JP2004344366A - 遊技機 - Google Patents

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Abstract

【課題】他の遊技機の遊技者との遊技関係を良好方向に発展させつつ、遊技を飽きさせることなく、比較的長時間遊技を継続させることができる遊技機を提供すること。
【解決手段】左側のパチンコ機から駆動信号が出力されると、その駆動信号は、オア回路OR1へ入力され、オア回路OR1からアンド回路AND1へハイ信号が出力される。この時、本パチンコ機10が稼働中であれば稼働中信号SGAがアンド回路AND1へ出力されているので、アンド回路AND1からハイ信号が左受入片突出ソレノイド39Lへ出力されて、左受入片38Lが突出動作し、遊技球が左側の役物開放口32Lへ入球し易い有利な遊技状態となる。このように、他のパチンコ機の出力に基づいて本パチンコ機10が有利な遊技状態となるので、他の遊技機の遊技者との遊技関係を良好方向に発展させつつ、長時間遊技を継続することができる。
【選択図】 図28

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機は、人が機械(遊技機)を相手に遊技を楽しむ関係上、遊技は1台の遊技機の中で完結しており、遊技を長時間続けると、遊技者は遊技に没入する傾向にある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−93674号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、遊技者が遊技に没入するといっても、パチンコ機において打球の入賞や大当たりが得られない状況が続いたり、また、スロットマシンにおいて子役当たりや大当たりが得られない状況が続くと、遊技者は、その遊技に飽きて、遊技を終了してしまうという問題点がある。遊技機を導入する遊技場(ホール)にとっては、遊技者が遊技に飽きることなく、長時間遊技できる遊技機が好ましい。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、他の遊技機の遊技者との遊技関係を良好方向に発展させつつ、遊技を飽きさせることなく、比較的長時間遊技を継続させることができる遊技機を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために請求項1記載の遊技機は、所定条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段により所定条件の成立が検出された場合に所定信号を他の遊技機へ出力する出力手段と、他の遊技機に設けられた前記出力手段から出力される所定信号を入力した場合に遊技者に有利な遊技状態を発生する制御手段とを備えている。
【0007】
【発明の効果】本発明の遊技機によれば、検出手段により所定条件の成立が検出されると、出力手段によって所定信号が他の遊技機へ出力される。制御手段は、他の遊技機に設けられた出力手段から出力される所定信号を入力すると、遊技者に有利な遊技状態を発生する。このように、他の遊技機で所定条件が成立すると、1の遊技機では遊技者に有利な遊技状態が発生するので、1の遊技機の遊技者と他の遊技機の遊技者との遊技関係を良好方向に発展させて、遊技者1人での遊技への没入傾向を緩和することができる。よって、自己の遊技に特段変化の無い状況が続いても、他の遊技機の所定条件の成立により自己の遊技機が有利な遊技状態を発生するので、他の遊技機の遊技者との遊技関係を良好方向に発展させつつ、遊技を飽きさせることなく、比較的長時間遊技を継続させることができるという効果がある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、後述する外枠11に対して内枠12と前面枠セット14とを開放した状態を示す斜視図である。
【0009】
図1及び図2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。よって、釘やリベットを使って各板材を組み付けていた従来構造と比べて、構成部材の再利用が容易にされている。本実施の形態では、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11を樹脂やアルミニウム等の軽金属により構成するようにしてもよい。
【0010】
内枠12は合成樹脂、具体的にはABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂により構成されている。ABS樹脂は、材料コストが安価で、メッキ等ののりが良く装飾性に優れ、耐衝撃性が大きいので、内枠12の構成材料として好適である。内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて遊技球発射ハンドル18の設置箇所の反対側に上下に延設されており、この開閉軸線を軸心にして内枠12が前方側に開放できるようにされている。開閉軸線は遊技球発射ハンドル18の反体側に設けられているので、内枠12を大きく開放することができる。通常パチンコホールでは、パチンコ機10は互いに隣接して配設されるので、開閉軸線を遊技球発射ハンドル18側に設けると、内枠12と共に開放される遊技球発射ハンドル18が隣のパチンコ機10に当接して開放量が減少してしまうからである。
【0011】
内枠12には、その最下部に下皿ユニット13が取り付けられると共に、下皿ユニット13を除く範囲で内枠12を覆うようにして前面枠セット14が取り付けられている。下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。また、前面枠セット14は、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸線を軸心にして前方側に開放できるようになっている。この内枠12の外周には、前面側へ突設された外周壁が形成されており、その外周壁の内側に前面枠セット14が配設される。即ち、内枠12に前面枠セット14を取り付けた状態では、前面枠セット14の側面外周は、内枠12の外周壁により囲繞されるので、内枠12と前面枠セット14との間への針金等の挿入を困難なものにして、不正行為を抑制することができる。
【0012】
内枠12の上部には、円柱状に突出した押しボタン型の開閉スイッチ25が設けられている。この開閉スイッチ25は、前面枠セット14の開閉状態を検出するためのスイッチである。前面枠セット14が内枠12に対して閉じられている場合には開閉スイッチ25が押圧状態となり、逆に、前面枠セット14が内枠12に対して開放されている場合には開閉スイッチ25は非押圧の突出状態となって、前面枠セット14の開閉状態を検出する。また、内枠12の左上部(図2参照)には、配線孔26が穿設されている。配線孔26は、前面枠セット14の配線を内枠12を通過させて遊技盤30の裏面に配設するための孔である。配線孔26の角部にはRが形成されており、配線孔26内に配線される各コードが、角部で損傷しないようにされている。なお、図4に示す通り、遊技盤30の左上部にも配線孔26に対応して、配線孔27が穿設されている。
【0013】
図3は、パチンコ機10から前面枠セット14を取り外した状態を示した正面図である。図3では、便宜上、遊技盤30面上の遊技領域内の構成を空白で示している。図3に示すように、下皿ユニット13には、ほぼ中央部に球受皿としての下皿15が設けられ、排出口16から排出された遊技球が下皿15内に貯留可能に構成されている。下皿ユニット13は、内枠12と同様に、難燃性のABS樹脂により形成されている。必ずしも、この下皿15のすべてをABS樹脂で形成することは必要でないが、少なくとも下皿15の表面部分、即ち下皿15の表面層と下皿15奥方の前面パネルとをABS樹脂で形成することが好ましい。下皿15には、火のついた煙草が放置される危険があるので、少なくともその表面部分を難燃性のABS樹脂で形成することにより、パチンコ機10の損傷や火災の発生を抑止できるからである。なお、前面パネルには、図示しないスピーカからの音を出力するためのスピーカ孔24が穿設されている。
【0014】
下皿15の正面下方部には、下皿15に貯留された遊技球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー17が設けられている。この球抜きレバー17は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿15の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から遊技球が自然落下して排出される。かかる球抜きレバー17の操作は、通常、下皿15の下方に、下皿15から排出された遊技球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。また、下皿15の右方には、遊技球発射ハンドル18が下皿ユニット13から手前側へ突出した状態で配設されると共に、下皿15の左方には灰皿が片持状に取着されている。灰皿は下皿15に回転可能に取着された軸と共に手前方向及び奥方向へ回転可能にされている。このように、下皿15の一側に遊技球発射ハンドル18を、他側に灰皿を配設することにより、下皿ユニット13の左右の美的バランスを保ってパチンコ機10の装飾性を向上させている。
【0015】
一方、図1に示すように、下皿15の上方における前面枠セット14には、球受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置へ導出するためのものである。従来のパチンコ機では前面枠セットの下方において内枠に対し開閉可能な前飾り枠が設けられ、該前飾り枠に上皿が設けられていたが、本実施の形態では前飾り枠が省略され、前面枠セット14に対し直接的に上皿19が設けられている。これは、本実施の形態の前面枠セット14は、従来のパチンコ機より大きく形成した遊技領域を外部から視認できるようにするために略楕円形状に大きく欠成された窓部101を備えているので、前面枠セット14の強度を少しでも向上させるべく、該前面枠セット14に上皿19を一体化して形成しているのである。この上皿19も下皿15と同様に、少なくとも表面層が難燃性のABS樹脂にて形成されている。なお、遊技領域が、従来のパチンコ機に比べて如何に大きく形成されているかについては後述する。
【0016】
また、図3において、内枠12は、外形が矩形状の樹脂ベース20を主体に構成されており、樹脂ベース20の中央部には略円形状の窓孔21が形成されている。この樹脂ベース20の後側には、遊技盤30が内枠12に対して着脱可能に装着されている。遊技盤30は四角形状の合板より構成され、その周縁部が樹脂ベース20(内枠12)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース20の窓孔21を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。なお、遊技盤30の上下方向の長さは476mm、左右方向の長さは452mmとなっている(従来と同等サイズ)。即ち、遊技盤30を、従来のパチンコ機と同等サイズで形成しつつ、遊技領域を、従来のパチンコ機より大きく形成しているのである。
【0017】
次に、図4を参照して遊技盤30の構成を説明する。遊技盤30には、遊技盤30の左右に1ずつ設けられた一般役物入賞装置31と、遊技球が入賞することによってチューリップ33a1を開閉駆動させると共に可動部材31aを上下動作させる役物開放口32L,32C,32Rと、左及び右側の役物開放口32L,32Rの上方に末広がりの八の字状に植設される袴釘の上部に配設された左受入片38L及び右受入片38Rと、遊技球が入賞することによって遊技者に所定の遊技価値(大当たり)を付与するV入賞口33b4(図6参照)を有した役物可変入賞装置33等とがルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30の前面側から木ネジ等により取付けられている。
【0018】
周知の通り前記一般役物入賞装置31、役物開放口32L,32C,32R、並びに、役物可変入賞装置33に内蔵されたV入賞口33b4及び非V入賞口33b5(図6参照)に遊技球が入球し、後述する各検出スイッチから所定の出力がなされると(所謂、入賞)、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。そのほか遊技盤30には、アウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路へと案内される。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
【0019】
役物開放口32L,32C,32Rは、遊技盤30下方に3つ設けられている。中央の役物開放口32Cに遊技球が入球し、その役物開放口32Cに配設された中開放口スイッチ222C(図27参照)によって遊技球が検出されると、役物可変入賞装置33のチューリップ33a1が2回開閉駆動し、その左右に配設された一般役物入賞装置31の可動部材31aがそれぞれ2回上下動作すると共に、左受入片38L及び右受入片38Rがそれぞれ2回突出動作するように構成されている。また、左側の役物開放口32Lに遊技球が入球し、その役物開放口32Lに配設された左開放口スイッチ222L(図27参照)によって遊技球が検出されると、役物可変入賞装置33のチューリップ33a1が1回開閉駆動し、その左側に配設された一般役物入賞装置31の可動部材31aが1回上下動作すると共に、左受入片38Lが1回突出動作するように構成されている。同様に、右側の役物開放口32Rに遊技球が入球し、その役物開放口32Rに配設された右開放口スイッチ222R(図27参照)によって遊技球が検出されると、役物可変入賞装置33のチューリップ33a1が1回開閉駆動し、その右側に配設された一般役物入賞装置31の可動部材31aが1回上下動作すると共に、右受入片38Rが1回突出動作するように構成されている。
【0020】
左受入片38L及び右受入片38Rについて説明する。左受入片38Lは、左側の役物開放口32Lの上方に末広がりの八の字状に植設された袴釘の上部に、2つの片が逆ハの字状に1組として配設された一対の突出片として構成されている。左受入片38Lは、通常時は遊技盤30の表面から非突出にされており、左受入片突出ソレノイド39L(図27参照)をオンすることにより、遊技盤30の表面へ突出するように構成されている。左受入片突出ソレノイド39Lは、本パチンコ機10の左側に配設されたパチンコ機から所定信号を入力した場合、及び、遊技球が左側又は中央の役物開放口32L,32Cへ入球し、その入球が左又は中開放口スイッチ222L,222Cにより検出された場合に、後述する受入片駆動回路270(図27及び図28参照)により、オンされるように構成されている。左受入片38Lの突出量は遊技盤30に植設された釘の突出量とほぼ同程度にされている。左受入片38Lは、1回の突出動作で一対の突出片が約2秒間遊技盤30の表面へ突出する。図4の下方に示した部分的な拡大図の通り、左受入片38Lが非突出の状態では、遊技球は矢印Y1の経路を辿って流下するが、左受入片38Lが突出された状態では、遊技球は矢印X1の経路を辿って流下し、左側の役物開放口32Lに入球し易くなる。即ち、左受入片38Lが突出された状態は、遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0021】
同様に、右受入片38Rは、右側の役物開放口32Rの上方に末広がりの八の字状に植設された袴釘の上部に、2つの片が逆ハの字状に1組として配設された一対の突出片として構成されている。右受入片38Rは、通常時は遊技盤30の表面から非突出にされており、右受入片突出ソレノイド39R(図27参照)をオンすることにより、遊技盤30の表面へ突出するように構成されている。右受入片突出ソレノイド39Rは、本パチンコ機10の右側に配設されたパチンコ機から所定信号を入力した場合、及び、遊技球が右側又は中央の役物開放口32R,32Cへ入球し、その入球が右又は中開放口スイッチ222R,222Cにより検出された場合に、後述する受入片駆動回路270(図27及び図28参照)により、オンされるように構成されている。右受入片38Rの突出量は遊技盤30に植設された釘の突出量とほぼ同程度にされている。右受入片38Rは、1回の突出動作で一対の突出片が約2秒間遊技盤30の表面へ突出する。右受入片38Rが突出された状態では、非突出の状態に比べて、遊技球が右側の役物開放口32Rに入球し易くなっており、遊技者に有利な遊技状態となっている。
【0022】
ここで、図5及び図6を参照して、役物可変入賞装置33について説明する。図5は、役物可変入賞装置33の斜視図であり、図6は、役物可変入賞装置33の分解斜視図である。役物可変入賞装置33は、複数の部材を組み立てて構成しており、役物部33aと、回転体部33bとで構成されている。
【0023】
役物部33aは、チューリップ33a1と、そのチューリップ33a1を開閉駆動させるチューリップ駆動ソレノイド33a2と、役物可変入賞装置33に流入した遊技球を検出する役物入賞検出スイッチ33a3と、大当たり時に役物可変入賞装置33に入賞した球をV入賞部33b4へ入賞させ易くするための役物33a4と、その役物33a4を駆動させる役物駆動モータ33a5と、大当たりのラウンド数を表示するラウンド表示部33a6とを備えている。また、回転体部33bは、役物可変入賞装置33へ流入した遊技球を後述する回転体33b6へ搬送する第1搬送路33b1及び第2搬送路33b2を有した球搬送路部材33b3と、V入賞口33b4及び非V入賞口33b5を有した回転体33b6と、回転体33b6を回転駆動させる回転体駆動モータ33b7と、V入賞口33b4に入賞した遊技球を検出するV入賞検出スイッチ33b8とを備えている。
【0024】
この役物可変入賞装置33に入賞した遊技球は、役物部33の図示しない球流路を通って球搬送路部材33b3へ導出される。そして、球搬送路部材33b3のいずれか一方の搬送路33b1,33b2を通過して、回転駆動された回転体33b6に到達する。回転体33b6に到達した遊技球は、回転体33b6に設けられたV入賞口33b4か非V入賞口33b5かのいずれかに収納される。ここで、V入賞口33b4に遊技球が収納された場合には、その遊技球は回転体33b6によって回転体33b6の下方に設けられたV入賞検出スイッチ33b8で検出され、V入賞検出スイッチ33b8によって遊技球が検出されることに基づいて、チューリップ33a1及び役物33a4を所定駆動させて、役物可変入賞装置33に遊技球が入り易い大当たり状態が発生するように構成されている。
【0025】
ここで、役物可変入賞装置33の各部材について説明する。チューリップ33a1は、遊技領域に打ち込まれた遊技球を役物可変入賞装置33内へ流入させ易くするための部材であり、役物可変入賞装置33の左右両側に配設されている。このチューリップ33a1は、役物開放口32L,32C,32Rに遊技球が入賞することによって、チューリップ駆動ソレノイド33a2により1回又は2回開閉駆動するように構成されている。
【0026】
チューリップ駆動ソレノイド33a2は、上記したチューリップ33a1を駆動するためにチューリップ33a1と連結されており、役物部33aの背面側(図6の紙面右側)、即ち、遊技盤30に役物可変入賞装置33を配設した場合に遊技者から視認できない位置に配設されている。このチューリップ駆動ソレノイド33a2は、役物開放口32L,32C,32Rに遊技球が入賞することによってオンされ、このチューリップ駆動ソレノイド33a2がオンされることによって、チューリップ駆動ソレノイド33a2と連結されたチューリップ33a1が開閉駆動し、役物可変入賞装置33内に遊技球が入賞し得る状態となるように構成されている。
【0027】
役物入賞検出スイッチ33a3は、役物可変入賞装置33内に入賞した遊技球を検出するためのスイッチであり、後述する球搬送路部材33b3へ遊技球を導出する球流路(図示せず)に配設されている。
【0028】
役物駆動モータ33a5は、役物33a4を所定駆動させるためのものであり、役物部33aの背面側(図6の紙面右側)、即ち、遊技盤30に役物可変入賞装置33を配設した場合に遊技者から視認できない位置に配設されている。この役物駆動モータ33a5は、V入賞口33b4に遊技球が入賞した場合に発生する大当たり時において役物33a4を所定駆動させ、役物可変入賞装置33に入賞した遊技球をV入賞口33b4へ誘導し得るように構成されている。
【0029】
球搬送路部材33b3は、傾斜を利用して役物可変入賞装置33に入賞した遊技球をV入賞口33b4及び非V入賞口33b5を有した回転体33b6へ搬送(導出)するための流路である。この球搬送路部材33b3は、傾斜が異なる2つの搬送路33b1,33b2を備えており、第2搬送路33b2の傾斜より第1搬送路33b1の傾斜が大きく構成されている。よって、遊技球が第2搬送路33b2を通過して回転体33b6へ搬送される流下速度と、第1搬送路33b1を通過して回転体33b6へ搬送される流下速度とを異ならせることができる。役物可変入賞装置33に入賞した遊技球は、該役物可変入賞装置33に入賞した速度に応じて第1搬送路33b1又は第2搬送路33b2のいずれか一方に振分られるように構成されているので、役物可変入賞装置33に入賞した遊技球が回転体33b6に到達する時間を遊技者に把握させ難くすることができる。なお、V入賞口33b4の下方には、図示しないストッパが配設されており、このストッパは大当たり中において1のラウンドが開始されると、V入賞口33b4の下方部分を閉塞し、V入賞口33b4に入賞した遊技球を後述するV入賞検出スイッチ33b8へ流下させないようにするための部材である。このストッパは、大当たり中において、例えば、役物可変入賞装置33に10個の遊技球が入賞した場合や、チューリップ33a1が18回開放された場合に、V入賞口33b4の閉塞状態を解除して、V入賞口33b4に入賞している遊技球がV入賞検出スイッチ33b8に流下し得るように構成されている。
【0030】
回転体33b6は、1のV入賞口33b4と、複数(本実施の形態では、9個)の非V入賞口33b5とを備え、後述する回転体駆動モータ33b7によって1方向に回転駆動されている。なお、回転体33b6の駆動方向は1方向に限られず、正逆両方向に回転駆動可能に構成しても良い。
【0031】
回転体駆動モータ33b7は、回転体33b6を回転駆動させるために回転体33b6と連結されており、回転体部33bの下側(図6の紙面下側)に配設されると共に、遊技盤30に役物可変入賞装置33を配設した場合に遊技者から視認できない位置に配設されている。この回転体駆動モータ33b7は、ステッピングモータで構成されており、後述する主制御装置261から出力されるパルス信号に基づいて回転体33b6を駆動させるように構成されている。
【0032】
V入賞検出スイッチ33b8は、V入賞口33b4へ入賞した遊技球を検出するためのスイッチであり、回転体33b6の下側(図6の紙面下側)に配設されている。このV入賞検出スイッチ33b8によって遊技球が検出されることにより、後述する主制御装置261においてラウンド抽選を行い、そのラウンド抽選の抽選結果に基づいた大当たりが発生するように構成されている。なお、ラウンド抽選の抽選結果は、役物部33aに配設されたラウンド表示部33a6に表示されるように構成されている。
【0033】
次に、図7及び図8を参照して、一般役物入賞装置31について説明する。図7は、一般役物入賞装置31の斜視図であり、図8は、一般役物入賞装置31の分解斜視図である。一般役物入賞装置31は、その正面視略中央に、上下移動する可動部材31aと、その可動部材31aを収容する可動装置ケース31bと、その可動装置ケース31bの背面に取着され各種部品を固定する部品固定部材31cと、その部品固定部材31cの背面に設けられる可動部材駆動ソレノイド31dとから構成されている。
【0034】
可動部材31aは、宇宙人を模して形成されたキャラクタ本体31a1と、キャラクタ本体31a1を支持する支持部材31a2と、可動部材31aを取り付けるための突出部材31a3とから構成されている。
【0035】
可動部材31aは、支持部材31a2と、キャラクタ本体31a1と、突出部材31a3とをネジ等によって一体化して形成されている。突出部材31a3には、可動部材31aの背面に向かって突出する突出部が設けられ、突出部を後述する部品固定部材31cの連結部に連結させて、連結部の背面からネジ等によって可動部材駆動ソレノイド31dと連結固定されている。
【0036】
可動装置ケース31bは、可動部材31aを収容するためのものであり、前面枠部材31b1と、一般役物入賞装置31を遊技盤30に装着するための取付部材31b2と、無色透明の合成樹脂で形成された背面部材31b3と、部品固定部材31b4とを備えている。この可動装置ケース31bは、背面部材31b3の前面側に前面枠部材31b1と取付部材31b3とをネジ等で固定し、背面部材31b3の背面側に部品固定部材31b4をネジ等で固定して一体化されたものである。
【0037】
可動装置ケース31bの背面部材31b3は、図8に示すように、中央下部に横長略矩形状の貫通孔を有する形状に形成され、その周縁部は前方(図8の左下方向)に僅かに突出している。前面枠部材31b1は、背面部材31b3の周縁とほぼ同一の断面を有した筒状に形成されている。取付部材31b2は、板状に形成されており、その中央下部には前面枠部材31b1の内周に沿って開口が設けられている。取付部材31b2を挟んで背面部材31b3と前面枠部材31b1とが可動装置ケース31bとして一体化されると、一面側が開口した開口空間が形成され、その開口空間内に可動部材31aが収容される。即ち、背面部材31b3が、開口空間の背面を形成すると共に、前面枠部材31b1が、背面部材31b3の周縁部から前方に突出した筒状の部位を形成し、可動部材31aの周囲と背面とが可動装置ケース31bに囲われて収容された状態となる。
【0038】
また、可動装置ケース31bは、その可動部材31aを遊技者側に向けつつ、取付部材31b2をビス止めすることにより遊技盤30に装着される。なお、可動部材31aを遊技者側に向けるとは、可動装置ケース31bに対して可動部材31aを遊技者側に配置することを意味しており、可動部材31aを構成するキャラクタの向き(例えば、キャラクタを構成する宇宙人の顔の向き)を意味するものではない。
【0039】
ここで、前面枠部材31b1は、遊技盤30に装着された状態において取付部材31b2よりも遊技盤30の前面側に配置されるので、遊技盤30に対して前面枠部材31b1が遊技者側に突出する。よって、遊技者に対して一般役物入賞装置31の存在を強く印象づけることができ、一般役物入賞装置31の存在価値を向上させることができる。
【0040】
また、遊技盤30より突出した前面枠部材31b1は、その開口の口元が遊技盤30の前面側に配設されるガラス板に僅かな隙間を隔てて配置される。このため、パチンコ機10のガラス板で、可動装置ケース31bの開口が封鎖された状態となり、遊技盤30とガラス板との間に形成される遊技領域を流下する遊技球は、可動装置ケース31bの外周面によって囲われた開口空間内に進入することがない。よって、遊技領域を流下する球が可動部材31aに衝突して可動部材31aが破損することを防止することができる。
【0041】
更に、前面枠部材31b1の中央上部には、上方に開口した入賞口が設けられ、その入賞口の両脇から左右両側に向けては、下降傾斜した正面視略円弧状の傾斜面が形成されている。遊技領域を流下する遊技球が前面枠部材31b1の真上にくると、その球は入賞口に入賞して、その入賞口に配設された検出スイッチ(図示せず)により遊技球が検出されることに基づいて、所定数(例えば、15個)の賞球の払い出しが行われる。入賞口から逸れた遊技球は、入賞口の左右両脇を頂部として左右両側に下降傾斜した傾斜面に沿って下方(下流側)へ流下する。よって、前面枠部材31b1の外周に沿って球が円滑に流下することとなり、前面枠部材31b1の内側に配置される可動部材31aの前面側を遊技球が流下することがなく、可動部材31aの視認性を高めてその動作時に遊技者に注意を向けさせることができる。なお、必ずしも前面枠部材31b1の中央上部に入賞口を設ける必要はなく、上面を正面視円弧状又は三角形状に形成して、頂部および下降傾斜した傾斜面を形成しても良い。
【0042】
また、可動装置ケース31b内の可動部材31aは、可動部材駆動ソレノイド31d(31dL,31dR)が非通電の状態においては開口空間の下側に配置され、可動部材駆動ソレノイド31d(31dL,31dR)が通電状態になると、上方に一定量移動する。詳しくは、左可動部材駆動ソレノイド31dLが通電状態になると、遊技盤30の左側に配設された可動部材31aが上方へ移動し、右可動部材駆動ソレノイド31dRが通電状態になると、遊技盤30の右側に配設された可動部材31aが上方へ移動する。
【0043】
この可動部材駆動ソレノイド31dの通電によって可動部材31aが最高の高さに達した位置においても、可動装置ケース31bは、上部に隙間が残るように十分に大きく形成されている。このため、可動部材31aは、隙間の大きさ分だけ更に大きな別形状の可動部材(例えば、リーチ棒を模した部材)に交換しても、上下移動による可動部材の動作を損なうことがない。即ち、可動部材31aが上方に移動した場合に可動部材31aが可動装置ケース31bと接触する大きさまでは、可動部材の移動量を確保しつつ可動部材を拡張または変形させることができるのである。よって、可動部材の移動量を確保しつつ一般役物入賞装置31に適用し得る可動部材の形状の適用範囲を広くすることができるので、本実施の形態の可動部材31aとは形状の異なる多様な形状の可動部材を一般役物入賞装置31に交換して使用することができる。
【0044】
部品固定部材31b4は、可動部材駆動ソレノイド31dを支持して可動装置ケース31bに連結するするための部材であり、無色透明の合成樹脂で形成されており、背面部材31b3の背面からネジ等によって該背面部材31b3と連結されている。また、部品固定部材31b4の下部には、前記した突出部31a3を貫通させるための貫通孔が穿設されている。
【0045】
背面部材31b3の下部にも、可動部材31aの突出部31a3を貫通させるための貫通孔が穿設されており、可動部材31aの突出部31a3は、背面部材31b3及び部品固定部材31b4の各貫通孔に差し込まれて貫通している。これにより、可動装置ケース31bの前面側に配置される可動部材31aは、可動装置ケース31b(部品固定部材31b4)の背面側に固定される可動部材駆動ソレノイド31dに連結される。
【0046】
可動部材駆動ソレノイド31d(31dL,31dR)は、可動部材31aに駆動力を付与して可動部材31aを上方へ移動させるものであり、一般的な電磁ソレノイドで構成されたものである。可動部材駆動ソレノイド31dは、左右両側に突出した部分に穴が設けられ、ネジ等でねじ止めすることによって部品固定部材31b4の背面に固定されている。
【0047】
可動部材駆動ソレノイド31dの下端には、突出部材31a3と可動部材駆動ソレノイド31dとを連結するための連結部材31d1が設けられており、可動部材駆動ソレノイド31dが駆動することによって、可動部材31aが上下移動する。連結部材31d1は、正面視略矩形状に形成され、その上部に可動部材駆動ソレノイド31dを固定する固定部を有し、その下部に突出部材31a3の突出部を連結するための連結部を有している。この連結部には、前面側に突出して突出部材31a3の突出部先端を外方より支持する円筒状の部分と、その背面側に穿設されてネジ等を挿通するためのねじ穴とが設けられている。可動部材31aは、この連結部において、突出部材31a3の突出部の先端を支持しつつ連結部材31d1の背面側から挿通されるネジ等によって連結部材31d1と連結固定される。
【0048】
連結部材31d1と連結する突出部材31a3の突出部は、可動装置ケース31bの背面を貫通し、可動装置ケース31bの背面に取り付けられた可動部材駆動ソレノイド31dの連結部材31d1と直接的に連結される。このため、可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとの間にリンク機構を介さずに可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとを連結することができる。よって、可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとの間の構成を簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0049】
また、突出部材31a3の突出部は、ネジ等によって連結部材31d1と連結固定される。このため、可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとを連結固定した後にも、ネジ等を操作して(緩めて)、可動部材31aと可動部材駆動ソレノイド31dとの連結固定を解除し、可動部材31aを取り外すことができる。よって、可動部材31aの脱着が可能となる。
【0050】
ここで、可動装置ケース31bが遊技盤30に装着された状態で可動部材31aを脱着する方法について説明する。可動部材31aを取り外す場合には、まず、連結部材31d1の背面側(遊技盤30の背面側)から、連結部材31d1と可動部材31aの突出部材31a3の突出部とを連結固定しているネジ等を外す。その後、可動装置ケース31bの開口側から、部品固定部材31b4に穿設された貫通孔と背面部材31b3に穿設された貫通孔とから突出部材31a3の突出部を抜き出しつつ、可動部材31aを可動装置ケース31bの開口から取り出す。以上の作業によって、可動装置ケース31bが遊技盤30に装着された状態で可動部材31aを取り外すことができる。
【0051】
一方、可動部材31aを取り付ける場合には、まず、可動部材31aを、可動装置ケース31bの開口から、突出部材31a3の突出部を背面部材b3に穿設された貫通孔と部品固定部材31b4に穿設された貫通孔とに貫通させつつ差し込む。その後、突出部材の突出部を連結部材31d1の連結部に連結させ、連結部材31d1の背面側(遊技盤30の背面側)からネジ等によって連結部材31d1と可動部材31aとを連結固定する。以上の作業によって、可動装置ケース31bが遊技盤30に装着された状態で可動部材31aを取り付けることができる。
【0052】
このように、一般役物入賞装置31の背面における連結部材31d1の背面からネジ等を止める、または、外すことにより、可動装置ケース31bが遊技盤30に装着された状態で、可動部材31aを脱着することができる。よって、突出部材31a3と連結部材31d1とが開口空間内においてネジ等によって連結固定する場合に比べて、脱着作業の作業スペースが制限されず、作業性が向上する。従って、可動部材31aが故障或いは破損した場合には、一般役物入賞装置31が遊技盤30に装着された状態で可動部材31aを容易に脱着することができるので、脱着作業に要する時間が短くなり、稼働中の遊技機の停止時間を短くすることができる。従って、ホール営業中における可動部材の故障等があっても迅速に対処することができる。
【0053】
更に、可動装置ケース31bの背面を貫通する突出部材31a3の突出部を共通の形状とした可動部材であれば、他の部分の形状が異なっていても容易に可動部材同士を交換することができる。即ち、可動部材を他の可動部材と交換することにより容易に同一機種のバリエーションを増加させることができる。例えば、一の遊技場における同一機種間で、半分の遊技機にはマンモスを模した可動部材を使用し、残りの半分の遊技機にはマンモスからカラスを模した可動部材に交換して使用することができ、同一機種のバリエーションを多様にすることができる。更に、一の遊技場において、複数種類の可動部材を用意しておけば、例えば、所定期日毎に可動部材を交換して、同一機種のバリエーションを多様にすることができる。
【0054】
図4に戻って説明する。遊技盤30には、遊技球発射装置から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50を通じて遊技領域に案内される。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール部51と外レール取付部52とを有する。内レール部51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成されると共に、外レール取付部52は、その一部(主に左側部)が内レール部51に向かい合うようにして形成されている。これら内レール部51と外レール取付部52とにより誘導レールが構成され、この内レール部51と外レール取付部52とが所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路が形成されている。なお、球案内通路は、遊技盤30との当接面を有した溝状、即ち手前側を開放した溝状に形成されている。
【0055】
内レール部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール部51及び外レール取付部52間の球案内通路から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、外レール取付部52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図4の右上部:外レール取付部52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって、勢いが減衰されて跳ね返される。外レール取付部52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、長尺状のステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
【0056】
また、レールユニット50の外周部には、外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなれる。更に、本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、即ち遊技盤30上の遊技領域の拡張が図られるようになっている。
【0057】
内レール部51及び外レール取付部52間の球案内通路の入口には、その球案内通路の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール部51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域まで至らず球案内通路内を逆流してくるファール球をファール球通路63(図3参照)へ導くためのものである。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられており、この貼着スペースK1,K2を確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。このように、遊技盤30自体に証紙等の貼着スペースK1,K2を設けているので、証紙を遊技盤30に直接貼付することにより、その証紙により遊技盤30を一義的に特定することができる。即ち、遊技盤の不正な交換を容易に発見することができる。
【0058】
従来のパチンコ機では、レールは遊技盤に直接打ち込まれていた。しかし、上述するように本実施の形態のパチンコ機10では、レールユニット50は、フランジ56にネジ等が挿通されて遊技盤30に締結されている。即ち、本実施の形態では、遊技盤30を、従来のパチンコ機と同等サイズで形成しつつ、遊技領域を、従来のパチンコ機より大きく形成しているので、レールを遊技盤に直接打ち込むことができないため、レールユニット50をフランジ56と共に樹脂で一体成形し、このフランジ56をネジ止め等して遊技盤30に締結している。かかる構成を採用した本実施の形態によれば、廃棄時にレールユニット50を遊技盤30から容易に取り外すことができるので、樹脂成形されるレールユニット50を容易にリサイクルすることができる。なお、遊技球の発射を安定して行わせるために、遊技球の発射側のレールユニット50は、より多くのネジにより他のレールユニット50の部分に増してしっかりと固定されている。このレールユニット50を構成する樹脂材料としては、摩擦抵抗の小さいフッ素入りのポリカーボネートが好適である。
【0059】
次に、遊技領域について説明する。遊技領域は、レールユニット50の内周部に略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される遊技領域が従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール取付部52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール取付部52の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール部51の極左位置から内レール部51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
【0060】
本実施の形態では、遊技領域を、パチンコ機10の正面から見て、内レール部51及び外レール取付部52によって囲まれる領域のうち、内レール部51及び外レール取付部52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域と言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域の向かって左側限界位置は外レール取付部52によってではなく内レール部51によって特定される。同様に、遊技領域の向かって右側限界位置は内レール部51によって特定される。また、遊技領域の下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域の上側限界位置は外レール取付部52によって特定される。従って、本実施の形態では、遊技領域の幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域の高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
【0061】
ここで、遊技領域の幅は、少なくとも380mm以上あることが望ましい。より好ましくは390mm以上、400mm以上、410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更に460mm以上であることが望ましい。もちろん、470mm以上であってもよい。即ち、遊技領域の幅は、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。また、遊技領域の高さは、少なくとも400mm以上あることが望ましい。より好ましくは410mm以上、420mm以上、430mm以上、440mm以上、450mm以上、更には460mm以上であることがより望ましい。もちろん、470mm以上、480mm以上、490mm以上としてもよい。即ち、遊技領域の高さは、遊技領域拡大という観点からは大きい程好ましい。なお、上記幅及び高さの組合せについては、上記数値を任意に組み合わせたものとしてもよい。
【0062】
本実施の形態では、遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率は約70%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、遊技盤30面に対する遊技領域の面積比は、従来では50%程度に過ぎなかったことから、遊技盤30を共通とした前提においてはかなり遊技領域を拡大しているといえる。尚、パチンコ機10の外形は遊技場への設置の都合上製造者間でほぼ統一されており、遊技盤30の大きさも同様とせざるを得ない状況下において、上記のように遊技盤30面に対する遊技領域の面積の比率を約20%も高めたことは、遊技領域拡大の観点で非常に有意義である。ここで、前記比率は、少なくとも60%以上であることが望ましい。更に好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上である。また、本実施形態の場合を越えて75%以上であれば、一層望ましい。更には、80%以上であってもよい。
【0063】
また、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積の比率は約40%と、従来に比べ格段に面積比が大きいものとなっている。なお、パチンコ機10全体の正面側の面積に対する遊技領域の面積比は、35パーセント以上であるのが望ましい。もちろん、40パーセント以上としてもよいし、45パーセント以上、又は50パーセント以上としてもよい。
【0064】
なお、遊技領域が左右方向に拡張されているので、風車、複数の釘(遊技球を中央に誘導するための誘導釘)、他の役物を種々配設することができ、役物可変入賞装置33の左右両側の遊技領域での遊技球の挙動を一層面白くすることができる。また、遊技領域が上下方向にも拡張されているので、更に風車、複数の釘、他の役物を種々配設することができ、遊技領域での上下方向の遊技球の挙動をより一層面白くすることができる。
【0065】
図3に戻って説明する。前記樹脂ベース20において、窓孔21の下方(遊技盤30の下方)には、遊技球発射装置より発射された直後の遊技球を案内するための発射レール61が取り付けられている。発射レール61は、その後方の金属板62を介して樹脂ベース20に取付固定されており、所定の発射角度(打ち出し角度)にて直線的に延びるよう構成されている。従って、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は、まずは発射レール61に沿って斜め上方に打ち出され、その後、前述した通りレールユニット50の球案内通路を通じて遊技領域に案内される。
【0066】
本パチンコ機10の場合、遊技領域が従来よりも大幅に拡張されることは既に述べたが、かかる構成下では、誘導レールの曲率を小さくせざるを得ないので、打出球を安定化させるための工夫を要する。そこで本実施の形態では、遊技球の発射位置を低くすると共に発射レール61の傾斜角度(発射角度)を既存のものよりも幾分大きくし(即ち発射レール61を立ち上げるようにし)、更に発射レール61の長さを既存のものよりも長くして十分な長さの球誘導距離を確保している。これにより、遊技球発射装置から発射された遊技球をより安定した状態で誘導レールに案内できるようにしている。この場合、特に、発射レール61を、遊技球発射装置の発射位置から遊技領域の中央位置(アウト口36)を越える位置まで延びるよう形成している。
【0067】
また、発射レール61とレールユニット50(誘導レール)との間には所定間隔の隙間が形成され、この隙間より下方にファール球通路63が形成されている。従って、仮に、遊技球発射装置から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球として誘導レール内を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路63を介して下皿15へ排出される。本実施の形態の場合、発射レール61の長さは約240mm、発射レール61の先端部の隙間の長さ(発射レール61の延長線上の長さ)は約40mmである。
【0068】
ファール球が誘導レール内を逆流してくる際、その多くは外レール取付部52に沿って流れ、外レール取付部52の下端部に到達した時点で下方に落下するが、一部のファール球は誘導レール内で暴れ、内レール部51側へ跳ね上がるものもある。跳ね上がったファール球は、球案内通路入口の前記凸部57に当たり、ファール球通路63に誘導される。これにより、ファール球の全てがファール球通路63に確実に案内される。よって、ファール球と次に発射される遊技球との干渉を抑制することができる。
【0069】
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。この際、本実施の形態では遊技球の発射位置を低くしたため、前面枠セット14側の球出口から前記発射位置への落差が大きくなるが、発射レール61の基端部付近にはその右側と手前側とにそれぞれガイド部材65,66を設置したので、前面枠セット14側の球出口から供給される遊技球は常に所定の発射位置にセットされ、安定した発射動作を実現できる。
【0070】
また、遊技球発射装置には打球槌が設けられ、軸部を中心とする打球槌の回動に伴い遊技球が発射される。この打球槌に関しては軽量化が望まれているので、アルミニウム等の軽金属への材料変更や軸部寸法の縮小化により打球槌の軽量化を図る一方で、十分な発射力を確保すべく、打球槌のヘッド部(軸部と反対側の端部)に重り部を設けている。これにより、十分でかつ安定した遊技球の発射が実現できる。打球槌の重り部を上方に突出して設けることにより、打球槌を容易に摘んだりひっかけたりすることができ、槌先の打球強さの調整等がし易くなる。
【0071】
排出口67は上皿19に通じており、この排出口67を介して遊技球が上皿19に排出される(払い出される)。排出口67には開閉式のシャッタ68が取り付けられており、前面枠セット14を開放した状態(図3の状態)ではバネ等の付勢力によりシャッタ68が排出口67を閉鎖するように構成されている。また、前面枠セット14を閉鎖した状態では、当該前面枠セット14の裏面に設けられた球通路樋69(図2参照)によりシャッタ68が押し開けられるように構成されている。従って、前飾り枠が省略され前面枠セット14に対して上皿19が直接設けられる構成とした本パチンコ機10において、前面枠セット14の開放に際し払出通路内等の遊技球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できるようになっている。
【0072】
図3に示すように、樹脂ベース20には、窓孔21の右下部に略四角形状の小窓71が設けられている。従って、遊技盤30の右下隅部の貼着スペースK1に張られたシール等は、この小窓71を通じて視認できるようになっている。また、この小窓71からシール等を貼り付けることも可能となっている。
【0073】
図3における内枠12の左端部には、前面枠セット14の支持機構として、支持金具81,82が取り付けられている。上側の支持金具81には図の手前側に切欠を有する支持孔83が設けられ、下側の支持金具82には鉛直方向に突出した突起軸84が設けられている。また、前面枠セット14の図9の右端部(パチンコ機10正面から見ると左端部)には、内枠12の支持機構として、支持金具151,152が取り付けられている。従って、内枠12側の支持金具81,82(図3参照)に対して前面枠セット14側の支持金具151,152を組み付けることで、内枠12に対して前面枠セット14を開閉可能に装着することができる。更に、支持金具81の支持孔83は切欠を有し、且つ図9に図示する通り支持金具151の下端部は補足形成されているので、支持金具151を支持孔83から完全に抜かなくても、支持金具151の細い部分を支持孔83の切欠に通すことによって前面枠セット14を内枠12(パチンコ機10)から容易に取り外すことができる。
【0074】
次に、図1及び図9を参照して、前面枠セット14について説明する。図9は、前面枠セット14の背面図である。前面枠セット14には、遊技領域のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている。この窓部101の略中央部を直線状に形成してもよい。本実施の形態において、窓部101の上端(外レール取付部52の最上部、遊技領域の上端)と、前面枠セット14の上端との間の距離(いわゆる上部フレーム部分の上下幅)は61mmとなっており、85mm〜95mm程度上部フレーム幅がある従来技術に比べて著しく短くなっている。これにより、遊技領域の上部領域が確保されやすくなるとともに、大型の役物可変入賞装置30を比較的上方に配置することができる。なお、前面枠セット14の上端との間の距離は80mm以下であることが望ましく、より望ましくは70mm以下であり、更に望ましくは60mm以下である。もちろん、所定の強度が確保できるのであれば、50mm以下であっても差し支えない。
【0075】
また、パチンコ機10の正面から見て窓部101の左端と前面枠セット14の左端との間の最短距離(いわゆる左側部フレーム部分の左右幅:図9では右側に示されている)、即ち開閉軸線側のフレーム幅は、前面枠セット14自体の強度及び支持強度を高めるために比較的大きく設定されている。この場合、図1及び図3を相互に比較すると明らかなように、前面枠セット14が閉じられた状態において、外レール取付部52の左端部はもちろん、内レール部51の左端部も前記左側部フレーム部分によって覆い隠される。つまり、誘導レールの少なくとも一部が、パチンコ機10の正面からみて前面枠セット14の左側部フレーム部分と重複し覆い隠される。このように遊技球が一時的に視認困難となったとしても、それは、遊技球が遊技領域に案内される通過点に過ぎず、遊技者が主として遊技を楽しむ遊技領域において遊技球が視認困難となるわけではない。そのため、実際の遊技に際しては何ら支障が生じない。また、このような支障が生じない一方で、前面枠セット14の十分な強度及び支持強度が確保可能となっている。ちなみに、パチンコ機10の正面から見て外レール取付部52の左端位置と外枠11の左端位置との左右方向の距離は21mm、遊技領域の右端位置(内レール部51の右端位置)と外枠11の右端位置との左右方向の距離は44mmとなっている。
【0076】
加えて、前面枠セット14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行って、大当たり中であることを報知する。更に、上皿19周りにも、同じくLED等の発光手段を内蔵した上皿電飾部104が設けられている。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。
【0077】
また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂が取り付けられた小窓107が設けられている。環状電飾部102が手前に凸に形成されているのに対し、小窓107は平らに形成されている。前述した通り、小窓107の背面には、証紙等のシールやプレートを貼着するための貼着スペースK1,K2が設けられているので、そこに貼着されたシール等の内容を、スキャナなどの読み取り装置によって光学的に読み取り可能とするために平らにされているのである。また、小窓107部分を平らに形成することによって、2台のパチンコ機10間に配設される球貸機(図示せず)の貸し球レールがパチンコ機10から遊技者側へ出っ張らないようにして、球貸機を配設することができる。
【0078】
窓部101の下方には貸球操作部120が配設されている。貸球操作部120には、球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されたカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化を図ることができる。
【0079】
図9に示すように、前面枠セット14の裏側には、窓部101を囲むようにして金属製の各種補強部材が設けられている。詳しくは、前面枠セット14の裏側にあって窓部101の上下左右の外側にはそれぞれ補強板131,132,133,134が取り付けられている。これら補強板131〜134は相互に接触して連結されているが、図9の左側及び上側の補強板132,133の連結部には直接の接触を避けるための樹脂パーツ135が介在されている。この樹脂パーツ135により、金属製の補強板131〜134が前面枠セット14にて環状にループ接続されるのを防いでいる。金属製の補強板131〜134が環状にループ接続されていると、遊技球の発射動作に伴う電磁ノイズが遊技盤30の前面に配設された前面枠セット14の周囲をループし、遊技盤30に悪影響を及ぼして、パチンコ機10の誤動作を誘発するが、本実施の形態のパチンコ機10では、樹脂パーツ135により、金属製の補強板131〜134の環状接続を回避しているので、かかるノイズの悪影響を抑制することができる。なお、金属製の補強板131〜134の一部に樹脂パーツ135を使用することによる強度の低下は、その樹脂パーツ135にリブを設けたり、樹脂パーツ135の厚さを増して、補っている。
【0080】
図9の右側の補強板131には、その中間位置にフック状をなす係合爪131aが設けられており、この係合爪131aは、前面枠セット14を閉じた状態で内枠12の孔部12a(図3参照)に係合されるように構成されている。この構成により、上皿19を含む形態で前面枠セット14が構成され、その上下の軸支位置が延長されたとしても、中間位置における前面枠セット14の浮き上がりを防止することができる。それ故、前面枠セット14を浮かしての不正行為等を抑制することができる。
【0081】
また、下側の補強板134には、前記発射レール61(図3参照)に対向する位置に樹脂製のレール側壁部材136が設けられている。このレール側壁部材136は、前面枠セット14を閉じた際に発射レール61の側壁となって、発射レール61から遊技球がこぼれ落ちないように機能している。
【0082】
上述した補強板131〜134はガラス支持用の金枠としての機能も兼ね備えており、これら補強板131〜134の一部が後方に折り返されてガラス保持溝が形成されている。このガラス保持溝は前後に2列形成されており、矩形状をなす前後一対のガラス137が各ガラス保持溝にて保持される。これにより、2枚のガラス137が前後に所定間隔を隔てて取着される。
【0083】
前述の通り本実施の形態のパチンコ機10では遊技領域の拡張を図っていることから、前面枠セット14を閉じた状態にあっては、内レール部51及び外レール取付部52により構成された誘導レールの一部が前面枠セット14により覆い隠される構成となっている。それ故、当該誘導レールでは手前側の開放部がガラス137で覆えない部分ができてしまう。かかる場合、例えば、遊技球発射装置より発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らず戻ってくると、当該遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール取付部52とガラス137との間に挟まってしまうおそれがある。そこで本実施の形態では、前面枠セット14に、誘導レールの手前側開放部を被覆するためのレールカバー140を取り付けている。
【0084】
レールカバー140は略円弧状をなす略平板体であって、透明な樹脂により形成されている。レールカバー140は、その円弧形状が前記誘導レールの形状に対応しており、窓部101の周縁部に沿って、誘導レールの基端部から先端部近傍までの区間を覆うように前面枠セット14の裏側に取着されている。特にレールカバー140の内径側の寸法・形状は内レール部51のそれにほぼ一致する。レールカバー140が取着された状態では、その表面側がガラス137に当接した状態となる。前面枠セット14が閉じられた状態においては、レールカバー140の裏面が誘導レールのほぼ全域を覆うこととなる。これにより、誘導レールのほとんどの区間において遊技球のガラス137への衝突を防止できる。従って、ガラス137への接触による破損等の悪影響を抑制することができる。
【0085】
また、レールカバー140の右端部(即ち、レールカバー140を前面枠セット14に取着した図9の状態で右端となる部位)には、誘導レールがガラス137の側縁部からはみ出した部分を被覆するための被覆部141が設けられている。これにより、遊技球が誘導レール外にこぼれたり(飛び出したり)、外レール取付部52とガラス137との間に挟まってしまうといった不具合の発生を防止することができる。
【0086】
更に、レールカバー140には、その内側縁に沿って円弧状に延び且つ図9の手前側に突出した突条142が形成されている。突条142は、前面枠セット14が閉じられた場合には、誘導レール内に入り込んだ状態で内レール部51にほぼ一体的に重なり合うよう構成されている。従って、例えば前面枠セット14と内枠12との隙間から針金等を侵入させて不正行為を行おうとしても、誘導レールの内側にある遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。結果として、針金等を利用して行われる不正行為を防止することができる。なお、突条142をより広い範囲で、例えばレールカバー140の内側縁の全域に沿って形成する構成としても良い。かかる構成によれば、より広い範囲で針金等を侵入させ難くなり、針金等を利用して行われる不正行為をより確実に防止することができる。
【0087】
次に、図10から図15を参照して、パチンコ機10の背面の構成を詳しく説明する。図10はパチンコ機10の背面図であり、図11はパチンコ機10の背面構成を主要部品毎に分解して示した分解斜視図である。図12は、パチンコ機10裏面における第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203の配置を示す模式図であり、図13は、内枠12及び遊技盤30の構成を示す背面図である。図14は、内枠12を後方より見た斜視図であり、図15は、遊技盤30を後方より見た斜視図である。
【0088】
先ずはじめに、パチンコ機10の背面構成について全体の概要を説明する。パチンコ機10の背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、更に、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、主基板と音声ランプ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称する。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成について後述する。
【0089】
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、更にこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
【0090】
実際には、図12の概略図に示すように、各ユニット201〜203が配置され、取り付けられている。なお、図12において、略L字状をなす第1制御基板ユニット201はパチンコ機10のほぼ中央に配置され、その下方に第2制御基板ユニット202が配置されている。また、第1制御基板ユニット201に一部重なる領域に、裏パックユニット203が配置されている。
【0091】
第1制御基板ユニット201には、パチンコ機10の背面から見て左端部に支軸部M1が設けられ、その支軸部M1の軸線Aを中心に当該第1制御基板ユニット201が開閉可能となっている。また、第1制御基板ユニット201には、その右端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M2が設けられると共に上端部に係止爪部M3が設けられており、これら締結部M2及び係止爪部M3によって第1制御基板ユニット201がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
【0092】
また、第2制御基板ユニット202には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M4が設けられ、その支軸部M4の軸線Bを中心に当該第2制御基板ユニット202が開閉可能となっている。また、第2制御基板ユニット202には、その左端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M5が設けられており、この締結部M5によって第2制御基板ユニット202がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
【0093】
更に、裏パックユニット203には、パチンコ機10の背面から見て右端部に支軸部M6が設けられ、その支軸部M6による軸線Cを中心に当該裏パックユニット203が開閉可能となっている。また、裏パックユニット203には、その左端部(即ち支軸部と反対側、更に言えば開放端側)にナイラッチ等よりなる締結部M7が設けられると共に上端部及び下端部にそれぞれ回動式の係止部M8,M9が設けられており、これら締結部M7及び係止部M8,M9によって裏パックユニット203がパチンコ機10の本体に対して固定保持される。
【0094】
各ユニット201〜203の展開方向は同一でなく、第1制御基板ユニット201は、パチンコ機10の背面から見て左開きになるのに対し、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、同右開きになるよう構成されている。
【0095】
一方、図13は、内枠12に遊技盤30を組み付けた状態を示す背面図である。また、図14は、内枠12を後方より見た斜視図であり、図15は、遊技盤30を後方より見た斜視図である。ここでは図13〜図15を用いて、内枠12及び遊技盤30の裏面構成を説明する。
【0096】
遊技盤30は、樹脂ベース20に囲まれた四角枠状の設置領域に設置され、内枠12に設けられた複数(本実施の形態では4カ所)の係止固定具211,212によって脱落しないように固定されている。係止固定具211,212は手動で回動でき、固定位置(ロック位置)と固定解除位置(アンロック位置)とを切り替え可能に構成されている。図13は、係止固定具211,212がロック位置にある状態を示している。遊技盤30の左右3カ所の係止固定具211は、金属片を折り曲げ形成したL型の金具で構成され、遊技盤30を固定した状態では内枠12の外方へ張り出さないよう構成されている。なお、遊技盤30の下部1カ所の係止固定具212は樹脂製のI型の留め具で構成される。
【0097】
遊技盤30の中央には、役物可変入賞装置ユニット35が配置されている。役物可変入賞装置ユニット35においては、センターフレーム47(図3参照)を背後から覆う樹脂製(例えばABS製)のフレームカバー213が後方に突出して設けられており、そのフレームカバー213の後端に、役物可変入賞装置33が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するためのLED制御基板などが配設されている。
【0098】
また、遊技盤30の裏面には、役物可変入賞装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取り付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成型品(例えばABS製)であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構が形成されている。詳しくは、裏枠セット215の下方には、前述した一般役物入賞装置31、役物開放口32L,32C,32R及び役物可変入賞装置33(それぞれ図3参照)の遊技盤開口部に対応し、且つ下流側で1カ所に集合する回収通路216が形成されている。また、遊技盤30の下方には、樹脂製(例えばポリカーボネート樹脂製)の排出通路盤217が取り付けられており、該排出通路盤217には、排出球をパチンコ機10の外部へ案内するための排出通路218が形成されている。従って、図13に仮想線で例示するように、一般役物入賞装置31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の回収通路216を介して集合し、更に排出通路盤217の排出通路218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36(図3参照)も同様に排出通路218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出通路218を介してパチンコ機10の外部に排出される。
【0099】
上記構成では、遊技盤30の下端面を境界にして、上方に裏枠セット215(回収通路216)が、下方に排出通路盤217(排出通路218)が設けられており、排出通路盤217が遊技盤30に対して前後方向に重複(オーバーラップ)せずに設けられている。従って、遊技盤30を内枠12から取り外す際において、排出通路盤217が遊技盤30の取り外しの妨げになるといった不都合が生じることもない。
【0100】
なお、排出通路盤217は、パチンコ機10前面の上皿19の丁度裏側辺りに設けられているので、上皿19に至る球排出口(図2の球通路樋69)より針金等を差し込み、更にその針金等を内枠12と排出通路盤217との隙間を通じて遊技領域側に侵入させるといった不正行為が考えられる。そこで本パチンコ機10では、排出通路盤217の上皿19の丁度裏側辺りに、内枠12にほぼ一体的に重なり合うようにしてパチンコ機10の前方に延びるプレート219が設けられている。従って、内枠12と排出通路盤217との隙間から針金等を侵入させようとしてもそれがプレート219にて阻害され、遊技領域にまで針金等を侵入させることが非常に困難となる。その結果、針金等を利用して可変入賞装置32(大入賞口)を強制的に開放する等の不正行為を防止することができる。
【0101】
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などへの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般役物入賞装置31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、役物開放口32L,32C,32Rには左・中・右の各開放口スイッチ222L,222C,222Rが設けられ、V入賞口33b4にはV入賞検出スイッチ223が設けられている。V入賞検出スイッチ223は、通常遊技状態では、大当たりが発生するか否かを判定するスイッチであると共に、大当たり状態でV入賞口33b4に遊技球が入ったことを判定するスイッチである。
【0102】
入賞口スイッチ221、左・中・右の各開放口スイッチ222L,222C,222R及びV入賞検出スイッチ33b8は、図示しない電気配線を通じて盤面中継基板(図示せず)に接続され、更にこの盤面中継基板が後述する主基板(主制御装置261)に接続されている。その他図示は省略するが、図13において、パチンコ機10の裏面左下方部には打球槌等を備えるセットハンドル228が配設され、その右横には発射モータ229が配設されている。
【0103】
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(即ち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。
【0104】
裏枠セット215には、第1制御基板ユニット201を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、この取付機構として、遊技盤30の裏面から見て左下隅部には上下方向に延びる支持金具231が設けられ、この支持金具231には同一軸線上に上下一対の支持孔231aが形成されている。その他、遊技盤30の右下部には上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)232が設けられ、同左上部には係止爪片233が設けられている。
【0105】
内枠12の裏面には、第2制御基板ユニット202や裏パックユニット203を取り付けるための取付機構が設けられている。具体的には、内枠12の右端部には、図16に示す長尺状の支持金具235が取り付けられている。図16に示すように、支持金具235は長尺板状の金具本体236を有し、その金具本体236より起立させるようにして、下方2カ所に第2制御基板ユニット202用の支持孔部237が形成されると共に、上方2カ所に裏パックユニット203用の支持孔部238が形成されている。それら支持孔部237,238にはそれぞれ同軸の支持孔が形成されている。その他、第2制御基板ユニット202用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域よりも下方左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)239が設けられている。また、裏パックユニット203用の取付機構として、内枠12には、遊技盤設置領域の左端部に上下一対の被締結孔(ナイラッチ孔)240が設けられている。但し、第2制御基板ユニット202用の支持金具と裏パックユニット203用の支持金具とを各々個別の部材で設けることも可能である。符号241,242,243は、遊技盤30との間に裏パックユニット203を挟み込んで支持するための回動式の固定具である。
【0106】
その他、内枠12の背面構成において、遊技盤30の右下部には、後述する払出機構より払い出される遊技球を上皿19、下皿15、又は排出通路218の何れかに振り分けるための遊技球分配部245が設けられている。即ち、遊技球分配部245の開口部245aは上皿19に通じ、開口部245bは下皿15に通じ、開口部245cは排出通路218に通じる構成となっている。また、内枠12の下端部には、下皿15に設置されたスピーカ(図示せず)の背後を囲むための樹脂製のスピーカボックス246が取り付けられており、このスピーカボックス246により低音域の音質改善が図られている。
【0107】
次に、図17〜図20を参照して、第1制御基板ユニット201を説明する。図17は第1制御基板ユニット201の正面図であり、図18は同ユニット201の斜視図であり、図19は同ユニット201の分解斜視図であり、図20は同ユニット201を裏面から見た分解斜視図である。
【0108】
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台251を有し、この取付台251に主制御装置261と音声ランプ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット264(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
【0109】
封印ユニット264はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、ここでは図18等に示すように、5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結される。封印ユニット264による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。即ち、封印ユニット264を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主基板の不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
【0110】
また、音声ランプ制御装置262は、例えば主制御装置261からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む音声ランプ制御基板を具備しており、この音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス265に収容されて構成されている。音声ランプ制御装置262上には電源中継基板266が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板266を介して音声ランプ制御装置262に出力される。
【0111】
取付台251は、有色(例えば緑、青等)の樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂製)にて成形され、その表面に平坦状をなす2つの基板搭載面252,253が設けられている。これら基板搭載面252,253は直交する向きに延び、前後方向に段差をもって形成されている。但し、取付台251は無色透明又は半透明の樹脂成型品であっても良い。
【0112】
一方の基板搭載面252上には、主制御装置261が横長の向きに配置されると共に、他方の基板搭載面253上には、音声ランプ制御装置262(音声ランプ制御基板)が縦長の向きに配置される。特に、主制御装置261は、パチンコ機10裏面から見て手前側に配置され、音声ランプ制御装置262はその奥側に配置される。この場合、基板搭載面252,253が前後方向に段差をもって形成されているので、これら基板搭載面252,253に主制御装置261及び音声ランプ制御装置262を搭載した状態において各制御装置261,262はその一部を前後に重ねて配置されるようになる。つまり、図18等にも見られるように、主制御装置261はその一部(本実施の形態では1/3程度)が浮いた状態で配置されるようになる。故に、主制御装置261に重なる領域まで音声ランプ制御装置262を拡張することが可能となり、当該制御基板の大型化にも良好に対処できると共に、各制御装置を効率良く設置できる。また、第1制御基板ユニット201を遊技盤30に装着した状態では、基板搭載面252の後方にスペースが確保され、役物可変入賞装置33やその電気配線等が無理なく設置できるようになっている。
【0113】
図19及び図20に示すように、主基板用の基板搭載面252には、左右2カ所に横長形状の貫通孔254が形成されている。これに対応して、主制御装置261の基板ボックス263には、その裏面の左右2カ所に回動式の固定具267が設けられている。主制御装置261を基板搭載面252に搭載する際には、基板搭載面252の貫通孔254に固定具267が通され、その状態で固定具267が回動されて主制御装置261がロックされる。従って、上述の通り主制御装置261はその一部が浮いた状態で配置されるとしても、当該主制御装置261の脱落等の不都合を回避できる。また、主制御装置261は第1制御基板ユニット201(基板搭載面252)の裏面側から固定具267をロック解除しなければ、取り外しできないため、基板取り外し等の不正行為に対して抑止効果が期待できる。主基板用の基板搭載面252にはその裏面に格子状のリブ255が設けられている。
【0114】
取付台251には、図18等の左端面に上下一対の支軸256が設けられており、この支軸256を図13等に示す支持金具231に取り付けることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に対して開閉可能に支持される。また、取付台251には、右端部に締結具として上下一対のナイラッチ257が設けられると共に上端部に長孔258が設けられており、ナイラッチ257を図13等に示す被締結孔232にはめ込むと共に、長孔258に図13等に示す係止爪片233を係止させることで、第1制御基板ユニット201が遊技盤30に固定される。なお、支持金具231及び支軸256が前記図12の支軸部M1に、被締結孔232及びナイラッチ257が締結部M2に、係止爪片233及び長孔258が係止爪部M3に、それぞれ相当する。
【0115】
次に、図21〜図23を参照して、第2制御基板ユニット202を説明する。図21は第2制御基板ユニット202の正面図であり、図22は同ユニット202の斜視図であり、図23は同ユニット202の分解斜視図である。
【0116】
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台301を有し、この取付台301に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が搭載されている。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射モータ229の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。カードユニット接続基板314は、パチンコ機10の前面の貸球操作部120及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
【0117】
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス315,316,317,318にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス315(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット319(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス315が封印されている。
【0118】
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ358a部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータ358aが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
【0119】
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されるので、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
【0120】
取付台301は例えば無色透明な樹脂成型品よりなり、その表面に平坦状をなす基板搭載面302が設けられている。この場合、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314は取付台301の基板搭載面302に横並びの状態で直接搭載され、電源装置313の基板ボックス317上に払出制御装置311が搭載されている。
【0121】
また、取付台301には、図21等の右端部に上下一対の支軸305が設けられており、この支軸305を図13等に示す支持孔部237に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、取付台301には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ306が設けられており、ナイラッチ306を図13等に示す被締結孔239にはめ込むことで、第2制御基板ユニット202が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。なお、支持孔部237及び支軸305が前記図12の支軸部M4に、被締結孔239及びナイラッチ306が締結部M5に、それぞれ相当する。
【0122】
次に、図24及び図25を参照して、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、図24はパチンコ機10の背面から見た裏パックユニット203の背面図を示しており、図25はその分解斜視図を示している。
【0123】
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成型されており、略平坦状のベース部353と、パチンコ機10後方に突出し横長の略直方体形状をなす保護カバー部354とを有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも役物可変入賞装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する(但し本実施の形態では、前述の音声ランプ制御装置262も合わせて囲む構成となっている)。保護カバー部354の背面には多数の通気孔354aが設けられている。この通気孔354aは各々が長孔状をなし、それぞれの通気孔354aが比較的近い位置で隣り合うよう設けられている。従って、隣り合う通気孔354a間にある樹脂部分を切断することにより、裏パック351の背面を容易に開口させることができる。つまり、通気孔354a間の樹脂部分を切断してその内部の表示制御装置45等を露出させることで、所定の検定等を容易に実施することができる。
【0124】
また、ベース部353には、保護カバー部354を迂回するようにして払出機構部352が配設されている。即ち、裏パック351の最上部には上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列(2条)の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、更にタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は図25に示す払出通路359等を通じて前記上皿19に供給される。
【0125】
タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が取り付けられている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際には、バイブレータ360を駆動することによって球詰まりを解消できるようになっている。このバイブレータ360は、ユニット化されているので、タンクレール356へ容易に取り付けることができる。
【0126】
図26を参照してタンクレール356の構成ついて詳述すると、タンクレール356は上方に開口した長尺樋状をなすレール本体361を有し、レール本体361の始端部には球面状の球受部362が設けられている。この球受部362により、タンク355から落下してきた遊技球が円滑にレール本体361内に取り込まれる。また、レール本体361には長手方向に延びる仕切壁363が設けられており、この仕切壁363により遊技球が二手に分流されるようになっている。仕切壁363により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっている。仕切壁363により仕切られた各球通路の底面には、1筋又は2筋の突条364が設けられると共に、その突条364の側方に開口部365が設けられている。
【0127】
また、レール本体361には、その下流側半分程度の天井部分を覆うようにして整流板367が配設されている。この整流板367は、下流側になるほどタンクレール356内の球通路高さを制限するよう弓なりに反った形状をしており、更にその下面には長手方向に延びる凸部368が形成されている。これにより、タンクレール356内を流れる各遊技球は最終的には上下に積み重なることなく下流側に流出する。従って、タンクレール356に多量の遊技球群が流れ込んできても、遊技球の噛み込みが防止され、タンクレール356内における球詰まりが解消される。なお、レール本体361は、黒色の導電性ポリカーボネート樹脂により成形されるのに対し、整流板367は透明のポリカーボネート樹脂により成形されている。整流板367は着脱可能に設けられており、当該整流板367を取り外すことによりタンクレール356内のメンテナンスが容易に実施できるようになっている。
【0128】
図24及び図25に戻って説明する。払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
【0129】
タンク355から払出通路359に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
【0130】
また、裏パック351には、図24等の右端部に上下一対の支軸385が設けられており、この支軸385を図13等に示す支持孔部238に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。また、裏パック351には、左端部に締結具として上下一対のナイラッチ386が設けられると共に、上端部に係止孔387が設けられており、ナイラッチ386を図13等に示す被締結孔240にはめ込むと共に、係止孔387に図13等に示す固定具242を係止させることで、裏パックユニット203が内枠12に開閉不能に固定されるようになる。固定具242及び係止孔387の部分にナイラッチを使用しないのは、図24における係止孔387の左隣に遊技球を貯留するタンク355が設けられるので、この部分を強固に固定するためである。固定具242の固定時には、図13等に示す固定具241,243によっても裏パックユニット203が内枠12に固定される。なお、支持孔部238及び支軸385が前記図12の支軸部M6に、被締結孔240及びナイラッチ386が締結部M7に、固定具242及び係止孔387が係止部M8に、それぞれ相当する。また、固定具243が係止部M9に相当する。
【0131】
次に、図27を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU501が搭載されている。MPU501には、該MPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
【0132】
RAM503は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっている。RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
【0133】
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、バックアップエリア503aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア503aへの書き込みはNMI割込処理(図33参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図29参照)において実行される。なお、MPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路542からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU501へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0134】
また、RAM503には、バックアップエリア503aの他に、開放回数カウンタ503bと、開放時間タイマ503cと、閉鎖時間タイマ503dと、左駆動回数カウンタ503eと、左駆動タイマ503fと、左停止タイマ503gと、右駆動回数カウンタ503hと、右駆動タイマ503iと、右停止タイマ503jとを備えている。
【0135】
開放回数カウンタ503bは、役物可変入賞装置33に設けられたチューリップ33a1の開閉駆動の残り回数を記憶するカウンタである。前述した通り、チューリップ33a1は、遊技球が遊技盤30の遊技領域に設けられた中央の役物開放口32Cに入球すると2回、左右の役物開放口32L,32Rに入球するとそれぞれ1回ずつ開閉駆動する。よって、開放回数カウンタ503bの値は、中央の役物開放口32Cに設けられる中開放口スイッチ222Cが遊技球を検出すると2加算され、左右の役物開放口32L,32Rに設けられる左又は右開放口スイッチ222L,222Rが遊技球を検出するとそれぞれ1ずつ加算される。また、開放回数カウンタ503bの値が1以上であれば、チューリップ33a1の開閉駆動が行われる。開放回数カウンタ503bの値は、チューリップ33a1の開放駆動の開始時に、即ちチューリップ駆動ソレノイド33a2をオンする毎に、1ずつ減算される。
【0136】
開放時間タイマ503cは、開閉駆動されるチューリップ33a1の開放時間を計時するタイマである。開放時間タイマ503cには、チューリップ33a1の開放時に、即ちチューリップ駆動ソレノイド33a2のオン時に初期値が書き込まれ、書き込まれた値は4ms毎に実行される通常処理(図30及び図32)の中で1ずつ減算される。減算の結果、開放時間タイマ503cの値が0となると、チューリップ駆動ソレノイド33a2がオフされて、チューリップ33a1が閉鎖される。一方、閉鎖時間タイマ503dは、開放後のチューリップ33a1の最小閉鎖時間を計時するタイマである。閉鎖時間タイマ503dには、チューリップ33a1の閉鎖時に、即ちチューリップ駆動ソレノイド33a2のオフ時に初期値が書き込まれ、書き込まれた値は4ms毎に実行される通常処理(図30及び図32)の中で1ずつ減算される。減算の結果、閉鎖時間タイマ503dの値が0となると、チューリップ33a1の最小閉鎖時間が経過したことになるので、その場合には、開放回数カウンタ503bの値が1以上であれば、再度チューリップ駆動ソレノイド33a2がオンされて、チューリップ33a1が開放される。
【0137】
左駆動回数カウンタ503eは、遊技盤30の左側に設けられた一般役物入賞装置31の可動部材31aによる上下動作の残り回数および左受入片38Lの突出動作の残り回数を記憶するカウンタである。前述した通り、左側の可動部材31aおよび左受入片38Lは、遊技球が遊技盤30の遊技領域に設けられた中央の役物開放口32Cに入球すると2回、左側の役物開放口32Lに入球すると1回、それぞれ上下動作または突出動作する。よって、左駆動回数カウンタ503eの値は、中央の役物開放口32Cに設けられる中開放口スイッチ222Cが遊技球を検出すると2加算され、左側の役物開放口32Lに設けられる左開放口スイッチ222Lが遊技球を検出すると1加算される。また、左駆動回数カウンタ503eの値が1以上であれば、左側の可動部材31aの上下動作および左受入片38Lの突出動作がそれぞれ行われる。左駆動回数カウンタ503eの値は、左側の可動部材31aおよび左受入片38Lの動作の開始時に、即ち左可動部材駆動信号SGLをオンする毎に、1ずつ減算される。左可動部材駆動信号SGLのオンにより、左可動部材駆動ソレノイド31dLおよび左受入片突出ソレノイド39Lがそれぞれオンされて、左側の可動部材31aおよび左受入片38Lが動作を開始する。なお、左可動部材駆動信号SGLについては後述する。
【0138】
左駆動タイマ503fは、上下動作する左側の可動部材31aの上昇中時間(駆動時間)および突出動作する左受入片38Lの突出中時間(駆動時間)を計時するタイマである。左駆動タイマ503fには、可動部材31aの上昇時および左受入片38Lの突出時に、即ち左可動部材駆動信号SGLのオン時に初期値が書き込まれ、書き込まれた値は4ms毎に実行される通常処理(図30及び図32)の中で1ずつ減算される。減算の結果、左駆動タイマ503fの値が0となると、左可動部材駆動信号SGLがオフされて、可動部材31aが下降動作すると共に突出されていた左受入片38Lが遊技盤30内に引き込まれる。一方、左停止タイマ503gは、下降後の可動部材31aおよび遊技盤30内に引き込また左受入片38Lの最小停止時間を計時するタイマである。左停止タイマ503gには、可動部材31aの下降時および左受入片38Lの引き込み動作時に、即ち左可動部材駆動信号SGLのオフ時に初期値が書き込まれ、書き込まれた値は4ms毎に実行される通常処理(図30及び図32)の中で1ずつ減算される。減算の結果、左停止タイマ503gの値が0となると、左側の可動部材31aおよび左受入片38Lの最小停止時間が経過したことになるので、その場合には、左駆動回数カウンタ503eの値が1以上であれば、再度左可動部材駆動信号SGLがオンされて、左側の可動部材31aが上昇動作を開始すると共に、左受入片38Lが突出動作を開始する。
【0139】
なお、当然のことながら、左駆動回数カウンタ503eと左駆動タイマ503fと左停止タイマ503gとを、左可動部材駆動ソレノイド31dLの駆動用と左受入片突出ソレノイド39Lの駆動用との2組設けて、左可動部材駆動ソレノイド31dLと左受入片突出ソレノイド39Lとを、それぞれ別々のタイミングで、別々の駆動時間の間、動作するように構成しても良い。かかる構成によれば、左側の可動部材31aと左受入片38Lとは、別々のタイミングで、別々の駆動時間の間、それぞれ上下動作および突出動作する。
【0140】
右駆動回数カウンタ503hは、遊技盤30の右側に設けられた一般役物入賞装置31の可動部材31aによる上下動作の残り回数および右受入片38Rの突出動作の残り回数を記憶するカウンタである。前述した通り、右側の可動部材31aおよび右受入片38Rは、遊技球が遊技盤30の遊技領域に設けられた中央の役物開放口32Cに入球すると2回、右側の役物開放口32Rに入球すると1回、それぞれ上下動作または突出動作する。よって、右駆動回数カウンタ503hの値は、中央の役物開放口32Cに設けられる中開放口スイッチ222Cが遊技球を検出すると2加算され、右側の役物開放口32Rに設けられる右開放口スイッチ222Rが遊技球を検出すると1加算される。また、右駆動回数カウンタ503hの値が1以上であれば、右側の可動部材31aの上下動作および右受入片38Rの突出動作がそれぞれ行われる。右駆動回数カウンタ503hの値は、右側の可動部材31aおよび右受入片38Rの動作の開始時に、即ち右可動部材駆動信号SGRをオンする毎に、1ずつ減算される。右可動部材駆動信号SGRのオンにより、右可動部材駆動ソレノイド31dRおよび右受入片突出ソレノイド39Rがそれぞれオンされて、右側の可動部材31aおよび右受入片38Rが動作を開始する。なお、右可動部材駆動信号SGRについては後述する。
【0141】
右駆動タイマ503iは、上下動作する右側の可動部材31aの上昇中時間(駆動時間)および突出動作する右受入片38Rの突出中時間(駆動時間)を計時するタイマである。右駆動タイマ503iには、可動部材31aの上昇時および右受入片38Rの突出時に、即ち右可動部材駆動信号SGRのオン時に初期値が書き込まれ、書き込まれた値は4ms毎に実行される通常処理(図30及び図32)の中で1ずつ減算される。減算の結果、右駆動タイマ503iの値が0となると、右可動部材駆動信号SGRがオフされて、可動部材31aが下降動作すると共に突出されていた右受入片38Rが遊技盤30内に引き込まれる。一方、右停止タイマ503jは、下降後の可動部材31aおよび遊技盤30内に引き込また右受入片38Rの最小停止時間を計時するタイマである。右停止タイマ503jには、可動部材31aの下降時および左受入片38Lの引き込み動作時に、即ち右可動部材駆動信号SGRのオフ時に初期値が書き込まれ、書き込まれた値は4ms毎に実行される通常処理(図30及び図32)の中で1ずつ減算される。減算の結果、右停止タイマ503jの値が0となると、右側の可動部材31aおよび右受入片38Rの最小停止時間が経過したことになるので、その場合には、右駆動回数カウンタ503hの値が1以上であれば、再度右可動部材駆動信号SGRがオンされて、右側の可動部材31aが上昇動作を開始すると共に、右受入片38Rが突出動作を開始する。
【0142】
なお、当然のことながら、右駆動回数カウンタ503hと右駆動タイマ503iと右停止タイマ503jとを、右可動部材駆動ソレノイド31dRの駆動用と右受入片突出ソレノイド39Rの駆動用との2組設けて、右可動部材駆動ソレノイド31dRと右受入片突出ソレノイド39Rとを、それぞれ別々のタイミングで、別々の駆動時間の間、動作するように構成しても良い。かかる構成によれば、右側の可動部材31aと右受入片38Rとは、別々のタイミングで、別々の駆動時間の間、それぞれ上下動作および突出動作する。
【0143】
主制御装置261のMPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543と、払出制御装置311と、音声ランプ制御装置262と、左・中・右の各開放口スイッチ222L,222C,222Rと、チューリップ駆動ソレノイド33a2と、左可動部材駆動ソレノイド31dLと、右可動部材駆動ソレノイド31dRと、受入片駆動回路270(図28参照)と、その他各入出力装置260とが、それぞれ接続されている。
【0144】
払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU511は、そのMPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
【0145】
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
【0146】
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、電源投入時には、このバックアップエリア513aの情報に基づいてパチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。バックアップエリア513aへの書き込みはNMI割込処理によって電源遮断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のMPU501と同様、MPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0147】
払出制御装置311のMPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
【0148】
発射制御装置312は、発射モータ229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射モータ229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者が遊技球発射ハンドル18に触れていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射モータ229が駆動され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強さで遊技球が発射される。
【0149】
電源装置313は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323を有するRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては、払出制御装置311を介して動作電圧(12ボルト及び5ボルトの電圧)が供給される。
【0150】
停電監視回路542は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置261のMPU501及び払出制御装置311のMPU511の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
【0151】
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323が押下された場合に、主制御装置261及び払出制御装置311へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号SG2を出力する回路である。主制御装置261及び払出制御装置311は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、それぞれのバックアップエリア503a,513aのデータをクリアする。
【0152】
次に、図28を参照して、受入片駆動回路270について説明する。図28は、受入片駆動回路270の回路構成を示した図である。受入片駆動回路270は、左側および右側の役物開放口32L,32Rの上方に設けられた左又は右受入片38L,38Rを突出動作させるための駆動回路である。受入片38L,38Rは、遊技球がいずれかの役物開放口32L,32C,32Rへ入球して、左・中・右のいずれかの開放口スイッチ222L,222C,222Rによって遊技球が検出された場合に突出動作するほか、別のパチンコ機から受入片38L,38Rの駆動信号を入力した場合にも突出動作する。受入片駆動回路270は、かかる受入片38L,38Rの駆動信号を制御する回路である。
【0153】
受入片駆動回路270は、MPUやCPUなどの演算装置を用いず、アンド回路やオア回路、インバータゲートなどの論理回路を組み合わせて構成されている。具体的には、4つの2入力オア回路OR1〜OR4と、4つの2入力アンド回路AND1〜AND4と、2つのインバータゲートIV1,IV2と、スライドスイッチSWと、2つのコネクタCN1,CN2とを組み合わせて構成されている。
【0154】
スライドスイッチSWは、別のパチンコ機から受入片38L,38Rの駆動信号を入力した場合に、受入片38L,38Rを動作させる否かを設定するためのスイッチであり、遊技者により操作可能に配置されている。自分が遊技しているパチンコ機が別のパチンコ機の状態により動作することを嫌う遊技者に配慮したものである。スライドスイッチSWは、スライド状態(操作状態)を保持する2組の接点を有しており、この2組の接点は1の操作で同様にオン又はオフされる。即ち、スライドスイッチSWの2組の接点は、共にオン又は共にオフの2通りの状態に遷移する。スライドスイッチSWがオンされている場合に、別のパチンコ機から受入片38L,38Rの駆動信号を入力すると、該当する受入片38L,38Rが突出動作する。逆に、スライドスイッチSWがオフされている場合には、別のパチンコ機から受入片38L,38Rの駆動信号を入力しても、受入片38L,38Rは動作せず、その別のパチンコ機から入力した受入片38L,38Rの駆動信号は、更に別のパチンコ機へ再出力される。本パチンコ機10の左側のパチンコ機から入力した受入片38L,38Rの駆動信号は、本パチンコ機10の右側のパチンコ機へ再出力され、本パチンコ機10の右側のパチンコ機から入力した受入片38L,38Rの駆動信号は、本パチンコ機10の左側のパチンコ機へ再出力される。
【0155】
上述する通り、スライドスイッチSWがオンされている場合には、別のパチンコ機から受入片38L,38Rの駆動信号を入力すると、該当する受入片38L,38Rが突出動作し、遊技球が左側又は右側の役物開放口32L,32Rへ入球し易い状態となる。遊技球が役物開放口32L,32Rへ入球すると、所定の賞球が払い出されると共に、チューリップ駆動ソレノイド33a2がオンしてチューリップ33a1を開放駆動する。このように、スライドスイッチSWがオンされている場合には、別のパチンコ機から受入片38L,38Rの駆動信号を入力すると、遊技者に有利な遊技状態となる。よって、スライドスイッチSWがオフされている場合との遊技者の獲得利益のバランスを考慮して、スライドスイッチSWがオンされている場合には、スライドスイッチSWがオフされている場合に比べて、賞球の払出個数を少なくしたり、大当たり状態時におけるチューリップ33a1の開放駆動の回数や開放中時間を少なくするようにしても良い。また、大当たり状態時(液晶表示装置が所定態様の表示結果を現出することにより発生する大当たりを含む)における総賞球数が、スライドスイッチSWのオフ時に比べて少なくなるように、各ラウンドの入賞許容個数や、ラウンド数自体や、遊技球1球の入賞に対する払出個数のいずれか1以上を少なくするようにしても良い。
【0156】
なお、当然のことながら、受入片駆動回路270を構成する論理回路の組み合わせは、本実施の形態に限定されるものではなく、同一の機能をなすものであれば、他の論理回路を組み合わせて、受入片駆動回路270を構成するようにしても良い。また、受入片駆動回路270にMPUや、ROM及びRAMを搭載し(ROM及びRAMはMPUに内蔵されるものであっても良い)、プログラム制御により、本実施の形態の受入片駆動回路270の機能を実現するようにしても良い。受入片駆動回路270をMPUやCPUなどの演算装置を用いずに論理回路を組み合わせて構成する場合には、回路の部品コストと開発コストとを安価にすることができる。
【0157】
まず、受入片駆動回路270の接続状態
(構成)の説明に先だって、受入片駆動回路270へ入力される3つの信号SGL,SGR,SGAについて説明する。左可動部材駆動信号SGLは、左側の可動部材31aを上下動作させ且つ左受入片38Lを突出動作させる場合に主制御装置261から出力される信号である。前述した通り、左受入片38Lは、遊技球が左側の役物開放口32Lに入球すると1回、中央の役物開放口32Cへ入球すると2回、それぞれ突出動作するので、左可動部材駆動信号SGLは、かかる入球に応じて主制御装置261から受入片駆動回路270へ出力される。同様に、右可動部材駆動信号SGRとは、右側の可動部材31aを上下動作させ且つ右受入片38Rを突出動作させる場合に主制御装置261から出力される信号である。前述した通り、右受入片38Rは、遊技球が右側の役物開放口32Rに入球すると1回、中央の役物開放口32Cへ入球すると2回、それぞれ突出動作するので、右可動部材駆動信号SGRは、かかる入球に応じて主制御装置261から受入片駆動回路270へ出力される。
【0158】
稼働中信号SGAは、パチンコ機10が稼働中であることを示す信号であり、本実施の形態では発射制御装置312から出力される。発射制御装置312は、遊技球の発射があると稼働中信号SGAを所定時間出力(オン)する。所定時間が経過するまでに新たな遊技球の発射がなければ、発射制御装置312は、稼働中信号SGAをオフする。本実施の形態の所定時間としては、例えば2分とされている。よって、遊技球が連続して発射されている場合には、発射制御装置312から受入片駆動回路270へ、稼働中信号のオンが出力され続ける。
【0159】
主制御装置261から出力される左可動部材駆動信号SGLは、2つのオア回路OR1、OR2の入力端にそれぞれ入力されるように接続されている。一方のオア回路OR1の出力端は、アンド回路AND1の入力端に接続され、そのアンド回路AND1の他方の入力端には、発射制御装置312から出力される稼働中信号SGAが入力されるように接続されている。アンド回路AND1の出力端は、図示しないドライバ回路を介して+5ボルトの制御系の電圧を+12ボルトのソレノイド駆動電圧に変換した上で、左受入片突出ソレノイド39Lへ接続されている。よって、アンド回路AND1からハイ信号が出力されると、左受入片突出ソレノイド39Lがオンして、左受入片38Lが突出動作する。そして、アンド回路AND1から出力されたハイ信号がオフされると(ロウ信号が出力されると)、左受入片突出ソレノイド39Lがオフして、左受入片38Lが引込動作する。
【0160】
アンド回路AND1の出力端は、他に、インバータゲートIV1の入力端に接続されている。このインバータゲートIV1の出力端は、アンド回路AND2の一方の入力端に接続されており、アンド回路AND2の他方の入力端には、コネクタCN1を介して、本パチンコ機10の左側に配設されたパチンコ機から出力される駆動信号が入力されるように接続されている。また、本パチンコ機10の左側に配設されたパチンコ機から出力される駆動信号は、コネクタCN1及びスイッチSWを介して、左可動部材駆動信号SGLが入力されるオア回路OR1の他方の入力端に入力されるように接続されている。
【0161】
アンド回路AND2の出力端は、オア回路OR4の一方の入力端に接続されており、そのオア回路OR4の出力端は、コネクタCN2を介して、本パチンコ機10の右側に配設されたパチンコ機へ出力されるように接続されている。
【0162】
また、主制御装置261から出力される右可動部材駆動信号SGRは、2つのオア回路OR3、OR4の入力端にそれぞれ入力されるように接続されている。一方のオア回路OR3の出力端は、アンド回路AND3の入力端に接続され、そのアンド回路AND3の他方の入力端には、発射制御装置312から出力される稼働中信号SGAが入力されるように接続されている。アンド回路AND3の出力端は、図示しないドライバ回路を介して+5ボルトの制御系の電圧を+12ボルトのソレノイド駆動電圧に変換した上で、右受入片突出ソレノイド39Rへ接続されている。よって、アンド回路AND3からハイ信号が出力されると、右受入片突出ソレノイド39Rがオンして、右受入片38Rが突出動作する。そして、アンド回路AND3から出力されたハイ信号がオフされると(ロウ信号が出力されると)、右受入片突出ソレノイド39Rがオフして、右受入片38Rが引込動作する。
【0163】
アンド回路AND3の出力端は、他に、インバータゲートIV2の入力端に接続されている。このインバータゲートIV2の出力端は、アンド回路AND4の一方の入力端に接続されており、アンド回路AND4の他方の入力端には、コネクタCN2を介して、本パチンコ機10の右側に配設されたパチンコ機から出力される駆動信号が入力されるように接続されている。また、本パチンコ機10の右側に配設されたパチンコ機から出力される駆動信号は、コネクタCN2及びスイッチSWを介して、右可動部材駆動信号SGRが入力されるオア回路OR3の他方の入力端に入力されるように接続されている。
【0164】
アンド回路AND4の出力端は、オア回路OR2の一方の入力端に接続されており、そのオア回路OR2の出力端は、コネクタCN1を介して、本パチンコ機10の左側に配設されたパチンコ機へ出力されるように接続されている。
【0165】
次に、かかる受入片駆動回路270の動作を説明する。まず、主制御装置261から左可動部材駆動信号SGLが出力された場合の動作を説明する。遊技球が左側の役物開放口32L(又は中央の役物開放口32c)に入球すると、左可動部材駆動信号SGLが主制御装置261からオア回路OR1へ出力され、オア回路OR1からアンド回路AND1へハイ信号が出力される。左可動部材駆動信号SGLの出力時は遊技球は発射状態にあるので、発射制御装置312からパチンコ機10の稼働中信号SGAがアンド回路AND1へ出力されている。よって、アンド回路AND1からハイ信号が左受入片突出ソレノイド39Lへ出力されて、左受入片38Lが突出動作を開始する。同時に、主制御装置261から出力された左可動部材駆動信号SGLはオア回路OR2へも出力され、そのオア回路OR2からコネクタCN1を介して、左側のパチンコ機へハイ信号が出力される。これにより、左側のパチンコ機の右受入片が突出動作を開始する。
【0166】
左可動部材駆動信号SGLの出力から所定時間(左駆動タイマ503fに設定された初期値分の時間)が経過すると、左可動部材駆動信号SGLがオフされる。すると、オア回路OR1の出力がロウ信号になり、アンド回路AND1の出力もロウ信号となって、左受入片突出ソレノイド39Lがオフされ、左受入片38Lが引込動作を開始する。これにより、左受入片38Lの突出動作が1回完了する。左可動部材駆動信号SGLのオフは、同時に、オア回路OR2の出力をロウ信号にし、この信号がコネクタCN1を介して、左側のパチンコ機へ出力される。これにより、左側のパチンコ機の右受入片が引込動作を開始し、1回の突出動作を完了する。
【0167】
なお、主制御装置261から右可動部材駆動信号SGRが出力された場合の動作は、上記した左可動部材駆動信号SGLが出力された場合の動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0168】
次に、左側のパチンコ機から駆動信号が出力された場合の動作について説明する。スライドスイッチSWがオンされた状態で、左側のパチンコ機から駆動信号が出力されると、その駆動信号は、コネクタCN1及びスライドスイッチSWを介して、オア回路OR1へ入力され、オア回路OR1からアンド回路AND1へハイ信号が出力される。この時、本パチンコ機10が稼働中であれば、発射制御装置312からパチンコ機10の稼働中信号SGAがアンド回路AND1へ出力されているので、アンド回路AND1からハイ信号が左受入片突出ソレノイド39Lへ出力されて、左受入片38Lが突出動作を開始する。即ち、本パチンコ機10が稼働中に、左側のパチンコ機から駆動信号が出力されると、本パチンコ機10の左受入片38Lが突出動作を開始する。なお、突出動作を開始した左受入片38Lは、左側のパチンコ機から出力されていた駆動信号がオフされると、引込動作を開始し、1回の突出動作を完了する。
【0169】
一方、左側のパチンコ機から駆動信号が出力された時、本パチンコ機10が稼働中でなければ、発射制御装置312からパチンコ機10の稼働中信号SGAはアンド回路AND1へ出力されていないので、アンド回路AND1の出力はロウ信号のままとなって、左受入片突出ソレノイド39Lはオンされず、左受入片38Lは突出動作しない。即ち、左側のパチンコ機から駆動信号が出力されても、本パチンコ機10が稼働中でなければ左受入片38Lは動作しない。
【0170】
かかる場合には、アンド回路AND1のロウ信号はインバータゲートIV1へ出力され、そのインバータゲートIV1からアンド回路AND2へハイ信号が出力される。この時、アンド回路AND2の他方の入力端には、左側のパチンコ機から出力されたハイ信号の駆動信号が入力されているので、アンド回路AND2はハイ信号を出力し、オア回路OR4の出力をハイ信号とする。このハイ信号は、コネクタCN2を介して、本パチンコ機10の右側のパチンコ機へ出力され、その結果、右側のパチンコ機の左受入片38Lが突出動作を開始する。なお、突出動作を開始した右側のパチンコ機の左受入片38Lは、左側のパチンコ機から出力されていた駆動信号がオフされると、引込動作を開始し、1回の突出動作を完了する。
【0171】
ここで、右側のパチンコ機が稼働していなければ、本パチンコ機10の左側のパチンコ機から出力された駆動信号は、更にその右側のパチンコ機へ再出力される。右側のパチンコ機にも、本パチンコ機10の受入片駆動回路270が搭載されているからである。同様に、その右隣のパチンコ機に、本パチンコ機10の受入片駆動回路270が搭載されている限り、その右隣のパチンコ機が稼働していなければ、本パチンコ機10の左側のパチンコ機から出力された駆動信号は、更にその右側のパチンコ機へ再出力される。
【0172】
一方、スライドスイッチSWがオフされた状態で、左側のパチンコ機から駆動信号が出力されると、その駆動信号のオア回路OR1への入力は、スライドスイッチSWにより阻止される。よって、オア回路OR1の出力はロウ信号のままとなるので、本パチンコ機10の稼働状態に拘わらず、アンド回路AND1の出力はロウ信号のままとなって、左受入片突出ソレノイド39Lはオンされず、左受入片38Lは突出動作しない。即ち、左側のパチンコ機から駆動信号が出力されても、スライドスイッチSWがオフされていれば、左受入片38Lは動作しない。
【0173】
かかる場合には、アンド回路AND1のロウ信号はインバータゲートIV1へ出力され、そのインバータゲートIV1からアンド回路AND2へハイ信号が出力される。この時、アンド回路AND2の他方の入力端には、左側のパチンコ機から出力されたハイ信号の駆動信号が入力されているので、アンド回路AND2はハイ信号を出力し、オア回路OR4の出力をハイ信号とする。このハイ信号は、コネクタCN2を介して、本パチンコ機10の右側のパチンコ機へ出力され、その結果、右側のパチンコ機の左受入片38Lが突出動作を開始する。なお、突出動作を開始した右側のパチンコ機の左受入片38Lは、左側のパチンコ機から出力されていた駆動信号がオフされると、引込動作を開始し、1回の突出動作を完了する。
【0174】
ここで、右側のパチンコ機のスライドスイッチSWがオフされていれば、本パチンコ機10の左側のパチンコ機から出力された駆動信号は、更にその右側のパチンコ機へ再出力される。右側のパチンコ機にも、本パチンコ機10の受入片駆動回路270が搭載されているからである。同様に、その右隣のパチンコ機に、本パチンコ機10の受入片駆動回路270が搭載されている限り、その右隣のパチンコ機のスライドスイッチSWがオフされていれば、本パチンコ機10の左側のパチンコ機から出力された駆動信号は、更にその右側のパチンコ機へ再出力される。
【0175】
なお、右側のパチンコ機から駆動信号が出力された場合の動作は、上記した左側のパチンコ機から駆動信号が出力された場合の動作と同様であるので、その説明は省略する。
【0176】
次に、図29から図33のフローチャートを参照して、主制御装置261内のMPU501により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU501の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的(本実施の形態では2ms(ミリ秒)毎)に起動されるタイマ割込処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがある。
【0177】
図29は、主制御装置261内のMPU501により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。メイン処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S101)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置262、払出制御装置311等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウェイト処理(例えば1秒程度)を実行する。払出制御装置311に対して払出許可コマンドを送信した後(S102)、RAM503のアクセスを許可する(S103)。
【0178】
その後は、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323がオンされているか否かを判別し(S104)、オンされていれば(S104:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS114へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323がオンされていなければ(S104:No)、更にRAM503のバックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S105)、記憶されていなければ(S105:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS114へ移行する。バックアップエリア503aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S105:Yes)、RAM判定値を算出し(S106)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S107:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS114へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM503の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0179】
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ323を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ323が押されていれば、RAMの初期化処理(S114〜S116)に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM503の初期化処理(S114〜S116)に移行する。即ち、S114からのRAMの初期化処理では、RAM503の使用領域を0にクリアし(S114)、RAM503の初期値を設定する(S115)。その後、割込みを許可して(S116)、後述する通常処理に移行する。
【0180】
一方、RAM消去スイッチ323がオンされておらず(S104:No)、電源遮断の発生情報が記憶されており(S105:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S107:Yes)、処理をS108へ移行して復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、復電時の処理では、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S108)、電源遮断の発生情報をクリアする(S109)。次に、サブ側の制御装置を電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時のコマンドを送信し(S110)、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aから復帰させる(S111)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S112)、割込みが許可状態であれば(S112:Yes)、割込みを許可し(S113)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S112:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
【0181】
次に、図30のフローチャートを参照して通常処理を説明する。通常処理では遊技の主要な処理が4ms(ミリ秒)の周期で定期的に実行される。通常処理では、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(S201)。例えば、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置311に対して獲得遊技球数に対応する賞球払出コマンドを送信する。次に、ラウンド抽選カウンタ等の各カウンタの値を更新する(S202)。具体的には、ラウンド抽選カウンタ等の値を「1」加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値に達した際には、それぞれの値を0クリアする。そして、ラウンド抽選カウンタ等の更新値を、RAM503の該当するバッファ領域に格納する。更に、払出制御装置311より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S203)、大当たり処理を行い(S204)、大当たり判定や大当たり遊技等が実行される。
【0182】
また、図32のチューリップ開放及び可動部材駆動処理(S205)を実行し、更に、その他各処理を実行する(S206)。その後は、次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4ms)が経過したか否かを判別し(S207)、所定時間が経過していなければ(S207:No)、所定時間が経過するまで待機する一方、所定時間が経過していれば(S207:Yes)、処理をS201へ移行し、前述したS201以降の各処理を繰り返し実行する。
【0183】
図31は、タイマ割込処理によって2ms(ミリ秒)毎に実行されるスイッチ読込処理を示したフローチャートである。スイッチ読込処理では、各スイッチの状態が検出され、その検出結果に応じてメモリやカウンタにそれぞれの所定値が設定される。
【0184】
まず、左開放口スイッチ222Lがオンされているか否かを調べ(S401)、オンされていれば(S401:Yes)、チューリップ33a1の開閉駆動、左側の可動部材31aの上下動作および左受入片38Lの突出動作をそれぞれ1回ずつ行わせるべく、開放回数カウンタ503b及び左駆動回数カウンタ503eの各値をそれぞれ1ずつ加算する(S402,S403)。一方、左開放口スイッチ222Lがオンされていなければ(S401:No)、S402及びS403の各処理の実行をスキップして、処理をS404へ移行する。
【0185】
S404の処理では、右開放口スイッチ222Rがオンされているか否かを調べ(S404)、オンされていれば(S404:Yes)、チューリップ33a1の開閉駆動、右側の可動部材31aの上下動作および右受入片38Rの突出動作をそれぞれ1回ずつ行わせるべく、開放回数カウンタ503b及び右駆動回数カウンタ503hの各値をそれぞれ1ずつ加算する(S405,S406)。一方、右開放口スイッチ222Rがオンされていなければ(S404:No)、S405及びS406の各処理の実行をスキップして、処理をS407へ移行する。
【0186】
S407の処理では、中開放口スイッチ222Cがオンされているか否かを調べ(S407)、オンされていれば(S407:Yes)、チューリップ33a1の開閉駆動、左右の可動部材31a,31aの上下動作および左右の受入片38L,38Rの突出動作をそれぞれ2回ずつ行わせるべく、開放回数カウンタ503b、左駆動回数カウンタ503e及び右駆動回数カウンタ503hの各値をそれぞれ2ずつ加算する(S408,S409,S410)。一方、中開放口スイッチ222Cがオンされていなければ(S407:No)、S408からS410の各処理の実行をスキップして、処理をS411へ移行する。S411の処理では、その他スイッチ読込処理を実行し(S411)、この処理を終了する。
【0187】
図32は、図30の通常処理により4ms毎に実行されるチューリップ開放及び可動部材駆動処理を示したフローチャートである。このチューリップ開放及び可動部材駆動処理(S205)では、チューリップ33a1の開閉駆動と、左右の可動部材31aの上下動作と、左右の受入片38L,38Rの突出動作とが、それぞれ行われる。
【0188】
まず、閉鎖時間タイマ503dの値が0であるか否かを調べ(S501)、0であれば(S501:Yes)、開放時間タイマ503cの値が0であるか否かを調べる(S502)。開放時間タイマ503cの値も0であれば(S502:Yes)、開放回数カウンタ503bの値が0以上であるかを調べる(S503)。開放回数カウンタ503bは、チューリップ33a1の開閉駆動の残り回数を記憶するカウンタであるので、その値が0以上であれば(S503:Yes)、開放回数カウンタ503bの値を1減算し、開放時間タイマ503cにチューリップ33a1の開放時間に相当する初期値を設定し、更にチューリップ駆動ソレノイド33a2をオンして(S504)、チューリップ33a1を開放駆動する。
【0189】
S502の処理で、開放時間タイマ503cの値が0でなければ(S502:No)、チューリップ33a1の開放中である(S504の処理で開放)。よって、かかる場合には、開放時間タイマ503cの値を1減算し(S505)、減算後の値が0であれば(S506:Yes)、チューリップ33a1の開放時間の終了であるので、チューリップ駆動ソレノイド33a2をオフし、閉鎖時間タイマ503dにチューリップ33a1の最小閉鎖時間に相当する初期値を設定する(S507)。これにより、チューリップ33a1が閉鎖駆動されて閉じる。
【0190】
更に、S501の処理で、閉鎖時間タイマ503dの値が0でなければ(S501:No)、チューリップ33a1の閉鎖中であり(S507の処理で閉鎖)、その最小閉鎖時間は未だ経過していない。よって、例え開放回数カウンタ503bの値が0以上であっても、次回のチューリップ33a1の開放を行うことはできないので、かかる場合には、閉鎖時間タイマ503dの値を1減算して(S508)、処理をS511へ移行する。
【0191】
次に、左停止タイマ503gの値が0であるか否かを調べ(S511)、0であれば(S511:Yes)、左駆動タイマ503fの値が0であるか否かを調べる(S512)。左駆動タイマ503fの値も0であれば(S512:Yes)、左駆動回数カウンタ503eの値が0以上であるかを調べる(S513)。左駆動回数カウンタ503eは、左側の可動部材31aの上下動作および左受入片38Lの突出動作の残り回数を記憶するカウンタであるので、その値が0以上であれば(S513:Yes)、左駆動回数カウンタ503eの値を1減算し、左駆動タイマ503fに可動部材31aの上昇中時間および左受入片38Lの突出中時間に相当する初期値を設定し、更に左可動部材駆動信号SGLをオンして(S514)、左側の可動部材31aを上昇させると共に、左受入片38Lを遊技盤30の表面に突出させる。
【0192】
S512の処理で、左駆動タイマ503fの値が0でなければ(S512:No)、左側の可動部材31aの上昇中および左受入片38Lの突出中である(S514の処理で上昇および突出)。よって、かかる場合には、左駆動タイマ503fの値を1減算し(S515)、減算後の値が0であれば(S516:Yes)、可動部材31aの上昇時間および左受入片38Lの突出時間の終了なので、左可動部材駆動信号SGLをオフし、左停止タイマ503gに左側の可動部材31aおよび左受入片38Lの最小停止時間に相当する初期値を設定する(S517)。これにより、左側の可動部材31aが下降すると共に、左受入片38Lが遊技盤30内に引き込まれる。
【0193】
更に、S511の処理で、左停止タイマ503gの値が0でなければ(S511:No)、左側の可動部材31aおよび左受入片38Lの停止中であり(S517の処理で下降又は引き込まれ停止)、その最小停止時間は未だ経過していない。よって、例え左駆動回数カウンタ503eの値が0以上であっても、次回の可動部材31aの上昇動作および左受入片38Lの突出動作を行うことはできないので、かかる場合には、左停止タイマ503gの値を1減算して(S518)、処理をS521へ移行する。
【0194】
更に、右停止タイマ503jの値が0であるか否かを調べ(S521)、0であれば(S521:Yes)、右駆動タイマ503iの値が0であるか否かを調べる(S522)。右駆動タイマ503iの値も0であれば(S522:Yes)、右駆動回数カウンタ503hの値が0以上であるかを調べる(S523)。右駆動回数カウンタ503hは、右側の可動部材31aの上下動作および右受入片38Rの突出動作の残り回数を記憶するカウンタであるので、その値が0以上であれば(S523:Yes)、右駆動回数カウンタ503hの値を1減算し、右駆動タイマ503iに可動部材31aの上昇中時間および右受入片38Rの突出中時間に相当する初期値を設定し、更に右可動部材駆動信号SGRをオンして(S524)、右側の可動部材31aを上昇させると共に、右受入片38Rを遊技盤30の表面に突出させる。。
【0195】
S522の処理で、右駆動タイマ503iの値が0でなければ(S522:No)、右側の可動部材31aの上昇中および右受入片38Rの突出中である(S524の処理で上昇および突出)。よって、かかる場合には、右駆動タイマ503iの値を1減算し(S525)、減算後の値が0であれば(S526:Yes)、可動部材31aの上昇時間および右受入片38Rの突出時間の終了なので、右可動部材駆動信号SGRをオフし、右停止タイマ503jに右側の可動部材31aおよび右受入片38Rの最小停止時間に相当する初期値を設定する(S527)。これにより、右側の可動部材31aが下降すると共に、右受入片38Rが遊技盤30内に引き込まれる。
【0196】
更に、S521の処理で、右停止タイマ503jの値が0でなければ(S521:No)、右側の可動部材31aおよび右受入片38Rの停止中であり(S527の処理で下降又は引き込まれ停止)、その最小停止時間は未だ経過していない。よって、例え右駆動回数カウンタ503hの値が0以上であっても、次回の可動部材31aの上昇動作および右受入片38Rの突出動作を行うことはできないので、かかる場合には、右停止タイマ503jの値を1減算して(S528)、この処理を終了する。
【0197】
図33は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置261のMPU501により実行される。このNMI割込処理により、電源遮断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から主制御装置261内のMPU501のNMI端子に出力され、MPU501は実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始する。図33のNMI割込処理のプログラムは、主制御装置261のROM502に記憶されている。停電信号SG1が出力された後所定時間は、主制御装置261の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされており、この所定時間内にNMI割込処理が実行される。
【0198】
NMI割込処理では、まず、使用レジスタをRAM503のバックアップエリア503aに退避し(S801)、スタックポインタの値を同バックアップエリア503aに記憶する(S802)。更に、電源遮断の発生情報をバックアップエリア503aに設定し(S803)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置に対して送信する(S804)。RAM判定値を算出し、バックアップエリア503aに保存する(S805)。RAM判定値は、例えば、RAM503の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。その後は、RAM503のアクセスを禁止して(S806)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
【0199】
なお、上記のNMI割込処理は、払出制御装置311でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、停電の発生等による電源遮断時の払出制御装置311の状態がRAM513のバックアップエリア513aに記憶される。停電信号SG1が出力された後所定時間は、払出制御装置311の処理が実行可能となるように電源部541から電源供給がなされるのも同様である。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路542から払出制御装置311内のMPU511のNMI端子に出力され、MPU511は実行中の制御を中断して図33のNMI割込処理を開始する。その内容はステップS804の電源遮断通知コマンドの送信を行なわない点を除き上記説明と同様である。
【0200】
次に、図34を参照して、払出制御装置311内のMPU511により実行される払出制御について説明する。図34は、払出制御装置311のメイン処理を示したフローチャートであり、このメイン処理は電源投入時のリセットにより起動される。
【0201】
まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S901)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定すると共に、割込みモードを設定する。次に、主制御装置261から送信される払出許可コマンドの受信を待機する(S902:No)。そして、払出許可コマンドを受信すると(S902:Yes)、RAMアクセスを許可すると共に(S903)、外部割込ベクタの設定を行う(S904)。
【0202】
その後は、MPU511内のRAM513に関してデータバックアップの処理を実行する。具体的には、電源装置313に設けたRAM消去スイッチ323が押されているか否かを判別し(S905)、オンされていれば(S905:Yes)、バックアップデータをクリア(消去)するべく、処理をS915へ移行する。一方、RAM消去スイッチ323がオンされていなければ(S905:No)、更にRAM513のバックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S906)、記憶されていなければ(S906:No)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をS915へ移行する。バックアップエリア513aに電源遮断の発生情報が記憶されていれば(S906:Yes)、RAM判定値を算出し(S907)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S908:No)、即ち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS915へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM513の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM513の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
【0203】
S915からのRAMの初期化処理では、RAM513の使用領域を0にクリアし(S915)、RAM513の初期値を設定する(S916)。その後、MPU511周辺デバイスの初期設定を行うと共に(S917)、割込みを許可して(S918)、後述する払出制御処理に移行する。
【0204】
一方、RAM消去スイッチ323が押されておらず(S905:No)、電源遮断の発生情報が設定されており(S906:Yes)、且つRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S908:Yes)、復電時の処理(電源遮断復旧時の処理)を実行する。即ち、電源遮断時のスタックポインタを復帰させ(S909)、電源遮断の発生情報をクリアする(S910)。また、MPU511周辺デバイスの初期設定を行い(S911)、使用レジスタをRAM513のバックアップエリア513aから復帰させる(S912)。更に、電源断前に割込みが許可状態にあったか否かを確認し(S913)、割込みが許可状態であれば(S913:Yes)、割込みを許可し(S914)、一方、電源断時に割込みが禁止状態にあれば(S913:No)、割込みを禁止したまま、処理を電源遮断前の番地へ戻す。
【0205】
次に、図35のフローチャートを参照して、払出制御処理を説明する。この払出制御処理は、払出制御装置311のメイン処理に続いて実行される。払出制御処理では、まず、主制御装置261からのコマンドを取得し、賞球の総賞球個数を記憶する(S1001)。発射制御装置312に対して発射許可の設定を行い(S1002)、状態復帰スイッチ321をチェックした結果、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する(S1003)。
【0206】
その後、下皿15の状態の変化に応じて下皿満タン状態又は下皿満タン解除状態の設定を実行する(S1004)。即ち、下皿満タンスイッチの検出信号により下皿15の満タン状態を判別し、下皿満タンになった時に、下皿満タン状態の設定を実行し、下皿満タンでなくなった時に、下皿満タン解除状態の設定を実行する。また、タンク球の状態の変化に応じてタンク球無し状態又はタンク球無し解除状態の設定を実行する(S1005)。即ち、タンク球無しスイッチの検出信号によりタンク球無し状態を判別し、タンク球無しになった時に、タンク球無し状態の設定を実行し、タンク球無しでなくなった時に、タンク球無し解除状態の設定を実行する。その後、報知する状態の有無を判別し、報知する状態が有る場合には払出制御装置311に設けた7セグメントLEDにより報知する(S1006)。
【0207】
次に、S1007〜S1009の各処理により、賞球払出の処理を実行する。即ち、賞球の払出不可状態でなく且つS1001の処理で記憶した総賞球個数が0でなければ(S1007:No,S1008:No)、図36に示す賞球制御処理を開始する(S1009)。一方、賞球の払出不可状態(S1007:Yes)または総賞球個数が0であれば(S1008:Yes)、貸球払出の処理に移行する。なお、賞球制御処理は後述する。
【0208】
S1010〜S1012の貸球払出の処理では、貸球の払出不可状態でなく且つカードユニットからの貸球払出要求を受信していれば(S1010:No,S1011:Yes)、図37に示す貸球制御処理を開始する。一方、貸球の払出不可状態(S1010:Yes)または貸球払出要求を受信していなければ(S1011:No)、後続の球抜き処理を実行する(S1013)。なお、貸球制御処理は後述する。
【0209】
球抜き処理(S1013)では、状態復帰スイッチ321をチェックして球抜き不可状態でないこと、及び球抜き動作開始でないことを条件に、払出モータ358aを駆動させ球抜き処理を実行する。続いて、球詰まり状態であることを条件にバイブレータ360の制御(バイブモータ制御)を実行する(S1014)。その後は、本払出制御処理の先頭に戻り、以降は前述した処理を繰り返す。
【0210】
図36に示す賞球制御処理を説明する。賞球制御処理では、まず、払出モータ358aを正方向回転駆動させて賞球の払出を実行する(S1101)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1102)、正常でなければ(S1102:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1103)、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0211】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1102:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1104)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1104:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1105)、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0212】
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1104:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が総賞球個数に達して払出が完了したか否かを判別し(S1106)、払出が完了していれば(S1106:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1107)、その後、図35の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1106:No)、そのまま、図35の払出制御処理に戻る。
【0213】
図37に示す貸球制御処理を説明する。貸球制御処理では、まず、払出モータ358aを逆方向回転駆動させて貸球の払出を実行する(S1201)。払出モータ358aの回転が正常であるかを払出回転センサの検出結果により判別し(S1202)、正常でなければ(S1202:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1203)、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0214】
また、払出モータ358aの回転が正常であれば(S1202:Yes)、遊技球のカウントが正常に行われているか否かを払出カウントスイッチの検出結果により判別する(S1204)。遊技球のカウントが正常でなければ(S1204:No)、払出モータ358aを駆動させてリトライ処理を実行すると共に払出モータ358aの停止処理を実行し(S1205)、その後、図35の払出制御処理に戻る。
【0215】
更に、遊技球のカウントが正常であれば(S1204:Yes)、払出カウントスイッチによる遊技球のカウント数が所定の貸球個数(25個)に達して払出が完了したか否かを判別し(S1206)、払出が完了していれば(S1206:Yes)、払出モータ358aの停止処理を実行し(S1207)、その後、図35の払出制御処理に戻る。一方、払出が完了していなければ(S1206:No)、そのまま、図35の払出制御処理に戻る。
【0216】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0217】
例えば、上記実施の形態では、左又は右受入片38L,38Rは、主制御装置261から左又は右の可動部材駆動信号SGL,SGRが出力された場合にも、左側又は右側のパチンコ機から駆動信号が出力された場合にも、いずれの場合にも動作するように構成された。これに代えて、左側又は右側のパチンコ機から駆動信号が出力された場合に限り、左又は右受入片38L,38Rを動作し、主制御装置261から左又は右の可動部材駆動信号SGL,SGRが出力された場合には左又は右受入片38L,38Rを動作しないように構成しても良い。かかる構成は、図38に示す受入片駆動回路271の回路構成により実現できる。即ち、図28に示す受入片駆動回路270のオア回路OR1,OR3を削除し、削除されたオア回路OR1,OR3に入力されていたスライドスイッチSWの一端をそれぞれアンド回路AND1,AND3の入力端へ接続すると共に、左可動部材駆動信号SGLをオア回路OR2へのみ入力させ、同様に、右可動部材駆動信号SGRをオア回路OR4へのみ入力させれば良い。
【0218】
また、上記実施の形態では、本パチンコ機10が稼働中である場合に限り、左側又は右側のパチンコ機から駆動信号を入力すると、左又は右受入片38L,38Rを動作させたが、これに代えて、本パチンコ機10が稼働中であるか否かに拘わらず、左側又は右側のパチンコ機から駆動信号を入力した場合には、左又は右受入片38L,38Rを動作させるように構成しても良い。かかる構成は、図39に示す受入片駆動回路272の回路構成により実現できる。即ち、図28に示す受入片駆動回路270のアンド回路AND1,AND3及び発射制御装置312から出力される稼働中信号SGAの入力を削除し、削除されたアンド回路AND1,AND3に入力されていたオア回路OR1,OR3の出力端を、左又は右受入片突出ソレノイド39L,39RおよびインバータゲートIV1,IV2の入力端へそれぞれ接続すれば良い。
【0219】
また、上記実施の形態では、発射制御装置312から稼働中信号SGAが出力されたが、これに代えて、主制御装置261から稼働中信号SGAを出力するようにしても良い。例えば、アウト口36へ入球する遊技球を検出するスイッチを設け、そのスイッチが遊技球を検出すると、所定時間出力稼働中信号SGAをオンし、所定時間が経過するまでに新たな遊技球が検出されなければ、稼働中信号SGAをオフするようにしても良い。なお、所定時間としては、パチンコ機が液晶表示装置などによる変動表示を伴うものであれば、例えば、その変動表示の最長リーチアクションの時間プラス1分とする。これにより、遊技球が連続してアウト口36へ入球している場合には、稼働中信号SGAが出力され続ける。
【0220】
更に、他のパチンコ機からの駆動信号を入力した場合には、左又は右受入片38L,38R以外の他の部材を駆動させるようにしても良い。即ち、本パチンコ機10で駆動するものと、他のパチンコ機からの信号により駆動するものとを異なるものとしても良い。また、駆動させるものとしては、左又は右受入片38L,38Rを例示したが、必ずしもこれに限られるものではなく、チューリップ33a1を開放駆動したり、ランプを特殊なパターンで点灯したり、スピーカから特別な効果音を出力するようにしても良い。
【0221】
また、左又は右受入片38L,38Rを動作させるための条件、即ち遊技者に有利な遊技状態を発生させるための条件としては、役物開放口32L,32C,32Rへの遊技球の入球に限られず、例えば図柄の変動(動的)表示を伴うパチンコ機ではリーチやスーパーリーチ、或いは全図柄の整列や大当たりの成立を、左又は右受入片38L,38Rや他の部材(ランプやスピーカを含む)の動作条件としても良い。特に、大当たりを発生させる遊技機では、大当たりの種別を複数種設け、発生した大当たりの種別に応じて各右受入片38L,38Rを動作させるなど遊技者に有利な遊技状態を発生させるようにしても良い。
【0222】
上記実施の形態では、左受入片38Lおよび右受入片38Rは、遊技盤30内から遊技盤30の表面へ突出するように構成された。しかし、これに代えて、図40に示すように、各受入片388L,388Rを構成しても良い。即ち、各受入片本体388aL,388aRの一側端388bL,388bRを、遊技盤30にそれぞれ回動(又は揺動)可能に取着する。各受入片本体388aL,388aRの高さは、遊技盤30に植設された釘の突出量とほぼ同程度にされている。通常時は、例えば各受入片本体388aL,388aRの長手方向が図40に点線で示すように下方を向くように配置し(2点鎖線位置)、遊技球が役物開放口32C,32L,32Rに入球した場合などの各受入片388L,388Rの作動時には、通常時の状態から一側端388bL,388bRを回動(又は揺動)させて、例えば図40に実線で示すように、各受入片本体388aL,388aRの他側端388cL,388cRが上から2番目の袴釘に合うように各受入片本体388aL,388aRを配置する(実線位置)。図40の下方に示した部分的な拡大図の通り、各受入片388L,388Rが2点鎖線位置にある状態では、遊技球は矢印Y2の経路を辿って流下するが、各受入片388L,388Rが実線位置にある状態では、遊技球は矢印X2の経路を辿って流下し、役物開放口32L,32Rに入球し易くなる。即ち、各受入片388L,388Rが実線位置にある状態は、遊技者に有利な遊技状態となっている。各受入片本体388aL,388aRの回動(又は揺動)動作は、遊技盤30の裏面にステッピングモータ等のモータや電磁ソレノイドを配設し(図示せず)、これを駆動することにより行われる。
【0223】
なお、通常時における受入片本体388aL,388aRの配設位置は、必ずしも下方である必要はなく、遊技球の流下を阻止せず且つ役物開放口32C,32L,32Rなどの入賞口や始動口に入球し易い状態となるものでなければ、通常時において各受入片本体388aL,388aRを、上方や水平方向、或いは傾斜方向に配置するようにしても良い。同様に、各受入片388L,388Rの作動時においても、遊技球が役物開放口32C,32L,32R等の入賞口や始動口に入球し易い状態となるものであれば、必ずしも他側端388cL,388cRが上から2番目の袴釘に合うように各受入片本体388aL,388aRを配置する必要はない。更に、受入片38L,38R,388L,388R自体の配設位置も、上記実施の形態で示した位置に限られるものではない。
【0224】
また、左受入片38Lおよび右受入片38Rが遊技盤30内から遊技盤30の表面へ突出する構成に代えて、釘やピン等の部材を遊技盤30内から遊技盤30の表面へ突出するようにしても良い。
【0225】
本発明を上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施しても良い。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施しても良い。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施しても良い。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
【0226】
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えたスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0227】
以下に本発明の遊技機及び変形例を示す。所定条件の成立を検出する検出手段と、その検出手段により所定条件の成立が検出された場合に所定信号を他の遊技機へ出力する出力手段と、他の遊技機に設けられた前記出力手段から出力される所定信号を入力した場合に遊技者に有利な遊技状態を発生する制御手段とを備えていることを特徴とする遊技機1。なお、遊技者に有利な遊技状態の態様としては、遊技機がパチンコ機である場合には、入賞口や役物開放口へ遊技球が入球し易い状態にすることや大当たりの発生確率を通常時や現状時より上昇させることが例示され、遊技機がスロットマシンである場合には、大当たりや小役当たりの発生確率を通常時や現状時より上昇させることが例示される。
【0228】
遊技機1において、自己の遊技機の稼働状態を判断する判断手段を備え、前記制御手段は、その判断手段により自己の遊技機が稼働中であると判断され且つ前記他の遊技機の出力手段から出力される所定信号を入力した場合に遊技者に有利な遊技状態を発生するものであることを特徴とする遊技機2。遊技機2によれば、遊技機が稼働していなければ、他の遊技機から所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生しない。即ち、遊技者に有利な遊技状態は、遊技機が稼働中である場合に発生するので、かかる遊技状態を有効に発生させることができる。遊技者のいない遊技機で、遊技者に有利な遊技状態を発生させても、その遊技状態は無意味なものとなるからである。
【0229】
遊技機2において、前記判断手段により自己の遊技機が稼働していないと判断され且つ前記他の遊技機の出力手段から出力される所定信号を入力した場合に、その所定信号を前記他の遊技機とは別の遊技機へ更に出力する再出力手段を備えていることを特徴とする遊技機3。遊技機3によれば、所定信号を入力した遊技機が非稼働中であれば、その所定信号は再出力手段によって更に別の遊技機へ出力されるので、1の遊技機で所定条件が成立した場合にはいずれかの遊技機で遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる。
【0230】
遊技機2において、前記判断手段により自己の遊技機が稼働していないと判断されている場合には、前記他の遊技機の出力手段から出力される所定信号は、その他の遊技機とは別の遊技機へ出力されるように構成されていることを特徴とする遊技機4。遊技機4によれば、所定信号を入力した遊技機が非稼働中であれば、その所定信号は更に別の遊技機へ出力されるので、1の遊技機で所定条件が成立した場合にはいずれかの遊技機で遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる。
【0231】
遊技機2から4のいずれかにおいて、前記判断手段は、遊技者による遊技操作から所定の時間は自己の遊技機が稼働中であると判断し、所定時間経過後は非稼働中であると判断するものであることを特徴とする遊技機5。遊技操作としては、遊技機がパチンコ機である場合には、球の発射やパチンコ機に設けられたボタンの操作が例示され、遊技機がスロットマシンである場合には始動レバーの操作やストップボタンの押下が例示される。一般に、遊技は遊技者による遊技操作で開始され所定時間継続するが、遊技機5によれば、遊技者による遊技操作から所定の時間は自己の遊技機が稼働中であると判断されるので、遊技機の単なる電源オン中と、実際に遊技が行われている場合とを明確に区別して、遊技機の稼働中を判断することができる。なお、所定時間は必ずしも1通りである必要はなく、例えば2通り以上設けられ、その2通り以上の所定時間が遊技の状態に応じて適宜選択されて使用されるようにしても良い。例えば、遊技機が第1又は2種パチンコ機である場合に、所定時間を、通常時とノーマルリーチ演出時とスーパーリーチ時との3通り設け、これらの遊技状態に応じて、その所定時間を適宜選択するようにしても良い。
【0232】
遊技機2から4のいずれかにおいて、遊技領域と、その遊技領域へ球を発射する発射手段と、その発射手段により発射された球を検出する球検出手段とを有し、前記判断手段は、前記球検出手段が球を検出してから所定の時間は自己の遊技機が稼働中であると判断し、所定時間経過後は非稼働中であると判断するものであることを特徴とする遊技機6。遊技機6によれば、遊技領域へ発射された球の検出から所定の時間は自己の遊技機が稼働中であると判断されるので、遊技機の単なる電源オン中と、実際に遊技が行われている場合とを明確に区別して、遊技機の稼働中を判断することができる。なお、球検出手段としては、遊技領域に設けられた入賞口やアウト口に配設される検出スイッチや、その検出スイッチから出力される検出信号に基づいて動作する制御ステップなどが例示される。
【0233】
遊技機2から4のいずれかにおいて、遊技領域と、その遊技領域へ球を発射する発射手段と、その発射手段を駆動操作する発射ハンドルと、その発射ハンドルの操作状態を検出する発射操作検出手段とを有し、前記判断手段は、前記発射操作検出手段により前記発射ハンドルの操作を検出してから所定の時間は自己の遊技機が稼働中であると判断し、所定時間経過後は非稼働中であると判断するものであることを特徴とする遊技機7。遊技機7によれば、発射ハンドルの操作の検出から所定の時間は自己の遊技機が稼働中であると判断されるので、遊技機の単なる電源オン中と、実際に遊技が行われている場合とを明確に区別して、遊技機の稼働中を判断することができる。なお、発射操作検出手段としては、発射ハンドルに設けられたタッチセンサが例示される。
【0234】
遊技機1から7のいずれかにおいて、遊技者により操作可能に構成され、前記他の遊技機の出力手段から出力される所定信号の入力状態を入力可能な状態と入力不能な状態とに切り替える切替手段を備えていることを特徴とする遊技機8。遊技機8によれば、遊技者により操作可能に構成された切替手段の操作によって、他の遊技機から出力される所定信号の入力状態を、入力可能な状態と入力不能な状態とに切り替えることができるので、所定信号の入力に伴う遊技者に有利な遊技状態の発生の有無を遊技者の意志に応じて切り替えることができる。切替手段としては、遊技者により操作可能に構成される切替スイッチが例示される。特に、操作状態を維持するスライドスイッチが好適である。なお、「他の遊技機の出力手段から出力される所定信号の入力不能な状態」としては、実際に、所定信号そのものの入力を不能な状態にするものだけでなく、その所定信号をハード回路上は入力するがソフト制御上は入力状態を非検出とするものや、所定信号をハード回路上入力し且つソフト制御上入力状態を検出するが、その検出した入力状態を制御で未使用なもの等を含めるものとして例示できる。
【0235】
遊技機1から7のいずれかにおいて、遊技者により操作可能に構成されたスイッチ手段を備え、前記制御手段は、前記他の遊技機の出力手段から出力される所定信号を入力した場合に、前記スイッチ手段の操作状態に応じて遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを切り替えるものであることを特徴とする遊技機9。遊技機9によれば、遊技者により操作可能に構成されたスイッチ手段の操作によって、他の遊技機から出力される所定信号を入力した場合に、遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かを切り替えることができる。よって、所定信号の入力に伴う遊技者に有利な遊技状態の発生の有無を遊技者の意志に応じて切り替えることができる。なお、スイッチ手段としては、操作状態を維持するスライドスイッチや、操作後に元の状態に復帰する復帰型の押しボタンスイッチなどが例示される。また、スイッチ手段の操作状態、即ち遊技者に有利な遊技状態を発生させるか否かの操作状態を、ランプやLED、LCDで表示する構成のものは一層好適である。スイッチ手段が操作状態を維持するスライドスイッチで構成される場合には、ランプやLED、LCDに代えて、スライドスイッチの横に、操作状態を印刷などして表示するようにしても良い。
【0236】
遊技機8又は9において、前記切替手段またはスイッチ手段により前記所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生させない状態に設定されており、且つ前記他の遊技機の出力手段から出力される所定信号を入力した場合に、その所定信号を前記他の遊技機とは別の遊技機へ更に出力する再出力手段を備えていることを特徴とする遊技機10。遊技機10によれば、所定信号を入力した遊技機がその所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生させない状態に設定されていれば、入力した所定信号は再出力手段によって更に別の遊技機へ出力される。よって、1の遊技機で所定条件が成立した場合にはいずれかの遊技機で遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる。
【0237】
遊技機8又は9において、前記切替手段またはスイッチ手段により、前記所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生させない状態に設定されている場合には、前記他の遊技機の出力手段から出力される所定信号は、その他の遊技機とは別の遊技機へ出力されるように構成されていることを特徴とする遊技機11。遊技機11によれば、所定信号を入力した遊技機がその所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生させない状態に設定されていれば、入力した所定信号は別の遊技機へ出力されるので、1の遊技機で所定条件が成立した場合にはいずれかの遊技機で遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる。
【0238】
遊技機8から11のいずれかにおいて、第2所定条件の成立により遊技者に所定の遊技価値を付与する価値付与手段と、前記切替手段またはスイッチ手段によって、前記所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生させない状態に設定されている場合には、前記所定信号を入力すると遊技者に有利な遊技状態を発生させる状態に設定されている場合より前記価値付与手段により付与される遊技価値の量を大きくする価値付与量制御手段とを備えていることを特徴とする遊技機12。なお、第2所定条件は前記所定条件と同一の条件であっても異なる条件であっても良い。
【0239】
他の遊技機から出力される所定信号を入力すると遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる遊技機では、たとえ、他の遊技機から本遊技機へ所定信号が出力された場合に有利な遊技状態を発生させるか否かを切り替える切替スイッチが設けられていても、多くの遊技者は、その切替スイッチを有利な遊技状態が発生する状態に設定する。すると遊技場は、その有利な遊技状態が発生することを予め考慮して、遊技場で変更できる内容の遊技条件を厳しく調整する。例えばパチンコ機であるならば釘調整により始動口や入賞口への入球を通常より困難なものにし、スロットマシンであるならば機械の設定(一般に1から6の6段階に区分けされた投入コインに対する払出コインの機械割り設定)を通常より低くする。
【0240】
さて、他の遊技機に影響されずに遊技を行いたい遊技者は、切替スイッチを操作して、他の遊技機から本遊技機へ所定信号が出力されても有利な遊技状態を発生させない状態にして遊技を行うが、かかる状況下では、その遊技者にとっては遊技条件が厳しくされるだけであり、一方的に不利益を被ることになる。よって、一人での遊技を希望する遊技者には、その遊技機は受け入れられず、使用(遊技)されない。
【0241】
遊技機12によれば、切替手段またはスイッチ手段によって、所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生させない状態に設定されている場合には、所定信号を入力すると遊技者に有利な遊技状態を発生させる状態に設定されている場合より、価値付与手段により遊技者に付与される遊技価値の量が、価値付与量制御手段によって大きくされる。よって、切替手段またはスイッチ手段の操作状態に拘わらず、遊技者に付与される遊技価値のバランスを保つことができる。従って、他の遊技機に影響されずに一人での遊技を希望する遊技者にも、一方的に不利益を生じさせることがなく、かかる遊技者も、良好に本遊技機で遊技することができる。
【0242】
また、パチンコ機の場合には、釘調整は遊技者が直接観察できるので、釘調整の悪いパチンコ台は敬遠されがちで稼働率が悪い。釘調整は、遊技場の閉店時間中に行われるので、誤って釘調整を厳しくし過ぎてしまったパチンコ台の稼働は、次の釘調整の機会まで期待できない。しかし、遊技機12によれば、切替手段またはスイッチ手段によって、所定信号を入力すると遊技者に有利な遊技状態を発生させることできるので、かかる釘調整の影響を小さくして、誤って釘調整を厳しくし過ぎてしまったパチンコ台についても、ある程度の稼働を見込むことができる。即ち、釘調整の失敗による稼働率の低下を抑えることができるのである。よって、遊技場では、釘調整を厳しい精度で行う必要がないので、釘調整の作業を簡便に行うことができる。更に、仲間同士で遊技場を訪れた場合には、隣り合うパチンコ台での遊技を希望する。遊技機12によれば、釘調整の厳しいパチンコ台であっても、切替手段またはスイッチ手段によって、所定信号を入力すると遊技者に有利な遊技状態を発生させることできるので、遊技者によるパチンコ台の選択要素に占める釘調整の度合いを小さくして、仲間同士による隣り合うパチンコ台での遊技を良好に実現することができる。
【0243】
遊技機8から11のいずれかにおいて、第2所定条件の成立により遊技者に所定の遊技価値を付与する価値付与手段と、前記切替手段またはスイッチ手段によって、前記所定信号を入力すると遊技者に有利な遊技状態を発生させる状態に設定されている場合には、前記所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生させない状態に設定されている場合より前記価値付与手段により付与される遊技価値の量を小さくする価値付与量制御手段とを備えていることを特徴とする遊技機13。なお、第2所定条件は前記所定条件と同一の条件であっても異なる条件であっても良い。
【0244】
遊技機13によれば、遊技機12と同様に作用し、同様の効果を奏するが、特に、遊技機13によれば、切替手段またはスイッチ手段の操作状態に拘わらず、「所定信号を入力しても遊技者に有利な遊技状態を発生させない状態」を基準にして、即ち遊技機単体で遊技が行われる状態を基準にして、遊技者に付与される遊技価値のバランスを保つことができる。
【0245】
遊技機1から13のいずれかにおいて、遊技の利益付与判定に関する制御を行う主制御手段を備え、前記制御手段は、その主制御手段と別体に構成されていることを特徴とする遊技機14。パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機では、大当たり等の特別遊技状態の発生やその他遊技の利益付与を判定する主制御手段に、外部から信号入力することは、主制御手段の動作不良や主制御手段への不正行為を助長する原因となるので好ましくない。主制御手段の動作不良や主制御手段への不正行為があると、遊技の利益付与に大きく影響するからである。よって、遊技の利益付与判定に関する制御を行う主制御手段への信号入力は極力最小限に止めたい。遊技機14によれば、制御手段は、主制御手段と別体に構成されているので、他の遊技機から出力される所定信号を主制御手段へ入力すること無く、他の遊技機から出力される所定信号に基づいて、遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる。よって、パチンコ機やスロットマシンなどの遊技機に対しても、本発明を適用することができる。なお、制御手段を、MPU等の演算装置を用いずに、アンド回路やオア回路、インバータゲート等の論理回路を組み合わせて構成しても良い。かかる論理回路の組み合わせで制御手段を構成すれば、MPU等の演算装置を用いる場合に比べて、回路コストを安価にすることができる。
【0246】
遊技機1から14のいずれかにおいて、前記検出手段は、遊技機の右側における所定条件の成立を検出する右側検出手段と、遊技機の左側における所定条件の成立を検出する左側検出手段とを有し、前記出力手段は、前記右側検出手段により所定条件の成立が検出された場合には自己の遊技機の右側に配設される遊技機へ所定信号を出力し、前記左側検出手段により所定条件の成立が検出された場合には自己の遊技機の左側に配設される遊技機へ所定信号を出力するものであることを特徴とする遊技機15。遊技機15によれば、右側検出手段により遊技機の右側における所定条件の成立が検出さると、出力手段によって、自己の遊技機の右側に配設される遊技機へ所定信号が出力され、その右側の遊技機で遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる。また、左側検出手段により所定条件の成立が検出されると、出力手段によって、自己の遊技機の左側に配設される遊技機へ所定信号が出力され、その左側の遊技機で遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる。よって、所定条件の成立と遊技者に有利な遊技状態の発生とを関連させて行わせることができる。なお、遊技機の右側(左側)における所定条件の成立としては、遊技機の右側(左側)に設けられた入賞口や役物に球が入賞した場合や、遊技機の右側(左側)に設けられたランプが特殊な態様で点灯する条件が成立した場合や、遊技機の右側(左側)に設けられたスピーカから特別な効果音が出力される条件が成立した場合などが例示される。
【0247】
遊技機1から15のいずれかにおいて、前記検出手段は、遊技機の中央における所定条件の成立を検出する中央検出手段を有し、前記出力手段は、その中央検出手段により所定条件の成立が検出された場合には自己の遊技機の右側及び左側に配設される遊技機へ所定信号を出力するものであることを特徴とする遊技機16。遊技機16によれば、中央検出手段により遊技機の中央における所定条件の成立が検出さると、出力手段によって、自己の遊技機の右側及び左側に配設される遊技機へ所定信号が出力され、その右側及び左側の遊技機で遊技者に有利な遊技状態を発生させることができる。よって、所定条件の成立と遊技者に有利な遊技状態の発生とを関連させて行わせることができる。
【0248】
遊技機1から16のいずれかにおいて、前記制御手段は、遊技機の右側に配設され遊技者に有利な遊技状態を発生させる右側部材と、遊技機の左側に配設され遊技者に有利な遊技状態を発生させる左側部材とを有し、自己の遊技機の右側に配設された遊技機の出力手段から出力される所定信号を入力した場合には前記右側部材によって遊技者に有利な遊技状態を発生させるものであり、自己の遊技機の左側に配設された遊技機の出力手段から出力される所定信号を入力した場合には前記左側部材によって遊技者に有利な遊技状態を発生させるものであることを特徴とする遊技機17。遊技機17によれば、右側の遊技機から所定信号を入力した場合には右側部材により遊技者に有利な遊技状態を発生させ、左側の遊技機から所定信号を入力した場合には左側部材により遊技者に有利な遊技状態を発生させるので、所定条件の成立と遊技者に有利な遊技状態の発生とを関連させて行わせることができる。なお、遊技者に有利な遊技状態の態様としては、遊技機がパチンコ機である場合には、入賞口や役物開放口へ遊技球が入球し易い状態にすることが例示される。
【0249】
遊技機1から17のいずれかにおいて、遊技領域と、その遊技領域へ球を発射する発射手段と、その発射手段により発射された球が所定領域に入球したか否かを検出する入球検出手段と、その入球検出手段により所定領域への入球が検出された場合に前記所定領域とは別の球の通路を1又は複数回開放する開放手段と、その開放手段により開放された通路内に入球した球がその通路の下流に設けられた特別領域に入球したか否かを検出する特別入球検出手段と、その特別入球検出手段により特別領域への入球が検出された場合に遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させる特別制御手段とを有しており、前記検出手段は、前記入球検出手段による入球の検出を所定条件の成立として検出するものであることを特徴とする遊技機18。
【0250】
遊技機18によれば、遊技領域へ発射された球が所定領域へ入球し、これが入球検出手段により検出されると、所定条件の成立として、出力手段によって所定信号が他の遊技機へ出力される。所定信号を入力した他の遊技機では、制御手段によって遊技者に有利な遊技状態を発生させる。ここで、入球検出手段により入球が検出されると、開放手段により球の通路が開放される。通路の下流には、入球により特別遊技状態を発生させる特別領域が設けられているので、入球検出手段による入球の検出は、特別遊技状態発生の前触れとなる。よって、入球検出手段による入球の検出を所定条件の成立とすることにより、特別遊技状態発生の前触れとして他の遊技機の遊技者に有利な遊技状態を供与することができる。従って、1の遊技機における特別遊技状態の発生予告を、他の遊技機の遊技者が有利となる態様で行うことができるので、1の遊技機の遊技者と他の遊技機の遊技者との遊技の一体感を高め、個人で行う遊技に新たな興趣を加えて、比較的長時間遊技を継続させることができる。なお、開放手段による球の通路の開放は、閉鎖されている通路を開放させることはもちろん、開放されている通路の開放量を一層大きくすることの双方を含むものである。
【0251】
遊技機1から18のいずれかにおいて、遊技領域と、その遊技領域へ球を発射する発射手段と、その発射手段により発射された球が所定領域に入球したか否かを検出する入球検出手段と、その入球検出手段により所定領域への入球が検出された場合に前記所定領域とは別の球の通路を1又は複数回開放する開放手段と、その開放手段により開放された通路内に入球した球がその通路の下流に設けられた特別領域に入球したか否かを検出する特別入球検出手段と、その特別入球検出手段により特別領域への入球が検出された場合に遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させる特別制御手段とを有しており、前記制御手段は、他の遊技機に設けられた前記出力手段から出力される所定信号を入力した場合に前記発射手段により発射された球が前記所定領域に入球し易い状態にして遊技者に有利な遊技状態を発生させるものであることを特徴とする遊技機19。
【0252】
遊技機19によれば、遊技者に有利な遊技状態として、発射手段により発射された球が所定領域に入球し易い状態を発生させるので、入球検出手段により所定領域への入球が検出され易くなり、その結果、開放手段による開放がなされ易い状態となる。開放手段により開放された通路内に入球し、更にその球が、その通路の下流に設けられた特別領域に入球すると、遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させる。よって、遊技機19によれば、遊技者に有利な遊技状態を発生させることにより、遊技者に利益を得る機会(チャンス)を付与することができる。従って、かかるチャンスを得た遊技者に、利益を獲得できるかどうかの遊技機会を与えて、本遊技機単独では生じ得ない異なった遊技性を新たに加えることができる。なお、「発射手段により発射された球が所定領域に入球し易い状態にする」ものとしては、例えば、所定領域への球の流路を拡張或いは多く設けることを例示することができる。
【0253】
また、遊技機18に従属する遊技機19によれば、検出手段は、入球検出手段による入球の検出を所定条件の成立として検出し、制御手段は、他の遊技機に設けられた出力手段から出力される所定信号を入力した場合に発射手段により発射された球が所定領域に入球し易い状態にして遊技者に有利な遊技状態を発生させる。よって、他の遊技機で所定領域への入球が検出されると、本遊技機では所定領域へ入球し易い状態となるので、本遊技機と他の遊技機との遊技状態を平均化することができる。
【0254】
遊技機1から18のいずれかにおいて、遊技領域と、その遊技領域へ球を発射する発射手段と、その発射手段により発射された球が所定領域に入球したか否かを検出する入球検出手段と、その入球検出手段により所定領域への入球が検出された場合に前記所定領域とは別の球の通路を1又は複数回開放する開放手段と、その開放手段により開放された通路内に入球した球がその通路の下流に設けられた特別領域に入球したか否かを検出する特別入球検出手段と、その特別入球検出手段により特別領域への入球が検出された場合に遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させる特別制御手段とを有しており、前記制御手段は、他の遊技機に設けられた前記出力手段から出力される所定信号を入力した場合に前記開放手段を1又は複数回開放して遊技者に有利な遊技状態を発生させるものであることを特徴とする遊技機20。
【0255】
遊技機20によれば、遊技者に有利な遊技状態として、開放手段を1又は複数回開放する。発射手段から発射された球が、開放手段により開放された通路内に入球し、更にその球が、その通路の下流に設けられた特別領域に入球すると、遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させる。よって、遊技機20によれば、遊技者に有利な遊技状態を発生させることにより、遊技者に利益を得る機会(チャンス)を付与することができる。従って、かかるチャンスを得た遊技者に、利益を獲得できるかどうかの遊技機会を与えて、本遊技機単独では生じ得ない異なった遊技性を新たに加えることができる。
【0256】
遊技機1から17のいずれかにおいて、遊技領域と、その遊技領域へ球を発射する発射手段と、その発射手段により発射された球が所定領域に入球したか否かを検出する入球検出手段と、その入球検出手段により前記所定領域への入球が検出された場合にその検出タイミングに基づいて遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させるか否かを決定する特別制御手段とを備え、前記検出手段は、前記入球検出手段による入球の検出を所定条件の成立として検出するものであることを特徴とする遊技機21。なお、この遊技機21に、「前記入球検出手段により前記所定領域への入球が検出された場合に動的表示を行う表示制御手段」と、「前記特別制御手段は、前記特別遊技状態を発生すると決定した場合には前記表示制御手段による動的表示によって予め定めた表示結果を現出させるものである」との構成を加えて、遊技機21としても良い。
【0257】
遊技機21によれば、遊技領域へ発射された球が所定領域へ入球し、これが入球検出手段により検出されると、所定条件の成立として、出力手段によって所定信号が他の遊技機へ出力される。所定信号を入力した他の遊技機では、制御手段によって遊技者に有利な遊技状態を発生させる。ここで、入球検出手段により入球が検出されると、その検出タイミングに基づいて特別制御手段により遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させるか否かが決定される。よって、入球検出手段による入球の検出は、特別遊技状態発生の前触れとなるので、入球検出手段による入球の検出を所定条件の成立とすることにより、特別遊技状態発生の前触れとして他の遊技機の遊技者に有利な遊技状態を供与することができる。従って、1の遊技機における特別遊技状態の発生予告を、他の遊技機の遊技者が有利となる態様で行うことができるので、1の遊技機の遊技者と他の遊技機の遊技者との遊技の一体感を高め、個人で行う遊技に新たな興趣を加えて、比較的長時間遊技を継続させることができる。なお、所定領域としては、入球により表示装置に図柄等の動的表示を開始させる契機となる始動口が例示される。
【0258】
遊技機1から17または21のいずれかにおいて、遊技領域と、その遊技領域へ球を発射する発射手段と、その発射手段により発射された球が所定領域に入球したか否かを検出する入球検出手段と、その入球検出手段により前記所定領域への入球が検出された場合にその検出タイミングに基づいて遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させるか否かを決定する特別制御手段とを備え、前記制御手段は、他の遊技機に設けられた前記出力手段から出力される所定信号を入力した場合に前記発射手段により発射された球が前記所定領域に入球し易い状態にして遊技者に有利な遊技状態を発生させるものであることを特徴とする遊技機22。なお、この遊技機22に、「前記入球検出手段により前記所定領域への入球が検出された場合に動的表示を行う表示制御手段」と、「前記特別制御手段は、前記特別遊技状態を発生すると決定した場合には前記表示制御手段による動的表示によって予め定めた表示結果を現出させるものである」との構成を加えて、遊技機22としても良い。
【0259】
遊技機22によれば、遊技者に有利な遊技状態として、発射手段により発射された球が所定領域に入球し易い状態を発生させるので、入球検出手段により所定領域への入球が検出され易くなり、遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させ得る機会が増加する。よって、遊技者に有利な遊技状態を発生させることにより、遊技者に利益を得る機会(チャンス)を付与することができる。従って、かかるチャンスを得た遊技者に、利益を獲得できるかどうかの遊技機会を与えて、本遊技機単独では生じ得ない異なった遊技性を新たに加えることができる。なお、「発射手段により発射された球が所定領域に入球し易い状態にする」ものとしては、例えば、所定領域への球の流路を拡張或いは多く設けることを例示することができる。また、遊技機22における「所定領域」としては動的表示始動の契機となる始動口を例示することができる。
【0260】
また、遊技機21に従属する遊技機22によれば、検出手段は、入球検出手段による入球の検出を所定条件の成立として検出し、制御手段は、他の遊技機に設けられた出力手段から出力される所定信号を入力した場合に発射手段により発射された球が所定領域に入球し易い状態にして遊技者に有利な遊技状態を発生させる。よって、他の遊技機で所定領域への入球が検出されると、本遊技機では所定領域へ入球し易い状態となるので、本遊技機と他の遊技機との遊技状態を平均化することができる。
【0261】
遊技機1から17又は21のいずれかにおいて、遊技領域と、その遊技領域へ球を発射する発射手段と、その発射手段により発射された球が所定領域に入球したか否かを検出する入球検出手段と、その入球検出手段により前記所定領域への入球が検出された場合にその検出タイミングに基づいて遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態を発生させるか否かを決定する特別制御手段とを備え、前記制御手段は、他の遊技機に設けられた前記出力手段から出力される所定信号を入力した場合に前記特別遊技状態の発生確率を高めて遊技者に有利な遊技状態を発生させるものであることを特徴とする遊技機23。なお、この遊技機23に、「前記入球検出手段により前記所定領域への入球が検出された場合に動的表示を行う表示制御手段」と、「前記特別制御手段は、前記特別遊技状態を発生すると決定した場合には前記表示制御手段による動的表示によって予め定めた表示結果を現出させるものである」との構成を加えて、遊技機23としても良い。遊技機23によれば、遊技者に有利な遊技状態として、遊技者に利益が得られ易い特別遊技状態の発生確率を高めるので、他の遊技機の遊技状態との連携を一層強めて、他の遊技機の遊技者との遊技関係を良好方向に一層発展させることができる。
【0262】
遊技機1から23のいずれかにおいて、前記出力手段は、前記所定信号を自己の遊技機の隣の遊技機へ出力するものであることを特徴とする遊技機24。遊技は個性的な要素が多いので、一般に遊技者は、できれば他人と拘わらずに遊技をしたいと考えがちであり、遊技機を選択する場合にも他の遊技者と離れた遊技機を選択する傾向にある。かかる傾向は、遊技場において稼働する遊技機を1台又は複数台おきのとびとびにするものであり、遊技場にとっては非稼働の遊技機を生じさせる原因となって好ましくない。遊技機24によれば、所定条件の成立により出力される所定信号は、自己の遊技機の隣の遊技機へ出力され、かかる所定信号を入力した遊技機ではその遊技機の遊技者に有利な遊技状態を発生させるので、他の遊技者の隣に配設される遊技機で遊技をする方が自己の遊技に有利となり、その結果、遊技者は遊技中の遊技者の隣の遊技機を選択する傾向が強くなる。よって、遊技場において、遊技者は他の遊技者と隣り合わせの遊技機を好んで選択するようになり、遊技者による1台又は複数台おきの遊技機の選択を抑制して、遊技場内の遊技機を効率よく稼働させることができる。
【0263】
遊技機1から24のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機25。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
【0264】
遊技機1から24のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機26。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
【0265】
遊技機1から24のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機27。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機の正面図である。
【図2】外枠に対して内枠と前面枠セットとを開放した状態を示す斜視図である。
【図3】パチンコ機から前面枠セットを取り外した状態を示した正面図である。
【図4】遊技盤の構成を示す正面図である。
【図5】役物可変入賞装置の斜視図である。
【図6】役物可変入賞装置の分解斜視図である。
【図7】一般役物入賞装置の斜視図である。
【図8】一般役物入賞装置の分解斜視図である。
【図9】前面枠セットの背面図である。
【図10】パチンコ機の背面図である。
【図11】パチンコ機の背面構成を主要部品毎に分解して示した分解斜視図である。
【図12】パチンコ機裏面における第1制御基板ユニット、第2制御基板ユニット及び裏パックユニットの配置を示す模式図である。
【図13】内枠及び遊技盤の構成を示す背面図である。
【図14】内枠を後方より見た斜視図である。
【図15】遊技盤を後方より見た斜視図である。
【図16】支持金具を示す斜視図である。
【図17】第1制御基板ユニットの構成を示す正面図である。
【図18】第1制御基板ユニットの斜視図である。
【図19】第1制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図20】第1制御基板ユニットを裏面から見た分解斜視図である。
【図21】第2制御基板ユニットの正面図である。
【図22】第2制御基板ユニットの斜視図である。
【図23】第2制御基板ユニットの分解斜視図である。
【図24】パチンコ機の背面から見た裏パックユニットの背面図を示した図である。
【図25】裏パックユニットの分解斜視図を示した図である。
【図26】タンクレールの構成を示した図である。
【図27】パチンコ機の電気的構成を示したブロック図である。
【図28】受入片駆動回路の回路構成を示した図である。
【図29】主制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
【図30】主制御装置内のMPUにより実行される通常処理を示したフローチャートである。
【図31】タイマ割込処理によって2ms毎に実行されるスイッチ読込処理を示したフローチャートである。
【図32】図30の通常処理により4ms毎に実行されるチューリップ開放及び可動部材駆動処理を示したフローチャートである。
【図33】NMI割込処理を示したフローチャートである。
【図34】払出制御装置内のMPUにより実行されるメイン処理を示したフローチャートである。
【図35】払出制御装置内のMPUにより実行される払出制御処理を示したフローチャートである。
【図36】払出制御装置内のMPUにより実行される賞球制御処理を示したフローチャートである。
【図37】払出制御装置内のMPUにより実行される貸球制御処理を示したフローチャートである。
【図38】変形例である受入片駆動回路の回路構成を示した図である。
【図39】変形例である受入片駆動回路の回路構成を示した図である。
【図40】変形例である遊技盤の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
10 パチンコ機(遊技機)
38L 左受入片
38R 右受入片
39L 左受入片突出ソレノイド
39R 右受入片突出ソレノイド
222L 左開放口スイッチ(検出手段)
222C 中開放口スイッチ(検出手段)
222R 右開放口スイッチ(検出手段)
270,271,271 受入片駆動回路(出力手段および制御手段)
SGA 稼働中信号
SGL 左可動部材駆動信号
SGR 右可動部材駆動信号

Claims (1)

  1. 所定条件の成立を検出する検出手段と、
    その検出手段により所定条件の成立が検出された場合に所定信号を他の遊技機へ出力する出力手段と、
    他の遊技機に設けられた前記出力手段から出力される所定信号を入力した場合に遊技者に有利な遊技状態を発生する制御手段とを備えていることを特徴とする遊技機。
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