JP2004361553A - 表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池駆動される小型・携帯型等の表示装置においては、光源発光に伴う発熱に関し、次の二つの課題が存在する。1.光源発光に伴う発熱によるエネルギーロスの削減と、熱エネルギーの有効利用によるエネルギー利用効率の向上。2.効率的かつ省スペース化を図ることの出来る冷却システムの実現。
【解決手段】熱−電気変換効果および電気−熱変換効果を有する熱電変換素子と、光源もしくは光源周辺の温度を測定検知する温度検知手段と、該温度検知手段からの温度情報に基づいて、前記熱電変換素子の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換える熱電変換素子機能切り換え制御手段とを備えることを特徴としている。
【選択図】 図1
【解決手段】熱−電気変換効果および電気−熱変換効果を有する熱電変換素子と、光源もしくは光源周辺の温度を測定検知する温度検知手段と、該温度検知手段からの温度情報に基づいて、前記熱電変換素子の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換える熱電変換素子機能切り換え制御手段とを備えることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオード等の半導体発光素子を光源に用いた投射型もしくは直視型の表示装置に関わり、特に電池駆動等により携帯利用を可能にした小型の表示装置に好適な、光源熱の利用、及び光源熱の冷却システムに関わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、発光光量の大きな発光ダイオード(以下LEDと略す)あるいは有機電界発光素子(以下有機ELと略す)等の半導体発光素子が開発されており、これらを光源に用いた投射型表示装置、あるいは直視型表示装置が提案されるに至っている。
【0003】
半導体発光素子は熱発光型ランプや放電ランプに比べて発熱は少ないが、通電発光に伴って熱を発生するため、一般の半導体と同様に許容熱定格の範囲内の温度で作動するように冷却する必要があり、小型表示装置においてはこの冷却システムの小型化と効率向上が課題となる。
また、光源からの熱発生によって、多大のエネルギーロスが生じるため、熱発生の抑制と共に、この熱エネルギーを有効利用することが、特に電池駆動される小型表示装置においては、重要な改善課題となる。
【0004】
表示装置の冷却に関し、小型化が可能な冷却方法という観点から従来技術を説明すると、下記に示す特許文献1には、次の内容が記述されている。
投射型液晶ディスプレイ装置の導光路壁にペルチェ素子を設けて電子冷却を行う。
【0005】
また、下記に示す特許文献2には、次の内容が記述されている。
液晶パネルの背面に配置された有機EL発光層の背面にペルチェ素子等の電子冷却素子を備える。
【0006】
下記に示す特許文献3には、次の内容が記述されている。
光源から出射された光のうち、不要な偏光波成分の光を利用して太陽電池によって光発電を行い、その電力を利用して電子冷却を行う。
【0007】
下記に示す特許文献4には、次の内容が記述されている。
液晶パネルの温度を検出する温度センサと、温度を調節するためのペルチェ素子等の電子冷却素子と温度制御回路を備え、液晶パネルの温度を適正温度に制御することが言及されている。
【0008】
また、表示装置の光源から発生する光源熱の有効利用という観点から従来技術を説明すると、下記に示す特許文献5には、次の内容が記述されている。
第一の電子部品発熱体に近接してペルチェ素子等の熱−電エネルギー変換素子が配置され、この発電エネルギーを電力として冷却ファン等の冷却手段を作動させて第二の電子部品発熱体を冷却する。
【特許文献1】
特開平9−284685号公報
【特許文献2】
国際公開第W098/13725号パンフレット
【特許文献3】
特開平9−61778号公報
【特許文献4】
特開平11−38378号公報
【特許文献5】
特開2000−77585号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
半導体発光素子を光源に用いることにより、装置全体の小型化を図ることが可能となり、また低消費電力化も可能となるため、電池駆動により携帯利用が可能な、投射型もしくは直視型の小型・軽量な表示装置も実現可能である。
しかし、電池駆動される携帯型等の小型な表示装置においては、光源発光に伴う発熱に関し、次の二つの課題が存在する。
【0010】
1.光源発光に伴う発熱によるエネルギーロスの削減と、熱エネルギーの有効利用によるエネルギー利用効率の向上。
光源を有する小型表示装置において、全体消費電力に対して、光源から発生する熱によるエネルギーロスが占める比率が大変高く、省エネルギー及び電池の持続時間の観点から、このエネルギーロスの削減と、熱エネルギーの有効利用が,電池を電源にした小型装置では特に大きな課題となる。
【0011】
2.効率的かつ省スペース化を図ることの出来る冷却システムの実現。
光源が発する熱の効率的な冷却と、冷却システムの省スペース化が、特に携帯型等の小型表示装置では大きな課題となる。
【0012】
しかしながら、上述した従来技術である特許文献1乃至4は、ペルチェ素子等の熱電変換素子を利用した電子冷却の提案に留まり、光源が発する熱エネルギーの有効利用を同時に解決するものではない。
また、上記特許文献5には、熱エネルギーを利用して発電することが提案されているが、その発電電力を使って冷却用ファンを作動させるものであり、このため提案は冷却システムに留まっており、熱エネルギーを冷却に用いているものの、まだ熱エネルギーを充分に有効利用しているとは言い難い。
【0013】
本発明は、上述の状況を鑑みてなされたものであり、上記二つの課題、即ち光源から発生する熱エネルギーの電気エネルギーへの回収利用と、小型・効率化冷却を同時に解決することを目的としている。
また本発明は、半導体発光素子からなる光源への駆動電流が供給停止された以降、即ち表示装置の主電源が遮断された時点以降において、光源の余熱を利用して熱エネルギーを電気エネルギーとして電源に回収することにより、エネルギー効率を向上させることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の表示装置は、半導体発光素子からなる光源と、該光源から出射される光を利用して表示出力する表示手段とを含んで構成される表示装置であって、熱−電気変換効果および電気−熱変換効果を有する熱電変換素子と、該光源もしくは該光源周辺の温度を測定検知する温度検知手段と、該温度検知手段からの温度情報に基づいて、該熱電変換素子の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換える熱電変換素子機能切り換え制御手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
上記の小型表示装置によれば、熱−電気変換効果および電気−熱変換効果の両方の機能を有する熱電変換素子を用い、光源である半導体発光素子もしくはその周辺の温度を測定し、その温度情報に基づいて熱電変換素子の機能を、熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換えるように構成しているため、一つの熱電変換素子を上記の両機能に切り換えて使用することが可能となる。
このため、素子部品の共通化が可能となると共に、光源の温度状況に応じて発電と冷却を簡単に切り換えることが出来るため、効率性と柔軟性に優れた冷却及びエネルギー回収に関わるシステムを構築することが可能となる。
【0016】
なお、ここで表現している熱−電気変換効果とは、種類の異なった二つの物質(導体もしくは半導体)を接続させ、その接合部の温度に温度差を設けることによって、温度差に応じて熱起電力を発生する現象であり、一般にゼーベック効果として知られている現象を指す。熱−電気変換発電機能とは、このゼーベック効果によって発電される機能を指している。
本発明では、光源である半導体発光素子を熱電変換素子に接合接触させることにより、熱電変換素子の接合部に温度差を生じさせ、それによって発電を行う。
【0017】
また、電気−熱変換効果とは、ゼーベック効果とは逆の現象で、二種類の導体または半導体を接合した境界面に電流を流すと、電流の方向と大きさに依存した熱量の発生(発熱)と放出(吸熱)が行われる現象であり、一般にペルチェ効果として知られている現象を指す。電気−熱変換電子冷却機能とは、このペルチェ効果のうち、吸熱作用を利用して冷却する機能を指している。
上記の効果を有する熱電変換素子は、一般にゼーベック効果とペルチェ効果を可逆的に切り換えて使用することが可能である。
【0018】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は、前記温度検知手段により測定された温度が第一の所定の温度より低い条件においては、前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定し、所定の温度より高い条件においては、前記熱電変換素子を電気−熱変換電子冷却機能に設定するように切り換え制御することを特徴としている。
【0019】
上記の表示装置によれば、光源もしくはその周辺の温度が所定の温度より低い状態においては、光源熱に直接接する側と接しない側との温度差を利用して、熱電変換素子により発電することが出来、一方光源もしくはその周辺温度が所定の温度より高い状態においては、熱電変換素子を電子冷却の機能に切り換えることにより、光源を冷却することが可能となる。
このため、一つの熱電変換素子を共通使用して、光源温度が光源の冷却を必要とするような比較的高い状態では効率よく電子冷却が出来ると共に、光源の冷却が必要のない比較的温度の低い光源温度状態では、熱電発電することにより、光源熱を電気エネルギーとして回収することが出来る。
【0020】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記半導体発光素子の駆動電流を制御する発光素子駆動制御手段を更に備え、前記温度検知手段により測定された温度が、前記第一の所定の温度より高く設定されている第二の所定の温度より高い条件では、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を電気−熱変換電子冷却機能に設定するように切り換え制御するとともに、該発光素子駆動制御手段は前記半導体発光素子の駆動電流の大きさを抑制するように制御することを特徴としている。
【0021】
上記の小型表示装置によれば、熱電変換素子の電子冷却作用と放熱素子による放熱冷却を行っても、なお所定の温度より光源の温度が上昇するような環境条件下においては、光源である半導体発光素子の駆動電流の大きさを低減抑制することにより、光源温度を半導体発光素子の許容熱定格の範囲内に抑えることが可能となる。
【0022】
なお、一般に電流値と発生熱量の関係は、発生熱量は流れる電流値の二乗に比例する。このため、許容最大熱定格近くまで光源の温度が上昇するような環境下では、光源電流の電流値を抑制させることは、光源温度を一定温度範囲以内に抑止する上で大変有効に作用する。
また、上記のシステム構成にすることにより、光源冷却システムの冷却能力余裕度を大きくとる必要がなくなるため、特に携帯型等の小型の表示装置における小型化に多大な効果を奏する。
【0023】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記光源および前記表示手段を含む第一の回路系統に電源を供給する第一の電源と、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段を含む制御系の第二の回路系統に電源を供給する第二の電源とを更に備え、該光源及び該表示手段の機能が有効となっている第一の作動状態においては、該第一の電源からは該第一の回路系統に、該第二の電源からは第二の回路系統にそれぞれ電源が供給され、該光源及び該表示手段の機能が有効から非有効に切り換わった第二の作動状態においては、該第一の回路系統には該第一の電源からの電源供給が停止され、該第二の回路系統には引き続き第二の電源から電源が供給されると共に、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定するように切り換え制御することにより、前記光源の余熱により前記熱電変換素子は熱−電気変換発電機能として作動することを特徴としている。
【0024】
上記の表示装置によれば、光源及び表示手段への電源供給が停止された時点およびそれ以降において、熱電変換素子は光源の余熱と放熱素子との間の温度差を利用して引き続き熱−電気変換発電を行うことが可能となる。
これは、光源への電源供給が停止される直前の状態が、熱電変換素子を電気−熱変換電子冷却機能として作動させている状況であっても、半導体発光素子においては電源供給が停止されて以降はそれ以上冷却させる必要がないため、上記の作用を行わせることが可能となる。
このため、光源への電源供給が停止された時点以降は、光源の余熱を利用して熱−電気変換発電を行いエネルギー回収ができるため、特に電池駆動もしくは携帯型等の、小型の表示装置のエネルギー効率向上への効果が大きい。
【0025】
また、本発明の表示装置においては、上記のいずれかに記載の特徴に加えて、充電可能な電池と、該電池への充電を制御する充電制御手段とを更に備え、前記熱電変換素子により発電された電気エネルギーが、該充電制御手段によって制御されて該電池に充電されることを特徴としている。
【0026】
上記の表示装置によれば、光源が発生する熱を利用して熱電変換素子によって熱−電気変換発電を行い、この発電された電気エネルギーを電池に充電することが可能となる。
このため、半導体発光素子からなる光源に電流を流して発光させることに伴って生じる、電源電池から供給された電気エネルギーが熱エネルギーとなって失われた損失エネルギーの一部が、熱電変換素子による熱−電気変換発電と充電作用によって、再び電気エネルギーとして電源電池に回収できることになる。
この効果は、特に電池駆動もしくは携帯型等の、小型の表示装置のエネルギー効率向上への寄与として大きい。
【0027】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記熱電変換素子によって発電された起電力の電圧を測定する電圧測定手段を更に備え、該電圧測定手段により測定された発電電圧が所定の電圧より高い条件下では、前記充電制御手段は前記熱電変換素子により発電された電気エネルギーを前記電池に充電するように制御することを特徴としている。
【0028】
上記の表示装置によれば、熱電変換素子の熱−電気変換発電による発電電圧を把握できるため、充電制御手段を簡単な構成で実現できると共に、電池への充電を確実に制御することが可能となる。
すなわち充電に関しては、温度条件等の発電電圧値以外の条件を考慮することなく充電制御を行うことが可能となるため、制御が容易で正確な充電制御を実現することが出来る。
【0029】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記熱電変換素子によって発電された起電力の直流電圧変換を行うDC/DCコンバータを更に備え、前記電圧測定手段により測定された発電電圧に応じて、該DC/DCコンバータの入力対出力電圧変換比率が可変制御されると共に、該DC/DCコンバータによって電圧変換された発電電気エネルギーが、前記電池に充電されるように前記充電制御手段により制御されることを特徴としている。
【0030】
上記の表示装置によれば、熱電変換素子によって発電された起電力の電圧の大きさに応じて、DC/DCコンバータの入力対出力電圧変換比率を可変制御することが可能となる。
このため、発電電圧が低い状態の場合には入力対出力電圧変換比率を高く、即ち電圧昇圧比率を高くすることにより、光源の温度があまり高くなく、発電電圧が低い状態においても電池を充電することが可能となる。
この結果、特に電池駆動もしくは携帯型等の、小型の表示装置のエネルギー効率向上への寄与が大きい。
【0031】
また、本発明の表示装置においては、前記熱電変換素子は、ペルチェ素子を含んで構成されることを特徴としている。
【0032】
上記の表示装置によれば、熱電変換素子に、小型・軽量で取り扱いやメンテナンスが容易であり、形状の自由度が高く、更に電気−熱変換電子冷却機能と熱−電気変換発電機能の両機能への切り換え使用が可能なペルチェ素子を使用している。
このため、光源の冷却系が小型化できるので装置そのものの小型・軽量化に寄与すると共に、上述した二つの課題である、光源から発生する熱エネルギーの電気エネルギーへの回収利用と、小型・効率化冷却を同時に解決することが可能となり、小型表示装置に最適な電気−熱変換電子冷却機能と熱−電気変換発電機能の切り換えシステムを提供できる。
【0033】
また、本発明の表示装置においては、前記半導体発光素子は、発光ダイオードを含んで構成されることを特徴としている。
【0034】
上記の小型表示装置によれば、光源にサイズの小さい発光ダイオードを使用しているため、表示装置の小型化を可能ならしめると共に、発熱量も熱発光型もしくは放電型のランプに比べてはるかに小さい。
このため、熱電変換素子を利用した電気−熱変換電子冷却機能による冷却が可能となる。従って、光源に発光ダイオードを採用して熱電変換素子と組み合わせ使用することにより、携帯型等の小型の表示装置に最適な電気−熱変換電子冷却機能と熱−電気変換発電機能の切り換えシステムを提供することができる。
その結果、上述した二つの課題である、光源から発生する熱エネルギーの電気エネルギーへの回収利用と、小型・効率化冷却を同時に解決することが可能となる。
【0035】
また、本発明の表示装置においては、前記表示手段は、前記光源から出射される光を変調する空間光変調素子を含んで構成されることを特徴としている。
【0036】
上記の表示装置によれば、液晶表示素子等の空間光変調素子により光源光を変調してスクリーンに拡大表示する投射型表示装置を含むように構成することが可能である。これらの表示装置は、常時動作させておくものではなく、会議等において必要な時だけ利用する使われ方が一般的なため、光源の温度は常温状態から高温状態に遷移し、利用停止に伴って再び光源の温度が常温に復帰するという温度サイクルが存在する。
このため、熱電変換素子を利用した熱−電気変換発電機能による熱エネルギーの電気エネルギーへの回収と、電気−熱変換電子冷却機能による冷却システムの切り換えが、極めて有効に機能するものとなる。従って、特に電池駆動される小型・携帯型の表示装置に著しい効果を奏する。
【0037】
また、本発明の表示装置は、半導体発光素子からなる光源と、該光源から出射される光を利用して表示出力する表示手段とを含んで構成される表示装置であって、熱−電気変換効果および電気−熱変換効果を有する熱電変換素子と、該光源および該表示手段を含む第一の回路系統に電源を供給する第一の電源と、該熱電変換素子の制御系を含む第二の回路系統に電源を供給する第二の電源とを備え、該光源及び該表示手段の機能が有効となっている第一の作動状態においては、該第一の電源からは該第一の回路系統に、該第二の電源からは第二の回路系統にそれぞれ電源が供給され、該光源及び該表示手段の機能が有効から非有効に切り換わった第二の作動状態においては、該第一の回路系統には該第一の電源からの電源供給が停止され、該第二の回路系統には引き続き第二の電源から電源が供給されると共に、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定するように切り換え制御することにより、前記光源の余熱により前記熱電変換素子は熱−電気変換発電機能として作動することを特徴としている。
【0038】
上記の表示装置によれば、光源及び表示手段への電源供給が停止された時点およびそれ以降において、熱電変換素子は光源の余熱と放熱素子との間の温度差を利用して引き続き熱−電気変換発電を行うことが可能となる。
従来の熱発光型もしくは放電発光型のランプを用いた投射型表示装置においては、主電源スイッチを遮断してから以降も、光源の放熱冷却のために引き続き冷却ファンを回さなければならないため電力消費をしていたが、本発明による上記表示装置によれば、電源スイッチの遮断以降は光源の余熱を利用して熱電発電を行いエネルギー回収ができるため、特に電池駆動もしくは小型・携帯型等の表示装置のエネルギー利用効率向上への効果が大きい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関わる表示装置の実施形態を、図1乃至図10及び表1を参照して詳細に説明する。
【0040】
〔第1実施形態〕
第一の実施形態は、電池を電源として用いた小型・携帯型の直視方式の表示装置であり、光源に発光ダイオードを採用し、光源から出射された光を透過型液晶表示素子の照明光として用いるように構成されている。
第一の実施形態による表示装置は、デジタルカメラ撮像写真,デジタル放送映像等のデジタル画像を、明るく高品位に映像モニタすることを目的にしており、小型・携帯型でかつ明るく高品位な映像品質を得るという相反する課題を解決するために、照明光の光源に発光ダイオードを採用している。
【0041】
図1に、第1の実施形態である表示装置のシステムブロック構成を示す。
図1において、符号1は電源部、符号2は主要回路部である。
同図において主要回路部2は、第一の回路系統19と、第二の回路系統20、及びCPU(マイクロプロセッサ)15から構成される。
第一の回路系統19は、光源部を構成する半導体発光素子8と発光素子駆動/制御回路16、及び表示手段を構成する表示素子17と表示駆動回路18とを含んで構成されている。符号S30は、マイクロプロセッサ15から表示駆動回路17をコントロールする制御信号である。
なお同図において、表示駆動回路18への入力段となる、映像信号入力から画像信号処理回路,同期回路は、一般的な構成となるため省略してある。
【0042】
第二の回路系統20は、ペルチェ素子からなる熱電変換素子7、光源部もしくは光源部周辺の温度を測定する温度センサ9、温度センサ9からの測定信号をアナログ−デジタル変換するA/D変換回路11、熱電変換素子7の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換える熱電変換素子機能切り換え回路10、ペルチェ素子7の電子冷却機能を制御・駆動する電子冷却制御・駆動回路12、熱−電気変換発電時に電源電池3への充電を制御する充電制御回路13、発電電圧をアナログ−デジタル変換するA/D変換回路14から構成されている。
また、CPU(マイクロプロセッサ)15は、第一及び第二の回路系統の動作を制御・統制する。
【0043】
図1において、電源部1と主要回路部2のそれぞれの入出力端子であるVDD,VSS、VSS−a,VSS−b,S1,S22は、電源部1と主要回路部2における同一の記号の端子間がそれぞれ接続され、更に主要回路部2の端子L5と電源部1の端子VSSが結線される。
【0044】
電源部1は、電源電池3,電源スイッチ4,電源回路6から構成され、プラス電位であるVDD、第一のマイナス電位であるVSS−b、第二のマイナス電位であるVSS−aを、主要回路部2に供給する。なお、VSSは電源電池3のマイナス電位である。
【0045】
電源系統を説明すると、光源部及び表示部を含む第一の回路系統19には、第一の電源であるVSS−bが、また熱電変換素子機能切り換え回路10を含む第二の回路系統20には第二の電源であるVSS−aが供給される。また、CPU(マイクロプロセッサ)15にはVssが供給される。
なお本実施形態では、比較的大きな駆動電流が必要な一部の回路を除き、C−MOS半導体回路を基本として回路構成しているため、プラス電位をVDD、第一のマイナス電位をVSS−b、第二のマイナス電位をVSS−aと表記している。
【0046】
図1に示した第1の実施形態の詳細な説明に入る前に、図2及び図3を用いて、熱電変換素子の熱−電気変換発電機能及び電気−熱変換電子冷却機能について簡単に説明を行う。
【0047】
図2は熱電変換素子の熱−電気変換発電機能の動作説明図である。同図において、符号22a〜22cはn型半導体、符号21a〜21cはp型半導体であり、符号27は熱伝導性と導電性の高い素材からなる電極であり、第1実施形態では銅電極を採用している。熱電変換素子の一単位は、一対のn型半導体22とp型半導体21が電極27で接合されて形成され、この対を多数直列に接続して熱電変換素子対群が構成される。ペルチェ素子は、この熱電変換素子の一つで、常温から250度くらいまでの温度範囲での発電もしくは電子冷却用に、ビスマス・テルル系材料が用いられる。
【0048】
符号25は第一の絶縁体、同26は第二の絶縁体であり、シリコン,セラミック等の熱伝導性の高いで材料で構成することが望ましく、第1実施形態ではセラミックを採用している。符号28は放熱フィンであり、筐体の外周部に設けられて、外部に熱を放出する。また、符号29は発熱源であり、本実施形態においては半導体発光素子からなる光源がこの発熱源に相当する。この発熱源29と放熱フィン28との温度差が、熱電変換素子対群に付与される。
符号23,24は熱電変換素子対群の入出力端子電極であり、この電極を通じて外部回路と結線される。
【0049】
図2の符号33は直流電圧を電圧変換するDC/DCコンバータであり、第1実施形態では入力電圧に対して出力電圧を高くする昇圧形式をとっている。符号13は電源電池3への充電を制御する充電制御回路であり、図1の符号13と同一のものである。
符号30,31,32はコンデンサであり、コンデンサ30は熱−電気変換発電により発電された起電力電荷を一時的に蓄える機能を、同じくコンデンサ32は,DC/DCコンバータにより昇圧された電圧を平滑・安定化させる機能を有す。コンデンサ31は、昇圧用のコンデンサである。
符号3は電源電池であり、熱電変換素子の熱−電気変換発電機能により発電された起電力は、DC/DCコンバータ33により昇圧され、充電制御回路13を介して電源電池3を充電する。
【0050】
次に、熱電変換素子の熱−電気変換発電機能について、その原理概要を説明する。この熱電変換素子による熱−電気変換発電作用は、ゼーベック効果に基づくものである。
図2において、上述のように発熱源29(半導体発光素子)から発生した熱は、第一の絶縁体25を介して、熱電変換素子対を構成する電極27,n型半導体22a〜22c,p型半導体21a〜21cに伝わり、更に電極27,第二の絶縁体26を経て放熱フィン28に伝導され、放熱フィン28によって外部に放熱される。なお、ここでは放熱フィンを用いたが、他の放熱素子を用いてもよい。
従って、図2に記述したように、熱電変換素子(ペルチェ素子)に接する第一の絶縁体25の側が熱入力となり、同じく第二の絶縁体26の方向が放熱側(熱出力)となる。熱電変換素子(ペルチェ素子)に加わる熱は、相対的に熱入力側(第一の絶縁体25)が放熱側(第二の絶縁体26)より高くなる。
【0051】
上記条件においては、第一の絶縁体25から第二の絶縁体26の方向に熱が伝達され、その過程において、n型半導体22a〜22cの中では熱エネルギーに因って電子が(図2中の−)温度伝導の方向(第二の絶縁体26の方向)に移動する。同じく、p型半導体21a〜21cの正孔(図2中の+)も温度伝導の方向(第二の絶縁体26の方向)に移動する。
n型半導体22a〜22cとp型半導体21a〜21cは、電極部27を介して電気的に直列に接続されているため、熱伝導される熱エネルギーが、半導体中のキャリアである電子と正孔が移動する電気エネルギーに変換され、その結果熱電変素子の入出力端子電極23,24より起電力を得ることが出来る。
【0052】
上記の条件においては、図2に示すようにn型半導体の電子及びp型半導体の正孔のいずれも、図中の右方向に移動するため、熱電変換素子の入出力電極23側がプラスに、同24側がマイナス方向に起電力が発生する。
従って、図2に示す極性で回路結線を構成すれば、熱電変換素子によって発電した起電力を、DC/DCコンバータ33を作用させて、充電電池3を充電することが出来る。
【0053】
次に、同じ熱電変換素子(ペルチェ素子)を用いて、電気−熱変換電子冷却させる機能を、図3に従い説明する。
図3において、熱電変換素子対群の構成、及び発熱源29(半導体発光素子),放熱フィン28は図2と同一である。符号12は、熱電変換素子(ペルチェ素子)の電子冷却制御・駆動回路であり、図1の符号12と同一のものである。
【0054】
図3において、発熱源29(半導体発光素子)から発生した熱は、第一の絶縁体25を介して、熱電変換素子対を構成する電極27,n型半導体22a〜22c,p型半導体21a〜21cに伝わり、更に電極27,第二の絶縁体26を経て放熱フィン28に伝導され、放熱フィンによって外部に放熱される。これは、図2の説明と同一である。
この状態において、入出力電極24をプラス電位に、同23をマイナス電位になるように設定して、熱電変換素子(ペルチェ素子)の入出力電極24から入出力電極23の方向に電流が流れるように、電子冷却制御・駆動回路12により駆動・制御を行う。
【0055】
ペルチェ効果の原理について簡単に説明すると、二種類の半導体を接合した界面に電流を流すと、ペルチェ効果により、電流の大きさとゼーベック係数の大きさに比例した熱量の発生(発熱)と放出(吸熱)作用が、電流の方向に依存して半導体接合面で行われる。半導体中のキャリア(正孔,電子)の流れる方向と熱移動の方向が一致する場合には、熱を吸収するため、そのキャリアの流れ出る側の熱伝変換素子半導体接合面は冷却される。また、他方の半導体接合面は加熱されることになる。
【0056】
図3においては、上述のペルチェ効果により、熱電変換素子の第一の絶縁体25側がペルチェ吸熱されるため冷却作用をもち、逆に第二の絶縁体26の側がペルチェ発熱状態となる。これは、熱電変換素子の第一の絶縁体25側から第二の絶縁体26側に、電流に比例した熱移動が行われると理解することができる。
上述のペルチェ効果により、熱電変換素子の第一絶縁体25側の温度が、第二絶縁体26側より相対的に低くなり、発熱源29(半導体発光素子)から発生した熱が局部冷却されて、放熱フィン28側に熱移動する。
このような特性をペルチェ効果は有するため、小型装置の筐体内において、狭いスペースで局部的に効率よく発熱体を冷却するのに大変有効である。
【0057】
図2及び図3に基づいて、熱電変換素子(ペルチェ素子)を用いた熱−電気変換発電機能および電気−熱変換電子冷却機能を説明したが、本発明思想の骨子は、図2において説明した熱−電気変換発電機能と、図3において説明した電気−熱変換電子冷却機能を、発熱源(半導体発光素子)の温度状態に応じて、一つの熱電変換素子を切り換えて共通使用するところにある。
なお、図2および図3を比較すると分かるように、電源電池3に対する熱電変換素子(ペルチェ素子)の入出力電極23と24の極性を、熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とでは、切り換える必要がある。
【0058】
この熱電変換素子の機能切り換え、及び熱電変換素子の極性切り換えを行うのが、図1に示す熱電変換素子機能切り換え回路10であり、その熱電変換素子機能切り換え回路10は、熱−電気変換発電機能の作用時には、熱電変換素子7と充電制御回路13とを接続し、電気−熱変換電子冷却機能の作用時には、熱電変換素子7と電子冷却制御・駆動回路12とを接続するように作用する。なお図1には、図2に示したDC/DCコンバータ33は省略してある。
この熱電変換素子機能切り換え回路10が、特許請求の範囲に記述している「熱電変換素子機能切り換え制御手段」に相当する。
【0059】
再び図1に戻り、第1の実施形態を説明すると、電源スイッチ4が投入されると電源部1の電源回路6により、第一のマイナス電位であるVSS−b、及び第二のマイナス電位であるVSS−aが、主要回路部2に供給される。これにより、第一の回路系統19と第二の回路系統20が共に動作状態となる。
【0060】
第一の回路系統19においては、発光素子駆動/制御回路16に駆動制御され、ラインL6を通じて半導体発光素子8が発光して照明光を出射し、表示駆動回路18によって変調・駆動される透過型の表示素子17を、前記照明光が照明することにより所要の表示を行う。なお、信号S9はマイクロプロセッサ15によってコントロールされる発光素子駆動/制御回路16の制御信号であり、信号S10は発光素子駆動電流の電流値を制限する電流制御信号である。
【0061】
第二の回路系統20の回路構成において、温度センサ9は、光源である半導体発光素子8の通電発光に伴う温度状況を測定検知するように、光源もしくはその近傍に近接配置され、その温度センサ9によって測定されたデータは、信号S7としてA/D変換回路11に入り、A/D変換回路11によりデジタル変換されて信号S8としてマイクロプロセッサ15に取り込まれ、光源の温度状況が検知される。
マイクロプロセッサ15は、この光源の温度状況に応じて、熱電変換素子機能切り換え回路10を信号S2によって制御・切り換えを行い、熱電変換素子7の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能のいずれかに切り換える。
【0062】
信号S2がLowの状態では、熱電変換素子機能切り換え回路10は、熱−電気変換発電機能が作用するように、ラインL1,ラインL2を介して熱電変換素子7と充電制御回路13を接続し、発電された起電力はラインL5とVSSを経由して電源電池3を充電する。信号S6は、充電制御回路13の制御信号でありマイクロプロセッサ15によりコントロールされる。
A/D変換回路14は、充電制御回路13からの信号S5に出力される発電電圧をアナログ−デジタル変換して、その出力S11をマイクロプロセッサ15に伝える。信号S23は、A/D変換回路14の制御信号である。
【0063】
一方、信号S2がHighの状態では、熱電変換素子機能切り換え回路10は、電気−熱変換電子冷却機能が作用するように、ラインL1,ラインL3を介して熱電変換素子7と電子冷却制御・駆動回路12を接続し、光源であると共に熱源でもある半導体発光素子8を電子冷却する。
信号S3は、電子冷却制御・駆動回路12の制御信号でありマイクロプロセッサ15によりコントロールされる。
【0064】
なお、図1においては、熱電変換素子7と光源である半導体発光素子8の間の空間が広く記述されているが、実際の構造は図2及び図3に示したように、熱電変換素子7と光源である半導体発光素子8は、絶縁部を介して密着されるように構成される。また、温度センサ9は、光源である半導体発光素子に密着もしくは近接して配置される。
【0065】
次に、光源(半導体発光素子8)の温度状態と、熱電変換素子7の機能状態切り換え(熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能との切り換え)の相関を、図4を用いて説明する。
【0066】
図4において、縦軸は図1の半導体発光素子8(図2及び図3の発熱源29に相当)もしくはその近傍の温度を示し、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって測定された温度である。
図4縦軸のT1,T2,T3,T4は、所定の温度状態を示す。
【0067】
T1は、熱電変換素子7の熱−電気変換発電機能によって発電された起電力を、電源電池3に充電させ始める温度である。この温度設定の適性値は、熱電変換素子7の熱−電気変換発電特性とDC/DCコンバータの昇圧設定に依存するが、第一の実施形態では概ね40から50℃に設定している。
【0068】
T2は、熱電変換素子7を、熱−電気変換発電機能から電気−熱変換電子冷却機能に切り換える温度である。特許請求の範囲に記載された「第一の所定温度」がこのT2に相当する。第一の実施形態では概ね85から90℃に設定している。
【0069】
T3は、熱電変換素子7の電気−熱変換電子冷却機能による冷却に加えて、光源(半導体発光素子8)の駆動電流を制限する状態に切り換える温度である。特許請求の範囲に記載された「第二の所定温度」がこのT3に相当する。第一の実施形態では概ね100から105℃に設定している。
【0070】
T4は、光源(半導体発光素子8)の最大熱定格の温度である。第一の実施形態に使用した発光ダイオードの許容最大熱定格温度は110℃である。
【0071】
図4の横軸は、図1の電源スイッチ4が投入されてからの経過時間を示す。
t0は、電源スイッチ4が投入されたタイミング。
t1は、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって測定された温度が、上記T1の温度に達したタイミング。
t2は、同様に上記T2の温度に達したタイミング。
t3は、同様に上記T3の温度に達したタイミング。
t4は、図1の電源スイッチ4が遮断されたタイミング。
t5は、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって測定された温度が、光源(半導体発光素子8)への駆動電流停止に伴う温度低下により、上記T1の温度に再び達したタイミングである。
【0072】
図4の上部に記述されている、動作・制御モードM−1a,M−2a,M−3a,M−4a,M−5a,M−6aのそれぞれは、熱電変換素子7の機能状態及び制御モードを示している。
【0073】
モードM−1aは、電源スイッチ4が投入されてから上記温度状態がT1になるまでの状態(t0からt1までの時間帯)であり、熱電変換素子7は熱電発電としては作用しているが、電源電池への充電作用は行っていない。
モードM−2aは、上記温度状態がT1からT2の間の状態(t1からt2までの時間帯)であり、熱電変換素子7は熱電発電を行うと共に、電源電池3への充電作用が行われる。
【0074】
モードM−3aは、上記温度状態がT2からT3の間の状態(t2からt3までの時間帯)であり、熱電変換素子7は電子冷却を行う。
モードM−4aは、上記温度状態がT3からT4の間の状態(t3からt4までの時間帯)であり、熱電変換素子7による電子冷却に加えて、電流制御信号S10によって発光素子駆動/制御信号を作用させて、光源(半導体発光素子8)の駆動電流の制限を行う。
【0075】
モードM−5aは、電源スイッチ4が遮断されてから上記温度状態がT1になるまでの状態(t4からt5までの時間帯)であり、光源である半導体発光素子8への駆動電流が停止され、熱電変換素子7は光源の余熱を利用して熱電発電を行い、電源電池3への充電を行う。
モードM−6aは、上記温度状態がT1以下に下がった状態(t5以降の時間帯)であり、充電作用を停止する。
なお本実施形態では、モードM−1aにおいて、熱電変換素子7を熱電発電機能として作用させているが、このモードにおいて熱電発電作用を停止させても良い。
【0076】
図4に示した温度カーブからは、電源スイッチ4の投入による光源(半導体発光素子8)への駆動電流開始後、熱電変換素子7による熱発電が充電として作用していないM−1aのモードでは、半導体発光素子8の周辺温度が急激に上昇し、熱電変換素子7が熱電発電・充電を行うM−2aのモードでは、温度上昇カーブがなだらかになり、熱電変換素子7が電子冷却を行うM−3aモードでは、温度上昇が大幅に抑えられ、電子冷却に加えて半導体発光素子8への駆動電流制限を行うM−4aのモードでは、温度上昇が発生しないことが読み取れる。
なお、モードM−2aにおいて温度上昇がなだらかになるのは、熱電発電・充電によって、熱エネルギーが電気エネルギーに転換・回収されるからである。
【0077】
また同じく図4において、電源スイッチ4が遮断されて、光源である半導体発光素子8への駆動電流が停止され、光源の余熱を利用して熱電変換素子7が熱電発電・充電を行うM−5aモードでは、熱電発電・充電を行わないM−6aモードに比較して、温度降下の傾きが早いことも読み取れる。
【0078】
表1に,上記に説明した各動作・制御モードと機能内容,条件,制御内容の一覧表を示す。
この表は、これまで説明してきた図1の主要ブロックの機能作用と各条件(電源状態と光源の温度状態)の相関を整理したものである。
表1において、動作・制御モードは上記モードM−1aからM−6aを指し、機能内容は、図1に示した熱電変換素子7の機能(熱−電気変換発電機能もしくは電気−熱変換電子冷却機能)状態と、光源(半導体発光素子8)の駆動電流制限機能、及び充電機能の状態を表している。
【表1】
【0079】
表1条件の欄の「条件−1:電源の状態」は、先に説明した第一の電源(VSS−b)及び第二の電源(VSS−a)の状態を表している。
「条件−2:温度状態」は、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって測定された半導体発光素子8もしくはその近傍の温度が、上記に示した所定の温度状態(T1からT4)のいずれにあるかを表す。
【0080】
同じく表1制御状態の欄の「電子冷却制御/駆動」は、図1の電子冷却制御・駆動回路12の作動状態を、同じく「DC/DC Conv./充電制御」は、図1の充電制御回路13と、図2に示すDC/DC Conv.33の作動状態を表す。また、「光源(LED)駆動電流制御」は、図1の発光素子駆動制御回路16の作動状態を表す。
【0081】
表1からは、例えば動作・制御モードM−2aにおいて、そのモードの条件としては、電源状態として第一及び第二の電源が供給され、かつ光源温度Tの温度条件がT1≦T<T2を満たすことが求められ、その結果熱電変換素子によって熱電変換発電が行われ、DC/DC Conv./充電制御機能が作用して、電源電池が充電されることが分かる。
【0082】
またモードM−3aに関しては、電源状態として第一及び第二の電源が供給され、かつ光源温度Tの温度条件がT2≦T<T3を満たした場合にM−3aとなり、その結果熱電変換素子によって電子冷却が行われ、電子冷却制御/駆動機能が作用することが分かる。
【0083】
同様に、モードM−4aに関しては、電源状態として第一及び第二の電源が供給され、かつ光源温度Tの温度条件がT3≦T<T4を満たした場合にM−4aとなり、その結果熱電変換素子によって電子冷却が行われ、電子冷却制御/駆動機能が作用すると共に、光源(半導体発光素子8)の駆動電流抑制機能が作用することが分かる。
【0084】
モードM−5aに関しては、電源状態として第一の電源が非供給状態となり、第二の電源は引き続き供給される状態で、かつ光源温度Tの温度条件がT1≦Tを満たした場合にM−5aとなり、その結果熱電変換素子によって熱電変換発電が行われ、DC/DC Conv./充電制御機能が作用して、電源電池が充電されることが分かる。
【0085】
次に、上述した各動作・制御モードの条件判断、及びそのモードの機能・作用を実現するためのフローチャートを、図5に示す。
同図フローにおいて、図1に示す電源スイッチ4の投入によって動作フローがスタートする(FS11)。続いてステップFS12において、図1の電源回路6から、第一の回路系統に第一の電源であるVSS−bが、同じく第二の回路系統に第二の電源であるVSS−aが供給される。
【0086】
続いてステップFS13において、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって、光源温度Tが測定される。ステップFS14では、マイクロプロセッサ15によって、測定された温度Tと上述したT1との温度比較判定が行われる。その判定結果がT1>Tの場合にはFS22のステップに進み、動作・制御モードがM−1aに設定される。
【0087】
T1>Tの場合、ステップFS22の次にステップFS24に進む。FS24のステップでは、間欠作動を行わせるためのタイマー動作を行う。ここでは所定のタイマーカウントを行って待機し、所定のカウント状態になったら、次のステップFS25に移行する。
FS25のステップでは、電源スイッチ4が切断されているか否かの判定を行い、電源スイッチ4が切断されていなければ、FS13のステップに戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0088】
FS14のステップで、T1≦Tと判定された場合にはFS15のステップに進み、FS13で測定された光源温度Tと上述したT2との温度比較判定が行われる。その判定結果がT2>Tの場合にはFS23のステップに進み、動作・制御モードがM−2a(熱電変換発電・充電モード)に設定される。ステップFS23の次にタイマー動作のステップFS24に進み、一定時間後にステップFS25を経てFS13のステップに戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0089】
FS15のステップでT2≦Tと判定された場合には、FS16のステップに進み、動作・制御モードがM−3a(電子冷却モード)に設定される。次にステップFS17に進み、FS13で測定された光源温度Tと上述したT3との温度比較判定が行われる。その判定結果がT3>Tの場合には、タイマー動作のステップFS24に進み、一定時間後にステップFS25を経てFS13のステップに戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0090】
FS17のステップで、T3≦Tと判定された場合にはFS18のステップに進み、動作・制御モードがM−4a(電子冷却+光源電流制限モード)に設定される。次にステップFS19に進み、FS13で測定された光源温度Tと上述したT4との温度比較判定が行われる。その判定結果がT4>Tの場合には、タイマー動作のステップFS24に進み、一定時間後にステップFS25を経てFS13のステップに戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0091】
FS19のステップでT4≦Tと判定された場合には、FS20のステップに進み、第一の回路系統に供給されている第一の電源であるVSS−bが供給停止される。続いてFS21のステップに進み、光源温度の異常警告を行う。
その後FS31のステップに進み、第二の回路系統に供給されている第二の電源であるVSS−aが供給停止され、エンドステップであるFS32に移行する。
【0092】
一方、上述したFS25のステップにおける電源スイッチ4の切断状態の判定において、電源スイッチ4が切断されていると判定された場合には、FS26のステップに移行し、第一の回路系統に供給されている第一の電源であるVSS−bが供給停止される。(この状態においては、第二の回路系統に電源供給される第二の電源であるVSS−aは、引き続き供給される)
【0093】
続くFS27のステップでは、ステップFS13と同様に、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって、光源温度Tが測定される。ステップFS28では、ステップFS14と同様に、測定された光源温度Tと上述したT1との温度比較判定が行われる。その判定結果がT1≦Tと判定された場合にはFS29のステップに進み、動作・制御モードがM−5a(光源の余熱発電モード)に設定される。その後ステップFS24に戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0094】
上記ステップFS28における温度比較判定の結果、T1>Tと判定された場合にはFS30のステップに進み、動作・制御モードがM−6aに設定される。
続いてFS31のステップに進み、第二の回路系統に供給されている第二の電源であるVSS−aが供給停止され、エンドステップであるFS32に移行して一連の動作ステップが終了する。
【0095】
続いて、これまで述べてきた第一の実施形態における動作タイミングチャートを図6に示す。
図6において、a)は図1における信号S12(電源スイッチ4からの出力信号)であり、b)は同じく図1における信号S22で、マイクロプロセッサ15から出力され電源回路6に入力される第二の電源(VSS−a)供給停止指令信号である。c)は第二の電源であるVSS−aを、d)は第一の電源であるVss−bの電圧供給状態を表す。e)は、表1a及び図4で説明した、動作・制御モードの状態を表す。f)は、図1における信号S7で、温度センサ9の出力波形を表す。
【0096】
g),h),i),j)は、それぞれ図1における信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)、信号S3(電子冷却制御・駆動回路12の制御信号)、信号S6(充電制御回路13の制御信号)、信号S5(発電電圧)に対応する。k)は光源駆動信号S9、l)は光源電流制御信号S10を表す。
なお図6のタイミングチャートでは、説明を分かり易くするために、それぞれの電位及び波形を、マイナス電位を基準0電位とした絶対値電位、もしくは電位差により表現している。
【0097】
以下動作と関連させて図6のタイミングチャートの内容を説明する。図1に示した電源スイッチ4を投入すると、電源スイッチ4からの出力信号である信号S12が立ち上がり、それによって電源回路6が作動して、第二の電源であるVSS−a及び第一の電源であるVss−bが供給される。
その後、光源駆動信号S9がHigh状態に立ち上がり、それによって発光素子駆動・制御回路16が作動状態となって半導体発光素子8に駆動電流が供給される。発光素子への電流供給により、発光素子は発光すると共に熱を発生するため、f)に示した温度センサ9の出力波形信号S7のように、時間経過と共に光源である半導体発光素子の温度が上昇する。光源の温度上昇に伴い、熱電変換素子7に加わる発熱側と放熱側の温度差が大きくなるため、j)に記した熱電変換素子7の発電電圧波形信号S5は、電圧上昇を示す。
光源温度TがT1>Tの状態では、動作・制御モードがM−1aに設定され、信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)はLow状態で、熱電変換素子は発電状態に設定される。但し、このモードでは発電はされるが、温度が低いため未だ充電は行わない。
【0098】
光源温度Tが、T1≦Tと判定されると、e)に示した動作・制御モードは、M−2a(熱電変換発電・充電モード)に移行する。このM−2aのモードでは、i)に示した信号S6(充電制御回路13の制御信号)がHigh状態となり、熱電変換素子7により発電されたエネルギーが、電源電池3に充電される。この状態では、光源で発生した熱エネルギーが電気エネルギーとして回収されるため、f)に示した温度センサ9の出力波形信号S7のように、光源の温度上昇カーブが緩やかになる。また、発電電圧波形信号S5に示すように、発電電圧も充電に伴って電圧上昇が抑えられる。
【0099】
時間が経過して光源温度が上昇し、光源温度TがT2≦Tと判定されると、e)に示した動作・制御モードは、M−3a(電子冷却モード)に移行する。このモードでは、信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)、及び信号S3(電子冷却制御・駆動回路12の制御信号)がHigh状態に切り換わり、熱電変換素子は電気−熱変換電子冷却機能として作用する。その結果光源が電子冷却されるため、f)に示した温度センサ9の出力波形信号S7のように、光源の温度上昇カーブは、動作・制御モードM−2aに比べて緩やかになる。
【0100】
更に時間が経過して光源温度が上昇し、光源温度TがT3≦Tと判定されると、e)に示した動作・制御モードは、M−4a(電子冷却+光源電流制限モード)に移行する。このモードでは、信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)、及び信号S3(電子冷却制御・駆動回路12の制御信号)はHigh状態が保たれると共に、光源電流制御信号S10がHigh状態となる。このモード状態では、熱電変換素子は電気−熱変換電子冷却機能として作用すると共に、光源電流制御信号S10がHigh状態のために、発光素子駆動/制御回路は発光素子駆動電流の抑制制御を行う。その結果光源の温度上昇が抑えられ、f)に示す温度センサ9の出力信号S7の波形は、フラット状態となる。
【0101】
電源スイッチ4を遮断すると、動作・制御モードはM−5aに移行し、電源スイッチ4からの出力信号である信号S12が立ち下がり、それによって第一の電源であるVss−bの供給が停止されると共に、光源駆動信号S9がLow状態に立ち下がり、半導体発光素子8への駆動電流が供給停止される。第二の電源であるVSS−aは、このモードでは引き続き第二の回路系統に供給される。
このモードでは、信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)がLowとなって熱電変換素子は発電状態となり、また信号S6(充電制御回路13の制御信号)は再びHigh状態となって、光源の余熱によって発電されたエネルギーは電源電池3に充電される。
【0102】
光源の温度Tが低下し、T1>Tと判定された場合には動作・制御モードがM−6aに移行し、信号S6(充電制御回路13の制御信号)がLowになると共に、図1に示すマイクロプロセッサ15より信号S22が電源回路6に出力されて、第二の電源であるVSS−aの供給が停止状態となる。
この動作・制御モードM−6aにおいても、マイクロプロセッサ15には電源電池3からの電源であるVssが供給されるため、マイクロプロセッサによる全体制御系の機能は維持される。
【0103】
以上に亘って第一の実施形態の詳細を説明したが、第一の実施形態の特徴と効果を整理すると、次のようになる。
実施形態では、発熱源(表示装置の光源である半導体発光素子)の温度状態に応じて、一つの熱電変換素子(ペルチェ素子)を、熱−電気変換発電機能と、電気−熱変換電子冷却機能のいずれかに切り換えて使用することが可能となるように構成している。
このため、熱−電気変換発電用と電気−熱変換電子冷却用の熱電変換素子の共通化が可能になると共に、光源の温度状態に応じて熱電変換素子の機能を発電と電子冷却に簡単に切り換えることが出来る。その結果、光源が発する熱エネルギーを電気エネルギーに変換して電源に回収することによるエネルギー効率の向上という命題と、小型軽量で効率的に光源を冷却するという課題を、同時に解決することが可能になるという効果を有する。
【0104】
なお、第一の実施形態では、表示手段として透過型の直視方式を採用したが、半透明のスクリーンを表示装置筐体の表面側に設け、光源からの照明光を液晶表示素子で変調して、該半透明スクリーンに投射表示する、背面投射方式表示手段を用いても良い。この表示方式を採用しても、上記第一の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0105】
〔第2実施形態〕
次に第二の実施形態について説明を行う。第二の実施形態は、電池を電源として用いた携帯型の投射方式の表示装置であり、光源に発光ダイオードを採用し、表示素子として液晶ライトバルブを用いている。
図7に、第二の実施形態である携帯型の投射方式表示装置のシステム構成図を示す。同図において、第一の実施形態のシステムブロック構成図である図1と同一構成要素・機能のものには同一の符号を付与しており、それらに関わる詳しい説明はここでは省略する。
【0106】
図7において、符号1は電源部であり、その内部構成を含めて図1の電源部1と同一である。
符号34は主要回路部である。主要回路部34は、第一の回路系統45と、第二の回路系統35、及びCPU(マイクロプロセッサ)15から構成される。
第一の回路系統45は、光源部である発光ダイオードを駆動するLEDドライバー46、液晶ライトバルブを駆動するライトバルブ・ドライバー50、及び画像信号処理回路49,同期回路48,タイミングジェネレータ47とを含んで構成される。
図7において、電源部1と主要回路部34のそれぞれの入出力端子であるVDD,VSS、VSS−a,VSS−b,S1,S22は、電源部1と主要回路部2における同一の記号の端子間がそれぞれ接続され、更に主要回路部34の端子L5と電源部1の端子VSSが結線される。
【0107】
図7において、符号44は光源ブロックである。光源ブロック44を構成する符号51は光源ユニット−1で緑色発光ダイオード、符号52は光源ユニット−2で赤色発光ダイオード、符号53は光源ユニット−3で青色発光ダイオードをそれぞれ含んで構成される。符号70は光合成プリズム、符号9は温度センサである。
符号54は液晶ライトバルブ、符号55は投射レンズ、符号56はスクリーンである。
また符号43は液晶表示素子であり、表示装置筐体表面に設けられて、表示装置のモード状態,操作方法等を表示する。
【0108】
各光源ユニットは、光源部(発光ダイオード)57,絶縁体58,熱電変換素子(ペルチェ素子)59,絶縁体60,放熱フィン61から構成される。これは先に説明した、図2及び図3に示す光源部と熱電変換素子,放熱フィンの構成・機能と同一である。
各光源ユニットの光源部(発光ダイオード)に接続される信号線L6g,L6r,L6bは、光源ユニット−1(符号51)の緑色発光ダイオード、光源ユニット−2(符号52)の赤色発光ダイオード、光源ユニット−3(符号53)の青色発光ダイオードにそれぞれ対応した駆動信号である。
また、信号線L1aとL1b,L1cとL1d,及びL1eとL1fは、光源ユニット−1(符号51),光源ユニット−2(符号52),及び光源ユニット−3(符号53)にそれぞれ対応した、熱電変換素子(ペルチェ素子)の入出力ラインである。
【0109】
第二の回路系統35において、符号42はDC/DCコンバータであり、先に説明した図2の33と同様の機能を有す。信号S4は、マイクロプロセッサ15からの制御信号であり、昇圧倍率の可変コントロールを含めたDC/DCコンバータの動作制御を行う。S5は、熱電変換素子による熱電発電の出力電圧信号である。
【0110】
符号10は熱電変換素子機能切り換え回路であり、図1の熱電変換素子機能切り換え回路10と同一機能である。図7の熱電変換素子機能切り換え回路10は、切り換えユニット36,37,38から構成される。各切り換えユニットは、双方向に電気的導通状態を切り換えるトランジスタ素子であるトランスミッションゲート39の二つを一組として組み合わせ、それを二組設けて構成される。符号41は、S2の信号を反転させるインバータであり、トランスミッションゲートの制御信号を供給する。
【0111】
次に図7において、第一の実施形態のシステムブロック構成図である図1と比べて新たに加わった部分を主体に、第二の実施形態の動作を説明する。
最初に第一の回路系統45を説明すると、データ/画像信号S15は、画像信号処理回路49により画像・映像信号と同期信号に処理分離され、画像・映像信号はライトバルブ・ドライバー50により駆動信号となって液晶ライトバルブ54を駆動する。このライトバルブへの光変調駆動は、赤色光,緑色光,青色光の各色データ単位毎に時間順次に駆動される。
【0112】
分離された同期信号S18は、同期回路48によって同期処理がなされ、タイミングジェネレータ47及びマイクロプロセッサ15とによって、液晶ライトバルブによる光変調と、赤色光,緑色光,青色光の各色発光ダイオードの発光との同期タイミングが同期調和される。
タイミングジェネレータ47で生成された発光ダイオード駆動タイミング信号S24bにより、LEDドライバー46の駆動タイミングが制御され、駆動ラインL6g,L6R,L6bを通じて、光源ユニット−1(符号51)の緑色発光ダイオード,光源ユニット−2(符号52)の赤色発光ダイオード,光源ユニット−3(符号53)の青色発光ダイオードが、ライトバルブの変調色タイミングに同期して時間順次に発光駆動される。
【0113】
光合成プリズム70は、光源ユニット−1,光源ユニット−2,光源ユニット−3から時間順次に出射された緑色光,赤色光,青色光の各色出射光を反射・透過させて、液晶ライトバルブを照明する。
液晶ライトバルブ54により変調された光は、投射レンズ55により光学偏向され、スクリーン56に投射される。
【0114】
次に、第二の回路系統35における、図1に比しての変更・特徴部分の作用を説明する。
熱電変換素子機能切り換え回路10の構成要素である切り換えユニット36は、熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号である信号S2がLowの状態では、信号線L1aはL2aと接続され、信号S2がHighの状態においては、信号線L1aはL3aと接続される。切り換えユニット37,38を含めて以下同様に、信号S2がLowの状態では、L1bはL2bと、L1cはL2cと、L1dはL2dと、L1eはL2eと、L1fはL2fとそれぞれ接続される。一方信号S2がHighの状態においては、L1bはL3bと、L1cはL3cと、L1dはL3dと、L1eはL3eと、L1fはL3fとそれぞれ接続される。
【0115】
上記の切り換え動作により、光源ユニット−1(符号51),光源ユニット−2(符号52),及び光源ユニット−3(符号53)のそれぞれに設けられた熱電変換素子(ペルチェ素子)59は、熱電変換素子59の入出力ラインである信号線L1aとL1b,L1cとL1d,及びL1eとL1fを通じて、制御信号S2がLowの状態ではDC/DCコンバータに接続され、その結果熱電変換素子は熱−電気変換発電機能として作用する。一方制御信号S2がHighの状態では、各熱電変換素子は電子冷却制御・駆動回路に接続され、熱電変換素子は電気−熱変換電子冷却機能として作用する。
【0116】
A/D変換回路14は、S5を通じて入力される熱電変換素子の発電電圧と、電源電池3の電圧であるVssの双方を測定し、そのデータをS11としてマイクロプロセッサ15に出力する。マイクロプロセッサ15は、発電電圧と電源電圧との比率から、DC/DCコンバータ42での必要昇圧倍率を算定し、その結果を昇圧倍率制御信号S4として出力し、DC/DCコンバータ42の昇圧倍率を制御する。
【0117】
次に、第二の実施形態における、熱電変換素子59の機能状態切り換え(熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能との切り換え)状態を、光源(半導体発光素子57)の温度条件,及び熱電変換素子59の発電電圧条件との相関を示す図8を用いて説明する。
【0118】
図8は、第一の実施形態のモード相関図である図4と類似であり、相違点は次の点にある。
熱電変換素子59の発電電圧Vgを、動作・制御モードの変更条件として加え、図8の上部に表示している。上述したA/D変換回路14により、熱電変換素子59によって発電された発電電圧Vgを測定し、そのVgの電圧が所定電圧V1となったタイミングをt1とし、そのタイミングで動作・制御モードをM−1bからM−2bに切り換えている。同様に、M−5bからM−6bへの切り換え条件・タイミングも、Vgの電圧が所定電圧V1に低下したことを検知したタイミングに変更している。
なお、第二の実施形態では、動作・制御モードの名称をM−1b,M−2b,M−3b,M−4b,M−5b,M−6bと変えているが、第一の実施形態の動作・制御モードであるM−1a,M−2a,M−3a,M−4a,M−5a,M−6aと、機能内容は同一である。
【0119】
表2に、上記に説明した各動作・制御モードと機能内容,条件,制御内容の一覧表を示す。この表も、第一の実施形態の説明に用いた表1と類似であり、次の点のみが異なる。
条件欄に「条件−3:発電電圧状態」を追加し、発電電圧VgがV1≦Vgを満足したら、動作・制御モードをM−2bに移行するように変更している。同様に、M−5bからM−6bへの切り換え条件も、V1>Vgに変更している。
また、動作・制御モードM−2b,M−5bにおけるDC/DCコンバータ/充電制御に、「昇圧倍率切換」を付加している。
【表2】
【0120】
次に、上記変更内容をフローチャートで説明する。第二の実施形態の動作・制御モードの条件判断、及びその機能・作用を実現するためのフローチャートを図9に示す。このフローチャートは、第一の実施形態のフローチャートである図5と多くは類似であり、図5と比して変更されている点のみを以下に説明する。
図5のステップFS14及びFS28における温度判定T1≦Tに代わって、図9のフローでは電圧判定ステップFS41及びFS43を設け、ステップFS40及びFS42で測定した発電電圧Vgが、V1≦Vgを満足しているか否かを判定している。
【0121】
電圧判定ステップFS41で、発電電圧VgがV1≦Vgを満足していたら、ステップFS15の温度判定ステップを経由して、ステップFS23において動作・制御モードがM−2bに設定される。
同様に、電圧判定ステップFS43で、発電電圧VgがV1≦Vgを満足していると判定されると、ステップFS29に移行し、動作・制御モードがM−5bに設定される。
ステップFS23及びステップFS29の次のステップであるFS44では、発電電圧Vgと昇圧電圧基準値との比較が行われ、その結果に応じて次のステップのFS45において、DC/DCコンバータ42の昇圧倍率が設定される。
【0122】
続いて、第二の実施形態における動作タイミングチャートを、図10に示す。このタイミングチャートも、第一の実施形態のタイミングチャートを示す図6と類似であり、次の点が変更・追加されている。
図7に示すシステム構成図に従い、k)の光源駆動信号が、図6のS9から図10ではS14に、l)の光源電流制御信号が、図6のS10からS13にそれぞれ変更されている。これは信号名の変更だけであり、タイミングチャートには変更がない。
【0123】
追加内容としては、m)のS4(DC/DCコンバータ制御信号)とn)のDC/DCコンバータ昇圧状態が、図6に比して追加されている。m)のS4信号がHighの状態でDC/DCコンバータ42が作動し、その昇圧状態は、n)のチャートに記述されている「×2」「×1.5」「×1」で定義される。その定義内容は、「×2」は2倍昇圧を、「×1.5」は1.5倍昇圧を、「×1」は昇圧なしを意味する。
【0124】
上述した第二の実施形態の特徴・効果は、第一の実施形態の特徴・効果に加えて、充電開始(動作・制御モードM−2b)への移行タイミングを、発電電圧の測定によって行っているという特徴を有し、その結果ロスなく正確に充電を開始することが可能となるという効果をもたらす。また、発電電圧の測定結果に基づいて、DC/DCコンバータ42の昇圧倍率を最適な状態に設定することが出来るため、熱電変換素子によって発電された発電エネルギーを、無駄なく効率的に電源電池に充電することが可能になるという特徴を有す。
【0125】
以上本発明の実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明のポイントを改めて整理すると次のようになる。
本発明は、ペルチェ素子等の熱電変換素子と温度センサ,制御手段を備え、半導体光源の温度が所定の温度より低い状態では光源熱を利用して熱発電を行って熱エネルギーを電源に回収し、所定温度以上では電子冷却を行う。更に温度が上昇した場合には光源電流を制限することにより、半導体発光素子の許容熱定格の範囲に入るように制御を行うことを特徴としている。本発明により、光源熱の電気エネルギーへの回収によるエネルギーの有効利用と、小型軽量で効率的な冷却という相反する二つの課題が同時に解決され、それは表示装置,特に電池駆動される携帯型の表示装置に大きな効果を与えるものである。
【0126】
以上、本発明による表示装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されず、本発明の要旨を変えない範囲で実施態様を適宜変更して実施することが可能である。
例えば、実施形態では絶縁体26と放熱フィン28を直結させているが、その間をヒートシンクを介して接続することにより、発熱源と放熱素子との距離を離すことが可能となるため、レイアウト設計が容易になる。また、ヒートパイプを採用することによって、より効率的に冷却することも可能であり、いずれも本発明の適用範囲として実施することが可能である。
また、熱電変換素子として実施形態ではペルチェ素子を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能を可逆的に切り換え使用できる熱電変換素子であれば、本発明の適用範囲として実施することが可能であり、本実施態様と同様の作用・効果が得られるものである。
【0127】
更に、光源である半導体発光素子については、発光ダイオードを主体に実施態様を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、有機電界発光素子もしくは半導体レーザダイオードで発光素子を構成することも可能であり、本実施形態と同様の作用・効果が得られるものである。
また第二の実施形態においては、投射型液晶表示装置として透過型液晶表示素子を空間光変調器として用いて説明した。しかしながら、本発明は、透過型のみならず反射型液晶表示投射装置にも適用できることは勿論、液晶表示素子を用いた投射型表示装置のみに限定される訳ではなく、MEMS技術に基づくミラー方式の空間光変調器を用いた投射型表示装置に適用することが可能である。
【0128】
更に、本発明を適用可能な製品形態の範疇として、携帯電話あるいは電子手帳,PDA等の高機能の表示手段を備える、電池駆動される携帯型情報機器に本発明を適用しても、上記の実施形態と同様の作用効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る表示装置のシステムブロック構成図。
【図2】熱電変換素子の熱−電気変換発電機能の動作説明図。
【図3】熱電変換素子の電気−熱変換電子冷却機能の動作説明図。
【図4】第1の実施形態に係る表示装置の動作状態・モードを表す図。
【図5】第1の実施形態に係る表示装置のフローチャート図。
【図6】第1の実施形態に係る表示装置のタイミングチャート図。
【図7】第2の実施形態に係る投射型表示装置のシステム構成図。
【図8】第2の実施形態に係る投射型表示装置の動作状態・モードを表す図。
【図9】第2の実施形態に係る投射型表示装置のフローチャート図。
【図10】第2の実施形態に係る投射型表示装置のタイミングチャート図。
【符号の説明】
1・・・電源部、2・・・主要回路部、3・・・電源電池、4・・・電源スイッチ、6・・・電源回路、7・・・熱電変換素子、8・・・半導体発光素子、9・・・温度センサ、10・・・熱電変換素子機能切り換え回路、11,14・・・A/D変換回路、12・・・電子冷却制御・駆動回路、13・・・充電制御回路、15・・・CPU(マイクロプロセッサ)、16・・・発光素子駆動/制御回路、17・・・表示素子、18・・・表示駆動回路、33,42・・・DC/DCコンバータ、44・・・光源ブロック、51・・・光源ユニット−1,52・・・光源ユニット−2,53・・・光源ユニット−3、54・・・液晶ライトバルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光ダイオード等の半導体発光素子を光源に用いた投射型もしくは直視型の表示装置に関わり、特に電池駆動等により携帯利用を可能にした小型の表示装置に好適な、光源熱の利用、及び光源熱の冷却システムに関わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、発光光量の大きな発光ダイオード(以下LEDと略す)あるいは有機電界発光素子(以下有機ELと略す)等の半導体発光素子が開発されており、これらを光源に用いた投射型表示装置、あるいは直視型表示装置が提案されるに至っている。
【0003】
半導体発光素子は熱発光型ランプや放電ランプに比べて発熱は少ないが、通電発光に伴って熱を発生するため、一般の半導体と同様に許容熱定格の範囲内の温度で作動するように冷却する必要があり、小型表示装置においてはこの冷却システムの小型化と効率向上が課題となる。
また、光源からの熱発生によって、多大のエネルギーロスが生じるため、熱発生の抑制と共に、この熱エネルギーを有効利用することが、特に電池駆動される小型表示装置においては、重要な改善課題となる。
【0004】
表示装置の冷却に関し、小型化が可能な冷却方法という観点から従来技術を説明すると、下記に示す特許文献1には、次の内容が記述されている。
投射型液晶ディスプレイ装置の導光路壁にペルチェ素子を設けて電子冷却を行う。
【0005】
また、下記に示す特許文献2には、次の内容が記述されている。
液晶パネルの背面に配置された有機EL発光層の背面にペルチェ素子等の電子冷却素子を備える。
【0006】
下記に示す特許文献3には、次の内容が記述されている。
光源から出射された光のうち、不要な偏光波成分の光を利用して太陽電池によって光発電を行い、その電力を利用して電子冷却を行う。
【0007】
下記に示す特許文献4には、次の内容が記述されている。
液晶パネルの温度を検出する温度センサと、温度を調節するためのペルチェ素子等の電子冷却素子と温度制御回路を備え、液晶パネルの温度を適正温度に制御することが言及されている。
【0008】
また、表示装置の光源から発生する光源熱の有効利用という観点から従来技術を説明すると、下記に示す特許文献5には、次の内容が記述されている。
第一の電子部品発熱体に近接してペルチェ素子等の熱−電エネルギー変換素子が配置され、この発電エネルギーを電力として冷却ファン等の冷却手段を作動させて第二の電子部品発熱体を冷却する。
【特許文献1】
特開平9−284685号公報
【特許文献2】
国際公開第W098/13725号パンフレット
【特許文献3】
特開平9−61778号公報
【特許文献4】
特開平11−38378号公報
【特許文献5】
特開2000−77585号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
半導体発光素子を光源に用いることにより、装置全体の小型化を図ることが可能となり、また低消費電力化も可能となるため、電池駆動により携帯利用が可能な、投射型もしくは直視型の小型・軽量な表示装置も実現可能である。
しかし、電池駆動される携帯型等の小型な表示装置においては、光源発光に伴う発熱に関し、次の二つの課題が存在する。
【0010】
1.光源発光に伴う発熱によるエネルギーロスの削減と、熱エネルギーの有効利用によるエネルギー利用効率の向上。
光源を有する小型表示装置において、全体消費電力に対して、光源から発生する熱によるエネルギーロスが占める比率が大変高く、省エネルギー及び電池の持続時間の観点から、このエネルギーロスの削減と、熱エネルギーの有効利用が,電池を電源にした小型装置では特に大きな課題となる。
【0011】
2.効率的かつ省スペース化を図ることの出来る冷却システムの実現。
光源が発する熱の効率的な冷却と、冷却システムの省スペース化が、特に携帯型等の小型表示装置では大きな課題となる。
【0012】
しかしながら、上述した従来技術である特許文献1乃至4は、ペルチェ素子等の熱電変換素子を利用した電子冷却の提案に留まり、光源が発する熱エネルギーの有効利用を同時に解決するものではない。
また、上記特許文献5には、熱エネルギーを利用して発電することが提案されているが、その発電電力を使って冷却用ファンを作動させるものであり、このため提案は冷却システムに留まっており、熱エネルギーを冷却に用いているものの、まだ熱エネルギーを充分に有効利用しているとは言い難い。
【0013】
本発明は、上述の状況を鑑みてなされたものであり、上記二つの課題、即ち光源から発生する熱エネルギーの電気エネルギーへの回収利用と、小型・効率化冷却を同時に解決することを目的としている。
また本発明は、半導体発光素子からなる光源への駆動電流が供給停止された以降、即ち表示装置の主電源が遮断された時点以降において、光源の余熱を利用して熱エネルギーを電気エネルギーとして電源に回収することにより、エネルギー効率を向上させることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の表示装置は、半導体発光素子からなる光源と、該光源から出射される光を利用して表示出力する表示手段とを含んで構成される表示装置であって、熱−電気変換効果および電気−熱変換効果を有する熱電変換素子と、該光源もしくは該光源周辺の温度を測定検知する温度検知手段と、該温度検知手段からの温度情報に基づいて、該熱電変換素子の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換える熱電変換素子機能切り換え制御手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
上記の小型表示装置によれば、熱−電気変換効果および電気−熱変換効果の両方の機能を有する熱電変換素子を用い、光源である半導体発光素子もしくはその周辺の温度を測定し、その温度情報に基づいて熱電変換素子の機能を、熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換えるように構成しているため、一つの熱電変換素子を上記の両機能に切り換えて使用することが可能となる。
このため、素子部品の共通化が可能となると共に、光源の温度状況に応じて発電と冷却を簡単に切り換えることが出来るため、効率性と柔軟性に優れた冷却及びエネルギー回収に関わるシステムを構築することが可能となる。
【0016】
なお、ここで表現している熱−電気変換効果とは、種類の異なった二つの物質(導体もしくは半導体)を接続させ、その接合部の温度に温度差を設けることによって、温度差に応じて熱起電力を発生する現象であり、一般にゼーベック効果として知られている現象を指す。熱−電気変換発電機能とは、このゼーベック効果によって発電される機能を指している。
本発明では、光源である半導体発光素子を熱電変換素子に接合接触させることにより、熱電変換素子の接合部に温度差を生じさせ、それによって発電を行う。
【0017】
また、電気−熱変換効果とは、ゼーベック効果とは逆の現象で、二種類の導体または半導体を接合した境界面に電流を流すと、電流の方向と大きさに依存した熱量の発生(発熱)と放出(吸熱)が行われる現象であり、一般にペルチェ効果として知られている現象を指す。電気−熱変換電子冷却機能とは、このペルチェ効果のうち、吸熱作用を利用して冷却する機能を指している。
上記の効果を有する熱電変換素子は、一般にゼーベック効果とペルチェ効果を可逆的に切り換えて使用することが可能である。
【0018】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は、前記温度検知手段により測定された温度が第一の所定の温度より低い条件においては、前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定し、所定の温度より高い条件においては、前記熱電変換素子を電気−熱変換電子冷却機能に設定するように切り換え制御することを特徴としている。
【0019】
上記の表示装置によれば、光源もしくはその周辺の温度が所定の温度より低い状態においては、光源熱に直接接する側と接しない側との温度差を利用して、熱電変換素子により発電することが出来、一方光源もしくはその周辺温度が所定の温度より高い状態においては、熱電変換素子を電子冷却の機能に切り換えることにより、光源を冷却することが可能となる。
このため、一つの熱電変換素子を共通使用して、光源温度が光源の冷却を必要とするような比較的高い状態では効率よく電子冷却が出来ると共に、光源の冷却が必要のない比較的温度の低い光源温度状態では、熱電発電することにより、光源熱を電気エネルギーとして回収することが出来る。
【0020】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記半導体発光素子の駆動電流を制御する発光素子駆動制御手段を更に備え、前記温度検知手段により測定された温度が、前記第一の所定の温度より高く設定されている第二の所定の温度より高い条件では、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を電気−熱変換電子冷却機能に設定するように切り換え制御するとともに、該発光素子駆動制御手段は前記半導体発光素子の駆動電流の大きさを抑制するように制御することを特徴としている。
【0021】
上記の小型表示装置によれば、熱電変換素子の電子冷却作用と放熱素子による放熱冷却を行っても、なお所定の温度より光源の温度が上昇するような環境条件下においては、光源である半導体発光素子の駆動電流の大きさを低減抑制することにより、光源温度を半導体発光素子の許容熱定格の範囲内に抑えることが可能となる。
【0022】
なお、一般に電流値と発生熱量の関係は、発生熱量は流れる電流値の二乗に比例する。このため、許容最大熱定格近くまで光源の温度が上昇するような環境下では、光源電流の電流値を抑制させることは、光源温度を一定温度範囲以内に抑止する上で大変有効に作用する。
また、上記のシステム構成にすることにより、光源冷却システムの冷却能力余裕度を大きくとる必要がなくなるため、特に携帯型等の小型の表示装置における小型化に多大な効果を奏する。
【0023】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記光源および前記表示手段を含む第一の回路系統に電源を供給する第一の電源と、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段を含む制御系の第二の回路系統に電源を供給する第二の電源とを更に備え、該光源及び該表示手段の機能が有効となっている第一の作動状態においては、該第一の電源からは該第一の回路系統に、該第二の電源からは第二の回路系統にそれぞれ電源が供給され、該光源及び該表示手段の機能が有効から非有効に切り換わった第二の作動状態においては、該第一の回路系統には該第一の電源からの電源供給が停止され、該第二の回路系統には引き続き第二の電源から電源が供給されると共に、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定するように切り換え制御することにより、前記光源の余熱により前記熱電変換素子は熱−電気変換発電機能として作動することを特徴としている。
【0024】
上記の表示装置によれば、光源及び表示手段への電源供給が停止された時点およびそれ以降において、熱電変換素子は光源の余熱と放熱素子との間の温度差を利用して引き続き熱−電気変換発電を行うことが可能となる。
これは、光源への電源供給が停止される直前の状態が、熱電変換素子を電気−熱変換電子冷却機能として作動させている状況であっても、半導体発光素子においては電源供給が停止されて以降はそれ以上冷却させる必要がないため、上記の作用を行わせることが可能となる。
このため、光源への電源供給が停止された時点以降は、光源の余熱を利用して熱−電気変換発電を行いエネルギー回収ができるため、特に電池駆動もしくは携帯型等の、小型の表示装置のエネルギー効率向上への効果が大きい。
【0025】
また、本発明の表示装置においては、上記のいずれかに記載の特徴に加えて、充電可能な電池と、該電池への充電を制御する充電制御手段とを更に備え、前記熱電変換素子により発電された電気エネルギーが、該充電制御手段によって制御されて該電池に充電されることを特徴としている。
【0026】
上記の表示装置によれば、光源が発生する熱を利用して熱電変換素子によって熱−電気変換発電を行い、この発電された電気エネルギーを電池に充電することが可能となる。
このため、半導体発光素子からなる光源に電流を流して発光させることに伴って生じる、電源電池から供給された電気エネルギーが熱エネルギーとなって失われた損失エネルギーの一部が、熱電変換素子による熱−電気変換発電と充電作用によって、再び電気エネルギーとして電源電池に回収できることになる。
この効果は、特に電池駆動もしくは携帯型等の、小型の表示装置のエネルギー効率向上への寄与として大きい。
【0027】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記熱電変換素子によって発電された起電力の電圧を測定する電圧測定手段を更に備え、該電圧測定手段により測定された発電電圧が所定の電圧より高い条件下では、前記充電制御手段は前記熱電変換素子により発電された電気エネルギーを前記電池に充電するように制御することを特徴としている。
【0028】
上記の表示装置によれば、熱電変換素子の熱−電気変換発電による発電電圧を把握できるため、充電制御手段を簡単な構成で実現できると共に、電池への充電を確実に制御することが可能となる。
すなわち充電に関しては、温度条件等の発電電圧値以外の条件を考慮することなく充電制御を行うことが可能となるため、制御が容易で正確な充電制御を実現することが出来る。
【0029】
また、本発明の表示装置においては、上記の特徴に加えて、前記熱電変換素子によって発電された起電力の直流電圧変換を行うDC/DCコンバータを更に備え、前記電圧測定手段により測定された発電電圧に応じて、該DC/DCコンバータの入力対出力電圧変換比率が可変制御されると共に、該DC/DCコンバータによって電圧変換された発電電気エネルギーが、前記電池に充電されるように前記充電制御手段により制御されることを特徴としている。
【0030】
上記の表示装置によれば、熱電変換素子によって発電された起電力の電圧の大きさに応じて、DC/DCコンバータの入力対出力電圧変換比率を可変制御することが可能となる。
このため、発電電圧が低い状態の場合には入力対出力電圧変換比率を高く、即ち電圧昇圧比率を高くすることにより、光源の温度があまり高くなく、発電電圧が低い状態においても電池を充電することが可能となる。
この結果、特に電池駆動もしくは携帯型等の、小型の表示装置のエネルギー効率向上への寄与が大きい。
【0031】
また、本発明の表示装置においては、前記熱電変換素子は、ペルチェ素子を含んで構成されることを特徴としている。
【0032】
上記の表示装置によれば、熱電変換素子に、小型・軽量で取り扱いやメンテナンスが容易であり、形状の自由度が高く、更に電気−熱変換電子冷却機能と熱−電気変換発電機能の両機能への切り換え使用が可能なペルチェ素子を使用している。
このため、光源の冷却系が小型化できるので装置そのものの小型・軽量化に寄与すると共に、上述した二つの課題である、光源から発生する熱エネルギーの電気エネルギーへの回収利用と、小型・効率化冷却を同時に解決することが可能となり、小型表示装置に最適な電気−熱変換電子冷却機能と熱−電気変換発電機能の切り換えシステムを提供できる。
【0033】
また、本発明の表示装置においては、前記半導体発光素子は、発光ダイオードを含んで構成されることを特徴としている。
【0034】
上記の小型表示装置によれば、光源にサイズの小さい発光ダイオードを使用しているため、表示装置の小型化を可能ならしめると共に、発熱量も熱発光型もしくは放電型のランプに比べてはるかに小さい。
このため、熱電変換素子を利用した電気−熱変換電子冷却機能による冷却が可能となる。従って、光源に発光ダイオードを採用して熱電変換素子と組み合わせ使用することにより、携帯型等の小型の表示装置に最適な電気−熱変換電子冷却機能と熱−電気変換発電機能の切り換えシステムを提供することができる。
その結果、上述した二つの課題である、光源から発生する熱エネルギーの電気エネルギーへの回収利用と、小型・効率化冷却を同時に解決することが可能となる。
【0035】
また、本発明の表示装置においては、前記表示手段は、前記光源から出射される光を変調する空間光変調素子を含んで構成されることを特徴としている。
【0036】
上記の表示装置によれば、液晶表示素子等の空間光変調素子により光源光を変調してスクリーンに拡大表示する投射型表示装置を含むように構成することが可能である。これらの表示装置は、常時動作させておくものではなく、会議等において必要な時だけ利用する使われ方が一般的なため、光源の温度は常温状態から高温状態に遷移し、利用停止に伴って再び光源の温度が常温に復帰するという温度サイクルが存在する。
このため、熱電変換素子を利用した熱−電気変換発電機能による熱エネルギーの電気エネルギーへの回収と、電気−熱変換電子冷却機能による冷却システムの切り換えが、極めて有効に機能するものとなる。従って、特に電池駆動される小型・携帯型の表示装置に著しい効果を奏する。
【0037】
また、本発明の表示装置は、半導体発光素子からなる光源と、該光源から出射される光を利用して表示出力する表示手段とを含んで構成される表示装置であって、熱−電気変換効果および電気−熱変換効果を有する熱電変換素子と、該光源および該表示手段を含む第一の回路系統に電源を供給する第一の電源と、該熱電変換素子の制御系を含む第二の回路系統に電源を供給する第二の電源とを備え、該光源及び該表示手段の機能が有効となっている第一の作動状態においては、該第一の電源からは該第一の回路系統に、該第二の電源からは第二の回路系統にそれぞれ電源が供給され、該光源及び該表示手段の機能が有効から非有効に切り換わった第二の作動状態においては、該第一の回路系統には該第一の電源からの電源供給が停止され、該第二の回路系統には引き続き第二の電源から電源が供給されると共に、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定するように切り換え制御することにより、前記光源の余熱により前記熱電変換素子は熱−電気変換発電機能として作動することを特徴としている。
【0038】
上記の表示装置によれば、光源及び表示手段への電源供給が停止された時点およびそれ以降において、熱電変換素子は光源の余熱と放熱素子との間の温度差を利用して引き続き熱−電気変換発電を行うことが可能となる。
従来の熱発光型もしくは放電発光型のランプを用いた投射型表示装置においては、主電源スイッチを遮断してから以降も、光源の放熱冷却のために引き続き冷却ファンを回さなければならないため電力消費をしていたが、本発明による上記表示装置によれば、電源スイッチの遮断以降は光源の余熱を利用して熱電発電を行いエネルギー回収ができるため、特に電池駆動もしくは小型・携帯型等の表示装置のエネルギー利用効率向上への効果が大きい。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に関わる表示装置の実施形態を、図1乃至図10及び表1を参照して詳細に説明する。
【0040】
〔第1実施形態〕
第一の実施形態は、電池を電源として用いた小型・携帯型の直視方式の表示装置であり、光源に発光ダイオードを採用し、光源から出射された光を透過型液晶表示素子の照明光として用いるように構成されている。
第一の実施形態による表示装置は、デジタルカメラ撮像写真,デジタル放送映像等のデジタル画像を、明るく高品位に映像モニタすることを目的にしており、小型・携帯型でかつ明るく高品位な映像品質を得るという相反する課題を解決するために、照明光の光源に発光ダイオードを採用している。
【0041】
図1に、第1の実施形態である表示装置のシステムブロック構成を示す。
図1において、符号1は電源部、符号2は主要回路部である。
同図において主要回路部2は、第一の回路系統19と、第二の回路系統20、及びCPU(マイクロプロセッサ)15から構成される。
第一の回路系統19は、光源部を構成する半導体発光素子8と発光素子駆動/制御回路16、及び表示手段を構成する表示素子17と表示駆動回路18とを含んで構成されている。符号S30は、マイクロプロセッサ15から表示駆動回路17をコントロールする制御信号である。
なお同図において、表示駆動回路18への入力段となる、映像信号入力から画像信号処理回路,同期回路は、一般的な構成となるため省略してある。
【0042】
第二の回路系統20は、ペルチェ素子からなる熱電変換素子7、光源部もしくは光源部周辺の温度を測定する温度センサ9、温度センサ9からの測定信号をアナログ−デジタル変換するA/D変換回路11、熱電変換素子7の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換える熱電変換素子機能切り換え回路10、ペルチェ素子7の電子冷却機能を制御・駆動する電子冷却制御・駆動回路12、熱−電気変換発電時に電源電池3への充電を制御する充電制御回路13、発電電圧をアナログ−デジタル変換するA/D変換回路14から構成されている。
また、CPU(マイクロプロセッサ)15は、第一及び第二の回路系統の動作を制御・統制する。
【0043】
図1において、電源部1と主要回路部2のそれぞれの入出力端子であるVDD,VSS、VSS−a,VSS−b,S1,S22は、電源部1と主要回路部2における同一の記号の端子間がそれぞれ接続され、更に主要回路部2の端子L5と電源部1の端子VSSが結線される。
【0044】
電源部1は、電源電池3,電源スイッチ4,電源回路6から構成され、プラス電位であるVDD、第一のマイナス電位であるVSS−b、第二のマイナス電位であるVSS−aを、主要回路部2に供給する。なお、VSSは電源電池3のマイナス電位である。
【0045】
電源系統を説明すると、光源部及び表示部を含む第一の回路系統19には、第一の電源であるVSS−bが、また熱電変換素子機能切り換え回路10を含む第二の回路系統20には第二の電源であるVSS−aが供給される。また、CPU(マイクロプロセッサ)15にはVssが供給される。
なお本実施形態では、比較的大きな駆動電流が必要な一部の回路を除き、C−MOS半導体回路を基本として回路構成しているため、プラス電位をVDD、第一のマイナス電位をVSS−b、第二のマイナス電位をVSS−aと表記している。
【0046】
図1に示した第1の実施形態の詳細な説明に入る前に、図2及び図3を用いて、熱電変換素子の熱−電気変換発電機能及び電気−熱変換電子冷却機能について簡単に説明を行う。
【0047】
図2は熱電変換素子の熱−電気変換発電機能の動作説明図である。同図において、符号22a〜22cはn型半導体、符号21a〜21cはp型半導体であり、符号27は熱伝導性と導電性の高い素材からなる電極であり、第1実施形態では銅電極を採用している。熱電変換素子の一単位は、一対のn型半導体22とp型半導体21が電極27で接合されて形成され、この対を多数直列に接続して熱電変換素子対群が構成される。ペルチェ素子は、この熱電変換素子の一つで、常温から250度くらいまでの温度範囲での発電もしくは電子冷却用に、ビスマス・テルル系材料が用いられる。
【0048】
符号25は第一の絶縁体、同26は第二の絶縁体であり、シリコン,セラミック等の熱伝導性の高いで材料で構成することが望ましく、第1実施形態ではセラミックを採用している。符号28は放熱フィンであり、筐体の外周部に設けられて、外部に熱を放出する。また、符号29は発熱源であり、本実施形態においては半導体発光素子からなる光源がこの発熱源に相当する。この発熱源29と放熱フィン28との温度差が、熱電変換素子対群に付与される。
符号23,24は熱電変換素子対群の入出力端子電極であり、この電極を通じて外部回路と結線される。
【0049】
図2の符号33は直流電圧を電圧変換するDC/DCコンバータであり、第1実施形態では入力電圧に対して出力電圧を高くする昇圧形式をとっている。符号13は電源電池3への充電を制御する充電制御回路であり、図1の符号13と同一のものである。
符号30,31,32はコンデンサであり、コンデンサ30は熱−電気変換発電により発電された起電力電荷を一時的に蓄える機能を、同じくコンデンサ32は,DC/DCコンバータにより昇圧された電圧を平滑・安定化させる機能を有す。コンデンサ31は、昇圧用のコンデンサである。
符号3は電源電池であり、熱電変換素子の熱−電気変換発電機能により発電された起電力は、DC/DCコンバータ33により昇圧され、充電制御回路13を介して電源電池3を充電する。
【0050】
次に、熱電変換素子の熱−電気変換発電機能について、その原理概要を説明する。この熱電変換素子による熱−電気変換発電作用は、ゼーベック効果に基づくものである。
図2において、上述のように発熱源29(半導体発光素子)から発生した熱は、第一の絶縁体25を介して、熱電変換素子対を構成する電極27,n型半導体22a〜22c,p型半導体21a〜21cに伝わり、更に電極27,第二の絶縁体26を経て放熱フィン28に伝導され、放熱フィン28によって外部に放熱される。なお、ここでは放熱フィンを用いたが、他の放熱素子を用いてもよい。
従って、図2に記述したように、熱電変換素子(ペルチェ素子)に接する第一の絶縁体25の側が熱入力となり、同じく第二の絶縁体26の方向が放熱側(熱出力)となる。熱電変換素子(ペルチェ素子)に加わる熱は、相対的に熱入力側(第一の絶縁体25)が放熱側(第二の絶縁体26)より高くなる。
【0051】
上記条件においては、第一の絶縁体25から第二の絶縁体26の方向に熱が伝達され、その過程において、n型半導体22a〜22cの中では熱エネルギーに因って電子が(図2中の−)温度伝導の方向(第二の絶縁体26の方向)に移動する。同じく、p型半導体21a〜21cの正孔(図2中の+)も温度伝導の方向(第二の絶縁体26の方向)に移動する。
n型半導体22a〜22cとp型半導体21a〜21cは、電極部27を介して電気的に直列に接続されているため、熱伝導される熱エネルギーが、半導体中のキャリアである電子と正孔が移動する電気エネルギーに変換され、その結果熱電変素子の入出力端子電極23,24より起電力を得ることが出来る。
【0052】
上記の条件においては、図2に示すようにn型半導体の電子及びp型半導体の正孔のいずれも、図中の右方向に移動するため、熱電変換素子の入出力電極23側がプラスに、同24側がマイナス方向に起電力が発生する。
従って、図2に示す極性で回路結線を構成すれば、熱電変換素子によって発電した起電力を、DC/DCコンバータ33を作用させて、充電電池3を充電することが出来る。
【0053】
次に、同じ熱電変換素子(ペルチェ素子)を用いて、電気−熱変換電子冷却させる機能を、図3に従い説明する。
図3において、熱電変換素子対群の構成、及び発熱源29(半導体発光素子),放熱フィン28は図2と同一である。符号12は、熱電変換素子(ペルチェ素子)の電子冷却制御・駆動回路であり、図1の符号12と同一のものである。
【0054】
図3において、発熱源29(半導体発光素子)から発生した熱は、第一の絶縁体25を介して、熱電変換素子対を構成する電極27,n型半導体22a〜22c,p型半導体21a〜21cに伝わり、更に電極27,第二の絶縁体26を経て放熱フィン28に伝導され、放熱フィンによって外部に放熱される。これは、図2の説明と同一である。
この状態において、入出力電極24をプラス電位に、同23をマイナス電位になるように設定して、熱電変換素子(ペルチェ素子)の入出力電極24から入出力電極23の方向に電流が流れるように、電子冷却制御・駆動回路12により駆動・制御を行う。
【0055】
ペルチェ効果の原理について簡単に説明すると、二種類の半導体を接合した界面に電流を流すと、ペルチェ効果により、電流の大きさとゼーベック係数の大きさに比例した熱量の発生(発熱)と放出(吸熱)作用が、電流の方向に依存して半導体接合面で行われる。半導体中のキャリア(正孔,電子)の流れる方向と熱移動の方向が一致する場合には、熱を吸収するため、そのキャリアの流れ出る側の熱伝変換素子半導体接合面は冷却される。また、他方の半導体接合面は加熱されることになる。
【0056】
図3においては、上述のペルチェ効果により、熱電変換素子の第一の絶縁体25側がペルチェ吸熱されるため冷却作用をもち、逆に第二の絶縁体26の側がペルチェ発熱状態となる。これは、熱電変換素子の第一の絶縁体25側から第二の絶縁体26側に、電流に比例した熱移動が行われると理解することができる。
上述のペルチェ効果により、熱電変換素子の第一絶縁体25側の温度が、第二絶縁体26側より相対的に低くなり、発熱源29(半導体発光素子)から発生した熱が局部冷却されて、放熱フィン28側に熱移動する。
このような特性をペルチェ効果は有するため、小型装置の筐体内において、狭いスペースで局部的に効率よく発熱体を冷却するのに大変有効である。
【0057】
図2及び図3に基づいて、熱電変換素子(ペルチェ素子)を用いた熱−電気変換発電機能および電気−熱変換電子冷却機能を説明したが、本発明思想の骨子は、図2において説明した熱−電気変換発電機能と、図3において説明した電気−熱変換電子冷却機能を、発熱源(半導体発光素子)の温度状態に応じて、一つの熱電変換素子を切り換えて共通使用するところにある。
なお、図2および図3を比較すると分かるように、電源電池3に対する熱電変換素子(ペルチェ素子)の入出力電極23と24の極性を、熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とでは、切り換える必要がある。
【0058】
この熱電変換素子の機能切り換え、及び熱電変換素子の極性切り換えを行うのが、図1に示す熱電変換素子機能切り換え回路10であり、その熱電変換素子機能切り換え回路10は、熱−電気変換発電機能の作用時には、熱電変換素子7と充電制御回路13とを接続し、電気−熱変換電子冷却機能の作用時には、熱電変換素子7と電子冷却制御・駆動回路12とを接続するように作用する。なお図1には、図2に示したDC/DCコンバータ33は省略してある。
この熱電変換素子機能切り換え回路10が、特許請求の範囲に記述している「熱電変換素子機能切り換え制御手段」に相当する。
【0059】
再び図1に戻り、第1の実施形態を説明すると、電源スイッチ4が投入されると電源部1の電源回路6により、第一のマイナス電位であるVSS−b、及び第二のマイナス電位であるVSS−aが、主要回路部2に供給される。これにより、第一の回路系統19と第二の回路系統20が共に動作状態となる。
【0060】
第一の回路系統19においては、発光素子駆動/制御回路16に駆動制御され、ラインL6を通じて半導体発光素子8が発光して照明光を出射し、表示駆動回路18によって変調・駆動される透過型の表示素子17を、前記照明光が照明することにより所要の表示を行う。なお、信号S9はマイクロプロセッサ15によってコントロールされる発光素子駆動/制御回路16の制御信号であり、信号S10は発光素子駆動電流の電流値を制限する電流制御信号である。
【0061】
第二の回路系統20の回路構成において、温度センサ9は、光源である半導体発光素子8の通電発光に伴う温度状況を測定検知するように、光源もしくはその近傍に近接配置され、その温度センサ9によって測定されたデータは、信号S7としてA/D変換回路11に入り、A/D変換回路11によりデジタル変換されて信号S8としてマイクロプロセッサ15に取り込まれ、光源の温度状況が検知される。
マイクロプロセッサ15は、この光源の温度状況に応じて、熱電変換素子機能切り換え回路10を信号S2によって制御・切り換えを行い、熱電変換素子7の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能のいずれかに切り換える。
【0062】
信号S2がLowの状態では、熱電変換素子機能切り換え回路10は、熱−電気変換発電機能が作用するように、ラインL1,ラインL2を介して熱電変換素子7と充電制御回路13を接続し、発電された起電力はラインL5とVSSを経由して電源電池3を充電する。信号S6は、充電制御回路13の制御信号でありマイクロプロセッサ15によりコントロールされる。
A/D変換回路14は、充電制御回路13からの信号S5に出力される発電電圧をアナログ−デジタル変換して、その出力S11をマイクロプロセッサ15に伝える。信号S23は、A/D変換回路14の制御信号である。
【0063】
一方、信号S2がHighの状態では、熱電変換素子機能切り換え回路10は、電気−熱変換電子冷却機能が作用するように、ラインL1,ラインL3を介して熱電変換素子7と電子冷却制御・駆動回路12を接続し、光源であると共に熱源でもある半導体発光素子8を電子冷却する。
信号S3は、電子冷却制御・駆動回路12の制御信号でありマイクロプロセッサ15によりコントロールされる。
【0064】
なお、図1においては、熱電変換素子7と光源である半導体発光素子8の間の空間が広く記述されているが、実際の構造は図2及び図3に示したように、熱電変換素子7と光源である半導体発光素子8は、絶縁部を介して密着されるように構成される。また、温度センサ9は、光源である半導体発光素子に密着もしくは近接して配置される。
【0065】
次に、光源(半導体発光素子8)の温度状態と、熱電変換素子7の機能状態切り換え(熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能との切り換え)の相関を、図4を用いて説明する。
【0066】
図4において、縦軸は図1の半導体発光素子8(図2及び図3の発熱源29に相当)もしくはその近傍の温度を示し、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって測定された温度である。
図4縦軸のT1,T2,T3,T4は、所定の温度状態を示す。
【0067】
T1は、熱電変換素子7の熱−電気変換発電機能によって発電された起電力を、電源電池3に充電させ始める温度である。この温度設定の適性値は、熱電変換素子7の熱−電気変換発電特性とDC/DCコンバータの昇圧設定に依存するが、第一の実施形態では概ね40から50℃に設定している。
【0068】
T2は、熱電変換素子7を、熱−電気変換発電機能から電気−熱変換電子冷却機能に切り換える温度である。特許請求の範囲に記載された「第一の所定温度」がこのT2に相当する。第一の実施形態では概ね85から90℃に設定している。
【0069】
T3は、熱電変換素子7の電気−熱変換電子冷却機能による冷却に加えて、光源(半導体発光素子8)の駆動電流を制限する状態に切り換える温度である。特許請求の範囲に記載された「第二の所定温度」がこのT3に相当する。第一の実施形態では概ね100から105℃に設定している。
【0070】
T4は、光源(半導体発光素子8)の最大熱定格の温度である。第一の実施形態に使用した発光ダイオードの許容最大熱定格温度は110℃である。
【0071】
図4の横軸は、図1の電源スイッチ4が投入されてからの経過時間を示す。
t0は、電源スイッチ4が投入されたタイミング。
t1は、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって測定された温度が、上記T1の温度に達したタイミング。
t2は、同様に上記T2の温度に達したタイミング。
t3は、同様に上記T3の温度に達したタイミング。
t4は、図1の電源スイッチ4が遮断されたタイミング。
t5は、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって測定された温度が、光源(半導体発光素子8)への駆動電流停止に伴う温度低下により、上記T1の温度に再び達したタイミングである。
【0072】
図4の上部に記述されている、動作・制御モードM−1a,M−2a,M−3a,M−4a,M−5a,M−6aのそれぞれは、熱電変換素子7の機能状態及び制御モードを示している。
【0073】
モードM−1aは、電源スイッチ4が投入されてから上記温度状態がT1になるまでの状態(t0からt1までの時間帯)であり、熱電変換素子7は熱電発電としては作用しているが、電源電池への充電作用は行っていない。
モードM−2aは、上記温度状態がT1からT2の間の状態(t1からt2までの時間帯)であり、熱電変換素子7は熱電発電を行うと共に、電源電池3への充電作用が行われる。
【0074】
モードM−3aは、上記温度状態がT2からT3の間の状態(t2からt3までの時間帯)であり、熱電変換素子7は電子冷却を行う。
モードM−4aは、上記温度状態がT3からT4の間の状態(t3からt4までの時間帯)であり、熱電変換素子7による電子冷却に加えて、電流制御信号S10によって発光素子駆動/制御信号を作用させて、光源(半導体発光素子8)の駆動電流の制限を行う。
【0075】
モードM−5aは、電源スイッチ4が遮断されてから上記温度状態がT1になるまでの状態(t4からt5までの時間帯)であり、光源である半導体発光素子8への駆動電流が停止され、熱電変換素子7は光源の余熱を利用して熱電発電を行い、電源電池3への充電を行う。
モードM−6aは、上記温度状態がT1以下に下がった状態(t5以降の時間帯)であり、充電作用を停止する。
なお本実施形態では、モードM−1aにおいて、熱電変換素子7を熱電発電機能として作用させているが、このモードにおいて熱電発電作用を停止させても良い。
【0076】
図4に示した温度カーブからは、電源スイッチ4の投入による光源(半導体発光素子8)への駆動電流開始後、熱電変換素子7による熱発電が充電として作用していないM−1aのモードでは、半導体発光素子8の周辺温度が急激に上昇し、熱電変換素子7が熱電発電・充電を行うM−2aのモードでは、温度上昇カーブがなだらかになり、熱電変換素子7が電子冷却を行うM−3aモードでは、温度上昇が大幅に抑えられ、電子冷却に加えて半導体発光素子8への駆動電流制限を行うM−4aのモードでは、温度上昇が発生しないことが読み取れる。
なお、モードM−2aにおいて温度上昇がなだらかになるのは、熱電発電・充電によって、熱エネルギーが電気エネルギーに転換・回収されるからである。
【0077】
また同じく図4において、電源スイッチ4が遮断されて、光源である半導体発光素子8への駆動電流が停止され、光源の余熱を利用して熱電変換素子7が熱電発電・充電を行うM−5aモードでは、熱電発電・充電を行わないM−6aモードに比較して、温度降下の傾きが早いことも読み取れる。
【0078】
表1に,上記に説明した各動作・制御モードと機能内容,条件,制御内容の一覧表を示す。
この表は、これまで説明してきた図1の主要ブロックの機能作用と各条件(電源状態と光源の温度状態)の相関を整理したものである。
表1において、動作・制御モードは上記モードM−1aからM−6aを指し、機能内容は、図1に示した熱電変換素子7の機能(熱−電気変換発電機能もしくは電気−熱変換電子冷却機能)状態と、光源(半導体発光素子8)の駆動電流制限機能、及び充電機能の状態を表している。
【表1】
【0079】
表1条件の欄の「条件−1:電源の状態」は、先に説明した第一の電源(VSS−b)及び第二の電源(VSS−a)の状態を表している。
「条件−2:温度状態」は、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって測定された半導体発光素子8もしくはその近傍の温度が、上記に示した所定の温度状態(T1からT4)のいずれにあるかを表す。
【0080】
同じく表1制御状態の欄の「電子冷却制御/駆動」は、図1の電子冷却制御・駆動回路12の作動状態を、同じく「DC/DC Conv./充電制御」は、図1の充電制御回路13と、図2に示すDC/DC Conv.33の作動状態を表す。また、「光源(LED)駆動電流制御」は、図1の発光素子駆動制御回路16の作動状態を表す。
【0081】
表1からは、例えば動作・制御モードM−2aにおいて、そのモードの条件としては、電源状態として第一及び第二の電源が供給され、かつ光源温度Tの温度条件がT1≦T<T2を満たすことが求められ、その結果熱電変換素子によって熱電変換発電が行われ、DC/DC Conv./充電制御機能が作用して、電源電池が充電されることが分かる。
【0082】
またモードM−3aに関しては、電源状態として第一及び第二の電源が供給され、かつ光源温度Tの温度条件がT2≦T<T3を満たした場合にM−3aとなり、その結果熱電変換素子によって電子冷却が行われ、電子冷却制御/駆動機能が作用することが分かる。
【0083】
同様に、モードM−4aに関しては、電源状態として第一及び第二の電源が供給され、かつ光源温度Tの温度条件がT3≦T<T4を満たした場合にM−4aとなり、その結果熱電変換素子によって電子冷却が行われ、電子冷却制御/駆動機能が作用すると共に、光源(半導体発光素子8)の駆動電流抑制機能が作用することが分かる。
【0084】
モードM−5aに関しては、電源状態として第一の電源が非供給状態となり、第二の電源は引き続き供給される状態で、かつ光源温度Tの温度条件がT1≦Tを満たした場合にM−5aとなり、その結果熱電変換素子によって熱電変換発電が行われ、DC/DC Conv./充電制御機能が作用して、電源電池が充電されることが分かる。
【0085】
次に、上述した各動作・制御モードの条件判断、及びそのモードの機能・作用を実現するためのフローチャートを、図5に示す。
同図フローにおいて、図1に示す電源スイッチ4の投入によって動作フローがスタートする(FS11)。続いてステップFS12において、図1の電源回路6から、第一の回路系統に第一の電源であるVSS−bが、同じく第二の回路系統に第二の電源であるVSS−aが供給される。
【0086】
続いてステップFS13において、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって、光源温度Tが測定される。ステップFS14では、マイクロプロセッサ15によって、測定された温度Tと上述したT1との温度比較判定が行われる。その判定結果がT1>Tの場合にはFS22のステップに進み、動作・制御モードがM−1aに設定される。
【0087】
T1>Tの場合、ステップFS22の次にステップFS24に進む。FS24のステップでは、間欠作動を行わせるためのタイマー動作を行う。ここでは所定のタイマーカウントを行って待機し、所定のカウント状態になったら、次のステップFS25に移行する。
FS25のステップでは、電源スイッチ4が切断されているか否かの判定を行い、電源スイッチ4が切断されていなければ、FS13のステップに戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0088】
FS14のステップで、T1≦Tと判定された場合にはFS15のステップに進み、FS13で測定された光源温度Tと上述したT2との温度比較判定が行われる。その判定結果がT2>Tの場合にはFS23のステップに進み、動作・制御モードがM−2a(熱電変換発電・充電モード)に設定される。ステップFS23の次にタイマー動作のステップFS24に進み、一定時間後にステップFS25を経てFS13のステップに戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0089】
FS15のステップでT2≦Tと判定された場合には、FS16のステップに進み、動作・制御モードがM−3a(電子冷却モード)に設定される。次にステップFS17に進み、FS13で測定された光源温度Tと上述したT3との温度比較判定が行われる。その判定結果がT3>Tの場合には、タイマー動作のステップFS24に進み、一定時間後にステップFS25を経てFS13のステップに戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0090】
FS17のステップで、T3≦Tと判定された場合にはFS18のステップに進み、動作・制御モードがM−4a(電子冷却+光源電流制限モード)に設定される。次にステップFS19に進み、FS13で測定された光源温度Tと上述したT4との温度比較判定が行われる。その判定結果がT4>Tの場合には、タイマー動作のステップFS24に進み、一定時間後にステップFS25を経てFS13のステップに戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0091】
FS19のステップでT4≦Tと判定された場合には、FS20のステップに進み、第一の回路系統に供給されている第一の電源であるVSS−bが供給停止される。続いてFS21のステップに進み、光源温度の異常警告を行う。
その後FS31のステップに進み、第二の回路系統に供給されている第二の電源であるVSS−aが供給停止され、エンドステップであるFS32に移行する。
【0092】
一方、上述したFS25のステップにおける電源スイッチ4の切断状態の判定において、電源スイッチ4が切断されていると判定された場合には、FS26のステップに移行し、第一の回路系統に供給されている第一の電源であるVSS−bが供給停止される。(この状態においては、第二の回路系統に電源供給される第二の電源であるVSS−aは、引き続き供給される)
【0093】
続くFS27のステップでは、ステップFS13と同様に、図1の温度センサ9及びA/D変換回路11によって、光源温度Tが測定される。ステップFS28では、ステップFS14と同様に、測定された光源温度Tと上述したT1との温度比較判定が行われる。その判定結果がT1≦Tと判定された場合にはFS29のステップに進み、動作・制御モードがM−5a(光源の余熱発電モード)に設定される。その後ステップFS24に戻り、上記のステップ動作を繰り返す。
【0094】
上記ステップFS28における温度比較判定の結果、T1>Tと判定された場合にはFS30のステップに進み、動作・制御モードがM−6aに設定される。
続いてFS31のステップに進み、第二の回路系統に供給されている第二の電源であるVSS−aが供給停止され、エンドステップであるFS32に移行して一連の動作ステップが終了する。
【0095】
続いて、これまで述べてきた第一の実施形態における動作タイミングチャートを図6に示す。
図6において、a)は図1における信号S12(電源スイッチ4からの出力信号)であり、b)は同じく図1における信号S22で、マイクロプロセッサ15から出力され電源回路6に入力される第二の電源(VSS−a)供給停止指令信号である。c)は第二の電源であるVSS−aを、d)は第一の電源であるVss−bの電圧供給状態を表す。e)は、表1a及び図4で説明した、動作・制御モードの状態を表す。f)は、図1における信号S7で、温度センサ9の出力波形を表す。
【0096】
g),h),i),j)は、それぞれ図1における信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)、信号S3(電子冷却制御・駆動回路12の制御信号)、信号S6(充電制御回路13の制御信号)、信号S5(発電電圧)に対応する。k)は光源駆動信号S9、l)は光源電流制御信号S10を表す。
なお図6のタイミングチャートでは、説明を分かり易くするために、それぞれの電位及び波形を、マイナス電位を基準0電位とした絶対値電位、もしくは電位差により表現している。
【0097】
以下動作と関連させて図6のタイミングチャートの内容を説明する。図1に示した電源スイッチ4を投入すると、電源スイッチ4からの出力信号である信号S12が立ち上がり、それによって電源回路6が作動して、第二の電源であるVSS−a及び第一の電源であるVss−bが供給される。
その後、光源駆動信号S9がHigh状態に立ち上がり、それによって発光素子駆動・制御回路16が作動状態となって半導体発光素子8に駆動電流が供給される。発光素子への電流供給により、発光素子は発光すると共に熱を発生するため、f)に示した温度センサ9の出力波形信号S7のように、時間経過と共に光源である半導体発光素子の温度が上昇する。光源の温度上昇に伴い、熱電変換素子7に加わる発熱側と放熱側の温度差が大きくなるため、j)に記した熱電変換素子7の発電電圧波形信号S5は、電圧上昇を示す。
光源温度TがT1>Tの状態では、動作・制御モードがM−1aに設定され、信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)はLow状態で、熱電変換素子は発電状態に設定される。但し、このモードでは発電はされるが、温度が低いため未だ充電は行わない。
【0098】
光源温度Tが、T1≦Tと判定されると、e)に示した動作・制御モードは、M−2a(熱電変換発電・充電モード)に移行する。このM−2aのモードでは、i)に示した信号S6(充電制御回路13の制御信号)がHigh状態となり、熱電変換素子7により発電されたエネルギーが、電源電池3に充電される。この状態では、光源で発生した熱エネルギーが電気エネルギーとして回収されるため、f)に示した温度センサ9の出力波形信号S7のように、光源の温度上昇カーブが緩やかになる。また、発電電圧波形信号S5に示すように、発電電圧も充電に伴って電圧上昇が抑えられる。
【0099】
時間が経過して光源温度が上昇し、光源温度TがT2≦Tと判定されると、e)に示した動作・制御モードは、M−3a(電子冷却モード)に移行する。このモードでは、信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)、及び信号S3(電子冷却制御・駆動回路12の制御信号)がHigh状態に切り換わり、熱電変換素子は電気−熱変換電子冷却機能として作用する。その結果光源が電子冷却されるため、f)に示した温度センサ9の出力波形信号S7のように、光源の温度上昇カーブは、動作・制御モードM−2aに比べて緩やかになる。
【0100】
更に時間が経過して光源温度が上昇し、光源温度TがT3≦Tと判定されると、e)に示した動作・制御モードは、M−4a(電子冷却+光源電流制限モード)に移行する。このモードでは、信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)、及び信号S3(電子冷却制御・駆動回路12の制御信号)はHigh状態が保たれると共に、光源電流制御信号S10がHigh状態となる。このモード状態では、熱電変換素子は電気−熱変換電子冷却機能として作用すると共に、光源電流制御信号S10がHigh状態のために、発光素子駆動/制御回路は発光素子駆動電流の抑制制御を行う。その結果光源の温度上昇が抑えられ、f)に示す温度センサ9の出力信号S7の波形は、フラット状態となる。
【0101】
電源スイッチ4を遮断すると、動作・制御モードはM−5aに移行し、電源スイッチ4からの出力信号である信号S12が立ち下がり、それによって第一の電源であるVss−bの供給が停止されると共に、光源駆動信号S9がLow状態に立ち下がり、半導体発光素子8への駆動電流が供給停止される。第二の電源であるVSS−aは、このモードでは引き続き第二の回路系統に供給される。
このモードでは、信号S2(熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号)がLowとなって熱電変換素子は発電状態となり、また信号S6(充電制御回路13の制御信号)は再びHigh状態となって、光源の余熱によって発電されたエネルギーは電源電池3に充電される。
【0102】
光源の温度Tが低下し、T1>Tと判定された場合には動作・制御モードがM−6aに移行し、信号S6(充電制御回路13の制御信号)がLowになると共に、図1に示すマイクロプロセッサ15より信号S22が電源回路6に出力されて、第二の電源であるVSS−aの供給が停止状態となる。
この動作・制御モードM−6aにおいても、マイクロプロセッサ15には電源電池3からの電源であるVssが供給されるため、マイクロプロセッサによる全体制御系の機能は維持される。
【0103】
以上に亘って第一の実施形態の詳細を説明したが、第一の実施形態の特徴と効果を整理すると、次のようになる。
実施形態では、発熱源(表示装置の光源である半導体発光素子)の温度状態に応じて、一つの熱電変換素子(ペルチェ素子)を、熱−電気変換発電機能と、電気−熱変換電子冷却機能のいずれかに切り換えて使用することが可能となるように構成している。
このため、熱−電気変換発電用と電気−熱変換電子冷却用の熱電変換素子の共通化が可能になると共に、光源の温度状態に応じて熱電変換素子の機能を発電と電子冷却に簡単に切り換えることが出来る。その結果、光源が発する熱エネルギーを電気エネルギーに変換して電源に回収することによるエネルギー効率の向上という命題と、小型軽量で効率的に光源を冷却するという課題を、同時に解決することが可能になるという効果を有する。
【0104】
なお、第一の実施形態では、表示手段として透過型の直視方式を採用したが、半透明のスクリーンを表示装置筐体の表面側に設け、光源からの照明光を液晶表示素子で変調して、該半透明スクリーンに投射表示する、背面投射方式表示手段を用いても良い。この表示方式を採用しても、上記第一の実施形態と同様の作用・効果が得られる。
【0105】
〔第2実施形態〕
次に第二の実施形態について説明を行う。第二の実施形態は、電池を電源として用いた携帯型の投射方式の表示装置であり、光源に発光ダイオードを採用し、表示素子として液晶ライトバルブを用いている。
図7に、第二の実施形態である携帯型の投射方式表示装置のシステム構成図を示す。同図において、第一の実施形態のシステムブロック構成図である図1と同一構成要素・機能のものには同一の符号を付与しており、それらに関わる詳しい説明はここでは省略する。
【0106】
図7において、符号1は電源部であり、その内部構成を含めて図1の電源部1と同一である。
符号34は主要回路部である。主要回路部34は、第一の回路系統45と、第二の回路系統35、及びCPU(マイクロプロセッサ)15から構成される。
第一の回路系統45は、光源部である発光ダイオードを駆動するLEDドライバー46、液晶ライトバルブを駆動するライトバルブ・ドライバー50、及び画像信号処理回路49,同期回路48,タイミングジェネレータ47とを含んで構成される。
図7において、電源部1と主要回路部34のそれぞれの入出力端子であるVDD,VSS、VSS−a,VSS−b,S1,S22は、電源部1と主要回路部2における同一の記号の端子間がそれぞれ接続され、更に主要回路部34の端子L5と電源部1の端子VSSが結線される。
【0107】
図7において、符号44は光源ブロックである。光源ブロック44を構成する符号51は光源ユニット−1で緑色発光ダイオード、符号52は光源ユニット−2で赤色発光ダイオード、符号53は光源ユニット−3で青色発光ダイオードをそれぞれ含んで構成される。符号70は光合成プリズム、符号9は温度センサである。
符号54は液晶ライトバルブ、符号55は投射レンズ、符号56はスクリーンである。
また符号43は液晶表示素子であり、表示装置筐体表面に設けられて、表示装置のモード状態,操作方法等を表示する。
【0108】
各光源ユニットは、光源部(発光ダイオード)57,絶縁体58,熱電変換素子(ペルチェ素子)59,絶縁体60,放熱フィン61から構成される。これは先に説明した、図2及び図3に示す光源部と熱電変換素子,放熱フィンの構成・機能と同一である。
各光源ユニットの光源部(発光ダイオード)に接続される信号線L6g,L6r,L6bは、光源ユニット−1(符号51)の緑色発光ダイオード、光源ユニット−2(符号52)の赤色発光ダイオード、光源ユニット−3(符号53)の青色発光ダイオードにそれぞれ対応した駆動信号である。
また、信号線L1aとL1b,L1cとL1d,及びL1eとL1fは、光源ユニット−1(符号51),光源ユニット−2(符号52),及び光源ユニット−3(符号53)にそれぞれ対応した、熱電変換素子(ペルチェ素子)の入出力ラインである。
【0109】
第二の回路系統35において、符号42はDC/DCコンバータであり、先に説明した図2の33と同様の機能を有す。信号S4は、マイクロプロセッサ15からの制御信号であり、昇圧倍率の可変コントロールを含めたDC/DCコンバータの動作制御を行う。S5は、熱電変換素子による熱電発電の出力電圧信号である。
【0110】
符号10は熱電変換素子機能切り換え回路であり、図1の熱電変換素子機能切り換え回路10と同一機能である。図7の熱電変換素子機能切り換え回路10は、切り換えユニット36,37,38から構成される。各切り換えユニットは、双方向に電気的導通状態を切り換えるトランジスタ素子であるトランスミッションゲート39の二つを一組として組み合わせ、それを二組設けて構成される。符号41は、S2の信号を反転させるインバータであり、トランスミッションゲートの制御信号を供給する。
【0111】
次に図7において、第一の実施形態のシステムブロック構成図である図1と比べて新たに加わった部分を主体に、第二の実施形態の動作を説明する。
最初に第一の回路系統45を説明すると、データ/画像信号S15は、画像信号処理回路49により画像・映像信号と同期信号に処理分離され、画像・映像信号はライトバルブ・ドライバー50により駆動信号となって液晶ライトバルブ54を駆動する。このライトバルブへの光変調駆動は、赤色光,緑色光,青色光の各色データ単位毎に時間順次に駆動される。
【0112】
分離された同期信号S18は、同期回路48によって同期処理がなされ、タイミングジェネレータ47及びマイクロプロセッサ15とによって、液晶ライトバルブによる光変調と、赤色光,緑色光,青色光の各色発光ダイオードの発光との同期タイミングが同期調和される。
タイミングジェネレータ47で生成された発光ダイオード駆動タイミング信号S24bにより、LEDドライバー46の駆動タイミングが制御され、駆動ラインL6g,L6R,L6bを通じて、光源ユニット−1(符号51)の緑色発光ダイオード,光源ユニット−2(符号52)の赤色発光ダイオード,光源ユニット−3(符号53)の青色発光ダイオードが、ライトバルブの変調色タイミングに同期して時間順次に発光駆動される。
【0113】
光合成プリズム70は、光源ユニット−1,光源ユニット−2,光源ユニット−3から時間順次に出射された緑色光,赤色光,青色光の各色出射光を反射・透過させて、液晶ライトバルブを照明する。
液晶ライトバルブ54により変調された光は、投射レンズ55により光学偏向され、スクリーン56に投射される。
【0114】
次に、第二の回路系統35における、図1に比しての変更・特徴部分の作用を説明する。
熱電変換素子機能切り換え回路10の構成要素である切り換えユニット36は、熱電変換素子機能切り換え回路10の制御信号である信号S2がLowの状態では、信号線L1aはL2aと接続され、信号S2がHighの状態においては、信号線L1aはL3aと接続される。切り換えユニット37,38を含めて以下同様に、信号S2がLowの状態では、L1bはL2bと、L1cはL2cと、L1dはL2dと、L1eはL2eと、L1fはL2fとそれぞれ接続される。一方信号S2がHighの状態においては、L1bはL3bと、L1cはL3cと、L1dはL3dと、L1eはL3eと、L1fはL3fとそれぞれ接続される。
【0115】
上記の切り換え動作により、光源ユニット−1(符号51),光源ユニット−2(符号52),及び光源ユニット−3(符号53)のそれぞれに設けられた熱電変換素子(ペルチェ素子)59は、熱電変換素子59の入出力ラインである信号線L1aとL1b,L1cとL1d,及びL1eとL1fを通じて、制御信号S2がLowの状態ではDC/DCコンバータに接続され、その結果熱電変換素子は熱−電気変換発電機能として作用する。一方制御信号S2がHighの状態では、各熱電変換素子は電子冷却制御・駆動回路に接続され、熱電変換素子は電気−熱変換電子冷却機能として作用する。
【0116】
A/D変換回路14は、S5を通じて入力される熱電変換素子の発電電圧と、電源電池3の電圧であるVssの双方を測定し、そのデータをS11としてマイクロプロセッサ15に出力する。マイクロプロセッサ15は、発電電圧と電源電圧との比率から、DC/DCコンバータ42での必要昇圧倍率を算定し、その結果を昇圧倍率制御信号S4として出力し、DC/DCコンバータ42の昇圧倍率を制御する。
【0117】
次に、第二の実施形態における、熱電変換素子59の機能状態切り換え(熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能との切り換え)状態を、光源(半導体発光素子57)の温度条件,及び熱電変換素子59の発電電圧条件との相関を示す図8を用いて説明する。
【0118】
図8は、第一の実施形態のモード相関図である図4と類似であり、相違点は次の点にある。
熱電変換素子59の発電電圧Vgを、動作・制御モードの変更条件として加え、図8の上部に表示している。上述したA/D変換回路14により、熱電変換素子59によって発電された発電電圧Vgを測定し、そのVgの電圧が所定電圧V1となったタイミングをt1とし、そのタイミングで動作・制御モードをM−1bからM−2bに切り換えている。同様に、M−5bからM−6bへの切り換え条件・タイミングも、Vgの電圧が所定電圧V1に低下したことを検知したタイミングに変更している。
なお、第二の実施形態では、動作・制御モードの名称をM−1b,M−2b,M−3b,M−4b,M−5b,M−6bと変えているが、第一の実施形態の動作・制御モードであるM−1a,M−2a,M−3a,M−4a,M−5a,M−6aと、機能内容は同一である。
【0119】
表2に、上記に説明した各動作・制御モードと機能内容,条件,制御内容の一覧表を示す。この表も、第一の実施形態の説明に用いた表1と類似であり、次の点のみが異なる。
条件欄に「条件−3:発電電圧状態」を追加し、発電電圧VgがV1≦Vgを満足したら、動作・制御モードをM−2bに移行するように変更している。同様に、M−5bからM−6bへの切り換え条件も、V1>Vgに変更している。
また、動作・制御モードM−2b,M−5bにおけるDC/DCコンバータ/充電制御に、「昇圧倍率切換」を付加している。
【表2】
【0120】
次に、上記変更内容をフローチャートで説明する。第二の実施形態の動作・制御モードの条件判断、及びその機能・作用を実現するためのフローチャートを図9に示す。このフローチャートは、第一の実施形態のフローチャートである図5と多くは類似であり、図5と比して変更されている点のみを以下に説明する。
図5のステップFS14及びFS28における温度判定T1≦Tに代わって、図9のフローでは電圧判定ステップFS41及びFS43を設け、ステップFS40及びFS42で測定した発電電圧Vgが、V1≦Vgを満足しているか否かを判定している。
【0121】
電圧判定ステップFS41で、発電電圧VgがV1≦Vgを満足していたら、ステップFS15の温度判定ステップを経由して、ステップFS23において動作・制御モードがM−2bに設定される。
同様に、電圧判定ステップFS43で、発電電圧VgがV1≦Vgを満足していると判定されると、ステップFS29に移行し、動作・制御モードがM−5bに設定される。
ステップFS23及びステップFS29の次のステップであるFS44では、発電電圧Vgと昇圧電圧基準値との比較が行われ、その結果に応じて次のステップのFS45において、DC/DCコンバータ42の昇圧倍率が設定される。
【0122】
続いて、第二の実施形態における動作タイミングチャートを、図10に示す。このタイミングチャートも、第一の実施形態のタイミングチャートを示す図6と類似であり、次の点が変更・追加されている。
図7に示すシステム構成図に従い、k)の光源駆動信号が、図6のS9から図10ではS14に、l)の光源電流制御信号が、図6のS10からS13にそれぞれ変更されている。これは信号名の変更だけであり、タイミングチャートには変更がない。
【0123】
追加内容としては、m)のS4(DC/DCコンバータ制御信号)とn)のDC/DCコンバータ昇圧状態が、図6に比して追加されている。m)のS4信号がHighの状態でDC/DCコンバータ42が作動し、その昇圧状態は、n)のチャートに記述されている「×2」「×1.5」「×1」で定義される。その定義内容は、「×2」は2倍昇圧を、「×1.5」は1.5倍昇圧を、「×1」は昇圧なしを意味する。
【0124】
上述した第二の実施形態の特徴・効果は、第一の実施形態の特徴・効果に加えて、充電開始(動作・制御モードM−2b)への移行タイミングを、発電電圧の測定によって行っているという特徴を有し、その結果ロスなく正確に充電を開始することが可能となるという効果をもたらす。また、発電電圧の測定結果に基づいて、DC/DCコンバータ42の昇圧倍率を最適な状態に設定することが出来るため、熱電変換素子によって発電された発電エネルギーを、無駄なく効率的に電源電池に充電することが可能になるという特徴を有す。
【0125】
以上本発明の実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明のポイントを改めて整理すると次のようになる。
本発明は、ペルチェ素子等の熱電変換素子と温度センサ,制御手段を備え、半導体光源の温度が所定の温度より低い状態では光源熱を利用して熱発電を行って熱エネルギーを電源に回収し、所定温度以上では電子冷却を行う。更に温度が上昇した場合には光源電流を制限することにより、半導体発光素子の許容熱定格の範囲に入るように制御を行うことを特徴としている。本発明により、光源熱の電気エネルギーへの回収によるエネルギーの有効利用と、小型軽量で効率的な冷却という相反する二つの課題が同時に解決され、それは表示装置,特に電池駆動される携帯型の表示装置に大きな効果を与えるものである。
【0126】
以上、本発明による表示装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されず、本発明の要旨を変えない範囲で実施態様を適宜変更して実施することが可能である。
例えば、実施形態では絶縁体26と放熱フィン28を直結させているが、その間をヒートシンクを介して接続することにより、発熱源と放熱素子との距離を離すことが可能となるため、レイアウト設計が容易になる。また、ヒートパイプを採用することによって、より効率的に冷却することも可能であり、いずれも本発明の適用範囲として実施することが可能である。
また、熱電変換素子として実施形態ではペルチェ素子を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能を可逆的に切り換え使用できる熱電変換素子であれば、本発明の適用範囲として実施することが可能であり、本実施態様と同様の作用・効果が得られるものである。
【0127】
更に、光源である半導体発光素子については、発光ダイオードを主体に実施態様を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、有機電界発光素子もしくは半導体レーザダイオードで発光素子を構成することも可能であり、本実施形態と同様の作用・効果が得られるものである。
また第二の実施形態においては、投射型液晶表示装置として透過型液晶表示素子を空間光変調器として用いて説明した。しかしながら、本発明は、透過型のみならず反射型液晶表示投射装置にも適用できることは勿論、液晶表示素子を用いた投射型表示装置のみに限定される訳ではなく、MEMS技術に基づくミラー方式の空間光変調器を用いた投射型表示装置に適用することが可能である。
【0128】
更に、本発明を適用可能な製品形態の範疇として、携帯電話あるいは電子手帳,PDA等の高機能の表示手段を備える、電池駆動される携帯型情報機器に本発明を適用しても、上記の実施形態と同様の作用効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る表示装置のシステムブロック構成図。
【図2】熱電変換素子の熱−電気変換発電機能の動作説明図。
【図3】熱電変換素子の電気−熱変換電子冷却機能の動作説明図。
【図4】第1の実施形態に係る表示装置の動作状態・モードを表す図。
【図5】第1の実施形態に係る表示装置のフローチャート図。
【図6】第1の実施形態に係る表示装置のタイミングチャート図。
【図7】第2の実施形態に係る投射型表示装置のシステム構成図。
【図8】第2の実施形態に係る投射型表示装置の動作状態・モードを表す図。
【図9】第2の実施形態に係る投射型表示装置のフローチャート図。
【図10】第2の実施形態に係る投射型表示装置のタイミングチャート図。
【符号の説明】
1・・・電源部、2・・・主要回路部、3・・・電源電池、4・・・電源スイッチ、6・・・電源回路、7・・・熱電変換素子、8・・・半導体発光素子、9・・・温度センサ、10・・・熱電変換素子機能切り換え回路、11,14・・・A/D変換回路、12・・・電子冷却制御・駆動回路、13・・・充電制御回路、15・・・CPU(マイクロプロセッサ)、16・・・発光素子駆動/制御回路、17・・・表示素子、18・・・表示駆動回路、33,42・・・DC/DCコンバータ、44・・・光源ブロック、51・・・光源ユニット−1,52・・・光源ユニット−2,53・・・光源ユニット−3、54・・・液晶ライトバルブ
Claims (11)
- 半導体発光素子からなる光源と、該光源から出射される光を利用して表示出力する表示手段とを含んで構成される表示装置であって、
熱−電気変換効果および電気−熱変換効果を有する熱電変換素子と、
該光源もしくは該光源周辺の温度を測定検知する温度検知手段と、
該温度検知手段からの温度情報に基づいて、該熱電変換素子の機能を熱−電気変換発電機能と電気−熱変換電子冷却機能とのいずれかに切り換える、熱電変換素子機能切り換え制御手段と
を備えることを特徴とする表示装置。 - 前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は、前記温度検知手段により測定された温度が第一の所定の温度より低い条件においては、前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定し、該第一の所定の温度より高い条件においては、前記熱電変換素子を電気−熱変換電子冷却機能に設定するように切り換え制御することを特徴とする、請求項1記載の表示装置。
- 前記半導体発光素子の駆動電流を制御する発光素子駆動制御手段を更に備え、前記温度検知手段により測定された温度が、前記第一の所定の温度より高く設定されている第二の所定の温度より高い条件においては、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を電気−熱変換電子冷却機能に設定するように切り換え制御するとともに、該発光素子駆動制御手段は前記半導体発光素子の駆動電流の大きさを抑制するように制御することを特徴とする、請求項2記載の表示装置。
- 前記光源および前記表示手段を含む第一の回路系統に電源を供給する第一の電源と、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段を含む制御系の第二の回路系統に電源を供給する第二の電源とを更に備え、該光源及び該表示手段の機能が有効となっている第一の作動状態においては、該第一の電源からは該第一の回路系統に、該第二の電源からは第二の回路系統にそれぞれ電源が供給され、該光源及び該表示手段の機能が有効から非有効に切り換わった第二の作動状態においては、該第一の回路系統には該第一の電源からの電源供給が停止され、該第二の回路系統には引き続き第二の電源から電源が供給されると共に、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定するように切り換え制御することにより、前記光源の余熱により前記熱電変換素子は熱−電気変換発電機能として作動することを特徴とする、請求項1乃至3いずれか一項記載の表示装置。
- 充電可能な電池と、該電池への充電を制御する充電制御手段とを更に備え、前記熱電変換素子により発電された電気エネルギーが、該充電制御手段によって制御されて該電池に充電されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項記載の表示装置。
- 前記熱電変換素子によって発電された起電力の電圧を測定する電圧測定手段を更に備え、該電圧測定手段により測定された発電電圧が所定の電圧より高い条件において、前記充電制御手段は前記熱電変換素子により発電された電気エネルギーを前記電池に充電するように制御することを特徴とする、請求項5記載の表示装置。
- 前記熱電変換素子によって発電された起電力の直流電圧変換を行うDC/DCコンバータを更に備え、前記電圧測定手段により測定された発電電圧に応じて、該DC/DCコンバータの入力対出力電圧変換比率が可変制御されると共に、該DC/DCコンバータによって電圧変換された発電電気エネルギーが、前記電池に充電されるように前記充電制御手段により制御されることを特徴とする、請求項6記載の表示装置。
- 前記熱電変換素子は、ペルチェ素子を含んで構成されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項記載の表示装置。
- 前記半導体発光素子は、発光ダイオードを含んで構成されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項記載の表示装置。
- 前記表示手段は、前記光源から出射される光を変調する空間光変調素子を含んで構成されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項記載の表示装置。
- 半導体発光素子からなる光源と、該光源から出射される光を利用して表示出力する表示手段とを含んで構成される表示装置であって、
熱−電気変換効果および電気−熱変換効果を有する熱電変換素子と、
該光源および該表示手段を含む第一の回路系統に電源を供給する第一の電源と、該熱電変換素子の制御系を含む第二の回路系統に電源を供給する第二の電源とを備え、
該光源及び該表示手段の機能が有効となっている第一の作動状態においては、該第一の電源からは該第一の回路系統に、該第二の電源からは第二の回路系統にそれぞれ電源が供給され、
該光源及び該表示手段の機能が有効から非有効に切り換わった第二の作動状態においては、該第一の回路系統には該第一の電源からの電源供給が停止され、該第二の回路系統には引き続き第二の電源から電源が供給されると共に、前記熱電変換素子機能切り換え制御手段は前記熱電変換素子を熱−電気変換発電機能に設定するように切り換え制御することにより、前記光源の余熱により前記熱電変換素子は熱−電気変換発電機能として作動することを特徴とする表示装置。
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