JP2004334932A - 磁気カードリーダ用アダプタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報を磁気カードに記録し、磁気カードに記録した情報を磁気カードリーダで読み取るような従来の磁気カードシステムにおける既存の磁気カードリーダを変更することなく、情報を磁気カードを介さずに磁気カードリーダへ入力できるような磁気カードリーダ用アダプタ装置を提供する。
【解決手段】磁気カードリーダの磁気読取ヘッドによって読み取り可能な磁気信号を生成するための情報を取得し、磁気ヘッドの磁気検知方向に略直行し、取得した情報に対応して所望の電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンにより磁気信号パターンを生成する。
【選択図】 図2
【解決手段】磁気カードリーダの磁気読取ヘッドによって読み取り可能な磁気信号を生成するための情報を取得し、磁気ヘッドの磁気検知方向に略直行し、取得した情報に対応して所望の電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンにより磁気信号パターンを生成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気カードリーダ用アダプタ装置に関し、特に、従来の磁気カードリーダに対して磁気カードを介さずに情報を入力することが可能な磁気カードリーダ用アダプタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報を磁気カードに記録し、磁気カードに記録した情報を磁気カードリーダを介して読み取るという従来の磁気カードシステムに対して情報をICカードや携帯電話等のモバイル機器に記憶させ、ICカードやモバイル機器に記憶させた情報をICカードやモバイル機器と情報の授受が可能な読取装置を介して情報を読み取るというシステムが提案されている。
【0003】
ICカードやモバイル機器は、磁気カードと比べて多くの情報量が記憶でき、セキュリティーが優れているということからICカードやモバイル機器に情報を記憶させ、記憶させた情報をICカードやモバイル機器の読取装置を介して情報の授受を行うようなシステムへ移行しつつある。
【0004】
例えば特許文献1に示されるように、クレジットカード契約者のIDを記憶して、パスワード等による本人認証機能を持つ携帯電話を利用し、クレジットカード会社からその携帯電話に電話をかけることにより本人確認を行うようなクレジット決済サービス方法が提案されている。
【0005】
上記提案のクレジット決済サービス方法は、顧客が購入商品の決済を行う場合に、顧客の携帯電話をクレジット取引端末に接続することにより、クレジットカード会社のホストコンピュータシステムから顧客の携帯電話に本人確認の電話をかけて本人確認するようにしたクレジット決済サービス方法である。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−030559号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気カードを用いた決済サービスシステムは広く普及されているので、この既存の磁気カードを用いた決済サービスシステムでICカードや携帯電話等のモバイル機器に記憶された情報を用いて決済サービスが行えるようにするために、この既存の磁気カードを用いた決済サービスシステムの磁気カードリーダでICカードや携帯電話等のモバイル機器に記憶した情報が読み取れるようなアダプタ装置の開発が望まれている。
【0007】
そこで、この発明は、既存の磁気カードシステムにおける磁気カードリーダを変更することなく、情報を磁気カードを介さずに磁気カードリーダへ入力できるような磁気カードリーダ用アダプタ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、磁気カードリーダの磁気読取ヘッドによって読み取り可能な磁気信号を生成するための情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得した情報に応じて前記磁気信号を生成する磁気信号生成手段とを具備し、前記磁気信号生成手段は、前記磁気読取ヘッドの磁気検知方向に略直行し、前記情報に対応して所望の電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンから構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記配線パターンは、所定の間隔で配設され、それぞれ同一方向に電流を流すように配設された複数の導電部と、前記複数の導電部に対して共通に電流を流す共通導電部とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記配線パターンは、所定の間隔で配設され、それぞれ交互に異なる方向に電流を流すように配設された複数の導電部を有するミアンダコイルからなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、前記配線パターンは、所定の間隔で配設され、それぞれ第1の方向に電流を流すように配設された複数の第1の導電部を有する第1の配線パターンと、所定の間隔で配設され、それぞれ第1の方向と逆の第2の方向に電流を流すように配設された複数の第2の導電部を有する第2の配線パターンと、前記第1の配線パターンおよび前記第2の配線パターンに対して共通に電流を流す共通導電部とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記配線パターンは、所定の間隔で配設された複数の第1の導電部を有する第1の配線パターンと、所定の間隔で配設され複数の第2の導電部を有する第2の配線パターンと、前記第1の配線パターンの第1の導電部と前記第2の配線パターンの第2の導電部にそれぞれ流れる電流の方向が同一となるように前記第1の配線パターンおよび前記第2の配線パターンに対して共通に電流を流す共通導電部とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項2乃至請求項5のいずれかの発明において、前記導電部の間隔は前記磁気読取ヘッドとの距離の略2倍の距離に設定されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかの発明において、前記配線パターンは、前記磁気カードリーダの複数の磁気読取ヘッドに対応してそれぞれ独立に配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかの発明において、前記配線パターンの裏側に磁性体の板を配置したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかの発明において、前記配線パターンは、前記磁気カードリーダに挿入可能なカード状シート材の両面に形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれかの発明において、前記磁気信号生成手段は、前記磁気カードリーダに前記カード状シート材を挿入した状態で前記磁気カードリーダにより前記磁気カードリーダに対するカードのスキャンによる読み取られる情報に対応した情報が読み取られるように時間的変化する磁気信号を生成することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置を用いた一実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1において、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、既存の磁気カードリーダ2のカード挿入口へ磁気カードの代わりに磁気カードリーダ用アダプタ装置1を挿入し、磁気カードリーダ用アダプタ装置1が情報に応じて生成した磁気信号を磁気カードを介すことなく磁気カードリーダ2へ入力できるように構成したものである。
【0021】
この実施の形態に示した例は、従来の電子決済システムにおいて、磁気カードの代わりに磁気カードリーダ用アダプタ装置1を用いて決済するように適用したものである。
【0022】
図1に示すように、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1を用いた電子決済システム100は、CAT(=Credit Authorization Terminal:信用照会)端末3とケーブルを介して接続された磁気カードリーダ2と、磁気カードリーダ用アダプタ装置1とRS−232C等のケーブルを介して接続された赤外線通信装置4と、赤外線通信装置4と赤外線を介して情報の送受信が可能な携帯電話5とを備えており、磁気カードリーダ用アダプタ装置1が磁気カードリーダ2のカード挿入口へ挿入されている。
【0023】
なお、磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、既存の磁気カードの大きさおよび厚さと略同様であり、カード挿入口へ差し込み、引き出し自在であるが、磁気カードリーダ用アダプタ装置1を図1に示すような位置に停止させたまま使用するものとする。
【0024】
従来の磁気カードを用いた電子決済システムにおいては、利用客が購入した商品の代金を決済する場合には、利用客の銀行口座やカード番号情報等が記録された磁気カードを磁気カードリーダ2のカード挿入口へ所定の方向で差し込み、差し込んだ磁気カードを所定の方向へ所定の速度で移動させることで磁気カードに記録された情報の磁気信号が磁気カードリーダ2によって検知され読み取られる。
【0025】
そして、磁気カードリーダ2によって読み取られた情報は、磁気カードリーダ2とケーブルを介して接続されたCAT端末3へ入力されて決済処理される。
【0026】
磁気カードは、プラスチック製のカードの表面部もしくは裏面部の所定の位置に磁性塗料を帯状に塗布させ、この磁性塗料の帯(以下、「磁気トラック」という。)に磁気ライタの磁気書込用ヘッドを介して情報に応じた磁界を与えることにより、情報に応じた磁化パターンが磁気トラック上に生成され保磁されている。
【0027】
このように記録された磁気カードの情報を磁気カードリーダ2が読み取る場合は、磁気カードの移動に伴い、磁気カードの磁気トラックが磁気カードリーダ2の図示せぬ磁気読取ヘッド上を所定の速度で通過することにより、磁気トラック上に保磁された磁界(磁気信号)を磁気読取ヘッドが検知し、検知した磁界のパターン(以下、「磁気信号パターン」という。)を磁気カードの情報として磁気カードリーダ2が読み取る。
【0028】
電子決済システムに用いられる磁気カードの磁気トラックには、例えば磁気カード固有のカード番号やカード所有者の銀行口座情報等が予め記録されており、これらの情報に応じた磁気信号パターンが磁気カードリーダ2によって読み取られることにより決済処理が可能となる。
【0029】
図1に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1を用いた電子決済システム100においては、従来の磁気カードに記録された情報を利用客の携帯電話5を介して入力するように構成されている。
【0030】
例えば、携帯電話5は、利用客の銀行口座や個人情報等(以下、「個人情報」という。)を記憶した図示せぬICチップと、既存の電話通信機能とは別に数メートル以内の距離内を赤外線を介して情報授受の通信が可能な赤外線通信機能を備えており、携帯電話5の所定の操作によりICチップに記憶された個人情報が赤外線を介して送信できるように構成されている。
【0031】
利用客が購入した商品の代金を決済する場合には、利用客は携帯電話5を赤外線通信装置4の図示せぬ受信部に近づけ、携帯電話5の所定の操作を行うことにより、ICチップに記憶された個人情報が赤外線を介して赤外線通信装置4へ入力される。
【0032】
赤外線通信装置4は、数メートル以内の距離内を赤外線を介して情報の送受信が可能な通信装置であり、携帯電話5から赤外線を介して送信された個人情報が赤外線通信装置4に受信され入力されるように構成されている。
【0033】
赤外線通信装置4に入力された個人情報は、赤外線通信装置4の図示せぬ記憶装置に記憶された変換テーブルAによって磁気信号の情報に変換されてRS−232Cのケーブルを介して磁気カードリーダ用アダプタ装置1へ入力される。
【0034】
なお、変換テーブルAは、磁気カードリーダ用アダプタ装置1が携帯電話5から赤外線を介して入力された個人情報に対応した磁気信号が生成できるような変換データがテーブル化されて管理されている。
【0035】
磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、赤外線通信装置4から入力された個人情報に基づいて磁界(磁気信号)を生成し、磁気カードリーダ用アダプタ装置1によって生成された磁気信号が磁気カードリーダ2によって検知され読み取られる。
【0036】
磁気カードリーダ2によって読み取られた個人情報は、磁気カードリーダ2とケーブルを介して接続されたCAT端末3へ入力されて決済処理される。
【0037】
ところで、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、個人情報に応じた磁気信号を生成して磁気カードリーダ2へ個人情報を入力することができる。
【0038】
図2は、図1に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1の要部の構成を示すブロック図である。
【0039】
図2(a)は磁気カードリーダ用アダプタ装置1の要部の平面図であり、図2(b)は磁気カードリーダ用アダプタ装置1の要部の側面図である。
【0040】
図2(c)は、磁気カードリーダ用アダプタ装置1を磁気カードリーダ2のカード挿入口へ挿入した状態の磁気カードリーダ用アダプタ装置1と磁気カードリーダ2の要部の側面図である。
【0041】
図2において、磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、既存の磁気カードと略同様な大きさと厚さで成形されており、既存の磁気カードが所定の位置に所定の大きさの磁気トラックを形成しているのと同様に、磁気カードリーダ用アダプタ装置1の所定の位置に、所定の大きさの磁気信号生成部13(図2(a)の破線で囲まれた部分)が配置されている。
【0042】
すなわち、図2(c)に示すように、磁気カードリーダ2のカード挿入口21へ所定の方向で磁気カードリーダ用アダプタ装置1を挿入すると、磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20と対向するような位置に磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13が配置されている。
【0043】
図2(a)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、RS−232Cを介して磁気カードリーダ用アダプタ装置1と赤外線通信装置4との間の情報を授受するインタフェース部11と、赤外線通信装置4から入力された個人情報に応じて磁気信号生成部13へ流す電流の方向を制御するとともに磁気カードリーダ用アダプタ装置1全体を制御する制御部12と、制御部12によって制御された電流の方向に応じて磁界を生成する磁気信号生成部13を具備し、これらの各部が基板10上に形成されて図2(b)に示すようにプラスチック製のカードの中に合着されている。
【0044】
赤外線通信装置4から入力された個人情報は、インタフェース部11を介して制御部12へ入力され、制御部12が個人情報に応じて磁気信号生成部13へ流す電流の方向を制御する。
【0045】
磁気信号生成部13は、電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンから構成されており、制御部12によって個人情報に応じて方向制御された電流が配線パターンAに流れることにより、配線パターンAには個人情報に対応した磁界が形成される。
【0046】
図3は、図2に示した磁気信号生成部13の配線パターンの一例を示す図である。
【0047】
図3(a)は、配線パターンの形状を示す図であり、図3(b)および図3(c)は、図3(a)に示した配線パターンに流れる電流の方向に応じて生成される磁界を示す図である。
【0048】
なお、配線パターンは、エッチングや導電ペースト印刷、その他の方法によって図2(a)に示した基板10上に形成し、その表面をカバー材で覆うように構成されている。
【0049】
図3を参照しながら個人情報に応じた磁界を配線パターンに生成する方法について説明する。
【0050】
図3(a)に示すように、配線パターン(以下、「配線パターンA」という。)は、それぞれ同一方向に電流を流すように配設された複数の導電部A1、A2、A3、・・・Anと、複数の導電部A1、A2、A3、・・・Anに対して共通に電流を流す共通導電部AC1を接続した形状に形成されており、各導電部A1、A2、A3、・・・Anのそれぞれの間隔dは、図2に示した磁気信号生成部13と磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20との距離tの略2倍の距離を保って配置されている。
【0051】
このような間隔dで各導電部A1、A2、A3、・・・Anを配置することにより、各導電部に形成される磁界の強さを最大にすることが可能となる。
【0052】
上述の図2で説明したうように、制御部12は、制御部12に入力された個人情報に応じて配線パターンAへ流す電流の方向を制御する。
【0053】
例えば、図3(b)に示すように、配線パターンAに順方向(矢印付実線301)の電流を流すと、配線パターンAの各導電部A1、A2、A3、・・・Anに流れる電流の向きは全て矢印付実線302の向きとなり、各導電部A1、A2、A3、・・・Anにはそれぞれ矢印付実線303の磁極の方向(以下、「SN極」という。)を示す磁界が生成される。
【0054】
また、図3(c)に示すように、配線パターンAに逆方向(矢印付実線304)の電流を流すと、配線パターンAの各導電部A1、A2、A3、・・・Anに流れる電流の向きは全て矢印付実線305の向きとなり、各導電部A1、A2、A3、・・・Anにはそれぞれ矢印付実線306の磁極の方向(以下、「NS極」という。)を示す磁界が生成される。
【0055】
制御部12に入力された個人情報を例えば「10011」とすると、制御部12は、入力された個人情報「10011」に基づいて次のような制御を行い、個人情報「10011」に対応した磁気信号(磁界)のパターンを配線パターンAに生成する。
【0056】
まず、制御部12は、入力された個人情報「10011」を「1」、「0」、「0」、「1」、「1」の順に分解し、分解した個人情報の「1」、「0」の情報に応じて、例えば、「1」の場合には配線パターンAに生成された磁気信号が、所定の時間の間に「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」へ反転するように制御し、「0」の場合には所定の時間の間に磁気信号が反転しないように制御する。
【0057】
配線パターンAに流れる電流は、所定の周波数に同期して順方向(図3(b)、矢印付実線301)と逆方向(図3(c)、矢印付実線304)のそれぞれの方向に交互に流れるように構成されており、配線パターンAに電流が流れると所定の周波数の周期t(t1、t2、t3、t4、t5・・・)毎に配線パターンAには順方向と逆方向の電流が流れ、図3(d)に示すような磁気信号パターン310が生成される。
【0058】
図3(d)に示した磁気信号パターン310は、横軸tを所定の周波数の各周期の時間(t1、t2、t3、t4、t5、・・・)とし、縦軸を横軸tの各時間におけるそれぞれの磁気信号(配線パターンAに生成された磁界の「SN極」もしくは「NS極」の極性)の値を示したものである。
【0059】
図3(d)に示すように、磁気信号パターン310は、時間t(t1、t2、t3、t4、t5・・・)毎に配線パターンAへ流れる電流の向きが順方向から逆方向に変わるので、時間tが「0からt1」の間は「SN極」、「t1からt2」の間は「NS極」、「t2からt3」の間は「SN極」、「t3からt4」の間は「NS極」、「t4からt5」の間は「SN極」・・・というような磁気信号が配線パターンAに生成される。
【0060】
この磁気信号パターン310を所定の時間の間に「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転した時を「1」とし、所定の時間の間に磁気信号が反転しない時を「0」の情報とするような制御方法に対応させてみると、磁気信号パターン310の時間tが「0からt1」の間は、磁気信号が「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転するような磁気信号が生成されていないので「0」という情報を示すこととなる。
【0061】
また、時間tが「t1からt2」の間も磁気信号が「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転するような磁気信号が生成されていないので「0」という情報を示す。
【0062】
同様に時間tが「t2からt3」の間、「t3からt4」の間、「t4からt5」の間のそれぞれにおいて、磁気信号が「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転するような磁気信号が生成されていないので、それぞれ「0」、「0」、「0」という情報を示すこととなる。
そこで、個人情報「10011」に対応する磁気信号パターンを生成するために、制御部12は、磁気信号パターン310の「0」、「0」、「0」、「0」、「0」を「1」、「0」、「0」、「1」、「1」へ変調するような制御を行う。
【0063】
磁気信号パターン310の「0」、「0」、「0」、「0」、「0」を「1」、「0」、「0」、「1」、「1」へ変調するために制御部12は、磁気信号パターン310の時間tが「0からt1」の間と、「t3からt4」の間および「t4からt5」の間のそれぞれにおいて、配線パターンAに生成される磁気信号が「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転するように配線パターンAへ流れる電流の方向を順方向もしくは逆方向に方向制御する。
【0064】
このように制御することによって、配線パターンAには、個人情報「10011」に対応した図3(e)に示すような磁気信号パターン320が生成される。
【0065】
磁気信号パターン320は、図3(e)に示すように、時間tが「0からt1」の間に磁気信号が「SN極」から「NS極」へ反転した磁気信号が生成されるので「1」という情報を示すこととなる。
【0066】
時間tが「t1からt2」の間は、磁気信号が「SN極」のままなので「0」という情報を示すこととなる。
【0067】
同様に時間tが「t2からt3」の間、「t3からt4」の間、「t4からt5」の間のそれぞれにおいて、それぞれ「0」、「1」、「1」という情報を示すこととなる。
【0068】
配線パターンAに生成された磁気信号パターン320は、磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20が検知し、磁気カードリーダ2は、磁気ヘッド20が検知した磁気信号パターン320のうちの、所定の時間の間に「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転した時(「0からt1」の間と、「t3からt4」の間および「t4からt5」の間)を「1」とし、所定の時間の間に磁気信号が反転しない時(「t1からt2」の間と「t2からt3」の間)を「0」の情報として読み取る。
【0069】
上述に説明した如く、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、時間的に変化する磁気信号を生成し、入力された個人情報に応じた磁気信号パターンを生成するので、磁気カードリーダ2のカード挿入口21に挿入したまま移動させることなく磁気カードリーダ2へ個人情報を入力することができる。
【0070】
図4は、図3に示した配線パターンAの形状とは他の形状の配線パターンの例を示す図である。
【0071】
図4(a)は、複数の導電部を並列接続したブロックを複数形成し、複数形成されたブロックを直列接続した配線パターン(以下、「配線パターンB」という。)の形状を示す図である。
【0072】
図4(b)は、所定の間隔で配設され、それぞれ交互に異なる方向に電流を流すように配設された平面状の形成されたミアンダコイル(以下、「配線パターンC」という。)を示す図である。
【0073】
図4(c)は、図4(a)に示した配線パターンB400に流れる電流の方向に応じて生成される磁界を示す図である。
【0074】
図4(d)は、図4(b)に示した配線パターンC401に流れる電流の方向に応じて生成される磁界を示す図である。
【0075】
図4(a)に示すように、配線パターンB400は、複数の導電部B1、B2、B3、B4が並列接続されたブロックA402と、ブロックA402と同様に複数の導電部B5、B6、B7、B8が並列接続されたブロックB403とを直列に接続した形状に形成されている。
【0076】
なお、ブロックA402およびブロックB403を構成する各導電部の数は任意であり、ブロックA402およびブロックB403のブロック数も任意である。
【0077】
また、配線パターンCは、一本の導電部を所定長さ毎に直角に蛇行させて図4(b)に示すような複数の導電部C1、C2、C3・・・Cnが直列に接続されたような形状に形成されている。
【0078】
配線パターンBおよび配線パターンCは、図3に示した配線パターンAと同様にエッチングや導電ペースト印刷、その他の方法によって基板上に配線パターンを形成し、その表面をカバー材で覆うように構成されている。
【0079】
配線パターンBおよび配線パターンCを図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13に用いた場合のこれらの配線パターンBおよび配線パターンCに生成される個人情報に応じた磁界について説明する。
【0080】
なお、配線パターンBおよび配線パターンCを図2に示した磁気信号生成部13に用いた場合の磁気カードリーダ用アダプタ装置の構成は、磁気信号生成部13の図3に示した配線パターンAを配線パターンBおよび配線パターンCのそれぞれに置き換えた他は図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1の構成と同様であるので、磁気カードリーダ用アダプタ装置を構成する各部の動作についての詳細説明は省略する。
【0081】
まず、図4(a)に示した配線パターンB400を磁気信号生成部13に用いた場合の配線パターンB400に生成される個人情報に応じた磁界について説明する。
【0082】
図4(a)に示した配線パターンB400に図4(c)に示すような方向(矢印付実線404)の電流を流すと、ブロックA402の各導電部B1、B2、B3、B4に流れる電流の方向(矢印付実線405)とブロックB403の各導電部B5、B6、B7、B8に流れる電流の方向(矢印付実線406)とは逆方向となる。
【0083】
ブロックA402の各導電部B1、B2、B3、B4に流れる電流の方向(矢印付実線405)とブロックB403の各導電部B5、B6、B7、B8に流れる電流の方向(矢印付実線406)とが互いに逆方向となることから、図3(c)に示すように、配線パターンB400のブロックA402に流れる電流が形成する磁界の方向(矢印付実線407)とブロックB403に流れる電流が形成する磁界の方向(矢印付実線408)とが互いに逆方向となる。
【0084】
このような配線パターンB400を磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13に用いた場合は、磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20が配線パターンB400のブロックA402の磁気信号を検知した場合と、ブロックB403の磁気信号を検知した場合とでは互いに磁気信号が反転した状態で検知される。
【0085】
次に、図4(b)に示した配線パターンC401を磁気信号生成部13に用いた場合の配線パターンC401に生成される個人情報に応じた磁界について説明する。
【0086】
図4(b)に示した配線パターンC401に図3(d)に示すような方向(矢印付実線409)の電流を流すと、導電部C1に流れる電流の方向(矢印付実線410)と導電部C2に流れる電流の方向(矢印付実線411)とが互いに逆方向であり、導電部C2に流れる電流の方向(矢印付実線411)と導電部C3に流れる電流の方向とが互いに逆方向となる。
【0087】
このように各導電部C1、C2、C3・・・Cnに流れる電流の方向が交互して互いに逆方向の電流が流れることとなる。
【0088】
各導電部C1、C2、C3・・・Cnに形成される磁界の方向は、図3(d)に示すように、各導電部C1、C2、C3・・・Cnに流れる電流の方向に対応して矢印付実線412の方向の磁界と、矢印付実線413の方向の磁界とが交互に生成される。
【0089】
このような配線パターンC401を磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13に用いた場合は、磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20が各導電部のうちの互いに隣り合う導電部では磁気信号が互いに反転した状態で検知される。
【0090】
上述の如く、配線パターンB400および配線パターンC401を磁気信号生成部13に用いた場合においては、配線パターンB400のブロックA402とブロックB403のそれぞれに生成される磁気信号を磁気ヘッド20が検知した場合、もしくは配線パターンC401の互いに隣り合うそれぞれの導電部に生成される磁気信号を磁気ヘッド20が検知した場合では、それぞれ互いに磁気信号が反転した状態で検知されるが、磁気カードリーダ2は、磁気ヘッド20が検知した磁気信号が所定の時間の間に反転した時は「1」とし、反転しない時は「0」として認識するので、磁気信号生成部13に生成された磁気信号に基づいて個人情報を特定することができる。
【0091】
なお、図2に示した磁気信号生成部13には種々の形状の配線パターンの適用が可能であり、図3および図4(a)、図4(b)に示した各配線パターンの形状に限定されるものではない。
【0092】
図5は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置に複数の配線パターンを配置した例を示す図である。
【0093】
図5(a)は、図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1に複数の配線パターンを配置した磁気カードリーダ用アダプタ装置500の要部の平面図であり、図5(b)は磁気カードリーダ用アダプタ装置500の要部の側面図である。
【0094】
図5(c)は、磁気カードリーダ用アダプタ装置500を磁気カードリーダ520へ挿入した状態の磁気カードリーダ用アダプタ装置500と磁気カードリーダ520の要部の側面図である。
【0095】
図5(a)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置500は、複数の配線パターンを独立して並列に配置して磁気信号生成部503と磁気信号生成部504を備えるように構成したものである。
【0096】
このような構成とすることにより磁気読取ヘッドを複数有する磁気カードリーダ520に対応して磁気カードリーダ用アダプタ装置500から磁気カードを介さずに情報を磁気カードリーダ520へ入力することが可能となる。
【0097】
図5(a)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置500は、図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1と同様にRS−232Cを介して磁気カードリーダ用アダプタ装置500と赤外線通信装置4との間の情報を授受するインタフェース部501と、赤外線通信装置4から入力された個人情報に応じて磁気信号生成部503および磁気信号生成部504へ流す電流の方向を制御するとともに磁気カードリーダ用アダプタ装置500全体を制御する制御部502と、制御部502によって制御された電流の方向に応じて磁界を生成する磁気信号生成部503および磁気信号生成部504を具備し、これらの各部が基板505上に形成されて図5(b)に示すようにプラスチック製のカードの中に合着されている。
【0098】
赤外線通信装置4から入力された個人情報は、インタフェース部501を介して制御部502へ入力され、制御部502が個人情報に応じて磁気信号生成部503および磁気信号生成部504へ流す電流の方向を制御する。
【0099】
制御部502が個人情報に応じて磁気信号生成部503および磁気信号生成部504へ流す電流の方向を制御するので磁気信号生成部503および磁気信号生成部504の各配線パターンには個人情報に対応した磁界が生成される。
【0100】
このように磁気信号生成部503および磁気信号生成部504に生成された磁界は、図5(c)に示すように磁気カードリーダ520の磁気ヘッド524および磁気ヘッド523にそれぞれ検知され、磁気ヘッド524および磁気ヘッド523が検知した磁気信号に基づいて磁気カードリーダ520が個人情報を読み取る。
【0101】
なお、制御部502は、磁気信号生成部503および磁気信号生成部504へ流す電流の方向をそれぞれ独立して制御できるので、それぞれに同一の磁気信号を生成することも可能であるし、それぞれに別々の磁気信号を生成することも可能である。
【0102】
また、個人情報に応じた磁界を磁気信号生成部503および磁気信号生成部504に生成する方法については、図3に示した動作と同様であるので詳細説明は省略する。
【0103】
図6は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置の表裏の両面に複数の配線パターンを配置した例を示す図である。
【0104】
図6(a)、図6(b)は、図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1の表裏の両面に複数の配線パターンを配置した磁気カードリーダ用アダプタ装置600の表面部(図6(a))と裏面部(図6(b))の要部の平面図であり、図6(c)は図6(a)および図6(b)に示したような表面部および裏面部を有する磁気カードリーダ用アダプタ装置600の要部の側面図である。
【0105】
図6(d)は、磁気カードリーダ用アダプタ装置600を磁気カードリーダ620へ挿入した状態の磁気カードリーダ用アダプタ装置600と磁気カードリーダ620の要部の側面図である。
【0106】
図6に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置600は、表面部には図2に示したような磁気信号生成部13と同様な磁気信号生成部603を形成し、裏面部には図5に示したような磁気信号生成部503および磁気信号生成部504と同様な磁気信号生成部605および磁気信号生成部606を独立して並列に配置して構成したものである。
【0107】
このような構成とすることにより磁気読取ヘッドを複数有し、複数有する磁気読取ヘッドのうちの何れかの磁気読取ヘッドが対向して配置された磁気カードリーダ620に対応して磁気カードリーダ用アダプタ装置600から磁気カードを介さずに情報を磁気カードリーダ620へ入力することが可能となる。
【0108】
図6(a)および図6(b)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置600は表面部と裏面部にそれぞれ磁気信号生成部603(表面部)と、磁気信号生成部605および磁気信号生成部606(裏面部)とが形成され、各磁気信号生成部603、605、606に流す電流の方向制御する制御部602と、磁気カードリーダ用アダプタ装置600と赤外線通信装置4との間をRS−232Cを介して情報を授受するインタフェース部601とを具備し、磁気信号生成部603が基板604、磁気信号生成部605および磁気信号生成部606(裏面部)が基板604、インタフェース部601と制御部602が基板604および基板607の何れかに形成されて図6(d)に示すようにプラスチック製のカードの中に合着されている。
【0109】
赤外線通信装置4から入力された個人情報は、インタフェース部601を介して制御部602へ入力され、制御部602が個人情報に応じて磁気信号生成部603と磁気信号生成部605および磁気信号生成部606へ流す電流の方向を制御する。
【0110】
制御部602が個人情報に応じて磁気信号生成部603と磁気信号生成605および磁気信号生成部606へ流す電流の方向を制御するので磁気信号生成部603と磁気信号生成605および磁気信号生成部606の各配線パターンには個人情報に対応した磁界が生成される。
【0111】
このように磁気信号生成部603と磁気信号生成部605および磁気信号生成部606に生成された磁界は、図6(d)に示すように磁気カードリーダ620の磁気ヘッド624と磁気ヘッド622および磁気ヘッド623にそれぞれ検知され、各磁気ヘッド622、623、624が検知した磁気信号に基づいて磁気カードリーダ620が個人情報を読み取る。
【0112】
なお、制御部602は、磁気信号生成部603と磁気信号生成部605および磁気信号生成部606へ流す電流の方向をそれぞれ独立して制御できるので、それぞれに同一の磁気信号を生成することも可能であるし、それぞれに別々の磁気信号を生成することも可能である。
【0113】
なお、磁気信号生成部603が個人情報に応じて生成する磁気信号と磁気信号生成部605が個人情報に応じて生成する磁気信号と磁気信号生成部606が個人情報に応じて生成する磁気信号とは同一の磁気信号を生成する。
【0114】
また、個人情報に応じた磁界を磁気信号生成部603と磁気信号生成部605および磁気信号生成部606に生成する方法については、図3に示した動作と同様であるので詳細説明は省略する。
【0115】
図7は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置の配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した例の磁気カードリーダ用アダプタ装置を示す図である。
【0116】
図7(a)は、配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した磁気カードリーダ用アダプタ装置700の要部の平面図であり、図7(b)は、磁気カードリーダ用アダプタ装置700の要部の側面図である。
【0117】
図7(c)および図7(d)は、図7(a)に示した磁気信号生成部703の配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した場合と配置しない場合とで配線パターンに生成される磁界の状態を示す図である。
【0118】
図7(a)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置700は、RS−232Cを介して磁気カードリーダ用アダプタ装置700と赤外線通信装置4との間の情報を授受するインタフェース部701と、赤外線通信装置4から入力された個人情報に応じて磁気信号生成部703へ流す電流の方向を制御するとともに磁気カードリーダ用アダプタ装置700全体を制御する制御部702と、制御部702によって制御された電流の方向に応じて磁界を生成する平面状に形成された配線パターンの磁気信号生成部703を基板705上に形成し、磁気信号生成部703の配線パターンの裏側に磁性体の板704を配置して図7(b)に示すようにプラスチック製のカードの中に合着されている。
【0119】
図7(a)および図7(b)に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置700は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13の裏側に磁性体の板704(以下、「磁性体板704」という。)を配置した他は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置1の構成と同様であるので磁気カードリーダ用アダプタ装置700の構成や動作の詳細説明については、説明の便宜上省略する。
【0120】
ここでは、磁気カードリーダ用アダプタ装置700の配線パターンの裏側に磁性体板704を配置した場合の効果について図7(c)および図7(d)を参照しながら説明する。
【0121】
磁気信号生成部703の配線パターンの裏側に磁性体板704を配置しない場合は、配線パターンに流れる電流の方向に応じて図7(c)に示すような磁界710が生成される。
【0122】
なお、図7(c)は、説明の便宜上、配線パターンのうちの一つの導電部740に注目し、電流が紙面の表面から裏面の方向へ流れている場合に生成される磁界の例を用いて説明する。
【0123】
図7(c)に示したように配線パターンに流れる電流の方向に応じて生成された磁界710に対して配線パターンの裏側に磁性体板704を配置すると図7(d)に示すようなA’の部分721(一点鎖線で囲まれた部分)が磁性体板704内に生成されるようになる。
磁性体板704内に生成されたA’の部分721の磁束密度は、図7(c)に示した磁界710のAの部分711の磁束密度と比べて大きくなるので、配線パターンの裏側に磁性体板704を配置することによって図7(c)に示した磁界710が図7(d)に示すような磁界720へと変化する。
図7(c)および図7(d)に示すように、磁界710の任意の点P712の磁界ベクトルH713は、磁性体板704によって変化した磁界720では点P’722の磁界ベクトルH723となる。
【0124】
点Pの磁界ベクトルH713はベクトルHh714とベクトルHv715、点P’の磁界ベクトル723はベクトルHh724とベクトルHv725にそれぞれ分解できるので、分解したこれらのベクトルのうちの磁気ヘッド730が検知する磁気信号の磁界の大きさが最大となるのはベクトルHh724となる。
したがって、配線パターンの裏側に磁性体板704を配置することにより配線パターンの裏側に磁性体板704を配置しない場合と比べて磁界の強さが大きな磁気信号を磁気ヘッドに入力できるようになる。
【0125】
なお、配線パターンの裏側に磁性体の板を配置する例は、複数の配線パターンが配置された場合や複数の配線パターンが表裏面に配置された場合のそれぞれの磁気カードリーダ用アダプタ装置に適用可能である。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、磁気カードリーダの磁気読取ヘッドによって読み取り可能な磁気信号を生成するための情報を取得し、磁気ヘッドの磁気検知方向に略直行し、取得した情報に対応して所望の電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンにより磁気信号パターンを生成するように構成したので、既存の磁気カードリーダを変更することなく磁気カードを介さずに情報を入力することができる。
【0127】
また、磁気カードを介さずに情報が入力できるので磁気カードを用いて情報を入力する場合と比べてセキュリティーが向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置を用いた一実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1の要部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した磁気信号生成部13の配線パターンの一例を示す図である。
【図4】図3に示した配線パターンの形状とは他の形状の配線パターンの例を示す図である。
【図5】図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置に複数の配線パターンを配置した例を示す図である。
【図6】図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置の表裏の両面に複数の配線パターンを配置した例を示す図である。
【図7】図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置の配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した例を示す図である。
【符号の説明】
1 磁気カードリーダ用アダプタ装置
2 磁気カードリーダ
10 基板
11 インタフェース部
12 制御部
13 磁気信号生成部
20 磁気ヘッド
21 カード挿入口
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気カードリーダ用アダプタ装置に関し、特に、従来の磁気カードリーダに対して磁気カードを介さずに情報を入力することが可能な磁気カードリーダ用アダプタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報を磁気カードに記録し、磁気カードに記録した情報を磁気カードリーダを介して読み取るという従来の磁気カードシステムに対して情報をICカードや携帯電話等のモバイル機器に記憶させ、ICカードやモバイル機器に記憶させた情報をICカードやモバイル機器と情報の授受が可能な読取装置を介して情報を読み取るというシステムが提案されている。
【0003】
ICカードやモバイル機器は、磁気カードと比べて多くの情報量が記憶でき、セキュリティーが優れているということからICカードやモバイル機器に情報を記憶させ、記憶させた情報をICカードやモバイル機器の読取装置を介して情報の授受を行うようなシステムへ移行しつつある。
【0004】
例えば特許文献1に示されるように、クレジットカード契約者のIDを記憶して、パスワード等による本人認証機能を持つ携帯電話を利用し、クレジットカード会社からその携帯電話に電話をかけることにより本人確認を行うようなクレジット決済サービス方法が提案されている。
【0005】
上記提案のクレジット決済サービス方法は、顧客が購入商品の決済を行う場合に、顧客の携帯電話をクレジット取引端末に接続することにより、クレジットカード会社のホストコンピュータシステムから顧客の携帯電話に本人確認の電話をかけて本人確認するようにしたクレジット決済サービス方法である。
【0006】
【特許文献1】
特開2003−030559号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の磁気カードを用いた決済サービスシステムは広く普及されているので、この既存の磁気カードを用いた決済サービスシステムでICカードや携帯電話等のモバイル機器に記憶された情報を用いて決済サービスが行えるようにするために、この既存の磁気カードを用いた決済サービスシステムの磁気カードリーダでICカードや携帯電話等のモバイル機器に記憶した情報が読み取れるようなアダプタ装置の開発が望まれている。
【0007】
そこで、この発明は、既存の磁気カードシステムにおける磁気カードリーダを変更することなく、情報を磁気カードを介さずに磁気カードリーダへ入力できるような磁気カードリーダ用アダプタ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、磁気カードリーダの磁気読取ヘッドによって読み取り可能な磁気信号を生成するための情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段によって取得した情報に応じて前記磁気信号を生成する磁気信号生成手段とを具備し、前記磁気信号生成手段は、前記磁気読取ヘッドの磁気検知方向に略直行し、前記情報に対応して所望の電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンから構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記配線パターンは、所定の間隔で配設され、それぞれ同一方向に電流を流すように配設された複数の導電部と、前記複数の導電部に対して共通に電流を流す共通導電部とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記配線パターンは、所定の間隔で配設され、それぞれ交互に異なる方向に電流を流すように配設された複数の導電部を有するミアンダコイルからなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、前記配線パターンは、所定の間隔で配設され、それぞれ第1の方向に電流を流すように配設された複数の第1の導電部を有する第1の配線パターンと、所定の間隔で配設され、それぞれ第1の方向と逆の第2の方向に電流を流すように配設された複数の第2の導電部を有する第2の配線パターンと、前記第1の配線パターンおよび前記第2の配線パターンに対して共通に電流を流す共通導電部とを具備することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記配線パターンは、所定の間隔で配設された複数の第1の導電部を有する第1の配線パターンと、所定の間隔で配設され複数の第2の導電部を有する第2の配線パターンと、前記第1の配線パターンの第1の導電部と前記第2の配線パターンの第2の導電部にそれぞれ流れる電流の方向が同一となるように前記第1の配線パターンおよび前記第2の配線パターンに対して共通に電流を流す共通導電部とを具備することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項2乃至請求項5のいずれかの発明において、前記導電部の間隔は前記磁気読取ヘッドとの距離の略2倍の距離に設定されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれかの発明において、前記配線パターンは、前記磁気カードリーダの複数の磁気読取ヘッドに対応してそれぞれ独立に配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかの発明において、前記配線パターンの裏側に磁性体の板を配置したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかの発明において、前記配線パターンは、前記磁気カードリーダに挿入可能なカード状シート材の両面に形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項10の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれかの発明において、前記磁気信号生成手段は、前記磁気カードリーダに前記カード状シート材を挿入した状態で前記磁気カードリーダにより前記磁気カードリーダに対するカードのスキャンによる読み取られる情報に対応した情報が読み取られるように時間的変化する磁気信号を生成することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置を用いた一実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1において、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、既存の磁気カードリーダ2のカード挿入口へ磁気カードの代わりに磁気カードリーダ用アダプタ装置1を挿入し、磁気カードリーダ用アダプタ装置1が情報に応じて生成した磁気信号を磁気カードを介すことなく磁気カードリーダ2へ入力できるように構成したものである。
【0021】
この実施の形態に示した例は、従来の電子決済システムにおいて、磁気カードの代わりに磁気カードリーダ用アダプタ装置1を用いて決済するように適用したものである。
【0022】
図1に示すように、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1を用いた電子決済システム100は、CAT(=Credit Authorization Terminal:信用照会)端末3とケーブルを介して接続された磁気カードリーダ2と、磁気カードリーダ用アダプタ装置1とRS−232C等のケーブルを介して接続された赤外線通信装置4と、赤外線通信装置4と赤外線を介して情報の送受信が可能な携帯電話5とを備えており、磁気カードリーダ用アダプタ装置1が磁気カードリーダ2のカード挿入口へ挿入されている。
【0023】
なお、磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、既存の磁気カードの大きさおよび厚さと略同様であり、カード挿入口へ差し込み、引き出し自在であるが、磁気カードリーダ用アダプタ装置1を図1に示すような位置に停止させたまま使用するものとする。
【0024】
従来の磁気カードを用いた電子決済システムにおいては、利用客が購入した商品の代金を決済する場合には、利用客の銀行口座やカード番号情報等が記録された磁気カードを磁気カードリーダ2のカード挿入口へ所定の方向で差し込み、差し込んだ磁気カードを所定の方向へ所定の速度で移動させることで磁気カードに記録された情報の磁気信号が磁気カードリーダ2によって検知され読み取られる。
【0025】
そして、磁気カードリーダ2によって読み取られた情報は、磁気カードリーダ2とケーブルを介して接続されたCAT端末3へ入力されて決済処理される。
【0026】
磁気カードは、プラスチック製のカードの表面部もしくは裏面部の所定の位置に磁性塗料を帯状に塗布させ、この磁性塗料の帯(以下、「磁気トラック」という。)に磁気ライタの磁気書込用ヘッドを介して情報に応じた磁界を与えることにより、情報に応じた磁化パターンが磁気トラック上に生成され保磁されている。
【0027】
このように記録された磁気カードの情報を磁気カードリーダ2が読み取る場合は、磁気カードの移動に伴い、磁気カードの磁気トラックが磁気カードリーダ2の図示せぬ磁気読取ヘッド上を所定の速度で通過することにより、磁気トラック上に保磁された磁界(磁気信号)を磁気読取ヘッドが検知し、検知した磁界のパターン(以下、「磁気信号パターン」という。)を磁気カードの情報として磁気カードリーダ2が読み取る。
【0028】
電子決済システムに用いられる磁気カードの磁気トラックには、例えば磁気カード固有のカード番号やカード所有者の銀行口座情報等が予め記録されており、これらの情報に応じた磁気信号パターンが磁気カードリーダ2によって読み取られることにより決済処理が可能となる。
【0029】
図1に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1を用いた電子決済システム100においては、従来の磁気カードに記録された情報を利用客の携帯電話5を介して入力するように構成されている。
【0030】
例えば、携帯電話5は、利用客の銀行口座や個人情報等(以下、「個人情報」という。)を記憶した図示せぬICチップと、既存の電話通信機能とは別に数メートル以内の距離内を赤外線を介して情報授受の通信が可能な赤外線通信機能を備えており、携帯電話5の所定の操作によりICチップに記憶された個人情報が赤外線を介して送信できるように構成されている。
【0031】
利用客が購入した商品の代金を決済する場合には、利用客は携帯電話5を赤外線通信装置4の図示せぬ受信部に近づけ、携帯電話5の所定の操作を行うことにより、ICチップに記憶された個人情報が赤外線を介して赤外線通信装置4へ入力される。
【0032】
赤外線通信装置4は、数メートル以内の距離内を赤外線を介して情報の送受信が可能な通信装置であり、携帯電話5から赤外線を介して送信された個人情報が赤外線通信装置4に受信され入力されるように構成されている。
【0033】
赤外線通信装置4に入力された個人情報は、赤外線通信装置4の図示せぬ記憶装置に記憶された変換テーブルAによって磁気信号の情報に変換されてRS−232Cのケーブルを介して磁気カードリーダ用アダプタ装置1へ入力される。
【0034】
なお、変換テーブルAは、磁気カードリーダ用アダプタ装置1が携帯電話5から赤外線を介して入力された個人情報に対応した磁気信号が生成できるような変換データがテーブル化されて管理されている。
【0035】
磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、赤外線通信装置4から入力された個人情報に基づいて磁界(磁気信号)を生成し、磁気カードリーダ用アダプタ装置1によって生成された磁気信号が磁気カードリーダ2によって検知され読み取られる。
【0036】
磁気カードリーダ2によって読み取られた個人情報は、磁気カードリーダ2とケーブルを介して接続されたCAT端末3へ入力されて決済処理される。
【0037】
ところで、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、個人情報に応じた磁気信号を生成して磁気カードリーダ2へ個人情報を入力することができる。
【0038】
図2は、図1に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1の要部の構成を示すブロック図である。
【0039】
図2(a)は磁気カードリーダ用アダプタ装置1の要部の平面図であり、図2(b)は磁気カードリーダ用アダプタ装置1の要部の側面図である。
【0040】
図2(c)は、磁気カードリーダ用アダプタ装置1を磁気カードリーダ2のカード挿入口へ挿入した状態の磁気カードリーダ用アダプタ装置1と磁気カードリーダ2の要部の側面図である。
【0041】
図2において、磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、既存の磁気カードと略同様な大きさと厚さで成形されており、既存の磁気カードが所定の位置に所定の大きさの磁気トラックを形成しているのと同様に、磁気カードリーダ用アダプタ装置1の所定の位置に、所定の大きさの磁気信号生成部13(図2(a)の破線で囲まれた部分)が配置されている。
【0042】
すなわち、図2(c)に示すように、磁気カードリーダ2のカード挿入口21へ所定の方向で磁気カードリーダ用アダプタ装置1を挿入すると、磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20と対向するような位置に磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13が配置されている。
【0043】
図2(a)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、RS−232Cを介して磁気カードリーダ用アダプタ装置1と赤外線通信装置4との間の情報を授受するインタフェース部11と、赤外線通信装置4から入力された個人情報に応じて磁気信号生成部13へ流す電流の方向を制御するとともに磁気カードリーダ用アダプタ装置1全体を制御する制御部12と、制御部12によって制御された電流の方向に応じて磁界を生成する磁気信号生成部13を具備し、これらの各部が基板10上に形成されて図2(b)に示すようにプラスチック製のカードの中に合着されている。
【0044】
赤外線通信装置4から入力された個人情報は、インタフェース部11を介して制御部12へ入力され、制御部12が個人情報に応じて磁気信号生成部13へ流す電流の方向を制御する。
【0045】
磁気信号生成部13は、電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンから構成されており、制御部12によって個人情報に応じて方向制御された電流が配線パターンAに流れることにより、配線パターンAには個人情報に対応した磁界が形成される。
【0046】
図3は、図2に示した磁気信号生成部13の配線パターンの一例を示す図である。
【0047】
図3(a)は、配線パターンの形状を示す図であり、図3(b)および図3(c)は、図3(a)に示した配線パターンに流れる電流の方向に応じて生成される磁界を示す図である。
【0048】
なお、配線パターンは、エッチングや導電ペースト印刷、その他の方法によって図2(a)に示した基板10上に形成し、その表面をカバー材で覆うように構成されている。
【0049】
図3を参照しながら個人情報に応じた磁界を配線パターンに生成する方法について説明する。
【0050】
図3(a)に示すように、配線パターン(以下、「配線パターンA」という。)は、それぞれ同一方向に電流を流すように配設された複数の導電部A1、A2、A3、・・・Anと、複数の導電部A1、A2、A3、・・・Anに対して共通に電流を流す共通導電部AC1を接続した形状に形成されており、各導電部A1、A2、A3、・・・Anのそれぞれの間隔dは、図2に示した磁気信号生成部13と磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20との距離tの略2倍の距離を保って配置されている。
【0051】
このような間隔dで各導電部A1、A2、A3、・・・Anを配置することにより、各導電部に形成される磁界の強さを最大にすることが可能となる。
【0052】
上述の図2で説明したうように、制御部12は、制御部12に入力された個人情報に応じて配線パターンAへ流す電流の方向を制御する。
【0053】
例えば、図3(b)に示すように、配線パターンAに順方向(矢印付実線301)の電流を流すと、配線パターンAの各導電部A1、A2、A3、・・・Anに流れる電流の向きは全て矢印付実線302の向きとなり、各導電部A1、A2、A3、・・・Anにはそれぞれ矢印付実線303の磁極の方向(以下、「SN極」という。)を示す磁界が生成される。
【0054】
また、図3(c)に示すように、配線パターンAに逆方向(矢印付実線304)の電流を流すと、配線パターンAの各導電部A1、A2、A3、・・・Anに流れる電流の向きは全て矢印付実線305の向きとなり、各導電部A1、A2、A3、・・・Anにはそれぞれ矢印付実線306の磁極の方向(以下、「NS極」という。)を示す磁界が生成される。
【0055】
制御部12に入力された個人情報を例えば「10011」とすると、制御部12は、入力された個人情報「10011」に基づいて次のような制御を行い、個人情報「10011」に対応した磁気信号(磁界)のパターンを配線パターンAに生成する。
【0056】
まず、制御部12は、入力された個人情報「10011」を「1」、「0」、「0」、「1」、「1」の順に分解し、分解した個人情報の「1」、「0」の情報に応じて、例えば、「1」の場合には配線パターンAに生成された磁気信号が、所定の時間の間に「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」へ反転するように制御し、「0」の場合には所定の時間の間に磁気信号が反転しないように制御する。
【0057】
配線パターンAに流れる電流は、所定の周波数に同期して順方向(図3(b)、矢印付実線301)と逆方向(図3(c)、矢印付実線304)のそれぞれの方向に交互に流れるように構成されており、配線パターンAに電流が流れると所定の周波数の周期t(t1、t2、t3、t4、t5・・・)毎に配線パターンAには順方向と逆方向の電流が流れ、図3(d)に示すような磁気信号パターン310が生成される。
【0058】
図3(d)に示した磁気信号パターン310は、横軸tを所定の周波数の各周期の時間(t1、t2、t3、t4、t5、・・・)とし、縦軸を横軸tの各時間におけるそれぞれの磁気信号(配線パターンAに生成された磁界の「SN極」もしくは「NS極」の極性)の値を示したものである。
【0059】
図3(d)に示すように、磁気信号パターン310は、時間t(t1、t2、t3、t4、t5・・・)毎に配線パターンAへ流れる電流の向きが順方向から逆方向に変わるので、時間tが「0からt1」の間は「SN極」、「t1からt2」の間は「NS極」、「t2からt3」の間は「SN極」、「t3からt4」の間は「NS極」、「t4からt5」の間は「SN極」・・・というような磁気信号が配線パターンAに生成される。
【0060】
この磁気信号パターン310を所定の時間の間に「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転した時を「1」とし、所定の時間の間に磁気信号が反転しない時を「0」の情報とするような制御方法に対応させてみると、磁気信号パターン310の時間tが「0からt1」の間は、磁気信号が「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転するような磁気信号が生成されていないので「0」という情報を示すこととなる。
【0061】
また、時間tが「t1からt2」の間も磁気信号が「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転するような磁気信号が生成されていないので「0」という情報を示す。
【0062】
同様に時間tが「t2からt3」の間、「t3からt4」の間、「t4からt5」の間のそれぞれにおいて、磁気信号が「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転するような磁気信号が生成されていないので、それぞれ「0」、「0」、「0」という情報を示すこととなる。
そこで、個人情報「10011」に対応する磁気信号パターンを生成するために、制御部12は、磁気信号パターン310の「0」、「0」、「0」、「0」、「0」を「1」、「0」、「0」、「1」、「1」へ変調するような制御を行う。
【0063】
磁気信号パターン310の「0」、「0」、「0」、「0」、「0」を「1」、「0」、「0」、「1」、「1」へ変調するために制御部12は、磁気信号パターン310の時間tが「0からt1」の間と、「t3からt4」の間および「t4からt5」の間のそれぞれにおいて、配線パターンAに生成される磁気信号が「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転するように配線パターンAへ流れる電流の方向を順方向もしくは逆方向に方向制御する。
【0064】
このように制御することによって、配線パターンAには、個人情報「10011」に対応した図3(e)に示すような磁気信号パターン320が生成される。
【0065】
磁気信号パターン320は、図3(e)に示すように、時間tが「0からt1」の間に磁気信号が「SN極」から「NS極」へ反転した磁気信号が生成されるので「1」という情報を示すこととなる。
【0066】
時間tが「t1からt2」の間は、磁気信号が「SN極」のままなので「0」という情報を示すこととなる。
【0067】
同様に時間tが「t2からt3」の間、「t3からt4」の間、「t4からt5」の間のそれぞれにおいて、それぞれ「0」、「1」、「1」という情報を示すこととなる。
【0068】
配線パターンAに生成された磁気信号パターン320は、磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20が検知し、磁気カードリーダ2は、磁気ヘッド20が検知した磁気信号パターン320のうちの、所定の時間の間に「SN極」から「NS極」もしくは「NS極」から「SN極」のいずれかへ反転した時(「0からt1」の間と、「t3からt4」の間および「t4からt5」の間)を「1」とし、所定の時間の間に磁気信号が反転しない時(「t1からt2」の間と「t2からt3」の間)を「0」の情報として読み取る。
【0069】
上述に説明した如く、この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1は、時間的に変化する磁気信号を生成し、入力された個人情報に応じた磁気信号パターンを生成するので、磁気カードリーダ2のカード挿入口21に挿入したまま移動させることなく磁気カードリーダ2へ個人情報を入力することができる。
【0070】
図4は、図3に示した配線パターンAの形状とは他の形状の配線パターンの例を示す図である。
【0071】
図4(a)は、複数の導電部を並列接続したブロックを複数形成し、複数形成されたブロックを直列接続した配線パターン(以下、「配線パターンB」という。)の形状を示す図である。
【0072】
図4(b)は、所定の間隔で配設され、それぞれ交互に異なる方向に電流を流すように配設された平面状の形成されたミアンダコイル(以下、「配線パターンC」という。)を示す図である。
【0073】
図4(c)は、図4(a)に示した配線パターンB400に流れる電流の方向に応じて生成される磁界を示す図である。
【0074】
図4(d)は、図4(b)に示した配線パターンC401に流れる電流の方向に応じて生成される磁界を示す図である。
【0075】
図4(a)に示すように、配線パターンB400は、複数の導電部B1、B2、B3、B4が並列接続されたブロックA402と、ブロックA402と同様に複数の導電部B5、B6、B7、B8が並列接続されたブロックB403とを直列に接続した形状に形成されている。
【0076】
なお、ブロックA402およびブロックB403を構成する各導電部の数は任意であり、ブロックA402およびブロックB403のブロック数も任意である。
【0077】
また、配線パターンCは、一本の導電部を所定長さ毎に直角に蛇行させて図4(b)に示すような複数の導電部C1、C2、C3・・・Cnが直列に接続されたような形状に形成されている。
【0078】
配線パターンBおよび配線パターンCは、図3に示した配線パターンAと同様にエッチングや導電ペースト印刷、その他の方法によって基板上に配線パターンを形成し、その表面をカバー材で覆うように構成されている。
【0079】
配線パターンBおよび配線パターンCを図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13に用いた場合のこれらの配線パターンBおよび配線パターンCに生成される個人情報に応じた磁界について説明する。
【0080】
なお、配線パターンBおよび配線パターンCを図2に示した磁気信号生成部13に用いた場合の磁気カードリーダ用アダプタ装置の構成は、磁気信号生成部13の図3に示した配線パターンAを配線パターンBおよび配線パターンCのそれぞれに置き換えた他は図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1の構成と同様であるので、磁気カードリーダ用アダプタ装置を構成する各部の動作についての詳細説明は省略する。
【0081】
まず、図4(a)に示した配線パターンB400を磁気信号生成部13に用いた場合の配線パターンB400に生成される個人情報に応じた磁界について説明する。
【0082】
図4(a)に示した配線パターンB400に図4(c)に示すような方向(矢印付実線404)の電流を流すと、ブロックA402の各導電部B1、B2、B3、B4に流れる電流の方向(矢印付実線405)とブロックB403の各導電部B5、B6、B7、B8に流れる電流の方向(矢印付実線406)とは逆方向となる。
【0083】
ブロックA402の各導電部B1、B2、B3、B4に流れる電流の方向(矢印付実線405)とブロックB403の各導電部B5、B6、B7、B8に流れる電流の方向(矢印付実線406)とが互いに逆方向となることから、図3(c)に示すように、配線パターンB400のブロックA402に流れる電流が形成する磁界の方向(矢印付実線407)とブロックB403に流れる電流が形成する磁界の方向(矢印付実線408)とが互いに逆方向となる。
【0084】
このような配線パターンB400を磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13に用いた場合は、磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20が配線パターンB400のブロックA402の磁気信号を検知した場合と、ブロックB403の磁気信号を検知した場合とでは互いに磁気信号が反転した状態で検知される。
【0085】
次に、図4(b)に示した配線パターンC401を磁気信号生成部13に用いた場合の配線パターンC401に生成される個人情報に応じた磁界について説明する。
【0086】
図4(b)に示した配線パターンC401に図3(d)に示すような方向(矢印付実線409)の電流を流すと、導電部C1に流れる電流の方向(矢印付実線410)と導電部C2に流れる電流の方向(矢印付実線411)とが互いに逆方向であり、導電部C2に流れる電流の方向(矢印付実線411)と導電部C3に流れる電流の方向とが互いに逆方向となる。
【0087】
このように各導電部C1、C2、C3・・・Cnに流れる電流の方向が交互して互いに逆方向の電流が流れることとなる。
【0088】
各導電部C1、C2、C3・・・Cnに形成される磁界の方向は、図3(d)に示すように、各導電部C1、C2、C3・・・Cnに流れる電流の方向に対応して矢印付実線412の方向の磁界と、矢印付実線413の方向の磁界とが交互に生成される。
【0089】
このような配線パターンC401を磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13に用いた場合は、磁気カードリーダ2の磁気ヘッド20が各導電部のうちの互いに隣り合う導電部では磁気信号が互いに反転した状態で検知される。
【0090】
上述の如く、配線パターンB400および配線パターンC401を磁気信号生成部13に用いた場合においては、配線パターンB400のブロックA402とブロックB403のそれぞれに生成される磁気信号を磁気ヘッド20が検知した場合、もしくは配線パターンC401の互いに隣り合うそれぞれの導電部に生成される磁気信号を磁気ヘッド20が検知した場合では、それぞれ互いに磁気信号が反転した状態で検知されるが、磁気カードリーダ2は、磁気ヘッド20が検知した磁気信号が所定の時間の間に反転した時は「1」とし、反転しない時は「0」として認識するので、磁気信号生成部13に生成された磁気信号に基づいて個人情報を特定することができる。
【0091】
なお、図2に示した磁気信号生成部13には種々の形状の配線パターンの適用が可能であり、図3および図4(a)、図4(b)に示した各配線パターンの形状に限定されるものではない。
【0092】
図5は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置に複数の配線パターンを配置した例を示す図である。
【0093】
図5(a)は、図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1に複数の配線パターンを配置した磁気カードリーダ用アダプタ装置500の要部の平面図であり、図5(b)は磁気カードリーダ用アダプタ装置500の要部の側面図である。
【0094】
図5(c)は、磁気カードリーダ用アダプタ装置500を磁気カードリーダ520へ挿入した状態の磁気カードリーダ用アダプタ装置500と磁気カードリーダ520の要部の側面図である。
【0095】
図5(a)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置500は、複数の配線パターンを独立して並列に配置して磁気信号生成部503と磁気信号生成部504を備えるように構成したものである。
【0096】
このような構成とすることにより磁気読取ヘッドを複数有する磁気カードリーダ520に対応して磁気カードリーダ用アダプタ装置500から磁気カードを介さずに情報を磁気カードリーダ520へ入力することが可能となる。
【0097】
図5(a)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置500は、図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1と同様にRS−232Cを介して磁気カードリーダ用アダプタ装置500と赤外線通信装置4との間の情報を授受するインタフェース部501と、赤外線通信装置4から入力された個人情報に応じて磁気信号生成部503および磁気信号生成部504へ流す電流の方向を制御するとともに磁気カードリーダ用アダプタ装置500全体を制御する制御部502と、制御部502によって制御された電流の方向に応じて磁界を生成する磁気信号生成部503および磁気信号生成部504を具備し、これらの各部が基板505上に形成されて図5(b)に示すようにプラスチック製のカードの中に合着されている。
【0098】
赤外線通信装置4から入力された個人情報は、インタフェース部501を介して制御部502へ入力され、制御部502が個人情報に応じて磁気信号生成部503および磁気信号生成部504へ流す電流の方向を制御する。
【0099】
制御部502が個人情報に応じて磁気信号生成部503および磁気信号生成部504へ流す電流の方向を制御するので磁気信号生成部503および磁気信号生成部504の各配線パターンには個人情報に対応した磁界が生成される。
【0100】
このように磁気信号生成部503および磁気信号生成部504に生成された磁界は、図5(c)に示すように磁気カードリーダ520の磁気ヘッド524および磁気ヘッド523にそれぞれ検知され、磁気ヘッド524および磁気ヘッド523が検知した磁気信号に基づいて磁気カードリーダ520が個人情報を読み取る。
【0101】
なお、制御部502は、磁気信号生成部503および磁気信号生成部504へ流す電流の方向をそれぞれ独立して制御できるので、それぞれに同一の磁気信号を生成することも可能であるし、それぞれに別々の磁気信号を生成することも可能である。
【0102】
また、個人情報に応じた磁界を磁気信号生成部503および磁気信号生成部504に生成する方法については、図3に示した動作と同様であるので詳細説明は省略する。
【0103】
図6は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置の表裏の両面に複数の配線パターンを配置した例を示す図である。
【0104】
図6(a)、図6(b)は、図2に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置1の表裏の両面に複数の配線パターンを配置した磁気カードリーダ用アダプタ装置600の表面部(図6(a))と裏面部(図6(b))の要部の平面図であり、図6(c)は図6(a)および図6(b)に示したような表面部および裏面部を有する磁気カードリーダ用アダプタ装置600の要部の側面図である。
【0105】
図6(d)は、磁気カードリーダ用アダプタ装置600を磁気カードリーダ620へ挿入した状態の磁気カードリーダ用アダプタ装置600と磁気カードリーダ620の要部の側面図である。
【0106】
図6に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置600は、表面部には図2に示したような磁気信号生成部13と同様な磁気信号生成部603を形成し、裏面部には図5に示したような磁気信号生成部503および磁気信号生成部504と同様な磁気信号生成部605および磁気信号生成部606を独立して並列に配置して構成したものである。
【0107】
このような構成とすることにより磁気読取ヘッドを複数有し、複数有する磁気読取ヘッドのうちの何れかの磁気読取ヘッドが対向して配置された磁気カードリーダ620に対応して磁気カードリーダ用アダプタ装置600から磁気カードを介さずに情報を磁気カードリーダ620へ入力することが可能となる。
【0108】
図6(a)および図6(b)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置600は表面部と裏面部にそれぞれ磁気信号生成部603(表面部)と、磁気信号生成部605および磁気信号生成部606(裏面部)とが形成され、各磁気信号生成部603、605、606に流す電流の方向制御する制御部602と、磁気カードリーダ用アダプタ装置600と赤外線通信装置4との間をRS−232Cを介して情報を授受するインタフェース部601とを具備し、磁気信号生成部603が基板604、磁気信号生成部605および磁気信号生成部606(裏面部)が基板604、インタフェース部601と制御部602が基板604および基板607の何れかに形成されて図6(d)に示すようにプラスチック製のカードの中に合着されている。
【0109】
赤外線通信装置4から入力された個人情報は、インタフェース部601を介して制御部602へ入力され、制御部602が個人情報に応じて磁気信号生成部603と磁気信号生成部605および磁気信号生成部606へ流す電流の方向を制御する。
【0110】
制御部602が個人情報に応じて磁気信号生成部603と磁気信号生成605および磁気信号生成部606へ流す電流の方向を制御するので磁気信号生成部603と磁気信号生成605および磁気信号生成部606の各配線パターンには個人情報に対応した磁界が生成される。
【0111】
このように磁気信号生成部603と磁気信号生成部605および磁気信号生成部606に生成された磁界は、図6(d)に示すように磁気カードリーダ620の磁気ヘッド624と磁気ヘッド622および磁気ヘッド623にそれぞれ検知され、各磁気ヘッド622、623、624が検知した磁気信号に基づいて磁気カードリーダ620が個人情報を読み取る。
【0112】
なお、制御部602は、磁気信号生成部603と磁気信号生成部605および磁気信号生成部606へ流す電流の方向をそれぞれ独立して制御できるので、それぞれに同一の磁気信号を生成することも可能であるし、それぞれに別々の磁気信号を生成することも可能である。
【0113】
なお、磁気信号生成部603が個人情報に応じて生成する磁気信号と磁気信号生成部605が個人情報に応じて生成する磁気信号と磁気信号生成部606が個人情報に応じて生成する磁気信号とは同一の磁気信号を生成する。
【0114】
また、個人情報に応じた磁界を磁気信号生成部603と磁気信号生成部605および磁気信号生成部606に生成する方法については、図3に示した動作と同様であるので詳細説明は省略する。
【0115】
図7は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置の配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した例の磁気カードリーダ用アダプタ装置を示す図である。
【0116】
図7(a)は、配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した磁気カードリーダ用アダプタ装置700の要部の平面図であり、図7(b)は、磁気カードリーダ用アダプタ装置700の要部の側面図である。
【0117】
図7(c)および図7(d)は、図7(a)に示した磁気信号生成部703の配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した場合と配置しない場合とで配線パターンに生成される磁界の状態を示す図である。
【0118】
図7(a)に示すように、磁気カードリーダ用アダプタ装置700は、RS−232Cを介して磁気カードリーダ用アダプタ装置700と赤外線通信装置4との間の情報を授受するインタフェース部701と、赤外線通信装置4から入力された個人情報に応じて磁気信号生成部703へ流す電流の方向を制御するとともに磁気カードリーダ用アダプタ装置700全体を制御する制御部702と、制御部702によって制御された電流の方向に応じて磁界を生成する平面状に形成された配線パターンの磁気信号生成部703を基板705上に形成し、磁気信号生成部703の配線パターンの裏側に磁性体の板704を配置して図7(b)に示すようにプラスチック製のカードの中に合着されている。
【0119】
図7(a)および図7(b)に示した磁気カードリーダ用アダプタ装置700は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置1の磁気信号生成部13の裏側に磁性体の板704(以下、「磁性体板704」という。)を配置した他は、図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置1の構成と同様であるので磁気カードリーダ用アダプタ装置700の構成や動作の詳細説明については、説明の便宜上省略する。
【0120】
ここでは、磁気カードリーダ用アダプタ装置700の配線パターンの裏側に磁性体板704を配置した場合の効果について図7(c)および図7(d)を参照しながら説明する。
【0121】
磁気信号生成部703の配線パターンの裏側に磁性体板704を配置しない場合は、配線パターンに流れる電流の方向に応じて図7(c)に示すような磁界710が生成される。
【0122】
なお、図7(c)は、説明の便宜上、配線パターンのうちの一つの導電部740に注目し、電流が紙面の表面から裏面の方向へ流れている場合に生成される磁界の例を用いて説明する。
【0123】
図7(c)に示したように配線パターンに流れる電流の方向に応じて生成された磁界710に対して配線パターンの裏側に磁性体板704を配置すると図7(d)に示すようなA’の部分721(一点鎖線で囲まれた部分)が磁性体板704内に生成されるようになる。
磁性体板704内に生成されたA’の部分721の磁束密度は、図7(c)に示した磁界710のAの部分711の磁束密度と比べて大きくなるので、配線パターンの裏側に磁性体板704を配置することによって図7(c)に示した磁界710が図7(d)に示すような磁界720へと変化する。
図7(c)および図7(d)に示すように、磁界710の任意の点P712の磁界ベクトルH713は、磁性体板704によって変化した磁界720では点P’722の磁界ベクトルH723となる。
【0124】
点Pの磁界ベクトルH713はベクトルHh714とベクトルHv715、点P’の磁界ベクトル723はベクトルHh724とベクトルHv725にそれぞれ分解できるので、分解したこれらのベクトルのうちの磁気ヘッド730が検知する磁気信号の磁界の大きさが最大となるのはベクトルHh724となる。
したがって、配線パターンの裏側に磁性体板704を配置することにより配線パターンの裏側に磁性体板704を配置しない場合と比べて磁界の強さが大きな磁気信号を磁気ヘッドに入力できるようになる。
【0125】
なお、配線パターンの裏側に磁性体の板を配置する例は、複数の配線パターンが配置された場合や複数の配線パターンが表裏面に配置された場合のそれぞれの磁気カードリーダ用アダプタ装置に適用可能である。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、磁気カードリーダの磁気読取ヘッドによって読み取り可能な磁気信号を生成するための情報を取得し、磁気ヘッドの磁気検知方向に略直行し、取得した情報に対応して所望の電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンにより磁気信号パターンを生成するように構成したので、既存の磁気カードリーダを変更することなく磁気カードを介さずに情報を入力することができる。
【0127】
また、磁気カードを介さずに情報が入力できるので磁気カードを用いて情報を入力する場合と比べてセキュリティーが向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置を用いた一実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明に係わる磁気カードリーダ用アダプタ装置1の要部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した磁気信号生成部13の配線パターンの一例を示す図である。
【図4】図3に示した配線パターンの形状とは他の形状の配線パターンの例を示す図である。
【図5】図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置に複数の配線パターンを配置した例を示す図である。
【図6】図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置の表裏の両面に複数の配線パターンを配置した例を示す図である。
【図7】図2に示したような磁気カードリーダ用アダプタ装置の配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した例を示す図である。
【符号の説明】
1 磁気カードリーダ用アダプタ装置
2 磁気カードリーダ
10 基板
11 インタフェース部
12 制御部
13 磁気信号生成部
20 磁気ヘッド
21 カード挿入口
Claims (10)
- 磁気カードリーダの磁気読取ヘッドによって読み取り可能な磁気信号を生成するための情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得した情報に応じて前記磁気信号を生成する磁気信号生成手段と
を具備し、
前記磁気信号生成手段は、
前記磁気読取ヘッドの磁気検知方向に略直行し、前記情報に対応して所望の電流を流す少なくとも1本の導電部を有する平面状に形成された配線パターンから構成されている
ことを特徴とする磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記配線パターンは、
所定の間隔で配設され、それぞれ同一方向に電流を流すように配設された複数の導電部と、
前記複数の導電部に対して共通に電流を流す共通導電部と
を具備する
ことを特徴とする請求項1記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記配線パターンは、
所定の間隔で配設され、それぞれ交互に異なる方向に電流を流すように配設された複数の導電部を有するミアンダコイルからなる
ことを特徴とする請求項1記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記配線パターンは、
所定の間隔で配設され、それぞれ第1の方向に電流を流すように配設された複数の第1の導電部を有する第1の配線パターンと、
所定の間隔で配設され、それぞれ第1の方向と逆の第2の方向に電流を流すように配設された複数の第2の導電部を有する第2の配線パターンと、
前記第1の配線パターンおよび前記第2の配線パターンに対して共通に電流を流す共通導電部と
を具備することを特徴とする請求項1記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記配線パターンは、
所定の間隔で配設された複数の第1の導電部を有する第1の配線パターンと、
所定の間隔で配設され複数の第2の導電部を有する第2の配線パターンと、
前記第1の配線パターンの第1の導電部と前記第2の配線パターンの第2の導電部にそれぞれ流れる電流の方向が同一となるように前記第1の配線パターンおよび前記第2の配線パターンに対して共通に電流を流す共通導電部と
を具備することを特徴とする請求項1記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記導電部の間隔は前記磁気読取ヘッドとの距離の略2倍の距離に設定されている
ことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記配線パターンは、
前記磁気カードリーダの複数の磁気読取ヘッドに対応してそれぞれ独立に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記配線パターンの裏側に磁性体の板を配置した
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記配線パターンは、
前記磁気カードリーダに挿入可能なカード状シート材の両面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。 - 前記磁気信号生成手段は、
前記磁気カードリーダに前記カード状シート材を挿入した状態で前記磁気カードリーダにより前記磁気カードリーダに対するカードのスキャンによる読み取られる情報に対応した情報が読み取られるように時間的変化する磁気信号を生成する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の磁気カードリーダ用アダプタ装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003125663A JP2004334932A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 磁気カードリーダ用アダプタ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003125663A JP2004334932A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 磁気カードリーダ用アダプタ装置 |
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---|---|
JP2004334932A true JP2004334932A (ja) | 2004-11-25 |
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ID=33502861
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003125663A Pending JP2004334932A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 磁気カードリーダ用アダプタ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004334932A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017504884A (ja) * | 2014-02-17 | 2017-02-09 | サムスン ペイ、インコーポレイテッド | ベースバンド近距離磁気ストライプ・データ送信機 |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003125663A patent/JP2004334932A/ja active Pending
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