JP2004341069A - 光ケーブル、光伝送路及び光通信システム - Google Patents
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Abstract
【課題】波長分割多重光通信システムに好適に用いられ、システム変更が生じても変更されたシステムに適した光伝送特性を実現可能な光ケーブル、光伝送路及び光通信システムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る光ケーブル10は、複数の光ファイバ線路11〜16が並列された光ケーブルであって、複数の光ファイバ線路のうちの第1の光ファイバ線路11及び第2の光ファイバ線路16のうちの少なくとも一方が、波長範囲1460nm〜1625nmのうちの何れかの特定波長λでの波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されており、第1の光ファイバ線路と第2の光ファイバ線路とにおいて、長手方向における特定波長での波長分散の分布が互いに異なることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る光ケーブル10は、複数の光ファイバ線路11〜16が並列された光ケーブルであって、複数の光ファイバ線路のうちの第1の光ファイバ線路11及び第2の光ファイバ線路16のうちの少なくとも一方が、波長範囲1460nm〜1625nmのうちの何れかの特定波長λでの波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されており、第1の光ファイバ線路と第2の光ファイバ線路とにおいて、長手方向における特定波長での波長分散の分布が互いに異なることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ケーブル、光伝送路及び光通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
波長が異なる複数の信号光を多重化して伝送する通信システムは、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing : WDM)通信システムと呼ばれる。このWDM通信システムでは、多波長の信号光を伝送する光伝送路において、信号光の波長範囲での光伝送路全長の累積波長分散の絶対値が大きくなれば、累積波長分散の影響で信号光の伝送品質が劣化する。そのため、信号光の波長範囲での光伝送路全長の累積波長分散の絶対値が小さいことが望まれている。一方、信号光の波長範囲での光伝送路の各位置における波長分散の絶対値が小さいと、非線形光学現象の1つである四光波混合が発生しやすくなる。そして、四光波混合の影響で信号光の伝送品質が劣化する場合がある。
【0003】
上述した累積波長分散及び非線形光学現象による信号光の伝送品質の劣化を共に抑制するために、信号光の波長範囲での波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられている光ファイバ線路から構成された光伝送路が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このような光伝送路は、信号光の波長範囲での光伝送路全長における累積波長分散の絶対値が小さくなるように分散マネジメントされている。そのため、累積波長分散の影響による信号光の伝送品質の劣化が低減されている。また、信号光の波長範囲での光伝送路の各位置での波長分散の絶対値が比較的大きいので、非線形光学現象が生じることが抑制されている。そのため、非線形光学現象による信号光の伝送品質の劣化を低減できる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−62639号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−91761号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光通信システムを構築する際には、構築すべきシステムに最適な光伝送特性を有するように設計された光伝送路が用いられる。このような光伝送路は、その全長において適切に分散マネジメントされ、伝送ペナルティが小さい光ファイバ線路から構成される。
【0007】
しかしながら、光通信システムを構築したときには最適な光伝送路であったとしても、その光通信システムに合わせて設計されているので、通信経路変更などが生じると光伝送路の光伝送特性が変わる場合があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、波長分割多重光通信システムに好適に用いられ、システム変更が生じても変更されたシステムに適した光伝送特性を実現可能な光ケーブル、光伝送路及び光通信システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る光ケーブルは、複数の光ファイバ線路が並列された光ケーブルであって、複数の光ファイバ線路のうちの第1の光ファイバ線路及び第2の光ファイバ線路のうちの少なくとも一方が、波長範囲1460nm〜1625nmのうちの何れかの特定波長での波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されており、第1の光ファイバ線路と第2の光ファイバ線路とにおいて、長手方向における特定波長での波長分散の分布が互いに異なることを特徴とする。
【0010】
上記構成では、光ケーブルが有する複数の光ファイバ線路のうち少なくとも第1の光ファイバ線路と第2の光ファイバ線路とは異なる光伝送特性を有する。そのため、光ケーブルを光通信システムに用いた場合に、より適した光伝送特性を有する光ファイバ線路を選択することができる。
【0011】
また、本発明に係る光ケーブルにおいては、上記波長範囲での複数の光ファイバ線路夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることが好適である。10Gb/sの信号光を伝送する場合には、一般に、信号光の波長範囲の各波長での光伝送路全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることが必要であるとされている。したがって、上記構成により、10Gb/sの信号光を伝送することが可能な光ケーブルとすることができる。
【0012】
更に、本発明に係る光ケーブルにおいては、上記波長範囲での複数の光ファイバ線路夫々の全長における分散スロープの平均値の絶対値が0.04ps/nm2以下であることが好適である。
【0013】
更にまた、本発明に係る光ケーブルにおいては、特定波長での複数の光ファイバ線路夫々の波長分散の絶対値が20ps/nm/km以下であることが好適である。
【0014】
また、本発明に係る光ケーブルにおいては、特定波長での複数の光ファイバ線路夫々の長手方向における波長分散の分布を示す標識が設けられていることが望ましい。この標識により光ケーブルを布設する際に必要な情報を得ることができる。特定波長での複数の光ファイバ線路夫々の長手方向における波長分散の分布を示す情報としては、例えば、特定波長での波長分散が正である区間と負である区間との交番回数や、各区間の波長分散の絶対値の平均値などである。
【0015】
更に、本発明に係る光ケーブルにおいては、特定波長での複数の光ファイバ線路夫々の両端部におけるモードフィールド径が全て略同一であることが好ましい。これにより、光ケーブル同士を接続して光通信システムに用いた場合でも、光ケーブル同士を接続したことによる信号光の伝送損失を低減することができる。
【0016】
また、本発明に係る光伝送路は、本発明に係る光ケーブルを含んで構成される。この場合、光ケーブルが、光伝送特性の異なる第1の光ファイバ線路と第2の光ファイバ線路とを有しているので、それらを適切に選択することで、光通信システムに、より適した光伝送路とすることができる。
【0017】
更に、本発明に係る光通信システムは、上記波長範囲内の多波長の信号光を本発明に係る光伝送路で伝送することを特徴とする。これにより、信号光を、光通信システムに適した光伝送特性を有する光伝送路で伝送することができる。
【0018】
また、本発明に係る光通信システムにおいては、特定波長での複数の光ファイバ線路のうちの少なくとも1つの光ファイバ線路の一方の端部の波長分散が負であり、信号光を一方の端部に入射することが好適である。
【0019】
更に、本発明に係る光通信システムにおいては、本発明に係る光伝送路が中継局間に配置されていることが望ましい。これにより、光伝送路を構成している光ケーブルに含まれている複数の光ファイバ線路から光ファイバ線路を選択することで、中継局間の光伝送特性を調整することができる。
【0020】
更にまた、本発明に係る光通信システムにおいては、上記波長範囲での複数の光ファイバ線路夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることが好適である。この場合、光通信システムで、10Gb/sの信号光を好適に伝送することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0022】
図1は、本実施形態に係る光ケーブル10の模式図である。図1に示すように、光ケーブル10は6本の光ファイバ線路11〜16を有する。
【0023】
光ファイバ線路11〜15は、波長範囲1460nm〜1625nmの何れかの特定波長λ、好ましくは波長範囲1530nm〜1625nm、更に好ましくは波長範囲1460nm〜1625nmでの波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されている。以下の説明では、波長範囲1530nm〜1625nmを波長範囲Aと称し、波長範囲1460nm〜1625nmを波長範囲Bと称す。
【0024】
光ファイバ線路16は、その全長にわたって特定波長λ、好ましくは波長範囲A、更に好ましくは波長範囲Bでの波長分散が負となっている。
【0025】
また、光ファイバ線路11〜16のうちの任意の2つの光ファイバ線路(例えば、第1の光ファイバ線路として光ファイバ線路11、第2の光ファイバ線路として光ファイバ線路16)を選択した場合、それらの光ファイバ線路の長手方向における特定波長λ、好ましくは波長範囲A、更に好ましくは波長範囲Bでの波長分散の分布が相違している。
【0026】
更に、特定波長λ、好ましくは波長範囲Aの各波長、更に好ましくは波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16の両端部におけるモードフィールド径もほぼ同じ値であることが好適である。これにより、2つの光ケーブル10を接続しても接続部分でのモードフィールド径のずれを抑制できるからである。
【0027】
また、波長範囲Bでの光ファイバ線路11〜16の全長における分散スロープの平均値の絶対値が0.04ps/nm2以下、更に好ましくは0.02ps/nm2以下であることが好適である。更に、波長範囲Bでの何れかの特定波長λ、好ましくは波長範囲Aの各波長、更に好ましくは波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16の各位置における波長分散の絶対値が20ps/nm/km以下であることが好適である。
【0028】
更に、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることが好適である。10Gb/sで信号光を伝送する際に、信号光の波長範囲での光伝送路の全長における累積波長分散が1000ps/nm以下であることが要求されるからである。
【0029】
光ファイバ線路11〜16夫々の構成についてより詳細に説明する。光ファイバ線路11〜16は、上述したような特性を有していれば良いが、以下では、上記特性のうち最も好ましい特性を有した形態について説明する。図1中、太い実線は波長範囲Bでの波長分散が正である区間を示し、細い実線は波長範囲Bでの波長分散が負である区間を示す。各区間を区別するために線の太さを変えているが、これは説明の便宜上のためであり、光ファイバ線路の外径は長手方向に一定となっている。
【0030】
光ファイバ線路11は、光ケーブル10の一方の端部P側から順に、波長範囲B(波長範囲1460nm〜1625nm)での波長分散が負である区間111、正である区間112及び負である区間113が設けられて形成されている。また、光ファイバ線路12は、端部P側から順に、波長範囲Bでの波長分散が負である区間121、正である区間122及び負である区間123が設けられて形成されている。
【0031】
波長範囲Bでの区間111〜113,121〜123夫々の全長における分散スロープの平均値の絶対値は0.02ps/nm2以下である。
【0032】
また、波長範囲Bの各波長での区間111〜113,121〜123夫々における波長分散値の平均値の絶対値は、ほぼ同じD1である。区間113,121の長手方向の長さは、区間111,112,122,123の長手方向の長さに比べて無視できる程度の長さである。更に、区間111,112,122,123の長手方向の長さは、ほぼ同じである。したがって、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11,12夫々の全長における累積波長分散の絶対値は、ほぼ0になっている。
【0033】
次に、光ファイバ線路13は、光ケーブル10の端部P側から順に、波長範囲Bでの波長分散が負である区間131、正である区間132、及び負である区間133が設けられて形成されている。また、光ファイバ線路14は、端部P側から順に、波長範囲Bでの波長分散が負である区間141、正である区間142、負である区間143、正である区間144及び負である区間145が設けられて形成されている。
【0034】
波長範囲Bでの区間131〜133,141〜145夫々の全長における分散スロープの平均値の絶対値は0.02ps/nm2以下である。
【0035】
また、波長範囲Bの各波長での区間131〜133,141〜145夫々における波長分散値の平均値の絶対値は、ほぼ同じD2である。区間141,145の長手方向の長さは、区間142〜144の長手方向の長さに比べて無視できる程度の長さである。区間131〜133,142〜144の長手方向の長さはほぼ同じである。したがって、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路13の全長における累積波長分散は負であり、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路14の全長における累積波長分散は正である。ただし、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路13,14夫々の全長における累積波長分散の絶対値は1000ps/nm以下である。
【0036】
光ファイバ線路15は、端部P側から順に、波長範囲Bでの波長分散が負である区間151、正である区間152及び負である区間153が設けられて形成されている。光ファイバ線路16は、その全長にわたって波長範囲Bでの波長分散が負である。波長範囲Bでの区間151〜153夫々の全長及び光ファイバ線路16の全長における分散スロープの平均値の絶対値は0.02ps/nm2以下である。
【0037】
また、波長範囲Bでの各区間151〜153及び光ファイバ線路16夫々における波長分散値の平均値の絶対値は、ほぼ同じD3である。区間151,153の長手方向の長さは、区間152の長手方向の長さに比べて無視できるほどの長さである。したがって、光ファイバ線路15は、その全長のほとんどが区間152で構成されており、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路15の全長における累積波長分散は正である。ただし、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路15,16夫々の全長における累積波長分散の絶対値は1000ps/nm以下である。
【0038】
図2は、波長範囲B(波長範囲1460nm〜1625nm)での波長分散が正である区間と負である区間との波長分散特性の一例を示すグラフである。図2における実線Iは、波長範囲Bでの波長分散が負である区間(例えば、区間111)における波長分散特性を示している。実線IIは、波長範囲Bでの波長分散が正である区間(例えば、区間112)における波長分散特性を示している。実線Iと実線IIとにおいて、波長範囲Bにおいて各波長での正の波長分散の値と負の波長分散の値とがほぼ等しくなっている。実線IIIは、実線Iと実線IIとを組み合わせたときの波長分散特性を示している。実線IIIの波長範囲B(波長範囲1460nm〜1625nm)の部分の波長分散値がほぼ0になっていることがわかる。
【0039】
なお、光ファイバ線路11〜16は、一連長で製造されていても良く、また、波長範囲Bでの波長分散が正である光ファイバ線路と負である光ファイバ線路とを直列に接続したものであっても良い。
【0040】
光ファイバ10において、上述した光ファイバ線路11〜16の構成では、任意の2つの光ファイバ線路(例えば、光ファイバ線路12と光ファイバ線路13)を比較すれば、波長範囲Bでの波長分散が正である区間と負である区間との交番回数が異なっている。また、波長範囲Bでの光ファイバ線路11,12の各区間、光ファイバ線路13,14の各区間、並びに、光ファイバ線路15の各区間及び光ファイバ線路16夫々における波長分散値の平均値の絶対値は、D1、D2及びD3のように異なっている。したがって、波長範囲Bでの光ファイバ線路11〜16夫々の長手方向における波長分散の分布は異なっている。
【0041】
上記光ファイバ線路11〜16を有する光ケーブル10には、波長範囲Bでの光ファイバ線路11〜16夫々の長手方向における波長分散の分布を示す標識Mを設けておくことが好適である。図3に標識Mの一例を示す。図3で、例えば、標識Mの位置は、波長範囲Bでの波長分散が正である区間と負である区間との境界位置を示し、矢印αの方向は、光ケーブル10を構成している光ファイバ線路11〜16への推奨すべき信号光の入射方向を示している。また、図3中で「10.2km」という表示は、端部Pからの距離である。標識Mを設ける位置は特に限定されないが、例えば、図1の光ケーブル10の表面であって、端部P側から一定の間隔(例えば、100m毎)で設けておけばよい。このような標識Mを設けておくことにより、光ケーブル10を布設する際に必要な情報をその標識から得ることができる。
【0042】
上記構成の光ケーブル10を複数連結することで光伝送路を形成することができる。そして、複数の光ケーブル10夫々が光ファイバ線路11〜16を有しているので、それらを組み合わせて接続することで分散マネジメントされた光伝送路を形成することが可能である。具体的には、例えば、2つの光ケーブル10を連結して光伝送路とする場合、一方の光ケーブル10の光ファイバ線路13と他方の光ケーブル10の光ファイバ線路14とを接続すれば、波長範囲Bの各波長での光伝送路の全長における累積波長分散の絶対値はほぼ0となる。また、一方の光ケーブル10の光ファイバ線路11と他方の光ケーブル10の光ファイバ線路11とを接続しても、波長範囲Bの各波長での光伝送路の全長における累積波長分散の絶対値はほぼ0になる。
【0043】
ここで、波長範囲Bでの光ファイバ線路11〜16夫々の長手方向における波長分散の分布が異なっていることが重要である。この場合、複数の光ケーブル10を連結した場合、その全長において分散マネジメントされていても、複数の光ケーブル10夫々に含まれる光ファイバ線路11〜16の接続の仕方に応じて伝送ペナルティが異なる光伝送路を実現できる。なお、以上の説明では複数の光ケーブル10を連結して光伝送路としているが、1つの光ケーブル10を光伝送路としても良い。
【0044】
上述した光伝送路の伝送ペナルティが異なる点について、図4、図5及び図6を参照して説明する。図4は、光ファイバ線路11〜16をモデル化した光ファイバ線路Fの模式図である。光ファイバ線路Fは、波長範囲Bでの波長分散の符号が互いに反対であって、波長範囲Bの何れかの特定波長λでの波長分散の絶対値が等しい区間F1と区間F2とが交互に設けられて形成されている。区間F1と区間F2との組み合わせを1スパンとした場合に、光ファイバ線路Fは5スパンから構成されている。この5スパンを1ユニットと称す。図4から理解されるように1ユニットでは、区間F1と区間F2とが9回交番している。なお、1スパンは80kmとする。
【0045】
上記構成では、特定波長λでの1スパンにおける累積波長分散の絶対値は0である。そのため、光ファイバ線路(1ユニット)Fは分散マネジメントされており、それらを複数連結して構成する光伝送路も分散マネジメントされている。
【0046】
図5及び図6は、図4の光ファイバ線路Fから構成される光伝送路の長さと伝送ペナルティとの関係を示したものである。図5の横軸は、図4の光ファイバ線路Fを連結した数であるユニット数を示しており、光伝送路の長さに相当する。縦軸は、図4の光ファイバ線路Fから構成される光伝送路に、特定波長λを有する信号光を入射した場合の伝送ペナルティを示したものである。図5では、信号光の光周波数間隔は100GHzである。図5中の実線I, II, III, IV, V夫々は、特定波長λでの図4の区間F1の波長分散の値をDとしたときに、Dが、8,4,16,−8,−16の場合を示している。
【0047】
図5から理解できるように、分散マネジメントされた光ファイバ線路Fから構成され、その全長において分散マネジメントされた光伝送路であっても、ユニット数(言い換えれば、正と負との交番回数)に応じて伝送ペナルティが変化することが分かる。一方、同じユニット数の場合、区間F1(又は区間F2)の波長分散の値に応じても伝送ペナルティが異なっている。したがって、光ファイバ線路の長手方向における波長分散の分布が異なる場合には、各光ファイバ線路は異なる伝送ペナルティを有する。
【0048】
上述したように光ケーブル10に含まれる光ファイバ線路11〜16は、長手方向における波長範囲Bでの波長分散の分布が異なる。したがって、複数の光ケーブル10を用いて光通信システムを構築する際には、それらの光ケーブル10が有する光ファイバ線路11〜16を組み合わせることにより伝送ペナルティを最小とする光伝送路を形成できる。
【0049】
また、図6の横軸はユニット数を示し、縦軸は伝送ペナルティを示している。図6中の実線I, II, III, IV夫々は、特定波長λでの図4の区間F1の波長分散の値をDとしたときに、Dが8,16,−8,−16である場合を示したものである。図6では、信号光の光周波数間隔は50GHzである。ユニット数が1の場合の実線Iと実線IIIと(または、実線IIと実線IVと)を比較すれば理解できるように、区間F1が負である場合の伝送ペナルティは、区間F1の波長分散が正である場合に比べて小さいことが理解できる。即ち、伝送ペナルティを小さくするには、信号光を、その信号光の波長範囲での波長分散が負である区間に入射することが好適であることが分かる。なお、上述した光ケーブル10を構成している光ファイバ線路11〜16夫々の両端部は、波長範囲Bでの波長分散が負となっているので、どちらの端部から入射しても伝送ペナルティを低減させることができる。
【0050】
次に、上述した光ケーブル10を光伝送路に用いた光通信システム1Aについて説明する。図7は、光通信システム1Aの概略構成図である。光通信システム1Aは、送信局2、受信局3、及び、送信局2と受信局3との間に設けられた光伝送路4を含んで構成されている。
【0051】
送信局2は、波長範囲B(波長範囲1460nm〜1625nm)内の多波長λ1〜λNの信号光を光伝送路4に出力する。光伝送路4は、送信局2が出力した多波長λ1〜λNの信号光を受信局3に伝送する。即ち、光通信システム1Aは、波長多重分割通信システムである。
【0052】
光伝送路4は、2つの中継局40a,40b、送信局2と中継局40aとの間に設けられた光伝送路41、中継局40a,40b間に設けられた光伝送路42、及び、中継局40bと受信局3との間に設けられた光伝送路43を含んで構成される。
【0053】
光伝送路41は、例えば、波長範囲Bの各波長で単一モードである1本の光ファイバ線路又は複数の光ファイバ線路から構成された光ケーブルとすれば良い。光伝送路41は、送信局2が光伝送路4に出力した多波長λ1〜λNの信号光を中継局40aに伝送する。
【0054】
中継局40aは光増幅器400aを有している。中継局40aは、光伝送路41を伝送してきた信号光を光増幅器400aで増幅させ、その増幅された信号光を光伝送路42に入射させる。
【0055】
光伝送路42は、図1の光ケーブル10と同じ構成の光ケーブル10a,10bが連結されたものである。波長範囲Bの各波長での光伝送路42の全長における累積波長分散の絶対値は、1000ps/nm以下である。光伝送路42は、光伝送路4の伝送ペナルティが最小になるように光ケーブル10aの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つと、光ケーブル10bの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つとが、例えば、融着接続されて形成されている。なお、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16の両端部のモードフィールド径は全てほぼ同じであるので、光ケーブル10aの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つと、光ケーブル10bの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つとを接続しても接続損失は低減されている。ここでは、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路11同士が接続されているものとする。
【0056】
光通信システム1Aにおいて、中継局40aは、光ケーブル10aの光ファイバ線路11に信号光を入射させる。そして、光ケーブル10aに含まれる光ファイバ線路11及び光ケーブル10bに含まれている光ファイバ線路11が信号光を中継局40bに伝送する。
【0057】
中継局40bは、信号光を増幅する光増幅器400bを有している。中継局40bは、光ケーブル10bの光ファイバ線路11が伝送してきた信号光を光増幅器400bで増幅させて、その増幅された信号光を光伝送路43に入射させる。
【0058】
光伝送路43は、例えば、波長範囲Bの各波長で単一モードである1本の光ファイバ線路又は複数の光ファイバ線路から構成された光ケーブルとすれば良い。
【0059】
上記光通信システム1Aでは、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路11同士を接続しているが、これは、光伝送路4において、波長範囲Bでの長手方向における波長分散の分布を考慮して、波長範囲Bの各波長での光伝送路4の全長における伝送ペナルティが最小となるように決定されるものである。そのため、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路11同士を接続する場合に限られない。
【0060】
例えば、波長範囲Bの各波長で光伝送路41,43夫々が分散マネジメントされており、波長範囲Bの各波長での光伝送路41,43夫々の全長における累積波長分散の絶対値がほぼ0に近い場合には、上述したように光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路11同士、又は、光ファイバ線路12同士を接続すれば良い。
【0061】
また、波長範囲Bの各波長での光伝送路41,43夫々の全長における累積波長分散が正又は負になっている場合には、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路13及び光ファイバ線路14を組み合わせて接続し、光伝送路4の伝送ペナルティが最小になるようにすれば良い。
【0062】
更に、波長範囲Bの各波長での光伝送路41,43夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下である場合には、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路15,16を組み合わせることも可能である。この場合には、中継局40a,40b間の距離も考慮して波長範囲Bの各波長での光伝送路4全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であって、光伝送路4の伝送ペナルティが最小になるようにする。
【0063】
なお、上記光通信システム1Aでは、中継局40aからの信号光は、光ファイバ線路11に入射されるが、光ファイバ線路11の両端部は、波長範囲Bでの波長分散が負である。この場合、図6を参照して説明したように、伝送ペナルティが、波長範囲Bでの波長分散が正である区間に信号光が入射される場合に比べて抑制される。
【0064】
図8は、図7の光通信システム1Aにおいて、通信経路を変更した新たな光通信システム1Bの模式図である。図8中の2点鎖線は、通信経路が変更になる前の光通信システム1Aの一部を示している。
【0065】
光通信システム1Bは、送信局2、光伝送路5及び受信局3を含んで構成される。光伝送路5は、光伝送路50,光ケーブル10b、中継局40b及び光伝送路43を有する。光伝送路50は、波長範囲Bの各波長で単一モードである1本の光ファイバ線路又は複数の光ファイバ線路からなる光ケーブルとすれば良い。
【0066】
光通信システム1Bでは、光伝送路50を構成する光ファイバ線路と、光ケーブル10bの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つとを、例えば、融着接続する。この場合、波長範囲Bの各波長での光伝送路5の全長における伝送ペナルティが最小となるように、光伝送路50を構成する光ファイバ線路と、光ケーブル10bの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つとを接続すれば良い。ここでは、例えば、光ケーブル10bの光ファイバ線路13と、光伝送路50を構成する光ファイバ線路とを接続するものとする。
【0067】
上記構成の光通信システム1Bでは、送信局2は、多波長λ1〜λNの信号光を光伝送路50に出力する。光伝送路50は、送信局2が出力した信号光を光ケーブル10bに伝送する。光ケーブル10bの光ファイバ線路13は、光伝送路50が伝送してきた信号光を中継局40bに伝送する。中継局40bは、光ファイバ線路13が伝送してきた信号光を光増幅器400bに増幅させ、その増幅された信号光を光伝送路43に入射させる。光伝送路43は、中継局40bが入射させた信号光を受信局3に伝送する。
【0068】
光ケーブル10bは、その長手方向における波長範囲Bでの波長分散の分布が異なっている光ファイバ線路11〜16を有している。そのため、既に布設されている光ケーブル10bを用いて光通信システム1Bの光伝送路5を構成しても、光通信システム1Bに最適な光伝送特性の光伝送路を構成できる光ファイバ線路を光ファイバ線路11〜16から選択することが可能である。
【0069】
したがって、光通信システム1Aから光通信システム1Bにシステムを変更した場合でも、光通信システム1Bに適した光伝送特性を有する光伝送路を構築するために、既に布設されている光ケーブルを利用しやすくなっている。そのため、光通信システムの維持・管理などを考慮した総コストを低減することができる。したがって、上記光ケーブル10a,10bを用いた光通信システム1A(1B)は、光通信システム1A(1B)の通信経路変更が生じやすいメトロ系の通信システムなどに好適である。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、光伝送路42を2つの光ケーブル10a,10bから構成しているが、必ずしも2つに限る必要はない。1つの光ケーブル10から構成しても良いし、3つ以上の光ケーブル10を連結して構成しても良い。
【0071】
また、上記実施形態では、光ケーブル10が6本の光ファイバ線路11〜16を有しているが、特に6本に限る必要は無い。光ケーブル10が有する光ファイバ線路の数が多く、特定波長λでの各光ファイバ線路の長手方向における波長分散の分布が異なれば、光通信システムを設計する場合の自由度が増えるので好適である。また、上記光通信システム1A(又は1B)では、一方向のみの通信を想定しているが、双方向通信としても良い。
【0072】
更に、6本の光ファイバ線路11〜16のうち、5本の光ファイバ線路11〜15を、波長範囲Bでの波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けて形成されているとしているが、この場合に限らない。光ケーブル10が有する複数の光ファイバ線路のうちの少なくとも一本が、波長範囲Bでの何れかの特定波長λでの波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されており、他の光ファイバ線路の何れかと長手方向における特定波長λでの波長分散の分布が異なっていれば良い。
【0073】
更に、光通信システム1A(又は1B)では、波長範囲Bの各波長での光伝送路4(又は5)の全長における累積波長分散の絶対値は、1000ps/nm以下ならば良い。そして、波長範囲Bでの光伝送路4(又は5)における累積波長分散の絶対値を1000ps/nm以下となるように、光ケーブル10a,10bの光ファイバ線路11〜16を選択し、組み合わせればよい。
【0074】
更にまた、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16の両端部における波長分散を負としているが、波長範囲Bの何れかの特定波長λでの光ファイバ線路11〜16のうちの少なくとも1本の光ファイバ線路の一方の端部で波長分散が負となっていればよい。
【0075】
なお、光ケーブル10a,10b夫々が有する光ファイバ線路11を接続する場合に融着接続としたが、融着接続に限らない。例えば、光ケーブル10a,10b間にスイッチング素子を設け、光ケーブル10aの光ファイバ線路11を伝送してくる信号光を、スイッチング素子を介して光ケーブル10bの光ファイバ線路11に入射させても良い。
【0076】
また、光通信システム1A,1Bの構成要素の特性を、波長範囲Bの各波長に対して規定しているが、波長範囲B内の信号光の波長範囲の各波長に対して同様に規定されていれば良い。
【0077】
【発明の効果】
本発明に係る光ケーブルは、波長分割多重光通信システムに好適に用いられ、システム変更が生じても変更されたシステムに適した光伝送特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ケーブルの一実施形態の構成を示す模式図である。
【図2】波長範囲1460nm〜1625nmでの波長分散が正である区間及び負である区間の波長分散特性の一例を示すグラフである。
【図3】光ケーブルに設ける標識の一例を示す図である。
【図4】光ファイバ線路の模式図である。
【図5】ユニット数と伝送ペナルティとの関係を示すグラフである。
【図6】ユニット数と伝送ペナルティとの関係を示すグラフである。
【図7】図1の光ケーブルを用いた光通信システムの概略構成図である。
【図8】図7の光通信システムの通信経路を変更した場合の光通信システムの概略構成図である。
【符号の説明】
1A,1B…光通信システム、2…送信局、3…受信局、4,5…光伝送路、10,10a,10b…光ケーブル、11〜16…光ファイバ線路、111,121,123,131,133,141,143,145,151,153…波長分散が負である区間、112,122,132,142,144,151,152…波長分散が正である区間、40a,40b…中継局、41〜43…光伝送路、M…標識、F…光ファイバ線路
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ケーブル、光伝送路及び光通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
波長が異なる複数の信号光を多重化して伝送する通信システムは、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing : WDM)通信システムと呼ばれる。このWDM通信システムでは、多波長の信号光を伝送する光伝送路において、信号光の波長範囲での光伝送路全長の累積波長分散の絶対値が大きくなれば、累積波長分散の影響で信号光の伝送品質が劣化する。そのため、信号光の波長範囲での光伝送路全長の累積波長分散の絶対値が小さいことが望まれている。一方、信号光の波長範囲での光伝送路の各位置における波長分散の絶対値が小さいと、非線形光学現象の1つである四光波混合が発生しやすくなる。そして、四光波混合の影響で信号光の伝送品質が劣化する場合がある。
【0003】
上述した累積波長分散及び非線形光学現象による信号光の伝送品質の劣化を共に抑制するために、信号光の波長範囲での波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられている光ファイバ線路から構成された光伝送路が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このような光伝送路は、信号光の波長範囲での光伝送路全長における累積波長分散の絶対値が小さくなるように分散マネジメントされている。そのため、累積波長分散の影響による信号光の伝送品質の劣化が低減されている。また、信号光の波長範囲での光伝送路の各位置での波長分散の絶対値が比較的大きいので、非線形光学現象が生じることが抑制されている。そのため、非線形光学現象による信号光の伝送品質の劣化を低減できる。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−62639号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−91761号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光通信システムを構築する際には、構築すべきシステムに最適な光伝送特性を有するように設計された光伝送路が用いられる。このような光伝送路は、その全長において適切に分散マネジメントされ、伝送ペナルティが小さい光ファイバ線路から構成される。
【0007】
しかしながら、光通信システムを構築したときには最適な光伝送路であったとしても、その光通信システムに合わせて設計されているので、通信経路変更などが生じると光伝送路の光伝送特性が変わる場合があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、波長分割多重光通信システムに好適に用いられ、システム変更が生じても変更されたシステムに適した光伝送特性を実現可能な光ケーブル、光伝送路及び光通信システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る光ケーブルは、複数の光ファイバ線路が並列された光ケーブルであって、複数の光ファイバ線路のうちの第1の光ファイバ線路及び第2の光ファイバ線路のうちの少なくとも一方が、波長範囲1460nm〜1625nmのうちの何れかの特定波長での波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されており、第1の光ファイバ線路と第2の光ファイバ線路とにおいて、長手方向における特定波長での波長分散の分布が互いに異なることを特徴とする。
【0010】
上記構成では、光ケーブルが有する複数の光ファイバ線路のうち少なくとも第1の光ファイバ線路と第2の光ファイバ線路とは異なる光伝送特性を有する。そのため、光ケーブルを光通信システムに用いた場合に、より適した光伝送特性を有する光ファイバ線路を選択することができる。
【0011】
また、本発明に係る光ケーブルにおいては、上記波長範囲での複数の光ファイバ線路夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることが好適である。10Gb/sの信号光を伝送する場合には、一般に、信号光の波長範囲の各波長での光伝送路全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることが必要であるとされている。したがって、上記構成により、10Gb/sの信号光を伝送することが可能な光ケーブルとすることができる。
【0012】
更に、本発明に係る光ケーブルにおいては、上記波長範囲での複数の光ファイバ線路夫々の全長における分散スロープの平均値の絶対値が0.04ps/nm2以下であることが好適である。
【0013】
更にまた、本発明に係る光ケーブルにおいては、特定波長での複数の光ファイバ線路夫々の波長分散の絶対値が20ps/nm/km以下であることが好適である。
【0014】
また、本発明に係る光ケーブルにおいては、特定波長での複数の光ファイバ線路夫々の長手方向における波長分散の分布を示す標識が設けられていることが望ましい。この標識により光ケーブルを布設する際に必要な情報を得ることができる。特定波長での複数の光ファイバ線路夫々の長手方向における波長分散の分布を示す情報としては、例えば、特定波長での波長分散が正である区間と負である区間との交番回数や、各区間の波長分散の絶対値の平均値などである。
【0015】
更に、本発明に係る光ケーブルにおいては、特定波長での複数の光ファイバ線路夫々の両端部におけるモードフィールド径が全て略同一であることが好ましい。これにより、光ケーブル同士を接続して光通信システムに用いた場合でも、光ケーブル同士を接続したことによる信号光の伝送損失を低減することができる。
【0016】
また、本発明に係る光伝送路は、本発明に係る光ケーブルを含んで構成される。この場合、光ケーブルが、光伝送特性の異なる第1の光ファイバ線路と第2の光ファイバ線路とを有しているので、それらを適切に選択することで、光通信システムに、より適した光伝送路とすることができる。
【0017】
更に、本発明に係る光通信システムは、上記波長範囲内の多波長の信号光を本発明に係る光伝送路で伝送することを特徴とする。これにより、信号光を、光通信システムに適した光伝送特性を有する光伝送路で伝送することができる。
【0018】
また、本発明に係る光通信システムにおいては、特定波長での複数の光ファイバ線路のうちの少なくとも1つの光ファイバ線路の一方の端部の波長分散が負であり、信号光を一方の端部に入射することが好適である。
【0019】
更に、本発明に係る光通信システムにおいては、本発明に係る光伝送路が中継局間に配置されていることが望ましい。これにより、光伝送路を構成している光ケーブルに含まれている複数の光ファイバ線路から光ファイバ線路を選択することで、中継局間の光伝送特性を調整することができる。
【0020】
更にまた、本発明に係る光通信システムにおいては、上記波長範囲での複数の光ファイバ線路夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることが好適である。この場合、光通信システムで、10Gb/sの信号光を好適に伝送することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。なお、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0022】
図1は、本実施形態に係る光ケーブル10の模式図である。図1に示すように、光ケーブル10は6本の光ファイバ線路11〜16を有する。
【0023】
光ファイバ線路11〜15は、波長範囲1460nm〜1625nmの何れかの特定波長λ、好ましくは波長範囲1530nm〜1625nm、更に好ましくは波長範囲1460nm〜1625nmでの波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されている。以下の説明では、波長範囲1530nm〜1625nmを波長範囲Aと称し、波長範囲1460nm〜1625nmを波長範囲Bと称す。
【0024】
光ファイバ線路16は、その全長にわたって特定波長λ、好ましくは波長範囲A、更に好ましくは波長範囲Bでの波長分散が負となっている。
【0025】
また、光ファイバ線路11〜16のうちの任意の2つの光ファイバ線路(例えば、第1の光ファイバ線路として光ファイバ線路11、第2の光ファイバ線路として光ファイバ線路16)を選択した場合、それらの光ファイバ線路の長手方向における特定波長λ、好ましくは波長範囲A、更に好ましくは波長範囲Bでの波長分散の分布が相違している。
【0026】
更に、特定波長λ、好ましくは波長範囲Aの各波長、更に好ましくは波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16の両端部におけるモードフィールド径もほぼ同じ値であることが好適である。これにより、2つの光ケーブル10を接続しても接続部分でのモードフィールド径のずれを抑制できるからである。
【0027】
また、波長範囲Bでの光ファイバ線路11〜16の全長における分散スロープの平均値の絶対値が0.04ps/nm2以下、更に好ましくは0.02ps/nm2以下であることが好適である。更に、波長範囲Bでの何れかの特定波長λ、好ましくは波長範囲Aの各波長、更に好ましくは波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16の各位置における波長分散の絶対値が20ps/nm/km以下であることが好適である。
【0028】
更に、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることが好適である。10Gb/sで信号光を伝送する際に、信号光の波長範囲での光伝送路の全長における累積波長分散が1000ps/nm以下であることが要求されるからである。
【0029】
光ファイバ線路11〜16夫々の構成についてより詳細に説明する。光ファイバ線路11〜16は、上述したような特性を有していれば良いが、以下では、上記特性のうち最も好ましい特性を有した形態について説明する。図1中、太い実線は波長範囲Bでの波長分散が正である区間を示し、細い実線は波長範囲Bでの波長分散が負である区間を示す。各区間を区別するために線の太さを変えているが、これは説明の便宜上のためであり、光ファイバ線路の外径は長手方向に一定となっている。
【0030】
光ファイバ線路11は、光ケーブル10の一方の端部P側から順に、波長範囲B(波長範囲1460nm〜1625nm)での波長分散が負である区間111、正である区間112及び負である区間113が設けられて形成されている。また、光ファイバ線路12は、端部P側から順に、波長範囲Bでの波長分散が負である区間121、正である区間122及び負である区間123が設けられて形成されている。
【0031】
波長範囲Bでの区間111〜113,121〜123夫々の全長における分散スロープの平均値の絶対値は0.02ps/nm2以下である。
【0032】
また、波長範囲Bの各波長での区間111〜113,121〜123夫々における波長分散値の平均値の絶対値は、ほぼ同じD1である。区間113,121の長手方向の長さは、区間111,112,122,123の長手方向の長さに比べて無視できる程度の長さである。更に、区間111,112,122,123の長手方向の長さは、ほぼ同じである。したがって、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11,12夫々の全長における累積波長分散の絶対値は、ほぼ0になっている。
【0033】
次に、光ファイバ線路13は、光ケーブル10の端部P側から順に、波長範囲Bでの波長分散が負である区間131、正である区間132、及び負である区間133が設けられて形成されている。また、光ファイバ線路14は、端部P側から順に、波長範囲Bでの波長分散が負である区間141、正である区間142、負である区間143、正である区間144及び負である区間145が設けられて形成されている。
【0034】
波長範囲Bでの区間131〜133,141〜145夫々の全長における分散スロープの平均値の絶対値は0.02ps/nm2以下である。
【0035】
また、波長範囲Bの各波長での区間131〜133,141〜145夫々における波長分散値の平均値の絶対値は、ほぼ同じD2である。区間141,145の長手方向の長さは、区間142〜144の長手方向の長さに比べて無視できる程度の長さである。区間131〜133,142〜144の長手方向の長さはほぼ同じである。したがって、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路13の全長における累積波長分散は負であり、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路14の全長における累積波長分散は正である。ただし、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路13,14夫々の全長における累積波長分散の絶対値は1000ps/nm以下である。
【0036】
光ファイバ線路15は、端部P側から順に、波長範囲Bでの波長分散が負である区間151、正である区間152及び負である区間153が設けられて形成されている。光ファイバ線路16は、その全長にわたって波長範囲Bでの波長分散が負である。波長範囲Bでの区間151〜153夫々の全長及び光ファイバ線路16の全長における分散スロープの平均値の絶対値は0.02ps/nm2以下である。
【0037】
また、波長範囲Bでの各区間151〜153及び光ファイバ線路16夫々における波長分散値の平均値の絶対値は、ほぼ同じD3である。区間151,153の長手方向の長さは、区間152の長手方向の長さに比べて無視できるほどの長さである。したがって、光ファイバ線路15は、その全長のほとんどが区間152で構成されており、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路15の全長における累積波長分散は正である。ただし、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路15,16夫々の全長における累積波長分散の絶対値は1000ps/nm以下である。
【0038】
図2は、波長範囲B(波長範囲1460nm〜1625nm)での波長分散が正である区間と負である区間との波長分散特性の一例を示すグラフである。図2における実線Iは、波長範囲Bでの波長分散が負である区間(例えば、区間111)における波長分散特性を示している。実線IIは、波長範囲Bでの波長分散が正である区間(例えば、区間112)における波長分散特性を示している。実線Iと実線IIとにおいて、波長範囲Bにおいて各波長での正の波長分散の値と負の波長分散の値とがほぼ等しくなっている。実線IIIは、実線Iと実線IIとを組み合わせたときの波長分散特性を示している。実線IIIの波長範囲B(波長範囲1460nm〜1625nm)の部分の波長分散値がほぼ0になっていることがわかる。
【0039】
なお、光ファイバ線路11〜16は、一連長で製造されていても良く、また、波長範囲Bでの波長分散が正である光ファイバ線路と負である光ファイバ線路とを直列に接続したものであっても良い。
【0040】
光ファイバ10において、上述した光ファイバ線路11〜16の構成では、任意の2つの光ファイバ線路(例えば、光ファイバ線路12と光ファイバ線路13)を比較すれば、波長範囲Bでの波長分散が正である区間と負である区間との交番回数が異なっている。また、波長範囲Bでの光ファイバ線路11,12の各区間、光ファイバ線路13,14の各区間、並びに、光ファイバ線路15の各区間及び光ファイバ線路16夫々における波長分散値の平均値の絶対値は、D1、D2及びD3のように異なっている。したがって、波長範囲Bでの光ファイバ線路11〜16夫々の長手方向における波長分散の分布は異なっている。
【0041】
上記光ファイバ線路11〜16を有する光ケーブル10には、波長範囲Bでの光ファイバ線路11〜16夫々の長手方向における波長分散の分布を示す標識Mを設けておくことが好適である。図3に標識Mの一例を示す。図3で、例えば、標識Mの位置は、波長範囲Bでの波長分散が正である区間と負である区間との境界位置を示し、矢印αの方向は、光ケーブル10を構成している光ファイバ線路11〜16への推奨すべき信号光の入射方向を示している。また、図3中で「10.2km」という表示は、端部Pからの距離である。標識Mを設ける位置は特に限定されないが、例えば、図1の光ケーブル10の表面であって、端部P側から一定の間隔(例えば、100m毎)で設けておけばよい。このような標識Mを設けておくことにより、光ケーブル10を布設する際に必要な情報をその標識から得ることができる。
【0042】
上記構成の光ケーブル10を複数連結することで光伝送路を形成することができる。そして、複数の光ケーブル10夫々が光ファイバ線路11〜16を有しているので、それらを組み合わせて接続することで分散マネジメントされた光伝送路を形成することが可能である。具体的には、例えば、2つの光ケーブル10を連結して光伝送路とする場合、一方の光ケーブル10の光ファイバ線路13と他方の光ケーブル10の光ファイバ線路14とを接続すれば、波長範囲Bの各波長での光伝送路の全長における累積波長分散の絶対値はほぼ0となる。また、一方の光ケーブル10の光ファイバ線路11と他方の光ケーブル10の光ファイバ線路11とを接続しても、波長範囲Bの各波長での光伝送路の全長における累積波長分散の絶対値はほぼ0になる。
【0043】
ここで、波長範囲Bでの光ファイバ線路11〜16夫々の長手方向における波長分散の分布が異なっていることが重要である。この場合、複数の光ケーブル10を連結した場合、その全長において分散マネジメントされていても、複数の光ケーブル10夫々に含まれる光ファイバ線路11〜16の接続の仕方に応じて伝送ペナルティが異なる光伝送路を実現できる。なお、以上の説明では複数の光ケーブル10を連結して光伝送路としているが、1つの光ケーブル10を光伝送路としても良い。
【0044】
上述した光伝送路の伝送ペナルティが異なる点について、図4、図5及び図6を参照して説明する。図4は、光ファイバ線路11〜16をモデル化した光ファイバ線路Fの模式図である。光ファイバ線路Fは、波長範囲Bでの波長分散の符号が互いに反対であって、波長範囲Bの何れかの特定波長λでの波長分散の絶対値が等しい区間F1と区間F2とが交互に設けられて形成されている。区間F1と区間F2との組み合わせを1スパンとした場合に、光ファイバ線路Fは5スパンから構成されている。この5スパンを1ユニットと称す。図4から理解されるように1ユニットでは、区間F1と区間F2とが9回交番している。なお、1スパンは80kmとする。
【0045】
上記構成では、特定波長λでの1スパンにおける累積波長分散の絶対値は0である。そのため、光ファイバ線路(1ユニット)Fは分散マネジメントされており、それらを複数連結して構成する光伝送路も分散マネジメントされている。
【0046】
図5及び図6は、図4の光ファイバ線路Fから構成される光伝送路の長さと伝送ペナルティとの関係を示したものである。図5の横軸は、図4の光ファイバ線路Fを連結した数であるユニット数を示しており、光伝送路の長さに相当する。縦軸は、図4の光ファイバ線路Fから構成される光伝送路に、特定波長λを有する信号光を入射した場合の伝送ペナルティを示したものである。図5では、信号光の光周波数間隔は100GHzである。図5中の実線I, II, III, IV, V夫々は、特定波長λでの図4の区間F1の波長分散の値をDとしたときに、Dが、8,4,16,−8,−16の場合を示している。
【0047】
図5から理解できるように、分散マネジメントされた光ファイバ線路Fから構成され、その全長において分散マネジメントされた光伝送路であっても、ユニット数(言い換えれば、正と負との交番回数)に応じて伝送ペナルティが変化することが分かる。一方、同じユニット数の場合、区間F1(又は区間F2)の波長分散の値に応じても伝送ペナルティが異なっている。したがって、光ファイバ線路の長手方向における波長分散の分布が異なる場合には、各光ファイバ線路は異なる伝送ペナルティを有する。
【0048】
上述したように光ケーブル10に含まれる光ファイバ線路11〜16は、長手方向における波長範囲Bでの波長分散の分布が異なる。したがって、複数の光ケーブル10を用いて光通信システムを構築する際には、それらの光ケーブル10が有する光ファイバ線路11〜16を組み合わせることにより伝送ペナルティを最小とする光伝送路を形成できる。
【0049】
また、図6の横軸はユニット数を示し、縦軸は伝送ペナルティを示している。図6中の実線I, II, III, IV夫々は、特定波長λでの図4の区間F1の波長分散の値をDとしたときに、Dが8,16,−8,−16である場合を示したものである。図6では、信号光の光周波数間隔は50GHzである。ユニット数が1の場合の実線Iと実線IIIと(または、実線IIと実線IVと)を比較すれば理解できるように、区間F1が負である場合の伝送ペナルティは、区間F1の波長分散が正である場合に比べて小さいことが理解できる。即ち、伝送ペナルティを小さくするには、信号光を、その信号光の波長範囲での波長分散が負である区間に入射することが好適であることが分かる。なお、上述した光ケーブル10を構成している光ファイバ線路11〜16夫々の両端部は、波長範囲Bでの波長分散が負となっているので、どちらの端部から入射しても伝送ペナルティを低減させることができる。
【0050】
次に、上述した光ケーブル10を光伝送路に用いた光通信システム1Aについて説明する。図7は、光通信システム1Aの概略構成図である。光通信システム1Aは、送信局2、受信局3、及び、送信局2と受信局3との間に設けられた光伝送路4を含んで構成されている。
【0051】
送信局2は、波長範囲B(波長範囲1460nm〜1625nm)内の多波長λ1〜λNの信号光を光伝送路4に出力する。光伝送路4は、送信局2が出力した多波長λ1〜λNの信号光を受信局3に伝送する。即ち、光通信システム1Aは、波長多重分割通信システムである。
【0052】
光伝送路4は、2つの中継局40a,40b、送信局2と中継局40aとの間に設けられた光伝送路41、中継局40a,40b間に設けられた光伝送路42、及び、中継局40bと受信局3との間に設けられた光伝送路43を含んで構成される。
【0053】
光伝送路41は、例えば、波長範囲Bの各波長で単一モードである1本の光ファイバ線路又は複数の光ファイバ線路から構成された光ケーブルとすれば良い。光伝送路41は、送信局2が光伝送路4に出力した多波長λ1〜λNの信号光を中継局40aに伝送する。
【0054】
中継局40aは光増幅器400aを有している。中継局40aは、光伝送路41を伝送してきた信号光を光増幅器400aで増幅させ、その増幅された信号光を光伝送路42に入射させる。
【0055】
光伝送路42は、図1の光ケーブル10と同じ構成の光ケーブル10a,10bが連結されたものである。波長範囲Bの各波長での光伝送路42の全長における累積波長分散の絶対値は、1000ps/nm以下である。光伝送路42は、光伝送路4の伝送ペナルティが最小になるように光ケーブル10aの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つと、光ケーブル10bの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つとが、例えば、融着接続されて形成されている。なお、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16の両端部のモードフィールド径は全てほぼ同じであるので、光ケーブル10aの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つと、光ケーブル10bの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つとを接続しても接続損失は低減されている。ここでは、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路11同士が接続されているものとする。
【0056】
光通信システム1Aにおいて、中継局40aは、光ケーブル10aの光ファイバ線路11に信号光を入射させる。そして、光ケーブル10aに含まれる光ファイバ線路11及び光ケーブル10bに含まれている光ファイバ線路11が信号光を中継局40bに伝送する。
【0057】
中継局40bは、信号光を増幅する光増幅器400bを有している。中継局40bは、光ケーブル10bの光ファイバ線路11が伝送してきた信号光を光増幅器400bで増幅させて、その増幅された信号光を光伝送路43に入射させる。
【0058】
光伝送路43は、例えば、波長範囲Bの各波長で単一モードである1本の光ファイバ線路又は複数の光ファイバ線路から構成された光ケーブルとすれば良い。
【0059】
上記光通信システム1Aでは、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路11同士を接続しているが、これは、光伝送路4において、波長範囲Bでの長手方向における波長分散の分布を考慮して、波長範囲Bの各波長での光伝送路4の全長における伝送ペナルティが最小となるように決定されるものである。そのため、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路11同士を接続する場合に限られない。
【0060】
例えば、波長範囲Bの各波長で光伝送路41,43夫々が分散マネジメントされており、波長範囲Bの各波長での光伝送路41,43夫々の全長における累積波長分散の絶対値がほぼ0に近い場合には、上述したように光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路11同士、又は、光ファイバ線路12同士を接続すれば良い。
【0061】
また、波長範囲Bの各波長での光伝送路41,43夫々の全長における累積波長分散が正又は負になっている場合には、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路13及び光ファイバ線路14を組み合わせて接続し、光伝送路4の伝送ペナルティが最小になるようにすれば良い。
【0062】
更に、波長範囲Bの各波長での光伝送路41,43夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下である場合には、光ケーブル10a,10b夫々に含まれる光ファイバ線路15,16を組み合わせることも可能である。この場合には、中継局40a,40b間の距離も考慮して波長範囲Bの各波長での光伝送路4全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であって、光伝送路4の伝送ペナルティが最小になるようにする。
【0063】
なお、上記光通信システム1Aでは、中継局40aからの信号光は、光ファイバ線路11に入射されるが、光ファイバ線路11の両端部は、波長範囲Bでの波長分散が負である。この場合、図6を参照して説明したように、伝送ペナルティが、波長範囲Bでの波長分散が正である区間に信号光が入射される場合に比べて抑制される。
【0064】
図8は、図7の光通信システム1Aにおいて、通信経路を変更した新たな光通信システム1Bの模式図である。図8中の2点鎖線は、通信経路が変更になる前の光通信システム1Aの一部を示している。
【0065】
光通信システム1Bは、送信局2、光伝送路5及び受信局3を含んで構成される。光伝送路5は、光伝送路50,光ケーブル10b、中継局40b及び光伝送路43を有する。光伝送路50は、波長範囲Bの各波長で単一モードである1本の光ファイバ線路又は複数の光ファイバ線路からなる光ケーブルとすれば良い。
【0066】
光通信システム1Bでは、光伝送路50を構成する光ファイバ線路と、光ケーブル10bの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つとを、例えば、融着接続する。この場合、波長範囲Bの各波長での光伝送路5の全長における伝送ペナルティが最小となるように、光伝送路50を構成する光ファイバ線路と、光ケーブル10bの光ファイバ線路11〜16のうちの何れか1つとを接続すれば良い。ここでは、例えば、光ケーブル10bの光ファイバ線路13と、光伝送路50を構成する光ファイバ線路とを接続するものとする。
【0067】
上記構成の光通信システム1Bでは、送信局2は、多波長λ1〜λNの信号光を光伝送路50に出力する。光伝送路50は、送信局2が出力した信号光を光ケーブル10bに伝送する。光ケーブル10bの光ファイバ線路13は、光伝送路50が伝送してきた信号光を中継局40bに伝送する。中継局40bは、光ファイバ線路13が伝送してきた信号光を光増幅器400bに増幅させ、その増幅された信号光を光伝送路43に入射させる。光伝送路43は、中継局40bが入射させた信号光を受信局3に伝送する。
【0068】
光ケーブル10bは、その長手方向における波長範囲Bでの波長分散の分布が異なっている光ファイバ線路11〜16を有している。そのため、既に布設されている光ケーブル10bを用いて光通信システム1Bの光伝送路5を構成しても、光通信システム1Bに最適な光伝送特性の光伝送路を構成できる光ファイバ線路を光ファイバ線路11〜16から選択することが可能である。
【0069】
したがって、光通信システム1Aから光通信システム1Bにシステムを変更した場合でも、光通信システム1Bに適した光伝送特性を有する光伝送路を構築するために、既に布設されている光ケーブルを利用しやすくなっている。そのため、光通信システムの維持・管理などを考慮した総コストを低減することができる。したがって、上記光ケーブル10a,10bを用いた光通信システム1A(1B)は、光通信システム1A(1B)の通信経路変更が生じやすいメトロ系の通信システムなどに好適である。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、光伝送路42を2つの光ケーブル10a,10bから構成しているが、必ずしも2つに限る必要はない。1つの光ケーブル10から構成しても良いし、3つ以上の光ケーブル10を連結して構成しても良い。
【0071】
また、上記実施形態では、光ケーブル10が6本の光ファイバ線路11〜16を有しているが、特に6本に限る必要は無い。光ケーブル10が有する光ファイバ線路の数が多く、特定波長λでの各光ファイバ線路の長手方向における波長分散の分布が異なれば、光通信システムを設計する場合の自由度が増えるので好適である。また、上記光通信システム1A(又は1B)では、一方向のみの通信を想定しているが、双方向通信としても良い。
【0072】
更に、6本の光ファイバ線路11〜16のうち、5本の光ファイバ線路11〜15を、波長範囲Bでの波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けて形成されているとしているが、この場合に限らない。光ケーブル10が有する複数の光ファイバ線路のうちの少なくとも一本が、波長範囲Bでの何れかの特定波長λでの波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されており、他の光ファイバ線路の何れかと長手方向における特定波長λでの波長分散の分布が異なっていれば良い。
【0073】
更に、光通信システム1A(又は1B)では、波長範囲Bの各波長での光伝送路4(又は5)の全長における累積波長分散の絶対値は、1000ps/nm以下ならば良い。そして、波長範囲Bでの光伝送路4(又は5)における累積波長分散の絶対値を1000ps/nm以下となるように、光ケーブル10a,10bの光ファイバ線路11〜16を選択し、組み合わせればよい。
【0074】
更にまた、波長範囲Bの各波長での光ファイバ線路11〜16の両端部における波長分散を負としているが、波長範囲Bの何れかの特定波長λでの光ファイバ線路11〜16のうちの少なくとも1本の光ファイバ線路の一方の端部で波長分散が負となっていればよい。
【0075】
なお、光ケーブル10a,10b夫々が有する光ファイバ線路11を接続する場合に融着接続としたが、融着接続に限らない。例えば、光ケーブル10a,10b間にスイッチング素子を設け、光ケーブル10aの光ファイバ線路11を伝送してくる信号光を、スイッチング素子を介して光ケーブル10bの光ファイバ線路11に入射させても良い。
【0076】
また、光通信システム1A,1Bの構成要素の特性を、波長範囲Bの各波長に対して規定しているが、波長範囲B内の信号光の波長範囲の各波長に対して同様に規定されていれば良い。
【0077】
【発明の効果】
本発明に係る光ケーブルは、波長分割多重光通信システムに好適に用いられ、システム変更が生じても変更されたシステムに適した光伝送特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ケーブルの一実施形態の構成を示す模式図である。
【図2】波長範囲1460nm〜1625nmでの波長分散が正である区間及び負である区間の波長分散特性の一例を示すグラフである。
【図3】光ケーブルに設ける標識の一例を示す図である。
【図4】光ファイバ線路の模式図である。
【図5】ユニット数と伝送ペナルティとの関係を示すグラフである。
【図6】ユニット数と伝送ペナルティとの関係を示すグラフである。
【図7】図1の光ケーブルを用いた光通信システムの概略構成図である。
【図8】図7の光通信システムの通信経路を変更した場合の光通信システムの概略構成図である。
【符号の説明】
1A,1B…光通信システム、2…送信局、3…受信局、4,5…光伝送路、10,10a,10b…光ケーブル、11〜16…光ファイバ線路、111,121,123,131,133,141,143,145,151,153…波長分散が負である区間、112,122,132,142,144,151,152…波長分散が正である区間、40a,40b…中継局、41〜43…光伝送路、M…標識、F…光ファイバ線路
Claims (11)
- 複数の光ファイバ線路が並列された光ケーブルであって、
前記複数の光ファイバ線路のうちの第1の光ファイバ線路及び第2の光ファイバ線路のうちの少なくとも一方が、波長範囲1460nm〜1625nmのうちの何れかの特定波長での波長分散が正である区間と負である区間とが交互に設けられて形成されており、
前記第1の光ファイバ線路と前記第2の光ファイバ線路とにおいて、長手方向における前記特定波長での波長分散の分布が互いに異なることを特徴とする光ケーブル。 - 前記波長範囲での前記複数の光ファイバ線路夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル。
- 前記波長範囲での前記複数の光ファイバ線路夫々の全長における分散スロープの平均値の絶対値が0.04ps/nm2以下であることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル。
- 前記特定波長での前記複数の光ファイバ線路夫々の波長分散の絶対値が20ps/nm/km以下であることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル。
- 前記特定波長での前記複数の光ファイバ線路夫々の長手方向における波長分散の分布を示す標識が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル。
- 前記特定波長での前記複数の光ファイバ線路夫々の両端部におけるモードフィールド径が全て略同一であることを特徴とする請求項1記載の光ケーブル。
- 請求項1記載の光ケーブルを含んで構成される光伝送路。
- 前記波長範囲内の多波長の信号光を、請求項7記載の光伝送路で伝送することを特徴とする光通信システム。
- 前記特定波長での前記複数の光ファイバ線路のうちの少なくとも1つの光ファイバ線路の一方の端部の波長分散が負であり、
前記信号光を前記一方の端部に入射することを特徴とする請求項8記載の光通信システム。 - 前記光伝送路が中継局間に配置されていることを特徴とする請求項8記載の光通信システム。
- 前記波長範囲での前記複数の光ファイバ線路夫々の全長における累積波長分散の絶対値が1000ps/nm以下であることを特徴とする請求項10記載の光通信システム。
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