JP2004358625A - ラジェットレンチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ハンドル2を、把持部2aと、先端にラジェット部4を有し後端部が把持部2aの先端に軸体10を中心として回転自在に連結するラジェット保持部2bとで構成する。把持部2aの中空部にスライド自在に嵌合配置された押圧体24に嵌合凸部28を設け、この嵌合凸部28をコイルスプリング30の弾発力によりラジェット保持部2bに形成された嵌合凹部32に圧接する。嵌合凹部32と嵌合凸部28はハンドル2を一直線状に保持し、ラジェット部4に所定の値を越えた回転力が把持部2aの揺動運動により加わると嵌合凹部32と嵌合凸部28の嵌合状態がコイルスプリング30の弾力に抗して外れ把持部2aが軸体10を中心としてラジェット保持部2bに対して揺動方向に屈折する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科治療時等に使用されるトルク値を任意に設定可能なラジェットレンチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、人工歯根を顎骨に設けられた孔へ挿入する場合、人工歯根に一方向の回転運動を適宜な力をかけて行う必要がある。そこで、約1/2回転以下の回転運動を反復させるだけで人工歯根に一方向の回転運動を行わせるラチェットレンチが使用されている。また、このような歯科治療用ラチェットレンチにおいて、回転時における回転力が所定の力を越えるとき、この回転を停止する回転調整部を設けることにより、過剰な力が加えられることがないようにしたラチェットレンチが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、レンチを回し、次にその開始位置までラチェットを動作して戻すごとに、ねじ又はボルトに加わるトルク量を漸進的に表示するトルクインジケータを有するラチェットレンチが知られている(例えば特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−76265号公報(第1ページ、第1図)
【特許文献2】
特開2002−533156号公報(第1ページ、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、トルク設定とラジェットの両機能を一体としたトルク設定機能付きラジェットレンチを提供することである。
また本発明は、設定したトルク値を確実に伝達し得るようにするとともに、操作性及びトルク伝達部の耐久性に優れ、しかも構造が簡単で安価に製造することができるトルク設定機能付きラジェットレンチを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明は、中空部を有する細長状の把持部と、先端にラジェット部を有し後端部が前記把持部の先端に該把持部の長手方向に対して直角な軸体を中心として回転自在に連結する細長状のラジェット保持部と、前記把持部の中空部にスライド自在に嵌合配置された押圧体と、該押圧体と前記ラジェット保持部の対向部の一方と他方に形成された嵌合凹部と嵌合凸部を有しこれら嵌合凹部と嵌合凸部が密嵌した状態において前記把持部とラジェット保持部とを一直線状に保持するトルク伝達部と、前記把持部の後端に回転自在に取り付けられたノブに固定され前記把持部の中空部に軸方向に移動しないように回転自在に配置されたねじと、前記ねじに螺合し該ねじの回転により前記把持部の中空部内を軸方向に移動可能なナットと、前記押圧体と前記ナットとの間に圧縮配置され前記嵌合凹部と嵌合凸部とが圧接する方向に弾発力を付与するコイルスプリングとを備え、前記トルク伝達部に所定の値を越えた回転力が前記把持部の揺動運動により加わると前記嵌合凹部と嵌合凸部の嵌合状態が前記コイルスプリングの弾力に抗して外れ前記把持部が前記軸体を中心として前記ラジェット保持部に対して揺動方向に屈折するようにしたものである。
また本発明は、前記把持部の管璧に設定トルク値を示す目盛りが形成された窓を設け、前記ナットに指標部材を連結し、該指標部材に形成した指標を前記窓から観察可能として設定トルク値を前記窓に表示するようにしたものである。 また本発明は、前記嵌合凹部を、前記押圧体とラジェット保持部のいずれか一方側に前記軸体に対して平行な軸線に沿って所定範囲に亘って形成された、断面が略円弧の凹曲面により構成し、前記嵌合凸部を、前記押圧体とラジェット保持部のいずれか他方側に前記軸体に対して平行な軸線に沿って所定範囲に亘って形成された、断面が前記凹曲面に対応する略円弧の凸曲面により構成したものである。
また本発明は、前記嵌合凹部を前記ラジェット保持部の後端部に設け、前記嵌合凸部を前記押圧体に設けたものである。
また本発明は、前記ナットにストッパー用の部材を連結し、前記ナットを前記ノブの回転により前記コイルスプリングを圧縮する方向に移動し該部材の先端を前記押圧体に当接可能とし、該当接によって前記嵌合凹部と嵌合凸部の密嵌状態が解除されないようにしたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1において、符号2は細長状のステンレス製のハンドルであり、把持部2aとラジェット保持部2bとから構成されている。ラジェット保持部2bの先端には図6に示すように、ラジェット部4が装着されている。ラジェット部4は嵌合穴6を有し、この嵌合穴6に、インプラント歯科治療などに使用される種々の器具を装着した各種のアタッチメントをワンタッチで脱着可能に装着し得るように構成されている。
【0007】
前記ラジェット部4は、ハンドル2の、前記嵌合穴6を中心とする、図6中、矢方向C,Dで示す、正逆2方向の揺動運動を、一方向のみ前記嵌合穴6に伝達するように構成されている。前記ラジェット保持部2bの後端には、盤状部2cが一体的に形成され、これの中心部の穴にボールベアリングから成る軸受け8の外輪が嵌着している。また、前記把持部2aの一端連結部には凹入部2dが形成されている。前記凹入部2dに前記盤状部2cが挿入配置され、該凹入部2dと盤状部2cは、軸体10を介して、略135度の範囲内で回転自在に連結している。
【0008】
前記把持部2aの内径部には円柱状の中空部2eが形成されている。前記中空部2eの一端近傍は、若干小径な部分が形成され、該小径部分によって、前記把持部2aの先端近傍の内周壁面に段差dが形成されている。12はトルク設定用のノブであり、これの中心に軸体12の軸部12aの一方が固着されている。前記軸体12の軸部12aの他方は、把持部2aの後端の内径部に螺合されたメタル14に回転自在に嵌合している。
【0009】
16は円筒形のナットであり、前記把持部2aの中空部2eにスライド自在に嵌合し、これに、円筒形の指標部材18の一方が嵌着している。前記ナット16の内径部には、前記軸体12のねじ部12bが螺合している。前記指標部材18の管璧には、長手方向に沿ってスリット20が形成され、これに、把持部2aの管璧に固着された回転止めねじ22がスリット20に対してスライド自在に嵌挿している。前記軸体12のつば部12cは、前記メタル14の端面に回転自在に当接し、軸体12の、図2中、右方向の移動を阻止している。
【0010】
24は押圧体であり、その円柱状の軸部24aに形成されたつば部24bが、把持部2の円周面にスライド自在に嵌挿され、軸部24aの一方が、段差dに係止されたスリーブ26を介して、把持部2の内周面にスライド自在に嵌合している。前記押圧体24の軸部24aの先端には、半円柱状の凸曲面から成る嵌合凸部28が形成され、該嵌合凸部28は、前記押圧体24のつば部24とナット16との間に圧縮配置されたトルク設定用のコイルスプリング30の弾発力により、前記盤状部2cに形成された凹曲面から成る嵌合凹部32に弾圧的に密嵌している。
【0011】
前記嵌合凹部32と前記嵌合凸部28はトルク伝達部を構成し、嵌合凹部32と嵌合凸部28が密嵌した状態において、前記ハンドル2の把持部2aと、ラジェット保持部2bは一直線状に保持される。前記嵌合凹部32の凹曲面は、断面形状が図1に示すように、円弧状に構成され、該凹曲面は、前記盤状部2cの外周面に、前記軸体10の中心軸線L1に対して平行な軸線L2に沿って形成されている。前記嵌合凸部28の凸曲面は、前記嵌合凹部32の凹曲面と同一の曲率を有し、前記押圧体24の軸部24aの端部に、該軸体24aの中心軸線に対して直角な軸線L2に沿って形成され、断面弧状の半円柱面を構成している。
【0012】
前記指標部材18には、トルク指示線34が刻設され、このトルク指示線34は、把持部2aに形成された窓36から観察できるように構成されている。前記窓36の周囲には、トルク値を示す目盛りが設けられている。また、ノブ12と把持部2aとの接合部には、図6に示すように、それぞれ、ノブ12の回転数を表示するための回転数表示目盛り38,38が設けられている。
【0013】
上記した構成において、ラジェット部4の嵌合穴6にインプラント用の各種の器具を装着したアタッチメントを装着し、且つ、ノブ12を回転してトルク値を設定する。次に、把持部2aに形成された指当て部2fを、図6に示すように、指40で挟んで、ハンドル2を手に持ち、アタッチメントを、回転すべき部材に係合して、ハンドル2を嵌合穴6を中心として左右に揺動すると、ラジェット部4は、一方向に回転する。回転すべき部材に、設定したトルク値を越えた負荷がかかると、嵌合凸部28が、コイルスプリング30の弾発力に抗して、嵌合凹部32から外れる。
【0014】
このトルク保持解除により、把持部2aが、軸体10を中心として、ラジェット保持部2bに対して、図6(B)に示すように、屈折し、設定値を越えたトルクが回転すべき部材に伝達されない。トルク値は、ノブ12を回転することにより設定された範囲内で所望の値に設定することができる。ノブ12を正逆回転すると、ナット16が、図2中、左右方向に移動し、コイルスプリング30の圧縮率が変化し、押圧体24に対する弾発力が変化し、設定トルク値が変化する。
【0015】
ノブ12を最大トルクを越えて回転し、指標部材18の先端18aを、押圧体24のつば部24bに当接させると、押圧体24は、指標部材18によって係止され、嵌合凹部32からの圧力を逃げる方向に移動できなくなり、把持部2aとラジェット保持部2bは固定される。これにより、トルクに無関係な従来のラジェットレンチとして使用できる。また、本実施形態では、嵌合凹部32と嵌合凸部28の嵌合面を軸方向に延びる断面円弧状の互いに同一曲率のわん曲面としたので、互いの接触面積を大きくとることができ、摩耗が少なく、しかも、確実なトルク伝達が可能となる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したので、トルク設定とラジェットの両機能を一体化することができ、狭い口中等での作業に最適なラジェットレンチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明であるラジェットレンチの一部を切り欠いた平面図である。
【図2】ラジェットレンチの断面図である。
【図3】ラジェットレンチの構成要素の一つである押圧体を示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図である。
【図4】ハンドルの一部の断面図である。
【図5】ハンドルの一部の側面図である。
【図6】本発明のラジェットレンチを示し、(A)は平面図、(B)は平面図である。
【符号の説明】
2 ハンドル
2a 把持部
2b ラジェット保持部
2c 盤状部
2d 凹入部
2e 中空部
2f 指当て部
4 ラジェット部
6 嵌合穴
8 軸受け
10 軸体
12 軸体
14 メタル
16 ナット
18 指標部材
20 スリット
22 回転止めねじ
24 押圧体
26 スリーブ
28 嵌合凸部
30 コイルスプリング
32 嵌合凹部
34 トルク指示線
36 窓
38 回転数表示目盛
40 指
Claims (5)
- 中空部を有する細長状の把持部と、先端にラジェット部を有し後端部が前記把持部の先端に該把持部の長手方向に対して直角な軸体を中心として回転自在に連結する細長状のラジェット保持部と、前記把持部の中空部にスライド自在に嵌合配置された押圧体と、該押圧体と前記ラジェット保持部の対向部の一方と他方に形成された嵌合凹部と嵌合凸部を有しこれら嵌合凹部と嵌合凸部が密嵌した状態において前記把持部とラジェット保持部とを一直線状に保持するトルク伝達部と、前記把持部の後端に回転自在に取り付けられたノブに固定され前記把持部の中空部に軸方向に移動しないように回転自在に配置されたねじと、前記ねじに螺合し該ねじの回転により前記把持部の中空部内を軸方向に移動可能なナットと、前記押圧体と前記ナットとの間に圧縮配置され前記嵌合凹部と嵌合凸部とが圧接する方向に弾発力を付与するコイルスプリングとを備え、前記トルク伝達部に所定の値を越えた回転力が前記把持部の揺動運動により加わると前記嵌合凹部と嵌合凸部の嵌合状態が前記コイルスプリングの弾力に抗して外れ前記把持部が前記軸体を中心として前記ラジェット保持部に対して揺動方向に屈折するようにしたことを特徴とするラジェットレンチ。
- 前記把持部の管璧に設定トルク値を示す目盛りが形成された窓を設け、前記ナットに指標部材を連結し、該指標部材に形成した指標を前記窓から観察可能として設定トルク値を前記窓に表示するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のラジェットレンチ。
- 前記嵌合凹部を、前記押圧体とラジェット保持部のいずれか一方側に前記軸体に対して平行な軸線に沿って所定範囲に亘って形成された、断面が略円弧の凹曲面により構成し、前記嵌合凸部を、前記押圧体とラジェット保持部のいずれか他方側に前記軸体に対して平行な軸線に沿って所定範囲に亘って形成された、断面が前記凹曲面に対応する略円弧の凸曲面により構成したことを特徴とする請求項1に記載のラジェットレンチ。
- 前記嵌合凹部を前記ラジェット保持部の後端部に設け、前記嵌合凸部を前記押圧体に設けたことを特徴とする請求項1に記載のラジェットレンチ。
- 前記ナットにストッパー用の部材を連結し、前記ナットを前記ノブの回転により前記コイルスプリングを圧縮する方向に移動し該部材の先端を前記押圧体に当接可能とし、該当接によって前記嵌合凹部と嵌合凸部の密嵌状態が解除されないようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の中のいずれか1つに記載のラジェットレンチ。
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