JP2004353109A - チタニア混合溶液、布状体及びマスク - Google Patents

チタニア混合溶液、布状体及びマスク Download PDF

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Abstract

【課題】光触媒機能を有するマスクが、有機物を分解する過程で生じる分解生成物を呼吸により、体内への進入を遮断し、さらにマイナスイオン効果で睡眠中の癒しを目的とするなど保健衛生型、健康維持型のマスクを提供せんとするものである。
【解決手段】ガス分子の吸着効率の優れたカーボン微粒子と光触媒機能を有するアナターゼ型微粒子をマスク素材に含蓄せしめ、有機物の分解、有機物を分解する過程で生じる分解生成物の吸着、除電機能、マイナスイオン生成機能を持たせたマスク。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の媒体に分散含蓄された場合に、光触媒反応の過程で生じる中間生成物の吸着除去機能、そして、空気中を浮遊する細菌類、病原菌ウィルスを始めとする有機物、有機化合物の有害ガス、などの分解機能を有するチタニア混合溶液、また該溶液を繊維素材に含蓄せしめて以上の機能が発揮可能になる医療用被服や手袋などに利用できる布状体、及びこのような布状体を利用して作成できるマスク(マスクの場合睡眠中の癒し機能も有する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
環境衛生上、安全衛生上のマスクは、主として浮遊している有機物塵埃の呼吸器感染症、花粉症などの予防と、臭気の刺激緩和に使われ、ガーゼ、晒し木綿、不織布製で、長さ15cmほど、鼻と口を覆い、両端に紐をつけて両耳にかけて留める構造が一般的である。最近では、濾過性、生産性、コスト性から化学繊維の不織布が主流を占めているが、静電気による付着塵埃の吸着が問題視されるようになっている。
【0003】
酸化チタンは、近年有害な有機物を自然光に含まれる紫外線エネルギで分解浄化できるメリットから、ハウスシック症候群や化学物質過敏症問題がクローズアップされている新建材を使用した新築のマンションや一般住宅、オフィス、病院、老人施設等、広い範囲での用途が報告されている。これは塗料などに含まれるトルエンやVOCガスが原因するもので、これの対応として紹介されてきた。しかし、光触媒の反応の過程で生じる生成物の中には危険が伴うものがあり、新たなる対応が論じられている。
【0004】
例えば、トルエンは光触媒反応で大部分が炭酸ガス(CO)になるが、それ以外にフェノール、クレゾール、ベンズアルデヒドなどが生成される。さらに、問題として取り上げねばならない点は、揮発性有機塩素系化合物、例えばトリクロロエチレンを二酸化チタンと接触させると大部分は炭酸ガス(CO)とHCl(Cl)になるが、分解の過程で、ほんの僅かではあるが、ホスゲン(COCl)とクロロホルム(CHCl)が生成される。僅かでも長時間の使用では問題となる。
【0005】
以上のことはマスクだけにとどまらず、感染予防用具として利用される、帽子、手袋、白衣、靴下、シューズカバー、シーツ、マクラカバーなど、人が着用するものなら数多く存在する(例えば病院内ではこれらの予防具が多数存在する)。従って、これらのフェノール、ホスゲン、クロロホルムなどの分解生成物あるいは中間生成物と呼ばれる有害物が確認された状況下では、使い方を誤ると思いもよらない障害を伴うので、注意を呼びかける声やその対策が急務となっている。
【0006】
例えば、後述する特許文献1に開示されるように抗菌、殺菌、脱臭機能を備えるために、マスク本体に二酸化チタン等の光触媒だけを付着加工させている例がある。また、二酸化チタン等の光織媒体だけを含有せしめた不織布を加工して、マスク製造している例があり、中間生成物は無視されている。特に、呼吸により鼻や口から進入する有害ガスは、臓器による分解浄化作用を経ることなく、直接、肺から脳に直行するため、マスク表面から生成されるホスゲンなどの有害物は禁物であり、この中間生成物を短時間に分解あるいは除去することが強く望まれる。二酸化チタンの付着の方法は、浸漬方法や噴霧方式が使われている。
【0007】
しかし、マスク素材の主流を占める化学繊維系の不織布は、ほとんどが撥水性素材であり、二酸化チタンと素材との結合作用とその接着力、密着力が不安定で、単に付着しているだけで結合の信頼性がない。そのため、効果の信頼性が乏しい欠点がある。光触媒を単に付着させるのではなく、きちんとした力でマスク素材に接合、含有、含蓄させることが望まれる。
【0008】
また、特許文献2に開示されている例では、殺菌等に対する相乗効果を狙って、炭素繊維層と光触媒層からなる複合フィルタをマスク内部に設けている。静電気による付着塵埃と中間性生物への対応が十分でない。静電気に対しては、透過性素材のマスクカバーの裏面に光触媒層、光触媒層の裏面に炭素繊維層が設けられており、マスクカバーの表面は帯電しやすいため、帯電した浮遊塵埃は吸着されやすい。
【0009】
中間生成物に対しては、本来なら炭素は、吸着効率の優れた微粒子を使うところ、ナノレベルの微粒子製造、微粒子の分散、膜にした場合微粒子の保持が技術的に難しい。炭素繊維は、吸着作用をする表面積が粉体に比べてはるかに小さいこと、原料などの黒鉛や活性炭ほど、多孔質でなく、気体の分子を高効率で吸着することは期待できないため、使用の目的にそわない。
【0010】
また、粒状活性炭などを封入した袋をマスク内に装着した例が特許文献2にはあげられているが、吸引抵抗が大きく違和感があるばかりでなく、抵抗のない隙間が吸引通路となり、実用的でない。特に使い捨てマスクなどではコストが高くなる欠点がある。尚、この例の光触媒は、不織布表面に膜形成した構造であり、接着力は弱い。
【0011】
【特許文献1】
特開平2000−202052
【特許文献2】
特開平2000−197711
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、後述する発明の開発経緯から明らかなように、浮遊している塵埃の静電気による呼込み、吸着を予防し、マスク表面で捕獲した有機物を分解し、この分解反応の過程で生成される有害な中間生成物を除去し、感染予防および体内への侵入を遮断する機能を合わせ持つマスクの開発に始まり、さらに有機物を分解させるアモルファス型チタニア微粒子と、分解作用で生成する有害な中間生成物を吸着するカーボン微粒子とを、繊維素材に安定した結合力で保持、含蓄させ、安定した品質を有するマスク等の素材として利用可能な布状体(感染予防用具の素材として使われている、帽子、手袋、白衣、靴下、シューズカバー、シーツ、マクラカバーなどに使用できる)、及び該布状体をはじめとする種々の媒体に含有せしめて上記機能を発揮できるチタニア混合溶液を提供せんとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明構成の開発経緯につき、以下詳述する。
まず本発明者は、本構成に開発に当たり、最初に医科用などに使用されるマスクについて、研究開発を行った。
【0014】
マスク自体が呼吸により温まり、水滴が形成されると、細菌類の繁殖を助長することになる。細菌類の繁殖条件は、温度と、湿度と、栄養であり、30〜50℃、相対湿度95%以上が最適条件である。特に、温まった水滴は微生物の住処になる。装着したマスクは、生憎この条件を満たし、さらに捕獲された有機物の浮遊塵埃は栄養源となる。従って、時間的な使用制限があり、1時間以上同一のものを使用しない方が良いとされている。そのため、微生物はマスク上で、短時間で、死滅させることが重要な課題である。
【0015】
材質的には、マスク自体絶縁体であり、呼吸による捕獲に加えて、空気中に浮遊している微生物を含む帯電した塵埃が電気的に呼込まれ、吸着されるため、その密度を上げている。特に、化学繊維を中心とした不織布は電気抵抗が大きく、帯電した塵埃がより多く吸着されやすい。そのため前述の温湿度条件と重なって、微生物の住処に変化すると言う思いもつかない大きな問題があり、これを解決することも重要課題である。
【0016】
人の息のよる口臭が付着し、臭気が蓄積するため、10分も経たない内に、不快感が溢れる等の問題があり、マスク着用を遠ざける原因にもなっている。
【0017】
以上の経緯から、本発明者は、上記課題の解決にあたり、マスクに除電機能を持たせて静電気による塵埃の呼込み吸着を予防すること、光触媒機能を持たせて細菌類を始めとする有機物塵埃および有機化合物のガスを分解浄化させること、親水性機能を持たせて呼吸に伴う水滴をマスク表面に作らないこと、さらに吸着機能を持たせて分解の過程で生成される有害な中間生成物を吸着除去し、体内への侵入を遮断する機能が、マスク上で一貫作用として働く新たな着想を持つに至った。折から、中国や東南アジアで猛威を振るう新型肺炎の重症急性呼吸器症候群SARSの感染阻止が急務となった経緯がある。
【0018】
そこで発明者は、素材の持つ利点を積極的に活用し、マスク表面をイオン化させることにより、浮遊塵埃の吸着予防の作用から始まり、有機物の分解作用、さらに光触媒反応の過程で生成される中間生成物に着目し、分解効率の良い光触媒と吸着効率の良い吸着媒とを共存させ、中間生成物が生成されると同時に、吸着除去する作用、生成したマイナスイオン空気の供給作用まで、一貫する機能をマスクに併せ持たせる着想に至った。
【0019】
マスク表面に除電機能を持たせて塵埃の呼込み吸着を予防する着想は、紫外線の得られる環境下と、紫外線の得られない環境下とでは考え方は異なる。前者は光触媒反応で表面はイオン化するため問題はない。しかし、後者の環境下では、イオン化することが出来ないので、何らかの工夫がいる。電気抵抗の小さい金属、カーボンの複合化もその手段である。化学的に安定したカーボンの電気的性質をそのまま利用することは、次に説明する中間生成物の吸着性と除電性の効率面からカーボン微粒子を点在させることに着目した。この点が炭素繊維層を用いる上記特許文献2の構成とは根本的に異なっている。
【0020】
中間生成物の除去は、吸着媒即ち、吸着効率の優れたカーボン微粒子を光触媒反応の最も効率の高いアナターゼ型チタニア微粒子に隣接させ、共存共栄を発揮させる構造を思いついた。そのため、カーボン微粒子とアナターゼ型チタニア微粒子を分散、保持させる必要から、これら微粒子のバインダの役目をするアモルファス型チタニア水溶液に分散せしめたチタニア混合溶液を作り、これを機械的あるいは物理的な圧力を付加して、マスク素材の不織布に圧入して、水分を自然乾燥ないしは強制乾燥することで含蓄させる手法を考えた。
【0021】
乾燥させたマスク素材には、カーボン微粒子およびアナターゼ型チタニア微粒子が表面から深部まで含蓄され、上記問題を解決するために有効であることがわかり、該マスクに、適用し、広い用途で、優れた利点を見出した。機械的な方法は高圧下でチタニア混合用液を吹付ける方法、物理的な方法は真空を利用して圧入する方法何れでも可能である。
【0022】
主役となる微粒子、即ちカーボン微粒子とアナターゼ型チタニア微粒子は、濃度の安定化と水分蒸発後に形成されるチタニア膜内に均一に分散させる必要がある。そのため、2種類の粒子の大きさは、ニュートン力学の及ばない範囲、即ちブラウン運動の範囲の質量、重量が必要であって、ナノ粒子である必要がある。従って、50nm以下の微粒子であることが望ましい。薬剤系の分散剤を使い各微粒子を分散させることも手段として考えられるが、分散剤自体ならびに光触媒反応で生じる親水基(活性酸素)が強力な分解力を持つため、分けの解らない分解生成物による障害を未然に防ぐこと、マスク素材を変質させる可能性があること、から使用しない方が望ましい。
【0023】
さらに、チタニア混合溶液は、マスク素材の変質および化学反応による反応生成物の発生を予防するために、中性であることが重要である。
【0024】
マスク面のイオン化は、マスク素材にアナターゼ型チタニアの微粒子を含蓄せしめ、太陽や蛍光灯の比較的弱い波長の紫外線を利用する。アナターゼ型チタニアは、紫外線を吸収して、高効率で光触媒作用を発揮する。電気的にマイナスの電子eは、空気中の酸素分子(O)と反応(O+e=O )し、酸素イオンを生成して、マスク表面をイオン化する。マスク表面で生成された酸素のマイナスイオン(O )は、直接吸い込むことになり、爽快な気分になると共に、有機物を分解する力も持っている。
【0025】
電気的にプラスの正孔hは、空気中の水分子と反応(HO+h=OH+H)して、親水基(活性酸素:OH)を生成し、有機物、有機化合物は分解され、炭酸ガスと水になり浄化される。と同時に親水基がマスク表面を覆うため、親水基は水分と結合しやすい環境を作ることになり、撥水生面から親水性面へと変化させる。そのため、呼吸による水蒸気は水滴とならず、程よく湿ったマスク面が得られる。尚、チタニアは食品添加剤でもあり、人畜無害な物質である。
【0026】
電磁波の波長で100〜400nmは、紫外線であり、太陽光線から得られる地球上の紫外線の波長は、地上10〜50kmに存在するオゾン層で吸収されてしまうため、概ね300〜400nmである。アナターゼ型の結晶構造を持つチタニアのバンドギャップエネルギ3.2eVは、光エネルギに換算すると388nmであり、太陽光線下、さらに蛍光灯下でも光触媒反応は得られる。
【0027】
物に電圧を加えたとき、「電流の流れやすいもの」、「電流の流れにくいもの」、「電流の流れないもの」、に区分される。チタニアは半導体であり「電流の流れにくいもの」に、マスク素材は絶縁体であり「電流の流れないもの」に該当する。従って、アナターゼ型チタニア微粒子とカーボン微粒子を含蓄したマスク素材は、電気抵抗が半導体レベルの10〜10Ωcmを示すため、「電流の流れないもの」から「電流の流れにくいもの」に変化する。
【0028】
本発明で用いられるカーボン及びアナターゼ型チタニアは、いずれも微粒子であり、微粒子の尖端に集まった電荷は、イオン化したマスク素材の表面から絶えず放電が繰り返される。従って静電気による塵埃の吸着が阻害される。
【0029】
また光触媒反応でイオン化したマスク表面は、マイナスイオンであり、還元作用により、精神的にも癒される効果を発揮し、リフレッシュされる。さらに、鼻腔内、口腔内に抗酸化力が高まり、口臭が予防できる。
【0030】
以上のように、カーボン微粒子とアナターゼ型チタニア微粒子を含蓄せしめ、除電機能、光触媒機能、親水性機能、吸着機能を併せ持つマスクは、静電気による塵埃吸着の予防と、捕獲した有機物の塵埃や細菌類並びにガスの分解と、有機物の分解の過程で生じる生成物を捕獲し、体内への侵入を予防すること、が可能である。
【0031】
とりわけ密閉度が高く、窓などを開放する期間が短い寒冷地の病院や一般住宅では、建材や家具から発せられる有害ガスによる室内汚染問題を、マスク装着で対応することもできる。近年、化学物質過敏症、ハウスシック症候群など社会的問題になっている原因は、建材や塗料、接着剤から気化するVOCガスやホルムアルデヒドであり、刺激臭を感じなくなるまでには、個人差はあるものの新築の場合、法令で規制された0.08ppm以下にするには、少なくとも1年はかかる。日常生活でも室温が上昇するにつれて気化量も増えるため、換気をすることに抵抗がある寒冷地では、健康を維持する上で、効果的である。また、ペットブームの折、犬猫の化学物質による病気も増加の一途をたどり、無駄な出費がかさんでいる問題もあり、用途は広がっている。
【0032】
カーボンと光触媒の作用が問題解決に及ぼす点は、特に院内感染予防に対しての効果が大きい。院内感染予防は、医療関係に携わっている者の重大テーマでもある。文化の大きな変化に伴い細菌類が強力化している現状下、診察する医師や看護士が着用する衣類、器具類、入院患者が利用する衣類、寝具類、間仕切りカーテン等に化学繊維やプラスチック素材化している現状下では、除電による吸着対策、付着細菌類の殺菌対策により効果的に活用でき、且つ簡単にまた安価に処置する必要がある。本願構成は、安価なカーボンの利点、太陽光線や蛍光灯から容易に得られる紫外線が建物内外ともに豊富である利点など、カーボンやチタニアの優れた性質を利用し、効果を発揮させることができる。有機物、特に細菌類は化学繊維、プラスチック製品に吸着しやすいため、細菌類の付着予防と殺菌に大きな効果を発揮する。
【0033】
そこで本発明としては、マスクに上記機能を持たせるために大きな役割を果たすことになったカーボン微粒子と、アナターゼ型チタニア微粒子とを、バインダの役目をするアモルファス型チタニア水溶液に分散せしめたチタニア混合溶液を、マスクだけではなく、上記のように様々な媒体に分散含蓄させることで、それらの媒体を利用したものに上記の効果が発揮されるようになることが分かり、そのため上記のようなチタニア混合溶液自身も本発明の構成として提案する。また該チタニア混合溶液を繊維素材(不織布状態のものを含む)に含蓄せしめて、上記機能が発揮できる種々の感染予防具などの素材として利用される布状体についても併せて提案する。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成のうち、特にマスクの実施の形態について、詳述する。
[実施例1]
図1は、アナターゼ型チタニア微粒子の有害ガス分解による濃度変化とカーボン微粒子の分解生成物の吸着による濃度変化を示した図である。
【0035】
試験内容は、化学物質過敏症やハウスシック症候群で、問題視されているVOCガスの代表的存在であるトルエンやホルムアルデヒドを含む合板で作成した試験箱と、有機溶剤の揮発がないガラス試験箱を作り、また現在主流を占めている化学繊維製不織布で作った簡易形の使い捨てマスクを対象に、未処理マスクと、アナターゼ型チタニア微粒子のみを含蓄させたマスクと、アナターゼ型チタニア微粒子とカーボン微粒子を含蓄せしめたマスクと、の3種類の試験マスクを作成した。各試験マスクを試験箱の底部に置き、ガスの分解レベル差と生成物の吸着除去レベル差を比較したものである。
【0036】
試験方法は、蒸気比重が、ホルムアルデヒドが1.1、トルエンが3.2であり、何れの蒸気も低部に沈降する、試験箱の底部に置いた試験マスクが、蒸気比重の重いガスは底部に沈降し、対流現象により試験マスクに繰り返し接触するため、自然に浄化されることに着目した。
【0037】
ホルムアルデヒドの測定方法は、1L/分のアクティブサンプリング法で、DNPHカートリッジを使用して、測定開始時より30分間空気捕集し、高速液体クロマトグラフで定量分析を実施した。トルエンの測定方法は、20mL/分のアクティブサンプリング法で、PEJ−02チューブを使用して、測定開始時より30分間空気捕集し、加熱脱着式クロマトグラフで定量分析を実施した。測定環境は、温度21℃、湿度42%である。
【0038】
分析結果は、指針値100μg/m以下のホルムアルデヒドが、未処理マスクの29μg/m対して、アナターゼ型微粒子のみを含蓄せしめたマスクで約66%減の10μg/m、カーボンとアナターゼ型微粒子を含蓄せしめたマスクでは約72%減の7μg/m、指針値260μg/m以下のトルエンが、未処理マスクの36μg/m対して、其々約67%減の12μg/m、75%減の9μg/mであり、大幅な改善を見た。
【0039】
特に注目すべき点は、カーボン入りの効果である。アナターゼ型チタニア微粒子だけでカーボンのないマスクに対して、カーボン微粒子入りは、約10%多く分解されている、ガスの吸着能力がある証明であり、これは分解過程で生じる中間生成物も合わせて吸着することが考えられ、予防は十分可能であると見ている。尚、アナターゼ型チタニア微粒子とカーボンの不織布への含蓄方法は、先ず、アナターゼ型チタニア微粒子をアモルファス型チタニアに分散せしめたチタニア混合溶液と、アナターゼ型チタニア微粒子とカーボン粒子を分散せしめたチタニア混合用液を作り、これを特殊ガンで5〜7Kg/cmの圧力で吹付けたものである。
【0040】
[実施例2]
さらに、実施例として、同様な使い捨てマスクを使い、アナターゼ型チタニア微粒子とカーボン微粒子を含蓄させて、抗菌試験を実施した。
【0041】
含蓄方法は、カーボン微粒子入りのチタニア混合溶液に浸漬して、乾燥させた方法と、特殊ガンで形成したミストを7Kg/cmの圧力で吹付けて乾燥させた方法との2種類のマスクを製作して、比較評価を行った。
【0042】
図2および図3は、この2種類のマスクに対する抗菌試験であり、使用した試験株−MRSA・MR−108株の時間経過に伴う生菌数の変化を観察した結果を示したものである。
【0043】
試験結果は、1分以内で95%の生菌数の減少を確認することができた。これはマスクを着用し、太陽光線や蛍光灯の灯りがあるところでは、細菌類を死滅させることが可能であることを意味し、さらに動植物の細胞内に寄生しているウィルスも運命を共にすることになり、ウィルスの進入予防も可能である。
【0044】
マスク表面に捕獲された微生物を始めとする細菌類は、光触媒反応で生じた酸素イオンや活性酸素で分解されるため、細菌類の繁殖や住処と化する問題は予防可能である。
【0045】
分解の対象とする微生物や細菌類は、炭素を主成分とする有機化合物で、複数の原子が結合した分子の集まりである。分子自体複数の原子が結合した粒子であり、エネルギをもって結合している。分子の結合の種類としては、炭素−炭素の結合、炭素−水素の結合、炭素−窒素の結合、炭素−酸素の結合、などがあり其々の結合のエネルギは、1モルあたり、83Kcal、99Kcal、73Kcal、84Kcalである。アナターゼ型チタニアの光触媒反応で得られる活性酸素の分解エネルギは、1モルあたり120Kcalであり、何れの分子の結合エネルギを上回っているので、容易に分解することができる。
【0046】
化学繊維で作られた簡易型使い捨てマスクへのチタニア含蓄方法に抗菌効果上、差が生じている。浸漬法によるチタニア膜付着のメカニズムは、マスク繊維の表面に分子間エネルギでの結合が主である。これに対して、高圧スプレー法では、機械的な力が加えられたため、光触媒反応効果の大きなアナターゼ型チタニア微粒子が、繊維内に深く埋め込まれる。そのため、菌を分解する作用がその分多くなるものと考えている。因みに浸漬法では、マスク素材が化学繊維の不織布であるため、撥水性を示す。そのため付着部分に斑が生じること、マスクを付けたり外したりしている内に、すぐ剥離してしまう等の欠点が目立った。
【0047】
時間的な経過では、光のない暗所遮光状態でも、1時間で生菌数はゼロになる抗菌効果の確認をすることができた。特にこの確認は、睡眠中のマスク着用にも効果が発揮されることになり、睡眠中における呼吸に伴う細菌類による感染予防、VOCガスなどの有害物質の進入を予防するに大きな効果を発揮する。また、逆に感染者の細菌類を留めることにつながり、広い用途が考えられる。
【0048】
この暗所遮光状態の効果は、マスクに限定されることなく、様々な衣料、寝具、カーテン、家具にも応用が可能であることが確認された。特筆すべき点は、除電機能、光触媒機能、親水性機能、吸着機能を併せ持つチタニア混合液を吹付けた室内は、空気中の酸素分子とチタニアとの反応でマイナスイオンが生成され、臭気を軽減するため、快適な生活空間が容易に得られる。この方法は、天井、壁、チタニア混合溶液の圧力ミスト吹付け、窓ガラス、床にチタニア膜を形成しておき、窓から侵入する紫外線や蛍光灯から得られる紫外線を利用することになる。従って本発明では、上記のようにチタニア混合溶液自身及び該溶液を繊維素材に含蓄させた布状体についても提案することになった。
【0049】
使い捨てマスクは、文字通り用済み後、付着した塵埃に混入した微生物や細菌類が付着したままゴミ箱にそのまま捨てられたりするので、不衛生的な廃棄物に化していたが、本構成のマスクでは、細菌類を始めとする有機物は、分解浄化されるので環境衛生保全型のマスクとして普及する。
【0050】
[実施例3]
図4は、マスク処理方法と帯電電圧を比較したものである。試験方法は、同様に、未処理マスク、チタニア混合溶液の浸漬処理マスク、チタニア混合溶液の圧力ミスト吹付け処理マスクの3種類を作成し、アクリル板で各々20g/cmの加重で5回摩擦をして帯電電圧を測定した結果である。測定環境は、20ワットの蛍光灯下、温度25℃、湿度48%である。
【0051】
結果はカーボンの除電作用、さらにチタニアのイオン化作用で著しい効果が得られている。乾燥した空気は、絶縁体レベルの電気抵抗を持っているが、湿ってくるとある程度の電流を流す。そして、何らかのエネルギが加わり、空気がイオン化すると電気抵抗はゼロになる。チタニアを含蓄したマスク表面に、紫外線があたると電子は励起されて、飛び出し、空気中の酸素分子は飛び出した電子の還元作用で酸素イオンとなり、表面に介在することになる。そのため帯電もしにくくなるため、静電気による浮遊塵埃の呼込み、吸着現象は激減する。
【0052】
使い捨てマスクに限らずマスクの共通する問題は、人の息のよる口臭が蓄積し、臭気が付着するため、1時間も使用しない内に、不快感を伴う点である。臭気は、有機化合物の様々な分子であり、この分子がマスク表面に吸着することが原因している。光触媒反応で有機化合物の分子を容易に分解することが可能であり、臭気の蓄積が激減する。
【0053】
付記:
(1). カーボン微粒子と、アナターゼ型チタニア微粒子とを、含蓄するマスク。
(2). (1)においてカーボン微粒子とアナターゼ型チタニア微粒子は、バインダ作用をするアモルファス型チタニア水溶液に分散させたチタニア混合溶液であること。
(3). (2)においてチタニア混合溶液は、中性であること。
(4). (2)、(3)において、アナターゼ型チタニア微粒子とカーボン微粒子の含蓄は、自然あるいは強制乾燥により、チタニア混合液の水分蒸発によるものであること。
(5). (1)乃至(4)において、マスク表面の電気抵抗は、半導体レベルであること。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のようにして混合されたチタニア混合溶液が、種々の媒体に分散含蓄された場合に、カーボンの除電による吸着予防の効果で、そしてチタニアのイオン効果で、有機物の分解機能、分解過程で生じる中間生成物の吸着機能、親水性機能、を積極的に利用して、光触媒反応の過程で生じる中間生成物の吸着除去機能、そして、空気中を浮遊する細菌類、病原菌ウィルスを始めとする有機物、有機化合物の有害ガス、などの分解機能と、無機物の塵埃の遮断機能を発揮できるようになるという優れた効果を奏することができるようになる。
【0055】
また該溶液を繊維素材(不織布状態のものを含む)に含蓄せしめた布状体は、以上の機能が発揮可能になるため、医療用被服や手袋などの感染予防具の素材として利用できるようになる。
【0056】
さらにこのような布状体を利用して作成できるマスクは、浮遊している塵埃の静電気による呼込み、吸着を予防し、マスク表面で捕獲した有機物を分解し、この分解反応の過程で生成される有害な中間生成物を除去し、感染予防および体内への侵入を遮断する機能を合わせ持ち、且つマスク表面のイオン化作用もあるため、細菌類、ウィルスに対する感染予防、有害なVOCガスと分解生成物の呼吸による吸い込み予防に効果的であり、マイナスイオン効果で快適な癒し生活のツールとして活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるアナターゼ型チタニア微粒子の有害ガス分解による濃度変化とカーボン微粒子の分解生成物吸着による濃度変化を示すグラフである。
【図2】本発明に係る圧力ミスト法によるアナターゼ型チタニア微粒子とカーボン微粒子の含蓄マスクにおけるMRSA抗菌効果を示すグラフである。
【図3】本発明に係る浸漬方法によるアナターゼ型チタニア微粒子とカーボン微粒子の付着形成マスクにおけるMRSA抗菌効果を示すグラフである。
【図4】マスク処理方法と帯電電圧を示したグラフである。

Claims (3)

  1. カーボン微粒子と、アナターゼ型チタニア微粒子とを、バインダの役目をするアモルファス型チタニア水溶液に分散せしめたチタニア混合溶液。
  2. カーボン微粒子とアナターゼ型チタニア微粒子とをバインダの役目をするアモルファス型チタニア水溶液に分散せしめて得られたチタニア混合溶液を、繊維素材に含蓄させ、水分を蒸発させることにより、チタニア膜内にカーボン微粒子とアナターゼ型チタニア微粒子とを分散せしめたことを特徴とする布状体。
  3. マスク素材となる布状体にカーボン微粒子と、アナターゼ型チタニア微粒子とを、分散含蓄せしめたことを特徴とするマスク。
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