JP2004341073A - 液滴吐出装置、液滴吐出システム、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる液滴吐出装置、液滴吐出システム、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置1は、装置本体2と、ワークを支持するワーク搬送テーブルと、ワーク搬送テーブルを装置本体2に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、ワーク搬送テーブルに支持されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を検出するレーザー測長器15を有する移動距離検出手段と、液滴吐出装置1の近傍の気圧を検出する気圧検出手段と、移動距離検出手段および気圧検出手段の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御する制御手段とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の液滴吐出装置1は、装置本体2と、ワークを支持するワーク搬送テーブルと、ワーク搬送テーブルを装置本体2に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、ワーク搬送テーブルに支持されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を検出するレーザー測長器15を有する移動距離検出手段と、液滴吐出装置1の近傍の気圧を検出する気圧検出手段と、移動距離検出手段および気圧検出手段の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御する制御手段とを備える。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出システム、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンターのインクジェット方式(液滴吐出方式)を応用して、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに使用する産業用の液滴吐出装置(インクジェット描画装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような液滴吐出装置は、基板等のワークと、液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ液滴を吐出することにより、ワーク上に所定のパターンを形成(描画)するものである。従来の液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッドを移動させつつ、その液滴吐出ヘッドの移動距離を検出し、その検出結果に基づいて所定のタイミングで液滴を吐出する。また、従来の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドの移動距離を検出する手段として、液滴吐出ヘッドの移動経路に沿って設けられたリニアエンコーダフィルムと、液滴吐出ヘッドに設けられたエンコーダ素子(発光素子および受光素子)とで構成されたリニアエンコーダを有しており、このリニアエンコーダ(エンコーダ素子)から出力されるエンコーダパルスから、前記液滴を吐出するタイミングを生成している。
【0004】
しかしながら、液滴吐出ヘッドは大型化する傾向にあり、前記のような従来の液滴吐出装置では、液滴を吐出する際、その液滴吐出ヘッドを移動させるので、液滴吐出ヘッドが大きく振動してしまうという欠点がある。
特に、前述したような用途に使用する液滴吐出装置は、形成(描画)するパターンに極めて高い精度が必要とされるが、前記従来の液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッドの移動距離を検出し、その検出結果に基づいて液滴を吐出するタイミングを生成するので、液滴吐出ヘッドが振動して液滴吐出ヘッドが傾くと、これにより、リニアエンコーダフィルムに対するエンコーダ素子の位置が変わってしまい、液滴吐出ヘッドの移動距離を正確に検出することができず、液滴を吐出するタイミング(吐出タイミング)が大きくずれてしまう。このため、高い精度で安定してパターンを形成(描画)するのが困難であった。
また、吐出された液滴がリニアエンコーダに付着し(リニアエンコーダが汚れ)、これにより、そのリニアエンコーダが故障する場合がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−205487号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる液滴吐出装置および液滴吐出システム、かかる液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置、かかる液滴吐出装置を用いる電気光学装置の製造方法、および、かかる電気光学装置を備える電子機器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴吐出装置は、装置本体と、
ワークを支持するワーク搬送テーブルと、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、
前記ワーク搬送テーブルに支持されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するレーザー測長器を有する移動距離検出手段と、
当該液滴吐出装置の近傍の気圧を検出する気圧検出手段と、
前記移動距離検出手段および前記気圧検出手段の検出結果に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
すなわち、液滴吐出ヘッドに比べて振動や傾きの小さいワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を、レーザー測長器を有する移動距離検出手段により検出(測定)し、この検出結果および気圧検出手段の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御するので、液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0009】
特に、移動距離検出手段および気圧検出手段の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御するので、気圧変動に伴う移動距離検出手段の検出値の変化分を補正することができ、これにより、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0010】
また、レーザー測長器を有する移動距離検出手段により、ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するので、ワーク搬送テーブルが傾いたとしても、その傾斜分も含めてワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を検出することができ、これによって液滴を正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。すなわち、Y軸方向移動機構の精度が低くてもその影響を抑制(または阻止)することができ、このため、Y軸方向移動機構を容易かつ安価に製造することができる。
【0011】
また、吐出液滴によるパターン形成距離(描画距離)が長くなっても、前記移動距離を正確に検出することができ、これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。
また、レーザー測長器を構成する各部のうちの主要部は、ワークや液滴吐出ヘッドから所定距離離間した位置に設置されるので、液滴吐出ヘッドから吐出される液滴によってレーザー測長器が汚れてしまうのを防止することができ、これにより、レーザー測長器の液滴による故障を防止することができる。
【0012】
本発明の液滴吐出装置は、装置本体と、
ワークを支持するワーク搬送テーブルと、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、
前記ワーク搬送テーブルに支持されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するレーザー測長器を有する移動距離検出手段と、
当該液滴吐出装置の近傍の気圧を検出する気圧検出手段と、
前記気圧検出手段の検出結果に基づいて前記移動距離検出手段の検出結果を補正し、該補正後の検出結果に基づいて前記液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
すなわち、液滴吐出ヘッドに比べて振動や傾きの小さいワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を、レーザー測長器を有する移動距離検出手段により検出(測定)し、この検出結果および気圧検出手段の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御するので、液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0014】
特に、気圧検出手段の検出結果に基づいて移動距離検出手段の検出結果を補正し、この補正後の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御するので、気圧変動に伴う移動距離検出手段の検出値の変化分を補正することができ、これにより、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0015】
また、レーザー測長器を有する移動距離検出手段により、ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するので、ワーク搬送テーブルが傾いたとしても、その傾斜分も含めてワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を検出することができ、これによって液滴を正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。すなわち、Y軸方向移動機構の精度が低くてもその影響を抑制(または阻止)することができ、このため、Y軸方向移動機構を容易かつ安価に製造することができる。
【0016】
また、吐出液滴によるパターン形成距離(描画距離)が長くなっても、前記移動距離を正確に検出することができ、これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。
また、レーザー測長器を構成する各部のうちの主要部は、ワークや液滴吐出ヘッドから所定距離離間した位置に設置されるので、液滴吐出ヘッドから吐出される液滴によってレーザー測長器が汚れてしまうのを防止することができ、これにより、レーザー測長器の液滴による故障を防止することができる。
【0017】
本発明の液滴吐出装置では、前記制御手段は、前記気圧検出手段の検出結果に基づいて、前記レーザー測長器から発せられるレーザー光の波長または当該波長に対応する物理量を求め、該求めた波長または物理量に基づいて前記移動距離検出手段の検出結果を補正するよう構成されているのが好ましい。
これにより、気圧変動に伴う移動距離検出手段の検出値の変化分を補正することができ、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0018】
本発明の液滴吐出装置では、標準気圧における液滴の吐出タイミングは、前記レーザー測長器から出力される基準タイミング信号に同期し、かつ、該基準タイミング信号の周期の複数倍の周期を有するのが好ましい。
これにより、液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0019】
本発明の液滴吐出装置では、液滴の吐出タイミングは、前記補正により、前記標準気圧における液滴の吐出タイミングに対し、前記基準タイミング信号の少なくとも1個分、時間的に前または後へずれるか、または、前記標準気圧における液滴の吐出タイミングと同一となるよう構成されているのが好ましい。
これにより、液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0020】
本発明の液滴吐出装置では、当該液滴吐出装置は、内部の雰囲気の条件が管理されるチャンバ内に設置されて使用されるのが好ましい。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記条件には、温度および/または湿度が含まれるのが好ましい。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0021】
本発明の液滴吐出装置では、前記レーザー測長器は、レーザー光の光路を少なくとも1回屈曲させる屈曲手段を備えるのが好ましい。
これにより、レーザー測長器を構成する各部を任意の位置に配置することができ、また、液滴吐出装置の小型化(省スペース化)が図れる。
本発明の液滴吐出装置では、前記レーザー測長器は、レーザー光を発する発光部と、前記発光部から発せられたレーザー光を反射する反射部と、前記反射部で反射したレーザー光を受光する受光部とを備え、
前記反射部は、前記ワーク搬送テーブル側に設けられ、前記発光部および前記受光部は、前記装置本体側に設けられているのが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0022】
本発明の液滴吐出装置では、前記レーザー測長器は、レーザー光を発する発光部およびレーザー光を受光する受光部を有するレーザー測長器センサヘッドと、レーザー光を反射する反射部と、レーザー光の光路を少なくとも1回屈曲させる屈曲手段とを備え、
前記反射部は、前記ワーク搬送テーブル側に設けられ、前記レーザー測長器センサヘッドおよび前記屈曲手段は、前記装置本体側に設けられており、
前記発光部から発せられたレーザー光が前記反射部に照射され、前記反射部で反射したレーザー光が前記受光部で受光され、かつ、前記レーザー測長器センサヘッドと前記反射部との間でレーザー光の光路が前記屈曲手段によって少なくとも1回屈曲するように前記レーザー測長器を構成する各部が配置されているのが好ましい。
【0023】
前記屈曲手段を設けることにより、レーザー測長器を構成する各部を任意の位置に配置することができ、また、液滴吐出装置の小型化(省スペース化)が図れる。
また、前記反射部を前記ワーク搬送テーブル側に設け、前記レーザー測長器センサヘッドおよび前記屈曲手段を前記装置本体側に設けることにより、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0024】
本発明の液滴吐出装置では、前記反射部は、前記ワーク搬送テーブルまたはその近傍に設けられているのが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルが傾いたとしても、その傾斜分も含めてワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を正確に検出することができ、これによって液滴をさらに正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
【0025】
本発明の液滴吐出装置では、前記レーザー光の光路は、ほぼ同一の平面内にあるのが好ましい。
これにより、液滴吐出装置の小型化(省スペース化)が図れる。
本発明の液滴吐出装置では、前記平面は、水平面であるのが好ましい。
これにより、液滴吐出装置のさらなる小型化(省スペース化)が図れる。
【0026】
本発明の液滴吐出装置では、前記液滴吐出ヘッドを前記装置本体に対し前記Y軸方向に垂直かつ水平な方向(以下、「X軸方向」と言う)に移動させるX軸方向移動機構を有するのが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
【0027】
本発明の液滴吐出装置では、前記Y軸方向を主走査方向とし、前記X軸方向を副走査方向として前記ワーク搬送テーブルと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから前記ワークに対し液滴を吐出するのが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
【0028】
本発明の液滴吐出システムは、本発明の液滴吐出装置と、
前記液滴吐出装置を収容し、その内部の雰囲気の条件が管理されるチャンバとを備えることを特徴とする。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
【0029】
本発明の液滴吐出システムでは、前記チャンバ内の温度および/または湿度を調節する空調装置をさらに備えることが好ましい。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
本発明の電気光学装置は、本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、高い精度でパターンが形成(描画)された高性能の部品を備えるとともに、製造コストの低い電気光学装置を提供することができる。
【0030】
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。
これにより、ワークに対するパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができるとともに、製造コストの低減が図れる電気光学装置の製造方法を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、高い精度でパターンが形成(描画)された高性能の部品を備えるとともに、製造コストの低い電子機器を提供することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムの実施形態を示す平面図および側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、水平な一方向(図1および図2中の左右方向に相当する方向)を「Y軸方向」と言い、このY軸方向に垂直であって水平な方向(図1中の上下方向に相当する方向)を「X軸方向」と言う。また、Y軸方向であって図1および図2中の右方向への移動を「Y軸方向に前進」、Y軸方向であって図1および図2中の左方向への移動を「Y軸方向に後退」と言い、X軸方向であって図1中の下方向への移動を「X軸方向に前進」、X軸方向であって図1中の上方向への移動を「X軸方向に後退」と言う。
【0032】
図1および図2に示す液滴吐出システム(液滴吐出系)10は、液滴吐出ヘッド111を有する液滴吐出装置(インクジェット描画装置)1と、この液滴吐出装置1を収容するチャンバ91とを備えている。
液滴吐出装置1は、ワークとしての基板Wに対し、例えばインクや、目的とする材料を含む機能液等の液体(吐出液)をインクジェット方式(液滴吐出方式)により微小な液滴の状態で吐出して所定のパターンを形成(描画)する装置であり、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに用いることができるものである。液滴吐出装置1が対象とする基板Wの素材は、特に限定されず、板状の部材であればいかなるものでもよいが、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フレキシブル基板等を対象とすることができる。
【0033】
また、本発明で対象とするワークは、板状の部材に限らず、底面が平らな部材であればいかなるものでもよい。例えば、本発明は、レンズをワークとし、このレンズに液滴を吐出することにより光学薄膜等のコーティングを形成する液滴吐出装置などにも適用することができる。また、本発明は、比較的大型のワーク(例えば、長さ、幅がそれぞれ数十cm〜数m程度のもの)にも対応することができる比較的大型の液滴吐出装置1に特に好ましく適用することができる。
【0034】
この液滴吐出装置1は、装置本体2と、ワーク搬送テーブル(ワーク搬送ステージ)としての基板搬送テーブル(基板搬送ステージ)3と、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)111を有するヘッドユニット11と、液滴吐出ヘッド111のメンテナンスをするメンテナンス装置12と、給液タンク、排液タンクおよび再利用タンクを備えたタンクユニット13と、基板Wにガスを吹き付けるブロー装置14と、基板搬送テーブル3の移動距離を光学的に検出(測定)するレーザー測長器15と、制御装置16と、液滴吐出装置1の近傍の気圧、すなわち、チャンバ91内の気圧を検出(測定)する気圧計(気圧検出手段)17と、ドット抜け検出ユニット19とを備えている。
【0035】
液滴吐出ヘッド111から吐出する液体としては、特に限定されず、カラーフィルタのフィルタ材料を含むインクの他、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルション等の分散液を含む)とすることができる。・有機EL(electroluminescence)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料。・電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料。・PDP(Plasma Display Panel)装置における蛍光体を形成するための蛍光材料。・電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料。・基板Wの表面にバンクを形成するためのバンク材料。・各種コーティング材料。・電極を形成するための液状電極材料。・2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料。・金属配線を形成するための液状金属材料。・マイクロレンズを形成するためのレンズ材料。・レジスト材料。・光拡散体を形成するための光拡散材料。
【0036】
図2に示すように、装置本体2は、床上に設置された架台21と、架台21上に設置された石定盤22とを有している。石定盤22の上には、基板搬送テーブル3が装置本体2に対しY軸方向に移動可能に設置されている。基板搬送テーブル3は、リニアモータ51の駆動により、Y軸方向に前進・後退する。基板Wは、基板搬送テーブル3上に載置される。
【0037】
液滴吐出装置1では、基板搬送テーブル3と同程度の大きさの比較的大型の基板Wから、基板搬送テーブル3より小さい比較的小型の基板Wまで、様々な大きさおよび形状の基板Wを対象にすることができる。基板Wは、原則としては基板搬送テーブル3と中心を一致させるように位置決めした状態で液滴吐出動作をすることが好ましいが、比較的小型の基板Wの場合には、基板搬送テーブル3の端に寄せた位置に位置決めして液滴吐出動作をしてもよい。
【0038】
図1に示すように、基板搬送テーブル3のX軸方向に沿った2つの辺の付近には、それぞれ、基板Wに対する液滴吐出(描画)前に液滴吐出ヘッド111から捨て吐出(フラッシング)された吐出液滴を受ける描画前フラッシングユニット104が設置されている。描画前フラッシングユニット104には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離は、移動距離検出手段(移動距離測定手段)としてのレーザー測長器15により検出(測定)される。
【0039】
図3は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤、基板搬送テーブルおよびレーザー測長器を示す平面図、図4は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤、基板搬送テーブルおよびレーザー測長器を示す側面図である。
レーザー測長器15は、光(レーザー光)の干渉を利用して対象物の移動距離(変位)を光学的に検出(測定)する装置であり、図3および図4に示すように、装置本体2側に設置されたレーザー測長器センサヘッド151、ミラー(屈曲手段)152およびレーザー測長器本体153と、基板搬送テーブル3側に設置された反射部としてのコーナーキューブ(プリズム)154とを有している。
【0040】
レーザー測長器センサヘッド151は、レーザー光を発する(照射する)発光部と、レーザー光を受光して光電変換する受光部(レーザー検出部)と、前記発光部から発せられ、前記コーナーキューブ154で反射したレーザー光を、前記発光部から発せられた基準レーザー光と干渉させて前記受光部に照射する干渉部と、前記受光部からのアナログ信号を信号処理(例えば、2値化)して第1のパルス信号を生成するとともに、この第1のパルス信号に基づいて、第1のパルス信号に対して位相が90°所定方向(遅れ方向または進み方向)にずれた第2のパルス信号を生成するパルス信号生成部(いずれも図示せず)などを有している。また、レーザー測長器本体153は、レーザー測長器センサヘッド151を駆動するための電源(図示せず)などを有している。
【0041】
レーザー測長器センサヘッド151、ミラー152およびレーザー測長器本体153は、それぞれ、装置本体2の上面に、X軸方向に沿って、図3中下側から上側に向かってレーザー測長器センサヘッド151、ミラー152、レーザー測長器本体153の順序で設置されている。また、コーナーキューブ154は、基板搬送テーブル3と一体的にY軸方向に移動する後述するベース108に設けられた支持部109の先端(Y軸方向の端部)に設置されている。このコーナーキューブ154と前記ミラー152とを結ぶ直線(線分)は、Y軸とほぼ平行である。なお、コーナーキューブ154は、前記ベース108に限らず、例えば、基板搬送テーブル3に設置されていてもよい。
【0042】
図3および図4中の一点鎖線は、レーザー光の光路を示すが、このレーザー光の光路は、ほぼ同一の水平面(X−Y平面)内にある。
レーザー測長器センサヘッド151の発光部からは、レーザー光が発せられ、X軸方向に沿って出射される。このレーザー光は、ミラー152で90°に屈曲してY軸方向に進み、コーナーキューブ154に照射される。コーナーキューブ154で反射したレーザー光(反射光)は、ミラー152で90°に屈曲してX軸方向に進み、レーザー測長器センサヘッド151に戻る。レーザー測長器センサヘッド151では、このレーザー測長器センサヘッド151に戻ってきたレーザー光は、干渉部により、前記発光部から発せられた基準レーザー光と干渉するように、前記受光部に照射される。
また、このレーザー測長器15の近傍、すなわち、レーザー測長器センサヘッド151の側方(図3中下側)に、気圧計17が設置されている。
【0043】
液滴吐出装置1では、このようなレーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)および気圧計17によって検出されたチャンバ91内の気圧に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの液滴の吐出タイミングが生成される。
なお、本実施形態では、レーザー光の光路は、ほぼ同一の水平面内にあるが、レーザー光の光路の位置する平面は、これに限らず、例えば、鉛直面であってもよい。この場合、例えば、図3および図4に示す構成において、図3中のミラー152の鉛直方向下側(図3中の紙面の裏側の位置)にレーザー測長器センサヘッド151を設置し、レーザー光の光路が、Y軸方向からミラー152において鉛直方向下方に向かって90°屈曲するよう構成する。
【0044】
また、レーザー光の光路は、同一の平面内になくてもよい。
また、レーザー光の光路は、2回以上屈曲してもよい。すなわち、レーザー光の光路を屈曲させる屈曲手段が2以上の部材(光学部品)で構成されていてもよい。この場合、例えば、図3および図4に示す構成において、レーザー測長器センサヘッド151の位置に、レーザー測長器センサヘッド151に換えて、プリズムやミラーなどの光学部品を設置し、その光学部品の鉛直方向下側(図3中の紙面の裏側の位置)に前記レーザー測長器センサヘッド151を設置し、レーザー光の光路が、X軸方向から前記光学部品において鉛直方向下方に向かって90°屈曲するよう構成する。
また、レーザー光の光路を屈曲させる屈曲手段としては、前記ミラー152に限らず、例えば、プリズムやハーフミラーなどの他の光学部品を用いてもよい。
【0045】
図1および図2に示すように、装置本体2には、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ61が、基板搬送テーブル3の上方空間においてX軸方向に移動可能に設置されている。複数の液滴吐出ヘッド111を有するヘッドユニット11は、リニアモータとガイドとを備えたリニアモータアクチュエータ62の駆動により、メインキャリッジ61とともにX軸方向に前進・後退する。
【0046】
本実施形態の液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド111のいわゆる主走査は、基板搬送テーブル3をY軸方向に移動しつつ、レーザー測長器15および気圧計17を用いて生成した吐出タイミングに基づいて、液滴吐出ヘッド111の駆動(吐出液滴の選択的吐出)を行う。また、これに対応して、いわゆる副走査は、ヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)のX軸方向への移動により行われる。
【0047】
ここで、各液滴吐出ヘッド111には、それぞれ、後述するように、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が形成されており、各吐出ノズルに対し、それぞれ、図示しないピエゾ素子(圧電素子)を有する駆動部が形成されている。
後述する制御装置16は、各液滴吐出ヘッド111に対し、それぞれ、図示しないヘッドドライバを介して前記各駆動部の駆動を制御することにより、所定の液滴吐出ヘッド111の所定の吐出ノズルからそれぞれ液滴を吐出する。この場合、例えば、ピエゾ素子に所定の電圧が印加されると、そのピエゾ素子が変形(伸縮)し、これにより対応する圧力室(液室)が加圧され、対応する吐出ノズルから所定量の液滴が吐出される。
【0048】
図12は、図1および図2に示す液滴吐出装置の制御装置(制御手段)を含む主要部を示すブロック図である。
制御装置(制御手段)16は、液滴吐出装置1の各部の作動を制御するものであり、図12に示すように、各液滴吐出ヘッド111(ヘッドユニット11)の駆動を制御するヘッド駆動制御部(ヘッド駆動制御手段)7を備えている。ヘッド駆動制御部7は、CPU(Central Processing Unit)71と、トリガ回路を有するトリガ基板72と、ヘッドドライバを介して液滴吐出ヘッド111の駆動部(吐出ノズル)を駆動するヘッド駆動基板73と、液滴吐出装置1の制御動作を実行するためのプログラム等の各種プログラムおよび各種データを記憶(格納)する記憶部74とを備えている。なお、図1に示す構成では、制御装置16は、後述するチャンバ91の外部に設置されている。
【0049】
この液滴吐出装置1において、液滴吐出ヘッド111から基板Wへの液滴吐出動作を行う際は、CPU71は、トリガ基板72に対し、液滴の吐出タイミングの設定を行う。
また、トリガ基板72は、ヘッド駆動基板73に対し、設定された吐出タイミングで液滴の吐出指示(トリガ信号の送出)を行う。
ヘッド駆動基板73は、前記トリガ基板72から前記液滴の吐出指示(トリガ信号)を受けると、ヘッドドライバを介して、所定の液滴吐出ヘッド111の所定の駆動部(吐出ノズル)を駆動する。これにより、対応する液滴吐出ヘッド111の対応する吐出ノズルから液滴が吐出される。
【0050】
次に、前記吐出タイミングの生成について説明する。
ヘッドユニット11の液滴吐出ヘッド111から液滴を吐出して基板W上に所定のパターンを形成(描画)する際は、ヘッドユニット11を停止した状態で、基板搬送テーブル3の移動により基板Wを主走査方向(Y軸方向)に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。
【0051】
図13は、レーザー測長器から出力される第1のパルス信号(A相)および第2のパルス信号(B相)が示され、液滴を吐出するタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
レーザー測長器センサヘッド151の受光部では、前記受光したレーザー光が光電変換され、この受光部からのアナログ信号は、前記パルス信号生成部において、信号処理(例えば、2値化)される。この場合、基板搬送テーブル3が移動しているので、パルス信号生成部では、図13に示す第1のパルス信号(A相)が生成される。また、パルス信号生成部では、この第1のパルス信号に基づいて、第1のパルス信号に対して位相が90°所定方向(図示例では、遅れ方向)にずれた図13に示す第2のパルス信号(B相)が生成される。
【0052】
これら第1のパルス信号および第2のパルス信号は、基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)を示す。但し、第1のパルス信号および第2のパルス信号には、それぞれ、チャンバ91内の気圧変動に伴う誤差が含まれており、この液滴吐出装置1では、その気圧変動分を補正する処理が行われる。なお、ここでは、理解を容易にするため、まず、チャンバ91内が標準状態(標準気圧)であって補正を行わない場合を説明し、補正については、後で詳述する。
【0053】
前記第1のパルス信号および第2のパルス信号は、それぞれ、制御装置16のヘッド駆動制御部7のトリガ基板72に入力される。制御装置16では、これら第1のパルス信号および第2のパルス信号、すなわち、レーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの液滴の吐出タイミングが生成される。これら第1のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下りと、第2のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下りとをそれぞれ、吐出タイミングに利用することができる。以下、これら第1のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下りと、第2のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下りとを示す信号を、それぞれ、「基準タイミング信号」と言い、図13中、一点鎖線で示す。
ここで、基板W上に所定のパターンを形成(描画)する際は、そのパターンに基づいて、対応する液滴吐出ヘッド111からの液滴の吐出希望タイミングが決定される。
【0054】
一方、ヘッド駆動制御部7のトリガ基板72では、図示しないカウンタにより、前記第1のパルス信号の立ち上がり、第2のパルス信号の立ち上がり、第1のパルス信号の立ち下り、第2のパルス信号の立ち下りの各基準タイミング信号を順次カウント(計数)する。
そして、この基準タイミング信号を分周して液滴吐出用のタイミング信号(吐出タイミング)を生成し、この生成されたタイミング信号に同期して、液滴吐出ヘッド111から液滴を吐出する。
【0055】
すなわち、トリガ基板72では、レーザー測長器15から入力される基準タイミング信号をn個(但し、nは、2以上の整数)カウントしたときを液滴の吐出タイミングとする。そして、その吐出タイミングにおいて液滴を吐出する場合は(その吐出タイミングが吐出希望タイミングであれば)、その吐出タイミングに同期して、ヘッド駆動基板73に対し、液滴の吐出指示(トリガ信号の送出)を行う。
ヘッド駆動基板73は、前記トリガ基板72から前記液滴の吐出指示(トリガ信号)を受けると、ヘッドドライバを介して、所定の液滴吐出ヘッド111の所定の駆動部(吐出ノズル)を駆動する。これにより、対応する液滴吐出ヘッド111の対応する吐出ノズルから液滴が吐出される。
【0056】
このように、標準状態(標準気圧)における液滴の吐出タイミングは、基準タイミング信号に同期し、かつ、基準タイミング信号の周期の複数倍の周期を有する。図13(a)には、標準状態における液滴の吐出タイミングとして、n=3に設定された例が示されており、その吐出タイミングは、基準タイミング信号に同期し、かつ、基準タイミング信号の周期の3倍の周期を有する。
なお、前記nは、特に限定されず、基準タイミング信号の周期、すなわち、隣り合うタイミング信号間の間隔(1ピッチ)や、液滴の吐出において要求される分解能などの諸条件によって適宜設定されるが、例えば、2〜9程度とするのが好ましい。
【0057】
以上述べたような液滴の吐出制御は、各液滴吐出ヘッド111の各吐出ノズルの駆動部に対してそれぞれ行われる。
なお、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動制御は、前記レーザー測長器15から出力される前記第1のパルス信号および前記第2のパルス信号、すなわち、基準タイミング信号に基づいて行われる。
【0058】
以上の動作(吐出タイミングの生成)は、チャンバ91内の状態が予め設定されている標準状態のとき、すなわち、チャンバ91内の気圧が予め設定されている標準気圧のときの動作であり、この液滴吐出装置1は、チャンバ91内の状態が標準状態のとき、すなわち、チャンバ91内の気圧が標準気圧のとき、レーザー測長器15により検出される基板搬送テーブル3の移動距離(変位)が、実際の基板搬送テーブル3の移動距離と等しくなるように設定されている。
【0059】
ところで、チャンバ91内の気圧が変動すると、チャンバ91内の空気の屈折率が変化し、レーザー測長器15におけるレーザー光の波長(レーザー波長)が変化する。これにより、レーザー測長器15により検出される基板搬送テーブル3の移動距離(変位)は、実際の基板搬送テーブル3の移動距離と異なるものとなり、液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングがずれてしまう。
【0060】
そこで、この液滴吐出装置1では、気圧計(気圧検出手段)17により、チャンバ91内(レーザー光の光路となる部分)の気圧を検出(測定)し、検出されたチャンバ91内の気圧(検出値)に基づいて、液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングを補正する。
すなわち、液滴吐出装置1では、レーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)を、気圧計17によって検出されたチャンバ91内の気圧に基づいて補正し、この補正後の移動距離に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの液滴の吐出タイミングが生成される。
【0061】
この場合、気圧計17の検出結果、すなわち、検出されたチャンバ91内の気圧に基づいて、レーザー測長器15におけるレーザー光(レーザー測長器15の発光部から発せられるレーザー光)の波長またはその波長に対応する物理量を求め、求めた波長または物理量に基づいて、レーザー測長器15の検出結果、すなわち、検出された基板搬送テーブル3の移動距離を補正する。
【0062】
前記波長に対応する物理量としては、例えば、チャンバ91内の雰囲気(例えば、空気)の屈折率等が挙げられる。
なお、後述するように、この液滴吐出装置1(制御装置16を除く)は、好ましくは、チャンバ装置9により、温度および湿度が管理された環境下、すなわち、内部の雰囲気の条件(温度および湿度)が管理されたチャンバ91内に置かれている。このため、この液滴吐出装置1では、チャンバ91内の雰囲気の温度、湿度、二酸化炭素濃度等の各条件は、それぞれ、一定に保持され、また、その値も既知である。従って、これらの変動による液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングのずれは、実質的になく、補正は不要である。
【0063】
次に、液滴吐出装置1におけるチャンバ91内の気圧変動に基づく液滴を吐出するタイミングの補正(補正の原理)について説明する。
この液滴吐出装置1では、チャンバ91内の状態が予め設定されている標準状態のとき、すなわち、チャンバ91内の気圧が予め設定されている標準気圧のときを基準とし、それに対し、補正を行う。
【0064】
まず、液滴吐出装置1の使用環境(チャンバ91内)における基板搬送テーブル3の実際の移動距離(変位x)は、下記式(1)で表される。
(変位x)=(カウント値Cn)×(分解能r)×(対象物温度補正係数k)
・・・式(1)
(カウント値Cn):基準タイミング信号(AB相信号を4逓倍した後のパルス)のカウント値
(分解能r):(使用環境でのレーザー波長λ)/8
なお、本実施形態では、式(1)において、対象物温度補正係数kを1とするが、これに限らず、kを算出し、その値を式(1)に代入してもよい。
【0065】
また、上記式(1)中の使用環境でのレーザー波長λは、下記式(2)で表される。
(使用環境でのレーザー波長λ)=[(標準状態でのレーザー波長λ0)/(使用環境での空気の屈折率nprop)]×1.0002713 ・・・式(2)
なお、標準状態でのレーザー波長λ0の値は、実験的に求めることがきる(既知である)。
【0066】
また、上記式(2)中の使用環境での空気の屈折率npropは、t:使用環境での温度(℃)、p:使用環境での気圧(Pa)、h:使用環境での湿度(%)、xc:使用環境での二酸化炭素濃度(ppm)としたとき、下記式(3)で表される(計算結果の精度1×10−7)。
nprop=1+(ρa/ρaxs)(naxs−1)+(ρw/ρws)(nwa−1)(naxs−1)=2.76530×10−4[1+0.534×10−6(xc−450)] ・・・式(3)
(nwa−1)=3.083×10−6
ρa=0.120271670pMa(1−xw)/ZT
ρaxs=42.30955571563976Ma
ρw=0.00216669413pxw/ZT
ρws=0.00985938109
T=273.15+t
Z=1−(p/T)[1.58123×10−6−2.9331×10−8t+1.1043×10−10t2+(5.707×10−6−2.051×10−8t)xw+(1.9898×10−4−2.376×10−6t)xw 2]+(p/T)2(1.83×10−11−0.765×10−8xw 2)
xw=(1.00062+3.14×10−8p+5.6×10−7t2)(h/100)×exp[(1.2378847×10−5T2−1.9121316×10−2T+33.93711047−6.3431645×103/T)/p]
Ma=2.89635×10−2+1.2011×10−8(xc−400)
【0067】
ここで、前述したように、チャンバ91内の雰囲気の条件、すなわち、温度、湿度および二酸化炭素濃度は、それぞれ、管理され、所定の値(一定値)に保持されているので、上記t、hおよびxcは、それぞれ、既知であり、pのみが気圧計17で検出(測定)され、ヘッド駆動制御部7のCPU71に入力される。
この気圧計17で検出されたチャンバ91内の気圧pおよび上記各式により、基板搬送テーブル3の実際の移動距離(変位x)が求まる。
【0068】
一方、チャンバ91内が標準状態のときの基板搬送テーブル3の実際の移動距離(変位x0)は、下記式(4)で表される。
(変位x0)=(カウント値Cn)×(分解能r0)×(対象物温度補正係数k(本実施形態ではk=1)) ・・・式(4)
上記式(1)と式(4)とから判るように、同一のカウント値の場合、標準状態(チャンバ91内の気圧が標準気圧)のときの変位x0と、チャンバ91内の気圧が所定の気圧のときの変位xとの比x0/xは、λ0/λとなる。
【0069】
また、前述したように、この液滴吐出装置1では、標準状態の場合、基準タイミング信号をn(但し、nは、2以上の整数)分周して液滴吐出用のタイミング信号を生成、すなわち、基準タイミング信号をn個カウントしたときを液滴の吐出タイミングとしている。
従って、気圧計17で検出されたチャンバ91内の気圧がpの場合には、基準タイミング信号をm分周して液滴吐出用のタイミング信号を生成、すなわち、基準タイミング信号をm個カウントしたときを液滴の吐出タイミングとする。このmは、下記式(5)で表される。
【0070】
すなわち、mは、上記式(5)に示すように、気圧計17で検出されたチャンバ91内の気圧pを変数とする関数で表される。本実施形態では、例えば、このような演算式や、テーブル等の検量線を予め作成し、記憶部74に記憶しておく。そして、CPU71は、気圧計17により検出されたチャンバ91内の気圧pと、その検量線とを用いて、前記mを求め、液滴の吐出タイミングを設定する。
【0071】
前記mとnとが等しくない場合は、液滴の吐出タイミングは、標準状態(標準気圧)における液滴の吐出タイミングに対し、基準タイミング信号の少なくとも1個分、時間的に前(進み方向)または後(遅れ方向)へずれる。一方、mとnとが等しい場合は、液滴の吐出タイミングは、標準状態(標準気圧)における液滴の吐出タイミングと同一となる。
【0072】
図13(b)には、n=3に設定されており、補正により、液滴の吐出タイミングとして、m=4に設定された例が示されている。この補正後の吐出タイミングは、基準タイミング信号に同期し、かつ、基準タイミング信号の周期の4倍の周期を有する。すなわち、液滴の吐出タイミングは、補正により、標準状態(標準気圧)における液滴の吐出タイミングに対し、基準タイミング信号の1個分ずつ、時間的に後へずれる。
【0073】
前記気圧計17によるチャンバ91内の気圧の検出やその検出結果に基づく前記補正、すなわち、液滴の吐出タイミングの設定は、本実施形態では、例えば、基板W上に液滴を吐出してパターンを形成(描画)する際、それに先立って行われ、パターンの形成(描画)が終了するまでその吐出タイミングが維持される。
なお、前記気圧計17によるチャンバ91内の気圧の検出やその検出結果に基づく前記補正のタイミング、回数等は、本発明では、前記に限定されない(諸条件に応じて適宜設定される)。
【0074】
図2に示すように、装置本体2には、基板W上に吐出された液滴を半乾燥させるブロー装置14が設置されている。ブロー装置14は、X軸方向に沿ってスリット状に開口するノズルを有しており、基板Wを基板搬送テーブル3によりY軸方向に搬送しつつ、このノズルより基板Wへ向けてガスを吹き付ける。本実施形態の液滴吐出装置1では、Y軸方向に互いに離れた個所に位置する2個のブロー装置14が設けられている。
【0075】
メンテナンス装置12は、架台21および石定盤22の側方に設置されている。このメンテナンス装置12は、ヘッドユニット11の待機時に液滴吐出ヘッド111をキャッピングするキャッピングユニット121と、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面をワイピングするクリーニングユニット122と、液滴吐出ヘッド111の定期的なフラッシングを受ける定期フラッシングユニット123と、重量測定ユニット125とを有している。
【0076】
また、メンテナンス装置12は、Y軸方向に移動可能な移動台124を有しており、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット123および重量測定ユニット125は、移動台124上にY軸方向に並んで設置されている。ヘッドユニット11がメンテナンス装置12の上方に移動した状態で移動台124がY軸方向に移動することにより、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット123および重量測定ユニット125のいずれかが液滴吐出ヘッド111の下方に位置し得るようになっている。ヘッドユニット11は、待機時にはメンテナンス装置12の上方に移動し、キャッピング、クリーニング(ワイピング)および定期フラッシングを所定の順番で行う。
【0077】
キャッピングユニット121は、複数の液滴吐出ヘッド111のそれぞれに対応するように配置された複数のキャップとこれらキャップを昇降させる昇降機構とを有している。各キャップには、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、キャッピングユニット121は、各キャップで各液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を覆うとともに、ノズル形成面に形成されたノズルから吐出液を吸引することができる。このようなキャッピングを行うことにより、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面が乾燥するのを防止したり、ノズル詰まりを回復(解消)したりすることができる。
【0078】
キャッピングユニット121によるキャッピングは、ヘッドユニット11の待機時や、ヘッドユニット11に吐出液を初期充填する際、吐出液を異種のものに交換する場合にヘッドユニット11から吐出液を排出する際、洗浄液によって流路を洗浄する際などに行われる。
キャッピングユニット121によるキャッピング中に液滴吐出ヘッド111から排出された吐出液は、前記吸引チューブを通ってタンクユニット13に設置された再利用タンク内に流入し貯留される。この貯留された液体は、回収され、再利用に供される。ただし、流路の洗浄時に回収した洗浄液は再利用しない。
【0079】
クリーニングユニット122は、洗浄液を含ませたワイピングシートをローラーにより走行させ、このワイピングシートにより液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を拭き取り、清掃するよう作動するものである。
定期フラッシングユニット123は、ヘッドユニット11の待機時のフラッシングに使用されるものであり、液滴吐出ヘッド111が捨て吐出した吐出液滴を受けるものである。定期フラッシングユニット123には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0080】
重量測定ユニット125は、基板Wに対する液滴吐出動作の準備段階として、液滴吐出ヘッド111からの1回の液滴吐出量(重量)を測定するのに利用するものである。すなわち、基板Wに対する液滴吐出動作前、ヘッドユニット11は、重量測定ユニット125の上方に移動し、各液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルから1回または複数回液滴を重量測定ユニット125に対し吐出する。重量測定ユニット125は、吐出された液滴を受ける液受けと、電子天秤等の重量計とを備えており、吐出された液滴の重量を計測する。または、液受けを取り外して装置外部の重量計で計測してもよい。後述する制御装置16は、その重量計測結果に基づいて、吐出ノズルにおける1回の吐出液滴の量(重量)を算出し、その算出値が予め定められた設計値に等しくなるように、液滴吐出ヘッド111を駆動するヘッドドライバの印加電圧を補正する。
【0081】
ドット抜け検出ユニット19は、石定盤22上における基板テーブル3の移動領域と重ならない場所であって、ヘッドユニット11の移動領域の下方に位置する場所に固定的に設置されている。ドット抜け検出ユニット19は、液滴吐出ヘッド111のノズルの目詰まりが原因となって生じるドット抜けを検出するものであり、例えばレーザー光を投光・受光する投光部および受光部を備えている。ドット抜け検出を行う際には、ヘッドユニット11がドット抜け検出ユニット19の上方空間をX軸方向に移動しつつ、各ノズルから液滴を捨て吐出し、ドット抜け検出ユニット19は、この捨て吐出された液滴に対し投光・受光を行って、目詰まりしているノズルの有無および個所を光学的に検出する。この際に液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液は、ドット抜け検出ユニット19が備える受け皿に溜まり、この受け皿の底部に接続された吸引チューブ(図示せず)を通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0082】
タンクユニット13には、前述したキャッピング時に回収された吐出液を貯留する再利用タンクと、描画前フラッシング、定期フラッシングおよびドット抜け検出で回収された吐出液を貯留する排液タンクのほか、液滴吐出ヘッド111へ供給される吐出液を貯留する給液タンクや、クリーニングユニット122へ供給される洗浄液を貯留する給液タンクなどがそれぞれ設置されている。各給液タンク内は、液滴吐出装置1の近傍(好ましくは後述するチャンバ91の外)に設置された図示しない加圧気体供給源から供給された例えば窒素ガス等の加圧気体により加圧され、この圧力によって、吐出液および洗浄液が送出される。
【0083】
このような液滴吐出装置1(制御装置16を除く)は、好ましくは、チャンバ装置9により、温度および湿度が管理された環境下に置かれている。チャンバ装置9は、液滴吐出装置1を収納するチャンバ91と、チャンバ91の外部に設置された空調装置92とを有している。空調装置92は、公知のエアーコンディショナー装置を内蔵しており、温度および湿度を調節した空気(温調空気)を生成する。この温調空気は、導入ダクト93を通ってチャンバ91の天井裏911に送り込まれる。この温調空気は、天井裏911からフィルタ912を透過して、チャンバ91の主室913に導入される。
【0084】
チャンバ91内には、隔壁914、915により副室916が設けられており、タンクユニット13は、この副室916内に設置されている。隔壁914には、主室913と副室916とを連通する連通部(開口)917が形成されている。
副室916には、チャンバ91の外部に対する開閉扉(開閉部)918が設けられている(図1参照)。なお、副室916の開閉部は、開閉扉918のような開き戸に限らず、引き戸、シャッターなどでもよい。
また、副室916には、副室916内の気体を排出する排気口が形成され、この排気口には、外部へ伸びる排気ダクト94が接続されている。主室913に導入された温調空気は、連通部917を通過して副室916に流入した後、排気ダクト94を通過してチャンバ装置9の外部に排出される。
【0085】
このようなチャンバ装置9によって液滴吐出装置1の周囲の温度および湿度が管理されることにより、温度変化による基板Wや装置各部の膨張・収縮が原因となって誤差が生じるのを防止することができ、基板W上に吐出液滴によって描画(形成)されるパターンの精度をより高くすることができる。また、タンクユニット13も温度および湿度が管理された環境に置かれるので、吐出液の粘度等も安定し、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高精度に行うことができる。また、チャンバ91内へのチリ、ホコリ等の侵入を防止することができ、基板Wを清浄に維持することができる。
なお、チャンバ91内には、空気以外のガス(例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスなど)を温度調節して供給・充填し、このガスの雰囲気中で液滴吐出装置1を稼動することとしてもよい。
【0086】
また、このような液滴吐出システム10では、開閉扉918を開くことにより、主室913を外部に開放することなく、タンクユニット13にアクセスすることができる。これにより、タンクユニット13へのアクセス時に液滴吐出装置1の周囲(環境)の管理された温度および湿度を乱すことがないので、タンクの交換、液体の補充または回収を行った直後でも、高い精度でパターンの形成(描画)を行うことができる。また、タンクの交換、液体の補充または回収を行った後でも、主室913内の温度や液滴吐出装置1の各部の温度が管理された値に戻るのを待たずに済むので、スループット(生産能率)の向上が図れる。このようなことから、基板W等のワークを高い精度で量産するのに極めて有利であり、製造コスト低減が図れる。
図3および図4に示すように、石定盤22の上には、基板搬送テーブル3と、基板搬送テーブル3をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構5とが設置されている。図3に示すように、基板搬送テーブル3には、載置された基板Wを吸着して固定するための複数の吸引口(吸引部)332が形成されている。
【0087】
図4に示すように、Y軸方向移動機構5は、リニアモータ51と、エアスライダ52とを有している。エアスライダ52は、石定盤22上でY軸方向に沿って延在するスライドガイド521と、このスライドガイド521に沿って移動するスライドブロック522とを有している。スライドブロック522は、スライドガイド521との間に空気を吹き出す吹き出し口を有しており、この吹き出し口から吹き出す空気をスライドガイド521との間に介在させることにより、円滑に移動可能になっている。
【0088】
スライドブロック522上には、ベース108が固定され、このベース108の上に、基板搬送テーブル3がθ軸回転機構105を介して固定されている。このようにして、基板搬送テーブル3は、エアスライダ52によってY軸方向に円滑に移動可能に支持され、リニアモータ51の駆動によりY軸方向に移動するようになっている。また、基板搬送テーブル3は、θ軸回転機構105により、基板搬送テーブル3の中心を通る鉛直なθ軸を回転中心として所定範囲で回動可能になっている。
【0089】
Y軸方向移動機構5の上方には、例えばステンレス鋼等の金属材料で構成された一対の帯状の薄板101がY軸方向移動機構5を上側から覆うように張り渡されている。薄板101は、ベース108の上面に形成された凹部(溝)内を通ってベース108とθ軸回転機構105との間を挿通している。この薄板101が設けられていることにより、液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液がY軸方向移動機構5に付着するのを防止することができ、Y軸方向移動機構5を保護することができる。
【0090】
石定盤22は、無垢の石材で構成され、その上面は、高い平面度を有している。この石定盤22は、環境温度変化に対する安定性、振動に対する減衰性、経年変化(劣化)に対する安定性、吐出液に対する耐食性等の各種の特性に優れている。本発明では、このような石定盤22によってY軸方向移動機構5および後述するX軸方向移動機構6を支持したことにより、環境温度変化、振動、経年変化(劣化)等の影響による誤差が少なく、基板搬送テーブル3とヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)との相対的な移動に高い精度が得られるとともに、その高い精度を常に安定して維持することができる。その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0091】
石定盤22を構成する石材は、特に限定されないが、ベルファストブラック、ラステンバーグ、クルヌールおよびインディアンブラックのいずれかであるのが好ましい。これにより、石定盤22の上記の各特性をより優れたものとすることができる。
このような石定盤22は、架台21に支持されている。架台21は、アングル材等を方形に組んで構成された枠体211と、枠体211の下部に分散配置された複数の支持脚212とを有している。架台21は、好ましくは空気バネまたはゴムブッシュ等による防振構造を有しており、床からの振動を石定盤22に極力伝達しないように構成されている。
また、石定盤22は、好ましくは架台21と非締結状態(非固定状態)で架台21に支持(載置)されている。これにより、架台21に生じる熱膨張等が石定盤22に影響するのを回避することができ、その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
【0092】
図5は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図、図6は、図5中の矢印A方向から見た側面図、図7は、図5中の矢印B方向から見た正面図である。
図6および図7に示すように、石定盤22の上には、4本の支柱23と、これらの支柱23に支持されたX軸方向に沿って延びる互いに平行な2本の桁(梁)24および25とが設置されている。基板搬送テーブル3は、桁24および25の下を通過可能になっている。
【0093】
液滴吐出ヘッド111(ヘッドユニット11)をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構6は、桁24および25を介して、4本の支柱23に支持されている。図5に示すように、X軸方向移動機構6は、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ(ヘッドユニット支持体)61と、桁24上に設置され、メインキャリッジ61をX軸方向に案内するとともに駆動するリニアモータアクチュエータ62と、桁25上に設置され、メインキャリッジ61をX軸方向に案内するガイド63とを有している。メインキャリッジ61は、リニアモータアクチュエータ62とガイド63との間に架け渡されるようにして設置されている。
【0094】
ヘッドユニット11は、メインキャリッジ61に対し着脱可能に支持されている。ヘッドユニット11がメインキャリッジ61とともにX軸方向に移動することにより、液滴吐出ヘッド111の副走査が行われる。
リニアモータアクチュエータ62とガイド63との間には、さらに、カメラキャリッジ106が架け渡されるようにして設置されている。カメラキャリッジ106は、リニアモータアクチュエータ62およびガイド63をメインキャリッジ61と共用するとともに、メインキャリッジ61と独立してX軸方向に移動する。
カメラキャリッジ106には、基板Wの所定の個所に設けられたアライメントマークを画像認識するための認識カメラ107が設置されている。認識カメラ107は、カメラキャリッジ106から下方に吊り下げられた状態で支持されている。なお、認識カメラ107は、他の用途に用いてもよい。
【0095】
図6に示すように、メインキャリッジ61上には、二次タンク412が設置されており、この二次タンク412には、タンクユニット13に設置された吐出液を貯留する給液タンクから延びる給液配管411が接続されている。給液配管411は、可撓性を有するチューブで構成され、この給液配管411の途中には、メインキャリッジ61とともに移動する二次タンク412の移動に合わせて給液配管411の二次タンク412側の部分が移動可能となるように給液配管411を中継する中継部413が設けられている。
【0096】
二次タンク412には、12個の液滴吐出ヘッド111の各々に対応する12本の分岐配管414の一端がそれぞれ接続されており、これらの分岐配管414の他端は、ヘッドユニット11に設けられた、各液滴吐出ヘッド111に対応する12個の流入口112にそれぞれ接続されている。なお、図6中では、見易くするため、12本の分岐配管414のうちの2本のみを図示する。
【0097】
各分岐配管414の途中には、遮断弁415が設けられている。給液配管411を通った吐出液は、二次タンク412に流入し、二次タンク412内で圧力調整された後、各分岐配管414を通って各液滴吐出ヘッド111に供給される。遮断弁415は、二次タンク412内の圧力を調整する負圧制御ユニットが何らかの原因で機能しない場合、分岐配管414の流路を遮断し、二次タンク412より低い位置にある液滴吐出ヘッド111に二次タンク412から吐出液が流れ続けて液滴吐出ヘッド111から漏出するのを防止する。
【0098】
図8は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図である。図8に示すように、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面には、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が一列または二列以上に並んで形成されている。液滴吐出ヘッド111は、電圧の印加により変位(変形)する圧電素子を有し、この圧電素子の変位(変形)を利用して、吐出ノズルに連通するように形成された圧力室(液室)内の圧力を変化させることよって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものである。なお、液滴吐出ヘッド111は、このような構成に限らず、例えば、吐出液をヒータで加熱して沸騰させ、その圧力によって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものなどでもよい。
【0099】
ヘッドユニット11には、この液滴吐出ヘッド111が複数個(以下の説明では12個として説明する)設置されている。これらの液滴吐出ヘッド111は、6個ずつ二列に副走査方向(X軸方向)に並ぶとともに、ノズル列が副走査方向に対し所定角度傾斜するような姿勢で配置されている。
なお、このような配列パターンは一例であり、例えば、各ヘッド列における隣接する液滴吐出ヘッド111同士を90°の角度を持って配置(隣接ヘッド同士が「ハ」字状)したり、各ヘッド列間における液滴吐出ヘッド111を90°の角度を持って配置(列間ヘッド同士が「ハ」字状)したりしてもよい。いずれにしても、複数個の液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルによるドットが副走査方向において連続していればよい。
【0100】
さらに、液滴吐出ヘッド111は、副走査方向に対し傾斜した姿勢で設置されていなくてもよく、また、複数個の液滴吐出ヘッド111が千鳥状、階段状に配設されていてもよい。また、所定長さのノズル列(ドット列)を構成できる限り、これを単一の液滴吐出ヘッド111で構成してもよい。また、メインキャリッジ61に複数のヘッドユニット11が設置されていてもよい。
【0101】
ここで、制御装置16の制御による液滴吐出装置1の全体の作動について簡単に説明する。基板搬送テーブル3上に基板Wが給材され、液滴吐出装置1が備える基板位置決め装置(説明省略)の作動により基板搬送テーブル3上で所定の位置に位置決め(プリアライメント)されると、基板搬送テーブル3の各吸引口332からのエアー吸引により、基板Wは、基板搬送テーブル3に吸着・固定される。次いで、基板搬送テーブル3およびカメラキャリッジ106がそれぞれ移動することにより、認識カメラ107が基板Wの所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマークの上方に移動し、このアライメントマークを認識する。この認識結果に基づいて、θ軸回転機構105が作動して基板Wのθ軸回りの角度が補正されるとともに、基板WのX軸方向およびY軸方向の位置補正がデータ上で行われる(本アライメント)。
【0102】
以上のような基板Wのアライメント作業が完了すると、前述したように、ヘッドユニット11を停止した状態で、基板搬送テーブル3の移動により基板Wを主走査方向(Y軸方向)に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。このとき、液滴吐出動作は、基板搬送テーブル3の前進(往動)中に行っても、後退(復動)中に行っても、前進および後退の両方(往復)で行ってもよい。また、基板搬送テーブル3を複数回往復させて、液滴吐出動作を複数回繰り返し行ってもよい。以上の動作により、基板W上の、所定の幅(ヘッドユニット11により吐出可能な幅)で主走査方向に沿って伸びる領域に、液滴の吐出が終了する。
【0103】
その後、メインキャリッジ61を移動させることにより、ヘッドユニット11を前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させる。この状態で、前述した動作と同様に、基板Wを主走査方向に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。そして、この領域への液滴吐出動作が終了したら、ヘッドユニット11をさらに前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させた状態として、基板Wを主走査方向に移動させつつ、同様の液滴吐出動作を行う。これを、数回繰り返すことで、基板Wの全領域に液滴吐出が行われる。このようにして、液滴吐出装置1は、基板W上に所定のパターンを形成(描画)する。
【0104】
図9は、図3に示す状態から基板搬送テーブルを取り外した状態を示す平面図、図10は、架台の平面図である。
図9に示すように、石定盤22は、平面視で、Y軸方向に長い長方形をなすY軸方向移動機構支持部221と、このY軸方向移動機構支持部221の長手方向の途中の部分からX軸方向に両側にそれぞれ突出する支柱支持部222および223とで構成されており、その結果、石定盤22の形状は、平面視で十字状をなしている。換言すれば、石定盤22は、平面視で、長方形から4つの隅部付近(除去部分C)を除去したような形状をなしている。
【0105】
Y軸方向移動機構支持部221上には、Y軸方向移動機構5が設置されている。そして、支柱支持部222の角部222aおよび222bと、支柱支持部2223の角部223aおよび223bの4箇所の上には、それぞれ、支柱23が設置される。
このように、石定盤22は、平面視で、図9中の一点鎖線で示す長方形Rから、Y軸方向移動機構5および支柱23を設置しない部分(除去部分C)を除去したような形状をなすものとなっている。これにより、長方形Rのような形状のままで使用した場合と比べ、重量を軽減することができる。その結果、液滴吐出装置1の据え付け場所への輸送が容易になるとともに、工場の据え付け場所の床の耐荷重も小さくて済む。
【0106】
また、除去部分Cの分だけ石定盤22が占める領域を少なくできるので、液滴吐出装置1全体の小型化が図れる。すなわち、除去部分Cに配管部品、電装部品等を設置することにより省スペース化を図ることができたり、除去部分Cを装置のメンテナンスのためのスペースとして用いることができる。よって、工場内での占有面積を小さくすることができ、また、液滴吐出装置1の据え付け場所への輸送も容易となる。また、液滴吐出装置1をチャンバ91内に収容して稼動する場合にも、チャンバ91の大きさを小さくすることができ、有利である。
このようなことから、液滴吐出装置1を用いることにより、基板Wのようなワークに対するパターンの形成(描画)を低コストで行うことができる。
【0107】
また、本実施形態では、Y軸方向移動機構5は、平面視で、石定盤22の長手方向に平行にかつその中心線が石定盤22の中心線(石定盤22の長手方向に沿った中心線)にほぼ合致した状態で設置され、X軸方向移動機構6は、平面視で、石定盤22の長手方向に垂直にかつその中心線が石定盤22の中心線(石定盤22の短手方向に沿った中心線)にほぼ合致した状態で設置されている。これにより、Y軸方向移動機構5およびX軸方向移動機構6が相互の中間位置で十字状に交差し、かつ石定盤22の中央に設置される。このため、Y軸方向移動機構5およびX軸方向移動機構6を石定盤22上により一層バランス良く支持することができる。
【0108】
また、本実施形態では、Y軸方向移動機構5は、石定盤22の長手方向と平行に延在し、かつ石定盤22上に直接載置されている。これにより、Y軸方向移動機構5をより一層高い精度(平面度)で安定的に支持することができる。
また、本実施形態では、X軸方向移動機構6は、4つの支柱23を介してY軸方向移動機構5を跨いで設置されるとともに、4つの支柱23は、平面視で、石定盤22の長手方向に沿った中心線を介して対称に分散配置されている。これにより、X軸方向移動機構6をより一層高い精度(平面度)で安定的に支持することができる。
【0109】
図10に示すように、石定盤22を支持する架台21は、平面視で石定盤22とほぼ同様の形状(十字状)をなしている。これにより、液滴吐出装置1全体としてのさらなる重量軽減(軽量化)、小型化(省スペース化)が図れる。この架台21は、3点(3箇所)以上の複数の支持部213にて石定盤22を支持している。この支持部213は、例えばアジャストボルト等の機構による高さ調整機構を備えており、各支持部213の高さを調整することにより、石定盤22の上面の平面度および水平度を調整可能になっている。
【0110】
図11は、石定盤の他の構成例を示す平面図である。前述した実施形態では、石定盤22は、1個の石材で構成されていたが、図11に示す石定盤22’では、Y軸方向移動機構支持部221’と、支柱支持部222’と、支柱支持部223’とがそれぞれ別個の石材で構成されている。そして、石定盤22は’、これら3個の石材を組み合わせ、図示しない固定部材により互いに連結して構成されている。
【0111】
このように、複数個の石材を組み合わせて石定盤22’を構成することにより、長方形でない石定盤22’を容易かつ安価で製造することができる。また、石定盤22’を分解して据え付け場所へ輸送することができ、輸送も容易に行うことができる。
なお、石定盤22’を複数個の石材を組み合わせて構成する場合、その分割の境界は、図示の構成に限らず、例えば図11中で横方向に3分割されるようなものでもよい。
【0112】
以上、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
例えば、レーザー測長器15の構成は、前述した実施形態には限定されない。
【0113】
また、前記本実施形態では、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動制御は、レーザー測長器15から出力される第1のパルス信号および第2のパルス信号に基づいて行われるが、前記基板搬送テーブル3のY軸方向の移動制御は、これに限らず、例えば、リニアエンコーダ(例えば、光学式リニアエンコーダ)やロータリーエンコーダ(例えば、光学式ロータリーエンコーダ)などを用い、この検出結果に基づいて行われるように構成されていてもよい。
また、Y軸方向移動機構、X軸方向移動機構は、リニアモータに代えて、例えばボールネジ(送りネジ)などでもよい。
【0114】
以上述べたように、本発明によれば、ヘッドユニット11に比べて振動や傾きの小さい基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離を検出(測定)し、この検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングを制御するので、液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0115】
また、レーザー測長器15により、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離を検出するので、基板搬送テーブル3が傾いたとしても、その傾斜分も含めて基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離を検出することができ、また、吐出液滴によるパターン形成距離(描画距離)が長くなっても、前記移動距離を正確に検出することができ、これによって液滴を正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。すなわち、Y軸方向移動機構5の精度が低くてもその影響を抑制(または阻止)することができ、このため、Y軸方向移動機構5を容易かつ安価に製造することができる。
【0116】
特に、気圧計17により、チャンバ91内の気圧を検出し、その検出結果に基づいて補正を行って、液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングを制御するので、気圧変動に伴うレーザー測長器15の検出値の変化分を補正することができ、これにより、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0117】
また、レーザー測長器15のうちのレーザー測長器センサヘッド151、ミラー152およびレーザー測長器本体153は、基板Wや液滴吐出ヘッド111から所定距離離間した位置に設置されるので、液滴吐出ヘッド111から吐出される液滴によってレーザー測長器15が汚れてしまうのを防止することができ、これにより、レーザー測長器15の液滴による故障を防止することができる。
【0118】
また、レーザー測長器15は、レーザー光の光路を屈曲させるミラー152を有しているので、レーザー測長器15を構成するレーザー測長器センサヘッド151、ミラー152、レーザー測長器本体153およびコーナーキューブ154を任意の位置に配置することができ、また、液滴吐出装置1の小型化(省スペース化)が図れる。
【0119】
また、レーザー光の光路は、ほぼ同一の平面内にあり、特に、ほぼ同一の水平面内にあるので、液滴吐出装置の小型化(省スペース化)が図れる。
また、レーザー測長器15のうち、コーナーキューブ154を基板搬送テーブル3側に設け、レーザー測長器センサヘッド151およびミラー152を装置本体2側に設けることにより、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0120】
特に、コーナーキューブ154は、基板搬送テーブル3の近傍に設けられているので、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離をさらに正確に検出することができ、これによって液滴をさらに正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
また、本発明の電気光学装置は、以上説明したような本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。本発明の電気光学装置の具体例としては、特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置などが挙げられる。
【0121】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、液晶表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色のフィルタ材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、基板上に多数のフィルタエレメントを配列してなるカラーフィルタを製造し、このカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造することができる。この他、本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、有機EL表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色の発光材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、EL発光層を含む多数の絵素ピクセルを基板上に配列してなる有機EL表示装置を製造することができる。
また、本発明の電子機器は、前述したようにして製造された電気光学装置を備えることを特徴とする。本発明の電子機器の具体例としては、特に限定されないが、前述したようにして製造された液晶表示装置や有機EL表示装置を搭載したパーソナルコンピュータや携帯電話機などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す平面図。
【図2】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す側面図。
【図3】架台、基板搬送テーブルおよびレーザー測長器を示す平面図。
【図4】架台、基板搬送テーブルおよびレーザー測長器を示す側面図。
【図5】ヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図。
【図6】図5中の矢印A方向から見た側面図。
【図7】図5中の矢印B方向から見た正面図。
【図8】ヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を示す模式的平面図。
【図9】図3に示す状態から基板搬送テーブルを取り外した状態を示す平面図。
【図10】架台の平面図。
【図11】石定盤の他の構成例を示す平面図。
【図12】液滴吐出装置の制御装置を含む主要部を示すブロック図。
【図13】液滴を吐出するタイミングを説明するための図。
【符号の説明】
1……液滴吐出装置、2……装置本体、15……レーザー測長器
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出システム、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンターのインクジェット方式(液滴吐出方式)を応用して、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに使用する産業用の液滴吐出装置(インクジェット描画装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような液滴吐出装置は、基板等のワークと、液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ液滴を吐出することにより、ワーク上に所定のパターンを形成(描画)するものである。従来の液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッドを移動させつつ、その液滴吐出ヘッドの移動距離を検出し、その検出結果に基づいて所定のタイミングで液滴を吐出する。また、従来の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドの移動距離を検出する手段として、液滴吐出ヘッドの移動経路に沿って設けられたリニアエンコーダフィルムと、液滴吐出ヘッドに設けられたエンコーダ素子(発光素子および受光素子)とで構成されたリニアエンコーダを有しており、このリニアエンコーダ(エンコーダ素子)から出力されるエンコーダパルスから、前記液滴を吐出するタイミングを生成している。
【0004】
しかしながら、液滴吐出ヘッドは大型化する傾向にあり、前記のような従来の液滴吐出装置では、液滴を吐出する際、その液滴吐出ヘッドを移動させるので、液滴吐出ヘッドが大きく振動してしまうという欠点がある。
特に、前述したような用途に使用する液滴吐出装置は、形成(描画)するパターンに極めて高い精度が必要とされるが、前記従来の液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッドの移動距離を検出し、その検出結果に基づいて液滴を吐出するタイミングを生成するので、液滴吐出ヘッドが振動して液滴吐出ヘッドが傾くと、これにより、リニアエンコーダフィルムに対するエンコーダ素子の位置が変わってしまい、液滴吐出ヘッドの移動距離を正確に検出することができず、液滴を吐出するタイミング(吐出タイミング)が大きくずれてしまう。このため、高い精度で安定してパターンを形成(描画)するのが困難であった。
また、吐出された液滴がリニアエンコーダに付着し(リニアエンコーダが汚れ)、これにより、そのリニアエンコーダが故障する場合がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−205487号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる液滴吐出装置および液滴吐出システム、かかる液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置、かかる液滴吐出装置を用いる電気光学装置の製造方法、および、かかる電気光学装置を備える電子機器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴吐出装置は、装置本体と、
ワークを支持するワーク搬送テーブルと、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、
前記ワーク搬送テーブルに支持されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するレーザー測長器を有する移動距離検出手段と、
当該液滴吐出装置の近傍の気圧を検出する気圧検出手段と、
前記移動距離検出手段および前記気圧検出手段の検出結果に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
すなわち、液滴吐出ヘッドに比べて振動や傾きの小さいワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を、レーザー測長器を有する移動距離検出手段により検出(測定)し、この検出結果および気圧検出手段の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御するので、液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0009】
特に、移動距離検出手段および気圧検出手段の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御するので、気圧変動に伴う移動距離検出手段の検出値の変化分を補正することができ、これにより、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0010】
また、レーザー測長器を有する移動距離検出手段により、ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するので、ワーク搬送テーブルが傾いたとしても、その傾斜分も含めてワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を検出することができ、これによって液滴を正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。すなわち、Y軸方向移動機構の精度が低くてもその影響を抑制(または阻止)することができ、このため、Y軸方向移動機構を容易かつ安価に製造することができる。
【0011】
また、吐出液滴によるパターン形成距離(描画距離)が長くなっても、前記移動距離を正確に検出することができ、これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。
また、レーザー測長器を構成する各部のうちの主要部は、ワークや液滴吐出ヘッドから所定距離離間した位置に設置されるので、液滴吐出ヘッドから吐出される液滴によってレーザー測長器が汚れてしまうのを防止することができ、これにより、レーザー測長器の液滴による故障を防止することができる。
【0012】
本発明の液滴吐出装置は、装置本体と、
ワークを支持するワーク搬送テーブルと、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、
前記ワーク搬送テーブルに支持されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するレーザー測長器を有する移動距離検出手段と、
当該液滴吐出装置の近傍の気圧を検出する気圧検出手段と、
前記気圧検出手段の検出結果に基づいて前記移動距離検出手段の検出結果を補正し、該補正後の検出結果に基づいて前記液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
すなわち、液滴吐出ヘッドに比べて振動や傾きの小さいワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を、レーザー測長器を有する移動距離検出手段により検出(測定)し、この検出結果および気圧検出手段の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御するので、液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0014】
特に、気圧検出手段の検出結果に基づいて移動距離検出手段の検出結果を補正し、この補正後の検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御するので、気圧変動に伴う移動距離検出手段の検出値の変化分を補正することができ、これにより、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0015】
また、レーザー測長器を有する移動距離検出手段により、ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するので、ワーク搬送テーブルが傾いたとしても、その傾斜分も含めてワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を検出することができ、これによって液滴を正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。すなわち、Y軸方向移動機構の精度が低くてもその影響を抑制(または阻止)することができ、このため、Y軸方向移動機構を容易かつ安価に製造することができる。
【0016】
また、吐出液滴によるパターン形成距離(描画距離)が長くなっても、前記移動距離を正確に検出することができ、これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。
また、レーザー測長器を構成する各部のうちの主要部は、ワークや液滴吐出ヘッドから所定距離離間した位置に設置されるので、液滴吐出ヘッドから吐出される液滴によってレーザー測長器が汚れてしまうのを防止することができ、これにより、レーザー測長器の液滴による故障を防止することができる。
【0017】
本発明の液滴吐出装置では、前記制御手段は、前記気圧検出手段の検出結果に基づいて、前記レーザー測長器から発せられるレーザー光の波長または当該波長に対応する物理量を求め、該求めた波長または物理量に基づいて前記移動距離検出手段の検出結果を補正するよう構成されているのが好ましい。
これにより、気圧変動に伴う移動距離検出手段の検出値の変化分を補正することができ、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0018】
本発明の液滴吐出装置では、標準気圧における液滴の吐出タイミングは、前記レーザー測長器から出力される基準タイミング信号に同期し、かつ、該基準タイミング信号の周期の複数倍の周期を有するのが好ましい。
これにより、液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0019】
本発明の液滴吐出装置では、液滴の吐出タイミングは、前記補正により、前記標準気圧における液滴の吐出タイミングに対し、前記基準タイミング信号の少なくとも1個分、時間的に前または後へずれるか、または、前記標準気圧における液滴の吐出タイミングと同一となるよう構成されているのが好ましい。
これにより、液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0020】
本発明の液滴吐出装置では、当該液滴吐出装置は、内部の雰囲気の条件が管理されるチャンバ内に設置されて使用されるのが好ましい。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記条件には、温度および/または湿度が含まれるのが好ましい。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0021】
本発明の液滴吐出装置では、前記レーザー測長器は、レーザー光の光路を少なくとも1回屈曲させる屈曲手段を備えるのが好ましい。
これにより、レーザー測長器を構成する各部を任意の位置に配置することができ、また、液滴吐出装置の小型化(省スペース化)が図れる。
本発明の液滴吐出装置では、前記レーザー測長器は、レーザー光を発する発光部と、前記発光部から発せられたレーザー光を反射する反射部と、前記反射部で反射したレーザー光を受光する受光部とを備え、
前記反射部は、前記ワーク搬送テーブル側に設けられ、前記発光部および前記受光部は、前記装置本体側に設けられているのが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0022】
本発明の液滴吐出装置では、前記レーザー測長器は、レーザー光を発する発光部およびレーザー光を受光する受光部を有するレーザー測長器センサヘッドと、レーザー光を反射する反射部と、レーザー光の光路を少なくとも1回屈曲させる屈曲手段とを備え、
前記反射部は、前記ワーク搬送テーブル側に設けられ、前記レーザー測長器センサヘッドおよび前記屈曲手段は、前記装置本体側に設けられており、
前記発光部から発せられたレーザー光が前記反射部に照射され、前記反射部で反射したレーザー光が前記受光部で受光され、かつ、前記レーザー測長器センサヘッドと前記反射部との間でレーザー光の光路が前記屈曲手段によって少なくとも1回屈曲するように前記レーザー測長器を構成する各部が配置されているのが好ましい。
【0023】
前記屈曲手段を設けることにより、レーザー測長器を構成する各部を任意の位置に配置することができ、また、液滴吐出装置の小型化(省スペース化)が図れる。
また、前記反射部を前記ワーク搬送テーブル側に設け、前記レーザー測長器センサヘッドおよび前記屈曲手段を前記装置本体側に設けることにより、ワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0024】
本発明の液滴吐出装置では、前記反射部は、前記ワーク搬送テーブルまたはその近傍に設けられているのが好ましい。
これにより、ワーク搬送テーブルが傾いたとしても、その傾斜分も含めてワーク搬送テーブルのY軸方向の移動距離を正確に検出することができ、これによって液滴をさらに正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
【0025】
本発明の液滴吐出装置では、前記レーザー光の光路は、ほぼ同一の平面内にあるのが好ましい。
これにより、液滴吐出装置の小型化(省スペース化)が図れる。
本発明の液滴吐出装置では、前記平面は、水平面であるのが好ましい。
これにより、液滴吐出装置のさらなる小型化(省スペース化)が図れる。
【0026】
本発明の液滴吐出装置では、前記液滴吐出ヘッドを前記装置本体に対し前記Y軸方向に垂直かつ水平な方向(以下、「X軸方向」と言う)に移動させるX軸方向移動機構を有するのが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
【0027】
本発明の液滴吐出装置では、前記Y軸方向を主走査方向とし、前記X軸方向を副走査方向として前記ワーク搬送テーブルと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから前記ワークに対し液滴を吐出するのが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
【0028】
本発明の液滴吐出システムは、本発明の液滴吐出装置と、
前記液滴吐出装置を収容し、その内部の雰囲気の条件が管理されるチャンバとを備えることを特徴とする。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
【0029】
本発明の液滴吐出システムでは、前記チャンバ内の温度および/または湿度を調節する空調装置をさらに備えることが好ましい。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
本発明の電気光学装置は、本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、高い精度でパターンが形成(描画)された高性能の部品を備えるとともに、製造コストの低い電気光学装置を提供することができる。
【0030】
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。
これにより、ワークに対するパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができるとともに、製造コストの低減が図れる電気光学装置の製造方法を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、高い精度でパターンが形成(描画)された高性能の部品を備えるとともに、製造コストの低い電子機器を提供することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムの実施形態を示す平面図および側面図である。なお、以下では、説明の便宜上、水平な一方向(図1および図2中の左右方向に相当する方向)を「Y軸方向」と言い、このY軸方向に垂直であって水平な方向(図1中の上下方向に相当する方向)を「X軸方向」と言う。また、Y軸方向であって図1および図2中の右方向への移動を「Y軸方向に前進」、Y軸方向であって図1および図2中の左方向への移動を「Y軸方向に後退」と言い、X軸方向であって図1中の下方向への移動を「X軸方向に前進」、X軸方向であって図1中の上方向への移動を「X軸方向に後退」と言う。
【0032】
図1および図2に示す液滴吐出システム(液滴吐出系)10は、液滴吐出ヘッド111を有する液滴吐出装置(インクジェット描画装置)1と、この液滴吐出装置1を収容するチャンバ91とを備えている。
液滴吐出装置1は、ワークとしての基板Wに対し、例えばインクや、目的とする材料を含む機能液等の液体(吐出液)をインクジェット方式(液滴吐出方式)により微小な液滴の状態で吐出して所定のパターンを形成(描画)する装置であり、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに用いることができるものである。液滴吐出装置1が対象とする基板Wの素材は、特に限定されず、板状の部材であればいかなるものでもよいが、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フレキシブル基板等を対象とすることができる。
【0033】
また、本発明で対象とするワークは、板状の部材に限らず、底面が平らな部材であればいかなるものでもよい。例えば、本発明は、レンズをワークとし、このレンズに液滴を吐出することにより光学薄膜等のコーティングを形成する液滴吐出装置などにも適用することができる。また、本発明は、比較的大型のワーク(例えば、長さ、幅がそれぞれ数十cm〜数m程度のもの)にも対応することができる比較的大型の液滴吐出装置1に特に好ましく適用することができる。
【0034】
この液滴吐出装置1は、装置本体2と、ワーク搬送テーブル(ワーク搬送ステージ)としての基板搬送テーブル(基板搬送ステージ)3と、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)111を有するヘッドユニット11と、液滴吐出ヘッド111のメンテナンスをするメンテナンス装置12と、給液タンク、排液タンクおよび再利用タンクを備えたタンクユニット13と、基板Wにガスを吹き付けるブロー装置14と、基板搬送テーブル3の移動距離を光学的に検出(測定)するレーザー測長器15と、制御装置16と、液滴吐出装置1の近傍の気圧、すなわち、チャンバ91内の気圧を検出(測定)する気圧計(気圧検出手段)17と、ドット抜け検出ユニット19とを備えている。
【0035】
液滴吐出ヘッド111から吐出する液体としては、特に限定されず、カラーフィルタのフィルタ材料を含むインクの他、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルション等の分散液を含む)とすることができる。・有機EL(electroluminescence)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料。・電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料。・PDP(Plasma Display Panel)装置における蛍光体を形成するための蛍光材料。・電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料。・基板Wの表面にバンクを形成するためのバンク材料。・各種コーティング材料。・電極を形成するための液状電極材料。・2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料。・金属配線を形成するための液状金属材料。・マイクロレンズを形成するためのレンズ材料。・レジスト材料。・光拡散体を形成するための光拡散材料。
【0036】
図2に示すように、装置本体2は、床上に設置された架台21と、架台21上に設置された石定盤22とを有している。石定盤22の上には、基板搬送テーブル3が装置本体2に対しY軸方向に移動可能に設置されている。基板搬送テーブル3は、リニアモータ51の駆動により、Y軸方向に前進・後退する。基板Wは、基板搬送テーブル3上に載置される。
【0037】
液滴吐出装置1では、基板搬送テーブル3と同程度の大きさの比較的大型の基板Wから、基板搬送テーブル3より小さい比較的小型の基板Wまで、様々な大きさおよび形状の基板Wを対象にすることができる。基板Wは、原則としては基板搬送テーブル3と中心を一致させるように位置決めした状態で液滴吐出動作をすることが好ましいが、比較的小型の基板Wの場合には、基板搬送テーブル3の端に寄せた位置に位置決めして液滴吐出動作をしてもよい。
【0038】
図1に示すように、基板搬送テーブル3のX軸方向に沿った2つの辺の付近には、それぞれ、基板Wに対する液滴吐出(描画)前に液滴吐出ヘッド111から捨て吐出(フラッシング)された吐出液滴を受ける描画前フラッシングユニット104が設置されている。描画前フラッシングユニット104には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離は、移動距離検出手段(移動距離測定手段)としてのレーザー測長器15により検出(測定)される。
【0039】
図3は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤、基板搬送テーブルおよびレーザー測長器を示す平面図、図4は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤、基板搬送テーブルおよびレーザー測長器を示す側面図である。
レーザー測長器15は、光(レーザー光)の干渉を利用して対象物の移動距離(変位)を光学的に検出(測定)する装置であり、図3および図4に示すように、装置本体2側に設置されたレーザー測長器センサヘッド151、ミラー(屈曲手段)152およびレーザー測長器本体153と、基板搬送テーブル3側に設置された反射部としてのコーナーキューブ(プリズム)154とを有している。
【0040】
レーザー測長器センサヘッド151は、レーザー光を発する(照射する)発光部と、レーザー光を受光して光電変換する受光部(レーザー検出部)と、前記発光部から発せられ、前記コーナーキューブ154で反射したレーザー光を、前記発光部から発せられた基準レーザー光と干渉させて前記受光部に照射する干渉部と、前記受光部からのアナログ信号を信号処理(例えば、2値化)して第1のパルス信号を生成するとともに、この第1のパルス信号に基づいて、第1のパルス信号に対して位相が90°所定方向(遅れ方向または進み方向)にずれた第2のパルス信号を生成するパルス信号生成部(いずれも図示せず)などを有している。また、レーザー測長器本体153は、レーザー測長器センサヘッド151を駆動するための電源(図示せず)などを有している。
【0041】
レーザー測長器センサヘッド151、ミラー152およびレーザー測長器本体153は、それぞれ、装置本体2の上面に、X軸方向に沿って、図3中下側から上側に向かってレーザー測長器センサヘッド151、ミラー152、レーザー測長器本体153の順序で設置されている。また、コーナーキューブ154は、基板搬送テーブル3と一体的にY軸方向に移動する後述するベース108に設けられた支持部109の先端(Y軸方向の端部)に設置されている。このコーナーキューブ154と前記ミラー152とを結ぶ直線(線分)は、Y軸とほぼ平行である。なお、コーナーキューブ154は、前記ベース108に限らず、例えば、基板搬送テーブル3に設置されていてもよい。
【0042】
図3および図4中の一点鎖線は、レーザー光の光路を示すが、このレーザー光の光路は、ほぼ同一の水平面(X−Y平面)内にある。
レーザー測長器センサヘッド151の発光部からは、レーザー光が発せられ、X軸方向に沿って出射される。このレーザー光は、ミラー152で90°に屈曲してY軸方向に進み、コーナーキューブ154に照射される。コーナーキューブ154で反射したレーザー光(反射光)は、ミラー152で90°に屈曲してX軸方向に進み、レーザー測長器センサヘッド151に戻る。レーザー測長器センサヘッド151では、このレーザー測長器センサヘッド151に戻ってきたレーザー光は、干渉部により、前記発光部から発せられた基準レーザー光と干渉するように、前記受光部に照射される。
また、このレーザー測長器15の近傍、すなわち、レーザー測長器センサヘッド151の側方(図3中下側)に、気圧計17が設置されている。
【0043】
液滴吐出装置1では、このようなレーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)および気圧計17によって検出されたチャンバ91内の気圧に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの液滴の吐出タイミングが生成される。
なお、本実施形態では、レーザー光の光路は、ほぼ同一の水平面内にあるが、レーザー光の光路の位置する平面は、これに限らず、例えば、鉛直面であってもよい。この場合、例えば、図3および図4に示す構成において、図3中のミラー152の鉛直方向下側(図3中の紙面の裏側の位置)にレーザー測長器センサヘッド151を設置し、レーザー光の光路が、Y軸方向からミラー152において鉛直方向下方に向かって90°屈曲するよう構成する。
【0044】
また、レーザー光の光路は、同一の平面内になくてもよい。
また、レーザー光の光路は、2回以上屈曲してもよい。すなわち、レーザー光の光路を屈曲させる屈曲手段が2以上の部材(光学部品)で構成されていてもよい。この場合、例えば、図3および図4に示す構成において、レーザー測長器センサヘッド151の位置に、レーザー測長器センサヘッド151に換えて、プリズムやミラーなどの光学部品を設置し、その光学部品の鉛直方向下側(図3中の紙面の裏側の位置)に前記レーザー測長器センサヘッド151を設置し、レーザー光の光路が、X軸方向から前記光学部品において鉛直方向下方に向かって90°屈曲するよう構成する。
また、レーザー光の光路を屈曲させる屈曲手段としては、前記ミラー152に限らず、例えば、プリズムやハーフミラーなどの他の光学部品を用いてもよい。
【0045】
図1および図2に示すように、装置本体2には、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ61が、基板搬送テーブル3の上方空間においてX軸方向に移動可能に設置されている。複数の液滴吐出ヘッド111を有するヘッドユニット11は、リニアモータとガイドとを備えたリニアモータアクチュエータ62の駆動により、メインキャリッジ61とともにX軸方向に前進・後退する。
【0046】
本実施形態の液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド111のいわゆる主走査は、基板搬送テーブル3をY軸方向に移動しつつ、レーザー測長器15および気圧計17を用いて生成した吐出タイミングに基づいて、液滴吐出ヘッド111の駆動(吐出液滴の選択的吐出)を行う。また、これに対応して、いわゆる副走査は、ヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)のX軸方向への移動により行われる。
【0047】
ここで、各液滴吐出ヘッド111には、それぞれ、後述するように、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が形成されており、各吐出ノズルに対し、それぞれ、図示しないピエゾ素子(圧電素子)を有する駆動部が形成されている。
後述する制御装置16は、各液滴吐出ヘッド111に対し、それぞれ、図示しないヘッドドライバを介して前記各駆動部の駆動を制御することにより、所定の液滴吐出ヘッド111の所定の吐出ノズルからそれぞれ液滴を吐出する。この場合、例えば、ピエゾ素子に所定の電圧が印加されると、そのピエゾ素子が変形(伸縮)し、これにより対応する圧力室(液室)が加圧され、対応する吐出ノズルから所定量の液滴が吐出される。
【0048】
図12は、図1および図2に示す液滴吐出装置の制御装置(制御手段)を含む主要部を示すブロック図である。
制御装置(制御手段)16は、液滴吐出装置1の各部の作動を制御するものであり、図12に示すように、各液滴吐出ヘッド111(ヘッドユニット11)の駆動を制御するヘッド駆動制御部(ヘッド駆動制御手段)7を備えている。ヘッド駆動制御部7は、CPU(Central Processing Unit)71と、トリガ回路を有するトリガ基板72と、ヘッドドライバを介して液滴吐出ヘッド111の駆動部(吐出ノズル)を駆動するヘッド駆動基板73と、液滴吐出装置1の制御動作を実行するためのプログラム等の各種プログラムおよび各種データを記憶(格納)する記憶部74とを備えている。なお、図1に示す構成では、制御装置16は、後述するチャンバ91の外部に設置されている。
【0049】
この液滴吐出装置1において、液滴吐出ヘッド111から基板Wへの液滴吐出動作を行う際は、CPU71は、トリガ基板72に対し、液滴の吐出タイミングの設定を行う。
また、トリガ基板72は、ヘッド駆動基板73に対し、設定された吐出タイミングで液滴の吐出指示(トリガ信号の送出)を行う。
ヘッド駆動基板73は、前記トリガ基板72から前記液滴の吐出指示(トリガ信号)を受けると、ヘッドドライバを介して、所定の液滴吐出ヘッド111の所定の駆動部(吐出ノズル)を駆動する。これにより、対応する液滴吐出ヘッド111の対応する吐出ノズルから液滴が吐出される。
【0050】
次に、前記吐出タイミングの生成について説明する。
ヘッドユニット11の液滴吐出ヘッド111から液滴を吐出して基板W上に所定のパターンを形成(描画)する際は、ヘッドユニット11を停止した状態で、基板搬送テーブル3の移動により基板Wを主走査方向(Y軸方向)に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。
【0051】
図13は、レーザー測長器から出力される第1のパルス信号(A相)および第2のパルス信号(B相)が示され、液滴を吐出するタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
レーザー測長器センサヘッド151の受光部では、前記受光したレーザー光が光電変換され、この受光部からのアナログ信号は、前記パルス信号生成部において、信号処理(例えば、2値化)される。この場合、基板搬送テーブル3が移動しているので、パルス信号生成部では、図13に示す第1のパルス信号(A相)が生成される。また、パルス信号生成部では、この第1のパルス信号に基づいて、第1のパルス信号に対して位相が90°所定方向(図示例では、遅れ方向)にずれた図13に示す第2のパルス信号(B相)が生成される。
【0052】
これら第1のパルス信号および第2のパルス信号は、基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)を示す。但し、第1のパルス信号および第2のパルス信号には、それぞれ、チャンバ91内の気圧変動に伴う誤差が含まれており、この液滴吐出装置1では、その気圧変動分を補正する処理が行われる。なお、ここでは、理解を容易にするため、まず、チャンバ91内が標準状態(標準気圧)であって補正を行わない場合を説明し、補正については、後で詳述する。
【0053】
前記第1のパルス信号および第2のパルス信号は、それぞれ、制御装置16のヘッド駆動制御部7のトリガ基板72に入力される。制御装置16では、これら第1のパルス信号および第2のパルス信号、すなわち、レーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの液滴の吐出タイミングが生成される。これら第1のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下りと、第2のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下りとをそれぞれ、吐出タイミングに利用することができる。以下、これら第1のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下りと、第2のパルス信号の立ち上がりおよび立ち下りとを示す信号を、それぞれ、「基準タイミング信号」と言い、図13中、一点鎖線で示す。
ここで、基板W上に所定のパターンを形成(描画)する際は、そのパターンに基づいて、対応する液滴吐出ヘッド111からの液滴の吐出希望タイミングが決定される。
【0054】
一方、ヘッド駆動制御部7のトリガ基板72では、図示しないカウンタにより、前記第1のパルス信号の立ち上がり、第2のパルス信号の立ち上がり、第1のパルス信号の立ち下り、第2のパルス信号の立ち下りの各基準タイミング信号を順次カウント(計数)する。
そして、この基準タイミング信号を分周して液滴吐出用のタイミング信号(吐出タイミング)を生成し、この生成されたタイミング信号に同期して、液滴吐出ヘッド111から液滴を吐出する。
【0055】
すなわち、トリガ基板72では、レーザー測長器15から入力される基準タイミング信号をn個(但し、nは、2以上の整数)カウントしたときを液滴の吐出タイミングとする。そして、その吐出タイミングにおいて液滴を吐出する場合は(その吐出タイミングが吐出希望タイミングであれば)、その吐出タイミングに同期して、ヘッド駆動基板73に対し、液滴の吐出指示(トリガ信号の送出)を行う。
ヘッド駆動基板73は、前記トリガ基板72から前記液滴の吐出指示(トリガ信号)を受けると、ヘッドドライバを介して、所定の液滴吐出ヘッド111の所定の駆動部(吐出ノズル)を駆動する。これにより、対応する液滴吐出ヘッド111の対応する吐出ノズルから液滴が吐出される。
【0056】
このように、標準状態(標準気圧)における液滴の吐出タイミングは、基準タイミング信号に同期し、かつ、基準タイミング信号の周期の複数倍の周期を有する。図13(a)には、標準状態における液滴の吐出タイミングとして、n=3に設定された例が示されており、その吐出タイミングは、基準タイミング信号に同期し、かつ、基準タイミング信号の周期の3倍の周期を有する。
なお、前記nは、特に限定されず、基準タイミング信号の周期、すなわち、隣り合うタイミング信号間の間隔(1ピッチ)や、液滴の吐出において要求される分解能などの諸条件によって適宜設定されるが、例えば、2〜9程度とするのが好ましい。
【0057】
以上述べたような液滴の吐出制御は、各液滴吐出ヘッド111の各吐出ノズルの駆動部に対してそれぞれ行われる。
なお、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動制御は、前記レーザー測長器15から出力される前記第1のパルス信号および前記第2のパルス信号、すなわち、基準タイミング信号に基づいて行われる。
【0058】
以上の動作(吐出タイミングの生成)は、チャンバ91内の状態が予め設定されている標準状態のとき、すなわち、チャンバ91内の気圧が予め設定されている標準気圧のときの動作であり、この液滴吐出装置1は、チャンバ91内の状態が標準状態のとき、すなわち、チャンバ91内の気圧が標準気圧のとき、レーザー測長器15により検出される基板搬送テーブル3の移動距離(変位)が、実際の基板搬送テーブル3の移動距離と等しくなるように設定されている。
【0059】
ところで、チャンバ91内の気圧が変動すると、チャンバ91内の空気の屈折率が変化し、レーザー測長器15におけるレーザー光の波長(レーザー波長)が変化する。これにより、レーザー測長器15により検出される基板搬送テーブル3の移動距離(変位)は、実際の基板搬送テーブル3の移動距離と異なるものとなり、液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングがずれてしまう。
【0060】
そこで、この液滴吐出装置1では、気圧計(気圧検出手段)17により、チャンバ91内(レーザー光の光路となる部分)の気圧を検出(測定)し、検出されたチャンバ91内の気圧(検出値)に基づいて、液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングを補正する。
すなわち、液滴吐出装置1では、レーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)を、気圧計17によって検出されたチャンバ91内の気圧に基づいて補正し、この補正後の移動距離に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの液滴の吐出タイミングが生成される。
【0061】
この場合、気圧計17の検出結果、すなわち、検出されたチャンバ91内の気圧に基づいて、レーザー測長器15におけるレーザー光(レーザー測長器15の発光部から発せられるレーザー光)の波長またはその波長に対応する物理量を求め、求めた波長または物理量に基づいて、レーザー測長器15の検出結果、すなわち、検出された基板搬送テーブル3の移動距離を補正する。
【0062】
前記波長に対応する物理量としては、例えば、チャンバ91内の雰囲気(例えば、空気)の屈折率等が挙げられる。
なお、後述するように、この液滴吐出装置1(制御装置16を除く)は、好ましくは、チャンバ装置9により、温度および湿度が管理された環境下、すなわち、内部の雰囲気の条件(温度および湿度)が管理されたチャンバ91内に置かれている。このため、この液滴吐出装置1では、チャンバ91内の雰囲気の温度、湿度、二酸化炭素濃度等の各条件は、それぞれ、一定に保持され、また、その値も既知である。従って、これらの変動による液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングのずれは、実質的になく、補正は不要である。
【0063】
次に、液滴吐出装置1におけるチャンバ91内の気圧変動に基づく液滴を吐出するタイミングの補正(補正の原理)について説明する。
この液滴吐出装置1では、チャンバ91内の状態が予め設定されている標準状態のとき、すなわち、チャンバ91内の気圧が予め設定されている標準気圧のときを基準とし、それに対し、補正を行う。
【0064】
まず、液滴吐出装置1の使用環境(チャンバ91内)における基板搬送テーブル3の実際の移動距離(変位x)は、下記式(1)で表される。
(変位x)=(カウント値Cn)×(分解能r)×(対象物温度補正係数k)
・・・式(1)
(カウント値Cn):基準タイミング信号(AB相信号を4逓倍した後のパルス)のカウント値
(分解能r):(使用環境でのレーザー波長λ)/8
なお、本実施形態では、式(1)において、対象物温度補正係数kを1とするが、これに限らず、kを算出し、その値を式(1)に代入してもよい。
【0065】
また、上記式(1)中の使用環境でのレーザー波長λは、下記式(2)で表される。
(使用環境でのレーザー波長λ)=[(標準状態でのレーザー波長λ0)/(使用環境での空気の屈折率nprop)]×1.0002713 ・・・式(2)
なお、標準状態でのレーザー波長λ0の値は、実験的に求めることがきる(既知である)。
【0066】
また、上記式(2)中の使用環境での空気の屈折率npropは、t:使用環境での温度(℃)、p:使用環境での気圧(Pa)、h:使用環境での湿度(%)、xc:使用環境での二酸化炭素濃度(ppm)としたとき、下記式(3)で表される(計算結果の精度1×10−7)。
nprop=1+(ρa/ρaxs)(naxs−1)+(ρw/ρws)(nwa−1)(naxs−1)=2.76530×10−4[1+0.534×10−6(xc−450)] ・・・式(3)
(nwa−1)=3.083×10−6
ρa=0.120271670pMa(1−xw)/ZT
ρaxs=42.30955571563976Ma
ρw=0.00216669413pxw/ZT
ρws=0.00985938109
T=273.15+t
Z=1−(p/T)[1.58123×10−6−2.9331×10−8t+1.1043×10−10t2+(5.707×10−6−2.051×10−8t)xw+(1.9898×10−4−2.376×10−6t)xw 2]+(p/T)2(1.83×10−11−0.765×10−8xw 2)
xw=(1.00062+3.14×10−8p+5.6×10−7t2)(h/100)×exp[(1.2378847×10−5T2−1.9121316×10−2T+33.93711047−6.3431645×103/T)/p]
Ma=2.89635×10−2+1.2011×10−8(xc−400)
【0067】
ここで、前述したように、チャンバ91内の雰囲気の条件、すなわち、温度、湿度および二酸化炭素濃度は、それぞれ、管理され、所定の値(一定値)に保持されているので、上記t、hおよびxcは、それぞれ、既知であり、pのみが気圧計17で検出(測定)され、ヘッド駆動制御部7のCPU71に入力される。
この気圧計17で検出されたチャンバ91内の気圧pおよび上記各式により、基板搬送テーブル3の実際の移動距離(変位x)が求まる。
【0068】
一方、チャンバ91内が標準状態のときの基板搬送テーブル3の実際の移動距離(変位x0)は、下記式(4)で表される。
(変位x0)=(カウント値Cn)×(分解能r0)×(対象物温度補正係数k(本実施形態ではk=1)) ・・・式(4)
上記式(1)と式(4)とから判るように、同一のカウント値の場合、標準状態(チャンバ91内の気圧が標準気圧)のときの変位x0と、チャンバ91内の気圧が所定の気圧のときの変位xとの比x0/xは、λ0/λとなる。
【0069】
また、前述したように、この液滴吐出装置1では、標準状態の場合、基準タイミング信号をn(但し、nは、2以上の整数)分周して液滴吐出用のタイミング信号を生成、すなわち、基準タイミング信号をn個カウントしたときを液滴の吐出タイミングとしている。
従って、気圧計17で検出されたチャンバ91内の気圧がpの場合には、基準タイミング信号をm分周して液滴吐出用のタイミング信号を生成、すなわち、基準タイミング信号をm個カウントしたときを液滴の吐出タイミングとする。このmは、下記式(5)で表される。
【0070】
すなわち、mは、上記式(5)に示すように、気圧計17で検出されたチャンバ91内の気圧pを変数とする関数で表される。本実施形態では、例えば、このような演算式や、テーブル等の検量線を予め作成し、記憶部74に記憶しておく。そして、CPU71は、気圧計17により検出されたチャンバ91内の気圧pと、その検量線とを用いて、前記mを求め、液滴の吐出タイミングを設定する。
【0071】
前記mとnとが等しくない場合は、液滴の吐出タイミングは、標準状態(標準気圧)における液滴の吐出タイミングに対し、基準タイミング信号の少なくとも1個分、時間的に前(進み方向)または後(遅れ方向)へずれる。一方、mとnとが等しい場合は、液滴の吐出タイミングは、標準状態(標準気圧)における液滴の吐出タイミングと同一となる。
【0072】
図13(b)には、n=3に設定されており、補正により、液滴の吐出タイミングとして、m=4に設定された例が示されている。この補正後の吐出タイミングは、基準タイミング信号に同期し、かつ、基準タイミング信号の周期の4倍の周期を有する。すなわち、液滴の吐出タイミングは、補正により、標準状態(標準気圧)における液滴の吐出タイミングに対し、基準タイミング信号の1個分ずつ、時間的に後へずれる。
【0073】
前記気圧計17によるチャンバ91内の気圧の検出やその検出結果に基づく前記補正、すなわち、液滴の吐出タイミングの設定は、本実施形態では、例えば、基板W上に液滴を吐出してパターンを形成(描画)する際、それに先立って行われ、パターンの形成(描画)が終了するまでその吐出タイミングが維持される。
なお、前記気圧計17によるチャンバ91内の気圧の検出やその検出結果に基づく前記補正のタイミング、回数等は、本発明では、前記に限定されない(諸条件に応じて適宜設定される)。
【0074】
図2に示すように、装置本体2には、基板W上に吐出された液滴を半乾燥させるブロー装置14が設置されている。ブロー装置14は、X軸方向に沿ってスリット状に開口するノズルを有しており、基板Wを基板搬送テーブル3によりY軸方向に搬送しつつ、このノズルより基板Wへ向けてガスを吹き付ける。本実施形態の液滴吐出装置1では、Y軸方向に互いに離れた個所に位置する2個のブロー装置14が設けられている。
【0075】
メンテナンス装置12は、架台21および石定盤22の側方に設置されている。このメンテナンス装置12は、ヘッドユニット11の待機時に液滴吐出ヘッド111をキャッピングするキャッピングユニット121と、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面をワイピングするクリーニングユニット122と、液滴吐出ヘッド111の定期的なフラッシングを受ける定期フラッシングユニット123と、重量測定ユニット125とを有している。
【0076】
また、メンテナンス装置12は、Y軸方向に移動可能な移動台124を有しており、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット123および重量測定ユニット125は、移動台124上にY軸方向に並んで設置されている。ヘッドユニット11がメンテナンス装置12の上方に移動した状態で移動台124がY軸方向に移動することにより、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット123および重量測定ユニット125のいずれかが液滴吐出ヘッド111の下方に位置し得るようになっている。ヘッドユニット11は、待機時にはメンテナンス装置12の上方に移動し、キャッピング、クリーニング(ワイピング)および定期フラッシングを所定の順番で行う。
【0077】
キャッピングユニット121は、複数の液滴吐出ヘッド111のそれぞれに対応するように配置された複数のキャップとこれらキャップを昇降させる昇降機構とを有している。各キャップには、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、キャッピングユニット121は、各キャップで各液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を覆うとともに、ノズル形成面に形成されたノズルから吐出液を吸引することができる。このようなキャッピングを行うことにより、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面が乾燥するのを防止したり、ノズル詰まりを回復(解消)したりすることができる。
【0078】
キャッピングユニット121によるキャッピングは、ヘッドユニット11の待機時や、ヘッドユニット11に吐出液を初期充填する際、吐出液を異種のものに交換する場合にヘッドユニット11から吐出液を排出する際、洗浄液によって流路を洗浄する際などに行われる。
キャッピングユニット121によるキャッピング中に液滴吐出ヘッド111から排出された吐出液は、前記吸引チューブを通ってタンクユニット13に設置された再利用タンク内に流入し貯留される。この貯留された液体は、回収され、再利用に供される。ただし、流路の洗浄時に回収した洗浄液は再利用しない。
【0079】
クリーニングユニット122は、洗浄液を含ませたワイピングシートをローラーにより走行させ、このワイピングシートにより液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を拭き取り、清掃するよう作動するものである。
定期フラッシングユニット123は、ヘッドユニット11の待機時のフラッシングに使用されるものであり、液滴吐出ヘッド111が捨て吐出した吐出液滴を受けるものである。定期フラッシングユニット123には、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、捨て吐出された吐出液は、この吸引チューブを通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0080】
重量測定ユニット125は、基板Wに対する液滴吐出動作の準備段階として、液滴吐出ヘッド111からの1回の液滴吐出量(重量)を測定するのに利用するものである。すなわち、基板Wに対する液滴吐出動作前、ヘッドユニット11は、重量測定ユニット125の上方に移動し、各液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルから1回または複数回液滴を重量測定ユニット125に対し吐出する。重量測定ユニット125は、吐出された液滴を受ける液受けと、電子天秤等の重量計とを備えており、吐出された液滴の重量を計測する。または、液受けを取り外して装置外部の重量計で計測してもよい。後述する制御装置16は、その重量計測結果に基づいて、吐出ノズルにおける1回の吐出液滴の量(重量)を算出し、その算出値が予め定められた設計値に等しくなるように、液滴吐出ヘッド111を駆動するヘッドドライバの印加電圧を補正する。
【0081】
ドット抜け検出ユニット19は、石定盤22上における基板テーブル3の移動領域と重ならない場所であって、ヘッドユニット11の移動領域の下方に位置する場所に固定的に設置されている。ドット抜け検出ユニット19は、液滴吐出ヘッド111のノズルの目詰まりが原因となって生じるドット抜けを検出するものであり、例えばレーザー光を投光・受光する投光部および受光部を備えている。ドット抜け検出を行う際には、ヘッドユニット11がドット抜け検出ユニット19の上方空間をX軸方向に移動しつつ、各ノズルから液滴を捨て吐出し、ドット抜け検出ユニット19は、この捨て吐出された液滴に対し投光・受光を行って、目詰まりしているノズルの有無および個所を光学的に検出する。この際に液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液は、ドット抜け検出ユニット19が備える受け皿に溜まり、この受け皿の底部に接続された吸引チューブ(図示せず)を通って回収され、タンクユニット13に設置された排液タンク内に貯留される。
【0082】
タンクユニット13には、前述したキャッピング時に回収された吐出液を貯留する再利用タンクと、描画前フラッシング、定期フラッシングおよびドット抜け検出で回収された吐出液を貯留する排液タンクのほか、液滴吐出ヘッド111へ供給される吐出液を貯留する給液タンクや、クリーニングユニット122へ供給される洗浄液を貯留する給液タンクなどがそれぞれ設置されている。各給液タンク内は、液滴吐出装置1の近傍(好ましくは後述するチャンバ91の外)に設置された図示しない加圧気体供給源から供給された例えば窒素ガス等の加圧気体により加圧され、この圧力によって、吐出液および洗浄液が送出される。
【0083】
このような液滴吐出装置1(制御装置16を除く)は、好ましくは、チャンバ装置9により、温度および湿度が管理された環境下に置かれている。チャンバ装置9は、液滴吐出装置1を収納するチャンバ91と、チャンバ91の外部に設置された空調装置92とを有している。空調装置92は、公知のエアーコンディショナー装置を内蔵しており、温度および湿度を調節した空気(温調空気)を生成する。この温調空気は、導入ダクト93を通ってチャンバ91の天井裏911に送り込まれる。この温調空気は、天井裏911からフィルタ912を透過して、チャンバ91の主室913に導入される。
【0084】
チャンバ91内には、隔壁914、915により副室916が設けられており、タンクユニット13は、この副室916内に設置されている。隔壁914には、主室913と副室916とを連通する連通部(開口)917が形成されている。
副室916には、チャンバ91の外部に対する開閉扉(開閉部)918が設けられている(図1参照)。なお、副室916の開閉部は、開閉扉918のような開き戸に限らず、引き戸、シャッターなどでもよい。
また、副室916には、副室916内の気体を排出する排気口が形成され、この排気口には、外部へ伸びる排気ダクト94が接続されている。主室913に導入された温調空気は、連通部917を通過して副室916に流入した後、排気ダクト94を通過してチャンバ装置9の外部に排出される。
【0085】
このようなチャンバ装置9によって液滴吐出装置1の周囲の温度および湿度が管理されることにより、温度変化による基板Wや装置各部の膨張・収縮が原因となって誤差が生じるのを防止することができ、基板W上に吐出液滴によって描画(形成)されるパターンの精度をより高くすることができる。また、タンクユニット13も温度および湿度が管理された環境に置かれるので、吐出液の粘度等も安定し、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高精度に行うことができる。また、チャンバ91内へのチリ、ホコリ等の侵入を防止することができ、基板Wを清浄に維持することができる。
なお、チャンバ91内には、空気以外のガス(例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスなど)を温度調節して供給・充填し、このガスの雰囲気中で液滴吐出装置1を稼動することとしてもよい。
【0086】
また、このような液滴吐出システム10では、開閉扉918を開くことにより、主室913を外部に開放することなく、タンクユニット13にアクセスすることができる。これにより、タンクユニット13へのアクセス時に液滴吐出装置1の周囲(環境)の管理された温度および湿度を乱すことがないので、タンクの交換、液体の補充または回収を行った直後でも、高い精度でパターンの形成(描画)を行うことができる。また、タンクの交換、液体の補充または回収を行った後でも、主室913内の温度や液滴吐出装置1の各部の温度が管理された値に戻るのを待たずに済むので、スループット(生産能率)の向上が図れる。このようなことから、基板W等のワークを高い精度で量産するのに極めて有利であり、製造コスト低減が図れる。
図3および図4に示すように、石定盤22の上には、基板搬送テーブル3と、基板搬送テーブル3をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構5とが設置されている。図3に示すように、基板搬送テーブル3には、載置された基板Wを吸着して固定するための複数の吸引口(吸引部)332が形成されている。
【0087】
図4に示すように、Y軸方向移動機構5は、リニアモータ51と、エアスライダ52とを有している。エアスライダ52は、石定盤22上でY軸方向に沿って延在するスライドガイド521と、このスライドガイド521に沿って移動するスライドブロック522とを有している。スライドブロック522は、スライドガイド521との間に空気を吹き出す吹き出し口を有しており、この吹き出し口から吹き出す空気をスライドガイド521との間に介在させることにより、円滑に移動可能になっている。
【0088】
スライドブロック522上には、ベース108が固定され、このベース108の上に、基板搬送テーブル3がθ軸回転機構105を介して固定されている。このようにして、基板搬送テーブル3は、エアスライダ52によってY軸方向に円滑に移動可能に支持され、リニアモータ51の駆動によりY軸方向に移動するようになっている。また、基板搬送テーブル3は、θ軸回転機構105により、基板搬送テーブル3の中心を通る鉛直なθ軸を回転中心として所定範囲で回動可能になっている。
【0089】
Y軸方向移動機構5の上方には、例えばステンレス鋼等の金属材料で構成された一対の帯状の薄板101がY軸方向移動機構5を上側から覆うように張り渡されている。薄板101は、ベース108の上面に形成された凹部(溝)内を通ってベース108とθ軸回転機構105との間を挿通している。この薄板101が設けられていることにより、液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液がY軸方向移動機構5に付着するのを防止することができ、Y軸方向移動機構5を保護することができる。
【0090】
石定盤22は、無垢の石材で構成され、その上面は、高い平面度を有している。この石定盤22は、環境温度変化に対する安定性、振動に対する減衰性、経年変化(劣化)に対する安定性、吐出液に対する耐食性等の各種の特性に優れている。本発明では、このような石定盤22によってY軸方向移動機構5および後述するX軸方向移動機構6を支持したことにより、環境温度変化、振動、経年変化(劣化)等の影響による誤差が少なく、基板搬送テーブル3とヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)との相対的な移動に高い精度が得られるとともに、その高い精度を常に安定して維持することができる。その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0091】
石定盤22を構成する石材は、特に限定されないが、ベルファストブラック、ラステンバーグ、クルヌールおよびインディアンブラックのいずれかであるのが好ましい。これにより、石定盤22の上記の各特性をより優れたものとすることができる。
このような石定盤22は、架台21に支持されている。架台21は、アングル材等を方形に組んで構成された枠体211と、枠体211の下部に分散配置された複数の支持脚212とを有している。架台21は、好ましくは空気バネまたはゴムブッシュ等による防振構造を有しており、床からの振動を石定盤22に極力伝達しないように構成されている。
また、石定盤22は、好ましくは架台21と非締結状態(非固定状態)で架台21に支持(載置)されている。これにより、架台21に生じる熱膨張等が石定盤22に影響するのを回避することができ、その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
【0092】
図5は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図、図6は、図5中の矢印A方向から見た側面図、図7は、図5中の矢印B方向から見た正面図である。
図6および図7に示すように、石定盤22の上には、4本の支柱23と、これらの支柱23に支持されたX軸方向に沿って延びる互いに平行な2本の桁(梁)24および25とが設置されている。基板搬送テーブル3は、桁24および25の下を通過可能になっている。
【0093】
液滴吐出ヘッド111(ヘッドユニット11)をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構6は、桁24および25を介して、4本の支柱23に支持されている。図5に示すように、X軸方向移動機構6は、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ(ヘッドユニット支持体)61と、桁24上に設置され、メインキャリッジ61をX軸方向に案内するとともに駆動するリニアモータアクチュエータ62と、桁25上に設置され、メインキャリッジ61をX軸方向に案内するガイド63とを有している。メインキャリッジ61は、リニアモータアクチュエータ62とガイド63との間に架け渡されるようにして設置されている。
【0094】
ヘッドユニット11は、メインキャリッジ61に対し着脱可能に支持されている。ヘッドユニット11がメインキャリッジ61とともにX軸方向に移動することにより、液滴吐出ヘッド111の副走査が行われる。
リニアモータアクチュエータ62とガイド63との間には、さらに、カメラキャリッジ106が架け渡されるようにして設置されている。カメラキャリッジ106は、リニアモータアクチュエータ62およびガイド63をメインキャリッジ61と共用するとともに、メインキャリッジ61と独立してX軸方向に移動する。
カメラキャリッジ106には、基板Wの所定の個所に設けられたアライメントマークを画像認識するための認識カメラ107が設置されている。認識カメラ107は、カメラキャリッジ106から下方に吊り下げられた状態で支持されている。なお、認識カメラ107は、他の用途に用いてもよい。
【0095】
図6に示すように、メインキャリッジ61上には、二次タンク412が設置されており、この二次タンク412には、タンクユニット13に設置された吐出液を貯留する給液タンクから延びる給液配管411が接続されている。給液配管411は、可撓性を有するチューブで構成され、この給液配管411の途中には、メインキャリッジ61とともに移動する二次タンク412の移動に合わせて給液配管411の二次タンク412側の部分が移動可能となるように給液配管411を中継する中継部413が設けられている。
【0096】
二次タンク412には、12個の液滴吐出ヘッド111の各々に対応する12本の分岐配管414の一端がそれぞれ接続されており、これらの分岐配管414の他端は、ヘッドユニット11に設けられた、各液滴吐出ヘッド111に対応する12個の流入口112にそれぞれ接続されている。なお、図6中では、見易くするため、12本の分岐配管414のうちの2本のみを図示する。
【0097】
各分岐配管414の途中には、遮断弁415が設けられている。給液配管411を通った吐出液は、二次タンク412に流入し、二次タンク412内で圧力調整された後、各分岐配管414を通って各液滴吐出ヘッド111に供給される。遮断弁415は、二次タンク412内の圧力を調整する負圧制御ユニットが何らかの原因で機能しない場合、分岐配管414の流路を遮断し、二次タンク412より低い位置にある液滴吐出ヘッド111に二次タンク412から吐出液が流れ続けて液滴吐出ヘッド111から漏出するのを防止する。
【0098】
図8は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図である。図8に示すように、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面には、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が一列または二列以上に並んで形成されている。液滴吐出ヘッド111は、電圧の印加により変位(変形)する圧電素子を有し、この圧電素子の変位(変形)を利用して、吐出ノズルに連通するように形成された圧力室(液室)内の圧力を変化させることよって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものである。なお、液滴吐出ヘッド111は、このような構成に限らず、例えば、吐出液をヒータで加熱して沸騰させ、その圧力によって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものなどでもよい。
【0099】
ヘッドユニット11には、この液滴吐出ヘッド111が複数個(以下の説明では12個として説明する)設置されている。これらの液滴吐出ヘッド111は、6個ずつ二列に副走査方向(X軸方向)に並ぶとともに、ノズル列が副走査方向に対し所定角度傾斜するような姿勢で配置されている。
なお、このような配列パターンは一例であり、例えば、各ヘッド列における隣接する液滴吐出ヘッド111同士を90°の角度を持って配置(隣接ヘッド同士が「ハ」字状)したり、各ヘッド列間における液滴吐出ヘッド111を90°の角度を持って配置(列間ヘッド同士が「ハ」字状)したりしてもよい。いずれにしても、複数個の液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルによるドットが副走査方向において連続していればよい。
【0100】
さらに、液滴吐出ヘッド111は、副走査方向に対し傾斜した姿勢で設置されていなくてもよく、また、複数個の液滴吐出ヘッド111が千鳥状、階段状に配設されていてもよい。また、所定長さのノズル列(ドット列)を構成できる限り、これを単一の液滴吐出ヘッド111で構成してもよい。また、メインキャリッジ61に複数のヘッドユニット11が設置されていてもよい。
【0101】
ここで、制御装置16の制御による液滴吐出装置1の全体の作動について簡単に説明する。基板搬送テーブル3上に基板Wが給材され、液滴吐出装置1が備える基板位置決め装置(説明省略)の作動により基板搬送テーブル3上で所定の位置に位置決め(プリアライメント)されると、基板搬送テーブル3の各吸引口332からのエアー吸引により、基板Wは、基板搬送テーブル3に吸着・固定される。次いで、基板搬送テーブル3およびカメラキャリッジ106がそれぞれ移動することにより、認識カメラ107が基板Wの所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマークの上方に移動し、このアライメントマークを認識する。この認識結果に基づいて、θ軸回転機構105が作動して基板Wのθ軸回りの角度が補正されるとともに、基板WのX軸方向およびY軸方向の位置補正がデータ上で行われる(本アライメント)。
【0102】
以上のような基板Wのアライメント作業が完了すると、前述したように、ヘッドユニット11を停止した状態で、基板搬送テーブル3の移動により基板Wを主走査方向(Y軸方向)に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。このとき、液滴吐出動作は、基板搬送テーブル3の前進(往動)中に行っても、後退(復動)中に行っても、前進および後退の両方(往復)で行ってもよい。また、基板搬送テーブル3を複数回往復させて、液滴吐出動作を複数回繰り返し行ってもよい。以上の動作により、基板W上の、所定の幅(ヘッドユニット11により吐出可能な幅)で主走査方向に沿って伸びる領域に、液滴の吐出が終了する。
【0103】
その後、メインキャリッジ61を移動させることにより、ヘッドユニット11を前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させる。この状態で、前述した動作と同様に、基板Wを主走査方向に移動させつつ、各液滴吐出ヘッド111から基板Wへの選択的な液滴吐出動作を行う。そして、この領域への液滴吐出動作が終了したら、ヘッドユニット11をさらに前記所定の幅の分だけ副走査方向(X軸方向)に移動させた状態として、基板Wを主走査方向に移動させつつ、同様の液滴吐出動作を行う。これを、数回繰り返すことで、基板Wの全領域に液滴吐出が行われる。このようにして、液滴吐出装置1は、基板W上に所定のパターンを形成(描画)する。
【0104】
図9は、図3に示す状態から基板搬送テーブルを取り外した状態を示す平面図、図10は、架台の平面図である。
図9に示すように、石定盤22は、平面視で、Y軸方向に長い長方形をなすY軸方向移動機構支持部221と、このY軸方向移動機構支持部221の長手方向の途中の部分からX軸方向に両側にそれぞれ突出する支柱支持部222および223とで構成されており、その結果、石定盤22の形状は、平面視で十字状をなしている。換言すれば、石定盤22は、平面視で、長方形から4つの隅部付近(除去部分C)を除去したような形状をなしている。
【0105】
Y軸方向移動機構支持部221上には、Y軸方向移動機構5が設置されている。そして、支柱支持部222の角部222aおよび222bと、支柱支持部2223の角部223aおよび223bの4箇所の上には、それぞれ、支柱23が設置される。
このように、石定盤22は、平面視で、図9中の一点鎖線で示す長方形Rから、Y軸方向移動機構5および支柱23を設置しない部分(除去部分C)を除去したような形状をなすものとなっている。これにより、長方形Rのような形状のままで使用した場合と比べ、重量を軽減することができる。その結果、液滴吐出装置1の据え付け場所への輸送が容易になるとともに、工場の据え付け場所の床の耐荷重も小さくて済む。
【0106】
また、除去部分Cの分だけ石定盤22が占める領域を少なくできるので、液滴吐出装置1全体の小型化が図れる。すなわち、除去部分Cに配管部品、電装部品等を設置することにより省スペース化を図ることができたり、除去部分Cを装置のメンテナンスのためのスペースとして用いることができる。よって、工場内での占有面積を小さくすることができ、また、液滴吐出装置1の据え付け場所への輸送も容易となる。また、液滴吐出装置1をチャンバ91内に収容して稼動する場合にも、チャンバ91の大きさを小さくすることができ、有利である。
このようなことから、液滴吐出装置1を用いることにより、基板Wのようなワークに対するパターンの形成(描画)を低コストで行うことができる。
【0107】
また、本実施形態では、Y軸方向移動機構5は、平面視で、石定盤22の長手方向に平行にかつその中心線が石定盤22の中心線(石定盤22の長手方向に沿った中心線)にほぼ合致した状態で設置され、X軸方向移動機構6は、平面視で、石定盤22の長手方向に垂直にかつその中心線が石定盤22の中心線(石定盤22の短手方向に沿った中心線)にほぼ合致した状態で設置されている。これにより、Y軸方向移動機構5およびX軸方向移動機構6が相互の中間位置で十字状に交差し、かつ石定盤22の中央に設置される。このため、Y軸方向移動機構5およびX軸方向移動機構6を石定盤22上により一層バランス良く支持することができる。
【0108】
また、本実施形態では、Y軸方向移動機構5は、石定盤22の長手方向と平行に延在し、かつ石定盤22上に直接載置されている。これにより、Y軸方向移動機構5をより一層高い精度(平面度)で安定的に支持することができる。
また、本実施形態では、X軸方向移動機構6は、4つの支柱23を介してY軸方向移動機構5を跨いで設置されるとともに、4つの支柱23は、平面視で、石定盤22の長手方向に沿った中心線を介して対称に分散配置されている。これにより、X軸方向移動機構6をより一層高い精度(平面度)で安定的に支持することができる。
【0109】
図10に示すように、石定盤22を支持する架台21は、平面視で石定盤22とほぼ同様の形状(十字状)をなしている。これにより、液滴吐出装置1全体としてのさらなる重量軽減(軽量化)、小型化(省スペース化)が図れる。この架台21は、3点(3箇所)以上の複数の支持部213にて石定盤22を支持している。この支持部213は、例えばアジャストボルト等の機構による高さ調整機構を備えており、各支持部213の高さを調整することにより、石定盤22の上面の平面度および水平度を調整可能になっている。
【0110】
図11は、石定盤の他の構成例を示す平面図である。前述した実施形態では、石定盤22は、1個の石材で構成されていたが、図11に示す石定盤22’では、Y軸方向移動機構支持部221’と、支柱支持部222’と、支柱支持部223’とがそれぞれ別個の石材で構成されている。そして、石定盤22は’、これら3個の石材を組み合わせ、図示しない固定部材により互いに連結して構成されている。
【0111】
このように、複数個の石材を組み合わせて石定盤22’を構成することにより、長方形でない石定盤22’を容易かつ安価で製造することができる。また、石定盤22’を分解して据え付け場所へ輸送することができ、輸送も容易に行うことができる。
なお、石定盤22’を複数個の石材を組み合わせて構成する場合、その分割の境界は、図示の構成に限らず、例えば図11中で横方向に3分割されるようなものでもよい。
【0112】
以上、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
例えば、レーザー測長器15の構成は、前述した実施形態には限定されない。
【0113】
また、前記本実施形態では、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動制御は、レーザー測長器15から出力される第1のパルス信号および第2のパルス信号に基づいて行われるが、前記基板搬送テーブル3のY軸方向の移動制御は、これに限らず、例えば、リニアエンコーダ(例えば、光学式リニアエンコーダ)やロータリーエンコーダ(例えば、光学式ロータリーエンコーダ)などを用い、この検出結果に基づいて行われるように構成されていてもよい。
また、Y軸方向移動機構、X軸方向移動機構は、リニアモータに代えて、例えばボールネジ(送りネジ)などでもよい。
【0114】
以上述べたように、本発明によれば、ヘッドユニット11に比べて振動や傾きの小さい基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離を検出(測定)し、この検出結果に基づいて、液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングを制御するので、液滴を適正かつ正確なタイミングで吐出することができ、その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0115】
また、レーザー測長器15により、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離を検出するので、基板搬送テーブル3が傾いたとしても、その傾斜分も含めて基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離を検出することができ、また、吐出液滴によるパターン形成距離(描画距離)が長くなっても、前記移動距離を正確に検出することができ、これによって液滴を正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができる。すなわち、Y軸方向移動機構5の精度が低くてもその影響を抑制(または阻止)することができ、このため、Y軸方向移動機構5を容易かつ安価に製造することができる。
【0116】
特に、気圧計17により、チャンバ91内の気圧を検出し、その検出結果に基づいて補正を行って、液滴吐出ヘッド111の液滴を吐出するタイミングを制御するので、気圧変動に伴うレーザー測長器15の検出値の変化分を補正することができ、これにより、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0117】
また、レーザー測長器15のうちのレーザー測長器センサヘッド151、ミラー152およびレーザー測長器本体153は、基板Wや液滴吐出ヘッド111から所定距離離間した位置に設置されるので、液滴吐出ヘッド111から吐出される液滴によってレーザー測長器15が汚れてしまうのを防止することができ、これにより、レーザー測長器15の液滴による故障を防止することができる。
【0118】
また、レーザー測長器15は、レーザー光の光路を屈曲させるミラー152を有しているので、レーザー測長器15を構成するレーザー測長器センサヘッド151、ミラー152、レーザー測長器本体153およびコーナーキューブ154を任意の位置に配置することができ、また、液滴吐出装置1の小型化(省スペース化)が図れる。
【0119】
また、レーザー光の光路は、ほぼ同一の平面内にあり、特に、ほぼ同一の水平面内にあるので、液滴吐出装置の小型化(省スペース化)が図れる。
また、レーザー測長器15のうち、コーナーキューブ154を基板搬送テーブル3側に設け、レーザー測長器センサヘッド151およびミラー152を装置本体2側に設けることにより、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離をより正確に検出することができ、これによって液滴をより正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0120】
特に、コーナーキューブ154は、基板搬送テーブル3の近傍に設けられているので、基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離をさらに正確に検出することができ、これによって液滴をさらに正確なタイミングで吐出することができ、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をさらに高い精度で行うことができる。
また、本発明の電気光学装置は、以上説明したような本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。本発明の電気光学装置の具体例としては、特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置などが挙げられる。
【0121】
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、液晶表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色のフィルタ材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、基板上に多数のフィルタエレメントを配列してなるカラーフィルタを製造し、このカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造することができる。この他、本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、有機EL表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色の発光材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、EL発光層を含む多数の絵素ピクセルを基板上に配列してなる有機EL表示装置を製造することができる。
また、本発明の電子機器は、前述したようにして製造された電気光学装置を備えることを特徴とする。本発明の電子機器の具体例としては、特に限定されないが、前述したようにして製造された液晶表示装置や有機EL表示装置を搭載したパーソナルコンピュータや携帯電話機などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す平面図。
【図2】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す側面図。
【図3】架台、基板搬送テーブルおよびレーザー測長器を示す平面図。
【図4】架台、基板搬送テーブルおよびレーザー測長器を示す側面図。
【図5】ヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図。
【図6】図5中の矢印A方向から見た側面図。
【図7】図5中の矢印B方向から見た正面図。
【図8】ヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を示す模式的平面図。
【図9】図3に示す状態から基板搬送テーブルを取り外した状態を示す平面図。
【図10】架台の平面図。
【図11】石定盤の他の構成例を示す平面図。
【図12】液滴吐出装置の制御装置を含む主要部を示すブロック図。
【図13】液滴を吐出するタイミングを説明するための図。
【符号の説明】
1……液滴吐出装置、2……装置本体、15……レーザー測長器
Claims (20)
- 装置本体と、
ワークを支持するワーク搬送テーブルと、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、
前記ワーク搬送テーブルに支持されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するレーザー測長器を有する移動距離検出手段と、
当該液滴吐出装置の近傍の気圧を検出する気圧検出手段と、
前記移動距離検出手段および前記気圧検出手段の検出結果に基づいて、前記液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御する制御手段とを備えることを特徴とする液滴吐出装置。 - 装置本体と、
ワークを支持するワーク搬送テーブルと、
前記ワーク搬送テーブルを前記装置本体に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、
前記ワーク搬送テーブルに支持されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ワーク搬送テーブルの前記Y軸方向の移動距離を検出するレーザー測長器を有する移動距離検出手段と、
当該液滴吐出装置の近傍の気圧を検出する気圧検出手段と、
前記気圧検出手段の検出結果に基づいて前記移動距離検出手段の検出結果を補正し、該補正後の検出結果に基づいて前記液滴吐出ヘッドの液滴を吐出するタイミングを制御する制御手段とを備えることを特徴とする液滴吐出装置。 - 前記制御手段は、前記気圧検出手段の検出結果に基づいて、前記レーザー測長器から発せられるレーザー光の波長または当該波長に対応する物理量を求め、該求めた波長または物理量に基づいて前記移動距離検出手段の検出結果を補正するよう構成されている請求項2に記載の液滴吐出装置。
- 標準気圧における液滴の吐出タイミングは、前記レーザー測長器から出力される基準タイミング信号に同期し、かつ、該基準タイミング信号の周期の複数倍の周期を有する請求項2または3に記載の液滴吐出装置。
- 液滴の吐出タイミングは、前記補正により、前記標準気圧における液滴の吐出タイミングに対し、前記基準タイミング信号の少なくとも1個分、時間的に前または後へずれるか、または、前記標準気圧における液滴の吐出タイミングと同一となるよう構成されている請求項4に記載の液滴吐出装置。
- 当該液滴吐出装置は、内部の雰囲気の条件が管理されるチャンバ内に設置されて使用される請求項1ないし5のいずれかに記載の液滴吐出装置。
- 前記条件には、温度および/または湿度が含まれる請求項6に記載の液滴吐出装置。
- 前記レーザー測長器は、レーザー光の光路を少なくとも1回屈曲させる屈曲手段を備える請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
- 前記レーザー測長器は、レーザー光を発する発光部と、前記発光部から発せられたレーザー光を反射する反射部と、前記反射部で反射したレーザー光を受光する受光部とを備え、
前記反射部は、前記ワーク搬送テーブル側に設けられ、前記発光部および前記受光部は、前記装置本体側に設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出装置。 - 前記レーザー測長器は、レーザー光を発する発光部およびレーザー光を受光する受光部を有するレーザー測長器センサヘッドと、レーザー光を反射する反射部と、レーザー光の光路を少なくとも1回屈曲させる屈曲手段とを備え、
前記反射部は、前記ワーク搬送テーブル側に設けられ、前記レーザー測長器センサヘッドおよび前記屈曲手段は、前記装置本体側に設けられており、
前記発光部から発せられたレーザー光が前記反射部に照射され、前記反射部で反射したレーザー光が前記受光部で受光され、かつ、前記レーザー測長器センサヘッドと前記反射部との間でレーザー光の光路が前記屈曲手段によって少なくとも1回屈曲するように前記レーザー測長器を構成する各部が配置されている請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出装置。 - 前記反射部は、前記ワーク搬送テーブルまたはその近傍に設けられている請求項9または10に記載の液滴吐出装置。
- 前記レーザー光の光路は、ほぼ同一の平面内にある請求項1ないし11のいずれかに記載の液滴吐出装置。
- 前記平面は、水平面である請求項12に記載の液滴吐出装置。
- 前記液滴吐出ヘッドを前記装置本体に対し前記Y軸方向に垂直かつ水平な方向(以下、「X軸方向」と言う)に移動させるX軸方向移動機構を有する請求項1ないし13のいずれかに記載の液滴吐出装置。
- 前記Y軸方向を主走査方向とし、前記X軸方向を副走査方向として前記ワーク搬送テーブルと前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから前記ワークに対し液滴を吐出する請求項14に記載の液滴吐出装置。
- 請求項1ないし15のいずれかに記載の液滴吐出装置と、
前記液滴吐出装置を収容し、その内部の雰囲気の条件が管理されるチャンバとを備えることを特徴とする液滴吐出システム。 - 前記チャンバ内の温度および/または湿度を調節する空調装置を備える請求項16に記載の液滴吐出システム。
- 請求項1ないし15のいずれかに記載の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項1ないし15のいずれかに記載の液滴吐出装置を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
- 請求項18に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
Priority Applications (1)
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2003
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