JP2004505648A - 炎症関連gタンパク質共役受容体 - Google Patents
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Abstract
(A)配列番号2もしくは配列番号16のアミノ酸配列または該アミノ酸配列の機能的等価変異体を含むポリペプチド;または(B)ポリペプチド(A)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;または(C)ポリペプチド(A)と免疫反応性である抗体;または(D)ポリヌクレオチド(B)と相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス・オリゴヌクレオチド;を活性成分として含む医薬組成物;ならびに診断的および治療的適用における(A)、(B)、(C)および(D)の使用。
Description
【0001】
本発明は、治療的および診断的適用におけるEX20と呼ばれる炎症関連Gタンパク質共役受容体の遺伝子の使用、EX20によりコードされるタンパク質分子および関連分子に関する。
【0002】
幾つかの疾患、例えば多くの呼吸性および炎症性疾患の発症および持続には、病理学的状態の発症の間の、多くの表現型の変化を受ける種々の細胞型の参加が関与している。これらの表現型の変化は、種々の遺伝子およびタンパク質の発現および機能化における特異的変化の結果である。発現が特定の生理学的または病理学的状態において変化している遺伝子またはタンパク質の検出は、したがって、病理学的および治療的に重要な遺伝子またはタンパク質の同定につなげることができる。
【0003】
炎症中に組織内に誘引される細胞は、種々の炎症性食細胞、例えば、好中球性および好酸球性の顆粒球および単球を含む。これらの細胞は、急性及び慢性気管支炎の両方、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、原発性硬化性胆管炎およびクローン病における呼吸器管炎症を含むいくつかの炎症疾患組織破壊と連関された。
【0004】
いくつかの炎症性呼吸疾患においては、炎症性組織に存在する増加した数の好中球、マクロファージおよび他の白血球がある。種々の白血球および内皮細胞による化学誘引物質の放出の結果として、肺への高度な移動は、炎症の部位でのこれらの細胞の蓄積に貢献する。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)のレベルの増加は、好中球の機能的寿命を増加させ、そして食細胞性および酸化的破裂活性ならびに前記疾患の炎症性プロセスを調節するのに重要なプロ炎症性サイトカインの産生の両方を増加させることが示された。
【0005】
炎症性状態における白血球の作用の重要なステップは、これらの細胞の、該組織への、例えば呼吸炎症の気道への、またはリウマチ様関節炎の関節への移動、細胞活性化および一定の炎症性メディエーター、ロイコトリエン、酸素ラジカル、プロテアーゼの放出を含む。発現がサイトカイン刺激により、例えばGM−CSFによりアップレギュレートされる遺伝子およびタンパク質の単離は、治療上の有益性を提供するために活用され得る分子標的を同定し得る。
【0006】
最近、差次的遺伝子発現(differential gene expression)の検出および差次的に発現した遺伝子の単離のための幾つかの方法および技術が開発された。変化を、例えば、プロテオミクス・アプローチを使用するタンパク質レベルで同定することができ、そして転写調節の変化を、ディファレンシャルディスプレイ(Liang, P., and Pardee, A.B., Science 257:967−971)、SAGE(serial analysis of gene expression)(Velculescu, V.E., Zhang, L., Vogelstein, B., and Kinzler, K.W. Science, 270:484−487)、固体支持体に結合した複合cDNAプローブ高密度cDNAまたはオリゴヌクレオチドアレイのディファレンシャル・ハイブリダイゼーション(Chee, M. Yang, R., Hubbell, E. Berno, A. Huang, X.C., Stern, D., Winkler, J., Lockhart, D.J., Morris, M. S. and Fodor, S.P.A. Science(1996) 274:610−614; Lockhart, D.J., Dong, H. Byrne,M.C., Follettie, M.T., Gallo, M.V.,Chee, M.M., Wang, C., Kobayashi, M., Horton, H. and Brown, E.L. Nature Biotechnology (1996) 14:1675−1680; Shena, M., Shalon, D., Davis, R.W. and Brown, P.O. Science (1995) 250:467−470)およびcDNAサブトラクション法(cDNA subtraction methods)、例えばレプレゼンテーショナル・ディファレンス分析(Hubank, M., and Schatz, D.G. Nucleic Acids Res. 22:5640−5648)を含む幾つかの方法によって検出することができる。
【0007】
差次的に発現した遺伝子を同定するために使用できる1つの方法は、cDNAのレプレゼンテーショナル・ディファレンス分析(cDNA−RDA)である。cDNA−RDAは、PCRに基づくサブトラクティブ・エンリッチメント法(PCR−based subtractive enrichment procedure)である。最初に複合ゲノムの間の差の同定のために開発され、それが種々の組織または細胞サンプルの間で変化した発現を有する遺伝子の単離を可能とするように適合化された(Lisitsyn, N., and Wigler, M. Science 259:946−951; Hubank, M., and Schatz, D.G. Nucleic Acids Res. 22:5640−5648; O’Neill, M. J., and Sinclair, A.H. Nucleic Acids Res. 25:2681−2682)。この技術は、いくつかの間違った陽性物の単離、すなわち望まれない差産物が、競合的に排除され、そして稀な転写物を生産する遺伝子がまた検出および単離できる事実を含む幾つかの利点を提供する。
【0008】
炎症性状態において過剰発現する遺伝子の同定は、炎症性状態の理解に重要な機会を提供するであろう。これらの遺伝子およびタンパク質の過剰発現に関連した組織分布および疾患は、適切に選択された患者由来の組織サンプルを用いて確立され得る。さまざまな技術、例えば組織学的手法、例えばin situハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学がこの目的に適用され得る。これらの遺伝子の過剰発現は、多くの臨床的に重要な適用があり得る疾患状態においてそれらが重要であることを示す。
【0009】
Gタンパク質共役受容体の同定は、特に有利である。白血球の移動および活性化に必要なシグナルは、しばしば、3つの細胞内ループおよび3つの細胞外ループにより接続された7回膜貫通へリックス(TM−IからVII)を特徴とする7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーに属する受容体を介して伝達される。GPCR遺伝子ファミリーは、最大の既知のレセプターファミリーである。GPCRは、細胞外シグナルのトランスデューサーであり、それらは組織が幅広いシグナル伝達分子に応答することを可能にする。Gタンパク質は治療的適用における重要な標的である。というのは、それらは広範な生理学的および病理学的プロセスに関与するからである。現在市販されている医薬の60〜70%が、GPCRスーパーファミリーのメンバーに、実際に作用すると概算されている。
【0010】
種々のクローニング・ストラテジーおよびデータベース・マイニング・アプローチ(database mining approach)により、多くのGPCRがクローニングされている。しかし、リガンドの同定は遅れており、そのタンパク質生成物が、基準として配列類似性および予測的三次元構造を使用して、GPCRファミリーのメンバーである多くのGPCR遺伝子が存在するが、それに対するリガンドは知られていない。これらの受容体は、オーファンGタンパク質共役受容体(oGPCR)として一般に知られている。
【0011】
炎症細胞において発現しそしてそれらの過剰発現と疾患状態との関連を確立しているGタンパク質共役受容体の遺伝子の同定は、多くの臨床的に重要な適用があり得る炎症状態の理解の重要な機会を提供するであろう。同定されたGPCRは、該遺伝子または該遺伝子のタンパク質産物を直接の標的とした治療(小分子医薬、アンチセンス分子、抗体分子)の開発を導き得るか、または、このような医薬の開発が該遺伝子を直接的にターゲティングすることよりも容易な場合には、上流または下流での生化学的経路を標的とし得る。該遺伝子および配列変異体を含むポリヌクレオチド配列は、炎症性状態の臨床診断的試験を開発するために使用され得る。さらに、これらの炎症性状態に関与するGPCRのDNA配列および、これらの遺伝子によりコードされるアミノ酸配列に関する情報は、組換え技術によるタンパク質の大規模製造、ならびに天然に該タンパク質を生成する組織および細胞の同定を促進する。このような配列情報は、また、GPCR遺伝子によりコードされるタンパク質と特異的に反応する抗体物質または他の新規結合分子の製造を可能にし、これはタンパク質が関与する天然リガンド/抗リガンド結合反応の調節に使用され得る。
【0012】
上記の疾患における炎症プロセスを調節するのに重要なサイトカインの刺激後に、例えばGM−CSFにより、EX20の発現がアップレギュレートされることが見出された。さまざまな白血球サブセット(leukocyte subsets)におけるEX20の観察される炎症疾患関連過剰発現の見地において、EX20およびそれによりコードされるタンパク質は上記の炎症疾患の診断においていて有用であり、そして、コードされるタンパク質はそれらの疾患の処置に適した医薬の同定のための治療的標的として有用である。
【0013】
したがって、1つの観点において、本発明は、所望により薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、(A)配列番号2または配列番号16のアミノ酸配列または該アミノ酸配列の機能的等価変異体、すなわち、その生物学的または他の機能的活性を保持した変異体、例えば配列番号2または配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する抗体を上昇させることができる変異体を含むポリペプチド;または(B)ポリペプチド(A)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(以後、EX20と呼ぶ);または(C)ポリペプチド(A)と免疫反応性である抗体;または(D)ポリヌクレオチド(B)と相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス・オリゴヌクレオチド;を活性成分として含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本明細書で使用する用語は、以下の意味を有する:
“単離”は、その本来の環境から除かれた物質を意味する。
“ハイブリダイゼーション”または“ハイブリダイズ”は、ポリヌクレオチド鎖が、塩基対形成を介してその相補鎖と結合する任意の工程を意味する。
“ストリンジェントな条件”は、20%までの塩基対ミスマッチを可能にする実験条件を意味し、典型的に65℃で0.1XSSC(15mM NaCl、1.5mM クエン酸ナトリウム、pH 7.0)の2回、15分洗浄である。
【0015】
“相同性”または“相同的な”は、部分的であるか、または配列が同一である場合には完全であり得る、ヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間の類似の程度を意味する。
“発現ベクター”は、転写のために提供される追加的セグメントに作動可能に連結された所望のポリペプチドをコードするセグメントを含む直鎖または環状DNA分子を意味する。
【0016】
“アンチセンス”は、標的タンパク質のメッセンジャーRNA(mRNA)における、オリゴ−またはポリヌクレオチドの、その相補的配列へのハイブリダイゼーションを介したタンパク質合成の選択的阻害を意味する。アンチセンスという概念は、最初に、ZamecnikおよびStephenson (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:280−284; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:285−288)により提案され、続いて実験的ツールとしておよび推定治療分子を生成する手段としての両方の広い適用が発見された(Alama, A., Pharmacol. Res. 36:171−178; Dean, N.M., Biochem. Soc. Trans. 24:623−629; Bennet, C.F., J. Pharmacol. Exp. Ther. 280:988−1000; Crooke, S.T., Antisense Research and Applications, Springer)。
【0017】
本明細書で使用する“変異体”は、アミノ酸配列に関して、1個以上のアミノ酸により変えられているアミノ酸配列を意味する。変化は、アミノ酸置換、欠失または挿入を含み得る。ヌクレオチド配列に関して、本明細書で使用する“変異体”なる用語は、1個以上のヌクレオチドにより変えられているヌクレオチド配列を意味する;変化は、ヌクレオチド置換、欠失または挿入を含み得る。好ましいアミノ酸配列番号2または配列番号16の機能的同等変異体は、配列番号2または配列番号16と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、そしてとりわけ95%を超えるアミノ酸配列同一性を有するものである。
【0018】
配列番号2または配列番号16のような参照配列とx%同一性を有するアミノ酸配列は、参照配列の100アミノ酸当たり、100−x個のアミノ酸の変化までを含み得る以外、参照配列と同一の配列を意味する。例えば、参照配列と少なくとも80%同一性を有する対象アミノ酸配列において、参照配列における20%までのアミノ酸残基が、別のアミノ酸残基により置換、欠失または挿入されていてよい。アミノ酸配列間の同一性パーセントは、既知のコンピュータープログラム、例えばBrutlag et al(Comp. App. Biosci.(1990) 6:237−245)のアルゴリズムをベースにしたFASTDBプログラムを慣用的に使用して決定できる。
【0019】
ポリヌクレオチド(B)は、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAであり得る。特定の実施態様では、ポリヌクレオチド(B)は、配列番号1または配列番号15のヌクレオチド配列を含むcDNAであるか、あるいは配列番号1または配列番号15に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAである。そのようなハイブリダイゼーション要件を満たすヌクレオチド配列は、1またはそれ以上のヌクレオチドの欠失、挿入または置換の結果であるものを含む。
【0020】
本発明は、また、配列番号15のヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
本発明のさらなる観点において、ポリヌクレオチド(B)は、配列番号1または配列番号15からの、少なくとも20、例えば少なくとも50、例えば少なくとも100、例えば少なくとも200、例えば少なくとも500、例えば少なくとも1000、例えば少なくとも1100連続塩基を有する部分を含む。本発明のいっそうさらなる観点において、ポリヌクレオチド(B)は、配列番号2または配列番号16からの、少なくとも10、例えば少なくとも50、例えば少なくとも100、例えば少なくとも200、例えば少なくとも300連続アミノ酸をコードするヌクレオチドを含む。
【0022】
ポリヌクレオチド(B)は、GPCRのファミリーまたはサブファミリーのメンバーの中で保存されているアミノ酸配列モチーフを使用して設計された縮重プライマーを使用したPCRにより、最初にそのフラグメントを単離することにより単離され得る。縮重プライマーは、ヒト細胞、特に白血球からまたはとりわけ貪食細胞、例えば好中性および好酸性顆粒球からまたはゲノムDNAから単離されたRNAから調製したcDNA由来のフラグメントを増幅させるために使用され得る。単離フラグメントを次いで配列決定し、完全長クローンを、最初に、その配列およびヒト細胞、特に白血球からまたは特に貪食細胞、例えば好中性および好酸性顆粒球からまたはゲノムDNAから単離したRNAを使用して設計した遺伝子特異的プライマーを使用した5’および3’ RACE(cDNA末端急速増幅)を使用した、5’および3’’末端を含む重複フラグメントを単離し、続いて標準法によってこれらのフラグメントを接続することにより得る。
【0023】
ポリヌクレオチド(B)はまた、最初に、GPCRのファミリーまたはサブファミリーのメンバーの中で保存されているアミノ酸配列モチーフを使用して設計した、縮重プライマーを使用したPCRにより、そのフラグメントの単離により単離され得る。縮重プライマーは、ヒト細胞、特に白血球からおよびとりわけ貪食細胞、例えば好中性および好酸性顆粒球からまたはゲノムDNAから単離したRNAから調製した、cDNAからのフラグメントを増幅させるために使用され得る。単離フラグメントを次いで配列決定し、完全長クローンを、このフラグメントまたはその一部を、ヒトcDNAライブラリー、好ましくは白血球または、とりわけ顆粒球cDNAライブラリーまたはヒトゲノムDNAライブラリーをスクリーニングするためのプローブとして使用することにより得る。
【0024】
例えば配列番号1または配列番号15の配列を有する、ポリヌクレオチド(B)はヌクレオチドから調製され得、それには既知の方法および装置を使用した化学合成、例えば、自動固相合成が含まれる。
【0025】
ポリペプチド(A)は、前記のポリヌクレオチド配列を、転写のためのプロモーターおよび他の適当な調節エレメントを含む発現ベクターにクローニングし、細菌、植物、昆虫、酵母、動物またはヒト細胞のような原核生物または真核生物の宿主細胞に導入し、そして適当な条件下で組換え発現ベクターを含む宿主細胞を培養することにより製造され得る。このようなポリペプチドの組換え発現のための技術は既知であり、例えば、J. Sambrook et al, Molecular Cloning, second edition, Cold Spring Harbor Press, 1990に記載されている。
【0026】
本発明の観点において、ポリペプチド(A)は配列番号2または配列番号16からの、少なくとも10、例えば少なくとも50、例えば少なくとも100、例えば少なくとも200、例えば少なくとも300連続アミノ酸を含む。
【0027】
本発明は、また、配列番号16のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド、特に組換えポリペプチドを提供する。
【0028】
ポリペプチド(A)は、1個以上の異種ポリペプチドとの組換え融合タンパク質として、例えば精製を促進するために、発現し得る。例えば、それは、本発明のポリヌクレオチド配列と異種ポリペプチド配列の間に位置する開裂部位を含む、ポリヒスチジンのような異種ポリペプチドとの組換え融合タンパク質として発現し得、その結果、配列番号2または配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、周知技術を使用して異種部分から開裂および精製され得る。
【0029】
ポリペプチド(A)は、また、アミノ酸から全体または一部が合成され得、それには周知の化学的方法、例えば自動固相合成が含まれる。
【0030】
ポリペプチド(A)は既知の標準法により精製され得る。
【0031】
本発明は、また、前記のポリペプチド(A)と免疫反応性である抗体(C)を提供する。該抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。このような抗体は慣用法を使用して製造され得る。精製抗原に対するポリクローナル抗体を製造する方法は、確立されている(Cooper and Paterson in Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al. Eds., John Wiley and Sons Inc., Chapter 11参照)。典型的に、ウサギ、またはマウスのような宿主動物を、精製ポリペプチド(A)またはその免疫原性部分を抗原として免疫化し、適当な時間の後に、宿主血清を集め、ポリペプチドに対して特異的な抗体に関して試験する。精製抗原に対するモノクローナル抗体の製造法は確立されている(Chapter 11, Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al. Eds., John Wiley and Sons Inc.参照)。ポリクローナル抗体の製造のために、血清を飽和硫酸アンモニウムまたはDEAE Sephadexで処理できる。モノクローナル抗体の製造のために、免疫化動物の脾臓またはリンパ球を除去し、不死化するか、既知の方法によりハイブリドーマを製造するのに使用する。不死化細胞により分泌された抗体は、例えば、ウエスタン・ブロット分析を使用して、望ましい特異性の抗体を分泌するクローンを決定するためにスクリーニングする。ヒト化抗体は、慣用法で製造できる。
【0032】
別の観点において、本発明は、ポリヌクレオチド(B)に相補的なヌクレオチド配列、特に配列番号1または配列番号15に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)を提供する。該アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、DNA、DNAのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートアナログのようなDNAのアナログ、RNA、RNAのアナログ、またはペプチド核酸(PNA)であり得る。該アンチセンス・オリゴヌクレオチドは慣用法で、例えば自動固相法を使用して合成できる。
【0033】
本発明は、また、前記のポリヌクレオチド(B)の少なくとも15連続ヌクレオチドまたはそれの相補体を含むポリヌクレオチド・プローブを提供する。プローブは、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAであり得る。通常、これは15から50ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであるか、または例えば1100まで、例えば1000まで、例えば500までの(B)の連続ヌクレオチドを含む比較的長い分子であり得る。該プローブは、例えばフルオロフォアまたは化学ルミネセンス物質または放射性標識で標識でき、検出可能なシグナルを提供する。
【0034】
ポリヌクレオチド・プローブは、ストリンジェントな条件下で、配列番号1または配列番号15の配列を有するポリヌクレオチド・フラグメントを有するポリヌクレオチド・フラグメントと選択的にハイブリダイズできる。該プローブは、このようなハイブリダイゼーション条件下で、その同族配列にのみハイブリダイズする配列を有する。上記のDNAプローブは、ノーザンおよびサザン・ブロット分析、ドット・ブロットおよびスロット・ブロット分析、および蛍光イン・シテュ・ハイブリダイゼーション(FISH)を含む多くのスクリーニングの適用に有用である。
【0035】
本発明はまた、前記のポリヌクレオチド(B)、すなわちEX20のフラグメントのDNA増幅のためのプライマーとして有用なオリゴヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの対を含み、ここで、該対の各プライマーは、少なくとも15ヌクレオチド長であり、そして該対は、ヒトゲノムDNAまたは適当なヒトcDNA標的とのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に使用した場合、EX20の配列を全てまたは好ましくは一部含むDNAフラグメントの合成をもたらすような配列を有する。プライマー対は、好ましくはEX20のコード領域またはその一部を増幅することができる。このようなプライマー対の例は、以後、各々配列番号3〜4および配列番号5〜6として示す。
【0036】
好中球性または好酸球性の炎症により特徴付けられる炎症性疾患におけるポリペプチド(A)の役割は、通常のアレルゲン誘発性の、動物の炎症状態のモデル、例えば卵白アルブミン誘発性のラットまたはマウスのモデルを使用して測定できる。
【0037】
前記のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、アンチセンス・オリゴヌクレオチドまたはプローブ(以後、集合的に本発明の薬剤と呼ぶ。)は、前記のような炎症性疾患の処置(予防的または対症的)または診断に使用され得る。いくつかの炎症状態において、EX20のアップレギュレーションは抗炎症事象(anti−inflammatory event)を誘導し得、その結果、このアップレギュレーションを促進する処置が適当であり得る。例えば、ポリペプチド(A)は、該ポリペプチドを欠く、またはそうでなくてもそれを必要とする哺乳類、特にヒトの処置に使用され得る;ポリヌクレオチド(B)は、EX20活性の増加が望まれている、例えば、対象が変異したEX20遺伝子を有するか、または欠いている場合の遺伝子治療に使用され得る;あるいは、抗体(C)またはアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)は、必要な場合のEX20活性を阻害するために使用され得る;抗体(C)は、ポリペプチド(A)の検出、または発現のレベルの測定に、あるいはポリペプチド(A)のリガンド/抗リガンド結合活性の阻害のために使用され得る;そして本発明のプローブは、EX20遺伝子の存在または不存在の検出、すなわち、遺伝的異常性の検出に、あるいは、例えば炎症性疾患の診断において、細胞サンプルにおけるEX20の発現のレベルを測定するために使用され得る。
【0038】
“遺伝子治療”は、個体の体細胞への遺伝的物質の導入に基づくヒトの疾患の処置の試みを意味する。遺伝子導入は、インビボで遺伝子担持ウイルス性または非ウイルス性ベクターを血液または組織へ直接的に投与すること、またはエキソビボで研究室において操作した細胞に遺伝的物質を移入すること、続いて、遺伝子含有細胞を個体に送達すること、により達成され得る。細胞内の遺伝的物質を変えることにより、遺伝子治療は、罹患している病気の病態生理を改善し得る。動物における特定の組織および臓器系への遺伝子送達の適当なベクターおよび方法は、それぞれ、Dracopoli, N.C. et al., Current Protocols in Human Genetics. John Wiley and Sons Inc., Chapters 12 and 13に記載されている。前記のポリヌクレオチド(A)に関連して、遺伝子治療には、適当な制御エレメント下でEX20遺伝子の発現カセットを含むウイルス性または非ウイルス性遺伝子治療用ベクターの、疾患個体の肺への送達が含まれ、それにより病気の病態生理が改善されるか、または軽減される。
【0039】
したがって、本発明は、
炎症性疾患、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置方法であって、有効量の前記のポリペプチド(A)、ポリヌクレオチド(B)、抗体(C)またはアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法;
【0040】
炎症性疾患の処置のための医薬の製造のための、前記のポリペプチド(A)、ポリヌクレオチド(B)、抗体(C)またはアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)の使用;
【0041】
対象由来の遺伝サンプルを、前記のポリヌクレオチド・プローブと、プローブが相補的ポリヌクレオチド配列とハイブリダイズする条件下でインキュベートし、第1反応産物を産生し、そして第1反応産物を正常遺伝サンプルで得たコントロール反応産物と比較することを含み、第1反応産物とコントロール反応産物の差異が対象における遺伝子異常または疾患の素因を示すものである、対象における遺伝子異常または疾患の素因を検出する方法;
【0042】
例えば、配列番号1または配列番号15を含むポリヌクレオチド(B)の存在の検出方法であって、細胞または組織由来のDNAを、前記のポリヌクレオチド・プローブと、プローブがポリヌクレオチド(B)と特異的にハイブリダイズする条件下で接触させ、そしてハイブリダイゼーションが起こるか否かを検出することを含む方法;
【0043】
患者におけるポリヌクレオチド(B)のヌクレオチド配列における異常を検出する方法であって、患者から単離したDNA中の標的ヌクレオチド配列を、増幅する配列を標的とする前記のプライマーの対を使用したポリメラーゼ連鎖反応により増幅し、そして多形性が存在するか否かの測定のために増幅配列を分析することを含む方法;
を提供する。
【0044】
“多形性”なる用語は、前記のポリヌクレオチド(B)の配列と比較した任意の配列の差異を意味する。
【0045】
本発明のポリヌクレオチド・プローブと相補的ポリヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションは、インシテュ(例えばFISH)ハイブリダイゼーション、ノーザンまたはサザン・ブロット分析、ドット・ブロットまたはスロット・ブロット分析を使用して検出し得る。異常性は、また、例えば配列感受性ゲル電気泳動(CSGE)およびDNA配列決定により検出し得る。遺伝的異常性は、個体のEX20タンパク質の、正常EX20タンパク質のアミノ酸配列と比較したアミノ酸配列における変化、あるいはタンパク質の欠失をもたらし得る。あるいは、変化はアミノ酸配列を変えないが、代わりに、遺伝子の5’−もしくは3’−末端のいずれかでの制御エレメントの配列を変えることにより、または遺伝子のイントロン配列領域内の制御エレメントの配列を変えることにより、EX20遺伝子の発現を変え得る。変化は、また、遺伝子の転写が処理されるまたは翻訳される方法に影響し得る。本発明は、また、個体のEX20遺伝子のポリヌクレオチド配列における異常性を検出するため、または個体の細胞におけるEX20の発現のレベルを測定するためのキットを含む。このような使用のためのハイブリダイゼーション・キットは、検出可能な、例えば化学ルミネッセンス、放射性または蛍光性の標識をその中に包含させることにより修飾し得る、前記のプローブ(E)を含み、そして標識試薬、すなわち、放射性同位体、化学ルミネッセンスまたは蛍光基をハイブリダイズ産物に包含させる試薬のような他の試薬、および緩衝液を含み得る。PCR増幅キットは、上記のようなプライマー対を、TaqポリメラーゼのようなDNAポリメラーゼと共に含み得、そして増幅用緩衝液等のような付加的な試薬を含み得る。PCR増幅キットの特定の実施態様には、CSGEおよびDNA配列決定を含む、ポリヌクレオチド変化を検出する多くの技術に特異的な付加的な試薬が含まれ得る。
【0046】
ポリヌクレオチド(B)の発現のレベルの測定は、前記のような炎症性疾患の診断において使用され得る。したがって、本発明は、対象が炎症性疾患、例えば、上昇したGM−CSFレベルと連関する炎症性疾患を有するか否かを測定する方法を含み、ここで該方法は、該対象からの細胞サンプルにおいて、前記のポリヌクレオチド(B)、特に配列番号1または配列番号15のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(B)、またはストリンジェント条件でそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列(A)の発現レベルを測定すること、および当該レベルを、健康対象からの細胞サンプル中の該ポリヌクレオチドの発現レベルと比較することを含む。ポリヌクレオチド(B)の上昇した発現レベルは、炎症性疾患を示唆する。測定されたレベルは、該炎症性疾患の性質を示唆する。ポリヌクレオチド(B)の発現レベルは、例えば、ノーザン・ブロット分析、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、インシチュ・ハイブリダイゼーション、免疫沈降、ウェスタン・ブロット・ハイブリダイゼーションまたは免疫組織化学法(immunohistochemistry)によって、決定され得る。
【0047】
例えば、定量的RT−PCRを使用する診断試験において、mRNAを、所望の細胞、例えば、BAL液細胞(BAL fluid cell)または末梢血細胞から単離する。2種のプライマーであって、一方は、配列番号1のヌクレオチド765と783の間の領域の配列と同一の配列を有し、他方は、配列番号1のヌクレオチド815−835の逆相補物であるヌクレオチド配列を有する、プライマーを設計する。適当に修飾されそして標識されたプローブを、次いで、配列番号1のヌクレオチド787−813の間の配列に対応して作成する。適当なコントロール遺伝子を使用して、これらの2種のプライマーおよびプローブを、TaqMan(PE Applied Biosystems)装置において使用して、調査中の患者および健康対象から採取したサンプル中のEX20のmRNA量を測定する。診断目的でインシチュ・ハイブリダイゼーションを使用するとき、配列番号1に示す配列の任意の部分に対応する約200〜1200bpのプローブを使用できる。種々の長さのいくつかのオーバーラップ・プローブをそのような試験、例えば実施例3に記載のものにおいて使用することができる。サンプルを、患者から収集し、そしてパラフィンに包埋することができる。そのようなサンプルは、例えば、末梢血細胞、気管支肺胞洗浄(BAL)液細胞、または種々の組織切片であり得る。実施例3において記載したように調製された標識リボプローブを、次いで使用し、これらのサンプル中のEX20の発現レベルを測定し、そしてそれによって炎症性状態を同定することができる。
【0048】
本発明は、また、前記のような炎症性疾患、例えば、上昇したGM−CSFレベルと連関する疾患を有する対象の、薬物、例えば本発明の薬剤として前記したようなものでの処置をモニターする方法を含み、ここで該方法は、前記のポリヌクレオチド(B)もしくはポリペプチド(A)の発現レベルまたは処置後の対象からの細胞サンプル中の当該ポリペプチドの活性レベルを測定すること、および当該レベルを、該処置前のそれぞれのレベルと比較することを含む。該比較により望ましいと示される場合には、該薬物の該対象ヘの投与はそれに応じて変えられ得る。
【0049】
炎症性状態、例えば炎症性気道疾患の阻害または反転における本発明の薬物の有効性は、動物モデル、例えば、気道炎症または他の炎症性状態の、マウスまたはラットモデル、例えば、Szarka et al., J. Immunol. Methods (1997) 202:49−57; Renzi et al., Am. Rev. Respir. Dis. (1993) 148:932−939; Tsuyuki et al., J. Clin. Invest. (1995) 96:2924−2931; Cernadas et al (1999) Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 20:1−8; Durie et al., Clin. Immunol. Immunopathol. (1994) 73:11−18;およびWilliams et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89:9784−9788に記載されるように実証され得る。
【0050】
本発明が適用可能である炎症性疾患は、炎症性または閉塞性気道疾患、例えば内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方を含むいかなるタイプまたは起源の喘息を含む。喘息の処置は、また、喘鳴徴候を示し、「幼児喘鳴」と診断されるかまたは診断可能な、4または5歳未満の対象の処置を包含するものと理解され、「幼児喘鳴」は、よくある疾患の患者カテゴリーであり、現在では、しばしば、初期または早期喘息患者と同定される(便宜上、この特定の喘息状態を、「幼児喘鳴症候群」と呼ぶ)。
【0051】
、本発明が適用可能である他の炎症性または閉塞性気道疾患および状態は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺または気道疾患(CORDまたはCOAD)を含み、これらは特に他の吸入薬物治療における、慢性気管支炎またはそれに関連する呼吸困難、気腫、ならびに他の薬物治療の結果である気道反応亢進の増悪を含む。
【0052】
本発明は、また例えば急性、アラキドン酸性、カタル性、クループ性、慢性またはフチノイド性気管支炎を含む、いかなるタイプまたは起源の気管支炎の処置に適用可能である。本発明が適用可能であるさらなる炎症性または閉塞性気道疾患は、いかなるタイプまたは起源の塵肺(通常、職業性である炎症、肺の疾患であって、慢性または急性であれ、気道閉塞を頻繁に伴い、そしてほこりの反復吸入によって引き起こされるもの)を含み、これらは例えば、アルミノシス、炭症、石綿症、プチロシス(ptilosis)、シデロシス、シリコシス、タバコシスおよび綿肺症を含む。
【0053】
これらの抗炎症活性について、特に好中球または好酸球活性化の阻害に関連して、本発明の薬剤は、また、好中球または好酸球関連性障害、例えば好中球増加症または好酸球増加症、特に気道の好中球または好酸球関連性障害(例えば肺組織の病的な好酸球浸潤に関係する)の処置において有用であり、これらには、気道および/または肺に影響を与える好酸球増加症、ならびに例えば、Loeffer症候群、好酸球肺炎、寄生性(特に後生動物)侵入(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ・ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫および薬物反応により起こる気道に影響を与える好酸球関連障害の結果または付随の気道の好酸球関連性障害;ならびに、急性および慢性気管支炎、COPD、ARDS、気腫、リウマチ様関節炎、炎症性大腸炎(IBD)、潰瘍性大腸炎、原発性硬化性胆管炎およびクローン病のような好中球関連性障害が含まれる。
【0054】
本発明の薬剤は、任意の適当な経路で、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で、例えば経口的に;非経腸的に、例えば静脈内;局所的に、例えば軟膏剤またはクリーム剤で;経皮的、例えばパッチ剤で;吸入により;または経鼻的に投与され得る。
【0055】
本発明の薬剤を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤、およびガレヌス分野において既知の技術を使用して製造され得る。したがって、経口投与形態には錠剤およびカプセル剤が含まれ得、吸入用組成物にはエアロゾルまたは他の噴霧可能製剤または乾燥粉末製剤が含まれ得る。
【0056】
本発明は、(i)吸入可能な形態、例えばエアロゾルまたは他の噴霧可能な組成物の、あるいは吸入可能な粒子の、例えば微分化された形態の本発明の薬剤(A)、(B)、(C)または(D);(ii)吸入可能な形態の本発明の薬剤(A)、(B)、(C)または(D)を含む吸入可能な医薬;(iii)吸入デバイスと組み合わせた吸入可能な形態の本発明の薬剤(A)、(B)、(C)または(D)を含む医薬製剤;および(iv)吸入可能な形態の本発明の医薬(A)、(B)、(C)または(D)を含む吸入デバイスを含む。
【0057】
本発明の実行に用いる本発明の薬剤の投与量は、もちろん、例えば、処置する特定の状態、所望の効果および投与様式に依存して変動し得る。一般に、吸入による投与のための適当な一日投与量は、1μg/kgから10mg/kgのオーダーの範囲であるが、経口投与の適当な一日投与量は、0.1mg/kgから1000mg/kgのオーダーのものである。
【0058】
前記のポリペプチド(A)は、その活性の促進剤(アゴニスト)または阻害剤(アンタゴニスト)を同定するために、すなわち、炎症性疾患、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置に有用な化合物を同定するために使用され得る。したがって、本発明は、また、候補物質とポリペプチド(A)を組み合わせそして該ポリペプチド(A)の活性に対する候補物質の効果を測定することを含む、炎症性疾患の処置における使用に適した物質の同定方法を提供する。ポリペプチド(A)の活性は、例えば、細胞内Ca2+またはcAMP(サイクリックAMP)レベルを測定することにより、形状の変化により、または適当なレポーター遺伝子アッセイにより測定され得る。本発明には、また、前記のポリペプチド(A)に結合する、炎症性疾患の処置における使用に適した物質の同定方法であって、候補物質を該ポリペプチド(A)と混合すること、および結合が起こったか否かを測定することを含む方法が含まれる。
【0059】
本発明を、以下の実施例により説明する。実施例で使用する略語は、以下の意味を有する:
BLAST:ベーシック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツール
BSA:ウシ血清アルブミン
cAMP:環状アデノシン一リン酸
DTT:ジチオスレイトール
EDTA:エチレン−ジアミン四酢酸
EIA:酵素イムノアッセイ
EST:発現配列タグ
FCS:ウシ胎児血清
GM−CSF:顆粒球マクロファージ刺激因子
HEPES:4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸
IPTG:イソプロピル−b−D−チオガラクトピラノシド
LMP:低融点
MOI:感染多重度
PBS:リン酸緩衝性生理食塩水
PEG:ポリエチレングリコール
PBMC:末梢血単核細胞
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
PMSF:フェニルメチルスルホニルフルオライド
RPMI:Rosewell Park Memorial Institute
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
TEV:タバコエッチウイルス
【0060】
実施例1
血液(200ml)を、クエン酸ナトリウムを含む試験管に、滅菌条件下で呼吸器疾患の病歴のない正常ドナーから集める。好中球を確立された方法で精製する。PBMCを、末梢血細胞から、Ficoll Hypaque(Pharmacia)遠心により分離する。主に顆粒球および赤血球である残りの細胞集団を、赤血球融解溶液(155mM NH4Cl、10mM KHCO3、0.1mM EDTA、PH 7.3)で処理する。純度を測定するために、顆粒球をHansel染料(Difco Laboratories Ltd)で染色し、高倍率の光顕微鏡で区別する。好酸球の汚染は2%未満であることが分かる。刺激のために、好中球を500万細胞/mlの濃度で、RPMI−1640+10%FCS中に再懸濁する。細胞を、50ng/mlヒト組換えGM−CSF(R&D System)の存在下または非存在下で5時間培養する。総RNAを、製造者の記載の通りTRIZOL試薬(Gibco/BRL)を使用して抽出する。1mlのTRIZOLを、各500万個のペレット化好中球の再懸濁のために使用する。mRNAを、MESSAGEMAKER mRNA単離キット(Gibco/BRL)を使用して、製造者が推奨する条件で精製する。300ngのmRNAを使用して、第1鎖合成のためにSuperscript Choice System(Gibco/BRL)およびオリゴ(dT)を用いてcDNAを合成する。二本鎖cDNAを、等体積のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールで一回抽出し、そして0.5容量部の7.5M 酢酸アンモニウムおよび2.5容量部のエタノールで沈降させる。遠心分離の後、得られたペレットを70%エタノールで洗浄し、そして16μlの滅菌水中に再懸濁する。
【0061】
好中球におけるGM−CSF刺激後に優先的に発現する遺伝子を単離するために、得られたcDNAサンプルをcDNAサブトラクションおよび選択的富化手法で使用する。
【0062】
実施例2
本実施例は、cDNA−RADによってサブトラクションされたライブラリーの生成およびEX20 cDNAクローンの単離を記載する。
【0063】
cDNA−RADを、Hubank, M., and D.G. Schatz. Nucleic Acids Res. 22:5640−5648; and O’Neill, M.J., and A. H. Sinclair. Nucleic Acids Res. 25:2681−2682によって本質的に記載されているように実行する。未刺激および刺激された好中球から単離されたmRNAから調製された二本鎖cDNAサンプルを、DpnII制限酵素で消化し、そして24マー(配列番号7)を12マー(配列番号8)オリゴヌクレオチドにアニーリングすることによって得られるR−アダプターにライゲートする。両方の「テスター」(刺激された好中球のcDNA)および「ドライバー」(未刺激の好中球のcDNA)を、Expand Long Template PCR SystemおよびExpand Buffer 1(Roche Diagnostics)を使用して生成する。5種の100μl PCRをそれぞれのテスターについて、および10種をそれぞれのドライバーについて、実施する。DpnII消化を使用し、ドライバーおよびテスターアンプリコンの両方からR−アダプターを除去する。24マー(配列番号9)を12マー(配列番号10)にアニーリングすることによって得られたJ−アダプターを、次いで、テスター集団にライゲートさせる。サブトラクティブ・ハイブリダイゼーションを、5μlの反応物中で、67℃で20時間実施する。異なる産物1(DP1)を作成するため、250ngのテスターcDNAを、25μgのドライバーcDNAと、100:1の比率で混合する。DP1 cDNAを、次いで、DpnIIで消化し、J−アダプターを除去し、その後、N−アダプターをライゲートし、これは24マー(配列番号11)を12マー(配列番号12)オリゴヌクレオチドにアニーリングすることによって得られたものである。異なる産物2(DP2)を作成するため、31.25ngのテスターを、25μgのドライバーcDNAと、800:1の比率で混合する。消化され、そして過剰のアダプターを、該cDNAをMicrocon30フィルター(Amicon)上で洗浄することによって除去する。サブトラクションされたライブラリーをアガロースゲル電気泳動で分画化する。
【0064】
1.5%LMPアガロースゲル中のフラクションを、Agarase(Roche Diagnositics)で42℃で一夜消化し、滅菌水で三回洗浄し、そしてMicrocon30フィルター(Amicon)を使用して濃縮する。ライゲーションに先立ち、サブトラクションされたPCR cDNA混合物を、追加的dATPおよびTaq DNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics)と、20分間インキュベートし、ほとんどのcDNAフラグメントが「オーバーハング(A overhangs)」を含むことを確保する。
【0065】
約10ngのcDNAを、25ngのpCR2.1ベクター(Invitrogen)にライゲートし、そして該ライゲーションを、50μl One Shot competent cells(Invitrogen)に導入する。該ライブラリーを50μg/ml カルベシリン、および100mM IPTGおよび50μg/ml X−Galを含む寒天プレート上に置く。プレートを37℃で一夜、次いで、一時的に4℃でインキュベートし、明瞭に識別可能な青/白色染色し、そしてプラスミドを該白色コロニーの3ml培養物から精製する。個々のクローンのインサートを、M13リバースおよびフォワード・プライマーを使用して、自動ABI310シーケンサー(Perkin−Elmer)上で、それらのヌクレオチド配列を決定することによって分析する。得られた配列を、BLASTアルゴニズムを使用して配列類似性サーチで分析し、そして配列アラインメントを、GCGソフトエウェア・パッケージ(Wisconsin Package Version 9.1)を使用して行う。
【0066】
EX20と称するクローンを、ヒト・オーファンGPCR HM74(GenBank accession number D10923; Nomura et al.: Molecular cloning of cDNAs encoding a LD78 receptor and putative leukocyte chemotactic peptide receptors. Int. Immunol. 5(10):1239−1249, 1993)のデータベース・エントリーに有意な配列類似性を有するインサートを含むものとして同定する。次いで、EX20遺伝子の完全長コード領域を、公的なデータベースにおいて既知の配列を用いてPCRにより単離する。増幅産物を、自動ABI310シーケンサー(Perkin−Elmer)上で、M13リバースおよびフォワード・プライマーならびに遺伝子特異的プライマーを使用して、両方の鎖に対するそれらのヌクレオチド配列を決定することによって分析する。得られた配列を分析し、および配列コンティグを、GCGソフトウェア・パッケージ(Wisconsin Package Version 9.1)を使用して得る。得られたcDNA配列コンティグ(配列番号1)は試験された領域においてHM74と99%の配列同一性を示す。
【0067】
このヌクレオチド配列が翻訳されると、配列番号2に示す387アミノ酸残基のタンパク質となる。EX20遺伝子の他の配列変異対もまた単離される。配列番号15に示されるこれらの変異体のうちの1つは、コード領域における数箇所の1塩基相違および配列番号1の1086〜1090位のヌクレオチドの5塩基長の欠失により特徴付けられる。このヌクレオチド配列が翻訳されると、配列番号16に示される363アミノ酸のオープン・リーディング・フレームとなる。この場合のEX20タンパク質は、タンパク質配列における18箇所の1アミノ酸置換およびトランケーションにより特徴付けられ、その結果、配列番号2に示されるタンパク質配列と比較して24アミノ酸残基短い細胞内C末端を有するタンパク質となる。これらのアミノ酸配列の相違は、例えばリガンド結合、受容体の活性化またはEX20受容体と共役した下流へのシグナル伝達事象において機能的な意義を有し得る。
【0068】
実施例3
この実施例は、インシチュ・ハイブリダイゼーションによるEX20遺伝子の発現および組織分布の分析を記載する。
【0069】
標識リボプローブを生成するために、pSPORT1プラスミド(Life Technologies)のEcoRIおよびXbaI部位の間に1161bp挿入物を含むサブクローンを構築する。このサブクローンの挿入物は、下記実施例4の挿入物と同一であり、同じ方法で製造される。この構築物中に、ベクター中のSP6プロモーターを使用して、インシテュ・ハイブリダイゼーション実験におけるプローブとして使用できる挿入物のアンチセンス鎖を転写する。ベクター中のT7プロモーターは、ネガティブ・コントロールとして使用するセンス鎖を転写するのに使用する。パラフィン包埋サンプルからの連続組織切片を、1.2kb挿入物から合成した放射標識cRNAプローブとハイブリダイズする。リボプローブを、33P−ウリジン 5’−トリホスフェートと、SP6(アンチセンス)およびT7(センス)RNAポリメラーゼの存在下、インビトロで転写する。プローブを次いでカラム精製し、次いで5%TBE−尿素アクリルアミドゲルでの電気泳動に付し、サイズおよび純度を確認する。組織切片をプロテイナーゼKで消化し、次いで、プローブと約8.0x108dpm/mlで、65℃にて18時間ハイブリダイズする。スライドをRNAse Aで処理し、ストリンジェント条件下で2時間、0.1xSSC中で65℃にて洗浄する。スライドを、次いでKodak NTB−2エマルジョンで被覆し、4℃で7日間曝し、Kodak D−19現像液および定着液を使用して現像する。スライドをヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、Nikonマイクロスコープに接続したSony Digital Photo Cameraを使用して写す。アンチセンス・プローブとのハイブリダイゼーションに加えて、別のセクションを二つのタイプのコントロール・プローブとハイブリダイズする。全ての組織を、最初に、ベータ−アクチンmRNAに対するプローブとスクリーニングし、RNAがサンプル内に保存されていることを確認する。隣接連続セクションは、また、アンチセンス・プローブとして、遺伝子の同じ領域由来のセンス・コントロール・リボプローブとハイブリダイズをする。
【0070】
像を評価すると、白血球サブセットにおけるさまざまな炎症性疾患により影響される組織において、EX20遺伝子が優勢的に過剰発現していることが分かる。COPD、気腫、ARDSおよび喘息における呼吸器の炎症におけるマクロファージおよび好中球に、リウマチ様関節炎における滑液組織単球に、クローン病における好中球および類上皮組織球に、強いシグナルが観測される。リンパ球のサブセットは、また、喘息およびCOPDにおける気道において、リウマチ様関節炎における滑膜において、そして湿疹様皮膚炎における炎症性湿潤物においても強いシグナルを示す。炎症組織における炎症性細胞のシグナル強度は、非炎症性または正常に見える組織におけるこれらと同一の細胞タイプのシグナル強度と比較して一貫して大きい。
【0071】
実施例4
本実施例は、哺乳類発現系における、完全長機能的EX20の、安定なトランスフェクションを使用した発現およびEX20タンパク質の天然リガンドまたは人工アゴニストの同定のためのトランスフェクト細胞の使用に関する。
【0072】
発現ベクターの構築
独特なEcoRI部位(GAATTC)を、EX20開始コドン(ATG)の5’に、PCR増幅により以下のプライマー(配列番号13):
5’−TCACTAGAATTCATCATGAATCGGCA−3’
を使用して挿入する。他のプライマー(配列番号14)を使用して、EX20の停止コドン(TAA、逆相補:TTA)に対して3’の独特なXbaI(TCTAGA)部位に挿入する。
5’−GTCTAGAAGCTTACTCGATGCAAC−3’
組換え増幅産物を、EcoRIおよびXbaI制限酵素で消化させ、1176bpフラグメントとしてEcoRI/XbaI消化pcDNA3.1(+)(Invitrogen)哺乳類発現ベクターにライゲートし、E. coli DH5α細胞に形質転換する。形質転換体を、pcDNA3.1(+)に存在するアンピシリン耐性遺伝子を使用して選択し、EX20挿入物を含む組換えベクターを、無作為に選択したコロニーからプラスミドを単離し、そしてプラスミドを制限消化およびアガロースゲル電気泳動により、標準法を使用して同定する。
【0073】
哺乳類細胞中のEX20の安定な発現
プラスミド・ベクター含有組換えEX20挿入物を、次いで、CHO−K1細胞にトランスフェクトする。10%FCSおよび2mMグルタミン含有ダルベッコ修飾イーグル培地/Ham’s f12(50:50)で増殖させたCHO細胞のコンフルエントな(confluent)フラスコをトリプシン処理し、1:20希釈で、6ウェルプレートの2ウェルに2ml/ウェルの同じ培地中でプレーティングする。細胞を次いで37℃にて5%CO2で24時間培養する。翌日、トランスフェクション混合物を調製する。1μgプラスミドDNAを、各ウェルに関して100μl OptiMEM無血清培地(Life Technologies)に混合する。各ウェルで10μlリポフェクタミンを100μl OptiMEM中に、別の試験管で希釈する。2つの溶液を混合し、15分、室温でインキュベートする。インキュベーション中、細胞をOptiMEMで洗浄して血清を除去する。次いで、0.8ml/トランスフェクションの無血清OptiMEMを、DNA−リポソーム・トランスフェクション混合物に添加し、1mlのその溶液を次いで各ウェルに添加する。コントロール細胞を同様の方法で、但しプラスミドDNAをトランスフェクション混合物から除いて処理する。細胞を次いで、37℃にて5%CO2で5時間インキュベートし、次いでトランスフェクション混合物を2ml通常増殖培地と置きかえる。
【0074】
24時間後、トランスフェクタントを、細胞をPBSで洗浄し、トリプシン処理し、そしてそれらをT75フラスコに1mg/ml G418(Life Technologies)と共に再プレーティングすることにより選択する。細胞を次いで37℃にて5%CO2で、コントロールのフラスコの細胞が死ぬまで培地を2日毎に定期的に変えてインキュベートする。次いで、細胞を、96ウェルプレートの個々のウェルにそれらを1細胞/ウェルの密度にプレーティングし、それらをコンフルエンスまで増殖させることにより希釈クローン化する。細胞の更なる拡張後、個々のコロニーを、RT−PCRによりおよびEX20タンパク質に対して発生させたポリ−またはモノクローナル抗体を使用してEX20の発現に関してスクリーニングする。
【0075】
細胞内カルシウム・アッセイを使用した天然リガンドおよびアゴニストの同定
EX20レセプター・タンパク質を安定に発現するトランスフェクト細胞系および非トランスフェクト・コントロールを、T162フラスコでコンフルエントまで増殖させ、トリプシン処理し、適当な容量、約50mlの抗生物質を含まない増殖培地に再懸濁する。細胞を30,000細胞/ウェルで、100μl/ウェルで96−ウェルプレートに蒔き、これは翌日のアッセイ時にコンフルエント単層を形成させる。24時間後、細胞を、20mM HEPESおよび2.5mMプロベネシッド含有100ml細胞培養培地中の細胞質性カルシウム・インディケーター Fluo−3−AM(4mM)と37℃にて60時間インキュベートする。細胞を、20mM HEPESおよび2.5mMプロベネシッド含有PBSで4回洗浄し、100mlのその溶液を次いで各ウェルに添加する。天然リガンドおよび合成ライブラリー由来のコレクションからの試験化合物を、細胞に添加し、フルオレッセント・シグナルを最初の60秒間は毎秒、次の30秒間は5秒毎に読む。天然または合成アゴニストは、EX20発現および非発現コントロール細胞における同じ化合物により生成されるシグナルのレベルの比較によって同定される。
【0076】
実施例5
本実施例は、ATG開始コドン後に6ヒスチジン・タグを有する完全長EX20の、Spodoptera frugiperda Sf9細胞中のバキュロウイルス系を使用した発現、および得られたポリペプチドの精製に関する。
【0077】
組換えEX33バキュロウイルスの構築
独特なEcoRI部位(GAATTC)を、EX20開始コドン(ATG)の5’に、PCR増幅により、以下のプライマー(配列番号13):
5’−TCACTAGAATTCATCATGAATCGGCA−3’
を使用して挿入する。他のプライマー(配列番号14)を使用して、EX20の停止コドン(TAA、逆相補:TTA)に独特なXbaI(TCTAGA )の3’部位を挿入する。
5’−GTCTAGAAGCTTACTCGATGCAAC−3’
【0078】
組換え増幅産物を、EcoRIおよびXbaI制限酵素で消化させ、1176bpフラグメントとしてEcoRI/XbaI消化pFastbac(登録商標)HTaバキュロウイルス・トランスファー・ベクター(Life Technologies)にライゲートする。この構築物において、EX20遺伝子は、EX20コード領域が6xHis親和性タグ、続いてスペーサー領域、TEVプロテアーゼの認識部位および更なる7アミノ酸リンカー領域の後に置かれるため、融合タンパク質として発現される。6xHisタグを含むEX20融合タンパク質の発現は、親和性精製を助け、TEVプロテアーゼ開裂部位は、6xHisタグの除去に使用する。組換えEX20の配列を、DH10Bac細胞(Life Technologies;Bac to Bacバキュロウイルス発現系)により担持されるBacmid DNAに転位させる。EX20組換えBacmidsを、DH10Bac細胞から単離し、転位をPCR分析により確認する。
【0079】
Sf9細胞の組換えEX20 Bacmid DNAでのトランスフェクションおよび組換えバキュロウイルス・ストックの増幅
組換えEX20 Bacmid DNAを、Sf9細胞に公開されたプロトコールを使用してトランスフェクトする(Bac to Bacバキュロウイルス発現系マニュアル;Life Technologies)。組換えバキュロウイルスを培養培地から27℃で3日後に回収する。細胞上清を、500xgの遠心により5分間浄化し、4℃で保つ。組換えバキュロウイルスを、Sf9細胞(SF900 SFMII培地;Life Technologies)が1x106細胞/mlの細胞密度でありそして感染多重度(MOI)が48時間で0.01となるように感染させることにより増幅させる。Sf9細胞を次いで1000xgで5分間、遠心する。高力価ウイルスを含む上清を4℃で貯蔵する。
【0080】
組換えEX20のSf9細胞中での発現
2x105および3x106細胞/mlの間の密度で、SF900 SFMII培地(Life Technologies)中に、シェーカー・フラスコ(90RPMで回転)またはスピナー・フラスコ(75RPMで回転)のいずれかで維持しているSf9細胞を、増幅組換えバキュロウイルスで、1.5x106の細胞密度でMOIが2.0で60時間感染させた。続いて、感染Sf9細胞を1000xgで5分遠心し、上清を注ぎ出し、細胞ペレットを−80℃で凍結させる。
【0081】
粗融解物の調製
細胞(1x109)を、100mlの融解緩衝液(20mM Hepes pH 7.9、100mM NaCl、5%グリセロール、2mM E−メルカプトエタノール、0.5mM イミダゾール、0.1%Nonidet P−40、40pg/ml AEBSF、0.5pg/ml ロイペプチン、1pg/ml アプロチニンおよび0.7pg/ml ペプスタチンA)に再懸濁する。細胞を、氷上で15分インキュベートし、次いで39,000xgで30分、4℃で遠心する。
【0082】
金属キレート親和性クロマトグラフィー
金属キレート親和性クロマトグラフィーを、室温にてBioCADクロマトグラフィー・ワークステーションに接続したカラムで行なう。20ml Poros MC/M(16mmD×100mmL)カラムをNi2+で、使用前および各注入後に満たす。Ni2+で満たすために、カラムを10カラム容量(CV)の50mM EDTA pH 8、1M NaCl、続いて10CVの水で洗浄する。カラムを、500mlの0.1M NiSO4 pH 4.5−5で満たし、10CVの水で洗浄し、次いで任意の非結合Ni2+を、5CVの0.3M NaClでの洗浄により除去する。全ての段階を20ml/分の流速で行なう。満たしたMC/Mカラムを、5CVの緩衝液B(20mM Hepes pH 7.9、100mM NaCl、5%グリセロール、2mM E−メルカプトエタノール、1mM PMSF、100mM イミダゾール)で平衡化し、部位を飽和させ、続いて10CVの緩衝液A(0.5mM イミダゾール以外、緩衝液Bと同じ)で満たす。ラン当たり90〜95mlの粗融解物を、20ml/分の流速で、カラムに充填する。続く段階を、30ml/分の流速で行なう。任意の非結合物質を12CVの緩衝液Aでの洗浄により除去し、EX20は0〜50%緩衝液Bの10CVにわたる勾配で溶出する。フラクション(8ml)を勾配にわたり回収する。EX20含有フラクションを合わせ、プロテアーゼ阻害剤を、上記融解緩衝液に関して記載の最終濃度まで添加する。DTTも最終濃度1mMまで添加する。合わせたフラクションを、一晩、4リットルの20mM Hepes pH 7.9、1mM DTT、0.2mM PMSFに対して4℃で透析する。タンパク質濃度を測定し、必要な場合には、サンプルをMillipore Ultrafree−15遠心デバイス(MWカットオフ50kDa)で4℃にて濃縮する。デバイスを、使用前に水で濯ぐ。−80℃での長期貯蔵に使用する緩衝液は、20mM Hepes pH 7.9、1mM DTT、約100mM NaCl、5%グリセロールである。グリセロールは、4℃での貯蔵では、サンプルから除くことができる。
【0083】
実施例6
本実施例は、EX20タンパク質に対するポリクローナル抗体の生成に関する
【0084】
免疫化
ウサギの皮下部位4箇所を、500μg精製EX20タンパク質で以下のスケジュールにしたがって免疫化する:
【表1】
【0085】
試験採血(500μl)を取り、血清を抗体力価に関して評価する。血清を、最大力価が得られたときに回収する。これは、血液(10ml)を取り、それを、4℃で2時間凝血させることにより行なう。血液を1000xgで5分遠心し、血清を分離する。血清を除去し、アッセイまで−20℃で貯蔵する。
【0086】
ELISAスクリーニング
Nunc−Immuno Plate Maxisorp 96ウェルプレート(Nunc, Basle, CH)を固体支持体として使用し、精製EX20タンパク質(100ng/ウェル)で4℃にて一夜コートする。プレートを3時間、37℃にて2%BSA(Sigma)および0.02%NaN3(Sigma)含有PBSで遮断する。遮断後、プレートを一晩室温で、異なる希釈のPBS中の血漿と共にインキュベートする。ポリクローナル抗体の存在を、ウサギに対するビオチン標識IgG−抗体(ヤギ抗ウサギIgG抗血清、1:25000希釈)で、40分のインキュベーション時間でチェックする。アルカリホスファターゼ接合ストレプトアビジン(Immununo Research, Dianova, CH)を、次いで1:10000の希釈で添加する。反応の展開を、ジエタノールアミンに溶解したホスフェート基質(Sigma、f.c. 1mg/mlの添加により行なう。45分後、405nmの吸光度を490nmを参照して、ELISAプレート・リーダー(Biorad)で読む。
【0087】
ポリクローナル抗体の精製
5mlタンパク質A−アガロースを、クロマトグラフィーカラムに注ぎ、6カラム容量の0.1Mトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(Tris)緩衝液pH 7.5で洗浄する。抗−EX20抗体を含むウサギ血清を、Tris緩衝液で希釈(1/2)し、タンパク質A−アガロースに添加する。非結合タンパク質を、6容量のTris緩衝液でカラムを洗浄することにより除去する。IgGは、3カラム容量の0.1Mグリシン緩衝液 pH 3.0でカラムから溶出し、1mlフラクションとして28μlの1M Trisを含む試験管に回収する。タンパク質含有に関して陽性のフラクションを、純度に関してSDS−PAGEにより、還元条件下でチェックする。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖に対応する50および25Kdの二つのバンドを可視化する。免疫グロブリンのみを含むフラクションをプールし、タンパク質濃度に関して再チェックし、−20℃で貯蔵する。
【0088】
実施例7
この実施例は、EX20タンパク質に対するモノクローナル抗体の生成に関する
【0089】
免疫化
雌Balb/cマウスを、腹腔内(ip)で100μgのEX20タンパク質で下記のスケジュールにしたがって免疫化する:
【表2】
【0090】
該動物を融合のための脾臓細胞の調製のために屠殺した後に、血清を抗体力価に関してELISA(実施例6)により評価する。抗体力価が十分(1/1000から1/100,000)である場合にはハイブリドーマをスクリーニングし、そうでなければ棄てる。
【0091】
ミエローマ細胞の調製
Sp2/0マウス・ミエローマ細胞(ATCC #CRL 1581;20μg/ml 8−アザグアニン含有培養培地に維持)を、融合前に1週間、RPMI1640(8−アザグアニジンを含まない)、10%(v/v)FCSおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシン(各々50IU/mlおよび50μg/ml)中で培養する。細胞を遠心(200xg、5分)で回収し、冷RPMI1640で3回洗浄する。96ウェル・マイクロタイタープレート当たり、約2.5x106細胞を使用する。
【0092】
脾臓細胞懸濁液の調製
マウスを麻酔(Forene)の過量投与により屠殺し、脾臓を解剖し、細胞ストレイナー(70μmメッシュ細胞ストレイナー;Becton & Dickinson, Oxford, UK, Cat. No 2350)を通して圧縮する。細胞懸濁液をRPMI1640で3回洗浄し(上記の通り)、計数する:5.106細胞/96ウェルプレートが必要である。
【0093】
ミエローマ細胞および脾臓細胞の融合
脾臓およびミエローマ細胞を混合し(2:1)、遠心し(200xg、5分)、ペレットを37℃水浴で温める。予め温めたポリエチレングリコール4000(1ml/108細胞)を、1分間かけてゆっくり添加し、次いで20mlの予め温めた培地を2分間かけて添加する。遠心後、ペレットを注意深く選択培地(RPMI1640、10%FCS、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、10%BM condimed H1(Boehringer Mannheim, Lewes, UK; Cat. No. 1 088 947からの支持細胞置換)、10%HAT−培地添加物(非融合ミエローマ細胞に対して選択するためのヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン細胞;Boehringer Mannheim, Lewes, UK; Cat. No. 644 579)に再懸濁し、200μl/ウェルの96ウェル・マイクロタイタープレートにプレーティングする。
【0094】
5日間の後、ハイブリッド細胞のクラスターは、マイクロタイター・ウェルの底を倒立顕微鏡で試験することにより同定できる。10〜14日後、培養上清を抗体の存在に関してELISA(実施例5)により試験する。陽性クローンを24ウェル・アッセイプレートに拡張し、再試験する。
【0095】
陽性ハイブリドーマのクローニング
まだ陽性である拡張クローンを、限定希釈によりクローン化する。細胞を、連続的に4希釈段階で96ウェル・マイクロタイタープレートで希釈する;5、2、1および0.5細胞/ウェル。HAT−培地添加物を、HT−培地添加物(Boehringer Mannheim, Lewes, UK; Cat. No. 623 091)で置きかえる。約1週間後、細胞をELISA(実施例5)でスクリーニングする。一陽性クローンを含むこれらのウェルの細胞を拡張する。
【0096】
モノクローナル抗体上清の製造
ハイブリドーマが過増殖しそして死ぬまで、細胞を培養フラスコで標準培地(RPMI1640、10%(v/v)FCSおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシン)中にて増殖させる。残骸を遠心により除去し、抗体を含む上清をELISA(実施例7)を使用した力価で力価測定し、その後滅菌条件下で4℃、−20℃または−70℃で貯蔵する。
本発明は、治療的および診断的適用におけるEX20と呼ばれる炎症関連Gタンパク質共役受容体の遺伝子の使用、EX20によりコードされるタンパク質分子および関連分子に関する。
【0002】
幾つかの疾患、例えば多くの呼吸性および炎症性疾患の発症および持続には、病理学的状態の発症の間の、多くの表現型の変化を受ける種々の細胞型の参加が関与している。これらの表現型の変化は、種々の遺伝子およびタンパク質の発現および機能化における特異的変化の結果である。発現が特定の生理学的または病理学的状態において変化している遺伝子またはタンパク質の検出は、したがって、病理学的および治療的に重要な遺伝子またはタンパク質の同定につなげることができる。
【0003】
炎症中に組織内に誘引される細胞は、種々の炎症性食細胞、例えば、好中球性および好酸球性の顆粒球および単球を含む。これらの細胞は、急性及び慢性気管支炎の両方、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、リウマチ様関節炎、炎症性腸疾患(IBD)、潰瘍性大腸炎、原発性硬化性胆管炎およびクローン病における呼吸器管炎症を含むいくつかの炎症疾患組織破壊と連関された。
【0004】
いくつかの炎症性呼吸疾患においては、炎症性組織に存在する増加した数の好中球、マクロファージおよび他の白血球がある。種々の白血球および内皮細胞による化学誘引物質の放出の結果として、肺への高度な移動は、炎症の部位でのこれらの細胞の蓄積に貢献する。顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)のレベルの増加は、好中球の機能的寿命を増加させ、そして食細胞性および酸化的破裂活性ならびに前記疾患の炎症性プロセスを調節するのに重要なプロ炎症性サイトカインの産生の両方を増加させることが示された。
【0005】
炎症性状態における白血球の作用の重要なステップは、これらの細胞の、該組織への、例えば呼吸炎症の気道への、またはリウマチ様関節炎の関節への移動、細胞活性化および一定の炎症性メディエーター、ロイコトリエン、酸素ラジカル、プロテアーゼの放出を含む。発現がサイトカイン刺激により、例えばGM−CSFによりアップレギュレートされる遺伝子およびタンパク質の単離は、治療上の有益性を提供するために活用され得る分子標的を同定し得る。
【0006】
最近、差次的遺伝子発現(differential gene expression)の検出および差次的に発現した遺伝子の単離のための幾つかの方法および技術が開発された。変化を、例えば、プロテオミクス・アプローチを使用するタンパク質レベルで同定することができ、そして転写調節の変化を、ディファレンシャルディスプレイ(Liang, P., and Pardee, A.B., Science 257:967−971)、SAGE(serial analysis of gene expression)(Velculescu, V.E., Zhang, L., Vogelstein, B., and Kinzler, K.W. Science, 270:484−487)、固体支持体に結合した複合cDNAプローブ高密度cDNAまたはオリゴヌクレオチドアレイのディファレンシャル・ハイブリダイゼーション(Chee, M. Yang, R., Hubbell, E. Berno, A. Huang, X.C., Stern, D., Winkler, J., Lockhart, D.J., Morris, M. S. and Fodor, S.P.A. Science(1996) 274:610−614; Lockhart, D.J., Dong, H. Byrne,M.C., Follettie, M.T., Gallo, M.V.,Chee, M.M., Wang, C., Kobayashi, M., Horton, H. and Brown, E.L. Nature Biotechnology (1996) 14:1675−1680; Shena, M., Shalon, D., Davis, R.W. and Brown, P.O. Science (1995) 250:467−470)およびcDNAサブトラクション法(cDNA subtraction methods)、例えばレプレゼンテーショナル・ディファレンス分析(Hubank, M., and Schatz, D.G. Nucleic Acids Res. 22:5640−5648)を含む幾つかの方法によって検出することができる。
【0007】
差次的に発現した遺伝子を同定するために使用できる1つの方法は、cDNAのレプレゼンテーショナル・ディファレンス分析(cDNA−RDA)である。cDNA−RDAは、PCRに基づくサブトラクティブ・エンリッチメント法(PCR−based subtractive enrichment procedure)である。最初に複合ゲノムの間の差の同定のために開発され、それが種々の組織または細胞サンプルの間で変化した発現を有する遺伝子の単離を可能とするように適合化された(Lisitsyn, N., and Wigler, M. Science 259:946−951; Hubank, M., and Schatz, D.G. Nucleic Acids Res. 22:5640−5648; O’Neill, M. J., and Sinclair, A.H. Nucleic Acids Res. 25:2681−2682)。この技術は、いくつかの間違った陽性物の単離、すなわち望まれない差産物が、競合的に排除され、そして稀な転写物を生産する遺伝子がまた検出および単離できる事実を含む幾つかの利点を提供する。
【0008】
炎症性状態において過剰発現する遺伝子の同定は、炎症性状態の理解に重要な機会を提供するであろう。これらの遺伝子およびタンパク質の過剰発現に関連した組織分布および疾患は、適切に選択された患者由来の組織サンプルを用いて確立され得る。さまざまな技術、例えば組織学的手法、例えばin situハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学がこの目的に適用され得る。これらの遺伝子の過剰発現は、多くの臨床的に重要な適用があり得る疾患状態においてそれらが重要であることを示す。
【0009】
Gタンパク質共役受容体の同定は、特に有利である。白血球の移動および活性化に必要なシグナルは、しばしば、3つの細胞内ループおよび3つの細胞外ループにより接続された7回膜貫通へリックス(TM−IからVII)を特徴とする7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーに属する受容体を介して伝達される。GPCR遺伝子ファミリーは、最大の既知のレセプターファミリーである。GPCRは、細胞外シグナルのトランスデューサーであり、それらは組織が幅広いシグナル伝達分子に応答することを可能にする。Gタンパク質は治療的適用における重要な標的である。というのは、それらは広範な生理学的および病理学的プロセスに関与するからである。現在市販されている医薬の60〜70%が、GPCRスーパーファミリーのメンバーに、実際に作用すると概算されている。
【0010】
種々のクローニング・ストラテジーおよびデータベース・マイニング・アプローチ(database mining approach)により、多くのGPCRがクローニングされている。しかし、リガンドの同定は遅れており、そのタンパク質生成物が、基準として配列類似性および予測的三次元構造を使用して、GPCRファミリーのメンバーである多くのGPCR遺伝子が存在するが、それに対するリガンドは知られていない。これらの受容体は、オーファンGタンパク質共役受容体(oGPCR)として一般に知られている。
【0011】
炎症細胞において発現しそしてそれらの過剰発現と疾患状態との関連を確立しているGタンパク質共役受容体の遺伝子の同定は、多くの臨床的に重要な適用があり得る炎症状態の理解の重要な機会を提供するであろう。同定されたGPCRは、該遺伝子または該遺伝子のタンパク質産物を直接の標的とした治療(小分子医薬、アンチセンス分子、抗体分子)の開発を導き得るか、または、このような医薬の開発が該遺伝子を直接的にターゲティングすることよりも容易な場合には、上流または下流での生化学的経路を標的とし得る。該遺伝子および配列変異体を含むポリヌクレオチド配列は、炎症性状態の臨床診断的試験を開発するために使用され得る。さらに、これらの炎症性状態に関与するGPCRのDNA配列および、これらの遺伝子によりコードされるアミノ酸配列に関する情報は、組換え技術によるタンパク質の大規模製造、ならびに天然に該タンパク質を生成する組織および細胞の同定を促進する。このような配列情報は、また、GPCR遺伝子によりコードされるタンパク質と特異的に反応する抗体物質または他の新規結合分子の製造を可能にし、これはタンパク質が関与する天然リガンド/抗リガンド結合反応の調節に使用され得る。
【0012】
上記の疾患における炎症プロセスを調節するのに重要なサイトカインの刺激後に、例えばGM−CSFにより、EX20の発現がアップレギュレートされることが見出された。さまざまな白血球サブセット(leukocyte subsets)におけるEX20の観察される炎症疾患関連過剰発現の見地において、EX20およびそれによりコードされるタンパク質は上記の炎症疾患の診断においていて有用であり、そして、コードされるタンパク質はそれらの疾患の処置に適した医薬の同定のための治療的標的として有用である。
【0013】
したがって、1つの観点において、本発明は、所望により薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、(A)配列番号2または配列番号16のアミノ酸配列または該アミノ酸配列の機能的等価変異体、すなわち、その生物学的または他の機能的活性を保持した変異体、例えば配列番号2または配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する抗体を上昇させることができる変異体を含むポリペプチド;または(B)ポリペプチド(A)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(以後、EX20と呼ぶ);または(C)ポリペプチド(A)と免疫反応性である抗体;または(D)ポリヌクレオチド(B)と相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス・オリゴヌクレオチド;を活性成分として含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本明細書で使用する用語は、以下の意味を有する:
“単離”は、その本来の環境から除かれた物質を意味する。
“ハイブリダイゼーション”または“ハイブリダイズ”は、ポリヌクレオチド鎖が、塩基対形成を介してその相補鎖と結合する任意の工程を意味する。
“ストリンジェントな条件”は、20%までの塩基対ミスマッチを可能にする実験条件を意味し、典型的に65℃で0.1XSSC(15mM NaCl、1.5mM クエン酸ナトリウム、pH 7.0)の2回、15分洗浄である。
【0015】
“相同性”または“相同的な”は、部分的であるか、または配列が同一である場合には完全であり得る、ヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間の類似の程度を意味する。
“発現ベクター”は、転写のために提供される追加的セグメントに作動可能に連結された所望のポリペプチドをコードするセグメントを含む直鎖または環状DNA分子を意味する。
【0016】
“アンチセンス”は、標的タンパク質のメッセンジャーRNA(mRNA)における、オリゴ−またはポリヌクレオチドの、その相補的配列へのハイブリダイゼーションを介したタンパク質合成の選択的阻害を意味する。アンチセンスという概念は、最初に、ZamecnikおよびStephenson (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:280−284; Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:285−288)により提案され、続いて実験的ツールとしておよび推定治療分子を生成する手段としての両方の広い適用が発見された(Alama, A., Pharmacol. Res. 36:171−178; Dean, N.M., Biochem. Soc. Trans. 24:623−629; Bennet, C.F., J. Pharmacol. Exp. Ther. 280:988−1000; Crooke, S.T., Antisense Research and Applications, Springer)。
【0017】
本明細書で使用する“変異体”は、アミノ酸配列に関して、1個以上のアミノ酸により変えられているアミノ酸配列を意味する。変化は、アミノ酸置換、欠失または挿入を含み得る。ヌクレオチド配列に関して、本明細書で使用する“変異体”なる用語は、1個以上のヌクレオチドにより変えられているヌクレオチド配列を意味する;変化は、ヌクレオチド置換、欠失または挿入を含み得る。好ましいアミノ酸配列番号2または配列番号16の機能的同等変異体は、配列番号2または配列番号16と、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、そしてとりわけ95%を超えるアミノ酸配列同一性を有するものである。
【0018】
配列番号2または配列番号16のような参照配列とx%同一性を有するアミノ酸配列は、参照配列の100アミノ酸当たり、100−x個のアミノ酸の変化までを含み得る以外、参照配列と同一の配列を意味する。例えば、参照配列と少なくとも80%同一性を有する対象アミノ酸配列において、参照配列における20%までのアミノ酸残基が、別のアミノ酸残基により置換、欠失または挿入されていてよい。アミノ酸配列間の同一性パーセントは、既知のコンピュータープログラム、例えばBrutlag et al(Comp. App. Biosci.(1990) 6:237−245)のアルゴリズムをベースにしたFASTDBプログラムを慣用的に使用して決定できる。
【0019】
ポリヌクレオチド(B)は、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAであり得る。特定の実施態様では、ポリヌクレオチド(B)は、配列番号1または配列番号15のヌクレオチド配列を含むcDNAであるか、あるいは配列番号1または配列番号15に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAである。そのようなハイブリダイゼーション要件を満たすヌクレオチド配列は、1またはそれ以上のヌクレオチドの欠失、挿入または置換の結果であるものを含む。
【0020】
本発明は、また、配列番号15のヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
本発明のさらなる観点において、ポリヌクレオチド(B)は、配列番号1または配列番号15からの、少なくとも20、例えば少なくとも50、例えば少なくとも100、例えば少なくとも200、例えば少なくとも500、例えば少なくとも1000、例えば少なくとも1100連続塩基を有する部分を含む。本発明のいっそうさらなる観点において、ポリヌクレオチド(B)は、配列番号2または配列番号16からの、少なくとも10、例えば少なくとも50、例えば少なくとも100、例えば少なくとも200、例えば少なくとも300連続アミノ酸をコードするヌクレオチドを含む。
【0022】
ポリヌクレオチド(B)は、GPCRのファミリーまたはサブファミリーのメンバーの中で保存されているアミノ酸配列モチーフを使用して設計された縮重プライマーを使用したPCRにより、最初にそのフラグメントを単離することにより単離され得る。縮重プライマーは、ヒト細胞、特に白血球からまたはとりわけ貪食細胞、例えば好中性および好酸性顆粒球からまたはゲノムDNAから単離されたRNAから調製したcDNA由来のフラグメントを増幅させるために使用され得る。単離フラグメントを次いで配列決定し、完全長クローンを、最初に、その配列およびヒト細胞、特に白血球からまたは特に貪食細胞、例えば好中性および好酸性顆粒球からまたはゲノムDNAから単離したRNAを使用して設計した遺伝子特異的プライマーを使用した5’および3’ RACE(cDNA末端急速増幅)を使用した、5’および3’’末端を含む重複フラグメントを単離し、続いて標準法によってこれらのフラグメントを接続することにより得る。
【0023】
ポリヌクレオチド(B)はまた、最初に、GPCRのファミリーまたはサブファミリーのメンバーの中で保存されているアミノ酸配列モチーフを使用して設計した、縮重プライマーを使用したPCRにより、そのフラグメントの単離により単離され得る。縮重プライマーは、ヒト細胞、特に白血球からおよびとりわけ貪食細胞、例えば好中性および好酸性顆粒球からまたはゲノムDNAから単離したRNAから調製した、cDNAからのフラグメントを増幅させるために使用され得る。単離フラグメントを次いで配列決定し、完全長クローンを、このフラグメントまたはその一部を、ヒトcDNAライブラリー、好ましくは白血球または、とりわけ顆粒球cDNAライブラリーまたはヒトゲノムDNAライブラリーをスクリーニングするためのプローブとして使用することにより得る。
【0024】
例えば配列番号1または配列番号15の配列を有する、ポリヌクレオチド(B)はヌクレオチドから調製され得、それには既知の方法および装置を使用した化学合成、例えば、自動固相合成が含まれる。
【0025】
ポリペプチド(A)は、前記のポリヌクレオチド配列を、転写のためのプロモーターおよび他の適当な調節エレメントを含む発現ベクターにクローニングし、細菌、植物、昆虫、酵母、動物またはヒト細胞のような原核生物または真核生物の宿主細胞に導入し、そして適当な条件下で組換え発現ベクターを含む宿主細胞を培養することにより製造され得る。このようなポリペプチドの組換え発現のための技術は既知であり、例えば、J. Sambrook et al, Molecular Cloning, second edition, Cold Spring Harbor Press, 1990に記載されている。
【0026】
本発明の観点において、ポリペプチド(A)は配列番号2または配列番号16からの、少なくとも10、例えば少なくとも50、例えば少なくとも100、例えば少なくとも200、例えば少なくとも300連続アミノ酸を含む。
【0027】
本発明は、また、配列番号16のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド、特に組換えポリペプチドを提供する。
【0028】
ポリペプチド(A)は、1個以上の異種ポリペプチドとの組換え融合タンパク質として、例えば精製を促進するために、発現し得る。例えば、それは、本発明のポリヌクレオチド配列と異種ポリペプチド配列の間に位置する開裂部位を含む、ポリヒスチジンのような異種ポリペプチドとの組換え融合タンパク質として発現し得、その結果、配列番号2または配列番号16のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、周知技術を使用して異種部分から開裂および精製され得る。
【0029】
ポリペプチド(A)は、また、アミノ酸から全体または一部が合成され得、それには周知の化学的方法、例えば自動固相合成が含まれる。
【0030】
ポリペプチド(A)は既知の標準法により精製され得る。
【0031】
本発明は、また、前記のポリペプチド(A)と免疫反応性である抗体(C)を提供する。該抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。このような抗体は慣用法を使用して製造され得る。精製抗原に対するポリクローナル抗体を製造する方法は、確立されている(Cooper and Paterson in Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al. Eds., John Wiley and Sons Inc., Chapter 11参照)。典型的に、ウサギ、またはマウスのような宿主動物を、精製ポリペプチド(A)またはその免疫原性部分を抗原として免疫化し、適当な時間の後に、宿主血清を集め、ポリペプチドに対して特異的な抗体に関して試験する。精製抗原に対するモノクローナル抗体の製造法は確立されている(Chapter 11, Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel et al. Eds., John Wiley and Sons Inc.参照)。ポリクローナル抗体の製造のために、血清を飽和硫酸アンモニウムまたはDEAE Sephadexで処理できる。モノクローナル抗体の製造のために、免疫化動物の脾臓またはリンパ球を除去し、不死化するか、既知の方法によりハイブリドーマを製造するのに使用する。不死化細胞により分泌された抗体は、例えば、ウエスタン・ブロット分析を使用して、望ましい特異性の抗体を分泌するクローンを決定するためにスクリーニングする。ヒト化抗体は、慣用法で製造できる。
【0032】
別の観点において、本発明は、ポリヌクレオチド(B)に相補的なヌクレオチド配列、特に配列番号1または配列番号15に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)を提供する。該アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、DNA、DNAのホスホロチオエートまたはメチルホスホネートアナログのようなDNAのアナログ、RNA、RNAのアナログ、またはペプチド核酸(PNA)であり得る。該アンチセンス・オリゴヌクレオチドは慣用法で、例えば自動固相法を使用して合成できる。
【0033】
本発明は、また、前記のポリヌクレオチド(B)の少なくとも15連続ヌクレオチドまたはそれの相補体を含むポリヌクレオチド・プローブを提供する。プローブは、cDNA、ゲノムDNAまたはRNAであり得る。通常、これは15から50ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドであるか、または例えば1100まで、例えば1000まで、例えば500までの(B)の連続ヌクレオチドを含む比較的長い分子であり得る。該プローブは、例えばフルオロフォアまたは化学ルミネセンス物質または放射性標識で標識でき、検出可能なシグナルを提供する。
【0034】
ポリヌクレオチド・プローブは、ストリンジェントな条件下で、配列番号1または配列番号15の配列を有するポリヌクレオチド・フラグメントを有するポリヌクレオチド・フラグメントと選択的にハイブリダイズできる。該プローブは、このようなハイブリダイゼーション条件下で、その同族配列にのみハイブリダイズする配列を有する。上記のDNAプローブは、ノーザンおよびサザン・ブロット分析、ドット・ブロットおよびスロット・ブロット分析、および蛍光イン・シテュ・ハイブリダイゼーション(FISH)を含む多くのスクリーニングの適用に有用である。
【0035】
本発明はまた、前記のポリヌクレオチド(B)、すなわちEX20のフラグメントのDNA増幅のためのプライマーとして有用なオリゴヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドの対を含み、ここで、該対の各プライマーは、少なくとも15ヌクレオチド長であり、そして該対は、ヒトゲノムDNAまたは適当なヒトcDNA標的とのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に使用した場合、EX20の配列を全てまたは好ましくは一部含むDNAフラグメントの合成をもたらすような配列を有する。プライマー対は、好ましくはEX20のコード領域またはその一部を増幅することができる。このようなプライマー対の例は、以後、各々配列番号3〜4および配列番号5〜6として示す。
【0036】
好中球性または好酸球性の炎症により特徴付けられる炎症性疾患におけるポリペプチド(A)の役割は、通常のアレルゲン誘発性の、動物の炎症状態のモデル、例えば卵白アルブミン誘発性のラットまたはマウスのモデルを使用して測定できる。
【0037】
前記のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体、アンチセンス・オリゴヌクレオチドまたはプローブ(以後、集合的に本発明の薬剤と呼ぶ。)は、前記のような炎症性疾患の処置(予防的または対症的)または診断に使用され得る。いくつかの炎症状態において、EX20のアップレギュレーションは抗炎症事象(anti−inflammatory event)を誘導し得、その結果、このアップレギュレーションを促進する処置が適当であり得る。例えば、ポリペプチド(A)は、該ポリペプチドを欠く、またはそうでなくてもそれを必要とする哺乳類、特にヒトの処置に使用され得る;ポリヌクレオチド(B)は、EX20活性の増加が望まれている、例えば、対象が変異したEX20遺伝子を有するか、または欠いている場合の遺伝子治療に使用され得る;あるいは、抗体(C)またはアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)は、必要な場合のEX20活性を阻害するために使用され得る;抗体(C)は、ポリペプチド(A)の検出、または発現のレベルの測定に、あるいはポリペプチド(A)のリガンド/抗リガンド結合活性の阻害のために使用され得る;そして本発明のプローブは、EX20遺伝子の存在または不存在の検出、すなわち、遺伝的異常性の検出に、あるいは、例えば炎症性疾患の診断において、細胞サンプルにおけるEX20の発現のレベルを測定するために使用され得る。
【0038】
“遺伝子治療”は、個体の体細胞への遺伝的物質の導入に基づくヒトの疾患の処置の試みを意味する。遺伝子導入は、インビボで遺伝子担持ウイルス性または非ウイルス性ベクターを血液または組織へ直接的に投与すること、またはエキソビボで研究室において操作した細胞に遺伝的物質を移入すること、続いて、遺伝子含有細胞を個体に送達すること、により達成され得る。細胞内の遺伝的物質を変えることにより、遺伝子治療は、罹患している病気の病態生理を改善し得る。動物における特定の組織および臓器系への遺伝子送達の適当なベクターおよび方法は、それぞれ、Dracopoli, N.C. et al., Current Protocols in Human Genetics. John Wiley and Sons Inc., Chapters 12 and 13に記載されている。前記のポリヌクレオチド(A)に関連して、遺伝子治療には、適当な制御エレメント下でEX20遺伝子の発現カセットを含むウイルス性または非ウイルス性遺伝子治療用ベクターの、疾患個体の肺への送達が含まれ、それにより病気の病態生理が改善されるか、または軽減される。
【0039】
したがって、本発明は、
炎症性疾患、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置方法であって、有効量の前記のポリペプチド(A)、ポリヌクレオチド(B)、抗体(C)またはアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法;
【0040】
炎症性疾患の処置のための医薬の製造のための、前記のポリペプチド(A)、ポリヌクレオチド(B)、抗体(C)またはアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)の使用;
【0041】
対象由来の遺伝サンプルを、前記のポリヌクレオチド・プローブと、プローブが相補的ポリヌクレオチド配列とハイブリダイズする条件下でインキュベートし、第1反応産物を産生し、そして第1反応産物を正常遺伝サンプルで得たコントロール反応産物と比較することを含み、第1反応産物とコントロール反応産物の差異が対象における遺伝子異常または疾患の素因を示すものである、対象における遺伝子異常または疾患の素因を検出する方法;
【0042】
例えば、配列番号1または配列番号15を含むポリヌクレオチド(B)の存在の検出方法であって、細胞または組織由来のDNAを、前記のポリヌクレオチド・プローブと、プローブがポリヌクレオチド(B)と特異的にハイブリダイズする条件下で接触させ、そしてハイブリダイゼーションが起こるか否かを検出することを含む方法;
【0043】
患者におけるポリヌクレオチド(B)のヌクレオチド配列における異常を検出する方法であって、患者から単離したDNA中の標的ヌクレオチド配列を、増幅する配列を標的とする前記のプライマーの対を使用したポリメラーゼ連鎖反応により増幅し、そして多形性が存在するか否かの測定のために増幅配列を分析することを含む方法;
を提供する。
【0044】
“多形性”なる用語は、前記のポリヌクレオチド(B)の配列と比較した任意の配列の差異を意味する。
【0045】
本発明のポリヌクレオチド・プローブと相補的ポリヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションは、インシテュ(例えばFISH)ハイブリダイゼーション、ノーザンまたはサザン・ブロット分析、ドット・ブロットまたはスロット・ブロット分析を使用して検出し得る。異常性は、また、例えば配列感受性ゲル電気泳動(CSGE)およびDNA配列決定により検出し得る。遺伝的異常性は、個体のEX20タンパク質の、正常EX20タンパク質のアミノ酸配列と比較したアミノ酸配列における変化、あるいはタンパク質の欠失をもたらし得る。あるいは、変化はアミノ酸配列を変えないが、代わりに、遺伝子の5’−もしくは3’−末端のいずれかでの制御エレメントの配列を変えることにより、または遺伝子のイントロン配列領域内の制御エレメントの配列を変えることにより、EX20遺伝子の発現を変え得る。変化は、また、遺伝子の転写が処理されるまたは翻訳される方法に影響し得る。本発明は、また、個体のEX20遺伝子のポリヌクレオチド配列における異常性を検出するため、または個体の細胞におけるEX20の発現のレベルを測定するためのキットを含む。このような使用のためのハイブリダイゼーション・キットは、検出可能な、例えば化学ルミネッセンス、放射性または蛍光性の標識をその中に包含させることにより修飾し得る、前記のプローブ(E)を含み、そして標識試薬、すなわち、放射性同位体、化学ルミネッセンスまたは蛍光基をハイブリダイズ産物に包含させる試薬のような他の試薬、および緩衝液を含み得る。PCR増幅キットは、上記のようなプライマー対を、TaqポリメラーゼのようなDNAポリメラーゼと共に含み得、そして増幅用緩衝液等のような付加的な試薬を含み得る。PCR増幅キットの特定の実施態様には、CSGEおよびDNA配列決定を含む、ポリヌクレオチド変化を検出する多くの技術に特異的な付加的な試薬が含まれ得る。
【0046】
ポリヌクレオチド(B)の発現のレベルの測定は、前記のような炎症性疾患の診断において使用され得る。したがって、本発明は、対象が炎症性疾患、例えば、上昇したGM−CSFレベルと連関する炎症性疾患を有するか否かを測定する方法を含み、ここで該方法は、該対象からの細胞サンプルにおいて、前記のポリヌクレオチド(B)、特に配列番号1または配列番号15のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(B)、またはストリンジェント条件でそれにハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列(A)の発現レベルを測定すること、および当該レベルを、健康対象からの細胞サンプル中の該ポリヌクレオチドの発現レベルと比較することを含む。ポリヌクレオチド(B)の上昇した発現レベルは、炎症性疾患を示唆する。測定されたレベルは、該炎症性疾患の性質を示唆する。ポリヌクレオチド(B)の発現レベルは、例えば、ノーザン・ブロット分析、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、インシチュ・ハイブリダイゼーション、免疫沈降、ウェスタン・ブロット・ハイブリダイゼーションまたは免疫組織化学法(immunohistochemistry)によって、決定され得る。
【0047】
例えば、定量的RT−PCRを使用する診断試験において、mRNAを、所望の細胞、例えば、BAL液細胞(BAL fluid cell)または末梢血細胞から単離する。2種のプライマーであって、一方は、配列番号1のヌクレオチド765と783の間の領域の配列と同一の配列を有し、他方は、配列番号1のヌクレオチド815−835の逆相補物であるヌクレオチド配列を有する、プライマーを設計する。適当に修飾されそして標識されたプローブを、次いで、配列番号1のヌクレオチド787−813の間の配列に対応して作成する。適当なコントロール遺伝子を使用して、これらの2種のプライマーおよびプローブを、TaqMan(PE Applied Biosystems)装置において使用して、調査中の患者および健康対象から採取したサンプル中のEX20のmRNA量を測定する。診断目的でインシチュ・ハイブリダイゼーションを使用するとき、配列番号1に示す配列の任意の部分に対応する約200〜1200bpのプローブを使用できる。種々の長さのいくつかのオーバーラップ・プローブをそのような試験、例えば実施例3に記載のものにおいて使用することができる。サンプルを、患者から収集し、そしてパラフィンに包埋することができる。そのようなサンプルは、例えば、末梢血細胞、気管支肺胞洗浄(BAL)液細胞、または種々の組織切片であり得る。実施例3において記載したように調製された標識リボプローブを、次いで使用し、これらのサンプル中のEX20の発現レベルを測定し、そしてそれによって炎症性状態を同定することができる。
【0048】
本発明は、また、前記のような炎症性疾患、例えば、上昇したGM−CSFレベルと連関する疾患を有する対象の、薬物、例えば本発明の薬剤として前記したようなものでの処置をモニターする方法を含み、ここで該方法は、前記のポリヌクレオチド(B)もしくはポリペプチド(A)の発現レベルまたは処置後の対象からの細胞サンプル中の当該ポリペプチドの活性レベルを測定すること、および当該レベルを、該処置前のそれぞれのレベルと比較することを含む。該比較により望ましいと示される場合には、該薬物の該対象ヘの投与はそれに応じて変えられ得る。
【0049】
炎症性状態、例えば炎症性気道疾患の阻害または反転における本発明の薬物の有効性は、動物モデル、例えば、気道炎症または他の炎症性状態の、マウスまたはラットモデル、例えば、Szarka et al., J. Immunol. Methods (1997) 202:49−57; Renzi et al., Am. Rev. Respir. Dis. (1993) 148:932−939; Tsuyuki et al., J. Clin. Invest. (1995) 96:2924−2931; Cernadas et al (1999) Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 20:1−8; Durie et al., Clin. Immunol. Immunopathol. (1994) 73:11−18;およびWilliams et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89:9784−9788に記載されるように実証され得る。
【0050】
本発明が適用可能である炎症性疾患は、炎症性または閉塞性気道疾患、例えば内因性(非アレルギー性)喘息および外因性(アレルギー性)喘息の両方を含むいかなるタイプまたは起源の喘息を含む。喘息の処置は、また、喘鳴徴候を示し、「幼児喘鳴」と診断されるかまたは診断可能な、4または5歳未満の対象の処置を包含するものと理解され、「幼児喘鳴」は、よくある疾患の患者カテゴリーであり、現在では、しばしば、初期または早期喘息患者と同定される(便宜上、この特定の喘息状態を、「幼児喘鳴症候群」と呼ぶ)。
【0051】
、本発明が適用可能である他の炎症性または閉塞性気道疾患および状態は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺または気道疾患(CORDまたはCOAD)を含み、これらは特に他の吸入薬物治療における、慢性気管支炎またはそれに関連する呼吸困難、気腫、ならびに他の薬物治療の結果である気道反応亢進の増悪を含む。
【0052】
本発明は、また例えば急性、アラキドン酸性、カタル性、クループ性、慢性またはフチノイド性気管支炎を含む、いかなるタイプまたは起源の気管支炎の処置に適用可能である。本発明が適用可能であるさらなる炎症性または閉塞性気道疾患は、いかなるタイプまたは起源の塵肺(通常、職業性である炎症、肺の疾患であって、慢性または急性であれ、気道閉塞を頻繁に伴い、そしてほこりの反復吸入によって引き起こされるもの)を含み、これらは例えば、アルミノシス、炭症、石綿症、プチロシス(ptilosis)、シデロシス、シリコシス、タバコシスおよび綿肺症を含む。
【0053】
これらの抗炎症活性について、特に好中球または好酸球活性化の阻害に関連して、本発明の薬剤は、また、好中球または好酸球関連性障害、例えば好中球増加症または好酸球増加症、特に気道の好中球または好酸球関連性障害(例えば肺組織の病的な好酸球浸潤に関係する)の処置において有用であり、これらには、気道および/または肺に影響を与える好酸球増加症、ならびに例えば、Loeffer症候群、好酸球肺炎、寄生性(特に後生動物)侵入(熱帯性好酸球増加症を含む)、気管支肺アスペルギルス症、結節性多発性動脈炎(チャーグ・ストラウス症候群を含む)、好酸球性肉芽腫および薬物反応により起こる気道に影響を与える好酸球関連障害の結果または付随の気道の好酸球関連性障害;ならびに、急性および慢性気管支炎、COPD、ARDS、気腫、リウマチ様関節炎、炎症性大腸炎(IBD)、潰瘍性大腸炎、原発性硬化性胆管炎およびクローン病のような好中球関連性障害が含まれる。
【0054】
本発明の薬剤は、任意の適当な経路で、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で、例えば経口的に;非経腸的に、例えば静脈内;局所的に、例えば軟膏剤またはクリーム剤で;経皮的、例えばパッチ剤で;吸入により;または経鼻的に投与され得る。
【0055】
本発明の薬剤を含む医薬組成物は、慣用の希釈剤または賦形剤、およびガレヌス分野において既知の技術を使用して製造され得る。したがって、経口投与形態には錠剤およびカプセル剤が含まれ得、吸入用組成物にはエアロゾルまたは他の噴霧可能製剤または乾燥粉末製剤が含まれ得る。
【0056】
本発明は、(i)吸入可能な形態、例えばエアロゾルまたは他の噴霧可能な組成物の、あるいは吸入可能な粒子の、例えば微分化された形態の本発明の薬剤(A)、(B)、(C)または(D);(ii)吸入可能な形態の本発明の薬剤(A)、(B)、(C)または(D)を含む吸入可能な医薬;(iii)吸入デバイスと組み合わせた吸入可能な形態の本発明の薬剤(A)、(B)、(C)または(D)を含む医薬製剤;および(iv)吸入可能な形態の本発明の医薬(A)、(B)、(C)または(D)を含む吸入デバイスを含む。
【0057】
本発明の実行に用いる本発明の薬剤の投与量は、もちろん、例えば、処置する特定の状態、所望の効果および投与様式に依存して変動し得る。一般に、吸入による投与のための適当な一日投与量は、1μg/kgから10mg/kgのオーダーの範囲であるが、経口投与の適当な一日投与量は、0.1mg/kgから1000mg/kgのオーダーのものである。
【0058】
前記のポリペプチド(A)は、その活性の促進剤(アゴニスト)または阻害剤(アンタゴニスト)を同定するために、すなわち、炎症性疾患、特に炎症性または閉塞性気道疾患の処置に有用な化合物を同定するために使用され得る。したがって、本発明は、また、候補物質とポリペプチド(A)を組み合わせそして該ポリペプチド(A)の活性に対する候補物質の効果を測定することを含む、炎症性疾患の処置における使用に適した物質の同定方法を提供する。ポリペプチド(A)の活性は、例えば、細胞内Ca2+またはcAMP(サイクリックAMP)レベルを測定することにより、形状の変化により、または適当なレポーター遺伝子アッセイにより測定され得る。本発明には、また、前記のポリペプチド(A)に結合する、炎症性疾患の処置における使用に適した物質の同定方法であって、候補物質を該ポリペプチド(A)と混合すること、および結合が起こったか否かを測定することを含む方法が含まれる。
【0059】
本発明を、以下の実施例により説明する。実施例で使用する略語は、以下の意味を有する:
BLAST:ベーシック・ローカル・アラインメント・サーチ・ツール
BSA:ウシ血清アルブミン
cAMP:環状アデノシン一リン酸
DTT:ジチオスレイトール
EDTA:エチレン−ジアミン四酢酸
EIA:酵素イムノアッセイ
EST:発現配列タグ
FCS:ウシ胎児血清
GM−CSF:顆粒球マクロファージ刺激因子
HEPES:4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸
IPTG:イソプロピル−b−D−チオガラクトピラノシド
LMP:低融点
MOI:感染多重度
PBS:リン酸緩衝性生理食塩水
PEG:ポリエチレングリコール
PBMC:末梢血単核細胞
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
PMSF:フェニルメチルスルホニルフルオライド
RPMI:Rosewell Park Memorial Institute
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
TEV:タバコエッチウイルス
【0060】
実施例1
血液(200ml)を、クエン酸ナトリウムを含む試験管に、滅菌条件下で呼吸器疾患の病歴のない正常ドナーから集める。好中球を確立された方法で精製する。PBMCを、末梢血細胞から、Ficoll Hypaque(Pharmacia)遠心により分離する。主に顆粒球および赤血球である残りの細胞集団を、赤血球融解溶液(155mM NH4Cl、10mM KHCO3、0.1mM EDTA、PH 7.3)で処理する。純度を測定するために、顆粒球をHansel染料(Difco Laboratories Ltd)で染色し、高倍率の光顕微鏡で区別する。好酸球の汚染は2%未満であることが分かる。刺激のために、好中球を500万細胞/mlの濃度で、RPMI−1640+10%FCS中に再懸濁する。細胞を、50ng/mlヒト組換えGM−CSF(R&D System)の存在下または非存在下で5時間培養する。総RNAを、製造者の記載の通りTRIZOL試薬(Gibco/BRL)を使用して抽出する。1mlのTRIZOLを、各500万個のペレット化好中球の再懸濁のために使用する。mRNAを、MESSAGEMAKER mRNA単離キット(Gibco/BRL)を使用して、製造者が推奨する条件で精製する。300ngのmRNAを使用して、第1鎖合成のためにSuperscript Choice System(Gibco/BRL)およびオリゴ(dT)を用いてcDNAを合成する。二本鎖cDNAを、等体積のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールで一回抽出し、そして0.5容量部の7.5M 酢酸アンモニウムおよび2.5容量部のエタノールで沈降させる。遠心分離の後、得られたペレットを70%エタノールで洗浄し、そして16μlの滅菌水中に再懸濁する。
【0061】
好中球におけるGM−CSF刺激後に優先的に発現する遺伝子を単離するために、得られたcDNAサンプルをcDNAサブトラクションおよび選択的富化手法で使用する。
【0062】
実施例2
本実施例は、cDNA−RADによってサブトラクションされたライブラリーの生成およびEX20 cDNAクローンの単離を記載する。
【0063】
cDNA−RADを、Hubank, M., and D.G. Schatz. Nucleic Acids Res. 22:5640−5648; and O’Neill, M.J., and A. H. Sinclair. Nucleic Acids Res. 25:2681−2682によって本質的に記載されているように実行する。未刺激および刺激された好中球から単離されたmRNAから調製された二本鎖cDNAサンプルを、DpnII制限酵素で消化し、そして24マー(配列番号7)を12マー(配列番号8)オリゴヌクレオチドにアニーリングすることによって得られるR−アダプターにライゲートする。両方の「テスター」(刺激された好中球のcDNA)および「ドライバー」(未刺激の好中球のcDNA)を、Expand Long Template PCR SystemおよびExpand Buffer 1(Roche Diagnostics)を使用して生成する。5種の100μl PCRをそれぞれのテスターについて、および10種をそれぞれのドライバーについて、実施する。DpnII消化を使用し、ドライバーおよびテスターアンプリコンの両方からR−アダプターを除去する。24マー(配列番号9)を12マー(配列番号10)にアニーリングすることによって得られたJ−アダプターを、次いで、テスター集団にライゲートさせる。サブトラクティブ・ハイブリダイゼーションを、5μlの反応物中で、67℃で20時間実施する。異なる産物1(DP1)を作成するため、250ngのテスターcDNAを、25μgのドライバーcDNAと、100:1の比率で混合する。DP1 cDNAを、次いで、DpnIIで消化し、J−アダプターを除去し、その後、N−アダプターをライゲートし、これは24マー(配列番号11)を12マー(配列番号12)オリゴヌクレオチドにアニーリングすることによって得られたものである。異なる産物2(DP2)を作成するため、31.25ngのテスターを、25μgのドライバーcDNAと、800:1の比率で混合する。消化され、そして過剰のアダプターを、該cDNAをMicrocon30フィルター(Amicon)上で洗浄することによって除去する。サブトラクションされたライブラリーをアガロースゲル電気泳動で分画化する。
【0064】
1.5%LMPアガロースゲル中のフラクションを、Agarase(Roche Diagnositics)で42℃で一夜消化し、滅菌水で三回洗浄し、そしてMicrocon30フィルター(Amicon)を使用して濃縮する。ライゲーションに先立ち、サブトラクションされたPCR cDNA混合物を、追加的dATPおよびTaq DNAポリメラーゼ(Roche Diagnostics)と、20分間インキュベートし、ほとんどのcDNAフラグメントが「オーバーハング(A overhangs)」を含むことを確保する。
【0065】
約10ngのcDNAを、25ngのpCR2.1ベクター(Invitrogen)にライゲートし、そして該ライゲーションを、50μl One Shot competent cells(Invitrogen)に導入する。該ライブラリーを50μg/ml カルベシリン、および100mM IPTGおよび50μg/ml X−Galを含む寒天プレート上に置く。プレートを37℃で一夜、次いで、一時的に4℃でインキュベートし、明瞭に識別可能な青/白色染色し、そしてプラスミドを該白色コロニーの3ml培養物から精製する。個々のクローンのインサートを、M13リバースおよびフォワード・プライマーを使用して、自動ABI310シーケンサー(Perkin−Elmer)上で、それらのヌクレオチド配列を決定することによって分析する。得られた配列を、BLASTアルゴニズムを使用して配列類似性サーチで分析し、そして配列アラインメントを、GCGソフトエウェア・パッケージ(Wisconsin Package Version 9.1)を使用して行う。
【0066】
EX20と称するクローンを、ヒト・オーファンGPCR HM74(GenBank accession number D10923; Nomura et al.: Molecular cloning of cDNAs encoding a LD78 receptor and putative leukocyte chemotactic peptide receptors. Int. Immunol. 5(10):1239−1249, 1993)のデータベース・エントリーに有意な配列類似性を有するインサートを含むものとして同定する。次いで、EX20遺伝子の完全長コード領域を、公的なデータベースにおいて既知の配列を用いてPCRにより単離する。増幅産物を、自動ABI310シーケンサー(Perkin−Elmer)上で、M13リバースおよびフォワード・プライマーならびに遺伝子特異的プライマーを使用して、両方の鎖に対するそれらのヌクレオチド配列を決定することによって分析する。得られた配列を分析し、および配列コンティグを、GCGソフトウェア・パッケージ(Wisconsin Package Version 9.1)を使用して得る。得られたcDNA配列コンティグ(配列番号1)は試験された領域においてHM74と99%の配列同一性を示す。
【0067】
このヌクレオチド配列が翻訳されると、配列番号2に示す387アミノ酸残基のタンパク質となる。EX20遺伝子の他の配列変異対もまた単離される。配列番号15に示されるこれらの変異体のうちの1つは、コード領域における数箇所の1塩基相違および配列番号1の1086〜1090位のヌクレオチドの5塩基長の欠失により特徴付けられる。このヌクレオチド配列が翻訳されると、配列番号16に示される363アミノ酸のオープン・リーディング・フレームとなる。この場合のEX20タンパク質は、タンパク質配列における18箇所の1アミノ酸置換およびトランケーションにより特徴付けられ、その結果、配列番号2に示されるタンパク質配列と比較して24アミノ酸残基短い細胞内C末端を有するタンパク質となる。これらのアミノ酸配列の相違は、例えばリガンド結合、受容体の活性化またはEX20受容体と共役した下流へのシグナル伝達事象において機能的な意義を有し得る。
【0068】
実施例3
この実施例は、インシチュ・ハイブリダイゼーションによるEX20遺伝子の発現および組織分布の分析を記載する。
【0069】
標識リボプローブを生成するために、pSPORT1プラスミド(Life Technologies)のEcoRIおよびXbaI部位の間に1161bp挿入物を含むサブクローンを構築する。このサブクローンの挿入物は、下記実施例4の挿入物と同一であり、同じ方法で製造される。この構築物中に、ベクター中のSP6プロモーターを使用して、インシテュ・ハイブリダイゼーション実験におけるプローブとして使用できる挿入物のアンチセンス鎖を転写する。ベクター中のT7プロモーターは、ネガティブ・コントロールとして使用するセンス鎖を転写するのに使用する。パラフィン包埋サンプルからの連続組織切片を、1.2kb挿入物から合成した放射標識cRNAプローブとハイブリダイズする。リボプローブを、33P−ウリジン 5’−トリホスフェートと、SP6(アンチセンス)およびT7(センス)RNAポリメラーゼの存在下、インビトロで転写する。プローブを次いでカラム精製し、次いで5%TBE−尿素アクリルアミドゲルでの電気泳動に付し、サイズおよび純度を確認する。組織切片をプロテイナーゼKで消化し、次いで、プローブと約8.0x108dpm/mlで、65℃にて18時間ハイブリダイズする。スライドをRNAse Aで処理し、ストリンジェント条件下で2時間、0.1xSSC中で65℃にて洗浄する。スライドを、次いでKodak NTB−2エマルジョンで被覆し、4℃で7日間曝し、Kodak D−19現像液および定着液を使用して現像する。スライドをヘマトキシリンおよびエオシンで染色し、Nikonマイクロスコープに接続したSony Digital Photo Cameraを使用して写す。アンチセンス・プローブとのハイブリダイゼーションに加えて、別のセクションを二つのタイプのコントロール・プローブとハイブリダイズする。全ての組織を、最初に、ベータ−アクチンmRNAに対するプローブとスクリーニングし、RNAがサンプル内に保存されていることを確認する。隣接連続セクションは、また、アンチセンス・プローブとして、遺伝子の同じ領域由来のセンス・コントロール・リボプローブとハイブリダイズをする。
【0070】
像を評価すると、白血球サブセットにおけるさまざまな炎症性疾患により影響される組織において、EX20遺伝子が優勢的に過剰発現していることが分かる。COPD、気腫、ARDSおよび喘息における呼吸器の炎症におけるマクロファージおよび好中球に、リウマチ様関節炎における滑液組織単球に、クローン病における好中球および類上皮組織球に、強いシグナルが観測される。リンパ球のサブセットは、また、喘息およびCOPDにおける気道において、リウマチ様関節炎における滑膜において、そして湿疹様皮膚炎における炎症性湿潤物においても強いシグナルを示す。炎症組織における炎症性細胞のシグナル強度は、非炎症性または正常に見える組織におけるこれらと同一の細胞タイプのシグナル強度と比較して一貫して大きい。
【0071】
実施例4
本実施例は、哺乳類発現系における、完全長機能的EX20の、安定なトランスフェクションを使用した発現およびEX20タンパク質の天然リガンドまたは人工アゴニストの同定のためのトランスフェクト細胞の使用に関する。
【0072】
発現ベクターの構築
独特なEcoRI部位(GAATTC)を、EX20開始コドン(ATG)の5’に、PCR増幅により以下のプライマー(配列番号13):
5’−TCACTAGAATTCATCATGAATCGGCA−3’
を使用して挿入する。他のプライマー(配列番号14)を使用して、EX20の停止コドン(TAA、逆相補:TTA)に対して3’の独特なXbaI(TCTAGA)部位に挿入する。
5’−GTCTAGAAGCTTACTCGATGCAAC−3’
組換え増幅産物を、EcoRIおよびXbaI制限酵素で消化させ、1176bpフラグメントとしてEcoRI/XbaI消化pcDNA3.1(+)(Invitrogen)哺乳類発現ベクターにライゲートし、E. coli DH5α細胞に形質転換する。形質転換体を、pcDNA3.1(+)に存在するアンピシリン耐性遺伝子を使用して選択し、EX20挿入物を含む組換えベクターを、無作為に選択したコロニーからプラスミドを単離し、そしてプラスミドを制限消化およびアガロースゲル電気泳動により、標準法を使用して同定する。
【0073】
哺乳類細胞中のEX20の安定な発現
プラスミド・ベクター含有組換えEX20挿入物を、次いで、CHO−K1細胞にトランスフェクトする。10%FCSおよび2mMグルタミン含有ダルベッコ修飾イーグル培地/Ham’s f12(50:50)で増殖させたCHO細胞のコンフルエントな(confluent)フラスコをトリプシン処理し、1:20希釈で、6ウェルプレートの2ウェルに2ml/ウェルの同じ培地中でプレーティングする。細胞を次いで37℃にて5%CO2で24時間培養する。翌日、トランスフェクション混合物を調製する。1μgプラスミドDNAを、各ウェルに関して100μl OptiMEM無血清培地(Life Technologies)に混合する。各ウェルで10μlリポフェクタミンを100μl OptiMEM中に、別の試験管で希釈する。2つの溶液を混合し、15分、室温でインキュベートする。インキュベーション中、細胞をOptiMEMで洗浄して血清を除去する。次いで、0.8ml/トランスフェクションの無血清OptiMEMを、DNA−リポソーム・トランスフェクション混合物に添加し、1mlのその溶液を次いで各ウェルに添加する。コントロール細胞を同様の方法で、但しプラスミドDNAをトランスフェクション混合物から除いて処理する。細胞を次いで、37℃にて5%CO2で5時間インキュベートし、次いでトランスフェクション混合物を2ml通常増殖培地と置きかえる。
【0074】
24時間後、トランスフェクタントを、細胞をPBSで洗浄し、トリプシン処理し、そしてそれらをT75フラスコに1mg/ml G418(Life Technologies)と共に再プレーティングすることにより選択する。細胞を次いで37℃にて5%CO2で、コントロールのフラスコの細胞が死ぬまで培地を2日毎に定期的に変えてインキュベートする。次いで、細胞を、96ウェルプレートの個々のウェルにそれらを1細胞/ウェルの密度にプレーティングし、それらをコンフルエンスまで増殖させることにより希釈クローン化する。細胞の更なる拡張後、個々のコロニーを、RT−PCRによりおよびEX20タンパク質に対して発生させたポリ−またはモノクローナル抗体を使用してEX20の発現に関してスクリーニングする。
【0075】
細胞内カルシウム・アッセイを使用した天然リガンドおよびアゴニストの同定
EX20レセプター・タンパク質を安定に発現するトランスフェクト細胞系および非トランスフェクト・コントロールを、T162フラスコでコンフルエントまで増殖させ、トリプシン処理し、適当な容量、約50mlの抗生物質を含まない増殖培地に再懸濁する。細胞を30,000細胞/ウェルで、100μl/ウェルで96−ウェルプレートに蒔き、これは翌日のアッセイ時にコンフルエント単層を形成させる。24時間後、細胞を、20mM HEPESおよび2.5mMプロベネシッド含有100ml細胞培養培地中の細胞質性カルシウム・インディケーター Fluo−3−AM(4mM)と37℃にて60時間インキュベートする。細胞を、20mM HEPESおよび2.5mMプロベネシッド含有PBSで4回洗浄し、100mlのその溶液を次いで各ウェルに添加する。天然リガンドおよび合成ライブラリー由来のコレクションからの試験化合物を、細胞に添加し、フルオレッセント・シグナルを最初の60秒間は毎秒、次の30秒間は5秒毎に読む。天然または合成アゴニストは、EX20発現および非発現コントロール細胞における同じ化合物により生成されるシグナルのレベルの比較によって同定される。
【0076】
実施例5
本実施例は、ATG開始コドン後に6ヒスチジン・タグを有する完全長EX20の、Spodoptera frugiperda Sf9細胞中のバキュロウイルス系を使用した発現、および得られたポリペプチドの精製に関する。
【0077】
組換えEX33バキュロウイルスの構築
独特なEcoRI部位(GAATTC)を、EX20開始コドン(ATG)の5’に、PCR増幅により、以下のプライマー(配列番号13):
5’−TCACTAGAATTCATCATGAATCGGCA−3’
を使用して挿入する。他のプライマー(配列番号14)を使用して、EX20の停止コドン(TAA、逆相補:TTA)に独特なXbaI(TCTAGA )の3’部位を挿入する。
5’−GTCTAGAAGCTTACTCGATGCAAC−3’
【0078】
組換え増幅産物を、EcoRIおよびXbaI制限酵素で消化させ、1176bpフラグメントとしてEcoRI/XbaI消化pFastbac(登録商標)HTaバキュロウイルス・トランスファー・ベクター(Life Technologies)にライゲートする。この構築物において、EX20遺伝子は、EX20コード領域が6xHis親和性タグ、続いてスペーサー領域、TEVプロテアーゼの認識部位および更なる7アミノ酸リンカー領域の後に置かれるため、融合タンパク質として発現される。6xHisタグを含むEX20融合タンパク質の発現は、親和性精製を助け、TEVプロテアーゼ開裂部位は、6xHisタグの除去に使用する。組換えEX20の配列を、DH10Bac細胞(Life Technologies;Bac to Bacバキュロウイルス発現系)により担持されるBacmid DNAに転位させる。EX20組換えBacmidsを、DH10Bac細胞から単離し、転位をPCR分析により確認する。
【0079】
Sf9細胞の組換えEX20 Bacmid DNAでのトランスフェクションおよび組換えバキュロウイルス・ストックの増幅
組換えEX20 Bacmid DNAを、Sf9細胞に公開されたプロトコールを使用してトランスフェクトする(Bac to Bacバキュロウイルス発現系マニュアル;Life Technologies)。組換えバキュロウイルスを培養培地から27℃で3日後に回収する。細胞上清を、500xgの遠心により5分間浄化し、4℃で保つ。組換えバキュロウイルスを、Sf9細胞(SF900 SFMII培地;Life Technologies)が1x106細胞/mlの細胞密度でありそして感染多重度(MOI)が48時間で0.01となるように感染させることにより増幅させる。Sf9細胞を次いで1000xgで5分間、遠心する。高力価ウイルスを含む上清を4℃で貯蔵する。
【0080】
組換えEX20のSf9細胞中での発現
2x105および3x106細胞/mlの間の密度で、SF900 SFMII培地(Life Technologies)中に、シェーカー・フラスコ(90RPMで回転)またはスピナー・フラスコ(75RPMで回転)のいずれかで維持しているSf9細胞を、増幅組換えバキュロウイルスで、1.5x106の細胞密度でMOIが2.0で60時間感染させた。続いて、感染Sf9細胞を1000xgで5分遠心し、上清を注ぎ出し、細胞ペレットを−80℃で凍結させる。
【0081】
粗融解物の調製
細胞(1x109)を、100mlの融解緩衝液(20mM Hepes pH 7.9、100mM NaCl、5%グリセロール、2mM E−メルカプトエタノール、0.5mM イミダゾール、0.1%Nonidet P−40、40pg/ml AEBSF、0.5pg/ml ロイペプチン、1pg/ml アプロチニンおよび0.7pg/ml ペプスタチンA)に再懸濁する。細胞を、氷上で15分インキュベートし、次いで39,000xgで30分、4℃で遠心する。
【0082】
金属キレート親和性クロマトグラフィー
金属キレート親和性クロマトグラフィーを、室温にてBioCADクロマトグラフィー・ワークステーションに接続したカラムで行なう。20ml Poros MC/M(16mmD×100mmL)カラムをNi2+で、使用前および各注入後に満たす。Ni2+で満たすために、カラムを10カラム容量(CV)の50mM EDTA pH 8、1M NaCl、続いて10CVの水で洗浄する。カラムを、500mlの0.1M NiSO4 pH 4.5−5で満たし、10CVの水で洗浄し、次いで任意の非結合Ni2+を、5CVの0.3M NaClでの洗浄により除去する。全ての段階を20ml/分の流速で行なう。満たしたMC/Mカラムを、5CVの緩衝液B(20mM Hepes pH 7.9、100mM NaCl、5%グリセロール、2mM E−メルカプトエタノール、1mM PMSF、100mM イミダゾール)で平衡化し、部位を飽和させ、続いて10CVの緩衝液A(0.5mM イミダゾール以外、緩衝液Bと同じ)で満たす。ラン当たり90〜95mlの粗融解物を、20ml/分の流速で、カラムに充填する。続く段階を、30ml/分の流速で行なう。任意の非結合物質を12CVの緩衝液Aでの洗浄により除去し、EX20は0〜50%緩衝液Bの10CVにわたる勾配で溶出する。フラクション(8ml)を勾配にわたり回収する。EX20含有フラクションを合わせ、プロテアーゼ阻害剤を、上記融解緩衝液に関して記載の最終濃度まで添加する。DTTも最終濃度1mMまで添加する。合わせたフラクションを、一晩、4リットルの20mM Hepes pH 7.9、1mM DTT、0.2mM PMSFに対して4℃で透析する。タンパク質濃度を測定し、必要な場合には、サンプルをMillipore Ultrafree−15遠心デバイス(MWカットオフ50kDa)で4℃にて濃縮する。デバイスを、使用前に水で濯ぐ。−80℃での長期貯蔵に使用する緩衝液は、20mM Hepes pH 7.9、1mM DTT、約100mM NaCl、5%グリセロールである。グリセロールは、4℃での貯蔵では、サンプルから除くことができる。
【0083】
実施例6
本実施例は、EX20タンパク質に対するポリクローナル抗体の生成に関する
【0084】
免疫化
ウサギの皮下部位4箇所を、500μg精製EX20タンパク質で以下のスケジュールにしたがって免疫化する:
【表1】
【0085】
試験採血(500μl)を取り、血清を抗体力価に関して評価する。血清を、最大力価が得られたときに回収する。これは、血液(10ml)を取り、それを、4℃で2時間凝血させることにより行なう。血液を1000xgで5分遠心し、血清を分離する。血清を除去し、アッセイまで−20℃で貯蔵する。
【0086】
ELISAスクリーニング
Nunc−Immuno Plate Maxisorp 96ウェルプレート(Nunc, Basle, CH)を固体支持体として使用し、精製EX20タンパク質(100ng/ウェル)で4℃にて一夜コートする。プレートを3時間、37℃にて2%BSA(Sigma)および0.02%NaN3(Sigma)含有PBSで遮断する。遮断後、プレートを一晩室温で、異なる希釈のPBS中の血漿と共にインキュベートする。ポリクローナル抗体の存在を、ウサギに対するビオチン標識IgG−抗体(ヤギ抗ウサギIgG抗血清、1:25000希釈)で、40分のインキュベーション時間でチェックする。アルカリホスファターゼ接合ストレプトアビジン(Immununo Research, Dianova, CH)を、次いで1:10000の希釈で添加する。反応の展開を、ジエタノールアミンに溶解したホスフェート基質(Sigma、f.c. 1mg/mlの添加により行なう。45分後、405nmの吸光度を490nmを参照して、ELISAプレート・リーダー(Biorad)で読む。
【0087】
ポリクローナル抗体の精製
5mlタンパク質A−アガロースを、クロマトグラフィーカラムに注ぎ、6カラム容量の0.1Mトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(Tris)緩衝液pH 7.5で洗浄する。抗−EX20抗体を含むウサギ血清を、Tris緩衝液で希釈(1/2)し、タンパク質A−アガロースに添加する。非結合タンパク質を、6容量のTris緩衝液でカラムを洗浄することにより除去する。IgGは、3カラム容量の0.1Mグリシン緩衝液 pH 3.0でカラムから溶出し、1mlフラクションとして28μlの1M Trisを含む試験管に回収する。タンパク質含有に関して陽性のフラクションを、純度に関してSDS−PAGEにより、還元条件下でチェックする。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖に対応する50および25Kdの二つのバンドを可視化する。免疫グロブリンのみを含むフラクションをプールし、タンパク質濃度に関して再チェックし、−20℃で貯蔵する。
【0088】
実施例7
この実施例は、EX20タンパク質に対するモノクローナル抗体の生成に関する
【0089】
免疫化
雌Balb/cマウスを、腹腔内(ip)で100μgのEX20タンパク質で下記のスケジュールにしたがって免疫化する:
【表2】
【0090】
該動物を融合のための脾臓細胞の調製のために屠殺した後に、血清を抗体力価に関してELISA(実施例6)により評価する。抗体力価が十分(1/1000から1/100,000)である場合にはハイブリドーマをスクリーニングし、そうでなければ棄てる。
【0091】
ミエローマ細胞の調製
Sp2/0マウス・ミエローマ細胞(ATCC #CRL 1581;20μg/ml 8−アザグアニン含有培養培地に維持)を、融合前に1週間、RPMI1640(8−アザグアニジンを含まない)、10%(v/v)FCSおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシン(各々50IU/mlおよび50μg/ml)中で培養する。細胞を遠心(200xg、5分)で回収し、冷RPMI1640で3回洗浄する。96ウェル・マイクロタイタープレート当たり、約2.5x106細胞を使用する。
【0092】
脾臓細胞懸濁液の調製
マウスを麻酔(Forene)の過量投与により屠殺し、脾臓を解剖し、細胞ストレイナー(70μmメッシュ細胞ストレイナー;Becton & Dickinson, Oxford, UK, Cat. No 2350)を通して圧縮する。細胞懸濁液をRPMI1640で3回洗浄し(上記の通り)、計数する:5.106細胞/96ウェルプレートが必要である。
【0093】
ミエローマ細胞および脾臓細胞の融合
脾臓およびミエローマ細胞を混合し(2:1)、遠心し(200xg、5分)、ペレットを37℃水浴で温める。予め温めたポリエチレングリコール4000(1ml/108細胞)を、1分間かけてゆっくり添加し、次いで20mlの予め温めた培地を2分間かけて添加する。遠心後、ペレットを注意深く選択培地(RPMI1640、10%FCS、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、10%BM condimed H1(Boehringer Mannheim, Lewes, UK; Cat. No. 1 088 947からの支持細胞置換)、10%HAT−培地添加物(非融合ミエローマ細胞に対して選択するためのヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン細胞;Boehringer Mannheim, Lewes, UK; Cat. No. 644 579)に再懸濁し、200μl/ウェルの96ウェル・マイクロタイタープレートにプレーティングする。
【0094】
5日間の後、ハイブリッド細胞のクラスターは、マイクロタイター・ウェルの底を倒立顕微鏡で試験することにより同定できる。10〜14日後、培養上清を抗体の存在に関してELISA(実施例5)により試験する。陽性クローンを24ウェル・アッセイプレートに拡張し、再試験する。
【0095】
陽性ハイブリドーマのクローニング
まだ陽性である拡張クローンを、限定希釈によりクローン化する。細胞を、連続的に4希釈段階で96ウェル・マイクロタイタープレートで希釈する;5、2、1および0.5細胞/ウェル。HAT−培地添加物を、HT−培地添加物(Boehringer Mannheim, Lewes, UK; Cat. No. 623 091)で置きかえる。約1週間後、細胞をELISA(実施例5)でスクリーニングする。一陽性クローンを含むこれらのウェルの細胞を拡張する。
【0096】
モノクローナル抗体上清の製造
ハイブリドーマが過増殖しそして死ぬまで、細胞を培養フラスコで標準培地(RPMI1640、10%(v/v)FCSおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシン)中にて増殖させる。残骸を遠心により除去し、抗体を含む上清をELISA(実施例7)を使用した力価で力価測定し、その後滅菌条件下で4℃、−20℃または−70℃で貯蔵する。
Claims (19)
- 所望により薬学的に許容される担体または希釈剤とともに、(A)配列番号2もしくは配列番号16のアミノ酸配列または該アミノ酸配列の機能的等価変異体を含むポリペプチド;または(B)ポリペプチド(A)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;または(C)ポリペプチド(A)と免疫反応性である抗体;または(D)ポリヌクレオチド(B)と相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス・オリゴヌクレオチド;を活性成分として含む医薬組成物。
- 活性成分が、配列番号2または配列番号16からの少なくとも50連続アミノ酸を有する部分を含むポリペプチド(A)である、請求項1に記載の組成物。
- 活性成分が、配列番号1または配列番号15のヌクレオチド配列を含むcDNAであるか、あるいは配列番号1または配列番号15に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNAであるポリヌクレオチド(B)である、請求項1に記載の組成物。
- 活性成分が、配列番号1または配列番号15からの、少なくとも100連続塩基を有する部分を含むポリヌクレオチド(B)である、請求項1に記載の組成物。
- 活性成分が、配列番号2または配列番号16からの、少なくとも50連続アミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド(B)である、請求項1に記載の組成物。
- 配列番号15のヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチド。
- 配列番号16のアミノ酸配列を含む単離ポリペプチド。
- 請求項1において特定されたポリペプチド(A)と免疫反応性である抗体。
- 請求項1において特定されたポリヌクレオチド(B)に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス・オリゴヌクレオチド。
- 請求項1において特定されたポリヌクレオチド(B)の少なくとも15連続ヌクレオチドまたはそれの相補体を含み、検出可能なシグナルを提供するように標識された、ポリヌクレオチド・プローブ。
- 炎症性疾患の処置方法であって、有効量の、請求項1において特定されたポリペプチド(A)、または請求項1において特定されたポリヌクレオチド(B)、または請求項1において特定された抗体(C)、または請求項1において特定されたアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
- 炎症性疾患の処置のための医薬の製造のための、請求項1または2において特定されたポリペプチド(A)、請求項1および3〜5のいずれかにおいて特定されたポリヌクレオチド(B)、請求項1において特定された抗体(C)、または請求項1において特定されたアンチセンス・オリゴヌクレオチド(D)の使用。
- 疾患が炎症性または閉塞性気道疾患である、請求項12に記載の使用。
- 細胞または組織中の請求項1において特定されたポリヌクレオチド(B)の存在を検出する方法であって、細胞または組織由来のDNAを、ポリヌクレオチド(B)の少なくとも15連続ヌクレオチドまたはその相補体を含むポリヌクレオチド・プローブと、該プローブがポリヌクレオチド(B)と特異的にハイブリダイズする条件下で接触させ、そしてハイブリダイゼーションが起こるか否かを検出することを含む方法。
- 対象が炎症性疾患を有するか否かを測定する方法であって、該対象からの細胞サンプルにおける請求項1および3〜5のいずれかにおいて特定されたポリヌクレオチド(B)の発現レベルを測定すること、および当該レベルを、健康対象からの細胞サンプル中の該ポリヌクレオチドの発現レベルと比較することを含む方法。
- 炎症性疾患を有する対象の、薬物での処置をモニターする方法であって、請求項1および3〜5のいずれかにおいて特定されたポリヌクレオチド(B)、または請求項1もしくは2において特定されたポリペプチド(A)の発現レベルあるいは処置後の対象からの細胞サンプル中の当該ポリペプチドの活性レベルを測定すること、および当該レベルを、該処置前のそれぞれのレベルと比較することを含む方法。
- 請求項1および3〜5のいずれかにおいて特定されたポリヌクレオチド(B)のフラグメントの増幅のためのプライマーとして有用なオリゴヌクレオチドの対であって、ここで該対は少なくとも15ヌクレオチド長であり、そして、ヒトゲノムDNAまたは適当なヒトcDNA標的とのポリメラーゼ連鎖反応に使用した場合、該ポリヌクレオチド(B)のヌクレオチド配列の一部または全部を含むDNAフラグメントの合成をもたらすような配列を有する該対。
- 候補物質を請求項1または2において特定されたポリペプチド(A)と組み合わせそして該ポリペプチド(A)の活性に対する候補物質の効果を測定することを含む、炎症性疾患の処置における使用に適した物質の同定方法。
- 請求項1または2において特定されたポリペプチド(A)に結合する、炎症性疾患の処置における使用に適した物質の同定方法であって、候補物質を該ポリペプチド(A)と混合すること、および結合が起こったか否かを測定することを含む方法。
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