JP2004501626A - 血清および血漿中に見出されるプリオン結合活性を有する因子 - Google Patents

血清および血漿中に見出されるプリオン結合活性を有する因子 Download PDF

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Abstract

病原性プリオンタンパク質を濃縮および検出ならびに定量するための方法およびツール、ならびにプリオン病の検出および/または予防もしくは治療において用いられる物質が開示される。この物質は、血清および血漿中に見出されるプリオン結合活性を有する因子である。

Description

【0001】
発明の分野
本発明は、伝達性海綿状脳症を検出するための方法および因子ならびに個々の感染を予防および治療するための因子に関する。
【0002】
背景技術
入手可能な全ての証拠によると、プリオンと呼ばれる伝達性海綿状脳症を引き起こす因子は情報である核酸を欠き、正常な宿主タンパク質(PrPと呼ばれる)をそれに似たものに変換することができる「感染」タンパク質(PrPScと呼ばれる)を含む。プリオン感染の結果として組織病理学的損傷およびその臨床後遺症が証明される唯一の器官系が神経系である(ブランダー(Brander)ら,1996)。この考えは、ヒト伝達性海綿状脳症(例えば、クロイツフェルト−ヤコブ病、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー症候群、クールー、および致死性家族性不眠症)と動物の全ての既知のプリオン脳症の両方に当てはまる(ウェバー(Weber)およびアグジ(Aguzzi),1997)。後者は、ヒツジのスクレイピー、ウシ海綿状脳症、ならびにラバ、シカ、および外来有蹄類の慢性消耗病を含む(ウェイスマン(Weissmann)およびアグジ,1997)。
【0003】
しかしながら、伝達性海綿状脳症を引き起こす感染因子として、このように作戦的に特定されたプリオンが中枢神経系および末梢神経系以外の器官に集落形成することができ、脳外区画において証明することができることは間違いない(アグジら,1997)。器官系が感染力を有する問題は、複数のプリオン株の存在によってさらに複雑になる。従来のウイルスの株と同様に、プリオンには様々な異なる特色があり、これらのそれぞれには感染宿主域に関して特定の好みがあり、プリオンが複製する細胞タイプに関しても特定の好みがある(アグジ,1998)。血液安全性の問題に直接関連する矛盾した状況の1つが、ウシおよびヒトのBSE因子の根本的に異なる臓器親和性によって例示される。BSEプリオンは大部分が経口暴露後でさえもウシの神経区画に限定されるように見られる(ウェルズ(Wells)ら,1998)。感染した脳100グラムを与えた時のウシにおける実験BSEの病理発生の非常に正確な研究によって、感染力を回腸末端部において証明できる期間は短くかつ一時的であることが明らかになっている(ウェルズら,1998)。もっと後の時点では、BSEプリオンは、脳、脊髄、および後根神経節だけにしか示されない。回腸末端部におけるBSEのはっきりした局在は知られていない。感染力がパイエル板に、または粘膜下神経叢および筋層間神経叢を含む神経区画に存在するかどうかが議論されている。BSEプリオンが、新変異型クロイツフェルト−ヤコブ病(nvCJD)を引き起こすことができるという多くの状況証拠があるが(ブルース(Bruce)ら,1997;チャゾト(Chazot)ら,1996;ヒル(Hill)ら,1997;ウィル(Will)ら,1996)、完全に最終的な証拠は得られていない。以下の議論のために、本発明者らは、BSEおよび新変異型クロイツフェルト−ヤコブ病が同じ因子によって引き起こされる証拠を十分に実証されているものとみなす(アグジおよびウェイスマン(Weissmann),1996)。nvCJDを発現させるためにヒトに継代し、連続的に進行させると、プリオンは臓器親和性の劇的な変化を経験する。プリオンは、主として神経構造に限定されたままにならず、最も顕著には扁桃腺、脾臓、最近証明されたように虫垂を含む、免疫系に属する多くの器官において検出することができる(ヒルトン(Hilton)ら,1998)。従って、様々な構造に対する感染因子の親和性が、問題になっているプリオン株と(従って、ある程度、そのキャリアとは独立している)、プリオン病それ自体が発現する種の両方によって決まると結論を下すことは避けられない(アグジおよびワイズマン(Weissmann),1998)。
【0004】
これらの考えは学問的な関心事であるだけではない。実際に、医師による操作(すなわち、輸血、臓器移植など)による因子の伝播性は、このようなパラメータの影響を決定的に受ける。
【0005】
ヒトプリオンの水平伝播性:
ヒトのプリオン病は間違いなく伝播性である。しかしながら、伝播は特定の状況でのみ達成される。この点で、プリオン病は、産褥熱についてゼンメルワイス(Semmelweiss)によって述べられた伝播性の特徴を満たしていると言うことができる。すなわち、これらの病気は感染性であるが、接触伝染性でない。クロイツフェルト−ヤコブ病に罹患した患者から他の人間への脳由来材料の直接伝播が疾患伝播をもたらしたことが記録に残っている。特に悲惨な症例が17世紀初期、チューリヒで起こり、この時、クロイツフェルト−ヤコブ患者からの皮質記録に用いられた電極が(ホルムアルデヒドおよびアルコール)滅菌され、さらなる患者に用いられた。疾患は非常に若いレシピエントに伝播した(ベルノウリ(Bernoulli)ら,1977)。また、角膜移植が疾患伝播をもたらしたことはほぼ間違いない(ダフィー(Duffy)ら,1974)。
【0006】
これらの悲惨な局面にもかかわらず、神経外科手術を介したCJD医原性伝播の症例は相当に稀なままであった。不顕性CJDの頻度が顕性疾患の頻度よりかなり高くなければならず、プリオンを確実に不活化するように大部分の神経外科機器が滅菌されないことを考えると、このことは完全に理解されていない。従って、医原性伝播の非常に稀な性質は、プリオン毒性に加えて宿主要因が、感染が起こる可能性に影響を及ぼし得ることを示している可能性が高い。この考えは、汚染硬膜伝播の際の医原性CJD(iCJD)の疫学によって強められた。数千人の患者(大部分が日本の患者)が、プリオンに感染された死体硬膜製剤を介してCJD因子に暴露された可能性があると見積もられている。しかしながら、暴露された患者の2%未満がこれまでに発症しているように見られる。感染力の「結果(take)」のこの低い効率は喜ばしいが、その一方で、CJDプリオンに暴露された大部分の被験者が経験した見かけ上の防御についての生物学的な基礎は完全に理解されていない。医原性伝播に関する最も大きな問題は、死体由来の脳下垂体ホルモンの投与の結果として起こった(ギブス(Gibbs)ら,1985)。ヒトプリオンに汚染された成長ホルモンおよびゴナドトロピンの製剤は、80人を超えるヒト(大部分が子供)の死を招いた。この因子が(例えば、筋肉内注射を介して)脳外部位に導入された時に予想される長い潜伏期間のために、10年以上前に止められたこの処置によるさらなる症例が将来現れると想定しなければならない。
【0007】
この悲惨なヒトでの局面ならびに患者および医師に犠牲を与えた損害の他に、脳下垂体ホルモンの惨事を詳細に理解する必要がある。なぜなら、脳下垂体前葉は中枢神経系の一部でないからである。従って、これらの事象は、プリオン複製の標準的な部位に属さない汚染脳外組織を介したプリオン伝播の代表例として役立つ可能性がある。脳内汚染後の潜伏期間が末梢感染後の潜伏期間よりかなり短いという観察は様々な動物モデルからの実験データとよく一致し、相当に長い脳外事象段階(因子の複製および特定の神経外系の侵入を含み得る)がプリオン神経侵入の前提条件であり得ることを示唆している(アグジ,1997)。
【0008】
プリオンの神経親和性に影響を及ぼす因子:
プリオン感染間の神経侵入工程が非常に厳重に制御されていることを推測するもっともな理由がある。恐らく、これに関する最良の議論は、スクレイピープリオンが腹腔内接種された実験動物の潜伏時間が極端に再現可能であるという観察から出ている。既知量の標準接種物を接種した際の、様々な研究室における経験内容は、接種と最初の臨床症状との間の潜伏期間がおよそ数パーセントポイントの標準偏差を示すことであった(クライン(Klein)ら,1997)。プリオン神経侵入が完全にランダムな工程であれば、潜伏時間には大きなばらつきが予想され、潜伏時間は偶然によって支配される工程に左右されるであろう。しかしながら、いくつかの律速工程が神経侵入を制御するのであれば、これらは、潜伏時間の著しい正確さの原因である可能性がある。もっとはっきり言ってしまえば、本発明者らはこの解釈が正しいことを強く望んでいる。なぜなら、このような工程が存在すれば、この工程を操作できる可能性があり、その結果として、顕性プリオン病を阻止するための暴露後のストラテジーになる可能性があるからである。実際に、神経侵入を達成する可能性のある様々な機構が探索されてきた。
【0009】
第一段階すなわち神経侵入は免疫系の広範な集落形成であるように見える。この集落形成は、脾臓、リンパ節、扁桃腺、および虫垂もホモジナイズし、ホモジネートを適切な実験動物に注射することによって視覚化することができる。実験動物の50%が発病するホモジネートの希釈液が、各接種物にID50感染因子を含んでいる。
【0010】
神経侵入の第二段階は、養子骨髄移入によって交換することができず(ブラットラー(Blattler)ら,1997)、末梢神経系および/または二次リンパ器官の胚中心に耐性の濾胞性樹状細胞によって示すことができる区画に依存しているように見える。この第2の区画は、神経侵入を支持するために正常プリオンタンパク質の発現を必要とするように思われる(ブラットラー,1997)。
【0011】
神経侵入は機能的な免疫系に依存しており、免疫不全マウスは中用量の因子を接種した後に疾患を発症しない(フラセル(Fraser)ら,1996;キタモト(Kitamoto)ら,1991;ラスメザス(Lasmezas)ら,1996;オロウルケ(O’Rourke)ら,1994)。神経侵入に必要な免疫系の重要な一成分を追跡して、終末成熟したBリンパ球の物理的存在を突き止めた。現在まで、プリオンを物理的に結合し、プリオンを神経侵入部位に運ぶためにB細胞が必要とされるかどうか、またはB細胞が、神経侵入の促進を間接的に担っている因子を産生するか、もしくは工程を誘導するかどうかは、はっきりしていない(クレイン(Klein)ら,1997)。濾胞性樹状細胞の成熟に必要とされるBリンパ球分泌リンホトキシンの条件、および実験の状況で濾胞性樹状細胞が多量のスクレイピープリオンを蓄積するということを考えると、前記工程におけるBリンパ球の主な機能がFDCの成熟にあると推測することは魅力的である。
【0012】
プリオン神経侵入の細胞的および分子的な基礎:
マウスの末梢部位にプリオンを実験的に接種した後、一般的に、リンパ細網系(LRS)内で長期間で臨床的に無症状の感染因子複製段階がある。これは、プリオンによる検出可能な神経侵入およびその後の神経学的症状の出現の前に起こる。この症状発現前の潜伏期間の間、プリオンは、リンパ細網組織内で高力価になるまで複製することができる。末梢リンパ組織内でプリオンが複製する細胞タイプおよびプリオンが中枢神経系(CNS)に輸送される方法(これは重要である)を解明することは非常に興味深く、臨床的に重要である。末梢プリオン病理発生における免疫系の役割を意味する多数の証拠にもかかわらず、この工程に関与する細胞の正体に関する研究はほとんどなかった。何年も前に、γ線によるマウスの全身照射がプリオン病理発生またはスクレイピーの潜伏時間に影響を及ぼさないことが明らかになった。これは、プリオン増殖のリンパ細網段階における増殖細胞のかなりの関与に反対する議論と考えられている。実際に、PrPScがスクレイピーに感染した野生型マウスおよびヌードマウスの濾胞性樹状細胞網において蓄積するので、濾胞性樹状細胞(FDC)はリンパ組織内でプリオンが複製するための最も重要な細胞タイプと考えられている(キタモト(Kitamoto)ら,1991)。さらに、成熟したB細胞およびT細胞が無く、機能的FDCを有するように思われない重症複合免疫不全症マウス(SCID)は、腹腔内接種後のスクレイピーに対して非常に耐性があり、脾臓においてプリオンを複製しない(フラセルら,1996;キタモトら,1991;ラスメザス(Lasmezas)ら,1996;オロウルケ(O’Rourke)ら,1994)。興味深いことに、野生型脾細胞を用いたSCIDマウスの骨髄再構成は、末梢感染後のスクレイピーに対する十分な感受性を回復させる(フラセルら,1996;クレインら,1998)。これらの発見は、インタクトな、または少なくとも部分的に機能的な免疫系(リンパ球およびFDCを含む)が、末梢感染部位からCNSへのプリオンの効率的な移動に必要とされることを示唆している。
【0013】
脳内接種または腹腔内接種後のスクレイピー病発症の時間経過は高度に再現可能であり、主として接種物の用量に依存している。従って、末梢リンパ組織から移動するプリオンによる神経侵入は、厳密に制御された律速反応に依存しているのかもしれない。プリオン神経侵入間のこのような律速段階を特定するために、PrPを過剰発現する脳ニューログラフトを有するPrPC欠損マウスを腹腔内(i.p.)感染させた。移植片には疾患は観察されず、これは、神経侵入が脳外部位でのPrP発現に依存することを示唆している。これは、リンパ組織における感染力を回復させるが、依然としてプリオンを神経系に運ばないPrPC発現細胞を用いたリンパ系の再構成によってさらに強められた。
【0014】
プリオンはリンパ細網組織において検出することができるので、末梢病理発生の理解は、症状発現前症例からの、ことによると汚染された外科用機器からの血液もしくは組織への暴露または血液および血液製剤の暴露を介したヒトBSEの医原性伝播の危険性の評価において非常に重要である。さらに、このような進歩は、感度の高い診断試験およびプリオン神経侵入をブロックするための手段の開発への道を開くかもしれない。プリオンによる血液供給の汚染がなぜ重要な問題であるのか。主な問題は新変異型CJDである。一つの理由としては、この新しい疾患の疫学および医原性伝播性は、散発性CJD(sCJD)と同じくらいに圧倒的に理解されていない。最も心を乱すことには、英国、ことによると他の国における症状発現前疾患の分布がはっきりせず、集められているわずかな情報が楽観から程遠い(ウィル(Will)ら,1999)。さらに、nvCJDがその散発性CJDより「リンパ侵入性」であり得ると考えることは道理に合っている。特に、nvCJDプリオンは扁桃腺および虫垂などのリンパ器官において容易に検出することができる(ヒル(Hill)ら,1999;ヒルら,1997;ヒルトン(Hilton)ら,1998)。このことは、スクレイピーに当てはまるが(シュレウダー(Schreuder)ら,1997;シュレウダーら,1998;バンケウウレン(Vankeulen)ら,1996)、sCJDプリオンには当てはまらないことが以前に証明された。入手可能な全ての証拠が、リンパ器官におけるプリオン貯蔵庫として濾胞性樹状細胞を指摘しているが、実験的に接種されたマウスの脾臓リンパ球はプリオンに感染することができる(ラエバー(Raeber)ら,1999)。循環リンパ球のプリオン感染力は、脾臓リンパ球において検出されるものより少なくとも2対数少ないように見えるが(ラエバー(Raeber)ら,1999)、循環リンパ球がその脾臓同胞と平衡状態にあり得る可能性は警告措置(cautionary measure)を要する。後者は、依然として論争および議論を呼ぶところである。すなわち、白血球除去が主張されているが、現在、その効力について確実なものはなく、白血球除去に現在利用可能な技術が、nvCJDから得た血液供給への脅威を少なくするのに必要および/または十分であるかどうかでさえ確実なものはない。さらに、血液プリオン感染力がインビボでリンパ球に元々含まれていたとしても、細胞溶解が、適切な除去手段の非存在下、安定な血液製剤の非存在下で非粒状画分の汚染につながる可能性があることを考慮に入れなければならない。
【0015】
第二の考えが二次予防に適用される。ヒトの食物連鎖に入った非常に多くの感染性BSE材料を考えると、多くの個体が症状発現前nvCJDにかかっている可能性がある。この因子の蔓延を制限するのを助け、願わくば、これらの人間における症状の臨床的大発生を予防するためのストラテジーを開発することは絶対必要であり、急を要する。神経侵入を妨げるための可能性のある標的は、感染個体内でのプリオン複製を制御する律速工程である。前記の知識を考えると、プリオン複製および神経侵入の神経−免疫境界面を標的とした治療(アグジおよびコリンゲ(Collinge),1997)は、暴露後予防を対象とした研究の将来有望な分野のように思われる。
【0016】
プリオンを検出するための方法およびその限界:
リアルタイムキネティックポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の時代、本発明者らが血液中のウイルス汚染物質の検出に適合されたアッセイ法から必要とした検出閾値には役立たなかった。HIVの場合を考える。ここで、定量的PCR技術の導入は、血液および血液製剤における検出限界を、ある程度完全なものに押し下げた。PCR技法が有用であると判明しなかった、またはこのような幅広い支持をまだ受けていなかった時でさえ、時間分解蛍光ELISAなどの超高感度免疫化学法が、ほとんどのスクリーニング用途に非常に申し分のない洗練された程度まで進歩していた。そうすると、なぜ、依然として血液中のプリオン検出に関して問題があるのか。
【0017】
最も手に余る問題は、プリオンの独特の生物学的性質から生じている。ある程度一般に認められている知識によれば、感染性プリオンは、正常細胞タンパク質PrPと正確に同じアミノ酸構造を有するPrPScタンパク質のみからなっている可能性が高い。このことを言葉で表現する当たり障りのない方法は、PrPScがプリオン感染力の唯一知られている代用マーカーであると述べることである。この後者の言い方は、タンパク質のみ(protein−only)仮説の支持者と感染因子がウイルスであると依然として考えている人の両方が賛成する可能性が高い。
【0018】
プリオン検出について前記で述べられた事実の結果は明らかである。プリオンに特異的な核酸が存在しない場合、その核酸を検出するための、どのPCRに基づくスクリーニングアッセイ法も選択肢でない。従って、免疫化学的アッセイ法が残った。これらはまた、PCRより数桁感度が低い上に、一連のプリオンに特有の問題をはらんでいる。最大の問題は、TSE因子の独特の生物学的性質から再度生じている。前記で説明したように、PrPScはPrPと同じ化学組成を有し、後者は、健常個体の多くの細胞タイプ(白血球を含む)において通常見出される膜結合タンパク質である(アグジおよびワイスマン(Weissmann),1997)。PrPおよびPrPScは多くの物理的性質の点で異なるが、これらの2つのアイソフォームを確実に区別する免疫学的試薬を開発することは非常に難しいように見える。PrPScと反応するが、PrPとは反応しないモノクローナル抗体は1つしか述べられておらず、その発表の14ヵ月後、追跡調査が現れておらず、この試薬を初めて開発した会社でさえBSEプリオンに対する会社内でのスクリーニングアッセイ法に使用したように見えないので、その実際の有用性は依然として証明されていない。
【0019】
今までで最良のプリオン検出法は、プロテイナーゼK(PK)を用いて消化されたホモジネート脳組織を用いてウエスタンブロット分析を行うことによる方法である。ウエスタンブロット分析のために、細胞プリオン(PrP)と病原性プリオン(PrPSc)との差がこれ以上見出されないように二次構造を破壊するので、消化は必要である。しかしながら、PrPは、特定の条件下でのPKによって容易に消化されるのに対して、PrPScは、PrP27−30と呼ばれる比較的大きな断片にしか分解されない。
【0020】
タンパク質をいわゆる磁気ビーズ(MB)(これには特異的抗体が結合している)に吸着させることによって、タンパク質を濃縮することも既に知られている。しかしながら、このような濃縮方法をPrPに適用することは、プリオンの特殊な性質のために不可能であると考えられていた。
【0021】
従って、疾患を診断するだけではなく、さらに研究もするために、少量のPrPScコンフォメーションプリオンを検出するための感度の高い方法または試験、ならびにこのような試験を行うための因子を有する大きな必要性が依然として存在する。
【0022】
発明の簡単な説明
従って、本発明の1つの目的は、それぞれPrPScまたはPrP27−30として病原性プリオンタンパク質を検出する方法を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、プリオン、特に、PrPScと相互作用する物質を探索するための方法を提供することである。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、PrPScおよび/またはPrP27−30を特異的に認識する物質である。
【0025】
本発明のさらに別の目的は、例えば、このような物質を有する磁気ビーズなどの固相材料およびそれを含む組成物である。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、体液の精製ならびに外科用機器および診断機器の滅菌のための、このような物質を含む組成物である。
【0027】
さらに別の目的は、伝達性海綿状脳症(TSE)を診断するための改善した方法およびそのための手段を提供することである。
【0028】
PrPScは「感染タンパク質」とも呼ばれる。PrPScは、如何なるTSE兆候も示さず、発症もしていない健常な生物におけるPrPの「正常な」コンフォメーションとは異なるコンフォメーションを有するプリオンタンパク質を意味する。
【0029】
「PrPScと選択的に相互作用するが、PrPと相互作用しないプリオン結合部位」とは、PrPScに結合することができるが、PrPに結合しない分子または分子の一部を意味する。このような結合部位は、例えば、低分子有機化合物、ペプチドまたはタンパク質によって、ならびに抗体の抗原結合部位によって得ることができる。本明細書において、「抗体」という用語は、とりわけ、従来の抗体、scFv断片(Fab)、および(Fab)断片を含む。このような文脈での「選択的に」という用語は、結合部位を有する化合物が、PrPコンフォメーションのプリオンタンパク質より、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍強くPrPScコンフォメーションのプリオンタンパク質と相互作用することを意味する。最も好ましくは、結合部位は、プラスミノゲンによって示されるように、少なくともPrPScに対して選択性を示す。
【0030】
「プリオン結合活性を有する因子」とは、プリオンタンパク質に結合することができ、本発明の選択的プリオン結合部位を有する化合物を意味する。この因子は低分子化合物でもよいが、好ましくは、少なくとも10アミノ酸長のペプチドまたはタンパク質である。しかしながら、これらのペプチドまたはタンパク質は、炭水化物残基または脂質残基などのさらなる非タンパク質残基を有してもよい。この因子は、例えば、動物またはヒトに由来してもよく、合成したものでもよい。
【0031】
「プラスミノゲンに含まれる選択的プリオン結合部位」とは、PrPScと選択的に相互作用するがPrPと相互作用しない、動物由来またはヒト由来プラスミノゲンに含まれるアミノ酸配列の全てまたは一部を有するペプチドまたはタンパク質によって得られる結合部位を意味する。
【0032】
「プラスミノゲンの誘導体」は、天然に生じるプラスミノゲンまたはその断片と比較して少なくとも1つのアミノ酸付加、置換、または欠失を有するが、依然として、PrPScと選択的に相互作用することができ、PrPと相互作用しないペプチドまたはタンパク質を意味する。このような誘導体は、例えば、天然に生じるプラスミノゲンをコードする核酸の部位特異的変異誘発によって、またはペプチド合成によって容易に調製することができる。
【0033】
「プラスミノゲンの断片」とは、PrPScと選択的に相互作用できるが、PrPと相互作用しない、天然に生じるプラスミノゲンの一部を意味する。
【0034】
「PrPScのカルボキシル末端」とは、プリオンタンパク質のカルボキシル末端からの最初のアミノ酸を意味する。
【0035】
「リガンド」とは、PrPScと本発明による結合因子との複合体に選択的に結合するが、遊離PrPScのみまたは遊離因子のみと相互作用しない化合物を意味する。このようなリガンドは、例えば、抗体でもよく別の受容体型タンパク質でもよい。
【0036】
本発明は、とりわけ、PrPScまたはその消化産物を濃縮するための方法に関する。ここで、体液または流動化された器官が、PrPScと選択的に相互作用するがPrPと相互作用しないプリオン結合部位を少なくとも部分的に有する固相材料で処理される。ある特定の結合部位の選択性は、本明細書以下でさらに説明するように容易に決定することができる。十分な選択性が、例えば、プラスミノゲンによって示される。
【0037】
このような文脈での「流動化された器官」という用語は、器官に由来し、器官の構成要素のかなりの割合を溶液または懸濁液にするために機械的手順、超音波処理、または他の手順によって可溶化された組織を意味する。
【0038】
さらに好ましい態様において、流動化された器官は、ホモジナイズされた組織(好ましくは中枢神経系組織)、好ましくはホモジナイズされた脳組織である。
【0039】
さらに好ましい方法において、血液、血漿、血清、尿、またはリンパなどの体液が、プロテイナーゼ(好ましくは、プロテイナーゼK(PK))で処理される。さらに好ましい方法において、選択的プリオン結合部位は、プリオン結合活性(PrPB)を有する因子に含まれる。このような因子は、好ましくは、ペプチドまたはタンパク質である。ペプチドまたはタンパク質の場合、これは、PrPScまたはその消化産物への安定な結合を可能にするのに十分な長さである。十分な結合安定性(または親和性)が、例えば、プラスミノゲンによって示される。
【0040】
さらに好ましい方法において、固相材料は、血清または血漿中に見出されるような、好ましくは、血清または血漿の硫安沈殿の画分IIに含まれるようなPrPBを有する。
【0041】
さらに好ましい方法において、固相材料は、プラスミノゲン、フィブリノゲン、または血漿の硫安沈殿の画分Iに見出されるPrPBを有する。
【0042】
さらに好ましい方法において、PrPBは、プラスミノゲン、フィブリノゲン、sPrPBIIおよびPrPBIIまたはその断片(この断片は完全なタンパク質と同じ選択性を示す)から選択される。
【0043】
本発明は、さらに、PrPScまたはその消化産物を検出し、選択的に定量するための方法に関する。この方法は、PrPScまたはその消化産物を前記のようなプリオン結合部位に選択的に結合させる段階を含む。
【0044】
好ましい態様において、プリオン結合部位は、プリオン結合活性を有する因子に含まれる。
【0045】
好ましい態様において、因子は、血清、血漿、血清もしくは血漿の硫安沈殿の画分II、血漿の硫安沈殿の画分Iに含まれる因子、またはプラスミノゲン、フィブリノゲン、sPrPBII、およびPrPBIIまたはその断片(これは完全なタンパク質と同様の選択性を示す)によって得られる因子から選択される。
【0046】
PrPScとプリオン結合部位との間で生成された複合体の検出は、このようなタンパク質複合体の検出に現在適用可能な任意の方法によって、例えば、任意のタイプの親和性アッセイ法によって、または特に、例えば、デビット・ワイルド(David Wild)の「イムノアッセイハンドブック(The Immunoassay Handbook)」,第2版 ISPNO−33−72306−6,Nature Publishing Groupに記載のようなイムノアッセイ法において行うことができる。高い選択性を達成するために、蛍光検出法が好ましい。
【0047】
さらに、本発明は、PrPScまたはその消化産物と、PrPScと選択的に相互作用するが、PrPと相互作用しないプリオン結合部位を有する材料を含む組成物を初めて提供する。好ましい態様によれば、プリオン結合部位は、プリオン結合活性を有する因子(好ましくは、血清、血漿、血清もしくは血漿の硫安沈殿の画分II、血漿の硫安沈殿の画分Iに含まれる因子、またはプラスミノゲン、フィブリノゲン、sPrPBII、およびPrPBIIに含まれる因子から選択される)に含まれる。
【0048】
本発明は、さらに、本発明のプリオン結合部位を有する固相材料を提供する。この結合部位は、好ましくは、プリオン結合活性を有する因子に含まれる。この因子は、好ましくは、血清、血漿、血清もしくは血漿の硫安沈殿の画分II、血漿の硫安沈殿の画分Iに含まれる因子、またはプラスミノゲン、フィブリノゲン、sPrPBII、およびPrPBIIに含まれる因子から選択される。
【0049】
本発明は、さらに、PrPScと、PrPScと選択的に相互作用するがPrPと相互作用しないプリオン結合部位(好ましくは、プラスミノゲンに含まれる選択的PrPSc結合部位)を有する因子を含むタンパク質複合体を提供する。
【0050】
本発明は、さらに、血液、尿、脳脊髄液、脳組織、リンパ節、扁桃腺などの体液または器官における病原性プリオンタンパク質(例えば、PrPSc)を検出するための試験キットを提供する。このキットは、本発明によるプリオン結合部位を有する因子を含み、この因子は、好ましくは、血清、血漿、血清もしくは血漿の硫安沈殿の画分II、血漿の硫安沈殿の画分Iに含まれる因子、またはプラスミノゲン、フィブリノゲン、sPrPBII、およびPrPBIIに含まれる因子から選択される。
【0051】
本発明は、さらに、ヒト伝達性ヒト海綿状脳症または動物のプリオン脳症を診断するためのアッセイ法を提供する。このアッセイ法は、試験しようとする試料と、PrPScと選択的に相互作用するがPrPと相互作用しないプリオン結合部位を接触させる段階を含む。好ましい態様において、試料は血液から得られる。試験される動物またはヒトは、PrPScが試験試料中に検出された場合、陽性(すなわち、伝達性海綿状脳症を発症する現行の危険性が陽性)と診断される。
【0052】
本発明は、本発明による選択的プリオン結合部位を含む、PrPに対する結合因子を使用することによって、正常PrPも含む可能性がある試料におけるPrPScの検出を初めて可能にする。
【0053】
本発明のさらなる局面において、PrPScのカルボキシル末端部分は選択的結合部位の標的である。驚くべきことに、PrPScのカルボキシル末端は、PrPScとPrPとの区別を可能にする結合部位をもたらすことが発見された。この結合部位は、本発明による結合部位の好ましい標的である。
【0054】
さらに驚くべきことに、異なる種に由来するプリオンタンパク質間に配列変化が存在することが知られているが、本発明による結合部位は異なる種のPrPScとPrPを強力に区別することが見出された。従って、本発明による1つのプリオン結合部位を用いることで、異なる種のPrPScを検出することができる。非常に好ましい結合部位は、ヒトプラスミノゲンに含まれる結合部位である。驚くべきことに、プラスミノゲン結合部位は、複数の種に由来する疾患関連プリオンタンパク質と相互作用することが見出された。本発明によるこの発見は、さらに、個々のPrPSc分子の特定のタンパク質構造に特有の特性ではなく様々な種のPrPScに共通する性質が、プラスミノゲンにおける結合部位への結合を担っていることを示唆している。
【0055】
本発明による使用のための担体として、生物学的試料中のある特定の化合物を検出するための生物学的アッセイ法を行うのに現在適用可能な本質的に全ての材料を考慮に入れることができる。このような担体として、磁気ビーズ、フィルター細片、マイクロタイタープレートの壁が挙げられる。
【0056】
本発明の1つの局面によれば、PrPScの検出は、まず最初に、PrPScと本発明による結合部位との間で複合体が形成され、次いで、このように形成された複合体がリガンド(例えば、抗体)によって選択的に検出される点で「間接的に」行うことができる。PrPScとその結合因子との相互作用によって形成されたエピトープと選択的に相互作用する、このようなリガンドもまた高度に選択的であり、このような複合体だけを検出するが、遊離PrPScも本発明による遊離因子も検出しない。
【0057】
本発明による生成物は、PrPScを検出するためにアッセイ法を行うための全ての成分を含む新たな診断キットを提供するのに有用である。このようなキットは、本発明による生成物に加えて、緩衝液、試料中のPrPScの存在の結果である生成物を検出するための試薬、アッセイ法を確実に行う方法に関する作業説明書を含んでもよい。
【0058】
PrPScそれ自体はTSEの発症において必須の要素であるので、遊離PrPScを利用しにくくすることは、BSE発症を回避するのに、および/またはBSE発症の速度を遅らせるのに有用な手段であるかもしれない。遊離PrPScを減らすための手段は、本発明による結合部位へのPrPScの結合である。従って、この結合部位は、薬学的組成物の一部をなすことができる。
【0059】
または、本発明による結合部位は、例えば、透析の形で、生物学的細菌からPrPScを除去するために使用することができる。ここで、試験しようとする動物の血液を、本発明の結合部位を含む担体と連続的に接触させる。
【0060】
従って、本発明は、ヒト伝達性海綿状脳症および動物のプリオン脳症を診断するための信頼性の高い方法を始めて可能にする。この方法では、試験しようとする動物の材料を本発明の結合部位と接触させる。
【0061】
PrPScまたはその消化産物を濃縮するための本発明の好ましい方法において、例えば、血液、尿、脳脊髄液などの体液、または脳組織、リンパ節、扁桃腺などの流動化された器官が、磁気ビーズ(MB)などの固相材料で処理される。ここで、材料またはビーズそれぞれの少なくとも一部はプリオン結合部位を有する。好ましいプリオン結合部位は、プリオン結合活性(PrPB)を有する因子である。
【0062】
前記の方法は、流動化された器官、特に、ホモジナイズされた中枢神経系組織、好ましくは、ホモジナイズされた脳組織を用いて非常にうまくいく。
【0063】
プリオン結合部位が消化された形のPrPとPrPScしか区別できない場合、実際の濃縮段階前に、体液または流動化された器官を消化することが必要である。適切な消化はプロテイナーゼK(PK)を用いた消化によって得られる。ここで、固相(例えば、MB)の添加前にプロテイナーゼKを不活化することが重要である。
【0064】
しかしながら、PrPScに対する選択性を得るために出発材料の消化を必要としない方法が好ましい。
【0065】
PrPBを有する好ましい固相材料は、このような材料と血清または血漿(例えば、哺乳動物の新鮮な凍結血漿)をカップリングすることによって調製することができる。ここで、過剰なタンパク質がカップリング手順の間に存在する。このような因子は、spPrPB(s=血清およびp=血漿)(以下を参照のこと)と呼ばれる。さらにより好ましい、PrPBを有する固体材料は、精製されたプラスミノゲンもしくはフィブリノゲンまたはその断片を固相(例えば、ビーズ)にカップリングすることによって調製される(以下を参照のこと)。
【0066】
非常に適した固体材料は磁気ビーズである。なぜなら、磁気ビーズは、対象となる特定の成分で容易に処理することができ、磁場を加えることで容易に収集することができるからである。
【0067】
本発明のさらに好ましい方法は、PrPScまたはその消化産物の検出(任意で、定量)に関する。ここで、まず最初に、PrPScは前記のように濃縮され(任意で、体液または流動化された器官を前もって消化することも行われ)、次いで、検出され、任意で標準と比較される。適切な検出法はウエスタンブロット分析である。このような試験は、さらに、マイクロタイタープレートフォーマットイムノアッセイ法(例えば、ELISAアッセイ法)、免疫沈降アッセイ法、BIACOREアッセイ法、免疫細胞化学アッセイ法、ヒストブロットアッセイ法などの他の検出法によって具体化されてもよい。
【0068】
前記方法に加えて、本発明はまた、プリオン結合活性を有する因子(例えば、血清の硫安沈殿の画分IIにあるプリオン結合活性であるsPrPBII、または正常もしくは新鮮な凍結血漿の硫安沈殿の画分IIにあるプリオン結合活性を有する因子であるpPrPBII)に関する。これらの因子は、もちろん、どのような形態(例えば、単離された形態または組成物(例えば、硫安沈殿画分)中の成分として)でも本発明の主題である。
【0069】
前記の因子はPrPBの濃縮および/または単離によって得ることができる。ここで、血清または血漿は、対象となるPrPBが好ましくは一画分のみに沈殿するように分画硫安沈殿にかけられる。さらなるタンパク質単離法の適用によって、さらなる精製を得ることができる。
【0070】
本発明の因子はプリオン、特に、PrPScの検出に適するだけでなく、病原性プリオンタンパク質に対するPrPBの親和性に基づいて、血液、尿、脳脊髄液、脳組織、リンパ節、扁桃腺などの体液および器官から病原性プリオンタンパク質を精製および除去するための方法、または外科用ツールおよび/もしくは診断用ツールを滅菌するための方法においてさらなる用途を有する。これらは、さらに、体内のプリオンの蔓延を妨げるための、PrPB産生の調節に基づいた治療レジメのためのツールである。これに関してプラスミノゲンが特に適しており、プラスミノゲンは、体液(例えば、血液ユニット(blood unit))の精製にも特に適している。このような精製は、例えば、体液をPrPBIp(特に、固定化されたプラスミノゲンまたはそれを含む血漿画分)で処理することによって行ってもよい。
【0071】
本発明の一部はまた、血液、尿、脳脊髄液、脳組織、リンパ節、扁桃腺などの体液または器官における病原性プリオンタンパク質(例えば、PrPSc)を検出するための試験であり、この試験は、病原性プリオンタンパク質へのPrPBの特異的な結合性質を利用している。このような試験は、マイクロタイタープレートフォーマットイムノアッセイ法(例えば、ELISAアッセイ法)、免疫沈降アッセイ法、BIACOREアッセイ法、免疫細胞化学アッセイ法、ヒストブロットアッセイ法などとして具体化することができる。
【0072】
PrPB生合成に特有のDNA配列ならびに適切な宿主においてこのようなDNA配列を発現することができるベクターも本発明に含まれる。
【0073】
さらに、本発明は、ベイトとしてPrP27−30を用いてPrPBを精製するための方法;マウス、ウサギ、ニワトリなどの動物において産生された、PrPBに対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体;組換えファージまたは他の組換え系で産生された、PrPBに対する単鎖Fv断片および他のタイプの抗体断片;PrPBの多型またはPrPB産生の強さおよびパターンの変化に基づいてプリオン病に対する感受性を予測する試験;プリオンのバイオアッセイ法において用いられるトランスジェニック動物(例えば、脳、リンパ節、または他の器官においてPrPBを過剰産生するマウス);プリオンのバイオアッセイ法において用いられるノックアウト動物(特に、PrPBが無いマウス);適切な宿主細胞(例えば、細菌、酵母、菌類、もしくは真核細胞)においてPrPB生合成に特有のDNA配列を発現させることによる、および前記生物からPrPBを精製することによるPrPBの産生方法;ヒトおよび動物における治療用途のための医薬品としての天然または合成の(好ましくは、精製された)PrPBの使用;天然または合成のPrPB(特に、プラスミノゲン)を用いた生物のワクチン接種;PrPBの異常な産生および/または代謝から生じたヒトおよび/または動物の疾患についての診断アッセイ法を含む。
【0074】
発明の詳細な説明
既に前述したように、伝達性海綿状脳症(TSE)の診断試験として使用することができる低濃度PrPScの検出法が大いに必要とされている。
【0075】
TSEについて基本的に3つの診断原理がある:CNSにおける一般的な海綿状変化の組織病理学的検出、プリオンタンパク質のスクレイピー特異的アイソフォームの検出、および感染力を検出するバイオアッセイ法。これらの全ての方法には限界がある。すなわち、組織病理学は、構造変化が潜伏期の後期に現れるので前臨床診断に有用でない。プリオンタンパク質のスクレイピー特異的アイソフォームの検出はより感度が高いが、バイオアッセイ法よりかなり感度が低い。バイオアッセイ法は、原理上は、1感染単位という低さで検出することができるが、数ヶ月または数年も待つことがある。
【0076】
今まで用いられたウエスタンブロット法は、PrPとPrPScとの区別を可能にするPrPScの部分的なプロテアーゼ耐性に基づいている。プロテアーゼ処理後、PrPScのプロテアーゼ耐性コアであるPrP27−30を検出することができるが、完全に消化されたPrPを検出することができない。
【0077】
プリオンの「粘着性」のために、一般的に、イムノアフィニティ精製(IAP)は適用できないと思われていたが、今や、プリオン結合部位(好ましくは、プリオンタンパク質結合活性(PrPB)を有する因子)を有する磁気ビーズ(MB)を適用することで濃縮を達成できることが見出されている。
【0078】
従って、絶対量のPrP27−30の検出感度は抗体親和性の関数であり、本発明の範囲内で、ある特定の各抗体について容易に高めることができないので、今までに考えられた問題にもかかわらず、固相材料(例えば、磁気ビーズ)に共有結合によって架橋された抗体を用いて「イムノアフィニティ精製」(IAP)アッセイ法が初めて開発された。IAPの開発のために初め使用されたモノクローナル抗体(プリオニクス(Prionics),Zurich,Switzerlandで購入した6H4,コース(Korth)ら,1997に記載)はPrPとPrPScを区別することができないので(6H4は未消化形態および消化されたPrPSc (すなわち、PrP27−30)の両方に結合する)、IAP(図1を参照のこと)前にプロテイナーゼK消化を行うことが必要である。
【0079】
本発明のIAP法の開発のために、以下のモデル系を使用した。この方法の効率を確かめるために、2種類の試験を行った。一方では、少量のスクレイピー感染マウスの脳ホモジネートを水で希釈し、次いで、PrPSc濃縮法に供した。他方では、実際の状況をシミュレートするために、少量のスクレイピー感染脳ホモジネートを非感染マウスの脳ホモジネートで希釈した(実際の状況では、脳ホモジネートは少量のPrPScを含んでいる)(図2を参照のこと)。
【0080】
図2において、レーン1〜6および10は通常のウエスタンブロットを示し、レーン7〜9および11〜13はイムノアフィニティ精製(IAP)を示す。PrnP%は、PrP欠損マウスに由来する材料である。MBは、もちろんIAPだけに用いられ、ここで、6H4は、6H4抗体とカップリングされたMBを指し、−は、カップリングされていないMBを指す。PRPは非感染マウスの脳ホモジネートを指し、PrPScはスクレイピー感染マウスの脳ホモジネートを指す。PKはプロテイナーゼK消化を指し、ここで、−は未消化を指し、+は消化されたホモジネートを指す。同じ略語が以下の図に用いられる。
【0081】
ホモジネート(特に、脳組織のホモジネート)におけるプリオン分析のために、最初のホモジネーション段階において、低濃度のイオン界面活性剤を使用し、その後、低速遠心分離(好ましくは、500g、30分、4℃を2回適用)を行うことが重要である。後の段階のために、高濃度の非イオン界面活性剤を使用し、ホモジネートのタンパク質濃度は多くて5mg/mlである。
【0082】
プロテイナーゼK消化のための条件は、好ましくは、50μg/mlのPK、37℃、少なくとも30分である。
【0083】
ビーズとホモジネートとの適切なインキュベーション条件は、例えば、室温で約1.5時間である。低濃度の場合、それより長いインキュベーション時間が好ましいことがある。
【0084】
最初の試みでの濃縮段階は、消化されたホモジネートに6H4を有する磁気ビーズ(MB)を添加することで行われた。
【0085】
消化段階が必要な場合、濃縮段階前に行わなければならない。ここで、消化(通常、プロテイナーゼKによる消化)は、例えば、フェニルメチルスルホニルフッ化物または当業者に周知の別の薬剤を用いてプロテイナーゼを不活化することで濃縮段階前に止めなければならない。
【0086】
例えば、脳組織ホモジネートに本発明の方法を適用することで、今まで知られている試験に必要とされる量より非常にわずかしか病原性プリオンタンパク質を含まない組織から、ウエスタンブロット分析によって検出可能な量まで、PrP27−30を濃縮することができる。
【0087】
主として同じ手順を用いて、例えば、PrPScの結合パートナーを発見するために、モノクローナル抗体6H4を、調べようとする他の物質に換えることで、前記の方法をプリオン親和性アッセイ法(PAA)として適用することもできる(図3を参照のこと)。
【0088】
このアッセイ法の陽性対照として、6H4(図4,レーン1−3を参照のこと)が用いられ、陰性対照として、マウスIgGまたはマウスアルブミン(図4,レーン4−9を参照のこと)が用いられる。
【0089】
ある特定のマウス血清が、PrPScを特異的に認識するIgGを含むかどうかを調べるために、ダイナル(DYNAL)社によってマウスIgGに対するヒツジ抗体で既にコーティングされている磁気ビーズを、マウス血清とのプレインキュベーション後に使用した。プレインキュベーションなしで使用したこれらのビーズは、第1の陰性対照であった(図5,レーン1−2を参照のこと)。第2の陰性対照として、正常マウス血清からのIgGがPrPのどの形態にも結合しないことを示すために、正常マウス血清とプレインキュベーションした、これらのビーズを使用した(図5,レーン3−4を参照のこと)。驚くべきことに、ビーズのみではPrPScに対する親和性を示したが、PrP27−30に対する親和性を示さなかった。正常マウス血清とプレインキュベーションすると、PrP27−30も結合した。従って、ダイナルからのヒツジ抗体は、PrPScに関連しているが、PK処理後に消化された分子を認識すると仮説を立てた。正常マウス血清とプレインキュベーションするとPrP27−30が結合するので、この血清は、PrPScに対して親和性を有する分子を含んでいる可能性がある。
【0090】
総マウス血清タンパク質にカップリングされたビーズは、PrPのどの形態に対しても親和性を示さなかった。しかしながら、総血清のカップリングが過剰タンパク質の存在下で行われた場合、ビーズは、モノクローナル抗体6H4と同じ、PrP27−30に対する結合を示したが(図6,レーン4−6を参照のこと)、過剰のアルブミンの存在下でカップリングされたビーズは、依然として、PrPのどの形態に対しても親和性を示さなかった(図6,レーン1−3を参照のこと)。2つの条件のカップリング効率の差を測定することはできなかったが、過剰タンパク質の提供が、PrP27−30に結合するビーズの表面上にスポンジ(sponge)を引き起こしたのかもしれない。本発明者らまた、PK処理された総脳ホモジネートが存在する時にPrP27−30が結合した場合のように、PK処理された脳ホモジネートが結合を促進し得るかどうかを調べた。野生型C57BL/6マウスまたはPrnp%マウスからのPKで消化された脳ホモジネートの添加が、PrP27−30に加えてPrPScの結合を可能にした(図7,レーン1−3を参照のこと)。不活性PKの添加は結合活性に影響を及ぼさなかった(図7,レーン7−9を参照のこと)。過剰量の存在下でカップリングした場合、PrP27−30を結合する活性は、ヒト、ヒツジ、ウシの血清中に、および末期スクレイピー罹患C57BL/6マウスの血清中にも見出された(データ示さず)。
【0091】
いくつかの種の血清は、人為構造の他に、プリオンタンパク質の病原性アイソフォームと特異的に相互作用し、ビーズへの結合に速度論的に好ましい活性(総称してPrPと呼ぶ)を含むだろう。罹患マウスに存在する天然のPrPScが、タンパク質分解消化の際に放出され得るPrPで飽和しているとすると、PrP27−30に対する親和性を理解することができる。または、部分的なタンパク質分解が、PrPSc上にPrP結合部位を暴露するのかもしれない。しかしながら、PKで処理された脳ホモジネートの添加がPrPScの結合を可能にすることは、本発明者らの観察につながる、いくつかの異なる相互作用がある可能性があることを示している。
【0092】
テンプレート指向性リフォールディング仮説によって、PrPおよびPrPScが変換工程間にヘテロ2量体を形成することが予測される。従って、本発明者らは、PrPがPrPと同一であるかどうかを調べた。しかしながら、過剰量でカップリングした場合、PrP活性は、野生型マウスの血清と同様のレベルでPrnp%マウスの血清中に存在した。このことは、PrPが結合活性に寄与しないことを意味している(図8を参照のこと)。
【0093】
PrP活性が特別なカップリング条件のみで引き起こされないのであれば、ディファレンシャル硫安沈殿(differential ammonium sulfate precipitation)によるマウス血清の分画によって、PrP活性を「精製」することが可能なはずである。実際に、50%より低い硫安飽和でPrPを沈殿させることが可能であった。ここで、各画分のカップリングは過剰タンパク質の存在下で行われた(図9を参照のこと)。総マウス血清に対する精製されたウサギ免疫グロブリンはPrPを含まないが(データ示さず)、総マウス血清(図10,レーン1−3を参照のこと)または25%〜50%硫安飽和で沈殿したタンパク質(図10,レーン4−6を参照のこと)とプレインキュベーションするとPrP27−30を効率的に結合した。75%〜100%硫安飽和で沈殿したタンパク質とのプレインキュベーションはPrP活性につながらなかった(図10,レーン7−9を参照のこと)。この発見は、PrP活性がビーズ表面との共有結合架橋とは無関係の、1つまたはそれ以上の血清タンパク質の性質であることを示すので重要である。
【0094】
硫安分画はヒト血清を用いても可能であったことから(データ示さず)、ヒト血漿の58の画分をクロマトグラフィーおよびディファレンシャル沈殿によって得て、PrPの正体の考えをまとめるため結合活性について試験した。全ての画分では過剰タンパク質の存在下でカップリングしなかった。従って、結果は、6H4またはマウスIgGと直接比較することができる。20の画分:プラスミノゲン、フィブリノゲン、抗トロンビンIII、抗トロンビンIIIヘパリン複合体、C1エラスターゼ阻害剤、第IX因子、およびタンパク質混合物を含むいくつかの画分の結果が陽性であった(図11を参照のこと)。精製されたプラスミノゲンはPrP27−30に加えてPrPScを結合し、精製されたフィブリノゲンも同様であった (図12を参照のこと)。結果が陰性であった38の画分のうち、6つが精製タンパク質:プロトロンビン複合体濃縮物、アルブミン、活性化プロトロンビン複合体濃縮物、第XIII因子、およびトロンビンを含んでいた。
【0095】
前記のように、PrP27−30の結合が異なる作用によって引き起こされるという、いくつかの示唆がある。PrP27−30を結合する活性は、血清および血漿に存在するのでspPrP(s=血清およびp=血漿)と呼ばれる。この活性は、プラスミノゲンおよびフィブリノゲンで見出された活性と共通点がある。プラスミノゲンおよびフィブリノゲンは両方ともPrPScも結合するとさらに特徴付けられた。
【0096】
カルシウムは凝固カスケードにおける重要な補因子であるので、カルシウム複合体を形成することによって凝固が阻害された場合に、PrP活性が完全なままであるかどうかを調べた。10mM EDTAの存在下で、プラスミノゲンには病原性PrPScおよびPrP27−30が依然として結合したが(図13,レーン1−3を参照のこと)、フィブリノゲンにはPrP27−30のみが結合した(図13,レーン4−6を参照のこと)。少なくともプラスミノゲンの場合では、この発見は、PrP活性が非特異的凝固によるものである可能性を否定している。PrPは病原性PrPと選択的に相互作用するが、PrPと相互作用しないので、相互作用はコンフォメーション特異的であるかもしれない。アッセイ法が6M尿素の存在下で行われた時に、精製プラスミノゲンを含む画分はPrPScもPrP27−30も結合しなかった(図14,レーン8−9を参照のこと)。これらの条件下では、PrPScはプロテアーゼ感受性になっている(図14,レーン14−15を参照のこと)。PrPScのコンフォメーションはPK耐性を担っていると考えられているので、本発明者らは、この実験から、プラスミノゲンとPrPScとの相互作用がコンフォメーション依存的であると結論を下している。
【0097】
さらに、プラスミノゲンのPrP活性は、プラスミノゲンに対する抗体でコーティングされ、プラスミノゲンとプレインキュベートされた磁気ビーズを使用することによって、ビーズへの共有結合架橋に依存しないことが明らかになった(図15,レーン3−4を参照のこと)。2つの陰性対照がある。1.プラスミノゲンに対する抗体でコーティングされたビーズを全くプレインキュベーションしない場合(図15,レーン1−2を参照のこと)、またはアルブミンとプレインキュベーションした場合(図15,レーン5−6を参照のこと)、PrPの病原性アイソフォームは結合しない。2.アルブミンでコーティングされたビーズをプラスミノゲンとプレインキュベーションした場合、これもPrPの病原性アイソフォームへの結合はない(図15,レーン7−8を参照のこと)。
【0098】
さらに、少なくともspPrPは病原性PrPを結合するだけでなく、感染力を結合することも分かった。このために、本発明者らは、ビーズの99%を溶出し、ウエスタンブロットを行う前に、指標tga20マウスに常磁気ビーズの0.2%を皮内接種した(図16を参照のこと)。病原性PrPを結合したビーズが接種された動物は全て疾患を発症した(図17,レーン4、5、および7を参照のこと)。
【0099】
プラスミノゲンと疾患関連プリオンタンパク質との相互作用が海綿状脳症の普遍的な特徴であるかどうかも確かめられた。ヒトプラスミノゲン(100μg)を、トシル活性化された常磁性Dynabeads M−280(ダイナル,Oslo,1ml)に結合させた。健常マウス(図18,レーン1)、スクレイピー罹患マウス(レーン2−3)、スイス非罹患ウシのプールされていた脳(レーン4)、および様々な品種のBSE罹患ウシの脳(レーン5−10)からの脳組織を記載のようにホモジネートし、PrPScの存在について試験した。このために、50μg(マウス)または1mg(ウシ)のホモジネートを、抗PrPモノクローナル抗体6H4(データ示さず)、BSA(陰性対照;データ示さず)、またはプラスミノゲンとカップリングされた常磁気ビーズとインキュベートした。ビーズ溶出液(24μl)をSDS−PAGE(5%濃縮用ゲル−12%分離用ゲル)上で移動させ、ニトロセルロース膜(シュレイチャーアンドシュエル(Schleicher&Schuell),Dassel)上にブロットした。疾患関連PrPを検出するために、膜を、一次抗体として6H4(プリオニクス,Zurich)と、二次抗体としてウサギ−α−マウスIgG−HRP(ザイメッド(Zymed),San Francisco)とインキュベートした。次いで、膜をECL検出試薬を用いて発色させた。シグナルをフィルムに記録し、および/またはKodak ImageStationを用いて定量した。全ての場合で、磁気ビーズに固定化されたプラスミノゲンは、沈殿アッセイ法にかけられた時に各種からのPrPScを捕獲した。スクレイピーに対する様々なヒツジ品種の感受性にばらつきがあることが報告されている。感受性は、ヒツジPrnp遺伝子内のコドン136、154、171での多型に位置づけられている。これらの多型はタンパク質のカルボキシル末端で生じ、塩基性アミノ酸に影響を及ぼし、間接的な証拠が、PrPScのカルボキシル末端がプラスミノゲンへの結合に関与し得ることを示唆しているので、本発明者らは、ヒツジにおけるスクレイピーに対する遺伝的感受性が、PrPScがプラスミノゲンに結合する能力と相関し得るかどうかを調べた。コドン136、154、171でVHQ/ARQ(図18,レーン11−13)、VRQ/ARQ(レーン14−16)、およびVRQ/ARR(レーン17−19)のPrnp遺伝型を有する非罹患ヒツジおよびスクレイピー罹患ヒツジからの脳組織をホモジナイズし、プリオン親和性アッセイ法にかけた。プラスミノゲンは、調べられた全てのヒツジ遺伝子型からのPrPScを沈殿させた。図18は、脳ホモジネートとインキュベートされたプラスミノゲンビーズからの溶出液がウエスタンブロット分析にかけられたことを示す。種および品種を各レーンの上に示す。スクレイピー感染またはBSE感染およびプロテイナーゼKによる試料の消化を「+」および「−」の印で示す。各レーンの下に示した数字は、様々な品種およびPrnp遺伝子型の個々のウシおよびヒツジを示す。プラスミノゲンビーズは、試験した全ての試料においてPrPScを固定した。
【0100】
さらに、本発明者らは、プリオン親和性アッセイ法を用いて、散発性クロイツフェルト−ヤコブ病、アルツハイマー病(図19)、およびビンスヴァンガー病(データ示さず)で死亡した数人の患者からの脳組織(500μg)を試験した。CJD患者のホモジネートを用いて行った全てのアッセイ法において、プラスミノゲンはPrPScを沈殿できたのに対して、非CJD患者のホモジネートではシグナルを検出することができなかった。PrP沈着の斑様の斑−周囲空胞(patchy−perivacuolar)パターンおよびシナプスパターンを有する症例から、明白な陽性シグナルが得られた。沈殿アッセイ法におけるPrpCJDシグナルの強度は組織病理学的所見と密接に関連していた(図19)。図19において、プラスミノゲンは、PrPCJDの広範囲の斑様蓄積(a)またはわずかなシナプス蓄積(b,c)を示す3人のスイス人sCJD患者(a,b,c)の脳ホモジネートからPrPCJDを沈殿させた。対照のために、本発明者らは、アルツハイマー病に罹患した患者(d)からの脳ホモジネートを使用した。プロテイナーゼK消化は、対応するレーンの上に「+」の印で示したように行った。PrPに対する抗体3F4(リチャード・カスクサク(Richard Kascksak)博士から入手した,アルバート・アインシュタイン大学(Albert Einstein College),The Bronx,New York,USA or Draco,Denmark,Botrup)で免疫染色された対応する脳切片を右側に示す。いずれの場合でも、プラスミノゲンに基づくアッセイ法およびウエスタンブロットは一致した結果を示す。アルツハイマー病では、PrPは検出できたが(−)、PrPScは検出できなかった(+)。スケールバーは50μmである。
【0101】
実施例:
実施例 :IAP法
IAPプロトコールは以下である。脳組織を15mlファルコン(FALCON)チューブに入れ、チューブを氷上に置き、全ての段階について氷上に放置しておく。10%(w/v)ホモジネートを得るために、ホモジネート緩衝液(PBSに溶解した0.5% DOC/0.5% NP−40)を添加する。組織を18ゲージ針および22ゲージ針に、それぞれ15分間吸い込んだり吸い出したりすることで通過させる。ホモジネートを4℃で30分間、500gで遠心分離する。上清を保存する。タンパク質濃度を決定する。ホモジネートを4℃で30分間、500gで遠心分離する。上清を保存する。タンパク質濃度が10mg/mlより高ければ、ホモジネート緩衝液を用いて、ホモジネートのタンパク質濃度を10mg/mlにする。ホモジネートのタンパク質濃度を5mg/mlにし、3%Tween20/3%NP−40を全てPBSに溶解する。組織ホモジネートにプロテイナーゼKを、50μg/mの最終濃度になるように添加する。37℃で60分間インキュベートする。5mMの最終濃度を得るためにPMSFを添加する。0.25体積のIAP緩衝液(PBSに溶解した3%Tween20/3%NP−40)を添加する。以下に記載のプロトコールによる磁気ビーズ(6H4でコーティングされている)を完全に再懸濁する。100μlをピペットで出す。緩衝液を除去する。ホモジネートをビーズに添加し、室温で1.5時間、連続混合しながらビーズ−試料混合物をインキュベートする。MPC(強力磁石)を用いてビーズを集める。室温で15秒ボルテックスし、MPCを用いることで、1mlの洗浄緩衝液(PBSに溶解した2%Tween20/2%NP−40)で3回、1mlのPBSで1回洗浄する。ビーズを沈降させ、再度MPCを用いて残りの上清を捨てる。24μl×ローディング緩衝液(50mM Tris(pH6.8);2%SDS;0.01%ブロモフェノールブルー;10%グリセロール)を添加する。5分間95℃に加熱する。試料を−20℃で保存したら、SDS−PAGE、その後のウエスタンブロットを行う前に、再度95℃で30秒間加熱する。ガラスプレートを製造業者の説明書に従って組み立てる。ファルコンチューブ中に適量の分離用ゲル(HO 2.1ml,40%アクリルアミド1.5ml,1.5M Tris(pH8.8)1.3ml,10%SDS 50μl,10%過硫酸アンモニウム50μl,TEMED 2μl)を調製する。示した順番で成分を混合する。TEMEDを添加するとすぐに重合が始まる。アクリルアミド溶液をガラスプレート間の隙間に注ぐ。濃縮用ゲルのために十分な空間を残す(コームの長さ+1cm)。パスツールピペットを用いて、水と一緒にアクリルアミドを注意深く重層する。ゲルを室温で垂直に置く。重合が完了した後(30分)、重層したものを除去し、重合しなかったアクリルアミドを除去するために、ゲルの上部を脱イオン水で数回洗浄する。ファルコンチューブ中に適量の濃縮用ゲル(HO 1.48ml,40%アクリルアミド0.25ml,1.0M Tris(pH6.8)0.25ml,10%SDS 20μl,10%過硫酸アンモニウム20μl,TEMED 2μl)を調製する。示した順番で成分を混合する。TEMEDを添加するとすぐに重合が始まる。濃縮用ゲル溶液を重合した分離用ゲルの表面に直接注ぐ。気泡を閉じ込めないように注意しながら、すぐに、清潔なテフロンコームを濃縮用ゲル溶液に挿入する。ゲルを室温で垂直に置く。重合が完了した後(30分)、テフロンコームを注意深く取り除く。ゲルを電気泳動装置に取り付ける。ランニング緩衝液を上部リザーバおよび下部リザーバに添加する。ゲル底部、ガラスプレート間に閉じ込められた気泡(25mM Tris,250mMグリシン,0.1%SDS)を取り除く。各試料24μlを予め決められた順番でウェル底部にロードする(1.ウェル:低分子量マーカー)。等量の1×ゲルローディング緩衝液を、使われていない任意のウェルにロードする。電気泳動装置を電源に取り付ける(陽極を下部リザーバに接続しなければならない)。10V/cmをゲルに印加する。染料の先端が分離用ゲルに移動した後(30分)、電圧を14V/cmに上げ、ブロモフェノールブルーが分離用ゲルの底部に達するまでゲルに電圧を印加する(1時間)。次いで、電源を切る。6枚の吸い取り紙(ワットマン(Whatman)3MMまたは同等品)および1枚のニトロセルロースをゲルの大きさ(6cm×8cm)に切断する。紙がゲルの端に重なっている場合、電流が転写装置を短絡させ、ゲルを飛び越え、これによって効率的な転写が妨げられる。吸い取り紙、ニトロセルロース、およびゲルを、転写緩衝液(39mMグリシン,48mM Tris,0.037%SDS,20%メタノール)に浸けることで湿らす。装置の底板(陽極)の上に、下記の順番で、ゲル、ニトロセルロース、および紙を組み立てる。
下部電極、
転写緩衝液に浸けた3層の吸い取り紙、
転写緩衝液に浸けた1枚のニトロセルロース膜、
転写緩衝液でわずかに湿らしたポリアクリルアミドゲル、
転写緩衝液に浸けた3層の吸い取り紙。
【0102】
気泡を注意深く調べ、手袋をはめた手を用いるか、サンドイッチしたものの上でピペットを左右に動かすことで気泡を穏やかに除去する。ゲルと紙のサンドイッチしたものの周囲にある緩衝液を乾燥させる。上部電極(陰極)を重ねたものの上に注意深く置く。その上に、おもしを置く。電極を接続し、転写を始める。実行時間は1mA/cmの電流で1時間である。転写後、電源を切り離す。装置を注意深く分解する。方向を追跡するために(通常、左下隅、1番レーンを切り取ることで)膜に印をつける。膜をTBS−Tで3回洗浄する。ブロッキング緩衝液(TBS−Tに溶解した5%(w/v)脱脂粉乳)を添加する。30分間攪拌しながら室温でインキュベートする。膜をTBS−Tで3回洗浄する。mAB 6H4(2mg/ml)2.5μlに、TBS−Tに溶解した1%(w/v)脱脂粉乳12.5mlを添加する。1時間攪拌しながら室温で、または4℃で一晩インキュベートする。膜を抗体溶液から取り出し、TBS−Tで3回(各10分)洗浄する。関連する抗マウスIgG1−HRP 1.25μlに、TBS−Tに溶解した1%(w/v)脱脂粉乳12.5mlを添加する。1時間攪拌しながら室温でインキュベートする。膜を抗体溶液から取り出し、TBS−Tで3回(各15分)洗浄する。ECLウエスタンブロット検出試薬(アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech))からの検出溶液1 1mlと検出溶液2 1mlを混合する。攪拌することなく正確に1分間、室温でインキュベートする。膜を吸い取り紙の上に置くことで、過剰な検出試薬を取り除く。膜を、タンパク質側を下にしてサランラップの上に穏やかに置く。膜に力を加えないようにしながら、覆いを作るようにサランラップをくっつける。膜をタンパク質側を上にしてフィルムカセットに入れる。できるだけ速やかに作業を行う。明かりを消し、1枚のオートラジオグラフィーフィルム(例えば、Hyperfilm ECL)を膜の上に注意深く置き、カセットを閉じ、数秒間(15秒,30秒)暴露させる。
【0103】
実施例 :PAA法
対象となるタンパク質を磁気ビーズにカップリングさせる。タンパク質100μgを、約1mlのカップリング緩衝液(0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.5):H3BO3 6.183gを蒸留水800mlに溶解し、5M NaOHを用いてpHを9.5に調節し、体積を蒸留水で1000mlに調節する;必要に応じて、透析によって緩衝液を交換する)に入れる。(カップリングを過剰量の存在下で行う場合、カップリング緩衝液1mlに対して1mgを用いた)。ピペットを使用し、約1分間ボルテックスすることで、ダイナルによってトシル活性化されたDynabeads M−280の均一な懸濁液を作成する。Dynabeads 1mlをピペットで取り、以下のように洗浄する:チューブをDYNAL MPCに入れる。分離するために2分間放置する。Dynabeadsを乱さないように注意しながら上清を除去する。DYNAL MPCからチューブを取り出し、PBSにDynabeadsを再懸濁する。これらの段階を繰り返し、Dynabeadsを、抗体を含むカップリング緩衝液に再懸濁する。ティルトローテーションを行いながら37℃で24時間インキュベートする。チューブを磁石の中に3分間入れ、上清を除去する。コーティングされたDynabeadsを6回洗浄する:室温で5分間、PBS/BSA(0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン(最終濃度)をPBSに添加)(pH7.4)で2回;37℃で4時間、ブロッキング緩衝液(0.1%(w/v)BSAを含む0.2M Tris(pH8.5):Tris 2.42gを蒸留水80mlに溶解し、1M HClを用いてpHを8.5に調節し、0.1%BSAを添加し、体積を蒸留水で100mlに調節する)で1回;室温で5分間、PBS/BSA(pH7.4)で1回;10分間、1%Tween20で1回;室温で5分間、PBS/BSA(pH7.4)で1回。コーティングされたDynabeadsをPBS/BSA(pH7.4),0.02%アジ化ナトリウムに溶解して保存する。次いで、試料Iを調製する。PAA緩衝液(PBSに溶解した3%NP−40/3%Tween20)1mlを、悲感染脳ホモジネート(タンパク質濃度5mg/ml;0.5%DOC/0.5 NP−40)10μlに添加する。次いで、試料IIおよびIIIを調製する。PAA緩衝液(PBSに溶解した3%NP−40/3%Tween20)1mlを、感染脳ホモジネート(タンパク質濃度5mg/ml;0.5% DOC/0.5 NP−40)10μlに添加する。PKを添加せずに試料Iおよび試料IIを37℃で30分間インキュベートする。最終濃度50μg/mlのPK(1mg/mlのPK 50μlを添加)を添加して試料IIIを37℃で30分間インキュベートする。最終濃度が5mM(100mM PMSF 50μlを添加)になるように、PMSFを全ての試料に添加する。磁気ビーズを完全に再懸濁する。100μlをピペットで取る。ビーズを試料に添加し、室温で1.5時間、連続混合しながらビーズ−試料混合物をインキュベートする。MPCを用いてビーズを集める。室温で15秒間ボルテックスし、MPCを用いることで、洗浄緩衝液1mlで3回、PBS 1mlで1回洗浄する。ビーズを沈降させ、再びMPCを用いて残りの上清を捨てる。1×ローディング緩衝液24μlを添加する。5分間、95℃に加熱する。試料を−20℃で保存した場合、ゲルにローディングする前に、再度、95℃で30秒間加熱する。
【0104】
このアッセイ法の陽性対照として6H4を使用し、陰性対照としてマウスIgGまたはマウスアルブミンを使用する(図4を参照のこと)。
【0105】
実施例
ある特定のマウス血清が、PrPScを特異的に認識するIgGを含むかどうかを調べるために、ダイナル社によってマウスIgGに対するヒツジ抗体で既にコーティングされている磁気ビーズを、マウス血清とのプレインキュベーション後に使用した。これらのビーズは、第1の陰性対照であった。第2の陰性対照として、正常マウス血清からのIgGがPrPのどの形態にも結合しないことを示すために、正常マウス血清とプレインキュベーションされた、これらのビーズを使用した。驚くべきことに、ビーズのみではPrPScに対する親和性を示したが、PrP27−30に対して親和性を示さなかった。正常マウス血清とプレインキュベーションすると、PrP27−30も結合した(図5を参照のこと)。従って、ダイナルからのヒツジ抗体は、PrPScに関連しているが、PK処理後に消化して切り取られた分子を認識すると仮説を立てた。正常マウス血清とプレインキュベーションするとPrP27−30が結合するので、この血清は、PrPScに対して親和性を有する分子を含んでいる可能性がある。
【0106】
実施例
総マウス血清タンパク質にカップリングされたビーズは、PrPの如何なる形態に対しても親和性を示さなかった。しかしながら、総血清のカップリングが過剰タンパク質の存在下で行われた場合、ビーズは、モノクローナル抗体6H4と同じ、PrP27−30に対する結合を示したが、過剰のアルブミンの存在下でカップリングされたビーズは、依然として、PrPのどの形態に対しても親和性を示さなかった(図6を参照のこと)。2つの条件のカップリング効率の差を測定することはできなかったが、過剰タンパク質の提供が、PrP27−30を結合するビーズの表面上にスポンジを引き起こした可能性がある。
【0107】
実施例
本発明者らまた、PK処理された総脳ホモジネートが存在する時にPrP27−30が結合した場合のように、PK処理された脳ホモジネートが結合を促進し得るかどうかを調べた。野生型C57BL/6マウスまたはPrnp%マウスからのPKで消化された脳ホモジネートの添加は、PrP27−30に加えてPrPScの結合を可能にした。不活性PKの添加は結合活性に影響を及ぼさなかった(図7を参照のこと)。
【0108】
実施例
過剰量の存在下でカップリングした場合、PrP27−30を結合する活性が、ヒト、ヒツジ、ウシの血清中、および末期スクレイピー罹患C57BL/6マウスの血清中に見出された(データ示さず)。
【0109】
実施例
テンプレート指向性リフォールディング仮説によって、PrPおよびPrPScが変換工程間にヘテロ2量体を形成することが予測される。従って、本発明者らは、PrPがPrPと同一であるかどうかを調べた。しかしながら、過剰量でカップリングした場合、PrP活性は、野生型マウスの血清と同様のレベルでPrnp%マウスの血清中に存在した。このことは、PrPが結合活性に寄与しないことを意味している(図8を参照のこと)。
【0110】
実施例
PrP活性が特別なカップリング条件のみで引き起こされないのであれば、ディファレンシャル硫安沈殿によるマウス血清の分画によってPrP活性を「精製」することが可能なはずである。実際に、50%より低い硫安飽和でPrPを沈殿させることが可能であった。ここで、各画分のカップリングは過剰タンパク質の存在下で行われた(図9を参照のこと)。総マウス血清に対する精製されたウサギ免疫グロブリンはPrPを含まないが(データ示さず)、総マウス血清または25%〜50%硫安飽和で沈殿したタンパク質とプレインキュベーションするとPrP27−30を効率的に結合した。75%〜100%硫安飽和で沈殿したタンパク質とのプレインキュベーションはPrP活性につながらなかった(図10を参照のこと)。この発見は、PrP活性が、ビーズ表面との共有結合架橋とは無関係の、1つまたはそれ以上の血清タンパク質の性質であることを示すので重要である。
【0111】
実施例
硫安分画はヒト血清を用いても可能であったことから(データ示さず)、ヒト血漿の58の画分をクロマトグラフィーおよびディファレンシャル沈殿によって得て、PrPの正体の考えをまとめるため結合活性について試験した。全ての画分では過剰タンパク質の存在下でカップリングしなかった。従って、結果は、6H4またはマウスIgGと直接比較することができる。20の画分の結果が陽性であった:プラスミノゲン、フィブリノゲン、抗トロンビンIII、抗トロンビンIIIヘパリン複合体、C1エラスターゼ阻害剤、第IX因子、およびタンパク質混合物を含むいくつかの画分 (図11を参照のこと)。精製されたプラスミノゲンはPrP27−30に加えてPrPScを結合し、精製されたフィブリノゲンも同様であった(図12を参照のこと)。結果が陰性であった38の画分のうち、6つが精製タンパク質を含んでいた:プロトロンビン複合体濃縮物、アルブミン、活性化プロトロンビン複合体濃縮物、第XIII因子、およびトロンビン。
【0112】
実施例 10
カルシウムは凝固カスケードにおける重要な補因子であるので、カルシウム複合体を形成することによって凝固が阻害された場合に、PrP活性が完全なままであるかどうかを調べた。10mM EDTAの存在下で、プラスミノゲンでは病原性PrPScおよびPrP27−30が依然として結合したが、フィブリノゲンではPrP27−30のみが結合した(図13)。少なくともプラスミノゲンの場合では、この発見は、PrP活性が非特異的凝固によるものである可能性を否定している。
【0113】
実施例 11
PrPは病原性PrPと選択的に相互作用するが、PrPと相互作用しないので、相互作用はコンフォメーション特異的である可能性がある。アッセイ法が6M尿素の存在下で行われた時に、精製プラスミノゲンを含む画分はPrPScもPrP27−30も結合しなかった。これらの条件下では、PrPScはプロテアーゼ感受性になっている(図14)。PrPScのコンフォメーションはPK耐性を担っていると考えられているので、本発明者らは、この実験から、プラスミノゲンとPrPScとの相互作用がコンフォメーション依存的であると結論を下している。
【0114】
実施例 12
さらに、プラスミノゲンのPrP活性は、プラスミノゲンに対する抗体でコーティングされ、プラスミノゲンとプレインキュベーションされた磁気ビーズを使用することによって、ビーズへの共有結合架橋に依存しないことが明らかになった(図15)。
【0115】
実施例 13
さらに、少なくともspPrPは病原性PrPを結合するだけでなく、感染力を結合することも分かった。このために、本発明者らは、溶出およびウエスタンブロットを行う前に、指標tga20マウスに常磁気ビーズの0.2%を皮内接種した。病原性PrPを結合したビーズが接種された動物は全て疾患を発症する(図16、図17)。
【0116】
実施例 14
特定の標的に対する所与のペプチドまたはタンパク質の結合特性を決定し、特徴付けるための多くの選択肢が先行技術によって提供される。固相結合技術を用いてPrPSc特異的結合パートナーの選択性を決定するための結合アッセイ法として、例えば、マイクロタイタープレートフォーマット、常磁気ビーズ、非磁気ビーズ、プラズモン表面共鳴、インターフェロメトリー、コインシデンス検出、質量分析法(mass spectrometry/mass spectroscopy)、エレクトロスプレー分析、およびそれらの組み合わせが挙げられる。本発明において使用するためには、以下の2つのアプローチが好ましい。
【0117】
1.試験しようとするペプチドもしくはタンパク質またはその断片を固相材料とカップリングさせる:
a.固相として磁気ビーズなどの微粒子を使用し、免疫沈降を行う。
ペプチドを磁気ビーズにカップリングさせる。ビーズをPrPSc、PrP27−30、またはPrPCとインキュベートする。プリオンタンパク質がペプチドに結合したかどうかを、ウエスタンブロット分析または微粒子イムノアッセイ法によって検出する。
b.固相としてマイクロタイタープレートの表面を使用し、ELISAを行う。
マイクロタイタープレートのウェルの表面をペプチドでコーティングする。PrPSc、PrP27−30、またはPrPCをウェルに添加する。プリオンタンパク質がペプチドに結合したかどうかをELISAによって検出する。
【0118】
2. PrPSc(またはPrP27−30)およびPrPCを固相材料とカップリングさせる:
a.固相として磁気ビーズなどの微粒子を使用し、免疫沈降を行う。
PrPSc (またはPrP27−30)およびPrPCをそれぞれ磁気ビーズにカップリングさせる。ビーズと、試験しようとするペプチドまたはタンパク質断片とインキュベートする。ペプチドがPrPScに結合したが、PrPCに結合しなかったどうかをウエスタンブロット分析または微粒子イムノアッセイ法によって検出する。
b.固相としてマイクロタイタープレートの表面を使用し、ELISAを行う。
マイクロタイタープレートのウェルの表面をPrPSc (またはPrP27−30)およびPrPCでそれぞれコーティングする。試験しようとするペプチドまたはタンパク質断片をウェルに添加する。ペプチドがPrPScに結合したが、PrPCに結合しなかったどうかをELISAによって検出する。
【0119】
実施例 15
特定の標的に対するタンパク質の特異的結合に関与するタンパク質の特定の部分を決定および検出するための多くの可能性が先行技術によってもたらされる。
【0120】
PrPSc特異的結合パートナーとして適切なプラスミノゲン断片を同定するための方法として、例えば、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイを用いた正の遺伝的選択、細菌タンパク質断片の親和性アッセイ法、およびそれらの組み合わせまたは変形が挙げられる。従って、PrPScへの特異的結合に関与するプラスミノゲンの部分は、以下のように決定することができる。
【0121】
1.ファージ上にディスプレイされたプラスミノゲン断片および/または変異体のペプチドライブラリーを作成し、それらを、病原性プリオンタンパク質でコーティングされた固相に暴露し、PrPScに対して最大結合親和性を有するが、PrPCに対して最小親和性を有するクローンを選択する。
【0122】
2.細菌、酵母、菌類、または真核細胞などの宿主細胞においてプラスミノゲンの断片および/または変異体を発現させ、ペプチドを精製し、標識し、結合活性について試験する。
【0123】
3.宿主細胞においてプラスミノゲン断片および/または変異体との融合タンパク質を発現させ、結合アッセイ法においてPrPSc親和性について試験する。
【0124】
参考文献
Figure 2004501626
Figure 2004501626
Figure 2004501626
Figure 2004501626

【図面の簡単な説明】
【図1】IAP法を示す図である。
【図2】希釈実験のウエスタンブロットおよびIAP実験を示す。ここで、レーン1〜6および10は通常のウエスタンブロットを示し、レーン7〜9および11〜13はイムノアフィニティ精製(IAP)を示す。
【図3】プリオン親和性アッセイ法(PAA)法を示す図である。
【図4】PAAの陽性対照および陰性対照を示すウエスタンブロットである。
【図5】ダイナルによってヒツジ抗マウスIgG AbでコーティングされたビーズはPrPScに結合するが、PrP27−30に結合しないという観察を示す。正常マウス血清とプレインキュベーションすると、PrP27−30も結合する。
【図6】ビーズにカップリングされた血清タンパク質を用いた結果を示すウエスタンブロットである。は、過剰タンパク質の存在下でカップリングが行われたことを意味する。
【図7】PK処理された脳ホモジネートをアッセイ法に添加した影響を示す。
【図8】PrP欠損材料を用いた結果を示すウエスタンブロットである。
【図9】硫安沈殿物のPAAを示すウエスタンブロットである。
【図10】ビーズに共有結合によって架橋されていない硫安沈殿物のPAAを示すウエスタンブロットである。
【図11】クロマトグラフィーおよびディファレンシャル沈殿によって得られ、結合活性について試験された、ヒト血漿の58画分のPAA結果を示す。
【図12】精製されたプラスミノゲンおよびフィブリノゲンを用いた結果を示すウエスタンブロットである。
【図13】プラスミノゲンおよびフィブリノゲンの結合活性のカルシウム依存性を示すウエスタンブロットである。
【図14】プラスミノゲンの結合活性がタンパク質の天然の状態に依存することを示すウエスタンブロットである。
【図15】ビーズに共有結合によって架橋されていないプラスミノゲンのPAAを示すウエスタンブロットである。
【図16】バイオアッセイ法の概念を示す。
【図17】バイオアッセイ法の結果を示す。
【図18】異なる種に対するプラスミノゲンのPrPSc結合活性を示す。
【図19】プラスミノゲンによるヒトPrPCJDの沈殿を示す。

Claims (17)

  1. PrPScと選択的に相互作用するが、PrPCと相互作用しない因子。
  2. プラスミノゲン、プラスミノゲン断片、およびその誘導体から選択される、請求項1記載の因子。
  3. PrPScのカルボキシル末端と相互作用することを特徴とする、請求項1または2記載の因子。
  4. 異なる種のPrPScと相互作用可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の因子。
  5. PrPScおよび請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子を含む組成物。
  6. PrPScが因子に結合している、請求項5記載の組成物。
  7. PrPScが因子に非共有結合している、請求項6記載の組成物。
  8. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子および/または請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物を含む担体。
  9. 磁気ビーズ、フィルター細片、マイクロタイタープレート、非磁気ビーズ、プラズモン表面共鳴プレート、マイクロアレイプレート、固体への相転移を受ける液体担体、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項8記載の担体。
  10. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物と特異的に相互作用するリガンド。
  11. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子、ならびに/または請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物、ならびに/または請求項8もしくは9に記載の担体、ならびに/または請求項10記載のリガンドを含み、任意で、緩衝液、検出用試薬、および作業説明書のようなさらなる構成要素を含む、診断キット。
  12. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子および/または請求項10記載のリガンドを含む、薬学的組成物。
  13. 試料と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子、および/または請求項8もしくは9記載の担体、および/または請求項10記載のリガンドとを接触させることを特徴とする、試料中のPrPScを検出する方法。
  14. 以下の段階を含む、生物学的材料からPrPScを除去する方法:
    該材料と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子、および/または請求項8もしくは9に記載の担体、および/または請求項10記載のリガンドとを接触させる段階。
  15. 試験しようとする生物の材料と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子、および/または請求項8もしくは9に記載の担体、および/または請求項10記載のリガンドとを接触させることを特徴とする、ヒト伝達性海綿状脳症および動物のプリオン脳症を診断する方法。
  16. ヒト伝達性海綿状脳症または動物のプリオン脳症を診断するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子、および/または請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物、および/または請求項8もしくは9に記載の担体、および/または請求項10記載のリガンドの使用。
  17. 生物学的材料からPrPScを除去するための、および/または生物学的材料中のPrPcを不活化するための、請求項1〜4のいずれか一項に記載の因子、および/または請求項5〜7のいずれか一項に記載の組成物、および/または請求項8もしくは9に記載の担体、および/または請求項10記載のリガンドの使用。
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