JP2004336956A - 超音波モータ及び超音波モータ付き電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化しても高出力で、ばらつきが小さく、振動のロスが少なく効率の良い超音波モータの提供。
【解決手段】弾性体1の振動の節に位置する部分の径方向に弾性体1と一体的に設けられたフランジ1aを有し、これを支持するとともに、圧電素子2a,2bを弾性体1の側面に接合することにより、弾性体1と圧電素子2a,2bからなる振動体の振動で移動体を駆動する超音波モータとする。
【選択図】 図1
【解決手段】弾性体1の振動の節に位置する部分の径方向に弾性体1と一体的に設けられたフランジ1aを有し、これを支持するとともに、圧電素子2a,2bを弾性体1の側面に接合することにより、弾性体1と圧電素子2a,2bからなる振動体の振動で移動体を駆動する超音波モータとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は振動体の振動により、移動体を摩擦駆動する超音波モータに関し、特に振動体に円筒や棒状の弾性体を用いた超音波モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性体の共振モードを利用した超音波モータは様々な特徴を有することから多用途に渡った展開が期待されている。特に円筒や棒状の振動体を用いた超音波モータは小径で高出力が得られる。この様な振動体の構成としては圧電素子を金属等の弾性体で挟み込み、ボルト等で締め付け固定したランジュバン型の振動体が用いられる。そしてこの様な振動体の支持方法としては振動の節となる部分の振動体側面を挟持したり、振動体よりも外形の大きなフランジを圧電素子と共に弾性体で挟み込み、フランジ外周部を支持する方法が採られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
最近では本構成の振動体でリニヤ型のアクチュエータを構成し、精密位置決め用のステージ等への応用例も見られる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−233169号公報(第3−4頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、振動体の側面を押さえる方式では振動体の支持力が小さいと共に、振動体の振動を抑えてしまう恐れがあった。また、振動体にフランジを挟み込む方法の場合以下の様な課題があった。1)弾性体、圧電素子、フランジと多くの密着界面があるために製品としてばらつき易いだけでなく界面で振動のロスが生じてしまった。2)振動体の縦振動を用いる場合、歪の最も大きな節部に圧電素子を配置することが望まれるが、フランジがあるために配置できない。3)逆に圧電素子を節部に配置し、フランジを節部を外れた部分に設けると支持部でのロスが大きくなる。4)振動体の小型化に際し、弾性体、圧電素子、フランジをボルト締めではなく接着剤等によって接合した場合、接着剤が剥がれてしまう恐れがあった。
【0006】
またランジュバン型の振動体が抱える一般的な課題として製造時における圧電素子個々の電極パターンの位置関係のずれ、弾性体をボルトに締め付ける際に用いる弾性体溝部の位置ずれによる製品個々のばらつきが有る。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の第1の態様は、円筒もしくは棒状の弾性体と圧電素子からなる振動体の振動により、移動体を駆動する超音波モータにおいて、弾性体の振動の節に位置する部分の径方向には弾性体と一体的に設けられた突出部を有し、突出部を支持することを特徴とする超音波モータにある。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記弾性体の側面に圧電素子が接合されることを特徴とする超音波モータにある。
【0009】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記突出部を圧電素子に加える信号の導通構造として用いることを特徴とする超音波モータにある。
【0010】
本発明の第4の態様は、第1の態様において、前記振動は縦方向と捻り方向の変位成分を有していることを特徴とする超音波モータにある。
【0011】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記弾性体には一定角度を有する溝が設けられていることを特徴とする超音波モータにある。
【0012】
本発明の第6の態様は、第1の態様において、前記振動は縦振動と屈曲振動であることを特徴とする超音波モータにある。
【0013】
本発明の第7の態様は、第1〜6のいずれかの態様の超音波モータを備えた電子機器にある。
【0014】
かかる本発明では、圧電素子以外の振動体を構成する部材を一体で構成できるため、製品ばらつきが小さいと共に、振動のロスが極めて小さく効率の良い超音波モータが実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を基に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は本発明の超音波モータの弾性体と圧電素子からなる振動体並びに振動体の変位分布を示したものである。金属等から構成される円筒状の弾性体1の中央部には外周方向に張り出したフランジ1aが設けられている。このフランジ1aを含む弾性体1の側面二箇所には長手方向に渡って溝1b、1cが設けられている。溝1b、1cには表裏に電極を設けた圧電素子が接着されている。
【0017】
この様に弾性体1に対し、対称な位置に圧電素子を設けることにより振動の変位分布も均等なものとなると共に、スプリアスの発生を抑えることが可能となる。弾性体1の側面には上下対称になるように一方向に傾きを有する溝1d、1eが設けられている。図示しないが、実際にはこの溝の位置から180度回転した位置にも同形状の溝1f、1gが設けられている。弾性体1は、この様に切削等で容易に小型なものが作成できる。
【0018】
圧電素子2a、2bは厚み方向に分極処理されている。圧電素子2a、2bの弾性体1との接合面には、ほぼ全面にわたって図示しない電極が設けられており弾性体1と導通がとれている。弾性体1をGNDとし、圧電素子2a、2bの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極に周波電圧信号を印加すると、圧電素子2a、2bの伸縮振動が溝1d、1e、1f、1gで捻り変位に変換され、全体としては伸縮しながら捩れる振動モードを有する様になる。この際、フランジ1aが設けられた弾性体1の中央部は振動の節となっている。この振動体の長手方向に対する変位分布を図(b)に示す。即ち、弾性体1の先端は縦方向の変位yと捻り方向の変位xが同時に発生する為、弾性体1の先端と接する移動体は回転する。ところで、弾性体1に設ける溝は本例に限るものではなく上下一方のみに設けても良いし、その本数に制限を与えるものでもない。また別の縦振動−捻り振動変換構造を用いても構わない。フランジ1aが励振される振動の節に配置されればよい。
【0019】
図2に具体的な超音波モータ100の構成を示す。弾性体1に設けられたフランジ1aはケーシング5の支持部5aで図示しないねじ等によって固定されている。ケーシング5は金属等の導電性部材から構成されており、ケーシング5と接続されたリード線3cによって圧電素子の一方の面と導通がとられておりGNDとなる。圧電素子2a、2bの他方の面、即ち弾性体1との接合面と反対面に設けられた図示しない電極には夫々リード線3a、3bが接続され、ケーシング5の穴部5bを通じて外部に引き出される。弾性体1の先端面には移動体4が載せられ、加圧ばね6によって弾性体1と移動体4の間に接触圧が働くようになっている。移動体4は、中央に設けられた中心軸4aをケーシング5に設けられた軸受け11で案内することで回転中心が決まる。リード線3a、3bと3cの間に周波電圧からなる駆動信号を印加することにより、弾性体1aには縦方向の変位成分と捻り方向の変位成分を同時に有する振動が発生し、これと接する移動体4は回転する。
【0020】
(実施の形態2)
図3は本発明の超音波モータの別の例を示した図である。
【0021】
金属等から構成される円筒状の弾性体7の中央部には外周方向に張り出したフランジ7aが設けられている。このフランジ7aを除く弾性体7の側面四箇所には長手方向に渡って溝7b、7c、7d、7eが設けられている。溝7b、7c、7d、7eには、表裏に図示しない電極を設けた圧電素子8a、8b、8c、8dが接着されている。圧電素子8a、8b、8c、8dとの導通は、リード線10a、10b、10c、10dによって行われる。
【0022】
圧電素子8a、8b、8c、8dは厚み方向に分極処理されており、弾性体7をGNDとする。ここで、弾性体7との導通は、リード線10eにより行われる。圧電素子8a、8b、8c、8dの弾性体7との接合面には、ほぼ全面にわたって図示しない電極が設けられており、弾性体7と導通がとれている。圧電素子8a、8dの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極と、圧電素子8a、8dの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極とに、例えば位相の90度異なる周波電圧信号を印加すると、弾性体7の長手方向には図(b)に変位分布を示す縦振動と図(c)に変位分布を示す屈曲振動モードを励振する。この様にフランジ7aが設けられた弾性体7の中央部は二つの振動の節となっている。この際、溝7c、7eの両端に設けられた摩擦材9a、9bは楕円運動するためこれと接する移動体は稼動する。尚、摩擦材9a、9bの位置は弾性体7の先端に限るものではなく屈曲振動の振幅が最大となる点に設けても構わない。
【0023】
移動体の稼動方向を変えるには圧電素子8a、8dの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極と、圧電素子8a、8dの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極とに加える信号の位相を反転させれば良い。この様に、弾性体1の側面に圧電素子を設けることにより屈曲振動の励振力が大きくなるため移動体との間に働く接触方向の力が大きくなり、大きな推進力が得られる。弾性体1はこの様に切削等で容易に小型なものが作成できる。またここでは円筒状の弾性体7を用いたが棒状の弾性体を用いても構わない。さらには圧電素子の配置も任意であり、例えばフランジ7aに溝7cと7eが通じる溝を設け、圧電素子8bと8dを一体で構成し、溝全体に設ければ一体化した圧電素子8b、8dで縦振動のみが励振される。そして圧電素子8aと8cの分極方向を逆にし、これらの圧電素子に信号を印加すれば屈曲振動だけが励振される。従ってこれらの圧電素子に加える信号の電圧、位相を可変すれば摩擦材9a、9bに発生する楕円運動の形状を自由に制御できる為、移動体の速度、力を制御出来ると共に高精度な位置決めも可能となる。
【0024】
図4に具体的な超音波モータの構成を示す。移動体11は案内部材12a、12bに移動方向にのみ移動可能な様に案内される。弾性体7に設けられた摩擦材9a、9bと移動体11は接しており、弾性体7に設けられたフランジ7aを支持部材13を加圧ばね15で加圧することにより加圧接触している。支持部材13はV溝を有し、フランジ7aに設けられた溝7fと係合し、弾性体7を支持する。支持部材に設けられた軸13aは支持案内部材14に設けられた図示しないキー溝を有する案内穴14aで長手方向にのみ移動可能に案内される。そして先述のように圧電素子に駆動信号を印加することにより摩擦材9a、9bは楕円運動し、これと接する移動体11を稼動させる。移動体11を試料等を載せるテーブルとすれば小型で高精度な位置決めが可能な位置決めステージ(電子機器)が実現できる。
【0025】
(実施の形態3)
実施の形態3を図5を基にして説明する。本実施の形態は本発明に係わる超音波モータをカテーテル(電子機器の例)に適用した例である。図5に示すように、内視鏡19の先端部に本発明の超音波モータ100を配置し、回転軸4aにミラー16を取り付ける。内視鏡19の管部には、固定部材18に固定されたオプティカルファイバー17が設けられ、オプティカルファイバー17の一端(ミラー16と反対側(体外))に設けられた超音波振動子からの超音波信号20を導くと共に、ミラー16を介して患部に照射し、戻ってくる信号は再度ミラー16を介して体外の超音波振動子まで導く働きをする。内視鏡の先端部、即ちオプティカルファイバー17とミラー16の間には体液や患部と音響インピーダンスの整合が取れたオイル等の液体22で満たされており、超音波信号を減衰させないように患部に照射し、戻ってきた信号を効率良く超音波振動子に戻す働きをする。超音波モータ100に電力を供給するリード線3は、固定部材18に設けた穴21を通して、内視鏡19の外部まで引き出される。電磁型のモータでは、この様な小型化が難しいばかりでなく、小型化できたとしても回転数が極めて高く、得られるトルクもきわめて小さい為、多くの減速歯車が必要となり全体としては大きなものになってしまうが、このように本実施の形態の超音波モータ100により超音波信号を血管面内や臓器等の内面を360度観察することの出来る超音波内視鏡を構成する。
【0026】
尚、オプティカルファイバー17を用いずに超音波振動子を超音波モータ100で直接回転させても構わない。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、棒状の弾性体と圧電素子からなる振動体の振動により移動体を駆動する超音波モータにおいて、弾性体の振動の節に位置する部分の径方向には弾性体と一体的に設けられた突出部を有し、突出部を支持することにより、圧電素子以外の振動体を構成する部材を一体で構成できるため、製品個々のばらつきが小さいと共に、振動のロスが極めて小さく効率の良い超音波モータが実現できる。
【0028】
特に、弾性体の側面に圧電素子を接合することにより節部を含む位置に圧電素子が配置できると共に圧電素子の大面積化が可能となり高出力が得られる。また、このように振動体の側面に圧電素子を配置することにより屈曲振動の励振が効率よく行える。そして、圧電素子の薄型化も可能な為、低電圧で駆動できる。また、振動体の縦振動を用いる場合でも弾性体と圧電素子の接合方向は振動方向と直交する為、接着剤の接合強度も大きく大振幅で使用しても破壊しにくい。特に、弾性体に設けた溝部に圧電素子を案内する形で接合することで、圧電素子の位置ずれも無くなる。
【0029】
また突出部を圧電素子に加える信号の導通構造とすることで小型化に対しても導通部でのロスは小さい。
【0030】
そして本構成によれば、多くの振動の励振が可能となるため回転型、リニヤ型を問わず様々なタイプの超音波モータに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかわる超音波モータの振動体の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかわる超音波モータの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2にかかわる超音波モータの振動体の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかわる超音波モータの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3にかかわる超音波モータを用いた電子機器を示す図である。
【符号の説明】
1,7 弾性体
2,8 圧電素子
4,11 移動体
9 摩擦材
15 加圧ばね
【発明の属する技術分野】
本発明は振動体の振動により、移動体を摩擦駆動する超音波モータに関し、特に振動体に円筒や棒状の弾性体を用いた超音波モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性体の共振モードを利用した超音波モータは様々な特徴を有することから多用途に渡った展開が期待されている。特に円筒や棒状の振動体を用いた超音波モータは小径で高出力が得られる。この様な振動体の構成としては圧電素子を金属等の弾性体で挟み込み、ボルト等で締め付け固定したランジュバン型の振動体が用いられる。そしてこの様な振動体の支持方法としては振動の節となる部分の振動体側面を挟持したり、振動体よりも外形の大きなフランジを圧電素子と共に弾性体で挟み込み、フランジ外周部を支持する方法が採られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
最近では本構成の振動体でリニヤ型のアクチュエータを構成し、精密位置決め用のステージ等への応用例も見られる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−233169号公報(第3−4頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、振動体の側面を押さえる方式では振動体の支持力が小さいと共に、振動体の振動を抑えてしまう恐れがあった。また、振動体にフランジを挟み込む方法の場合以下の様な課題があった。1)弾性体、圧電素子、フランジと多くの密着界面があるために製品としてばらつき易いだけでなく界面で振動のロスが生じてしまった。2)振動体の縦振動を用いる場合、歪の最も大きな節部に圧電素子を配置することが望まれるが、フランジがあるために配置できない。3)逆に圧電素子を節部に配置し、フランジを節部を外れた部分に設けると支持部でのロスが大きくなる。4)振動体の小型化に際し、弾性体、圧電素子、フランジをボルト締めではなく接着剤等によって接合した場合、接着剤が剥がれてしまう恐れがあった。
【0006】
またランジュバン型の振動体が抱える一般的な課題として製造時における圧電素子個々の電極パターンの位置関係のずれ、弾性体をボルトに締め付ける際に用いる弾性体溝部の位置ずれによる製品個々のばらつきが有る。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の第1の態様は、円筒もしくは棒状の弾性体と圧電素子からなる振動体の振動により、移動体を駆動する超音波モータにおいて、弾性体の振動の節に位置する部分の径方向には弾性体と一体的に設けられた突出部を有し、突出部を支持することを特徴とする超音波モータにある。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記弾性体の側面に圧電素子が接合されることを特徴とする超音波モータにある。
【0009】
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記突出部を圧電素子に加える信号の導通構造として用いることを特徴とする超音波モータにある。
【0010】
本発明の第4の態様は、第1の態様において、前記振動は縦方向と捻り方向の変位成分を有していることを特徴とする超音波モータにある。
【0011】
本発明の第5の態様は、第4の態様において、前記弾性体には一定角度を有する溝が設けられていることを特徴とする超音波モータにある。
【0012】
本発明の第6の態様は、第1の態様において、前記振動は縦振動と屈曲振動であることを特徴とする超音波モータにある。
【0013】
本発明の第7の態様は、第1〜6のいずれかの態様の超音波モータを備えた電子機器にある。
【0014】
かかる本発明では、圧電素子以外の振動体を構成する部材を一体で構成できるため、製品ばらつきが小さいと共に、振動のロスが極めて小さく効率の良い超音波モータが実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を基に説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は本発明の超音波モータの弾性体と圧電素子からなる振動体並びに振動体の変位分布を示したものである。金属等から構成される円筒状の弾性体1の中央部には外周方向に張り出したフランジ1aが設けられている。このフランジ1aを含む弾性体1の側面二箇所には長手方向に渡って溝1b、1cが設けられている。溝1b、1cには表裏に電極を設けた圧電素子が接着されている。
【0017】
この様に弾性体1に対し、対称な位置に圧電素子を設けることにより振動の変位分布も均等なものとなると共に、スプリアスの発生を抑えることが可能となる。弾性体1の側面には上下対称になるように一方向に傾きを有する溝1d、1eが設けられている。図示しないが、実際にはこの溝の位置から180度回転した位置にも同形状の溝1f、1gが設けられている。弾性体1は、この様に切削等で容易に小型なものが作成できる。
【0018】
圧電素子2a、2bは厚み方向に分極処理されている。圧電素子2a、2bの弾性体1との接合面には、ほぼ全面にわたって図示しない電極が設けられており弾性体1と導通がとれている。弾性体1をGNDとし、圧電素子2a、2bの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極に周波電圧信号を印加すると、圧電素子2a、2bの伸縮振動が溝1d、1e、1f、1gで捻り変位に変換され、全体としては伸縮しながら捩れる振動モードを有する様になる。この際、フランジ1aが設けられた弾性体1の中央部は振動の節となっている。この振動体の長手方向に対する変位分布を図(b)に示す。即ち、弾性体1の先端は縦方向の変位yと捻り方向の変位xが同時に発生する為、弾性体1の先端と接する移動体は回転する。ところで、弾性体1に設ける溝は本例に限るものではなく上下一方のみに設けても良いし、その本数に制限を与えるものでもない。また別の縦振動−捻り振動変換構造を用いても構わない。フランジ1aが励振される振動の節に配置されればよい。
【0019】
図2に具体的な超音波モータ100の構成を示す。弾性体1に設けられたフランジ1aはケーシング5の支持部5aで図示しないねじ等によって固定されている。ケーシング5は金属等の導電性部材から構成されており、ケーシング5と接続されたリード線3cによって圧電素子の一方の面と導通がとられておりGNDとなる。圧電素子2a、2bの他方の面、即ち弾性体1との接合面と反対面に設けられた図示しない電極には夫々リード線3a、3bが接続され、ケーシング5の穴部5bを通じて外部に引き出される。弾性体1の先端面には移動体4が載せられ、加圧ばね6によって弾性体1と移動体4の間に接触圧が働くようになっている。移動体4は、中央に設けられた中心軸4aをケーシング5に設けられた軸受け11で案内することで回転中心が決まる。リード線3a、3bと3cの間に周波電圧からなる駆動信号を印加することにより、弾性体1aには縦方向の変位成分と捻り方向の変位成分を同時に有する振動が発生し、これと接する移動体4は回転する。
【0020】
(実施の形態2)
図3は本発明の超音波モータの別の例を示した図である。
【0021】
金属等から構成される円筒状の弾性体7の中央部には外周方向に張り出したフランジ7aが設けられている。このフランジ7aを除く弾性体7の側面四箇所には長手方向に渡って溝7b、7c、7d、7eが設けられている。溝7b、7c、7d、7eには、表裏に図示しない電極を設けた圧電素子8a、8b、8c、8dが接着されている。圧電素子8a、8b、8c、8dとの導通は、リード線10a、10b、10c、10dによって行われる。
【0022】
圧電素子8a、8b、8c、8dは厚み方向に分極処理されており、弾性体7をGNDとする。ここで、弾性体7との導通は、リード線10eにより行われる。圧電素子8a、8b、8c、8dの弾性体7との接合面には、ほぼ全面にわたって図示しない電極が設けられており、弾性体7と導通がとれている。圧電素子8a、8dの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極と、圧電素子8a、8dの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極とに、例えば位相の90度異なる周波電圧信号を印加すると、弾性体7の長手方向には図(b)に変位分布を示す縦振動と図(c)に変位分布を示す屈曲振動モードを励振する。この様にフランジ7aが設けられた弾性体7の中央部は二つの振動の節となっている。この際、溝7c、7eの両端に設けられた摩擦材9a、9bは楕円運動するためこれと接する移動体は稼動する。尚、摩擦材9a、9bの位置は弾性体7の先端に限るものではなく屈曲振動の振幅が最大となる点に設けても構わない。
【0023】
移動体の稼動方向を変えるには圧電素子8a、8dの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極と、圧電素子8a、8dの弾性体1との接合面とは反対の面に、ほぼ全面に設けられた図示しない電極とに加える信号の位相を反転させれば良い。この様に、弾性体1の側面に圧電素子を設けることにより屈曲振動の励振力が大きくなるため移動体との間に働く接触方向の力が大きくなり、大きな推進力が得られる。弾性体1はこの様に切削等で容易に小型なものが作成できる。またここでは円筒状の弾性体7を用いたが棒状の弾性体を用いても構わない。さらには圧電素子の配置も任意であり、例えばフランジ7aに溝7cと7eが通じる溝を設け、圧電素子8bと8dを一体で構成し、溝全体に設ければ一体化した圧電素子8b、8dで縦振動のみが励振される。そして圧電素子8aと8cの分極方向を逆にし、これらの圧電素子に信号を印加すれば屈曲振動だけが励振される。従ってこれらの圧電素子に加える信号の電圧、位相を可変すれば摩擦材9a、9bに発生する楕円運動の形状を自由に制御できる為、移動体の速度、力を制御出来ると共に高精度な位置決めも可能となる。
【0024】
図4に具体的な超音波モータの構成を示す。移動体11は案内部材12a、12bに移動方向にのみ移動可能な様に案内される。弾性体7に設けられた摩擦材9a、9bと移動体11は接しており、弾性体7に設けられたフランジ7aを支持部材13を加圧ばね15で加圧することにより加圧接触している。支持部材13はV溝を有し、フランジ7aに設けられた溝7fと係合し、弾性体7を支持する。支持部材に設けられた軸13aは支持案内部材14に設けられた図示しないキー溝を有する案内穴14aで長手方向にのみ移動可能に案内される。そして先述のように圧電素子に駆動信号を印加することにより摩擦材9a、9bは楕円運動し、これと接する移動体11を稼動させる。移動体11を試料等を載せるテーブルとすれば小型で高精度な位置決めが可能な位置決めステージ(電子機器)が実現できる。
【0025】
(実施の形態3)
実施の形態3を図5を基にして説明する。本実施の形態は本発明に係わる超音波モータをカテーテル(電子機器の例)に適用した例である。図5に示すように、内視鏡19の先端部に本発明の超音波モータ100を配置し、回転軸4aにミラー16を取り付ける。内視鏡19の管部には、固定部材18に固定されたオプティカルファイバー17が設けられ、オプティカルファイバー17の一端(ミラー16と反対側(体外))に設けられた超音波振動子からの超音波信号20を導くと共に、ミラー16を介して患部に照射し、戻ってくる信号は再度ミラー16を介して体外の超音波振動子まで導く働きをする。内視鏡の先端部、即ちオプティカルファイバー17とミラー16の間には体液や患部と音響インピーダンスの整合が取れたオイル等の液体22で満たされており、超音波信号を減衰させないように患部に照射し、戻ってきた信号を効率良く超音波振動子に戻す働きをする。超音波モータ100に電力を供給するリード線3は、固定部材18に設けた穴21を通して、内視鏡19の外部まで引き出される。電磁型のモータでは、この様な小型化が難しいばかりでなく、小型化できたとしても回転数が極めて高く、得られるトルクもきわめて小さい為、多くの減速歯車が必要となり全体としては大きなものになってしまうが、このように本実施の形態の超音波モータ100により超音波信号を血管面内や臓器等の内面を360度観察することの出来る超音波内視鏡を構成する。
【0026】
尚、オプティカルファイバー17を用いずに超音波振動子を超音波モータ100で直接回転させても構わない。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、棒状の弾性体と圧電素子からなる振動体の振動により移動体を駆動する超音波モータにおいて、弾性体の振動の節に位置する部分の径方向には弾性体と一体的に設けられた突出部を有し、突出部を支持することにより、圧電素子以外の振動体を構成する部材を一体で構成できるため、製品個々のばらつきが小さいと共に、振動のロスが極めて小さく効率の良い超音波モータが実現できる。
【0028】
特に、弾性体の側面に圧電素子を接合することにより節部を含む位置に圧電素子が配置できると共に圧電素子の大面積化が可能となり高出力が得られる。また、このように振動体の側面に圧電素子を配置することにより屈曲振動の励振が効率よく行える。そして、圧電素子の薄型化も可能な為、低電圧で駆動できる。また、振動体の縦振動を用いる場合でも弾性体と圧電素子の接合方向は振動方向と直交する為、接着剤の接合強度も大きく大振幅で使用しても破壊しにくい。特に、弾性体に設けた溝部に圧電素子を案内する形で接合することで、圧電素子の位置ずれも無くなる。
【0029】
また突出部を圧電素子に加える信号の導通構造とすることで小型化に対しても導通部でのロスは小さい。
【0030】
そして本構成によれば、多くの振動の励振が可能となるため回転型、リニヤ型を問わず様々なタイプの超音波モータに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかわる超音波モータの振動体の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかわる超音波モータの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2にかかわる超音波モータの振動体の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2にかかわる超音波モータの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態3にかかわる超音波モータを用いた電子機器を示す図である。
【符号の説明】
1,7 弾性体
2,8 圧電素子
4,11 移動体
9 摩擦材
15 加圧ばね
Claims (7)
- 円筒もしくは棒状の弾性体と圧電素子からなる振動体の振動により、移動体を駆動する超音波モータにおいて、
前記振動体の前記振動の節に位置する部分の径方向には前記弾性体と一体的に設けられた突出部を有し、前記突出部を支持することを特徴とする超音波モータ。 - 前記弾性体の側面に圧電素子が接合されていることを特徴とする請求項1記載の超音波モータ。
- 前記突出部を圧電素子に加える信号の導通構造として用いることを特徴とする請求項1記載の超音波モータ。
- 前記振動は縦方向と捻り方向の変位成分を有していることを特徴とする請求項1記載の超音波モータ。
- 前記弾性体には一定角度を有する溝が設けられていることを特徴とする請求項4記載の超音波モータ。
- 前記振動は縦振動と屈曲振動であることを特徴とする請求項1記載の超音波モータ。
- 請求項1から6の何れかに記載の超音波モータを備えた電子機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003132711A JP2004336956A (ja) | 2003-05-12 | 2003-05-12 | 超音波モータ及び超音波モータ付き電子機器 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004336956A true JP2004336956A (ja) | 2004-11-25 |
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Family Applications (1)
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JP2003132711A Pending JP2004336956A (ja) | 2003-05-12 | 2003-05-12 | 超音波モータ及び超音波モータ付き電子機器 |
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7602103B2 (en) | 2004-05-21 | 2009-10-13 | Tadashi Moriya | Ultrasonic motor |
JP2010166674A (ja) * | 2009-01-14 | 2010-07-29 | Olympus Corp | 超音波モータ |
-
2003
- 2003-05-12 JP JP2003132711A patent/JP2004336956A/ja active Pending
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