JP2004347834A - 露光マスクの作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】設計パターンのレイアウトによらずに寸法精度の良好なマスクパターンを形成することが可能な露光マスクの作製方法を提供する。
【解決手段】リソグラフィー処理により、ラインアンドスペースパターンの展開面積を水準振りした複数のテストパターンをマスク基板上に形成する(S1,S2)。テストパターンの寸法ばらつきに基づいて、当該テストパターンの寸法ばらつきが所定値以下となるように、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する(S4〜S5)。選択された露光量変調条件を適用したリソグラフィー処理により、設計パターンを転写してなるマスクパターンをマスク基板上に形成する(S6)。
【選択図】 図1
【解決手段】リソグラフィー処理により、ラインアンドスペースパターンの展開面積を水準振りした複数のテストパターンをマスク基板上に形成する(S1,S2)。テストパターンの寸法ばらつきに基づいて、当該テストパターンの寸法ばらつきが所定値以下となるように、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する(S4〜S5)。選択された露光量変調条件を適用したリソグラフィー処理により、設計パターンを転写してなるマスクパターンをマスク基板上に形成する(S6)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は露光マスクの作製方法および露光マスクに関し、特には半導体装置の製造に適用されるような微細パターンを形成するためのリソグラフィーに用いられる露光マスクの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程(ウェハ工程)においては、露光マスクを用いたパターン露光とその後の現像処理とからなるリソグラフィー工程によって、露光マスクに形成されたマスクパターンを転写したレジストパターンをウェハ上に形成し、さらにこのレジストパターンをマスクに用いたドライエッチングによって、配線等の実パターンをウェハ上に形成している。また、上述した露光マスクの作製工程(マスク工程)では、描画露光とその後の現像処理とからなるリソグラフィー工程によって設計パターンを転写したレジストパターンをマスク基板上に形成し、このレジストパターンをマスクに用いたドライエッチングによりクロムなどの遮光膜からなるマスクパターンをマスク基板上に形成している。
【0003】
ところで、上述したマスク工程において、設計パターンをマスク基板上に転写形成する際には、マスク基板上における100μm□以内のローカル領域のパターン疎密差に応じて、主に電子線描画露光における近接効果とドライエッチング工程におけるマイクロローディング効果よる寸法ぱらつきが生じることが知られている。
【0004】
そこで、ベクタースキャン可変成形タイプの電子線描画装置を使用するマスク工程では、寸法ばらつきを低減する方法の一つとして、パターン密度に応じて電子線描画露光の際の露光量を変調させる手法が実施されている。この場合、相対的にパターン密度が高い領域ほど、周辺領域に照射された電子線の散乱の影響を強く受けるため、電子線照射部のパターンが相対的に太く形成されることになる。このため、相対的にパターン密度が高い領域には、相対的な電子線照射量が少なくなるように露光量変調条件を設定することで、電子線の散乱の影響による寸法ばらつきを抑えている(以上、下記特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−66098号公報
【0006】
このような方法を適用した具体的な露光量変調条件の最適化は、次のように行われている。先ず、ある特定の長さと本数でピッチが水準振りされたラインアンドスペースパターン(LSパターン)をテストパターンとして形成する。ここで通常、ラインパターンの線幅はリニアリティとして別途調整されるため、該ラインパターンの線幅はターゲット線幅もしくは何らかの値に固定されている。また、該LSパターンの長さは固定値とされ、後方散乱径よりも十分に長い場合が多く、本数についても展開する横幅を固定値として、その範囲内で最大数となっている。
【0007】
そして、図6の寸法ばらつきのグラフに示すように、上記構成のテストパターン(タイプA)において、LSのピッチを変動させた場合の相対寸法差▲1▼と、孤立線(IsoL)の設計値0からの寸法公差(Mean to Target)▲2▼とを最小化するように露光量変調条件が定められる。この際、各パターンの面積を後方散乱関数で重畳した変数に基づき、近接効果補正アルゴリズムの後方散乱係数(η値)と後方散乱径、さらに露光量を合わせた3つの露光量変調条件の組み合わせの中から、上記相対寸法差▲1▼と、寸法公差▲2▼のばらつきが最小化する組み合わせを選択している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近接効果補正アルゴリズムによる各パターンの露光量変調比率は、補正計算範囲内の周辺パターン面積を後方散乱関数で畳み込んだ値を変数として決定されている。ところが、以上のように、従来の露光マスクの作製方法で用いられているテストパターンは、長さと展開幅とが固定されているため、展開面積が同一である。このため、このようなテストパターンでは、ピッチ水準を変動させた場合においても、そのパターン疎密差が上記変数に適当に反映されていなかった。したがって、補正計算範囲内の周辺パターン面積の違いによる後方散乱の影響を正確に取り込んだ露光量変調の選択を行うことができなかった。
【0009】
また、上述した従来方法では、最適な露光量変調条件の組み合わせを選択する際に、孤立線とピッチが1:1のLSパターンに対してのみ特別な注意が払われており、ピッチが1:1で同じ場合でも長さや本数が異なるパターンについての考慮がなされていなかった。
【0010】
このため、上述した方法で作製された露光マスクの寸法測定結果からは、例え図6に示したように、テストパターン(タイプA)の寸法ばらつきが仕様を満たすような露光量変調条件が得られたとしても、本数や長さが異なるその他のLSパターン(タイプB、タイプC)やその他アットランダムなレイアウトの各種ゲートパターン等の寸法が設計値から大きく外れる場合がある。このような寸法ばらつきは、半導体装置の微細化を妨げる要因になっている。
【0011】
そこで本発明は、設計パターンのレイアウトによらずに寸法精度の良好なマスクパターンを形成することが可能な露光マスクの作製方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の露光マスクの作製方法は、次のように行われる。先ず、リソグラフィー処理により、ラインアンドスペースパターンの展開面積を水準振りした複数のテストパターンをマスク基板上に形成する。次に、テストパターンの寸法ばらつきに基づいて、当該テストパターンの寸法ばらつきが所定値以下となるように、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する。その後、選択された露光量変調条件を適用したリソグラフィー処理により、設計パターンを転写してなるマスクパターンをマスク基板上に形成する。
【0013】
このような作製方法では、露光量変調条件を選択するためのテストパターンとして、LSパターンの展開面積を水準振りしたものを用いることで、露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲に対してLSパターンの展開面積が水準振りされる。このため、補正計算範囲に対する展開面積の水準振りの大きさを適宜設定することにより、補正計算範囲の周辺パターン面積分布を十分に変化させた各テストパターンを設定することができる。そして、この様に設定されたテストパターンに基づいて露光量変調条件の最適化を行うことで、補正計算範囲の周辺パターンの面積分布をより正確に取り込んだ露光量変調条件の最適化を行うことができる。また、テストパターンとしてLSパターンの展開面積を水準振りしたものを用いることで、LSパターンの長さが水準振りされると共に、ラインパターンの線幅とピッチとを同一とすることでLSパターンの本数が水準振りされる。このため、ピッチが同じ場合に、長さや本数が異なるパターンについても考慮に入れた露光量変調条件の最適化を行うこともできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の露光マスクの作製方法を図面に基づいて詳細に説明する。尚、ここでは、半導体装置の製造工程において配線などのパターンを形成する場合に用いる露光マスクを、ベクタースキャン可変成形タイプの電子線描画装置を用いて作製する方法に適した本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る露光マスクの作製方法を示すフロー図である。以下、このフロー図に基づき、必要に応じて他の図を参照しつつ第1実施形態の作成方法を説明する。
【0016】
先ず、ステップS1では、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する際に用いる複数のテストパターンの配置状態(レイアウト)を設定する。これらの各テストパターンは、ラインアンドスペースパターン(LSパターン)の展開面積(すなわち長さと本数)、およびピッチを水準振りしてなる。尚、LSパターンを構成するラインパターンの線幅は、一定値に固定されていることとする。また、このテストパターンの中には、1本のラインパターンからなる孤立線も含まれることとする。
【0017】
図2には、テストパターンの一例を示す。この図に示す(1)〜(14)の各テストパターンは、例えば90nm世代デバイス対応品として、目的線幅よりも若干余裕を持たせて、4倍露光マスク上で480nmの線幅のラインパターンで構成されている。そして、ピッチが1:1、1:2、無限大(孤立線)の3水準、長さが8μm、40μmの2水準、本数が3本LS、5本LS、横幅40μm内に展開できる最大数の3水準に振られている。そして、全部で、ピッチ1:1のテストパターンが6組、ピッチ1:2のテストパターンが6組、孤立線が2組の、全部で14組のテストパターンが設定される。
【0018】
尚、上記の例では、全部で14組のテストパターンを設定したが、寸法測定、管理が煩雑にならない範囲で、線幅を含めて各因子項目の水準数を増やしてテストパターンの総数を増加させても良い。ただし、テストパターンは、次に露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲、すなわちマスクパターン形成の際の露光における電子線の後方散乱の影響を十分に取り込める範囲よりも広いものと狭いものとが含まれるように、展開面積が水準振りされていることとする。
【0019】
例えば、上記露光において電子線の加速電圧が50keV程度に設定される場合には、その後方散乱の影響が及ぶ30μm□よりも広いもテストパターンと狭いテストパターンが設定される。また、さらに世代が進んだ場合には50μm□よりも広いもテストパターンと狭いテストパターンが設定されることとする。
【0020】
次に、ステップS2では、実験的なリソグラフィー処理とその後のエッチング処理とを行うことによって、上述したように設定された各テストパターンをマスク基板上に形成する。ここでは、実際に露光マスクを形成する場合に設定される標準的な条件でのリソグラフィー処理およびエッチング処理を行うこととする。
【0021】
この場合、図3に示すように、上述した複数のテストパターンで構成されるテストパターン群1を、マスク基板2上の各地点に配置することで、マスク基板2の面内全体における寸法ばらつきの管理が行われるようにする。このため、テストパターン群1は、マスク基板2上における機能領域(配線などのマスクパターンが配置される領域)3内にも配置されることが望ましい。
【0022】
その後、ステップS3では、露光マスク上に形成されたテストパターンの線幅を測定する。この際、各テストパターンの中部分の線幅を測定することとする。
【0023】
一方、ステップS4では、テストパターンに対する寸法ばらつきの仕様を設定する。ここでは、ローカル領域の疎密による寸法ばらつきを管理するために、図4を参照して、例えば次の3つの管理項目に対して上限値(仕様)が設定される。
【0024】
仕様1)同一ピッチパターン間の寸法ばらつき。この値は、特に狭ピッチパターンにおいては、露光マスクを用いたウェハ工程における光学転写時のMEF(Mask Error Factor)が大きいことから重要であり、例えばレンジで8nm以内になることを仕様とする。ここでMEFとは、光学転写倍率の影響を補正したうえでの露光マスク上の寸法誤差量に対するウエハ上の寸法誤差量の比率を表す指標であり、MEFが大きいという事は露光マスク上の寸法誤差量がウエハ上で増幅されることを意味する。
【0025】
仕様2)ピッチの異なるパターン間の相対寸法差であり、同一ピッチパターンの寸法平均と孤立線の寸法平均との差。この値は、例えばピッチが1:1のLSパターンの寸法公差の平均値と孤立線の寸法公差の平均値との差が12nm以内になることを仕様とする。また、ピッチが1:2のLSパターンについても同様に、孤立線との寸法差を仕様化する。
【0026】
仕様3)パターン全体の設計値に対する絶対寸法差であり、通常は孤立線の寸法公差の平均値をとる(Mean to Target)。この値は、例えば±5nmを仕様とする。
【0027】
以上の後、ステップS5では、ステップS3において測定された各テストパターンの線幅と、ステップS4において設定された各仕様とに基づき、テストパターンの寸法ばらつきが各仕様1)〜仕様3)の範囲に収まるように、露光量変調条件を選択する。
【0028】
この際、ステップS3で測定されたテストパターンの線幅と、各テストパターンの展開面積を後方散乱関数で重畳した変数とに基づき、近接効果補正アルゴリズムの後方散乱係数(η値)と後方散乱径、さらに露光量を合わせた3つの露光量変調パラメータの組み合わせの中から、テストパターンの寸法ばらつきが各仕様1)〜3)の範囲に収まるように、露光量変調条件を選択する。
【0029】
また、この際、テストパターンの寸法ばらつきが各仕様1)〜3)の範囲で、かつより小さい値となるように露光量変調条件を選択することになるが、この場合、仕様3)を満たす範囲内において、仕様2)よりも仕様1)の低減化を優先することとする。
【0030】
次に、ステップS6では、選択された露光量変調条件を適用したリソグラフィー処理、およびその後のエッチング処理により、マスク基板上に設計パターンを転写してなるマスクパターンパターンを形成して露光マスクを完成させる。このリソグラフィー処理においては、前の工程で選択された露光量変調条件以外は、テストパターンを形成した際の実験的なリソグラフィー処理と同一条件で行うこととする。
【0031】
以上説明した露光マスクの作製方法では、露光量変調条件を選択するためのテストパターンとして、LSパターンの展開面積を水準振りしたものを用いたことにより、露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲に対してLSパターンの展開面積が水準振りされることになる。これにより、補正計算範囲の周辺パターン面積分布を十分に変化させることが可能になるのである。
【0032】
ここで通常、近接効果補正アルゴリズムによる各パターンの露光量変調比率は、該補正計算範囲内の周辺パターン面積を後方散乱関数で畳み込んだ値を変数として決定されている。このため、露光量変調条件を最適化するために使用するテストパターンの疎密差を表すパラメータとして、上述したように、補正計算範囲の周辺パターン面積分布を示すLSパターンの展開面積を用いる様にしたことで、LSパターンのピッチ水準振りのみによって疎密差を表すパラメータとしていた従来方法よりも、より後方散乱の影響を正確に取り込んだ露光量変調条件の最適化を行うことが可能になる。
【0033】
つまり、ベクタースキャン可変成形型電子線描画装置でマスクパターンを描画する際に、ローカル領域の疎密寸法ばらつきを、マスクパターン(設計パターン)のレイアウトによらずに汎用的に補正する露光量変調条件を定めることが可能になるのである。
【0034】
また、上述した実施形態のテストパターンでは、LSパターンの線幅を固定した状態で、ピッチと共に展開面積が水準振りされている。このため、従来も寸法ばらつきを管理するための項目となっていた、仕様2)ピッチの異なるパターン間の相対寸法差、仕様3)孤立線の設計寸法からの誤差量(Mean to Target)と共に、仕様1)同一ピッチパターン間の寸法ばらつきを仕様項目に加えることができる。
【0035】
このうち、仕様1)の寸法ばらつきは、現在の半導体プロセスでは、この露光マスクを用いたウェハ工程で生じる光近接効果の補正(OPC:Optical Proximity effect Correction)やその他の補正によって低減することができない。このため、ピッチが狭い1:1のLSパターンの寸法ばらつきが大きくなると、k1値の低いリソグラフィーにおいては、MEF(Mask Error Factor)によって寸法ばらつきが増幅され最終的な半導体パターンの寸法ばらつきとして残存してしまう。
【0036】
また、仕様2)の寸法ばらつきは、エッチング変換差に起因すると考えられる。このため、後方散乱エネルギーを変数とした露光量変調よりも、別途にOPC処理で補正をかけた方が効果的である。
【0037】
そして、仕様2)の寸法ばらつきを露光量変調によって最小化しようとすると、現在の半導体プロセスではターゲット線幅のLSパターンに対して仕様1)のばらつきが大きくなってしまう。
【0038】
このため、露光量変調条件を定める際の優先度としては仕様3)の範囲内において、仕様2)よりも仕様1)の方が上であると考えられる。そして、本実施の形態では、仕様2)に対して、この仕様1)の寸法ばらつきを優先的に最小化するように、露光量変調条件が選択されている。このため、露光マスクの製造工程でしか行うことができない補正を、優先的に行うことができる。
【0039】
図4には、上述した手順で作製された露光マスクにおけるマスクパターンの寸法ばらつきの例を示す。LSパターンのピッチのみが異なるタイプA系列の1:1LSパターンと孤立線の相対寸法差、すなわち仕様2)の管理項目は、図6に示した従来例よりも大きくなっている。しかし、タイプA系列に対して、LSパターンの本数や長さが異なるタイプB系列およびタイプC系列を含めた、ピッチ1:1のLSパターンの寸法ばらつき、すなわち仕様1)の管理項目は、図6に示した従来例よりも低減され、マスク工程でしか補正できない仕様1)の寸法ばらつきが低減されていることがわかる。
【0040】
以上の結果、マスク工程で生じるローカル領域におけるパターン疎密寸法ばらつきを精度良く補正し、設計パターンに対して寸法精度の良好なマスクパターンを有する露光マスクを得ることができる。
【0041】
特に、上述したように、露光マスク上におけるピッチ1:1のLSパターンの寸法ばらつきが低減されたことにより、次のウェハ工程においてピッチが狭いパターンの寸法ばらつきがMEFに起因して増長されることを防止できる。また、マスク工程に由来する寸法ばらつきが精度良く補正されていることにより、次のウェハ工程を含むOPCの補正精度が向上する。これにより、この露光マスクを用いたウェハ上に形成される実パターンの設計パターンに対する精度を、そのレイアウト部分によらずに向上させることができる。この結果、半導体装置の電気特性および歩留まりの向上を図ることができる。
【0042】
尚、仕様2)のピッチに依存した寸法ばらつきは、次のウェハ工程も含めたOPCで補正されることになる。この場合、例えばピッチ1:1のLSパターンを孤立線よりも6nm細らせるとすると、仕様2)の1:1のLSパターンの平均値から孤立線の平均値を差し引いた相対寸法差の値は、単に先の12nm以内とするのではなく6nm〜18nmというように、後のOPCによるシフト量を考慮して仕様2)を設定する。これにより、ここで得られた露光マスクを用いてウェハ上に形成される実パターンの寸法ばらつきの低減が図られる。
【0043】
また、このようなウェハ工程も含めたOPCを考慮し、上述した複数のテストパターンからなるテストパターン群(図3)の中に、OPC関数を得るためのテストパターンを含ませておくことが好ましい。
【0044】
<第2実施形態>
本第2実施形態の露光マスクの作製方法は、第1実施形態で図1を用いて説明したと同様の手順で行われる。そして、本第2実施形態の露光マスクの作製方法が第1実施形態の作製方法と異なるところは、ステップS1におけるテストパターンの設定にあり、詳しくは孤立線以外のテストパターンにおけるLSパターンの配置状態にある。
【0045】
図5には、複数のテストパターンの一部を示す構成図である。この図に示す(1)〜(5)の各テストパターンは線幅およびピッチを固定したLSパターンの展開領域を正方形として、LSパターンの展開面積を水準振りしたものである。これにより、LSパターンの展開面積の水準振りの段階がより細かくなる。そして、孤立線からなるテストパターンは、LSパターンからなる各テストパターンの長さであることとする。
【0046】
この際、テストパターンは、次に露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲S(図5参照)、すなわちマスクパターン形成の際の露光における電子線の後方散乱の影響を十分に取り込める範囲よりも広いものと狭いものとが含まれるように、展開面積が水準振りされることは、第1実施形態と同様である。
【0047】
そして、このようにテストパターンを設定した後、第1実施形態と同様に、実験的なリソグラフィー処理とその後のエッチング処理によってマスク基板上にテストパターンを形成し(ステップS2)、このテストパターンの線幅を測定する(ステップS3)。この際、[削除]この際、図5を用いて説明した各テストパターンと共に、図示を省略した孤立線からなるテストパターンの形成および線幅測定も行われることになる。
【0048】
一方、ステップS4においては、第1実施形態で説明したと同様の、テストパターンの寸法ばらつきに関する仕様1)〜仕様3)を設定する。
【0049】
その後、ステップS5、およびステップS6を第1実施形態と同様に行うことで、マスク基板上に設計パターンを転写してなるマスクパターンパターンを形成して露光マスクを完成させる。
【0050】
このようなテストパターンを用いた作製方法であっても、第1実施形態と同様にLSパターンの展開面積が水準振りされたテストパターンを用い、第1実施形態と同様の管理項目について規定された仕様を満たすように露光量変調条件が選択されるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
尚、図5を用いて説明した設定の(1)〜(5)の各テストパターンは、ピッチを固定したものとして説明したが、さらにピッチや線幅を水準振りしたテストパターンを追加しても良い。
【0052】
また、第1実施形態および第2実施形態の露光マスクの作製方法においては、ステップS3で各テストパターンの線幅測定を行う場合に、各テストパターンの中部分の線幅を測定することとした。しかし、中央部分の線幅に加えて、最端部の線幅も同様に測定し、この部分の線幅のばらつきも仕様1)〜仕様3)の対象としても良い。この場合、マスク工程におけるマイクロローディング効果の影響による寸法ばらつきを従来よりも詳細に調べることができ、より精密なパターン寸法管理が可能になる。
【0053】
そして、以上の露光マスクの作製方法は、遮光膜を備えたバイナリーマスク、ハーフトーン材料を用いたハーフトーンマスク、さらには開口部を有するステンシルマスクなどの作製に広く適用可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の露光マスクの作製方法によれば、露光量変調条件を選択するためのテストパターンとして、LSパターンの展開面積を水準振りしたものを用いることにより、設計パターンのレイアウトによらずに、マスク工程で生じる寸法ばらつきを小さく抑えることが可能になる。この結果、設計パターンに対する寸法精度の良好なマスクパターンを有する露光マスクを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光マスクの作製方法を示すフロー図である。
【図2】第1実施形態の各テストパターンの構成図である。
【図3】露光マスクにおけるテストパターンの配置状態を示すレイアウト図である。
【図4】第1実施形態における寸法ばらつきの管理項目を説明するとともに、本実施形態の効果を説明するグラフである。
【図5】第2実施形態における一部の各テストパターンの構成図である。
【図6】従来の露光マスクの作製方法の課題を説明するグラフである。
【符号の説明】
2…マスク基板、S…補正計算範囲
【発明の属する技術分野】
本発明は露光マスクの作製方法および露光マスクに関し、特には半導体装置の製造に適用されるような微細パターンを形成するためのリソグラフィーに用いられる露光マスクの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置の製造工程(ウェハ工程)においては、露光マスクを用いたパターン露光とその後の現像処理とからなるリソグラフィー工程によって、露光マスクに形成されたマスクパターンを転写したレジストパターンをウェハ上に形成し、さらにこのレジストパターンをマスクに用いたドライエッチングによって、配線等の実パターンをウェハ上に形成している。また、上述した露光マスクの作製工程(マスク工程)では、描画露光とその後の現像処理とからなるリソグラフィー工程によって設計パターンを転写したレジストパターンをマスク基板上に形成し、このレジストパターンをマスクに用いたドライエッチングによりクロムなどの遮光膜からなるマスクパターンをマスク基板上に形成している。
【0003】
ところで、上述したマスク工程において、設計パターンをマスク基板上に転写形成する際には、マスク基板上における100μm□以内のローカル領域のパターン疎密差に応じて、主に電子線描画露光における近接効果とドライエッチング工程におけるマイクロローディング効果よる寸法ぱらつきが生じることが知られている。
【0004】
そこで、ベクタースキャン可変成形タイプの電子線描画装置を使用するマスク工程では、寸法ばらつきを低減する方法の一つとして、パターン密度に応じて電子線描画露光の際の露光量を変調させる手法が実施されている。この場合、相対的にパターン密度が高い領域ほど、周辺領域に照射された電子線の散乱の影響を強く受けるため、電子線照射部のパターンが相対的に太く形成されることになる。このため、相対的にパターン密度が高い領域には、相対的な電子線照射量が少なくなるように露光量変調条件を設定することで、電子線の散乱の影響による寸法ばらつきを抑えている(以上、下記特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−66098号公報
【0006】
このような方法を適用した具体的な露光量変調条件の最適化は、次のように行われている。先ず、ある特定の長さと本数でピッチが水準振りされたラインアンドスペースパターン(LSパターン)をテストパターンとして形成する。ここで通常、ラインパターンの線幅はリニアリティとして別途調整されるため、該ラインパターンの線幅はターゲット線幅もしくは何らかの値に固定されている。また、該LSパターンの長さは固定値とされ、後方散乱径よりも十分に長い場合が多く、本数についても展開する横幅を固定値として、その範囲内で最大数となっている。
【0007】
そして、図6の寸法ばらつきのグラフに示すように、上記構成のテストパターン(タイプA)において、LSのピッチを変動させた場合の相対寸法差▲1▼と、孤立線(IsoL)の設計値0からの寸法公差(Mean to Target)▲2▼とを最小化するように露光量変調条件が定められる。この際、各パターンの面積を後方散乱関数で重畳した変数に基づき、近接効果補正アルゴリズムの後方散乱係数(η値)と後方散乱径、さらに露光量を合わせた3つの露光量変調条件の組み合わせの中から、上記相対寸法差▲1▼と、寸法公差▲2▼のばらつきが最小化する組み合わせを選択している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近接効果補正アルゴリズムによる各パターンの露光量変調比率は、補正計算範囲内の周辺パターン面積を後方散乱関数で畳み込んだ値を変数として決定されている。ところが、以上のように、従来の露光マスクの作製方法で用いられているテストパターンは、長さと展開幅とが固定されているため、展開面積が同一である。このため、このようなテストパターンでは、ピッチ水準を変動させた場合においても、そのパターン疎密差が上記変数に適当に反映されていなかった。したがって、補正計算範囲内の周辺パターン面積の違いによる後方散乱の影響を正確に取り込んだ露光量変調の選択を行うことができなかった。
【0009】
また、上述した従来方法では、最適な露光量変調条件の組み合わせを選択する際に、孤立線とピッチが1:1のLSパターンに対してのみ特別な注意が払われており、ピッチが1:1で同じ場合でも長さや本数が異なるパターンについての考慮がなされていなかった。
【0010】
このため、上述した方法で作製された露光マスクの寸法測定結果からは、例え図6に示したように、テストパターン(タイプA)の寸法ばらつきが仕様を満たすような露光量変調条件が得られたとしても、本数や長さが異なるその他のLSパターン(タイプB、タイプC)やその他アットランダムなレイアウトの各種ゲートパターン等の寸法が設計値から大きく外れる場合がある。このような寸法ばらつきは、半導体装置の微細化を妨げる要因になっている。
【0011】
そこで本発明は、設計パターンのレイアウトによらずに寸法精度の良好なマスクパターンを形成することが可能な露光マスクの作製方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明の露光マスクの作製方法は、次のように行われる。先ず、リソグラフィー処理により、ラインアンドスペースパターンの展開面積を水準振りした複数のテストパターンをマスク基板上に形成する。次に、テストパターンの寸法ばらつきに基づいて、当該テストパターンの寸法ばらつきが所定値以下となるように、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する。その後、選択された露光量変調条件を適用したリソグラフィー処理により、設計パターンを転写してなるマスクパターンをマスク基板上に形成する。
【0013】
このような作製方法では、露光量変調条件を選択するためのテストパターンとして、LSパターンの展開面積を水準振りしたものを用いることで、露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲に対してLSパターンの展開面積が水準振りされる。このため、補正計算範囲に対する展開面積の水準振りの大きさを適宜設定することにより、補正計算範囲の周辺パターン面積分布を十分に変化させた各テストパターンを設定することができる。そして、この様に設定されたテストパターンに基づいて露光量変調条件の最適化を行うことで、補正計算範囲の周辺パターンの面積分布をより正確に取り込んだ露光量変調条件の最適化を行うことができる。また、テストパターンとしてLSパターンの展開面積を水準振りしたものを用いることで、LSパターンの長さが水準振りされると共に、ラインパターンの線幅とピッチとを同一とすることでLSパターンの本数が水準振りされる。このため、ピッチが同じ場合に、長さや本数が異なるパターンについても考慮に入れた露光量変調条件の最適化を行うこともできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の露光マスクの作製方法を図面に基づいて詳細に説明する。尚、ここでは、半導体装置の製造工程において配線などのパターンを形成する場合に用いる露光マスクを、ベクタースキャン可変成形タイプの電子線描画装置を用いて作製する方法に適した本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る露光マスクの作製方法を示すフロー図である。以下、このフロー図に基づき、必要に応じて他の図を参照しつつ第1実施形態の作成方法を説明する。
【0016】
先ず、ステップS1では、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する際に用いる複数のテストパターンの配置状態(レイアウト)を設定する。これらの各テストパターンは、ラインアンドスペースパターン(LSパターン)の展開面積(すなわち長さと本数)、およびピッチを水準振りしてなる。尚、LSパターンを構成するラインパターンの線幅は、一定値に固定されていることとする。また、このテストパターンの中には、1本のラインパターンからなる孤立線も含まれることとする。
【0017】
図2には、テストパターンの一例を示す。この図に示す(1)〜(14)の各テストパターンは、例えば90nm世代デバイス対応品として、目的線幅よりも若干余裕を持たせて、4倍露光マスク上で480nmの線幅のラインパターンで構成されている。そして、ピッチが1:1、1:2、無限大(孤立線)の3水準、長さが8μm、40μmの2水準、本数が3本LS、5本LS、横幅40μm内に展開できる最大数の3水準に振られている。そして、全部で、ピッチ1:1のテストパターンが6組、ピッチ1:2のテストパターンが6組、孤立線が2組の、全部で14組のテストパターンが設定される。
【0018】
尚、上記の例では、全部で14組のテストパターンを設定したが、寸法測定、管理が煩雑にならない範囲で、線幅を含めて各因子項目の水準数を増やしてテストパターンの総数を増加させても良い。ただし、テストパターンは、次に露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲、すなわちマスクパターン形成の際の露光における電子線の後方散乱の影響を十分に取り込める範囲よりも広いものと狭いものとが含まれるように、展開面積が水準振りされていることとする。
【0019】
例えば、上記露光において電子線の加速電圧が50keV程度に設定される場合には、その後方散乱の影響が及ぶ30μm□よりも広いもテストパターンと狭いテストパターンが設定される。また、さらに世代が進んだ場合には50μm□よりも広いもテストパターンと狭いテストパターンが設定されることとする。
【0020】
次に、ステップS2では、実験的なリソグラフィー処理とその後のエッチング処理とを行うことによって、上述したように設定された各テストパターンをマスク基板上に形成する。ここでは、実際に露光マスクを形成する場合に設定される標準的な条件でのリソグラフィー処理およびエッチング処理を行うこととする。
【0021】
この場合、図3に示すように、上述した複数のテストパターンで構成されるテストパターン群1を、マスク基板2上の各地点に配置することで、マスク基板2の面内全体における寸法ばらつきの管理が行われるようにする。このため、テストパターン群1は、マスク基板2上における機能領域(配線などのマスクパターンが配置される領域)3内にも配置されることが望ましい。
【0022】
その後、ステップS3では、露光マスク上に形成されたテストパターンの線幅を測定する。この際、各テストパターンの中部分の線幅を測定することとする。
【0023】
一方、ステップS4では、テストパターンに対する寸法ばらつきの仕様を設定する。ここでは、ローカル領域の疎密による寸法ばらつきを管理するために、図4を参照して、例えば次の3つの管理項目に対して上限値(仕様)が設定される。
【0024】
仕様1)同一ピッチパターン間の寸法ばらつき。この値は、特に狭ピッチパターンにおいては、露光マスクを用いたウェハ工程における光学転写時のMEF(Mask Error Factor)が大きいことから重要であり、例えばレンジで8nm以内になることを仕様とする。ここでMEFとは、光学転写倍率の影響を補正したうえでの露光マスク上の寸法誤差量に対するウエハ上の寸法誤差量の比率を表す指標であり、MEFが大きいという事は露光マスク上の寸法誤差量がウエハ上で増幅されることを意味する。
【0025】
仕様2)ピッチの異なるパターン間の相対寸法差であり、同一ピッチパターンの寸法平均と孤立線の寸法平均との差。この値は、例えばピッチが1:1のLSパターンの寸法公差の平均値と孤立線の寸法公差の平均値との差が12nm以内になることを仕様とする。また、ピッチが1:2のLSパターンについても同様に、孤立線との寸法差を仕様化する。
【0026】
仕様3)パターン全体の設計値に対する絶対寸法差であり、通常は孤立線の寸法公差の平均値をとる(Mean to Target)。この値は、例えば±5nmを仕様とする。
【0027】
以上の後、ステップS5では、ステップS3において測定された各テストパターンの線幅と、ステップS4において設定された各仕様とに基づき、テストパターンの寸法ばらつきが各仕様1)〜仕様3)の範囲に収まるように、露光量変調条件を選択する。
【0028】
この際、ステップS3で測定されたテストパターンの線幅と、各テストパターンの展開面積を後方散乱関数で重畳した変数とに基づき、近接効果補正アルゴリズムの後方散乱係数(η値)と後方散乱径、さらに露光量を合わせた3つの露光量変調パラメータの組み合わせの中から、テストパターンの寸法ばらつきが各仕様1)〜3)の範囲に収まるように、露光量変調条件を選択する。
【0029】
また、この際、テストパターンの寸法ばらつきが各仕様1)〜3)の範囲で、かつより小さい値となるように露光量変調条件を選択することになるが、この場合、仕様3)を満たす範囲内において、仕様2)よりも仕様1)の低減化を優先することとする。
【0030】
次に、ステップS6では、選択された露光量変調条件を適用したリソグラフィー処理、およびその後のエッチング処理により、マスク基板上に設計パターンを転写してなるマスクパターンパターンを形成して露光マスクを完成させる。このリソグラフィー処理においては、前の工程で選択された露光量変調条件以外は、テストパターンを形成した際の実験的なリソグラフィー処理と同一条件で行うこととする。
【0031】
以上説明した露光マスクの作製方法では、露光量変調条件を選択するためのテストパターンとして、LSパターンの展開面積を水準振りしたものを用いたことにより、露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲に対してLSパターンの展開面積が水準振りされることになる。これにより、補正計算範囲の周辺パターン面積分布を十分に変化させることが可能になるのである。
【0032】
ここで通常、近接効果補正アルゴリズムによる各パターンの露光量変調比率は、該補正計算範囲内の周辺パターン面積を後方散乱関数で畳み込んだ値を変数として決定されている。このため、露光量変調条件を最適化するために使用するテストパターンの疎密差を表すパラメータとして、上述したように、補正計算範囲の周辺パターン面積分布を示すLSパターンの展開面積を用いる様にしたことで、LSパターンのピッチ水準振りのみによって疎密差を表すパラメータとしていた従来方法よりも、より後方散乱の影響を正確に取り込んだ露光量変調条件の最適化を行うことが可能になる。
【0033】
つまり、ベクタースキャン可変成形型電子線描画装置でマスクパターンを描画する際に、ローカル領域の疎密寸法ばらつきを、マスクパターン(設計パターン)のレイアウトによらずに汎用的に補正する露光量変調条件を定めることが可能になるのである。
【0034】
また、上述した実施形態のテストパターンでは、LSパターンの線幅を固定した状態で、ピッチと共に展開面積が水準振りされている。このため、従来も寸法ばらつきを管理するための項目となっていた、仕様2)ピッチの異なるパターン間の相対寸法差、仕様3)孤立線の設計寸法からの誤差量(Mean to Target)と共に、仕様1)同一ピッチパターン間の寸法ばらつきを仕様項目に加えることができる。
【0035】
このうち、仕様1)の寸法ばらつきは、現在の半導体プロセスでは、この露光マスクを用いたウェハ工程で生じる光近接効果の補正(OPC:Optical Proximity effect Correction)やその他の補正によって低減することができない。このため、ピッチが狭い1:1のLSパターンの寸法ばらつきが大きくなると、k1値の低いリソグラフィーにおいては、MEF(Mask Error Factor)によって寸法ばらつきが増幅され最終的な半導体パターンの寸法ばらつきとして残存してしまう。
【0036】
また、仕様2)の寸法ばらつきは、エッチング変換差に起因すると考えられる。このため、後方散乱エネルギーを変数とした露光量変調よりも、別途にOPC処理で補正をかけた方が効果的である。
【0037】
そして、仕様2)の寸法ばらつきを露光量変調によって最小化しようとすると、現在の半導体プロセスではターゲット線幅のLSパターンに対して仕様1)のばらつきが大きくなってしまう。
【0038】
このため、露光量変調条件を定める際の優先度としては仕様3)の範囲内において、仕様2)よりも仕様1)の方が上であると考えられる。そして、本実施の形態では、仕様2)に対して、この仕様1)の寸法ばらつきを優先的に最小化するように、露光量変調条件が選択されている。このため、露光マスクの製造工程でしか行うことができない補正を、優先的に行うことができる。
【0039】
図4には、上述した手順で作製された露光マスクにおけるマスクパターンの寸法ばらつきの例を示す。LSパターンのピッチのみが異なるタイプA系列の1:1LSパターンと孤立線の相対寸法差、すなわち仕様2)の管理項目は、図6に示した従来例よりも大きくなっている。しかし、タイプA系列に対して、LSパターンの本数や長さが異なるタイプB系列およびタイプC系列を含めた、ピッチ1:1のLSパターンの寸法ばらつき、すなわち仕様1)の管理項目は、図6に示した従来例よりも低減され、マスク工程でしか補正できない仕様1)の寸法ばらつきが低減されていることがわかる。
【0040】
以上の結果、マスク工程で生じるローカル領域におけるパターン疎密寸法ばらつきを精度良く補正し、設計パターンに対して寸法精度の良好なマスクパターンを有する露光マスクを得ることができる。
【0041】
特に、上述したように、露光マスク上におけるピッチ1:1のLSパターンの寸法ばらつきが低減されたことにより、次のウェハ工程においてピッチが狭いパターンの寸法ばらつきがMEFに起因して増長されることを防止できる。また、マスク工程に由来する寸法ばらつきが精度良く補正されていることにより、次のウェハ工程を含むOPCの補正精度が向上する。これにより、この露光マスクを用いたウェハ上に形成される実パターンの設計パターンに対する精度を、そのレイアウト部分によらずに向上させることができる。この結果、半導体装置の電気特性および歩留まりの向上を図ることができる。
【0042】
尚、仕様2)のピッチに依存した寸法ばらつきは、次のウェハ工程も含めたOPCで補正されることになる。この場合、例えばピッチ1:1のLSパターンを孤立線よりも6nm細らせるとすると、仕様2)の1:1のLSパターンの平均値から孤立線の平均値を差し引いた相対寸法差の値は、単に先の12nm以内とするのではなく6nm〜18nmというように、後のOPCによるシフト量を考慮して仕様2)を設定する。これにより、ここで得られた露光マスクを用いてウェハ上に形成される実パターンの寸法ばらつきの低減が図られる。
【0043】
また、このようなウェハ工程も含めたOPCを考慮し、上述した複数のテストパターンからなるテストパターン群(図3)の中に、OPC関数を得るためのテストパターンを含ませておくことが好ましい。
【0044】
<第2実施形態>
本第2実施形態の露光マスクの作製方法は、第1実施形態で図1を用いて説明したと同様の手順で行われる。そして、本第2実施形態の露光マスクの作製方法が第1実施形態の作製方法と異なるところは、ステップS1におけるテストパターンの設定にあり、詳しくは孤立線以外のテストパターンにおけるLSパターンの配置状態にある。
【0045】
図5には、複数のテストパターンの一部を示す構成図である。この図に示す(1)〜(5)の各テストパターンは線幅およびピッチを固定したLSパターンの展開領域を正方形として、LSパターンの展開面積を水準振りしたものである。これにより、LSパターンの展開面積の水準振りの段階がより細かくなる。そして、孤立線からなるテストパターンは、LSパターンからなる各テストパターンの長さであることとする。
【0046】
この際、テストパターンは、次に露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲S(図5参照)、すなわちマスクパターン形成の際の露光における電子線の後方散乱の影響を十分に取り込める範囲よりも広いものと狭いものとが含まれるように、展開面積が水準振りされることは、第1実施形態と同様である。
【0047】
そして、このようにテストパターンを設定した後、第1実施形態と同様に、実験的なリソグラフィー処理とその後のエッチング処理によってマスク基板上にテストパターンを形成し(ステップS2)、このテストパターンの線幅を測定する(ステップS3)。この際、[削除]この際、図5を用いて説明した各テストパターンと共に、図示を省略した孤立線からなるテストパターンの形成および線幅測定も行われることになる。
【0048】
一方、ステップS4においては、第1実施形態で説明したと同様の、テストパターンの寸法ばらつきに関する仕様1)〜仕様3)を設定する。
【0049】
その後、ステップS5、およびステップS6を第1実施形態と同様に行うことで、マスク基板上に設計パターンを転写してなるマスクパターンパターンを形成して露光マスクを完成させる。
【0050】
このようなテストパターンを用いた作製方法であっても、第1実施形態と同様にLSパターンの展開面積が水準振りされたテストパターンを用い、第1実施形態と同様の管理項目について規定された仕様を満たすように露光量変調条件が選択されるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
尚、図5を用いて説明した設定の(1)〜(5)の各テストパターンは、ピッチを固定したものとして説明したが、さらにピッチや線幅を水準振りしたテストパターンを追加しても良い。
【0052】
また、第1実施形態および第2実施形態の露光マスクの作製方法においては、ステップS3で各テストパターンの線幅測定を行う場合に、各テストパターンの中部分の線幅を測定することとした。しかし、中央部分の線幅に加えて、最端部の線幅も同様に測定し、この部分の線幅のばらつきも仕様1)〜仕様3)の対象としても良い。この場合、マスク工程におけるマイクロローディング効果の影響による寸法ばらつきを従来よりも詳細に調べることができ、より精密なパターン寸法管理が可能になる。
【0053】
そして、以上の露光マスクの作製方法は、遮光膜を備えたバイナリーマスク、ハーフトーン材料を用いたハーフトーンマスク、さらには開口部を有するステンシルマスクなどの作製に広く適用可能である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の露光マスクの作製方法によれば、露光量変調条件を選択するためのテストパターンとして、LSパターンの展開面積を水準振りしたものを用いることにより、設計パターンのレイアウトによらずに、マスク工程で生じる寸法ばらつきを小さく抑えることが可能になる。この結果、設計パターンに対する寸法精度の良好なマスクパターンを有する露光マスクを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光マスクの作製方法を示すフロー図である。
【図2】第1実施形態の各テストパターンの構成図である。
【図3】露光マスクにおけるテストパターンの配置状態を示すレイアウト図である。
【図4】第1実施形態における寸法ばらつきの管理項目を説明するとともに、本実施形態の効果を説明するグラフである。
【図5】第2実施形態における一部の各テストパターンの構成図である。
【図6】従来の露光マスクの作製方法の課題を説明するグラフである。
【符号の説明】
2…マスク基板、S…補正計算範囲
Claims (6)
- リソグラフィー処理により、ラインアンドスペースパターンの展開面積を水準振りした複数のテストパターンをマスク基板上に形成する工程と、
前記テストパターンの寸法ばらつきに基づいて、当該テストパターンの寸法ばらつきが所定値以下となるように、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する工程と、
前記選択された露光量変調条件を適用したリソグラフィー処理により、設計パターンを転写してなるマスクパターンをマスク基板上に形成する工程とを行う
ことを特徴とする露光マスクの作製方法。 - 請求項1記載の露光マスクの作製方法において、
前記テストパターンは、ラインアンドスペースパターンの展開面積と共にピッチが水準振りされている
ことを特徴とする露光マスクの作製方法。 - 請求項1記載の露光マスクの作製方法において、
前記テストパターンは、前記露光量変調条件を選択する際の補正計算範囲よりも広いものと狭いものとが含まれるように、前記ラインアンドスペースパターンの展開面積が水準振りされている
ことを特徴とする露光マスクの作製方法。 - 請求項1記載の露光マスクの作製方法において、
前記露光量変調条件を選択する際には、線幅とピッチが同一で本数と長さが異なるラインアンドスペースパターンからなる各テストパターンの寸法ばらつき、および長さが異なる孤立線の寸法ばらつきが所定値以下となるように、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する
ことを特徴とする露光マスクの作製方法。 - 請求項4記載の露光マスクの作製方法において、
前記線幅とピッチが同一で本数と長さが異なるラインアンドスペースパターンからなる各テストパターンの寸法ばらつきが最小値となるように、リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する
ことを特徴とする露光マスクの作製方法。 - 請求項1記載の露光マスクの作製方法において、
リソグラフィー処理における露光量変調条件を選択する工程では、前記各テストパターンの複数箇所で測定された寸法ばらつきに基づいて、前記露光量変調条件が選択される
ことを特徴とする露光マスクの作製方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008165103A (ja) * | 2007-01-04 | 2008-07-17 | Fujitsu Ltd | パターン測定方法及び、フォトマスクの検査方法 |
JP2010039192A (ja) * | 2008-08-05 | 2010-02-18 | Oki Semiconductor Co Ltd | フォトマスク、及びフォトレジストパターンの形成方法 |
WO2016084977A1 (ja) * | 2014-11-28 | 2016-06-02 | 日立化成株式会社 | 配線基板の製造方法、データ補正装置、配線パターン形成システム及びデータ補正方法 |
CN111258171A (zh) * | 2020-01-21 | 2020-06-09 | 中国科学院微电子研究所 | 用于制造显示面板的新型掩模版及其制备方法 |
-
2003
- 2003-05-22 JP JP2003144428A patent/JP2004347834A/ja not_active Abandoned
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