JP2004333654A - マイクロアクチュエータ素子およびマイクロアクチュエータ素子の製造方法 - Google Patents
マイクロアクチュエータ素子およびマイクロアクチュエータ素子の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明のマイクロアクチュエータ素子は、少なくとも片側の面にエッチングによって設けられた凹部を有する基板と、凹部の凹面に沿って形成された固定電極と、固定電極に対向する可動膜とを有し、固定電極と可動膜との間に生じる静電気力によって、可動膜が、固定電極に吸着、または、固定電極から離間するように駆動することを特徴とする。可動膜が、主として、シリコンで構成されたものである。可動膜の膜厚が、0.1〜100μmである。凹部の中央部付近での曲率半径が、0.008〜600mmである。凹部の平面視したときの直径が、8〜3000μmである。
【選択図】なし
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、マイクロアクチュエータ素子およびマイクロアクチュエータ素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光スイッチング素子は、光ファイバー伝送路や光送受信端末装置等において、光路を切り換えるための制御用素子である。
この光スイッチング素子としては、これまでソレノイド等のアクチュエータを使って光ファイバーそのもの、またはプリズム等の光学部品の位置を変えることにより光路を切り換える方式のものが一般的であった。しかし、ソレノイドを用いると消費電力が大きく、また、切り換え速度が遅い等の問題がある。
【0003】
そこで、一対の電極間に生じる静電気力を利用して光学部品の角度を変えるようにした光スイッチング素子、すなわち、静電アクチュエータを使用した光スイッチング素子が、特開平8−15621号公報等において提案されている(特許文献1参照)。
図13は、従来の光スイッチング素子を示す斜視図である。
【0004】
同図に示すように、この光スイッチング素子は、凹部111を有するSi基板11と、Si基板11の最上層として設けられたSi(エピタキシャル層)112と一体的に形成され、凹部111の底面と対向するように設けられた片持ち梁113とを有している。Si基板11の凹部111には下部電極12が形成され、片持ち梁113は、前記下部電極12と対向する上部電極13と、反射鏡14とを有している。
【0005】
この光スイッチング素子では、下部電極12と上部電極13とによって静電アクチュエータが構成されており、この下部電極12と上部電極13との間に電圧を印加すると、下部電極12と上部電極13との間に互いに引き付け合う静電気力が作用し、その引力によって片持ち梁113がたわむ。これにより片持ち梁113に形成された反射鏡14の角度が変わるので、反射鏡14から反射する光の光路を変えることができる。
【0006】
この光スイッチング素子は、プリズム等の重量の大きな光学部品を使用しておらず、また静電気力により反射鏡14が駆動されるので、ソレノイドによってプリズム等の光学部品を駆動する光スイッチング素子に比べて高速に動作する。
ところで、このように下部電極12と上部電極13とが平行に配置された静電アクチュエータでは、下部電極12に衝突させることなく上部電極13を傾斜させるために、下部電極12と上部電極13との間に、ある程度の大きさ(距離)の間隙を設けなければならない。この下部電極12と上部電極13との間の距離は、上部電極13の振れ角を大きく設定するほど、長くする必要がある。
【0007】
しかしながら、下部電極12と上部電極13との距離が長くなると、反射鏡14を駆動するのに必要な駆動電圧が高くなり、消費電力が大きくなるという問題が生じる。
また、この静電アクチュエータは、片持ち梁113といった特異な構造を有していること等から、製造に際して、複雑なプロセスを組み合わせて用いなければならず、製造効率や歩留まりが低いという不都合もある。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−15621号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、駆動電圧が低く抑えられ、また高速動作が可能であり、さらに簡易な工程で、歩留まり良く製造することができるマイクロアクチュエータ素子およびマイクロアクチュエータ素子の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のマイクロアクチュエータ素子は、少なくとも片側の面にエッチングによって設けられた凹部を有する基板と、
前記凹部の凹面に沿って形成された固定電極と、
前記固定電極に対向する可動膜とを有し、
前記固定電極と前記可動膜との間に生じる静電気力によって、前記可動膜が、前記固定電極に吸着、または、前記固定電極から離間するように駆動することを特徴とする。
これにより、駆動電圧が低く抑えられ、また高速動作が可能であり、さらに簡易な工程で、歩留まり良く製造することができるマイクロアクチュエータ素子を提供することができる。
【0011】
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記可動膜が、主として、シリコンで構成されたものであることが好ましい。
これにより、マイクロアクチュエータ素子としての応答速度をさらに向上させることができる。
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記可動膜の膜厚が、0.1〜100μmであることが好ましい。
これにより、可動膜は、適度な復元力(張力)を有するものとなり、マイクロアクチュエータ素子としての応答速度をさらに向上させることができる。
【0012】
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記凹部の中央部付近での曲率半径が、0.008〜600mmであることが好ましい。
これにより、光スイッチング素子として用いたときに、集光効率をより向上させることができる。
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記凹部の平面視したときの直径が、8〜3000μmであることが好ましい。
これにより、光スイッチング素子として用いたときに、集光効率をより向上させることが出来る。
【0013】
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記凹部の中心付近での深さが、0.1〜20μmであることが好ましい。
これにより、光スイッチング素子として用いたときに、集光効率をより向上させることが出来る。
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記基板上に、前記可動膜と前記凹部との間の気体を逃がす孔部が設けられていることが好ましい。
これにより、固定電極と可動膜との密着性が向上し、反射光のぶれが抑制され、光スイッチング素子としての性能が向上する。
【0014】
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記基板は、板状の基材上に所定のパターンで開口を有するマスクを形成し、
次いで、前記マスクを用いてエッチングを施し、前記板状の基材上に多数の前記凹部を形成した後、
前記マスクを除去することにより得られるものであることが好ましい。
これにより、固定電極の中心付近の深さを簡易な工程で、歩留まり良く製造することができるマイクロアクチュエータ素子を提供することができる。
【0015】
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記基板は、前記マスクを除去した後、さらに全体にエッチングを施すことにより得られるものであることが好ましい。
これにより、凹部の中央部付近における曲率半径等を容易に好適なものとすることができる。
【0016】
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、光の光路を制御する光スイッチング素子であることが好ましい。
これにより、駆動電圧が低く抑えられ、また高速動作が可能であり、さらに簡易な工程で、歩留まり良く製造することができる光スイッチング素子を提供することができる。
【0017】
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記可動膜は、前記固定電極と接触する面とは反対の面側に反射鏡を有し、吸着・離間により、光の光路を制御する光スイッチング素子であることが好ましい。
これにより、駆動電圧が低く抑えられ、また高速動作が可能であり、さらに簡易な工程で、歩留まり良く製造することができる光スイッチング素子を提供することができる。
【0018】
本発明のマイクロアクチュエータ素子では、前記可動膜は、前記固定電極と接触する面側に反射鏡を有し、吸着・離間により、光の光路を制御する光スイッチング素子であることが好ましい。
これにより、駆動電圧が低く抑えられ、また高速動作が可能であり、さらに簡易な工程で、歩留まり良く製造することができる光スイッチング素子を提供することができる。
【0019】
本発明のマイクロアクチュエータ素子の製造方法は、板状の基材上に所定のパターンで開口を有するマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いてエッチングを施し、前記板状の基材上に多数の凹部を形成する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
形成された前記凹部に固定電極を形成する工程と、
前記固定電極に対向するように可動膜を形成する工程とを有することを特徴とする。
これにより、駆動電圧が低く抑えられ、また高速動作が可能なマイクロアクチュエータ素子を、簡易な工程で、歩留まり良く製造することができる
【0020】
本発明のマイクロアクチュエータ素子の製造方法では、前記固定電極を形成する工程の前に、前記マスクを除去した状態で、さらにエッチングを施す工程を有することが好ましい。
これにより、凹部の中央部付近における曲率半径等を容易に好適なものとすることができる。
本発明のマイクロアクチュエータ素子の製造方法では、前記固定電極は、スパッタリング法により形成されるものであることが好ましい。
これにより、厚さのバラツキの小さい膜を容易に形成することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
この実施形態では、代表的に、本発明のマイクロアクチュエータ素子およびその製造方法を、光スイッチング素子に適用した場合を説明する。
まず、本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の第1実施形態の構造について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は、本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の第1実施形態を示す部分縦断面図、図2は、図1に示す光スイッチング素子において反射光の光路を切り換えた状態を示す部分縦断面図である。
図1に示すように、本実施形態の光スイッチング素子1は、基板2と、固定電極3と、可動膜4を有している。
【0023】
基板2は、複数の凹部21を有している。このように、複数の凹部21を有することにより、多チャンネルの光通信に対応でき、また、表示体として利用できる。なお、ここでは、説明をわかりやすくするため、1つの凹部21を図示して説明する。
凹部21の形状は、特に限定されないが、図1に示すような曲面形状を有するものであるのが好ましく、略球面形状、または、断面形状が放物線となるような面形状を有するものであるのがより好ましい。これにより、後に詳述するような固定電極3と可動膜4との密着性、吸着性が向上する。また、このような形状のものとすることにより、マイクロアクチュエータ素子としての応答速度をさらに向上させることができる。また、光スイッチング素子として用いたときに、効率よく集光することができる。
このような凹部21の平面視の形状は、略円形で、その直径は、8〜3000μmであるのが好ましく、80〜300μmであるのがより好ましい。これにより、光スイッチング素子として用いたときに、集光効率をより向上させることが出来る。
【0024】
また、凹部21の中央部付近における曲率半径は、0.008〜600mmであるのが好ましく、0.1〜60mmであるのがより好ましい。これにより、光スイッチング素子として用いたときに、集光効率をより向上させることができる。これに対し、曲率半径が小さすぎると、集光するのが困難となる場合がある。一方、曲率半径が大きすぎると、十分な集光効率が得られない場合がある。また、集光する位置が凹部21から比較的遠くなるため、装置が大型化する可能性がある。
【0025】
また、図1中のHで示す凹部21の深さは、0.1〜20μmであるのが好ましく、0.2〜10μmであるのがより好ましい。これにより、光スイッチング素子として用いたときに、集光効率をより向上させることが出来る。
固定電極3は、凹部21の凹面に沿って設けられている。また、固定電極3は、図示しない制御部に接続されており、その制御部により、接地電位とプラス電位とに切り換えられるようになっている。
【0026】
このような固定電極3の厚さは、0.05〜2μmであるのが好ましく、0.1〜1μmであるのがより好ましい。これにより、可動膜を引き寄せるために必要な電圧を、均一に供給できる。
このような固定電極3の構成材料としては、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO2)、クローム(Cr)、金(Au)、CrとAuとの組み合わせ(積層)、アルミニウム(Al)等の電極材料を用いることができる。
【0027】
また、基板2と固定電極3は、図1に示すように、孔部22を有している。
可動膜4は、シリコン層41と光反射層(反射鏡)42とで構成され、前述した固定電極3と、可動膜4のシリコン層41が形成されている側の面とが対向するように設置されている。このように本実施形態では、可動膜4が、シリコン層41と光反射層42とを有するものとして説明する。
【0028】
シリコン層41の厚さは、0.1〜100μmであるのが好ましく、0.2〜20μmであるのがより好ましい。シリコン層41の厚さが前記下限値未満であると、十分な復元力(張力)が得られない場合があり、マイクロアクチュエータ素子としての応答速度が低下する可能性がある。一方、シリコン層41の厚さが前記上限値を超えると、光反射層42の厚さによっては、可動膜4を駆動するのに必要な電圧が高くなり、消費電力が大きくなる場合がある。
【0029】
また、光反射層42の厚さは、0.06〜2μmであるのが好ましく、0.2〜1μmであるのがより好ましい。光反射層42が薄くなりすぎると、光反射層42で光が透過してしまい、十分に光が反射されない場合がある。一方、光反射層42が厚くなりすぎると、光反射層42の内部応力が高くなり、可動膜4の変形によって、シリコン層41からの剥離を生じる可能性がある。また、可動膜4を駆動するのに必要な電圧が高くなり、消費電力が大きくなる場合がある。
【0030】
また、可動膜4の厚さは、0.1〜100μmであるのが好ましく、1〜20μmであるのがより好ましい。このような範囲とすることにより、可動膜4は、適度な復元力(張力)を有するものとなり、マイクロアクチュエータ素子としての応答速度をさらに向上させることができる。これに対し、可動膜4の厚さが前記下限値未満であると、前述のような効果が十分に得られない場合がある。また、可動膜4の厚さが前記上限値を超えると、張力が高くなりすぎ、可動膜4が固定電極3に吸着されない可能性がある。また、可動膜4を駆動するのに必要な電圧が高くなり、消費電力が大きくなる場合がある。
【0031】
可動膜4(シリコン層41)は、固定電極3と同様に、図示しない制御部に接続されており、接地電位とマイナス電位とに切り換えられるようになっている。
以上のような光スイッチング素子1では、凹部21の凹面に沿って設けられている固定電極3と可動膜4とを主要部とする静電アクチュエータが構成されており、初期状態、すなわち固定電極3および可動膜4の双方が接地電位とされている場合には、図1に示すように、可動膜4は、可動膜4自身の張力(復元力)により、初期姿勢(初期位置)、すなわち、たわみのない状態(光スイッチング素子1へ入射する光(入射光)Lに対して垂直)に保たれている。
したがって、このような状態で、図1中の上側から入射した入射光Lは、可動膜4(光反射層42)で、図1に示すようにL0方向に反射する。すなわち、可動膜4(光反射層42)からの反射光の光路は、図1中のa0となる。
【0032】
次に、固定電極3にプラス電圧を印加し、可動膜4(シリコン層41)にマイナス電圧を印加すると、固定電極3はプラスに帯電し、可動膜4(シリコン層41)はマイナスに帯電し、これら固定電極3と可動膜4(シリコン層41)との間に互いに引き付け合う静電気力が作用する。これにより、図2に示すように、可動膜4の固定電極3と対向する部位は、前記静電気による吸引力(引力)によって、固定電極3側に吸引され、固定電極3に吸着する。すなわち、可動膜4は、凹部21に沿って吸着される。このように吸着することによって、可動膜4の形状が変形し、入射光の角度を図に示したように変更することができる。
【0033】
したがって、このような状態で、図2中の上側から入射した入射光Lは、可動膜4(光反射層42)で、図2に示すようにL1方向に反射する。すなわち、可動膜4(光反射層42)からの反射光の光路は、図2中のa1に変更される。なお、可動膜4の変形により、各部位における光の入射角が変更され、それに伴って、反射角も変更させられ、図3に示すように集光させられる。
【0034】
このような光スイッチング素子は、図4に示すように、光吸収体6を有するものであってもよい。これにより、前述のように集光された光を、光吸収体6によって効率よく吸収することができる。このような光吸収体6は、例えば、図示の構成のように、ガラス板7に固定されたようなものであるのが好ましい。このような光吸収体6としては、例えば、Cr、酸化Cr、黒体レジスト、カーボン等で構成されたものを用いることができる。ガラス板7を透過した入射光は、可動膜4が初期状態、すなわち、たわんでいない状態では、入射光とほぼ垂直な方向に反射され、可動膜4が凹部21に吸着してたわんでいる状態では、光の光路が、集光するように変更され、光吸収体6に吸収される。これにより、反射光を効率よく吸収することができるため、光スイッチング素子としての誤動作をより確実に防止することができる。なお、ガラス板7は、図示の構成のように、中空部71を有している。この中空部71は、冷却媒体(例えば、水、空気、窒素ガス、二酸化炭素ガス等)を流すことができ、これにより、光吸収体6の温度上昇を抑制することができる。
【0035】
また、このように可動膜4が固定電極3と吸着して変形する際、可動膜4と凹部21との間のガス(気体)は、孔部22を介して逃がされる。このように、可動膜4と凹部21との間のガス(気体)を逃がす孔部22を有することにより、固定電極3と可動膜4との密着性が向上し、反射光のぶれが抑制され、光スイッチング素子としての性能が向上する。
【0036】
また、この状態から、固定電極3と可動膜4(シリコン層41)とを接地電位に切り換えると、固定電極3と可動膜4(シリコン層41)との間の静電気力が消失する。これにより、可動膜4は、可動膜4自身の張力によって、図1に示す初期姿勢に戻り(復帰し)、入射光Lは、可動膜4(光反射層42)で、図1に示すようにL0方向に反射する。すなわち、可動膜4(光反射層42)からの反射光の光路は、図1中のa0に戻る。
【0037】
このように、この光スイッチング素子1によれば、固定電極3および可動膜4(シリコン層41)に印加する電圧を制御することによって、可動膜4(光反射層42)の姿勢を制御(変更)し、これにより、可動膜4(光反射層42)から反射する光の光路を切り換えることができる。
ここで、この光スイッチング素子1は、プリズム等の重量の大きな光学部品を使用しておらず、また静電気力により可動膜4が駆動されるので、ソレノイドをアクチュエータとする場合に比べて高速動作が可能である。
【0038】
また、固定電極3が、凹部21の端部付近まで形成されている、すなわち、その端部付近における、可動膜4と固定電極4との距離を短くすることができるため、駆動電圧を低く抑えることができ、消費電力を低減することができる。また、駆動電圧が低く抑えられることによって、固定電極3と可動膜4との間の放電も回避できるので、放電による各種部材への悪影響も防ぐことができる。
【0039】
以上、本発明のマイクロアクチュエータ素子を適用した光スイッチング素子の第1実施形態について説明したが、本発明の構成はこれに限るものではなく種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、可動膜4が、シリコン層41と光反射層42との2層で構成されたものとして説明したが、可動膜4は、例えば、単層で構成されたものであってもよいし、3層以上からなる積層体であってもよい。3層以上からなる積層体である場合、例えば、シリコン層41と光反射層42との間に中間層を有するものであってもよいし、2つのシリコン層で光反射層を挟むようなものであってもよい。
【0040】
また、前述した実施形態では、固定電極3が凹部21の全体にわたって形成されるものとして説明したが、凹部21だけでなく、基板2全面に形成されていてもよいし、凹部21の一部のみに形成されていてもよい。
また、可動膜4に、図1中上側からの入射光の光路を変更する場合について説明したが、基板2側(図1中の下側)からの入射光の光路も変更することができる。この場合、固定電極3として、前述した中でも、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO2)等の透明な(光透過性を有する)電極材料を用いるのが好ましい。また、このような場合、可動膜4は、固定電極3と接触する面側にも光反射層(反射鏡)を有するものであってもよい。
【0041】
また、本実施形態では、可動膜4が、主として、シリコンで構成されたものについて説明したが、これに限定されず、可動膜4は、主として、適度な伸縮性および電気伝導性を有する材料で構成されるものであるが好ましい。このような材料としては、例えば、ステンレス、クロム(Cr)、金(Au)、CrとAuの組み合わせ(積層)、チタン(Ti)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等が挙げられる。
【0042】
また、本実施形態では、基板2が、可動膜4と凹部21との間のガス(気体)を逃がす孔部22を有するものとして説明したが、図5に示すように、このような孔部は、可動膜4に設けられていてもよい。この場合、可動膜4に設けられた孔部45は、図示の構成のように、凹部21に対応する部位のほぼ中心に位置している。また、図示の構成のように、光吸収体6と孔部45とが、可動膜4と垂直な同一線上にくるように、光吸収体6が前述したようなガラス板7に設置されている。このような光スイッチング素子に入射した光は、例えば、可動膜4がたわんでいない状態では、入射光とほぼ平行な方向に反射される。一方、可動膜4が、凹部21に吸着してたわんでいる状態では、光の光路が、集光するように変更され、光吸収体6に吸収される。このような構成とすることにより、可動膜4が凹部21に吸着しているときと、吸着していないときとで、光の入射方向から平面視した場合の孔部45の位置のずれを十分に小さいものとすることができるため、光スイッチング素子に入射した光をより確実に光吸収体6に集光することができる。
【0043】
次に、本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の第2実施形態の構造について説明する。以下、本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の第2実施形態について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0044】
図6は、(a)本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の第2実施形態を示す部分平面図、(b)図6(a)のA−A’における部分縦断面図、(c)図6(a)のB−B’における部分縦断面図である。なお、図6では、説明をわかりやすくするため、可動膜4を省略して示した。また、図6(a)では、説明をわかりやすくするため、固定電極3を斜線で示した。
【0045】
図6(a)に示すように、本実施形態の光スイッチング素子1は、基板2と、固定電極3と、図示しない可動膜4とを有している。
基板2は、複数の凹部21を有しているが、ここでは、説明をわかりやすくするため、1つの凹部21を図示して説明する。
また、基板2は、図6(a)に示すように、溝部25と溝部26とを有している。
【0046】
溝部25と溝部26とは、凹部21のほぼ中央で交差するように形成されている。
このような溝部25および溝部26は、可動膜4が、固定電極3との間の静電気力によって凹部21に吸着される際に、可動膜4と凹部21との間のガス(気体)を逃がす機能を有している。
【0047】
固定電極3は、図6(a)および(b)に示すように、凹部21が形成されている領域においては、凹部21の凹面、および、凹部21内の溝部25と溝部26の窪みのほぼ全面に沿って形成されている。また、固定電極3は、図6(a)〜(c)に示すように、溝部25および溝部26の凹部21以外の領域においては、各溝部の幅方向のほぼ中心に形成されており、隣接する凹部21上の固定電極3あるいは図示しない制御部と接続されている。
【0048】
本実施形態の光スイッチング素子1は、第1実施形態の光スイッチング素子と同様に、可動膜4が凹部21と吸着・離間することにより、光の光路を制御するものである。
本実施形態では、前述のような構成とすることにより、効率よく可動膜4と凹部21との間のガス(気体)を逃がすことができ、可動膜4が凹部21に吸着される際の、可動膜4と凹部21との密着性を向上させることができる。また、このような構成とすることにより、マイクロアクチュエータ素子としての応答速度をさらに向上させることができる。また、このような構成であると、より簡便に、かつ効率よくマイクロアクチュエータ素子を製造することができる。
【0049】
以上、本発明のマイクロアクチュエータ素子を適用した光スイッチング素子の第2実施形態について説明したが、本発明の構成はこれに限るものではなく種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、溝部25と溝部26とを有する構成について説明したが、溝部は、1つでもよく、3つ以上有する構成であってもよい。
【0050】
また、本実施形態では、2つの溝部が、ほぼ直行する構成について説明したが、直行していなくてもよい。
また、本実施形態では、凹部21中の溝部内にも固定電極3が形成された構成について説明したが、溝部内に固定電極3が形成されていなくてもよい。
また、本実施形態では、凹部21の平面視の形状が略円形状であるものについて説明したが、これに限定されず、例えば、投射型表示装置(プロジェクタ)用ライトバルブに応用する場合、凹部21の充填率を上げる(すなわち、1つの基板2上での凹部21の総数を増やす)ために、隣接する凹部21同士の間隔を狭めた結果、各凹部21の縁部が重なり、凹部21の平面視の形状が矩形状となったものであってもよい。
【0051】
なお、前述したような光スイッチング素子1の用途は、特に限定されず、例えば、光通信における光ファイバー伝送路や光送受信端末装置等において、光路を切り換えるための制御用素子、投射型表示装置(プロジェクタ)用のライトバルブにおいて使用されるミラーデバイス、時計の表示等のディスプレー等として、種々の装置に適用することができる。
【0052】
次に、本発明のマイクロアクチュエータ素子の製造方法について、図1に示すような光スイッチング素子を製造する場合を例にして説明する。
本実施形態では、前述した基板2を製造するに際し、母材となる基材上に、所定のパターンで開口を有するマスクを形成し、このマスクを用いてエッチングを行うことによって基板上に凹部を形成することができる。なお、実際には基板上に多数の凹部を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を図示して説明する。
【0053】
本実施形態は、基板の作製(製造)工程、固定電極の形成工程、可動膜の形成工程を有している。また、基板の作製工程は、マスク作製工程、開口部形成工程、第1エッチング工程、マスク除去工程および第2エッチング工程を有している。以下、これらの工程を順に説明する。
図7は、基板の作製工程を説明するための縦断面図で、(a)マスク形成工程を示す模式的な縦断面図、(b)開口部形成工程を示す模式的な縦断面図、(c)第1のエッチング工程を示す模式的な縦断面図、(d)マスク除去工程を示す模式的な縦断面図、(e)第2エッチング工程を示す模式的な縦断面図である。また、図8は、基板に固定電極を形成した模式的な縦断面図、図9は、可動膜形成工程を示す模式的な縦断面図である。
【0054】
[S1] 基板2の作製工程
ここでは、光スイッチング素子1の基板2を作製(製造)するために、基材23にエッチングによって凹部21を形成する。
<1> まず、基板2に用いる、母材となる基材23を用意する。
基材23としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、ホウ珪酸系ガラス、特に、陽極接合する場合、パイレックスガラス(「パイレックス」は登録商標です)、テンパックスガラス等が用いられる。この基材23は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、この基材23は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
【0055】
そして、図7(a)に示すように、この基材23の凹部を形成しようとする領域にマスク5を形成する(マスク形成工程)。
マスク5は、後述する工程<2>において(物理的方法またはレーザ光の照射)により開口部51を形成することができるとともに、後述する工程<3>におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。換言すれば、マスク5は、エッチングレートが、基材23と略等しいか、または、基材23に比べて小さくなるように構成されるのが好ましい。
【0056】
かかる観点からは、マスク5を構成する材料としては、例えば、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン、Au/Cr、Au/Ti、Pt/Cr、Pt/Ti、SiC等の金属、窒化シリコン等が挙げられる。
また、マスク5の厚さは、0.01〜2μm程度であるのが好ましく、0.2〜1μm程度であるのがより好ましい。
【0057】
マスク5の厚さが前記範囲の下限値よりも薄い場合には、後工程でウエットエッチングを施す際に、基材23のマスクした部分を十分に保護できない場合があり、また、マスク5の厚さが前記範囲の上限値より厚い場合には、マスク5の内部応力によりマスク5が剥がれ易くなる場合がある。
このマスク5を形成するには、例えば、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、CVD法(化学気相成膜法)等の薄膜形成技術や、フォトリソグラフィ技術等を用いてパターニングする。
【0058】
<2> 次に、図7(b)に示すように、マスク5に、後述するエッチングの際のマスク開口となる、複数個の開口部51を所定のパターンに形成する(開口部形成工程)。
開口部51は、いかなる方法で形成されるものであってもよいが、例えば、フォトリソグラフィー法により形成することができる。具体的には、まず、マスク5上に、開口51に対応したパターンを有するレジスト層(図示せず)を形成する。次に、かかるレジスト層をマスクとして、マスク5の一部を除去する。次に、前記レジスト層を除去する。これにより、開口51が形成される。なお、マスク5の一部除去は、例えば、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチング、フッ酸+硝酸水溶液、アルカリ水溶液等の剥離液への浸漬(ウェットエッチング)などにより行うことができる。
このようにして形成された開口部51の平面視での形状は、略円形であり、その平均径(直径)は、0.5〜2μmであるのが好ましい。
【0059】
<3> 次に、図7(c)に示すように、マスク5を用いて基材23にエッチングを施し、基材23上に初期凹部24を形成する(第1エッチング工程)。
エッチングの方法は、特に限定されず、例えば、ウェットエッチング法、ドライエッチング法等が挙げられる。その中でも、ウェットエッチング法を用いるのが好ましい。これにより、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上する。
【0060】
前述したエッチング法の中で、ウェットエッチング法を用いる場合には、エッチング剤として、フッ化水素水溶液(フッ酸)、フッ化アンモン溶液、フッ酸+硝酸水溶液、一水素二フッ化アンモニウム(NH4HF2)+過酸化水素水、塩化鉄(III)水溶液、アルカリ水溶液等を用いることができる。
また、ドライエッチング法を用いる場合には、エッチング剤として、CHF3ガス、塩素系ガス等を用いることができる。
【0061】
以下の説明では、ウェットエッチングを用いる場合を例に挙げて説明する。
開口部51が形成されたマスク5で被覆された基材23に対して、エッチング(ウェットエッチング)を施すことにより、図7(c)に示すように、基材23は、マスク5が存在しない部分、すなわち開口部51より食刻され、基材23上に多数の初期凹部24が形成される。上述したように、マスク5に形成された開口部51が所定のパターンで形成されたものであるため、形成される初期凹部24は、基材23の表面に所定のパターンに配置されたものとなる。なお、この初期凹部24の深さが、後述する最終凹部21の深さと同じになる。
【0062】
<4> 次に、図7(d)に示すように、マスク5を除去する(マスク除去工程)。
マスク5が主としてCrで構成されたものである場合、マスク5の除去は、例えば、硝酸第二セリウムとアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより行うことができる。
<5> 次に、図7(e)に示すように、複数の初期凹部24が設けられた基材23に、さらにエッチングを施し、凹部21を形成する(第2エッチング工程)。
【0063】
第2エッチング工程では、前述した<3>の工程で記載したような方法を用いてエッチングを施すことができる。
このように、マスク5を除去した後、さらにエッチングを施すことにより、得られる凹部21の平面視の形状、その直径、凹部21の中央部付近における曲率半径等を容易に好適なものとすることができる。
【0064】
以上のようにして、複数の凹部21を有する基板2が作製される。
なお、本実施形態では、マスク5を除去した後に、再度エッチングを施して、基板2を得るものとして説明したが、2度目のエッチングを行わずに、マスク5を除去した基材23を、そのまま基板2として用いるものであってもよいし、マスク5とエッチングレートの異なるマスクを用いて、2度目のエッチングを施してもよい。
【0065】
[S2] 固定電極3の形成工程
<1> 図8(a)に示すように、上記工程により、基板2上に形成された凹部21の凹面に沿って、固定電極3を形成する。
固定電極3の構成材料としては、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO2)等の電極材料を用いるのが好ましい。
【0066】
この固定電極3は、例えば、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、CVD法(化学気相成膜法)等の薄膜形成技術等を用いて形成することができる。中でも、スパッタリングが一般的で、厚さのバラツキの小さい膜を容易に形成することができる。
【0067】
<2> 次に、図8(b)に示すように、凹部21のほぼ中央部付近に、固定電極3の表面から基板2を貫通する孔部22を形成する。これにより、前述したように、可動膜4と凹部21との間のガス(気体)を逃がすことができるため、固定電極3と可動膜4との密着性が向上する。これにより、光スイッチング素子としての性能がさらに向上する。
このような孔部22は、例えば、レーザーとエッチングの組み合わせ、ダイヤモンドドリルによる穴明け、KOH水溶液内での放電加工等で形成することができる。
【0068】
[S3] 可動膜4の形成工程
ここでは、シリコン(Si)基板43にエッチング加工を施し、可動膜4を作製する。
<1> まず、図9(a)に示すように、可動膜4に用いる、母材となるシリコン基板43を用意する。
そして、このシリコン基板43の表面に、熱酸化処理を行う。この熱酸化処理によって、シリコン基板43の表面に図示しないSiO2層(熱酸化層)が形成される。このSiO2層は、絶縁層(絶縁膜)として機能する。
【0069】
このようにして熱酸化処理がされたシリコン基板43の図9(a)中上側の面には、図9(b)で示す支持部44に対応する枠状の領域に図示しないマスクを形成し、そのマスクを用い、例えば、フッ酸系エッチング液等を用いてウエットエッチングを行う。これにより、前記マスクで被覆されている部分を除いてシリコン基板43の表面のSiO2層が除去されてシリコン(Si)が露出し、残ったSiO2層によって、シリコン膜(シリコン層)41を形成するためのエッチング用のマスクが形成される。その後、前記SiO2層を除去するために用いたマスクを除去する。
【0070】
そして、前記SiO2層をマスクとして用い、例えば、アルカリ液(エッチング液)を用いてウエットエッチング、すなわち、アルカリ異方性エッチングを行う。これにより、前記SiO2層のマスクで被覆されている部分を除いてシリコン基板43が所定量食刻されて除去され、シリコン基板43の図9(b)のように、シリコン膜(シリコン層)41が形成される。
【0071】
前記ドライエッチングとしては、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)等を用いるプラズマエッチング等が好適である。
その後、再度、シリコン基板43に対し、熱酸化処理を行い、図示しないSiO2層(熱酸化層)を形成する。
その後、図9(c)に示すように、シリコン層41上に、光反射層42を形成する。
【0072】
光反射層42としては、その光反射層42を設けないときの可動膜4よりも反射率の高い金属薄膜等が好ましく、例えば、Al、Cr+Au、Cr等を用いることができる。
この光反射層42は、例えば、スパッタリング、蒸着、イオンプレーティング、CVD法(化学気相成膜法)等の薄膜形成技術等を用いて形成することができる。
【0073】
<2> 次に、前記工程[S1]および[S2]で作製した、固定電極3を有する基板2に、図10に示すように、可動膜4をたわまないように載置し、基板2の周囲と可動膜4の支持部44とを接合する。
この接合には、例えば、陽極接合法を用いる。陽極接合(陽極接合法による接合)においては、基板2と可動膜4との一方を陽極側に接続し、他方を陰極側に接続し、これらの間に所定の大きさの電圧を印加するとともに、所定の温度に加熱する。これにより、基板2の周囲と可動膜4の支持部44とが接合される。
【0074】
以上説明したように、本実施形態では、光スイッチング素子1の製造において、特別な手法を用いずに、主な工程をエッチングおよび薄膜形成技術によって行うことができる。そして、エッチングには、ウエットエッチングを用いることができる。すなわち、基板2上への凹部21の形成等を、ウエットエッチングで行うことができ、特に、なだらかな斜面を正確かつ確実に形成することができる。
【0075】
ウエットエッチングによれば、ドライエッチングに比べて簡単な装置で処理を行うことができ、さらに、一度に多くの基板に対して処理を行うことができる。これにより生産性が向上し、安価に光スイッチング素子1を提供することができる。
以上、本発明を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
例えば、前述した実施形態では、マイクロアクチュエータ素子を、光スイッチング素子に適用した場合を例にして説明したが、本発明が適用される装置(素子)は、これに限定されず、この他、例えば、静電アクチュエータをインク吐出機構に使用するインクジェットヘッド、マイクロポンプ、動作距離が長いアクチュエータ等の各種装置に適用することができる。
【0077】
また、本発明では、例えば、所定の対象物を押すことができ、かつパワーが比較的大きい静電アクチュエータを実現することができる。
また、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
また、前述した実施形態では、可動膜が、基板の全面に設置した構成のものについて説明したが、例えば、各凹部ごとに可動膜を設置した構成であってもよい。また、前述した実施形態では、開口部51の平面視での形状は、略円形で説明したが、略長方形であっても良い。これにより、半円筒状のアクチュエータにできる。
【0078】
また、前述した実施形態では、凹部が曲面形状のものについて説明したが、図11に示すように、平らな斜面を1つ有するものであってもよいし、図12に示すように、平らな2つの斜面を有するものであってもよいし、3つ以上の平らな斜面を有するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、基板の片面に凹部を有する構成について説明したが、例えば、基板の両面に凹部を有する基板を用いた構成であってもよいし、このような基板を複数有するものであってもよい。このような基板を複数有するものである場合、例えば、各凹部が対向するように配置させたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、可動膜が二層で構成されたものについて説明したが、一層で構成されたものであってもよいし、三層以上で構成されたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の部分縦断面図である。
【図2】図1に示す光スイッチング素子において反射光の光路を切り換えた状態を示す部分縦断面図である。
【図3】図1に示す光スイッチング素子において反射光の光路を切り換えた状態を示す縦断面図である。
【図4】図1に示す光スイッチング素子において反射光の光路を切り換えた状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の部分縦断面図である。
【図6】(a)本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の一例を示す部分平面図、(b)図6(a)のA−A’における部分縦断面図、(c)図6(a)のB−B’における部分縦断面図である。
【図7】基板の作製工程を説明するための縦断面図である。
【図8】基板に固定電極を形成した模式的な縦断面図である。
【図9】可動膜形成工程を示す模式的な縦断面図である。
【図10】本発明のマイクロアクチュエータ素子の製造方法の第1の実施形態において、ガラス基板のエッチング工程を示す模式的な縦断面図である。
【図11】本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の部分縦断面図である。
【図12】本発明のマイクロアクチュエータ素子を光スイッチング素子に適用した場合の部分縦断面図である。
【図13】従来の光スイッチング素子を示す斜視図である。
【符号の説明】
1……光スイッチング素子 2……基板 21……凹部 22……孔部 23……基材 24……初期凹部 25、26……溝部 3……固定電極 4……可動膜 41……シリコン層 42……光反射層 43……シリコン基板 44……支持部 45……孔部 5……マスク 51……開口部 6……光吸収体 7……ガラス板 71……中空部 11……Si基板 111……凹部 112……Si(エピタキシャル層) 113……片持ち梁 12……下部電極 13……上部電極 14……反射鏡
Claims (15)
- 少なくとも片側の面にエッチングによって設けられた凹部を有する基板と、
前記凹部の凹面に沿って形成された固定電極と、
前記固定電極に対向する可動膜とを有し、
前記固定電極と前記可動膜との間に生じる静電気力によって、前記可動膜が、前記固定電極に吸着、または、前記固定電極から離間するように駆動することを特徴とするマイクロアクチュエータ素子。 - 前記可動膜が、主として、シリコンで構成されたものである請求項1に記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 前記可動膜の膜厚が、0.1〜100μmである請求項1または2に記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 前記凹部の中央部付近での曲率半径が、0.008〜600mmである請求項1ないし3のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 前記凹部の平面視したときの直径が、8〜3000μmである請求項1ないし4のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 前記凹部の中心付近での深さが、0.1〜20μmである請求項1ないし5のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 前記基板上に、前記可動膜と前記凹部との間の気体を逃がす孔部が設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 前記基板は、板状の基材上に所定のパターンで開口を有するマスクを形成し、
次いで、前記マスクを用いてエッチングを施し、前記板状の基材上に多数の前記凹部を形成した後、
前記マスクを除去することにより得られるものである請求項1ないし7のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ素子。 - 前記基板は、前記マスクを除去した後、さらに全体にエッチングを施すことにより得られるものである請求項8に記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 光の光路を制御する光スイッチング素子である請求項1ないし9のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 前記可動膜は、前記固定電極と接触する面とは反対の面側に反射鏡を有し、吸着、離間により、光の光路を制御する光スイッチング素子である請求項10に記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 前記可動膜は、前記固定電極と接触する面側に反射鏡を有し、吸着、離間により、光の光路を制御する光スイッチング素子である請求項10または11に記載のマイクロアクチュエータ素子。
- 板状の基材上に所定のパターンで開口を有するマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いてエッチングを施し、前記板状の基材上に多数の凹部を形成する工程と、
前記マスクを除去する工程と、
形成された前記凹部に固定電極を形成する工程と、
前記固定電極に対向するように可動膜を形成する工程とを有することを特徴とするマイクロアクチュエータ素子の製造方法。 - 前記固定電極を形成する工程の前に、前記マスクを除去した状態で、さらにエッチングを施す工程を有する請求項13に記載のマイクロアクチュエータ素子の製造方法。
- 前記固定電極は、スパッタリング法により形成されるものである請求項13または14に記載のマイクロアクチュエータ素子の製造方法。
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