JP2004505112A - 癌治療のための環状ポリアミン化合物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、制御されていない細胞増殖により引き起こされる、癌および他の疾患を処置するために有用な化合物および方法に関する。より具体的には、本発明は、インビトロで抗腫瘍活性を示す環状ポリアミン化合物、ならびにこれらの化合物を作製および使用する方法に関する。本発明は、細胞の制御されていない増殖によって引き起こされる疾患(例えば、癌であって、特に、前立腺癌)を処置するため、および他の障害の処置のために細胞内ATP加水分解を誘導するための、化合物および組成物を提供する。本発明は、式(I)の新規な環状ポリアミン化合物を提供する。

Description

【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2000年8月2日に出願された、仮特許出願番号60/222,522(その内容は、その全体が本明細書中に参考として援用される)の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、制御されていない細胞増殖により引き起こされる、癌および他の疾患を処置するために有用な化合物および方法に関する。より具体的には、本発明は、インビトロで抗腫瘍活性を示す環状ポリアミン化合物、ならびにこれらの化合物を作製および使用する方法に関する。
【0003】
(発明の背景)
癌は、先進国における主要な死因の1つである。1997年の米国における死の約四分の1が、癌に起因しており、癌は、心臓病に続いて二番目に主要な死因となっている。従って、癌に対する新規かつ有効な処置の開発は、健康管理の研究者に対する優先度の高い事項である。
【0004】
癌はしばしば、化学療法を使用して、正常細胞に対してはより低い有害な効果を有しながら、癌細胞を選択的に殺傷するか、または癌細胞の増殖を選択的に妨げることによって、処置される。化学療法剤は、しばしば、迅速に分裂中の細胞(例えば、癌細胞)を殺傷する;さほど迅速に分裂していない細胞は、より低い程度で影響を受ける。他の薬剤(例えば、毒性薬剤に結合した抗体)が、癌に対する使用のために評価されている。これらの薬剤は、癌に特異的な特徴(例えば、正常より高い細胞分裂速度、または癌細胞表面で発現される独自の抗原)を利用することによって、癌細胞を標的にする。
【0005】
悪性細胞の1つの独特の区別可能な特徴は、酸素の存在下でさえの、その高速の解糖である(いわゆる好気性解糖、またはワールブルク効果)。過去70年にわたるOtto Warburgによる研究は、ヒトおよび動物のかなり多くの腫瘍が、高速の解糖を示すことを実証した。不完全な酸化的代謝がこの高速の解糖の基礎にあるという、ワールブルクの仮定は、最近の研究によっては支持されていないが、元の観察は十分に確認されている。Chesney,J.ら,「An inducible gene product for 6−phosphofructo−2−kinase with an AU−rich instability element:role in tumor cell glycolysis and the Warburg effect」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)96(6):3047−52を参照のこと。ヒト腫瘍は、激しい低酸素症に耐え、従って、低酸素症の状態への適合は、腫瘍の進行における重大な工程である。従って、解糖によるエネルギー源としてのグルコースの嫌気性の使用は、大部分の固形腫瘍に対して共通の特徴である。Dang,C.V.およびSemenza,G.L.,「Oncogenic alterations of metabolism」,Trends Biochem.Sci.(1999)24(2):68−72ならびにBoros,L.G.ら,「Nonoxidative pentose phosphate pathways and their direct role in ribose synthesis in tumors:is cancer a disease of cellular glucose metabolism?」Med.Hypotheses(1998)50(1):55−9を参照のこと。
【0006】
磁気共鳴スペクトロスコピーおよび陽子射出断層撮影法は、腫瘍が正常組織と比較して増加したグルコースの取込みを有すること、ならびに腫瘍の攻撃性および予後がグルコース取込みと相関することを実証した。Imdahl,A.ら,「Evaluation of positron emission tomography with 2−[18F]fluoro−2−deoxy−D−glucose for the differentiation of chronic pancreatitis and pancreatic cancer」,Br.J.Surg.(1999)86(2):194−9およびMaublant,J.ら,「Positron emission tomography(PET)and(F−18)−fluorodeoxyglucose in(FDG)in cancerology」,Bull.Cancer(Paris)(1998)85(11):935−50を参照のこと。グルコーストランスポータGLUT1の発現もまた、癌細胞において増加される。Grover−McKay,M.ら,「Role for glucose transporter 1 protein in human breast cancer」,Pathol.Oncol.Res.(1998)4(2):115−20およびBurstein D.E.ら,「GLUT1 glucose transporter:a highly sensitive marker of malignancy in body cavity effusions」,Mod.Pathol.(1998)11(4):392−6を参照のこと。癌細胞における解糖経路を介するグルコースの利用は、正常細胞における場合と同様に、ピルビン酸の形成を導くが、酸素の非存在下では、ピルビン酸は、トリカルボン酸サイクルを介して代謝されない。このことは、癌細胞から、酸化的リン酸化によるATPの効率的な産生を奪う。癌細胞において、ピルビン酸は乳酸に還元され(NADPHによる)、腫瘍の酸性環境を導く。しかし、腫瘍細胞の細胞質ゾルのpHは、正常細胞におけるpHと同様に維持される。Dang,C.V.およびSemenza,G.L.,「Oncogenic alterations of metabolism」,Trends Biochem.Sci.(1999)24(2):68−72を参照のこと。
【0007】
低酸素症は、強い選択力であり、そして癌遺伝子および腫瘍抑制遺伝子を改変することによって、解糖を調節する。腫瘍脈管形成は、低酸素症および低血糖症によって刺激され、これは、脈管形成因子の発現を誘導し、この因子は、微小脈管を漸増させて、栄養および酸素の送達を可能にし、腫瘍塊の拡張を支持する。Moser,T.L.ら,「Angiostatin binds ATP synthase on the surface of human endothelial cells」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999)96(6):2811−6を参照のこと。しかし、新たな微小脈管は制限されており、そして組織崩壊しており、そして酸素の消費速度が供給速度を越える。グルコースの剥脱は、形質転換された細胞における壊死の強力な誘発因子であり、そしてグルコース移送および主要な解糖酵素(例えば、ヘキソキナーゼII、乳酸デヒドロゲナーゼA)の活性を増加させることによって解糖を刺激する生理学的因子および癌遺伝子転写因子は、有害な腫瘍の微環境における癌細胞の生存の促進において、重大な役割を果たす。Blancher C.ら,「The molecular basis of the hypoxia response pathway:tumour hypoxia as a therapy target」,Cancer Metastasis Rev.(1998)17(2):187−94を参照のこと。
【0008】
従って、癌細胞は、主として解糖経路に依存して、酸素の存在下でさえも、成長のために必要なATPを生じさせる。10gの細胞を産生するためには、1モルのATPによって提供されるエネルギーが必要とされることが公知である。1モルのグルコースを二酸化炭素に好気性に酸化することにより、約38モルのATPの正味の増加が生じるが、1モルのグルコースをピルビン酸および乳酸に嫌気性に(解糖に)形質転換することにより、2モルのATPの増加のみを生じ、これは好気性の酸化の19分の1である。細胞におけるグルコースの不完全な酸化(これは次に、腫瘍細胞における上昇した速度の解糖を必要とする)に起因して、ATPが、癌細胞において非常に珍重されていることが明らかである。
【0009】
悪性細胞におけるATPに関する制限された供給および高い要求に起因して、ATPを加水分解し得る薬物は、癌の増殖を制御する手段を提供し得る。このような薬物は、癌細胞に不均的に影響を与え、一方で、ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化によってATP合成が定常的に補充される正常組織に対しては、さほど有害ではない。
【0010】
初期には、環状ポリアミンが果たし得る種々の機能が注目された。これらの機能としては、金属イオンの選択的取り込みおよび移送を容易にすること、金属のキレート化、ならびに触媒および酵素の機能のモデルとして働くことが挙げられる。Kimura,E.,「Macrocyclic polyamines with intelligent functions」,Tetrahedron(1992)48(30):6175を参照のこと。
【0011】
環状ポリアミンは、ATPの加水分解に対して驚くべき効果を有することが観察された。環状ポリアミンは、プロトン化されると、ATP、ADP、およびAMPを安定に結合し、そして広いpH範囲にわたって、ATPの加水分解の速度を数桁増強する。線状ポリアミン(これは、ATPを結合しない)は、加水分解の速度を増加させない。環式化合物によって触媒される加水分解は、オルトリン酸およびADPを生成物として与える;次いで、このADPは、AMPにゆっくりと加水分解される。ATPの切断において、中間体のホスホロアミデートの形成が検出され、そして最初の「上に載った(perched)」複合体の可能な形状および加水分解の機構が仮定された。Merthes,M.P.ら,「Polyammonium macrocycles as catalysts for phosphoryl transfer:the evolution of an enzyme mimic」,Account of Chemical Research(1990)23:413;Hosseini,M.W.ら,「Efficient molecular catalysis of ATP hydrolysis by protonated macrocyclic polyamines」,Helv.Chim.Acta(1983)66:2454;Prakash,T.P.ら,「Macrocyclic polyamine[16]−N3および[21]−N4:Synthesis and study of their ATP complexation by 31P NMR spectroscopy」,J.Chem.Soc.Perkin Trans.(1991)1:1273;Hosseini,M.W.ら,「Supramolecular catalysis in the hydrolysis of ATP facilitated by macrocyclic polyamines:mechanistic studies」,J.Am.Chem.Soc.(1987)109:537;ならびにBencini,A.ら,「Potential ATPase mimics by polyammonium macrocycles:criteria for catalytic activity」,Bioorganic Chem.(1992)20:8を参照のこと。これらの環状触媒は、ATPaseの「機能的模倣物」であると記載された。ATPの加水分解は、ATPのβ−リン酸における酸素の交換を包含し、そしてカルシウムの存在下で起こった。これらの条件下で、ADPの引き続く加水分解が減少し、そしてリン酸化された環式化合物が蓄積した。この反応混合物をpH4.5に調整すると、ピロリン酸が形成した。この環状ホスホロアミデートは、ADPをリン酸化してATPを与え得ることが示された。
【0012】
環状ポリアミンのホスファターゼ活性もまた、他の生物学的リン酸エステルを使用して研究された。環状ポリアミン触媒がリン酸アセチルを切断してオルトリン酸にすることが示された;次いで、この反応は、ピロリン酸の合成に進行する。環状ポリアミンは、Ca++またはMg++の存在下で、ATP依存性反応においてギ酸エステルを活性化させ得ることが観察された。この活性化は、ATPを加水分解して環状ホスホロアミデートを生じることによって進行するようであり、ここで環状ホスホロアミデート種は、提唱される中間体のリン酸ホルミルを形成し、次いでこのリン酸ホルミルが環上で切断されて、環状ホルムアミドを生成する(N−ホルミル化)。このセットの反応は、N10−ホルミルテトラヒドロフォレートのATP依存性の酵素合成を模倣し得、そしてホルミルテトラヒドロフォレートシンテターゼの性質に関連することが提唱された。Jahansouz H.ら,「Formate activation of neutral aqueous solutions mediated by a polyammonium macrocycle」,J.Am.Chem.Soc.(1989)111:1409を参照のこと。
【0013】
環状ポリアミンおよび環状ポリエーテル(Kimuraら、前出)に関する上記化学的研究とは無関係に、環状ポリアミンアルカロイド(大環状アミノラクタムともまた呼ばれる)が天然生成物の重要なクラスであることは、植物化学的文献から公知であった。これらは主として、フェニルプロパノイドの生合成経路(シキミ酸系路)とポリアミン(スペルミンおよびスペルミジン)経路との交差から派生する。従って、Cannabis(インド大麻)、Codonocarpus、Equisetum(トクサ)、Lunaria、Maytenus、Oncinotis、Peripterygia、およびPleurostyliaの植物のファミリーから、とりわけ、以下の環状スペルミン由来のアルカロイドが単離された:ケノルヒン(chaenorhine)、アフェランドリン(aphelandrine)、オランチン(orantin)、エフェドラジン(ephedradine)、およびペリフィリン(periphylline)。Gerardy,R.ら,Phytochemistry(1993)32:79;Zenk,M.H.ら,J.Chem.Soc.Chem.Commun.(1989)1725;Husson,H.−P.ら,Tetrahedron(1973)29:1405;Sagner,S.ら,Tetrahedron Letters(1997)38:2443;Stach,H.ら,Tetrahedron(1988)44:1573;およびKramer,U.ら,Angew.Chem.(1977)89:899を参照のこと。スペルミン由来のアルカロイドのうちでも、ホマリン(homaline)、およびピテコロビン(pithecolobine)と呼ばれるアルカロイドの混合物である。後者は、Pithecolobium samanの抽出物から単離され(Wiesner,K.ら,「Structure of pithecolobine II」,Can.J.Chem.(1968)46:1881およびWiesner,K.ら,「Structure of pithecolobine III」,Can.J.Chem.(1968)46:3617を参照のこと)、そしてこれらの生合成は、スペルミンの代謝と、不飽和脂肪酸への代謝経路との交差に由来するようである。インドの植物であるAlbizia amaraの種子からのメタノール抽出物は、ブドムンキアミン(budmunchiamine)A〜Iと呼ばれる9種のアルカロイドの混合物を含むことが示された。Pezzuto,J.M.ら,「DNA−based isolation and the structure elucidation of the budmunchiamines,novel macrocyclic alkaloids from Albizia amara」,Heterocycles(1991)32:1961−68;Pezzuto,J.M.ら,Phytochemistry(1992)31:1795−1800を参照のこと。これらの構造は、物理的方法によって確立され、そしてピテコロビンと類似であることが見出された。Albizia amaraの種子からの単離物は、可能な生物学的効果についての一般的なスクリーニングにおいて、細胞傷害性効果を有することが見出された。Mar,W.ら,「Biological activity of novel macrocyclic alkaloids(budmunchiamines)from Albizia amara detected on the basis of interaction with DNA」,J.Natural Products(1991)54:1531。ブドムンキアミンに関する他の研究は、Rukunga,G.M.ら,J.Nat.Prod.59(9):850−3(1996);Rukunga,G.M.ら,Phytochemistry 42(4):1211−15(1996);Misra,L.N.ら,Phytochemistry 39(1):247−249(1995);Dixit,A.K.ら,J.Nat.Prod.60(10):1036−1037(1997);Rukunga,G.M.ら,Bull.Chem.Soc.Ethiopia 10(1):47−51(1996);Cordell,G.A.ら,Pure Appl.Chem.66(10−1):2283−2286(1994);およびOnuki,H.ら,Tetr.Left.,34(35):5609−5612(1993)に記載されている。
【0014】
しかし、上で参照した技術は、単離された環状ポリアミンの、癌治療のための使用を示唆せず、そして環状ポリアミンを、癌細胞における細胞内ATPの加水分解のインビボでの触媒として使用するガイダンスを提供しない。従って、本発明の環状ポリアミンは、癌治療のための新たなアプローチを表す。さらに、ブドムンキアミン化合物の合成は報告されておらず、そしてブドムンキアミンを用いる研究は、代表的に、複数の化合物の混合物を含む植物抽出物を用いて実施されてきた。本発明は、インビボでATP−ase様の活性を有する新規化合物を設計するため、および単離された化合物の研究を可能にするために、ピテコロビンおよびブドムンキアミンについて提唱された構造に類似の個々の化合物の合成を可能にする方法を提供する。癌および他の病理学的状態を処置する際に使用するための、このような新規化合物が、本発明の方法を用いて作製された。
【0015】
(発明の開示)
本発明は、細胞の制御されていない増殖によって引き起こされる疾患(例えば、癌であって、特に、前立腺癌)を処置するため、および他の障害の処置のために細胞内ATP加水分解を誘導するための、化合物および組成物を提供する。
【0016】
1つの実施形態において、本発明は、以下の式の化合物:
【0017】
【化11】
Figure 2004505112
ならびにその全ての立体異性体および塩を提供し、ここで、A、各A(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここで、kは、0、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択される。さらなる実施形態において、Y基は、−Hまたは−CHである。別の実施形態において、A、各A(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択される。なお別の実施形態において、Mは、−CH−である。本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた、上記化合物の1つ以上の組成物を含む。
【0018】
本発明はまた、以下の式の化合物:
【0019】
【化12】
Figure 2004505112
ならびにその全ての立体異性体および塩を提供し、ここで、AおよびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここでAは、独立して、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択される。さらなる実施形態において、Y基は、−Hまたは−CHである。別の実施形態において、AおよびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され、そしてAは、C〜CアルキルおよびCアルキルからなる群より選択される。なお別の実施形態において、Mは、−CH−である。本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた、上記化合物の1つ以上の組成物を含む。
【0020】
本発明はまた、以下の式の化合物:
【0021】
【化13】
Figure 2004505112
ならびにその全ての立体異性体および塩を提供し、ここで、AおよびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、Aは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択される。さらなる実施形態において、各Y基は、−Hである。別の実施形態において、AおよびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され、そしてAは、C〜Cアルキルからなる群より選択される。なお別の実施形態において、Mは、−CH−である。本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせた上記化合物の1つ以上の組成物を含む。
【0022】
本発明はまた、以下の式の化合物:
【0023】
【化14】
Figure 2004505112
を合成する方法を提供し、ここで、A、各A(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここで、kは、0、1、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択され;ここで、この方法は、ω−ハロアルキルアルカノエートを、アルデヒド含有化合物またはケトン含有化合物と反応させて、アルケン含有アルカノエート化合物を得る工程;このアルケン含有アルカノエート化合物を、2つの1級アミノ基を含み、そして必要に応じて2級アミノ基を含む化合物と反応させて、二重結合にまたがるアミノ基の1つの付加を引き起こす工程;他方のアミノ基を、アルカノエート基で環化させて、アミド結合を形成する工程;ならびに必要に応じて、2級アミノ基を、存在する場合には、アルキル化する工程を包含する。1つの実施形態において、このω−ハロアルキルアルカノエートは、ブロモ酢酸エチルである。別の実施形態において、このアルデヒド含有化合物またはケトン含有化合物は、アルデヒド含有化合物である。なお別の実施形態において、ω−ハロアルキルアルカノエートをアルデヒド含有化合物またはケトン含有化合物と反応させて、アルケン含有アルカノエート化合物を得る工程は、ω−ハロアルキルアルカノエートをトリフェニルホスフィンと反応させることによって実施される。なお別の実施形態において、2つの1級アミノ基を含む化合物は、HN−A−(NH−A−NH−A−NHからなる群より選択され、ここで、A、各A(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され、そしてkは、0、1、2、または3である。なお別の実施形態において、2つの1級アミノ基を含む化合物は、スペルミン、スペルミジン、およびプトレシンからなる群より選択され得る。なお別の実施形態において、他方のアミノ基をアルキルアルカノエート基で環化させて、アミド結合を形成する工程は、この化合物をアンチモン(III)エトキシドと反応させることによって実施され得る。さらなる実施形態において、任意の2級アミノ基を、存在する場合に、必要に応じてアルキル化する工程は、この化合物を最初に脂肪族アルデヒドと反応させてシッフ塩基を得、次いでこのシッフ塩基を還元して、2級アミノ基のアルキル化を生じることによって実施され得る;シッフ塩基を還元する工程は、試薬NaCNBHを使用することによって、実施され得る。
【0024】
本発明はまた、以下の式の化合物:
【0025】
【化15】
Figure 2004505112
を合成する方法を提供する。
【0026】
ここで、Aは、Cアルキルであり、そしてそれぞれのA(存在する場合)およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、それぞれのYは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここでkは、0、1、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択され;ここで、この方法は、第1級アミノ基およびヘキサヒドロピリミジン部分を含む化合物を、α,β−不飽和エステル化合物を縮合して、その結果、第1級アミノ基が、不飽和エステル化合物のβ位に付加し、それによって、第1級アミノ基が、第2級アミノ基に変換される、工程;ヘキサヒドロピリミジン部分のメチレン架橋を切断して、第2級アミノ基および新たに生成される第1級アミノ基を生成する、工程;およびこの新たに生成された第1級アミノ基をエステル基と縮合して、アミド基を形成する工程を包含する。α,β−不飽和エステルは、式(C〜Cアルキル)−O−C(=O)−CH=CH−(C〜C32アルキル)のα,β−不飽和エステルであり得る。別の実施形態において、第1級アミノ基およびヘキサヒドロピリミジン部分を含む化合物が、式
【0027】
【化16】
Figure 2004505112
の化合物であり、
ここで、それぞれのA(存在する場合)およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、それぞれのYは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;そしてここで、jは、0、1、2、または3である。好ましい実施形態において、jは、0である。別の好ましい実施形態において、Aは、Cアルキルである。ヘキサヒドロピリミジン部分のメチレン架橋を切断する工程は、アルコール性溶媒中の無水HClで行われ得る。新たに生成される第1級アミノ基をエステル基と縮合して、アミド基を形成する工程は、試薬B(N(CHを用いて行われ得る。
【0028】
本発明はまた、式
【0029】
【化17】
Figure 2004505112
の化合物、ならびにその全ての立体異性体および塩を提供し、
ここで、A、それぞれのA(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、Aは、C〜Cアルキルまたは非存在から選択され;ここで、Xは、−H、−Z、−CN、−NH、−C(=O)−C〜Cアルキル、またはNHZから選択され、但し、Aが存在しない場合、Xは、−H、−C(=O)−C〜Cアルキル、または−Zであり;ここで、Zは、アミノ保護基、アミノキャッピング(capping)基、アミノ酸、およびペプチドからなる群より選択され;ここで、それぞれのYは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここで、kは、0、1、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択される。特定の実施形態において、Aは、非存在である。他の実施形態において、Xは、−Zであり、そして−Zは、−Hである。他の実施形態において、Yは、−CHである。他の実施形態において、Mは、−CH−である。なおさらなる実施形態において、kは1である。さらなる実施形態において、AおよびAは、−CHCHCH−である。ならさらなる実施形態において、−CHCHCHCH−である。なおさらなる実施形態において、Rは、−C1327である。なおさらなる実施形態において、A、X、Z、Y、M、k、A、AおよびRの特定の制限の1つ以上が組み合わせられる。
【0030】
これらの化合物のさらなる実施形態において、Aは、C〜Cアルキルであり、Xは、−NHZであり、そしてZは、20個の遺伝的にコードされたアミノ酸(アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン)、式アセチル−SKLQL−のペプチド、式アセチル−SKLQ−β−アラニン−のペプチド、または式アセチル−SKLQ−のペプチドから選択される。
【0031】
本発明はまた、式
【0032】
【化18】
Figure 2004505112
の化合物ならびにその立体異性体および塩を、式
【0033】
【化19】
Figure 2004505112
の化合物のアミド基のカルボニルを還元することによって合成する方法を提供し、
ここで、A、それぞれのA(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、それぞれのYは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここでkは、0、1、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択される。水素化アルミニウムリチウムを、還元剤として使用し得る。ジボランはまた、還元剤として使用され得る。
【0034】
本発明はまた、式
【0035】
【化20】
Figure 2004505112
の化合物を合成する方法を提供し、
ここで、A、それぞれのA(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、それぞれのYは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここでkは、0、1、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択され、この方法は、式
【0036】
【化21】
Figure 2004505112
の化合物を、式HC=CH−CNの化合物と反応させる工程を包含し、
ここで、A、それぞれのA(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、それぞれのYは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここでkは、0、1、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択される。
【0037】
本発明はまた、式
【0038】
【化22】
Figure 2004505112
の化合物を合成する方法を提供し、
ここで、A、それぞれのA(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、それぞれのYは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここでkは、0、1、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択され、この方法は、式
【0039】
【化23】
Figure 2004505112
の化合物(ここで、A、それぞれのA(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、それぞれのYは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここでkは、0、1、2、または3であり;そしてここで、Rは、C〜C32アルキルから選択される)のニトリル基をアミノ基に還元することによる合成する方法である。好ましい還元試薬は、ラネーニッケル上での気体状水素である。
【0040】
本発明はまた、制御されていない細胞増殖(例えば、癌、特に、前立腺癌)によって特徴付けられる疾患を、1つ以上の上記化合物の投与によって処置する方法を提供する。本発明はまた、ATP(特に、癌細胞における)を、1つ以上の上記化合物の投与によって枯渇させる方法を提供する。本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリアまたは別の治療剤を伴う、1つ以上の上記化合物の組成物を含む。
【0041】
(本発明を実施するための最良の形態)
詳細な説明全てを通じて、本明細書中に含まれる反応スケジュールおよび表に対する参照がなされる。明瞭性および簡潔性のために、参照数字は、記載されるそれぞれの化学構造に割り当てた。これらの参照数字は、考察される化学的実体をあいまいなく示すために本開示中を通じて一貫して使用される。
【0042】
本発明は、本明細書中に記載される化合物の全ての塩を含む。薬学的に受容可能な塩が特に特に好ましい。薬学的に受容可能な塩は、遊離塩基の生物学的活性を保持し、生物学的またはそれ以外で望ましくないことがない塩である。所望の塩は、ポリアミンを酸で処理することによって、当業者に公知の方法によって調製され得る。無機酸の例としては、限定しないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸が挙げられる。有機酸の例としては、限定しないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、スルホン酸、およびサリチル酸が挙げられる。アミノ酸を有するポリアミンの塩(例えば、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩)もまた調製され得る。
【0043】
本発明はまた、化合物の全ての立体異性体(ジアステレオマーおよびエナンチオマーを含む)ならびに立体異性体の混合物(限定しないが、ラセミ混合物を含む)を含む。立体化学が構造に明白に示されない限り、この構造は、示される化合物の全ての可能な立体異性体を含むことが意図される。
【0044】
用語「アルキル」とは、直鎖、分枝鎖、環式基、およびこれらの組み合わせを含む、飽和脂肪族基をいい、特定された炭素原子の数を有するか、数が特定されない場合、12個までの炭素原子を有する。アルキル基の例としては、限定しないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびアダマンチルのような基が挙げられる。環式基は、1つの環(限定しないが、シクロヘプチルのような基を含む)、または多縮合環(限定しないが、アダマンチルまたはノルボルニルのような基を含む)からなり得る。アルキル基は、非置換であり得るか、または1つ以上の置換基(限定しないが、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨード)、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボアルコキシ、およびカルボキシアミドのような基、または本発明の目的のために必要な場合、保護基で適切にブロックされ得る官能基が挙げられる)で置換され得る。置換されたアルキル基の例としては、限定しないが、−CF、−CF−CF、および他のペルフルオロ基およびペルハロ基が挙げられる。
【0045】
用語「アルケニル」とは、直鎖、分枝鎖、環式基、およびこれらの組み合わせを含む、不飽和脂肪族基をいい、特定された炭素原子の数を有するか、数が特定されない場合、12個までの炭素原子を有し、少なくとも1つの二重結合(−C=C−)を含む。アルケニル基の例としては、限定しないが、−CH−CH=CH−CHおよび−CH−CH−シクロヘキセニルが挙げられ、ここで、エチル基は、任意の利用可能な炭素価において、シクロヘキセニル部分に結合され得る。用語「アルキニル」とは、直鎖、分枝鎖、環式基、およびこれらの組み合わせを含む、不飽和脂肪族基をいい、特定された炭素原子の数を有するか、数が特定されない場合、12個までの炭素原子を有し、少なくとも1つの三重結合(−C≡C−)を含む。「炭化水素鎖」または「ヒドロカルビル」とは、直鎖、分枝鎖、あるいは環式のアルキル基、アルケニル基またはアルキル基、およびこれらの任意の組み合わせの任意の組み合わせをいう。「置換アルケニル」、「置換アルキニル」および「置換炭化水素鎖」または「置換ヒドロカルビル」とは、1つ以上の置換基(限定しないが、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボアルコキシ、およびカルボキシアミドのような基、または本発明の目的のために必要な場合、保護基で適切にブロックされ得る官能基が挙げられる)で置換されたそれぞれの基をいう。
【0046】
「アリール」または「Ar」とは、単環(限定しないが、フェニルのような基を含む)または多縮合環(限定しないが、ナフチルまたはアントリルのような基を含む)を有する、芳香族炭素環式基をいい、非置換アリール基および置換アリール基の両方を含む。置換アリールは、1つ以上の置換基(限定しないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭化水素鎖、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボアルコキシ、およびカルボキシアミドのような基、または本発明の目的のために必要な場合、保護基で適切にブロックされ得る官能基が挙げられる)で置換され得る。
【0047】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」とは、その基の主鎖、分枝鎖、または環式鎖の一部として1つ以上のヘテロ原子を含む、特定された炭素原子の数を含む(または、数字が特定されない場合、12個までの炭素原子を有する)アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基をそれぞれいう。ヘテロ原子としては、限定しないが、N、S、O、およびPが挙げられ;NおよびOが好ましい。ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、およびヘテロアルキニル基は、ヘテロ原子(価数が利用可能である場合)または炭素原子のいずれかでその分子の残りに結合し得る。ヘテロアルキル基の例としては、限定しないが、−O−CH、−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH、−S−CH−CH−CH、−CH−CH(CH)−S−CH、−CH−CH−NH−CH−CH−、1−エチル−6−プロピルピペリジノ、2−エチルチオフェニル、およびモルホリノのような基が挙げられる。ヘテロアルケニル基の例としては、限定しないが、−CH=CH−NH−CH(CH)−CH−のような基が挙げられる。「ヘテロアリール」または「HetAr」とは、単環(限定しないが、例えば、ピリジル、チオフェン、またはフリルを含む)または多縮合環(限定しないが、例えば、イミダゾリル、インドリジニルまたはベンゾチエニルを含む)を有し、少なくとも1つのヘテロ原子(限定しないが、N、O、P、またはSのようなヘテロ原子を含む)を環内に有する、芳香族炭素環式基をいう。ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基およびヘテロアリール基は、非置換であり得るかまたは1つ以上の置換基(限定しないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、ベンジル、炭化水素鎖、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボアルコキシ、およびカルボキシアミドのような基、または本発明の目的のために必要な場合、保護基で適切にブロックされ得る官能基が挙げられる)で置換され得る。このような置換ヘテロアルキル基の例としては、限定しないが、フェニル基またはベンジル基によって窒素または炭素で置換され、そして炭素または窒素の任意の利用可能な価数によってその分子の残りに結合したピペラジン、−NH−SO−フェニル、−NH−(C=O)O−アルキル、−NH−(C=O)O−アルキル−アリール、および−NH−(C=O)−アルキルが挙げられる。その基のヘテロ原子および炭素原子は、置換され得る。ヘテロ原子はまた、酸化された形態であり得る。他に特定しない限り、ヘテロアルキル基、ヘテロアルケニル基、ヘテロアルキニル基、およびヘテロアリール基は、1個と5個の間のヘテロ原子および1個と20個の間の炭素原子を有する。
【0048】
用語「アルキルアリール」とは、1個、2個、または3個のアリール基に付けられた、指定された炭素原子の数を有するアルキル基をいう。
【0049】
用語「アルコキシ」とは、本明細書中で使用される場合、酸素原子に連結され、そして特定された炭素原子の数を有するか、数が特定されない場合、12個までの炭素原子を有する、アルキル、アルケニル、アルキニル、または炭化水素鎖をいう。アルコキシ基の例としては、限定しないが、メトキシ、エトキシ、およびt−ブトキシのような基が挙げられる。
【0050】
用語「アルカノエート」とは、本明細書中で使用される場合、イオン化されたカルボン酸基(例えば、アセテート(CHC(=O)−O(−1))、プロピオネート(CHCHC(=O)−O(−1))など)をいう。「アルキルアルカノエート」とは、アルコキシ基でエステル化されたカルボン酸(例えば、酢酸エチル(CHC(=O)−O−CHCH))をいう。「ω−ハロアルキルアルカノエート」とは、カルボキシル基から最も遠いアルカノエート炭素原子上にハロゲン原子を有する、アルキルアルカノエートをいう;従って、エチルω−ブロモプロピオネートとは、エチル3−ブロモプロピオネートをいい、メチルω−クロロn−ブタノエートとは、メチル4−クロロn−ブタノエートをいう。
【0051】
用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、本明細書中で使用される場合、Cl置換基、Br置換基、F置換基またはI置換基をいう。
【0052】
「保護基」とは、以下の特徴を示す化学基をいう:1)良好な収率で所望の官能基と選択的に反応して、保護が望まれる計画された反応に対して安定である、保護された基質を与える;2)保護された基質から選択的に除去され得て、所望の官能基を生じる;そして3)このような計画された反応中に存在するかまたはこのような計画された反応において生成される他の官能基と適合性である試薬によって良好な収率で除去可能である。適切な保護基の例は、Greeneら、(1991)Protective Groups in Organic Synthesis、第2版(John Wiley & Sons,Inc.,New York)に見出され得る。好ましいアミノ保護基としては、限定しないが、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、t−ブトキシカルボニル(Boc)、t−ブチルジメチルシリル(TBDIMS)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トシル、ベンゼンスルホニル、2−ピリジルスルホニル、または適切な光不安定性(photolabile)保護基(例えば、6−ニトロベラトリルオキシ(nitroveratryloxy)カルボニル(Nvoc)、ニトロピペロニル、ピレニルメトキシカルボニル、ニトロベンジル、ジメチルジメトキシベンジル、5−ブロモ−7−ニトロインドリニルなど)が挙げられる。好ましいヒドロキシル保護基としては、Fmoc、TBDIMS、光不安定性保護基(例えば、ニトロベラトリルオキシメチルエーテル(Nvom))、Mom(メトキシメチルエーテル)、およびMem(メトキシエトキシメチルエーテル)が挙げられる。特に好ましい保護基としては、NPEOC(4−ニトロフェネチルオキシカルボニル)およびNPEOM(4−ニトロフェネチルオキシメチルオキシカルボニル)が挙げられる。
【0053】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、「ポリペプチド部分」、「タンパク質」などは、任意の長さのアミノ酸残基の任意のポリマー(すなわち、2つ以上のアミノ酸のポリマー)をいうために、本明細書中において交換可能に使用される。ポリマーは、直線または非直線(例えば、分枝)であり得、改変アミノ酸またはアミノ酸アナログを含み得、そしてアミノ酸以外の化学部分によって中断され得る。この用語はまた、天然または介在によって(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、あるいは任意の他の操作または改変(例えば、標識成分または生物活性成分と結合)によって)改変されたアミノ酸を包含する。アミノ酸としては、20個のコードされたアミノ酸(プロリン、イミノ酸を含む)、他のα−アミノ酸、ならびに他の天然アミノ酸および人工アミノ酸(例えば、p−ヨードチロシンおよびβ−アラニン)が挙げられる。
【0054】
(環式ポリアミンアナログ:合成アプローチ)
インビボのATPの加水分解に影響し得る環式ポリアミン誘導体は、スペルミン(spm)、その異性体およびその高級ホモログおよび低級ホモログ、ならびにスペルミジン(spd)およびその異性体およびその高級ホモログおよび低級ホモログを、α,β−不飽和脂肪酸鎖と縮合することによって構築される(スキーム1)。
【0055】
【化24】
Figure 2004505112
スキーム1は、まさに環状ポリアミン(例えば、ピテコロビンおよびブドムンキアミン(budmunchiamine))の生合成経路のように見えるが、実際の合成アプローチは、異なる経路に従う。後者は、これらの一連の種々のアナログに関してスキーム2に図示されている。
【0056】
エチルブロモアセテート1とトリフェニルホスフィンとの反応によって、Wittig塩2を得た。Wittig反応の手順に従う2と脂肪族アルデヒド3a〜3cの縮合によって、α,β−不飽和エステル4a〜4cを約90%の収率で得た。4a〜4cとスペルミン(またはスペルミンアナログ)との反応によって、スペルミンの第1級アミノ基によって塩基1当量が二重結合に付加して、そのアミノエステル5a〜5cを約40%の収率で得る。5a〜5cの6a〜6cへのラクタム化を、アンチモン(III)エトキシドを用いて76%の収率で達成した。最後に、6a〜6cの第2級アミノ残基のN−メチル化が必要な場合、ホルムアルデヒドおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元的アルキル化反応によって7a〜7cを得ることで達成され得る。この反応の収率は、約80%である。ホルムアルデヒドのホモログを用いるN−アルキル化は、7a〜7cのホモログをより高い収率で与える。
【0057】
【化25】
Figure 2004505112
スキーム2において使用される条件および試薬は、以下の通りである:a)PPh、トルエン、2時間、80℃(94%収率);b)NaOEt、10℃続いて室温まで加温(88%収率);c)スペルミン、40℃(43%収率);d)Sb(OEt)、ベンゼン、還流(76%収率);e)1.ホルマリン37%、酢酸、0℃続いて室温まで加温;2.NaCNBH、室温(83%収率)。
【0058】
一般的に、本発明の化合物の合成は、ハロアルキルアルカノエート、好ましくは、ω−ハロアルキルアルカノエートとトリフェニルホスフィンを反応させることによって行われ、ホスホニウム塩を与える。上記ホスホニウム塩は、Wittig反応の一般的な反応プロトコルに従って、アルデヒド含有化合物またはケトン含有化合物(好ましくは、アルデヒド含有化合物)と縮合して、α,β−不飽和アルケニルアルカノエートを与える。少なくとも2つの第1級アミノ基を有するポリアミンの二重結合への付加は、β−アミノアルキルアルカノエートを生じ、上記第1級アミノ基の1つは、二重結合に付加して、他のアミノ基は遊離のまま残る。遊離のアミノ基とエステル官能基との縮合は、環状化合物を与える。次いで、第2級アミノ基(環内に存在する場合)の誘導体化は、所望な場合に行われ得る。ポリアミンのアミノ基が直鎖アルキル基によって接続されている場合、上記アルキル基の長さを変えることによって、そして上記ポリアミンのアミノ基の数を変えることによって、上記ポリアミンの縮合によって異なる環の大きさを構築し得、環状化合物を得ることは、容易に理解され得る。
【0059】
本発明の化合物を合成するための代替方法は、スキーム3に図示されており、試薬4cは、スキーム2に図示されている。
【0060】
【化26】
Figure 2004505112
容易に理解され得るように、スキーム3に従う合成は、第1級アミノ基およびヘキサヒドロピリミジン部分を含む化合物8を利用する。上記ヘキサヒドロピリミジン部分は、1,3−ジアミノプロパンの保護された形態とみなされ得;上記ヘキサヒドロピリミジン環中の2個の窒素間のメチレン架橋は、容易に開裂して遊離のアミノ基を生じる。上記の遊離の第1級アミノ基を含む分子の一部が、ヘキサヒドロピリミジン窒素の1つと結合し;上記第1級アミンは、任意のリンカーアーム(linker arm)によって上記ヘキサヒドロピリミジン窒素に結合され得る。好ましくは、上記リンカーアームは、少なくとも1つの炭素原子を含む。上記リンカーアームは、−A−(NY−A−の形態であり得、各A(存在する場合)およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され、各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され、そして、jは、0、1、2、または3であり;この化合物は、構造式:
【0061】
【化27】
Figure 2004505112
によって表わされる。
【0062】
さらに好ましくは、上記リンカーアームは、スキーム3の化合物8中のような−CHCHCH−である。ヘキサヒドロピリミジン8は、スペルミジンおよびホルマリンから容易に調製される(Chantrapromma,K.ら、「The chemistry of naturally occurring polyamines.2.A total synthesis of thermospermine」、Tetr. Lett.(1980)、21(26):2475−6を参照のこと)。第1級アミノ基の−C=C−結合への付加は、遊離の第1級アミノ基を第2級アミノ基へと変換する。スキーム3において、上記第1級アミノ基は、α,β−不飽和エステル化合物のアルケン結合へ付加する。次いで、上記ピリミジン環は、開環し得、第2の第1級アミノ基を遊離し、この基は、上記分子のエステル官能基と縮合し得る。実施例14〜16は、スキーム3の合成において使用される実験条件を詳細に示す。
【0063】
本明細書中に記載される合成法を用いて、表1に列挙される以下の化合物を合成した。
【0064】
【表1】
Figure 2004505112
Figure 2004505112
(化合物の還元およびさらなる誘導体化)
上述の化合物は、ヒドリド試薬(例えば、リチウムアルミニウムヒドリドおよび当該分野で公知の他の還元剤)を用いて容易に還元されて、アミド基を第2級アミンへと変換し得る。アミド基を含む環状ポリアミン化合物に関して、非アミド窒素、すなわちアミノ基がアルキル化されている場合、上記アミド基は、第2級アミノ基に還元され、一方、他の窒素は、第3級アミノ基として存在する。この違いは、上記第2級アミノ基でのさらなる化学反応を行うために利用され得る。上記還元をスキーム4に示し、ここで、Yalkは、アルキル基(例えば、水素を除く)を示す。(上記還元は、もちろん、非アミド窒素上の置換基が水素である場合に行われ得る。その後の段階において、上記化合物中の全ての(第2級)窒素の誘導体化が行われ、これは、以下に概要を述べるスキームでは、アミドとして元から存在している窒素のみが誘導体化されたのとは対照的であった)。
【0065】
【化28】
Figure 2004505112
次いで、スキーム5に概要を述べるように、得られる第2級アミンをアクリロニトリルのような化合物と反応させて第2級アミンを誘導体化し得る。あるいは、得られる第2級アミンを、次いで、ω−ハロアルキルニトリルのような化合物と反応させ得る。ω−ハロアルキルニトリルの例としては、以下に限られないが、アルキル基が、C〜Cアルキル基であり、そしてハロゲンが、ヨードまたはブロモである。あるいは、上記第2級アミンは、アシル基(−C(=O)−C〜Cアルキル)とアシル化され得るか、またはアミノ酸またはペプチドは、上記第2級アミンと直接的にカップリングされ得る。式(−C(=O)−C〜Cアルキル)の基を用いるアシル化反応において、上記アシル基は、リチウムアルミニウムヒドリドまたは他の有機金属薬剤を用いて還元されてアルキル基を形成し得る。ω−シアノアシル基(すなわち、−C(=O)−C〜Cアルキル−CN)がまた導入され得、リチウムアルミニウムヒドリドによって還元して、−CH−C〜Cアルキル−CHNHの形態の基を生じ得る。あるいは、上記第2級アミンは、塩基存在下、アルキルハライドによってアルキル化され得る。
【0066】
【化29】
Figure 2004505112
次いで、シアノ基の第1級アミノ基への還元は、水素下、Raney−Ni試薬を用いて簡便に行われる。
【0067】
従って、合成される遊離第1級アミノ基は、種々の様式で誘導体化され得る。1つのこのような様式は、N−保護アミノ酸の遊離の酸の基とアミノアルキルシクロプロピルアミンの第1級アミノ基をカップリングさせることによって、ペプチド合成の出発点として使用することである。アミノ酸またはペプチドの種々のカップリング方法は、当該分野で公知である。上記ポリペプチドは、組換え方法(すなわち、単一ポリペプチドまたは融合ポリペプチド)または化学合成によって合成され得る。ポリペプチド、特に約50アミノ酸までのより短いポリペプチドは、化学合成(例えば、FmocまたはBoc合成方法)によって簡便に作製される。例えば、AthertonおよびSheppard、Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach、New York:IRL Press、1989;StewartおよびYoung:Solid−Phase Peptide Synthesis 第2版、Rockford、Illinois:Pierce Chemical Co.、1984;およびJones、The Chemical Synthesis of Peptides、Oxford:Clarendon Press、1994を参照のこと。上記ポリペプチドは、固相方法(例えば、Perkin Elmer−Applied Biosystems、Foster City、Californiaによって販売される)を使用して自動化ポリペプチド合成機によって合成され得るか、または当該分野で公知の方法によって溶液中で作製され得る。
【0068】
アミノアルキル化環状ポリアミンの第1級アミンにアミノ酸を連続的にカップリングさせることによるペプチドの合成は、液相ペプチド合成技術(例えば、Bodanszky,M.、Principles of Peptide Synthesis、第2版、Springer−Verlag:Berlin、1993;Bodanszky,M.、Peptide Chemistry:A Practical Textbook、第2版、Springer−Verlag:Berlin、1993、およびBodanszky,M.、Bodanszky,A.、The Practice of Peptide Synthesis、Springer−Verlag:Berlin、1984に広く述べられている)ならびに他の当該分野で周知の技術によって容易に行われる。ペプチドはまた、ペプチド合成におけるフラグメント縮合方法に関する広く知られている技術を用いて、保護された小さなペプチドフラグメントのカップリングによって、環状ポリアミンに結合し得る。個々のアミノ酸(例えば、ロイシン)はまた、第1のアミノ酸の結合の後に、ペプチド合成手順を停止することによって簡単に環状ポリアミンに連結され得る。より長いペプチド(例えば、アセチル−Ser−Lys−Leu−Gln−Leu−は、段階的合成またはフラグメントカップリング方法のいずれかによって環状ポリアミンに結合され得る。
【0069】
このようなペプチド合成方法によって、以下:
【0070】
【化30】
Figure 2004505112
の化合物(SL−11243)を合成した。SL−11243中のペプチドのN末端からC末端までのペプチド配列は、アセチル−Ser−Lys−Leu−Gln−Leu−であって、上記C末端のロイシンは、シクロポリアミン化合物の(前の)第1級アミノ基とカップリングする。上述のペプチド誘導体化された化合物において使用するための目的のペプチドは、前立腺特異的抗原(PSA)またはカテプシンBの基質であるペプチドを含む。25アミノ酸長以下、または10アミノ酸長以下のペプチドが、使用され得る。PSAによって切断されるこのような配列の例としては、HSSKLQ、SKLQ−β−アラニン、SKLQL、またはSKLQがあり、これらは、N末端保護基またはキャッピング基(例えば、Boc、Fmoc、アセチル,または他のアシルキャッピング基)を有していても有していなくてもよく、そして側鎖保護基(例えば、リジンのε−アミノ基上にカルボベンジルオキシカルボニル、BocまたはFmoc)を有していても有していなくてもよい。
【0071】
カテプシンBによって認識されて切断されるポリペプチドの例としては、ペプチド配列Z−P−P−が挙げられ、ここで、Zは、水素、アミノ保護基、またはPのN末端に結合するアミノキャッピング基であり;ここで、Pは、N末端アミノ酸であり、そしてPは、C末端アミノ酸であり;そしてここで、Pは、疎水性アミノ酸であり、そしてPは、塩基性アミノ酸または極性アミノ酸である。別の実施形態において、上記ペプチド配列は、Z−P−P−Y−であり、ここで、Zは、水素、アミノ保護基またはPのN末端に結合するアミノキャッピング基であり;Pは、疎水性アミノ酸であり;Pは、塩基性アミノ酸または極性アミノ酸であり;そしてここで、Yは、ロイシン、β−アラニンまたは非存在である。さらなる実施形態において、Zは、4−モルホリノカルボニル基である。なお別の実施形態において、Pは、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、およびフェニルアラニンからなる群から選択され;そして、Pは、リジン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジンおよびシトルリンからなる群から選択される。
【0072】
(抗新生物性薬剤としての環状ポリアミンの有用性)
新生物性細胞増殖の処置における対象化合物の有用性を評価するために、上記化合物が、一般的に使用される癌モデルのいくつかのインビトロ増殖特性を阻害する能力を研究した。例えば、対象の上記ポリアミンは、一般的に認められたMTTアッセイによって決定されるようないくつかの培養されたヒト前立腺腫瘍細胞株(例えば、LnCap、DuPro、およびPC−3)において、細胞増殖阻害を誘導する(表2)。3種の細胞株は全て、500nM〜2,600nMの範囲のID50値を有する上記環状ポリアミンに感受性である。上記DuPro細胞株を用いた結果が得られ;これらの結果は、ヒト前立腺細胞株を用いた代表的な結果である。本発明の環状ポリアミンは、図1〜14に示されるようなヒト前立腺癌細胞株の一般的に認められたインビトロ試験培養において細胞増殖を阻害し、そして細胞死を引き起こすことが示されている。これらの図は、以下の実施例に詳細に記載される。DuPro細胞による上記環状ポリアミンの取り込み、および細胞のポリアミンレベルに生じる変化は、表3aおよび3bに示される。
【0073】
ATPの加水分解は、細胞死のもっともらしい原因の一つであると考えられている。ATPの酸加水分解を測定するための標準化された方法において、天然由来の直鎖ポリアミンスペルミン存在下で、ATP加水分解が十分でないことと比較して、上記環状ポリアミン存在下で、ATP加水分解において、驚くべき増加が観測された(図15〜21を参照のこと)。上記環状ポリアミンはまた、癌細胞中、インビボでATPを加水分解することが見い出されている(図22〜24)。癌細胞における細胞内のATPを加水分解するために必要とされる環状ポリアミンの濃度は、細胞死を生じる環状ポリアミンの濃度に匹敵し(図6〜14)、このことは、細胞死が細胞内のATP枯渇に起因するという仮説を支持している。しかし、本発明は、生物学的活性または治療学的活性の任意の特定の理論によって限定されることを意図するものではない。
【0074】
(ポリアミンアナログの治療的使用)
本発明のポリアミンアナログは、以下の処置のために有用であると考えられる:細胞(癌、特に前立腺癌および他の癌細胞株を含む)の制御されていない増殖によって引き起こされる種々の疾患。上記アナログは、哺乳動物、好ましくはヒトを処置するために使用される。本発明の環状ポリアミンを使用する疾患の「処置」は、上記疾患または疾患の症状のいずれかを予防、低減または除去するための、あるいは上記疾患または疾患の症状の進行を遅らせるための、本発明の1つ以上の環状ポリアミンの投与として規定され、追加の治療用薬剤を併用してもしなくてもよい。本発明の上記環状ポリアミンの「治療的使用」は、本発明の1つ以上の環状ポリアミンを使用して上に規定される疾患を処置することとして規定される。
【0075】
特定の医療用途についての特定の新規環状ポリアミンの効力を評価するために、この化合物は、まず、適切に選択した試験細胞に対してインビトロで試験され得る。非限定的な例において、ポリアミンアナログは、腫瘍細胞(例えば、前立腺腫瘍細胞)に対して試験され得る。例示的な実験は、培養物中で、ならびに胸腺欠損ヌードマウス(例えば、LNCaP)においてインビボで増殖し得る細胞株を利用し得る。Horoszewiczら(1983)Cancer Res.43:1809−1818。フローサイトメトリーに基づく癌細胞株の培養および処置、細胞周期ならびに細胞死の決定;ODC、SAMDCおよびSSAT活性を含む酵素アッセイ;ならびに天然のポリアミンおよびポリアミンアナログの高速液体クロマトグラフィー検出および定量化は、当該分野で記載されている(例えば、Miら(1998)Prostate 34:51−60;Kramerら(1997)Cancer Res.57:5521−27;およびKramerら(1995)J.Biol.Chem.270:2124−2132)。評価はまた、細胞の増殖および代謝に対する新規環状ポリアミンアナログの効果でなされ得る。
【0076】
分析は、72時間で行われる0.1〜1000μMの範囲の用量応答曲線に基づくIC50の決定により始まる。これらの研究から、約50%の増殖阻害を生じる状態が規定され得、そして以下のために使用される:(a)細胞数の減少(これは、薬物誘導細胞死を示し得る)について特に注意しながら、6日までの間の増殖阻害の時間依存性を追跡するため;(b)フローサイトメトリー(付着および脱着した細胞について行う分析)を使用する、細胞周期の進行および細胞死に対するアナログの効果の特徴付けのため;(c)細胞の代謝のパラメータに対するアナログの効果を試験するため。アナログの効果は、細胞内濃度に対して正規化され得(HPLC分析によって)、これはまた、細胞に浸透するその相対的能力の表示を提供する。アナログ取り込みにおける顕著な差異は、Miら(1998)において以前に記載されたような、放射標識スペルミジンを使用する競合研究によって評価されるような、ポリアミントランスポーターを利用しそして調節するアナログの能力の研究によってさらに特徴付けられ得る。環状ポリアミンはまた、拡散機構によって細胞に侵入し得た。
【0077】
(環状ポリアミンアナログのインビボ試験)
培養された癌細胞に対する強力な抗増殖活性をインビトロで有することが見出されたアナログは、インビボモデル系において評価され得る。最初の目的は、非腫瘍保有動物(例えば、DBA/2マウス)におけるアナログの相対的毒性を決定することである。各群の3匹の動物に、例えば10mg/kgで開始する漸増濃度のアナログを腹腔内注射し得る。罹患率によって示される毒性を、最初の24時間にわたって綿密にモニターする。十分に特徴付けられたポリアミンアナログ(例えば、BE−333)を、これらの研究において内部標準として使用し得る。なぜなら、毎日×5日間のスケジュールによる慢性の毒性と比較して、単回用量処置による急性毒性に関するデータベースが既に確立されているためである。従って、新しいアナログの場合、BE−333と比較した単回用量毒性は、毎日×5日間のスケジュールで使用されるべき用量の範囲を計画するために使用される。
【0078】
毎日×5日間のスケジュールでの最大耐量を推論した後に、抗腫瘍活性を決定する。代表的に、腫瘍は、トロカールによってヌード胸腺欠損マウスに皮下移植され得、そして毎日×5日間の腹腔内注射による処置を開始する前に、100〜200mmに達する。大部分のアナログは、10mg/kgと200mg/kgとの間の範囲で与えられ得る。アナログは、1群当たり10〜15匹の動物で、3回の処置用量で評価され得る(以下に記載する薬理学的研究のために、各々最低3匹が使用され得る)。マウスは、腫瘍のサイズおよび毒性を決定するために、週に2回モニターおよび秤量され得る。腫瘍のサイズは、多角的測定によって決定され、これから容量(mm)が計算される。腫瘍は、各群の腫瘍容量の中央値が1500mm(すなわち、体重の20%)に達するまで精察され得、この時点で、この動物を屠殺し得る。初期の抗腫瘍研究は、毎日×5日間のスケジュールに焦点を合わせるが、Alzetポンプ送達を介して5日間の一定の注入が行われ得る。なぜなら、このスケジュールは、A549ヒトラージ細胞懸架(hung)癌に対するBE−333の抗腫瘍活性を劇的に改善するためである。Sharmaら(1997)Clin.Cancer Res.3:1239−1244。抗腫瘍活性の評価に加えて、腫瘍組織および正常組織における遊離アナログのレベルは、試験動物において決定され得る。
【0079】
(環状ポリアミンアナログの投与方法)
本発明のポリアミンアナログは、哺乳類(好ましくはヒト)被験体に、当該分野で公知の任意の経路(本明細書中で開示される経路が挙げられるが、これらに限定されない)を介して投与され得る。好ましくは、新規ポリアミンアナログの投与は、静脈内である。他の投与方法としては、経口、動脈内(intrarterial)、腫瘍内、筋内、局所的、吸入、皮下、腹腔内、胃腸、および特定器官または罹患した器官への直接投与が挙げられるがこれらに限定されない。本発明に記載される新規ポリアミンアナログは、錠剤、丸剤、粉末混合物、カプセル、顆粒、注射剤、クリーム、溶液、坐剤、乳濁液、分散剤、食品プレミックスの形態、および他の適切な形態で投与可能である。この化合物はまた、リポソーム処方物において投与され得る。この化合物はまた、プロドラッグとして投与され得、ここでこのプロドラッグは、処置された被験体において治療的に有効な形態に形質転換される。さらなる投与方法は、当該分野で公知である。
【0080】
本明細書中に記載される化合物を含む薬学的投与形態は、無毒性の薬学的有機キャリアまたは無毒性の薬学的無機キャリアと好都合に混合される。代表的な薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、マンニトール、尿素、デキストラン、ラクトース、ジャガイモおよびトウモロコシのデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコール、エチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、炭酸カルシウム、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、炭酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カリウム、ケイ酸、および他の好都合に利用される受容可能なキャリアが挙げられる。この薬学的投薬形態はまた、無毒性の補助物質(例えば、乳化剤、保存剤、または湿潤剤など)を含み得る。適切なキャリアは、耐えられない副作用を引き起こさないが、新規環状ポリアミンアナログが、体内でその薬理学的活性を保持し得るキャリアである。非経口的および経口的な薬物送達のための処方物は、当該分野で公知であり、そしてRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing(1990)に記載される。固体形態(例えば、錠剤、カプセルおよび粉末)は、従来の錠剤化機構およびカプセル充填機構使用して作製され得、これらの機構は当該分野で周知である、固体投薬形態(経口投与のための単回用量提示形態の錠剤およびカプセルを含む)は、当該分野で公知の多数のさらなる非活性成分を含み得、これらの成分としては以下のような従来の添加剤が挙げられる:賦形剤;乾燥剤(dessicant);顔料;結合剤(例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、またはポリビニルピロリドン);充填剤(例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン);錠剤化滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン);または受容可能な湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(sodium lauryl sulphate)。錠剤は、標準的な薬務において周知の方法に従ってコーティングされ得る。摂取のための液体形態は、公知の液体キャリア(水性キャリアおよび非水性キャリア、懸濁液、水中油型乳濁液および/または油中水型乳濁液などを含む)を使用して処方され得る。液体処方物はまた、多数のさらなる非活性成分(顔料、香料、矯味矯臭剤、粘度改善剤、保存剤、安定化剤などを含む)を含み得る。非経口投与について、新規の環状ポリアミンアナログは、さらなる界面活性剤またはアジュバントを用いてかまたは用いずに、生理学的に受容可能な希釈剤または滅菌液体キャリア(例えば、水または油)中のこの化合物の溶液または懸濁液の、注射可能な投薬形態として投与され得る。キャリア油の例示的な列挙としては、以下が挙げられる:動物油および植物油(ピーナツ油、ダイズ油)、石油由来の油(鉱油)、および合成油。一般に、注射可能な単位投薬量について、水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連する糖溶液、ならびにエタノール溶液およびグリコール溶液(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)が、好ましい液体キャリアである。選択される薬学的単位投薬量は、好ましくは、癌細胞と接触する時点で、1μM〜10mMの薬物最終濃度を提供するように作製および投与される。1〜100μMの濃度がより好ましい。新規環状ポリアミンアナログの最適有効濃度は、経験的に決定され得、そしてこれは疾患の型および重症度、投与経路、疾患の進行および健康状態、ならびに患者の体重または身体の領域に依存する。このような決定は、当業者の範囲内である。環状ポリアミンアナログは、単独活性成分として投与され得るか、または別の活性成分(細胞傷害剤、抗生物質、代謝拮抗剤、ニトロソ尿素、ビンカアルカロイド、ポリペプチド、抗体、サイトカインなどが挙げられるがこれらに限定されない)と組み合わせて投与され得る。
【0081】
(実施例)
(化学合成実施例)
以下の実施例は、本発明に従ういくつかの化合物の製造の例示であり、そしていずれの様式においても、本発明を、本明細書中の開示および特許請求の範囲に限定するようには意図されない。本実施例は、単に本発明のより完全な理解を助けるために本明細書中に含まれる。参照番号1〜11は、上記の反応スキーム2および3における化合物を参照する。参照番号12〜14は、本実施例において示され、そしてそのように標識される化合物を参照する。
【0082】
全ての市販の試薬を、さらなる精製なしで使用した。全ての反応を、TLC(プレコートしたシリカゲルF264,Merck)で追跡し;シリカゲル(Merck 60,0.040〜0.063メッシュ)を用いるカラムクロマトグラフィーを行った。検出を、UV光または以下の試薬のいずれかを用いて行った:KMnO溶液(1%KMnO水溶液と5%NaCO水溶液との1:1混合物);アミドおよびアミンについて、Schlittler試薬(白金酸ヨウ素(iodine platinate))(6mlのHO中1gのHPtCl,20mlの1N HClおよび225mlのHO中25.5gのKI、1Lに希釈)。IR測定は、[cm−1]の単位で表し、そしてPerkin−Elmer 781機器に記録した。NMRスペクトルを、適切な溶媒を内部標準として使用して、Bruker−300またはBruker AMX−600にδ(ppm)で記録した。MSスペクトルを、NHを用いる化学イオン化(CI)および電子衝撃(EI;70eV)を使用してFinnigan MAT SSO 700機器またはFinnigan MAT 90機器で、ならびにエレクトロスプレーイオン化(ESI)を使用してFinnigan TSQ 700機器で、作製した。
【0083】
構造図に含まれる数字は、他と区別される分光学的データのための原子の番号を示す;例えば、実施例1における化合物2についての番号1および2は、炭素核磁気共鳴の帰属についての炭素1および2と一致する。
【0084】
(実施例1)
((エトキシカルボニルメチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(2))
【0085】
【化31】
Figure 2004505112
200mlのトルエン中の22g(84mmol)のトリフェニルホスフィンの懸濁液に、14g(84mmol)のブロモ酢酸エチルを添加した。この混合物を、80℃で2時間加熱し、そして一晩室温で攪拌した。これを濾過し、トルエンで洗浄し、そして沈殿したホスホニウムブロミドを10−5mbarで15時間乾燥させて、34g(94%)の2を無色の結晶として得た。分析の目的で、300mgを(CHCl/ヘキサン 1:2)から再結晶して、292mgを得た。
【0086】
(CHCl/MeOH 9:1,UV254):0.16
mp.:150〜155℃(CHCl/ヘキサン 1:2)
IR(CHCl):3360w,2915s,2705w,2400w,1725s,1585w,1335m,1370w,1305m,1210m,1110s,1020w,995w,845w,660m,620w
H−NMR(CDCl):7.93−7.33(m,15 芳香族H);5.47(d,J=13.8,HC(1));4.02(q,J=7.1,OCHCH),1.05(t,J=7.2,OCHCH
13C−NMR(CDCl):164.2(s,C(2));135.1,133.9,133.7,130.2,130.1(5d,15 芳香族C);118.4,117.2,(2s,3 芳香族C);62.7(t,OCHCH);33.4,32.7(2t,C(1));13.6(q,OCHCH
ESI−MS:349([M−Br])。
【0087】
(実施例2)
(2−テトラデカン酸エチル(4a))
【0088】
【化32】
Figure 2004505112
575mg(25mmol)のNaおよび100mlのEtOHから調製したNaOEtの溶液に、10℃で10.7g(25mmol)2を分割して添加し、そして室温で1時間攪拌した。20mlのCHCl中の4.37g(23.75mmol)のラウリンアルデヒド3を添加し、そして室温で一晩攪拌した後、この混合物をエバポレートし、そして50gのSiOを通してこの粗生成物を濾過(EtO/ヘキサン 1:2)して、(E/Z)混合物(約2:1)として5.1g(88%)の4aを得た。分析の目的で、450mgの4aを、クロマトグラフィー(EtO/ヘキサン 2:98)で精製して、140mg(31%)の(Z)異性体および285mg(64%)の(E)異性体を無色の油状物として得た。
【0089】
(EtO/ヘキサン 3:97,KPM):0.67(Z)異性体,0.47(E)異性体
IR(CHCl):2920vs,2850s,1720s,1640m,1455m,1415m,1360m,1295w,1235m,1175s,1115s,1030m,925w,820m,660m,620w
H−NMR(CDCl):(Z)6.21(dt,J=11.5,5.7,HC(3));5.75(d,J=11.5,HC(2));4.16(q,J=7.2,OCHCH):2.63(q,J=7.3,HC(4));1.41(t,J=6.3,HC(5));1.30−1.25(m,8CH,OCHCH),0.88(t,6.9,HC(14))
13C−NMR(CDCl):(Z)166.6(s,C(1));150.5(d,C(2));119.5(d,C(3));101.6 59.6(t,OCHCH);34.3(t,C(4));31.8(t,C(12));29.6(t,C(5));29.5,29.4,29.3,29.2,28.9,23.4(6t,6C);22.5(t,C(13));14.1(q,OCHCH);13.9(q,C(14))
H−NMR(CDCl):(E)6.94(dt,J=15.6,7.0,HC(3));5.80(d,J=15.6,HC(2));4.17(q,J=7.1,OCHCH);2.19(q,J,7.0,HC(4)),1.44(t,J=7.2,HC(5));1.32−1.26(m,8CH,OCHCH);0.87(t,6.9,HC(14))
13C−NMR(CDCl):(E)166.8(s,C(1)),149.9(d,C(2));121.2(d,C(3));60.1(t,OCHCH);32.2(t,C(4));31.9(t,C(12));29.6(t,C(5));29.5,29.4,29.3,29.1,28.1.23.5(6t,6C);22.7(t.C(13));14.3(q,C(14));14.1(q,OCHCH
EI−MS:254(5,[M・]),209(9,[M−OEt]+),157(18),127(46),113(27),99(47),81(37),67(24),55(58),43(100)。
【0090】
(実施例3)
(16−アミノ−3−ウンデシル−4,8,13−トリアザヘキサデカン酸エチル(5a))
【0091】
【化33】
Figure 2004505112
20mlのEtOH中の3.49g(13.7mmol)の4aの溶液を、150mlのEtOH中の2.77g(13.7mmol)のスペルミンの攪拌溶液に30分間かけて添加し、そしてこの混合物を40℃に3日間加熱した。溶媒のエバポレーションおよび100gのSiO上での残渣のクロマトグラフィー(CHCl/EtOH/NHOH 6:3:1)により、2.5g(43%)の5aを無色の油状物として得た。
【0092】
Rf(CHCl/MeOH/25%水性NHOH 7:4:1,Schlittler):0.26
IR(CHCl):2920vs,2850vs,1720vs,1580w,1460s,1370s,1300m,1180m,1115s,1025m,920m,885m,845m,655s,620w
H−NMR(CDCl):4.12(q,J=7.1,OCHCH);2.92(五重線,J=6.4,HC(3));2.78(t,J=6.8,HC(16));2.69(t,J=7.0,HC(9),HC(12));2.45(t,J=6.8,HC(5),HC(7),HC(14));2.38(d,J=6.3,HC(2));2.19(br.s,NH,NH);1.66(五重線,J=6.9,HC(6),HC(15));1.54(五重線,J=7.1,HC(10),HC(11));1.28−1.23(m,10CH,OCHCH);0.88(t,7.0,HC(11’))
13C−NMR(CDCl):172.5(s,C(1));60.0(t,OCHCH);54.7(d,C(3));49.7(t,C(12));48.2(t,C(14));47.6(t,C(9));45.2(t,C(7));40.3(t,C(5));39.1(t,C(16));34.3(t,C(2));33.5(t,C(1’));31.7(t,C(9));30.3,29.5,29.4(3t,6C);29.1(t,C(6),C(15));27.7(t,C(2’),C(10));25.6(t,C(11));22.4(t,C(10’));14.0(q,OCHCH);13.9(q,C(11’))
ESI−MS:457(28,[M+1]+),229(100,[M+2]+)。
【0093】
(実施例4)
(4−ウンデシル−1,5,9,14−テトラアザシクロヘプタデカン−2−オン(6a))
【0094】
【化34】
Figure 2004505112
180mlの乾燥ベンゼン中の1.3g(2.85mmol)の5aの溶液を、モレキュラーシーブ上で2時間加熱還流した。室温まで冷却した後、10mlのベンゼン中の950mg(3.7mmol)のアンチモン(III)エトキシドをアルゴン雰囲気下で添加し、そしてこの混合物を還流下で16時間攪拌した。この混合物を10℃に冷却し、EtOHでクエンチし、そしてエバポレートした。残渣をクロマトグラフィー(50gのSiO,CHCl/EtOH/NHOH 15:4:1)によって精製して、915mg(78%)の6aを無色の油状物として得た。
【0095】
Rf(CHCl/MeOH/25%水性NHOH 7:4:1,Schlittler):0.47
IR(CHCl):3240w,2920vs,2850vs,1640s,1520m,1460m,1370m,1220m,1120m,1045w,925w,805m,660m,620w
H−NMR(CDCl):8.44(br.s,NH),3.37(t,J=7.7,HC(17));2.83(五重線,J=7.0,HC(4));2.76−2.72(m,HC(6),HC(8));2.68(t,J=5.4,HC(10),HC(13),HC(15));2.37(dd,J=15.2,3.3,HC(3));2.25(br.s,NH);2.14(dd,J=15.3,7.2,HC(3));1.67(五重線,J=6.1,HC(7),HC(16));1.59(五重線,J=8.0,HC(11),HC(12));1.41−1.25(m,10CH);0.88(t,J=7.0,HC(11))
13C−NMR(CDCl):172.2(s,C(1));55.4(d,C(4));48.4(t,C(13));48.2(t,C(15));48.0(t,C(8));47.3(t,C(10));45.7(1,C(6));40.3(t,C(3));37.6(t,C(17));34.0(t,C(1’));31.7(t,C(9’));29.6,29.4(2t,6C);29.2(t,C(7));28.8(t,C(16));26.7(t,C(2’));26.6(t,C(11));25.7(t,C(12)):22.5(t,C(10’));13.9(q,C(11’))
ESI−MS:411(44,[M+1]+),206(100,[M+2]+)。
【0096】
(実施例5)
(5,9,14−トリメチル−4−ウンデシル−1,5,9,14−テトラアザシクロヘプタデカン−2−オン(Budmunchiamine A)(7a))
【0097】
【化35】
Figure 2004505112
10mlのAcOH中の90mg(0.21mmol)の6aおよび3mlのホルマリン(37%)の溶液を、0℃で攪拌した。7分後、1mlのMeOH中の250mg(4mmol)のNaCNBHを添加し、そしてこの混合物を、室温で一晩攪拌した。5℃まで冷却した後、この混合物を2NのHClでクエンチし、そして有機溶媒をエバポレートした。残渣を5mlの飽和KCO水溶液に溶解し、CHClで抽出し、そしてNaSOで乾燥した。溶媒のエバポレーションおよび残渣のクロマトグラフィー(10gのSiO,CHCl/MeOH/25%水性NHOH 90:10:0.7)の後、78mg(83%)の7aを無色の油状物として得た。
【0098】
Rf(CHCl/MeOH/25%水性NHOH 85:14:1,Schlittler):0.41
IR(CHCl):3420m,2920vs,2850vs,2800s,1640vs,1520s,1460s,1370m,1230m,1135m,1050m,920w,845w,680w,655m
H−NMR(CDCl):8.55(br.s,NH);3.32(dt,J=6.6,6.8,HC(17));2.84(五重線,J=4.7,HC(4));2.62(dt,J=12.3,7.0,HC(6));2.49−2.41(m,HC(13));2.41(m,HC(6));2.39(m,HC(8));2.41−2.32(m,HC(10));2.44−2.34(m,HC(15));2.37(m,HC(3));2.24(dd,J=6.2,1.6,HC(3));2.27(s,HCN(9));2.19(s,HCN(14),HCN(5));1.67(五重線,J=6.5,HC(16));1.64(五重線,J=6.4,HC(7));1.52(五重線,J=6.7,HC(11),HC(12));1.30−1.17(m,10CH);0.88(t,J=6.9,HC(11’))
13C−NMR(CDCl):172.5(s,C(1));61.1(d,C(4));56.3(t,C(10));56.2(t,C(13));55.8(t,C(15));54.5(t,C(8));51.5(t,C(6));42.8(q,HCN(9));42.3(q,HCN(14));37.6(t,C(17));37.0(t,C(3));35.1(q,HCN(5));31.8(t,C(9’)):29.7,29.6,29.5,29.4,29.2(5t,6C);27.5(t,C(16));27.3(t,C(2’));27.1(t,C(1’));26.0(t,C(7));24.4(t,C(11));23.3(t,C(12));22.5(t,C(10’));13.9(q,C(11’))
ESI−MS:453(100,[M+1]+),227(80,[M+2]+)
EI−MS:452(40,[M+・]),437(28,[M−CH]+),380(16),366(31),295(25),273(19),243(31),238(20),226(20),212(19),200(28),186(16),169(15),149(33),127(18),112(21),100(29),98(35),86(76),84(100),70(39),58(57),49(95),43(69)。
【0099】
(実施例6)
(2−ドデセン酸エチル(4b))
【0100】
【化36】
Figure 2004505112
実施例2と同様:200mlのEtOH中の1.7g(74mmol)のNa、32g(74mmol)の2および10.82g(69.37mmol)のカプリンアルデヒド3bから、14.1g(90%)の4bを、後処理の後に(E/Z)混合物(=2:1)として無色の油状物として得た。分析の目的で、320mgの4bを、クロマトグラフィー(EtO/ヘキサン 2:98)によって精製して、104mg(32%)の(Z)異性体および205mg(64%)の(E)異性体を無色の油状物として得た。
【0101】
Rf(EtO/ヘキサン 3:97,KPM):0.68(Z)異性体、0.47(E)異性体
IR(CHCl):2920vs,2850vs,1710vs,1650s,1460m,1370s,1310s,1275s,1170m,1130m,1035m,980m,825w,660w,620w
H−NMR(CDCl):(Z)6.22(dt,J=11.5,7.5,HC(3));5.74(dt,J=11.5,1.7,HC(2));4.16(q,J=7.1,OCHCH);2.63(q,J=7.3,HC(4));1.43(t,J=6.3,HC(5));1.30−1.25(m,6CH,OCHCH);0.87(t,J=7.0,HC(12))
13C−NMR(CDCl):(Z)166.4(s,C(1));150.4(d,C(2));119.5(d,C(3));59.6(t,OCHCH);31.7(t,C(4));29.4(t,C(10));29.3,(t,C(5));29.1,29.0,C(8));28.9,(3t,4C);22.5(t,C(11));14.1(q,C(12));13.9(q,OCHCH
H−NMR(CDCl):(E)6.95(dt,J=15.6,7.0,HC(3));5.80(dt,J=15.6,1.6,HC(2));4.16(q,J=7.2,OCHCH);2.18(q,J=7.1,HC(4));1.45(t,J=7.2,HC(5));1.32−1.26(m,6CH,OCHCH);0.88(t,6.9,HC(12))
13C−NMR(CDCl):(E)166.6(s,C(1));149.3(d,C(2));121.1(d,C(3));59.9(t,OCHCH),32.0(t,C(4));31.7(t,C(10)),29.3,(t,C(5));29.2,29.1,29.0,27.9(4t,4C);22.5(t,C(11)),14.1(q,C(12));13.9(q,OCHCH
CI−MS:227(76,[M+1]+),226(52,[M+NH−HO]+),181(52,[M−OEt]+),138(16),127(100),144(22),99(80),88(28),81(30),55(39),43(41)。
【0102】
(実施例7)
(エチル16−アミノ−3−ノニル−4,8,13−トリアザヘキサンデカノエート(5b))
【0103】
【化37】
Figure 2004505112
実施例3と同様:500mlのEtOH中の6.46g(32mmol)のスペルミンおよび7.23g(32mmol)の4bから、5.2g(40%)の5bを、後処理の後に無色の油状物として得た。
【0104】
【数1】
Figure 2004505112
(実施例8)
(4−ノニル−1,5,9,14−テトラアザシクロヘプタデカン−2−オン(6b))
【0105】
【化38】
Figure 2004505112
実施例4と同様:190mlのベンゼン中の4.2g(9.8mmol)の5bおよび3g(11.7mmol)のアンチモン(III)エトキシドから、2.85g(76%)の6bを、後処理の後に無色の油状物として得た。
【0106】
【数2】
Figure 2004505112
(実施例9)
(5,9,14−トリメチル−4−ノニル−1,5,9,14−テトラアザシクロヘプタデカン−2−オン(Budmunchiamine B)(7b))
【0107】
【化39】
Figure 2004505112
実施例5と同様:8mlのAcOH中の、70mg(0.18mmol)の6b、3mlのホルマリン(37%)および200mg(3.2mmol)のNaCNBHから62mg(80%)の7bを、後処理の後に無色の油状物として得た。
【0108】
【数3】
Figure 2004505112
(実施例10)
(エチル2−ヘキサデカノエート(4c))
【0109】
【化40】
Figure 2004505112
実施例2と同様:200mlのEtOH中の、1.17g(51mmol)のNa、21.9g(51mmol)の2、および10g(47.1mmol)のミリスチンアルデヒド3cから、(E/Z)混合物(約2:1)としての11.6g(86%)の4cを、後処理の後に無色の油状物として得た。分析の目的のために、350mgの4cをクロマトグラフィー(EtO/ヘキサン 2:98)により精製して、109mg(31%)の(Z)異性体および230mg(65%)の(E)異性体を無色の油状物として得た。
【0110】
【数4】
Figure 2004505112
(実施例11)
(エチル16−アミノ−3−トリデシル−4,8,13−トリアザヘキサデカノエート(5c))
【0111】
【化41】
Figure 2004505112
実施例3と同様:900mlのEtOH中の4.3g(21.28mmol)のスペルミンおよび6g(21.28mmol)の4cから、4.25g(41%)の5cを、後処理の後に無色の油状物として得た。
【0112】
【数5】
Figure 2004505112
(実施例12)
(4−トリデシル−1,5,9,14−テトラアザシクロヘプタデカン−2−オン(6c))
【0113】
【化42】
Figure 2004505112
実施例4と同様:180mlのベンゼン中の1.7g(3.5mmol)の5cおよび1.16g(4.55mmol)のアンチモン(III)エトキシドから、1.2g(78%)の6cを、後処理の後に無色の油状物として得た。
【0114】
【数6】
Figure 2004505112
(実施例13)
(5,9,14−トリメチル−4−トリデシル−1,5,9,14−テトラアザシクロヘプタデカン−2−オン(Budmunchiamine C)(7c))
【0115】
【化43】
Figure 2004505112
実施例5と同様:8mlのAcOH中の、77mg(0.2mmol)の6c、3mlのホルマリン(37%)および200mg(3.2mmol)のNaCNBHから、65mg(81%)の7cを、後処理の後に無色の油状物として得た。
【0116】
【数7】
Figure 2004505112
(実施例14)
(N−(4)−((3−エトキシカルボニル−1−トリデシル)エチル)アミノブチル)ヘキサヒドロピリミジン(9))
【0117】
【化44】
Figure 2004505112
400mlの無水EtOH中の、エチル2−ヘキサデカノエート(4c、2.82g、10mmol)およびN−(4−アミノブチル)ヘキサヒドロピリミジン(8、1.57g、10mmol;McManis,J.S.,Ganem,B.,J.Org.Chem.(1980),45:2042および米国特許第5,869,734号を参照のこと)の溶液を、40℃で4日間撹拌した。エバポレーションの後、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH/25%NHOH水溶液(100:10:1))で精製して、1.21g(27%)の9を無色の油状物として得た。
【0118】
【数8】
Figure 2004505112
(実施例15)
(メチル12−アミノ−3−トリデシル−4,9−ジアザドデカノエート(10))
【0119】
【化45】
Figure 2004505112
乾燥HClガスで飽和したMeOH(50ml)中の9(663mg、1.51mmol)の溶液を、10時間還流した。エバポレーションの後、残渣を減圧下で乾燥し、カラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl/EtOH/25%NHOH水溶液(70:30:5))により遊離塩基に変換して、517mg(83%)の10を無色の油状物として得た。
【0120】
【数9】
Figure 2004505112
(実施例16)
(2−トリデシル−1,5,9−トリアザシクロトリデカン−4−オン(11))
【0121】
【化46】
Figure 2004505112
無水キシレン中の10(190mg、0.46mmol)の溶液に、B(NMe(0.09ml、75mg、0.5mmol)およびNHCl(5mg)を添加した。この混合物を、N雰囲気下で15時間還流し、室温まで冷却した後、5mlのEtOHを添加した。エバポレーションの後、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH/25%NHOH水溶液(70:30:3))で精製して、88mg(50%)の11を白色固体として得た。m.p.72〜73℃。
【0122】
【数10】
Figure 2004505112
(実施例17)
(環状ポリアミンの還元およびアルキル化)
【0123】
【化47】
Figure 2004505112
乾燥THF(32mL)中の7c(2.0g)の溶液を、乾燥THF(11mL)中のLAH(95%、4当量)の冷却(0℃)溶液に、慎重に添加した。この灰色の懸濁液を、0℃で10分間撹拌し、次いで4時間加熱還流した(85℃の油浴)。この反応物を0℃まで冷却し、エーテル(60mL)で希釈し、水(4mL)でクエンチし、乾燥し(NaSO)、Celiteパッドを通して濾過し、そして減圧下で濃縮して、濃厚な油状物を得、これを溶離液としてCHCl−EtOH−28%NHOH(70:27:3)を使用するフラッシュカラムにかけて、12(81%)を透明な濃厚な油状物として得た。
【0124】
【数11】
Figure 2004505112
(テトラアミン12を、MeOH中に溶解し、等容量の濃縮HClを加え、5分間攪拌し、そして乾燥するまでエバポレートすることによって、そのテトラ−HCl塩(SL−11238)に転換した。EtOHからの、その結晶の融点は、241.5〜244.5℃であった。分析。C2970Clについての計算値(4分子のHClおよび2分子のHOを加えた12についての式):C,53.69;H,10.88;N,8.64。実測値:C,53.29;H,11.08;N,8.32)。
【0125】
【化48】
Figure 2004505112
アクリロニトリル(1.4mL)を、12(1.0g)を含有するMeOH(5.5mL)の溶液に加え、この反応物を、室温で一晩(18時間)攪拌した。この溶媒および過剰なアクリロニトリルを、減圧下で35℃にてエバポレートし、そして残渣をCHCl−EtOH−28%NHOH(70:27:3)を溶出液として使用するフラッシュカラムによって精製し、透明な濃縮油状物として13を得た(100%)。
【0126】
【数12】
Figure 2004505112
【0127】
【化49】
Figure 2004505112
レーニーニッケル(水中で0.8gの懸濁液)を、Parr振盪機中の、13(1.0g)およびNaOH(5.0当量)の溶液を含有する95%のEtOH水溶液(80mL)に加えた。この懸濁液を、水素で5回パージし、次いで、水素下(50psi)で一晩振盪した。触媒を、Celiteパッドを通して濾過し、2NのHClで破壊し、そして濾液を濃縮した。この残渣を、水中(10mL)に溶解し、CHCl(4×30mL)で抽出し、分離しそして有機相を合わせ、乾燥し(NaSO)、減圧下で濃縮して、透明な濃縮油状物として14を得た(定量的、NMR & TLC純粋)。
【0128】
【数13】
Figure 2004505112
(ペンタアミン14を、MeOH中に溶解し、等容量の濃縮HClを加え、5分間攪拌し、そして乾燥するまでエバポレートすることによって、そのペンタ−HCl塩(SL−11239)に転換した。EtOHからの、その結晶の融点は、242.3〜245.2℃であった。分析。C3278Clについての計算値(5分子のHClおよび2分子のHOを加えた14についての式):C,51.78;H,10.59;N,9.44。実測値:C,51.68;H,10.91;N,9.14)。
【0129】
(実施例18)
(抗腫瘍性剤としての環式ポリアミン)
新生細胞増殖の処置において、目的の化合物の有用性を評価するために、いくつかの通常使用される癌モデルに特徴的なインビトロ増殖を阻害する、化合物の性能を研究した。目的のポリアミンは、容認されているMTTアッセイによって決定されるように(表2)、いくつかの培養されたヒト前立腺腫瘍細胞株(例えば、LnCap、DuProおよびPC−3)において細胞増殖阻害を誘導する(Hansen,M.B.ら、「Re−examination and further development of a precise and rapid dye method for measuring cell growth/cell kill」J.Immunol.Methods(1989)119(2):203−10)。3つ全ての細胞株は、500nM〜2,600nMの範囲のID50値を有する環式ポリアミンに感受性である。DuProを用いた結果は、ヒト前立腺細胞株を用いた結果を代表している。
【0130】
図1〜14に示されるように、本発明の環式ポリアミンは、細胞増殖を阻害し、かつ容認されているヒト前立腺細胞癌のインビトロ試験培養物において、細胞死さえ引き起こすことが示されている。これらの図を、以下により詳細に記載する。DuPro細胞による環式ポリアミンの取り込み、および細胞ポリアミンレベルの得られた変化を、表3aおよび表3bに示す。
【0131】
ATPの加水分解は、環状ポリアミンアナログの抗腫瘍活性のための可能な機構として提唱されるため、ATP加水分解を測定するためのアッセイを行った。ATPの加水分解を測定するための規格化した方法において、ATP加水分解の顕著な増加が、天然に存在する直鎖ポリアミンスペルミンと比較して、この環式ポリアミンの存在下で観察された(図15〜21)。
【0132】
細胞のATP含有量に対する環式ポロアミンの効果を、Enliten ATP Assay試験キット(Promega Corp.,Madison,WI)を使用して測定した。環式ポリアミンの濃度を変化させながら72時間インキュベートした後の細胞のATP測定の結果を、図22〜24に示す。全ての環式ポリアミンは、細胞のATPプールを使い果たした。細胞のATPプールを使い果たす際の環式ポリアミンの相対的な能力は、その相対的な細胞毒性に対応している。
【0133】
図1〜5および図11〜12において、X軸は、DuPro細胞を播種した後の日数を表し、Y軸は、コントロール(薬物なし)条件下(図1〜5)、ならびに0μMの薬物SL−11174の存在下(図1)、5μMのSL−11197の存在下(図2)、5μMのSL−11199の存在下(図3)、10μMのSL−11200の存在下(図4)、および5μMのSL−11208の存在下(図5)、2μMのSL−11238の存在下(図11)および5μMのSL−11239の存在下(図12)で収集した細胞数を表す。
【0134】
図6〜10および図13〜14のX軸は、環式ポリアミンの濃度を表し、Y軸は、コロニー形成能力(CFE)アッセイ(colony forming efficiency assay)(Wilson A.P.,「Cytotoxicity and viablity assays」。Freshney,R.I.(編)Animal Cell Culture:A Practical Approach.Oxford:IRL Press,1992,p.183を参照のこと)によって決定するように、薬物SL−11174(図6)、SL−11197(図7)、SL−11199(図8)、SL−11200(図9)、SL−11208(図10)、SL−11238(図13)、およびSL−11239(図14)での処理から5日後の生存細胞の画分を表す。
【0135】
図15〜21のX軸は、ポリアミンの濃度を表し、Y軸は、任意のポリアミンの非存在下での同一条件下における同量のATPから放出された無機ホスフェートと比較して、スペルミンならびにSL−11174(図15)、SL−11197(図16)、SL−11199(図17)、SL−11200(図18)、SL−11208(図19)、SL−11238(図20)およびSL−11239(図21)の存在下にて24時間の100μM ATPから放出された無機ホスフェート(PP)の相対的な増加を表す。
【0136】
5μMの低濃度で、全ての環式ポリアミンについて、顕著な増殖阻害および細胞殺傷が観察された。このような高い細胞内レベル、ならびにこのような強力な増殖阻害および細胞毒性効果は、これまでに試験された任意の他のポリアミンアナログについては報告されていない。全ての環式ポリアミンは、ATPの加水分解を触媒する際に、直鎖の天然に存在するポリアミンスペルミンよりも効率的であることが観察された。
【0137】
以下の規格化したプロトコルを使用して、試験培養物を評価し、そして図1〜14に示したデータを作成した。図1〜5および図11〜12について、細胞を、15mlのイーグル最小必須培地(10%のウシ胎児血清および非必須アミノ酸で補充されている)を含む75cmの培養フラスコに播種した。次いで、このフラスコを、湿度95%空気5%のCO雰囲気下でインキュベートした。この細胞を少なくとも24時間増殖させ、それらが増殖の対数期であることを確証し、次いでポリアミンアナログで処理した。細胞を、STV(生理食塩水A、0.05% トリプシン、0.02% EDTA)で5分間37℃にて処理することによって収集した。このフラスコを、研究室の卓上で叩き(rapped)、数回ピペットで取り、そして細胞懸濁液のアリコートを取り出し、そしてクールター粒子計数器(これは、血球計を使用して各細胞株をカウントするために規格化されている)を使用してカウントした。
【0138】
図6〜10および図13〜14について、細胞を洗浄し、収集し、そして60mmのプラスチックのペトリ皿に適切な希釈で、4通りに再プレートした(replate)。このペトリ皿を、4mlの補充イーグル最小必須培地(5〜10%のウシ胎児血清(各細胞株について規格化される)を含有する)を用いる24時間以上前に調製した。細胞を、95%空気5%CO雰囲気下で先に規格化した日数、インキュベートした。このプレートを、メタノール中0.125%のクリスタルバイオレットを用いて染色し、そしてカウントした。
【0139】
図15〜21について、ATP加水分解アッセイを規格化した。96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、最初の2つのカラムを、検量線を作成するために慣用的に使用した。この検量線について、40μlの0〜70μMリン酸緩衝液を、1NのHCl中の1mMのNaHPO溶液を連続的に希釈することによって使用した。ATP加水水分解について、マイクロタイタープレートの残りを2つの区分に等しく分割し、同時に2つのアナログを泳動させた。各区分を、適切な数のカラムに分割し、2Nの最終濃度のHClについて、29μlの2N HCl中の0〜10mMの各アナログを連続的に希釈した。各薬物濃縮物を、4通りに泳動させた。等容量の500μM ATP溶液(pH7.5)を各ウェルに加え、このプレートを、2〜24時間の適切な時間、37℃にてインキュベートした。インキュベーション期間の最後に、160μlの着色剤(水中0.045% Malachite Greenおよび4N HCl中4.2%モリブデン酸アンモニウム(3:1v/v)を含有する)を加え、このプレートを、37℃にて、さらに30分間インキュベートした。全てのプレートを、Emax精密マイクロプレートレーダー(Molecular Device,San Jose,CA)を使用して、595nmで読み取った。ATPのないアナログ溶液を含むコントロールプレートを、各実験について作製した。コントロールプレート読み取りを、各実験プレートから差し引き、全てのデータを、ポリアミンアナログのゼロ点濃度におけるATP加水分解に対して規格化した。4通りの泳動に対する平均および標準偏差をプロットした。
【0140】
表2に示すデータについて、容認されているMTTアッセイプロトコルを使用した。トリプシン処理した細胞懸濁液を希釈して、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルにおいて500細胞を含有する80μlの懸濁液に播種し、そして5%COの加湿インキュベータ中で、37℃にて一晩インキュベートした。各薬物の、適切に希釈した20μlのストック溶液を、マイクロタイタープレート中の細胞懸濁液の中間の8カラムに加えた。各薬物濃縮物を4通りに泳動させた。このプレートの外部カラムを緩衝液コントロールのために使用した。細胞を6日間37℃にて、5%CO/HO雰囲気下で、薬物と共にインキュベートした。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2、5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)の5mg/ml溶液の25μlを、各ウェルに加え、5%CO/HOインキュベータ中で、37℃にて4時間インキュベートした。細胞を、100μlの溶解緩衝液(500mlの溶解緩衝液:100gのラウリル硝酸(SDS)、250mlのN,N−ジメチルホルムアミドを含有する2mlの氷酢酸(pH4.8)、を含む)と共に、一晩インキュベートすることによって溶解した。この色を、室温にて570nmで、E−max Precision Microplate Reader(Molecular Devices Corporation,Sunnyvale,CA)においてモニタリングし、そしてデータを、Molecular Devices Corporationによって供給される細胞生存ソフトウエアを用いて解析した。
【0141】
表3aおよび表3bに示されるデータについて、細胞内ポリアミンレベルを、標準的なプロトコルを使用して決定した。約0.5〜1×10個の細胞を、収集サンプルから取り出し、4℃にて5分間、1000rpmで遠心分離した。この細胞を、冷却したダルベッコ等浸透圧性(isotonic)リン酸緩衝液(pH7.4)で、1000rpmで4℃にて遠心分離することによって、2回洗浄し、そして同じ緩衝液中に再懸濁した。最後の遠心分離の後に、この上清をデカントし、250μlの8% スルホサリチル酸(sulfosalycilic acid)を、細胞ペレットに加えた。次いで、この細胞を超音波処理し、そしてこの混合物を、4℃にて少なくとも1時間保った。8,000gで5分間遠心分離した後、この上清を分析のために除去した。適切な容量(50〜100μl)を、塩化ダンシルを用いて誘導体化することによって蛍光標識した。標識したポリアミンを、C−18高速液体クロマトグラフィーカラムに充填し、アセトニトリル/水で、50℃にて勾配溶出することによって分離した。ピークを検出し、Spectra−Physicsピーク積分器に連結されたShimadzu HPLC蛍光モニタを使用して定量化した。ポリアミンレベルは環境条件と共に変化するので、コントロール培養物を、各環境についてサンプリングした。
【0142】
図22〜24に示されるデータについて、プロトコルを、Enliten ATP Assay System(Promega Corp.,Madison,WI)を使用して規格化した。各処理フラスコからのおよそ1×10個の細胞を収集し、カウントし、冷却したPBSで2回洗浄し、そして細胞のペレットを4℃で一晩保存した。次の日に、このペレットを算出した容量の処理緩衝液(Enliten ATP Assay System,Promega Corp.)中に再懸濁して、細胞外ATPを除去した。50,000個の細胞を含む、140μlの細胞懸濁液のアリコートを、96ウェルの照度計プレートの各ウェルにプレートし、室温まで平衡化させた。各化合物濃縮物を、4通りにプレートした。各ウェルに、40μlのExtraction Buffer(Promega Enliten ATP Assay System)を加え、このプレートをEG&G照度計(Berthold Inc.,Bundoora,Victoria,Australia)に配置した。次いで、アッセイ緩衝液中のルシフェラーゼ/ルシフェリン混合物を含有する、40μl L/L Reagent(Promega Enliten ATP Assay System)を注入し、そして各ウェルを、1秒の遅れ時間の後に5秒間読み込んだ。細胞のATP含有量の相対的な変化を、ルシフェラーゼ/ルシフェリン反応によって生成される相対光単位(RLU)として測定した。
【0143】
(表2.前立腺腫瘍細胞増殖に対する環式ポリアミンの効果)
(ID50値)
【0144】
【表2】
Figure 2004505112
Nd=決定されず
(表3a.低濃度の環式ポリアミンアナログで処理されたDuPro細胞におけるポリアミンレベル)
【0145】
【表3a】
Figure 2004505112
ND=検出不可能。Put=プトレシン;Spd=スペルミジン;Spm=スペルミン;アナログは、最左の欄において示される。
【0146】
(表3b.2μMの環式ポリアミンアナログで処理されたDuPro細胞におけるポリアミンレベル)
【0147】
【表3b】
Figure 2004505112
ND=検出不可能。Put=プトレシン;Spd=スペルミジン;Spm=スペルミン;アナログは、最左の欄において示される。
【0148】
本明細書中に言及される全ての参考文献、刊行物、特許および特許出願は、それら全てが本明細書中で参考として援用される。
【0149】
前記の本発明は、明確にして理解するために例示および実施例によっていくらか詳細に記載されているが、特定の変更および改変が実施され得ることが、当業者に明らかである。従って、記載および実施例は、本発明の範囲を限定するものとしてみなされるべきではなく、これらは、添付の特許請求の範囲によって示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの増殖に対する、SL−11174の濃度の増加のインビトロ効果を示すグラフである。
【図2】
図2は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの増殖に対する、SL−11197の濃度の増加のインビトロ効果を示すグラフである。
【図3】
図3は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの増殖に対する、SL−11199の濃度の増加のインビトロ効果を示すグラフである。
【図4】
図4は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの増殖に対する、SL−11200の濃度の増加のインビトロ効果を示すグラフである。
【図5】
図5は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの増殖に対する、SL−11208の濃度の増加のインビトロ効果を示すグラフである。
【図6】
図6は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの生存に対する、SL−11174の効果を示すグラフである。
【図7】
図7は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの生存に対する、SL−11197の効果を示すグラフである。
【図8】
図8は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの生存に対する、SL−11199の効果を示すグラフである。
【図9】
図9は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの生存に対する、SL−11200の効果を示すグラフである。
【図10】
図10は、培養されたヒト前立腺癌細胞DuProの生存に対する、SL−11208の効果を示すグラフである。
【図11】
図11は、DuPro細胞増殖に対する、SL−11238の効果を示す。
【図12】
図12は、DuPro細胞増殖に対する、SL−11239の効果を示す。
【図13】
図13は、DuPro細胞の生存に対する、SL−11238の効果を示す。
【図14】
図14は、DuPro細胞の生存に対する、SL−11239の効果を示す。
【図15】
図15は、ATP加水分解に対する、スペルミン(コントロール)およびSL−11174のインビトロ効果を示す。
【図16】
図16は、ATP加水分解に対する、スペルミン(コントロール)およびSL−11197のインビトロ効果を示す。
【図17】
図17は、ATP加水分解に対する、スペルミン(コントロール)およびSL−11199のインビトロ効果を示す。
【図18】
図18は、ATP加水分解に対する、スペルミン(コントロール)およびSL−11200のインビトロ効果を示す。
【図19】
図19は、ATP加水分解に対する、スペルミン(コントロール)およびSL−11208のインビトロ効果を示す。
【図20】
図20は、ATP加水分解に対する、SL−11238のインビトロ効果を示す。
【図21】
図21は、ATP加水分解に対する、SL−11239のインビトロ効果を示す。
【図22】
図22は、種々の濃度のSL−11174、SL−11197、SL−11199、SL−11200、およびSL−11208で処理された、50,000の培養されたヒト前立腺腫瘍細胞(DuPro)の抽出物の存在下でのルシフェリン/ルシフェラーゼ活性の平均相対変化および標準偏差を示す。標準偏差は、見えない場合、記号のサイズよりも小さい。
【図23】
図23は、ルシフェリン/ルシフェラーゼ反応によって測定される細胞性ATPに対する、SL−11238の効果を示す。
【図24】
図24は、ルシフェリン/ルシフェラーゼ反応によって測定される細胞性ATPに対する、SL−11239の効果を示す。

Claims (44)

  1. 以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物、ならびに全ての異性体およびそれらの塩であって、ここで、
    、各A(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、
    各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、
    Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここで
    kは、0、2、または3であり;そして、ここで、
    Rは、C〜C32アルキルから選択される、
    化合物。
  2. 請求項1に記載の化合物であって、各Y基が、−Hである、化合物。
  3. 請求項1に記載の化合物であって、各Y基が、−CHである、化合物。
  4. 請求項1に記載の化合物であって、A、各A(存在する場合)、およびAが、独立して、C〜Cアルキルから選択される、化合物。
  5. 請求項1に記載の化合物であって、Mが、−CH−である、化合物。
  6. 以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物、ならびに全ての異性体およびそれらの塩であって、ここで、
    およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、
    は、独立して、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、
    各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、
    Mは、C〜Cアルキルから選択され;そして、ここで
    Rは、C〜C32アルキルから選択される、
    化合物。
  7. 請求項6に記載の化合物であって、各Y基が、−Hである、化合物。
  8. 請求項6に記載の化合物であって、各Y基が、−CHである、化合物。
  9. 請求項6に記載の化合物であって、AおよびAが、独立して、C〜Cアルキルから選択され、そしてAは、C〜CアルキルおよびCアルキルからなる群から選択される、化合物。
  10. 請求項6に記載の化合物であって、Mが、−CH−である、化合物。
  11. 以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物、ならびに全ての異性体およびそれらの塩であって、ここで、
    およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、
    は、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、
    各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、
    Mは、C〜Cアルキルから選択され;そして、ここで
    Rは、C〜C32アルキルから選択される、
    化合物。
  12. 請求項11に記載の化合物であって、各Y基が、−Hである、化合物。
  13. 請求項11に記載の化合物であって、AおよびAが、独立して、C〜Cアルキルから選択され、そしてAは、C〜Cアルキルからなる群から選択される、化合物。
  14. 請求項11に記載の化合物であって、Mが、−CH−である、化合物。
  15. 以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物を合成する方法であって、
    該化合物は、
    、各A(存在する場合)、およびAが、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、
    各Yが、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、
    Mが、C〜Cアルキルから選択され;ここで
    kが、0、1、2、または3であり;そして、ここで、
    Rが、C〜C32アルキルから選択される、化合物であって、
    該方法は、以下の工程:
    ω−ハロアルキルアルカノエートとアルデヒド含有化合物またはケトン含有化合物とを反応させて、アルケン含有アルカノエート化合物を得る工程;
    該アルケン含有アルカノエート化合物と2個の1級アミノ基を含有する化合物(必要に応じて、2級アミノ基を含む)とを反応させて、一方のアミノ基を二重結合に付加する工程;
    他方のアミノ基と該アルカノエート基とを環化させて、アミド結合を形成する工程;および
    必要に応じて、該2級アミノ基を、存在する場合に、アルキル化する工程、
    を包含する、方法。
  16. 前記ω−ハロアルキルアルカノエートが、エチルブロモアセテートである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記アルデヒド含有化合物または前記ケトン含有化合物が、アルデヒド含有化合物である、請求項16に記載の方法。
  18. 請求項16に記載の方法であって、ω−ハロアルキルアルカノエートとアルデヒド含有化合物またはケトン含有化合物とを反応させて、アルケン含有アルカノエート化合物を得る前記工程が、前記ω−ハロアルキルアルカノエートとトリフェニルホスフィンとを反応させることによって実施される、方法。
  19. 請求項16に記載の方法であって、2個の1級アミノ基を含有する前記化合物は、以下:
    N−A−(NH−A−NH−A−NH
    からなる群から選択され、ここで、A、各A(存在する場合)、およびAが、独立して、C〜Cアルキルから選択され、そしてkが、0、1、2、または3である、
    方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、2個の1級アミノ基を含有する前記化合物は、スペルミン、スペルミジン、およびプトレシンからなる群から選択される、方法。
  21. 請求項16に記載の方法であって、他方のアミノ基とアルキルアルカノエート基とを環化させて、アミド結合を形成する前記工程が、前記化合物とアンチモン(III)エトキシドとを反応させることによって実施される、方法。
  22. 請求項16に記載の方法であって、必要に応じて、任意の2級アミノ基を、存在する場合に、アルキル化する前記工程が、まず、前記化合物と脂肪族アルデヒドとを反応させて、シッフ塩基を得、次いで、該シッフ塩基を還元して、該2級アミノ基のアルキル化を生じることによって実施される、方法。
  23. シッフ塩基を還元する前記工程が、試薬NaCNBHを使用することによって、実施される、請求項22に記載の方法。
  24. 以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物を合成する方法であって、
    該化合物は、
    は、Cアルキルであり、そして各A(存在する場合)およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、
    各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、
    Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここで
    kは、0、1、2、または3であり;そして、ここで、
    Rは、C〜C32アルキルから選択される、化合物であって、
    該方法は、以下の工程:
    1級アミノ基およびヘキサヒドロピリミジン部分を含有する化合物とα,β−不飽和エステル化合物とを縮合し、該1級アミノ基を該不飽和エステル化合物のβ位に付加させて、これにより、該1級アミノ基を、2級アミノ基に転換する、工程;
    該ヘキサヒドロピリミジン部分のメチレン架橋を切断して、2級アミノ基および新たに生成した1級アミノ基を生成する工程;ならびに
    該新たに生成した1級アミノ基と該エステル基とを縮合して、アミド基を形成する工程、
    を包含する、方法。
  25. 請求項24に記載の方法であって、前記α,β−不飽和エステルが、以下の式:
    (C〜Cアルキル)−O−C(=O)−CH=CH−(C〜C32アルキル)
    である、方法。
  26. 請求項24に記載の方法であって、1級アミン基およびヘキサヒドロピリミジン部分を含有する化合物が、以下の式:
    Figure 2004505112
    であって、ここで、
    各A(存在する場合)およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、
    各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;そして、ここで、
    jは、0、1、2、または3である、
    方法。
  27. 請求項26に記載の方法であって、jが、0である、方法。
  28. 請求項27に記載の方法であって、Aが、Cアルキルである、方法。
  29. 請求項24に記載の方法であって、ヘキサヒドロピリミジン部分のメチレン架橋を切断する前記工程が、アルコール溶媒中の無水HClを用いて実施される、方法。
  30. 請求項24に記載の方法であって、新たに生成した1級アミノ基とエステル基とを縮合して、アミド基を形成する前記工程が、試薬B(N(CHを用いて実施される、方法。
  31. 処置の必要な個体において、制御されない細胞増殖によって特徴付けられる癌または疾患を処置する方法であって、該方法は、請求項1に記載の1つ以上の化合物を投与する工程を包含する、方法。
  32. 処置の必要な個体において、制御されない細胞増殖によって特徴付けられる癌または疾患を処置する方法であって、該方法は、請求項6に記載の1つ以上の化合物を投与する工程を包含する、方法。
  33. 処置の必要な個体において、制御されない細胞増殖によって特徴付けられる癌または疾患を処置する方法であって、該方法は、請求項11に記載の1つ以上の化合物を投与する工程を包含する、方法。
  34. 癌細胞におけるATPを枯渇させる方法であって、該方法は、請求項1に記載の1つ以上の化合物を該細胞に投与する工程を包含する、方法。
  35. 癌細胞におけるATPを枯渇させる方法であって、該方法は、請求項6に記載の1つ以上の化合物を該細胞に投与する工程を包含する、方法。
  36. 癌細胞におけるATPを枯渇させる方法であって、該方法は、請求項11に記載の1つ以上の化合物を該細胞に投与する工程を包含する、方法。
  37. 以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物、ならびに全ての異性体およびそれらの塩であって、ここで、
    、各A(存在する場合)、およびAは、独立して、C〜Cアルキルから選択され;ここで、
    は、C〜Cアルキルから選択されるか、または存在せず;
    Xは、−H、−Z、−CN、−NH、−C(=O)−C〜Cアルキル、または−NHZから選択され、但し、Aが存在しない場合、Xは、−H、−C(=O)−C〜Cアルキル、または−Zであり;
    Zは、アミノ保護基、アミノキャップ基、アミノ酸、およびペプチドからなる群から選択され;ここで、
    各Yは、独立して、HまたはC〜Cアルキルから選択され;ここで、
    Mは、C〜Cアルキルから選択され;ここで
    kは、0、1、2、または3であり;そして、ここで、
    Rは、C〜C32アルキルから選択される、
    化合物。
  38. 請求項37に記載の化合物であって、Aは、存在せず、Xは、−Zであり、そして−Zは、−Hであり、そして各Yは、−CHである、化合物。
  39. 請求項38に記載の化合物であって、Mは、−CH−であり、kは、1であり、AおよびAは、−CHCHCH−であり、そして単独のA基は、−CHCHCHCH−である、化合物。
  40. 請求項39に記載の化合物であって、Rは、−C1327である、化合物。
  41. 請求項37に記載の化合物であって、Aは、C〜Cアルキルであり、Xは、−NHZであり、そしてZは、20個の遺伝子によりコードされたアミノ酸のうちの一つ、式:アセチル−SKLQL−のペプチド、式:アセチル−SKLQ−β−アラニン−のペプチド、または式:アセチル−SKLQ−のペプチドから選択される、化合物。
  42. 請求項37に記載の化合物を合成する方法であって、Aは、存在せず、そしてXは、−Hであり、該方法は、以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物(ここで、Aは、存在せず、そしてXは、−Hである)のアミド基のカルボニルを還元する工程を包含する、方法。
  43. 請求項37に記載の化合物を合成する方法であって、Aは、Cアルキルであり、各Yは、C〜Cアルキルから選択され、そしてXは、−CNであり、該方法は、以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物(ここで、各Yは、C〜Cアルキルから選択される)と式HC=CH−CNの化合物とを反応させる工程を包含する、方法。
  44. 請求項37に記載の化合物を合成する方法であって、AがCアルキルであり、そしてXが−NHであり、該方法は、以下の式:
    Figure 2004505112
    の化合物(ここで、Aは、C〜Cアルキルから選択される)のニトリル基を、アミノ基に還元する工程を包含する、方法。
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