JP2004354395A - マップマッチング方法と装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速での処理が可能なマップマッチング方法を提供。
【解決手段】 複数の階層a、b、cに階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つ道路網データを用いて、始めに最上位の階層aの道路網と、対象道路の形状を表す形状ベクトルとのマッチングを取り、最上位の階層aの道路網では形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、他の階層bまたはcの道路網と形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、対象道路を特定するようにしている。交通情報の対象道路などは、多くの場合、最上位の階層aの道路網を用いたマップマッチングで対象道路を特定することが可能であり、マップマッチングの高速化が可能になる。
【選択図】図2

Description

本発明は、マップマッチングの方法と、それを実施する装置及びコンピュータプログラムに関し、特に、高速でのマップマッチングを可能にするものである。
従来、カーナビゲーション装置は、例えば、下記特許文献1に記載されているように、地図データを保持し、走行車両の地図データ上の位置を特定するために、例えば1秒間隔でマップマッチングを実施している。この地図データには、道幅3.3m以上の道路の全てが含まれている。この中から、自車位置周辺の限られたエリア(通常、数百m四方程度)の地図データを対象としてマップマッチングを行い、自車位置に相当する地図上の地点を求めている。
マップマッチングには、いくつかの方法が知られている。例えば、マクロマップマッチングのアルゴリズムは次のようなものである。
(1)図35(a)に示すように、GPS受信機で求めた車両位置を、形状ベクトル上に作成した点であるWP(ウエイポイント)として、WPの周辺のリンクを探索し、1番目のWP1を中心とするAメートル(250m程度)四方の中で車両の進行方位との差が±B°(例えば45°程度)以内の方位を持つリンクを検出し、このリンクを候補点(×印)に設定する。候補点のリンク数(n)は5〜8個程度とする。図35(b)では、WP1の候補点を1−1、1−2、1−3としている。
(2)図35(b)に示すように、次のWP2を中心とするAメートル四方の中で車両の進行方位との差が±B°以内の方位を持つリンクを検出し、n個のリンクを候補点(2−1、2−2、2−3)として設定する。
(3)この処理を最後のWPに達するまで繰り返す。
(4)各々の候補点間を道路リンクに沿って接続し、形状パターンを作成する。候補点間が道路に沿って接続しないケース(例えば、WP3の候補点3−3、3−2は、次のWP4の候補点と道路に沿って接続することができない)では、形状パターンを作成しない。
(5)各々の形状パターンと、WP1、WP2、‥の形状とを比較し、最も似通った形状パターン、即ち、距離が近く、標準偏差等によって評価したWP1、WP2、‥の形状とのばらつきが小さいものを一つ選出する。
この(4)で得られる形状パターンは、WPの数がM個で、各WP当たりの候補点が平均N個得られたとするとNM個の組み合わせとなり、通常、数千〜数万の数となる。
ところで、本発明の発明者は、マップマッチングを使用した交通情報伝達方式を提案している(特願2002−89069号)。この方式では、道路に沿って変化する交通情報の状態量(旅行時間や渋滞度など)を、道路を表す形状ベクトルの基準ノードからの距離の関数で表し、この交通情報のデータと道路形状を示す形状ベクトルのデータとをユーザ端末に提供する。ユーザ端末は、形状ベクトルデータを用いてマップマッチングを行い交通情報の対象道路を特定し、交通情報のデータから、この道路における交通情報を再現する。
図36(b)は、この方式で伝達される交通情報のデータを示し、図36(a)は、この交通情報データと共に伝達される道路の形状ベクトルデータを示している。また、これらのデータは符号化してデータ量を圧縮することもできる。図37(a)、(b)は、符号化した形状ベクトルデータ及び交通情報データを示している。これらを受信したユーザ端末は、形状ベクトルデータ及び交通情報データを復号化した後、同じように、形状ベクトルデータに含まれる各ノードをWPとするマップマッチングで交通情報の対象道路を特定し、交通情報データから対象道路における交通情報を再現する。
これまでの交通情報では、ノードやリンクに統一的な番号を付与し、その番号で対象道路を特定しているが、この場合には、道路の新設や経路変更に伴い、ノード番号やリンク番号の更新が必要であり、道路の新設や経路変更は将来的に止むことが無いから、統一番号を使用する方法は大きなメンテナンス負担を余儀なくされる。これに対して、この交通情報伝達方式では、マップマッチングで道路位置を特定しているため、ノードやリンクに統一番号を付ける必要がなく、負担の軽減を図ることができる。
特開平7−260499号公報
しかし、この交通情報伝達方式では、受信側装置(デコーダ:ナビゲーション装置等)が交通情報に含まれる広範囲(例えば東京都区内全体、あるいは10km四方など)で長い区間を対象とするマップマッチングを行う必要がある。マップマッチングの処理においても、前述する車両位置特定のために用いているWPを使用した場合には、WPの周辺に沢山の候補点ができたときに、候補点の検索処理(前記マクロマップマッチングの(1)、(2)の処理)に多くの時間が掛かる。この時間はWPの数に比例して増加する。また、各候補点間の組み合わせは、候補点の数及びWPの数に応じて指数的に増加し、形状パターンの作成処理(前記(4)の処理)及び比較処理(前記(5)の処理)に多大の時間が掛かることになる。そのため、マップマッチングの処理時間を短くすることが課題となる。
また、各地を走行する車両(プローブ)の走行データをセンターで収集して交通情報の作成に活用するプローブ収集システムでは、多数のプローブから、走行軌跡を示す位置データが1つのセンターに集まり、センターは、この位置データからマップマッチングで各プローブが走行している道路を特定する。そのため、多数のプローブからのデータを迅速に処理できるようにマップマッチングの高速化が求められる。
本発明は、こうした課題を解決するものであり、高速での処理が可能なマップマッチング方法を提供し、また、それを実現する装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
そこで、本発明のマップマッチング方法では、マップマッチングの対象道路に該当する頻度に偏りを有する道路網に対して、前記頻度に応じた優先順位を設定し、前記対象道路とマッチングを取る道路網を、前記優先順位に基づいて制限し、前記対象道路の形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないとき、前記優先順位による制限を緩和して、前記対象道路とマッチングを取る道路網の範囲を広げるようにしている。また、異なる重みが付されている道路網の集合から成る一枚の地図の道路網データを用いて、始めに、重みが比較的大きい道路網と、対象道路の形状を表す形状ベクトルとのマッチングを取り、重みが比較的大きい道路網では前記形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、前記道路網に重みがより小さい道路網を加えた道路網と前記形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、前記対象道路を特定するようにしている。
また、複数の階層に階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つ道路網データを用いて、始めに最上位の階層の道路網と、対象道路の形状を表す形状ベクトルとのマッチングを取り、最上位の階層の道路網では形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、他の階層の道路網と形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、対象道路を特定するようにしている。
また、本発明では、受信装置に、デジタル地図と、このデジタル地図から作成された、複数の階層に階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つマップマッチング用の道路網データと、対象道路の形状を表す形状ベクトルを含むデータを受信するデータ受信部と、前記道路網データを用いて前記形状ベクトルのマップマッチングを行い、対象道路を特定するマップマッチング部とを設け、マップマッチング部が、始めに、道路網データの最上位の階層の道路網と形状ベクトルとのマッチングを取り、最上位の階層の道路網では形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、他の階層の道路網と形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、対象道路を特定するようにしている。
また、本発明では、事象情報提供装置に、デジタル地図と、このデジタル地図から作成された、複数の階層に階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つマップマッチング用の道路網データと、このデジタル地図及び道路網データを配信する地図データ情報送信部と、このデジタル地図のデータを用いて、事象情報の対象道路の形状を表す形状ベクトルを生成する形状ベクトルデータ生成部と、形状ベクトルデータ生成部で生成された形状ベクトルに前記道路網データの階層を指定する情報の付加処理を行う形状ベクトル変形部と、形状ベクトル変形部で処理された形状ベクトルを含む事象情報を送信する事象情報送信部とを設けている。
また、本発明では、事象情報提供装置に、デジタル地図と、このデジタル地図のデータから、リンクに並走し当該リンクと類似する形状の並走類似形状リンクを算出する並走類似形状算出部と、デジタル地図のデータを用いて、事象情報の対象道路の形状を表す形状ベクトルを生成する形状ベクトルデータ生成部と、並走類似形状算出部の算出結果を用いて、対象道路のリンクに並走類似形状リンクが存在するかしないかを識別し、並走類似形状リンクが存在する場合に、並走類似形状リンクと対象道路との形状が区別できる位置まで対象道路を伸ばすように形状ベクトルの変形処理を行う形状ベクトル変形部と、この形状ベクトル変形部で処理された形状ベクトルを含む事象情報を送信する事象情報送信部とを設けている。
また、本発明のコンピュータプログラムでは、コンピュータに、複数の階層に階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つ道路網データを用いて、始めに最上位の階層の道路網と、対象道路の形状を表す形状ベクトルとのマッチングを取り、最上位の階層の道路網では形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、他の階層の道路網と形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、対象道路の候補道路を得る手順と、形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られたとき、候補道路を得た道路網の階層より低い階層の道路網に候補道路と並走する類似形状の並走類似形状道路が存在しないかを判定する手順と、並走類似形状道路が存在するときに、形状ベクトルの形状と候補道路の形状と並走類似形状道路の形状とを比較して、候補道路の採用の是非を判定する手順と、候補道路の採用が是と判定できないとき、候補道路を得た道路網の階層より低い階層の道路網を用いて形状ベクトルとのマッチングを取り直す手順とを実行させる。
こうした構成により、多くの場合、優先順位の高い道路、あるいは、重みが大きい道路、あるいは、最上位の階層の道路網を用いたマップマッチングで対象道路を特定することが可能になり、マップマッチングの高速化が可能になる。
また、こうした構成により、受信情報に含まれる対象道路をマップマッチングで迅速に特定することができる。
また、こうした構成により、受信側装置では、事象情報提供装置から配信されたマップマッチング用道路網データの指定された階層の道路網を用いてマップマッチングを行うことにより、事象情報の対象道路を迅速且つ正確に特定することができる。
また、こうした構成により、事象情報を受信した受信側装置では、上位の階層の道路網を用いたマップマッチングで候補道路を特定したとき、低い階層の道路網に候補道路と類似する並走類似形状道路が存在しても、それらの形状比較から候補道路の採用の是非を明確に識別することが可能になる。
また、こうした構成により、マップマッチングで対象道路を迅速且つ正確に特定することができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態では、本発明のマップマッチング方法の基本概念について説明する。マップマッチングを実施する受信側装置は、図1に示すようなデジタル地図データを保持している。この地図データには、ヘッダで規定された区画内のノード及びリンクの情報が記述され、ノード情報には、ノード数、各ノードのノード番号、各ノードのノード属性情報、各ノードの緯度経度、及び各ノードに接続する接続ノードと接続リンクとの情報が含まれ、また、リンク情報には、リンク数、リンク番号、リンクの道路種別等を表す属性情報、リンクの形状を規定する補間点の数、及び各補間点の緯度経度の情報が含まれている。なお、ノード番号、リンク番号及び補間点は、この地図データの制作者が独自に設定したものであり、他の制作者によって制作された地図データとの間では共通性が無い。
受信側装置は、この地図データから、マップマッチング用の階層構造の道路ネットワークデータを作成する。図2は、この階層構造の道路ネットワークデータの概念を示している。ここでは、3層の階層構造の例を示している。また、図3は、各階層の道路ネットワークデータの例を示している。図2(c)は、階層構造の最下位層の道路ネットワークデータであり、これには全道路網のデータが含まれる。この最下位層の道路ネットワークデータの例を図3(c)に示している。これは図1と同様の地図データである。図2(b)は、道幅が5.5m以上の道路のみを含む中位層の道路ネットワークデータであり、この道路ネットワークデータを図3(b)に示している。図2(a)は、主要地方道以上の幹線道路のみを含む最上位層の道路ネットワークデータであり、この道路ネットワークデータを図3(a)に示している。
上位層、中位層及び下位層の道路ネットワークデータのデータフォーマットは同じである。ただ、ノード数、リンク数及び補間点数が、上位層になるほど多く間引かれる。ノード番号は、最下位層で付番した番号が、上位の層の該当ノードの番号としてそのまま使用される。リンク番号は、全層にわたって重複しないように、各層のリンクにユニークな番号を付与することが好ましい。なお、ここでは3層の階層構造について示したが、階層の数は3以外であっても良い。
図6は、この階層構造の道路ネットワークデータを保持する受信側装置10と、受信側装置10に交通情報と道路形状の形状ベクトルデータとを提供する送信側装置30との構成を示している。送信側装置30は、交通情報等の事象情報を蓄積するデータベース36と、デジタル地図Aのデータベース35と、データベース35、36のデータを用いて対象道路を形状ベクトルデータで表した事象情報を生成する形状ベクトルデータ表現情報生成部34と、誤マッチングの防止や相対距離を補正するために特徴的なノード位置で交差道路の形状の一部を形状ベクトルデータに付加する特徴ノード抽出・形状ベクトル変形部33と、生成された形状ベクトルデータ及び事象情報データを蓄積する形状ベクトル表現事象情報データベース32と、これらのデータを送信するデータ送信部31とを備えている。データ送信部31からは図36または図37に示すデータが送信される。
一方、受信側装置10は、データを受信するデータ受信部11と、受信データを蓄積する形状ベクトル表現事象情報データベース12と、階層構造の道路ネットワークデータ13を用いてマップマッチングで対象道路を特定するマップマッチング部14と、デジタル地図Bのデータベース16と、事象情報を表示したり活用する表示部/事象情報活用部15とを備えている。なお、マップマッチング部14は、この受信側装置10のコンピュータに、コンピュータプログラムで規定した処理を行わせることにより実現できる。
階層構造の道路ネットワークデータ13は、データベース16のデジタル地図Bを用いて予め生成される(この生成手順については後述する)。また、受信側装置10のデータベース16で保持されたデジタル地図Bの制作者と、送信側装置30のデータベース35で保持されたデジタル地図Aの制作者とは異なっている。また、表示部/事象情報活用部15は、対象道路の交通情報を用いて、地図上に渋滞箇所を表示したり、渋滞を考慮した経路探索等を行う。
図5のフローチャートは、この階層構造の道路ネットワークデータ13を保持する受信側装置10が、送信側装置30から対象道路の形状ベクトルデータを受信したときのマップマッチングの処理手順を示している。受信側装置10は、対象道路の形状ベクトルデータを受信すると、可能な限り上位の層の道路ネットワークデータを用い、形状ベクトルデータに含まれるノードをWPとしてマップマッチングを行う(ステップ1)。その具体的手順については後述する。マップマッチングの処理自体は、マクロマップマッチングなど、従来から知られている方法を使用する。上位の層程、道路ネットワークが疎であるため、WP周辺の候補点が少なく、マップマッチングの処理を高速化できる。
一方、交通情報の対象路線は、通常、高速道路、国道、主要地方道であり(但し、都市部では重要な一般都道府県道や市道の一部の交通情報も提供される)、上位層の道路ネットワークデータを用いたマップマッチングで対象道路が特定できる確率は極めて高い。もしも、上位層の道路ネットワークデータで道路の特定ができない場合(例えば候補点が設定できなない場合)には、下位の道路ネットワークを用いてマップマッチングをやり直す。また、上位層の道路ネットワークデータを用いたマップマッチングで対象道路が特定できた場合でも、並走する道路が存在する場合には、誤マッチングの可能性がある。
例えば、図4において、太実線及び太鎖線が主要地方道であり、点線が都道府県道であり、前記線間に存在する道路が5.5m未満の生活道路であるとすると、最上位層の道路ネットワークデータには太実線及び太鎖線のみが含まれ、点線は、中位層及び最下位層の道路ネットワークデータに含まれ、生活道路は最下位層の道路ネットワークデータにのみ含まれる。この最上位層の道路ネットワークデータを用いたマップマッチングで太鎖線が特定できた場合、中位層及び最下位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングを行ったとしても、太鎖線に代わる道路は特定されない。
しかし、最上位層の道路ネットワークデータを用いたマップマッチングで太実線が特定できた場合では、中位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングを行うと点線が特定され、また、最下位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングを行うと、太実線や点線と並走する生活道路が特定される可能性がある。つまり、最上位層の道路ネットワークデータを用いたマップマッチングで特定された太実線を対象道路と決めつけることは誤マッチングの可能性がある。
そこで、特定した道路の周辺に誤マッチングしそうな道路が下位の道路ネットワークデータに存在するか否かを判定する(ステップ2)。この判定の具体的手順については後述する。誤マッチングしそうな道路が存在しない場合には、上位層の道路ネットワークデータを用いて特定した道路を対象道路と決定する(ステップ6)。また、特定した道路の周辺に誤マッチングしそうな道路が存在する場合には、特定した道路が対象道路として正しいか否かを調べるために形状ベクトルデータとの形状比較を行う(ステップ4)。この形状比較の具体的方法については後述する。
この形状比較の結果に基づいて、上位層の道路ネットワークデータで特定した道路が対象道路として正しいか否かを判定し(ステップ5)、正しければ、特定した道路を対象道路として決定する(ステップ6)。また、対象道路として正しいと判定できないときは、下位の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングをやり直す(ステップ7)。
このように、上位層の道路ネットワークデータでマップマッチングを実施した後に下位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングをやり直すことは、上位層での処理が無駄になり、始めから下位層で処理する場合よりも処理効率が落ちることになる。しかし、上位層でマッチングに成功し、且つ、誤マッチングの可能性がある並走路が存在しない場合には、処理が一瞬で終わる。そのため、数十〜数百のマップマッチング処理のトータル性能では、図5の手順に従って上位層の道路ネットワークデータのマップマッチングから始める方が勝ることになる。
図7は、図5のステップ1の処理手順、即ち、可能な限り上位の層でマップマッチングを行うための処理手順、の一例を示している。マップマッチングに使用する道路ネットワークデータの階層を最上位(層番号=1)に設定し(ステップ10)、対象道路の形状ベクトルデータのノードをWPとしてマップマッチングを実施する(ステップ11)。
選択した形状パターンの候補点とWPとの距離誤差や方位誤差から評価値を算出する(ステップ12)。評価値は、例えば、次式から算出する。
評価値 φ={Σ(α・Lj+β|θj−θj'|)}/S
ここで、LjはWP(j)と候補点(j)との間の距離、θjはWP(j)の絶対角度、θj'は候補点(j)の絶対角度、Sは形状パターンの距離、α、βは係数である。候補点の設定に成功し、且つ、候補点の評価値が規定値以内であるか否かを判定する(ステップ13)。候補点の評価値が規定値以内であるときは、選択した形状パターンにより対象道路を特定する(ステップ14)。
また、ステップ13において、候補点の設定に成功しなかったり、候補点の評価値が規定値を超えるときは、使用した道路ネットワークデータの階層が最下位層であるか否かを識別し(ステップ16)、最下位層であるときは、マップマッチングに失敗したものとして処理を終了する(ステップ17)。また、ステップ16において、使用した道路ネットワークデータの階層が最下位層でないときは、層番号を1つ下げた道路ネットワークデータを用いて(ステップ15)、ステップ11からの手順を繰り返す。こうした手順により、可能な限り上位の層でマップマッチングを行うことが可能になる。
次に、図5のステップ2の判定処理について説明する。上位層で特定した対象道路の周辺に誤マッチングしそうな道路が下位の道路ネットワークデータに存在するか否かを判定できるようにするため、上位階層の道路ネットワークデータに、リンク情報として、並走する道路の有無を示す属性情報(並走類似形状属性)を予め追加する。ここで云う並走する道路とは、角度差が所定角度以内の類似形状道路である。一般的には、上位層の該当道路上に設定した複数のWPと、前記WPに対応する隣接道路上の近接点との距離、方位差、及び、近接点間の接続性、道なり距離のいずれか一つ以上を用いて並走類似形状属性の情報を生成することができる。詳しくは、次のように求める。
上位層のリンクの各々に並走類似形状道路が存在するか否かを評価するため、(1)図8に示すように、上位層のリンクに沿って、WP(Pj)を適当に(補間点間の中点や、固定長単位に)設定する。(2)各WP(Pj)から下位層に含まれるn個の周辺道路上に垂線を降ろして、各周辺道路上に候補位置Pnj'を設定し、周辺道路に対する評価値を次式によって算出する。
評価値 φ={Σ(α・Lnj+β|θj−θnj'|)}/S
ここで、Lnjは、WP(Pj)と候補位置(Pnj')との間の距離、θjはWP(Pj)の絶対角度、θj'は候補位置(Pnj')の絶対角度、Sはリンク長、α、βは係数である。
上位層のリンクに対して並走類似形状道路が存在すると評価するためには、周辺道路に対するこの評価値が一定値以下であることを必要条件とする。
(3)上位層のリンクに対して並走類似形状道路が存在すると評価するためには、周辺道路上の候補位置(Pnj-1')と候補位置(Pnj')とが、全てのjに関して、接続していることを必要条件とする。図9に示すように、上位層のリンクに対応する周辺道路の一部が切れている場合には、誤マッチングは生じないので、並走類似形状道路の対象から外す。
(4)上位層のリンクに対して並走類似形状道路が存在すると評価するためには、周辺道路上の全てのjに関して、候補位置(Pnj-1')と候補位置(Pnj')との間の最短経路の偏角絶対値累積値が一定値以下であり、且つ、2点間の道なり距離がWP(Pj-1)〜WP(Pj)と概ね同じであること、または、Lnjのばらつきが一定値以下あることを必要条件とする。
この(2)(3)(4)の条件をAND条件とし、全てを満たす場合に上位層のリンクに対して並走類似形状道路が存在するものとする。
道路ネットワークデータには、図10(a)に示すように、各リンクの属性情報として、リンクの並走類似形状属性を加え、図10(b)に示すように、並走類似形状道路の存在の有無(在り/一部区間在り/無し)を記述する。
また、並走類似形状属性には、この並走類似形状道路が隣接する上下流のリンクの並走類似形状道路と交差点で接続しているか否かの情報"上下流側交差点での接続(有り/無し)"を加える。この情報から、上位層のリンクの各々に対して存在する並走類似形状道路が互いに接続しているか否かを知ることができ、並走類似形状道路同士が接続していなければ、誤マッチングの虞れは無いものと判断することができる。例えば図11に示すように、自リンク(qj)の下流側の隣接リンク(qj+1)に対応する類似形状リンク(qj+1')と、自リンク(qj)の類似形状リンク(qj')とが交差点で接続していない場合には、上位層道路と下位層の並走類似形状道路とを誤マッチングする虞れは無い。
道路ネットワークデータに、このようなリンクの並走類似形状属性を予め加えることにより、図5のステップ2の処理は、次のように行うことができる。即ち、ステップ1で対象道路を特定するために用いた道路ネットワークデータから、特定した道路区間を構成する各リンクの並走類似形状属性を参照する。そして、この道路区間の一部以上の区間で並走類似形状が存在し、かつ、交差点部の接続も存在する場合には、「下位層で近隣に類似形状道路が存在する可能性がある」と判定し、それ以外は「なし」と判定する。
なお、この判定では、誤マッチングの発生割合や前記(2)で求めた評価値φを考慮するようにしても良い。また、並走類似形状道路の存在を評価するための評価値φは、他の式から求めることもできる。また、並走類似形状道路の存在の評価に当たっては、パターンマッチングのアルゴリズムを応用することもできる。
次に、図5のステップ4での形状比較の一例について説明する。この形状比較を容易にするため、道路ネットワークデータに加えたリンクの並走類似形状属性に、当該リンクの形状及び並走類似形状道路の形状を現す代表的な値"形状代表値"を含める。
この形状代表値としては、次のような値を用いる。
・「偏角累積値」:図8に示すように、上位層のリンク上に等距離に配置したWP(Pj)(j=1〜N)に対応する並走類似形状道路上の位置をPj'(j=1〜N)とするとき、リンクの偏角累積値はWP(Pj)(j=1〜N)での偏角を加算して求め、並走類似形状道路の偏角累積値は位置Pj'(j=1〜N)での偏角を加算して求める。
・「偏角絶対値累積値」:リンクの偏角絶対値累積値はWP(Pj)(j=1〜N)での偏角絶対値を加算して求め、並走類似形状道路の偏角絶対値累積値は位置Pj'(j=1〜N)での偏角絶対値を加算して求める。
・「上位層の該当道路(並走道路)とのばらつき」:WP(Pj)と位置Pj'との距離Lj(j=1〜N)の標準偏差によって表す。
この他、周波数スペクトル等を用いることも可能である。
図12には、並走類似形状属性に、リンクの偏角累積値、リンクの偏角絶対値累積値、並走類似形状の本数の情報を加え、さらに、各並走類似形状道路について、類似形状評価値((2)の評価値φ)、階層、道路属性、その並走類似形状がリンクの一部または全体のいずれに存在しているかを示す全体/一部識別、偏角累積値、偏角絶対値累積値、リンクとのばらつき(標準偏差)、上流側交差点での接続の有無、接続部の偏角絶対値累積値(最小値)を加えた道路ネットワークデータを示している。
図13には、この道路ネットワークデータを用いて、図5のステップ4及びステップ7の処理を行う場合の詳細手順を示している。ステップ1で対象道路を特定するために用いた道路ネットワークデータから、特定した道路区間を構成する各リンクの並走類似形状属性を参照し、並走類似形状道路が、特定した道路区間の一部または全区間で存在する場合には、形状ベクトルの形状代表値を算出する(ステップ41)。次いで、道路ネットワークデータから、マップマッチングで特定した道路区間の形状代表値と、リンク道路属性情報に含まれる道路種別とを読み出し、また、道路ネットワークデータから並走類似形状道路の形状代表値と道路種別とを読み出し、これらと形状ベクトルの形状代表値及び道路種別とを比較する(ステップ42)。
この比較で、形状ベクトルの道路種別が、マップマッチングで特定した道路区間の道路種別と一致し、並走類似形状道路の道路種別と異なるときは、誤マッチングの可能性は無いと評価する(ステップ5)。また、道路種別だけで評価できなければ、形状代表値を比較し、マップマッチングで特定した道路区間の方が、並走類似形状道路に比べて、形状ベクトルとの形状差異が少ない場合には、誤マッチングの可能性は無いと評価する(ステップ5)。
また、形状ベクトルの道路種別が、マップマッチングで特定した道路区間の道路種別と一致しない場合、あるいは、道路種別は共に形状ベクトルの道路種別と一致するが、並走類似形状道路の方が形状ベクトルとの形状差異が少ない場合には、誤マッチングの可能性ありと判断し、その道路種別及び形状代表値から、該当する並走類似形状道路が存在する最も上位の層を判定し、それを選択する。その並走類似形状道路の存在する層が不明であるときは、最下位層を選択する(ステップ71)。選択した層の道路ネットワークデータを用いて、形状ベクトルのマップマッチングをやり直し(ステップ72)、対象道路を特定する(ステップ73)。
このように、この方法では、「もし誤マッチングを起こすとすれば、どの階層の道路であるか」を直接特定できるため、処理時間が掛かる最下位層を必ずしも使わなくても、直接特定した階層の道路ネットワークデータを用いて再度マッチングを行うことが可能になり、再計算を効率化できる。
例えば、図14の例で、形状ベクトルを(1)、マップマッチングで特定した上位層の路線区間を(2)、下位層に存在する並走類似形状道路を(3)とするとき、(1)(2)(3)の偏角累積値及び偏角絶対値累積値、並びに、(1)と(2)との形状のばらつき及び(1)と(3)との形状のばらつきを計算すると、次のようになる。
・偏角累積値 (1)≒(2)≒(3)≒0°
・偏角絶対値累積値 180°≒(1)≒(3)≠(2)≒0°
・(1)と(2)との形状のばらつき≒(1)と(3)との形状のばらつき
これらの値を比較するだけで、3層目に誤マッチングしそうな道路があることが分かる。
なお、ステップ41における形状ベクトルの形状代表値の算出は、送信側装置で、形状ベクトルの圧縮時に等距離リサンプルし、偏角を可変長符号化している場合に、受信側装置で、受信データから偏角累積値及び偏角絶対値の累積値を算することは簡単にできる。
また、一部区間で並走類似形状道路が存在する場合は、図15に示すような形態を取ることになるが、この場合に、並走類似形状道路は、必ずどこかの交差点で該当道路に合流している筈である。つまり、並走類似形状道路は、どこかで曲がっている筈である。従って、ステップ42において、形状を詳しく調べ、形状ベクトルの形状が、並走類似形状道路のような曲がりを有しておらず、幹線道路形状に近いと判定できれば、殆どのケースで、下位層の道路ネットワークデータによる再マップマッチングは不要になる。
一方、全区間で並走類似形状道路が存在する場合は、殆どのケースで、形状のみから形状ベクトルが幹線道路であると確定することは難しく、下位層の道路ネットワークデータによる再マップマッチングが必要になる。
そのため、送信側装置が、交通情報の対象道路を特定する際に工夫を凝らし、並走類似形状道路が存在する場合に、その並走類似形状道路が「一部区間で並走路あり」となるように対象道路区間を選出すれば、殆どの場合、受信側装置では、ステップ42の処理に基づいて誤マッチングの可能性を否定でき、下位層での再度マップマッチングが不要になる。
また、その他、上流に向かう道路と下流に向かう道路とが併設されていることが判別できる場合は、片側の道路についてのみマップマッチングを行い、他方の側のマップマッチングを省略することで、処理を効率化することができる。このように、このマップマッチング方法では、対象道路を高速且つ正確に特定することができる。特に、交通情報の対象道路のように、道路網の中で対象となる道路に偏りが見られる場合に大きな効果を発揮する。
また、プローブ収集システムのプローブ(走行車両)から送られて来る走行軌跡に関しても、「幹線道路は交通量が多い。交通量が多ければ、アップリンク頻度も多い」と云う関係から、道路網の中で対象となる道路に偏りがあり、そのため、このマップマッチング方法を適用して大きな効果を得ることができる。
また、図10(a)あるいは図12などに示すように、ヘッダ情報中に含まれる階層番号情報に、使用者により選出される頻度や、統計的情報(例えば、季節、年月日、時間、天候により渋滞あるいは凍結が発生する頻度)を加え、この情報を用いて、特定対象となり得る確率の変更を予想し、さらなるマップマッチング処理時間の短縮を図るようにしても良い。
この場合、予想した道路ネットワークが選択されない場合は、通常の図10(a)に示すヘッダ情報中の階層情報によりマップマッチングを行う。階層化道路網の各階層の道路は、次のような道路属性に基づいて決定してもよい。
・道路種別:高速道路/国道/主要地方道/都道府県道/市道/細街路
・道路番号:各道路種別内でふられた番号 国道246→246、県道407号→407
・道路通行料の有無:有料道路か否かの識別
・道路形態:本線/側道/連絡路(IC部等)/ロータリー等、道路の機能を表す
・交通情報提供対象路線:あらかじめ提供対象と分かっている路線、VICSリンク対象道路
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態では、図5のステップ1の処理、即ち、可能な限り上位の層でマップマッチングを行うための処理の改善について説明する。階層構造の道路ネットワークデータは、あくまで受信側装置が保持する地図データの都合で分類し、作成したものであるため、この階層構造の上位層にどの道路区間が含まれ、下位層にどの道路区間が含まれるかは、通常、送信側装置には分からない。そのため、送信側装置から送られる1つの形状ベクトルの中には、上位層の道路区間と下位層の道路区間とが混在している可能性がある。
この場合、受信側装置は、例えば、上位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングを開始し、途中まで順調に候補点をヒットしても、下位層の道路区間の形状ベクトルが現れた時点で、候補点が得られなくなり、下位層の道路ネットワークデータを用いて最初からマップマッチングをやり直すことになる。特に、この問題は、送信側装置30の特徴ノード抽出・形状ベクトル変形部33(図6)が、誤マッチングを防ぐためや相対距離を補正するために、「ヒゲ」と称する、交差道路の形状の一部を形状ベクトルデータに付加する場合に顕著となる。
この模様を図16に示している。送信側装置は、Pa→Pbの形状ベクトルデータを送信する場合に、Ps→PaとPb→Peとをヒゲとして付加し、Ps→Pa→Pb→Peの形状ベクトルデータを受信側に送信する。
しかし、受信側装置の上位層の道路ネットワークデータには、Ps→Pa→Pbの区間は含まれているが、Pb→Peの区間は含まれていない。そのため、上位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングを開始すると、Ps→Pbまでは候補点をヒットするがPb→Peの間では候補点が得られず、下位層でやり直しが必要になる。
こうした非効率を改善するため、ここでは、上位層で候補点がヒットできなくなったときに、下位層に乗り移るようにしている。それを実現するため、各階層の道路ネットワークデータに、次のようなデータを設定する。
・図17に示すように、最下位層を除く各階層の道路ネットワークデータに、1つ下の階層に移行するための層間連絡ノードを設定し、この層間連絡ノードでリンクを一旦区切る。層間連絡ノードは交差点ではないため、接続リンクは1本のみである。図17では、1つ下の階層に交差点がある位置で層間連絡ノードを設定しているが、必ずしも交差点上である必然性は無く、任意の場所に設定して良い。
ただ、リンクを区切ることは、性能劣化のもととなるため、層間連絡ノードの間が所定距離以上離れるように設定する。
・最下位層を含む各層の道路ネットワークデータには、各リンクの属性情報として、存在する最上位層番号(例:一般都道府県道であれば、2層以下に存在するため"2")を設定する。
受信側装置は、上位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングを開始し、順調に候補点がヒットできている間は、上位層の道路ネットワークデータを使い続ける。候補点の探索に失敗したときは、既に通過した最寄りの層間連絡ノードの位置まで後戻りし、そこから下位層の道路ネットワークデータに移行して、その位置からのマップマッチングを下位層の道路ネットワークデータを用いて継続する。
こうすることで、上位層の道路ネットワークデータを用いて行った処理が無駄にならず、マップマッチングを効率的に行うことができる。
なお、図18(a)に示すように、通常交差点の場合は、「層間連絡ノード」は取り立てて必要ではない。いま、太実線のみを含む上位層のマップマッチングで、WP(A)では候補点探索に成功し、WP(B)では候補点探索に失敗したとすると、最後に候補点探索に成功したWP(A)に戻って下位層に移行すれば、下位層でのマップマッチングを続けることができる。
しかし、図18(b)に示すような場合では、太実線のみを含む上位層のマップマッチングで、WP(A)で候補点探索に成功し、WP(B)で候補点探索に失敗したときに、WP(A)に戻って下位層に移行しても、下位層でマッチングした道路とは接続できない。このようなケースでは、「下位層の道路ネットワークに接続するための地点はどこか」を明確化する必要があり、これが層間連絡ノードCの役割となる。
また、この場合、層間連絡ノードCよりも右方向にまで戻って下位層に移行すれば、下位層の道路ネットワークへの接続は可能になる。そのため、層間連絡ノードCを設定する代わりに、各リンク(補間点間リンク等)に、層間連絡ノードCよりも右方向にまで戻るような距離を「下位層に移行する際の戻り距離」として定義しても良い。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態では、図5のステップ1の処理において、上位層でのマップマッチングを効率化する方法について説明する。
上位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングを行う場合は、平均的なリンク長が長いため、形状ベクトルの構成ノード列から飛び飛びに選択したノードをWPに設定することが可能である。
そこで、第1の方法では、上位層の道路ネットワークデータを用いる場合に、形状ベクトルの構成ノード列から、例えばN個置きに選択したノードをWPに用いてマップマッチングを行う。このように形状ベクトルからノードを間引いて(スキップして)WPに用いることにより、WPの数が減り、マップマッチングの処理時間を短縮することができる。ノードを間引く割合は、平均リンク長や形状ベクトルの偏角を考慮して設定する。また、Nノード単位に1ノードをWPに抽出するようにしても良いし、固定距離単位に1ノードをWPに抽出するようにしても良い。
即ち、階層の特性に合わせてノードを間引く。その具体的方法として、N個ノードごとに1回、あるいは、固定距離ごとに1回、機械的に間引く。あるいは、さらに高度化して、「スキップ距離」を階層型データ中に設定する。
また、第2の方法では、形状ベクトルから間引きながら選択するWP間の距離間隔を上位層のリンクに対応させて推奨スキップ距離として予め設定し、上位層の道路ネットワークデータのリンク情報として規定する。
この推奨スキップ距離は、図19に示すように、各補間点またはリンクの中点からマップマッチングする方向(下流側からマップマッチングを行う場合は上流方向)を見て、次のノードが交差点ノードである場合には、各補間点またはリンクの中点から、その交差点ノードまでの概算距離を基に設定し、また、各補間点またはリンクの中点からマップマッチングする方向を見て、次のノードが層間連絡ノードである場合には、各補間点またはリンクの中点から、その次のリンクの中点までの概算距離を基に設定する。
上位層の道路ネットワークデータを用いてマップマッチングを行う場合は、形状ベクトルの構成ノード列から、リンク情報で規定された推奨スキップ距離に従ってノードを間引き、WPに用いるノードを選択する。
そのため、候補点探索の回数が減り、パターン数も減るので、マップマッチングの処理時間を短縮することができる。
なお、形状ベクトル圧縮時に等距離リサンプルし、偏角を可変長符号化する手法を用いると、形状ベクトルのノード間は等距離になるため、形状ベクトル沿いにノードを指定距離分スキップすることは、簡単に実行できる。
また、第3の方法では、該当層のリンクの「形状の特徴が発生する箇所(=チェックしたほうが良い箇所)」の前後にWPが設定できるように推奨スキップ距離を指定する。
この方法では、図20に示すように、上位層の道路ネットワークデータで表されるリンク形状が特徴的なクランク形状を有している場合、そのクランク形状の位置にWPが設定されるように、道路ネットワークデータのリンク情報で推奨スキップ距離を指定する。
リンク形状における特徴的な箇所は、リンクの単位区間当たり偏角累積値及び偏角絶対値累積値の大きさから判定することができる。
このように、WPをリンク形状の特徴が発生する箇所に設定することにより、WPを間引いても、リンクの特徴を捉えることができ、マップマッチングによるリンクの特定が正確にできる。
また、当該リンクの形状に特徴が無くても、並走類似形状道路が特徴を有している箇所(=チェックしたほうが良い箇所)を、推奨スキップ距離で指定するようにしても良い。この場合、形状ベクトルのマップマッチングで当該リンクが候補点に選定されれば、下位層の並走類似形状道路は対象道路でないことが判定できる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態では、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態を組み合わせて、図5のステップ1における上位層でのマップマッチングを効率化する方法について説明する。
図21は、この実施形態における道路ネットワークデータ(階層構造の一部)を示しており、ここには、リンク情報として、第2の実施形態で説明した「本道路の最上位層番号」及び「下位層に移行する際の戻り距離」、並びに第3の実施形態で説明した「推奨スキップ距離」のデータが含まれている。
また、図22のフローチャートは、この実施形態でのマップマッチング方法を示し、また、図23は、この方法を模式的に表している。ここでは、道路ネットワークデータの階層構造が二層であり、また、形状ベクトルを下流から上流に向かってPs→Pa→Pb→Pc→Pd→Peの順でマップマッチングする場合を示している。
この方法では、まず、最下位層で終端WP(Ps)周辺の候補点の探索から始め(ステップ51)、最下位層でのマップマッチングを短区間で行い、複数の候補点を取得し(ステップ52)、その層番号を特定する(ステップ53)。このように最下位層からスタートするのは、致命的なスタートポイントでの誤マッチングを避けるためである。
次のWPを決定し、候補点を探索する(ステップ54)。次のWPには、マップマッチング開始当初は隣接点を選定する。候補点探索が繰り返され、同一の層番号での候補点探索が連続するようになると、推奨スキップ距離を参照して次のWPを決定する。
次のWPでの候補点探索に成功したか否かを識別する(ステップ55)。候補点探索の成功が連続し、且つ、上位層にも該当道路が定義されている場合には、上位層に移行し(ステップ56)、WPが全て終了していなければ(ステップ59でNoの場合)、ステップ54からの手順を繰り返す。また、WPが全て終了すれば(ステップ59でYesの場合)、処理を終了する。
また、候補点探索に失敗したときは(ステップ55でNoの場合)、候補点探索の失敗が連続しているかを識別し(ステップ57)、失敗が連続していないときは、層間連絡ノードの位置、または下位層移行時の戻り距離まで探索するWPを戻し、下位層に移行する(ステップ58)。そして、WPが全て終了していなければ(ステップ59でNoの場合)、ステップ54からの手順を繰り返す。
また、候補点探索の失敗が連続しているときは(ステップ57でYesの場合)、スタートポイントの階層が間違っていたと判定し、特定した階層を取得し直す。
図23の例では、Psのマップマッチングを下位層から開始し、Pa、Pbと候補点探索が連続して成功したため、上位層に移行し、Pc→Pd→Peのマップマッチングを上位層で行っている。しかし、Peの候補点探索に失敗したため、層間連絡ノードPcの位置まで戻って下位層に移行し、Pd→Peのマップマッチングを下位層で行っている。
このように、階層構造の複数層の道路ネットワークデータの間を行き来することにより、上位層による効率的なマップマッチングをより多く生かすことが可能になり、マップマッチングの処理時間を短縮することができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態では、マップマッチングの候補点探索の範囲を形状ベクトルの誤差状況に応じて決定する方法について説明する。マップマッチングでは、WPを与える形状ベクトルの誤差が少なければ、候補点探索の範囲を狭めることが可能であり、また、形状ベクトルの誤差が大きければ、候補点探索の範囲を広げることが必要になる。このように、候補点探索の範囲は、固定的に設定するよりも、WPの誤差に応じて可変した方が、探索範囲を適正化することができ、また、マップマッチングにおける処理を効率化することができる。
形状ベクトルデータの誤差の要素には、送信側装置が形状ベクトルデータを生成するために使用した基地図データの精度、誤マッチングを防止するために敢えて地図データに変形を加えた変形量(特開2001−132610号に記載)、符号化した形状ベクトルデータの不可逆圧縮時の形状変形許容誤差(特開2001−132611号に記載)などがある。
送信側装置は、図24に示すように、これらの情報を「形状ベクトルの基図精度情報」「誤マッチング防止変形時の最大変形量」及び「不可逆圧縮時の最大許容誤差」として形状ベクトルデータに含めて受信側装置に送信する。
受信側装置は、これらの情報から、形状ベクトルの誤差状況に応じた候補点探索の範囲を設定することができる。
図25のフローチャートは、この形状ベクトルの誤差状況に応じた候補点探索範囲の設定手順を示している。
形状ベクトルデータ列から、基図の精度情報(A)を取得する(ステップ20)。次に、形状ベクトルデータ列から、誤マッチング防止変形時の最大変形量(B)を取得する(ステップ21)。次に、形状ベクトルデータ列から、不可逆圧縮時の最大許容誤差(c)を取得する(ステップ22)。この(A)(B)(C)から候補点探索範囲を決定する(ステップ23)。
例えば、形状ベクトルに「送信側の基地図は1/25,000」という基図精度情報が入っており、一方、受信側装置の地図データの精度が1/2,500であるとすると、最大70m程のずれがあることになる。
また、誤マッチング防止用の変形で、最大10mずれていると、基図精度による誤差と合わせて最大80mのずれがあることになる。
また、形状ベクトルの不可逆圧縮時に最大10mの許容誤差を設定したとすると、基図精度による誤差及び誤マッチング防止用の変形と合わせて、最大90mのずれがあることになる。そのため、候補点は、半径90mの範囲で見つけ出せば良いことになり、従来のように、250m程度に固定するよりも、探索範囲をより適正に設定することができる。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態では、受信情報を基に道路ネットワークデータの階層構造を逐次最適化する方法について説明する。
交通情報を受信する道路区間は、実際のところ、ある程度決まっている。このためデフォルトで設定した階層構造の道路ネットワークデータを、データ受信回数やマッチング結果等に基づいて更新し、受信環境に合致する階層構造の道路ネットワークデータに逐次最適化することが可能である。
例えば、上位層に含めた道路区間が、交通情報を10回受信した中で1〜2回しか対象道路とならなかった場合は、上位層から削除する。こうしたデータ整理を行うことで上位層の道路ネットワークデータが軽くなり、マップマッチング処理を高速化できる。
また、当初下位層にしか含めていなかった道路区間であっても、対象道路として出現する頻度が高ければ上位層に含める。道路に新たにセンサ等が設置され、その道路の交通情報が提供されるようになった場合がこれに該当する。こうした階層構造の最適化処理により上位層でのヒット率が増え、マップマッチングを高速化することができる。
また、第2及び第4の実施形態で説明したように、1つの形状ベクトル中の対象道路が複数階層に跨がる場合に、対象道路をこのように特定して交通情報が提供される頻度が高ければ、階層構造の逐次最適化により、この対象道路の全ての区間を上位層に含めることができる。
この逐次最適化の処理手順について説明する。
まず、階層構造の各層に、交通情報の受信回数に対する交通情報への出現確率を目標ヒット率として定義する。
例えば、過去数十件の受信回数に対する出現確率を次のように設定する。
第1層:受信回数に対し出現確率80%以上
第2層:受信回数に対し出現確率80〜50%
第3層:受信回数に対し出現確率50〜10%
第4層:受信回数に対し出現確率10%未満
次に、図26(a)に示す手順で、交通情報受信時のマップマッチング処理により対象道路を特定し(対象道路を特定するまでの手順は、図7の手順と同じである)、特定した対象道路にヒット数カウンタをセットして(ステップ18)、対象道路とされた道路区間をカウントする。
この計数値を用いて、図26(b)に示す手順でオフライン処理により、階層構造の逐次最適化を行う。
受信回数とヒット数カウンタの値とから道路区間単位のヒット率を算出する(ステップ80)。
受信回数が所定数に達している場合に、各道路区間を、そのヒット率が目標ヒット率に一致している階層に再配置して、各階層の道路を組み替え、階層構造の道路ネットワークデータを更新する。次いで、受信回数及びヒット数カウンタをリセットする(ステップ81)。
また、この場合、マップマッチング処理用のファイルと、更新用のファイルとを用意して、マップマッチング処理を行うデータと、バックグラウンドで更新するデータとを使い分け、更新処理終了時に、これらファイルの使い分けを切替るようにしても良い。
こうした処理により、各層の道路ネットワークを受信環境に合わせて最適化することができる。
なお、ネットワークの追加・削除には、目標ヒット率の境界付近でハンチングが起こらないようにヒステリシスを持たせるようにしても良い。例えば、第1層から削除するのは、出現確率が75%以下になった場合だが、第1層に追加するのは、出現確率が85%を超えた場合とするなどである。
また、道路に設置されたセンサが故障したために、一時的に交通情報の提供が停止される場合も有り得るので、そのようなときでも、高速道路や国道等については、上位層から削除されないように、高速道路や国道等に「絶対に消さない」という識別フラグを付すようにしても良い。
また、車両が移動先で受信する交通情報は、その周辺の道路状況については詳しい情報が提供され、そこから遠く離れた地域の道路状況については粗い情報が提供される。そのため、各層の道路ネットワークの更新に際して、自車位置近くの道路区間は、道路密度が高くなるように、階層を下げ、自車位置から遠いところは道路密度が低くなるように、階層を上げるようにしてもよい。
また、交通情報の詳しさはビーコン型と放送型とで違っているため、メディア別に異なる階層構造の道路ネットワークデータを管理するようにしても良い。
また、交通情報の発信元ID(放送局番号<東京・神奈川等>)や、情報源ID(警視庁・首都高公団等)によって、異なる階層構造の道路ネットワークデータを管理するようにしても良い。
また、プローブ情報収集システムの場合では、センターが保持する階層構造の道路ネットワークデータを、単位時間当たりのヒット数や、全受信軌跡データ中のヒット確率などをパラメータとして、更新する。
また、この場合、日種(平日/休日/五十日/土曜)と時間帯とで特徴が変わるため、日種時間帯別に階層構造の道路ネットワークデータを管理するようにしても良い。
このように、過去数回のマッチング実績から、どの区間がヒット率が高いかを学習し、それを基に階層構造の道路ネットワークデータを逐次更新することにより、階層を変えてマップマッチングをやり直したり、マップマッチングの途中で階層を切り替えたりする無駄を減らすことができ、マップマッチングの処理時間を短縮できる。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態では、階層構造の道路ネットワークデータの最上位層としてキャッシュエリアを利用する方法について説明する。
この方法では、図27に模式的に示すように、各層でヒットしたリンク(層間連絡ノード間のリンク)をキャッシュエリアにコピーし、このキャッシュエリアの道路ネットワークを最上位層として用いる。
図28は、このときの階層構造の道路ネットワークデータを示しており、図28(a)は上位層の道路ネットワークデータ、図28(b)は下位層の道路ネットワークデータ、図28(c)はキャッシュ層の道路ネットワークデータを示している。
いま、図29に示すように、下位層のノードK2からマップマッチングを開始してノードSに至るリンクSK2がヒットすると、下位層の道路ネットワークデータ(図28(b))のリンクSK2のリンク番号及びリンク情報と、ノードK2及びノードSのノード番号、属性情報、緯度経度並びにこれらノード間の接続情報とがキャッシュ層の道路ネットワークデータ(図28(c))にコピーされる。リンク情報に形状代表値や並走類似道路形状属性等の情報が含まれていれば、それらも一緒にキャッシュ層にコピーされる。なお、推奨スキップ距離等については、再計算する必要がある。
キャッシュ層の道路ネットワークデータ(図28(c))のノード数やリンク数は、キャッシュ層にデータがコピーされる都度計算して更新される。また、図29の上位層のノードSからノードJ1に至るリンクSJ1がヒットすると、上位層の道路ネットワークデータ(図28(a))のリンクSJ1のリンク番号及びリンク情報と、ノードS及びノードJ1のノード番号、属性情報、緯度経度並びにこれらノード間の接続情報とがキャッシュ層の道路ネットワークデータにコピーされる。
交通情報は、路上に設置したセンサを用いて情報収集が行われるため、対象道路区間は、毎回殆ど同じと云うのが実情である。そのため、こうしてコピーしたキャッシュ層の道路ネットワークデータを最上位階層として用いることにより、システム立上直後の1回目の交通情報受信時のマップマッチング処理は遅いが、2回目以降のマップマッチングは早く処理することができる。
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態では、マップマッチングを高速化するための送信側装置の寄与について説明する。
これまでの各実施形態では、階層構造の道路ネットワークデータを受信側で用意し、これを用いてマップマッチングを行う場合について説明したが、送信側装置が階層構造の道路ネットワークデータを受信側装置に配信する形態も可能である。
図30は、この送信側装置30及び受信側装置10の構成を示している。送信側装置30は、階層構造の道路ネットワークデータ38と、データベース35に蓄積されたデジタル地図Aとを受信側装置10に配信する地図データ情報送信部37を備えている。また、受信側装置10は、これらの地図データ情報を受信する地図データ情報受信部17を備えており、送信側装置30から受信した階層構造の道路ネットワークデータ113及びデジタル地図データA116を用いてマップマッチングや事象情報の活用を実行する。その他の構成は第1の実施形態(図6)と変わりがない。
この送信側装置30は、事象情報送信部31を通じて受信側装置10に送信する形状ベクトルデータの中に、マップマッチングに使用する道路ネットワークデータの階層を識別するための情報を含める。
図31(a)は、この階層識別情報として、形状ベクトル単位に階層番号及び道路属性情報(道路種別等)を付加した形状ベクトルデータを示し、図31(b)は、階層識別情報として、ノード単位に階層番号及び道路属性情報(道路種別等)を付加した形状ベクトルデータを示している。階層識別情報として、階層番号だけを示しても良いし、また、道路ネットワークデータの各階層の道路が道路属性によって決定されているときは、道路属性を示すだけでも良い。
受信側装置10のマップマッチング部14は、これらの形状ベクトルデータのマップマッチングを行う際に、階層識別情報に示された階層の道路ネットワークデータ113を用いてマップマッチングを実行する。
この場合、形状ベクトルで表された対象道路が含まれる階層のネットワークデータを直接使用してマップマッチングを行うことができるため、別階層の並走道路に対する配慮が全く不要であり、マップマッチングを高速処理することができる。
なお、「階層情報」や「道路属性情報」は、索引ヘッダ情報の付帯情報に入れることも可能である。
また、第1の実施形態で説明したように、対象道路に並走類似形状道路が存在する場合でも、この並走類似形状道路が「一部区間で並走」するように対象道路区間を選出すれば、殆どの場合、受信側装置では、形状のチェック(曲がっているポイントのチェックや、形状代表値による比較)で「この対象道路に間違いない」ことが判明し、より下位層での再マップマッチングが不要になる。こうした対象道路区間の選出が可能な送信側装置について説明する。
この送信側装置は、図32に示すように、データベース35に蓄積されたデジタル地図データAを用いて、並走類似形状道路を予め抽出する並走類似形状算出部39と、並走類似形状算出部39が抽出した並走類似形状道路のデータを格納する並走類似形状データベース40とを備えており、特徴ノード抽出・形状ベクトル変形部33は、並走類似形状データベース40に格納された並走類似形状道路のデータを用いて、形状ベクトルデータ表現情報生成部34で生成された形状ベクトルデータの対象区間を、並走類似形状道路が「一部区間で並走」するように変形する。その他の構成は第1の実施形態(図6)と変わりがない。
図33のフローチャートは、並走類似形状算出部39の処理手順について示している。
リンク番号L=1のリンクを対象として(ステップ90)、地図データベース35からリンクL及び周辺リンクの情報を取得し(ステップ91)、リンクLの並走類似形状道路の存在状況を算出し(ステップ92)、算出結果を並走類似形状データベース40に保存する(ステップ93)。全てのリンクについての処理が終わるまで(ステップ94)、リンク番号をインクリメントして(ステップ95)、ステップ91からの手順を繰り返す。
また、図34のフローチャートは、形状ベクトルデータ表現情報生成部34と特徴ノード抽出・形状ベクトル変形部33との処理手順を示している。
形状ベクトルデータ表現情報生成部34は、事象情報36を取得して(ステップ100)、形状ベクトルを生成する(ステップ101)。
特徴ノード抽出・形状ベクトル変形部33は、形状ベクトルに対応するリンク番号を算出し(ステップ102)、並走類似形状データベース40から各リンクの並走類似形状道路の存在状況を取得し(ステップ103)、形状ベクトル全体を通して、並走類似形状道路の存在状況を算出する(ステップ104)。
形状ベクトルの始終端周辺に並走類似形状道路が存在するか否かを識別し(ステップ105)、存在する場合は、存在する側の形状ベクトルの端を道なりに伸ばすように変形し(ステップ107)、ステップ102からの手順を繰り返す。
また、存在しない場合(ステップ105でNoの場合)は、形状ベクトルの途中に並走類似形状道路が「無い」または「一部区間あり」か、いずれにも該当しないかを識別する(ステップ106)。形状ベクトルの途中に並走類似形状道路が「無い」または「一部区間あり」の場合は、形状ベクトルをその通り決定する(ステップ108)。そのいずれでも無い場合(ステップ106でNoの場合)は、形状ベクトルを両端から道なりに伸ばすように変形し(ステップ107)、ステップ102からの手順を繰り返す。
こうした手順により、形状ベクトルデータの対象区間に、並走類似形状道路が存在する場合でも、その並走類似形状道路が対象道路区間の「一部区間」でだけ存在するように対象道路を変形することができる。また、マップマッチング処理において特に重要な対象道路の始終端には、並走類似形状道路が存在しないように対象道路区間を設定することができる。
(第9の実施形態)
第9の実施形態では、階層構造の道路ネットワークデータの生成手順について説明する。
この道路ネットワークデータは、図41に模式的に示すように、データ生成処理部121が、デジタル地図データベース120の地図データから各階層の道路ネットワークデータ123、124、125を生成する。図40は、この処理手順を示している。
まず、デジタル地図データの着目する区画をN=1から順に設定し(ステップ130)、その区画内の着目するリンクをリンク番号=1から順に設定する(ステップ131)。デジタル地図データベースから、該当する区画Nの該当するリンクLのデータを取得し、その道路属性情報から、そのリンクLの階層番号を決定する(ステップ132)。また、そのリンクLの周辺道路情報を取得する(ステップ133)。こうした処理を全てのリンクについて実施し(ステップ134、ステップ142)、全てのリンクに対する処理が終了すると、階層番号をM=1に設定して(ステップ135)、階層Mの道路ネットワークを構築する(ステップ136)。この処理を全ての階層について実施し(ステップ137、ステップ143)、全ての階層の道路ネットワークの構築が終了すると、層間連絡ノードを設定し(ステップ138)、また、区間Nの階層Mに新たにできた全てのリンクについて、周辺道路情報から並走類似形状属性情報を生成し(ステップ139)、各補間点間リンクにスキップ距離を設定する(ステップ140)。こうした処理を全ての区間について実施する(ステップ141、ステップ144)。
こうした処理により、図1のデジタル地図データから、図3(a)(b)(c)のデータが生成される。また、並走類似形状属性情報を生成する場合は図10のデータが生成され、形状代表値を生成する場合は図12のデータ構成となる。また、スキップ距離を生成する場合は図21のデータ構成が得られる。
(第10の実施形態)
第10の実施形態では、階層構造を採る代わりに、一枚の地図データに含まれる道路に対して上位、中位、下位の重み付けを設定する方式について説明する。この方式では、図39に示すように、一枚の地図データに含まれる各道路を上位道路、中位道路、下位道路に区別し、階層構造の上位層でのマップマッチングに対応して、上位道路を用いたマップマッチングを行い、階層構造の中位層でのマップマッチングに対応して、上位道路及び中位道路を用いたマップマッチングを行い、また、階層構造の下位層でのマップマッチングに対応して、上位道路、中位道路及び下位道路の全てを用いたマップマッチングを行う。
図38は、この処理フローを示している。
マップマッチングに、どのレベルの道路までを対象とするかを決定し(ステップ120)、マップマッチングを実施し(ステップ121)、評価値を算出する(スキップ122)。評価値の算出は、図7の場合と同じである。
候補点の設定に成功し、且つ、候補点の評価値が規定値以内であるか否かを判定する(ステップ123)。候補点の評価値が規定値以内であるときは、選択した形状パターンにより対象道路を特定する(ステップ124)。
また、ステップ13において、候補点の設定に成功しなかったり、候補点の評価値が規定値を超えるときは、使用した道路が下位道路であるか否かを識別し(ステップ126)、最下位道路であるときは、マップマッチングに失敗したものとして処理を終了する(ステップ127)。最下位道路でなければ、より下位の道路を対象に加え(ステップ125)、ステップ121からの処理を繰り返す。
このように、一枚の地図を用い、道路に重み付けをして、マップマッチングに使用する道路を選別することにより、候補点探索時の候補数を減らすことができ、マップマッチングの高速化を図ることができる。
なお、これまで、各実施形態では、形状ベクトルのマップマッチングを行って道路を特定する方法について説明したが、階層化の考え方は、ノード間を経路計算で算出する情報交換方式などにも適用できる。この方式では、リンク途中や交差点で間欠的にノードを選出し、ノード間を経路計算で求める。図42は、この方式に階層化の考え方を導入した場合の模様を示している。ノードP1(=リンク中点)、P2(=交差点)、P3(=リンク中点)、P4(=リンク中点)は間欠的に選出され、それらの緯度経度データを参照して、上位層でのノード位置が検出される。この場合、P1、P2、P3の候補点の検出には成功するが、P4の候補点の検出には失敗する。その結果、P1〜P2〜P3は対象道路区間を特定することができる。P3〜P4間は未特定である。
そこで、下位層に移り、P3及びP4の候補点を検出し、P3〜P4間を経路探索で算出し、上位層での特定分と合わせて、P1〜P2〜P3〜P4間の道路区間を全て特定する。
このように、階層化の考え方は、緯度経度情報を基に道路を特定する位置伝達方法の全てに対して適用可能である。
本発明は、基本的には、マップマッチングの対象道路に該当する頻度に偏りを有する道路網に対して、前記頻度に応じた優先順位を設定し、前記対象道路とマッチングを取る道路網を、前記優先順位に基づいて制限し、前記対象道路の形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないとき、前記優先順位による制限を緩和して、前記対象道路とマッチングを取る道路網の範囲を広げることを特徴とている。こうしたことにより、マップマッチングの迅速化が図れる。
以上の説明から明らかなように、本発明のマップマッチング方法では、対象とする道路を迅速且つ正確に特定することができる。
特に、交通情報の対象道路やプローブ収集システムのプローブ(走行車両)から送られて来る走行軌跡など、道路網の中で対象となる道路に偏りが見られる場合に大きな効果を発揮する。
また、本発明の装置及びコンピュータプログラムは、マップマッチングの高速化及び正確化を実現し、支援することができる。
本発明の第1の実施形態におけるデジタル地図データのデータ構成を示す図 本発明の第1の実施形態における階層構造のマップマッチング用道路ネットワークを模式的に示す図 本発明の第1の実施形態における階層構造のマップマッチング用道路ネットワークデータのデータ構造を示す図 道路形状を示す図 本発明の第1の実施形態におけるマップマッチングの手順を示すフロー図 本発明の第1の実施形態における送信側装置と受信側装置の構成を示すブロック図 本発明の第1の実施形態における可能な限り上位層でマップマッチングを行う手順を示すフロー図 並走類似形状道路を示す図 途中で切れた並走類似形状道路を示す図 本発明の第1の実施形態における並走類似形状道路有無情報を付加したマップマッチング用道路ネットワークデータのデータ構造を示す図 交差点でリンク接続していない並走類似形状道路を示す図 本発明の第1の実施形態における並走類似形状道路属性情報を付加したマップマッチング用道路ネットワークデータを示す図 本発明の第1の実施形態における形状比較による誤マッチングの可能性判定手順を示すフロー図 形状ベクトルとマップマッチングで特定した道路と並走類似形状道路との形状比較を示す図 一部区間のみ並走類似形状道路が存在する状態を示す図 本発明の第2の実施形態におけるマップマッチング方法で対象とする複数の階層に跨る対象道路を示す図 本発明の第2の実施形態におけるマップマッチングで設定する層間連絡ノードを示す図 本発明の第2の実施形態におけるマップマッチングで設定する層間連絡ノードの意義を説明する図 本発明の第3の実施形態におけるマップマッチングで規定する推奨スキップ距離を説明する図 本発明の第3の実施形態におけるマップマッチングで規定する特徴箇所を指定する推奨スキップ距離を説明する図 本発明の第4の実施形態におけるマップマッチング用道路ネットワークデータを示す図 本発明の第4の実施形態におけるマップマッチングの処理手順を示すフロー図 本発明の第4の実施形態におけるマップマッチング処理を模式的に示す図 本発明の第5の実施形態において受信する形状ベクトルデータを示す図 本発明の第5の実施形態におけるマップマッチングで候補点探索範囲を決定する手順を示すフロー図 本発明の第6の実施形態における階層構造の道路ネットワークデータの更新手順を示すフロー図 本発明の第7の実施形態におけるマップマッチングで利用するキャッシュ層のデータの生成手順を模式的に示す図 本発明の第7の実施形態におけるマップマッチングで利用するキャッシュ層のデータのデータ構造を示す図 マップマッチングでヒットするリンクを示す図 本発明の第8の実施形態における階層構造の道路ネットワークデータを配信する送信側装置を示すブロック図 本発明の第8の実施形態における送信側装置が送信する形状ベクトルデータのデータ構造を示す図 本発明の第8の実施形態における対象道路区間を調整する送信側装置の構成を示すブロック図 本発明の第8の実施形態における送信側装置の 並走類似形状抽出処理手順を示すフロー図 本発明の第8の実施形態における送信側装置の 形状ベクトル生成手順を示すフロー図 従来のマクロマップマッチングの処理手順を示す図 対象道路の形状ベクトルとともに提供される交通情報のデータ構成を示す図 対象道路の形状ベクトルとともに符号化されて提供される交通情報のデータ構成を示す図 本発明の第10の実施形態におけるマップマッチングの処理手順を示すフロー図 本発明の第10の実施形態におけるマップマッチングに用いる地図データを示す図 本発明の第9の実施形態における階層構造の道路ネットワークデータの生成手順を示すフロー図 本発明の第9の実施形態における階層構造の道路ネットワークデータの生成機構を示す図 本発明の階層構造を情報交換方式に適用したときの状態を示す図
符号の説明
10 受信側装置
11 データ受信部
12 形状ベクトル表現事象情報データベース
14 マップマッチング部
15 表示部/事象情報活用部
16 デジタル地図Bデータベース
17 地図データ情報受信部
30 送信側装置
31 データ送信部
32 形状ベクトル表現事象情報データベース
33 特徴ノード抽出・形状ベクトル変形部
34 形状ベクトルデータ表現情報生成部
35 デジタル地図Aデータベース
36 事象情報データベース
37 地図データ情報送信部
38 階層構造道路ネットワークデータ
39 並走類似形状算出部
40 並走類似形状データベース
113 階層構造道路ネットワークデータ
116 デジタル地図データA

Claims (25)

  1. マップマッチングの対象道路に該当する頻度に偏りを有する道路網に対して、前記頻度に応じた優先順位を設定し、前記対象道路とマッチングを取る道路網を、前記優先順位に基づいて制限し、前記対象道路の形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないとき、前記優先順位による制限を緩和して、前記対象道路とマッチングを取る道路網の範囲を広げることを特徴とするマップマッチング方法。
  2. 異なる重みが付されている道路網の集合から成る一枚の地図の道路網データを用いて、始めに、重みが比較的大きい道路網と、対象道路の形状を表す形状ベクトルとのマッチングを取り、重みが比較的大きい道路網では前記形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、前記道路網に重みがより小さい道路網を加えた道路網と前記形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、前記対象道路を特定することを特徴とするマップマッチング方法。
  3. 複数の階層に階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つ道路網データを用いて、始めに比較的上位の階層の道路網と、対象道路の形状を表す形状ベクトルとのマッチングを取り、前記比較的上位の階層の道路網では前記形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、より下位の階層の道路網と前記形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、前記対象道路を特定することを特徴とするマップマッチング方法。
  4. 前記形状ベクトルの属性情報を参照し、始めにマッチングを取る階層を決定することを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  5. 前記階層化された道路網の各階層を、道路属性により決定することを特徴とする請求3に記載のマップマッチング方法。
  6. 前記道路属性として、道路種別、道路番号、道路通行料の有無、道路形態、または、交通情報提供対象道路の識別情報を用いることを特徴とする請求項5に記載のマップマッチング方法。
  7. 前記形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られたとき、前記候補道路を得た道路網の階層より低い階層の道路網に前記候補道路と並走する類似形状の並走類似形状道路が存在しないかを判定することを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  8. 前記並走類似形状道路が存在するときに、前記形状ベクトルの形状と前記候補道路の形状と前記並走類似形状道路の形状とを比較して、前記候補道路の採用の是非を判定することを特徴とする請求項7に記載のマップマッチング方法。
  9. 前記候補道路の採用が是と判定できないとき、前記候補道路を得た道路網の階層より低い階層の道路網を用いて前記形状ベクトルとのマッチングを取り直すことを特徴とする請求項8に記載のマップマッチング方法。
  10. 上位の階層の道路網から一つ低い階層の道路網に移る層間連絡ノードを前記上位の階層の道路網に設け、前記上位の階層の道路網の途中で前記形状ベクトルとのマッチングが取れなくなったときに前記層間連絡ノードまで戻って一つ低い階層の道路網に移り、前記形状ベクトルとのマッチングを取ることを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  11. 上位の階層の道路網に対して、一つ低い階層の道路網に移るための戻り距離を規定し、前記上位の階層の道路網の途中で前記形状ベクトルとのマッチングが取れなくなったときに前記戻り距離だけ戻って一つ低い階層の道路網に移り、前記形状ベクトルとのマッチングを取ることを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  12. 最上位の階層を除く各階層の道路網のデータに、個々のリンクが存在する最も上位の階層を示すデータを設定し、最上位以外の階層の道路網と前記形状ベクトルとのマッチングを取っているとき、1つ以上の地点でマッチングが成功した場合に、リンクを通じて当該リンクが存在する上位の階層の道路網に移って前記形状ベクトルとのマッチングを取ることを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  13. 前記形状ベクトルに含まれる誤差の大きさに基づいて、前記形状ベクトルとのマッチングを取る道路網での候補点の探索範囲を可変することを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  14. 各階層の道路網の平均リンク長に基づいて、前記形状ベクトルとマッチングを取るウエイポイントの間引き距離を設定し、前記間引き距離に従ってウエイポイントを間引いて設定することを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  15. 前記道路網データの各階層の道路網に含める道路区間を、当該道路区間が前記対象道路として特定された頻度に応じて更新することを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  16. 前記対象道路として特定された各階層の道路区間をキャッシュエリアにコピーし、前記キャッシュエリアに記録された道路網を前記最上位の階層の道路網として用いることを特徴とする請求項3に記載のマップマッチング方法。
  17. 前記道路網データの最下位の階層を除く各階層のリンクデータに、前記並走類似形状道路の有無を示す並走類似形状道路有無情報を予め付与し、前記並走類似形状道路有無情報に基づいて前記並走類似形状道路の存在の有無を判定することを特徴とする請求項4に記載のマップマッチング方法。
  18. 前記並走類似形状道路有無情報を、上位層の該当道路上に設定した複数のウエイポイントと、隣接道路上の各ウエイポイントの近接点との距離、方位差、及び近接点間の接続性、道なり距離のいずれか1つ以上を用いて作成することを特徴とする請求項16に記載のマップマッチング方法。
  19. 前記道路網データの各階層のリンクデータに、リンクの形状を表す形状代表値を予め付与し、前記形状ベクトルの形状との比較に前記形状代表値を用いることを特徴とする請求項5に記載のマップマッチング方法。
  20. 前記間引き距離を、リンクの形状の特徴点にウエイポイントが設定されるように規定することを特徴とする請求項13に記載のマップマッチング方法。
  21. 前記形状ベクトルの形状が、前記候補道路の形状より前記並走類似形状道路の形状に近いとき、前記並走類似形状道路を含む階層の道路網を用いて、前記形状ベクトルとのマッチングの取り直しを行うことを特徴とする請求項9に記載のマップマッチング方法。
  22. デジタル地図と、
    前記デジタル地図から作成された、複数の階層に階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つマップマッチング用の道路網データと、
    対象道路の形状を表す形状ベクトルを含むデータを受信するデータ受信部と、
    前記道路網データを用いて前記形状ベクトルのマップマッチングを行い、前記対象道路を特定するマップマッチング部とを備え、前記マップマッチング部は、始めに、前記道路網データの最上位の階層の道路網と前記形状ベクトルとのマッチングを取り、前記最上位の階層の道路網では前記形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、他の階層の道路網と前記形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、前記対象道路を特定することを特徴とする受信装置。
  23. デジタル地図と、
    前記デジタル地図から作成された、複数の階層に階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つマップマッチング用の道路網データと、
    前記デジタル地図及び道路網データを配信する地図データ情報送信部と、
    前記デジタル地図のデータを用いて、事象情報の対象道路の形状を表す形状ベクトルを生成する形状ベクトルデータ生成部と、
    前記形状ベクトルデータ生成部で生成された前記形状ベクトルに前記道路網データの階層を指定する情報の付加処理を行う形状ベクトル変形部と、
    前記形状ベクトル変形部で処理された前記形状ベクトルを含む事象情報を送信する事象情報送信部とを備えることを特徴とする事象情報提供装置。
  24. デジタル地図と、
    前記デジタル地図のデータから、リンクに並走し当該リンクと類似する形状の並走類似形状リンクを算出する並走類似形状算出部と、
    前記デジタル地図のデータを用いて、事象情報の対象道路の形状を表す形状ベクトルを生成する形状ベクトルデータ生成部と、
    前記並走類似形状算出部の算出結果を用いて、前記対象道路のリンクに前記並走類似形状リンクが存在するかしないかを識別し、前記並走類似形状リンクが存在する場合に、前記並走類似形状リンクと対象道路との形状が区別できる位置まで前記対象道路を伸ばすように前記形状ベクトルの変形処理を行う形状ベクトル変形部と、
    前記形状ベクトル変形部で処理された前記形状ベクトルを含む事象情報を送信
    する事象情報送信部とを備えることを特徴とする事象情報提供装置。
  25. コンピュータに、
    複数の階層に階層化され、上位の階層の道路網がそれより下位の階層の道路網から抽出された道路網で成り立つ道路網データを用いて、始めに最上位の階層の道路網と、対象道路の形状を表す形状ベクトルとのマッチングを取り、前記最上位の階層の道路網では前記形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られないときに、他の階層の道路網と前記形状ベクトルとのマッチングを取ることにより、前記対象道路の候補道路を得る手順と、
    前記形状ベクトルとマッチングする候補道路が得られたとき、前記候補道路を得た道路網の階層より低い階層の道路網に前記候補道路と並走する類似形状の並走類似形状道路が存在しないかを判定する手順と、
    前記並走類似形状道路が存在するときに、前記形状ベクトルの形状と前記候補道路の形状と前記並走類似形状道路の形状とを比較して、前記候補道路の採用の是非を判定する手順と、
    前記候補道路の採用が是と判定できないとき、前記候補道路を得た道路網の階層より低い階層の道路網を用いて前記形状ベクトルとのマッチングを取り直す手順と
    を実行させるためのプログラム。
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