JP2004352171A - 動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】万一ドライブシャフトが破損した場合に、差動歯車や終減速歯車などの2次損傷を防止し、動力伝達装置全体の損傷を低減することを目的とする。
【解決手段】駆動源から伝達された回転運動を車輪の回転速度に減速する終減速歯車24、25と、終減速歯車24、25に連結される差動歯車機構4と、差動歯車機構4に連結されて駆動輪に回転運動を伝達するドライブシャフト12とを備えた動力伝達装置1において、ドライブシャフト12の一端側に差動歯車機構4に連結されるスプライン結合部が備えるとともに、ドライブシャフト12の他端側に駆動輪を支持するハブ6に固定されるフランジ部12aを備え、ドライブシャフト12のフランジ部12aの近傍に、軸部の外径が小さくなるように環状溝12cを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】駆動源から伝達された回転運動を車輪の回転速度に減速する終減速歯車24、25と、終減速歯車24、25に連結される差動歯車機構4と、差動歯車機構4に連結されて駆動輪に回転運動を伝達するドライブシャフト12とを備えた動力伝達装置1において、ドライブシャフト12の一端側に差動歯車機構4に連結されるスプライン結合部が備えるとともに、ドライブシャフト12の他端側に駆動輪を支持するハブ6に固定されるフランジ部12aを備え、ドライブシャフト12のフランジ部12aの近傍に、軸部の外径が小さくなるように環状溝12cを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フォークリフトなどにおいて、エンジンや回転モータ等の駆動源からトランスミッション及びプロペラシャフトを介して伝達された回転運動を、終減速歯車で減速し、差動歯車機構及びドライブシャフトを介して駆動輪に伝達する動力伝達装置が知られている。
【0003】
例えば、図1に示すように、動力伝達装置1は、終減速ギヤ及び差動歯車機構を収納するデフハウジング2、デフハウジング2の左右両側(図1のRH又はLH方向)に配設されたスピンドル16、スピンドル16及びデフハウジング2を支持するとともに車体フレーム19の取り付けられるハンガーブラケット14、15、スピンドル16に収納され一端側がデフハウジング2内の差動歯車機構(図示せず)に連結されるドライブシャフト12、ドライブシャフト12の他端側に取り付けられるドラムブレーキ3及びハブ6等を備えている。そして、ドライブシャフト12は、一端側に差動歯車機構に連結するスプライン結合部(図示せず)が備えられるとともに、他端側にハブ6に固定されるフランジ部12aが備えられ、差動歯車機構から伝達された回転運動を、ハブ6及びドラムブレーキ3等を介して、駆動輪13に伝達する。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開2003−80903号公報(第5−7頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示すような動力伝達装置においては、一般に、ドライブシャフト12の外径が、差動歯車機構に連結される一端側からハブ6に固定されるフランジ部12aの近傍まで、軸方向に沿って略等しく形成されているので、特殊な事情によって許容値を超える応力がドライブシャフト12に加えられた際に、ドライブシャフト12の差動歯車機構に連結される一端側が破損し、動力伝達装置1全体に多大な損傷が生じる虞があった。つまり、ドライブシャフト12のデフハウジング2近傍の軸部又はデフハウジング2内に挿入されている軸部が折れて、デフハウジング2内の差動歯車機構及び終減速歯車などの2次損傷が生じ、これら全体を交換し、又は分解して保修しなければならないので、多大の修理費用を要する虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、万一ドライブシャフト12が破損した場合に、デフハウジング2内の差動歯車機構や終減速歯車などの2次損傷を防止し、動力伝達装置1全体の損傷を低減することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、駆動源から伝達された運動力を左右の駆動輪に分配する差動歯車機構と、該差動歯車機構にて分配された駆動力を左右の駆動輪に伝達するドライブシャフトとを備えた動力伝達装置であって、前記ドライブシャフトは、軸の一端側に前記差動歯車機構に連結されるスプライン結合部が備えられとともに、該軸の他端側に駆動輪を支持するハブに固定されるフランジ部が備えられ、該フランジ部の近傍において、該軸の外径が小さくなるように縮径部が備えられていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の備えた動力伝達装置によれば、ドライブシャフトは、軸の一端側に差動歯車機構に連結されるスプライン結合部が備えられとともに、軸の他端側に駆動輪を支持するハブに固定されるフランジ部が備えられ、フランジ部の近傍において、軸の外径が小さくなるように縮径部が備えられているので、特殊な事情によって許容値を超える応力がドライブシャフトに加えられて万一ドライブシャフトが破損する際には、ドライブシャフトのフランジ部近傍の縮径部が破損し、動力伝達装置全体の損傷を低減することができる。即ち、ドライブシャフトの他端側に連結される差動歯車機構の2次損傷を防止し、これらが破損した場合の修理、交換のための費用や時間等を低減することができる。
【0009】
また、本発明の動力伝達装置は、ドライブシャフトのフランジ部近傍に縮径部が備えられているので、駆動輪からドライブシャフトに伝わる衝撃に対してこの縮径部が弾性を有し、ドライブシャフトの他端側に伝わる衝撃がこの縮径部で緩和され、ドライブシャフトの他端側に連結される差動歯車機構に大きな衝撃が伝わることが無く、長期にわたって優れた信頼性を維持することができる。
【0010】
また、請求項1に記載の動力伝達装置は、請求項2に記載の発明のように、前記縮径部が前記軸の外周に沿って形成された環状溝によって形成されているので、万一ドライブシャフトが破損する際には、この環状溝の範囲において破損させることができ、破損位置が特定できて修理、交換のための費用や時間等を低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。図1は本発明の動力伝達装置が適用されたフォークリフトの動力伝達装置の構成を表す分解斜視図、図2は同実施例の動力伝達装置の断面図、図3は同実施例のドライブシャフトの外観図である。
【0012】
図1に示すように、動力伝達装置1は、差動歯車機構及び終減速歯車を収納するデフハウジング2、デフハウジング2の左右両側(図1のRH又はLH方向)に配設された一対のスピンドル16、一対のスピンドル16に収納される一対のドライブシャフト12、ドライブシャフト12の先端部に取り付けられるハブ6、スピンドル16及びデフハウジング2を車体フレーム19に支持するハンガーブラケット14、15等を備えている。
【0013】
ハンガーブラケット14、15は、車体フレーム19とデフハウジング2とそれぞれ貫通孔19a、14cを介しボルト20および17、ナット21によって固定され、前端部(図1のF方向)に車体に固定されるマスト31に設けられたピン(図示せず)を受けるためのフック部が設けられている。そして、ハンガーブラケット14のボス部に設けられた穴部14aにはスピンドル16が圧入される。
【0014】
ドラムブレーキ3は、ハブ6を介してドライブシャフト12に固定されるとともに駆動輪13の内側に固定され、駆動輪13及びドライブシャフト12と共に回転するように取り付けられる。
次に、図2に示すように、デフハウジング2内には、エンジンや回転モータを駆動源として回転運動するプロペラシャフト(図示せず)を介して接続される入力軸26、入力軸26に一体に固定された第1の歯車27、入力軸26と平行に配置された出力軸28、出力軸28に一体に固定され第1の歯車27に歯合する第2の歯車29、等が備えられている。入力軸26及び出力軸28はそれぞれ回転自在にベアリングによって支持され、入力軸26が回転すると、第1の歯車27と第2の歯車29との噛合によって出力軸28が回転する。尚、第2の歯車29は第1の歯車27よりも外径が大きく形成されており、これらの噛合によって、入力軸26の回転が減速されて出力軸28に伝達される。
【0015】
また、デフハウジング2内には、出力軸28の回転を減速してドライブシャフト12に伝達するために、出力軸28の端部に固定された第1の終減速歯車24を介してデフハウジング2に対して回転可能に支持され第1の終減速歯車24に噛合し回転する第2の終減速歯車25が備えられている。また、第1の終減速歯車24がピニオン歯車で構成されるとともに、第2の終減速歯車25が傘歯歯車で構成され、互いに噛合することによって、出力軸28の回転方向を90°変換し、差動歯車機構4を介し、その回転運動をドライブシャフト12に伝達する。
【0016】
また、デフハウジング2内には、車両が曲がり道やデコボコ道を走る際に、左右の駆動輪13の回転差を吸収し円滑な走行を行うために、複数個の傘歯歯車を組み合わせた差動歯車機構4が備えられている。
この差動歯車機構4は、第2の終減速歯車25にデフシャフト5及びデフケース(図示せず)を介して接続された一対のデフピニオンギヤ8、9と、このデフピニオンギヤ8、9に噛合されるとともにドライブシャフト12の一端にスプライン結合した一対のデフサイドギヤ10、11によって構成されている。デフピニオンギヤ8、9はデフシャフト5に回転自在に支持されており、デフシャフト5を介して第2の終減速歯車25とともに同一方向に回転するとともに、第2の終減速歯車25の回転方向に対して直交する向きにも回転するように構成されている。そして、左右の駆動輪13に回転差が生じると、デフピニオンギヤ8、9が第2の終減速歯車25の回転方向に対して直交する向きに回転し始め、その回転差を吸収するように構成されている。尚、デフサイドギヤ10、11には、ドライブシャフト12の一端が貫通してスプライン結合するための貫通孔が形成され、この貫通孔の内面にスプラインが形成されている。
【0017】
次に、左右のドライブシャフト12は、それぞれ、一端が差動歯車機構4のデフサイドギヤ10、11に接続され、他端が駆動輪13を支持するハブ6に固定され、差動歯車機構4を介して伝達された回転運動を駆動輪13に伝達するように構成されている。
【0018】
また、ドライブシャフト12は、図3に示すように、軸部12bの一端側に差動歯車機構4のデフサイドギヤ10、11に接続されるスプライン結合部12fが備えられとともに、軸部12bの他端側に駆動輪13を支持するハブ6に固定されるフランジ部12aが備えられている。
【0019】
ドライブシャフト12は、特殊な事情によって万一ドライブシャフト12が破損する際に、ドライブシャフト12の他端側に連結される差動歯車機構4や終減速歯車24、25などの2次損傷を防止するために、フランジ部12aの近傍において、軸部12bの外径が小さくなるように、軸部12bの外周に沿って形成された環状溝(所謂、縮径部である)12cが備えられている。つまり、軸部12bの外径DAよりも小さい外径DBを有する縮径部がフランジ部12a近傍に備えられている。尚、フランジ部12aは、フランジ部12aの強度を維持するとともに軽量化を図るための凹部12eと、ハブ6に図2に示すボルト30によって固定するための孔12dが形成されている。
【0020】
ドライブシャフト12は、例えば、特殊鋼材を用い、これを切削加工や鍛造加工することによって、フランジ部12a及び軸部12bが一体に形成されるとともに環状溝12cが形成され、次いで、軸部12bの他端側の外周面に転造加工やホブ加工することによって、デフサイドギヤ10、11の中心孔の内面に形成されたスプラインに結合するキー溝状のスプライン結合部12fが形成される。次いで、ドライブシャフト12は、所定の強度を得るために、その軸部12bの表面及び環状溝12cの表面に高周波焼入れを行うことによって、その表面に硬質層が形成される。
【0021】
また、ドライブシャフト12は、高周波焼き入れが行われることによって、軸部12bの表面に形成される硬質層の厚みが環状溝12cの表面に形成される硬質層の厚みより厚く形成され、環状溝12c(外径DBの範囲)の強度より軸部12b(外径DAの範囲)の強度が大きくなるように調質されている。
【0022】
以下に、前記の構成を有する実施形態の動力伝達装置の作用効果を記載する。
実施形態の動力伝達装置1によれば、ドライブシャフト12は、軸部12bの一端側に差動歯車機構4に連結されるスプライン結合部12fが備えられとともに、軸部12bの他端側に駆動輪13を支持するハブ6に固定されるフランジ部12aが備えられ、フランジ部12aの近傍において、軸部12bの外径が小さくなるように環状溝12cからなる縮径部が備えられているので、特殊な事情によって許容値を超える応力がドライブシャフト12に加えられて万一ドライブシャフト12が破損する際には、ドライブシャフト12のフランジ部12a近傍の環状溝12cが破損し、動力伝達装置1全体の損傷を低減することができる。即ち、ドライブシャフト12の他端側に連結される差動歯車機構4や終減速歯車24、25などの2次損傷を防止し、これらが破損した場合の修理、交換のための費用や時間等を低減することができる。
【0023】
また、実施形態の動力伝達装置1によれば、ドライブシャフト12のフランジ部12a近傍に環状溝12cからなる縮径部が備えられるので、駆動輪13からドライブシャフト12に伝わる衝撃が、この縮径部で緩和され、ドライブシャフト12の他端側に連結される差動歯車機構4や終減速歯車24、25などに大きな衝撃が伝わることが無く、長期にわたって優れた信頼性を維持することができる。
【0024】
さらに、ドライブシャフト12は、軸部12b及び環状溝12cの表面に、高周波焼き入れを行われ、軸部12bの表面に形成される硬質層の厚みが環状溝12cの表面より厚く形成され、軸部12bの強度が環状溝12cの強度よりも大きくなるように調質されているので、万一ドライブシャフト12が破損する際には、この環状溝12cにおいて破損させることができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を取ることができる。
例えば、実施形態において、ドライブシャフト12のフランジ部12a近傍に環状溝12cから成る縮径部を形成したが、環状溝12cに代えて、フランジ部12a近傍の軸部12bの外径が最も小さくなるように軸部12bに沿ってテーパを形成してもよい。
【0026】
また、本発明は、フォークリフトに備える動力伝達装置1に限定されるものでなく、駆動源から伝達された運動力を左右の駆動輪に分配する差動歯車機構と、該差動歯車機構にて分配された駆動力を左右の駆動輪に伝達するドライブシャフト12とを備えた動力伝達装置であれば適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動力伝達装置が適用されたフォークリフトの動力伝達装置の構成を表す分解斜視図である
【図2】同実施例の動力伝達装置の断面図である。
【図3】同実施例のドライブシャフトの外観図である。
【符号の説明】
1…動力伝達装置、2…デフハウジング、3…ドラムブレーキ、4…差動歯車機構、5…デフシャフト、6…ハブ、8、9…デフピニオンギヤ、10、11…デフサイドギヤ、12…ドライブシャフト、12a…フランジ部、12b…軸部、12c…環状溝、12d…孔、12e…凹部、12f…スプライン結合部、13…駆動輪、14,15…ハンガーブラケット、14a…穴部、19a,14c…貫通孔、16…スピンドル、17,20…ボルト、19…車体フレーム、21…ナット、24…第1の終減速歯車、25…第2の終減速歯車、26…入力軸、27…第1の歯車、28…出力軸、29…第2の歯車、30…ボルト、31…マスト。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フォークリフトなどにおいて、エンジンや回転モータ等の駆動源からトランスミッション及びプロペラシャフトを介して伝達された回転運動を、終減速歯車で減速し、差動歯車機構及びドライブシャフトを介して駆動輪に伝達する動力伝達装置が知られている。
【0003】
例えば、図1に示すように、動力伝達装置1は、終減速ギヤ及び差動歯車機構を収納するデフハウジング2、デフハウジング2の左右両側(図1のRH又はLH方向)に配設されたスピンドル16、スピンドル16及びデフハウジング2を支持するとともに車体フレーム19の取り付けられるハンガーブラケット14、15、スピンドル16に収納され一端側がデフハウジング2内の差動歯車機構(図示せず)に連結されるドライブシャフト12、ドライブシャフト12の他端側に取り付けられるドラムブレーキ3及びハブ6等を備えている。そして、ドライブシャフト12は、一端側に差動歯車機構に連結するスプライン結合部(図示せず)が備えられるとともに、他端側にハブ6に固定されるフランジ部12aが備えられ、差動歯車機構から伝達された回転運動を、ハブ6及びドラムブレーキ3等を介して、駆動輪13に伝達する。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開2003−80903号公報(第5−7頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示すような動力伝達装置においては、一般に、ドライブシャフト12の外径が、差動歯車機構に連結される一端側からハブ6に固定されるフランジ部12aの近傍まで、軸方向に沿って略等しく形成されているので、特殊な事情によって許容値を超える応力がドライブシャフト12に加えられた際に、ドライブシャフト12の差動歯車機構に連結される一端側が破損し、動力伝達装置1全体に多大な損傷が生じる虞があった。つまり、ドライブシャフト12のデフハウジング2近傍の軸部又はデフハウジング2内に挿入されている軸部が折れて、デフハウジング2内の差動歯車機構及び終減速歯車などの2次損傷が生じ、これら全体を交換し、又は分解して保修しなければならないので、多大の修理費用を要する虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、万一ドライブシャフト12が破損した場合に、デフハウジング2内の差動歯車機構や終減速歯車などの2次損傷を防止し、動力伝達装置1全体の損傷を低減することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、駆動源から伝達された運動力を左右の駆動輪に分配する差動歯車機構と、該差動歯車機構にて分配された駆動力を左右の駆動輪に伝達するドライブシャフトとを備えた動力伝達装置であって、前記ドライブシャフトは、軸の一端側に前記差動歯車機構に連結されるスプライン結合部が備えられとともに、該軸の他端側に駆動輪を支持するハブに固定されるフランジ部が備えられ、該フランジ部の近傍において、該軸の外径が小さくなるように縮径部が備えられていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の備えた動力伝達装置によれば、ドライブシャフトは、軸の一端側に差動歯車機構に連結されるスプライン結合部が備えられとともに、軸の他端側に駆動輪を支持するハブに固定されるフランジ部が備えられ、フランジ部の近傍において、軸の外径が小さくなるように縮径部が備えられているので、特殊な事情によって許容値を超える応力がドライブシャフトに加えられて万一ドライブシャフトが破損する際には、ドライブシャフトのフランジ部近傍の縮径部が破損し、動力伝達装置全体の損傷を低減することができる。即ち、ドライブシャフトの他端側に連結される差動歯車機構の2次損傷を防止し、これらが破損した場合の修理、交換のための費用や時間等を低減することができる。
【0009】
また、本発明の動力伝達装置は、ドライブシャフトのフランジ部近傍に縮径部が備えられているので、駆動輪からドライブシャフトに伝わる衝撃に対してこの縮径部が弾性を有し、ドライブシャフトの他端側に伝わる衝撃がこの縮径部で緩和され、ドライブシャフトの他端側に連結される差動歯車機構に大きな衝撃が伝わることが無く、長期にわたって優れた信頼性を維持することができる。
【0010】
また、請求項1に記載の動力伝達装置は、請求項2に記載の発明のように、前記縮径部が前記軸の外周に沿って形成された環状溝によって形成されているので、万一ドライブシャフトが破損する際には、この環状溝の範囲において破損させることができ、破損位置が特定できて修理、交換のための費用や時間等を低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。図1は本発明の動力伝達装置が適用されたフォークリフトの動力伝達装置の構成を表す分解斜視図、図2は同実施例の動力伝達装置の断面図、図3は同実施例のドライブシャフトの外観図である。
【0012】
図1に示すように、動力伝達装置1は、差動歯車機構及び終減速歯車を収納するデフハウジング2、デフハウジング2の左右両側(図1のRH又はLH方向)に配設された一対のスピンドル16、一対のスピンドル16に収納される一対のドライブシャフト12、ドライブシャフト12の先端部に取り付けられるハブ6、スピンドル16及びデフハウジング2を車体フレーム19に支持するハンガーブラケット14、15等を備えている。
【0013】
ハンガーブラケット14、15は、車体フレーム19とデフハウジング2とそれぞれ貫通孔19a、14cを介しボルト20および17、ナット21によって固定され、前端部(図1のF方向)に車体に固定されるマスト31に設けられたピン(図示せず)を受けるためのフック部が設けられている。そして、ハンガーブラケット14のボス部に設けられた穴部14aにはスピンドル16が圧入される。
【0014】
ドラムブレーキ3は、ハブ6を介してドライブシャフト12に固定されるとともに駆動輪13の内側に固定され、駆動輪13及びドライブシャフト12と共に回転するように取り付けられる。
次に、図2に示すように、デフハウジング2内には、エンジンや回転モータを駆動源として回転運動するプロペラシャフト(図示せず)を介して接続される入力軸26、入力軸26に一体に固定された第1の歯車27、入力軸26と平行に配置された出力軸28、出力軸28に一体に固定され第1の歯車27に歯合する第2の歯車29、等が備えられている。入力軸26及び出力軸28はそれぞれ回転自在にベアリングによって支持され、入力軸26が回転すると、第1の歯車27と第2の歯車29との噛合によって出力軸28が回転する。尚、第2の歯車29は第1の歯車27よりも外径が大きく形成されており、これらの噛合によって、入力軸26の回転が減速されて出力軸28に伝達される。
【0015】
また、デフハウジング2内には、出力軸28の回転を減速してドライブシャフト12に伝達するために、出力軸28の端部に固定された第1の終減速歯車24を介してデフハウジング2に対して回転可能に支持され第1の終減速歯車24に噛合し回転する第2の終減速歯車25が備えられている。また、第1の終減速歯車24がピニオン歯車で構成されるとともに、第2の終減速歯車25が傘歯歯車で構成され、互いに噛合することによって、出力軸28の回転方向を90°変換し、差動歯車機構4を介し、その回転運動をドライブシャフト12に伝達する。
【0016】
また、デフハウジング2内には、車両が曲がり道やデコボコ道を走る際に、左右の駆動輪13の回転差を吸収し円滑な走行を行うために、複数個の傘歯歯車を組み合わせた差動歯車機構4が備えられている。
この差動歯車機構4は、第2の終減速歯車25にデフシャフト5及びデフケース(図示せず)を介して接続された一対のデフピニオンギヤ8、9と、このデフピニオンギヤ8、9に噛合されるとともにドライブシャフト12の一端にスプライン結合した一対のデフサイドギヤ10、11によって構成されている。デフピニオンギヤ8、9はデフシャフト5に回転自在に支持されており、デフシャフト5を介して第2の終減速歯車25とともに同一方向に回転するとともに、第2の終減速歯車25の回転方向に対して直交する向きにも回転するように構成されている。そして、左右の駆動輪13に回転差が生じると、デフピニオンギヤ8、9が第2の終減速歯車25の回転方向に対して直交する向きに回転し始め、その回転差を吸収するように構成されている。尚、デフサイドギヤ10、11には、ドライブシャフト12の一端が貫通してスプライン結合するための貫通孔が形成され、この貫通孔の内面にスプラインが形成されている。
【0017】
次に、左右のドライブシャフト12は、それぞれ、一端が差動歯車機構4のデフサイドギヤ10、11に接続され、他端が駆動輪13を支持するハブ6に固定され、差動歯車機構4を介して伝達された回転運動を駆動輪13に伝達するように構成されている。
【0018】
また、ドライブシャフト12は、図3に示すように、軸部12bの一端側に差動歯車機構4のデフサイドギヤ10、11に接続されるスプライン結合部12fが備えられとともに、軸部12bの他端側に駆動輪13を支持するハブ6に固定されるフランジ部12aが備えられている。
【0019】
ドライブシャフト12は、特殊な事情によって万一ドライブシャフト12が破損する際に、ドライブシャフト12の他端側に連結される差動歯車機構4や終減速歯車24、25などの2次損傷を防止するために、フランジ部12aの近傍において、軸部12bの外径が小さくなるように、軸部12bの外周に沿って形成された環状溝(所謂、縮径部である)12cが備えられている。つまり、軸部12bの外径DAよりも小さい外径DBを有する縮径部がフランジ部12a近傍に備えられている。尚、フランジ部12aは、フランジ部12aの強度を維持するとともに軽量化を図るための凹部12eと、ハブ6に図2に示すボルト30によって固定するための孔12dが形成されている。
【0020】
ドライブシャフト12は、例えば、特殊鋼材を用い、これを切削加工や鍛造加工することによって、フランジ部12a及び軸部12bが一体に形成されるとともに環状溝12cが形成され、次いで、軸部12bの他端側の外周面に転造加工やホブ加工することによって、デフサイドギヤ10、11の中心孔の内面に形成されたスプラインに結合するキー溝状のスプライン結合部12fが形成される。次いで、ドライブシャフト12は、所定の強度を得るために、その軸部12bの表面及び環状溝12cの表面に高周波焼入れを行うことによって、その表面に硬質層が形成される。
【0021】
また、ドライブシャフト12は、高周波焼き入れが行われることによって、軸部12bの表面に形成される硬質層の厚みが環状溝12cの表面に形成される硬質層の厚みより厚く形成され、環状溝12c(外径DBの範囲)の強度より軸部12b(外径DAの範囲)の強度が大きくなるように調質されている。
【0022】
以下に、前記の構成を有する実施形態の動力伝達装置の作用効果を記載する。
実施形態の動力伝達装置1によれば、ドライブシャフト12は、軸部12bの一端側に差動歯車機構4に連結されるスプライン結合部12fが備えられとともに、軸部12bの他端側に駆動輪13を支持するハブ6に固定されるフランジ部12aが備えられ、フランジ部12aの近傍において、軸部12bの外径が小さくなるように環状溝12cからなる縮径部が備えられているので、特殊な事情によって許容値を超える応力がドライブシャフト12に加えられて万一ドライブシャフト12が破損する際には、ドライブシャフト12のフランジ部12a近傍の環状溝12cが破損し、動力伝達装置1全体の損傷を低減することができる。即ち、ドライブシャフト12の他端側に連結される差動歯車機構4や終減速歯車24、25などの2次損傷を防止し、これらが破損した場合の修理、交換のための費用や時間等を低減することができる。
【0023】
また、実施形態の動力伝達装置1によれば、ドライブシャフト12のフランジ部12a近傍に環状溝12cからなる縮径部が備えられるので、駆動輪13からドライブシャフト12に伝わる衝撃が、この縮径部で緩和され、ドライブシャフト12の他端側に連結される差動歯車機構4や終減速歯車24、25などに大きな衝撃が伝わることが無く、長期にわたって優れた信頼性を維持することができる。
【0024】
さらに、ドライブシャフト12は、軸部12b及び環状溝12cの表面に、高周波焼き入れを行われ、軸部12bの表面に形成される硬質層の厚みが環状溝12cの表面より厚く形成され、軸部12bの強度が環状溝12cの強度よりも大きくなるように調質されているので、万一ドライブシャフト12が破損する際には、この環状溝12cにおいて破損させることができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を取ることができる。
例えば、実施形態において、ドライブシャフト12のフランジ部12a近傍に環状溝12cから成る縮径部を形成したが、環状溝12cに代えて、フランジ部12a近傍の軸部12bの外径が最も小さくなるように軸部12bに沿ってテーパを形成してもよい。
【0026】
また、本発明は、フォークリフトに備える動力伝達装置1に限定されるものでなく、駆動源から伝達された運動力を左右の駆動輪に分配する差動歯車機構と、該差動歯車機構にて分配された駆動力を左右の駆動輪に伝達するドライブシャフト12とを備えた動力伝達装置であれば適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動力伝達装置が適用されたフォークリフトの動力伝達装置の構成を表す分解斜視図である
【図2】同実施例の動力伝達装置の断面図である。
【図3】同実施例のドライブシャフトの外観図である。
【符号の説明】
1…動力伝達装置、2…デフハウジング、3…ドラムブレーキ、4…差動歯車機構、5…デフシャフト、6…ハブ、8、9…デフピニオンギヤ、10、11…デフサイドギヤ、12…ドライブシャフト、12a…フランジ部、12b…軸部、12c…環状溝、12d…孔、12e…凹部、12f…スプライン結合部、13…駆動輪、14,15…ハンガーブラケット、14a…穴部、19a,14c…貫通孔、16…スピンドル、17,20…ボルト、19…車体フレーム、21…ナット、24…第1の終減速歯車、25…第2の終減速歯車、26…入力軸、27…第1の歯車、28…出力軸、29…第2の歯車、30…ボルト、31…マスト。
Claims (2)
- 駆動源から伝達された運動力を左右の駆動輪に分配する差動歯車機構と、該差動歯車機構にて分配された駆動力を左右の駆動輪に伝達するドライブシャフトとを備えた動力伝達装置であって、
前記ドライブシャフトは、軸の一端側に前記差動歯車機構に連結されるスプライン結合部が備えられとともに、該軸の他端側に駆動輪を支持するハブに固定されるフランジ部が備えられ、該フランジ部の近傍において、該軸の外径が小さくなるように縮径部が備えられている、
ことを特徴とする動力伝達装置。 - 前記縮径部は、前記軸の外周に沿って形成された環状溝によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003155085A JP2004352171A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003155085A JP2004352171A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 動力伝達装置 |
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JP2004352171A true JP2004352171A (ja) | 2004-12-16 |
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ID=34049560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003155085A Pending JP2004352171A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004352171A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103692909A (zh) * | 2013-12-18 | 2014-04-02 | 盐城工学院 | 一种用于托森差速器的动力传动装置 |
WO2019124648A1 (ko) * | 2017-12-20 | 2019-06-27 | 세일공업 주식회사 | 전동식 지게 차량의 싱글 드라이브 액슬 |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003155085A patent/JP2004352171A/ja active Pending
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CN103692909A (zh) * | 2013-12-18 | 2014-04-02 | 盐城工学院 | 一种用于托森差速器的动力传动装置 |
WO2019124648A1 (ko) * | 2017-12-20 | 2019-06-27 | 세일공업 주식회사 | 전동식 지게 차량의 싱글 드라이브 액슬 |
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