JP2004507242A - 腎臓特異タンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腎臓特異タンパク質をコ−ド化する哺乳動物cDNAを提供する。また腎臓の疾患の診断、治療のためのcDNA、断片、相補体、その変異体およびコード化されたタンパク質またはその部分、その抗体の使用をも提供する。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、腎細胞癌(KSRCC)の診断に用いる腎臓特異タンパク質をコ−ド化する哺乳類cDNAおよび腎臓の疾患の診断と治療におけるcDNAとコ−ド化したタンパク質の使用に関連する。
【0002】
(発明の背景)
生物間の系統発生関係は何回も実証されてきた。そして広範な原核細胞および真核細胞生物の研究により分子、生化学的メカニズム、生理学的メカニズム、代謝経路の多少の漸進的な進化が示されてきた。進化ストレスが異なるが、線虫、ハエ、ラット、ヒトのタンパク質には共通の化学的及び構造的特徴があり、一般的に同じ細胞機能を行う。構造と機能が公知である生物種での核酸とタンパク質配列の比較は、ヒト配列の研究を加速する。またヒトの症状、疾患または障害に対する診断と薬剤をテストするモデル系の発達を可能にする。
【0003】
ヒトの腎臓は、背骨の両側にある2つの豆の形をした器官である。腎臓は血液からの老廃物を除去して尿を形成し、体内の水分と電解質の含有量を調節する。腎臓はタンパク質、グルコース、アミノ酸、重炭酸、及び無機リン酸酸を再吸収、保持する。そして血管内容積を維持するように作用するホルモンを放出する。腎臓は、体内の酸性/塩基のバランスの維持および血液pH電解質レベルと血圧の恒常性に寄与する。
【0004】
近位尿細管性上皮内に由来する腎細胞癌(RCC)は、成人の癌全体の約3%に相当する最も一般的なタイプの腎臓癌である。腎細胞癌には4つの主要なタイプがある。大部分は透明細胞タイプであり、顆粒細胞と透明細胞の混合タイプである。RCCは、非常に初期段階でのみ手術により治癒可能である。化学療法に対して耐性であり、また放射線治療に対してもかなりの耐性がある。RCCの発達に対する危険因子には喫煙と後天性の嚢胞腎疾患の発生がある。
【0005】
KSRCCをコードする哺乳動物のcDNAの発見は、腎臓の疾患、特に腎細胞癌の診断と治療に有用な組成物の提供により当分野の必要性を満たす。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、後天性の嚢胞腎の疾患、特に腎細胞癌を含む腎臓の疾患の診断と治療に有用な、哺乳動物の腎臓特異タンパク質をコ−ドする哺乳類cDNAの発見に基づく。
【0007】
本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列に80%の同一性を有する変異体、SEQ ID NO:1の抗原性エピトープ、SEQ ID NO:1のオリゴペプチド、SEQ ID NO:1の生物学的活性な部分を含む群から選択された哺乳動物タンパク質またはその部分をコードする、単離した哺乳動物のcDNAまたはその断片を提供する。さらに本発明は、SEQ ID NO:2の核酸配列、SEQ ID NO:2の核酸配列に83%の同一性を有する変異体、SEQ ID NO:3−14の断片、SEQ ID NO:2−14のオリゴヌクレオチドを含む群から選択された哺乳動物タンパク質またはその部分をコードする核酸配列を含む群から選択した単離した哺乳動物のcDNAまたはその相補体を提供する。更に本発明は、KSRCCをコードするcDNAまたはcDNAの相補体を含む組成物、基質、プローブを提供する。更に本発明は、そのようなcDNAを含むベクター、ベクターを含む宿主細胞、およびKSRCCを作製するためにcDNAを使用する方法を提供する。更に本発明は、KSRCCをコードするcDNAを含むベクターを有する遺伝形質転換細胞株または遺伝形質転換生物を提供する。本発明はまた、SEQ ID NO:11−14から成る群から選択した哺乳動物cDNAの断片またはその相補配列を提供する。或る実施態様において、本発明はこれらの断片のうちの少なくとも1つを含む基体を提供する。2番目の実施様態において、本発明は検出、スクリーニング、精製方法で使用することが可能な断片を含むプローブを提供する。更なる実施様態において、プローブは一本鎖相補的RNA及びDNA分子である。
【0008】
本発明は、核酸にハイブリダイズするプローブを含むサンプルの核酸の示差発現を検出するためにcDNAを使用する方法を提供する。それによりハイブリダイゼーション複合体を形成して、ハイブリダイゼーション複合体形成を標準と比較する。そして比較はサンプル中のcDNAの示差発現を示す。或る実施態様において検出方法は更にハイブリダイゼーション前にサンプルの核酸の増幅を含む。別の実施様態において、cDNAの示差発現を示す方法は腎細胞癌を診断するために使用される。別の実施様態において、cDNAまた断片またはその相補配列はアレイのエレメントを含み得る。
【0009】
本発明はさらに、cDNAを特異結合する少なくとも1つのリガンドを同定するライブラリあるいは複数の分子または化合物をスクリーニングするためにcDNAまた断片またはその相補配列を使用する方法、そして特異結合を可能にする条件下でcDNAを分子または化合物に結合する、そしてcDNAへの特異結合を検出する、それによってcDNAを特異結合するリガンドを同定する方法を提供する。ある実施様態では、分子または化合物はアプタマー、DNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、人工形成の染色体、ペプチド、転写因子、リプレッサー、調節分子から選択される。
【0010】
本発明は、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有する変異体、SEQ ID NO:1の抗原性エピトープ、SEQ ID NO:1のオリゴペプチドまたSEQ ID NO:1の生物学的活性な部分から成る群から選択した精製された哺乳動物タンパク質またはその部分を提供する。本発明は精製されたタンパク質または医薬用担体と同時にその部分から成る組成物も提供する。さらに本発明は腎細胞癌の対象を治療するためにKSRCCを使用する方法を提供する。それには治療の必要な患者に、精製されたタンパク質から成る組成物を投与することが含まれる。本発明はさらに、cDNAを特異結合する少なくとも1つのリガンドを同定するライブラリあるいは複数の分子または化合物をスクリーニングするためにタンパク質を使用する方法、そして特異結合を可能にする条件下でタンパク質を分子または化合物に結合する、そして特異結合を検出する、それによってタンパク質を特異結合するリガンドを同定する方法を提供する。ある実施様態においては、分子または化合物はDNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、ペプチド、タンパク質、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体、免疫グロブリン、インヒビター、薬剤から選択される。別の実施様態では、腎細胞癌を患う患者を治療するためにリガンドを使用する。
【0011】
本発明は、被検サンプルの単離した抗体を含むタンパク質を特異結合する抗体用に被検サンプルをスクリーニングするために哺乳動物タンパク質を使用する、そして特異結合を可能にする条件下で単離した抗体をタンパク質に接触する、結合したタンパク質から抗体を解離する、そして抗体の存在または量が腎細胞癌の診断となる公知の標準と抗体の量を比較する方法を提供する。
【0012】
さらに本発明は、抗体を調製かつ精製するために、ある哺乳類タンパク質を使用する方法を提供し、その方法の内には抗体反応を誘発する条件下でそのタンパク質によって動物を免疫化すること、動物抗体を単離すること、ある基質にタンパク質を付着させること、そのタンパク質への特異結合を可能にする条件下でその基体を単離した抗体と接触させること、タンパク質から抗体を解離して精製した抗体を得ることが含まれる。
【0013】
本発明は、腎細胞癌で発現するタンパク質に特異的に結合する精製した抗体を提供する。本発明はまた、結合した抗体の量を公知の標準と比較して、抗体の結合を含む腎細胞癌を診断するために抗体を使用する方法を提供する。それによって腎細胞癌の存在を確定する。さらに本発明は腎細胞癌の患者を治療するために抗体を使用する方法を提供する。それには治療の必要な患者に、精製された抗体から成る医薬品成分を投与することが含まれる。
【0014】
本発明は、内在性ポリヌクレオチドの発現を防ぐためにマーカー遺伝子を哺乳動物のゲノムDNAに挿入する方法を提供する。さらに本発明は、哺乳動物モデル系を作製するためにcDNAを使用する方法を提供する。その方法の内には、SEQ ID NO:2−14から選択されたcDNAを含むベクターを作製すること、そのベクターで胚性幹細胞を形質転換させること、形質転換した胚性幹細胞を選択すること、その形質転換した胚性幹細胞を哺乳動物胚盤胞に微量注入し、それによってキメラ胚盤胞を形成すること、キメラ胚盤胞を偽妊娠メスに導入させ、そのメスが生殖細胞にcDNAを含むキメラ子孫を産ませること、そしてホモ接合体の哺乳動物モデル系を作製するためにキメラ哺乳動物を交配する方法が含まれる。
【0015】
(発明を実施するための形態)
本発明が、説明した特定の装置、材料及び方法に限定されるものではないことを理解されたい。また、ここで使用する専門用語は特定の実施例を説明する目的で用いたものであり、特許請求の範囲にのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図したものではないことも併せて理解されたい。明細書中で用いている単数形の「或る」及び「その(この)」の表記は、文脈から明らかにそうでないとされる場合を除いて複数のものを指す場合もあることに注意しなければならない。例えばに「或る宿主細胞」と記されている場合には当業者に公知であるがそのような宿主細胞が複数あることもある。
【0016】
本明細書中で用いる全ての専門用語及び科学用語は、特に定義されている場合を除き、当業者に一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本発明で言及する全ての刊行物は、刊行物中で報告されていて且つ本発明に関係があるであろう細胞株、プロトコル、試薬及びベクターについて説明及び開示する目的で引用しているものである。本明細書のいかなる開示内容も、本発明が先行技術の効力によってこのような開示に対して先行する権利を与えられていないことを認めるものではない。
【0017】
定義
「KSRCC」は、天然、合成、半合成或いは組換え体など全ての哺乳動物種(ウシ、イヌ、マウス、ヒツジ、ブタ、げっ歯類、サルそして好ましくはヒトを含む)から得られる実質的に精製されたタンパク質を指す。
【0018】
「アレイ」は、基質上の少なくとも2つのcDNAの規則正しい配列を指す。cDNAの少なくとも1つが調節または標準を表す。そして他方が目的の診断のcDNA体を表す。基質上の2から約40,000のcDNAの構成により、cDNAとサンプル核酸の間で形成される各標識ハイブリダイゼーション複合体のサイズとシグナル強度は確実に個別に区別できる。
【0019】
配列表のcDNAの「相補配列」は、完全長配列に完全に相補的な核酸分子を指す。また高いストリンジェンシー条件下でcDNAあるいはmRNAをハイブリダイズする。
【0020】
「cDNA」とは、単離したポリヌクレオチド、核酸分子あるいはその任意の断片または相補配列を指す。それは組換えまたは合成に由来する、二本鎖または一本鎖である可能性があり、コードするまたはコードしない配列を表す、そしてゲノムDNA分子のイントロンを有するまたは有しないエキソンを表す。
【0021】
「タンパク質をコードするcDNA」という語は、当分野で公知である分析を使用することにより同定された保存された領域、モチーフあるいはドメインをコードする配列と密接にアラインメントされた核酸配列を指す。これらの分析には保存された領域内で同一性を有するBLAST (Basic Local Alignment Search Tool)が含まれる(Altschul (1993) J Mol Evol 36: 290−300、Altschul ら(1990) J Mol Biol 215:403−410)。
【0022】
「誘導体」とは化学修飾されたcDNAあるいはタンパク質を指す。cDNAの誘導体化にはクエオシン(queosine)あるいはヒポキサンチンなどの類似体等非従来型塩基の置換が含まれ得る。これらの置換は当分野で公知である。タンパク質の誘導体化にはアセチル基、アシル基、アルキル基、アミノ基、ホルミル基またはモルホリン基による水素の置換が含まれる。分子誘導体は天然分子の生物学的活性を保持するが、長い寿命あるいは強化された活性などの長所を付与する可能性がある。
【0023】
「示差発現」とは、存在の有無、サンプル中の転写メッセンジャーRNAあるいは翻訳したタンパク質の量の少なくとも二倍の変更により検出される増加、または非調節、あるいは存在、あるいは減少、また下方調節または欠損、遺伝子発現を指す。
【0024】
「疾患」とは、cDNAとKSRCCが他と異なって発現されている場合の症状、疾病、または症候群を指す。
【0025】
「断片」とは長さが約200から約700塩基対の連続したヌクレオチドの鎖を指す。断片は、関連する核酸分子を同定するためにPCRまたはハイブリダイゼーション技術で、またリガンドをスクリーニングするために結合アッセイで使用される可能性がある。核酸とそれらのリガンドはこのような方法で同定され、複製、転写または翻訳を調節する治療として有用である。
【0026】
「Guilt by association(連帯責任により有罪)」 (GBA)は、特定の疾患、調節経路、細胞内区分、細胞タイプ、組織の種類あるいは種と関連するcDNAまたはタンパク質を同定する方法である。特にこの方法は腎臓の疾患ための治療の診断、予後、治療、評価において有用なcDNAを同定する。
【0027】
「ハイブリタイゼーション化合体」とは、1つの分子のプリンが3’−T−C−A−G−5’との5’−A−G−T−C−3’ 塩基対などの相補的な分子ピリミジンと水素結合する時、cDNAとサンプルの核酸の間で形成される相補性の度合およびヌクレオチド類似体の使用は、ハイブリダイゼーション反応の効率とストリンジェンシーに影響する。
【0028】
「リガンド」とは、cDNA分子あるいはポリヌクレオチド上の相補部位あるいはタンパク質またはエピトープに特異結合する任意の物質、分子または化合物を指す。そのようなリガンドはポリヌクレオチドまたタンパク質の活性を安定化あるいは調節し、核酸、タンパク質、糖質、脂肪、脂質を含む無機および/または有機物質から構成され得る。
【0029】
「オリゴヌクレオチド」とは、長さが約18から約60ヌクレオチドの一本鎖分子を指す。そしてハイブリダイゼーションまたは増幅技術、複製、転写または翻訳の調節で使用される可能性がある。同義語は、アンプライマー、プライマー、オリゴマーである。
【0030】
「部分」とは、任意の目的に使用されるタンパク質の任意の部分を指す。しかし特にリガンドをスクリーニングするためまたは抗体を産生するためのエピトープを指す。
【0031】
タンパク質の「翻訳後修飾」には、脂質化、グリコシル化、リン酸化、アセチル化、ラセミ化、蛋白分解性切断及びその他が含まれ得る。これらのプロセスは、合成或いは生化学的に生じ得る。生化学的修飾は、細胞の位置、細胞型、pH、酵素環境などによって異なる。
【0032】
「プローブ」とは、サンプル中の少なくとも1つの核酸にハイブリダイズするcDNAを指す。標的が一本鎖である場合、プローブは相補的一本鎖である。プローブは、サザン法、ノーザン法、in situ、ドットブロット法、アレイなどの技術またはスクリーニングアッセイを含む、ハイブリダイゼーション反応で使用するためにレポーター分子で標識化される。
【0033】
「タンパク質」とは、ポリペプチドあるいはその任意の部分を指す。タンパク質の「部分」とは、少なくとも1つの生物学的活性を保持するであろうアミノ酸配列の長さ、PFAMまたはPRINTS分析によって同定されるドメインあるいはPROTEAN プログラム(DNASTAR, Madison WI)のKyte−Doolittle アルゴリズムを使用して同定したタンパク質の抗原性エピトープを指す。「オリゴペプチド」は、抗体を産生する融合タンパク質の一部として使用される約5残基から約15残基までのアミノ酸配列である。
【0034】
「精製した」とは、自然環境から分離されたそして約60%から約90%まで自然に会合する他の化合物から遊離している任意の分子あるいは化合物を指す。
【0035】
「サンプル」は、核酸、タンパク質、抗体その他を含むようなその最も広い意味で用いられる。サンプルは体液、細胞調製の可溶性分画、細胞が成長する培地のアリコット、染色体、細胞小器官、あるいは細胞から単離または抽出された膜、溶液中のまたは基板に固定されたゲノムDNA、RNA、またはcDNAと、細胞、組織プリント、フィンガープリント、口内細胞、皮膚あるいは髪などから成る可能性がある。
【0036】
「特異結合」とは、構造、特に分子側基に依存する、2つの分子間での特別で精確な相互作用を指す。例えば、調節タンパク質のDNA分子の主溝への挿入、2つの一本鎖核酸間のバックボーンに沿った水素結合あるいはタンパク質のエピトープとアゴニスト、アンタゴニストまたは抗体との間の結合がある。
【0037】
配列に適用される「類似性」とは、Smith−Waterman アルゴリズム(Smith及びWaterman (1981) J Mol Biol 147:195−197)あるいはBLAST2 (Altschul ら (1997) Nucleic Acids Res 25:3389−3402)などの標準化されたアルゴリズムを用いてアラインメントされた少なくとも2つの配列間で一致する分子あるいは残基の定量化(通常は%)を指す。BLAST2は、アラインメントを最適化するために配列の1つでギャップを挿入するまた2つの配列をより有意に比較できる標準化された再現性のある方法で使用される可能性がある。
【0038】
「基質」とは、cDNAまたはタンパク質が結合する任意の固体または半固体の支持体を指すものであって、膜、フィルタ、チップ、スライド、ウエハ、ファイバー、磁性または非磁性ビーズ、ゲル、毛管、またはその他の管、プレート、ポリマー、微細粒子が含まれ、穴、溝、ピン、チャネル、孔等、様々な表面形態を有する。
【0039】
「変異体」とは、cDNAまたはcDNAがコードするタンパク質の認識される変異である分子を指す。スプライス変異体は、スコアが少なくとも100、最も好ましいのは少なくとも400である、BLASTスコアにより決定する可能性がある。対立遺伝子変異体はcDNAに対して高一致率を有し、100塩基に付き約3塩基が異なる。「1塩基多型性」(SNP)とは、欠失、挿入または置換による単一の塩基での変異を指す。変異は保存(プリンからプリン)あるいは非保存(プリンからピリミジン)される可能性があり、コード化されたアミノ酸または2次、3次、4次構造の変異となる可能性もならない可能性もある。
【0040】
(発明)
本発明は、KSRCCをコードするcDNAの発見と、腎臓の疾患の性質決定、診断、治療における、cDNAまたはその断片、およびタンパク質またはその部分をそのまま使用するか組成物として使用することに基づくものである。
【0041】
腎臓経路で同時に調節される配列のGBA分析によって、本発明のKSRCCをコ−ド化する核酸が腎臓特異的として最初に同定化された(腎臓組織cDNAライブラリ、KIDNNOT31からのIncyte クローン 3481942CB1)。腎臓病と関連すると知られている11の遺伝子を選択して、腎臓の疾患と密接に関連する新規な遺伝子を同定した。これらの既知の遺伝子は、uromodulin、NKCC2、NCCT、アルドラーゼB、ROMK1、ATP1G1、PDZK1、NPT1、カルビンジン、キニノゲン、CICKbである。0.00001未満のカットオフp値を使用して、確率値によって関連の度合いを測定した。配列をさらに検証して、確率テストを通過した遺伝子が既知の腎臓病と関連する遺伝子と強い関連性をもつことを確実にした。新規な9つの遺伝子が、総計41,419から成る既知の腎臓病と関連する遺伝子と強い結合を示した。9つの遺伝子の各々はp値10e05未満で11の既知の遺伝子のうちの少なくとも1つと同時発現した。KSRCC cDNAは長さが2054の核酸である。SEQ ID NO:3(Incyte クローン3481942CB1)は長さが521ヌクレオチドであり、BLAST2を使用してKSの核酸配列、ラット腎臓特異的タンパク質(g3127192)と82%の同一性を示す。
【0042】
SEQ ID NO:2のcDNAは下記の重複した核酸配列および/または伸長した核酸配列に由来する。(SEQ ID NO:3−10):Incyte クローン 3481942CB1、5519427H1 (LIVRDIR01)、5390984F8 (KIDNNOT32)、4332230T9 (KIDNNOT32)、760835R1 (BRAITUT02)、762540R1 (BRAITUT02)、2099420R6 (BRAITUT02)及び7695905J1 (LGcompseqsJUN2000new)。
【0043】
図3は腎臓組織、特に腎細胞癌を患う患者の組織における転写物の発現を示す。よって、cDNAは腎細胞癌を診断するアッセイに有用である。ヌクレオチド1からヌクレオチド106までのSEQ ID NO:2の断片は、ハイブリダイゼーションプローブとして有用である。54から69あるいは80から95のオリゴヌクレオチドは、他の腎臓特異タンパク質からKSRCCをコードする転写物を区別する診断として有用である。
【0044】
一実施態様では、本発明は図1Aから1Fで表示されるようにアミノ酸配列SEQ ID NO:1を含むポリペプチドを提供する。KSRCCは長さが577アミノ酸であり、BLAST2分析を使用してラット腎臓特異的タンパク質(g3127193)のアミノ酸配列と77%の同一性を示す。BLIMPS分析は、SEQ ID NO:1には1つの16アミノ酸セグメントがあり、それがAMP結合ドメインg3127193と一致することを示す。BLOCKS分析は、Q213からT224とS225からH233のKSRCCの領域がAMP結合部位と類似であることを示す。Pfam分析は、N82からV493のKSRCCの領域がAMP結合部位と類似であることを示す。
【0045】
図2Aと2Bが示すように、KSRCCはラットの腎臓特異タンパク質(g3127193:SEQ ID NO:15)、ラットのタンパク質のヒト相同体((g3219339:SEQ ID NO:16)と化学的及び構造的類似性を示す。特にKSRCCとラットの腎臓特異タンパク質は、およそ同じ長さのタンパク質に対して77%の配列同一性を共有する(それぞれ577アミノ酸残基と572アミノ酸残基)。ラットのタンパク質のヒト相同体(g3219339)は、より短いタンパク質(207アミノ酸残基)であるが、この全長に対してKSRCCに97%同一である。
【0046】
図4Aと4Bが示すように、これらの3つのタンパク質は類似の親水性プロットと抗原指数を示す。
【0047】
KSRCCをコードする哺乳動物のcDNAの変異体は、デフォルトパラメータでBLAST2とZOOSEQデータベース(Incyte Genomics)を使用して同定された。KSRCCをコードする哺乳動物のcDNAの変異体には、それぞれ配列表の701648693H1 (RALITXT40)、212451_Rn.1 (鋳型)、202264_Rn.1 (鋳型)、701836346T1 (RAKITXT11)、SEQ ID NO:11−14がある。これらのcDNAは、ヒト腎臓疾患をモデルとし、また腎臓疾患のための潜在的な治療上の処置を検査することが可能である遺伝形質転換細胞株または遺伝形質転換生物を作製するために特に有用である。下記の表1はKSRCCをコードするcDNAとその哺乳動物変異体、SEQ ID NO:11−14の間の一致率を示す。列1はヒトcDNAのSEQ ID、列2は変異体cDNAのSEQ IDvar、列3は変異体cDNAのクローン番号、列4はヒトcDNAへの一致率、列5はヒトcDNAへの変異体cDNAのアラインメントを示す。
Figure 2004507242
【0048】
これらのcDNAは、ヒト腎臓疾患をモデルとし、また腎臓疾患のための潜在的な治療上の処置を検査することが可能である遺伝形質転換細胞株または遺伝形質転換生物を作製するために特に有用である。
【0049】
当業者であれば、遺伝暗号の縮重の結果、KSRCCをコードする多数のcDNA(既知の遺伝子または天然の遺伝子のcDNAと最低限の類似性しか有しないcDNAもある)を産出し得ることは理解できよう。したがって本発明には、可能コドン選択に基づく組合せの選択によって産出し得るようなありとあらゆる可能性のあるcDNAの変異体を網羅し得る。これらの組み合わせは、天然のKSRCCをコード化するポリヌクレオチドに適用される標準的なトリプレット遺伝暗号を基に作られ、全ての変異が明確に開示されていると考慮する。
【0050】
SEQ ID NO:2−14のcDNAとその断片は、SEQ ID NO:2とサンプル中の関連する分子の中で同定、区別するためのハイブリダイゼーション、増幅、スクリーニング技術で使用可能である。哺乳動物cDNAは、ヒトの腎細胞癌のモデル系である遺伝形質転換細胞株または遺伝形質転換生物を作製するために使用することが可能であり、潜在的な治療上の処置の薬剤効果および毒性を検査することが可能である。cDNA、タンパク質、抗体、分子、本発明のcDNAsとタンパク質を使用して同定された化合物を使用して、毒性研究、臨床試験、被検者/患者治療プロフィールを実施すること、モニターすることが可能である。
【0051】
本発明の性質決定と使用
GBA 分析
GBAは、複数のcDNAライブラリで発現するcDNAを同定する。cDNAは、特定の疾患の過程、細胞内区分、細胞タイプ、組織の種類あるいは種で発現する既知または未知の機能の遺伝子を含む。既知の機能の遺伝子の発現パターンを未知の機能のcDNAのそれと比較することにより、特異な同時発現確率閾値を満たすかどうかを決定する。この比較により、既知の遺伝子での同時発現確率の高いcDNAのサブセットを同定することが可能となる。高い同時発現確率は、特定の同時発現確率閾値と相関し、その閾値は好ましくは0.001未満、更に好ましくは0.00001未満である。
【0052】
cDNAは、多様な源泉に由来するcDNAライブラリから始まる。限定されるものではないが多様な源泉には、ヒト、マウス、ラット、イヌ、サル、植物、酵母等の真核生物、バクテリア、ウイルス等の原核生物を含む。これらのcDNAは多様な配列の種類から選択することができる。限定するものではないが、発現配列タグ(EST)、構築したポリヌクレオチド、完全長遺伝子コード領域、プロモーター、イントロン、エンハンサー及び5’及び3’の非翻訳領域を含む。統計的に有意義な分析結果を得るために、少なくとも5つのcDNAライブラリでcDNAを発現する必要がある。
【0053】
本発明の同時発現分析で使用されるcDNAライブラリは、任意の細胞または細胞株、組織または器官から得ることができる。また副腎、胆道、膀胱、血球、血管、骨髄、脳、気管、軟骨、クロム親和系、結腸、結合組織、培養細胞、胚幹細胞、内分泌腺、上皮組織、食道、胎児、神経節、心臓、視床下部、免疫機構、腸、ランゲルハンス島、腎臓、咽頭、肝臓、肺、リンパ、筋肉、神経、卵巣、膵臓、陰茎、末梢神経系、食細胞、下垂体、胎盤、胸膜、前立腺、唾液腺、精嚢、骨格、脾臓、胃、精巣、胸腺、舌、尿管、子宮等からも可能である。選択されたcDNAライブラリの数の範囲は、わずか500から10.000以上までの可能性がある。
【0054】
腎臓の疾患と関連のある病気の診断あるいは予後マーカーとしてあるいは治療標的としての遺伝子の使用に基づいて、既知の腎臓特異遺伝子を選択することができる。
【0055】
既知の腎臓特異遺伝子との統計的に有意義な同時発現パターンを示すcDNAを同定する方法は下記の通りである。最初に、cDNAライブラリの遺伝子配列の存在あるいは不存在を定義する。ある遺伝子に対応する少なくとも1つのcDNA断片がライブラリから採取したcDNAサンプルで検出される時、その遺伝子はcDNAライブラリに存在する。そして対応するcDNA断片がサンプル中で検出されない時、その遺伝子はライブラリに存在しない。
2番目に、確率方法を用いて遺伝子同時発現の有意性を評価して、同時発現の偶然による確率を測定する。確率方法はフィッシャーの正確確率検定、カイ2乗検定またはカッパ検定である可能性がある。これらの試験と適用の例は公知であり、標準的な統計学のテキストで見出すことができる (Agresti (1990) Categorical Data Analysis, John Wiley & Sons, New York NY; Rice (1988) Mathematical Statistics and Data Analysis, Duxbury Press, Pacific Grove CA)。ボンフェローニ検定(前出のRice、384ページ)も、1つの遺伝子対複数の他の遺伝子の統計結果を修正するために確率方法の1つと併用して適用することができる。好適な実施例では、偶然による確率をフィッシャーの正確確率検定により測定する。また偶然による確率の閾値を好ましくは0.001未満、更に好ましくは0.00001未満に設定する。
【0056】
2つの遺伝子AとBが類似の同時発現のパターンを有するかどうかを決定するために、出現性データベクタ―を下記の表で説明されているように産生する。ライブラリで少なくとも1回出現する遺伝子の存在を1と示す。またライブラリでの不存在を0と示す。
Figure 2004507242
【0057】
所定の対の遺伝子には、出現性データを2 x 2 分割表で概略することができる。
Figure 2004507242
【0058】
分割表は、総計30ライブラリに及ぶ遺伝子Aと遺伝子Bの同時出現データを示す。遺伝子Aと遺伝子Bの両方はライブラリで10回出現しており、この表は下記を概略して示している。(1)遺伝子AとB両者がライブラリで存在する回数、(2)遺伝子AとB両者がライブラリで不在の回数、(3)遺伝子Aが存在して、遺伝子Bが不在の回数、(4)遺伝子Bが存在して、遺伝子Aが不在の回数上左エントリはライブラリで2つの遺伝子が同時出現する回数であり、中右エントリはライブラリで両者の遺伝子が出現しない回数である。非対角エントリは1つの遺伝子が出現するが別の遺伝子が出現しない回数である。AとBの両者が存在するのは8回であり、不在するのは18回である。遺伝子Aが存在してBが不在の場合が2回、遺伝子Bが存在して遺伝子Aが不在の場合は2回であるフィッシャーの正確確率検定を利用した計算によると、上記の関連性が偶然によって起こった確率(「p値」)は、0.0003である。p値が0.01未満である場合、関連性は通常有意と考慮される(前出のAgrestiとRice)。
【0059】
2つの遺伝子の同時出現の確率を評価する方法には幾つかの前提がある。方法はライブラリが独立しており、同様にサンプル化していると想定する。しかし実際の状況では、選択したcDNAライブラリは完全には独立していない。1つ以上のライブラリを単一の対象または組織から得ることが可能だからである。また完全には同様にサンプル化されてもいない。異なる数のcDNAを各ライブラリから配列化する可能性があるからである。通常シーケンスしたcDNAの数の範囲は、ライブラリ毎に5,000から10,000のcDNAである。更に、フィッシャーの正確同時発現確率を各遺伝子対少なくとも5つのライブラリで出現する他のすべての構築した遺伝子に対して計算する。また複数の統計試験のためにボンフェローニ検定を用いた。
【0060】
cDNA ライブラリ
本明細書で開示する特定の実施例において、mRNAを当業者に周知の方法を使用して哺乳動物細胞と組織から単離して、cDNAライブラリを準備するために使用した。上記に示されたIncyteクローンを哺乳動物cDNAライブラリから単離した。本発明の代表的な3つのライブラリ調製が下記の実施例に記載されている。コンセンサス配列は、化学的そして/あるいは電子的にIncyte cDNAを含む断片そしてPHRAP (P Green, University of Washington, Seattle WA)とAUTOASSEMBLER application (Applied Biosystems, Foster City CA)などのコンピュータプログラムを使用して伸長そして/あるいはショットガン配列から構築された。クローン、伸長そして/あるいはショットガン配列をクラスタ−そして/あるいはマスタークラスターに電子的に構築した。
【0061】
シークエンシング
核酸をシークエンシングする方法は当分野でよく知られており、本発明の何れの実施例も核酸をシークエンシングする方法を用いて実施可能である。核酸をシークエンシングする方法には酵素を用いることができる。例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、SEQUENASE、Taq DNA ポリメラーゼ、熱安定性T7DNAポリメラーゼ(Amersham, Pharmacia Biotech(APB), Piscataway NJ)を用いることができる。或いは、例えばELONGASE増幅システム(Life Technologies, Gaithersburg MD)において見られるように、ポリメラーゼと校正エキソヌクレアーゼを併用することができる。好適には、MICROLAB2200液体転移システム(Hamilton, Reno, NV)、DNA ENGINE サーマルサイクラー(MJ Research, Watertown MA)等の装置を用いて配列の調製を自動化する。シークエンシングをするために一般的には使用される装置は、ABI PRISM 3700、377或いは373DNAシークエンシングシステム(Applied Biosystems)、MEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(APB)などである。配列は、当分野で公知であり、Ausubel, ら(1997) Short Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York NY, unit 7.7、Meyers, R.A. (1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wiley VCH, New York NY, 856−853ページに記載されている、多種のアルゴリズムを使用して分析され得る。
【0062】
ショットガン・シークエンシングは、目的の特定クローン化インサートの配列を完成するために使用することもできる。ショットガン・ストラテジーには、無作為に元来のインサートを多様なサイズのセグメントに切断すること、これらの断片をベクターにクローニングすることが含まれる。これらの断片は、元来のインサートの配列全体が知られるまで重畳する末端を使用して、配列化され、再構築される。ショットガン・シークエンシング方法は当分野で公知であり、目的のcDNAsに隣接する代表的領域から選択される熱安定性DNAポリメラーゼ、易熱性DNAポリメラーゼ、プライマーを使用する。不完全に構築された配列は、当分野で公知である多様なアルゴリズムまたはCONSED (Gordon (1998) Genome Res 8:195−202)などのプログラムを使用して同一性を調べられる。ベクターまたはキメラ配列を含む汚染された配列あるいは除去された配列は、それぞれ除去、回復が可能であり、不完全に構築された配列を完全な配列に組織化できる。
【0063】
核酸の伸長
本発明の配列は、当分野で周知の多様なPCR法をベースにした種々の方法で伸長することが可能である。例えば、XL−PCRキット(Applied Biosystems)、ネステッドプライマー、市販のcDNAあるいはゲノムDNAライブラリは核酸を伸長するために使用され得る。全てのPCRベースの方法に対して、市販されているソフトウェア、例えばOLIGOプライマー分析ソフトウェア(Molecular Biology Insights, Cascade CO)などを用いて、長さが約22〜30ヌクレオチド、GC含有率が約50%以上、温度約55℃〜68℃で標的分子に対してアニーリングするようにプライマーを設計し得る。調節エレメントを回収するために配列を伸長する時、cDNAライブラリよりもゲノムを使用するほうが好適である。
【0064】
ハイブリダイゼーション
cDNAとその断片は、様々な目的でハイブリダイゼーション技術において使用することが可能である。プローブを5’調節領域などの固有の領域または非保存された領域(即ちタンパク質の保存された触媒ドメインをコードするヌクレオチドの5’または3’)から由来する、また設計することは可能である。そしてKSRCC、対立遺伝子変異配列あるいは関連分子をコードする天然の分子を同定するために、プロトコルで使用する。プローブはDNAまたはRNAそして一本鎖である可能性があり、任意の核酸配列SEQ ID NO:2−14に対して少なくとも50%の配列同一性を有するはずである。ハイブリダイゼーションプローブはオリゴ標識化、ニックトランスレーション、末端標識化、またはレポーター分子の存在下でPCR増幅を使用して産生され得る。cDNAまたはその断片を含むベクターは、RNAポリメラーゼと標識されたヌクレオチドを加えてin vitro mRNAプローブを産生するために使用することが可能である。このような方法は、例えばAPBから市販されている種々のキットを用いて実行することができる。
【0065】
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、プローブのG+C含有、塩分濃度、温度により決定する。特に、ストリンジェンシーは、塩の濃度の減少あるいはハイブリダイゼーション温度の上昇により増強することができる。膜系ハイブリダイゼーションで使用される溶液では、ホルムアミドなどの有機溶剤の添加により低温で反応が起きることが可能となる。ハイブリダイゼーションは、1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を60℃で5xSSCなどのバッファーで低ストリンジェンシーで実施することができる。そして不一致を含む核酸配列の間でハイブリダイゼーション化合物の形成を可能にする。続いて0.1% SDSを45℃(中間ストリンジェンシー)または68℃(高ストリンジェンシー)で、0.2xSSCなどのバッファーで高いストリンジェンシーで洗浄を実施した。高いストリンジェンシーでは、ハイブリダイゼーション複合体は核酸が完全に相補的な場合のみ安定を保持するであろう。或る膜系ハイブリダイゼーションでは、好ましくは35%または最も好ましくは50%、ハイブリダイゼーションが実施される温度を低下させるためにホルムアミドはハイブリダイゼーション溶液に加えることができる。そしてバックグラウンドシグナルはSarkosylまたはTRITON X−100 (Sigma−Aldrich, St. Louis MO)などの他の界面活性剤、変性したサケ精子DNAなどのブロッカーの使用により減少させることができる。化合物の選択とハイブリダイゼーションの条件は当業者には公知である。またAusubel (前出)およびSambrook (1989) Molecular Cloning, Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview NYに概説されている。
【0066】
アレイを本技術分野でよく知られている方法を用いて調製し、そして分析することができる。オリゴヌクレオチドはアレイでプローブあるいは標的として使用され得る。アレイは、同時に多数の遺伝子の発現レベルをモニターするためにまたは遺伝変異体、突然変異及び単一ヌクレオチド多型性を同定するために使用され得る。そのような情報を用いることで、遺伝子機能を決定し、症状、疾患または障害の遺伝的根拠を理解し、症状、疾患または障害を診断し、薬剤の活性を開発及びモニターすることができる。(Brennan,ら (1995) の米国特許第5,474,796号、Schena, ら (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614−10619、Baldeschweiler らの (1995) PCT出願第WO95/251116号、Shalon,らの (1995) PCT出願第WO95/35505号、Heller,ら (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150−2155、Heller, M.J. らの (1997) 米国特許第5,605,662号等を参照)。
【0067】
ハイブリダイゼーションプローブは、天然のゲノム配列をマッピングするのにも有用である。プローブを(1)特定の染色体、(2)染色体の特定領域または、(3)人工形成の染色体、例えば、ヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、細菌P1産物、或いは単一染色体cDNAライブラリに対してハイブリダイズすることが可能である。
【0068】
発現
KSRCCをコードする多数のcDNAのいずれかは、ベクターにクローニングされ得る。また宿主細胞でタンパク質或いはその部分を発現するために使用される。核酸配列は、新規な制限酵素部位の作製、グリコシル化パターンの変更、コドン優先の変更のためにDNAシャッフリング(USPN 5,830,721)、特定部位の突然変異誘発などの方法により操作することが可能であり、特定の宿主における発現の増大、スプライス変異体の生成、半減期の延長などがなされる。発現ベクターは、特定の宿主での効率のために選択された多様な源泉からの転写調節エレメント及び翻訳調節エレメント(プロモーター、エンハンサー、特定の開始シグナル、ポリアデニル化された3’ 配列)を含むことが可能である。ベクター、cDNA、調節エレメントは、当分野で公知であり、Sambrook (前出4、8、16、17章)に記載されている、in vitro組換えDNA技術、合成技術、及びin vivo遺伝子組換え技術を利用して結合する。
【0069】
種々の宿主系が、発現ベクターで形質転換が可能である。限定するものではないがこのような宿主系には、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換させた細菌や、酵母菌発現ベクターで形質転換させた酵母菌や、バキュロウイルス発現ベクターで形質転換させた昆虫細胞系や、ウイルスそして/あるいは細菌性エレメントを含む発現ベクターで形質転換させた植物細胞系、あるいは動物細胞系がある(前出のAusubel,unit 16)。例えば、アデノウイルス転写物/翻訳複合体は哺乳動物細胞で利用することが可能である。配列をウイルスのゲノムのE1あるいはE3領域にライゲーションさせた後に、感染ウイルスは宿主細胞のタンパク質を形質転換、発現するために用いられる。ラウス肉腫ウイルスエンハンサーあるいはSV40またはEBVをベースにしたベクターを用いて、タンパク質を高レベルで発現させることもできる。
【0070】
核酸配列の日常的なクローニング、サブクローニング、増殖には、多機能のPBLUESCRIPT(Stratagene, La Jolla CA)またはpSPORT1プラスミド(Life Technologies)を用いることができる。これらのベクターの多数のクローニング部位に核酸配列を導入するとlacZ遺伝子が破壊され、形質転換された細菌用の比色スクリーニング法が可能となる。更にこれらのベクターは、クローニングされた配列におけるin vitro転写、ジデオキシのシークエンシング、ヘルパーファージによる一本鎖の救出、入れ子状態の欠失の生成にも有用であろう
【0071】
組換えタンパク質の長期にわたる産生のためには、同じ或いは別のベクターの上の選択可能マーカーまたは可視マーカー遺伝子と共にベクターは安定して細胞株に形質転換されることが望ましい。ベクターの形質転換後、細胞は選択培地に移す前に強化培地で約1〜2日間細胞を増殖させることができる。選択可能マーカー、代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤遺伝子は、関連する選択培地へ耐性を与え、導入された配列をうまく発現するような細胞の成長及び回収が可能となる。アントシアニン、緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ、ルシフェラーゼ等の選択的培地上の生存あるいは可視マーカーの発現により同定された耐性クローンは、培養技術を用いて増殖可能である。可視マーカーは、導入された遺伝子により発現したタンパク質の量を定量するためにも用いられる。宿主細胞が望ましい哺乳動物cDNAを含んでいるかの検証は、DNA−DNAまたはDNA−RNAハイブリダイゼーションあるいはPCR増幅技術に基づく。
【0072】
宿主細胞株は、所望の形に組換えタンパク質を調節する能力によって選択がなされ得る。そのような修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化及びアシル化及びその他がある。「プレプロ」形を切断するような翻訳後処理を利用して、タンパク質のターゲティング、折りたたみ及び/または活性を特定することも可能である。翻訳後の活性のための固有の細胞装置及び特徴のある機構を有する種々の宿主細胞は、American Type Culture Collection(ATCC, Manassas VA)から入手可能であり、外来タンパク質の正しい修飾及び処理を確実にするように選択し得る。
【0073】
細胞培地でのこのタンパク質の回収
精製を容易にするためのベクターに組み換えられる異種部分には、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、6xHis、フラグ、MYC及びその他がある。GSTは固定化グルタチオン上で、そして6−Hisは金属キレート樹脂上で、市販されている親和性基質を用いて精製する。FLAGとMYCは、市販されているモノクローナル及びポリクローナル抗体を用いて精製する。精製後の分離を容易にするために、タンパク質と異種部分の間に位置するベクターにタンパク質分解切断部位をコードする配列を含めることもできる。組換えタンパク質の発現及び精製の方法は、前出のAusubel(1995)16章に記載されており、市販されている。
【0074】
ペプチドの化学合成
タンパク質あるいはその部分は、組換え方法だけでなく、当分野で公知の化学的方法によっても産生され得る。固相ペプチド合成は、バッチごとの処理または連続的な流れ処理ででき、α−アミノと側鎖によって保護されるアミノ酸残基をリンカー群を通して不溶性重合体支持に順次加えて実施され得る。メチルアミン誘導体化ポリエチレン グリコールなどのリンカー群は、支持樹脂を形成するためにスチレン−ジビニルベンゼン共重合体に付着する。アミノ酸残基は、酸に不安定なBoc (t−ブチルオキシカルボニル)または塩基に不安定な Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)によりN−α保護(N−α−protected)される。保護アミノ酸のカルボキシル基は、残基を固相支持樹脂にアンカーするリンカー群のアミンに結合する。トリフルオロ酢酸またはピペリジンは、それぞれBocまたはFmocについては保護基を除去するために用いられる。各追加のアミノ酸を、カップリング剤か前もって活性化されたアミノ酸誘導体を用いてアンカーした残基に加えて、次いで樹脂を洗浄する。全長ペプチドを連続脱保護、アミノ酸誘導体の結合、ジクロロメタンまた/あるいはN, N−ジメチルホルムアミドでの洗浄により合成する。前記ペプチドを、ペプチド酸またはアミドを産生するためにペプチドカルボキシル末端とリンカ−群の間で切断する。(Novabiochem 1997/98 Catalog and Peptide Synthesis Handbook, San Diego CA S1−S20ページ)自動合成はABI 431Aペプチドシンセサイザ(Applied Biosystems)を用いて実施し得る。タンパク質或いはその部分は、分離用高速液体クロマトグラフィーを用いて精製可能である。またその組成物はアミノ酸分析かシークエンシングにより確認することができる(Creighton (1984) Proteins, Structures and Molecular Properties, WH Freeman, New York NY)。
【0075】
抗体の調製とスクリーニング
ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト、その他を含む種々の宿主は、KSRCC、またはKSRCCの任意の断片を注入することによって免疫化することができる。フロイントアジュバント、ミネラルゲルアジュバント等のアジュバント、またリゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)、ジニトロフェノール等の界面活性剤とがあり、免疫反応を増大するために用いることも可能である。抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチドまたはタンパク質の部分は、少なくとも約5のアミノ酸からなり、天然のタンパク質の部分に同一の約10のアミノ酸からなるものが好ましい。オリゴペプチドは、KLHなどの別のタンパク質と融合し、キメラ分子に対する抗体が産生され得る。
【0076】
モノクローナル抗体は、培地内の連続した細胞株によって、抗体を産生する任意の技術を用いて作製することが可能である。限定するものではないがこのような技術には、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術及びEBV−ハイブリドーマ技術がある(Kohler ら(1975) Nature 256:495−497、Kozbor ら (1985) J. Immunol Methods 81:31−42、Cote ら(1983) Proc Natl Acad Sci 80:2026−2030、Cole ら(1984) Mol Cell Biol 62:109−120等を参照)。
【0077】
別法では、当分野で周知の方法を用いて、一本鎖抗体の産生のための記載された技術を適用して、エピトープ特異性一本鎖抗体を生成する。タンパク質のエピトープに対する特異的な結合部位を含む抗体断片も得ることができる。例えば、限定するものではないが、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって作製されるF(ab’) 断片と、F(ab’) 断片のジスルフィド架橋を還元することによって作製されるFab断片とがある。或いは、Fab発現ライブラリを作製することによって、モノクローナルFab断片を所望の特異性と迅速且つ容易に同定することが可能となる(Huse ら (1989) Science 246:1275−1281等を参照)。
【0078】
KSRCCまたはその任意の部分は、所望の特異性を有する抗体を同定するphagemidまたはB−リンパ球免疫グロブリンライブラリのスクリーニングアッセイで用いることができる。確立された特異性を有するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の何れかを用いる競合的な結合、または免疫学的検定のための数々のプロトコルが、当分野では周知である。 通常このような免疫学的検定には、タンパク質とその特異性抗体との間の複合体形成の計測が含まれる。2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモノクローナルベースイムノアッセイ(two−site, monoclonal−based immunoassay)が好ましいが、競合の結合アッセイも用いることもできる(Pound (1998) Immunochemical Protocols, Humana Press, Totowa NJ)。
【0079】
アッセイのための分子の標識化
多岐にわたるレポーター分子及び結合方法が、当業者に知られており、様々な核酸アッセイ、アミノ酸アッセイおよび抗体アッセイにこれらの方法を用い得る。標識した分子の合成は、32P−dCTP (APB)、Cy3−dCTPまたはCy5−dCTP (Operon Technologies, Alameda CA)などの標識されたヌクレオチドあるいは35S−メチオニン(APB)などのアミノ酸を取り込むための市販のキット(Promega, Madison WI)を用いて達成することが可能である。ヌクレオチドとアミノ酸は、BIODIPYまたはFITC(Molecular Probes, Eugene OR)等の試薬を用いて分子内に存在するアミン、チオールその他の基への化学結合により蛍光剤、化学発光剤、発色剤及びその他を含む多種の物質を用いて直接標識化することが可能である。
【0080】
(診断)
cDNA、断片、オリゴヌクレオチド、相補的RNA及びDNA分子そしてPNAは、遺伝子の示差発現、mRNAの不在、存在及び過剰発現を検出し定量するために、そして治療インターベンション中にmRNAレベルをモニターするために用いることができる。同様に、KSRCCを特異結合する抗体は、タンパク質を定量するために用いられる。示差発現と関連する腎臓の疾患には、後天性の嚢胞腎の疾患と、特に腎細胞癌を含む。診断アッセイは、示差遺伝子発現を検出するために患者の生物学的サンプル中の遺伝子発現を基準サンプルと比較する、ハイブリダイゼーションまたは増幅技術を用い得る。この比較のための定性方法または定量方法は、当分野で公知である。
【0081】
例えば、cDNAあるいはプローブは標準的な方法で標識化され、ハイブリダイゼーション複合体の形成に好適な条件下で患者の生物学的サンプルに加える。インキュベーション期間後、サンプルを洗浄し、ハイブリダイゼーション複合体と関連する標識(またはシグナル)の量を定量して標準値と比較する。正常あるいは病変値と比較して患者サンプルの複合体の形成が著しく変化している場合(高いまたは低い)は、示差発現は疾患の存在を示している。
【0082】
示差発現を確立する基準となるものを提供するために、正常と疾患の発現プロファイルを確立する。これは、発生するハイブリダイゼーションに好適な条件下で、cDNAと動物或いはヒトの何れかの正常な被験者から抽出されたサンプルを結合させることにより達成され得る。実質的に精製された配列を既知量用いて行った実験から得た値を正常な対象から得た値と比較することにより、標準ハイブリダイゼーション複合体を定量することができる。このようにして得た標準値は、特定の症状、疾患または障害と診断される患者から得たサンプルから得た値と比較することができる。特定の疾患と関連のある値への標準値からの偏差を、その疾患の診断に用いる。
【0083】
このようなアッセイは、動物実験、臨床試験における特定の治療効果を推定するため、或いは個々の患者の治療をモニターするために用いることもできる。症状の存在を一旦確定して治療プロトコルを開始すると、診断アッセイを通常ベースで繰り返して、患者の発現レベルが正常な被検者に観察されるレベルに近づき始めたかどうかを測定する。連続アッセイから得られた結果を用いて、数日から数ヶ月の期間にわたる治療の効果を示し得る。
【0084】
免疫学的方法
特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらかを用いるタンパク質の発現の検出及び計測のための免疫学的な方法は、当分野で周知である。 このような技法には、酵素に結合した免疫吸着剤検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、フローサイトメーター(FACS)などがある。2つの非干渉エピトープに反応するモノクローナル抗体を用いた、2部位のモノクローナルベースイムノアッセイ(two−site, monoclonal−based immunoassay)が好ましいが、競合の結合アッセイも用いることもできる。(Coligan (1997) Current Protocols in Immunology, Wiley−Interscience, New York NY、 前出 Poundを参照)。
【0085】
(治療)
図2Aと2Bが示す通り、AMP結合ドメインに関して、KSRCC(SEQ ID NO:1)とラットとヒトの腎臓特異タンパク質(それぞれg312719、g3219339)の間で化学的及び構造的類似性が存在する。さらに図3で示されているように示差発現が組織そして腎細胞癌に強く関連している。KSRCCは明らかに後天性の嚢胞腎の疾患、特に腎細胞癌に関与している。
【0086】
腎細胞癌などのタンパク質の発現の増大に関連する症状の治療においては、発現またはタンパク質活性を低下させることが望ましい。一実施例では、タンパク質のインヒビター、アンタゴニストまたは抗体を患者に投与して、発現または活性の増大に関連した症状を治療することも可能である。別の実施例では、内在性タンパク質の発現または活性の増大に関連した症状の治療のために、インヒビター、アンタゴニストまたは抗体を含む医薬品組成物を医薬用担体と共に患者に投与することも可能である。別の実施例では、症状の治療のために、cDNAまたはその断片の相補配列を発現するベクターを患者に投与することも可能である。
【0087】
cDNA、相補的分子またはその断片、タンパク質またはその部分、これらの核酸分子を送達するまたはタンパク質を発現するベクターそしてそれらのリガンドの何れかを他の薬剤と共に投与することは可能である。併用療法で用いる治療薬は、当業者が従来の医薬原理に従ってを選択し得る。治療薬と組み合わせることにより、各薬剤をより低い投与で特定の疾患の治療に影響する相乗効果をもたらし得る。
【0088】
核酸を用いる遺伝子発現の変更
KSRCCをコードする遺伝子の調節5’, 3’や他の調節領域に相補的なアンチセンス分子(DNA、RNAまたはPNA)を設計して遺伝子発現を変更することができる。転写開始部位に関連して設計されたオリゴヌクレオチドが好ましい。同様に、阻害はポリメラーゼ、転写因子または調節分子の結合を阻害する三重らせん塩基対を用いて達成することができる(Gee In: Huber and Carr (1994) Molecular and Immunologic Approaches, Futura Publishing, Mt. Kisco NY, 163−177ページ)。相補配列もまた、mRNAとリボソームの間に結合するのを阻止することによって翻訳を阻止するように設計することができる。一実施態様では、ライブラリまたは複数のcDNAまたはその断片を調節配列、翻訳されていない配列を特異結合するものを同定するためにスクリーニングすることが可能である。
【0089】
リボザイムは酵素性RNA分子であり、RNAの特異的切断を触媒するためにリボザイムを用いることもできる。リボザイム作用のメカニズムは、GUA、GUU、GUC等の部位でのヌクレオチド鎖切断に先立つ相補的標的RNAへのリボザイム分子の配列特異性ハイブリダイゼーションに関与している。一度それらの部位が同定すると、オリゴヌクレオチドを機能不全にするような2次構造の特徴に対して同じ配列のオリゴヌクレオチドを評価することが可能になる。候補標的の適合性の評価も、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションをテストすることによって行うことができる。
【0090】
本発明の相補的な核酸及びリボザイムは、in vitroまたはin vivoで組換え発現によりあるいは固相フォスフォアミダイト化合物を使用して調製することが可能である。さらに、分子の5’末端、3’末端、あるいはその両方においてフランキング配列を追加したり、分子の主鎖内においてホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネートまたは2’ O−メチルを使用したりすることにより細胞内の安定性を高め、半減期を長くするためにRNA分子を修飾することができる。修飾はPNAの産出に固有のものであり、他の核酸分子に拡大することができる。非従来型塩基、例えばイノシン、クエオシン(queosine)、ワイブトシン(wybutosine)等を加えること、あるいはアデニン、シチジン、グアニン、チミン、及びウリジンにアセチル−、メチル−、チオ−基の修飾によって内在性エンドヌクレアーゼに対する分子の使用可能性が低下する。
【0091】
スクリーニング及び精製アッセイ
KSRCCをコードするcDNAを使用して、特異結合親和性のためにライブラリあるいは複数の分子または化合物をスクリーニングする。ライブラリは、生物系におけるcDNAの活性、複製、転写あるいは翻訳を調節するDNA分子、RNA分子、PNA、ペプチド、そして転写因子、エンハンサーまたはリプレッサーその他のリガンドなどのタンパク質であり得る。アッセイには、特異結合を可能にする条件下で分子のライブラリとcDNAまたはその断片を結合すること、そして一本鎖または適切ならば二本鎖分子を特異結合する少なくとも1つの分子を同定する特異結合を検出することが含まれる。
【0092】
一実施例において、本発明のcDNAを複数の精製された分子または複合物と共にインキュベートすることが可能であり、電気泳動度移動アッセイ(USPN 6,010,849)または網状赤血球溶解物転写アッセイ等の当分野で公知である方法によって結合活性を測定することが可能である。別の実施例において、cDNAは生検そして/あるいは培養細胞と組織からの核抽出物と共にインキュベートすることが可能である。核抽出物のcDNAと分子あるいは化合物の間の特異結合は、最初ゲルシフトアッセイにより決定される。そして後にその分子または化合物を回収して、それに対する抗体を作製することによって確認することが可能である。これらの抗体がアッセイに加えられる時、電気泳動度移動アッセイにスーパーシフトが起きる。
【0093】
別の実施例では、cDNAは、当分野で公知であるアフィニティークロマトグラフィー方法を用いて分子あるいは化合物を精製するために使用される。一実施例では、cDNAは高分子樹脂またはゲル上で臭化シアン基と化学的に反応する。次にサンプルを通し、cDNAと反応あるいは結合させる。cDNAに結合する分子または化合物は、流動媒体の塩の濃度の上昇によりcDNAから放出され、回収される。
【0094】
更なる実施例において、タンパク質あるいはその部分をサンプルのリガンドを精製するために用いる可能性がある。リガンドを精製するために哺乳動物タンパク質またはその部分を使用する方法には、特異結合を許容する条件下でタンパク質またはその部分をサンプルと結合すること、タンパク質とリガンド間の特異結合を検出すること、結合したタンパク質を回収すること、精製したリガンドからタンパク質を分離するために適切なカオトロピック剤を使用することが含まれる。
【0095】
好適な実施例では、KSRCCまたはその部分を多様なスクリーニングアッセイの任意の複数の分子または化合物をスクリーニングするために用い得る。そのようなスクリーニングで用いられたタンパク質の部分は、溶液中で遊離しているか、非生物的物質または生物的基質に固定させる(例えば細胞表面上に保持される)、あるいは細胞内に位置することになろう。例えば1つの方法では、組換え核酸で安定的に形質転換された、生きたまたは固定された原核宿主細胞で、細胞表面にペプチドを発現し局在させる細胞をスクリーニングアッセイで使用することが可能である。細胞を複数のリガンドあるいはリガンドのライブラリに対してスクリーニングする。そして発現したタンパク質とリガンドの間で結合の特異性または複合体の形成を測定し得る。タンパク質と分子間の特異結合を測定してもよい。スクリーニングされたライブラリの種類に応じて、アッセイをDNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、ペプチド、タンパク質、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体、免疫グロブリン、インヒビター、薬剤及び他のリガンドを同定するために用いる可能性があり、そしてタンパク質を特異結合する。
【0096】
或る実施態様において、本発明はUSPN 5,876,946に記載された非常に小さなアッセイ量と微少量を使用して試験化合物高い処理能力でスクリーニングするための方法を網羅する。当該文献は特に引用することを以って本明細書の一部となす。この方法は、特異結合により多数の分子と化合物をスクリーニングするために用いられる。別の実施様態において本発明は、タンパク質を結合することができる中和抗体が、タンパク質またはオリゴペプチドまたはその部分を結合するための試験化合物と特異的に競合する、競合的薬剤スクリーニングアッセイの使用も網羅する。スクリーニングによって同定された分子または化合物は、毒性、診断または可能性のある治療薬を評価するために哺乳動物モデル系で用いられ得る。
【0097】
薬理学
医薬品成分は、所定、所望の目的を達成するために有効量の活性成分を含む物質である。有効投与量の決定は、当業者の能力の範囲内で行う。任意の化合物に対して、細胞培養アッセイ或いは動物モデルにおいて、先ず治療の有効投与量を推定することができる。動物モデルは好適な濃度範囲及び投与経路を達成するためにも用い得る。このような情報を用いて、次にヒトに対する有益な投与量及び投与経路を決定することができる。
【0098】
医学的に効果的な薬用量は、症状や容態を回復させるタンパク質またはインヒビターなどの活性処方成分の量に関連する。そのような薬剤の治療有効度及び毒性は、細胞培養または動物実験における標準的な薬剤手法によって、例えばED50(集団の50%の医薬的有効量)またはLD50(集団の50%の致死量)を測定するなどして決定することができる。毒性効果と薬用効果の間の投与量の比は、治療指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。高い治療指数を示すような医薬品成分が望ましい。細胞培養アッセイ及び動物実験から得られたデータは、ヒトに用いるための投与量の範囲を調剤するのに用いられる。
【0099】
モデル系
動物モデル系は生物学的検定法として用い得る。そこではヒトと類似の表現型反応を示し、また暴露条件が人体暴露と関連する哺乳動物は最も一般的なモデルであり、多くの感染体、癌、薬剤および毒性研究が、低費用、利便性、寿命、生殖可能性、豊富な参照文献ゆえにラットまたはマウス等の齧歯類で実施される。近交系また非近交系齧歯類は、目的遺伝子の過小発現と過剰発現の生理作用の結果の研究、および疾患の診断と治療のための方法開発のための便利なモデルを提供する。特定の遺伝子を過剰に発現する哺乳動物近交系(例えば乳汁内に分泌する)は、その遺伝子により発現する便利なタンパク質源となり得る。
【0100】
毒性研究
毒性研究は、生物系上での薬剤影響の研究である。多くの毒性研究は、ラットまたはマウスで実施される。生理学、行動、恒常性プロセスにおける定性または定量変更そしてラットまたはマウスの死亡率の観察は、毒性プロフィールを生み出し、薬剤への暴露の後にヒトの健康に及ぼす潜在的な因果関係を評価するために使われる。
【0101】
遺伝毒性研究により、内在性、自発的そして誘導された遺伝突然変異の率への薬剤の影響の同定と分析がなされる。遺伝毒性薬剤は、核酸との相互作用を促進する共通の化学的特性また物理的特性を通常は有する。また染色体の異常が子孫に伝達された時最も有害である。毒性研究により、受胎前に親に、妊娠中に母親にあるいは発達中の生物のいずれかに投与された場合子孫の組織中の構造的また機能的異常の頻度が増大する物質を同定することが可能である。マウスまたはラットは、これらの試験で最も頻繁に使用される。なぜなら生殖周期が短いので統計上の必要にかなう多数の生物の繁殖を可能にするからである。
【0102】
急性毒性試験は、症状改善または薬剤の致死率を決定するために被験動物に薬剤を1回投与することに基づいている。3回の実験が実施される。:1)初回投与量範囲を定める実験、2)有効量の範囲を狭める実験、3)用量反応曲線を確定するための最終実験。
【0103】
亜慢性毒性試験は、薬剤の連続投与に基づく。ラットとイヌはこれらの研究で一般的に用いられ、様々な属の種からのデータを提供する。発癌を除いて、3−4ヶ月の間、高投与量濃度で薬剤を毎日投与することにより、成獣における毒性の多くの形態を明らかにできることに関して相当の証拠がある。
【0104】
1年以上の期間の慢性毒性試験により、毒性の不存在か薬剤による発癌の可能性を実証する。ラットによって研究が実行される時、最小限の3つの試験グループに加えて1つの対照グループが用いられる。実験当初および実験中は定期的に動物は調べられ、モニターされる。
【0105】
遺伝子組換え動物モデル
目的の遺伝子を過剰発現あるいは過小発現する遺伝子組換え齧歯類は近親交配され、ヒト疾患のモデル、または治療薬や毒性薬剤の試験のために用いられ得る。(USPN 5,175,383、USPN 5,767,337等を参照.)。場合によっては、導入された遺伝子は胎児の発育中または出生後の発育中の特定の時間に特定の組織のタイプで活性化され得る。導入遺伝子の発現は、薬物治療法実験への取り組み前、中、後に遺伝子組換え動物の表現型、組織特異的mRNA発現または血清と組織タンパク質レベルの分析によってモニターされる。
【0106】
胚性幹細胞
齧歯類の胚から単離された胚性幹細胞(ES細胞)は、胚組織を形成する可能性を保持する。ES細胞がキャリアーの胚内部に置かれた時、正常な発育を再開して、生きて生まれた動物の組織に寄与する。ES細胞は実験的ノックアウトとノックイン齧歯類の生成に用いられる好適な細胞である。129/SvJ細胞株等のマウスES細胞は初期のマウス胚に由来し、当分野で公知の培養条件下で増殖させることができる。遺伝子組換え類を産生するのに用いられたベクターには、疾患遺伝子候補と標識遺伝子が含まれる。後者は導入された疾患遺伝子の存在を同定することに役立つ。ベクターは当分野で公知の方法でES細胞に形質転換する。そして形質転換したES細胞を同定し、例えばC57BL/6マウス系等から採取したマウス細胞胚盤胞に微量注入する。胚盤胞を偽妊娠メスに外科的に導入し、得られるキメラ子孫の遺伝形質を決め、これを交配させてヘテロ接合性系またはホモ接合性系を作製する。
【0107】
ヒト胚盤胞由来のES細胞は、in vitro で少なくとも8つの別々の細胞系統に分化するよう操作することが可能である。これらの系統はin vitro 様々な細胞のタイプと組織の分化を研究するのに用いられ、例えば神経細胞、造血系統及び心筋細胞に分化する内胚葉、中胚葉及び外胚葉の細胞の種類を含む。
【0108】
ノックアウト分析
遺伝子ノックアウト分析では、哺乳動物遺伝子の領域はネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo: Capecchi(1989) Science 244:1288−1292)等の非哺乳動物遺伝子を含むよう酵素処理で修飾される。修飾された遺伝子は、培養したES細胞に形質転換され、相同組換えにより内因性ゲノムに組み込まれる。挿入された配列は、内在性遺伝子の転写と翻訳を破壊する。形質転換細胞を齧歯類胞胚に注入し、その胞胚を偽妊娠メスに移植する。遺伝子組換え子孫は、哺乳動物遺伝子の機能複製を欠くホモ接合性近交系を得るために交配される。一例では、哺乳動物遺伝子はヒト遺伝子である。
【0109】
ノックイン分析
ES細胞を用いて、ヒト疾患の「ノックイン」ヒト化動物(ブタ)または遺伝子組換え動物モデル(マウスまたはラット)を作製することが可能である。ノックイン技術を用いて、ヒト遺伝子の或る領域を動物ES細胞に注入し、注入したヒト配列を動物細胞ゲノムに組み込ませる。形質転換細胞を胞胚に注入し、胞胚を上記のように移植する。遺伝子組換え子孫または近交系について研究し、可能性のある医薬品を用いて処理し、類似のヒトの症状の治療に関する情報を得る。これらの方法は、幾つかのヒト疾患をモデル化するために用いられてきた。
【0110】
ヒト以外の霊長類モデル
動物実験の分野では、生理学、遺伝学、化学、薬理学、統計学等の基礎科学のデータと方法論を扱う。これらのデータは、ヒトの健康に関連している可能性があるので、ヒト以外の霊長類での治療薬の影響を評価するのに非常に重要である。ワクチンと薬物の評価においてサルがヒトの代用に用いられる。またサルの反応が類似の条件下で人体暴露と関連される。 このような調査では、カニクイザルとアカゲザル(それぞれMacaca fascicularisMacaca mulatta)、コモンマモセット(Callithrix jacchus)が最も一般的に用いられるヒト以外の霊長類(NHP)である。NHPのコロニーの発達と維持には多額の費用がかかるため、齧歯類のモデルで初期の調査と毒性研究が通常は実施される。薬物常用などの行動測定を利用する研究では、NHPが最初に実験動物に選ばれる。さらに、NHPと個々のヒトは多くの薬剤と毒素に異なる感受性を示す。またこれらの薬剤の「広範囲のメタボライザー」から「代謝不良体質」まで表現型の範囲として分類することが可能性である。
【0111】
別の実施例では、将来に開発される分子生物学技術で、現在知られているヌクレオチド配列の特性(限定はされないが、トリプレット遺伝コード、特異的な塩基対相互作用等を含む)に依存しているならば、この哺乳動物タンパク質をコードするcDNAにその新技術を用い得る。
【0112】
(実施例)
下記の実施例は、目的の本発明を説明するために提供するが、これは本発明を限定する目的はではない。実施例の目的のために、ヒト腎臓(KIDNNOT32)ライブラリの準備について記載する。
【0113】
1 cDNAライブラリ作製
腎臓ライブラリ作成用の組織は、頭蓋内出血および脳血管事故により死亡した49才の白人男性から得た。POLYTRONホモジナイザー(Brinkmann Instruments, Westbury NY)を使用して、凍結組織をTRIZOL試薬(1gの組織/10 mlのTRIZOLの割合; Life Technologies)でホモジナイズして溶解させる。氷上での短いインキュベートの後に、クロロホルムを加え(1:5 v/v)、混合液を遠心分離機にかけて相に分離した。上部の水様相を新しい試験管に移して、イソプロパノールを加えてRNAを沈殿させた。RNAをRNアーゼのない水で再懸濁し、DNアーゼで処理した。RNAを酸性フェノール−クロロホルムで再抽出し、酢酸ナトリウムとエタノールで再沈殿した。OLIGOTEX mRNA 精製キット(QIAGEN, Valencia CA)を用いて、ポリ(A+) RNAを単離して、cDNAライブラリを作製するために使用した。
2 pINCYプラスミドの作製
プラスミドをEcoRI制限酵素(New England Biolabs, Beverly MA)と共にpSPORT1プラスミド(Life Technologies)を消化して、クレノウ酵素(New England Biolabs)と2’−デオキシヌクレオチド5’−3リン酸(dNTP)を用いて張出部(overhang)末端を占めるとにより作製した。プラスミドは自己連結反応して、細菌性宿主の大腸菌株JM109に形質転換した。
【0114】
バクテリア(pSPORT 1ΔRI)により産出した仲介プラスミドはEcoRIでは消化されず、Hind III (New England Biolabs)で消化され、張出部(overhang)末端は再びクレノウとdNTPで占めた。リンカー配列をリン酸化して、5’平滑末端上に連結反応させ、EcoRIで消化してから、自己連結反応させた。JM109宿主細胞への形質転換後に、プラスミドを単離してEcoRIとの優先的消化性を検査したが、Hind IIIとの優先的消化性を検査しなかった。この基準にかなう単一のコロニーを、pINCYプラスミドと名付けた。
【0115】
NotI、EcoRI 制限酵素を用いて準備したライブラリのcDNAを組み込む能力に関してプラスミドを試験した後に、幾つかのクローンを配列化して、多量のプラスミドを準備するための中から約0.8 kbの挿入を含む単一クローンを選択した。ライブラリ作製で使用するために、NotI、EcoRIで消化した後に、アガロースゲル上でプラスミドを単離して、QIAQUICKカラム(Qiagen)を用いて精製した。
【0116】
3 cDNAクローンの単離とシークエンシング
プラスミドDNAを細胞から放出して、MINIPREPキット (Edge Biosystems, Gaithersburg MD)またはREAL PREP 96 プラスミドキット(Qiagen)のいづれかを用いて精製した。このキットには、960精製のためリガンドでブロックする96−ウェルから成る。推奨されているプロトコルを下記の変更を除いて使用する。1)細菌を、カルベニシリン25 mg/lと0.4%のグリセロールの入った、殺菌したTERRIFIC BROTH(BD Biosciences, Sparks MD)1 mlで培養した。2) 接種後、細胞を19時間培養し、次いで0.3 mlの溶解バッファで溶解した。3) イソプロパノールによる沈殿の後、プラスミドDNAペレットを0.1 mlの蒸留水で再懸濁した。プロトコルの最終ステップ後に、サンプルを96−ウェルブロックに移して、4℃で保管した。
【0117】
cDNAをDNA ENGINE サーマルサイクラー(MJ Research)と併用してMICROLAB 2200システム(Hamilton)を使用して、シークエンシングのために調製した。cDNAをABI PRISM 377シークエンシングシステム(Applied Biosystems)またはMEGABACE 1000 DNAシークエンシングシステム(APB)を用いてSangerとCoulson(1975; J Mol Biol 94:441−448)の方法で配列化した。多くの単離は、溶液体積0.25x−1.0x濃度の標準ABIプロトコルとキット(Applied Biosystems)に従ってシークエンスされた。別法では、cDNAをAPBの溶液と色素を用いてシークエンスした。
【0118】
4 cDNA配列の伸長
cDNAクローンとオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、cDNAを伸長した。一方のプライマーは既知の断片の5’伸長を開始するべく合成し、他方のプライマーは既知の断片の3’伸長を開始するべく合成した。開始プライマーは、OLIGOソフトウエア(Molecular Biology Insights)を用いて、約22個から約30個のヌクレオチドの長さで約50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二量体が生じないようにヌクレオチドを伸長した。
【0119】
配列を伸長するために、鋳型として選択されたcDNAライブラリを用いた。2段階以上の伸長が必要な場合には、付加的プライマー或いはプライマーのネステッドセットを設計した。好適なライブラリのサイズを選択して、更に遺伝子の5’または上流領域を有する配列を含めるために大きなcDNAとランダムプライマーを含めた。ゲノムライブラリを特に5’プロモーター結合領域への伸長する調節領域を得るために使用する。
【0120】
高忠実度の増幅をUSPN 5,932,451で開示された方法を利用したPCR法によって得た。 PCR法をDNA ENGINE サーマルサイクラー(MJ Research.)を用いて96穴プレート内で実施した。反応混合液は、鋳型DNA及び200 nmolの各プライマー、Mg と(NHSOとβ−メルカプトエタノールを含む反応バッファー、Taq DNAポリメラーゼ(APB)、ELONGASE酵素(Life Technologies)、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を含む。 プライマーの組、PCI AとPCI B(Incyte Genomics)に対して以下のパラメータで増幅を行った。:ステップ 1:94℃で3分間、ステップ 2:94Cで15秒間、ステップ 3:60Cで1分間、ステップ 4:68Cで2分間、ステップ 5:ステップ2、3及び4を20回繰り返す。ステップ 6:68Cで5分間、ステップ 7:4℃で保管。別法では、プライマーの組、T7とSK+(Stratagene)に対して以下のパラメータで増幅を行った。ステップ 1:94℃で3分間、ステップ 2:94Cで15秒間、ステップ 3:57Cで1分間、ステップ 4:68Cで2分間、ステップ 5:ステップ2、3及び4を20回繰り返す。ステップ 6:68Cで5分間、ステップ 7:4℃で保管。
【0121】
各ウェルのDNA濃度は、1X TE及び0.5μlの希釈していないPCR産物に溶解した100μlのPICOGREEN定量試薬(1x TEの0.25%試薬、v/v; Molecular Probes)を不透明な蛍光光度計プレート(Coming Costar, Acton MA)の各ウェルに分配してDNAが試薬と結合できるようにして測定する。サンプルの蛍光を計測してDNAの濃度を定量するべくプレートをFluoroskan II (Labsystems Oy)でスキャンした。反応混合物のアリコート5〜10μlを1%アガロースミニゲル上で電気泳動法によって解析し、どの反応が配列の伸長に成功したかを決定した。
【0122】
伸長させたクローンは、脱塩及び濃縮して384穴プレートに移し、CviJIコレラウイルスエンドヌクレアーゼ(Molecular Biology Research, Madison WI)を用いて消化し、pUC 18ベクター(APB)への再連結反応前に音波処理またはせん断した。ショットガン・シークエンシングのために、消化したヌクレオチド配列を低濃度(0.6〜0.8%)のアガロースゲル上で分離し、断片を切除し、寒天をAGARACE酵素(Promega)で消化した。伸長させたクローンをT4DNA(New England Biolabs)を用いてpUC 18ベクター(APB)に再連結し、Pfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)で処理して制限部位の張出部(overhang)を満たし、大腸菌細胞に形質移入した。形質移入した細胞を選択して抗生物質を含む培地に移し、それぞれのコロニーを切りとってLB/2Xカルベニシリン培養液の384ウェルプレートに37℃で一晩培養した。
【0123】
細胞を溶解して、Taq DNAポリメラーゼ(APB)及びPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene)を用いて以下の手順でDNAをPCR増幅した。ステップ 1:94℃で3分間、ステップ 2:94Cで15秒間、ステップ 3:60Cで1分間、ステップ 4:72Cで2分間、ステップ 5:ステップ2、3及び4を29回繰り返す。ステップ 6:72Cで5分間、ステップ 7:4℃で保管。上記したようにPICOGREEN量的試薬(Molecular Probes)でDNAを定量化した。DNAの回収率が低いサンプルは、上記と同一の条件を用いて再増幅した。サンプルは20%ジメチルスルホキシド(DMSO; 1:2, v/v)で希釈し、DYENAMIC エネルギートランスファー シークエンシングプライマー、及びDYENAMIC DIRECTサイクルシークエンシングキット(APB)またはABI PRISM BIGDYE ターミネーターサイクル シークエンシング反応キット(Applied Biosystems)を用いてシークエンシングした。
【0124】
5 cDNAクローンの相同性検索と推定タンパク質
配列表のcDNAまたは推定アミノ酸配列を用いて、GenBank、SwissProt、BLOCKSなどのデータベースに問合せした。BLASTかBLAST2(前出のAltschulら;前出のAltschul) を用いて前もって同定した、またアノテーションが付けられた配列あるいはドメインを含むこれらのデータベースを検索して、アラインメントを生成し、どの配列が厳密に一致するか、または相同的かを決定した。アラインメントを原核(細菌性)または真核(動物、カビあるいは植物)生物のシ−クエンシングした。別法として、SmithとSmith (1992, Protein Engineering 5:35−51)で説明されているようなアルゴリズムを用いて、一次配列パターンと二次構造ギャップペナルティで処理することが可能であった。この出願で開示されているすべての配列は、少なくとも49ヌクレオチドの長さを有し、不要な塩基は1.2%に過ぎない(A、C、GまたはTよりもNが記録されている)。
【0125】
前出のKarlinで詳説されているように、問合せ配列とデータベース配列の間のBLAST一致を統計的に評価して、ヌクレオチドに10−25、ペプチドに10−25の閾値を満たす時のみ報告した。下記のように計算して積スコアによって、相同性も評価した。BLASTのヌクレオチドあるいはアミノ酸の一致率[問い合わせ配列と参照配列間]に%最大限BLASTスコアを乗じ[問い合わせ配列と参照配列の長さに基づく]、次いで100で除する。実験室で用いるハイブリダイゼーション法と比較して、厳密な一致の電子ストリンジェンシーを約40の下限(不要な塩基のために1−2%のエラーがある)から70の100%一致まで設定した。
【0126】
無料で入手可能な配列比較アルゴリズムであるBLASTソフトウエア一式(NCBI, Bethesda MD、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/gorf/bl2.html)には、核酸分子をアラインメントする「blastn」、核酸分子またはアミノ酸分子を対で直接比較するために用いるBLAST 2など多種の配列分析プログラムが含まれる。BLASTプログラムは、一般的には、ギャップ及びデフォルト設定に設定された他のパラメータと共に用いる。例えば:Matrix:BLOSUM62; Reward for match:1; Penalty for mismatch:−2; Open Gap5 及びExtension Gap:2 penalties; Gap x drop−off:50; Expect:10; Word Size:11; 及びFilter:on同一性は配列全体またはより小さいその部分の長さにより測定する。Brenner (1998; Proc Natl Acad Sci 95:6073−6078, 文献は、引用することをもって本明細書の一部とする)は配列同一性によって構造的相同性を同定する能力に関してBLASTを分析した。少なくとも150残基の配列アラインメントには信頼できる閾値は30%の同一性であり、少なくとも70残基のアラインメントに関しては40%であることがわかった。
【0127】
この出願の哺乳動物cDNAをアセンブルしたコンセンサス配列あるいはLIFESEQ GOLDデータベースで見つけた鋳型と比較した。cDNA、伸長、全長およびショットガン・シークエンシングプロジェクトの構成エレメント配列をPHRED分析にかけて、クオリティスコアを指定した。クオリティスコアが許容できるすべての配列を多様なプリプロセシングとエディテイングの経路にかけ、低質の3’ 末端、ベクターとリンカー配列、ポリAテイル、Alu 繰返し、ミトコンドリア及びリボゾーム配列、細菌汚染配列を除去する。編集した配列は少なくとも長さが50 bpであり、ジヌクレオチド反復、Alu反復などの情報に乏しい配列と反復エレメントを”Ns”あるいはマスクしたものに置換した。
【0128】
編集した配列は、構築処理にかけられ、配列が遺伝子ビンに割り当てられた。各配列は1つのビンにのみ所属でき、各ビンの配列を構築して、鋳型を作製した。BLASTとCROSSMATCHを用いて、新たにシークエンスした部分を既存のビンに加えた。前記の部分配列をビンに加えるために、150以上のBLAST質のスコアと少なく82%の局所同一性のアラインメントを有しなければならない。PHRAPを用いて、各ビンの配列を構築した。DEEP PHRAPを用いて、幾つかの重畳部分配列を有するビンを構築した。部分配列の数と配向に基づいて、各鋳型の配向を決定した。
【0129】
ビンを互いに比較して、少なくとも82% の局所類似性を有するビンを結合して、再構築した。95%以下の局所同一性である鋳型を有するビンを分離した。STITCHER/EXON MAPPERアルゴリズムによって鋳型を分析にかけ、スプライス変異体、或いはスプライスエキソン、スプライス接合部、組織のタイプや疾患状態全体の選択的スプライシングされた遺伝子の示差発現などの存在の確率を分析した。構築処理を周期的に繰り返した。そしてBLASTを用いてGbpriなどのGenBankデータベースに対して鋳型にアノテーションを付けた。厳密な一致について、200の塩基対に対して95%の局所同一性から100の塩基対に対して100%の局所同一性を有すると定義した。また相同一致については、E−value (または確率値)<1 x 10−8を有すると定義した。鋳型をGENPEPTに対するフレームシフト型FASTx にもかけた。相同一致をE−value <1 x 10−8を有すると定義した。鋳型分析と構築については1999年3月25日に提出したUSSN 09/276,534に記載されている。
【0130】
構築に続いて、鋳型をBLAST、モチーフその他の機能的分析にかけて、1997年3月6日に提出したUSSN 08/812,290、USSN 08/811,758、1997年10月9日に提出したUSSN 08/947,845、1998年3月4日に提出したUSSN 09/034,807等に記載されているタンパク質階層に分類した。3つの全フォワードリーディングフレームで各鋳型を翻訳することにより、またHMMER ソフトウエアパッケ−ジ(Washington University School of Medicine, St. Louis MO; http://pfam.wustl.edu/)を用いて隠れマルコフモデル(HMM)を基にした保存されたタンパク質ファミリードメインのPFAMデータベースに対する各翻訳を検索することにより鋳型を分析した。Incyte LifeGoldヒト鋳型データベースをBLAST2分析にかけ、クローン3481942CB1が279978.9鋳型の5’末端であることを発見した。更に分析して、3’末端が関連する鋳型のクローン4331016CT1であることを示した。SEQ ID NO:2を作製するために、これらの2つの鋳型を共にスプライシングした。MACDNASIS PROソフトウエア(Hitachi Software Engineering)とLASERGENEソフトウエア(DNASTAR)を用いてcDNAを更に分析した。そして公共のデータベース、例えばGenBankのげっ歯類、哺乳動物、脊椎動物、原核生物、真核生物のデータベースと、SwissProt、BLOCKS、PRINTS、PFAMそしてPrositeに問い合わせた。
【0131】
6 染色体マッピング
スタンフォード・ヒトゲノムセンター(SHGC)、ホワイトヘッド・ゲノム研究所(WIGR)、Genethon等の公的な情報源から入手可能な放射線ハイブリッド及び遺伝地図データを用いて、配列表に存在するcDNAが前もってマッピングされたかを測定した。マッピングされたKSRCCをコードするcDNAの断片は、すべての関連する調節配列とコード配列を同じ位置に割り当てる。遺伝地図上の位置は、ヒト染色体の範囲または間隔として表される。cM間隔の地図上の位置は、染色体のpアームの末端に関連して測定する(ヒト中のDNAの1メガベース(Mb)にほぼ等しい)。
【0132】
7 ハイブリダイゼーション技術と分析
基質上での cDNA の固定
下記の方法の1つによってcDNAを基質に適用する。ゲル電気泳動法によりcDNAの混合を分画し、キャピラリー転移によりナイロン膜に転移する。別法として、cDNAを個々にベクターに連結反応させ、細菌性宿主細胞に挿入してライブラリを形成する。次に下記の方法の1つによってcDNAを基質に配置する。最初の方法では、個々のコロニーを含む細菌細胞をロボット利用して切りとり、ナイロン膜に配置する。膜を選択培地(用いられたベクターに依存してカルベニシリン、カナマイシン、アンピシリンまたはクロラムフェニコール)を含むLB寒天に置き、37℃で16時間インキュベートする。寒天から膜を取り除き、コロニーを上側にして、10% SDS、変性溶液(1.5 M NaCl, 0.5 M NaOH )、中和溶液(1.5 M NaCl, 1 M Tris, pH 8.0)、2xSSC(2回)に各10分、連続的に膜を置く。次に膜をSTRATALINKER UV架橋剤(Stratagene)でUV 照射する。
【0133】
2番目の方法では、インサートに隣接するベクター配列に相補的なプライマーを用いて、cDNAを30サイクルのPCRで細菌ベクターから増幅する。PCR増幅で1〜2ngの初期量の核酸から5μgより大きい最終量まで増大する。SEPHACRYL−400 ビーズ(APB)を用いて長さが400 bpから約5000 bpまで増幅した核酸を精製する。手であるいはドット/スロットブロット法マニホールドと吸気装置を用いて精製核酸をナイロン膜に置く。そして上述した変性、中和、UV照射により固定する。USPN 5,807,522に記載されている方法を用いて、精製した核酸を、ロボットで配置して、ポリマーコートされたスライドグラス上に固定する。顕微鏡スライドグラス(Corning, Acton MA)を良く洗って0.1%のSDS中で超音波をかけ、4%フッ化水素酸(VWR Scientific Products, West Chester PA)中でエッチングし、95%エタノール中で0.05%アミノプロピルシラン(Sigma Aldrich)を用いてコーティングする、そして110℃のオブンで硬化させることにより、ポリマーコートされたスライドグラスを準備する。スライドグラスを処理前後で蒸留水中で広範囲にわたって洗浄する。核酸をスライドグラス上に置き、次にSTRATALINKER UV架橋剤(Stratagene)を用いてアレイをUV照射に暴露することにより固定する。アレイを室温において0.2%SDSで洗浄し、蒸留水で3度洗浄する。リン酸緩衝生理食塩水 (PBS)(Tropix, Inc., Bedford MA)中の0.2%カゼイン中において60℃で30分間アレイをインキュベートした後、0.2%SDS及び蒸留水で洗浄することにより、非特異結合部位をブロックする。
【0134】
膜ハイブリダイゼーションのプローブ調製
配列表のcDNAに由来するハイブリダイゼーションのプローブを使用して、膜系ハイブリダイゼーションでcDNA、mRNAまたはゲノムDNAをスクリーニングする。cDNAを45μl TE バッファーの濃度40−50 ngに希釈し、5分間100℃に加熱して変性させ、短時間遠心分離して、プローブを調製する。次に変性したcDNAをREDIPRIME 試験管(APB)を加え、青色が均一に分布するまで軽く混合して、次に短時間遠心分離した。5μlの[32P]dCTPをその試験管に加え、内容物を37℃で10分インキュベートする。5μl の0.2M EDTAを加えて標識化反応を停止する。そしてPROBEQUANT G−50 microcolumn (APB)を用いてプローブを組み込まれていないヌクレオチドから精製する。精製したプローブを5分間100℃に加熱する、そして2分間氷上で急速に冷却して、下記に記載した膜系ハイブリダイゼーションで使用する。
【0135】
ポリマーコートされたスライドハイブリダイゼーションのプローブ調製
サンプルから分離したmRNAに由来するハイブリダイゼーションのプローブを使用して、アレイベースのハイブリダイゼーションで配列表のcDNAをスクリーニングする。9μl TE バッファーで濃度200 ngにmRNAを希釈し、5μl 5x バッファー、1μl 0.1 M DTT、3μl Cy3またはCy5標識化混合液、1μl RNアーゼ阻害因子、1μl 逆転写酵素、5μl 1x 酵母調節mRNAを加え、GEMbrightキット(Incyte Genomics)を用いてプローブを調製する。非コード酵母ゲノムDNAからin vitro 転写により酵母調節mRNAを合成する(W. Lei, 未発表)。定量用対照として、サンプルmRNAに0.002 ng、0.02 ng、0.2 ng、2 ngでの対照mRNAの1つの設定をそれぞれ1:100,000、1:10,000、1:1000、1:100 (w/w)の比で逆転写反応混合液に希釈する。mRNA示差発現パターンを調べるために、対照mRNAの2番目の設定を1:3, 3:1, 1:10, 10:1, 1:25, また25:1 (w/w)の比で逆転写反応混合液に希釈する。反応混合液を混合して、37℃で2時間インキュベートする。次に反応混合液を20分間、85℃でインキュベートする。そして2つの連続するCHROMA SPIN+TE 30 カラム(Clontech, Palo Alto CA)を利用してプローブを精製する。精製したプローブは、プローブをDEPC処理水の90μl に希釈させ、2μl 1mg/ml グリコーゲン、60μl 5 M 酢酸ナトリウム、300μl 100% エタノールを加えて、エタノール析出させた。プローブを20分間、20,800xgで遠心分離する。そしてペレットを12μlの再懸濁バッファーで再懸濁し、5分間65℃に加熱してから、充分に混合する。プローブを加熱して、以前のように混合して、氷上に保管する。以下に詳述するように、プローブを高密度アレイベースのハイブリダイゼーションにおいて使用する。
【0136】
膜系ハイブリダイゼーション
1% Sarkosylと1x 高リン酸バッファ(0.5 M NaCl, 0.1 M NaHPO, 5 mM EDTA, pH 7) を含むハイブリダイゼーション溶液で、55℃で2時間、膜を前もってハイブリダイズする。15 mlの新鮮なハイブリダイゼーション溶液中で希釈されたプローブを次に膜に加える。膜をプローブと共に55℃で、16時間、ハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、1mM Tris (pH 8.0), 1% Sarkosylで15分間、25℃で膜を洗浄し、さらに1mM Tris (pH 8.0)で、各回15分間、25℃で4回洗浄する。ハイブリダイゼーション化合物を検出するために、XOMAT−ARフィルム (Eastman Kodak, Rochester NY)を膜に一晩70℃で暴露する。そして現像してから、視覚で確認する。
【0137】
ポリマーコートされたスライドハイブリダイゼーション
プローブを5分間65℃に加熱してから、5415Cマイクロ遠心分離で5分間、9400 rpmで遠心分離する(Eppendorf Scientific, Westbury NY)。そして18μl のアリクォットをアレイ表面に置き、カバーガラスで覆う。アレイは、顕微鏡用スライドより僅かに大きい空洞を有する防水チェンバーに移す。チェンバーのコーナーに140μlの5×SSCを加えることにより、チェンバー内部を湿度100%に保持する。このアレイを含むチャンバーを、60℃で約6.5時間インキュベートする。アッセイを1xSSC, 0.1% SDS中で、45℃で10分間洗浄し、次に0.1xSSCで、45℃で10分間の洗浄を3回繰り返した後に、乾燥させた。
【0138】
ハイブリダイゼーション反応を絶対的または示差ハイブリダイゼーションフォーマットで実施する。絶対ハイブリダイゼーションフォーマットでは、1つのサンプルのプローブをアレイエレメントにハイブリダイズし、ハイブリダイゼーション複合体形成後のシグナルを検出する。シグナル強度は、サンプル中のプローブmRNAレベルと相関する。示差ハイブリダイゼーションフォーマットでは、2つの生物サンプルでの遺伝子のセットの示差発現を分析する。2つのサンプルのプローブを調製して、異なる標識成分で標識化する。2つの標識されたプローブの混合液をアレイエレメントにハイブリダイズし、2つの異なる標識からの発光を個々に検出可能な条件下で2つの異なるシグナルを調べる。両方の生物サンプルから由来した実質的に同数のプローブにハイブリダイズするアレイ上のエレメントは、特有の結合した蛍光を出す(Shalon WO95/35505)。
【0139】
ハイブリダイゼーション複合体は、Cy3の励起のためには488nm、Cy5の励起のためには632nmでスペクトル線を発生し得るInnova 70混合ガス10 Wレーザ(Coherent, Santa Clara CA)を備えた顕微鏡で検出する。20×顕微鏡対物レンズ(Nikon, Melville NY)を用いて、アレイ上に励起レーザ光の焦点を当てる。アレイを含むスライドを顕微鏡のコンピュータ制御のX−Yステージに置き、20μmの解像度で対物レンズを通過してラスタースキャンする。示差ハイブリダイゼーションフォーマットで、レーザにより2つの蛍光色素を同時に励起する。発光された光は、波長に基づき分離され、2つの蛍光色素に対応する2つの光電子増倍管検出器(PMT R1477, Hamamatsu Photonics Systems, Bridgewater NJ)に送られる。アレイと光電子増倍管間に設置された好適なフィルターを用いて、シグナルをフィルターする。用いる蛍光色素の最大発光の波長は、Cy3では565nm、Cy5では650nmである。プローブ混合液に加えた酵母対照mRNAによって生み出されるシグナル強度を用いてスキャンの感度を較正する。アレイ上の特定の位置には相補的DNA配列を含め、その位置におけるシグナルの強度がハイブリダイズする種の重量比1:100,000に相関するようにする。
【0140】
光電子増倍管の出力は、IBMコンパチブルPCコンピュータにインストールされた12ビットRTI−835Hアナログ−ディジタル(A/D)変換ボード(Analog Devices, Inc., Norwood MA)を用いてディジタル化される。ディジタル化されたデータは、青色(低シグナル)から赤色(高シグナル)までの擬似カラー範囲へのリニア20色変換を用いてシグナル強度がマッピングされたようなイメージとして表示される。データは、定量的にも分析される。2つの異なる蛍光色素を同時に励起及び測定する場合には、各蛍光色素の発光スペクトルを用いて、データは先ず蛍光色素間の光学的クロストーク(発光スペクトルの重なりに起因する)を補正する。グリッドが蛍光シグナルイメージ上に重ねられ、それによって各スポットからのシグナルはグリッドの各エレメントに集められる。各エレメント内の蛍光シグナルは統合され、シグナルの平均強度に応じた数値が得られる。シグナル分析に用いるソフトウェアは、GEMTOOLSプログラム(Incyte Genomics)である。
【0141】
8 電子分析
BLASTを用いて、GenBankやLifeSeqデータベース(Incyte Genomics)において同一または関連分子を検索した。ヒトおよびラット配列の積スコアを下記のようにして計算した。BLASTスコアにヌクレオチド一致率を乗じ、積を(2つの配列の短い方の長さのの5倍)で除し、短い配列の長さへの100%アラインメントが積スコアを100にする。積スコアは2つの配列間の類似性の程度と配列一致の長さの両方を考慮する。例えば、積スコア40では一致はエラ−が1%から2%以内の厳密さになり、少なくとも積スコア70では一致は厳密となる。類似または関連する分子は、通常、積スコアが8から40の間を示す分子を選択して同定する。
【0142】
図3で示すように、電子ノーザン分析を積スコア70で実施した。LIFESEQデータベースのすべての配列とcDNAライブラリを系、器官/組織、細胞のタイプにより分類した。分類には、心血管系、結合組織、消化器系、胎芽構造、内分泌系、外分泌腺、女性生殖器、男性生殖器、生殖細胞、血液及び免疫系、肝、筋骨格系、神経系、膵臓、呼吸器系、感覚器、皮膚、顎口腔系、非分類性/混合性または尿路がある。各カテゴリーでは、配列が発現したライブラリの数を数えて、そのカテゴリー内のライブラリの総数を示した。非ノーマライズしたライブラリでは、2つ以上の発現レベルが有意である。
【0143】
9 相補的分子
cDNAに相補的な分子、約5 (PNA)から5000 bp (cDNAインサートの相補体)を用いて、遺伝子発現を検出あるいは阻害する。これらの分子をOLIGOソフトウエア(Molecular Biology Insights)を使用して選択した。検出については、実施例7に記載されている。プロモーターが結合するのを妨げることにより転写を阻害するため、相補的分子を最も固有な5’ 配列に結合し、オープンリーディングフレームの開始コドンの5’ UTR上流のヌクレオチドを含むよう設計する。相補的分子は、ゲノム配列(エンハンサーまたはイントロン等)を含み、ポリメラーゼ、転写因子または調節分子の結合のために十分に開くような二重らせんの能力に影響を及ぼす「三重らせん」塩基対の形成に用いられる。翻訳を阻害するためには、相補的分子を設計して、リボソームが哺乳動物タンパク質をコードするmRNAに結合するのを阻害する。
【0144】
相補的分子を発現ベクターに置いて、一過性或いは短期治療向けに効果を試験するために細胞株を器官、腫瘍、滑腔また脈管系に用い、あるいは長期或いは安定した遺伝子治療向けに幹細胞、酵素または他の再生系統に形質転換するために用いる。非複製ベクターで一過性発現は1ヶ月以上続く、また形質転換/発現系でベクター複製を誘導する適切なエレメントが用いられる場合は3ヶ月以上続く。
【0145】
相補的分子をコードするベクターを有する適切な分裂する細胞の安定的な形質転換によって、遺伝形質転換した細胞株、組織または生命体を産生する(USPN 4,736,866)。安定した組込みを可能にする十分な量のベクターを同化、複製する細胞も哺乳動物タンパク質をコードするcDNAの活性に影響を及ぼすか完全に除くための十分な相補的分子を生成する。
【0146】
10 KSRCCの発現
哺乳動物細胞発現系か昆虫細胞発現系のどちらかを用いて、哺乳動物タンパク質の発現と精製を達成する。pUB6/V5−His ベクター系(Invitrogen, Carlsbad CA)を用いて、CHO細胞のKSRCCを発現する。ベクターは選択可能bsd遺伝子、多数のクローニング部位、ヒトユビキチン C遺伝子のプロモーター/エンハンサー配列、抗−V5抗体での抗体検出のためのC−末端V5エピトープ、PROBOND 樹脂(Invitrogen)上での急速な精製のためのC−末端ポリヒスジン(6xHis)配列を含む。形質移入した細胞を選択してブラストサイジンを含む培地に移す。
【0147】
Spodoptera frugiperda(Sf9)昆虫細胞を組換えAutographica californica核多角体病ウイルス(AcMNPV)で感染させる。相同組換えによって多角体遺伝子を哺乳動物cDNAと置換する。多角体プロモーターによりcDNAの転写が行われる。上述の精製を可能にする6xhisで、融合タンパク質としてタンパク質を合成する。精製したタンパク質を次の活性で用いて、抗体を作製する。
【0148】
11 抗体の産生
ポリアクリルアミドゲル電気泳動法を用いてKSRCCを精製して、マウスやウサギを免疫化するために使用する。下記のプロトコルを用いて抗体を産生する。或いは、レーザGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いてKSRCCのアミノ酸配列を解析し、免疫原性の高い領域を決定する。通常C−末端付近或いは隣接する親水性領域内で見られる抗原性エピトープを選択して、合成し、抗体を生成するために用いられる。 通常は、長さ約15残基のエピトープを、Fmocケミストリを用いるABI 431A ペプチドシンセサイザ(Applied Biosystems)を用いて生成し、N−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)を用いた反応によってKLH(Sigma−Aldrich)に結合させて、免疫原性を高める
完全フロイントアジュバントにおいてエピトープ−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する。不完全フロイントアジュバントにおいて免疫化を間隔を置いて反復する。マウスには最低7週間、ウサギには最低12週間後、抗血清を抽出して、抗ペプチド活性のために検査した。検査には、ペプチドをプラスチックに結合すること、1%のウシ血清アルブミンでブロックすること、ウサギ抗血清と反応させて洗浄すること、さらに放射性ヨウ素標識されたヤギ抗ウサギIgGと反応させることが関係する。当分野で公知の方法を用いて、抗体価と形成複合体の量を決定する。
【0149】
12 特異的抗体を用いる天然タンパク質の精製
タンパク質を特異結合する抗体を用いて、イムノアフィニティークロマトグラフィにより天然あるいは組換えタンパク質を精製する。イムノアフィニティーカラムは、CNBr−活性化SEPHAROSE樹脂(APB)に抗体を共有結合させることにより形成する。タンパク質を含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、タンパク質を優先的に吸着する条件下(例えば洗浄剤が存在する高イオン強度緩衝液)でカラムを洗浄する。結合後、そのタンパク質を、抗体とタンパク質との結合を切るために、例えば、pH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチオシアン酸塩イオンを用いてカラムから溶出させ、タンパク質を回収する。
【0150】
13 cDNAまたはタンパク質と特異結合するためのスクリーニング分子
cDNAまたはその断片、タンパク質またはその部分を32P−dCTP、Cy3−dCTPまたはCy5−dCTP (APB)あるいはBIODIPYかFITC (Molecular Probes, Eugene OR)で標識化する。前もって基質上に配置した候補分子または複合体のライブラリを標識したcDNAまたはタンパク質の存在下でインキュベートする。核酸配列かアミノ酸配列のための条件下でインキュベート後、基質を洗浄し、標識を保持する基質上の、特異結合か複合体成形を示す任意の位置がアッセイされ、リガンドを同定する。異なる濃度の核酸またはタンパク質を用いて得られたデ−タを使用して、標識された核酸かタンパク質と結合した分子の間の親和性を計算する。
【0151】
14 2つのハイブリッドスクリーン
酵母2ハイブリッドシステム、MATCHMAKER LexA 2ハイブリッドシステム(Clontech Laboratories, Palo Alto CA)を使用して、本発明の哺乳動物タンパク質を結合するペプチドをスクリーニングする。タンパク質をコードするcDNAをpLexAベクター、リガンドの多数のクローニング部位に挿入して、大腸菌に形質転換する。mRNAから調製したcDNAをpB42ADベクターの多数のクローニング部位に挿入して、ライゲーションし、cDNAライブラリを作製するために大腸菌に形質転換する。pLexAプラスミドとpB42AD−cDNAライブラリ作製を大腸菌から単離し、ポリエチレングリコール/リチウムアセテートプロトコルを用いて形質転換受容性をもつ酵母EGY48[p8op−lacZ]細胞に同時形質転換するために比率2:1で使用する。形質転換した酵母細菌を、ヒスチジン(−His)、トリプトファン(−Trp)、ウラシル(−Ura)を含まない合成ドロップアウト(SD)培地で培養する、そしてコロニ−が成長して数えられるまで、30℃でインキュベートする。コロニ−を最小限の容積の1x TE (pH 7.5)で集め、2% ガラクトース(Gal), 1% ラフィノース(Raf)、80 mg/ml 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル β−d−ガラクトピラノシド(X−Gal)で補われるSD/−His/−Leu/−Trp/−Ura 培地で再培養する。次いで青色コロニ−の成長を検査する。発現したタンパク質とcDNA融合タンパク質間の相互作用により、EGY48のLEU2レポーター遺伝子を活性化し、ロイシン(−Leu)を含まない培地でコロニ−成長を起こす。相互作用はまた、X−Galで成長するコロニ−に青色を産生するp8op−lacZレポーター作成物からのβ−ガラクトシダーゼの発現を活性化する。
【0152】
発現したタンパク質とcDNA融合タンパク質間の陽性の相互作用が、個々の陽性コロニ−を単離して、30℃で1から2日間、SD/−Trp/−Ura 液体で成育することにより確認できる。培地のサンプルをSD/−Trp/−Ura培地で培養し、コロニ−が出現するまで30℃でインキュベートする。サンプルをSD/−Trp/−UraとSD/−His/−Trp/−Ura プレートで複製培養する。ヒスチジンを含まない培地では成育せず、ヒスチジンを含むSDで成育するコロニーは、pLexAプラスミドを失っている。ヒスチジンを必要とするコロニーをSD/Gal/Raf/X−Gal/−Trp/−Urで成育する。そして白色コロニーを単離して、増殖する。哺乳動物タンパク質と物理的に相互作用するタンパク質をコードするcDNAを含むpB42AD−cDNAプラスミドを酵母細胞から単離して、特徴付ける。
【0153】
15 KSRCCアッセイ
125I−標識されたKSRCCの存在下で候補リガンド分子を用いてKSRCCのAMP結合活性をリガンド結合アッセイで決定する。KSRCCを125Iボルトンハンター試薬で標識する。 (例えば Bolton A.E.およびW.M. Hunter (1973) Biochem. J. 133:529−539を参照)。マルチウェルプレートのウェルに予め配列しておいた候補AMP分子を、標識したKSRCCと共にインキュベートし、洗浄して、標識したKSRCC複合体を有する全てのウェルをアッセイする。様々なKSRCC濃度で得られたデータを用いて、候補分子と結合したKSRCCの数量及び親和性、会合についての値を計算する。
【0154】
本明細書において記載した全ての特許出願、刊行物は、言及することをもって本明細書の一部とする。当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法及びシステムの種々の改変を行い得る。本発明について説明するにあたり特定の好適実施例に関連して説明を行ったが、本発明の範囲が、そのような特定の実施例に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学または関連分野の専門家には明らかな、本明細書に記載されている本発明の実施方法の様々な改変は、特許請求の範囲内にあるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1A】図1AはcDNA(SEQ ID NO:2)によってコードされたKSRCC(SEQ ID NO:1)を示す。アラインメントはMACDNASIS PROソフトウェア(日立ソフトウェアエンジニアリング, South San Francisco CA)を用いて作成した。
【図1B】図1BはcDNA(SEQ ID NO:2)によってコードされたKSRCC(SEQ ID NO:1)を示す。アラインメントはMACDNASIS PROソフトウェア(日立ソフトウェアエンジニアリング, South San Francisco CA)を用いて作成した。
【図1C】図1CはcDNA(SEQ ID NO:2)によってコードされたKSRCC(SEQ ID NO:1)を示す。アラインメントはMACDNASIS PROソフトウェア(日立ソフトウェアエンジニアリング, South San Francisco CA)を用いて作成した。
【図1D】図1DはcDNA(SEQ ID NO:2)によってコードされたKSRCC(SEQ ID NO:1)を示す。アラインメントはMACDNASIS PROソフトウェア(日立ソフトウェアエンジニアリング, South San Francisco CA)を用いて作成した。
【図1E】図IEはcDNA(SEQ ID NO:2)によってコードされたKSRCC(SEQ ID NO:1)を示す。アラインメントはMACDNASIS PROソフトウェア(日立ソフトウェアエンジニアリング, South San Francisco CA)を用いて作成した。
【図1F】図1FはcDNA(SEQ ID NO:2)によってコードされたKSRCC(SEQ ID NO:1)を示す。アラインメントはMACDNASIS PROソフトウェア(日立ソフトウェアエンジニアリング, South San Francisco CA)を用いて作成した。
【図2A】図2Aは、KSRCC (SEQ ID NO:1)、ドブネズミKS (g3127193)、ヒトKS(g3219339)、SEQ ID NO:1,15−16のドメインの保存した化学的及び構造的類似性が示す。アラインメントは、LASERGENEソフトウエア (DNASTAR, Madison WI)のMEGALIGN programを使用して作製された。
【図2B】図2B、KSRCC (SEQ ID NO:1)、ドブネズミKS (g3127193)、ヒトKS(g3219339)、SEQ ID NO:1,15−16のドメインの保存した化学的及び構造的類似性が示す。アラインメントは、LASERGENEソフトウエア (DNASTAR, Madison WI)のMEGALIGN programを使用して作製された。
【図3】図3は、LIFESEQ Gold database(Incyte Genomics, Palo Alto CA)を使用して作製したKSRCCのノーザン分析を示す。列1は組織のカテゴリー、列2は組織のカテゴリーのクローニングの数、列3は少なくとも1つの転写物が見られるライブラリの数、列4は転写物の絶対的存在量、列5は転写物の存在量%を示す。
【図4A】図4Aは、KSRCC、ラットg3127193とヒトg3219339の親水性プロットと抗原指数を示す。
【図4B】図4Bは、KSRCC、ラットg3127193とヒトg3219339の親水性プロットと抗原指数を示す。

Claims (22)

  1. SEQ ID NO:1のアミノ酸配列あるいはcDNAの相補体を有するタンパク質をコードする核酸配列から成る単離したcDNA
  2. 核酸配列から成る単離したcDNAであり、下記のa)乃至c)から選択される。
    a) SEQ ID NO:2 及びその相補体
    b) SEQ ID NO:2の断片またはその相補体
    c) SEQ ID NO:1に83%の配列同一性を有するSEQ ID NO:2の変異体、またはその相補体。
  3. 請求項1に記載のcDNA及び標識成分を含む化合物。
  4. 請求項1に記載のcDNAを含むベクター。
  5. 請求項4に記載のベクターを含む宿主細胞。
  6. タンパク質を産生するcDNAの使用に関する方法であり、
    a)タンパク質発現のための条件下で請求項5に記載の宿主細胞を培養する方法
    b)宿主細胞株からタンパク質を回収する方法を含む。
  7. サンプル中の核酸の発現を検出するcDNAを使用する方法であり、
    a)少なくとも1つのハイブリダイゼーション複合体を形成する条件下で、請求項3に記載の組成物をサンプル中の核酸に対してハイブリダイズさせる過程を含み、及び
    b)ハイブリダイゼーション複合体形成を検出する過程を含み、複合体形成はサンプル中のcDNAの発現を示すことを特徴とする。
  8. ハイブリダイゼーション前にサンプル中の核酸の増幅する過程をも含む請求項7に記載の方法。
  9. 組成物が基質に付着することを特徴とする請求項7に記載の方法。
  10. 複合体形成を少なくとも1つの標準と比較して、示差発現を決定することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  11. cDNAを用いて複数の分子か化合物をスクリーニングする方法であり、
    a)特異結合を可能とする条件下で、請求項1に記載のcDNAと複数の分子あるいは化合物を結合する過程を含み、
    b)特異結合の検出および、それによりcDNAを特異結合する分子あるいは化合物を同定する過程を含む。
  12. 請求項11に記載の方法であり、分子または化合物をDNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、人工形成の染色体、ペプチド、転写因子、リプレッサー、調節分子から選択することを特徴とする。
  13. 請求項6に記載の方法で生成された精製されたタンパク質あるいはその部分であり、下記のa)−c)から選択される。
    a)SEQ ID NO:1のアミノ酸配列、
    b)SEQ ID NO:1の抗原性エピトープ。
  14. 請求項13に記載のタンパク質及び医薬用担体を含む組成物。
  15. 複数の分子あるいは化合物をスクリーニングするタンパク質を用いて、少なくとも1つのリガンドを同定する方法であり、下記のa)−b)を含む。
    a)特異結合を可能とする条件下で、請求項13に記載のタンパク質と複数の分子あるいは化合物を結合する過程を含み、
    b)特異結合の検出および、それによりタンパク質を特異結合するリガンドを同定する過程を含む。
  16. 請求項15に記載の方法であり、分子または化合物をDNA分子、RNA分子、ペプチド核酸、ペプチド、タンパク質、擬態、アゴニスト、アンタゴニスト、抗体、免疫グロブリン、インヒビター、薬剤から選択することを特徴とする。
  17. タンパク質を用いて抗体を調製及び精製する方法であり、
    a)抗体反応を誘発する条件下で、請求項15に記載のタンパク質で動物を免疫化する過程、
    b)動物抗体を単離する過程、
    c)前記タンパク質を基質に付着する過程、
    d)タンパク質への特異結合を可能にする条件下で、基質と単離した抗体とを接触させる過程、
    e)抗体をタンパク質から解離する過程を含み、それによって精製した抗体を得る。
  18. 請求項17に記載の方法で産出した抗体。
  19. タンパク質の発現と関連する症状または疾患を診断するために抗体を用いる方法であり、
    a)請求項18に記載の抗体をサンプルと結合する過程を含む。それにより抗体:タンパク質化合物を形成する。
    b) サンプル中のタンパク質の発現を示す比較を特徴とする、化合物形成を標準と比較する過程をも含む。
  20. 腎細胞癌の診断に寄与する発現を特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 請求項18に記載の抗体及び医薬用担体を含む医薬品組成物。
  22. 腎細胞癌の治療が必要な患者に請求項21の組成物を有効量投与することを含むことを特徴とする腎細胞癌の治療方法。
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