JP2004333755A - 電気泳動表示装置、電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示装置の構造や製造プロセスを複雑化することなく、高反射率と高コントラスト比を実現する電気泳動表示装置およびこれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】選択反射性を示す液晶組成物を分散媒とし、光吸収性の電気泳動粒子を電界で移動させて表示を行う。隔壁構造のセルにRGBに対応する選択反射波長を有する分散液を空間配置する事によってカラー表示を行う。
【選択図】 図2
【解決手段】選択反射性を示す液晶組成物を分散媒とし、光吸収性の電気泳動粒子を電界で移動させて表示を行う。隔壁構造のセルにRGBに対応する選択反射波長を有する分散液を空間配置する事によってカラー表示を行う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動表示装置および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
非発光型の表示デバイスとして電気泳動現象を利用した電気泳動表示装置が知られている。電気泳動現象とは、液体(分散媒)中に微粒子を分散させた分散液に電界を印加したときに、分散によって自然に帯電した粒子(電気泳動粒子)がクーロン力によって泳動する現象である。
電気泳動表示装置の基本的な構成では、一方の電極と他方の電極を所定の間隔で対向させ、その間に分散液を封入している。この両電極間に電位差を与えると、電気泳動粒子が電界の方向によって、どちらか一方の電極に引き寄せられる。そのため、この構造で、分散媒を染料で染色するとともに電気泳動粒子を顔料粒子で構成すれば、透明電極が配置されている観察面から、電気泳動粒子の色または染料の色が見える。
【0003】
従って、この構成の電気泳動表示装置においては、電極を各画素に対応させたパターンで形成して、各画素電極に印加する電圧を制御することにより画像を表示する事が出来る。このような電気泳動表示装置の分散媒としては、下記特許文献1などにおいて、アルキルベンゼンを使用することが記載されている。また、下記特許文献2には、分散液を電極間に直接封入するのではなく、マイクロカプセル内に入れた状態で配置する技術が開示されている。
【0004】
一方、下記特許文献3には、分散液を画素毎に区分するセルを電極間に設け、各セルの内部でのみ電気泳動粒子の移動を許容するようにした電気泳動装置が開示されている。このセルを設けることにより、電気泳動表示装置の画像の解像度を高くすることができ、カラー化に容易に対応できるようになる。
また、下記非特許文献1には白黒表示を行う電気泳動表示体にカラーフィルターを備えた、カラー表示の電気泳動素子が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−284128号公報
【特許文献2】
特開昭64−86116号公報
【非特許文献1】
G. Duthaler et. al, Active−Matrix Color Displays using Electrophoretic Ink and Color Filters, Proc. SID’02, 1374 (2002)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1に記載されるように、電気泳動表示装置の分散媒としてアルキルベンゼンを使用した場合には、信頼性や応答スピードの点で改善の余地がある。信頼性については、分散液の封入に使用するシール剤や封止材がアルキルベンゼンで腐食されて分散液の密封が不完全となる恐れがある。
また、上記特許文献2及び非特許文献1に開示された技術では、表示に用いる着色粒子の偏りを抑えるために、粒子を分散させた液体をマイクロカプセルに封じ込める方法がとられている。この場合マイクロカプセルが最密充填できないために空隙が生じ、光の吸収が起こって反射率およびコントラスト比が損なわれる事になる。このような状態で、非特許文献2に開示されたようにカラーフィルターを用いたならば、更に光が吸収されて、表示品位を損なうことはやむをえない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、表示装置の構造や製造プロセスを複雑化することなく、高反射率と高コントラスト比を実現する電気泳動表示装置およびこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の電気泳動表示装置は、電極間に挟持された電気泳動粒子と、電気泳動粒子を分散させる分散媒からなる電気泳動表示装置において、該分散媒が選択反射性を有する液晶組成物である事を特徴とする。
本発明では、分散媒として化学的に安定な液晶組成物を用いることにより、従来技術に見られるようなシール剤や封止材の腐食、それにともなう密封の不完全性といった問題点を回避することが出来る。また、液晶組成物が選択反射性、すなわちある特定波長の光のみを反射する性質を有しているので、その選択反射色と電気泳動粒子の色との対比により表示を行うことができる。
【0009】
さらに具体的には、本発明の電気泳動表示装置は、電気泳動粒子を分散させる分散媒がプレーナー配向したコレステリック液晶組成物である事を特徴とする。
螺旋構造を示すコレステリック液晶において、その螺旋軸が支持基板の法線方向にそろった状態をプレーナー配向と呼ぶ。プレーナー配向は、その螺旋構造の周期性によってブラッグ反射を生じる。この現象は、螺旋の捻じれと同じ向きの円偏光のみを反射するので「選択反射」と呼ばれている。選択反射による反射光の中心波長と波長バンド幅は液晶の螺旋ピッチpと屈折率no、neに依存して、各々、
(中心波長)= p(no+ne)/2
(波長バンド幅)= p(ne − no )
で与えられる。液晶の螺旋ピッチは、液晶組成物の含有する光学活性物質の濃度によって調整できる。すなわち、本発明の電気泳動表示装置では、これらのパラメータを調節することによって表示色を任意に選択する事が出来る。
【0010】
電気泳動表示装置においては、電気泳動粒子のみを電場応答させなければならない。そのため、本発明では、分散媒としてプレーナー配向したコレステリック液晶を用いた場合、液晶の応答性を抑える目的で、液晶の誘電率異方性が負であることを特徴とする。液晶の誘電率異方性が負であれば、電極間に電位差が生じても液晶は電場応答することなく、プレーナー配向の状態を維持したままである。よって、電気泳動粒子のみが電場に応答する。
【0011】
また、本発明の電気泳動表示装置は、電極間の領域が画素毎にセルで区分されるとともに、各セル内に分散媒中に電気泳動粒子を分散させた分散液が充填され、前記各セルの内部でのみ前記電気泳動粒子の移動を許容するように構成されていてもよい。
電極間の領域を画素毎セルで区分し、各セルに分散液を充填すれば、従来技術のマイクロカプセル方式にみられるような、分散液を最密充填出来ないがために生じるコントラスト比の低下を防止する事ができる。このセル構造は、例えば、基板上への感光性ポリイミド前駆体からなる塗膜の形成工程、セルパターンに対応させたマスクを介した光照射工程、および現像工程を順次行う事によって形成される。
【0012】
また、上記のセルに区分した構成において、3個の隣接するセルを一組として、各組の3つのセルにそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)に対応させた波長域で選択反射性を示す分散液が充填されている構成としてもよい。
また、上述したようにコレステリック液晶の選択反射波長は液晶の螺旋ピッチと屈折率により調整可能なので、3個の隣接するセルを一組として、各組の3つのセルにそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)に対応させた波長域で選択反射性を示す分散液を充填すればフルカラー表示が可能である。この場合、電気泳動粒子の色は黒色が好ましい。
【0013】
本発明の電子機器は、上記本発明の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、本発明の電気泳動表示装置を備えたことにより高反射率、高コントラスト比、高精細の表示部を有する電子機器を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図3を参照して説明する。
本実施の形態は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の電気泳動表示装置の例である。
図1は本実施の形態の電気泳動表示装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットの等価回路図、図2は電気泳動表示装置の構造を示す断面図、図3は電気泳動表示装置の画素配列を説明する図である。なお、以下の各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0015】
本実施の形態の電気泳動表示装置において、図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。また、走査線3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9を介して分散液に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に設けられた共通電極との間で一定期間保持される。電気泳動粒子は、印加される電圧により分散媒中を移動してどちらか一方の電極上に集合し、光を変調する。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される画素容量と並列に蓄積容量70が付加されている。なお、符号3bは容量線である。
【0016】
次に、図2に基づいて、本実施の形態の電気泳動表示装置の構造と作用について説明する。
図2は本実施の形態の電気泳動表示装置の断面図である。画素電極104、走査線、データ線102、およびスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ(TFT)が形成された素子基板100と、共通電極201の形成された対向基板200が、隔壁110および封止層202を介して対向配置されている。走査線およびデータ線は駆動回路140に接続されている。基板間には分散媒2と電気泳動粒子3からなる分散液1が封入されている。分散媒2はプレーナー配向をしたコレステリック液晶組成物である。
【0017】
画素電極104と共通電極201の間に電位差を与え、図2の左側に示した画素のように、例えば黒色の電気泳動粒子を共通電極201の表面に集合させた状態では、入射光301aは電気泳動粒子の層に吸収される。一方、図2の右側に示した画素のように、例えば黒色の電気泳動粒子を画素電極104の表面に集合させた状態では、入射光301bは分散媒2の選択反射特性によって反射光302を返す。分散媒2に使用する液晶組成物は誘電率異方性が負なので、電極間に電位差が与えられても電場応答する事なくプレーナー配向を保っている。反射光302の中心波長と波長幅は前述した如く、コレステリック液晶の螺旋ピッチと屈折率に依存する。螺旋ピッチは液晶組成物に含有させる光学活性物質の濃度によって調整する事ができる。
また、分散液1に印加する電界強度と時間によって、電気泳動粒子3の両電極間での位置および分布状態を制御する事ができる。電気泳動粒子3の両電極間での位置および分布状態を制御する事によって各セルの階調表示が可能である。
【0018】
図3は本実施の形態の電気泳動表示装置を、対向基板側から見た場合の画素配置をあらわす図である。本実施の形態の電気泳動表示装置は電極間の領域を画素毎にセルで区分し、各セル内に、分散媒に電気泳動粒子を分散させた分散液を充填する事により、各セルの内部でのみ電気泳動粒子の移動を許容するように構成され、3個の隣接するセル44を一組として、各組の3つのセル401,402,403にそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)に対応させる。ここで、P(N0+Ne)の範囲が1190〜1260nm、1060〜1140nm、870〜950nm となるように分散媒を設定すれば、それぞれR、G、Bの波長域で選択反射性を示す分散液が充填されている。各色のセル毎に分散液に印加する電界強度と時間を制御して、各色のセルでの電気泳動粒子の位置および分布状態を制御する事により、各組のカラー画素を所望の色に調整できるため、フルカラーによる画像表示が出来る。
【0019】
[実施例1]
(分散媒の調整)
メルク社製液晶組成物ZLI−4788−100(Δε=−2.7、no=1.492、ne=1.656)に同社製光学活性剤S−1011を添加して、螺旋ピッチがそれぞれ0.29μm、0.35μm、0.39μmとなるように濃度を調整した。前記3種類の液晶組成物をガラス基板間に挟んで選択反射の中心波長を測定すると、それぞれ456nm(B)、551nm(G)、614nm(R)であった。
(分散液の調整)
螺旋ピッチを調節した分散媒に平均粒径0.2μmのカーボンブラック粒子を0.3重量%添加し、超音波ホモジナイザーを用いて均一に分散させた。
(表示パネルの作製)
TFT素子アレイを形成した基板上に感光性ポリイミド前駆体からなる塗膜(50μm)を形成し、画素パターンに対応させたマスクを介した光照射工程、および現像工程を順次行って、隔壁セルを作製した。前述の分散液をセルに充填し、接着剤を介して、表面にITO透明電極を形成した対向基板を貼り合せた。
【0020】
上記表示パネルを駆動回路に接続し、上下の電極間に電位差を与えると、分散液中に分散したカーボンブラックの移動が確認できた。カーボンブラック粒子が観察者側の電極表面に集合すると光が吸収されて黒表示となり、反対側の電極表面に集合するとコレステリック液晶の選択反射による色表示が見える。電極間にDC5Vの電圧を印加して、カーボンブラック粒子が50μm移動する時間(応答時間)は室温で1250msであった。
【0021】
[電子機器]
次に、本発明の上記実施の形態の電気泳動表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図4は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図4において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は上記電気泳動表示装置を用いた表示部を示している。
図4に示す電子機器は、上記実施の形態の電気泳動表示装置を用いた液晶表示部を備えているので、高輝度、高コントラスト、高精細の表示部を備えた電子機器を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態ではTFTをスイッチング素子としたアクティブマトリクス型電気泳動表示装置に本発明を適用した例を示したが、薄膜ダイオード(Thin Film Diode,TFD)スイッチング素子としたアクティブマトリクス型電気泳動表示装置、パッシブマトリクス型電気泳動表示装置などに本発明を適用することも可能である。その他、各種構成要素の材料、形状等に関する具体的な記載は、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電気泳動表示装置の等価回路図である。
【図2】同、電気泳動表示装置の構造を示す断面図である。
【図3】同、電気泳動表示装置の画素配置を表わす図である。
【図4】本発明の電子機器の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…分散液、2…分散媒、3…電気泳動粒子、3a…走査線、3b…容量線、6a,102…データ線、9,104…画素電極、30…TFT、70…蓄積容量、100…素子基板、110…隔壁、200…対向基板、201…共通電極、202…封止層、301a,301b…入射光、302…反射光、401,402,403…セル
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動表示装置および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
非発光型の表示デバイスとして電気泳動現象を利用した電気泳動表示装置が知られている。電気泳動現象とは、液体(分散媒)中に微粒子を分散させた分散液に電界を印加したときに、分散によって自然に帯電した粒子(電気泳動粒子)がクーロン力によって泳動する現象である。
電気泳動表示装置の基本的な構成では、一方の電極と他方の電極を所定の間隔で対向させ、その間に分散液を封入している。この両電極間に電位差を与えると、電気泳動粒子が電界の方向によって、どちらか一方の電極に引き寄せられる。そのため、この構造で、分散媒を染料で染色するとともに電気泳動粒子を顔料粒子で構成すれば、透明電極が配置されている観察面から、電気泳動粒子の色または染料の色が見える。
【0003】
従って、この構成の電気泳動表示装置においては、電極を各画素に対応させたパターンで形成して、各画素電極に印加する電圧を制御することにより画像を表示する事が出来る。このような電気泳動表示装置の分散媒としては、下記特許文献1などにおいて、アルキルベンゼンを使用することが記載されている。また、下記特許文献2には、分散液を電極間に直接封入するのではなく、マイクロカプセル内に入れた状態で配置する技術が開示されている。
【0004】
一方、下記特許文献3には、分散液を画素毎に区分するセルを電極間に設け、各セルの内部でのみ電気泳動粒子の移動を許容するようにした電気泳動装置が開示されている。このセルを設けることにより、電気泳動表示装置の画像の解像度を高くすることができ、カラー化に容易に対応できるようになる。
また、下記非特許文献1には白黒表示を行う電気泳動表示体にカラーフィルターを備えた、カラー表示の電気泳動素子が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−284128号公報
【特許文献2】
特開昭64−86116号公報
【非特許文献1】
G. Duthaler et. al, Active−Matrix Color Displays using Electrophoretic Ink and Color Filters, Proc. SID’02, 1374 (2002)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特許文献1に記載されるように、電気泳動表示装置の分散媒としてアルキルベンゼンを使用した場合には、信頼性や応答スピードの点で改善の余地がある。信頼性については、分散液の封入に使用するシール剤や封止材がアルキルベンゼンで腐食されて分散液の密封が不完全となる恐れがある。
また、上記特許文献2及び非特許文献1に開示された技術では、表示に用いる着色粒子の偏りを抑えるために、粒子を分散させた液体をマイクロカプセルに封じ込める方法がとられている。この場合マイクロカプセルが最密充填できないために空隙が生じ、光の吸収が起こって反射率およびコントラスト比が損なわれる事になる。このような状態で、非特許文献2に開示されたようにカラーフィルターを用いたならば、更に光が吸収されて、表示品位を損なうことはやむをえない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、表示装置の構造や製造プロセスを複雑化することなく、高反射率と高コントラスト比を実現する電気泳動表示装置およびこれを用いた電子機器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の電気泳動表示装置は、電極間に挟持された電気泳動粒子と、電気泳動粒子を分散させる分散媒からなる電気泳動表示装置において、該分散媒が選択反射性を有する液晶組成物である事を特徴とする。
本発明では、分散媒として化学的に安定な液晶組成物を用いることにより、従来技術に見られるようなシール剤や封止材の腐食、それにともなう密封の不完全性といった問題点を回避することが出来る。また、液晶組成物が選択反射性、すなわちある特定波長の光のみを反射する性質を有しているので、その選択反射色と電気泳動粒子の色との対比により表示を行うことができる。
【0009】
さらに具体的には、本発明の電気泳動表示装置は、電気泳動粒子を分散させる分散媒がプレーナー配向したコレステリック液晶組成物である事を特徴とする。
螺旋構造を示すコレステリック液晶において、その螺旋軸が支持基板の法線方向にそろった状態をプレーナー配向と呼ぶ。プレーナー配向は、その螺旋構造の周期性によってブラッグ反射を生じる。この現象は、螺旋の捻じれと同じ向きの円偏光のみを反射するので「選択反射」と呼ばれている。選択反射による反射光の中心波長と波長バンド幅は液晶の螺旋ピッチpと屈折率no、neに依存して、各々、
(中心波長)= p(no+ne)/2
(波長バンド幅)= p(ne − no )
で与えられる。液晶の螺旋ピッチは、液晶組成物の含有する光学活性物質の濃度によって調整できる。すなわち、本発明の電気泳動表示装置では、これらのパラメータを調節することによって表示色を任意に選択する事が出来る。
【0010】
電気泳動表示装置においては、電気泳動粒子のみを電場応答させなければならない。そのため、本発明では、分散媒としてプレーナー配向したコレステリック液晶を用いた場合、液晶の応答性を抑える目的で、液晶の誘電率異方性が負であることを特徴とする。液晶の誘電率異方性が負であれば、電極間に電位差が生じても液晶は電場応答することなく、プレーナー配向の状態を維持したままである。よって、電気泳動粒子のみが電場に応答する。
【0011】
また、本発明の電気泳動表示装置は、電極間の領域が画素毎にセルで区分されるとともに、各セル内に分散媒中に電気泳動粒子を分散させた分散液が充填され、前記各セルの内部でのみ前記電気泳動粒子の移動を許容するように構成されていてもよい。
電極間の領域を画素毎セルで区分し、各セルに分散液を充填すれば、従来技術のマイクロカプセル方式にみられるような、分散液を最密充填出来ないがために生じるコントラスト比の低下を防止する事ができる。このセル構造は、例えば、基板上への感光性ポリイミド前駆体からなる塗膜の形成工程、セルパターンに対応させたマスクを介した光照射工程、および現像工程を順次行う事によって形成される。
【0012】
また、上記のセルに区分した構成において、3個の隣接するセルを一組として、各組の3つのセルにそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)に対応させた波長域で選択反射性を示す分散液が充填されている構成としてもよい。
また、上述したようにコレステリック液晶の選択反射波長は液晶の螺旋ピッチと屈折率により調整可能なので、3個の隣接するセルを一組として、各組の3つのセルにそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)に対応させた波長域で選択反射性を示す分散液を充填すればフルカラー表示が可能である。この場合、電気泳動粒子の色は黒色が好ましい。
【0013】
本発明の電子機器は、上記本発明の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、本発明の電気泳動表示装置を備えたことにより高反射率、高コントラスト比、高精細の表示部を有する電子機器を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図3を参照して説明する。
本実施の形態は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を用いたアクティブマトリクス型の電気泳動表示装置の例である。
図1は本実施の形態の電気泳動表示装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットの等価回路図、図2は電気泳動表示装置の構造を示す断面図、図3は電気泳動表示装置の画素配列を説明する図である。なお、以下の各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0015】
本実施の形態の電気泳動表示装置において、図1に示すように、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と当該画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。また、走査線3aがTFT30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9を介して分散液に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に設けられた共通電極との間で一定期間保持される。電気泳動粒子は、印加される電圧により分散媒中を移動してどちらか一方の電極上に集合し、光を変調する。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される画素容量と並列に蓄積容量70が付加されている。なお、符号3bは容量線である。
【0016】
次に、図2に基づいて、本実施の形態の電気泳動表示装置の構造と作用について説明する。
図2は本実施の形態の電気泳動表示装置の断面図である。画素電極104、走査線、データ線102、およびスイッチング素子として機能する薄膜トランジスタ(TFT)が形成された素子基板100と、共通電極201の形成された対向基板200が、隔壁110および封止層202を介して対向配置されている。走査線およびデータ線は駆動回路140に接続されている。基板間には分散媒2と電気泳動粒子3からなる分散液1が封入されている。分散媒2はプレーナー配向をしたコレステリック液晶組成物である。
【0017】
画素電極104と共通電極201の間に電位差を与え、図2の左側に示した画素のように、例えば黒色の電気泳動粒子を共通電極201の表面に集合させた状態では、入射光301aは電気泳動粒子の層に吸収される。一方、図2の右側に示した画素のように、例えば黒色の電気泳動粒子を画素電極104の表面に集合させた状態では、入射光301bは分散媒2の選択反射特性によって反射光302を返す。分散媒2に使用する液晶組成物は誘電率異方性が負なので、電極間に電位差が与えられても電場応答する事なくプレーナー配向を保っている。反射光302の中心波長と波長幅は前述した如く、コレステリック液晶の螺旋ピッチと屈折率に依存する。螺旋ピッチは液晶組成物に含有させる光学活性物質の濃度によって調整する事ができる。
また、分散液1に印加する電界強度と時間によって、電気泳動粒子3の両電極間での位置および分布状態を制御する事ができる。電気泳動粒子3の両電極間での位置および分布状態を制御する事によって各セルの階調表示が可能である。
【0018】
図3は本実施の形態の電気泳動表示装置を、対向基板側から見た場合の画素配置をあらわす図である。本実施の形態の電気泳動表示装置は電極間の領域を画素毎にセルで区分し、各セル内に、分散媒に電気泳動粒子を分散させた分散液を充填する事により、各セルの内部でのみ電気泳動粒子の移動を許容するように構成され、3個の隣接するセル44を一組として、各組の3つのセル401,402,403にそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)に対応させる。ここで、P(N0+Ne)の範囲が1190〜1260nm、1060〜1140nm、870〜950nm となるように分散媒を設定すれば、それぞれR、G、Bの波長域で選択反射性を示す分散液が充填されている。各色のセル毎に分散液に印加する電界強度と時間を制御して、各色のセルでの電気泳動粒子の位置および分布状態を制御する事により、各組のカラー画素を所望の色に調整できるため、フルカラーによる画像表示が出来る。
【0019】
[実施例1]
(分散媒の調整)
メルク社製液晶組成物ZLI−4788−100(Δε=−2.7、no=1.492、ne=1.656)に同社製光学活性剤S−1011を添加して、螺旋ピッチがそれぞれ0.29μm、0.35μm、0.39μmとなるように濃度を調整した。前記3種類の液晶組成物をガラス基板間に挟んで選択反射の中心波長を測定すると、それぞれ456nm(B)、551nm(G)、614nm(R)であった。
(分散液の調整)
螺旋ピッチを調節した分散媒に平均粒径0.2μmのカーボンブラック粒子を0.3重量%添加し、超音波ホモジナイザーを用いて均一に分散させた。
(表示パネルの作製)
TFT素子アレイを形成した基板上に感光性ポリイミド前駆体からなる塗膜(50μm)を形成し、画素パターンに対応させたマスクを介した光照射工程、および現像工程を順次行って、隔壁セルを作製した。前述の分散液をセルに充填し、接着剤を介して、表面にITO透明電極を形成した対向基板を貼り合せた。
【0020】
上記表示パネルを駆動回路に接続し、上下の電極間に電位差を与えると、分散液中に分散したカーボンブラックの移動が確認できた。カーボンブラック粒子が観察者側の電極表面に集合すると光が吸収されて黒表示となり、反対側の電極表面に集合するとコレステリック液晶の選択反射による色表示が見える。電極間にDC5Vの電圧を印加して、カーボンブラック粒子が50μm移動する時間(応答時間)は室温で1250msであった。
【0021】
[電子機器]
次に、本発明の上記実施の形態の電気泳動表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図4は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図4において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は上記電気泳動表示装置を用いた表示部を示している。
図4に示す電子機器は、上記実施の形態の電気泳動表示装置を用いた液晶表示部を備えているので、高輝度、高コントラスト、高精細の表示部を備えた電子機器を実現することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態ではTFTをスイッチング素子としたアクティブマトリクス型電気泳動表示装置に本発明を適用した例を示したが、薄膜ダイオード(Thin Film Diode,TFD)スイッチング素子としたアクティブマトリクス型電気泳動表示装置、パッシブマトリクス型電気泳動表示装置などに本発明を適用することも可能である。その他、各種構成要素の材料、形状等に関する具体的な記載は、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の電気泳動表示装置の等価回路図である。
【図2】同、電気泳動表示装置の構造を示す断面図である。
【図3】同、電気泳動表示装置の画素配置を表わす図である。
【図4】本発明の電子機器の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…分散液、2…分散媒、3…電気泳動粒子、3a…走査線、3b…容量線、6a,102…データ線、9,104…画素電極、30…TFT、70…蓄積容量、100…素子基板、110…隔壁、200…対向基板、201…共通電極、202…封止層、301a,301b…入射光、302…反射光、401,402,403…セル
Claims (7)
- 電極間に挟持された電気泳動粒子と、電気泳動粒子を分散させる分散媒からなる電気泳動表示装置において、該分散媒が選択反射性を有する液晶組成物である事を特徴とする電気泳動表示装置。
- 前記分散媒がプレーナー配向したコレステリック液晶組成物である事を特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置。
- 前記コレステリック液晶組成物の誘電率異方性が負である事を特徴とする請求項2に記載の電気泳動表示装置。
- 前記電気泳動粒子が分散媒中で帯電した黒色粒子である事を特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
- 電極間の領域が画素毎にセルで区分されるとともに、各セル内に分散媒中に電気泳動粒子を分散させた分散液が充填され、前記各セルの内部でのみ前記電気泳動粒子の移動を許容するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
- 3個の隣接するセルを一組として、各組の3つのセルにそれぞれR(赤)、G(緑)、B(青)に対応させた波長域で選択反射性を示す分散液が充填されている事を特徴とする請求項5に記載の電気泳動表示装置。
- 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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JP2003128078A JP2004333755A (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | 電気泳動表示装置、電子機器 |
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JP (1) | JP2004333755A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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GB2478287A (en) * | 2010-03-01 | 2011-09-07 | Merck Patent Gmbh | Electro-optical switching element and electro-optical display |
-
2003
- 2003-05-06 JP JP2003128078A patent/JP2004333755A/ja not_active Withdrawn
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