JP2004340611A - 微細料作製装置及び微細試料作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】集束イオンビームを用いたTEM用観察試料作製時に観察部位の過剰加工を防止し、高い歩留まりで薄膜試料を作製する。
【解決手段】電子顕微鏡用観察試料作製装置が、電流検出用の複数のプローブを有し、これにより試料に流れる電流値をモニタしながら薄膜化加工を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】電子顕微鏡用観察試料作製装置が、電流検出用の複数のプローブを有し、これにより試料に流れる電流値をモニタしながら薄膜化加工を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細試料作製方法及び装置、より詳細には、磁気ヘッドや半導体デバイス等から観察対象の微小領域を含む微小試料片を集束イオンビームを用いて分離摘出し、それを薄膜化した微細試料を作製する方法及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク装置の大容量化に伴い、磁気記録媒体に書きこまれる単位面積あたりの記録ビットの数は年率100%ものスピードで増大している。これに伴って、記録を書き込んだり、読み出したりするための磁気ヘッドの形状は微細化が急速に進み、ナノスケールの構造を有するまでに到っている。磁気ヘッドの記録再生に関する所望の性能を実現するためには、設計されたナノスケールで構造を制御する必要があるが、その構造を実際に確かめるためには、サブナノメートル以下の空間分解能を有する観察手段が必要となる。
【0003】
透過電子顕微鏡(以下、TEMという)は、サブナノメートルの高い空間分解能を持ち、磁気ヘッドの形状観察に有効な手段である。ただし、観察すべき部分を電子線が透過できる程度の薄膜(約100nm以下)とすることが観察の条件となる。従来、薄膜化の工程は、研磨剤を用いた機械研磨、Arイオン等を用いたイオン研磨、電気分解を利用した電界研磨などの手法が用いられてきた。しかし、これらの方法では、磁気ヘッドの磁極部分やセンサ部分のような特定の場所のみを薄膜化することは困難であった。そこで、特定の場所のみを薄膜化するために、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)を用いた新たな薄膜化方法および装置が提案されている(例えばWO99/05596参照)。従来のFIBを用いた微細試料作製装置には、試料搬送用のプローブ1本と、プローブの駆動装置と、タングステンデポジション法を実現できる機能が備わっている。
【0004】
【特許文献1】
WO99/05596
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の微細試料作製装置でナノスケールの観察対象物の薄膜化加工を行うには問題がある。例えば、磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子(以下、MR素子という)をTEM観察用に薄膜化しようとする場合、磁気ヘッドからMR素子部分を含む試料片の抽出を行う。このときMR素子部分を覆うように摺動面に保護膜が形成されるが、抽出した試料片を摺動面に平行に薄膜化する場合、その保護膜がTEM観察の障害となるため除去する加工が必要である。しかし、センサ部分の摺動面から奥行きの長さ(以下MR高さと称す)が100nm程度の場合、微細試料作製装置で形成できる膜厚100nmと同程度となるため、MR素子部分だけを正確に薄膜化することが困難になる。なぜならば、保護膜を除去する工程でMR素子自体を加工してしまい、薄膜加工した部分にMR素子が含まれなくなる可能性があるためである。MR高さが200nm以上ある場合には、多少MR素子部分が加工されても、センサ部分や電極部分が残ることなり、MR素子形態のTEM観察を行うことができた。すなわち、薄膜化加工時に観察対象が加工されて消滅する可能性があるという問題は、近年の磁気ヘッドMR素子の微細化の進展とともに顕在化した問題である。
【0006】
この問題に対しては、加工面の状態を逐次観察して保護膜除去状態を判定するという対処法が考えられる。像の観察には、FIB照射によって発生する二次電子を像の輝度信号としたSIM(Scanning Ion Microscope)像を用いることができる。しかし、SIM像の空間分解能ではナノメートルサイズを有するMR素子の位置を正確に特定することは困難である。観察位置の概略を確認できた場合でも、FIB照射によって観察部分を加工してしまい、観察部分を消滅させてしまう可能性がある。すなわち、薄膜試料加工の歩留まりが著しく低下する。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、測定対象物の大きさが100nm以下となり、試料作製装置で実現できる薄膜化膜厚より薄い場合でも、観察対象物を薄膜試料中に残し、かつ、透過電子顕微鏡で観察できる薄膜試料を作製できる微細試料加工方法及び微細試料加工装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、微細試料作製装置に、試料に流れる電流を測定するための電流測定用プローブと、電流測定用プローブに接続された電流計とを備えることにより達成される。望ましくは、集束イオンビーム光学系を制御する制御部を有し、制御部では電流計が電流測定用プローブに流れ込む電流を検出したとき、その信号に基づいて試料への集束イオンビーム照射を停止する制御を行う。電流測定用プローブは複数用意し、更に試料観察用の走査電子顕微鏡を備えるのも好ましい形態である。
【0009】
本発明の微細試料加工方法は、導電性部材の上に絶縁体が被覆された試料の、絶縁体被覆を集束イオンビームを用いて除去する場合に有効な方法であり、試料の導電性部材に電流測定用プローブを接触させる工程と、電流測定用プローブに流れる電流を監視しながら絶縁体被覆に集束イオンビームを照射して加工する工程と、集束イオンビームが導電性部材に接触したことに起因する電流が記電流測定用プローブに流れたことを検出したとき、集束イオンビームによる前記絶縁体被覆の加工を停止する工程とを有することを特徴とする。この試料加工方法は、試料が絶縁体で被覆された磁気抵抗効果素子を有する磁気ヘッドの場合に特に有効な方法であり、その際、2本の電流測定用プローブを磁気抵抗効果素子の両側に配置された一対の電極にそれぞれ接触させ、いずれか一方あるいは両方の電流測定用プローブに電流が流れたことを検出したとき、集束イオンビームによる絶縁体被覆の加工を停止するのが好ましい。
【0010】
本発明によると、試料の薄膜化加工を終了すべき時点を的確に判定することができ、薄膜加工の製造歩留まりを向上できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここでは、磁気ヘッドのMR素子をTEM観察用に加工する例について説明する。
【0012】
<実施例1>
図1は、本発明による微細試料作製装置の一例を示す概略構成図である。
この微細試料作製装置は、試料(観察対象)を照射する集束イオンビーム(FIB)照射光学系1、試料を載置し移動する試料台3、試料を先端に固定し搬送するための搬送用プローブ6、搬送用プローブの位置を制御するためのプローブ制御装置7、電流測定するための複数の電流測定用プローブ4,4′、電流測定用プローブ4,4′を駆動するプローブ駆動部41,41′、プローブ駆動部41,41′を制御して電流測定用プローブの位置を制御するためのプローブ制御装置5,5′、電流測定用プローブ4,4′から流れる電流値を測定するための電流計8,8′、試料の観察領域に保護膜を形成するためにガスを供給するためのガス供給源9、ガス供給源9を操作するためのデポガス供給制御装置10、試料表面に電子線を走査しながら照射するための電子線光学系11、形態情報を観察の輝度信号とするため試料表面から放出される2次電子を検出する2次電子検出器15を備える。
【0013】
これらのイオンビーム照射光学系1、試料台3、電流測定用プローブ4,4′、試料搬送用プローブ6、ガス供給源9、電子線光学系11、2次電子検出器15は、高真空排気される真空室内に配置されている。電子線光学系11と2次電子検出器15とは走査電子顕微鏡を構成し、走査電子顕微鏡制御部によって制御され、モニタ13に走査電子顕微鏡像が表示される。
【0014】
図2は、試料台の詳細図である。試料台3には、試料から取り出される微小試料片を固定・接着するため、図3に示すTEMホルダ301を固定するためのTEMホルダ設置台201を載置する。TEMホルダ301は、TEM装置内に薄膜化試料を導入するための一般的なTEM試料導入ステージに載置できる寸法であり、直径3mm、厚さ100μm程度の半円状に片方だけ角状なものがついている形状をしており、TEMホルダ微小試料片設置個所302に観察したい試料を固定する。なお、TEMホルダ301の形状は、TEM試料導入ステージに載置できる形状で電子線が通る形状であればどのような形状のもの使用してもよい。
【0015】
図1の搬送用プローブ6を駆動するために圧電素子等の微動移動が可能な移動手段61が設けられており、それをプローブ移動制御部7により駆動制御して、プローブの先端部を微動移動させる。プローブ移動手段の他の例として、真空外にプローブ粗動機構を設け、さらにプローブ先端部にプローブ微動機構を設けて、それぞれをプローブ移動制御部により駆動制御して、プローブ先端部を所望の位置に微動移動させるように構成してもよい。
【0016】
次に、磁気ヘッドのMR素子のTEM用観察用試料作製方法について説明する。なお、巨大磁気抵抗効果素子や、トンネル磁気効果素子の場合でも同様の装置構成で対応が可能である。
【0017】
磁気ヘッドのMR素子部分は、磁気ヘッドを磁気ディスクに対向する摺動面側から見た概略図である図5に例示するように、100nm程度の幅を持ったCoなどの金属薄膜を複数積層した磁気抵抗効果を有するセンサ部分601と、その両端に付設された電極604を備える。センサ部分601の奥行き方向(紙面に垂直な方向)の長さは100nm程度である。また、MR素子全体を非導電性のアルミナのような物質で覆い、その外側にシールド層603,605や磁極602,606が形成されている。たとえば、Coなどの金属積層部分で構成されるセンサ部分601と電極604との境界部分の形態状態をTEMで観察する目的で薄膜化するためには、磁気ヘッドの摺動面に平行な方向(紙面平行方向)に薄膜化する必要がある。
【0018】
MR素子にFIBを直接照射すると、どんなに電流量の少ないビームでも表面が加工されるので、薄膜加工を行う前に、別の蒸着装置を用いて磁気ヘッド摺動面に保護膜として導電性の材料を蒸着する。蒸着する材料は磁気ヘッドの表面に存在するヘッド保護膜の厚さを評価する時等のために、ヘッド保護膜との違いがTEMで観察した際に区別できるものが好ましい。本例では一例としてAuを使用することができる。
【0019】
図2に、磁気ヘッド402とTEMホルダ301の試料台3への設置例を示す。TEMホルダ301のTEMホルダ微小試料片設置場所302は試料台3表面に対して略平行な状態でTEMホルダ土台403に載置する。磁気ヘッド402を試料台3に導電性テープ401で載置した後、磁気ヘッドを含んだ試料台3の位置を設定する。試料台3の位置の基準には図1のデポガス供給源9を用いる。SIM像によりデポガス供給源9を観察し、デポガス供給源9に焦点を合わせた後、FIBのレンズ電圧を下げることにより焦点距離を伸ばし、試料台3に焦点が合うように、試料台3の位置を変化させる。この時の用いるFIBのビーム径は45〜50nm,ビーム電流量は約30pAである。
【0020】
次に、磁気ヘッド402からMR素子部分のみを摘出し、TEMホルダに固定し、薄膜加工を行うための手法を図4を用いて説明する。
【0021】
まず、図4(a)に示すように、試料内のMR素子の位置を示すためSIM像により位置を確認しながら、MR素子のある部分を除いてその周辺にマーク501を複数加工する。加工にはFIBを用いる。マーク501はAuを蒸着する前に、あらかじめ試料を微細試料作製装置内に導入して行なってもよい。しかし、その際にはMR素子601にFIBを照射してはならない。すなわちMR素子601をSIM像で観察してはならない。マーク501形成後、MR素子領域の保護のためにマーク間にタングステンデポジション保護膜503を形成する。この際、MR素子601の両端に存在する電極部分604の一部は保護膜で覆われないように形成する。これは電流検出用プローブ4,4′にて電流を測定するための接触領域を確保するためである。本実施例では、デポジション膜の厚さは約1μmとした。
【0022】
次に、複数のマーキング501の外側の両側にFIBの照射により2個の矩形穴502を形成する。矩形穴502の寸法は例えば面積22μm×8μm、深さ20μmである。穴加工する際のFIBのビーム径は0.15μm程度、ビーム電流約10nAの大電流での加工を行なえば、短時間での加工が可能である。なお、磁気ヘッドの材料は半導体等に使用されているシリコンより重い金属を使用しており、半導体試料と同じ条件で加工すると、磁気ヘッドの材料は半導体試料に比べ約2倍の加工時間を費やさなければならない。
【0023】
次に、図4(b)に示すように、上記2個の矩形穴502間にあるマーク501より約5μm離れた部分に、一端が矩形穴502に達して、片側の一端の矩形穴502には僅かに達しないような、幅約3.5μm、長さ10μmの垂直穴504を加工する。一方の矩形穴502と垂直穴504との間に僅かに残った残存領域は、後にMR素子601を含む微小試料片508を磁気ヘッド402から分離する際に微小試料片508を仮に保持するための支持部505とする。
【0024】
上記の工程を終了後、図4(c)に示すように、垂直穴504とはマーク501に対して反対側に、磁気ヘッドから微小試料片を分離するための傾斜穴506を、垂直穴504と交差させて加工する。傾斜穴506の角度は、磁気ヘッドを載置している試料台3を傾斜させることによって設定することができる。本実施例では傾斜角度は45°とした。傾斜穴加工が終了した後、傾斜角度を元の0°に戻すが、この時、上記垂直穴504に傾斜穴506を加工した際に垂直穴504に再付着膜(以下リデポと云う)がついている。このままだとリデポにより分離すべきMR素子601を含む微小試料片508と磁気ヘッド402から分離できないため、垂直穴504に再加工を行なう。この再加工はリデポがとれたことをSIM像で確認したら終了する。再加工が終了した後、再度45°に傾け、傾斜穴に対して垂直穴が上記再加工によって貫通していることを確認する。
【0025】
次に、図4(d)に示すように、搬出用プローブ6をSIM像で観察し、MR素子601を含む微小試料片508の傾斜穴側の片側端部に搬出用プローブ6を下方に押し下げ、搬出用プローブ6先端を接触させる。SIM像は二次元で表示されているため、微小試料片508と搬出用プローブ6の高さ関係は観察することができない。したがって、搬送用プローブ制御手段にプローブ接触を感知するセンサをとりつけ、搬出用プローブ6に電流を流し、微小試料片508に接触した時を感知する。搬出用プローブ先端が接触した個所が絶縁物の場合には、絶縁物表面にタングステンデポジション膜を導通のとれる個所を含んで形成し、そのタングステンデポジション膜から電流が流れるようにすればよい。搬出用プローブ6の先端が微小試料片508に接触したことを確認したならば、タングステンデポジションによる固定膜507を搬出用プローブ6先端部に形成する。固定膜507は、一例として面積2.5μm×2.5μm、高さ1μmとした。
【0026】
微小試料片508と搬出用プローブ6の固定が終了したのち、図4(e)に示すように、微小試料片508に残してある一部残り領域の支持部505を切断する。磁気ヘッドとMR素子601が存在する微小試料片508とが完全に切断されると、搬出用プローブ6にとりつけてあった上記プローブ接触センサの出力が変化し、切断されたことが確認できる。次に、微小試料片508に固定してある搬出用プローブ6を上方に押し上げる。
【0027】
次に、図4(f)に示すように、TEMホルダ301を微小試料片508を含む搬出用プローブ6の近くまで移動させる。そして、上記微小試料片508を含む搬出用プローブ6を下方に押し下げ、TEMホルダの表面に接触させる。この際、微小試料片508とTEMホルダ微小試料片設置場所302の接触の確認は、上記プローブ接触センサを利用して行なう。
【0028】
次に、図4(g)に示すように、微小試料片508とTEMホルダ微小試料片設置場所302の接触面をタングステンデポジションによる固定膜507で接着させる。固定膜507は、一例として面積10μm×2μm、高さ1μmとする。微小試料片をTEMホルダに完全に接着させた後、微小試料片に接触・固定されてある搬出用プローブ6先端をFIBで切断する。搬出用プローブ6は、先端を切断後、退避位置へ退去させる。
【0029】
次に、図4(h)に示すように、微小試料片508を接着させたTEMホルダ301を含む試料台2を90°回転させ、TEMホルダ設置台201に載置する。TEMホルダ301含む微小試料片508をSIM像内に移動させ、薄膜加工を行う傾斜面にタングステンデポで保護膜507を接着させる。
【0030】
次に薄膜加工を行なう際に、図5に示すような、FIBによるMR素子601に流れる電流を検出するために、2本の電流検出用プローブ4,4′の先端を、電極604に接触させる。電流検出用プローブ4,4′を電極604の正確な位置に接触させるためは、図1に示した走査電子顕微鏡を利用し、電流検出用プローブ4,4′の位置を制御する。プローブの位置とMR素子電極位置の確認にSIM像を用いずに、走査電子顕微鏡による観察像を用いた理由は、走査電子顕微鏡像がSIM像より高い空間分解能を実現できること、および電極部分を加工してしまうことを防止するためである。
【0031】
電流検出用プローブ4,4′の接触の確認は上記プローブ接触センサと同じ機構を使用してもよい。電流検出用プローブ4を電極604に接触させた後は、試料台3を移動させてはならない。これは試料台3の移動は電流検出用プローブ4の先端と微小試料片508とが離れるのと、プローブ先端の破損を防ぐためである。上記電流検出用プローブ4,4′のうち一本は、微小試料片508で使用した搬出用プローブ6の先端を再生して使用してもよい。
【0032】
電流検出用プローブ4を接触させた後、薄膜加工を行なう。図6は摘出後の試料片の断面構造の模式図である。図6に示すように、MR素子601の表面には絶縁物のC保護膜701、Au保護膜702、タングステン保護膜503が形成されている。まず始めに、上記タングステン保護膜503側から薄膜加工を行なう。
【0033】
TEMで観察するためには、観察する膜の厚さを薄くするのはもちろんのこと、MR素子601を観察するためにはMR素子601の表面にある、C保護膜701、Au膜702、タングステン保護膜503を取り除く必要がある。FIBでタングステン保護膜503、Au膜702、ヘッド保護膜701を順に薄膜加工を行なう。タングステン保護膜503、Au膜702をウォール加工を行なっている際は、Au膜702の下面に絶縁物のC保護膜701があるため、MR素子601にはイオンビームから供給される電流は流れない。加工が進み、FIBによってC保護膜が除去され、MR素子601に直接FIBが触れると、FIBから供給された電荷はMR素子601、両端の電極604、2本の電流検出用プローブ4,4′を通して、電流計8,8′に到達し、大きな電流値が測定されることになる。この時点で、FIBによる保護膜除去加工を終了させる。電流計8,8′に電流が流れたら、加工面をSEMで観察し確認してもよい。
【0034】
図7示すように、保護膜が除去された状態で保護膜側の薄膜化加工は終了する。その後、保護膜とは反対側の部分を薄膜加工し、TEMで観察できる膜厚100nm以下にする。
【0035】
ここで、電流測定用のプローブが2本以上あるのが望ましい理由について説明する。図8に、電流検出用プローブ4が片方の電極604だけに接触している場合を示す。この場合、FIBがMR素子601を加工した際、FIBが照射されたMR素子601の場所によっては、両電極までの距離が異なり、両端に流れる電流値が異なることがある。この場合、電流検出用プローブ4が接触している側の電極604に電流計8では検出できない程の微弱な電流902が流れた時、MR素子601が最表面に現われた瞬間の電流を検出できない可能性がある。そのため加工が継続され、加工量が過大となり、MR素子601を過度に加工して消滅させてしまう危険が生じる。この問題は、図5に示すように2本以上のプローブによって、MRセンサを挟んだ両側の電極部分で電流値をモニタすることによって解決される。図8に示す電流901を両側の電極604で検出することにより、はじめに保護膜が除去された部分がどこであっても、FIBにより供給された電荷による電流の検出漏れが防止でき、確実に、保護膜除去のタイミングを検出することが可能となる。したがって、保護膜除去加工の際には両方の電極に2本のプローブ4,4′をそれぞれ接触させ、MR素子の最表面が露出した瞬間を見逃さないようにする必要がある。すなわち、電流測定用のプローブは、複数あるのが望ましい。
【0036】
<実施例2>
半導体デバイスや磁性薄膜デバイスのような複数の材料の薄膜を多層化した構造では、そのプロセス制御が極めて重要である。そのため、本発明の微細試料作製装置を製造プロセス中に配置し、そのプロセスモニタとして利用する。以下、本実施例では、磁気ヘッド製造プロセスを例に説明する。
【0037】
図9は、磁気ヘッドの製造工程を説明する図である。図9には、磁気ヘッドの絶縁膜の製造工程1001から示しており、それ以前の工程は省略している。磁気ヘッドの製造工程ではウエハ面にまずパーマロイなどの下部シールド層を成膜する。その上にアルミナなどの絶縁膜を形成し、MR素子の成膜を行なう。ここでMR素子は非常に薄い1nm程度の膜を積層して構成されており、形成された積層膜状態が素子性能に影響を及ぼす。ここで積層膜に欠陥が生じると、MR素子の磁界感度や再生出力の非対称化など重大な機能の低下をもたらし、磁気ヘッド製造の歩留まりを著しく劣化させてしまう。欠陥が生じていることを製造工程の早い段階で検知することができれば、欠陥を含むウエハを以降の製造工程に送ることを防止でき、製造工程全体でみた歩留まりを向上させることができる。さらには製造時間の短縮を行うことも可能である。そこで、本実施例では、本発明の微細試料作製装置1003を製造プロセス中に導入し、MR素子の膜を成膜した時点でのTEM用観察試料を作製し、TEM1004で観察出きるようにする。
【0038】
欠陥などのプロセスモニタの方法は以下の通りである。まず、MR素子を形成した段階で、磁気ヘッドウエハを抜き取り、微細試料作製装置1003に装填する。この場合の微細試料作製装置1003はウエハが搭載できる十分な大きさの試料室とウエハを搭載できる試料台を具備している必要がある。ウエハを試料台に乗せ、TEMホルダ端面を上にして上記ウエハ対応試料台に載置する。FIB装置に搭載する前に、MR素子表面を保護するために、ウエハ周辺部の1個所のMR素子にだけ、マスクを利用して、Auの保護膜を形成する。
【0039】
MR素子の摘出、薄膜化加工の工程は、実施例1で説明したのと同様の方法によって行うことができる。薄膜化加工が終了した後、TEM1004で観察し、MR素子の積層状態を観察する。この状態で膜の欠陥が観察されれば、それ以降の工程にウエハを送ることを止める。つまり、生産の歩留まりを最小限に抑える事ができ、不良を出した時に生じる損害を最小限に抑える事ができる。
【0040】
MR素子の観察において、欠陥などの異常が見つからなければ、次のプロセスにウエハを送る。次の工程では、MR素子の上にレジストを塗布することによってMR素子の両端を切断する加工を行う。その後、磁区制御のための永久磁石膜、電極膜を形成する。この工程を終了させた後、本発明の微細試料作製装置1003を使用し、TEM用観察試料を作製する。MR素子を観察した時と同様にTEM1004で観察し、膜の構成を観察する。観察手法は上記MR素子を観察したときと同様である。磁区制御膜、電極膜の作製以降の工程は省略するが、同様の観察を行なうことにより、不良発生時の損害を最小限に、生産歩留まりを向上させることができる。本実施例では、2ヶ所だけの観察例を説明したが、それ以外のプロセスの途中で本装置を使用してもよい。
【0041】
<実施例3>
半導体や、磁気デバイス等のTEM用観察試料を作製する際、試料作製の容易化を図るために自動化が求められている。本実施例は、本発明の微細試料作製装置を使用して、実施例1の薄膜加工の自動化を行なった例について述べる。
【0042】
自動化を行なうための装置の構成を、図1を用いて説明する。本実施例の微細試料作製装置は、電流検出用プローブ4,4′に接続された電流計8,8′から、FIB制御装置14に電流検知情報を送信する構成にする。送信された信号をFIB制御装置14で処理した後、荷電粒子ビーム光学系1でビーム遮断をする処理を行なう。ビーム遮断は、微細試料作製装置の偏向電極に電圧を印加し、ビーム軌道を偏向させて試料位置から遠ざけることで行う。また、電流検出情報により、イオンビーム経路のバルブを閉じることによりビームを遮断する方法を用いても良い。
【0043】
本実施例により自動化した薄膜試料作製方法について説明する。TEM用観察試料作製過程では、薄膜加工時において、MR素子の表面を覆っているC保護膜、Au保護膜、タングステン保護膜をFIB加工により取り除く。C保護膜を取り除いた後、FIBがMR素子に照射され、MR素子の両端の電極に電流が流れ、上記電流検出用プローブ領域の電極部に接触している複数の電流検出用プローブ4,4′に電流が流れる。電流検出用プローブ4,4′に流れた電流を電流計8,8′で検出し、その電流値をFIB制御装置14へ送信する。FIB制御装置14では電流値を判定し、ビーム遮断処理を自動で行なう。これにより、手動で行なった場合、電流計8,8′に表示された電流を見落とし、更に薄膜加工を続ける危険性を解決できる。
【0044】
以上、MR素子の薄膜加工を例にして本発明を説明したが、本発明は、MR素子意外にもMOS型トランジスタなど、電極を有した他の構造物の薄膜加工にも適用できることは言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】
本発明によると、集束イオンビームを用いてTEM用観察試料作製を行う際に、観察対象物を加工しすぎて消滅させることがなくなり、加工歩留まりを向上することができる。また、本発明装置を製造工程に導入することにより、製造歩留まりを向上でき、製造コストの低減を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微細試料作製装置の構成例を示す図。
【図2】試料台とTEMホルダ設置台を示す図。
【図3】TEMホルダ示す図。
【図4】微小試料片を摘出し、TEMホルダに固定する方法を示す図。
【図5】電流測定用プローブを接触させる位置、及び保護膜を形成する領域を示す図。
【図6】保護膜が残留しているときの摘出試料片の断面模式図。
【図7】保護膜を除去した状態の摘出試料片の断面模式図。
【図8】イオンビーム照射により流れる電流と電極部に1本の電流検出用プローブを接触させている状態を示す模式図。
【図9】磁気ヘッドプロセスに微細試料作製装置を導入した製造工程を示した図。
【符号の説明】
1…FIB照射光学系、2…集束イオンビーム、3…試料台、4…電流検出用プローブ、41…プローブ駆動部、5…電流検出用プローブ制御部、6…搬出用プローブ、61…プローブ駆動部、7…搬出用プローブ制御部、8…電流計、9…デポガス供給源、10…デポガス供給制御装置、11…電子線照射光学系、12…走査電子顕微鏡制御部、13…モニタ、14…集束イオンビーム制御装置、15…2次電子検出器、201…TEMホルダ設置台、301…TEMホルダ、302…TEMホルダ微小試料片設置場所、401…導電性テープ、402…磁気ヘッド試料、403…TEMホルダ土台、501…マーク、601…磁気抵抗効果素子、603…上部シールド、604…電極、701…ヘッド保護膜、702…Au膜、1001…絶縁膜形成装置、1002…磁気抵抗効果素子形成装置、1003…微細料作製装置、1004…透過電子顕微鏡
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細試料作製方法及び装置、より詳細には、磁気ヘッドや半導体デバイス等から観察対象の微小領域を含む微小試料片を集束イオンビームを用いて分離摘出し、それを薄膜化した微細試料を作製する方法及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気ディスク装置の大容量化に伴い、磁気記録媒体に書きこまれる単位面積あたりの記録ビットの数は年率100%ものスピードで増大している。これに伴って、記録を書き込んだり、読み出したりするための磁気ヘッドの形状は微細化が急速に進み、ナノスケールの構造を有するまでに到っている。磁気ヘッドの記録再生に関する所望の性能を実現するためには、設計されたナノスケールで構造を制御する必要があるが、その構造を実際に確かめるためには、サブナノメートル以下の空間分解能を有する観察手段が必要となる。
【0003】
透過電子顕微鏡(以下、TEMという)は、サブナノメートルの高い空間分解能を持ち、磁気ヘッドの形状観察に有効な手段である。ただし、観察すべき部分を電子線が透過できる程度の薄膜(約100nm以下)とすることが観察の条件となる。従来、薄膜化の工程は、研磨剤を用いた機械研磨、Arイオン等を用いたイオン研磨、電気分解を利用した電界研磨などの手法が用いられてきた。しかし、これらの方法では、磁気ヘッドの磁極部分やセンサ部分のような特定の場所のみを薄膜化することは困難であった。そこで、特定の場所のみを薄膜化するために、集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)を用いた新たな薄膜化方法および装置が提案されている(例えばWO99/05596参照)。従来のFIBを用いた微細試料作製装置には、試料搬送用のプローブ1本と、プローブの駆動装置と、タングステンデポジション法を実現できる機能が備わっている。
【0004】
【特許文献1】
WO99/05596
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の微細試料作製装置でナノスケールの観察対象物の薄膜化加工を行うには問題がある。例えば、磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子(以下、MR素子という)をTEM観察用に薄膜化しようとする場合、磁気ヘッドからMR素子部分を含む試料片の抽出を行う。このときMR素子部分を覆うように摺動面に保護膜が形成されるが、抽出した試料片を摺動面に平行に薄膜化する場合、その保護膜がTEM観察の障害となるため除去する加工が必要である。しかし、センサ部分の摺動面から奥行きの長さ(以下MR高さと称す)が100nm程度の場合、微細試料作製装置で形成できる膜厚100nmと同程度となるため、MR素子部分だけを正確に薄膜化することが困難になる。なぜならば、保護膜を除去する工程でMR素子自体を加工してしまい、薄膜加工した部分にMR素子が含まれなくなる可能性があるためである。MR高さが200nm以上ある場合には、多少MR素子部分が加工されても、センサ部分や電極部分が残ることなり、MR素子形態のTEM観察を行うことができた。すなわち、薄膜化加工時に観察対象が加工されて消滅する可能性があるという問題は、近年の磁気ヘッドMR素子の微細化の進展とともに顕在化した問題である。
【0006】
この問題に対しては、加工面の状態を逐次観察して保護膜除去状態を判定するという対処法が考えられる。像の観察には、FIB照射によって発生する二次電子を像の輝度信号としたSIM(Scanning Ion Microscope)像を用いることができる。しかし、SIM像の空間分解能ではナノメートルサイズを有するMR素子の位置を正確に特定することは困難である。観察位置の概略を確認できた場合でも、FIB照射によって観察部分を加工してしまい、観察部分を消滅させてしまう可能性がある。すなわち、薄膜試料加工の歩留まりが著しく低下する。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑み、測定対象物の大きさが100nm以下となり、試料作製装置で実現できる薄膜化膜厚より薄い場合でも、観察対象物を薄膜試料中に残し、かつ、透過電子顕微鏡で観察できる薄膜試料を作製できる微細試料加工方法及び微細試料加工装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、微細試料作製装置に、試料に流れる電流を測定するための電流測定用プローブと、電流測定用プローブに接続された電流計とを備えることにより達成される。望ましくは、集束イオンビーム光学系を制御する制御部を有し、制御部では電流計が電流測定用プローブに流れ込む電流を検出したとき、その信号に基づいて試料への集束イオンビーム照射を停止する制御を行う。電流測定用プローブは複数用意し、更に試料観察用の走査電子顕微鏡を備えるのも好ましい形態である。
【0009】
本発明の微細試料加工方法は、導電性部材の上に絶縁体が被覆された試料の、絶縁体被覆を集束イオンビームを用いて除去する場合に有効な方法であり、試料の導電性部材に電流測定用プローブを接触させる工程と、電流測定用プローブに流れる電流を監視しながら絶縁体被覆に集束イオンビームを照射して加工する工程と、集束イオンビームが導電性部材に接触したことに起因する電流が記電流測定用プローブに流れたことを検出したとき、集束イオンビームによる前記絶縁体被覆の加工を停止する工程とを有することを特徴とする。この試料加工方法は、試料が絶縁体で被覆された磁気抵抗効果素子を有する磁気ヘッドの場合に特に有効な方法であり、その際、2本の電流測定用プローブを磁気抵抗効果素子の両側に配置された一対の電極にそれぞれ接触させ、いずれか一方あるいは両方の電流測定用プローブに電流が流れたことを検出したとき、集束イオンビームによる絶縁体被覆の加工を停止するのが好ましい。
【0010】
本発明によると、試料の薄膜化加工を終了すべき時点を的確に判定することができ、薄膜加工の製造歩留まりを向上できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここでは、磁気ヘッドのMR素子をTEM観察用に加工する例について説明する。
【0012】
<実施例1>
図1は、本発明による微細試料作製装置の一例を示す概略構成図である。
この微細試料作製装置は、試料(観察対象)を照射する集束イオンビーム(FIB)照射光学系1、試料を載置し移動する試料台3、試料を先端に固定し搬送するための搬送用プローブ6、搬送用プローブの位置を制御するためのプローブ制御装置7、電流測定するための複数の電流測定用プローブ4,4′、電流測定用プローブ4,4′を駆動するプローブ駆動部41,41′、プローブ駆動部41,41′を制御して電流測定用プローブの位置を制御するためのプローブ制御装置5,5′、電流測定用プローブ4,4′から流れる電流値を測定するための電流計8,8′、試料の観察領域に保護膜を形成するためにガスを供給するためのガス供給源9、ガス供給源9を操作するためのデポガス供給制御装置10、試料表面に電子線を走査しながら照射するための電子線光学系11、形態情報を観察の輝度信号とするため試料表面から放出される2次電子を検出する2次電子検出器15を備える。
【0013】
これらのイオンビーム照射光学系1、試料台3、電流測定用プローブ4,4′、試料搬送用プローブ6、ガス供給源9、電子線光学系11、2次電子検出器15は、高真空排気される真空室内に配置されている。電子線光学系11と2次電子検出器15とは走査電子顕微鏡を構成し、走査電子顕微鏡制御部によって制御され、モニタ13に走査電子顕微鏡像が表示される。
【0014】
図2は、試料台の詳細図である。試料台3には、試料から取り出される微小試料片を固定・接着するため、図3に示すTEMホルダ301を固定するためのTEMホルダ設置台201を載置する。TEMホルダ301は、TEM装置内に薄膜化試料を導入するための一般的なTEM試料導入ステージに載置できる寸法であり、直径3mm、厚さ100μm程度の半円状に片方だけ角状なものがついている形状をしており、TEMホルダ微小試料片設置個所302に観察したい試料を固定する。なお、TEMホルダ301の形状は、TEM試料導入ステージに載置できる形状で電子線が通る形状であればどのような形状のもの使用してもよい。
【0015】
図1の搬送用プローブ6を駆動するために圧電素子等の微動移動が可能な移動手段61が設けられており、それをプローブ移動制御部7により駆動制御して、プローブの先端部を微動移動させる。プローブ移動手段の他の例として、真空外にプローブ粗動機構を設け、さらにプローブ先端部にプローブ微動機構を設けて、それぞれをプローブ移動制御部により駆動制御して、プローブ先端部を所望の位置に微動移動させるように構成してもよい。
【0016】
次に、磁気ヘッドのMR素子のTEM用観察用試料作製方法について説明する。なお、巨大磁気抵抗効果素子や、トンネル磁気効果素子の場合でも同様の装置構成で対応が可能である。
【0017】
磁気ヘッドのMR素子部分は、磁気ヘッドを磁気ディスクに対向する摺動面側から見た概略図である図5に例示するように、100nm程度の幅を持ったCoなどの金属薄膜を複数積層した磁気抵抗効果を有するセンサ部分601と、その両端に付設された電極604を備える。センサ部分601の奥行き方向(紙面に垂直な方向)の長さは100nm程度である。また、MR素子全体を非導電性のアルミナのような物質で覆い、その外側にシールド層603,605や磁極602,606が形成されている。たとえば、Coなどの金属積層部分で構成されるセンサ部分601と電極604との境界部分の形態状態をTEMで観察する目的で薄膜化するためには、磁気ヘッドの摺動面に平行な方向(紙面平行方向)に薄膜化する必要がある。
【0018】
MR素子にFIBを直接照射すると、どんなに電流量の少ないビームでも表面が加工されるので、薄膜加工を行う前に、別の蒸着装置を用いて磁気ヘッド摺動面に保護膜として導電性の材料を蒸着する。蒸着する材料は磁気ヘッドの表面に存在するヘッド保護膜の厚さを評価する時等のために、ヘッド保護膜との違いがTEMで観察した際に区別できるものが好ましい。本例では一例としてAuを使用することができる。
【0019】
図2に、磁気ヘッド402とTEMホルダ301の試料台3への設置例を示す。TEMホルダ301のTEMホルダ微小試料片設置場所302は試料台3表面に対して略平行な状態でTEMホルダ土台403に載置する。磁気ヘッド402を試料台3に導電性テープ401で載置した後、磁気ヘッドを含んだ試料台3の位置を設定する。試料台3の位置の基準には図1のデポガス供給源9を用いる。SIM像によりデポガス供給源9を観察し、デポガス供給源9に焦点を合わせた後、FIBのレンズ電圧を下げることにより焦点距離を伸ばし、試料台3に焦点が合うように、試料台3の位置を変化させる。この時の用いるFIBのビーム径は45〜50nm,ビーム電流量は約30pAである。
【0020】
次に、磁気ヘッド402からMR素子部分のみを摘出し、TEMホルダに固定し、薄膜加工を行うための手法を図4を用いて説明する。
【0021】
まず、図4(a)に示すように、試料内のMR素子の位置を示すためSIM像により位置を確認しながら、MR素子のある部分を除いてその周辺にマーク501を複数加工する。加工にはFIBを用いる。マーク501はAuを蒸着する前に、あらかじめ試料を微細試料作製装置内に導入して行なってもよい。しかし、その際にはMR素子601にFIBを照射してはならない。すなわちMR素子601をSIM像で観察してはならない。マーク501形成後、MR素子領域の保護のためにマーク間にタングステンデポジション保護膜503を形成する。この際、MR素子601の両端に存在する電極部分604の一部は保護膜で覆われないように形成する。これは電流検出用プローブ4,4′にて電流を測定するための接触領域を確保するためである。本実施例では、デポジション膜の厚さは約1μmとした。
【0022】
次に、複数のマーキング501の外側の両側にFIBの照射により2個の矩形穴502を形成する。矩形穴502の寸法は例えば面積22μm×8μm、深さ20μmである。穴加工する際のFIBのビーム径は0.15μm程度、ビーム電流約10nAの大電流での加工を行なえば、短時間での加工が可能である。なお、磁気ヘッドの材料は半導体等に使用されているシリコンより重い金属を使用しており、半導体試料と同じ条件で加工すると、磁気ヘッドの材料は半導体試料に比べ約2倍の加工時間を費やさなければならない。
【0023】
次に、図4(b)に示すように、上記2個の矩形穴502間にあるマーク501より約5μm離れた部分に、一端が矩形穴502に達して、片側の一端の矩形穴502には僅かに達しないような、幅約3.5μm、長さ10μmの垂直穴504を加工する。一方の矩形穴502と垂直穴504との間に僅かに残った残存領域は、後にMR素子601を含む微小試料片508を磁気ヘッド402から分離する際に微小試料片508を仮に保持するための支持部505とする。
【0024】
上記の工程を終了後、図4(c)に示すように、垂直穴504とはマーク501に対して反対側に、磁気ヘッドから微小試料片を分離するための傾斜穴506を、垂直穴504と交差させて加工する。傾斜穴506の角度は、磁気ヘッドを載置している試料台3を傾斜させることによって設定することができる。本実施例では傾斜角度は45°とした。傾斜穴加工が終了した後、傾斜角度を元の0°に戻すが、この時、上記垂直穴504に傾斜穴506を加工した際に垂直穴504に再付着膜(以下リデポと云う)がついている。このままだとリデポにより分離すべきMR素子601を含む微小試料片508と磁気ヘッド402から分離できないため、垂直穴504に再加工を行なう。この再加工はリデポがとれたことをSIM像で確認したら終了する。再加工が終了した後、再度45°に傾け、傾斜穴に対して垂直穴が上記再加工によって貫通していることを確認する。
【0025】
次に、図4(d)に示すように、搬出用プローブ6をSIM像で観察し、MR素子601を含む微小試料片508の傾斜穴側の片側端部に搬出用プローブ6を下方に押し下げ、搬出用プローブ6先端を接触させる。SIM像は二次元で表示されているため、微小試料片508と搬出用プローブ6の高さ関係は観察することができない。したがって、搬送用プローブ制御手段にプローブ接触を感知するセンサをとりつけ、搬出用プローブ6に電流を流し、微小試料片508に接触した時を感知する。搬出用プローブ先端が接触した個所が絶縁物の場合には、絶縁物表面にタングステンデポジション膜を導通のとれる個所を含んで形成し、そのタングステンデポジション膜から電流が流れるようにすればよい。搬出用プローブ6の先端が微小試料片508に接触したことを確認したならば、タングステンデポジションによる固定膜507を搬出用プローブ6先端部に形成する。固定膜507は、一例として面積2.5μm×2.5μm、高さ1μmとした。
【0026】
微小試料片508と搬出用プローブ6の固定が終了したのち、図4(e)に示すように、微小試料片508に残してある一部残り領域の支持部505を切断する。磁気ヘッドとMR素子601が存在する微小試料片508とが完全に切断されると、搬出用プローブ6にとりつけてあった上記プローブ接触センサの出力が変化し、切断されたことが確認できる。次に、微小試料片508に固定してある搬出用プローブ6を上方に押し上げる。
【0027】
次に、図4(f)に示すように、TEMホルダ301を微小試料片508を含む搬出用プローブ6の近くまで移動させる。そして、上記微小試料片508を含む搬出用プローブ6を下方に押し下げ、TEMホルダの表面に接触させる。この際、微小試料片508とTEMホルダ微小試料片設置場所302の接触の確認は、上記プローブ接触センサを利用して行なう。
【0028】
次に、図4(g)に示すように、微小試料片508とTEMホルダ微小試料片設置場所302の接触面をタングステンデポジションによる固定膜507で接着させる。固定膜507は、一例として面積10μm×2μm、高さ1μmとする。微小試料片をTEMホルダに完全に接着させた後、微小試料片に接触・固定されてある搬出用プローブ6先端をFIBで切断する。搬出用プローブ6は、先端を切断後、退避位置へ退去させる。
【0029】
次に、図4(h)に示すように、微小試料片508を接着させたTEMホルダ301を含む試料台2を90°回転させ、TEMホルダ設置台201に載置する。TEMホルダ301含む微小試料片508をSIM像内に移動させ、薄膜加工を行う傾斜面にタングステンデポで保護膜507を接着させる。
【0030】
次に薄膜加工を行なう際に、図5に示すような、FIBによるMR素子601に流れる電流を検出するために、2本の電流検出用プローブ4,4′の先端を、電極604に接触させる。電流検出用プローブ4,4′を電極604の正確な位置に接触させるためは、図1に示した走査電子顕微鏡を利用し、電流検出用プローブ4,4′の位置を制御する。プローブの位置とMR素子電極位置の確認にSIM像を用いずに、走査電子顕微鏡による観察像を用いた理由は、走査電子顕微鏡像がSIM像より高い空間分解能を実現できること、および電極部分を加工してしまうことを防止するためである。
【0031】
電流検出用プローブ4,4′の接触の確認は上記プローブ接触センサと同じ機構を使用してもよい。電流検出用プローブ4を電極604に接触させた後は、試料台3を移動させてはならない。これは試料台3の移動は電流検出用プローブ4の先端と微小試料片508とが離れるのと、プローブ先端の破損を防ぐためである。上記電流検出用プローブ4,4′のうち一本は、微小試料片508で使用した搬出用プローブ6の先端を再生して使用してもよい。
【0032】
電流検出用プローブ4を接触させた後、薄膜加工を行なう。図6は摘出後の試料片の断面構造の模式図である。図6に示すように、MR素子601の表面には絶縁物のC保護膜701、Au保護膜702、タングステン保護膜503が形成されている。まず始めに、上記タングステン保護膜503側から薄膜加工を行なう。
【0033】
TEMで観察するためには、観察する膜の厚さを薄くするのはもちろんのこと、MR素子601を観察するためにはMR素子601の表面にある、C保護膜701、Au膜702、タングステン保護膜503を取り除く必要がある。FIBでタングステン保護膜503、Au膜702、ヘッド保護膜701を順に薄膜加工を行なう。タングステン保護膜503、Au膜702をウォール加工を行なっている際は、Au膜702の下面に絶縁物のC保護膜701があるため、MR素子601にはイオンビームから供給される電流は流れない。加工が進み、FIBによってC保護膜が除去され、MR素子601に直接FIBが触れると、FIBから供給された電荷はMR素子601、両端の電極604、2本の電流検出用プローブ4,4′を通して、電流計8,8′に到達し、大きな電流値が測定されることになる。この時点で、FIBによる保護膜除去加工を終了させる。電流計8,8′に電流が流れたら、加工面をSEMで観察し確認してもよい。
【0034】
図7示すように、保護膜が除去された状態で保護膜側の薄膜化加工は終了する。その後、保護膜とは反対側の部分を薄膜加工し、TEMで観察できる膜厚100nm以下にする。
【0035】
ここで、電流測定用のプローブが2本以上あるのが望ましい理由について説明する。図8に、電流検出用プローブ4が片方の電極604だけに接触している場合を示す。この場合、FIBがMR素子601を加工した際、FIBが照射されたMR素子601の場所によっては、両電極までの距離が異なり、両端に流れる電流値が異なることがある。この場合、電流検出用プローブ4が接触している側の電極604に電流計8では検出できない程の微弱な電流902が流れた時、MR素子601が最表面に現われた瞬間の電流を検出できない可能性がある。そのため加工が継続され、加工量が過大となり、MR素子601を過度に加工して消滅させてしまう危険が生じる。この問題は、図5に示すように2本以上のプローブによって、MRセンサを挟んだ両側の電極部分で電流値をモニタすることによって解決される。図8に示す電流901を両側の電極604で検出することにより、はじめに保護膜が除去された部分がどこであっても、FIBにより供給された電荷による電流の検出漏れが防止でき、確実に、保護膜除去のタイミングを検出することが可能となる。したがって、保護膜除去加工の際には両方の電極に2本のプローブ4,4′をそれぞれ接触させ、MR素子の最表面が露出した瞬間を見逃さないようにする必要がある。すなわち、電流測定用のプローブは、複数あるのが望ましい。
【0036】
<実施例2>
半導体デバイスや磁性薄膜デバイスのような複数の材料の薄膜を多層化した構造では、そのプロセス制御が極めて重要である。そのため、本発明の微細試料作製装置を製造プロセス中に配置し、そのプロセスモニタとして利用する。以下、本実施例では、磁気ヘッド製造プロセスを例に説明する。
【0037】
図9は、磁気ヘッドの製造工程を説明する図である。図9には、磁気ヘッドの絶縁膜の製造工程1001から示しており、それ以前の工程は省略している。磁気ヘッドの製造工程ではウエハ面にまずパーマロイなどの下部シールド層を成膜する。その上にアルミナなどの絶縁膜を形成し、MR素子の成膜を行なう。ここでMR素子は非常に薄い1nm程度の膜を積層して構成されており、形成された積層膜状態が素子性能に影響を及ぼす。ここで積層膜に欠陥が生じると、MR素子の磁界感度や再生出力の非対称化など重大な機能の低下をもたらし、磁気ヘッド製造の歩留まりを著しく劣化させてしまう。欠陥が生じていることを製造工程の早い段階で検知することができれば、欠陥を含むウエハを以降の製造工程に送ることを防止でき、製造工程全体でみた歩留まりを向上させることができる。さらには製造時間の短縮を行うことも可能である。そこで、本実施例では、本発明の微細試料作製装置1003を製造プロセス中に導入し、MR素子の膜を成膜した時点でのTEM用観察試料を作製し、TEM1004で観察出きるようにする。
【0038】
欠陥などのプロセスモニタの方法は以下の通りである。まず、MR素子を形成した段階で、磁気ヘッドウエハを抜き取り、微細試料作製装置1003に装填する。この場合の微細試料作製装置1003はウエハが搭載できる十分な大きさの試料室とウエハを搭載できる試料台を具備している必要がある。ウエハを試料台に乗せ、TEMホルダ端面を上にして上記ウエハ対応試料台に載置する。FIB装置に搭載する前に、MR素子表面を保護するために、ウエハ周辺部の1個所のMR素子にだけ、マスクを利用して、Auの保護膜を形成する。
【0039】
MR素子の摘出、薄膜化加工の工程は、実施例1で説明したのと同様の方法によって行うことができる。薄膜化加工が終了した後、TEM1004で観察し、MR素子の積層状態を観察する。この状態で膜の欠陥が観察されれば、それ以降の工程にウエハを送ることを止める。つまり、生産の歩留まりを最小限に抑える事ができ、不良を出した時に生じる損害を最小限に抑える事ができる。
【0040】
MR素子の観察において、欠陥などの異常が見つからなければ、次のプロセスにウエハを送る。次の工程では、MR素子の上にレジストを塗布することによってMR素子の両端を切断する加工を行う。その後、磁区制御のための永久磁石膜、電極膜を形成する。この工程を終了させた後、本発明の微細試料作製装置1003を使用し、TEM用観察試料を作製する。MR素子を観察した時と同様にTEM1004で観察し、膜の構成を観察する。観察手法は上記MR素子を観察したときと同様である。磁区制御膜、電極膜の作製以降の工程は省略するが、同様の観察を行なうことにより、不良発生時の損害を最小限に、生産歩留まりを向上させることができる。本実施例では、2ヶ所だけの観察例を説明したが、それ以外のプロセスの途中で本装置を使用してもよい。
【0041】
<実施例3>
半導体や、磁気デバイス等のTEM用観察試料を作製する際、試料作製の容易化を図るために自動化が求められている。本実施例は、本発明の微細試料作製装置を使用して、実施例1の薄膜加工の自動化を行なった例について述べる。
【0042】
自動化を行なうための装置の構成を、図1を用いて説明する。本実施例の微細試料作製装置は、電流検出用プローブ4,4′に接続された電流計8,8′から、FIB制御装置14に電流検知情報を送信する構成にする。送信された信号をFIB制御装置14で処理した後、荷電粒子ビーム光学系1でビーム遮断をする処理を行なう。ビーム遮断は、微細試料作製装置の偏向電極に電圧を印加し、ビーム軌道を偏向させて試料位置から遠ざけることで行う。また、電流検出情報により、イオンビーム経路のバルブを閉じることによりビームを遮断する方法を用いても良い。
【0043】
本実施例により自動化した薄膜試料作製方法について説明する。TEM用観察試料作製過程では、薄膜加工時において、MR素子の表面を覆っているC保護膜、Au保護膜、タングステン保護膜をFIB加工により取り除く。C保護膜を取り除いた後、FIBがMR素子に照射され、MR素子の両端の電極に電流が流れ、上記電流検出用プローブ領域の電極部に接触している複数の電流検出用プローブ4,4′に電流が流れる。電流検出用プローブ4,4′に流れた電流を電流計8,8′で検出し、その電流値をFIB制御装置14へ送信する。FIB制御装置14では電流値を判定し、ビーム遮断処理を自動で行なう。これにより、手動で行なった場合、電流計8,8′に表示された電流を見落とし、更に薄膜加工を続ける危険性を解決できる。
【0044】
以上、MR素子の薄膜加工を例にして本発明を説明したが、本発明は、MR素子意外にもMOS型トランジスタなど、電極を有した他の構造物の薄膜加工にも適用できることは言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】
本発明によると、集束イオンビームを用いてTEM用観察試料作製を行う際に、観察対象物を加工しすぎて消滅させることがなくなり、加工歩留まりを向上することができる。また、本発明装置を製造工程に導入することにより、製造歩留まりを向上でき、製造コストの低減を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微細試料作製装置の構成例を示す図。
【図2】試料台とTEMホルダ設置台を示す図。
【図3】TEMホルダ示す図。
【図4】微小試料片を摘出し、TEMホルダに固定する方法を示す図。
【図5】電流測定用プローブを接触させる位置、及び保護膜を形成する領域を示す図。
【図6】保護膜が残留しているときの摘出試料片の断面模式図。
【図7】保護膜を除去した状態の摘出試料片の断面模式図。
【図8】イオンビーム照射により流れる電流と電極部に1本の電流検出用プローブを接触させている状態を示す模式図。
【図9】磁気ヘッドプロセスに微細試料作製装置を導入した製造工程を示した図。
【符号の説明】
1…FIB照射光学系、2…集束イオンビーム、3…試料台、4…電流検出用プローブ、41…プローブ駆動部、5…電流検出用プローブ制御部、6…搬出用プローブ、61…プローブ駆動部、7…搬出用プローブ制御部、8…電流計、9…デポガス供給源、10…デポガス供給制御装置、11…電子線照射光学系、12…走査電子顕微鏡制御部、13…モニタ、14…集束イオンビーム制御装置、15…2次電子検出器、201…TEMホルダ設置台、301…TEMホルダ、302…TEMホルダ微小試料片設置場所、401…導電性テープ、402…磁気ヘッド試料、403…TEMホルダ土台、501…マーク、601…磁気抵抗効果素子、603…上部シールド、604…電極、701…ヘッド保護膜、702…Au膜、1001…絶縁膜形成装置、1002…磁気抵抗効果素子形成装置、1003…微細料作製装置、1004…透過電子顕微鏡
Claims (5)
- 試料を載置するための試料台と、
試料に集束イオンビームを照射するための集束イオンビーム光学系と、
試料に流れる電流を測定するための電流測定用プローブと、
前記電流測定用プローブを所望位置に移動するためのプローブ駆動部と、
前記電流測定用プローブに接続された電流計と
を備えることを特徴とする微細試料作製装置。 - 請求項1記載の微細試料作製装置において、前記集束イオンビーム光学系を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記電流計からの信号に基づいて試料への集束イオンビーム照射を停止する制御を行うことを特徴とする微細試料作製装置。
- 請求項2記載の微細試料作製装置において、前記電流測定用プローブを複数備え、更に試料観察用の走査電子顕微鏡を備えることを特徴とする微細試料作製装置。
- 導電性部材の上に絶縁体が被覆された試料の、前記絶縁体被覆を集束イオンビームを用いて除去する工程を含む微細試料加工方法において、
前記試料の前記導電性部材に電流測定用プローブを接触させる工程と、
前記電流測定用プローブに流れる電流を監視しながら前記絶縁体被覆に集束イオンビームを照射して加工する工程と、
集束イオンビームが前記導電性部材に接触したことに起因する電流が前記電流測定用プローブに流れたことを検出したとき、集束イオンビームによる前記絶縁体被覆の加工を停止する工程と
を有することを特徴とする微細試料加工方法。 - 請求項4記載の微細試料加工方法において、前記試料は絶縁体で被覆された磁気抵抗効果素子を有する磁気ヘッドであり、2本の電流測定用プローブを前記磁気抵抗効果素子の両側に配置された一対の電極にそれぞれ接触させ、いずれか一方あるいは両方の電流測定用プローブに電流が流れたことを検出したとき、集束イオンビームによる前記絶縁体被覆の加工を停止することを特徴とする微細試料加工方法。
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