JP2004350964A - 超音波診断装置のデータ処理方法及び超音波診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な回路構成でIIRフィルタの過渡応答を除去する。
【解決手段】トリガパルス発生器31は、所定の同一深さの複数のデータ(a〜h)の最初のデータaと同期するタイミングでLowからHighに変化するパルスを発生する。サンプルホールド回路32は、トリガパルス発生器31からのパルスがLowからHighに立ち上がる瞬間の入力データaをホールドする。減算器33は、サンプルホールド回路32を通っていない原データ(a〜h)から、サンプルホールド回路32の出力データaを減算する。データ減算器16,17の出力データは、初期値が必ず0で始まるデータとなる。その結果データ減算器16,17の後段にあるMTIフィルタ18,19には、初期値が必ず0で始まるデータが入力されることになり、MTIフィルタ18,19の過渡応答を抑制することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】トリガパルス発生器31は、所定の同一深さの複数のデータ(a〜h)の最初のデータaと同期するタイミングでLowからHighに変化するパルスを発生する。サンプルホールド回路32は、トリガパルス発生器31からのパルスがLowからHighに立ち上がる瞬間の入力データaをホールドする。減算器33は、サンプルホールド回路32を通っていない原データ(a〜h)から、サンプルホールド回路32の出力データaを減算する。データ減算器16,17の出力データは、初期値が必ず0で始まるデータとなる。その結果データ減算器16,17の後段にあるMTIフィルタ18,19には、初期値が必ず0で始まるデータが入力されることになり、MTIフィルタ18,19の過渡応答を抑制することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体組織に対して超音波を送受波して生体内部の断層像を得る超音波診断装置のデータ処理方法及び超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超音波振動子から生体組織に対して超音波を送受信して生体組織の断層像を得る超音波診断装置が種々実用化されている。
【0003】
さらに、超音波診断装置においては、生体組織からの受信信号のドプラ偏移周波数を演算して血流の2次元像を表示するドプラ診断装置がある。
【0004】
ここで、超音波診断装置で復調されたドプラ信号は、心臓壁や心臓弁膜の運動による低周波ドプラ信号も含んでいる。血流情報を正確に検出するためには、この低周波ドプラ信号を取り除くこと必要がある。心臓壁や心臓弁膜の運動による低周波ドプラ信号は、通常極めて大きなレベルの直流成分で、血流によるドプラ信号よりおよそ数百倍も大きな振幅を有する。このため、ドプラ診断装置では、低周波ドプラ信号を取り除くために、ディジタル高域通過フィルタの一種であるMTI(Moving Target Indicator) フィルタを用いている。MTIフィルタはMTI(Moving Target Indicator) レーダーの原理を用いるもので、主として低い次数(order) の無限衝撃応答(IIR)が使われる。
【0005】
ドプラ診断装置のMTIフィルタをIIRフィルタで構成した場合、生体組織からの動きの遅い成分の除去能力に優れる一方、フィルタの過渡応答が血流速度の演算結果に誤差を与えるという問題点がある。そのため、MTIフィルタとしてIIRフィルタを用いた場合の過渡応答を抑える方法が従来から考案されている。
【0006】
このような従来の過渡応答を抑える方法としては、MTIフィルタの最終正常状態の出力データの値をMTIフィルタの初期値として用いるとともに、MTIフィルタの出力データのうち初期の数データを血流速度演算に使用しないことで、IIRフィルタが持つ過渡応答の影響を除去する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−10212号公報(第4−5頁、図2−3)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の過渡応答を抑える方法では、MTIフィルタの最終正常状態の出力データの値をMTIフィルタの初期値として用いるとともに、MTIフィルタの出力データのうち初期の数データを血流速度演算に使用しないことで、IIRフィルタの過渡応答を除去できるが、回路構成が複雑になるという問題点があった。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な回路構成でIIRフィルタの過渡応答を除去できる超音波診断装置のデータ処理方法及び超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の超音波診断装置のデータ処理方法は、所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波送受信手段により得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを得るデータ抽出ステップと、前記データ抽出ステップで得られた所定の同一の深さに対応する複数のデータのそれぞれから少なくとも先頭のデータの値を減算するデータ減算ステップと、前記データ減算ステップで減算されたデータを所定のフィルタに入力するフィルタ入力ステップと、前記フィルタ入力ステップの出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の超音波診断装置は、超音波振動子により所定の時間間隔で同一の音線方向に対する複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ取得手段と、前記超音波データ取得手段で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得るデータ抽出手段と、前記データ抽出手段で得られた所定の同一の深さに対応するデータそれぞれから少なくとも先頭のデータを減算するデータ減算手段と、所定のフィルタ特性を有し、前記データ減算手段で減算されたデータを入力するフィルタ手段と、前記フィルタ手段からの出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の超音波診断装置は、請求項2に記載の超音波診断装置であって、前記速度演算手段により得られた速度情報のデータに所定のカラー化処理を行って表示可能な超音波画像データを生成するカラー化手段を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施の形態)
図1乃至図7は本発明の実施の形態に係り、図1は超音波診断装置の全体構成を示す説明図、図2はデータ減算器のブロック図、図3は超音波診断装置のデータ処理方法の概要を示すフローチャート、図4はデータ減算器に入力する超音波データを示す説明図、図5はデータ減算器が出力する超音波データを示す説明図、図6はデータ減算器の動作を示すタイミングチャート、図7は図3の超音波診断装置のデータ処理方法を更に具体的に示すフローチャートである。
【0014】
(構成)
図1に示すように、超音波診断装置1は、超音波探触子11と、超音波送受信部12と、アナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器と呼ぶ)13と、直交変換器14と、遅延器15と、データ減算器16,17と、MTIフィルタ18,19と、血流情報演算部20と、Bモード像演算部21と、デジタルスキャンコンバータ(以下、DSCと呼ぶ)22と、モニタ23とを含んで構成されている。
【0015】
超音波探触子11は、超音波送受信部12に接続され、超音波の送信及び受信を行う。
【0016】
ここで、超音波探触子11は、電気的な走査を行うアレイ振動子、または機械的な走査を行う単板あるいはアレイ振動子のいずれでも良い。
【0017】
超音波送受信部12は、超音波探触子11にパルス信号を供給して超音波探触子11に超音波パルスの送信を行わせるとともに、生体から戻ってくる反射エコーを超音波探触子11を介して受信する。
【0018】
ここで、超音波探触子11にアレイ振動子に用いた場合、超音波送受信部12は、ビームフォーミング処理を行い、音線データを生成する。
【0019】
超音波送受信部12は、血流情報を取得する場合に、同一の音線に対して所定の時間間隔で複数回送受信を行うように動作する。同一の音線に対する送受信の回数は8回程度である。各音線では、所定の同一深さのデータが送受信の回数分得られる。
【0020】
超音波送受信部12で生成された音線データは、A/D変換器13に入力され、所定のサンプリング周波数にてデジタルデータ化される。なお、超音波送受信部12とA/D変換器13の間には図示しないアンチエリアジングフィルタを備えており、A/D変換時にエリアジングを防止している。
【0021】
ここで、エリアジングとは、アナログ信号をA/D変換する際に、本来の信号の周波数とは違う偽物の信号が発生してしまう現象のことである。エリアジングが発生するのは、A/D変換器のサンプリング周波数の1/2を越える周波数の信号がA/D変換器に入力された場合である。例えば、4MHzのA/D変換器であれば2MHz以上の信号を入力するとエリアジングが発生する。このため、本実施の形態では、サンプリング周波数の1/2を超える周波数成分をカツトするアンチエリアジングフィルタ(ローパスフィルタ)をA/D変換器13の前に置いている。
【0022】
直交変換器14は、A/D変換器13に接続されており、直交変換を行う部分である。
【0023】
直交変換器14は、ヒルベルト変換フィルタで構成されており、入力された信号の位相を90度遅らせる働きを持つ。ビルベルト変換フィルタは所定のフィルタ係数を持つデジタルFIRフィルタで実現することができる。
【0024】
遅延器15は、直交変換器14にて発生するデータ遅延量と等価な遅延を与える働きを持つ。直交変換器14及び遅延器15の出力データは互いに90度の位相差を持つペア信号となる。
【0025】
データ減算器16,17は、本発明の特徴であるデータ処理を行う部分であり、それぞれ直交変換器14及び遅延器15からの出力に対して後述の減算処理を行い、それぞれMTIフィルタ18,19に出力する。
【0026】
MTIフィルタ18,19は、それぞれデータ減算器16,17からのデータに対して、血流以外の組織からのゆっくりとしたドプラ信号を除去するためのハイパスフィルタであり、デジタルIIRフィルタで構成する。フィルタ係数は、図示しない外部入力部から任意に設定可能とする。
【0027】
血流情報演算部20は、MITフィルタ18,19の出力から血流情報データを演算する部分であり、血流速度、血流速度の分散値、血流パワーなどの演算を行う。血流速度、血流速度の分散値、血流パワーの演算方法は公知の技術であり、いわゆる自己相関法などにより演算することができる。
【0028】
Bモード像演算部21は、直交変換器14及び遅延器15の出力データを基にBモード画像データを生成する部分である。直交変換器14及び遅延器15の出力データは互いに直交する関係にあり、両者の2乗和の平方根を計算することで、反射エコーの振幅情報を得ることができる。得られた振幅情報は、対数圧縮、ゲイン調整、コントラスト調整などの処理を行いBモード画像データとなる。
【0029】
DSC22は、血流情報演算部20で演算された血流情報データ及びBモード像演算部21で演算されたBモード画像データを基に超音波探触子11のスキャン形状にあった形に座標変換及び補間処理し、血流情報データ及びBモード画像データが合成された超音波画像データを生成する。
【0030】
ここで、例えば、超音波探触子11として曲率6mmで画角180度のコンベツクス探触子を用いた場合は、放射状の半円の2次元音線データが得られる。2次元音線データは、円の中心からの距離と音線の角度によって決まる極座標(r,θ)形式のデータである。この場合、DSC22は、座標変換の処理として、極座標のデータをモニター表示に適した直交座標(x,y座標)に変換する。具体的には、以下の関係式(1)、(2)を利用して極座標(r,0)と直交座標(x,y)の変換を行う。
【0031】
x=r×cosθ …(1)
y=r×sinθ …(2)
その際、音腺データの密度が荒いとデータとデータの間に隙間ができてしまうため、DSC22は、周囲のデータから補間処理によってデータを作り出す。例えば、DSC22は、周囲の4点のデータを利用して補間する4点補間を行う。
【0032】
モニタ23は、DSC22で生成された超音波画像データを映像表示する。
図2を用いてデータ減算器16,17の内部構成を詳細に説明する。
データ減算器16(または17)は、トリガパルス発生器31と、サンプルホールド回路32と、減算器33とを含んで構成されている。
【0033】
トリガパルス発生器31は、所定のタイミングでパルスを発生する部分である。
サンプルホールド回路32は、トリガパルス発生器31で発生するパルスがLowからHighに立ち上がる瞬間の直交変換器14(または遅延器15)のデータをホールドする。
【0034】
減算器33は、サンプルホールド回路32を通っていない直交変換器14(または遅延器15)からの原データから、サンプルホールド回路32の出力データを減算してMTIフィルタ18(または19)に出力する。
【0035】
(作用)
以下、実施の形態の作用を図3乃至図5を参照して超音波診断装置の観察動作を説明する。
【0036】
まず、図3に示すステップS1において、超音波探触子11と超音波送受信部12は、所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る。
【0037】
これにより、各音線では、所定の同一深さのデータが送受信の回数分得られる。
次に、超音波送受信部12は、図3に示すステップS2において、図3に示すステップS1で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを抽出する。
【0038】
このようなステップS1,S2の処理において、例えば、同一の音線に対して8回送受信を繰り返した場合は、所定の同一深さの超音波データ(a〜h)が図4及び図6(a)に示すように8個得られる。
【0039】
次に、図3に示すステップS3において、トリガパルス発生器31は、図6(b)に示すように所定の同一深さの複数のデータ(a〜h)の最初のデータ(図4の場合データaに相当)と同期するタイミングでLowからHighに変化するパルスを発生する。
【0040】
サンプルホールド回路32は、トリガパルス発生器31で発生するパルスがLowからHighに立ち上がる瞬間の入力データをホールドする。例えば、図4及び図6(a)に示すデータが入力された場合であれば、図6(c)に示すようにデータaがホールドされる。
【0041】
減算器33は、サンプルホールド回路32を通っていない原データ(a〜h)から、サンプルホールド回路32の出力データaを減算する。これにより、データ減算器16,17の出力データは、図5び図6(d)に示すに示すように、初期値が必ず0で始まるデータとなる。その結果、図3に示すステップS4において、データ減算器16,17の後段にあるMTIフィルタ18,19には、初期値が必ず0で始まるデータが入力されることになり、ステップ状のデータが入力されることがないため、MTIフィルタ18,19の過渡応答を抑制することができる。
【0042】
さらに、一般に生体からの反射エコーのようにゆっくりとした動きの信号は、図4のデータaを中心にほぼ一定値となる傾向にあるため、データaの値を減算するということは、データ減算器16,17が生体からの反射エコーのようにゆっくりとした動きの信号を除去する働きをも持つことを意味する。
【0043】
ここで、ゆっくりとした動きの信号は、図4のデータaを中心にほぼ一定値となる理由について、以下に詳細に説明する。
【0044】
血流(その中の赤血球)からのエコーに比べて生体組織からのエコーは振幅が非常に大きい。そのため、受信したエコーは生体組織からのエコー成分が支配的となる。
【0045】
一方、超音波の送信は数msec以下の間隔で行っており、その間に生体組織が動く距離はごくわずかである。そのため、所定の同一深さのデータを送信繰り返し回数分取り出したとき、データはほとんど変動せず、ほぼ一定値となる。従って、所定の同一深さのデータが値aから始まる場合はデータaを中心にほぽ一定値となる。
【0046】
以上のように、データ減算器16,17により、MTIフィルタの過渡応答を抑制することができ、さらに生体からの反射エコーのようにゆっくりとした動きの信号をより効果的に除去することができる。
【0047】
次に、図3に示すステップS5において、血流情報演算部20は、MTIフィルタ18,19の出力からドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する。これにより、血流情報演算部20は、MITフィルタ18,19の出力から血流情報データを演算する。
【0048】
DSC22は、血流情報演算部20で演算された血流情報データ及びBモード像演算部21で演算されたBモード画像データを基に血流情報データ及びBモード画像データが合成された超音波画像データを生成して、モニタ23に表示する。
【0049】
なお、データ減算器16,17は、入力された信号の初期値をそれぞれ強制的にゼロにするため、データ減算器16,17に入力された信号相互間の位相関係と、データ減算器16,17の出力信号の相互間の位相関係は狂うことになる。この位相の狂いは、データ減算器16,17において直流に相当する量だけ値をシフトさせたことに起因するものであり、ハイパスフィルタであるMTIフィルタ18,19を通すことで徐々に軽減される。従って、MTIフィルタ18,19の出力データのうち、最初の数データを排除してから血流情報演算部20にて血流情報を演算した方がより正確な速度情報を得ることができる。
【0050】
このような動作により、図3に示すステップS1は、所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ取得ステップとなっている。
【0051】
図3に示すステップS2は、前記ステップS1で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを得るデータ抽出ステップとなっている。
【0052】
図3に示すステップS3は、前記ステップS2で得られた所定の同一の深さに対応する複数のデータのそれぞれから先頭のデータの値を減算するデータ減算ステップとなっている。
【0053】
図3に示すステップS4は、前記ステップS3で減算されたデータを所定のフィルタに入力するフィルタ入力ステップとなっている。
【0054】
図3に示すステップS5は、前記ステップS4の出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算ステップとなっている。
【0055】
図3に示した超音波診断装置のデータ処理方法について、図7を用いて具体的な処理として説明する。
【0056】
まず、図7に示すステップS11において、超音波探触子11と超音波送受信部12は、複数の超音波データを取得する。
【0057】
次に、図7に示すステップS12において、直交変換器14により複数の超音波データの直交変換を行う。
【0058】
次に、図7に示すステップS13において、超音波送受信部12は、、図7に示すステップS11で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを抽出する。
【0059】
このようなステップS11,S12,S13の処理により、所定の同一深さの超音波データ(a〜h)が図4及び図6(a)に示すように8個得られる。
【0060】
次に、図7に示すステップS14において、減算器33は、サンプルホールド回路32を通っていない原データ(a〜h)から、サンプルホールド回路32の出力データaを減算する。これにより、MTIフィルタ18,19は、図7に示すステップS15において、初期値が必ず0で始まるデータをMTIフィルタ演算する。
【0061】
次に、図7に示すステップS16において、血流情報演算部20は、MITフィルタ18,19の出力から血流情報データを演算する。この後、図7に示すステップS17において、血流情報演算部20は、すべての計算対象データの演算が終了したかの判別を行い、演算が終了していない場合にはステップS13の処理に戻り、演算が終了した場合にはステップS18の処理に移行する。
【0062】
図7に示すステップS18において、DSC22は、血流情報演算部20で演算された血流情報データに色相と輝度の割り当てを行い、図7に示すステップS19において、DSC22は、Bモード像演算部21で演算されたBモード画像データと合成された超音波画像データを生成して、モニタ23に表示する。この後、図7に示すステップS11の処理に戻る。
【0063】
(効果)
このような実施の形態によれば、簡易な回路構成のデータ減算器16,17でIIRフィルタの過渡応答を除去できるので、血流情報を正確に検出できる超音波診断装置の低コストで実現できる。
【0064】
[付記]
以上詳述したような本発明の前記実施の形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0065】
(付記項1) 所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ取得ステップと、
前記超音波データ取得ステップで得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを得るデータ抽出ステップと、
前記データ抽出ステップで得られた所定の同一の深さに対応する複数のデータのそれぞれから先頭のデータの値を減算するデータ減算ステップと、
前記データ減算ステップで減算されたデータを所定のフィルタに入力するフィルタ入力ステップと、
前記フィルタ入力ステップの出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算ステップと、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置のデータ処理方法。
【0066】
(付記項2)前記超音波送受信は超音波探触子を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置のデータ処理方法。
【0067】
(付記項3)前記所定のフィルタは、MTIフィルタであることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断装置のデータ処理方法。
【0068】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、簡易な回路構成でIIRフィルタの過渡応答を除去できるので、血流情報を正確に検出できる超音波診断装置の低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る超音波診断装置の全体構成を示す説明図。
【図2】本発明の実施の形態に係るデータ減算器のブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る超音波診断装置のデータ処理方法の概要を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態に係るデータ減算器に入力するデータを示す説明図。
【図5】本発明の実施の形態に係るデータ減算器が出力するデータを示す説明図。
【図6】本発明の実施の形態に係るデータ減算器の動作を示すタイミングチャート。
【図7】図3の超音波診断装置のデータ処理方法を更に具体的に示すフローチャート。
(構成)
【符号の説明】
1 …超音波診断装置
11 …超音波探触子
12 …超音波送受信部
13 …A/D変換器
14 …直交変換器
15 …遅延器
16,17 …データ減算器
18,19 …MTIフィルタ
20 …血流情報演算部
21 …Bモード像演算部
22 …DSC
23 …モニタ
31 …トリガパルス発生器
32 …サンプルホールド回路
33 …減算器
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体組織に対して超音波を送受波して生体内部の断層像を得る超音波診断装置のデータ処理方法及び超音波診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、超音波振動子から生体組織に対して超音波を送受信して生体組織の断層像を得る超音波診断装置が種々実用化されている。
【0003】
さらに、超音波診断装置においては、生体組織からの受信信号のドプラ偏移周波数を演算して血流の2次元像を表示するドプラ診断装置がある。
【0004】
ここで、超音波診断装置で復調されたドプラ信号は、心臓壁や心臓弁膜の運動による低周波ドプラ信号も含んでいる。血流情報を正確に検出するためには、この低周波ドプラ信号を取り除くこと必要がある。心臓壁や心臓弁膜の運動による低周波ドプラ信号は、通常極めて大きなレベルの直流成分で、血流によるドプラ信号よりおよそ数百倍も大きな振幅を有する。このため、ドプラ診断装置では、低周波ドプラ信号を取り除くために、ディジタル高域通過フィルタの一種であるMTI(Moving Target Indicator) フィルタを用いている。MTIフィルタはMTI(Moving Target Indicator) レーダーの原理を用いるもので、主として低い次数(order) の無限衝撃応答(IIR)が使われる。
【0005】
ドプラ診断装置のMTIフィルタをIIRフィルタで構成した場合、生体組織からの動きの遅い成分の除去能力に優れる一方、フィルタの過渡応答が血流速度の演算結果に誤差を与えるという問題点がある。そのため、MTIフィルタとしてIIRフィルタを用いた場合の過渡応答を抑える方法が従来から考案されている。
【0006】
このような従来の過渡応答を抑える方法としては、MTIフィルタの最終正常状態の出力データの値をMTIフィルタの初期値として用いるとともに、MTIフィルタの出力データのうち初期の数データを血流速度演算に使用しないことで、IIRフィルタが持つ過渡応答の影響を除去する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−10212号公報(第4−5頁、図2−3)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の過渡応答を抑える方法では、MTIフィルタの最終正常状態の出力データの値をMTIフィルタの初期値として用いるとともに、MTIフィルタの出力データのうち初期の数データを血流速度演算に使用しないことで、IIRフィルタの過渡応答を除去できるが、回路構成が複雑になるという問題点があった。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な回路構成でIIRフィルタの過渡応答を除去できる超音波診断装置のデータ処理方法及び超音波診断装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の超音波診断装置のデータ処理方法は、所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波送受信手段により得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを得るデータ抽出ステップと、前記データ抽出ステップで得られた所定の同一の深さに対応する複数のデータのそれぞれから少なくとも先頭のデータの値を減算するデータ減算ステップと、前記データ減算ステップで減算されたデータを所定のフィルタに入力するフィルタ入力ステップと、前記フィルタ入力ステップの出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の超音波診断装置は、超音波振動子により所定の時間間隔で同一の音線方向に対する複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ取得手段と、前記超音波データ取得手段で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得るデータ抽出手段と、前記データ抽出手段で得られた所定の同一の深さに対応するデータそれぞれから少なくとも先頭のデータを減算するデータ減算手段と、所定のフィルタ特性を有し、前記データ減算手段で減算されたデータを入力するフィルタ手段と、前記フィルタ手段からの出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の超音波診断装置は、請求項2に記載の超音波診断装置であって、前記速度演算手段により得られた速度情報のデータに所定のカラー化処理を行って表示可能な超音波画像データを生成するカラー化手段を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(実施の形態)
図1乃至図7は本発明の実施の形態に係り、図1は超音波診断装置の全体構成を示す説明図、図2はデータ減算器のブロック図、図3は超音波診断装置のデータ処理方法の概要を示すフローチャート、図4はデータ減算器に入力する超音波データを示す説明図、図5はデータ減算器が出力する超音波データを示す説明図、図6はデータ減算器の動作を示すタイミングチャート、図7は図3の超音波診断装置のデータ処理方法を更に具体的に示すフローチャートである。
【0014】
(構成)
図1に示すように、超音波診断装置1は、超音波探触子11と、超音波送受信部12と、アナログ/デジタル変換器(以下、A/D変換器と呼ぶ)13と、直交変換器14と、遅延器15と、データ減算器16,17と、MTIフィルタ18,19と、血流情報演算部20と、Bモード像演算部21と、デジタルスキャンコンバータ(以下、DSCと呼ぶ)22と、モニタ23とを含んで構成されている。
【0015】
超音波探触子11は、超音波送受信部12に接続され、超音波の送信及び受信を行う。
【0016】
ここで、超音波探触子11は、電気的な走査を行うアレイ振動子、または機械的な走査を行う単板あるいはアレイ振動子のいずれでも良い。
【0017】
超音波送受信部12は、超音波探触子11にパルス信号を供給して超音波探触子11に超音波パルスの送信を行わせるとともに、生体から戻ってくる反射エコーを超音波探触子11を介して受信する。
【0018】
ここで、超音波探触子11にアレイ振動子に用いた場合、超音波送受信部12は、ビームフォーミング処理を行い、音線データを生成する。
【0019】
超音波送受信部12は、血流情報を取得する場合に、同一の音線に対して所定の時間間隔で複数回送受信を行うように動作する。同一の音線に対する送受信の回数は8回程度である。各音線では、所定の同一深さのデータが送受信の回数分得られる。
【0020】
超音波送受信部12で生成された音線データは、A/D変換器13に入力され、所定のサンプリング周波数にてデジタルデータ化される。なお、超音波送受信部12とA/D変換器13の間には図示しないアンチエリアジングフィルタを備えており、A/D変換時にエリアジングを防止している。
【0021】
ここで、エリアジングとは、アナログ信号をA/D変換する際に、本来の信号の周波数とは違う偽物の信号が発生してしまう現象のことである。エリアジングが発生するのは、A/D変換器のサンプリング周波数の1/2を越える周波数の信号がA/D変換器に入力された場合である。例えば、4MHzのA/D変換器であれば2MHz以上の信号を入力するとエリアジングが発生する。このため、本実施の形態では、サンプリング周波数の1/2を超える周波数成分をカツトするアンチエリアジングフィルタ(ローパスフィルタ)をA/D変換器13の前に置いている。
【0022】
直交変換器14は、A/D変換器13に接続されており、直交変換を行う部分である。
【0023】
直交変換器14は、ヒルベルト変換フィルタで構成されており、入力された信号の位相を90度遅らせる働きを持つ。ビルベルト変換フィルタは所定のフィルタ係数を持つデジタルFIRフィルタで実現することができる。
【0024】
遅延器15は、直交変換器14にて発生するデータ遅延量と等価な遅延を与える働きを持つ。直交変換器14及び遅延器15の出力データは互いに90度の位相差を持つペア信号となる。
【0025】
データ減算器16,17は、本発明の特徴であるデータ処理を行う部分であり、それぞれ直交変換器14及び遅延器15からの出力に対して後述の減算処理を行い、それぞれMTIフィルタ18,19に出力する。
【0026】
MTIフィルタ18,19は、それぞれデータ減算器16,17からのデータに対して、血流以外の組織からのゆっくりとしたドプラ信号を除去するためのハイパスフィルタであり、デジタルIIRフィルタで構成する。フィルタ係数は、図示しない外部入力部から任意に設定可能とする。
【0027】
血流情報演算部20は、MITフィルタ18,19の出力から血流情報データを演算する部分であり、血流速度、血流速度の分散値、血流パワーなどの演算を行う。血流速度、血流速度の分散値、血流パワーの演算方法は公知の技術であり、いわゆる自己相関法などにより演算することができる。
【0028】
Bモード像演算部21は、直交変換器14及び遅延器15の出力データを基にBモード画像データを生成する部分である。直交変換器14及び遅延器15の出力データは互いに直交する関係にあり、両者の2乗和の平方根を計算することで、反射エコーの振幅情報を得ることができる。得られた振幅情報は、対数圧縮、ゲイン調整、コントラスト調整などの処理を行いBモード画像データとなる。
【0029】
DSC22は、血流情報演算部20で演算された血流情報データ及びBモード像演算部21で演算されたBモード画像データを基に超音波探触子11のスキャン形状にあった形に座標変換及び補間処理し、血流情報データ及びBモード画像データが合成された超音波画像データを生成する。
【0030】
ここで、例えば、超音波探触子11として曲率6mmで画角180度のコンベツクス探触子を用いた場合は、放射状の半円の2次元音線データが得られる。2次元音線データは、円の中心からの距離と音線の角度によって決まる極座標(r,θ)形式のデータである。この場合、DSC22は、座標変換の処理として、極座標のデータをモニター表示に適した直交座標(x,y座標)に変換する。具体的には、以下の関係式(1)、(2)を利用して極座標(r,0)と直交座標(x,y)の変換を行う。
【0031】
x=r×cosθ …(1)
y=r×sinθ …(2)
その際、音腺データの密度が荒いとデータとデータの間に隙間ができてしまうため、DSC22は、周囲のデータから補間処理によってデータを作り出す。例えば、DSC22は、周囲の4点のデータを利用して補間する4点補間を行う。
【0032】
モニタ23は、DSC22で生成された超音波画像データを映像表示する。
図2を用いてデータ減算器16,17の内部構成を詳細に説明する。
データ減算器16(または17)は、トリガパルス発生器31と、サンプルホールド回路32と、減算器33とを含んで構成されている。
【0033】
トリガパルス発生器31は、所定のタイミングでパルスを発生する部分である。
サンプルホールド回路32は、トリガパルス発生器31で発生するパルスがLowからHighに立ち上がる瞬間の直交変換器14(または遅延器15)のデータをホールドする。
【0034】
減算器33は、サンプルホールド回路32を通っていない直交変換器14(または遅延器15)からの原データから、サンプルホールド回路32の出力データを減算してMTIフィルタ18(または19)に出力する。
【0035】
(作用)
以下、実施の形態の作用を図3乃至図5を参照して超音波診断装置の観察動作を説明する。
【0036】
まず、図3に示すステップS1において、超音波探触子11と超音波送受信部12は、所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る。
【0037】
これにより、各音線では、所定の同一深さのデータが送受信の回数分得られる。
次に、超音波送受信部12は、図3に示すステップS2において、図3に示すステップS1で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを抽出する。
【0038】
このようなステップS1,S2の処理において、例えば、同一の音線に対して8回送受信を繰り返した場合は、所定の同一深さの超音波データ(a〜h)が図4及び図6(a)に示すように8個得られる。
【0039】
次に、図3に示すステップS3において、トリガパルス発生器31は、図6(b)に示すように所定の同一深さの複数のデータ(a〜h)の最初のデータ(図4の場合データaに相当)と同期するタイミングでLowからHighに変化するパルスを発生する。
【0040】
サンプルホールド回路32は、トリガパルス発生器31で発生するパルスがLowからHighに立ち上がる瞬間の入力データをホールドする。例えば、図4及び図6(a)に示すデータが入力された場合であれば、図6(c)に示すようにデータaがホールドされる。
【0041】
減算器33は、サンプルホールド回路32を通っていない原データ(a〜h)から、サンプルホールド回路32の出力データaを減算する。これにより、データ減算器16,17の出力データは、図5び図6(d)に示すに示すように、初期値が必ず0で始まるデータとなる。その結果、図3に示すステップS4において、データ減算器16,17の後段にあるMTIフィルタ18,19には、初期値が必ず0で始まるデータが入力されることになり、ステップ状のデータが入力されることがないため、MTIフィルタ18,19の過渡応答を抑制することができる。
【0042】
さらに、一般に生体からの反射エコーのようにゆっくりとした動きの信号は、図4のデータaを中心にほぼ一定値となる傾向にあるため、データaの値を減算するということは、データ減算器16,17が生体からの反射エコーのようにゆっくりとした動きの信号を除去する働きをも持つことを意味する。
【0043】
ここで、ゆっくりとした動きの信号は、図4のデータaを中心にほぼ一定値となる理由について、以下に詳細に説明する。
【0044】
血流(その中の赤血球)からのエコーに比べて生体組織からのエコーは振幅が非常に大きい。そのため、受信したエコーは生体組織からのエコー成分が支配的となる。
【0045】
一方、超音波の送信は数msec以下の間隔で行っており、その間に生体組織が動く距離はごくわずかである。そのため、所定の同一深さのデータを送信繰り返し回数分取り出したとき、データはほとんど変動せず、ほぼ一定値となる。従って、所定の同一深さのデータが値aから始まる場合はデータaを中心にほぽ一定値となる。
【0046】
以上のように、データ減算器16,17により、MTIフィルタの過渡応答を抑制することができ、さらに生体からの反射エコーのようにゆっくりとした動きの信号をより効果的に除去することができる。
【0047】
次に、図3に示すステップS5において、血流情報演算部20は、MTIフィルタ18,19の出力からドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する。これにより、血流情報演算部20は、MITフィルタ18,19の出力から血流情報データを演算する。
【0048】
DSC22は、血流情報演算部20で演算された血流情報データ及びBモード像演算部21で演算されたBモード画像データを基に血流情報データ及びBモード画像データが合成された超音波画像データを生成して、モニタ23に表示する。
【0049】
なお、データ減算器16,17は、入力された信号の初期値をそれぞれ強制的にゼロにするため、データ減算器16,17に入力された信号相互間の位相関係と、データ減算器16,17の出力信号の相互間の位相関係は狂うことになる。この位相の狂いは、データ減算器16,17において直流に相当する量だけ値をシフトさせたことに起因するものであり、ハイパスフィルタであるMTIフィルタ18,19を通すことで徐々に軽減される。従って、MTIフィルタ18,19の出力データのうち、最初の数データを排除してから血流情報演算部20にて血流情報を演算した方がより正確な速度情報を得ることができる。
【0050】
このような動作により、図3に示すステップS1は、所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ取得ステップとなっている。
【0051】
図3に示すステップS2は、前記ステップS1で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを得るデータ抽出ステップとなっている。
【0052】
図3に示すステップS3は、前記ステップS2で得られた所定の同一の深さに対応する複数のデータのそれぞれから先頭のデータの値を減算するデータ減算ステップとなっている。
【0053】
図3に示すステップS4は、前記ステップS3で減算されたデータを所定のフィルタに入力するフィルタ入力ステップとなっている。
【0054】
図3に示すステップS5は、前記ステップS4の出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算ステップとなっている。
【0055】
図3に示した超音波診断装置のデータ処理方法について、図7を用いて具体的な処理として説明する。
【0056】
まず、図7に示すステップS11において、超音波探触子11と超音波送受信部12は、複数の超音波データを取得する。
【0057】
次に、図7に示すステップS12において、直交変換器14により複数の超音波データの直交変換を行う。
【0058】
次に、図7に示すステップS13において、超音波送受信部12は、、図7に示すステップS11で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを抽出する。
【0059】
このようなステップS11,S12,S13の処理により、所定の同一深さの超音波データ(a〜h)が図4及び図6(a)に示すように8個得られる。
【0060】
次に、図7に示すステップS14において、減算器33は、サンプルホールド回路32を通っていない原データ(a〜h)から、サンプルホールド回路32の出力データaを減算する。これにより、MTIフィルタ18,19は、図7に示すステップS15において、初期値が必ず0で始まるデータをMTIフィルタ演算する。
【0061】
次に、図7に示すステップS16において、血流情報演算部20は、MITフィルタ18,19の出力から血流情報データを演算する。この後、図7に示すステップS17において、血流情報演算部20は、すべての計算対象データの演算が終了したかの判別を行い、演算が終了していない場合にはステップS13の処理に戻り、演算が終了した場合にはステップS18の処理に移行する。
【0062】
図7に示すステップS18において、DSC22は、血流情報演算部20で演算された血流情報データに色相と輝度の割り当てを行い、図7に示すステップS19において、DSC22は、Bモード像演算部21で演算されたBモード画像データと合成された超音波画像データを生成して、モニタ23に表示する。この後、図7に示すステップS11の処理に戻る。
【0063】
(効果)
このような実施の形態によれば、簡易な回路構成のデータ減算器16,17でIIRフィルタの過渡応答を除去できるので、血流情報を正確に検出できる超音波診断装置の低コストで実現できる。
【0064】
[付記]
以上詳述したような本発明の前記実施の形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0065】
(付記項1) 所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ取得ステップと、
前記超音波データ取得ステップで得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを得るデータ抽出ステップと、
前記データ抽出ステップで得られた所定の同一の深さに対応する複数のデータのそれぞれから先頭のデータの値を減算するデータ減算ステップと、
前記データ減算ステップで減算されたデータを所定のフィルタに入力するフィルタ入力ステップと、
前記フィルタ入力ステップの出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算ステップと、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置のデータ処理方法。
【0066】
(付記項2)前記超音波送受信は超音波探触子を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置のデータ処理方法。
【0067】
(付記項3)前記所定のフィルタは、MTIフィルタであることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波診断装置のデータ処理方法。
【0068】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、簡易な回路構成でIIRフィルタの過渡応答を除去できるので、血流情報を正確に検出できる超音波診断装置の低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る超音波診断装置の全体構成を示す説明図。
【図2】本発明の実施の形態に係るデータ減算器のブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係る超音波診断装置のデータ処理方法の概要を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施の形態に係るデータ減算器に入力するデータを示す説明図。
【図5】本発明の実施の形態に係るデータ減算器が出力するデータを示す説明図。
【図6】本発明の実施の形態に係るデータ減算器の動作を示すタイミングチャート。
【図7】図3の超音波診断装置のデータ処理方法を更に具体的に示すフローチャート。
(構成)
【符号の説明】
1 …超音波診断装置
11 …超音波探触子
12 …超音波送受信部
13 …A/D変換器
14 …直交変換器
15 …遅延器
16,17 …データ減算器
18,19 …MTIフィルタ
20 …血流情報演算部
21 …Bモード像演算部
22 …DSC
23 …モニタ
31 …トリガパルス発生器
32 …サンプルホールド回路
33 …減算器
Claims (3)
- 所定の時間間隔で同一の音線方向に対して複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波送受信手段により得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応する複数のデータを得るデータ抽出ステップと、
前記データ抽出ステップで得られた所定の同一の深さに対応する複数のデータのそれぞれから少なくとも先頭のデータの値を減算するデータ減算ステップと、
前記データ減算ステップで減算されたデータを所定のフィルタに入力するフィルタ入力ステップと、
前記フィルタ入力ステップの出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算ステップと、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置のデータ処理方法。 - 超音波振動子により所定の時間間隔で同一の音線方向に対する複数回の超音波送受信を行って複数の超音波データを得る超音波データ取得手段と、
前記超音波データ取得手段で得られた複数の超音波データの中から所定の同一の深さに対応するデータを得るデータ抽出手段と、
前記データ抽出手段で得られた所定の同一の深さに対応するデータそれぞれから少なくとも先頭のデータを減算するデータ減算手段と、
所定のフィルタ特性を有し、前記データ減算手段で減算されたデータを入力するフィルタ手段と、
前記フィルタ手段からの出力に基づきドプラ偏移周波数を演算し、運動反射体の速度情報を演算する速度演算手段と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。 - 前記速度演算手段により得られた速度情報のデータに所定のカラー化処理を行って表示可能な超音波画像データを生成するカラー化手段を更に備えたことを特徴とする請求項2記載の超音波診断装置。
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