JP2004349509A - Iii−v族化合物結晶を利用する半導体装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】選択横方向成長法を利用した簡易な製造方法によって、III−V族化合物結晶から構成され、電流経路を結晶欠陥の少ない結晶で構成した縦型電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】基板110と、間隙121を有するコレクタ電極120と、露出している基板110表面とコレクタ電極120を覆うとともに高欠陥領域144と低欠陥領域145が分布しているIII−V族化合物結晶の下層146と、その下層146の高欠陥領域144の表面に形成されているゲート電極130と、下層146とゲート電極130を覆っているIII−V族化合物結晶の上層147と、その上層147の表面に形成されているエミッタ電極150とを有する。
【選択図】 図10
【解決手段】基板110と、間隙121を有するコレクタ電極120と、露出している基板110表面とコレクタ電極120を覆うとともに高欠陥領域144と低欠陥領域145が分布しているIII−V族化合物結晶の下層146と、その下層146の高欠陥領域144の表面に形成されているゲート電極130と、下層146とゲート電極130を覆っているIII−V族化合物結晶の上層147と、その上層147の表面に形成されているエミッタ電極150とを有する。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、III−V族化合物結晶を利用する半導体装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】III−V族化合物結晶を利用すると、特性の優れた半導体装置を実現できるものと期待されている。III−V族化合物結晶は、シリコン結晶に比して、絶縁破壊電界および飽和電子速度等が大きいことから、高耐圧で大電流を制御できる半導体装置を実現できるものと期待されている。
しかしながら、III−V族化合物の単結晶基板を形成することが困難であり、既存の半導体製造技術では、特性の優れた半導体装置を製造することができない。
【0003】
図1に、半導体装置の一例であるPBT(パーミアブルベーストランジスタ)の断面構造を示す。PBTは、半導体結晶層40と、半導体結晶層40中に埋込まれたゲート電極30と、表面に形成されたエミッタ電極50と、裏面に形成されたコレクタ電極20を備えており、縦型の電界効果トランジスタの一つである。ゲート電極30は、間隙31を隔てた状態で分散配置されている。
ゲート電極30に電圧が印加されないと、ショットキ障壁によってゲート電極30から空乏層が広がる。ゲート電極30間の間隙31が狭いと、隣接するゲート電極から伸びる空乏層がつながり、間隙31の全体が空乏化される。このために、ゲート電極30に電圧を印加しないことによって、高いオフ耐圧を得ることができる。ゲート電極30に電圧を印加すると、ゲート電極30から伸びる空乏層が小さくなり、間隙31にチャネル領域が形成され、コレクタ・エミッタ間が導通する。
【0004】
PBTの半導体結晶層40を、III−V族化合物結晶によって構成すると、高耐圧で大電流を制御できるトランジスタを実現し得るものと期待される。
しかしながら、現状ではIII−V族化合物の単結晶基板を形成することが困難であり、特性の優れた半導体装置を製造することができない。
図2〜4を参照して、現状で利用可能な製造方法の一つを説明する。図2に示すように、最初にSi等の単結晶基板10の表面に有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、以下MOCVD)法等により、III−V族化合物の単結晶をエピタキシャル成長させてバッファ層41を成膜する。基板10の単結晶とIII−V族化合物の単結晶の格子定数や熱膨張係数の違いから、バッファ層41中には多数の結晶欠陥が形成される。特に、膜厚方向に延びてバッファ層41を貫通する転位が形成されることが避けられない。次に、バッファ層41の表面にIII−V族化合物結晶を再度エピタキシャル成長させてIII−V族化合物結晶の下層42を形成する。次に、その下層42の表面にフォトリソグラフィーによりゲート電極30を形成する。次に、図3に示すように、ゲート電極30の間隙から露出している下層42とゲート電極30の表面に、III−V族化合物結晶を再度エピタキシャル成長させてIII−V族化合物結晶の上層43を形成する。次に、上層43の表面にエミッタ電極50を形成する。次に、図4に示すように、単結晶基板10を除去し、バッファ層41の裏面にスパッタ法等によりコレクタ電極20を形成する。
【0005】
上記の方法によると、III−V族化合物を利用するPBTを製造することができる。しかしながら、製造された半導体装置の特性は期待されたものにならない。バッファ層41に存在する貫通転位は、下層42と上層43の膜圧方向に伝播する。そのため電流経路を形成する下層42と上層43を構成するIII−V族化合物結晶に結晶欠陥が多いために、半導体装置の特性が期待されたものにならない。
【0006】
結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶を作成するために、選択横方向成長法(ELO:Epitaxial Lateral Over−growth)が開発されている。これを利用して半導体装置を製造する技術が提案されており、特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−230410号公報
【0008】
特許文献1に記載の技術では、図5に示すように、Siあるいはサファイア等の単結晶基板10の上に、低温堆積緩衝層60を形成する。次に、SiO2等のマスク層70を形成する。マスク層70には、間隙が分散配置されており、例えばストライプ状に形成する。次に、マスク層70の間隙から露出している低温堆積緩衝層60の表面から、III−V族化合物結晶をMOCVD法によってエピタキシャル成長させる。成長条件を適切に選択することによって、間隙から膜厚方向(L1方向)に結晶が成長すると同時に、マスク層70に沿った方向(横方向であるL2方向)にも結晶が成長していく。そして、それぞれの間隙から横方向へ成長してきた結晶が繋がり、マスク層70は埋もれ、最終的には上面が平坦な1つの結晶層40が形成される。この結晶層40において、マスク層70の間隙から膜厚方向に伸びる領域1Aでは、単結晶基板10とIII−V族化合物結晶の格子定数や熱膨張係数の違いに起因して貫通転位等の結晶欠陥が多い。それに反してマスク層70に沿って横方向に成長した結晶には、結晶欠陥が少ない。特に、低温堆積緩衝層60の貫通転位から伸びる転位は、横方向に曲がって成長するために、マスク層70の上方の領域2Aの表面近傍では結晶欠陥密度が低い。マスク層70が、結晶欠陥の伝播阻止層として作用し、そのマスク層70の上方領域2Aには結晶欠陥の少ないIII−V族化合物が結晶成長する。
【0009】
図6に、前記公開公報に記載されているGaN系縦型電界効果型トランジスタの構成例を示す。選択横方向成長法によって形成されたGaN単結晶層40aの表面に、n型のGaN結晶層40bと、p型のGaN結晶層40cと、n型のGaN結晶層40dが積層されている。マスク層70の間隙から露出している低温堆積緩衝層60から膜厚方向に結晶成長した領域には、結晶欠陥が多く、マスク層70の表面に沿って横方向に結晶成長した領域には、結晶欠陥が少ない。
図6の半導体装置では、結晶欠陥が多い領域にトレンチが形成され、結晶欠陥が多い領域が除去されている。トレンチにはゲート電極Gが埋め込まれている。トレンチゲート電極間のGaN結晶層40a〜40dの結晶欠陥は少ない。その結晶欠陥の少ない領域の表面にソース電極Sが形成されている。また、基板10と低温堆積緩衝層60とマスク層70は裏面から除去され、除去された後に、スパッタ法でドレイン電極Dが形成されている。
【0010】
上記方法で製造される半導体装置の場合、電流経路を構成するGaN単結晶層の結晶欠陥密度は低い。ゲート電極Gの下方に存在するGaN単結晶層40aの結晶欠陥密度は高いが、そこには電流が流れないために、結晶欠陥密度が高い領域が存在していても半導体装置の特性を低下させない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特許文献1に記載の技術によって、結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶によって電流経路を形成する半導体装置を製造することが可能となり、特性の優れた半導体装置を実現することができる。
しかしながら、従来の製造方法では、結晶欠陥の多い領域にトレンチを形成する必要があり、製造工程が多くなってプロセスコストが高くなるという問題がある。
また、基板10と低温堆積緩衝層60とマスク層70を裏面から除去し、除去した後にドレイン電極Dを形成する必要がある。裏面加工が必要とされ、プロセスコストが高くなるという問題がある。
【0012】
本発明の基本的目的は、トレンチ形成工程を要しない製造方法を実現する。またトレンチ形成工程を要しないで製造できる半導体装置を実現する。
トレンチ形成工程が不必要となるだけでなく、裏面加工まで不必要となれば、製造工程が大幅に簡単化される。本発明の更なる目的は、裏面加工を不必要とする製造方法を実現する。また裏面加工を要しないで製造できる半導体装置を実現する。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明の1つの態様の半導体装置は、基板と、基板表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から基板表面が露出しているコレクタ電極と、露出している基板表面とコレクタ電極を覆うとともに基板表面に平行な面内で高欠陥領域と低欠陥領域が分布しているIII−V族化合物結晶の下層と、その下層の高欠陥領域の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から前記下層の低欠陥領域の表面が露出しているゲート電極と、露出している前記下層の低欠陥領域の表面とゲート電極を覆っているIII−V族化合物結晶の上層と、その上層の表面に形成されているエミッタ電極とを有する。
【0014】
コレクタ電極の間隙から露出している基板表面から膜厚方向に結晶成長した領域には結晶欠陥が多い。ここでは、その領域を高欠陥領域という。コレクタ電極に沿って横方向に結晶成長した領域には結晶欠陥が少ない。ここでは、その領域を低欠陥領域という。コレクタ電極に、基板表面を露出させる間隙を分散配置されておくことによって、III−V族化合物結晶の下層には、基板表面に平行な面内で高欠陥領域と低欠陥領域が分布する。
【0015】
III−V族化合物結晶の下層には、高欠陥領域と低欠陥領域が分布している。その高欠陥領域の表面は、ゲート電極で覆われている。ゲート電極には間隙が分散配置されており、間隙の下方は低欠陥領域となっている。
III−V族化合物結晶の上層は、ゲート電極の間隙から露出する低欠陥のIII−V族化合物結晶層から結晶成長しているか、あるいは、選択横方向成長法によってゲート電極に沿って横方向に結晶成長している。いずれにしても、結晶欠陥が少ない。III−V族化合物結晶の上層の全体が低欠陥領域となっている。
この半導体装置の電流経路は、III−V族化合物結晶の上層と、ゲート電極の間隙と、その間隙の下方に存在するIII−V族化合物結晶の下層で構成される。いずれの部分も低欠陥領域であり、結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶によって電流経路を構成することができる。
この半導体装置は、トレンチ形成工程も裏面加工も使わないで製造することができ、簡単に安価に製造することができる。
【0016】
III−V族化合物結晶の下層と上層を、不純物を含有する窒化ガリウムで形成することが好ましい。窒化ガリウムは、III−V族化合物結晶の中でも、絶縁破壊電界や飽和電子速度が大きい。そのため、半導体装置の耐圧を高くし、オン抵抗を低くすることができる。
【0017】
III−V族化合物結晶の下層と上層の間に、下層と上層よりも不純物濃度の低いIII−V族化合物結晶からなる中間層が形成されていることが好ましい。この場合、ゲート電極の間隙は中間層によって充填されている。
ゲート電極の間隙が、不純物濃度が低い層で充填されていると、ショットキ障壁による空乏層が広がりやすく、ノーマリオフ型が形成しやすくなる。更に、不純物濃度が低い層で電界強度が緩和されるため、耐圧を向上することができる。
【0018】
中間層のIII族金属の一部を、Alで構成することが好ましい。この領域は電界強度が高くなりやすい領域なので、III族金属の一部がAlであるIII−V族化合物結晶によって、ゲート電極の間隙が充填されていると、絶縁破壊耐圧が高くなる分、耐圧特性を向上させることができる。
【0019】
本発明の1つの態様の半導体装置の製造方法では、間隙が分散配置されているコレクタ電極を基板表面に形成する工程と、その間隙から露出している基板表面とコレクタ電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層を形成する工程と、コレクタ電極に対応する領域に間隙を有して下層表面を露出させるとともにコレクタ電極の間隙に対応する領域の下層表面を覆うゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の間隙から露出する下層表面とゲート電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層を形成する工程と、上層の表面にエミッタ電極を形成する工程を実施する。コレクタ電極の間隙に対応する領域にゲート電極を形成し、コレクタ電極に対応する領域にゲート電極の間隙を確保する。
上記の製造方法によると、トレンチ形成工程も裏面加工工程も使わないで請求項1に記載の半導体装置を製造することができる。
【0020】
上記製造方法において、ゲート電極形成工程の前、ゲート電極形成工程の後、またはゲート電極形成工程の前後に、III−V族化合物結晶の下層と上層より不純物濃度の低いIII−V族化合物結晶の中間層を形成することが好ましい。
ゲート電極の間隙に空乏層が広がりやすく、ノーマリオフ型が形成しやすくなる。更に、電界強度の緩和によって、オフ耐圧特性が向上した半導体装置を製造することができる。
【0021】
本発明の1つの態様の半導体装置は、表面に平行な面内で高欠陥領域と低欠陥領域が分布しているIII−V族化合物結晶の下層と、下層の高欠陥領域の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から下層の低欠陥領域の表面が露出しているゲート電極と、露出している下層の低欠陥領域の表面とゲート電極を覆っているIII−V族化合物結晶の上層とを有する。
【0022】
この半導体装置では、電流経路となる、III−V族化合物結晶の上層と、ゲート電極の間隙と、その間隙の下方に存在するIII−V族化合物結晶の下層は、いずれの低欠陥領域で構成される。この半導体装置は、トレンチ形成工程を使わないで製造することができ、簡単に安価に製造することができる。
【0023】
本発明の1つの態様の半導体装置の製造方法では、間隙が分散配置されているマスク層を基板表面に形成する工程と、マスク層の間隙から露出している基板表面とマスク層の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層を形成する工程と、マスク層に対応する領域に間隙を有して下層表面を露出させるとともにマスク層の間隙に対応する領域の下層表面を覆うゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の間隙から露出する下層表面とゲート電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層を形成する工程とを実施する。
【0024】
マスク層をコレクタ電極で構成することもできるが、コレクタ電極と兼用する必要は必ずしもない。裏面加工してからコレクタ電極やドレイン電極等を形成してもよい。
本方法によると、ゲート電極の間隙から結晶欠陥の少ない上層を結晶成長させることができる。またゲート電極によって結晶欠陥の伝播を阻止することができる。結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶で上層を形成することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態] 第1実施形態の半導体装置の製造方法を、図7〜10を用いて説明する。図7に示すように、サファイアの単結晶基板110を用意する。単結晶基板110は、シリコンであってもよく、安価な単結晶基板を用いることができる。単結晶基板110の上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、タングステン等の金属材料からなる電極層を形成する。電極層の形成方法は、CVD法に限定されるものではなく、例えば、スパッタ法や電子ビーム蒸着法等であっても良い。また、電極層の材料は、例えばポリシリコン等の材料であっても良い。電極層を形成するに先立って、単結晶基板110の表面に図示しない低温堆積緩衝層を所望の厚さで形成し、その表面に電極層を形成しても良い。低温堆積緩衝層は、次の工程で形成するIII−V族化合物結晶と同じ結晶、あるいは格子定数と熱膨張係数が類似する結晶で形成する。
次に、電極層の表面にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィーによりパターニングし、電極層をエッチングしてコレクタ電極120を形成する。コレクタ電極120には、間隙121が分散して形成されるように、例えばストライブ状に形成される。
【0026】
次に、図8に示すように、MOCVD法により、コレクタ電極120の間隙121から露出している単結晶基板110の表面から、シリコンをドープしたn型のGaN結晶を選択横方向成長法によって結晶成長させる。これがGaN結晶の下層146を形成する。MOCVD法では、水素雰囲気中において、III族の有機金属とV族の水素化物が化学反応して結晶が成長する。図8に示すように、選択横方法成長法により結晶を成長させると、コレクタ電極120の間隙121から膜厚方向(L1方向)に結晶成長したGaN結晶は、単結晶基板110と格子定数等が一致しないため、結晶欠陥が多く、転位が貫通している高欠陥領域144となる。コレクタ電極120の上方の領域では、GaN結晶が横方向に成長し、転位が横に曲がって形成されるために、結晶欠陥の少ない低欠陥領域145となる。なお、図示しない低温堆積緩衝層を単結晶基板110の上に形成した場合でも、その低温堆積緩衝層には基板110から貫通転位が伝播しているため、コレクタ電極120の間隙121に対応する領域は、結晶欠陥が多い高欠陥領域144となってしまう。
【0027】
次に、図9に示すように、CVD法(又は、スパッタ法や電子ビーム蒸着法等)とフォトリソグラフィーとエッチングによって、下層146の表面にタングステン等からなるゲート電極130を形成する。ゲート電極130は、高欠陥領域144の表面に形成される。ゲート電極130には間隙131が分散配置されており、間隙131は低欠陥領域145の表面を露出させる。コレクタ電極120の間隙121に対応する領域にゲート電極130を形成し、コレクタ電極121に対応する領域にゲート電極130の間隙131を確保する。
【0028】
コレクタ電極120と間隙121が周期的に形成されていると、高欠陥領域144と低欠陥領域145も周期的に形成される。そのため、ゲート電極130と間隙131も周期的なパターンで形成することができる。ゲート電極130と間隙131のパターンは、コレクタ電極120と間隙121のパターンにあわせて形成することができる。なお、間隙131の幅が狭すぎると、ゲート電極130に電圧を印加しても空乏層が閉ざされたままとなり、チャネルが形成されないことがあるので、間隙131は所望の幅に調整する。
【0029】
次に、図10に示すように、ゲート電極130の間隙131に露出している低欠陥領域145の表面から、MOCVD法により、シリコンをドープしたn型のGaN結晶を選択横方向成長法により再度成長させる。高欠陥領域144の表面はゲート電極130で覆われているので、高欠陥領域144は表面に露出していない。表面に露出している低欠陥領域145からシリコンをドープしたn型のGaN結晶を成長させるので、GaN結晶147は結晶欠陥が少ない。ゲート電極130の上方を横方向に成長するGaN結晶147にも結晶欠陥が少ない。GaN結晶の上層147は、全領域において結晶欠陥が少ない。
GaN結晶の上層147の表面にエミッタ電極150を形成する。
【0030】
以上によって、GaN結晶の下層146と上層147を利用するPBTが得られる。電流経路となる、上層147、ゲート電極130の間隙131(正確には間隙131を充填する上層147)、ゲート電極130の間隙131の下方に位置する下層146の部分領域145は、結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶で構成されている。耐圧に優れ、オン抵抗の低いPBTとなっている。
【0031】
前記製造方法における第1特徴点は、ゲート電極130に、貫通転位の伝播を阻止する層としての役割を具備させた点である。このために、GaN結晶の上層147は、全領域において結晶欠陥が少ない。従来のように、結晶欠陥の多い領域にトレンチを形成する必要がない。
間隙121が分散配置されているマスク層120(この場合はコレクタ電極を兼用しているが、後で裏面加工してコレクタ電極を形成することが可能であり、マスク層がコレクタ電極を兼用する必要は必ずしもない。マスク層がコレクタ電極を兼用していなくても、III−V族化合物結晶の上層147にトレンチを形成する必要がないという上記の特徴は得られる)を基板110の表面に形成する工程と、マスク層120の間隙121から露出している基板110の表面とマスク層120の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層146を形成する工程と、マスク層120に対応する領域に間隙131を有して下層146の表面を露出させるとともにマスク層120の間隙121に対応する領域の下層146の表面を覆うゲート電極130を形成する工程と、ゲート電極130の間隙131から露出する下層表面146とゲート電極130の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層147を形成する工程を実施することによって半導体装置を製造することができ、トレンチ形成工程が必要とされない。
【0032】
第2の特徴は、コレクタ電極120にも、貫通転位の伝播を阻止するマスク層の役割を具備させた点である。従来の選択横方向成長法では、貫通転位の伝播を阻止するために、SiO2のマスク層を利用している。このために、基板とマスク層を除去してコレクタ電極を形成する裏面加工が必要とされた。本方法によると、貫通転位の伝播を阻止する層がコレクタ電極であり、裏面加工が必要とされない。
間隙121が分散配置されているコレクタ電極120を基板110の表面に形成する工程と、その間隙121から露出している基板110の表面とコレクタ電極120の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層146を形成する工程と、コレクタ電極120に対応する領域に間隙131を有して下層146の表面を露出させるとともにコレクタ電極120の間隙121に対応する領域の下層146の表面を覆うゲート電極130を形成する工程と、ゲート電極130の間隙131から露出する下層146の表面とゲート電極130の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層147を形成する工程と、上層147の表面にエミッタ電極150を形成する工程を実施して半導体装置を製造すると、裏面加工が必要とされない。
前記製造方法では、III−V族化合物結晶の積層を2回実施するだけで足りる。簡易な製造方法であり、プロセスコストを低減でき、安定した品質で製造することができる。
【0033】
下層146は、結晶欠陥密度の多少の差から2つの領域に分けられる。1つはコレクタ電極120の間隙121の上方領域、即ち、膜厚方向に結晶成長して形成された高欠陥領域144であり、もう一方はコレクタ電極120の上方領域、即ち、基板110の表面に沿って横方向に結晶成長して形成された低欠陥領域145である。低欠陥領域145は、コレクタ電極120が存在する領域にほぼ一致する。高欠陥領域144は、コレクタ電極120の間隙121に対応する領域にほぼ一致する。コレクタ電極120と間隙121の周期的な配置に対応して高欠陥領域144と低欠陥領域145が周期的に形成されている。
【0034】
ゲート電極130は高欠陥領域144の表面を蓋っている。高欠陥領域144は、コレクタ電極120の間隙121の上方に形成されることから、ゲート電極130は、コレクタ電極120の間隙121に対応する領域に形成されている。一方、ゲート電極130の間隙131は低欠陥領域145の表面を露出させている。低欠陥領域145は、コレクタ電極120の上方に形成されることから、ゲート電極130の間隙131は、コレクタ電極120に対応する領域に形成されている。
表面に平行な面内で高欠陥領域144と低欠陥領域145が分布しているIII−V族化合物結晶の下層146と、その下層146の高欠陥領域144の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙131から下層146の低欠陥領域145の表面が露出しているゲート電極130と、露出している下層146の低欠陥領域145の表面とゲート電極130を覆っているIII−V族化合物結晶の上層147を有する半導体装置は、上層147にトレンチ加工をしないでも製造することができる。
特に、基板110と、基板110の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙121から基板110の表面が露出しているコレクタ電極120を利用すると、裏面加工をしないでも製造することができる。
【0035】
図10に示すPBTのゲート電極130に電圧が印加されないと、ショットキ障壁によってゲート電極130から空乏層が広がる。ゲート電極130間の間隙131が狭いと、隣接するゲート電極130から伸びる空乏層がつながり、間隙131の全体が空乏化される。このために、ゲート電極130に電圧を印加しないことによってコレクタ120・エミッタ150間に電流が流れず、ノーマリオフ型を得ることができる。ゲート電極130とコレクタ電極120に正電圧を印加し、エミッタ電極150に負電圧を印加するか接地すると、ゲート電極130から伸びる空乏層が小さくなり、間隙131にチャネル領域が形成される。エミッタ電極150から供給された電子は、上層147と、ゲート電極130の間隙131に形成されたチェネル領域と、下層146の低欠陥領域145を経て、コレクタ電極120に流れる。コレクタ120・エミッタ150間が導通する。
電子の流れる領域に結晶欠陥が多いと、低い電界強度で絶縁破壊されるため、耐圧特性は低下する。特に、ゲート電極130の間隙131に形成されるチャネル領域は、電界強度が高くなりやすい領域なので、この領域に結晶欠陥が多いと耐圧特性が低下する。本実施形態では、上層147と、ゲート電極130の間隙131と、低欠陥領域145は、結晶欠陥の少ない結晶で構成されている。よって、トランジスタの耐圧特性を向上することができる。高欠陥領域144は、結晶欠陥が多く、貫通転位が伝播した領域である。しかし、ここには電流が流れないたために、PBTトランジスタの特性に悪影響することはない。
【0036】
第1実施形態では、III−V族化合物結晶の下層146と上層147がGaN結晶で構成されている。GaN結晶は、III−V族化合物結晶の中でも、絶縁破壊電界と飽和電子速度等が大きいという特徴があるため、第1実施形態のトランジスタは、耐圧特性に優れ、オン時の抵抗が低い。
【0037】
下層146の表面に形成するゲート電極130の大きさは、トランジスタ特性に影響する。第1実施形態では、コレクタ電極120の間隙121よりもわずかに大きなゲート電極130を形成することが有利である。電流の流れる通路に結晶欠陥の多い領域が形成されていると、低い電界強度で絶縁破壊される。そのため、電流の流れる通路には多くの結晶欠陥が形成されない構成とするのが好ましい。貫通転位が伝播している高欠陥領域144の表面を包含するようにゲート電極130を形成すると、その後の結晶成長では、高欠陥領域144を下地として結晶が成長しないので、貫通転位が上層147に伝播しない。上層147の全領域を結晶欠陥の少ない領域とすることができる。
【0038】
[第2実施形態] 第2実施形態では、第1実施形態でゲート電極130を形成(図9参照)した後に、中間層148を結晶成長させる(図11参照)。ゲート電極130の間隙131から露出している低欠陥領域145の表面から、III−V族化合物結晶の下層146と上層147よりも不純物濃度が低いGaN結晶を、MOCVD法によって成長させて中間層148を形成する。ゲート電極130の上方には、選択横方向成長法によって中間層148が結晶成長する。
ゲート電極130の間隙131と上方領域を不純物濃度が低い中間層148で充填すると、ショットキ障壁によって空乏層が広がりやすくなる。そのため、効果的に間隙131が空乏層により閉ざされ、ノーマリオフ型が形成しやすくなる。また、中間層148での電界強度が緩和されるため、オフ耐圧を向上することができる。中間層148を、III族金属としてAlを含有するIII−V族化合物結晶で構成すると、絶縁破壊耐圧が高くなる。Alは結晶の一部に含有されているだけでもよい。
上記では、ゲート電極130を形成してから中間層148を形成しているが、中間層148を形成してからゲート電極130を形成してもよい。この場合、ゲート電極130の間隙131と下方の領域が中間層148で形成される。中間層148を形成してからゲート電極130を形成し、ゲート電極130を形成してから中間層148を再度形成してもよい。この場合、ゲート電極130が中間層148内に完全に埋め込まれた構成のトランジスタを製造することができる。
【0039】
次に、図12に示すように、中間層148の上にシリコンをドープしたGaNの結晶をMOCVD法により成長させ、上層147を形成する。この上層147の不純物濃度は、中間層148よりも高い濃度で形成する。次に、上層147の上に、例えばAlからなるエミッタ電極150を形成する。
こうして製造される半導体装置でも、電流の通路である、上層147、中間層148、ゲート電極130の間隙131、下層146の間隙131の下方の領域145は、結晶欠陥の少ない結晶で構成される。
【0040】
ゲート電極130の間隙131が実質的に完全空乏化される幅は、間隙131の不純物濃度と関係している。ゲート電極130の間隙131の不純物濃度を低く設定すると、間隙131の幅が長くても、その間隙131を実質的に完全空乏化することができる。そこで、ゲート電極130の近傍で、特に電流の流れるチャネル領域となる間隙131のIII−V族化合物結晶の不純物濃度を、下層146と上層147よりも低い濃度で形成することで、実質的に完全空乏化しやすくすることができ、ノーマリオフ型を形成しやすくなる。また、中間層148での電界強度を緩和できるため、耐圧を向上することができる。この中間層148を、III族金属の一部にAlを含有したIII−V族化合物結晶で構成すると、この領域での絶縁破壊耐圧が高くなり、さらに耐圧を向上することができる。
【0041】
中間層148において不純物濃度を低く設定することで、キャリア密度が下がり耐圧は向上する。その一方、ゲート電極130の間隙131のチャネル領域でキャリア密度が下がるためオン抵抗も増加する。オン抵抗と耐圧はトレードオフの関係にあるといえる。所望するトランジスタの特性に合わせて、間隙131の幅とチャネル領域の不純物濃度を適時設定することが望ましい。
【0042】
第1と第2の実施形態に係る半導体装置は、ノーマリオフ型として動作する。ノーマリオフ型とは、ゲート電極に電圧を印加していない場合、実質的に電流が流れないことをいう。ノーマリオフ型の半導体装置は、例えばインバーター回路を構成しやすい。
【0043】
第1と第2の実施形態に係る半導体装置は、コレクタ電極とエミッタ電極が上下方向に配置された縦型電界効果トランジスタである。前記したように、ゲート電極の間隙の幅と不純物濃度を調整することによって電流の流れるチャネル領域を広く形成することができる。横型電界効果トランジスタ等に比べ、チャネル領域が広くなり、導通面積が広く確保できるので、大電流動作に適用し得る。
【0044】
また、図6に示した従来の縦型電界効果型トランジスタでは、ゲート電極Gと接する結晶層40を局部的に電流が流れ、電流の流れるチャネル領域の導通面積は狭かった。従来の縦型電界効果型トランジスタと比較しても、本発明の半導体装置はチャネル領域を広く形成することができる。
【0045】
コレクタ電極の間隙の形状は、ストライプの他に、例えば、矩形、丸形等を周期的に形成した構成であっても良い。間隙から形成される高欠陥領域の表面にゲート電極を形成することで、本発明に係る半導体装置を製造することができる。
【0046】
III−V族化合物結晶がGaAsであっても良い。GaAs結晶でパーミアブルベーストランジスタを実現したことが報告されているが、高価なGaAs単結晶基板から製造していたため、プロセスコストが高くなるといった問題があった。前記製造方法を用いれば、安価なシリコン単結晶基板からGaAsで構成されるトランジスタの製造が可能となり、プロセスコストを低減できる。
【0047】
また、電極材料としては、タングステンの他にAl等の金属でも構成し得る。III−V族化合物結晶と接触特性が良好な金属を選択することで、コレクタ電極とエミッタ電極との接触性が向上し、整流特性等を改善できる。
【0048】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のパーミアブルベーストランジスタの断面図を示す。
【図2】従来の製造方法におけるゲート電極の形成工程を示す。
【図3】従来の製造方法におけるエミッタ電極の形成工程を示す。
【図4】従来の製造方法におけるコレクタ電極の形成工程を示す。
【図5】選択横方向成長法における結晶成長過程を示す。
【図6】従来のGaNからなる縦型電界効果型トランジスタの構造を示す。
【図7】本発明に係る半導体装置のコレクタ電極の形成工程を示す。
【図8】本発明に係る半導体装置の下層の形成工程を示す。
【図9】本発明に係る半導体装置のゲート電極の形成工程を示す。
【図10】第1実施形態の半導体装置の断面図を示す。
【図11】第2実施形態の半導体装置における中間層の形成工程を示す。
【図12】第2実施形態の半導体装置の断面図を示す。
【符号の説明】
110:単結晶基板
120:コレクタ電極(マスク層)
121:コレクタ電極間の間隙
130:ゲート電極
131:ゲート電極間の間隙
144:高欠陥領域
145:低欠陥領域
146:下層
147:上層
148:中間層
150:エミッタ電極
【発明の属する技術分野】本発明は、III−V族化合物結晶を利用する半導体装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】III−V族化合物結晶を利用すると、特性の優れた半導体装置を実現できるものと期待されている。III−V族化合物結晶は、シリコン結晶に比して、絶縁破壊電界および飽和電子速度等が大きいことから、高耐圧で大電流を制御できる半導体装置を実現できるものと期待されている。
しかしながら、III−V族化合物の単結晶基板を形成することが困難であり、既存の半導体製造技術では、特性の優れた半導体装置を製造することができない。
【0003】
図1に、半導体装置の一例であるPBT(パーミアブルベーストランジスタ)の断面構造を示す。PBTは、半導体結晶層40と、半導体結晶層40中に埋込まれたゲート電極30と、表面に形成されたエミッタ電極50と、裏面に形成されたコレクタ電極20を備えており、縦型の電界効果トランジスタの一つである。ゲート電極30は、間隙31を隔てた状態で分散配置されている。
ゲート電極30に電圧が印加されないと、ショットキ障壁によってゲート電極30から空乏層が広がる。ゲート電極30間の間隙31が狭いと、隣接するゲート電極から伸びる空乏層がつながり、間隙31の全体が空乏化される。このために、ゲート電極30に電圧を印加しないことによって、高いオフ耐圧を得ることができる。ゲート電極30に電圧を印加すると、ゲート電極30から伸びる空乏層が小さくなり、間隙31にチャネル領域が形成され、コレクタ・エミッタ間が導通する。
【0004】
PBTの半導体結晶層40を、III−V族化合物結晶によって構成すると、高耐圧で大電流を制御できるトランジスタを実現し得るものと期待される。
しかしながら、現状ではIII−V族化合物の単結晶基板を形成することが困難であり、特性の優れた半導体装置を製造することができない。
図2〜4を参照して、現状で利用可能な製造方法の一つを説明する。図2に示すように、最初にSi等の単結晶基板10の表面に有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、以下MOCVD)法等により、III−V族化合物の単結晶をエピタキシャル成長させてバッファ層41を成膜する。基板10の単結晶とIII−V族化合物の単結晶の格子定数や熱膨張係数の違いから、バッファ層41中には多数の結晶欠陥が形成される。特に、膜厚方向に延びてバッファ層41を貫通する転位が形成されることが避けられない。次に、バッファ層41の表面にIII−V族化合物結晶を再度エピタキシャル成長させてIII−V族化合物結晶の下層42を形成する。次に、その下層42の表面にフォトリソグラフィーによりゲート電極30を形成する。次に、図3に示すように、ゲート電極30の間隙から露出している下層42とゲート電極30の表面に、III−V族化合物結晶を再度エピタキシャル成長させてIII−V族化合物結晶の上層43を形成する。次に、上層43の表面にエミッタ電極50を形成する。次に、図4に示すように、単結晶基板10を除去し、バッファ層41の裏面にスパッタ法等によりコレクタ電極20を形成する。
【0005】
上記の方法によると、III−V族化合物を利用するPBTを製造することができる。しかしながら、製造された半導体装置の特性は期待されたものにならない。バッファ層41に存在する貫通転位は、下層42と上層43の膜圧方向に伝播する。そのため電流経路を形成する下層42と上層43を構成するIII−V族化合物結晶に結晶欠陥が多いために、半導体装置の特性が期待されたものにならない。
【0006】
結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶を作成するために、選択横方向成長法(ELO:Epitaxial Lateral Over−growth)が開発されている。これを利用して半導体装置を製造する技術が提案されており、特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−230410号公報
【0008】
特許文献1に記載の技術では、図5に示すように、Siあるいはサファイア等の単結晶基板10の上に、低温堆積緩衝層60を形成する。次に、SiO2等のマスク層70を形成する。マスク層70には、間隙が分散配置されており、例えばストライプ状に形成する。次に、マスク層70の間隙から露出している低温堆積緩衝層60の表面から、III−V族化合物結晶をMOCVD法によってエピタキシャル成長させる。成長条件を適切に選択することによって、間隙から膜厚方向(L1方向)に結晶が成長すると同時に、マスク層70に沿った方向(横方向であるL2方向)にも結晶が成長していく。そして、それぞれの間隙から横方向へ成長してきた結晶が繋がり、マスク層70は埋もれ、最終的には上面が平坦な1つの結晶層40が形成される。この結晶層40において、マスク層70の間隙から膜厚方向に伸びる領域1Aでは、単結晶基板10とIII−V族化合物結晶の格子定数や熱膨張係数の違いに起因して貫通転位等の結晶欠陥が多い。それに反してマスク層70に沿って横方向に成長した結晶には、結晶欠陥が少ない。特に、低温堆積緩衝層60の貫通転位から伸びる転位は、横方向に曲がって成長するために、マスク層70の上方の領域2Aの表面近傍では結晶欠陥密度が低い。マスク層70が、結晶欠陥の伝播阻止層として作用し、そのマスク層70の上方領域2Aには結晶欠陥の少ないIII−V族化合物が結晶成長する。
【0009】
図6に、前記公開公報に記載されているGaN系縦型電界効果型トランジスタの構成例を示す。選択横方向成長法によって形成されたGaN単結晶層40aの表面に、n型のGaN結晶層40bと、p型のGaN結晶層40cと、n型のGaN結晶層40dが積層されている。マスク層70の間隙から露出している低温堆積緩衝層60から膜厚方向に結晶成長した領域には、結晶欠陥が多く、マスク層70の表面に沿って横方向に結晶成長した領域には、結晶欠陥が少ない。
図6の半導体装置では、結晶欠陥が多い領域にトレンチが形成され、結晶欠陥が多い領域が除去されている。トレンチにはゲート電極Gが埋め込まれている。トレンチゲート電極間のGaN結晶層40a〜40dの結晶欠陥は少ない。その結晶欠陥の少ない領域の表面にソース電極Sが形成されている。また、基板10と低温堆積緩衝層60とマスク層70は裏面から除去され、除去された後に、スパッタ法でドレイン電極Dが形成されている。
【0010】
上記方法で製造される半導体装置の場合、電流経路を構成するGaN単結晶層の結晶欠陥密度は低い。ゲート電極Gの下方に存在するGaN単結晶層40aの結晶欠陥密度は高いが、そこには電流が流れないために、結晶欠陥密度が高い領域が存在していても半導体装置の特性を低下させない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】特許文献1に記載の技術によって、結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶によって電流経路を形成する半導体装置を製造することが可能となり、特性の優れた半導体装置を実現することができる。
しかしながら、従来の製造方法では、結晶欠陥の多い領域にトレンチを形成する必要があり、製造工程が多くなってプロセスコストが高くなるという問題がある。
また、基板10と低温堆積緩衝層60とマスク層70を裏面から除去し、除去した後にドレイン電極Dを形成する必要がある。裏面加工が必要とされ、プロセスコストが高くなるという問題がある。
【0012】
本発明の基本的目的は、トレンチ形成工程を要しない製造方法を実現する。またトレンチ形成工程を要しないで製造できる半導体装置を実現する。
トレンチ形成工程が不必要となるだけでなく、裏面加工まで不必要となれば、製造工程が大幅に簡単化される。本発明の更なる目的は、裏面加工を不必要とする製造方法を実現する。また裏面加工を要しないで製造できる半導体装置を実現する。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用と効果】本発明の1つの態様の半導体装置は、基板と、基板表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から基板表面が露出しているコレクタ電極と、露出している基板表面とコレクタ電極を覆うとともに基板表面に平行な面内で高欠陥領域と低欠陥領域が分布しているIII−V族化合物結晶の下層と、その下層の高欠陥領域の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から前記下層の低欠陥領域の表面が露出しているゲート電極と、露出している前記下層の低欠陥領域の表面とゲート電極を覆っているIII−V族化合物結晶の上層と、その上層の表面に形成されているエミッタ電極とを有する。
【0014】
コレクタ電極の間隙から露出している基板表面から膜厚方向に結晶成長した領域には結晶欠陥が多い。ここでは、その領域を高欠陥領域という。コレクタ電極に沿って横方向に結晶成長した領域には結晶欠陥が少ない。ここでは、その領域を低欠陥領域という。コレクタ電極に、基板表面を露出させる間隙を分散配置されておくことによって、III−V族化合物結晶の下層には、基板表面に平行な面内で高欠陥領域と低欠陥領域が分布する。
【0015】
III−V族化合物結晶の下層には、高欠陥領域と低欠陥領域が分布している。その高欠陥領域の表面は、ゲート電極で覆われている。ゲート電極には間隙が分散配置されており、間隙の下方は低欠陥領域となっている。
III−V族化合物結晶の上層は、ゲート電極の間隙から露出する低欠陥のIII−V族化合物結晶層から結晶成長しているか、あるいは、選択横方向成長法によってゲート電極に沿って横方向に結晶成長している。いずれにしても、結晶欠陥が少ない。III−V族化合物結晶の上層の全体が低欠陥領域となっている。
この半導体装置の電流経路は、III−V族化合物結晶の上層と、ゲート電極の間隙と、その間隙の下方に存在するIII−V族化合物結晶の下層で構成される。いずれの部分も低欠陥領域であり、結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶によって電流経路を構成することができる。
この半導体装置は、トレンチ形成工程も裏面加工も使わないで製造することができ、簡単に安価に製造することができる。
【0016】
III−V族化合物結晶の下層と上層を、不純物を含有する窒化ガリウムで形成することが好ましい。窒化ガリウムは、III−V族化合物結晶の中でも、絶縁破壊電界や飽和電子速度が大きい。そのため、半導体装置の耐圧を高くし、オン抵抗を低くすることができる。
【0017】
III−V族化合物結晶の下層と上層の間に、下層と上層よりも不純物濃度の低いIII−V族化合物結晶からなる中間層が形成されていることが好ましい。この場合、ゲート電極の間隙は中間層によって充填されている。
ゲート電極の間隙が、不純物濃度が低い層で充填されていると、ショットキ障壁による空乏層が広がりやすく、ノーマリオフ型が形成しやすくなる。更に、不純物濃度が低い層で電界強度が緩和されるため、耐圧を向上することができる。
【0018】
中間層のIII族金属の一部を、Alで構成することが好ましい。この領域は電界強度が高くなりやすい領域なので、III族金属の一部がAlであるIII−V族化合物結晶によって、ゲート電極の間隙が充填されていると、絶縁破壊耐圧が高くなる分、耐圧特性を向上させることができる。
【0019】
本発明の1つの態様の半導体装置の製造方法では、間隙が分散配置されているコレクタ電極を基板表面に形成する工程と、その間隙から露出している基板表面とコレクタ電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層を形成する工程と、コレクタ電極に対応する領域に間隙を有して下層表面を露出させるとともにコレクタ電極の間隙に対応する領域の下層表面を覆うゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の間隙から露出する下層表面とゲート電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層を形成する工程と、上層の表面にエミッタ電極を形成する工程を実施する。コレクタ電極の間隙に対応する領域にゲート電極を形成し、コレクタ電極に対応する領域にゲート電極の間隙を確保する。
上記の製造方法によると、トレンチ形成工程も裏面加工工程も使わないで請求項1に記載の半導体装置を製造することができる。
【0020】
上記製造方法において、ゲート電極形成工程の前、ゲート電極形成工程の後、またはゲート電極形成工程の前後に、III−V族化合物結晶の下層と上層より不純物濃度の低いIII−V族化合物結晶の中間層を形成することが好ましい。
ゲート電極の間隙に空乏層が広がりやすく、ノーマリオフ型が形成しやすくなる。更に、電界強度の緩和によって、オフ耐圧特性が向上した半導体装置を製造することができる。
【0021】
本発明の1つの態様の半導体装置は、表面に平行な面内で高欠陥領域と低欠陥領域が分布しているIII−V族化合物結晶の下層と、下層の高欠陥領域の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から下層の低欠陥領域の表面が露出しているゲート電極と、露出している下層の低欠陥領域の表面とゲート電極を覆っているIII−V族化合物結晶の上層とを有する。
【0022】
この半導体装置では、電流経路となる、III−V族化合物結晶の上層と、ゲート電極の間隙と、その間隙の下方に存在するIII−V族化合物結晶の下層は、いずれの低欠陥領域で構成される。この半導体装置は、トレンチ形成工程を使わないで製造することができ、簡単に安価に製造することができる。
【0023】
本発明の1つの態様の半導体装置の製造方法では、間隙が分散配置されているマスク層を基板表面に形成する工程と、マスク層の間隙から露出している基板表面とマスク層の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層を形成する工程と、マスク層に対応する領域に間隙を有して下層表面を露出させるとともにマスク層の間隙に対応する領域の下層表面を覆うゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の間隙から露出する下層表面とゲート電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層を形成する工程とを実施する。
【0024】
マスク層をコレクタ電極で構成することもできるが、コレクタ電極と兼用する必要は必ずしもない。裏面加工してからコレクタ電極やドレイン電極等を形成してもよい。
本方法によると、ゲート電極の間隙から結晶欠陥の少ない上層を結晶成長させることができる。またゲート電極によって結晶欠陥の伝播を阻止することができる。結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶で上層を形成することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態] 第1実施形態の半導体装置の製造方法を、図7〜10を用いて説明する。図7に示すように、サファイアの単結晶基板110を用意する。単結晶基板110は、シリコンであってもよく、安価な単結晶基板を用いることができる。単結晶基板110の上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、タングステン等の金属材料からなる電極層を形成する。電極層の形成方法は、CVD法に限定されるものではなく、例えば、スパッタ法や電子ビーム蒸着法等であっても良い。また、電極層の材料は、例えばポリシリコン等の材料であっても良い。電極層を形成するに先立って、単結晶基板110の表面に図示しない低温堆積緩衝層を所望の厚さで形成し、その表面に電極層を形成しても良い。低温堆積緩衝層は、次の工程で形成するIII−V族化合物結晶と同じ結晶、あるいは格子定数と熱膨張係数が類似する結晶で形成する。
次に、電極層の表面にレジスト膜を形成し、フォトリソグラフィーによりパターニングし、電極層をエッチングしてコレクタ電極120を形成する。コレクタ電極120には、間隙121が分散して形成されるように、例えばストライブ状に形成される。
【0026】
次に、図8に示すように、MOCVD法により、コレクタ電極120の間隙121から露出している単結晶基板110の表面から、シリコンをドープしたn型のGaN結晶を選択横方向成長法によって結晶成長させる。これがGaN結晶の下層146を形成する。MOCVD法では、水素雰囲気中において、III族の有機金属とV族の水素化物が化学反応して結晶が成長する。図8に示すように、選択横方法成長法により結晶を成長させると、コレクタ電極120の間隙121から膜厚方向(L1方向)に結晶成長したGaN結晶は、単結晶基板110と格子定数等が一致しないため、結晶欠陥が多く、転位が貫通している高欠陥領域144となる。コレクタ電極120の上方の領域では、GaN結晶が横方向に成長し、転位が横に曲がって形成されるために、結晶欠陥の少ない低欠陥領域145となる。なお、図示しない低温堆積緩衝層を単結晶基板110の上に形成した場合でも、その低温堆積緩衝層には基板110から貫通転位が伝播しているため、コレクタ電極120の間隙121に対応する領域は、結晶欠陥が多い高欠陥領域144となってしまう。
【0027】
次に、図9に示すように、CVD法(又は、スパッタ法や電子ビーム蒸着法等)とフォトリソグラフィーとエッチングによって、下層146の表面にタングステン等からなるゲート電極130を形成する。ゲート電極130は、高欠陥領域144の表面に形成される。ゲート電極130には間隙131が分散配置されており、間隙131は低欠陥領域145の表面を露出させる。コレクタ電極120の間隙121に対応する領域にゲート電極130を形成し、コレクタ電極121に対応する領域にゲート電極130の間隙131を確保する。
【0028】
コレクタ電極120と間隙121が周期的に形成されていると、高欠陥領域144と低欠陥領域145も周期的に形成される。そのため、ゲート電極130と間隙131も周期的なパターンで形成することができる。ゲート電極130と間隙131のパターンは、コレクタ電極120と間隙121のパターンにあわせて形成することができる。なお、間隙131の幅が狭すぎると、ゲート電極130に電圧を印加しても空乏層が閉ざされたままとなり、チャネルが形成されないことがあるので、間隙131は所望の幅に調整する。
【0029】
次に、図10に示すように、ゲート電極130の間隙131に露出している低欠陥領域145の表面から、MOCVD法により、シリコンをドープしたn型のGaN結晶を選択横方向成長法により再度成長させる。高欠陥領域144の表面はゲート電極130で覆われているので、高欠陥領域144は表面に露出していない。表面に露出している低欠陥領域145からシリコンをドープしたn型のGaN結晶を成長させるので、GaN結晶147は結晶欠陥が少ない。ゲート電極130の上方を横方向に成長するGaN結晶147にも結晶欠陥が少ない。GaN結晶の上層147は、全領域において結晶欠陥が少ない。
GaN結晶の上層147の表面にエミッタ電極150を形成する。
【0030】
以上によって、GaN結晶の下層146と上層147を利用するPBTが得られる。電流経路となる、上層147、ゲート電極130の間隙131(正確には間隙131を充填する上層147)、ゲート電極130の間隙131の下方に位置する下層146の部分領域145は、結晶欠陥の少ないIII−V族化合物結晶で構成されている。耐圧に優れ、オン抵抗の低いPBTとなっている。
【0031】
前記製造方法における第1特徴点は、ゲート電極130に、貫通転位の伝播を阻止する層としての役割を具備させた点である。このために、GaN結晶の上層147は、全領域において結晶欠陥が少ない。従来のように、結晶欠陥の多い領域にトレンチを形成する必要がない。
間隙121が分散配置されているマスク層120(この場合はコレクタ電極を兼用しているが、後で裏面加工してコレクタ電極を形成することが可能であり、マスク層がコレクタ電極を兼用する必要は必ずしもない。マスク層がコレクタ電極を兼用していなくても、III−V族化合物結晶の上層147にトレンチを形成する必要がないという上記の特徴は得られる)を基板110の表面に形成する工程と、マスク層120の間隙121から露出している基板110の表面とマスク層120の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層146を形成する工程と、マスク層120に対応する領域に間隙131を有して下層146の表面を露出させるとともにマスク層120の間隙121に対応する領域の下層146の表面を覆うゲート電極130を形成する工程と、ゲート電極130の間隙131から露出する下層表面146とゲート電極130の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層147を形成する工程を実施することによって半導体装置を製造することができ、トレンチ形成工程が必要とされない。
【0032】
第2の特徴は、コレクタ電極120にも、貫通転位の伝播を阻止するマスク層の役割を具備させた点である。従来の選択横方向成長法では、貫通転位の伝播を阻止するために、SiO2のマスク層を利用している。このために、基板とマスク層を除去してコレクタ電極を形成する裏面加工が必要とされた。本方法によると、貫通転位の伝播を阻止する層がコレクタ電極であり、裏面加工が必要とされない。
間隙121が分散配置されているコレクタ電極120を基板110の表面に形成する工程と、その間隙121から露出している基板110の表面とコレクタ電極120の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層146を形成する工程と、コレクタ電極120に対応する領域に間隙131を有して下層146の表面を露出させるとともにコレクタ電極120の間隙121に対応する領域の下層146の表面を覆うゲート電極130を形成する工程と、ゲート電極130の間隙131から露出する下層146の表面とゲート電極130の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層147を形成する工程と、上層147の表面にエミッタ電極150を形成する工程を実施して半導体装置を製造すると、裏面加工が必要とされない。
前記製造方法では、III−V族化合物結晶の積層を2回実施するだけで足りる。簡易な製造方法であり、プロセスコストを低減でき、安定した品質で製造することができる。
【0033】
下層146は、結晶欠陥密度の多少の差から2つの領域に分けられる。1つはコレクタ電極120の間隙121の上方領域、即ち、膜厚方向に結晶成長して形成された高欠陥領域144であり、もう一方はコレクタ電極120の上方領域、即ち、基板110の表面に沿って横方向に結晶成長して形成された低欠陥領域145である。低欠陥領域145は、コレクタ電極120が存在する領域にほぼ一致する。高欠陥領域144は、コレクタ電極120の間隙121に対応する領域にほぼ一致する。コレクタ電極120と間隙121の周期的な配置に対応して高欠陥領域144と低欠陥領域145が周期的に形成されている。
【0034】
ゲート電極130は高欠陥領域144の表面を蓋っている。高欠陥領域144は、コレクタ電極120の間隙121の上方に形成されることから、ゲート電極130は、コレクタ電極120の間隙121に対応する領域に形成されている。一方、ゲート電極130の間隙131は低欠陥領域145の表面を露出させている。低欠陥領域145は、コレクタ電極120の上方に形成されることから、ゲート電極130の間隙131は、コレクタ電極120に対応する領域に形成されている。
表面に平行な面内で高欠陥領域144と低欠陥領域145が分布しているIII−V族化合物結晶の下層146と、その下層146の高欠陥領域144の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙131から下層146の低欠陥領域145の表面が露出しているゲート電極130と、露出している下層146の低欠陥領域145の表面とゲート電極130を覆っているIII−V族化合物結晶の上層147を有する半導体装置は、上層147にトレンチ加工をしないでも製造することができる。
特に、基板110と、基板110の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙121から基板110の表面が露出しているコレクタ電極120を利用すると、裏面加工をしないでも製造することができる。
【0035】
図10に示すPBTのゲート電極130に電圧が印加されないと、ショットキ障壁によってゲート電極130から空乏層が広がる。ゲート電極130間の間隙131が狭いと、隣接するゲート電極130から伸びる空乏層がつながり、間隙131の全体が空乏化される。このために、ゲート電極130に電圧を印加しないことによってコレクタ120・エミッタ150間に電流が流れず、ノーマリオフ型を得ることができる。ゲート電極130とコレクタ電極120に正電圧を印加し、エミッタ電極150に負電圧を印加するか接地すると、ゲート電極130から伸びる空乏層が小さくなり、間隙131にチャネル領域が形成される。エミッタ電極150から供給された電子は、上層147と、ゲート電極130の間隙131に形成されたチェネル領域と、下層146の低欠陥領域145を経て、コレクタ電極120に流れる。コレクタ120・エミッタ150間が導通する。
電子の流れる領域に結晶欠陥が多いと、低い電界強度で絶縁破壊されるため、耐圧特性は低下する。特に、ゲート電極130の間隙131に形成されるチャネル領域は、電界強度が高くなりやすい領域なので、この領域に結晶欠陥が多いと耐圧特性が低下する。本実施形態では、上層147と、ゲート電極130の間隙131と、低欠陥領域145は、結晶欠陥の少ない結晶で構成されている。よって、トランジスタの耐圧特性を向上することができる。高欠陥領域144は、結晶欠陥が多く、貫通転位が伝播した領域である。しかし、ここには電流が流れないたために、PBTトランジスタの特性に悪影響することはない。
【0036】
第1実施形態では、III−V族化合物結晶の下層146と上層147がGaN結晶で構成されている。GaN結晶は、III−V族化合物結晶の中でも、絶縁破壊電界と飽和電子速度等が大きいという特徴があるため、第1実施形態のトランジスタは、耐圧特性に優れ、オン時の抵抗が低い。
【0037】
下層146の表面に形成するゲート電極130の大きさは、トランジスタ特性に影響する。第1実施形態では、コレクタ電極120の間隙121よりもわずかに大きなゲート電極130を形成することが有利である。電流の流れる通路に結晶欠陥の多い領域が形成されていると、低い電界強度で絶縁破壊される。そのため、電流の流れる通路には多くの結晶欠陥が形成されない構成とするのが好ましい。貫通転位が伝播している高欠陥領域144の表面を包含するようにゲート電極130を形成すると、その後の結晶成長では、高欠陥領域144を下地として結晶が成長しないので、貫通転位が上層147に伝播しない。上層147の全領域を結晶欠陥の少ない領域とすることができる。
【0038】
[第2実施形態] 第2実施形態では、第1実施形態でゲート電極130を形成(図9参照)した後に、中間層148を結晶成長させる(図11参照)。ゲート電極130の間隙131から露出している低欠陥領域145の表面から、III−V族化合物結晶の下層146と上層147よりも不純物濃度が低いGaN結晶を、MOCVD法によって成長させて中間層148を形成する。ゲート電極130の上方には、選択横方向成長法によって中間層148が結晶成長する。
ゲート電極130の間隙131と上方領域を不純物濃度が低い中間層148で充填すると、ショットキ障壁によって空乏層が広がりやすくなる。そのため、効果的に間隙131が空乏層により閉ざされ、ノーマリオフ型が形成しやすくなる。また、中間層148での電界強度が緩和されるため、オフ耐圧を向上することができる。中間層148を、III族金属としてAlを含有するIII−V族化合物結晶で構成すると、絶縁破壊耐圧が高くなる。Alは結晶の一部に含有されているだけでもよい。
上記では、ゲート電極130を形成してから中間層148を形成しているが、中間層148を形成してからゲート電極130を形成してもよい。この場合、ゲート電極130の間隙131と下方の領域が中間層148で形成される。中間層148を形成してからゲート電極130を形成し、ゲート電極130を形成してから中間層148を再度形成してもよい。この場合、ゲート電極130が中間層148内に完全に埋め込まれた構成のトランジスタを製造することができる。
【0039】
次に、図12に示すように、中間層148の上にシリコンをドープしたGaNの結晶をMOCVD法により成長させ、上層147を形成する。この上層147の不純物濃度は、中間層148よりも高い濃度で形成する。次に、上層147の上に、例えばAlからなるエミッタ電極150を形成する。
こうして製造される半導体装置でも、電流の通路である、上層147、中間層148、ゲート電極130の間隙131、下層146の間隙131の下方の領域145は、結晶欠陥の少ない結晶で構成される。
【0040】
ゲート電極130の間隙131が実質的に完全空乏化される幅は、間隙131の不純物濃度と関係している。ゲート電極130の間隙131の不純物濃度を低く設定すると、間隙131の幅が長くても、その間隙131を実質的に完全空乏化することができる。そこで、ゲート電極130の近傍で、特に電流の流れるチャネル領域となる間隙131のIII−V族化合物結晶の不純物濃度を、下層146と上層147よりも低い濃度で形成することで、実質的に完全空乏化しやすくすることができ、ノーマリオフ型を形成しやすくなる。また、中間層148での電界強度を緩和できるため、耐圧を向上することができる。この中間層148を、III族金属の一部にAlを含有したIII−V族化合物結晶で構成すると、この領域での絶縁破壊耐圧が高くなり、さらに耐圧を向上することができる。
【0041】
中間層148において不純物濃度を低く設定することで、キャリア密度が下がり耐圧は向上する。その一方、ゲート電極130の間隙131のチャネル領域でキャリア密度が下がるためオン抵抗も増加する。オン抵抗と耐圧はトレードオフの関係にあるといえる。所望するトランジスタの特性に合わせて、間隙131の幅とチャネル領域の不純物濃度を適時設定することが望ましい。
【0042】
第1と第2の実施形態に係る半導体装置は、ノーマリオフ型として動作する。ノーマリオフ型とは、ゲート電極に電圧を印加していない場合、実質的に電流が流れないことをいう。ノーマリオフ型の半導体装置は、例えばインバーター回路を構成しやすい。
【0043】
第1と第2の実施形態に係る半導体装置は、コレクタ電極とエミッタ電極が上下方向に配置された縦型電界効果トランジスタである。前記したように、ゲート電極の間隙の幅と不純物濃度を調整することによって電流の流れるチャネル領域を広く形成することができる。横型電界効果トランジスタ等に比べ、チャネル領域が広くなり、導通面積が広く確保できるので、大電流動作に適用し得る。
【0044】
また、図6に示した従来の縦型電界効果型トランジスタでは、ゲート電極Gと接する結晶層40を局部的に電流が流れ、電流の流れるチャネル領域の導通面積は狭かった。従来の縦型電界効果型トランジスタと比較しても、本発明の半導体装置はチャネル領域を広く形成することができる。
【0045】
コレクタ電極の間隙の形状は、ストライプの他に、例えば、矩形、丸形等を周期的に形成した構成であっても良い。間隙から形成される高欠陥領域の表面にゲート電極を形成することで、本発明に係る半導体装置を製造することができる。
【0046】
III−V族化合物結晶がGaAsであっても良い。GaAs結晶でパーミアブルベーストランジスタを実現したことが報告されているが、高価なGaAs単結晶基板から製造していたため、プロセスコストが高くなるといった問題があった。前記製造方法を用いれば、安価なシリコン単結晶基板からGaAsで構成されるトランジスタの製造が可能となり、プロセスコストを低減できる。
【0047】
また、電極材料としては、タングステンの他にAl等の金属でも構成し得る。III−V族化合物結晶と接触特性が良好な金属を選択することで、コレクタ電極とエミッタ電極との接触性が向上し、整流特性等を改善できる。
【0048】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のパーミアブルベーストランジスタの断面図を示す。
【図2】従来の製造方法におけるゲート電極の形成工程を示す。
【図3】従来の製造方法におけるエミッタ電極の形成工程を示す。
【図4】従来の製造方法におけるコレクタ電極の形成工程を示す。
【図5】選択横方向成長法における結晶成長過程を示す。
【図6】従来のGaNからなる縦型電界効果型トランジスタの構造を示す。
【図7】本発明に係る半導体装置のコレクタ電極の形成工程を示す。
【図8】本発明に係る半導体装置の下層の形成工程を示す。
【図9】本発明に係る半導体装置のゲート電極の形成工程を示す。
【図10】第1実施形態の半導体装置の断面図を示す。
【図11】第2実施形態の半導体装置における中間層の形成工程を示す。
【図12】第2実施形態の半導体装置の断面図を示す。
【符号の説明】
110:単結晶基板
120:コレクタ電極(マスク層)
121:コレクタ電極間の間隙
130:ゲート電極
131:ゲート電極間の間隙
144:高欠陥領域
145:低欠陥領域
146:下層
147:上層
148:中間層
150:エミッタ電極
Claims (8)
- 基板と、基板表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から基板表面が露出しているコレクタ電極と、露出している基板表面とコレクタ電極を覆うとともに基板表面に平行な面内で高欠陥領域と低欠陥領域が分布しているIII−V族化合物結晶の下層と、その下層の高欠陥領域の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から前記下層の低欠陥領域の表面が露出しているゲート電極と、露出している前記下層の低欠陥領域の表面とゲート電極を覆っているIII−V族化合物結晶の上層と、その上層の表面に形成されているエミッタ電極とを有する半導体装置。
- 前記のIII−V族化合物結晶の下層と上層が、不純物を含有する窒化ガリウムからなる請求項1の半導体装置。
- 前記のIII−V族化合物結晶の下層と上層の間に、下層と上層より不純物濃度の低いIII−V族化合物結晶の中間層が形成されている請求項1又は2の半導体装置。
- 前記中間層のIII族金属の一部が、Alである請求項3の半導体装置。
- 間隙が分散配置されているコレクタ電極を基板表面に形成する工程と、その間隙から露出している基板表面とコレクタ電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層を形成する工程と、コレクタ電極に対応する領域に間隙を有して下層表面を露出させるとともにコレクタ電極の間隙に対応する領域の下層表面を覆うゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の間隙から露出する下層表面とゲート電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層を形成する工程と、上層の表面にエミッタ電極を形成する工程を有する半導体装置の製造方法。
- 前記のゲート電極形成工程の前および/または後に、前記の下層と上層より不純物濃度の低いIII−V族化合物の中間層を形成する工程が付加されている請求項5の半導体装置の製造方法。
- 表面に平行な面内で高欠陥領域と低欠陥領域が分布しているIII−V族化合物結晶の下層と、その下層の高欠陥領域の表面に形成されているとともに分散配置されている間隙から前記下層の低欠陥領域の表面が露出しているゲート電極と、露出している前記下層の低欠陥領域の表面とゲート電極を覆っているIII−V族化合物結晶の上層とを有する半導体装置。
- 間隙が分散配置されているマスク層を基板表面に形成する工程と、マスク層の間隙から露出している基板表面とマスク層の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて下層を形成する工程と、マスク層に対応する領域に間隙を有して下層表面を露出させるとともにマスク層の間隙に対応する領域の下層表面を覆うゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の間隙から露出する下層表面とゲート電極の表面にIII−V族化合物を結晶成長させて上層を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法。
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