JP2004339351A - 固形ブロック洗浄剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)成分として、重量平均分子量が1000以上20000以下のポリエチレングリコール、または常温(25℃)で固体であるポリエチレングリコールを1〜20重量%含有し、(B)成分として、(A)成分を溶解しうる、炭素数1〜20の一価または二価以上のアルコールの群から選ばれる一種または二種以上のアルコールを0.5〜20重量%含有する、固形ブロック洗浄剤、及びその製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固形ブロック洗浄剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ホテル、レストラン、給食会社、病院、会社の食堂等において、使用後の食器を効率よく洗浄するために、自動食器洗浄機が広く用いられている。また、食品に限らず各種製造工場、加工工場等においても、使用する器具や容器、流通に用いられるプラスチックコンテナ等を洗浄するために、自動洗浄機が用いられている。自動食器洗浄機には、洗浄剤粉末の飛散による作業者への安全上の問題等の点から、近年固形ブロック洗浄剤を用いることが提案され、一部で使用されている。この方式は、カートリッジ等の容器に充填した固形の洗浄剤を自動洗浄機に取り付け、これを使用する際にその都度溶解水によって必要な量だけ溶解して、食器等の洗浄に使用する方式である。従ってこの方式は、衛生的に、洗浄剤を一定した高濃度で供給することができるという利点を有する。更にカートリッジ等のコンパクトな容器を用いることができるため、取り扱いが容易で、保管スペースも少なくて済み、またこれらの容器の処理も簡単である。これらの利点から、固形ブロック洗浄剤に対する需要が増大している。
【0003】
従来から固形ブロック洗浄剤は、水和ナトリウム材料を用いた凍結加工法により製造されている(特許文献1参照)。しかし、この方法に含まれる加熱工程には高温を必要とし、製造法が複雑で手間がかかるという問題があった。また、この凍結加工法を、苛性ソーダのような強アルカリを含有させず、より弱いアルカリである炭酸ソーダ等を含有させた洗浄剤に適用した場合、この洗浄剤は経時的に膨張し、亀裂を生じてしまう問題があった。これは、炭酸ソーダ等の弱いアルカリでは、経時的にその水和状態が変化してしまうことによる。このようにして製造された固形ブロック洗浄剤は溶解性が悪く、自動洗浄機の供給水温や供給水圧が低い場合に、必要量の洗浄剤を供給できないという問題があった。
【0004】
他の固形ブロック洗浄剤の製造方法として、特許文献2には水和した粒状固体を加熱する方法が、特許文献3には常温で固体のポリマーをバインダーとして用いる方法が報告されている。しかし、これらいずれの方法も、加熱工程を必要としている。このため工程が複雑で手間がかかるとともに、加熱することにより、洗浄剤中の各種成分(酵素、漂白剤、キレート剤等)の失活や分解を惹起するという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特公昭59−4480号公報
【特許文献2】
特表平8−510270号公報
【特許文献3】
特開2002−348594号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、亀裂や膨張なく固化し、成分の失活や分解がなく洗浄力に優れた固形ブロック洗浄剤を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、固形ブロック洗浄剤のバインダー成分として特定の成分を配合し、加熱工程を含まずに製造できる方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、(A)成分として、重量平均分子量が1000以上20000以下のポリエチレングリコール、または常温(25℃)で固体であるポリエチレングリコールを1〜20重量%含有し、(B)成分として、(A)成分を溶解しうる炭素数1〜20の一価または二価以上のアルコールの群から選ばれる、一種または二種以上のアルコールを0.5〜20重量%含有する、固形ブロック洗浄剤を提供するものである。
【0009】
また本発明は、重量平均分子量が1000以上20000以下のポリエチレングリコール、または常温(25℃)で固体であるポリエチレングリコールを含有する(A)成分を、(A)成分を溶解しうる炭素数1〜20の一価または二価以上のアルコールの群から選ばれる、一種または二種以上のアルコールを含有する(B)成分に、50℃より低い温度で均一に混合もしくは溶解する工程、型もしくは洗浄剤容器に充填する工程、及び充填後一定時間放置する工程を含むことを特徴とする、固形ブロック洗浄剤の製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の固形ブロック洗浄剤は、(A)成分として、重量平均分子量が1000以上20000以下のポリエチレングリコール、または常温(25℃)で固体であるポリエチレングリコールを1〜20重量%含有し、(B)成分として、(A)成分を溶解しうる炭素数1〜20の一価または二価以上のアルコールの群から選ばれる、一種または二種以上のアルコールを0.5〜20重量%含有する。これらは固形ブロック洗浄剤中のバインダー成分となる。
【0011】
ポリエチレングリコールは、その重量平均分子量が1000以上のものが常温(25℃)で固体であり、20000以下のものが合成可能である。また、常温(25℃)で固体でないポリエチレングリコールは固形化し得ないため、本発明に使用する(A)成分のポリエチレングリコールは、重量平均分子量が1000以上20000以下のもの、または常温(25℃)で固体であればよいが、重量平均分子量が6000以上では重量平均分子量の増加と共に、これを使用した固形ブロック洗浄剤の溶解性が悪くなる傾向があるため、重量平均分子量は1000以上6000未満が好ましい。また、(A)成分のポリエチレングリコールは、常温(25℃)で固体のものも使用できるが、40℃以下であればこれを使用した固形ブロック洗浄剤の保存安定性が悪くなる傾向があり、65℃以上では溶解性が悪くなる傾向があるため、40〜65℃で固体のものが好ましい。
【0012】
本発明に使用する(A)成分のポリエチレングリコールは、成形性及び溶解速度の観点から、本発明の固形ブロック洗浄剤中に1〜20重量%含有されるが、好ましくは3〜10重量%含有される。3重量%よりも少ないと成形性が悪くなる傾向があり、10重量%を越えると自動洗浄機への自動供給の際、洗浄剤の溶解速度が低下する傾向があり、充分な速度で供給されない場合がある。
【0013】
本発明に使用する(B)成分としてのアルコールは、上記(A)成分であるポリエチレングリコールを溶解しうる炭素数1〜20の一価または二価以上のアルコールの群から選ばれる、一種または二種以上のアルコールであり、本発明の固形ブロック洗浄剤中に0.5〜20重量%含有される。好ましくは3〜10重量%含有される。3重量%よりも少ないと(A)成分を充分に溶解できず、10重量%よりも多いと固化速度が遅くなる。(B)成分の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサデカノール、エチレングリコール、グリセリン等があげられる。特にイソプロパノールが好ましい。
【0014】
本発明の固形ブロック洗浄剤は、上記(A)及び(B)成分以外に、アルカリ剤や弱アルカリ剤、各種界面活性剤等の洗浄成分、殺菌成分、漂白成分、キレート成分、酵素、各種活性助剤等、従来固形ブロック洗浄剤に用いられてきた成分を配合できる。
【0015】
本発明の固形ブロック洗浄剤に配合できる成分の例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ剤があげられる。洗浄力及び濯ぎ性の観点から強アルカリ剤は、本発明の固形ブロック洗浄剤中に1〜80重量%配合されるのが好ましく、1〜50重量%配合されるのがより好ましい。1重量%より少ないと洗浄力が充分ではなく、50重量%を越えると濯ぎ性が悪くなり、好ましくない場合がある。
【0016】
また、本発明の固形ブロック洗浄剤に配合できる成分の例として、弱アルカリ性の固形ブロック洗浄剤に使用される弱アルカリ剤があげらる。例としてアルカリ金属の炭酸塩、重炭酸塩、珪酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩、及び有機塩基であるアミン化合物等があげられる。具体的には炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、第2リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等があげられる。好ましくは炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム及びこれらの混合物があげられる。これらの弱アルカリ剤は、上記無機塩の結晶水を含まない無水物が、更に好ましい。これらの弱アルカリ剤は、洗浄力及び濯ぎ性の観点から、本発明の固形ブロック洗浄剤中に5〜80重量%配合されるのが好ましく、15〜70重量%配合されるのがより好ましい。15重量%より少ないと洗浄力が充分でなく、70重量%を越えると濯ぎ性が悪くなり、好ましくない場合がある。
【0017】
本発明の固形ブロック洗浄剤は、強アルカリ剤を配合しなくても経時的な膨張や亀裂が発生しないため、上記弱アルカリ剤を基材とした固形ブロック洗浄剤を製造することができる。
【0018】
また、本発明の固形ブロック洗浄剤に配合できる成分の例として、キレート剤もあげられる。キレート剤としては、金属捕捉作用のある従来から使用されている種々の化合物を使用することができるが、例えば、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等のヒドロキシカルボン酸塩;ニトリロトリ酢酸3ナトリウム(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラ酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチレンジアミントリ酢酸ナトリウム等のアミノカルボン酸塩;ピロ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム(STPP)等の縮合燐酸塩;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリマレイン酸ナトリウム、あるいはこれらと共重合可能なコポリマー等の、ポリカルボン酸系ポリマー;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホネート)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホネート)等のホスホン酸類及びそのアルカリ金属塩;2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等のホスホノカルボン酸及びそのアルカリ金属塩等をあげることができる。好ましくは、トリポリ燐酸ナトリウム(STPP)、ニトリロトリ酢酸3ナトリウム(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸ナトリウム(EDTA)、あるいはこれらの内の一種以上とポリカルボン酸系ポリマーとの組み合わせ、またはこれらの内の一種以上とホスホン酸塩もしくはホスホノカルボン酸塩との組み合わせ等があげられる。
【0019】
キレート剤は、洗浄力及び濯ぎ性の観点から、本発明の固形ブロック洗浄剤中に0.1〜80重量%配合される。好ましくは5〜50重量%配合される。0.1重量%よりも少ないと硬水中で充分な洗浄力が得られず、50重量%よりも多いと濯ぎ不良により、洗浄の仕上がりが悪くなる。
【0020】
本発明の固形ブロック洗浄剤は、その製造時に加熱工程を必要とせず、50℃より低い温度で製造されるため、キレート剤の失活や分解がない。
【0021】
また、本発明の固形ブロック洗浄剤に配合できる成分の例として、酵素もあげられる。酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、プルラナーゼ等の汚れを分解できる公知の酵素を使用することができ、特にアミラーゼ及びプロテアーゼが好ましい。
【0022】
酵素は、洗浄力及び濯ぎ性の観点から、本発明の固形ブロック洗浄剤中に0.01〜20重量%配合されるのが好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%配合される。0.1重量%よりも少ないと充分な洗浄力が得られず、10重量%よりも多いと経済性が著しく悪くなる場合がある。
【0023】
本発明の固形ブロック洗浄剤は、その製造時に加熱工程を必要とせず、50℃より低い温度で製造されるため、酵素の失活や分解がない。
【0024】
また、本発明の固形ブロック洗浄剤に配合できる成分の例として、漂白剤もあげられる。漂白剤としては、過酸化化合物があげられる。過酸化化合物としては、モノパーオキシフタル酸等の有機酸またはその塩、アルカリ金属の過ホウ酸塩、過炭酸塩、過珪酸塩等の、水溶液中で過酸化水素を発生する過酸化物等を使用することができる。過ホウ酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムが、特に好ましい。
【0025】
漂白剤は、漂白力及び濯ぎ性の観点から、本発明の固形ブロック洗浄剤中に0.1〜80重量%配合されるのが好ましく、より好ましくは1〜10重量%配合される。1重量%よりも少ないと漂白性能が劣り、10重量%よりも多いと濯ぎ不良により、洗浄の仕上がりが悪くなる。
【0026】
本発明の固形ブロック洗浄剤は、その製造時に加熱工程を必要とせず、50℃より低い温度で製造されるため、漂白剤の失活や分解がない。
【0027】
また、本発明の固形ブロック洗浄剤に配合できる成分の例として、ノニオン界面活性剤もあげられる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類等のポリオキシエチレン類;蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類;ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(1:2)、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類;アルキルグリコシド類等があげられる。特に、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロッ共重合体、エチレンジアミンのポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が、低泡性であり好ましい。
【0028】
ノニオン界面活性剤は、洗浄力及び濯ぎ性の観点から、本発明の固形ブロック洗浄剤中に0.5〜20重量%配合される。好ましくは1〜10重量%配合される。1重量%よりも少ないと充分な洗浄力が得られず、10重量%よりも多いと充分に濯げず、洗浄の仕上りが悪くなる。
【0029】
更に本発明の固形ブロック洗浄剤に配合できる成分の例として、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、アルミン酸ナトリウム等の無機塩類、香料、色素等の有機添加剤、高分子カルボン酸等の分散剤、ノニオン界面活性剤以外の界面活性剤、酸化剤等があげられ、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0030】
本発明の固形ブロック洗浄剤の好ましい製造方法は、(A)成分を(B)成分に予め均一に混合もしくは溶解させたもの(プレミックス)をバインダー成分として使用すればよく、続いて該バインダー成分とその他の成分を混合し、この混合物を型枠容器もしくは洗浄剤容器に充填し、固化するまで一定時間放置すればよい。本発明の製造方法の特徴は、本発明の固形ブロック洗浄剤が(A)成分及び(B)成分からなるバインダー成分を有するため、加熱工程を含まないことであり、もちろん加熱に伴う冷却工程も含まない。(A)成分に(B)成分を均一に混合もしくは溶解する工程は、50℃よりも低い温度下で行われ、好ましくは15〜35℃で行われる。
【0031】
得られた洗浄剤を型枠容器もしくは洗浄剤容器に充填した後、固化するまでの放置時間は、好ましくは1hr〜20hr、より好ましくは3hr〜10hrである。
型枠容器に充填された上記洗浄剤に、軽い力を加えてこれを成形してもよい。上記型枠容器は、自動洗浄機等の洗浄剤供給用カートリッジをそのまま型枠容器として用いてもよいし、任意の型枠容器を用いて固化を行った後、洗浄剤供給用カートリッジや包装容器等に充填してもよい。
【0032】
【実施例】
以下実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、重量基準である。
【0033】
表1記載の配合で、本発明品及び比較品の固形ブロック洗浄剤を製造した。すなわち(A)成分及び(B)成分を常温(25℃)で混合し、均一化してプレミックスとした。このプレミックス及び表1記載のその他の成分を、バッチ混合層内で均一に攪拌、混合した後、2kgずつを直径12cm×高さ20cmの円柱状の容器に充填した。低圧力下で加圧成形した後、室温下で放置して固化させ、本発明品及び比較品の固形ブロック洗浄剤を得た。
このようにして得た本発明品1〜9及び比較品1〜3について、下記の方法で固化状態、溶解性、酵素(プロテアーゼ及びアミラーゼ)及び過酸化物(過ホウ酸ソーダ)の安定性を評価した。
【0034】
(1)固化状態評価:一つの成形された固形ブロック洗浄剤を、1.0mの高さよりコンクリート面に落下させた後の状態を、下記の基準によって評価した。
◎:割れない
○:一部が破損
△:全体が破損(崩壊)
×:固化しない
【0035】
(2)溶解性評価:固形ブロック洗浄剤の水溶液の電気伝導度は、溶解した固形ブロック洗浄剤の濃度に比例するので、固形ブロック洗浄剤を溶解した水溶液の電気伝導度を測定することによって、固形ブロック洗浄剤の溶解性を評価した。すなわち、本発明品及び比較品の固形ブロック洗浄剤2kgずつを50℃、100Lの水道水に溶解し、100rpmで攪拌しながら、水溶液の電気伝導度を測定した。用いた電気伝導度の測定器はミタケ電子(株)製(MCD1K)である。本発明品または比較品の固形ブロック洗浄剤が完全に溶解した時点を電気伝導度の終点とし、それぞれの洗浄剤の水道水への溶解率を、下記の式より求めた。
【0036】
【数1】
【0037】
固形ブロック洗浄剤の溶解性は、上記溶解率が75%に達する時間を測定し、下記の基準に従い評価した。
◎:5分以内
○:5〜10分
△:10〜15分
×:15分以上
【0038】
(3)酵素の安定性試験:本発明により得られる固形ブロック洗浄剤を密閉容器に入れ、40℃にて60日間保存した後、固形ブロック洗浄剤中のプロテアーゼ、アミラーゼ及び有効酸素残存量(過ホウ酸ソーダの安定性)について測定した。まず、プロテアーゼのタンパク質分解活性を、下記の方法で評価した。すなわち、洗浄剤の1%水溶液試料1mLと、0.6%カゼイン水溶液5mLとをpH10.0、30℃の条件下10分間反応させた後、タンパク質沈殿試薬(TCA混液)5mLを添加し、30℃にて30分間放置した後、得られた水溶液をろ過した。このろ液1mLに0.55MのNa2CO3溶液5mL、及び2倍希釈のFolin試薬1mLを添加し、30℃にて30分間反応させた。得られた反応液の660nmにおける吸光度を測定し、30℃にて1分間に、この反応液全体で1ガンマのl−チロジンの呈するFolin呈色度を与えるプロテアーゼ活性を1単位として、力価を求めた。この力価より、固形ブロック洗浄剤中のプロテアーゼ活性の初期値を100として、40℃にて60日間保存後の、プロテアーゼ活性の残存率(%)を求めた。
【0039】
アミラーゼのデンプン分解活性を、下記の方法で評価した。すなわち、1%馬鈴薯デンプン水溶液10mLに、40℃にて上記と同様の試料1mLを加え、10分間反応させる。この反応液1mLを、0.1規定HCl水溶液に添加し、この反応を停止させる。得られた反応液0.5mLに0.005%I2−0.05%KI水溶液10mLを加え2分間反応させた後、660nmにおける吸光度を測定した。1%澱粉糊10mLの沃素呈色値を、40℃にて1分間に1%低下させるアミラーゼ活性を1単位とした。この力価より、固形ブロック洗浄剤中のアミラーゼ活性の初期値を100とした、40℃にて60日間保存後のアミラーゼ活性の残存率(%)を求めた。各酵素の安定性を、以下の基準に従って評価した。
◎:酵素活性初期値の80〜100%が残存する
○:酵素活性初期値の60〜80%が残存する
△:酵素活性初期値の40〜60%が残存する
×:酵素活性初期値の40%以下が残存する
【0040】
(4)過酸化物の安定性試験:固形ブロック洗浄剤中の過ホウ酸ソーダの有効酸素量は、沃素適定法により求めた。すなわち、適当量の試料にイオン交換水70mL、希硫酸(1+4)1.5mL、及び10%KI水溶液20mLを加え、暗所で10分間攪拌した後、0.01規定Na2S2O3により滴定し、有効酸素量を求めた。この有効酸素量より、固形ブロック洗浄剤中の有効酸素量の初期値を100として、40℃にて60日間保存後の有効酸素残存率(%)を求め、固形ブロック洗浄剤中の過酸化物の安定性を、下記の基準に従い評価した。
◎:有効酸素量の初期値の80〜100%が残存する
○:有効酸素量初期値の60〜80%が残存する
△:有効酸素量初期値の40〜60%が残存する
×:有効酸素量初期値の40%以下が残存する
以上の評価結果をまとめて、表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、亀裂や膨張なく固化し、成分の失活や分解がなく洗浄力に優れた固形ブロック洗浄剤を提供することができる。
Claims (2)
- (A)成分として、重量平均分子量が1000以上20000以下のポリエチレングリコール、または常温(25℃)で固体であるポリエチレングリコールを1〜20重量%含有し、(B)成分として、(A)成分を溶解しうる、炭素数1〜20の一価または二価以上のアルコールの群から選ばれる、一種または二種以上のアルコールを0.5〜20重量%含有する、固形ブロック洗浄剤。
- 重量平均分子量が1000以上20000以下のポリエチレングリコール、または常温(25℃)で固体であるポリエチレングリコールを含有する(A)成分を、(A)成分を溶解しうる炭素数1〜20の一価または二価以上のアルコールの群から選ばれる、一種または二種以上のアルコールを含有する(B)成分に、50℃より低い温度で均一に混合もしくは溶解する工程、型もしくは洗浄剤容器に充填する工程、及び充填後一定時間放置する工程を含むことを特徴とする、固形ブロック洗浄剤の製造方法。
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