JP2004360243A - 地盤の液状化防止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】飽和地盤を迅速に不飽和地盤に変換する。
【解決手段】液状化を防止するべき地盤1に設けた、上端部を気密にシールした揚水用井戸4から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとともに、揚水用井戸4の内部を真空ポンプ6にて真空引きして地盤中に含まれる水分を収集して揚水する。また、この真空揚水と同時に、エアー供給装置9からエアー供給用井戸8内にエアーを供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】液状化を防止するべき地盤1に設けた、上端部を気密にシールした揚水用井戸4から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとともに、揚水用井戸4の内部を真空ポンプ6にて真空引きして地盤中に含まれる水分を収集して揚水する。また、この真空揚水と同時に、エアー供給装置9からエアー供給用井戸8内にエアーを供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤の液状化を防止するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、地盤の液状化とは、含水率の高い地盤が地震により衝撃や振動を受けて変形することに伴い、土粒子間に飽和状態で存在している間隙水の水圧が急激に上昇し、その結果、土粒子間の摩擦抵抗が消失して地盤があたかも液体のように挙動して耐力を失ってしまう現象をいう。
【0003】
そのような液状化を防止するためには、地盤強度を高める、あるいは地盤に細粒分を注入するといった手法が知られているが、最近においては地下水の揚水による液状化防止方法も有効であると考えられている。これは、図2に示すように、不透水層13に達するように設けた止水壁12によって液状化を防止するべき対象の地盤11を取り囲んでその内側に揚水用井戸14を設け、そこから地下水を連続的に汲み上げて地下水位を低く維持することによって、液状化の根本原因である土粒子中の間隙水を地盤から排除してしまうというものである。
【0004】
上記のような地下水揚水による液状防止方法は十分に有効であると考えられてはいるが、地下水位を常に低く維持するために地下水を常時連続的にしかも恒久的に揚水し続けなければならないから、それに要する運転費と維持管理費は膨大になるし、地下水位低下による圧密沈下が生じてしまう懸念もあり、現時点では非現実的であるとされている。
【0005】
そのため、地下水を揚水し続けて地下水位を常に低く維持するのではなく、図3に示すように地下水位を一時的に低下させて地盤の飽和度(地盤中の地下水の体積/地盤の間隙体積)を低下させ、それによって液状化に対する地盤強度を高めるという液状化防止方法も提案されており、そのような方法によれば、地下水位が回復した後においても液状化防止効果が長期にわたって継続的に得られるといわれている。なお、図3において符号(イ)は一旦下がった地下水位を示し、符号(ロ)は回復した地下水位を示す。
【0006】
たとえば、特許文献1には、地下水位を一時的に低下させた後に、地表からの注水により「ぬれ前線」を漸次降下させていって地下水位を回復させることにより、土粒子間に気泡を封じ込めて地盤を飽和状態から不飽和状態に変換して液状化に対する強度を高めるという方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、同様に地下水位を一時的に低下させて飽和度を低下させた後、地下水位の自然上昇に伴う飽和度の自然上昇を監視して、飽和度を所定の設定値に維持するように再揚水を断続的に行うという方法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−3975号公報
【特許文献2】
特開2002−256540号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1や特許文献2に示される方法では、いずれも、地下水位低下による地盤不飽和化に、時間がかかりすぎるという問題があった。その理由は、図4に示すように、土粒子15の周りには吸着水や毛管水といった土壌水16が吸着しているが、この土壌水16の土粒子15への吸着力がある程度強く、単に重力を利用した自然落下方式を採用しただけでは、土壌水の収集が難しいためである。
このため、飽和地盤を迅速に不飽和地盤に変換できる液状化防止方法の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、飽和地盤を迅速に不飽和地盤に変換できる地盤の液状化防止方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の地盤の液状化防止方法は、液状化を防止するべき地盤に設けた、上端部を気密にシールした揚水用井戸から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとともに、該揚水用井戸の内部を真空引きして前記地盤中に含まれる水分を収集して揚水し、その後、地下水位を回復させることにより、地盤を不飽和状態とすることを特徴とする。
この発明では、揚水用井戸を真空引きすることにより、揚水用井戸近傍の地盤土粒子から土壌水を積極的に離間させて、揚水用井戸に収集する。このように真空引きによる陰圧を利用するので、単に重力を利用した従来の方法に場合に比べて土粒子からの土壌水の離間し易く、土壌水の収集効率が格段に高まる。この結果、地盤を迅速に不飽和化することが可能になる。
【0012】
請求項2記載の地盤の液状化防止方法は、請求項1記載の方法において、前記揚水用井戸から揚水及び真空引きを行いながら、前記地盤に設けたエアー供給用井戸からエアーを供給することを特徴とする。
この発明では、液状化を防止するべき地盤に対し、単に真空引きを行うに止まらず、真空引きに加えて同時にエアー供給も行っており、地盤の土粒子の周りの土壌水には、真空引きによる陰圧とエアー供給による陽圧が作用する。このため、土粒子からの土壌水の離間が促進される。
【0013】
請求項3記載の地盤の液状化防止方法は、請求項2記載の方法において、前記エアー供給用井戸を前記揚水用井戸よりも浅く設けることを特徴とする。
この発明では、液状化を防止するべき地盤の上部からエアーを供給し、同地盤の下部から真空排水するものであり、地盤の土粒子の周りの土壌水には、真空引きによる陰圧、エアー供給による陽圧、並びに重力がそれぞれ作用するため、土粒子からの土壌水の離間がより促進される。
【0014】
請求項4記載の地盤の液状化防止方法は、請求項1,2または3記載の方法において、液状化を防止するべき地盤を、止水壁で取り囲むことを特徴とする。
この発明では、液状化を防止するべき地盤を止水壁で取り囲むため、揚水用井戸から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとき、液状化を防止するべき地盤へその外側にある地盤からの地下水の流入を防ぐことができ、したがって、効率の良い地盤の不飽和化が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の具体的な実施形態を示すものである。これは、液状化を防止しようとする対象領域の地盤1を取り囲むような止水壁2を不透水性あるいは難透水性の下層地盤3に達するように設け、その内側に下層地盤3に達する揚水用井戸4を設け、その底部に設けたポンプ5により揚水用井戸4から揚水して止水壁2の内側における地下水位を低下させるようにしている。また、揚水用井戸4近傍の地面上に設けた真空ポンプ6により揚水用井戸4の内部を真空引きし、地盤1中に含まれる土壌水等の水分を揚水用井戸4内に収集するようにしている。揚水用井戸4は、上端部が気密にシールされるとともに、揚水井戸4周りの地表面が遮水構造とされていて、高い真空度での真空引きが可能なようになっている。
【0016】
前記地盤1にはエアー供給用井戸8を、揚水用井戸4よりも浅く設け、このエアー供給用井戸8を通じてエアー供給装置9からエアーを地盤1中に供給するようになっている。なお、エアー供給装置9としては、ある程度水分を除去した乾燥エアーを供給できるものが好ましい。
また、必要に応じて、地盤1中の飽和度を検出するセンサーを止水壁2内の各所に多数設けておき、その検出結果に基づき、図示せぬ制御装置によって、ポンプ5、真空ポンプ6及びエアー供給装置9の運転、停止を自動制御して、真空揚水およびエアー供給、並びにそれらの停止を行うように構成しておく。
【0017】
本実施形態の方法では、ポンプ5を駆動して揚水用井戸4から揚水を行うことにより(a)に示す当初の地下水位を(b)に示すように下層地盤3の付近まで低下させる。そして、このポンプ5を駆動させる当初からあるいは地下水位が(a)から所定距離下がった時点で、真空ポンプ6を駆動させて揚水用井戸4の内部を真空引きする。この真空引きと同時に、エアー供給装置9を駆動させ、エアー供給用井戸8を通じて止水壁4で囲まれた地盤1中に乾燥空気を供給する。
【0018】
地下水位が(b)に示す位置まで下がった時点で、真空揚水及びエアー供給を停止させる。これにより、既に述べたように地盤1中に空気が自ずと、あるいはエアー供給用井戸8から強制的に入り込んでいって、土粒子中に気泡などの気相の形で混在することとなり、地盤1は飽和度100%の状態から100%未満(たとえば90〜95%程度)の不飽和状態となる。その結果、地盤1の液状化強度は自ずと高められて液状化防止効果が得られる。
【0019】
この実施形態の場合、地盤の不飽和化を図るにあたり、単にポンプ5を駆動して揚水用井戸4の揚水を通じて地下水位を下げるに止まらず、揚水用井戸4内を真空引きしている。これにより、揚水用井戸4近傍の地盤1内の土壌水に直接陰圧を作用させることができ、単なる重量を利用した自然落下方式に比べて、土壌水を土粒子から離間させ易くしている。この結果、地下水位の低下を迅速に行うことができ、このため、地盤1の不飽和化を効率良く行うことができる。
【0020】
また、この実施形態では、エアー供給用井戸8を通じて地盤1内にエアー供給を行っており、供給されたエアーは土粒子の周りに侵入して、該土粒子の周りにある土壌水を土粒子から積極的に離間させつつ、該土壌水と置換して土粒子の周りに気相の形で混在する。この結果、地下水位の低下、並びにそれに伴う地盤1の不飽和化をより効率良く行うことが可能となる。
【0021】
また、ここでは、地盤1の周囲に止水壁2を設けていることからその内側の地下水位は容易に回復することはないものの、そのような止水壁2によっても完全な止水は無理であるので、地下水位は次第に自然上昇していくことになる。しかし、地下水位が上昇しても土粒子中の気泡などの気相部分は直ちに抜けてしまうことなくそのまま残存し、したがって不飽和状態は長期にわたって維持されて液状化防止効果は自ずとそのまま長く維持される。
【0022】
図1に示すように、地下水位が一旦(b)まで下がった後は、地下水位の自然上昇に伴う飽和度の自然上昇を図示せぬセンサーにより監視しつつ、飽和度が所定の設定値(たとえば90〜95%程度)を越えないように再揚水を行えば足りる。つまり、センサーによる検知結果に基づき飽和度が設定値を越える状況となった場合に、制御装置によりポンプ5,真空ポンプ6及びエアー供給装置9を自動的に運転して再真空揚水並びにエアー供給を行って地下水位を再び(b)の状態に低下させれば良い。そのような再真空揚水等が必要となる頻度は、地盤1の状況により異なるが、1年に1度あるいは数年に1度程度で良いと考えられる。
【0023】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、地盤状況その他の諸条件に応じて適宜変形、応用が可能である。
例えば、前記実施の形態では、液状化を防止しようとする対象領域の地盤1に、揚水用井戸4とエアー供給用井戸8をそれぞれ1本ずつ設けているが、これに限られることなく、地盤状況や対象現場の平面規模、不飽和化期間等によって、それら揚水用井戸4やエアー供給用井戸8の本数、並びにその深さ、さらにはそれらの位置を決定すればよい。
【0024】
また、前記実施形態では、対象地盤の周囲に止水壁2を設けているが、地盤状況によって所望範囲の地下水位を所望のレベルまで容易に低下させることができる場合等には、これら止水壁2を省略することも可能である。
【0025】
また、前記実施形態では、揚水用井戸4の他にエアー供給用井戸8を設けているが、揚水用井戸4を用いた真空揚水のみによって、所定期間内に所定値まで、飽和度を下げることができる場合には、エアー供給用井戸8を省略することも可能である。
【0026】
また、前記実施形態では、地下水位を一旦(b)程度まで低下させた後、自然状態での降水浸透や周りの地下水が侵入することで地下水位を回復させているが、これに限られることなく、人工的に散水することで地下水位を回復させるようにしてもよい。このように、人工的に散水する方法を採用すると、散水した水が地盤1の上部で層を成し、その下方の不飽和部分のエアーを閉じこめ易い利点が得られる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、揚水用井戸を真空引きすることにより、揚水用井戸近傍の地盤土粒子から土壌水を積極的に離間させて、揚水用井戸に収集することができ、真空引きによる陰圧を利用できるので、単に重力を利用した従来の方法に場合に比べ、土壌水の収集効率を格段に高めることができ、この結果、地盤を迅速に不飽和化することが可能になる。
また、単に真空引きを行うに止まらず、真空引きに加えて同時にエアー供給も行う場合には、地盤の土粒子の周りの土壌水に、真空引きによる陰圧とエアー供給による陽圧を作用させることができ、このため、土壌水の収集効率をより高めることができる。
また、液状化を防止するべき地盤の上部からエアーを供給し、同地盤の下部から真空揚水する場合には、地盤の土粒子の周りの土壌水に、真空引きによる陰圧、エアー供給による陽圧、並びに重力をそれぞれ作用させ得るため、土粒子からの土壌水の離間がより促進される。
また、液状化を防止するべき地盤を止水壁で取り囲む場合には、揚水用井戸から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとき、液状化を防止するべき地盤へその外側にある地盤からの地下水の流入を防ぐことができ、したがって、効率の良い地盤の不飽和化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液状化防止方法の一実施形態を示す説明図である。
【図2】従来の液状化防止方法の一例を示す説明図である。
【図3】従来の液状化防止方法の他の例を示す説明図である。
【図4】土粒子への土壌水の吸着状況を示す説明図である。
【符号の説明】
1 地盤
2 止水壁
3 下層地盤
4 揚水用井戸
5 ポンプ
6 真空ポンプ
8 エアー供給用井戸
9 エアー供給装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤の液状化を防止するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、地盤の液状化とは、含水率の高い地盤が地震により衝撃や振動を受けて変形することに伴い、土粒子間に飽和状態で存在している間隙水の水圧が急激に上昇し、その結果、土粒子間の摩擦抵抗が消失して地盤があたかも液体のように挙動して耐力を失ってしまう現象をいう。
【0003】
そのような液状化を防止するためには、地盤強度を高める、あるいは地盤に細粒分を注入するといった手法が知られているが、最近においては地下水の揚水による液状化防止方法も有効であると考えられている。これは、図2に示すように、不透水層13に達するように設けた止水壁12によって液状化を防止するべき対象の地盤11を取り囲んでその内側に揚水用井戸14を設け、そこから地下水を連続的に汲み上げて地下水位を低く維持することによって、液状化の根本原因である土粒子中の間隙水を地盤から排除してしまうというものである。
【0004】
上記のような地下水揚水による液状防止方法は十分に有効であると考えられてはいるが、地下水位を常に低く維持するために地下水を常時連続的にしかも恒久的に揚水し続けなければならないから、それに要する運転費と維持管理費は膨大になるし、地下水位低下による圧密沈下が生じてしまう懸念もあり、現時点では非現実的であるとされている。
【0005】
そのため、地下水を揚水し続けて地下水位を常に低く維持するのではなく、図3に示すように地下水位を一時的に低下させて地盤の飽和度(地盤中の地下水の体積/地盤の間隙体積)を低下させ、それによって液状化に対する地盤強度を高めるという液状化防止方法も提案されており、そのような方法によれば、地下水位が回復した後においても液状化防止効果が長期にわたって継続的に得られるといわれている。なお、図3において符号(イ)は一旦下がった地下水位を示し、符号(ロ)は回復した地下水位を示す。
【0006】
たとえば、特許文献1には、地下水位を一時的に低下させた後に、地表からの注水により「ぬれ前線」を漸次降下させていって地下水位を回復させることにより、土粒子間に気泡を封じ込めて地盤を飽和状態から不飽和状態に変換して液状化に対する強度を高めるという方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、同様に地下水位を一時的に低下させて飽和度を低下させた後、地下水位の自然上昇に伴う飽和度の自然上昇を監視して、飽和度を所定の設定値に維持するように再揚水を断続的に行うという方法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−3975号公報
【特許文献2】
特開2002−256540号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1や特許文献2に示される方法では、いずれも、地下水位低下による地盤不飽和化に、時間がかかりすぎるという問題があった。その理由は、図4に示すように、土粒子15の周りには吸着水や毛管水といった土壌水16が吸着しているが、この土壌水16の土粒子15への吸着力がある程度強く、単に重力を利用した自然落下方式を採用しただけでは、土壌水の収集が難しいためである。
このため、飽和地盤を迅速に不飽和地盤に変換できる液状化防止方法の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、飽和地盤を迅速に不飽和地盤に変換できる地盤の液状化防止方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の地盤の液状化防止方法は、液状化を防止するべき地盤に設けた、上端部を気密にシールした揚水用井戸から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとともに、該揚水用井戸の内部を真空引きして前記地盤中に含まれる水分を収集して揚水し、その後、地下水位を回復させることにより、地盤を不飽和状態とすることを特徴とする。
この発明では、揚水用井戸を真空引きすることにより、揚水用井戸近傍の地盤土粒子から土壌水を積極的に離間させて、揚水用井戸に収集する。このように真空引きによる陰圧を利用するので、単に重力を利用した従来の方法に場合に比べて土粒子からの土壌水の離間し易く、土壌水の収集効率が格段に高まる。この結果、地盤を迅速に不飽和化することが可能になる。
【0012】
請求項2記載の地盤の液状化防止方法は、請求項1記載の方法において、前記揚水用井戸から揚水及び真空引きを行いながら、前記地盤に設けたエアー供給用井戸からエアーを供給することを特徴とする。
この発明では、液状化を防止するべき地盤に対し、単に真空引きを行うに止まらず、真空引きに加えて同時にエアー供給も行っており、地盤の土粒子の周りの土壌水には、真空引きによる陰圧とエアー供給による陽圧が作用する。このため、土粒子からの土壌水の離間が促進される。
【0013】
請求項3記載の地盤の液状化防止方法は、請求項2記載の方法において、前記エアー供給用井戸を前記揚水用井戸よりも浅く設けることを特徴とする。
この発明では、液状化を防止するべき地盤の上部からエアーを供給し、同地盤の下部から真空排水するものであり、地盤の土粒子の周りの土壌水には、真空引きによる陰圧、エアー供給による陽圧、並びに重力がそれぞれ作用するため、土粒子からの土壌水の離間がより促進される。
【0014】
請求項4記載の地盤の液状化防止方法は、請求項1,2または3記載の方法において、液状化を防止するべき地盤を、止水壁で取り囲むことを特徴とする。
この発明では、液状化を防止するべき地盤を止水壁で取り囲むため、揚水用井戸から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとき、液状化を防止するべき地盤へその外側にある地盤からの地下水の流入を防ぐことができ、したがって、効率の良い地盤の不飽和化が可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の具体的な実施形態を示すものである。これは、液状化を防止しようとする対象領域の地盤1を取り囲むような止水壁2を不透水性あるいは難透水性の下層地盤3に達するように設け、その内側に下層地盤3に達する揚水用井戸4を設け、その底部に設けたポンプ5により揚水用井戸4から揚水して止水壁2の内側における地下水位を低下させるようにしている。また、揚水用井戸4近傍の地面上に設けた真空ポンプ6により揚水用井戸4の内部を真空引きし、地盤1中に含まれる土壌水等の水分を揚水用井戸4内に収集するようにしている。揚水用井戸4は、上端部が気密にシールされるとともに、揚水井戸4周りの地表面が遮水構造とされていて、高い真空度での真空引きが可能なようになっている。
【0016】
前記地盤1にはエアー供給用井戸8を、揚水用井戸4よりも浅く設け、このエアー供給用井戸8を通じてエアー供給装置9からエアーを地盤1中に供給するようになっている。なお、エアー供給装置9としては、ある程度水分を除去した乾燥エアーを供給できるものが好ましい。
また、必要に応じて、地盤1中の飽和度を検出するセンサーを止水壁2内の各所に多数設けておき、その検出結果に基づき、図示せぬ制御装置によって、ポンプ5、真空ポンプ6及びエアー供給装置9の運転、停止を自動制御して、真空揚水およびエアー供給、並びにそれらの停止を行うように構成しておく。
【0017】
本実施形態の方法では、ポンプ5を駆動して揚水用井戸4から揚水を行うことにより(a)に示す当初の地下水位を(b)に示すように下層地盤3の付近まで低下させる。そして、このポンプ5を駆動させる当初からあるいは地下水位が(a)から所定距離下がった時点で、真空ポンプ6を駆動させて揚水用井戸4の内部を真空引きする。この真空引きと同時に、エアー供給装置9を駆動させ、エアー供給用井戸8を通じて止水壁4で囲まれた地盤1中に乾燥空気を供給する。
【0018】
地下水位が(b)に示す位置まで下がった時点で、真空揚水及びエアー供給を停止させる。これにより、既に述べたように地盤1中に空気が自ずと、あるいはエアー供給用井戸8から強制的に入り込んでいって、土粒子中に気泡などの気相の形で混在することとなり、地盤1は飽和度100%の状態から100%未満(たとえば90〜95%程度)の不飽和状態となる。その結果、地盤1の液状化強度は自ずと高められて液状化防止効果が得られる。
【0019】
この実施形態の場合、地盤の不飽和化を図るにあたり、単にポンプ5を駆動して揚水用井戸4の揚水を通じて地下水位を下げるに止まらず、揚水用井戸4内を真空引きしている。これにより、揚水用井戸4近傍の地盤1内の土壌水に直接陰圧を作用させることができ、単なる重量を利用した自然落下方式に比べて、土壌水を土粒子から離間させ易くしている。この結果、地下水位の低下を迅速に行うことができ、このため、地盤1の不飽和化を効率良く行うことができる。
【0020】
また、この実施形態では、エアー供給用井戸8を通じて地盤1内にエアー供給を行っており、供給されたエアーは土粒子の周りに侵入して、該土粒子の周りにある土壌水を土粒子から積極的に離間させつつ、該土壌水と置換して土粒子の周りに気相の形で混在する。この結果、地下水位の低下、並びにそれに伴う地盤1の不飽和化をより効率良く行うことが可能となる。
【0021】
また、ここでは、地盤1の周囲に止水壁2を設けていることからその内側の地下水位は容易に回復することはないものの、そのような止水壁2によっても完全な止水は無理であるので、地下水位は次第に自然上昇していくことになる。しかし、地下水位が上昇しても土粒子中の気泡などの気相部分は直ちに抜けてしまうことなくそのまま残存し、したがって不飽和状態は長期にわたって維持されて液状化防止効果は自ずとそのまま長く維持される。
【0022】
図1に示すように、地下水位が一旦(b)まで下がった後は、地下水位の自然上昇に伴う飽和度の自然上昇を図示せぬセンサーにより監視しつつ、飽和度が所定の設定値(たとえば90〜95%程度)を越えないように再揚水を行えば足りる。つまり、センサーによる検知結果に基づき飽和度が設定値を越える状況となった場合に、制御装置によりポンプ5,真空ポンプ6及びエアー供給装置9を自動的に運転して再真空揚水並びにエアー供給を行って地下水位を再び(b)の状態に低下させれば良い。そのような再真空揚水等が必要となる頻度は、地盤1の状況により異なるが、1年に1度あるいは数年に1度程度で良いと考えられる。
【0023】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、地盤状況その他の諸条件に応じて適宜変形、応用が可能である。
例えば、前記実施の形態では、液状化を防止しようとする対象領域の地盤1に、揚水用井戸4とエアー供給用井戸8をそれぞれ1本ずつ設けているが、これに限られることなく、地盤状況や対象現場の平面規模、不飽和化期間等によって、それら揚水用井戸4やエアー供給用井戸8の本数、並びにその深さ、さらにはそれらの位置を決定すればよい。
【0024】
また、前記実施形態では、対象地盤の周囲に止水壁2を設けているが、地盤状況によって所望範囲の地下水位を所望のレベルまで容易に低下させることができる場合等には、これら止水壁2を省略することも可能である。
【0025】
また、前記実施形態では、揚水用井戸4の他にエアー供給用井戸8を設けているが、揚水用井戸4を用いた真空揚水のみによって、所定期間内に所定値まで、飽和度を下げることができる場合には、エアー供給用井戸8を省略することも可能である。
【0026】
また、前記実施形態では、地下水位を一旦(b)程度まで低下させた後、自然状態での降水浸透や周りの地下水が侵入することで地下水位を回復させているが、これに限られることなく、人工的に散水することで地下水位を回復させるようにしてもよい。このように、人工的に散水する方法を採用すると、散水した水が地盤1の上部で層を成し、その下方の不飽和部分のエアーを閉じこめ易い利点が得られる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、揚水用井戸を真空引きすることにより、揚水用井戸近傍の地盤土粒子から土壌水を積極的に離間させて、揚水用井戸に収集することができ、真空引きによる陰圧を利用できるので、単に重力を利用した従来の方法に場合に比べ、土壌水の収集効率を格段に高めることができ、この結果、地盤を迅速に不飽和化することが可能になる。
また、単に真空引きを行うに止まらず、真空引きに加えて同時にエアー供給も行う場合には、地盤の土粒子の周りの土壌水に、真空引きによる陰圧とエアー供給による陽圧を作用させることができ、このため、土壌水の収集効率をより高めることができる。
また、液状化を防止するべき地盤の上部からエアーを供給し、同地盤の下部から真空揚水する場合には、地盤の土粒子の周りの土壌水に、真空引きによる陰圧、エアー供給による陽圧、並びに重力をそれぞれ作用させ得るため、土粒子からの土壌水の離間がより促進される。
また、液状化を防止するべき地盤を止水壁で取り囲む場合には、揚水用井戸から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとき、液状化を防止するべき地盤へその外側にある地盤からの地下水の流入を防ぐことができ、したがって、効率の良い地盤の不飽和化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液状化防止方法の一実施形態を示す説明図である。
【図2】従来の液状化防止方法の一例を示す説明図である。
【図3】従来の液状化防止方法の他の例を示す説明図である。
【図4】土粒子への土壌水の吸着状況を示す説明図である。
【符号の説明】
1 地盤
2 止水壁
3 下層地盤
4 揚水用井戸
5 ポンプ
6 真空ポンプ
8 エアー供給用井戸
9 エアー供給装置
Claims (4)
- 上端部を気密にシールした揚水用井戸から地下水の揚水を行って地下水位を低下させるとともに、該揚水用井戸の内部を真空引きして地盤中に含まれる水分を収集して揚水し、その後、地下水位を回復させることにより、地盤を不飽和状態とすることを特徴とする地盤の液状化防止方法。
- 前記揚水用井戸から揚水及び真空引きを行いながら、前記地盤に設けたエアー供給用井戸からエアーを供給することを特徴とする請求項1記載の地盤の液状化防止方法。
- 前記エアー供給用井戸を前記揚水用井戸よりも浅く設けることを特徴とする請求項2記載の地盤の液状化防止方法。
- 前記液状化を防止するべき地盤を、止水壁で取り囲むことを特徴とする請求項1,2または3記載の地盤の液状化防止方法。
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