JP2004342620A - 質量分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
一台の質量分析計に複数のイオン源を装着し、イオン源の迅速な切り替えを実現することで、複数の測定を並行的に実行することが可能な装置を提供する。
【解決手段】
イオン源で生成したイオンを質量分析計に導き質量分析する質量分析装置において、複数のイオン源と、当該複数のイオン源の内、少なくとも一のイオン源からのイオンを電界を発生させることによって前記質量分析計へ向かうように偏向する偏向手段を有する。
【効果】
複数のイオン源を備えたLC/MS,GC/MS,プラズマイオン化MS等において、複数のイオン源を稼動させながら、質量分析を行うことが可能である。
【選択図】図1

Description

本発明は、質量分析装置に関わり、特に複数のイオン源を同時に装着し、測定の効率向上や単位時間当たりの情報量の拡大を図るに最適な質量分析装置に関する。
近年、ガスクロマトグラフ直結質量分析計(GC/MS)や液体クロマトグラフ直結質量分析計(LC/MS),プラズマイオン化質量分析計(プラズマイオン化MS)などの分析装置が、環境,医学,薬学等広範な領域で用いられるようになってきた。
GC/MS,LC/MSは、極微量の有機化合物の定性,定量分析に、プラズマイオン化MSは、微量金属の定性,定量分析に用いられる。GC/MSやLC/MSは分離手段であるガスクロマトグラフ(GC)や液体クロマトグラフ(LC)と質量分析計(MS)が結合した分析装置である。プラズマイオン化MSは質量分析計(MS)と大気圧下で動作するプラズマイオン源が結合した分析装置である。
LC/MSは、液体クロマトグラフ(LC),大気圧イオン源,質量分析計(MS),データ処理装置等で構成される。質量分析計は10-3Pa以上の高真空を必要とするのに対して、LCは大気圧下(10Pa)で水や有機溶媒などの液体を取り扱う機器である。そのため、この二つの機器の相性が悪く、これら機器の結合は困難を極めた。しかし、真空技術の進歩と大気圧下で溶液を噴霧しイオン化する大気圧イオン源の開発によりLC/MSは実用的なものとなった。図31に一般的なLC/MSの模式図を示す。
LC/MSの測定は、一般に以下の手順で行われる。
ポンプ11により送られる移動相中に、試料はオートサンプラ12により自動的に注入される。試料は分析カラム13により成分毎に分離される。分離された成分は、LC/
MSの大気圧イオン源20に導入される。導入された成分は、大気圧イオン源20でイオン化される。生成したイオンは油回転ポンプ22で排気された中間圧力室21を経て、ターボ分子ポンプ26により排気された高真空室80に導入される。イオンはこの高真空室80に置かれた質量分析計82により質量分析され、検出器83によりイオン電流として検出される。最終的にデータ処理装置84によりマススペクトルやマスクロマトグラムなどを与える。
一般のLC/MS測定の場合、試料導入開始から一試料の分析が終了するまでの時間は、約一時間程度必要である。それは、LCの分離時間(30分程度)が先ず必要であり、また、LC分析には移動相の組成を時間とともに変化させるグラジエント分析があるが、この場合には、分析が終了しても、元の移動相組成に戻す時間(20,30分)が必要だからである。このため、試料測定サイクルは1時間程度必要となる。そのため、自動測定にしても、LC/MS一台あたりの一日の処理検体数は20から30検体程度に過ぎない。
LC/MSのイオン源としては、大気圧化学イオン化イオン源(APCI)とエレクトロスプレイイオン源(ESI),ソニックスプレイイオン源(SSI)が現在広く用いられている。APCIは中性・弱極性の化合物に、ESIやSSIは高極性・イオン性の化合物のイオン化に適している。これらのイオン化は相補的な情報を与えてくれる。また、イオン化の極性(正,負)によっても与える情報は異なってくる。一つの試料であってもLC/MS分析から出来るだけ多くの情報を引き出すために、測定者はイオン源(ESI/
APCI/SSI)を切り替えたり、イオン化の極性を切り替えたり、移動相,カラム等の分析条件の変更などを頻繁に行っている。
このなかで、イオン源の切り替えは装着されているイオン源を人手により取り外し、新たなイオン源を装着する方法が広く行われている。これはESI,APCI,SSIのイオン源の構造が大きく異なるためである。このイオン源の交換は、以下の様に多くの作業と時間を必要とする。
先ず、LCやイオン源を停止する。イオン源温度が室温に戻るまで待つ。次に、イオン源を取り外し、新イオン源を装着する。イオン源の電源を投入しイオン源を加熱する。
LCカラムに移動相を流しコンデショニングを行う。標準試料によるキャリブレーションなど行う。
以上、イオン源の交換には、このように多くの手順,手間、更に、時間と人手を必要とする。この煩わしさを嫌い、多くの測定者は装着された一つのイオン源で全ての試料の分析を済ませてしまおうとする事が往々にしてある。その結果、ネガティブな分析結果を得る事が多い。これは、LC/MS分析においては、3種類のイオン源を用いて測定していれば、たとえ試料が一種類であっても、少なくとも6種類(3種類のイオン源×正負スペクトル=3×2=6)の異なるデータが得られる可能性があるにも関わらず、測定者がこの可能性を自ら放棄した事になる。また当然ながら、イオン源の交換が人手によるため、全分析の自動化は不可能である。
このLC/MSの処理能力不足の問題を解決するために、複数のイオン源を簡単に切り替える方法がいくつか提案されている。
特開平7−73848号公報(特許文献1)には、APCI,ESIのイオン源の交換を簡単に行う機構が開示されている。LC/MS装置のイオン源部に大きな回転台を設け、ESIとAPCIの2つのイオン源を回転台に装着する。この回転台を回転させてESIとAPCIの切り替えを行う。この方法では、イオン源交換の手間はかなり簡素化されるが、APCI,ESIの分析をシリーズに行う必要があるため、分析時間の短縮化は図れない。当然コンデショニングなどの時間の短縮も図れない。また、測定の多様さ(イオン化法の切替,正/負極性切替など)に対応する時間短縮法についても何も示されていない。単位時間あたりの測定効率を向上させる技術等も開示されていない。
複数のイオン源を一つの質量分析計に接続する別の技術が、Journal of American
Society for Mass Spectrometry 第3巻(1992年)695ページから705ページ
(非特許文献1)に示されている。これは、2つの大気圧イオン源で生成したイオンをY字形のキャピラリの2つの入り口から別々に取り込み、質量分析計に送り込むものである。どちらか一方からのイオンを大気圧下からサンプリングすれば、イオン源の機械的な交換無しに、イオン源を切り替える事が出来る。しかし、この方式においては大きな問題がある。一つの分析を行う場合、2つのイオン源の内、一方は稼動状態、もう一方は不稼動状態である事が必要である。不稼動状態にするにはイオン源の電源を遮断した上、更に
LCからの送液も停止する必要がある。それはY字形キャピラリの2つの入り口からイオンと中性のLC溶液の気体分子が吸入されると、Y字形キャピラリの途中でイオンと溶液分子との混合が起きる。そこで、イオン分子反応が起きてしまい、正しいマススペクトルを与えなくなる恐れが有る。しかし、LCの停止はLC分析を行っている間は全く不可能である。そのため、この方式ではイオン源交換の機械的な手間は省けても、LC/MS分析の測定効率向上は図れない。
図32には、2つのLCと一つのMSを結び付けた従来の方式を示す。分離された成分は、溶離液と共に二つのLC10及びLC30から送出される。この溶離液を切り替えバルブ190を経て、大気圧イオン源20に導入し、質量分析計82によりマススペクトルを得る。2つのLC流路は、必要な時に切り替えバルブ190を切り替える事により達成できる。この方式の利点は、選択された一つのLCと別のLCを両方とも停止することなくLC分離を行える事である。しかしながら、この方式は、2つのLCを高速に切り替える事が困難であり、並行分析は不可能である。当然、同じ時間に分析対象がLC10と
LC30から溶出する場合、一方のLCしか分析できない。また、切り替えバルブ190および連結パイプ34中で2つの溶離液が混合する恐れが有るため、高速のLCの切替はできない。
特開平6−215729号公報(特許文献2)には、2種類のLCのイオン源とGCのイオン源を組み合わせた例が示されている。これは、LC/MSとGC/MSの両方の機能を備えるようにしたものであり、任意に切り替えて使用することができるものである。更に、LC/MSとして使用するときには、ディフレクタ電極の電圧を切り替える事で、2種類のイオン源を使用できるようにしたものである。しかし、この構成ではLCから流入される大量の溶媒を取り除く手段が示されていない。そのため、2つのイオン源が互いに汚染し合う事によるバックグラウンドレベルの上昇などが大きな問題となる。高感度のイオン化手段であるEIを用いるGC/MSとLC/MSの併用は、GC/MSの高感度を大きく損ねてしまう。即ち、LC/MSあるいはGC/MSとして実際の使用は困難である。また、同時にLCとGCの測定を行うことはできない。また、LC/MSとして使用するときは、2種類のイオン源を使用できるものの、2組のディフレクタ電極を使用するため、イオンを効率よく質量分析計へ導入するためのディフレクタ電極の軸合せをそれぞれ行う必要がある。さらに、2種類のイオン源を同時に使用しているとき、分析を行わない方はディフレクタ電極によって質量分析計以外にイオンの飛行方向を偏向させる必要が有る。質量分析計に導かれないイオンは装置内の壁面に衝突し、ディフレクタ電極を汚したり、二次電子を発生させ、ノイズの原因となる。従ってイオン源の切り替えはできても、結局の所、2組のイオン源の同時使用は困難である。
一方、イオン源と質量分析計の間に静電偏向器を置き、イオンを偏向する技術自身は特許,文献等に記載されている。大気圧イオン源と質量分析計の間に四重極偏向器を配置した例として、特開平7−78590号公報(特許文献3)がある。この例では、大気圧下で動作するプラズマイオン源で生成したイオンを四重極偏向器により90度偏向し質量分析計に導くものである。これによりプラズマイオン源で生成した光,中性微粒子が質量分析計,検出器に入射しなくなり、高S/N比が得られるとしている。ここでは、四重極偏向器は専ら、一つのイオン源で生成されたイオンの90度偏向のために用いるのみで、複数のイオン源の切り替え,並行導入等の技術開示は全くなされていない。
米国特許5,073,713(特許文献4) には、キャピラリ電気泳動,大気圧イオン源(ESI)と質量分析計が開示されている。この特許の構成部品の一つとして四重極偏向器が開示されている。この四重極偏向器の役目は、ESIで生成し、真空室に導入されたイオンを中性微粒子などから分離し、S/N比の向上を図るものである。この例の中には、複数のイオン源との結合,切り替え等の技術の開示は一切無い。
特開平7−73848号公報 特開平6−215729号公報 特開平7−78590号公報 米国特許5,073,713 Journal of American Society for Mass Spectrometry 第3巻 (1992年)695ページから705ページ
LC/MSの測定は、LCの分離時間の短縮と自動測定により能率化が図れてきた。しかし、イオン源の交換は相変わらず人手によらなければならないものが多い。さらに、一つのLCからの溶出する成分を一つの質量分析計が引き受けシーケンシャルに処理するだけでも、LCの分離,グラジエント溶出のイニシャライズなどのための時間は必ず必要である。そのため、全体の測定時間の短縮は図られていないばかりか、測定対象試料や測定項目が増えるたびに全体での測定時間は伸びるばかりであった。
近年、測定対象試料が急激に増加するとともに、これら分析装置も高い処理能力が要求されるようになってきた。また、一方で水質分析などの場合、測定分野が一つにも関わらず、測定手法がGC/MS,LC/MS,プラズマイオン化MSなど多肢に渡るものが多くなった。そのため、分析毎に装置を準備しなければならず、コストの急騰,広いスペースを必要とするなど問題が多くなった。そのため、データの纏めを含め、分析装置の低価格化,小型化,一体化等が強く要求されるようになった。しかしながら、従来の技術ではこれら要求に応えるものはなかった。
本発明は、かかる問題点を解決するために成されたものであり、一台の質量分析計に複数のイオン源を装着し、イオン源の迅速な切り替えを実現することで、複数の測定を並行的に実行することが可能な装置を提供することを目的としたものである。
上記目的を達成するための本発明の特徴は、イオン源で生成したイオンを質量分析計に導き質量分析する質量分析装置において、複数のイオン源と、当該イオン源の内、任意のイオン源からのイオンを前記質量分析計へ向かうように偏向する偏向手段を有することである。
上記偏向手段は、具体的には、2枚の平板電極から成る静電偏向器か、あるいは4つの電極から成る四重極偏向器によって構成される。
本発明の構成によれば、複数のイオン源が同時にイオンを生成している状態でも、所望のイオン源からのイオンを選択的に質量分析計に対して導入する事が出来る。静電偏向器を用いた構成であれば、全てのイオン源からのイオンを同時に質量分析計へ導くことも可能となる。
また、本発明に適用できるイオン源として、エレクトロスプレイイオン源,大気圧化学イオン源,ソニックスプレイイオン源,誘導結合プラズマイオン源,マイクロ波誘導イオン源,電子イオン化イオン源,化学イオン化イオン源,レーザイオン化イオン源,グロー放電イオン源,FABイオン源,二次イオン化イオン源を用いることが出来、これらのイオン源を種類を問わず組合わせて使用することも可能である。
本発明によれば、複数のイオン源を備えたLC/MS,GC/MS,プラズマイオン化MS等において、複数のイオン源を稼動させながら、質量分析を行うことが可能である。また、本発明では、イオン源の動作に関わらずイオン加速電極や四重極偏向器の印加電圧の切り替えを行うのみで、質量分析計に導くイオンを容易に、且つすばやく切り替えることができるので、単位時間当たりの試料処理能力を大幅に向上させる事が可能となり、高スループットの装置が実現できる。
さらに、1台の質量分析計で複数のイオン源の分析を行うことが可能であるので、装置の小型化,低価格化を達成することができる。
(第一の実施例)
図1は、本発明による大気圧イオン化LC/MS装置の一実施例を示す。
図1に示されるように、本実施例の大気圧イオン化LC/MSにおいては、2台の液体クロマトグラフ(以下、LC)が、それぞれ大気圧イオン源を介して1台の質量分析装置(以下、MS)に接続される。
ここで、1台のLCからの試料を質量分析計で分析を行う際の動作を説明する。
LC10において、移動相(溶離液)は溶離液瓶からポンプ11により送り出され、オートサンプラ12に供給される。試料溶液はオートサンプラ12により溶離液中に注入され分析カラム13に導入される。この分析カラム13により試料は成分毎に分離される。分離された成分は分析カラム13を出て、連結パイプ14を経て、大気圧下の第一のイオン源20の噴霧キャピラリ15に導入される。噴霧キャピラリ15の先端部には、高電圧電源17から供給される3kV〜6kV程度の高電圧が印加されている。ここで試料溶液は、キャピラリと同軸方向に噴出する高速の噴霧ガス16と高電界により大気圧の噴霧空間18中に電荷を持った微細な液滴18として噴出される。この微細な液滴18は大気中のガス分子と衝突して更に微細化し、最終的にイオンが大気中に放出される。
第一のイオン源20で生成したイオンは、真空ポンプ86で真空排気された真空室80に導入され、イオンは真空室80内に置かれたイオン加速電極23に印加されたイオン加速電圧Va1により加速される。イオンは真空中を飛行し静電偏向器70に導入され、静電偏向器70内の静電界により右方向に偏向され、静電偏向器第二電極72に開けられた細孔73を通過して質量分析計82に導かれる。ここでイオンは質量分析される。イオンは検出器83により検出され、データ処理装置84によりマススペクトルやマスクロマトグラムなどを与える。制御装置85はデータ処理装置84に接続され、液体クロマトグラフ,大気圧イオン源,質量分析装置などを制御する。
真空筐体94の壁面には、静電偏向器70を介して第一のイオン源20と相対する位置に、第二のイオン源40が装着されている。LC30から送り込まれた試料成分は第二のイオン源40に送られイオン化される。生成したイオンは真空室80に送り込まれる。ここで、イオン加速電極43に印加されたイオン加速電圧Va2によりイオンは加速される。静電偏向器70に入射したイオンは、静電偏向器70内の静電界により右方向に偏向される。
複数のイオン源20,40からイオンが静電偏向器70に同時に入射すると、どちらのイオン源からのイオンも共に偏向され、細孔73を経て質量分析計82に送り込まれる。質量分析計82は同時に導入されたイオンを差別することなく質量分析する。その結果、複数のイオン源によるマススペクトルの積算が可能になる。
一方、各々のイオン源の加速電極23や43に印加される加速電圧Va1,Va2を制御すれば、複数のイオン源の中から一つのイオン源を選び、このイオン源からのイオンのみを質量分析計82に送り込む事ができる。即ち、Va1のみOnにし、Va2をOff(接地電位にする。)にすれば、第一のイオン源で生成したイオンのみが質量分析できる事になる。逆にVa1をOffとし、Va2をOnとすると第二のイオン源で生成したイオンを質量分析できる。結果として、イオン加速電圧を印加する電極(特定のイオン源)を選べば、ある時刻において測定イオン源を自由に選択できる。
ここで、図2に本実施例で用いたイオン源20,静電偏向器70などの模式図を示す。
静電偏向器70は、円形または多角形の平板よりなる電極71と72を平行に向かい合わせになるように組み立てたものである。二枚の電極の内、質量分析計82側の第二電極72には、中央に細孔73を設ける。2つの電極71と72は、絶縁物を介して組み立てられ、真空ポンプ86により真空排気された真空室80内に収められる。
第一のイオン源20で生成されたイオンは、真空筐体94の壁とイオン加速電極23の間に電源24によって印加されたイオン加速電圧Va1により加速される。イオン加速電極23によって加速されたイオンは、真空中を飛行して静電偏向器70に入射し、偏向される。偏向は、静電偏向器70の2つの電極71と72間に電源74から直流電圧を印加することで行われる。今、正のイオンビーム88がイオン加速電極23から入射したとすると、電極71に正の電位+Vd1、電極72に負の電位−Vd1を印加することで、イオンは偏向され細孔73から質量分析計82側に出射する。負イオンが入射した場合は、逆の電位を印加することで、容易に質量分析計82へ導くことが出来る。
このように静電偏向器70は、イオンを簡単に偏向することができる。
図3に、本実施例の装置外観を示す。
LC10から送られる試料成分を含む溶離液は連結チューブ14を経て第一のイオン源20に送られる。LC30からの溶離液は同様に連結チューブ34を経て第二のイオン源40に送られる。
これらのイオン源からのイオンは、それぞれのイオン加速電極に印加するイオン加速電圧のON/OFFにより、自由に切り替えて静電偏向器70へ導くことが出来る。
図4に、図3に示したLC/MS装置の詳細な模式図を示す。
第一のLC10を構成するポンプ11から送液された溶離液は、オートサンプラ12に供給される。ここで試料が溶離液中に導入され分離カラム13により分離される。分離カラム13で成分毎に分離された試料成分は、連結チューブ14を経て大気圧イオン源20に導入される。試料溶液は、高電圧が印加された噴霧器15から大気中に電荷を持った微細な液滴として噴霧される。大気中を電界に沿って進む微細な液滴は大気分子と衝突し更に微細化される。最終的に大気中にイオンが放出される。生成したイオンは油回転ポンプ22で排気された中間圧力室21を経て、ターボ分子ポンプ26で排気された高真空室
27に導入される。ここでイオンは、イオン加速電極23に印加されたイオン加速電圧
Va1により加速され、静電偏向器70に入射する。この静電偏向器70によりイオンは偏向を受け静電偏向器第二電極72の中央に開けられた細孔73から出射する。アインツエルレンズ25により再び収束されたイオンは、ターボ分子ポンプ86で排気された別の真空室80に導入される。真空室80内に置かれた質量分析計82により、イオンは質量分析され検出器83でイオン電流として検出される。データ処理装置84はデータを整理し、マススペクトルやマスクロマトグラムを与える。制御装置85はデータ処理の制御の基で、LC10,30やイオン源20,40および質量分析計82などを制御する。
一方、もう一つのLC30は、同様にポンプ31,オートサンプラ32,分析カラム
33などで構成される。試料は第二のイオン源40でイオン化される。生成したイオンは中間圧力室41を経て、イオン加速電極43や静電偏向器70が置かれた真空室に導かれる。
尚、第一のイオン源20と第二のイオン源40からのイオンの導入は、イオン加速電極23,43の印加電圧Va1,Va2を制御することで、選択が自由に行える。
以上は、二つのイオン源を装着した例を示したが、これ以上のイオン源を装着することも可能である。この場合のイオン源の配置例を図5に示す。
複数のイオン源20,40,60,62を静電偏向器70を中心として、真空筐体94の壁面に配置装着する。真空筐体94の壁には、イオンが通過する細孔が開けられている。実際は静電偏向器70の細孔73を中心として放射状になるように配置する。イオンを同じ加速電圧で加速し導入すれば、イオンはすべて等しく偏向を受け細孔73に入射する。
特定のイオン源からのイオンのみを選択的に質量分析計に導入したい場合には、イオン源の加速電圧印加を制御すれば良い。例えばイオン源20のイオンを測定する場合、イオン加速電極23にのみ加速電圧を印加し、他のイオン加速電極43,61,63にはすべて電圧を印加しないようにする。
図7から図9に一つのイオン源の選択について模式的に示した。図7ではイオン加速電極23にのみ加速電圧Va1が印加される。また、他のイオン源(図中では省略)のイオンは加速されないようにしたため、静電偏向器70に入射しない。同様に、図8では第二のイオン源40が選択され、図9では第三のイオン源60がそれぞれ選択された例である。
また、複数のイオン源のイオンを質量分析計に導入する場合は、複数のイオン源のイオン加速電極に同時に加速電圧を印加する。例えば、イオン源20と40のイオンを積算したい場合は、イオン加速電極23,43のイオン加速電圧をOnとし、イオン加速電極
61,63のイオン加速電圧をOffとすればよい。
選択されたイオン源のイオンは、偏向され細孔73を通り質量分析計82に送り込まれる。(紙面に水平に飛行後、紙面に垂直な力を受け、紙面に垂直な方向から細孔73を通過する。)静電偏向器70の形状は図5に示したように円形でも、図6に示したように多角形でも良い。
イオン源の選択には、イオン加速電極に印加するイオン加速電圧のON/OFF以外に別の方法がある。
イオン加速電圧Va(真空筐体94の壁とイオン加速電極間の電圧)と細孔73を通過させる偏向電圧Vd(電極71,72間の電圧)との間には厳密な相関が有る。図10に示すように、高いイオン加速電圧Vaで加速されたイオンビーム76は、静電偏向器70内の電界で偏向しきれず、細孔73の先まで到達してしまう。その結果、イオンビーム
76は細孔73を通過できない。また、イオン加速電圧Vaが低い場合、逆にイオンビーム75は静電界で大きく偏向され、細孔73の手前で電極72に衝突してしまう。イオンビーム75は細孔73を通過できない。
即ち、イオン加速電圧Vaと静電偏向器70の印加電圧Vdとの間には、Va/Vd=kの関係が成り立つ。静電偏向器70の印加電圧Vdを一定値として、一つのイオン源のみ正確なイオン加速電圧(Va=kVd)を与え、他のイオン源の加速電圧の値をずらせば(Va′≠kVd)、一つだけのイオン源を選択できる。
逆に、各イオン源のイオン加速電極に別々のイオン加速電圧Va1,Va2,Va3,…を印加して置き、イオン源を選択する時は、Va=kVdの式に合致した静電偏向器印加電圧Vdを選び印加することでも特定のイオン源を選択できる。例えば、第二のイオン源40を選ぶときは、VdはVd=kVa2となる。
実際の装置においては、各イオン源と細孔73との距離,位置,イオンの侵入角度などを全く同一にすることは困難であり、そのため、kは一定とならない。従って、予めイオン源を切り替える際に、イオン加速電圧Vaや静電偏向器の印加電圧Vdは、イオン源毎に微細な調整をする必要がある。この値はデータ処理装置84が記憶しておいて、切り替え時にデータ処理装置84から制御装置85を経て各電源に信号を送り設定すればよい。
Va,Vdの最適値を、いちいち測定者の手によること無く、自動的に求める事ができる。図11,図12にその動作模式図を示す。
図11は、静電偏向器70の印加電圧Vdを一定として、各イオン源の最適イオン加速電圧Vaを求める動作手順を示す。以下に手順を示す。
(1)各イオン源を動作状態とする。
(2)t1で、静電偏向器70の印加電圧Vdを印加する。
(3)第一,第二,第三,…全てのイオン源のイオン加速電圧Vaを接地電位とする。
(4)わずかな待ち時間t11後、第一のイオン源の加速電圧Va1を掃引する。この場合、前回測定時の値Va1のデータがあれば、零からではなく、このVa1の±10%程度を掃引すれば、十分であり時間の節約にもなる。掃引しながら、質量分析計82により、全イオン量または、特定イオンのイオン電流値を計測する。
(5)イオン電流値が最大値となる点が、イオン加速電圧Va1の最適値である。即ち、細孔73を通過したイオンが最大となる点Va1が求まる。この時の加速電圧Va1をデータ処理装置84は記憶する。
(6)同様に、第二,第三,…のイオン源について、Va2,Va3…を求める。これにより、各イオン源の最適イオン加速電圧Vaは決定され、データ処理装置84により、イオン源の選択が可能になる。
図12は、各イオン源の加速電圧Vaを一定として、各イオン源毎の最適静電偏向器印加電圧Vdを求める動作手順を示す。
(1)各イオン源を動作状態とする。
(2)第一,第二,第三,…のイオン源のイオン加速電圧Vaを接地電位とする。
(3)静電偏向器の印加電圧Vdを接地電位とする。
(4)t1で、第一のイオン源の加速電圧Va1を印加する。
(5)t11から、静電偏向器の印加電圧Vdを掃引する。この場合、前回測定時のVdのデータがあれば、零からではなく、このVdの値の±10%程度を掃引すれば、十分であり時間の節約にもなる。掃引しながら、質量分析計82により、全イオン量または、特定イオンのイオン電流値を計測する。
(6)イオン電流値が最大値となる点が、静電偏向器の印加電圧Vd1の最適値である。即ち、細孔73を通過したイオンが最大となる点が求まる。この時の加速電圧Vd1をデータ処理装置84は記憶する。
(7)同様に、第二,第三、のイオン源について、Vd2,Vd3…を求める。これにより、各イオン源毎の最適静電偏向器印加電圧Vdは決定され、データ処理装置84により、イオン源の選択が可能になる。
図13にイオン源切替の動作手順を示す。尚、ここでは、イオン源が二つの場合の例で説明する。
ある時刻において第一のイオン源20を選択する。先ず、測定者はデータ処理装置84に第一のイオン源20の選択を指示する。データ処理装置84は、記憶されたイオン加速電圧Va1や静電偏向器印加電圧Vd1と切替指示を制御装置85に送る。制御装置85はVa1の設定信号とVa2リセット信号を信号線94を介してイオン加速電源24に送る。これにより、イオン加速電源24はVa1の設定とVa2のリセットを電源線95,96を通じて行う。静電偏向器70の印加電圧Vd1は、制御装置85から信号線93を介して静電偏向器電源74に送られ、電極71,72に電源線91,92を介して設定される。この結果、第一のイオン源20で生成したイオンのみが加速,偏向され質量分析される。即ち、第一のイオン源20が選択された事になる。イオン源の選択が完了すれば、通常の質量分析の手順に従い分析を行い、データ処理装置84によりデータ収集を行う。
また、第二のイオン源40の選択も、同様に行われる。即ち、Va2をOnにする一方、Va1をOff(接地電位)とする。
(第二の実施例)
図14に本発明の第二の実施例を示す。
第一の実施例では、複数のイオン源に対して、それぞれ個別の液体クロマトグラフが用意されていた。この場合、LC測定を含めてイオン源を一緒に切り替える事ができる。
これに対して本実施例においては、1台のLCから流出する試料成分を分岐ティー78で分流して2つのイオン源に送るものである。更に本実施例では、第一のイオン源20にはESIを採用し、第二のイオン源40にはAPCIを採用し、必要によりイオン源を切り替える。
LCに逆相カラムを装着した場合、保持時間が早い(小さい)時間にイオン性,高極性の化合物が溶出する。一方、保持時間が遅く(大きく)なると疎水性の化合物が溶出する。LC/MSイオン源の中で、ESIはイオン性,高極性の化合物を高感度にイオン化できるのに対して、APCIは低極性や中極性の化合物をイオン化し易い。これを利用して、保持時間の早い間はESI、遅くなったらAPCIに切り替えて分析すると、極性の大きく異なる成分を含む試料を一回の測定で分析可能になる。
また本実施例の応用として、同じ種類のイオン源(例えばESIを2台)を用い、イオン化の条件(ESI印加電圧,カウンタガス温度,ドリフト電圧など)を大きく変えて測定をしてもよい。
また、2つのイオン源を同時に作動させ質量分析計82に導入するイオンの量を増やしS/N比改善を図る事もできる。
また更に、イオン源を3台装着する構成であれば、第一のイオン源20にESI、第二のイオン源40にAPCI、第三のイオン源をSSIとすることにより、この3つのイオン源の交換をイオン加速電圧Vaを瞬時に切り替えることで容易に行うことが可能になる。
(第三の実施例)
図15に、第三の実施例の模式図を示す。図15は、ガスクロマトグラフ(以下、GC)とMSを接続した所謂GC/MSであり、GCを2組接続した例である。
オートサンプラ100より採取された試料溶液は、GC101の注入口102に注入される。試料溶液はここで加熱気化されGCカラム103に導入される。GCカラム103を経て成分毎に分離された試料は、ターボ分子ポンプ26で排気された真空室に置かれたイオン源104に導かれる。イオン源104は通常のMSで用いられるイオン源であれば、電子イオン化(EI)イオン源や化学イオン化(CI)イオン源、また他のイオン源でも良い。EIの場合、フィラメント(図示なし)から放出された熱電子の衝撃を受け、試料分子はイオン化される。CIの場合、イオン分子反応によりイオンが生成される。生成したイオンはイオン源から放出され静電偏向器70に入射する。
ここでGC101の分析を行う場合は、イオン源104から入射したイオンが偏向され、ターボ分子ポンプ86で排気された高真空室80内に置かれた質量分析計82に導かれて質量分析される。別のGC111を経て導入される試料分子は、イオン源114でイオン化される。
イオン源104と114は、静電偏向器70の細孔73を中心に放射状の位置に配置される。質量分析計82は、この軸に直角となる位置に配置される。GC/MSの場合、
LC/MSの場合と異なり、イオン源はターボ分子ポンプ26で排気された独立の真空室に配置される。
本実施例で示すように、GC/MSにおいても、上述の実施例で示したLC/MSと同様に、イオン加速電極23,43の印加電圧を制御するのみで、瞬時にイオン源の切り替えを行うことが可能となる。
(第四の実施例)
図16に、第四の実施例を示す。図16に示される構成は、LCとGCが同時にMSに接続されている例である。
LC10から溶出する成分は大気圧下のイオン源20でイオン化され、油回転ポンプ
22で真空排気された中間圧力室を経て、ターボ分子ポンプ26により排気された真空室に導かれる。イオンはイオン加速電極23に印加されたイオン加速電圧Va1により加速された後、静電偏向器70に入射し、偏向される。イオンはさらに細孔73を経てターボ分子ポンプ86で排気された真空室80に入り、質量分析計82により質量分析される。
GC101のためのイオン源104は、LCの大気圧イオン源20と静電偏向器70の反対側に設置されている。大気圧イオン源20と異なり、GC/MSのイオン源104はターボ分子ポンプ26で排気された静電偏向器70と同じ部屋内に設置されている。これはGCのイオン源104が電子イオン化(EI)イオン源で10-1Pa程度の真空を必要とするためである。
本実施例に示すように、本発明であれば、1台のMSに対してLCとGCを同時に接続することができ、イオン加速電極23,43の印加電圧を制御するのみで、瞬時にイオン源の切り替えを行うことができ、LC/MS測定とGC/MS測定の両方の測定が可能となる。
(第五の実施例)
図17には元素の定性,定量分析に用いられるプラズマイオン源(誘導結合プラズマ
(ICP)またはマイクロウエーブ誘導プラズマ(MIP))を2つ接続した質量分析装置の例を示す。
Ar(アルゴン)ガスボンベ120,130から供給されたArガス中に試料霧化器
121,131から試料が混合され、プラズマイオン源124,134に供給される。誘導コイル122,132に供給される高周波の誘導により、Arは高温のプラズマ123,133となる。Ar中の金属元素は高温のプラズマ中でイオン化される。生成したイオンは、油回転ポンプ22,42で排気された中間圧力室を経て、ターボ分子ポンプ26で真空排気された真空室に導かれる。真空室に導入されたイオンは、イオン加速電極23,43に印加されたイオン加速電圧により加速された後、静電偏向器70により偏向される。
本実施例においても、前述の実施例で示したようなイオン加速電極23,43への印加電圧の切り替えを行うことにより、2つのプラズマイオン源からのイオンを瞬時に選択して質量分析計82に導入することができる。
本実施例において、2つのプラズマイオン源124,134は、静電偏向器70を中心として、同軸上でかつ質量分析計82の軸と直角になる位置に配置される。この様な配置にすることにより、プラズマイオン源から放出される光や中性微粒子が、質量分析計82に導かれることがなくなり、従って、低ノイズでありながら2つのプラズマイオン源を瞬時に切り替え可能なICP−MSを実現することが可能である。
尚、2つのプラズマイオン源として、ICPのみを設置することも、また、ICPと
MIPを混在させて設置することも可能である。
(第六の実施例)
上記第一〜第五の実施例では、複数のイオン源を静電偏向器70の周囲に配置し、イオン源をイオン加速電圧Vaと静電偏向器の電界の組合せにより自由に選択できる事を示した。そこで第六の実施例として、これら複数のイオン源の具体的な切り替えタイミングについて示す。
本発明におけるイオン源の切り替えタイミングは、イオン加速電極23,43への印加電圧の切り替えタイミングが該当する。本発明では、イオン加速電極23,43への印加電圧の切り替えを質量分析計82の質量掃引周期に同期させて行う。イオン源の選択は、データ処理装置84及び制御装置85からの制御により、イオン加速電源24から選択すべきイオン源のイオン加速電極にイオン加速電圧Vaを供給することで行われる。これにより、複数のイオン源の並行測定が可能になる。
図18に、2つのイオン源を備えた場合のイオン加速電圧Vaの切り替えによるイオン源の切り替えタイミングと、質量分析計82の質量掃引の周期のタイミングを示す。横軸は時間の経過である。
図18によれば、時刻t1からt2の間は第一のイオン源が選択されている。
t1で、制御電源85からイオン源の切り替えの指示が、イオン加速電源24に行われる。イオン加速電源24は、第一のイオン源20のイオン加速電圧Va1をOnとし、他のイオン源の加速電圧をOffとする。静電偏向器70の印加電圧Vdは印加されたままである。これにより、第一のイオン源が選択された事になる。
わずかの待ち時間の後、t11から質量分析計82の質量掃引が質量m1からm2に向け開始される。質量掃引開始とともにデータ処理装置84はイオン電流値を質量とともに計測し、マススペクトルを取得する。すなわち、この質量掃引で得られたマススペクトルは、第一のイオン源で生成されたイオンのマススペクトルである。
時刻がt2となり質量掃引が終了すると、データ処理装置84,制御装置85はイオン加速電圧の切り替えをイオン加速電源24に指示する。これにより、第二のイオン源が選択される。また、同様に待ち時間の後、質量の掃引が開始され、データ処理装置84において第二のイオン源からのマススペクトルを収集する。これを繰り返すことにより、質量掃引の奇数回は第一のイオン源のマススペクトル、偶数回は第二のイオン源からのマススペクトルが記録され、マススペクトルファイルがデータ処理装置84の記憶装置上に完成する。即ち、図19の最下段「マススペクトル」のようなデータ収集が出来た事になる。
図19には、図18のタイミングで収集された2つのイオン源からのクロマトグラムを示す。なお、縦軸はイオンの電流値であり、横軸は時間である。
図19の上段は、第一のイオン源によるクロマトグラムであり、下段は第二のイオン源によるクロマトグラムである。質量掃引に同期して2つのイオン源から交互にデータ収集を行っているため、データ処理装置84においては、太い実線で示されるような形態でデータが収集される。つまり、2つのイオン源からのイオンを時分割(t1,t2,…tn)で交互にデータ収集する。データ収集の後、データ処理装置84は、データを整理し各データ間の値を内挿して、図20に示したごとく元のマスクロマトグラムを再現し、CRTやプリンタに出力する。
質量分析計82の質量掃引は、質量20から質量2000までなら0.1 秒から0.5 秒程度で行える。図19の場合、掃引時間の2倍が一つのLCの測定周期となる。即ち、一成分(一LC)あたり0.2 秒から1秒間隔でデータを取得できる事になる。
GCの場合、一成分の溶出時間は数秒程度と短いが、0.2 秒間隔のデータ取得なら十分にクロマトグラムの変化に追従出来るし、定量分析も可能になる。
LCの場合、成分の溶出時間は数十秒程度となるため、1秒周期の測定で十分にクロマトグラムの変化に追従可能である。
また、質量掃引については、高感度測定のために、リニアでなくステップ状に行う所謂SIM(Selected Ion Monitoring)法が広く用いられている。この場合も図18と同様にイオン源の切り替え,ステップ掃引周期を一致させれば良い。また、イオン源の切り替え周期と質量掃引の周期を異なるようにすることも可能である。
イオン源の切り替え周期と質量掃引の周期を異ならせた場合のSIM法の例を図21,図22に示す。
図21では、質量分析計82のステップ掃引の一ステップ(一質量のイオンの検出)の間にイオン源の切り替えを高速に行うものである。n個のイオン源の場合、質量掃引の一ステップの時間に1/nを乗じたものがイオン源の切り替え周期となる。
即ち、時刻t1からt3の間、質量分析計82は質量m1のイオンを検出しているが、このt1とt3の間のt2で第一のイオン源と第二のイオン源を切り替えられる。また次の周期では、t3とt5の間に質量分析計82はm2のイオンを検出する。このt3と
t5の間のt4でもイオン源が切り替えられる。これにより、データ処理装置84の記憶装置には、奇数周期のデータは第一のイオン源、偶数周期は第二のイオン源に由来するデータがファイルされる。また、さらにそれらデータは順にm1,m2,…と順に、収集した質量のイオン量のデータが記録されている。データ処理装置84は整理しクロマトグラムをCRTやプリンタに出力できる。
また、図22に他の手法を示す。図22の例では、質量ステップ毎にイオン源を切り替えるが、図22では一つのイオン源が選択されている間に、複数の質量ステップを行う方式である。
一質量の測定時間をtdとし、m個の異なる質量のイオンを計測する場合、イオン源の切替時間は両者の積m・tdとなる。図21,図22の場合もデータ処理装置84によりイオン源の切替とデータとの相関は管理されているため、収集したデータを後程処理して、CRTなどに独立なクロマトグラムのように出力することが可能となる。
本実施例で示したようなイオン源の切り替え操作を行うことにより、複数のイオン源を1台のMSにて並列測定を行うことが可能になる。
(第七の実施例)
前述までの実施例では、イオン加速電極23と静電偏向器70の間は、直接イオンが導入されるように説明したが、この間には、質量分析計で多用されている、静電レンズ,高周波多極(四重極,六重極,八重極,…など)イオンガイドなどを挿入することもできる。
図23に示すように高周波多極イオンガイド87をイオン加速電極23と静電偏向器
70の間に置く事により、イオンの透過効率を大きく改善する事ができる。イオン源20で生成されたイオンは前述のようにイオン加速電圧Vaにより加速される。イオンの加速される領域は、大気圧から真空の室にイオンと大気分子が導入される領域である。そのため、圧力が高く、高真空は望めない。加速されたイオンは残留気体分子と衝突し、運動エネルギを失う事になる。イオンの加速と運動エネルギの消滅が起きる事により、最終的にイオンの運動エネルギに広がりができる。この運動エネルギの広がりは、図10に示したように、静電偏向器70内でイオンビームの広がりとして現れる。これによりイオン源
20で生成したイオンの一部が失われる。この損失をカバーするために、高周波多極イオンガイド87が用いられる。この高周波多極イオンガイド87は、イオンをイオンガイドの中心軸方向に収束させるとともに、残留気体分子とイオンとの衝突により、イオンの速度を平均化させる事(エネルギーの平準化)ができるため、静電偏向器70におけるイオンの偏向によるイオンビームの広がりを防ぐ事ができる。すなわち、イオンビームを偏向し、効率良く細孔73を通す事ができる。細孔73を通過したイオンビームに広がりがある場合は、前述のようにアインツェルレンズを設けてイオンを収束させることができる。また、高周波多極イオンガイドを静電偏向器70と質量分析計82の間に設置してイオンを効率よく質量分析計に導くことができる。
前述第一〜第七の実施例においては、イオンの選択は、専らイオン加速電圧のOn/
Offによるとしたが、第一の実施例の中で示したように、イオン加速電圧と静電偏向器の印加電圧の組合せを意図的にずらす事でもイオンビームを遮断できる。
また、イオン加速電極と静電偏向器70の間に、イオン偏向器を置き、通常は接地電位としイオンビームに何ら影響を与えないようにしておき、イオンビームを遮断したい時、偏向電圧を印加してイオンビームをカットすることもできる。また、イオン偏向器の代わりにアインツエルレンズを置き、印加電圧を制御してイオンビームのOn/Offに用いても良い。
(第八の実施例)
前述までの実施例は、静電偏向器70によりイオンを偏向していたが、これ以外にも四重極偏向器を用いても本発明を実現できる。
図24に、本実施例のLC/MS装置の概略構成図を示す。イオンの偏向手段として四重極偏向器81を用いている点以外は、第一の実施例と同じ構成である。
第一のイオン源20で生成したイオンは、真空ポンプ86で真空排気された真空室80に導入される。イオンは四重極偏向器81により90度偏向され、質量分析計82に導かれ質量分析される。イオンは検出器83により検出され、データ処理装置84においてマススペクトルやマスクロマトグラムなどを算出する。
第二のイオン源40で生成したイオンも同様に、四重極偏向器81により90度偏向され、質量分析計82に導かれ質量分析される。
本実施例において、2台のLCを1台のMSに接続する上で、最も重要な構成要素は、上記の四重極偏向器81である。各LCの大気圧イオン源は、図24に示されるように四重極偏向器81の相対する二面にそれぞれ配置される。四重極偏向器81の各面から入射したイオンは、四重極偏向器81内の四重極電界により偏向され、1つのイオン源からのイオンのみが選択的に質量分析計に導かれる。その他のイオン源からのイオンは、質量分析計82とは反対の方向に偏向され、イオン補捉器28に捉えられ、質量分析計82に入射できなくなる。導入するイオン源の選択は、四重極偏向器81の4つの電極に印加する電圧を変えることにより行われる。
図25に図24の四重極偏向器81の模式図を示す。四重極偏向器81は、1つの円柱または円筒を4つ割りにした電極を円弧部分を向かい合わせになるように組み立てたものである。4つ割りにされた側面は外部に向けられ四角の形状となる。4つの電極は絶縁物を介して、四角の筒(図示なし)内に組み立てられる。4つの電極の内、相向かい合う電極81aと81c,81bと81dの二組の電極間に直流電圧を印加する。イオンは四重極電極の長手(Z軸)方向ではなく、側面(XY平面)の電極間より入射させる。例えば、正のイオンビーム88を側面(Y軸方向)から入射し、電極81a,81cに負の電位、電極81b,81dに正の電位を印加すると、イオンは90度偏向され、四重極偏向器81の電極81bと81cの間、即ちX軸方向89から外部に出射する。このように四重極偏向器81は、イオンを簡単に90度偏向することができる。
図26,図27に四重極偏向器81の動作機能を示す。
図26に、第一のイオン源20で生成されたイオンを質量分析計82に導入する場合を示す。まず、各イオン源で生成されたイオンは、加速電圧“A”Vで加速され四重極偏向器81に入射する。このとき、電極81a,81cには“−a・A”の直流電圧が印加されている。一方、電極81b,81dには“+b・A”の直流電圧が印加されている。その結果、四重極偏向器81内には四重極正電場が形成される。すると、第一のイオン源
20からのイオンは、90度偏向され、質量分析計82に導かれる。このとき、第二のイオン源40からのイオンは、電極81aと81bの間から入射しているが、入射したイオンは破線のように偏向され、イオン捕捉器28に捉えられ、決して質量分析計82に入射することはない。
イオン捕捉器28は、円筒状の金属容器で、入射されたイオンを捕捉するとともに、入射イオンの衝突によって生じた二次電子をも捕捉するようにする。このイオン補捉器28を備えることにより、真空室27内に散乱するイオンや電子をなくすことが可能となり、ノイズ量を低減することができ、結果として精度の高い分析が可能となる。また、このイオン捕捉器28に直流増幅器(図示なし)を接続し、イオン電流を計測することも可能である。なおイオン捕捉器28は長時間の測定の結果汚れた場合、取り外して掃除できる構造であることが好ましい。
図27には、第二のイオン源40からのイオンを質量分析計82に導入する場合を示す。この場合は、電極81a,81cに“+b・A”の電圧を、一方、電極81b,81dに“−a・A”を印加する。すなわち、図26に示した電圧の印加と逆にする。すると、第2大気圧イオン源40で生成したイオンは、四重極偏向器81の電界により実線の様に90度偏向され、質量分析計82に導入される。一方、第一のイオン源20から四重極偏向器81に導入されたイオンは、破線のような軌道をとり、質量分析計82に導入されることはない。
以上から、四重極偏向器81を構成する4つの電極に印加される電圧を切り替え制御することにより、同時に動作している2つのイオン源から、1つのイオン源を選択することが可能である。実際に、電極に印加する電圧は、a=−0.45,b=+0.6程度である。四重極質量分析計の場合、イオン加速電圧Aは20V程度あるから、四重極偏向器81の電極に印加する電圧は−9V,+12V程度で良い。
本実施例におけるイオン源の切り替えタイミングは、前述の平板電極を用いた静電偏向器を使用する実施例と同様に、質量分析計82の質量掃引の周期と同期させて行うことが出来る。更に、図21,図22に示すようなSIM法での測定も当然ながら行うことが可能である。
また、本実施例で用いた四重極偏向器81は、図15〜図17で示したGC/MSやプラズマイオン化MSと組み合わせた装置においても、同様に適用することが可能である。
(第九の実施例)
図28に、第九の実施例を示す。本実施例は、第八の実施例に備えられていたイオン捕捉器28の代わりに、新たに第三のイオン源60が備えられたものである。四重極偏向器を用いる点は第八の実施例と変わりはない。
図29に、第三のイオン源60からのイオンを選択的に質量分析計82に導く方法を示す。この場合においては、四重極偏向器81を構成する4つの電極81a,81b,81c,81dを全て同じ電位(接地電位など)にする。第三のイオン源60で生成したイオンは、実線のように直進し、質量分析計82に導入される。第一,第二のイオン源20,
40で生成したイオンは同様に直進するため(破線)、質量分析計82に導入されることはない。
尚、第一,第二のイオン源20,40で生成したイオンを質量分析計82に導入する場合は、第八の実施例と同様の制御を行う。
図30には、本実施例の更に具体的な例を示す。これは、2つのLC用の大気圧イオン源20,40と1つのGC用のEIイオン源104を1台のMSに設置した例である。
本実施例においては、四重極偏向器81への印加電圧の切り替えを行うことにより、第一のLC10、または第二のLC30、或いはGC101からのイオン化試料を瞬時に選択して質量分析計82に導入することができる。
尚、図30の例においては、GCのイオン源104は、質量分析計82と同軸上に配置する。一方、LCの大気圧イオン源20,40は、質量分析計82の軸に直角に配置される。これは以下の利点があるためである。LC/MSのイオン源20,40からは、大気圧イオン源であるために、イオン以外に液滴,中性微粒子等も放出している。中性微粒子等は質量分析計82に導入されるとノイズとして検出される。また、中性微粒子等は四重極偏向器81で偏向を受けないため、四重極偏向器81に入射してもそのまま直進し検出器に侵入してノイズを発生させる。従って、図30のような配置構成にすることにより、イオン源20,40から放出された中性微粒子等を質量分析計82に入射させなくすることができる。これによりマススペクトル上のノイズを小さくすることが可能となる。
また、GC/MSのEIまたはCIイオン源104は真空中のガスのイオン化のため、LC/MSの大気圧イオン源と異なり中性微粒子等は生成しない。そのため、四重極偏向器81を直進し、中性微粒子を除けない位置に設置されていても問題はない。
本実施例の構成では、質量分析計82に導かれなかったイオンの影響により、前述までの実施例の構成よりは、測定精度が悪くなるという欠点はあるものの、イオン源が増設されることにより、更に高スループットの測定が可能になるというメリットが生じる。
更には、図30のような構成にすることにより、GC/MS,LC/MSが同時に実現でき、両手法を必要とする分析の効率を飛躍的に高めることができる。
尚、LCのイオン源20または40に代えて、プラズマイオン源を設置することも可能である。このように構成すれば、GC/MS,LC/MSに加えてプラズマイオン化MSをも同時に測定可能になる。
本実施例においては、3つのイオン源を四重極偏向器81の周りに設置して、四重極偏向器81の電極に印加する電圧を制御することで、3つのイオン源を切り替えて使用することが可能になる。しかしこの場合、選択されていないイオン源が別のイオン源から放出されたイオンにより汚染される問題が起きる。この場合、質量分析されているイオンを放出しているイオン源(選択されたイオン源)以外のイオン源に供給されるイオン加速電圧を遮断すれば、非選択イオン源からイオンは放出されず他のイオン源を汚染することはない。
以上に示したように、本発明では、1台のMSに対して様々な種類のイオン源を複数接続して、同時に測定を行うことが可能となる。従って、本発明に依れば、LC/MS,
GC/MS,プラズマイオン化MSの測定を、1台のMSで同時に行うことができる。
本発明におけるイオン源の切り替えは、四重極質量分析計,イオントラップ質量分析計,磁場型質量分析計,飛行時間型質量分析計などに広く応用することが可能である。
また、イオン源の種類も質量分析計に適用されている多く種類のイオン源を適用することが可能である。即ち、質量分析では、ESI,APCI,EI,CI,ICP,MIP以外にも、分析対象により、レーザイオン化イオン源,FABイオン源,二次イオン化
(SIMS)イオン源(これらの3つイオン源は、何れも高真空下で動作する),グロー放電イオン源等が広く使われる。本発明に適用可能なこれらのイオン源は、大気圧下で動作させるもの、高真空下で動作させるもの等種々あるが、いずれも前述の方法で組み合わせ使用が可能になる。
本発明の第一の実施例の基本構成を示す図である。 静電偏向器70の説明図である。 本発明の第一の実施例の外観構成を示す図である。 本発明の第一の実施例の内部概略構成を示す図である。 円形の静電偏向器において4台のイオン源を装着した例を示す図である。 多角形の静電偏向器において4台のイオン源を装着した例を示す図である。 図5の構成例において、イオンの偏向の様子を表した図である。 図5の構成例において、イオンの偏向の様子を表した図である。 図5の構成例において、イオンの偏向の様子を表した図である。 イオン加速電極の印加電圧と静電偏向器の電界との関係を説明する図である。 イオン加速電極の最適な印加電圧を求める動作を説明する図である。 静電偏向器の最適な印加電圧を求める動作を説明する図である。 第一の実施例の動作を説明する図である。 第二の実施例の構成を示す図である。 第三の実施例の構成を示す図である。 第四の実施例の構成を示す図である。 第五の実施例の構成を示す図である。 第六の実施例の測定動作を表す図である。 2つのイオン源による測定の際のクロマトグラムを表す図である。 CRTやプリンタからの出力例を示した図である。 第六の実施例の他の測定動作を表す図である。 第六の実施例の他の測定動作を表す図である。 第七の実施例の構成を示す図である。 第八の実施例の構成を示す図である。 四重極偏向器の外観を示す図である。 四重極偏向器によるイオンの偏向を説明する図である。 四重極偏向器によるイオンの偏向を説明する図である。 第九の実施例の構成を示す図である。 四重極偏向器によるイオンの偏向を説明する図である。 第九の実施例の具体的な構成を示す図である。 従来の例を示す図である。 従来の例を示す図である。
符号の説明
10,30,50…液体クロマトグラフ、11,31…ポンプ、12,32…オートサンプラ、13,33…分離カラム、14,34…連結パイプ、16…噴霧ガス、17…高圧電源、19…廃棄ガス排出口、20…第一のイオン源、21,41…中間圧力室、22,42…油回転ポンプ、23,43,61,63…イオン加速電極、24…イオン加速電源、26,29,86…ターボ分子ポンプ、27…真空室、28…イオン捕捉器、40…第二のイオン源、60…第三のイオン源、62…第四のイオン源、70…静電偏向器、
71…静電偏向器第一電極、72…静電偏向器第二電極、73…静電偏向器細孔、74…静電偏向器電源、78…分岐ティー、80…真空室、81…四重極偏向器、81a,81b,81c,81d…四重極偏向器電極、82…質量分析計、83…検出器、84…データ処理装置、85…制御装置、87…質量分析計電源、88…入射イオンビーム、89…出射イオンビーム、90…四重極偏向器電源、91,92…電源線、93…信号線、100,110…GCオートサンプラ、101,111…ガスクロマトグラフ(GC)、102,112…インジェクタ、103,113…GCカラム、104,114…イオン源、
120,130…Arガス、121,131…噴霧器、122,132…プラズマプローブ、123,133…プラズマ、124,134…プラズマイオン源、160,170…ディフレクター電極、190…流路切り替えバルブ、191…ドレイン用ビーカ、200…ガスクロ用イオン源。

Claims (7)

  1. イオン源で生成したイオンを質量分析計に導き質量分析する質量分析装置において、
    複数のイオン源と、
    当該複数のイオン源の内、少なくとも一のイオン源からのイオンを静電界によって前記質量分析計へ向かうように偏向する2枚の平板電極から成る静電偏向器を有し、
    前記静電偏向器の質量分析計側の平板電極は、偏向されたイオンが通過する細孔を有し、
    前記静電偏向器の2枚の平板電極のそれぞれは、前記質量分析計へイオンが導入される軸上で、平行となるように配置され、
    前記複数のイオン源は、前記平行に配置された平板電極間にイオンを導入できる位置に配置され、
    当該静電偏向器と複数のイオン源から成る配列の面は、前記質量分析計と前記静電偏向器とを結ぶ軸と、直角に交わるように配置されることを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1の質量分析装置において、
    前記複数のイオン源は、前記面上で、前記細孔を中心にして放射状に配列されることを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1の質量分析装置において、
    前記静電偏向器と前記質量分析計の間に、イオンを収束するレンズを備えたことを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項1の質量分析装置において、
    前記複数のイオン源は、エレクトロスプレイイオン源,大気圧化学イオン化イオン源,結合誘導プラズマイオン源,マイクロ波誘導イオン源,電子イオン化イオン源,化学イオン化イオン源,レーザイオン化イオン源,FABイオン源,二次イオン化(SIMS)イオン源,グロー放電イオン源の何れかであることを特徴とする質量分析装置。
  5. 分析試料のイオンを生成するイオン源が配置された第1の室と、質量分析計が置かれた第2の室とを備え、前記第1の室で生成されたイオンを前記第2の室に導き質量分析する質量分析装置において、
    前記第1の室と第2の室の間に、前記イオン源から出射されたイオンが入射され、前記質量分析計へ向かうように偏向して出射する2枚の平板電極から成る静電偏向器或いは4つの電極から成る四重極偏向器が配置された第3の室を備え、
    前記第3の室に対して、前記第1の室は少なくとも2つ接続され、
    前記各第1の室内のイオン源のそれぞれのイオン出射位置と前記第3の室内の前記静電偏向器或いは前記四重極偏向器のイオン入射位置を結ぶ軸が同じ平面となるように、前記複数の第1の室と前記第3の室が配置され、
    更に、前記第2の室内の質量分析計と第3の室内の前記静電偏向器或いは前記四重極偏向器のイオン出射位置とを結ぶ軸が、前記平面に対して垂直と成るように、前記第2の室が前記第3の室に対して配置されることを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項5において、
    前記第3の室内に四重極偏向器が配置される場合に、
    前記第2の室内の質量分析計と第3の室内の前記四重極偏向器のイオン出射位置とを結ぶ軸上となる位置であり、且つ前記第2の室に接続されるように前記第1の室を更に配置することを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項6において、
    前記第1の室内に、イオン源或いはイオン捕捉器を配置することを特徴とする質量分析装置。


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