JP2004506430A - Sxrによるトランス活性化の抗新生物剤et−743による阻害 - Google Patents

Sxrによるトランス活性化の抗新生物剤et−743による阻害 Download PDF

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Abstract

ET−743は抗新生物活性を有する低分子量化合物であり、核内受容体SXRがSXR調節下応答エレメントからの遺伝子転写をトランス活性化する能力を阻害する。核内受容体SXRは、mdr1遺伝子の転写を活性化し、その結果、細胞における多剤耐性を増大させる受容体として同定されている。SXRとmdr1遺伝子との相互作用およびET−743からは、SXR活性化およびmdr1遺伝子転写の新規な阻害剤、従って、腫瘍細胞に対して単独でまたは別の抗新生物剤との同時投与によって抗新生物作用を発揮する新規な薬剤の同定に利用し得る、一連の生理学的なメカニズムがもたらされる。

Description

【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第60/224,356号(2000年8月11日出願)に関し、該仮出願の出願日の利益を主張するものである。
【0002】
発明の背景
本発明は、抗新生物活性について化合物をスクリーニングする方法に関する。本発明はまた、SXR核内受容体による標的遺伝子転写のトランス活性化を阻害する化合物、および、このような化合物の検出方法に関する。
【0003】
発明の背景を説明するためあるいは実施に関する詳細の補足を提供するために本明細書中で利用する刊行物および他の資料は、引用により本明細書中に含まれるものとし、便宜上、添付の参考文献リストに別途分類しておく。
【0004】
エクチナサイジン(Ecteinascidin)−743(ET−743、NSC 648766)は、臨床での使用についてかなり有望である、新規の低分子量抗新生物薬である。現在第2相試験が行われており、黒色腫、乳癌、非小細胞肺癌および卵巣癌等の各種腫瘍に対する臨床評価が計画されている2,3。特に注目すべきは、代替となる化学療法の選択肢が一般に存在しない肉腫に対して該薬物が有効である点である。ET−743は非常に強力な細胞傷害活性を有しており、1〜100nMの範囲のIC50値にて各種癌細胞系統およびヒト異種移植片の増殖を阻害する2,4。この範囲の細胞傷害活性は、いくつかの一般的な化学療法剤、例えば、タキソール、カンプトテシン、アドリアマイシン、マイトマイシン、シスプラチン、ブレオマイシンおよびエトポシド、よりも10〜1000倍強力である。ET−743の高い効力は、ET−743が特定の分子標的を介して作用することを意味している。
【0005】
かなり有望であるにも拘わらず、ET−743がその細胞傷害応答を引き起こすメカニズムは今日まで確立されていない。ET−743は、様々な興味深い活性を促進すると報告されている。例えば、DNAの副溝への結合、グアニンのN2位のアルキル化およびDNA切断へのトポイソメラーゼI介在型架橋の促進4,7が挙げられる。ET−743はまた、NF−Y転写因子によるDNA結合を阻害することが示された8,9。これらの現象は全てマイクロモル濃度にて引き起こされるのに対し、該薬物の細胞傷害作用は低ナノモルの範囲で明らかに現れるため、該現象のいずれもがET−743の細胞傷害作用に関係しているかは、依然として不明である。
【0006】
化学療法に対する多剤耐性の原因となる遺伝子の1つは、P−糖タンパク質、PgpまたはP170と様々に呼ばれている(本明細書中では「P−糖タンパク質」と呼ぶ)タンパク質をコードするmdr1である。ある種の薬剤耐性および多剤耐性モジュレーターが機能する既知のメカニズムの1つは、細胞膜(例えば、ある種の薬剤耐性細胞、多剤耐性腫瘍細胞、胃腸管細胞および血液脳関門を形成する内皮細胞の細胞膜)に存在する内在性のP−糖タンパク質との相互作用によるものである。P−糖タンパク質は細胞の排出ポンプとして作用する。ある種の物質(例えば、各種疾患用の治療薬)は、細胞に作用する前にP−糖タンパク質によって細胞外へ排出されることが知られている。
【0007】
ET−743は、mdr1遺伝子の転写速度を低下させることが知られている10。特に、10〜50nM濃度の該薬物が、P−糖タンパク質をコードする遺伝子(以下「mdr1」とする)のトリコスタチン(trichostatin)誘導型転写を阻害することが知られている。mdr1の転写のET−743による阻害に必要な濃度は、その細胞傷害作用に必要な濃度とほぼ同程度である。このことから、ET−743がmdr1転写を阻害するメカニズムが、その細胞傷害特性と関連している可能性が考えられる。さらに、P−糖タンパク質は両薬物に対する耐性およびアポトーシスの回避をもたらすことから12,13、P−糖タンパク質発現を特異的に調節する転写因子は、新規な抗新生物剤を合理的に設計する上で標的になり得ると考えられる。このように、ET−743等の細胞傷害性化合物は抗新生物剤としてかなり有望である一方、それらの最終的な有用性は、例えば、大量精製または大量合成が難しい等の要因で制限されてしまう可能性がある。
【0008】
核内ホルモン受容体は、ヒトではリガンドモジュレート型転写因子の最大ファミリーを含む。これらの受容体は、ステロイド受容体および甲状腺受容体、ビタミンD並びにレチノイドの作用を仲介する。これらは細胞内受容体であり、細胞増殖や細胞分化、発生、およびホメオスタシスといった生理学的過程に関与する遺伝子の発現において重要な役割を果たす。これらの受容体が活性化されると、ホルモン応答エレメント(HRE)と呼ばれる特異的なDNA配列に直接結合するか、または、DNAに結合する他のタンパク質に結合することでDNAへ間接的に結合するため、該受容体は遺伝子の発現を調節できるようになる。核内受容体は、そのDNA結合特性に基づいて分類することができる。例えば、グルココルチコイド、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲスチンおよびミネラルコルチコイド受容体はホモ二量体として、逆方向反復リピートとして構成されるHREに結合する。第2のクラスの受容体は、例えば、レチノイン酸、甲状腺ホルモン、ビタミンD、脂肪酸/ペルオキシソーム増殖因子およびエクジソンによって活性化される受容体等を含むが、通常のパートナーであるレチノイドX受容体(即ちRXR、9−cisレチノイン酸受容体としても既知)とのヘテロニ量体としてHREに結合する。
【0009】
「古典的」な核内受容体に対するホルモンの多くが前世紀から今世紀にかけて初めて記述されたものの、過去10年間において、既知のホルモンを持たない、より多数の核内受容体タンパク質が同定されている。このようなタンパク質は「オーファン受容体」と呼ばれ、その存在は、遺伝子発現の調節に関与する新規のホルモンやシグナリング分子が未だ同定されずにいることを意味している。オーファン受容体は、新規の調節分子および新規の薬物療法を同定する最初の手掛かりを与えてくれるため、かなり有望である14,15。実際、このようなタンパク質は既に、アンドロスタン16、プレグナン17並びに代謝シグナル(例えば、脂肪酸18、プロスタノイド19、胆汁酸20−22およびコレステロール代謝産物23−25等)の新規なシグナリング経路を同定する上で強力なツールを提供してくれている。また、オーファン受容体が様々な非生体化合物15(例えば、ペルオキシソーム増殖因子、アミノ安息香酸26)および医薬製剤(例えば、チアゾリジンジオン系抗糖尿病薬)の分子標的であることが次第に明らかになってきている。
【0010】
特に、オーファン受容体SXR(PXR、PAR、PRRおよびNR1I2としても既知)は、広範囲に及ぶ様々な薬物、例えば、リファンピシン、SR12183、フェノバルビタール、クロトリマゾール、RU486、パクリタキセル、リトナビルおよびその他、と結合したり、これらをモジュレートすることが示された11,17,26−30,44。これらの化合物に応答して、SXRはシトクロムP450 3A4(cyp3A4;全医薬製剤の約半数に代謝不活性化を引き起こす酵素)の転写を活性化する。cyp3A4はmdr1と同様、非生体物質の解毒経路において重要な遺伝子である。解毒における役割に合致して、CYP3A4とP−糖タンパク質は双方とも、薬物の代謝および排泄に関与する組織、例えば、肝臓および腸、において最も大量に発現される31,32。さらに、CYP3A4の基質の多くまたはモジュレーターの多くは、P−糖タンパク質の基質またはモジュレーターでもある33。CYP3A4の効率的なインデューサー、例えば、リファンピシン、フェノバルビタール、およびクロトリマゾールも、mdr1の転写を活性化する34。基質/インデューサー特異性におけるこの有意な共通性は、SXRがcyp3A4とmdr1の発現を調節することから、cyp3A4とmdr1とが共同して作用し、広範囲の化合物を解毒および不活性化することを示唆している。これらの知見より、SXRが非生体物質解毒系の重要なセンサーであるという示唆が導かれる。従ってSXRは、自己誘導型の薬物代謝に関する既成の現象以外にも交叉反応を仲介しており、この交叉反応のため、同時投与された一方の薬物によって他方の薬物の排泄が促進される。このような作用は、各種の抗新生物剤、例えば、パクリタキセル(タキソール)、タモキシフェン、ミトキサントロン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、イホスファミドおよびブスルファン等、がCYP3A4の基質であるため、癌の化学療法において制限要因となるおそれがある。SXRのノーザンブロット分析からは、SXRが肝臓および小・大腸において大量に発現されることが判明した。最近の報告では、SXRが新生物乳房組織といったヒト腫瘍において変動的に発現されることが示唆されている35
【0011】
SXR等の核内受容体は従って、ステロイドおよび関連ホルモンの転写作用を仲介する。これらの受容体タンパク質では、標的遺伝子のシス作動性エレメントでDNAに特異的に結合する保存されたDNA結合ドメイン(DBD)、並びに特定のホルモンまたは他の因子による受容体の特異的活性化を可能にするリガンド結合ドメイン(LBD)を有する。リガンドがLBDに結合し、コアクチベーターの動員とコリプレッサーの除去を促進する構造変化が受容体に起きると、核内受容体に対する標的遺伝子の転写活性化が生じる。この結果、標的遺伝子の転写をモジュレートし得る受容体複合体が生成する。アゴニスト結合後にコアクチベーターが動員されると、受容体は転写を活性化する。これに対し、受容体アンタゴニストが受容体に結合すると別の構造変化が受容体に生じ、標的遺伝子の転写機構との間に相互作用が起こらなくなるか、または、非生産的な相互作用が生じる。
【0012】
ホルモンは通常小型かつ疎水性であって、細胞の細胞膜および細胞質中を拡散して核内受容体に結合し得ることが明らかにされている。ホルモンが受容体に結合すると、該受容体が結合するHREによって転写が調節される1または複数の遺伝子を活性化または抑制するように受容体はその構造を変化させる。あるいは、受容体を他のタンパク質に結合させてから遺伝子の転写を調節することにより、遺伝子を活性化または抑制することもある。このようなホルモンの例としては、ステロイドホルモン(例えば、テストステロン、β−エストラジオール、アルドステロン、コルチゾールやプロゲステロン)、甲状腺ホルモン(例えば、サイロキシン(T)やトリヨードサイロキシン(T))、およびビタミンD(脊椎動物において)、その他これらから誘導されるホルモンが挙げられる。ET−743等の低分子量疎水性化合物の転写調節能からは、ET−743がリガンド調節型転写因子を介して作用する可能性が考えられる。
【0013】
薬物クリアランスのモジュレートにSXR核内受容体が関与することから、現在、SXR遺伝子およびSXRの調節下にある遺伝子の転写調節に薬理学的介入を提供しうる化合物、およびこのような化合物の同定方法がさらに求められている。このような化合物および方法は、SXRの調節下にある遺伝子の転写を改変することが有益となりうる患者にとって価値のあるものであり、また、SXRの調節下にある遺伝子の発現メカニズムをさらに説明する研究ツールとしても有用でありうる。
【0014】
発明の要旨
本発明によれば、本発明者らは、ET−743が遺伝子転写のSXR活性化を阻害すること、さらに、SXRがmdr1遺伝子の転写を促進することを発見した。SXRがmdr1遺伝子の転写を促進し得ることから、SXRの活性化をも阻害するET−743等の細胞傷害薬(「SXR透過(SXR−transparent)」薬)を開発することは有用性を示している。従って、本発明は、mdr1遺伝子のSXRによるトランス活性化を阻害することを含む、P−糖タンパク質活性のモジュレート方法を提供する。
【0015】
本発明の一態様は、化合物をSXR阻害能について試験することを含む、抗新生物剤を同定するための化合物のスクリーニング方法である。
本発明の第2の態様は、mdr1遺伝子転写をトランス活性化するSXRの能力を阻害することを含む、1または複数の細胞における多剤耐性を低減させる方法である。
【0016】
本発明の第3の態様は、哺乳動物に有効量のSXRアンタゴニストを投与し、該SXRアンタゴニストによって腫瘍細胞におけるmdr1遺伝子の転写レベルを低下させることを含む、哺乳動物における異常細胞増殖の治療または予防方法である。
【0017】
本発明の別の態様は、哺乳動物に有効量の治療剤を投与し、SXRを阻害することにより該治療剤のクリアランスまたは分解を阻害することを含む、哺乳動物における障害の治療方法である。
【0018】
本発明のさらなる態様は、SXR標的遺伝子の転写のSXRによるトランス活性化を阻害する能力について化合物をスクリーニングする方法であって、この方法は、SXRおよび該標的遺伝子を含むアッセイにおいて1以上の前記化合物を存在させることにより、該1以上の化合物の不在下における該標的遺伝子の転写と比較して、該標的遺伝子の転写が阻害されるか否かを決定することを含む。該標的遺伝子は、SXRに応答性の天然または合成の核酸を意味する。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態は、推定抗新生物剤について化合物をスクリーニングする方法であって、この方法は、SXRおよびSXRの標的遺伝子を含むアッセイにおいて1以上の化合物を存在させることにより、該1以上の化合物の不在下における該標的遺伝子の転写と比較して、該標的遺伝子の転写が阻害されるか否かを決定することを含む。
【0020】
本発明の別の実施形態は、推定治療剤について化合物をスクリーニングする方法であって、この方法は、
a)SXRリガンドを細胞へ添加し;
b)該リガンドの添加によって低下した活性または合成が低下した分子の量を測定し;
c)1以上の化合物を工程(a)の細胞またはSXRリガンドを添加した細胞へ添加し;
d)工程(c)の細胞について、工程(b)と同様に活性または分子の量を測定し;
e)該1以上の化合物によって、活性の低下または合成の低下が阻害されたか否かを決定する;
ことを含み、活性の上記低下または分子の合成の上記低下を阻害する1または複数の化合物が、推定抗新生物剤である。
【0021】
本発明にはまた、細胞内での薬物の異化代謝を低下させる能力または細胞の薬物排出能を低下させる能力について推定候補化合物をスクリーニングする方法も包含され、この方法は、SXRおよび標的遺伝子を含むアッセイにおいて1以上の化合物を存在させることにより、該1以上の化合物の不在下における該標的遺伝子の転写と比較して、該標的遺伝子の転写が阻害されるか否かを決定する工程を含み、上記標的遺伝子の転写を阻害する化合物が、薬物の異化代謝を低下させる、または、細胞の薬物排出能を低下させる候補である。
【0022】
アゴニストに拮抗して作用し、それにより受容体活性化を阻害するアンタゴニストについてのスクリーニングすることに加えて、本発明の一態様は、逆アゴニストについてスクリーニングすることである。逆アゴニストは、アゴニストとは逆の作用を有し、活性を阻止しうる化合物である。このことは当業者には周知であり、Picard49に解説されている。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、薬物とSXRの活性または発現のモジュレート剤とを同時投与することを含む治療方法である。
本発明の別の態様は、薬物とSXR作用のモジュレート剤とを同時投与することを含む、薬物の有効性を増加させる方法である。
【0024】
本発明はまた、患者に有効量のSXR阻害剤を投与することを含む、薬物治療を受けている患者において薬物代謝および/または薬物排出を阻害する方法を提供する。
【0025】
本発明は治療用組成物の製造方法にも関し、この方法は、
a)SXR活性の阻害能について化合物をスクリーニングし;
b)該化合物のいずれがSXR活性を阻害するのか決定し;
c)SXR活性を阻害すると決定された化合物を選択し;
d)工程(c)で選択した該化合物を治療上有効な量にて取得し;そして
e)選択した化合物の治療上有効な量を1以上の製薬上許容し得る賦形剤と組み合わせて治療用組成物を形成する;
工程を含む。
【0026】
本発明のさらなる態様としては、上記方法によって製造した治療用組成物、および、有効量の治療用組成物を投与することにより薬剤耐性を阻害する方法が挙げられる。
【0027】
本発明のさらに別の態様は、哺乳動物における病態の治療用に化合物を選択する方法であり、
a)SXRのリガンド結合ドメインおよびSXR標的遺伝子を含む系を調製して、SXRの該リガンド結合ドメインと該標的遺伝子との相互作用によって検出可能なシグナルを発生させ;
b)工程(a)における該系の検出可能なシグナルを測定し;
c)化合物を工程(e)の系へ添加し;
d)工程(c)の該系のシグナルを測定し;そして
e)工程(d)のシグナルが工程(b)のシグナルよりも小さくなる化合物を選択する;
ことにより化合物を選択する。
【0028】
本発明はまた、上記手順によって選択した化合物、および、選択した化合物を含む医薬組成物を包含する。
【0029】
発明の詳細な説明
最初の核内受容体がクローニングされたのは15年近く前であるため、数多くの生化学的、遺伝学的および構造的研究によって、これらのタンパク質がどのようにして転写を調節するのか明確かつ詳細に解明されている。核内ホルモン受容体間では、保存されたDNA結合ドメイン(DBD)およびリガンド結合ドメイン(LBD)が存在している。リガンドの不在下では、SXR等の受容体はレチノイドX受容体(RXR)との真正ヘテロ二量体として、対応するHREに結合する。また、リガンドの不在下では、SXRを含む一部の受容体はコリプレッサー複合体と会合する36。この複合体は、アセチル基をヒストンおよび他の基質から除去するヒストンデアセチラーゼを含有する。コリプレッサー複合体との会合により、DNA転写機構が不活性化状態または抑制状態に維持される。リガンドがLBDに結合してSXRに構造変化が生じ、転写活性化ドメインが再配向されると、標的遺伝子の転写の活性化が生じる。これによりコリプレッサーが外れてコアクチベーター複合体が動員され、次いでクロマチンがアセチル化されて凝縮が緩み、続いて転写速度が加速される。
【0030】
少なくとも2つのクラスの核内受容体コアクチベーターが同定されている。第1のクラスとしては、自身のヒストンアセチラーゼ活性によってクロマチン構造をモジュレートするSRC−1関連タンパク質(SRC1、ACTRおよびGRIP)が挙げられる37。第2のクラスとしては、基本的な転写機構の構成要素が含まれる大型の転写複合体の一部をなすPBP(DRIP 205およびTRAP 220としても既知)が挙げられる38,39。核内受容体コアクチベーターの各クラスに入る他のタンパク質は同定されており、当業者には既知である。
【0031】
SXR活性化型転写を再現するのに標準的なモデル異種細胞系を利用すると、試験対象の過程を不明瞭にしてしまう可能性のある代謝事象の不存在下で活性をモニターすることが可能である。細胞が受容体、受容体遺伝子、応答エレメント、リガンド結合領域を含むハイブリッド、転写アクチベーター、コリプレッサー、コアクチベーター等を発現する適切なDNAによって一過的にトランスフェクト可能である限り、いずれかの適切な異種細胞系を使用して、SXR活性化の潜在的な阻害剤または既知の阻害剤の活性化を試験することができる。必要な遺伝子を1つ以上発現する細胞を使用してもよい。哺乳動物遺伝子の一過性発現に適しており、かつ、培養での維持に適した細胞系は当業者には周知であり、例えば、COSまたはCV−1細胞等が挙げられる。
【0032】
本発明の実施には、特に明記しない限り、当業者の常識の範囲内の化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA、遺伝学、免疫学、細胞生物学および細胞培養の通常の技術40−43を利用する。本発明の詳細は、Synoldら11による刊行物に開示されており、該刊行物はとりわけ、引用により全開示内容が本明細書中に含まれるものとする。
【0033】
SXRのET−743による阻害を試験するため、CV−1細胞を、当該技術分野で公知の方法に従って、適切なレポーター構築物と共に該受容体の発現ベクターで一過的にトランスフェクトした。試験対象の受容体をCV−1細胞で発現させた。適切なレポーター遺伝子構築物は生化学および分子生物学の分野の研究者には周知である。全トランスフェクションにはさらに、サイトメガロウイルスプロモーターを内部対照とする発現ベクター(pCMV−β−gal)を含有した。このような研究での使用に適した構築物は、都合よくサイトメガロウイルス発現ベクター(pCMV)中にクローニングすることができる。例えば、pCMV−β−galは、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサーの制御下で発現する大腸菌β−ガラクトシダーゼ遺伝子を含有している。当該技術分野で公知の他のベクターを本発明の方法に用いることもできる。
【0034】
本明細書に記載の研究での使用に適した、以下に示す既述の完全長タンパク質をコードする遺伝子を、サイトメガロウイルス発現ベクター中にクローニングした。本出願における受託番号は全て、GenBankの受託番号とする。受容体断片を含有するGAL4融合物は、以下のタンパク質配列をpSG42445由来の酵母GAL4 DNA結合ドメイン(アミノ酸1〜147)のC末端へ融合させることにより構築した:GAL4−SRC1(ヒトSRC−1、Asp 617−Asp 769、受託番号U59302)、GAL4−ACTR(ヒトACTR、Ala 616−Gln 768、受託番号AF036892)、GAL4−GRIP(マウスGRIP1、Arg 625−Lys 765、受託番号U39060)、GAL4−PBP(ヒトPBP、Val 574−Ser 649、受託番号AF283812)、GAL4−SMRT(ヒトSMRT、Arg 1109−Gly 1330、受託番号U37146)およびGAL4−NCoR(マウスNCoR、Arg 2065−Gly 2287、受託番号U35312)。VP16融合物には、78アミノ酸ヘルペスウイルスVP16トランス活性化ドメイン(Ala 413−Gly 490、受託番号X03141)を以下のタンパク質:VP−SXR(完全長、ヒトSXR、受託番号AF061056)、のN末端へ融合させたものを含有させた11,16,22,24
【0035】
試験対象の受容体または受容体ドメインの活性化と比較するための対照遺伝子として使用するCMV−β−galは、pCH110由来の大腸菌β−ガラクトシダーゼコード配列(受託番号U02445)を含有している。この遺伝子は手頃だったため本発明で使用したが、入手可能なそして活性化を測定するのに簡便なアッセイが存在するいずれかの非関連遺伝子を本発明の方法の際の対照として使用してもよい。
【0036】
活性化アッセイ用のCV−1細胞を、10%樹脂炭ストリップ化(resin charcoal−stripped)ウシ胎児血清、50U/mlペニシリンGおよび50μg/mlストレプトマイシンスルフェートを添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM−FBS)中、37℃、5%COにて増殖させた。トランスフェクション前日に、細胞を50〜80%コンフルエントとなるようにフェノールレッド不含DMEM−FBSを用いて平板培養した。
【0037】
リポフェクションにより細胞を一過的にトランスフェクトしたが、本発明の趣旨を逸脱しなければDNAを細胞へトランスフェクトする他の方法を用いることもできる。ルシフェラーゼレポーター構築物(300ng/10細胞)およびサイトメガロウイルス駆動型発現ベクター(20〜50ng/10細胞)を、内部対照であるCMV−β−gal(500ng/10細胞)と共に添加した。2時間後、リポソームを除去し、試験胆汁酸と他の化合物を含有するフェノールレッド不含DMEM−FBSで細胞を約16時間処理した。
【0038】
SXRの阻害剤についての候補であれば、いずれの化合物も本方法で試験することができる。通常、複数の異なる濃度にて化合物を試験する。リガンドと接触させた後、細胞を回収し、ルシフェラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ活性(内部対照)または任意の所望のレポーター遺伝子の活性についてアッセイした。
【0039】
レポーター遺伝子の活性は簡便には、内部対照に対して標準化することができ、データは未処理細胞に対する活性化倍率としてプロットできる。該アッセイ系に適合するものであれば、いずれの応答エレメントを使用してもよい。核内受容体が結合するDNA配列(ホルモン応答エレメントまたはHRE)に機能上相同なオリゴヌクレオチド配列は、本発明の方法での使用が考えられる。機能上相同な配列とは、アッセイ条件下で受容体、受容体へテロ二量体または所定のDNA結合ドメインに結合する配列である。機能上相同な配列は経験的に容易に決定される。応答エレメントは、当該技術分野で公知の方法により、該応答エレメントの核内受容体への結合を向上または低下させるように改変できる。
【0040】
本発明者らは、オーファン核内受容体SXRが、mdr1遺伝子の転写を活性化し得ることを見出した。このことより、本発明者らは、mdr1転写に対するET−743の転写阻害作用がSXRによって仲介されていると仮定した。実際に、ET−743は細胞傷害性に必要な濃度に匹敵する濃度(IC50=5 nM)にてSXRを阻害した。これらのデータは、ET−743と、ナノモル濃度の該薬物に応答する分子標的であるSXRとの間に関連があることを示している。さらに、ET−743をSXR活性のモジュレーターであるとすると、これらのデータからは、SXRが、低分子量抗新生物剤の同定を目的としたハイスループットスクリーニングの分子標的であることが示される。
【0041】
ET−743はかなり有望であるものの、その最終的な有用性は、該化合物が海洋尾索類(Ecteinascidia turbinata)に由来し、かつ、大量精製または大量合成が難しいという事実によって制限されてしまう可能性がある1,46。このような欠点にも拘わらず、ET−743の分子標的、例えばSXR等を同定することにより、代替となる合成物または天然物SXR阻害剤をスクリーニングするための、迅速かつ信頼性の高いハイスループットアプローチが提供される。最終的には、エストロゲン受容体(ER)発現について乳癌をスクリーニングすることで、ERアンタゴニストであるタモキシフェンへの応答が予測される47のとまさに同様に、SXRをET−743の標的として同定および確認することで、個々の腫瘍がET−743に応答する可能性を予測する臨床ツールを得ることができる。
【0042】
一般的方法
一過性トランスフェクションアッセイ
CV−1細胞を10%樹脂炭ストリップ化ウシ胎児血清、50U/mlペニシリンGおよび50μg/mlストレプトマイシンスルフェートを添加したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM−FBS)中、37℃、5%COにて増殖させた。トランスフェクション前日に、細胞を50〜80%コンフルエントとなるようにフェノールレッド不含DMEM−FBSを用いて平板培養した。既述の方法に従って48、リポフェクションにより細胞を一過的にトランスフェクトした。適切なホルモン応答エレメントに連結したヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター(−105/+51)を含有するルシフェラーゼレポーター構築物(300ng/10細胞)およびサイトメガロウイルス駆動型発現ベクター(20〜50ng/10細胞)を、内部対照であるCMV−β−galと共に添加した。哺乳動物発現ベクターでは、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサーを利用する。リポソームと2時間インキュベートした後、リポソームを除去し、適切な濃度のアゴニストまたはアンタゴニストを含有するフェノールレッド不含DMEM−FBSで細胞を約16時間処理した。リガンドに曝露させた後、細胞を回収し、既知の方法に従ってルシフェラーゼおよび/またはβ−ガラクトシダーゼ活性についてアッセイした。
【0043】
ヒトLS180細胞を、10%ウシ胎児血清、1mMピルビン酸ナトリウム、2mM L−グルタミン、非必須アミノ酸、50U/mlペニシリンGおよび50μg/mlストレプトマイシンスルフェートを添加したイーグル最小必須培地中で維持した。処理前日に、LS180細胞を、10%樹脂炭ストリップ化ウシ胎児血清を含有するフェノールレッド不含培地へ移し変え、所定の化合物でさらに24時間処理した。ノーザンブロットを全RNAから調製し、以下のプローブを用いて分析した:mdr1(受託番号NM 000927、ヌクレオチド843−1111)、cyp3A4(受託番号M18907、ヌクレオチド1521−2058)、および、対照としてGAPDH(受託番号NM 002046、ヌクレオチド101−331)。
【0044】
用語「機能的な会合」とは、2つ以上のタンパク質またはその断片の相互作用を意味し、天然の状態であってもよく、また、ハイブリッド分子の一部をなしていてもよく、ハイブリッド分子の一部をなす場合の相互作用は、in vivoまたはin vitroにてこのようなタンパク質または断片間で生じる会合を模倣するものである。相互作用は、2つの特異的なタンパク質どうしが直接接触する必要はなく、むしろ、間接的な相互作用であってよい(例えば、タンパク質が複合体の一部をなしていてもよい)。ツーハイブリッド転写アッセイでは、2つのタンパク質またはタンパク質断片は、一方の断片をDNA結合ドメインとのハイブリッドタンパク質として発現させ、他方を転写アクチベーターとのハイブリッドタンパク質として発現させると、機能的に会合する。この系では、2つのタンパク質断片が機能的に会合すると、DNA結合ドメインによって認識されるDNA領域に転写アクチベーターが局在化し、続いてDNA結合ドメインに機能し得る形で連結しているレポーター遺伝子が発現される22
【0045】
【実施例】
以下の実施例において本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は説明のためのものであって、本発明のどのような制限をも意図したものではない。当該技術分野で周知の常法または本明細書中で具体的に記述した他の方法を利用した。
【0046】
実施例
本実施例では、リガンドによって活性化されたSXRがエクチナサイジン−743によって阻害されることを示す。ET−743がmdr1転写の強力な阻害剤であることは既に公知であった11。従って本発明者らは、ET−743がSXR活性を抑制することによりmdr1を阻害するものと仮定した。図1A〜1Dには、SXRおよびmdr1のリガンド誘導活性化のET−743阻害の結果を示す。50nMのET−743による阻害では、リガンド活性化SXR転写が完全に抑制された(図1A)。この作用は、ET−743が基本的なレポーター活性またはリガンド未結合状態のSXRには作用しないという点で特異的であった。
【0047】
この作用の特異性をさらに検討するため、本発明者らは、ET−743が、構成的なアンドロスタン受容体、CARβ、によるトランス活性化を阻害し得るか否かを決定した。SXRおよびCARβは、そのDNA結合ドメインおよびリガンド結合ドメインにおいて高い配列類似性を有する近縁の受容体であり、共通する応答エレメントおよびリガンドに結合することが示された42。CARβは強力な構成的活性を示したが、該活性は逆アゴニストであるアンドロスタノールによって抑制された(図1B)。これに対し、ET−743はCARβには作用しなかったことより、ET−743の阻害作用に対して特異性が存在することが明らかとなった。
【0048】
本発明者らは次に、ET−743による阻害についてIC50値を求め、本薬物の細胞傷害作用について報告されているIC50値と比較した。野生型またはGAL−L−SXRのいずれかを用いた用量応答研究(図1C)からは、ET−743がリガンド活性化SXRを3nMのIC50値で阻害したことが判明した。さらに、内在性mdr1遺伝子のSXR介在型活性化を抑制するには、20nMのET−743で十分であった(図1D)。従って、SXRに対して観察されたET−743の作用は、本薬物の細胞傷害作用について報告されたIC502,4の範囲内に十分収まる。このように、ET−743に従来結びつけられた他の生化学的事象とは違って、SXRの阻害は、細胞の致死に十分なナノモル濃度のET−743に応答するのは分子標的だけであることを示している。
【0049】
現在までの結果からは、ET−743が、mdr1のトリコスタチン誘導型転写を阻害することが示された。トリコスタチンはヒストンデアセチラーゼ(HDAC)酵素の阻害剤であり、該酵素は、リガンド未結合状態の核内受容体と相互作用するコリプレッサー複合体の一部をなすものである。哺乳動物ツーハイブリッドアッセイを用いて、本発明者らは、コリプレッサーSMRTがリガンド未結合状態のSXRと相互作用し、かつ、SXRリガンドによってSMRTが外れることを見出した。従って、SXRリガンドとHDAC阻害剤は、SXR−関連性HDAC活性を失わせるか、または、これを阻害する。これらの観察から、ET−743がmdr1転写とSXR活性を阻害し得ることを説明する統一的なメカニズムが明らかである。
【0050】
これらの結果より、SXRのリガンド誘導活性化がET−743によって阻害されることが示される。CV−1細胞をトランスフェクトし、リガンドの存在下(+)または不在下(−)および50nMのET−743の存在下または不在下にて処理した(図1A)。各処理に対し、レポーター遺伝子の活性を測定して活性化倍率をプロットした。図1BからはET−743がCARβに作用しないことが示される。CV−1細胞をCARβの発現ベクターでトランスフェクトしたものとしなかったものを、CARβのアンタゴニストであるアンドロスタノール(5μM)またはET−743(50nM)のいずれかで処理した。図1Cには、野生型およびGAL−L−SXRのET−743による阻害の用量応答を示す。細胞を野生型またはGAL−L−SXRのいずれか、および、対応するレポーターでトランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を培地または10μMのSR12813もしくはSR12813と所定濃度のET−743を添加した培地中に維持した。図1Dには、SXRリガンドSR12813+/−20nM ET−743で処理したLS180細胞のノーザンブロット分析の結果を示す。図1Dから明らかなように、ET−743はmdr1遺伝子のSXR介在型活性化を阻害する。
【0051】
実施例
哺乳動物ツーハイブリッドアッセイを利用して、SXRの場合のコレギュレーターの動員に対するET−743類似体Pt650の作用を測定した。CV−1細胞を上記の通り、所定のハイブリッド発現ベクターおよび内部対照としてのβ−ガラクトシダーゼベクターでトランスフェクトした。レポーター活性を測定して内部β−ガラクトシダーゼ対照に対して標準化し、内部β−ガラクトシダーゼ活性の割合として記録する。CV−1細胞をGAL4レポーター構築物、および、SXRのリガンド結合ドメインに連結されたVP16トランス活性化ドメイン(VP−L−SXR)を含有するDNA転写アクチベーターである第1ハイブリッドタンパク質をコードする発現ベクターで一過的にトランスフェクトした。また、GAL4 DNA結合ドメインを単独でコードする発現ベクター、あるいは、上述したような核内受容体コアクチベーターSRC1、ACTR、GRIPもしくはPBPまたは核内受容体コリプレッサーSMRTもしくはNCoRの受容体相互作用ドメインに連結されたGAL4 DNA結合ドメインである第2ハイブリッドタンパク質をコードする発現ベクターでも細胞をトランスフェクトした。GAL4レポーター構築物は、酵母GAL4上流活性化配列を4コピー含んでおり、該配列には、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーターおよびルシフェラーゼレポーター遺伝子を機能し得る形で連結させた(UASGx4−TK−luc)。
【0052】
トランスフェクション後、細胞を対照培地または所定のSXRアゴニストリガンドもしくはPt650を含有する培地で処理した。Pt650は20nMの濃度で添加し、各SXRアゴニストリガンドは所定の濃度で添加した。本系では、核内受容体SXRアゴニストリガンドが第1ハイブリッドタンパク質の核内受容体リガンド結合ドメインと相互作用し、その結果、第1ハイブリッドの核内受容体リガンド結合ドメインに構造変化が生じ、かつ、該リガンド結合ドメインが第2ハイブリッドのコアクチベーターと会合すると、ルシフェラーゼレポーター発現が活性化される。本系では、GAL4−コアクチベーターまたはハイブリッドと核内受容体リガンド結合ドメイン−VP転写アクチベーターハイブリッドとが会合することで、VP転写アクチベーターがGAL4 DNA結合配列へ動員される。VP転写アクチベーターが動員されることにより、レポーター遺伝子構築物のTKプロモーターからルシフェラーゼ遺伝子が転写および発現される。
【0053】
コリプレッサーの場合には、第1ハイブリッドタンパク質の核内受容体リガンド結合ドメインが第2ハイブリッドのコリプレッサーとアゴニストリガンドの不在下で相互作用すると、ルシフェラーゼレポーター発現が活性化される。SXRリガンドは、第1ハイブリッドの核内受容体リガンド結合ドメインの構造を変化させ、リガンド結合ドメインと第2ハイブリッドのコリプレッサーとの会合を阻害する。この結果、レポーター遺伝子構築物のTKプロモーターからのルシフェラーゼ遺伝子の転写活性化は起こらない。
【0054】
本発明から逸脱することなく、本系において、レポーター遺伝子、プロモーターおよび転写アクチベーターを置換し得ることは、関連技術分野の当業者には容易に認められるであろう。核内受容体リガンド結合ドメインとコアクチベーターまたはコリプレッサーとの機能的な相互作用を検出し得るものであれば、いずれのレポーター遺伝子−プロモーター−上流アクチベーター構築物を利用してもよい。
【0055】
実施例2の結果を表1に示す。ET−743類似体Pt650はコアクチベーターをアゴニスト結合SXRから外し、かつ、コリプレッサーがアゴニスト結合SXRから外れるのを戻すことが分かる。ET−743も同様に機能する。これらの結果から、本系を使用すれば、アゴニストによって活性化されたSXRを、コリプレッサーを外してコアクチベーターを動員する能力も含めて、阻害することのできるET−743の機能上等価な化合物を見出すことが可能である。
【0056】
【表1】
Figure 2004506430
【0057】
【表2】
Figure 2004506430
【0058】
Figure 2004506430
【0059】
Figure 2004506430
【0060】
Figure 2004506430
【0061】
Figure 2004506430
【0062】
Figure 2004506430

【図面の簡単な説明】
【図1】図1A〜1Dは、SXRのリガンド誘導活性化およびmdr1発現のET−743による阻害を示す。

Claims (93)

  1. mdr1遺伝子転写のSXRトランス活性化を阻害する能力について化合物を試験することを含む、抗新生物剤を同定するための化合物のスクリーニング方法。
  2. mdr1遺伝子転写をトランス活性化するSXRの能力を阻害することを含む、1または複数の細胞における多剤耐性を低減させる方法。
  3. 1または複数の細胞をSXRアンタゴニストと接触させることをさらに含み、前記アンタゴニストによってmdr1遺伝子転写のSXRトランス活性化を阻害する、請求項2記載の方法。
  4. 接触をin vivoで行う、請求項3記載の方法。
  5. 哺乳動物に有効量のSXRアンタゴニストを投与することを含み、該SXRアンタゴニストによって腫瘍細胞におけるmdr1遺伝子の転写レベルを低下させる、前記哺乳動物における異常細胞増殖の治療または予防方法。
  6. SXRアンタゴニストによって、SXRコリプレッサーがSXRから外れるのを防ぐ、請求項5記載の方法。
  7. SXRアンタゴニストによって、SXRリガンドがSXRリガンド結合ドメインに結合するのを防ぐ、請求項5記載の方法。
  8. SXRアンタゴニストによってSXRとSXRコアクチベーターとの相互作用を阻害する、請求項5記載の方法。
  9. SXRアンタゴニストが腫瘍細胞に対して細胞傷害性である、請求項5記載の方法。
  10. 哺乳動物に抗新生物剤として有効な量の細胞傷害剤を投与し、mdr1のSXR介在型トランス活性化を阻害することにより該細胞傷害剤のクリアランスまたは分解を阻害することを含む、哺乳動物における新生物障害の治療方法。
  11. SXR標的遺伝子の転写のSXRによるトランス活性化を阻害する能力について化合物をスクリーニングする方法であって、SXRおよび該標的遺伝子を含むアッセイにおける1以上の化合物の存在により、該1以上の化合物の不在下における該標的遺伝子の転写と比較して、該標的遺伝子の転写が阻害されるか否かを決定することを含む、前記方法。
  12. 前記アッセイがSXRリガンドを含む、請求項11記載の方法。
  13. 前記リガンドが薬物である、請求項12記載の方法。
  14. 前記標的遺伝子がmdr1である、請求項11記載の方法。
  15. in vitro、in vivoまたは細胞中で行う、請求項11記載の方法。
  16. a)SXRリガンドを細胞へ添加し、
    b)該リガンドの添加によって増加した活性またはそれによって合成が増加した分子の量を測定し;
    c)1以上の化合物を工程(a)の細胞またはSXRリガンドを添加した細胞へ添加し;
    d)工程(c)の細胞について、工程(b)と同様に活性または分子の量を測定し;そして
    e)該1以上の化合物によって、活性の増加または分子の合成の増加が阻害されたか否かを決定する;
    ことを含む、請求項11記載の方法。
  17. 前記分子がP−糖タンパク質である、請求項16記載の方法。
  18. 前記分子がレポーター遺伝子の遺伝子産物である、請求項16記載の方法。
  19. SXRのリガンド結合ドメインとSXRコアクチベーターとが機能的に会合することにより、レポーター遺伝子の発現が調節される、請求項18記載の方法。
  20. SXRコアクチベーターが、SRC1、ACTR、GRIP、PBP、SXRのコアクチベーターである擬似ペプチド、およびSXRのコアクチベーターであるペプチド断片からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
  21. SXRのリガンド結合ドメインとSXRコアクチベーターとが機能的に会合することにより、レポーター遺伝子の発現が増加する、請求項19記載の方法。
  22. a)SXRとSXR標的遺伝子を混合して混合物を形成し;
    b)リガンドを該混合物へ添加することによって増加した活性またはそれによって合成が増加した分子の量を測定し;
    c)1以上の該化合物を工程(a)の混合物へ添加し;
    d)工程(c)の細胞について、工程(b)と同様に活性または分子の量を測定し;そして
    e)該1以上の化合物によって、活性の増加または分子の合成の増加が阻害されたか否かを決定する;
    ことを含む、請求項11記載のin vitro方法。
  23. 前記標的遺伝子がmdr1である、請求項22記載の方法。
  24. 前記分子がP−糖タンパク質である、請求項22記載の方法。
  25. 前記リガンドが薬物である、請求項22記載の方法。
  26. 推定抗新生物剤について化合物をスクリーニングする方法であって、SXRおよびSXRの標的遺伝子を含むアッセイにおける1以上の化合物の存在により、該1以上の化合物の不在下における該標的遺伝子の転写と比較して、該標的遺伝子の転写が阻害されるか否かを決定することを含む、前記方法。
  27. 前記アッセイがSXRリガンドを含む、請求項26記載の方法。
  28. 前記リガンドが薬物である、請求項27記載の方法。
  29. 前記標的遺伝子がmdr1である、請求項26記載の方法。
  30. in vitro、in vivoまたは細胞中で行う、請求項26記載の方法。
  31. a)SXRリガンドを細胞へ添加し;
    b)該リガンドの添加によって増加した活性またはそれによって合成が増加した分子の量を測定し;
    c)1以上の化合物を工程(a)の細胞または核リガンドを添加した細胞へ添加し;
    d)工程(c)の細胞について、工程(b)と同様に活性または分子の量を測定し;
    e)該1以上の化合物によって、活性の増加または合成の増加が阻害されたか否かを決定する;
    ことを含み、ここで上記活性の増加または上記分子の合成の増加を阻害する1または複数の化合物が、推定抗新生物剤である、請求項26記載の方法。
  32. 前記分子がP−糖タンパク質である、請求項31記載の方法。
  33. 前記分子がレポーター遺伝子の遺伝子産物である、請求項31記載の方法。
  34. SXRのリガンド結合ドメインとSXRコアクチベーターとが機能的に会合することにより、レポーター遺伝子の発現が調節される、請求項33記載の方法。
  35. SXRコアクチベーターが、SRC1、ACTR、GRIP、PBP、SXRのコアクチベーターである擬似ペプチド、およびSXRのコアクチベーターであるペプチド断片からなる群より選択される、請求項24記載の方法。
  36. SXRのリガンド結合ドメインとSXRコアクチベーターとが機能的に会合することにより、レポーター遺伝子の発現が増加する、請求項34記載の方法。
  37. a)SXRとSXR標的遺伝子を混合して混合物を形成し;
    b)リガンドを該混合物へ添加することによって増加した活性またはそれによって合成が増加した分子の量を測定し;
    c)1以上の化合物を工程(a)の混合物へ添加し;
    d)工程(c)の細胞について、工程(b)と同様に活性または分子の量を測定し;そして
    e)該1以上の化合物によって、活性の増加または分子の合成の増加が阻害されたか否かを決定する;
    ことを含む、請求項26記載のin vitro方法。
  38. 前記標的遺伝子がmdr1である、請求項37記載の方法。
  39. 前記分子がP−糖タンパク質である、請求項37記載の方法。
  40. 前記リガンドが薬物である、請求項37記載の方法。
  41. 推定抗新生物剤について化合物をスクリーニングする方法であって、
    a)SXRリガンドを細胞へ添加し;
    b)該リガンドの添加によって低下した活性またはそれによって合成が低下した分子の量を測定し;
    c)1以上の化合物を工程(a)の細胞またはSXRリガンドを添加した細胞へ添加し;
    d)工程(c)の細胞について、工程(b)と同様に活性または分子の量を測定し;
    e)該1以上の化合物によって、活性の低下または合成の低下が阻害されたか否かを決定する;
    ことを含み、ここで上記活性の低下または上記分子の合成の低下を阻害する化合物が、推定抗新生物剤である、前記方法。
  42. 前記分子がレポーター遺伝子の遺伝子産物である、請求項41記載の方法。
  43. 前記分子がP−糖タンパク質である、請求項41記載の方法。
  44. 活性の前記増加または分子の合成の前記増加を阻害する前記化合物の1つを腫瘍細胞へ投与し、該化合物が腫瘍細胞に対して細胞傷害作用を示すか否かを決定することをさらに含む、請求項41記載の方法。
  45. 活性の前記低下または分子の合成の前記低下を阻害する前記化合物の1つを腫瘍細胞へ投与し、該化合物が腫瘍細胞に対して細胞傷害作用を示すか否かを決定することをさらに含む、請求項41記載の方法。
  46. 細胞内での薬物の異化代謝を低下させる能力または細胞の薬物排出能を低下させる能力について推定候補化合物をスクリーニングする方法であって、SXRおよび標的遺伝子を含むアッセイにおける1以上の化合物の存在により、該1以上の化合物の不在下における該標的遺伝子の転写と比較して、該標的遺伝子の転写が阻害されるか否かを決定する工程を含み、上記標的遺伝子の転写を阻害する化合物が、薬物の異化代謝を低下させる、または、細胞の薬物排出能を低下させる候補である、前記方法。
  47. 前記アッセイがSXRリガンドを含む、請求項46記載の方法。
  48. 前記リガンドが前記薬物である、請求項46記載の方法。
  49. 前記標的遺伝子がmdr1である、請求項46記載の方法。
  50. in vitro、in vivoまたは細胞中で行う、請求項46記載の方法。
  51. a)SXRリガンドを細胞へ添加し;
    b)該リガンドの添加によって増加した活性またはそれによって合成が増加した分子の量を測定し;
    c)1以上の化合物を工程(a)の細胞またはSXRリガンドを添加した細胞へ添加し;
    d)工程(c)の細胞について、工程(b)と同様に活性または分子の量を測定し;そして
    e)該1以上の化合物によって、活性の増加または分子の合成の増加が阻害されたか否かを決定する;
    ことを含む、請求項46記載の方法。
  52. 前記分子がP−糖タンパク質である、請求項51記載の方法。
  53. 前記分子がレポーター遺伝子の遺伝子産物である、請求項51記載の方法。
  54. SXRのリガンド結合ドメインとSXRコアクチベーターとが機能的に会合することにより、レポーター遺伝子の発現が調節される、請求項53記載の方法。
  55. SXRコアクチベーターが、SRC1、ACTR、GRIP、PBP、SXRのコアクチベーターである擬似ペプチド、およびSXRのコアクチベーターであるペプチド断片からなる群より選択される、請求項54記載の方法。
  56. SXRのリガンド結合ドメインとSXRコアクチベーターとが機能的に会合することにより、レポーター遺伝子の発現が増加する、請求項54記載の方法。
  57. a)SXRとSXR標的遺伝子を混合して混合物を形成し;
    b)リガンドを該混合物へ添加することによって増加した活性またはそれによって合成が増加した分子の量を測定し;
    c)1以上の化合物を工程(a)の混合物へ添加し;
    d)工程(c)の細胞について、工程(b)と同様に活性または分子の量を測定し;そして
    e)該1以上の化合物によって、活性の増加または分子の合成の増加が阻害されたか否かを決定する;
    ことを含む、請求項46記載のin vitro方法。
  58. 前記標的遺伝子がmdr1である、請求項57記載の方法。
  59. 前記分子がP−糖タンパク質である、請求項57記載の方法。
  60. 前記リガンドが薬物である、請求項57記載の方法。
  61. 薬物とSXRの活性または発現のモジュレート剤とを同時投与することを含む、薬物化学療法。
  62. 薬物とSXRの活性または発現のダウンレギュレート剤とを同時投与することを含む、請求項61記載の方法。
  63. 薬物とSXRの活性または発現のアップレギュレート剤とを同時投与することを含む、請求項61記載の方法。
  64. 薬物とSXR作用のモジュレート剤とを同時投与することを含む、薬物の有効性を増加させる方法。
  65. 前記モジュレート剤がSXRアンタゴニストである、請求項61記載の方法。
  66. 前記モジュレート剤がSXRアゴニストである、請求項61記載の方法。
  67. 患者に有効量のSXR阻害剤を投与することを含む、薬物治療を受けている患者において薬物代謝を阻害する方法。
  68. 治療用組成物の製造方法であって、以下の工程:
    a)SXR活性の阻害能またはSXRの転写もしくは翻訳の阻害能について化合物をスクリーニングし;
    b)該化合物のいずれがSXR活性を阻害するのか、またはSXRの転写もしくは翻訳を阻害するのか決定し;
    c)SXR活性を阻害する、またはSXRの転写もしくは翻訳を阻害すると決定された化合物を選択し;
    d)工程(c)で選択した該化合物を治療上有効な量にて取得し;そして
    e)選択した化合物の治療上有効な量を1以上の製薬上許容し得る賦形剤と組み合わせて治療用組成物を形成する;
    工程を含む、前記方法。
  69. 前記スクリーニングが請求項11記載の工程を含む、請求項68記載の方法。
  70. 前記スクリーニングが請求項26記載の工程を含む、請求項68記載の方法。
  71. 請求項68記載の方法によって製造される治療用組成物。
  72. SXR活性またはSXR発現をモジュレートする請求項71記載の治療用組成物の有効量を投与することにより、薬剤耐性を阻害する方法。
  73. 哺乳動物における病態の治療用に化合物を選択する方法であって、ここで
    a)SXRのリガンド結合ドメインおよびSXR標的遺伝子を含む系を調製して、SXRの該リガンド結合ドメインと該標的遺伝子との相互作用によって検出可能なシグナルを発生させ;
    b)工程(a)における該系の検出可能なシグナルを測定し;
    c)化合物を工程(e)の系へ添加し;
    d)工程(c)の該系のシグナルを測定し;そして
    e)工程(d)のシグナルが工程(b)のシグナルよりも小さくなる化合物を選択する;
    ことにより化合物を選択する、前記方法。
  74. 前記相互作用が直接的な相互作用である、請求項73記載の方法。
  75. 前記相互作用が間接的な相互作用である、請求項73記載の方法。
  76. 前記病態が癌である、請求項73記載の方法。
  77. 前記標的遺伝子がmdr1である、請求項73記載の方法。
  78. 前記検出可能なシグナルがmdr1 RNAである、請求項73記載の方法。
  79. 前記検出可能なシグナルがP−糖タンパク質である、請求項73記載の方法。
  80. 前記系が細胞を含む、請求項73記載の方法。
  81. 前記細胞が、前記標的遺伝子を含むベクターを含む、請求項80記載の方法。
  82. 前記系が、生理学的な条件下にてSXRの前記リガンド結合ドメインに結合するリガンドを含む、請求項73記載の方法。
  83. 前記リガンドが薬物または薬物候補である、請求項82記載の方法。
  84. 前記薬物または薬物候補が癌を治療するためのものである、請求項83記載の方法。
  85. 前記系が、ツーハイブリッドアッセイの構成要素を含む、請求項73記載の方法。
  86. 前記系が、SXRリガンド結合ドメインを活性化するペプチドに融合したSXRリガンド結合ドメインをコードするベクターを含む、請求項85記載の方法。
  87. 前記ペプチドがVP16である、請求項85記載の方法。
  88. 前記系が、シグナル発生酵素をコードするベクターを含む、請求項85記載の方法。
  89. in vitroで行われる、請求項73記載の方法。
  90. 前記系が、SXRのリガンド結合ドメインと前記標的遺伝子とを含む、請求項89記載の方法。
  91. 前記標的遺伝子がmdr1である、請求項90記載の方法。
  92. 請求項73記載の方法によって選択される、哺乳動物における病態を治療するための化合物。
  93. 請求項92記載の化合物を含む医薬組成物。
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