JP2004361348A - スパイラルフロー試験方法並びにスパイラルフロー試験金型及びスパイラルフロー試験装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパイラルフロー試験において、熱硬化性樹脂の流動特性を適切に評価する。
【解決手段】試験金型10は、螺旋状の流路12を有する。この流路12には、複数の圧力センサー14A、14Bと、複数の超音波センサー16A、16Bとを有する。複数の圧力センサー14A、14B及び複数の超音波センサー16A、16Bは、流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に設置されている。流動初期位置の圧力センサー16Aにより、螺旋状の流路の中心から流し込まれた樹脂1の初期流動性を測定すると共に、2つの圧力センサー14A、14Bにより、初期流動位置から流動到達位置までの樹脂1の圧力損失を算出する。複数の超音波センサー16により、樹脂1の硬化度を測定して、硬化反応速度や硬化の進化の度合い等の硬化特性を評価する。
【選択図】 図1
【解決手段】試験金型10は、螺旋状の流路12を有する。この流路12には、複数の圧力センサー14A、14Bと、複数の超音波センサー16A、16Bとを有する。複数の圧力センサー14A、14B及び複数の超音波センサー16A、16Bは、流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に設置されている。流動初期位置の圧力センサー16Aにより、螺旋状の流路の中心から流し込まれた樹脂1の初期流動性を測定すると共に、2つの圧力センサー14A、14Bにより、初期流動位置から流動到達位置までの樹脂1の圧力損失を算出する。複数の超音波センサー16により、樹脂1の硬化度を測定して、硬化反応速度や硬化の進化の度合い等の硬化特性を評価する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、樹脂、特に、射出成形やトランスファー成形等に使用されるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の金型内での流動特性を評価するためのスパイラルフロー試験方法、並びに、この試験に使用することができるスパイラルフロー試験金型及びこのスパイラルフロー試験金型を備えたスパイラルフロー試験装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSIやIC等の電子部品は、一般に、基板上に設置された上でエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂により封止されて、実装パッケージとされる。この場合、エポキシ樹脂等の封止樹脂は、内部のLSI等の電子部品を気密に保護して、電子部品の電気的信頼性、安定性を確保するものであり、近年は、その封止性能を向上するため、トランスファー成形等により電子部品の封止に適用されることが多い。
【0003】
この場合、エポキシ樹脂等の樹脂の金型内での流動状態が適切でないと、成形された実装パッケージの精度に影響を与えるおそれがある。具体的には、ボイドにより封止樹脂と銅線等の金属線等との間に剥離が発生したり、樹脂が充分に行き渡らずに未充填箇所において電子部品や金属線との間に隙間が生じたり、流動の圧力が高すぎた結果、金属線等の変形や電子部品の位置ズレ等が生じて、実装パッケージの電気的、機械的性能に影響を与える問題が生ずる。このため、スパイラルフロー試験により、金型内に流し込まれる封止樹脂の流動特性を評価して、封止樹脂を適切なレジンに調整した上で成形に用いることが行われていた。
【0004】
このスパイラルフロー試験方法は、従来、螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型内に、所定の温度、所定の圧力で試験対象である樹脂を流し込み、各条件下における樹脂の流動長さによって、その流動特性を評価することが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、これらの従来の試験方法のように、主に流動長さのみによって流動特性を評価すると、当該評価を元に設計されたレジンのエポキシ樹脂等を充填しても、成形後の実装パッケージにおいて、ボイドや未充填、金属線の変形や電子部品の位置ズレ等が発生ずることがあった。即ち、流動樹脂、特に、封止樹脂として使用されるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂は、熱伝導率が非常に小さいので、全体が均一の温度となるのに時間を要する一方、成形温度下で非常に大きな硬化反応速度を示すので、実装パッケージの成形のための流し込み中、あるいはフロー試験中においても硬化等が進行して、その粘性率や圧縮率等が変動するため、その流動特性は必ずしも単なる流動長さのみに相関しているわけではなく、流動長さのみで判断すると、その流動特性を適切に評価することができない問題があった。
【0006】
この場合、ボイドや未充填、金属線の変形は、スパイラルフロー試験で得られた樹脂の単なる流動長さのみが影響しているものではなく、初期流動性(流動初期の圧力)や、成形温度下での硬化反応によるその後の硬化度の変化等の硬化特性、及び、この硬化の促進に応じて変化する樹脂の圧力、特に、樹脂の流動初期位置における圧力値からの流動初期位置以降における圧力損失、即ち、流れ易さである粘度の変化にも大きく影響を受けると考えられる。具体的には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の成形温度下での硬化反応速度が早過ぎて硬化が早期に進行すると、ボイド等が発生する傾向が強まる。また、樹脂の流動圧力が高すぎると金属線の変形や電子部品のシフトが発生するおそれがある。
【0007】
従って、熱硬化性樹脂の成形時の流動特性は、流動長さのみならず、初期流動性(流動初期の圧力)や、流動中の硬化反応速度や硬化度の変化等の硬化特性、更には、この硬化度の影響を受けて流動初期位置における値から変化する圧力との相関関係を把握しないと適切に評価することができず、従来のスパイラルフロー試験方法では、これらの要素を総合的に評価することができなかった。
【0008】
なお、樹脂が供給されるポットから流路までの間のランナー壁に圧力センサーを設置して、樹脂の圧力を測定することが提案されているが(例えば、特許文献2参照)、この従来技術では、流路にセンサーを設置することが困難であることから、単に圧力センサーを設置し易いランナー壁に取り付けただけであると共に、実装時において問題となる流路における樹脂の圧力や、その損失を実測することができないのは勿論のこと、硬化度を実測することはできず、やはり、実装状態における初期流動性(流動初期の圧力)や、流動中の硬化反応速度や硬化度の変化等の硬化特性、更には、この硬化度の影響を受けて流動初期位置における値から変化する圧力との相関関係をもって、樹脂の流動特性を評価することができず、信頼性に欠ける欠点があった。
【0009】
更に、この場合、従来からの方法によるスパイラルフロー試験によって既に得られた所定の条件下での流動長さに関するデータを活かしつつ、同時に、当該蓄積されたデータと、硬化特性及び樹脂の流動初期位置における圧力値からの流動初期位置以降における圧力損失との相関関係を確認することができれば、従来のデータにおける樹脂成分の問題点の発見や、既存のノウハウを活用したレジンの調整を行うことができる。
【0010】
【特許文献1】
特開昭51−556号公報
【特許文献2】
特許第2771195号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、樹脂、特に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の流動長さ、初期流動性、硬化特性、粘度の変化の全ての相関をもって、スパイラルフロー試験における流動樹脂の流動特性を適切に評価することができるスパイラルフロー試験方法、及び、このような試験方法に使用することができるスパイラルフロー金型を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーにより、この樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定し、この圧力から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0013】
このように、流し込まれた樹脂の圧力を、流動した樹脂のうち実装可能な密度や硬度を有する状態までの長さの範囲内で実測すると、流動長さのみならず、特に、ボイドの発生や電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性を把握して、スパイラルフロー試験において、熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーにより、この樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、この硬化度から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0015】
このように、流し込まれた樹脂の硬化度を、流動した樹脂のうち実装可能な密度や硬度を有する状態までの長さの範囲内で実測すると、流動長さのみならず、特に、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーによりこの樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定すると共に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーによりこの樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、これらの圧力及び硬化度から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0017】
このように、圧力センサーにより流し込まれた樹脂の圧力を実測すると共に、超音波センサーにより流動樹脂の硬化度をも測定すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーにより、各位置における樹脂の圧力を測定し、これらの各位置における圧力及び各位置間の圧力損失から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0019】
このように、流し込まれた樹脂の圧力を、少なくとも2以上の位置において圧力センサーにより実測すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性は勿論のこと、最初の実測地点における値から変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性と圧力損失との関係をより緻密に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0020】
また、本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第4の解決手段において、更に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーにより、この樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、これらの各位置における圧力及びこれらの各位置間の圧力損失と、硬化度から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0021】
このように、流し込まれた樹脂の圧力を、少なくとも2以上の位置において圧力センサーにより実測すると共に、超音波センサーにより流動樹脂の硬化度をも測定すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて最初の実測地点における値から変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0022】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーにより、これらの各位置における樹脂の硬化度を測定し、これらの各位置における硬化度及びこれらの各位置間の硬化度の変化から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0023】
このように、流し込まれる樹脂の硬化度を、少なくとも2以上の位置において超音波センサーにより実測すると、流動長さのみならず、とある地点における硬化度のみならず、当該地点を通過した後の樹脂の硬化度の変化割合も算出することができ、特に、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて変化する圧力の損失や硬化度の変化の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性と硬化特性との関係をより緻密に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0024】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第6の解決手段において、更に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーにより、この樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定し、これらの各位置における硬化度及びこれらの各位置間の硬化度の変化と、圧力から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0025】
このように、流し込まれた樹脂の硬化度を、少なくとも2以上の位置において超音波センサーにより実測すると共に、圧力センサーにより流動樹脂の圧力をも測定すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて最初の実測地点における値から変化する圧力の損失や硬化度の変化の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0026】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーにより、これらの各位置における樹脂の圧力を測定すると共に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーにより、これらの各位置における樹脂の硬化度を測定し、これらの各位置における圧力及び各位置間の圧力損失と、これらの各位置における硬化度及びこれらの各位置間の硬化度の変化から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0027】
このように、流し込まれた樹脂の圧力を、少なくとも2以上の位置において圧力センサーにより実測すると共に、少なくとも2以上の位置において超音波センサーにより流し込まれた樹脂の硬化度をも測定すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて最初の実測地点における値から変化する圧力の損失や硬化度の変化の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0028】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第1、第3、第7のいずれかの解決手段において、圧力センサーを、流路の流動初期位置に設置し、この圧力センサーにより、流動初期位置における樹脂の圧力を測定し、この樹脂の流動初期位置における圧力から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0029】
このように、流し込まれる樹脂の圧力を、特に流動初期位置において実測すると、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える初期流動性を把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0030】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第4、第5、第8のいずれかの解決手段において、複数の圧力センサーを、流路の少なくとも流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に設置し、これらの複数の圧力センサーにより流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における樹脂の圧力を測定し、これらの樹脂の流動初期位置における圧力、及び流動初期位置と流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置との間の圧力損失から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0031】
このように、流し込まれる樹脂の圧力を、特に流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置において実測すると、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える初期流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて流動初期位置における値から変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0032】
また、上記のいずれの解決手段においても、既に従来から行われていた所定の条件下での流動長さと同時に、初期流動性、硬化特性及び流動初期位置から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置間での圧力損失に関するデータも採取することができるので、従来からの流動長さに関するデータとの相関関係をも確認することができ、従来のデータにおける樹脂成分の問題点の発見や、既存のノウハウを活用したレジンの調整を行うことができる。
【0033】
また、本発明は、上記第1乃至第10の解決手段であるスパイラルフロー試験方法に使用することができる以下のスパイラルフロー金型をも提供するものである。即ち、具体的には、本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーを備え、この圧力センサーは、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における流し込まれた樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0034】
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーを備え、この超音波センサーは、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0035】
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーと超音波センサーとを備え、圧力センサーは、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における流し込まれた樹脂の圧力を測定し、超音波センサーは、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0036】
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーを備え、これらの複数の圧力センサーは、これらの各位置における流し込まれた樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0037】
本発明は、上記の課題を解決するための第15の手段として、上記第14の解決手段において、流路は、更に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーを備え、この超音波センサーは、流し込まれた樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0038】
本発明は、上記の課題を解決するための第16の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーを備え、これらの複数の超音波センサーは、これらの各位置における流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0039】
本発明は、上記の課題を解決するための第17の手段として、上記第16の解決手段において、流路は、更に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーを備え、この圧力センサーは、流し込まれた樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0040】
本発明は、上記の課題を解決するための第18の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーと、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーとを備え、これらの複数の圧力センサーは、これらの各位置における流し込まれた樹脂の圧力を測定し、これらの複数の超音波センサーは、これらの各位置における流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0041】
本発明は、上記の課題を解決するための第19の手段として、上記第11、第13、第17のいずれかの解決手段において、圧力センサーは、流路の流動初期位置に設置され、この流動初期位置における樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0042】
本発明は、上記の課題を解決するための第20の手段として、上記第14、第15、第18のいずれかの解決手段において、複数の圧力センサーは、流路の少なくとも流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に設置され、これらの複数の圧力センサーは、流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0043】
本発明は、上記の課題を解決するための第21の手段として、上記第11乃至第20のいずれかの解決手段において、前記スパイラルフロー試験金型は、流路を有する溝部と、この溝部の上に設置されたセンサー部とを備え、圧力センサー又は超音波センサーは、センサー部に支持されて流路に臨んで設置されていることを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0044】
このように、溝部の上にセンサー部を設置して圧力センサーや超音波センサーを支持すると、圧力センサー14や超音波センサー16を、設置しにくい金型10内部の流路12の任意の位置に露出するようにして配置することができる。
【0045】
更に、本発明は、上記の課題を解決するための第22の手段として、上記第11乃至第21のいずれかの解決手段であるスパイラルフロー試験金型を備えたスパイラルフロー試験装置をも提供するものである。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1及び図2は、本発明のスパイラルフロー試験方法に使用されるスパイラルフロー試験金型10を示し、この試験金型10は、図1及び図2に示すように、溝部10Aと、この溝部10Aの上に設置されるセンサー部10Bと、このセンサー部10Bの上に上蓋10Cとから成り、溝部10Aには、図1及び図2に示すように、試験対象である樹脂1が流し込まれる螺旋状の流路12が形成されている。
【0047】
この流路12は、図1に示す実施の形態では、渦巻状であるのが示されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、螺旋状に周回していれば、一部に直線部分を含む陸上競技用のトラック形状の流路12とすることもできる。この場合、流路12の長さは、樹脂1が流路12の全体にまでは流れ込むことができない程度の充分な長さに設計する。また、この流路12の断面形状や断面積、幅等は、図示の実施の形態では、電子部品の封止樹脂として用いられるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂のトランスファー成形をを想定して、図1及び図2に示すように、断面が略半円状の流路12としているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、試験の用途、即ち、実際の成形の際に使用される樹脂や金型をモデルにする等、必要に応じて適宜設定することができ、例えば、断面が台形状の流路12とすることもできる。
【0048】
なお、試験対象となる樹脂1としては、例えば、一般にスパイラルフロー試験によって流動特性を確認することが特に要求されるエポキシ樹脂等の電子部品の封止樹脂として使用される熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂等は、シリカフィラーを含有し、流動中において硬化が促進するように設計されているため、特に、硬化特性と流動特性との関係を把握することが要求されるからである。もっとも、試験対象は必ずしも、この熱硬化性樹脂に限定されるものではなく、時間の経過による放熱(冷却作用)により硬化する熱可塑性樹脂にも適用することはできる。
【0049】
スパイラルフロー試験に際しては、できるだけ実際の成形時において参考となるデータを取得するため、この樹脂1を、実際の成形時と同様の状況にて、試験金型10の流路12に流し込むことが望ましい。具体的には、トランスファー成形時における樹脂1の流動特性を評価したい場合には、例えば、高周波加熱機等により事前に予備加熱された樹脂1のタブレットを図示しないポットに充填し、このタブレットを図示しないプランジャで加圧して、試験金型10の螺旋状の流路の中心部に設置された図示しないスプルーを介して、所定の圧力及び所定の温度にて螺旋の中心部分から流路12内に流し込む。
【0050】
このようにして、流路12内に流れ込んだ樹脂1は、その特性に従い、各条件下におけるそれぞれ固有の位置まで流動し、硬化が進行することにより自然に流動を停止する。この場合において、螺旋の始点から流動した樹脂1の先端までの長さ(流動長さ)が、試験対象である樹脂1の所定条件下での流動特性を把握する1つの目安となる。従って、この流動長さを計測できるよう、試験金型10には、図1に示すように、流路12に対応して目盛り12Aが形成されている。図示の実施の形態では、目盛り12Aは、2cm間隔で形成されている。
【0051】
更に、本発明の試験金型10においては、その流路12は、図1及び図2に示すように、流し込まれた樹脂1の圧力を測定する複数の圧力センサー14と、流し込まれた樹脂1の硬化度を測定する超音波センサー16とを備えている。これらの圧力センサー14や超音波センサー16は、図1及び図2に示すように、金型10のセンサー部10Bに形成されたケーブル溝10bの先端において流路12に臨んで設置される。これにより、圧力センサー14や超音波センサー16を、設置しにくい金型10内部の流路12の任意の位置に露出するようにして配置することができる。なお、これらの圧力センサー14や超音波センサー16は、ケーブル溝10b内に敷設される図示しないケーブルを介して外部の測定機器等と電気的に接続される。また、図示の実施の形態では、1つのケーブル溝10bにおいて、それぞれ先端においてのみ各センサー14、16が1つずつ設置されているが、複数のセンサー14、16の設置箇所が同一線上である場合等には、1つのケーブル溝10bのうち、例えば、先端と中間位置等においてセンサー14、16を支持して流路12内に臨むようにして配置することもできる。
【0052】
図示の実施の形態では、流路12には、図1に示すように、2つの圧力センサー14A、14Bが設置されているのが示されている。これらの圧力センサー14A、14Bは、図1に示すように、樹脂1の流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の2つの位置に設置されている。従って、流動初期位置と、この螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置における流動樹脂1の圧力を測定することができ、これにより、まず、樹脂1の各位置及び各時間における粘度、特に、初期の流動圧力を算出することができる。これにより、流動圧が必要以上に高くなるのを防止して、特に、金属線の変形等を防止できる適切な初期流動性(流動初期の圧力)を有する樹脂1に調整する際の評価の一要素とすることができる。
【0053】
加えて、この場合、流動初期位置のみならず、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置における圧力も測定しているため、樹脂1の流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置との間の圧力損失を算出することができる。この圧力損失によって、当該条件下では、特に、流動の初期位置から、どの程度の時間及び距離が経過すると、どの程度粘度が変化するか、即ち、初期流動性からの粘度の変化を把握して、樹脂1の成分や、樹脂1の成形時の圧力、温度を、ボイドや未充填等が発生しないように調整する際の評価の一要因とすることができる。即ち、ボイド等の発生は、単なる流動長さのみならず、特に、熱硬化性樹脂の場合には、時間と距離の経過に伴う硬化の進行による粘度の変化によって生じるため、ボイド等の発生を防止するためには、この初期流動性からの粘度の変化状態を把握することが必要となる。
【0054】
ここに、本発明において流動初期位置とは、樹脂1が流路12内へ流れ出してまもなくで、未だ硬化による粘度の変化への大きな影響が出ない位置をいい、具体的には、螺旋の始点(中心部)から約2cm〜8cm程度の位置が相当し、第1の圧力センサー14Aによる最初の実測地点は、この範囲内に設定するのが好ましい。図示の実施の形態では、螺旋の始点(中心部)から約6cmの位置に第1の圧力センサー14Aを設置している。
【0055】
一方、同じく流動到達位置とは、樹脂1の硬化が進行して粘度が変化し、樹脂1が流動を停止する付近の位置を指す。但し、樹脂1は、流動の先端においては、密度が低いスポンジ状となり、実装には使用できない状態となることから、この流動の先端、即ち、流動到達位置に圧力センサー14を設置するのではなく、あくまで、流動長さのうち樹脂1が実装に適した密度や硬度を有する範囲内の長さに設置することが必要である。この樹脂1が実装に適した密度や硬度を有する範囲内の長さに相当する距離が、上述した流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離を示す。具体的には、螺旋の始点(中心部)から約80cmまでの範囲、好ましくは、10cm〜50cm程度である。従って、この樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離は、各条件によって必ずしも一定ではないが、少なくとも樹脂1の硬化が進行して粘度に変化が生じる一方、おそよどの条件下の樹脂1においても、実装に使用可能な状態である位置に設置することが必要であり、図示の実施の形態では、いずれの条件下においても想定される樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離のうち、具体的には、螺旋の始点(中心部)から46cmの位置に設置している。
【0056】
なお、図示の実施の形態では、流動初期位置(約6cm)と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の1箇所(46cm)の2つの位置のみに圧力センサー14A、14Bを設置したが、圧力センサー14の設置位置は、必ずしも、この2箇所に限定されるものではなく、その間の位置、又は、樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの長さに相当する距離の範囲内でより下流においても、更に設置することができ、設置箇所が増えるに連れ、より緻密なデータの取得、評価を得ることができる。更に、図示の実施の形態では、圧力損失を計測するため複数の圧力センサー14を設置したが、単数の圧力センサー14とすることもでき、この場合には、ボイドや電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える初期流動性を測定するため、流動初期位置に設置することが好ましい。
【0057】
また、この場合、圧力センサー14は、センサー自体が流動の抵抗となり、実値の計測の支障とならないように配慮して、種類の選択や配置をする。具体的には、圧力センサー14としては、実圧を測定するストレインゲージや、圧電変化率から圧力を測定するピエゾ素子等を使用することができる。
【0058】
一方、超音波センサー16は、樹脂1の粘度や密度に応じて変化する反射音速により、流動する樹脂1の硬化度を測定するものであり、図示の実施の形態では、流路12には、図1に示すように、2つの超音波センサー16A、16Bが設置されているのが示されている。これらの超音波センサー16A、16Bは、図1に示すように、樹脂1の流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置の、計2つの位置に設置されている。従って、これらの超音波センサー16により、設置箇所を通過していく樹脂1の硬化度を経時的に測定することにより、時間の変化による樹脂の硬化度の変化やその変化の度合い、及び、その硬化反応速度を算出することができる。
【0059】
これにより、ボイドの発生等に影響を与える硬化の進行の度合いや、この硬化度が流動圧の変化に与える影響を把握して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して封止の際のボイドや未充填の発生を抑制できる適切な硬化特性を有する樹脂1とする際の評価の一要素とすることができる。
【0060】
この場合、図示の実施の形態では、流路12の螺旋の始点(中心部)から約10mm以内、具体的には、上述した流動初期位置の範囲内である4cmと比較的近い位置と、60cmの2つの位置に設置されているが、その位置は螺旋状の流路の樹脂1の流動の始点から樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内であれば特に限定されるものではなく、圧力センサー14との位置関係で、設置し易い位置に設定することができる。また、その設置位置も、図示の実施の形態のように、少なくとも2つ以上の位置に設置することが好ましい。2以上の箇所に設置することにより、1箇所の地点を通過していく樹脂1の硬化度のみならず、第1の箇所を通過していった流動樹脂1が、その後時間及び距離の変化に伴い、どの程度硬化度が変化していったかを算出することができ、その設置箇所が多い程、硬化特性と流動特性との関係をより緻密に評価することができる。但し、超音波センサー16の設置数は、特に限定されるものではなく、図示の実施の形態では、複数の超音波センサー16を設置したが、単数の超音波センサー16とすることもできる。
【0061】
なお、2以上の箇所に超音波センサー16を設置する場合、圧力センサー14と同様に、少なくとも上記の意味での流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置に設置すると、硬化度の変化を適切に把握することができ、望ましい。この場合、複数の超音波センサー16は、圧力センサー14による樹脂1の圧力とは別のデータとして、硬化度を測定するため、基本的には、圧力センサー14との相対的な位置関係を特に考慮する必要はないが、勿論、圧力センサー14の近傍に設置することもできるし、あるいは、2つの圧力センサー14A、14B間の距離と同間隔をもって配置することにより、データを相互に関連させて評価することもできる。
【0062】
また、この超音波センサー16は、具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウム等から形成されたものを用いることができる。
【0063】
なお、図示の実施の形態では、圧力センサー14と超音波センサー16とを併用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみを設置することもできる。また、このように、いずれか一方のセンサーのみを設置する場合でも、単数、複数のいずれに設定することもできる。これによっても、樹脂1の硬化度の進行による流動性やその変化を把握することができる。
【0064】
更に、図示の実施の形態のように、圧力センサー14と超音波センサー16とを併用する場合でも、その個数の組合せは自由であり、図示の実施の形態のように、複数の圧力センサー14と複数の超音波センサー16という組合せの他、例えば、複数の圧力センサー14と単数の超音波センサー16、単数の圧力センサー14と複数の超音波センサー16とすることもでいる。これらの場合も同様に、樹脂1の硬化度の進行による流動性やその変化を把握することができる。
【0065】
なお、これらの圧力センサー14及び超音波センサー16は、既存の試験金型10に後から簡易に設置することができ、これにより、既に従来から行われていた所定の条件下での流動長さと同時に、初期流動性、硬化特性及び流動初期位置と流動到達位置間での圧力損失に関するデータも採取して、従来からの流動長さに関するデータとの相関関係をも確認することができ、従来のデータにおける樹脂1の成分の問題点の発見や、既存のノウハウを活用したレジンの調整を行うことができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のように、設置しにくい螺旋状の流路に必要に応じて圧力センサーや超音波センサーを設置して、流動樹脂の圧力や硬化度を、特に、流動初期位置と、樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置において実測しているため、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える初期流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の進行の度合い、また、この硬化度の影響を受けて流動初期位置における値から変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる実益がある。
【0067】
また、この場合、既に従来から行われていた所定の条件下での流動長さと同時に、初期流動性、硬化特性及び流動初期位置と流動到達位置間での圧力損失に関するデータも採取することができるので、従来からの流動長さに関するデータとの相関関係をも確認することができ、従来のデータにおける樹脂成分の問題点の発見や、既存のノウハウを活用したレジンの調整を行うことができる実益がある。
【0068】
本発明によれば、上記のように、少なくとも2以上の位置に設置された圧力センサーや超音波センサーにより樹脂の圧力や硬化度を測定しているため、とある地点における圧力や硬化度のみならず、当該地点を通過する樹脂の圧力の変化や、当該地点を通過した後の樹脂の硬化度の変化割合も算出することができ、これらの流動性や硬化特性と流動特性との関係をより緻密に評価することができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパイラルフロー試験金型の概略平面図である。
【図2】本発明のスパイラルフロー試験金型の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂
10 試験金型
10A 溝部
10B センサー部
10C 上蓋
10b ケーブル溝
12 流路
12A 目盛り
14 圧力センサー
14A 第1(流動初期位置)の圧力センサー
14B 第2の圧力センサー
16 超音波センサー
16A 第1の超音波センサー
16B 第2の超音波センサー
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、樹脂、特に、射出成形やトランスファー成形等に使用されるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の金型内での流動特性を評価するためのスパイラルフロー試験方法、並びに、この試験に使用することができるスパイラルフロー試験金型及びこのスパイラルフロー試験金型を備えたスパイラルフロー試験装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSIやIC等の電子部品は、一般に、基板上に設置された上でエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂により封止されて、実装パッケージとされる。この場合、エポキシ樹脂等の封止樹脂は、内部のLSI等の電子部品を気密に保護して、電子部品の電気的信頼性、安定性を確保するものであり、近年は、その封止性能を向上するため、トランスファー成形等により電子部品の封止に適用されることが多い。
【0003】
この場合、エポキシ樹脂等の樹脂の金型内での流動状態が適切でないと、成形された実装パッケージの精度に影響を与えるおそれがある。具体的には、ボイドにより封止樹脂と銅線等の金属線等との間に剥離が発生したり、樹脂が充分に行き渡らずに未充填箇所において電子部品や金属線との間に隙間が生じたり、流動の圧力が高すぎた結果、金属線等の変形や電子部品の位置ズレ等が生じて、実装パッケージの電気的、機械的性能に影響を与える問題が生ずる。このため、スパイラルフロー試験により、金型内に流し込まれる封止樹脂の流動特性を評価して、封止樹脂を適切なレジンに調整した上で成形に用いることが行われていた。
【0004】
このスパイラルフロー試験方法は、従来、螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型内に、所定の温度、所定の圧力で試験対象である樹脂を流し込み、各条件下における樹脂の流動長さによって、その流動特性を評価することが一般的であった(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、これらの従来の試験方法のように、主に流動長さのみによって流動特性を評価すると、当該評価を元に設計されたレジンのエポキシ樹脂等を充填しても、成形後の実装パッケージにおいて、ボイドや未充填、金属線の変形や電子部品の位置ズレ等が発生ずることがあった。即ち、流動樹脂、特に、封止樹脂として使用されるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂は、熱伝導率が非常に小さいので、全体が均一の温度となるのに時間を要する一方、成形温度下で非常に大きな硬化反応速度を示すので、実装パッケージの成形のための流し込み中、あるいはフロー試験中においても硬化等が進行して、その粘性率や圧縮率等が変動するため、その流動特性は必ずしも単なる流動長さのみに相関しているわけではなく、流動長さのみで判断すると、その流動特性を適切に評価することができない問題があった。
【0006】
この場合、ボイドや未充填、金属線の変形は、スパイラルフロー試験で得られた樹脂の単なる流動長さのみが影響しているものではなく、初期流動性(流動初期の圧力)や、成形温度下での硬化反応によるその後の硬化度の変化等の硬化特性、及び、この硬化の促進に応じて変化する樹脂の圧力、特に、樹脂の流動初期位置における圧力値からの流動初期位置以降における圧力損失、即ち、流れ易さである粘度の変化にも大きく影響を受けると考えられる。具体的には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の成形温度下での硬化反応速度が早過ぎて硬化が早期に進行すると、ボイド等が発生する傾向が強まる。また、樹脂の流動圧力が高すぎると金属線の変形や電子部品のシフトが発生するおそれがある。
【0007】
従って、熱硬化性樹脂の成形時の流動特性は、流動長さのみならず、初期流動性(流動初期の圧力)や、流動中の硬化反応速度や硬化度の変化等の硬化特性、更には、この硬化度の影響を受けて流動初期位置における値から変化する圧力との相関関係を把握しないと適切に評価することができず、従来のスパイラルフロー試験方法では、これらの要素を総合的に評価することができなかった。
【0008】
なお、樹脂が供給されるポットから流路までの間のランナー壁に圧力センサーを設置して、樹脂の圧力を測定することが提案されているが(例えば、特許文献2参照)、この従来技術では、流路にセンサーを設置することが困難であることから、単に圧力センサーを設置し易いランナー壁に取り付けただけであると共に、実装時において問題となる流路における樹脂の圧力や、その損失を実測することができないのは勿論のこと、硬化度を実測することはできず、やはり、実装状態における初期流動性(流動初期の圧力)や、流動中の硬化反応速度や硬化度の変化等の硬化特性、更には、この硬化度の影響を受けて流動初期位置における値から変化する圧力との相関関係をもって、樹脂の流動特性を評価することができず、信頼性に欠ける欠点があった。
【0009】
更に、この場合、従来からの方法によるスパイラルフロー試験によって既に得られた所定の条件下での流動長さに関するデータを活かしつつ、同時に、当該蓄積されたデータと、硬化特性及び樹脂の流動初期位置における圧力値からの流動初期位置以降における圧力損失との相関関係を確認することができれば、従来のデータにおける樹脂成分の問題点の発見や、既存のノウハウを活用したレジンの調整を行うことができる。
【0010】
【特許文献1】
特開昭51−556号公報
【特許文献2】
特許第2771195号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、樹脂、特に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の流動長さ、初期流動性、硬化特性、粘度の変化の全ての相関をもって、スパイラルフロー試験における流動樹脂の流動特性を適切に評価することができるスパイラルフロー試験方法、及び、このような試験方法に使用することができるスパイラルフロー金型を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーにより、この樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定し、この圧力から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0013】
このように、流し込まれた樹脂の圧力を、流動した樹脂のうち実装可能な密度や硬度を有する状態までの長さの範囲内で実測すると、流動長さのみならず、特に、ボイドの発生や電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性を把握して、スパイラルフロー試験において、熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0014】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーにより、この樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、この硬化度から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0015】
このように、流し込まれた樹脂の硬化度を、流動した樹脂のうち実装可能な密度や硬度を有する状態までの長さの範囲内で実測すると、流動長さのみならず、特に、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーによりこの樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定すると共に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーによりこの樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、これらの圧力及び硬化度から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0017】
このように、圧力センサーにより流し込まれた樹脂の圧力を実測すると共に、超音波センサーにより流動樹脂の硬化度をも測定すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0018】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーにより、各位置における樹脂の圧力を測定し、これらの各位置における圧力及び各位置間の圧力損失から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0019】
このように、流し込まれた樹脂の圧力を、少なくとも2以上の位置において圧力センサーにより実測すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性は勿論のこと、最初の実測地点における値から変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性と圧力損失との関係をより緻密に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0020】
また、本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第4の解決手段において、更に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーにより、この樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、これらの各位置における圧力及びこれらの各位置間の圧力損失と、硬化度から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0021】
このように、流し込まれた樹脂の圧力を、少なくとも2以上の位置において圧力センサーにより実測すると共に、超音波センサーにより流動樹脂の硬化度をも測定すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて最初の実測地点における値から変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0022】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーにより、これらの各位置における樹脂の硬化度を測定し、これらの各位置における硬化度及びこれらの各位置間の硬化度の変化から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0023】
このように、流し込まれる樹脂の硬化度を、少なくとも2以上の位置において超音波センサーにより実測すると、流動長さのみならず、とある地点における硬化度のみならず、当該地点を通過した後の樹脂の硬化度の変化割合も算出することができ、特に、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて変化する圧力の損失や硬化度の変化の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性と硬化特性との関係をより緻密に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0024】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第6の解決手段において、更に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーにより、この樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定し、これらの各位置における硬化度及びこれらの各位置間の硬化度の変化と、圧力から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0025】
このように、流し込まれた樹脂の硬化度を、少なくとも2以上の位置において超音波センサーにより実測すると共に、圧力センサーにより流動樹脂の圧力をも測定すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて最初の実測地点における値から変化する圧力の損失や硬化度の変化の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0026】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んでこの樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーにより、これらの各位置における樹脂の圧力を測定すると共に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーにより、これらの各位置における樹脂の硬化度を測定し、これらの各位置における圧力及び各位置間の圧力損失と、これらの各位置における硬化度及びこれらの各位置間の硬化度の変化から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0027】
このように、流し込まれた樹脂の圧力を、少なくとも2以上の位置において圧力センサーにより実測すると共に、少なくとも2以上の位置において超音波センサーにより流し込まれた樹脂の硬化度をも測定すると、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて最初の実測地点における値から変化する圧力の損失や硬化度の変化の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0028】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第1、第3、第7のいずれかの解決手段において、圧力センサーを、流路の流動初期位置に設置し、この圧力センサーにより、流動初期位置における樹脂の圧力を測定し、この樹脂の流動初期位置における圧力から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0029】
このように、流し込まれる樹脂の圧力を、特に流動初期位置において実測すると、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える初期流動性を把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0030】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第4、第5、第8のいずれかの解決手段において、複数の圧力センサーを、流路の少なくとも流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に設置し、これらの複数の圧力センサーにより流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における樹脂の圧力を測定し、これらの樹脂の流動初期位置における圧力、及び流動初期位置と流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置との間の圧力損失から試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0031】
このように、流し込まれる樹脂の圧力を、特に流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置において実測すると、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える初期流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の促進の度合い、また、この硬化度の影響を受けて流動初期位置における値から変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる。
【0032】
また、上記のいずれの解決手段においても、既に従来から行われていた所定の条件下での流動長さと同時に、初期流動性、硬化特性及び流動初期位置から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置間での圧力損失に関するデータも採取することができるので、従来からの流動長さに関するデータとの相関関係をも確認することができ、従来のデータにおける樹脂成分の問題点の発見や、既存のノウハウを活用したレジンの調整を行うことができる。
【0033】
また、本発明は、上記第1乃至第10の解決手段であるスパイラルフロー試験方法に使用することができる以下のスパイラルフロー金型をも提供するものである。即ち、具体的には、本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーを備え、この圧力センサーは、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における流し込まれた樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0034】
本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーを備え、この超音波センサーは、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0035】
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーと超音波センサーとを備え、圧力センサーは、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における流し込まれた樹脂の圧力を測定し、超音波センサーは、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0036】
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーを備え、これらの複数の圧力センサーは、これらの各位置における流し込まれた樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0037】
本発明は、上記の課題を解決するための第15の手段として、上記第14の解決手段において、流路は、更に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーを備え、この超音波センサーは、流し込まれた樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0038】
本発明は、上記の課題を解決するための第16の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーを備え、これらの複数の超音波センサーは、これらの各位置における流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0039】
本発明は、上記の課題を解決するための第17の手段として、上記第16の解決手段において、流路は、更に、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーを備え、この圧力センサーは、流し込まれた樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0040】
本発明は、上記の課題を解決するための第18の手段として、試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、この流路は、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーと、螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーとを備え、これらの複数の圧力センサーは、これらの各位置における流し込まれた樹脂の圧力を測定し、これらの複数の超音波センサーは、これらの各位置における流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0041】
本発明は、上記の課題を解決するための第19の手段として、上記第11、第13、第17のいずれかの解決手段において、圧力センサーは、流路の流動初期位置に設置され、この流動初期位置における樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0042】
本発明は、上記の課題を解決するための第20の手段として、上記第14、第15、第18のいずれかの解決手段において、複数の圧力センサーは、流路の少なくとも流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に設置され、これらの複数の圧力センサーは、流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験方法を提供するものである。
【0043】
本発明は、上記の課題を解決するための第21の手段として、上記第11乃至第20のいずれかの解決手段において、前記スパイラルフロー試験金型は、流路を有する溝部と、この溝部の上に設置されたセンサー部とを備え、圧力センサー又は超音波センサーは、センサー部に支持されて流路に臨んで設置されていることを特徴とするスパイラルフロー試験金型を提供するものである。
【0044】
このように、溝部の上にセンサー部を設置して圧力センサーや超音波センサーを支持すると、圧力センサー14や超音波センサー16を、設置しにくい金型10内部の流路12の任意の位置に露出するようにして配置することができる。
【0045】
更に、本発明は、上記の課題を解決するための第22の手段として、上記第11乃至第21のいずれかの解決手段であるスパイラルフロー試験金型を備えたスパイラルフロー試験装置をも提供するものである。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1及び図2は、本発明のスパイラルフロー試験方法に使用されるスパイラルフロー試験金型10を示し、この試験金型10は、図1及び図2に示すように、溝部10Aと、この溝部10Aの上に設置されるセンサー部10Bと、このセンサー部10Bの上に上蓋10Cとから成り、溝部10Aには、図1及び図2に示すように、試験対象である樹脂1が流し込まれる螺旋状の流路12が形成されている。
【0047】
この流路12は、図1に示す実施の形態では、渦巻状であるのが示されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、螺旋状に周回していれば、一部に直線部分を含む陸上競技用のトラック形状の流路12とすることもできる。この場合、流路12の長さは、樹脂1が流路12の全体にまでは流れ込むことができない程度の充分な長さに設計する。また、この流路12の断面形状や断面積、幅等は、図示の実施の形態では、電子部品の封止樹脂として用いられるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂のトランスファー成形をを想定して、図1及び図2に示すように、断面が略半円状の流路12としているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、試験の用途、即ち、実際の成形の際に使用される樹脂や金型をモデルにする等、必要に応じて適宜設定することができ、例えば、断面が台形状の流路12とすることもできる。
【0048】
なお、試験対象となる樹脂1としては、例えば、一般にスパイラルフロー試験によって流動特性を確認することが特に要求されるエポキシ樹脂等の電子部品の封止樹脂として使用される熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂等は、シリカフィラーを含有し、流動中において硬化が促進するように設計されているため、特に、硬化特性と流動特性との関係を把握することが要求されるからである。もっとも、試験対象は必ずしも、この熱硬化性樹脂に限定されるものではなく、時間の経過による放熱(冷却作用)により硬化する熱可塑性樹脂にも適用することはできる。
【0049】
スパイラルフロー試験に際しては、できるだけ実際の成形時において参考となるデータを取得するため、この樹脂1を、実際の成形時と同様の状況にて、試験金型10の流路12に流し込むことが望ましい。具体的には、トランスファー成形時における樹脂1の流動特性を評価したい場合には、例えば、高周波加熱機等により事前に予備加熱された樹脂1のタブレットを図示しないポットに充填し、このタブレットを図示しないプランジャで加圧して、試験金型10の螺旋状の流路の中心部に設置された図示しないスプルーを介して、所定の圧力及び所定の温度にて螺旋の中心部分から流路12内に流し込む。
【0050】
このようにして、流路12内に流れ込んだ樹脂1は、その特性に従い、各条件下におけるそれぞれ固有の位置まで流動し、硬化が進行することにより自然に流動を停止する。この場合において、螺旋の始点から流動した樹脂1の先端までの長さ(流動長さ)が、試験対象である樹脂1の所定条件下での流動特性を把握する1つの目安となる。従って、この流動長さを計測できるよう、試験金型10には、図1に示すように、流路12に対応して目盛り12Aが形成されている。図示の実施の形態では、目盛り12Aは、2cm間隔で形成されている。
【0051】
更に、本発明の試験金型10においては、その流路12は、図1及び図2に示すように、流し込まれた樹脂1の圧力を測定する複数の圧力センサー14と、流し込まれた樹脂1の硬化度を測定する超音波センサー16とを備えている。これらの圧力センサー14や超音波センサー16は、図1及び図2に示すように、金型10のセンサー部10Bに形成されたケーブル溝10bの先端において流路12に臨んで設置される。これにより、圧力センサー14や超音波センサー16を、設置しにくい金型10内部の流路12の任意の位置に露出するようにして配置することができる。なお、これらの圧力センサー14や超音波センサー16は、ケーブル溝10b内に敷設される図示しないケーブルを介して外部の測定機器等と電気的に接続される。また、図示の実施の形態では、1つのケーブル溝10bにおいて、それぞれ先端においてのみ各センサー14、16が1つずつ設置されているが、複数のセンサー14、16の設置箇所が同一線上である場合等には、1つのケーブル溝10bのうち、例えば、先端と中間位置等においてセンサー14、16を支持して流路12内に臨むようにして配置することもできる。
【0052】
図示の実施の形態では、流路12には、図1に示すように、2つの圧力センサー14A、14Bが設置されているのが示されている。これらの圧力センサー14A、14Bは、図1に示すように、樹脂1の流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の2つの位置に設置されている。従って、流動初期位置と、この螺旋状の流路の樹脂の流動の始点から樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置における流動樹脂1の圧力を測定することができ、これにより、まず、樹脂1の各位置及び各時間における粘度、特に、初期の流動圧力を算出することができる。これにより、流動圧が必要以上に高くなるのを防止して、特に、金属線の変形等を防止できる適切な初期流動性(流動初期の圧力)を有する樹脂1に調整する際の評価の一要素とすることができる。
【0053】
加えて、この場合、流動初期位置のみならず、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置における圧力も測定しているため、樹脂1の流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置との間の圧力損失を算出することができる。この圧力損失によって、当該条件下では、特に、流動の初期位置から、どの程度の時間及び距離が経過すると、どの程度粘度が変化するか、即ち、初期流動性からの粘度の変化を把握して、樹脂1の成分や、樹脂1の成形時の圧力、温度を、ボイドや未充填等が発生しないように調整する際の評価の一要因とすることができる。即ち、ボイド等の発生は、単なる流動長さのみならず、特に、熱硬化性樹脂の場合には、時間と距離の経過に伴う硬化の進行による粘度の変化によって生じるため、ボイド等の発生を防止するためには、この初期流動性からの粘度の変化状態を把握することが必要となる。
【0054】
ここに、本発明において流動初期位置とは、樹脂1が流路12内へ流れ出してまもなくで、未だ硬化による粘度の変化への大きな影響が出ない位置をいい、具体的には、螺旋の始点(中心部)から約2cm〜8cm程度の位置が相当し、第1の圧力センサー14Aによる最初の実測地点は、この範囲内に設定するのが好ましい。図示の実施の形態では、螺旋の始点(中心部)から約6cmの位置に第1の圧力センサー14Aを設置している。
【0055】
一方、同じく流動到達位置とは、樹脂1の硬化が進行して粘度が変化し、樹脂1が流動を停止する付近の位置を指す。但し、樹脂1は、流動の先端においては、密度が低いスポンジ状となり、実装には使用できない状態となることから、この流動の先端、即ち、流動到達位置に圧力センサー14を設置するのではなく、あくまで、流動長さのうち樹脂1が実装に適した密度や硬度を有する範囲内の長さに設置することが必要である。この樹脂1が実装に適した密度や硬度を有する範囲内の長さに相当する距離が、上述した流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離を示す。具体的には、螺旋の始点(中心部)から約80cmまでの範囲、好ましくは、10cm〜50cm程度である。従って、この樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離は、各条件によって必ずしも一定ではないが、少なくとも樹脂1の硬化が進行して粘度に変化が生じる一方、おそよどの条件下の樹脂1においても、実装に使用可能な状態である位置に設置することが必要であり、図示の実施の形態では、いずれの条件下においても想定される樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離のうち、具体的には、螺旋の始点(中心部)から46cmの位置に設置している。
【0056】
なお、図示の実施の形態では、流動初期位置(約6cm)と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の1箇所(46cm)の2つの位置のみに圧力センサー14A、14Bを設置したが、圧力センサー14の設置位置は、必ずしも、この2箇所に限定されるものではなく、その間の位置、又は、樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの長さに相当する距離の範囲内でより下流においても、更に設置することができ、設置箇所が増えるに連れ、より緻密なデータの取得、評価を得ることができる。更に、図示の実施の形態では、圧力損失を計測するため複数の圧力センサー14を設置したが、単数の圧力センサー14とすることもでき、この場合には、ボイドや電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える初期流動性を測定するため、流動初期位置に設置することが好ましい。
【0057】
また、この場合、圧力センサー14は、センサー自体が流動の抵抗となり、実値の計測の支障とならないように配慮して、種類の選択や配置をする。具体的には、圧力センサー14としては、実圧を測定するストレインゲージや、圧電変化率から圧力を測定するピエゾ素子等を使用することができる。
【0058】
一方、超音波センサー16は、樹脂1の粘度や密度に応じて変化する反射音速により、流動する樹脂1の硬化度を測定するものであり、図示の実施の形態では、流路12には、図1に示すように、2つの超音波センサー16A、16Bが設置されているのが示されている。これらの超音波センサー16A、16Bは、図1に示すように、樹脂1の流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置の、計2つの位置に設置されている。従って、これらの超音波センサー16により、設置箇所を通過していく樹脂1の硬化度を経時的に測定することにより、時間の変化による樹脂の硬化度の変化やその変化の度合い、及び、その硬化反応速度を算出することができる。
【0059】
これにより、ボイドの発生等に影響を与える硬化の進行の度合いや、この硬化度が流動圧の変化に与える影響を把握して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して封止の際のボイドや未充填の発生を抑制できる適切な硬化特性を有する樹脂1とする際の評価の一要素とすることができる。
【0060】
この場合、図示の実施の形態では、流路12の螺旋の始点(中心部)から約10mm以内、具体的には、上述した流動初期位置の範囲内である4cmと比較的近い位置と、60cmの2つの位置に設置されているが、その位置は螺旋状の流路の樹脂1の流動の始点から樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内であれば特に限定されるものではなく、圧力センサー14との位置関係で、設置し易い位置に設定することができる。また、その設置位置も、図示の実施の形態のように、少なくとも2つ以上の位置に設置することが好ましい。2以上の箇所に設置することにより、1箇所の地点を通過していく樹脂1の硬化度のみならず、第1の箇所を通過していった流動樹脂1が、その後時間及び距離の変化に伴い、どの程度硬化度が変化していったかを算出することができ、その設置箇所が多い程、硬化特性と流動特性との関係をより緻密に評価することができる。但し、超音波センサー16の設置数は、特に限定されるものではなく、図示の実施の形態では、複数の超音波センサー16を設置したが、単数の超音波センサー16とすることもできる。
【0061】
なお、2以上の箇所に超音波センサー16を設置する場合、圧力センサー14と同様に、少なくとも上記の意味での流動初期位置と、この流動初期位置から流動到達位置までの間で樹脂1が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの任意の位置に設置すると、硬化度の変化を適切に把握することができ、望ましい。この場合、複数の超音波センサー16は、圧力センサー14による樹脂1の圧力とは別のデータとして、硬化度を測定するため、基本的には、圧力センサー14との相対的な位置関係を特に考慮する必要はないが、勿論、圧力センサー14の近傍に設置することもできるし、あるいは、2つの圧力センサー14A、14B間の距離と同間隔をもって配置することにより、データを相互に関連させて評価することもできる。
【0062】
また、この超音波センサー16は、具体的には、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウム等から形成されたものを用いることができる。
【0063】
なお、図示の実施の形態では、圧力センサー14と超音波センサー16とを併用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみを設置することもできる。また、このように、いずれか一方のセンサーのみを設置する場合でも、単数、複数のいずれに設定することもできる。これによっても、樹脂1の硬化度の進行による流動性やその変化を把握することができる。
【0064】
更に、図示の実施の形態のように、圧力センサー14と超音波センサー16とを併用する場合でも、その個数の組合せは自由であり、図示の実施の形態のように、複数の圧力センサー14と複数の超音波センサー16という組合せの他、例えば、複数の圧力センサー14と単数の超音波センサー16、単数の圧力センサー14と複数の超音波センサー16とすることもでいる。これらの場合も同様に、樹脂1の硬化度の進行による流動性やその変化を把握することができる。
【0065】
なお、これらの圧力センサー14及び超音波センサー16は、既存の試験金型10に後から簡易に設置することができ、これにより、既に従来から行われていた所定の条件下での流動長さと同時に、初期流動性、硬化特性及び流動初期位置と流動到達位置間での圧力損失に関するデータも採取して、従来からの流動長さに関するデータとの相関関係をも確認することができ、従来のデータにおける樹脂1の成分の問題点の発見や、既存のノウハウを活用したレジンの調整を行うことができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のように、設置しにくい螺旋状の流路に必要に応じて圧力センサーや超音波センサーを設置して、流動樹脂の圧力や硬化度を、特に、流動初期位置と、樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置において実測しているため、流動長さのみならず、特に、電子部品や金属線の位置ズレに影響を与える初期流動性、ボイドの発生等に影響を与える硬化の進行の度合い、また、この硬化度の影響を受けて流動初期位置における値から変化する圧力の損失の度合いを把握して、スパイラルフロー試験において熱硬化性樹脂等の樹脂の流動特性を適切に評価して、特に封止樹脂のレジン設計において硬化促進剤の成分量等を調整して、適切な流動圧や硬化度を有する樹脂として、封止の際のボイドや部品のシフト等の発生を抑制することができる実益がある。
【0067】
また、この場合、既に従来から行われていた所定の条件下での流動長さと同時に、初期流動性、硬化特性及び流動初期位置と流動到達位置間での圧力損失に関するデータも採取することができるので、従来からの流動長さに関するデータとの相関関係をも確認することができ、従来のデータにおける樹脂成分の問題点の発見や、既存のノウハウを活用したレジンの調整を行うことができる実益がある。
【0068】
本発明によれば、上記のように、少なくとも2以上の位置に設置された圧力センサーや超音波センサーにより樹脂の圧力や硬化度を測定しているため、とある地点における圧力や硬化度のみならず、当該地点を通過する樹脂の圧力の変化や、当該地点を通過した後の樹脂の硬化度の変化割合も算出することができ、これらの流動性や硬化特性と流動特性との関係をより緻密に評価することができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパイラルフロー試験金型の概略平面図である。
【図2】本発明のスパイラルフロー試験金型の概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂
10 試験金型
10A 溝部
10B センサー部
10C 上蓋
10b ケーブル溝
12 流路
12A 目盛り
14 圧力センサー
14A 第1(流動初期位置)の圧力センサー
14B 第2の圧力センサー
16 超音波センサー
16A 第1の超音波センサー
16B 第2の超音波センサー
Claims (22)
- スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んで前記樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーにより、前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定し、前記圧力から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んで前記樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーにより、前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、前記硬化度から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んで前記樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーにより前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定すると共に、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーにより前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、前記圧力及び前記硬化度から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んで前記樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーにより、前記各位置における前記樹脂の圧力を測定し、前記各位置における圧力及び前記各位置間の圧力損失から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- 請求項4に記載されたスパイラルフロー試験方法であって、更に、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーにより、前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定し、前記各位置における圧力及び前記各位置間の圧力損失と、前記硬化度から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んで前記樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーにより、前記各位置における前記樹脂の硬化度を測定し、前記各位置における硬化度及び前記各位置間の硬化度の変化から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- 請求項6に記載されたスパイラルフロー試験方法であって、更に、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーにより、前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定し、前記各位置における硬化度及び前記各位置間の硬化度の変化と、前記圧力から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- スパイラルフロー試験金型の螺旋状の流路に試験対象である樹脂を流し込んで前記樹脂の流動特性を試験するスパイラルフロー試験方法において、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーにより、前記各位置における前記樹脂の圧力を測定すると共に、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーにより、前記各位置における前記樹脂の硬化度を測定し、前記各位置における圧力及び前記各位置間の圧力損失と、前記各位置における硬化度及び前記各位置間の硬化度の変化から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- 請求項1、請求項3、請求項7のいずれかに記載されたスパイラルフロー試験方法であって、前記圧力センサーを、前記流路の流動初期位置に設置し、前記圧力センサーにより、前記流動初期位置における前記樹脂の圧力を測定し、前記樹脂の前記流動初期位置における圧力から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- 請求項4、請求項5、請求項8のいずれかに記載されたスパイラルフロー試験方法であって、前記複数の圧力センサーを、前記流路の少なくとも流動初期位置と、前記流動初期位置から流動到達位置までの間の前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に設置し、前記複数の圧力センサーにより前記流動初期位置と、前記流動初期位置から前記流動到達位置までの間で前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における前記樹脂の圧力を測定し、前記樹脂の前記流動初期位置における圧力及び前記流動初期位置と前記流動初期位置から前記流動到達位置までの間で前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置との間の圧力損失から前記試験対象である樹脂の流動特性を評価することを特徴とするスパイラルフロー試験方法。
- 試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、前記流路は、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーを備え、前記圧力センサーは、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における前記流し込まれた樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、前記流路は、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーを備え、前記超音波センサーは、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における前記流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、前記流路は、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーと超音波センサーとを備え、前記圧力センサーは、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における前記流し込まれた樹脂の圧力を測定し、前記超音波センサーは、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における前記流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、前記流路は、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーを備え、前記複数の圧力センサーは、前記各位置における前記流し込まれた樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 請求項14に記載されたスパイラルフロー試験金型であって、前記流路は、更に、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された超音波センサーを備え、前記超音波センサーは、前記流し込まれた樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、前記流路は、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーを備え、前記複数の超音波センサーは、前記各位置における前記流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 請求項16に記載されたスパイラルフロー試験金型であって、前記流路は、更に、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に配置された圧力センサーを備え、前記圧力センサーは、前記流し込まれた樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内における圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 試験対象である樹脂が流し込まれる螺旋状の流路を有するスパイラルフロー試験金型において、前記流路は、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の圧力センサーと、前記螺旋状の流路の前記樹脂の流動の始点から前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のうちの少なくとも2以上の位置に配置された複数の超音波センサーとを備え、前記複数の圧力センサーは、前記各位置における前記流し込まれた樹脂の圧力を測定し、前記複数の超音波センサーは、前記各位置における前記流し込まれた樹脂の硬化度を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 請求項11、請求項13、請求項17のいずれかに記載されたスパイラルフロー試験金型であって、前記圧力センサーは、前記流路の流動初期位置に設置され、前記流動初期位置における前記樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 請求項14、請求項15、請求項18のいずれかに記載されたスパイラルフロー試験金型であって、前記複数の圧力センサーは、前記流路の少なくとも流動初期位置と、前記流動初期位置から流動到達位置までの間で前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置に設置され、前記流動初期位置と、前記流動初期位置から前記流動到達位置までの間で前記樹脂が実用可能な状態で到達する地点までの距離の範囲内のいずれかの位置における前記樹脂の圧力を測定することを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 請求項11乃至請求項20のいずれかに記載されたスパイラルフロー試験金型であって、前記流路を有する溝部と、前記溝部の上に設置されたセンサー部とを備え、前記圧力センサー又は前記超音波センサーは、前記センサー部に支持されて前記流路に臨んで設置されていることを特徴とするスパイラルフロー試験金型。
- 請求項11乃至請求項21のいずれかに記載されたスパイラルフロー試験金型を備えたスパイラルフロー試験装置。
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CN102686996A (zh) * | 2009-11-24 | 2012-09-19 | 住友电木株式会社 | 流动特性测定用金属模具、流动特性测定方法、半导体封装用树脂组合物及半导体装置的制造方法 |
CN109356576A (zh) * | 2018-10-23 | 2019-02-19 | 中国石油化工股份有限公司 | 测量平面径向流驱替压力梯度的物模实验装置 |
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2003
- 2003-06-06 JP JP2003162750A patent/JP2004361348A/ja active Pending
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