JP2004340786A - ゴム製品の温度測定方法およびこれに用いられるゴム製品温度測定装置 - Google Patents

ゴム製品の温度測定方法およびこれに用いられるゴム製品温度測定装置 Download PDF

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Kazutomo Murakami
和朋 村上
Hiroyuki Ueda
寛之 上田
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Abstract

【課題】ゴム製品内部のゴム部分における温度を直接測定することにより、ゴム製品の設計や品質保証のための実験データ収集や、ゴム製品の故障に繋がる可能性のある異常の早期発見を可能にするゴム製品の温度測定方法およびこの方法に用いられるゴム製品温度測定装置を提供する。
【解決手段】ゴム製品の代表例となるコンベヤベルトCを構成するスチールコードS等の導電性補強部材の所定部分Pに渦電流を発生させ、この渦電流により生起された磁束によってコンベヤベルトCの外に配置された測定コイル1に誘起される電流を測定し、所定の換算式に基づいてこの電流値を温度に換算して前記所定部分の近傍のゴム部分の温度を求める。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム製品の内部のゴム部分における温度の測定方法および温度測定装置に関し、特に、ゴム製品の設計や品質保証のための実験データ収集の用途に、あるいは、実際の装置に装着されて稼働するゴム製品の温度の情報を装置の操作者に通知する用途に供するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴムの耐久性は一般的に温度に大きく影響されるので、ゴム製品の温度を測定し、測定した温度データを用いて、ゴム製品の設計や品質保証のための実験データ収集の用途に、あるいは、実際の装置に装着されて稼働するゴム製品の温度の情報を装置の操作者に通知する用途に供することが必要とされている。そして、この目的のためには、当然ながら上昇のもっとも著しいゴム部分の温度を正確に測定しなければならないが、実際の発熱は通常、ゴム製品内部、特に剛性の異なる部材同士の境界で起こるので、このような部分の温度を正確に測定する必要がある。
【0003】
従来のゴム製品の温度の測定方法として、ゴム製品の表面から内部の所定部分に通ずる穴を設け、この穴の奥の温度を赤外線表面温度計で測定する方法が知られているが、この方法は、ゴム製品に穴を開けるため、穴のない実際の製品の温度とは異なった温度しか測定することができず正確な温度測定方法とはなり得ない(例えば、特許文献1。)。
【0004】
また、同様に熱電対の接点を、ゴム製品の測定対象とする部分に埋設してこの部分の温度を測定する方法も知られているが、この方法も、熱電対を埋設するため、同様に正確な温度を測定することができない。さりとて、ゴム製品を傷つけることなく温度を測ろうとすれば、製品の表面温度を赤外線表面計等で測定せざるを得ず、この場合、前述の通り、表面温度は測定対象とする内部の温度とは大きく異なるので、これも正確さを欠いたものとなる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−208618号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ゴム製品内部のゴム部分における温度を直接測定することにより、このゴム製品の設計や品質保証のための実験データ収集や、ゴム製品の温度の情報を装置の操作者に通知してゴム製品の故障に繋がる可能性のある異常の早期発見を可能にするゴム製品の温度測定方法およびこの方法に用いられるゴム製品温度測定装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明はなされたものであり、その要旨構成ならびに作用を以下に示す。
【0008】
請求項1に記載のゴム製品の温度測定方法は、導電性補強部材を有するゴム製品の内部温度を測定する方法であって、
ゴム製品内部の所要ゴム部分の近傍に位置する導電性補強部材に渦電流を発生させ、この渦電流により生起された磁束によってコイルに誘起される電流を測定し、所定の換算式に基づいてこの電流値を温度に換算して前記所要ゴム部分の温度を求めるものである。
【0009】
導電性部材で発生する渦電流は磁束を生起し、この部材の近くに配置されたコイルに電流を誘起し、この誘起電流を測定することによって渦電流の大きさを知ることができる。ここで、一定の交番磁界を加えてこの導電性部材に渦電流を発生させたとき渦電流の大きさはこの部材の温度に一意的に依存するので、このことを利用して導電性部材もしくはこの部材の周囲の温度を測定する方法が知られている。
【0010】
本発明のゴム製品の温度測定方法は、ゴム製品、例えばコンベヤベルトやゴムクローラがスチールコード等よりなる導電性補強部材を具えていること、および、繰り返し応力下で温度が最も高くなる部分はこれらの補強部材とゴム部材との境界であることに着目してなされたものであり、このゴム製品の温度測定方法によると、上述の原理により、ゴム製品の内部に配設された導電性補強部材の所定部分の温度を直接測定しこの所定部分の近傍にあるゴム部分の温度を正確に知ることができ、しかもこのゴム部分は温度上昇がもっとも著しく温度測定の対象となる部分であるので、ゴム製品の設計や品質保証、あるいはゴム製品の温度異常検出に資することができる。
【0011】
請求項2に記載のゴム製品の温度測定方法は、請求項1に記載するところにおいて、前記コイルと導電性補強部材との間の離隔距離を測定し、測定された前記電流値を温度に換算するに際して、前記離隔距離の測定結果を用いて離隔距離の変化の影響を排除するものである。
【0012】
渦電流によって生起される磁束によってコイルに誘起される電流は、コイルと導電性補強部材との間の離隔距離に大きく依存する。コンベヤベルトやゴムクローラ等のゴム製品の温度の測定は、外力の作用下でこれらを走行させながら行うことが多く、この場合、測定の対象となる導電性補強部材とコイルとを互いに固定することがむつかしいためこの離隔距離は変動し、この変動を無視して前記電流値から温度を求めると求めた温度の精度が悪化してしまうという問題がある。この方法によれば、離隔距離を測定し、この測定結果を用いてその影響を排除するので高精度な温度測定を可能にすることができる。
【0013】
請求項3に記載のゴム製品の温度測定方法は、請求項2に記載するところにおいて、導電性補強部材を所定温度に保持した条件下で一定の電流をコイルに誘起する前記離隔距離と前記渦電流の大きさとの関係式を予め準備し、前記離隔距離の測定値を基にこの関係式を用いて渦電流の大きさを制御して、前記電流値を温度に換算する際の離隔距離の変化の影響を排除するものである。
【0014】
このゴム製品の温度測定方法によれば、電流値を温度に換算する際の離隔距離の変化の影響を排除することを可能にするとともに、コイルに誘起される電流は、離隔距離によって影響されることがなく、導電性補強部材の温度だけに依存するので、測定される誘起電流の変動範囲を所定の小さな範囲におさめることができ、その分、精度を向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載のゴム製品の温度測定方法は、請求項2に記載するところにおいて、電流値を温度に換算する前記換算式を、前記離隔距離の関数として予め準備し、この換算式に離隔距離の測定結果を代入して、前記電流値を温度に換算する際の離隔距離の変化の影響を排除するものである。
【0016】
この方法によれば、電流値を温度に換算する際の離隔距離の変化の影響を排除することを可能にするとともに、電流値の測定と、離隔距離の測定とを独立して行うことができるのでこの方法を実現する装置を簡易に構成することができる。
【0017】
請求項5に記載のゴム製品の温度測定方法は、請求項1〜4のいずれかに記載するところにおいて、前記ゴム製品を、コンベヤベルトとするものである。
【0018】
コンベヤベルトは、スチールコードよりなる導電性補強層を具えるものが多く、また、高負荷の搬送や高テンション下での稼働による過度の温度上昇が導電性補強層とゴム部分とのセパレーションを引き起こし、故障にいたることがある。この温度測定方法はこのようなコンベヤベルトに用いられるので、一層有利な効果をえることができる。
【0019】
請求項6に記載のゴム製品の温度測定方法は、請求項1〜4のいずれかに記載するところにおいて、前記ゴム製品を、ゴムクローラとするものである。
【0020】
ゴムクローラは、スチールコードよりなる導電性補強層を具えるものが多く、また、高負荷の走行に際し過度の温度上昇が導電性補強層とゴム部分とのセパレーションを引き起こし、故障にいたることがある。この温度測定方法はこのようなゴムクローラに用いられるので、一層有利な効果をえることができる。
【0021】
請求項7に記載のゴム製品の温度測定方法は、請求項1〜4のいずれかに記載するところにおいて、前記ゴム製品を、動力伝達ベルトとするものである。
【0022】
動力伝達ベルトは、スチールコードよりなる導電性補強層を具えるものがあり、また、高テンション、高速走行、短い曲げ半径等の条件下での使用に際し過度の温度上昇が導電性補強層とゴム部分とのセパレーションを引き起こし、故障にいたることがある。この温度測定方法はこのような動力伝達ベルトに用いられるので、一層有利な効果をえることができる。
【0023】
請求項8に記載のゴム製品温度測定装置は、請求項1〜7のいずれかに記載のゴム製品の温度測定方法に用いられるゴム製品温度測定装置であって、導電性補強部材の渦電流により生起された磁束によって電流を誘起する測定コイルを具えてなるものである。
【0024】
このゴム製品温度測定装置によれば、導電性補強部材の渦電流により生起された磁束によって電流を誘起する測定コイルを具えるので、前述のゴム製品の温度の測定方法を実現して、ゴム製品内部の所要ゴム部分の温度を正確に測定することを可能にし、よって、ゴム製品の設計や品質保証、あるいは、ゴム製品の温度異常検出に資することができる。
【0025】
請求項9に記載のゴム製品温度測定装置は、請求項8に記載するところにおいて、導電性補強部材に渦電流を発生させる磁束を生起する励磁コイルと、励磁コイルに高周波交番電流を流す発振回路とを具えてなるものである。
【0026】
このゴム製品温度測定装置によれば、磁束を検出する測定コイルと磁束を生起する励磁コイルとを別々に具えているので、それぞれのコイルごとに磁束のレベルを独立して設定することができ、それによって高い精度の磁束の生起および磁束の検出を可能にすることができる。
【0027】
請求項10に記載のゴム製品温度測定装置は、請求項8に記載するところにおいて、前記測定コイルに高周波交番電流を流す発振回路を具え、この測定コイルを、導電性補強部材に渦電流を発生させる磁束を生起するよう構成してなるものである。
【0028】
このゴム製品温度測定装置によれば、一つのコイル、すなわち測定コイルだけで、磁束の検出と磁束の励磁とを行うので、ゴム製品温度測定装置を簡易に構成することができる。
【0029】
請求項11に記載のゴム製品温度測定装置は、請求項8〜10のいずれかに記載するところにおいて、前記導電性補強部材と前記測定コイルとの離隔距離を測定する距離センサを具えてなるものである。
【0030】
このゴム製品温度測定装置によれば、導電性補強部材と前記測定コイルとの離隔距離を測定する距離センサを具えているので、電流値を温度に換算するに際して、前記離隔距離の測定結果を用いて離隔距離の変化の影響を排除することができる。
【0031】
請求項12に記載のゴム製品温度測定装置は、請求項11に記載するところにおいて、距離センサの測定値に基づいて高周波交番電流を変化させるよう、前記発振回路を制御する発振回路制御手段を具えてなるものである。
【0032】
このゴム製品温度測定装置によれば、このように発振回路を制御する発振回路制御手段を具えているので、予め準備した、請求項3に記載の前記関係式を用いて、離隔距離の測定値を基に発振回路を制御して渦電流の大きさを変え、電流値を温度に換算する際の離隔距離の変化の影響を排除することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、コンベヤベルトをゴム製品の代表例として、本発明の実施形態について図1ないし図7に基づいて説明する。
図1は、第一の実施形態のコンベヤベルト温度測定装置10を示す構成図、図2は、この装置10のセンサ部3および温度測定制御装置4の配置態様を示す斜視図である。コンベヤベルトCは、導電性補強部材の一つである、長さ方向に無端状に配列されたスチールコードSを具え、プーリーLに巻掛けられて駆動される。一方、ゴム製品温度測定装置10は、スチールコードSの所定部分Pに発生した渦電流により生起された磁束によって電流を誘起する測定コイル1と、コンベヤベルトCの変位を検出する変位計2と、コンベヤベルトCの温度を表示する温度表示装置5と、測定コイル1および変位計2を駆動するとともにこれらからの信号を処理して表示装置5に表示データ等を出力する温度測定制御装置4とを具える。
【0034】
測定コイル1と変位計2とは共通ベース3Aに取り付けられ、共通ベース3Aは、ステー3Bを介して、プーリーLを軸支するフレームFに固定される。そして、これら測定コイル1、変位計2および共通ベース3Aはセンサ部3を構成する。変位計2は、コンベヤベルトCの表面までの距離の変化を測定するものであり、コンベヤベルトCの走行に伴って、測定コイル1とコンベヤベルトCの表面までの垂直距離が変化した場合、変位計2は測定コイル1と共通にベース3Aに取り付けられているので、変位計2とコンベヤベルトCの表面までの距離も同じ量だけ変化し、コンベヤベルトCの表面までの変位を測定することによって、測定コイル1とコンベヤベルトCとの離隔距離dを測定する距離センサとして機能させることができる。この場合、変位計2としては、例えばレーザ光や赤外線を用いたものが例とあげられる。
【0035】
図3は、コンベヤベルト温度測定装置10の測定原理および温度測定制御装置4の構成を示すブロック線図である。温度測定制御装置4は、測定コイル1に高周波交番電流を印可する発振回路11、測定コイル1に流れる電流を測定するインダクタンス測定回路12、この電流を温度に換算する温度換算部13、変位計2を駆動するとともに変位計2から変位データを取り出す変位計制御部14、および、変位計制御部14からの変位データに基づいて発振回路11を制御して、測定コイル1に印可する高周波交番電流を変化させる発振回路制御手段15を具える。
【0036】
以下に、この装置を用いた温度の測定原理について説明する。発振回路11により測定コイル1に印可された電流iは交番磁束fを発生させ、交番磁束fはスチールコードSの所定部分Pに渦電流iを発生させる。そしてこの渦電流iはさらに交番磁束fを生起しこの磁束fは、測定コイル1に交番電流iを誘起する。
【0037】
そして、スチールコードSに発生する渦電流iの大きさは、スチールコードSの電気抵抗値、および、測定コイル1とスチールコードSとの離隔距離dに依存し、測定コイル1に誘起される電流iの大きさは、渦電流iと離隔距離dに依存する。また、スチールコードSの電気抵抗値は、スチールコードSに固有の定数と所定部分Pにおける温度Tとに依存する。したがって、離隔距離dが一定の条件下では、電流iは、スチールコードSの所定部分Pの温度Tだけに依存し、このことにより、予め準備した、電流iと温度Tとの関係を表わす換算式を用いて電流iから温度Tを求めることができ、そして、この温度TsはスチールコードSの所定部分Pの近傍に位置するゴム部分Gの温度Tにほぼ等しいから、このことによりゴム部分Gの温度Tを求めることができる。
【0038】
以上の説明において、離隔距離dを一定としたが、実際には、コンベヤベルトCにおけるスチールコードSの所定部分Pの位置は、走行に伴うコンベヤベルトCの変形や振動によって変化するので、離隔距離dを一定とすることが難しい測定環境が多い。離隔距離dの変化を排除する第一の方法は、スチールコードSを所定温度に保持した条件下で、一定の電流iをコイルに誘起する、離隔距離dと渦電流iの大きさとの関係式を予め準備し、離隔距離dの測定値を基にこの関係式を用いて渦電流iの大きさを制御する方法であり、具体的には、渦電流iを直接制御する代わりに、印可交番電流iを制御して渦電流iを制御することができる。すなわち、温度Tを所定の温度T0に保持した条件下で電流iが一定の値i0になるような、離隔距離dと印可交番電流iとの関係を予め求めておき、発振回路制御手段15は、変位計2で逐次測定される離隔距離dに対応する印可交番電流iをこの関係式を用いて求め、発振回路11に、この求められた交番電流iを測定コイル1に印可させるよう温度測定制御装置4を構成する。この構成において、測定された電流iが前記i0であるならばこの場合はとりもなおさず温度Tが温度T0の場合であることになるが、測定された電流iが一定電流i0と異なり差分Δi(=i−i0)が発生する場合は、その差分ΔiはスチールコードSの温度Tが所定温度T0からΔTだけ変化したしたことによって発生するものと考えることができ、この温度の差分ΔTと電流の差分Δiとの関係式を予め求めておくことにより、電流値iから温度Tを求めることができ、この方法により離隔距離dの変化の影響を排除することができる。
【0039】
図4は、離隔距離dの変化の影響を排除する第二の方法に係る温度測定制御装置4Aの構成を示すブロック線図である。温度測定制御装置4Aは、測定コイル1に高周波交番電流を印可する発振回路11、測定コイル1に流れる電流を測定するインダクタンス測定回路12、この電流を温度に換算する温度換算部13A、および、変位計2を駆動するとともに変位計2から変位データを取り出す変位計制御部14を具える点では、前述の温度測定制御装置4と同じであるが、温度測定制御装置4と異なるのは、変位計制御部14からの変位データが、直接、温度換算部13Aに入力される点である。
【0040】
温度換算部13Aにおいては、スチールコードSの所定部分Pの温度Tを、誘起電流iと離隔距離dとの関数として準備しておき、これに、インダクタンス測定回路12からの電流iの測定値と、変位計制御部14からの離隔距離dの測定値とを代入して温度Tを温度表示装置5に出力する。この方法は、図3に示す前述の方法と同様に離隔距離dの影響を排除することができ、また、前述の方法に比較して発振回路制御手段15を必要としないので装置を簡易に構成することができる。
【0041】
図5は、第二の実施形態のコンベヤベルト温度測定装置30を示す構成図である。コンベヤベルトCが、長さ方向に無端状に配列されたスチールコードSを具え、プーリーLに巻かけられて駆動されること、コンベヤベルト温度測定装置30が、スチールコードSの所定部分Pに発生した渦電流により生起された磁束によって電流を誘起する測定コイル21と、コンベヤベルトCの変位を検出する変位計22と、コンベヤベルトCの温度を表示する温度表示装置25と、測定コイル21および変位計22を駆動するとともにこれらからの信号を処理して表示装置25に表示データ等を出力する温度測定制御装置24とを具えること、また、測定コイル21と変位計22とは、共通ベース23Aに取り付けられ、これら測定コイル21、変位計22および共通ベース23Aはセンサ部23を構成することについては、第一の実施形態と全く同じである。
【0042】
この装置30が第一の実施形態の装置10と異なる点は、測定コイル21の他に、スチールコードSに渦電流を発生させる磁束を生起する励磁コイル20が共通ベース23Aに取り付けられて具えられる点である。
【0043】
図6は、コンベヤベルト温度測定装置30の測定原理および温度測定制御装置24の構成を示すブロック線図である。温度測定制御装置24は、励磁コイル20に高周波交番電流を印可する発振回路31、測定コイル21に流れる電流を測定するインダクタンス測定回路32、この電流を温度に換算する温度換算部33、変位計22を駆動するとともに変位計22から変位データを取り出す変位計制御部34、および、変位計制御部34からの変位データに基づいて発振回路31を制御して、励磁コイル20に印可する高周波交番電流を変化させる発振回路制御手段35を具える。
【0044】
この装置30において、発振回路31により励磁コイル20に印可された電流iは交番磁束fを発生させ、交番磁束fはスチールコードSの所定部分Pに渦電流iを発生させる。そしてこの渦電流iはさらに交番磁束fを生起しこの磁束fは、測定コイル21に交番電流iを誘起する。
【0045】
そして、スチールコードSに発生する渦電流iの大きさは、スチールコードSの電気抵抗値、および、励磁コイル20とスチールコードSとの離隔距離dに依存し、測定コイル21に誘起される電流iの大きさは、渦電流iと離隔距離dに依存する。
【0046】
以上の通り、第一の実施形態の装置10は、測定コイル1がスチールコードSに渦電流を発生させる励磁コイルの機能を兼ね備えた自己誘導型であるのに対し、第二の実施形態の装置30は、測定コイル21の他に、スチールコードSに渦電流を発生させるための励磁コイル20を測定コイル21とは別個に具えた相互誘導型である。第二の実施形態の装置30は、励磁コイル20と測定コイル21とは明確な機能分担がなされているので、測定条件により検出感度やS/N比等の点で、第一の実施形態のものより有利である。
【0047】
装置30はその他の点で、装置10と全く同等である、したがって、この温度測定に際して、変位センサ22からの変位データを用いて、離隔距離dの影響を排除することができ、離隔距離dの影響を排除する方法として、変位データを発振回路制御手段35に入力する図5に示す方法と、変位データを直接温度換算部33に入力する図示しない方法とがあることは、既に説明した通りである。なお、渦電流の大きさは励磁コイル20とスチールコードSとの間の離隔距離dにも依存するので、温度測定にあたって離隔距離dの影響も排除するためには、励磁コイル20が、変位センサ22と一体的に設けられていることが必要である。
【0048】
以上の実施形態の説明は、ゴム製品の代表例となるコンベヤベルトCについて行ったが、コンベヤベルトCの代りに、長さ方向にスチールコードを配列して設けた、ゴムクローラや動力伝達用ベルトに対しても全く同様の方法や装置を用いて温度を測定することができ、また、そのらの装置の配置態様も図2に示したものとほぼ同様のものとすることができる。さらに、ゴム製品としてはこれらの例に限定されるものではなく、導電性補強部材を具えたゴム製品でありさえすれば、上述の方法に基づいてこのゴム製品の内部の温度を測定できることは以上の説明から明白である。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、本発明によれば、ゴム製品の例となるコンベヤベルトCを構成するスチールコードS等の導電性補強部材の所定部分Pに渦電流を発生させ、この渦電流により生起された磁束によってコンベヤベルトCの外に配置された測定コイル1に誘起される電流を測定し、所定の換算式に基づいてこの電流値を温度に換算して前記所定部分の近傍のゴム部分の温度を求めるので、タイヤの内部に配設されたスチールコードS等の導電性補強部材の所定部分Pの温度を直接測定して、この所定部分Pの近傍にあるゴム部分の温度を正確に知ることができ、しかもこのゴム部分は温度上昇がもっとも著しく温度測定の対象となる部分であるので、コンベヤベルトCの設計や品質保証、あるいはコンベヤベルトCの温度異常検出に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態のコンベヤベルト温度測定装置を示す構成図である。
【図2】センサ部および温度測定制御装置の配置態様を示す斜視図である。
【図3】第一の実施形態のコンベヤベルト温度測定装置の測定原理および温度測定制御装置の構成を示すブロック線図である。
【図4】他の構成の温度測定制御装置を示すブロック線図である。
【図5】第二の実施形態のコンベヤベルト温度測定装置を示す構成図である。
【図6】第二の実施形態のコンベヤベルト温度測定装置の測定原理および温度測定制御装置の構成を示すブロック線図である。
【符号の説明】
1 測定コイル
2 変位計
3 センサ部
3A 共通ベース
4、4A 温度測定制御装置
5 温度表示装置
10 コンベヤベルト温度測定装置
11 発振回路
12 インダクタンス測定回路
13、13A 温度換算部
14 変位計制御部
15 発振回路制御手段
20 励磁コイル
21 測定コイル
22 変位計
23 センサ部
23A 共通ベース
24 温度測定制御装置
25 温度表示装置
30 コンベヤベルト温度測定装置
31 発振回路
32 インダクタンス測定回路
33 温度換算部
34 変位計制御部
35 発振回路制御手段
C コンベヤベルト
G ゴム部分
F フレーム
P スチールコードの所定部分
L プーリー
S スチールコード

Claims (12)

  1. 導電性補強部材を有するゴム製品の内部温度を測定する方法であって、
    ゴム製品内部の所要ゴム部分の近傍に位置する導電性補強部材に渦電流を発生させ、この渦電流により生起された磁束によってコイルに誘起される電流を測定し、所定の換算式に基づいてこの電流値を温度に換算して前記所要ゴム部分の温度を求めるゴム製品の温度測定方法。
  2. 前記コイルと導電性補強部材との間の離隔距離を測定し、測定された前記電流値を温度に換算するに際して、前記離隔距離の測定結果を用いて離隔距離の変化の影響を排除する請求項1に記載のゴム製品の温度測定方法。
  3. 導電性補強部材を所定温度に保持した条件下で一定の電流をコイルに誘起する前記離隔距離と前記渦電流の大きさとの関係式を予め準備し、前記離隔距離の測定値を基にこの関係式を用いて渦電流の大きさを制御して、前記電流値を温度に換算する際の離隔距離の変化の影響を排除する請求項2に記載のゴム製品の温度測定方法。
  4. 電流値を温度に換算する前記換算式を、前記離隔距離の関数として予め準備し、この換算式に離隔距離の測定結果を代入して、前記電流値を温度に換算する際の離隔距離の変化の影響を排除する請求項2に記載のゴム製品の温度測定方法。
  5. 前記ゴム製品を、コンベヤベルトとする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム製品の温度測定方法。
  6. 前記ゴム製品を、ゴムクローラとする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム製品の温度測定方法。
  7. 前記ゴム製品を、動力伝達ベルトとする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム製品の温度測定方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム製品の温度測定方法に用いられるゴム製品温度測定装置であって、導電性補強部材の渦電流により生起された磁束によって電流を誘起する測定コイルを具えてなるゴム製品温度測定装置。
  9. 導電性補強部材に渦電流を発生させる磁束を生起する励磁コイルと、励磁コイルに高周波交番電流を流す発振回路とを具えてなる請求項8に記載のゴム製品温度測定装置。
  10. 前記測定コイルに高周波交番電流を流す発振回路を具え、この測定コイルを、導電性補強部材に渦電流を発生させる磁束を生起するよう構成してなる請求項8に記載のゴム製品温度測定装置。
  11. 前記導電性補強部材と前記測定コイルとの離隔距離を測定する距離センサを具えてなる請求項8〜10のいずれかに記載のゴム製品温度測定装置。
  12. 距離センサの測定値に基づいて高周波交番電流を変化させるよう、前記発振回路を制御する発振回路制御手段を具えてなる請求項11に記載のゴム製品温度測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013508723A (ja) * 2009-10-19 2013-03-07 ティーエスアイ テクノロジーズ エルエルシー 渦電流温度計
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WO2020013321A1 (ja) * 2018-07-13 2020-01-16 株式会社ブリヂストン 状態検出装置、状態検出システム及び状態検出方法

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