JP2004502848A - 重合触媒として1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩 - Google Patents

重合触媒として1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩 Download PDF

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Abstract

本発明は、溶融重合における触媒系に有用な1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩に関する。本発明の触媒は、枝分れ副反応生成物量が低く、良好な特性をもつ生成物を与える。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融重合での触媒系に有用な1種類以上のセシウム等価物を含む硫酸の混合二アルカリ金属塩に関する。さらに、本発明は、本発明の触媒系を用いて製造したポリカーボネート及び該ポリカーボネートの成形品にも関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の工業プラントでは、ポリカーボネートは、二価化合物(例えばビスフェノールA)の水溶液とハロゲン化カルボニル(例えばホスゲン)を含有する有機溶剤(例えばジクロロメタン)とを混合することによって合成されている。非混和性の有機相と水性相を混合すると、相界面で二価化合物がハロゲン化カルボニルと反応する。通例、第三アミンなどの相間移動触媒を水性相に添加して反応を促進する。この合成方法は一般にポリカーボネート製造のための「界面」合成法として知られている。
【0003】
ポリカーボネート合成の界面法には幾つかの固有の欠点がある。第一に、反応体としてホスゲンを必要とするプロセスの実施は、安全性の面で明らかに不利である。第二に、大量の有機溶剤を使用する必要のあるプロセスを実施するのは、環境への悪影響を防ぐために経費のかかる処置を講ずる必要があるので不利である。第三に、界面法は比較的大きな装置と多額の投資を要する。第四に、界面法で製造したポリカーボネートは、色にばらつきがあり、粒状物の含有量が高く、塩素含有量が高い傾向があり、後者は腐食の原因となる。
【0004】
幾つかの新しい工業的ポリカーボネートプラントでは、ポリカーボネートはエステル交換反応により炭酸ジエステル(例えばジフェニルカーボネート)を二価化合物(例えばビスフェノールA)と縮合させることによって合成される。この反応は無溶剤系で実施され、反応で生成するフェノールを留去しながら、反応体を減圧及び高温で混合することによって反応を完遂させる。この合成法は一般に「溶融」法と呼ばれる。溶融法は、ホスゲンを用いず、溶剤を必要とせず、装置が小規模ですむので、界面法よりも優れている。さらに、溶融法で製造したポリカーボネートは反応体由来の塩素不純物を含まず、粒状物含有量が低く、色のばらつきが少ない。そこで工業生産プロセスには溶融法を用いるのが極めて望ましい。
【0005】
溶融重合法によるポリカーボネートの製造では、アルカリ金属水酸化物、特に水酸化ナトリウムが重合触媒として用いられる。アルカリ金属水酸化物は有用な重合触媒であるが、副反応も惹起して枝分れ副生物を生ずる。そのため、ポリカーボネートの溶融挙動が変化して加工が困難になるおそれがある。
【0006】
そこで、枝分れ副生物のような不都合な反応生成物を最小限に抑制しつつ、溶融重合を促進する触媒系の開発が望まれている。
【0007】
【発明の概要】
本発明は、溶融法によるポリカーボネートの製造方法であって、触媒有効量の1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩を含む触媒系の存在下で、ジフェノールとジアリールカーボネートを反応させることを含んでなる方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下の本発明の好ましい実施形態の説明及び実施例を参照することにより、本発明の理解をさらに深めることができよう。
【0009】
本発明に係る組成物及び方法について開示・説明するに当たり、本発明は特定の合成法や特定の組成自体に限定されるものではなく、当然ながら種々異なる形態をとり得ることを理解されたい。また、本明細書中で用いる用語は特定の実施形態を説明するためのものにすぎず、限定のためのものでないことも理解されたい。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲では多くの用語を用いるが、以下の意味をもつものと定義される。
【0011】
単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場合も含めて意味する。
【0012】
「任意」又は「任意には」という用語は、その用語に続いて記載された事象又は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象又は状況が起きた場合と起こらない場合とを包含する。
【0013】
本明細書中で用いる「溶融法ポリカーボネート」という用語は、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とのエステル交換で合成されたポリカーボネートをいう。
【0014】
本明細書中で「BPA」は、ビスフェノールA、つまり2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと定義される。
【0015】
本明細書中で用いる「触媒系」とは、溶融法での二価フェノールと炭酸ジエステルとのエステル交換反応を促進する1又は複数の触媒をいう。
【0016】
本明細書で用いる「ジフェノール」という用語と「二価フェノール」という用語は同義である。
【0017】
本明細書中で用いる「混合二アルカリ金属塩」という用語は、2種類の異なるアルカリ金属等価物からなる塩と定義される。
【0018】
「触媒有効量」とは、触媒作用が発揮される触媒の量をいう。
【0019】
本明細書中で用いる「セシウム塩」とは、1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の二アルカリ金属塩をいう。
【0020】
本発明では、1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩を含む触媒系が「フリース」生成物その他の枝分れ副生物を始めとする副反応生成物を低減させるという予想外の知見が得られた。かかる副反応生成物の低減は、延性の向上という利点をもたらし、フリース生成物のような不都合な副反応生成物が存在する場合に起こるレオロジー特性の低下を防ぐ。さらに、ある所定の条件では、本発明の触媒系は、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物よりもフリース生成量が少ないという予想外の知見も得られた。
【0021】
具体的には、本発明は、不都合な枝分れ副反応生成物、特にフリース生成物の含有量が低いポリカーボネートを溶融法で製造するための触媒系を提供する。フリース生成物は1000ppm未満であるのが望ましく、好ましくは900ppm未満、さらに好ましくは500ppm未満、さらに一段と好ましくは200ppm未満である。
【0022】
溶融法で製造したポリカーボネートは、通例、界面法で製造したポリカーボネートよりもフリース含有量が高い。本明細書中で用いる「フリース」という用語は、ポリカーボネート中の次式(I)の繰返し単位をいう。
【0023】
【化1】
Figure 2004502848
【0024】
式中、Xは次式の基を表す。
【0025】
【化2】
Figure 2004502848
【0026】
及びRは各々独立に水素原子又は一価炭化水素基を表し、環構造を形成していてもよい。Rは二価炭化水素基である。
【0027】
フリース生成物はポリカーボネートの延性などの性能特性を低下させるため、ポリカーボネート生成物中のフリース含有量が低いことが極めて望ましい。フリース含有量が高いと延性が低下する。溶融法でポリカーボネートを製造すると、フリース生成物が生じる。
【0028】
本発明は、二価フェノールと炭酸ジエステルとを反応させる溶融重合系における溶融重合触媒に関する。本発明のポリカーボネートの製造に有用な二価フェノールは次の一般式で表すことができる。
【0029】
【化3】
Figure 2004502848
【0030】
式中、Rは独立にハロゲン、一価炭化水素基及び一価炭化水素オキシ基から選択され、
は独立にハロゲン、一価炭化水素基及び一価炭化水素オキシ基から選択され、
Wは二価炭化水素基及び以下の基から選択される。
【0031】
【化4】
Figure 2004502848
【0032】
n及びnは独立に0〜4の値を有する整数から選択され、
bは0又は1である。
【0033】
R及びRで表される一価炭化水素基には、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルカリール基がある。好ましいアルキル基は炭素原子数1〜約12のものである。好ましいシクロアルキル基は環炭素原子数4〜約8のものである。好ましいアリール基は環炭素原子数6〜12のもの、すなわちフェニル、ナフチル及びビフェニルである。好ましいアルカリール基及びアラルキル基は炭素原子数7〜約14のものである。
【0034】
R及びRで表される好ましいハロゲン原子は塩素及び臭素である。
【0035】
Wで表される二価炭化水素基には、アルキレン基、アルキリデン基、シクロアルキレン基及びシクロアルキリデン基がある。好ましいアルキレン基は炭素原子数2〜約30のものである。好ましいアルキリデン基は炭素原子数1〜約30のものである。好ましいシクロアルキレン基及びシクロアルキリデン基は環炭素原子数6〜約16のものである。
【0036】
R及びRで表される一価炭化水素オキシ基は式−ORで表すことができ、Rは上述した種類の一価炭化水素基である。好ましい一価炭化水素オキシ基はアルコキシ基及びアリールオキシ基である。
【0037】
適当な二価フェノールには、BPA、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、4,4−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4−チオジフェノール、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジクロロジフェニルエーテル、4,4−チオジフェノール、4,4−ジヒドロキシ−3,3−ジクロロジフェニルエーテル、4,4−ジヒドロキシ−2,5−ジヒドロキシジフェニルエーテル、BPI、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。一実施形態では、ポリカーボネート中の二価フェノール残基は100モル%BPA由来の残基からなる。
【0038】
任意には、多官能性化合物を利用し得る。枝分れポリカーボネートの重合に用いられる適当な多官能性化合物には、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4−[4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エチル]−ジメチルベンジル]、無水トリメリト酸、トリメリト酸又はこれらの酸塩化物誘導体があるが、これらに限定されない。
【0039】
炭酸ジエステルとしては、特に限定されないが、炭酸ジアリール化合物、炭酸ジアルキル化合物及び炭酸アルキルアリール化合物を始めとする各種の化合物を使用し得る。適当な炭酸ジエステルには、ジフェニルカーボネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、ビス(o−ニトロフェニル)カーボネート、ジトリルカーボネート、m−クレゾールカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。これらのうち、ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの化合物の2種以上を用いる場合には、その一つがジフェニルカーボネートであるのが好ましい。
【0040】
本発明の方法では、任意には末端封鎖剤を使用し得る。適当な末端封鎖剤には、一価芳香族ヒドロキシ化合物、一価芳香族ヒドロキシ化合物のハロホルメート誘導体、一価カルボン酸、一価カルボン酸のハロゲン化物誘導体及びこれらの混合物がある。
【0041】
適当な末端封鎖剤には、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、p−クミルフェノールカーボネート、ウンデカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、フェニルクロロホルメート、t−ブチルフェニルクロロホルメート、p−クミルクロロホルメート、クロマンクロロホルメート、オクチルフェニル、ノニルフェニルクロロホルメート又はこれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0042】
末端封鎖剤が存在する場合、好ましくは二価フェノール1モル当たり約0.01〜約0.20モル、さらに好ましくは約0.02〜約0.15モル、さらに一段と好ましくは約0.02〜約0.10モルの量で存在する。
【0043】
意外にも、1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩を含む触媒系は、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物に匹敵する重合速度を与えるにもかかわらず、不都合な枝分れ副生物を低減させることが判明した。枝分れ副生物には、特に限定されないが、フリース生成物がある。
【0044】
本出願人に譲渡された“Method for the Preparation of Bisphenol−A Polycarbonate with Reduced Levels of Fries”と題する係属中の米国特許出願第09/215482号には、低フリース生成物を得るのに有効な触媒としてセシウム塩を使用することが開示されている。しかし、この出願には、1種類以上のセシウム等価物を含有する混合アルカリ金属硫酸塩で、さらに一段と望ましいフリースレベルが得られることは開示されていない。
【0045】
1種類以上のセシウム等価物を含有する適当な混合二アルカリ金属硫酸塩には、硫酸セシウムリチウム、硫酸セシウムカリウム、硫酸セシウムナトリウム及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。1種類以上のセシウム等価物を含有する混合二アルカリ金属硫酸塩は、本明細書中では「混合硫酸セシウム塩」ともいう。
【0046】
本発明の一実施形態では、触媒系は、1種類以上のセシウム等価物を含有する混合二アルカリ金属硫酸塩に加えて、塩基助触媒も含む。適当な塩基助触媒には、アンモニウム化合物、ホスホニウム化合物及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。好ましい化合物には、第四アンモニウム化合物、第四ホスホニウム化合物及びこれらの混合物がある。第四アンモニウム化合物の具体例には、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。適当な第四ホスホニウム化合物の例には、水酸化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0047】
セシウム塩の活性は種々異なることが判明している。例えば、硫酸セシウムはこの種のセシウム塩で最良の重合速度を示す。水酸化ナトリウムと比べると、硫酸セシウムは同程度の重合速度を与えるが、フリース生成物を始めとする枝分れ副生物の生成量が少ない。硫酸ナトリウムは本来不活性であることが判明している。しかし、本発明に係る1種類以上のセシウム等価物を含有する混合二アルカリ金属硫酸塩(例えば硫酸セシウムナトリウムや硫酸セシウムカリウム)は、優れた重合速度を与えるとともに、フリース生成物などの副反応生成物の生成が極めて低かった。本発明の触媒は、セシウムの重合活性の増大とともに、硫酸ナトリウムや硫酸カリウムでみられる枝分れ副反応を触媒する傾向が低いという驚くべき効果をもたらす。
【0048】
本発明の触媒は様々な形態で反応系に導入し得る。触媒は、固体、例えば粉体として添加してもよいし、或いは水やアルコールなどの溶媒に溶解してもよい。一実施形態では触媒を水溶液の形態で反応系に加える。塩は反応系への導入前に調製しておいてもよいし、或いは適当な酸と塩基との反応によって溶液中で形成してもよい。
【0049】
セシウム塩の塩基性度は、本発明で定義される有効量の塩基助触媒の存在下でのセシウム塩の活性及び選択性を決定する上で重要である。所望の活性を保ちつつ、pHを溶液の化学量論に関してできるだけ低く維持するのが望ましい。好ましいpHは約3.2〜約7.0の範囲である。pHが約3.0未満であると重合速度が遅くなり、高分子量の生成物が得られない。pHが約7.0を超えると、副反応が起こり易くなる。
【0050】
生成物の望ましい分子量は使用目的に応じて異なる。例えば、光学材料用には生成物の数平均分子量は好ましくは約7500〜約9000であるが、シート材料用には数平均分子量は好ましくは約25000〜約30000である。そこで、例えば光学材料のように分子量の比較的低いポリカーボネート材料の合成には、酸性pHに近付けるのが望ましいであろう。通例、水溶液が酸性になるほど、混合硫酸セシウム塩は、二価フェノール化合物1モル当たりの触媒量が好ましくは約10−8〜10−3モル、さらに好ましくは約10−7〜10−5モルとなる量で用いられる。この量が10−8モル未満では触媒活性を奏しないおそれがあり、この量が二価フェノール1モル当たり10−3モルを超えると最終ポリカーボネート生成物の特性が悪影響を受けかねない。セシウム塩に加えて、第四アンモニウム塩及び/又はホスホニウム触媒のような塩基が、二価フェノール化合物1モル当たり約10−2〜10−6モルの量、好ましくは10−3〜10−5モルの量で存在するのが好ましい。塩基助触媒とアルカリ金属とのモル比は、好ましくは約1.0〜約10000、さらに好ましくは約10〜約1000、さらに一段と好ましくは約25〜約500である。
【0051】
溶融重合の反応条件は特に限定されず、広範囲の操作条件で実施し得る。反応温度は通例約100〜約350℃の範囲にあり、さらに好ましくは約180〜約310℃である。圧力は大気圧でもよいし、或いは反応の初期段階で大気圧〜約15torrに加圧し、後段で減圧(例えば約0.2〜約15torr)してもよい。反応時間は一般に約0.1〜約10時間である。
【0052】
溶融重合は、当該技術分野で公知の通り、1以上の段階で実施できる。溶融重合を2段階以上で実施する場合、塩基と非揮発性酸の塩は同じ段階で加えてもよいし、異なる段階で加えてもよい。
【0053】
一実施形態では、このプロセスは二段階プロセスとして実施される。二段階プロセスでは、第一段階はオリゴマー化段階であり、第二段階は重合段階である。この実施形態の第一段階では、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとジアリールエステルを含む反応系に第四アンモニウム又はホスホニウム化合物のような塩基を導入する。第一段階は、290℃以下、好ましくは150〜290℃、さらに好ましくは200〜280℃の温度で実施される。第一段階の期間は、大気圧〜100torrの圧力下(窒素雰囲気が好ましい)で好ましくは0〜5時間、さらに一段と好ましくは0〜3時間である。別法として、第一段階前に、例えばモノマー混合槽に第四アンモニウム又はホスホニウム塩を導入してもよい。モノマー混合槽の内容物は第一段階又はその中間に供給される。オリゴマーの分子量は8000Mn未満である。
【0054】
第一段階前に混合セシウム塩も導入し得る。混合セシウム塩は、第二段階でその全量を加えてもよいし、或いは全量が上記の範囲となるように第一段階、第二段階又はその後段に分けて加えてもよい。
【0055】
重縮合工程の第二段階及びその後段では、反応系の圧力を第一段階よりも下げてフェノール副生物を除去しながら反応温度を高めるのが好ましい。重合温度は280〜320℃、圧力は100〜0.1torr以下とすることができる。最終分子量は通例8000Mnを上回る。
【0056】
生成物の性状に悪影響を与えない限り、ポリカーボネート生成物に添加剤を添加してもよい。添加剤には、従来から様々な目的でポリカーボネートに添加されている広範な物質がある。具体例としては、熱安定剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、粘着防止剤、滑剤、曇り防止剤、天然油、合成油、ワックス、有機充填材、難燃剤、無機充填材その他周知の添加剤が挙げられる。
【0057】
反応は回分法でも連続法でも実施できる。反応に都合のよい装置であればどんな装置でも使用し得る。本発明で用いる反応器の材料及び構造は、その反応器が普通の攪拌能力を有していれば特に限定されない。反応器は、反応の後段で反応系の粘度が増大しても高粘度条件下で攪拌できることが好ましい。
【0058】
【実施例】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載した組成物及び方法を如何に実施し評価するかを当業者に示すために記載するものであり、本発明者らが発明として把握している範囲を限定するものではない。数値(例えば量、温度など)に関しては正確を期したが、若干の誤差や偏差はあるであろう。特記しない限り、部は重量部であり、温度は℃である。
【0059】
分子量は数平均分子量(Mn)として記載し、溶融重合で製造したポリカーボネートのGPC分析で測定した。ポリスチレン標準を用いて汎用校正曲線を作成し、この校正曲線にMark−Houwink式を用いればポリカーボネートの分子量を求めることができる。カラムの温度は25℃、移動相はクロロホルムであった。
【0060】
フリース含有量は樹脂のKOHメタノリシスによって測定し、ppm単位で示す。表1に示す溶融法ポリカーボネートの各々について、以下の通りフリース含有量を決定した。まず、0.50gのポリカーボネートを4.0mlのTHF(内部標準としてp−テルフェニルを含む)に溶解した。次に、18%KOHメタノール溶液3.0mlを上記溶液に加えた。得られた混合物をこの温度で2時間攪拌した。次に、1.0mlの酢酸を加えて、混合物を5分間攪拌した。1時間かけて酢酸カリウムを結晶化させた。固形物を濾過して除去し、得られた濾液を、p−テルフェニルを内部標準として用いた液体クロマトグラフィーで分析した。
【0061】
以下、表1の例1についてどのように調製したか説明する。残りの試料(例2〜25)は、注記した以外は、表1に記載の他の触媒を用いて同一の手順で調製した。具体的には、異なる触媒及び異なる最終段階温度を用いた。
【0062】
中実ニッケル製螺旋式撹拌機を備えた1リットルガラス製回分式反応器で以下の反応を実施した。ガラス反応器表面は酸洗浄して濯いだ後70℃で一晩乾燥することによって不動態化し、使用時まで覆いをして保存した。
【0063】
反応器の温度はPIDコントローラ付流動砂浴を用いて維持し、反応器と砂浴の界面近くで測定した。反応器の圧力は、留出液回収用フラスコの下流の真空ポンプへの窒素抽気によって制御し、比較的高い圧力(760〜40mmHg)では水銀気圧計を用い、比較的低い圧力(40〜1mmHg)ではEdwards製ピラニ真空計を用いて測定した。
【0064】
反応器を組み立てる前に、反応器に0.6570モルのBPA及び0.7096モルのジフェニルカーボネートを仕込んだ。次いで、反応器を組み立てて密閉し、雰囲気を窒素で3回交換した。最後の窒素交換によって、反応器をほぼ大気圧とし、180℃の流動浴に沈めた。5分後に、250rpmで攪拌を開始した。さらに10分後、反応体は完全に溶融し、均質混合物をなしていると思われた。テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH、1.32×10−4モル)及び水酸化ナトリウム(NaOH、5.00×10−7モル)を18MΩの水で適正な濃度(0.220MのTMAH及び5.00×10−3MのNaOH)に希釈した後、順次加えた。最後の触媒を加えた後に、時間計測を開始し、温度を5分間で210℃に上げた。この温度に達した時点で圧力を180mmHgに下げると、直ちにフェノールが留出した。25分後に、再び圧力を100mmHgに下げ、45分間維持した。
【0065】
次いで、温度を5分間で240℃に上げ、圧力を15mmHgに下げた。この条件を45分間維持した。次いで、温度を5分間で270℃に上げ、圧力を2mmHgに下げた。この条件を10分間維持した。次いで、温度を5分間で仕上げ温度に上げ、圧力を1.1mmHgに下げた。仕上げ温度は、特記しない限り、310℃とした。30分後、反応器を砂浴から取り出し、メルトを液体窒素中に押出して反応を停止させた。
【0066】
特記しない限り、TMAH又はTBPHはBPA1モル当たり2.5×10−4モル加えた。「比較」はその例が比較例であることを示す。
【0067】
【表1】
Figure 2004502848
【0068】
表1から明らかな通り、硫酸セシウムナトリウムを利用すると、枝分れ副反応が最小限に抑制されるが、高分子量ポリマーが生ずる。1当量の硫酸セシウムナトリウムではNaOHよりも活性が低いが、2当量の硫酸セシウムナトリウムでは、フリース生成量が高まるという不都合を起こすことなく水酸化ナトリウムと同等の速度が得られる。硫酸セシウムナトリウム系でTMAHに代えてTBPHを用いると、速度がTMAH/NaOH系に匹敵するレベルまで向上する。
【0069】
以上、本発明をその好ましい実施形態について詳細に説明してきたが、本発明の技術的思想及び範囲内で様々な変更及び修正が可能である。

Claims (13)

  1. 溶融法によるポリカーボネートの製造方法であって、触媒有効量の1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩を含む触媒系の存在下で、ジフェノールとジアリールカーボネートを反応させることを含んでなる方法。
  2. 1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩が、硫酸セシウムカリウム、硫酸セシウムナトリウム及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  3. 前記触媒系がさらに塩基を含む、請求項1記載の方法。
  4. 前記塩基が第四アンモニウム化合物、第四ホスホニウム化合物又はこれらの混合物である、請求項3記載の方法。
  5. 前記ジフェノールがビスフェノールAである、請求項1記載の方法。
  6. ポリカーボネートのフリース含有量を低減する方法であって、触媒有効量の1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩と塩基とを含む触媒系の存在下で、ジフェノールとジアリールカーボネートを溶融法で反応させてポリカーボネートを製造することを含んでなる方法。
  7. 塩基がTMAH、TBPH、酢酸TBP又はこれらの混合物である、請求項7記載の方法。
  8. 請求項7記載の方法で製造したポリカーボネート。
  9. 請求項1記載の方法で製造したポリカーボネート。
  10. 前記ジフェノールがビスフェノールAである、請求項7記載の方法。
  11. 前記ポリカーボネートのフリース含有量が500ppm未満である、請求項7記載の方法。
  12. 前記ポリカーボネートのフリース含有量が200ppm未満である、請求項7記載の方法。
  13. ポリカーボネートの枝分れ副生物を低減する方法であって、触媒有効量の1種類以上のセシウム等価物を含有する硫酸の混合二アルカリ金属塩及び塩基の存在下で、ジフェノールとジアリールカーボネートを溶融法で反応させてポリカーボネートを製造することを含んでなる方法。
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