JP2004341066A - 電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置 - Google Patents

電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】聴感上の劣化の発生を招くことなく、著作権情報などを原信号に埋め込むことができる電子透かし埋め込み装置を得ることを目的とする。
【解決手段】埋め込み情報に対応するフィルタ係数を決定する制御部1を設け、その制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整する。これにより、聴感上の劣化の発生を招くことなく、埋め込み情報を原信号に埋め込むことができる。即ち、埋め込み情報の種類だけフィルタ係数を用意して、可変フィルタ2による位相操作を行うだけであるため、可変フィルタ2の出力信号が不連続信号にならず、埋め込み情報を原信号に埋め込む際に聴感上の劣化を招くことがない。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、オーディオコンテンツに対して聴覚的に知覚できない著作権情報などを埋め込む電子透かし埋め込み装置と、オーディオコンテンツから著作権情報などを検出する電子透かし検出装置とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ネットワークのブロードバンド化に伴って、オーディオなどのマルチメディアコンテンツをインターネットなどのネットワークを介して販売するビジネスが本格化しつつある。本ビジネスにおいては、マルチメディアコンテンツをディジタルデータとして販売するため、物理的な媒体が不必要となり、ユーザは販売店に行くことなく、通信手段があれば、どこからでも、いつでも、マルチメディアコンテンツを購入することが可能となる。また、物理的な媒体がなくなることにより、コンテンツ作成のコストダウンを図ることも可能であり、新たな流通サービスとして急速に普及しつつある。
【0003】
しかし、計算機などにより、品質を劣化させることなく著作権のあるマルチメディアコンテンツのコピーを容易に行うことが可能である点や、ネットワークを介して不特定多数の人にコピーを転送することが容易にできてしまう点などが問題点として挙げられている。従って、コンテンツビジネスにおいて、不正利用や不正コピーを防ぐ技術は必須であり、これを達成する技術の一つとして電子透かし技術が注目を集めている。電子透かし技術とは、人間の知覚の特性を利用し、静止画、動画、オーディオ等のマルチメディアコンテンツに対して、人間に知覚できないように、著作権情報などの様々な情報をコンテンツ自身に埋め込む技術である。
【0004】
オーディオコンテンツ用の従来の電子透かし埋め込み装置は、例えば、以下の特許文献1に開示されている。
即ち、従来の電子透かし埋め込み装置は、原信号を微小時間のフレームに分解して、各フレームにおけるオーディオデータの自己相関性を求め、時間遅れτ≠0の相関値が所定の閾値以上であれば、処理対象のフレームとする。
そして、処理対象のフレームを特定すると、そのフレームを時間領域から周波数領域に変換してスペクトラム係数を算出し、スペクトラム係数のうち、予め指定されているk番目の大きさの振幅値の周波数fkを求める。
【0005】
次に、k番目の大きさの振幅値の周波数fkにnビットの情報eを埋め込む場合、2のn乗の数の状態を位相0〜2πに対応させて、2πを2のn乗で割り算してΔθを求める。そして、情報eに対応するeΔθを、情報eが埋め込まれた処理後の位相として求める。
最後に、そのフレーム係数を時間領域の信号に変換して、前のフレームの信号に加算し、著作権情報が埋め込まれたオーディオ信号として出力する。
【0006】
一方、埋め込まれた情報を検出する従来の電子透かし検出装置は、電子透かし埋め込み装置から著作権情報が埋め込まれたオーディオ信号を入力すると、そのオーディオ信号を微小時間のフレームに分解して、各フレームにおけるオーディオデータの自己相関性を求め、時間遅れτ≠0の相関値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
そして、時間遅れτ≠0の相関値が所定の閾値以下の場合には、当該フレームを検出対象から除外し、所定の閾値以上のときは、検出対象のフレームとして、時間領域から周波数領域に変換してスペクトラム係数を求める。
【0007】
次に、そのスペクトラム係数のうち、予め指定されているk番目の大きさの振幅値の周波数fkを求める。
最後に、2πを2のn乗で割算してΔθを求めて、情報eに対応するeΔθを求め、情報eが埋め込まれた処理後の位相を検出することによって、電子透かし埋め込み装置による埋め込み情報を復元する。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−5471号公報(段落番号[0012]から[0021]、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電子透かし埋め込み装置は以上のように構成されているので、所定の周波数領域に著作権情報などを埋め込むことができる。しかし、埋め込み処理の繋ぎ目で時間軸信号が不連続になるため、聴感上の劣化が発生する可能性がある課題があった。
また、埋め込まれている著作権情報の検出処理側と埋め込み処理側で完全に同期が取れる特別な場合を除いて、フーリエ変換の分析ブロックの同期ずれによる位相変化が発生するため、誤検出を招くなどの課題もあった。
【0010】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、聴感上の劣化の発生を招くことなく、著作権情報などを原信号に埋め込むことができる電子透かし埋め込み装置を得ることを目的とする。
また、この発明は、原信号に埋め込まれている著作権情報などを正確に検出することができる電子透かし検出装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電子透かし埋め込み装置は、埋め込み情報に対応するフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段を設け、そのフィルタ係数決定手段により決定されたフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整するようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、制御部1は例えばオーディオ信号などの原信号に埋め込む著作権情報などの埋め込み情報を入力すると、その埋め込み情報に対応するフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段を構成している。
極零型の可変フィルタ2は全周波数帯域において周波数応答の振幅が1で、任意の位相特性を実現することが可能なオールパスフィルタ(IIR:Infinite Impulse Response型のディジタルフィルタ、以下APFと呼ぶこともある)であって、制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整し、位相調整後の原信号を被埋め込み信号(埋め込み情報が埋め込まれた原信号)として出力する。
【0013】
図2はこの発明の実施の形態1による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、位相差検出部3は電子透かし埋め込み装置から出力された被埋め込み信号と原信号の位相差を検出する位相差検出手段を構成している。埋め込み情報出力部4は予め各種の埋め込み情報に対応する位相差の情報を記憶しており、それらの位相差の情報の中から、位相差検出部3により検出された位相差に最も近い位相差の情報を検索し、その位相差の情報に対応する埋め込み情報を出力する。なお、埋め込み情報出力部4は位相差情報記憶手段及び埋め込み情報出力手段を構成している。
電子透かし埋め込み装置の制御部1、電子透かし検出装置の位相差検出部3及び埋め込み情報出力部4は、専用のハードウエア(例えば、IC回路)を用いて構成してもよいが、これらの処理内容が記述されたプログラムを用意し、マイクロコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0014】
次に動作について説明する。
電子透かし埋め込み装置の制御部1は、埋め込み情報を入力すると、その埋め込み情報に対応するユニークな位相操作量を決定する。例えば、埋め込み情報のビット数がNビットであれば、2個の位相操作量の中から、その埋め込み情報に対応する位相操作量を決定する。因みに、埋め込み情報のビット数が2ビットであれば、埋め込み情報としては、「00」、「01」、「10」、「11」の4パターン(=2パターン)があるので、予め4種類の位相操作量を用意し、4種類の位相操作量の中から、その埋め込み情報に対応する位相操作量を決定する。
【0015】
電子透かし埋め込み装置の制御部1は、埋め込み情報に対応するユニークな位相操作量を決定すると、その位相操作量を実現する可変フィルタ2のフィルタ係数を決定する。
具体的には、次のようにして可変フィルタ2のフィルタ係数を決定する。
即ち、可変フィルタ2の伝達関数H(z)は以下のように表現され、分母及び分子にN個のフィルタ係数aを有している。そして、伝達関数H(z)の位相特性arg[H(z)]は以下のように表現される。
【数1】
Figure 2004341066
【0016】
したがって、式(2)に規定される範囲内で位相を操作することができるので、予め、フィルタ係数a(n=1,・・・,N)の値を適当に設定して、そのときの位相操作量を式(2)を用いて計算しておくことにより、N個のフィルタ係数aと位相操作量の対応関係を得る。ただし、フィルタ係数aの値を決定する際、そのフィルタ係数aに対応する位相操作量が、埋め込み情報に対応する位相操作量と一致するように決定する。即ち、埋め込み情報とフィルタ係数が一対一で対応するように決定する。
このようにして、フィルタ係数と位相操作量の対応関係を得ると、その対応関係を参照して、埋め込み情報から決定した位相操作量に対応するフィルタ係数を決定する。
【0017】
電子透かし埋め込み装置の可変フィルタ2は、制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがってフィルタリング処理を実施することにより、原信号の位相を調整し、位相調整後の原信号(埋め込み情報が埋め込まれた原信号)を被埋め込み信号として出力する。
【0018】
電子透かし検出装置の位相差検出部3は、電子透かし埋め込み装置から被埋め込み信号を受けると、その被埋め込み信号と原信号の位相差を検出する。
即ち、位相差検出部3は、原信号をx(n)、被埋め込み信号をy(n)として、x(n)とy(n)をそれぞれフーリエ変換してX(k)とY(k)を算出する。
そして、X(k)/Y(k)を全てのkにおいて求め、その商の位相θを求める。
θ=tan−1[X(k)/Y(k)] (3)
【0019】
電子透かし検出装置の埋め込み情報出力部4は、予め、電子透かし埋め込み装置が原信号に埋め込む各種の埋め込み情報に対応する位相差の情報をメモリに保存する。即ち、電子透かし埋め込み装置の制御部1が出力する可能性のあるフィルタ係数aを式(2)に代入して位相特性を計算し、その位相特性を位相差の情報としてメモリに保存する。
そして、埋め込み情報出力部4は、位相差検出部3が被埋め込み信号と原信号の位相差を検出すると、そのメモリに保存している位相差の情報の中から、位相差検出部3により検出された位相差に最も近い位相差の情報を検索し、その位相差の情報に対応する埋め込み情報を出力する。
【0020】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、埋め込み情報に対応するフィルタ係数を決定する制御部1を設け、その制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整するように構成したので、聴感上の劣化の発生を招くことなく、埋め込み情報を原信号に埋め込むことができる効果を奏する。
即ち、埋め込み情報の種類だけフィルタ係数を用意して、可変フィルタ2による位相操作を行うだけであるため、可変フィルタ2の出力信号が不連続信号にならず、埋め込み情報を原信号に埋め込む際に聴感上の劣化を招くことがない。
【0021】
また、この実施の形態1によれば、埋め込み情報出力部4が予め各種の埋め込み情報に対応する位相差の情報を記憶し、それらの位相差の情報の中から、位相差検出部3により検出された位相差に最も近い位相差の情報を検索し、その位相差の情報に対応する埋め込み情報を出力するように構成したので、原信号に埋め込まれている埋め込み情報を正確に検出することができる効果を奏する。
即ち、原信号があれば、被埋め込み信号と同期をとることが可能であるため、正確に位相差を算出することが可能である。また、被埋め込み信号がDA/AD変換され、原信号とのサンプル同期がとれなくなり、原信号と完全には同期がとれなくなることも考えられるが、この場合、サンプル同期の同期ずれは、単に位相差の情報にサンプル同期ずれに相当するオフセット項が加算されるだけであるので、本来求めたい位相差の情報を容易に得ることが可能である。
【0022】
なお、この実施の形態1では、電子透かし埋め込み装置が可変フィルタ2としてオールパスフィルタを用いるものについて示したが、これに限るものではなく、例えば、オールパス位相シフト回路を複数接続して、アナログ処理により任意の位相操作を実現してもよい。
【0023】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。位相操作量決定部11は埋め込み情報に対応する位相操作量を決定し、APF設計部12は位相操作量決定部11により決定された位相操作量を実現する可変フィルタ2のフィルタ係数を設計する。
【0024】
上記実施の形態1では、制御部1が予めフィルタ係数と位相操作量の対応関係を特定し、その対応関係を参照して、埋め込み情報から決定した位相操作量に対応するフィルタ係数を決定するものについて示したが、制御部1の位相操作量決定部11が上記実施の形態1と同様にして、埋め込み情報に対応する位相操作量を決定すると、制御部1のAPF設計部12が当該位相操作量を実現する可変フィルタ2のフィルタ係数を設計するようにしてもよい。
【0025】
ここで、フィルタ係数の設計方法は特に問わないが、例えば、式(2)を用いれば、位相操作量から可変フィルタ2のフィルタ係数を設計することができる。この実施の形態2によれば、位相操作量決定部11を埋め込み情報出力部4と対の関係にしておけば、原信号に埋め込まれている埋め込み情報を正確に検出することができる効果を奏する。
なお、対の関係とは、ある関数Aに対して、入力と出力が正反対となる逆関数Bの関係であり、即ち、関数Aの入力をXとするとき、X=B(A(X))が成立することと同義である。
【0026】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。メモリ13は予め各種の埋め込み情報に対応するフィルタ係数を記憶し、APF係数決定部14はメモリ13に記憶されているフィルタ係数の中から、埋め込み情報に対応するフィルタ係数を選択して可変フィルタ2に出力する。
【0027】
上記実施の形態2では、APF設計部12が可変フィルタ2のフィルタ係数を設計するものについて示したが、予め設計された各種の埋め込み情報に対応するフィルタ係数をメモリ13に記憶し、APF係数決定部14が埋め込み情報を入力すると、メモリ13に記憶されているフィルタ係数の中から、その埋め込み情報に対応するフィルタ係数を選択して可変フィルタ2に出力するようにしてもよい。
この実施の形態3によれば、フィルタ係数を決定する際、メモリ13を参照するだけでよいため、簡便かつ高速にフィルタ係数を決定することができる効果を奏する。
【0028】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、オールパスフィルタ21−1〜21−Nは相互に異なるフィルタ係数が設定され、そのフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整する。制御部23は予め埋め込み情報とオールパスフィルタ21−1〜21−Nの対応関係が設定され、原信号に埋め込む埋め込み情報を入力すると、その埋め込み情報に対応するオールパスフィルタを選択して、その選択情報を切換スイッチ24に出力する。切換スイッチ24は制御部23から出力された選択情報が示すオールパスフィルタの出力信号を被埋め込み信号として出力する。なお、制御部23及び切換スイッチ24からフィルタ選択手段が構成されている。
【0029】
上記実施の形態1では、制御部1が埋め込み情報に応じて可変フィルタ2のフィルタ係数を決定するものについて示したが、可変フィルタ2の代わりに、相互にフィルタ係数が異なるN個のオールパスフィルタ21−1〜21−Nを用意し、制御部23が埋め込み情報に対応するオールパスフィルタを選択し、切換スイッチ24が制御部23により選択されたオールパスフィルタの出力信号を被埋め込み信号として出力するようにしてもよく、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
なお、この実施の形態4では、N個のオールパスフィルタ21−1〜21−Nに原信号を入力するものについて示したが、N個のオールパスフィルタ21−1〜21−Nの前段に、制御部23により選択されたオールパスフィルタにのみ原信号を入力させる切換スイッチを設けるようにしてもよい。
【0030】
実施の形態5.
図6はこの発明の実施の形態5による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。DFT部31はディスクリートフーリエ変換(以下、DFTという)を実施することにより原信号を周波数分析してスペクトラム係数を計算し、DFT部32はDFTを実施することにより被埋め込み信号を周波数分析してスペクトラム係数を計算する。除算部33はDFT部32により計算されたスペクトラム係数をDFT部31により計算されたスペクトラム係数で除算して位相差を求める。
メモリ34は予め各種の埋め込み情報に対応する位相特性(位相差の情報)を記憶し、パターンマッチング部35はメモリ34に記憶されている位相特性の中から、位相差検出部3により検出された位相差に最も近い位相特性を検索し、その位相特性に対応する埋め込み情報を出力する。
【0031】
次に動作について説明する。
位相差検出部3のDFT部31は、原信号を入力すると、DFTを実施することにより原信号を周波数分析してスペクトラム係数を計算する。
一方、位相差検出部3のDFT部32は、電子透かし埋め込み装置から被埋め込み信号を受けると、DFTを実施することにより被埋め込み信号を周波数分析してスペクトラム係数を計算する。
位相差検出部3の除算部33は、周波数成分毎に、DFT部32により計算された被埋め込み信号のスペクトラム係数をDFT部31により計算された原信号のスペクトラム係数で除算して、その被埋め込み信号と原信号の位相差を周波数成分毎に求める。
【0032】
埋め込み情報出力部4のパターンマッチング部35は、位相差検出部3の除算部33が被埋め込み信号と原信号の位相差を周波数成分毎に求めると、その周波数成分毎の位相差と、メモリ34に記憶されている位相特性とのパターンマッチングを実施することにより、メモリ34に記憶されている位相特性の中で最も近い位相特性を検索し、その位相特性に対応する埋め込み情報を出力する。
これにより、上記実施の形態1と同様に、原信号に埋め込まれている埋め込み情報を正確に検出することができる効果を奏する。
【0033】
実施の形態6.
図7はこの発明の実施の形態6による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。適応フィルタ36はフィルタ係数が初期化されたのち、原信号を入力すると、その原信号に対するフィルタリング処理を開始し、減算器37の減算信号が零に近づく方向にフィルタ係数を更新する。減算器37は被埋め込み信号から適応フィルタ36の出力信号を減算し、その減算信号を適応フィルタ36に出力する。位相特性算出部38は適応フィルタ36によるフィルタ係数の更新処理が収束すると、そのフィルタ係数をZ変換することにより原信号と被埋め込み信号の位相差を計算する。
【0034】
次に動作について説明する。
位相差検出部3の適応フィルタ36は、フィルタ係数が初期化されたのち、原信号を入力すると、その原信号に対するフィルタリング処理を開始する。
位相差検出部3の減算器37は、被埋め込み信号から適応フィルタ36の出力信号を減算し、その減算信号を適応フィルタ36に出力する。
これにより、適応フィルタ36は、減算器37の減算信号が零に近づく方向にフィルタ係数を更新する。
【0035】
位相差検出部3の位相特性算出部38は、適応フィルタ36によるフィルタ係数の更新処理が十分収束すると、そのフィルタ係数を例えばZ変換することにより、原信号と被埋め込み信号の位相差を計算し、その位相差を埋め込み情報出力部4に出力する。
これにより、上記実施の形態1と同様に、原信号に埋め込まれている埋め込み情報を正確に検出することができる効果を奏する。
なお、この実施の形態6では、適応フィルタ36が原信号を入力するものについて示したが、適応フィルタ36が被埋め込み信号を入力し、減算器37が適応フィルタ36から原信号の出力信号を減算するようにしてもよい。
【0036】
実施の形態7.
図8はこの発明の実施の形態7による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。バンドストップフィルタ41は原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)の通過を遮断し、バンドパスフィルタ42は原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)のみを通過させる。加算器43は可変フィルタ2による位相調整後の原信号とバンドストップフィルタ41から出力された原信号を加算し、その加算結果を被埋め込み信号として出力する加算手段を構成している。
【0037】
図9はこの発明の実施の形態7による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。バンドパスフィルタ44は電子透かし埋め込み装置から出力された被埋め込み信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)のみを通過させ、バンドパスフィルタ45は原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)のみを通過させる。
【0038】
上記実施の形態1では、原信号の全帯域に亘って埋め込み情報を埋め込むものについて示したが、原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)のみに埋め込み情報を埋め込むようにしてもよい。
即ち、電子透かし埋め込み装置のバンドストップフィルタ41は、原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)の通過を遮断し、特定帯域を除く原信号を加算器43に出力する。
【0039】
また、電子透かし埋め込み装置のバンドパスフィルタ42は、原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)のみを通過させる。
これにより、原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)には、制御部1及び可変フィルタ2が上記実施の形態1と同様に動作することにより、埋め込み情報が埋め込まれる。
電子透かし埋め込み装置の加算器43は、可変フィルタ2の出力信号と、バンドストップフィルタ41により特定帯域が除かれた原信号とを加算して、特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)にのみ埋め込み情報が埋め込まれた原信号を被埋め込み信号として出力する。
【0040】
一方、電子透かし検出装置のバンドパスフィルタ44は、電子透かし埋め込み装置から出力された被埋め込み信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)のみを通過させ、バンドパスフィルタ45は、原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)のみを通過させる。
これにより、位相差検出部3及び埋め込み情報出力部4が上記実施の形態1と同様に動作することにより、原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)に埋め込まれている埋め込み情報が抽出される。
【0041】
この実施の形態7によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、特定帯域のみの位相操作で足りるため、聴覚上の劣化を更に低減することができる効果を奏する。
なお、上記実施の形態1では、仮にローパスフィルタなどにより、被埋め込み信号の高域成分がカットされた場合には、検出精度の劣化を招くことがあるが、この実施の形態7では、特定帯域を低域に設定することにより、検出精度の劣化を回避することができる。
【0042】
この実施の形態7では、電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置において、バンドパスフィルタの出力信号をそのまま使用する構成について示したが、これに限らず、バンドパスフィルタの出力信号をナイキストレートまでダウンサンプリング処理を実施してもよい。
この際、電子透かし埋め込み装置では、可変フィルタ2の出力信号に対してアップサンプリング処理を施して元のレートに戻す必要があるが、電子透かし検出装置では、アップサンプル処理は不要である。ダウンサンプル処理を実施しない場合は、可変フィルタ2において、位相操作の情報が一部の帯域しか残らないため、誤検出する可能性が高くなるが、ダウンサンプル処理を実施することにより、位相操作の情報が全て残るため、検出率を向上させることができる。
【0043】
実施の形態8.
図10はこの発明の実施の形態8による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
バンドストップフィルタ41−1〜41−Nは相互に異なる遮断帯域が設定され、直列に接続されている。例えば、N=2で、周波数がA,B,C,Dの順に大きくなる場合、バンドストップフィルタ41−1の遮断帯域が周波数Aから周波数Bの帯域に設定され、バンドストップフィルタ41−Nの遮断帯域が周波数Cから周波数Dの帯域に設定されている場合、最終段のバンドストップフィルタ41−Nからは、周波数A以下の帯域と、周波数Bから周波数Cの帯域と、周波数D以上の帯域とが出力される。
バンドパスフィルタ42−1〜42−Nは相互に異なる通過帯域が設定され、並列に接続されている。例えば、バンドパスフィルタ42−1の通過帯域は周波数Aから周波数Bの帯域に設定され、バンドパスフィルタ42−Nの通過帯域は周波数Cから周波数Dの帯域に設定される。
【0044】
上記実施の形態7では、原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)のみに埋め込み情報を埋め込むものについて示したが、図10に示すように、相互に遮断帯域が異なるN個のバンドストップフィルタ41−1〜41−Nを直列に接続するとともに、相互に通過帯域が異なるN個のバンドパスフィルタ42−1〜42−Nを並列に接続し、N個の制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがってN個の可変フィルタ2がバンドパスフィルタ42−1〜42−Nから出力された原信号の位相を調整し、加算器43−1,43−2が複数の可変フィルタ2の出力信号と最終段のバンドストップフィルタ41−Nの出力信号とを加算するようにすれば、原信号の複数の特定帯域に埋め込み情報を埋め込むことができる。
【0045】
なお、複数の特定帯域に埋め込む埋め込み情報は、相互に異なる情報であっても、同一の情報であってもよい。同じ埋め込み情報を複数の特定帯域に埋め込む場合は、誤り耐性を高めることができる。もちろん、誤り耐性の向上を目的とする場合には、同じ埋め込み情報を埋め込むのではなく、強力な誤り訂正符号の冗長ビットを他の帯域に埋め込んでもよい。
【0046】
図11はこの発明の実施の形態8による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図9と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
バンドパスフィルタ44−1〜44−Nは相互に異なる通過帯域が設定され、並列に接続されている。例えば、バンドパスフィルタ44−1の通過帯域は周波数Aから周波数Bの帯域に設定され、バンドパスフィルタ44−Nの通過帯域は周波数Cから周波数Dの帯域に設定される。
バンドパスフィルタ45−1〜45−Nは相互に異なる通過帯域が設定され、並列に接続されている。例えば、バンドパスフィルタ45−1の通過帯域は周波数Aから周波数Bの帯域に設定され、バンドパスフィルタ45−Nの通過帯域は周波数Cから周波数Dの帯域に設定される。
【0047】
上記実施の形態7では、原信号の特定帯域(周波数Aから周波数Bの帯域)に埋め込まれている埋め込み情報を抽出するものについて示したが、図11に示すように、相互に通過帯域が異なるバンドパスフィルタ44−1〜44−N,45−1〜45−Nを搭載すれば、原信号の複数の特定帯域に埋め込まれている埋め込み情報を抽出することができる。
【0048】
実施の形態9.
図12はこの発明の実施の形態9による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
アタック音検出部51は原信号の成分変化を監視して、原信号のアタック音を検出すると、一定期間、可変フィルタ2の選択を指示する制御信号を出力し、切換スイッチ52はアタック音検出部51から制御信号が出力されている期間中に限り、可変フィルタ2の出力信号を被埋め込み信号として出力し、それ以外の期間中は、原信号を被埋め込み信号として出力する。なお、アタック音検出部51及び切換スイッチ52は成分監視手段を構成している。
【0049】
図13はこの発明の実施の形態9による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
アタック音検出部53は原信号の成分変化を監視して、原信号のアタック音を検出すると、一定期間、位相差検出処理の実行を指示する制御信号を出力する。位相差検出部54はアタック音検出部53から制御信号が出力されている期間中に限り、位相差検出部3と同様の位相差検出処理を実行する。なお、アタック音検出部53及び位相差検出部54は位相差検出手段を構成している。
【0050】
上記実施の形態1では、電子透かし埋め込み装置の可変フィルタ2が原信号を入力すると、常時、可変フィルタ2の出力信号を被埋め込み信号として出力するものについて示したが、アタック音検出部51が原信号のアタック音を検出してから一定期間中に限り、切換スイッチ52が可変フィルタ2の出力信号を被埋め込み信号として出力し、それ以外の期間中では、原信号を被埋め込み信号として出力するようにしてもよい(図14を参照)。
また、電子透かし検出装置では、アタック音検出部53が原信号のアタック音を検出してから一定期間中に限り、位相差検出部54が位相差検出部3と同様の位相差検出処理を実行する。
【0051】
この実施の形態9によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、人間の聴覚特性において、位相の変化に対してより鈍感となる時間だけに位相操作を実施することが可能であるため、聴感上の劣化を更に低減することができる効果を奏する。
なお、この実施の形態9によれば、切換スイッチ52が信号の切換処理を実施することにより、信号の不連続が発生することが考えられるが、信号の切換時点において、クロスフェード処理を実施することにより、不連続を防ぐことができる。クロスフェード処理とは、2つの信号を時間的に繋げるときに、片方の信号をフェードアウト(時間的に徐々にゲインを下げる処理)するとともに、もう片方の信号をフェードイン(時間的に徐々にゲインを上げる処理)して、フェードイン/フェードアウトさせている箇所の信号を加算することにより、不連続点なく2つの信号を繋げる処理のことである。
【0052】
この実施の形態9では、アタック音を検出し、アタック音の検出時点から一定時間のみに位相操作を実施するものについて示したが、これに限るものではなく、例えば、原信号の周波数成分の時間的変化が大きい過渡期間を検出し、その検出時点から一定時間のみに位相操作を実施するようにしてもよい。
ここで、原信号の成分変化を検出する特性としては、人間の聴覚特性において、位相差の変化に対して鈍感になる特性が好ましい。
【0053】
実施の形態10.
図15はこの発明の実施の形態10による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
情報分割部61は埋め込み情報を複数のブロックに分割する。ただし、情報分割部61は埋め込み情報を等しい長さのブロックに分割するが、分割の際、最後のブロックにおいて、他のブロックと長さが等しくならない場合、末尾にゼロを付加するなどで長さを揃えるようにする。
フレームカウンタ62は原信号のサンプル時間情報から一定の時間(1フレーム時間)を計測し、1フレーム時間が経過する毎に制御信号を制御部1に出力する。なお、情報分割部61及びフレームカウンタ62は情報分割手段を構成している。
【0054】
図16はこの発明の実施の形態10による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
フレームカウンタ63は原信号のサンプル時間情報から一定の時間(1フレーム時間)を計測し、1フレーム時間が経過する毎に制御信号を位相差検出部3に出力する。情報結合部64は埋め込み情報出力部4から出力された1フレーム分の埋め込み情報を相互に結合して出力する。なお、フレームカウンタ63は位相差検出手段を構成し、情報結合部64は情報出力手段を構成している。
【0055】
上記実施の形態1の電子透かし埋め込み装置では、埋め込み情報を分割することなく、制御部1が埋め込み情報に対応するユニークな位相操作量を決定して、可変フィルタ2のフィルタ係数を決定するものについて示したが、情報分割部61が埋め込み情報を複数のブロックに分割し、制御部1が原信号のフレーム単位で各ブロックに対応するフィルタ係数を決定するようにしてもよい。
【0056】
即ち、電子透かし埋め込み装置の情報分割部61は、埋め込み情報を入力すると、その埋め込み情報を等しい長さのブロックに分割する。ただし、分割の際、最後のブロックにおいて、他のブロックと長さが等しくならない場合、末尾にゼロを付加するなどで長さを揃えるようにする。例えば、埋め込み情報がテキストデータで「WATERMARK」である場合、8ビットづつ、9個のブロックに分割する。なお、埋め込み情報の開始や終了を示す特殊なコードを別に用意してもよく、この場合は10個のブロックとなる。
【0057】
また、電子透かし埋め込み装置のフレームカウンタ62は、原信号を入力すると、その原信号のサンプル時間情報から一定の時間(1フレーム時間)を計測し、1フレーム時間が経過する毎に制御信号を制御部1に出力する。ここでは、原信号のサンプル時間情報を利用してフレームのカウントを行っているが、これに限らず、内部のクロックを用いるなど、他の手段でカウントしてもよい。
【0058】
電子透かし埋め込み装置の制御部1は、情報分割部61から分割された埋め込み情報を受けると、フレームカウンタ62から制御信号を受ける毎に、先頭のブロックから最後尾のブロックまで順番に、当該ブロックに対応するユニークな位相操作量を決定し、その位相操作量を実現する可変フィルタ2のフィルタ係数を決定する。ただし、先頭のブロックの前に埋め込みの開始を示す特殊なコードが付加されている場合には、その特殊なコードに対応する位相操作量も決定して、その位相操作量を実現する可変フィルタ2のフィルタ係数を決定する。
なお、この実施の形態10では、制御部1は、上記実施の形態1と異なり、予め、位相操作量とフィルタ係数の対応関係を埋め込み情報のブロック単位で取得しているものとする。
【0059】
電子透かし埋め込み装置の可変フィルタ2は、上記実施の形態1と同様に、制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがってフィルタリング処理を実施することにより、原信号の位相を調整し、位相調整後の原信号(埋め込み情報が埋め込まれた原信号)を被埋め込み信号として出力する。
【0060】
ここで、図17は電子透かし埋め込み装置の埋め込み処理を示す説明図であり、埋め込み情報を「WATERMART」とするときの最初の4フレーム分の処理を示している。
図において、x(n)は原信号、ym(n)はmフレームにおける可変フィルタ2の出力信号、z(n)は被埋め込み信号、Lはフレーム長、αはクロスフェード処理の時間長、APF(・)は、キャラクタコード「・」に対応するオールパスフィルタを表している。
【0061】
埋め込み処理は、図17に示すように、原信号x(n)に対して、フレーム毎に異なるフィルタ係数でフィルタ処理を実施し、可変フィルタ2の出力信号ym(n)を得る。この例によると、APF(W),APF(A),APF(T),APF(E)の順番でフィルタ処理を実施する。1フレームのフィルタ処理は、L+αの期間に亘って実施し、末尾のαサンプルはクロスフェード処理のために用いる。各フレーム間でαサンプルだけクロスフェード処理を実施し、被埋め込み信号z(n)を得る。
【0062】
一方、電子透かし検出装置のフレームカウンタ63は、原信号のサンプル時間情報から一定の時間(1フレーム時間)を計測し、1フレーム時間が経過する毎に制御信号を位相差検出部3に出力する。ここでは、原信号のサンプル時間情報を利用してフレームのカウントを行っているが、これに限らず、内部のクロックを用いるなど、他の手段でカウントしてもよい。
電子透かし検出装置の位相差検出部3は、上記実施の形態1と基本的には同様にして、原信号と埋め込み信号の位相差を検出するが、この実施の形態10では、フレームカウンタ63から制御信号を受ける毎に、フレーム単位で被埋め込み信号z(n)と原信号x(n)の位相差を検出する(図18を参照)。
【0063】
これにより、電子透かし検出装置の埋め込み情報出力部4が上記実施の形態1と同様に動作すると、1フレーム分の埋め込み情報を出力することになるので(ただし、埋め込み情報出力部4は、予め、位相差の情報に対応する1フレーム分の埋め込み情報を記憶しているものとする)、情報結合部64は、埋め込み情報出力部4が1フレーム分の埋め込み情報を出力する毎に、それらを結合して、全フレーム分の埋め込み情報を再現して出力する。なお、情報結合部64は、埋め込み情報の終了を示す特殊なコードが用意されている場合、終了コードが入力された時点で検出処理は終了して、再現した埋め込み情報を出力する。
【0064】
ただし、埋め込み処理において、終了コードを埋め込んだ後に、また始めから第1のブロックの埋め込み情報を埋め込むようにした場合、検出処理を終了せずに、第1のブロックの埋め込み情報を新たに検出するようにしてもよい。このようにすると、原信号が時間的に一部分しかない場合でも埋め込み情報を検出することが可能となる。
【0065】
この実施の形態10によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、時間的に埋め込み情報を変化させることができるので、原信号の時間長に応じて、いくらでも埋め込み情報の量を増加させることができる効果を奏する。
なお、この実施の形態10では、フレームの境目において、位相操作量が変化することによって、信号の不連続が発生してしまうことが考えられるが、これに対しては、フレームの境目においてクロスフェード処理を実施することにより、不連続を防ぐことができる。
【0066】
実施の形態11.
図19はこの発明の実施の形態11による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図15と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
フレーム情報付加部65は情報分割部61により分割された埋め込み情報にフレーム識別情報を付加する。なお、フレーム情報付加部65は情報分割手段を構成している。
【0067】
図20はこの発明の実施の形態11による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図16と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。カウンタ66は原信号のサンプル時間情報からフレーム時間よりも十分に短い時間(1サブフレーム時間)を計測し、1サブフレーム時間が経過する毎に、制御信号を位相差検出部3に出力する。ここでは、原信号のサンプル時間を利用してサブフレームのカウントを実施しているが、これに限らず、内部のクロックを用いる等、他の手段でカウントしてもよい。カウンタ66は位相差検出手段を構成している。
フレーム情報検出部67は埋め込み情報出力部4から1サブフレーム分の埋め込み情報を受けると、その埋め込み情報に含まれているフレーム識別情報を検出し、そのフレーム識別情報が前回のフレーム識別情報と異なれば、直前のサブフレームまでの埋め込み情報を1フレーム分の埋め込み情報として情報結合部64に出力する。なお、フレーム情報検出部67は情報出力手段を構成している。
【0068】
上記実施の形態10では、原信号と被埋め込み信号の同期が取れなくなる場合、例えば、被埋め込み信号が時間軸伸張された場合、フレーム時間がずれるために埋め込み情報の検出ができなくなることがあるが、この実施の形態11では、そのような場合でも、埋め込み情報を検出することができるようにしている。
即ち、電子透かし埋め込み装置のフレーム情報付加部65は、情報分割部61が埋め込み情報を分割すると、その分割後の埋め込み情報にフレーム識別情報を付加する。これにより、各ブロックの埋め込み情報にフレーム識別情報が付加された被埋め込み信号が可変フィルタ2から出力されることになる。
ここで、フレーム識別情報としては、隣接するフレーム同士で全体の埋め込み情報が異なるようにすれば任意のフレーム識別情報でよく、例えば、ブロックの先頭からシリアルで番号を割り振ってもよいし、0と1を交互にして、1ビットの情報を付加してもよい。
【0069】
一方、電子透かし検出装置のカウンタ66は、原信号のサンプル時間情報からフレーム時間よりも十分に短い時間(1サブフレーム時間)を計測し、1サブフレーム時間が経過する毎に、制御信号を位相差検出部3に出力する。
電子透かし検出装置の位相差検出部3は、上記実施の形態1と基本的には同様にして、原信号と埋め込み信号の位相差を検出するが、この実施の形態11では、カウンタ66から制御信号を受ける毎に、サブフレーム単位で被埋め込み信号と原信号xの位相差を検出する。
【0070】
これにより、電子透かし検出装置の埋め込み情報出力部4が上記実施の形態1と同様に動作すると、図21に示すように、1サブフレーム分の埋め込み情報を出力することになる(ただし、埋め込み情報出力部4は、予め、位相差の情報に対応する1サブフレーム分の埋め込み情報を記憶しているものとする)。
電子透かし検出装置のフレーム情報検出部67は、埋め込み情報出力部4から1サブフレーム分の埋め込み情報を受けると、その埋め込み情報に含まれているフレーム識別情報を検出し、前回の検出時と比べてフレーム識別情報が変化しているか否かを判定する。
【0071】
今回のフレーム識別情報が前回のフレーム識別情報と同じであれば、今回の1サブフレーム分の埋め込み情報を蓄積する。一方、今回のフレーム識別情報が前回のフレーム識別情報と異なる場合、蓄積している直前のサブフレームまでの埋め込み情報を1フレーム分の埋め込み情報として情報結合部64に出力し、1フレーム分の埋め込み情報を廃棄する。なお、今回の1サブフレーム分の埋め込み情報は、次フレーム用として蓄積する。
電子透かし検出装置の情報結合部64は、フレーム情報検出部67が1フレーム分の埋め込み情報を出力する毎に、それらを結合して、全フレーム分の埋め込み情報を再現して出力する。
【0072】
なお、図21は電子透かし検出装置の検出処理を示しているが、APF(0+X),APF(1+X)は、それぞれフレーム識別情報0、または、1が付加された埋め込み情報Xに対応するオールパスフィルタを表している。
図21の例では、フレーム情報検出部67が埋め込み情報の全体の変化点を検出し、前サブフレームまでの埋め込み情報を復元している。
【0073】
この実施の形態11によれば、上記実施の形態10と同様の効果を奏することができるとともに、フレームとサブフレームの同期が取れていなくても、フレーム識別情報をもとに埋め込み情報を検出することが可能であるため、例えば、被埋め込み信号が時間軸伸張された場合などでも、正確に埋め込み情報を検出することができる効果を奏する。
【0074】
実施の形態12.
上記実施の形態10,11では、原信号のフレーム長が一定であるものについて示したが、原信号のフレームを可変フレームにしてもよい。
例えば、上記実施の形態10と上記実施の形態9を組み合わせることにより、フレーム長を可変とすることが可能になる。即ち、アタック音が検出されたら、フィルタ係数を更新し、現在のブロックの埋め込み情報から次のブロックの埋め込み情報を埋め込むようにする。この際、上記実施の形態9と同様に、一定時間の間のみフィルタ処理を実施してもよいし、次のアタック音が検出されるまで同一係数でフィルタ処理を実施してもよい。
この場合、電子透かし検出装置は、フレームカウンタ63の代わりにアタック音検出部53を備えておけばよい。
【0075】
ここでは、アタック音成分の検出をフレームの境目として説明したが、これに限るものではなく、例えば、信号の周波数成分の時間的変化が大きい過渡期間を検出するなど、特徴量を検出する多くのバリエーションが考えられる。
この実施の形態12によれば、上記実施の形態9,10と同様の効果を奏することができるとともに、原信号と被埋め込み信号の同期が取れなくなった場合でも、容易に同期を確立することができる効果を奏する。
【0076】
実施の形態13.
図22はこの発明の実施の形態13による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。可変フィルタ71は図1の可変フィルタ2と同様のオールパスフィルタであるが、可変フィルタ71は制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがって特定信号の位相を調整し、位相調整後の特定信号を被埋め込み信号として出力する。
加算器72は可変フィルタ71による位相調整後の特定信号と原信号を加算し、その加算結果を被埋め込み信号として出力する加算手段を構成している。
【0077】
図23はこの発明の実施の形態13による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
位相差検出部73は電子透かし埋め込み装置から出力された被埋め込み信号と特定信号の位相差を検出する位相差検出手段を構成している。
【0078】
上記実施の形態1では、電子透かし埋め込み装置の可変フィルタ2が制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整するものについて示したが、可変フィルタ71が制御部1により決定されたフィルタ係数にしたがって特定信号の位相を調整し、加算器72が位相調整後の特定信号と原信号を加算するようにしてもよい。
この場合、電子透かし検出装置の位相差検出部73は、電子透かし埋め込み装置から出力された被埋め込み信号と特定信号の位相差を検出するようにする。
【0079】
ここで、電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置が入力する特定信号は同一のものであるが、特定信号をe(n)とすれば、被埋め込み信号z(n)は、以下のように表現できる。
【数2】
Figure 2004341066
そして、式(4)に対するDFTを実施すれば、下記の式(5)が得られ、式(5)のZ(ω)と既知の信号E(ω)を用いれば、下記の式(6)より、可変フィルタ71の特性H(ω)を算出することができる。また、可変フィルタ71の特性H(ω)より、位相差情報を求めることができる。なお、式(6)において、Σは単時間のDFTに対して時間平均をとる操作を表すものとする。
【数3】
Figure 2004341066
【0080】
この実施の形態13によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏することができるとともに、埋め込み情報の検出処理において原信号を用いる必要がなくなるという効果が得られる。
【0081】
実施の形態14.
図24はこの発明の実施の形態14による電子透かし埋め込み装置を示す構成図であり、図において、図22と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。特定信号生成部74は原信号から特定信号を生成する特定信号生成手段を構成している。
図25はこの発明の実施の形態14による電子透かし検出装置を示す構成図であり、図において、図23と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。特定信号作成部75は被埋め込み信号から特定信号を作成する特定信号作成手段を構成している。
【0082】
上記実施の形態13では、外部から特定信号を入力するものについて示したが、電子透かし埋め込み装置及び電子透かし検出装置の内部で特定信号を生成するようにしてもよい。
即ち、電子透かし埋め込み装置の特定信号生成部74は、原信号から特定信号を生成する。
一方、電子透かし検出装置の特定信号作成部75は、被埋め込み信号から特定信号を作成する。
【0083】
ここで、特定信号生成部74が生成する特定信号と、特定信号作成部75が作成する特定信号とは、ほぼ等しくなるように生成する必要がある。
そこで、電子透かし埋め込み装置の特定信号生成部74は、例えば、原信号を右にnビットシフトして量子化ノイズを付加したものを特定信号として可変フィルタ2に入力し、可変フィルタ2の出力信号の振幅の最大値(PCMの最大値)が2のn乗以下になるようにゲイン調整を行ってから原信号と加算するようにする。
一方、電子透かし検出装置の特定信号作成部75は、被埋め込み信号を右にnビットシフトすることによって、電子透かし埋め込み装置の特定信号生成部74により生成される特定信号と等しい特定信号を作成する。
【0084】
この実施の形態14によれば、上記実施の形態13と同様の効果を奏することができるとともに、被埋め込み信号のみを使用して埋め込み情報を検出することができる効果を奏する。
【0085】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、埋め込み情報に対応するフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段を設け、そのフィルタ係数決定手段により決定されたフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整するように構成したので、聴感上の劣化の発生を招くことなく、著作権情報などの埋め込み情報を原信号に埋め込むことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態2による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態5による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態6による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態7による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態7による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態8による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態8による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態9による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態9による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図14】被埋め込み信号のアタック音を示す波形図である。
【図15】この発明の実施の形態10による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図16】この発明の実施の形態10による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図17】電子透かし埋め込み装置の埋め込み処理を示す説明図である。
【図18】電子透かし検出装置の検出処理を示す説明図である。
【図19】この発明の実施の形態11による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図20】この発明の実施の形態11による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図21】電子透かし検出装置の検出処理を示す説明図である。
【図22】この発明の実施の形態13による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図23】この発明の実施の形態13による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【図24】この発明の実施の形態14による電子透かし埋め込み装置を示す構成図である。
【図25】この発明の実施の形態14による電子透かし検出装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1 制御部(フィルタ係数決定手段)、2 可変フィルタ、3 位相差検出部(位相差検出手段)、4 埋め込み情報出力部(位相差情報記憶手段、埋め込み情報出力手段)、11 位相操作量決定部、12 APF設計部、13 メモリ、14 APF係数決定部、21−1〜21−N オールパスフィルタ、23 制御部(フィルタ選択手段)、24 切換スイッチ(フィルタ選択手段)、31DFT部、32 DFT部、33 除算部、34 メモリ、35 パターンマッチング部、36 適応フィルタ、37 減算器、38 位相特性算出部、41バンドストップフィルタ、41−1〜41−N バンドストップフィルタ、42 バンドパスフィルタ、42−1〜42−N バンドパスフィルタ、43 加算器(加算手段)、43−1,43−2 加算器(加算手段)、44 バンドパスフィルタ、44−1〜44−N バンドパスフィルタ、45 バンドパスフィルタ、45−1〜45−N バンドパスフィルタ、51 アタック音検出部(成分監視手段)、52 切換スイッチ(成分監視手段)、53 アタック音検出部(位相差検出手段)、54 位相差検出部(位相差検出手段)、61 情報分割部(情報分割手段)、62 フレームカウンタ(情報分割手段)、63 フレームカウンタ(位相差検出手段)、64 情報結合部(情報出力手段)、65 フレーム情報付加部(情報分割手段)、66 カウンタ(位相差検出手段)、67フレーム情報検出部(情報出力手段)、71 可変フィルタ、72 加算器(加算手段)、73 位相差検出部(位相差検出手段)、74 特定信号生成部(特定信号生成手段)、75 特定信号作成部(特定信号作成手段)。

Claims (23)

  1. 原信号に埋め込む埋め込み情報を入力すると、その埋め込み情報に対応するフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段と、上記フィルタ係数決定手段により決定されたフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整し、位相調整後の原信号を被埋め込み信号として出力する可変フィルタとを備えた電子透かし埋め込み装置。
  2. フィルタ係数決定手段は、埋め込み情報に対応する位相操作量を決定し、その位相操作量を実現する可変フィルタのフィルタ係数を設計することを特徴とする請求項1記載の電子透かし埋め込み装置。
  3. フィルタ係数決定手段は、予め各種の埋め込み情報に対応するフィルタ係数を記憶し、その記憶しているフィルタ係数の中から、原信号に埋め込む埋め込み情報に対応するフィルタ係数を選択することを特徴とする請求項1記載の電子透かし埋め込み装置。
  4. 相互に異なるフィルタ係数が設定され、そのフィルタ係数にしたがって原信号の位相を調整する複数のオールパスフィルタと、原信号に埋め込む埋め込み情報を入力すると、上記複数のオールパスフィルタの中から、その埋め込み情報に対応するオールパスフィルタを選択し、そのオールパスフィルから出力された位相調整後の原信号を被埋め込み信号として出力するフィルタ選択手段とを備えた電子透かし埋め込み装置。
  5. 原信号に埋め込む埋め込み情報を入力すると、その埋め込み情報に対応するフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段と、原信号の特定帯域の通過を遮断するバンドストップフィルタと、その原信号の特定帯域のみを通過させるバンドパスフィルタと、上記フィルタ係数決定手段により決定されたフィルタ係数にしたがって上記バンドパスフィルタから出力された原信号の位相を調整する可変フィルタと、上記可変フィルタによる位相調整後の原信号と上記バンドストップフィルタから出力された原信号を加算し、その加算結果を被埋め込み信号として出力する加算手段とを備えた電子透かし埋め込み装置。
  6. 相互に遮断帯域が異なる複数のバンドストップフィルタを直列に接続するとともに、相互に通過帯域が異なる複数のバンドパスフィルタを並列に接続し、複数のフィルタ係数決定手段により決定されたフィルタ係数にしたがって複数の可変フィルタが複数のバンドパスフィルタから出力された原信号の位相を調整し、加算手段が複数の可変フィルタの出力信号と最終段のバンドストップフィルタの出力信号とを加算することを特徴とする請求項5記載の電子透かし埋め込み装置。
  7. 原信号の成分変化を監視し、所定の成分変化を検出したときに限り、可変フィルタによる位相調整後の原信号を被埋め込み信号として出力する成分監視手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の電子透かし埋め込み装置。
  8. 埋め込み情報を複数のブロックに分割する情報分割手段を設け、フィルタ係数決定手段が原信号のフレーム単位で各ブロックに対応するフィルタ係数を決定することを特徴とする請求項1記載の電子透かし埋め込み装置。
  9. 情報分割手段は、分割後の埋め込み情報にフレーム識別情報を付加することを特徴とする請求項8記載の電子透かし埋め込み装置。
  10. 原信号のフレームが可変フレームであることを特徴とする請求項8記載の電子透かし埋め込み装置。
  11. 原信号に埋め込む埋め込み情報を入力すると、その埋め込み情報に対応するフィルタ係数を決定するフィルタ係数決定手段と、上記フィルタ係数決定手段により決定されたフィルタ係数にしたがって特定信号の位相を調整する可変フィルタと、上記可変フィルタによる位相調整後の特定信号と原信号を加算し、その加算結果を被埋め込み信号として出力する加算手段とを備えた電子透かし埋め込み装置。
  12. 原信号から特定信号を生成する特定信号生成手段を設けたことを特徴とする請求項11記載の電子透かし埋め込み装置。
  13. 電子透かし埋め込み装置から出力された被埋め込み信号と原信号の位相差を検出する位相差検出手段と、予め各種の埋め込み情報に対応する位相差の情報を記憶する位相差情報記憶手段と、上記位相差情報記憶手段に記憶されている位相差の情報のうち、上記位相差検出手段により検出された位相差に最も近い位相差の情報を検索し、その位相差の情報に対応する埋め込み情報を出力する埋め込み情報出力手段とを備えた電子透かし検出装置。
  14. 位相差検出手段は、原信号を周波数分析してスペクトラム係数を求めるとともに、被埋め込み信号を周波数分析してスペクトラム係数を求め、その被埋め込み信号に係るスペクトラム係数を原信号に係るスペクトラム係数で除算して位相差を求めることを特徴とする請求項13記載の電子透かし検出装置。
  15. 位相差検出手段は、原信号又は被埋め込み信号の一方の信号を適応フィルタに入力し、その適応フィルタの出力信号が他方の信号と一致するように当該適応フィルタのフィルタ係数を更新し、更新完了後のフィルタ係数から原信号と被埋め込み信号の位相差を求めることを特徴とする請求項13記載の電子透かし検出装置。
  16. 電子透かし埋め込み装置から出力された被埋め込み信号の特定帯域のみを通過させる第1のバンドパスフィルタと、原信号の特定帯域のみを通過させる第2のバンドパスフィルタと、上記第1のバンドパスフィルタから出力された被埋め込み信号と上記第2のバンドパスフィルタから出力された原信号の位相差を検出する位相差検出手段と、予め各種の埋め込み情報に対応する位相差の情報を記憶する位相差情報記憶手段と、上記位相差情報記憶手段に記憶されている位相差の情報のうち、上記位相差検出手段により検出された位相差に最も近い位相差の情報を検索し、その位相差の情報に対応する埋め込み情報を出力する埋め込み情報出力手段とを備えた電子透かし検出装置。
  17. 相互に通過帯域が異なる第1及び第2のバンドパスフィルタを複数搭載し、位相差検出手段、位相差情報記憶手段及び情報出力手段を複数搭載することを特徴とする請求項16記載の電子透かし検出装置。
  18. 位相差検出手段は、原信号の成分変化を監視し、所定の成分変化を検出したときに限り、被埋め込み信号と原信号の位相差を検出することを特徴とする請求項13記載の電子透かし検出装置。
  19. 位相差検出手段がフレーム単位で被埋め込み信号と原信号の位相差を検出し、情報出力手段が1フレーム分の埋め込み情報を相互に結合して出力することを特徴とする請求項13記載の電子透かし検出装置。
  20. 情報出力手段は、1フレーム分の埋め込み情報のフレーム識別情報を参照して相互に結合することを特徴とする請求項19記載の電子透かし検出装置。
  21. 原信号のフレームが可変フレームであることを特徴とする請求項19記載の電子透かし検出装置。
  22. 電子透かし埋め込み装置から出力された被埋め込み信号と特定信号の位相差を検出する位相差検出手段と、予め各種の埋め込み情報に対応する位相差の情報を記憶する位相差情報記憶手段と、上記位相差情報記憶手段に記憶されている位相差の情報のうち、上記位相差検出手段により検出された位相差に最も近い位相差の情報を検索し、その位相差の情報に対応する埋め込み情報を出力する埋め込み情報出力手段とを備えた電子透かし検出装置。
  23. 被埋め込み信号から特定信号を作成する特定信号作成手段を設けたことを特徴とする請求項22記載の電子透かし検出装置。
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