JP2004360693A - タービンのロータ入口温度の合成システムとその合成方法 - Google Patents

タービンのロータ入口温度の合成システムとその合成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】運転中のタービンエンジンにおけるガス経路ロータ入口温度の正確でリアルタイムの評価を実現する。
【解決手段】本発明は、バーナ燃料流量(WFGG)とバーナ入口圧力(PS32)とタービンの圧縮機吐出温度(T3)とを検出する段階と、上記バーナ燃料流量と上記バーナ入口圧力と上記圧縮機吐出温度とから比率単位パラメータを計算する段階と、上記比率単位パラメータから合成ロータ入口温度を計算する段階と、を備えるタービンのロータ入口温度を合成する方法に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、タービンのガス経路ロータ入口温度を合成する方法とその合成システムに関する。
ガス経路ロータ入口温度(RIT)は、航空機用ガスタービンエンジンの最大出力(スラスト)を制限するタービン耐久性に関する重要なパラメータである。商業用のジェットエンジンにおいては、RITは離陸時にスラストを制限する。一般の飛行軍事用エンジンにおいては、離陸時、戦闘時、および超音速飛行時を含んだ複数の飛行条件においてスラストが制限される。STOVL(Short Takeoff and Vertical Landing(短距離垂直離着陸))飛行の軍事用エンジンにおいては、RITは垂直方向のスラストを制限する。RITの上昇は、ビークル(飛行物体)の性能を向上するが、潜在的に過度なタービンの劣化と部品の短寿命化を招いてしまう。従って、RITの正確な情報を得ることにより、制御システムは、最適なスラストと耐久性を有したエンジン燃料流量を設定することが可能となる。
従って、運転中のタービンエンジンにおけるガス経路ロータ入口温度について正確でリアルタイムの評価ができる方法が必要とされている。
従って、本発明の目的は、タービンのガス経路ロータ入口温度を合成する方法とその合成システムを提供することである。
本発明によれば、タービンのロータ入口温度を合成する方法は、バーナ燃料流量(WFGG)とバーナ入口圧力(PS32)とタービンの圧縮機吐出温度(T3)と、を検出する段階と、上記バーナ燃料流量と上記バーナ入口圧力と上記圧縮機吐出温度とから比率単位パラメータを計算する段階と、上記比率単位パラメータから合成ロータ入口温度を計算する段階と、を含む。
さらに本発明によれば、タービンのロータ入口温度の合成システムは、バーナ燃料流量(WFGG)とバーナ入口圧力(PS32)とタービンの圧縮機吐出温度(T3)と、を測定する手段と、上記WFGGと上記PS32と上記T3とを受け取りかつ比率単位パラメータを計算しかつタービンの合成ロータ入口温度を計算する手段と、を含む。
本発明の主な目的は、RITが正確に合成され、最大出力状態近くの条件下で運転中の燃料流量を設定する制御システムにより、このRITが使用されるようにした方法を提供することである。
以下に包括的に説明するように、本発明はタービン用RITの熱力学的な導出を教示する。ここで用いられている「タービン」とは、タービンもしくはタービンエンジンを意味する。劣化、異物による損傷、極度の据え付けの影響、エンジン毎の変動により、性能がシフトしている間でも、上記の導出は正確性を維持する。
本発明では、図1に示すように、RITは、3つの入力つまりバーナ燃料流量(WFGG)とバーナ入口圧力(PS32)と圧縮機吐出温度(T3)、を用いて合成される。具体的には、WFGGとPS32とT3の読み取り値が検出される。好適には、これらの読み取り値は、図に示すようにエンジン14の運転中に、WFGGセンサ17とT3センサ15とP32センサ13とによって、直接に測定され、もしくは合成される。上記センサ13,15,17は、上記入力の測定が可能な、温度センサ、圧力センサ、流量計、光センサおよびその他を含んだ公知のいかなるセンサであってもよい。一旦測定を行うと、上記センサ13,15,17から得られた入力は、以下により具体的に説明するように正確な合成RITが得られるように処理される。ここで用いられている「合成RIT」とは、実測されたものではなく、1つもしくは複数のセンサ入力に基づいて計算することによりRIT値を割り出したものである。
好適な態様においては、上記センサ13,15,17から得られた入力は、電算処理装置11に伝送される。電算処理装置11は、上記センサ13,15,17から得られた上記入力に基づいて計算を実行しうる装置である。上記計算は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリイメモリ(ROM)、ハードドライブの容量、その他を含んだ記憶装置23に蓄積されたデータにアクセスすることを含んでもよい。上記センサ13,15,17から得られた上記入力に基づいて計算を実行した後に、電算処理装置11は、
ガスジェネレータ燃料制御21、ノズルスロート面積制御19、その他を含んだ制御機構の動作を制御するように、適当な数の制御信号24,24’,…24Nを出力することができる。
本発明においてRITが合成される具体的な方法を説明する。エンジンのバーナ燃空比が、導出パラメータつまり(WFGG*(T3/519)**EXP)/PS32により定義された比率単位パラメータ、と等価になることが本発明の本質的な推考部分である。この導出パラメータ中の指数EXPは、具体的な熱力学的なサイクルに依存し、以下に説明するような最適なあてはめ(フィッティング)がなされるように選択される。
図2は、上述の推考を試験エンジンに適用した例を示す。比率単位パラメータの図200は、運転状態のエンジンの試験データを表示する。この例において、上記試験データは、コンピュータモデルから導出されているが、現実には、既存のエンジンから取得した測定値から付加的に導出してもよい。比率単位パラメータの図200は、Y軸に比率単位パラメータを表示し、X軸に燃空比を表示する。上記燃空比は、バーナ燃料流量をバーナ空気流量で除したものとして定義される。上述したように、比率単位パラメータは、(WFGG*(T3/519)**EXP)/PS32と等価である。比率単位パラメータの図200は、複数の曲線201,201’,…201Nを含む。プロット201,201’,…201Nを構成する点の各々は、WFGG、T3、PS32について同じ変数値を用いて計算される。唯一の差違は、上記プロット201,201’,…201Nの各々について、指数EXPに異なった値が選択されることである。この例においては、具体的には、0.1,0.2,0.3,0.4,0.5の指数が選択された。得られたプロットから明らかなように、この実施例においては、「0.2」の指数が、直線的に広がる極わずかな変動を伴い直線状に延びた点プロットを生む。「0.2」の指数から離れると、その他のプロットの各々を構成する各データ点のばらつきが増大することにも留意されたい。この例に示された点は、コンピュータモデルにより計算されたものであり、上記プロットを構成する測定点は、物理システムに存在しうる計測器の誤差やその他の誤差要因を含まない。結果として、データの最適なあてはめ、具体的には、線の付近に分散した点を一つの線に落とし込ませるあてはめ、を生じる指数を得ること、は、図示の通り、理論上検証可能である。様々な誤差要因が含まれる物理システムから、分散した点を導出する場合には、線の付近の所望のプロットの変動性を最小限にする指数を導出する統計的な検定を適用することが必要となることが当業者に知られている。コンピュータモデルもしくは実際の測定のいずれかから導き出すかどうかに拘わらず、本発明は、上述の等式がほぼ一つの線に落とし込まれるような、指数EXPを導出する。次に上記の指数は、以下により具体的に説明するように、RITの合成に用いられる。
バーナ温度上昇は燃空比と圧縮機吐出温度(T3)との関数であることが知られている。図3は、上記の導出比率単位パラメータと、T41とT3との差として定義されたバーナ温度上昇と、の関係をグラフ化したものである。T41つまり合成された高圧タービンロータ入口温度は、合成RITと等価である。上記グラフを用いることにより、測定されたT3とWFGGとPS32とから、バーナ温度上昇、T41―T3、の導出が可能となる。T3の値は既知のため、上記の導出比率単位パラメータの計算に用いられるときに、バーナ温度上昇に付加され、従ってT41の合成値が生ずる。
上記の計算は、完全に数学的になされてもよいし、また、記憶装置23から所定のデータを抽出することを含んでもよい。具体的には、運転を行う所定のエンジンに対応した指数が、一旦上述のように導出されると、T41を計算するために、上述のように上記圧縮機吐出温度T3を付加することで導出単位パラメータが計算・処理され得る。同様にして、上記導出比率単位パラメータは、記憶装置23に収容されたテーブルからの検索に用いられてもよく、上記検索は、導出比率単位パラメータは入力として記憶装置23に与えられ、記憶装置23は上記入力情報に基づいてT41の値を検索し送り返すことにより行われる。いずれの場合でも、T41の合成評価が結果として得られる。
図4は、試験データから導出されたT41誤差グラフ401を示す。このT41誤差グラフ401においては、T41誤差がY軸にプロットされ、タービンエンジンの多様な飛行状況・出力設定におけるT41の絶対値がX軸に示される。T41誤差グラフ401から明らかなように、得られた誤差は、実測値から±10°Fを超えるところはない。運転中の通常のタービンエンジンから合成されたRITの実際の値は3000°Fを超え得るので、このT41誤差は約0.33%誤差を表す。
上述の方法は、タービン入口ノズル面積(A4)やタービン入口翼冷却空気流量や燃料低位発熱量の変化がRITに与える影響を検出する方法を含むようにさらに拡張してもよい。タービン入口面積やタービン冷却空気流量レベルのようなエンジン構造による変化には、上記比率単位パラメータの相関を再生することなく、合成RITに対するデルタ効果(差分の影響)を適用することで対処可能である。新エンジン開発中に生じうる未知の効果の発生に対しては、性能データ整理における合成T41の「ゼロ設定」を可能とする変更器の定数・乗算により対処しうる。最終的には、上記T41信号は、該信号を滑らかにしかつ一次熱容量効果を与えるために、時定数によりフィルタをかけてもよい。
本発明の上記方法の結果として、正確な合成RITが得られる。本発明が、入口での変化の大部分が減衰している圧縮システムの出口からの入力を用いるため、本方法は入口の圧力や温度が変化する状態において特に正確である。複数の入力というよりはむしろ3つのセンサからのデータ取得が、信頼性を向上する。
本発明に従って、本明細書でこれまでに述べた目的、手段、利点を完全に満足させる、タービンのガス経路ロータ入口温度の合成方法が提供されたことが明白である。特に、本発明の目的をさらに満足させるように本明細書に開示された技術を組み合わすことができよう。本発明は上記具体的な態様に照らして説明されたが、本明細書を参照した当業者であれば、本発明の代替・改良・変更を容易に想到し得よう。従って、これらの代替・改良・変更も添付の特許請求の範囲内に包含されるものである。
本発明のロータ入口温度合成システムの図。 本発明の比率単位パラメータの計算に使用される指数の導出を示すデータの一例を示した図。 本発明の比率単位パラメータの計算値とタービンのバーナ温度上昇との関係を示した図。 本発明による合成ロータ入口温度の計算における誤差の一例を示したプロット図。
符号の説明
11…電算処理装置
13…PS32センサ
14…エンジン
15…T3センサ
17…WFGGセンサ
19…ノズルスロート面積制御
21…ガスジェネレータ燃料制御
23…記憶装置
24,24’…制御信号

Claims (14)

  1. バーナ燃料流量(WFGG)とバーナ入口圧力(PS32)とタービンの圧縮機吐出温度(T3)とを検出する段階と、
    上記バーナ燃料流量と上記バーナ入口圧力と上記圧縮機吐出温度とから比率単位パラメータを計算する段階と、
    上記比率単位パラメータから合成ロータ入口温度を計算する段階と、
    を含んだ、タービンのロータ入口温度合成方法。
  2. 上記合成ロータ入口温度を計算する上記段階は、
    上記比率単位パラメータからバーナ温度上昇を計算する段階と、
    合成ロータ入口温度が得られるよう上記バーナ温度上昇に上記圧縮機吐出温度を加える段階と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のタービンのロータ入口温度合成方法。
  3. 上記比率単位パラメータを計算する段階は、
    (WFGG*(T3/519)**EXP)/PS32により定義された等式に等しい上記比率単位パラメータを設定する段階と、
    WFGG値とPS32値とT3値と燃空比とを含んだ複数の試験データ点を発生させる段階と、
    上記試験データ点における上記比率単位パラメータと上記燃空比とのプロットが直線に対し最小限の変動性を示すこととなる、指数(EXP)を導出する段階と、
    上記等式に基づいて上記比率単位パラメータを計算するために、上記実測のWFGGと上記実測のPS32と上記実測のT3と上記導出された指数とを用いる段階と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のタービンのロータ入口温度合成方法。
  4. 上記複数の試験データ点を発生させる段階は、コンピュータモデルを使用することを含むことを特徴とする請求項3に記載のタービンのロータ入口温度合成方法。
  5. 上記複数の試験データ点を発生させる段階は、物理的システムから上記試験データ点を測定することを含むことを特徴とする請求項3に記載のタービンのロータ入口温度合成方法。
  6. 上記合成ロータ入口温度に基づいて少なくとも1つの制御機構の動作を調節する付加的な段階を含んだ請求項1に記載のタービンのロータ入口温度合成方法。
  7. 上記少なくとも1つの制御機構が、ガスジェネレータ燃料制御とノズルスロート面積制御からなるグループから選択されることを特徴とする請求項6に記載のタービンのロータ入口温度合成方法。
  8. 上記バーナ温度上昇を計算する段階は、
    記憶装置内に上記比率単位パラメータを入力する段階と、
    上記記憶装置から上記温度上昇を検索する段階と、
    を含むことを特徴とする請求項2に記載のタービンのロータ入口温度合成方法。
  9. 上記合成ロータ入口温度をゼロ設定する付加的な段階を含んだ請求項2に記載のタービンのロータ入口温度合成方法。
  10. バーナ燃料流量(WFGG)とバーナ入口圧力(PS32)とタービンの圧縮機吐出温度(T3)とを測定する手段と、
    上記WFGGと上記PS32と上記T3とを受け取り、かつ、比率単位パラメータを計算し、かつ、上記タービンの合成ロータ入口温度を計算する、手段と、
    を含んだ、タービンのロータ入口温度の合成システム。
  11. 上記ロータ入口温度が、少なくとも1つの制御信号の計算に用いられることを特徴とする請求項10に記載のタービンのロータ入口温度の合成システム。
  12. 上記少なくとも1つの制御信号が、少なくとも1つの制御機構の調節に用いられることを特徴とする請求項11に記載のタービンのロータ入口温度の合成システム。
  13. 上記少なくとも1つの制御機構が、ガスジェネレータ燃料制御とノズルスロート面積制御とからなるグループから選択されることを特徴とする請求項12に記載のタービンのロータ入口温度の合成システム。
  14. バーナ温度上昇を記憶しかつ検索するように適合した記憶装置をさらに含んだ請求項10に記載のタービンのロータ入口温度の合成システム。
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