JP2004509172A - オイル生成装置及び精製装置のメンテナンス - Google Patents
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Abstract
アスファルテン及び/又は石油ワックスと、若しくはアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積が予想される位置に隣接する坑井、パイプ又は容器と、下記の式(I)の少なくとも1種の化合物を含む溶媒とを接触させること、式(I):R1−(AO)n−OOC−(CH2)m−Ph−(R2)p(式中R1はC1〜C20のヒドロカルビル基である;AOはアルキレンオキシ基であり、又は、(ポリ)アルキレンオキシ鎖であってもよい;nは0又は1〜100である;mは0、1又は2である;又、Phはフェニル基であり、又、(R2)pによって置換されたものでもよく、ここで各R2は独立にC1〜C4のアルキル基又はアルコキシ基であり、又、pは0、1又は2である)及び、それに続いて、軟化した、溶解した又は分散したアスファルテン及び/又は石油ワックスと共に前記溶媒を前記坑井、パイプ又は容器から除去することにより、アスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積は抑止でき、又、アスファルテン及び/又は石油ワックスは除去できる。
Description
【0001】
本発明は、オイル生成装置及び精製装置中の沈積物の除去に関し、及び特に、それら装置からのアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物の除去に関する。
【0002】
原油は、油源に基づいて変化する多くの成分の混合物である。典型的には、原油は、比較的低分子量の成分、殆どは脂肪族及び芳香族化合物を含む炭化水素を含む。比較的低分子量の成分、例えば、ナフサ、ガソリン、ディーゼル燃料油又は軽燃料油、ベンゼン、トルエンは、これらの成分から主として得られる。通常、原油は又、アスファルテン及び石油ワックスとして知られるものを含むより高分子量の物質を含有する。アスファルテンは油源に基づいて変化するが、典型的には、多環式、通常は芳香族又は部分的に芳香族化合物(特にN及びS原子のヘテロ環を含む)であり、典型的には多脂肪族置換鎖を有するものである。アスファルテンは、たいていの場合、多くの原油中に完全に可溶性でなく、細粒又はペレットとして存在する。オイル中のアスファルテンの分散は、通常マルテンと称される樹脂状物質が存在すること及び殆どのオイル生成層が比較的に高温であることで助けられている。石油ワックスは、長鎖であり、典型的にはC15〜C100であり、通常、主として開放鎖脂肪族化合物である。石油ワックスは、しばしばパラフィンと記載され、直鎖又は分枝鎖物質である。通常、石油ワックスは、原油に可溶であり、特に殆どのオイル生成層の温度で可溶である。
【0003】
精製において、これらの物質の通常の行く末は、低分子量化合物に分解され、これらの化合物は、その後、製品において有用な留分となる。例えば、石油ワックスは、有用なより短鎖のアルカン又はアルケンに転化されるか、又は、最終的には残渣油、例えばビチューメン製品の一部になる。
【0004】
生成及び加工の間、及び特にオイル生成層の温度以下の温度で、アスファルテン及び石油ワックスは石油本体から分離して、それが接触する表面上に沈積物として固化し得る。これらの沈積物は、油井又はオイルが通過する他のパイプをブロックし、生成の間及び精製処理の早期段階で、分離容器又は貯油タンクの底部に沈積され得る。パイプの閉塞及び容器能力の低下を避けるためにそのような沈積物を除去することが大切である。
【0005】
従来、芳香族溶媒、例えばキシレンが、時には分散剤と組合わせて、パイプ及び容器からアスファルテン及び石油ワックスを共に除去するために使用される。そのような芳香族物質は良好な溶媒であるが、環境問題の配慮は、工業用途に使用されるそのような揮発性芳香族化合物の割合を低下する圧力となっている。
【0006】
本発明は、一定の、特にアルキル、芳香族カルボン酸エステル、特に安息香酸のエステルがオイル回収装置及び精製装置中に沈積する物質、特にアスファルテン及び石油ワックスに対する非常に有効な溶媒であり、又、同様の目的で現在使用されているキシレン系溶媒より環境的により問題が少ないとの発見に基づくものである。
【0007】
それに従い、本発明は、アスファルテン及び/又は石油ワックスの坑井、パイプ又は容器からの除去、それらの沈積の防止又は抑制方法であって、アスファルテン及び/又は石油ワックスと、若しくはアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積が予想される位置に隣接する坑井、パイプ又は容器と、下記の式(I)の少なくとも1種の化合物を含む溶媒とを接触させること、
R1−(AO)n−OOC−(CH2)m−Ph−(R2)p (I)
(式中
R1はC1〜C20のヒドロカルビル基であり、特にC3〜C18のアルキル基又はアルケニル基である;
AOはアルキレンオキシ基であり、特にエチレンオキシ又はプロピレンオキシ基であり、又は(ポリ)アルキレンオキシ鎖であってもよい;
nは0又は1〜100、望ましくは0である;
mは0、1又は2、望ましくは0である、又
Phはフェニル基であり、又、(R2)pによって置換されたものでも良く、ここで各R2は独立にC1〜C4のアルキル基又はアルコキシ基であり、又、pは0、1又は2、望ましくは0である)
及び、それに続いて、軟化した、溶解した又は分散したアスファルテン及び/又は石油ワックスと共に前記溶媒を前記坑井、パイプ又は容器から除去すること、を含む方法を提供する。
【0008】
本発明で使用される式(I)の化合物中で、R1は、アルキル又はアルケニル基である。アルキル基は、アルケニル基に比べてより安定である、特に酸化に対してより安定である、という特長を有するが、一般にアルケニルエステルは、アルキルエステルに比べて、特により長鎖の物質に関しては、より低温で液体のままである。通常、複数の不飽和があると安定性が悪くなるので、アルケニル基は、1つの二重結合のみを含むことが望ましい。アスファルテンを除去する際、R1は、特に、C2〜C10鎖のごとき比較的単鎖の、例えば、C3〜C6アルキル基である。望ましくは、R1は、分枝状であり、例えば、R1は、イソプロピル(プロプ−2−イル)、sec−ブチル(ブチ−2−イル)、イソブチル(2−メチル−プロプ−1−イル)、tert−ブチル及び/又は2−エチルヘキシル基であって、前記エステルが簡単に加水分解されないようする。第2アルコールとのエステルは、特にこの点において有用であり、又、R1は、したがってC3〜C5の2級アルキル基であり、又、非常に望ましくはイソプロピル基である。使用できる他の比較的短鎖のアルキルエステルは、エチル、ノニル、及び他の直鎖アルキルのベンゾエート、例えば、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルベンゾエートを含む。比較的短鎖のエステルの利点は、それらが低粘度であることである。石油ワックスを除去するとき、より長鎖のエステルは、溶媒中におけるワックスの低温溶解性を改善することが望ましい。したがって、R1は、C6〜C20、特にC8〜C18のアルキル又はアルケニル基であり、例えば、(混合されたC12/C13アルキル)ベンゾエートのごとき混合エステルにおけるように直鎖であるか、又は、例えば、2−エチルヘキシル又はイソノニルにおけるように分枝鎖であるか、あるいは、いわゆるイソステアリル(実際に、主に分枝されたC14〜C22アルキルと平均鎖長がC18に近いものとの混合物)における分枝鎖C18アルキルであってもよい。不飽和のより長鎖の基にはオレイル基が含まれる。より長鎖の基、特にC12より長い基が使用される場合、これらの基は、分枝及び/又は不飽和であるか、それを含むことが望ましく、及び/又は、そのようなエステル混合物が使用されるのが望ましい。というのは、これらは、液状エステルであることを促進し、他方、直鎖の飽和エステル化合物は、固体であり、又、それ故、使用が困難となるからである。
【0009】
エステルに使用されるカルボン酸は、ジヒドロけい皮酸又はフェニル酢酸であってもよいが、安息香酸、つまりmが0であることが非常に望ましい。同様に、酸のフェニル環は、置換されていてもよいが、置換されていないこと、つまりpが0であることが望ましい。本発明において使用されるエステルは、カルボキシル基とR1基の間に(ポリ)アルキレンオキシ鎖、式(I)中の(AO)nを含むことができる。それが存在する場合、(ポリ)アルキレンオキシ鎖は、(ポリ)エチレンオキシ鎖、(ポリ)プロピレンオキシ鎖、又はエチレンオキシ及びプロピレンオキシの両残基を含む鎖が望ましい。一般には、そのような鎖はエステル中に含まれていない、つまりnが0であることが望ましい。
【0010】
特にアスファルテンを溶解するのに、特に有用なエステルは、イソプロピルベンゾエートであり、又、具体的には本発明は、溶媒がイソプロピルベンゾエートであるか、又はそれを含む方法を含む。イソプロピルベンゾエートは、溶媒の役割において格別有用となる特性の組合わせを有している。純物質として、イソプロピルベンゾエートは、広範囲の液体範囲を有していて、高沸点(沸点約219℃)を有し、通常予想される環境温度未満の温度で流体のまま留まる(流動点−60℃未満)。又、イソプロピルベンゾエートは、約99℃の引火点を有していて、不燃性に分類され、又、通常の使用条件下で、低蒸気圧を有する。イソプロピルベンゾエートは、水と同様の密度を有し(25℃において1.008kg/L)、低粘度を有する(Uチューブ法により測定して25℃において2.32センチストークス(2.34mPa.s))。
【0011】
対比すると、他のアルキルベンゾエートは、下記の粘度(25℃において)を有する。
エチルベンゾエート:1.9センチストークス、2−エチルヘキシルベンゾエート:6.1センチストークス、ノニルベンゾエート:7.5センチストークス、(混合されたC12/C13アルキル)ベンゾエート:14センチストークス、及びイソステアリルベンゾエート:30センチストークス
【0012】
アスファルテン及び石油ワックスの両方に対する溶解性をバランスさせるために、種々のR1基を有する混合エステル、又は式(I)の化合物のブレンドが、アスファルテン及び石油ワックスの組合わせにマッチする溶解性の組合わせを提供するので有利である。そのようなブレンドの混合エステルは、純粋のもの、特に類似の全てのR1の炭素数の直鎖不飽和化合物に比べてより液状であるという更なる利点を有する。
【0013】
本発明の方法において使用される溶媒は、式(I)の1種以上の化合物全てであり、或いは、その溶媒は、他の溶媒を混合することもできる。キシレンも含むことができるが、環境に対する悪影響の故に、キシレン、又は芳香族炭化水素の実質的な量を含む他の溶媒は、他の混合担体流体の主要な成分として使用されるのは好ましくない。パラフィン系液溶媒との混合物は、石油ワックスの溶解性を改善するが、アスファルテンの溶解性を低下させる傾向にある。水溶性アルコールのような他の溶媒は、添加剤(下記参照)のための担体として、又、使用される水性物質との相溶性を改善するために含むことができる。その混合溶媒において、使用される割合は、以上のとおり、パイプ又は容器中に沈積する物性、及び恐らく、アスファルテン及び石油ワックスの割合及び詳細な組成に基づく。混合物が使用される場合、式(I)の化合物は、典型的には、使用される全担持流体(carrier fluid)の重量に基づいて、少なくとも25%、通常少なくとも40%、より通常は、少なくとも50%であり、少なくとも60%が望ましく、又、特に、少なくとも75%である。それが使用される場合、他の溶媒成分は、使用される全担持流体の重量に基づいて、1〜75%、通常1〜40%、2〜25%がより望ましく、及び特に5〜15%で使用される。
【0014】
アスファルテン及び/又は石油ワックスの分散を助けるために、溶媒は分散剤、特に、非イオン系界面活性剤およびアルコールアルコキシレートのごとき分散剤;ポリイソブチレンけい皮酸無水物(PIBSA’s)とアルコールアルコキシレート、特に、C10〜C18アルコールアルコキシレート、例えば、C13〜C15アルコールアルコキシレートとの反応生成物;PIBSA’sとジ−及びトリ−エタノールアミンのごときアルカノールアミンとの反応生成物;及びソルビタン脂肪酸エステル、特に、モノエステル及び特に不飽和脂肪酸のエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート;アルキルアリールスルホン酸のごときスルホン酸分散剤;又は、フェノールホルムアルデヒド樹脂分散剤のごとき樹脂分散剤及びエチレンビニルアセテート共重合体を含むことができる。使用される場合、分散剤は、典型的には、溶媒組成物重量を基準として1〜40%、より通常は、1〜30%及び望ましくは1〜20%含まれる。
【0015】
他の添加剤、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアミド、及び類似のポリマー(それらの幾つかは、又、粘度改善剤としても機能することができる)のごとき合成ポリマーの流動化低減剤(fluid loss agent)、腐蝕防止剤、乳化破壊剤、スケール禁止剤、酸素捕捉剤、及び他の類似の添加物質を本発明に使用される溶媒組成物中に含むことができる。特に、そのような他の添加剤を使用するとき、1種以上の共溶媒、水が存在する場合のシステムの運転における使用のために、特に、例えば、水可溶性アルコール、例えば、プロパノールが使用され、及び/又はその添加剤のための分散剤が使用され得る。
【0016】
一般に、生産用坑井において、オイル含有層の温度及び原油の温度は、しばしば超環境温度、典型的には、50〜150℃、特に60〜120℃の範囲内にある。アスファルテン及び/又は石油ワックスは、オイル含有層の温度以下の温度で沈積する傾向にあるが、一般には、上記範囲内又は僅か下の温度、特に40〜110℃の範囲内で沈積する傾向にある。式(I)の化合物、特に、イソプロピルベンゾエートは、そのように僅かに高い温度においてそのような物質に対するより良い溶媒である。したがって、溶媒を加熱することにより超環境温度(super ambient temperature)で、故意に又は例えば、高温度の岩層と接触させることにより、油井中で操作することが有利である。パイプ、タンク及び精製装置の温度は、通常、所望の作業温度により(しばしば供給温度に関連付けられる)決定される。
【0017】
処理される装置は、坑井ケーシングの内部孔を含む油井構造物中、坑井ヘッドパイプ、海面下パイプ及び精油所のパイプ系を含むパイプライン、又は、オイルセパレーター(ガス、油水及び樹脂相を分離するための)、貯油タンク、特に坑井ヘッドに近い、又精油所又はその近くの貯油タンク、及び精油装置である。アスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物の除去は、溶媒本体を導入して、必要の場合、その溶媒を循環し又は攪拌して、その沈積物に接触させて、軟化した、溶解した、又は分散した沈積物を装置から除去することにより実施できる。貯油タンク及び他の精油工程の現場においてタンク底残油を除去するために溶媒を使用すると、機械的洗浄のためにタンクを開放する必要がない利点がある。タンク内容物、タンク底残油及び/又は溶媒は、加熱して溶解性を向上することができ、又、タール状固体タンク底残油は、溶媒中に分散され、通常は原油流に添加されて更に精油工程に供される。
【0018】
本発明は、貯油タンク、容器、又は精油パイプネットワークを処理して、アスファルテン及び/又は石油ワックスを除去する方法であって、前記定義の式(I)の化合物を含む処理物質を、アスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物のある場所又はその近くの貯油タンク、容器、又は精油パイプネットワークに導入して、その後、軟化し、分解し、又溶解したアスファルテン及び/又は石油ワックスを貯油タンク、容器、又は精油パイプネットワークから除去する方法である。
【0019】
特に、油井においては、従来技術は、溶媒を、所望により、アスファルテン及び/又は石油ワックスのフロキュレーション及び沈積を防止するために分散剤を含めて、予防的に用いることを含んでいる。一般に、これらの方法は、例えば、キャピラリーチューブを使用し又は潤滑流(slip steam)により、坑井中に上記処理剤をポンプ給送することによる連続的処理を含む。これにより、沈積が起こりそうな区域に処理物質の薄層を形成し、チューブ及び流路系中のフローケーション及び沈積を有効に防止できる。これらの方法は、坑井孔近くの区域、例えば、生産地層自体の範囲の沈積を防止するには余り有効でない。このような場合、例えば、処理物質をその地層内に圧入することにより、固体沈積を禁ずることがきできるように、処理物質を地層に配置させる必要がる。
【0020】
以上のとおり、本発明は、油井を処理して、アスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物を除去する方法を含み、その方法においては、上記に定義された式(I)の化合物を含む溶媒を、油井に導入し又は岩層中又はその表面の沈積物近くに導入することを含む。
【0021】
更に本発明は、先に定義した式(I)の化合物を含む処理物質流を、現場の油井中に、特に沈積が予想される岩層表面又は岩層中に導入し、それによりアスファルテン及び/又は石油ワックスが地層表面又は地層中に沈積する前に、アスファルテン及び/又は石油ワックスを排出することを含む方法である。
【0022】
下記の実施例により本発明を説明する。全ての部及びパーセンテージは、他に特記しない限り、重量に基づく。
【0023】
実施例1
Scampton C4原油をヘキサンに添加して、アスファルテンを沈殿させた(ヘキサンはアスファルテン安定化樹脂を溶解する)。上部の溶媒層を除去して、残留ヘキサンを蒸発させて粘性の液状残渣としてアスファルテンを得た。5.2gのイソプロピルベンゾエート溶媒を0.048gのアスファルテンに添加して、環境温度で数分経過すると、事実上全てのアスファルテンは溶解した(幾つかの極めて微粒子のアスファルテンが溶液中に可視状態で残った。)。この評定(最小)溶解度は、約0.85重量%と計算された。
【0024】
実施例1a
別の実験において、アスファルテンは、実施例1に記載されたように作成され、その溶解度は、実施例1に記載のようにして種々の溶媒で評価された。これらの溶媒は、エチルベンゾエート、イソプロピルベンゾエート、2−エチルヘキシルベンゾエート、ノニルベンゾエート、イソプロピルベンゾエートとノニルベンゾエートの3:1重量比混合物、(混合C12/C13アルキル)ベンゾエート及びイソステアリルベンゾエートであった。各々の場合において、大部分のアスファルテンは溶解したが、極めて僅かの小粒子が溶液中に可視状態で残った。
【0025】
実施例2
約0.025gのアスファルテン(実施例1に記載のようにして得た)を秤量した5cm×1cm矩形の軟鋼片上に塗布し、秤量した広口ガラスびんに載置し、その後再び秤量して、それらの差によりアスファルテンの量を得た。約2mlの溶媒(正確に秤量した)を添加し、その広口びんをシールし、そのシールした広口びんを可動ローラー上に載置して、金属片が約半時間、常に環境温度の溶媒で覆われるようにした。アスファルテンは、金属片から完全に除去され、溶媒中のアスファルテンの有効最低溶解度1.3%を示した。溶媒としてキシレンを用いて、同様の結果が得られた。
【0026】
実施例2a
別の実施例において、実施例1aに列挙された溶媒を用いて実施例2を繰り返した。各場合において、溶媒は、金属片から全てのアスファルテンを除去した。
【0027】
実施例3
約0.18gのアスファルテン及び約0.5mlのイソプロピルベンゾエートを用いて、実施例2を繰り返した。再び、溶媒は、金属片から全てのアスファルテンを除去した。
【0028】
実施例3a
別の実施例において、異なった量:0.4gのアスファルテン及び1mlの溶媒(この溶媒は実施例1aに列挙されたもの)を用いて実施例3を繰り返した。各場合において、ローリングの終りに、大部分のアスファルテンは、除去されたが、僅かの痕跡が金属表面に粘着して残った。この残留物は、量的には測定できないが、金属片の視覚検査により、この試験における溶媒のランク付けは、最高から最悪の順で下記のとおりである。
エチルベンゾエート>ノニルベンゾエート>2−エチルヘキシルベンゾエート>3:1重量比のイソプロピルベンゾエートとノニルベンゾエートとの混合物>イソプロピルベンゾエート>(混合C12/C13アルキル)ベンゾエート>イソステアリルベンゾエート
【0029】
実施例4
イソプロピルベンゾエート中の軟質ホワイトパラフィンワックス(融点49〜59℃)の溶解度を測定した。環境温度において、ワックス溶解度は低い(1%未満)けれど、50〜60℃に加温することにより、ワックス60重量%超(溶媒基準(on solvent))が溶解できた。
【0030】
実施例4a
別の実験において、実施例1a中に列挙した溶媒中の軟質ホワイトパラフィンの溶解度を評価するために実施例4を繰り返した。各場合において、溶解度は、環境温度において低かったが、60℃において、ワックスの60重量%超が各溶媒中に溶解した。
【0031】
実施例5
軟質パラフィンを金属片表面上に塗布することにより、実施例4に記載したようにして、秤量した金属片をワックスで被覆して、実施例2に記載した方法を用いてイソプロピルベンゾエートによりワックス除去について試験した。ワックス量は、溶媒重量に基いて約10%であった。環境温度において、少量のワックスが除去されて、濁った溶液を得たが、59℃においては、全てのワックスが速やかに金属片から除去された。
【0032】
実施例5a
別の実験において、軟質ホワイトパラフィン及び実施例1aに列挙した溶媒を用いて実施例5を繰り返した。各溶媒は、環境温度において全てのワックスを除去して、濁った溶液を得た。曇り度合の視覚検査により、この試験において溶媒のランク付けは、最高から最悪の順で下記のとおりであった。
イソステアリルベンゾエート〜イソステアリルベンゾエート>ノニルベンゾエート〜2−エチルヘキシルベンゾエート>エチルベンゾエート〜イソプロピルベンゾエート〜3:1重量比のイソプロピルベンゾエートとノニルベンゾエートとの混合物
本発明は、オイル生成装置及び精製装置中の沈積物の除去に関し、及び特に、それら装置からのアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物の除去に関する。
【0002】
原油は、油源に基づいて変化する多くの成分の混合物である。典型的には、原油は、比較的低分子量の成分、殆どは脂肪族及び芳香族化合物を含む炭化水素を含む。比較的低分子量の成分、例えば、ナフサ、ガソリン、ディーゼル燃料油又は軽燃料油、ベンゼン、トルエンは、これらの成分から主として得られる。通常、原油は又、アスファルテン及び石油ワックスとして知られるものを含むより高分子量の物質を含有する。アスファルテンは油源に基づいて変化するが、典型的には、多環式、通常は芳香族又は部分的に芳香族化合物(特にN及びS原子のヘテロ環を含む)であり、典型的には多脂肪族置換鎖を有するものである。アスファルテンは、たいていの場合、多くの原油中に完全に可溶性でなく、細粒又はペレットとして存在する。オイル中のアスファルテンの分散は、通常マルテンと称される樹脂状物質が存在すること及び殆どのオイル生成層が比較的に高温であることで助けられている。石油ワックスは、長鎖であり、典型的にはC15〜C100であり、通常、主として開放鎖脂肪族化合物である。石油ワックスは、しばしばパラフィンと記載され、直鎖又は分枝鎖物質である。通常、石油ワックスは、原油に可溶であり、特に殆どのオイル生成層の温度で可溶である。
【0003】
精製において、これらの物質の通常の行く末は、低分子量化合物に分解され、これらの化合物は、その後、製品において有用な留分となる。例えば、石油ワックスは、有用なより短鎖のアルカン又はアルケンに転化されるか、又は、最終的には残渣油、例えばビチューメン製品の一部になる。
【0004】
生成及び加工の間、及び特にオイル生成層の温度以下の温度で、アスファルテン及び石油ワックスは石油本体から分離して、それが接触する表面上に沈積物として固化し得る。これらの沈積物は、油井又はオイルが通過する他のパイプをブロックし、生成の間及び精製処理の早期段階で、分離容器又は貯油タンクの底部に沈積され得る。パイプの閉塞及び容器能力の低下を避けるためにそのような沈積物を除去することが大切である。
【0005】
従来、芳香族溶媒、例えばキシレンが、時には分散剤と組合わせて、パイプ及び容器からアスファルテン及び石油ワックスを共に除去するために使用される。そのような芳香族物質は良好な溶媒であるが、環境問題の配慮は、工業用途に使用されるそのような揮発性芳香族化合物の割合を低下する圧力となっている。
【0006】
本発明は、一定の、特にアルキル、芳香族カルボン酸エステル、特に安息香酸のエステルがオイル回収装置及び精製装置中に沈積する物質、特にアスファルテン及び石油ワックスに対する非常に有効な溶媒であり、又、同様の目的で現在使用されているキシレン系溶媒より環境的により問題が少ないとの発見に基づくものである。
【0007】
それに従い、本発明は、アスファルテン及び/又は石油ワックスの坑井、パイプ又は容器からの除去、それらの沈積の防止又は抑制方法であって、アスファルテン及び/又は石油ワックスと、若しくはアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積が予想される位置に隣接する坑井、パイプ又は容器と、下記の式(I)の少なくとも1種の化合物を含む溶媒とを接触させること、
R1−(AO)n−OOC−(CH2)m−Ph−(R2)p (I)
(式中
R1はC1〜C20のヒドロカルビル基であり、特にC3〜C18のアルキル基又はアルケニル基である;
AOはアルキレンオキシ基であり、特にエチレンオキシ又はプロピレンオキシ基であり、又は(ポリ)アルキレンオキシ鎖であってもよい;
nは0又は1〜100、望ましくは0である;
mは0、1又は2、望ましくは0である、又
Phはフェニル基であり、又、(R2)pによって置換されたものでも良く、ここで各R2は独立にC1〜C4のアルキル基又はアルコキシ基であり、又、pは0、1又は2、望ましくは0である)
及び、それに続いて、軟化した、溶解した又は分散したアスファルテン及び/又は石油ワックスと共に前記溶媒を前記坑井、パイプ又は容器から除去すること、を含む方法を提供する。
【0008】
本発明で使用される式(I)の化合物中で、R1は、アルキル又はアルケニル基である。アルキル基は、アルケニル基に比べてより安定である、特に酸化に対してより安定である、という特長を有するが、一般にアルケニルエステルは、アルキルエステルに比べて、特により長鎖の物質に関しては、より低温で液体のままである。通常、複数の不飽和があると安定性が悪くなるので、アルケニル基は、1つの二重結合のみを含むことが望ましい。アスファルテンを除去する際、R1は、特に、C2〜C10鎖のごとき比較的単鎖の、例えば、C3〜C6アルキル基である。望ましくは、R1は、分枝状であり、例えば、R1は、イソプロピル(プロプ−2−イル)、sec−ブチル(ブチ−2−イル)、イソブチル(2−メチル−プロプ−1−イル)、tert−ブチル及び/又は2−エチルヘキシル基であって、前記エステルが簡単に加水分解されないようする。第2アルコールとのエステルは、特にこの点において有用であり、又、R1は、したがってC3〜C5の2級アルキル基であり、又、非常に望ましくはイソプロピル基である。使用できる他の比較的短鎖のアルキルエステルは、エチル、ノニル、及び他の直鎖アルキルのベンゾエート、例えば、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルベンゾエートを含む。比較的短鎖のエステルの利点は、それらが低粘度であることである。石油ワックスを除去するとき、より長鎖のエステルは、溶媒中におけるワックスの低温溶解性を改善することが望ましい。したがって、R1は、C6〜C20、特にC8〜C18のアルキル又はアルケニル基であり、例えば、(混合されたC12/C13アルキル)ベンゾエートのごとき混合エステルにおけるように直鎖であるか、又は、例えば、2−エチルヘキシル又はイソノニルにおけるように分枝鎖であるか、あるいは、いわゆるイソステアリル(実際に、主に分枝されたC14〜C22アルキルと平均鎖長がC18に近いものとの混合物)における分枝鎖C18アルキルであってもよい。不飽和のより長鎖の基にはオレイル基が含まれる。より長鎖の基、特にC12より長い基が使用される場合、これらの基は、分枝及び/又は不飽和であるか、それを含むことが望ましく、及び/又は、そのようなエステル混合物が使用されるのが望ましい。というのは、これらは、液状エステルであることを促進し、他方、直鎖の飽和エステル化合物は、固体であり、又、それ故、使用が困難となるからである。
【0009】
エステルに使用されるカルボン酸は、ジヒドロけい皮酸又はフェニル酢酸であってもよいが、安息香酸、つまりmが0であることが非常に望ましい。同様に、酸のフェニル環は、置換されていてもよいが、置換されていないこと、つまりpが0であることが望ましい。本発明において使用されるエステルは、カルボキシル基とR1基の間に(ポリ)アルキレンオキシ鎖、式(I)中の(AO)nを含むことができる。それが存在する場合、(ポリ)アルキレンオキシ鎖は、(ポリ)エチレンオキシ鎖、(ポリ)プロピレンオキシ鎖、又はエチレンオキシ及びプロピレンオキシの両残基を含む鎖が望ましい。一般には、そのような鎖はエステル中に含まれていない、つまりnが0であることが望ましい。
【0010】
特にアスファルテンを溶解するのに、特に有用なエステルは、イソプロピルベンゾエートであり、又、具体的には本発明は、溶媒がイソプロピルベンゾエートであるか、又はそれを含む方法を含む。イソプロピルベンゾエートは、溶媒の役割において格別有用となる特性の組合わせを有している。純物質として、イソプロピルベンゾエートは、広範囲の液体範囲を有していて、高沸点(沸点約219℃)を有し、通常予想される環境温度未満の温度で流体のまま留まる(流動点−60℃未満)。又、イソプロピルベンゾエートは、約99℃の引火点を有していて、不燃性に分類され、又、通常の使用条件下で、低蒸気圧を有する。イソプロピルベンゾエートは、水と同様の密度を有し(25℃において1.008kg/L)、低粘度を有する(Uチューブ法により測定して25℃において2.32センチストークス(2.34mPa.s))。
【0011】
対比すると、他のアルキルベンゾエートは、下記の粘度(25℃において)を有する。
エチルベンゾエート:1.9センチストークス、2−エチルヘキシルベンゾエート:6.1センチストークス、ノニルベンゾエート:7.5センチストークス、(混合されたC12/C13アルキル)ベンゾエート:14センチストークス、及びイソステアリルベンゾエート:30センチストークス
【0012】
アスファルテン及び石油ワックスの両方に対する溶解性をバランスさせるために、種々のR1基を有する混合エステル、又は式(I)の化合物のブレンドが、アスファルテン及び石油ワックスの組合わせにマッチする溶解性の組合わせを提供するので有利である。そのようなブレンドの混合エステルは、純粋のもの、特に類似の全てのR1の炭素数の直鎖不飽和化合物に比べてより液状であるという更なる利点を有する。
【0013】
本発明の方法において使用される溶媒は、式(I)の1種以上の化合物全てであり、或いは、その溶媒は、他の溶媒を混合することもできる。キシレンも含むことができるが、環境に対する悪影響の故に、キシレン、又は芳香族炭化水素の実質的な量を含む他の溶媒は、他の混合担体流体の主要な成分として使用されるのは好ましくない。パラフィン系液溶媒との混合物は、石油ワックスの溶解性を改善するが、アスファルテンの溶解性を低下させる傾向にある。水溶性アルコールのような他の溶媒は、添加剤(下記参照)のための担体として、又、使用される水性物質との相溶性を改善するために含むことができる。その混合溶媒において、使用される割合は、以上のとおり、パイプ又は容器中に沈積する物性、及び恐らく、アスファルテン及び石油ワックスの割合及び詳細な組成に基づく。混合物が使用される場合、式(I)の化合物は、典型的には、使用される全担持流体(carrier fluid)の重量に基づいて、少なくとも25%、通常少なくとも40%、より通常は、少なくとも50%であり、少なくとも60%が望ましく、又、特に、少なくとも75%である。それが使用される場合、他の溶媒成分は、使用される全担持流体の重量に基づいて、1〜75%、通常1〜40%、2〜25%がより望ましく、及び特に5〜15%で使用される。
【0014】
アスファルテン及び/又は石油ワックスの分散を助けるために、溶媒は分散剤、特に、非イオン系界面活性剤およびアルコールアルコキシレートのごとき分散剤;ポリイソブチレンけい皮酸無水物(PIBSA’s)とアルコールアルコキシレート、特に、C10〜C18アルコールアルコキシレート、例えば、C13〜C15アルコールアルコキシレートとの反応生成物;PIBSA’sとジ−及びトリ−エタノールアミンのごときアルカノールアミンとの反応生成物;及びソルビタン脂肪酸エステル、特に、モノエステル及び特に不飽和脂肪酸のエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート;アルキルアリールスルホン酸のごときスルホン酸分散剤;又は、フェノールホルムアルデヒド樹脂分散剤のごとき樹脂分散剤及びエチレンビニルアセテート共重合体を含むことができる。使用される場合、分散剤は、典型的には、溶媒組成物重量を基準として1〜40%、より通常は、1〜30%及び望ましくは1〜20%含まれる。
【0015】
他の添加剤、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアミド、及び類似のポリマー(それらの幾つかは、又、粘度改善剤としても機能することができる)のごとき合成ポリマーの流動化低減剤(fluid loss agent)、腐蝕防止剤、乳化破壊剤、スケール禁止剤、酸素捕捉剤、及び他の類似の添加物質を本発明に使用される溶媒組成物中に含むことができる。特に、そのような他の添加剤を使用するとき、1種以上の共溶媒、水が存在する場合のシステムの運転における使用のために、特に、例えば、水可溶性アルコール、例えば、プロパノールが使用され、及び/又はその添加剤のための分散剤が使用され得る。
【0016】
一般に、生産用坑井において、オイル含有層の温度及び原油の温度は、しばしば超環境温度、典型的には、50〜150℃、特に60〜120℃の範囲内にある。アスファルテン及び/又は石油ワックスは、オイル含有層の温度以下の温度で沈積する傾向にあるが、一般には、上記範囲内又は僅か下の温度、特に40〜110℃の範囲内で沈積する傾向にある。式(I)の化合物、特に、イソプロピルベンゾエートは、そのように僅かに高い温度においてそのような物質に対するより良い溶媒である。したがって、溶媒を加熱することにより超環境温度(super ambient temperature)で、故意に又は例えば、高温度の岩層と接触させることにより、油井中で操作することが有利である。パイプ、タンク及び精製装置の温度は、通常、所望の作業温度により(しばしば供給温度に関連付けられる)決定される。
【0017】
処理される装置は、坑井ケーシングの内部孔を含む油井構造物中、坑井ヘッドパイプ、海面下パイプ及び精油所のパイプ系を含むパイプライン、又は、オイルセパレーター(ガス、油水及び樹脂相を分離するための)、貯油タンク、特に坑井ヘッドに近い、又精油所又はその近くの貯油タンク、及び精油装置である。アスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物の除去は、溶媒本体を導入して、必要の場合、その溶媒を循環し又は攪拌して、その沈積物に接触させて、軟化した、溶解した、又は分散した沈積物を装置から除去することにより実施できる。貯油タンク及び他の精油工程の現場においてタンク底残油を除去するために溶媒を使用すると、機械的洗浄のためにタンクを開放する必要がない利点がある。タンク内容物、タンク底残油及び/又は溶媒は、加熱して溶解性を向上することができ、又、タール状固体タンク底残油は、溶媒中に分散され、通常は原油流に添加されて更に精油工程に供される。
【0018】
本発明は、貯油タンク、容器、又は精油パイプネットワークを処理して、アスファルテン及び/又は石油ワックスを除去する方法であって、前記定義の式(I)の化合物を含む処理物質を、アスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物のある場所又はその近くの貯油タンク、容器、又は精油パイプネットワークに導入して、その後、軟化し、分解し、又溶解したアスファルテン及び/又は石油ワックスを貯油タンク、容器、又は精油パイプネットワークから除去する方法である。
【0019】
特に、油井においては、従来技術は、溶媒を、所望により、アスファルテン及び/又は石油ワックスのフロキュレーション及び沈積を防止するために分散剤を含めて、予防的に用いることを含んでいる。一般に、これらの方法は、例えば、キャピラリーチューブを使用し又は潤滑流(slip steam)により、坑井中に上記処理剤をポンプ給送することによる連続的処理を含む。これにより、沈積が起こりそうな区域に処理物質の薄層を形成し、チューブ及び流路系中のフローケーション及び沈積を有効に防止できる。これらの方法は、坑井孔近くの区域、例えば、生産地層自体の範囲の沈積を防止するには余り有効でない。このような場合、例えば、処理物質をその地層内に圧入することにより、固体沈積を禁ずることがきできるように、処理物質を地層に配置させる必要がる。
【0020】
以上のとおり、本発明は、油井を処理して、アスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物を除去する方法を含み、その方法においては、上記に定義された式(I)の化合物を含む溶媒を、油井に導入し又は岩層中又はその表面の沈積物近くに導入することを含む。
【0021】
更に本発明は、先に定義した式(I)の化合物を含む処理物質流を、現場の油井中に、特に沈積が予想される岩層表面又は岩層中に導入し、それによりアスファルテン及び/又は石油ワックスが地層表面又は地層中に沈積する前に、アスファルテン及び/又は石油ワックスを排出することを含む方法である。
【0022】
下記の実施例により本発明を説明する。全ての部及びパーセンテージは、他に特記しない限り、重量に基づく。
【0023】
実施例1
Scampton C4原油をヘキサンに添加して、アスファルテンを沈殿させた(ヘキサンはアスファルテン安定化樹脂を溶解する)。上部の溶媒層を除去して、残留ヘキサンを蒸発させて粘性の液状残渣としてアスファルテンを得た。5.2gのイソプロピルベンゾエート溶媒を0.048gのアスファルテンに添加して、環境温度で数分経過すると、事実上全てのアスファルテンは溶解した(幾つかの極めて微粒子のアスファルテンが溶液中に可視状態で残った。)。この評定(最小)溶解度は、約0.85重量%と計算された。
【0024】
実施例1a
別の実験において、アスファルテンは、実施例1に記載されたように作成され、その溶解度は、実施例1に記載のようにして種々の溶媒で評価された。これらの溶媒は、エチルベンゾエート、イソプロピルベンゾエート、2−エチルヘキシルベンゾエート、ノニルベンゾエート、イソプロピルベンゾエートとノニルベンゾエートの3:1重量比混合物、(混合C12/C13アルキル)ベンゾエート及びイソステアリルベンゾエートであった。各々の場合において、大部分のアスファルテンは溶解したが、極めて僅かの小粒子が溶液中に可視状態で残った。
【0025】
実施例2
約0.025gのアスファルテン(実施例1に記載のようにして得た)を秤量した5cm×1cm矩形の軟鋼片上に塗布し、秤量した広口ガラスびんに載置し、その後再び秤量して、それらの差によりアスファルテンの量を得た。約2mlの溶媒(正確に秤量した)を添加し、その広口びんをシールし、そのシールした広口びんを可動ローラー上に載置して、金属片が約半時間、常に環境温度の溶媒で覆われるようにした。アスファルテンは、金属片から完全に除去され、溶媒中のアスファルテンの有効最低溶解度1.3%を示した。溶媒としてキシレンを用いて、同様の結果が得られた。
【0026】
実施例2a
別の実施例において、実施例1aに列挙された溶媒を用いて実施例2を繰り返した。各場合において、溶媒は、金属片から全てのアスファルテンを除去した。
【0027】
実施例3
約0.18gのアスファルテン及び約0.5mlのイソプロピルベンゾエートを用いて、実施例2を繰り返した。再び、溶媒は、金属片から全てのアスファルテンを除去した。
【0028】
実施例3a
別の実施例において、異なった量:0.4gのアスファルテン及び1mlの溶媒(この溶媒は実施例1aに列挙されたもの)を用いて実施例3を繰り返した。各場合において、ローリングの終りに、大部分のアスファルテンは、除去されたが、僅かの痕跡が金属表面に粘着して残った。この残留物は、量的には測定できないが、金属片の視覚検査により、この試験における溶媒のランク付けは、最高から最悪の順で下記のとおりである。
エチルベンゾエート>ノニルベンゾエート>2−エチルヘキシルベンゾエート>3:1重量比のイソプロピルベンゾエートとノニルベンゾエートとの混合物>イソプロピルベンゾエート>(混合C12/C13アルキル)ベンゾエート>イソステアリルベンゾエート
【0029】
実施例4
イソプロピルベンゾエート中の軟質ホワイトパラフィンワックス(融点49〜59℃)の溶解度を測定した。環境温度において、ワックス溶解度は低い(1%未満)けれど、50〜60℃に加温することにより、ワックス60重量%超(溶媒基準(on solvent))が溶解できた。
【0030】
実施例4a
別の実験において、実施例1a中に列挙した溶媒中の軟質ホワイトパラフィンの溶解度を評価するために実施例4を繰り返した。各場合において、溶解度は、環境温度において低かったが、60℃において、ワックスの60重量%超が各溶媒中に溶解した。
【0031】
実施例5
軟質パラフィンを金属片表面上に塗布することにより、実施例4に記載したようにして、秤量した金属片をワックスで被覆して、実施例2に記載した方法を用いてイソプロピルベンゾエートによりワックス除去について試験した。ワックス量は、溶媒重量に基いて約10%であった。環境温度において、少量のワックスが除去されて、濁った溶液を得たが、59℃においては、全てのワックスが速やかに金属片から除去された。
【0032】
実施例5a
別の実験において、軟質ホワイトパラフィン及び実施例1aに列挙した溶媒を用いて実施例5を繰り返した。各溶媒は、環境温度において全てのワックスを除去して、濁った溶液を得た。曇り度合の視覚検査により、この試験において溶媒のランク付けは、最高から最悪の順で下記のとおりであった。
イソステアリルベンゾエート〜イソステアリルベンゾエート>ノニルベンゾエート〜2−エチルヘキシルベンゾエート>エチルベンゾエート〜イソプロピルベンゾエート〜3:1重量比のイソプロピルベンゾエートとノニルベンゾエートとの混合物
Claims (10)
- アスファルテン及び/又は石油ワックスの坑井、パイプ又は容器からの除去、それらの沈積の防止又は抑制方法であって、アスファルテン及び/又は石油ワックスと、若しくはアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積が予想される位置に隣接する坑井、パイプ又は容器と、下式(I)の少なくとも1種の化合物を含む溶媒とを接触させること、
R1−(AO)n−OOC−(CH2)m−Ph−(R2)p (I)
(式中
R1はC1〜C20のヒドロカルビル基である;
AOはアルキレンオキシ基であり、又は、(ポリ)アルキレンオキシ鎖であってもよい;
nは0又は1〜100である;
mは0、1又は2である、又
Phはフェニル基であり、又、(R2)pによって置換されたものでもよく、ここで各R2は独立にC1〜C4のアルキル基又はアルコキシ基であり、又、pは0、1又は2である)
及び、それに続いて、軟化した、溶解した又は分散したアスファルテン及び/又は石油ワックスと共に前記溶媒を前記坑井、パイプ又は容器から除去すること
を含む方法。 - m、n及びpが全て0である、請求項1に記載の方法。
- R1がC3〜C5の分枝アルキル基である、請求項1又は2に記載の方法。
- 溶媒がイソプロピルベンゾエートであるか、又はそれを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- R1がC8〜C20の分枝及び/又は不飽和アルキル基又はアルケニル基である、請求項1又は2に記載の方法。
- アスファルテン及び/又は石油ワックスが超環境温度で溶媒と接触される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 溶媒がアスファルテン及び/又は石油ワックス用の分散剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 貯油タンク、容器又はオイル精製パイプ系を処理してアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物を除去するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法であって、先に定義した式(I)の化合物を含む溶媒を、アスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積位置又はそれに隣接する位置で前記タンク、容器又はパイプ系に導入し、又それに続いて、軟化し、分散し、又は溶解したアスファルテン及び/又は石油ワックスを前記タンク、容器又はパイプ系から除去する方法。
- 油井を処理してアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積物を除去するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法であって、先に定義した式(I)の化合物を含む溶媒を、岩層表面又は岩層中の沈積物、又はそれに隣接する位置において油井中に導入し、又それに続いて、軟化し、分散し、又は溶解したアスファルテン及び/又は石油ワックスを前記表面又は岩層から除去する方法。
- 油井を処理してアスファルテン及び/又は石油ワックスの沈積を防止し又は抑止するための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法であって、先に定義した式(I)の化合物を含む溶媒の流れを沈積が予想される所定の位置、特に岩層表面又は岩層中において油井中に導入し、又それにより沈積物が前記表面上又は岩層中に沈積する前にアスファルテン及び/又は石油ワックスを運び去る方法。
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