JP2004333933A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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年宏 渡辺
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Abstract

【課題】ダイレクト製版用の赤外線レーザー用ポジ型画像形成材料の品質を一定に保ち、均一な画像を連続的に形成するための平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、アルカリ水溶液可溶性樹脂および光を吸収して熱を発生する化合物を含有する感光層を有するポジ型感光性平版印刷版を、露光後、第1現像部と、第2現像部と、平版印刷版の搬送部材とを備えた自動現像装置を用いて製版する平版印刷版の製版方法であって、第2現像部の現像液濃度が第1現像部の現像液濃度の1/100〜1/1の範囲とすることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版の製版方法に関するものであり、より詳細にはオフセット印刷マスターとして使用可能であり、コンピュータ等のディジタル信号から直接製版可能な、いわゆるダイレクト製版用の赤外線レーザー用のポジ型感光性平版印刷版の製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるレーザーの発展は目ざましく、特に近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ個体レーザーや半導体レーザーでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザーは非常に有用である。
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザーを露光光源として使用する、赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生する赤外線吸収染料(IR染料)等とを必須成分とする平版印刷版材料である。
【0003】
該赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版材料に、前記赤外線レーザーを露光すると、非露光部(画像部)では、該赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版中のIR染料等が、前記バインダー樹脂との相互作用により、該バインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働く。一方、露光部(非画像部)では、前記IR染料等が、光を吸収して熱を発生するため、該IR染料等と前記バインダー樹脂との相互作用が弱くなる。したがって、現像時には、前記露光部(非画像部)が、アルカリ現像液に溶解し、平版印刷版が形成される。
【0004】
しかし、このような赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版材料においては、UV露光により製版するポジ型平版印刷版材料と比べ、現像液の活性度に対するラチチュードが狭いため、活性度が高くなると、画像部の濃度低下および耐刷低下を、また活性度が低くなると、現像不良を容易に引き起こし、0.2〜3.0mmの大きさの感光膜が残存する問題がある。
前記問題は、以下の前記赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版と、前記UV露光により製版するポジ型平版印刷版との製版メカニズムの本質的な相違に起因する。
【0005】
即ち、前記UV露光により製版するポジ型平版印刷版は、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、オニウム塩やキノンジアジド化合物類とを必須成分とする。ここで、該UV露光により製版するポジ型平版印刷版を露光すると、前記オニウム塩やキノンジアジド化合物類は、非露光部(画像部)においては、前記赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版におけるのと同様に、溶解阻止剤として作用するが、露光部(非画像部)においては、前記赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版におけるのとは異なり、光によって分解して酸を発生し、前記バインダー樹脂の溶解促進剤として作用する。したがって、該UV露光により製版するポジ型平版印刷版においては、露光部と非露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の差が非常に大きい。
【0006】
これに対し、前記赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版においては、露光時に、露光部(非画像部)では、IR染料等と前記バインダー樹脂との相互作用は弱まるものの、該IR染料が、該バインダーの溶解促進剤として作用するわけではないため、非露光部と露光部との溶解性の差が小さい。
このような現像液の活性度に対するラチチュードが狭い画像形成材料を使用して安定した画像を連続的に形成するためには、その工程管理が非常に困難である
【0007】
通常、赤外レーザー用ポジ型感光性平版印刷版(以下、これをプレート又は版材と略称することがある。)を現像する際、現像液感度を極力一定に保つような補充機構を有する自動現像機が用いられる。該補充機構は、プレートの現像処理やCOの吸収より現像液のpHが低下し現像性が低下することを防ぐため、高活性の補充液を加えるものである。具体的には、通常のPS版の処理システムでは、特許文献1及び2(特開昭64−21451号公報及び特公平2−35978号公報)に記載のように、電導度又は交流インピーダンスを管理して、それが一定になるように補充液を加える方法や、プレートの現像処理が一定枚数に達する毎、或いは、一定の処理時間を経過した後、などに定期的に所定量の補充液を加える方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、現像性が低下した場合、アワ、ゴミ、オイル成分などが現像槽入口で感光層表面に付着すると現像後に0.2〜3.0mmの大きさの感光層が残存するという問題がある。また、現像部と水洗部とフィニッシャー部を備えた自動現像機で製版すると、水洗部で感光層成分が再付着するという問題がある。さらに、任意の電導度で管理する方法では、現像処理枚数が増えて感光層の組成物が多く溶解するようになると、スタート時と比べて同じ電導度値でもpHが異なり、現像性も異なってくるという問題がある。
【0009】
また、平版印刷版の現像処理枚数、或いは、一定の時間等の、決まった間隔で所定量の補充液を加える方法では、プレートの単位面積当りの補充量を規定するため、画像面積によって現像液にとけ込む感光層の組成物量が異なり、さらに、自動現像機の設置環境(温度、湿度、CO濃度等)により経時でのCO吸収量が異なる等の要因により、条件が微妙に変化し、0.2〜3.0mmの大きさの感光層が残存しやすく、水洗部で感光層成分が再付着しやすくなり、同一の補充量設定で、汎用的に均一な印刷版を持続的に得るのは困難であった。
【0010】
一方、UV露光を用いる通常の平版印刷版はラチチュードが広いため、上記の点は大きな問題にならないが、赤外レーザー用ポジ型感光性平版印刷版は先に述べたようにラチチュードが狭いため、現像液の活性度の変化により、画像形成性が大きく異なり、平版印刷版の品質上の問題を容易に引き起こす。
【0011】
【特許文献1】
特開昭64−21451号公報
【特許文献2】
特公平2−35978号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、汎用の赤外線レーザー用ポジ型平版印刷版に適用して、0.2〜3.0mmの大きさの感光層が残存したり、水洗部で感光層成分が再付着したり、網点面積率の変動等を、簡易な処理方法の変更と工程管理で効果的に防止する方法は未だ見出されていないのが現状である。
本発明は、前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ダイレクト製版用の赤外線レーザー用ポジ型感光性平版印刷版の自動製版機における現像処理を1回の搬送処理で2回行うことにより、平版印刷版の品質を一定に保ち、均一な画像を連続的に形成するための平版印刷版の製版方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、検討の結果、自動製版機における現像処理工程を1回の搬送処理で2回行うこと、及び第2現像浴における現像液濃度を特定範囲に限定することで平版印刷版の製版が安定に行えることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の平版印刷版の製版方法は、支持体上に、アルカリ水溶液可溶性樹脂および光を吸収して熱を発生する化合物を含有する感光層を有するポジ型感光性平版印刷版を、露光後、第1現像部と、第2現像部と、平版印刷版の搬送部材とを備えた自動現像装置を用いて製版する平版印刷版の製版方法であって、第2現像部の現像液濃度が第1現像部の現像液濃度の1/100〜1/1の範囲とすることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の製版方法を詳細に説明する。
本発明の製版方法においては、第1現像部、第2現像部および平版印刷版の搬送部材とを備えた自動現像装置を使用する。自動現像装置には、他にフィニッシャー部を備えていることが好ましい。
本発明の方法においては、この現像装置における、第2現像部の現像液濃度が第1現像部の現像液濃度の1/100〜1/1の範囲とすることを特徴とする。第2現像部の現像液濃度は、好ましくは、第1現像部の現像液濃度の1/50〜1/1の範囲であり、より好ましくは、第1現像部の現像液濃度の1/20〜1/1の範囲である。
第2現像部の現像液濃度が第1現像部の現像液濃度の1/1より高いと、画像部の感光膜が減少するという問題が、また1/100より低いと非画像部に0.2〜3.0mmの大きさの感光層が残存するという問題が生じる。
【0015】
以下、本発明の平版印刷版の製版方法に用いる自動現像装置について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明を実施可能な代表的な自動現像装置を示す。自動現像装置10は、図示しない赤外線レーザー露光装置によって画像が記録された感光性平版印刷版12の現像とフィニッシング処理を行う。
【0016】
自動現像装置10は、第1現像部18と、第2現像部24と版材12にガムを塗布して不感脂処理するフィニッシャー部26と、版材12を乾燥する乾燥部16とを備えている。なお、第1現像部18は第1現像槽14を、第2現像部24は第2現像槽28を、フィニッシャー部26はガム液槽30を備えている。
【0017】
また、第1現像部18側の外側パネル20には、版材12が挿入されるスリット状の挿入口22が設けられている。挿入口22の内側には、一対の搬送ローラ32が配設されており、挿入口22から挿入された版材12が、この版送ローラ32によって狭持搬送され、水平方向に対して所定の角度で第1現像槽14へ向けて送り出されるようになっている。
【0018】
第1現像槽14は、上方が開口され、底部中央部が下方に向けて突き出された略逆山形状とされており、この第1現像槽14内には、版材12の搬送方向に沿って上流側から順に一対の搬送ローラ34、擦り部ローラ36、38及び一対の絞りローラ40が配設されている。これらの搬送ローラ34、擦り部ローラ36、38及び絞りローラ40は、図示しない駆動機構によって回転するようになっている。
【0019】
また、絞り部ローラ36を間に置いてバックアップローラ44、46が対向配置され、さらに絞り部ローラ38と対向してバックアップローラ48が配置されている。これらのバックアップローラ44、46、48には、駆動力は伝達されずに回転自在になっている。
なお、第1現像部18では、底壁に設けられた継手管50を介して、第1現像槽14内の現像液が吸引されて、側壁に形成された吐出口(図示せず)を通じて第1現像槽14内に吐出され、現像液の循環及び攪拌が行われる。
第1現像部18の下流側の第2現像部24には、第2現像槽28の上方にそれぞれ1対の搬送ローラ54、56が配設されている。これらの搬送ローラ54,56は、側版に回転可能に支持されており、駆動手段の駆動力が伝達され、第1現像部18から送り込まれた版材12の搬送路を形成している。
【0020】
また、搬送ローラ54と搬送ローラ56の間には、スプレーパイプ58が対向配置されおり、噴出口が搬送路に向けられている。スプレーパイプ58からは、第2現像槽28からポンプで汲み上げられた第2現像液が噴出され、版材12の表面及び裏面が第2現像液によって覆われる。なお、第2現像液は、第2現像槽28へ流れる。
搬送ローラ32と34は主として感光性平版印刷版或いは平版印刷版の搬送速度を決定する。一方、第2現像部24に配設された搬送ローラ54と56は、搬送ローラ32と34の回転速度に比べ変化させるような駆動機構によって回転するように、搬送ローラ32と34とは別の駆動機構により制御されていても良い。
第2現像部24に配設された搬送ローラ54と搬送ローラ56の回転速度は、搬送ローラ32と34の回転速度に比較して、一定の差異をもって制御されていてもよいが、現像液の活性度に応じて適宜、その差異を調整するよう、制御することもできる。また、速度の調整は、入口に配設された搬送ローラ54のみ、或いは、出口に配設された搬送ローラ56のみについて行ってもよく、その両方について行ってもよい。
【0021】
第2現像部24の下流側の不感脂化処理部であるフィニッシャー部26のガム液槽30の上方には、一対の絞りローラ60が設けられている。そして、搬送ローラ56によって送り出される版材12が、この絞りローラ60へ送られる。絞りローラ60の上流側には、上下方向にスプレーパイプ62が対向配置され、噴出口が搬送路に向けられている。このスプレーパイプ62からは、ガム液槽30からポンプによって吸い込まれたガム液が噴出され、版材12の表面及び裏面に塗布される。
【0022】
その後、絞りローラ60によってガム液が均一に塗布された版材12は、シャッター64で開閉される通路口66を通じて、乾燥部16へ案内される。この乾燥部16では、ガイドローラ68、それぞれ一対の串ローラ70、72によって搬送され、乾燥された版材12が、排出口74から自動現像装置10の外へ排出される。
【0023】
搬送ローラ、絞りローラとしては、処理薬品に耐えるものであればいかなるものでも使用することができる。好ましくは、シリコーンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPT・EPDM)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、クロロピレンゴム(CR)などを使用することができる。
【0024】
搬送ローラ、絞りローラには、防かび剤や坑菌剤を含有したものを使用するのが好ましい。防かび剤や坑菌剤には、一般に知られているものが使用できるが、好ましくは、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミドアゾール(北興化学工業(株)製ホクスターHP)などのチアゾール系、アモルデンSK−950(大和化学(株)製の商品名)のチアゾリン系、更に、バイナジン(Vinyzene、米国モートンチオコール社製商品名)などを使用することができる。
防かび剤や坑菌剤の添加量は、上記ゴムローラの質量比0.1〜5%が好ましい。
【0025】
次に、本発明の方法が適用される感光性平版印刷版について説明する。
本発明に係る感光性平版印刷版は、支持体上に、赤外レーザー用ポジ感光性組成物からなる感光層を設けたものであれば、特に制限はなく、該感光層は、(a)アルカリ水溶液可溶性樹脂と、(b)光を吸収して熱を発生する化合物とを含有してなるものであり、その他、赤外レーザー用ポジ感光性組成物として、通常用いられる添加剤などを添加されたものであってもよい。
尚、本発明において、感光層を形成する材料を、画像形成材料又は印刷版材料と呼ぶことがある。
【0026】
本発明において使用される(a)アルカリ水溶液可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂や側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーなどが挙げられる。
本発明においてアルカリ水溶液可溶性樹脂として使用し得るノボラック樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を酸性条件下で縮合させた樹脂である。
好ましいノボラック樹脂としては、例えばフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、p−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、o−クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、オクチルフェノールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、m−/p一混合クレゾールとホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m−,p−,o−またはm−/p−,m−/o−,o−/p−混合のいずれでもよい)の混合物とホルムアルデヒドから得られるノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのノボラック樹脂は、重量平均分子量が800〜200,000で数平均分子量が400〜60,000のものが好ましい。
【0027】
また、本発明においてアルカリ水溶液可溶性樹脂としては、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーも好ましく挙げることができる。
このポリマーにおいて、ヒドロキシアリール基とは−OH基が1個以上結合したアリール基を示す。アリール基としては例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等を挙げることができるが、入手の容易さ及び物性の観点から、フェニル基あるいはナフチル基が好ましい。
従って、ヒドロキシアリール基としては、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、トリヒドロキシフェニル基、テトラヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基等が好ましい。これらのヒドロキシアリール基は、さらに、ハロゲン原子、炭素数20個以下の炭化水素基、炭素数20個以下のアルコキシ基及び炭素数20個以下のアリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。これらのヒドロキシアリール基は、ポリマーの側鎖としてペンダント状にポリマー主鎖へ結合しているが、主鎖との問に連結基を有していても良い。
【0028】
(a)成分の樹脂の添加量としては、印刷版材料全固形分に対し50〜99質量%が好ましく、70〜97質量%がより好ましく、特には85〜95質量%である。
樹脂の添加量が上記範囲において最適な光反応性を有し、優れた感光性印刷版が形成されるという効果が生じる。
【0029】
(b)光を吸収して熱を発生する化合物としては、公知の種々の顔料や染料等が好適に挙げられる。
前記顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が挙げられる。
【0030】
前記顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
【0031】
前記顔料は、表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。該表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。前記表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0032】
前記顔料の粒径としては、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。
前記顔料の粒径が、0.01μm未満の場合には、分散物の感光層塗布液中での安定性の点で好ましくないことがあり、一方、10μmを超える場合には、感光層の均一性の点で好ましくない。
【0033】
前記顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。前記分散には、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスバーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等の分散機が用いられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0034】
前記染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが挙げられ、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ビラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。
前記顔料、又は染料のうち赤外光、又は近赤外光を吸収する顔料・染料が、赤外光又は近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で、特に好ましい。
【0035】
前記赤外光、又は近赤外光を吸収する顔料としては、カーボンブラックが好適に用いられる。また、前記赤外光、又は近赤外光を吸収する染料としては、例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−22829号、特開昭60−78787号等の各公報に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等の各公報に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等の各公報に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等の公報に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号公報記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0036】
また、前記染料としては、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリルペンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)公報記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物、Epolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125、Epolight V−176A等が、特に好ましく用いられる。
【0037】
また、前記染料として、特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料が挙げられる。
前記顔料又は染料の添加量としては、印刷版材料全固形分に対し0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。前記染料の場合には、0.5〜10質量%が特に好ましく、顔料の場合には、3.1〜10質量%が特に好ましい。
前記顔料又は染料の添加量が、0.01質量%未満の場合には、感度が低くなることがある一方、50質量%を超える場合には、感光層の均一性が失われ、記録層の耐久性が悪くなることがある。
【0038】
前記染料又は顔料は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層に添加してもよい。他の成分とは別の層に添加する場合には、熱分解性でありかつ分解しない状態ではアルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を含む層と隣接している層中に添加するのが好ましい。また、前記染料又は顔料とアルカリ水溶液可溶性樹脂とは同一の層中に含まれるのが好ましいが、別の層に含まれていてもよい。
【0039】
前記感光層には、所望により、その他の成分を含有させることができる。
その他の成分としては、種々の添加剤が挙げられ、そのような添加剤としては、例えばオニウム塩、o−キノンジアジド化合物、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質が挙げられる。前記添加剤を添加すれば、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図ることができる。
【0040】
前記オニウム塩としてはジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等が挙げられる。
これらの中でも、ジアゾニウム塩が特に好ましく、該ジアゾニウム塩としては、特開平5−158230号公報に記載のものが好ましい。
【0041】
前記o−キノンジアジド化合物としては、1以上のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであれば、種々の構造の化合物が好適に挙げられる。
前記o−キノンジアジドは、熱分解によりアルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解抑制能を失わせる効果と、o−キノンジアジド自体が、アルカリ可溶性の物質に変化する効果との双方の効果を有するため、アルカリ水溶液可溶性樹脂の溶解促進剤として作用することができる。
【0042】
前記o−キノンジアジド化合物の添加量としては、印刷版材料全固形分に対して1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。
【0043】
前記オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適に挙げられる。
【0044】
前記o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量としては、1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。前記添加剤と結着剤とは、同一層へ含有させることが好ましい。
【0045】
また、更に感度を向上させる目的で、無水フタル酸などの環状酸無水物、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール等のフェノール類、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等の有機酸類を添加することもできる。
前記環状酸無水物、フェノール類又は有機酸類の印刷版材料中に占める割合としては、0.05〜2.0質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
【0046】
前記感光層には、塗布性を向上させるために、界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載のフッ素系界面活性剤等を含有させることができる。該界面活性剤の含有量としては、印刷版材料中0.01〜1質量%が好ましく、0.05〜0.5質量%がより好ましい。
【0047】
本発明において画像形成材料は、前記各成分を溶媒に溶解させた後、後述の支持体上に塗布して形成される。
ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用される。
【0048】
−支持体−
前記支持体としては、寸度的に安定な板状物が好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0049】
前記支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。アルミニウム板としては、純アルミニウムが好ましいが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように、アルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。前記アルミニウム板の厚みとしては、およそ0.1〜0.6mm程度が好ましく、0.15〜0.4mmがより好ましく、0.2〜0.3mmが特に好ましい。
【0050】
本発明においては、アルミニウム板を使用するに先立ち、必要に応じて、粗面化処理、アルカリエッチング処理、中和処理、陽極酸化処理、親水化処理などの表面処理を施すことが好ましい。表面処理には、公知のアルミニウム板表面処理技術を用いることができる。
前記アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油旦除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、プラスト研磨法、バフ研唐法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。
【0051】
この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。陽極酸化による、陽極酸化皮膜の量は、1.0g/m以上が好ましい。陽極酸化皮膜の量が、1.0g/m未満の場合には、耐刷性が不十分であったり、非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなることがある。
前記陽極酸化処理を施された後、前記アルミニウムの表面は、必要に応じて親水化処理が施される。
【0052】
前記赤外線レーザー用ポジ型感光性組成物(添加剤を含む全固形分)の前記溶媒中の濃度としては、1〜50質量%が好ましい。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、一般的に0.5〜5.0g/mが好ましい。
【0053】
前記塗布の方法としては、特に制限はなく、公知の塗布方法、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、プレード塗布、ロール塗布等が挙げられる。
前記塗布の量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光層の皮膜特性は低下する。
【0054】
このような画像形成材料は、像露光、現像処理を施され、平版印刷版が製造される。 像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザー、半導体レーザーが特に好ましい。
【0055】
前記現像処理に用いる現像液又は補充液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−プチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
これらのアルカリ水溶液の中で、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液が特に好ましい。その理由としては、ケイ酸塩の成分である酸化珪素SiOとアルカリ金属酸化物MOとの比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が好適に挙げられる。
【0057】
本発明においては、自動現像装置を用いて現像されるが、現像液にアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることも可能である。それによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量のPS版を好適に処理できることができる。
【0058】
前記現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散又は、印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて、種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が好ましい。更に、前記現像液及び補充液には、必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤等を加えることができる。
【0059】
前記現像液及び補充液を用いて現像処理された感光性平版印刷版は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明において、後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0060】
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化および標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽およびスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
このような現像処理工程において、前記本発明の評価方法、品質管理方法を適用することにより、品質の安定した平版印刷版が連続して得られる。
【0061】
本発明の感光性平版印刷版は、前記画像形成材料を画像露光して、現像した後、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きし、得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フイルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。
このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行なう方法が好ましいが、特開昭59−174842号公報に記載されているようなオプチイカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
【0062】
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。
この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
〔特定の共重合体1の合成〕
攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三ツロフラスコにメタクリル酸31.O g(0.36モル)、クロロギ酸エチル39.1g(0.36モル)及びアセトニトリル2.00mlを入れ、氷水浴で冷却しながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、氷水浴をとり去り、室温下で30分間混合物を攪拌した。
【0064】
この反応混合物に、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することによりN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミドの白色固体が得られた(収量46.9g)。
【0065】
次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた20ml三ツロフラスコに、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g(0.0192モル)、メタクリル酸エチル2.94g(0.0258モル)、アクリロニトリル0.80g(0.015モル)及びN,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌した。この混合物に重合開始剤「V−65」(和光純薬(株)製)0.15gを加え65℃に保ちながら窒素気流下2時間混合物を攪拌した。この反応混合物にさらにN−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド4.61g、メタクリル酸エチル2.94g、アクリロニトリル0.80g、N,N−ジメチルアセトアミド及び「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴下した。滴下終了後さらに65℃で2時間得られた混合物を攪拌した。反応終了後メタノール40gを混合物に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、析出物をろ過により取り出し、乾燥することにより15gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりこの特定の共重合体1の重量平均分子量(ポリスチレン標準)を測定したところ53,000であった。
【0066】
〔基板の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用いこの表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、さらに20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密度15A/dmで3g/mの直流陽極酸化被膜を設けた後、水洗し、乾燥し、さらに、珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃で10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾操し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/mであった。
【0067】
〔下塗り液1〕
・分子量2.8万の下記共重合体 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
【0068】
【化1】
Figure 2004333933
【0069】
以下の感光液1を調製した。得られた基板に、この感光液1を塗布量が1.3g/mになるよう塗布し、平版印刷版1を得た。
【0070】
Figure 2004333933
【0071】
【化2】
Figure 2004333933
【0072】
【化3】
Figure 2004333933
【0073】
次に、浸漬型現像槽及びフィニッシャー処理槽を有する自動現像機の第1現像処理槽に、下記組成の第1現像液(アルカリ現像処理液A(pH約13))を27リットル仕込み、30℃に保温した。第2現像処理槽には、第1現像液を水道水で1/10に希釈した第2現像液を8リットル、フィニッシャー処理槽には、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):水=1:1希釈したフイニツシングガム液を8リットル仕込んだ。
【0074】
〔アルカリ現像処理液Aの組成〕
・D−ソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ジエチレントリアミンペンタ
(メチレンホスホン酸)5Na塩 0.05質量%
・水 96.6質量%
【0075】
〔現像補充液Bの組成〕
・D−ソルビット 5.6質量%
・水酸化ナトリウム 2.5質量%
・ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)
5Na塩 0.2質量%
・水 91.7質量%
【0076】
自動現像機の第1現像補充制御インピーダンス値を45.0mS/cm、第2現像補充制御インピーダンス値を5.6mS/cmとして、下記の現像補充液Bを補充しながら、処理した平版印刷版1(650mm×550mm×O.3mm厚)をプレートセッターLuxcel Platesetter 9000CTP(富士写真フイルム(株)製)を用いて(出力216mW、回転数1000r pm、解像度2438dpi)で露光し、一日当り100版現像処理し、90日間現像処理した。
【0077】
その結果、本発明の製版方法により、90日間安定に現像処理できた。また、得られた平版印刷版を印刷したところ、画像濃度は十分であり、非画像部に着色や汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0078】
(比較例1)
第2現像部に水道水を入れた以外は、実施例1におけると同様の現像処理を行ったところ、5日目に直径0.5mmのポツ状の残膜が発生した。
【0079】
本発明の製版方法を用いなければ、自動現像機は、好ましい状態の平版印刷版を得られる条件では、5日間しか稼働出来なかったことになる。
このことから、本発明の製版方法が有効であることがわかる。
【0080】
(実施例2)
〔平版印刷版の作成〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミス−水懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。次にこの板を7%硫酸を電解液として、電流密度15A/dmで3g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗し、乾燥した。
これを珪酸ナトリウム2.5質量%水溶液で30℃で10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し基板を得た。乾焼後の塗膜の被覆量は15mg/mであった。
【0081】
〔下塗り液2〕
・分子量2.8万の前記共重合体 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
【0082】
得られた基板に以下の感光層形成用塗布液を塗布量が1.8g/mになるよう塗布し平版印刷版2を得た。
【0083】
〔感光液2〕
・m,p−クレゾールノボラック 1.0g
(m/p比=6/4、重量平均分子量8000、
未反応クレゾール0.5質量%含有)
・ピリリウム塩染料B(下記構造) 0.1g
・無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系界面活性剤
(メガフアツクF−177、大日本インキ化学工業(株)製))0.05g
・メチルエチルケトン 8g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4g
【0084】
【化4】
Figure 2004333933
【0085】
次に、実施例1で用いたものと同様の浸漬型現像槽及びフィニッシャー処理槽自動現像機を用い、第1現像処理槽に、下記組成の第1現像液(アルカリ現像処理液C(pH約13))を27リットル仕込み、30℃に保温した。第2現像処理槽には、第1現像液を水道水で1/5に希釈した第2現像液を8リットル、フィニッシャー処理槽には、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):水=1:1希釈したフイニツシングガム液を8リットル仕込んだ。
【0086】
〔アルカリ現像処理液Cの組成〕
・SiO・KO 4.0質量%
(KO/SiO=1.1(モル比))
・クエン酸 0.5質量%
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.5質量%
・水 95.0質量%
【0087】
露光した平版印刷版2(650mm×550mm×O.24mm厚)を、一版現像処理する毎に、下記組成の現像補充液Dを35ccずつ第1現像液に補充しながら処理した。
【0088】
〔現像補充液Dの組成〕
・SiO・KO 5.0質量%
(KO/SiO=1.1(モル比))
・クエン酸 0.6質量%
・ポリエチレングリコール(重量平均分子量=1000) 0.6質量%
・水 93.8質量%
【0089】
平版印刷版(650mm×550mm×O.24mm厚)をクレオ社製プレートセッター Trendsetter 3244Fを用いて(出力:9.0W、回転数:150r pm、解像度2400dpi)露光し、一日当り50版ずつ現像処理し、90日間続けた。
その結果、本発明の製版方法により、90日間安定に現像処理できた。また、得られた平版印刷版を印刷したところ、画像濃度は十分であり、非画像部に着色や汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0090】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版の製版方法によれば、ダイレクト製版用の赤外線レーザー用ポジ型画像形成材料に適用して、平版印刷版の品質を一定に保ち、均一で優れた画像の平版印刷版を連続的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製版方法に適用可能な代表的な自動現像装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
10 自動現像装置
12 感光性平版印刷版(版材)
16 乾燥部
18 第1現像部
21 版材12を自動現像装置の現像部へ搬入するための挿入口
24 第2現像部
26 フィニッシャー部
32 版材の搬送ローラ
36 感光面と接する回転する擦り部材
38 感光層の裏面と接する回転する擦り部材
76、76A 空気中のCOガスによる現像液の活性度低下と蒸発を抑えるための現像液表面を被覆している浮き蓋
78 空気中のCOガスによる現像液の活性度低下と蒸発を抑えるための自現機全体を覆っているカバー
90 第1現像液のオーバーフロー

Claims (1)

  1. 支持体上に、アルカリ水溶液可溶性樹脂および光を吸収して熱を発生する化合物を含有する感光層を有するポジ型感光性平版印刷版を、露光後、第1現像部と、第2現像部と、平版印刷版の搬送部材とを備えた自動現像装置を用いて製版する平版印刷版の製版方法であって、第2現像部の現像液濃度が第1現像部の現像液濃度の1/100〜1/1の範囲とすることを特徴とする平版印刷版の製版方法。
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