JP2004502185A - 原子炉用のスペーサおよび燃料集合体 - Google Patents
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Abstract
Description
(発明の背景および従来の技術)
本発明は、原子炉用、好ましくは軽水型原子炉用のスペーサおよび燃料集合体に関する。スペーサは、セルの中を延びる平行な細長い要素を保持するため、またはこれらの要素がセルを通過できるようにするための複数のセルを形成するように設計されている。それぞれのセルは、このような要素がスペーサの中を延びるように配設されたときに、前記細長い要素の1つを共に取り囲む複数の側部によって画定されている。スペーサは、原子炉内で前記セル、したがって前記細長い要素が、実質的に冷却媒体を流そうとする第1の方向に延びるように、配設されるように設計される。したがって各セルは、前記第1の方向に対して上流への配置が意図された第1端と、前記第1の方向に対して下流への配置が意図された第2端とを備える。前記セルの少なくとも1つについては、セルを画定する前記側部の少なくとも1つが、少なくとも1つの流れ作用部材を備え、この流れ作用部材は、前記側部の一部によって形成されると共に、側部から外側に折られている。そこから前記流れ作用部材が外に折られている前記側部は、互いに接続された第1および第2の縁端面を有し、それらの縁端面が、流れ作用部材を外に折っていない状態において、前記流れ作用部材の第1縁端および第2縁端の方向に対応する、異なる主方向に延びている。
【0002】
この種のスペーサは、米国特許第5112571号によって公知である。前記流れ作用部材の目的は、燃料棒を構成する平行な細長い要素の冷却を改善するために、スペーサを通過して流れる冷却媒体の流れを誘導することである。上記の流れ作用部材は、以下ではフィンとも呼ぶ。前記の米国特許文献は、セルが、セルの側部から外に折られた複数のフィンを有することを示している。その文献は、垂直方向に延びる切込みがセルの上端から設けてある実施形態を示している。それによってセルの一部が、外に折られている。したがってフィンが外に折られている側部は、実質的に垂直方向に延びる縁端面を1つだけ備える。この文献はまた、フィンがセルのさらに下に配置される第2の実施形態も示している。それによって、側部は実質的に水平に延びる上端面と、上端面から始まり、実質的に垂直に延びる第2の上端面とを備える。したがって外に折られたフィンは、実質的に三角形をしている。
【0003】
米国特許第5440599号は、スペーサ自体の上部、すなわち細長い要素を位置決めして保持するセル自体の上方に配設された折り出しフィンを示している。
【0004】
スウェーデン特許第510816−C2号は、1つまたは2つの垂直切れ目を、スペーサ・セルの上端から設けた後に、そのスペーサ・セルからフィンを外に折ったスペーサを示している。
【0005】
公開されているスウェーデン特許出願第9803177−6号は、本質的に三角形のフィンが配設された開放構造のセルを備えるスペーサを示している。
【0006】
例えばいわゆる沸騰水型原子炉やいわゆる加圧水型原子炉などの異なる種類の原子炉が、存在することに留意すべきである。このような原子炉においては、原子燃料は通常、燃料棒として配設される。複数のこのような燃料棒が、通常は燃料集合体内で互いに平行に配設される。燃料棒を互いに所定距離をおいて保持するために、燃料集合体は複数のスペーサを備える。図1、図2および図3は、異なる種類の公知のスペーサを示している。このようなスペーサは、その中を燃料棒が延びるようにするための複数のセル10を備える。セル10は互いに平行に配設されている。通常、セル10したがって燃料棒は、垂直方向に延びる。すなわちスペーサ、およびスペーサ内の各セル10は、底部に位置する第1端16と、上部に位置する第2端18とを有する。冷却媒体、通常は水、が燃料集合体を通過して上方に流される。前記のように燃料棒およびセル10の延びる方向に平行な主流方向を図1に番号14で示してある。図1は、スリーブ形セルを備える種類のスペーサを示す。図示の例では、セル10はばね力で燃料棒を位置決めして保持するために、角が設けられている。図1に示す種類のスペーサは、以後スリーブ形セル付スペーサ10と呼ぶことにする。このような種類のスペーサは、本質的に円形のセル10を有してもよい。スリーブ形セル10は、スペーサを形成するために、好ましくは溶接される。
【0007】
図2は、セル10が、支持ポイントと、燃料棒を定位置に保持するように配設された弾性部材とを備える比較的開放的な要素として形成されている種類のスペーサを示す。この種のスペーサを、以後はセル・スペーサと呼ぶことにする。図1および図2に示すこのような種類のスペーサのセル10間には、冷却媒体が中を通過する、ある数の流路32が形成されている。
【0008】
図3には、別の種類のスペーサを示してあり、以後これをエッグ・クレート・スペーサと呼ぶことにする。このようなスペーサは、実質的に正方形の複数のセル10を備える。セル10が正方形をしているために、この種のスペーサでは上記のような種類の流路32がさらに形成されることはない。しかし、もちろん図3に示す種類のスペーサにも、燃料棒19どうしの間にスペースを形成し、このスペース内に冷却媒体を流すことができる。
【0009】
燃料棒の冷却を良くするためには、冷却媒体を、燃料棒に効率的に導くことが重要である。上記の文献は、冷却媒体を燃料棒の方向に導くように設計された異なる種類のフィンを示している。
【0010】
(発明の概要)
本発明の目的は、冷却媒体を燃料棒に向かってより効率的に誘導することのできるスペーサを達成することである。さらに別の目的は、比較的簡単な構造でそのようなスペーサを達成することである。さらに別の目的は、スペーサの部分を形成する流れ作用部材に、これらの流れ作用部材を特に大きくする必要なく、比較的大きな流れ誘導面を持たせることである。
【0011】
これらの目的は、冒頭に記載した種類のスペーサによって達成され、このスペーサは、前記第1縁端面がセルの前記第2端から延びると共に、少なくとも前記第1の方向に延長部を有すること、および前記第2縁端面が、上流に配置された前記第1の縁端面の端から延びると共に、少なくとも前記第1の方向に直角の方向に延長部を有することを特徴とする。
【0012】
したがって本発明によるスペーサは、流れ作用部材、すなわちフィンが、セルの外に折られた部分を形成するために、比較的簡単に製作できることである。上流側に位置する第2縁端面が、流れ方向に対して直角に延びているために、外に折ったフィン部が、比較的大きな流れ誘導面積を有する。流れ実験においては、本発明によるスペーサの部分を形成するフィンは、燃料棒の冷却の本質的な改善に効果があることがわかっている。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、上記の目的は、冒頭に記載した種類のスペーサによって達成され、このスペーサは、前記第1の縁端面が、セルの前記第1縁端から延びると共に、少なくとも前記第1の方向に延長部を有すること、および前記第2縁端面が、下流に配置された前記第1の縁端面の端から延びると共に、少なくとも前記第1の方向に直角な方向に延長部を有することを特徴とする。本発明のこの態様によれば、上記のスペーサと同様の利点が達成される。したがって相違点としては、本発明の第2の態様によるフィンは、上流に位置するセルの端部から延びていることである。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、上記の目的は、冒頭に記載した種類のスペーサによって達成され、そのスペーサは、前記第1の縁端面が、前記セルの第1端には延びず、かつセルの前記第2端に延びないと共に、少なくとも前記第1の方向に延長すること、前記第2の縁端面が、上流に位置する前記第1の縁端面の端から延びると共に、少なくとも前記第1の方向に直角の方向に延長部を有することを特徴とする。また本発明のこの態様によれば、上記の利点は、第2縁端面が流れ方向に直角な方向に延長部を有するという理由で、達成される。したがって本発明のすべての態様は、前記第2縁端面が流れ方向に直角な方向に延長部を有することによって、フィンに比較的大きな流れ誘導面を達成するという創案に基づくものである。これによって、燃料棒の冷却の改善がもたらされる。本発明の第3の態様は、スペーサ・セルが、そのフィンがセルの第1端にも第2端にも達しないために、特に剛性のある構造を有するという利点がある。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、それに沿って前記流れ作用部材を前記側部から外に折る折り線は、本質的に直線であり、前記第1の方向と10°から40°、好ましくは20°から30°の角度を形成する。このようにしたフィンが、流れ方向に対して有利な傾きを持ち、これによって冷却媒体の流れに対する最適の効果が達成されることがわかった。
【0016】
本発明の別の有利な実施形態によれば、前記流れ作用部材は、前記側部から、40°から80°、好ましくは50°から70°の間で外に折られる。流れ作用部材がこのようにして外に折られているので、冷却媒体の流れに有利な渦が生成され、これが燃料棒の冷却の改善をもたらす。
【0017】
本発明のさらに別の有利な実施形態によれば、流れ作用部材の前記第2縁端は、流れ作用部材が外に折られたときに、前記第1の方向と、70°から110°の角度を形成する。この方法においては、前記第2縁端が、おおむね流れ方向と直角に配設されるために、流れ作用部材には、比較的大きな流れ誘導面ができる。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記流れ作用部材は、流れ作用部材全体が、前記セルの第1端と第2端の間に位置するように設計かつ配設される。これによって流れ作用部材を、スペーサ内に保護して配置することができる。これは、例えば燃料棒の交換時に、流れ作用部材が損傷する危険がなくなることを意味する。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記第1縁端面が、前記第1の方向と−40°から+40°の間の角度を形成する方向に主たる延長部を有すると共に、前記第2の縁端面が、前記第1の方向と70°から120°の間の角度を形成する方向に主たる延長部を有する。このような角度とすることで、外に折られた流れ作用部材に、流れ技術的に有利な形状を与えることができる。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記第1縁端および第2縁端は直線である。このようなスペーサは、比較的製造が簡単である。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、スペーサは、前記セル間に流路のある種類のものであり、この流路内では冷却媒体を流すことができ、前記流れ作用部材が前記流路の1つの中に折られている。それによってスペーサは、スリーブ形セルを有する種類、またはセル・スペーサと呼ばれる種類のものでもよい。本発明によって、これらの流路を流れる冷却媒体が、燃料棒を冷却するために効率的に燃料棒に導かれる。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記流路は流路の中央に位置する軸線を確定し、この軸線は前記第1の方向に延長部を有し、前記流れ作用部材は、そこから流れ作用部材が外に折られている側部から、前記側部と前記中央軸線との間の距離の50%から90%を構成する距離にある位置に達するように設計かつ配設されている。これによって、流れ作用部材を最適な寸法にすることができる。流れ作用部材は、冷却媒体が燃料棒の方向に効率的に導入されるのと同時に、燃料集合体に過大な圧力低下を起こさせることがない。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記複数の流れ作用部材が、少なくとも複数の前記流路のそれぞれに配置される。それによって燃料棒の方向への冷却媒体の流れの制御が改善される。
【0024】
本発明のさらに別の実施形態によれば、スペーサは、本質的に正方形パターンからなる種類のものであり、本質的にそれぞれのセルは、正方形を有するセルを形成する4つの側部によって画定され、このスペーサは前記セル間にさらなる流路を含まず、前記流れ作用部材が、当該セルの角部近くの側部に配設されていると共に、セル中へと折られている。すなわち、この種のスペーサは、いわゆるエッグ・クレート・スペーサである。この種のスペーサにおいては、セルの角部と、当該セルを通って延びる燃料棒との間にはある距離がある。この空間は、流れ作用部材を配設するために使用することができる。
【0025】
本発明のさらに別の実施形態によれば、複数の前記流れ作用部材が、少なくとも複数の前記セルのそれぞれに配置される。例えば、それぞれの角部近くの、4つの異なるセルに4つの流れ作用部材を配設することができる。このようにして、各セルは、各角に1つの内側に折った流れ作用部材を備えること、すなわち各セルに4つの流れ作用部材を設けることができる。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記流れ作用部材は、スペーサを燃料集合体に配設したときに、燃料棒が占有するための空間に達しないような延長を有する。すなわち流れ作用部材は、燃料棒に対するいかなる支持機能も果たさない。これによって、流れ作用部材の設計においてより大きな自由度が得られる。
【0027】
本発明の目的はまた、前記の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つのスペーサを含む、軽水型原子炉用の燃料集合体によって達成することが可能である。
【0028】
次に本発明を、実施例として示す実施形態を用いて、添付の図面を参照して説明する。
【0029】
(発明の実施形態の詳細な説明)
図1、図2および図3は、前述の3つの異なる種類のスペーサを示している。これらの種類のスペーサはすべて、細長い要素、好ましくは燃料棒19を原子炉用の燃料集合体内の定位置に保持するための複数のセル10を有する。セル10は、複数の側部12によって画定されている。セルは、冷却媒体の流れ方向に対応する第1の方向14に延びている。スペーサ、したがって各セル10は、下流に配置する第1端16と、上流に配置する第2端18とを備える。図1および図2においては、燃料棒は示していないが、図3にはいくつかの燃料棒19を、記号で示してある。図1および図2に示す種類のスペーサにおいては、複数の流路32がセル10間に形成されている。したがってこれらの流路32内には、燃料棒は存在しない。そのために冷却媒体を、これらの流路32の中を上方に流すことができる。図3に示すスペーサにおいては、そのような特別な流路32はないが、燃料棒19同士の間にある程度の空間がある。この空間内を、冷却媒体を上方に流すことができる。
【0030】
図1、図2および図3は公知のスペーサを示している。したがって、これらのスペーサは本発明によるスペーサの部分を形成する種類の、流れ作用部材20は備えていない。本発明によるスペーサ内の流れ作用部材20、すなわちフィンは、スペーサの上部に好適に配設することができる。このために、フィン20を用いることによって、冷却媒体の流れの中に制御された渦を、これらの渦がスペーサの構造によって妨害されることなく生成することができる。しかしながら、以下に述べるように、フィンをスペーサ内でさらに下部に配設ことも可能である。しかし、次にはフィン20がスペーサの上部に配設された実施形態を示す。例えば、図2に示すスペーサにおいては、フィン20を、当該セル10を包囲する上部のバンド形側部12内に配設することを意味する。
【0031】
次に、主として図4、図5および図6を参照して、本発明を説明する。図4および図5は、図1および図2に示す種類のスペーサ内に形成される流路32を模式的に示している。しかしながら、簡単にするために、図4および図5に示す流路32は、正方形である。図6は、流れ作用部材20を備える側部12の側面図である。
【0032】
すなわちセル10の側部12は、フィン20を含む。このフィン20は、側部12から外に折られている。図示の例においては、フィン20は、折り線30に沿って、流路32の中に折られている。フィン20は、この例では側部12と約60°の角度bを形成するように折られている。側部12を曲げる場合には、角度bはそのように曲げた側部12に対する正接面に対して定義することができることに留意すべきである。
【0033】
流路32は、流路32内の中心に位置する軸線34を画定する。すなわち中心軸線34は、図5の紙面に対して直角に延びる。この中心軸線34は、冷却媒体を流そうとする方向14と平行である。この方向14は、以下では第1の方向14と呼ぶ。通常、中心軸線34は燃料集合体内で垂直に配設される。
【0034】
フィン20に好適な傾きを持たせるために、折り線30は、前記第1の方向14と、好ましくは10°から40°、最も好ましくは20°から40°の間の角度を形成させる。
【0035】
そこからフィン20を外に折る側部12は、第1縁端面22および第2縁端面24を備え、これらは互いに接続されているが、異なる方向に延びている。これらの第1縁端面22および第2縁端面24は、フィン20の第1縁端26および第2縁端28に対応する。フィン20を側部12に折る場合には、フィン20が、側部12から切り取られる空間全体を充填するのが好ましい。しかしながら、必ずしもこうする必要はないことに留意すべきである。製作技術に基づく理由によって、フィン20または側部12の一部を除去することは可能である。しかしながら、第1縁端面22および第2縁端面24の延長方向は、フィン20を外に折る状態において、本質的にフィン20の第1縁端26および第2縁端28の延長方向に対応する。第1縁端26と第2縁端28に加えて、フィン20は、この場合はセル10の上端により形成された第3縁端29も有する。本発明のすべての実施形態に対して、外に折られたフィン20は、3つのそのような縁端26、28、29を有することに留意すべきである。縁端29は、そうする必要はないが、縁端28と平行にしてもよい。
【0036】
側部12の第1縁端面22は、セル10の第2端18から延び、前記第1方向14に延長する。これは、図4〜図6の実施形態においては、この第1縁端面24が下方に延びることを意味する。しかしながら、第1縁端面22は、必ずしも第1方向14に完全に平行である必要はない。図6に示すように、第1縁端面22は、第1の方向14と角度dを形成してもよい。この角度dは、第1の方向14に対して−40°から+40°の間としてもよい。好ましくは、傾斜角dは、−20°から+20°とする。角度dはもちろん0でもよい。第2縁端面24は、上流に位置する第1縁端面22の端部から延びている。第2の縁端面24は、第1の方向14に対して直角な方向に延長する。図6に示すように、第2縁端面24は、第1の方向14に対して角度eを形成してもよく、この角度eは、好ましくは70°から120°の間である。有利な実施形態においては、この角度eは80°から100°の間である。もちろん角度eは正確に90°としてもよい。
【0037】
フィン20の第1縁端26および第2縁端28は、直線とするのが好適である。しかし、流れ技術的な理由から、縁端をいくらか曲げてもよい。例えば、第1縁端26および第2縁端28との間の角部は、わずかに丸めてもよい。また第3縁端29は、好ましい実施形態によれば、本質的に直線である。
【0038】
フィン20を外に折るときに、フィン20の第2縁端28は、第1の方向14に対して、適宜に70°〜110°の角度を形成させる。好ましくは、この角度は本質的に90°とし、この場合には第2縁端28が流れの方向と本質的に直角となる。
【0039】
さらに、フィン20は、フィン20全体がセル10の第1端16および第2端18の間に位置するように、適宜に外に折られる。これは、フィン20がセル10より上方に突き出ないことを意味する。こうすることでフィンは、スペーサ内で保護された状態で配置される。
【0040】
フィン20は、側部12と中心軸線34の距離の50%〜90%を形成する、側部12からの距離にある位置36に達するように、適宜に寸法を決めて、設計する。好ましい実施形態によれば、前記距離は側部12と中心軸線34の距離の約70%である。冷却媒体の流れによく制御された渦運動をもたらすために、流路32内に複数のフィン20を適宜に配置する。図4および図5に示すように、好適には流路32毎に4つのフィン20を配設してもよい。図10は、2つのフィン20を配設した流路32の例を示している。もちろん、流路32内に異なる数のフィン20を配設することも可能である。したがって、例えば、3つのフィン30または1つだけのフィン20を、流路32に配設してもよい。好ましくは、必要条件ではないが、フィン20は、それぞれの流路32内に等間隔に配置する。
【0041】
図7は、フィン20がスペーサの底部に配設された実施形態を示している。したがって第1の縁端面22は、セル10の第1端16から延びて、前記第1の方向14に延長部を有する。第2縁端面24は、下流に位置する第1縁端面22の端部から延び、第1の方向14に直角の方向に延長部を有する。
【0042】
図8は、セル10の第1端16にも第2端18にもフィンが配設されていない別の実施形態を示している。したがって第1縁端面22は、第1端16にも第2端18にも達しない。第1縁端面22は、第1の方向14に延長部を有する。第2縁端面24は、上流に位置する第1の縁端面22の端部から延びて、第1の方向14に対して直角の方向に延長部を有する。またこの実施形態によれば、フィン20は第3の縁端29を備える。
【0043】
例えば異なる角度に関する上記の代替実施形態は、もちろん図7および図8の実施形態にも適用可能である。
【0044】
図9は、図3に示す種類のスペーサに適する実施形態を模式的に示している。フィンは、セル10の角部38の近傍の側部12に配設されている。フィン20は、この場合にはセル10内に、すなわち燃料棒19の方向に、外向きに折られている。この場合にも、各セル10には複数のフィン20を適宜含めてもよい。4つのフィン20を、各角部38に隣接して適宜に配設してもよい。これは、各セルが4つのフィン20を備えることを意味する。簡単にするために、フィン20は図9の角部38の1つにだけついて示してある。角度および傾きに関して、図9の実施形態は、上述のような方法で変更してもよい。図9からわかるように、フィン20は燃料棒19まで内部に達しない。したがってフィン20は、燃料棒19に対していかなる支持機能も発揮しない。すなわちフィン20は、燃料集合体を通過する冷却媒体の流れに影響を与えることだけを意図するものである。
【0045】
図11は、加圧水型原子炉用の本発明による燃料集合体を模式的に示す図である。このような燃料集合体は通常、第1の支持プレート42および第2の支持プレート44を備える。また燃料集合体は、複数の燃料棒40を含む。燃料集合体は通常、制御棒用のいくつかの導管46および複数のスペーサ48を利用して、互いに保持されている。本発明によれば、これらのスペーサ48の少なくとも1つは、上記の実施形態のいずれかにしたがって設計されている。
【0046】
図12は、沸騰水型原子炉用の燃料集合体を模式的に示している。このような燃料集合体は通常、上部プレート41および底部プレート43を備え、その間にいくつかの燃料棒40が配設されている。燃料棒40は通常、原子炉燃料材料からなるある数のペレット45を含む。さらに、燃料集合体は、1つまたは複数の水路52と共に、ケーシング・チューブ50を含む。燃料集合体はまた、燃料棒40を設定された位置に保持する、ある数のスペーサ48を含む。本発明によれば、少なくとも1つのスペーサ48が、上記の実施形態のいずれかにしたがって設計される。加圧水型原子炉および沸騰水型原子炉の両方についてももちろん、複数のスペーサ48、または場合によってはすべてのスペーサ48を、本発明にしたがって設計することができる。
【0047】
本発明によるフィン20は、当該スペーサを原子炉用の燃料集合体内の定位置に配設したときに、燃料棒19を支持するためのものではないことに留意すべきである。図1および図2に示す種類のスペーサにおいては、フィン20は実際には、燃料棒19の間に形成される流路の中に向けられる。図3に示す種類のスペーサにおいては、フィン20(図9を参照のこと)は燃料棒19の方向に向けられる。しかしフィン20は、燃料棒19までは達することがない。このために、フィン20の詳細設計においては大きな自由度が得られる。このようにして、フィン20は、最適な流れ作用機能を持つように設計することができる。もちろん、異なる実施形態によるスペーサには、燃料棒19を例えばスペーサに対して、したがって相互に定位置に保持する部材、例えば弾性部材を適宜含める。このような保持部材は、当業者には周知である。
【0048】
本発明は、記載した実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で、変更および修正することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知のスペーサの概略を示す斜視図である。
【図2】公知のスペーサの概略を示す斜視図である。
【図3】公知のスペーサの概略を示す上面図である。
【図4】4つの流れ作用部材を備える流路の斜視図によって、本発明の原理の概略を示す図である。
【図5】図4の装置の上面図である。
【図6】外に折られた流れ作用部材を備える側部の概略を示す側面図である。
【図7】流れ作用部材が、スペーサ・セルの下部に配設されている、図6と同様の概略を示す側面図である。
【図8】流れ作用部材が、スペーサの上部と下部の間に配設されている場合の、図6および図7と同様の概略を示す、側面図である。
【図9】エッグ・クレート型のスペーサの一部の概略を示す上面図である。
【図10】2つの流れ作用部材を備える流路の、図5と同様の図である。
【図11】加圧水型原子炉用の燃料集合体の概略を示す側面図である。
【図12】沸騰水型原子炉用の燃料集合体の概略を示す断面図である。
Claims (18)
- セルを通過して延びる平行な細長い要素を保持するための、またはこれら要素がセルを通過できるようにするための、複数のセル(10)を形成するように設計された原子炉用のスペーサであって、
前記セル(10)のそれぞれが、前記細長い要素がスペーサの中を延びるように配設されるときに、これら要素の1つを共に包囲する複数の側部(12)によって画定されていて、
前記スペーサが、前記原子炉内で、前記セル(10)、したがって前記細長い要素が、本質的に冷却媒体を流すための第1の方向(14)に延びるように配設されるように設計されていて、
したがって、各セル(10)が、前記第1の方向(14)に対して上流に配置されるための第1端(16)と、前記第1の方向(14)に対して下流に配置されるための第2端(18)とを含み、
少なくとも1つの前記セル(10)に対して、セル(10)を画定する前記側部(12)の少なくとも1つが、前記側部(12)の一部で形成され、かつ前記側部(12)から外に折られた、少なくとも1つの流れ作用部材(20)を備えていて、
前記流れ作用部材(20)がそこから外に折られている前記側部(12)が、互いに接続された第1の縁端面(22)および第2の縁端面(24)を含み、これらの縁端面(22、24)が、流れ作用部材(20)を折らない状態において、前記流れ作用部材(20)の第1縁端(26)および第2縁端(28)の方向に対応する異なる延長主方向を有しているところのスペーサにおいて、
前記第1縁端面(22)が、セル(10)の前記第2端(18)から延びると共に、少なくとも前記第1方向(14)に延長部を有していて、
前記第2縁端面(24)が、上流に配置された前記第1縁端面(22)の端部から延びると共に、少なくとも前記第1方向(14)に直角な方向に延長部を有することを特徴とする、スペーサ。 - セルを通過して延びる平行な細長い要素を保持するための、またはこれら要素がセルを通過できるようにするための、複数のセル(10)を形成するように設計された原子炉用のスペーサであって、
前記セル(10)のそれぞれが、前記細長い要素がスペーサの中を延びるように配設されるときに、これら要素の1つを共に包囲する複数の側部(12)によって画定されていて、
前記スペーサが、前記原子炉内で、前記セル(10)、したがって前記細長い要素が、本質的に冷却媒体を流すための第1の方向(14)に延びるように配設されるように設計されていて、
したがって、各セル(10)が、前記第1の方向(14)に対して上流に配置されるための第1端(16)と、前記第1の方向(14)に対して下流に配置されるための第2端(18)とを含み、
少なくとも1つの前記セル(10)に対して、セル(10)を画定する前記側部(12)の少なくとも1つが、前記側部(12)の一部で形成され、かつ前記側部(12)から外に折られた、少なくとも1つの流れ作用部材(20)を備えていて、
前記流れ作用部材(20)がそこから外に折られている前記側部(12)が、互いに接続された第1の縁端面(22)および第2の縁端面(24)を含み、これらの縁端面(22、24)が、流れ作用部材(20)を折らない状態において、前記流れ作用部材(20)の第1縁端(26)および第2縁端(28)の方向に対応する異なる延長主方向を有しているところのスペーサにおいて、
前記第1縁端面(22)が、セル(10)の前記第1端(16)から延びると共に、少なくとも前記第1方向(14)に延長部を有していて、
前記第2縁端面(24)が、上流に配置された前記第1縁端面(22)の端部から延びると共に、少なくとも前記第1方向(14)に直角な方向に延長部を有することを特徴とする、スペーサ。 - セルを通過して延びる平行な細長い要素を保持するための、またはこれら要素がセルを通過できるようにするための、複数のセル(10)を形成するように設計された原子炉用のスペーサであって、
前記セル(10)のそれぞれが、前記細長い要素がスペーサの中を延びるように配設されるときに、これら要素の1つを共に包囲する複数の側部(12)によって画定されていて、
前記スペーサが、前記原子炉内で、前記セル(10)、したがって前記細長い要素が、本質的に冷却媒体を流すための第1の方向(14)に延びるように配設されるように設計されていて、
したがって、各セル(10)が、前記第1の方向(14)に対して上流に配置されるための第1端(16)と、前記第1の方向(14)に対して下流に配置されるための第2端(18)とを含み、
少なくとも1つの前記セル(10)に対して、セル(10)を画定する前記側部(12)の少なくとも1つが、前記側部(12)の一部で形成され、かつ前記側部(12)から外に折られた、少なくとも1つの流れ作用部材(20)を備えていて、
前記流れ作用部材(20)がそこから外に折られている前記側部(12)が、互いに接続された第1の縁端面(22)および第2の縁端面(24)を含み、これらの縁端面(22、24)が、流れ作用部材(20)を折らない状態において、前記流れ作用部材(20)の第1縁端(26)および第2縁端(28)の方向に対応する異なる延長主方向を有しているところのスペーサにおいて、
前記第1縁端面(22)が、セル(10)の前記第1端(16)の方向に延びず、またセル(10)の前記第2端(18)の方向にも延びないと共に、少なくとも前記第1方向(14)に延長部を有し、
第2縁端面(24)が、上流に配置される前記第1縁端面(22)の端部から延びると共に、少なくとも前記第1方向(14)に直角な方向に延長部を有することを特徴とする、スペーサ。 - それに沿って前記流れ作用部材(20)が前記側部(12)から外に折られる折線(30)が、本質的に直線であると共に、前記第1の方向(14)と10°から40°の間の角度(a)を形成することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のスペーサ。
- 前記折線(30)が、前記第1の方向(14)と20°から30°の角度を形成することを特徴とする、請求項4に記載のスペーサ。
- 前記流れ作用部材(20)が、前記側部(12)から40°から80°の間で、外に折られていることを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のスペーサ。
- 前記流れ作用部材(20)が、前記側部(12)から50°から70°の間で、外に折られていることを特徴とする、請求項6に記載のスペーサ。
- 流れ作用部材(20)の前記第2縁端(28)が、流れ作用部材(20)が外に折られたときに、前記第1の方向(14)と70°から110°の間の角度を形成することを特徴とする、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のスペーサ。
- 前記流れ作用部材(20)が、流れ作用部材(20)全体が、セル(10)の前記第1端(16)および第2端(18)の間に位置するように設計、かつ配設されていることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のスペーサ。
- 前記第1縁端面(22)が、前記第1の方向(14)と−40°から+40°の間の角度(d)を形成する方向に主として延長すること、および前記第2縁端面(24)が、前記第1の方向(14)と、70°から120°の間の角度(e)を形成する方向に、主たる延長部を有することを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のスペーサ。
- 前記第1縁端(26)および第2縁端(28)が、直線であることを特徴とする、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載のスペーサ。
- スペーサが、前記セル(10)間に流路(32)がある種類のものであり、その流路(32)内に、冷却媒体を流すことができ、前記流れ作用部材(20)が、前記流路(32)の1つの内部に折られていることを特徴とする、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載のスペーサ。
- 前記流路(32)が、流路(32)の中心に位置する軸線(34)を画定し、該軸線が前記第1の方向(14)への延長部を有していて、 前記流れ作用部材(20)が、そこから流れ作用部材(20)を外に折る側部(12)から、前記側部(12)と前記中心軸線(34)との間の距離の50%から90%を構成する距離にある位置(36)に達するように設計、かつ配設されていることを特徴とする、請求項12に記載のスペーサ。
- 複数の前記流れ作用部材(20)が、少なくとも複数の前記流路(32)のそれぞれに配置されていることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載のスペーサ。
- スペーサが、正方形パターンで構成される種類のスペーサであり、各セル(10)が、正方形を有するセル(10)を形成する、4つの側部(12)で本質的に画定されており、そのスペーサは、前記セル(10)の間にさらなる流路を含まず、
前記流れ作用部材(20)が、当該セル(10)内の角部(38)に近接する側部(12)内に配設されて、セル(10)中に折られていることを特徴とする、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載のスペーサ。 - 複数の前記流れ作用部材(20)が、少なくとも複数の前記セル(10)のそれぞれに配置されていることを特徴とする、請求項15に記載のスペーサ。
- 前記流れ作用部材(20)が、スペーサを燃料集合体に配設したときに、燃料棒(19)に占有させるための空間に達しない延長を有することを特徴とする、請求項15または請求項16に記載のスペーサ。
- 請求項1から請求項17までのいずれか一項に記載の、少なくとも1つのスペーサを含むことを特徴とする、軽水型原子炉用の燃料集合体。
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