JP2004358614A - ボーリングバー - Google Patents

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Masaharu Takiguchi
正治 滝口
Takehiro Nakatsuka
雄大 中塚
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Nissan Motor Co Ltd
Mitsubishi Materials Corp
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】工具本体を高速回転させたときのバランス状態を良好に保つことを、簡略な構成で実現する。
【解決手段】軸線O回りに回転される工具本体10の先端外周に、周方向で略等間隔に複数の凹溝13,13を形成するとともに、これら複数の凹溝13,13のそれぞれにチップ取付座14,14を形成する。複数のチップ取付座14,14のうちの1つのチップ取付座14には、切削に作用するスローアウェイチップ30を装着し、残りのチップ取付座14には、切削に作用しないダミーチップ40を装着する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被削材に形成された下穴の内周加工などの仕上げ加工に用いられるボーリングバーに関し、とくに、その工具本体が軸線回りに高速回転させられるボーリングバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、切刃を有するスローアウェイチップが工具本体の先端にクランプボルトやクランプ駒などのクランプ手段によって固定されて装着されたボーリングバーや、切刃を有するカートリッジあるいはマイクロユニットが工具本体の先端に固定されて装着されたボーリングバーなどが種々用いられている。
このようなボーリングバーは、長尺の工具本体が軸線回りに回転させられることにより、その先端に設けられた切刃を用いて、被削材に形成された下穴の内周加工などの仕上げ加工を行うものである。
【0003】
ところで、近年においては、さらなる加工効率向上の要求やマシニングセンタに取り付けて使用したいという要求などから、工具本体の回転数が15000〜20000rpmとなるような従来では考えられないような高速回転の必要性が生じている。
しかしながら、工具本体の先端に周方向で1つの切刃のみが設けられた従来のボーリングバーは、軸線を回転軸とした回転対称ではないために、工具本体を15000〜20000rpmで高速回転させると、どうしてもアンバランスな回転状態に陥ってしまう。
【0004】
このようなアンバランスな回転状態に陥ると、加工途中における切刃の回転軌跡の外径を変化させてしまうので、内周加工して仕上げる下穴についての内径の誤差が生じるだけでなく、工具本体を引き抜くときのリターンマークが加工面に生じて、加工精度を著しく低下させるのであった。
なお、工具本体を高速回転させたときに生じるアンバランスな回転状態を抑制するため、例えば特許文献1や特許文献2などには、バランスウェイトを工具本体の内部に備えたボーリングバーが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−291103号公報
【特許文献2】
実開平6−24805号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、バランスウェイトを工具本体の内部に備えたボーリングバーでは、その構成が複雑にならざるを得ないのに加え、バランスウェイトの調整に際しては熟練した技術を要してしまう。
その上、このようなバランスウェイトは、カウンターバランスを利用したものであるため、切削に作用する工具本体の先端部は、依然としてアンバランスな状態のままであり、上記のような高速回転を行ったときには、工具本体を曲げようとする力が局部的に作用して、加工精度に悪影響を及ぼしてしまうという問題や、工具本体の剛性がバランスウェイトを保持するカートリッジの剛性によって決定されてしまうため、工具本体の高速回転に起因するカートリッジの変形によっても、加工精度に悪影響を及ぼしてしまうという問題があった。
したがって、バランスウェイトを用いたボーリングバーでは、工具本体を高速回転させたときのアンバランスな状態を解消するための効果的な解決手段とはなり得ないのが現状であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、工具本体を高速回転させたときのバランス状態を良好に保つことを、簡略な構成で実現することができるボーリングバーを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、軸線回りに回転される工具本体の先端外周に、周方向で略等間隔に複数の凹溝が形成されるとともに、これら複数の凹溝のそれぞれにチップ取付座が形成され、前記複数のチップ取付座のうちの1つのチップ取付座には、切削に作用するスローアウェイチップが装着され、残りのチップ取付座には、切削に作用しないダミーチップが装着されていることを特徴とするものである。
このような本発明によれば、切削に作用する1つのスローアウェイチップ及びこれが装着されるチップ取付座・凹溝の組と、切削に作用しないダミーチップ及びこれが装着されるチップ取付座・凹溝の組とが、工具本体の周方向で略等間隔に配置されるので、工具本体がその軸線を回転軸とする略回転対称となり、ダミーチップがバランスウェイトのような役割を果たすこととなる。
したがって、たとえ工具本体を高速回転させた場合であっても、その回転状態のバランスを良好に維持することが可能となり、従来のような工具本体の内部に備えられたバランスウェイトを用いずとも、簡略な構成でアンバランスな回転状態を解消することができるのである。
【0009】
また、本発明は、前記スローアウェイチップ及び前記ダミーチップのチップ本体における前記工具本体の径方向での位置を微調整するための調整手段を備えていることが好ましい。
このような本発明によれば、調整手段によって、チップ本体における工具本体の径方向での位置を微調整することが可能となるので、切削に作用するスローアウェイチップの切刃外径の微調整や、切削に作用しないバランスウェイトとしてのダミーチップの位置調整によるバランス状態の微調整を行うことができる。
例えば、前記ダミーチップの底刃を、前記スローアウェイチップの底刃よりも前記軸線方向の後端側へ所定量後退させ、前記ダミーチップの外周刃を、前記スローアウェイチップの外周刃よりも工具本体内周側へ所定量後退させて配置することが可能となる。
【0010】
また、前記スローアウェイチップ及び前記ダミーチップは、そのチップ本体の下面を前記チップ取付座の底面に当接させるとともに前記チップ本体における工具本体内周側を向く側面を前記チップ取付座の底面から屹立して工具本体外周側を向く拘束面に当接させるようにして、クランプ手段で固定されることによって前記チップ取付座に装着されており、前記チップ本体が前記調整手段で前記軸線方向の先端側に向かって押圧され、かつ、前記チップ取付座の拘束面が前記軸線方向の先端側に向かうにしたがい工具本体外周側へ向かうように傾斜させられていることが好ましい。
このような本発明によれば、調整手段によってチップ本体を軸線方向の先端側へ押圧して、このチップ本体を軸線方向の先端側へ移動させていくと、チップ取付座の拘束面が上記のように傾斜させられていることから、チップ本体は、この拘束面に対して工具本体内周側を向く側面を当接させた状態を維持したまま、軸線方向の先端側へ移動するとともに工具本体外周側へも移動していくこととなる。
それゆえ、チップ本体における工具本体の径方向での位置を容易に微調整することが可能となり、切削に作用するスローアウェイチップの切刃外径の微調整や、切削に作用しないバランスウェイトとしてのダミーチップの位置調整によるバランス状態の微調整を容易に行うことができる。
【0011】
なお、このとき、前記チップ本体における前記軸線方向の後端側を向く側面が前記調整手段としての調整ネジで押圧されることによって前記チップ本体が前記軸線方向の先端側へ向かって押圧され、かつ、前記調整ネジの進退方向がその前進側に向かうにしたがい前記チップ取付座の拘束面側に近づくように傾斜させられていることが好ましい。
このような構成とすると、調整ネジの進退方向が上記のように傾斜させられているために、調整ネジによってチップ本体を軸線方向の先端側へ押圧すると、これと同時に、チップ本体における工具本体内周側を向く側面がチップ取付座の拘束面に押し付けられる。
これにより、チップ本体の側面とチップ取付座の拘束面とを確実に密着させた状態を維持することができ、工具本体の高速回転によっても、スローアウェイチップ及びダミーチップのチップ本体の位置ズレが生じることがない。
【0012】
また、前記スローアウェイチップ及び前記ダミーチップは、そのチップ本体の下面を前記チップ取付座の底面に当接させるとともに前記チップ本体における工具本体内周側を向く側面を前記チップ取付座の底面から屹立して工具本体外周側を向く拘束面に当接させるようにして、前記チップ本体を貫通するとともに前記チップ取付座の底面にねじ込まれるクランプネジで固定されることによって前記チップ取付座に装着されており、前記クランプネジの進退方向がその前進側に向かうにしたがい前記チップ取付座の拘束面側に近づくように傾斜させられていることが好ましい。
このような構成とすると、クランプネジの進退方向が上記のように傾斜させられているために、クランプネジによってチップ本体をチップ取付座の底面側へ押圧すると、これと同時に、チップ本体における工具本体内周側を向く側面がチップ取付座の拘束面に押し付けられる。
これにより、チップ本体の側面とチップ取付座の拘束面とを確実に密着させた状態を維持することができ、工具本体の高速回転によっても、スローアウェイチップ及びダミーチップのチップ本体の位置ズレが生じることがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付した図面を参照しながら説明する。
本実施形態によるボーリングバーの工具本体10は、図1及び図2に示すように、例えばスチール等から構成されて軸線O回りに回転される軸線Oを中心とした略多段円柱状をなしており、マシニングセンタなどの工作機械に把持されるアーバ11と、アーバ11の先端面に穿設された取付孔11Aに後端側部分が挿入されて固定されたヘッド12とを有している。
【0014】
また、ヘッド12(工具本体10)の先端外周が切り欠かれることによって、このヘッド12の先端面12A及び外周面12Bに開口する2つ(複数)の凹溝13,13が、軸線O回りの周方向で略等間隔に配置されるように形成されている。
さらに、2つの凹溝13,13における工具回転方向T前方側を向く壁面のそれぞれには、工具回転方向T後方側に向かって一段凹むとともにヘッド12の先端面12A及び外周面12Bに開口するようなチップ取付座14が形成されている。
【0015】
これら2つ(複数)のチップ取付座14,14は、それぞれ工具回転方向T前方側を向く平坦な底面14Aと、底面14Aから略直交するように屹立するとともに工具本体外周側(軸線Oから離れていく側、径方向外周側)を向く平坦な拘束面14Bと、底面14Aから略直交するように屹立するとともに軸線O方向の先端側を向く平坦な側壁面14Cとから構成されている。
ここで、チップ取付座14における工具回転方向T前方側を向く底面14Aには、後述するスローアウェイチップ30及びダミーチップ40を固定して装着するために用いられるクランプ手段としてのクランプネジ20がねじ込まれるクランプネジ穴15が形成されている。
【0016】
このクランプネジ穴15にねじ込まれるクランプネジ20の進退方向(クランプネジ20及びクランプネジ穴15の軸心O1方向)は、図2(b)に示すように、その前進側(工具回転方向T後方側)に向かうにしたがいチップ取付座14の拘束面14B側に近づくように傾斜させられており、チップ取付座14の底面14Aに略直交する方向に対する傾斜角θが、1゜〜45゜の範囲に設定されている(本実施形態においては、例えばθ=10゜)。
【0017】
また、チップ取付座14における工具本体外周側を向く拘束面14Bは、図2(a)に示すように、軸線O方向の先端側に向かうにしたがい工具本体外周側へ向かうように傾斜させられており、軸線Oに対する傾斜角αが、1゜〜30゜の範囲に設定されている(本実施形態においては、α=5゜)。
【0018】
さらに、ヘッド12の外周面12Bにおいて、チップ取付座14から軸線O方向の後端側に向かって所定間隔離間した位置に、工具本体内周側(軸線Oに近づいていく側、径方向内周側)に向かって凹んだ凹所12Cが設けられている。
そして、凹所12Cにおける軸線O方向の後端側を向く壁面に、チップ取付座14における軸線O方向の先端側を向く側壁面14Cまで貫通するような調整ネジ穴16が形成され、この調整ネジ穴16内に、後述するスローアウェイチップ30及びダミーチップ40の装着位置の微調整を行うために用いられる調整手段としての調整ネジ25がねじ込まれている。
【0019】
この調整ネジ25の進退方向(調整ネジ25及び調整ネジ穴16の軸心O2方向)は、図2(a)に示すように、その前進側(軸線O方向の先端側)に向かうにしたがいチップ取付座14の拘束面14B側に近づくように傾斜させられており、チップ取付座14の拘束面14Bに対する傾斜角βが、1゜〜30゜の範囲に設定されている(本実施形態においては、例えばβ=10゜)。
【0020】
なお、凹溝13内には、工具本体10の後端側部分であるアーバ11から軸線Oに沿ってヘッド12の先端付近まで延びてきて、このヘッド12の先端付近で枝分かれするクーラント穴17が開口させられている。
【0021】
そして、上記のような構成とされた2つのチップ取付座14,14のうち、1つのチップ取付座14には、切削に作用するスローアウェイチップ30が固定されて装着され、残り1つのチップ取付座14には、切削に作用しないダミーチップ40が固定されて装着されている。
【0022】
切削に作用するスローアウェイチップ30のチップ本体31は、図3に示すように、例えば超硬合金から構成されて略長方形平板状をなし、下面32と、上面33と、これら下面32と上面33とを接続する4つの側面(一対の短側面34,34及び一対の長側面35,35)とを有している。
【0023】
チップ本体31の上面33は、チップ本体31の略中央部を含む一方の短側面34(図3(a)における上方側の短側面34)側の部分が、一方の長側面35(図3(a)における左方側の長側面35)側から他方の長側面35(図3(a)における右方側の長側面35)側に向かうしたがい平坦な下面32に近づくように傾斜させられた傾斜面33Aとされ、さらに、他方の短側面34(図3(a)における下方側の短側面34)側の部分が、上記の傾斜面33Aに対して下面32側に一段凹むとともに下面32と平行な平坦面33Bとされている。
【0024】
チップ本体31の上面33における平坦面33Bは、その他方の短側面34側及び他方の長側面35側の部分がダイヤモンド焼結体36によって構成されていて、このダイヤモンド焼結体36においては、他方の短側面34側の稜線が底刃37Aとされ、他方の長側面35側の稜線が外周刃37Bとされ、底刃37Aと外周刃37Bとを接続するR状の稜線がコーナー刃37Cとされている。なお、底刃37Aと外周刃37Bとを、R状の稜線であるコーナー刃37Cによって接続する必要性はなく、例えば底刃37Aと外周刃37Bとの交差部分がスクエアとなるようにしてもよい。
【0025】
また、これらの底刃37A、外周刃37B及びコーナー刃37Cが形成されたコーナー部に対して対角配置されるコーナー部を挟んで隣接する一方の短側面34及び一方の長側面35は、互いに鋭角に交差するとともに、下面32に対しては略直交して交差するように配置されている。
【0026】
さらに、チップ本体31の上面33における傾斜面33Aには、この傾斜面33Aから下面32までチップ本体31を貫通するとともに、一方の長側面35の延在方向(チップ本体31の長手方向)に沿って延びる長穴状のクランプ孔38が、クランプネジ20の軸部を通過可能な大きさで形成されている。
このクランプ孔38の軸心O3は、図3(d)に示すように、上面33における傾斜面33Aに略直交しているとともに、下面32側に近づくにしたがい一方の長側面35側に近づくように傾斜させられており、下面32に略直交する方向に対する傾斜角が、上記のθと一致させられている。
【0027】
一方、切削に作用しないダミーチップ40は、図4に示すように、上記のスローアウェイチップ30と略同大同形状で同様の構成をなすものである(スローアウェイチップ30と同様の部分については同様の符号を用いてその説明を省略する)が、チップ本体31の上面33における平坦面33Bにおいて、その他方の短側面34側及び他方の長側面35側の部分がダイヤモンド焼結体36によって構成されているのではなく、この平坦面33Bの稜線に直接、底刃37A、外周刃37B及びコーナー刃37Cが形成されている。なお、ダミーチップ40は、スローアウェイチップ30と同一のものでもよい。
【0028】
このようなスローアウェイチップ30及びダミーチップ40はそれぞれ、チップ本体31の下面32を工具回転方向T後方側へ向けてチップ取付座14における工具回転方向T前方側を向く底面14Aに当接させ、チップ本体31の一方の長側面35を工具本体内周側へ向けてチップ取付座14における工具本体外周側を向く拘束面14Bに当接させ、さらに、チップ本体31の一方の短側面34を軸線O方向の後端側へ向けてチップ取付座14における軸線O方向の先端側を向く側壁面14Cに対向配置させている。
【0029】
そして、クランプネジ20が、チップ本体31に形成されたクランプ孔38を貫通するようにして、チップ取付座14の底面14Aに形成されたクランプネジ穴15にねじ込まれていることにより、このクランプネジ20の頭部がチップ本体31の上面33における傾斜面33Aを押圧して、チップ本体31がチップ取付座14の底面14A側へ押圧されている。
【0030】
ここで、クランプネジ20の進退方向は、その前進側に向かうにしたがいチップ取付座14の拘束面14B側に近づくように傾斜させられており、しかも、クランプネジ20が貫通しているクランプ孔38の軸心O3がチップ本体31の上面33における傾斜面33Aに略直交するようになっている。
そのため、クランプネジ20の頭部がチップ本体31の上面33における傾斜面33Aを押圧することで、チップ本体31は、チップ取付座14の底面14A側だけではなく、チップ取付座14の拘束面14B側に向かっても押圧された状態となっている。
【0031】
また、調整ネジ25が、ヘッド12に形成された調整ネジ穴16にねじ込まれていることにより、この調整ネジ25の先端がチップ本体31における軸線O方向の後端側を向く一方の短側面34を押圧して、チップ本体31が軸線O方向の先端側へ押圧されている。
【0032】
ここで、調整ネジ25の進退方向は、その前進側に向かうにしたがいチップ取付座14の拘束面14B側に近付くように傾斜させられており、しかも、チップ本体31における軸線O方向の後端側を向く一方の短側面34に略直交するようになっている(一方の長側面35が当接するチップ取付座14の拘束面14Bに対して所定の傾斜角βを有する調整ネジ25の進退方向が、一方の短側面34に対して略直交するように、互いに鋭角に交差する一方の短側面34と一方の長側面35との交差角が設定されている)。
そのため、調整ネジ25の先端がチップ本体31における軸線O方向の後端側を向く一方の短側面34を押圧することで、チップ本体31は、軸線O方向の先端側だけではなく、チップ取付座14の拘束面14B側に向かっても押圧された状態となっている。
【0033】
このようにしてチップ取付座14,14に固定されて装着されたスローアウェイチップ30及びダミーチップ40のうち、スローアウェイチップ30は、その底刃37Aをヘッド12の先端面12Aから軸線O方向の先端側へ突出させ、かつ、外周刃37Bをヘッド12の外周面12Bから工具本体外周側へ突出させている。
これに対して、ダミーチップ40は、その底刃37Aを、スローアウェイチップ30の底刃37Aよりも軸線O方向の後端側へ所定量後退させ、かつ、外周刃37Bを、スローアウェイチップ30の外周刃37Bよりも工具本体内周側へ所定量後退させている。
【0034】
より具体的に言うと、ダミーチップ40の底刃37Aの、スローアウェイチップ30の底刃37Aに対する軸線O方向の後端側への後退量t(ダミーチップ40の底刃37Aとスローアウェイチップ30の底刃37Aとの軸線O方向に沿った距離)が、0.1mm〜3.0mmの範囲に設定され、本実施形態においては、例えば1.5mmに設定されている。なお、この後退量tは、被削材の加工時において工具本体10に与えられる軸線O方向の先端側への送り量よりも大きい値となっている。
また、ダミーチップ40の外周刃37Bの、スローアウェイチップ30の底刃37Bに対する工具本体内周側への後退量(スローアウェイチップ30の外周刃37Bにおける軸線Oからの距離Rと、ダミーチップ40の外周刃37Bにおける軸線Oからの距離rとの差R−r)が、0.01mm〜0.30mmの範囲に設定され、本実施形態においては、例えば0.1mmに設定されている。
【0035】
このような構成とされたボーリングバーは、その工具本体10が軸線O回りに、回転数が15000〜20000rpmで高速回転させられつつ、軸線O方向の先端側へ向かって所定の送り量が与えられることにより、ヘッド12(工具本体10)の先端に位置するスローアウェイチップ30の底刃37A、外周刃37B及びコーナー刃37Cで、被削材に形成された下穴の内周加工などの仕上げ加工を行っていく。
このとき、ダミーチップ40は、その底刃37Aが、スローアウェイチップ30の底刃37Aよりも軸線O方向の後端側へ、上記の送り量よりも大きい後退量tで後退しているとともに、外周刃37Bが、スローアウェイチップ30の外周刃37Bよりも工具本体内周側へ後退していることから、被削材の切削には作用しなくなっている。
【0036】
以上説明したボーリングバーによれば、切削に作用する1つのスローアウェイチップ30及びこれが装着されるチップ取付座14・凹溝13の組と、切削に作用しないダミーチップ40及びこれが装着されるチップ取付座14・凹溝13の組とが、工具本体10の周方向で略等間隔に配置されている(本実施形態においては、軸線Oを挟んでちょうど反対側に配置されている)ので、工具本体10がその軸線Oを回転軸とする略回転対称となり、ダミーチップ40がバランスウェイトとして機能することとなる。
【0037】
したがって、工具本体10を、15000〜20000rpmで高速回転させた場合であっても、その回転状態のバランスを良好に保ち、加工途中における切刃の回転軌跡の外径を変化させることがなくなるので、内周加工して仕上げる下穴についての内径の誤差や、工具本体を引き抜くときのリターンマークを生じさせず、加工精度を良好に維持することができる。
しかも、従来のようにバランスウェイトを工具本体の内部に設ける構成を採用することがないので、このボーリングバーの構成を複雑化させることがない。
【0038】
また、調整ネジ25によって軸線O方向の先端側へ向かって押圧されたスローアウェイチップ30及びダミーチップ40のチップ本体31は、それぞれ工具本体内周側を向く一方の長側面35を、軸線O方向の先端側へ向かうにしたがい工具本体外周側へ向かうように傾斜したチップ取付座14の拘束面14Bに当接させているため、調整ネジ25の押圧によって、チップ本体31を軸線O方向の先端側へ移動させようとすると、このチップ本体31は、その一方の長側面35と拘束面14Bとの当接状態を維持したまま、軸線緒方向の先端側へ移動するのと同時に、工具本体外周側へも移動していくことになる。
それゆえ、チップ本体31における工具本体10の径方向での位置を容易に微調整することが可能となるので、切削に作用するスローアウェイチップ30の切刃外径の微調整や、切削に作用しないバランスウェイトとしてのダミーチップ40の位置調整によるバランス状態の微調整を容易に行うことができる。
【0039】
ここで、切削に作用しないダミーチップ40は、切削に作用するスローアウェイチップ30と略同大同形状をなしているため、このダミーチップ40のチップ本体31における径方向での位置を調整するには、スローアウェイチップ30のチップ本体31における径方向での位置を調整するときに使用されるセッティングゲージを用いて、スローアウェイチップ30と同様の方法で行うことができるようになっている。
これにより、工具本体10が軸線O回りに回転させられるときの回転状態のバランスの微調整をより容易に行うことができる。
【0040】
また、調整ネジ25の進退方向が、その前進側に向かうにしたがいチップ取付座14の拘束面14B側に近づくように傾斜させられていることから、チップ本体31は、調整ネジ25によって軸線O方向の先端側へ押圧されるのと同時に、チップ取付座14の拘束面14B側にも押圧されるので、チップ本体14における工具本体内周側を向く一方の長側面35とチップ取付座14の拘束面14Bとを確実に密着させることができ、工具本体10の高速回転によっても、チップ本体31の位置ズレを生じさせることがない。
【0041】
さらに、チップ本体31をチップ取付座14の底面14A側へ押圧しているクランプネジ20の進退方向が、その前進側に向かうにしたがいチップ取付座14の拘束面14B側に向かって傾斜していることから、チップ本体31は、クランプネジ25によってチップ取付座14の底面14A側へ押圧されるのと同時に、チップ取付座14の拘束面14B側にも押圧されるので、これによっても、チップ本体14における工具本体内周側を向く一方の長側面35とチップ取付座14の拘束面14Bとを確実に密着させることができ、工具本体10の高速回転によっても、チップ本体31の位置ズレを生じさせることがない。
【0042】
なお、本実施形態においては、工具本体10の先端に、2つの凹溝13,13及びチップ取付座14,14を設けて、1つのチップ取付座14にスローアウェイチップ30を装着し、残り1つのチップ取付座14にダミーチップ40を装着しているが、これに限定されることなく、例えば、工具本体10の先端に、3つ以上の凹溝及びチップ取付座を周方向で略等間隔に設けて、1つのチップ取付座にスローアウェイチップを装着し、残りの複数のチップ取付座にダミーチップを装着してもよい。
【0043】
さらに、本実施形態においては、工具本体10の先端外周のみに、凹溝13,13及びチップ取付座14,14を形成してスローアウェイチップ30及びダミーチップ40を装着するようにしたが、これに加えて、工具本体10の先端から軸線O方向の後端側へ向かって所定距離離間した位置にも、凹溝及びチップ取付座を周方向で略等間隔に形成して、1つのチップ取付座にスローアウェイチップを、残りのチップ取付座にダミーチップを装着するようにしてもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、切削に作用する1つのスローアウェイチップ及びこれが装着されるチップ取付座・凹溝の組と、切削に作用しないダミーチップ及びこれが装着されるチップ取付座・凹溝の組とが、工具本体の周方向で略等間隔に配置されるので、工具本体がその軸線を回転軸とする略回転対称となり、ダミーチップがバランスウェイトのような役割を果たすこととなる。
したがって、たとえ工具本体を高速回転させた場合であっても、その回転状態のバランスを良好に維持することができ、加工途中における切刃の回転軌跡の外径を変化させることがなくなるので、内周加工して仕上げる下穴についての内径の誤差や、工具本体を引き抜くときのリターンマークが生じず、加工精度を良好に維持することが可能となる。さらには、従来のようにバランスウェイトを工具本体の内部に設ける構成を採用することがないので、このボーリングバーの構成を複雑化させることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるボーリングバーを示す側面図である。
【図2】(a)は本発明の実施形態によるボーリングバーの先端部を示す側面図、(b)は(a)におけるA方向矢視図である。
【図3】(a)は本発明の実施形態によるボーリングバーに装着されるチップを示す上面図、(b)は(a)におけるB方向矢視図、(c)は(a)におけるC方向矢視図、(d)は(a)におけるD−D線断面図である。
【図4】(a)は本発明の実施形態によるボーリングバーに装着されるダミーチップを示す上面図、(b)は(a)におけるE方向矢視図、(c)は(a)におけるF方向矢視図、(d)は(a)におけるG−G線断面図である。
【符号の説明】
10 工具本体
12 ヘッド
13 凹溝
14 チップ取付座
14A 底面
14B 拘束面
20 クランプネジ
25 調整ネジ
30 スローアウェイチップ
31 チップ本体
32 下面
34 短側面
35 長側面
40 ダミーチップ
O 軸線
T 工具回転方向

Claims (6)

  1. 軸線回りに回転される工具本体の先端外周に、周方向で略等間隔に複数の凹溝が形成されるとともに、これら複数の凹溝のそれぞれにチップ取付座が形成され、
    前記複数のチップ取付座のうちの1つのチップ取付座には、切削に作用するスローアウェイチップが装着され、残りのチップ取付座には、切削に作用しないダミーチップが装着されていることを特徴とするボーリングバー。
  2. 請求項1に記載のボーリングバーにおいて、
    前記スローアウェイチップ及び前記ダミーチップのチップ本体における前記工具本体の径方向での位置を微調整するための調整手段を備えていることを特徴とするボーリングバー。
  3. 請求項2に記載のボーリングバーにおいて、
    前記ダミーチップの底刃を、前記スローアウェイチップの底刃よりも前記軸線方向の後端側へ所定量後退させ、前記ダミーチップの外周刃を、前記スローアウェイチップの外周刃よりも工具本体内周側へ所定量後退させて配置したことを特徴とするボーリングバー。
  4. 請求項2または請求項3に記載のボーリングバーにおいて、
    前記スローアウェイチップ及び前記ダミーチップは、そのチップ本体の下面を前記チップ取付座の底面に当接させるとともに前記チップ本体における工具本体内周側を向く側面を前記チップ取付座の底面から屹立して工具本体外周側を向く拘束面に当接させるようにして、クランプ手段で固定されることによって前記チップ取付座に装着されており、
    前記チップ本体が前記調整手段で前記軸線方向の先端側に向かって押圧され、かつ、前記チップ取付座の拘束面が前記軸線方向の先端側に向かうにしたがい工具本体外周側へ向かうように傾斜させられていることを特徴とするボーリングバー。
  5. 請求項4に記載のボーリングバーにおいて、
    前記チップ本体における前記軸線方向の後端側を向く側面が前記調整手段としての調整ネジで押圧されることによって前記チップ本体が前記軸線方向の先端側へ向かって押圧され、かつ、前記調整ネジの進退方向がその前進側に向かうにしたがい前記チップ取付座の拘束面側に近づくように傾斜させられていることを特徴とするボーリングバー。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のボーリングバーにおいて、
    前記スローアウェイチップ及び前記ダミーチップは、そのチップ本体の下面を前記チップ取付座の底面に当接させるとともに前記チップ本体における工具本体内周側を向く側面を前記チップ取付座の底面から屹立して工具本体外周側を向く拘束面に当接させるようにして、前記チップ本体を貫通するとともに前記チップ取付座の底面にねじ込まれるクランプネジで固定されることによって前記チップ取付座に装着されており、
    前記クランプネジの進退方向がその前進側に向かうにしたがい前記チップ取付座の拘束面側に近づくように傾斜させられていることを特徴とするボーリングバー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013008768A1 (ja) * 2011-07-11 2013-01-17 株式会社タンガロイ 刃先交換式切削工具
JP2018504287A (ja) * 2015-01-30 2018-02-15 サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ ダミーチップを含む工具

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