JP2004346864A - 廃熱回収用膨張機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は廃熱回収用膨張機関に関し、例えば各種廃熱を利用して発電を行うのに最適であり、以て環境を破壊することなく地球環境の保護に貢献し、コージエネ、温泉、バイオマス等の利用設備の総合的な効率の向上を図ろうとするものである。
【解決手段】外周に螺旋部2,2′が噛合可能に形成されケース1内に回転可能に設ける2軸軸流形のロータ3,3′とを備えた廃熱回収用膨張機関EXPにおいて、ケース1は、外周略中央部の周方向一側に流体Wをケース内の左右方向へ分配可能な注入口4が設けられ、ケースの周方向他側には流体が排出される排出口5が設けられ、螺旋部2,2′は注入口を基準として左右対称に形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】外周に螺旋部2,2′が噛合可能に形成されケース1内に回転可能に設ける2軸軸流形のロータ3,3′とを備えた廃熱回収用膨張機関EXPにおいて、ケース1は、外周略中央部の周方向一側に流体Wをケース内の左右方向へ分配可能な注入口4が設けられ、ケースの周方向他側には流体が排出される排出口5が設けられ、螺旋部2,2′は注入口を基準として左右対称に形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は廃熱回収用膨張機関に関し、例えば各種廃熱を利用して発電を行うのに最適であり、以て環境を破壊することなく地球環境の保護に貢献し、コージエネ、温泉、バイオマス等の利用設備の総合的な効率の向上を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境を保護する観点から、環境を保全し、省エネルギー化し、高効率で運転が行える等が最重要課題として提唱されている。
ところで、従来、高温高圧の流体を例えば大気圧付近まで減圧する時の流体が流れる流速を利用することによりエネルギー変換し、動力を回収するようにした膨張機関としては、ケース内に設けるタービンを流体圧により回転させることにより動力を得る形式のタービン形と、ケース内に軸装するロータの外周に形成した螺旋部に沿って流体を注入することにより流体の流体圧によりロータを回転させて動力を得るスクリュウ形とが考えられる。
【0003】
このうち、タービン形の膨張機関として、ケース内に設けたタービンを例えば電気自動車に使用する燃料電池から発生する高温、高圧の廃熱を廃棄するのではなく有効活用することにより、その流速を利用することにより回転させて動力を得るようにしたものがある(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
また、スクリュウ形の収縮機関として、例えば螺旋部を外周に形成する2軸軸流形のロータをケース内に回転可能に設けたものがあった(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−45444号公報(第1−6頁、図1−図6)
【特許文献2】
特開2002−310083号公報(第2頁、[0002]、図12)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の上記従来のタービン形の膨張機関は、流体が流れる流速を利用することによりタービンを回動し、動力を得るために、大容量(流速大)の動力を得る場合に適するものであったが、タービンを回転させるための流体が低温下の廃熱の場合には、タービンを回動することにより動力を得るのには効率的にも不向きであり、コスト高になっていた。すなわち、上記従来のタービン形の膨張機関は、流体が高温、高圧、大容量でないと効率が低いものであった。しかも、タービンを回転させるための流体が、ガス以外の場合では、タービンが高速回転するため、タービンが回転むらを生じたり、しかも媒体であるアンモニアやフロンが液化した状態では、例えばタービンブレードが損傷され易いという不都合を生じていた。
【0007】
また、スクリュウ形の膨張機関では、流体が低温、低圧、小容量で有る場合の運転には適しているが、タービンを回転するために流体がガス以外のものをケース内に流入した場合にも構造的に堅牢であった。しかし、大容量にすることは不向きであり、流体を高圧にしても、ロータの外周に形成した螺旋部特有のスラスト圧が、ロータに発生するため、効率が低下したり、ロータを装着した軸や該軸を回転可能に支持するための固定軸受が摩耗により損傷され易く、寿命が短命になり、部品の交換等の保守・点検も容易には行えない。また、動力伝達面としてロータの外周面に形成される螺旋部は高精度に製作、加工されなければならなかったり、ケース内に異物が混入するのに対して構造的に脆弱であったり、高温、高圧ガスがケース内に流入することにより油切れを生じて螺旋部に損傷を生じたり、騒音や振動を生じ易かった。従って、温度や圧力の制御、管理が容易には行えず、保守・点検が容易には行えずに多くの費用がかかり、コスト高になっていた。
また、膨張機関自体のケース、ケースとタービン、タービン相互間等の部品の製作精度が高いことが要求されるので、製作および組立が容易には行えず、製作コストは高価になっていた。
【0008】
本発明は上記従来の欠点を解決し、タービン形とスクリュウ形の膨張機関の長所を採用し、流体が低温、低圧、小容量で有る場合はもとより大容量である場合にスラスト圧の発生を抑えて軸自体や該軸を支持するための固定軸受が摩耗により損傷されずに構造堅牢になって効率が良い運転が行えるとともに、また高温、高圧ガスがケース内に流入した場合にも油切れが生ぜずに螺旋部に損傷や騒音が生ぜず、さらには温度や圧力の制御・管理が容易となり、保守・点検が容易かつ確実に行え、製作コストが安価な廃熱回収用膨張機関を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明上記課題に鑑みなされ、請求項1に記載の発明は、ケースと、外周に螺旋部が噛合可能に形成され前記ケース内に回転可能に設けられる2軸軸流形のロータとを備えた廃熱回収用膨張機関において、
前記ケースは、外周略中央部の周方向一側には流体を該ケース内の左右方向へ分配可能な注入口が設けられ、前記ケースの周方向他側には流体が排出される排出口が設けられ、前記螺旋部は前記注入口を基準として左右対称に形成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ケースは、外周上下または左右に複数個に分割される分割構成体を組付可能に設けられ、該分割構成体の何れかには前記2軸に設けたロータ相互間のロータ空隙を覗き込む窓が形成されたことを特徴とするという手段を採用した。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記ロータの螺旋部は、前記注入口を略中央にして前記排出口に向かってリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、またはリード長が段階的に拡大して形成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3の何れかにおいて、前記ロータ、2軸を回転可能に支持する軸受部、該2軸の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部を収納する前記ケースの対応位置には潤滑油を供給可能な潤滑油供給口が設けられたことを特徴とするという手段を採用した。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態の具体例を説明する。
図1は本発明の廃熱回収用膨張機関の一実施形態を示す横断面図、図2は同じく縦断面図、図3は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPを適用した発電機構を示す系統図、図4は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPのPV線図である。
【0014】
図において本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPでは、ケース1と、外周に螺旋部2,2′が噛合可能に形成され前記ケース1内に軸J,J′により回転可能に設けられる2軸軸流形のロータ3,3′とを備えた廃熱回収用膨張機関である点は特許文献2に記載の上記従来のスクリュウ形の収縮機関と同様の構成である。
【0015】
しかしながら、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPでは、前記ケース1には、外周略中央部の周方向一側(図2において上側)に流体Wを該ケース1内の左右方向Yへ分配可能な注入口4が設けられ、また前記ケース1の周方向他側(図2において下側)には、ケース1の内部の左右両端に配したサイド空間部1a,1a′および該サイド空間部1a,1a′に対して下方に連通可能に設けられる通路1b,1b′を介して流体Wが排出される排出口5が設けられる。
【0016】
そして、ケース1内に回転可能に形成される前記2軸軸流形のロータ3,3′は、その外周に前記螺旋部2,2′が、前記注入口4を略中央Nとして左右対称に形成される。また、ケース1は、図には示さないが外周上下または左右に複数個に分割される分割構成体を組付可能に設けられ、該分割構成体の何れかには前記2軸に設けたロータ3,3′相互間のロータ空隙を覗き込む窓Mが形成されている。この窓Mは、図には示さない間隙ゲージを挿入する等して後記ロータ3,3′相互間の規定の間隙を確認しながら後記タイミングギヤ部8,8′の噛合状態を調整するためのものである。
【0017】
そして、2軸J,J′のロータ3,3′の外周には、注入口4を略中央Nとして左右対称に螺旋部2,2′を同軸に形成したのは、注入口4からケース1内に注入される流体Wが、螺旋部2,2′の螺旋方向に沿って分配されて流れることにより軸J,J′に対するスラスト力が相殺されるようにして2軸J,J′自体、該2軸J,J′を回転可能に支持する軸受部6,6;6,6の摩耗を防止して機械的な寿命を伸ばすためである。
また、2軸J,J′に設けるロータ3,3′相互間には5m/m程度の間隙(アロウワンス)を設けて噛合される。
【0018】
前記ロータ3,3′の螺旋部2,2′は、前記注入口4を略中央にして前記排出口5に向かってリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、または図 1および図2に示すようにリード長が段階的に(図では2段階に)拡大した小間隔螺旋部2A,2′Aと大間隔螺旋部2B,2′Bとが形成される。本実施形態では、小間隔螺旋部2A,2′Aに対する大間隔螺旋部2B,2′Bのロータ容積は、容積比に対して3〜7倍程度である。またこれらの螺旋部2,2′のねじ山は、捻れ方向が2軸とも左右の両サイドにわたり統一化されることによりケース1内に流入される流体Wの流れが円滑になるように形成されるとともに熱膨張によりロータ3,3′が膨張した場合にも軸方向の寸法変化も吸収するようにしている。
【0019】
7A,7B,7Cは前記ロータ3,3′、2軸J,J′を回転可能に支持する軸受部6,6;6,6、該2軸J,J′の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部8,8′を収納する前記ケース1の対応位置に設けられた潤滑油供給口であり、この潤滑油供給口7A,7B,7Cは潤滑油Oをフラッシングによりそれぞれ前記ロータ3,3′、2軸J,J′を回転可能に支持する軸受部6,6;6,6、該2軸J,J′の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部8,8′に供給することにより摩耗を防止し、機械的疲労を防止するとともに、ケース1内のロータ3,3′との間の5m/mの間隙に潤滑油をフラッシングにより供給されることによりロータ間隙からの洩れを少なくして容積効率を向上させている。
【0020】
また、図3は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPを適用した発電機構を示す系統図である。
図3において、20は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの後段に接続され、廃熱を利用して動力を得ることにより発電を行うための発電機である。21は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの後段に接続されたオイルセパレータであり、このオイルセパレータ21により油O′から分離される気体Gを凝縮器22にて液化し、液体ポンプP1により後段に圧送した後に蒸発器23にて加熱し、気化することにより本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPに供給することにより2軸のロータ3,3′を回転するようになっている。24は熱交換器である。
25は廃熱回収用膨張機関EXPの前段に設けられるコントロール弁である。
【0021】
本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPは以上の構成からなり、例えば各種工場、温泉などから発生されたり、自動車の内燃機関や燃料電池から発生される廃熱を利用して発電を行うのには、110℃前後の廃熱により熱交換器24により熱交換され、加熱されることによりオイルセパレータ21にて油O′と分離されたNH3またはフロン等のガスGを、オイルセパレータ21の後段に接続する凝縮器22にて液化して液体ポンプP1により後段に圧送し、さらに蒸発器23にて加熱し、気化することにより5〜8Kg/cm2程度に高圧化されたガスGを流体Wとして注入口4からケース1内に注入する。
【0022】
そして、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの2軸J,J′のロータ3,3′では、注入口4を中央としてリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、または図1、図2に示すように小間隔螺旋部2A,2′Aと大間隔螺旋部2B,2′Bとのリード長が段階的に(図では2段階に)拡大して左右対称に外周に形成された螺旋部2,2′が噛合されているので、注入口4からケース1内に流体Wとしての高圧ガスが注入されると、この高圧ガスは、2軸J,J′のロータ3,3′の先ず小間隔螺旋部2A,2′Aに回転力を付与しながら螺旋部2,2′に沿って左右に分配して流れ、その後、左右対称の小間隔螺旋部2A,2′Aに同軸に形成した大間隔螺旋部2B,2′Bへと流入する。
【0023】
この時、ケース1内に収納する2軸のロータ3,3′の外周には、ケース1の注入口4を略中央Nにして前記排出口5に向かって例えばリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、または図1、図2に示すようにリード長が段階的に(図では2段階に)左右対称の小間隔螺旋部2A,2′Aと、大間隔螺旋部2B,2′Bとの2段階よりなる螺旋部2,2′が形成されでいるので、入口7,7′から注入された潤滑油(冷凍油)は膨張ガスと一緒に出口より流出し、オイルセパレータ21にて分離され、ポンプP2にて圧送される。本オイルは断熱膨張したガスの為、冷却され高粘度となっている為、ポンプP2にて熱交換器24に移送され廃熱によって加熱され低粘度化して入口7,7′へ返送されるようになっている。このことによってロータ3,3′の螺旋部2,2′のシール性並びに機械損失の低減が図れ、もって容積効率並びに機械効率の向上をはかっている。
【0024】
また、ケース1に設けた潤滑油供給口7A,7B,7Cから2軸J,J′の軸端と、該軸J,J′を支持する軸受部6,6;6,6と、さらには2軸の軸端J,J′相互が係合するタイミングギヤ部8,8′とにそれぞれ潤滑油Oが供給されてフラッシングが行われることにより、潤滑性が発揮され、摩耗を防止して機械的な寿命を伸ばすことができるとともに騒音の発生や振動を抑制することができる。
【0025】
そして、2軸J,J′のロータ3,3′の小間隔螺旋部2A,2′Aに対する大間隔螺旋部2B,2′Bのロータ容積は、本実施形態では、容積比に対して3〜7倍程度に形成されるので、注入口4から2軸J,J′のロータ3,3′の1段目の小間隔螺旋部2A,2′Aへと左右対称に流入される高圧ガスは、回転力を2段目の大間隔螺旋部2B,2′Bに左右対称に与え、螺旋部に発生される特有のスラスト圧が左右相殺されることによりロータ3,3′を効率良く回転し、断熱膨張する。こうして、動力を得ることにより廃熱回収用膨張機関EXPの後段に接続されている発電機20を駆動し、効率良く電力を得る。
図4は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPのPV(圧力・容積)線図を示したものである。
そして、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPによれば、有効効率ηeを向上することができる。
【0026】
この際、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの効率は、注入口4を略中央Nに2軸の軸J,J′に左右対称に設けた螺旋部2,2′のうち1段目の小間隔螺旋部2A,2′Aと、2段目の大間隔螺旋部2B,2′Bとの容積比(押し除け量比)と容積効率(隙間洩れ)、機械効率(軸受の摩擦損失、タイミングギヤ部8,8′相互の噛合による摩擦損失等)に負うところが大きい。
そして、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの1段目の小間隔螺旋部2A,2′Aと、2段目の大間隔螺旋部2B,2′Bの押し除け量は、常用(絶対)圧力P1,P2の比が次式[1]になるように決定される。
【0027】
[式1]
P1/P2=V2T1/V1T2に成るように決定される。
ここに、
P1;入口絶対圧力
P2;出口絶対圧力
V1;1段目小間隔螺旋部の押し除け量
V2;2段目大間隔螺旋部の押し除け量
T1;入口絶対温度
T2;入口絶対温度
を示す。
【0028】
それから高圧ガスは、ケース1内の左右端に配設したサイド空間部1a,1 a′に臨むロータ3,3′の左右端に位置する螺旋部2,2′のリードが開いた個所に大気圧に近い状態で放出され、サイド空間部1a,1 a′および通路1b,1 b′を介して排出口5から潤滑油Oと一緒に排出される。
【0029】
このようにして排出口5から排出された潤滑油Oは、オイルセパレータ21にて気体Gと分離され、ポンプP1により位送され、熱交換器24により例えば各種工場、温泉などから発生されたり、自動車の内燃機関や燃料電池から発生される廃熱を利用して加熱され、再び廃熱回収用膨張機関EXPへと供給され、再使用されるため、エネルギーの有効利用がはかれ、しかも自然環境の保護が図れる。すなわち、潤滑油Oは入口7,7から2段目の大間隔螺旋部2B,2′Bに供給され、ロータ3,3′の螺旋部2,2′のシール性がはかれ、容積効率が向上されるとともに、潤滑油供給口7A,7B,7Cから2軸J,J′の軸端と、該軸J,J′を支持する軸受部6,6,6,6に、さらには潤滑油供給口7A,7B,7Cから2軸J,J′の軸端相互が係合するタイミングギヤ部8,8′にそれぞれ供給されてフラッシングが行われ、撹拌ロスがなく潤滑性が発揮され、摩耗を防止して機械的な寿命を伸ばすことができるとともに騒音の発生を防止することもできる。
【0030】
上記実施形態では、廃熱回収用膨張機関EXPの2軸J,J′のロータ3,3′は、注入口4を中央として図1、図2に示すように小間隔螺旋部2A,2′Aと大間隔螺旋部2B,2′Bとがリード長が段階的に(図では2段階に)拡大して左右対称に形成されるか、またはリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるかして左右対称の螺旋部2,2′が外周に形成されたものを使用したが、ロータ3,3′に形成する螺旋部2,2′は図示するものに限ることなく、3段階以上の複数段に螺旋部2,2′が段階的に形成されても良いし、リード長が順次長くなる不等ピッチに複数段が拡大座して形成されてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明の廃熱回収用膨張機関の請求項1に記載の発明は以上のように、ケースと、外周に螺旋部が噛合可能に形成され前記ケース内に回転可能に設けられる2軸軸流形のロータとを備えた廃熱回収用膨張機関において、
前記ケースは、外周略中央部の周方向一側には流体を該ケース内の左右方向へ分配可能な注入口が設けられ、前記ケースの周方向他側には流体が排出される排出口が設けられ、前記螺旋部は前記注入口を基準として左右対称に形成されることを特徴とするので、タービン形とスクリュウ形の膨張機関の長所を活かし、流体が低温、低圧、小容量で有る場合はもとより大容量である場合にスラスト圧の発生を抑えて軸自体や該軸を支持するための固定軸受が摩耗により損傷されずに構造堅牢になって効率が良い運転が行えるとともに、また高温、高圧ガスがケース内に流入した場合にも油切れが生ぜずに螺旋部に損傷や騒音が生ぜず、さらには温度や圧力の制御・管理が容易となり、保守・点検が容易かつ確実に行え、製作コストが安価になる。
【0032】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ケースは、外周上下または左右に複数個に分割される分割構成体を組付可能に設けられ、該分割構成体の何れかには前記2軸に設けたロータ相互間のロータ空隙を覗き込む窓が形成されたので、図には示さない間隙ゲージを挿入する等してロータ相互間の規定の間隙を確認しながらタイミングギヤ部の噛合状態を調整することができる。
【0033】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記ロータの螺旋部は、前記注入口を略中央にして前記排出口に向かってリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、またはリード長が段階的に拡大して形成されることを特徴とするので、潤滑油は入口から各段階の境になる螺旋部に供給されるため、ロータの螺旋部のシール性がはかれ、容積効率が向上される。
また、これらの螺旋部のねじ山は、捻れ方向が2軸とも左右の両サイドにわたり統一化されるので、ケース内に流入される流体の流れが円滑になるように形成されるるとともに熱膨張によりロータが膨張した場合にも軸方向の寸法変化も吸収することができる。
【0034】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3の何れかにおいて、前記ロータ、2軸を回転可能に支持する軸受部、該2軸の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部を収納する前記ケースの対応位置には潤滑油を供給可能な潤滑油供給口が設けられているので、潤滑油供給口から2軸の軸端と、該軸を支持する軸受部に、さらには潤滑油供給口から2軸の軸端相互が係合するタイミングギヤにそれぞれ供給されてフラッシングが行われ、撹拌ロスがなく潤滑性が発揮され、摩耗を防止して機械的な寿命を伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の廃熱回収用膨張機関の一実施形態を示す横断面図である。
【図2】図2は同じく縦断面図である。
【図3】図3は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPを適用した発電機構を示す系統図である。
【図4】図4は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPのPV線図である。
【符号の説明】
1 ケース
1a サイド空間部
1′a サイド空間部
1b 通路
1′b 通路
2 螺旋部
2′ 螺旋部
2A 小間隔螺旋部
2′A 小間隔螺旋部
2B 大間隔螺旋部
2′B 大間隔螺旋部
3 ロータ
3′ ロータ
4 注入口
5 排出口
6 軸受部
7 入口
7A 潤滑油供給口
7B 潤滑油供給口
7C 潤滑油供給口
8 タイミングギヤ部
8′ タイミングギヤ部
20 発電機
21 オイルセパレータ
22 凝縮器
23 蒸発器
24 熱交換器
EXP 廃熱回収用膨張機関
J 軸
J′ 軸
G 気体
O 潤滑油
W 流体
【発明の属する技術分野】
本発明は廃熱回収用膨張機関に関し、例えば各種廃熱を利用して発電を行うのに最適であり、以て環境を破壊することなく地球環境の保護に貢献し、コージエネ、温泉、バイオマス等の利用設備の総合的な効率の向上を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境を保護する観点から、環境を保全し、省エネルギー化し、高効率で運転が行える等が最重要課題として提唱されている。
ところで、従来、高温高圧の流体を例えば大気圧付近まで減圧する時の流体が流れる流速を利用することによりエネルギー変換し、動力を回収するようにした膨張機関としては、ケース内に設けるタービンを流体圧により回転させることにより動力を得る形式のタービン形と、ケース内に軸装するロータの外周に形成した螺旋部に沿って流体を注入することにより流体の流体圧によりロータを回転させて動力を得るスクリュウ形とが考えられる。
【0003】
このうち、タービン形の膨張機関として、ケース内に設けたタービンを例えば電気自動車に使用する燃料電池から発生する高温、高圧の廃熱を廃棄するのではなく有効活用することにより、その流速を利用することにより回転させて動力を得るようにしたものがある(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
また、スクリュウ形の収縮機関として、例えば螺旋部を外周に形成する2軸軸流形のロータをケース内に回転可能に設けたものがあった(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−45444号公報(第1−6頁、図1−図6)
【特許文献2】
特開2002−310083号公報(第2頁、[0002]、図12)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の上記従来のタービン形の膨張機関は、流体が流れる流速を利用することによりタービンを回動し、動力を得るために、大容量(流速大)の動力を得る場合に適するものであったが、タービンを回転させるための流体が低温下の廃熱の場合には、タービンを回動することにより動力を得るのには効率的にも不向きであり、コスト高になっていた。すなわち、上記従来のタービン形の膨張機関は、流体が高温、高圧、大容量でないと効率が低いものであった。しかも、タービンを回転させるための流体が、ガス以外の場合では、タービンが高速回転するため、タービンが回転むらを生じたり、しかも媒体であるアンモニアやフロンが液化した状態では、例えばタービンブレードが損傷され易いという不都合を生じていた。
【0007】
また、スクリュウ形の膨張機関では、流体が低温、低圧、小容量で有る場合の運転には適しているが、タービンを回転するために流体がガス以外のものをケース内に流入した場合にも構造的に堅牢であった。しかし、大容量にすることは不向きであり、流体を高圧にしても、ロータの外周に形成した螺旋部特有のスラスト圧が、ロータに発生するため、効率が低下したり、ロータを装着した軸や該軸を回転可能に支持するための固定軸受が摩耗により損傷され易く、寿命が短命になり、部品の交換等の保守・点検も容易には行えない。また、動力伝達面としてロータの外周面に形成される螺旋部は高精度に製作、加工されなければならなかったり、ケース内に異物が混入するのに対して構造的に脆弱であったり、高温、高圧ガスがケース内に流入することにより油切れを生じて螺旋部に損傷を生じたり、騒音や振動を生じ易かった。従って、温度や圧力の制御、管理が容易には行えず、保守・点検が容易には行えずに多くの費用がかかり、コスト高になっていた。
また、膨張機関自体のケース、ケースとタービン、タービン相互間等の部品の製作精度が高いことが要求されるので、製作および組立が容易には行えず、製作コストは高価になっていた。
【0008】
本発明は上記従来の欠点を解決し、タービン形とスクリュウ形の膨張機関の長所を採用し、流体が低温、低圧、小容量で有る場合はもとより大容量である場合にスラスト圧の発生を抑えて軸自体や該軸を支持するための固定軸受が摩耗により損傷されずに構造堅牢になって効率が良い運転が行えるとともに、また高温、高圧ガスがケース内に流入した場合にも油切れが生ぜずに螺旋部に損傷や騒音が生ぜず、さらには温度や圧力の制御・管理が容易となり、保守・点検が容易かつ確実に行え、製作コストが安価な廃熱回収用膨張機関を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明上記課題に鑑みなされ、請求項1に記載の発明は、ケースと、外周に螺旋部が噛合可能に形成され前記ケース内に回転可能に設けられる2軸軸流形のロータとを備えた廃熱回収用膨張機関において、
前記ケースは、外周略中央部の周方向一側には流体を該ケース内の左右方向へ分配可能な注入口が設けられ、前記ケースの周方向他側には流体が排出される排出口が設けられ、前記螺旋部は前記注入口を基準として左右対称に形成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ケースは、外周上下または左右に複数個に分割される分割構成体を組付可能に設けられ、該分割構成体の何れかには前記2軸に設けたロータ相互間のロータ空隙を覗き込む窓が形成されたことを特徴とするという手段を採用した。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記ロータの螺旋部は、前記注入口を略中央にして前記排出口に向かってリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、またはリード長が段階的に拡大して形成されることを特徴とするという手段を採用した。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3の何れかにおいて、前記ロータ、2軸を回転可能に支持する軸受部、該2軸の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部を収納する前記ケースの対応位置には潤滑油を供給可能な潤滑油供給口が設けられたことを特徴とするという手段を採用した。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態の具体例を説明する。
図1は本発明の廃熱回収用膨張機関の一実施形態を示す横断面図、図2は同じく縦断面図、図3は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPを適用した発電機構を示す系統図、図4は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPのPV線図である。
【0014】
図において本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPでは、ケース1と、外周に螺旋部2,2′が噛合可能に形成され前記ケース1内に軸J,J′により回転可能に設けられる2軸軸流形のロータ3,3′とを備えた廃熱回収用膨張機関である点は特許文献2に記載の上記従来のスクリュウ形の収縮機関と同様の構成である。
【0015】
しかしながら、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPでは、前記ケース1には、外周略中央部の周方向一側(図2において上側)に流体Wを該ケース1内の左右方向Yへ分配可能な注入口4が設けられ、また前記ケース1の周方向他側(図2において下側)には、ケース1の内部の左右両端に配したサイド空間部1a,1a′および該サイド空間部1a,1a′に対して下方に連通可能に設けられる通路1b,1b′を介して流体Wが排出される排出口5が設けられる。
【0016】
そして、ケース1内に回転可能に形成される前記2軸軸流形のロータ3,3′は、その外周に前記螺旋部2,2′が、前記注入口4を略中央Nとして左右対称に形成される。また、ケース1は、図には示さないが外周上下または左右に複数個に分割される分割構成体を組付可能に設けられ、該分割構成体の何れかには前記2軸に設けたロータ3,3′相互間のロータ空隙を覗き込む窓Mが形成されている。この窓Mは、図には示さない間隙ゲージを挿入する等して後記ロータ3,3′相互間の規定の間隙を確認しながら後記タイミングギヤ部8,8′の噛合状態を調整するためのものである。
【0017】
そして、2軸J,J′のロータ3,3′の外周には、注入口4を略中央Nとして左右対称に螺旋部2,2′を同軸に形成したのは、注入口4からケース1内に注入される流体Wが、螺旋部2,2′の螺旋方向に沿って分配されて流れることにより軸J,J′に対するスラスト力が相殺されるようにして2軸J,J′自体、該2軸J,J′を回転可能に支持する軸受部6,6;6,6の摩耗を防止して機械的な寿命を伸ばすためである。
また、2軸J,J′に設けるロータ3,3′相互間には5m/m程度の間隙(アロウワンス)を設けて噛合される。
【0018】
前記ロータ3,3′の螺旋部2,2′は、前記注入口4を略中央にして前記排出口5に向かってリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、または図 1および図2に示すようにリード長が段階的に(図では2段階に)拡大した小間隔螺旋部2A,2′Aと大間隔螺旋部2B,2′Bとが形成される。本実施形態では、小間隔螺旋部2A,2′Aに対する大間隔螺旋部2B,2′Bのロータ容積は、容積比に対して3〜7倍程度である。またこれらの螺旋部2,2′のねじ山は、捻れ方向が2軸とも左右の両サイドにわたり統一化されることによりケース1内に流入される流体Wの流れが円滑になるように形成されるとともに熱膨張によりロータ3,3′が膨張した場合にも軸方向の寸法変化も吸収するようにしている。
【0019】
7A,7B,7Cは前記ロータ3,3′、2軸J,J′を回転可能に支持する軸受部6,6;6,6、該2軸J,J′の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部8,8′を収納する前記ケース1の対応位置に設けられた潤滑油供給口であり、この潤滑油供給口7A,7B,7Cは潤滑油Oをフラッシングによりそれぞれ前記ロータ3,3′、2軸J,J′を回転可能に支持する軸受部6,6;6,6、該2軸J,J′の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部8,8′に供給することにより摩耗を防止し、機械的疲労を防止するとともに、ケース1内のロータ3,3′との間の5m/mの間隙に潤滑油をフラッシングにより供給されることによりロータ間隙からの洩れを少なくして容積効率を向上させている。
【0020】
また、図3は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPを適用した発電機構を示す系統図である。
図3において、20は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの後段に接続され、廃熱を利用して動力を得ることにより発電を行うための発電機である。21は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの後段に接続されたオイルセパレータであり、このオイルセパレータ21により油O′から分離される気体Gを凝縮器22にて液化し、液体ポンプP1により後段に圧送した後に蒸発器23にて加熱し、気化することにより本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPに供給することにより2軸のロータ3,3′を回転するようになっている。24は熱交換器である。
25は廃熱回収用膨張機関EXPの前段に設けられるコントロール弁である。
【0021】
本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPは以上の構成からなり、例えば各種工場、温泉などから発生されたり、自動車の内燃機関や燃料電池から発生される廃熱を利用して発電を行うのには、110℃前後の廃熱により熱交換器24により熱交換され、加熱されることによりオイルセパレータ21にて油O′と分離されたNH3またはフロン等のガスGを、オイルセパレータ21の後段に接続する凝縮器22にて液化して液体ポンプP1により後段に圧送し、さらに蒸発器23にて加熱し、気化することにより5〜8Kg/cm2程度に高圧化されたガスGを流体Wとして注入口4からケース1内に注入する。
【0022】
そして、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの2軸J,J′のロータ3,3′では、注入口4を中央としてリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、または図1、図2に示すように小間隔螺旋部2A,2′Aと大間隔螺旋部2B,2′Bとのリード長が段階的に(図では2段階に)拡大して左右対称に外周に形成された螺旋部2,2′が噛合されているので、注入口4からケース1内に流体Wとしての高圧ガスが注入されると、この高圧ガスは、2軸J,J′のロータ3,3′の先ず小間隔螺旋部2A,2′Aに回転力を付与しながら螺旋部2,2′に沿って左右に分配して流れ、その後、左右対称の小間隔螺旋部2A,2′Aに同軸に形成した大間隔螺旋部2B,2′Bへと流入する。
【0023】
この時、ケース1内に収納する2軸のロータ3,3′の外周には、ケース1の注入口4を略中央Nにして前記排出口5に向かって例えばリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、または図1、図2に示すようにリード長が段階的に(図では2段階に)左右対称の小間隔螺旋部2A,2′Aと、大間隔螺旋部2B,2′Bとの2段階よりなる螺旋部2,2′が形成されでいるので、入口7,7′から注入された潤滑油(冷凍油)は膨張ガスと一緒に出口より流出し、オイルセパレータ21にて分離され、ポンプP2にて圧送される。本オイルは断熱膨張したガスの為、冷却され高粘度となっている為、ポンプP2にて熱交換器24に移送され廃熱によって加熱され低粘度化して入口7,7′へ返送されるようになっている。このことによってロータ3,3′の螺旋部2,2′のシール性並びに機械損失の低減が図れ、もって容積効率並びに機械効率の向上をはかっている。
【0024】
また、ケース1に設けた潤滑油供給口7A,7B,7Cから2軸J,J′の軸端と、該軸J,J′を支持する軸受部6,6;6,6と、さらには2軸の軸端J,J′相互が係合するタイミングギヤ部8,8′とにそれぞれ潤滑油Oが供給されてフラッシングが行われることにより、潤滑性が発揮され、摩耗を防止して機械的な寿命を伸ばすことができるとともに騒音の発生や振動を抑制することができる。
【0025】
そして、2軸J,J′のロータ3,3′の小間隔螺旋部2A,2′Aに対する大間隔螺旋部2B,2′Bのロータ容積は、本実施形態では、容積比に対して3〜7倍程度に形成されるので、注入口4から2軸J,J′のロータ3,3′の1段目の小間隔螺旋部2A,2′Aへと左右対称に流入される高圧ガスは、回転力を2段目の大間隔螺旋部2B,2′Bに左右対称に与え、螺旋部に発生される特有のスラスト圧が左右相殺されることによりロータ3,3′を効率良く回転し、断熱膨張する。こうして、動力を得ることにより廃熱回収用膨張機関EXPの後段に接続されている発電機20を駆動し、効率良く電力を得る。
図4は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPのPV(圧力・容積)線図を示したものである。
そして、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPによれば、有効効率ηeを向上することができる。
【0026】
この際、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの効率は、注入口4を略中央Nに2軸の軸J,J′に左右対称に設けた螺旋部2,2′のうち1段目の小間隔螺旋部2A,2′Aと、2段目の大間隔螺旋部2B,2′Bとの容積比(押し除け量比)と容積効率(隙間洩れ)、機械効率(軸受の摩擦損失、タイミングギヤ部8,8′相互の噛合による摩擦損失等)に負うところが大きい。
そして、本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPの1段目の小間隔螺旋部2A,2′Aと、2段目の大間隔螺旋部2B,2′Bの押し除け量は、常用(絶対)圧力P1,P2の比が次式[1]になるように決定される。
【0027】
[式1]
P1/P2=V2T1/V1T2に成るように決定される。
ここに、
P1;入口絶対圧力
P2;出口絶対圧力
V1;1段目小間隔螺旋部の押し除け量
V2;2段目大間隔螺旋部の押し除け量
T1;入口絶対温度
T2;入口絶対温度
を示す。
【0028】
それから高圧ガスは、ケース1内の左右端に配設したサイド空間部1a,1 a′に臨むロータ3,3′の左右端に位置する螺旋部2,2′のリードが開いた個所に大気圧に近い状態で放出され、サイド空間部1a,1 a′および通路1b,1 b′を介して排出口5から潤滑油Oと一緒に排出される。
【0029】
このようにして排出口5から排出された潤滑油Oは、オイルセパレータ21にて気体Gと分離され、ポンプP1により位送され、熱交換器24により例えば各種工場、温泉などから発生されたり、自動車の内燃機関や燃料電池から発生される廃熱を利用して加熱され、再び廃熱回収用膨張機関EXPへと供給され、再使用されるため、エネルギーの有効利用がはかれ、しかも自然環境の保護が図れる。すなわち、潤滑油Oは入口7,7から2段目の大間隔螺旋部2B,2′Bに供給され、ロータ3,3′の螺旋部2,2′のシール性がはかれ、容積効率が向上されるとともに、潤滑油供給口7A,7B,7Cから2軸J,J′の軸端と、該軸J,J′を支持する軸受部6,6,6,6に、さらには潤滑油供給口7A,7B,7Cから2軸J,J′の軸端相互が係合するタイミングギヤ部8,8′にそれぞれ供給されてフラッシングが行われ、撹拌ロスがなく潤滑性が発揮され、摩耗を防止して機械的な寿命を伸ばすことができるとともに騒音の発生を防止することもできる。
【0030】
上記実施形態では、廃熱回収用膨張機関EXPの2軸J,J′のロータ3,3′は、注入口4を中央として図1、図2に示すように小間隔螺旋部2A,2′Aと大間隔螺旋部2B,2′Bとがリード長が段階的に(図では2段階に)拡大して左右対称に形成されるか、またはリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるかして左右対称の螺旋部2,2′が外周に形成されたものを使用したが、ロータ3,3′に形成する螺旋部2,2′は図示するものに限ることなく、3段階以上の複数段に螺旋部2,2′が段階的に形成されても良いし、リード長が順次長くなる不等ピッチに複数段が拡大座して形成されてもよい。
【0031】
【発明の効果】
本発明の廃熱回収用膨張機関の請求項1に記載の発明は以上のように、ケースと、外周に螺旋部が噛合可能に形成され前記ケース内に回転可能に設けられる2軸軸流形のロータとを備えた廃熱回収用膨張機関において、
前記ケースは、外周略中央部の周方向一側には流体を該ケース内の左右方向へ分配可能な注入口が設けられ、前記ケースの周方向他側には流体が排出される排出口が設けられ、前記螺旋部は前記注入口を基準として左右対称に形成されることを特徴とするので、タービン形とスクリュウ形の膨張機関の長所を活かし、流体が低温、低圧、小容量で有る場合はもとより大容量である場合にスラスト圧の発生を抑えて軸自体や該軸を支持するための固定軸受が摩耗により損傷されずに構造堅牢になって効率が良い運転が行えるとともに、また高温、高圧ガスがケース内に流入した場合にも油切れが生ぜずに螺旋部に損傷や騒音が生ぜず、さらには温度や圧力の制御・管理が容易となり、保守・点検が容易かつ確実に行え、製作コストが安価になる。
【0032】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ケースは、外周上下または左右に複数個に分割される分割構成体を組付可能に設けられ、該分割構成体の何れかには前記2軸に設けたロータ相互間のロータ空隙を覗き込む窓が形成されたので、図には示さない間隙ゲージを挿入する等してロータ相互間の規定の間隙を確認しながらタイミングギヤ部の噛合状態を調整することができる。
【0033】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、前記ロータの螺旋部は、前記注入口を略中央にして前記排出口に向かってリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、またはリード長が段階的に拡大して形成されることを特徴とするので、潤滑油は入口から各段階の境になる螺旋部に供給されるため、ロータの螺旋部のシール性がはかれ、容積効率が向上される。
また、これらの螺旋部のねじ山は、捻れ方向が2軸とも左右の両サイドにわたり統一化されるので、ケース内に流入される流体の流れが円滑になるように形成されるるとともに熱膨張によりロータが膨張した場合にも軸方向の寸法変化も吸収することができる。
【0034】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3の何れかにおいて、前記ロータ、2軸を回転可能に支持する軸受部、該2軸の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部を収納する前記ケースの対応位置には潤滑油を供給可能な潤滑油供給口が設けられているので、潤滑油供給口から2軸の軸端と、該軸を支持する軸受部に、さらには潤滑油供給口から2軸の軸端相互が係合するタイミングギヤにそれぞれ供給されてフラッシングが行われ、撹拌ロスがなく潤滑性が発揮され、摩耗を防止して機械的な寿命を伸ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の廃熱回収用膨張機関の一実施形態を示す横断面図である。
【図2】図2は同じく縦断面図である。
【図3】図3は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPを適用した発電機構を示す系統図である。
【図4】図4は本実施形態の廃熱回収用膨張機関EXPのPV線図である。
【符号の説明】
1 ケース
1a サイド空間部
1′a サイド空間部
1b 通路
1′b 通路
2 螺旋部
2′ 螺旋部
2A 小間隔螺旋部
2′A 小間隔螺旋部
2B 大間隔螺旋部
2′B 大間隔螺旋部
3 ロータ
3′ ロータ
4 注入口
5 排出口
6 軸受部
7 入口
7A 潤滑油供給口
7B 潤滑油供給口
7C 潤滑油供給口
8 タイミングギヤ部
8′ タイミングギヤ部
20 発電機
21 オイルセパレータ
22 凝縮器
23 蒸発器
24 熱交換器
EXP 廃熱回収用膨張機関
J 軸
J′ 軸
G 気体
O 潤滑油
W 流体
Claims (4)
- ケースと、外周に螺旋部が噛合可能に形成され前記ケース内に回転可能に設けられる2軸軸流形のロータとを備えた廃熱回収用膨張機関において、
前記ケースは、外周略中央部の周方向一側には流体を該ケース内の左右方向へ分配可能な注入口が設けられ、前記ケースの周方向他側には流体が排出される排出口が設けられ、前記螺旋部は前記注入口を基準として左右対称に形成されることを特徴とする廃熱回収用膨張機関。 - 前記ケースは、外周上下または左右に複数個に分割される分割構成体を組付可能に設けられ、該分割構成体の何れかには前記2軸に設けたロータ相互間のロータ空隙を覗き込む窓が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の廃熱回収用膨張機関。
- 前記ロータの螺旋部は、前記注入口を略中央にして前記排出口に向かってリード長が順次長くなる不等ピッチに形成されるか、またはリード長が段階的に拡大して形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の廃熱回収用膨張機関。
- 前記ロータ、2軸を回転可能に支持する軸受部、該2軸の端部相互が噛合可能に連係されるタイミングギヤ部を収納する前記ケースの対応位置には潤滑油を供給可能な潤滑油供給口が設けられたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載の廃熱回収用膨張機関。
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