JP2004346761A - 内燃機関に燃料を供給するための燃料管路システム - Google Patents
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Abstract
【課題】流れ方向Lで細長い管路区分16と、該管路区分内でほぼ流れ方向に向けられた加熱エレメント38と、保持エレメント装置46とを有し、該保持エレメント装置によって加熱エレメント38が管路区分16内で、この管路区分の内側面40に対して間隔を保って支持され、前記加熱エレメント38の周囲を、管路区分内で移動する燃料が環流する形式の、内燃機関に燃料を供給する管路システムを改良して、燃焼室にガイドされる燃料を、確実な燃焼のためにも適した温度に迅速に加熱できるようにする。
【解決手段】管路区分16の第1の端部領域22から燃焼室に通じる導出部24,36と、管路区分の第2の端部領域20から間隔を保って管路区分内に開口する流入部34とが設けられており、保持エレメント装置46が、管路区分16と共に、流入部34から第2の端部領域20に通じる流れ経路80を仕切っている。
【選択図】 図1
【解決手段】管路区分16の第1の端部領域22から燃焼室に通じる導出部24,36と、管路区分の第2の端部領域20から間隔を保って管路区分内に開口する流入部34とが設けられており、保持エレメント装置46が、管路区分16と共に、流入部34から第2の端部領域20に通じる流れ経路80を仕切っている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に燃料を供給するための、特に自動車のヒータ内に設けられた管路システムであって、流れ方向で長く延びる管路区分と、該管路区分内でこの管路区分の長手方向でほぼ流れ方向に方向付けられた加熱エレメントと、保持エレメント装置とを有しており、該保持エレメント装置によって加熱エレメントが管路区分内で、この管路区分の内側面に対して間隔を保って支持されており、前記加熱エレメントの周囲を、管路区分内で移動する燃料が環流するようになっている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
しばしばエンジンとは無関係にいわゆるパーキングヒータ若しくは補助ヒータ(Standheizung)として自動車に使用されるヒータにおいては、外気温度が低い場合にこのような加熱装置を有利に使用することに基づいて、燃焼室内に導入された燃料が所定の最低温度を有するように、配慮されなければならない。このような最低温度は、一方では、確実な点火及びクリーンな燃焼を保証し、他方では、燃料が噴霧ノズルによって導入される場合に適した噴霧が行われるようにするために必要である。特に粘性が高すぎる燃料において発生する不十分な又は不均一な噴霧において、点火が得られないか、又は点火が非常にゆくっりと行われるか、若しくは点火されても多量の有害物質放出が発生する危険性がある。
【0003】
低すぎる燃料温度の問題を解決するために、例えばノズルストック(Duesenstock)と称呼された、応答する噴霧ノズルを支持する構成部分を加熱パトローネによって加熱することが公知である。ノズルストックを加熱することによって、このノズルストックに形成された管路区分内を貫流する燃料も加熱される。しかしながらこの場合、燃料を間接的に加熱することによって、加熱の過程が比較的緩慢であり、それによって燃料の温度変化に対して相応の時間で反応され得ないという問題がある。また一般的に、例えば黄銅若しくは真鍮等の良好な熱伝導率を有する金属から構成されているノズルストックによって、熱は別の構成部材にも伝達されるので、熱損失が大きい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、内燃機関に燃料を供給するための燃料管路システムを改良して、燃焼室にガイドされる燃料を、確実な燃焼のためにも適した温度に迅速に加熱するために配慮することができるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本発明によれば、内燃機関に燃料を供給するための、特に自動車のヒータ内に設けられた管路システムであって、流れ方向で細長く延びる管路区分と、該管路区分内でこの管路区分の長手方向でほぼ流れ方向に方向付けられた加熱エレメントとを有しており、該加熱エレメントの周囲を、管路区分内で移動する燃料が環流するようになっている。
【0006】
【発明の効果】
加熱エレメントを管路区分内に直接組み込んだことによって、燃焼室に供給された燃料は、加熱エレメントの周囲を自動的に環流するようになっていて、この場合、この燃料は、何らかのケーシング部分又はこれと類似のものを介在させることなしに加熱されるようになっている。このような形式で、燃料を加熱する際に、変化する温度状態に迅速に反応せしめられ、加熱したくない又は加熱されるべきでない別のシステム構成部材への熱の導出は著しく減少される。加熱エレメントが、加熱エレメントの長手方向で、加熱しようとする燃料によって環流されるという事実に基づいて、比較的小さい構造寸法でも、比較的長い加熱区間が提供されるので、非常に低い外気温度及び相応に低い燃料温度においても、燃料は、燃焼室にガイドされる際に適当な温度に加熱される。
【0007】
簡単な形式で管路区分内に組み込まれた加熱エレメントに接触することができるようにするために、管路区分は端部領域が開放して構成されていて、加熱エレメントを有する閉鎖エレメントのための接続部によって閉鎖されている構成が提案されている。
【0008】
加熱エレメントと管路区分若しくはこの管路区分を有する構成部分との間の、直接的な熱伝達を、できるだけ避けるようにするために、保持エレメント装置が設けられており、該保持エレメント装置によって加熱エレメントが管路区分内で、この管路区分の内側面に対して間隔を保って支持されている。この場合、保持エレメント装置は少なくとも2つの保持エレメントを有している。これら2つの保持エレメントを介して、閉鎖エレメントに設けられた接続部が、加熱エレメントと電気的に接続される。このことから、保持エレメント装置の保持エレメントが2つの周辺条件に関連して選択されるべきであることが分かる。1つの周辺条件は、加熱エレメントから管路区分の内側面への熱伝達を最少にするために、できるだけ低い熱伝導率を有していなければならない。別の周辺条件は、流入部における電気的な損失を最少にするために、できるだけ小さい電気抵抗を有していなければならない。特に電気的な損失の最少化に関連して、保持エレメント装置の保持エレメントが加熱エレメントの逆向きに方向付けられた側面に沿って、これらの側面に延びるように構成されていれば有利である。このような形式で、加熱エレメントの全長に亘って加熱エレメントのできるだけ大面積に亘る接触若しくは均一な接触が可能である。
【0009】
本発明による燃料管路システムはさらに、管路区分の第1の端部領域から燃焼室に通じる導出部と、管路区分の第2の端部領域から間隔を保って管路区分内に開口する流入部とが設けられており、保持エレメント装置が、管路区分と共に、流入部から第2の端部領域に通じる流れ経路を仕切っていることを特徴としている。このような形式で特に燃料供給が次のように行われることが保証される。つまり、既に前もって反応した加熱エレメントの接触も問題なしに行われ、それによって、燃料の加熱が行われる流れ経路領域の短縮が生じないように、燃料供給が行われることが保証される。
【0010】
前述のように、管路区分は、燃料霧化ノズルに通じていて、ポンプケーシング内に流入部及び/又は流出部を設けることができる。
【0011】
エネルギー損失の最少化及び迅速な調整に関連して、特に有利な構成によれば、加熱エレメントがPCTエレメントである。つまり、加熱エレメントは、温度の上昇に伴って抵抗も高くなる抵抗・温度特性を有している。その結果、加熱エレメントに沿って流れる燃料が高い温度を有していて、燃料内の損失熱がわずかであって、ひいては加熱エレメント自体がより高い温度を有することになる。次いでより高い電気抵抗に基づいて電流が低下し、ひいては熱に変換された電気出力が低下する。前記抵抗・温度特性を適当に選択すれば、外部の制御システムの干渉を不必要にする自動制御が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図示の実施例を用いて具体的に説明する。
【0013】
図面には、本発明による燃料管路システムが概略的に符号10で示されている。燃料管路システム10は、主に、符号12で示されたケーシング構成部分内に収容されているか、若しくはこのケーシング構成部分12に組み込んで構成されている。ケーシング構成部分12は例えば、燃料ポンプのポンプケーシングの端部接続部であってよい。
【0014】
細長い付加部14が管路区分16を形成している。管路区分16内には袋孔状の開口18が形成されている。この開口18は端部領域20内に開口している。別の端部領域22内には、開口18の長手方向に対してほぼ直交(orthogonal)している出口開口24が開口している。出口開口24の領域内で、付加部14に固定区分26が形成されており、この固定区分26内に、噴霧ノズル28を支持するねじ山付き部分30がねじ込まれている。Oリング状のシールエレメント32によって、ケーシング部分12の付加部14とねじ山付き部分30との間の液密な閉鎖が維持される。
【0015】
入口開口34を介して、図示していないポンプから搬送された燃料が付加部14に設けられた開口18内に流入する。この入口開口34は、端部領域20から離れた領域内で開口18内に開口している。噴霧ノズル28に供給された燃料は、相次いで入口開口34、開口18並びに出口開口24、及びこの出口開口24に整列された、ねじ山付き部分30に形成された開口36を通って貫流する。
【0016】
開口18若しくは、この開口18を拡張する管路区分16内には加熱エレメント38が挿入されている。図1及び図2には、図示の実施例では方形に構成された加熱エレメント38が、長手方向で開口18若しくは管路区分16の長手軸線Lに沿って方向付けられていることが示されている。加熱エレメント38が、開口18を包囲する管路区分16の内側面40と直接的に熱伝導接触しないように、加熱エレメント38を管路区分16内で位置決め保持するために、2つの加熱エレメント42,44を有する保持エレメント装置46が設けられている。互いにほぼ同じ構造の2つの保持エレメント42,44(例えば金属薄板材料から真折り曲げ成形することができる)は、加熱エレメント38のそれぞれ1つの側面48若しくは50を負荷する、加熱エレメント38の側面48,50の平らな面状の形状に合わせて、同様にほぼ平らに構成された領域52若しくは54を有しており、また、領域52若しくは54にそれぞれ続いて、内側面40の湾曲された形状に合わせて湾曲して構成された領域56,58若しくは60,62を有している。保持エレメント42,44の固有弾性によって、保持エレメント42,44は、加熱エレメント38を、プレロード(予圧)下で開口18内での位置で保持する。この場合、加熱エレメント38の全長に亘って頑丈な位置決めが得られ、2つの保持エレメント42,44は有利な形式で加熱エレメント38のほぼ全長に沿って延びている。
【0017】
開口18はその端部領域20で、閉鎖エレメント64によって閉鎖されている。液密な閉鎖を得るために、閉鎖エレメント64と付加部14との間にOリング状のシールエレメント66が設けられている。堅固な保持は、閉鎖エレメント64と、付加部14の半径方向突起68とをブリッジする保持リング70によって得られる。閉鎖エレメント64内には2つの電気的な接点72,74が設けられている。付加部14に取り付けられた閉鎖エレメント64において、これらの接点72,74は、2つの保持エレメント42,44内に係合し、それぞれ内側面40と接触する領域56,62から折り曲げられた接点区分76,78に接触する。これらの接点区分76,78は、領域56,62から再び領域52,54に延びている。つまり、開口18内に設けられた加熱エレメント38の電気的な接触は、閉鎖エレメント64の接点72,74及び、加熱エレメント38の両長手方向側面48,50に接触する保持エレメント42,44を介して行われる。この場合、電気的な接触抵抗をできるだけ小さく維持するために、加熱エレメント38と、保持エレメント42,44の領域52,54との間の最大可能な接触面を設けるようにすれば有利である。例えば図3で分かるように、加熱エレメント38の側面48,50のほぼ全面的な接触が設けられている。このような全面的な接触によって、一方では、加熱エレメントのこの領域内で加熱しようとする燃料が、加熱エレメント38の周囲を直接流れないようになっており、他方では、このような大きい面状の接触を介して、保持エレメント42,44に比較的良好に熱伝達が行われる。このような相反する接触要求間の妥協を得るために、例えば保持エレメント42,44の領域52,54に、加熱エレメント38の全長に亘って分配して複数の舌片状の区分を打ち抜きによって形成し、これらの区分を加熱エレメント38に向かって湾曲させ、それによって側面48,50に亘って分配された、加熱エレメント38の複数の領域において、このような複数の舌片(接触舌片)によって加熱エレメント38が接触せしめられ、そうでなければ燃料流内に露出して位置している。接触舌片の大きさは、一方では良好な電気的接触と、他方では可能な限り小さい熱伝達接触との間の、最適な妥協が得られるように、選定される。
【0018】
図1及び図3には、入口開口34を介して供給される燃料がまず流れ経路80を通って開口18の端部領域20に向かってガイドされることが示されている。この流れ経路80は、主に、付加部14に設けられた、開口18に沿って端部領域20に向かって延びる溝82によって形成されており、該溝82は、開口18に向かって、そうでなければ内側面40に位置する保持エレメント44の領域62によって閉鎖されている。このような形式で、入口開口34を介して導入された燃料が有利にはまず端部領域20に達し、次いでこの端部領域から、管路区分16内で加熱エレメント38の全長に亘ってこの加熱エレメント38に沿って流れるようになっている。これによって、図示の管路システム10の比較的コンパクトな構造寸法において、加熱エレメント38から、加熱しようとする燃料への可能な限り効率的な熱伝達が得られる。加熱された燃料は、次いで噴霧ノズル28に達する。
【0019】
管路システム10の本発明の構成によって、燃料に伝達しようとする熱が燃料に直接的に引き渡され、前もって、いずれかのケーシング構成部材を一緒に加熱することがないように、配慮されるようになっている。これは、加熱エレメント38に相応に適した給電を行うことによって、温度変化に著しく迅速に反応させることができ、さらに熱損失を減少させることができる。温度変化に対する迅速な反応及び、加熱するために必要な電気エネルギーの効率的な利用は、加熱エレメント38がPCTエレメントであることによって、さらに改善される。PCTエレメントは、次のような加熱特性を有している。つまり、このPCTエレメントが強く加熱されるのに伴って、その電気的な抵抗が所定の形式で増大し、それによって例えば一定に維持された印加電圧ひいては低下する電流において、加熱効率が低下するという加熱特性を有している。このような形式の加熱エレメントの抵抗・温度特性を適当に選択することによって、所定の温度領域のために、このような特性だけによって加熱エレメント38の固有特性を提供することができる。この加熱エレメント38の固有特性は、外部からの干渉を必要とせず、またガイドされた燃料の温度を検出するための付加的な温度センサを必要としない。
【0020】
本発明による管路システム10は、電気的な需要出力を最少化し、また発生した熱損失を最少化すると共に、噴霧ノズルに直接供給される燃料を非常に迅速に加熱することができる。このような形式で、噴霧ノズル28の噴霧特性を、ガイドされた燃料の温度に最適に合わせることができる。それによって、燃焼室内に導入された燃料の燃焼特性が著しく改善される。燃焼開始のために必要な時間は、本発明による管路システムを設けることによって著しく短縮される。最適な燃料に基づいて有害物質放出も減少される。さらに、本発明の構成による管路システムは、構造が比較的簡単であるという利点を有している。この比較的簡単な構造において、1つの加熱エレメントが管路区分内に完全に組み込まれているにも拘わらず、電気的な接触が簡単に得られる。特に本発明によるシステムが、そうでなければ存在するケーシング部分内に組み込まれていることによって、非常に安価で容易に製造可能な構造が得られる。このケーシング部分は、有利な形式で、場合によっては発生する熱負荷に基づいて、温度変化に対して強いプラスチック、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)より構成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のよる燃料管路システムの、一部破断した斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿って断面した縦断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿って断面した横断面図である。
【符号の説明】
10 燃料管路システム、 12 ケーシング構成部分、 14 細長い付加部、 16 管路区分、 18 袋状の開口、 20,22 端部領域、 24出口開口、 26 固定区分、 28 噴霧ノズル、 30 ねじ山付き部分、 32 Oリング状のシールエレメント、 34 入口開口、 36 開口、38 加熱エレメント、 40 内側面、 42,44 保持エレメント、 46 保持エレメント装置、 48,50 側縁、 52,54 平らに構成された領域、 56,58,60,62 湾曲して構成された領域、 64 閉鎖エレメント、 66 シールエレメント、 68 半径方向突起、 70 保持リング、 72,74 接点、 76,78 接触区分、 80 流れ経路、 82 溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に燃料を供給するための、特に自動車のヒータ内に設けられた管路システムであって、流れ方向で長く延びる管路区分と、該管路区分内でこの管路区分の長手方向でほぼ流れ方向に方向付けられた加熱エレメントと、保持エレメント装置とを有しており、該保持エレメント装置によって加熱エレメントが管路区分内で、この管路区分の内側面に対して間隔を保って支持されており、前記加熱エレメントの周囲を、管路区分内で移動する燃料が環流するようになっている形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
しばしばエンジンとは無関係にいわゆるパーキングヒータ若しくは補助ヒータ(Standheizung)として自動車に使用されるヒータにおいては、外気温度が低い場合にこのような加熱装置を有利に使用することに基づいて、燃焼室内に導入された燃料が所定の最低温度を有するように、配慮されなければならない。このような最低温度は、一方では、確実な点火及びクリーンな燃焼を保証し、他方では、燃料が噴霧ノズルによって導入される場合に適した噴霧が行われるようにするために必要である。特に粘性が高すぎる燃料において発生する不十分な又は不均一な噴霧において、点火が得られないか、又は点火が非常にゆくっりと行われるか、若しくは点火されても多量の有害物質放出が発生する危険性がある。
【0003】
低すぎる燃料温度の問題を解決するために、例えばノズルストック(Duesenstock)と称呼された、応答する噴霧ノズルを支持する構成部分を加熱パトローネによって加熱することが公知である。ノズルストックを加熱することによって、このノズルストックに形成された管路区分内を貫流する燃料も加熱される。しかしながらこの場合、燃料を間接的に加熱することによって、加熱の過程が比較的緩慢であり、それによって燃料の温度変化に対して相応の時間で反応され得ないという問題がある。また一般的に、例えば黄銅若しくは真鍮等の良好な熱伝導率を有する金属から構成されているノズルストックによって、熱は別の構成部材にも伝達されるので、熱損失が大きい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、内燃機関に燃料を供給するための燃料管路システムを改良して、燃焼室にガイドされる燃料を、確実な燃焼のためにも適した温度に迅速に加熱するために配慮することができるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本発明によれば、内燃機関に燃料を供給するための、特に自動車のヒータ内に設けられた管路システムであって、流れ方向で細長く延びる管路区分と、該管路区分内でこの管路区分の長手方向でほぼ流れ方向に方向付けられた加熱エレメントとを有しており、該加熱エレメントの周囲を、管路区分内で移動する燃料が環流するようになっている。
【0006】
【発明の効果】
加熱エレメントを管路区分内に直接組み込んだことによって、燃焼室に供給された燃料は、加熱エレメントの周囲を自動的に環流するようになっていて、この場合、この燃料は、何らかのケーシング部分又はこれと類似のものを介在させることなしに加熱されるようになっている。このような形式で、燃料を加熱する際に、変化する温度状態に迅速に反応せしめられ、加熱したくない又は加熱されるべきでない別のシステム構成部材への熱の導出は著しく減少される。加熱エレメントが、加熱エレメントの長手方向で、加熱しようとする燃料によって環流されるという事実に基づいて、比較的小さい構造寸法でも、比較的長い加熱区間が提供されるので、非常に低い外気温度及び相応に低い燃料温度においても、燃料は、燃焼室にガイドされる際に適当な温度に加熱される。
【0007】
簡単な形式で管路区分内に組み込まれた加熱エレメントに接触することができるようにするために、管路区分は端部領域が開放して構成されていて、加熱エレメントを有する閉鎖エレメントのための接続部によって閉鎖されている構成が提案されている。
【0008】
加熱エレメントと管路区分若しくはこの管路区分を有する構成部分との間の、直接的な熱伝達を、できるだけ避けるようにするために、保持エレメント装置が設けられており、該保持エレメント装置によって加熱エレメントが管路区分内で、この管路区分の内側面に対して間隔を保って支持されている。この場合、保持エレメント装置は少なくとも2つの保持エレメントを有している。これら2つの保持エレメントを介して、閉鎖エレメントに設けられた接続部が、加熱エレメントと電気的に接続される。このことから、保持エレメント装置の保持エレメントが2つの周辺条件に関連して選択されるべきであることが分かる。1つの周辺条件は、加熱エレメントから管路区分の内側面への熱伝達を最少にするために、できるだけ低い熱伝導率を有していなければならない。別の周辺条件は、流入部における電気的な損失を最少にするために、できるだけ小さい電気抵抗を有していなければならない。特に電気的な損失の最少化に関連して、保持エレメント装置の保持エレメントが加熱エレメントの逆向きに方向付けられた側面に沿って、これらの側面に延びるように構成されていれば有利である。このような形式で、加熱エレメントの全長に亘って加熱エレメントのできるだけ大面積に亘る接触若しくは均一な接触が可能である。
【0009】
本発明による燃料管路システムはさらに、管路区分の第1の端部領域から燃焼室に通じる導出部と、管路区分の第2の端部領域から間隔を保って管路区分内に開口する流入部とが設けられており、保持エレメント装置が、管路区分と共に、流入部から第2の端部領域に通じる流れ経路を仕切っていることを特徴としている。このような形式で特に燃料供給が次のように行われることが保証される。つまり、既に前もって反応した加熱エレメントの接触も問題なしに行われ、それによって、燃料の加熱が行われる流れ経路領域の短縮が生じないように、燃料供給が行われることが保証される。
【0010】
前述のように、管路区分は、燃料霧化ノズルに通じていて、ポンプケーシング内に流入部及び/又は流出部を設けることができる。
【0011】
エネルギー損失の最少化及び迅速な調整に関連して、特に有利な構成によれば、加熱エレメントがPCTエレメントである。つまり、加熱エレメントは、温度の上昇に伴って抵抗も高くなる抵抗・温度特性を有している。その結果、加熱エレメントに沿って流れる燃料が高い温度を有していて、燃料内の損失熱がわずかであって、ひいては加熱エレメント自体がより高い温度を有することになる。次いでより高い電気抵抗に基づいて電流が低下し、ひいては熱に変換された電気出力が低下する。前記抵抗・温度特性を適当に選択すれば、外部の制御システムの干渉を不必要にする自動制御が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図示の実施例を用いて具体的に説明する。
【0013】
図面には、本発明による燃料管路システムが概略的に符号10で示されている。燃料管路システム10は、主に、符号12で示されたケーシング構成部分内に収容されているか、若しくはこのケーシング構成部分12に組み込んで構成されている。ケーシング構成部分12は例えば、燃料ポンプのポンプケーシングの端部接続部であってよい。
【0014】
細長い付加部14が管路区分16を形成している。管路区分16内には袋孔状の開口18が形成されている。この開口18は端部領域20内に開口している。別の端部領域22内には、開口18の長手方向に対してほぼ直交(orthogonal)している出口開口24が開口している。出口開口24の領域内で、付加部14に固定区分26が形成されており、この固定区分26内に、噴霧ノズル28を支持するねじ山付き部分30がねじ込まれている。Oリング状のシールエレメント32によって、ケーシング部分12の付加部14とねじ山付き部分30との間の液密な閉鎖が維持される。
【0015】
入口開口34を介して、図示していないポンプから搬送された燃料が付加部14に設けられた開口18内に流入する。この入口開口34は、端部領域20から離れた領域内で開口18内に開口している。噴霧ノズル28に供給された燃料は、相次いで入口開口34、開口18並びに出口開口24、及びこの出口開口24に整列された、ねじ山付き部分30に形成された開口36を通って貫流する。
【0016】
開口18若しくは、この開口18を拡張する管路区分16内には加熱エレメント38が挿入されている。図1及び図2には、図示の実施例では方形に構成された加熱エレメント38が、長手方向で開口18若しくは管路区分16の長手軸線Lに沿って方向付けられていることが示されている。加熱エレメント38が、開口18を包囲する管路区分16の内側面40と直接的に熱伝導接触しないように、加熱エレメント38を管路区分16内で位置決め保持するために、2つの加熱エレメント42,44を有する保持エレメント装置46が設けられている。互いにほぼ同じ構造の2つの保持エレメント42,44(例えば金属薄板材料から真折り曲げ成形することができる)は、加熱エレメント38のそれぞれ1つの側面48若しくは50を負荷する、加熱エレメント38の側面48,50の平らな面状の形状に合わせて、同様にほぼ平らに構成された領域52若しくは54を有しており、また、領域52若しくは54にそれぞれ続いて、内側面40の湾曲された形状に合わせて湾曲して構成された領域56,58若しくは60,62を有している。保持エレメント42,44の固有弾性によって、保持エレメント42,44は、加熱エレメント38を、プレロード(予圧)下で開口18内での位置で保持する。この場合、加熱エレメント38の全長に亘って頑丈な位置決めが得られ、2つの保持エレメント42,44は有利な形式で加熱エレメント38のほぼ全長に沿って延びている。
【0017】
開口18はその端部領域20で、閉鎖エレメント64によって閉鎖されている。液密な閉鎖を得るために、閉鎖エレメント64と付加部14との間にOリング状のシールエレメント66が設けられている。堅固な保持は、閉鎖エレメント64と、付加部14の半径方向突起68とをブリッジする保持リング70によって得られる。閉鎖エレメント64内には2つの電気的な接点72,74が設けられている。付加部14に取り付けられた閉鎖エレメント64において、これらの接点72,74は、2つの保持エレメント42,44内に係合し、それぞれ内側面40と接触する領域56,62から折り曲げられた接点区分76,78に接触する。これらの接点区分76,78は、領域56,62から再び領域52,54に延びている。つまり、開口18内に設けられた加熱エレメント38の電気的な接触は、閉鎖エレメント64の接点72,74及び、加熱エレメント38の両長手方向側面48,50に接触する保持エレメント42,44を介して行われる。この場合、電気的な接触抵抗をできるだけ小さく維持するために、加熱エレメント38と、保持エレメント42,44の領域52,54との間の最大可能な接触面を設けるようにすれば有利である。例えば図3で分かるように、加熱エレメント38の側面48,50のほぼ全面的な接触が設けられている。このような全面的な接触によって、一方では、加熱エレメントのこの領域内で加熱しようとする燃料が、加熱エレメント38の周囲を直接流れないようになっており、他方では、このような大きい面状の接触を介して、保持エレメント42,44に比較的良好に熱伝達が行われる。このような相反する接触要求間の妥協を得るために、例えば保持エレメント42,44の領域52,54に、加熱エレメント38の全長に亘って分配して複数の舌片状の区分を打ち抜きによって形成し、これらの区分を加熱エレメント38に向かって湾曲させ、それによって側面48,50に亘って分配された、加熱エレメント38の複数の領域において、このような複数の舌片(接触舌片)によって加熱エレメント38が接触せしめられ、そうでなければ燃料流内に露出して位置している。接触舌片の大きさは、一方では良好な電気的接触と、他方では可能な限り小さい熱伝達接触との間の、最適な妥協が得られるように、選定される。
【0018】
図1及び図3には、入口開口34を介して供給される燃料がまず流れ経路80を通って開口18の端部領域20に向かってガイドされることが示されている。この流れ経路80は、主に、付加部14に設けられた、開口18に沿って端部領域20に向かって延びる溝82によって形成されており、該溝82は、開口18に向かって、そうでなければ内側面40に位置する保持エレメント44の領域62によって閉鎖されている。このような形式で、入口開口34を介して導入された燃料が有利にはまず端部領域20に達し、次いでこの端部領域から、管路区分16内で加熱エレメント38の全長に亘ってこの加熱エレメント38に沿って流れるようになっている。これによって、図示の管路システム10の比較的コンパクトな構造寸法において、加熱エレメント38から、加熱しようとする燃料への可能な限り効率的な熱伝達が得られる。加熱された燃料は、次いで噴霧ノズル28に達する。
【0019】
管路システム10の本発明の構成によって、燃料に伝達しようとする熱が燃料に直接的に引き渡され、前もって、いずれかのケーシング構成部材を一緒に加熱することがないように、配慮されるようになっている。これは、加熱エレメント38に相応に適した給電を行うことによって、温度変化に著しく迅速に反応させることができ、さらに熱損失を減少させることができる。温度変化に対する迅速な反応及び、加熱するために必要な電気エネルギーの効率的な利用は、加熱エレメント38がPCTエレメントであることによって、さらに改善される。PCTエレメントは、次のような加熱特性を有している。つまり、このPCTエレメントが強く加熱されるのに伴って、その電気的な抵抗が所定の形式で増大し、それによって例えば一定に維持された印加電圧ひいては低下する電流において、加熱効率が低下するという加熱特性を有している。このような形式の加熱エレメントの抵抗・温度特性を適当に選択することによって、所定の温度領域のために、このような特性だけによって加熱エレメント38の固有特性を提供することができる。この加熱エレメント38の固有特性は、外部からの干渉を必要とせず、またガイドされた燃料の温度を検出するための付加的な温度センサを必要としない。
【0020】
本発明による管路システム10は、電気的な需要出力を最少化し、また発生した熱損失を最少化すると共に、噴霧ノズルに直接供給される燃料を非常に迅速に加熱することができる。このような形式で、噴霧ノズル28の噴霧特性を、ガイドされた燃料の温度に最適に合わせることができる。それによって、燃焼室内に導入された燃料の燃焼特性が著しく改善される。燃焼開始のために必要な時間は、本発明による管路システムを設けることによって著しく短縮される。最適な燃料に基づいて有害物質放出も減少される。さらに、本発明の構成による管路システムは、構造が比較的簡単であるという利点を有している。この比較的簡単な構造において、1つの加熱エレメントが管路区分内に完全に組み込まれているにも拘わらず、電気的な接触が簡単に得られる。特に本発明によるシステムが、そうでなければ存在するケーシング部分内に組み込まれていることによって、非常に安価で容易に製造可能な構造が得られる。このケーシング部分は、有利な形式で、場合によっては発生する熱負荷に基づいて、温度変化に対して強いプラスチック、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)より構成されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のよる燃料管路システムの、一部破断した斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿って断面した縦断面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿って断面した横断面図である。
【符号の説明】
10 燃料管路システム、 12 ケーシング構成部分、 14 細長い付加部、 16 管路区分、 18 袋状の開口、 20,22 端部領域、 24出口開口、 26 固定区分、 28 噴霧ノズル、 30 ねじ山付き部分、 32 Oリング状のシールエレメント、 34 入口開口、 36 開口、38 加熱エレメント、 40 内側面、 42,44 保持エレメント、 46 保持エレメント装置、 48,50 側縁、 52,54 平らに構成された領域、 56,58,60,62 湾曲して構成された領域、 64 閉鎖エレメント、 66 シールエレメント、 68 半径方向突起、 70 保持リング、 72,74 接点、 76,78 接触区分、 80 流れ経路、 82 溝
Claims (5)
- 内燃機関に燃料を供給するための、殊に自動車のヒータ内に設けられた管路システムであって、流れ方向(L)で長く延びる管路区分(16)と、該管路区分(16)内でこの管路区分の長手方向でほぼ流れ方向(L)に方向付けられた加熱エレメント(38)と、保持エレメント装置(46)とを有しており、該保持エレメント装置(46)によって加熱エレメント(38)が管路区分(16)内で、この管路区分(16)の内側面(40)に対して間隔を保って支持されており、前記加熱エレメント(38)の周囲を、管路区分(16)内で移動する燃料が環流するようになっている形式のものにおいて、
管路区分(16)の第1の端部領域(22)から燃焼室に通じる導出部(24,36)と、管路区分(16)の第2の端部領域(20)から間隔を保って管路区分(16)内に開口する流入部(34)とが設けられており、保持エレメント装置(46)が、管路区分(16)と共に、流入部(34)から第2の端部領域(20)に通じる流れ経路(80)を仕切っていることを特徴とする、内燃機関に燃料を供給するための燃料管路システム。 - 保持エレメント装置(46)が、互いに逆向きに方向付けられた、加熱エレメント(38)の側面(48,50)に沿って延びる2つの保持エレメント(42,44)を有している、請求項1記載の燃料管路システム。
- 導出部(24,36)が、管路区分(16)から燃料噴霧ノズル(28)に通じている、請求項1又は2記載の燃料管路システム。
- 管路区分(16)が流入部(34)及び/又は導出部(24)を備えてポンプケーシング部分(12)内に設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料管路システム。
- 加熱エレメント(38)がPTC加熱エレメントである、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料管路システム。
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JP2003141797A JP2004346761A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 内燃機関に燃料を供給するための燃料管路システム |
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2003
- 2003-05-20 JP JP2003141797A patent/JP2004346761A/ja active Pending
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