である必要はない。方形に形成されたループを含むアンテナもここに開示する。偏波(左側または右側)を起こすには種々方法が利用できる。第1の方法はループワイヤの中心に関して90度に交叉した2個の離れた点でループワイヤを励振して、位相が直交した発生源を作ることである。あるいは、受動プローブ、方向性プローブ、またはその他の適当な手段を用いて2個の偏波のうち一方を識別することにより、ループワイヤを一点でのみ励振してもよい。
【0017】
アンテナの動作周波数帯は導電性ループの外周の大きさによりだいたい決まる。外周の大きさは応答周波数の1/2波長に実質的に等しい。したがってシステムは1/2波長スロットアンテナと同じように働く。アンテナの同調は給電回路網を調整することによって行うことができる。導電性脚部材の幅と位置を調節すると、周波数とインピーダンスが変化する。
【0018】
本発明の別の態様は、アンテナと無線周波数電子回路とを接続する伝送線路における電力損失の問題を扱う。本発明の実施例では、この問題はアンテナ構造の近くに低ノイズ増幅器(LNA)を設けることによって解決される。好ましい一実施例によれば、アンテナの一部により形成された空洞部の中のようなアンテナ構造の内部にLNAを配置することができる。
【0019】
本発明の他の態様は、LNAのようなトランシーバおよびまたは受話器の各種部品をアンテナの中または下に配置したアンテナを提供する。ここでアンテナの性能に悪影響を及ぼさないことが大切である。前置/後置フィルタ付きまたはフィルタなしのLNAをアンテナアセンブリの一部の空洞内に配置することができる。好ましい一実施例では、電子部品または他の部品をディスク状の誘電体素子の中に形成した空洞部内に配置することができる。
【0020】
本発明の更に他の態様は、導電性接地板素子に関して機能的に配置された導電性ループ共振器素子を有するアンテナ構造を提供する。ある実施例では、導電性接地板を無線通信装置の接地板とすることができる。他の実施例では、導電性接地板は無線通信装置の接地板と接続された別の導電性パネルまたは素子でもよい。たとえば、アンテナは無線通信装置と離して配置して、同軸信号線などのような伝送線路により接続してもよい。
【0021】
本発明の更に他の特徴は導電性脚部材の中に切り欠き素子を設けたことである。切り欠きの高さを変更することにより、アンテナの整合を調節するとができる。更なる同調はリングの幅を調節することにより行うことができる。リングの幅を広くするにつれて、動作周波数帯域が高くなる。
【0022】
本発明の利点はアンテナ性能が接地板の大きさにほとんど無関係であることである。したがって、アンテナはいろいろな大きさの接地板を有する種々の無線通信装置に容易に適合することができる。
以下図面を参照しながら本発明を説明する中で本発明の上述および他の目的と利点を明らかにする。図中、同じ参照番号は同じものもしくは類似の要素を指している。
【0023】
(好ましい実施例の詳細な説明)
図1はセルラー電話機またはPDA装置のような無線通信装置12の中に配置されたアンテナアセンブリ10を示す。アンテナアセンブリ10はループ表面16を形成する円形のループ共振器素子14を含み、ループ表面16は接地板20から離して配置してある。接地板素子20は無線通信装置12の印刷配線基板の接地板でよい。あるいは無線通信装置12の接地板と接続された別の導電性素子でもよい。
【0024】
好ましい実施例では、アンテナアセンブリ12は所望の周波数を送受信することができるようになっている。所望の周波数にはアナログまたはディジタルの米国または欧州のセルラー電話帯域、PCSセルラー電話帯域、2.4GHzブルートース帯域、または当業者に自明のその他の周波数帯域が含まれる。
【0025】
アンテナアセンブリ10は無線通信装置12の上部近く(動作中に使用者の手から遠い方)に配置されていて、無線通信装置12のケース22の中に収納されている。アンテナアセンブリ10はケース22の内側でも外側でも実装することができるが、今はケース22の中に配置するのが好ましい。無線通信装置12は受信機およびまたは送信機のような電子装置を含む。受信機およびまたは送信機のことを便宜上ここではトランシーバ部24と呼ぶことにする。
【0026】
図2−7を参照すると、円形ループ共振器素子14のループ表面16は接地板素子20と実質的に平行の関係に配置されている。接地板20はここでは実質的に方形に描かれている。接地板20は少なくとも一方の主要な辺の寸法が最低動作周波数において約1/4波長であれば、別の形であってもよい。導電性脚部素子26がループ表面16の一端から接地板素子の方へ延びていて、アンテナアセンブリ12の給電タブ28を形成している。給電タブ28は図5の同軸線25を経由するように示すように、トランシーバ信号の入出力部24と機能的に接続されている。導電性脚部素子26は更に自分26を回路接地に接続するための接地タブ30を形成している。こうしてループ共振器14は接地タブ30を経由して接地板素子に電気的に接続される。溝状切り欠け部32が導電性脚部素子26の給電タブ28と接地タブ30との間に形成されている。好ましい一実施例において、溝状切り欠け部32は縁部が概ね平行な溝として図示してある。溝状切り欠け部32は別の形でもよく、例えばV字型の切り込みあるいはその他の切り欠けでもよい。ループ共振器素子14の寸法はケース22の一部に従うように変えることができる。当業者なら特定の無線通信装置に関してループ共振器素子14を設計選択すると、このような複雑な形状になることが理解されよう。
【0027】
図2−7の実施例において、ディスク状誘電体素子40が導電性ループ共振器素子14と接地板20との間に設けられている。誘電体素子40は誘電体ディスク用のULTEM1000(テキサス州シャイナーのボーデッカー・プラスチック社(Boedeker Plastics,Inc.of Shiner,TX))から入手可能)のようなガラス充てんポリマを含むことができる。この誘電体材料は誘電率が約3.15のガラス充てんポリマである。この誘電体材料は熱リフローハンダプロセスによりアンテナ10の表面に装てんするのに適している。他の誘電体材料を使うこともできる。当業者なら誘電率の高い誘電体材料を選択すれば、より小さくてよりコンパクトなアンテナ10が得られることが理解されよう。誘電率の好ましい範囲は1から35である。誘電体材料を選択する際、アンテナ性能の温度による変化が少ないことと損失係数が小さいことを考慮しなければならない。その他に適する誘電体材料はセラミック材料とエーロゲルである。アリゾナ州チャンドラーのロジャース社(Rogers Corporation,of Chandler,Arizona)により製造されているTMM材料のようなセラミック充てんプラスチックも使うことができる。この材料は誘電率が3から10で、ハンダ還流温度に強い。TMM材料は炭化水素熱硬化性プラスチック(セラミック充てんされている)からできていて、誘電率の制御がしっかりとできて、低損失で、温度安定性にすぐれている。誘電体素子40は空洞になっていて、その中に無線通信装置12の部品を1個または複数個入れることができる。後述するように、図20−21はこのような実施例を示している。
【0028】
ループ共振器素子14と脚部素子26とは1個の導電性金属またはその他の適当な導電性材料から一体で作ることができる。ある実施例では図6と7に示すように、約2.4−2.5GHzの周波数範囲で動作するために導電性金属は厚さ0.25mmの黄銅がよいであろう。導電性部材14,26は刻印、圧搾、板金またはその他の方法により成型することができるが、これらは当業者に明らかであろう。導電性部材14,26はまた、重合体の誘電体40で成型してもよいし、あるいは誘電体部材40に機械的に固定してもよい。他の実施例では(図示せず)、導電性部材14,26は電解メッキまたは無電解メッキまたはその他の適当な方法を用いて誘電体部材40に選択的にメッキしてもよい。ある特別な方法ではツーショット・モールド後に無電解メッキを行うMID技術が採用されるだろう。他の実施例では既存の導電性部分の上に挿入モールドするという製法を採用することもできる。
【0029】
ループ共振器素子14を無線通信装置12の配線基板にハンダ付けして、給電タブ28と信号トランシーバ部24、および接地タブ30とトランシーバ部24の接地部分との電気的かつ機械的接続を形成することができる。あるいは、無線通信装置12からアンテナ10にマイクロストリップ給電線(図示せず)を形成することもできる。
【0030】
本発明の第1の利点は非常にコンパクトなデザインから多くの偏波が得られることである。図8に示すように、このユニットは垂直応答と水平応答と同様に右側円偏波と左側円偏波を生み出す。図3を参照して、アンテナ10の右側は右側円偏波放射を送受信し、アンテナ10の左側は左側円偏波放射を送受信する。アンテナ10はまた方位方向に垂直偏波を送受信し、これはほぼ完全に全指向性であり、天頂において水平偏波を送受信する。
【0031】
その結果、右側円偏波応答のせいでアンテナ10は特に1.575GHzにおけるGPSでの使用に良く適合する。アンテナ10はまた2.4GHzにおけるブルートース周波数帯域でよく機能するような大きさに作ることもできる。また、多様な偏波性能を有するためこのユニットを星位のいろんな角度に向けることが可能になり、かつよい応答性を維持することができるので、このアンテナ10はブルートースとISMの用途にも良く適合する。したがって、アンテナ10は携帯型装置12で使うことができ、装置12を任意の方向に動かしても信号の送受信品質を許容範囲に維持することができる。
【0032】
図8を再び参照して、このアンテナはφ=90度と−90度においてそれぞれ右側CP成分と左側CP成分の両方を有することが確定している。アンテナ10はリングの周りに2.45GHzにおける1/2波長の電気的距離を有する1/2波ループアンテナであるとみなすことができる。アンテナ10をこのように表すことにより、波長に沿った距離に対応するリング上の点を定義することができる。図3において、0,1/4,1/2波点がそれぞれA,B,Cで示されている。
【0033】
共振時には電流定在波(CSW)がリング16の周りに形成される。更に、位相が90度ずれた電圧定在波(VSW)がリング16と接地板20との間に確立される。CSWの伝導電流が水平偏波電界を生じ、VSWから生ずる変位電流が垂直偏波電界を作る。円偏波は両偏波間に90度の移相を必要とするが、このことはこのデザインに固有のものである。円偏波に対する第2の要求は両偏波から生ずる電界の大きさが等しいことである。この第2の要求は電流または電圧のいずれかがゼロであるリング上の位置(0,1/4,1/2波点)では起こらない。しかし、これらの位置の間では(おそらく1/8または3/8波点を含む)、両電界成分の大きさがほぼ等しいということが起こりうる。更に、アンテナアセンブリ10は1/8波長点と3/8波長点の近くでそれぞれφ=90度と−90度において右手円偏波応答と左手円偏波応答を示す。図9は図6−7のアンテナの周波数対電圧定在波比(VWSR)を示す。このアンテナの放射パターンは接地板に平行な平面内で垂直偏波に関してほぼ全指向性である。比較すると、この放射パターンは典型的なPIFAアンテナパターンとは実質的に異なる。
【0034】
アンテナアセンブリ19を無線通信装置12に組み入れるときに少し同調調整する必要があるかもしれない。アンテナ10を所望の動作帯域に同調させるために、アンテナ10の二つの寸法を調整することができる。アンテナ10を低い周波数に同調させるために、図4の想像線60で示すように、導電性脚部素子26と接地タブ30の左側の材料を除去することができる。25MHzだけ共振周波数を変えるには約0.25mm変えなければならない。これらの数値は正確ではないが、おおよその大きさを与えるものである。このように材料を除去すると溝が長くなるので、周波数が下がる。高インピーダンスに整合するように調整するには、導電性脚部素子26と接地タブ30と給電タブ26の間の溝を長くするべきである(図4の仮想線70に示すように)。約0.25mmというような比較的小さい変更をすべきである。
【0035】
図10−12は無線通信装置12用アンテナアセンブリ10の別の実施例である。この実施例では導電性脚部素子50は給電点52を含み、給電点52は無線通信装置12の接地板20と導電性脚部素子50の接地タブ54の両方から離れたところにある。無線通信装置12のトランシーバ部24との接続は同軸線またはその他の信号線によって行うことができる。
【0036】
図13−18は無線通信装置12用アンテナアセンブリ10の更に別の実施例である。この実施例のループ共振器14と誘電体基板素子40は方形であるのが好ましく、更に実質的に正方形であることが好ましい。図14−18は図3を補助する図である。図13−18のアンテナは複数個の側導体パネル70,72,74を含み、これらはループ共振器素子14の縁に隣接して共振器素子14と電気的に接続されている。この実施例では導電性脚部部材60が給電点62を含み、給電点62は無線通信装置12の接地板20と導電性脚部部材60の接地タブ64の両方から離れたところにある。その結果、給電点62と接地タブ64との間に50オームの不平衡給電点ができる。無線通信装置12のトランシーバ部24との接続は同軸線またはその他の信号線によって行うことができる。
【0037】
図19に本発明によるアンテナアセンブリ10の別の実施例を示す。この実施例では、アンテナ10は付随する無線通信装置12から離して配置してある。円形ループ共振器素子14のループ表面16は接地板素子20と実質的に平行に配置されていて、接地板素子20は無線通信装置12の接地板から離れた別の導電性素子であってよい。接地板20は少なくとも主な一辺が最低動作周波数における約1/4波長であれば、別の形であってもよいことを理解されたい。導電性脚部素子26がループ表面16の一端に隣接してそこから接地板素子20の方へ延びていて、アンテナアセンブリ12の給電タブ28を形成している。給電タブ28は導体78を経由して低ノイズ増幅器82の出力82と機能的に接続されている。増幅器82は同軸線25のような伝送線に接続されている。同軸線25のシールド導体84はアンテナアセンブリの接地板20に接続されている。本発明のこの実施例では、低ノイズ増幅器82のような部品が導電性ループ共振器素子14と接地板20との間の領域81に配置されている。回路、またはその他の電子装置またはシステムのような部品を1個または複数個、たとえば導電性ループ共振器素子14と接地板20との間のような関係で配置することができる。アンテナアセンブリ10を良好に動作させるには、ループ共振器素子14と接地板20との間に配置する部品または回路の高さは、ループ共振器素子14と接地板20間の距離の約50%未満とすべきである。
【0038】
図3−7の実施例と同様に、導電性脚部素子26は更に導電性脚部素子26を接地板20に接続するための接地タブ30を有する。このようにして、ループ共振器素子14は接地タブ30を介して接地板20に電気的に接続される。溝32が導電性脚部素子26の給電タブ28と接地タブ30との間に形成される。ループ共振器素子14の大きさはケース22の部分に合うように変えることができる。特定の無線通信装置12との関連においてループ共振器素子14を設計選択する結果、このような複雑な形状になることを当業者は理解されるであろう。
【0039】
図20と21の実施例ではディスク状誘電体素子40が導電性ループ共振器素子14と接地板20との間の領域81に配置されている。誘電体素子40は誘電体ディスク用のULTEM1000(テキサス州シャイナーのボーデッカー・プラスチック社から入手可能)のようなガラス充てんポリマを含んでよい。この誘電体材料は誘電率が約3.15のガラス充てんポリマである。この誘電体材料は熱リフローハンダプロセスによりアンテナ10の表面に装てんするのに適している。他の誘電体材料を使うこともできる。当業者なら誘電率の高い誘電体材料を選択すれば、より小さくてよりコンパクトなアンテナ10が得られることが理解されよう。誘電率の好ましい範囲は1から35である。誘電体材料を選択する際、アンテナ性能の温度による変化が少ないことと損失係数が小さいことを考慮しなければならない。その他に適する誘電体材料はセラミック材料とエーロゲルである。アリゾナ州チャンドラーのロジャース社により製造されているTMM材料のようなセラミック充てんプラスチックも使うことができる。この材料は誘電率が3から10で、ハンダ還流温度に強い。TMM材料は炭化水素熱硬化性プラスチック(セラミック充てんされている)からできていて、誘電率の制御がしっかりとできて、低損失で、温度安定性にすぐれている。図21に特に示すように、誘電体素子40は空洞86を含み、その中に低ノイズ増幅器82のような無線通信装置12の部品を1個または複数個入れることができる。無線通信装置12の部品を1個または複数個、誘電体素子40の1個または複数個の空洞86に収納することができる。
【0040】
次に図22と23を参照すると、ループ共振器素子14と共に使う別の給電方法が示されている。図22の給電構造90は一対の電線92,94を含み、これらはそれぞれ同軸線25の心導体83とシールド導体84に接続されている。シールド導体84と電線94とは接地板20に接続されている。電線92,94の断面は直径Dの円である。電線92,94はお互いに距離Dだけ離れている。給電構造90の同調は距離DとDを変えることによって調整される。
【0041】
図23の給電構造98は並列接続されたインダクタ100とコンデンサ102とを含む高インピーダンス(電圧供給)構造である。インダクタ100とコンデンサ102は別々のデスクリート部品でもよいし、またはLC同調回路網の中に組み込まれていてもよい。同軸給電線25の心導体83はインダクタ100に直接接続されており、シールド導体84は接地板20に接続されている。図22と23の給電構造90,98は同軸信号線25を含むように図示してある。アンテナの別の実施例では別の信号線、たとえばマイクロストリップ伝送線、を使うこともできる
【0042】
以上特定の実施例について本発明を説明したが、当業者に明らかであろう他の実施例、応用、修正などは本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明によるアンテナを使用した無線通信装置の斜視図。
【図2】
図1の無線通信装置の一部の斜視図であって、アンテナアセンブリの接地板素子とループ素子を示してある。
【図3】
図1の無線通信装置の一部の別の斜視図であって、アンテナアセンブリの接地板素子とループ素子を示してある。
【図4】
図3のアンテナアセンブリのループ素子の斜視図。
【図5】
図3のアンテナアセンブリのループ素子の別の斜視図。
【図6】
本発明によるループアンテナアセンブリの好ましい一実施例の平面図。
【図7】
図6の好ましい実施例の側面図。
【図8】
図6のアンテナアセンブリの利得特性の極図。
【図9】
図6のアンテナのVWSR対周波数の図。
【図10】
本発明によるアンテナアセンブリのループ素子の別の実施例。
【図11】
図10のアンテナアセンブリの平面図。
【図12】
図10のアンテナアセンブリの側面図。
【図13】
本発明によるアンテナアセンブリのループ素子の別の実施例。
【図14】
図13のアンテナアセンブリの平面図。
【図15―18】
図13のアンテナアセンブリの側面図。
【図19】
本発明によるアンテナアセンブリの別の実施例の斜視図。
【図20】
本発明によるループアンテナアセンブリの別の実施例の斜視図。
【図21】
図20のアンテナアセンブリの斜視図。
【図22】
本発明によるループアンテナアセンブリの別の実施例の斜視図であって、別の給電方法を示してある。
【図23】
本発明によるアンテナアセンブリの別の実施例の斜視図であって、別の給電方法を示してある。

Claims (41)

  1. あらかじめ決められた動作波長で動作し、信号ポートを含むトランシーバ回路と接地板とを有する無線通信装置用アンテナアセンブリであって、該アンテナアセンブリは、
    あらかじめ決められた波長の約半分の電気的長さを有し、あらかじめ決められた距離だけ接地板から離れてかつ該接地板にほぼ並行に配置されて、該接地板との間に該無線通信装置に付随する部品を収納する為の大きさを有する領域を形成する、概ね平らな導電性ループ素子と、
    該導電性ループ素子に結合されて該接地板まで延びていて、給電点接続部と接地接続部とを有する導電性給電構造と、
    を含むアンテナアセンブリ。
  2. 請求項1記載のアンテナアセンブリにおいて、前記給電構造は上側端と下側端を有する脚部材を含み、該上側端は前記ループ素子に接続され、該下側端は前記接地接続位置において前記接地板と接続されかつ前記給電点位置において前記信号出力と接続され、該脚部材は前記給電点位置と前記接地接続位置の間に溝状切りかけ部分が作られていることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  3. 請求項1記載のアンテナアセンブリにおいて、前記給電構造は一対の電線を含み、第1の電線は前記給電点接続を形成し、第2の電線は前記接地接続を形成することを特徴とするアンテナアセンブリ。
  4. 請求項1記載のアンテナアセンブリにおいて、前記給電構造は並列接続されたインダクタとコンデンサとを含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  5. 請求項1記載のアンテナアセンブリにおいて、前記ループ素子と前記接地板間の前記あらかじめ決められた距離は、動作波長の約0.02から0.06の間にあることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  6. 請求項1記載のアンテナアセンブリにおいて、前記ループ素子はおおむね方形の断面を有すること特徴とするアンテナアセンブリ。
  7. 請求項2記載のアンテナアセンブリにおいて、前記導電性脚部材はおおむね平らであって、前記給電点位置において給電タブを含み、前記接地接続位置において接地タブを含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  8. 請求項2記載のアンテナアセンブリにおいて、前記導電性ループ素子と前記導電性脚部材とは1個の金属部材から一体に作られることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  9. 請求項1記載のアンテナアセンブリにおいて、更に前記ループ素子と前記接地板との間の領域に配置された誘電体素子を含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  10. 請求項9記載のアンテナアセンブリにおいて、前記誘電体素子は前記ループ素子と接触していることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  11. 請求項10記載のアンテナアセンブリにおいて、前記誘電体素子は前記無線通信装置に付随する部品を収納することができる内側空洞部を含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  12. 請求項11記載のアンテナアセンブリにおいて、前記電子部品の高さは内側空洞部の高さの約50%であることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  13. 請求項12記載のアンテナアセンブリにおいて、前記電子部品は低ノイズ増幅器82を含み、該増幅器の出力は前記給電点位置の近くでループ素子に接続されていることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  14. 信号出力接続部を有する印刷配線基板と接地板とを有する無線通信装置用アンテナアセンブリであって、該アンテナアセンブリは、
    あらかじめ決められた動作波長の約半分の電気的長さを有し、該接地板にほぼ並行に配置されて、該接地板との間に該無線通信装置に付随する部品を収納する為の大きさを有する領域を形成する、導電性ループ素子と、
    該導電性ループ素子に結合されて該接地板まで延びていて、給電点接続部と接地接続部とを有する導電性給電構造と、
    を含むアンテナアセンブリ。
  15. 請求項14記載のアンテナアセンブリにおいて、前記給電構造は上側端と下側端を有する脚部材を含み、該上側端は前記ループ素子に接続され、該下側端は前記接地接続位置において前記接地板と接続されかつ前記給電点位置において前記信号出力と接続され、該脚部材は前記給電点位置と前記接地接続位置との間に溝状切りかけ部分が作られていることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  16. 請求項14記載のアンテナアセンブリにおいて、前記給電構造は一対の電線を含み、第1の電線は前記給電点接続を形成し、第2の電線は前記接地接続を形成することを特徴とするアンテナアセンブリ。
  17. 請求項14記載のアンテナアセンブリにおいて、前記給電構造は並列接続されたインダクタとコンデンサとを含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  18. 請求項15記載のアンテナアセンブリにおいて、前記ループ素子と前記接地板間の前記あらかじめ決められた距離は、動作波長の約0.02から0.06の間にあることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  19. 請求項15記載のアンテナアセンブリにおいて、前記脚部材は前記ループ素子14と実質的に垂直の関係にあることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  20. 請求項14載のアンテナアセンブリにおいて、前記ループ素子はおおむね方形の断面を有することを特徴とするアンテナアセンブリ。
  21. 請求項14記載のアンテナアセンブリにおいて、前記ループ素子はおおむね円形であることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  22. 請求項15記載のアンテナアセンブリにおいて、前記導電性脚部材はおおむね平らであって、前記給電点位置において給電タブを含み、前記接地接続位置において接地タブを含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  23. 請求項15記載のアンテナアセンブリにおいて、前記導電性ループ素子と前記導電性脚部材とは1個の金属部材から一体に作られることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  24. 請求項14記載のアンテナアセンブリにおいて、更に前記ループ素子と前記接地板との間の領域に配置された誘電体素子を含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  25. 請求項24記載のアンテナアセンブリにおいて、前記誘電体素子は前記ループ素子と接触していることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  26. 請求項24記載のアンテナアセンブリにおいて、前記誘電体素子は前記無線通信装置に付随する部品を収納することができる内側空洞部を含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  27. 請求項26記載のアンテナアセンブリにおいて、前記電子部品の高さは内側空洞部の高さの約50%であることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  28. 請求項28記載のアンテナアセンブリにおいて、前記電子部品は低ノイズ増幅器を含み、該増幅器の出力は前記給電点位置の近くでループ素子に接続されていることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  29. 請求項14記載のアンテナアセンブリにおいて、前記ループ素子は使用者が意図的に前記無線通信装置を作動させている間、プリント配線基板上で使用者から離れた側に配置されることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  30. 信号出力接続部を有する印刷配線基板と接地板とを有する無線通信装置用アンテナアセンブリであって、該アンテナアセンブリは、
    あらかじめ決められた動作波長の約半分の電気的長さを有し、該信号出力接続部に機能的に接続されていて、該接地板にほぼ並行に配置されて、該接地板との間に該無線通信装置に付随する部品を収納する為の大きさを有する領域を形成する、実質的に平らな導電性ループ素子と、
    上側端と下側端を有し、該上側端は該導電性素子に接続され、該下側端は接地接続位置において前記接地板と接続されている導電性脚部材と、
    を含むアンテナアセンブリ。
  31. 請求項30記載のアンテナアセンブリにおいて、該導電性脚部材は前記給電点位置において前記信号出力接続部と接続され、かつ前記給電点位置と前記接地接続位置の間に溝状切り欠け部分が作られていることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  32. 請求項30記載のアンテナアセンブリにおいて、前記ループ素子と前記接地板との間の前記あらかじめ決められた距離は動作波長の約0.02から0.06の間にあることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  33. 請求項30記載のアンテナアセンブリにおいて、前記脚部材は前記ループ素子と実質的に垂直の関係にあることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  34. 請求項30記載のアンテナアセンブリにおいて、前記導電性素子はおおむね円形ループであるることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  35. 請求項30記載のアンテナアセンブリにおいて、前記導電性脚部材はおおむね平らであって、前記給電点位置において給電タブを含み、前記接地接続位置において接地タブを含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  36. 請求項30記載のアンテナアセンブリにおいて、更に前記導電性素子と接地板との間の領域に配置された誘電体素子を含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  37. 請求項36記載のアンテナアセンブリにおいて、前記誘電体素子は前記導電性素子と接触していることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  38. 請求項36記載のアンテナアセンブリにおいて、前記誘電体素子は前記無線通信装置に付随する部品を収納することができる内側空洞部を含むことを特徴とするアンテナアセンブリ。
  39. 請求項38記載のアンテナアセンブリにおいて、前記電子部品の高さは内側空洞部の高さの約50%であることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  40. 請求項39記載のアンテナアセンブリにおいて、前記電子部品は低ノイズ増幅器を含み、該増幅器の出力は前記給電点位置の近くで導電性素子に接続されていることを特徴とするアンテナアセンブリ。
  41. 請求項30記載のアンテナアセンブリにおいて、前記導電性素子は使用者が意図的に前記無線通信装置を作動させている間、プリント配線基板上で使用者から離れた側に配置されることを特徴とするアンテナアセンブリ。
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