JP2004354950A - 電気光学装置用基板、電気光学装置、電子機器、及び、電気光学装置用基板の製造方法、並びに、電気光学装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カラーフィルタの形成時にピンホール等に起因する、液晶表示パネルの表示面の不具合を防止する。
【解決手段】反射膜13の形成に、透明なネガ型レジスト材を使用する。そして、反射膜13を形成後にこのネガ型レジスト材を剥離せずに、そのまま絶縁膜14として使用する。これにより、その後に形成するカラーフィルタ16にピンホール16aが発生し、さらにその後に形成する照明手段側透明電極17が、そのピンホール16aに入り込んでも、その入り込みが絶縁膜14で遮られ、照明手段側透明電極17と反射膜13とは接触しない。この結果、照明手段側透明電極17から反射膜13への電流のリークが防止され、液晶表示パネル100の表示面112の不具合を防止できる。
【選択図】 図3
【解決手段】反射膜13の形成に、透明なネガ型レジスト材を使用する。そして、反射膜13を形成後にこのネガ型レジスト材を剥離せずに、そのまま絶縁膜14として使用する。これにより、その後に形成するカラーフィルタ16にピンホール16aが発生し、さらにその後に形成する照明手段側透明電極17が、そのピンホール16aに入り込んでも、その入り込みが絶縁膜14で遮られ、照明手段側透明電極17と反射膜13とは接触しない。この結果、照明手段側透明電極17から反射膜13への電流のリークが防止され、液晶表示パネル100の表示面112の不具合を防止できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気光学装置用基板に係るものである。特に、この発明は、製造時に瑕疵が生じた場合でも、製品として何ら不具合の生じない電気光学装置用基板、電気光学装置、電子機器、及び、電気光学装置用基板の製造方法、並びに、電気光学装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気光学装置及び電子機器では、軽量さ、薄さ、低消費電力等の利点により、情報の表示手段として電気光学装置の一種である液晶表示パネルが多用されている。従来のこの液晶表示パネルは、1組の基板間に1組の配向膜を設けている。そして、その間に液晶を封入することにより、液晶が所定の向きに並んだ液晶層を形成している。また、各配向膜の液晶層の反対側の面に透明電極を形成し、この透明電極を通して液晶層に流す電流を制御することにより、液晶層内の液晶の方向を変化させ、情報を表示している。この情報の認識方法は、液晶層の表示面から液晶層内に入射した光を液晶層の奥にある反射膜で反射させ、この反射した光が再び液晶層、及びその表示面を通って外部に出て、この光を目視することにより、表示面の画像等の情報を認識している。しかし、このタイプの液晶表示パネルは、外部からの光を反射することにより表示面の情報を認識できるようになっているため、屋内など外部が暗い環境では表示面の情報を認識するのが困難であった。
【0003】
そこで、そのような場合でも表示面の情報を視認できるよう、液晶層を表示面側の反対側から照明手段で照射し、液晶層及び表示面を通ったこの光を目視することによる、暗い環境でも表示面が見易いタイプの液晶表示パネルも多くなった。しかし、このタイプでは照明手段で照射して表示面から出た光よりも外部の方が明るい場合は、表示面が見にくくなることもある。そのため、反射膜を間隔を開けて設ける、又は反射膜に穴を開ける等をして、照明手段からの光を液晶層に透過させる透過部を反射膜に設け、その部分を透過表示部として照明手段からの光を利用するとともに、反射膜による反射を利用する反射表示部を設けることにより、照明手段と反射膜とを併用しているものもある。
【0004】
しかし、この場合、外部からの光を反射する場合は液晶層を往復するのに対し、照明手段で照射した光は1度しか液晶層を通過しない。このため、外部からの光は減衰してしまうので、照明手段からの光の方が明るくなり、表示面の画像等が、外部の光を反射した部分と照明手段で照射した部分とで差が出るという問題があった。そこで、その問題を解決するために、透過表示部、即ち、反射膜が無い部分の保護膜に凹部を設け、その部分の液晶層の厚さを、反射表示部、即ち、外部の光を反射する部分の液晶層の厚さよりも厚くすることにより解決している(例えば、特許文献1参照)。なお、この場合は、配向膜の液晶層の反対側に形成された透明電極にも凹部を設けるが、透明電極に鋭角の角部を設けると断線等の不具合が生じる。これを防止するために、凹部の底部よりも開口部の方が広くなるように、この凹部が有する一対の側壁を、底部から開口部にかけて広がったテーパー状となって形成されたテーパー部とする。これにより、このテーパー部と底部、及びテーパー部と透明樹脂の上面とで形成する角部が全て鈍角となり、透明電極の断線等の不具合を防止している。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−221995号公報(第5−7頁、第1−2図)
【0006】
図10は、従来の電気光学装置用基板の一例を示す断面図である。また、近年の液晶表示パネルは表示内容の多様化に伴い、カラー表示が出来るものが多い。これは、透明電極5と前記の反射膜2若しくは照明手段との間に、カラーフィルタ3を設け、反射膜2で反射した光、若しくは照明手段からの照射光に色を付けることにより、カラー表示をしている。このカラー表示が可能な液晶表示パネルでも性能を高めるために、前記のように反射膜2と照明手段とを併用し、それに伴い液晶層の厚さを変えるために保護膜7に凹部を形成している。この場合、透明電極凹部6の底部6bはカラーフィルタ3と接し、それ以外の部分の透明電極5若しくは配向膜とカラーフィルタ3との間には、保護膜7が設けられている。
【0007】
さらに近年では、安定した表示面の視認を求めるべく、反射膜2で反射した光よりも、照明手段で照射し液晶層を透過した光による視認を優先させたものも多い。ここで、透明電極凹部6のテーパー部6cは、反射膜2での光の反射、及び照明手段で照射した光のどちらの光も、効率よく液晶層に反射若しくは照射できない部分である。そのため、前記のように照明手段で照射し液晶層を透過した光による視認を優先させるために、透明電極凹部6の底部6bは透過表示部8上に設け、さらに、透過表示部8の幅よりも底部6bの幅の方を大きくし、テーパー部6cは反射表示部9上に位置するようにしてある。これにより、照明手段からの光は透明電極凹部6の底部6bからのみ液晶層を透過するので、照明手段からの光を優先して使用でき、安定した表示面の安定した視認を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記液晶表示パネルでは、透明電極凹部6の底部6bの幅を透過表示部8の幅よりも広くしてあるため、底部6bとテーパー部6cとで形成される角部6dである接続部6eが、反射表示部9にかかっている。また、カラーフィルタ3の一方の面には、この透明電極凹部6の底部6bが接し、カラーフィルタ3の他方の面には反射膜2が接している。当該液晶表示パネルの製造は、スパッタ、エッチング等を繰り返しながら照明手段のある側の基板1から順に形成するため、これらの透明電極5、カラーフィルタ3及び反射膜2は、反射膜2、カラーフィルタ3、透明電極5の順に形成されている。
【0009】
また、カラーフィルタ3は、その形成時に微小なピンホール4等が生じる可能性がある。この場合、ピンホール4が生じる部分が、保護膜7がある部分であれば、このピンホール4内に保護膜7を形成する材料が入りこむだけで、特に他の部分には影響は無い。しかしピンホール4が、接続部6e付近の透明電極凹部6と反射膜2との間カラーフィルタ3に発生した場合は、カラーフィルタ3の後に形成する透明電極5の材料が、そのピンホール4に入り込んでしまう。このために、このピンホール4を通じて透明電極5と反射膜2とが接触してしまうという不具合があった。反射膜2はアルミ等の金属で形成されているため、透明電極5と反射膜2とが接触していると、液晶を制御するために透明電極5に電気を流した際に、その電気が反射膜2にも流れてしまい、液晶層にうまく電圧がかからず、線欠陥等の表示不良が生じることがあった。
【0010】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電気光学装置用基板の形成時にピンホール等が生じても、電気光学装置や電子機器の使用には何ら問題を生じさせることのない電気光学装置用基板、電気光学装置、電子機器、及び、電気光学装置用基板の製造方法、並びに、電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明係る電気光学装置用基板は、透過表示部と反射表示部を有する電気光学装置用基板において、前記透過表示部は、カラーフィルタ上に透明電極が設けられてなり、前記反射表示部は、反射膜上に絶縁膜を介して前記カラーフィルタが形成され、且つ、前記カラーフィルタ上に保護膜を介して前記透明電極が設けられてなることを特徴とする。
【0012】
この電気光学装置用基板においては、反射表示部の透明電極と反射膜との間にはカラーフィルタが形成されている。さらに、反射表示部の反射膜と透明電極との間には、絶縁膜が形成されている。また、この電気光学装置用基板の形成方法は、スパッタやエッチング等を繰り返すことにより、反射膜を形成後に絶縁膜やカラーフィルタ、透明電極を形成している。従って、絶縁膜がカラーフィルタと反射膜との間にあるので、カラーフィルタの形成時に微小なピンホール等が発生した場合に、カラーフィルタの形成後に形成する透明電極がピンホールに入り込んでも、その透明電極は絶縁膜に遮られ、反射膜に接触することはない。これにより、透明電極に通電しても、反射膜にリークすることは無くなる。この結果、カラーフィルタの形成時にピンホール等の不具合が生じても、透明電極へ流された電気は、予め設定されている回路以外に流れることは無く、使用時には何ら問題なく使用をすることができる。
【0013】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記反射表示部が前記透過表示部と隣接してなる端部には前記保護膜は設けられていないことを特徴とする。
【0014】
この電気光学装置用基板においては、保護膜は全て反射表示部の範囲内に設けられている。前記透明電極は、保護膜が形成する透過表示部の凹部の形状に合わせて当該透明電極も凹部を形成しているが、透明電極の凹部は、当該凹部の角部での断線を防止するために、凹部の側壁をテーパー状に形成し、角部を鈍角にして形成している。しかし、透明電極の凹部の側壁は、このようにテーパー状に形成されているため、光を通しにくくなっている。前記のように保護膜の全ての部分を反射表示部の範囲内に設けることにより、前記透明電極の凹部の側壁も反射表示部の範囲内に設けられることになる。従って、透過表示部を透過する光は、光を通し易い部分のみ通過するので、透過表示部での視認性が向上する。この結果、外部の明るさに影響されにくく、視認性の安定した電気光学装置用基板とすることができる。
【0015】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記絶縁膜は、前記透過表示部には設けられていないことを特徴とする。
【0016】
この電気光学装置用基板においては、透過表示部には絶縁膜を設けないので、光の着色や、外部への発光に必要な部分以外の部分を減少させることができる。この結果、カラーフィルタの厚みを確保することができるので、光の着色性が向上し、鮮やかな視認性を得ることができる。また、光の着色や、外部への発光に必要な部分以外へ透過が無くなるので、光の透過率が向上し、その向上に伴い、この光の光源の電気消費量を低減させることができる。
【0017】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記絶縁膜は、前記反射表示部の反射膜上のみに設けられてなることを特徴とする。
【0018】
この電気光学装置用基板においては、絶縁膜は反射表示部の反射膜上のみに形成されているので、絶縁膜をフォトレジストで形成する際のフォトマスクを、反射膜と同一のものを使用、またはフォトマスクのパターンを同一の形状とすることができる。この結果、反射膜用のフォトマスクと同一のフォトマスクを使用する場合は、フォトマスクの製造に要するコストを抑えることができる。また、フォトマスクを同一の形状とする場合でも、絶縁膜用として新にフォトマスクのパターンを設計する必要が無く、同様にフォトマスクの製造に要するコストを抑えることができる。
【0019】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記絶縁膜は、前記反射膜の形成時のレジスト材であることを特徴とする。
【0020】
この電気光学装置用基板においては、絶縁膜に、反射膜を形成する時に使用するレジスト材を、そのまま使用している。つまり、反射膜をフォトレジストにより形成する際に、紫外線等の感光により現像液に対して不溶性等に変質するタイプの、透明なネガ型レジスト材を使用する。これにより、レジスト材の変質後、現像液で現像して不要のレジスト材を除去し、エッチングでレジスト材が形成されていない部分の反射膜を除去することにより、反射膜と絶縁膜とを形成できる。即ち、反射膜の製造の一連の工程を行うことにより、反射膜が形成されると共に、絶縁膜も形成される。この結果、新たに絶縁膜を形成する工程を設ける必要が無く、絶縁膜を有する電気光学装置用基板を容易に製作することができる。
【0021】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記カラーフィルタは、前記透過表示部の部分と前記反射表示部の部分とでは、前記反射表示部の部分の方が前記透過表示部の部分よりも、表面が高くなるように段差が設けられてなることを特徴とする。
【0022】
この電気光学装置用基板においては、カラーフィルタが、反射表示部の部分の方が透過表示部の部分よりも表面が高くように段差を付けて形成されている。従って、絶縁膜を反射膜上に形成することに起因して、薄くなり得るカラーフィルタのその部分が厚さを、反射表示部の部分のカラーフィルタ、即ち、絶縁膜上のカラーフィルタを高くすることにより補うことができる。この結果、反射膜で反射した光に色を付ける部分のカラーフィルタの厚さが薄くならないため、絶縁膜を形成したことにより、反射膜で反射する部分の光の色が薄くなるのを防止できる。
【0023】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記絶縁膜は、カラーフィルタの上面全体若しくは下面全体に設けられてなることを特徴とする。
【0024】
この電気光学装置用基板においては、絶縁膜がカラーフィルタの上面全体若しくは下面全体に形成されている。絶縁膜をカラーフィルタの上面全体に形成した場合は、絶縁膜のさらに上面にある透明電極が、他の導体と接触するのを防止できる。従って、カラーフィルタにピンホール等が発生しても、透明電極に影響することは無い。また、反射膜の上部のカラーフィルタにピンホールが発生しても、ピンホールの中に入り込むのは絶縁膜であるため、透明電極の電気的な作用に影響を与えることは無い。また、絶縁膜をカラーフィルタの下面全体に形成した場合は、カラーフィルタの下面のどの部分も、さらにその下方とは遮断されている。これにより、カラーフィルタにピンホール等が発生しても、カラーフィルタの上方にある透明電極と、絶縁膜の下方にある反射膜との接触を確実に防止する事ができる。またカラーフィルタの、どの部分にピンホール等が発生しても、ピンホールに入った透明電極を絶縁膜で食い止めることができる。また、カラーフィルタの上面全体若しくは下面全体に絶縁膜を形成するので、絶縁膜に複雑なパターンを形成する必要がないため、絶縁膜の形成用のマスクを容易に作成でき、コストを抑えることができる。
【0025】
また、次の発明に係る電気光学装置は、一対の基板間に設けられてなる一対の配向膜を有し、さらに、その配向膜間に液晶が封入されてなる液晶層を有し、一対の基板のうちの片方の基板は、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気光学装置用基板であり、前記液晶層の反対側の面には、液晶層を照射する照明手段が設けられてなり、前記配向膜は、前記透明電極上に設けられてなることを特徴とする。
【0026】
この電気光学装置においては、液晶層を形成する一対の配向膜のうちの片方の配向膜の、液晶層の反対側に、前記電気光学装置用基板が設けられている。従って、カラーフィルタにピンホール等の欠陥が生じても、透明電極と反射膜との間に設けられた絶縁膜により、透明電極と反射膜とが導通することは無く、問題無く使用できる。この結果、製造時に些細な瑕疵が生じても、正常に作動する液晶表示パネルとすることができる。また、これにより製造時の不良率を下げ、利益率の上昇若しくはコストの低下を得ることができる。
【0027】
また、次の発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置を備えたことを特徴とする。このため、カラーフィルタに些細なピンホール等の些細な瑕疵が生じても、それに起因して電気光学装置用基板の表示不良等の動作不良を起こすことも無く、高品質な電子機器を得ることができる。また、前記のような瑕疵では不良品にはならずに確実に作動をするため、製造時の不良率を低下させることができ、利益率の上昇若しくはコストの低下を得ることができる。
【0028】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板の製造方法は、透過表示部と反射表示部を有する電気光学装置用基板の製造方法において、カラーフィルタ上に透明電極を積層することによって前記透過表示部を形成し、前記反射表示部は、反射膜上に絶縁膜、前記カラーフィルタ、保護膜、前記透明電極を積層することによって前記反射表示部を形成することを特徴とする。
【0029】
この電気光学装置用基板の製造方法においては、反射表示部を、反射膜上に絶縁膜、カラーフィルタ、保護膜及び透明電極を積層することによって製造している。この製造方法は、スパッタやエッチング等を繰り返すことにより、反射膜上に絶縁膜やカラーフィルタ、透明電極を形成している。従って、絶縁膜がカラーフィルタと反射膜との間にあるので、カラーフィルタの形成時に微小なピンホール等が発生した場合に、カラーフィルタの形成後に形成する透明電極がピンホールに入り込んでも、その透明電極は絶縁膜に遮られ、反射膜に接触することはない。これにより、透明電極に通電しても、反射膜にリークすることは無くなる。この結果、カラーフィルタの形成時にピンホール等の不具合が生じても、透明電極へ流された電気は、予め設定されている回路以外に流れることは無く、使用時には何ら問題なく使用をすることができる。
【0030】
また、次の発明に係る電気光学装置の製造方法は、上記の電気光学装置用基板の製造方法を用いたことを特徴とする。このため、カラーフィルタに些細なピンホール等の些細な瑕疵が生じても、それに起因して電気光学装置用基板の表示不良等の動作不良を起こすことも無く、高品質な電気光学装置を得ることができる。また、前記のような瑕疵では不良品にはならずに確実に作動をするため、製造時の不良率を低下させることができ、利益率の上昇若しくはコストの低下を得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。なお、以下の説明は、本発明に係る電気光学装置の一例として液晶表示パネルを説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る電気光学装置用基板を備える液晶表示パネルの構造示す一部断面図である。図2は、図1のA部詳細図(電気光学装置用基板断面図)である。図3は、図2に示した電気光学装置用基板にピンホールが生じた図である。この電気光学装置用基板10を備える液晶表示パネル100は、透明で平坦なガラス等から成る2枚の基板、表示面側基板101と照明手段側基板11との間に1組の配向膜103を有している。さらに、その配向膜103間に液晶を封入し、液晶層107を形成している。なお、図示は省略してあるが、この配向膜103間は複数のスペーサーによって所定の隙間が維持されており、配向膜103の周囲に設けられたシール材によって配向膜103間を密閉することにより、その部分に液晶層107が形成している。また、それぞれの配向膜103の液晶層107側には、それぞれ一定方向に溝が形成されており、液晶分子を所定の向きに揃えている。
【0033】
表示面側基板101の内側には、前記の1組の配向膜103の一方である表示面側配向膜104が設けられ、その間には表示面側透明電極102が形成されている。また、表示面側基板101の外側、つまり、表示面112側には表示面側位相差板110が設けられ、さらにその外側には、表示面側偏光板108が設けられている。照明手段側基板11の内側には前記の1組の配向膜103のもう一方である照明手段側配向膜105が形成されている。この照明手段側配向膜105と照射手段側基板11との間には、照明手段側透明電極17、保護膜19、カラーフィルタ16、遮光層15、反射膜13及び散乱層12とが設けられている。また、照明手段側基板11の外側、つまり、照明手段側には照明手段側位相差板111が設けられ、さらにその外側には、照明手段側偏光板109が設けられている。また、照明手段側基板11と、照明手段側基板11の液晶層107側の面に設けられている散乱層12とは、基板部として形成されており、電気光学装置用基板10を形成する基礎の部分となっている。
【0034】
照明手段は、照明手段側偏光板109の、液晶層107側の面の反対側に設けられ、照明手段としてバックライト25が備えられている。バックライト25は、集光部251と導光部252とから形成されている。集光部252は、蛍光ランプ251aと、内側にリフレクタ251cを有するランプホルダ251bから形成されている。導光部252は、矩形で所定の厚さを有する導光体252、導光体252の一方の面に設けてある反射シート252b、及び導光体252の他方の面に設けてある拡散シート252cから形成されている。集光部251は、集光部251の蛍光ランプ251aが、導光体252aの一つの辺の近傍に、当該辺とほぼ平行になるように設けられることによって形成されている。集光部251のランプホルダ251bは、その内側に有するリフレクタ251cで、蛍光ランプ251aの光を導光体252aに向けて反射できる様に設けられている。このバックライト25が、導光部252の拡散シート252cが照明手段側基板11に面する向きに、導光体252aと照明手段側基板11とがほぼ平行になるように設けられている。
【0035】
なお、上記のバックライト25はサイドライト式バックライトであるが、複数の蛍光ランプ251aを照明手段側基板11とほぼ平行に並べて形成する直下方式バックライトや、その他の形式を使用してもよい。さらに、蛍光ランプ251a変わりに発光ダイオードや、有機ELなどを用いても構わない。所定の光量で液晶層を照らせる方法なら、その形状や方法、形式は問わない。
【0036】
散乱層12は、照明手段側基板11の液晶層107側の面に形成されている。この散乱層12は、アクリル樹脂等の透明な樹脂から形成されている。この散乱層12の照明手段側基板11側の面は、照明手段側基板11に沿って平面となっており、液晶層107側の面には散乱面12aが形成されている。散乱面12aは、凹凸が所定のパターンで連続して設けられた面となっている。なお、この散乱面12aの凹凸は、円錐、角錐、その他の形状またはランダム形状でもよい。また、その配列パターンは、一定のパターンでも、ランダムに形成しているパターンでもよい。
【0037】
反射膜13は、散乱層12の散乱面12a側に設けられている。この反射膜13は、アルミなど、光を反射させることの出来る物質から形成されている。また、この反射膜13は、所定の孔を開けて、若しくは複数の反射膜が間隔を開けて設けられた反射膜透過部13bが形成されている。さらに、反射膜13の、散乱層12の反対側の面には、反射面13aが設けられている。この反射面13aは、凹凸が所定のパターンで連続して設けられた面となっている。なお、この反射面13aの凹凸は、円錐、角錐、その他の形状またはランダム形状でもよい。また、その配列パターンは、一定のパターンでも、ランダムに形成しているパターンでもよい。
【0038】
絶縁膜14は、反射膜13の反射面13a側に形成されている。この絶縁膜14は、反射膜13がある部分のみに形成されており、反射膜13と同じ形状で、つまり、反射膜13と同様に絶縁膜透過部14aを形成して設けられている。この絶縁膜14は、透明な樹脂、例えばアクリル樹脂等により形成されており、その厚さは、アクリル樹脂であれば5000〜10000Å程度が好ましい。
【0039】
遮光層15は、絶縁膜14の、反射膜13の反対側の面に設けられている。この遮光層15は、各ドットの境界部に設けられており、ドットの境界に合わせてパターン化した形状で形成されている。遮光層15は、カラーフィルタ16と同じ材料で形成されており、各色(赤、緑、青)が重ねられることにより形成されている。なお、この遮光層15はカラーフィルタ16と同じ材料を使用して色を黒一色としてもよく、また、金属膜等から形成してもよく、光を通さない材料ならば、いずれのものを使用しても構わない。
【0040】
カラーフィルタ16は、散乱層12の散乱面12a側に形成されている。このカラーフィルタ16は、反射膜透過部13bと絶縁膜透過部14aによって露出した部分の散乱層12上と、反射膜13及び絶縁膜14を覆うように形成されている。さらにこのカラーフィルタ16は、絶縁膜14上のカラーフィルタ16の方が、散乱層12上のカラーフィルタ16に対して、液晶層107側に高くなった段差を付けて形成されている。また、絶縁膜14上のカラーフィルタ16の厚さは、絶縁膜14上に有する遮光層15よりも薄いため、当該カラーフィルタ16は、各遮光層15に囲まれた範囲にのみ設けられている。これにより遮光層15は、カラーフィルタ16に対して、液晶層107方向に飛び出して形成されている。この前記の各範囲のカラーフィルタ16は、それぞれが各ドットの光を着色するフィルタとなっており、表示するドットによって、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色に着色された有色透明のフィルタとして形成されている。この各色のカラーフィルタ16の境界に、前記遮光層15は設けられている。
【0041】
なお、カラーフィルタ16の各色の配列は、同じ色を縦に並べる縦ストライプ、各色を表示画面上の次の行で半ドット分ずらしたデルタ配列、1ドット分ずつずらしたモザイク配列など、いずれの配列としてもよい。また、カラーフィルタ16の、散乱層12、反射膜13及び絶縁膜14側の面は、散乱面12a、反射膜13及び絶縁膜14に沿って形成されている。
【0042】
透明電極は、表示面側透明電極102、照明手段側透明電極17共にITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)導電膜等により形成されている。また、照明手段側透明電極17は、照明手段側に凸となって形成する透明電極凹部18が、複数形成されている。この透明電極凹部18は、その凹部が有する一対の側壁が、双方の間隔が開口部18aの位置よりも底部18bの位置の方が狭くなるようにテーパー状に形成された、テーパー部18cとなっている。これにより、凹部を形成する四箇所の角部18dは、全て鈍角となって形成されている。さらに、この角部18dのうち、テーパー部18cと底部18bとで形成される角部18dは、接続部18eとして形成されている。また、照明手段側透明電極17は、透明電極凹部18の底部18bが、カラーフィルタ16の散乱層12側の面の反対側の面に接して設けられている。さらに、この底部18bは、前記反射膜透過部13b及び絶縁膜透過部14aよりも幅が広く形成されている。この底部18bを反射膜透過部13b側から見た場合、反射膜透過部13bが完全に底部18b内に収まる関係、つまり、接続部18eが反射膜13と重なる位置に、透明電極凹部18は設けられている。
【0043】
保護膜19は、照明手段側透明電極17の照明手段側の面で、透明電極凹部18が無い部分に設けられている。また、この保護膜19は、照明手段側透明電極17の透明電極凹部18以外の部分と、カラーフィルタ16及び絶縁膜14との間に設けられている。このため、保護膜19は、照明手段側透明電極17、カラーフィルタ16及び絶縁膜14に沿った形状となって形成している。また、この保護膜19は、透明な樹脂材料から形成されており、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等により形成されている。
【0044】
上記のように、本発明の電気光学装置用基板10は、上記の照明手段側基板11と散乱層12とから形成される基板部、反射膜13、絶縁膜14、遮光層15、カラーフィルタ16、保護膜19及び照明手段側透明電極17から形成されている。また、反射膜透過部13b及び絶縁膜透過部14aが形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、カラーフィルタ16及び照明手段側透明電極17は、透過表示部20として形成されている。さらに、反射膜13が形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、反射膜13、絶縁膜14、遮光層15、カラーフィルタ16、保護膜19及び照明手段側透明電極17は、反射表示部21として形成されている。また、当該液晶表示パネル100は液晶層107に2つ以上の異なる厚さを形成するため、照明手段側配向膜105に、照明手段側に凸となった保護膜凹部106を複数形成している。照明手段側配向膜105の保護膜凹部106以外の部分は、表示面側配向膜104とほぼ平行な平面として形成されている。前記の配向膜103に形成された一定方向の溝は、これらの配向膜103の、それぞれの配向膜103に面している側、及び保護膜凹部106の凹側の面に設けられている。
【0045】
前記電気光学装置用基板10は、照明手段側透明電極17に形成された透明電極凹部18の凹側に、保護膜凹部106の凸側が入り込むように、つまり、保護膜凹部106の照明手段側から、透明電極凹部18が保護膜凹部106を囲むように重ねられて形成されている。また、保護膜凹部106が無い部分の照明手段側透明電極17は、照明手段側配向膜105に沿って形成されている。このように、照明手段側透明電極17が照明手段側配向膜105の外側に形成されることによって、当該電気光学装置用基板10は液晶表示パネル100に備えられている。
【0046】
図4は、実施の形態1の電気光学装置用基板の製造工程のフロー図である。当該電気光学装置用基板10の製造工程の一例を説明する。まず、照明手段側基板11の素材となる素ガラスに、アクリル樹脂を塗布して散乱層12を形成する。その後、後に反射膜13となるアルミニウムをスパッタリング装置(図示省略)によって散乱層12の上にスパッタし、アルミ薄膜を成膜する(ステップST1)。このアルミ薄膜の上に、スピン式塗布装置やローラ式塗布装置などのレジスト塗布装置(図示省略)によって、透明なネガ型レジスト材を塗布する。このネガ型レジスト材は、紫外線などを照射することにより、重合または架橋して現像液に対して不溶性、又は難溶性となる感光性の性質を持つ。このレジスト材の上に、アルミ薄膜を残したい部分が透明となったフォトマスク、つまり、反射膜13の形状にパターンニングされたフォトマスクを重ね、フォトマスクの上からレジスト材に向けて紫外線などを露光する。すると、反射膜13の形状にパターンニングされたフォトマスクに合わせて、レジスト材の反射膜13の形状の部分のみが、前記のように不溶性等に変質される。このレジスト材を現像液によって現像して変質した部分だけを残し、それ以外の部分は除去する。これにより、レジスト材は、反射膜13の形状の部分だけが残り、その形状で形成されることになる。
【0047】
アルミ薄膜のうち、反射膜13として不要の部分はエッチングによって除去する。このエッチングは、エッチング液によって処理するウェットエッチングや、減圧下でのガス放電により反応させてガス状にして処理するドライエッチング等があるが、いずれの方法で行ってもよい。このエッチングによってアルミ薄膜の不要な部分は除去され、反射膜13が形成される。さらに、レジスト材も同様の形状で反射膜13上に有しているが、この透明なレジスト材を絶縁膜14として使用するため、絶縁膜14も同時に形成される(ステップST2)。
【0048】
カラーフィルタ16は、着色材として用いる顔料をレジスト材に分散させた、着色樹脂を使用する。この着色樹脂は、カラーフィルタ16の各色、即ち、赤、青、緑の三色がある。また、この着色樹脂は前記の絶縁膜14と同様に、紫外線などを感光すると、現像液に対して不溶性等となる性質を有する。この着色樹脂を各色ごとに形成していくが、その一色分の工程を説明する。まず、前記の着色樹脂を前記の状態の上から、つまり、絶縁膜14及び散乱層12の上から塗布する。その後、その色のパターンに合わせてパターンニングされたフォトマスクを使用して、フォトマスクを介して着色樹脂を露光する。これにより、フォトマスクのパターンに合わせて、感光した部分の着色樹脂が、現像液に対して不溶性等の性質に変質するので、これを現像液で現像すると、感光した部分以外は除去され、所定のパターンのカラーフィルタ16を形成できる(ステップST3)。これらの作業を一色のカラーフィルタ16の工程とし、これを三色分繰り返すことによって、三色のカラーフィルタ16を形成することができる。また、その際に各色用のフォトマスクとも、遮光層15の形状に合わせたパターンをフォトマスクに形成することにより、遮光層15の部分にはカラーフィルタ16の三色が重なることになり、三色が重なっているので、光を通さない遮光部15を形成できる。
【0049】
保護膜19は、前記のように透明なアクリル樹脂等の保護膜レジストで形成されている。また、この保護膜レジストも前記着色樹脂等と同様に、紫外線などの感光より、現像液に対して不溶性等となる性質を有する。この保護膜レジストをカラーフィルタ16上に塗布する。その後、保護膜19のパターンに合わせて、つまり、透明電極凹部18の部分を除いて保護膜19がカラーフィルタ16上に形成するように、保護膜19用のフォトマスクをパターンニングする。このフォトマスクを介して紫外線等を露光することにより、保護膜レジストは、保護膜19のパターンで前記のように変質する。この保護膜レジストを現像液で現像すると、保護膜レジストの不要な部分が除去され、保護膜19が形成される(ステップST4)。また、その際に透明電極凹部18が、前記のようにテーパー部18cを形成できるように、その部分の保護膜19を、テーパー部18cを形成出来る形状に形成する。
【0050】
照明手段側透明電極17の形成は、まず、ITOを保護膜19上、及びカラーフィルタ16上に、スパッタによって成膜する(ステップST5)。このITO薄膜上に、レジスト塗布装置(図示省略)によってレジストを塗布する。このレジスト材も、前述のように、紫外線等で感光することにより、現像液に対して不溶性等となる性質を有する。この状態で、照明手段側透明電極17の形状にパターンニングされたフォトマスクを介して、紫外線等を露光することにより、レジストは照明手段側透明電極17のパターンの部分が、前記のように変質する。このレジストを現像液で現像すると、レジストの不要な部分が残る。つまり、レジストは照明手段側透明電極17の形状で残りこととなる。これを、前記反射膜13のエッチングのように、ウエットエッチングやドライエッチングなどの方法でエッチングすることにより、ITO薄膜のうち、レジストが形成されていない部分が除去される。さらに、レジスト剥離液によってレジストを剥離すると、ITO薄膜だけが残り、照明手段側透明電極17が形成される(ステップST6)。
【0051】
これらの工程により、電気光学装置用基板10は製造される。なお、各レジスト材の材料やその塗布方法、現像方法、レジストの剥離方法、さらに、エッチング方法は上記以外の方法でも構わない。また、カラーフィルタ16は、顔料でレジストを着色した着色樹脂を使用し、着色材料を直接現像しているが、その他の材料、方法でも構わない。また、遮光層15は、三色のカラーフィルタ16を重ねることによって形成しているが、黒く着色した樹脂や、金属など光を遮蔽できる材料ならば、その他の材料を使用しても構わない。最終的に実施の形態1の電気光学装置用基板10を製造できる方法ならば、いずれの方法で製造してもよい。さらに、この電気光学装置用基板10の照明手段側透明電極17に照明手段側配向膜105を重ねて形成し、当該照明手段側配向膜105と隙間を形成するように表示面側配向膜104を設けて液晶層107を形成する。さらに表示面側配向膜104から順に表示面112方向に、表示面側透明電極102、表示面側基板101、表示面側位相差板110及び表示面側偏光板108を形成することにより、当該電気光学装置用基板10は、液晶表示パネル100に備えられることとなる。
【0052】
この実施の形態1に係る電気光学装置用基板10は、透明電極凹部18の底部18bを、透過表示部20よりも広く形成している。また、接続部18eが反射表示部に位置している、つまり、接続部18eが反射13と重なる位置となって形成している。これらの状態で、照明手段側透明電極17、カラーフィルタ16、絶縁膜14及び反射膜13は重ねて形成している。従って、透明電極凹部18のテーパー部18cは透過表示部20上に無いため、バックライト25で照射し、透過表示部20を通過した光は、いずれのものに遮られることもなく、液晶層107を透過できる。また、このテーパー部18cは、外部から液晶層107内に入った光を再び液晶層107に反射する反射面13a上にある。これら結果、この電気光学装置用基板10は、バックライト25で照射した光による液晶表示の視認を重視した液晶表示パネル100に適合させることができる。
【0053】
さらに、カラーフィルタ16は、絶縁膜14上に形成されたカラーフィルタ16の方が、散乱層12上に形成されたカラーフィルタ16に対して、液晶層107側に高くなった段差を付けて形成されている。つまり、反射表示部21のカラーフィルタ16の方が、透過表示部20のカラーフィルタ16に対して液晶層107側に高く形成している。従来の電気光学装置用基板に反射膜上透明な物質からなる絶縁膜14を形成した場合には、その形成に起因してカラーフィルタの厚さが薄くなり、反射表示部21の光の着色が薄くなることがある。しかし、このように、カラーフィルタ16の反射表示部21の部分を透過表示部20に対して液晶層107側に高く形成することにより、厚さを補い、従来の反射表示部21と同等の厚さを確保できる。この結果、透過表示部20と反射表示部21とで着色ムラの無い、良好な表示を得られる液晶表示パネル100を形成できる電気光学装置用基板10とすることができる。また、散乱面12aの凹凸及び反射面13aの凹凸は、光を散乱させることにより、表示面112の表示を広角度で認識でき、見易い液晶表示パネル100にすることができる。さらに、透明電極凹部18を形成する角部18dは全て鈍角であるため、断線を防止し、液晶表示パネル100を確実に作動させることができる。
【0054】
また、この実施の形態1に係る電気光学装置用基板10は、透明電極凹部18の底部18bのうちの接続部18e近傍と反射膜13との間には、カラーフィルタ16のみでなく、カラーフィルタ16と反射膜13との間に絶縁膜14が形成されている。これにより、カラーフィルタ16の形成時に、接続部18e近傍の底部18bと反射膜13との間のカラーフィルタ16にピンホール16a等が生じ、カラーフィルタ16の形成後に形成する照明手段側透明電極17がそのピンホール16aに侵入しても、カラーフィルタ16と反射膜13との間にある絶縁膜14でその侵入は止まる。これにより、照明手段側透明電極17と反射膜13とが接触することは無くなる。この結果、液晶層107を制御するために照明手段側透明電極17に電流を流しても、照明手段側透明電極17と反射膜13とは導通せず、その電流が反射膜13にリークすることが無くなるので、表示面112に横線が入る線欠陥などの、表示面112の表示不良を防止できる。
【0055】
なお、透明電極凹部18以外の部分の照明手段側透明電極17と反射膜13との間にあるカラーフィルタ16に、ピンホール16aが生じた場合は、この部分の照明手段側透明電極17とカラーフィルタ16との間にある保護膜19により、照明手段側透明電極17と反射膜13との接触を防止出来る。また、透過表示部20のカラーフィルタ16にピンホール16aが生じた場合は、透過表示部20には反射膜13が無いので、照明手段側透明電極17と反射膜13とが接触することは無い。これらにより、カラーフィルタ16のどの部分にピンホール16aが生じても、照明手段側透明電極17の電流のリークによる表示面112の表示不良を防止できる。また、絶縁膜14の材料として、反射膜13形成時の透明なネガ型レジスト材を使用しているため、反射膜13をこのネガ型レジスト材によって形成後、ネガ型レジスト材を剥離せず、これをそのまま絶縁膜14として使用している。これにより、絶縁膜14の形成のための新たな工程を設ける必要がなく、さらに、ネガ型レジスト材を剥離しないので、その分の工程を従来の工程から減らすことができる。この結果、工程を減らした分、製造コストを抑えることができ、さらに、工程が減った分、電気光学装置用基板10を容易に製作できる。
【0056】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る電気光学装置用基板の構造を示す一部断面図である。図6は、図5の電気光学装置用基板の製造工程のフロー図である。この電気光学装置用基板30は、実施の形態1に係る電気光学装置用基板10と略同様の構成であるが、絶縁層膜31が、カラーフィルタ16と、反射膜13及び散乱層12との間の全体に形成している点に特徴がある。他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに同一の符号を付す。実施の形態2の電気光学装置用基板30は、反射膜13及び散乱層12の液晶層107側全面に、絶縁膜31が形成している。つまり、カラーフィルタ16の照明手段側全体に絶縁膜31が形成している。これにより、実施の形態2の電気光学装置用基板30の透過表示部32は、反射膜透過部13bが形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、絶縁膜31、カラーフィルタ16及び照明手段側透明電極17とから形成している。また、反射表示部33は、反射膜13が形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、反射膜13、絶縁膜31、遮光層15、カラーフィルタ16、保護膜19及び照明手段側透明電極17とから形成している。
【0057】
この実施の形態2の電気光学装置用基板30の製造工程は、実施の形態1の電気光学装置用基板10とほぼ同様であるが、反射膜13及び絶縁膜31の形成が、実施の形態1と異なっている。反射膜13の形成は従来のようにアルミ薄膜をエッチングした後、レジストを剥離して形成する(ステップST2)。また、絶縁膜31の形成は、反射膜透過部13bが形成されている部分の散乱層12及び反射膜13の、液晶層側107全面に実施の形態1の絶縁膜14形成用のレジスト材と同等のレジスト材を塗布する。その後、外縁の不要な部分のみを除去できるフォトマスクを介して紫外線などを露光し、現像液で現像することによって形成できる(ステップST3)。このため、絶縁膜31用のフォトマスクに、細かなパターンニングを行う必要がない。この結果、絶縁膜31用のフォトマスクにパターンニングを施す作業が省け、その分のコストを抑えることができる。
【0058】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る電気光学装置用基板の構造を示す一部断面図である。図8は、図7の電気光学装置用基板の製造工程のフロー図である。この電気光学装置用基板40は、実施の形態1に係る電気光学装置用基板10と略同様の構成であるが、絶縁層膜41が、カラーフィルタ16の照明手段側透明電極側17の全体に形成している点に特徴がある。他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに同一の符号を付す。実施の形態3の電気光学装置用基板40は、カラーフィルタ16の照明手段側透明電極側17の全体に絶縁膜41が形成されている。つまり、透明電極凹部18及び保護膜19の、照明手段側全体に絶縁膜41が形成されている。これにより、実施の形態3の電気光学装置用基板40の透過表示部42は、反射膜透過部13bが形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、カラーフィルタ16、絶縁膜41及び照明手段側透明電極17とから形成している。また、反射表示部43は、反射膜13が形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、反射膜13、遮光層15、カラーフィルタ16、絶縁膜41、保護膜19及び照明手段側透明電極17とから形成している。
【0059】
この実施の形態3の電気光学装置用基板40の製造工程は、実施の形態1の電気光学装置用基板10とほぼ同様だが、反射膜13及び絶縁膜41の形成が、実施の形態1と異なっている。反射膜13の形成は従来のようにアルミ薄膜をエッチングした後、レジストを剥離して形成する(ステップST2)。また、絶縁膜41の形成は、カラーフィルタ16の照明手段側透明電極17側全面に実施の形態1の絶縁膜14形成用のレジスト材と同等のレジスト材を塗布する。その後、外縁の不要な部分のみを除去できるフォトマスクを介して紫外線などを露光し、現像液で現像することによって形成できる(ステップST4)。このため、絶縁膜41用のフォトマスクに、細かなパターンニングを行う必要がない。この結果、絶縁膜41用のフォトマスクにパターンニングを施す作業が省け、その分のコストを抑えることができる。なお、この絶縁膜41と保護膜19は同じ材料を使用するので、絶縁膜41をカラーフィルタ16全体に形成後、フォトマスクを使用して、実施の形態1のように保護膜19を形成する。
【0060】
(変形例)
図9は、実施の形態1の電気光学装置用基板の変形例の製造工程のフロー図である。実施の形態1の電気光学装置用基板10の絶縁膜14は、透明なネガ型レジスト材を使用しているが、これを酸化シリコン膜(SiO2)等の透明な無機膜によって形成してもよい。酸化シリコン膜を使用する場合には、反射膜13はアルミ膜層をエッチングした後に、レジスト材を剥離する(ステップST2)。その後、酸化シリコンを反射膜13、散乱膜12の上にスパッタし、酸化シリコン膜を成膜する(ステップST3)。この酸化シリコン膜の上に、上記のレジスト材と同様、紫外線などを当てると変質する感光性のレジスト材を塗布する。さらにその上から、反射膜13と同じ形状にパターンニングされたフォトマスクを介して、紫外線などを露光する。これにより、レジスト材の感光した部分のみが変質する。これを現像液で現像すると、感光していない部分、つまり、反射膜13の形状以外のレジスト材が除去され、レジスト材が反射膜13の形状で残る。その後、レジスト材が形成されていない部分の酸化シリコン膜を、エッチングによって除去する。さらにその後、レジスト材を剥離液によって剥離すると、酸化シリコンからなる絶縁膜51を、反射膜13上に反射膜13とほぼ同じ形状で形成できる(ステップST4)。なお、その厚さは、酸化シリコン膜であれば1000Å程度が好ましい。
【0061】
また、酸化シリコンからなる絶縁膜51は、実施の形態1の電気光学装置用基板10だけでなく、実施の形態2の電気光学装置用基板30の絶縁膜31、又は実施の形態3の電気光学装置用基板40の絶縁膜41を酸化シリコンで形成してもよい。この場合は、実施の形態1の変形例と同様に酸化シリコンを、反射膜透過部13bが形成されている部分の散乱層12及び反射膜13の、液晶層側107全面にスパッタする。または、カラーフィルタ16の照明手段側透明電極17側全面にスパッタする。これらの上から、感光性のレジスト材を塗布し、その後、外縁の不要な部分を除去できる形状のフォトマスクを介して、紫外線などを露光する。さらにその後、現像液で現像すると、反射膜透過部13b、散乱層12及び反射膜13形状、または、カラーフィルタ16の形状以外の部分のレジスト材が除去される。これにより、レジスト材からはみ出した部分の酸化シリコン膜を、エッチングによって除去し、残ったレジスト材を剥離液によって剥離すると、酸化シリコンからなる絶縁膜51が、反射膜13及び散乱層12、または、カラーフィルタ16の全面に形成される。これらの結果、絶縁膜の材料に感光性のあるレジスト材を使用しなくても、それ以外の透明な無機膜等の所定の材料を使用することにより、上記の方法で照明手段側透明電極17と反射膜13の導通を防止する絶縁膜51を形成できる。
【0062】
(本発明の適用対象)
本発明に係る電気光学装置用基板及び電気光学装置が適用できる電子機器としては、携帯電話機の他に、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器や携帯型パーソナルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機等、電気光学装置を用いる機器が挙げられる。従って、これらの電子機器における電気的接続構造であっても、本発明が適用可能であることはいうまでもない。
【0063】
また、この電気光学装置は、透過型又は反射型の電気光学装置であり、照明装置をバックライトとして用いる。なお、アクティブマトリックス型のカラー電気光学装置であっても同様である。また、パッシブマトリクス型の電気光学装置のみならず、アクティブマトリクス型の電気光学装置(例えば、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)をスイッチング素子として備えた電気光学装置)にも同様に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る電気光学装置用基板を備える液晶表示パネルの断面図。
【図2】実施の形態1に係る電気光学装置用基板の断面図(A部詳細図)。
【図3】実施の形態1に係るカラーフィルタにピンホールが生じた図。
【図4】実施の形態1に係る電気光学装置用基板の製造工程のフロー図。
【図5】実施の形態2に係る電気光学装置用基板の断面図。
【図6】実施の形態2に係る電気光学装置用基板の製造工程のフロー図。
【図7】実施の形態3に係る電気光学装置用基板の断面図。
【図8】実施の形態3に係る電気光学装置用基板の製造工程のフロー図。
【図9】実施の形態1の変形例の製造工程のフロー図。
【図10】従来の電気光学装置用基板の一例を示す断面図。
【符号の説明】
10 電気光学装置用基板、11 照明手段側基板、12 散乱層、13 反射膜、14 絶縁膜、15 遮光層、16 カラーフィルタ、16a ピンホール、17 照明手段側透明電極、18 透明電極凹部、18a 開口部、18b 底部、18c テーパー部、18d 角部、18e 接続部、19 保護膜、20 透過表示部、21 反射表示部、25 バックライト、100 液晶表示パネル、103 配向膜、105 照明手段側配向膜、106 保護膜凹部、112 表示面
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気光学装置用基板に係るものである。特に、この発明は、製造時に瑕疵が生じた場合でも、製品として何ら不具合の生じない電気光学装置用基板、電気光学装置、電子機器、及び、電気光学装置用基板の製造方法、並びに、電気光学装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気光学装置及び電子機器では、軽量さ、薄さ、低消費電力等の利点により、情報の表示手段として電気光学装置の一種である液晶表示パネルが多用されている。従来のこの液晶表示パネルは、1組の基板間に1組の配向膜を設けている。そして、その間に液晶を封入することにより、液晶が所定の向きに並んだ液晶層を形成している。また、各配向膜の液晶層の反対側の面に透明電極を形成し、この透明電極を通して液晶層に流す電流を制御することにより、液晶層内の液晶の方向を変化させ、情報を表示している。この情報の認識方法は、液晶層の表示面から液晶層内に入射した光を液晶層の奥にある反射膜で反射させ、この反射した光が再び液晶層、及びその表示面を通って外部に出て、この光を目視することにより、表示面の画像等の情報を認識している。しかし、このタイプの液晶表示パネルは、外部からの光を反射することにより表示面の情報を認識できるようになっているため、屋内など外部が暗い環境では表示面の情報を認識するのが困難であった。
【0003】
そこで、そのような場合でも表示面の情報を視認できるよう、液晶層を表示面側の反対側から照明手段で照射し、液晶層及び表示面を通ったこの光を目視することによる、暗い環境でも表示面が見易いタイプの液晶表示パネルも多くなった。しかし、このタイプでは照明手段で照射して表示面から出た光よりも外部の方が明るい場合は、表示面が見にくくなることもある。そのため、反射膜を間隔を開けて設ける、又は反射膜に穴を開ける等をして、照明手段からの光を液晶層に透過させる透過部を反射膜に設け、その部分を透過表示部として照明手段からの光を利用するとともに、反射膜による反射を利用する反射表示部を設けることにより、照明手段と反射膜とを併用しているものもある。
【0004】
しかし、この場合、外部からの光を反射する場合は液晶層を往復するのに対し、照明手段で照射した光は1度しか液晶層を通過しない。このため、外部からの光は減衰してしまうので、照明手段からの光の方が明るくなり、表示面の画像等が、外部の光を反射した部分と照明手段で照射した部分とで差が出るという問題があった。そこで、その問題を解決するために、透過表示部、即ち、反射膜が無い部分の保護膜に凹部を設け、その部分の液晶層の厚さを、反射表示部、即ち、外部の光を反射する部分の液晶層の厚さよりも厚くすることにより解決している(例えば、特許文献1参照)。なお、この場合は、配向膜の液晶層の反対側に形成された透明電極にも凹部を設けるが、透明電極に鋭角の角部を設けると断線等の不具合が生じる。これを防止するために、凹部の底部よりも開口部の方が広くなるように、この凹部が有する一対の側壁を、底部から開口部にかけて広がったテーパー状となって形成されたテーパー部とする。これにより、このテーパー部と底部、及びテーパー部と透明樹脂の上面とで形成する角部が全て鈍角となり、透明電極の断線等の不具合を防止している。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−221995号公報(第5−7頁、第1−2図)
【0006】
図10は、従来の電気光学装置用基板の一例を示す断面図である。また、近年の液晶表示パネルは表示内容の多様化に伴い、カラー表示が出来るものが多い。これは、透明電極5と前記の反射膜2若しくは照明手段との間に、カラーフィルタ3を設け、反射膜2で反射した光、若しくは照明手段からの照射光に色を付けることにより、カラー表示をしている。このカラー表示が可能な液晶表示パネルでも性能を高めるために、前記のように反射膜2と照明手段とを併用し、それに伴い液晶層の厚さを変えるために保護膜7に凹部を形成している。この場合、透明電極凹部6の底部6bはカラーフィルタ3と接し、それ以外の部分の透明電極5若しくは配向膜とカラーフィルタ3との間には、保護膜7が設けられている。
【0007】
さらに近年では、安定した表示面の視認を求めるべく、反射膜2で反射した光よりも、照明手段で照射し液晶層を透過した光による視認を優先させたものも多い。ここで、透明電極凹部6のテーパー部6cは、反射膜2での光の反射、及び照明手段で照射した光のどちらの光も、効率よく液晶層に反射若しくは照射できない部分である。そのため、前記のように照明手段で照射し液晶層を透過した光による視認を優先させるために、透明電極凹部6の底部6bは透過表示部8上に設け、さらに、透過表示部8の幅よりも底部6bの幅の方を大きくし、テーパー部6cは反射表示部9上に位置するようにしてある。これにより、照明手段からの光は透明電極凹部6の底部6bからのみ液晶層を透過するので、照明手段からの光を優先して使用でき、安定した表示面の安定した視認を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記液晶表示パネルでは、透明電極凹部6の底部6bの幅を透過表示部8の幅よりも広くしてあるため、底部6bとテーパー部6cとで形成される角部6dである接続部6eが、反射表示部9にかかっている。また、カラーフィルタ3の一方の面には、この透明電極凹部6の底部6bが接し、カラーフィルタ3の他方の面には反射膜2が接している。当該液晶表示パネルの製造は、スパッタ、エッチング等を繰り返しながら照明手段のある側の基板1から順に形成するため、これらの透明電極5、カラーフィルタ3及び反射膜2は、反射膜2、カラーフィルタ3、透明電極5の順に形成されている。
【0009】
また、カラーフィルタ3は、その形成時に微小なピンホール4等が生じる可能性がある。この場合、ピンホール4が生じる部分が、保護膜7がある部分であれば、このピンホール4内に保護膜7を形成する材料が入りこむだけで、特に他の部分には影響は無い。しかしピンホール4が、接続部6e付近の透明電極凹部6と反射膜2との間カラーフィルタ3に発生した場合は、カラーフィルタ3の後に形成する透明電極5の材料が、そのピンホール4に入り込んでしまう。このために、このピンホール4を通じて透明電極5と反射膜2とが接触してしまうという不具合があった。反射膜2はアルミ等の金属で形成されているため、透明電極5と反射膜2とが接触していると、液晶を制御するために透明電極5に電気を流した際に、その電気が反射膜2にも流れてしまい、液晶層にうまく電圧がかからず、線欠陥等の表示不良が生じることがあった。
【0010】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電気光学装置用基板の形成時にピンホール等が生じても、電気光学装置や電子機器の使用には何ら問題を生じさせることのない電気光学装置用基板、電気光学装置、電子機器、及び、電気光学装置用基板の製造方法、並びに、電気光学装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明係る電気光学装置用基板は、透過表示部と反射表示部を有する電気光学装置用基板において、前記透過表示部は、カラーフィルタ上に透明電極が設けられてなり、前記反射表示部は、反射膜上に絶縁膜を介して前記カラーフィルタが形成され、且つ、前記カラーフィルタ上に保護膜を介して前記透明電極が設けられてなることを特徴とする。
【0012】
この電気光学装置用基板においては、反射表示部の透明電極と反射膜との間にはカラーフィルタが形成されている。さらに、反射表示部の反射膜と透明電極との間には、絶縁膜が形成されている。また、この電気光学装置用基板の形成方法は、スパッタやエッチング等を繰り返すことにより、反射膜を形成後に絶縁膜やカラーフィルタ、透明電極を形成している。従って、絶縁膜がカラーフィルタと反射膜との間にあるので、カラーフィルタの形成時に微小なピンホール等が発生した場合に、カラーフィルタの形成後に形成する透明電極がピンホールに入り込んでも、その透明電極は絶縁膜に遮られ、反射膜に接触することはない。これにより、透明電極に通電しても、反射膜にリークすることは無くなる。この結果、カラーフィルタの形成時にピンホール等の不具合が生じても、透明電極へ流された電気は、予め設定されている回路以外に流れることは無く、使用時には何ら問題なく使用をすることができる。
【0013】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記反射表示部が前記透過表示部と隣接してなる端部には前記保護膜は設けられていないことを特徴とする。
【0014】
この電気光学装置用基板においては、保護膜は全て反射表示部の範囲内に設けられている。前記透明電極は、保護膜が形成する透過表示部の凹部の形状に合わせて当該透明電極も凹部を形成しているが、透明電極の凹部は、当該凹部の角部での断線を防止するために、凹部の側壁をテーパー状に形成し、角部を鈍角にして形成している。しかし、透明電極の凹部の側壁は、このようにテーパー状に形成されているため、光を通しにくくなっている。前記のように保護膜の全ての部分を反射表示部の範囲内に設けることにより、前記透明電極の凹部の側壁も反射表示部の範囲内に設けられることになる。従って、透過表示部を透過する光は、光を通し易い部分のみ通過するので、透過表示部での視認性が向上する。この結果、外部の明るさに影響されにくく、視認性の安定した電気光学装置用基板とすることができる。
【0015】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記絶縁膜は、前記透過表示部には設けられていないことを特徴とする。
【0016】
この電気光学装置用基板においては、透過表示部には絶縁膜を設けないので、光の着色や、外部への発光に必要な部分以外の部分を減少させることができる。この結果、カラーフィルタの厚みを確保することができるので、光の着色性が向上し、鮮やかな視認性を得ることができる。また、光の着色や、外部への発光に必要な部分以外へ透過が無くなるので、光の透過率が向上し、その向上に伴い、この光の光源の電気消費量を低減させることができる。
【0017】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記絶縁膜は、前記反射表示部の反射膜上のみに設けられてなることを特徴とする。
【0018】
この電気光学装置用基板においては、絶縁膜は反射表示部の反射膜上のみに形成されているので、絶縁膜をフォトレジストで形成する際のフォトマスクを、反射膜と同一のものを使用、またはフォトマスクのパターンを同一の形状とすることができる。この結果、反射膜用のフォトマスクと同一のフォトマスクを使用する場合は、フォトマスクの製造に要するコストを抑えることができる。また、フォトマスクを同一の形状とする場合でも、絶縁膜用として新にフォトマスクのパターンを設計する必要が無く、同様にフォトマスクの製造に要するコストを抑えることができる。
【0019】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記絶縁膜は、前記反射膜の形成時のレジスト材であることを特徴とする。
【0020】
この電気光学装置用基板においては、絶縁膜に、反射膜を形成する時に使用するレジスト材を、そのまま使用している。つまり、反射膜をフォトレジストにより形成する際に、紫外線等の感光により現像液に対して不溶性等に変質するタイプの、透明なネガ型レジスト材を使用する。これにより、レジスト材の変質後、現像液で現像して不要のレジスト材を除去し、エッチングでレジスト材が形成されていない部分の反射膜を除去することにより、反射膜と絶縁膜とを形成できる。即ち、反射膜の製造の一連の工程を行うことにより、反射膜が形成されると共に、絶縁膜も形成される。この結果、新たに絶縁膜を形成する工程を設ける必要が無く、絶縁膜を有する電気光学装置用基板を容易に製作することができる。
【0021】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記カラーフィルタは、前記透過表示部の部分と前記反射表示部の部分とでは、前記反射表示部の部分の方が前記透過表示部の部分よりも、表面が高くなるように段差が設けられてなることを特徴とする。
【0022】
この電気光学装置用基板においては、カラーフィルタが、反射表示部の部分の方が透過表示部の部分よりも表面が高くように段差を付けて形成されている。従って、絶縁膜を反射膜上に形成することに起因して、薄くなり得るカラーフィルタのその部分が厚さを、反射表示部の部分のカラーフィルタ、即ち、絶縁膜上のカラーフィルタを高くすることにより補うことができる。この結果、反射膜で反射した光に色を付ける部分のカラーフィルタの厚さが薄くならないため、絶縁膜を形成したことにより、反射膜で反射する部分の光の色が薄くなるのを防止できる。
【0023】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板は、前記絶縁膜は、カラーフィルタの上面全体若しくは下面全体に設けられてなることを特徴とする。
【0024】
この電気光学装置用基板においては、絶縁膜がカラーフィルタの上面全体若しくは下面全体に形成されている。絶縁膜をカラーフィルタの上面全体に形成した場合は、絶縁膜のさらに上面にある透明電極が、他の導体と接触するのを防止できる。従って、カラーフィルタにピンホール等が発生しても、透明電極に影響することは無い。また、反射膜の上部のカラーフィルタにピンホールが発生しても、ピンホールの中に入り込むのは絶縁膜であるため、透明電極の電気的な作用に影響を与えることは無い。また、絶縁膜をカラーフィルタの下面全体に形成した場合は、カラーフィルタの下面のどの部分も、さらにその下方とは遮断されている。これにより、カラーフィルタにピンホール等が発生しても、カラーフィルタの上方にある透明電極と、絶縁膜の下方にある反射膜との接触を確実に防止する事ができる。またカラーフィルタの、どの部分にピンホール等が発生しても、ピンホールに入った透明電極を絶縁膜で食い止めることができる。また、カラーフィルタの上面全体若しくは下面全体に絶縁膜を形成するので、絶縁膜に複雑なパターンを形成する必要がないため、絶縁膜の形成用のマスクを容易に作成でき、コストを抑えることができる。
【0025】
また、次の発明に係る電気光学装置は、一対の基板間に設けられてなる一対の配向膜を有し、さらに、その配向膜間に液晶が封入されてなる液晶層を有し、一対の基板のうちの片方の基板は、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気光学装置用基板であり、前記液晶層の反対側の面には、液晶層を照射する照明手段が設けられてなり、前記配向膜は、前記透明電極上に設けられてなることを特徴とする。
【0026】
この電気光学装置においては、液晶層を形成する一対の配向膜のうちの片方の配向膜の、液晶層の反対側に、前記電気光学装置用基板が設けられている。従って、カラーフィルタにピンホール等の欠陥が生じても、透明電極と反射膜との間に設けられた絶縁膜により、透明電極と反射膜とが導通することは無く、問題無く使用できる。この結果、製造時に些細な瑕疵が生じても、正常に作動する液晶表示パネルとすることができる。また、これにより製造時の不良率を下げ、利益率の上昇若しくはコストの低下を得ることができる。
【0027】
また、次の発明に係る電子機器は、上記の電気光学装置を備えたことを特徴とする。このため、カラーフィルタに些細なピンホール等の些細な瑕疵が生じても、それに起因して電気光学装置用基板の表示不良等の動作不良を起こすことも無く、高品質な電子機器を得ることができる。また、前記のような瑕疵では不良品にはならずに確実に作動をするため、製造時の不良率を低下させることができ、利益率の上昇若しくはコストの低下を得ることができる。
【0028】
また、次の発明に係る電気光学装置用基板の製造方法は、透過表示部と反射表示部を有する電気光学装置用基板の製造方法において、カラーフィルタ上に透明電極を積層することによって前記透過表示部を形成し、前記反射表示部は、反射膜上に絶縁膜、前記カラーフィルタ、保護膜、前記透明電極を積層することによって前記反射表示部を形成することを特徴とする。
【0029】
この電気光学装置用基板の製造方法においては、反射表示部を、反射膜上に絶縁膜、カラーフィルタ、保護膜及び透明電極を積層することによって製造している。この製造方法は、スパッタやエッチング等を繰り返すことにより、反射膜上に絶縁膜やカラーフィルタ、透明電極を形成している。従って、絶縁膜がカラーフィルタと反射膜との間にあるので、カラーフィルタの形成時に微小なピンホール等が発生した場合に、カラーフィルタの形成後に形成する透明電極がピンホールに入り込んでも、その透明電極は絶縁膜に遮られ、反射膜に接触することはない。これにより、透明電極に通電しても、反射膜にリークすることは無くなる。この結果、カラーフィルタの形成時にピンホール等の不具合が生じても、透明電極へ流された電気は、予め設定されている回路以外に流れることは無く、使用時には何ら問題なく使用をすることができる。
【0030】
また、次の発明に係る電気光学装置の製造方法は、上記の電気光学装置用基板の製造方法を用いたことを特徴とする。このため、カラーフィルタに些細なピンホール等の些細な瑕疵が生じても、それに起因して電気光学装置用基板の表示不良等の動作不良を起こすことも無く、高品質な電気光学装置を得ることができる。また、前記のような瑕疵では不良品にはならずに確実に作動をするため、製造時の不良率を低下させることができ、利益率の上昇若しくはコストの低下を得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。なお、以下の説明は、本発明に係る電気光学装置の一例として液晶表示パネルを説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る電気光学装置用基板を備える液晶表示パネルの構造示す一部断面図である。図2は、図1のA部詳細図(電気光学装置用基板断面図)である。図3は、図2に示した電気光学装置用基板にピンホールが生じた図である。この電気光学装置用基板10を備える液晶表示パネル100は、透明で平坦なガラス等から成る2枚の基板、表示面側基板101と照明手段側基板11との間に1組の配向膜103を有している。さらに、その配向膜103間に液晶を封入し、液晶層107を形成している。なお、図示は省略してあるが、この配向膜103間は複数のスペーサーによって所定の隙間が維持されており、配向膜103の周囲に設けられたシール材によって配向膜103間を密閉することにより、その部分に液晶層107が形成している。また、それぞれの配向膜103の液晶層107側には、それぞれ一定方向に溝が形成されており、液晶分子を所定の向きに揃えている。
【0033】
表示面側基板101の内側には、前記の1組の配向膜103の一方である表示面側配向膜104が設けられ、その間には表示面側透明電極102が形成されている。また、表示面側基板101の外側、つまり、表示面112側には表示面側位相差板110が設けられ、さらにその外側には、表示面側偏光板108が設けられている。照明手段側基板11の内側には前記の1組の配向膜103のもう一方である照明手段側配向膜105が形成されている。この照明手段側配向膜105と照射手段側基板11との間には、照明手段側透明電極17、保護膜19、カラーフィルタ16、遮光層15、反射膜13及び散乱層12とが設けられている。また、照明手段側基板11の外側、つまり、照明手段側には照明手段側位相差板111が設けられ、さらにその外側には、照明手段側偏光板109が設けられている。また、照明手段側基板11と、照明手段側基板11の液晶層107側の面に設けられている散乱層12とは、基板部として形成されており、電気光学装置用基板10を形成する基礎の部分となっている。
【0034】
照明手段は、照明手段側偏光板109の、液晶層107側の面の反対側に設けられ、照明手段としてバックライト25が備えられている。バックライト25は、集光部251と導光部252とから形成されている。集光部252は、蛍光ランプ251aと、内側にリフレクタ251cを有するランプホルダ251bから形成されている。導光部252は、矩形で所定の厚さを有する導光体252、導光体252の一方の面に設けてある反射シート252b、及び導光体252の他方の面に設けてある拡散シート252cから形成されている。集光部251は、集光部251の蛍光ランプ251aが、導光体252aの一つの辺の近傍に、当該辺とほぼ平行になるように設けられることによって形成されている。集光部251のランプホルダ251bは、その内側に有するリフレクタ251cで、蛍光ランプ251aの光を導光体252aに向けて反射できる様に設けられている。このバックライト25が、導光部252の拡散シート252cが照明手段側基板11に面する向きに、導光体252aと照明手段側基板11とがほぼ平行になるように設けられている。
【0035】
なお、上記のバックライト25はサイドライト式バックライトであるが、複数の蛍光ランプ251aを照明手段側基板11とほぼ平行に並べて形成する直下方式バックライトや、その他の形式を使用してもよい。さらに、蛍光ランプ251a変わりに発光ダイオードや、有機ELなどを用いても構わない。所定の光量で液晶層を照らせる方法なら、その形状や方法、形式は問わない。
【0036】
散乱層12は、照明手段側基板11の液晶層107側の面に形成されている。この散乱層12は、アクリル樹脂等の透明な樹脂から形成されている。この散乱層12の照明手段側基板11側の面は、照明手段側基板11に沿って平面となっており、液晶層107側の面には散乱面12aが形成されている。散乱面12aは、凹凸が所定のパターンで連続して設けられた面となっている。なお、この散乱面12aの凹凸は、円錐、角錐、その他の形状またはランダム形状でもよい。また、その配列パターンは、一定のパターンでも、ランダムに形成しているパターンでもよい。
【0037】
反射膜13は、散乱層12の散乱面12a側に設けられている。この反射膜13は、アルミなど、光を反射させることの出来る物質から形成されている。また、この反射膜13は、所定の孔を開けて、若しくは複数の反射膜が間隔を開けて設けられた反射膜透過部13bが形成されている。さらに、反射膜13の、散乱層12の反対側の面には、反射面13aが設けられている。この反射面13aは、凹凸が所定のパターンで連続して設けられた面となっている。なお、この反射面13aの凹凸は、円錐、角錐、その他の形状またはランダム形状でもよい。また、その配列パターンは、一定のパターンでも、ランダムに形成しているパターンでもよい。
【0038】
絶縁膜14は、反射膜13の反射面13a側に形成されている。この絶縁膜14は、反射膜13がある部分のみに形成されており、反射膜13と同じ形状で、つまり、反射膜13と同様に絶縁膜透過部14aを形成して設けられている。この絶縁膜14は、透明な樹脂、例えばアクリル樹脂等により形成されており、その厚さは、アクリル樹脂であれば5000〜10000Å程度が好ましい。
【0039】
遮光層15は、絶縁膜14の、反射膜13の反対側の面に設けられている。この遮光層15は、各ドットの境界部に設けられており、ドットの境界に合わせてパターン化した形状で形成されている。遮光層15は、カラーフィルタ16と同じ材料で形成されており、各色(赤、緑、青)が重ねられることにより形成されている。なお、この遮光層15はカラーフィルタ16と同じ材料を使用して色を黒一色としてもよく、また、金属膜等から形成してもよく、光を通さない材料ならば、いずれのものを使用しても構わない。
【0040】
カラーフィルタ16は、散乱層12の散乱面12a側に形成されている。このカラーフィルタ16は、反射膜透過部13bと絶縁膜透過部14aによって露出した部分の散乱層12上と、反射膜13及び絶縁膜14を覆うように形成されている。さらにこのカラーフィルタ16は、絶縁膜14上のカラーフィルタ16の方が、散乱層12上のカラーフィルタ16に対して、液晶層107側に高くなった段差を付けて形成されている。また、絶縁膜14上のカラーフィルタ16の厚さは、絶縁膜14上に有する遮光層15よりも薄いため、当該カラーフィルタ16は、各遮光層15に囲まれた範囲にのみ設けられている。これにより遮光層15は、カラーフィルタ16に対して、液晶層107方向に飛び出して形成されている。この前記の各範囲のカラーフィルタ16は、それぞれが各ドットの光を着色するフィルタとなっており、表示するドットによって、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色に着色された有色透明のフィルタとして形成されている。この各色のカラーフィルタ16の境界に、前記遮光層15は設けられている。
【0041】
なお、カラーフィルタ16の各色の配列は、同じ色を縦に並べる縦ストライプ、各色を表示画面上の次の行で半ドット分ずらしたデルタ配列、1ドット分ずつずらしたモザイク配列など、いずれの配列としてもよい。また、カラーフィルタ16の、散乱層12、反射膜13及び絶縁膜14側の面は、散乱面12a、反射膜13及び絶縁膜14に沿って形成されている。
【0042】
透明電極は、表示面側透明電極102、照明手段側透明電極17共にITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)導電膜等により形成されている。また、照明手段側透明電極17は、照明手段側に凸となって形成する透明電極凹部18が、複数形成されている。この透明電極凹部18は、その凹部が有する一対の側壁が、双方の間隔が開口部18aの位置よりも底部18bの位置の方が狭くなるようにテーパー状に形成された、テーパー部18cとなっている。これにより、凹部を形成する四箇所の角部18dは、全て鈍角となって形成されている。さらに、この角部18dのうち、テーパー部18cと底部18bとで形成される角部18dは、接続部18eとして形成されている。また、照明手段側透明電極17は、透明電極凹部18の底部18bが、カラーフィルタ16の散乱層12側の面の反対側の面に接して設けられている。さらに、この底部18bは、前記反射膜透過部13b及び絶縁膜透過部14aよりも幅が広く形成されている。この底部18bを反射膜透過部13b側から見た場合、反射膜透過部13bが完全に底部18b内に収まる関係、つまり、接続部18eが反射膜13と重なる位置に、透明電極凹部18は設けられている。
【0043】
保護膜19は、照明手段側透明電極17の照明手段側の面で、透明電極凹部18が無い部分に設けられている。また、この保護膜19は、照明手段側透明電極17の透明電極凹部18以外の部分と、カラーフィルタ16及び絶縁膜14との間に設けられている。このため、保護膜19は、照明手段側透明電極17、カラーフィルタ16及び絶縁膜14に沿った形状となって形成している。また、この保護膜19は、透明な樹脂材料から形成されており、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂等により形成されている。
【0044】
上記のように、本発明の電気光学装置用基板10は、上記の照明手段側基板11と散乱層12とから形成される基板部、反射膜13、絶縁膜14、遮光層15、カラーフィルタ16、保護膜19及び照明手段側透明電極17から形成されている。また、反射膜透過部13b及び絶縁膜透過部14aが形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、カラーフィルタ16及び照明手段側透明電極17は、透過表示部20として形成されている。さらに、反射膜13が形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、反射膜13、絶縁膜14、遮光層15、カラーフィルタ16、保護膜19及び照明手段側透明電極17は、反射表示部21として形成されている。また、当該液晶表示パネル100は液晶層107に2つ以上の異なる厚さを形成するため、照明手段側配向膜105に、照明手段側に凸となった保護膜凹部106を複数形成している。照明手段側配向膜105の保護膜凹部106以外の部分は、表示面側配向膜104とほぼ平行な平面として形成されている。前記の配向膜103に形成された一定方向の溝は、これらの配向膜103の、それぞれの配向膜103に面している側、及び保護膜凹部106の凹側の面に設けられている。
【0045】
前記電気光学装置用基板10は、照明手段側透明電極17に形成された透明電極凹部18の凹側に、保護膜凹部106の凸側が入り込むように、つまり、保護膜凹部106の照明手段側から、透明電極凹部18が保護膜凹部106を囲むように重ねられて形成されている。また、保護膜凹部106が無い部分の照明手段側透明電極17は、照明手段側配向膜105に沿って形成されている。このように、照明手段側透明電極17が照明手段側配向膜105の外側に形成されることによって、当該電気光学装置用基板10は液晶表示パネル100に備えられている。
【0046】
図4は、実施の形態1の電気光学装置用基板の製造工程のフロー図である。当該電気光学装置用基板10の製造工程の一例を説明する。まず、照明手段側基板11の素材となる素ガラスに、アクリル樹脂を塗布して散乱層12を形成する。その後、後に反射膜13となるアルミニウムをスパッタリング装置(図示省略)によって散乱層12の上にスパッタし、アルミ薄膜を成膜する(ステップST1)。このアルミ薄膜の上に、スピン式塗布装置やローラ式塗布装置などのレジスト塗布装置(図示省略)によって、透明なネガ型レジスト材を塗布する。このネガ型レジスト材は、紫外線などを照射することにより、重合または架橋して現像液に対して不溶性、又は難溶性となる感光性の性質を持つ。このレジスト材の上に、アルミ薄膜を残したい部分が透明となったフォトマスク、つまり、反射膜13の形状にパターンニングされたフォトマスクを重ね、フォトマスクの上からレジスト材に向けて紫外線などを露光する。すると、反射膜13の形状にパターンニングされたフォトマスクに合わせて、レジスト材の反射膜13の形状の部分のみが、前記のように不溶性等に変質される。このレジスト材を現像液によって現像して変質した部分だけを残し、それ以外の部分は除去する。これにより、レジスト材は、反射膜13の形状の部分だけが残り、その形状で形成されることになる。
【0047】
アルミ薄膜のうち、反射膜13として不要の部分はエッチングによって除去する。このエッチングは、エッチング液によって処理するウェットエッチングや、減圧下でのガス放電により反応させてガス状にして処理するドライエッチング等があるが、いずれの方法で行ってもよい。このエッチングによってアルミ薄膜の不要な部分は除去され、反射膜13が形成される。さらに、レジスト材も同様の形状で反射膜13上に有しているが、この透明なレジスト材を絶縁膜14として使用するため、絶縁膜14も同時に形成される(ステップST2)。
【0048】
カラーフィルタ16は、着色材として用いる顔料をレジスト材に分散させた、着色樹脂を使用する。この着色樹脂は、カラーフィルタ16の各色、即ち、赤、青、緑の三色がある。また、この着色樹脂は前記の絶縁膜14と同様に、紫外線などを感光すると、現像液に対して不溶性等となる性質を有する。この着色樹脂を各色ごとに形成していくが、その一色分の工程を説明する。まず、前記の着色樹脂を前記の状態の上から、つまり、絶縁膜14及び散乱層12の上から塗布する。その後、その色のパターンに合わせてパターンニングされたフォトマスクを使用して、フォトマスクを介して着色樹脂を露光する。これにより、フォトマスクのパターンに合わせて、感光した部分の着色樹脂が、現像液に対して不溶性等の性質に変質するので、これを現像液で現像すると、感光した部分以外は除去され、所定のパターンのカラーフィルタ16を形成できる(ステップST3)。これらの作業を一色のカラーフィルタ16の工程とし、これを三色分繰り返すことによって、三色のカラーフィルタ16を形成することができる。また、その際に各色用のフォトマスクとも、遮光層15の形状に合わせたパターンをフォトマスクに形成することにより、遮光層15の部分にはカラーフィルタ16の三色が重なることになり、三色が重なっているので、光を通さない遮光部15を形成できる。
【0049】
保護膜19は、前記のように透明なアクリル樹脂等の保護膜レジストで形成されている。また、この保護膜レジストも前記着色樹脂等と同様に、紫外線などの感光より、現像液に対して不溶性等となる性質を有する。この保護膜レジストをカラーフィルタ16上に塗布する。その後、保護膜19のパターンに合わせて、つまり、透明電極凹部18の部分を除いて保護膜19がカラーフィルタ16上に形成するように、保護膜19用のフォトマスクをパターンニングする。このフォトマスクを介して紫外線等を露光することにより、保護膜レジストは、保護膜19のパターンで前記のように変質する。この保護膜レジストを現像液で現像すると、保護膜レジストの不要な部分が除去され、保護膜19が形成される(ステップST4)。また、その際に透明電極凹部18が、前記のようにテーパー部18cを形成できるように、その部分の保護膜19を、テーパー部18cを形成出来る形状に形成する。
【0050】
照明手段側透明電極17の形成は、まず、ITOを保護膜19上、及びカラーフィルタ16上に、スパッタによって成膜する(ステップST5)。このITO薄膜上に、レジスト塗布装置(図示省略)によってレジストを塗布する。このレジスト材も、前述のように、紫外線等で感光することにより、現像液に対して不溶性等となる性質を有する。この状態で、照明手段側透明電極17の形状にパターンニングされたフォトマスクを介して、紫外線等を露光することにより、レジストは照明手段側透明電極17のパターンの部分が、前記のように変質する。このレジストを現像液で現像すると、レジストの不要な部分が残る。つまり、レジストは照明手段側透明電極17の形状で残りこととなる。これを、前記反射膜13のエッチングのように、ウエットエッチングやドライエッチングなどの方法でエッチングすることにより、ITO薄膜のうち、レジストが形成されていない部分が除去される。さらに、レジスト剥離液によってレジストを剥離すると、ITO薄膜だけが残り、照明手段側透明電極17が形成される(ステップST6)。
【0051】
これらの工程により、電気光学装置用基板10は製造される。なお、各レジスト材の材料やその塗布方法、現像方法、レジストの剥離方法、さらに、エッチング方法は上記以外の方法でも構わない。また、カラーフィルタ16は、顔料でレジストを着色した着色樹脂を使用し、着色材料を直接現像しているが、その他の材料、方法でも構わない。また、遮光層15は、三色のカラーフィルタ16を重ねることによって形成しているが、黒く着色した樹脂や、金属など光を遮蔽できる材料ならば、その他の材料を使用しても構わない。最終的に実施の形態1の電気光学装置用基板10を製造できる方法ならば、いずれの方法で製造してもよい。さらに、この電気光学装置用基板10の照明手段側透明電極17に照明手段側配向膜105を重ねて形成し、当該照明手段側配向膜105と隙間を形成するように表示面側配向膜104を設けて液晶層107を形成する。さらに表示面側配向膜104から順に表示面112方向に、表示面側透明電極102、表示面側基板101、表示面側位相差板110及び表示面側偏光板108を形成することにより、当該電気光学装置用基板10は、液晶表示パネル100に備えられることとなる。
【0052】
この実施の形態1に係る電気光学装置用基板10は、透明電極凹部18の底部18bを、透過表示部20よりも広く形成している。また、接続部18eが反射表示部に位置している、つまり、接続部18eが反射13と重なる位置となって形成している。これらの状態で、照明手段側透明電極17、カラーフィルタ16、絶縁膜14及び反射膜13は重ねて形成している。従って、透明電極凹部18のテーパー部18cは透過表示部20上に無いため、バックライト25で照射し、透過表示部20を通過した光は、いずれのものに遮られることもなく、液晶層107を透過できる。また、このテーパー部18cは、外部から液晶層107内に入った光を再び液晶層107に反射する反射面13a上にある。これら結果、この電気光学装置用基板10は、バックライト25で照射した光による液晶表示の視認を重視した液晶表示パネル100に適合させることができる。
【0053】
さらに、カラーフィルタ16は、絶縁膜14上に形成されたカラーフィルタ16の方が、散乱層12上に形成されたカラーフィルタ16に対して、液晶層107側に高くなった段差を付けて形成されている。つまり、反射表示部21のカラーフィルタ16の方が、透過表示部20のカラーフィルタ16に対して液晶層107側に高く形成している。従来の電気光学装置用基板に反射膜上透明な物質からなる絶縁膜14を形成した場合には、その形成に起因してカラーフィルタの厚さが薄くなり、反射表示部21の光の着色が薄くなることがある。しかし、このように、カラーフィルタ16の反射表示部21の部分を透過表示部20に対して液晶層107側に高く形成することにより、厚さを補い、従来の反射表示部21と同等の厚さを確保できる。この結果、透過表示部20と反射表示部21とで着色ムラの無い、良好な表示を得られる液晶表示パネル100を形成できる電気光学装置用基板10とすることができる。また、散乱面12aの凹凸及び反射面13aの凹凸は、光を散乱させることにより、表示面112の表示を広角度で認識でき、見易い液晶表示パネル100にすることができる。さらに、透明電極凹部18を形成する角部18dは全て鈍角であるため、断線を防止し、液晶表示パネル100を確実に作動させることができる。
【0054】
また、この実施の形態1に係る電気光学装置用基板10は、透明電極凹部18の底部18bのうちの接続部18e近傍と反射膜13との間には、カラーフィルタ16のみでなく、カラーフィルタ16と反射膜13との間に絶縁膜14が形成されている。これにより、カラーフィルタ16の形成時に、接続部18e近傍の底部18bと反射膜13との間のカラーフィルタ16にピンホール16a等が生じ、カラーフィルタ16の形成後に形成する照明手段側透明電極17がそのピンホール16aに侵入しても、カラーフィルタ16と反射膜13との間にある絶縁膜14でその侵入は止まる。これにより、照明手段側透明電極17と反射膜13とが接触することは無くなる。この結果、液晶層107を制御するために照明手段側透明電極17に電流を流しても、照明手段側透明電極17と反射膜13とは導通せず、その電流が反射膜13にリークすることが無くなるので、表示面112に横線が入る線欠陥などの、表示面112の表示不良を防止できる。
【0055】
なお、透明電極凹部18以外の部分の照明手段側透明電極17と反射膜13との間にあるカラーフィルタ16に、ピンホール16aが生じた場合は、この部分の照明手段側透明電極17とカラーフィルタ16との間にある保護膜19により、照明手段側透明電極17と反射膜13との接触を防止出来る。また、透過表示部20のカラーフィルタ16にピンホール16aが生じた場合は、透過表示部20には反射膜13が無いので、照明手段側透明電極17と反射膜13とが接触することは無い。これらにより、カラーフィルタ16のどの部分にピンホール16aが生じても、照明手段側透明電極17の電流のリークによる表示面112の表示不良を防止できる。また、絶縁膜14の材料として、反射膜13形成時の透明なネガ型レジスト材を使用しているため、反射膜13をこのネガ型レジスト材によって形成後、ネガ型レジスト材を剥離せず、これをそのまま絶縁膜14として使用している。これにより、絶縁膜14の形成のための新たな工程を設ける必要がなく、さらに、ネガ型レジスト材を剥離しないので、その分の工程を従来の工程から減らすことができる。この結果、工程を減らした分、製造コストを抑えることができ、さらに、工程が減った分、電気光学装置用基板10を容易に製作できる。
【0056】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る電気光学装置用基板の構造を示す一部断面図である。図6は、図5の電気光学装置用基板の製造工程のフロー図である。この電気光学装置用基板30は、実施の形態1に係る電気光学装置用基板10と略同様の構成であるが、絶縁層膜31が、カラーフィルタ16と、反射膜13及び散乱層12との間の全体に形成している点に特徴がある。他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに同一の符号を付す。実施の形態2の電気光学装置用基板30は、反射膜13及び散乱層12の液晶層107側全面に、絶縁膜31が形成している。つまり、カラーフィルタ16の照明手段側全体に絶縁膜31が形成している。これにより、実施の形態2の電気光学装置用基板30の透過表示部32は、反射膜透過部13bが形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、絶縁膜31、カラーフィルタ16及び照明手段側透明電極17とから形成している。また、反射表示部33は、反射膜13が形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、反射膜13、絶縁膜31、遮光層15、カラーフィルタ16、保護膜19及び照明手段側透明電極17とから形成している。
【0057】
この実施の形態2の電気光学装置用基板30の製造工程は、実施の形態1の電気光学装置用基板10とほぼ同様であるが、反射膜13及び絶縁膜31の形成が、実施の形態1と異なっている。反射膜13の形成は従来のようにアルミ薄膜をエッチングした後、レジストを剥離して形成する(ステップST2)。また、絶縁膜31の形成は、反射膜透過部13bが形成されている部分の散乱層12及び反射膜13の、液晶層側107全面に実施の形態1の絶縁膜14形成用のレジスト材と同等のレジスト材を塗布する。その後、外縁の不要な部分のみを除去できるフォトマスクを介して紫外線などを露光し、現像液で現像することによって形成できる(ステップST3)。このため、絶縁膜31用のフォトマスクに、細かなパターンニングを行う必要がない。この結果、絶縁膜31用のフォトマスクにパターンニングを施す作業が省け、その分のコストを抑えることができる。
【0058】
(実施の形態3)
図7は、実施の形態3に係る電気光学装置用基板の構造を示す一部断面図である。図8は、図7の電気光学装置用基板の製造工程のフロー図である。この電気光学装置用基板40は、実施の形態1に係る電気光学装置用基板10と略同様の構成であるが、絶縁層膜41が、カラーフィルタ16の照明手段側透明電極側17の全体に形成している点に特徴がある。他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに同一の符号を付す。実施の形態3の電気光学装置用基板40は、カラーフィルタ16の照明手段側透明電極側17の全体に絶縁膜41が形成されている。つまり、透明電極凹部18及び保護膜19の、照明手段側全体に絶縁膜41が形成されている。これにより、実施の形態3の電気光学装置用基板40の透過表示部42は、反射膜透過部13bが形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、カラーフィルタ16、絶縁膜41及び照明手段側透明電極17とから形成している。また、反射表示部43は、反射膜13が形成されている部分に上下方向に積層された、基板部、反射膜13、遮光層15、カラーフィルタ16、絶縁膜41、保護膜19及び照明手段側透明電極17とから形成している。
【0059】
この実施の形態3の電気光学装置用基板40の製造工程は、実施の形態1の電気光学装置用基板10とほぼ同様だが、反射膜13及び絶縁膜41の形成が、実施の形態1と異なっている。反射膜13の形成は従来のようにアルミ薄膜をエッチングした後、レジストを剥離して形成する(ステップST2)。また、絶縁膜41の形成は、カラーフィルタ16の照明手段側透明電極17側全面に実施の形態1の絶縁膜14形成用のレジスト材と同等のレジスト材を塗布する。その後、外縁の不要な部分のみを除去できるフォトマスクを介して紫外線などを露光し、現像液で現像することによって形成できる(ステップST4)。このため、絶縁膜41用のフォトマスクに、細かなパターンニングを行う必要がない。この結果、絶縁膜41用のフォトマスクにパターンニングを施す作業が省け、その分のコストを抑えることができる。なお、この絶縁膜41と保護膜19は同じ材料を使用するので、絶縁膜41をカラーフィルタ16全体に形成後、フォトマスクを使用して、実施の形態1のように保護膜19を形成する。
【0060】
(変形例)
図9は、実施の形態1の電気光学装置用基板の変形例の製造工程のフロー図である。実施の形態1の電気光学装置用基板10の絶縁膜14は、透明なネガ型レジスト材を使用しているが、これを酸化シリコン膜(SiO2)等の透明な無機膜によって形成してもよい。酸化シリコン膜を使用する場合には、反射膜13はアルミ膜層をエッチングした後に、レジスト材を剥離する(ステップST2)。その後、酸化シリコンを反射膜13、散乱膜12の上にスパッタし、酸化シリコン膜を成膜する(ステップST3)。この酸化シリコン膜の上に、上記のレジスト材と同様、紫外線などを当てると変質する感光性のレジスト材を塗布する。さらにその上から、反射膜13と同じ形状にパターンニングされたフォトマスクを介して、紫外線などを露光する。これにより、レジスト材の感光した部分のみが変質する。これを現像液で現像すると、感光していない部分、つまり、反射膜13の形状以外のレジスト材が除去され、レジスト材が反射膜13の形状で残る。その後、レジスト材が形成されていない部分の酸化シリコン膜を、エッチングによって除去する。さらにその後、レジスト材を剥離液によって剥離すると、酸化シリコンからなる絶縁膜51を、反射膜13上に反射膜13とほぼ同じ形状で形成できる(ステップST4)。なお、その厚さは、酸化シリコン膜であれば1000Å程度が好ましい。
【0061】
また、酸化シリコンからなる絶縁膜51は、実施の形態1の電気光学装置用基板10だけでなく、実施の形態2の電気光学装置用基板30の絶縁膜31、又は実施の形態3の電気光学装置用基板40の絶縁膜41を酸化シリコンで形成してもよい。この場合は、実施の形態1の変形例と同様に酸化シリコンを、反射膜透過部13bが形成されている部分の散乱層12及び反射膜13の、液晶層側107全面にスパッタする。または、カラーフィルタ16の照明手段側透明電極17側全面にスパッタする。これらの上から、感光性のレジスト材を塗布し、その後、外縁の不要な部分を除去できる形状のフォトマスクを介して、紫外線などを露光する。さらにその後、現像液で現像すると、反射膜透過部13b、散乱層12及び反射膜13形状、または、カラーフィルタ16の形状以外の部分のレジスト材が除去される。これにより、レジスト材からはみ出した部分の酸化シリコン膜を、エッチングによって除去し、残ったレジスト材を剥離液によって剥離すると、酸化シリコンからなる絶縁膜51が、反射膜13及び散乱層12、または、カラーフィルタ16の全面に形成される。これらの結果、絶縁膜の材料に感光性のあるレジスト材を使用しなくても、それ以外の透明な無機膜等の所定の材料を使用することにより、上記の方法で照明手段側透明電極17と反射膜13の導通を防止する絶縁膜51を形成できる。
【0062】
(本発明の適用対象)
本発明に係る電気光学装置用基板及び電気光学装置が適用できる電子機器としては、携帯電話機の他に、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器や携帯型パーソナルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機等、電気光学装置を用いる機器が挙げられる。従って、これらの電子機器における電気的接続構造であっても、本発明が適用可能であることはいうまでもない。
【0063】
また、この電気光学装置は、透過型又は反射型の電気光学装置であり、照明装置をバックライトとして用いる。なお、アクティブマトリックス型のカラー電気光学装置であっても同様である。また、パッシブマトリクス型の電気光学装置のみならず、アクティブマトリクス型の電気光学装置(例えば、TFT(薄膜トランジスタ)やTFD(薄膜ダイオード)をスイッチング素子として備えた電気光学装置)にも同様に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る電気光学装置用基板を備える液晶表示パネルの断面図。
【図2】実施の形態1に係る電気光学装置用基板の断面図(A部詳細図)。
【図3】実施の形態1に係るカラーフィルタにピンホールが生じた図。
【図4】実施の形態1に係る電気光学装置用基板の製造工程のフロー図。
【図5】実施の形態2に係る電気光学装置用基板の断面図。
【図6】実施の形態2に係る電気光学装置用基板の製造工程のフロー図。
【図7】実施の形態3に係る電気光学装置用基板の断面図。
【図8】実施の形態3に係る電気光学装置用基板の製造工程のフロー図。
【図9】実施の形態1の変形例の製造工程のフロー図。
【図10】従来の電気光学装置用基板の一例を示す断面図。
【符号の説明】
10 電気光学装置用基板、11 照明手段側基板、12 散乱層、13 反射膜、14 絶縁膜、15 遮光層、16 カラーフィルタ、16a ピンホール、17 照明手段側透明電極、18 透明電極凹部、18a 開口部、18b 底部、18c テーパー部、18d 角部、18e 接続部、19 保護膜、20 透過表示部、21 反射表示部、25 バックライト、100 液晶表示パネル、103 配向膜、105 照明手段側配向膜、106 保護膜凹部、112 表示面
Claims (11)
- 透過表示部と反射表示部を有する電気光学装置用基板において、
前記透過表示部は、カラーフィルタ上に透明電極が設けられてなり、
前記反射表示部は、反射膜上に絶縁膜を介して前記カラーフィルタが形成され、且つ、前記カラーフィルタ上に保護膜を介して前記透明電極が設けられてなることを特徴とする電気光学装置用基板。 - 前記反射表示部が前記透過表示部と隣接してなる端部には前記保護膜は設けられていないことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
- 前記絶縁膜は、前記透過表示部には設けられていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置用基板。
- 前記絶縁膜は、前記反射表示部の反射膜上のみに設けられてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置用基板。
- 前記絶縁膜は、前記反射膜の形成時のレジスト材であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電気光学装置用基板。
- 前記カラーフィルタは、前記透過表示部の部分と前記反射表示部の部分とでは、前記反射表示部の部分の方が前記透過表示部の部分よりも、表面が高くなるように段差が設けられてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電気光学装置用基板。
- 前記絶縁膜は、カラーフィルタの上面全体若しくは下面全体に設けられてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電気光学装置用基板。
- 一対の基板間に設けられてなる一対の配向膜を有し、さらに、その配向膜間に液晶が封入されてなる液晶層を有し、
一対の基板のうちの片方の基板は、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気光学装置用基板であり、前記液晶層の反対側の面には、液晶層を照射する照明手段が設けられてなり、前記配向膜は、前記透明電極上に設けられてなることを特徴とする電気光学装置。 - 請求項8に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
- 透過表示部と反射表示部を有する電気光学装置用基板の製造方法において、
カラーフィルタ上に透明電極を積層することによって前記透過表示部を形成し、
前記反射表示部は、反射膜上に絶縁膜、前記カラーフィルタ、保護膜、前記透明電極を積層することによって前記反射表示部を形成することを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。 - 請求項10に記載の電気光学装置用基板の製造方法を用いたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
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JP2012234009A (ja) * | 2011-04-28 | 2012-11-29 | Toppan Printing Co Ltd | 反射型液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法およびそれによって得られるカラーフィルタ基板 |
WO2021249144A1 (zh) * | 2020-06-11 | 2021-12-16 | 京东方科技集团股份有限公司 | 显示基板及其制作方法、显示装置 |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003155856A patent/JP2004354950A/ja not_active Withdrawn
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