JP2004347134A - Complex heat exchanger tube and its manufacturing method - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、給湯器、床暖房等の熱交換器に用いる伝熱管に関するもので、より詳しくは、大径管と小径管を流れる熱媒体の間で管壁を通して相互に熱交換する複合伝熱管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱交換器用の複合伝熱管の構成としては、1本の大径管と、その大径管の外表面に1本の小径管を接触させる構成のものが知られている。そして、冷蔵庫、冷凍庫用熱交換器の複合伝熱管においては、大径管および小径管の内部に熱媒体としてのフロン、代替フロン等の冷媒が流され、大径管と小径管とを流れる冷媒間で熱交換が行なわれるものである。また、給湯器用熱交換器の複合伝熱管においては、大径管の内部に水、小径管の内部にCO2等の自然冷媒が流されるものである。また、床暖房用熱交換器の複合伝熱管においては、大径管の内部に水、小径管の内部にフロン、代替フロン等の冷媒が流されるものである。
【0003】
前記構成の複合伝熱管の具体的なものとして、大径管の外表面に小径管を平行に沿わせて、はんだ付けにより結着・接合したものが提案されている。しかしながら、この複合伝熱管は、円形断面を有する管同志が接合するために、相互の接触面は線接触となり、管相互の熱交換は効果的でない。また、小径管全周の半分以上を熱伝導の悪いはんだで覆われるために、管相互の熱交換は、これにより一層阻害される。また、管同志の結着・接合の作業工程が非常に煩雑で非能率的であり、多量のはんだを費消し、徒らにコスト高の原因となっていた。(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらには、はんだ付けの信頼性を上げるために、管の脱脂、フラックスの塗布、はんだ付け後のフラックスの除去などが必要であり、作業工程が多く、一層煩雑なものとなっていた。また、円管状部のはんだ付けであるため、はんだが付かないところができやすく、大径管と小径管との間に隙間ができ、伝熱性能が更に低下する。また、大径管および/または小径管を銅管で構成した際には、はんだ付け部では時間の経過と共に脆いCu−Sn金属間化合物が形成され、複合伝熱管が組み込まれる熱交換器等の振動などにより接合が外れやすく、伝熱性能が経時劣化する。さらに、熱交管用なので水分が付着しやすく、銅とはんだとの電位差により局部電池を形成して腐食しやすく、使用中に冷媒がリークするおそれがある。さらに、廃棄され屋外におかれた場合、雨水によりはんだから人体に有害なPbイオンが溶出して水源や周囲の環境を汚染する。さらに、大径管および/または小径管を溶解してCuをリサイクルする場合には、銅管からのはんだの分別が難しく、CuにPb及びSnが混入したものとなってしまい、Cuをリサイクルできなかった。
【0005】
前記の問題点を解決する複合伝熱管の具体的なものとして、図17に示すように、大径管102の管軸方向に沿わせて形成した溝部104に小径管103を配置し、その外周に低発泡率の独立気泡を有する樹脂層105を被覆して一体化した複合伝熱管101が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、図18(b)に示すように、軟質または軽軟質の大径管122の両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に平行に形成した溝部124に、硬質の小径管123を抱合・緊締させた構成の複合伝熱管121が提案されている。また、図示しないが、大径管の外表面に溝部を形成する方法としては、引抜ダイスの引抜部ベアリングおよびアプローチの一部に溝部断面と一致する円形断面の小圧子を配置(固着)し、この引抜ダイスで大径管を引き抜く方法がある。また、この引抜法に代えて、大径管内にマンドレルや浮芯金を入れて引き抜く方法、ロール成形によるものも知られている。さらに、大径管への小径管の抱合・緊締方法として、引抜ダイスまたはロールを使用することも知られている。(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、図18(a)に示すように、銅製の大径管112の両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に平行に形成された溝部114に、銅製の小径管113が固定された複合伝熱管111が提案されている。また、小径管を大径管に固定する方法としては、(1)ロウ材、接着剤、共晶インサート部材、金属シール材等からなる接合層116を介して大径管112に小径管113を接合する方法、または、(2)小径管を大径管の溝部に圧入後、大径管を圧延して小径管を嵌合する方法がある(図示しないが、複合伝熱管の構成は図18(b)と同じになる)。さらに、大径管の外表面に溝を形成する方法としては、2連の成形ローラを使用することが知られている。(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
また、図19に示すように、銅製の大径管132の両端部を除く外表面の一部に形成された管軸方向に平行に伸びる2本の溝部134、134に、銅製の2本の小径管133、133が固定された熱交換器131が提案されている。大径管132への前記溝部134、134の形成及び前記溝部134、134への小径管133、133の抱き込み一体化加工は、引抜き加工が用いられている。大径管132の溝部134、134の形成を引抜き加工によって行うため、大径管132の両端部に溝部134、134を形成しないようにするにはその両端部を一定長さに渡って縮径しておく必要があり、そのため、大径管132の両端部には、加工前の大径管132より外径が縮小した縮径部132a、132aが設けられている。また、小径管133、133にCO2冷媒を大径管132に水を流通させるヒートポンプ式熱交換器に使用される例として、複合伝熱管131をらせん状に巻回した構成が例示されている。(例えば、特許文献4参照)。
【0009】
【特許文献1】
実開昭55−159975号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開昭57−90563号公報(第1〜3頁、第1〜11図)
【特許文献3】
特開2000−283664号(段落番号[0007]〜[0031]、図3〜図10)
【特許文献4】
特開2003−14383号(段落番号[0025]〜[0027]、図4)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に提案された複合伝熱管では、低発泡率の独立気泡を有する発泡樹脂層を被覆して一体化する工程は煩雑であり、生産性に劣る。また、発泡樹脂は温度や湿度の変化により一般に経時劣化しやすく、発泡樹脂の劣化により、大径管と小径管の接触状態が悪くなり伝熱性能、耐圧強度が経時劣化する。また、発泡樹脂を被覆するため、複合伝熱管の管軸直交断面の断面積が大きくなり、スペースが小さい場所への設置が難しく、この複合伝熱管を使用した冷蔵庫等の機器が大型化する。
【0011】
また、特許文献2に提案された複合伝熱管では、溝部断面の形状の小圧子を配置したダイスで大径管を引抜くことにより大径管の外表面に管軸方向の溝部を形成している。したがって、溝部を形成する大径管の材質が軟質または軽軟質であること、また引抜きが空引き(管内部にプラグがない)であることにより、形成される溝部の断面形状がV字型となり、C字型やU字型の溝部を形成することが困難であり、その後のロール加工により大径管との隙間を小さくして小径管を抱合・緊締させることは難しく、伝熱性能、耐圧強度を向上させることが難しい。さらに、この方法では大径管全長に溝が形成されてしまい、溝のない部分を作ることが難しく後述の拡管の問題が残る。また、引抜きダイスと加工される大径管の接触面積が大きいため引抜きによる摩擦力が大きくなる。この摩擦力により大径管の引抜き力が増大するが、大径管の材質が軟質あるいは軽軟質であり、機械的強度が小さいため引抜き加工中に大径管の焼付きや破断が発生しやすいといった問題もある。
【0012】
また、熱交換器内に組み込む際には、複合伝熱管に曲げ加工を施すことが多く、その際にも、V字断面の溝部から小径管が外れ易く、曲げ加工性に劣るものである。さらに、溝部の形成にロール形成を使用しても、管内部にプラグがないことにより、V字型断面の溝部となりやすく、C字型やU字型の溝部を形成することが困難である。
【0013】
そして、前記の複合伝熱管では、溝部が大径管の全長に渡って形成され、かつ、複合伝熱管を熱交換器内に組み込む際には、管端部を拡管して他の管とロウ付けされている。そのため、管端部をロウ付けする場合には一度埋めこんだ小径管を大径管の溝部から取り外す必要があり、拡管しても断面が真円になり難いため、管端部の管端形状の矯正に時間がかかり、生産性に劣る。
【0014】
また、特許文献3に提案された前記(1)の固定方法で作製された複合伝熱管では、ロウ材等からなる接合層が時間の経過と共に劣化し易く、冷蔵庫等の機器の振動により大径管から小径管が外れ易く、伝熱性能、耐圧強度が経時劣化する。さらに、銅製の大径管および小径管から接合層(接合材料)を分別することが難しい。そのため、複合伝熱管を溶解して銅をリサイクルしようとしても、銅に接合材料が混入したものとなってしまい、リサイクルが困難である。また、前記(2)の固定方法で作製された複合伝熱管では、溝部を2連のローラにより形成するため、溝部の断面形状がV字型になるため、圧延しても大径管の溝部内に隙間なく小径管を固定することが困難であり、伝熱性能、曲げ加工性が十分でない。
【0015】
さらに、特許文献1ないし特許文献3に提案された複合伝熱管の共通の問題点として、大径管1本と小径管1本の組合せによる熱交換であり、伝熱面積が十分でないため、熱交換容量を大きくしようとすると、伝熱管の長さの増大、大径管と小径管の接触部を複数並列に設けるなどの対応が必要になり、冷蔵庫等の機器に使用した際の機器の小型化、軽量化が難しい。
【0016】
また、特許文献4に提案されている複合伝熱管は小径管が2本嵌合されているため、熱交換容量を大きくすることができるが、複合伝熱管を熱交換器に組み込む際に一定の外径を有する他の銅管と接続する必要性より、縮径部の端部を一定の外径以上とする必要が生じる。そのためには、外径の大きな素管を使用する必要があるが、その場合は小径管が嵌合されている部分の大径管の断面積が大きくなってしまう。すると、前記嵌合部において大径管内を流れる熱媒体の流速が低下し、この部分の熱伝達率が低下してしまう。また、前記嵌合部の外径をある値より小さくできないため、複合伝熱管の小型化にも不利である。また、大径管が長い場合には、その縮径加工が煩雑である。また、他の管とロウ付けするために、この縮径部を拡管する場合には、拡管率が大きくなり、割れや加工性の低下が発生しやすい。さらに、大径管の縮径部から溝部が形成された部分に移る位置で大径管の断面積が変化するため、大径管内部に水を流す場合には、この付近で流速が変化し、水垢の堆積や腐食の原因となり易い。
【0017】
そこで、本発明は、このような問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度および生産性に優れた、さらに、使用される機器の小型化、軽量化が図れる複合伝熱管およびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、両端部を除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に平行に形成された3本または4本の溝部を有する大径管と、この大径管の直径より小さい直径からなり、3本または4本の前記溝部にそれぞれが嵌合された3本または4本の小径管とを備える複合伝熱管であって、前記小径管と隣接する前記溝部の表面は、この表面に接触する前記小径管の円弧と等しい円弧を有する複合伝熱管として構成したものである。
【0019】
前記構成において、溝部の表面が、この表面に接触する小径管の円弧と等しい円弧を有することにより、溝部の表面に小径管が密着し、大径管と小径管の接触部分の面積(伝熱面積)が増大すると共に、大径管と小径管が強固に嵌合され、溝部から小径管が外れる(抜ける)ことを抑制する。
【0020】
請求項2に記載の発明は、前記大径管の両端部における外径が、小径管が嵌合されている部分における大径管の外径と同じか、それより大きく、かつ、小径管の両端部における外径が、その他の部分における小径管の外径と同じか、それより大きい複合伝熱管として構成したものである。
【0021】
前記構成において、大径管の両端部の外径が、小径管が嵌合されている部分における大径管の外径と同じか、それより大きいことにより、複合伝熱管を熱交換器に組み込むために、従来の複合伝熱管のように小径管が嵌合している部分の大径管の外径を大きくする必要がなく、嵌合部において大径管内を流れる熱媒体の流速が低下しない。また、嵌合部において大径管の外径が大きくならないことにより、複合伝熱管が小型化される。更に、大径管の両端部を拡管することにより、熱交換器に組み込む際の他の管との接合が容易となる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、前記大径管は、前記小径管と嵌合している溝部の溝底部分の肉厚をt、前記小径管と嵌合していない部分の肉厚をTとするとき、t/Tの値が0.3〜0.7である複合伝熱管として構成したものである。
【0023】
前記構成において、t/Tの値を所定範囲内にすることにより、大径管への小径管の嵌合がしやすくなり、大径管と小径管との間に隙間が形成されにくくなると共に、溝底部分が大径管の内圧に対抗しうる応力を有し、嵌合された小径管が大径管から押出されるのが抑制される。さらに、大径管と小径管との相互の伝熱性能が向上されると共に、曲げ加工性についても向上でき、かつ、小径管の円弧と等しくなるように、大径管の溝部の表面の円弧を形成することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、前記小径管と隣接する前記溝部の表面の円弧は、前記複合伝熱管の管軸直交断面における前記小径管と前記大径管との見かけ上の接触長さであって、前記小径管の全周の55%以上である複合伝熱管として構成したものである。
【0025】
前記構成において、複合伝熱管の管軸直交断面における小径管と大径管との見かけ上の接触長さを所定長さ以上とすることにより、溝部の表面に小径管が密着し、大径管と小径管の接触面積(伝熱面積)が増大すると共に、大径管と小径管が強固に嵌合され、溝部から小径管が外れる(抜ける)ことを抑制する。
【0026】
請求項5に記載の発明は、3本または4本の前記小径管は、前記大径管の管軸直交断面における等間隔の位置に配置された3本または4本の溝部に、それぞれが嵌合されてなる複合伝熱管として構成したものである。
【0027】
前記構成において、前記大径管の管軸直交断面における大径管の円周上の等間隔の位置に小径管が配置されることにより、大径管と小径管との間の伝熱効率が向上すると共に、大径管に小径管を収容するための溝部の形成、およびその溝部への小径管の圧延嵌合の作業性がよくなる。
【0028】
請求項6に記載の発明は、前記大径管は、その内面に、管軸方向に平行な溝またはらせん状の溝が形成されている複合伝熱管として構成したものである。
【0029】
前記構成において、平行な溝またはらせん状の溝により、大径管内の伝熱面積が増大し、また溝により熱媒体が攪拌され、伝熱性能が向上する。
【0030】
請求項7に記載の発明は、3本または4本の前記小径管は、3本または4本の前記溝部の表面の少なくとも一部において、樹脂を介して前記大径管と嵌合されてなる複合伝熱管として構成したものである。
【0031】
前記構成において、樹脂を介して大径管と小径管が嵌合されることにより、大径管と小径管の接触する面に形成される微細な隙間にも前記樹脂が充填され、接触面から熱伝導率の低い空気を排除し、大径管と小径管の密着度合いがさらに高まり、大径管と小径管との伝熱面積がさらに増大し、大径管への小径管の嵌合力もさらに増大する。
【0032】
請求項8に記載の発明は、前記大径管および小径管の少なくとも一方は、無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管である複合伝熱管として構成したものである。
【0033】
前記構成において、無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管の使用により、大径管および小径管の少なくとも一方は熱伝導率、耐食性、塑性加工性(嵌合、曲げ等)、耐圧強度が向上すると共に、熱交換器に組み込む際のロウ・はんだ付け性が向上する。
【0034】
請求項9または請求項10に記載の発明は、3本または4本の前記小径管が嵌合された大径管は、らせん状または渦巻状に巻回された巻回部を形成する複合伝熱管として構成したものである。
【0035】
前記構成において、前記小径管が嵌合された大径管がらせん状または渦巻状の巻回部を形成することにより、同一体積に収納可能な複合伝熱管の長さが長くなり、複合伝熱管としての伝熱面積が増大すると共に、熱交換器内での小型化が可能となる。また、熱交換器内へ設置された際の複合伝熱管の安定性が向上する。
【0036】
請求項11に記載の発明は、前記大径管の管軸直交断面は、前記小径管と嵌合している部分において非円形の断面形状を呈する複合伝熱管として構成したものである。
【0037】
前記構成において、大径管の断面形状が非円形を呈することにより、同一段数のらせん状の巻回部においては、巻回部の高さが低くくなり、または、同一巻数の渦巻状の巻回部においては、巻回部の外径が小さくなる。
【0038】
請求項12に記載の発明は、大径管と、大径管の外表面に、前記大径管の管軸方向と平行に嵌合される3本または4本の小径管とを備える複合伝熱管の製造方法であって、前記大径管の両端部を除く外表面にピンを押し当て、前記ピンを固定して前記大径管を管軸方向に平行に移動させることにより、または前記大径管を固定して前記ピンを前記大径管の管軸方向に平行に移動させることにより、前記大径管の外表面の3箇所または4箇所に管軸方向に伸びる溝部を形成する溝部形成工程と、前記溝部が形成された大径管を焼鈍する焼鈍工程と、3本または4本の前記溝部に3本または4本の小径管を載置し、圧延ロールにより圧延して前記溝部に前記小径管を埋め込み、前記焼鈍された大径管と前記小径管を嵌合する圧延嵌合工程とを、含む複合伝熱管の製造方法として構成したものである。
【0039】
前記構成において、ピンを使用して溝部を形成することにより、大径管の所定部分のみが内方に窪んで溝部が形成され、かつ、形成された溝部のエッジ部に管軸直交断面で見た断面形状が三角形状の突起部が形成され(従来の圧延および引抜による加工では溝部の全面がダイスやロールと接触するため、前記突起部は形成されない)、小径管を嵌合する際、この突起部が小径管を包み込むように倒れ込み、小径管の嵌合強度を大きくするのに有効に作用する。大径管の他の部分は変形しない。また、溝部が形成された大径管を焼鈍することにより、大径管と小径管の嵌合がしやすく、小径管を変形させることもない。また、複合伝熱管の曲げ加工性が向上する。また、圧延ロールで圧延嵌合することにより、小径管が大径管の溝部内に強固に固定される。
【0040】
請求項13に記載の発明は、前記大径管および小径管の少なくとも一方は無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管であって、前記大径管は、その外表面に前記溝部を形成する前の管軸方向の0.2%耐力が200〜370N/mm2であり、前記小径管は、管軸方向の0.2%耐力が200N/mm2以上である複合伝熱管の製造方法として構成したものである。
【0041】
前記構成において、所定強度の大径管の使用により、大径管への溝部の成形効率が向上すると共に、溝部形成のためのピンの破損を抑制する。また、所定強度の小径管の使用により、小径管を溝部内に嵌合する際の小径管の変形または疵付きを抑制すると共に、大径管と小径管との間に隙間を小さくする。また、小径管の変形に起因して管内の熱媒体の圧力損失が大きくなるのを抑制する。
【0042】
請求項14に記載の発明は、前記圧延嵌合工程の後に、前記小径管が嵌合された大径管を所定半径で巻回する巻回工程、前記大径管または/および小径管の管端部を拡管する拡管工程、および焼鈍工程の少なくとも1つを行う複合伝熱管の製造方法として構成したものである。
【0043】
前記構成において、巻回工程により、複合伝熱管としての伝熱面積が増大すると共に、熱交換器内での複合伝熱管の占有空間が減少する。また、熱交換器内へ設置された際の複合伝熱管の安定性が向上する。また、拡管工程により、複合伝熱管を熱交換器に組み込む際の他の管との接合が容易となる。さらに、焼鈍工程により、複合伝熱管の曲げ加工性が向上し、熱交換器への組み込みがしやすくなる。
【0044】
請求項15に記載の発明は、大径管と、大径管の外表面に、前記大径管の管軸方向と平行に嵌合される3本または4本の小径管とを備える複合伝熱管の製造方法であって、前記大径管の両端部を除く外表面にピンを押し当て、前記ピンを固定して前記大径管を管軸方向に平行に移動させることにより、または前記大径管を固定して前記ピンを前記大径管の管軸方向に平行に移動させることにより、前記大径管の外表面の3箇所または4箇所に管軸方向に伸びる溝部を形成する溝部形成工程と、前記溝部が形成された大径管を焼鈍する焼鈍工程と、3本または4本の前記溝部の表面の少なくとも一部に樹脂を塗布する、または3本または4本の前記小径管の外表面の前記焼鈍が施された大径管と嵌合する部分の少なくとも一部に樹脂を塗布する樹脂塗布工程と、3本または4本の前記溝部に3本または4本の小径管を載置し、圧延ロールにより圧延して前記溝部に前記小径管を埋め込み、前記樹脂を介して前記焼鈍された大径管と前記小径管を嵌合する圧延嵌合工程と、前記圧延嵌合された複合伝熱管を前記樹脂の硬化温度まで昇温し、所定時間加熱し、前記樹脂を硬化させる樹脂硬化工程とを、含む複合伝熱管の製造方法として構成したものである。
【0045】
また、請求項16に記載の発明は、前記大径管および小径管の少なくと一方は無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管であって、前記溝部を形成する前の大径管および小径管の0.2%耐力が所定範囲内である複合伝熱管の製造方法として構成し、さらに、請求項17に記載の発明は、前記圧延嵌合工程の後に、巻回工程、拡管工程、焼鈍工程の少なくとも1つを行う複合伝熱管の製造方法として構成したものである。
【0046】
前記構成において、樹脂塗布工程、樹脂硬化工程により、大径管と小径管の接触する面に形成される微細な隙間にも前記樹脂が充填され、接触面から熱伝導率の低い空気を排除し、大径管と小径管の密着度合いがさらに高まり、大径管と小径管との伝熱面積がさらに増大し、大径管への小径管の嵌合力もさらに増大する。
【0047】
また、所定強度の大径管の使用により、大径管への溝部の成形効率が向上すると共に、溝部形成のためのピンの破損を抑制する。また、所定強度の小径管の使用により、小径管を溝部内に嵌合する際の小径管の変形または疵付きを抑制すると共に、大径管と小径管との間に隙間を小さくする。また、小径管の変形に起因して管内の熱媒体の圧力損失が大きくなるのを抑制する。また、巻回工程により、複合伝熱管としての伝熱面積が増大すると共に、熱交換器内での複合伝熱管の占有空間が減少する。また、熱交換器内へ設置された際の複合伝熱管の安定性が向上する。また、拡管工程により、複合伝熱管を熱交換器に組み込む際の他の管との接合が容易となる。さらに、焼鈍工程により、複合伝熱管の曲げ加工性が向上し、熱交換器への組み込みがしやすくなる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1(a)は3本の小径管を備える複合伝熱管の側面図、(b)は溝部の端部を示す部分切断斜視図、図2は図1のX−X線の断面図、図3は図2の他の実施形態の断面図、図4は図2の他の実施形態の断面図、図5は4本の小径管を備える複合伝熱管の断面図、図6は図5の他の実施形態の断面図、図7は大径管の4箇所に溝部を形成する溝部形成工程を模式的に示す管軸平行断面図、図8は大径管に溝部を形成する溝部形成工程を模式的に示す管軸直交断面図で、(a)は溝部が4箇所の場合、(b)は溝部が3箇所の場合、図9は大径管に4本の小径管を嵌合する圧延嵌合工程を模式的に示す管軸平行断面図、図10は大径管に小径管を嵌合する圧延嵌合工程を模式的に示す管軸直交断面図で、(a)は小径管が4本の場合、(b)は小径管が3本の場合、図11(a)は図10の嵌合前の溝部の部分拡大断面図、(b)は嵌合後の溝部の部分拡大断面図、(c)は(b)の他の実施形態の部分拡大断面図、図12は熱交換器の構成を模式的に示す説明図、図13はらせん状の巻回部が形成された複合伝熱管の斜視図、図14(a)は図13のC−C線の断面図、(b)、(c)は図13の他の実施形態を示す部分断面図、図15は渦巻状の巻回部が形成された複合伝熱管の斜視図、図16(a)は図15のD−D線の断面図、(b)は図15の他の実施形態を示す部分断面図である。
【0049】
図1に示すように、本発明の複合伝熱管1は、外表面に形成された3本の溝部4、4、4を有する大径管2と、この大径管2の溝部4、4、4に嵌合された3本の小径管3、3、3とを備えるものである。または、4本の溝部を有する大径管と、この大径管の溝部に嵌合された4本の小径管とを備えるものである(図示せず)。
【0050】
(大径管の構成)
大径管2は、後記する小径管3より外径が大きく、且つ小径管3を3本または4本嵌合して複合伝熱管1とした場合でもその内部に熱媒体としてフロン系冷媒、水などを流すのに十分な内径、及び耐圧強度を持てばよく、一例として、外径は4〜30mm、肉厚は0.2〜2.5mm、長さは100mm以上が好ましい。また、小径管より外径が大きいという条件を満足すれば特に寸法に制限はない。一般的には、小径管寸法との関係、本発明の伝熱管が組込まれる熱交換器の寸法、熱容量、加工性を考慮して決められ、前記寸法以外でも何ら問題はない。
【0051】
また、大径管2の材質としては、熱伝導率及び耐食性の点からJISH3300に規定の銅または銅合金が好ましく、これに規定されていなくても管に加工でき、且つ溝加工ができるものであれば適用できる。銅、銅合金以外にも、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などを用いることもできる。
【0052】
また、大径管2は、管外面に溝加工、各小径管3の嵌合、らせん状または渦巻状の巻回などの塑性加工が可能であり、これらの加工により割れ、各小径管3のはずれなどのおこらない機械的性質を備えることが望ましい。また、複合伝熱管1として熱交換器に組み込まれる際に、曲げ加工を行うので、曲げ加工においても割れ、小径管のはずれなどのおこらない機械的性質を備えることが望ましい。
【0053】
また、熱交換器に組込むために他の管とロウ、はんだなどにより接合されるのでロウ付け性、はんだ付け性に優れることが望ましい。
【0054】
また、大径管2を構成する管は、押出し素管を圧延、抽伸して製作される継目無し管でも、あるいは所定幅の板条の幅方向の端面を溶接して製作される溶接管を用いても良い。
【0055】
さらに、通常、大径管2としては管内面が平滑である平滑管が用いられることが多いが、管内の熱媒体を撹拌したい場合、旋回流を与えたい場合、あるいは管内の伝熱面積を増やしたい場合等には管の内面の少なくとも一部に管軸方向に平行な溝あるいはらせん状の溝(図示せず)が形成された内面溝付管を用いてもよい。また、大径管2内の溝付加工には、転造法、圧延法(転造ボールの代わりに圧延ロールを使用)、条(幅の狭い板状)に圧延ロールで溝付し、条を丸めて端を溶接するなどの方法によればよい。
【0056】
(小径管の構成)
小径管3は、大径管2に3本または4本嵌合され、且つその場合大径管2の内部を熱媒体が必要量流通することが可能な寸法に形成されている。また、小径管の内部を流通する熱媒体の圧力が大きい場合はその運転圧力に耐えられる厚さが必要になる。一例として、外径は1〜8mm、肉厚は0.2〜5mm、長さは100mm以上が好ましい。また、前記寸法外でも、大径管より外径が小さいという条件を満たしていれば何ら問題はない。
【0057】
また、小径管3の材質は、熱伝導率及び耐食性の点からJISH3300に規程の銅または銅合金が好ましく、これに規定されていなくても管に加工でき、曲げ加工が可能なものなら適用できる。また、銅、銅合金以外にも、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼などを用いることもできる。また、小径管3の加工性は、複合伝熱管1としてらせん状または渦巻状の巻回加工を行うので、巻回により割れ、大径管2からのはずれなどのおこらない機械的性質を備えることが望ましい。さらに、複合伝熱管1として熱交換器に組み込む際に曲げ加工を行うので、曲げ加工においても割れ、大径管2からのはずれなどのおこらない機械的性質を備えることが望ましい。
【0058】
熱交換器に組込むために他の管とロウ、はんだなどにより接合されるのでロウ付け性、はんだ付け性に優れることが望ましい。
【0059】
この小径管3は、断面積が小さいが、内部を流れる熱媒体の流通量を多くしたい場合が多いので、大径管2より内圧を高くして運転されることが多い。そのため、管の外径に対する肉厚を大きくすることが多く、一般には、押出し素管を圧延、抽伸して製作される継目無し管を用いることが多い。管の肉厚は、熱交換器の運転圧力に基づいて計算される耐圧強度から決定すれば良い。耐圧強度が要求値を満たせば、溶接管を用いても良い。
【0060】
管内面が平滑である平滑管が用いられることが多いが、管内の熱媒体を撹拌したい場合、旋回流を与えたい場合、あるいは管内の伝熱面積を増やしたい場合等には管の内面の少なくとも一部にらせん状あるいは管軸方向に平行な溝が形成された内面溝付管を用いてもよい。
【0061】
(複合伝熱管の構成)
図1〜図6に示すように、複合伝熱管1は、大径管2の両端部2a、2aを除く外表面の少なくとも一部に管軸方向に沿って平行に形成された3本または4本の溝部4に、3本または4本の小径管3のそれぞれが密着するように嵌合され、各小径管3に隣接する各溝部4の表面4Aは、各表面4Aに接触する各小径管3の円弧3Aと等しい円弧を有する。
【0062】
また、各小径管3が大径管2の各溝部4に嵌合されている複合化区間Bの長さは特に制限はないが、100mm以上が好ましい。また、複合化区間B以外の部分Aは、大径管2と各小径管3が分離して存在しており、それぞれの管の両端部2a、3aが熱交換器20の必要な部分に接続されている(図12参照)。そして、前記接続のために、分離した大径管2の両端部2a及び/または各小径管3の両端部3aが所定長さだけ拡管(拡管部)されていると、ロウ付け接合のために好適である。また、図13、図15に示すように、複合化区間Bにらせん状または渦巻状の巻回部31k、61kを形成してもよい。
【0063】
また、各溝部4の表面4Aの管軸直交断面における円弧(嵌合されている小径管3の円弧3A)の長さは、各小径管3の全円周の55%以上であることが好ましい。これにより、各小径管3の外表面の55%以上が各溝部4の表面4Aに覆われることとなる。また、70%以上であることが更に好ましい。そして、各表面4Aの円弧(各小径管3の円弧3A)の長さが各小径管3の全円周の55%未満であると、複合伝熱管1を直線状及び曲げた状態で、例えば、らせん状または渦巻状に巻回して用いるときに、小径管3が大径管2(各溝部4)から抜けたり(外れたり)、また大径管2と各小径管3との間の熱交換が低下しやすくなる。前記円弧の長さ(%)は次のようにして求める。各小径管3が嵌合されている部分を管軸直交断面で観察し、各小径管3と大径管2が見かけ上接触している部分に対して各小径管3の円周角を測定する。[測定された円周角(°)/360(°)]×100が求める値となる。通常、1断面において3本または4本の小径管3に対する平均値を求め、3断面以上について前記平均値を求め、それらの平均値の更に平均した値を求める値とする。また、「見かけ上」とは、本来接触すべき(断面を観察して大径管2に囲まれている)という意味で、顕微鏡スケールでは接触していない部分も含まれる。
【0064】
さらに、大径管2と各小径管3の複合化区間Bの両端部において、大径管2に形成されている各溝部4が管軸方向と30°程度の角度θをなして浅くなるようにしておくと、各小径管3に無理な力をかけずに大径管2より離脱(分離)させることができる。
【0065】
また、前記嵌合形態は、大径管2の外表面にその管軸方向に平行に、各小径管3が埋めこまれた状態になっていれば良い。そして、このような嵌合形態の形成方法は、後記のように、大径管2の外表面に、その管軸方向に平行に各小径管3の外径にほぼ等しく、深さが前記各表面4Aを形成するのに必要な所定深さの各溝部4を形成し、各溝部4に各小径管3を嵌め込み、その後大径管2の各溝部4に形成された突起部4a、4aを圧延などの方法で各小径管3にかぶせ、各小径管3を大径管2に固定することにより形成される。そして、各小径管3が大径管2に密着した接触状態が形成される(図11参照)。
【0066】
但し、このような嵌合形態において、各溝部4では、大径管2と各小径管3との間には管軸直交方向及び管軸方向に微細な隙間が残存するが、大径管2と各小径管3との接触部分の面積が大きいため、十分な伝熱性能を発揮させることができる。
【0067】
また、本発明の複合伝熱管は、複合伝熱菅の管軸直交断面で見た場合の大径管に対する3本または4本の小径管の位置が、図2、図5に示すように、大径管2の管軸直交断面における大径管2の円周上の等間隔の位置に3本または4本の各小径管3を存在させたものが好ましい。このような形態の複合伝熱管1は、伝熱効率が良く、最も好適に用いられ、また、後記する各小径管3を収容するための各溝部4の加工、各溝部4への各小径管3の嵌合加工が最も行いやすい。そして、この複合伝熱管1は、特に、大径管2内を流れる熱媒体の流量が多い場合に好適に用いられる。
【0068】
3本または4本の小径管3の位置は、図2、図5のみに限るわけではなく、種々の位置に存在させることが可能である。例えば、大径管2内を流れる熱媒体の流量が少ない場合には、図3、図6の大径管2の管軸直交断面の60°ずつ離れた位置に3本または4本の各小径管3が存在する、または、図4の大径管2の管軸直交断面の90°ずつ離れた位置に3本の各小径管3が存在する、小径管の配置が均等でないもの配置を用いることがある。但し、各小径管3を収容するための各溝部4の加工、各溝部4への各小径管3の嵌合加工、複合伝熱管1の熱交換器への組み込みの際の曲げ加工には、各小径管3の配置に対応したものが必要となる。
【0069】
このように大径管に小径管を3本または4本嵌合させた複合伝熱管は、小径管を1本または2本嵌合させたものに比較して溝部加工、嵌合などの難易度は高くなるが、小径管本数の増大(接触面積の増大)による伝熱性能の向上、およびこの複合伝熱管を用いて製作される熱交換器の小型化に対して、予想を上回る効果が得られるものである。伝熱性能の大幅な向上は以下のような機構により達成される。
【0070】
(1)大径管は、管軸方向に伸びる溝部の形成により、大径管内にリブが3本または4本形成された形状となっており、リブが1または2本形成されているものに比べて大径管内を流れる熱媒体の撹拌効果が著しく増大する。このために、大径管における管内熱伝達性能が大幅に向上する。
【0071】
(2)小径管が3本または4本嵌合されているので大径管の管軸直交断面における断面積が小さくなっており(例えば、図2〜図6)、単位時間あたり同一質量の熱媒体を大径管内に流した場合その流速が増大することにより大径管における管内熱伝達性能が大幅に向上する。
【0072】
(3)複合伝熱管を曲げ加工すると、曲げ部において大径管と小径管との接触状態が変化し、熱伝達性能が影響を受けるが、小径管の数を3本または4本とすることにより前記接触状態の変化がより平均化され、熱伝達性能に及ぼす影響が小さくなる。
【0073】
(4)小径管が3本または4本嵌合されているので、大径管と小径管との接触面積が増大し、大径管と小径管との間の熱伝達量が増大する。
また、このように伝熱性能の大幅な向上が可能であることから同一熱容量の熱交換器を製作するために必要な複合伝熱管の長さを短縮でき、それによる熱交換器の小型化、軽量化が達成できる。
【0074】
図13〜図16に示すように、複合伝熱管1は、各小径管3を大径管2に嵌合させた後、適当な巻きの直径及び巻きの高さH方向に適当な管の間隔で、らせん状または渦巻状に巻回された巻回部31k、41k、51k、61kを形成してもよい。
【0075】
(らせん状の巻回部)
図13、図14(a)に示すように、巻回部31kの巻きの最小内径IDは、大径管2および各小径管3の外径、大径管2および各小径管3の肉厚、大径管2および各小径管3の結晶粒径、大径管2および各小径管3の機械的性質(引張り強さ、耐力、伸び、ばね限界値など)等に依存するが、例えば大径管の管外径aを定数「a」としたとき、巻回部31kの最小内径IDは6×a程度まで小さくすることが可能である。また、巻回部31kの高さHを小さくするためには各小径管3を大径管2に嵌合させた後、更に焼鈍を行ってもよい。
【0076】
また、巻回部31kの大径管2の間隔pは、大径管どおしが接触した状態としてもよいし(p≒2×a)、あるいは隙間を設けて接触しない状態としてもよい。巻回部31kのコンパクト化のためには、巻回部31kの間隔pを小さくし、隣合う管どおしを接触させるとよく、複合伝熱管31の小型化に有効である。また、図14(c)に示すように、大径管52の管軸直交断面における外形形状を楕円あるいは扁平円形状とすると(左右径>上下径)、巻回部51kの高さHを更に低減することが可能である。
【0077】
また、図14(a)は一重巻きの例を示したが、巻回部31kの熱交換容量を更に向上させるには、図14(b)に示すように二重巻き41kあるいはそれ以上の回数だけ巻いた構成としてもよい。
【0078】
(渦巻状の巻回部)
図15、図16(a)に示すように、巻回部61kの巻きの最大外径OD、最小内径IDは、大径管2および各小径管3の外径、大径管2および各小径管3の肉厚、大径管2および各小径管3の結晶粒径、大径管2および各小径管3の機械的性質(引張り強さ、耐力、伸び、ばね限界値など)等に依存するが、例えば大径管の管外径aを定数「a」としたとき、巻回部61kの最大外径ODはaの40倍程度まで大きくすることが可能であり、さらに、最小内径IDはaの6倍程度まで小さくすることが可能である。また、巻回部61kの高さHを小さくするためには各小径管3を大径管2に嵌合させた後、更に焼鈍を行ってもよい。
【0079】
また、巻回部61kの大径管2の間隔pは大径管どおしが接触した状態としてもよいし(p≒2×a)、あるいは隙間を設けて接触しない状態としてもよい。巻回部61kのコンパクト化のためには、巻回部61kの間隔pを小さくし、隣合う管どおしを接触させるとよく、複合伝熱管61の小型化に有効である。また、図16(b)に示すように、大径管72の管軸直交断面における外形形状を楕円あるいは扁平円形状とすると(左右径<上下径)、巻回部71kの高さHを更に低減することが可能である。
【0080】
また、図15、図16(a)は渦巻状の巻回部61kを2つ形成し、二層に積層した例を示したが、巻回部61kは一つで一層でもよいし、巻回部61kの熱交換容量を更に向上させるために三つとして三層以上で構成してもよい。また、二つ以上の場合、各巻回部61kの移行部61iが図16(a)のように、次の巻回部61kを垂直方向に重ねるように連続して巻回される状態としてもよいし、各巻回部の端部を直接(ロウ付け等)または接続管等を用いて接合して、次の巻回部を同一平面状となるようにしてもよい。
【0081】
また、大径管2、52、72と各小径管3、53、73の嵌合部の断熱性を高めるためには、巻回部31k、41k、51k、61k、71kを含む嵌合部を、後記する断熱性の樹脂や断熱材で被覆してもよい(図示せず)。樹脂の材質は大径管2、52、72及び各小径管3、53、73の内部を流れる熱媒体の温度により選択すればよく、大径管2、52、72に水、小径管3、53、73にCO2を流通させ、大径管2、52、72の水を温める場合は耐熱性に優れ、長期間に渡り変質しない材質を選択すればよい。
【0082】
図2〜図6に示すように、本発明の複合伝熱管1は、3本または4本の小径管3が、3本または4本の溝部4の表面の少なくとも一部において、樹脂5(図11(c)参照)を介して大径管2と嵌合されてなるものが好ましい。前記のように、溝部4の大径管2と小径管3との間の微細な隙間を完全になくすことは困難である。そのため、微細な隙間があると空気が介在し、金属より熱伝導率が低く、伝熱抵抗が大きい部分となるため、この空気が介在する部分に、空気より熱伝導率の大きい樹脂5を設ける。樹脂5を設けることにより、各溝部4における伝熱性能を更に向上させた複合伝熱管1が得られる。
【0083】
前記微細な隙間に樹脂を充填させる方法としては、流動状態の樹脂5(図11(c)参照)を、嵌合前の大径管2の3本または4本の各溝部4の表面4A、または3本または4本の各小径管3の外表面3Aに必要量だけ塗布し、大径管2に3本または4本の各小径管3を嵌合させる嵌合処理を行った後、樹脂5を硬化させる処理(例えば加熱)を行えば良い。
【0084】
また、嵌合処理により3本または4本の各溝部4よりはみ出した樹脂5(図11(c)参照)は、隙間の伝熱性能向上に寄与しないため、樹脂5の硬化前あるいは硬化後除去しても良い。なお、樹脂5そのものが耐食性などに悪影響を及ぼさないのであればそのままにしても良い。
【0085】
樹脂5(図11(c)参照)の種類としては、一例をあげると、ポリエチレングリコール(PEG)、有機無機ハイブリッドセラミックス(有機修飾シリケート材料、所謂セラマー等)が挙げられる。有機無機ハイブリッドセラミックスは、無機部分が有機ポリマー又はオリゴマーにより結合されてネットワーク化したものであるため、無機及び有機の両方の特性を併せ持つ。そのため、緻密で且つ優れた強度を有しながら、熱交換器内の温度差又は冷熱サイクルによる基材の熱膨張及び収縮に追従することができる。
【0086】
これらの樹脂5(図11(c)参照)を水、有機溶剤等の適当な溶剤で望ましい濃度に希釈して用いることができる。樹脂5は前記に特に限定されないが、室温付近の温度で流動性があり、その硬化温度が200℃以下であり、大径管2及び各小径管3の耐食性、耐応力腐食割れ性、耐蟻巣状腐食性などに悪影響を及ぼさないものが望ましい。さらに、樹脂5の流動性、伝熱性能、膨張係数等の調整のために、大径管2および/または各小径管3と同材質の金属または合金粉末、金属酸化物粉末等をこれらの樹脂5に添加しても良い。
【0087】
また、本発明の複合伝熱管は、図2〜図6に示すように、大径管2が、小径管3と嵌合している溝部4の溝底部分4bの肉厚をt(図2〜図4ではt1、t2、t3でt1、t2、t3の平均値、図5〜図6ではt1、t2、t3、t4でt1、t2、t3、t4の平均値)、小径管3と嵌合していない部分の肉厚をT(図2〜図4ではT1、図5〜図6ではT1、T2、T3、T4またはT1で、T1またはT1、T2、T3、T4の平均値またはT1)とするとき、t/Tの値が0.3〜0.7であるものが好ましい。
【0088】
そして、t/Tの値は、大径管2と小径管3との嵌合の行いやすさと、作製した複合伝熱管1の耐圧強度に影響を与える。t/Tが、0.3より小さいと、溝底部分4bの肉厚tが薄くなり小径管3を嵌合させ易くなるが、この溝底部分4bを外側に張り出すのに必要な応力は小さくなる。
【0089】
したがって、大径管2内に圧力をかけたとき、大径管2の内側から外側に向かって管円周方向に作用する内圧により、溝部4内に嵌合された小径管3が外側に押出されてしまいやすくなり、複合伝熱管の耐圧強度が低下してしまう。また、t/Tが0.7より大きいと、大径管2に小径管3を嵌合させにくい。それにより、嵌合後、溝部4の表面4Aと小径管3の円弧3Aとの間に大きな隙間が形成され、複合伝熱管1としての伝熱性能が低下しやすくなる。
【0090】
また、本発明の複合伝熱管1は、その素材として、大径管2および小径管3の少なくとも一方が、無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管であるものが好ましい。
【0091】
複合伝熱管として要求される特性は、(1)大径管および小径管がそれぞれの管の熱伝導率が優れ、大径管及び小径管の内部を流れる熱媒体間で効率良く熱交換できること、(2)大径管および小径管が種々の使用雰囲気で耐食性に優れること、(3)大径管および小径管が嵌合、曲げ等の塑性加工性に優れること、(4)大径管および小径管がロウ、はんだつけ性に優れること、(5)大径管および小径管が所定の耐圧強度を有することなどである。
これらの(1)〜(5)の特性を満足する大径管および小径管の材質としては、エアコン、大型空調機器などの熱交換器用伝熱管として広く用いられているJISH3300に規定する合金番号C1101の無酸素銅、合金番号C1201及びC1220のりん脱酸銅のいずれかが好ましい。
【0092】
また、本発明の複合伝熱管用素材として、前記の素材のみに限定する必要はなく、熱伝導率に加えて更に耐圧強度が必要な場合は、JISH3300に規定された銅または銅合金や、例えばFe、P、Ni、Co、Mn、Sn、Si、Mg、Ag、Al等の元素より選択する1種または2種以上を総計で数%以下Cuに含有させたJISH3300に規定されていない銅合金を用いることができる。
【0093】
また、特に耐食性と耐圧強度が必要な場合には、JISH3300に規定された合金番号C7060、C7100、C7150などのCu−Ni系合金やTiまたはTi合金、ステンレス鋼などを用いることも可能である。また、軽量化が求められる場合には、更に耐食性、強度、加工性などの特性を考慮して、アルミニウム、アルミニウム合金より所定の特性を有するものを選択することも可能である。
【0094】
また、図1に示すように、本発明の複合伝熱管は、両端部における大径管の外径を小径管が嵌合されている部分における大径管の外径と同じにすることが好ましい。ここで、嵌合部における大径管の外径は、溝部を外して測定した大径管の外径である。このような構成にすることにより、小径管が嵌合されている部分における大径管の断面積が前記両端部より小さくなり、この部分を流れる熱媒体の流速が低下しないため、熱伝達性能を向上させることが可能である。また、特許文献4の複合伝熱管より外径の小さい大径管を用いて複合伝熱管を製作することが可能となり、熱交換器の小型化にも有効である。更に、大径管および/または小径管の両端部に一定長さの拡管部が形成されているものが好ましい。複合伝熱管を熱交換器に組み込む際には、大径管と同様な外径の他の管とロウ、はんだなどにより接合する必要があり、この場合には大径管の管端部を必要長さだけ拡管しておくと接合に都合がよい(図12参照)。また、拡管には一般的に用いられる拡管治具を用いれば良い。さらに、小径管を同様な外径の他の管とロウ、はんだなどにより接合する場合についても前記大径管と同様である。
【0095】
つぎに、本発明の複合伝熱管の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、溝部形成工程と、焼鈍工程と、圧延嵌合工程とを含む。
(1)溝部形成工程
図7、図8(a)(b)に示すように、スリーブ15の所定位置でスリーブ15内側にその加工先端部11aが突出するよう固定治具で固定された3本または4本のピン10を大径管2の両端部を除く外表面に押し当て、3本または4本のピン10を固定した状態で、例えば、図示しない保持ロールにて大径管2を管軸方向に平行に移動させることにより、または大径管2を固定した状態でピン10を大径管2の管軸方向に平行に移動させることにより(図示せず)、大径管2の外表面の3箇所または4箇所に管軸方向に伸びる溝部4を形成する。
【0096】
(ピン)
ピン10は、所定長さを持つ溝加工部11と、より径の大きい把持部12とにより構成されている。また、溝加工部先端11aは半球状に加工され、把持部12と溝加工部11の繋ぎ部13は応力集中による破壊の緩和のため、所定のRが付けられている(肩部14にも所定の面取りがなされている)。また、溝加工部先端11aの外径は小径管の外径±0〜20%程度とされることが多い。これは、溝加工部先端11aの外径を小径管の外径より大きくしても、加工された溝部4の外径は溝部加工後に弾性変形分が戻るため、加工時の溝部4の外径より小さくなるためである。
【0097】
また、大径管2にピン10を押し当て、大径管2を所定の深さだけ窪ませた状態で大径管2またはピン10を管軸方向に移動させることにより溝部4を形成させるので、ピン10には変形し難い(機械的強度が大きい)こと、磨耗し難い(耐摩耗性に優れる)こと、溝部4の加工中に折損しない(耐衝撃性に優れる)こと等が求められる。
【0098】
このような点から、ピン10の材質としては超硬材質が望ましい。特に、WC(タングステンカーバイト)の平均粒子径が1ミクロン未満のものが長寿命であり望ましい。また、ピンの部分にSiC、SiN、AlN、サイアロンなどのセラミック質あるいは非晶質炭素などのコーティングをCVD、PVDなどの方法により行うと溝部4の成形性(加工性)とピン10の寿命が更に向上する。
【0099】
(溝部の形成方法)
3個または4個のピン10を溝部4を形成しようとする大径管2の3箇所または4箇所の場所に押し当て大径管2を所定の深さだけ窪ませた状態で、大径管2または各ピン10を管軸方向に所定長さだけ移動させると、3箇所または4箇所の位置に同時に溝を形成することができる。また、ピン10の数を1個または2個にして大径管2またはピン10を管軸方向に移動させ、まず大径管2の1箇所に所定の長さと深さの溝部4を形成し、その後大径管2を管軸周りに回転させ、別の位置に同様な方法で2箇所目以上の溝部を形成しても良い(図示せず)。さらに、これらの方法により目的とする深さの各溝部4を1回の移動だけで形成しても良く、あるいは2回以上の移動で形成しても良い。
【0100】
また、各溝部4の加工時の各ピン10の押圧力、各ピン10または大径管2の移動速度および前記移動回数は、大径管2の材質、機械的性質、形成する各溝部4の深さを考慮して、大径管2に各溝部4のみが形成され、大径管2の他の部分(各溝部4以外)は変形しないように、また被加工部のバリや切り粉の発生が少なくなるように適当な条件を選択すれば良い。
【0101】
また、各溝部4の加工は強加工であるため、加工発熱、被加工部のバリや切り粉の発生を少なくするために、管の抽伸、転造などに用いる種々の潤滑油より適当なものを選択して用いることが望ましい。被加工部にブロアーを設置し、エアブローしながら加工すると、発生する切り粉や余分な潤滑油を除去することができる。
【0102】
(2)焼鈍工程
外表面に溝部が形成された大径管は、被加工部(溝部)が加工硬化している。この状態で、図9、図10(a)(b)に示す後記する圧延嵌合工程を行うと(大径管2の各溝部4内に各小径管3を嵌合させると)、大径管2の被加工部の変形抵抗が大きく延性が低下しているため、各溝部4において大径管2と各小径管3との間に隙間が形成されやすく、また各小径管3を変形させやすくなる。また、作製された複合伝熱管1を熱交換器に組み込むために、複合伝熱管1に曲げなどの塑性加工を行う場合、加工性が低下してしまうことがある。このような問題を避けるため、前記溝部形成工程後の大径管2に、図示しない焼鈍装置を使用して、焼鈍を行って軟質材としておくことが必要である。
【0103】
また、大径管の素材が無酸素銅またはりん脱酸銅である場合は、溝部形成工程で使用した潤滑油を脱脂し、引張り強さ200〜300N/mm2、伸び30%以上となるように焼鈍することが望ましい。また、小径管を嵌合して製作した複合伝熱管に曲げ半径の小さい曲げを行うには、焼鈍後の前記大径管の管軸平行断面における平均結晶粒径が30μm以下(望ましくは20μm以下)としておくと、曲げ加工による割れの発生が抑制され有利である。他の素材の場合も焼鈍後の大径管の伸びが30%以上となるように焼鈍すると良い。
【0104】
また、焼鈍装置には、高周波誘導加熱炉による連続焼鈍、あるいはバッチ式の炉など特に制限はないが、焼鈍により大径管2の表面に厚い酸化膜が形成されないように雰囲気を調整することが必要である。酸化膜は大径管2と各小径管3との接触部の熱抵抗になるためである。
【0105】
(3)圧延嵌合工程
図9、図10(a)(b)に示すように、3本または4本の溝部4に3本または4本の小径管3を載置し、1組の圧延ロール16、16により圧延して、各溝部4に各小径管3を埋め込み、前記焼鈍された大径管2と各小径管3を嵌合する。そして、図11(a)(b)に示すように、圧延ロール16、16で圧延することにより、大径管2の各溝部4の上端部に形成されている突起部4a、4aが各小径管3の外表面にかぶさり、各小径管3を大径管2の各溝部4内に強固に固定する(各小径管3が各溝部4に密着する)。また、圧延ロール16、16の材質は一般の圧延機に用いられているものと同じで良い。さらに、所定長さだけ嵌合後、圧延ロール16、16の間隔を広げることにより、各溝部4が形成されていない部分には嵌合が行われない。
【0106】
また、圧延嵌合には適当な潤滑剤を使用し、嵌合終了後に付着した潤滑油を除去することが好ましい。さらに、この圧延嵌合は複数回行っても良い。そして、圧延ロール16、16で圧延する前に、大径管2の各溝部4に載置した各小径管3を各溝部4に押し込む補助ロールあるいはダイス(図示せず)を設置しても良い。
【0107】
また、圧延ロール16、16のロール軸を含む断面において、大径管2および各小径管3に接触する部分が、大径管2と同じまたは少し小さい外径dの円により構成されている(d≦大径管2外径)。そして、前記外径dが大径管2の外径より小さい場合には、各小径管3が大径管2に嵌合されると同時に、大径管2の外径が外径dに近い値に縮径される。また、前記外径dが大径管2の外径を超えると、各小径管3が大径管2(各溝部4の表面4A)と密着せず、大径管2と各小径管3との間に大きな隙間が生じ、嵌合が不十分となりやすい。また、図13および図16に示すように、巻回部31k、41k、61kが形成された複合伝熱管31、41、61において、その巻回部31k、41k、61kの高さH、最大外径ODを低減するために、大径管2の管軸直交断面における外形形状を扁平円形に作製する際には、大径管2および各小径管3に接触する部分が扁平円形(楕円形:図14(c)の大径管52、図16(b)の大径管72参照)に構成された圧延ロール(図示せず)で圧延嵌合する。
【0108】
また、本発明の製造方法は、図8、図10に示すように、大径管2および各小径管3が無酸素銅またはりん脱酸銅からなる銅管または銅合金管であって、大径管2が、その外表面に各溝部4を形成する前の管軸方向の0.2%耐力が200〜370N/mm2であり、各小径管3が、管軸方向の0.2%耐力が200N/mm2以上であることが好ましい。
【0109】
(溝部加工前の大径管の調質)
大径管2は、管軸方向の0.2%耐力が200〜370N/mm2である調質のものを用いることが好ましい。0.2%耐力が200N/mm2未満であると、ピン10により溝部4加工をする場合に大径管2が荷重を支えることができず、ピン10が接触した部分の周辺も変形して広い範囲が窪んでしまい、大径管2に各溝部4が正しく形成することが難しい。そのため、各小径管3を隙間を小さくして嵌合することが難しくなる。
【0110】
大径管2は、0.2%耐力が、370N/mm2を超えると、大径管2の強度が高くなり、各溝部4の形成が困難になり(1回の加工で形成される溝部の深さが浅くなる)、各溝部の形成効率が低下し、またピン10が破損しやすくなる。
【0111】
なお、前記条件に加え、さらに0.2%耐力(σ0.2)と引張り強さ(σB)との比(σ0.2/σB)が0.80以上、且つ伸び5〜40%である調質の大径管2を用いることがさらに好ましい。
【0112】
(嵌合させる小径管の調質)
管軸方向の0.2%耐力が200N/mm2以上である調質の各小径管3を用いることが好ましい。各小径管3は、0.2%耐力が200N/mm2未満のものを用いると、各小径管3を大径管2に嵌合する際に、各小径管3に変形あるいは疵付きが発生しやすい。そのため、大径管2と各小径管3との隙間が大きくなり、その伝熱性能が低下しやすい。また、管の変形により管内の断面積が小さくなり、各小径管3内を流れる熱媒体の圧力損失が大きくなる。
【0113】
なお、前記条件に加え、さらに0.2%耐力(σ0.2)と引張り強さ(σB)との比(σ0.2/σB)が0.70以上である調質の各小径管3を用いることがさらに好ましい。
【0114】
また、本発明の製造方法は、図13〜図16に示すように、前記圧延嵌合工程の後に、前記小径管3、53、73が嵌合された大径管2、52、72を所定半径で巻回する巻回工程、前記大径管2、52、72または/および小径管3、53、73の管端部を拡管する拡管工程、および焼鈍工程の少なくとも1つを行うことが好ましい。さらに、前記工程の後に最終焼鈍を行なってもよい。
【0115】
また、巻回工程では、らせん状の巻回部31k、41k、51kの形成には円筒状のドラム(図示せず)、渦巻状の巻回部61k、71kの形成には円錐型のドラム(図示せず)を使用して、前記圧延嵌合によって小径管3、53、73が嵌合された大径管2、52、72をドラムに巻き付ける。そして、このドラムの径は、大径管2、52、72のスプリングバック量を考慮して設定される。すなわち、大径管2、52、72がスプリングバックして巻回部31k、41k、51k、61k、71kの最小内径IDまたは/および最大外径OD(図14、図16参照)になるように設定する。
【0116】
また、図4、5、6に示すように、大径管2の円周方向に3本または4本の各小径管3を嵌合した場合には、大径管2の管軸直交断面の上下方向に小径管3、3が配置される様に巻き付けるのが好ましい。この場合、上下方向の小径管3、3の巻付長さが等しくなり都合がよい。図2、3、4、6に示すように、大径管2の円周方向に3本または4本の各小径管3を嵌合した場合には、巻回直径の大きさによっては巻きの外周部に配置される各小径管3が大径管2より外れる場合がある。このような場合には、巻回直径を大きくするように、各小径管3が巻回中心側に配置されるように巻回する。または、巻回前に小径管が嵌合された大径管を焼鈍する。
【0117】
また、拡管工程では、大径管2、52、72または/および小径管3、53、73の管端部を一般的に用いられる拡管器具(図示せず)を用いて拡管する。この拡管により、複合伝熱管1を熱交換器20(図12参照)に組み込む際に、大径管2、52、72または/および小径管3、53、73を、他の管にロウ、はんだなどにより接合しやすくなる。
【0118】
また、焼鈍工程では、小径管3、53、73が嵌合された大径管2、52、72または、その大径管2、52、72に巻回部31k、41k、51k、61k、71kを形成した複合伝熱管1、31、41、51、61、71を適当な条件で焼鈍する。前記圧延嵌合工程後の大径管2、52、72は、溝部が半硬質、その他の部分が軟質であり、小径管3、53、73は硬質である。そして、大径管2、52、72を更に巻回する際に、巻回直径(図14、図16における最小内径ID、最大外径OD)が小さい場合、巻回を精度良く行いたい場合、小径管3、53、73の延性が小さい場合には、大径管2、52、72および小径管3、53、73をわずかでも焼鈍により軟質化したほうが望ましい。また、複合伝熱管1、31、41、51、61、71を熱交換器20(図12参照)に取付ける場合にも曲げ加工を行うことが多く、厳しい曲げ加工性を満足させるためには、大径管2、52、72および小径管3、53、73をわずかでも焼鈍により軟質化したほうがよい。
【0119】
この焼鈍により、大径管2、52、72および小径管3、53、73の応力が除去され、巻回部31k、41k、51k、61k、71kが高さ(H)方向にコンパクト化される。また、熱交換器20(図6参照)に組み込む際に、大径管2、52、72および小径管3、53、73が容易に曲げられ、他の管に変形させて接合することが可能となり、さらに、応力腐食割れが発生しにくくなる。
【0120】
そして、大径管2、52、72および/または小径管3、53、73の材質が、無酸素銅またはりん脱酸銅であれば、前記製造方法で作製された複合伝熱管1、31、41、51、61、71を200〜500℃の温度で10秒〜2時間程度保持する。それにより、複合伝熱管1、31、41、51、61、71がより軟質となり、前記目的とする加工性が付与される。
【0121】
また、本発明の他の製造方法について説明する。他の製造方法は、溝部形成工程と、焼鈍工程と、樹脂塗布工程と、圧延嵌合工程と、樹脂硬化工程とを含むものである。
【0122】
(溝部形成工程)前記製造方法と同様に行う。
(焼鈍工程)前記製造方法と同様に行う。
(樹脂塗布工程)
前記したポリエチレングリコール、有機無機ハイブリットセラミックス等の樹脂5から適当な樹脂5を選定し、適当な粘性に調整する。この樹脂5を、大径管に形成した3本または4本の各溝部4の表面の少なくとも一部、または、3本または4本の各小径管3の外表面の大径管2と嵌合される部分の少なくとも一部に、スプレー、インクジェット、筆など適当な方法により塗布する。(図11(c)参照)
【0123】
(圧延嵌合工程)
前記製造方法と同様に行い、前記樹脂5を硬化させる前に、樹脂5を介して各小径管3を大径管2に圧延嵌合する。また、圧延嵌合により各溝部4からはみ出した樹脂5は、ブロアーなどで除去する。また、樹脂5そのものが複合伝熱管1の耐食性などに悪影響を及ぼさないものであれば、除去しなくてもよい。
【0124】
(樹脂硬化工程)
前記圧延嵌合工程で作製された複合伝熱管1に脱脂処理を施し、一般的に用いられる加熱器(図示せず)で前記樹脂5の硬化温度(200℃以下が好ましい)まで昇温し、所定時間加熱し、大径管2と各小径管3との間の樹脂5を硬化させる。この樹脂5の硬化により、大径管2と各小径管3の嵌合が十分なものとなり、また、大径管2と各小径管3との間の微細な隙間を埋めることができ、伝熱性能が向上する(図11(c)参照)。
【0125】
また、前記製造方法と同様に、前記圧延嵌合工程の後に、前記小径管3、53、73が嵌合された大径管2、52、72を所定半径で巻回する巻回工程、前記大径管2、52、72または/および小径管3、53、73の管端部を拡管する拡管工程、および焼鈍工程の少なくとも1つを行うことが好ましい。また、前記樹脂硬化工程は巻回工程の後に行なってもよい。さらに、最終焼鈍を行ってもよい。
【0126】
つぎに、本発明の複合伝熱管の使用例を、図12を参照して説明する。図12はガス圧縮式冷却原理を用いた冷蔵庫用の熱交換機20である。熱交換器20内の冷媒(例えば、フロン代替ガス)は圧縮機21により圧縮されて高圧ガスとなり、これが放熱器22で温度が下げられて液体となる。そして冷却器23においては、この液体が急激に減圧(膨張)されることにより気化する。この気化により周囲の熱を大量に奪うため、この気化熱により熱交換器20を備えた冷蔵庫内が冷却される。そして冷媒は低温低圧ガスとなって圧縮機21に戻る。
【0127】
また、熱交換器20に組み込まれた本発明の複合伝熱管1においては、放熱器22と冷却器23の間に3本または4本の小径管3を介在させ、冷却器23から圧縮機21の間に大径管2を介在させる。そして、各小径管3では、液体冷媒が管径の減少により減圧調整される。それと共に、放熱器22だけでは除去しきれなかった液体冷媒の温度が、大径管2内を流動する低温低圧の冷媒ガスにより、低下熱交換される。これにより、液体冷媒を冷却器23における気化に適する温度圧力に調整するものである。一方、大径管2では、大径管2内を流動する低温低圧の冷媒ガスが、各小径管3を流動する中温低圧の液体冷媒により、高温傾向に熱交換される。このように、複合伝熱管1の使用により、熱交換器20における冷媒の液化および気化が効率的におこなわれる。
【0128】
また、本発明の複合伝熱管1の大径管2に水を流し、各小径管3に高温高圧のCO2を流すことにより、大径管2内の水を加熱するヒートポンプ式給湯器や床暖房用の熱交換器としても利用することが可能である。
【0129】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明する。
(第1の実施例)実施例1〜実施例6
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、表3に示す6段階にt/Tを変化させ、大径管の管軸直交断面の管円周方向に120°ずつ離れた位置(管軸直交断面における等間隔の位置)に3本の小径管が嵌合された複合伝熱管(実施例1〜6)を各4本ずつ作製した。
【0130】
(1−1)大径管の溝部形成
大径管には表1のものを使用した。大径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。また、溝部形成には表2および図8(b)に示すピン10を使用した。ピン10を固定し、大径管2を移動させることにより大径管2の管軸直交断面で120°ずつ離れた3箇所に溝部4、4、4を形成した。また、各溝部4の形成は、潤滑油を滴下しながら(図示せず)、大径管2全長に対し、両端部の100mmを除いた部分に各溝部4を形成した。
【0131】
また、本実施例においては、ピンの押し当て荷重を変えることにより、後記するt/Tを変化させた。また、大径管2を1回または複数回移動させることにより、大径管2に、複数回、3本の溝部4、4、4が形成され、所定深さの各溝部4を形成した。また、大径管2の移動回数が増えるたびに、溝部4の長さを短くし、溝部4の両端部が階段状になるようにした。また、各溝部4の形成の際、各溝部4内に微細な切り粉が発生するため、ピン10の磨耗および小径管(図示せず)との接触状況を良くするために(図9参照)、ブロアー(図示せず)を用いて切り粉を除去した。
【0132】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは240〜249N/mm2、0.2%耐力は73〜78N/mm2、伸びは48〜49.5%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は23〜27μmとなった。
【0133】
(1−3)小径管の嵌合
小径管には表1のものを使用した。小径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。図10(b)に示すように、大径管2に形成された3本の溝部4、4、4に3本の小径管3、3、3をそれぞれ軽くはめ込み、圧延ロール16、16に通す。これにより、大径管2の管軸直交断面の120°離れた位置に、3本の小径管3、3、3が嵌合された複合伝熱管1を作製した。
【0134】
(2)評価項目
前記で作製された4本の複合伝熱管の内1本について、長さ5000mmの溝部を500mmずつに切断して10本の試料を作成し、t/T、伝熱性能及び曲げ加工性を調査した。また、残りの3本を用いて耐圧強度を調査した。
(2−1)t/T
図2に示すように、tは、小径管3、3、3と嵌合している3本の溝部4、4、4の溝底部分4b、4b、4bの肉厚t1、t2、t3の平均値とする。また、Tは、同図に示す、小径管3、3、3と嵌合していない大径管2の3ヶ所の肉厚T1、T2、T3の平均値とする。長さ5000mmの溝部のうち、両端より500mm及び2500mmの3箇所より厚さ10mm程度の試料を採取し、管軸直交断面を光学顕微鏡で観察してそれぞれの位置における肉厚t1〜t3、T1〜T3を測定し、それらの平均値よりt/Tを計算し、表3に示す。
【0135】
(2−2)伝熱性能
溝部における大径管と小径管との密着状況で評価する。前記の500mmずつに切断した10本の試料において、両端部を除く9箇所の管軸直交断面で、溝部の大径管と小径管との密着状況を光学顕微鏡で観察した。その結果を表3に示す。また、大径管と小径管と間に生じた隙間が微細で少ないものを、伝熱性能が優れ「○」と、生じた隙間が大きくないものを、伝熱性能が良好で「△」と、生じた隙間が大きく多いものを、伝熱性能が劣る「×」と評価した。
【0136】
(2−3)曲げ加工性
曲げ試験により曲げ加工性を評価した。曲げ試験は、前記の長さ500mmに切断された試料を用いて行なった。試料を半径30mmの曲げ治具に沿わせてU字曲げし、大径管から小径管が外れることはないか評価した。なお、図2に示すように、複合伝熱管1の管軸直交断面において、一点鎖線(Y−Y線)が曲げの中立軸となるように曲げた。サンプル数n=5で評価を行い、小径管が外れたものの個数を記録した。その結果を表3に示す。
【0137】
(2−4)耐圧強度
切断しなかった複合伝熱管の大径管に水を充填してハンドポンプで徐々に加圧し、小径管が大径管から離脱し始める圧力をブルドン管ゲージで読取った。n=3の平均値で評価を行い、その結果を表3に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
【表3】
【0141】
(3)評価結果
実施例1は、他の実施例2〜6よりt/Tが小さく、大径管に形成された溝部が深くなったため、嵌合により小径管にかぶさった大径管の突起部4a、4a(図11参照)が長く、この部分の密着状況は良好であった。そして、溝底部分4b、4b、4b(図2参照)に相当する位置に隙間が形成されたが、その隙間は大きいものでなく、伝熱性能としては良好であった。また、溝底部分4b、4b、4b(図2参照)における大径管の肉厚t1、t2、t3(図2参照)が薄くなったため、他の実施例2〜6に比べて10〜30%程度耐圧強度が低い。
【0142】
実施例2〜5は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度ともに優れていた。
実施例6は、他の実施例1〜5よりt/Tが大きく、大径管に形成された溝部が浅くなるため、各溝部4における大径管2(表面4A)と各小径管3(円弧3A)の接触長さが短くなり(図2参照)、大径管の突起部4a、4a(図11参照)の密着状況は良好であった。そして、その他の部分で隙間が形成されたが、その隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。また、溝部が浅いために小径の嵌合力が小さくなり、曲げ試験において1本の複合伝熱管より小径管が離脱した(曲げの外側になる小径管)。
【0143】
これらの結果から、伝熱性能、曲げ加工性、及び耐圧性をすべて満足するためにはt/Tが0.3〜0.7の範囲が好ましいことがわかる。
【0144】
(第2の実施例)実施例7、実施例8
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、t/Tが実施例1および実施例3と同じであり、大径管と小径管が樹脂を介して嵌合された複合伝熱管を各1本ずつ作製し、それぞれ実施例7および実施例8とした。
(1−1)大径管の溝部形成
使用した大径管およびピン、溝部形成手順は第1の実施例と同じである。
【0145】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第1の実施例と同じである。
【0146】
(1−3)樹脂の塗布
樹脂としてはポリエチレングリコールを用いた。樹脂を水で塗布しやすい濃度に希釈し、更に、溝部における樹脂の存在状態を確認するため、青インクで着色し、大径管に形成した溝部に塗布した。
【0147】
(1−4)小径管の嵌合
使用した小径管は第1の実施例と同じである。そして、第1の実施例と同様に小径管を嵌合し、溝部より押出された余分な樹脂をふき取った。
【0148】
(1−5)樹脂の硬化
小径管が嵌合した大径管を非酸化性雰囲気に保たれた200℃の炉に装入し、所定時間(0.5時間)加熱し、樹脂を硬化させ、複合伝熱管を得た。
【0149】
(2)評価項目
t/T、伝熱性能、曲げ加工性について、第1の実施例と同様な方法で評価し、その結果を表4に示した。
【0150】
【表4】
【0151】
(3)評価結果
実施例1の複合伝熱管では、溝底部分に相当する位置に隙間が形成されているのが観察された。そして、実施例1と同じ値のt/Tを有する実施例7の複合伝熱管は、隙間が存在した部分に樹脂が充填されており、大径管と小径管は直接的または樹脂により密着している。このため、伝熱性能は優れたものであった。また、樹脂が存在しても曲げ加工性においても良好であった。
【0152】
実施例3の複合伝熱管は隙間が微細で少ないものであった。そして、実施例3と同じ値のt/Tを有する実施例8の複合伝熱管は、微細な隙間部にも樹脂が存在していることが確認され、伝熱性能は優れたものであった。また、実施例7と同様に、樹脂が存在しても曲げ加工性においても良好であった。
【0153】
これらの結果より、大径管と小径管との間に樹脂を存在させることにより、熱抵抗となる空気層がなくなり、熱抵抗が減少するため、伝熱性能が優れたものとなる、また、曲げ加工性にも悪影響を及ぼさないことが分かった。
【0154】
(第3の実施例)実施例9〜実施例11
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、実施例8とt/Tが同じで、実施例8とは異なる樹脂(セラミックス)を介して大径管と小径管が嵌合された複合伝熱管を3本作製し、実施例9〜11とした。
(1−1)大径管の溝部形成
使用した大径管およびピン、溝部形成手順は第1の実施例と同じである。
【0155】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第1の実施例と同じである。
【0156】
(1−3)樹脂(セラミックス)の塗布
塗布する樹脂(セラミックス)としてはJSR社製グラスカHPC7506溶液(固体での密度1.5×103kg/m3)を使用した。このセラミックスは加熱して硬化させると有機無機ハイブリッドセラミックスとなる。そして、HPC7506溶液を溶剤で適当な濃度に希釈し、大径管の溝部に塗布したものを実施例9、HPC7506溶液に平均粒径1μmのα−Fe2O3粒子を15vol%加え、溶剤で適当な濃度に希釈し、大径管の溝部に塗布したものを実施例10、HPC7506溶液に350メッシュアンダーの電解銅粉を10vol%加え、溶剤で適当な濃度に希釈し、大径管の溝部に塗布したものを実施例11とした。
【0157】
(1−4)小径管の嵌合
使用した小径管は第1の実施例と同じである。そして、第1の実施例と同様にして小径管を嵌合し、嵌合部より押出された余分な樹脂(セラミックス)をふき取った。
(1−5)樹脂(セラミックス)の硬化
小径管が嵌合した大径管を非酸化性雰囲気に保たれた100℃の炉に装入し、樹脂(セラミックス)を硬化させ、複合伝熱管を得た。
【0158】
(2)評価項目
t/T、伝熱性能、曲げ加工性について、第1の実施例と同様な方法で評価し、その結果を表5に示した。
【0159】
【表5】
【0160】
(3)評価結果
表5に示すように、実施例9〜実施例11のいずれの複合伝熱管においても、小径管と大径管との間の微細な隙間部には、セラミックス層または金属酸化物粒子(金属粒子)を含有するセラミックス層が存在し、熱抵抗となる空気層がなくなる。それにより、熱抵抗が減少するため、伝熱性能が優れるものであった。また、曲げ加工性にも悪影響を及ぼさないことが分かった。
【0161】
(第4の実施例)実施例12〜実施例15
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、表7に示すようにt/Tを4段階に変化させ、大径管の管軸直交断面において管円周方向に60°ずつ離れた位置に3本の小径管を嵌合させた複合伝熱管(実施例12〜実施例15)を各4本ずつ作製した。
【0162】
(1−1)大径管の溝部形成
大径管には表8のものを使用した。大径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1201のりん脱酸銅を使用した。また、溝部形成には表6に示すピンを使用した。また、溝部形成には図8(b)において、下側のピン10の位置はそのままとし、上側のピン10、10を下側のピン10から大径管2の管円周方向に60°ずつ離れた位置に配置したものを用いた。その他の点は第1の実施例と同様とした。
【0163】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは243〜250N/mm2、0.2%耐力は78〜81N/mm2、伸びは51〜53%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は23〜25μmとなった。
【0164】
(1−3)小径管の嵌合
小径管には表8のものを使用した。小径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。大径管に形成された3本の溝部に3本の小径管をそれぞれ軽くはめ込み、3本の小径管が上側のロールに当るように圧延ロールに通した。これにより、大径管の管軸直交断面の管円周方向に60°ずつ離れた位置に、3本の小径管が嵌合された複合伝熱管を作製した。
【0165】
(2)評価項目
前記で作製された4本の複合伝熱管の内1本について、長さ8000mmの溝部を800mmずつに切断し10本の試料を作成し、t/T、伝熱性能及び曲げ加工性を調査した。また、残りの3本を用いて耐圧強度を調査した。
(2−1)t/T
図3に示すように、tは、3本の小径管3、3、3と嵌合している3本の溝部4、4、4の溝底部分4b、4b、4bの肉厚t1、t2、t3の平均値とする。また、Tは、同図に示す、各小径管3と嵌合していない大径管2の所定位置での肉厚T1とする。長さ8000mmの溝部のうち、両端より800mm及び4000mmの3箇所より厚さ10mm程度の試料を採取し、管軸直交断面を光学顕微鏡で観察してそれぞれの位置における肉厚t1、t2、t3、T1を測定し、それらの平均値よりt/Tを計算し、表7に示す。
【0166】
(2−2)伝熱性能
溝部における大径管と小径管との密着状況で評価する。前記の800mmずつに切断した10本の試料において、両端部を除く9箇所の管軸直交断面で、溝部の大径管と小径管との密着状況を光学顕微鏡で観察した。その結果を表7に示す。また、大径管と小径管と間に生じた隙間が微細で少ないものを、伝熱性能が優れ「○」と、生じた隙間が大きくないものを、伝熱性能が良好で「△」と、生じた隙間が大きく多いものを、伝熱性能が劣る「×」と評価した。
【0167】
(2−3)曲げ加工性
曲げ試験により曲げ加工性を評価した。曲げ試験は、前記の長さ800mmに切断された試料を用いて行なった。試料は半径60mmの曲げ治具に沿わせてU字曲げし、大径管から小径管が外れることはないか評価した。なお、図3に示すように、複合伝熱管1の管軸直交断面において、一点鎖線(Y−Y線)が曲げの中立軸となる(3本の小径管3、3、3が曲げの内側になる)ように曲げた。n=5で調査を行い、小径管が外れたものの個数を記録した。その結果を表7に示す。
【0168】
(2−4)耐圧強度
第1の実施例の方法に同じ。その結果を表7に示す。
【0169】
【表6】
【0170】
【表7】
【0171】
【表8】
【0172】
(3)評価結果
表7に示すように、実施例12は他の試料よりt/Tが小さく、大径管に形成された溝が深くなったため、嵌合により小径管にかぶさった大径管の突起部における密着は良好であった。そして、溝底部分に相当する位置に隙間が形成されたが、その隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。また、溝底部分における大径管の肉厚が薄くなったため、他の試料に比べて耐圧強度が低い。
【0173】
実施例13および実施例14は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度とも優れたものであった。
【0174】
実施例15は他の試料よりt/Tが大きく、大径管に形成された溝が浅くなるため、溝部における大径管と小径管の接触長さが短くなり、大径管の突起部の密着状況は良好であるが、その他の部分で隙間が形成された。その隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。また、実施例15は嵌合力は小さいが、曲げ断面において小径管が曲げの内側面に来るように曲げても、複合伝熱管より小径管が離脱したものはなかった。
【0175】
(第5の実施例)実施例16
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、銅合金からなる大径管の管軸直交断面の管円周方向に120°ずつ離れた位置(管軸直交断面における等間隔の位置)に小径管を3本嵌合させた複合伝熱管(実施例16)を4本作製した。
【0176】
(1−1)大径管の溝形成
第1の実施例に同じ。但し、大径管には表9のものを使用し、その材質は、0.65質量%Sn、0.027質量%P、0.35質量%Zn、残部がCuの銅合金を使用した。
【0177】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは322N/mm2、0.2%耐力は128N/mm2、伸びは43%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は15μmとなった。
【0178】
(1−3)小径管の嵌合
小径管は表1のものを用い、嵌合の方法も第1の実施例に同じとした。
【0179】
(2)評価項目
第1の実施例に同じ。その結果を表10に示す。
(3)評価結果
表10に示すように、実施例16の複合伝熱管は、伝熱性能、曲げ加工性とも優れたものであった。また、大径管に合金管を用いたため耐圧強度は、t/Tがほぼ同じである実施例4の複合伝熱管に比べても大幅に向上していた。
【0180】
【表9】
【0181】
【表10】
【0182】
(第6の実施例)実施例17
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、大径管及び小径管として、表11に示す材質及び機械的性質のアルミニウム合金管またはアルミニウム管を用い、大径管の管軸直交断面における等間隔の位置に小径管を3本嵌合させた複合伝熱管(実施例17)を1本作製した。
【0183】
(1−1)大径管の溝部形成
第1の実施例に同じ。但し、大径管には表11のものを使用し、その材質は、JISH4000に規定された合金番号A5052のAl−Mg系合金を使用した。
【0184】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは187N/mm2、0.2%耐力は87N/mm2、伸びは31%となった。
【0185】
(1−3)小径管の嵌合
第1の実施例に同じ。但し、小径管には表11のものを使用し、その材質としては、JISH4000に規定された合金番号A1100の純アルミニウムを使用した。
【0186】
(2)評価項目
第1の実施例に同じ。但し、耐圧試験は評価せず。その結果を表12に示す。
【0187】
【表11】
【0188】
【表12】
【0189】
(3)評価結果
表12に示すように、実施例17の複合伝熱管は、伝熱性能、曲げ加工性とも優れたものであった。
【0190】
(第7の実施例)実施例18
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、大径管として内面溝付管を用いて、その大径管に3本の小径管を嵌合させた複合伝熱管(実施例18)を4本作製した。
【0191】
(1−1)大径管の溝部形成
第1の実施例と同じ。但し、大径管には表13のものを使用し、その材質はJISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。また、内面の溝形状はリード角25°、溝数55、溝深さ0.23mm、山頂角30°のものを使用した。
【0192】
(2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは227N/mm2、0.2%耐力は70N/mm2、伸びは49%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は20μmとなった。
【0193】
(1−3)小径管の嵌合
小径管は表1のものを用い、嵌合の方法も第1の実施例に同じとした。
(2)評価項目
第1の実施例に同じ。その結果を表14に示す。
【0194】
【表13】
【0195】
【表14】
【0196】
(3)評価結果
表14に示すように、実施例18は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度とも優れたものであった。
【0197】
(第8の実施例)実施例19〜実施例27、比較例1、比較例2
(1) 複合伝熱管の作製
以下の手順で、特定の0.2%耐力を有する大径管に、特定の0.2%耐力を有する3本の小径管を嵌合した複合伝熱管(実施例19〜実施例27)を作製した。また、焼鈍を行わない大径管を用いた複合伝熱管(比較例1、比較例2)も作製した。
【0198】
(1−1)大径管の溝部形成
第1の実施例と同じ。但し、大径管には表15のものを使用し、その材質としてはJISH3300に規定された合金番号C1201のりん脱酸銅を用い、全長5200mmとした。また、ピンは表16のものを使用し、このピンを大径管に押し当てた状態で、大径管の移動をNo.D1〜No.D4では4回行い(5000mm×4)、D5のみ6回(5000mm×6)行い、管端100mmを除いた部分に溝部を形成した。そして、表15のNo.D3の大径管のみ4本、他の大径管は2本に、溝部を形成した。また、溝部形成の結果を表17に示す。
【0199】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管(表15のNo.D1〜No.D5)を各2本ずつ脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さ208〜250N/mm2、0.2%耐力56〜77N/mm2、伸び49〜53%、平均結晶粒径(管軸平行断面)20〜30μmとなった。そして、表15のNo.D3の残りの2本は焼鈍を行わなかった。
【0200】
(1−3)小径管の嵌合
小径管には表18の2種類(No.S1、S2)を使用し、その材質はJISH3300に規定された合金番号C1201のりん脱酸銅を使用した。そして、前記の焼鈍したNo.D1〜D5の大径管及び焼鈍を行っていないNo.D3の大径管に形成した3本の溝に、2種類(No.S1、S2)の小径管を3本それぞれ軽くはめ込み、第1の実施例と同様に圧延ロールに通す。これにより、大径管の管軸直交断面の等間隔の位置に3本の小径管が嵌合された複合伝熱管を作製した。
【0201】
(3)評価項目
第1の実施例に同じ。但し、曲げ加工性、耐圧強度を除く。その結果を表19に示す。
【0202】
【表15】
【0203】
【表16】
【0204】
【表17】
【0205】
【表18】
【0206】
【表19】
【0207】
(4)評価結果
表19に示すように、実施例19は、大径管の0.2%耐力が小さいため、溝部形成時にピンの当たる部分以外も変形を受けやすく、広めの幅(V字型に近い形状)の溝部が形成された。しかしながら、小径管を嵌合したとき大径管の突起部以外の部分で発生した隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。また、小径管として軟質なもの(S2)を用いた実施例20においても、圧延により小径管が変形したが、発生した隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。
【0208】
実施例21、実施例23、実施例25は、小径管として硬質なもの(S1)を嵌合したため、いずれも隙間の発生が少なく、伝熱性能は優れたものであった。また、実施例22、実施例24は、小径管として軟質なもの(S2)を嵌合したため、いずれも圧延により小径管が変形したが、発生した隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。
【0209】
実施例26、実施例27は、大径管が硬質であるため溝部形成に手間取ったが、実施例21〜実施例25と同様に、発生した隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。
【0210】
比較例1、比較例2は、大径管の焼鈍を行わなかったため、硬質な状態の大径管に小径管を嵌合することとなり、大径管の溝部に小径管が入りにくく、大径管突起部の小径管へのかぶさりも十分ではなかった。そのため、溝底部分に大きな隙間が多く形成され、伝熱性能は劣っていた。
【0211】
前記より、管外面に溝を形成する前の大径管として管軸方向の0.2%耐力σ0.2が200〜370N/mm2であるものを用い、小径管として、0.2%耐力σ0.2が200N/mm2以上のものを用いることが好ましいことが分かる。
【0212】
(第9の実施例)実施例28〜実施例33
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、表21に示す6段階にt/Tを変化させ、大径管の管軸直交断面の管円周方向に90°ずつ離れた位置(管軸直交断面における等間隔の位置)に4本の小径管が嵌合された複合伝熱管(実施例28〜33)を各4本ずつ作製した。
【0213】
(1−1)大径管の溝部形成
大径管には表20のものを使用した。大径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。また、溝部形成には表2および図8(a)に示すピン10を使用した。ピン10を固定し、大径管2を移動させることにより大径管2の管軸直交断面で90°ずつ離れた4箇所に溝部4、4、4、4を形成した。また、各溝部4の形成は、潤滑油を滴下しながら(図示せず)、大径管2全長に対し、両端部の100mmを除いた部分に各溝部4を形成した。その他は第1の実施例と同じ。
【0214】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第1の実施例と同じ。焼鈍後の引張り強さは220〜236N/mm2、0.2%耐力は71〜74N/mm2、伸びは50〜51.5%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は22〜25μmとなった。
【0215】
(1−3)小径管の嵌合
小径管には表20のものを使用した。小径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。図10(a)に示すように、大径管2に形成された4本の溝部4、4、4、4に4本の小径管3、3、3、3をそれぞれ軽くはめ込み、圧延ロール16、16に通す。これにより、大径管2の管軸直交断面の90°離れた位置に、4本の小径管3、3、3、3が嵌合された複合伝熱管1を作製した。
【0216】
(2)評価項目
前記で作製された4本の複合伝熱管の内1本について、長さ5000mmの溝部を500mmずつに切断して10本の試料を作成し、t/T、伝熱性能及び曲げ加工性を調査した。また、残りの3本を用いて耐圧強度を調査した。
(2−1)t/T
図5に示すように、tは、小径管3、3、3、3と嵌合している4本の溝部4、4、4、4の溝底部分4b、4b、4b、4bの肉厚t1、t2、t3、t4の平均値とする。また、Tは、同図に示す、小径管3、3、3、3と嵌合していない大径管2の4ヶ所の肉厚T1、T2、T3、T4の平均値とする。長さ5000mmの溝部のうち、両端より500mm及び2500mmの3箇所より厚さ10mm程度の試料を採取し、管軸直交断面を光学顕微鏡で観察してそれぞれの位置における肉厚t1〜t4、T1〜T4を測定し、それらの平均値よりt/Tを計算し、その結果を表21に示す。
【0217】
(2−2)伝熱性能
第1の実施例と同じ。その結果を表21に示す。
【0218】
(2−3)曲げ加工性
第1の実施例と同じ。その結果を表21に示す。
【0219】
(2−4)耐圧強度
第1の実施例と同じ。その結果を表21に示す。
【0220】
【表20】
【0221】
【表21】
【0222】
(3)評価結果
実施例28は、他の実施例29〜33よりt/Tが小さく、大径管に形成された溝部が深くなったため、嵌合により小径管にかぶさった大径管の突起部4a、4a(図11参照)が長く、この部分の密着状況は良好であった。そして、溝底部分4b、4b、4b、4b(図5参照)に相当する位置に隙間が形成されたが、その隙間は大きいものでなく、伝熱性能としては良好であった。また、溝底部分4b、4b、4b、4b(図5参照)における大径管の肉厚t1、t2、t3、t4(図5参照)が薄くなったため、他の実施例29〜33に比べて10〜30%程度耐圧強度が低い。
【0223】
実施例29〜32は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度ともに優れていた。
実施例33は、他の実施例28〜32よりt/Tが大きく、大径管に形成された溝部が浅くなるため、各溝部4における大径管2(表面4A)と各小径管3(円弧3A)の接触長さが短くなり(図5参照)、大径管の突起部4a、4a(図11参照)の密着状況は良好であった。そして、その他の部分で隙間が形成されたが、その隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。また、溝部が浅いために小径の嵌合力が小さくなり、曲げ試験において2本の複合伝熱管より小径管が離脱した(曲げの外側になる小径管)。
【0224】
これらの結果から、伝熱性能、曲げ加工性、及び耐圧性をすべて満足するためにはt/Tが0.3〜0.7の範囲が好ましいことがわかる。
【0225】
(第10の実施例)実施例34、実施例35
(1)複合伝熱管の作製
第2の実施例と同じ手順で、t/Tが表21の実施例28および実施例30と同じであり、大径管と小径管が樹脂を介して嵌合された複合伝熱管を各1本ずつ作製し、それぞれ実施例34および実施例35とした。
(1−1)大径管の溝部形成
使用した大径管およびピン、溝部形成手順は第9の実施例と同じである。
【0226】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第9の実施例と同じである。
【0227】
(1−3)樹脂の塗布
第2の実施例と同じ。
【0228】
(1−4)小径管の嵌合
使用した小径管は第9の実施例と同じである。そして、第9の実施例と同様に小径管を嵌合し、溝部より押出された余分な樹脂をふき取った。
【0229】
(1−5)樹脂の硬化
小径管が嵌合した大径管を非酸化性雰囲気に保たれた200℃の炉に装入し、所定時間(0.5時間)加熱し、樹脂を硬化させ、複合伝熱管を得た。
【0230】
(2)評価項目
t/T、伝熱性能、曲げ加工性について、第9の実施例と同様な方法で評価し、その結果を表22に示した。
【0231】
【表22】
【0232】
(3)評価結果
第9の実施例の実施例28の複合伝熱管では、溝底部分に相当する位置に隙間が形成されているのが観察された。そして、実施例28と同じ値のt/Tを有する実施例34の複合伝熱管は、隙間が存在した部分に樹脂が充填されており、大径管と小径管は直接的または樹脂により密着している。このため、伝熱性能は優れたものであった。また、樹脂が存在しても曲げ加工性においても良好であった。
【0233】
実施例30の複合伝熱管は隙間が微細で少ないものであった。そして、実施例30と同じ値のt/Tを有する実施例35の複合伝熱管は、微細な隙間部にも樹脂が存在していることが確認され、伝熱性能は優れたものであった。また、実施例34と同様に、樹脂が存在しても曲げ加工性においても良好であった。
【0234】
これらの結果より、大径管と小径管との間に樹脂を存在させることにより、熱抵抗となる空気層がなくなり、熱抵抗が減少するため、伝熱性能が優れたものとなる、また、曲げ加工性にも悪影響を及ぼさないことが分かった。
【0235】
(第11の実施例)実施例36〜実施例39
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、表24に示すようにt/Tを4段階に変化させ、大径管の管軸直交断面において管円周方向に60°ずつ離れた位置に4本の小径管を嵌合させた複合伝熱管(実施例36〜実施例39)を各4本ずつ作製した。
【0236】
(1−1)大径管の溝部形成
大径管には表23のものを使用した。大径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1201のりん脱酸銅を使用した。また、溝部形成には表6に示すピンを使用した。また、溝部形成には図8(a)において、下側のピン10の位置はそのままとし、上側のピン10、10、10を下側のピン10から大径管2の管円周方向に60°ずつ離れた位置に配置したものを用いた。その他の点は第1の実施例と同様とした。
【0237】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは245〜250N/mm2、0.2%耐力は79〜81N/mm2、伸びは51〜53%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は21〜23μmとなった。
【0238】
(1−3)小径管の嵌合
小径管には表23のものを使用した。小径管の材質としては、JISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。大径管に形成された4本の溝部に4本の小径管をそれぞれ軽くはめ込み、4本の小径管が上側のロールに当るように圧延ロールに通した。これにより、大径管の管軸直交断面の管円周方向に60°ずつ離れた位置に、4本の小径管が嵌合された複合伝熱管を作製した。
【0239】
(2)評価項目
前記で作製された4本の複合伝熱管の内1本について、長さ8000mmの溝部を800mmずつに切断し10本の試料を作成し、t/T、伝熱性能及び曲げ加工性を調査した。また、残りの3本を用いて耐圧強度を調査した。
(2−1)t/T
図6に示すように、tは、4本の小径管3、3、3、3と嵌合している4本の溝部4、4、4、4の溝底部分4b、4b、4b、4bの肉厚t1、t2、t3、t4の平均値とする。また、Tは、同図に示す、各小径管3と嵌合していない大径管2の所定位置での肉厚T1とする。長さ8000mmの溝部のうち、両端より800mm及び4000mmの3箇所より厚さ10mm程度の試料を採取し、管軸直交断面を光学顕微鏡で観察してそれぞれの位置における肉厚t1、t2、t3、t4、T1を測定し、それらの平均値よりt/Tを計算し、表24に示す。
【0240】
(2−2)伝熱性能
第4の実施例と同じ。その結果を表24に示す。
【0241】
(2−3)曲げ加工性
第4の実施例と同じ。その結果を表24に示す。
【0242】
(2−4)耐圧強度
第1の実施例の方法に同じ。その結果を表24に示す。
【0243】
【表23】
【0244】
【表24】
【0245】
(3)評価結果
表24に示すように、実施例36は他の試料よりt/Tが小さく、大径管に形成された溝が深くなったため、嵌合により小径管にかぶさった大径管の突起部における密着は良好であった。そして、溝底部分に相当する位置に隙間が形成されたが、その隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。また、溝底部分における大径管の肉厚が薄くなったため、他の試料に比べて耐圧強度が低い。
【0246】
実施例37および実施例38は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度とも優れたものであった。
【0247】
実施例39は他の試料よりt/Tが大きく、大径管に形成された溝が浅くなるため、溝部における大径管と小径管の接触長さが短くなり、大径管の突起部の密着状況は良好であるが、その他の部分で隙間が形成された。その隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。また、実施例39は嵌合力は小さいが、曲げ断面において小径管が曲げの内側面に来るように曲げても、複合伝熱管より小径管が離脱したものはなかった。
【0248】
(第12の実施例)実施例40
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、銅合金からなる大径管の管軸直交断面の管円周方向に90°ずつ離れた位置(管軸直交断面における等間隔の位置)に小径管を4本嵌合させた複合伝熱管(実施例40)を4本作製した。
【0249】
(1−1)大径管の溝部形成
第9の実施例に同じ。但し、大径管には表25のものを使用し、その材質は、0.65質量%Sn、0.027質量%P、0.35質量%Zn、残部がCuの銅合金を使用した。
【0250】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは311N/mm2、0.2%耐力は113N/mm2、伸びは45%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は15μmとなった。
【0251】
(1−3)小径管の嵌合
小径管は表20のものを用い、嵌合の方法も第9の実施例に同じ。
【0252】
(2)評価項目
第9の実施例に同じ。その結果を表26に示す。
(3)評価結果
表26に示すように、実施例40の複合伝熱管は、伝熱性能、曲げ加工性とも優れたものであった。また、大径管に強度の高い合金管を用いたため耐圧強度は、t/Tがほぼ同じである実施例31の複合伝熱管に比べても大幅に向上していた。
【0253】
【表25】
【0254】
【表26】
【0255】
(第13の実施例)実施例41
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、大径管として内面溝付管を用いて、その大径管の管円周方向に等間隔に4本の小径管を嵌合させた複合伝熱管(実施例41)を4本作製した。
【0256】
(1−1)大径管の溝部形成
第9の実施例と同じ。但し、大径管には表27のものを使用し、その材質はJISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を使用した。また、内面の溝形状はリード角35°、溝数55、溝深さ0.23mm、山頂角25°のものを使用した。
【0257】
(2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第9の実施例と同じ。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さは220N/mm2、0.2%耐力は69N/mm2、伸びは50%、平均結晶粒径(管軸平行断面)は18μmとなった。
【0258】
(1−3)小径管の嵌合
小径管は表20のものを用い、嵌合の方法も第9の実施例に同じ。
(2)評価項目
第9の実施例に同じ。その結果を表28に示す。
【0259】
【表27】
【0260】
【表28】
【0261】
(3)評価結果
表28に示すように、実施例41は、伝熱性能、曲げ加工性、耐圧強度とも優れたものであった。
【0262】
(第14の実施例)実施例42〜実施例51、比較例3、比較例4
(1) 複合伝熱管の作製
以下の手順で、特定の0.2%耐力を有する大径管に、特定の0.2%耐力を有する4本の小径管を嵌合した複合伝熱管(実施例42〜実施例51)を作製した。また、焼鈍を行わない大径管を用いた複合伝熱管(比較例3、比較例4)も作製した。
【0263】
(1−1)大径管の溝部形成
第9の実施例と同じ。但し、大径管には表29のものを使用し、その材質としてはJISH3300に規定された合金番号C1220のりん脱酸銅を用い、全長5200mmとした。また、ピンは表30のものを使用し、このピンを大径管に押し当てた状態で、大径管の移動をNo.D6〜No.D9では4回行い(5000mm×4)、No.D10のみ6回(5000mm×6)行い、管端100mmを除いた部分に溝部を形成した。そして、表29のNo.D8の大径管のみ4本、他の大径管は2本に、溝部を形成した。また、溝部形成の結果を表31に示す。
【0264】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管(表29のNo.D6〜No.D10)を各2本ずつ脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さ210〜243N/mm2、0.2%耐力66〜83N/mm2、伸び49〜51%、平均結晶粒径(管軸平行断面)20〜30μmとなった。そして、表29のNo.D8の残りの2本は焼鈍を行わなかった。
【0265】
(1−3)小径管の嵌合
小径管には表18の2種類(No.S1、S2)を使用した。そして、前記の焼鈍したNo.D6〜No.D10の大径管及び焼鈍を行っていないNo.D8の大径管に形成した4本の溝に、2種類(No.S1、S2)の小径管を4本それぞれ軽くはめ込み、第9の実施例と同様に圧延ロールに通す。これにより、大径管の管軸直交断面の等間隔の位置に4本の小径管が嵌合された複合伝熱管を作製した。
【0266】
(3)評価項目
第9の実施例に同じ。但し、曲げ加工性、耐圧強度を除く。その結果を表32に示す。
【0267】
【表29】
【0268】
【表30】
【0269】
【表31】
【0270】
【表32】
【0271】
(4)評価結果
表32に示すように、実施例42は、大径管の0.2%耐力が小さいため、溝部形成時にピンの当たる部分以外も変形を受けやすく、広めの幅(V字型に近い形状)の溝部が形成された。しかしながら、小径管を嵌合したとき大径管の突起部以外の部分で発生した隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。また、小径管として軟質なもの(S2)を用いた実施例43においても、圧延により小径管が変形したが、発生した隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。
【0272】
実施例44、実施例46、実施例48は、小径管として硬質なもの(S1)を嵌合したため、いずれも隙間の発生が少なく、伝熱性能は優れたものであった。また、実施例45、実施例47、実施例49は、小径管として軟質なもの(S2)を嵌合したため、いずれも圧延により小径管が変形したが、発生した隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。
【0273】
実施例50、実施例51は、大径管が硬質であるため溝部形成に手間取ったが、実施例44〜実施例49と同様に、発生した隙間は大きいものではなく、伝熱性能は良好であった。
【0274】
比較例3、比較例4は、大径管の焼鈍を行わなかったため、硬質な状態の大径管に小径管を嵌合することとなり、大径管の溝部に小径管が入りにくく、小径管が変形し、大径管突起部の小径管へのかぶさりも十分ではなかった。そのため、溝底部分に大きな隙間が多く形成され、伝熱性能は劣っていた。
【0275】
前記より、管外面に溝部を形成する前の大径管として管軸方向の0.2%耐力σ0.2が200〜370N/mm2であるものを用い、小径管として、0.2%耐力σ0.2が200N/mm2以上のものを用いることが好ましいことが分かる。
【0276】
(第15の実施例)実施例52〜実施例54
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、管軸直交断面における小径管と大径管の接触長さを変化させて嵌合した複合伝熱管を各2本ずつ作製し、それぞれ実施例52〜実施例54とした。
【0277】
(1−1)大径管の溝部形成
使用した大径管およびピンは第9の実施例と同じである。ピンの押し当て荷重及び移動回数を変化させることにより、溝深さを3種類に変化させ、溝の最も浅いものを実施例52、溝の最も深いものを実施例54とした。
【0278】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第9の実施例と同じである。
【0279】
(1−3)小径管の嵌合
使用した小径管は第9の実施例と同じである。そして、第9の実施例と同様にして小径管を嵌合した。
【0280】
(2)評価項目
嵌合部における小径管の接触長さは発明の実施の形態で述べた方法で測定した。伝熱性、曲げ加工性については、第9の実施例と同様な方法で評価し、その結果を表33に示した。
【0281】
【表33】
【0282】
(3)評価結果
表33に示すように、小径管の接触長さは実施例52の複合伝熱管が52%、実施例53の複合伝熱管が55%、実施例54の複合伝熱管が80%であった。実施例52〜実施例54のいずれの複合伝熱管においても、小径管が大径管に正しく嵌合されており、伝熱性能が優れるものであった。曲げ加工性は、小径管の接触長さが55%未満である実施例52において、5本中2本の小径管のはずれが発生したが、小径管の接触長さが55%以上の実施例53及び実施例54の複合伝熱管においては良好であった。このことより、特に曲げ加工を行う場合には小径管の接触長さが55%以上であることが好ましいことがわかる。
【0283】
更に、各実施例の残りの1本の複合伝熱管を用いて拡管試験を行った。実施例52の複合伝熱管の両端部に拡管プラグを挿入して内径が12mmとなるように拡管したところ、割れが発生することなく拡管が可能であった。実施例52及び実施例53の複合伝熱管をローラーハース炉により非酸化雰囲気で焼鈍した。焼鈍後の複合伝熱管の両端部に拡管プラグを挿入して内径が12mmとなるように拡管したところ、やはり割れが発生することなく拡管が可能であった。
【0284】
(第16の実施例)実施例55〜実施例62
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、表35に示すようにt/Tを5段階に変化させ、大径管の管軸直交断面の90°離れた位置に4本の小径管を嵌合させた、図13に示すようならせん状の巻回部が形成された複合伝熱管(実施例55〜実施例62)を各4本ずつ作製した。
【0285】
(1−1)大径管の溝部形成
使用したピン、溝部形成手順は第9の実施例と同じ。大径管は表34のものを使用した。
【0286】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さ231〜238N/mm2、0.2%耐力71〜75N/mm2、伸び50〜52%、平均結晶粒径25μm(管軸平行断面)となった。
【0287】
(1−3)小径管の嵌合
4本の小径管には表34のものを使用。嵌合方法は第9の実施例と同じとした。
【0288】
(1−4)小径管が嵌合された大径管の焼鈍
実施例58、実施例59は、4本の小径管を嵌合した後、前記(1−2)と同じ条件で焼鈍を行った。焼鈍により大径管は引張り強さ228N/mm2、0.2%耐力70N/mm2、伸び51%、小径管は引張り強さ260N/mm2、0.2%耐力143N/mm2、伸び45%に軟化した。また、いずれも管軸平行方向の断面で観察した平均結晶粒径(切断法)は約25μmであった。
【0289】
(1−5)らせん状複合伝熱管の作製
前記(1−3)、(1−4)において製作した各試料4本を、図13、図14(a)に示すように、4本の小径管が大径管に嵌合されている部分の全長をらせん状に20回巻回し、巻回部の最小内径IDが150mm、平均ピッチpが約13.0mmのらせん状複合伝熱管を各4本ずつ作製した。なお、実施例56、実施例58、実施例60については(1−2)と同一な条件で焼鈍を行なった。
【0290】
(2)評価項目
前記で作製された4本のらせん状複合伝熱管の内1本で、t/Tおよび伝熱性能、また、残りの3本で小径管の離脱および耐圧強度を調査した。
(2−1)t/T
らせん状複合伝熱管の巻回部の端部、中央部及び下端部より試験片を切出し、第9の実施例と同様な方法で評価し、その結果を表35に示した。
【0291】
(2−2)伝熱性能
第9の実施例と同様な方法で評価し、その結果を表35に示した。
【0292】
(2−3)小径管の離脱
らせん状複合伝熱管の外観を目視観察し、大径管より小径管が浮いている箇所、小径管が外れている箇所があるか観察した(n=3)。
【0293】
(2−4)耐圧強度
前記(2−3)の評価の後、大径管に水を充填してハンドポンプで徐々に加圧し、小径管が大径管から離脱し始める圧力をブルドン管ゲージで読取った。n=3の平均値で評価を行った。
【0294】
【表34】
【0295】
【表35】
【0296】
(3)評価結果
実施例55は他の試料よりt/Tが小さく、大径管に形成された溝が深くなったため、嵌合により小径管にかぶさった大径管の溝エッジ部が長く、この部分の密着状況は良好であった。そして、溝底部に相当する位置にやや大きな隙間が形成されているのが観察されが、伝熱性能としては良好であった。また、大径管のかぶさり代が大きいため、コイルに成型しても小径管の離脱は発生しなかった。嵌合部における大径管の肉厚が薄くなったため、他の試料に比べて10〜30%程度耐圧強度が低かった。
【0297】
また、実施例56〜実施例61は、焼鈍無し及び焼鈍有りとも小径管が大径管に強固に嵌合されていることから伝熱性能は良好であり、いずれも小径管の離脱は発生しなかった。また、耐圧強度も良好であった。
【0298】
また、実施例56、実施例58、実施例60の焼鈍2を施した試料は、巻回後の焼鈍により残留応力が除去され、太径管と小径管が良く密着したため、耐圧強度は他の試料に比べ高かった。
【0299】
また、実施例62は、他の試料よりt/Tが大きく、大径管に形成された溝が浅くなるため、管軸直交断面の嵌合部における大径管と小径管の接触長さが短くなり、大径管の溝エッジ部の密着状況は良好であるが、その他の部分でやや隙間の大きい部分が見られた。しかしながら、伝熱性能としては良好であった。また、大径管による小径管の嵌合力が小さいため、らせん状に巻回したときに小径管の離脱がわずかに発生し、耐圧強度が低下する傾向にあった。
【0300】
また、これらの結果から、伝熱性能、曲げ加工性、及び耐圧性をすべて満足するためにはt/Tが0.3〜0.7の範囲が望ましいことがわかる。また、らせん状の巻回による小径管の離脱、伝熱性能及び耐圧強度上昇させるには、らせん状の巻回後の焼鈍が効果的であることがわかった。
【0301】
(第17の実施例)実施例63
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、大径管の管軸直交断面の60°離れた位置に4本の小径管を嵌合させた、らせん状の巻回部が形成されたらせん状複合伝熱管(実施例63)を作製した。
【0302】
(1−1)大径管の溝部形成
大径管には表36のものを使用した。また、溝部形成には表37のピンを使用し、上側のピンの位置はそのままとし、下側のピンを上側のピンから大径管の管円周方向に60°離れた位置に配置したものを用いた。その他の点は第16の実施例と同じである。
【0303】
【表36】
【0304】
【表37】
【0305】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
溝部が形成された大径管を脱脂し、ローラーハース炉を用いて非酸化雰囲気で大径管を焼鈍した。焼鈍後の大径管は軟化し、引張り強さ250N/mm2、0.2%耐力81N/mm2、伸び53%、平均結晶粒径23μm(管軸平行断面)となった。
【0306】
(1−3)小径管の嵌合
4本の小径管が上側のロールに当たるように圧延ロールに通した。その他の点は第16の実施例と同じ。
【0307】
(1−4)小径管が嵌合された大径管の焼鈍
焼鈍は行なわなかった。
【0308】
(1−5)らせん状複合伝熱管の作製
第16の実施例と同じ。巻回後の焼鈍も行った。そして、作製されたらせん状複合伝熱管を、第16の実施例と同様に評価した結果、t/Tが0.3〜0.7の範囲内で、伝熱性能、小径管の離脱、耐圧強度も良好であった。
【0309】
(第18の実施例)実施例64
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、大径管の管軸直交断面の90°離れた位置に小径管を嵌合させた、図15に示すような渦巻状の巻回部が二つ形成された複合伝熱管(実施例64)を作製した。
【0310】
(1−1)大径管の溝部形成
第16の実施例と同じである。
【0311】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第16の実施例と同じである。
【0312】
(1−3)小径管の嵌合
第16の実施例と同じである。
【0313】
(1−4)小径管が嵌合された大径管の焼鈍
焼鈍は行なわなかった。
【0314】
(1−5)渦巻状複合伝熱管の作製
前記(1−3)において製作した試料を、図15、図16(a)に示すように、4本の小径管が大径管に嵌合されている部分の全長を渦巻状に巻回直径が縮径する方向に7回巻回し、引き続いて、巻回直径が拡径する方向に7回巻回し、二つの巻回部61k、61kの最小内径IDが200mm、最大外径ODが400mm、平均ピッチpが約13.5mmの渦巻状複合伝熱管を作製した。なお、巻回後、第16の実施例と同一な条件で焼鈍を行なった。
【0315】
(2)評価項目(伝熱性能)
作製した渦巻状複合伝熱管の大径管に流量1.16kg/minの水を流し、4本の小径管に11.5MPaのCO2を流した。この渦巻状複合伝熱管を1000時間運転し、運転中の入口温度(大径管)に対する出口温度(大径管)の変化を見ることにより、伝熱性能を確認した。
【0316】
(3)評価結果
大径管の入口温度に対する出口温度は常に安定していた。
【0317】
(第19の実施例)実施例65
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、大径管の管軸直交断面の90°離れた位置に4本の小径管を嵌合させた、渦巻状の巻回部が一つ形成された複合伝熱管(実施例65)を作製した。
【0318】
(1−1)大径管の溝部形成
第18の実施例と同じである。大径管および小径管の長さは5000mmとする。
【0319】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第18の実施例と同じである。
【0320】
(1−3)小径管の嵌合
第18の実施例と同じである。
【0321】
(1−4)小径管が嵌合された大径管の焼鈍
焼鈍は行なわなかった。
【0322】
(1−5)渦巻状複合伝熱管の作製
第18の実施例と同様に、4本の小径管が大径管に嵌合されている部分の全長を渦巻状に巻回直径が縮径する方向に7回巻回し、巻回部の最小内径が200mm、最大外径が400mm、平均ピッチpが約13.5mmの渦巻状複合伝熱管を作製した。なお、巻回後、第18の実施例と同一な条件で焼鈍を行なった。
【0323】
(2)評価項目(伝熱性能)
第18の実施例と同じである。
【0324】
(3)評価結果
大径管の入口温度に対する出口温度は常に安定していた。
【0325】
(第20の実施例)実施例66
(1)複合伝熱管の作製
以下の手順で、第19の実施例と同様の渦巻状複合伝熱管を二つ作製し、それぞれを結合した複合伝熱管(実施例66)を作製した。
【0326】
(1−1)大径管の溝部形成
第19の実施例と同じである。
【0327】
(1−2)溝部が形成された大径管の焼鈍
第19の実施例と同じである。
【0328】
(1−3)小径管の嵌合
第19の実施例と同じである。
【0329】
(1−4)小径管が嵌合された大径管の焼鈍
焼鈍は行なわなかった。
【0330】
(1−5)渦巻状複合伝熱管の作製
第19の実施例と同じ。作製された二つの渦巻状複合伝熱管の一方の管端部を拡管し、それぞれの管端部をロウ付けにより結合した。
【0331】
(2)評価項目(伝熱性能)
第19の実施例と同じである。
【0332】
(3)評価結果
大径管の入口温度に対する出口温度は常に安定していた。また、ロウ付け部からの漏洩も認められなかった。
【0333】
【発明の効果】
以上説明したような構成であるため、本発明にかかる複合伝熱管においては、以下に示す優れた効果を奏する。
【0334】
複合伝熱管は、小径管と隣接する大径管の溝部の表面が、小径管の円弧と等しい円弧を有するものであるため、溝部の表面に小径管が密着し、大径管と小径管の接触部分の面積(伝熱面積)が増大すると共に、大径管と小径管が強固に嵌合され、溝部から小径管が外れる(抜ける)ことを抑制することができる。そのため、複合伝熱管は、伝熱性能が所望となるものを適切に製造でき生産性に優れる。また、複合伝熱管は、伝熱性能が良く、かつ耐圧強度も十分で、コンパクトに製造できるため、当該複合伝熱管を用いる冷蔵庫などの機器が小型化できる。
【0335】
また、複合伝熱管は、大径管および小径管の両端部の外径を所定範囲とすることにより、嵌合部における伝熱性能がさらに向上し、小型化されると共に、熱交換器に組み込む際の他の管との接合が容易となり都合がよい。
【0336】
また、複合伝熱管は、大径管は、小径管と嵌合している溝部の溝底部分の肉厚をt、小径管と嵌合していない部分の肉厚をTとするとき、t/Tの値が0.3〜0.7である複合伝熱管とすることで、大径管への小径管の嵌合がしやすくなり、大径管と小径管との間に隙間が形成されにくくなると共に、溝底部分が大径管の内圧に対向しうる応力を有し、嵌合された小径管が大径管から押出されるのが抑制される。さらに、大径管と小径管との相互の伝熱性能が向上されると共に、曲げ加工性についても向上でき、かつ、小径管の円弧と等しくなるように、大径管の溝部の表面の円弧を形成することができる。
【0337】
また、複合伝熱管は、複合伝熱管の管軸直交断面における小径管と大径管との見かけ上の接触長さを所定長さ以上とすることにより、大径管と小径管との伝熱面積がさらに増大し、大径管への小径管の嵌合力もさらに増大する。
【0338】
また、複合伝熱管は、大径管の管軸直交断面における等間隔の位置に小径管を配置することにより、大径管と小径管との間の伝熱効率が向上すると共に、大径管に小径管を収容するための溝部を形成、およびその溝部への小径管の圧延嵌合の作業性がよく生産性に優れる。
【0339】
また、複合伝熱管は、大径管の内面に管軸方向に平行な溝またはらせん状の溝が形成されていることにより、大径管内の伝熱面積がさらに増大し、複合伝熱管の伝熱性能がさらに向上する。
【0340】
さらに、複合伝熱管は、樹脂を介して大径管と小径管が嵌合されることにより、大径管と小径管の接触する面に形成される微細な隙間にも前記樹脂が充填され、接触面から熱伝導率の低い空気を排除し、大径管と小径管の密着度合いがさらに高まり、大径管と小径管との伝熱面積がさらに増大し、大径管への小径管の嵌合力もさらに増大する。
【0341】
また、複合伝熱管は、大径管および/または小径管が、無酸素銅またはりん脱酸銅から形成されることにより、大径管および/または小径管の熱伝導率、耐食性、塑性加工性(嵌合、曲げ等)、耐圧強度が向上すると共に、熱交換器に組み込む際のロウ・はんだ付け性が向上する。
【0342】
また、複合伝熱管は、らせん状または渦巻状の巻回部を形成することにより、複合伝熱管の伝熱面積が増大すると共に、コンパクト化できる。それにより、熱交換器内に設置しやすくなると共に、安定して設置することができる。また、大径管の管軸直交断面における外形形状を扁平円形にすることにより、複合伝熱管がさらにコンパクトになる。
【0343】
さらに、複合伝熱管の製造方法は、溝部形成工程と、焼鈍工程と、圧延嵌合工程とを含む、または、さらに樹脂塗布工程および樹脂硬化工程を含むため、または、さらに巻回工程、拡管工程、および焼鈍工程の少なくとも1つを行うため、伝熱性能が所望となる、耐圧強度も十分で、コンパクトな複合伝熱管を適切に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明にかかる3本の小径管を備える複合伝熱管の側面図、(b)は溝部の端部を示めす部分切断斜視図である。
【図2】本発明にかかる複合伝熱管の図1のX−X線の断面図である。
【図3】本発明にかかる複合伝熱管の図2の他の実施形態の断面図である。
【図4】本発明にかかる複合伝熱管の図2の他の実施形態の断面図である。
【図5】本発明にかかる4本の小径管を備える複合伝熱管の断面図である。
【図6】本発明にかかる複合伝熱管の図5の他の実施形態の断面図である。
【図7】本発明にかかる複合伝熱管の大径管の4箇所に溝部を形成する溝部形成工程を模式的に示す管軸平行断面図である。
【図8】本発明にかかる複合伝熱管の大径管に溝部を形成する溝部形成工程を模式的に示す管軸直交断面図で、(a)は溝部が4箇所の場合、(b)は溝部が3箇所の場合である。
【図9】本発明にかかる複合伝熱管の大径管に4本の小径管を嵌合する圧延嵌合工程を模式的に示す管軸平行断面図である。
【図10】本発明にかかる複合伝熱管の大径管に小径管を嵌合する圧延嵌合工程を模式的に示す管軸直交断面図で、(a)は小径管が4本の場合、(b)は小径管が3本の場合である。
【図11】(a)は本発明にかかる図10の嵌合前の溝部の部分拡大断面図、(b)は嵌合後の溝部の部分拡大断面図、(c)は(b)の他の実施形態の部分拡大断面図である。
【図12】本発明にかかる複合伝熱管を使用した熱交換器の構成を模式的に示す説明図である。
【図13】本発明にかかるらせん状の巻回部が形成された複合伝熱管の斜視図である。
【図14】(a)は図7のC−C線の断面図、(b)、(c)は図7の他の実施形態を示す部分断面図である。
【図15】本発明にかかる渦巻状の巻回部が形成された複合伝熱管の斜視図である。
【図16】(a)は図9のD−D線の断面図、(b)は図9の他の実施形態を示す部分断面図である。
【図17】従来の複合伝熱管の断面図である。
【図18】(a)、(b)は他の従来の複合伝熱管の断面図である。
【図19】従来の他の複合伝熱管の斜視図である。
【符号の説明】
1、31、41、51、61、71 複合伝熱管
2、52、72 大径管
2a 両端部
3、53、73 小径管
3a 両端部
3A 円弧
4 溝部
4a 突起部
4b 溝底部分
4A 表面
5 樹脂
31k、41k、51k、61k、71k 巻回部
61i、71i 移行部
10 ピン
11 溝加工部
11a 溝加工部先端
12 把持部
13 繋ぎ部
14 肩部
15 スリーブ
16 圧延ロール
20 熱交換器
21 圧縮機
22 放熱器
23 冷却器
A 複合化区間B以外の部分
B 複合化区間
θ 角度
d 外径
ID 最小内径
OD 最大外径
H 高さ
a 管外径
p 間隔[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to, for example, a heat transfer tube used for a heat exchanger such as a refrigerator, a freezer, a water heater, and a floor heater. More specifically, the present invention relates to a heat transfer tube flowing between a large-diameter tube and a small-diameter tube through a tube wall. The present invention relates to a composite heat transfer tube that performs heat exchange and a method for manufacturing the same.
[0002]
[Prior art]
Generally, as a configuration of a composite heat transfer tube for a heat exchanger, a configuration in which one large-diameter tube and one small-diameter tube are in contact with the outer surface of the large-diameter tube is known. In a composite heat transfer tube of a refrigerator or a freezer heat exchanger, a refrigerant such as Freon as a heat medium or an alternative CFC flows through the large-diameter tube and the small-diameter tube, and flows through the large-diameter tube and the small-diameter tube. Heat is exchanged between the two. In the composite heat transfer tube of the heat exchanger for a water heater, water is contained in a large-diameter tube, and CO is contained in a small-diameter tube. 2 And the like. Further, in the composite heat transfer tube of the floor heating heat exchanger, water flows through the large-diameter tube, and refrigerant such as Freon or alternative Freon flows through the small-diameter tube.
[0003]
As a specific example of the composite heat transfer tube having the above-described configuration, there has been proposed a composite heat transfer tube in which a small-diameter pipe is arranged in parallel with the outer surface of a large-diameter pipe by soldering. However, in this composite heat transfer tube, since the tubes having a circular cross section are joined to each other, the mutual contact surfaces are in line contact, and the heat exchange between the tubes is not effective. Further, since more than half of the entire circumference of the small-diameter pipe is covered with solder having poor heat conductivity, heat exchange between the pipes is further inhibited. In addition, the work process of joining and joining the pipes is very complicated and inefficient, consumes a large amount of solder, and unnecessarily increases the cost. (For example, see Patent Document 2).
[0004]
Furthermore, in order to increase the reliability of soldering, it is necessary to degrease the tube, apply a flux, remove the flux after soldering, and the like, which requires many work steps and is more complicated. In addition, since the tubular portion is soldered, it is easy to form a place where no solder is attached, a gap is formed between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe, and the heat transfer performance is further reduced. Further, when the large-diameter pipe and / or the small-diameter pipe is formed of a copper pipe, a brittle Cu-Sn intermetallic compound is formed with the passage of time in the soldered portion, and a heat exchanger or the like in which a composite heat transfer tube is incorporated. Due to vibration or the like, the joint is easily detached, and the heat transfer performance deteriorates with time. Furthermore, since it is for a heat exchanger tube, moisture easily adheres, a local battery is formed due to a potential difference between copper and solder, and it is easily corroded, and a refrigerant may leak during use. Furthermore, when disposed and placed outdoors, rainwater elutes Pb ions harmful to the human body from the solder and contaminates the water source and surrounding environment. Furthermore, when recycling large diameter pipes and / or small diameter pipes to recycle Cu, it is difficult to separate the solder from the copper pipes, and Pb and Sn are mixed into Cu, and Cu can be recycled. Did not.
[0005]
As a specific example of a composite heat transfer tube that solves the above-described problem, as shown in FIG. 17, a small-
[0006]
As shown in FIG. 18 (b), a hard small-
[0007]
Also, as shown in FIG. 18A, a copper small-
[0008]
As shown in FIG. 19, two copper-made large-
[0009]
[Patent Document 1]
Japanese Utility Model Publication No. 55-159975 (page 1)
[Patent Document 2]
JP-A-57-90563 (
[Patent Document 3]
JP-A-2000-283664 (paragraph numbers [0007] to [0031], FIGS. 3 to 10)
[Patent Document 4]
JP-A-2003-14383 (paragraph numbers [0025] to [0027], FIG. 4)
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the composite heat transfer tube proposed in
[0011]
Further, in the composite heat transfer tube proposed in
[0012]
Also, when the composite heat transfer tube is incorporated into a heat exchanger, the composite heat transfer tube is often subjected to a bending process. At this time, the small-diameter tube is easily detached from the V-shaped cross-section, and the bending processability is poor. Furthermore, even if roll formation is used to form the groove, since there is no plug inside the tube, the groove tends to have a V-shaped cross section, and it is difficult to form a C-shaped or U-shaped groove.
[0013]
In the composite heat transfer tube, the groove is formed over the entire length of the large-diameter tube, and when the composite heat transfer tube is incorporated in the heat exchanger, the end of the tube is expanded to braze the other tube. Is attached. Therefore, when brazing the pipe end, it is necessary to remove the small-diameter pipe once embedded from the groove of the large-diameter pipe, and it is difficult for the cross-section to become a perfect circle even when the pipe is expanded. Takes a long time to correct, and productivity is poor.
[0014]
Further, in the composite heat transfer tube manufactured by the fixing method of (1) proposed in
[0015]
Further, a common problem of the composite heat transfer tubes proposed in
[0016]
In addition, the heat transfer capacity of the composite heat transfer tube proposed in
[0017]
Therefore, the present invention has been conceived to solve such a problem, and its object is to excel in heat transfer performance, bending workability, pressure resistance and productivity, and to further reduce the size of equipment used. An object of the present invention is to provide a composite heat transfer tube that can be reduced in weight and weight, and a method for manufacturing the same.
[0018]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problem, the invention according to
[0019]
In the above configuration, since the surface of the groove has an arc equal to the arc of the small-diameter pipe in contact with the surface, the small-diameter pipe is in close contact with the surface of the groove, and the area of the contact portion between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe (heat transfer area) As the area increases, the large-diameter pipe and the small-diameter pipe are firmly fitted, and the small-diameter pipe is prevented from coming off (falling out) from the groove.
[0020]
The outer diameter at both ends of the large-diameter pipe is the same as or larger than the outer diameter of the large-diameter pipe in the portion where the small-diameter pipe is fitted, and the small-diameter pipe has An outer diameter at both ends is the same as or larger than the outer diameter of the small-diameter tube in the other portions.
[0021]
In the above configuration, the outer diameter of both ends of the large-diameter tube is equal to or larger than the outer diameter of the large-diameter tube in the portion where the small-diameter tube is fitted, so that the composite heat transfer tube is incorporated into the heat exchanger. Therefore, it is not necessary to increase the outer diameter of the large-diameter tube at the portion where the small-diameter tube is fitted as in the conventional composite heat transfer tube, and the flow rate of the heat medium flowing in the large-diameter tube at the fitting portion does not decrease. . Further, since the outer diameter of the large-diameter tube does not increase at the fitting portion, the composite heat transfer tube is reduced in size. Further, by expanding both ends of the large-diameter pipe, it is easy to join the large-diameter pipe to another pipe when incorporating the large-diameter pipe into the heat exchanger.
[0022]
According to a third aspect of the present invention, the large-diameter pipe has a thickness t at a groove bottom portion of the groove portion fitted with the small-diameter tube, and a thickness T at a portion not fitted with the small-diameter tube. In this case, the composite heat transfer tube has a value of t / T of 0.3 to 0.7.
[0023]
In the above configuration, by setting the value of t / T within a predetermined range, it becomes easy to fit the small-diameter pipe to the large-diameter pipe, and it is difficult to form a gap between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe. The groove bottom has a stress that can withstand the internal pressure of the large-diameter pipe, and the fitted small-diameter pipe is prevented from being pushed out of the large-diameter pipe. Further, the heat transfer performance between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is improved, the bending workability can be improved, and the arc of the surface of the groove of the large-diameter pipe is made equal to the arc of the small-diameter pipe. Can be formed.
[0024]
The arc of the surface of the groove adjacent to the small-diameter pipe may be an apparent contact length between the small-diameter pipe and the large-diameter pipe in a cross section orthogonal to the pipe axis of the composite heat transfer pipe. In addition, a composite heat transfer tube that is 55% or more of the entire circumference of the small-diameter tube is configured.
[0025]
In the above configuration, by setting the apparent contact length between the small-diameter pipe and the large-diameter pipe in the cross section orthogonal to the pipe axis of the composite heat transfer pipe to a predetermined length or more, the small-diameter pipe adheres to the surface of the groove, and the large-diameter pipe The contact area (heat transfer area) between the small-diameter pipe and the large-diameter pipe is increased, and the large-diameter pipe and the small-diameter pipe are firmly fitted to each other, thereby preventing the small-diameter pipe from coming off (falling out).
[0026]
According to a fifth aspect of the present invention, the three or four small-diameter pipes are fitted into three or four groove portions arranged at equal intervals in a cross section orthogonal to the pipe axis of the large-diameter pipe. This is configured as a combined heat transfer tube.
[0027]
In the above configuration, the heat transfer efficiency between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is improved by disposing the small-diameter pipes at equal intervals on the circumference of the large-diameter pipe in a cross section orthogonal to the pipe axis of the large-diameter pipe. At the same time, the workability of forming a groove for accommodating the small-diameter pipe in the large-diameter pipe and rolling fitting the small-diameter pipe into the groove is improved.
[0028]
According to a sixth aspect of the present invention, the large-diameter tube is configured as a composite heat transfer tube having a groove or a spiral groove formed in the inner surface thereof, the groove being parallel to the tube axis direction.
[0029]
In the above configuration, the parallel groove or the spiral groove increases the heat transfer area in the large-diameter tube, and the groove stirs the heat medium to improve the heat transfer performance.
[0030]
In the invention according to claim 7, three or four of the small-diameter pipes are fitted to the large-diameter pipe via a resin at least at a part of the surface of the three or four groove portions. It is configured as a composite heat transfer tube.
[0031]
In the above configuration, by fitting the large-diameter pipe and the small-diameter pipe via the resin, the resin is also filled in the minute gap formed on the surface where the large-diameter pipe and the small-diameter pipe are in contact with each other. By eliminating air with low thermal conductivity, the degree of close contact between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is further increased, the heat transfer area between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is further increased, and the fitting force of the small-diameter pipe to the large-diameter pipe is improved. Further increase.
[0032]
The invention according to
[0033]
In the above configuration, at least one of the large-diameter tube and the small-diameter tube has thermal conductivity, corrosion resistance, plastic workability (fitting, bending, and the like) by using a copper tube or a copper alloy tube made of oxygen-free copper or phosphorus deoxidized copper. As a result, the pressure resistance is improved, and the solderability at the time of assembling into the heat exchanger is improved.
[0034]
According to a ninth or tenth aspect of the present invention, the large-diameter pipe into which the three or four small-diameter pipes are fitted forms a spirally or spirally wound composite portion. It is configured as a heat tube.
[0035]
In the above-described configuration, the large-diameter tube fitted with the small-diameter tube forms a spiral or spiral winding portion, thereby increasing the length of the composite heat transfer tube that can be stored in the same volume, As a result, the heat transfer area increases, and the size of the heat exchanger can be reduced. Further, the stability of the composite heat transfer tube when installed in the heat exchanger is improved.
[0036]
According to an eleventh aspect of the present invention, the cross section of the large diameter pipe orthogonal to the pipe axis is configured as a composite heat transfer pipe having a non-circular cross section at a portion fitted with the small diameter pipe.
[0037]
In the above configuration, since the cross-sectional shape of the large-diameter pipe is non-circular, the height of the winding portion is reduced in the spiral winding portion having the same number of steps, or the spiral winding having the same number of turns. In the winding part, the outer diameter of the winding part becomes small.
[0038]
According to a twelfth aspect of the present invention, there is provided a composite transmission comprising a large-diameter pipe and three or four small-diameter pipes fitted on the outer surface of the large-diameter pipe in parallel with the pipe axis direction of the large-diameter pipe. A method for manufacturing a heat pipe, wherein a pin is pressed against an outer surface of the large-diameter pipe except for both ends thereof, and the pin is fixed to move the large-diameter pipe in parallel with the pipe axis direction. Forming a groove extending in the pipe axis direction at three or four locations on the outer surface of the large diameter pipe by fixing the diameter pipe and moving the pins in parallel with the pipe axis direction of the large diameter pipe; A step, an annealing step of annealing the large-diameter pipe in which the groove is formed, and placing three or four small-diameter pipes in three or four of the grooves, and rolling by a rolling roll into the groove. A rolling fitting step of embedding the small diameter pipe and fitting the annealed large diameter pipe and the small diameter pipe. Those configured as a production method of a composite heat transfer tube.
[0039]
In the above configuration, by forming the groove using a pin, only a predetermined portion of the large-diameter pipe is depressed inward to form a groove, and the edge of the formed groove is viewed in a cross section orthogonal to the pipe axis. A projection having a triangular cross-section is formed (in the conventional processing by rolling and drawing, the entire surface of the groove contacts the dies and rolls, so the projection is not formed). The projection falls down so as to enclose the small-diameter tube, and effectively acts to increase the fitting strength of the small-diameter tube. Other parts of the large diameter tube do not deform. Further, by annealing the large-diameter pipe having the groove formed therein, the large-diameter pipe and the small-diameter pipe are easily fitted, and the small-diameter pipe is not deformed. In addition, the bending property of the composite heat transfer tube is improved. In addition, the small-diameter pipe is firmly fixed in the groove of the large-diameter pipe by rolling-fitting with the rolling roll.
[0040]
The invention according to
[0041]
In the above configuration, by using a large-diameter pipe having a predetermined strength, the efficiency of forming a groove in the large-diameter pipe is improved, and breakage of a pin for forming the groove is suppressed. In addition, by using a small-diameter pipe having a predetermined strength, the small-diameter pipe is prevented from being deformed or flawed when the small-diameter pipe is fitted into the groove, and a gap between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is reduced. Further, it is possible to suppress an increase in pressure loss of the heat medium in the tube due to the deformation of the small-diameter tube.
[0042]
The invention according to
[0043]
In the above configuration, the winding step increases the heat transfer area as the composite heat transfer tube and reduces the space occupied by the composite heat transfer tube in the heat exchanger. Further, the stability of the composite heat transfer tube when installed in the heat exchanger is improved. In addition, the tube expansion step facilitates joining of the composite heat transfer tube with another tube when the tube is incorporated into a heat exchanger. Furthermore, the annealing step improves the bending workability of the composite heat transfer tube, and facilitates incorporation into a heat exchanger.
[0044]
An invention according to
[0045]
The invention according to
[0046]
In the above-described configuration, the resin is filled into the minute gaps formed on the contact surface between the large-diameter tube and the small-diameter tube by the resin application step and the resin curing step, and air having low thermal conductivity is eliminated from the contact surface. In addition, the degree of close contact between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is further increased, the heat transfer area between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is further increased, and the fitting force of the small-diameter pipe to the large-diameter pipe is further increased.
[0047]
In addition, by using a large-diameter pipe having a predetermined strength, the efficiency of forming a groove in the large-diameter pipe is improved, and breakage of a pin for forming the groove is suppressed. In addition, by using a small-diameter pipe having a predetermined strength, the small-diameter pipe is prevented from being deformed or flawed when the small-diameter pipe is fitted into the groove, and a gap between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is reduced. Further, it is possible to suppress an increase in pressure loss of the heat medium in the tube due to the deformation of the small-diameter tube. In addition, the winding step increases the heat transfer area of the composite heat transfer tube and reduces the space occupied by the composite heat transfer tube in the heat exchanger. Further, the stability of the composite heat transfer tube when installed in the heat exchanger is improved. In addition, the tube expansion step facilitates joining of the composite heat transfer tube with another tube when the tube is incorporated into a heat exchanger. Furthermore, the annealing step improves the bending workability of the composite heat transfer tube, and facilitates incorporation into a heat exchanger.
[0048]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. 1A is a side view of a composite heat transfer tube including three small-diameter tubes, FIG. 1B is a partially cutaway perspective view showing an end of a groove, and FIG. 2 is a cross-sectional view taken along line XX of FIG. 3 is a cross-sectional view of another embodiment of FIG. 2, FIG. 4 is a cross-sectional view of another embodiment of FIG. 2, FIG. 5 is a cross-sectional view of a composite heat transfer tube having four small-diameter tubes, and FIG. FIG. 7 is a sectional view of another embodiment, FIG. 7 is a tube axis parallel sectional view schematically showing a groove forming step of forming grooves at four locations of a large diameter pipe, and FIG. 8 is a groove forming step of forming grooves in a large diameter pipe. FIGS. 9A and 9B are schematic cross-sectional views schematically showing the tube axis. FIG. 9A shows a case where four groove portions are fitted, FIG. 9B shows a case where four groove portions are fitted, and FIG. FIG. 10 is a tube axis orthogonal cross-sectional view schematically showing a rolling fitting process of fitting a small-diameter tube to a large-diameter tube, and FIG. If there are four, (b) In the case of three diameter tubes, FIG. 11 (a) is a partially enlarged sectional view of the groove before fitting in FIG. 10, (b) is a partially enlarged sectional view of the groove after fitting, and (c) is (b) FIG. 12 is an explanatory view schematically showing a configuration of a heat exchanger, FIG. 13 is a perspective view of a composite heat transfer tube having a spirally wound portion, and FIG. 13A is a cross-sectional view taken along the line C-C of FIG. 13, FIGS. 13B and 13C are partial cross-sectional views showing another embodiment of FIG. 13, and FIG. 15 is a composite transmission having a spirally wound part. FIG. 16A is a perspective view of a heat tube, FIG. 16A is a cross-sectional view taken along line DD of FIG. 15, and FIG. 16B is a partial cross-sectional view showing another embodiment of FIG.
[0049]
As shown in FIG. 1, a composite
[0050]
(Structure of large diameter pipe)
The large-
[0051]
Further, as a material of the large-
[0052]
The large-
[0053]
Further, since it is joined to another tube by brazing, soldering, or the like to be incorporated in the heat exchanger, it is desirable that the brazing property and the soldering property be excellent.
[0054]
The
[0055]
Further, usually, a smooth tube having a smooth inner surface is often used as the large-
[0056]
(Structure of small diameter pipe)
Three or four small-
[0057]
The material of the small-
[0058]
Since it is joined to another tube by brazing, soldering or the like to be incorporated in the heat exchanger, it is desirable that the brazing property and the soldering property be excellent.
[0059]
The small-
[0060]
A smooth tube whose inner surface is smooth is often used.However, when it is desired to agitate the heat medium in the tube, to provide a swirling flow, or to increase the heat transfer area in the tube, at least the inner surface of the tube is used. An inner grooved pipe in which a spiral or a groove parallel to the pipe axis direction is partially formed may be used.
[0061]
(Composition of composite heat transfer tube)
As shown in FIGS. 1 to 6, the composite
[0062]
The length of the composite section B in which each small-
[0063]
Further, it is preferable that the length of the arc (the
[0064]
Further, at both ends of the composite section B of the large-
[0065]
In addition, the fitting form may be such that each small-
[0066]
However, in such a fitting form, in each
[0067]
Further, in the composite heat transfer tube of the present invention, as shown in FIG. 2 and FIG. 5, the positions of three or four small-diameter tubes with respect to the large-diameter tube when viewed in a cross section orthogonal to the pipe axis of the composite heat transfer tube are as follows. It is preferable that three or four small-
[0068]
The positions of the three or four small-
[0069]
The composite heat transfer tube in which three or four small-diameter tubes are fitted to a large-diameter tube in this way has a higher degree of difficulty in groove processing, fitting, and the like than a tube in which one or two small-diameter tubes are fitted. Is higher, but the effect is more than expected on the improvement of heat transfer performance due to the increase in the number of small diameter tubes (increase in contact area) and the miniaturization of heat exchangers manufactured using this composite heat transfer tube. It is something that can be done. Significant improvement in heat transfer performance is achieved by the following mechanism.
[0070]
(1) The large-diameter pipe has a shape in which three or four ribs are formed in the large-diameter pipe due to formation of a groove extending in the pipe axis direction, and one or two ribs are formed. In comparison, the effect of stirring the heat medium flowing in the large-diameter tube is significantly increased. For this reason, the heat transfer performance in a large-diameter pipe is greatly improved.
[0071]
(2) Since three or four small-diameter tubes are fitted, the cross-sectional area of the large-diameter tube in a cross section orthogonal to the tube axis is small (for example, FIGS. 2 to 6), and the heat having the same mass per unit time is obtained. When the medium flows into the large-diameter pipe, the flow velocity increases, so that the heat transfer performance in the large-diameter pipe is greatly improved.
[0072]
(3) When the composite heat transfer tube is bent, the contact state between the large-diameter tube and the small-diameter tube changes at the bent portion, and the heat transfer performance is affected. However, the number of small-diameter tubes must be three or four. Thereby, the change in the contact state is averaged, and the influence on the heat transfer performance is reduced.
[0073]
(4) Since three or four small-diameter pipes are fitted, the contact area between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe increases, and the amount of heat transfer between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe increases.
In addition, since the heat transfer performance can be significantly improved in this way, the length of the composite heat transfer tube required to manufacture a heat exchanger having the same heat capacity can be shortened, thereby reducing the size of the heat exchanger. Weight reduction can be achieved.
[0074]
As shown in FIG. 13 to FIG. 16, after the small-
[0075]
(Helical winding)
As shown in FIGS. 13 and 14A, the minimum inner diameter ID of the winding of the winding portion 31 k is the outer diameter of the large-
[0076]
The distance p between the large-
[0077]
Although FIG. 14A shows an example of a single winding, in order to further improve the heat exchange capacity of the winding portion 31k, as shown in FIG. It is good also as composition wound only.
[0078]
(Swirled winding part)
As shown in FIGS. 15 and 16A, the maximum outer diameter OD and the minimum inner diameter ID of the winding of the winding portion 61k are the outer diameter of the large-
[0079]
The distance p between the large-
[0080]
FIGS. 15 and 16 (a) show an example in which two spiral winding portions 61k are formed and stacked in two layers, but the number of winding portions 61k may be one, or may be one. In order to further improve the heat exchange capacity of the portion 61k, three or more layers may be formed. In the case of two or more winding portions 61k, the transition portion 61i of each winding portion 61k may be continuously wound so that the next winding portion 61k overlaps in the vertical direction as shown in FIG. Then, the ends of the respective winding portions may be joined directly (by brazing or the like) or by using a connection pipe or the like so that the next winding portion has the same plane shape.
[0081]
In order to enhance the heat insulation of the fitting portion between the large-
[0082]
As shown in FIGS. 2 to 6, in the composite
[0083]
As a method of filling the resin into the minute gaps, the resin 5 in a flowing state (see FIG. 11C) is filled with three or four
[0084]
Further, the resin 5 (see FIG. 11 (c)) protruding from each of the three or four
[0085]
Examples of the type of the resin 5 (see FIG. 11C) include polyethylene glycol (PEG) and organic-inorganic hybrid ceramics (organic modified silicate material, so-called ceramer, etc.). Organic-inorganic hybrid ceramics have both inorganic and organic properties because the inorganic portion is networked by being bound by an organic polymer or oligomer. Therefore, it is possible to follow the thermal expansion and contraction of the base material due to the temperature difference in the heat exchanger or the cooling / heating cycle while having a dense and excellent strength.
[0086]
These resins 5 (see FIG. 11C) can be used after being diluted to a desired concentration with an appropriate solvent such as water or an organic solvent. Although the resin 5 is not particularly limited to the above, it has fluidity at a temperature around room temperature, its curing temperature is 200 ° C. or less, and the corrosion resistance, the stress corrosion cracking resistance, the nest resistance of the large-
[0087]
Further, in the composite heat transfer tube of the present invention, as shown in FIGS. 2 to 6, the thickness of the
[0088]
The value of t / T affects the ease of fitting the large-
[0089]
Therefore, when pressure is applied to the inside of the large-
[0090]
The composite
[0091]
The characteristics required as a composite heat transfer tube are as follows: (1) The large-diameter tube and the small-diameter tube have excellent thermal conductivity of each tube, and can efficiently exchange heat between the heat medium flowing inside the large-diameter tube and the small-diameter tube; (2) The large-diameter pipe and the small-diameter pipe are excellent in corrosion resistance in various use atmospheres; (3) The large-diameter pipe and the small-diameter pipe are excellent in plastic workability such as fitting and bending; (5) The large-diameter pipe and the small-diameter pipe have a predetermined pressure resistance, and the like.
As the material of the large-diameter pipe and the small-diameter pipe satisfying these characteristics (1) to (5), alloy number C1101 specified in JIS H3300 widely used as a heat exchanger tube for a heat exchanger of an air conditioner, a large air conditioner or the like. Of oxygen-free copper, and any of alloy dephosphorized copper of C1201 and C1220 are preferred.
[0092]
Further, as the material for the composite heat transfer tube of the present invention, it is not necessary to limit to only the above-mentioned material, and when a pressure resistance is required in addition to the heat conductivity, copper or a copper alloy specified in JIS 3300, for example, A copper alloy not specified in JIS H3300 in which one or more selected from elements such as Fe, P, Ni, Co, Mn, Sn, Si, Mg, Ag, and Al are contained in a total of several percent or less in Cu. Can be used.
[0093]
In particular, when corrosion resistance and pressure resistance are required, Cu-Ni alloys such as alloy numbers C7060, C7100, and C7150 specified in JIS 3300, Ti or Ti alloy, stainless steel, and the like can be used. When weight reduction is required, it is also possible to select an aluminum or aluminum alloy having predetermined characteristics in consideration of characteristics such as corrosion resistance, strength, and workability.
[0094]
Further, as shown in FIG. 1, in the composite heat transfer tube of the present invention, it is preferable that the outer diameter of the large-diameter tube at both ends is the same as the outer diameter of the large-diameter tube in the portion where the small-diameter tube is fitted. . Here, the outer diameter of the large diameter pipe at the fitting portion is the outer diameter of the large diameter pipe measured without the groove. With such a configuration, the cross-sectional area of the large-diameter tube in the portion where the small-diameter tube is fitted is smaller than the end portions, and the flow rate of the heat medium flowing through this portion does not decrease. It is possible to improve. Further, it is possible to manufacture a composite heat transfer tube using a large-diameter tube having an outer diameter smaller than that of the composite heat transfer tube of
[0095]
Next, a method for manufacturing the composite heat transfer tube of the present invention will be described. The manufacturing method of the present invention includes a groove forming step, an annealing step, and a rolling fitting step.
(1) Groove forming step
As shown in FIGS. 7, 8 (a) and 8 (b), three or four
[0096]
(pin)
The
[0097]
Further, since the
[0098]
From such a point, the material of the
[0099]
(Method of forming grooves)
The three or four
[0100]
The pressing force of each
[0101]
Further, since the processing of each
[0102]
(2) Annealing process
In a large diameter pipe having a groove formed on the outer surface, a processed portion (groove) is work-hardened. In this state, when a rolling fitting step described later shown in FIGS. 9, 10A and 10B is performed (when each
[0103]
When the material of the large-diameter pipe is oxygen-free copper or phosphorous deoxidized copper, the lubricating oil used in the groove forming step is degreased to have a tensile strength of 200 to 300 N / mm. 2 It is desirable to perform annealing so that the elongation becomes 30% or more. Further, in order to perform bending with a small bending radius on a composite heat transfer tube manufactured by fitting a small-diameter tube, the average crystal grain size in a section parallel to the tube axis of the large-diameter tube after annealing is preferably 30 μm or less (preferably 20 μm or less). ) Is advantageous because cracking due to bending is suppressed. In the case of other materials, it is preferable to perform annealing so that the elongation of the large-diameter pipe after annealing is 30% or more.
[0104]
Further, the annealing apparatus is not particularly limited, such as continuous annealing using a high-frequency induction heating furnace or a batch type furnace. However, the atmosphere may be adjusted so that a thick oxide film is not formed on the surface of the large-
[0105]
(3) Rolling fitting process
As shown in FIGS. 9, 10 (a) and 10 (b), three or four small-
[0106]
Further, it is preferable to use an appropriate lubricant for the rolling fitting and to remove the lubricating oil attached after the fitting is completed. Further, this rolling fitting may be performed a plurality of times. Then, before rolling by the rolling rolls 16, 16, an auxiliary roll or a die (not shown) for pushing each small-
[0107]
Further, in the cross section including the roll shafts of the rolling rolls 16, 16, a portion in contact with the large-
[0108]
Further, according to the manufacturing method of the present invention, as shown in FIGS. 8 and 10, the large-
[0109]
(Tempering of large diameter pipe before groove processing)
The large-
[0110]
The large-
[0111]
In addition, in addition to the above conditions, a 0.2% proof stress (σ 0.2 ) And tensile strength (σ B ) And the ratio (σ 0.2 / Σ B ) Of 0.80 or more and elongation of 5 to 40% is more preferably used.
[0112]
(Tempering of small diameter pipe to be fitted)
0.2% proof stress of 200N / mm in tube axis direction 2 It is preferable to use the small-
[0113]
In addition, in addition to the above conditions, a 0.2% proof stress (σ 0.2 ) And tensile strength (σ B ) And the ratio (σ 0.2 / Σ B ) Is more preferably 0.70 or more.
[0114]
Further, as shown in FIGS. 13 to 16, after the rolling fitting step, the manufacturing method of the present invention is configured such that the large-
[0115]
In the winding process, a cylindrical drum (not shown) is used to form the spiral winding portions 31k, 41k, and 51k, and a conical drum (not shown) is used to form the spiral winding portions 61k and 71k. (Not shown), the large-
[0116]
As shown in FIGS. 4, 5 and 6, when three or four small-
[0117]
In the tube expanding step, the tube ends of the large-
[0118]
In the annealing step, the winding portions 31k, 41k, 51k, 61k, and 71k are wound around the large-
[0119]
By this annealing, the stresses of the large-
[0120]
If the material of the large-
[0121]
Further, another manufacturing method of the present invention will be described. Another manufacturing method includes a groove portion forming step, an annealing step, a resin applying step, a rolling fitting step, and a resin curing step.
[0122]
(Groove forming step) This is performed in the same manner as in the above-described manufacturing method.
(Annealing step) This is performed in the same manner as in the above-mentioned manufacturing method.
(Resin coating process)
An appropriate resin 5 is selected from the above-mentioned resins 5 such as polyethylene glycol and organic-inorganic hybrid ceramics, and adjusted to an appropriate viscosity. This resin 5 is fitted to at least a part of the surface of each of the three or four
[0123]
(Rolling fitting process)
Before the resin 5 is cured, each small-
[0124]
(Resin curing process)
The composite
[0125]
Further, similarly to the manufacturing method, after the rolling fitting step, a winding step of winding the
[0126]
Next, an example of use of the composite heat transfer tube of the present invention will be described with reference to FIG. FIG. 12 shows a
[0127]
In the composite
[0128]
Also, water is flowed through the large-
[0129]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be specifically described with reference to examples.
(First Embodiment) Embodiments 1 to 6
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, t / T is changed in six stages shown in Table 3, and the large-diameter pipe is separated by 120 ° in the circumferential direction of the cross section orthogonal to the pipe axis (positions at equal intervals in the cross section orthogonal to the pipe axis). Each of four composite heat transfer tubes (Examples 1 to 6) in which three small-diameter tubes were fitted was manufactured.
[0130]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Table 1 was used for the large diameter pipe. As the material of the large-diameter tube, phosphorous deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300 was used. Further, the
[0131]
Further, in this embodiment, t / T described later was changed by changing the pressing load of the pin. Further, by moving the large-
[0132]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. The large-diameter pipe after annealing softens and has a tensile strength of 240 to 249 N / mm. 2 , 0.2% proof stress is 73-78N / mm 2 The elongation was 48 to 49.5% and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 23 to 27 μm.
[0133]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
Table 1 was used for the small diameter pipe. As the material of the small-diameter tube, phosphorous deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300 was used. As shown in FIG. 10 (b), three small-
[0134]
(2) Evaluation items
For one of the four composite heat transfer tubes prepared above, a groove of 5000 mm in length was cut into 500 mm pieces to make 10 samples, and the t / T, heat transfer performance, and bending workability were investigated. did. The pressure resistance was investigated using the remaining three pieces.
(2-1) t / T
As shown in FIG. 2, t is the thickness t1, t2, t3 of the
[0135]
(2-2) Heat transfer performance
Evaluation is made based on the state of close contact between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe in the groove. With respect to the ten samples cut into the above-mentioned 500 mm each, the adhesion state between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe in the groove was observed with an optical microscope at nine pipe axis orthogonal cross sections except both ends. Table 3 shows the results. In addition, when the gap between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is small and small, the heat transfer performance is excellent (「), and when the gap is not large, the heat transfer performance is good (△). In addition, those having a large number of generated gaps were evaluated as “X” having poor heat transfer performance.
[0136]
(2-3) Bendability
The bending workability was evaluated by a bending test. The bending test was performed using the sample cut to the length of 500 mm. The sample was bent in a U-shape along a bending jig having a radius of 30 mm, and it was evaluated whether the small-diameter pipe was removed from the large-diameter pipe. In addition, as shown in FIG. 2, in the cross section orthogonal to the tube axis of the composite
[0137]
(2-4) Compressive strength
Water was filled into the large-diameter tube of the uncut composite heat transfer tube and gradually pressurized with a hand pump, and the pressure at which the small-diameter tube began to separate from the large-diameter tube was read with a Bourdon tube gauge. Evaluation was performed using the average value of n = 3, and the results are shown in Table 3.
[0138]
[Table 1]
[0139]
[Table 2]
[0140]
[Table 3]
[0141]
(3) Evaluation results
In the first embodiment, since the t / T is smaller than the
[0142]
In Examples 2 to 5, heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance were all excellent.
In the sixth embodiment, the t / T is larger than the
[0143]
From these results, it is understood that t / T is preferably in the range of 0.3 to 0.7 in order to satisfy all of the heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance.
[0144]
(Second Embodiment) Embodiments 7 and 8
(1) Preparation of composite heat transfer tube
According to the following procedure, t / T was the same as in Examples 1 and 3, and one composite heat transfer tube in which a large-diameter pipe and a small-diameter pipe were fitted via a resin was manufactured one by one. 7 and Example 8.
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
The procedure for forming the large-diameter pipe, pins and grooves used is the same as in the first embodiment.
[0145]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
This is the same as the first embodiment.
[0146]
(1-3) Application of resin
Polyethylene glycol was used as the resin. The resin was diluted with water to a concentration that would be easy to apply. Further, in order to check the presence of the resin in the groove, the resin was colored with blue ink and applied to the groove formed in the large-diameter tube.
[0147]
(1-4) Fitting of small diameter pipe
The small diameter pipe used is the same as in the first embodiment. Then, a small-diameter pipe was fitted in the same manner as in the first embodiment, and excess resin extruded from the groove was wiped off.
[0148]
(1-5) Curing of resin
The large-diameter tube fitted with the small-diameter tube was placed in a furnace at 200 ° C. maintained in a non-oxidizing atmosphere, heated for a predetermined time (0.5 hour), and the resin was cured to obtain a composite heat transfer tube.
[0149]
(2) Evaluation items
The t / T, the heat transfer performance, and the bending workability were evaluated in the same manner as in the first example, and the results are shown in Table 4.
[0150]
[Table 4]
[0151]
(3) Evaluation results
In the composite heat transfer tube of Example 1, it was observed that a gap was formed at a position corresponding to the groove bottom. In the composite heat transfer tube of the seventh embodiment having the same value of t / T as that of the first embodiment, the portion where the gap exists is filled with the resin, and the large-diameter tube and the small-diameter tube adhere directly or by resin. ing. For this reason, the heat transfer performance was excellent. In addition, the bending workability was good even when the resin was present.
[0152]
The composite heat transfer tube of Example 3 had small and small gaps. In the composite heat transfer tube of Example 8 having the same value of t / T as that of Example 3, it was confirmed that the resin was also present in the minute gap portion, and the heat transfer performance was excellent. . Further, similarly to Example 7, even in the presence of the resin, the bending workability was good.
[0153]
From these results, the presence of the resin between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe eliminates the air layer that becomes the thermal resistance and reduces the thermal resistance, resulting in excellent heat transfer performance. It was found that there was no adverse effect on bending workability.
[0154]
(Third Embodiment) Embodiments 9 to 11
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, three composite heat transfer tubes having the same t / T as in Example 8 but having a large-diameter tube and a small-diameter tube fitted via a different resin (ceramic) from Example 8 were manufactured and implemented. Examples 9 to 11 were used.
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
The procedure for forming the large-diameter pipe, pins and grooves used is the same as in the first embodiment.
[0155]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
This is the same as the first embodiment.
[0156]
(1-3) Application of resin (ceramics)
As a resin (ceramics) to be applied, a glassware HPC7506 solution manufactured by JSR (a density of 1.5 × 10 3 kg / m 3 )It was used. When this ceramic is cured by heating, it becomes an organic-inorganic hybrid ceramic. Then, the HPC7506 solution was diluted to an appropriate concentration with a solvent, and the diluted solution was applied to the groove of the large-diameter tube. 2
[0157]
(1-4) Fitting of small diameter pipe
The small diameter pipe used is the same as in the first embodiment. Then, a small-diameter tube was fitted in the same manner as in the first embodiment, and excess resin (ceramics) extruded from the fitting portion was wiped off.
(1-5) Curing of resin (ceramics)
The large-diameter pipe fitted with the small-diameter pipe was charged into a 100 ° C. furnace maintained in a non-oxidizing atmosphere, and the resin (ceramics) was cured to obtain a composite heat transfer pipe.
[0158]
(2) Evaluation items
The t / T, the heat transfer performance, and the bending workability were evaluated in the same manner as in the first example, and the results are shown in Table 5.
[0159]
[Table 5]
[0160]
(3) Evaluation results
As shown in Table 5, in any of the composite heat transfer tubes of Examples 9 to 11, a fine gap between the small-diameter tube and the large-diameter tube has a ceramic layer or metal oxide particles (metal particles). ) Is present, and there is no air layer serving as thermal resistance. As a result, the heat resistance is reduced, and the heat transfer performance is excellent. Also, it was found that the bending workability was not adversely affected.
[0161]
(Fourth Embodiment)
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, as shown in Table 7, t / T is changed in four steps, and three small-diameter pipes are fitted at positions 60 ° apart in the pipe circumferential direction in a cross section orthogonal to the pipe axis of the large-diameter pipe. Four composite heat transfer tubes (Examples 12 to 15) were manufactured.
[0162]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Table 8 was used for the large diameter tube. As the material of the large-diameter tube, phosphorous deoxidized copper of alloy number C1201 specified in JIS H3300 was used. The pins shown in Table 6 were used for forming the grooves. 8B, the position of the
[0163]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. After annealing, the large-diameter pipe softens and has a tensile strength of 243 to 250 N / mm. 2 , 0.2% proof stress is 78-81N / mm 2 The elongation was 51 to 53%, and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 23 to 25 μm.
[0164]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
Table 8 was used for the small diameter tube. As the material of the small-diameter tube, phosphorous deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300 was used. Three small-diameter pipes were each lightly fitted into three grooves formed in the large-diameter pipe, and were passed through a rolling roll so that the three small-diameter pipes hit the upper roll. Thus, a composite heat transfer tube in which three small-diameter tubes were fitted at positions separated by 60 ° in the circumferential direction of the large-diameter tube in a section orthogonal to the tube axis was produced.
[0165]
(2) Evaluation items
For one of the four composite heat transfer tubes prepared above, a groove having a length of 8000 mm was cut into 800 mm pieces to prepare 10 samples, and t / T, heat transfer performance, and bending workability were investigated. . The pressure resistance was investigated using the remaining three pieces.
(2-1) t / T
As shown in FIG. 3, t is the thickness t1, t2 of the
[0166]
(2-2) Heat transfer performance
Evaluation is made based on the state of close contact between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe in the groove. In the ten samples cut at 800 mm intervals, the adhesion between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe in the groove was observed with an optical microscope at nine pipe axis cross sections except for both ends. Table 7 shows the results. In addition, when the gap between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is small and small, the heat transfer performance is excellent (「), and when the gap is not large, the heat transfer performance is good (△). In addition, those having a large number of generated gaps were evaluated as “X” having poor heat transfer performance.
[0167]
(2-3) Bendability
The bending workability was evaluated by a bending test. The bending test was performed using the sample cut to the length of 800 mm. The sample was bent in a U-shape along a bending jig having a radius of 60 mm, and it was evaluated whether or not the small-diameter pipe was removed from the large-diameter pipe. As shown in FIG. 3, in the cross section orthogonal to the tube axis of the composite
[0168]
(2-4) Compressive strength
Same as the method of the first embodiment. Table 7 shows the results.
[0169]
[Table 6]
[0170]
[Table 7]
[0171]
[Table 8]
[0172]
(3) Evaluation results
As shown in Table 7, in Example 12, the t / T was smaller than the other samples, and the groove formed in the large-diameter pipe became deeper. Was good. Then, a gap was formed at a position corresponding to the groove bottom, but the gap was not large and the heat transfer performance was good. In addition, the thickness of the large-diameter pipe at the groove bottom is reduced, so that the pressure resistance is lower than that of other samples.
[0173]
Example 13 and Example 14 were excellent in heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance.
[0174]
In Example 15, the t / T was larger than the other samples, and the groove formed in the large-diameter tube became shallower. Although the state of adhesion was good, gaps were formed in other parts. The gap was not large, and the heat transfer performance was good. In Example 15, although the fitting force was small, even when the small-diameter pipe was bent so as to come to the inner side surface of the bend in the bending cross section, none of the small-diameter pipes separated from the composite heat transfer pipe.
[0175]
(Fifth Embodiment)
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, three small-diameter pipes were fitted at positions 120 ° apart from each other in the pipe circumferential direction of the large-diameter pipe made of a copper alloy in the pipe-circumferential cross-section (positions at equal intervals in the pipe-axis cross-section). Four composite heat transfer tubes (Example 16) were produced.
[0176]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Same as the first embodiment. However, the large-diameter pipe used was that shown in Table 9, and the material used was a copper alloy of 0.65% by mass Sn, 0.027% by mass P, 0.35% by mass Zn, and the balance Cu.
[0177]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. The large-diameter pipe after annealing softens and has a tensile strength of 322 N / mm 2 , 0.2% proof stress is 128N / mm 2 The elongation was 43% and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 15 μm.
[0178]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
The small-diameter pipes shown in Table 1 were used, and the fitting method was the same as in the first embodiment.
[0179]
(2) Evaluation items
Same as the first embodiment. Table 10 shows the results.
(3) Evaluation results
As shown in Table 10, the composite heat transfer tube of Example 16 had excellent heat transfer performance and bending workability. In addition, since the alloy pipe was used for the large-diameter pipe, the pressure resistance was significantly improved as compared with the composite heat transfer pipe of Example 4 having substantially the same t / T.
[0180]
[Table 9]
[0181]
[Table 10]
[0182]
(Sixth Embodiment) Embodiment 17
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, aluminum alloy tubes or aluminum tubes having the materials and mechanical properties shown in Table 11 were used as the large-diameter tube and the small-diameter tube. One fitted composite heat transfer tube (Example 17) was produced.
[0183]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Same as the first embodiment. However, the thing of Table 11 was used for the large diameter pipe, and the material used the Al-Mg type alloy of alloy number A5052 prescribed | regulated to JISH4000.
[0184]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. After annealing, the large-diameter pipe softens and has a tensile strength of 187 N / mm. 2 , 0.2% proof stress is 87N / mm 2 , The growth was 31%.
[0185]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
Same as the first embodiment. However, the small-diameter pipe used was that shown in Table 11, and the material used was pure aluminum of alloy number A1100 specified in JIS H4000.
[0186]
(2) Evaluation items
Same as the first embodiment. However, the withstand voltage test was not evaluated. Table 12 shows the results.
[0187]
[Table 11]
[0188]
[Table 12]
[0189]
(3) Evaluation results
As shown in Table 12, the composite heat transfer tube of Example 17 had excellent heat transfer performance and bending workability.
[0190]
(Seventh embodiment) Embodiment 18
(1) Preparation of composite heat transfer tube
According to the following procedure, four composite heat transfer tubes (Example 18) in which three small-diameter tubes were fitted to the large-diameter tube using the inner grooved tube as the large-diameter tube were produced.
[0191]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Same as the first embodiment. However, the large-diameter pipe used was that shown in Table 13, and the material used was phosphorous deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300. The inner surface used had a lead angle of 25 °, 55 grooves, a groove depth of 0.23 mm, and a crest angle of 30 °.
[0192]
(2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. After annealing, the large-diameter pipe softens and has a tensile strength of 227 N / mm. 2 , 0.2% proof stress is 70N / mm 2 The elongation was 49% and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 20 μm.
[0193]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
The small-diameter pipes shown in Table 1 were used, and the fitting method was the same as in the first embodiment.
(2) Evaluation items
Same as the first embodiment. Table 14 shows the results.
[0194]
[Table 13]
[0195]
[Table 14]
[0196]
(3) Evaluation results
As shown in Table 14, Example 18 was excellent in heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance.
[0197]
(Eighth embodiment) Examples 19 to 27, Comparative Example 1, Comparative Example 2
(1) Preparation of composite heat transfer tube
A composite heat transfer tube (Examples 19 to 27) in which three small diameter tubes having a specific 0.2% proof stress are fitted to a large diameter tube having a specific 0.2% proof stress by the following procedure. Produced. Further, composite heat transfer tubes (Comparative Example 1, Comparative Example 2) using large-diameter tubes that were not subjected to annealing were also manufactured.
[0198]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Same as the first embodiment. However, the large-diameter pipe used in Table 15 was used, and as the material thereof, phosphorus deoxidized copper of alloy number C1201 specified in JIS H3300 was used, and the total length was 5,200 mm. Also, the pins used in Table 16 were used, and the movement of the large-diameter pipe was designated as No. D1-No. D4 was performed 4 times (5000 mm × 4), D5 was performed 6 times (5000 mm × 6), and a groove was formed in a portion excluding the tube end of 100 mm. Then, in Table 15, No. The grooves were formed in four D3 large-diameter tubes and two in other large-diameter tubes. Table 17 shows the results of the groove formation.
[0199]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
Two large-diameter pipes (No. D1 to No. D5 in Table 15) each having a groove were degreased and annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. The large-diameter pipe after annealing softens and has a tensile strength of 208 to 250 N / mm. 2 , 0.2% proof stress 56-77N / mm 2 The elongation was 49 to 53% and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 20 to 30 μm. Then, in Table 15, No. The other two pieces of D3 were not annealed.
[0200]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
Two types (Nos. S1 and S2) shown in Table 18 were used for the small diameter pipe, and the material thereof was phosphorus deoxidized copper of alloy number C1201 specified in JIS H3300. Then, the annealed No. No. D1 to D5 large-diameter pipes and No. Three small-diameter pipes of two types (Nos. S1 and S2) are each lightly fitted into the three grooves formed in the large-diameter pipe D3, and passed through a rolling roll as in the first embodiment. As a result, a composite heat transfer tube was manufactured in which three small diameter tubes were fitted at equidistant positions in the cross section orthogonal to the tube axis of the large diameter tube.
[0201]
(3) Evaluation items
Same as the first embodiment. However, excluding bending workability and pressure strength. Table 19 shows the results.
[0202]
[Table 15]
[0203]
[Table 16]
[0204]
[Table 17]
[0205]
[Table 18]
[0206]
[Table 19]
[0207]
(4) Evaluation results
As shown in Table 19, in Example 19, since the 0.2% proof stress of the large-diameter pipe was small, the portion other than the portion where the pin hit when the groove was formed was easily deformed, and the width was wide (a shape close to a V-shape). Was formed. However, when the small-diameter tube was fitted, the gap generated in the portion other than the projection of the large-diameter tube was not large, and the heat transfer performance was good. Also, in Example 20 using a soft small-diameter tube (S2), the small-diameter tube was deformed by rolling, but the generated gap was not large and the heat transfer performance was good.
[0208]
In Example 21, Example 23, and Example 25, since a hard small-diameter pipe (S1) was fitted, there was little generation of a gap, and the heat transfer performance was excellent. In Example 22 and Example 24, since a small-diameter tube (S2), which was soft, was fitted, the small-diameter tube was deformed by rolling, but the generated gap was not large and the heat transfer performance was good. Met.
[0209]
In Examples 26 and 27, since the large-diameter pipe was hard, it took time to form the groove. However, as in Examples 21 to 25, the generated gap was not large, and the heat transfer performance was good. there were.
[0210]
In Comparative Example 1 and Comparative Example 2, since the large-diameter pipe was not annealed, the small-diameter pipe was fitted to the large-diameter pipe in a hard state, and the small-diameter pipe was hard to enter the groove of the large-diameter pipe. The tube projection was not sufficiently covered with the small diameter tube. Therefore, many large gaps were formed at the bottom of the groove, and the heat transfer performance was poor.
[0211]
From the above description, as a large diameter pipe before forming a groove on the outer surface of the pipe, 0.2% proof stress σ in the pipe axis direction 0.2 Is 200 to 370 N / mm 2 And a 0.2% proof stress σ as a small-diameter tube. 0.2 Is 200 N / mm 2 It can be seen that it is preferable to use the above.
[0212]
(Ninth Embodiment) Embodiments 28 to 33
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, t / T is changed in six stages shown in Table 21, and the large-diameter pipes are separated by 90 ° in the circumferential direction of the pipe axis orthogonal cross section (positions at equal intervals in the pipe axis orthogonal cross section). Each of four composite heat transfer tubes (Examples 28 to 33) in which four small-diameter tubes were fitted was manufactured.
[0213]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Table 20 was used for the large diameter pipe. As the material of the large-diameter tube, phosphorous deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300 was used. Further, the
[0214]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
Same as the first embodiment. Tensile strength after annealing is 220-236N / mm 2 , 0.2% proof stress is 71-74N / mm 2 The elongation was 50 to 51.5% and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 22 to 25 μm.
[0215]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
Table 20 was used for the small diameter pipe. As the material of the small-diameter tube, phosphorous deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300 was used. As shown in FIG. 10 (a), four small-
[0216]
(2) Evaluation items
For one of the four composite heat transfer tubes prepared above, a groove of 5000 mm in length was cut into 500 mm pieces to make 10 samples, and the t / T, heat transfer performance, and bending workability were investigated. did. The pressure resistance was investigated using the remaining three pieces.
(2-1) t / T
As shown in FIG. 5, t is the thickness of the
[0219]
(2-2) Heat transfer performance
Same as the first embodiment. The results are shown in Table 21.
[0218]
(2-3) Bendability
Same as the first embodiment. The results are shown in Table 21.
[0219]
(2-4) Compressive strength
Same as the first embodiment. The results are shown in Table 21.
[0220]
[Table 20]
[0221]
[Table 21]
[0222]
(3) Evaluation results
In Example 28, since t / T was smaller than other Examples 29 to 33 and the groove formed in the large-diameter pipe became deeper, the
[0223]
Examples 29 to 32 were excellent in heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance.
In Example 33, since t / T is larger than other Examples 28 to 32 and the groove formed in the large diameter pipe is shallower, the large diameter pipe 2 (
[0224]
From these results, it is understood that t / T is preferably in the range of 0.3 to 0.7 in order to satisfy all of the heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance.
[0225]
(Tenth embodiment) Embodiments 34 and 35
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the same procedure as in the second embodiment, t / T is the same as in Examples 28 and 30 of Table 21, and a composite heat transfer tube in which a large-diameter tube and a small-diameter tube are fitted via a resin is 1 for each. These were manufactured one by one, and were referred to as Example 34 and Example 35, respectively.
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
The procedure for forming the large-diameter pipe, pins and grooves used is the same as in the ninth embodiment.
[0226]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
This is the same as the ninth embodiment.
[0227]
(1-3) Application of resin
Same as the second embodiment.
[0228]
(1-4) Fitting of small diameter pipe
The used small diameter pipe is the same as that of the ninth embodiment. Then, similarly to the ninth embodiment, a small-diameter pipe was fitted, and excess resin extruded from the groove was wiped off.
[0229]
(1-5) Curing of resin
The large-diameter tube fitted with the small-diameter tube was placed in a furnace at 200 ° C. maintained in a non-oxidizing atmosphere, heated for a predetermined time (0.5 hour), and the resin was cured to obtain a composite heat transfer tube.
[0230]
(2) Evaluation items
The t / T, the heat transfer performance, and the bending workability were evaluated in the same manner as in the ninth example, and the results are shown in Table 22.
[0231]
[Table 22]
[0232]
(3) Evaluation results
In the composite heat transfer tube of Example 28 of the ninth example, it was observed that a gap was formed at a position corresponding to the groove bottom. In the composite heat transfer tube of Example 34 having the same value of t / T as that of Example 28, the portion where the gap existed was filled with the resin, and the large-diameter tube and the small-diameter tube were directly or in close contact with the resin. ing. For this reason, the heat transfer performance was excellent. In addition, the bending workability was good even when the resin was present.
[0233]
The composite heat transfer tube of Example 30 had fine and small gaps. Then, in the composite heat transfer tube of Example 35 having the same value of t / T as that of Example 30, it was confirmed that the resin was also present in the minute gap portion, and the heat transfer performance was excellent. . Further, as in Example 34, the bending workability was good even when the resin was present.
[0234]
From these results, the presence of the resin between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe eliminates the air layer that becomes the thermal resistance and reduces the thermal resistance, resulting in excellent heat transfer performance. It was found that there was no adverse effect on bending workability.
[0235]
(Eleventh embodiment) Embodiments 36 to 39
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, as shown in Table 24, t / T is changed in four steps, and four small-diameter pipes are fitted at positions 60 ° apart in the pipe circumferential direction in a cross section orthogonal to the pipe axis of the large-diameter pipe. Four composite heat transfer tubes (Examples 36 to 39) were manufactured.
[0236]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Table 23 was used for the large diameter pipe. As the material of the large-diameter tube, phosphorous deoxidized copper of alloy number C1201 specified in JIS H3300 was used. The pins shown in Table 6 were used for forming the grooves. 8A, the position of the
[0237]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. After annealing, the large-diameter pipe softens and has a tensile strength of 245 to 250 N / mm. 2 , 0.2% proof stress is 79-81N / mm 2 The elongation was 51 to 53%, and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 21 to 23 μm.
[0238]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
Table 23 was used for the small diameter pipe. As the material of the small-diameter tube, phosphorous deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300 was used. Four small-diameter pipes were lightly fitted into four grooves formed in the large-diameter pipe, respectively, and were passed through a rolling roll so that the four small-diameter pipes hit the upper roll. As a result, a composite heat transfer tube in which four small-diameter tubes were fitted at positions separated by 60 ° in the circumferential direction of the large-diameter tube in a section orthogonal to the tube axis was produced.
[0239]
(2) Evaluation items
For one of the four composite heat transfer tubes prepared above, a groove having a length of 8000 mm was cut into 800 mm pieces to prepare 10 samples, and t / T, heat transfer performance, and bending workability were investigated. . The pressure resistance was investigated using the remaining three pieces.
(2-1) t / T
As shown in FIG. 6, t is the
[0240]
(2-2) Heat transfer performance
Same as the fourth embodiment. Table 24 shows the results.
[0241]
(2-3) Bendability
Same as the fourth embodiment. Table 24 shows the results.
[0242]
(2-4) Compressive strength
Same as the method of the first embodiment. Table 24 shows the results.
[0243]
[Table 23]
[0244]
[Table 24]
[0245]
(3) Evaluation results
As shown in Table 24, in Example 36, the t / T was smaller than the other samples, and the groove formed in the large-diameter pipe became deeper. Was good. Then, a gap was formed at a position corresponding to the groove bottom, but the gap was not large and the heat transfer performance was good. In addition, the thickness of the large-diameter pipe at the groove bottom is reduced, so that the pressure resistance is lower than that of other samples.
[0246]
Example 37 and Example 38 were excellent in heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance.
[0247]
In Example 39, the t / T was larger than the other samples, and the groove formed in the large-diameter pipe became shallower, so that the contact length between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe in the groove was shorter, and Although the state of adhesion was good, gaps were formed in other parts. The gap was not large, and the heat transfer performance was good. In Example 39, although the fitting force was small, even when the small-diameter pipe was bent so as to come to the inner side surface of the bend in the bending cross section, none of the small-diameter pipes came off the composite heat transfer pipe.
[0248]
(Twelfth embodiment) Embodiment 40
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, four small-diameter pipes were fitted at 90 ° apart in the pipe circumferential direction of the large-diameter pipe made of a copper alloy in the pipe circumferential direction (positions at equal intervals in the pipe-axis orthogonal cross section). Four composite heat transfer tubes (Example 40) were produced.
[0249]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Same as the ninth embodiment. However, the large diameter pipe used was that of Table 25, and the material used was a copper alloy of 0.65 mass% Sn, 0.027 mass% P, 0.35 mass% Zn, and the balance Cu.
[0250]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. After annealing, the large-diameter pipe softens and has a tensile strength of 311 N / mm. 2 , 0.2% proof stress is 113N / mm 2 The elongation was 45% and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 15 μm.
[0251]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
The small diameter pipes shown in Table 20 are used, and the fitting method is the same as in the ninth embodiment.
[0252]
(2) Evaluation items
Same as the ninth embodiment. The results are shown in Table 26.
(3) Evaluation results
As shown in Table 26, the composite heat transfer tube of Example 40 was excellent in both heat transfer performance and bending workability. Further, since a high-strength alloy tube was used for the large-diameter tube, the pressure resistance was significantly improved as compared with the composite heat transfer tube of Example 31 having substantially the same t / T.
[0253]
[Table 25]
[0254]
[Table 26]
[0255]
(Thirteenth embodiment)
(1) Preparation of composite heat transfer tube
A composite heat transfer tube (Example 41) in which four small-diameter tubes are fitted at equal intervals in the circumferential direction of the large-diameter tube using an inner grooved tube as the large-diameter tube by the following procedure. This was produced.
[0256]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Same as the ninth embodiment. However, the large-diameter pipe used in Table 27 was used, and the material used was phosphorous deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300. The inner surface used had a lead angle of 35 °, a number of grooves of 55, a groove depth of 0.23 mm, and a peak angle of 25 °.
[0257]
(2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
Same as the ninth embodiment. After annealing, the large-diameter pipe softens and has a tensile strength of 220 N / mm 2 , 0.2% proof stress is 69N / mm 2 The elongation was 50% and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 18 μm.
[0258]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
The small diameter pipes shown in Table 20 are used, and the fitting method is the same as in the ninth embodiment.
(2) Evaluation items
Same as the ninth embodiment. The results are shown in Table 28.
[0259]
[Table 27]
[0260]
[Table 28]
[0261]
(3) Evaluation results
As shown in Table 28, Example 41 was excellent in heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance.
[0262]
(Fourteenth Embodiment) Examples 42 to 51, Comparative Example 3, and Comparative Example 4
(1) Preparation of composite heat transfer tube
A composite heat transfer tube (Example 42 to Example 51) in which four small-diameter tubes having a specific 0.2% proof stress are fitted to a large-diameter tube having a specific 0.2% proof stress by the following procedure. Produced. Further, composite heat transfer tubes (Comparative Examples 3 and 4) using large-diameter tubes that were not subjected to annealing were also manufactured.
[0263]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
Same as the ninth embodiment. However, the large-diameter pipe used in Table 29 was used, and the material used was phosphorus-deoxidized copper of alloy number C1220 specified in JIS H3300 and had a total length of 5200 mm. Further, the pins used in Table 30 were used. D6-No. In D9, the measurement was performed four times (5000 mm × 4). D10 alone was performed 6 times (5000 mm × 6), and a groove was formed in a portion excluding the tube end of 100 mm. Then, in Table 29, No. Grooves were formed in four D8 large-diameter tubes and two in other large-diameter tubes. Table 31 shows the results of the groove formation.
[0264]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
Two large-diameter pipes (No. D6 to No. D10 in Table 29) each having a groove were degreased and annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. The large-diameter pipe after annealing softens and has a tensile strength of 210 to 243 N / mm. 2 , 0.2% proof stress 66-83N / mm 2 The elongation was 49 to 51% and the average crystal grain size (section parallel to the tube axis) was 20 to 30 μm. Then, in Table 29, No. The other two pieces of D8 were not annealed.
[0265]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
Two types (No. S1 and S2) shown in Table 18 were used for the small diameter pipe. Then, the annealed No. D6-No. No. D10 having a large diameter tube and No. Four small-diameter pipes of two types (Nos. S1 and S2) are each lightly fitted into the four grooves formed in the large-diameter pipe of D8, and are passed through rolling rolls as in the ninth embodiment. As a result, a composite heat transfer tube in which four small-diameter pipes were fitted at equally spaced positions in a cross section orthogonal to the pipe axis of the large-diameter pipe was manufactured.
[0266]
(3) Evaluation items
Same as the ninth embodiment. However, excluding bending workability and pressure strength. The results are shown in Table 32.
[0267]
[Table 29]
[0268]
[Table 30]
[0269]
[Table 31]
[0270]
[Table 32]
[0271]
(4) Evaluation results
As shown in Table 32, in Example 42, since the 0.2% proof stress of the large-diameter pipe was small, the portion other than the pin hit when forming the groove portion was easily deformed, and the width was wide (a shape close to a V-shape). Was formed. However, when the small-diameter tube was fitted, the gap generated in the portion other than the projection of the large-diameter tube was not large, and the heat transfer performance was good. Further, in Example 43 using a soft small-diameter tube (S2), the small-diameter tube was deformed by rolling, but the generated gap was not large and the heat transfer performance was good.
[0272]
In Example 44, Example 46, and Example 48, since hard materials (S1) were fitted as small-diameter tubes, there was little generation of gaps, and the heat transfer performance was excellent. In Example 45, Example 47, and Example 49, the small-diameter pipes were deformed by rolling because the soft ones (S2) were fitted. However, the generated gap was not large and the transmission was not large. Thermal performance was good.
[0273]
In Example 50 and Example 51, the large-diameter pipe was hard, so it took time to form the groove. However, similarly to Examples 44 to 49, the generated gap was not large, and the heat transfer performance was good. there were.
[0274]
In Comparative Examples 3 and 4, since the large-diameter pipe was not annealed, the small-diameter pipe was fitted into the large-diameter pipe in a hard state, and the small-diameter pipe was hard to enter the groove of the large-diameter pipe. However, the projection of the large-diameter pipe over the small-diameter pipe was not sufficient. Therefore, many large gaps were formed at the bottom of the groove, and the heat transfer performance was poor.
[0275]
From the above, it is assumed that the large-diameter pipe before forming the groove on the outer surface of the pipe has a 0.2% proof stress σ in the pipe axis direction. 0.2 Is 200 to 370 N / mm 2 And a 0.2% proof stress σ as a small-diameter tube. 0.2 Is 200 N / mm 2 It can be seen that it is preferable to use the above.
[0276]
(Fifteenth embodiment)
(1) Preparation of composite heat transfer tube
According to the following procedure, two composite heat transfer tubes fitted to each other while changing the contact length between the small-diameter tube and the large-diameter tube in the cross section orthogonal to the tube axis were produced, and Examples 52 to 54 were respectively obtained.
[0277]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
The used large-diameter tube and pins are the same as in the ninth embodiment. The depth of the groove was changed to three types by changing the pressing load and the number of movements of the pin, and the shallowest groove was used in Example 52 and the deepest groove was used in Example 54.
[0278]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
This is the same as the ninth embodiment.
[0279]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
The used small diameter pipe is the same as that of the ninth embodiment. Then, a small-diameter tube was fitted in the same manner as in the ninth embodiment.
[0280]
(2) Evaluation items
The contact length of the small diameter tube at the fitting portion was measured by the method described in the embodiment of the present invention. The heat transfer property and bending workability were evaluated in the same manner as in the ninth example, and the results are shown in Table 33.
[0281]
[Table 33]
[0282]
(3) Evaluation results
As shown in Table 33, the contact length of the small-diameter tube was 52% for the composite heat transfer tube of Example 52, 55% for the composite heat transfer tube of Example 53, and 80% for the composite heat transfer tube of Example 54. In each of the composite heat transfer tubes of Examples 52 to 54, the small-diameter tube was correctly fitted to the large-diameter tube, and the heat transfer performance was excellent. In the bending workability, in Example 52 in which the contact length of the small-diameter pipe was less than 55%, two of the five small-diameter pipes came off, but the contact length of the small-diameter pipe was 55% or more. The composite heat transfer tubes of Example 53 and Example 53 had good results. This shows that the contact length of the small-diameter pipe is preferably 55% or more especially when bending is performed.
[0283]
Further, a tube expansion test was performed using the remaining one composite heat transfer tube of each example. When a tube expansion plug was inserted into both ends of the composite heat transfer tube of Example 52 to expand the inner diameter to 12 mm, the tube could be expanded without cracks. The composite heat transfer tubes of Examples 52 and 53 were annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. When expanded pipes were inserted into both ends of the annealed composite heat transfer tube so as to have an inner diameter of 12 mm, it was possible to expand the pipe without cracks.
[0284]
(Sixteenth Embodiment) Embodiments 55 to 62
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, as shown in Table 35, t / T was changed in five steps, and four small-diameter pipes were fitted at 90 ° apart in a cross section orthogonal to the pipe axis of the large-diameter pipe. As shown, four composite heat transfer tubes (Example 55 to Example 62) each having a spirally wound portion were produced.
[0285]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
The procedure for forming the pins and grooves used was the same as in the ninth embodiment. The large-diameter tube used in Table 34 was used.
[0286]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. The large-diameter pipe after annealing softens and has a tensile strength of 231 to 238 N / mm. 2 , 0.2% proof stress 71-75 N / mm 2 The elongation was 50 to 52%, and the average crystal grain size was 25 μm (section parallel to the tube axis).
[0287]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
Table 34 is used for four small diameter pipes. The fitting method was the same as in the ninth embodiment.
[0288]
(1-4) Annealing of a large-diameter pipe fitted with a small-diameter pipe
In Example 58 and Example 59, after fitting four small diameter tubes, annealing was performed under the same conditions as in (1-2). The large diameter pipe has a tensile strength of 228N / mm by annealing. 2 , 0.2% proof stress 70N / mm 2 ,
[0289]
(1-5) Production of spiral composite heat transfer tube
As shown in FIG. 13 and FIG. 14 (a), the four samples manufactured in the above (1-3) and (1-4) were used to fit four small-diameter pipes into a large-diameter pipe. Was spirally wound 20 times, and four spiral composite heat transfer tubes each having a minimum inner diameter ID of 150 mm and an average pitch p of about 13.0 mm were produced. In addition, about Example 56, Example 58, and Example 60, annealing was performed on the same conditions as (1-2).
[0290]
(2) Evaluation items
One of the four spiral composite heat transfer tubes prepared above was examined for t / T and heat transfer performance, and for the remaining three tubes, detachment and pressure resistance of the small diameter tube were investigated.
(2-1) t / T
Test pieces were cut out from the end, the center, and the lower end of the spirally wound composite heat transfer tube, and evaluated in the same manner as in the ninth embodiment. The results are shown in Table 35.
[0291]
(2-2) Heat transfer performance
Evaluation was performed in the same manner as in the ninth example, and the results are shown in Table 35.
[0292]
(2-3) Separation of small diameter pipe
The external appearance of the helical composite heat transfer tube was visually observed, and it was observed whether there was a portion where the small-diameter tube was floating or a portion where the small-diameter tube was detached from the large-diameter tube (n = 3).
[0293]
(2-4) Compressive strength
After the evaluation of the above (2-3), the large-diameter pipe was filled with water and gradually pressurized with a hand pump, and the pressure at which the small-diameter pipe began to separate from the large-diameter pipe was read with a Bourdon pipe gauge. Evaluation was performed with an average value of n = 3.
[0294]
[Table 34]
[0295]
[Table 35]
[0296]
(3) Evaluation results
In Example 55, the t / T was smaller than that of the other samples, and the groove formed in the large-diameter pipe was deeper. Was good. Then, it was observed that a rather large gap was formed at a position corresponding to the groove bottom, but the heat transfer performance was good. In addition, since the large diameter pipe had a large margin, the small diameter pipe did not separate even when it was formed into a coil. Since the thickness of the large-diameter tube in the fitting portion was reduced, the pressure resistance was lower by about 10 to 30% than in the other samples.
[0297]
In Examples 56 to 61, the heat transfer performance was good because the small-diameter pipe was firmly fitted to the large-diameter pipe with and without annealing, and in all cases, detachment of the small-diameter pipe occurred. Did not. Also, the pressure resistance was good.
[0298]
In the samples subjected to annealing 2 of Examples 56, 58 and 60, the residual stress was removed by annealing after winding, and the large-diameter pipe and the small-diameter pipe were in close contact with each other. It was higher than the sample.
[0299]
In Example 62, the t / T was larger than the other samples, and the groove formed in the large-diameter pipe became shallower. It became shorter, and the close contact condition of the groove edge of the large-diameter pipe was good, but in other parts, a part with a large gap was observed. However, the heat transfer performance was good. In addition, since the fitting force of the large-diameter tube to the small-diameter tube is small, the small-diameter tube is slightly detached when spirally wound, and the pressure resistance tends to decrease.
[0300]
From these results, it can be seen that t / T is preferably in the range of 0.3 to 0.7 in order to satisfy all of the heat transfer performance, bending workability, and pressure resistance. In addition, it has been found that annealing after the spiral winding is effective in detaching the small-diameter tube by the spiral winding, and increasing the heat transfer performance and the pressure resistance.
[0301]
(Seventeenth embodiment) Embodiment 63
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, a spiral composite heat transfer tube (Example 63) in which four small-diameter tubes are fitted at positions 60 ° apart in a cross section perpendicular to the tube axis of a large-diameter tube and a spiral winding portion is formed. ) Was prepared.
[0302]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
The thing of Table 36 was used for the large diameter pipe. Also, the pins shown in Table 37 were used to form the grooves, the upper pins were left in the same position, and the lower pins were placed 60 ° away from the upper pins in the circumferential direction of the large diameter pipe. Was used. Other points are the same as the sixteenth embodiment.
[0303]
[Table 36]
[0304]
[Table 37]
[0305]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
The large-diameter pipe in which the groove was formed was degreased, and the large-diameter pipe was annealed in a non-oxidizing atmosphere using a roller hearth furnace. The large-diameter pipe after annealing softens and has a tensile strength of 250 N / mm 2 , 0.2% proof stress 81N / mm 2 ,
[0306]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
The four small diameter pipes were passed through a rolling roll so as to hit the upper roll. Other points are the same as the sixteenth embodiment.
[0307]
(1-4) Annealing of a large-diameter pipe fitted with a small-diameter pipe
No annealing was performed.
[0308]
(1-5) Production of spiral composite heat transfer tube
Same as the sixteenth embodiment. Annealing after winding was also performed. Then, the produced spiral composite heat transfer tube was evaluated in the same manner as in the sixteenth embodiment. The strength was also good.
[0309]
(Eighteenth Embodiment) Embodiment 64
(1) Preparation of composite heat transfer tube
A composite heat transfer tube in which two spiral winding portions are formed as shown in FIG. 15 in which a small-diameter tube is fitted at a position 90 ° away from the cross section of the large-diameter tube orthogonal to the tube axis by the following procedure. Example 64) was produced.
[0310]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
This is the same as the sixteenth embodiment.
[0311]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
This is the same as the sixteenth embodiment.
[0312]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
This is the same as the sixteenth embodiment.
[0313]
(1-4) Annealing of a large-diameter pipe fitted with a small-diameter pipe
No annealing was performed.
[0314]
(1-5) Preparation of spiral composite heat transfer tube
As shown in FIGS. 15 and 16 (a), the sample manufactured in the above (1-3) was spirally wound over the entire length of the portion where four small diameter tubes were fitted to the large diameter tube. Is wound 7 times in the direction in which the diameter is reduced, and subsequently, it is wound 7 times in the direction in which the winding diameter is increased. The minimum inner diameter ID of the two winding portions 61k and 61k is 200 mm, and the maximum outer diameter OD is 400 mm. A spiral composite heat transfer tube having an average pitch p of about 13.5 mm was produced. After the winding, annealing was performed under the same conditions as in the sixteenth example.
[0315]
(2) Evaluation items (heat transfer performance)
Water at a flow rate of 1.16 kg / min is passed through the large-diameter tube of the prepared spiral composite heat transfer tube, and CO of 11.5 MPa is passed through four small-diameter tubes. 2 Shed. This spiral heat transfer tube was operated for 1000 hours, and the heat transfer performance was confirmed by observing a change in the outlet temperature (large-diameter tube) with respect to the inlet temperature (large-diameter tube) during operation.
[0316]
(3) Evaluation results
The outlet temperature to the inlet temperature of the large diameter pipe was always stable.
[0317]
(19th embodiment) Embodiment 65
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, a composite heat transfer tube in which four small-diameter tubes are fitted at 90 ° apart in a cross section orthogonal to the tube axis of a large-diameter tube and in which one spiral winding portion is formed (Example 65) ) Was prepared.
[0318]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
This is the same as the eighteenth embodiment. The length of the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is 5000 mm.
[0319]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
This is the same as the eighteenth embodiment.
[0320]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
This is the same as the eighteenth embodiment.
[0321]
(1-4) Annealing of a large-diameter pipe fitted with a small-diameter pipe
No annealing was performed.
[0322]
(1-5) Preparation of spiral composite heat transfer tube
As in the eighteenth embodiment, the entire length of the portion where the four small-diameter pipes are fitted to the large-diameter pipe is spirally wound seven times in the direction in which the winding diameter is reduced. A spiral composite heat transfer tube having an inner diameter of 200 mm, a maximum outer diameter of 400 mm, and an average pitch p of about 13.5 mm was produced. After the winding, annealing was performed under the same conditions as in the eighteenth example.
[0323]
(2) Evaluation items (heat transfer performance)
This is the same as the eighteenth embodiment.
[0324]
(3) Evaluation results
The outlet temperature to the inlet temperature of the large diameter pipe was always stable.
[0325]
(Twentieth embodiment) Embodiment 66
(1) Preparation of composite heat transfer tube
In the following procedure, two spiral composite heat transfer tubes similar to those of the nineteenth example were produced, and a composite heat transfer tube (Example 66) in which each was combined was produced.
[0326]
(1-1) Groove formation of large diameter pipe
This is the same as the nineteenth embodiment.
[0327]
(1-2) Annealing of large-diameter pipe with groove formed
This is the same as the nineteenth embodiment.
[0328]
(1-3) Fitting of small diameter pipe
This is the same as the nineteenth embodiment.
[0329]
(1-4) Annealing of a large-diameter pipe fitted with a small-diameter pipe
No annealing was performed.
[0330]
(1-5) Preparation of spiral composite heat transfer tube
Same as the nineteenth embodiment. One end of the two spiral composite heat transfer tubes thus produced was expanded, and the respective tube ends were joined by brazing.
[0331]
(2) Evaluation items (heat transfer performance)
This is the same as the nineteenth embodiment.
[0332]
(3) Evaluation results
The outlet temperature to the inlet temperature of the large diameter pipe was always stable. Also, no leakage from the brazing portion was observed.
[0333]
【The invention's effect】
With the configuration as described above, the composite heat transfer tube according to the present invention has the following excellent effects.
[0334]
In the composite heat transfer tube, since the surface of the groove of the large-diameter pipe adjacent to the small-diameter pipe has an arc equal to the arc of the small-diameter pipe, the small-diameter pipe adheres closely to the surface of the groove, and the large-diameter pipe and the small-diameter pipe As the area of the contact portion (heat transfer area) increases, the large-diameter pipe and the small-diameter pipe are firmly fitted, and the small-diameter pipe can be prevented from coming off (falling out) from the groove. Therefore, the composite heat transfer tube can be appropriately manufactured to have a desired heat transfer performance, and is excellent in productivity. Further, since the composite heat transfer tube has good heat transfer performance, sufficient pressure resistance, and can be manufactured compactly, a device such as a refrigerator using the composite heat transfer tube can be downsized.
[0335]
In addition, the composite heat transfer tube further improves the heat transfer performance at the fitting portion by setting the outer diameters at both ends of the large-diameter tube and the small-diameter tube to a predetermined range, is reduced in size, and is incorporated in the heat exchanger. At this time, it is easy to join with another pipe, which is convenient.
[0336]
Further, in the composite heat transfer tube, when the large-diameter tube has a thickness t at a groove bottom portion of the groove portion fitted with the small-diameter tube and a thickness T at a portion not fitted with the small-diameter tube, t By using a composite heat transfer tube having a value of / T of 0.3 to 0.7, it becomes easy to fit a small-diameter tube to a large-diameter tube, and a gap is formed between the large-diameter tube and the small-diameter tube. In addition, the groove bottom portion has a stress that can oppose the internal pressure of the large-diameter pipe, and the fitted small-diameter pipe is prevented from being pushed out of the large-diameter pipe. Further, the heat transfer performance between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is improved, the bending workability can be improved, and the arc of the surface of the groove of the large-diameter pipe is made equal to the arc of the small-diameter pipe. Can be formed.
[0337]
In addition, the composite heat transfer tube is designed such that the apparent contact length between the small-diameter tube and the large-diameter tube in the cross section orthogonal to the tube axis of the composite heat transfer tube is equal to or longer than a predetermined length, so that the heat transfer between the large-diameter tube and the small-diameter tube is performed. The area is further increased, and the fitting force of the small diameter tube to the large diameter tube is further increased.
[0338]
In addition, the heat transfer efficiency between the large-diameter pipe and the small-diameter pipe is improved by arranging the small-diameter pipes at equidistant positions in a cross section orthogonal to the pipe axis of the large-diameter pipe. The groove for accommodating the small-diameter pipe is formed, and the workability of rolling-fitting the small-diameter pipe into the groove is good and the productivity is excellent.
[0339]
In addition, the heat transfer area of the large-diameter tube is further increased by forming a groove or a spiral groove parallel to the tube axis direction on the inner surface of the large-diameter tube. Thermal performance is further improved.
[0340]
Further, the composite heat transfer tube, by fitting the large-diameter tube and the small-diameter tube via the resin, the resin is also filled in the fine gap formed in the contact surface of the large-diameter tube and the small-diameter tube, The air with low thermal conductivity is eliminated from the contact surface, the degree of adhesion between the large-diameter tube and the small-diameter tube is further increased, the heat transfer area between the large-diameter tube and the small-diameter tube is further increased, and the small-diameter tube is connected to the large-diameter tube. The fitting force further increases.
[0341]
In addition, the composite heat transfer tube has a large-diameter tube and / or a small-diameter tube made of oxygen-free copper or phosphorous deoxidized copper, so that the large-diameter tube and / or the small-diameter tube have thermal conductivity, corrosion resistance, and plastic workability. (Fitting, bending, etc.), the pressure resistance is improved, and the solderability when incorporated into a heat exchanger is improved.
[0342]
Further, by forming the spirally or spirally wound portion of the composite heat transfer tube, the heat transfer area of the composite heat transfer tube increases and the composite heat transfer tube can be made compact. This facilitates installation in the heat exchanger and allows stable installation. Further, by making the outer shape of the large-diameter pipe in a cross section orthogonal to the pipe axis into a flat circle, the composite heat transfer pipe becomes more compact.
[0343]
Further, the method for manufacturing a composite heat transfer tube includes a groove forming step, an annealing step, a rolling fitting step, or further includes a resin applying step and a resin curing step, or further includes a winding step, a pipe expanding step In addition, since at least one of the annealing step and the annealing step is performed, it is possible to appropriately manufacture a compact composite heat transfer tube that has sufficient heat-resistant performance and sufficient pressure resistance.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1A is a side view of a composite heat transfer tube including three small-diameter tubes according to the present invention, and FIG. 1B is a partially cut perspective view showing an end of a groove.
FIG. 2 is a cross-sectional view of the composite heat transfer tube according to the present invention taken along line XX of FIG.
FIG. 3 is a cross-sectional view of another embodiment of the composite heat transfer tube of FIG. 2 according to the present invention.
FIG. 4 is a cross-sectional view of another embodiment of the composite heat transfer tube of FIG. 2 according to the present invention.
FIG. 5 is a cross-sectional view of a composite heat transfer tube including four small-diameter tubes according to the present invention.
FIG. 6 is a cross-sectional view of another embodiment of the composite heat transfer tube of FIG. 5 according to the present invention.
FIG. 7 is a tube axis parallel cross-sectional view schematically illustrating a groove forming step of forming grooves at four locations of a large-diameter tube of the composite heat transfer tube according to the present invention.
FIGS. 8A and 8B are cross-sectional views schematically showing a groove forming step of forming a groove in a large-diameter tube of the composite heat transfer tube according to the present invention, wherein FIG. This is the case where there are three grooves.
FIG. 9 is a tube axis parallel sectional view schematically showing a rolling fitting step of fitting four small diameter pipes to a large diameter pipe of the composite heat transfer tube according to the present invention.
FIG. 10 is a sectional view orthogonal to the tube axis schematically showing a rolling fitting step of fitting a small-diameter tube to a large-diameter tube of the composite heat transfer tube according to the present invention, where (a) shows a case where there are four small-diameter tubes; (B) is a case where there are three small diameter tubes.
11A is a partially enlarged cross-sectional view of a groove before fitting of FIG. 10 according to the present invention, FIG. 11B is a partially enlarged cross-sectional view of a groove after fitting, and FIG. It is a partial expanded sectional view of the embodiment.
FIG. 12 is an explanatory view schematically showing a configuration of a heat exchanger using the composite heat transfer tube according to the present invention.
FIG. 13 is a perspective view of a composite heat transfer tube having a spirally wound portion according to the present invention.
14A is a cross-sectional view taken along line CC of FIG. 7, and FIGS. 14B and 14C are partial cross-sectional views showing another embodiment of FIG.
FIG. 15 is a perspective view of a composite heat transfer tube having a spirally wound portion according to the present invention.
16A is a cross-sectional view taken along the line DD of FIG. 9, and FIG. 16B is a partial cross-sectional view showing another embodiment of FIG.
FIG. 17 is a cross-sectional view of a conventional composite heat transfer tube.
18 (a) and (b) are cross-sectional views of another conventional composite heat transfer tube.
FIG. 19 is a perspective view of another conventional composite heat transfer tube.
[Explanation of symbols]
1, 31, 41, 51, 61, 71 composite heat transfer tubes
2, 52, 72 Large diameter pipe
2a Both ends
3, 53, 73 Small diameter pipe
3a Both ends
3A arc
4 groove
4a Projection
4b Groove bottom
4A surface
5 resin
31k, 41k, 51k, 61k, 71k winding part
61i, 71i transition section
10 pins
11 Groove processing part
11a Tip of grooved part
12 gripper
13 Joint
14 Shoulder
15 sleeve
16 Rolling roll
20 heat exchanger
21 Compressor
22 radiator
23 Cooler
A Part other than compounding section B
B Composite section
θ angle
d outer diameter
ID Minimum inner diameter
OD maximum outer diameter
H height
a Tube outer diameter
p interval
Claims (17)
前記小径管と隣接する前記溝部の表面は、この表面に接触する前記小径管の円弧と等しい円弧を有することを特徴とする複合伝熱管。A large-diameter pipe having three or four grooves formed in at least a part of the outer surface excluding both ends in parallel with the pipe axis direction, and a diameter smaller than the diameter of the large-diameter pipe; A composite heat transfer tube including three or four small-diameter tubes each fitted in the groove portion,
The composite heat transfer tube according to claim 1, wherein a surface of the groove adjacent to the small-diameter pipe has an arc equal to an arc of the small-diameter pipe in contact with the surface.
前記大径管の両端部を除く外表面にピンを押し当て、前記ピンを固定して前記大径管を管軸方向に平行に移動させることにより、または前記大径管を固定して前記ピンを前記大径管の管軸方向に平行に移動させることにより、前記大径管の外表面の3箇所または4箇所に管軸方向に伸びる溝部を形成する溝部形成工程と、
前記溝部が形成された大径管を焼鈍する焼鈍工程と、
3本また4本の前記溝部に3本または4本の小径管を載置し、圧延ロールにより圧延して前記溝部に前記小径管を埋め込み、前記焼鈍された大径管と前記小径管を嵌合する圧延嵌合工程とを、含むことを特徴とする複合伝熱管の製造方法。A method for manufacturing a composite heat transfer tube comprising: a large-diameter pipe, and three or four small-diameter pipes fitted on an outer surface of the large-diameter pipe in parallel with a pipe axis direction of the large-diameter pipe,
A pin is pressed against an outer surface of the large-diameter pipe except for both ends, and the pin is fixed to move the large-diameter pipe in parallel with the pipe axis direction, or the pin is fixed to the large-diameter pipe. A groove portion forming a groove extending in the tube axis direction at three or four locations on the outer surface of the large diameter tube by moving
An annealing step of annealing the large-diameter pipe in which the groove is formed,
Three or four small-diameter pipes are placed in three or four of the grooves, and the small-diameter pipes are rolled by rolling rolls to embed the small-diameter pipes in the grooves, and the annealed large-diameter pipes and the small-diameter pipes are fitted. A method of manufacturing a composite heat transfer tube, comprising:
前記大径管は、その外表面に前記溝部を形成する前の管軸方向の0.2%耐力が200〜370N/mm2であり、
前記小径管は、管軸方向の0.2%耐力が200N/mm2以上であることを特徴とする請求項12に記載の複合伝熱管の製造方法。At least one of the large-diameter tube and the small-diameter tube is a copper tube or a copper alloy tube made of oxygen-free copper or phosphorus deoxidized copper,
The large-diameter pipe has a 0.2% proof stress of 200 to 370 N / mm 2 in the pipe axis direction before forming the groove on the outer surface thereof,
The small diameter tube, method for producing a composite heat transfer tube according to claim 12, 0.2% proof stress in the tube axis direction is equal to or is 200 N / mm 2 or more.
前記大径管の両端部を除く外表面にピンを押し当て、前記ピンを固定して前記大径管を管軸方向に平行に移動させることにより、または前記大径管を固定して前記ピンを前記大径管の管軸方向に平行に移動させることにより、前記大径管の外表面の3箇所または4箇所に管軸方向に伸びる溝部を形成する溝部形成工程と、
前記溝部が形成された大径管を焼鈍する焼鈍工程と、
3本または4本の前記溝部の表面の少なくとも一部に樹脂を塗布する、または3本または4本の前記小径管の外表面の前記焼鈍が施された大径管と嵌合する部分の少なくとも一部に樹脂を塗布する樹脂塗布工程と、
3本または4本の前記溝部に3本または4本の小径管を載置し、圧延ロールにより圧延して前記溝部に前記小径管を埋め込み、前記樹脂を介して前記焼鈍された大径管と前記小径管を嵌合する圧延嵌合工程と、
前記圧延嵌合された複合伝熱管を前記樹脂の硬化温度まで昇温し、所定時間加熱し、前記樹脂を硬化させる樹脂硬化工程とを、含むことを特徴とする複合伝熱管の製造方法。A method for manufacturing a composite heat transfer tube comprising: a large-diameter pipe, and three or four small-diameter pipes fitted on an outer surface of the large-diameter pipe in parallel with a pipe axis direction of the large-diameter pipe,
A pin is pressed against an outer surface of the large-diameter pipe except for both ends, and the pin is fixed to move the large-diameter pipe in parallel with the pipe axis direction, or the pin is fixed to the large-diameter pipe. A groove portion forming a groove extending in the tube axis direction at three or four locations on the outer surface of the large diameter tube by moving
An annealing step of annealing the large-diameter pipe in which the groove is formed,
A resin is applied to at least a part of the surface of the three or four grooves, or at least a part of the outer surface of the three or four small diameter pipes that fits with the annealed large diameter pipe. A resin application step of applying resin to a part,
Three or four small-diameter pipes are placed in three or four of the grooves, and the small-diameter pipes are rolled by rolling rolls to embed the small-diameter pipes in the grooves, and the large-diameter pipes annealed via the resin. Rolling fitting step of fitting the small diameter pipe,
Heating the rolled-fit composite heat transfer tube to a curing temperature of the resin, heating the resin for a predetermined time, and curing the resin.
前記大径管は、その外表面に前記溝部を形成する前の管軸方向の0.2%耐力が200〜370N/mm2であり、
前記小径管は、管軸方向の0.2%耐力が200N/mm2以上であることを特徴とする請求項15に記載の複合伝熱管の製造方法。At least one of the large-diameter tube and the small-diameter tube is a copper tube or a copper alloy tube made of oxygen-free copper or phosphorus deoxidized copper,
The large-diameter pipe has a 0.2% proof stress of 200 to 370 N / mm 2 in the pipe axis direction before forming the groove on the outer surface thereof,
The small diameter tube, method for producing a composite heat transfer tube according to claim 15, 0.2% proof stress in the tube axis direction is equal to or is 200 N / mm 2 or more.
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