JP2004500118A - Rhipicephalussanguineusから得られ、L−グルタミン酸依存性塩素イオンチャネルをコードするDNA分子 - Google Patents
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Abstract
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2000年3月31日出願の米国暫定特許出願第60/193934号に対して、米国特許法第119条(e)の下に優先権を請求している。
【0002】
米国政府支援研究開発に関する申立て
該当せず。
【0003】
マイクロフィッシュ補遺の参照
該当せず。
【0004】
発明の分野
本発明は、部分的に、Rhipicephalus sanguineus(褐色イヌダニ)のグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルをコードする分離核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。また、本発明は、R.sanguineusグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルをコードするDNA断片を含む組換えベクターおよび組換え宿主、関連するR.sanguineusグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルおよびこれらのタンパク質を含む組換え膜分画の実質的に純粋な形態、関連する突然変異タンパク質、および関連するRhipicephalus sanguineusグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルを調節し、殺虫剤として有用と思われる化合物の同定に関わる方法にも関する。
【0005】
発明の背景
グルタミン酸依存性塩素イオンチャネル、またはH受容体は、節足動物の神経および筋肉において同定された(Lingle et al、1981、Brain Res.212:481−488;Horseman et al.、1988、Neurosci.Lett.85:65−70;Wafford and Sattelle、1989、J.Exp.Bio.144:449−462;Lea and Usherwood、1973、Comp.Gen.Parmacol.4:333−350;およびCull−Candy、1976、J.Physiol.255:449−464)。
【0006】
無脊椎動物のグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルは、汎用されているアベルメクチン群の駆虫性および殺虫性化合物の重要な標的である。アベルメクチン類は、放線菌Streptomyces avermitilisから最初に分離された大環ラクトンの一群である。半合成アベルメクチン誘導体のイベルメクチン(22,23−ジヒドロアベルメクチン B1a)は、人間や動物の寄生虫および害虫を駆除するために、世界中で使用されている。アベルメクチン類は、今尚、宿主に対して低毒性の最も有効な広範囲殺風土病虫剤である。多年にわたる野外使用においても、昆虫集団の中にアベルメクチンに対する耐性は殆ど残らない。治療指数が良好であることと低い耐性が低いことが相俟って、グルタミン酸依存性塩素イオン(GluCl)チャネルは依然として殺虫剤開発の望ましい標的であることが、強く示唆される。
【0007】
グルタミン酸依存性塩素イオンチャネルは、土壌線虫のCaenorhabditis elegans(Cully et al.、1994,Nature 371:707−711;米国特許第5527703号およびArena et al.、1992,Molecular Brain Research.15:339−348も参照されたい)およびCtenocephalides felis(ノミ;国際公開第99/07828号を参照されたい)からクローニングされた。
【0008】
その上、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)から得られるグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルをコードする遺伝子が、以前に同定された(Cully et al.、1996,J.Biol.Chem.271:20187−20191;米国特許第5693492号も参照されたい)。
【0009】
GluClチャネルをコードする前記のcDNAクローンが同定されてはいたにもかかわらず、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジおよび他の農業上重要な動物にはびこるダニやダニ類の処置に特に関連する動物の健康のために、殺虫性、殺コナダニ性および/または殺線虫性を有し得る新規なGluClチャネルモジュレーターを同定するための、改良されたスクリーニングを可能とするなら、R.sanguineus GluClチャネルをコードするそれ以外の遺伝子を同定することは、有利であると思われる。本発明は、R.sanguineus GluGl1およびR.sanguineus GluGl2チャネルを発現する新規な遺伝子であって、これらのR.sanguineus GluCl RNAのアフリカツメガエル卵母細胞や他の適当な宿主細胞における発現によって活性なGluClチャネルを生じる遺伝子を開示することによって、これらの必要性に対処し、それを満足させる。本発明のGluClチャネルの異種発現によって、動物および人間の健康に関わる無脊椎寄生種、特にイヌやネコにはびこるダニの駆除に活性な化合物の薬理学的分析が可能になると思われる。活性なGluClチャネルを発現する異種細胞系を、前記の生物種群の抑制に有用となり得る新規なGluClチャネルモジュレーターを同定するための機能試験または結合試験を確立するために、使用することができる。
【0010】
発明の概要
本発明は、Rhipicephalus sanguineus(褐色イヌダニ)の新規な無脊椎動物GluCl1チャネルタンパク質をコードする分離または精製された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本明細書に開示したDNA分子を選択した宿主細胞中にトランスフェクトしてもよく、その結果、その組換え宿主細胞は、実質的な量の単一の発現した機能的なホモ多量体またはヘテロ多量体LGICの実質的なレベルの供給源となる。このような機能的なリガンド依存性イオンチャネルは、他の公知のリガンドに反応する可能性があり、その結果、そのリガンドによって、これらのチャネルのモジュレーター、動物や人間の健康および/または作物保護のために使用する有効な殺虫性、殺ダニ性および/または殺線虫性処理剤として作用し得るモジュレーターを同定するための別のスクリーニング標的が付与されると思われる。
【0011】
本発明は、Rhipicephalus sanguineusの新規な無脊椎動物GluCl2チャネルタンパク質をコードする分離または精製された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。
【0012】
更に、本発明は、Rhipicephalus sanguineusの新規なGluCl1チャネルタンパク質を発現するmRNAをコードする分離された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関するものであって、このDNA分子は配列番号1、配列番号3および配列番号5と本明細書に開示したヌクレオチド配列を含む。
【0013】
更に、本発明は、Rhipicephalus sanguineusの新規なGluCl2チャネルタンパク質を発現するmRNAをコードする分離された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関するものであって、このDNA分子は配列番号7と本明細書に開示したヌクレオチド配列を含む。
【0014】
また、本発明は、Rhipicephalus sanguineusの新規な無脊椎動物GluCl1またはGluCl2チャネルタンパク質を各々発現するmRNAをコードする配列番号1、3、5および7の生物活性を有する断片または突然変異体に関する。任意のこのような生物活性を有する断片および/または突然変異体は、配列番号2、配列番号4および配列番号6に示したR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質、ならびに配列番号8に示した個々のGluCl2チャネルタンパク質を含むが、それらに限らないR.sanguineus GluClチャネルタンパク質の薬理学的性質を少なくとも実質的に模倣したタンパク質またはタンパク質断片をコードすると思われる。任意のこのようなポリヌクレオチドは、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が、アフリカツメガエル卵母細胞等の真核細胞中に機能的なR.sanguineus GluClチャネルを発現するmRNAをコードすることによって、R.sanguineus GluCl活性の作動薬および/または拮抗薬のスクリーニングに有用となるように、これらの突然変異を含んでいるが、必ずしもこれらの変異に限るものではない。
【0015】
本発明のこの部分の好ましい一態様は、新規なRhipicephalus sanguineus GluCl1タンパク質をコードする図1(配列番号1;T12と命名)、図3(配列番号3;T82と命名)および図5(配列番号5;T32と命名)、ならびに新規なRhipicephalus sanguineus GluCl2タンパク質をコードする図7(配列番号7;B1と命名)に開示されている。
【0016】
本発明の分離核酸分子は、1本鎖(コード鎖または非コード鎖)または2本鎖であってもよいゲノムDNAおよび相補的DNA(cDNA)、ならびに合成1本鎖ポリヌクレオチド等の合成DNA等のデオキシリボ核酸分子(DNA)を含み得る。また、本発明の分離核酸分子は、リボ核酸分子(RNA)も含み得る。
【0017】
また、本発明は、本明細書を通して開示される実質的に精製された核酸分子を含んでいる組換えベクターおよび原核、真核を問わない組換え宿主細胞にも関している。
【0018】
また、本発明は、図2(配列番号2)、図4(配列番号4)および図6(配列番号6)に開示したアミノ酸配列を含んだR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質、ならびに図8(配列番号8)に開示したアミノ酸配列を含んだ新規なRhipicephalus sanguineus GluCl2タンパク質の実質的に精製された形態にも関している。
【0019】
本発明のこの部分の好ましい態様は、図2(配列番号2)、図4(配列番号4)および図6(配列番号6)に開示したアミノ酸配列から成るR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質である。
【0020】
本発明のこの部分の他の好ましい態様は、図8(配列番号8)に開示したアミノ酸配列から成るR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質である。
【0021】
本発明の他の好ましい態様は、配列番号1、3、5および/または7に示したヌクレオチド配列を含み、かつ各々のRsGluCl1またはRsGluCl2前駆体タンパク質を発現するDNA発現ベクターを含んだ組換え宿主細胞から得られる、実質的に精製され、(任意のタンパク質分解処理、グリコシル化および/またはリン酸化を含めて)十分に処理された成熟GluClチャネルタンパク質に関する。その組換え宿主細胞は、哺乳類細胞系、S2細胞系等の昆虫細胞系、またはアフリカツメガエル卵母細胞を含むが、これらの細胞に限らず真核宿主細胞であることが、特に好ましい。
【0022】
本発明の他の好ましい態様は、配列番号1、3、5および/または7に示した完全な読み取り枠を含み、かつ適切に発現することによって、機能形態の各RsGluCl1またはRsGluCl2チャネルを生じるDNA発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた組換え宿主細胞から得た実質的に精製された膜調製物、部分的に精製された膜調製物または細胞溶解物に関する。(原核細胞および真核細胞、ならびに形質転換またはトランスフェクションの安定な細胞および一過性の細胞の)組換え宿主細胞から得た細胞内膜分画および/または膜含有細胞溶解物は、本発明の核酸によってコードされた機能性タンパク質を含んでいる。組換え体に基づくこの膜調製物は、R.sanguineus GluClチャネルを含む可能性があり、かつT12(配列番号2)、T82(配列番号4)、T32(配列番号6)のGluCl1チャネルタンパク質および/またはB1(配列番号8)のGluCl2チャネルタンパク質を発現する組換え細胞から得られる他のR.sanguineus起源タンパク質や宿主タンパク質を含むが、これらのタンパク質に限らず本質的に汚染性タンパク質を含んでいない。したがって、本発明の好ましい一態様は、図2(配列番号2;T12)、図4(配列番号4;T82)および図6(配列番号6;T32)に開示した完全長GluCl1チャネルタンパク質の機能形および/または図8(配列番号8;B1)に開示した完全長GluCl2チャネルタンパク質の機能形を含むGluClタンパク質を含んだR.sanguineus GluClチャネルを含んでいる膜調製物である。これらの細胞内膜分画は、内在量より実質的に多量のR.sanguineus GluClチャネルの生物学的に機能的な形態、それらの任意のホモ多量体やヘテロ多量体の組合せ(例えば、T12/T12 GluCl1ホモ多量体チャネル、T12/T32 GluCl1ヘテロ多量体チャネル、またはT12/B1 GluCl1/GluCl2ヘテロ多量体チャネルを含むが、これらのチャネルに限らない)である野生型または突然変異型の変異を含み、したがって本明細書を通して記載される様々な試験において有用と思われる。また、開示したチャネルタンパク質が、単独または組合せにより、未だ同定されていないチャネルタンパク質を有する機能的な多量体系チャネルを形成することも可能である。本発明のグルタミン酸依存性チャネルを発現するために選択した好ましい真核宿主細胞は、哺乳類細胞系、S2細胞系等の昆虫細胞系、またはアフリカツメガエル卵母細胞である。
【0023】
また、本発明は、配列番号2、4および/または6に示したアミノ酸配列を含むR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質の生物活性な断片および/または突然変異体、ならびに配列番号8に示したアミノ酸配列を含むR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質の生物活性な断片および/または突然変異体であって、アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が診断、治療または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を提供し、かつR.sanguineus GluClチャネルの薬理作用に対する作動薬および/または拮抗薬を含むが、それらに限らず選択的モジュレーターのスクリーニングに有用となるように、これらの突然変異を含むが、必ずしもこれらの変異に限定されないものにも関する。
【0024】
本発明の好ましい一態様は、本発明のR.sanguineus GluCl1およびGluCl2タンパク質を各々含む各アミノ酸配列に関して、図2(配列番号2)、図4(配列番号4)、図6(配列番号6)および図8(配列番号8)に開示されている。これらのチャネルタンパク質の1個または複数を特定することによって、動物の健康または作物保護のために殺昆虫性、殺ダニ性および/または殺線虫性を有し得る新規なGluClチャネルモジュレーターを同定するためのスクリーニング法が可能となる。前記のように、Rhipicephalus sanguineus GluClチャネルの異種発現によって、動物や人間の健康、特に、頻繁にダニに寄生されることが知られているイヌやネコに関わる無脊椎寄生種に対して活性な化合物の薬理分析が可能になると思われる。機能的なRsGluCl1チャネル(例えば、配列番号2、4および/または6の機能形)またはRsGluCl2チャネル(例えば、配列番号8の機能形)を発現する異種細胞系を、前記の生物種群の抑制に有用となり得る新規なGluClチャネルモジュレーターを同定するための機能試験または結合試験を確立するために、使用することができる。
【0025】
また、本発明は、RsGluCl1および/またはRsGluCl2の開示形、またはその生物活性断片に反応して増加するポリクローナルおよびモノクローナル抗体にも関する。
【0026】
また、本発明は、GFP(グリーン蛍光タンパク質)、MYCエピトープおよびGSTを含むが、これらに全く限定されず様々な標識に結合したRsGluClの一部を発現する融合構築体を含むが、これらに限定されずRsGluCl1および/またはRsGluCl2融合構築体にも関する。このような任意の融合構築体を、所望の細胞系内で発現してもよいし、本明細書に開示するRsGluClタンパク質の1種または複数のモジュレーターをスクリーニングするために使用してもよい。
【0027】
本発明は、本明細書に開示するR.sanguineus GluCl1および/またはGluCl2チャネルタンパク質および生物学的等価物を発現する方法、これらの遺伝子産物を用いた試験、これらのタンパク質を発現するDNA構築体を含んだ組換え宿主細胞、およびこれらの試験によって同定され、GluClチャネル活性の作動薬または拮抗薬として作用する化合物に関する。
【0028】
本発明の一目的は、配列番号2、4、6および8で各々示したタンパク質である、R.sanguineus GluClの新規な形態、あるいはRsGluCl1またはRsGluCl2の断片、突然変異体または誘導体をコードする分離核酸分子(例えば、配列番号1、3、5および7)を提供することである。任意のこのようなポリヌクレオチドは、場合によっては、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が、診断、治療または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を発現するmRNAをコードし、無脊椎動物GluCl薬理作用の選択的モジュレーターのスクリーニングに有用となるように、これらの突然変異を含んでいるが、必ずしもこれらの変異に限定されるものではない。
【0029】
本発明の更なる目的は、前段落で述べた核酸分子によってコードされるR.sanguineus GluClタンパク質またはタンパク質断片を提供することである。
【0030】
本発明の更なる目的は、R.sanguineus GluClタンパク質またはその生物学的同等物をコードする核酸配列を含む組換えベクターおよび組換え宿主細胞を提供することである。
【0031】
本発明の一目的は、配列番号2、4、6および8で示したR.sanguineus GluCl1またはGluCl2各タンパク質の実質的に精製された形態を提供することである。
【0032】
本発明の他の目的は、配列番号1、3、5および7に示した完全な読み取り枠を含み、かつ適切に発現することによって、機能性で処理された形態の各RsGluClチャネルを生じるDNA発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた組換え宿主細胞から得た、R.sanguineus GluClタンパク質の実質的に精製された組換え形態を提供することである。その組換え宿主細胞は、哺乳類細胞系等の真核宿主細胞であることが特に好ましい。
【0033】
本発明の一目的は、配列番号2、4、6および8に示したような各R.sanguineus GluCl1またはGluCl2タンパク質の生物活性な断片および/または突然変異体であって、アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が診断、治療および/または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を提供するように、これらの突然変異を含むが、必ずしもこれらの変異に限定されない。
【0034】
更に、本発明の一目的は、薬理作用があり、R.sanguineus GluCl1またはGluCl2を含む単一のホモ多量体またはヘテロ多量体各チャネルを含む組換え細胞から得た、実質的に精製された細胞内膜調製物、部分的に精製された膜調製物または未精製溶解物、特に、図2(配列番号2)、図4(配列番号4)、図6(配列番号6)および図8(配列番号8)に示したアミノ酸を含むタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んだDNAベクターでトランスフェクトまたは形質転換された宿主細胞から得た細胞内分画を提供することである。
【0035】
本発明の他の目的は、配列番号1、3、5および/または7に示した完全な読み取り枠を含み、かつ適切に発現することによって、機能性で処理された形態の各RsGluClチャネルを生じるDNA発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた組換え宿主細胞から得た、実質的に精製された膜調製物、部分的に精製された膜調製物または未精製溶解物を提供することである。その組換え宿主細胞は、哺乳類細胞系、S2細胞系等の昆虫細胞系、またはアフリカツメガエル卵母細胞を含むが、これらの細胞に限らない真核宿主細胞であることが、特に好ましい。
【0036】
R.sanguineus GluClチャネル活性のモジュレーター、好ましくは選択的モジュレーターをスクリーニングするために、R.sanguineus GluClタンパク質、またはR.sanguineus GluClタンパク質を含む膜調製物、または生物学的同等物を使用することも、本発明の一目標である。このような任意の化合物は、動物および人間の健康に関わる無脊椎寄生種に対して活性な化合物をスクリーニングし、選択する際に有用となり得る。このような種は、蠕虫、ノミ、ダニ、ダニ類およびシラミを含むが、これらに限定されない。これらの膜調製物は、これらのGluClを発現する異種細胞系から作出されてもよく、完全長タンパク質、完全長タンパク質の生物活性断片を構成するか、または当業界で入手できる物質で構築し得る様々な溶融構築体から発現される溶融タンパク質に依存してもよい。
【0037】
本明細書で使用する場合、「他の核酸を実質的に含まない」とは、少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは99%、一層より好ましくは99.9%他の核酸を含まないことを意味する。用語を入れ換えて使用する場合、「他の核酸を実質的に含まない」、「実質的に精製された」、「分離された核酸」、「精製された核酸」のいずれも、他の細胞成分から分離・精製されたR.sanguineus GluClタンパク質に対するコード領域を含むDNA分子を指す。したがって、他の核酸を実質的に含まないR.sanguineus GluCl DNA調製物は、全核酸に対するパーセント表示で、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、一層より好ましくは0.1%以下の非R.sanguineus GluCl核酸を含むものと思われる。所与のR.sanguineus GluCl DNA調製物が他の核酸を実質的に含まないかどうかを、適当な染色法、例えば臭化エチジウム染色と組合せた、例えば、アガロースゲル電気泳動のような従来の核酸純度分析法、または配列決定によって、決定することができる。
【0038】
本明細書で使用する場合、「他のタンパク質を実質的に含まない」または「実質的に精製された」とは、少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは99%、一層より好ましくは99.9%他のタンパク質を含まないことを意味する。したがって、他のタンパク質を実質的に含まないR.sanguineus GluClタンパク質調製物は、全タンパク質に対するパーセント表示で、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、一層より好ましくは0.1%以下の非R.sanguineus GluClタンパク質を含むものと思われる。所与のR.sanguineus GluClタンパク質調製物が他のタンパク質を実質的に含まないかどうかを、適当な検出法、例えば銀染色またはイムノブロッティングと組合せた、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)のような従来のタンパク質純度分析法によって、決定することができる。「他のタンパク質を実質的に含まない」または「実質的に精製された」という用語と入れ換えて使用する場合、「分離されたR.sanguineus GluClタンパク質」または「精製されたR.sanguineus GluClタンパク質」という用語も、天然の供給源から分離されたR.sanguineus GluClタンパク質を指す。「分離された」または「精製された」という用語の使用は、R.sanguineus GluClタンパク質が普通の細胞環境から取出されたことを示す。したがって、分離されたR.sanguineus GluClタンパク質は、無細胞溶液中にあるか、または自然に生成する環境とは異なる細胞環境中に置かれてもよい。分離されたという用語は、分離されたR.sanguineus GluClタンパク質が存在する唯一のタンパク質であることを意味するのではなく、むしろ分離されたR.sanguineus GluClタンパク質が、他のタンパク質やin vivoでR.sanguineus GluClタンパク質と自然に結びつく非アミノ酸物質(例えば、核酸、脂質、炭水化物)を実質的に含んでいないことを意味している。したがって、原核または真核細胞中に組換えによって発現され、このGluClタンパク質を自然には(即ち、介在なしには)発現しないこの宿主細胞から実質的に精製されたR.sanguineus GluClタンパク質は、本明細書で言及する如何なる状況下でも、当然「分離されたR.sanguineus GluClタンパク質」である。前記のように、分離または精製されたR.sanguineus GluClタンパク質であるR.sanguineus GluClタンパク質調製物は、他のタンパク質を実質的に含まず、全タンパク質に対するパーセント表示で、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下、一層より好ましくは0.1%以下の非R.sanguineus GluClタンパク質を含むものと思われる。
【0039】
本明細書で入れ換えて使用する場合、「機能的同等物」または「生物活性同等物」とは、スプライシング、欠失、突然変異、置換、付加のいずれかのために、天然のR.sanguineus GluClと正確には同じアミノ酸配列を有していないが、R.sanguineus GluClと実質的に同じ生物活性を保持しているタンパク質を意味する。このような機能的同等物は、天然のR.sanguineus GluClと顕著なアミノ酸配列の同一性を有すると思われ、このような機能的同等物をコードする遺伝子およびcDNAは、天然のR.sanguineus GluClをコードするDNA配列との低ストリンジェントなハイブリッド形成によって、検出することができる。例えば、本明細書で開示する天然のR.sanguineus GluCl1タンパク質は、配列番号2に示したアミノ酸配列を含み、配列番号1によってコードされる。機能的同等物をコードする核酸は、ヌクレオチドのレベルで配列番号1と少なくとも約50%の同一性を有する。
【0040】
本明細書で使用する場合、「保存的アミノ酸置換」とは、1つのアミノ酸残基の他の化学的に類似したアミノ酸残基による置き換えを指す。このような保存的置換の例は、1つの疎水性残基(イソロイシン、ロイシン、バリン、またはメチオニン)による他の疎水性残基の置換、および1つの極性残基による同じ電荷の他の極性残基の置換(例えば、リジンの代わりにアルギニン、アスパラギン酸の代わりにグルタミン酸)である。
【0041】
本明細書で使用する場合、「LGIC」とは、リガンド依存性イオンチャネルを指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、「GluCl」とは、L−グルタミン酸依存性塩素イオンチャネルを指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「RsGluCl」とは、Rhipicephalus sanguineus L−グルタミン酸依存性塩素イオンチャネルを指す。
【0044】
その上、本明細書で使用する場合、「RsGluCl」とは、RsGluCl1および/またはRsGluCl2を指してもよい。
【0045】
本明細書で使用する場合、「哺乳類の」という用語は、人間を含めた任意の哺乳類を指すことにする。
【0046】
図面の簡単な説明
図1は、配列番号1に示した、R.sanguineus GluCl1のcDNAクローン、T12のヌクレオチド配列を示す。
図2は、配列番号2に示した、R.sanguineus GluCl1タンパク質、T12のアミノ酸配列を示す。
図3は、配列番号3に示した、R.sanguineus GluCl1のcDNAクローン、T82のヌクレオチド配列を示す。
図4は、配列番号4に示した、R.sanguineus GluCl1タンパク質、T82のアミノ酸配列を示す。
図5は、配列番号5に示した、R.sanguineus GluCl1のcDNAクローン、T32のヌクレオチド配列を示す。
図6は、配列番号6に示した、R.sanguineus GluCl1タンパク質、T32のアミノ酸配列を示す。
図7は、配列番号7に示した、R.sanguineus GluCl2のcDNAクローン、B1のヌクレオチド配列を示す。
図8は、配列番号8に示した、R.sanguineus GluCl2タンパク質、B1のアミノ酸配列を示す。
図9は、RsGluCl1[T12(配列番号2)、T82(配列番号4)、T32(配列番号6)]およびRsGluCl2(B1、配列番号8)の各タンパク質に対するアミノ酸配列の比較を示す。
図10は、RsGluCl1 T12 RNAを注入したアフリカツメガエル卵母細胞におけるグルタミン酸活性化電流を示す。活動電流活性は10μMのグルタミン酸で最大であり、未注入の卵母細胞では電流が認められなかった。
図11は、アフリカツメガエル卵母細胞中に発現したRsGluCl2のイベルメクチンによる活性化を示す。活動電流活性は〜1μMのイベルメクチンで最大であった。
【0047】
発明の詳細な説明
本発明は、Rhipicephalus sanguineus無脊椎動物GluClチャネルタンパク質をコードする分離核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本発明の分離または精製核酸分子は、他の核酸を実質的に含まない。多くのクローニングの場合、DNAが好ましい核酸である。前記のように、本明細書に開示したDNA分子を選択した宿主細胞中にトランスフェクトしてもよく、その結果、その組換え宿主細胞は、単一の発現した機能的なホモ多量体またはヘテロ多量体GluClチャネルの実質的なレベルでの供給源となる。このような機能的なリガンド依存性イオンチャネルは、他の公知のリガンドに反応する可能性があり、その結果、そのリガンドによって、これらのチャネルのモジュレーター、動物や人間の健康および/または作物保護のために使用する有効な殺虫性、殺ダニ性および/または殺線虫性処理剤として作用し得るモジュレーターを同定するための追加のスクリーニング標的が付与されると思われる。本明細書では、RsGluCl 1がグルタミン酸に反応して電流を示し、かつ、アフリカツメガエル卵母細胞中に発現されたRsGluCl2チャネルタンパク質が、リン酸イベルメクチンの添加に反応して電流を示すことが示してある。しかし、機能的なホモ多量体を発現しないGABA−Aサブユニットγに見られるように、チャネルの単一サブユニットタンパク質では機能性チャネルを形成しないと思われることに注意すべきである。したがって、本発明の発現タンパク質は、本明細書に開示するチャネルタンパク質を含め、幾つかの附属および/またはチャネルタンパク質を含んだ野生型リガンド依存性イオンチャネルの成分として、in vivoで機能し得る。しかし、本発明のGluClタンパク質が、当業者にとって有用となるために、野生型チャネルを直接模倣する必要はない。むしろ、これらのタンパク質は、組換え宿主細胞内に機能性で単一の膜結合チャネルを形成できるので、当業界で公知で、本明細書内に一部記載したスクリーニング手順になじみすい。したがって、本明細書内に記述したように、完全な機能性GluClチャネルに寄与し得る追加のRsチャネルサブユニットタンパク質や附属タンパク質を含むか、または含まない本明細書内に開示した様々なタンパク質を有する単一の機能性チャネルとして、またはホモ多量体チャネルとして、またはヘテロ多量体チャネルとして、本発明の開示Rsチャネルタンパク質は、有用である。前記のように、本明細書に開示したDNA分子を選択した宿主細胞中にトランスフェクトしてもよく、その結果、その組換え宿主細胞は、単一の発現した機能的なホモ多量体またはヘテロ多量体GluClの実質的レベルで供給源となる。このような機能的なリガンド依存性イオンチャネルは、他の公知のリガンドに反応する可能性があり、その結果、そのリガンドによって、これらのチャネルのモジュレーター、動物や人間の健康および/または作物保護のために使用する有効な殺虫性、殺ダニ性および/または殺線虫性処理剤として作用し得るモジュレーターを同定するための追加のスクリーニング標的が付与されると思われる。
【0048】
本発明は、Rhipicephalus sanguineusの新規な無脊椎動物GluCl1チャネルタンパク質を発現するmRNAをコードする分離された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関するもので、このDNA分子は配列番号1、配列番号3および配列番号5と本明細書に開示したヌクレオチド配列を含む。
【0049】
本発明は、Rhipicephalus sanguineusの新規な無脊椎動物GluCl2チャネルタンパク質を発現するmRNAをコードする分離された核酸分子(ポリヌクレオチド)に関するものであって、このDNA分子は配列番号7と本明細書に開示したヌクレオチド配列を含む。
【0050】
本発明のRsGluCl核酸分子の分離および特定は、実施例1に詳述するように確認された。殺虫剤の新規なスクリーニングを確立し、特にウシ、イヌおよびネコへのダニやダニ類の寄生を処置するのに使用するためか、または他のクモ形類動物を殺すために、殺虫剤活性を有して可能性のある鉛化合物を実証し、かつ追加の殺虫剤スクリーニングを確立するために、これらの新規なcDNA配列をハイブリッド形成プローブとして使用することによって、他の生物から関連遺伝子を分離するのに、本明細書で考察するこれらのcDNA分子は、特に有用である。本発明のRsGluCl1およびRsGluCl2コード化cDNAは、褐色イヌダニ種Rhipicephalus sanguineusから分離された。そのDNA配列は、グルタミン酸およびイベルメクチンに感受性の塩素イオンチャネル群と共通の特徴を共有するタンパク質を予測する。RsGluCl1またはRsGluCl2 cDNAをアフリカツメガエル卵母細胞中に発現するとき、グルタミン酸およびイベルメクチン感受性チャネルを認める。これらのチャネルで作用する化合物の薬理作用は、これらの種の間で恐らく示差されると思われる。クモ形類動物のチャネルをスクリーニングすることによって、クモ類動物に特異的な化合物を発見する可能性が高まると思われる。したがって、本発明のcDNAを、細胞系や他の発現系で発現させることができ、かつ、チャネルを活性化し、阻止し、または調節する化合物をスクリーニングするために、競合結合実験や機能性塩素イオンチャネル試験に使用することができる。
【0051】
無脊椎動物グルタミン酸依存性塩素イオンチャネル(GluCl)は、グリシン依存性およびGABA依存性塩素イオンチャネルと関係しており、興奮性グルタミン酸受容体(例えば、NMDAまたはAMPA受容体)とは異なる。駆虫薬イベルメクチンの受容体に対する機能性スクリーニングの後に、GluClファミリーの最初の2種の構成体が、線虫C.elegansにおいて確認された。現在では、更に他の無脊椎動物種の数種のGluClがクローニングされた。しかし、脊椎動物においてGluClに相当するものが存在する証拠は未だない。このために、GluClは駆虫剤、殺虫剤、殺ダニ剤等にとって優れた標的である。ノジューリスポア酸(nodulisporic acid)およびその誘導体のような特異的GluClモジュレーターは、脊椎動物において構造に基く毒性を欠いているので、理想的な安全性プロファイルを有する。本発明は、3種の新規なR.sanguineus GluCl1クローン、T12、T82およびT32、およびR.sanguineus GluCl2クローン、B1に部分的に関するものである。RsGluCl1の各cDNAは、推定膜貫通ドメイン、M1、M2およびM3に相当するショウジョウバエ GluClプローブを用いた低ストリンジェントなハイブリッド形成によって分離された。RsGluCl2 cDNAは、ショウジョウバエ、ノミ(C.felis)および線虫のGluClタンパク質のアミノドメインおよびM2ドメイン中の保存領域に相当する縮重プライマーを用いたPCRによって分離された。RNA編集(AからGへの転位)がこれらのcDNA中で生じ、幾つかのアミノ酸変化が起ったと思われる。RsGluCl1 T12およびT82は、1個のアミノ酸の相違を除いて類似しているが、RsGluCl1 T32はコード領域中に更に2個のエクソンを含んでいる。
【0052】
本発明は、図1(T12)に記載し、配列番号1として示した分離または精製DNA分子に関するもので、そのDNA分子は図2に記載し、配列番号2として示したR.sanguineus GluCl1タンパク質をコードし、T12のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0053】
【化1】
【0054】
本発明は、図3(T82)に記載し、配列番号3として示した分離または精製DNA分子にも関するもので、そのDNA分子は図4に記載し、配列番号4として示したR.sanguineus GluCl1タンパク質をコードし、T82のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0055】
【化2】
【0056】
本発明は、図5(T32)に記載し、配列番号5として示した分離または精製DNA分子にも関するもので、そのDNA分子は図6に記載し、配列番号6として示したR.sanguineus GluCl1タンパク質をコードし、T32のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0057】
【化3】
【0058】
本発明は、R.sanguineus GluCl2タンパク質をコードする分離または精製DNA分子にも関する。1個のこのような核酸は、図7(B1)に記載し、配列番号7として示したもので、その核酸は図8に記載し、配列番号8として示したR.sanguineus GluCl2タンパク質をコードし、B1のヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0059】
【化4】
【0060】
各々図1、3、5および7に示し、前に例示した分離DNA分子は、次の特性を有する。
【0061】
T12(配列番号1):
2138ヌクレオチド残基:開始のMet(ヌクレオチド残基331〜333位)および「TGA」終止コドン(ヌクレオチド残基1681〜1683位)で、読み取り枠が、配列番号2に示したアミノ酸450個の発現タンパク質を生じる。
【0062】
T82(配列番号3):
2289ヌクレオチド残基:開始のMet(ヌクレオチド残基502〜504位)および「TGA」終止コドン(ヌクレオチド残基1852〜1854位)で、読み取り枠が、配列番号4に示したアミノ酸450個の発現タンパク質を生じる。
【0063】
T32(配列番号5):
2400ヌクレオチド残基:開始のMet(ヌクレオチド残基617〜619位)および「TGA」終止コドン(ヌクレオチド残基2168〜2170位)で、読み取り枠が、配列番号6に示したアミノ酸517個の発現タンパク質を生じる。
【0064】
B1(配列番号7):
1402ヌクレオチド残基:開始のMet(ヌクレオチド残基131〜133位)および「TAA」終止コドン(ヌクレオチド残基1385〜1387位)で、読み取り枠が、配列番号8に示したアミノ酸418個の発現タンパク質を生じる。
【0065】
また、本発明は、Rhipicephalus sanguineusの新規な無脊椎動物GluCl1またはGluCl2チャネルタンパク質を発現するmRNAを各々コードする配列番号1、3、5および7の生物活性な断片または突然変異体にも関する。任意のこのような生物活性な断片および/または突然変異体は、配列番号2、配列番号4および配列番号6に示したR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質、ならびに配列番号8に示した個々のGluCl2チャネルタンパク質を含むが、それらに限らないR.sanguineus GluClチャネルタンパク質の薬理学的性質を少なくとも実質的に模倣したタンパク質またはタンパク質断片をコードすると思われる。任意のこのようなポリヌクレオチドは、ヌクレオチドの置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が、アフリカツメガエル卵母細胞等の真核細胞中に機能的なR.sanguineus GluClチャネルを発現するmRNAをコードすることによって、R.sanguineus GluCl活性の作動薬および/または拮抗薬のスクリーニングに有用となるように、これらの突然変異を含んでいるが、必ずしもこれらの変異に限られるものではない。
【0066】
本発明のこの部分の好ましい一態様は、新規なRhipicephalus sanguineus GluCl1タンパク質をコードする図1(配列番号1;T12と命名)、図3(配列番号3;T82と命名)および図5(配列番号5;T32と命名)、ならびに新規なRhipicephalus sanguineus GluCl2タンパク質をコードする図7(配列番号7;B1と命名)に開示されている。
【0067】
本発明の分離核酸分子は、1本鎖(コード鎖または非コード鎖)または2本鎖であってもよいゲノムDNAおよび相補的DNA(cDNA)、ならびに合成1本鎖ポリヌクレオチド等の合成DNA等のデオキシリボ核酸分子(DNA)を含み得る。また、本発明の分離核酸分子は、リボ核酸分子(RNA)も含み得る。
【0068】
遺伝暗号の縮重は、2種以外の全てのアミノ酸に対して、複数のコドンが特定のアミノ酸をコードするようなものである。これによって、RsGluCl1またはRsGluCl2タンパク質をコードする合成DNAであって、そのヌクレオチド配列が配列番号1、3、5および7のヌクレオチド配列と有意に異なるが、それでもなお配列番号1、3、5および7と同じRsGluClタンパク質をコードする合成DNAの構築が可能となる。このような合成DNAは、本発明の範囲に含まれることを意図している。このような合成DNAを特定の宿主細胞や生物において発現させることを所望する場合、このような合成DNAのコドン使用法をその特定の宿主のコドン使用法を反映するように調節することによって、宿主内でのRsGluClチャネルタンパク質の発現量を増加させることができる。換言すれば、特定のアミノ酸をコードする様々なコドンのこの重複は、本発明の範囲に含まれる。したがって、本発明は、以下に示すように、最終的に同一のアミノ酸を翻訳するためにコードする代替コドンを含むRNAをコードするDNA配列も対象としている。
【0069】
A=Ala=アラニン:コドン GCA、GCC、GCG、GCU
C=Cys=システイン:コドン UGC、UGU
D=Asp=アスパラギン酸:コドン GAC、GAU
E=Glu=グルタミン酸:コドン GAA、GAG
F=Phe=フェニルアラニン:コドン UUC、UUU
G=Gly=グリシン:コドン GGA、GGC、GGG、GGU
H=His=ヒスチジン:コドン CAC、CAU
I=Ile=イソロイシン:コドン AUA、AUC、AUU
K=Lys=リジン:コドン AAA、AAG
L=Leu=ロイシン:コドン UUA、UUG、CUA、CUC、CUG、CUU
M=Met=メチオニン:コドン AUG
N=Asp=アスパラギン:コドン AAC、AAU
P=Pro=プロリン:コドン CCA、CCC、CCG、CCU
Q=Gln=グルタミン:コドン CAA、CAG
R=Arg=アルギニン:コドン AGA、AGG、CGA、CGC、CGG、CGU
S=Ser=セリン:コドン AGC、AGU、UCA、UCC、UCG、UCU
T=Thr=スレオニン:コドン ACA、ACC、ACG、ACU
V=Val=バリン:コドン GUA、GUC、GUG、GUU
W=Trp=トリプトファン:コドン UGG
Y=Tyr=チロシン:コドン UAC、UAU
【0070】
したがって、本発明は、同一のタンパク質を発現する異なったDNA分子を生じ得るコドンの重複を開示する。本明細書のために、1個または複数の置換コドンを有する配列を縮重変異配列と定義することにする。他の配列変異源は、以下に考察するように、RNA編集を介して起こり得る。このようなRNA編集は、読み取り枠の変化が発現タンパク質中のアミノ酸残基の変化を起こさない他の形式のコドン重複を生じ得る。発現タンパク質の最終的な物性を実質的に変化させないDNA配列中または翻訳タンパク質中の突然変異も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、ロイシンの代わりにバリン、リジンの代わりにアルギニン、またはグルタミンの代わりにアスパラギンに置換しても、ポリペプチドの機能に変化が起こらないかもしれない。
【0071】
あるペプチドをコードするDNA配列を、天然のペプチドと異なる性質を有するペプチドをコードするように変化させ得ることは知られている。DNA配列を変化させる方法は、部位特異的突然変異誘発を含むが、それに限定されない。変化した性質の例は、酵素が基質に対して、または受容体がリガンドに対して示す親和性の変化を含むが、これらに限定されない。
【0072】
ストリンジェントな条件下で配列番号1、3、5および7とハイブリッドを形成するDNA配列は、本発明に含まれる。制限するためでなく、例として、高ストリンジェントな条件を用いる手順は次のとおりである:DNAを含むフィルタの予備的ハイブリッド形成を、6×SSC、5×デンハルト溶液、および変性サケ精子DNA 100μg/mlから成る緩衝液中、2時間から終夜の間65℃で行う。フィルタを、変性サケ精子DNA 100μg/mlおよび32P標識プローブ5〜20×106cpmを含む予備ハイブリッド形成混合物中、12時間から48時間65℃でハイブリッド形成させる。フィルタの洗浄は、2×SSC、0.1%SDSを含む溶液中、37℃で1時間行う。この後、0.1×SSC、0.1%SDS中、50℃で45分間洗浄し、次いでオートラジオグラフィを行う。高ストリンジェントな条件を用いる他の手順は、5×SSC、5×デンハルト溶液、50%ホルムアミド中、42℃で12から48時間行うハイブリッド形成段階、または0.2×SSPE、0.2%SDS中、65℃で30から60分間行う洗浄段階のいずれかを含むと思われる。高ストリンジェントなハイブリッド形成を行うための前記手順で述べた試薬は、当業界で周知である。これら試薬の組成の詳細は、例えば、Sambrook et al.、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New Yorkに見出すことができる。前記のこと以外に、使用し得る他の高ストリンジェントな条件は当業界で周知である。
【0073】
「同一性」は、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の同一性の指標である。一般に、最高次の一致が得られるように、各配列が配列される。「同一性」自体は、当業界で認識されており、公知技術を用いて計算することができる。例えば、(Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.、ed.Oxford University Press、New York、1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.、ed.、Academic Press、New York、1993;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin,A.M.and Griffin,H.G.、eds.、Humana Press、New Jersey、1994;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987;およびSequence Analysis Primer、Gribskov,M.and Devereux,J.、eds.、M Stockton Press、New York、1991)を参照されたい。ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの2個の配列間の同一性を測定する幾つかの方法があるが、「同一性」という用語は技術者に周知である(Carillo and Lipton、1988、SIAM J Applied Math 48:1073)。2個の配列間の同一性または類似性を決定するために汎用される方法は、Guide to Huge Computers、Martin J.Bishop、ed.、Academic Press、San Diego、1994およびCarillo and Lipton、1988、SIAM J Applied Math 48:1073に開示されている方法を含むが、これらに限られるものではない。同一性や類似性を決定する方法は、コンピュータプログラム中に体系化されている。2個の配列間の同一性や類似性を決定する好ましいコンピュータプログラム法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,et al、1984、Nucleic Acids Research 12(1):387)、BLASTNおよびFASTA(Altschul、et al.、1990、J Mol.Biol.215:403)を含むが、これらに限られるものではない。
【0074】
一例として、配列番号1の参照ヌクレオチド配列に、少なくとも例えば95%の「同一性」を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとは、そのポリヌクレオチド配列が、配列番号1の参照ヌクレオチド配列のヌクレオチド各100個当たり5点までの突然変異や代替ヌクレオチドを含み得ることを除けば、そのポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることを意図している。換言すれば、参照ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中のヌクレオチドの5%までが欠失するか、または他のヌクレオチドで置換されてもよく、あるいは、参照配列中の全ヌクレオチドの5%までの数のヌクレオチドを参照配列中に挿入してもよい。参照配列のこれらの突然変異や代替ヌクレオチド置換は、参照ヌクレオチド配列の5’または3’末端位で起こってもよく、あるいは、参照配列中のヌクレオチド間に個々に散在するか、または参照配列内の1個または複数の隣接グループ中に散在することで、両末端位間の何処で起こってもよい。100%未満の同一性を生じるこのような「突然変異」または変化の発生源の一つのは、RNA編集を介して起こり得る。RNA編集の過程は、修飾されたmRNAをクローニングされるcDNAを生成する鋳型として使用したとき、コドン変化が起こる場合も起こらない場合もある1個または複数のヌクレオチド変化が起こるように、mRNA分子の修飾を起こす。このRNA編集は、RNAエディターゼによって触媒されることが知られている。このようなRNAエディターゼはRNAアデノシンデアミナーゼであり、それはシトシン残基を模倣する傾向のあるイノシン残基にアデノシン残基を変換する。この目的のために、mRNA残基のAからIへの変換が、クローニングされるcDNAのコードおよび非コード領域においてAからGへの転位を起こすと思われる(例えば、Hanrahan et al、1999、Annals New York Acad.Sci.868:51−66を参照されたい。総説としては、Bass、1997、TIBS 22:157−162を参照されたい)。同様に、配列番号2の参照アミノ酸配列に、少なくとも例えば95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、そのポリペプチド配列が、配列番号2の参照アミノ酸のアミノ酸各100個当たり5個までのアミノ酸の修飾を含み得ることを除けば、そのポリペプチドのアミノ酸配列が参照配列と同一であることを意図している。換言すれば、参照アミノ酸配列に少なくとも95%同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るためには、参照配列中のアミノ酸残基の5%までが欠失するか、または他のアミノ酸で置換されてもよく、あるいは、参照配列中の全アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸を参照配列中に挿入してもよい。参照配列のこれらの修飾は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位で起こってもよく、あるいは、参照配列中の残基間に個々に散在するか、または参照配列内の1個または複数の隣接グループ中に散在することによって、両末端位間のどこかで起こってもよい。前記のように再び、RNA編集が、ゲノム配列の読み取り枠に直接対応する「非RNA編集」転写体から発現する他のタンパク質と、「同一性」の異なる発現タンパク質を生じるコドン変化を起こし得る。T12およびT82の各クローンの読み取り枠は、単一のアミノ酸変化(配列番号2および4のアミノ酸残基447位における、T12の「gag」/Glu対T82の「aag」/Lys)を起こす単一のヌクレオチド変化を除けば同一である。T12/T82クローンは、ヌクレオチドレベルでB1クローンと約57%の同一性を示すが、T32クローンは、ヌクレオチドレベルでB1クローンと約57%の同一性を示す。
【0075】
また、本発明は、本明細書を通して開示される実質的に精製された核酸分子を含んでいる組換えベクターおよび原核、真核を問わない組換え宿主にも関している。RsGluClチャネルタンパク質を全体として、または部分的にコードする本発明の核酸分子は、他のDNA分子、即ちRsGluClコード配列が自然には連結されないDNA分子と連結されることによって、各RsGluClチャネルタンパク質をコードする「組換えDNA分子」を形成することができる。本発明の新規なDNA配列を、RsGluClをコードする核酸または機能的同等物を含むベクター中に挿入することができる。これらのベクターはDNAまたはRNAで構成されてもよいが、クローニングの大部分ではDNAベクターが好ましい。典型的なベクターは、プラスミド、修飾ウィルス、バクテリオファージ、コスミド、酵母人工染色体、およびRsGluClチャネルタンパク質をコードし得る他の形態のエピソームや組込み型DNAを含む。特定の遺伝子導入や他の用途のために適切なベクターを決定することは、技術者が十分に扱い得る範囲に入る。
【0076】
また、本発明は、図2、図4、図6および図8に開示し、配列番号2、、6および8で各々示したアミノ酸配列を含む、各RsGluClチャネルタンパク質の実質的に精製された形態にも関する。開示した各RsGluClタンパク質は、図2、4、6および8に示すように、長さがアミノ酸450個(各々T12およびT82、配列番号2および4)、アミノ酸517個(T32、配列番号6)、およびアミノ酸418個(配列番号8)の読み取り枠を含んでおり、次のとおりである。
【0077】
【化5】
【0078】
T12およびT82の各クローンの読み取り枠は、配列番号2および4の残基447位における単一のアミノ酸変化を起こす単一のヌクレオチド変化を除けば同一である。T32の読み取り枠は、T12/T82の読み取り枠と比較すると2個の別のエキソンを含み、これらがT32タンパク質のアミノ末端領域に35個のアミノ酸挿入(配列番号6のアミノ酸残基30〜64位)およびCOOH末端領域内に他の32個のアミノ酸挿入(アミノ酸残基410〜441位)を起こす。T12/T82クローンは、ヌクレオチドレベルでB1クローンと約57%の同一性を示すが、T32クローンは、ヌクレオチドレベルでB1クローンと約57%の同一性を示す。
【0079】
また、本発明は、配列番号:2、4、6および8に示したようなアミノ酸配列を含むRsGluCl1およびRsGluCl2タンパク質の生物活性な断片および/または突然変異体であって、アミノ酸の置換、欠失、付加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断が診断、治療または予防用途のタンパク質やタンパク質断片を提供し、RsGluCl機能の作動薬および/または拮抗薬のスクリーニングに有用となるように、これらの突然変異を含むが、必ずしもこれらの変異に限定されない。
【0080】
この目的のために、本発明の好ましい一態様は、単一のチャネルタンパク質か、または、本明細書でホモ多量体チャネルまたはヘテロ多量体チャネルと称し、多数のサブユニットを含むチャネルのいずれかから成る機能性RsGluClチャネル受容体である。したがって、単一のチャネルは、配列番号:2、4、6または8に開示したタンパク質、またはその生物学的活性を有する同等物(即ち、野生型チャネル受容体に類似の態様で尚も機能する修飾チャネルタンパク質)から構成され得る。ホモ多量体チャネル受容体複合体は、配列番号:2、4、6および8の開示群、ならびに生物学的活性を有する同等物から選択される複数のポリペプチドを含んでいると思われる。ヘテロ多量体チャネル受容体複合体は多数のサブユニットを含んでいると思われ、その複合体中では、本明細書に開示した3種のタンパク質中の少なくとも2種がチャネル形成に寄与しているか、または、活性を有するチャネル受容体複合体を提供するために、それらのタンパク質の少なくとも1種が別のタンパク質またはチャネル成分と結合している。したがって、更に本発明は、本明細書に記載の実質的に精製されたチャネル、ならびに、実質的に精製された膜調製物、部分的に精製された膜調製物、または本明細書に記載の機能的な単一、ホモ多量体またはヘテロ多量体のチャネルを含む細胞溶解物にも関する。これらの実質的に精製され、完全に処理されたGluClチャネルタンパク質を、配列番号:1、3、5および/または7に示したヌクレオチド配列を含むDNA発現ベクターを含み、各RsGluCl前駆体タンパク質を発現する組換え宿主細胞から得ることができる。その組換え宿主細胞は、前記のように、哺乳類細胞系、S2細胞系等の昆虫細胞系、またはアフリカツメガエル卵母細胞を含むが、これらの細胞に限らず真核宿主細胞であることが、特に好ましい。
【0081】
多くのタンパク質と同様に、RsGluClチャネルタンパク質のアミノ酸の多くを修飾し、それでも、野生型タンパク質と実質的に同じ生物活性を保持することが可能である。したがって、本発明は、アミノ酸の欠失、付加または置換を有するが、それでも、対応する各RsGluClと実質的に同じ生物活性を保持する修飾RsGluClポリペプチドを含む。単一のアミノ酸置換では、通常、タンパク質の生物活性は変化しないことが、一般に受入れられている(例えば、Molecular Biology of the Gene、Watson et al.、1987、Fourth Ed.The Benjamin/Cummings Publishing Co.,Inc.、page 226およびCunningham & Wells、1989、Science 244:1081−1085)。したがって、本発明は、配列番号:2、4、6および/または8で1個のアミノ酸置換がなされたが、それでも尚、対応するRsGluClタンパク質と実質的に同じ生物活性を保持しているポリペプチドを含む。また、本発明は、配列番号:2、4、6または8で2個以上のアミノ酸置換がなされたが、それでも尚、対応するRsGluClタンパク質と実質的に同じ生物活性を保持しているポリペプチドも含む。特に本発明は、前記置換が保存的置換である実施形態を含む。
【0082】
当業者であれば、RsGluClの機能的同等物であって、アミノ酸の小さな欠失または挿入をRsGluClアミノ酸配列からの変化とするポリペプチドも、同様の指針によって、即ちRsGluClと関連タンパク質とのアミノ酸配列の差を模倣することによって、産生し得ることを認識するであろう。小規模の欠失または挿入は、一般に約1個から5個のアミノ酸の範囲にある。このような小規模の欠失または挿入の修飾RsGluClポリペプチドの生物活性に対する効果は、そのポリペプチドを合成するか、あるいは、RsGluClをコードするDNAに必要な変異を誘発した後、そのDNAを組換え発現させ、組換え発現で生成したタンパク質を検定することによって、容易に試験できる。本発明は、酵素の活性部位を含む領域を含んだRsGluClの末端切断形も含んでいる。このような末端切断タンパク質は、本明細書に記載の様々なアッセイ、結晶化研究、および構造活性相関の研究において有用である。
【0083】
また、本発明は、本発明の核酸分子を含んだ(原核細胞および真核細胞、ならびに形質転換またはトランスフェクションの安定な細胞および一過性の細胞の)組換え宿主細胞から得た、膜含有未精製溶解物または実質的に精製された細胞内膜分画にも関する。これらの組換え宿主細胞は、翻訳後に生物学的に活性体となって細胞膜と結合する、RsGluClまたは機能的同等物を発現する。これらの細胞内膜分画は、内在量より実質的に多量のRsGluClの野生型または突然変異体を含み、したがってRsGluClタンパク質またはチャネルのモジュレーターを選択する試験において有用と思われる。換言すれば、このような細胞内膜分画の特定の用途には、組換え細胞内でRsGluClを発現後、他の細胞成分からその膜を分離、実質的に精製し、その後、タンパク質あるいは本明細書に開示するタンパク質の1種または複数を含む生物活性なチャネルの作動薬や拮抗薬等のモジュレーターを選択する試験に使用することが必要である。あるいは、その膜を含む溶解細胞を、組換えで発現した本明細書に開示するタンパク質のモジュレーターを選択する試験に直接使用してもよい。したがって、本発明の他の好ましい態様は、配列番号:1、3、5および/または7に示す完全な読み取り枠を含み、かつ適切に発現するDNA発現ベクターで形質転換またはトランスフェクトされた結果、機能形の各RsGluClチャネルを生じる組換え宿主細胞から得られた膜を含む、実質的に精製された膜調製物または溶解組換え細胞成分に関する。その組換え宿主細胞は、哺乳類細胞系およびS2細胞系等の昆虫細胞系を含むが、これらの細胞に限らず真核宿主細胞であることが、特に好ましい。
【0084】
また、本発明は、野生型RsGluCl活性を調節する化合物を同定する試験において有用な融合タンパク質を発現するばかりでなく、RsGluClに対する抗体も発生させる融合構築体の分離核酸分子に関する。本発明のこの部分の一態様は、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)−RsGluCl融合構築体を含むが、それに限定されない。組換えGST−RsGluCl融合タンパク質を、バキュロウィルス発現ベクター(pAcG2T、Pharmingen)を用いたSpodoptera frugiperda(Sf21)昆虫細胞(Invitrogen)を含む様々な発現系で発現させてもよい。他の態様は、GFP(グリーン蛍光蛋白質)、MYCエピトープおよびGSTを含むが、これらに限らず様々な標識に連結したRsGluCl融合構築体に関する。上述と同様に、このような任意の融合構築体を所望の細胞系内で発現してもよいし、本明細書に開示するRsGluClタンパク質の1種または複数のモジュレーターをスクリーニングするために使用してもよい。
【0085】
RsGluClチャネル活性のモジュレーターをスクリーニングする好ましい一態様は、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞中に本発明のDNA分子を注入することを含む、グルタミン酸依存性塩素イオンチャネル活性測定の電気生理学的試験用発現系である。イオンチャネル活性の研究におけるアフリカツメガエル卵母細胞の一般的使用は、当業界で公知である(Dascal、1987、Crit.Rev.Biochem.22:317−317;Lester、1988、Science 241:1057−1063;また、Methods of Enzymology、Vol.207、1992、Ch.14−25、Rudy and Iverson、ed.、Academic Press,Inc.、New York)。チャネル活性、および作動薬および/または拮抗薬による調節を測定する改良法で、以前の技術より感度が7倍高い。アフリカツメガエル卵母細胞に、依存性チャネルをコードするDNA、mRNAまたはcRNAを含むが、これらに限定されない核酸物質を注入し、そのチャネルの活性ならびに様々なモジュレーターに対するチャネルの反応を測定する。塩素イオンに対する逆転電位より陽性の(即ち、−30mVより大きい)、好ましくは約0mVの保持電位を利用することによって、イオンチャネル活性が測定される。試験測定条件のこの変化によって、リン酸イベルメクチンによる調節に対する試験感度が10倍増加する。したがって、この改良試験は、以前には検出不能と考えられた水準のGluCl活性を調節する化合物のスクリーニングおよび選択を可能とする。
【0086】
RsGluClをクローニングするために、様々な手順のいずれを使用してもよい。これらの方法は以下の方法を含むが、それらに限定されない。(1)RACE PCRクローニング法(Frohman、et al.、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8998−9002)。完全長cDNA配列を作出するために、5’および/または3’RACEを行ってもよい。この戦略は、RsGluCl cDNAのPCR増幅のために、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーの使用を必要とする。これらの遺伝子特異的プライマーは、入手可能な任意数の核酸およびタンパク質データベースを検索して同定された、発現配列タグ(EST)ヌクレオチド配列の同定によって設計される;(2)適切な発現ベクター系においてRsGluCl含有cDNAライブラリを構築した後の、RsGluCl cDNAの直接的な機能性発現;(3)RsGluClタンパク質のアミノ酸配列から設計した標識縮重オリゴヌクレオチドプローブによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築したRsGluCl含有cDNAライブラリの検索;(4)RsGluClタンパク質をコードする部分的cDNAによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築したRsGluCl含有cDNAライブラリの検索。この部分的cDNAは、RsGluClタンパク質と関連する他のGluClチャネルに対して知られているアミノ酸配列からの縮重オリゴヌクレオチドプライマーの設計による、RsGluCl DNA断片の特異的PCR増幅によって得られる;(5)RsGluClタンパク質と相同性を有する部分的cDNAまたはオリゴヌクレオチドによる、バクテリオファージまたはプラスミドシャトルベクター中に構築したRsGluCl含有cDNAライブラリの検索。この戦略には、前記のESTとして同定された、RsGluCl cDNAのPCR増幅用遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプライマーも必要となるかもしれない;あるいは、(6)鋳型として配列番号:1、3および5を用いて5’および3’遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを設計することによって、完全長cDNAを公知のRACE法で作出するか、または、RsGluClをコードする全長型のヌクレオチド配列を分離することを目的として、cDNAおよび/またはゲノムライブラリの多数の型のひとつを検索するプローブとして使用するコード領域の一部を作出し、分離するために、同様に公知のRACE法でコード領域の一部を作出すること。あるいは、本発明のRsGluCl1およびRsGluCl2 cDNAを、実施例1の記載に従ってクローニングしてもよい。RsGluCl1 cDNAクローンについては、Poly(A)Pure(商標)mRNA分離キット(Ambion)を用いて成虫褐色イヌダニのポリA+RNAを分離した。ダニcDNAは、オリゴ−dTプライマーおよびZAP cDNA(登録商標)合成キット(Stratagene)を用いて合成し、cDNAサイズ分画カラム(BRL)を用いて>1kbのcDNAを選択した。ダニcDNAライブラリは、GIGAPACK(登録商標)IIIゴールドクローニングキット(Stratagene)を用いてLambda ZAP(登録商標)IIベクター中に構築した。M1からM3領域にまたがるDrosophila GluCl cDNA断片を、ダニcDNAライブラリの低ストリンジェントな検索に使用した。フィルタを11日間暴露し、6個の陽性断片を配列分析のために分離した。クローン中の3種(T12、T82およびT32)がGluCl関連のタンパク質をコードし、これらの配列を両端から決定した。RsGluCl2 cDNAの分離のために、Ausubel等(1992.Short protocols in molecular biology.F.M.Ausubel et al.、−2nd.ed.(John Wiley & Sons)、およびSambrook等(1989.Molecular cloning.A laboratory manual.J.Sambrook、E.F.Fritsch、and T.Maniatis−2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press)等の参考文献から得られた標準的手順に従って、大部分の分子的手順を再び行った。ポリ(A)+RNAをダニの頭部から分離した。SUPERSCRIPTプレアンプリフィケーションシステム(Life Technologies)を用い、50ngのRNAから第一鎖cDNAを合成した。第一鎖反応の十分の一量をPCRに用いた。利用した縮重オリゴを、土壌線虫(C.elegans)、ショウジョウバエ(Drosophila)、およびノミ(C.felis)のGluclから得た配列に基いて設計した。「27F2+3AF1の後、27F2+3BF2」の組合せを用いた2回のPCRを行った。PCR反応生成物の十分の一量をサザンブロット分析で試験することによって、汚染配列のPCRクローニングを同定し、防止した。適当な大きさの新規なPCR産物を、「TA」クローニングキット(Invitrogen,Inc.)を用いてpCR2.1プラスミドベクター中にクローニングした。配列分析(ABI Prism、PE Applied Biosystems)の後、選択されたPCRクローンインサートを放射能標識し、前記RNA調製物を用いてUni−ZAP(登録商標)ベクター(Stratagene,Inc.)中に作出したcDNAライブラリの検索に、プローブとして使用した。完全長cDNAクローン由来の配列を、GCG Inc.のパッケージを用いて分析した。RsGluCl2の哺乳類発現ベクター中へのサブクローニングを、Uni−ZAP(登録商標)pBSプラスミド由来のクローンRsGluCl2 B1の元のインサートから1.85kbコード化領域含有断片(XhoI−EcoRI消化物)を切出した後、TetSplice(登録商標)ベクター(Life Technologies Inc.)中に連結することによって行った。
【0087】
他の型のライブラリ、ならびに他の細胞型や種型から構築したライブラリが、RsGluClコード化DNAまたはRsGluCl相同体を分離するために有用であることは、当業者には容易に理解できる。他の型のライブラリは、他の褐色イヌダニ細胞型に由来するcDNAライブラリを含むが、それに限定されない。
【0088】
RsGluCl活性を有する細胞や細胞系から適当なcDNAライブラリを調製し得ることは、当業者には容易に理解できる。RsGluClをコードするcDNAを分離するための、cDNAライブラリの調製に使用する細胞や細胞系は、このような目的に利用できる任意の既知の試験を用いて、最初に細胞結合RsGluCl活性を測定することによって選択し得る。
【0089】
cDNAライブラリの調製は、当業界で周知の標準的技法によって行うことができる。周知のcDNAライブラリ構築法は、例えば、Sambrook et al.、1989、Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New Yorkに記載されている。相補的DNAライブラリを、Clontech Laboratories,Inc.およびStratageneを含むが、これらに限らず多数の市販源から得てもよい。
【0090】
RsGluClをコードするcDNAを適当なゲノムDNAライブラリから分離し得ることも、当業者には容易に理解できる。ゲノムDNAライブラリの構築は、当業界で周知の標準的技法によって行うことができる。周知のゲノムDNAライブラリの構築法は、前記のSambrook等に記載されている。特に、P1人工染色体ベクター中にゲノムライブラリを調製し、そこから本明細書に開示するRsGluClヌクレオチド配列に基くプローブを用いて、RsGluClを含むゲノムクローンを分離してもよい。このようなライブラリを調製する方法は、当業界で公知である(Ioannou et al.、1994、Nature Genet.6:84−89)。
【0091】
好ましい方法でRsGluCl遺伝子をクローニングするために、RsGluClまたは相同タンパク質のアミノ酸配列やDNA配列が必要となるかもしれない。このために、各々のRsGluClチャネルタンパク質を精製し、部分的アミノ酸配列を自動化配列分析装置で決定してもよい。アミノ酸配列を全て決定する必要はないが、部分的なRsGluCl DNA断片をPCR増幅するために、6から8アミノ酸の2つの領域のリニアな配列を決定することができる。適当なアミノ酸配列を同定すれば、それらをコードし得るDNA配列が合成される。遺伝暗号は縮重しているので、特定のアミノ酸をコードするために複数のコドンを使用してもよく、したがって、そのアミノ酸配列は、一組の類似したDNAオリゴヌクレオチドのいずれによってもコードされ得る。その一組中の1種だけがRsGluCl配列と同一であると思われるが、その一組中の他のものも、ミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドの存在下でさえ、RsGluCl DNAとハイブリダイズできると思われる。ミスマッチを有するDNAオリゴヌクレオチドは、それでも、RsGluClをコードするDNAを同定および分離し得るRsGluCl DNAと十分にハイブリダイズし得る。あるいは、発現された配列の一領域のヌクレオチド配列を、1個または複数の入手可能なゲノムデータベースの検索によって同定してもよい。cDNAライブラリとcDNA集合体のいずれかから、所望のcDNAのPCR増幅を行うために、遺伝子特異的プライマーを使用してもよい。前記のように、RsGluClをコードする完全長配列を作出するために、重複する5’および3’RACE産物を分離する目的で、あるいは、RsGluClまたはRsGluCl類似タンパク質をコードする完全長配列を分離するために、1種または複数のcDNA系またはゲノム系ライブラリを検索するプローブとして用いる、RsGluClをコードするヌクレオチド配列の一部を分離する目的で、PCR基準法に用いる適当なヌクレオチド配列を配列番号:1、3、5または7から得てもよい。
【0092】
本発明は、RsGluCl遺伝子を含むベクター、そのベクターを含む宿主細胞、およびRsGluCl遺伝子を宿主細胞に導入する段階、およびRsGluClの生成に適当な条件下で宿主細胞を培養する段階を含む実質的に純粋なRsGluClタンパク質を生産する方法も含んでいる。このようにして生産したRsGluClを従来の方法で宿主細胞から獲得してもよい。したがって、本発明は、RsGluClタンパク質および本明細書で開示する生物学的同等物を発現する方法、これらの遺伝子産物を用いる試験、これらのタンパク質を発現するDNA構築体を含む組換え宿主細胞、およびこれらの試験により、RsGluCl活性の作動薬や拮抗薬として作用することが確認された化合物にも関する。
【0093】
前記の方法で得たクローニングしたRsGluCl cDNAを、適当なプロモーターおよび他の転写調節因子を含む(pcDNA3.neo、pcDNA3.1、pCR2.1、pBlueBacHis2またはpLITMUS28、ならびに以下に列挙する他の例等の)発現ベクター中への分子クローニングによって組換えで発現させ、かつ原核または真核宿主細胞中に導入することによって、組換えRsGluClを産生させてもよい。本明細書では、発現ベクターを、適当な宿主細胞において、クローニングしたDNAを転写し、そのmRNAを翻訳するのに必要なDNA配列と定義する。このようなベクターの使用によって、細菌、藍藻、植物細胞、昆虫細胞、動物細胞等の様々な宿主細胞中に真核細胞DNAを発現することができる。適切に構築されたベクターは、細菌−酵母、細菌−動物細胞等の宿主間でのDNAの往復移動を可能にする。適切に構築した発現ベクターは、宿主細胞中における自己複製用複製源、選択可能なマーカー、限定数の有用な制限酵素部位、高コピー数能力、および活性なプロモーターを含むはずである。プロモーターは、RNAポリメラーゼがDNAに結合し、RNA合成を開始するように指示するDNA配列と定義される。強力なプロモーターは、高い頻度でmRNAを開始させるものである。最適量のRsGluClを産生するRsGluCl cDNA配列を決定するために、以下を含むが、それらに限らずcDNA分子を構築することができる:RsGluClに対する完全長読み取り枠を含むcDNA断片、ならびにそのタンパク質の特異的ドメインまたはそのタンパク質の再配列ドメインだけをコードするcDNA部分を含む様々な構築体。RsGluCl cDNAの5’および/または3’非翻訳領域を全く含まないか、その全部または一部を含むように、全ての構築体を設計することができる。これらの構築体を適当な宿主細胞中に単独および組合せて導入した後、RsGluClの発現量および活性を決定することができる。一過性発現において最適な結果が得られるようにRsGluCl cDNAカセットを決定し、このRsGluCl cDNA構築体を、哺乳類細胞、植物細胞、昆虫細胞、卵母細胞、細菌、および酵母細胞用のものを含むが、それらに限定されない(組換えウィルスを含む)様々な発現ベクターに導入する。このような操作の技法は前記のSambrook等に記載されており、それらは当業者に周知で利用可能である。したがって、本発明の他の態様は、RsGluClをコードするDNA配列を含み、かつ/または発現するように処理された宿主細胞を含む。組換え宿主細胞中にRsGluClを発現させるために、RsGluCl様タンパク質をコードするDNAを含んだ発現ベクターを使用してもよい。RsGluClまたは生物学的等価体を産生するために、該組換え宿主細胞を適当な条件下で培養できる。発現ベクターは、クローニングベクター、修飾クローニングベクター、適切に構築されたプラスミドまたはウィルスを含むが、それらに限定されない。組換えRsGluClの発現に適当な市販の哺乳細胞用発現ベクターは、pcDNA3.neo(Invitrogen)、pcDNA3.1(Invitrogen)、pCI−neo(Promega)、pLITMUS28、pLITMUS29、pLITMUS38およびpLITMUS39(New England Bioloabs)、pcDNAI、pcDNAIamp(Invitrogen)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pXT1(Stratagene)、pSG5(Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC37593)、pBPV−1(8〜2)(ATCC37110)、pdBPV−MMTneo(342〜12)(ATCC37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pSV2−dhfr(ATCC37146)、pUCTag(ATCC37460)、およびlZD35(ATCC37565)を含むが、それらに限定されない。また、細菌細胞中に組換えRsGluClを発現させるために、様々な細菌用発現ベクターを用いてもよい。組換えRsGluClの発現に適当な市販の細菌用発現ベクターは、pCR2.1(Invitrogen)、pET11a(Novagen)、lambda gt11(Invitrogen)、およびpKK223−3(Pharmacia)を含むが、それらに限定されない。その上、菌類細胞中に組換えRsGluClを発現させるために、様々な菌類細胞用発現ベクターを用いてもよい。組換えRsGluClの発現に適当な市販の菌類細胞用発現ベクターは、pYES2(Invitrogen)およびPichia発現ベクター(Invitrogen)を含むが、それらに限定されない。また、昆虫細胞中に組換えタンパク質を発現させるために、様々な昆虫細胞用発現ベクターを用いてもよい。組換えRsGluClの組換え発現に適当な市販の昆虫細胞用発現ベクターは、pBlueBacIIIおよびpBlueBacHis2(Invitrogen)、およびpAcG2T(Pharmingen)を含むが、それらに限定されない。
【0094】
組換え宿主細胞は、E.coli等の細菌、酵母等の菌類細胞、ウシ、ブタ、サルおよび齧歯類起源の細胞系を含むが、それらに限らず哺乳類細胞、およびR.sanguineusや蚕由来の細胞系を含み、それらに限らず昆虫細胞を含み、それらに限らず原核または真核細胞であってもよい。例えば、昆虫の一発現系は、バキュロウィルス発現ベクター(pAcG2T、Pharmingen)と共に、Spodoptera frugiperda(Sf21)昆虫細胞(Invitrogen)を利用する。また、適当な市販の哺乳細胞種は、L細胞L−M(TK−)(ATCC CCL1.3)、L細胞L−M(ATCC CCL1.2)、Saos−2(ATCC HTB−85)、293(ATCC CRL1573)、Raji(ATCC CCL86)、CV−1(ATCC CCL70)、COS−1(ATCC CRL1650)、COS−7(ATCC CRL1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL92)、NIH/3T3(ATCC CRL1658)、HeLa(ATCC CCL2)、C127I(ATCC CRL1616)、BS−C−1(ATCC CCL26)、MRC−5(ATCC CCL171)およびCPAE(ATCC CCL209)を含むが、それらに限定されない。
【0095】
RsGluClに対して親和性を示す化合物の結合特異性は、クローニングした受容体を発現する組換え細胞、または機能性で単一のホモ多量体またはヘテロ多量体膜チャネルを形成するこれらの細胞由来の膜に対する、その化合物の親和性を測定することによって示される。クローニングした受容体の発現、およびRsGluClに結合するか、またはRsGluClの既知の放射能標識リガンドのこれらの細胞やこれらの細胞由来の膜への結合を阻害する化合物のスクリーニングによって、RsGluClに対して高い親和性を有する化合物を迅速に選択する効果的な方法が提供される。このようなリガンドは、必ずしも放射能標識する必要はなく、結合している放射能標識化合物に置換させるために使用し得るか、機能性試験で活性化剤として使用し得る非同位体性化合物であってもよい。前記方法によって確認される化合物は、RsGluClの作動薬か拮抗薬であると思われ、ペプチド、タンパク質、または非タンパク質性の有機または無機分子であるかもしれない。
【0096】
RsGluClチャネル活性のモジュレーターをスクリーニングする好ましい一態様は、リガンド依存性チャネル活性(GluClチャネル活性など)を測定する電気生理学の試験であって、本発明のDNAやRNA分子をアフリカツメガエル(Xenopus laevis)卵母細胞中に注入することを含む試験に用いる発現系である。イオンチャネル活性の研究にアフリカツメガエル卵母細胞を使用することは、当業界で公知である(Dascal、1987、Crit.Rev.Biochem.22:317〜317;Lester、1988、Science 241:1057〜1063;また、Methods of Enzymology、Vol.207、1992、Ch.14〜25、Rudy and Iverson、ed.、Academic Press,Inc.、New York)。アフリカツメガエル卵母細胞には、リガンド依存性チャネルをコードするDNA、mRNA、またはcRNAを含むが、それらに限定されずに核酸分子を注入し、その後でチャネル活性ならびにチャネルの様々なモジュレーターに対する反応を測定することができる。
【0097】
したがって、本発明は、RsGluClタンパク質をコードするDNAまたはRNAの発現を調節する化合物、ならびにRsGluClタンパク質の機能を変化させる化合物をスクリーニングする方法を対象とする。他の受容体の作動薬および拮抗薬を確認する方法は、当業界で周知であり、それらをRsGluClチャネルの作動薬および拮抗薬を確認するように適合させることができる。例えば、Cascieri等(1992、Molec.Pharmacol.41:1096〜1099)は、ラットのニューロキニン受容体に結合する作動薬を阻害し、したがってニューロキニン受容体の作動薬または拮抗薬となり得る物質を確認する方法を記載している。その方法は、COS細胞にラットのニューロキニン受容体を含む発現ベクターをトランスフェクトし、ニューロキニン受容体の発現を可能とするに十分な期間、トランスフェクトした該細胞を培養し、トランスフェクトしたその細胞を回収し、ニューロキニン受容体の既知の放射活性標識作動薬を含む試験緩衝液中に、その物質の存在下または不在下のいずれかでその細胞を再懸濁し、次いでニューロキニン受容体の既知の放射活性標識作動薬のニューロキニン受容体への結合を測定する。既知の作動薬の結合量がその物質の不在下より存在下で少ない場合、その物質はニューロキニン受容体のリガンドとなり得る。作動薬、拮抗薬等のその物質のRsGluClへの結合を測定する場合、標識リガンドを用いることによって、このような結合を測定することができる。当業界で公知の任意の適切な方法、例えば、放射活性、蛍光、酵素によって、リガンドを標識することができる。
【0098】
したがって、本発明は、RsGluClタンパク質をコードするDNAまたはRNAの発現を調節する化合物をスクリーニングする方法を対象とする。これらの活性を調節する化合物は、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、あるいは非タンパク質性の有機または無機分子であるかもしれない。化合物は、RsGluClをコードするDNAまたはRNAの発現、あるいはRsGluCl系チャネルの機能を増強または減弱させることによって、調節すると思われる。RsGluClをコードするDNAまたはRNAの発現、あるいはその生物学的機能を調節する化合物は、様々な試験によって検出し得る。その試験は、発現や機能の変化があるか否かを決定する単純な「肯定/否定」試験であってもよい。試験試料の発現や機能を標準試料の発現や機能のレベルと比較することによって、その試験を定量化してもよい。RsGluCl、RsGluClに対する抗体、または修飾RsGluClを含むキットを、これらの用途として公知の方法で調製してもよい。
【0099】
この目的のために、本発明は、RsGluCl受容体活性を調節する物質を同定する方法に部分的に関するものであって、その方法では、
(a)配列番号:2,6および/または8に示すアミノ酸配列を含むRsGluCl受容体タンパク質の存在下、および不在下で試験物質を添加し、かつ
(b)RsGluCl受容体タンパク質または各機能性チャネルの存在下および不在下で、その試験物質の作用を測定し、比較すること
が必要である。
【0100】
その上、RsGluCl受容体タンパク質の発現を指示する発現ベクターと共に当業者に利用可能な、多様なスクリーニングまたは選択試験の幾つかの特定の実施形態を本明細書に開示している。他の受容体のリガンドの同定方法は当業界で周知であり、それらをRsGluClのリガンドに適合させることができる。したがって、これらの実施形態を例として提示するが、制限するためのものではない。このために、本発明は、(作動薬、拮抗薬等の)RsGluClモジュレーターを同定し得る試験を含む。したがって、本発明は、ある物質がRsGluClの作動薬または拮抗薬となり得るか否かを決定する方法であって、
(a)細胞中においてRsGluClの発現を指示する発現ベクターで、その細胞をトランスフェクトまたは形質転換することによって、試験細胞を作製すること、
(b)RsGluClの発現を可能にするのに十分な時間の間、かつ機能性チャネルが作出するように、その試験細胞を培養させること、
(c)その物質の存在下、および不在下で、その細胞をRsGluClの標識リガンドに曝すこと、
(d)その標識リガンドのRsGluClチャネルへの結合量を測定することを含み、その標識リガンドの結合量がその物質の不在下より存在下で少ない場合、その物質がRsGluClのリガンドとなり得る方法を含む。
【0101】
この方法の段階(c)を実施する条件は、タンパク質−リガンド相互作用を調べるために当業界で通常使用する条件:例えば、生理的pH;PBS等の通常用いられる緩衝液で代表され、または組織培養培地中のような塩条件;約4℃から約55℃の温度である。その試験細胞を収穫し、その物質およびその標識リガンドの存在下で再懸濁してもよい。前記方法の一変法としては、その細胞を収穫し、再懸濁するのではなく、細胞を基材、例えば組織培養皿に付着させた状態で、細胞に公知の放射能標識作動薬およびその物質を接触させるように、段階(c)を改良する。
【0102】
また、本発明は、ある物質がRsGluClと結合することができるか否か、即ちその物質がRsGluClチャネル活性化のモジュレーターとなり得るか否かを決定する方法であって、
(a)細胞中においてRsGluClの発現を指示する発現ベクターで、その細胞をトランスフェクトまたは形質転換することによって、試験細胞を作製すること、
(b)その試験細胞をその物質に曝すこと、
(c)その物質のRsGluClへの結合量を測定すること、
(d)その試験細胞におけるその物質のRsGluClへの結合量を、RsGluClでトランスフェクトされていない対照細胞へのその物質の結合量と比較すること
を含み、その物質の結合量が、対照細胞と比較して試験細胞中で大きい場合、その物質はRsGluClに結合することができるとする方法も含む。次いで、その物質が実際に作動薬または拮抗薬であるか否かを、本明細書に記載の電気生理学的試験等の機能性試験で決定することができる。
【0103】
この方法の段階(b)を実施する条件は、タンパク質−リガンド相互作用を調べるために当業界で通常使用する条件:例えば、生理的pH;PBS等の通常用いられる緩衝液で代表されるか、または組織培養培地中のような塩条件;約4℃から約55℃の温度である。その試験細胞を回収し、その物質の存在下で再懸濁する。
【0104】
前記試験は機能性試験であってよく、その場合、電気生理学的試験(例えば、実施例2を参照されたい)をトランスフェクトした哺乳類細胞系、昆虫細胞系、またはアフリカツメガエル卵母細胞中で行うことによって、試験化合物が(グルタミン酸等の)既知リガンドのチャネル活性化能力に及ぼす様々な効果を測定するか、あるいは、本質的に活性を調節する(知られているGluClチャネルに対するイベルメクチンの作用に類似した)試験化合物を探索してもよい。したがって、当業者であれば、本発明の機能性GluClチャネルを結合および/または活性化する化合物を選択する一次および二次スクリーニング用の公知の技法に、本発明のcDNAクローンを適用できる。
【0105】
RsGluClチャネルタンパク質のモジュレーターを同定する好ましい方法は、第一に、配列番号:2、4、6および8から成る群から選択されるR.sanguineus RsGluClチャネルタンパク質と、試験化合物を接触させること、および第二に、その試験化合物のRsGluClチャネルタンパク質に対する作用を測定することを含む。好ましい一態様は、組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物であるR.sanguineus RsGluClタンパク質を用いることである。
【0106】
RsGluClグルタミン酸依存性チャネルタンパク質の活性を調節する化合物を同定する他の好ましい方法は、第一に、少なくともその一部が配列番号:2、4、6および8から成る群から選択されるR.sanguineus GluClチャネルタンパク質をコードする、核酸分子群を宿主細胞内に注入することによって、核酸分子の前記部分の発現により、活性なリガンド依存性チャネルを生じること、第二に、試験化合物の存在下、および不在下で宿主細胞膜電流を測定することを含む。相補的DNA、ポリA+メッセンジャーRNAおよび相補的RNAを含むが、それらに限らず多数の鋳型を使用してもよい。
【0107】
RsGluClの量をスクリーニングし、測定するために、本発明のDNA分子、RNA分子、組換えタンパク質および抗体を使用してもよい。組換えタンパク質、DNA分子、RNA分子および抗体は、RsGluClの検出およびタイピングに適したキットの処方に有用である。このようなキットは、少なくとも1個の容器を緊密に閉じ込めるのに適した仕切り付き運搬具を含むと思われる。更に、その運搬具は、組換えRsGluClまたはRsGluClの検出に適した抗RsGluCl抗体のような試薬を含むと思われる。また、その運搬具は、標識抗原または酵素基質等のような検出手段を含み得る。
【0108】
本明細書に記載の試験は、RsGluClで一過性または安定にトランスフェクトした細胞を用いて実行することができる。発現ベクターは、形質転換、トランスフェクション、プロトプラスト融合、およびエレクトロポレーションを含むが、それらに限らず多数の技術の任意の一法を介して、宿主細胞中に導入してもよい。トランスフェクションとは、試験細胞中にRsGluClを導入するための、当業界で公知の任意の方法を含むことを意味している。例えば、トランスフェクションは、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムトランスフェクション、リポフェクション、RsGluClを含んだレトロウィルス構築体による感染、およびエレクトロポレーションを含む。発現ベクター含有細胞は、RsGluClタンパク質を産生するか否かを決定するために、個別に分析する。RsGluCl発現細胞の同定は、抗RsGluCl抗体を用いた免疫反応性、標識リガンド結合、または機能的な非内因性RsGluCl活性を含むが、それらに限らず幾つかの手段によってなし得る。
【0109】
RsGluClに対する親和性を示す化合物の結合特異性は、クローニングした受容体を発現する組換え細胞、またはこれらの細胞由来の膜に対するその化合物の親和性を測定することによって示される。クローニングした受容体の発現、およびRsGluClに結合するか、またはRsGluClの知られているリガンドのこれら細胞やこれら細胞から調製した膜への結合を阻害する化合物のスクリーニングは、RsGluClに対する高い親和性を有する化合物を迅速に選択する効果的な方法を提供する。このようなリガンドは、必ずしも放射能標識する必要はなく、結合中の放射活性、蛍光、または酵素で標識した化合物に置換させるために使用し得るか、あるいは機能性試験で活性化剤として使用し得る非同位体性化合物であってもよい。前記方法によって確認される化合物は、RsGluClの作動薬か拮抗薬であると思われる。
【0110】
したがって、RsGluClに対する親和性を示す化合物の結合特異性は、クローニングした受容体を発現する組換え細胞、またはこれらの細胞由来の膜に対するその化合物の親和性を測定することによって示される。クローニングした受容体の発現、およびRsGluClに結合するか、またはRsGluClの(グルタミン酸、イベルメクチン、ノジューリスポア酸等の)知られている放射能標識リガンドのこれら細胞やこれら細胞から調製した膜への結合を阻害する化合物のスクリーニングは、RsGluClに対する高い親和性を有する化合物を迅速に選択する効果的な方法を提供する。このようなリガンドは、必ずしも放射能標識する必要はなく、結合中の放射活性、蛍光、または酵素で標識した化合物に置換させるために使用し得るか、あるいは機能性試験で活性化剤として使用し得る非同位体性化合物であってもよい。前記方法によって確認される化合物は、やはりRsGluClの作動薬か拮抗薬であると思われる。本明細書の他の箇所に記述したように、化合物は、RsGluClをコードするDNAまたはRNAの発現を増加または減少させることによって、あるいはRsGluCl受容体タンパク質の作動薬または拮抗薬として作用することによって調節すると思われる。RsGluClをコードするDNAまたはRNAの発現、あるいはその生物学的機能を調節するこれらの化合物は、やはり、様々な試験によって検出し得る。その試験は、発現や機能の変化があるか否かを決定する単純な「肯定/否定」試験であってもよい。試験試料の発現や機能を標準試料の発現や機能のレベルと比較することによって、その試験を定量化してもよい。
【0111】
RsGluCl1および/または2依存性塩素イオンチャネルの機能性試験は、チャネルの全体または一部がRsGluClチャネルで構成される場合の1種または複数のリガンド依存性塩素イオンチャネル活性を測定する。RsGluClチャネル活性は、本明細書に記載のチャネルを単独で使用して測定することができる。あるいは、サブユニットとして、リガンド依存性塩素イオンチャネルの1種または複数の追加のサブユニット(好ましくは1種または複数のRsGluCl)であって、一緒になって機能的なチャネル活性をもたらすサブユニットを併用して、その活性を測定することができる。RsGluCl依存性塩素イオンチャネル活性を測定する試験は、36Clを用いる機能性スクリーニング、パッチクランプによる電気生理学的試験を用いる機能性スクリーニングおよび蛍光色素を用いる機能性スクリーニングを含む。このような試験一般を行う技術は、当業界で良く知られている。(例えば、Smith et al.、1998、European Journal of Pharmacology 159:261〜269;Gonzalez and Tsien、1997、Chemistry & Biology 4:269〜277;Millar et al.、1994、Proc.R.Soc.Lond.B.258:307〜314;Rauh et al.、1990 TiPS 11:325〜329およびTsien等、米国特許第5661035号を参照されたい)。機能性試験は、個々の化合物または異なる化合物を含んだ調製物を用いて行うことができる。異なる化合物を含み、1種または複数の化合物がRsGluClチャネル活性に影響する調製物は、RsGluClチャネル活性に影響する化合物を確認するための、より小規模の化合物群の中に分類することができる。本発明の一実施形態では、少なくとも10種の化合物を含む試験調製物が、機能性試験において使用される。組換えで産生し、様々な環境中に存在するRsGluClチャネルを、機能性試験において使用することができる。適当な環境は、RsGluClチャネルを含んだ生細胞および精製細胞抽出物、および活性に適した膜と、更に、RsGluClチャネル活性の測定に適した異なる環境中に導入される組換え手段によって産生される精製RsGluClチャネルの使用を含む。チャネルにおいて活性となっている化合物を試験し、かつチャネルの異なる領域に関する情報を得るために、RsGluCl誘導体を使用することができる。例えば、生来のチャネル中の各アミノ酸領域が修飾されたRsGluCl誘導体を産生することができ、その修飾されたチャネル活性に対する効果を測定することによって、異なる領域に関する情報を得ることができる。
【0112】
RsGluCl DNAの発現を、in vitroで生成した合成mRNAを用いて行ってもよい。合成mRNAは、小麦の麦芽抽出物および網状赤血球抽出物を含むが、それらに限らず様々な無細胞系において有効に翻訳できるだけでなく、カエル卵母細胞中へのマイクロインジェクションを含み、それに限らず細胞に基く系においても有効に翻訳することができるが、後者の場合、カエル卵母細胞中へのマイクロインジェクションが好ましい。
【0113】
宿主細胞中でのRsGluClの発現後、RsGluClタンパク質の回収によって活性体のRsGluClタンパク質を提供してもよい。RsGluClタンパク質についての幾つかの精製手順が利用でき、使用に適している。塩分画、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィおよび疎水性相互作用クロマトグラフィの様々な組合せや個々の適用によって、組換えRsGluClタンパク質を細胞溶解物および抽出物から精製してもよい。その上、完全長RsGluClタンパク質、またはRsGluClタンパク質のポリペプチド断片に特異的なモノクローナル抗体やポリクローナル抗体で作製したイムノ親和性カラムを用いて、組換えRsGluClタンパク質を他の細胞タンパク質から分離することができる。
【0114】
in vitroで生成した合成mRNAを用いてRsGluCl DNAの発現を、行ってもよい。合成mRNAは、小麦の麦芽抽出物および網状赤血球抽出物を含むが、それらに限らず様々な無細胞系において有効に翻訳できるだけでなく、カエル卵母細胞中へのマイクロインジェクションを含み、それに限らず細胞に基く系においても有効に翻訳することができるが、後者の場合、カエル卵母細胞中へのマイクロインジェクションが好ましい。
【0115】
宿主細胞中でのRsGluClの発現後、RsGluClタンパク質の回収によって活性体RsGluClタンパク質を提供してもよい。RsGluClタンパク質の幾つかの精製手順が利用でき、使用に適している。塩分画、イオン交換クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィおよび疎水性相互作用クロマトグラフィの様々な組合せや個々の適用によって、組換えRsGluClタンパク質を細胞溶解物および抽出物から精製してもよい。その上、完全長RsGluClタンパク質、またはRsGluClタンパク質のポリペプチド断片に特異的なモノクローナル抗体やポリクローナル抗体で作製したイムノ親和性カラムを用いて、組換えRsGluClタンパク質を他の細胞タンパク質から分離することができる。
【0116】
RsGluCl1またはRsGluCl2、あるいは配列番号2、4、6および/または8に開示したRsGluCl1またはRsGluCl2の一部に由来する(普通、長さが約9個から約25個のアミノ酸の)合成ペプチドに対する、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を産生してもよい。RsGluClに対する単一特異性抗体は、RsGluClに対して反応性の抗体を含む哺乳動物抗血清から精製されるか、またはKohlerおよびMilstein(1975、Nature 256:495〜497)の技法を用いて、RsGluClと反応性のモノクローナル抗体として調製される。本明細書で使用する単一特異性抗体とは、RsGluClに対する均一結合特性を有する単一の抗体種または多数の抗体種と定義する。本明細書で使用する均一結合は、その抗体種が、前記のRsGluClと結合する種のように、特異的な抗原やエピトープとの結合能を指す。ヒトのRsGluCl特異的抗体は、免疫アジュバントと共に、またはそれなしに、RsGluClタンパク質、またはRsGluClの一部分から作出した合成ペプチドの適当な濃度で、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ウマ等の動物を免疫することによって産生する。
【0117】
一次免疫の前に、免疫前血清を回収する。許容し得る免疫アジュバントと共に、RsGluClタンパク質を約0.1mgから約1000mg各動物に投与する。このような許容し得るアジュバントは、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、ミョウバン沈降物、Corynebacterium parvumを含む油中水乳濁液およびtRNAを含むが、それらに限定されない。初回免疫は、皮下(SC)、腹腔内(IP)またはその両径路による多部位における、好ましくはフロイントの完全アジュバント中のRsGluClタンパク質またはそのペプチド断片から成る。各動物から一定の間隔、好ましくは毎週採血することによって、抗体価を決定する。動物には、初回免疫後、追加免疫注射を行ってもよく行わなくてもよい。追加免疫注射を受けるそれらの動物には、一般に、フロイントの不完全アジュバント中の等量のRsGluClを同じ径路によって与えられる。最大の力価が得られるまで、約3週間隔で追加免疫注射を与える。各追加免疫から約7日後、または単回免疫から約1週後に、各動物から採血し、血清を収集し、その各分量を約−20℃で保存する。
【0118】
RsGluClと反応性のモノクローナル抗体(mAb)は、同系交配のマウス、好ましくはBalb/cをRsGluClタンパク質で免疫することによって調製される。約0.5mlの緩衝液または塩水を、前記のような同量の許容し得るアジュバント中に導入し、その中のRsGluClタンパク質約1mgから約100mg、好ましくは約10mgでIPまたはSC径路によりマウスを免疫する。フロイントの完全アジュバントが好ましい。初回免疫を0日にマウスに与え、約3週から約30週の間休息させる。免疫マウスに、リン酸緩衝塩水等の緩衝液中、RsGluCl約1mgから約100mgの追加免疫を1回または複数回、静脈内(IV)径路により与える。抗体陽性のマウスのリンパ球、好ましくは脾臓リンパ球は、当業者に公知の標準的手順で、免疫マウスから脾臓を除去することによって得られる。ハイブリドーマ細胞は、脾臓リンパ球を適当な融合相手の細胞、好ましくは骨髄腫細胞と、安定なハイブリドーマの形成を可能にすると思われる条件下で混合することによって産生される。融合相手の細胞は、各マウス骨髄腫P3/NS1/Ag4−1、MPC−11、S−194およびSp2/0を含んでもよいが、それらに限らず、好ましくはSp2/0である。抗体産生細胞および骨髄腫細胞を、分子量約1000、濃度約30%から約50%のポリエチレングリコール中で融合する。融合ハイブリドーマ細胞は、ヒポキサンチン、チミジンおよびアミノプテリン添加ダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)での増殖によって、当業者に公知の手順により選択される。上清液を約14、18および21日に増殖陽性ウェルから収集し、抗原としてRsGluClを用いて、固相イムノラジオアッセイ(SPIRA)等のイムノアッセイにより抗体産生をスクリーニングする。培養液もオクタロニー沈降検定で試験することによって、そのmAbのアイソタイプを決定する。抗体陽性ウェルから得たハイブリドーマ細胞を、MacPherson、1973、Soft Agar Techniques、in Tissue Culture Methods and Applications、Kruse and Paterson、Eds.、Academic Pressの軟寒天法等の技法によってクローニングした。
【0119】
モノクローナル抗体は、元の感作Balb/cマウスに、感作後約4日に約2×106から約6×106のハイブリドーマ細胞を1匹当たり約0.5mlで注入することによって、in vivoで産生される。細胞導入後約8〜12日に腹水を収集し、モノクローナル抗体を当業界で公知の技法で精製する。
【0120】
抗RsGluCl mAbのin vitroでの産生は、十分な量の特異的mAbを得るために、約2%のウシ胎児血清を含むDMEM中でハイブリドーマを増殖させることによって行われる。そのmAbを当業界で公知の技法で精製する。
【0121】
腹水またはハイブリドーマ培養液の抗体価は、沈降、受動凝集、酵素連結イムノソルベント抗体(ELISA)法およびラジオイムノアッセイ(RIA)法を含むが、それらに限らず様々な血清学的または免疫学的試験によって同定される。体液または組織および細胞抽出液中のRsGluClの存在を検出するために、同様の試験を用いる。
【0122】
RsGluClペプチド断片、または各完全長RsGluClに対する特異抗体を産生するために、単一特異性抗体を産生する前記方法を利用し得ることは、当業者には容易に理解できる。
【0123】
RsGluCl抗体親和性カラムを、例えば、抗体がアガロースゲルビーズ支持体と共有結合を形成するように、N−ヒドロキシスクシニミドエステルで予備活性化したゲル支持体のAffigel−10(Biorad)にその抗体を添加することによって作製する。次いで、スペーサーアームを有するアミド結合を介して、抗体をゲルに連結する。次いで、残っている活性化エステルを1M エタノールアミンHCl(pH8)で消失させる。そのカラムを水、次いで0.23M グリシンHCl(pH2.6)で洗浄することによって、非複合抗体や異物タンパク質を除去する。次いで、カラムをリン酸緩衝塩水(pH7.3)中で平衡化し、完全長RsGluClまたはRsGluClタンパク質断片を含む細胞培養液上清または細胞抽出液を、ゆっくりとカラム中に通過させる。次いで、光学密度(A280)がバックグランド値に下がるまで、カラムをリン酸緩衝塩水で洗浄し、次にタンパク質を0.23M グリシンHCl(pH2.6)で溶出する。次いで、精製RsGluClをリン酸緩衝塩水に対して透析する。
【0124】
また、本発明は、in vitroでの培養に細胞を提供することによって、RsGluClまたは機能性RsGluClの任意の代替チャネルのモジュレーターとして、in vivoで作用する様々な化合物の能力を調べるために有用な、ヒト以外のトランスジェニック動物にも関する。本発明のトランスジェニック動物に言及するに当たって、導入遺伝子および遺伝子に言及する。本明細書で使用する場合、導入遺伝子とは遺伝子を含んだ遺伝的構築体である。導入遺伝子は、当業界で公知の方法によって、動物の細胞中の1個または複数の染色体の中に組込まれる。一旦組込まれると、導入遺伝子は、トランスジェニック動物の各染色体中の少なくとも一ヵ所で担持される。当然ながら、遺伝子は、本明細書に記載のcDNAクローンの1種または組合せのように、タンパク質をコードするヌクレオチド配列である。遺伝子および/または導入遺伝子も、当業界で公知の遺伝調節因子および/または構造因子を含み得る。遺伝子導入のための標的細胞型は、胚性幹細胞(ES)である。in vitroで培養した着床前の胚からES細胞を得ることができ、それを胚と融合することができる(Evans et al.、1981、Nature 292:154〜156;Bradley et al.、1984、Nature 309:255〜258;Gossler et al.、1986、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:9065〜9069;およびRobertson et al.、1986、Nature 322:445〜448)。DNAトランスフェクション、マイクロインジェクション等の多様な標準的技法、またはレトロウィルスによる形質導入によって、導入遺伝子をES細胞中に効果的に導入することができる。次いで、生成した形質転換ES細胞をヒト以外の動物由来の胚盤胞と結合することができる。次いで、導入ES細胞はその胚にコロニーを形成し、生成するキメラ動物の胚系に寄与する(Jaenisch、1988、Science 240:1468〜1474)。土壌線虫GluClサブユニットの一方または両方をノックアウトされた土壌線虫突然変異体において、野生型土壌線虫のGluClバックグランド中にRsGluCl導入遺伝子をも発現するトランスジェニックまたはノックアウト無脊椎動物(例えば、土壌線虫)を作製することも、当該技術者の範囲内にあると思われる。
【0125】
薬剤として許容し得る担体の混合物のような知られている方法により、RsGluClのモジュレーターを含む薬剤として有用な組成物を処方し得る。このような担体の例および処方の方法を、Remington’s Pharmaceutical Sciences中に見出し得る。有効投与に適した、薬剤として許容し得る組成物を形成するために、このような組成物は、有効量のタンパク質、DNA、RNA、修飾RsGluCl、あるいは、チロシンキナーゼ活性化剤または阻害剤を含むRsGluCl作動薬または拮抗薬のいずれかを含むと思われる。
【0126】
本発明の治療または診断用組成物は、障害の治療または診断に十分量で個体に投与される。有効量は、個体の状態、体重、性別、年齢等の様々な要因に応じて変化し得る。他の要因には投与方式が含まれる。
【0127】
その薬剤組成物を、皮下、局所、経口、筋肉内等の多様な径路によって個体に供してよい。
【0128】
「化学的誘導体」という用語は、普通は基本分子の一部でない追加の化学的部分を含んだ分子を指す。このような部分は、基本分子の溶解性、半減期、吸収等を改良し得る。あるいは、その部分が、基本分子の好ましくない副作用を弱めるか、または基本分子の毒性を減少させるかもしれない。このような部分の例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences等の様々なテキスト中に記載されている。
【0129】
本明細書に開示した方法に従って確認した化合物は、単独で適当な投与量で使用してもよい。あるいは、他の剤の同時投与または逐次投与が望ましいかもしれない。
【0130】
本発明は、本発明の新規な治療法に使用する適当な局所用、経口用、全身用および非経口用薬剤処方を提供する目的も有している。本明細書に従って確認した化合物を活性成分として含む組成物は、従来の投与用媒体中の非常に多様な治療剤形で投与することができる。例えば、錠剤、カプセル剤(適時放出および持続的放出処方を各々含む)、丸剤、散在、顆粒剤、エリキシール剤、チンキ剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、乳剤等の経口剤形で、または注射によって、それらの化合物を投与することができる。同様に、静脈内(ボーラスでも輸液でも)、腹腔内、皮下、閉塞を伴っているか、または伴っていない局所、または筋肉内の剤形で、全て製剤技術者によく知られた剤形を用いて、それらを投与することもできる。
【0131】
本発明の化合物を1日1回の用量で投与するか、または1日の全投薬量を1日2回、3回または4回の分割用量で投与するのが有利であるかもしれない。更にまた、適当な鼻腔内媒体の局所使用を介して鼻腔内剤形で、または、当業界の技術者によく知られた経皮性皮膚パッチの形態を用いて経皮径路で、本発明の化合物を投与することができる。経皮送達系の形態で投与するためには、投薬プログラムを通して、投薬は当然間欠的ではなく連続的になると思われる。
【0132】
投薬が別々に処方されている複数の活性剤を用いる併用療法に対しては、各活性剤を同時に投与するか、または時間をずらしてそれらを投与することができる。
【0133】
本発明の化合物を利用する投薬プログラムは、患者の型、種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療すべき状態の重度;投与径路;患者の腎、肝および心血管機能;および使用する特定の化合物を含む様々な要因に応じて選択される。平均的技量の医師または獣医であれば、病状の進行を防止、阻止または抑止するのに必要な有効量の薬物を容易に決定し、処方することができる。毒性なしに効力を示す範囲内に、薬物濃度を最適な精度で実現するためには、標的部位に対するその薬物のアベイラビリティーの動態学に基く投薬プログラムが必要である。これには、薬物の分布、平衡、および消失に関する考察が必要である。
【0134】
以下の実施例を、本発明を例示するために提供するが、制限するために提供するものではない。
【0135】
実施例1
RsGluClおよびRsGluCl2をコードするDNA分子の分離および特定
大部分の分子手順を、Ausubel等(1992.Short protocols in molecular biology.F.M.Ausubel et al.、−2nd.ed.(John Wiley & Sons)、およびSambrook等(1989.Molecular cloning.A laboratory manual.J.Sambrook、E.F.Fritsch、and T.Maniatis−2nd ed.(Cold Spring Haror Laboratory Press)等の参考文献で入手できる標準的手順に従って行った。
【0136】
RsGluCl1:Poly(A)Pure(商標)mRNA分離キット(Ambion)を用いて成虫褐色イヌダニのポリA+RNAを分離した。ダニcDNAは、オリゴ−dTプライマーおよびZAP cDNA(登録商標)合成キット(Stratagene)を用いて合成し、cDNAサイズ分画カラム(BRL)を用いて>1kbのcDNAを選択した。ダニcDNAライブラリは、GIGAPACK(登録商標)IIIゴールドクローニングキット(Stratagene)を用いてLambda ZAP(登録商標)IIベクター中に構築した。M1からM3領域にまたがるDrosophila GluCl cDNA断片を、ダニcDNAライブラリの低ストリンジェントな検索[42℃において、25%v/vホルムアミド/5×SSCP(1×SSCP=120mM NaCl/15mMクエン酸ナトリウム/20mM リン酸ナトリウム、pH6.8)/0.1% SDS/10×デンハルト溶液/サケ精子DNA(250μg/ml);42℃において、0.2×SSC/0.1%SDSで洗浄]に使用した。そのプローブのヌクレオチド配列は次のとおりである。
【0137】
【化6】
【0138】
フィルタを11日間暴露し、6個の陽性部を配列分析のために分離した。クローン中の3種(T12、T82およびT32)がGluCl関連のタンパク質をコードし、これらの配列を両鎖について決定した。
【0139】
RsGluCl2:ポリ(A)+RNAを褐色イヌダニの頭部から分離した。第一鎖cDNAは、SUPERSCRIPT予備増幅系(Life Technologies)を用いて50ng RNAから合成した。第一鎖反応の十分の一量をPCRに用いた。利用した縮重オリゴを、土壌線虫、ショウジョウバエ、およびノミのGluClから得た配列に基いて設計した。
【0140】
【化7】
【0141】
「27F2+3AF1の後、27F2+3BF2」の組合せを用いた2回のPCRを行った。そのサイクルは次のとおりであった:1×(95℃、120秒間)、次いで30×(95℃、45秒間;50℃、90秒間;および72℃、120秒間)、次いで1×(72℃、120秒間)。各試薬はLife Technology Inc.から入手した。そのオリゴヌクレオチドの濃度は5μMであった。PCR反応生成物の十分の一量をサザンブロット分析で試験することによって、汚染配列のPCRクローニングを同定し、防止した。適当な大きさの新規なPCR産物を、「TA」クローニングキット(Invitrogen,Inc.)を用いてPCR2.1プラスミドベクター中にクローニングした。配列分析(ABI Prism、PE Applied Biosystems)の後、選択したPCRクローンインサートを放射能標識し、前記RNA調製物を用いてUni−ZAP(登録商標)ベクター(Stratagene,Inc.)中に作出したcDNAライブラリの検索に、プローブとして使用した。完全長cDNAクローン由来の配列を、GCG Inc.のパッケージを用いて分析した。Uni−ZAP(登録商標)pBSプラスミド由来のクローンRsGluCl2 B1の元のインサートから1.85kbコード化領域含有断片(XhoI−EcoRI消化物)を切出した後、TetSplice(登録商標)ベクター(Life Technologies Inc.)中に連結することによってRsGluCl2の哺乳類発現ベクター中へのサブクローニングを、行った。cDNAクローンT12およびT82は、恐らく自然に起こる多型性である、単一のアミノ酸置換を生じる単一のヌクレオチドの違いを別とすれば、コード領域が同一である。T32クローンは、T12およびT82のcDNAには存在しない2個の別のエキソンを有するが、一方はコード領域の5’末端近傍(135bpエキソン)にあり、他方はM3−M4細胞内リンカー中(96bpエキソン)にある。その上、これらの別のエキソンはDrosGluCl−1 ORF中には含まれていない。これらのcDNAクローンを、RsGluCl−1L(T32:2.48kb)およびRsGluCl−1S(T12およびT82:2.126kb)とも表示する。予想されるRsGluCl−1Sタンパク質は、DrosGluCl1タンパク質と約71%同一性を示す。
【0142】
実施例2
Xenopus卵母細胞におけるRsGluCl1およびRsGluCl2クローンの機能性発現
Xenopus laevisの卵母細胞を調製し、以前に記載の標準的方法[Arena,J.P.,Liu,K.K.,Paress,P.S.& Cully,D.F.Mol.Pharmacol.40,368〜374(1991);Arena,J.P.,Liu,K.K.,Paress,P.S.,Schaeffer,J.M.& Cully,D.F.,Mol.Brain Res.15,339〜348(1992)]を用いてそれを注入した。成体雌Xenopus laevisを0.17%トリカインメタンスルホン酸で麻酔し、その卵巣を外科的に除去し、次の成分(mM)から成る溶液中に入れた:NaCl 82.5、KCl 2、MgCl2 1、HEPES 5、ピルビン酸ナトリウム 2.5、ペニシリンG 100,000ユニット/L、硫酸ストレプトマイシン 1000mg/L、pH7.5(Mod.OR−2)。卵巣葉を開き破り、Mod.OR−2中で数回濯ぎ、軽く振とうしながら室温で、Mod.OR−2中0.2%コラゲナーゼ(Sigma、1型)の中でインキュベートした。1時間後にコラゲナーゼ溶液を更新し、約50%の卵母細胞が卵巣から放出されるまで、卵母細胞を更に30〜90分間インキュベートした。V期およびVI期の卵母細胞を選択し、注入前の16〜24時間の間、次の成分(mM)を含んだ媒体中に入れた:NaCl 96、KCl 2、MgCl2 1、CaCl2 1.8、HEPES 5、ピルビン酸ナトリウム 2.5、テオフィリン 0.5、ゲンタマイシン 50mg/ml、pH7.5(ND−96)。卵母細胞に50nlのDv8、Dv9、RsGluCl1またはRsGluCl2 RNAを濃度0.2mg/mlで注入した。卵母細胞をND−96中、18℃で1〜6日間インキュベートした後、記録をとった。
【0143】
記録は、次の成分(mM)から成る修飾ND−96中、室温でとった:NaCl 96、MgCl2 1、CaCl2 0.1、BaCl2 3.5、HEPES 5、pH7.5。マッキントッシュ7100/80コンピュータにインターフェースで接続したDagan CA1二微小電極増幅器(Dagan Corporation,Minneapolis,MN)を用いて、卵母細胞を電位で締付けた。電流通過電極は0.7M KCl、1.7M クエン酸カリウムで満たし、電位記録電極は1M KClで満たした。実験の間中、卵母細胞に、修飾ND−96(対照溶液)、またはチャネル活性化剤および阻止剤の可能性がある物質を含むND−96を約3ml/分の速度で注いだ。HEKA Elektronik(Lamrecht,Germany)製のパルスソフトウェアを用いて、データを100Hzで取得し、33.3Hzでフィルタにかけた。全ての記録を、0または−30mVのいずれかの保持電位で行った。
【0144】
cRNAをRsGluCl 1SクローンT12から合成し、アフリカツメガエル卵母細胞中に発現させた。RsGluCl−1でコードされるチャネルは、IMV−PO4によって活性化されるグルタミン酸依存性塩素イオンチャネルである。
【0145】
図10は、RsGluCl1 T12 RNAを注入した卵母細胞におけるグルタミン酸活性化電流を示す。電流活性化は10μMのグルタミン酸で最大であり、未注入の卵母細胞には電流を認めなかった。イベルメクチン100nMの施用によって、類似してはいるが、非不活性化性の電流が生じる。
【0146】
図11は、アフリカツメガエル卵母細胞中に発現したRsGluCl2のイベルメクチンによる活性化を示す。電流活性化は約1μMのイベルメクチンで最大であり、単一の機能性チャネルとして発現したとき、グルタミン酸は電流を活性化することができなかった。
【0147】
実施例3
哺乳類細胞におけるRsGluClクローンの機能性発現
RsGluClを哺乳類発現ベクター中にサブクローニングし、選択した哺乳類細胞にトランスフェクトするために使用することができる。G418の存在下での増殖によって、安定な細胞クローンを選択する。G418耐性単一種クローンを分離し、無傷のRsGluCl遺伝子の存在を確認するために試験をする。次いで、RsGluClを含んだクローンを、RsGluClタンパク質特異抗体を用いた免疫沈降、ウェスタンブロット、免疫蛍光等の免疫学的技法を用いて、発現について分析した。抗体は、RsGluCl配列から予測されるアミノ酸配列から合成したペプチドを接種したウサギから得られる。パッチクランプ電気生理学法および陰イオンフラックスアッセイによっても、発現は分析される。
【0148】
活性なチャネルタンパク質の発現を試験するために、RsGluClを安定に、または一時的に発現している細胞が使用される。これらの細胞は、各チャネルを調節、阻害または活性化する他の化合物の能力を確認し、調べるために、使用される。
【0149】
プロモーターに対してポジティブな方位にRsGluCl cDNAを含むカセットは、プロモーターの3’に対して適当な制限部位中に連結され、制限部位地図作製および/または配列決定によって確認される。これらのcDNA発現ベクターを、繊維芽細胞性宿主細胞、例えば、COS−7(ATCC#CRL1651)、およびCV−1tat(Sackevitz et al.、1987,Science 238:1575)、293、L(ATCC#CRL6362)中に、エレクトロポレーションまたは化学的手順(陽イオンリポソーム、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム)を含むが、それらに限らない標準的方法で導入してもよい。トランスフェクトした細胞および細胞培養液上清を収穫し、本明細書に記載のRsGluCl発現の分析をすることができる。
【0150】
哺乳類細胞での一時的発現に使用するベクターは全て、RsGluClを発現する安定な細胞系を樹立するために使用することができる。発現ベクター中にクローニングされた未修飾のRsGluCl cDNA構築体は、宿主細胞がRsGluClタンパク質を産生するようにプログラムすると予想される。その上、分泌タンパク質のシグナル配列をコードするDNAにRsGluCl cDNA構築体を連結することによって、RsGluClは分泌タンパク質として細胞外で発現する。トランスフェクション宿主細胞は、CV−1−P(Sackevitz et al.、1987,Science 238:1575)、tk−L(Wigler,et al.、1977,Cell 11:223)、NS/0およびdHFr−CHO(Kaufman and Sharp,1982,J.Mol.Biol.159:601)を含むが、それらに限定されない。
【0151】
G418、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ;ハイグロマイシン、ハイグロマイシン−B ホスホトランスフェラーゼ;APRT、キサンチン−グァニン ホスホリボシルトランスフェラーゼを含むが、それらに限らない薬物選択プラスミドによる、RsGluCl cDNAを含んだベクターの同時トランスフェクションは、安定にトランスフェクトされるクローンの選択を可能にすると思われる。RsGluClのレベルは、本明細書に記載の試験によって定量化される。可能な限り多量のRsGluClを合成する哺乳細胞クローンを作製するために、RsGluCl cDNA構築体を、増幅可能な薬物耐性マーカーを含んだベクター中に連結してもよい。これらの構築体を細胞に導入後、プラスミドを含むクローンを適当な作用剤で選択し、その作用剤の用量増加による選択によって、高コピー数のプラスミドを有する過剰発現クローンの分離が実現する。組換えRsGluClの発現は、完全長RsGluCl cDNAの哺乳類宿主細胞へのトランスフェクションによって実現される。
【0152】
実施例4
昆虫細胞中での発現を目的とした、バキュロウィルス発現ベクター中へのRsGluCl cDNAのクローニング
AcNPVウィルスのゲノム由来のバキュロウィルスベクターを、昆虫細胞のSf9系(ATCC CRL#1711)内で高水準のcDNA発現量をもたらすように設計する。RsGluCl cDNAを発現する組換えバキュロウィルスは、次の標準的方法(InVitrogen Maxbacマニュアル)によって作製される。RsGluCl cDNA構築体を、pAC360およびBlueBacベクター(InVitrogen)を含む多様なバキュロウィルス移入ベクター中のポリヘドリン遺伝子中に連結する。組換えバキュロウィルスは、バキュロウィルス移入ベクターおよび線状化AcNPVゲノムDNA(Kitts,1990,Nuc.Acid.Res.18:5667)の、Sf9細胞中への同時トランスフェクション後に起こる相同的組換えによって作出される。組換えpAC360ウィルスは、感染細胞中に封入体がないことによって確認され、組換えpBlueBacウィルスは、b−ガラクトシダーゼの発現に基いて確認される(Summers,M.D.and Smith,G.E.,Texas Agriculture Exp.Station Bulletin No.1555)。プラークの精製後、本明細書に記載の試験によってRsGluCl発現を測定する。
【0153】
RsGluClGluClに対する読み取り枠全体をコードするcDNAを、pBlueBacIIのBamHI部位中に挿入する。ポジティブ方位の構築体を配列分析で確認し、線状AcNPVのマイルドタイプDNAの存在下、Sf9細胞にトランスフェクトするために使用する。
【0154】
実施例5
酵母発現ベクター中へのRsGluCl cDNAのクローニング
異種タンパク質の細胞内または細胞外発現を指示するように設計した発現ベクター中に、最適なRsGluCl cDNAシストロンを挿入した後、組換えRsGluClが酵母S.cerevisiae中に産生される。細胞内発現の場合には、EmBLyex4やその類似体等のベクターをRsGluClシストロンに連結する(Rinas,et al.、1990,Biotechnology 8:543〜545;Horowitz B.et al.、1989,J.Biol.Chem.265:4189〜4192)。細胞外発現の場合は、分泌シグナル(酵母または哺乳類ペプチド)をRsGluClタンパク質のNH2末端に融合する酵母発現ベクター中に、RsGluClGluClシストロンを連結する(Jacobsen,1989,Gene 85:511〜516;Riett and Bellon,1989,Biochem.28:2941〜2949)。
【0155】
これらのベクターは、ヒト血清アルブミンシグナルを発現するcDNAに融合するpAVE1−6(Steep,1990,Biotechnology 8:42〜46)、およびヒトリゾチームシグナルを発現するcDNAに融合するベクターpL8PL(Yamamoto,Biochem.28:2728〜2732)を含むが、それらに限定されない。その上、ベクターpVEPを利用して、RsGluClはユビキチンと複合した融合タンパク質として酵母中に発現する(Ecker,1989,J.Biol.Chem.264:7715〜7719;Sabin,1989,Biotechnology 7:705〜709;McDonnell,1989,Mol.Cell Biol.9:5517〜5523(1989))。RsGluClの発現量は、本明細書に記載の試験によって決定される。
【0156】
実施例6
組換えRsGluClの精製
抗体親和性クロマトグラフィによって、組換え産生RsGluClを精製し得る。RsGluCl GluCl抗体親和性カラムは、抗RsGluCl GluCl抗体がアガロースゲルビーズ支持体と共有結合を形成するように、N−ヒドロキシスクシニミドエステルで予備活性化したゲル支持体のAffigel−10(Biorad)に、その抗体を添加することによって作製される。次いで、スペーサーアームを有するアミド結合を介して、抗体をゲルに連結する。次いで、残っている活性化エステルを1M エタノールアミンHCl(pH8)で消失させる。そのカラムを水、次いで0.23M グリシンHCl(pH2.6)で洗浄することによって、非複合抗体や異物タンパク質を除去する。次いで、洗剤等の適当な膜溶解剤と共に、カラムをリン酸緩衝塩水(pH7.3)中で平衡化し、可溶化RsGluClを含む細胞培養液上清または細胞抽出液を、ゆっくりとカラム中に通過させる。次いで、光学密度(A280)がバックグランド値に下がるまで、カラムを洗剤と共にリン酸緩衝塩水で洗浄し、次にタンパク質を洗剤と共に0.23M グリシンHCl(pH2.6)で溶出する。次いで、精製RsGluClタンパク質をリン酸緩衝塩水に対して透析する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
配列番号1に示した、R.sanguineus GluCl1のcDNAクローン、T12のヌクレオチド配列を示す図である。
【図2】
配列番号2に示した、R.sanguineus GluCl1タンパク質、T12のアミノ酸配列を示す図である。
【図3】
配列番号3に示した、R.sanguineus GluCl1のcDNAクローン、T82のヌクレオチド配列を示す図である。
【図4】
配列番号4に示した、R.sanguineus GluCl1タンパク質、T82のアミノ酸配列を示す図である。
【図5】
配列番号5に示した、R.sanguineus GluCl1のcDNAクローン、T32のヌクレオチド配列を示す図である。
【図6】
配列番号6に示した、R.sanguineus GluCl1タンパク質、T32のアミノ酸配列を示す図である。
【図7】
配列番号7に示した、R.sanguineus GluCl2のcDNAクローン、B1のヌクレオチド配列を示す図である。
【図8】
配列番号8に示した、R.sanguineus GluCl2タンパク質、B1のアミノ酸配列を示す図である。
【図9】
RsGluCl1(T12(配列番号2)、T82(配列番号4)、T32(配列番号6))およびRsGluCl2(B1、配列番号8)の各タンパク質に対するアミノ酸配列の比較を示す図である。
【図10】
RsGluCl1 T12 RNAを注入したアフリカツメガエル卵母細胞におけるグルタミン酸活性化電流を示す図である。電流活性化は10μMのグルタミン酸で最大であり、未注入の卵母細胞では電流を認めなかった。
【図11】
アフリカツメガエル卵母細胞中に発現したRsGluCl2のイベルメクチンによる活性化を示す図である。電流活性化は〜1μMのイベルメクチンで最大であった。
Claims (43)
- R.sanguineus GluClチャネルタンパク質をコードする精製された核酸分子であって、
(a)配列番号2、4、6および8から成る群から選択されたアミノ酸配列をコードする核酸分子、
(b)配列番号2、4、6および8をコードする第2の核酸分子の相補体と、中度ないし高度にストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する核酸分子、または
(c)配列番号1、3、5および7に示す第2の核酸分子の相補体と中度のストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する核酸分子であって、配列番号1、3、5および7に示す第2の前記核酸分子の少なくとも1種と少なくとも約55%の同一性を有する核酸分子
を含む核酸分子。 - R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質であって、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする精製されたDNA分子。
- 組換え宿主細胞においてR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する発現ベクターであって、請求項2に記載のDNA分子を含む発現ベクター。
- 組換えR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項3に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
- 組換え宿主細胞においてR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する方法であって、
(a)請求項4に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞中にトランスフェクトすること、および
(b)前記発現ベクターから前記R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質の発現を可能にする条件下で段階(a)の宿主細胞を培養すること
を含む方法。 - R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質をコードし、配列番号1に示すヌクレオチド配列から成る精製されたDNA分子。
- 約331位ヌクレオチドから約1683位ヌクレオチドまでのヌクレオチド配列から成る請求項6に記載のDNA分子。
- R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質であって、配列番号4に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする精製されたDNA分子。
- 組換え宿主細胞においてR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する発現ベクターであって、請求項8に記載のDNA分子を含む発現ベクター。
- 組換えR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項9に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
- 組換え宿主細胞においてR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する方法であって、
(a)請求項10に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞中にトランスフェクトすること、および
(b)前記発現ベクターから前記R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質の発現を可能にする条件下で段階(a)の宿主細胞を培養すること
を含む方法。 - R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質をコードし、配列番号3に示すヌクレオチド配列から成る精製されたDNA分子。
- 約502位ヌクレオチドから約1854位ヌクレオチドまでのヌクレオチド配列から成る請求項12に記載のDNA分子。
- R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質であって、配列番号6に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする精製されたDNA分子。
- 組換え宿主細胞においてR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する発現ベクターであって、請求項14のDNA分子を含む発現ベクター。
- 組換えR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項15に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
- 組換え宿主細胞においてR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を発現する方法であって、
(a)請求項16に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞中にトランスフェクトすること、および
(b)前記発現ベクターから前記R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質の発現を可能にする条件下で段階(a)の宿主細胞を培養すること
を含む方法。 - R.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質をコードし、配列番号5に示すヌクレオチド配列から成る精製されたDNA分子。
- 約617位ヌクレオチドから約2170位ヌクレオチドまでのヌクレオチド配列から成る請求項18に記載のDNA分子。
- R.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質であって、配列番号8に示すアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする精製されたDNA分子。
- 組換え宿主細胞においてR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質を発現する発現ベクターであって、請求項20に記載のDNA分子を含む発現ベクター。
- 組換えR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質を発現する宿主細胞であって、請求項21に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
- 組換え宿主細胞においてR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質を発現する方法であって、
(a)請求項21に記載の発現ベクターを適当な宿主細胞中にトランスフェクトすること、および
(b)前記発現ベクターから前記R.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質の発現を可能にする条件下で段階(a)の宿主細胞を培養すること
を含む方法。 - R.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質をコードし、配列番号7に示すヌクレオチド配列から成る精製されたDNA分子。
- 約131位ヌクレオチドから約1387位ヌクレオチドまでのヌクレオチド配列から成る請求項24に記載のDNA分子。
- 他のタンパク質を実質的に含まず、配列番号2に示すアミノ酸配列を含むR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質。
- 組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項26に記載のR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質。
- 請求項27に記載の組換え宿主細胞から精製されたR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を含む実質的に純粋な膜調製物。
- 他のタンパク質を実質的に含まず、配列番号4に示すアミノ酸配列を含むR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質。
- 組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項29に記載のR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質。
- 請求項20に記載の組換え宿主細胞から精製されたR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を含む実質的に純粋な膜調製物。
- 他のタンパク質を実質的に含まず、配列番号6に示すアミノ酸配列を含むR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質。
- 組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項32のR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質。
- 請求項33に記載の組換え宿主細胞から精製されたR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質を含む実質的に純粋な膜調製物。
- 他のタンパク質を実質的に含まず、配列番号8に示すアミノ酸配列を含むR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質。
- 組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項35に記載のR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質。
- 請求項36に記載の組換え宿主細胞から精製されたR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質を含む実質的に純粋な膜調製物。
- 配列番号2、配列番号4、および配列番号6に示す各アミノ酸配列から成る群から選択されたアミノ酸配列から成るR.sanguineus GluCl1チャネルタンパク質。
- 配列番号8に示すアミノ酸配列から成るR.sanguineus GluCl2チャネルタンパク質。
- GluClチャネルタンパク質のモジュレーターを同定する方法であって、
(a)配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8から成る群から選択されたR.sanguineus GluClチャネルタンパク質と試験化合物を接触させること、および
(b)試験化合物のそのGluClチャネルタンパク質に対する作用を測定すること
を含む方法。 - 段階(a)のR.sanguineus GluClタンパク質が、組換え宿主細胞内に含まれるDNA発現ベクターの産物である請求項40に記載の方法。
- グルタミン酸依存性チャネルタンパク質活性を調節する化合物を同定する方法であって、
a)少なくともその一部分が、配列番号2、配列番号4、配列番号6および配列番号8から成る群から選択されたR.sanguineus GluClチャネルタンパク質をコードする核酸分子の集団を、核酸分子の前記部分の発現によって、活性なグルタミン酸依存性チャネルが生じるように、宿主細胞溶液中に注入すること、
b)試験化合物を前記溶液中に添加すること、および
c)塩素イオンに対する逆転電位より陽性の保持電位で宿主細胞膜電流を測定すること
を含む方法。 - 前記核酸分子が、相補的DNA、ポリA+メッセンジャーRNAおよび相補的RNAから成る群から選択される請求項42に記載の方法。
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